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65回国会参議院1971/05/13

社会労働委員会 第13号

発言数
179
登壇者
15
会派数
3
開催日
1971/05/13

会議録

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  佐野芳雄君、占部秀男君、中沢伊登子君、玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として藤原道子君、吉田忠三郎君、田渕哲也君、平島敏夫君がそれぞれ選任されました。     —————————————

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案を議題といたします。  まず政府から趣旨説明を聴取いたします。野原労働大臣。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) ただいま議題となりました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  わが国の雇用失業情勢は、昭和三十年代後半以後引き続く経済の高度成長に伴いまして著しく改善され、近年においては労働力不足基調へと変わってまいりました。今後とも、経済はなお相当の成長を続けていくと予測されますので、多少の景気の変動があるとしましても、全体として労働力不足は一そう深刻化するものと思われます。しかしながら、その中でも年齢別、地域別に見ますと、かなりの不均衡が見られ、中高年齢者や雇用機会の乏しい地域の失業者につきましては、年々改善されてきてはおりますが、なお、就職が必ずしも容易でないという状況が見受けられます。  このような状況の変化に対処するため、失業対策制度のあり方について根本的に検討することが必要であると考えられましたので、昨年九月学識経験者を失業対策問題調査研究委員に委嘱し、客観的、専門的立場からの調査研究を依頼いたしました。同年十二月、その結果が報告されましたので、それを参考としつつ今後の失業対策制度に関する基本構想をまとめ、同月二十三日雇用審議会に諮問いたしました。  この基本構想におきましては、先に述べましたような雇用失業情勢の見通しを前提とし、中高年齢者が多年にわたる職業生活で得た知識と経験を生かすことが、中高年齢者自身にとっても、また、国民経済の観点から見ても肝要なことであるとの考えに立って、今後は、中高年齢者の雇用促進に重点を置き、これらの者が従来のように失業対策事業に依存することなく、その能力を民間雇用において有効に発揮することができるようにするための特別の対策を講ずることとしております。  一方、現在失業対策事業に就労している者につきましては、従来の経緯等にかんがみ、当分の間失業対策事業を継続実施して、これに就労させることとしております。  雇用審議会におきましては、この基本構想について慎重な審議が行なわれ、去る二月十三日答申をいただきましたので、政府といたしましては、その御意見を尊重しつつ成案を固め、ここに中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案として提案した次第であります。  次に、政府提案の法律案の内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、この法律は、中高年齢者等の就職がなお困難な雇用失業情勢にかんがみ、これらの者がその能力に適合した職業につくことを促進するための特別の措置を講ずることにより、その職業の安定をはかることを目的とするものであります。  第二に、中高年齢者の雇用を促進するため、その適職、労働能力の開発方法等の研究、求人者等に対する指導及び援助、職業紹介施設の整備等の措置を講ずるとともに、中高年齢者に適する職種について雇用率を設定し、これが達成されるよう、事業主に対して、雇い入れの要請、給付金及び融資についての特別の配慮を行なう等中高年齢者の雇用を奨励するため必要な諸施策を講ずることといたしております。  第三に、就職の困難な中高年齢者等の就職を促進するため、求職手帳を発給し、その有効期間中就職活動を容易にし、生活の安定をはかるため、所要の手当を支給しつつ、就職指導、職業訓練、職場適応訓練等を実施することにより就職の促進をはかり、このような対策を講じた後においても就職が困難な者につきましては、必要に応じ手帳の有効期間を延長することといたしております。  第四に、中高年齢者等につきましては、一般的には以上の諸施策によって十分対処し得ると考えられますが、産炭地域等雇用の機会の乏しい地域の中高年齢者等につきましては、手帳の通常の有効期間が終わってもなお就職が困難な者も考えられますので、有効期間について特別の配慮を加えるほか、これらの者の雇用を促進するため、職業紹介、職業訓練等の実施、雇用機会の増大をはかるための措置等に関する計画を作成し、計画に基づき必要な措置を講ずるとともに、必要に応じ公共事業へ吸収させることとして、万全を期している次第であります。  なお、雇用機会の増大をはかるための措置として当該地域の発展により雇用の機会が増大するまでの間、臨時に雇用の機会を与えることを目的として、予算措置により、特定地域開発就労事業を実施することといたしております。  また、この法律案の附則におきまして、緊急失業対策法は、この法律の施行の際現に失業対策事業に使用されている失業者についてのみ、当分の間、その効力を有するものとし、この場合において、夏季または年末の臨時の賃金は支払わないものとするとともに、関係法律について所要の整備をいたしております。  以上この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) この際、本案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員田邊誠君から説明を聴取いたします。衆議院議員田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○衆議院議員(田邊誠君) 私は、衆議院の社会労働委員会を代表して、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。  第一は、原案では、特定地域の中高年齢失業者等の雇用の機会を増大するために事業を実施することが必ずしも明確ではないので、特に事業を実施することを法文上明確にしたことであります。  第二は、現在の失業対策事業就労者の実態にかんがみ、緊急失業対策法が効力を有する期間を特に定めないこととしたことであります。  第三は、失業対策事業就労者に対し夏季または年末に臨時に支払われる賃金は、従来の経緯等にかんがみ、これを支払うこととしたことであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後刻行ないます。     —————————————

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。  横山フク君が委員を辞任され、その補欠として山本敬三郎君が選任されました。     —————————————

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 次に、労働組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院社会労働委員長代理理事伊東正義君から趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員伊東正義君。

伊東正義自由民主党

○衆議院議員(伊東正義君) ただいま議題となりました労働組合法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。  中央労働委員会の委員の定数は、現行の労働組合法上、使用者委員、労働者委員及び公益委員それぞれ七人と定められておりますが、最近、係属事件は増加の傾向にあり、特に不当労働行為事件については、事案がふくそうし、その処理も著しく遅滞し、ために、労使双方に多大の不便を与えつつある実情にあります。  本法律案におきましては、このような現状にかんがみ、中央労働委員会の使用者を代表する委員、労働者を代表する委員及び公益を代表する委員の定数を各七人から各八人に改め、その機能を十分に発揮させようとするものであります。  以上が本法律案を提出いたしました理由とその内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言願います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 では、労働省当局に労働組合法の改正について質問いたします。  まず第一点は、いまの扱い件数、特に不当労働行為の年間の扱い件数について質問いたします。

石黒拓爾労働省労政局長

○政府委員(石黒拓爾君) 中労委におきまする不当労働行為の扱い件数は、これは昭和三十年代までは百件未満でございまして、たとえば三十三年、三十四年は五十一件、五十五件というようなものでしたが、それがややふえまして、三十九年に八十七件になりまして、四十年以降は百件をこえまして、年々ふえまして、四十年が百三十四件、四十五年には百八十三件ということで、十年前に比べますと数倍の量に相なっております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 この増員によりまして、一件に対する扱いの期間などがどのくらい短縮されますか、お伺いいたします。

石黒拓爾労働省労政局長

○政府委員(石黒拓爾君) ただいま取り扱いの期間につきましては、漸次長引く傾向がございまして、最近におきましては五百日ぐらいかかっております。これを七人の各委員が八人になることによってどのくらい短縮されるかというのは、当事者の訴訟態度にもよるわけでございまして、一がいに申し上げかねますが、相当の短縮ができることを私どもといたしましては期待いたしている次第であります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 いままでの中労委の動きを見ましても、なかなかたいへんなようでありますし、それから不当労働行為などの解決がおくれるようにも考えます。あとで質問いたします聯合紙器の問題なども、もちろん春闘もはさまっておりますけれども、解決が非常におくれておりますので、この際一名の増員によりまして労使の紛争が早急に解決できるように、労働省としても特段の配慮をお願いしたい。  以上で質問を終わります。

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御意見もなければ討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  労働組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 次に、労働問題に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言願います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 いまいわゆる春季闘争なるものが世間の注目を浴びておりますが、労働省当局に、現段階における民間組合の賃上げの闘争の状況及びいわゆる公労協といわれる公企体労働者関係の賃上げ闘争の実情、二つに分けて御説明を求めます。

石黒拓爾労働省労政局長

○政府委員(石黒拓爾君) 春闘の状況でございますが、まず民間について申し上げますと、三月以来要求が出まして、各業種ごとに団体交渉を重ねておりますが、現在までに妥結ないし妥結の方向にあるというふうに見られます主要産業としては、新聞・放送などのマスコミ関係、それから鉄鋼、電線、造船、自動車、パルプ、それから紙パルプの一部、それから海運などがございます。現在なお交渉を継続中の産業といたしましては、まず私鉄のほかに化学、セメント、機械金属、電機、電力、金属工業などがございまして、本年の春闘の妥結状況は、昨年は私鉄が四月中に片づきましたのに比べまして、いまだに片づかないということで、一般に大幅におくれております。妥結の額ないし回答額は業種によりかなり高低がございますし、また同一業種内でもいろいろな幅がありますので、一がいには申し上げられません。昨年妥結額との比較を大まかに申し上げますと、業績が好調な一部の産業では昨年妥結額を上回っているけれども、昨年妥結額とほとんど同程度のものあるいはこれを下回るものも見られる次第であります。  それから公企体の状況でございますが、公企体も三月初めから要求が出まして、その後労使間で交渉いたしまして、四月下旬に入りまして、国鉄を除く公企体等の申し出によりまして、有額回答をなすことを政府が認めまして、四月二十七、二十八日の両日にわたりまして、国鉄を除く各公社現業がいわゆる有額回答をなしております。その後三十日前後の段階におきまして、さらに調停段階で民間賃金の動向等も考慮するというような態度も表明いたしまして、若干の組合を除きましては公労委の調停にかかっておりまして、現在事情聴取等の調停作業が進行中というのが公企体関係の実情でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 民間単産の中でも、特に国民の足に関係があります私鉄が今晩の零時から二十四時間のストライキを宣言をいたしております。いま労政局長からもお話がありましたように、昨年よりも大幅に解決がおくれております。その理由は、一体何でございましょうか。

石黒拓爾労働省労政局長

○政府委員(石黒拓爾君) おくれております理由というのは、一がいに私どもわかりかねるわけでございますけれども、一番基本的には経済情勢が非常にきびしいということから、したがって経営者側も強い態度をとっておる、したがって団体交渉が難航しておる、労使とも慎重な態度をもってかまえておるというところに最大の原因があるんじゃなかろうかというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 国鉄の場合も、これは同じようなことが考えられますが、私鉄各社の動きを見ますというと、昨年もことしも、車も人もフル回転をいたしておる。一生懸命働いておるわけです。したがって、世間が言うほどたとえば乗客が減ったかというと、そうじゃないのです。資料を見ますと、車も動いておるし、乗ってるお客さんも去年よりもかえって伸びておる。ある会社では少し減ったところもありますけれども、いわゆる好不況というもので、たとえば鉄鋼とかあるいは電機とか、自動車とか、いわゆる経済に影響されるところの労使関係ならば特に私問題にいたしませんけれども、私鉄や国鉄などというものは、お客が乗りましてその運賃を払う、それが収入だ。経営する側は車を動かして人件費を払う。大体年々歳々フル回転をやっている。にもかかわりませず、好不況ということによって紛争の解決がおくれるということは、日経連や経団連その他、いわゆる経営者団体が不況に名をかりまして、強引に賃金を抑圧しようとする。ところが、組合側としては、労働者側としては、昨年の例があり、一昨年の例がある、また民間とのバランスがある、低い賃金では妥結できないということで、これは政府にも責任があると思いますけれども、私は予算委員会で問題にいたしましたが、不況を口実にして、もちろん若干不況のかげりはありました。しかし、現在は不況は底をついて上昇過程にあります。にもかかわらず、不況を口実にして賃上げを抑制しようとしている。だから、もう一つ極端に言うならば、二十四時間か四十八時間くらいはストライキをやって、あときめたほうが経営者団体の中における私鉄の経営者としては言い分が立つというような、国民の足を無視した、国民の便益を無視した企業のエゴというものがありませんか。そういうものがあるならば許せぬと思うんです。それを労働省として、もし見過ごしておるならば、労働大臣にも責任があると思う。運輸大臣にも責任があると思う。そういう面で、私は、不況を口実にして賃金問題の解決をおくらしておるんじゃないかという気がいたしますが、労働大臣はどのように判断しておられますか。

石黒拓爾労働省労政局長

○政府委員(石黒拓爾君) 不況がどの程度深刻であるかということにつきましては、いろいろ御意見がございます。ある程度景気の調整過程にあることは、これは事実でございます。経営者というのは、不況である場合はもちろん、そうでなくても大体におきまして、何とか賃金を安くきめたいというふうにいろいろなことを申すと、組合側のほうはできるだけ高くきめたいということでいろいろなことを申すということは、これはいつも団体交渉の場合にあることでございますが、そういうことに藉口いたしまして、たとえばストをやらしたほうがむしろいいんだというようなことで、故意に団体交渉を引き延ばすというようなことがあっては、これは企業の公共性を無視した態度であると思いますので、はなはだ好ましくない。私どもといたしましては、何とかストなしに解決できますように、労使の一そうの努力をしてもらえることを切望している次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 たとえば中央労働委員会なりあるいは労働省は、ストをやらないで——もう今晩の零時から二十四時間ストを宣言いたしておりますけれども、ストをやらないで賃金問題が解決できるような努力をされた経過を御報告願いたいと思います。

石黒拓爾労働省労政局長

○政府委員(石黒拓爾君) 私鉄につきましては、これは民間産業の紛争でございますので、政府が軽々に介入すべきものではございませんが、聞くところによりますと、今日の午後にでも経営者側が回答をするということでございます。回答によりまして片づけばたいへんけっこうでございますが、あるいは経営者側の第一次回答だけでは片づかないかもしれぬという、そういう場合には当事者が中労委の力を借りて、平和的に解決するように努力されることが望ましいと思っておりまして、中労委といたしまして、非公式に従来から労使双方の事情を聞いておりますが、さらに情勢が熟しますれば、いつでも出られますように準備を整えて待機をしているというのが現状でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 重ねて私申し上げておきたいのですが、ストライキをもう万一にも——私はそんなことはないと思うけれども、私鉄の経営者が、二十四時間あるいは四十八時間のストライキをやらしたほうが経営者団体の中でメンツが立つとかあるいは近い将来の私鉄運賃の引き上げなどの口実が、世間に申しわけが立つとかというような、そういう企業のエゴがあるならば、これは私は許せないと思う。  で、あしたのストライキについては、いま局長のお話におきましても、なかなか解決しそうもないのですが、民間単産、特に私鉄の賃上げの紛争は、いつごろ解決されるような見通しですか。

石黒拓爾労働省労政局長

○政府委員(石黒拓爾君) これは当事者双方のおりますことで、しかも今年は非常にむずかしい春闘でございますので、見通しを申し上げるのは非常にむずかしいわけでございますが、私どもといたしましては、できれば明日のストライキ突入前にでも解決できるように、中労委に大いに努力をお願いしたいと思っております。しかし明日できない場合には十八日に第二波をかまえているようでございます。この際にはぜひとも何とか解決できるように、中労委でもあらん限りの努力をされることを切に期待している次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 民鉄部長見えておりますから、ただいま申し上げたのと同じ質問でありますけれども、車——いわゆる運送業というのは、その持っている車でもって最大限にお客さんを運んで収入を上げるわけです。そうして節約しながら経費を払っていくわけですから、世間の好不況というものに非常に大きく影響されないのではないかと思う。今年のもちろん春には不景気の影がありました。予算委員会時代には、特に不景気を宣伝しながら——私はそのときも質問いたしましたが、賃上げを抑制するための不況宣伝ではないかと言った。そういうこともいままだ心配しておりますが、運賃の引き上げの口実にするとかあるいは賃金引き上げを抑圧する口実に不況宣伝をしているということではまかりならぬと思いますけれども、運輸省側として、現在の私鉄の賃金に対する労使紛争をどのように把握しておられますか。

須賀貞之助運輸省鉄道監督局民営鉄道部長

○説明員(須賀貞之助君) お答えいたします。先生のお話のありましたように、私鉄自体につきまして好不況という問題はあまりないのではないかと、こういうお話でございますが、御承知のように、地方におきましては非常に道路の改善あるいはモータリゼーションといったような関係で、中小私鉄は非常に経営が不振になっておりますが、都会の鉄道におきましても、その輸送人員の伸びといったものにつきましては、従来から微々たるものでございまして、お話がありましたように、減っているような大手私鉄の中には会社もあるわけでございますが、その他を比べましても、いろいろ差はあるわけでございますが、毎年の人員の伸びといったものも四%程度のものであるわけでありまして、ただ、前からいろいろ問題になっております輸送力増強工事といったようなものを進めて、第三次の輸送力増強工事をしているわけでございますが、これの資本費といったものが非常に高くかさむということで、各私鉄それぞれ経営に非常に苦しんでおると、こういう状況であるわけでございます。われわれといたしましても、経営者側あるいは労働者側からいろいろな報告があるわけでございますが、ストに対して特別なことを特に申し上げるといったことは介入することになるので差し控え、いろいろ情勢を把握しておるという段階であります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 今晩の零時から二十四時間ストライキを宣言しておりますが、労働組合は好んでストライキをやるわけではないわけですね。もうせっぱ詰まってやるわけでありますが、国民の足を守るためにストライキ回避あるいはその他の代用機関を利用するなど、運輸省としてとっておられる措置について御説明願いたいと思います。

須賀貞之助運輸省鉄道監督局民営鉄道部長

○説明員(須賀貞之助君) ただいま申し上げましたように、ストにつきまして労使双方にいろいろ特別なことを申し上げるということは非常に介入のおそれがあるということで、情報をキャッチしている程度であるわけでございますが、予測どおりにストライキが実施された場合には、通勤通学輸送等に非常に著しい混雑が生ずるおそれがありますので、政府といたしましては、総理府のほうから、時差通勤通学懇談会におきまして、産業界、学校等に時差通勤通学といったものについての措置を要望しておるわけでございます。また運輸省といたしましては、関係陸運局長に通達をもって、ストを行なわないほかの鉄道あるいはバスの輸送力の確保、あるいは客扱い業務等につきまして特段の措置を講ずるように要請するようにしております。またタクシーの稼動確保、緊急を要しない自動車の運行の差し控え等について十分な措置をとるように指導しているところでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 労働省にも要請いたしましたけれども、運輸省も、特にこの民間の私鉄の賃金紛争を早急に解決して、でき得べくんばストライキは打たれないように御努力願いたいと思うのですが、次は公労協の問題ですね。  公労協のほうも、昨年に比べまして調停の動きが鈍いわけです。私は、きょうは公労委の会長代理にここに出てもらって、なぜ調停がおくれているか事情を聞きたかったのでありますけれども、ちょうどいま審議中でありますから遠慮いたしました。なぜ昨年に比べて公労委の調停がおくれておるのか、テンポがおくれておるのか。聞くところによりますというと、第二次回答については十四日には回答しないと、労働省の出席したところで公労協の当局が打ち合わせたということを聞いておりますが、こういう事実があったらたいへんと思うのです。十四日は私鉄のストライキ、そしてあとまた公労協のたとえば国鉄、電通、全逓など、いわゆる公労協のほうも一緒になって、いわゆる同じような産業でありますから、似た産業であるから、賃金も大体同じようにしてもらいたいということでやっておる。だから私鉄のストライキだけではなくて、国鉄などでも順法闘争などがあるようでありますが、なぜ公労委の調停が昨年よりおくれたのか。昨年は三十日に調停に出して、八日ごろ一応結論が出ているのです。にもかかわりませず、きょうはもう十三日であるが、第二次回答が出ていない。しかも国鉄は無回答である。この点について、まず労働省から御説明願い、あと国鉄の当局から説明を求めます。

石黒拓爾労働省労政局長

○政府委員(石黒拓爾君) 全般に春闘がおくれがちでございまして、公労委の調停作業もややおくれておりますが、これは公労委の事情を私ども推察いたしまするに、ここ数年の公労委の調停の作業のやり方というものは、民間賃金がおおむね出そろうのを待ちまして、そしてそれのいわゆる相場といったようなものを勘案して調停段階におきましてできるだけ自主的な解決をはかるということをやってきておるわけでございます。本年におきましては、民間賃金の出方が非常におくれておって、主要産業でも、先ほど申し上げましたように、まだめどのつかないところが多いというところが公労委としても非常に作業のしにくい点ではなかろうかというふうに推測しておる次第でございます。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 国鉄は、現在賃金引き上げについての回答をいたしておりません。この事情を申し上げます。  現在、国鉄の財政事情は、膨大な長期負債を持ちましてたいへん苦しい財政事情にあるわけでございます。四十六年度の予算事情もこの中でたいへん苦しいものがございます。この中で賃金引き上げについての検討をするという場合でございますが、どういたしましても国鉄の財政再建の見通しを立てるという中でなければ賃金引き上げについての検討に入り得ないという事情がここにあるわけでございます。具体的には、四十六年度以降の近代化計画がどのように進行するかということの中で初めて賃金引き上げにつきましての検討をなし得るという事情でございます。そういうわけで、具体的には四十六年度以降の近代化合理化計画を提案いたしまして、これは四月以降毎日組合と交渉をいたしております。この交渉を煮詰めまして、整理できました段階で賃金引き上げについての検討をいたしたいということで回答をいたしておらない次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 運輸省の国鉄部長に聞きますけれども、さっきの私鉄の場合にも申し上げましたように、国鉄の場合も持てる車を十分に動かしまして、去年と同じように、労働者は朝から晩まで一生懸命働いているわけです。しかもお客の数も去年よりふえております。収入も昨年よりふえております。一年間の収支を見ますれば、国鉄は黒字なんです。ただ長い間の借金がありまして、その利子を払うために赤字だ。そこでいま合理化——真鍋理事が言われたように、合理化をしなければ、赤字ですから何とももう賃金の言いようがないから無回答ですという話ですね。ところが労働者の立場になりますというと、去年もおととしも、その前の年も毎年同じように一生懸命フル運転しているではないか、そしていわゆる公企体職員として、電通や専売やその他の職員と同じようにわれわれも公企体職員として最善の努力をして国家に尽くしておるではないかという気持ちがあるわけです。だから、長い間の借金があるために合理化に応じなければ賃金引き上げできないというてんびんにかけて、たとえば一万数千名首切りを承認するならばこっちにひとつ幾らか賃金上げましょうというような団体交渉のあり方はおかしいのではないかと、私はそう思うのです。でないと、これが年間一年一年の収入が幾ら動いても、収支が赤字になって、それは赤字が累積するなら別ですけれども、一年一年を区切ってみますと黒字であって、長い間の借金の利子払いで赤字になっておるというような特異な現象も見なければならぬと思うのです。しかも働きぐあいも、去年よりもことしは人数が少なくて、しかも合理化に応じながら働いているわけですから、私のほうから客観的に見れば、いま他の二公社五現業は有額回答があったのに、国鉄だけ無回答ということはどうもふに落ちないわけですが、運輸省としては、どのように把握しておられますか。

秋富公正運輸省鉄道監督局国有鉄道部長

○政府委員(秋富公正君) お答え申し上げます。  ただいま小柳先生の御指摘のように、国鉄の財政悪化ということには、いわゆる過去の負債というものもございます。いろいろ国鉄の財政状態の悪化しておる原因はございますが、一つには長期負債の利子あるいはその元本の返済ということもございます。またいわゆるモータリーゼーションあるいは輸送構造の変化に伴います国鉄輸送の伸びと申しますものがはかばかしくないということもございますし、同時にまた人件費の圧迫ということも見のがせない次第でございます。で、昨年までは、まだいわゆる損益勘定から資本勘定へ約八百五十億繰り入れができたわけでございますが、本年度の予算におきましては、予算上も資本勘定へは全然繰り入れができない、へたをいたしますと償却前の赤字を招くという、きわめて異常な危機に面しているわけでございます。これを今後再建いたしていきますために、いわゆる十カ年の再建計画をつくってきているわけでございますが、やはりいわゆるいま申しましたいろいろの国鉄財政の悪化に対します手当は十分いたさなければなりません。私たちといたしましても、二十数年ぶりに政府出資ということをいたしましたり、あるいは金利のいわゆる六・五%までの補助を五・五%までの補助に引き上げるとか、あるいは財政投融資の額をふやすとか、いろいろ政府といたしましても手を打っているわけでございますが、同時にやはり国鉄の合理化、近代化ということもきわめて重要な問題でございまして、ただいま国鉄の真鍋理事から申し上げましたように、現在その問題についての見通しを見て、さらに段階を進めていきたいという国鉄の意向でございますから、私たちは、ただいまのところ、国鉄の労使双方の自主的な交渉を見守っているという立場でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 その国鉄労使の交渉というものは全然進まぬのです。それはいま言いましたように、赤字であるから経営合理化に乗らなければこれはだめだと、一万数千名の首切りをその場で出しまして、これはそれでよろしゅうございましょうというような、そういう段階じゃないわけですね、もうぎりぎりでいま動いているわけですから。それで公労委の動きですけれども、きょうも公労委は調停作業をやっているようでございますが、これは真鍋理事に聞きましょうか。調停の——まあいろいろ言いようはありましょうけれども、調停の段階でも、なお赤字ですから全然うちは金は出せませんと、これでいっておられるのかどうかですね。この前労働大臣は、同じ公企体の職員であるから差をつくるべきでないと、そういうことを委員会で発言しておられます、私の質問に。真鍋理事は、国鉄は調停委員会へ行って、私のほうは全然これは賃金出せません、引き上げありませんと、こういうことではとてももう公労委の調停も成立しないと思うんですけれども、どういうようなことで問題を解決しようと思っておられるのですか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 国鉄の財政再建につきましての施策はいろいろあると思います。しかし労使の企業努力といたしましては、やはり近代化、合理化をやりまして、だんだんと圧力が強くなってまいります人件費についての努力をするということは絶対に前提条件として必要である、あるいはこの体質改善の中で、近代化計画というものはやはり財政再建の大きい要素であるということを考えておるわけでございます。そういう中でございますので、四十六年度以降長期展望に立って国鉄の財政再建がどのように可能かということが、現在提案しておりますものとの関連で一番大きい要素になるということを先ほど申し上げたわけでございます。この前提条件、つまり四十六年度以降の提案しております近代化、合理化計画が消化できるという見通しに立ちました場合には、これは昨年も同じことでございましたけれども、やはり二公社五現業との均衡というものをわれわれは考えざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 これは大臣の先般の発言でこういうのがあります。今日までの努力を積み上げ昨年同様の取り扱いをしたい、まあこれは労働大臣としては一生懸命努力されておると思いますけれども、もちろん近代化に対応するための諸施策の改善についてはだれも反対しないと思うんですね。経営上労働者の賃金を捻出するために、無理ないわゆる合理化政策というようなものと引きかえに賃金問題を解決しようとしても、これは公労委の段階でも解決できないんです。したがって私に言わせるならば近代化政策にマッチする合理化政策は、これはもう気長に労使が納得のいく線で話し合っていく。この賃金問題についてはやっぱり早期に解決しませんと、私鉄は明日ストライキ、これに国鉄が一緒になりまして汽車や電車がとまってまいりますと、国民はたいへんなことであります。特にさっき労政局長は十八日から二十日とおっしゃっております。新聞もそう書いておりますけれども、そういう日にちを予想してやるよりも、もっと私は公労委が積極的に動いてもらって、民間私鉄の賃金が出なくてもいいじゃないですか、大臣がおっしゃるように、昨年並みと、昨年同様のというようなニュアンスもあるんですから、そういうものが一つの線が出ますと、私鉄だって早く解決するのです。私鉄も、国鉄もあるいは公企体も、両方がにらみ合って解決をずらしておるような気がしてならぬのでありますが、公労委は公労委独自に問題の早期解決のために努力をしてもらわなければならぬと思うんですが、この点について大臣からひとつ決意を聞いておきたいと思う。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 国鉄の関係者に関連質問しますが、国鉄の場合、いまの答弁では財政再建上云々と、こう答えられておる。そこで、財政再建の本質の議論をしようと思いませんが、公共負担、一体国鉄はどの程度やっておるか、これは市町村納付金も含めて。それから国鉄の最大の赤字の原因は、御承知のように、政府の中期経済計画の中にもございますように、輸送量の増強、それに伴う建設ですね、この建設経費がどのくらいか。われわれが調査をしてみますと、公共負担、それから長期の建設経費、当然これは国の計画に基づいてやっておるわけですから、その建設経費は国家的な資本の投資をしなければならぬ。それが全部債権になっておる。その元利がたいへんですね。ですから当然国が負担しなければならぬものを国鉄が負担しておる。これが建設勘定ですね。それと償却勘定、これは赤字でしょう。営業勘定、黒字でしょう。いま小柳委員が言ったように、営業勘定で黒字になるということは、その働いているのはだれかというと職員、労働組合の諸君でしょう。それが全体の勘定で赤字になるからといって有額回答しない、賃上げができないと。一方、物価はどんどんとめどもなく上がっちゃう。これで一体労働者の生活、あなた方守れると思いますか。ですからこの点は市町村の納付金、それからその他農産物の割引あるいは刊行物の割引、あるいはその他の学割、通勤割引等々含めて、当然政府が負担すべきものを国鉄が公共負担としてこれをどのくらいしているか。これと、それから資産勘定に基づく建設経費、こういうものを明らかにしてください。そういうものを明らかにしないで、ただ単にトータルで赤字になりますから労働者の賃金を上げることはできない、こんなことで一体納得できますか。できないでしょう、真鍋さん。こういう点を明らかにして、そうして当然政府が負担をしなければならない経費について、一体、国鉄当局、総裁以下、どういう手だてをしたかということを明らかにしてください。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) お話しの公共負担、長期建設経費、市町村納付金は、現在の額を申し上げますと、公共負担は五百二十億、長期建設経費が三千五百億、市町村納付金百二十億でございます。これらの経費につきましては、国鉄としましては、予算編成当初からいろいろ政府関係方面に内容を御説明申し上げまして予算編成ができたという事情にあるわけでございますけれども、ただ、私どもとしましては、このようなものについての施策というものはもちろんお願いをするわけでございますけれども、企業努力としましては、やはり国鉄の体質改善というものを片方で労使が一体となってやるということはやはり必要であり、そういった中でもろもろの施策が加わって国鉄の財政再建が可能になるというふうに考えておる次第でございまして、合理化、近代化計画というものの中でやはり賃金引き上げというものを考えざるを得ないという考え方でございます。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 国鉄の果たしておる役割りというものはまことに重大でございまして、国民生活の上にはかり知れない大きな関係を持っておりますが、したがって、今回の公企体の賃金等は、できるだけ早く円満な妥結ができますように期待をしておるわけでございますが、いまだに回答がないということを遺憾に思っておるわけでございます。  そこで、私は、先ほど来小柳さんからの御質問がございましたが、いろんな公企体等は、それぞれみな違った条件ではございますものの、やはりひとしく国家、公共の企業に従事しておる勤労者であるという点で、企業の内容がいかにあろうとも、賃金という問題につきましてはやはりあまり大きな差があってはならないということは、前々から考えておったわけでございます。したがって、そういう面では、賃金に大きな差等等があるべきはずのものではなかろうというふうに考えておるわけですが、同時に、公企体のいろんな経営内容等もあることでございますから、なかなか当局側の回答が出しづらい事情もよくわかります。しかし、これはやはり公労委という機関がございますので、結局は公労委の調停におまかせして、適切妥当な見解をお示しをいただいて、それに当局もあるいは労働組合側も、その公労委の裁定に対して承認をするという形が最終的な態度であろうかと思います。そういう面で、やはり政府が直ちにこうした問題について介入することは好ましくない状況もございますので、やはり第三者機関である公労委というものの任務、責任を通じまして、その方々の適切妥当な見解をお示しいただく。それに向かっては、たとえそれが現在の財政事情から言えば容易でないという問題がございましょうとも、それはやはり公労委の裁定によって必要であるとするならば、当然必要な財政上の措置は講じて支払われるべきものであるというふうに考えておるわけでございまして、いずれにしましても、どうも国鉄がもしもストライキ等の事態になりますというと、国の経済の発展、あるいはあらゆる面から国民生活に与える影響はまことに甚大でございます。そういう事態が絶対に起こってはならぬ、起こらしめてはならないというふうに考えますので、一日も早くその辺を考えて、公労委のほうで適切な御見解をお示しいただく、それには両者ともそれに服するという態度が望ましいことに考えております。ただいまのところ、どうも労働省がそのいずれに対しましても、明確な回答をするとか、それに対して特別な注文をつけるということは非常にむずかしい段階でございますので、いつにかかって公労委の調停におまかせしてやってもらいたいということを要望する次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 大臣、逓信委員会のほうの約束がありますから、最後に一問いたします。  いまおっしゃいましたように、国鉄など、公共企業体が実力行使などはやるべきでない、好んでやっているのではないのであります。やむを得ずやる。しかも、昨年に比べて公労委の調停が非常におくれておる、これにも一半の責任もあろうと思う。もう一万五千円あるいは一万九千円の賃金要求をしたのは、ずっと数カ月前のことでありますから。言うならば、政府もあるいは公労委も、労使双方も努力をして、実力行使などしないで解決するのが一番いいことですね、最良の方法です。したがって、解決しましたあと、また報復措置で、実力行使やったから処分するとかなんとかということを年じゅう、十数年繰り返す、そういうことがあってはならぬと思います。したがって、公労委もうんと活動してもらう。早く裁定が——あるいは裁定になるかどうかわかりませんが、まだこれからでありますけれども、労使も団体交渉を煮詰めて、早く問題を解決して、そうしてその結果に対しては報復的な措置が絶対にありませんように、労働大臣として各企業体を指導してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。これで私のこの春闘に対する質問は終わります。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) お説のとおりでございますが、しかし、公企体等は、スト等の違法行為、そういうものはできないたてまえでございますので、そういう事態が起こらないことがあくまでも望ましいことでございますが、起こった際における当局側の措置につきましては、またこれはやむを得ない措置でもあろうかと、しかし、そういうような事態が起きないことを心から切望しておる次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 ことばじりをとるようでありますけれども、いま大臣のおっしゃったやむを得ないということは、その実力行使もあるいはやむを得ない面もあるだろうという意味でございましょうね。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) ストがございました際は、やっぱり法に照らして、まあ適切な措置をとるのもやむを得ないことであろうかという意味でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 これはたいへんな問題でありまして、いまからそういうことで、法に照らして適切な措置というのは——私がいま言っているのは、報復的な措置が毎年やられる、そういうものが年々労使間を対決さしていくのです。だからもうそういうことをしないように、きょう、まだ時間がありますから、努力していただきまして、そうして報復措置などありませんように、ひとつ労働大臣が最善の努力をして、各企業体に指導してもらいたい、こういう注文をつけているわけです。いいですね。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 報復措置と仰せられましたが、まあ報復というふうなことは考えていないと思います。あくまでもわれわれは両者の円満な理解によって解決を切望するわけでございます。したがって、そういう努力に最善を尽くしますが、まあ違法行為でもございますれば、やはり法の命ずるところによって、やむを得ず最小限度の措置はとることもあり得るだろう。これはそういうことのないように切望してやまない次第でございます。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 国鉄の常務理事に伺いますが、いまざっと公共負担分と市町村の納付金を別にして、四十六年度で資本繰り入れは幾らやっていますか、これが一つ。それから営業勘定収支の状態ですね、これはどの程度にことしなっていますか。それと、国鉄の財政が悪化しておるのは、大体昭和三十九年ころからだと思うのですが、傾向を見ると。その後、さっぱり政府のほうは手を打っていない。ために年々歳々債務負担行為、つまり借金政策をやっておる。こういうことですから、四十六年度までに、一体、財投を含めて、政府からの借入金はトータルどれぐらいになるか。それと金利がどうなっているか。この点を教えていただきたいと思うのです。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) こまかい数字、現在持っておりませんで、後ほど提出いたしますが、四十六年度の予算で損益勘定から資本勘定への操り入れはございません。御承知のように、約三百億の長期負債をもって損益勘定のつじつまを合わしておるというような状況になっております。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 ちょっと聞こえないのですがね。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 損益勘定から資本勘定への繰り入れはございません。先ほど国鉄部長から申し上げましたとおりでございます。それで、損益勘定のつじつまは、長期負債でつじつまを合わしておるというような事情で、償却前赤字を解消しておるというような予算になっておるわけでございます。そういうわけで、収入も一兆一千億の収入目標を持っておるわけでございますけれども、見通しも、貨物の収入がいまのところたいへん落ち込んでおります。これもたいへん収入の目標達成が困難かという状況下にあるわけでございます。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 あなた、ぼくが聞いているポイントを答えていない。ベースアップをやるまいとしているから、あなたのほうの都合のいいことばかり言って、現状の収支の状態はよくない、貨物収入も伸びていない、こう言っているのですが、そんなことを聞いているのじゃないのですよ。四十六年度でいわゆる資本勘定に幾ら繰り入れをやったか、これはない、長期負債でつじつまを合わしているということ、それはいいです。これは営業収支の関係はどうかということを聞いているのです。それから三十九年以降の政府からの借入金額、これは年々増加してきていますから、そのトータルが一体何兆何千億になっているのか、金利の状態はどうなっているのか、これを聞いておるのです。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 長期負債等のこまかい数字、現在持っておりませんので、後ほど提出いたします。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 常務理事、後ほどといっても、委員会はそんなにしょっちゅうあるわけじゃないのです。少なくともあなた、経営を担当している常務理事ですから、ラウンドナンバーは別として、その程度は頭に入っているのじゃないですか、理事会にしょっちゅう出ているのですから。ぼくはラウンドナンバーを聞こうとしていない。大体どうですか、いままで一兆六千億強ぐらいの借入金になっているのじゃないですか。それくらいのことはわかっているでしょう、常務理事なんだからね。それから営業収益だって、四十六年の予算を要求するときに、そういうものが頭に入らなければ、当然予算編成できないだろうし、予算要求もできないだろうし、それからさっきあなた答えた、一兆数千億の収支の見込みを立てていますが、その見込みを立てるには、当然前年度の収支の状態というものを見なければいかぬわけです。それをあなた、こまかい資料ありませんからここでは答えられない、あとだというのは、ちょっと納得できませんね、私は。大まかでけっこうなんです。これは政府の財投にしたって、ちゃんと利子はきまっているのです、金利というのは。ですけれども、それは幾つかの借金がありますし、その細部の、種類によっては金利が違っていますから、その違った点をとにかく一々拾えなくても、大体トータルで金利がどういう状態で、こういうことになっているということぐらいは、常務理事は知っていなければ困るのじゃないですか。そんなものわからんで、労働者のほうに賃金上げませんといったって、はいそうですかといって済みますか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 政府等からの借り入れ金の累計は、約二兆四千億円になっています。それから四十六年度の金利でございますが、千七百十九億円でございます。営業収支の赤は二千四百六十五億円となっております。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 それはいままでのトータルですね。今年度はまだあれですけれども、四十五年度の営業収支はどうですか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 四十五年度の損失が千五百九十九億になります。累計は五千七百三十六億でございます。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 千五百九十億の赤字というのは、資本勘定からそれから償却勘定、みな含めてでしょう。営業勘定だけぼくは言っているのです。ごまかしたっていきませんよ、それくらいのことはね。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) これは仰せのように全部入ってございます。利子ほか、入っているわけでございます。そういう中での分けた数字は持ち合わしてないわけでございます。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 ありませんか。それでは、あとで資料を出してください。早目に出してくださいよ。これは春闘でやっているのですから、そこがポイントですから。  そうしますと、どうもその辺だって、ぼくは本来は納得しませんけれども、もう十二時ですから資料を求めたわけですがね、公共負担の五百二十億、それから市町村納付金の百二十五億、これでざっと七百億ぐらいになりますよ、目の子勘定でね。かりに去年のベ・アを例にとって、ベ・アの資金、どれくらいになりますか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 昨年度約七百億でございます。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 そうすると、これは常務理事、この公共負担、工事経費はちょっとよそへ置きますが、この市町村納付金、これだけ政府から求めたらベ・アをする金が出てくるじゃないですか。そういう努力をあなた方はやらぬで、ベ・アの金がありませんから労働者のほうには賃上げができませんと、これで納得しますか。  それから二兆四千億とかいっていますがね、二兆四千億の本質洗ってみてください。本来的に政府が高度経済成長政策というものをやってきて、それに伴って中期経済計画というものをつくり、さらに経済社会発展計画というものをつくって、その中において、いわゆるわが国の輸送体系というものが位置づけられる。だからこそあなた方新幹線やったわけでしょう。さらに山陽新幹線を建設するじゃないか、さらには東北新幹線というものをきめてあるわけでしょう。この工事経費というのは、本来的には国鉄のいわゆる独算制の中でまかなう質のものじゃない、国の政策上やっているのですから。国益上やっているのだから、それを二兆四千億も借金をおっかぶされて、利子だけで千七百億も払っていくから国鉄の財政というのは赤字になるのです。職員がサボッたりあるいはなまけたり、あるいは国鉄の経営者の経営がずさんであったということではなくて、今日の国鉄は財政的にみて赤字ということじゃないのですから。そうでしょう、常務理事。その赤字を、今度は賃金のときになったら、分け前の分配のときになったら労働者にしわ寄せをやって、小柳委員の言じゃないけれども、そのことに耐えられないから実力行使をやる、それを直ちに法律的に何とかという答弁が出てくる。すべて労働者にこういう責任の転嫁をしているじゃありませんか。ベ・アの分は公共負担の五百二十億、市町村納付金の百二十五億、これだけ出ているじゃないですか。本来的にこれは国鉄が負担すべきものですか、常務理事。どうお考えになりますか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) そのような主張をいたしまして予算は成立したわけでございます。そういうわけでございますので、そういう事情、いろいろ中身としましては、財政再建についての当局の主張はございますけれども、現在の四十六年度成立しております予算の中で、私どもは財政再建ということを考えて近代化、合理化計画を遂行するという中で賃金引き上げを考えているということにしておるわけであります。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 常務、あなたは、努力をしている、そういうふうに政府にお願いをしていると、こういう答弁ですがね。少なくとも小柳委員が申されたように、営業勘定で黒字なんですよ、いいですか。そんなことは四十数万のあなたの職員全部が知っています。自分たちが一生懸命働いて、夜ほとんど徹夜で働いているのです。それで振動災害が起きる。そういう状況下に働いて営業収益が黒字なんです。それが先ほど来いっているように、資本勘定、償却勘定でトータルすると赤字になる、これで職員が一体理解するかどうか。それをあなた方当然努力をしなければならぬ。当然政府が持たなければならぬ七百億というものをそのままにしておいて、ベ・アはできません、その金ありません、こういうことでは、いまの社会通念で通りませんよ、通らない。そこであなた方、これ以上私はものを言うつもりありませんが、むしろ積極的にこういう問題を明らかにして、公労委の場でもあなた方やはり積極的にそういう努力をすべきでないでしょうか、そういう努力を。  それからもう一つは、公労委でこれはおそらく仲裁裁定になるでしょう、例年から見ますと。その場合やはりどうですか、あなた方実行せざるを得ないのでしょう、その点はどうですか。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 賃金につきましての解決、労使で解決いたしませんと調停という段階が従来ともとられております。調停段階で決着がつきませんで仲裁が成立されているという経緯が毎年の経緯でございます。仲裁につきましては、私どもも仲裁を守るという義務をもっております。それにつきましては履行をいたしたいというふうに考えておるわけです。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 これで終わりますが、あなたは経営の直接の責任者でありませんから、次の委員会に私は最高責任者の磯崎総裁においで願いましてやりますが、当面の労働担当の重役というのはあなたですから、常務理事ですから、公労委についても非常に関係があるわけです。ですからいままでの質疑応答、こういう状況を十分かみしめて公労委で努力し、最悪の事態を回避するように、積極的にあなた方は——私は、担当の常務としてもそういう責任あると思うのですが、その点どうですか。そのお答え方によって私は質問を終わります。

真鍋洋日本国有鉄道常務理事

○説明員(真鍋洋君) 公労委の場面といいますよりも、私どもは、やはり労使間でできるだけ労使間の紛争は処理をしたいというふうに考えるわけでございます。もし労使間での解決ができません場合には、公労委の調停という先ほどの意向になると思いますので、できるだけ円満に解決するように努力していきたいと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 春闘の問題終わりまして、労災の問題に入ります。  労災の問題は二つです。一つは先般質問をいたしました三菱化成工業黒崎工場のベンジジンの公害について調査を依頼しておきましたので、その調査の結果について御報告願います。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 御質問の点でございますが、三菱化成黒崎工場におきますベンジンによる膀胱腫瘍等のガン疾病の発生状況についてでございますけれども、それにつきまして調査した結果は、基準法施行以来、二十一年からこの四十六年の四月二十三日までの状況でございますと、全体で六十一名が何らかの形で労災補償の支給認定を受けております。そのうちで死亡された方が七名、治療中が五人、四十九人の方は治癒をされておる。これは先ほど申しました四十六年四月二十三日までの累計でございます。現在労災補償請求の提出があって調査中のものが三件でございまして、一応今日までの状態は、なお四十六年五月現在で、現在そういう物質のベンジジンの製造または取り扱いに携わっている労働者、現在就業中の者が三十八名、それから現在就業していない者二百八十九名、これは過去にそういう就業した者、また退職者は四十四人、三百七十一名ということになっております。その中で、いままでからの通算の実績の状況、それが労災補償の角度から把握いたしましたものは先ほど申し上げましたような数字になっております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 ベンジジンとベータ・ナフチルアミンというこの公害は、この黒崎工場だけではなくて全国的にあるわけですね。他の地域で現在もなお患者が発生しておるのかどうか。過去にこの工場の設備の都合で発生した、そのあと設備欠陥があって発生しておるのか、現在なお工場がなまのままで運転しているのかどうか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 御指摘のように、ベータ・ナフチルアミンによるいままでの疾病の状況は、先ほど申しました基準法が施行されましてから今日までの間、全体で事業場といたしましては十五事業場がございます。そのうちで、そこに働いているあるいは働いておった労働者で、この関係の疾病によりまして労災の補償を受けましたのが百三十九名、そのうち十九名が死亡されたということの数字になっております。  なお、最近の数字では、四十五年には全体で補償を受けておられる方が八名ということになっております。いまのは百三十九名のうちの内訳の中の最近の数字でございます。  なお、べンジジンを製造しておりますのは、いままでは、先ほど申しましたようにベンジジン、ベータ・ナフチルアミン、十五社が製造いたしておりましたが、目下のところは四社、四工場ということになっておりまして、ほかの工場では製造をやめておるように聞いております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 ここに私が取り上げましたのは、地元の問題でもありますと同時に、地元の新聞で騒がれましたものですから、その中で「三菱化成職業ぼうこうガンをなくす会」を結成して告発をしたのでありますが、それは現在病気である人があるのに、これは原因が違うという判断をされたというようなことがあって、医者及び本人は職業ガンであると考えているのに、他の医師の診断ではそうではない。工場も、工場の公害ではないと言っておるということで問題にしておるわけです。だから、労災ではっきり取り上げて工場の設備などを改善しておることは問題にいたしません。そういう点いかがでしょうか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 御指摘のように、非常に毒性の強いもので危険でございますので、その製造はすべて密閉方式によるということで、すでにほとんど工場の製造過程はそういうことになっております。ただ、いま御指摘の三菱化成におきましては、目下三名の方が労災補償の適用に関しまして問題になっておりますので調査をいたしております。したがいまして、その調査結果によりまして、このベンジジン製造の過程によるものという因果関係がはっきりいたしますれば当然補償をいたす、こういうことになっております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 少しこまこうございますけれども、調査の方法について御説明を願います。実はわれわれがやろうと思いましたけれども、なかなかできないわけであります。いろいろな関係もありますし、いまの調査方法について御説明を願います。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) ちょっと医学的なことにも関連がございますので、衛生課長から詳細に御説明いたします。

山本秀夫労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○説明員(山本秀夫君) すでに三人の方の職歴調査を終わっておりますけれども、実は病状の中身の医学的な問題があるわけでございます。専門家の意見が食い違っている点もございますので、われわれとしては、それらの方々の意見を総合いたしました上で判断をいたしたい、こう考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 その判断は、いつごろ出ますか。

山本秀夫労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○説明員(山本秀夫君) できるだけ早くいたしたい。これは実は昨年からの懸案でございますから、できるだけ早くいたしたい、こう思っております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 これは地元で騒ぐ前に、労働省ではそれはわかっておったことですか。

山本秀夫労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○説明員(山本秀夫君) この間の新聞の前に請求が出ているものがございます。それは二件でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 何月ごろですか。

山本秀夫労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○説明員(山本秀夫君) いずれも四月に請求が地元に出ております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 新聞で騒がれましたのは四月の二十八日ですから、新聞に出る前に調査にかかったのですけれども、会社側もその他の組織もなかなか調査できない。したがって、遂にこれは新聞ざたになったわけでありますから、早急に結論を出してもらって、この当事者に安心させると同時に、ほかのほうの全国的なまた発生するかわかりませんような潜伏的な人もいるでしょうから、ひとつそういう判例としても早急に結論を出していただきたいと思いますが、局長、いかがでしょうか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 御指摘のとおりでございまして、ただ、いま衛生課長申し上げましたように、関係の医師の判断が若干食い違っているようでございます。ただ、この問題についての関係のある方は、かつてその認定をされた方でもございます。いわば再発というようなことでもありますので、できるだけ事態を、不安を除くように至急結論を得るようにいたしたいと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 お願いいたします。経過がわかり次第に私のほうへ御連絡願います。  次の問題は、建設現場の労働災害を防止するために質問いたしますが、最近、生産現場の労働災害は減少しておりますけれども、建設現場の労働災害の発生が非常に多いが、その原因はどこにあるとお考えか、またその対策についてどのような対策をしておられるか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 建設現場におきまする災害につきましては、御指摘のように、一時減少傾向にございまして、最近は発生件数は徐々に減っておりますけれども、強度率と申しますか、災害の中身を見ますと、必ずしも改善のあとがない。その原因は、一つは非常に機械化が大幅に取り入れられている新しい工法の採用などがございまして、一面において非常に作業の合理化、機械化が進むこともございますが、その反面、その安全性の点検と申しますか、その新工法あるいは新技術、機械を採用するに当たっての安全性の確認が必ずしも十分に行なわれてないということがございます。第二は、建設工事が一般に屋外という場で行なわれます。そのためにその自然の地形とかあるいは天候などによる影響が一般の屋内作業に比べてやはり相当反映する。それから第三は、いろいろな現場におきましても、作業がいろいろ分散しております。また、そこに下請が入り混っているというようなことで、なかなかその作業内容が均一化されてないというようなことのために安全管理の面で非常にむずかしい点がある。それから労働がこの作業の有機的な事業でございますために、長期的にある固定した労働者が就労するということがございませんために、安全教育その他の点で必ずしも製造業等のようなもののように恒常的に行なわれない。そういった不なれ、あるいは教育が不完全というようなことのために発生しておるというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 労働省の責任であることを全然言われぬけれども、それは外面的にはそういうこともありますけれども、たとえば違法雇用、不安定雇用あるいはいまの安全衛生規則などが現在の機械の進歩に伴っていないのではないか、あるいは監督官などが現場に事故が起こりましたあと調査するのが完全にその作業にマッチしておらぬのではないか、いうならば監督官自体がその機械の扱いなどについても十分習熟しておらぬのではないかというもろもろの理由を私は勉強して聞いています。いわば労働省の側ではなくて、使用者側の現場の労働者に対する面などをおっしゃいましたけれども、いろいろ問題は、現在の雇用の実態あるいは機械の進歩、それに伴う法及び規則の完備、及び監督官の職務怠慢とまではいかぬにしても、現在の実態を十分把握しておらぬのではないか、こういう面を私はいろいろ勉強の結果聞いておるが、いかがですか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 御指摘のように、特に新工法等につきましては、なかなか技術の先端的な部面もありますので、率直に申しまして、監督官等がその技術に十分習熟しているとは申せない面もあろうかと思います。私どもは、建設業で年間八日以上の負傷を伴う災害約三十七万件のうちの十万件ぐらいでございますが、それらについては、特に重点災害職種ということにいたしまして、特に死者を伴うものについては特別の調査を各件数ごと必ずやっております。そのほか、いろいろ問題を残すものについて調査をすべてやるわけにもまいりませんが、そのほか問題のあるやつについてはできるだけこの調査をいたしまして、その原因を究明し、その報告を受けてそれに対応すると、したがいまして、それに応じた必要な技術研修等については、監督官研修を通じてできるだけその面を教育してまいる、こういうことでやっておりますが、なお今後ともそういう部面に努力をして進めてまいりたいと、こう思っております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 作業の現場で請負制度、何段階も請け負いまして、多いときは五段階ぐらいの——コマ切れの五段階ぐらいの請負制度、しかもその現場に雇われている労働者などは、悪い例は名前も正確に書けないで、いわゆる流れ者と申しましょうか、そんな人も働いている現場もある。そういうところでは、それは当然違反雇用ですけれども、いうならばそういう法の谷間にある作業現場、その実態というものを監督省は十分把握しておられるのか。また把握しても、それの指導なり監督なりが十分できぬのではないかと思うし、また、あるいはその違反をやった方に対する罰則などがちょっと軽いために、違反を知りながら過酷な労働を強いられているのではないか、そういう面について、直接監督をされている課長からでも御説明願いたいと思うんです。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) あと具体的には課長からあれをいたしますが、私どもは、建設現場と申しますか、建設業には重層下請の関係、これが安全の面においても非常な障害になっているということは、御指摘のとおりでございまして、各現場ごとに元請、下請を一体といたしました総合安全管理体制をつくらせる。たとえば安全のためのそういう元請、下請を一貫した体制をつくらせる、したがいまして、それに応じて監督のほうも総合監督ということをいたしまして、必ずその現場を監督すると同時に、その元請まであわせて監督をするという体制をとりまして、少なくとも下請にやらしている現場の安全管理状態についてもしいろいろ問題がありますならば、それを監督の結果は、それの責任である元請に必ず監督の際にあわせて責任者を呼んではっきりさせまして、その改善等については元請の責任も両方とらせまして指導監督する、こういうことにいたしております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 安全衛生規則の改正の問題ですけれども、たとえばブルドーザーを盛んにいま土地造成などで使っておりますけれども、道路上で運転するには免許が要るけれども、ブルドーザーを使うだけなら免許は要らないということでありますが、そんなふうで、この機械の進歩に伴う安全衛生規則の改正などについては十分になっていると判断しておられますか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 安全衛生規則につきましては、御指摘のように、必ずしも十分でない点がございます。そこで、いまの問題に関連いたしましては、二つの点についていま検討を加えております。一つは、この安全衛生のいろいろな防止をするにあたって、まず機械あるいは設備そのものの安全性というものを確保していく必要がある。そのためには単に使う人の場合じゃなくて、製造の段階まで加えてやっていかなければならぬ。ボイラー等については、十分製造段階まではっきり構造規格をいたしておりまして、規則で構造段階までいっておりますが、新しいいろいろな機械につきまして、今後問題のあるようなものについては構造段階まで安全衛生規則で入り込んでいくということをすべきだろうというので、どういうものを取り上げていくか、その点について目下検討中であります。  それからもう一つは、御指摘の安全衛生規則の規定の何といいますか、どういう罰則その他の担保をやっていくか。これについていまのような状態でいいのかどうかというようなこともございますので、その点をもう一つこの検討にあたって進めてまいりたい。  そこで安全衛生規則全体につきましては、先般、実は中央労働基準審議会に改正について諮問をいたしましたが、これはもっぱら衛生管理の面につきまして、有害物質のこの前の点検をやりましたその結果に基づいての有害物質の規制、これを強化するということをねらいとした改正、これは間もなく改正をいたします。それに追っつけましていま御指摘の点について、これはかねてから基準法研究会でいろいろ部会を通じまして研究をしております。その成果も見まして、引き続き今度は安全の面の改正のための検討をして、その検討の結果、できるだけ早くいまのような点を織り込んだ改正をしていきたい、このように考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それから労働者の労働の実態ですね、もう休みも与えないで突貫工事をやるというような労働の実態に対して、特に調査をするようなことはありますか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 建設におきましては、御指摘のその工期をできるだけ短くするということがその事業施工者の側からは非常に大きな要請になっておるようでございます。ために、いまおっしゃいましたように、労働が過密になっていくという傾向がある。そこで、私どもは、災害が起きる、あるいは監督のときにいろいろ違反その他があるようなものにつきましては、これを発注者のほうにいろいろ通報いたしまして、それでできるだけそういう適正な建設事業の運営、特に労働面にいろいろ問題のある建設業者については、発注の場合にその点を十分考慮するように、特に公共事業の実施等につきましては、建設省その他にそれを通報いたしまして、発注の際に考慮をしていくということの措置もあわせてやっております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 答弁はりっぱですけれども、三段階なり五段階なりの請負をやっておりますと、事故が発生しますのは一番下請ですが、責任は一番上にありますね、元請にありますね。その中間段階の請負の実態について、たとえば丸ノ内にビルができるといたしますね、それを少ない監督官でそういう実態の調査ができておるでしょうか、現実に。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 全国のいろいろな現場現場すべてにつきまして、限られた監督官で完全に監督をするあるいは調査をしていくということについては、私ども、必ずしもそう申し上げるわけにもまいりません。そこで、やはり安全の確保はいろいろな対策を考えております。これは国の対策と同時に、事業主と申しますか、企業者のその対策、これ自身が自主的に相当程度やってもらう、その場合には、それの安全管理計画なりをはっきり明示して、その計画に従って各現場でいろいろ安全管理体制を確立してやるようにと、こういうことで指導をいたしておりますので、その中には、いろいろ御指摘のような点についても、要するに事業を実施してまいります場合のいろいろなやり方について相当程度こまかいことを災害防止計画の実施計画の一つとして重点業種については規定をして、それを業界に指示して、自主監督をしながら、それを今度は監督官が監督すると、こういう体制です。特に元請、下請の関係については、先ほど申しましたように、監督の面では現場だけにしないで、現場でいろいろ問題がある場合には、直ちにその現場についてのあるいは下請に出しているその元請に必ず当たるということを励行いたすようにしておりまして、最近は、そういうことでその面の成果は監督の実施の面でも相当出てまいっていると思っております。なお十分でない点はございますが、それらについては、いま申しましたような業界に対する指示をもっとはっきりさせ、さらに建設業の災防協会等もございますので、これらの活動をさらに強力にするようにして、監督の足らざるところはその自主的な面を強力に指導するんだということで補って進めてまいりたいと、こう思っております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 もう一つ確認しておきますが、ここに孫請があるとします。いまビルを建設しておりまして、そこの労働者が死亡したといたしますと、もちろんみずからの責任ではこれは別ですけれども、その工事現場の機械なりあるいはミスによりまして死亡事故が発生しました場合には、その死亡に対する補償は元請がやる、これは確認しておいていいですね。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 一般の災害補償の場合には事業主等が補償に当たるということでございますので、その事業主は、通常雇用関係を持っている事業主ということになります。したがいまして、下請の場合には、それを雇用している第一の責任は下請そのものだと。ただ労災補償保険の場合には、元請、下請一括してこれに加入するということにいたしておりまして、そういうことで労災保険料も徴収いたしております。したがってその責任は元請に及ぶ、こういうことに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 そこの契約の実態が何か現場ではなかなかあいまいではないかと思うんです。元請のほうが一切その労災の保険に入っているものと、下請、孫請がいわゆる事業主になりまして、それと雇用関係がある者とありますね。その関係で、同じ死亡をいたしましても補償がずいぶん違ってまいるんですが、おたくのほうの方針、将来どうしようとされるか、方針を聞いておきたいと思います。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 建設業につきましては、御承知のように労災補償保険、これの強制適用事業になっておりますので、適用されているべきでございますし、それでその場合には、元請、下請一括適用ということになっております。これは保険からの補償でございます。ただ、よく争われます労災保険以外の、あるいはそれのほかの民事の係争になりまする上積みということになりますと、そこにやはり雇用関係というものが現実に問題になろうかと思います。したがいまして、できるだけそういう雇用関係については明確にされておることが必要であろうと思いますし、私ども、監督にあたりまして、そういうところが不明確なところはあわせて指摘して、問題が起こらないようにこれを指導するということになろうかと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それから事故が発生しましたあと調査する段階で、監督署が調査いたします。そのときに、大多数の方はいい職場だと思いますけれども、あるいはたいへんな暴力を含んだ職場もあるかもわからぬ。そういうところで監督官が行っても調査できない、調査させない、そういうような事例はありませんか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) そういう具体的な事例は聞いておりません。ただそれまでの過程でいろいろないきさつはあったようなことはあるかもしれませんが、現実に監督をしようと思って、いまお話しのようなことでできなかったという具体的な事例は耳にいたしておりません。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それからさらに問題が小さいから課長答弁でかまいませんが、昨年の十二月に鹿沼市の関西ペイント社宅工事現場と、本年三月の馬場先門の帝劇隣の東京会館建設現場で発生した死亡事故、この事故の概要と事故原因、責任の所在、それから事故再発防止のために行なった施策について説明を求めます。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部安全課長

○説明員(中西正雄君) ただいまお話のございました二つの事故につきましての発生状況と原因並びに対策を御説明申し上げます。  関西ペイントの鹿沼社宅の新築工事におけるこれはクレーン災害でございますが、昨年の十二月八日の朝でございます。関西ペイント鹿沼社宅新築工事現場におきまして発生したものでございますが、竹中工務店の従業員である運転手が、移動式クレーンを使いまして、たまたまトラックで運び込まれてきましたコンクリート製の組み立て材を収納場所につりおろし作業中に、つり荷が地上約四メートルくらいのところで突然急に下がりまして、その下で働いておりました被害者の頭に当たって死亡した事故でございます。  この事故の原因は、いろいろ検討しました結果によりますと、どうもクレーンのつり上げ機構の部品に欠陥があったのではないかという疑いが強いようでございます。  この対策でございますが、一つは、この移動式クレーンの災害につきましては、実はこのほかにも全国的に見ますと、最近増加の傾向にございますので、来たる五月の二十日に全国の移動式クレーンメーカーを東京に集めまして、そして必要な指導をいたすことにしております。  それからもう一つは、ただいまの事故の原因は一応つり上げ機構の部品に欠陥があったというふうに考えられますので、そういうことのないように、そういう面にまでできれば規制を及ぼしたいということで、構造規格の改正について現在検討しております。  それから次は、もう一つは東京会館の改築工事における墜落災害でございますが、発生状況は、これもクレーンを使いまして鉄骨組み立て作業中の事故でございます。四階のはりをボルトで固定しなかったということが一つの原因であるかと思いますけれども、巻き上げたつり金具にそのはりがひっかかりまして、そしてそのはりが落下いたしまして、その下で働いておりました二人の作業員に当たりまして死亡した、こういう事故でございます。  この事故の原因でございますが、調査の結果は、作業者相互間、すなわちクレーンの運転についての合い図をする者と実際運転をする者との相互間の連絡合い図が不十分であった、適正でなかったというようなことが原因のように思われます。この対策につきましては、実はこれはたまたまクレーンの運転者と、それから被害を受けました労働者の使用者が別でございます。まあ建設現場はおおむね多くの下請事業者が混在している場合が多いのでございます。そういう場合の相互の連絡調整ということが非常に災害防止上重要な問題でございますので、その対策としましては、元請会社による総合的な安全管理を従来も指導しているわけでございますが、これをさらに徹底するようにいたしたい。  それからもう一つは、ただいまのような事故の対策としましては、やはり関係労働者について必要な災害防止上の知識、技能が防止上必要でございますが、そういう面の安全教育を徹底するように、これは元請に対しましてもその指導を行なうように指導いたしたいと存じております。  以上でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 指導といっても、死んでおりますからね、事故が発生して死んでおるのですから。原因の調査なんですけれども、前のやつはクレーンが落ちたといっているのですね、ずれたといっている。これは神戸製鋼の機械だったか——これ現物を調べたんですか。まだ調べてないと聞いたんですけれども、調べたのかどうかということと、それから事故が発生してすぐだれが一体調査に行ったのかどうか、十分に調査ができたかどうか、その点いかがですか。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部安全課長

○説明員(中西正雄君) これにつきましては、調査が一応済んでおります。事故がありましたときには現地の監督官が参っておりまして、その当時はどういうことが原因であったのかよくわからなかったという事情がありましたが、その後何回か関係者の間でこの事故を起こしましたクレーンについて運転実験をいたしました結果、運転にミスがなくても、ときどき何十回に一回ぐらいの割合で荷物が急に落ちるというようなことがわかりまして、その原因がどこにあるかということについては、これは非常に技術的にむずかしい面もございますし、機械を分解しなければならないということで機械を分解してクレーンの調査をすることにいたしまして、この機械の整備を担当いたしました国際工業でございますが、ここで竹中工務店、それから国際工業並びに神戸製鋼関係者立ち合いの上で技術的な調査をやって、その結論がどうも部品について問題があったのではないかということでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 これは死人に対する補償は一応けりがついているようでありますが、その調査報告についてはこの委員会に提出願えますか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) そういたします。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 第二の問題は、それは上のほうの運転している人がウインチの動かし方が適当でなかったのではないかというような疑いもあるようでありますが、第二の問題についても、もう少し調査の結果を詳細に報告願います。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 承知いたしました。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 この第二の問題、東京会館の事故も現在の調査されているものを委員会に提出願えますか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 資料として提出いたします。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 わかりました。  資料の問題ですが、この間千葉で起こりました労災の事件に対しまして、監督官の調査意見というものが裁判に非常に参考になるので出してくれないかという要望があった。ところが弁護士にもついにその調査官の意見は出せなかった。調査報告書は消してありました。私もそのコピーをもらいましたけれども。今月の十八日に裁判があるようでありますが、基準局としては、現場で労災が発生いたしまして、その事故の調査をした監督官の意見が労災補償の裁判などで非常に重要な参考になるが、それは出さないように指導しておられるのか、あるいは必要とあれば弁護士までには出せることになっているのか、いかがですか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 裁判その他に係属した事件に関係いたしまして、直接の関係者からそういう申し入れがあり、またお知らせすることが妥当だと思われる面につきましては、必要な資料を提出するようにいたしております。ただ御指摘の——私も見たのでございますが、監督のいわゆる報告書でございますが、これは実は内部的な書類であってその中で全般的に——これはお出しすることにはしているのですが、その中でたとえば特定の監督官の所見等、まだ監督署として正式な公式の意見になる前の仮定のいろいろな問題については、必ずしも外部に出すべきものではないという考えから、一部のものについてはそういうところを除いてほかの閲覧に供するようにしてよろしい、こういうことで通達をいたしているところでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 私も、先般一カ月くらい前にそれをもらったところが、私にきた書類もちゃんと消してあるのです、その意見が。国会議員が国会審議をするのに必要であるにかかわりませずちゃんと消してあるのだから、おそらく弁護士が言っても出さないように指導してあるのじゃないかと思う、通達が。私も見ましたよ、基準局長の監督署長にあてた通達を。それで出さないように指導していると思うのですが、どうですか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) そういう指導ではございませんで、監督官の復命書の写しを出す、これが一番資料としてははっきりするわけです。その中にいろいろな欄がございまして、その一つに、監督官が復命書の中に、監督官としての所見といいますか、それを書く欄がある。ただ、その所見につきましては、その事件についての監督官のいわば独自の所見でございまして、監督署自体のものでないものも含まれていることもありますので、そういうものについては、それをそのまま外部に公表することは、かえってまあ別の面から必ずしも適正でないと思われます。そういうことについては公表を差し控えると、ただ、事件の内容その他について監督した事実等の問題については、これはそのまま公表するように、そういう趣旨で指示をいたしておるわけでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 労働災害が発生いたしまして、そのときにその現場に行ってすぐ調査できるのは、おそらくもう労働基準監督署の監督官ですね、あと、まあ死亡事故が起こりましたら警察官でありましょうが。その労働省の監督官がその事故発生直後に見た、そのなまのままの意見こそがほんとうに労働災害を正当に見ているんじゃないかと思うんです。しかも、その正当に見たその意見が、やっぱり正しく労働災害の補償に生きてこなきゃならぬと思うわけですね。その労働省の監督官というものは、事業主に加担してもならぬし、もちろん過度に労働者を守ってもならぬでしょう。しかし、いま裁判で争っているのは、その監督官の意見は、その死亡した原因が事業主のミスにあって、もしそれが出るならば裁判も有利になって、なくなった労働者が非常に有利に労働災害補償をされる、にもかかわらずその意見書が取れないということで、もう再三問題になって、弁護士会でも問題になっているわけですよ。  そこで、わかり切ったことですけれども、労働災害を補償するという、その立場から労働省の監督官は労働者を正当に守る立場でものごとを見ていると思うが、いかがですか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 監督官は、基準法の条項に照らしまして、それの違反があります場合に、それを法に照らして是正してまいるという基本的な任務についておるわけです。ただ災害その他の場合にこの監督官の直接の任務は、それが法に照らして使用者の責任にあるのかあるいは労働者の責任にあるのか、そういったところを基準法並びに労災補償保険法等の条項に照らして、その事案に伴う責任関係を明確にしていくということにあるわけでございまして、一般の民事等の事件に関しまして直接監督官がこれについて判定を下す立場にはございません。ただ御指摘のように、その係争事件の処理の過程におきまして、監督官の見たその事件についての事実関係については、これは当然明確にすることが訴訟の、あるいはそういう事件の処理の円滑な解決に資するということで、その点については間違いない。ただ監督官の、まあいわば正式な措置あるいは公の機関としての意見になっておらない個人的な意見等が復命書にしるされるようなことがございますので、そういう面については、それを出すことが監督署の意見と取り違えられるということもございますので、その辺についてはやはり区分をするほうが適当であろう。ただ個人的に監督署に行って監督官に直接に話をされていろいろ聞くと、こういうような場において監督官がいろいろ自分の意見を個人的に言うということについては、私ども、それまでいけないというようなことを言っておるわけではございませんが、オフィシャルな資料として出す場合に、その部分については必ずしも適当でないという趣旨で公表を差し控えておるわけでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 その問題についても、私は少し違った意見を持っているわけですけれども、監督官が、もう署長に自分の意見を書いて原文を出す以上は、これは私の意見じゃないと思いますね、これは公の意見ですから。その公の意見が必要なんです。個人の意見は裁判では必要ないわけですね。それは参考人として呼ぶ場合もありますけれども、それは裁判所の心証をいろいろ変える。ほんとうはその公の文書が重要な参考になるでしょう。これはしかし裁判で必要があれば出すとおっしゃったようでありますし、また必要があれば退職した人も参考人に出ると労働省言っておられるようでありますから、願わくば、なくなった方がひとつ救われるように私は祈念をいたしましてこの問題に入っていきますが、その中で、いま建設現場の死亡事故なり傷害事故が非常に多発いたしておりますけれども、それは統計に出ないものがたくさんある。潜在的なものがたくさんあります。そこで事故が発生しないように、法規の改正なり、監督官の強化なりあるいは罰則の強化なり、指導の強化なりしてもらいますが、なお事故が発生した場合に、次の点について私は質問いたしますからお答えを願います。  第一は、遺族か遺族の代理人及び関係労働組合の調査要求があれば、直ちに調査できるように措置してもらいたい。これが第一点です。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 私ども、基準法のたてまえで、申告による監督ということをやっておりますが、これは関係者から基準法違反の疑いがあるという申告がございました場合に、それに基づいて監督に当たるということをやっております。  いまの事故の発生に当たりましてでございますが、事故が発生いたしました場合に原則として、先ほどの例にございますように、それを管轄する所管の監督署の監督官が出向いて調査いたしておる。いまのような要請があって、それを受けてその事案を調査することが必ずしも不十分であるというようなことがあれば、私どもは、それを受けて監督署の判断といたしまして必要があれば調査をするということにいたしたいと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 必要があればということは、遺族か遺族の代理人あるいは関係の労働組合が調査させてくださいと言えば、その監督官がそれを判断をして直ちに調査させる、そのようにとってよろしいですね。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 私が、必要があればと申しましたのは、通常そういう場合にいろいろなケースがございましょう。たとえばその問題について、まあ労災補償ははっきりいたしておりますが、そのほかのいろいろな民事関係の問題について問題があると、それに関連して調査をしたいというようなことになる場合に、私どもは、直接その民事の事件に関連しての調査をするというようなたてまえにはございませんので、私のほうは災害の調査、しかもそれが基準法なりあるいは安全衛生規則なりに照らしてどういう個所に問題があるかということの角度から調査をいたしますので、そういう点に関連していろいろ御要望があり、私どもの調査がそれまでに行き届いていないということであれば調査をする、こういう趣旨でございまして、すべての問題について監督署が御要望に従って調査をすると、こういうことはちょっと監督官の権限以外の問題であろうかと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 いや、監督官が調査せよと言っているんではないですよ、遺族ですね。なくなりましたその現場に、その事件が発生いたしまして直ちに遺族がかけつけましょう。遺族がやはり原因を知りたい——泣きくずれてもう調査も何も要らぬという方もおるでしょうが、その遺族かあるいはその遺族の代理人が、なんでこんなことが起こったかと言って、原因が知りたいでしょう。あるいは遺族も遺族の代理人もとにかくそれどころじゃない、そのときには関係の労働組合があるでしょうから、組合が、一体原因は何かということで直ちに調査をしたい、そのときに調査ができるように、ここの現場の監督官がおれば監督官にひとつ調査したいがいいか、よろしいと、そういう調査をしてもらいたい、こういうことです。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) いま御指摘の点は、私どもとしては、遺族の方が満足のいかれるような情報を、あるいは調査をされることが望ましいと思います。ただ監督官が調査するにあたって、一緒に調査するとか、こういうことの御指摘でございますれば、それは監督官あるいは監督署との関係でございませんので、たとえばこういう点が非常に疑問だから、その点調査にあたってそこを調査してくれとか、こういうことであったらば、その御要請は十分伺いながら、私ども監督調査するのでございますから、その際にやはりただ一緒に調査してくれというようなことになりますと、私どもの監督官は法律によりまして立ち入り検査権という特別な権限を持って立ち入り検査いたしますので、一般の私企業に対しまして、一般の人が権限なしに立ち入り検査するということは別の法体系からどうかと思われますので、その点はちょっとこの監督官があるいは監督署が監督調査する場合の問題と少し違うように思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 よくわかりますよ。だから何も監督官と一緒に調査したいと言っているんじゃないですよ。監督官の調査もそれはもちろん正当だと、また警察でもすぐ調査しますから。それでもなお遺族が納得できぬ、それは監督官もその機械に精通しているのかわからぬ場面がありましょう。警察官もその現場でしろうとの方もありましょう。たとえばそこの関係労働組合の中にその機械に一番詳しい人がおるでしょう。だから遺族は、原因は何でしょうかということを聞くでしょう。そういう場合に、監督官の調査の目安に遺族があるいは遺族の代理人、あるいは関係労働組合が別個の立場で調査するということは、それはたとえば監督官が、そこに立ち入っちゃいかぬと言えば、入ることはできないんですね。あるいは警察官もほかのものを立ち入り禁止することもできますね。それでなくて、発生しましたら調査できるように、たとえばさっきあなたは、事業主協会に現場のほうの指導強化などいろいろ訴えるとおっしゃったから、いま私は法律改正を少し検討したいと思うけれども、そこまでのことをいまちょっと腹案がないですが、これは急ぎますから、できれば事業主協会などに書面を出して、あるいはあなたから電話でもいいから事故発生したから直ちに遺族やあるいは遺族の代理人、あるいは関係労働組合のものが調べたいと言ったら、調査やらしてくれよと、そのくらいのことはできないだろうか、どうですか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 詰めてまいりますと、どうもその調査の中身がほんとうに調査権限を持たなければできないような調査でございます場合には、これはやはりどうもいまのいろいろな法律関係からいって非常にむずかしいと思いますが、ただ、御指摘のように、関係の遺族の方がその災害が発生した問題について十分な情報をお知りになりたいという気持ちも十分わかりますので、そういうことがいまの体制の中でできるだけ便宜がはかれるものについてははかると、こういう趣旨のものでございますれば、私どももそういうことはよく指導をしてまいりたい。ただ正式に権限どうこうということについては、ちょっとこれは非常にこだわるようでございますが、監督官がなかなか入りますのもこれは権限に基づいて入るものでございますから、そういう御趣旨でございますと、ちょっと法律的にいろいろ問題があるんじゃないか。ただ、できるだけ差しつかえない範囲で便宜をはかるようにおまえのほうからも話をしたらどうかと、こういう御趣旨でございますならば、私どもも、遺族の方が満足な情報を得られれば、それにこしたことはないと思いますし、その辺は指導の問題であろうかと思いますので、いまの御指摘の点は、私の申しましたように、ちょっと回わりくどいんですが、どうもちょっと法律的に問題があるように思いますので、そういう趣旨で指導をしてまいるということにいたしたいと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それは第一の例で申しますと、つり荷が落ちまして頭をぶち割った。本人がなぜ逃げなかったかという本人の過失かあるいは機械をつけたときのミスか、あるいは運転手、操作のミスか、そういうものは時間が経ちますと調査できないのですね。この前の例でも、私が結果を言いますというと、初め労災の補償のほかに見舞金五十万だったのが、ずっと調査をしていって、結論は千三百三十万まで補償が出ている。これは調査の結果でしょう。それからあとの東京会館のは、まだ一カ月ぐらい前の話だけれども、復元をして事故調査をやらしてくれぬかと言ったら——私が言ったのですよ。ところが、労働省のほうは、発生したのは三階と四階になっておりますが、今は四階から五階になっておりますから、もう時期が過ぎていますと、調査できないわけですよ。したがって、その事故が発生したときにかけつけた遺族や遺族代理人は、当局の調査ももちろん妥当と思いますが、みずからやって、専門家的にみずからやって原因を突きとめたいという方もありましょうから、法改正ができるならば法改正も考えなければなりませんが、簡単にはいきませんから、いま言われたように、基準局長が各現場の監督署などに指導し、かつ事業主協会などに、問題が発生した場合の対策について、機会があればそういう指導をしてもらいたいと思うのです。  それから第二の問題ですが、第一の問題はまた私もう少し勉強しますが、第二の問題は、基準審議会に建設労災対策のための特別部会、また新しい審議会を設置して、専門家並びに関係労働組合とともに対策を作成実施してもらいたいという要望がありますが、いかがですか。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 中基審には災防部会ということで、災害防止のための部会を設けております。そこで重点職種、港湾とかあるいは林業とか、建設業とか、そういったものを中心に取り上げることにしております。その場合、特に建設の問題をやる場合に、必要があればさらに専門部会をつくるということになっておりますし、そういうことで災防部会中心にさらに必要があれば建設部会をつくって進めていく、こういうことであります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 思いつきもありましたが、これは組織上の問題で、災防の審議会の建設部会に一名総評という大きな組合の代表を入れてくれぬかという要望がありましたが、組織上若干検討する面もありますから、これはまた別途おたくのほうの関係者と組合のほうの関係者が相談するように話を取りつけましたから、この問題は質問を省略いたします。  きのう三問質問要請しておりましたけれども、一問と二問いたしまして、三問はこれを保留しておきます。  あとの東京会館の問題は、現在の調査記録を委員会に出していただきたい。  以上で質問を終わります。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 承知いたしました。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 かなり時間を経過をしておりますことと、それから労災問題については小柳委員から詳細に質疑が行なわれましたから、私は、端的に三、四点だけ伺って答えを求めておきたいと思うのです。これは非常に労働省側から見れば、いやな質問だというふうに思うかもしれませんが、そういう意味じゃありませんから、誤解のないようにして明快な答弁をしていただきたいと思います。  いままでの労働災害について小柳委員の質問、答弁を聞いておりまして、岡部局長はなかなか答弁をじょうずにされています。肝心なところにくると非常にわれわれ理解できないような答弁が出るので、そういうことを含みながらひとつ、建設労働者についての災害の状態は答えられたとおりだと思いますからあえて伺いませんが、その中にやはり幾つかの原因があるけれども、労働省の監督官の責任が一体あるかないかという問題、私はあると思う。やはり監督官が厳重に監督指導、調査、欠陥の指摘、つまり突っ込みが足りない。こういう問題がこの災害の幾つかの原因の一つにやっぱりなっていると思う。この点一つ。  それから二つ目は、いまの質問の中にもございましたけれども、非常に関係者、つまり被害者あるいは遺族の方、関係の労働組合の方、問題が発生したあとの処理の問題として当然補償の問題あるいは諸条件の問題等々、いわゆる交渉といいますか、話し合いといいますか、そういうことが行なわれますね。その場合に常に問題になる——いまの質疑の中でも私どもちょっと理解できませんが、その責任の所在というのが非常に不明確です。ですから非常に問題が複雑化をしている。水かけ論になっちゃう、こういう問題が現在あるわけですね。そのために関係者は非常に困っておるという実態は、これは岡部局長、全国的な問題取り扱っていますから、経験していると思う。こういう問題を解明するには一体どうしたらいいかということについては、さっぱり具体的でなく、納得のいくような理解が私どもできませんが、これもそんなにむずかしいことではないわけですから簡潔に明快に答えてもらいたい。これが二つ目。  それから三つ目は、いまの質問にもありましたが、ここが岡部局長の答弁が非常にじょうずで、大事なところにいくと何かさっぱり私どもの能力では判断のできない、理解できないような答弁になっている問題の一つでありますが、被害者であるとかあるいはその代理人、あるいは関係している労働団体、法律的には労働組合ですね。こういう方々が調査を求めるというのは一体何かという、法律の問題じゃないのですよ、これは。あなたは法律上問題があるというような答え方をしておりますが、私どもの理解では、われわれの経験した勉強の範囲では法律の問題じゃない、これは。法律的には監督官ですよね、権限を持っているわけですから。ですから労働組合なり、いま申し上げたように、被害者なりあるいはその代理人が調査を求めるというのは法律的な問題ではなくて、これもあなた方非常に耳ざわりが悪いかもわかりませんよ。私はざっくばらんに申し上げますけれども、あなた方のほうとすれば、先ほどもちょっと小柳さんも触れたけれども、なかなかこのところはいままでどういう指導をしているのかわかりませんけれども、それが出てこない、調査の結果が。ですからそこに不審がある、疑問点が生ずる。わかりますね、不満が生ずる。だから自主的にさいぜん申し上げた関係の方々が調査を求める、こういうことになる最大のやっぱり原因は、業務上知り得た秘密であるということでその理由を明らかにしない、明示をしない。労働者側とすれば、されてないというところに問題があるのであって、これは局長ね、法律の問題ではない。ここが解明されたら、こういう問題は発生しないのですよ。ですからここのところをもうちょっとわかりやすいように解明していただきたいと思う。私の経験と私の意見を申し上げれば、この程度の問題は、それはいろいろな何といいますか、事例によって多少の相違はあると思いますよ。あるけれども、一般論としては、常識的には少なくとも当事者には当然この種の問題はすべて知らせてあげなければならないであろう——これは私の意見ですよ。そうしてあげることがつまりまた労働省としての行政の親切であり、ほのぼのとした私は行政ではないかと思う。なぜ私がこういう意見を申し上げるかというと、これは釈迦に説法でありますけれども、自賠責にいたしましても、災害補償法にしても、これは被害者保護の立法精神なんです。法律を制定したときの精神というのは、被害者の保護なんです。ですからそういう立場から私は意見を言っているのでありまして、そういう点で考えてみると、少なくとも当事者にはその点は知らせておくべきものではないか、こう思うのです。これが三つ目ですね。  それから四つ目は、何といたしましても、いまのような現状、いまのような体制、その中における仕組みの状態では、どうしても被害を受けた、特に死亡したというような方々は、いかに法律上あるいは労災法上それぞれ所定のきめられた補償額があるとしても、人の命というのは金にかえられないですよ。そうでしょう、局長。だとすれば、残るのはやはりその当事者、遺族にしてみればたいへんなやはり感情が残りますよね。そういう点で、われわれが考えている以上にやはり不審の点であるとか、あるいは疑問の点が残りますね。そういう場合においても、いまの労働省の監督行政の中で、再調査をするということはほとんどないですね。それはたまにはありますけれども、ほとんどないといっても過言ではないくらいの実績しかございませんね。ですからこういう点についても、やはりそういうものが出てきた場合は再調査をしてあげる——結果はもちろんわかりませんよ、結果は。やはり再調査をしてやるというぐらいの積極行政、これがほんとうの労災法についてのいわゆる法の精神、たてまえから見ると、その行政というのは血の通った行政になるのではないか、こう思う。  それから先ほど申し上げたように、繰り返して言うけれども、業務上の秘密といったって、そこで知り得た秘密だからといったって、その関係当事者、これは先ほど小柳委員は、われわれ国会の調査権なり、審議権を持っておりますが、そこのところさえもはしょってくるのではないかという意味のことを言っておりましたが、ここのところはいろいろなあれがあると思いますよ、特に裁判上の問題になってきますからね。しかし、まあわれわれはかりに少なくとも除外したとしてもいい、これは百歩譲って。やろうと思えば、われわれは調査権を持っていますからできますけれどもね。しかしこれは百歩譲っていいが、当事者間ぐらいこの点は明らかにするということは当然じゃないでしょうか。これが四つ目です。  答弁のしかたによっては質問しますけれども、これはほとんど小柳委員が詳細質問していますから、なるべく私は時間をとりたくないのです。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 御指摘の点についてお答えを申し上げます。まず第一が監督官の責任の問題で、これは率直に申しまして、ただいまの監督官の数、それから対象事業場の数を比較しますと、なかなか手が回り切れぬ、これが実情でございます。そこで、監督官のたとえば定数をふやすということにつきましても、これは一方において行政機構をできるだけ簡素化していくという要請もございますし、むしろ公務員の人員は整理していこうという情勢の中でございますので、毎年若干ずつはふやすように努力はいたしておりますけれども、これもなかなか追っつかない。そこで基本的に監督体制というものをもっと実効のあがることで考えていかなきゃいけないんじゃないかということと、それからいまの特に建設あたりのいろいろ問題がございますので、先ほど申しましたように、その基礎となる法規をやはりもっと徹底的に実効のあがるものに考えていく、こういうようなことを考えておりまして、今後その面の充実強化をはかる、これは御指摘のとおりでございまして、特に原因の中に、その監督官がもっと定期監督などをやっていろいろ問題を指摘していれば起こらないでよかった災害もあったのではないかということは、これは数字的にはちょっとわからないんでございますけれども、確かにあろうかと思います。したがいまして、監督のやり方についてもう少し考えながら、限られた数の監督官が有効にそういう災害予防の面にもある程度の役割りを果たせるように十分考えてまいりたいと思います。  それから第二点の被害者関係につきましての協力の問題、これにつきましては調査要求その他について、先ほど小柳委員の御質問にお答えいたしましたが、私の真意は、労働省は、御承知のように、労働者の保護を考えていくと、これはもちろん第一義的なあれでございます。そこで個々のケースになった場合に、さっき申しましたように、やはり被害者の遺族の方がいろいろ状況について十分納得するまで、いろいろな事情を知りたいということは当然なことであろうと思いますので、そういう面については、できるだけ御協力をすべきだという基本線は考えているわけです。ただ、先ほどのはちょっと私も申しましたように、若干法律的に過ぎますけれども、一般的にそういう場合の調査権を認めるということについては、これは法律上の問題がございます。そこで、いま先生の御指摘のように、それは法律問題じゃない、事実の問題としておまえら協力しろと、こういうお話でございますならば、それは個々のケースにつきまして、私どもの知り得たことについて十分お話もいたしますし、その問題についてどうしても調査したい、私どもも、なるほどまだこういう点にも調査が不十分だということであれば、私どもの監督官のやるものでありますれば、   〔委員長退席、理事上原正吉君着席〕 当然それをさらに進めていくとかいうことで御協力をしてまいることについてまでやらぬと、こう申し上げておるわけではございませんので、事実の問題として、そこいらを実情に合わせて被害者の関係者、あるいは関係者の気持ちを十分くみ取って、納得のいく方法で協力せいということでございますれば、私ども喜んで協力をするということで進めてまいりたい。  それからいまの資料の提示等につきましては、私どもも、いまの監督のための復命書を実はそのまんまコピーにして関係者にお渡ししているわけです。これ自体も実はどうかという点もあるのでございますけれども、それが一番はっきりするだろうということで渡してあるのです。ただ、すべて全部出したらいいじゃないかということにつきまして、たとえば文書で出しますと、その文書がいろいろ……。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 当事者間だよ、ぼくの言っているのは。すべてというのはその当時者にすべてということです。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) いや、文書でそのままお渡しすることは、当時者からその文書がそのまままたいろいろなところで文書として利用されるということもあろうかと思いますので、その点は若干慎重に考えておるわけです。と申しますのは、監督官が参りました場合でも、その所見で必ずしもはっきりしないようなものがあるわけです。したがいまして、ただこういうふうに思われるがどうかというようなことも現実にあるものでございますから、それが文書で関係者だけにとどまっておればよろしいのでございますけれども、文書にして出しますということは、やはり関係者からその文書がほかへ行くということも考えてみなければならないということになる。したがいまして、先ほど申しましたように、関係者の方が直接おいでになって、口頭でいろいろなことをお話をする、もっとこういう点はどうだということについて御説明するということはしております。したがいまして、文書で要請された場合に、それを出すかどうかということについて若干そこに問題があるということを申し上げたわけでございます。  それからなお、最後におっしゃいましたいろいろな事案について、また関係者から調査が不十分だ、もっと再調査しろというような御要望がある場合、これについては、そういうことが私どもも不十分だということで、また関係者の方が納得されていない場合には、必要により再調査をするように、これは積極的に心がけていくというふうにしてまいりたいと、こう思っております。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 局長、あなたはたくさんの事例を経験しておりますから、   〔理事上原正吉君退席、委員長着席〕 そういう答えになる。より慎重になる。その意味はわかりますよね。わかりますけれども、たとえば口頭でそうした経過についても申し出がある場合にはしていますと、している場合には適切であったら納得しますよね。ところがそうはまいらないと思うので、こういう逆に問題が出てくると思うんですよ。ですから、あなたのほうが必要であるかどうか、再調査について。その事案によっても違うと思いますよ。しかし一般論としては、これはそう思ってみたって、相手が先ほど申し上げたような諸条件が伴って、これは違うじゃないか、あるいは不満があるじゃないか、疑問点があるじゃないかと言った場合に、これは再調査をやってやるくらいのことは、労働省としてはとるべき措置じゃないか。重ねて申し上げますけれども、労災法の精神はそうなんだから、それが血の通った労働行政じゃないか、こう思うんですよ。  それから監督上の指導の問題、自主的に調査をするという場合の点から出ているんですが、あなたは別な問題で、監督行政は強力に——強力が非常に私は強い印象を受けますが、強力な指導監督を行ないます、そういう行政を行ないますということを先ほど答えられましたね。そのくらいに強力という強い表現使ったんですが、そのくらいの意欲があれば、この問題についても強力な——あなたのことばをかりて言うんですが、強力な指導あるいは監督行政というものを行なっていいじゃないですか、これは。これも釈迦に説法ですけれども、労災防止というのは、ただ単に監督行政だけじゃないでしょう。事業主あるいは企業、これは災害を好んで受けるあほうはいませんが、最大の被害をこうむるのは労働者ですから、労働者一人一人も、この問題については真剣に取り組まなければならぬ。そうでしょう、災害防止ということには。そのためには啓蒙ということも必要じゃないですか、ときには教育も必要でしょう。それから監督行政の中から見た調査というものもあるでしょう。企業主あるいは事業主から見た調査というものもあるでしょう。労働者みずからの調査ということも必要じゃないかと思います。そういう幾つかの調査の結果が総合されて、帰するところは労働災害を防ぐということに私は連なっているものだと思っているんです。ですから、そういう関係者あるいはその団体が調査をするという場合に、何が一番問題になるかというと、先ほど来言うように、ぼくは法律のことを言うのじゃない。最大の壁は企業者側あるいは事業主がこれを阻止する、はばむ、これが最大の壁なんです。では、災害防止の役に立つかというと、なっていないと思う。そこで、はばまないように、それこそあなたの言をかりて言うと、強力な監督指導行政というものが必要じゃないかと、こう言っているんです。簡単でいいですよ。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 第一点の再調査の要求といいますか、調査をさらにしたらどうかというお話の問題については、これは先ほど申し上げましたように、関係者の方からそういう御要請が具体的にあり、ごもっともと、こういうことでございますれば再調査をいたします。これは積極的にやってまいります。  それから監督指導並びに、特に事業主に対するものにつきましては、私どもは、基本的に労働者の保護をするたてまえから事業主側にいろいろな要請をするわけでございます。したがいまして、現実に必要以上にいろいろな関係者の調査を拒否するというような事業主の態度がはっきりする場合には、それは私どもとしても、事実の問題として協力を要請するように、それは強力に進めていく、それが事案の円滑な解決に資すると、こういうことになろうかと思います。その点は、運用上そういうふうにしてまいりたいと思います。特に事業主について、非常に故意といいますか、非常に悪質にいろいろな事案を処理されることがございます。これらについては、現在でも非常に強力に指導し、基準法の基準に基づいての措置をとっておりますが、いま御指摘のような点についても、今後視点を労働者の保護に十分合わせながら必要な指導は強力にやってまいる、こういうことにいたしたいと思います。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 おおむね大体答えられましたから、だいぶ理解できたんですが、局長、決してぼくは監督行政を非難をしたり、批判をしようという考え方で見ているのじゃない。たまたまいまのことばは、労働者に視点を合わせていろいろな行政あるいは監督をやるということですから、理解するのですがね。行政法との関係で、これは定員の不足しておりますことは承知しておりますけれども、少ない監督官で、事業所もどんどんふえていく、非常に苦労しながら、オーバーワークしながら監督行政を進めております姿については、私は常に敬意を表しているんです。その努力を認めている。認めているけれども、ちまたの声というのは——公正無私な立場で、特に監督権をもって監督指導しなければならぬときに、ややともすると、監督官は労働者のほうを向かない。事業主、企業主のほうだけ、いまあなたの言う視点がそちらにいっている。こういう声なしとしないんです。だから、こういう問題が出ている。この点は、大臣そこに参りましたが、再三こう申し上げるようだけれども、労災法というのは労働者を保護するということが最大の精神なんだから、法律を制定したときにね。ですから、そこに立ち返って監督行政を行なうことを強く要望しておきたいと思う。大臣、どうですか。いま、あなた入ってきて、前の質問との関連がわからぬと思いますが、局長から聞きながら答弁をしてください。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) お話をよく伺っていなかったんでありますが、いずれにせよ、労働基準局の任務は、やはり勤労者の保護、従業員の方々の安全衛生を守るという観点からなされておることは、御指摘のとおりであると考えます。その労働者の安全のための施設、そういうものについては積極的にこれを講ずる必要があるという点では、御指摘されました諸点につきまして、今後も十分注意してやってまいりたいというふうに考えます。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 最後に、基準局長に伺っておきますが、先ほどの小柳委員の質問で、労働安全衛生規則のつまり検討を二つ申し上げましたね。そこで、これは去年の時点でございましたが、非常に屋外労働が多様化してまいりましたが、屋外労働についての安全衛生規則等々については全く不十分です。これは去年私が指摘をしたところですからね、これは会議録をごらんになればおかわりになります。その場合に、四十六年度の段階で検討いたしましょうと、これはあなたの前の局長が答えていますよ、記録に残っていますから。それは検討されていますか。あるいはこれから検討をさらに継続しようとしているのかですね。こういう機会ですから……。せっかく私は積極的に検討すべきだと、場合によっては規則がいいのかあるいは労働基準法のほうがいいのか、いろいろな問題があると思いますが、いずれにいたしましても、やはりこの種の問題は後手、後手じゃなくて、やはり多様化してまいっておる屋外労働というものの全体をながめて先取りをしていく、こういう施策というものが必要だと思うんですがね。

岡部實夫労働省労働基準局長

○政府委員(岡部實夫君) 御指摘の点は、先ほど申しましたように、安全衛生規則の改正について検討しておりますさ中で、その一つは衛生面、もう一つは、いま御指摘のは安全面中心でございますが、その中で、屋外労働関係の安全の確保の点につきまして規則が必ずしも十分でない、これは御指摘のとおりでございまして、いまその点もあわせて検討いたしております。したがいまして、さっき申しましたように、順序といたしましては、最初に衛生の問題を取り上げ、そのあと引き続いてできるだけ早く安全の問題を取り上げたい。その際、御指摘の点はその一つの検討の重要な課題になっておりまして、それをできるだけ織り込んで進めていく、こういうことにいたしております。

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度にいたします。     —————————————

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。  田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。     —————————————

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案を議題とし、これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言願います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 衆議院の本会議のために、私に与えられた時間は二十五分のようでありますから、きょうは総論的な問題を質問いたしまして、あと具体的な問題は後日に譲りたいと思います。  まず第一は、大臣にお伺いいたしますが、現在の日本の失業者の実態及び求人求職の実態など、現在とそれから将来、たとえば来年なり再来年失業者がふえると判断しておられるか、あるいは失業者はあまりふえないと考えておられるか、まずこういうところから質問いたしたいと思うんです。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 具体的な数字等につきましては局長から答弁をさせますが、わが国もいよいよ労働力不足の時代に入ったということからいたしまして失業者ばふえない、ただし中高年齢の方々については、これは就業を促進するためのいろんな対策が必要であるというふうに感ずるわけでございます。全体的に見れば、失業者はふえないで、ますます労働力は不足してまいる時代に入ってきたと、かように考えます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 いま人間の寿命が延びまして、これは諸外国もそうでありますが、日本でも平均寿命が伸びてまいりました。いま官庁でもあるいはほかの会社でも、規則があるところもあり、ないところもありますが、定年制というものがありますね。もうずっと昔から大体五十五歳ぐらいを中心に定年制というものがあります。ところが、いま五十五歳というのはまだ働き盛りでありまして、それで定年が過ぎてなお十年なり十五年新しい職場を求めて移動していく、そういうところにも求人求職の関係が非常にありますが、定年制の延長ということは、最近労働組合でもそう言っていますし、世間一般求めておりますが、労働大臣はどうお考えですか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 定年制の問題につきましては、先般、労働問題懇話会におきまして、労働者側及び使用者側、それと学識経験者の皆さま方の御意見を伺ったのでありますが、異口同音に、現在の定年制はこれは当然延長されてしかるべきものではないかというふうな御意見でございました。これは早急に検討する必要があると、その前提としましてはいろいろな問題があるわけでございますが、年功序列の問題であるとか、あるいは定年制を一体どの程度まで延ばしたらいいかというふうなことは、まだ意見が統一されておりませんが、いずれにしましても、定年制は、当然寿命が延びた以上は相当延ばすべきだというような御意見が圧倒的に多数でございました。そういう点で、これからはできるだけ早く検討を終わり次第、定年制の問題は進めてまいりたいと考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 国会など、参議院のほうでは参事が大体六十二、三までも元気で働いておられますね。だからいま五十五歳の定年などというものは、実際これはもったいないと思います。日本の経済再建の上でももったいないと思います。そういうものがこの中高年促進法の一つの思想でもあると思うんですね。だからそういう点をひとつ事あるごとに閣議あるいは集会などで御発言を願いたいと思うんです。  次の問題は、中高年者の適職をやっぱりつくらなければならぬですね。いくら法律はつくりましても仕事がないわけですから、人間のほうを養成すると同時に、老人向きの仕事をうんとつくっていかなければならぬ。これにはどういう構想がございますか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) その問題につきましては、仕事に人の能力を合わしていくということがいままで考えられておったようでありますが、人間の能力に応じて、それに適応するような機械を採用するというふうなことが当然必要となってまいると思うのであります。そういった問題につきましても検討を願っておると承ておりますが、これからは人間を本位とした問題として、特に新しい機械化等は、そういう面で人間を本位にしたものに進めてみたいというふうに考える次第です。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 機械化などでどんどん世の中は変わっていきますけれども、新しい機械でも、これを若い人だけが扱わぬでも、年寄りだっていいわけです、からだを動かさぬで頭だけですから。新しいたとえばコンピューターなどでも、新しい学卒の人を養成していますけれども、みんな職場のわかった中高年の方でもコンピューターの養成をすればできないことはない。局長から聞きましょうか。中高年適職の造成というものについて何か具体的に構想があるのかどうか、お聞きしたいと思います。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) 中高年齢者の適職の開発、非常に重要なことでございます。この法案にも中高年齢者の雇用率の規定を置いておりますけれども、現在、官公庁等におきまして若年労働力あるいは壮年労働力、こういう方々よりもむしろ中高年齢者のいままでの経験なりあるいは判断力、あるいは集中力、そういうことから考えて、むしろ中高年労働者を使ったほうがいい、こういう職種を三十三ほど指定しておりまして、そこに雇用率を設定して、まず政府が率先して中高年齢者の能力を生かすと、こういうような体制をとっております。現在、その達成率は、職種によって実は違っておるのでございますが、おおむね九〇%ぐらいになっております。それから民間等におきましても、約七十職種ほどの中高年齢者向けの職種というものをきめておりまして、そういう職種に中高年労働力を雇い入れる、こういうことで、私どもはもちろんでございますが、民間事業主を通じてもそういうところで中高年齢者の能力を発揮するようなことをやっております。いままでわが国の労働力というものが非常に過剰でございましたので、むしろ仕事本位に考えておりまして、そこに人をもってくると、こういうことでございましたが、いま大臣が申し上げましたように、今後の労働力の状況を考えますと、やはり人に合わせて仕事をもう一度見直す、こういうことが非常に大事になってくると思うわけでございます。労働省でもいろいろ検討をしておるのでございますが、やはり基礎的な研究が必要でございますので、職業研究所という機関がございますが、これは雇用促進事業団の付属機関でございます。そこで現在、そういうような中高年齢者の体力、能力、いろいろな点を勘案して、中高年齢者の適職というものはどういうものであるか、あるいはまた仕事についてこういうように変えれば能力が十分発揮できる、こういうような研究を鋭意進めておるわけでございまして、そういうようなことで大いに中高年齢者の方々が職場で能力が発揮できるような施策を進めていかなければならないというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 質問通告しておりませんから、数字がぽんと出ぬかもしれませんが、いま身体障害者雇用促進法という法律がありまして、官庁なり会社なり義務づけておるのがあります。官庁五%あるいは会社四%と思いますが、その身体障害者雇用促進法による雇用率は完全に消化されておりますか。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) 実は四十三年の十月に、大体三年程度の目標で、身体障害者の民間事業所における雇用率、これは一・三%です。それから官公庁におきましては一・七%。この目標を達成しようではないかということで雇用率を設定して、現在その目標に向かって努力をしておるわけでございますが、ごく大まかに申し上げまして、大体ことし中にはその目標が達成できる情勢でございますので、さらにこの雇用率のパーセントを上げまして、さらに一歩飛躍して身体障害者の雇用を促進していこう、こういうような態勢をとってまいりたいと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 この身体障害者雇用促進法、この委員会で私も非常に論議したわけですが、役所五%だと思ったんですが、一・七%ですか。さっきの定年制延長との問題とも関連して、たとえばいま定年制を延長せいと言っても、なかなかこれは不文律あるいは文律の規則がありますからできないから、たとえばことし定年にきた人は、五%なり一〇%、定年を、やめることを延長せい——それは雇用率の設定と一緒でしょうけれども、あとで雇用率の設定については聞きますが、労働大臣、そういうことをたとえば会社なり官公庁に、現在あるところはことしは五%だけ定年延長せい、やめるの延長せい、こういうことを閣議などできめて、行政指導できぬでしょうか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) ただいま御提案ございましたが、そういう形でいくのがいいかどうか、定年制につきましては、各方面とも、当然定年制はこの際延長すべきだという意見でございますし、同時にまた、定年になる方の処遇については、再雇用の形がいいのか、従来の継続のままでいいのかどうか。従来の継続のままでいきますと、年功序列賃金体系というものが何かと障害になってくる問題でございます。また若い人たちは、やはり能率が必ずしも十分でない年齢の方が高い給与をもらうということに対する不自然、矛盾を感じておりますので、そういった面ができるだけ早く合理的に考えられるという段階が望ましいと思うのでありますが、各企業ともみなそれぞれ人はほしいのでありますから、優秀な人ならば、おそらく定年になりましても残ってもらいたい方がたくさんあると思います。そういう場合については、できるだけ条件等はひとつ本人との間に納得できるようないい条件を与えて、定年制を延長というかあるいは再雇用というか、そういった形で、一たんやめたら一般の社会に出てしまって、いままでの勤務しておったところとは無縁な存在になるというふうなことでは惜しいわけでございますから、御趣旨のような点を至急に詰めてみたいと考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それに関連しまして、官公庁における中高年齢者の雇用率の設定の問題ですね。ことばでは聞いていますけれども、いまの定年制延長すらできないならば、そういう雇用率を設定しましても、なかなか中高年齢者を雇わないのではないかという気がいたしますものですから、このところでひとつこの法律案の精神を御説明願います。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) この法案の目的にも書いてございますように、とにかく能力に適合した職業に中高年齢者がつかれる、それで職業の安定をはかる、こういうのが目的になっております。そこで、この法案におきましては、そういった中高年齢者に向くと思われます職種、これをきめまして、その職種について中高年齢者を——これはまあ身体障害者の雇用率のような低い率ではございませんが、その率を設定をいたしまして、その率以上に中高年齢の方々がその職種について働いておられる、こういうようにするのが雇用率の趣旨でございます。これはもちろん強制的なものではございません。努力義務として設定しておるわけでございますが、さらにそういうなかなか達成できないあるいは達成しない、こういう事業所があった場合には、この法案でやはり労働大臣がそういう事業所に対して雇い入れるような要請をする等の措置がとれるようにいたしておるのでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 まあ、定年制延長の問題も早急に具体案を出していただきます。同時に、この雇用率の設定と口では言いましてもなかなかたいへんでありますけれども、これを達成していただく。  そこで、あと失業の問題に入っていきますが、定年がきてやめていく、あるいは会社が倒産して失業するというようなことで失業者が発生するわけでありますが、言うなれば現在の失業者の方々、たくさん求職者の方がおりますけれども、その人を一応就職せしめて、そして現状のままずっと一年か二年、各会社とも定年を延長していくといたしますと、特に今度のこのような法律は、一年か二年、その間だけは要らぬわけです。現在発生している失業者を就職せしめますね、それがまず一つ。それで定年を全部延長しますね、そうしますと倒産する会社のその人だけを就職せしめると完全に就職できるわけです、完全就職ですね。そういう理念が一番大事なことでございますので、一体、失業というものはどういうものかという、まずそこからいかなければならない。私は、そういうことをずっと考えますと、いや、そうじゃないのだという理屈もあります。それはあとで言いますけれども、一体、失業というものはどういうものか、それをひとつ説明してもらいたいと思います。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) 失業の定義でございますが、現在、先生御承知のように、労働力調査、これは総理府で労働力人口の就業状態を調査している統計がございます。そこで完全失業者という者がどれだけおるか、こういう調査をしておるわけですが、そこでは、現に就業していない、就業の意思を持っておる、そして求職活動をしておる、しかも、なおかつ就業の機会が得られなかった、このことが定義になっておるわけでございますけれども、その際に、一週間に一時間も要するに賃金を受けて働かなかったと、こういう厳格な定義になっております。まあ私ども、ごく大まかに申し上げまして、失業というのは、就業の意思と希望を持っておる、しかも具体的に求職活動を行なっておる、これが失業者であるというように考えます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 定義も私はずっと考えてさましたら、きのうもたくさんの方が陳情に見えて、たとえば福岡県などの産炭地域など、閉山をしましてもう五年なり十年、たとえば農業に従事してるというけれども、農業というのはほんとのネコの額ほどしかない。商業というけれども、その商業は、かつて隆々と栄えていた炭鉱に依存しておった商業で、もう商売もほとんどただ形だけの商売である。そういうところに行くと、いわゆる失業のいま申されたような定義は通用しないというわけです。で、きのうも職安局長に電話をして、たとえば飯塚の職安では、開就で四十五年度の実績を持った方で、五百人ことしは締め出されておりますぞと、これは現地の所長認めてあるようでありますが、それから田川の職安では七百人から千人、あるいは千四百人ぐらいあぶれておりますぞ、こういう話がある。だから、そういう地域では、いわゆる失業の定義というものが、もうほとんど地域全体の人がそれに入るか——定義ではないけれども、実質の生活はそうですぞと言われたんでね、きのう私は局長に電話いたしましたけれども、これは地方議員の方もたくさん見えておりましたから、その実態——これは筑豊炭田地帯だけではないと思うんですね、常磐炭田地帯もそうじゃないかと思う。あるいは北海道もそうじゃないかと思いますけれども、そういうような経済の変動による、失業の定義の中に入らぬけれども、実質上失業だというようなもの、それの認識について御説明願いたいと思います。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) 先生の御指摘されました問題、いわゆる不完全就業と申しますか、そういうような問題だろうと思っております。現在就業をしておる方々であっても、その仕事がたとえば自分の意識面から見て不満である、こういうようなことで他に転職したいとか、あるいはさらに追加して働きたいと、こういうような方々だとか、あるいは非常にその所得の水準が低いと、こういうようなことをまあ不完全就業というような表現で問題としてとらえております。日本の場合は、御承知のように、非常に諸外国に比べて就業構造の近代化という点でおくれておる。私ども、現在そういう意味での不完全就業が逐次解消されてきておると思うのでございますけれども、いま御指摘になりましたように、たとえば産炭地域とかあるいは同和地域、そういったところで御指摘のような問題がある。そういうような意味で、そういう非常に失業情勢の悪い地域、こういったところでの雇用対策をどうしていくか。もちろん基本的には地域振興をはかって、その地域における雇用機会の造出をする、こういうことも必要であると思っています。と同時に、なかなかそれは先のことにもなるというようなことでございますが、そういう場合には、たとえば公共事業とかあるいは労働省でやっております、先生御承知の緊急就労事業、産炭地域の緊急就労対策事業とか開発就労事業、あるいはこの法案の趣旨を生かすものとして特定地域の開発就労事業、そういうような特に就業を目的といたしました事業をやることによりまして、当面の失業対策、さらには将来へのその正常雇用機会の造出対策、こういうような対策を積極的に進めていくべきであろうというように考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 わかりました。時間がまいりましたからこれで終わりますけれども、いまのことばの中で失業多発地帯というものは、たとえば産炭地域、過疎地域あるいは同和地域その他ということで、そういうふうに確認していいですね。  あとまた具体的にたくさんありますから、具体的な問題この次にいたしまして、以上で私の質問を終わります。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) この法案で規定しております特定地域は、御趣旨のような線で私どもも考えておる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 きょうは、衆議院の本会議等があって、相当時間が限定されておりますので、大まかな点についてお尋ねをしておきたいと思います。  申すまでもなく、昨今非常に求人難というものが社会的課題として俎上にのっております。しかしこれはあくまでも若年労働者を対象とした問題であって、やはり高度経済成長のひずみというものが、今日失業というきわめて社会的不安というものを醸成するような要素も一方においては残されておる。しかも老人人口の逐年増加に伴って、おそらくこの十年間には相当その範囲が広がるであろうと推定されているわけであります。先ほども質疑応答の中にあったようでございますけれども、まず非常に大きな問題としては、現在の日本の経済構造というものから考えてみた場合に、失業というものは絶対なくなるものかどうかという疑問がやはりぬぐい切れない。おそらく現状のままで推移するとするならば、必ず失業者はあとを絶たない、こういう判断が私自身は成り立つであろうということを非常に心配するわけです。その点については、労働大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) まあ大きく言うならば、日本経済は発展の過程、成長過程にありますので、労働力不足の情勢にあるわけでございますから、そう大きな失業者が発生するとも思えないわけでございますが、しかしその中にもやはり倒産をする会社もありまするし、あるいはまたいろいろな面である程度失業者は出てくる場合も少なくはない。特に中高年の方々は定年退職をした、それをほうっておきますと、それはみんな失業者に入ってまいりますから、やっぱり定年制の延長等の問題もあるわけでありますが、絶対に失業者が起きないというような情勢というものはなかなか容易でないということからいたしまして、そうした中高年齢の方々にどうして一つの職業についていただけるかというようなことで、これからは職業の指導あっせんあるいは職業の再開発訓練というふうなものにも特に力を入れていこうということで考えてきたのが中高年齢者雇用促進の特別措置法でございますが、そういった観点から、これからも特に中高年齢の方々に対しては手厚い対策を講ずる必要があろうというふうに考えておる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そこで、中高年齢ということ自体が非常に微妙な響きを持つわけでございます。満三十五歳以上上限なしということが原則になっているようでございますけれども、先ほど申し上げましたように、労働人口が激増する、それと裏腹に非常に憂慮されることは、むしろ高年齢者、いまここで御指摘申し上げたいことは、高年齢者の再就職難あるいは失業によって起こるいろいろな問題点の解消、それは一方になるほど社会保障制度の充実ということもございましょう。けれども、それも短兵急にはなかなか過去の例から考えてみるとできない。ならば、まず抜本的な考え方の一つとして、そうした問題が起こったときに、政府としても当然いろいろなことを想定し、そしてそれに対応する措置というものを考えの中に入れて進めておられるんじゃないだろうかというふうに思うわけでありますけれども、ことに、職業訓練あるいは職業指導によっても、先ほどの局長の答弁がありましたように、はたして適応性があるかどうかということも問題でありましょうし、そうしたことを総括して、特に高年齢者に対しては、その失業対策について、どういうこれからの展望に立った構想を持っておられるのか。その点いかがですか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のとおり、中高年齢、なかんずく高年齢の方々に対して、はたしていかなる対策を講ずべきや、これからは最もこれが重大な問題であると考えております。そこで、高年齢の方々は豊富な社会経験もございますが、一面においては、多少体力も劣ってまいるというときでございます。そういう方々に対しては、先ほども小柳委員の御質問にもお答えしたのでありますが、やはりいままでの立場というものは、仕事のほうに人間を合わせていくということであったんでありますが、これからは人間に仕事を合わせる、たとえば機械なんかでも、高年齢の方々に向くような機械に改めるということができないものかということも考えなければならぬと思うのでありますが、そういった面で、あくまでも高年齢の方々に向くような仕事をひとつ新たに開発をするというふうな努力が必要であろうと存じます。そういう面で、働く方々は人生、社会において一つの生きがいを求めておられるわけでありますから、特に高年齢の方々は豊富ないままでの人生経験に加うるに、そうした生きがいのある第二の人生をどの面に求めるか、どこにそれを与えていくかということについて真剣に考える必要がある。そういう面で、これからの高年齢対策というものは非常に重大であって、これは至急にあらゆる方面の御検討と協力を得まして、高年齢の方々にふさわしいような職種をできるだけ多く開発をして、その方々に安心して職についていただくということができるならば、高年齢の方々の就職については、まだまだ可能な問題が幾多残されておるように考えておるわけでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 この問題は、いま突発的に起こった問題でないことは、大臣よく御承知のとおりであります。むしろ終戦後今日までの二十数年間にわたっての最大の課題であったんではなかろうかと、このように痛切に感ずるわけであります。したがいまして、いま、人に応じたそうした職業というものをこれからも開発していかなければならないということを申されましたけれども、なるほど考え方としてはまことにけっこうだと思います。しかし、いま望まれていることは、具体的に一体これからどうするのか、一年先にはどうなるのか、二年先にはどうなるのかということ、そうした一つの五年間あるいは十年間にわたっての長期的な政策に基づいた具体策というものはお持ちじゃないのでしょうか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) そういう情勢であり、その必要に応じて社会がこれを求めるならば新しい一つの開発が行なわれる、老人の方々にもそれにふさわしい仕事が次から次に起こってくると、またそのような社会情勢をつくり上げ、同時にその面で開発を進めていくということになると思うのでありますが、具体的な問題は局長からお答えすることにいたします。

住榮作労働省職業安定局長

○政府委員(住榮作君) 今後の労働力の状況を考えてみますと、先生御承知のように、非常に若年労働力が減少してまいります。しかし経済は、社会経済発展計画で想定しておりますように、一〇・六%、一〇%強の経済成長を続けていく。そこで、雇用需要も従来どおり高いわけでございます。しかも若年労働力というのは、昭和五十年ぐらいになりますと、非常に減少する。そこで、私ども、必要な労働力需要に対してどのように考えていくかということでございますが、それはやはり中高年労働力なり婦人労働力を生かして使う、こういうことになろうかと思います。具体的には、一つは雇用率でございます。そういう情勢も、自然になっていくままに放置するわけじゃございませんので、先ほど大臣が申し上げましたような、たとえば人の能力に仕事を合わせて考えてみる、そのためにはいろいろな施策が必要でございまして、たとえばこの法案に書いてございます職場適応訓練の積極的な推進とか、あるいは事業主に対しまして、機械とかあるいは設備、福祉施設等も含めまして、事業主がそういう体制をつくることに対する援助を強化していくと同時に、職業紹介面におきましても、そういうきちっとした合理的な資料に基づきまして、たとえば求人として若年労働力に固執すると、いや、そうじゃないのですと、その職種については中高年の方々でこういうようなかえって能力が発揮できると、こういうような指導もいたすようなこの規定になっております。場合によっては、そういう年齢差による求人は受け付けないようなこともできるような体制になっておりますので、そういう政策を合わせまして、いま大臣の申されましたような目標に向かって進んでいく考えでおります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 こまかい問題はまた次回に譲るといたしますけれども、いまの答弁に関連しまして、なるほど新たな職業訓練等々を十分検討し、窓口も広げてその対策を立てていきたい、こういうお話ですけれども、実際にそれがはたして可能かどうか。現在の職業安定所の窓口を通してのいろいろな職業訓練指導というものはきわめて狭められた、限定された範囲になってしまうおそれがないかということが一つ。  それから、先ほど来から申し上げておりますように、あるいは世界経済の動向の一環としてインフレの高進、それによって生ずるところの失業者の激増、加うるに高年齢者の失業、こうした二重三重の非常に憂慮すべき事態が起きないか。というよりは、むしろその可能性が十分考えられる。こうしたときに、はたして現在の組織体制で十分な効果をあげ得るという自信があるのかどうか。そして今後の職業訓練あるいは指導というものについては、その施設の問題等を通じまして、さらにどういうところに力点を置いてそれの拡充強化をはかろうとされるのか。この辺いかがですか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) わが国の経済は、御承知のとおり、比較的安定成長を続けております。したがって、世界各国、一部には相当の失業者がふえておる国もある中で、わが国は幸いなことに失業率は一・二%ぐらいでございます。そういった状況じゃ、今後もその状況でいけるかどうかということは、必ずしもはっきりはしませんけれども、しかしわが国の経済の実態がよほどの変化がない限り、そうそうは失業率がいま以上に著しく高まるようなことはあり得ないというふうに考えます。ただ、それにつけましても、やはり若年労働者が減ってまいる事実、同時にまた労働力が非常に不足する事態がますます深刻化するわけでございますが、それを埋めていくのはやはり中高年齢の方々であると同時に、一面においては、御婦人の能力をその方面に活用する、お願いする以外にないということでございまして、そういった面から新たなそういった職業に従事する方々をいかにして十分に活用するかという問題、それについては職業の訓練であるとか、いわゆる労働対策という、そういった面が内政上の最も重大な問題となることは必至でございましょう。そのための体制がしからば十分かといわれれば、必ずしも十分でないことは御指摘のとおりでございます。そういった情勢に対応するべく、労働行政の一そうの強化拡充をはかる必要もあると思います。あらゆる面から、労働力に関する限りは、常にそういった意欲的な政策を実施をいたしまして、わが国経済の安定成長にこと欠かぬように労働の面ではこういった備えでやっていくのだという形で、いろいろな施策を講ずる必要があるわけでございますが、そういった面では、いままでの体制は必ずしも十分ではなかったと思うのでありまして、そこで中高年齢者の方々の雇用の促進というか、そういった職業訓練あるいは雇用率の設定、あるいは求職手帳という一連の構想は、そういった事態に備えて、できるだけ中高年齢の方々にも御協力いただこうという政策の一部であるという御理解をいただくならば、そこにまた新しいわが国の経済、また国民生活の安定という面からもこれは役立つものではなかろうかと考えるわけでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 時間ありませんのでこれでやめますけれども、いま大臣は、現在の日本の経済は安定した方向に向かっておるとおっしゃっておられます。しかし中小企業の倒産はこれはまた著しい。  そこで、答弁は要りません。中小企業の倒産の実態とそれに伴う失業者の実数、これを資料として提出していただけませんか。——次回の委員会に間に合うようにお願いをいたします。

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。  中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案の審査のため、雇用促進事業団の役職員を参考人として出席を求めることとし、この人選、日時は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異疑ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林虎雄日本社会党

○委員長(林虎雄君) 御異疑ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会      —————・—————

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