社会労働委員会 第10号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/04/20
会議録
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 村尾重雄君、玉置和郎君、山本杉君、徳永正利君、横山フク君、塩見俊二君、小野明君、占部秀男君が辞任され、その補欠として中沢伊登子君、増田盛君、安田隆明君、鈴木省吾君、長屋茂君、亀井善彰君、武内五郎君、瀬谷英行君が選任されました。
○委員長(林虎雄君) まず、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 去る三月二十五日、渋谷邦彦君が、また翌二十六日、高田浩運君が委員を一たん辞任されましたために、理事に二人の欠員が生じております。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認めます。 それでは理事に高田浩運君及び渋谷邦彦君を指名いたします。 —————————————
○委員長(林虎雄君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。内田厚生大臣。
○国務大臣(内田常雄君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 戦傷病者、戦没者遺族、未帰還者留守家族及び戦傷病者の妻等、戦争犠牲者に対しましては、年金の支給をはじめ各般にわたる援護の措置が講ぜられてきたところでありますが、今回これらの支給範囲の拡大、支給金額の引き上げなどを行なうことにより援護措置の改善をはかることとして、関係の法律を改正しようとするものであります。 以下この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。 改正の第一点は、障害年金及び先順位遺族にかかる遺族年金等を恩給法に準じて増額を行なうことといたしております。 改正の第二点は、準軍属にかかる障害年金等の額の改善でありまして、被徴用者等については、現行の軍人軍属にかかる額の八〇%相当額を九〇%相当額に、その他の準軍属については、現行の七〇%相当額を八〇%相当額にそれぞれ引き上げることといたしております。 改正の第三点は、軍人軍属の事変地・戦地におけるいわゆるみなし公務傷病にかかる障害年金の支給対象の拡大でありまして、現行の特別項症から第三款症までとされている支給対象を第五款症までに拡大することといたしております。 改正の第四点は、昭和十六年十二月八日以後本邦等における勤務に関連した傷病により第五款症以上の障害者となった軍人軍属等またはその者の遺族に、公務傷病による障害年金、遺族年金等の額の七五%相当額の障害年金、遺族年金等を新たに支給することといたしております。 改正の第五点は、日華事変中に本邦等における勤務に関連した傷病により死亡した軍人等の遺族に、公務傷病にかかる遺族年金の額の七五%相当額の遺族年金を新たに支給することといたしております。 以上のほか、軍人恩給復活の際に六十歳未満であってこれまで公務扶助料の扶養加給の対象となったことのない軍人の父母等に対し後順位の遺族年金を支給し、また昭和二十年九月二日以後、海外で軍人軍属たる特別の事情に関連して死亡した者の遺族に対しても遺族年金等を支給すること 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正でありまして、留守家族手当の月額を、遺族年金の増額に準じて引き上げることといたしております。 第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正でありまして、昭和十六年十二月八日以後、本邦等における勤務に関連した傷病により第五款症以上の障害者となった軍人軍属等に新たに療養の給付等を行なうこととするほか、長期入院患者に支給する療養手当の月額を増額することといたしております。 第四は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正でありまして、昭和四十五年の戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正により遺族年金または遺族給与金を受けることとなった戦没者の妻に、新たに特別給付金を支給することといたしております。 第五は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支相法の一部改正でありまして、第五款症にかかる障害年金を受けている戦傷病者の妻等に、新たに特別給付金を支給することといたしております。 第六は、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正するものでありまして、昭和四十五年の戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正により遺族年金または遺族給与金を受けることとなった戦没者の父母または祖父母に、新たに特別給付金を支給することといたしております。 以上がこの法律案を提出する理由及び内容の概略でありますが、この法律案につきましては、衆議院において、療養手当の額の改正規定は公布の日から施行することとなっているものを、公布の日が昭和四十六年四月二日以後であるときは同年四月一日にさかのぼって適用することとする修正がなされております。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(林虎雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。 本案は、ただいま大臣から説明がありましたように、衆議院において施行日につき一部修正がなされております。 それでは、これより質疑に入ります。 御質疑のある方は順次御発言願います。
○小柳勇君 衆議院でも詳しく質問がなされておりますから、なるべく重複を避けまして質問をしてまいりたいと思います。 まず、この法律の中身に入ります前に質問いたします。 二点ございますが、一つは、戦争によるわが国の国民に対する犠牲の救済がこの法律によって定められてまいりました。今日まで何回かの改正によりまして広範に拡大されておることは、まことに喜ばしいことであります。ところが、このいままでの戦争というものを振り返ってみまして、わが国に外国から侵入してまいって戦争をやったということは一回もないわけでありまして、日支事変にいたしましても、太平洋戦争にいたしましても、わが国の軍隊が外地に出かけて行って戦争しておる。したがって、そのわが国の国民に対する援護は——あとでまたいろいろ質問いたしますが、外国の国民のこの戦争の犠牲に対する謝意といいましょうか、国民的な償いというものがほとんどなされていない。もちろん賠償などによって、外交的な措置はありますが、国交の回復していない中国あるいは朝鮮人民民主主義共和国などの戦争犠牲者に対する謝意などというものは今日までなされていない。一つは、この中国大陸への侵略戦争に対する謝意表明などについて、内田厚生大臣は閣議などでお話なされたことがあるのかどうかですね、あるいは閣議でそういう話が出たのかどうか。それは、最近、米国と中国との接近が急速度にありまして、わが国も近い将来に、なるべく早い機会に中国大陸との友好関係を進めていかなければならないということも考えておりますが、それにはまず戦争の犠牲者に対する国民的な謝意というものがなされなければならないのではないか。あと私は遺骨の収集とかあるいは未帰還問題などお尋ねいたしまするけれども、その前提になるものは、アジア大陸などの国民に対するわが国民の気持ちを何らかの形であらわす必要があるのではないかと思うわけでありまするが、厚生大臣はどのようにお考えでございましょう。
○国務大臣(内田常雄君) ただいまの御意見は高度の外交的あるいは政治的な問題に関連するものでございまして、必ずしもこの国民の社会福祉あるいは衛生保健というようなことを担当する私限りでお答えできる問題ではございません。今回の提案申し上げました法律の幾つかの改正法案も、もっぱら先般の戦争に関連した日本国民の生命自体に関する国家補償の趣旨につきまして、恩給法等の補完的なあるいはまたこれと並行して処理を要するもののみに限る問題でもちろんございまして、お尋ねの点には触れておらないわけでございます。御意見のことにつきましては、今後、日中国交回復等に関連して、より高い面から検討をせらるべき課題であると考えますので、小柳さんの御意見をここで承りますが、私からお答えすることは差し控えると申しますか、お答えできる問題のようにも思いませんので、御意見を十分私はいまの政府の閣僚の一人として承っておくことにいたさせていただきたいと存じます。
○小柳勇君 この委員会でそのような話が出たということをある機会に閣議に出していただきたいと思うのです。 それから第二の問題は、朝鮮人民民主主義共和国への帰還者の取り扱いの問題でありますが、これも実は質疑通告はしておりません。質疑通告しておりませんから、担当局長でけっこうですから、帰還者の取り扱いの現状とこれからの扱いについての御説明を伺っておきたいと思います。
○政府委員(中村一成君) いわゆる北鮮帰還の現状でございますが、今年の二月にモスクワにおきまして、日本赤十字の代表と北鮮の赤十字の代表の間におきまして、いわゆる北鮮帰還に関する協定が結ばれたわけでございます。その協定によりまして、目下北鮮帰還希望者につきまして帰還の準備が進行いたしております。 具体的に申し上げますと、日本赤十字社は、の協定によりまして、今年の五月から六カ月間の間に北鮮帰還が行なわれますので、その帰る希望者につきまして、日本赤十字社は、各都道府県の日赤の支部を通じまして帰還希望者につきまして調査をいたしております。現在のところ約五千名の方々が帰るという希望を表明しておられるようでございます。そこで第一船は、いまのところ北鮮赤十字と日本赤十字との間の話し合いで、第一船が五月の十二日に新潟に入ってまいりまして、この第一船は五月の十四日に出航する予定でございますが、第一船では、大体三百名から三百五十名ぐらいの方が乗るということでございます。以下十月までの間に五千名の希望者の方々が新潟港を経由して帰られる、こういうような情勢でございます。なお、五千名につきまして、この五千名が全部お帰りになるかどうか、これはまた現実の場合にならぬとわかりませんが、一応しかし五千名の方が帰還の申し出をしておられるというふうに承っております。
○小柳勇君 五千名申し出がありますと、希望者につきましては条件をつけないで全部帰国させる、このように理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(中村一成君) そのようでございまして、御本人の意思であるということが確かでございますればもちろんお帰りになれる。ただ、法務省といたしまして、その出国することが法律上できないという方がもしあるとすれば、そういう方はあるいはできないことになるだろうと思いますけれども、そういうような刑法その他法令関係によりまして出国が認められない方々以外は全部帰られるということでございます。
○小柳勇君 わかりました。こちらから向こうに帰還される方の話をいたしましたから、今度は未帰還者の問題を先に、法案より先に取り上げて御説明を求めたいと思います。 アジア大陸あるいはいまの北鮮その他なお戦争状態が終結しないで、こちらに帰らないわが国民の存在とその調査方法について御説明を願います。
○政府委員(中村一成君) 現在まだ海外におりまして、日本に帰って来ていない方々は約四千名でございます。詳細に申し上げますと、ソ連地区に三百八十六名、中共地区三千二百二十三名、北鮮地区百十四名、南方その他の地域が二百四十一名、これらの方々がまだわれわれの資料から見まして、確認された資料からいたしますというと、これだけの未帰還者の数があるわけでございますが、さらにこの中でどの程度の方が生存をしておられるだろうか、ごく最近において、こういうことでございますが、約千八百名ぐらいの方はこの四千名の中で生存をしておられることが確かでございます。さらにその中で日本に帰りたいという希望を持っておられる方は五百七名というのが未帰還者の現状でございます。
○小柳勇君 端数までわかっておりますが、このわかりました数字、このように小さいところまでわかりましたのがどういうことでわかったのかということと、それから生存者が千八百人でありますが、その他の方は生死不明と理解していいか。それから五百七名の方が帰りたいとおっしゃっているが、千八百名の中の五百七名でありますから、その五百七名以外の方はもう帰りたくないとおっしゃっているのかどうか、もう一回御説明願います。
○政府委員(中村一成君) 非常にこまかい数字まで私どもとしてはつかんでおります。そのつかみ方でございますが、これは私どものほうの援護局の中の調査課と申します専門の課がございまして、この調査課は、そういう未帰還者等の調査を専心にやっている課でございます。ここで外地から帰って来られた方々からの情報、いわゆる帰還者からのいろいろな資料をとりますとか、あるいは現地に残っておられるそういう未帰還者の方々との間の手紙の交換をするといったような個別のやり方をいたしておりますほかに、在外公館を通じまして、引き揚げ者に関するあるいは未帰還者に対する調査を積極的に依頼をいたしております。その他、赤十字を通ずるいろいろのお互いの情報の交換、日赤を通ずるあるいは相手方の赤十字を通ずるといったようなやり方、その他こちらから外国に参られる方々につきまして調査をお願いする、そういうようないろいろの方法を通じまして、こういうふうに具体的にお名前まで調査をいたしているところでございます。 それから、しからば千七百七十五以外の方はどうであろうかということにつきましては、おそらくわれわれの推定といたしましては死亡しておられるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。なくなっておられるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。 それから帰国希望者が五百七名と申しますのは、未帰還者の中では率としては低い率でございますが、この未帰還者の方々と申しますのが、実は終戦当時におきまして子供であったとかあるいは女の方であったといったような方が大部分でございまして、したがいまして、現在におきまして、その当時子供であるとかというようなことでよくわからないということ、あるいは女の方でございますと、現地で結婚その他いたしまして、なかなか向こうのそういう、何と申しますか、家族の方々との縁を切って日本に帰ってくるということがなかなかできないといったような状況の方々が大部分のようでございまして、その他の方々につきまして、帰還の意思の有無につきましては、なかなか本人の意思の表明ができにくいあるいはすることができないといったような状態の方々が大部分じゃないかというふうに考えております。
○小柳勇君 五百七名の帰国希望の方に対しまして、外交折衝など、折衝をやっておられると思いますが、その実情を御説明願います。
○政府委員(中村一成君) 五百七名の方につきまして、大部分の方々につきましては、すでに私どものほうといたしまして、こちらとしては受け入れのための帰還証明書、これは法務省のほうで発行するわけでございますが、帰還証明書を本人に送っておるとかあるいは帰国のための旅費等を向こうへお送りするといったような手続は、ほとんどやっておるわけでございます。ただ、向こうのいろいろな情勢によりまして、まだこちらへ帰ってきておりませんが、こちらとしては一応五百七名につきましては手は打ってある、こういうことで、ただこの方々のお帰りをこちらはお待ちしている、こういう状況でございます。
○小柳勇君 お帰りを待ちましても、向こうのほうで国が出国を許可しなければ出られないわけでございますね。そのような国と国との折衝は、国交が回復していないからできない点もありましょうが、具体的にはどういう方法で、ただ待つだけでは帰ってきませんでしょうが、その促進策などをやっておられるでしょうか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(中村一成君) 例を申し上げますと、ソ連地区の場合、特に樺太からの帰還者の場合は、最近ソ連におきましては出国の場合の手数料等が相当高額になっているようでございまして、なかなか手数料が払えないといった程度に相当高いというので、帰りたくてもなかなかそれが払えないというようなことも聞いておりますので、これはモスクワの日本大使館を通じまして、現在ソ連政府に、そういう方々につきまして何とかひとつ軽減の措置をとってもらえぬだろうかというような折衝をただいまやってもらっておりますが、その他われわれといたしまして、その他のケースの場合につきましても、おっしゃいますとおり、国と国との折衝ができない場合もございますので、いろいろとケース・バイ・ケースによりまして努力はやっておるところでございます。その結果、最近でも、わずかでございますが、毎年十名あるいは二十名近くの方々がお帰りになっておる状況でございます。
○小柳勇君 一番最初に申し上げましたように、戦争をアジア大陸でやりまして、しかもなお、いわゆる中国とは国交も回復してない。佐藤総理は、台湾と国交回復しているから、もうそれで中国との問題は終わったというようなことまで国会で答弁されるような情勢でありますが、中国で三千二百二十三名という者が未帰還という数字が出ている。その中で生存者千八百人という——その中の大部分の方は中国だと思うのですけれども、五百七名の帰国希望される方も、おそらく大部分は中国ではないかと思うのですが、こういう面でも、やはり戦争に対する国の正式な謝意といいましょうか、そういうものの表明をして、そうして一日も早く帰国希望者については帰国させてくれということを、国が正式に言えるような情勢をつくらなければならぬと思うのです。これは局長の答弁ではないと思うんですよ。大臣ですね、大臣から御答弁を求めたいのですけれども、とにかくアジア大陸で戦争したのは悪かった、その中でこれだけの未帰還の方がいるのだから、しかも帰国希望者もたくさんいるのだから、早急に帰してくれと言うことが、国交回復していなくても、道義上できなければならんと思うのです。終戦後二十五年ですね、いまなお帰国を希望しながら、五百七名の方々が帰れない。しかも、はっきり数字が援護局でわかっている方が帰れないということは、われわれ国民として許せないですね。何らか早急に手を打つ方法はないか。アメリカの卓球団が正式に呼ばれているような情勢ですから、戦争後二十五年たった今日、帰国を希望しながらなお帰れないなんていうことは、許せないと思うんですよ。これは数字をただ正式に把握するだけではなくて、それをもっと、わかったらすぐ帰す、数字は何名いるかわからぬが。このくらいの手を打たなければならぬと思うのですが、いかがでしょう、大臣。
○国務大臣(内田常雄君) 私は、そのことは相手国政権の承認あるいは国交樹立以前の、人道的課題であると考えるものでございまして、したがって、中共等に対しましても、毎年いろいろの関係でこちらからおいでになる方々にはリストもお持ち願いまして、そうして早期帰還のことにつきまして便宜供与のことを実はお願いをいたしておる次第でございます。現にまた、一挙にこれらの諸君が帰ってはまいりませんけれども、毎年何十名かの方が中共地区からも帰ってこられまして、それらの諸君からも直接厚生省においでを願って事情を聞いたり、また今後の帰国促進についての有効な措置等につきまして協力を求めておる、こういうことをやっておる次第でございますが、まあ中共等の問題につきましては、これは超党派で新しい動きもございますので、こういうことに対する動きは一そう積極的かつ有効に措置がとられることを期待しつつ、私どももさらに全力を傾ける考えでございます。
○小柳勇君 藤山さんも中国においでになる。れっきとした自民党の代議士ですからね。しかも、かつて大臣をおやりになった方が正式に中国に訪問する。そういういい機会もありましょうし、一日も早く、少なくとも希望する方については早急に帰国できるような手を打っていただきたいと思います。これは希望です。 それから次の問題は、この法律は、きょう説明されたように、十六年の十二月八日以後の傷病の方に対する措置が提案されておりますが、十六年十二月八日以前に軍籍にあって病気にかかって、それ以来なお国立病院で治療している方があるようです。これは手紙をいただきました。衆議院でも田邊君のほうからたしか提起されているようでありますが、こんな方が現在何名ぐらいいらっしゃるでしょうか。
○政府委員(中村一成君) 太平洋戦争以前からの傷病でなお入院しておられるという方の数はいま手元に持っておりませんが、今回の改正によりまして、昭和十六年十二月八日以後の本邦等の勤務関連傷病に対して障害年金を支給しようとする今回の改正の対象といたしまして私どもが推定いたしてございますのが、約百八十名の方々というふうに考えておる次第でございます。
○小柳勇君 それは十二月八日以後でしょう。十六年十二月八日以後でしょう。
○政府委員(中村一成君) さようでございます。
○小柳勇君 以後の方を聞いているのではありません。その以前に兵隊にとられて、軍務のために病気になって、海軍病院や陸軍病院に入院しておって、そのままなお今日国立病院で療養中の方です。
○政府委員(中村一成君) お尋ねの方々につきましては、入院の方々で二百三十名ぐらい、それから通院しておられる方が四百十一名ぐらい、約六百四十一名ぐらい。これは正確ではございませんので、大体六百四十一名、六百数十名の方々ではないか、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 この六百四十一名の方は、今回の法律では特別給付金も何ももらえないですね。療養については療養手当をもらっているようでありますが、今回の、その後の特別給付などというものはないようでありますが、この手紙にもありますが、現在、一カ月四千八百円戦傷病者特別援護法によっていただいておりますと。ところが、生活保護法の関係では四千九百七十五円を毎月もらっておりますが、生活保護の患者よりも私どもは少ない、これだけで治療しておりますが、何とか、今回のこの法改正によって私どもにも若干の恩典が与えられないものであろうかという陳情でありますが、御検討になったことございますか。
○政府委員(中村一成君) 今度の改正の中で、いま申し上げました方々の中で一部分の方は実は対象になるわけでございまして、太平洋戦争中に内地において軍人、軍属としての勤務に関連した傷病にかかって現に第五款症以上の不具廃疾の状態にある方、これが今回の改正で障害年金の支給をお受けになるというわけでございます。なお、別途提案されております恩給法の改正によりまして特例傷病恩給の支給を受けるということにもなっております。 なお、いま先生のお示しの日華事変間にかかる勤務関連傷病というものは今後検討さしていただきたいと思います。衆議院におきまして、いまお示しのとおり、田邊先生からの御質問がございまして、私どもといたしましては、それにつきましてて、そのケースを含めて今後日華事変間の問題につきましては検討さしていただきたい、こういうふうに御答弁を申し上げている次第でございます。
○小柳勇君 その問題は、それでひとつ検討していただきます。 それから、次は、原爆投下などによりまして家が焼かれた方々もたくさんありますが、消火作業などで、たとえばやけどをするとかあるいは半身不随になるとか、いろいろ病気された方あるいはけがをされた方もたくさんあると思いまするが、防空監視員につきましては特に取り上げて恩典が与えられる、その他の一般市民に対する措置などはお考えになったことございますか。
○政府委員(中村一成君) その他の方々につきましては、防空関係の医療関係の方々、医師、歯科医師、看護婦、こういう方々で防空業務に従事した場合におきましてけがをされあるいはなくなられた方につきましては、予算措置をもちまして手当を差し上げる、お見舞い金を差し上げるということになりまして、これは四十五年度、四十六年度の予算に計上されておりますが、現在各県から出されました資料につきまして検討いたしておりますが、ごく最近までに二十数名の方につきまして裁定をいたしておりますが、ほとんど大部分は広島の原爆のときにおなくなりになった方のようでございます。その他の一般の国民の方々で空襲等によって被害を受けた方々の問題につきましては、現在の戦後の援護行政の対象としてはこれは入らないということで、いろいろと議論はございますけれども、一般の方々につきましては対象にしないという線で今日まで参っているところでございます。
○小柳勇君 その他、戦後処理ということでどういう問題がございますか。まあ附帯決議になりましたものは今度の法律改正で取り上げられておりますが、これ以外にどういうことがあるか。たとえば、私がただいま申し上げましたようなこと、原爆ではなくて普通の焼夷弾などをもちまして、火災で、消火作業中にけがをして半身不随になった、いろいろケースはありますね。法律があれば言えますけれども、法律がないから言ってこないのですね。実態を調べて予算措置で救済措置を講ずることも一つの方法でしょうけれども、何か具体的にケースが若干ありましたら、それを救済する法律をつくりますと、申し出てまいりますね。法律がないから申し出てこないという面もあると思うのですけれども、戦後処理の中でどういうことをいまお考えであるか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(中村一成君) やはり私どもといたしましては、現在遺族年金あるいは障害年金をもらっておられる方々、こういう方々に関する処遇というものを、世の中の一般の推移と即応いたしまして、たとえばそういうような年金といったものの額を引き上げていくといったような問題、それからなお、おっしゃいましたように、いわゆる未処理の問題といたしましては、バランスを失することなくやっていかなければならぬ。したがいまして、先ほど先生お示しのとおり、たとえば日華事変、太平洋戦争以前におけるいろいろな問題と太平洋戦争以後の問題のバランスの問題、あるいは軍人、軍属、準軍属の間におけるいろいろなバランスの問題といったような、制度の内部におけるところのいろいろな調整の問題といったような問題、さらには、やはり戦後処理の問題といたしましては、最近におきまして特に一部においてまだ不十分であるといわれていますところの、海外におけるところの遺骨の処理等の問題あるいは未帰還者の問題といったような問題につきまして、現在努力をいたしているところでございます。
○小柳勇君 具体的でないですけれども、戦後二十五年たちまして、いま少しずつ少しずつ処理件数が拡大していくことはあまり喜ばしいことじゃないと思うのです。したがって、いろいろなものが出てくるからこれを取り上げるという方法もありましょうが、もう少し広くいわゆる戦争犠牲者というものを考えて処理すべきだと思います。そういう観点からしますならば、一番の戦争犠牲者、第一の戦争犠牲者は、敵国人といわれた相手の人でしょうね。日本の軍人が戦争をしかけた相手の者が一番の戦争犠牲者でしょうが、その次は、軍人が戦争したために犠牲をこうむった国民じゃないかと思うのです。ここに提案されておる法律、いままでのずっといきさつを見ますというと、軍人がまず第一、その次に軍属、準軍属、こういう差ができているわけですね。いま私が客観的に見ますと、国民的感情から見ますと、逆に戦争の犠牲というものは、全然軍から離れておった者、戦争から無縁の者がそのときにもし傷ついたらば、一番その人が犠牲者じゃないか、逆の考え方をするわけですね。一番冒頭にアジア大陸の国民に対する謝意などと言ったわけなんですが、戦争の犠牲者というのは、戦争したくないのに戦争をしかけられたとか、いろいろありますから、一がいに定義づけられないけれども、相手国にされたものが一番の犠牲者その次はそれに引っぱり回された国民じゃないかと思うのです。この法律の改正はそうじゃないわけですね。そこがいろいろ衆議院でも論議されたようです。あまりに差があり過ぎるということです。終戦後二十五年になりまして、国民感情から言いますならば、戦争したくないのに戦争が起こったために焼夷弾が落ちまして家を焼かれた、消火作業でけがをした、そういう人が一番の犠牲者じゃないかと思うのです。したがって、この際、こんなふうに少しずつ少しずつ援護を拡大していくことも大事ですけれども、もっと根本的に、おしなべて戦争の犠牲者に対する国の援護措置そういう大きな観点から飛躍的な援護措置の改善をしなければならぬのではないかと思う。その大きな網の中で、国民で家を焼かれた方はどうかとかあるいはけがをした方はどうと、そういうようなものを考えていかなければらぬと思うのですが、まずその基本的な考え方すね、ここに戦傷病者戦没者遺族等援護法の目的から見れば、国家補償の精神に基づきとある。むしろ援護の内容は社会保障的な性格が強いようですが、この関係をどのように考えておられるか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(中村一成君) いま先生お示しのとおり、戦傷病者戦没者遺族等援護法に書いてございますように、この法律の趣旨、目的と申しますのが国家補償という観点に立ちまして関係の方々に対しますところの補償をするということになっております。したがいまして、いわゆる社会保障の立法とはいろんな面において性格を異にしてくるわけでございまして、どうしても国家補償でございますので、この補償を受ける対象となる人々と申しますのが、国との関係においてどういう関係であったかということでその制限を受ける、国との関係がどうであったか、その国の制限の受けぐあいというものによりましてそこに扱い方がある程度の相違を来たしておる、あるいは国家補償でございますから、いまおっしゃいました一般の戦争に対する、たとえば空襲等におきますところの犠牲者につきましては、この援護法については何ともすることができないといったような、国家補償的な性格でございます。したがいまして、当初におきましては、軍人とそれから準軍属との間におきまして、たとえば年金額等においても半分、五割しか出ないといったようなものであったのでございますが、しかしながら、その後そういう点につきまして改正が加えられまして、今回におきましては、たとえば準軍属におきましては八割あるいは七割でございましたものを九割、八割というふうに一割格上げをいたしまして、差がだいぶ縮まってまいっておりますが、ある程度そういうような差が現在においても、今回の改正においてもまだ残っておるというような点は、やはりこの制度が国家補償という立場に立っておるという点におきまして、いわゆる社会保障の立法とどうしても相違があるということになるわけでございます。
○小柳勇君 大臣にお伺いしますけれども、いま申し上げましたように、終戦後二十五年、現在の国民感情からいたしますと、軍人、軍属、準軍属あるいは非軍属、いずれも戦争の犠牲者です。したがって、その援護にあまり差をつけてもらいたくない差をつけないで、少なくと農低保障といいましょうか、最低生活の保障をやってもらわなければなりませんし、特に未処遇者のケースにつきましては、高齢者が多いから早急に温情のある措置をやってもらわなければならないと思うわけですが、その格差をなくしてくれという話と、それからいま現在処理していない問題もありましょうが、そういうものをもっとなるべく早く見つけ出して、しかも年をとられたおじいさんおばあさんがおられましょう。そういう方に対して早急に温情ある措置をとってもらいたい。この二点について大臣の見解をお伺いしたい。
○国務大臣(内田常雄君) 小柳さんのおっしゃるような気持ちで私どももやっております。もともとが一億一心とか、あるいはまた国家総動員といった形で戦争に入り、また国民全体が直接、間接に戦争の犠牲を受けておるわけでございますので、小柳さんの言われるように、直接軍務に従事して身体上の損害を受けたものでない一般国民の損害についても、これをいかにすべきかという問題ももちろん論議の対象になるわけでございますが、今日までの制度、法律の体系、ことに昭和二十八年に復活いたしました恩給法等の体系が国家補償という考え方のもとに、戦争遂行について国と特定の身分関係にあった方々を対象として恩給法というものができておりました。しかし、いわゆる軍人だけでこの戦争が行なわれ、また犠牲が生じたわけではございませんので、いわゆる軍属あるいは準軍属といったような赤紙徴集以外に白紙徴集の形をもちまして戦争遂行について国と一定の身分関係を持たれた方がたくさんございますので、それを拾い上げましたのが戦傷病者戦没者遺族等援護法という体系になっておるわけでございますので、したがって、恩給法との関係、また援護法との関係は、初めのころはかなりの格差もあり、また落ちこぼれもございましたが、その後、世の人々の戦争遂行犠牲者に対する意識の変更といいますか、向上にも伴いまして、小柳さんの言われる点はかなり穴埋めされまして、この関係は今度の改正等でもわりあいにこまかいところまで親切に拾い上げておると私は思います。しかし、従来かなり問題になりましてまだ残っております問題なしとはいたしませんので、これらにつきましては、今回でおしまいということでなしに、引き続き検討を進めまして、納得のいけるような措置をとってまいりたいと思います。焼夷弾等による一般国民の戦争の犠牲につきましても小柳さんからお話がございまして、また私が冒頭に触れましたような点があるわけでありますが、これらにつきましては、国と一定の身分関係にあるとは言えない方もあると思われますので、国家補償という考え方ではなしに、むしろ新しい社会——戦後建設し直したその新しい社会の中で社会の恩恵を受けていく。ことばをかえますと、社会福祉あるいは社会保障といったような形で今日はいったほうが、戦後の近代国家としては適当だと思われる点もございます。その辺の兼ね合い、割り切れないところはございますが、一応割り切った形にいたして処理をいたしておる点がありますことも私は御理解をいただかなければならないと思うところでございます。
○小柳勇君 具体的な問題を三つばかり質問いたしますが、軍属の処遇でありますが、私が申し上げましたような考えで準軍人、軍属などという差をつけてありますが、特に今回の法律改正で日華事変に本邦などにおける勤務に関連した負傷及び疾病により死亡した軍人、準軍人の遺族に対しては、今回遺族年金が支給されることになりました。軍属には支給されないわけですが、なぜ軍属まで範囲を拡大しなかったのかというのが一つ。 さらに、この特例は遺族年金の額が十分の七・五となっておりますが、他の例と比較するならば十分の九まで引き上げるべきではないか。 この二点について軍属の問題で説明を求めます。
○政府委員(中村一成君) 確かに今度の改正におきまして、軍人以外につきまして、軍属、準軍属につきましては、昭和十二年の七月七日以降の問題につきましては適用にならないわけでございます。実は軍人につきましては、恩給法の関係におきましては、ここまで実は適用をしないということなんでございますけれども、援護法におきましては、この軍人につきまして、十二年の日華事変の勃発以降まで持っていくといたしまして、いまだその他のところまではいきませんけれども、少なくとも恩給法の取り扱いからいたしますと、この点は先にと申しますか、一歩前進をいたしておるわけでございます。 なお、軍人以外の方々につきまして、日華事変までさかのぼるかどうかにつきましては、いまのところ、軍人以外の方々の勤務につきまして、ここまでさかのぼることにつきましては、その当時の勤務の態様からいたしまして、さかのぼることはいかがであろうかということで、今回の改正ではここまでは手がつかなかったわけでございます。しかし、この問題につきましては、今後十分検討をさせていただきたいと、こう考えております。 なお、その次にパーセントの問題でございます。先ほど申しましたとおり、今回の改正では、被徴用者等につきましては九割、その他の準軍属につきましては八割といたしまして、一割ずつ処遇の改善をするわけでございますけれども、なおそういうふうに軍人、軍属に比べまして差があるわけでございますが、この問題につきましては今後さらに、先ほどの問題第一の問題と同様に検討さしていただきたい、こういうふうに考えます。
○小柳勇君 いまの問題準軍属の十分の八と十分の九についても不満ですね。準軍属と身分で二つに差をつける、しかも障害年金の額につきましてもそうでありますが、大蔵省がどうしてもうんと言わぬから、厚生省として一本にしたいけれども、大蔵省が予算折衝のときにどうもうんと言わなかったというようなことも聞いておりますけれども、厚生大臣どうですか。
○国務大臣(内田常雄君) いろいろ経緯はあったようでございますが、私は、この問題はこのまま将来残すことがいいとは思いませんので、次の機会といいますか、これは近い将来にこれを——七〇が八〇になった、八〇が九〇になったからそれでいいとは私は考えませんので、これはできる限りもう少し私どもも満足のいくような形で、また受給者に有利な改正をしたいと考えております。
○小柳勇君 わかりました。それで、まあもう一回申し上げておきたいのですけれども、いまの私どもの国民感情からすれば、軍人とか、軍属とか準軍属とかというようなことで年金や給与金にあまり大きな差をつけてもらいたくない——大きな差というよりも、差をつけてもらいたくない。家族の身になれば、残された者の身になれば同じなんですね。あるいはけがした者の身になれば同じだと思うのですね。鉄砲持っておったか、工場で働いておったかという差だけなんですね。しかも犠牲の程度は私は戦争に参加した者より戦争に参加しないで、けがした者のほうがもっと私は国がめんどうを見なければならぬ。それこそそばづえなんです。そういう意味で、ひとつ根本的に検討していただきたいと思います。 それから、法律改正のいきさつをずっとうちの調査室で調べてもらっておりますが、なかなか複雑なんですね。もうこれはずっと一覧表ありますけれども、私も一晩か二晩見ましたけれども、頭にはっきり入りませんでした。このようなことでは、もう取り扱う役所もたいへんだろうと思うのですね。だから、できますならば、金額もわずかの差のようでありますから、できるならば一本か二本かの法律にまとめてもらって、そうして扱いやすいようにしてもらって、しかもその法律を国民が知って、私もそうですよと、だからひとつ年金を支給してくださいと言えるような体制にしませんと、これ全部専門家が読みましてもなかなか、私はどこに入るのだろうかと、こう考える。このほかに、今度軍人恩給がありますね、公務扶助料があります。こういうことでは私は一体どこに入っているかということを、国民の一人になってみましてもなかなかたいへんでありますから、早急にこの法律の一本化をしてもらって、だれが見ても簡単にわかるようにしてもらいたい。これは希望条件です。 それから、あともう時間がありません。五分間でありますから、だいじな問題ですけれども、その他の問題で質問いたします。 それは、海外戦没者の遺骨収集の今後の計画についてお伺いいたします。
○政府委員(中村一成君) 海外の遺骨収集につきましてでございますが、昭和四十六年度におきましては、西部ニューギニア、マーシャル諸島、ギルバート諸島及びソロモン諸島につきまして実施をする予定でございます。四十七年度以降におきましては、ビルマ、インド等におきまして実施をしたいと考えておりますが、こういう地区におきましては、いろいろと現地の状況に問題がございまして、外務省を通じましていろいろと調査をして当たっておるところでございます。
○小柳勇君 最後の問題は、現在、戦艦「陸奥」の引き揚げ作業が行なわれておりまして、その船から遺骨がたくさん収集されたようでありますが、その他の沈没艦船についての引き揚げ及びその遺骨収集についてはどのように考えておられるか、お聞きいたします。
○政府委員(中村一成君) その他の沈没艦船の引き揚げの問題につきましては、これは率直に申し上げまして非常に困難でございます。沈みました船の引き揚げにつきましては、いままで引き揚げ可能な艦船につきましては、その引き揚げがもうできておりまして、現在、まず申し上げますと、日本の近海におきますところの沈んだ船の中では「陸奥」が一隻実は残っておりました。この「陸奥」を現在引き揚げて、あわせて御遺骨の収容をいたしておるわけでございますが、その他の地域におきましては、沈んでいますところの場所が外国であるとか、あるいは沈んでいるところの深さが非常に深いというところから、その引き揚げということはきわめて困難、もう事実上不可能に近いという状況でございます。
○小柳勇君 最後の質問は、この法律が通過いたしました、可決いたしました後、これを国民に周知する方法についていかにされるか。なるべく早い機会にこの法律の適用を知ってもらって、適用してもらいたいのでありますが、たとえば遺族相談員などもおられるようでありますが、どのような方法でこの法律の拡大されたことを知らせるか、それをお聞きいたしまして質問を終わります。
○政府委員(中村一成君) この法律の周知徹底はきわめて重要な問題でございますので、私どもは、各都道府県の方々と連絡をいたしまして、都道府県が中心になっていただきまして、都道府県内の周知徹底をはかるためのいろいろな措置をお願いいたしておりますが、いまお示しのように、遺族相談員あるいは戦傷病者相談員というような方々にも十分御協力を願いまして徹底をはかりたいと、こういうように考えております。
○渋谷邦彦君 この種の法律改正が上程されるたびごとに思いますことは、まあ戦後二十六年といわれておりますけれども、いまだに戦後が終わっていないという、そういう印象を非常に強く持つわけであります。もうすでに衆議院の社会労働委員会でも、何回か繰り返しこの種の問題の議論がなされてまいりまして、やっといろいろないままでネックになっていた問題が是正されつつあるとはいうものの、やはりこの当事者にとってみれば不満が解消されないという、そういう国民的な感情が残っていくだろうと思うのであります。そこで一体こうした問題の今後の処理というものは、めどを置くということも非常にむずかしいだろうと思いますが、しかし、もっと根本的な判断をもって、総合的に一体どういうふうにこれから処理を推進をし、一切の問題の解消をはかっていくべきか。このままだと、これから五年、十年たっても、依然としてこの種の問題が残りやしないかと、そういう疑問が残るわけであります。したがって、大臣として、これからどういうスケジュールのもとに、不満のない、ほんとうによくやってくれたと、こういう方途を持っておられるか。また方途ということと同時に、今後の具体的なやはり方策、この点をまず最初に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 戦後二十五年でございますので、いつまでも援護法による処遇などにつきましても、だらだらとやってまいることは、私は適当でないと思います。しかし、また一方考えますと、この援護法というのがたいへん親切にできた法律でございまして、こういう方面に関する関係者あるいは国民のいろいろ不満や御意向のために、それを受け入れるための法律のような形にもなっておりまして、恩給法のほうで閉ざされてしまっておりますものを援護法で、いわば援護法がある形、ある意味では恩給法の特例法的な形、立場も持ちながら受け入れてまいりましたり、あるいはまた特定の身分の保有者のみに限られてしかるべきだという意識が、先ほど来のお話にございますように、変わってまいりますに応じまして、いままでは措置の対象になり得なかったような方々をこの法律の対象として取り上げて処遇してまいるというような、そういう実は親切なはからいもしてまいることが時代に適応していいんだという考え方でやってまいってきた点も御理解をいただけると思います。単に私どもがはっきりした姿勢を持たないからだらだらしてきたということだけではないように私は思うのでありまして、これまでの線でシャットアウトというようなことで、法律もわかりやすく整理をし直してしまうということが、必ずしもいままでのところでは十分それで任務を果たし得たというような状況ではなかったと思います。いまの渋谷さんのような御意見のほかに、国会におきましても、いろいろな権衡論から要望もございましたし、また厚生省自身も援護問題懇談会というような、民間の有識者に御参集を願いまして、私どもが検討の対象として取り上げることがいいか悪いかと考えておりますような問題につきましても、御検討をいただいてまいりましたが、私は、おおむねのところで、問題になった点は今度の改正をもちまして達成をせられたと思うものでございますので、これをもってこの法律の関係の改正は締めてしまうというようなことはいたしませんが、今後の問題は、むしろいままで形をそろえましたそういう体制につきまして国民の生活水準とかあるいは物価とか、賃金とか経済変動に応じまして、一応法律できめられた処遇を改善をしてまいるというようなことに重点を置きながら、なお若干その論議が残され、また再考を約束されてまいりましたようなことにつきましては検討も重ねました上で、たいへんわかりにくい法律になっておりますので、これを全部もう一ぺんわかりやすく編集し直して、そうして戦後処理についての完成と、こういうことにいたしたいと思うわけでございます。そのほかには遺骨の収集でありますとか、それから先ほどからお話ございました在留日本人の帰還促進というような課題が残るわけでございますが、今後はそういうほうにまとめてまいりたいと思います。
○渋谷邦彦君 そうしますと、近い将来わかりやすいものに整理をしていくと、そのように理解をしたいわけでありますが、いままでも問題とされてまいりました軍人と軍属の格差、もうわずかのところでもう一切が解消というふうにわれわれ受け取るのです。もう一息というところでなぜ同格といいますか、扱えなかったのか、予算措置がとれなかったのか、非常に残念でたまらないわけです。したがって、今年度は間に合わないといたしましても、昭和四十七年度からは全く軍人、軍属は同格に扱うというような方針はお持ちではございませんでしょうか。
○国務大臣(内田常雄君) そういう方向、そういう考え方は私どもは持ちます。たとえばこの旧軍人につきましても幾つかの階級がございますのを——これは恩給法の領域にもなるわけでありますが、それを必ずしも戦前の軍人階級に細分してとらわれずに、グループにして措置をしてまいっているようなことも、御承知のとおり、いたしておりますが、それとも相通ずる点がいまの渋谷さんの御意見の中にもあるようにも思いますので、全くその佐官と、それから兵なり下士なりというものを同じには現在恩給法の扱いではいたしておりませんけれども、かなり整理をいたしておりますと同じように、軍人、軍属、準軍属等につきましては、いままでいろいろ経過や経緯がございまして、つけなくてもいいような格差、落差があったものなどにつきましては、先ほど申しましたように、もう一ぺん妥当なところに持っていって、そうして整理をし直すべき時期に来ているように思いますので、そういう努力をいたす所存でございます。
○渋谷邦彦君 ぜひそれはお願いしたいと思うのですね。確かにいま大臣おっしゃったとおり、私も戦争参加者の一人です。軍人と軍属は一体どこが違うのだ、片一方はプロフェッショナル、片一方はやむを得ず国家総動員法で召集された、その受けた被害というものについては、これは差別を設けるほうがどうかしている。あるいはどういう圧力に屈したか知りませんけれども、私はそうあるべきではない。やはり平等に扱ってあげるべきではないか、それがやはり政治のあたたかい配慮である、このように思いますので、ぜひとも昭和四十七年度においては、大蔵省とも折衝された上で、ぜひともいまの大臣の答弁どおり具体化をはかっていただきたい、このように思うわけであります。 それから第二点の問題は、障害年金の問題遺族年金の問題ですけれども、これもしばしば現在の給付率では低過ぎるではないだろうか。一体、算定の基準というものがあるいはホフマン形式とか、いろいろなものがあるだろうと思うのですけれども、現在の支給率ではたして生活ができるかどうかということは、だれが見ても非常に困難をしいられているという答えがはね返ってくるわけです。したがって、この問題については、今後どういうふうにはかられるおつもりなのか。 それで、いままでのその算定の基準というのをどういうふうに考えてこられたのか。まあほかのいろんな触れ合いというものがあるだろうとは思います。その点を再度ここで確認をしておきたいと思いますので答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 私が先刻申し上げた点にも触れる点でございますが、これはまあ物価、生活水準の上昇、それからまた現職公務員等に対する毎年の給与改正の問題、そういうこととも関連をいたしまして、御承知のとおり、恩給法関係、さらにそれにならって、この援護法関係でも改正をいたしておりますので、そのことを続けますことはもちろんのこと、なおかつ、その仮定俸給などの適正化につきまして考慮する余地が残っておる面がございますならば、そういうことにもさかのぼって触れまして、処遇の改善というものはいたしてまいる所存でございます。さらにまた、これはこの法律にはございませんけれども、国民年金法のほうの改正でお願いをすることになるわけでございますけれども、例の老齢福祉年金の完全併給につきましても、これはもう私どもがかなりの踏み切ったといいますか、措置としてまた努力を重ねました結果、准士官以下につきましては老齢福祉年金の完全併給ということを今年法律を通していただくことによって行なわれるようなことにもなってまいりましたので、これらにつきましても、渋谷さんの御意見の線が実現をしたものと私は考えますので、同じような考え方をさらに伸ばしてまいりたいと思います。
○渋谷邦彦君 これは、かつて別の機会にも私が申し上げた点の一つなんでありますが、現在、社会福祉ということを大臣しきりにおっしゃっております。とりわけその中でも福祉施設ということがまだまだ先進国と比較をいたしますと立ちおくれている。おそらく先進国の水準並みに引き上げるということには、相当のまだ年数がかかるんではないだろうかという考えが出てくるわけでありますが、せめて一方においては、まあ福祉施設関係が整備されているということであるならば、あるいはその現行の年金額でも十分とはいかないまでも、まあまあとにかく老後を楽しんでいただけるというようなことにもなるんだろうと私は思うんです。しかし、いま申し上げたように、施設関係が全然整備されてないということであるならば、せめてこの年金だけでも十分に老後を楽しんでいただける、そういう内容にしていただきたいものだと、そういう思いからいま申し上げたわけであります。 それから、次に戦傷病の認定の問題でございますけれども、かつて私ある一人の——これは軍人でございますけれども、陳情を受けたことがございます。つまり銃弾によって負傷したわけではございません。しかし、やはり戦場において馬から落っこったんですね、落馬した。そのときに得た傷がもとで現在は廃疾同然。しかしそれを認定した医者は現在もういない。それで、その当時の書類もない。戦後引き揚げてまいりましてから、もよりの病院に行ってその事情を話をして、認定してもらいたいというようなことも申し出たそうであります。しかし、結局、それは戦争による傷病とは認定できないというようなことで、いままでずいぶん県当局ともかけ合ってきたけれどもらちがあかなかった。何とかしてもらえないかという、そういう問題がございました。おそらくそれは軍人といっても、階級が非常に下のほうでございますので、あるいはそういう階級が下であったがゆえにそういうことであったのかと疑いたくなるような内容でございました。まあそれはともかくとして、こうしたことが全国的に考えてみた場合に相当数にのぼるのではないか。また同時に軍属の場合でも同じようなケースが考えられないかということを心配するわけでありますけれども、この問題の処理についてどのように従来措置をとってこられたか。それから同時に、今後どういうふうな考え方でこうした問題の処理に当たられるのか。この点は、おそらく過去においてもこうしたことが問題にされたことがあるだろうと思うのです。重ねてここで伺っておきたいと思います。
○政府委員(中村一成君) 先生御指摘のとおり、戦後二十数年を経過している今日では、もう立証資料を整備するということはなかなか困難な場合が多うございます。御指摘のとおりでございます。そこで、私ども、戦傷病の認定に当たりましての立証の問題につきましては、従来からできるだけ簡素化するというふうな方針で進んでまいっております。立証困難なものにつきましては、現在、その責めを請求者のみに課するということは、これはまことにお気の毒でございます。ただいま御引例の例のような場合、そうであろうと思います。私どもといたしましても、私どもが率先いたしましてその資料の収集に当たる、こちら側も当たっていく。そういう努力を払いまして、できるだけ請求者に有利に資料を評価する、そういうような基本的な態度で今日までまいっております。中にはあるいはこちらの方針のとおりにいかないケースも事実上あるかとも思いますけれども、方針としてはそういう考えでおりますし、今後とも立証の簡素化あるいは審査の促進につきましては十分努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○渋谷邦彦君 これからもそういう方々がむしろないことが望ましいのかもしれません。もういずれも二十数年間の間には立ち上がって、それぞれの自立の生計を立てておられる方がほとんであろうかとも思いますけれども、中には不具廃疾というようなことになって、訴えるにも訴えられない。その人個人個人の差がございましょうし、それでまた県当局あたりに行っても十分親切な指導といいますか、相談といいますか、なされていない場合があるように私は思うのです。いわゆる官僚的な、機械的なそういう話に終わってしまって、まことに不親切きわまりない。結局は国会議員でももしつてがあれば頼んだほうが早いんじゃないかといって、ストレートに国会議員のほうに頼まれる、まあそれもけっこうでしょう。しかしいま局長言われたように、こちらからもできるだけそういう方がいないかということをおやりになっていらっしゃるということをいま申されたわけでありますけれども、はたしてそれがどういう効果をおさめているのか、そして具体的にまたそういうような啓蒙と申しますか、された結果、やはりその恩恵にあずかった人が実際にいるのかどうなのか。またどういう機関を通じてそういう啓蒙のしかたをやってこられたのか、この点いかがですか。
○政府委員(中村一成君) やはりそのきっかけといたしましては、本人から何らかの形におきましてそういう意思の表明がございますことを端緒といたしまして、都道府県あるいは私どもといった役所が積極的にその調査に当たるわけでございますが、そのほか戦傷病者相談員あるいは昨年から設けられました遺族相談員の方々の御協力も得まして、そういう方々の把握あるいは調査、御指導、御協力につきまして援助するような体制をとりまして、国あるいはこういう相談員の方々等のボランティアの活動というものの協力も得ながら進めているわけでございまして、その結果、何名出てきたかという具体的な結果につきまして、ただいま手元に資料がございませんけれども、そういうようなあたたかい気持ちで接するように、私どもといたしましては、全国のたとえば都道府県との打ち合わせ会あるいは会議というふうな機会におきましては、常々そういうことを申し上げまして、また都道府県もそういう気持ちでおそらく管下市町村等とやっておられることと思うのでございますけれども、そういうような方針で今後ともまいりたいと思っている次第でございます。
○渋谷邦彦君 いずれにしても、現状としてはそうたくさんの方が該当しているとは思えませんので、いま言われたような方針に従って善処をお願いしておきたいと思います。 最後に、先ほども問題になりました遺骨の収集でございますが、今後も引き続き、おそらく厚生省としては状況の許す限りこれを推進されるだろうと、こう思うわけでございます。先ほども御答弁の中に、現在、ビルマ等をはじめ若干の国においては、相手国の国内事情によってこちらから行けないという場合もおそらく当然ございましょう。今後残る問題としては、未帰還者の処理の問題、それから遺骨の収集の問題あるいはさらには墓参ということを考えられると思うのでありますが、こういったことを総括して、いわゆる何年という目標はとうてい立たないだろうとは思いますけれども、やはりこれからも継続的にケース・バイ・ケースでもって、毎年そうした一つの件が起これば、そういう遺骨の収集ということが可能であるという状態が起これば、これを積極的に進めるのかどうなのか。そうした今後の長期展望と言ってもちょっと言い方がおかしいと思うのですけれども、その辺の今後の厚生省の取り組む姿勢というものを最後にお尋ねしまして私の質問を終わらしていただきたいと思います。
○政府委員(中村一成君) 海外におきます戦没者の遺骨収集につきましては、主要なる戦域につきまして計画的な遺骨収集を進めてまいったわけでございます。昭和四十二年度以降特に努力を重ねておりまして、フィリピン、マリアナ諸島、東部ニューギニア、北ボルネオ等につきまして実施はすでにいたしてきたのでございます。 それから本年度あるいは今後につきましては、先ほど小柳先生の御質問に対しましてお答え申し上げたとおりでございます。 なお、これから先の問題につきまして、おそらくあるいはわれわれが調査した段階におきまして漏れておったところ、あるいはその後発見されるといったような問題も、今後あり得ると思います。私どもは、やはり御遺族の方のお気持ちになりまして遺骨の収集の問題につきましては、今後遺骨が出た場合におきましては、これを何とかして日本に持って帰り御遺族の方にお渡しするというような態度で、今後とも海外の遺骨収集につきましては、年次をもってこれを区切るというようなことはなく、その事態に即応いたしまして万全の努力を払いたい、こういうふうに考える次第でございます。
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御意見もなければ討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
○山下春江君 私は、ただいま可決されました法律案に対し附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。 以上でございます。 何とぞ御賛成をお願いいたします。
○委員長(林虎雄君) ただいま山下春江君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。 山下君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、山下君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
○国務大臣(内田常雄君) ただいま御決議になられました事項につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、今後とも努力をいたす所存でございます。
○委員長(林虎雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十七分散会 —————・—————