決算委員会 第7号
- 発言数
- 303 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/03/05
会議録
○委員長(森元治郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨四日、加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。 また、本日、平島敏夫君が委員を辞任され、その補欠として小山邦太郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(森元治郎君) この際、おはかりいたします。 昭和四十三年度決算外二件の審査のため、本日、財団法人中高年齢者福祉協会常任理事内藤敏男君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森元治郎君) 御異議ないと認めます。 なお、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森元治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(森元治郎君) 昭和四十三年度決算外二件を議題といたします。 本日は、労働省の決算につきまして審査を行ないます。 この際、おはかりいたします。 議事の都合により、労働省の決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森元治郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それではこれより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田静夫君 労働災害が激増しているといわれていますが、昭和四十一年以降、四十四年までの労働災害の発生件数の推移をまずお示し下さい。
○説明員(北川俊夫君) 労働災害の発生状況から御説明いたします。 昭和四十年、休業八日以上の発生件数が四十万八千三百件でございます。そのうち死亡者は六千四十六名でございます。以降、若干ずつ減少しておりまして、昨年度、昭和四十四年度におきましては、八日以上の休業、死亡者が三十八万二千六百人、そのうち死亡労働者が六千二百人、こういう数になっております。
○和田静夫君 ちょっと恐縮ですが、四十三年の決算ですから、四十三年の……。
○説明員(北川俊夫君) 失礼いたしました。昭和.四十三年は、八日以上の傷病件数が三十八万六千四百四十件でございます。そのうち死亡労働者が六千八十八名でございます。
○和田静夫君 こうした労働災害発生状況について、労働省としては、まずどのような状況判断を持っていらっしゃるか、今後どのように対処するのですか。
○説明員(北川俊夫君) 戦後、災害発生の状況を見てまいりますと、昭和三十六年までをピークに、ずっと災害がふえ続けてまいりました。三十六年以降、三十年代の後半では、たいへん減少の傾向が見られたのでございますが、四十年代になりまして特徴的なことは、いま御説明申し上げましたように、減少のテンポがたいへん鈍ってきたということが一つ。それからもう一つは、死亡者が依然として六千人の壁を破れない、減らないという点が第二点でございます。それから第三点としましては、発生件数の中で私たち三名以上死傷者の出ます災害を重大災害、こういうふうに定義づけておりますけれども、重大災害の発生件数がたいへんふえてきている。数字で申しますと昭和四十年には大体二百七十件ぐらいでございましたけれども、最近は四百件近くそれがふえておるということが第三の特徴であります。それから第四としましては、御承知のように有害物質の取り扱いに伴いまして、疾病、職業病がたいへんふえまして、昭和四十年ごろに二万件であったものが、最近は年間三万件の職業病が出ておるということを重視をいたしております。 いま先生の御指摘のように、こういう災害の原因をいろいろ分析をいたしまして、われわれなりに感じておりますことは、一つは、いろいろ生産の場、あるいは労働者——働く人の要因、社会的環境というものが変化しておるのに対して、その変化に行政、あるいは対策というものがやや立ちおくれておるんではないか。変化と申しますと、たとえば新しい新工法、新原材料の導入に伴いまして、いままでと違いましたような形の災害、疾病というものが出てきております。働く方につきましても、若年の労働者の方よりも中高年の労働者の方がふえまして、統計で見ましても、中高年の労働者の方、具体的に言いますと、五十歳代の方は二十歳代の方よりも災害にあう率が二倍であるという事態もございます。 それからなお、最近のような都市化に伴いまして、工場内の、あるいは工事現場の災害というものが、その工事の中における災害にとどまらず、一般公衆の方に害を及ぼす。大阪地下鉄の工事がその典型的例でございますが、最近の公害についても同じようなことが言えるんではないかと思います。そういうふうに、変化に対応するのにやや立ちおくれがあるんではないかという点も、これからの施策の非常に重点の一つとしています。 それからもう一点としましては、そういう変化の中で災害をいろいろ分析してまいりますと、やはり基本的な対策に欠ける。たとえば高いところから落ちるとか、あるいは火災とか爆発で死亡者が出るというふうに、死亡原因を分析してまいりますと、大体同じことで事故が起きておる。それには、たとえば安全帽をかぶらなかったとか、あるいは命綱をつけなかったというような、ちょっとした対策の欠陥がある。そういう意味では、もっとじみちに民間の労使による自主的な安全衛生運動というものを定着させる必要があるんではないか。 以上のように、一つは変化に対応するなり、もう一つはじみちな安全衛生運動というものを浸透させる。この二つの面にこれからの対策としては重点を置いてまいりたいと、こう考えております。
○和田静夫君 先ほど来の、四十三年の事故、労働災害の発生件数の中で、同時にまたその中の死亡件数の中で、労働安全衛生規則が守られていなかった、いわゆる使用者側の義務規定ですね、管理者側の規定が守られていなかったがゆえに起こった件数というのはわかりますか。
○説明員(北川俊夫君) いまここに明確な資料を持っておりませんけれども、大体四十三年に限定しませずに、この数年の傾向で申し上げますと、法律違反あるいは規則に反しておったということで災害が起きますというのは、二割ないし三割程度でございます。あとの七割近くのものが規則に定められていないことで起きておるということが現状でございます。
○和田静夫君 そうしますと、当然その七割の中では、その工場なりあるいはその工場内の個人なりに過失があったかなかったかということが原因になる、そういうことで労働災害が当然生ずる余地がある。そのことは、まず基本的にはお認めになりますね。
○説明員(北川俊夫君) 原因で申しますと、施設による災害発生よりも、人の行動といいますか、作業行動に伴って起こる災害が非常に多いところから見ますと、やはり安全に対する認識といいますか、ちょっとしたミスというものが多くの災害に結びついておるというふうに考えております。
○和田静夫君 そういうようなことを問題にして、各地で裁判で争われておる事件が幾つかあるんですが、どのようなものがございますか。
○説明員(北川俊夫君) おそらく補償の問題についての訴訟のことをおっしゃっておるのだと思いますが、先生御指摘のように、最近人命の尊重の風潮の問題から、使用者側の過失、設備の不十分あるいは安全教育の不徹底というようなことで事故が発生しましたことに対して、訴訟で争われておる事例は多々あろうかと思いますが、ちょっといま具体的な事例につきまして資料を持ち合わしておりませんので、後日また報告さしていただきます。
○和田静夫君 いまのことですね、それから四十三年の、先ほどのいわゆる法、規則違反の分二、三割に該当する分と、七割に該当する分について少しは詳細に、後ほど資料を、できれば、四十四年の決算が始まりますのでね、四十四年度分でください。
○説明員(北川俊夫君) はい。
○和田静夫君 それで、きょう問題にしようというのは、いまのような形でかなり多くの補償をめぐる裁判が起こされています。それに対して、労働省側がかなり書類の提出その他において非協力的なんですが、何かそういうような、監督署なりその他に対して、訴訟案件になっておるような事件についての資料などについては、提出を、弁護人なりあるいはその労災を受けているいわゆる被災者側などに便宜を与えるなというような指示でもされていますか。
○説明員(吉本実君) ただいまの御質問でございますが、私どもはできるだけ事実関係あるいは災害の内容等につきましては、つとめて提供するようにしております。ただ個人の秘密の問題とかあるいは司法上の関係につきましては、職務上やはりそこまでは出し得ないという意味では若干の問題がございますが、できるだけそういった点についての御協力はするように指導さしております。
○和田静夫君 私、四十三年の決算にふさわしい問題を一つ持っているんですが、特徴的に一つだけあげますけれども、昭和四十三年八月二十七日に、川崎製鉄千葉製鉄所第二熱圧工場内で起きた事件を中心として争われている問題ですが、そこで野村治良さんという人が、水野工運会社の玉掛合図工がクレーンのコイルにはさまれてなくなった。その遺族がクレーン運転手に過失があったとして、その運転手と川崎製鉄所を相手どって訴訟を起こしている事件があるんですね。で、特に千葉県内の京葉工業地帯がずっとつくられていった過程を追ってみますと、建設過程において五百名以上のたとえば負傷者などが出ているような形での——類推ですが——状態が、ほとんど外に漏れずに内部的に解決をされているのが非常に多いです。したがって、五百名もの人命にあるいは軽傷重傷を含んでいろいろのことがあったけれども、社会的には何の制裁も製鉄所側は受けない、こういう状態があるんですがね、それらのことを全部やっているわけにいきませんから、その中の一件ですが、私の調査によると、昭和四十五年の十二月十日に、千葉労働基準監督署に弁護団が災害調査に出向をして非公式の災害調査復命書を受領してきた際に、いま申し上げた件について、監督署は、裁判所からの提出命令があれば全記録を提出する。そう回答した。そして裁判所が提出命令を出した。ところが労働省の通達で提出できないと裁判所に回答しているのですね。この労働省の通達とは、いま答弁がありましたが、どのような趣旨でなされた、どのようなものですか。
○説明員(吉本実君) ただいまの御質問にお答えしますが、通達しましたのは四十五年の六月十七日付で労働省の基準局長から各都道府県の局長に出された通達のことかと存じますが、この内容につきましては、先ほど申しましたような趣旨で書かれておりますが、一番最後のところに、送検後の事案または送検予定の事案の関係書類については、検察庁の指示に従って措置すること、こういうふうな事柄で、司法関係のものにつきましては検察庁と連絡をとりながら措置するようにやれと、こういうふうな仕組みで指示しておる、この案件のことかと思います。
○和田静夫君 そうしますと、いわゆる裁判所が提出命令を出したときには、それは出してよろしいということでしょう。
○説明員(吉本実君) その辺の前後の事実関係、私もまだ十分調査してございませんが、先ほどのお話でございますと、この通達のほうが先に出ておりますから、その趣旨に沿ってそのほうは措置したと思うのですが。
○和田静夫君 これはその通達資料、後ほどいただけますか。
○説明員(吉本実君) けっこうでございます。
○和田静夫君 それをいただいて一ぺん読ましていただきますが、私がその通達の内容を聞いている範囲では、この千葉の監督署がこの裁判所に対して回答した、こういうことを意味していませんよ。提出命令が出ているのですから提出をするのが当然なんです。そのことを否定してないのですよ。否定していないものを否定しているように回答しているのです。この事案についてどのように措置されるのですか。
○説明員(吉本実君) さっそく事実関係をよく調査しまして……。
○和田静夫君 この数少ない労働者災害裁判において若干振り返ってみると、たとえば東急コンクリート事件。これでは弁護士の報告によりますと労働基準監督署の災害調査復命書にたよるほかはないという状況のもとで裁判が進行している。また具志野労災事件によりましては、災害調査を行なった品川労働基準監督署に弁護士が二回も出かけたのに、二回ともすべて書類の閲覧を拒否して、災害についての説明もすべて拒否している。このような事例に典型的に見られる実態から、一体だれのための、何のための安全監督行政なのかというのがたいへんいま問題になっていると思います。こういうような事態が全国に広がりつつあることを考えますと、労働省自身が、何か労働基準監督署に誤解を生ませるような、そういうような指示をやっているのではないかという疑いを抱かざるを得ない。そういうふうに実は思うのです。少なくとも労働基準監督署の災害復命書以外にたよるものがないといわれる。そうして労災裁判において、これを資料として提出することを拒否するということは、少なくとも労働者にきわめて不利な結果をもたらすことになることはもう必然だと思うのです。この野村治良さんの労災裁判に千葉労働基準監督署西村春男監督官作成によるこの件での災害調査復命書を、いま調査の結果善処をすると言われたのですが、ぜひ提出をしてもらいたいと思います。それ約束できますか。
○説明員(吉本実君) 復命書の問題につきましては、先ほど申しましたように、個人の秘密等にわたるところにつきましてはいろいろ問題ございますので、いろいろ弁護団の問い合わせにつきましても、事実関係なり、それからその原因なり、その関係につきましては十分訴訟の実体に沿って、その関係の署側でいろいろ調べた内容につきましては十分御提出するように指示しているわけでございます。ただ、申し上げましたように、個人的な秘密の問題がございまして、復命書そのものにつきましては、これは御提出はできないということでいままで処理してきておるわけでございます。
○和田静夫君 復命書というのは、これは全然出したことはないのですか。
○説明員(吉本実君) いままでは復命書そのものは提出しておらないということでございます。
○和田静夫君 復命書の写しも含んでありませんか。
○説明員(吉本実君) 全体の写し等につきましては、いまの個人的な問題等にわたるところ以外でしたらば出すことに差しつかえないと思います。
○和田静夫君 そうすれば差しつかえのない部分について、まずきょう決算委員会終了後、私に提示してくださいますか。
○説明員(吉本実君) 私の手元にございませんので、取り寄せさえすればすぐ提出いたします。
○和田静夫君 それじゃそれはすぐ届けてください。 第二の問題ですが、東洋エチルの工場の閉鎖で公害反対運動のメンバーなど十五人が親会社の東洋曹達工業への再就職を締め出された件について、これは公害の部分についてはすでに予算委員会などで問題になっていることですから、私はきょうは労働基準法二十二条違反を中心にしながらこの問題についての見解を求めたいと思うのです。 まず、労働省としてはこのことについてどのような判断をお持ちになり、何か具体的な動きを示されましたか。
○政府委員(石黒拓爾君) 全般的な点につきまして申し上げますが、東洋エチルの工場閉鎖問題につきましては、私どもも重大な関心を持って注目いたしました。御指摘のごとく、親会社である東洋曹達及びその傍系会社への就職あっせんということが行なわれました際に、受験者中十六名の者が不合格に相なっております。その後これらの者につきましても就職を希望する者についてはできるだけ就職をあっせんするのが会社としての当然の責務であるという趣旨から、会社に対しまして私どもいろいろ勧告をいたしました。その間、会社におきまして第一次の不合格者につきましても再就職のあっせんをいたしており、現在まで第一次の不合格者中でも再就職できた者あるいはその話の進行中の者が相当数おるというふうに把握いたしております。
○和田静夫君 東洋エチル南陽工場には四十数人の東洋曹達出向社員がおり、その東洋曹達では四十六年度の新入社員として高卒二百五十人を内定をしている。また、いまの三班三交代制を四班三交代制に移行させるためにさらに七、八十人の人員増が必要だと、こういわれています。工場の完全閉鎖やあるいは親会社の人員合理化のために十五人の締め出しが必要でなかったことだけでは、この事実によって明らかです。閉鎖、解雇通告、これもまあ抜き打ち的でしたが、十五人がふるい落とされた再就職試験も、解雇通告五日後という異例のすばやさで行なわれている。会社側が東洋曹達労組との交渉で明らかにした選考基準も、将士にわたっての素質というあいまいなものだったと伝えられているわけです。関係者たちは口々に、企業として好ましくない者は採らなかったということだろうと、俗に新聞用語などでいう公害パージといわれていることの十五人に対する言い方はここから出ているわけです。そこで労働省は、ここに不当労働行為のにおいをまずかぎませんか。
○政府委員(石黒拓爾君) 第一次選考の際に十六名が不合格で、そのうち一名がいわゆるエチル労組、十五名が合化労連のエチル化学労組であった。一つの組合に著しく不合格者が片寄っているという点につきましては、私どももかなり注目すべき現象であるというふうには考える次第であります。
○和田静夫君 注目すべき現象である。ざっくばらんに言えば、言ってみれば、われわれ市民的なことばで言えば、そこには不当労働行為が厳存をしていることは明確だと思うのです。で、私はここに東洋曹達工業株式会社が採用内定者たちに書かせた採用内定承諾書を持っております。これを見てみても、不当労働行為のまあ臭気ふんぷんたるものがあります。労働省がもし公平な立場に立つと言われるのならば、今度のことについて不当労働行為の疑いありとして、何らかの措置をとるのが私は当然だと思うのです。きょうは労働組合法上の視点からではなくて、労働基準法上の視点からこの問題を取り上げてみようと先ほども言ったとおり思っているわけです。二月十日のこれは朝日新聞にも出ておりましたが、東洋エチルの工場幹部が、再就職にあたって、公害反対運動をやったことと、つまり第一組合の主要な活動家だったことと、今度の再就職拒否との関連をほのめかしております。幾つかの談話が載っていますから明らかですね。そうすると、先ほどすでに具体的にこの問題についてお知りになっているわけですから、こういう事実関係について確認されますか。
○政府委員(石黒拓爾君) 就職あっせん、合格、不合格、あるいはその後の労働組合の動き等につきましては承知いたしております。ただ、いかなる理由によって合格あるいは不合格になったかということについての会社幹部の発言等の新聞報道につきましては、私どもとして正確なる事実は把握いたしておりません。
○和田静夫君 これはいわゆる労働基準法の観点に立った論議は、たとえばきょうが初めてであったにしても、この問題自体はもう衆議院、予算委員会からずっと引き続き公害問題として公害特別委員会でも取り上げられてきていることですから、労働省の観点に立てば、公害という側面あるいは労使関係という労働法上の団体活動あるいは団体交渉その他の側面だけではなくて、言ってみれば経営者が、十五人の職員は地につかないようなところの公害反対運動なんというものをやって会社にたてついているから当然生活は将来にわたって失うのだ、こういうことを言っている談話が載れば、そこに労働基準法二十二条の違反というものをちゃんと想定をしながら調査をされるのがあたりまえじゃないですか。ほかのことについてはずいぶんお知りになっているのに、この部分についてはいまなお知らないということにはならないでしよう。
○政府委員(石黒拓爾君) 基準法上の観点を主体とした御質問の要旨でございまして、私ども労政局でございますので、組合法の観点で調査をいたしております。不当労働行為に該当するにおいのするもの、あるいはおそれの濃厚なものという事実につきましては、できる限り把握いたしまして、それぞれ労政局といたしましては措置をいたしております。基準法上の問題につきましては基準局からお答えを願いたいと思います。
○説明員(吉本実君) 基準法二十二条の規定の問題でございますが、この第三項には、御承知のとおり「使用者は、予め第三者と謀り」ということに始まっているわけでございますが、いままでの解釈といたしましては、この第三者とあらかじめはかるというところに一つの大きなポイントがあるということで考えてございまして、その辺の実態がどうであるかという点につきまして、まだ十分明確確にされておらないというのが現状でございます。
○和田静夫君 御存じのとおり親会社の東洋曹達への再就職、親会社へのいわゆる再就職にあたって、その就職等に携わる者は第三者である。したがって、親会社の人事担当者とそうして東洋エチル南陽工場の人事担当者が話し合ったことは、すでに第二十二条の「使用者は、予め第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、」という項に該当いたしますね。東洋エチル南陽工場の人事担当者が、見ろと、公害反対運動などという地が足につかないことをやるから親会社への就職は不可能になるではないかと言ったというときに、明確に第二十二条の「使用者は、予め第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、」云々という項は適用されますよ。法律解釈上そのことは否定されないでしよう。
○説明員(吉本実君) 二十二条の御説明が多少不十分だと思いましたが、この第三項は、ただいま先生のおっしゃるような御趣旨も含めての「予め第三者と謀り、」ということでございまして、この規定自体は、使用証明という形で労働者側が交付を求めた場合の手続でございまして、その辺までの事実関係については、十分まだ承知してないわけでございます。 それから、ただいまの会社の人事担当者同士がいろいろやっておるということにつきましても、そういうところまでまだ監督官としては把握してないのでございますが、それはいまの使用証明と事柄に関連しての事件ということで、まだそこまでタッチしておらないということでございます。
○和田静夫君 そういう答弁のしかたというのはないと思うのだよ。まあここにも会社の重役の方もいらっしゃるでしょうが、採用されるときに前のところの賃金の状態その他の証明書というのは、ちゃんと手続上出しますよ。出さずに、子会社にいたから親会社にといっても、子会社にいたときの賃金の事情なんて親会社がわかるはずないから、それにはちゃんと証明書が出ているということです。その証明書に付随して、公害反対運動などという地につかないようなことをやるから生活の基盤を失うのだということを言われれば、それは即第三項の「労働者の就業を妨げる」目的に通ずる。したがって、前提の条件を、そこでいわゆる法解釈法的なドグマでやられるということではなくて、労働就職の実態というものを頭に置きながら——あなたは労働省なんですから、法務省と論議しているのじゃないんですよ——実態を頭に置きながら考えたときに、当然私が言っていることになるでしょう。そうして、労働組合運動に関する通信をするということも実は否定されているわけですよ、この法律では。明確に、公害反対運動という、労働組合の方針に基づく労働運動に関する通信をしたわけですよ、これは。そうでしょう。
○説明員(吉本実君) 二十二条に該当しているかどうかにつきましては、先ほども申し上げましたように、まだ十分調査も行き届いておりませんし、また、これが一つの訴訟の問題にもなっていると聞いておりますので、そういったものとかみ合わせながら、なお調査させていただきたいと思います。
○和田静夫君 これはいま調査が行なわれてないというのは、非常に不満なんです。きょうここで、この問題では国会はきょう初めてでしょう。しかしこの種類のことは、この国会、予算委員会が始まると同時に公害問題で問題になっているのですから、労働省は視点をここに合わせて、ひとつこれだけ大きな、たとえば朝日の記事が出た段階で、ふしぎに思わなかったらふしぎです。そうでしょう。私はこの朝日の記事を読んだだけで、この労働基準法二十二条を思い浮かべた。われわれしろうとでも思い浮かべたことを 専門家であるあなた方が思い浮かべないということはないでしょう。 そこで私は、調査を約束していますから、これ以上言ってもしかたがないですが、この労働基準法二十二条第三項は、先ほど言ったような趣旨もあって、この規定の違反者には六カ月以下の徴役又は五千円以下の罰金という罰則規定が適用される、こういうことになるんですね。その辺を含んで、いま吉本監督課長のほうからは調査の約束がありましたから、次官の責任のある答弁を伺っておきたい。
○政府委員(大野明君) ただいま先生御指摘のとおりでございますので、調査の結果がそのような方向に出れば、もちろん法律に規定されたとおりいたす所存でございます。
○鈴木強君 私は、きょうは労働省関係の審査だと思いますが、労働問題に関連をいたします関係で、昨日山梨県の富士吉田で発生いたしました富士急行の電車事故問題について、最初にお尋ねをしたいと思います。 きのうの午前八時二十分過ぎ、山梨県の富士吉田市下吉田、緑ケ丘第二踏切で、河口湖発大月行き急行電車が、十九歳の少年が運転をするトラックと激突をし、電車はブレーキがきかなくなって三・五キロ暴走し、そのあと横転をした。そして死者が十四人、負傷者が七十一人、こういう重大な事故を発生いたしました。まことに遺憾に存じます。 私はこの事件の内容についてお尋ねする前に、不幸この事故のためにとうとい命を失われた方々に対し、つつしんでお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈りいたします。同時に、重軽傷を負われた方々に対しても、一日も早く御全快なさるように、皆さんと一緒にお祈りいたしたいと思います。 そこで、まずこの事故が午前八時二十分でありまして、おそらく通勤の労働者あるいは通学の生徒、学生等が乗っておったと思いますが、事件の概要について、最初に運輸省と警察の当局から御説明をいただきたいと思います。
○説明員(須賀貞之助君) お答えいたします。昨三月四日午前八時二十五分、富士急行大月線の暮地駅と三ッ峠駅の間におきまして列車脱線事故が発生し、死者十四名、重軽傷者七十二名を生じたわけであります。この事故は、河口湖発大月行きの二両編成の列車が、月江寺駅と下吉田駅間にある緑ケ丘第二踏切道、これは遮断機つき、いわゆる一種の踏切でございますが、ここで小型トラックが遮断機を突破して線路内に入ってきたため、これと衝突いたしまして、約四キロメートル逸走して脱線したものであります。事故の原因は、踏切道におきまして小型トラックの遮断機突破が第一次的な原因でありますが、その後列車が逸走しましたのは、トラックとの衝突によりまして空気ブレーキ及び電気ブレーキ装置がともに破損したためだと思われるわけでございますが、詳細につきましては調査中であるわけでございます。 この種事故の防止のためには、まず踏切事故の防止につきましてさらに努力いたすつもりでございますが、踏切道におきます交通取り締まりにつきましても、一そう関係当局に協力をお願いするつもりでおります。また列車が逸走しました原因の根本的な、技術的な究明につきましては、詳細に調査を進めるために、技術陣を動員いたしまして究明することといたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。なお、事故発生直後陸運局並びに本省から担当専門家を現地に派遣して調査に当たらしておりますが、いまのところ、新聞、テレビ等で伝えられています程度の報告しかないわけでございます。 なお、被害者の救済につきましては万全の処置をとるように処置したいというふうに考えておるわけでございます。
○説明員(寺尾繁君) 事故が発生いたしまして、現地へ富士吉田署長以下七十九名、及び警察本部の刑事、交通それぞれの部長を派遣いたしまして、捜査及び救援措置を開始したわけでございます。 概要につきましてはいま運輸省からお話がありましたが、ことに救援活動の過程におきましては、現地の防犯関係の方々二百名、あるいは交通整理につきましては現地の住民の交通安全関係の方々百名ばかり、それぞれ官民あげて救援に活動していただきました。 捜査状況でございますが、目下捜査中でございまして詳しくはわかっておりません。ただ、第一現場におきますトラックにつきましては、ベニヤ板が散乱しまして、それを取ろうとしておりたばかりに、その車が前に動きまして、手動のブレーキもかけてなかったために、トラックが前に進みまして衝突をしたということで、過失が明らかでございます。したがってすでに令状は得ておりますけれども、負傷もしておりますので、任意の捜査をやっております。なお、第二現場に関連して、運転者の方につきましては、なお参考人としていろいろお話を聞いた上で、過失が明らかになりましたならば捜査に移ることになろうかと思います。 なお、これに関連しまして、県警本部の監識課あるいは警察庁の科学警察研究所から五名それぞれ科学関係の専門官を派遣いたしまして原因の究明にも当たっておるというのが現状でございます。なお引き続きまして捜査を進めまして、原因を明らかにしたいと、かように考えております。
○鈴木強君 運輸省としては、きょうは予算委員会があるので大臣も局長も予算委員会のほうに行っておられると思いますが、この事件に対して、まことに申しわけないという、民鉄を監督する立場にある運輸省としそういう気持ちはあるのですか。
○説明員(須賀貞之助君) 多数の死者並びに重軽傷者を出したことにつきまして、まことに申しわけないというふうに感じております。本日、早速通達を出しまして、全私鉄に対して、あるいはまた国鉄も含めるかもしれませんが、注意を喚起するようにいたしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○鈴木強君 私は運輸省の姿勢の問題について疑問を持ちますよ。あなたは民鉄部長だからね、局長や大臣ではないかもしれないけれども、少なくもこういう質問があったときに、まず、監督の任にある運輸省として、こういう事故を起こしたことはまことに申しわけないということを、あなたは国民にわびるべきですよ。酒を飲んで酔っぱらって東北線であんな重大事故を起こすような綱紀の弛緩が、これは国鉄の中にも出ているじゃないですか。あなた方はそれを監督し、人命尊重の立場から安全な輸送をするということが国鉄に課せられた使命なんです。それを監督するのが運輸省じゃないですか。もう少し、こういう事故を起こしたときに、その場限りじゃなくて、心から国民にわびてほしい、私は。そして、再びこういうことの起こらないように、国民、民鉄と言わずやっていただきたい。運賃の値上げをするときには、何かというと交通安全対策施設を完ぺきにさせると、こういうことを国民に誓っておきながら、日がたつと次から次へと事故が起きてくる。きのうも、この事故だけではないでしょう。ほかの民間にも出ておるし、そういうたび重なる交通事故というものに対して、もう少しちゃんとした姿勢をもって監督指導してほしい。私は、いまのいわゆるおざなりのような報告を聞いて心から憤激しましたものですから、多少ことばが過ぎたと思いますけれども、もう少し、心からすまないという気持ちに立って報告もしてもらいたいと思う。重大な点がさっぱり漏れておる。きのうから全国の新聞が、こうして各新聞とも大々的に報道をしている重大な社会問題ですからね。 いままでの死者の方々、死んだ方々に対して、これは運輸省は監督の責任にあるわけですから、現地の富士急行は、死者に対してはどういう取り扱いをなさいましたかどうか。それから、いま負傷をされている七十二名ですか、新聞によりますと七十一名というのもありますが、いま報告を聞きますと七十二名だそうですね。重軽傷者七十二名。この七十二名の方々の現在の治療ですね。どういうところに収容されて、どうなのか。そして七十二名の中には、重傷と考えられる方々はどのくらいいるのか。そういう点を報告してもらいたいと思います。
○説明員(須賀貞之助君) お答えいたします。 先ほど先生から御指摘を受けましたのでございますが、鉄道事故相次ぎまして、われわれの監督が至らぬということにつきましては十二分に反省しておるわけでございまして、今後もさらに努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。冒頭に申し上げなかったことをまことに申しわけないというふうに感じておるわけでございます。 ただいまの被害者に対する救済措置その他につきましての御質問でございますが、事故発生直後、直ちにうちの専門官を派遣して調査に当たらしておるということは先ほど申し上げたわけでございますが、会社も、われわれの指令をまつまでもなく、社長が現地におもむきまして、陣頭指揮でこの善後措置についてその衝に当たっておるわけでございまして、われわれのほうに報告に参った役員もあるわけでございますが、さっそく、こちらに来るまでもなく現地へ行って社長を応援するようにということを言って追い返したような次第でございます。 なお、重軽傷の数につきまして、その内訳について報告がいろいろありましたわけでございますが、そのたびごとにいろいろ違っておるわけでございますので、正確な数字はまだ把握していない状況であるわけでございます。 以上、簡単でございますが御報告申し上げます。
○鈴木強君 前段の姿勢の問題についてはわかりました。これは私は、率直に皆さんが反省をしていただけば、それで国民の気持ちとしては一応わかります。ですから、その気持ちを忘れずに今後やってほしいと思います。 それで、いまお尋ねしたのは、十四人の方はなくなられたわけですからね、この人たちに対しては、遺族に対してどういう措置をいま直ちにやりましたかということですね。それから七十二名という報告がありましたから、これはおそらくきょうも何時何分現在においてということをあなた言われてない。そういうことだと思います。ですから、その七十二名のうちで重軽傷者の区別は全然かわらないわけですか。非常に重大で、さらに人命にかかわるというようなそういう重傷者というのはいるのか、いないのか。そういう点も全然まだ把握していないということですか。それを聞いているのですよ。
○説明員(須賀貞之助君) 数字を正確に把握しておりません。いろいろそのたびごとに変わるものですから、申し上げるほどの数字はいま持ち合わしておりません。
○鈴木強君 死者に対するあれは。
○説明員(須賀貞之助君) 死者に対しては、先ほど申し上げましたように、万全の措置をとるように会社のほうにも注意してありますし、もちろんそういう措置をとっておるというふうに考えておる次第でございます。
○鈴木強君 だからね、あなたまあ反省をしておるようだけれどもね、やり方が少しスローモーじゃないですか。国会もあってお忙しいときですから、わかりますけれども、私たち新聞を見たときに、何か富士急の社長が被害者のほうを回られて、とりあえず二十万円かの見舞い金を出したという記事を見ているわけですよ。新聞を見ていないのですか、朝起きて。こういう事故が起きても、その後一体どうなったのか、民鉄部長はそういうことも見てないの。われわれは新聞を見て、そういうことが書いてある。現地と電話で、あそこは即時だからね、ダイヤルを十幾つか回せばすぐ出てくるわけですし、現地にも派遣をしているわけでしょう、そのくらいの連絡がとれないということはないですよ。特に国会は開会中ですから、これは国民の重大問題ですから質問があるのがあたりまえのことですし、そうでなくても万全の連絡をとって、死んだ人たちに対してどういう措置をするのか。会社がやったことが不十分であれば、それに対して運輸省は監督の立場からこうしてやりなさいという助言もできるわけでしょう。負傷者に対しては、どの病院にどう入って、その人たちがどういうふうにいま治療されておるか、その看護に万全を尽くされておるか。そういうことは会社がしっかりやるといっておるから追い返したのでやっているだろうと、そういう程度の答弁じゃわれわれは納得できないですよ。いまからでもさっそく電話で聞いてくださいよ。
○説明員(須賀貞之助君) すぐ調べて御報告いたしたいと思います。
○鈴木強君 それではすぐ調べてください。いま言った死者に対する措置ですよ。それから重軽傷者の数とその人たちのいまの状態、それからそれに対する会社側の見舞いの状態、そういうものですね。 それからこれは警察のほうにその次に聞きますが、踏切というのはこれは第一種の踏切ですね。私はきのう現地へ行ってきました。現状を見てきましたけれども、まことに悲惨きわまるものだ。それでこの第一種踏切になって開閉装置がついているはずですね。そこヘトラックが突っ込んでいったんです。そんなばかな話は普通の状態だったらない。この一体開閉機のついた第一種踏切にトラックが突っ込んだということについては、警察当局としては、先ほどちょっとベニヤ板がどうのという話だったんですが、どういうふうにいま捜査されておるか、その欠陥はどういうところにあるのか、その原因を明らかにしていただきたい。
○説明員(寺尾繁君) 第一種踏切で遮断機がおりておりまして、運転者はその前で一時停止したわけでございます。ところが当時十一メートルから十四メートルぐらいの西の風が吹いておりまして荷物のベニヤ板が飛んだ。そこで運転者が、内妻と一緒に乗っておりましたが、みずからおりて、そしてそれを拾おうとしたところが、サイドブレーキを引いてなかったというようにいまのところ承知しておるわけでございますが、そのために、現地は非常にゆるいカーブでございますけれども、自動車がそのままするする前に出てきた。そこであわてて飛び乗ったのですけれども間に合わずに電車の前部と接触をしたというのが現在の捜査状況でございます。
○鈴木強君 そうなると、あなたがさっき言われたように明らかに運転者の過失である。したがって、逮捕状は用意しているが、これは負傷の状態がわかりませんが、要するに令状はまだ執行しておらないが、明確に過失であるということは確認しているのですか。それで運転者の負傷の状況ですね。
○説明員(寺尾繁君) 令状は用意してございますが、二週間程度の傷がございまして、その経過を見ながら執行するということになろうかと思います。
○鈴木強君 それでは、そこは明らかになりました。 その次に運輸省に伺いたいのですが、事故の原因といえば、これは会社側ではどちらかというと、ある場合には被害的な立場になるかもしれません。いまのお話で過失によってトラックが線路の中に入っちゃったわけです。そこに突っ込んできた、一時ブレーキをかけて、その辺カーブなんかもありますから、見通し得るところまできて、ブレーキをかけて、間に合うか間に合わなかったか。あそこは勾配が千分の四十という急な勾配ですから、ふだんでも注意しなければならぬところなんですよ。だからああいうところを走行する場合に、大体どの程度のキロで標準として運転するのか。その運転してきた標準で見て、その事故を発見したとき、ブレーキをかけて間に合わなかったのかどうか。これは問題は運転技術上の問題として一つ出てくると思いますが、いずれにしてもぶっつかって、そのためにブレーキの故障になった。ブレーキは空気と電気と手動とありますが、その三つとも故障になったということでありますが、こういう話は私も運輸関係を少しやっているのですが、聞いたことがないんです。こういう二つのブレーキが三つともきかなかったということは、私は聞いたためしがない。一体ブレーキの故障ということに対して、いまの段階でどこに問題があったか把握できておりますか。それと運転する標準速度というのは、あの辺はどうなっておるか、急勾配の場合。
○説明員(須賀貞之助君) 最初の御質問のあの間の速度の問題でございますが、あの間におきましては、最高速度六十キロということになっております。それで、最高の瞬時速度でございますので、あれは次の駅にわりに近いところであるようでございまして、すでに次の駅でとまるためにブレーキをかけておったというように話を聞いております。推定されるのに、三十キロ程度のスピードではなかったかというように考えるわけでございますが、これは次の駅から百五十メートルくらいのところでございますので、相当ブレーキをかけておったのじゃないか、そういう状態であるわけであります。それからこの場合、見通しが百五十メートルくらいあったわけでございますので、踏切が締まる段階で車がおればとまれたわけでございますが、踏切が締まってから入り込んだというかっこうのために問に合わなかったというふうに聞いております。
○鈴木強君 ブレーキの故障の原因は。
○説明員(須賀貞之助君) ブレーキの三つの点について御説明申し上げますと、三つございますが、手動ブレーキというのは、私もにわかに勉強したわけでございますが、これはスピードがある程度出ているときにはきかないのだそうでありまして……。
○鈴木強君 それは手動の場合……。
○説明員(須賀貞之助君) 手動の場合です。これは平坦な所に列車がとまっているときに。パッキング——自動車で言いますとパッキングする程度のものだそうでございまして、ゆるやかなところでかけるというときに手動でブレーキをかけるというもののようでございます。ただ、あとの、空気と電気の二つのブレーキにつきましては、これはどうして一時にこういうことになったのか、われわれとしてもめったにないということで、いままでもほとんど経験したことがないような例でございまして、どういう部分がこわれたかということにつきまして今後調査を進めて、その主力をそちらのほうに持っていくべきではないかということで、そちらのほうに集中して現在研究中のわけでございます。
○鈴木強君 これは私も前例がないと思うんですがね、こういうことは。 それから、この手動ブレーキの場合もまあパッキング程度のものだとおっしゃるのですね。しかし、われわれが電車に乗っている場合、この手動式でぐるぐる回すやつですね。ああいうのを見た場合に、まさか。パッキング程度のものとは思わないし、いざというときには、空気とか電気のブレーキがきかなくなったときには、この手動ブレーキによってその安全が確保できると、こういうふうに思っているわけです。それならそのようにもう少し乗客に対して周知しておいたらいいし、また手動ブレーキもそんなパッキング程度のものではなくて、もっと技術を開発して、これでも相当なスピードまでとめるようなものを考えなさいよ。そんなパッキング程度のものだということは、ちょっと話にならぬです。そういうのはちょっとおかしいじゃないですか。
○須賀貞之助君 パッキング程度と申し上げたのはちょっとことばが過ぎたかもしれませんが、ある程度スピードが出ておる段階においては、きき目が非常に少ないというもののようでございまして、われわれの報告を受けておるところによりますと、運転手と車掌と両方において、前後において手動ブレーキをかけたけれどもだめであった。なお、脱線する際においても、前部車両において運転手はなお手動で何とかならないかということで手動のブレーキをかけておったというふうに聞いておるわけでございます。
○鈴木強君 そんないいかげんな答弁じゃなくて、ある程度のスピードというのは何ぼのスピードなのか。 それから、きょうの各紙を見ますと、これはまあ朝日新聞ですけれども、「エアブレーキ故障のナゾ」というので、ここに「衝突で切られた事故電車の前部運転席下にあるエアブレーキ用パイプ」、こういうものが載っておるのですが、しろうとが見ても、全く無防備なんですね。こういうところは何かがんじょうな、ちょっとぶつかってもこわれないようなやっぱり防護箱というものを考えて、そして平素こういうことのないようにするのが筋じゃないですか。まあトラックとぶつかったのですから、どの程度かは知りませんけれども、しかし車は二両ともそのまま走って行なったわけですから、ぶつかった段階では、私は、乗客もそのときになくなったとか——多少の負傷者はあったと思いますけれども、そのときに死んだとかということじゃない。要するに四キロ暴走して横転して山に突っ込んでしまってからの死傷者なんだから、だからして、ぶつかった程度で大体ブレーキがきかなくなるなんということはおかしな話なんだ、これは。そんなものなんですか、ブレーキの安全性というものについては。どうですか、これ。驚くべきことだな、これは。
○説明員(須賀貞之助君) お答えいたします。 ブレーキが破損すればとまるように、停止するによに設計されておりますが、今回とまらなかったのは、ブレーキそのものか、そこにいく伝達装置の特殊な部分か、その辺のところがよくわからないので、われわれといたしましても非常に原因がいまの段階ではつかめかねておるという段階でございます。
○鈴木強君 いま専門的に技術的に一生懸命事故調査をやっている段階ですから、きょうはあなたがそう言うのであるならば一応私もこれ以上聞くのは、技術的な問題であるし……。しかしもう現地の新聞等を見ても非常に、「心臓部のブレーキの露出構造の欠陥をさらす」というので、六段も七段もの見出しで書いているのですよ。こういうのを見たときに、国民は、一体何をしているかという憤りを感じますね。近代科学の粋を集めてつくった車でしょうし、スピードも要請される時期ですから、もうわれわれが口をすっぱくして言うのは安全確保ですよ。にもかかわらず事故が起きてみると、こういう、問題にならないような、常識でいっても問題にならぬようなことが出てくるわけでありまして、非常に残念に思います。 ですから、これはひとつもっと徹底的に事故原因を究明して、そうしてこういうきくべきはずのエアブレーキ、エンジンブレーキというものが故障したなんということが今後起こらないようにしてもらいたいと思う。 それで部長ね、こういうこの車両はどこの会社がいつつくったものか。いつ、どこの会社がつくったものか。
○説明員(須賀貞之助君) いまそういうことにつきまして、現地のほうに報告方依頼しておりますが、まだついておりませんので、後ほどまたお知らせしたい、こういうふうに思うわけであります。
○鈴木強君 こういう型の車は富士急行だけじゃなくて、ほかの民鉄にも使っておりますか。
○説明員(須賀貞之助君) 私鉄におきましても一般的に使われている車だというふうに承知しております。
○鈴木強君 国鉄ではこういう車はないのですか。国鉄では使ってないのですか。
○説明員(須賀貞之助君) お答えいたします。 全く同じようなものを使っているかどうかは詳細に存じませんですが、大体同じようなものではないだろうかというふうに考えられます。
○鈴木強君 それはきわめて重大ですよ。いま直ちに、どこの会社がつくったものが事故になった、この車両は何年につくったものかということですね。これはもうすぐ十分くらいのあとに聞いてください。
○説明員(須賀貞之助君) つくった年月日はわかりますのでお答えいたします。三十三年につくってございます。
○鈴木強君 そうすると、十三年も前のやつですな。ですからいろいろ技術的におくれている面があるかもしれません。 それでね、これはもう重大ですよ。部長ね、この型の車について、少なくもかつてないようなブレーキの故障ということが発生をしてきたわけですから、これと同じ型の車両については直ちにこれを再点検してもらいたい。そして点検が終わるまではお客さんを乗せてもらっては困るから、国鉄で、もしそういう型を使っているのがあったら、やってください。安全確保の面から。それだけは最低条件として直ちにやってください、いかがですか。
○説明員(須賀貞之助君) 先ほどから申し上げておりますが、その原因についてまだはっきりしないというのが一つあるわけでございますけれども、こういう車が全国的に国鉄、私鉄を通じて、まあ同種類のものを入れまして、どの程度の両数にわたるものであるのか、そういう点も研究しまして、いろいろ措置を講じていきたい、こういうふうにいま考えておるわけでございます。
○鈴木強君 あのね、原因はもちろんこれは追及してもらわなければならないが、その追及がいつまでかかわるかわかません、これは。すぐできますか。すぐできるならいい。かりに三カ月なり四カ月もかかるとかいうようなことになるのか、一日、二日のうちにわかるのか、それはわかりません、結果が。ただしその間でも現に車は動いているわけですよ。それには何千、何万、何百万の人があるいは乗るかもしれない。そういう人たちは、非常に不安を感ずるわけですね。たとえば手動ブレーキのさっきの話でもそうですね。もう少し研究を加えるとか。いずれにしても総点検をやるべきですよ、総点検を。これはだめですよ、やらなければ。総点検を直ちに各会社に命令してくださいよ。でないとこれは話が進まない。
○説明員(須賀貞之助君) 先ほども申し上げておりますように、まあ原因の究明についてどのくらいかかるかということにつきまして、いま土の中に埋まっているものもあるわけでございますし、表面に出ておってこわれているところも見えるものもあるわけでございますが、その見える分につきましても自動車とぶつかったときに破損したものであるのか、あるいは脱線したときにこわれて破損したものであるのか、その辺についてもはっきりしないという面があるわけでございまして、その車を、土に埋まっている分をあげまして、これに対して調査研究を加えるということでございますので、先生のおっしゃいましたように三カ月かかるか四カ月かかるかということは別にいたしまして、一日二日では原因の究明はむずかしい問題ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。 それから総点検の話でございますが、一般的に車両につきましては法令によりまして毎日検査とか、あるいは一カ月半に一回の検査とか、あるいは一年半に一回の検査とか、三年に一回の検査とか、いろいろしておるわけでございまして、総点検ということにつきまして、どの部分について特に注意するか、総点検といったものがどういう面について点検するものであるかということも研究しながら検討していきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
○鈴木強君 検討するのはけっこうですよ。検討していただくのですけれども、問題はトラックとぶつかったときにブレーキがこわれたのか、あるいは横転したときにこわれたのかわからぬなんて、そんなこと言ったって、あれですよ、やはりこれはぶつかったときにこわれたのは間違いないのですよ。もう現にきかなかったのですよ。もうエアーも電気も、それから手動までがきかなかったんですから、これはぶつかった衝撃によって。この安全を一番確保するエアーブレーキや制動機というものが故障になったことは、これは間違いないですよ。だから私の言うのは、それはそれとしても、やってほしいんです。しかし、やはりこの制動機が露出しておって何かぶつかればすぐこわれるような形になっていることは、さっき申し上げたようなことからそれも少し研究してみて、そういうようなブレーキ全体についてあらためて安全性についてひとつ点検をしろということの趣旨をやるべきですよ、これはあなたは担当の部長です。きょうは大臣その他来ておりませんが、ちょうど労働政務次官がおられますので、これは直接あなたの関係のないようだけれども、やはりこれはあるのですよ、労働者の相当の命を失うようなことで、おはよう、行ってまいりますということで労働者が家を出ているわけです。それで途中でこういうことになるわけですから、やはり労働者の安全確保の点では労働省にも重大関係があるのです。ですからこれはひとつ政務次官ぜひ運輸の政務次官なり大臣ともよく御相談をいただいて、いま私の言っていることは間違いないと思うのですよ。ですからそんな危険性のあるものを動かすのはいけません。ですから直ちに間髪を入れず御相談をいただいて総点検をやりなさい、そして安全の上にも安全の念を押して点検をして、当面は注意して運転をする、そして原因究明をして、わかったら、できるだけひとつ改造をするなり、それを廃車にするなり、そういう措置をとってもらいたいと思う、そうでないと国民は納得しませんよ。これはあなたのほう恐縮ですけれども、政務次官からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(大野明君) このたびの富士急の事故で多数の死傷者が出たことは、まことに気の毒であり遺憾であります。 ただいま先生御指摘の点については、これは労働省とかそういうことを抜きにして、一個人として、また国民として、そういう意味で私は運輸大臣なり政務次官なりにさっそくその意を伝えると同時に、自動車の欠陥車が騒がれているときですから、こういう車両等もやるということは、またたいへんけっこうなことであろうと考えているわけです。 またその時間の問題は、二、三日でやれというお話を承っておりましたが、これは無理としても、早い機会にやるということをお約束したいと思います。
○鈴木強君 ぜひ総点検については可及的すみやかにやるようにお願いしたいと思います。 それで、もう一、二伺いたいのですが、鉄道営業法に基づくブレーキを守る防備装置の設置——要するに制動機の規程というのがありますね。この規程によると千分の三十五以上の勾配のある鉄道路線については、特別に大臣の認可を得ることになっている。その認可はいつ出ておりますか。ここは千分の四十の勾配のある軌道です。
○説明員(須賀貞之助君) 先生御質問のありました件でございますが、いわゆる特別設計の認可と、こう言っておるわけでございますが、この件につきましては、それぞれこの会社の線路をときどき延長しておるわけでありますが、線路のできたときに認可しておるわけでございます。
○鈴木強君 いつやったのですか。
○説明員(須賀貞之助君) お答えいたします。 線路につきましては昭和四年でございます。車につきましては、できるたびごとにやっておるわけでございます。
○鈴木強君 その場合の規程がたしか昭和三十一年の四月に改正になっていると思うんですが、こういう特別な勾配のある路線の安全確保については、特別の配意をされていると思いますが、ブレーキその他についても、どういうふうな常時点検をしなければならぬとか、あるいは運転はさっきお話のあったように最高六十キロというようなことをやるとか、何か規程の中で。それからまた制動機の格納のあり方とか、そういうようなものに対してこの規程の中でもっと詳細に再検討をして、もっときびしいものを課する必要があるのではないかと思うんですがね。そういうふうなやはり特別な路線ですから、指導というものは平時運輸省鉄道監督局は、監督やってきておりますか。と同時に、いま申し上げた規程の整備ということも必要であると思うのですが、この事故を契機として徹底的な再検討をするということが必要だと思うのですが、その点どうですか。
○説明員(須賀貞之助君) 先生お話がありましたように、これを機会に再検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○鈴木強君 そこで、もう一つ最後に、死傷者に対する見舞いとか救済の問題ですけれども、さっき部長がお話になった中に、まあ会社まかせのようなことを言っている。最終的には会社だと思いますけれども、運輸省として従来の基準から照らして、死者の場合どの程度の補償が必要なのか、負傷者に対してはどの程度の金、どの程度の見舞い金を出すのか、その点、ひとつ従来の例からして明らかにしていただきたい。
○説明員(須賀貞之助君) 従来の例で申し上げますと、死者につきましてはとりあえず十万円から十五万円程度の見舞い金を出すということでございますが、負傷者につきましては大体三万円程度というふうに聞いておるわけでございます。で、その後の補償の問題につきましては、これは漸次長引くものも相当あるわけでございまして、まあ先回の十月の東武の踏切事故の際におきましても三五%程度のものがまだ話がついてないということでございまして、その中にはもちろん入院で加療中のためにその見通しが立たないというものもあるわけでございます。まあそういうことで自動車損害賠償保障法の適用を東武の場合は受け得たということでございますが、今回の事故についてどの程度の因果関係があるということについても、目下、調査を待っていろいろやっていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
○鈴木強君 これもちょっと政治的な問題になりますので政務次官にお願いしておきますが、まあ不幸こういう被害を受けたわけでして、その遺族や負傷者にとっては、たいへん私たちから見ると気の毒なことなんですね。ですから会社の経営のこともあるでしょうけれども、ひとつ最大限の死者に対する弔慰金ですね、それから負傷された方々に対する見舞い金等についても富士急のほうにひとつお話をして、できる限りの施策をとるように政府としても話し合いをしていただきたいと思うんです。これはもちろん相手のあることですから、ここで私、何ぼやれとか、どうしなさいということは明確に申しませんが、従来の例もあるわけですし、それから賠償保険のことも付随して出てくると思いますから、そういう点をひとつ考慮して、最大限の措置をするように、ぜひ政府としても働いていただきたいと思うのです。その点、政務次官にお答えいただきたい。
○政府委員(大野明君) 先生の御趣旨を体してそのような方向にいくようにしたいと考えておりまするが、いずれにしても相手のあることでございますし、また、より以上の干渉もできませんので……。しかしながら、なるべく遺族の方の身になってやるようにやっていきたいと考えております。
○鈴木強君 それではこの問題についてはこれで終わります。 きょうは私、雇用促進事業団の住宅用地買収にからむ問題で、すでに衆議院のほうで問題になっておりますが、そのことについてお伺いをいたしたいと思います。それからあと二つ、出かせぎ労働者の問題と会計検査院から指摘をされております不当事項の中の失業保険金の支給の適不適の問題について三つ用意いたしましたが、富士急の問題を緊急にやりましたので、きょうは雇用促進事業団ですね、団地買収の問題だけをひとつお尋ねしたいと思います。 最初に昭和三十六年の七月一日に炭鉱離職者や中高年齢者の雇用促進と職業訓練を目的に特殊法人として雇用促進事業団というものが設立されました。自来十年を経過しているのでありますが、その間、設立の目的に沿って事業団がそれぞれ努力をされたことは私も率直に認め、それに対しては敬意を表しますが、しかし、現状非常に多様化している現代の世相の中で、また技術革新もひとしお激しい中で、職業訓練とか、またそれらの方々の目的に沿うた住宅団地づくりということについては、たいへん御苦労もあると思いますが、そのやり方について非があれば、私はきびしくここで追及をし、その非は将来の発展のためへのひとつ批判として受けとめていただいて、問題点は明確にきょう出していただく。そうして今後間違いのない事業団の運営をしていただきたい、そういうふうに思いまして質問したいと思います。 まず、事業団の設立当初から見て、現在までの規模ですね、規模においてどの程度の拡大をしておられるか、これはたとえば人員の面で見る場合とかもあるでしょう、それから収支予算の面で見る場合もあるでしょう、それから事業の規模から見ることをあるでしょう、あるいは組織、機構の面から見ることもあるでしょうが、大体比較できるようなところを取り出して、大体どういう程度に倍率でなっているか、これをひとつ最初に説明していただきたいと思います。
○参考人(堀秀夫君) ただいま御指摘のごとく、雇用促進事業団は昭和三十六年の七月に発足したわけでございますが、その後、雇用労働行政の推移に応じまして逐次発展をしてまいったわけでございます。その業務の内容につきましては、当初は、ただいまお話のように職業訓練業務、炭鉱離職者の援護業務がおもな業務であったのでございますが、その後、これらの業務のほかに、移転就職者用の宿舎建設、運営に関する業務、雇用促進融資、港湾労働者の福祉業務、あるいは勤労者のための諸福祉施設の設置、また出かせぎ援護相談、雇用相談、職業問題に関する調査研究というような新しい業務を運営するようになりました。また、職業訓練につきましても、御承知のごとく急速に拡大、発展しておるわけでございます。 いまのような業務の推移に応じまして、二、三数字で申し上げますと、昭和三十六年七月当時の資本金が七十億円であったものが、四十六年の二月現在では約千百五十六億に増加いたしました。これは国、地方公共団体からの出資金、施設等が内容でございます。これに伴いまして施設の中心である訓練施設につきましても、昭和三十六年度におきましては四十八カ所でありましたものが、現在は職業訓練大学校のほか、全国に八十一の総合高等職業訓練校が設置、運営されております。また、沖縄にも昨年の十二月に、現地の要望にこたえまして総合職業訓練所を新設いたしました。これは琉球政府に運営を委託申し上げた次第でございます。これらの訓練施設における訓練生の数を定員で申しますと、昭和三十六年度の一万三千名程度から、四十五年度においては約四万六千名と増加しておるわけでございます。移転就職者用の宿舎につきましては、昭和三十六年度においては千三百四十戸を運営するにすぎなかったのでありますが、昭和四十五年十一月現在の運営戸数は約五万五千戸になっておるわけでございます。人員につきましては役員十名、職員千七百七十六名、これが昭和三十六年度の数字でございますが、四十五年度におきましては役員の数は変わりありませんが、職員は三千七百三十名に増加しております。このおもな内容は、総合職業訓練校等における指導員等の増加がおもなものでございます。 ただいまのようにいろいろ事業団の業務の内容は、業務の拡大に即しまして増加してきておるわけでありますが、私どもはいまから振り返ってみますると、いろいろ従来のやり方についても反省、検討を要するものがあると考えておるわけでございまして、そのような問題につきましては、さらに心を新たにいたしまして、業務の刷新、合理化、明朗化をはかってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○鈴木強君 大体の事業規模の拡大傾向というのはわかりましたが、理事長として現在お仕事に御苦労いただいているわけですが、いまの事業団の中でこういう点をこういうふうに改革したほうがなお能率が上がるとかベターであるとかいうような点について、まあ制度そのものが特殊法人でございますから、特別な法律によっていろいろ縛られておるわけですが、その中にあっても、こういうところはこういうふうにしたほうがいいという意見があるかもしれません。これは制度の問題。それから実際の運営をする場合に、組織、機構の面において、あるいは資金調達の面において、承るいは用地を取得する面において、いろいろ事業遂行の面において、現状こういう点をこうしたらうまくいくのじゃないだろうかというような、そういうようなお考えがもしありましたら、これはあなた個人でもけっこうですし、それから事業団全体として、もし問題が出ておるならそういう点もひとつ聞かしてもらいたいと思うが、いかがですか。
○参考人(堀秀夫君) 私は一昨年の六月に理事長に就任いたしまして約一年半経過いたしましたが、見当もいろいろついてまいりましたので、従来の業務についてもいろいろ刷新、検討すべきものが多いように私個人としても考えておるわけでございます。その旨は事業団内部にも徹底させたいと思いまして、現在そのようなことを努力しているわけでございます。 いろいろな面がございますが、たとえば職業訓練の業務につきましても、総合職業訓練校の内容は、各府県の設置経営いたしまする職業訓練校と相まちまして、職業訓練の改善につとめていかなければならない。これにつきましては、何と申しましても法律に基づいて設立されましたこの事業団の経営する総合高等職業訓練校、これはやはり労働者のために多能的な熟練工を養成するということでいかなければならないし、それに応じまし技術革新その他に対応するところの職種の再検討もはかり、それからなかなか民間ではできないような新しい職種につきましても、この事業団が先べんをつけて訓練を行なっていく必要があるのではないか、大体こんなぐあいに考えているわけでございます。 それから次に、いろいろ最近移転就職者用宿舎をはじめ、労働者の福祉施設の設置に関する事務がふえてきておるのでありますが、この移転就職者用施設につきましては、まず第一にその設置する個所の選定につきまして、これは労働省が広域職業紹介の見地から案をつくられまして、事業団と合議して両者共同のもとに決定し、それに基づいて用地を選定しておるわけでございますが、これにつきましても、労働力の需要状況それから産業立地の発展等と相まちまして、そのような地方の事情に即応いたしまして、ほんとうに適した場所に設定していきたい、これが大事なことであろう、このように思っておるわけでございます。 それからさらにこの用地の問題でございます。これはただいま御指摘のように最近問題になっておる面があるわけでございます。用地の選定につきましては、私は、これは過去におきまして宿舎の用地の選定をいたしますにあたりましては、当時は炭鉱離職者が非常に各地に輩出しておりまして、これを特に大都会の周辺において収容するために、一日も早く、適地があれば飛びついてそれを獲得しようという気持ちでやっておったことは、事業団の当時の人たちに聞いてみてもわかることでございますが、その用地の取得につきまして、当時におきましてもなるべく原則は府県市町村等の公共団体の推薦に基づいてその土地を取得するということにしておったのでございまするが、大都会周辺においてはそのようなことがなかなかできない面もありまして、いろいろな話が持ち込まれてきた、それにつきましては、当時は、これは地主からこれを買収するということにいたしまして、その地主になった者から買収をした、こういうようなことでございます。その後、いまのようなことについてもう少し合理化する必要があるということで、府県、公共団体等の推薦を、この原則をなるべく守っていくことにいたしまして、それから土地のあっせんを受けて、これを取得する場合におきましては、正規に手数料というものを設定して合理的な売買契約を行なうというようなことで実行しておるわけでございます。 私は、いまのような問題に加えまして、これは事業団の業務全体についても言えるわけでございまするが、ただいま申し上げましたように事業団のいろいろな調達業務がふえてまいりました関係上、その扱いについては特に綱紀の粛正という面に神経質なほど留意しなければならない、国民の負託にこたえまして、公の業務として行なう場合には、一般の場合よりもさらに、李下に冠を正さないという姿勢が必要じゃないかと、このように考えておるわけでございますが、実は私、昨年の十月末におきましてこのような見地から土地問題それからそのほかのいろいろな資材の調達あるいは融資というような面について事故を防止することについて、具体的に一つ一つほんとうにやる気でやろうじゃないかということで、事業団の役員会議におきまして事故防止対策というものを、具体的なものをつくりまして、これをいま実行しつつあるわけでございます。用地の問題につきましてはいま申し上げましたことを徹底させていくと同時に、たとえばやむを得ない場合に、あっせんによって民間地を取得するというような場合におきましては、必ずその府県市町村等の人も立ち会って話をしてもらうというようなことを考えまして、中身をガラス張りにしていくことが必要であろう、このように考えておるわけでございます。 以上のような考え方で現に業務をいろいろやっております。今後におきましても、いろいろなその後御意見、御批判等もございますので、これらにつきましてもそれを取り入れまして、気持ちはいま申し上げましたような気持ちで、ひとつ神経質くらい神経質に引き締めてまいりたい、このように考えております。
○鈴木強君 きょうはあと二宮先生の質問時間がありますので、私もきめられた時間を守りたいと思いますけれども、いまの理事長のいろいろな御意見を中心に私の意見を申し上げたいし、またもっと深く現状について認識をするという意味から質疑もしたいと思うのですが、時間もありませんので次の機会にまた譲りますが、いま、政務次官、理事長が言われたような制度上の問題についても、あるいは運営上の問題についても、これは理事長として全責任を持ってやっていただくわけですが、制度そのものは法律によってがんじがらめになっているわけですから、できるだけ機動的に能率的に事業団というものが運営できるような方法を考えないと、事業団を設立した意味がないと思うんです。ですからして、その点を含めて、制度の問題について、もう一歩労働省として御検討をいただき、それが法律改正に及ぶかどうかはまた今後の検討にまたなければなりませんけれども、いずれにしても、ここまで大きくなりますれば、その内容につきましても時代に即応するような組織でやらなければいけないと思いますので、その点の御配慮をいただきたいと思いますが、まあ少し概念的なことで恐縮ですけれども、気持ちだけひとつ聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(大野明君) その点につきましては、法改正という大きな問題は今後の問題としましても、法の中においての弾力的な運用、運営ということについて、今後大いに事業団とも話し合いをいたしましてやっていきたいと考えております。そしてまた、いろいろいま堀理事長から話がありましたような点におきましても、私どもも非常に考えなければならない点がございますので、適切なる運営並びに指導監督強化というようなことをやっていきたいと考えております。
○鈴木強君 まあ監督強化というのは、これはことばのあやでございますけれども、私は経営者が自主性を持って全責任を持ってやれというのを基本にして、そして必要最小限度の監督をしていく、その監督というのは、まあ小さいことから大きいことまで一々ひもをつけてやるというなら、これは労働省がやればいい、公務員を使って国家事業としてやればいい。ところが特殊法人をつくったというのは、そこに自主性を持たして、それを尊重して、いわゆる堀理事長以下全責任を持ってやれ、しかしそのやった責任は取ってもらうわけですよ。この設立の趣旨に沿わないときにはやめてもらえばいいわけです。それだけやはり責任体制というものをはっきりしなければいけないと思うんですね。小さいところまで一々政府がひもをつけるところに、特殊法人というものが本来の機動的な運営ができない経営内容があるのです。ですから、これはひとつそういう意味でなかったと次官はおっしゃると思いますけれども、その点の私の意見もいれて、もし見解が違うならばやっていただきたい。 それで、事実関係について少し伺いますが、これは昭和四十年当時のことですから、いまの理事長のお話からすると、姿勢を正したことになると思いますが、衆議院の二月二十日予算委員会の分科会、さらに社労委員会でも問題になったので、問題を蒸し返しませんけれども、当時問題になって労働省が検討し、調査をするということになって、その後調査ができておったら教えていただきたいのですが、まず第一点は、委員会で問題になりましたのは日本ライクという会社はトンネル会社で土地代のさやかせぎをしているような会社である。しかもこれは宅地建物取引業の許可を得てない無登録の不動産ブローカーであるというようなことがいわれておるわけですが、関東物産それから日本ライクこの両社の経営の状態は今日どうなっているかですね。もう結論だけでいいですから、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
○参考人(堀秀夫君) 日本ライクにつきましては、実は六、七年前のことで、いま日本ライクの責任者も所在不明でございますので、その後なかなか調査に手間取りましたわけでありますが、調査いたしました結果、昭和三十八年の一月十日に宅地建物取引業者としての登録を行なっております。それから関東物産につきましても、同じく宅地建物取引業者としての登録を行なっております。 それから内容につきましては、日本ライクは昭和三十八年に設立されました。で、設立されてから間もなく登録もしておる、こういう業者でございます。
○鈴木強君 いつ設立したのですか、三十八年のいつ。
○参考人(堀秀夫君) 失礼いたしました。もう一ぺん申し上げます。 日本ライクは、昭和三十六年の十月九日に法人登記をしておりまして、業務の内容は土地建物の取引及び付帯する一切の業務ということで届けをしておるわけでございます。それから関東物産につきましては、これは関東物産は昭和三十二年の十二月十七日に設立された会社でございまして、内容は各種工作機械等の販売を中心にしておったのでございますが、昭和四十年になりまして土地の取引に関する業務も行なうということで、これは名称は関東物産ということでございますが、事務所といたしましては小平に設立いたしまして、いまの工作機械を扱う本社と姉妹会社のようなものであろうと思うのでございます。これについてもただいま申し上げましたように、宅地取引業者としての登録は済ましているということが判明いたしました。
○鈴木強君 四十年土地取引業者に形が変わったわけですね。その登録をしたのはいつですか、月日等。
○参考人(堀秀夫君) 関東物産は昭和四十年の六月十五日に東京都に登録をしておるわけでございます。
○鈴木強君 それで日本ライクという会社はいまはもう解散をしてしまったのですか、どうなんですか現状は。
○参考人(堀秀夫君) 日本ライクは現在におきましてはまだ解散はしておりませんが、社長が所在不明になりまして、事実上破産同様の状態にある、このように聞いております。
○鈴木強君 あと、この日本ライクの経営の状況というものがはっきりわかりませんが、それから関東物産の経営の状況、これは役員構成とかそれから年間の収入額、どの程度の規模のものをやっていたのか、そういうものはいまわかりますか。これは時間の関係があるから、これはひとつ資料で出してくれませんか。 それから衆議院のほうで問題になった横須賀市公郷町という所にある二百三十二戸の公郷宿舎、これは昭和四十一年三月二十八日、事業団が各種工作機械販売業であるいまの関東物産から一万八百十四平方メートルを総額五千二百三十九万円で買った。これは三・三平方メートル当たり一万八千円で買い入れた。この土地は八カ月前の四十年の七月八日にこれが六月十五日に土地建物取引業者に変わったわけですが、六月十五日のそのすぐ直後ですね——四十年の七月八日に関東物産が前の所有者から——どういう地主かわかりませんが——三・三平方メートル当たり六千円で買った。わずか八カ月間で三倍にはね上がったわけですね。一体こういう土地の取得について、土地の評価というのは、まあいろいろやり方はあると思うのですが、これは会計検査院もきょう来ているから伺いたいのですけれども、だれが見たって八カ月前に坪当たり六千円だったものが一ぺんに一万八千円にはね上がっているということは納得ができない。これは一体どういうわけでこういうふうな買い方をしたのですか。
○参考人(堀秀夫君) この問題につきましては、その後調査いたしました結果を申し上げたいと思いますが、土地の評価につきましては一般原則といたしまして信用のある鑑定機関に土地の価格鑑定を求めまして、それ以内で買うと、こういう原則にしておるわけでございますが、この日本ライクの場合におきましてもそれからこの関東物産の場合におきましても、いずれも日本不動産銀行、あるいは日本不動産鑑定協会等の鑑定を求めまして、それに基づいて購入しておるわけでございます。そこで、ただいま御指摘の公郷の土地でございますが、これにつきましてもいろいろ調査いたしましたが、これは関東物産がもとの所有者から買収した土地約六千余坪の中から約三千五百坪を購入したものでございますが、その実測による坪単価は当時七千三百円であったということでございます。そこでこの関東物産がこの土地を、当時宅地造成工事が途中で中止されてそのまま放置されておったので、これにつきまして宅地造成工事を大規模に行ない、それから道路の工事、給排水設備等も行ない、それからそのほかに設置した道路の一部についてはこれを横須賀市に寄付するというようなことをやっておったわけでございます。その間の費用が加算されておるわけでございます。そこで、この一万八千円にいたしましたのは、日本不動産銀行に鑑定を依頼したわけでございますが、それによりますると、対象地は宅地造成工事を途中で中止したまま放置されておるもの、その後本格的な造成を要し、道路取りつけ、整地、水道引き込み、それから道路の拡大が必要である。そこでその付近の同類型の宅地との価格を考慮いたしまして坪当たり一万八千円と鑑定すると、こういう鑑定が出されたわけでありまして、事業団はそれに基づいて買収したということでございます。
○鈴木強君 その宅地造成は一体だれがやったのですか、やった会社は。
○参考人(堀秀夫君) 関東物産が実行したわけでございます。
○鈴木強君 そうすると、この関東物産というのは宅地造成もみずからの手でやられたということですか。
○参考人(堀秀夫君) 関東物産は、土地のそういう造成等を行なう業者に発注いたしまして、それで工事をいたしました。こういう由でございます。
○鈴木強君 ですから関東物産がどこの宅地造成業者に依頼をして宅地造成をやったかわかりませんが、その宅地造成に必要であった金が幾らぐらいであったかということは、そういうことはわからないのですか。
○参考人(堀秀夫君) これは私どものほうではわからないわけでございますが、その後、関東物産のほうにいろいろ事情を聞いてみたわけでございます。関東物産として、これはに非常な金がかかった。そこで、いまのようなことでこの関係については非常に持ち出しが多かったということを言っております。しかし、これにつきましては業者の話でございますから、私どもはそれをそのまま受け取るわけにもいきませんが、いまのような事情であったということでございます。
○鈴木強君 まあこれは古いことですからよく事情はわかりません。事実関係をできるだけ明らかにしていただいて、今後の土地買収のために万全を期すという意味で私は質問したいのですが、たとえば土地鑑定士について日本不動産銀行、これは一社だけに頼んだ、当時の鑑定ということについてですね。この鑑定士というものがあるのですね、鑑定士がある。で、一社だけで評価させるというのは、これはちょっと不慎重でしょう。なぜ二社なり三社なり、たくさんの鑑定人もいるわけですから、そういうものに総合的に鑑定をしていただいて、その上で適正価格をきめるということでないと、それは六千円が坪単価七千三百円ですか、ということだそうですが、それにしても三倍近い値上がりになって、これが宅地造成にかかった。どういう、川を埋めたのかどうかわかりませんが、そんなばかな宅地造成費はないですよ、普通考えても、土地の倍もかかるような、そんなところ。買うのもおかしいのだ。そうなると、なぜそんな、もっとほかを買えば安くいくじゃないですか。適地をそのときにさらにさがしてみたかどうか、そういう問題まで波及してくるわけです。ですから不動産鑑定士もさることながら、不動産銀行だけで、それをたよりにしてやったということはこれは間違いですね。
○参考人(堀秀夫君) この件につきましては六、七年前の事件でございますが、私はいろいろ反省すべき点があったように率直に思います。 たとえばこの日本ライクあるいは関東物産、特に日本ライクは非常に小規模な取引業者であったようでございますし、それから関東物産についても本来は工作機械の販売の業者でございます。まあ当時の事情は先ほど申し上げましたように大都会周辺においてなかなか適地が見つからなかった。そこで業務開始早々でふなれであった面も、未熟であった面もありまして、こういうものを相手にしていろいろ売買を行なったということでございますが、私は先ほど申し上げましたように、やはり今後の方向としては国あるいは公共団体等のあっせんによるものを原則とするということでぜひいかなければならないと思いまするし、そういうようなことが不可能な場合におきましては、府県等の立ち会いのもとに明朗な話し合いをこのあっせん者と行ないまして、事務を合理的に行なうことが必要であろうと思っております。 それから鑑定価格の問題につきましては、四十二年以降は、民間から民間地を買収いたしまする際には、複数以上の鑑定機関に評価させるということで、現在は全部それでやっておるわけでございます。 大体いまのような点で、私は当時の事情、六、七年前でございまするので、なかなか調べましても資料等も散逸して見つからない面もございまするが、いろいろ事業団は事業団として当時の事情を調べた結果によりますれば、不当に高い価格ではなかったということは言えると思うのでございますが、しかし事務の処理、方法その他につきまして反省をいたすべき点は相当ある、こういう面は今後改善していかなければならないと思っておるわけでございます。
○鈴木強君 価格がそう間違っていないと思うというのは、これはあなたは、時代は変わっているが理事長ですから、前任者のやったことに対してそう言うと悪いという、カバーしようという良心があると思うのです。堀君として冷静に考えた場合、かりに六千円が七千三百円であっても、宅地造成のために倍の造成費が必要なところをなぜ買わなければならぬかということです。これは東京近郊とか、横浜の市内というのならばあれですけれども、まあ横須賀、横須賀というところは案外土地がないところだと思うのですけれども、もう少し工夫すれば、こんな倍も宅地造成にかかるところを買わなくてもよかったと思う。当時そういう努力をしたか。ここもやりました、ここもやりました、ここも当たってみましたが、どうしても万策尽きてここにしたというのならわかるが、そういうことも明らかになっていない。買収金額そのものも非常におかしいと思うし、大体あなたも言われるように、工作機械やっておったものが途中で土地建物取り引き業者になって、しかも四十年六月十五日に登記をしてくらがえをしたものが四十年七月にはやっておる。七月の八日に。こんなばかな話はない。そこには何かのからくりがあったと言われてもしかたがない。しかもあとから出てくる下九沢、善部、郷地、これは横浜、昭島、相模原、これらの三カ所の用地だって日本ライク会社から三十九年七月から四十年十月にかけて買い入れているのです。一体買い入れた価格がどうなのかわかりませんが、いずれにしても日本ライクというのは三十六年十月九日に設立をされておる。そして少なくとも三十八年一月までの間は、一年何カ月の間はこれは登録をしてない無登録の不動産会社で、三十八年の一月に、設立をしてから無登記の不動産業者であったものが、急に登録をして、そしてそれに大事な、しかも雇用促進事業団という法律に基づく特殊法人が、こんないいかげんな会社を中に入れて土地の売買をするなんということは非常識きわまる。そんなことをやるから国民は疑いの目を持つわけですね。ここいらはもっと厳粛に反省をしなければいかぬ。どうですか、その点は。
○参考人(堀秀夫君) ただいまお話しのように、いろいろ相手方の問題、それからいろいろ処理の問題等につきまして多々反省すべき点もあるように思います。私どもはそれらの教訓を取り入れまして、今後において絶対に国民の疑惑を起こすことのないように、ひとつ心を新たにして取り組んでまいりたいと、このように思います。
○鈴木強君 それからこれは記事になっておることですから、あえてここで伺いますが、「「関東物産、日本ライク両社とも土地代サヤかせぎのためのトンネル会社の疑いが強い」」「まず」公郷宿舎の用地は地目が雑種地で当時の地価は六千円がせいぜい。事業団は時価の三倍で買入れたことになる」「関東物産の安田社長は当時の江下孝同事業団副理事長(現中高年齢者福祉協会理事長)や労働省出身の自民党某代議士と親しく、三者なれあいの不正売買として内部でも問題になっていた」と追及した。」、こういう記事があるのですね。こういう事実はどうですか。「これに対し住労働省職安局長は「事実なら非常に問題。どんな事情があったか調べる」」こう言ったのですね。これはどうですか。
○参考人(堀秀夫君) 江下氏にも問いただしてみましたが、友人関係であったことは事実でございます。ただそれから先のいろいろな問題につきましては、そういうようなことはないと本人は言っております。
○鈴木強君 いろいろこの事件の事実関係を追ってみますと、武部君が言っているような疑いを持つわけですね。したがって、これは過去のことではありまするけれども、これは私は陳情活動とかいろいろなこれがあると思うのですね。しかし、それがだれが見ても正しいものであればこれはいいと思うのですよ、私は。しかし往々にしてそうでない無理なことをやらせようとか、不当な利権にからんで動こうということは、これは断じて排除すべきではないかと思うのです。私はいろいろなケースを見ているのですけれども——あと二、三分で終わりますけれども——たとえばこの場合でも、労働省がどの地域にどういう計画をもって何年度にどのくらいの敷地で団地を建てるというような情報がどっからか漏れているのだと私は思うのですよ。ですから、そういう情報をつかめばブローカーというのはすぐ飛んでいって、地主さんと相談して、たとえばその土地が三、三平方メートル五千円の土地であれば極端に言ったら七千円でも買うわけですよ。そうすると、売ろうと思っていた人は売りますね。ところが事業団がそこに建てるということであれば、その地主さんはそんな話がきても受け付けなかったと思うのです。ところがその人は知らないわけです。中間に立つブローカーが情報を握って、先行投資しておこう、投資というか取得をしようというような、そういう悪意でもって買っているわけです。そして中間に立って、今度は事業団のほうへ、二年かたってやる場合もあるでしょう。土地を買うということになったたら、計画が明らかになってから一年か二年たつわけですから、そういうこともあり得ると思うのです。だから、そこら辺が非常に問題だと思うのですよ。いつかもちょっと私はほかの関係のところですけれども、新潟県のほうに、ある役所が何かをつくろうとした。それを東京のブローカーがキャッチして、すぐ現地に飛んで、時価よりも三千円くらい高く買って、それを四千円くらい高く売りつけようとするというようなことがあった。これは未然に防ぎましたけれども、そういうこともあるわけです。その辺の計画については、どういうように行なわれるかについては、ある程度秘密保持でやらないと、そういうことが出てくる。もしやるならやるで、その地域が、たとえば横須賀のどの辺につくるというなら、これを公示して、事業団はこういうところにこういうこれだけの規模のものを建てたい。したがって敷地はこれくらいだから、それをやっていただきたいというようなことを周知させて、不動産業者に乗ぜられないようなことでやるのも一つの方法だと思うし、知恵を働かしてやってほしい。そうして原則として私は不動産業者を入れるということには反対なんですよ、これは。ですから、できればおたくのほうに用地買収課でもいいからつくって、そうして要員が必要ならふやして、そこが直接地方自治体なり公共団体なり地主さんと接触して買収するというような方法でやれば、こういうことはなくなるわけですよ。これはやはり国民の財政投融資から回っておれば貴重な貯金であろうし、失業保険のほうからいくならば、零細な掛金からやっていく仕事でしょう。だからして、もう少し知恵を働かしてもらいたい。そういう意味においても事業団の組織機構が十分なのかどうかということについても私は聞いたわけです。そういうことをちゃんとやっておけば、こういう問題は防げたと思うのだけれども、これはあとの祭りのことでもあるし、その後姿勢を正してやっていると思う点もあるので、そういう計画の漏洩ということについても、何かだれかが不動産業者に早めに提供することのないように、これはやっているとは断定いたしませんよ。事実わかりません。わかりませんが、そういうことも、商売ですから向こうはうの目タカの目で情報偵察しているわけですから、そういうものに乗っからない方法を考えてほしい。こういうことを特にお願いをして、これは理事長からも政務次官からも最後にお答えをいただきして終わります。
○参考人(堀秀夫君) ただいまいろいろ御指摘のありました貴重な御意見、まことにもっともな点が多いと思います。私どもはこれを契機にいたしまして、今後とも、さらに秘密の保持、それから不正なことの起こらないように綱紀の維持というものについて十分厳に留意をいたしますと同時に、土地取得についてのいろいろな方法の合理化、改善、これにつきましても、ひとつ労働省ともいろいろ相談をいたしまして、もっと合理的な方向にさらに改善していくということは、ぜひひとつ研究してみたいと、このように思っております。
○政府委員(大野明君) ただいま理事長がお答え申し上げたとおりでありまして、一日も早く前向きの姿勢で取り組んでやっていきたいと思います。
○委員長(森元治郎君) 午後一時に再開することとして、休憩いたします。 午後零時二十分休憩 —————・————— 午後一時十分開会
○委員長(森元治郎君) 委員会を再開いたします。 昭和四十三年度決算外二件を議題とし、休憩前に引き続き質疑を続行いたします。 この際、参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。本日は、御多忙中のところ、本委員会のため参考人として御出席をいただき厚くお礼を申し上げます。委員会は、委員の質疑に対して御意見を述べていただくというふうに進めてまいりますので、よろしくお願いをいたします。 それでは御質疑のある方は、順次御発言願います。
○二宮文造君 午前中に引き続きまして、私も、雇用促進事業団の運営につきまして、若干お尋ねをしたいと思っております。ただ申し合わせになりまして、時間が一時間程度ということになっておりますので、答弁のほうも的確に要領よくお願いしたい、このように思います。けさほど鈴木委員からの質疑によりまして、事業団が時代の趨勢とともに業務内容も、あるいはまた陣その容も格段の成長発展を遂げたという模様を理事長さんの答弁で伺いました。私、事業団の業務の中でただ一つだけ、宿舎等の問題を取り上げてお伺いをしたいと思うわけです。 最初にお伺いしたいのですが、事業団が移転就職者用の住宅あるいは港湾労働者のための宿舎、あるいは簡易宿舎、そういうものを運営されておりますが、その設置個所と棟数とそれから戸数、これをまずお伺いしておきたい。
○参考人(堀秀夫君) 移転就職者用宿舎につきましては、昭和四十五年の十一月末日現在におきまして運営しておる戸数が五万五千五百四十二戸でございます。なお、現在建設中の戸数が一万五千八百二十六、このようなことになっております。
○二宮文造君 いや、管理人さんとの関係もありまして、設置個所、棟数、それから戸数……。
○参考人(堀秀夫君) ただいまの具体的な戸数は、ちょっと恐縮でございますが、どことどことという場所を申し上げるわけですか。
○二宮文造君 いや、個所でいいのです、総数でいいのです。
○参考人(堀秀夫君) それでは担当の広瀬理事からお答えしてよろしいですか。
○参考人(広瀬忠三君) 先ほど理事長の申し上げた数字とちょっと変わりますが、四十六年一月現在で四百十七カ所になっております。個数は四百十七カ所でございます。
○二宮文造君 違うのじゃないですか。おたくから資料をいただいているのですが、昭和四十四年度末までの。
○参考人(広瀬忠三君) 訂正さしていただきます。間違いまして失礼いたしました。昭和四十五年九月分で四百十七カ所、こういうことでございます。
○二宮文造君 もう少し数字を的確に把握願いたいのですが、事業団からいただいた資料によりますと、運営戸数にこだわっていらっしゃるからそういうことになるかもわかりませんが、やっぱり四十五年度分までの建設ということで考えてみたらどうかと思うのですが、そうしますと、いただいた資料によりますと、四十五年度分まで含みますと、施設個所が五百八十四、棟数が千七百三十六、戸数が七万一千八十二、こういう数字をいただいているわけですが……。
○参考人(広瀬忠三君) 四十四年度末までの建設分及び四十五年度分のを含めまして、個所数が五百八十四、棟数で千七百三十六、戸数で七万一千八十二でございます。
○二宮文造君 そこで特に、あとの二つの宿舎の場合は別としまして、移転就職者用の宿舎ですね。これが大多数だと思うのですが、この入居資格、これは入居基準というのはどういうふうになっていましょうか。
○参考人(広瀬忠三君) 入居資格は、広域職業紹介により、失業者多発地域から受け入れ地域のほうに移る、それから一つの安定所管内から他の安定所管内に移る人であって、住宅事情に困窮しておる者、こういう方が入ることになっております。
○二宮文造君 何か私の伺ったところによりますと、四十年か四十一年くらいからあるいは四十二年かもわかりませんが、当初予定しておった移転就職者と、それから何か条件を緩和しまして、そしていま現に入っている者と、こう二種類の入居者がいるようでありますが、これはなぜこういう区別が出てきたのか、お伺いしたい。
○参考人(広瀬忠三君) 昭和四十年だったと思いますが、職安局長の通牒で、設置されてから六カ月たってもなお入居率が著しく低い宿舎については必ずしも移転就職者でなくても入居を認めても差しつかえないと、こういう趣旨の通牒がございましたので、それから二、三年はそういう線で必ずしも移転したものでない人も入れましたが、そのまた二年くらいはそういう方の入居についてはできるだけ押える方向で、本来の移転就職者を入れるように努力をいたしております。
○二宮文造君 要するに、この移転就職者用宿舎というのは、たとえば炭鉱離職者あるいは軍関係につとめていらっしゃった方、そういう方が現地で職場を失う、そうしてまた、遠隔地の離れたところに求人があった、そこへ行きたい。だけれども、住宅がないという、そういう要請にこたえる意味でこの移転就職者用住宅というのに取りかかった。ところが実際には、そういう要請があることを見込んで建ててみたけれども、そういう入居条件を満たす人は少ない。そして、その入居開始をしてみてもふさがらないから、そこで失業保険の被保険者であればまあ一時的に入れてもよろしいと、こういうこれは便法でございますね。それがここ一、二年にはまたもとへ戻って移転就職者用ということで本来のものに戻しつつある、こういうことでございますか。
○政府委員(住榮作君) 移転就職者用宿舎でございますので、先生御指摘のとおりの趣旨の宿舎でございます。そこが私ども宿舎の建設にあたりましては、その地域における過去三年間の移転就職者の状況とか、あるいは今後の需要の見通し、その他失業保険の被保険者等の数、あるいは開発計画その他等を考え合わせまして、そういうように地域を異にして就職する方々が住宅がないために移れない、こういうようなことのないように暫定的な宿舎として建設する、こういうことでございます。一時、予定地の選定について不十分な点等もございまして、入居が必ずしも十分でなかったというように事態がございましたが、そういう際には先生御指摘のような暫定的な措置も認めたことがございますが、現在は旧に戻っておるわけでございます。
○二宮文造君 それではもっとこまかく伺いますが、現在七万戸建設される、先ほどのお話では、昨年の十一月ごろの運営戸数が五万五千戸くらいだと、こういうようなお話でありましたけれども、現在入居されている割合ですね、いわゆる移転就職者として入居したか、あるいは先ほど言ったように便法をもっていま入居しているか、その割合は一体どれくらいになっておりましょうか。もとへ戻しつつあるというのですが、今度は逆にそのほうにウエートがかかっているのじゃないか。これは安定局長、よく聞いておいてください。
○政府委員(住榮作君) 正確な、いま先生御指摘の資料を十分整えておらないので、必ずしもよく実態は承知いたしません。
○二宮文造君 事業団のほう……。
○参考人(広瀬忠三君) 四十六年一月末現在の入居戸数、これが五万七百六十八でございます。その中でいわゆる条件を緩和して入れた方が千六百十名ございます。
○二宮文造君 ここに四十五年度の事業団の移転就職用宿舎収入支出予算というのをいただいております。その中の収入の部の賃貸料というところを見ますとよろしいですか、広瀬さん、資料……。
○参考人(広瀬忠三君) 四十五年ですか。
○二宮文造君 四十五年度移転就職者用宿舎収入支出予算、それの収入の部の賃貸料というところをごらんいただきたい。こっちが趣旨説明している。そこで、運営戸数六万六千五百六十二戸となっておりますが、それを分けまして、家賃収入として十二億何がし、使用料収入として十五億と。私は、家賃というのは、正式のいわゆる本道に乗った入居者の使用料——家賃だ思います。使用料というのは、それは本来きめられた入居資格に該当しない方を、もう家賃としては取れませんから使用料として取っているのではないかと思います。そう考えますと、本道に、本来の趣旨に基づく入居者は十二億、それ以外のものは十五億と、こういうふうな概算が出てきますが、この辺の関係はどうなんでしょうか。
○参考人(広瀬忠三君) 家賃収入と申しますのは、正規の入居者をまず一年と限定しておりますが、やむを得ない事情がある場合はもう一年、この二年間は家賃をいただいております。その二年を過ぎてなお退去できない方々、こういう方々には使用損料——これは使用料という、そういう名目で使用料をいただいておるわけでございますが、結局二年以内の居住者から上がってくるものが、ここでは十二億四千五百万、二年以上いらっしゃる方から上がってくる家賃、使用料が十五億七千五百万、こういうことでございます。
○二宮文造君 本来なら一年だと、要するに間に合わせの住宅だと。だから就職先がきまって一年たったら自分で住宅をきめて出ていってもらいたい、その一年間。できれば一年間だけれども、それは無理だから二年はいてよろしいと、こういうことですね。ところが、その二年までは正式な家賃をもらうけれども、それ以降になって退去されない場合は、損料みたいなかっこうで、正式の契約ではない。こういうお話のようであります。ですから、ここに移転就職者用宿舎の運営のしかたに非常にあいまいな点が二点出てまいります。一つは、先ほど言いましたように、移転ではない、あいているからそこに入らなければならないので入れたという方がある、そういう部分がある。それから一年ないし二年という期限つきだけれども、もうそれをこえて五年も八年もそこにいる方もいらっしゃる。こういうことなんですが、こういう運営が乱れてまいりますと、本来の雇用促進住宅という趣旨が失われてきて、地方の公共団体がやっている公営住宅と性格が混同されてしまう。こういうおそれがあるのですが、この点は一体どういうふうに労働省では考えていらっしゃいますか。
○政府委員(住榮作君) 移転就職者用の宿舎は、あくまでも趣旨は、移転して就職する場合に就職地に住宅がない、そのために再就職が妨げられる。こういうようなことのないように、暫定的に宿舎の用意をする。しかしそれは、いまお話のございましたように、二年程度で他の公営住宅なり、あるいは事業主の従業員宿舎、あるいは本人が住宅をととのえる。こういうことを期待しておるわけでございますが、そしてまた私どもは、その移転就職者用の宿舎と公営住宅との連携等につきまして県なり市町村の協力を得まして、できるだけそういう公的な住宅に入っていただくように努力をしておるわけでございますが、まだまだ日本の住宅事情からいたしまして、必ずしもそういう意味で十分な結果が得られておりません。非常に残念なことでございますけれども、一部やむを得ない事情によるものかとも考えておりますが、やはりあくまで宿舎設置の趣旨に従いまして運用すべきものであるというように考えておるわけでございます。
○二宮文造君 その運用すべきものであると考えているのはけっこうなんですが、現実にこのようにくずれてしまっている。事業団の方ですね、入居者の年次別の割合をちょっと言ってみてくれませんか。一年未満は何%、二年未満は何%、三年、四年、五年未満、五年以上とパーセンテージを一ぺんそこであげてください。昨年の九月現在であるでしょう。
○参考人(広瀬忠三君) これは昨年の四月一日現在でございますが、六カ月未満が一三%、一年未満が一二%、二年未満が二一%。
○二宮文造君 ちょっと待ってください。その二年未満は四六%ですよ。
○参考人(広瀬忠三君) 二年未満全部で四六%でございます。二年から三年までの者が一九%、四年以上が一二%、五年未満が九%、五年以上が一四%、こういうことになっております。
○二宮文造君 それからもう一つ。今度は先ほどのいわゆる移転就職者ですね、移転就職者とそれから失業保険の被保険者、いわゆる拡大した暫定措置の者、それがどういう割合になっているかと言いますと、四十四年の三月末現在で、宮城県の名取市の愛島住宅ですか、宿舎ですか、これは百六十戸あるんですが、その百六十戸の中で九十八戸しかその当時入居してない。ですから、百六十戸の中で九十八戸しか入居しておりませんけれども、その中で移転就職者は三十八戸で、暫定措置として入っている人、が六十戸です。ここでももうこの宿舎の本来の意味は失われているわけです。それが四十四年七月末にはどうなっているかと言いますと、その百六十戸のうちで百五十戸入居している。その中で四十九戸が移転就職者、百一戸がいま言った暫定措置者。割合は変わっておりません。ですから、先ほど安定局長が本来の趣旨に返すべきように考えると、こうはおっしゃいますが、現実はもうきめたものが守られない。さりとて、やっぱりそこで仕事を持っていらっしゃる方に出て行けというわけにはいきません。これは根本的にあり方、運営のしかたというものをもう手直しをする、そういう時代に入ったんじゃないか。こう思うんですが、このままほうっておきますか。
○政府委員(住榮作君) ただいま先生御指摘の宮城の例でございますが、私どももその間の詳細な事情を調べてみないとわからぬのでございますが一つの考えられますことは、宿舎設定の地域の選定に問題があったのではないだろうか。と申しますのは、移転して就職する者の過去の実績なり、あるいは先の見通し、この点について十分検討をしないままにその土地を選んだことに大きな一つの原因があるのではないだろうか、こういうように考えられる点があるのではないか。そこで、私ども宿舎をつくる場合、正し叩くその移転就職者が、その宿舎の設置趣旨に基づいて入れるような、そうしてまた入る希望者があるという見通しを今後きちっとやっぱり立てた上で、宿舎建設予定地というものを選定すべきものである、こういうように考えるわけでございます。と同時に、従来の経験から見ますと、たとえば入居期間二年以内、こういうことでございますが、なかなか住宅がないために期間が延びていく。これも先生御指摘のように、かなりの数にのぼっております。そういう点、私ども今後の宿舎運営について十分注意をして、本来の目的に沿うような運営について最大の努力を払うべきものである、こういうように考えておる次第でございます。
○二宮文造君 私、決して一カ所だけ取り上げて、これだけを強調するわけではないのです。福島県でも同様の問題がありますし、愛知県でもそういう問題がありますし、兵庫県でもそういう問題があります。あるいは広島県でもそういう問題があります。ですから、本来の目的に沿うようにと簡単におっしゃいますけれども、住宅の問題というのはそう簡単な問題じゃない、生活の本拠ですから。したがって、これは法の立て方、法の考え方、あるいはいままでの運営のしかたに誤りがあった。だから現状に即して——やはり法治国なんですから、法で運営しているのですから、やはり政令なりなんなりの関係で現状に合わせて改革をすべき必要があると、こう私は指摘をしておきたい。そうしませんと、事業団の事業そのものが非常におざなりになってしまいます。 そこで、じゃ、この移転就職者用の宿舎は一体どこが管理しているのですか。この管理はどこでやっておりますか。
○参考人(広瀬忠三君) 事業的な管理は中高年齢者協会に委託しております。管理業務の中で大きな修繕を要するような場合、これは事業団が直接やっております。
○二宮文造君 もう少し正確におっしゃっていただきたい。財団法人中高年齢者福祉協会に管理を委託されているわけでございましょう。その協会の設立年月日はいつでございますか。また、その基本財産、その基本財産の出資者はだれでございますか。
○政府委員(住榮作君) 財団法人中高年齢者福祉協会は、昭和四十年の十一月一日、労働大臣が設立の許可を与えております。基本財産は二百万円、運用財産は五十万円、寄付者は万仲余所治さん、こういうことになっております。
○二宮文造君 その万仲余所治さんは、当時事業団の理事長でございましたね。
○政府委員(住榮作君) そのとおりでございます。
○二宮文造君 現在の理事長と常勤役員の氏名、それから労働省関係の役職——最終役職でけっこうです。並びに報酬はどうなっておりますか。
○政府委員(住榮作君) 現在の財団法人中高年齢者福祉協会の理事長は江下孝さん、理事は内藤敏男さん。給与は、四十六年二月一日現在で理事長が二十四万円、理事が十八万五千円。略歴は、理事長の江下さんは、労働省におきます最終の官職は労働省の職業安定局長でございます。
○二宮文造君 事業団の役職は何でしたか。
○政府委員(住榮作君) 事業団の役職は、雇用促進事業団副理事長でございます。それから理事の内藤さんは、最終経歴が日本専売公社理事でございまして、雇用促進事業団における役職は同事業団の理事でございます。
○二宮文造君 その内藤さんはきょうお見えいただいておるわけですね。ありがとうございます。 それで、この寄付行為によります福祉協会の業務内容というのはどうなっておりましょうか。
○参考人(内藤敏男君) 中高年齢者福祉協会は、その寄付行為を見ますと項目を五つあげております。第一が中高年齢者の雇用の促進及び安定に必要な援護措置についての調査及び研究。それから二番目が中高年齢者の雇用促進についての広報宣伝。それから三番目が中高年齢者の雇用の安定をはかるために必要な事業。それから四番目が雇用促進事業団に協力し、またはその委託を受けて労働者の雇用の促進に関する業務を行なうこと。五番目がその他この法人の目的を達成するために必要な事業。こういうことになっております。
○二宮文造君 非常に言いにくいことをはっきり申しますけれども、せっかく資料をお持ちになりながら肝心なところにいってお隣の資料をごらんにならなきゃならないのは、ここは変わっているわけです。あなたのお手持ちの資料には、その四番目の事業内容のところに、おそらくこうなっていると思うのです。雇用促進事業団に協力し、またはその委託を受けて中高年齢者の雇用に関する援護業務を行なうこと、そうなっておりましょう。
○参考人(内藤敏男君) 私の持っている資料が古い資料なものですから、そうなっております。
○二宮文造君 それがお隣の方のお持ちの寄付行為によりますと、中高年齢者が消えまして、労働者の雇用の促進に関する業務を行なうことと、そこのところをあなたが読みかえられたわけです。これはやはり労働大臣認可の財団法人であって、その直接の理事さんが自分の協会の寄付行為——定款です、満足な定款もお持ちにならないというのは、私は協会の運用は非常に不まじめだと、そう感ずるわけです。これはあえて苦言を申し上げておきます。 それで、いまおっしゃっていただいたような事業内容でございますが、いただきました事業報告書によりますと、四十二年度は受託事業、いわゆる宿舎の管理というのをあげております。それから二番目に調査研究という項目をあげて、その受託にかかる労働者住宅に入居しているものの実態を把握しました。以下同じ、四十三年度の事業報告書も、四十四年度の事業報告書も全部そうです。しかも私、ここでもまた苦言を呈しておきたいわけですが、ようしゅうございますか、よくおたくの事業報告書をごらんになってください。この四十三年度の事業報告によりますと、第二番目の事業実施状況、その中のカッコ二の調査研究というところに、受託にかかる雇用促進住宅等に入居しているものの実態(主として出身地、前歴、在居月数、勤労状況、年齢、月収、家族の状況等)を把握し、今後における中高年齢者の福祉対策の資料に供するため、——これからです、問題は。——昭和四十三年九月三十日現在における四万三百八戸の在居者について調査を行なった。これが四十三年度の協会のただ一つの調査研究事業です。いま現在四万戸に入っている人、その人がどういう人が入っているかというのを調査研究しました。これがただ一つの調査研究です。これは私も管理人さんのところに行ってまいりました。こんな日にちをきめてやらなくても、毎日毎日ちゃんと管理人さんがおつかみです。別にあらためて、これは調査研究したことじゃない。しかもここでは四万三百八戸と、こうおっしゃっている。昭和四十三年九月三十日現在における四万三百八戸の在居者、ところが四十四年度の事業報告書になりますと、同じようなことでございますけれども——よろしいですか。——昭和四十三年十月一日現存における三万六千六百三十一戸の在居者について調査を行ない、その報告をとりまとめ四十四年五月云々と、こう書いてある。四十三年度の事業報告書はこれでよろしいかもしれません。それには四十三年九月三十日と報告している。ところが四十四年度の事業報告書には十月一日、しかも調査の戸数が違う。こういうずさんなことをやって、それを調査研究とおっしゃるのなら、この寄付行為に入っているこの福祉協会の事業というのは全くないじゃありませんか。事業と言えばただ単に宿舎を管理している。ただそれだけになると思うのですが、理事さんいかがでしょう。
○参考人(内藤敏男君) ただいま御指摘の数字は、あとのほうが間違っているのじゃないかと思いますが、いまちょっとわかりませんが。
○二宮文造君 ちょっと待ってください。そんな不謹慎なことをおっしゃってはいけません。これは協会の決算書の付属書類ですよ。協会の決算書の付属書類は理事、評議委員会、監事の承認を得ることになっているのです。その書類が間違っているのじゃないかと思いますなんて、そんなばかげた決算がありますか。これは労働省、よく知っておいてください。
○参考人(内藤敏男君) これは調査をしておりまして、その後中高年と申しますか、高年齢者の就職の問題につきまして研究をしたいという気持ちは持っておりましたのでありますが、何分にも宿舎のほうの建設が非常にテンポがございまして、そちらのほうに忙殺されるというふうな形になりましたので、いささか研究のほうが遅れているというような形になったわけでございます。
○二宮文造君 さらに、協会の役員はいま伺いました常勤役員二名、それから職員は何名です。
○参考人(内藤敏男君) 職員はただいま十名おります。
○二宮文造君 協会の組織図はどうなっております。
○参考人(内藤敏男君) 東京に本所というのがございまして、それから地方に支所というのを事業団の支部に置かせていただいております。
○二宮文造君 何カ所です。
○参考人(内藤敏男君) 七カ所でございます。それからあと宿舎がたくさんありまして、大体現在では港湾なり簡泊のほうも入れまして四百二十四カ所でございます。
○二宮文造君 東京に本所がある、地方に事業団の支部ごとに支所を置いてある、それが七カ所だ、職員が十名だと。そうしますと、その職員の配置はどうなっておりますか。
○参考人(内藤敏男君) ただいまのところでは本部に七名おりまして、支所のほうに三名配置してございます。
○二宮文造君 そうすると、あと四カ所の支所、特に名古屋というのはたいへんな施設を持っております、そういうあとの支所は職員を配置しないでどうするのですか。
○参考人(内藤敏男君) 職員を配置するつもりでいろいろやっておりますが、なかなか適当な人が得られませんので、ただいまお話の名古屋は支所のほうで非常に探してもらいましたが、なかなかうまい人がないということで今後も努力を続けていきたいと思っております。
○二宮文造君 それでどうやっているのですか、職員のいないところは。
○参考人(内藤敏男君) 職員のいないところは、とりあえず事業団のほうの御協力をいただきまして、始末をしております。そういう形です。
○二宮文造君 職員のいないところは、事業団の支部長を支所長に兼任発令しているんでしょう。
○参考人(内藤敏男君) 支長は七カ所とも事業団の支部長に兼務をお願いいたしております。
○二宮文造君 そうしますと、ここで協会と事業団とが、名前は違うけれども、地方の組織においては全然一緒ですね、人的には。こうなります。これは一つ問題点としておきます。 さらに今度は、その協会の運営の費用はどうなっておりますか。
○参考人(内藤敏男君) 住宅管理の委託費として事業団からいただいております。
○二宮文造君 幾らでありますか。四十四年度の決算書でけっこうです。
○参考人(内藤敏男君) 四十四年度の受託収入は、決算書に載せてありますが、五億一千一百五十万余円でございます。
○二宮文造君 事業団から移転就職者用宿舎等々の管理だけのために家賃をとってもらう、修繕費は別に事業団が組んでいるわけですから、管理をしてもらうだけで協会に五億一千百万余円の委託金額を出している。さてこの五億一千万円に見合う事業団の収入は幾らですか、家賃収入は。四十四年度決算でおっしゃっていただきたい。
○参考人(広瀬忠三君) 約二十億円であります。
○二宮文造君 家賃が二十億円、その家賃をとってもらうところに五億円、一体こういう家賃の取り立て手数料がありましょうか。どうでしょう。ただ毎月家賃をとってもらうだけで家賃の二割五分を協会へ出してしまう。
○参考人(内藤敏男君) ただいまのお話、ちょっと聞き違いがございますようですが、受託収入の中には、宿舎を維持管理していく費用、それから日常起こる修繕、そういうものは入っております。それで約二億程度のものはそちらのほうに回っておりまして、この五億全体が事務費みたいなものではないわけでございます。それで日常の修理と申しますと、簡単なものはガラスが割れたとか水道が破裂したとかというようなものでありますが、これで一番多いのは例の浄化槽の掃除というやつがありまして、これに案外金がかかるわけであります。それからもう一つ、日常起こるものでは、水道を屋上まで上げなければなりませんので、上げてそれから各戸に水が行く。これは市の水道からとった場合もやっぱりそういうことになっております。それの何と申しますか、水道のポンプの弁ですか、動くものの故障がわりあい多いということで、事業団のほうはわりあいに大きなものをやっていただきまして、ふだんすっと起きてそれをすぐ直さなけりゃならぬというふうなものは、私のほうの中高年協会で扱っていると、こういう形になっております。
○二宮文造君 いや、私が言うのは、そういうこまかい問題は別として、現実に協会がやっていることといえば、家賃の取り立てだけでしょう、やっていることは。その家賃の取り立てに家賃収入の二割五分も出す家主がどこにいますかと言うんです。そういう仕組みになっているんです。事業団どうです、理事長。
○参考人(堀秀夫君) 事業団からは、ただいまお話のように、四十四年度におきましては五億一千万円程度の委託費を出しているわけでございます。その内容といたしましては、まず第一に、全国で約五百人程度おります管理人の人件費、それと、いまの中高年協会の本支部の役職員費、合わせまして約二億七千四百万円、これだけが委託費の中身の一番大きな部分になっているわけでございます。それから、そのほかの事業といたしましては、ただいま内藤理事のほうから話がありましたような宿舎の維持管理に必要なもの、これは区分といたしましては宿舎の構内の、たとえば道路の補修であるとか、門、へいの修繕であるとか、そういうような大きな工事は事業団がやっておりますが、日常生活に関係があって、即時修繕を要するようなガラスの破損であるとか、あるいはいま話のありましたような浄化槽であるとか、そんなようなものはこの中高年協会が行なうものと、大体このように分けておりますが、その関係に要する費用が受託費として入っているわけだと記憶いたしております。
○二宮文造君 私が質問をする趣旨にひとつも答えていただいていない。管理人さんの人件費があることも承知しております。それも含めてもけっこうです。ただ、どこの世の中に家賃収入の二割五分も家賃の取り立てに使うところがありますか。これは考えられますか。試みに住宅公団の場合を申し上げましょう。住宅公団の場合は、家賃がきめられる——これを一〇〇%としますと、まず償却費が四八・七%、それから地代相当額が一九%、それから修繕費が一〇・七%、管理事務費が四・四%、それから損害保険料が〇・六%、公租公課が一五・六%、引き当て金が一%、計一〇〇%、そうでなければ立ちかえができません。ところが事業団の場合は、公団ではわずかに四・四%で押えているこの管理事務費を、二五%も計上しているのは一体どういうわけか。もっと言いますと、私は、これらの機構を事業団の中に吸収してしまえば——よろしいですか、協会の本部のそういう運営費も要らなくなるでしょうしあるいはまた管理人さんも、ただ一日何にも仕事がないと言うんです。何にもない。退屈でしょうがないから子供と遊んでいると、こう言うんです。ですから、もっとやっぱり意欲的に仕事を与えてあげるという意味で事業団の陣容の中に組み込んでいけば、さらに運営とか人の配置とか、そういう面がいいわけです。要するに、私はこれをどう見ても、協会のためにこういう協会をつくって、そこにだれかを入れる、そのためにこういうみだらな、私どもが納得のできないような管理事務費を計上してきた。これはほんとうに、逆説するならば、現代の時世に合わせたいわゆる雇用促進というものに名前をかりたやり方である、こう私は断ぜざるを得ないわけですが、どうでしょうか。
○参考人(堀秀夫君) ただいまの御指摘、非重に貴重な御指摘でございますが、たとえば公団関係の住宅と事業団の移転就職者用宿舎とはいろいろ異なる点が多いようになっておるわけでございます。事業団の移転就職者用宿舎は、先ほども申し上げましたように、全国各地に散在しております。それで住宅公団のように、ある地区に非常に集中するという度合いは、これはやはり公団の場合と事業団の場合と比べますると、だいぶ差異があることは事実だろうと思います。 それからもう一つは、たとえば家賃の問題でございますが、家賃、使用料の問題でございますが、事業団の移転就職者用宿舎の家賃使用料は、第二種公営住宅等の基準を参考にしつつ算定しておるわけでございますが、公団住宅等の家賃、使用料と比べますると非常に低額であるというわけでございます。したがいまして、その家賃の中に占めるところのいろいろ管理あるいは家賃収納というような費用のわりあいが、やはりこの場合は高くなるということ、これも違った点であろうと思います。 それからもう一つは、宿舎の家賃収納につきましてもう少し合理的な方法を考えたらどうだろうか、あるいは一々管理人を置かないでも、もう少し合理的な方法がありはせぬか、こういう御意見も確かにあるわけでございますが、その点も検討はしておるのでございまするが、いまのように非常に分散されておるという点が第一、それからその移転就職者用宿舎にお入りになっておる入居者の方は、大部分は遠い地域からいろいろ離職をされてこの地域に就職をする、そのためにここに移ってきたという方でございます。それで各地からいろいろな方が入っておるわけでございます。それからその家族についても、共かせぎというような状況が非常に多いようにも思われます。そういうようないろいろなことを考えてみますると、管理人というものを現状では——場所によっては昼間の仕事が少ないかもしれませんが、やはり置いておいたほうがいいんではないか。そういうような特殊な事業団のいろいろな宿舎の性格がございまするので、現在のところは、ただいま申し上げたような体制になっておるわけでございます。もちろん、これをさらに合理化する必要があることは言うまでもないことでございまして、ただいま先生御指摘のようないろいろな貴重な御意見、これはわれわれも大いにひとつ検討はさしていただきたいと思っております。現在は、そのような経緯で現状のようなことになっているわけでございます。
○二宮文造君 理事長は私の質問の焦点をそらそうとなさっておるんです。そうではなくて、私は、こういう寄付行為でやった協会なら、委託費だけで生活するような、そんなことは考えないで、もっと調査研究、雇用促進という重大なものがあるのですから、その方向に進むべきであって、一目して事業団に対し、あるいは雇用促進に寄生虫的にひっついているような——決算書を見ましたり、あるいは事業報告書を見たら、これはもう寄生虫だ、こう見えるような、そういう協会をおつくりになる必要はない。また、そこに委託をすることはない。委託をするために寄付行為を変えるんでしょう。協会の寄付行為の中で「労働者の」ということばを使っているところは、あの四項目だけですよ。あとは全部「中高年齢者」と、こうなっているんです。こういうふうにも協会と事業団と労働省とが一緒になって、そして寄生虫的な協会をつくる必要はないじゃないか。しかも、家賃収入の二五%も家賃の取り立てだけに使ってしまうような、そういう運営のしかたはまずい。なぜかならば、事業団はいま長期借り入れ金が五百億ですよ。それに対して貴重な支払い利息を年々、四十四年でも二十七億六千万円も払っている。これは、そのまま生かされたら、いわゆる港湾労働者やあるいは炭鉱離職者や、そういう方々のためによっぽどこれは仕事ができる。一万円でも十万円でも百万円でも事業費を節約して、そうして本来の業務に集中すべきにもかかわらず、こういう経営のしかたというのは、私はよろしくない。これはもうぜひ本来の筋に戻して、この移転就職者用宿舎というのが事業団本来の仕事です。これを下請に回して、そうしてその下請が寄生虫的な動き方をしないでもいいように、ぜひ本来の筋に戻すべきだそうでなければ納得できない、こういうことを私は指摘をしておきます。ましてや、いまの協会がもう職員がわずかに本所でさえ七名しかいない。その七名の中でお二人は御婦人なんですよ。地方へは七カ所あったって三人しかやっていない。一体何ができますか。ですから、先ほどのような事業報告書になってしまう。協会が協会としての機能を果たしていないんです。こういうことも私は指摘をいたしておきます。で、今度は話が変わりますが、まあいまの問題について、政務次官、御答弁いただきたい、感想をいただきたい。
○政府委員(大野明君) ただいま二宮先生の御指摘の点については、私も非常に疑惑を持たれるような点があったという点については同様でありまするが、現在このような形で運営しているものを直ちにやめるということも無理かと思いまするが、もっと合理化しまして、あるいはその内容をよく検討把握いたしまして、その上で善処すべきものはしていくというような形をとりたいと考えておるわけであります。
○二宮文造君 それから、これはけさほど鈴木委員からお話があった事業団の用地買収、また古傷にさわられるというようなお気持ちがあるかもしれませんが、けさの鈴木委員の総括的な質疑の中で、私もまあ事業団の考え方というものが若干わかる気もしましたけれども、どうも理事長さんの答弁を伺っておりますと、たとえば民間からあっせんして購入するときには、複数の評価鑑定をとるようにする——あるいはまだなんですか、ちょっと気になることがありましたよ。あっせんによる用地取得のときには府県市町村の立ち会いをつけて中身をガラス張りにする、こういうことは、いままでガラス張りでなかったのか、こういう逆説にもなってくる。そうして、そういうふうに考えながら、実はいろいろございますけれども、一カ所だけに区切って事業団のあり方というものを私もう少し反省していただきたいと思うんですが、昭島の郷地の土地、これは昭和四十年十月二十六月、日本ライクからお買いになったんですね。そうして坪当たり二万八千三百円、総額一億七千七十一万七千四百八十六円、その土地の坪数は六千飛び三十二・四二坪と、こういう売買契約書になっておると承知しますが、どうでしょうか。
○参考人(堀秀夫君) そのとおりでございます。なお、ちょっと私が先ほど申し上げたことばでございますが先ほどの御質問で、理事長はどんなつもりでやっておるかという御質問でございまして、私としては、今後このいろいろな問題について、事業団の業務というものをなるべくガラス張りのところでしたいと、こういうわけで申し上げたわけでございまして、いままでがガラス張りでなかったと、こういうわけではございません。
○二宮文造君 いま、私が申し上げた数字は違いがないと。ところが、この土地は、実は、西武が持っておった土地で一よろしゅうございますか、西武鉄道が持っておった土地で、西武鉄道から日本ライクが坪当たり二万五千八百円で買った土地、坪数が若干ふえておりますけれども六千九十六・九七坪、これは道路敷地が六十四・五五坪ありまして、それでこれだけにふえたらしいのですが、坪当り二万五千八百円、総額一億五千七百三十万一千八百二十六円で西武鉄道から日本ライクが買ったことになっておりますが、これはどうですか、事業団のお調べでいかがですか。
○参考人(広瀬忠三君) ただいまの西武から日本ライクが買った価格が坪当たり二万五千八百円という事実は、私どもはこの土地の売買があった後、一年後の会計検査院からの御照会で初めて知ったような次第でございます。当時としては存じませんでした。
○二宮文造君 それで、日本ライクが西武鉄道から買った日はいつですか。
○参考人(広瀬忠三君) 昭和四十年十月二十六日でございます。
○二宮文造君 そうすると、日本ライクが買った日が四十年十月二十六日で、事業団が日本ライクから買った日が四十年十月二十六日、同じ日に売買があったわけですね。そして、値段が一方は坪二万八千三百円で事業団は買った。日本ライクは二万五千八百円で買ったと、こういう食い違いになりますね。大きな金額の差が出てきます。それで、そのときの日本不動産銀行の鑑定評価、おたくが買うときの鑑定評価は給排水設備の完備した造成住宅地と想定して、給排水設備ができている住宅地の場合は坪当たり二万九千円でございます、こういう鑑定評価だったと思うんですが、当時は、あとで申し上げますけれども、給排水設備はできていなかった。にもかかわらず二万八千三百円で買った。これはどういう意図で限度いっぱいでお買いになったんですか、給排水設備ができていないのに。
○参考人(堀秀夫君) 先ほども申し上げたのでありますが、六、七年前のことでございますので、いろいろ資料も散逸しておりまして、最近、その資料を集めまして、当時の実情をなるべく評価に調査したいと思いまして調査中でございますが、ただいま御指摘のように、日本ライクが西武鉄道から買収した価格を上回る価格で日本ライクからなぜ買ったか。こういうお話でございますが、当時の事情を聞いてみましたところ、日本ライクが西武からどのような価格で買ったかということは、売買当時は事業団には絶対にわからなかったそうでございます。 そこで、事業団といたしましては、いまのような水道——給排水というようなものの整備した土地として幾らであるかということで、日本不動産銀行に鑑定を依頼いたしましたところ、二万九千円、こういう鑑定額を得まして買ったのが二万八千三百円ということで、日本ライクから買ったわけでございます。その際、給排水と、それから上水道等につきましても整備して事業団に渡すということについて、日本ライクのほうから確約書を取っております。その資料が出ております。 そこで、それに基づいて、いまのような買収を行なったわけでございますが、その点につきまして、実は、私ども今後事務処理として反省を要するんだという点につきましては、単に確約書を取っただけで、いまのような手続をとるということ自体、事務処理がおかしかったのではないか、こういう点は反省すべきではないか、このように私どもは考えております。
○二宮文造君 それで、おっしゃる給排水設備は、日本ライクとそれから西武鉄道との間では、西武鉄道がやると、西武鉄道の負担でこれをやりますと。ということは、昭島にあります昭島・立川屎尿処理組合、そこへどうしても管末をつけなければならない。で、昭島・立川屎尿処理組合の同意を西武がとって、そうして、それをしますということで、この日本ライクと西武との間には、契約金は一億五千七百万円でございますけれども、三百七十六万一千二百四十五円は日本ライクは払ってないんです、西武鉄道に。払ってない。それだけ日本ライクは三百七十六万円を留保しているわけです。そして、そういう事実があるにもかかわらず、事業団は日本ライクから確約書を取るだけで、全額支払ってしまった。さて、この工事は一体どうなりました。
○参考人(堀秀夫君) ただいまのお話に大体間違いがないんですが……
○二宮文造君 大体なんて失礼な、絶対間違いないです。
○参考人(堀秀夫君) ちょっと条件があるわけです。私どもの調べたところによりますと、これはあとからわかったわけでございますが、西武と日本ライクとの間で、いろいろ西武のほうで排水工事を行なう費用を負担する、排水工事を行なう、こういうことで契約があったようでございますが、その際、排水処理組合のほうとの話し合いは、これは日本ライクがつけるということがございます。そこで、いまのようなことで、西武と日本ライクとの間で契約があったということは、これは後ほどわかったことでございますが、事業団と日本ライクが契約した当時におきましては、いまのようなことは事業団ではわからなかったそうでございます。 そこで、その後の状況でございますが、今度この排水の問題につきまして、上水道は日本ライクが布設した。したがって上水道は布設されて事業団に移ってきたのでございます。給排水のほうにつきましては、日本ライクがその給排水の衛生処理組合のほうといろいろと交渉したらしいのでございますが、どうしてもその同意が得られないということで話し合いがつかない。したがって西武としては、そういうことならばわれわれとしても話し合いはなかなかできないということで、結局給排水の処理というものがなかなか工事が行なわれなかった。そこで……。
○二宮文造君 もう少し簡単に要点だけおっしゃってください。
○参考人(堀秀夫君) そこで事業団といたしましては、この日本ライクに再三督促をしたわけでございますが、いまのようなことでできないということで、事業団がみずから乗り出しまして、いろいろ地元と折衝いたしました結果、その承諾がようやくとられました。それで給排水工事を行なったわけでございます。そこで、そうなれば、その給排水工事を行なった費用というものは日本ライクから取り立てる必要があるということで……。
○二宮文造君 幾らですか、その金額は。
○参考人(堀秀夫君) 約三百三十万円でございます。そこで取り立てる必要があるということで、事業団は日本ライクに再三督促をしたのでございますが、なかなか日本ライクがその後払わない。そこで事業団といたしましては、四十二年の八月に東京地方裁判所に民事訴訟を提起しまして、そこで勝訴の判決があったわけでございますが、日本ライクはそのころから破産同様になりまして、責任者もいない、こういう状況と聞いております。
○二宮文造君 もう私の持ち時間ははるかに突破しましたので、結論にしますが、西武が持っている土地だということは登記謄本を見ればすぐわかるのです、日本ライクの持ちものなのか、この土地の地主はだれなのか。土地を買うときはだれだって謄本を見るのです。きのうやきょう初めて土地を買うのじゃあるまいし、事業団が土地を買うのはいままでずっと三十六年から経験済みです、これは四十年の仕事ですから。しかも西武の土地である、日本ライクにはまだ登記がされてない。日本ライクが西武から買った同じ日に事業団が買った。おかしいでしょう。それで、もうすでに不動産銀行の鑑定書がそろっている。一体不動産銀行の鑑定書はだれの持ちものを鑑定したのです。その時点から西武が持っているということはわかっているわけなんです。そこでさや取りをされた。しかも日本ライクに三百三十万円という工事費までよけいに出さされた。ちょっと試算をしてみますと——もし、こういう不動産あっせん業者、これにあっせん料を払ったとしても三%で済むのですよ。これは売り買いが三分ずつですから、最高払ったとしても三%で済む。そうしますと、これはもうほんとうにその差額だけでも一千数百万円。それからまた、工事費をかつがされただけでも三百万円、合計二千万円近い国損をこの土地で与えているわけです。たとえば、こういう計算をしてみましょうか。要するに日本ライクが西武から買った値段で坪数をかけますと、一億五千五百六十三万六千四百三十六円という試算が出るのです。それに三%をかけても手数料は約四百七、八十万で済みます。合計一億六千万何がしでおさまってしまうにもかかわらず、事業団は一億七千七十一万七千円も払っている。その上、三百三十万円かつがされている。その当面の責任者の方がいまの中高年齢者福祉協会の理事長さんです。こういうように結びつくと、一体、国損を与えたその当面の責任者がさらにまた寄生虫的な団体でいるということが、これは労働行政、雇用行政としてよろしいものかどうか、私は、少しことばが激しくなりましたけれども、こう感じます。この事業団の運営については、ほんとうにこれは心していただかなければ困ります。先ほども出資金が千百億円をこえたとおっしゃいますけれども、預金が百七十五億、土地が百四十五億、建物が五百三十億、工作機械が百十二億、それから機械が五十四億、建設仮勘定が七十二億、貸付金が四百八十七億、また逆に今度は、長期借り入れ金が五百億と、こういうたいへんな資産内容をもって事業運営をしていく事業団が、いま申しましたように、しろうとが見てもおかしいなあと思うような用地の買収のしかた、あるいはその経営のしかた、これはもう抜本的に改めていただかなければ、もう労働者はかわいそうです。こう思うのですが、政務次官、その前に職安局長から——担当の関係ですからまず職安局長から御答弁いただき、そして政務次官から御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
○政府委員(住榮作君) 二宮先生から非常に各方面にわたりましていろいろ問題点の御指摘をいただいたわけでございます。私どもも、これからの雇用問題を解決していくにあたりまして、いろいろな意味での援護措置等も必要になってくるわけでございますから、そういう場合に国の機関でできないものは、ひとつ事業団でやっぱりやっていただかなければならない点も非常に多いわけであります。そういう意味で事業団の業務も非常に広くなってまいっております。私どもも、そういう意味で今後の事業団の業務の運営等につきましてさらに事業団とも十分相談いたしまして、この際検討すべき点、問題点等をも整理いたしまして、新しい態勢と申しますか、新しい事態に即応するやり方を、こういうものについてすみやかな検討を行ない、改善すべきものについては改善を加えていきたいというように考えておる次第でございます。
○政府委員(大野明君) ただいま先生御指摘の点については、職安局長からいまお話がございましたように、私も同様に考えておりまするが、土地の取得等についても先ほど和田先生のときに堀理事長からお話がございましたように、当時は一つの鑑定士であったけれどもその後複数にしておるとか、まあ多少の改革改善はいたしておるつもりでありまするが、今後より以上に御趣旨に沿ってやっていくように、大いに前向きの姿勢で努力したいと思っています。 〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕
○渡辺武君 私は、ベンジジン系染料によって現在多発しております職業性の膀胱ガンの問題について伺いたいと思います。 御存じだと思いますが、最近西ドイツの世界的に有名な化学工業会社でありますバイエル社が、ベンジジン系染料の一切の生産と販売を停止すると発表したということが報道されております。これは申し上げるまでもなく、ベンジジンが職業性膀胱ガンを引き起こす非常に大きな原因になっているということが理由だということは明らかじゃないかと思います。日本でも、この職業性膀胱ガンの問題は以前からかなり大きな問題になっておりますし、昨年あたりは特別に表面化して大きな問題になったわけです。で、特に日本の工場の中でも、日本化薬の福山染料工場、これが昨年の三月二十日に労働組合の要求などによって、ベンジジンを使っての染料生産を中止するというような措置をとっております。また、同じ日本化薬の王子工場が昨年の四月からこれまた労働組合の要求でベンジジンそのものの製造を中止するというような措置をとったと聞いております。 そこで伺いたいんですけれども、日本でいまベンジジンやベータ・ナフチルアミンを製造している工場ですね。それからまた、これらを原料として染料をつくっている会社や工場、この数がどのくらいあるのか、おもな会社はどういう会社なのか。それからまた、そこで働いている労働者、これは何人ぐらいいるのか、その辺を伺いたいと思います。
○説明員(北川俊夫君) ベンジジンの製造工場は、いま日本では四社と聞いております。工場のおもなところは、いまお話のございました日本化薬、それから住友化学、協和化学、三菱化成、この四社と聞いております。直接ベンジジンの製造に携わっておる労働者数は、二十名程度ということがわれわれの調査で把握しておるところでございます。 それからベータ・ナフチルアミンにつきましては、最近この問題が非常に注目をされまして、われわれが昭和三十年以来六回にわたりまして種々通達で業界指導をやってまいりましたこともありまして、現在日本ではベータ・ナフチルアミンの製造はされておりません。 なお、ベンジジンをユーザーとして染料をつくっておる工場は二十二工場です。この中には、先ほど申しました製造の四社の工場が含まれております。それに携わっております労働者数の概数は百三十名となっております。
○渡辺武君 染料のほうですけれども、二十二社で、そのうち四社は大企業ですね。あとはおそらく中小企業だろうと思うんですけれども、この十八社になりますか、ここに働いている労働者というのは何人ぐらいになるわけですか。
○説明員(北川俊夫君) その点、ちょっと調査が不十分でございまして、百三十名の四社以外の中小企業が幾らか把握いたしかねておりますので、また、後日調査をいたしまして御連絡申し上げます。
○渡辺武君 それから、ただいまベータ・ナフチルアミンの製造がいま中止されているとおっしゃいましたが、いつごろからこれは中止されているんでしょうか。
○説明員(吉田実君) 昨年の七月以来中止しております。工場は大栄化工でございます。
○渡辺武君 さっき私申しましたバイエルの製造中止ですね。これについては、あなた方のほうへ何か特別な情報などが入っておりますか。
○説明員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、新聞で私たちも拝見いたしまして、すぐにドイツにレーバー・アタッシェがおりますので、そちらのほうに、どういう経緯で中止をされたか、あるいはまたいままでのドイツのベンジジンの製造工程がどういうものであったか、そういう照会をいたしておりますが、いまのところまだ報告がまいっておりません。
○渡辺武君 それでは次に伺いたいと思いますのは、ただいまの御答弁の中にもありましたように、昭和三十年ごろからいろいろ措置をとっておられるというふうなことでございますが、この規制措置ですね、いつからどんな措置を具体的にとってこられたのか、その辺を伺いたいと思います。
○説明員(北川俊夫君) 昭和三十年以降、六回にわたりまして通達を出しておりますが、昨年の四月にそれを集約いたしまして、労働基準局長及び関係業者に対して通達をいたしております。「尿路発癌性物質の製造、取扱い業務における尿路障害予防対策について」という内容のものであります。その大まかなことを申し上げますと、第一点は製造工程を原則として密閉式のもとで作業をする。ただし、製品ができました場合に、それをどうしても袋詰めにする、そういう工程がございますので、その場合に、従来のように粉末で汚染をされるという危険のないように、製品はウエットなもの、いわゆる粉末でない状態にするようにという点が一点でございます。 それから第二は、そこで使いました廃棄廃液につきまして、当該労働者の健康の問題もございますけれども、最近よく言われます公害の発生源ともなり得ますので、その除毒につきまして十分の措置をするようにという内容の指示でございますす。 それとともに、関係業務に従事しております労働者につきましては、年に四回特殊の健康診断、それをするように指示をいたしております。なおあわせまして、先生御指摘のように退職後平均十年、長いものになりますと二十年近くたってから尿路障害が出るというような例もございますので、退職者につきましても追跡して健康診断ということを業界には強く要請をいたしております。
○渡辺武君 昨年の四月に集約されたということで、内容はいま伺いましたけれども、昭和三十年以来、六回にわたってやってこられた、いまおっしゃったような措置ですね、何年にどんなふうな措置をとられたか。そのポイントだけでよろしゅうございます、おもな点だけで。
○説明員(北川俊夫君) まず、昭和三十年の七月十八日に、染料中間体による中毒の予防ということで、ベンジジン、ベータ・ナフチルアミン等を扱う事業場につきまして監督の実施をするようにいたしております。それから第二は、昭和三十一年の五月十八日にベンジジンを含みますそういう染料中間体を製造する労働者につきまして、特殊健康診断をやる指導指針というものを通達いたしております。それから第三には、昭和三十二年の五月一日に、夏における労働衛生対策の推進という中で、染料中間体をつくっております事業場の再監督を指示いたしております。それから第四点としましては、昭和三十三年の三月十七日に、ベンジジンの製造を行ないます事業場における衛生管理の推進についてということで監督指導の実施を指示しました。各種方法を指示しますとともに環境の条件といたしまして、ベンジジンにつきましては、当時ややわれわれの理解が不十分でございましたけれども、抑制目標を〇・〇一五ミリグラムにするようにという指示をいたしております。なお最近におきましては、これは検出されない、抑制目標をゼロにするというような指導をいたしております。それから第六点としましては、昭和三十三年の四月十七日に、労働環境における有害ガス、蒸気または粉じんの測定方法についてということで、ベンジジンの測定の方法を指示いたしております。 以上でございます。
○渡辺武君 先ほどおっしゃった原則として密閉式にせよということは、いつの通達であったわけでございますか。
○説明員(北川俊夫君) それは先ほど申しましたように、昭和四十五年の四月三十日の指示でございます。
○渡辺武君 いまの規制措置を伺っておりまして、私、端的に感じますのは、これはもう非常に不十分じゃないかということなんです。まず第一に、私は非常にこの時期がおそいんじゃないかというふうに思いますね。これはまあ、あなた方のほうが専門家であって、よくもう御存じだと思いますけれども、このベンジジンやベータ・ナフチルアミン、これが職業性膀胱ガン、あるいはまた膀胱腫脹、これの原因じゃなかろうかというようなことが、学界その他で研究されて発表されたのはもうすでにずいぶん古いことですね。私の手元にある資料でも、すでに五十年前にILOで職業ガンの犯人として問題にされておるということで、半世紀の歴史があるわけですね。さらに、アメリカでは昭和十二年に犬で検査して、これは危険だということを明らかにしておりますし、イギリスでは大正十年から昭和二十五年の間に関係労働者四千六百二十二人を調べて、その中で二百六十二人が発ガンしている、百二十七人が死亡しているというような調査までやっているわけです。それで、外国で規制措置がとられたのは、昭和三十年よりもはるかに以前だったと思いますけれども、その点、あなた方どういうふうに掌握されているか、外国での規制措置、その年度、内容などをちょっと簡単にお伺いします。
○説明員(北川俊夫君) 私たちが知り得ております情報では、ベンジジンを法律で製造禁止にしておりますのはイギリスだけだと聞いております。その年月日につきましては、一九六七年にその法律ができておるように聞いております。
○渡辺武君 ベンジジンについてはそうでしょうけれども、一九六七年といえば、これはまあ日本でもそうおそくはないという論証に一つなるだろうと思いますが、しかし、ベータ・ナフチルアミンについてはどうですか。
○説明員(北川俊夫君) ベータ・ナフチルアミンについては私たち資料を持っておりません。
○渡辺武君 どうも専門家がそういう資料を持たないで、私のほうで調べて、私から申し上げるというのは、まことにこれは奇妙なことですけれども、私ども調べたところによると、外国でベータ・ナフチルアミンの製造、使用を禁止したのはスイスが一九三八年ですよ。それからドイツが一九四二年。それからイギリスが一九五二年。ですから先ほどのおことばですと、昨年の七月以来ベータ・ナフチルアミンについては製造を中止されておる、日本では。このこと一つとってみても、非常な立ちおくれだと私は思うのです。それからベンジジンの製造が禁止されたのがイギリスで一九六七年とおっしゃいましたが、しかし、それ以前にずいぶんいろいろな規制措置を早くからやっておると思うのですが、その点どうですか。
○説明員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、イギリスにおきましては、発ガン性物質についてかなり進んだ規制をいたしております。それに比べまして、日本の労働衛生といいますか、産業衛生関係につきまして立ちおくれがあるのではないかという御指摘でございますが、この点は、われわれも率直に認めざるを得ないと思います。いま、われわれが考えておりますことは、先般、御承知のように、昨年の九月、事業場内の有害物を取り扱っております業界につきまして総点検をいたしまして、いろいろな物質、約四十六物質につきまして、それがどの程度使われておるか、それが労働者の健康にどういう影響を与えたかという実態調査をいたしました。その結果に基づきまして現在、安全衛生規則の改正によりまして抑制目標をどうするか、あるいはそれの処理のしかたについてどう法規制をするかという内容を中央労働基準審議会に諮問をいたしております。立ちおくれにつきましては、われわれも十分反省をいたしておりまして、この改正によりまして、万全の措置をとるようにいたしたいと思っております。
○渡辺武君 とにかく一応の措置はとり、さらに、立ちおくれを自認されて最も完全な規制措置を考えておるということで、それはやらないよりもけっこうだと思います。しかし、事の重大性からすれば、とにかく人の命に関することですから、ガンというものはたいへんな病気ですから、やはり過去のことを私が追及して、いまいろいろ御質問しておるのは、今後の措置をやはり人の命を大事にするという見地から徹底的に、なるべく早くやっていただきたいということから御質問しておるわけですから、その点はひとつ大いにがんばっていただきたいと思うのです。たとえば、こういう例があるのですよ。あなた方、昭和三十年から規制措置を始められた。その立ちおくれのためにどういうことになっておるか。この問題は戦後でいえば、昭和二十四年ごろから私は問題になっておると思うのです。ところが、たとえば、いま北九州にある三菱化成の黒崎工場、あそこあたりは昭和二十九年ごろ、つまりあなたたちが規制措置を行なう前ごろ、こういうことが行なわれておるのです。会社が、ベンジジンをつくる職場、ここに長期間いるとガンや膀胱障害になるが、短期間ならかまわないということで、今度は、会社の全職場の労働者を交代制でその職場で仕事をさせるというような措置をとっておるのですね。これはどのくらいの期間の職場で働いて一体発病するものなのかというようなことについては、私も十分知りません。六カ月というような話もありますけれども、六カ月よりも短い期間働いて発病する可能性というものは十分あるのじゃないかというふうにも考えられますけれども、とにかくそういうことは、これはいわば発病の可能性を持った労働者を非常に多くしたということになると思うのですね。こんな危険なことが公然とやられておるのですよ。ですから、あなた方が規制措置をおくらしたということ、これが日本の労働者の職業性のガンのやはり発病に非常に大きな影響を与えておるということは、ひとつ真剣になって考えてほしいと思うのです。そこで、もう少し伺いたいんですけれども、いまおっしゃいました薬の許容量でございましたか、規制量ですか、〇・〇一五ミリグラムというのを昭和三十三年の三月にきめて、それから最近では〇%というふうにおっしゃいましたけれども、安全衛生規則のこの有機溶剤中毒予防規則ですね、ここにはベンジジンやベータ・ナフチルアミンの許容量が定めてないように私は思いますけれども、そういう法的規制が定められているかどうか、その点いかがでしょうか。
○説明員(北川俊夫君) 現在の安全衛生規則その他の規則によりましては先生御指摘のようにベンジジン、ベータ・ナフチルアミンの抑制目標といいますか、そういう数値につきましては規制をいたしておりませんで、そういう点が、先ほど申し上げましたようないまの産業生産の場の状況と比べまして立ちおくれておりますので、先ほど御説明申し上げましたように規則の改正をいたしましてその点の明示をいたしたい、少なくとも四月中には、その数値につきまして明示した規則の改正ができるものと考えております。
○渡辺武君 そうしますと、法的に許容量はゼロというふうにきめる意図でやっておられる、そういうことでございますか。
○説明員(北川俊夫君) 発ガン性物質はベンジジン、ベータ・ナフチルアミン以外に四種類ほど考えられておりますが、すべて検出されない、したがって許容量ゼロということにいたしたいと思っております。
○渡辺武君 それでは、ひとつぜひそういうことできびしい法的な規制をやってもらいたいと思ううんですね。 ところで私、さらに過去のことの追及になって恐縮なんですけれども、やはり昔をたずねて、そして今後のことを十分に正していくという見地からぜひ考えていただきたいと思うですが、昭和三十年からいろいろ通達を出され、監督を期してこられたというふうにおっしゃいましたけれども、この通達が確実に実施されてきたという保証があるでしょうか。たとえば、このいろんな予防措置ですね、防毒マスクをつけなきゃならぬとか、防じんマスクをつけなきゃならぬとか、あるいはまた予防のための衣服ですね、特別なそれをつけなきゃならぬとかいうような通達はたしか出されておりますね。あるいは昨年になって初めて密閉式にしなきゃならぬということを通達として出したと言いますけれども、こういうものはこれは一体義務規定なのか、もし、これに違反した場合に何らかの罰則などがあって、強制措置がとれるものなのかどうなのか、それを伺いたい。もう一つ、それから先ほどおっしゃいました特殊健康診断ですね、さらにはまた、もと職場で働いてた人たちの追跡調査、これについても、これが義務規定になってるかどうか。私はどうもこれらは全部企業の自発性にまかされてるというふうに思われますけれども、その点いかがでしょう。
○説明員(北川俊夫君) 先ほどから説明いたしておりますように、いまの安全衛生規則あるいは基準法に基づきます諸法令の中でベンジジン、ベータ・ナフチルアミンにつきましては具体的に抑制目標値はこうだ、あるいは健康診断をこうすべきだという規定はございません。したがいまして、昭和三十年以来われわれが昨年の四月までに出しました通達は、すべて御指摘のように指導通達でございます。その点、罰則で強制をしておらないという点がはなはだ不十分でございます。今回そういう点を盛り込みました規則改正をやろうということを考えております。
○渡辺武君 重ねて確認したいんですけれども、強制措置にすることを考えていらっしゃるわけですね。
○説明員(北川俊夫君) 基準法に基づきます規則でございますので、それに違反をすれば基準法の罰則がかぶる、そういう法体系にいたしたいと考えております。
○渡辺武君 そういう実情ですから、だからあなた方は通達を出した出したと言うけれども、その通達が確実に実行されているかどうかということは、これは私はとても断言できないと思うんですね。企業の自主性といったって、企業にとってみれば、これは一言で言えば利潤が最高の目標ですから、労働者の健康については二の次、三の次というのが大体企業の実情だと思うのです。だから、そういうことがやはり職業性のガンを多発さしている一つの大きな原因になっているわけです。その点はひとつ深刻に反省していただきたいと思うんですね。たとえば、私の調べたところによりますと、都内のある工場です、名前は申しません。申しませんけれども、そこの労働者に直接聞いてみますと、昭和三十七年ごろまでは、通達に規定されているような防毒マスクとか、あるいは防じんマスクとか、あるいは保護衣なんて一切つけなかったと言っていますよ。ベンジジンの粉じんの立ちこめる工場の中で、何もつけないで仕事をする、時には素手でもってベンジジンにさわるようなこともあったということを私直接聞いているんです。そうして、そういうことを通達どおりに実施させた主要な力は何かといったら労働組合です。私が一番冒頭に申しました日本化薬の福山の工場あるいは東京にある工場、ここらあたりで有害物質を使う染料あるいは有害物質そのものの製造を中止させたのは主として労働組合の力、これは偉大なものだと思うのです。ですから、その労働組合の努力でかなりの点が改善されてきたというのが私は実情だと思う。労働省はいままでそういうふうな現実について御存じだったんでしょうか、御存じなかったんでしょうか。その点いかがでしょう。
○説明員(北川俊夫君) 法律の強制的な裏づけなしに指導通達でやっておるので、その指導の徹底というものが不十分ではないかという御指摘でございました。私たちも、私たちの指導通達で日本全国のベンジジンを製造もしくは使用しております工場が完全にわれわれの指示どおりであるという確証もございませんし、また、その自信もございません。ただ、私たちが全国の基準監督署等の監督指導の実態報告を受けましたところ、やはりわれわれの出しました指導通達というものが、もちろん先生のおっしゃったような労働組合の方々のそれによる、何といいますか、注意という行動がなりの効果があったにいたしましても、われわれの指導通達の方向に相当動いておる。われわれがつかんでおる範囲では、たとえば、設備の合理化あるいはそれに伴いますところの企業の集約化、いままでたとえば製造工場にしましても、二十数社ありましたものが四社に集約されてきておるいうような点から見ますと、組合の方を含めまして世論のそういう批判というもののバックもございましたけれども、われわれの指導通達はそれなりに効果があったのではないか。ただしかし御指摘のように必ずしも十分でございませんし、その点につきましては、先生御指摘のような諸外国の実例等も考えまして、今回の法令の改正の中て盛り込んで万全を期するようにいたしたいと思っております。
○渡辺武君 言いたくはないけれども、いまの御答弁を聞いて、私はあまりに無責任だと思うんですね、そういうことでは。人の命にかかわる問題、それについて通達は出したけれども、そのとおりに実施されているかどうかということについては、確証もないし確信もないと、こんな御答弁を私はいただくとは。まあ、ある程度は予想しておりましたけれども、率直な御答弁をいただいて、それはまあけっこうですけれども、あまりに私は無責任だと思いますね。そんな労働行政もやっていて、労働者の命をどうして守ることできますか。とんでもないことですよ、これは。 まあ一、二、具体的な点について伺いたいのは、先ほど特殊検診をやるように勧奨しているということを申しましたけれども、特殊検診が実際にやられているかどうかですね、その辺は十分に把握しておりますか。特に、先ほど伺った日本化薬だとか住友化学だとか、それから協和化学だとか、あるいは三菱化成だとか、こういうところはまあ大工場、ある程度はやられているかもわかりません。しかし、その大工場以外の中小工場、この辺ではどうですか。大工場も含めてですね、掌握されているかどうか。 もう一つ、前歴者の追跡調査ですね、これはやられているかどうか。この辺も伺いたいと思います。
○説明員(北川俊夫君) 昨年の九月の私のほうでやりました総点検の結果では、ベンジジン関係の事業場二十二工場につきましてすべて行なっておりますけれども、その中で、健康診断をやっておりましたのが、十六社、十六工場でございます。したがいまして、六工場が健康診断ができておりませんので、これはすぐに特殊健康診断をやるように指示いたしております。 なお、追跡調査につきましては、いままでベンジジン製造工程に過去に従事いたしました労働者の方の数が、推計でございますけれども、約千五百というふうにわれわれはつかんでおりますけれども、これにつきましては、健康手帳というものを使用者から発行させまして、検診については使用者側の負担でやるというような趣旨を徹底さして、いまその督励をいたしておりますが、私たちが報告を受けておりまするところは、いまのところなかなか把握が困難な点もございまして、五百名程度しか実施ができておらないという実情でございます。
○渡辺武君 これはもう、全くそういうことではどうにもしようがないじゃないですかね。労働組合がこの問題を重要視して会社に前歴者の名簿をほしいといって要求しています。ところが要求されたのは、これは保土谷化学ですか、あそこの労働組合が手に入れているだけですよ。あとほかの労働組合は、この名簿についてどこも手に入れてないというような実情なんです。ですから、あなた方千五百人あるだろうというふうに言っておられて、そのうちの五百人程度しか掌握されていない。三分の一ですね。しかし、この千五百というのも、私はこれはまあちょっとおっしゃるとおりに信用できるかどうか非常に疑問に思います。というのは、いままでおっしゃったようなことをずっと伺ってみますと、ほんとうにこれはもう無責任でもってやってきているわけですから、これはもう実に残念ですね。 それから、いま昨年九月に総点検をされたとおっしゃいましたけれども、それまでこういう総点検などやられた総験はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。
○説明員(北川俊夫君) 昨年の九月は、ベンジジン関係だけでなくて、四十六の有害物質について総点検をやったわけでございまして、これはその限りでは初めてでございますけれども、ベンジジン、その他染料の中間体の取り扱いの監督につきましては、先ほど申し上げましたように昭和三十年、あるいは三十二年、あるいは三十三年と、そのつど監督指導の指示をいたしておりますので、ほかの物質とは違って、かなりきめこまかくやっております。
○渡辺武君 かなりきめこまかくやられたと断言されていながら、それが通達どおりに実施されているか、これはちょっと確信が持てないという御答弁になっているわけですからね。ですから、やはりそんなところに安住することは私はできないと思う。 そこで伺いたいんですけれども、一体この労働監督官ですね、この数はいま全国でどのくらいあるのか。その労働監督官の中で第一線労働監督官、これは一体どのくらいか。またデスクワークを主としてやる人はどのくらいなのか。それからまた、こういう特殊な問題について監督することのできる技術者ですね、これはどのくらいあるのか、総数は。一人当たり労働者何名ぐらいになるのか、その辺を伺いたいと思います。
○説明員(北川俊夫君) 本省、局を含めまして、デスクワークも含めまして、現在監督官の総数は二千七百五十三名でございます。そのうち労働基準監督署の第一線で働いております者は千九百十一名でございます。都道府県基準局でデスクワークも含み、かつ監督指導もあわせ行なうという立場にあります者が八百六名でございます。なお、こういう関係の労働衛生専門の役割りを持ちます専門官につきましては、地方には七十二名、中央に四名配置してございます。
○渡辺武君 そうすると、労働監督官一人当たりについて労働者何名くらいの割りになりましょう。第一線で計算してみてください。
○説明員(北川俊夫君) いま雇用労働者が約三千万というふうにわれわれ把握いたしておりますので、それで監督官が省局含めましてたとえば二千人で監督をしているとしますと、一人当たり一万五千程度の事業場・労働者を担当するということになるのではないかと思います。
○渡辺武君 労働監督官の数が非常に少ないために、労働監督官がこれは危険な職場だといって監督しなければならぬけれども、しかし、一年に一回も行けないというのが私は実情だと思うのですね。そういうような状態であるから、労働監督官がやっているだろうというような御趣旨の御答弁であったわけですけれども、私は、とうていあなたが御答弁されたように、こういう重大な職業病を防ぐという体制にはなっていないのではないかと思いますね。 そこで、まあこのベンジジンその他の危険なことは明らかなんですし、先ほどおっしゃいましたように労働基準法その他で今後は防止措置についても強制的なものにするというふうにおっしゃいましたけれども、いままでまあ労働基準法が日本につくられて、しかも、それが完全に守られているというような保証は、これまた全然ないというふうに言って差しつかえない。特に、先ほどの労働監督官の数からしてみれば、そういうことを断言して私は差しつかえないと思う。客観的にそれは証明されている。そこで、やはり当面の緊急な措置として西ドイツのバイエル社がやったし、日本でもすでに一、二の工場では、これは労働省の要求に基づいて製造中止をするというような措置までとられているわけですから、したがって、これを業者の自主性にまかせるというような措置ではなくして、政府がこのベンジジンにしても、べータ・ナフチルアミンにしても、これは製造中止されていると思います。特に、ベンジジンについてということになりますけれども、その製造と、それを原料として使って染料をつくるというようなことを直ちに禁止すべきじゃないか。同時にまた、製造の禁止だけじゃなくして、その使用と販売、これも直ちに禁止すべきじゃないかというふうに思いますけれども、その点どうでしょう。 〔理事和田静夫君退席、委員長着席〕
○説明員(北川俊夫君) 今回のドイツのバイエル社の措置を契機に、私たちも先生のいわれる御趣旨を十分考えまして、今後検討いたしますが、私どものいまの考えといたしましては、イギリスは法律で確かに先ほど申しましたように五七年に禁止をいたしておりますが、例外的にやはりその製造を認めているというふうにわれわれは聞いておりますし、私たちはいままでの指導に基づきまして密閉式で、しかもかつ適正な保護具をつけるということの指導をやってきたわけでございますが、これにつきましては、先ほど先生御指摘のように、それが一〇〇%徹底しているかという点につきましては、私も先ほどから申し上げておるように、緻密な監督、指導はやっておりますけれども、絶対にという自信もございませんということは申し上げたとおりでございますし、今回は単なる指導でなくって、規則の改正によりまして基準法の罰則の裏づけによって検出されない、いわゆる抑制目標ゼロ、しかも保護具についても、あるいは健康診断の実施につきましても、法令に基づく強制を行なうということでございますので、それによってわれわれは十分措置ができる、膀胱ガンの発生は予防し得る、こう考えます。
○渡辺武君 そういう弱腰というか、へっぴり腰じゃ私はだめだと思うんですよ。先ほども申し上げましたとおりですよ。それから労働基準法で罰則のある強制措置を今後とりたいと言うけれども、その労働基準法を完全に実施させるための労働監督官、これが先ほど御答弁のあったような、まことに貧しい状態でしょう。こんなことで、同時にまた、いままでのあなた方の措置自身がはっきりと示しておりますように、労働者の健康や命というようなことについて、それを守る立場にあられるあなた方のいままでのとられた措置というのは、全くこれはもうあきれ返ると言わざるを得ないような状態なんですね。通達は出さないより出したほうがいいにきまっていますけれども、通達は出したけれども、出しっぱなしで、しかも、これはもう企業のいわゆる自主性にまかされる。労働組合が戦って初めて自分の命が守られるというような状況になっているんですよ。そういうことですからね。だから罰則のある措置をとったからといって、決して労働者の命が完全には守られない。問題は、完全に守られるかどうかということにあるんですよ。しかも、職場の労働者に現実に聞いてみますと、密閉式の装置をやったって、これは安心できないと言っているんです。なぜかといえば、蒸気や何かは非常に小さなところからもどんどん出るというんです。これは目に見えないんですよ。そういう心配が労働者につきまとって離れない。イギリスのように完全密閉式だといって、はたしてそれがほんとうに完全密閉式になっているかどうか、今後なるかどうか、その辺だって絶対これは保証できない。人の命の問題です。それは私も聞いております、しろうとながら。このベンジジンをもし使わないようにした場合、代替物などでいろんな問題が起こる。もし、ほかの材料を使った場合に、コストが高くなるというようなことまで聞いております。しかし、問題は人の命の問題ですよ。コストが少しくらい高くなるとか、光沢が他の染料を使った場合に少しぐらい悪くなるなんというようなことは、人の命にかえられないですよ。そういうことでこの際、もし、過去の政府のやったことがどうも足らなかったということを反省するなら、こういう有害物質の製造、使用、販売、これを禁止するという措置は、私は当然とるべきだと思う。重ねて御意見を伺いたいと思います。
○説明員(北川俊夫君) 先ほど申し上げましたように、ベンジジンをつくっておりますのは、いまのところ集約されてまして四社でございます。四社につきまして立ち入り検査その他を先ほど申し上げましたように数度にわたってやっておりますが、完全密閉式でございます。その点につきましては、先生のおっしゃるように蒸気が漏れるとか、そういうことは、私たちはそういう事態はあり得ない、こう考えます。それから、なお確かに監督官の数が少なくて、算術平均をいたしますと一万五千人の労働者を一人の監督官が受け持っておるという実態にはなっておりますけれども、監督官はこれからますますふやさなければなりませんけれども、私たちの考えとしましては、いまの現有監督官で重点事業場については非常に厚い監督をやっている。ベンジジンにつきましては、先ほど通達で申し上げましたとおりでございますが、この前、問題になりました安中のカドミ工場のような、ああいう有害物質を取り扱っておる事業場は全国で約千三百ほどございますけれども、特別衛生管理事業場と、そういう指定をいたしております。ベンジジンの工場につきまして、個々の会社についてどうという資料がちょっとございませんので申しわけございませんけれども、安中のカドミ工場につきましては、この二年間に六回の監督をやっております。したがいまして、全般の尺度でもってこの問題ははかるべきではなくて、そこに重点を置いた監督指導をやるということで数の少なさは十分補い得るんだろうと思います。それからなお三十年以降われわれがいろいろ指導通達をいたしまして、まあ私たちが少なくとも内部で考えておりますのは、もちろん、この病気そのものが最高の場合には二十年という潜伏期間がございますので、三十年以降の効果がどうこうというような段階ではございませんが、早い人は四、五年で発病される例もあるようでございます。われわれの関知しておるところでは、指導監督が徹底し始めました三十年前半以降従事した方の中で、このベンジジンによる膀胱ガンあるいは尿路障害というような事態については、まだその発生の例を聞いておりません。そういう意味では私たちの指導は、先ほど不十分と申し上げましたけれども、それはやはりそれなりにかなりの効果がある。しかも、今回それを法令によって義務づけるということになりますれば、その点は私は十分なんではないだろうかというふうに考えております。
○渡辺武君 あるいはある程度、あなたのおっしゃるようなこともあるかもわかりませんね。しかし私は、それは一つの気休めにすぎないと思うんですね。それは安中のこの東邦亜鉛をこの二年間に何回調査したか、あるいはこういうベンジジンその他の製造工場がわずか四社になったというようなことも確かにあるでしょう。しかし問題は、私は、先ほどから申しておりますけれども、大きな問題になってから初めて一生懸命でもって監督官を派遣するというようなことをやってこられたのが実情じゃないでしょうか。しかも非常に不徹底に。労働監督官の数の問題については、まあいずれあとから時間があれば触れたいと思いますけれども、現場の労働者がこれじゃ不安心だと言っているんですね。密閉式と言っているけれども、そういう設備じゃ不安心だ。これはもう製造、使用及び販売を全面的に禁止してくれという強い要求を出している。何であなた方はその要求にこたえられないのですか。その理由をおっしゃってください。
○説明員(北川俊夫君) 私たちがいままでとっております防護対策といいますか、密閉式あるいは保護具の着用あるいは換気の装置の備えつけというようなことをやりますれば、ベンジジンによる職業病の発生は防ぎ得ると、そういうふうに考えておりますから、いまの段階で禁止をする必要はないというのでございます。
○渡辺武君 防ぎ得ると考えているとおっしゃいますけれどもね、あなた方は昭和三十年からぼちぼちいろいろな対策を通達を出してきた。で、去年になってから初めて、この密閉式にせよというような措置をとった。おそらく昭和三十年からぼちぼちぼちぼちとってきた。そのたんびに、これをやればだいじょうぶだというふうに、おそらくお信じになってやったと思います。もし信じないで、そういうことをごまかして言ったとすれば、これは大問題ですよ。先ほど来申し上げておりますように、いままでの措置がまことに不徹底だとあなた方自身が自認されるなら、今回の措置もあるいは不徹底じゃなかろうか。そういう見地から、現場で働いている労働者がこれは一番よく知っていますよ。あなた方より私はよく知っていると思うんです。さっき申しましたとおりですよ。労働者の戦いによって製造中止をもうした工場が日本ですでに出ておる。何であなた方はその措置をとるようにできないのか。大工場に損失をかけないようにということを考えているとしか私には思えないんです。大工場は、これによって相当の利潤をあげているらしいということを聞いております。ですから、もし製造中止をやって、一番考えなきゃならないのは、そこで働いていた労働者の配置転換先ですよ。これは十分に既得権利も保障し、あるいはそれに応じて起こるさまざまな損失も会社に補償させればいい、何もむずかしいことはないのです。中小企業については、あるいは転業しなければならぬというようなところも出るでしょう。そういうところには国が補償する。少なくとも労働者の命を大事にしようという立場に立つなら、そういうことをやる、あるいはその転業しなきゃならない労働者についても国が補償するということをやりさえすれば、私は難なくこういうことはできる。重ねて伺います。私は実施してほしいと思う。製造、使用、販売の中止をやられますか。
○説明員(北川俊夫君) 先ほどの私の答弁に若干間違いがありましたので、この際、訂正いたします。四十五年——昨年、密閉式を指示したと申し上げましたけれども、これは三十二年の五月の通達ですでに指示をしておりますので、この点訂正をさせていただきます。密閉式にいたしますればベンジジンの粉末が飛び出るわけはございませんし、またそれに加えて、われわれでき上がったものをウエットなものにしろ、粉末にならないようにしろ、こういうように言っておりますので、そういう点からすれば、私は労働者の方に危害を与える心配はない。しかも今回、抑制目標をゼロということで明示をいたしまして、その測定の方法も明確にいたします、監督のほうで測定をすれば漏れておるならばわかるように、いままで私たちが監督指導にあたって漏れておる事例はございませんけれども、今後はその点について十分配慮をしていけば事故の発生は防ぎ得ると思います。ただ、私はいま現行法制の立場で、そういうことが防ぎ得るということを申し上げておるのでございますけれども、ドイツの例もございますし、イギリスの例もございますので、今後、先生の御趣旨については積極的に検討はいたしたいと思います。
○渡辺武君 それは大いに検討して、とにかく命の問題ですから、私が申し上げました点を実行できるように至急にやっていただきたいと思います。 それで次に伺いたいのは、先ほどちょっと御答弁も若干ありましたけれども、ベンジジンなどの製造や使用に従事してきた労働者の発病状況ですね、約千数百名働いておったとおっしゃいましたが、発病状況、これを伺いたいと思います。いままでに何人発病して、何人死亡しているのか。これが年度別、工場別にわかりましたら、それもあわせて伺いたいと思います。
○説明員(松尾弘一君) 昭和二十六年以降の統計でございますが、昭和四十六年一月末現在におきまして、ベンジジン及びベータ・ナフチルアミンによる膀胱疾病補償状況でございますが、対象労働者数百三十九人でございます。百三十九人の内訳は、膀胱ガン四人、尿毒症百人、膀胱炎十三人、その他の皮膚炎が二十二人に相なっております。発生の事業場は十五事業場でございます。
○渡辺武君 十五事業場と言われましたけれども、何でしょうか、これは四社のほうが多いでしょうか。それとも、それ以外のところが多いんでしょうか。
○説明員(松尾弘一君) 最近になって次第に集約されてまいりましたので、それまでには中小工場がかなりありまして、四工場にすべて片寄っているということではございません。
○渡辺武君 ちょっと御答弁がよくわからなかったんですが、わずか四つの会社ですから、どの工場で何名というのをひとつお聞かせいただきたい。
○説明員(松尾弘一君) 具体的な固有名詞による工場ごとの疾病につきましては、後ほど資料として提出させていただきます。
○渡辺武君 それじゃ資料を拝見して、なおいろいろ伺いたいことがあれば伺いたいと思います。 さらに伺いたいのは、いままでこういうベンジジンやベータ・ナフチルアミン関係の仕事に従事していた労働者ですね、それから退職した労働者、それからまた、中小企業の中では倒産した工場などがずいぶんあるように聞いておりますけれども、倒産していまはない工場でかつて働いていた労働者ですね、あるいは退職した労働者、こういうところの追跡調査は、先ほど概略で千数百名とおっしゃいましたけれども、これは国として責任を持ってやっていらっしゃるか、それとも各工場にまかしてやらしているのか。それから、いままでわかったところでは何名くらいなのかですね、これを伺いたいと思います。
○説明員(北川俊夫君) 先ほど言いましたように、ベンジジン、ベータ・ナフチルアミンに従事しておった者の概数は千五百名というのを申し上げましたのは、工場、事業場から従業員の名簿等の提出、あるいは調査をいたしましての把握の数でございます。なお、それの検診につきましては、現在事業場にその実施方を指示をしておるということでございまして、国みずからがその実施をやっておるということではございません。
○渡辺武君 そうしますと、もうつぶれてしまった会社の工場の労働者などはどういうことになりますか。
○説明員(北川俊夫君) つぶれたようなところの労働者の方につきまして、かつてベンジジンを扱ったがゆえに尿路障害というようなことの申し出が労働基準局にございましたならば、基準監督署あるいは基準局におきまして労災病院等の診断を差し上げまして、そしてそれがベンジジンを取り扱ったことによるという因果関係が明確であるならば、労災の扱い、そういうものをいたす方針でおります。
○渡辺武君 それから、先ほど千五百名と概略おっしゃいましたけれども、その氏名などははっきりわかっているんでしょうか。そこからまた、現在の住所などは。
○説明員(北川俊夫君) これは各基準局、監督署ごとにそういう調査をいたして名簿をつくらしておりますので、私のほうでは概数でしか把握いたしておりません。
○渡辺武君 私は、その点も非常に不徹底だと思いますね。これはやはり国が責任を持って、とにかく危険性があるわけですからね。先ほどあなたがおっしゃいましたように、これは潜伏期間の長い病気ですよ。発病してからじゃおそいんですね、ガンなんという病気は。潜伏期間の長い病気ですから、現にその職場で働いている労働者だけじゃなくて、かつて働いたことのある人たちですね。これについては、国が責任を持って全面的な調査をすべきだと思う。各都道府県の労働基準監督局で実際そういうふうなことを全面的にやるだけの私は力はないと思う。先ほど伺ったような数字では、とうていこれは十分にはやってないですよ。やはり国がこの際責任を持って全面的に調査をするということが私は必要だと思います。その点をおやりになるかどうか。 それから、もう一つです。そういう人たちがもし申し出れば検診をやるというようなことですけれども、やはりこれは国が義務的にそういう人たちの検診を、これを徹底的にやって、その人たちの健康を守るという措置を私はとらなきゃならない、そういうことをおやりになるかどうか、これを伺いたいと思う。
○説明員(北川俊夫君) 健康診断の実施につきましては、企業が雇用しております関係上、企業に第一義的な責任があるとわれわれは考えております。なお、企業が自主的にやるだけでは不十分であるという場合には、われわれはその企業に対して検診を指示しておる。今回の例はそれに当たろうかと思います。なおかつ問題が生じてきまして、あるいは個々の問題等につきまして問題がありましたときには、労災病院等を活用して、国も関与いたしまして、そういうものをやることを検討したいと思います。
○渡辺武君 どうも、そういうことじゃだめだと私は思うのですね。時間がほとんどないんで、いろいろ具体的な事実はたくさんあるんですが。とてもあなた方、そんなこと言ってたんじゃ実情はつかめない。 一、二その点で伺いますけれども、たとえば、昨年の五月の十一日に、福岡の労働基準監督局が職業病の膀胱ガンの患者の追跡調査をやった結果を発表した。これが当時の朝日新聞に報道されておりますけれども、それによりますと、三菱化成の黒崎工場と三井東圧の大牟田化学工業所ですか、これの染料部門の従業員で膀胱ガンによる労災保険法の適用者は四十四人、そのうち十名が死んで十六人が治療中だと、この二十六人のうち、一度なおったと認められながらあとで再発した者が十九人だというふうに報告したという記事が出ております。私、この質問をやるに先立って、あなた方のほうにこういう事実があるのかと伺ったところ、その報告は受けてないということで、はたして報告を受けたのか受けないのか。また、こういう事実がほんとうにあったということを、あなた方つかんでいるかどうか。それから、時間がないのでまとめて伺いますが、同じ三菱化成の黒崎工場ですね、ここは、この二人目の死亡者が出てから初めて集団検診をした。この集団検診によって、三百数十人ほどが何らかの治療が必要だというふうな結論が出たということを私聞いております。ところが、三菱化成は、会社の持っている病院に患者をどんどんどんどん入れて、その実情については公表してない。こういう会社の秘密主義があるからこそ、私はあなた方に責任を持ってこういうことを調査しなきゃならぬじゃないかということを言っているんです。企業の自主性にまかしていたら、その実情を的確に把握することはできませんよ。この点どうですか、あわせて伺います。
○説明員(北川俊夫君) 福岡労働基準局につきましては、四十五年の七月十五日及び七月二十三日の二日にわたりまして、いま御指摘のように、三菱化成の黒崎工場、三井東圧の大牟田化学工業所の監督指導をやりまして、いまのような実態を把握しております。本省には、昨年の九月の七日に報告がきております。なお、それに基づきまして、健康管理につきましても退職者についての把握をさらに徹底するようにというような指示もいたしております。これは私、先ほどからいろいろ指導、調査をいたしておりますということを申し上げましたけれども、たとえば、これのように監督署の指導監督というものは、本省の指導方針に基づいて、現地では着実に行なわれておる一つのあらわれではないかと思います。
○渡辺武君 そういうことじゃないんですよ。つまり福岡の労働基準監督局がこういうことを報告した、あなた方もつかんでいると。だからまあ、ほかでもやっているんでだいじょうぶだという論理だと思いますが、私の申し上げているのは、会社の秘密主義です。会社は、これはどうも金のかかることですし、こういうことを公表したんじゃ大問題になる。職場の労働者だって、これはなかなか心配しているところですから、大問題になるのは当然ですよ。そういう実情にあるし、特に先ほど申しましたように、すでに中小企業で倒産してしまって、そこの労働者は全国に散ってしまって、どこにだれがいるのかというのもわからない状態だ。だから、そういう実情について国が責任を持って全面的に調査する。そうしてこれらの人たちが予防検診を受けるということも、国が義務的にそのことをやる必要がある。特に、私はこういう危険な作業に従事していた労働者については、原爆手帳式のものを国が責任を持って渡し そうしてどこへ行っても治療が受けられるという制度をつくる必要があると思うのですね。イギリスあたりでは、こういうところで働いた労働者にカードを渡して、そうしてそういうことができるような仕組みをとっておるそうですけれども、やはりそういう行き届いた措置をとるべきだと思う。やるおつもりがあるかどうか、伺いたいと思います。
○説明員(北川俊夫君) 過去にベンジジン等を扱った労働者につきましての把握につきましては、これからは前向きの方向で検討をいたしたいと思います。なお、いま手帳の話等が出ましたけれども、健康手帳なるものは現在それぞれの使用者の責任において、こういう様式でということを指示をいたしまして、実施をいたしております。なお、国がそれにつきましてさらに一そう徹底した措置をとるかどうかという点につきましては、これはひとつ検討をいたしたいと思います。
○委員長(森元治郎君) 締めくくってください。
○渡辺武君 時間も来ましたので、最後に一言だけ伺いたいと思う。 先ごろ労働災害白書が発表されました。あれを見てみまして、私だけじゃない、びっくりぎょうてんしたのは。ひどい、ひどいということは知っておりましたけれども、こんなにものすごいものかということは、これはもう国民共通の感じだろうと思うのですね。特に、昭和四十四年などの労災保険の受給者の数が、交通事故の死傷者の二倍だと、これはたいへんなことですよ。詳しいことは申しません。あなた方ならば。ご存じだと思うのですが、こういう深刻な労働災害の状況は、私はあなた方の労働行政の欠陥がここにはっきり出ていると思う。その点について、どんなふうに考えていらっしゃるか、これをまずひとつ伺いたい。 それからもう一つ、私は、その労働災害のこれほどの頻発の一つの大きな原因は、先ほど伺ったような労働監督官ですね、これの数が異常に少ないというところにあると思うのです。特に、第一線の労働監督官がほんのわずかですよ、これは。とうていこれでは——さっきあなたは、こういうベンジジンその他のような特殊な工場については、一生懸命でやりますと言ったけれども、そういうところに手をさかれれば、今度は一般的な労働災害についての監督は非常に不十分になりますよ。ですから少なくとも第一線労働監督官、これは現在の二倍くらいには、直ちにふやすべきだというように思います、本年度くらいあたりから。それからまたフランスあたりでは労働者が選出して労働監督官をつくるという制度が行なわれております。官製の労働監督官ではどうしても大企業べったりで、政府の手によってブレーキをかけられて十分な監督が行なわれないということになると思う。どんな良心を持った労働監督官でも、そういうことになる可能性を持っておる。したがって、労働者の選出した労働監督官、こういう制度をつくって、この深刻な労働災害を未然に防止するための措置を私はつくるべきだと思う。先ほど申しましたように、職場の労働者こそが一番自分たちの生命について深刻に考えている。だからこそ、日本化薬の一、二の工場がその労働者の要求によってこういう危険な薬品の製造や使用を中止するという措置に踏み切ってきているわけですから、この労働者の意欲に全面的に信頼を置けといっても、あなた方には無理かもわからぬが、そうやらなければ、この深刻な労働災害を防ぐことができないと思う。そういうことをおやりになるおつもりがあるかどうか、この点を伺いたいと思う。
○説明員(北川俊夫君) 労働災害白書を発表いたしました。その内容は御指摘のとおりでございまして、最近、特に昭和四十年代になってから労働災害が、減り方が非常に鈍化をしておる、交通災害の死傷者の二倍以上あるということがございまして、これは先生御勉強になっておると思いますが、交通災害が都市化、産業の発達に伴いまして、昭和四十年ごろを一〇〇にいたしますと、二倍にふえておりますけれども、労働災害のほうはわずかながらも減少している、あるいは横ばいである。その点は産業がこれだけ大型化し、かつ雇用労働者がふえておる中では、私は交通災害などの対策よりもまだ徹底をしておるのではないか、ただまだまだ不十分でございますし、先ほど御指摘のように新しい原材料に伴う有害物、それに伴う職業病発生とか、新しい方法に伴うところの、いままでわれわれが予知し得なかった災害の発生というのがございます。その点では先ほどから申し上げておりますように必ずしも十分でございませんし、立ちおくれておりますので、その点につきましてはさらに一そうの努力をいたしたいと思います。 それからなお、監督官につきましては、毎年われわれも監督官の増員につきましては、いろいろ努力はいたしておりますものの、まだ不十分でございますので、今後一そうの努力を重ねたいと思います。 で、労働側の意見あるいは選出監督官というような御意見でございますが、われわれ監督官としましては、先生のおことばに反するようでございますけれども、きわめて中正な立場で厳正に監督を実施しておりまして、それが片一方に寄っておるという事実はございませんし、今後もそういうことはいたすはずがないと思います。ただ、災害防止につきましては、関係者、使用者の方はもちろん、労働組合の方からも意見を聞くべきである。その意見を尊重して行政を進めるべきだという点につきましては、十分われわれもそのように考えておりますし、従来も労働組合のほうから災害防止指導員というような方の御任命もいただいて、行政に協力をいただいておりますので、その点につきましては、十分これからも努力をいたしたいと考えます。
○委員長(森元治郎君) 他に御発言もないようですから、労働省の決算につきましては、この程度にいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十分散会 —————・—————