外務委員会 第11号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/04/13
会議録
○委員長(松平勇雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について報告いたします。 去る三月二十六日浅井亨君及び渋谷邦彦君が委員を辞任され、その補欠として黒柳明君及び白木義一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(松平勇雄君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 きょうは中国問題と沖繩問題について承りたいと思いますが、最初にまず中国問題からお尋ねいたします。 佐藤総理は、今度の統一地方選挙中、遊説先で、閣僚級の訪中を考慮と語っているが、現在それは進行しているのかどうか、具体的な方向に向かっているのかどうか、まず、この点をお伺いいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) 佐藤総理が遊説先で質問に答えて、ただいま羽生さんの御質疑のような答え方をいたしたことは事実御承知のとおりでございますが、一般的な姿勢として、まあ、そのときの答え方としては、必ずしも閣僚ということをコミットしたわけではないようですけれども、自民党もずいぶん大ぜいで幅のある党でもあるので、いわゆる主流派からだれか行くことがあるいは適当ではないかということを申したわけでございますが、それは一般的な姿勢を示したものであって、具体的に、だれが、いつ、どういうふうな段取りで行くかとか、あるいはそういうことで先方と話がついているというようなことは現在のところございません。
○羽生三七君 私が三月二十七日予算委員会で質問した際に総理が、閣僚級の訪中を考慮という答弁をされたわけで、そのあと保利官房長官が記者会見で、あの答弁が総理の真意だ、こういう発言をしているわけです。そこで、この「考慮」ということは、半年でも一年先でもいいということじゃないと思うのです。一定の時間的制約がある。いつでもいいなら、あえてこういう発言をする必要はないと思うのです。そういうことから、あとからちょっと御紹介いたしますが、新聞の投書欄などには、要するに場当たり的な選挙対策ではないかというような批判も出ているわけで、これは総理自身にお尋ねすべきことですが、しかし、外務大臣にお伺いするにしても、もしほんとうにそういう選挙対策的なものでないとするならば、やはりいつでもということじゃなしに、たとえばある近い将来というような一定の時間的制約がなければ、世間一般に言われるような批判があってもやむを得ないと思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) たまたま選挙の遊説の際でありますから、選挙と結びつけて批評されたということもこれは無理からぬことだろうと思いますけれども、答えている本人は大まじめであったと私は思うのでございまして、決して、そういうことを答えることが選挙の票を意識しての答えではない。これは参議院の予算委員会で羽生委員にお答えしているのと全く同じ関係で、同じ考え方で、しかし、いま申しましたように、ただ姿勢として考え方を明らかにしたのであって、いつ具体的にというところまでは、これは相手のあることでもございますから、そこまでお約束しているという意味ではございません。そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○羽生三七君 相手のあることだからいつということを具体的に言うわけにはいかない——それはごもっともだと思いますが、ただ、それは打診をしておるのかどうか。そうでないと、ただ旅先で、遊説先で談話を発表して、向こうから何かその反応のあるのを待っているというのか、具体的に何らかの折衝をしたのか、日本自身、日本の外務当局自身が直接やられたのか、あるいは出先のどっかの機関で何らかやられたのか。そういうことがないと、先方の反応もあることだから、というのはちょっとなまぬるいことになると思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、正確に申しまして、そういうことについて北京に対して直接にあるルートを通して申し入れをしているというような意味では、接触あるいは申し入れをしているわけではございません。ただ、国会を通し、あるいは公のいろいろの会合等を通じまして政府の意図というものは明らかにされておる。これは一般的にいって私は一つの提唱とでも言うべきものであろうかと思っております。いまの段階では、そういう段階でございます。
○羽生三七君 いまの日中関係の現状を見るならば、そういう程度のことで向こうが反応を示すはずもないし、また、先日総理の旅先の談話について北京で批評しておりますですね。それは、私の在任中はだめだという気持ちを反省し積極的に取り組むと言いながらも、国府政府との義務は十分果たすと言っている、これはおかしいではないか、ということを北京でも言っておるようですが、北京でなく私どもが考えても、実はその国府、台湾問題が日中打開の障害になっているのに、積極的に問題に取り組むと言いながら、国府との約束は、義務は十分果たす。これで中国の反応があるはずはないと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その辺になってまいりますと多少私の意見と食い違うかと思いますけれども、政府としては、要するに、相互の立場を尊重し合う、相互に内政不干渉というか、いわば二大原則のもとに政府間の話し合いを持ちたい、どうやったら日中関係をより正常にすることができるかということで話し合いを始めたいというのが政府としての考え方でございますから、そういう態度で私は先方もそれに応ずるような姿勢を示してもらえればたいへん双方のためにしあわせだと思うわけでございますが、そこで、なかなか従来からのいろいろの考え方も向こうにもありましょう。多少の時間や方法論等にもいろいろ考え方があろうかと思うので、お急ぎになる羽生さんのお気持ちもわかりますけれども、やはり政府の立場としては、相当の時間がかかっても慎重に、しかも、この姿勢が非常に大事な問題ではないかと思いますから、そういう姿勢で本件に処してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○羽生三七君 それで、まあ、その日本の政府の態度に向こうがどういう反応を示すかは別として、国会で答弁してそれが外電に伝わって反応があったというだけで打開できる情勢ではないと思うのですよ。やはり具体的に何らかの打診というか、相手方側の意向を確かめるべきで、そこまでいかなければ、これはもう従来の経過から見ても明らかなことですが、ましてや今日のこの国際情勢、中国問題に対する国際情勢をごらんになれば、そういうことで問題の打開ができるような情勢ではただいま全然ないと考えられますので、相手がどういう反応を示すかは別として、もし何らかやる意思がおありになるならば、積極的に相手側に何らかの意思伝達を考慮すべきではないでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) そこがむずかしいところで、これは国交の正常関係の外交チャンネルがちゃんとできているところでございましたらお話しのとおりだと思いますけれども、これが多年にわたって不正常で外交チャンネルができていない、これを打開していくためにどうするかということを含んでの問題でございますから、そう一朝一夕にいかないということは事柄の性質上も当然ではないか。そうして、私は前々から言っておりますように、いわゆるプレコンディションと申しますか、先方の考え方というものをあまりにそんたくし過ぎてそれに調子を合わせていくだけでいいんだろうかということについても、これは国民的にも私は疑問を持ってしかるべき問題ではないかと思います。
○羽生三七君 いや、相互内政不干渉ということは、これは前提条件にして質問しているわけです。それはこの前にもはっきりその前提条件を申し上げたはずです。そこで私、この間、列車の中で投書欄を読んでいたところが、私の質問した三月二十七日の日に予算委員会で、首相が、積極的にやると答えたのですが、その前に、「私の在職中は解決しない」とそう言いながら「積極的に」ということについて、この「首相の”変心”を見きわめよ」という投書が出ておる。それから、同じ日に、「かたえくぼ」という欄があって、そこに、「「日中打開積極的に取り組む」首相は四月一日と勘違いしているようだ——三月二十七日」と、こうなっているわけですね。でありますから、みんなが、一体本気なのかどうか、国民までこういうふうに疑いを持って見ておる。それに、相手のあることだし国交もない、と言いますけれども、国交のない国がどんどん国交を開いているのですよ。最近ではクウェートあるいはカメルーンが、カナダ方式とは違うけれども、新しく国交樹立をしておる。そういう全く国交のない国がどんどんやっておるのに、打診をする程度のことが国交がないからできぬというのは、ちょっとこれは聞こえないじゃないですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これもまあ議論になりますからあまり多くを申し上げませんけれども、とにかく日本は中国との間の関係が深く広いだけに、たとえばさっきもおあげになりました台湾との関係の問題等々、きわめて複雑な要素がある。したがって、その一つは内容的な問題で、私の申しましたプレコンディションというようなことを前提にしてということはいかがであるかという問題が私は一つあると思います。これはいろいろ中華人民共和国政府としての日本政府に臨む姿勢や内容もあるようでございますが、これはやはりこちらとしても間接に報道あるいは放送その他で承知をするわけ、あるいはその他いろいろ事実上のルートから想像されるわけですけれども、それをまず越えて出てこいということでアプローチができるかどうかということは、私は一つの大きな問題だと思います。 それから、実際問題として、現に国交関係がないだけに、政府間の接触をどういう形で進めるかということについてはやはりそれなりに相当な双方とも苦心が要るところではないか。政府としてはかねがね大使級会談ということも提唱をしておりますが、しかるべき対話の場をつくるためには、そういう段階も政府としては一つの有効な考え方じゃないかと考えているわけでありますけれども、これに対しては前から御質問がありますように、それにだけ重点を置いてもなかなか発展が求められないではないかといういろいろの御意見もございますから、そういうところも取り入れながら次の方策というものを考えているのが一連の総理の発言であり、私の答弁申し上げているところでございます。
○羽生三七君 私は、先ほど申し上げましたように、中華人民共和国の首脳部がこう言ったからこっちがこうしなければならないと、そういうことを言っているわけじゃないのです。全くこれは客観的な条件に即して、世界の大局的な判断に基づいて、また、日本の戦後処理という問題から見ても、あらゆる角度から考えて、北京がどう言うか言わぬかは別として、日本がとるべき態度はいまこうあるべきではないか、こういうことを言っておるわけで、その点は明確にしておきます。 そこで、大使級であろうとそれから閣僚級であろうと、主流派ということをはっきり総理は言われておるのですが、人物のいかんは問わず、もう一度お尋ねしますが、何らかの形で相手と会って、それで全く相手が会わぬと言えば——それに、かりに会った場合にも意見が違ってもの別れになることもあるかもしれません。いずれにしても、そんな遠くからいろいろなことを言ったってしようがないと思うのですね。それならそれで、はっきりと会っていろいろ言うべきことを言ったらどうですか。そして、わがほうはこう考えるがその真意はこうだ、向こうの言っていることはわかっているようですけれども、とにかく一応そういう場をつくらなければ、この前も申し上げましたように、ことばの投げ合いでエスカレートになるだけで、さらにこれでは発展がないと思う。具体的にそういう場を積極的につくるべきではないか。そうでなければ、総理の発言というのはほんとうにおかしくなりますよ。国会での答弁はおかしくなる。その辺、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) ですから、私はきょう冒頭に申し上げましたように、相互内政不干渉だと、羽生さんもこれおっしゃっているとおりなんですが、そして、双方の立場を尊重していろいろな問題について政府間で対話を持ちたい。私はこれ向こうも受け入れるだろうと思うのですね、考え方としては。しかし、現在のところ、すぐにそれが期待できるかどうかというと、非常に疑問があるように思いますし、また、先ほど申し上げましたように、それぞれいままで言っていること、あるいはいままでの姿勢との関係もございましょうから、要するに、日本政府としては相互内政不干渉ということでやるならば、より正常に、いかにしたらいいかという日中間問題について政府間で話し合い、対話をいたしましょうと、こう言っているわけでございますから、その原則でよろしいのならば、いついかなる場合でも、いかなる場所においても、対話を始めることは、私どもとしては非常に望ましいことだと思っております。こういうわけでございます。
○羽生三七君 それはわかっておるのですから、それを具体化するために、ただ国会の発言だけではなしに、何らか具体的な折衝の方法を講じませんかということです。
○国務大臣(愛知揆一君) これらの点については、前々から申し上げておりますように、たとえば大使級会談という接触についても、口で、国会で申し上げているだけでなくって、それなりの政府としては苦労もいたしておるわけでございます。一々、いつ、どこで、どういう話があったかどうかということは、前にも国会でも申し上げましたように、国会におきましても、そういったようなことについては御説明をすることを御遠慮さしていただきたいと思いますけれども、いろいろと苦心をいたしておるわけでございます。要するに、双方あうんの呼吸が合うというのに、いままでの長い、不幸な——というか、断絶の状態が続いていただけに、ある程度の時間がかかるということは、私はやむを得ないことだということは御理解がいただけるのではないかと思います。
○羽生三七君 そこで、そういう場合——次の問題に移っていきますが——クウェートやあるいはカメルーン等の中国承認で、いよいよ承認国がふえていくわけなんですが、中国代表権問題に関して米国と何か協議をしておられるのか。そのことは別にしても、中国国連加盟を妨げるようないかなる方式ももはやとるつもりはない、こう理解してよろしいですか。また、何か新しい方式を考えておいでになるのですか。その辺はいかがなりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) この国連の代表権の問題につきましても、十日ほど前、選挙を控えまして自然休会になりましたときと別に何ら変わるところはございません。ただいまのところ、政府としては真剣に、慎重に検討しているという段階でございます。そこで、いま内容に触れての——内容といいますか、考え方に触れての御質問でございますけれども、われわれ政府としては、中国との関係についても、何とか現在の不正常な状態を正常化したい。ですから、バイラテラルの対話を政府間に持ちたいということをまともに表明しているくらいでありますから、政府の意図というものはおわかりいただけると思います。そうして、国連における本件の取り扱いについては、これは日本だけがどうというわけの問題でもございません。すでに外交演説等にもいろいろ言っておりますように、各国の本件についての考え方や動向なども十分に見きわめていきながら、その間に日本政府として処すべき最善の道をとりたい、こう考えておるわけです。自然、アメリカもそうでございますけれども、やはり私の見ておりますところでも、各国とも非常に代表権問題については深刻な検討、研究をしている。で、お互いに、支障のない限り、その考え方のいろいろの段階等について考え方を交換したり情報を交換したりということは、かなり活発に各国間においても行なわれておる。そういう点については十分な接触を持っていくのが、日本の外交のかじのとり方として当然必要なことであるというように考えまして、十分各国の動向を見きわめていくことに努力を続けておるわけでございます。 それから、ただいまのお尋ねは、日本政府は中華人民共和国政府が国連に入るということに、これを阻止するのかあるいはそれに賛成するのかというようなお尋ねであったと理解するわけでございますが、これは、まあ私の代よりももっと前の代からのことかもしれませんが、国際社会、国連の中に祝福されて入るような状態が望ましいということは、一貫して私は日本政府の立場であろうかと思います。同時に、しかし、これもしばしば申し上げておりますように、国連ができたときからの有力なメンバーであり、そして現にその支持の数あるいは承認の各国の動向などが最近相当変わってはいるものの、現在いまだに、国連加盟国で国民政府を承認しあるいは支持している国の数が、中華人民共和国政府支持のところよりも多いというような状況からいって、まだ日本政府としての態度をきめておりませんけれども、昨年の代表権問題の投票ぶり等からみて、こうした国民政府の国連の中における地位というものを犠牲にしてまでも中国代表権問題を結論をつけるということにためらいを感ずるという国が相当に多いのが現実の実情ではないだろうか、こういうふうに見ておりますので、それらのところが今後どういうふうに変わっていくか、あるいは強くなるか、それらを見きわめてまいらなければなるまいかと、かように存じておる次第でございます。
○羽生三七君 要するに、そうすると、世界の大勢がきまる京で日本が自主的に動くことはないと、こういうことなんですか。世界の大勢がある程度きまったところで日本が各国の動向を見ながら態度をきめると、こういうことなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) そう簡単にはいかないと思います。前々からこれは申し上げておりますように、日中関係というのはバイラテラルな関係で、非常に大事な私は外交上の大問題だろうと思います。それから一方、国連における代表権問題も、非常にこれはむずかしい大問題である。これは二とに時間を切って、ことしの秋には国連総会で当然問題になる、それにどういうふうに対処するかということも非常に大きな問題。で、この二つの問題は分けても考えられるし、しかし、表裏をなす問題でもあると、こういうふうに考えられるわけでございます。で、日本としてはもちろん自主的に日中間の関係の改善ということを最大の問題として考えていかなければならない。したがって、それと、いま申しました国連での問題は、分けても考えられるでしょうけれども、しかし、表裏一体をなすべき問題でございますから、それと関連を持たせながら考えて処理していくというのが私は望ましい姿だろうと思います。で、自然、いまおっしゃるように、世界の各国が何とかきめたらそれに乗っていくのかというお尋ねですが、そうはまいりますまい。これはあくまで自主的な問題でなければならない。自主的にきめていくべき問題である。しかし、国際的な問題の処理の動きというものとも当然これは関連を持っていかなければいけないというふうに考えるべき問題であるかと思います。
○羽生三七君 前回のこの委員会のあとですね、この前の外務委員会のその後です。先ほども申し上げたように、クウェートあるいはカメルーンが中国と国交を樹立する一方で、アメリカの卓球選手団やアメリカの記者を中国が招待するという新しい動きが起こっておるわけです。また、アメリカ国内でもマクガバン上院議員が北京政府を唯一の合法的政府と認める決議案を提出するというような、こういう動きも起こっているわけです。私はいつも言うことですが、アメリカがそうだから日本がという意味じゃなく、日本こそむしろ自主的に、積極的にその役割りを果たさなければならないのに、いまのようなことでは、いまのこの国際情勢から見て、真の役割りを果たすことはできないんではないか、そう思うわけですが、これは大体平行線のようですから、中国問題はまだ続けますけれども、いまのこの問題はこの程度にいたします。 それから、台湾に対する第二次円借款の一部をきめたようでありますが、具体的にはどういうことになっているんですか。これは、この日中打開の根本問題が、台湾、国府の取り扱いにあることは言うまでもないことです。それの一番障害になっておる——障害といいますか、政府の立場からいえば、問題であるこの国府に対して、また第二次円借款をする。しかも、かなり具体的に進んでおるというように聞いておりますが、そういう場合は一そう日中打開を困難にするんではないか。かえってその道をふさぐことになるんではないか、これはむしろこういうことは控えるべきではないかと思うんですが、もしほんとうに政府が日中打開を積極的にやるというならば、この種のことは私は考え直すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 円借款を台湾に対してやることがきまったということのお尋ねでございますが、私は、きまったとは承知しておりません。きまらないはずでございます。第一次といいますか、前にやったような形、あるいは、それは具体的にいえばたとえば二億ドルとか三億ドル相当額であるとかいう、つかみで援助をする、ともすると政治借款といわれるような形の借款は、私はやるつもりはないわけでございまして、これは累次いままで御答弁申し上げているとおりでございます。同時に、純経済的に見れば、台湾の経済と日本の経済と相互補完して共存共栄できるものがございますから、プロジェクトごとに、これは経済的に日本との共存共栄という面からいってもメリットがある、そうして平和的な目的であると、こういうような種類のものについては、プロジェクト・バイ・プロジェクトに十分検討いたしまして融資その他の計画を実行することはあると、これが日本政府の現在の基本的態度でございます。いわゆる円借款というようなことで話がきまったとどこかに報道されたかもしれませんけれども、政府としてはそういう事実は承知しておりませんし、また、政策としてはいま申しましたような方針で処理するつもりでございます。
○羽生三七君 私の言うのも、つかみ金の円借款を言っているわけではない。プロジェクトごとのもので、それがかなり具体的になっておる。それはつかみ金であろうとプロジェクトごとのものであろうと、私は同じだと思うんです。そういうことはいま具体的に進んでおらぬと言われますけれども、つかみ金でないその一つ一つのケースについて、その問題についてすらも、私はこれ以上積極的な姿勢でやることは、かえって日中打開の障害を増すだけだと思うんですが、いかがです。
○国務大臣(愛知揆一君) そういう意味でございますと、私どもの考え方は多少違うんでございまして、台湾というところの、いま申しました平和的な民生安定という問題で、しかも、純経済的に見て日本との間に共存共栄ができるというようなものについて。これを拒否すべき理由はないんではないだろうか、私どもはさような考え方で、プロジェクトの適当なものについてはこれに協力をするということで処理をいたしたい。これが要するにプロジェクトごとに真剣に合理的に検討して処理したいという考え方でございます。
○羽生三七君 私は、そのプロジェクトごとでも将来の障害になるということを申し上げて、次は輸銀資金の使用の問題ですが、最近新聞で見たところですが、日立造船が中国からアンモニア・プラントの引き合いを受けて、商談がまとまれば政府に輸銀資金を申請する意向だと、こう新聞には出ております。政府筋でも対中国輸銀資金の使用問題を再検討しておる、こうも伝えられておりますが、この場合、輸銀資金の使用、この問題について使用申請があれば、これはケース・バイ・ケースの原則にせよ、これを差しつかえないと考えるのか。また、けさの新聞を見ますと、国際貿易関係者が大阪で、対中プラント輸出に輸銀使用申請を強く打ち出すかまえを示しておるようです。あわせてお願いをいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) 輸銀融資の問題は、もう文字どおりケース・バイ・ケースで、私も新聞では記事を承知いたしておりますけれども、もしやはり平和的な目的、民生の安定というようなことで具体的なケースが考えられ、具体的に関係者の間で話が進むということならば、ケース・バイ・ケースで処理をするという基本方針に背馳するものではない、私はそういうふうに考えておりますが、現在の段階で何も私は相談を受けておりません。
○羽生三七君 ケース・バイ・ケースは何べんも聞いているわけなんですが、そうでなしに、具体的に、たとえばいま日立造船の言うアンモニア.プラントについての輸銀資金の使用申請があればということで、その場合にはケース・バイ・ケースで処理すると。処理することはわかっているのですが、どっちで処理するかが問題なんです。大体、今日のような段階においては肯定的な意味で処理と理解してよろしいですか。
○国務大臣(愛知揆一君) いまも申しましたように、関係者とまず輸銀当局がございますし、これも何べんも私も答弁申し上げておるとおり、一昨年の予算委員会あたりでも、輸銀の最高責任者を参考人にお呼びになって、ケース・バイ・ケースとは何であるか、輸銀の業務方法書によって診断をし、調査をして、これで融資の適格だとなればこれでやるということがケース・バイ・ケースであると、輸銀の当局者もそう説明しております。ただいまおあげになりました問題も、具体的に計画されているとすれば、まず輸銀等において十分検討されることであろうと思いますし、それがケースとしてよろしいということになれば、私としては異議はございません。ただ、私はまだその相談を受けておりません。
○羽生三七君 その次に、中国渡航制限の撤廃問題ですが、アメリカが従来中国渡航の制限をやっていたわけですが、一九六九年ですね、ジャーナリストや科学者に対する制限をはずして、次いで七〇年三月、合法的な目的である場合にはだれでも旅券を発行すること、こうなったわけです。それで本年三月には中国渡航制限を全廃したわけですね。ところが、わが国では旅券法の改正があったけれども、中国、北朝鮮、北ベトナム等は依然として制限地域になっているわけです。そういう意味で、中国などを制限地域から除くお考えではございませんか。これは法改正は必要としないのじゃございませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、御承知のことと思いますけれども、私は事実をまず申し上げたいのは、日本が中国大陸に旅行者の禁止的制限をしているかのように考えられる日本国民が多いのですけれども、たとえば昨年一年の実績をごらんになるとわかりますけれども、約三千人は渡航しておられるわけです。これに反してアメリカは、正規の旅券を出して渡航した人が三人なんですね、いままでこの何年かにわたりまして。それでアメリカとしては、せめて日本に近いようなことをやりたいというのがかねがねの旅行者制限撤廃問題であって、したがって、今度のように撤廃され、また、事実いろいろな人が行けるようになったことは、私も、よその国のことではあるが、歓迎していいことではないかと思うのです。これはおっしゃっているお気持ちはわかりますけれども、日本政府は中国に対して旅行者を制限している、アメリカは今度それを撤廃した、けしからぬではないか、アメリカよりおくれているではないか、もしそうお考えなら、これは事実に反しますから、その点だけ私は明らかにしておきたいと思います。それから、これは今後といえども中国側で入国を認めてくれる人に対してはこちらから旅券を押えるというようなことは原則的にないはずでございます。
○羽生三七君 もちろん私も、アメリカがそうだから日本は全部渡航制限してけしからぬと、そういうことを言っておるわけじゃないので、旅券法は改正したけれども、事実上、なおかつそういう盲点が残っておる、こういうことを言うわけでありますから、その点は……。それから、たいへんな人が日本から行っておることもよく承知しております。その点は明確にしておきます。要するに、こういう、中国それから北朝鮮、北ベトナム、東独というようなところに対する制約というものにあまり強くこだわるべきでないということを申しておるわけであります。いずれにしても、台湾の問題はあるにしても、今日日中をどう打開するかということが、現在の世界の大勢からいっても、また、日本自身の義務としても重要な時期であるにもかかわらず、あまりにも日本がいわゆる国際的義務、台湾との関係に固執して、実質上世界の大きな流れに背を向けておる。こういう事実に対して、私はそれは適当ではないということを言っておるわけですから、一そう積極的な姿勢を望んで次の質問に移ります。 そこで次は沖繩問題ですが、私はさきの予算委員会で、沖繩返還交渉に関する中間報告を行なうべきではないかという要望をいたしましたが、これは外相も御存じのとおりであります。その際総理は、「適当な時期になれば、ただいまのような」——ただいまのようなというのはつまり中間報告ですね——「ただいまのようなことがあってしかるべきであろう」、こう答弁されたのでありますが、その後、中間報告については具体的に何かお考えになっておるのかどうか、これを伺いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 返還協定を担当しております私の立場からいたしますれば、何とかしてこの国会の終わりますまでに中間報告をいたしたいと考えております。率直に申しまして、現在の時点では、協定づくりも、なかなかやはりこれも相手のあることでむずかしいわけでございますが、いまの段階では、従来から御答弁申し上げている程度にしかまだ申し上げられませんから、できるだけの努力をいたしまして、だんだん話を詰めてまいりまして、この国会の末期、すなわち来月の下旬には何とかして国会に対して中間報告を申し上げるようにいたしたいと、こういうことで現在努力を続けておる次第でございます。
○羽生三七君 それは非常にけっこうだと思いますが、ただ実際、終わるまぎわで実質上質疑ができないような形で、報告をしたという形式だけになるのですか。若干——若干と申しますか——正当な質疑ができるような余地を残す時点において中間報告ということでございますか。その辺はいかがでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 政府としましては、誠意を尽くしまして、とにかくこの国会の会期中に中間報告を申し上げたい。それに対してどういうふうにお取り扱いになりますかは、これは国会としてもいろいろのことがおありだろうと思いますけれども、要するに、政府としては誠意を尽くしてまいりたいと考えております。
○羽生三七君 調印の時期は大体いつごろになりますか。何月何日というようなことをきちんと言わないでいい。およそです。
○国務大臣(愛知揆一君) これが、私率直に申しまして、私としてはやはり前々から申し上げておりますように、おそくも夏までにはということを公式にも申し上げ、質疑にもお答えしておったのですが、いまそれを変えるような状況ではございません。おそくも夏までには調印する、 それから、できるだけこの国会の会期中に中間報告を誠意をもって申し上げる、こういうことで現在努力を一生懸命続けておるわけでございます。
○羽生三七君 沖繩問題では、アメリカ側が日本に対して、日本は極東の集団安全保障の重要性を認めておるから、沖繩を含む日本国内に米軍基地を維持するための基盤を提供するという趣旨をこの返還協定の中に明文化さしたいという意向を強く持っているといわれておるのですが、その辺の真相はどうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) この点は、二の沖繩返還の最大の眼目が本土並み返還なんでございますから、同時に、非常に大事なことは、安保条約というものが沖繩返還によって変質されたものではないことが非常に大事な点でございますから、その二大眼目がきちんとなるように協定ができれば私はよろしいと、こういう考え方で現在政府としては対処いたしておるつもりでございます。つまり、いまお尋ねのようなことが、たとえば安保条約が変質されたかのような印象を与えるようなことは、本質がそうでないんですから、私は、そういった印象を与えるようなふうな協定づくりでないようにいたすべきものであると考えております。
○羽生三七君 それで、返還協定の中にそれを明文化しなくとも、いま私が述べたような趣旨のことをしなくとも、施政権は返還されても、実際三七基地機能としては本土と比較にならないほど米軍事基地及び施設という性格を強くするということになるんではないでしょうか。それと、これらの沖繩の米軍基地や施設は、日本がもちろん強く撤去を要求するもの、縮少を要求するものも、やってはおるでしょうが、しかし、それはやむを得ず暫定的に一定期間残すということにウェートがかかっておるのかもあるいは安保存続中はやはり必要だということなのか。一体その辺はどうなのか。この返還後の沖繩のアメリカの極東戦略との関連における位置づけというものは一体どうなるのか。つまり、政府が要求して、思うようにいかないものは暫定約に残すというのか、安保期間中は相当数をむしろ日本政府が残そうというのか。その辺はどういうことでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、こういうふうに考えておりますし、そういうふうにいたしたいと思っており戻すが、要するに、安保条約の目的からして、返還後は、条約のたてまえからいっても、わがほうが施設一区域を提供するわけですが、その提供する施設・区域は、安保条約の目的に沿うからこそ提供するわけです。したがいまして、返還の協定とともに、提供すべきものについての考え方は基本的に非常にはっきりさせたいと思っております。そして返還協定効力発生後、その時点から、いわゆる基地として残るものは、わがほう政府が施設一区域として提供するものであると、こういうことになります。 それから、いまお尋ねの点に多少関連するかと思いますけれども、やはり多少おくれるものもあるかもしれません。しかし、それは返還と同時に、御承知のように合同委員会の対象にきちっとなるわけですから、その後におきましても、減らすべきものは合同委員会の議を経てどんどん減らしていくということに相なるわけでございます。
○羽生三七君 そこで、この前、本委員会で岩間委員から質問があったことに関連するわけですが、核問題は、協定中には何ら明文化されることはございませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、安保条約がきちっとそのまま何らの変更なしに適用される、関連取りきめも適用されるのでございます。そうして、さらに両国最高首脳の内外に明らかにした基本方針というものがあるわけでございます。そうしたワクの中で処理すべきものと思っております。
○羽生三七君 この、問題は議論するとちょっと時間がかかるので次に行きますが、それじゃ、それを明記できない場合、中曾根長官が言っておりました、それが事実かどうかを検証するという問題は、それはその後どうなっておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは返還と同時にきれいになくなるわけでございますから、なくなったということをもいろいろなことが考えられるかと思いますが、いやが上にも沖繩の方に御安心を願うような方法を、米側の協力を得ながら配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
○羽生三七君 それは、表現は微妙に言っておられますが、いま私の言った趣旨に合致する形で行なわれると理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 法律上あるいは条約上の権利義務の関係として言うことではないかと思いますけれども、できるだけ配慮をしてまいりたいと思っております。
○羽生三七君 いや、「配慮をする」ことはわかるのですが、それはアメリカも認めた上でないと基地の中に入るわけにいかないのですから、その辺は、まあこの前のお話を聞くというと、向こうの政治的配慮といいますか、好意的だと言っておられますけれども、その辺のことのせんさくは別として、日本が実質的に中に立ち入って実際にそれを検証することは可能とお考えになりますか。また、そうする意思はおありになるかどうか。
○国務大臣(愛知揆一君) ですから、これは、お答え申し上げることが先ほど申し上げたとおりなんですが、条約上の権利とか義務とかいうふうには律し得られないと思います。ですから、できるだけの配慮ということになると思いますが、しかし、それはないということを前提にしてなんでありまして、なくなるということについては政府は何らの疑念を持っておりません。
○羽生三七君 それから、次に、那覇空港の返還問題はその後どうなっておりますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 実は、ただいまそういう点につきまして鋭意折衝いたしております。そうして、これはまだ、いまの段階では、どこの空港がどういう形になるか、あるいはどこの施設がどうなるかというところをまだ申し上げる段階にいきませんで、この辺は御了承いただきたいと思います。
○羽生三七君 それじゃ、それはあれですか、国会に中間報告するまでにそういうこともある程度きまるわけですか。何か日米共用みたいな説も伝わっておるようですが。
○国務大臣(愛知揆一君) これは、ですから、ちょうど本土の場合と同じでございまして——「同じ」というのは、いろいろ違いはもちろんございますよ、ございますが、返還という中には、ほんとうに完全にきれいな返還のものももちろんけっこうなことですが、たとえば自衛隊が使うという場合もあり得るわけでございますね。そういう点を各施設等について、現在双方で詳細に勉強中でございますので、いずれだんだんときまるにしたがって、私、さっき申しましたように、できれば中間報告を、この国会のしまい衣でには間に合わせたい。どこまでその点について御満足を願えるかはわかりませんが、誠意を尽くしてやってまいりたいと思います。
○羽生三七君 この問題でもう少しいろいろ伺いたいことがあるのですが、次の問題は、私がこの前も予算委員会でお尋ねしたように、いわゆる安保と異質のものと言われるような施設等の撤去、たとえばVOAのような問題はどの程度進んでおるのかお伺いいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) VOAの問題は、日本の国内の問題としましても、電波法、放送法等の関係からいって外国の施設を置くべきでないというのが日本の本来の主張であるべきでありますし、そういう立場に政府としては立っております。ただ、これも、詳細に御説明をかねがねしておりますように、アメリカ側はアメリカ側としてなかなか強硬でございます。というのは、VOAでやっておることは——彼らの言い分でございますよ——イギリスや西ドイツあるいはその他の自由主義国、あるいはセイロンのような中立政策をとっている国でも、この施設は同様にそれぞれの国との間の話し合いで仕事をさしてもらっているのであって、そういう点を十分日本にも理解をしてもらいたいという態度をとっております。要は、実態、運営等について、もう少しわれわれといたしましても、政府といたしましても、国会に対し、国民に対して説明のできるだけの十分の資料と実態を掌握しなければならないと、かように考えております。
○羽生三七君 VOAの外国に存置されておるものがどういうことをやっているかわかりませんが、少なくとも、返還されたあとの沖繩でそういうアメリカの放送が行なわれる場合、これが中国あるいは北朝鮮あるいは北ベトナム等に対する一種の謀略放送を行なうであろうことはもう間違いないと思います。しかも、返還後となれば、日本の国土から行なわれることになるのですから、日本がこれら諸国に対する敵視政策をとっておる、あるいはその基地になっておると言われてもこれはしかたがないわけで、私は返還時点までに撤去されることを希望いたしますが、これは暫定的といっても、実は対中国問題では、この一、二年が一番の問題の時期じゃないでしょうか。したがって、その暫定期間が一年か二年か知りませんが、そのときこそまさに日中問題の焦点になるわけですね。したがって、そういうことは、やはり多少は時間がかかっても、アメリカに十分私は要求すべきことは要求すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 政府の基本的態度は、いま冒頭に申し上げたとおりでございます。ですから、いま羽生さんのおっしゃったようなことを十分頭に置いて対処してまいりたいと思います。
○羽生三七君 全体として、 このVOAに限らず、各種の特殊部隊ですね、そういうものの話し合いは、私は持ってきましたけれども、時間がありませんから一々例証をあげませんけれども、全体としてどういうことになっておるのか。先日の愛知・マイヤー会談というものは一部には報道されておりますが、真相が必ずしも明らかでないようなので、ある程度御説明願いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は包括的に申し上げたいと思いますことは、返還協定ができて、これが御審議をいただいているわけではございませんけれども、返還の問題については、国会を通じても問題点はほとんど——ほとんどではなくて、もう洗いざらいとにかく質疑応答の対象になっております。したがいまして、この国会での実質上の御審議というものは、政府にとりましてもたいへんありがたいことである。その環境、雰囲気を踏まえて米側と交渉をいたしておるわけです。したがいまして、日本の国民的な懸念するところ、あるいは希望しているところは、政府といたしましても十分にアメリカ側に通じてある。そしてその上に踏まえて、できるだけの成果をもたらしたいと、こういうふうに努力を続けているわけでございます。
○羽生三七君 それからアメリカ企業の取り扱いですが、これは共同声明以前から営業してきた中小企業と自由業については返還後も一定期間の既得権を認めるとか、あるいは大資本は日本の法令に従うことを条件に営業するとか、こういうことで、これらの趣旨を外相の書簡で日本側が保証するというようなことになったと愛知・マイヤー会談で伝えられておるのですが、そうなんでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 大企業と申しますか、相当大きなものについては、返還と同時に日本の法令がぴしゃりと本土並みで適用されるのだということはもう十二分に承知をいたしておりますし、このほうは、これは少し率直に申し上げますけれども、むしろ処理が比較的楽だというふうに感じております。ところが、お医者さん、歯医者さん、獣医さん、それから弁護士さん、経理士さん、こういう方々は沖繩において仕事をしておるのであって、そうして沖繩の方々も、そんなに追い出さなくてもという感じをお持ちの方もおられるのではなかろうかと思いますので、こういういわゆる自由職業等については、ものによりましては、日本の立法事項を伴うようなものも、それは暫定措置をするとすれば要るかもしれません。関係各省のいま非常な御協力を得て、そうして琉政側とももちろん十分連係をとりながら、どういうふうにこの処理をするかということについて、これなかなかむずかしい問題で、いま真剣に検討をいたしているところでございます。ものによりましては、たとえば中小零細の企業で許可事業というようなものについての取り扱い等について、あるいは日本政府を代表して外務大臣の書簡でもって片づくものもあるかもしれません。しかし、まだまだこれらの問題につきましても十分に煮詰め、また、われわれの希望に対して先方としてもそれぞれ関係の向きに請訓をしなければならないものもあるようでございますから、大体こういうふうになるであろうということを申し上げるまでのまだ段階に行っておりません。
○羽生三七君 私は、処理のしかたの一々の内容は、きょうは時間の関係で差し控えますが、ただ、ここで申し上げたいことは、いま大臣の口からも直接お話しがあったように、愛知。マイヤー書簡というようなことにかりになった場合ですね、そうすると、これは政府間文書ですね。ですから、返還協定のある種の補充文書になるわけですね。そうなると、結局、返還協定以外にいかなる特別な取りきめもしないということといささか事情が違うんじゃないでしょうか。たとえば、外相・マイヤー会談の書簡、マイヤー氏との間の書簡にしても、これは一種の拘束力を持つわけですから、本協定以外の取りきめが行なわれることになるのではないでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) いま申し上げましたように、ものによって行政上の扱いというようなものについて、あるいはそういう考え方で処理のできるものもあろうかもしれませんと申し上げたのであって、フォーミュラはきまっておるわけでも何でもございません。ものによってはこういうこともあり得ると思うんです。政府といたしましては、返還の協定が国会で御承認を得られた場合において、関連の国内の立法事項として立法を伴うものがあるかもしれません。その立法の伴うものについては、政府としてこういう法律案を国会に提出をいたしますという政府の態度を表明するというようなものであろうかもしれません。そういうものでございますならば、国会の御承認をその手紙自身についていただくというような種類のものでないことは明白でございます。
○羽生三七君 この論議はまたいずれかの機会にいたします、時間の関係で。 最後の尖閣列島の所属問題をめぐって、中国、国府の双方から、先日のアメリカ国務省の見解に対して強い反発が起こっておるようであります。きょうのテレビを見ていると、出先のアメリカ大使館でデモが起こっておるようなことまで伝えられておりましたが、新聞報道で見る限りは——新華社報道ですね——その先のことはまたあとにしまして、一応政府としてはどういうふうにお考えになっておるのか、非常に問題になっておるようですが、いかがでありますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 政府としてはこれにつきましては前々から態度を明らかにしておりますが、沖繩返還問題からのお尋ねなんですけれども現にサンフランシスコ平和条約によってアメリカが施政権行使をしておる対象は全部日本に返還されるわけでございますから、これで、これを約束どおりたんたんとしてアメリカとの間に取りきめればよろしい。それから尖閣列島についても、日本の主権については、いろいろの角度からわれわれとしてもお互い日本国民全体としても根拠を持っておるのでありますから、あえてここで詳しくAからZまで説明申し上げる必要もないと思いますが、いつかも私は、非常に乱暴な表現かもしれませんけれども、ある国が、たとえば日本のある県に対して、あれはおれのものだと主張しておられるようなものですから、こちらはき然として自信を持って主権を主張しておればいいのであって、どこの国とこれを相談し合うというべき筋合いのものでもない、尖閣列島の主権については。これはただ大陸だなの問題とかなんとかということになるとまた話は別でございますが、尖閣列島そのものについては、何ら政府としてこれについて動揺もしていなければ国民的考え方の上に立ってたんたんとして処理してしかるべき問題だと思います。
○羽生三七君 私自身もこの種の問題に深く立ち入って質問することはあまり好まないのですが、しかし、昨日の新聞で見る限り、この新華社報道は、この尖閣列島自身というものの問題よりも、むしろやはり佐藤内閣の姿勢そのものをかなり問題にしておるようですね。これは先ほども大臣のお話があり私の考えも述べたように、向こうが言ったからこっちはそのとおりしなければならぬというそういう意味じゃないわけです。日本は日本の自主性があるから、当然日本の立場から言うべきことを言えばいいんですね。それにしても、この尖閣列島の問題に関連しながら実は非常に多くの部分を日本のこの佐藤内閣の政治姿勢に関連をして問題にしておるようです。したがって、こういうことも、先ほど来申し上げるように、またもとのところに、中国問題に戻るようですが、ことばの投げ合いではなしに、実際に話し合いをして、日本はこう思うし、歴史的にもこういう事実があると、そういうことを確実な証拠なり確信があるなら、そういう話し合いをすればいいので、この種のことはエスカレートしていけば非常にまずいことになる。また、人によれば、相互不信を一そう高めることにもなると思うので、私は、そういう意味からも、中国がどういう態度を示すかどうかは別として、日本が積極的にやはり話し合いの場を持つように、これはだれでもではありませ〜やはりしかるべき人にですね、それを持つように機会をみずから求めるべきではないか。国会できょうもこういう答弁をしたから向こうから何か反応があるだろう、そういうことではなしに、私は積極的な政府の姿勢を期待いたしたいと思います。どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) いや、これは政府の積極的姿勢というものは累次明らかにしておるわけでございまして、この主権について何か言ってきた国があるからといって、その国に対して頭を下げて、あれは私の国でございますよという姿勢は一体よろしいかどうかということ、これは私は北京政府に対しても、あるいは台北政府に対しましても、私はそういうふうに考えるのでございますが、間違いでございましょうか。
○羽生三七君 いや、それは私はたとえば、ということを言ったので、これで主権がどっちだからといって頭を下げていくということじゃないのですね。そのことの中にある向こうの論評というものが、尖閣列島のことではなしに、むしろ佐藤内閣の一連の台湾に対する政治姿勢を中心にものを言っておるのであるから、そういうことであるならば、それが相手も日本を誤解しておる場合もあるしもこっちもよくわからないことがあるというのだから、それなら誤解を解くように発言——発言というよりも、日本政府が話し合いの機会を持つようにすべきではないかと言っておるわけです。私は尖閣列島の処理の問題を言っておるわけじゃない。ただいまも、それに関連していろいろ言っておるからそれについてお伺いしておる。島の帰属問題をかれこれ論じておるわけではありません。
○国務大臣(愛知揆一君) たいへん失礼いたしました。私がちょっと取り違えたので、いまお答えいたしましたことは撤回いたしますが、これはやはり一番最初の羽生さんの御質問に戻るわけで、ですから私は、中国との間で双方の立場をお互いに尊重し、お互いに内政干渉しないという、いわば二つの大きな原則のもとに日中の政府間の話し合いが始まれば、これは激しい議論もありましょうし、やはりこれは誤解の解けるところもございましょうし、また、おのずから将来を考えてこうしたらいいだろうということも私はあろうかと思いますし、また、そうしたいと思いますが、私は願わくは、そういうことで政府間の対話をいたしたいということをこの場を通しても北京側に対してもほんとうに明らかにしたいと思います。そうして、そういうことができれば、いまお話しのような点はほんとうに腹蔵なく双方の意見を戦わし合うことができ、また誤解もおのずから解け、あるいは将来に対する積極的な両方の合意というものをかもし出すのではないだろうか、これを期待する次第でございます。
○岩間正男君 最初に、いまの問題に関連して資料をお願いしておきたいのですが、一つは、尖閣列島に対する日本の主権を立証する、そういう資料ですね。 第二は、中国、台湾のおのおの主張があると思いますが、これを資料としてお出しをいただきたい。いいですね。
○国務大臣(愛知揆一君) これは政府といたしましては、羽生さんにもいまお答えいたしましたように、あらゆる角度から見て尖閣列島は日本の主権のあるところは国民的な確信の上に立っておるわけですから、その資料といいますか、その確信を裏づけるようなものについては、できるだけもちろん資料として提供いたします。ただ、当てずっぽうに、ほかの国々がこう言っておるようだというようなことをせんさくしてまで資料を提供する必要は私はないと思います。ですから、日本の根拠となる資料は、もう喜んで、どこからでもいろいろなものをさがし出しても差し上げますが、それ以外のものは政府としてはお断わりすべきものだと思います。
○岩間正男君 国会論議の根拠をやはり明らかにすることが非常に重要だと思いますので、できるだけ御努力を願いたい、こういうことを要望しておきます。 それではお聞きしますが、まず最初に、自然休会に入る前にお尋ねして持ち越しになっておる問題ですが、沖繩の特殊部隊についてお聞きしたいと思います。本土にない部隊、あるいは安保条約の目的、範囲を越えるような部隊としてはどんな部隊があるのか。これについて調査して回答を求めることになっておるわけですね。その部隊名あるいは基地の名前、それらの動きについての概要、それらを返還時においてどう処理するのか。アメリカ当局の要望などがあったら、またそれについて政府はどうするつもりなのか、その点。また、日米間の一定の合意があったらその合意について。こういう点について御説明願いたいと思います。
○政府委員(吉野文六君) お答えいたします。 本土になくて沖繩だけにある特殊な部隊というような御質問でございますが、実はたいていの部隊は多かれ少なかれ本土にもその分遣隊なり演習場なりあるわけでございまして、沖繩のみにしかいないという部隊はきわめて少ないものだと思いますが、この点を含めまして、目下、先方とも実態把握につとめております。で、普通そのような特殊部隊としてあげられておりますのは、第一緊急派遣部隊、それから第七心理作戦部隊、それから陸軍情報学校、こういうようなものでございますが、これらにつきましてはなお実態把握中でございます。 なお、日米間にこれらの部隊について特殊な取りきめがあるかどうかというような御質問でございますが、そのような取りきめはもちろん何もございません。
○岩間正男君 まあ、何回も繰り返して要求をしておる問題なんですが、これに対して、なかなか時間がかかって返答がないわけで、やはり国会論議はもっと明確にしなければならないと思うんですよ。そのためにいろいろいままであげたわけですね。それで、本土にある場合もありますが、沖繩にないものもある。それはどういうものか。そして、いま言ったような安保の目的から逸脱するような、そういうようなものは、これはどういうものなのか、こういうことでお聞きしているんですが、いつまでに回答をもらえるのですかな。この前も、私は二十九日の予算の締めくくりでお聞きしたのですが、あのときとほとんど進んでおらない。あれから半月もたっているんですね。まだ進んでおらない。これは、先ほど、国会の論議が非常に参考になってありがたいというような愛知さんのお話でありましたが、まだ国会の論議も十分でないんですよね。そう言う前に、ほんとうに明確にする考えがありますか、どうですか。交渉は交渉でも何を交渉するのかわからない。もっと明確にする必要があるということを言っているんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはまことにごもっともな御質問であり御要求でございますから、今後とも誠意を尽くして勉強さしていただきます。
○岩間正男君 これは中間報告の文書でもいいわけですが、少なくとも、それは出せるのですか。もっと早く出してもらわなければ実際困るわけですから。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどもるる申し上げましたように、こういういろいろ複雑な問題もございますものですから、なかなか作業というか、相手方との話が思うように進まぬ点もございますけれども、先ほど申しましたように、この会期末までにはできるだけ中間報告を申し上げたいと思っております。 それから、なお、御要求の資料等について、それまでにも、もちろんこれならば私どもとしてもお出しし得るというようなものができましたら、お出しすることにいたしたいと思います。
○岩間正男君 そのうち一つだけお聞きしますが、第七心理作戦部隊について、これは何回も私はお聞きしました。それについては本土にも分遣隊があるんじゃないかと、こういうことで、これは合理化されているようですが、どうですか、最近、第七心理作戦部隊に所属しているポプリン・H・デイビットというのですか、この軍曹が、これは何ですか、最近告発をしているんですね、心理作戦の場合は非常に非人道的だと。記者会見で明らかにしたところによりますと、朝霞の分遣隊はカンボジア作戦に主要な任務を持っている。それから宣伝ビラをはじめ投下物資の多くは日本で製造されている。こういうことを記者会見で明らかにしているわけですね。この事実を大臣は御承知だと思いますが、こうなりますと、非常に、内地に、本土にあるという、そういうことで、このような心理作戦部隊を許容するのはいかがかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その御意見は御意見といたしまして、その事実、現在のところわかっておりますところをアメリカ局長から御報告させます。
○政府委員(吉野文六君) 第七心理作戦部隊につきまして、ただいま大臣のおっしゃられたように、現在までに判明しているところを申し上げますと、本土にいる第七作戦部隊の分遣隊は、埼玉県朝霞市所在のキャンプ朝霞の中に置かれており、その規模はときにより増減があるようでございますが、平均して五十ないし六十名おるようでございます。現在の構成は、米軍人が七名、それから米人軍属が六名、韓国人従業員が七名、そのほか日本人従業員が三十八名で、合計五十八人であるそうであります。 でもその活動の内容は印刷物の作成でありまして、二、三の「自由の友」とか「交流」というような駐留軍労務者向けの雑誌、そういうようなものをつくっているようでございます。 なお、先ほど申しましたこの分遣隊に勤務している韓国人は、韓国語雑誌の作成のための翻訳に当たっております。で、身分上はもちろん一般外国人でありまして、わが国の法令に服しておるわけであります。
○岩間正男君 何をやっているか。雑誌のそういう編集をやっておるとか、作成をやっておるとか、そういうことよりも、何をやっているか、中身の問題。そうして、これは、そうすると、軍曹の告発した証言、おそらく命をかけてこれはやっておるんだろうと思いますが、そういうものは事実、その点まで調べていないんですね。いまの答弁はどこで調べたんですか。簡単にやってください、時間の関係がありますから。どこからお聞きしたんですか。
○政府委員(吉野文六君) これは米軍当局から聞いたわけです。
○岩間正男君 米軍当局のそれだけでは非常に不十分じゃないですか。米軍から現に脱走した、そういう内部で働いている人が証言して、国際的にいま問題になっている。それを外務省が米軍からちょっと聞いただけのそんな資料で答弁しても、これは答弁にならぬじゃないですか。沖繩の第七心理作戦部隊は、これは朝鮮向けにやっておる、それから日本の朝霞の分遣隊は、 これは全くベトナム向けにやっておる、こういうようなことを本人が言っている。私は調べる必要があると思いますがね。 そこで、お聞きしますが、先日大臣は、米軍の潜在機能がどんなものであっても、安保条約でチェックするから問題はないというお話ですが、しかし、朝霞の分遣隊についても、その活動内容は、いまのように御存じない。全くそれはちょっと米軍に聞いた一方的な答弁で、これはどういうふうにしてチェックするんです。チェックできますか。
○国務大臣(愛知揆一君) ですから、先ほども申しましたように、現在で米軍側から得た報告等をいま吉野局長から申し上げたのであって、さらに実態については十分掌握する必要があると思っております。そして、その実態と今後の米軍のとるべき措置と、それから沖繩については返還後どうあるべきかということについて、今後の対策とあわせて、私といたしましても、真剣に対処してまいりたいと思っております。
○委員長(松平勇雄君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(松平勇雄君) 速記を始めてください。
○岩間正男君 だから、ここで、これはもう新たに提供するということになるわけですから、そうすると、全面的にはやはり検討しなければ、実際は、いままでのものはそのまま温存されてしまうというのでは不十分なんです。それを非常に不安に思っておるわけです。ですから、いままで本土内にあるからだいじょうぶだという答弁をされたのでは、私は、いまのような新たな事実によりますと、どうも信頼できないわけですよ。全面的にこれに対して、日本政府の、つまり、一国の主権というものとの関連におきましても、こういうものを明確にすることが必要だと、こういうように考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、一国の主権云々というお話にまでなりますと、私も意見がございますけれども、しかし、わがほうが提供している施設・区域内で行なわれているところの活動それ自体に対しては、政府としても大きな関心を持っていることは申し上げるまでもないことですから、特に、沖繩の返還も近いわけですから、沖繩の処理について、十分ひとつ配慮してまいります。
○委員長(松平勇雄君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十分散会