外務委員会 第5号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/03/11
会議録
○委員長(松平勇雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について報告いたします。 去る二月十九日峯山昭範君が委員を辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。 —————————————
○委員長(松平勇雄君) 千九百六十九年十一月十四日に東京で作成された万国郵便連合憲章の追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件 アジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件 千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正の受諾について承認を求めるの件 油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び 国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件 以上五案件を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。 愛知外務大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました「千九百六十九年十一月十四日に東京で作成された万国郵便連合憲章の追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件」につきまして提案理由を御説明いたします。 万国郵便連合は百年近い歴史を有する世界で最も古い国際機関の一つでありまして、国際郵便業務の発展の中心的役割りを果たしておりますが、わが国も明治十年に加盟して以来積極的にその活動に参加いたしております。 万国郵便連合の文書といたしましては、連合の機構を定める万国郵便連合憲章、連合の運営手続を定める一般規則、国際郵便業務に適用する共通の規則及び通常郵便物に関する規定から成ります万国郵便条約並びに小包郵便物、郵便為替、郵便振替等の特殊郵便業務を規律する諸約定がありますが、連合の基本文書である憲章を除くこれらすべての文書は、連合の最高機関であります大会議におきまして、通常五年ごとに全面的に更新されることになっております。 現在実施されております連合の諸文書は、一九六四年七月十日にウィーンで開催された大会議で作成されたものでありますが、これらに対しましては昭和四十四年十月一日より東京で開催された第十六回大会議におきまして今日の事態に適応した改正と補足が行なわれ、その結果、憲章につきましては追加議定書の形でその一部が改正され、またその他の文書につきましては現行の文書にかわる全く新たな文書が作成された次第であります。 これらの議定書、規則、条約及び諸約定は、いずれも本年七月一日から実施されることになっておりますが、国際間における人的及び物的交流の緊密化に伴ってわが国と諸外国との郵便物の交換が日日増加しております現在、これらの文書を締結し、万国郵便連合を通じて国際協力を維持増進いたしますことは、わが国にとって必要かつきわめて有意義であると考えられます。 次に、「アジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件」につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、万国郵便連合憲章が認めている地域的郵便連合の一つであるアジア=オセアニア郵便連合の基本文書であり、連合の組織、任務、加盟国間の通常郵便物の取り扱い等について規定しているものであります。同連合には現在わが国を含め九カ国が加盟しております。条約の改正は、通常五年ごとに開かれる同連合の大会議において旧条約にかわる新条約の形式で行なわれることになっており、一九七〇年十一月に京都で開催されました第二回大会議において、現行条約にかわるものとしてこの条約が作成されたものであります。 この条約のおもな内容は、地理的に近接していて多くの面でつながりの深いアジア=オセアニアの地域の諸国が、地域内の郵便業務の効果的な運営をはかるとともに、郵便上の問題につき協力するというものであります。 わが国は、一九六八年九月にアジア=オセアニア郵便連合に加盟しましたが、この条約の締約国となり引き続き連合の活動に積極的に参加いたしますことは、この地域内の郵便利用者の利便の増大及び地域的国際協力の増進をはかる上にきわめて望ましいと考えられます。 次に、「千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正の受諾について承認を求めるの件」につきまして提案理由を御説明いたします。 船舶から排出される油による海水の汚濁を防止するための条約といたしましては、一九五四年に作成され、その後一九六二年に改正されました国際条約が現在実施されており、わが国もその当事国となっている次第でありますが、この条約につきましては、適用対象が原則として特定海域における油または油性混合物の排出に限られていること等、その規制の内容が必ずしも十分ではないとの指摘が行なわれております。これに加えまして、近年におけるタンカーの大型化及びその船腹量の増大とそれに伴う油濁事件の頻発の事実にかんがみ、また、環境問題に対する世界的な認識の高まりを背景といたしまして、海洋の汚染防止のための規制の強化の必要性が強く感じられるに至っております。 このような情勢のもとで、政府間海事協議機関におきまして五四年の条約の改正について検討が行なわれました結果、一九六九年に開催されました同機関の第六回総会がこのたびの改正を採択いたしたわけであります。この一九六九年の改正の特色は、一定のきびしい条件を満たす場合以外には世界中のいかなる海域においても油または油性混合物の排出を禁止している点でありまして、海水汚濁を防止するための国際的な努力を一段と強化することを目的としたものであります。 わが国にとりまして海洋環境の保全は重要な課題であり、また、わが国は世界有数の海運国として海洋汚染の防止に重大な責任を有しております。他方、さきの臨時国会において成立を見ました海洋汚染防止法は、この一九六九年の条約改正をも考慮に入れて船舶からの油等の排出規制を一そう強化しておりまして、わが国が本件改正を受諾するための国内法制面での体制も整備されるに至っております。このような次第でわが国がこの改正を受諾することはきわめて望ましいことと考えます。 次に、「油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約の締結について承認を求めるの件」につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、最近頻発して起こっているタンカー等の事故の結果としての油による汚染の危険に対処するため、政府間海事協議機関の主催により一九六九年十一月にブラッセルで開かれた「海洋汚染損害に関する国際法律会議」において作成されたものでありまして、そのおもな内容は、船舶が海上で事故を起こした結果、油による海洋の汚染または汚染のおそれから生ずる重大なかつ急迫した危険から自国民の利益を保護するため、沿岸国は公海において必要な措置をとることができ、また、そのような措置をとった結果、関係国間に紛争が生じた場合には、一定の調停手続または仲裁手続により解決するというものであります。 わが国がこの条約の締約国となりますことは、沿岸海域における事故の際のわが国の利益の保護に役立ちますとともに、主要海運国としてのこの分野における国際協力の増進の見地からもきわめて望ましいと考えられます。 最後に、「国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件」につきまして提案理由を御説明いたします。 国際原子力機関憲章の第六条が定めております国際原子力機関の理事会は、原子力の平和利用の促進を目的とする同機関の任務を遂行するという重要な権限を有するものでありますが、その構成につきましては、国際原子力機関憲章の新加盟国の増加等により変化した国際社会の現状を公平かつ適切に反映しないものとなっております。そのため、一九七〇年九月二十八日、国際原子力機関の第十四回総会は、本件憲章第六条の改正を採択いたしました。 この改正は、原子力に関する技術の最先進国としての理事国の数を増加させるとともに、新加盟国が増加したにもかかわらず理事会において十分に代表されておらない地域からの理事国の数をも増加させるものでありまして、これにより、国際社会の現状が理事会において公平かつ適切に反映されることとなります。 原子力の平和利用の促進のために国際社会において一そう重要な役割を果たさんとするわが国にとりましても、この改正は、わが国が原子力に関する技術の最先進国としての理事国となる可能性を大ならしめ、わが国の理事国としての地位を一そう安定したものとすると考えられますので、きわめて望ましいと認められます。 以上五件につきまして御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(松平勇雄君) 引き続いて補足説明を聴取いたします。 山崎条約局参事官。
○政府委員(山崎敏夫君) ただいま議題となりました五つの条約に関しまして簡単に補足説明を申し上げたいと思います。 最初に万国郵便連合、これは略しましてUPUと申しておりますが、この関係の条約は、ごらんいただきましたとおり、非常に部厚いものでございますが、その内容はすべて、外国郵便業務に関するきわめて技術的な規定でございます。 今回御審議いただきますこれらの条約、約定のたぐいは、五年前に作成され今日まで実施されてきたものを、国際郵便業務の最近の事情にかんがみ全面的に改正したものであります。改正のうちおもなものを具体的に申し上げますと、まず、書状——手紙でございますが——はがき等の通常郵便物の郵便料金が変更になりまして、一方で最低料金が約二〇%引き上げられるとともに、他方では、重量に比例して増加する従来の料金体系が改められまして、郵便物の重さが増すにつれて割り安となるいわゆる逓減料金制が採用されましたのであります。また、書留郵便物及び小包郵便物がなくなりました場合の損害賠償金額が引き上げられまして、たとえば、書留郵便物がなくなった場合には、従来三千円だったものが、今回は四千八百円に改められました。 このほか、利用者に対するサービスの向上及び郵便物の取り扱いの近代化のため、郵便業務上の技術的な点で種々の改正が行なわれております。 政府といたしましては、これらの万国郵便連合の諸条約の締結につき国会の御承認を得ました上で、その規定に従いまして、わが国の対外郵便業務に関する細目を郵政省令で定める予定でございます。 次に、アジア=オセアニア郵便条約について御説明申し上げます。 先ほど申し上げました万国郵便連合憲章第八条は、加盟国が地域的な郵便連合限定連合と申しておりますが——を設立することを認めております。これは各国がその各地域に特有な郵便業務上の問題を検討して業務の改善、利用者の利便の増大等をはかりますとともに、万国郵便連合の場においてその地域内の共通の利益を守るために共同歩調をとりやすい体制をつくろうとする趣旨によるものであります。 アジア=オセアニア郵便連合は、現在八つございます限定連合の一つであります。アジア=オセアニアの地理的範囲につきましては、この条約にははっきりとは書いてございませんが、この連合にいいますアジア地域の国としましては、おおむねアラブ諸国を除いたアジアの諸国、すなわちイラン以東のアジア諸国でございまして、また、オセアニア地域とは大洋州地域、具体的に申しますと、オーストラリア、ニュー・ジーランド及びその周辺諸国でございます。現在このアジア=オセアニア郵便連合に加盟しております国は、わが国をはじめとしまして、中華民国、韓国、フィリピン、タイ、ラオス、オーストラリア、ニュー・ジーランド及びインドネシアの九カ国であります。この連合のおもな活動としましては、地域内における郵便料金の引き下げと技術協力の二つをあげることができます。その郵便料金の引き下げにつきましては、現在わが国は加盟国あて船便の書状——手紙でございますが——及びはがきにつきまして国際料金の六〇%の特別料金を適用しております。技術協力の点につきましては、わが国は、従来からこの連合の加盟国の郵政職員を東京等に集めまして郵便セミナーを開くなどして東南アジアの諸国に対する技術協力活動を積極的に行なっております。 次に、海水油濁防止条約の改正について御説明申し上げます。 船舶からの油の排出につきましては、海洋汚染の最も大きな原因であるということで早くからその規制の必要性が叫ばれておりました。一九五四年に至りましてこのための国際会議がロンドンで開催されまして、海水油濁防止条約が採択されたのであります。この条約は一九六二年の改正で適用の対象となる船舶についてもまた規制海域の範囲についても拡大されましたが、今回の一九六九年の改正では新たに瞬間排出率という概念を導入いたしまして、船舶からの油の排出は、世界のいかなる海域におきましても瞬間排出率が六十リットル・パー・マイル以下でなければならないとするとともに、これに加えましてタンカーについては、一回の航海中の油の排出総量を油タンクの最大積載能力の一万五千分の一以下とし、また、タンカー以外の一般船舶につきましては油の濃度を一〇〇PPM以下に規制しております。こういう規制は現在の技術水準に照らしまして現実に実行可能でありますとともに、専門家の研究の結果、こういう基準が厳格に守られれば自然の浄化作用と相まちまして油による海洋の汚染は効果的に防止できることが確認されております。 次に、この条約におきましては排出基準の違反は各締約国がそれぞれの国内法に基づいて処罰する義務を負っております。したがいまして、公海上における外国船舶の違反につきましては、その違反を見つけた国はこれをその船舶の属する国の政府に通報してその政府において必要な処罰の措置をとるよう要請するとともに、そのとった措置について通報を受ける仕組みになっております。 現在までにこの改正を受諾した国は二カ国にすぎませんが、わが国としましては、率先これを受諾いたしまして世界の海運国としての責任を果たしたいと存ずる次第であります。 次に、「油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約」について御説明申し上げます。 この条約は俗に油濁公法条約とも呼ばれておりますが、この条約は一九六七年にイギリス及びフランスの近海で起こりました大型タンカー「トリー・キャニオン号」の海難・油濁事故を契機として作成されたものであります。このトリー・キャニオン号事件について若干御説明申し上げますと、これは、リベリア船籍のタンカーでありまして、六万一千二百六十四総トンであります。その実際の所有者はアメリカの法人で事故当時は英国の会社がチャーターしていた、こういう複雑な関係があります。この船が一九六七年の三月十八日に英国の西南のシリー諸島の沖合いで坐礁いたしまして、この船が積んでおりました原油約六万トンが流れ出まして英国の西南部の海岸をはじめとしまして、対岸のフランスのブルターニュ半島北部の海岸一帯に至るまでばく大な損害をもたらした事件であります。この事故の発生後英国政府は直ちに流出した油の拡散を防止する作業を開始しましたが、十分な効果をあげ得ないまま十日間が経過し、ついに、この船を爆撃してこれを沈めるとともに、タンカー内に残っていた油を燃やすという非常手段をとったのであります。ちなみにこの事件に関する損害賠償問題は、トリー・キャニオン号の所有者と定期用船者が、英仏両国政府に対してそれぞれ百五十万ポンドずつ合計三百万ポンド、邦貨にして約二十六億円を支払いまして、さらに、そのほかの者からの賠償請求に備えて二万五千ポンド、邦貨にして二千百六十万円を確保することで示談によって解決した由であります。この条約は、いま申し述べましたこのトリー・キャニオン号事件のような事故が再び起こったような場合を頭に置きまして作成されているものであります。 伝統的な国際法の一般的な考え方からいたしますれば、公海上にあります船舶は、その船舶の属する国以外は手を触れることができないわけでございますが、近年におきましては、タンカーは非常に大型化いたしまして、またそのタンカーの船腹量も非常にふえておりますので、タンカーの事故によって沿岸国が被害を受ける事件も激増している次第でございます。したがいまして、こういう場合には沿岸国が公海上において、他国の船舶に対して、例外的に緊急措置をとることが認められるというのがこの条約の趣旨であります。わが国としましては、この条約につきましても海運国としての責任を果たす意味で早急に受諾したいと考えております。なお、以上申し述べました二つの油濁関係条約を受諾するにあたりましては、国内法上の手当てが必要でありますが、昨年末の臨時国会におきまして海洋汚染防止法が成立いたしまして、この法律は、いま申し上げた条約の趣旨を十分に取り入れてつくられておりますので、法制的な手当ても十分できている次第でございます。 最後に、国際原子力機関憲章第六条の改正について御説明申し上げます。 わが国は、国際原子力機関IAEAと申しますが、——この理事会の発足以来引き続いて理事国となっておりますが、現行の憲章のもとでは、わが国は、極東地域における原子力の先進国としての理事国の地位を占めているわけでありまして、地域と関係なしに原子力に関する技術の最先進国として指定される理事国の地位は、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ及びソ連によって占められております。しかるに、今回の改正によりまして、最先進国として指定される理事国の数が現行の五カ国から九カ国にふえることとなります。したがいまして、わが国が、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ソ連及びインドとともに、この最先進国九カ国の仲間入りをすることは確実であります。もっとも、インドにかわりスウェーデンが指定される可能性も残されておる由であります。こういうわけで、わが国に関する限り、IAEAの理事会におきまして、事実上の常任理事国的な地位を得ることとなるのであります。 また、現在の理事国の数は二十五でありますが、今回の改正によって、その数は、三十四または三十五となります。三十五となるといいますのは、もしインドにかわってスウェーデンが指定された場合であります。さらにその地域的配分も広く公平な見地から行なわれることとなりますので、今回の改正は、わが国としてもきわめて望ましいものと考える次第でございます。 以上五件について簡単に補足説明を申し上げました。
○委員長(松平勇雄君) 以上をもって説明は終了いたしました。五案件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。 —————————————
○委員長(松平勇雄君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件以上二案件を便宜一括して議題といたします。前回に引き続きこれより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○西村関一君 まずスイスとの租税条約を締結する案件でございますが、この条約を締結することによりまして、むしろわが国の投資家よりはスイス国の投資家に利益を与える面が多いんじゃないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
○政府委員(山崎敏夫君) 前回の審議におきまして御説明いたしましたとおり、確かにスイスのほうの投資の金額がわが国のものよりも多いことは事実でございます。それが軽減税率が今回適用されるという意味によりまして、スイスの投資家にとって利益になることは事実でございます。しかしながら、わが国が今後いろいろ貿易自由化及び資本自由化に従いまして、わが国が受け取る配当とか利子とか、支店収益とか、あるいは特許権の使用料も増加してくるわけでございまして、その意味において、スイスにおいてわが国の関係者が税率の軽減の利益を受けることも十分予想される次第でございます。 それから、これも前回に申し上げましたが、船舶、航空機に関しましては相互免除が規定されているわけでございますが、ここはちょっとスイスについては、わが国にとってはむしろ例外でございますけれども、船舶も航空機も行っていないわけでございます。それから、スイスからわが国へは、船舶は来ておりませんが、航空機は週四便来ております。これについてはスイスのほうが利益を受ける次第でございます。 それから、企業進出につきましては、前回も申し上げましたように、わが国からスイスヘは現地法人として十七社、支店が一、駐在員事務所が十九行っておるわけでございまして、こういう進出企業につきましても、この課税の原則が定められることによってわが国としては十分利益を受けると存じます。
○西村関一君 一九六五年度の統計によりますと、わが国がスイスに支払った特許権使用料は千三百十三万ドルの多額にのぼっておりますが、スイスから導入しているところの特許権の件数、いま少しお触れになりましたが、その内容と、どのぐらいの額を支払っておるかということを伺っておきたいと思います。
○政府委員(山崎敏夫君) わが国がスイスに支払っております特許権の使用料の内容は、結局、わが国がスイスから導入している技術に対する使用料でございますが、金属機械、電子機器、合成樹脂、化学薬品等、きわめて広範囲にわたっております。そのうち比較的金額の多いものといたしましては次のようなものがございます。超短波帯用インピーダンス変成回路——一種の電子機器でございますが、これはグスタフ・グァネラ社より松下、サンヨー、早川、ソニー、三菱電機、日立、東芝等多数のメーカーが導入しております。それから化学薬品、医薬品については、チバ・リミテッドとかムンディファルマ等から薬品会社が導入いたしております。 ただ、残念ながらわが国からスイスに提供いたしました技術につきましては、詳細な資料が得られませんので、内容的にちょっとまだ把握いたしかねている次第でございます。
○西村関一君 先般の補足説明によりますと、わが国からスイスヘの企業進出は、現地法人十七、スイスからわが国へは百三十六の現地法人が来ているということでありますが、これらの種類はどのようなものが来ておりますか、伺っておきたいと思います。
○政府委員(山崎敏夫君) わが国の企業のスイスヘの進出状況につきましては、現地法人として、いま仰せのとおり十七社でございますが、おもなものとしましては、ソニー・オーバーシーズ、ウォルサムの電子会社等がありまして、そのほかにキャノン、リコー、ミノルタ、日本化学などが一〇〇%出資の販売会社を設立しております。支店は一となっておりますが、実はこれは神戸の真珠の協同組合が設置したものでございますが、最近廃止されたというふうに聞いております。駐在員事務所は大体日本航空とか東京銀行などであります。 それから次に、スイス企業の日本への進出企業は、現地法人は百三十六ときわめて多数にのぼっておりますが、おもなものとしましては、旭ダウ株式会社、日本オリベッティ・インターナショナル、キャタピラー三菱などがおもなものであります。それから支店につきましては、メディカル・トリビューン、スイス航空などがあるわけでございます。
○西村関一君 スイスとの条約には情報交換の規定がありませんが、その理由は何でありますか。この規定がありませんと、先般の有馬事件のような、スイスにある隠し金といいますか、隠し財産、そういうものの実体がつかめない、捜査に支障をきたすような場合があると思われますが、その点、いかがでございますか。
○政府委員(吉田太郎一君) 先生の仰せのように、この条約には情報交換の規定は入っておりません。これはわが国の結んでおります条約、ほかにも一、二あるわけでございますが、わが国といたしましても、またOECDのモデル条約の考え方からいたしましても、二重課税の防止をするために必要な情報交換の規定が入っているというのが基本でございます。ただ、御承知のように、スイスは銀行の秘密保持ということについて非常に厳格な法制を維持しているというような背景もございまして、この情報交換の規定を、スイスが結んでいる租税条約——二十に近い各国と条約を結んでいるわけですが、そのほとんどについてやはりこれを排除しております。その考え方の基本は、おそらく先ほど申しましたように、企業の秘密保持に対する非常に厳格な考え方がスイスにあるということがその背景になっていると思います。それからもう一つは、租税条約というのは二重課税を防止するのにあるのであって、脱税を防ぐためにあるのではないという考え方がスイスの基本になっておるようでございます。そういう考え方のもとで、OECDのモデル条約に対しましても、スイスはこの条項について留保をいたしておるわけでございます。 通常情報交換の規定の例文と申しますか、規定ができておりますのは、通常の行政運営により得るところの情報を交換する、こういう規定になっておるわけでございますが、スイスにつきましては、先ほど申しましたようなスイス・サイドにおける非常に厳格な秘密保持に対する制約もあるということからいたしまして、この規定を入れることの実益ということはあまりあり得ないのではないか。そして、スイス側が非常にこれに対して重要な意味を持っておるということなどを考えましてその規定を除いたわけでございます。もっとも、これを除きましても、この条約の二十五条におきまして相互協議という規定がございまして、必要に応じ両国間において協議を行なう、かような規定を設けておることによりまして、その実際の通常の情報の交換については、その協議の段階で現実的には処理し得るのではないか、かように考えております。もう御承知のように、スイスの銀行の秘密につきましては非常に厳格に向こうが行なっておるわけでございまして、なかなか通常の場合にはこの情報を得ることはできないということからかような決定に至ったわけでございます。 —————————————
○委員長(松平勇雄君) この際、委員の異動について報告いたします。 本日黒柳明君及び廣瀬久忠君が委員を辞任され、その補欠として浅井亨君及び山崎五郎君が選任されました。 —————————————
○西村関一君 次に、シンガポールとの租税条約について質問をいたします。 わが国の先進国に対する租税条約網はほぼ完成した状態にあるといわれますが、今後わが国企業の進出や投資活動が活発になると予想されておりますところの発展途上国との関係におきましては、いまだ条約関係が十分であるとは言えません。早急な整備が望まれているようであります。今後東南アジア及び中南米等の発展途上国のうち、どのような国とこの種の条約を結ぶおつもりでございますか。また、実際に締結交渉を進めている国がありますかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(山崎敏夫君) 発展途上国との条約の締結でございますが、わが国は全体として大体二十五カ国の国との間に条約を締結しているわけでございますが、そのうち十カ国は発展途上国でございます。その締結した順序を追って申し上げますと、パキスタン、インド、それからシンガポール——シンガポールは、実は説明申し上げましたように、先方が申し入れてまいりまして、新たに条約を締結して現在ここに御審議を願っておる次第でございます。それからタイ、マレーシア——マレーシアは一回昭和三十八年に締結、その後四十五年に改定をいたしております。ブラジル、セイロン、アラブ連合、ザンビア、韓国、この十カ国でございます。 先生もいま仰せられましたとおり、わが国としましては、地理的、経済的関係が特に緊密なアジア諸国を中心に租税条約のネットワークの拡大をはかってきた次第でありますが、これらの条約がそれぞれの国との経済取引の円滑化と拡大に果たした効果はきわめて大きいと考えます。また、近年経済関係が急速に拡大しております中近東、アフリカ及び中南米の発展途上国とも租税条約の締結を推進してまいる考えでありまして、すでにブラジル、アラブ連合、及びザンビアと租税条約を締結したわけでございます。 それから今後の方向でございますが、アジア諸国のうちまだ条約を締結しておりません国でおもな国としてフィリピンとインドネシアがございます。これにつきましては、外務省といたしましても、大蔵省と御連絡をとりまして、早くから交渉の申し出を行なってきたわけでございます。このうちフィリピンとは過去二回にわたって交渉を行ないましたが、両方の主張にまだ相当大幅な隔たりがございまして、目下、中断の状況にございます。しかし、これはできるだけ早く再開したいと考えております。他方、インドネシアも、最近に至りまして向こうの税制もだいぶ整備されてきたようでありまして、従来の消極的な方針を改めて、租税条約の交渉に応じてもいいということを申し入れてまいりましたので、近く交渉の開始に至るのではないかと思っております。 他方アフリカにつきましては、昨年の夏に東アフリカ三国、ケニヤ、ウガンダ及びタンザニアと租税条約の交渉を行ないまして、実質的な内容については合意を見ております。ただ残念ながら、最近、ウガンダで政変がありまして、ちょっと政情が不安定なために、最終的な署名に至っていない状態であります。また中南米に関しましては、同じく昨年の夏にトリニダッド・トバゴと第一回の交渉を行ないました。 一般に発展途上国につきましては、国内税制の整備が十分とは言えない。また、税務行政の水準も低いという問題もあります。他方、経済発展のために必要とされる歳入の不足に悩まされておりますので、これが発展途上国一般のナショナリズムの風潮と結びつきまして、ややもすると外国人や外国企業に対して過大な税負担を求めるという傾向があります。そうして、課税をめぐっていろいろなトラブルが発生することは多いのでありますが、こういう発展途上国との租税条約を締結しますことは、このようないろいろなトラブルを解消する上にいろいろ役立つとともに、ある意味での経済援助の効果をも期待できるわけでございまして、われわれとしても、従来の方針どおり、この発展途上国との条約締結にはさらに積極的に取り組んでいきたいと考える次第であります。
○西村関一君 シンガポールに対しましては、第二次世界大戦における不幸な事件に関しまして例の血債問題というのがございまして、二千五百万シンガポール・ドルを無債で供与するということに同意し、同協定は昭和四十三年五月七日に発効しておりますが、この協定によりますと、無償供与は協定の効力発生後三年間にわたり「均等に配分して行なわれる」ということになっておりますが、この実施状況はどのようになっておりますか。また同時に無償供与分と同額の有償供与を行なうということに合意しておりますが、これが実施状況もどうなっておりますか、この際、あわせて説明をしていただきたいと思います。
○説明員(栗野鳳君) ただいまの御質問の第一点は、一九六七年の協定は三年間にわたり二千五百万シンガポール・ドル相当の日本国の生産物及び日本人の役務をシンガポールに無償で供与することになっております。で、対象のものについてシンガポール側で何をほしいかという点についていろいろ検討に時間がかかったことなどから、三年間で終わりませんで、本年五月六日で切れるところを、去る二月の二十六日に両国間で期間の延長に関する書簡の交換を行ないまして、明年の三月三十一日まで延長されることになっております。 で、これの実施状況につきましては、本年の一月末現在で、これは総額は二十九億四千万円でございますが、そのうちの二十億四千六百万円ちょっとが支払い済みになっておりまして、履行の率からいいますと約七〇%——六九・六%になっております。これの対象としましては、造船所の建設資材——ジュロン港のクレーン二基、人工衛星の地上局の建設資材、公共事業局の購入資材、そういったものに充てられることになっております。 次に有償のほうにつきましては、両国間で協議を重ねました結果、昨年十月九日にこの実施に関する公文が現地で、シンガポールにおいて交換されまして、その後、本年の一月二十八日に貸し付け契約の署名が行なわれております。この使用対象につきましては、造船機材、これは船舶用の鉄板などでございます。人工衛星地上局の資材などでございます。
○西村関一君 シンガポールの最近の政情について伺っておきたいと思います。
○説明員(栗野鳳君) シンガポールはもともとリー・クアンユー——現在の首相でございますが、非常に傑出した政治家でありまして、人民行動党という党をつくりまして、一九六八年の総選挙以来国会の全議席を獲得しております。もちろん野党、社会主義戦線というのがございますが、主として国会の外でのいろんな活動をやっております。総選挙にも候補者を立てないという状況でございまして、国民の中でほとんど影響力を持っておりません。そういうわけで、このリー・クアンユー首相の率います行動党を中心とする勢力は非常に安定しておりますし、シンガポールの政治は従来、最近ともに非常に安定しておる。たとえば昨年の後半でしたか、リー首相は三カ月に及んで世界一周旅行をいたしておりますが、それが物語るような状況でございます。
○西村関一君 最後に一点お伺いをしておきたいと思いますが、これらの租税条約が締結されることによりまして、わが国地方自治体の税収にどういう影響を与えますか、この点、いかがですか。
○説明員(近藤隆之君) 御案内のとおり、今度のスイスの場合、シンガポールの場合、シンガポールの場合は地方税は影響ございませんし、スイスの場合は住民税でございますが、ほとんど影響ないと思います。
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、二案件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより二案件について一括討論に入ります。 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、二件についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(松平勇雄君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。 これより質疑に入ります。 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 きょうは主としてインドシナ情勢とこれに関連する中国の動向、それから南ベトナムの油田開発問題等を中心にお尋ねをいたしたいと思います。 御承知のように、ベトナム、カンボジアあるいはラオス等へのアメリカの相次ぐ介入が一そうエスカレートしてまいりまして、そのことから先日中国の周恩来首相がハノイを訪問したことは御承知のとおりであります。しかも、そこで両国の合意が成立したのみならず、昨日は両国の共同声明が発表されまして、中国はアメリカの侵略に対抗するために北ベトナムへの援助を一そう強化することを約束をして、しかも、アメリカがこれ以上戦火を広げるならばいかなる犠牲を払っても北ベトナムを援助すると、重大な覚悟を披瀝をいたしております。これらのことはきわめて重大な問題だと思いますが、政府はこれをどのように認識されておるのか、まず最初に、この点からお伺いをいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) 本件につきましては、先月の上旬以来と申しましょうか、中華人民共和国の態度というものがだんだんと変化してきておるというふうに見受けているわけでありまして、情勢変化に応じては相当——省略して中共側と申しますが——中共側としては重大な関心を払い、かつ、たとえば声明等のやり方にしても、だんだん権威筋の度合いが高くなってきていると申しましょうか、そうして、その関心の示し方もなみなみならぬものが出てきたように見受けております。政府としての見解としては、さようにだんだんエスカレートしてくるようなことになりますと、これは中共側の態度を云々するわけではございませんが、インドシナ半島の戦乱状態がますます憂慮にたえない、すみやかに和平の状態に戻ってもらえるように関係当事国の特に善処を求めるという立場をとってまいりたい、また今日までとってきたつもりでございますが、そういう考え方を基本的に堅持してまいりたいと思っております。
○羽生三七君 このことから直ちに中国の正規軍が出兵するようなことはなかろうという見通しもあるようですが、一部には義勇軍が出るのではないかという説もあります。いずれにしても、いますぐそういうことが行なわれることはないといたしましても、アメリカのインドシナへの介入がそう簡単に取りやめになるとは考えられませんので、この矛盾がさらに矛盾を生んで、アメリカが一そうインドシナ三国への介入を強化するようなことになれば、この声明にもあるように、勢い中国もこれに対抗して援助を強化せざるを得ない。単なる物資とかあるいは兵器とか技術的な援助のみならず、現実に戦火を交えるようなことがないとは言えないと思います。われわれが朝鮮戦争の場合の悲惨な例を考えるならば、これは日本にとっても非常に私は重要な問題だと思うので、その辺のところは一体いま外務省としてはどう見ておられるのか。これはアメリカの動きなんかを見ると、そんなことはあるまいと、そんなことには現実はそこまでは発展しまいというような楽観的な見方もありますが、これはアメリカがこれ以上インドシナへの介入をしないということを前提とすれば、とにかく介入が激化した場合には当然起こり得ることが予想されるので、その辺の見通しはいかがでありますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 当事国でございませんから、願望を入れての期待とか、希望になるわけでありますけれども、アメリカ側としても中共が直接に軍事力をもって介入するというようなことを好まないことは私は当然だと思います。したがって、こういうふうな状況になってまいりますれば、たとえばいまも言及されましたが、一九五一年当時の朝鮮半島の状況などを想起しつつ、これ以上の対決状態が起こらないように、私はアメリカ側としても大いにその点は配慮あってしかるべきことである。また、さように考えつつあるのではないか。いま申しましたように、希望を込めてさように観察いたしております。
○羽生三七君 そこで、先ほども外務大臣からお話がありましたが、そういう希望を込めて、アメリカでありますか、関係国に何らかの自制を求めておるようにも言われましたけれども、とにかくそういう自制を求めるなんということでは私は足りないのではないかと思うのです。これはアメリカの戦争エスカレートに対して厳重な警告を発して、ベトナム戦争に対する日本の対米姿勢をあらためて検討すべきではないかと思うのです。やはり、やむを得ないとか、平和のためには云々というような、もうそういう態度は許されないのではないか。このままでいけば取り返しのつかないことも起こりかねない。もちろん私は、アメリカも冒険をこれ以上おかしたくないという気持ちは持っておると思います。しかし、物理的法則というものが予断を許さないものがあると思いますので、私は、日本がもしほんとうに平和を愛好し紛争の話し合い解決ということを希望するというならば、単に願望というような問題ではなしに、アメリカに対して積極的に今日の事態に対して警告を発すべきではないか。単なる願望というようなことでは弱いのではないか。強い外相の決意を要請したいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) まことに私もごもっともな御意見であると思います。そして日本としてはやはり限界というものも私はあると思うのでありまして、たとえば、軍事力というようなものは全然持っておりませんし、要するに、やれる方法、手段というものは平和的な手段、これだけしかないわけであります。したがって、手ぬるいという御批評は免れないと思いますけれども、たとえば先般来御説明しておりますように、ラオスが巻き込まれるおそれがあるということに際しまして政府のとってまいりました措置をまた繰り返して申し上げるまでもないと思いますけれども、ラオスの中立を尊重し、ジュネーブ協定の線に戻って外国軍隊の即時撤退を中心にした日本政府としての関係国へのアピールというものは、私の見ておりますところでは、カンボジアのときにジャカルタ会議に積極的に参加いたしましたときよりも、もっと関係の方面に影響があったように私は現在のところ見ております。たとえば、これは各国それぞれの状況について一々御説明してもけっこうだと思いますけれども、たとえば東南アジアの国々にしても、あるいはいわゆる共同議長国にしても、あるいは国際監視団の構成国にいたしましても、ジャカルタ会議当時よりももっと日本の政府のとってまいります態度というものに対して理解と協力といいますか、理解の度が一段と進んできた。したがって、たとえばその一例をあげてみれば、インドの例などもあげられると思いますけれども、積極的に日本の意図に対して賛意を表明してきておる。これは、こうした国際的な環境ができ上がるということになれば、これはもう双方の当事国に対して私は少なくとも非常な牽制力になるのではないかと思います。そういうところの動向を無視して双方ともにさらにエスカレートするということについては、当然ためらいというものが出てくるのではないか、少なくともそういう効果を生んできつつあるということには私は自信を持って進んでいくべきではないかと思います。
○羽生三七君 それで、そういうことから具体的にアメリカに何か警告をしたとか、そういうことはないのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 警告というよりは、もう実質的な警告であると私は思っております。これは米国に対しても、関係当事国に対して、とにかく内容のしっかりした考え方とそれから方法論を具して、そうしてジュネーブ協定によって始末をしなさいということを当事者に、たとえば議長国その他にアピールすると同時に、そのことは全部、北の諸国に対しては直接の国交がございませんから通報することもできませんけれども、そうしたとった措置というものは全部アメリカ側にも通報しておるわけですから、私は十分なる効果がそれによって期待できると思います。
○羽生三七君 本来ならこの種の問題が起こった場合に、日本がほんとうに何らかの当事国の反省を求めるような力といいますか、条件に置かれておるとするならば、やるべき仕事はたくさんあると思うのですが、いま外相自身の話にもあったように、北とは国交は持っておらないし、中国とも持っておらない。ですから、こういう場合に日本がいかに不自由な立場にあるかということが非常によくわかると思いますが、これはまたあらためての機会にお尋ねをいたしたいと思います。 そこで、こういうようなインドシナ三国の戦争のエスカレートが続いた場合、戦火が直ちにおさまるような情勢にない場合、その場合にそれは沖繩返還協定に何らかの影響を及ぼすことはないのかどうか。私はあまりこの点は楽観はしたくないと思います。これはいよいよ現実の問題となって、さらに一そうインドシナ三国の戦争がエスカレートしてくる、その結果アメリカが沖繩の地位というものをあらためて重視したり、あるいは戦略的にいろいろな考え方を持って臨む場合には、それは返還協定に全然何らの影響もないと言い切れるのかどうか。この辺、私かなり疑問に思っておりますので、この点はどうお考えになりますかお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、影響はない、また影響あらしめないように日本としてはやっていくべきであると考えております。このことは先般当委員会でも申し上げたと思いますけれども、そういったことだけにたよりをしているわけではもちろんございませんが、アメリカ政府全体の空気をあらわしているものとして例にもとって申し上げたと思いますけれども、インドシナ戦線が膠着状態というより、さらにエスカレートするのではないかと一般的におそれられているそのさなかに、アメリカの軍部その他からいろいろのまた意見などが開陳されたそのまっただ中に、米政府筋が、いわゆる共同声明の第四項後段の、世にいわゆるベトナム再協議といわれております、ベトナム再協議というようなものは必要ないだろう、沖繩は本土並み返還でその合意でいくのであって、再協議というものの必要性はなかろうという見通しが米国側からも流れてきておることは御承知のとおりであろうと思います。これは私がしばしば申し上げているとおりでございまして、そこに一致点がある。それから、かりにインドシナ半島の問題と関連があるとしても、インドシナ半島全体の米軍としてはとにかくこの五月までにさらに六万の撤兵をするということは既定の方針になっており、それは実行されておるわけでございますし、それから、極東全体の戦略の状況を見ましても、もう沖繩にあらためてそんな大きな、さらに現在以上に軍事的な力を期待するということは私はない、こういうふうに考えております。
○羽生三七君 この沖繩返還に関連して、ちょうど、日米共同声明にあるような、いわゆる再協議というような形をとらなくとも、実は返還協定の中の個々の問題について私はいろいろな意味のウエートが、つまりインドシナ戦争のエスカレートに関連するいろいろな問題がかかってくるように思いますが、これはまた他の機会に譲ってお尋ねをいたします。 そこで、これに関連して伺いたいことは、南ベトナムの油田開発の問題であります。私どもも日本の石油資源が不足していることはよく承知しておりますし、これはわが国の経済の上に重要な問題であることもよくわかっておりますが、そうだからといって、その開発に対して外交上の秩序を無視していいということは私は言えないと思うのであります。一説には、アメリカが南ベトナムに非常に深入りするその原因は石油利権に関係があるということがいわれております。アメリカの下院議員がこのことに関連をして公聴会を要求しておるそうでありますし、また、アメリカの母親たちが、私たちのむすこは沖合いの石油のために死ぬのかという叫びを上げて、これが米国民の大きな関心を集めているともいわれております。この辺の事情は外務当局としてはどのように把握されておるのか、御存じのところをお聞かせいただきたいと存じます。
○国務大臣(愛知揆一君) 実はモスクワ放送で私は最初に知りました。それから数日いたしまして日本の新聞に大きく掲載されたので、率直に申しまして、こういう話があるのだということを知ったくらいでございますから、私といたしましては、こうした伝えられておるような計画を事前に相談を受けたこともございませんし、また事後に、現在の時点において特に政府部内で外務省を加えて会合その他をやったこともございません。関心を持ち、また通産省を中心にしてのいろいろの相談も今後あろうかと思いますけれども、そんな状況でございますから、私として具体的に意見を申し上げるところまでいっておりません。原則問題として、私はこれも当委員会で前に申し上げたと思いますけれども、先般のOPEC問題に象徴されておるような、ずいぶんいままでも資源の自主開発ということについては私どもも積極的な主張を持っていたわけでありますけれども、やはりOPEC問題などが起こってみると、ますますその必要性があると思います。そこで私は、一般論としては、こういったところの資源の開発に各国と協力して参加をするということはぜひやらねばならないことだろうと、原則論としてそう考えます。 それから、具体的なお尋ねで、これが国際秩序を無視する行き方であるかどうかということは、私としてはさらに研究してみたいと思いますけれども、いま伝えられておるところでは、さほどの問題ではないのではないかと思っております。この点は、いまお断わりいたしましたように、私は具体的な知識、材料が乏しゅうございますから、あらためてまた意見を申し上げる機会もあろうかと思います。
○羽生三七君 この開発は、伝えられておる範囲で見た限り、日本の石油開発公団あるいは民間の八社、これがアメリカのガルフ・オイルと提携して共同開発を行なう、こういうものであります。それでいま外相のお話しのように、日本の石油資源の不足から開発が要望されておるというこの事実そのものは最初に私が申し上げたとおりであります。私はそれを否定するものではないし、日本の経済の上に重大な影響がありますから、当然であろうと思います。しかし、いまベトナム戦争というものがこれほど世界的に大きな問題になり、また、それでアメリカ自身もみずからまいた種で苦しみ、あるいはインドシナ三国を苦しめ、大きな問題となっておるときに、その一方の当事国に対して、この種の、日本がたとえ政府が直接その手を下さないにしても、開発公団や民間会社であったにしても、それに日米が共同でこの開発に参加するということは、私は非常に問題だと思うのです。これは経済は政府の関与するところではない、民間の自由だと言えばそれまででしょうが、しかし、国際的に見れば、国際条約上の問題は私はないと思います。若干の疑問はあとから申し上げますが、それはたいした問題ではないにしても、道義的には私は非常に大きな問題であるし、日本の信義というものが問われるのではないかと思いますので、重ねてお伺いをいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) これはたいへん恐縮でございますが、いま申しましたように、具体的な私としての意見を申し上げるような資料の検討を必要といたしますので、私としての意見は追って申し上げることにいたしたいと思います。ただ、一般論として、また本件についても伝えられておるところ、報道されておるところでは、この油田の公開入札を国際的にオープンにやっているのに対して応札をしようということではないかと、そういうふうに私は報道されているところで読んだわけでございますが、そこがいまお話しのように、国際的な道義に反するとか、あるいは国際的秩序に反するというようなものであるかどうか。もしそうであるとするならば、これは民間の普通会社はともかくといたしまして、公団というようなところがやるためには不適当だという考え方が出るかもしれませんけれども、その点は私はお断わりいたしておりますように、たいへん恐縮でございますが、ただいまは意見を申し上げられません。
○羽生三七君 私のほうもお断わりしておきますが、これは条約上とか協定上とか、そういう意味の問題に直接関連することはないと思います。しかし、インドシナ戦争というものにこれほど世界が多くの関心を寄せておるときに、その一方の当事国と——つまり南ベトナムですね——当事国における開発を、他方一番の問題である、アメリカと日本の財界なり公団が同一歩調をもって提携をしてやることに国際的なモラルというものが問われるんではないかということを言っておるわけです。のみならずですね、南ベトナム解放戦線と北ベトナムは、「チュー政府との鉱区についての取りきめは無効とみなす」と言ってるわけですね。これは将来、それは言いっぱなしということなら別ですが、もしこの解放戦線なり北ベトナムの言っておるような「チュー政府との鉱区についての取りきめは無効」ということを現実に実行することになれば、これはどのような取りきめをやろうと、また開発に現実に参加しようと、結局無効になる、そういう運命になるでしょう。これはベトナム戦争がどういう結果、結末を告げるかということに関連もありますが、しかし、私たちはアメリカの欲っするように、また南ベトナムの好むようにすべてが終息する可能性はほとんどないと思いますから、そういう意味で、やはりこの解放戦線なり北ベトナムなりがチュー政府との取りきめについての無効を言ってることが、あるいは現実の問題にもなるかと思います。そういう意味では、私は十分日本の政府としての、たとえそれが民間の問題であっても、深甚な考慮を払って、また必要な場合によっては、外相は調査の上と言われましたが、問題の発展によっては十分な警告を行なうべきではないか。それが国際的にもまた十分なモラルの確立として日本に要請される問題であると考える次第であります。もう一度お伺いいたします。
○国務大臣(愛知揆一君) いまもお触れになりましたように、私は正確なお答えができませんけれども、しかし、これは国際秩序を脅かすということは、政治的な観点からお取り上げになっているように思いますが、私は、法律的、その他の秩序ということからいえば、正統な——ベトナム戦争は別として、正常な国交関係のあるところの南ベトナム政府が入札を公開でやるということに対して、それに応札するということは、法律的、条約的には問題ないんじゃないかというふうに考えますけれども、まあ、そういう意見も含めて後刻私はお答えすることにさせていただきたいと思います。これに対する正確なお答えは留保させていただきたいと思います。
○羽生三七君 私も重ねて申し上げますけれども、法律的あるいは条約的なことを言っているのではなしに、国際的なモラルを中心にして言っておるのでありますから。まあしかし、外相がこれ以上意見を述べられることを差し控えられる、問題を留保されていることであれば、この問題はこの程度にいたします。 まだちょっと時間がありますので、もう一つ最後に、これは通産大臣に聞いたほうがいいかもしれませんけれども、日米繊維問題ですが、結局アメリカは日本の自主規制宣言を、業界の自主規制宣言をのむのですか、どうでしょうか。何か一昨日、昨日あたり、拒否するのではないかという報道もあるようですが、さらにそれも立ち消えになったようにも考えられますが、その辺の事情はどうなのか、外務当局でわかっている範囲でお答え願いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 実は政府としては、本件についてのアメリカの政府としての正式なり非公式なりのコンメントを期待しているわけでございます。まだこれが出ておりませんが、早ければこちらの時間で、きょうじゅうぐらい、おそくも一両日のうちには何らか米政府としての意思表示があることを期待いたしております。その内容がいかなるものであるかはわかりませんけれども、日本政府といたしましては、これまで三年近くにわたって政府間交渉をやってまいりましたけれども、妥結ができませんでほんとうに困っておったわけでありますが、その間、一方において、かねて日本の繊維業界がいろいろ苦心をされて、そうして大所高所に立って、今後の日米関係あるいは国際経済の上において保護主義的な傾向が不当に出てくることを抑制するための、非常に私は大所高所に立っての判断であったと思いますけれども、自主規制ということに踏み切られたのでありますから、願わくは、この日本の関係業界の誠意のある態度が国際的にも高く評価されてしかるべきものであると、そういう点に私はアメリカ側も十分の理解を示されんことを政府としても大いに期待しているわけでございます。ただ、この一両日伝えられておりますように、アメリカとしても、繊維業界あるいは労働界はこの日本の一方的宣言の自主規制に対して非常な強い反対意向を表明しておりますから、したがって、アメリカ政府としてもなかなかコメントを出すのに苦労されているのではなかろうかと、かように考えるわけでございます。
○羽生三七君 それで、そのアメリカの労働界なり業界の反対に、政府も直ちに日本の自主規制を受け入れるようなこともできないような情勢に置かれているということは私もよくわかりますが、しかし、いま外相のお述べになったことは、希望的観測なのか、客観的に見ても、外相のいま述べられたような希望が現実に受け入れられるような情勢にあるのか、その辺はどのように判断をされておるのか伺いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 実は率直に申しまして、私自身も日夜できるだけの努力を続けております。昨日のごときも夜中じゅうやっております。それから、これは政府といたしましても、せっかくのこれだけの日本側のその道の方々がこれだけの決心をされたのですから、どうかひとつこれで多年の問題に終止符を打ってもらいたいということについて、私も及ばずながら最後まで努力を続けているわけでございます。これは総理が先頭に立ちまして、政府全力をあげて、これでアメリカの政府筋の理解、納得の取れるように、ただいま全力をあげて努力を続けております。
○羽生三七君 数日前ほぼこの問題が自主規制で妥結するのではないかということが言われた当時、駐米大使に政府間交渉の打ち切りを指示したというように伝えられておりますが、政府間交渉は完全に打ち切ったのですか、まだ残っているのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) そういう点を含めまして、大団円に持っていきたいわけでございます。大団円ということは、政府間交渉は日本側としてはもうこれ以上やりましても実りある結果は出てこないというふうに判断いたしておる次第でございます。
○羽生三七君 これで最後ですが、こういうお尋ねはどうかと思いますが、もし不調に終わった場合はどういうことになるのですか。政府間交渉もなくなる、自主規制も拒否された、そういう場合には一体どういうことになるのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはいまそこまで考える実は段階ではございませんで、私はこれでまとまるように、いま申しましたように、私どもとしても全力をあげて努力しております。
○羽生三七君 つまり、まとまる可能性があるということにウエートをかけての御答弁ですか。
○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりです。この宣言自体の中にも、御承知のように条件があるわけでございますね、たとえば第三国と同時に発車とかなんとかそういう趣旨のことが。それら含めまして、今度は政府といたしましても、政府自身の交渉は対立のまま終わりますけれども、しかし、日本全体、アメリカ全体としてこういう立場になってまいりましたから、これは日本側はもう官民一体というとことばは悪いですけれども、何としてもまとめるような努力をすべきであると考えております。
○羽生三七君 これで私の質問終わりますが、この前予算委員会で関連質問で申し上げたように、かりに繊維問題が一応片づいたとしても、将来他の品目についての日米間の競合といいますか、摩擦が避けられないような日米経済関係にあると思うのです。この前申し上げましたように、極端なことを言う人は、これは日米経済戦争と表現をして、将来この問題の非常な激化を予想しておる人もありますが、まあ、いずれにしても、この問題の決着いかんによっては、私はそれが一つの、何といいますか、見本といいますか、前例となっていろいろなことが起こってくるようにも考えられるのでありますが、不調に終わった場合にどうなるかということをこれから聞いてもしようがない話でありますので、それはまたその時点であらためて伺うことにしまして、私の質問はこれで終わります。
○国務大臣(愛知揆一君) これはこの間予算委員会での質疑応答もございましたように、日米双方にとってこの繊維問題がもしこういうことでまとまるとすれば、非常に両方に、何といいますか、よき資料になると思います。アメリカ側としても制限立法というようなこと、あるいは、ある程度以上の他国に対して自主規制を求めるというようなこと、これがいかに困難でありほとんど不可能に近いことであるかということはよく理解されたのではないかと思います。で、したがって、現状のままでいけばあるいはエレクトロニクスであるとか自動車であるとかいうところまでも問題になりかねないところでございますけれども、双方ともいい経験をした。そして双方の、お互いの理解、信頼の中に、いわば話し合いでものが解決していくというその一つの道をここに開いたことになるのではないか。そういう意味で、双方に対していい経験になった、いい資料がここにできてきた、こういうふうに私は建設的に持っていきたいものだと思います。
○岩間正男君 沖繩の核について一、二お聞きしたいと思うのです。 最近インドシナの戦況との関連でアメリカの戦場核といわれるものの使用、そういう懸念が国際的にも問題になっておることは御存じだと思います。沖繩現地の新聞の報道等によりますというと、ロケットの弾頭の種類を識別するための色彩ベルトをことさらに隠した弾頭が厳重警戒体制のもとにひんぱんに運ばれているといわれております。TNT火薬弾頭の場合は黄色のベルトもあらわにして運んでいるのですが、現在運んでいるものについてはわざわざ隠しているところがどうもくさい、こういうふうに現地の新聞は報道しているのです。ところで、端的にお聞きしますが、現在沖繩に核兵器はあるのですか、ないのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはしばしば申し上げておりますように、返還のときには核抜きで返ってくる、それ以後は本土並みで、持ち込みは許すまじという態度で行くということでございます。
○岩間正男君 いま申したような懸念もあることで、現地の人は非常に不安に思っているのです。政府は沖繩の核の有無をアメリカにただしたことがあるのですか、ないのですか。また、現在ただしているのですか、いないのですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはもうほんとうに禅問答みたいになりまして恐縮でございますが、返還のときには核抜きで、その後は核は入ってまいりません。これを申し上げれば十分だと思います。
○岩間正男君 これは核抜き・本土並みということをいままで大宣伝してきた。そうして、それがどうなるかということを非常に国民が心配しておるのですね。だから、私はいまの段階で、これは協定がつくられる前にやはりこの問題を相当明らかにしなければならぬと思うのですが、政府は結局ただしていないということなんですか、いるのですか。この点、やはり明確にされることは必要だと思うのです。ただしていないとすれば、なぜただしていないのか、この点、もう一度。
○国務大臣(愛知揆一君) 日米交渉は沖繩返還を核抜きでやろうということでやって、そういう結論が出たわけでございます。現在は、来年の某月某日まではまだアメリカの本土と同じなんでありますから、どうも、何と申しますか、私としては何ともお答えいたしかねます。
○岩間正男君 政府の態度として、国民を納得させるには政府はあくまで核抜きをこれは推進される決意なんですね。いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) それは、だから、いままでお答えしているとおりなんで、一九七二年×日には核がなく返ってくる。それ以後は本土並みでございます。
○岩間正男君 そうすると、一体……
○国務大臣(愛知揆一君) そうすると、その前提に政府がどういう努力をしておるかということはおわかりになるでしょう。同時に、いま沖繩が何といっても米国のまだ施政権下にあるときに、そこに対してどう言ったか、どう返事をしたか、どこを点検したか、そういうことは私は申し上げるべきでないと思います。
○岩間正男君 これはしていないのじゃないですか。私は、これはいま国民のこういう不安もあるときですから、それに対して当然ただす、そういう立場をとらないと、ほかの基地問題なんかみんなこれはやっているわけでしょう。その他あらゆる条件についてはいまやっているわけですね。核の問題だけはこれはタッチしない、こういうことなんです。向こうまかせなんです。こういうことでは、これは私は核抜きの問題というのは非常に国民は不安を持つと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 何べんお答えしても同じでございますから申し上げることはありません。
○岩間正男君 いまの段階では、これを、核があるかないか、そういうことを確かめるということをやる御意思はないということですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 返還のときに核抜きになっておるためにはいかようなことが考えられるかということを御想像になればよろしいと思いますね。いまはしかしアメリカの施政権下にあるのに、そこにあるとかないとかいうことを日本の政府が責任を持って言えるものではないと思います。
○岩間正男君 どうもそこのところは国民が理解できないと思うのですね。とにかく核の有無の点検の問題、これが非常に問題になっているわけですね、いま。予算委員会なんかでも何回も問題になっております。政府はこれをいますぐやる意思はないんだと、こう考えてよろしいですか。
○国務大臣(愛知揆一君) それは岩間さんのそのお考えは、現在もう沖繩県が本土並みになっているかのようなことを前提にお尋ねですが、そこは私は非常に截然と区別しなければならないと思うのですね。現在はまだアメリカのものなんですよ。
○岩間正男君 これはほかの基地の問題だってみなそうでしょう。それから資産の問題、それから賠償権の問題、請求権の問題、こういうものはみんなそうなんだけれども、事前に七二年返還ということを前提にしているのですね。これはみなやっているわけでしょう。進めているわけでしょう。核の問題だけはこれはもう全然タッチできない問題だからしないんだというような形では、国民はなかなか納得できないと思うのですね。
○国務大臣(愛知揆一君) 返還のときに核抜きでありますということを国民に御納得を願うようなことを政府がやらなければいかぬわけですね。現在はまだアメリカの施政権下にあるのですから、返還のときにこういうことでございます、こういう姿をはっきり認識していただくように、御納得いただくようにすべきである。現在は、そういう点においては、核の問題のみならず、たとえばどこの基地が——よくお尋ねがありますけれども、Aという基地は返るのか返らないのか、丙という基地はまだ残るのか、あるいは、乙という基地は自衛隊と共同使用になるか、さあどうだ、どうだと地図で言われても、いま政府はお答えできないじゃありませんか。それはいま準備の過程であり、返還のときにこういう姿になりますからということをちゃんと国民にお示しをする準備をいまやっているわけですから、その過程において、お前、何をやっている、何をやっているということを言われても、お答えはできません。
○岩間正男君 どうもそこのところが、ほかの問題については相当具体的に説明されることでもあるわけですね。核の問題について、そこのところ、非常に不明瞭な、そういうことでは、やはり国民の不安は残っているわけですね。そうして返還時にこれはどうなるか。問題は、核抜きというのを盛んに、もうすでに一昨年から大宣伝をやっているのですから、返還前にそれを明確にするというのが日米両政府のこれは責任というふうに考えられるわけですね。どうでしょう。この点、どうしても、非常に国民が問題にしている問題ですからお聞きするのですが、重ねてお聞きをしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) 返還のときは核抜きでございます。
○岩間正男君 国民はなかなか信じかねるようなものを持っているのですね。それから、そういう上に立っているからこそ、返還後の点検などというものも必要になってくると思うのですね。核抜きについて点検が返還後に必要だというようなことでは、これはほんとうの核抜きであるというように言えないと思うのですが、国会でこの問題が問題になって、そうして返還後の点検をやるのだということが言われておるわけですけれども、これはどういうことなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 考え方としては、核抜きということが約束されておりますから、返還のときに核抜きになることは、もう明らかな日米間の合意であります。したがって、本来点検などということの必要はないと考えてけっこうなことだと思うのです。しかし、特に予算委員会でもこれについていろいろ質疑応答がありましたように、沖繩の方は特別この問題について関心が深い。それから、本土の場合は初めから核はないのだから、そういう点からいって沖繩の場合は違う。そこで、返還後においても御納得の上にも御納得を得ていただくために適切な措置があったら適切な措置をとって、ますますもって沖繩の方に御安心を願いたい、こういう考え方でやっていこうといたしておるわけです。
○岩間正男君 次にお聞きしますが、政府は核抜き返還ということを言っているわけですが、「核抜き」ということを返還協定にこれは文字どおり明文をもって規定するのでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは本土並みでございます。核抜き・本土並み。安保条約がそのまま何らの変更なしに適用されるのですから、それすなわち核抜きです。
○岩間正男君 核抜き・本土並みと言っているのですが、核の問題は、ことに焦点になって、明確にしなければならない。「本土並み」の問題はいろいろあるのですが、そのうちの「核抜き」という問題、これは一つの焦点になると思うのですが、政府のいままでの政治宣伝の上から考えてもそうなってくる。この問題を返還協定に明文化するのかどうかということを国民は見守っているわけです。どうでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) たびたび申し上げますように、協定の案文はまだできておりませんから、案文についてとやかく申し上げる段階ではございません。 それからもう一つ大事なことは、安保条約が何らの変更なしに沖繩に適用されるということは、それすなわち核抜き・本土並みなんです。そのことを私は明らかにすることが必要だと思います。
○岩間正男君 それじゃお聞きしますが、まあ、政府は核抜きの約束があるということを繰り返して言っているわけですが、その根拠は言うまでもなく日米共同声明の第八項ですか、それ以外に何か約束があるのでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これはまた申し上げると長々となりますけれども、日米安保条約第六条交換公文、そうして両国政府了解事項、それによって、本土におきましては、核というものがいわゆる核抜きになっているわけですね。そうして、それのさらに根拠になっているものはそもそも一九六〇年の岸・アイク共同声明——日本の欲せざることはしないという趣旨のこの共同宣言から発しているところの一つの大きな骨組み、精細にできている骨組みがあるわけです。それで本土が核抜き・安保条約になっているわけですね。そのままの姿がすっぽりと沖繩の上にかぶるわけです。それ以上のことをもし御想像になっているならば、これは本土並みではない。何と申しましょうか、別個のワク組みになるわけです。政府が考えておりますのは、本土に対する安保条約のワク組みをすっぽりとそのまま沖繩に適用しようと、これすなわち、本土同様の核抜きにするから「本土並み」です。
○岩間正男君 沖繩の核について、これを規定したものは日米共同声明の第八項ですね。これは新たな問題ですから、安保六条とは、従来の基地問題の比ではない。第八項では、これはちょっと念のために読んでみますと、「総理大臣は、核兵器に対する日本国民の特殊な感情及びこれを背景とする日本政府の政策について詳細に説明した。これに対し、大統領は、深い理解を示し、日米安保条約の事前協議制度に関する米国政府の立場を害することなく、」——この点ですね——「日米安保条約の事前協議制度に関する米国政府の立場を害することなく、沖繩の返還を、右の日本政府の政策に背馳(はいち)しないよう実施する旨を総理大臣に確約した。」、こうなっているわけですね。そうすると、核抜きも、核の再持ち込み禁止も、非核三原則も、この八項には何ら明文では規定されていないわけですね。逆に、ここで重要なのは、さっきも念を押しました「米国政府の立場を害することなく」ということで、再持ち込みにこれは道を開いている、こういう可能性がちゃんとこの中にあるわけですね。そこから国民の不信、不安というものが起こっているんだと思うんです。核は核抜きだ、それが永久に持ち込まないと明文化されているなら、これはそういうことは問題ない。ところが、この条項はこれは非常に疑問の多い。そうして、再持ち込みということを可能にする条項です。こういうふうに考えますというと、こういう問題を含めて、これは予算委員会でも政府の閣僚自身が返還後の再点検を確認しなければならなかった、こういう事態が起こっているんです。こうした不信を晴らす道の第一は、返還協定に核抜き・再持ち込み禁止ということを明文をもって規定する以外に、国民の不安を解消する、ことに現地の沖繩県民のこの不安を解消する道はないんじゃないか。その政府責任というものを返還協定にあたって政府ははっきり負うべきだと、私はそういうふうに考えるのですが、その御意思がありますかどうか、その点、お聞きしたいんです。
○委員長(松平勇雄君) ちょっと速記とめてください。 〔速記中止〕
○委員長(松平勇雄君) じゃ速記を起こしてください。
○国務大臣(愛知揆一君) 岩間さんの御意見は御意見として伺いますけれども、政府のこの日米共同声明、それから安保条約に対する考え方というものは、いまさらお聞きにならなくともよくおわかりのことだと思いますが、安保条約を本土並みに沖繩に適用するという、安保条約の上で核というものは、核を禁止するという条約ではないんです。核というものが事前協議の対象であるということが、これが安保条約の骨組みなんですよ。ここに書いてあることも、「本土並み」に「核抜き」というのはそういう意味です。なぜそれならば安保条約に核の問題は禁止条項として書かなかったのかと、こういう岩間さんの御意見ということならば、御意見は御意見としてわかります。しかし、一九六〇年以降の日米安保条約というものの核の扱い方というものは、禁止ということで条約上合意しているわけじゃない。事前協議の対象ということで合意されている。そして先ほど申しましたように、日本の欲せざることはやらないという、この一九六〇年の共同声明、これが一番基本で、全部をかぶってきて、そして各随所にこういう問題がさらに一段と明確化されているわけです。ですから、なぜ日米安保条約に核を禁止条項として書かなかったのかという御意見なら、これも見識のある御意見として承っておきますけれども、政府の言うところの核抜き・本土並み、安保条約の何ら変更なし適用ということは、その御意見とは違いますということだけ明らかにしておきたいと思います。
○委員長(松平勇雄君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四分散会 —————・—————