運輸委員会 第11号
- 発言数
- 125 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/05/07
会議録
○委員長(鬼丸勝之君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。 理事の補欠選任についておはかりいたします。 委員の異動に伴い理事一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないます。選任の方法は、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鬼丸勝之君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に山崎竜男君を指名いたします。 —————————————
○委員長(鬼丸勝之君) 船舶職員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○大和与一君 衆議院の修正に対する政府の方針についてまずお尋ねします。 船舶職員法は船舶の航行の安全確保を目的とした法律であり、政府原案は万全の措置と考えて提案されたと思うが、それが与党単独修正になったことについてはどのように考えておられますか。
○政府委員(佐原亨君) 政府の原案といたしましては、近海区域全域にわたりまして乙種船舶通信士でその通信業務ができると、こういう判断のもとに政府原案を提案いたしたわけでございますが、衆議院におきまして、国際航海に従事する五千トン以上の船舶につきましてはそれを甲種にするという修正が行なわれたわけでございます。われわれといたしましては、当初のとおり、トン数のいかんにかかわらず乙種でよろしいと、こういう判断をしたわけでございますが、いろいろ調査いたしました結果、船舶安全法におきましても、五千トン以上の国際航海に従事する船舶には電動操舵装置においてその電気回路をより安全なものにしなさい、あるいは非常電源をエンジンルームの外に設置しなさい——これは五千トン以上でございますが、そういった一、二の例にありますように、五千トンというものが一つの大型船と中型船の区切りになっている。それから、エンジンのほうから申しましても、船が大きくなりますと、出力が大きくなります。大体四サイクルエンジンの限界がやはり五千トン程度で、それ以上になりますと二サイクルエンジンになる、こういった実態面から見ましても、やはり五千トンというものが一つの大きさの区切りになっているという実態がございます。で、大型船になりますと、ただいま申しましたような構造、設備等におきましても、あるいは積み荷の量、種類、寄港地、こういったものにつきましても、若干中型船よりもいろいろ業務の内容が複雑化してまいるという傾向もうかがわれますので、より安全をとりまして、通信内容も複雑になるということから、五千トン以上は甲種の通信士のほうがいいという意見も一理あろうかと考えている次第でございます。
○大和与一君 その修正案は妥当なものであると考えておられますか、衆議院の。
○政府委員(佐原亨君) ただいま申しましたようないろいろな面から判断いたしまして、一つの理屈がございますので、妥当であると考えます。
○大和与一君 無線部の職員配乗表の改正については労働組合側で強い反対があったと聞いておりますが、衆議院修正によってその反対意見が緩和されたと、こういうふうに考えられますか。
○政府委員(佐原亨君) その限りにおいて緩和されたものと考えます。
○大和与一君 その辺がどうも政府案は万全な措置をしたとおっしゃるのですが、組合側にも反対があった。それはやっぱり安全性の絶対確保といいますか、これに思いをいたせば、これはどんなに手がたく考えてもいいわけであり、それが少しでも目減りをする、あるいは安全性が侵されるということになりますと、これは非常にたいへんな問題になるわけですね。そういう点をそれじゃ、やや異例的な衆議院の決定について、私たちが参議院側から見ましても、どうも少し不穏当な点があるのではないか、完全な理解がなされていないのではないか、こういうやっぱり見方ができるわけですが、その点についてはあくまで組合側の意見もある程度取り入れられて、そうして十分審議をしたから、まずまずこれでいいんだと、こういうふうにおっしゃるんですか。
○政府委員(佐原亨君) 非常にまあ微妙な点でございまして、われわれとしましては、一応原案でもよいと判断いたしたのでございますが、甲種船舶通信士を部分的に適用するということは、安全の面から見ますとよりベターであると、こういう面が多分にございますので、それもいたしかたない、このように判断いたしたわけでございます。
○大和与一君 だから、よりベターということと最低の絶対安全ということとかりに二つあるとしますと、その辺がよりベターというお答えでは何だか少し心もとない感じもするわけですが、その点はもっと自信を持って、もう絶対安全である、こういうふうにやっぱり言い切ることができるわけですかね。
○政府委員(佐原亨君) 政府原案でわれわれはよろしいと判断したわけでございますので、最低ということになりますと、われわれはやっぱり政府原案と言わざるを得ないと思います。それ以上の分野の船舶で甲種のほうがよかろうという御修正でございましたので、その程度の御修正は、まあベターということばが非常にあいまいではございますけれども、一つの理屈でもございますので、いたしかたないとわれわれは考えておるわけでございます。
○大和与一君 野党が全部反対したという結果になったんですが、与野党の間でその辺のもう少し周辺の話し合いができれば、もっとおさまり方が違ったんじゃないかと思うんですが、その辺の努力は十分にしたかしないか。もし、したけれども、一つ二つこういう点が決定的な意見の分かれ目であってどうにもならなかったというのか、それでもなお安全性は確保されておると、こういうふうになるんでしょうね。この辺はもう少し経過をおっしゃってもらいたいですね。
○政府委員(佐原亨君) 議院の修正でございますので、われわれ直接はその問題にタッチしておりませんし、またすることもできなかったわけでございます。まあ五千トン案を相談を受けましたときに、一つの見方であろうということでお受けしたわけでございますけれども、与党と野党の間の微妙なやりとりはちょっとわれわれの手ではわかりかねておるわけでございます。
○大和与一君 どうせ、まあしかし漏れ承っているはずですからね、みんな知っているはずだから。それにしても、やっぱりほんとうにどうしてもうちょっと話し合いができなかったのかという感じがやや強くするんですがね。漏れ承ったという——何もけんかじゃないんだからおっしゃって、も別に差しつかえないと思うんですね。実際どういうところが一番ぶつかっちゃったのかね、差しつかえなかったら答弁してください。
○政府委員(佐原亨君) 五千トンで修正する案、それから地域的に範囲を漸次拡大していく案と、いろんな案があったようでございますが、結局五千トンの線で落ちついたようにわれわれは漏れ承っているわけでございます。
○大和与一君 大臣にお尋ねしますが、この問題の採決の前に、大臣もちょっと待ったといいますか、何か御意見があったようでございますが、そうしますと、その安全性については、これはもう間違いない、しかし、この法案の扱い方について、政府としては、与党が単独修正を出すというふうなかっこうでいくのはあまりおもしろくないと、しかしまあそのときの一つの運営の状況で次善の策としてやむを得なかったと、こういうふうになりますんですか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) これは甲種——まあ甲種、乙種を問わず船舶通信士の問題ですが、理論から言いますと、私は、船舶通信士はいわゆる大型であろうと小型であろうと、船自身が大きい小さいにかかわらず、技術の進歩に従って相当のレベルのものでなければならぬと、そういう意味において実は船舶通信士を甲種、乙種と分けることがほんとうに正しいのかどうか、機械が変わってくるんですから。たとえば航海士といいましょうか、操縦士といいましょうか、これは大きい船を操縦するのと小さい船を操縦するのはいろいろ事情がありましょう。しかし通信士の場合は、これは機械が相手なんですから、空の条件も同じ、海の条件も同じ、機械の条件も同じと、こういうことでありますから、甲種、乙種のいわゆる区別を将来ともに考えていく必要があるかどうか。これは別に事務当局の考えでなくて、私の考え方でありますけれども、まあそういう点から見ると、いわゆる経過的な方向として、運輸省が考えておったようにトン数に限らないということのほうが合理的であると思います。しかし、まあいずれにせよ新しいことを行なうわけでありますから、したがって、ある意味において私は経過的な措置を置いて、やはり政府原案どおりの区域でもっていったらどうであろうかと考えておったのでありますが、御承知のとおり、これは大和さんも国会対策委員長のベテラン、経験者でありますからして、したがって、国会運営にはやはりいろいろな意味での要素が加わってまいります。そういう意味において、いずれにせよこれが前進になる法案であるならば、ある意味において、将来、いま言ったような私の考え方がとられるとすれば、船舶通信士というものは甲種、乙種というものはなくなるかもしれぬと、こういうことを考えますというと、まあとりあえず国会対策のたてまえから考えても、また一部の人にもしそういう不安があるとすればそれを解消すると、こういう意味からも、安全の絶対性のほうではどちらも私は変わりはないと思いますけれども、まあそういう意味において私自身も了承を与えたと、こういうことであります。
○大和与一君 次に、提案に至るまでの経過についてお尋ねしますが、今回の提案は昭和四十四年七月の海技審議会の中間答申の趣旨に沿って改正した、こう提案理由で述べておられるのですが、答申では、乙種船舶通信士を通信長とする区域を近海全域に拡大するについては反対意見が列記されていたにもかわらず、これを法律案に取り入れたのはどういう理由によるんでしょうか。
○政府委員(佐原亨君) 答申の趣旨を尊重して行なうことは当然でございますけれども、乙種船舶通信士の問題につきましては、これはもうかなり数年前からこの問題が提起されておりまして、労使の意見が合わないままに審議が終わりました結果、併記ということになったわけでありますが、その後われわれといたしましても、いろいろこの通信士の業務、質、量、そういったものを調査いたしまして、乙種通信士で近海全域に広げても一応安全上支障はないと、こういう結論に到達いたしました。それから通信業務の免許を扱っております郵政省とも御相談いたしまして、郵政省も同意見で、今回、電波法の政令の改正を実施する運びになっております。こういったことで、われわれも検討いたしました結果、併記答申ではございましたけれども、その後の扱いは政府当局にひとつゆだねられておるという立場から、こういう立場から検討いたしました結果、改正に踏み切ったわけでございます。 なお、中間答申にはもう一つ併記答申がございまして、これはちょっと船舶の種別が違いますけれども、員数減につながる問題でございます。これも非常に船主から強い要請が出ておりまして、併記答申になっておりますが、この点におきましては検討いたしました結果、やや安全上問題ありということで、われわれのほうでは取り上げておりません。そういった意味で、併記答申、一方だけを取り上げておるということではなくて、是々非々主義でもってわれわれのほうは法律改正案を提案いたした、こういう次第でございます。
○大和与一君 審議会のメンバーには労働組合の代表者も入っていたはずでございますが、なぜ審議会の場で労使の意見の調整がもっとはかられなかったんでしょうかね。
○政府委員(佐原亨君) その審議会当時、私はまだおりませんでしたけれども、意見の調整をはかるべく努力は当然いたしたものと考えます。ただ、この問題は長年にわたって労使の意見が対立したままになっております。その意見の調整をはかるためには答申全部が出せなくなるというような事態もあったのではなかろうかと思います。したがいまして、意見の合わなかったところは併記のままで答申をいただきました。その後、政府としていろいろ調査をいたしまして最後の判断をいたした、こういうことだろうと思います。
○大和与一君 まああくまでも私のお尋ねの要旨は、安全ということを絶対条件にするわけですね。そうすると、審議会の答申にしても全会一致あるいは多数、その場合に少数意見が入る。その少数意見は質的なもので大事だから、これは少数であるからといって否定できない。これは十分に尊重なんていうものじゃなくて、必ずこれはそしゃくというか、理解されるというかされなければこれは取り上げられるべきものではない、多数では通らない、こういうことになると思うのですよ。だから、その辺が相当議論がなされた記録があるわけでしょうが、それがどうも私たちが記録を見ても、もう一つ調整の要素があったじゃないか、こういう感じがするのですが、それはあれですかね、相当やったということは、どの程度相当——御存じなんですか。
○政府委員(佐原亨君) 大体、答申案文をつくるときの事務局の考え方といたしましては、この乙種の問題は併記答申ではない形で提案が組まれておったやに聞いております。しかしながら起草委員の段階におきまして、どうしても入れろという労働者側の主張がございまして併記答申にしたと、このような経緯があるように伺っております。
○大和与一君 だから、その調整がつかないのに、併記答申の一部を政府の一方的な方針で立法化すというのはどうもこの審議会の軽視ではないか、こういうふうな感じがするのですが、その点はいかがですか。立法化しているのですね。これは非常に大事な問題なんですが……。
○政府委員(佐原亨君) 併記答申をそのまま何かの独断でもって採用したわけではございませんで、役所は役所なりに慎重に検討いたしまして、それから関係官庁とも十分協議いたしました結果、改正に踏み切ったわけでございますので、その点ひとつ御了解いただきたいと思います。片方の、もう一つの併記答申のほうは、これも慎重審議の結果、採用すべきでないと、こういう結論に達しておるわけでございまして、何も船主のほうだけの肩を持ってこの法律を取り上げたとか、そういうことでは決してなくて、やはり安全上支障ありゃいなやということを十分慎重に検討いたしました結果、結論を得たわけでございます。
○大和与一君 本来、安全問題について労使の意見が対立するというのは好ましい姿ではないんですね。これはあくまでも一つになった上で、あとの具体的な施策については意見が違ってもいいあるいは段階があってもいいと考えられますが、それが関係の労働組合が反対している場合には非常に慎重に配慮がなされなくちゃいかぬと思うのですが、特に今回の改正案の場合に、形式的には後退ではないかあるいは安全に支障があったら困る。どうも政府が一方的に立法化したというこのことが、いまいろいろ局長がお話しでございますが、衆議院のたとえば参考人の意見陳述の際に、海員組合の代表からも強い不満の意見が出ておるわけですが、それは審議会でそういうふうにきめられ、それを政府として取り上げる形を整えてしまったから、もう衆議院の段階にきた場合に、その委員会でかりに組合関係の人がどんなりっぱな意見を言っても、これはもう取るに足らぬへのようなものだと、そういうふうなことになるのでしょうか。その辺いかがですか。
○政府委員(佐原亨君) 決してそのような軽々しい考え方で取り上げたわけではございません。あくまでもかなりの時間をかけていろいろな調査をいたしまして、その結果、安全上いけるのだ、それから通信士の免許を扱っております郵政省とも十分協議をいたしまして、郵政省も政令を改正する、こういうふうな意見の一致を見た上で提案をいたした次第でございます。
○中村正雄君 関連で、通信士の資格の免許について郵政省のほうにお尋ねしたいのですが、確かに海上の通信士は、いま船舶の安全ということ、あるいは乗り組み員の安全ということと非常に重要な関係を持つ乗り組み員でありますので、それに対します技術の免許ということにつきましてはいろいろな面から考慮されておると思うわけです。ただ、こういう免許制度について、現在は、これは郵政省の省令で内容をきめておられると思いますが、たとえば一定の下級通信士で長年の海上経験を有しておる、そういう人が今度、上級試験を受けるという場合がすべての通信士にあると思うわけですが、そういう場合、全然海上経験のない人が受ける場合と、一定の資格を持った下級通信士が長年の海上経験を持って上級試験を受ける場合とは、おのずから試験制度についてもやはり異なる措置が講ぜられるのが当然じゃないかと思うのです。これは通信士だけでなくして、ほかのあらゆる試験についても、学問的、技術的な問題だけでなくしてやはり経験というものを一つの大きな要素に見ておるわけですから、そういう意味で、一定の海上経歴を持つ、たとえば二級無線通信士、これが上級試験を受けようという場合には、新たに全然経験のない人が受ける場合と違った試験制度ということなどを、やはり今後試験制度の検討の際にお考えになる意思があるかないかということをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(藤木栄君) お答え申し上げます。 先生のおっしゃることは、いわゆる実務経験、実務経歴というものを加味するかどうかということであると思いますが、おっしゃるとおりの趣旨で私どもとしましても現在そういった方向に向かっていま検討している、そういうことでございます。
○中村正雄君 けっこうでございます。
○大和与一君 たとえば、学校出たての者が小さい船に乗って、いままでだったら台湾までくらいで帰っておったわけですね。今度はそれが広がるからビルマくらいまで行く。そうすると、技術が習熟していないために、あるいは機械がたいへんりっぱになったのはいいけれども、故障もあります、それで、それを直せない。SOSをSOQなんかに打ったらどうなるのですか。そういう場合に、機械がこわれたり、力がなければ、その船は黙って自分のところへ帰ってくるのですか。そういったところの混乱なり錯綜なり、そういうことがやはり出たてのほやほやが来てと、そういう点が心配なんですね、われわれしろうとが考えて。
○政府委員(佐原亨君) これは郵政省からお答えいただいたほうがいいかと思いますが、電波法の五十条に、通信士になるためには一定の要件が規定してございまして、やはり一年以上の船舶勤務を経験した者である、しかも現実に一級または二級の免状持ちでなければならない、こういうことになっておりますので、学校出たての人が直ちに通信長になるということはまずあり得ない、こういう制度になっております。 それから、機械が故障するときにどうするのか、あるいはSOSをSOQに打ったらどうするかという御質問でございますが、そういった通信の技術につきましては、二級通信士は十分にその能力を持っておる、こういうはずでございますので、御心配はないのではなかろうかと思います。
○大和与一君 一つのいままできまったワクの中を今度は広げるというのでしょう。そうすると、全部が質が悪いとは言いません、しかしやはりこの中に甲乙丙丁があると思うのです。そうすると、船に乗せる配慮についても、運航計画というか、そういう場合にはやはり力の弱い者は台湾か沖繩しか行けないとか、そういう配慮は十分されるのですかね、郵政省として。そこをやらぬと、それがとんでもないところへ行って困るということになると思うのですよ。
○政府委員(佐原亨君) 二級通信士の免許資格と申しますか、国家試験は十分そういった能力を踏まえての試験になっておりますので、一応二級の免状持ちはそういった能力はあるという前提でございますけれども、先生おっしゃるとおりに、経験があればなおけっこうなことでございますし、それから船主といたしましても、免状を持っておるからというので不安を感ずるような者を通信長にするということはまずないと思います。それから役所といたしましても、そういった点十分配慮いたしまして船主に対して強力に行政指導はいたしたい、このように考えております。
○大和与一君 それで、大臣にもう一つ。 この審議会の答申ですね、これがなかなかきまっているようで、きまらぬようで、一番悪い例は、政治資金規定法は幾ら答えを出しても総理大臣がお取り上げにならぬで、国民はおこっておる。これは一番悪例だと思うのですが、原則的に一つのものさしがあるとも言えるし、ないとも言えるのですが、その辺、大臣の所管の中で審議会の答申について一体どう考えているか。一つは、全会一致の場合は問題ない。しかし少数意見がかなりある場合、これはあり得るわけですから、そういう場合の質的な内容を私は一番心配するわけで、その点はしっかりともう大臣がつかんで、そこさえ間違いなければ必ずしも全会一致でなくてもこれはいいんだ、そういうふうな何か大筋、大局的な審議会の答申に対する大臣の明快なお答えがもらいたいのですが。
○国務大臣(橋本登美三郎君) まあ審議会、それぞれの性質によって違いますけれども、この種の審議会は——まあ私、私見で申すなれば、利害が対立するような状態で構成されるということは必ずしも妥当でないんじゃなかろうか。そうでなくて、やっぱり学術経験者といいますか、もちろんそれは通信士の経験のある人も入っていなくちゃなりませんけれども、そういう利害を離れた人によって構成されておれば、まあ大体は一本の答申案ができるんじゃないか。現行法はそうなっておりませんので労使関係が入ってまいるわけであります。したがって、まあ運輸省としては長年にわたってこの問題を審議会にかけまして、その間に両者の論議が十分に尽くされてまいります。そうしてその論議の中を追求してまいりまして、そうして純粋な点を取り上げて、妥当なものは妥当としてこれを一つの運輸省自身が考える重要な資料にする、こういうような考え方で、まあこういうような一本の答申が得られなかった場合は、その間の審議過程を十分にこれは検討し、尊重し、そうしてその間における純粋な面を取り上げて、これなれば結果的には労使関係にも悪い影響を与えないであろうという一つの見通しをとって、運輸省独自の立場からこのような改正案を提出するわけであります。これはまあどうも現状の立場から見てやむを得ない必要措置と考えておりますので、これがまあいわゆる被用者側、すなわち通信士関係の被用者側の意見を全然無視しておるとも考えませんし、また船舶保有者側、このほうの意見ももちろんこれは取り上げざるものは取り上げないという形で、取り上げられるものは取り上げるという形で、全く第三者として公平な立場から両者の論議を、数年間にわたって尽くされた論議の内容から抽出をして、そこで普遍妥当なものを取り上げる、こういう方針でこのような場合はやっていくことが妥当であろう、その辺においては、運輸省はいずれにも片寄らず、しかも内容的には、いずれも価値ある論議に対しては十分これを取り上げてまいったと、かように御理解願いたいと思います。
○大和与一君 どうもいままでの、特にこういう問題についての審議会の経過を聞きますと、どうもこういうふうな形、あまりなかったようであります。そうすると、立法化したということは異例ではあるが異質ではない、しかし、まあ今回はやむを得ない。しかし今後かりに審議会がそういうふうな形を、答えを出した場合、必ずしもそれが常に立法化するとか全部取り上げられるのじゃなくて、あるいは再審議を頼む、こういうことも当然あり得る、こういうふうに了解してよろしいでしょうか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) もちろん、こういう場合を将来ともに予測して運輸省はかってな立場からこれを処理するということは、これは避けるべきだと思います。したがって、今後の処理につきましては多少の時間をかけましても——これもだいぶ時間をかけたのですが、なお両者の説得と申しましょうか理解を求めて、そうして一本の答申案を得て処理をしていく、こういう方針は堅持してまいりたいと思います。
○大和与一君 次に、船員需給の見通しについてお尋ねをいたします。 船舶職員法は、船舶の航行安全確保を目的とした法律で、船員需給の面から職員法の改正を見るのは本筋ではないかもしれないが、船員需給の今後の見通しについて若干お伺いしたい。
○政府委員(佐原亨君) 海運造船審議会で二千八百万トンの建造計画が一応答申されております。その線に沿って今後五カ年間に船舶が建造されていくわけでございますが、この建造計画を踏まえまして、われわれのほうで一応いろいろな前提を置きまして試算をした数字がございます。ただ、非常にむずかしい問題がございまして、その前提条件の取り方によってこの数字がかなり変わってくる場合がございます。一応、職員、部員ともここ数年間は過剰気味でございます。と申しますのは、ごく最近でございますけれども、海外売船が非常に活発に行なわれた。したがいまして、一時的にかなりの予備員が外航船主にはございます。したがって現時点、それからここ一、二年は船員はだぶつき気味である。しかし五カ年計画の最終年次に至りますと、特に部員のほうでございますけれども、相当の不足を生ずるような数字が出ております。ただ、現在まだだぶつき気味でございますので、船主のほうも船員の手当その他につきましてはまだまだ真剣に考えておらない段階でございますけれども、現実にそういった不足事態が発生するようになれば、当然船主といたしましてもいろいろ配慮につきまして苦慮、対策をはかるものと思います。いろいろ船主側の要請によりまして政府といたしましても船員政策にそごのないように配慮をしてまいりたいと、このように考えております。
○大和与一君 そうすると、造船計画と船員の需給、これは一番初めの出発点では紙の上だけかもしらぬけれども、これはきちっとかなり要るだけのものが配慮されていると、これは必ず言えるのですか、絶対に初めから。
○政府委員(佐原亨君) 非常に前提がむずかしいと申しましたけれども、同じ三十万トンの船をつくると申しましても、十五万トンの船ですと二隻になります。それから五万トンの船ですと六隻、二隻と六隻ではかなり船員の数としては変わってまいりますので、具体的に二千八百万トンの計画の中で、どういった型の船がつくられるかということがはっきりいたしませんと船員の数はなかなかはっきり出しにくい。したがいまして、過去の傾向値によりまして大体こういった型の船がつくられるであろうという前提を置きましてはじいた数字はございます。それがいま私が申したような数字でございます。そういった意味で、びしゃっとした計画というものはなかなかむずかしい、これが正直のところ現実の姿でございます。
○大和与一君 ですから、ほとんどその建造計画のほうが確定しておって船員需給計画がやや不安定だということになると、やはり船員の行政指導上支障を来たすということになりますね。これはどうですか。 戦前日本は船が六百万トンでしたかね、世界第三位、それが全部沈んじゃった。そういう船に関係をしておった人たちが、ほとんど役に立たぬようになったけれども、しかしそれもずいぶんおられたわけなんですが、そういう人たちはいまでも相当活用をされておるのか、その辺どうですか。
○政府委員(佐原亨君) 先生のおっしゃるのは、おそらく中高年齢層の船員のことであろうかと思いますが、一応まあ船会社にも定年制というものもございますし、ある年齢になりますと陸上のほうへ去っていってはおるわけでありますが、先ほども申しましたように、現実に船員が足りなくなってくるというような事態が発生いたしますれば、当然そういった中高年齢層の船員も船主としては活用するように努力すると思います。われわれのほうもそのようなことを考えざるを得ないと思います。 船員の計画が非常に不安定であるということでございますけれども、これは先ほどから申しますように、不安定にならざるを得ない。はっきりした見通しというものはなかなかつくりにくい。ただ、現実の動きをとらまえながら、いよいよ足りなくなるという現実の問題になる場合には、当然それに対処いたしますようにわれわれとしても考えます。船主としても努力するものと、このように考えているわけでございます。したがいまして、船腹を増強する、しかし船員が足りないというような事態は何としてでも避けなければならない、このように考えております。
○大和与一君 大手と中小と分けて、大手のほうが力があるから量的にも質的にも大手に行、−、というふうにちょっと考えられますね。その場合には安全性の問題と質の問題を含めて、それの行政指導を実際にしておるのか、できるのか、やむを得ないというのか、そこらでどうですか。
○政府委員(佐原亨君) 確かに大手のほうに良質の船員が行きたがるし、現実に流れておる。大手のほうには余っておるからそれを中小のほうに持ってくるということも一応理屈の上では考えられますけれども、現実にはなかなかそういった企業間の移動というのは壁がございまして、首に縄をつけて引っぱってくるわけにもいきません。マクロに見まして船員数をわれわれははじいておりますけれども、個々に見ますと、大手の場合と中小の場合とではかなりの差があると思います。ただ、いま申しましたように、大手が余っているからといってこれを中小のほうに無理、無理持ってくるということはなかなかむずかしい。したがいまして、中小は中小なりにみずから努力をいたしまして、部員から海技大学の訓練機関を通して職員にしてみたり、あるいは求人開拓に努力をしたりということで船員の需給をまかなっておるという現状でございます。
○大和与一君 もう一つ、陸上の勤務と海上の勤務と分けます。そうすると、あまり正確ではないのですけれども、やはり海よりも陸のほうが楽ですから、おぼれることがないものだから陸のほうに希望者が多い。そういうふうな傾向が何かあるのですか。もしそういうものがあった場合に行政指導はどういうふうになさっておるか。
○政府委員(佐原亨君) 大手の場合は、先ほども言いましたように、かなり船員の希望者がございますので、それだけの待遇も与えておりますのでまず問題はない。むしろ中小船主のほうに先生のおっしゃるような問題がございます。確かに、昔に比べますと海上労働者の離職率と申しますか、陸上のほうに流れていく傾向は高くなってきております。これはいろいろな意味がございましょう。待遇の面もございましょうし、それから家庭を離れて船で勤務する、生活するという非人間的な船員の宿命がございますけれども、そういったいろいろな要素で、最近の若い人は船をむしろ忌避するような傾向が確かにあらわれております。これに対処するものといたしましては、結局は労働条件の向上あるいは労働環境の改善、いろいろ船を魅力ある職場としてわれわれとしては何とかこれを解決していきたいという意味でいろいろ努力はしておりますが、先生おっしゃるような傾向は確かにあるわけでございます。一つの大きな問題であろうかと考えます。
○大和与一君 職員法の配乗別表は、職員についての最低基準を規定したものですが、船舶の近代化、技術革新などによって今後部員の配乗はどのくらいになると考えておられるか、最低基準としてですね。
○政府委員(佐原亨君) ただいまの御質問は部員でございますか。
○大和与一君 そうです。船員法第七十条に、七百トン以上、甲板部の部員というのがありますね。
○政府委員(佐原亨君) 船舶職員法は職員について規定しておる法律でございますので部員は直接出てまいりませんが、船員法の七十条に、甲板部の部員で特に七百トン以上に当直勤務につく者は六人以上としなければならないという規定がございます。非常に大きな傾向といたしまして、船舶の機械化、自動化が進んでまいりますので、当然配乗のほうの合理化、省力化も行なわれまして、かなりの部員の数の減少は現実に起こってまいっております。この七十条をどうするかということにつきましても、船主のほうからこれをなくしてくれというような要望が出ております。船員のほうはもちろんこれに反対ということで、現在船員法の改正をはかるべく船員中央労働委員会にこれもやはり諮問中でございます。非常に意見がこれまた対立しておりますので、どのようになるか、まだわれわれの口からその結果を見通すわけにまいりませんけれども、もし結論が出ました場合には、その結論に沿ってわれわれは行動いたしたいと思っておりますが、非常に大きな傾向、流れから申しますと、やはり機械化に応じて省力化は進められていくであろう、部員の数は減ってまいるであろう、このような見通しを持っておる次第でございます。
○大和与一君 その労使間の労働協約は、大体期間はどのくらいですか。
○政府委員(佐原亨君) 労働協約できめられておりますけれども、労働協約の期間は大体一年だと思います。一年ごとに更改される……。
○大和与一君 次に、海技従事者国家試験の合理化についてはお尋ねします。あるいは中村委員の質問とちょっと重複するところがあるかもしれません。 今回、国家試験について、学術試験の免除、乗船履歴の尊重、あるいは筆記先行制度等の措置をとられたが、その背景は一体何か、また海技従事者の質の低下を来たすことにならないか、安全面からお尋ねいたします。
○政府委員(佐原亨君) 当然、船舶職員法の審議でございますので、常に安全の面は考慮しながら審議が行なわれて一応こういった中間答申をいただいたわけでございますが、その背景といたしましては、現在の船舶職員は免状といたしまして甲、乙、丙、この三種類、さらにその中が一等、二等というように非常に多階層的に区分されております。一つのクラスから上のクラスへ進級いたします場合に必ず一定の乗船履歴を必要とし、乗船するために乗船履歴を必要とし、かなりむずかしい学術試験を受けて合格しなければ進級できない、こういう仕組みになっております。船に乗りながら勉強をして試験を受けていくということで、船員にとりましてはかなりの負担になっております。非常に重い負担になっておりまして、これを何とか改善してもらいたいという要望が船員サイドからも強く出ておったわけでございます。われわれといたしましては、安全面を考慮しながら職務経験の尊重ということによりまして、先ほどもちょっと中村先生からもお話がございましたように、一定の乗船履歴、職務経験があれば当然船舶職員としての知識、技能はレベルアップするはずである、こういう認識のもとに試験制度の簡素化あるいは乗船履歴なくして筆記試験だけは先に受けさせる、筆記試験に合格しておればあとは一定年数乗っておれば必ず職員になって昇格していくのだという、船員に対する希望と期待を持たせる、こういったような意味を含めまして、先ほどの、海上から離脱する傾向をそういうことによって若干阻止するというねらいもございますけれども、そういった面から安全上は支障ないというような大方の審議会委員の御意見によりまして、そういった制度改正を決心したわけでございます。
○大和与一君 もう少し具体的に、学術試験の一部または全部を免除するためにはどんな乗船経歴を必要とするのですか。
○政府委員(佐原亨君) 非常に、ことばで申しますとわかりにくいのでございますが、こういった資料をお配りしてございませんでしょうか。——この一番上の表に書いてございます。そこに一本線で書いてございますのが現行の制度でございまして、大体免状によっていろいろ違いますけれども、一年のもの、三年のもの、四年のもの、いろいろございますが、今度の新しい制度といたしまして、そこに二本線のバイパスみたいなものをつくったわけでございますが、その二本線のわきに書かれておりますのが今後必要とする乗船履歴でございます。これは原則として一年、いままでは大体一年、今度の試験免除のためにはさらに一年をプラスいたしまして、従来の乗船履歴に一年プラスいたしまして試験の簡素化をする、こういう考え方になっております。ただ、いわゆる長免状、甲種なら甲種船長免状、乙種なら乙種船長免状をとる場合には一年、二年ということじゃなくして、かなり長期間、たとえば甲長の場合には十二年、乙長の場合には八年、そういった長い乗船履歴を要求しております。こういった線で答申が出されておるわけでございます。
○大和与一君 乗船履歴なしで受験できる学術試験の一部というのは筆記試験ということになるのだろうと思うのですが、筆記試験先行制度をつくったというのはどういう理由ですか。
○政府委員(佐原亨君) 学術試験の中に筆記試験と口述試験が現在ございます。筆記試験のほうはどちらかというと基礎理論的な問題を出して理論的な解答を求める、口頭試問のほうはむしろ経験的な——身についた経験、技能といったものを口頭試問でもってチェックする、こういうたてまえになっておるわけでございますが、その前者のほう、理論的な問題は、これは船に必ず乗っていなくても、陸上における学習である程度マスターできますし、若いうちに理論的な問題だけを先に試験を課しまして合格させておくということが一つのメリットであろうかと思います。で、船員に希望と期待を持たせまして、その後、船で一定履歴をつけますと、あとは簡単な口頭試問で上級の資格をとらせる、こういう制度のねらいでございます。
○大和与一君 次に、別表第一の改正についてお尋ねいたします。 別表第一において、船舶職員の資格及び員数並びに総トン数区分は、どういう観点に立ってきめられておるんですか。
○政府委員(佐原亨君) 別表第一は、甲板部と機関部の職員の配乗をきめておるわけでございますが、原則といたしまして、遠洋区域は甲種免除、近海区域は乙、それから沿海のほうの大型船は乙で小型船のほうが丙。丙免状は、いま申しました沿海の小さな船と平水域。大体大きな分野、なわ張りといたしましては、そのような基本的な考え方に立ってつくられております。同じ近海の中でも、船舶トン数が大きくなりますと、乙ではなくて甲を要する、あるいはトン数がうんと小さくなってまいりますと、一つ下の丙でよろしい。そういう上限、下限におきましては若干のバリエーションがございますけれども、基本的にはただいま申しましたような区分けで考えられております。 それから員数のほうは、一応船舶職員が当直に立つんだという前提のもとに、これも航行区域、船の大きさ、また航海時間、そういったものを勘案いたしまして、原則的に近海以上は三直制のとれる三名、沿海につきましてはその航海時間を加味いたしまして若干減員をはかっておる、こういう思想で組み立てられております。
○大和与一君 今回の改正が三つの区分についてのみ行なったのはどういう理由ですか。また船舶運航の実態から見て、どれだけの効果が期待できると思いますか。
○政府委員(佐原亨君) 今度の改正は、配乗表は三十二年以来変わっておりませんけれども、船舶の機械化、自動化が進んでまいりまして、船内の就労体制がかなり変わってまいりました、それで機械化が特に進んでおる分野、トン数区分を取り上げまして、近海について言いますと三千トン以上、遠洋について言いますと千五百トン以上、ここら辺が非常に近代化が進んでまいってきておりますので、その部分だけを取り上げまして改正をはかったわけでございます。なお、あわせまして、海難の発生状況をチェックいたしまして、今回改正するトン数区分帯のところは非常に海難の発生が少ない分野でございます。そういった二つの面からこの三つの部分を取り上げた、こういうことでございます。 効果といたしましては、近海のほうの三千を五千に変えますことによってメリットを受ける隻数が百二十二隻、遠洋のほうの千五百を三千に上げますことによってメリットを受ける隻数が百八隻、遠洋の三千以上が百四十六隻と、こういう数字になっております。
○大和与一君 これは国際的に千六百トンですか、何かそれが基準になっているんですか、遠洋と近海と、何かそういう話はないですか。
○政府委員(佐原亨君) 別に国際的なルールはございません。
○大和与一君 そうすると五千トンにきめたというのもあまり根拠がないんですか。
○政府委員(佐原亨君) 冒頭申しましたように、五千トンというのが大体大型船と中型船の区分の限界であろうという実態面あるいは船舶安全法の規制面というようなところから五千トンという数字をとらまえたわけでございます。
○大和与一君 それは、いまおっしゃったことはわかるけれども、世界の今後の経済のあり方、物資の流れ、それから造船計画、そういうことを全部総合的に、全世界的な見地から見た場合に、それは変化する可能性があるんじゃないですか。そうすると、いまはそういうふうに一応おっしゃっていいのかどうかわからぬけれども、それは日本だけ、あるいはいまの動きの中だけで判断をしていいと思うというだけであって、五千トンがいいと言ったって、そんなものは単なる目安であって、たいした確定的な意味はない。そうすると、今度は、また話は安全性に返るんだから、安全性の面からいって五千トンというのが全くこれはりっぱで最適だ、こういうふうになるのか、それはやっぱり下げたほうが、安全性なりあるいは需給状態からいってそのほうが国民の立場からすればいいと考えるのか、その辺はどうですか。
○政府委員(佐原亨君) 船舶の自動化、機械化が非常に導入されてまいりまして、船内の就労体制が変わってまいりました。いろいろ例をあげますと非常にたくさんございますけれども、そういった意味で船舶職員の仕事の質、量とも、昔と比べますとかなり軽くなってきたということが言えると思います。したがいまして、安全をそこなうことなく、トン数を若干上げましても十分、いままで下位であったランクの免状者で運航、運転ができる、こういうようなことでございます。 それから五千トンが絶対的かという点につきましては、将来の船舶建造の動向、世界海運の動向に応じまして、またさらに船舶職員法を改正する時期が参るかもしれませんけれども、少なくとも現時点におきましては五千トンが妥当であろう、こういう判断をしたわけでございます。
○大和与一君 やっぱりこれから、拡大された部分については現在よりも低位の資格といいますか、ことばで言うとそれでいいことになるんだから、やはり安全面から言うと形式的に下がったんじゃないかと、こういうふうにも考えられます。現在、近海で見れば三千トン以上は甲種船長がやっておるが、改正によって五千トンまでは乙種でいいということになるわけです。それを技術革新というそれだけのことでは、私はわかったようなわからぬような気持ちになるんですが、その辺は後退ではない、適正だと、やっぱりこういうふうにおたくは言うほかないわけですかね、ここのところは。これはやっぱり将来は、しかし事情の変更によって変わるかもしれない、こういうことになりますか。
○政府委員(佐原亨君) 技術革新によりまして現在の乗り組み員も日常の実務を通じてかなり高度化された機械を取り扱っておりますし、新しい機械が導入されればそれをわれわれのほうの国家試験にも取り上げまして、その試験の内容といたすわけでございますので、昭和三十二年当時のかりに乙免なら乙免と現在の乙免を比べますと、かなりレベルアップを来たしておるということが言えると思います。したがいまして、機械の導入と相まって、形式的には下げることになりますけれども、安全面からは支障がない、こういうような労使委員の意見が一致してこういう答申になっているわけでございます。安全は、そのために下がるということはないとわれわれは考えておるわけでございます。
○大和与一君 別表第二及び第三の改正についてお尋ねします。 ややこれは同じような答弁になってくるかと思いますので短くしますが、乙種船舶通信士を通信長とする効力範囲を近海一区から原則として——衆議院では、近海区域でも五千トン以上、国際航海に従事する船舶は甲種船舶通信士と修正された——原則として近海全域に拡大することについて、衆議院の参考人の意見によりますと、労使とも試験制度の合理化については政府案を支持することで意見が一致しておる。しかし乙種船舶通信士の効力範囲拡大については、船主側は政府原案の実現を強く要望しているのに対し、組合側は政府案に強く反対し全く対立しております。与党修正が行なわれたが野党の賛成は得られなかった。衆議院審議の段階では、乙種船舶通信士の効力範囲拡大の是非について問題がしぼられた感があるんですが、反対意見が付記された答申内容を法制化することにはあまり賛成ではありませんけれども、今回、乙種船舶通信士の効力範囲を拡大することにした理由をあらためて明らかにしてもらいたいと思います。それが船舶航行の安全上支障がないと判断された具体的根拠は何か。やや重複しますが、もう一度、簡単でいいですからお答え願いたいと思います。
○政府委員(佐原亨君) 船舶の機械化、自動化という話が何回も出ますけれども、通信分野におきましてもいろいろ通信機器の信頼性の向上その他がございまして、通信士の仕事がかなり合理化されてきていることは事実でございます。なお、国際条約におきましても、二級通信士はいわゆる外航貨物船の通信長として十分仕事ができるだけの能力ありということにしておりますし、実態から見ましても一級と二級の差は、いわゆる国際公衆通信と申しますか、和文の通信ではなくて英語の通信のほうで差があると、こういうことになっておるわけでございますが、近海複船の通信長といえども、ナホトカ、韓国、北鮮、それから中共、台湾、香港、こういったところへ行ってりっぱに英語でもって通信を果たしているわけでございます。これがボルネオ、スマトラのほうへ拡大されましても、その通信長としての業務の内容は量的にも質的にもほとんど差がないと、こういう実態がございますので、近海全域に拡大して差しつかえなしと、こういう判断に踏み切った次第でございます。
○大和与一君 船舶通信士の船内における業務内容ですね、それからその位置づけといいますか、それはどのようになっていますか。
○政府委員(佐原亨君) 船舶通信士の業務内容でございますが、大体通信操作の仕事と保守整備の仕事に分かれると思います。結局いろいろありますけれども、一応羅列して申し上げますと、運用のほうに関する——運用と申しますのは操作のほうでございますが、五百キロワットの聴取、それから同じことでございますけれども、沈黙時間中の聴取、遭難信号、緊急通信、安全通信の発受、気象通信の発受、それから報時信号——時間の時報でございますが、報時信号の受信、それからあとは入出国通知あるいは荷主に対する荷役の連絡それから電報送受及び一括呼び出しの聴取、まあいろいろそのほかございますけれども、大体そういった内容が業務の内容になっております。 それから保守のほうといたしましては、電池の充電だとかあるいはオートアラームのテスト、それから無線設備の点検整備、その他いろいろございますけれども、大きく分けますと、そういった運用面の業務それから整備面の業務、このように分かれてまいると思います。 それから位置づけでございますが、通信長は大体船内におきましては、航海・機関士のファーストクラス、一等航海士、一等機関士と同列の扱いを受けているわけでございます。
○大和与一君 無線機器の性能及び信頼度が向上したと言われますけれども、現場で働いている通信士に直接聞いてみると、そうでもないという人もおるわけですね。そこで、甲種通信士と乙種通信士の通信技術面の差をどのように見ておられるか。特に国際通信についての知識、技能の差というものはどのようになっているのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○政府委員(佐原亨君) これも電波監理局長からお答えいただくほうが正確かと思いますが、特に国際通信の面で申しますと、欧文の普通語でトンツウのスピードでございますけれども、甲種のほうは一分間に百二十五字、乙種のほうは百字、二十五字の差があるということになっております。それから、その他一般的な知識といたしましても、甲種のほうがその深みにおいて乙種よりも深い知識、技能があるというふうに承っております。
○大和与一君 この乙種船舶通信士の海上気象についての知識は、試験の内容から見ますと、日本付近のものとなっているような感がします。そうすると、それの効力範囲を近海全域まで広げるということになると、安全上支障がないか。あるいはまた、一挙に近海全域に拡大をしないで、当面は近海二区とか、無理に言えば、そういうふうなことをやるという段階的な実施の方法は考えなかったのか、そういう点をお尋ねいたします。
○政府委員(佐原亨君) 日本付近の海上というようなことで若干狭目に見受けられます。できる機会に試験内容の改正もはかりたいと思っておりますが、一応日本付近の海上気象と申しますと、結局は、大陸高気圧、小笠原の北太平洋高気圧、それから南方海域で発生する熱帯性低気圧と、アジア大陸、台湾近海で発行する温帯低気圧、こういったものの存否、それに伴う前線の動向、こういった知識がございますと大体日本付近の海上というものが把握できるはずでございまして、乙通はこれの知識を持っているわけでございます。で、近海全域に広げました場合に若干北緯五度以南のところがブランクになるように見受けられるわけでありますけれども、この辺はいわゆる熱帯の無風地帯でございますので気象面にはさほど影響はない、こういう地域でございますので、その点も御心配はないのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。 それから漸進的に、一挙に広げずにいくということでございますけれども、これも先ほど申しましたように、現在、中共、台湾で行なっております仕事とそれからボルネオ、セレベスで行なっている仕事がほとんど差がないわけでございますので、その中間で線を引きましてもあまり合理性はない、このように考えたわけでございます。
○大和与一君 乙種船舶通信士の効力範囲を拡大することによって、甲種船舶通信士の失業不安ないし賃金その他労働条件の低下を来たすことはないんですか。
○政府委員(佐原亨君) 資格を強化する場合にはその仕事ができなくなりますので直ちに失業ということが起こりますが、法律はあくまでも最低線をきめているわけでございますから、乙でなければならないというわけではございませんので、現在乗っている甲が直ちに下船するということにはならないと思います。一方、労働協約におきましても、船主のほうは一方的な理由で馘首はできないことになっておりますので、当然その面からも失業問題は起こらないと、船主のほうもレベルの高い技術者が自社に定着することを非常に望んでおりますのでそのような心配はない、このように考えております。それから今後、大量船舶建造によりまして通信士の需要はいよいよ逼迫の度を加える一方でございまして、この面からもそういった心配はない、このようないろいろな面から失業の不安はないということが申せられると思います。 それから労働条件の低下でございますけれども、これも現在は船主と全日海の間で労働協約できまっておりますけれども、近海二、三種の通信長は遠洋の通信長と同じ扱いになっております。これが今後どうなるかということは、これは全く労使の問題でございまして、労働条件が低下のないように当然労働者側ががんばることだと思います。その辺は政府があまり関与すべきではない、こういった問題であろうと思います。
○大和与一君 聞くところによりますと、航海ごとの契約等、臨時雇用の形式で就労している甲種船舶通信士もいるといわれておりますが、これは今後の雇用について不安はないのか。甲種の船舶通信士を必要とする中小船会社に対して、甲種が定着する政策を運輸省はもっと積極的にやるべきではないかと思いますが、その確保が困難であるということの理由によって乙種の効力範囲を拡大するということであれば、安全面から言うと逆行ではないか、こういう考え方もできるわけですが、その辺はいかがですか。
○政府委員(佐原亨君) 本問題が提起されました動機は、まさにそういった甲種船舶通信士がなかなか得がたいといったところにあったのであろうと思いますけれども、それを理由にわれわれは法律改正をはかったのでは決してございません。あくまでも動機は動機といたしまして、乙ではたして安全面に支障がありゃいなやということを慎重に検討いたしました結果、乙でよし、こういう結論が出たわけでございます。その辺は御理解いただきたいと思います。 それから一部、臨時雇用形式で非常に高い給料でつくという話があるというふうにわれわれも聞いておりますけれども、船主といたしましては、先ほど申しましたようにレベルの高い技術者が社に定着することは大いに歓迎するところでございまして、通信士のほうさえその気であれば、そういった問題は今後は起こり得ない、このように考えている次第でございます。
○大和与一君 乙種船舶通信士の効力範囲が拡大された場合に乙種船舶通信士の甲種への進級意欲が阻害される、ひいてはまた船舶通信士の全体の質を低下させる、こういうふうなことにはなりませんか。
○政府委員(佐原亨君) 一級通信士すなわち甲種の船舶通信士でございますが、これに対する需要は今後ふえる一方でございます。船舶の建造の増加並びに船舶あるいは海運会社におけるエレクトロニクスの進歩、こういったものに伴いまして、高度の技術者はその需要がふえる一方でございます。一級と二級はあくまでも厳然たる差があるわけでございますから、向学心のある人は当然勉強して一級のほうに伸びていくと思います。そういう意味で、そういった心配はない、全体の質の低下ということはあり得ない、このように考えています。
○大和与一君 大手と中小企業、あるいは常用と臨時雇用と、こういう区別があるわけですが、それはやっぱり金持ちのほうが力が強くて弱い者がどうしてもやられる、それは物理的な現象ですね。これは一お認めになっているわけですね。そうすると、日本の国で最低賃金法が完全に実施されていない、局長さんは、個人としてこれはぜひ早くやってもらいたい、こういうふうな御見解がありますか。
○政府委員(佐原亨君) 中小、まあ内航二団体とわれわれ称しております、それからもう一つ下の小型船舶のグループで全内航と称する団体がございますが、いずれも全日海と労働協約を結んでおります。最低賃金という感覚からしますと、かなりハイレベルの現在の賃金額になっておりますので、そういった問題は、先生のおっしゃるような御心配は必要はないのではないかと、このように考えております。
○大和与一君 その御答弁は的はずれで、そのハイレベルのやつが最低賃金でいいのです。法律できめてしまえばいいのです。それを局長さんとしてはぜひそうしてやりたいという、こういう親心があると思って聞いたのですが、これはいいです。 それではもう少し——船舶通信士はどのような教育機関を経てそれぞれの資格をとっておるのか。これらの資格者は海上と陸上に分けて、その就職傾向はどのようになっておるか。まず、さっきちょっと言ったように、海上勤務に魅力が失われつつあるが……。また、ことしから電波高校が高専に昇格したが、二級通信士の供給不足を来たすようなことはありませんか。 以上お尋ねいたします。
○政府委員(佐原亨君) 無線通信士の養成を目的にした教育機関でございますけれども、一級無線通信士を目的とした教育機関としては大学が三つ、電気通信大学とか——それから短大が一校、その他三つ、合計七つの機関がございます。これらの機関において一級無線通信士の養成人員は約三百九十名、四十四年度における合格者は百五十九名ということになっております。このうち海上へ就職する数といたしましては百九名、陸上へは四十名、こういう数字になっております。したがいまして、一応就職傾向としましては、合格者の中では海上のほうが多い。ただ、陸上の勤務には必ずしも免状を必要としないものがございますので、そういった意味では、合格者以外で陸上へ流れる数はかなりあるかと思います。大体そういった関係でございます。 それから二級のほうについて申しますと、二級を目的とした養成機関としましては、短大が三つ、電波高校が三つ、それから高等学校が六校、その他を入れますと大体十七ぐらいの機関がございます。これらの機関における二級無線通信士の養成人員は千五百四十名でございます。四十四年度の合格者は二百四十五名、そのうち海上には百四十一名、陸上へは六十三名、こういった数字になっております。 電波高校が昇格して二級の供給源が減るというお話がございましたけれども、ただいま申しましたように、二級の養成を目的とした養成機関がただいま十七ございますが、千五百四十名の定員をかかえておりますので、電波高校がかりに全部一級向けに切りかわったといたしましても、まだかなりの供給源はある、このような認識でございます。
○大和与一君 今回の改正の要点である試験制度の合理化、別表の改正は、見方によれば安全面から後退したのではないか。その背景としては船舶運航の経済性の問題があるように思われますが、経済性と安全確保の調和に対する政府の基本方針、いままでお答えになっておる部分がありますけれども、船舶職員法は安全面からの最低基準をきめたものだから、それをもし緩和する場合は明確な理由、大義名分、そういうものがなければいかぬのであって、経済性への追随、こういうふうなことをちょっとでも思わせるようなことがあってはならない、こういうふうに考えますが、もう一度基本的な方針をお尋ねします。
○政府委員(佐原亨君) 先ほども何回もお答えいたしましたけれども、単に需給とか経済性だけで職員法を改正する意思は毛頭ございません。あくまでも安全面を十分に慎重に検討いたしまして、この改正を行なうわけでございますので、あくまでも安全第一というのが政府の基本方針でございます。
○大和与一君 最後に、いまはここでこれはやむを得ないとして、今後いろいろと情勢の変化によって、政府は常に積極的に真実をきわめて具体的な改正、そういうものも常に考えてほしい。そうして適切に政府として提案をする、こういうふうな御決意は十分おありになりますね。
○政府委員(佐原亨君) はい。
○大和与一君 終わります。
○委員長(鬼丸勝之君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめておきます。 —————————————
○委員長(鬼丸勝之君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○瀬谷英行君 大臣に質問したいと思うんですけれども、前回、山村政務次官が出席いたしまして、その際、問題となっております常磐線の地下鉄乗り入れ問題についていろいろ質問いたしましたけれども、なかなかはっきりとした態度は言われなかったわけであります。検討さしてほしいということだったんです。 その問題の一つは、今回、山手線に西日暮里という駅ができて、この西日暮里に乗りかえ施設をつくって、営団地下鉄線が常磐線に乗り入れをすることになったことは、これは大臣も御承知のとおりだと思うんですが、いろいろ問題になっておりますことは、選択できる、西日暮里を経由することと上野乗りかえにすることと選択ができるようになったというのが、いわばうたい文句だったわけです。ところが、営団地下鉄が入ってきたために、その間は、もし西日暮里を経由するということになると、営団地下鉄の運賃と国鉄の西日暮里、たとえば東京方面に行く人であったならば、西日暮里間の運賃と加算をされなければならぬ、こういうことになっているわけです。しかし、西日暮里という駅は何のためにできたかというと、あの近辺の利用者の便宜をはかってつくったということよりも、あすこに国鉄と営団地下鉄の乗りかえ施設をつくって、要するに乗りかえの便宜をはかったということになるだろうと思います。ところが、それなのに実際問題としては金を払わなければならぬ、余分な金を払わなければならぬということになると、利用者としては割り切れないだろうと思います。そこで、こういう場合、従来の運賃でもってこの間を自由に選択できるというようにしたほうが混乱もなくて済むのじゃないか。また、やったところで、営団なり国鉄が、じゃ、どれだけの収益がここであげられるかということになると、これはたかが知れておると思うんですね。だから、利用者の便宜をはかるということであるならば、通算運賃制をとれという要望というのは私はもっともなことだと思う。だから、その点一体、大臣としてはどのようにお考えになっておるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 技術的な問題がありますので、鉄監局長から答えさせますが、ただ、一応、現行運賃制がありまして、御承知のように地下鉄は一キロ刻みで料金をきめておる、国鉄のほうは二キロ刻みで料金をきめるという違いが起きてくるために料金の差異が出てくると思います。ただ、西日暮里駅を乗りかえ駅とした点で、これをどう調整していくかという問題は残ってくると思いますが、一応具体的には鉄監局長から御説明いたします。
○政府委員(山口真弘君) まず西日暮里に乗りかえ駅をつくったということでございますが、この点につきましては、実はこの常磐線の考え方の基本的な考え方に触れている問題でございます。と申しますのは、常磐線、先生御存じのように、東京の放射状に出ております各線の中で最も立ちおくれていた地域でございます。その立ちおくれていた地域の大きな原因の一つは、常磐線地区の輸送力が非常に不足であるということ、さらに上野の乗りかえ、日暮里の乗りかえを必要とし、これが非常な混雑であり、しかもこの改良というものが非常にむずかしいということ。日暮里におきましては前に大きな事故がありまして、死傷者を出したことがございます。そういうこと。したがって、この地区から都心に直通する道が従来はなかった、必ず乗りかえをしなければならなかったということがこの地区の著しい立ちおくれを招来した大きな原因であろうと思うわけでございます。しかしながら、これに対する解決の道といたしまして、上野から直通で常磐線を都心に乗り入れるということは、上野−東京間の線路の容量並びにこれに対する将来の輸送力増強の道から見て非常に困難であるという点がございますし、また北千住−上野間におきまして張りつけ線増を行なうということも非常にまた困難であるという事情がございます。そこで地下鉄と国鉄常磐線の線増という二つのことを行ないまして、これを相互直通をするということによりまして、一つには、常磐線自体の著しい輸送力の不足というものを脱却して、画期的に常磐線地区を発展せしめるということ、それから第二に、日暮里−上野の乗りかえというものをできるだけ除去するということ、第三に、この地区を都心に直通させるという目的のために現在のような制度が考えられたわけでございます。したがって、西日暮里の乗りかえというのは、その一環の問題といたしまして、地下鉄線とそれから国鉄の山手線方面あるいは東北線方面というものとの連絡を便ならしめるということが西日暮里の乗りかえ駅を新たにつくったゆえんでございます。 それで、やった結果は、効果はどういうことであろうかということに相なります。これは第一に、非常に大きな輸送力の増大がございます。これによりまして、常磐線地区は一六五%ぐらいの輸送力が増強いたしまして、非常に地元は御便益を受けたことと私ども確信をいたしております。さらに、都心への直通が非常に簡単になったことでございまして、この地区は、問題になっております地区を含めて、常磐線一帯の今後の発展というものに大きな寄与をするということになろうかと思うわけでございます。そういうわけで、私ども常磐線のこの問題というのはそういう大きな目的のためにやったものでございます。 そこで通算の問題で、ただいま先生御指摘の、同じ運賃でやったらいいじゃないかという問題でございますが、この点は、運賃の設定のしかたは、従来から、経営主体が異なる運輸機関の間で連絡運輸を行なうというような場合にはそれぞれの運賃を併算をするというやり方をいたしております。これは常磐線の場合におきましても原則どおり併算制の運賃をやったわけでございます。それで、かりに国鉄と同一といいますか、国鉄と他線とがほぼ同じ目的地に至るような場合に、この運賃を同じにしたらいいじゃないかというような御議論が当然あるわけでございます。そういうことは、運賃の制度が実際上異なっておりますから、実際問題として非常に困難でございます。たとえば、国鉄の運賃制度でございますが、普通運賃におきましては、これは先生御存じのとおりでございますが、一応、賃率四円二十銭対キロ制ということになっておるわけでございますが、ただ、五十キロまでは五キロ刻みの区間の中央キロ程というものを基準とした運賃の定め方をしておる。これに対しまして営団の場合には四キロまでが三十円、あと五キロ増すごとに十円刻みというような、いわば対キロ区間制の運賃をとっておるという違いがございます。それから、定期運賃について言いますれば、営団の場合には、これは一キロ刻みごとの区間運賃、区間制運賃というものを適用いたしております。それから、国鉄の場合には、二十キロメートルまでは五キロ刻みということで運賃を決定をいたす、その結果、国鉄の場合には、通勤の場合で言いますと、五キロまで九百円でございますが、六キロになりますと一挙に千二百円になるということになりますが、そのかわり十キロまでは同額の千二百円という運賃をとっておるということでございます。したがって、そういう運賃を営団の運賃というものを同額にするということは非常に技術的にむずかしいという問題がございます。 それから、いま一つ、国鉄線と営団線との接続点は、これは非常に数多くあるわけでございまして、したがって同一のといいますか、大体似たような目的地へ行くべきルートというのも多種多様でございます。これは東西線の場合の例をお考えになっていただけばすぐわかるわけでございますが、そういう非常に複雑な様相を呈しておりまして、これを同一区間につきまして同一の運賃にするということにいたしますと、これはもうおそらく非常な組み合わせということになりまして、現在の運賃体系というものを全面的に変更するということにならざるを得ない。それは国鉄線自体の運賃あるいは営団線自体の運賃という問題との関係もございまして非常に困難であるわけでございます。今後十分に研究いたしたいと思います。
○瀬谷英行君 大臣はそこまでまだ御研究になっているかどうかわからぬけれども、この問題は沿線利用者からいろいろな声が出ているわけです。私も葛飾区の人だとかあるいは荒川区の人の意見をそれぞれ聞きましたけれども、いま局長が言ったのは、今回の常磐線に対する営団地下鉄の乗り入れの計画のねらいや動機はこういうものだということを説明しているわけです。計画のねらいと動機がいいんだから運営上の不手ぎわについてはつべこべ言うな、こういう態度が利用者から反発を買っているわけですね。新聞なんかを見ましても、説明は、今回のねらいはこういうふうないいねらいなんだということで相手を納得させようとしているわけです。ところが、実際問題としては、いままで常磐線の利用者が東京あるいは有楽町方面に行く場合に、上野で乗りかえなければならなかった、あるいは日暮里で乗りかえなければならなかったのだけれども、地下鉄線が開通をして、金町とか綾瀬、亀有あるいは北松戸、馬橋、北小金、こういうところは、まっすぐに西日暮里まで行って、西日暮里で国鉄に連絡できるようになったわけです。そうすると、それらの人たちにとっては、西日暮里という駅が目的地じゃないわけです、あるいは日暮里というのは目的地じゃないわけです。西日暮里であろうと、日暮里であろうとどっちでもいいわけです。ところが、一回の乗りかえで済まそうと思えば西日暮里のほうが都合がいいということになる。そこに今回の工事のねらいがあったのだろうと思う。したがって西日暮里、日暮里、北千住、この三角地帯というものは、どこを利用しようとも利用者の好きなようにさせるという方法をとればあまり混雑はしなかったと思う。ところが、まことにあこぎな話だけれども、ここのところだけは営団地下鉄が入っているのだから、その分だけ別料金をいただきますというので、金をもらうようなことになったから、そこでごたごた、ふんまんが爆発したわけです。こういうことは、かりに通算運賃にして、この三角地帯はどこを通ってもいいのだ、好きなように乗ってくれというようにすれば、まず運賃の問題についてのふんまんというものは爆発しなかったと思う。それをやったところで、それでは営団地下鉄なり、国鉄がどういう実害があるか、私は、実害というものはほとんどないと思う。なまはんかに、こんなところで余分な銭を取って多少の足しにしようというみみっちい根性を出したところに間違いがあったんじゃないか。いまの局長の答弁だと、非常に困難だ、困難だというふうに言っておりますけれども、日本国有鉄道として、葛飾区長なり、区議会の議長に対してその答弁が出ておりますけれども、運賃を調整しようとすると、国鉄、地下鉄、私鉄の運賃すべてを根本的に改めなければならないこととなります、こういう答弁が出ております。こんなことはそんなむずかしいことじゃないと私は思うのです。このところを大臣は一体どのようにお考えになるでしょうか、そんなむずかしいことじゃないと私は思うのですがね。
○政府委員(山口真弘君) これは先ほど申しましたように、同じところへ行くのにはどういう路線で行っても同じような運賃にするということの問題で結局はある一わけでございます。ところが、実際には、同じところへ行くのに同じような運賃といたしますと、経路がいろいろ違ってまいります。たとえば常磐線のこの問題に関連いたしましても、たとえば御茶ノ水へ行くという人は国鉄線もあれば地下鉄線経由というものもあります。したがって、そういう運賃をそこだけ同一にするというようなことにすれば、その線区自体の運賃が全部違ってなくてはならない、そのために。それから国鉄線を今度は地下鉄に合わせると、国鉄の全部の運賃を変えなければならないというような問題が実は生ずるわけでございます。 東西線にも同様な問題がございまして、たとえば中野から高田馬場へ行くのにも、新宿回りの道もあれば、それから直通の地下鉄の道もある、さらに地下鉄は飯田橋で乗りかえますから、飯田橋で接続いたしますから、したがって、飯田橋までの運賃をどうするかということは、国鉄自体の運賃を営団に合わせるかというようなことになります。かりに、営団に運賃を合わせるとすれば、国鉄は、その区間の運賃は別だということになりますから、これは国鉄の全部の運賃を変えていくということにならざるを得ないわけであります。したがって、私どもの従来の考え方は、結局その線区の営業キロ程というものを基準として、その鉄道自体の運賃制度というものに大体準拠さすということで従来の考え方はやっているわけでございます。 それで、さらに一つ問題がございますのは、先ほども申し上げましたように、国鉄の運賃と、あるいは営団の運賃、従来のいきさつがございまして非常に違っているわけでございます。普通運賃にいたしましても制度が根本的に違いますし、三十円、四十円、六十円というのが国鉄運賃でございますし、営団は三十円、四十円、五十円というような運賃でございます。さらに、定期運賃にいたしましても、国鉄は五キロまでは九百円、それが六キロになると千二百円になり一挙に高くなる。しかし十キロまでは同じ千二百円である。それが十一キロになると千八百円になり一挙に上がる。ところが、営団の運賃はそういうやり方をしておりませんで、一キロが幾ら、二キロが幾ら、三キロが幾らと一キロ刻みで運賃を変えておりますから、したがって、五キロと六キロの間にも、そういうぴょんと飛びはねたような運賃の格差というものが生じないわけでございます。そういう運賃制度がいいか悪いかという議論が一つございます。ただ、従来からそういう運賃制度でもって国鉄は運賃制度をつくってやっております。したがって、そういう運賃を同額にするというようなことになりますと、いずれかがいずれかの運賃に合わせなければならぬというような問題も生ずるわけでございまして、結局は国鉄の運賃制度、地下鉄の運賃制度という根本問題に手を触れなければこの問題は簡単には解決できないということでございます。 また、実際問題といたしましても、とにかく、それではこの地区の方々が非常にこれで不利益になったかといいますと、私どもは必ずしもそう考えていないわけでございます。なるほど、これが開業の当初におきましては確かに若干の不手ぎわが——かなりの不手ぎわがございました。そのために松戸の駅あるいは北千住駅の乗りかえ等におきましてかなりの混乱が生じ、そういったようなことで利用者の方の御不満を買ったことは、これは私どもも認めるところでございまして、こういう点は、一つには、移行に関しまする不手ぎわとともに、快速線の輸送力が若干足りなかったということも実は反省をいたしておるわけでございます。そういう趣旨にかんがみまして、実は快速線の輸送力を開業後かなり大幅に増強をいたしました。朝晩並びに昼間時帯もございますが、快速線の輸送力の松戸での折り返しというのをかなり増強いたしまして、そうして乗りかえの御便宜というものをはかってまいったわけでございます。そういう意味で、私どもは、この地域の方々の御不満というものはかなりこれで解消できたと思います。さらに、この地域から都心に直通の道が開けたわけでございます。そういう意味の御利益というものも非常に大きいわけでございます。私どもは、基本的にはそういうふうに考えております。
○瀬谷英行君 私は東西線や御茶ノ水のことを言っておるのではないので、この西日暮里、日暮里、北千住、この三角地帯のことを言っておるのです。問題をすりかえてはいけないと思うのです。いままでの常磐線の利用者の流れというのは、常磐線で上野へ来て、上野で乗りかえる、こういう形をとっていたわけです。上野でおりる人もあるだろうし、三河島でおりる人もあるだろうけれども、そういうごくわずかの例を除いては、常磐線というのは、常磐線沿線から運んできた人を環状線のほうへ持ってくるというところにねらいがあったわけです。だから、そのねらいからいうと、いままでは日暮里で乗りかえなければいけなかった。ところが、途中のこまかな駅は快速線がとまらなくなってしまったから、そういうところの人は、いやおうなしに乗りかえを一回で済まそうと思えば西日暮里でやらなければならなくなった、そのために西日暮里という駅をこしらえたわけです。そうして西日暮里を経由しようと、上野を経由しようと、そこのところは従来どおりの運賃でよろしいとしたところでどれだけの実害があるのか。それを型どおりに、ここのところは営団地下鉄だから営団地下鉄の分だけよけいお金をちょうだいしますというのでは、これは沿線の利用者にとっては何のための複々線かという文句が出てくるのは当然だろうと思う。かりに西日暮里経由というふうに改めれば、今度は上野経由はできないということになるわけです、経由が違うから。しかし、そういうやり方は、ここのところはごくわずかの距離でもあるし、第一、国鉄でも、東京都区内はどこを通っても、どこを経由しても同じ運賃という切符を売り出しておるわけです。環状線の中はどこを通ってもいいというような切符を売り出しているわけですね。だから、そういうことができるんだから、こういう三角地点——西日暮里、上野、北千住といったような三角地点については同一運賃でやったところで一向に差しつかえないんじゃないか。これにこだわるというのは、まことにしゃくし定木な考え方じゃないかというふうに私は思うわけです。これは、だれが考えてもそうだろうと思うんです。その点をお役所式の答弁でもって終始をしていくということになれば、これはサービス向上とかなんとか言っても、これは単なる飾り文句であって、実際には、ねらいとしているところとは運賃の面では合わないということになる。 今度は国鉄の側に聞いてみたいと思うんですが、国有鉄道は葛飾区に対して答弁をしておりますが、これは国鉄とすれば何か実害があるのかどうか、あるいは運賃を取ることによってたとえば赤字解消のために何らかの助けになるのかどうか、そういう実利、実害の面から一体どうかという点を答えてもらいたいと思うんです。
○説明員(伊江朝雄君) お答え申し上げますが、この問題は、先生の御指摘の実利、実害という問題ではございませんで、先ほど鉄監局長から御答弁申し上げましたように、運賃体系の異なるものの併算制度がいいか悪いかという根本的な問題だろうと、こういうふうに存ずるわけです。したがいまして、御指摘の実利、実害、国鉄の収入の増か、マイナスかという問題では実はないと、こういうふうに考えております。
○瀬谷英行君 そこで大臣に……。大臣も大体のみ込めただろうと思うんですが、どうですか。この問題は、これは国鉄が、あるいは営団がこれによって収入が多くなる、少なくなる、赤字になるとかならないとか、こういう問題じゃないんです。これは通っている線が三角形になったわけですね。いままでは上野に出なければ乗りかえられなかったが、西日暮里という駅をこさえた。どこでも選んでいただけますというのが常磐線複々線化にあたってのうたい文句だったわけです。なるほど、選ぶことはできるんだけれども、西日暮里を経由するときは、ここに入ってきたのは営団の地下鉄だから、これは営業形態が違うから別の料金をいただきますという、そういうかっこうになっているんです。別の料金をいただきますということだから、今度は、西日暮里には改札をつくって、その改札を通らなければ行けないようになっているし、いままでの定期でもってうっかり行った人は、そこで待ったをかけられるわけですね。そんなこんなでごたごたが起きた。いまもって沿線住民の不満は解消されていない。だから、同じ運賃でもってここのところを乗りかえさせたって一向に差しつかえないんじゃないか。こんなことは、変に営団とか国鉄とかという、営業形態の違いということにこだわらなきゃできることだと私は思うんですね。そんなことを無理やりに、ここのところは営団の電車とか、ここは国鉄の電車とか——線路の幅は同じで、東両だって同じような車両が走っている。しかも、利用者はどっちを通ろうと通過地域については関係のないことなんですよ。いま国鉄だって、たとえば常磐線経由で仙台に行こうと、東北線経由で仙台に行こうと、距離は違うけれども、運賃は同じにしているわけです、そういう実情があるわけです。もっとも、これが片方が私鉄とか片方が国鉄というふうになるとそうはいかなかったかもしれないが、しかし、国鉄と地下鉄の運賃形態が違うということはわからぬわけじゃない。わからぬわけじゃないけれども、まん中が地下鉄でもってその両側が国鉄である。たまたまそのまん中に入ってきたのは営団の地下鉄であるから、そこのところだけ別料金を取ろうというのは、まことにしゃくし定木じゃないかと思うのですね。住民の不満というものはそこにあるわけですよ。そういうしゃくし定木なことをやらなくたって自由に乗りかえさせればいいじゃないか。そうすれば、北千住あるいは松戸等の乗りかえでごたごたしないでみんな西日暮里へ行くじゃないかというのが利用者の言い分なんです。私は、利用者の言い分のほうがもっともだと思うのです。この点は大臣としてどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 何といいますかね、感情的常識論からいいますと、いまおっしゃったようなことはわれわれもよくわかるわけですね。ただこれが、企業体が一つであるか、もしくは運賃制度が一つであるか。これは、一つならば問題はなかったわけですが、一つは運賃制度が違うと。実はこの問題だけじゃなく、ほかにもやっぱりいま私の聞いておるところでは非常に複雑な問題があります。たとえば、私鉄から地下鉄を乗り入れて、たとえば京浜なら京浜急行というものが押上まで行くわけですね。それから京成——そこまでやっぱり地下鉄が乗り入れをしておる。まあこれはお互いに話し合いの上で運賃計算をやっているようですが、たいへんめんどうだということを言っておりました、やっぱりこの地下鉄の運賃が、料金制度が違うということが。ことに国鉄の場合になりますと、国鉄は一応この国鉄の運賃表で、東京都内のいわゆる国電と称するものですかね、山手線とか中央線とかというものを、地下鉄のいわゆる運賃制度とは別個に切り離して料金制度をきめておる。まあそういうところにいろいろのぶつかりが出てくるわけですが、ただ、いま鉄監局なり国鉄が心配しておりますことは、従来、そういうような現行制度は加算制度をとっておるということが大きな原因だろうと思うのです。 これはまあ、もしこれを従来の定期券でそのまま通すということになれば、おそらく、私もよくわかりませんけれども、定期券の中で支払うべき金額を当然まあ国鉄が背負わなくちゃならないということになるでしょう。あるいは地下鉄が、いや、まあ国鉄並みでけっこうだといえば、国鉄のほうは損しなくても済みますけれども、もしどうしても、自分のほうは原価計算から見てやはり地下鉄の定期券の金額でもって計算をしなければ困ると、こういうことになれば、それだけ国鉄が、国鉄として売った定期券の中からやはり支払わなければならぬ、こういう問題が出てくるだろうと思うのです。金額の上では、おっしゃるように全体の国鉄の収入の上から見ればそう大きな問題ではないかもしれませんけれども、その金の問題よりも、先ほど鉄監局長あるいは国鉄当局から説明がありましたように、運賃制度の問題をどう考えるかということがまず頭にきておる。ここだけの問題ではなく、ほかにもそういう問題が、もしそうなればこういうことがほかにも出てくると、こういう問題があるわけなんです。 こういうことからこの問題の解決に苦慮しておるというか、どうも従来の方式をとらざるを得ないということでおるようでありますが、いま直ちにこれを実行できるかどうかは別にしましても、ある意味においては、この東京二十三区内といいますかあるいは地下鉄の及ぶ範囲内において共通する場合、これを共通料金といいますかね、そういうものをひとつ将来は考えなければ、こういう問題は、どんどん今度は地下鉄が出てきますと、国鉄もしくは私鉄との共同使用といいますかね、運行が当然これはひんぱんになってくる。その場合にもっと簡単な、値段が上がる、下がるは別問題にして、もっと計算のしいいような状態をつくらないと利用者にも迷惑をかけるということにもなりますから、この点は将来の研究課題としてこれは考えなくちゃならぬと思いますが、ただ現状では、いま直ちにこれを従来の定期券でもって使用させるということは非常にむずかしい問題があるように思います。 しかしながら、使用する人から見れば、それが国鉄であろうと営団であろうと、自分は従来目的地はここへ行くのだと。その間たまたま企業体が異なり、運賃体系が異なるために、従来とも違ったところへ行くんでないにかかわらずよけいな金を取られると。ただ問題は、一つは御承知のように西日暮里で乗りかえていけば一カ所で済む。それを北千住で乗りかえるということになれば、今度は、もし山手線を利用する人は上野と、もう一カ所乗りかえなければならぬ。こういう不便があるわけであります。同時にまた、北千住の乗りかえで、大きな駅ですから、たいへん時間も要するし、二分、三分を争う通勤のときですからして、西日暮里のほうは非常に簡単に乗りかえができる。一方の北千住の場合ですと、おそらく二分とか三分以上かかるでしょう。その上に上野でまた長いホームを乗りかえる。たいへん不便じゃないか。そうなれば、いわゆる混雑度も少ないのだから、西日暮里で乗りかえさしてもらう。しかしながら、そちらさんの都合だから、いわゆる地下鉄を通る通らぬはそちらのほうで解決してもらいたいという使用者の考え方も無理はないと思います。そちらのほうでそういうふうにした、そのほうが流れがよくなるわけですから、考えてもらいたい、こういう問題は、利用者側の意見も、まあ気持ちとしてわからぬわけではありませんけれども、現在のいわゆる料金制度の問題、及び従来からとってきました処理方針から見ますと、料金加算制というやり方をとってきたということが、しかもその金額が五十円なり百円の違いならいいのでしょうけれども、相当の金額の差があるようであります。したがって、通勤者のほうから見れば、一カ月何百円という相違が出てくることは、はなはだ迷惑千万、がまんのしようがない。しかも乗りかえが、幾らか西日暮里のほうが簡単かもしれませんが、いずれにせよ乗りかえが一ぺんあるのですから、そういう点においては迷惑千万だという意見もよくわかります。これらよくもう少し、私自身検討もしてみたいと思っておりますし、従来の現行制度等も、これをどう将来に向かって考えていかなければならぬか、こういう点も考えまして、ひとつ研究もしてみたいと思います。
○瀬谷英行君 問題は、やはり利用者のことを考えないというところに問題があるわけです。鉄監局長の答弁によると、いいことずくめなんですね。ちっとも文句が出ないはずなんです、その答弁のとおりだったら。ところが、実際には文句が続出しているわけです。細部を見ると——私もこれは三河島で電車の時刻表をもらってきました。細部をよく研究して、荒川区の人の話も聞きましたが、いままでよりもずっと本数が減ってしまって、不便になった。五月六日、つまりきのうから、先ほどの話のように幾らかふやした。ふやしてどうなったかと思ってみると、三河島というのは日暮里の次ですよ。東京都区内ですよ。国電区間だから、われわれの常識からすると、時間表を見なくたって五分か六分待てば乗れるという常識がある。これは実際行ってみると、ラッシュでも十分以上待たされるようになっている。十分以上、間があいている。間に電車を入れたところは、これは場所によっては四分ぐらいの間隔で来るようになっている。しかし、下りの十八時台でも、多いところは十七分待つようになっている。間があいている。それから十三分、十一分、十分以上電車の間隔があるのです、快速電車の。十七時、十八時、十九時というのはラッシュの時間帯です。ラッシュの時間帯なのに十分以上次の電車との間があるということは実にばかげているわけですね。国電の概念から離れていますよ、大体。片一方、日暮里の山手線、京浜線というのは、この時間帯なら大体三分くらいの間で来るようになっています。三分から四分。それなのに、一駅こっちへ来ると十何分待たされる。さらに昼間の十四時、十五時、十六時になりますと、二十分以上、間がある。二十一分あるいは二十三分という間合いがあるのです。これは二十何分も待たされるのじゃ国電じゃないです。歩いていったほうが早いということになる。こういうダイヤをつくって、便利になった、便利になったといっても、地元の利用者が納得しないのは当然だと思うのです。私は朝のラッシュなんか、聞いてみると、三河島あたりから乗る人は、うっかりすると乗れないというのです。これはそうだと思うのです。三河島でおりるよりも、三河島を通過して、日暮里あるいは上野で乗りかえる人が多いわけですから。そうすると、三河島で乗ろうとしても乗れないのです。したがって、歩くか、ほかの交通機関を利用するということになる。改革によって不便になったという地元の人たちの意見は、なるほど無理もないというように私も思いました。この間、亀有に行って、あるいは金町や亀有の人の意見も聞きました。こちらのほうも、各駅だから便利かというと、そうでもないのです。私は、夜の七時から八時の時間帯の電車に乗りましたけれども、それでも十四分、間隔がありました。こういう時間があいているのです。これじゃ、これもまた在来線よりも不便になったんですね。そうすると、なるほど一番遠くの、我孫子のほうから乗ってくる人は、相当時間の短縮になったかもしれないけれども、利用する電車の回数は減ってしまって、間があいているということは、たいへん不便になったということです。それでいて、電車の中につっている広告は、今度は常磐線はうんと便利になりましたという広告なんです。だから利用者にしてみれば、ばかにするなということになるわけです。ある新聞には、依然として乗せてやるという意識が強いのだというふうに書いてありました。利用者、乗客の立場に立ってないということを指摘しておりました。私は、今回のような運営というのは、乗せてやるという意識よりももっと悪いと思うのです。不便になったけれども少しがまんしてくれというならいいけれども、不便にしておいて今度はうんと便利になったという広告をされるのじゃ、これは乗せてやるという意識より悪いと思うのです。乗りたければかってに乗りやがれというようなもんです、これは。そういう鉄道側の意識があるから、利用者側の反発があるのだと私は思うのです。 だから、もう少し謙虚に、沿線の利用者の注文というものを私は聞き入れるべきじゃないかと思うのです。そうすれば、いまのこの運賃問題にしても解決する方法はあると思う。先ほど旅客局長自身が、実利と実害の問題についてどうかと言うと、そういう問題じゃないと言ったのです。そういう問題じゃないのに、営業形態が違う、片方は地下鉄で片方は国鉄だというだけの違いでもって——これは沿線の利用者にとってはどっちでもいいことなんです、こんなことは。車が営団に所属しようが、国鉄に所属しようが、そんなことはどうでもいい。運んでもらえばいいことなんです。経費がどうあろうと、そんなことも関係ないのです。そういう点は、通算運賃にするという方法を考えて、その障害になっている問題をこれは除去するという方向をとるべきじゃないか。国鉄と地下鉄、私鉄の運賃が、同じ東京都区内であってばらばらであるというのも確かにおかしいと思うのです。いろんな問題が出てくると思うのです。だから、東京都区内なら東京都区内は共通運賃にする、共通切符でもってどこへでも行けるようにするというのが、利用者の便宜を考えた場合に、とるべきことじゃないか。そこで余分な運賃を取るというようなことは、わずらわしいだけであって、さほど各企業にとっての利益にはならぬ。むしろ便利にして、たくさんの利用者を吸収する方向をとるべきではないかという気がするのですが、そういう方向を——これは首都圏だけの問題じゃないです。大阪でも、ああいうところでも同じ問題が出てくると思うのですけれども、地下鉄あるいは私鉄、国鉄、錯綜してきますから、これからますます。今後の問題として、早急に研究をして、利用者の便宜をはかるというような運賃体系をあらためてつくる、これは部分的であってもしようがないと思うのですけれども、そういう考えはないのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(橋本登美三郎君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、瀬谷さんもおっしゃるように、東京都内の運賃が、もちろんこれは一つは、経営形態が違っておるということも一つの理由ですけれども、それ以外に、地下鉄をつくる場合と、ことに国鉄のように古く投資をしたのと差異があると思いますけれども、ただ、運賃の上から見るというと、それは昔つくったろうが、いまつくったろうが、とにかく乗っていく上には同じなんだから、もっとやはり合理的に共通運賃といいますか、統一基本運賃で考えるべきじゃないかという考えがあると思います。これは一つは交通政策の根本問題でありまして、私なども個人的意見ではありますけれども、私鉄なり、あるいは地下鉄なり、あるいは国鉄なり、こういうものは大都市交通機関として考える必要があるんじゃないか。そうなった場合には、まあ運賃問題で、どっちにしわ寄せするか。地下鉄のほうにしわ寄せすれば高い運賃に上がってしまうし、国鉄のほうにしわを寄せるという運賃制度を考えた場合に、今度は国鉄自身の経営がむずかしくなる、いろいろ問題があると思います。そうなるというと、別々の機関において統一運賃ということはなかなかむずかしい問題があると思います。しかしながら、これはなかなか二年や三年でこれらの企業体を一つにするという問題は、そう簡単には解決がむずかしいと思うわけであります。たとえば地下鉄でもそうなんですが、方向が違うといって営団地下鉄と都営地下鉄がある期間においては料金が違う場合があるわけです。値上げをした直後、半年や一年間違う、こんなことはおかしな話なんです。東京都内の地下鉄の建設費用というものは、営団がやろうと都営がやろうと、多少の差はありましても、そう差はあるはずはないのですから、統一運賃であるべきでありますが、値上げの時期が違うために、ある時期が、一方は安く一方は高いという印象を与えます。こういうことは非常に好ましくない。それが東京の地下鉄の場合には行なわれておる。二つの企業体があるために不合理な矛盾が、時間的には短い時間でありますけれども、そういうことが行なわれる。こういうことから考えましても、いろいろ改革すべき問題があります。これをひとつ根本的に、いまお話のありましたように、企業体の問題あるいは運賃制度の問題あるいは交通の流れの問題等を考慮して検討してまいりたいと、かように考えております。
○瀬谷英行君 国鉄側に質問したいんですけれども、五月六日の快速の増発によって、ほど平均化されるようになったのかどうか、これでもまだアンバランスがあるのかどうか、その点をお伺いしたい。
○説明員(伊江朝雄君) 御指摘のように、当初われわれは平均に輸送をされるという予想を立てておりましたが、お客さまのふなれ、また私どもの案内の不手ぎわもございまして、多少緩行線と快速線との乗車の割合が、私どもが予想いたしましたのとはちょっと違った姿で出てまいりました。その後だんだん落ちついてまいってきたわけでございますが、先生、先ほどおっしゃいました、昨日からいたしました輸送力の手当てによりまして平均化してまいったというふうに見ております。これはきのう一日、きのうからやりました姿でございますので、しばらくこの様子をずっと見ていきたいと思っております。目下のところは、順調な輸送力といいますか、順調な輸送を続けている、こういうふうに考えているわけであります。
○瀬谷英行君 国電の区間で三河島とかあるいは南千住とか、こういうところは、われわれの従来の概念からいうと五分か十分で待たずに乗れるのだと思ったところが、二十分以上も間があるというようなことになると、これはローカル並みになっちゃう。こういうことでいいのかどうかという問題が一つあると思いますが、少なくとも、やはり隣合っている山手、京浜東北とつり合いがとれる程度に増発すると同時に、この電車の間合いも平均化する。間が悪いというと二十分も待たされる。運がよければ、乗りそこなっても次の電車が四、五分で来る、間が悪いと二十分も待たされる、こうなると利用者も腹が立つだろうと思う。こういう点は技術的な問題だろうと思いますから、改善しようと思えばやれないことはないと思いますが、その点はどうですか。
○説明員(伊江朝雄君) ただいまの御質問は三河島とそれから南千住でございますが、その問題に焦点をしぼっての御質問だと思います。実は先生おっしゃるとおり、ラッシュの時間帯でも長いのは十分ぐらいのヘッドがございますが、これは理由がございまして、実は取手から上野方面に入りますのが快速電車の運行でございます。その以遠から参ります中距離電車ですが、俗に中電と言っておりますが、これは快速並みに走っています。現在、快速電車のとまっている駅に中電がとまっておりますが、これは朝のラッシュのときに非常に中電がずっと奥から参りますけれども、快速電車のとまります駅が非常にお客が多いので、朝のラッシュだけは快速電車がとまっている駅にとめているのです。そのラッシュの時間帯に大体六本ばかり中距離の取手以遠の藤代あたりから参ります電車が走りますので、ラッシュの時間帯に、南千住、三河島を通過する中距離電車がその間に入る。そういうことでラッシュの時間帯は、先生御指摘のように、三河島、南千住を利用される方が最大十分ぐらいの間があく、そういうような状況であります。これは私ども意識的に、別に三河島と南千住を不便にしているわけじゃございませんので、従来の輸送の姿から見まして、三河島、あの近辺が実は定期のお客が少し減っているような状況であります。そういう輸送の需要の状況もながめながら実はそういう手を打っているわけでございますので、なお、先ほど申し上げましたように、現在急遽手を打っております輸送力増強の姿をもう少し見守りながら検討したい、かように考えております。
○瀬谷英行君 なるべく不便にして、あきらめて乗らないようにしむける、こういう考え方でやっているのじゃなかろうと思いますが、どうも国鉄のやり方あるいは運輸省のやり方というのは、意地悪く見れば、なるべく不便にしてお客があきらめて国鉄を利用しなくなるのを待っているのじゃないかというようなことを言われてもしょうがない点があると思います。私もきのうは利用者の人たちから直接いろいろな意見を聞きましたが、電車の時刻表から見てみますと、十七時、十八時、十九時と、こういうたとえば夕方のラッシュの時間帯を十四分、十五分、十七分という間隔をおいているのです。電車の間を。これじゃばかばかしいということになるのは無理ない、こう思いました。 それともう一つは、これは三河島方面なんでありますが、亀有なり金町の人が乗りかえに利用する北千住でありますが、これもずいぶん不便なんですね。片方は地下なんですね、片方は上にある。それで西日暮里のようなエスカレーターがないから階段を上がったりおりたりしなければならない。さっきの大臣のお話では、乗りかえに二分か三分かかると言っておりましたが、ラッシュのときに二分、三分ではとても行かれない。ああいう北千住のようなところに行かなければ乗りかえができないというのじゃなくて、たとえば綾瀬から亀有、金町になるとレールが並行して走っている、レールの高さが。北千住までは上と下です。しかし綾瀬から向こうは並行しているところがある。そういう並行しているところに乗りかえのホームをつくるということになれば乗りかえは簡単にできるのじゃないかと思います。だから、全部快速電車を各駅にとめてしまうということになると快速の意味をなさなくなるから、全部とめろという地元の声もありますが、そうはいかないと思います。私も快速を快速にするためには全部にとめろという要望にはこたえられないけれども、もう一ヵ所か二カ所停車駅をつくって、そこで乗りかえが簡単にできるような、構造上線路が並行していて乗りかえが簡単にできるというところがあったら乗りかえ駅をつくるということも考えていいことじゃないか。乗客の利便のためにはびた一文も使いたくないと、こういう思想があれば別なんですけれども、しかし、そうでなくて利用者の便宜をはかるということならば、乗りかえの構造上の問題も考えてやるべきじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
○説明員(伊江朝雄君) お答え、ちょっとすれ違うかと存じますが、いま先生の御指摘の、乗りかえの便宜という面から、構造的に、現在、快速電車がとまってないところについても乗りかえ設備をつくったらどうかという御質問だろうと思いますが、その構造的な問題の前に、今回、常磐線の輸送力の増強のために複々線にして、そしてだんだん外延化いたしますところの通勤者の需要の増というものをまかなう方法として考えましたのが、緩行線の運営のしかたとそれから直通快速線のスピードアップ、こういう輸送のパターンを位置づけるための線増工事であったわけであります。したがいまして、いま先生が御指摘の、どの駅からも乗りかえが自由に快速線も緩行線もできるというふうな立場は、実はこの輸送の増強の趣旨からは出てまいらない。それから一方、構造的な面から申しますと、御承知のとおりあそこはずっと高架でございまして、初めからそういう輸送力増強のパターンを、姿を描いてつくりました構造になっておりますものですから、先生御指摘の、緩行線からも乗りかえるというふうな設備には実は構造的にはできなくなっている、こういう姿でございます。そこで、輸送力増強の立場から踏まえましたこの線増工事でございますが、確かに先生の御指摘のように、金町あるいは亀有の方々は、国鉄線を利用される限りにおいては北千住での乗りかえの御不便というのはあるかと思います。しかし全体の、つまり松戸以遠のお客さまにつきましては、非常に大きな輸送力増のプラスの効果を私どもは実現できておるというふうに考えますし、現に快速線それから緩行線も含めまして昨年の状態から輸送改善いたしました今日では、実に輸送力的には五割の輸送力の増強になっておると、こういうことでございますので、常磐線を全線ながめて見ました場合の輸送力の増と、それから利用される方々の便宜という大きな最大公約数にはこたえているというふうに実は考えているわけでございます。
○瀬谷英行君 松戸以遠の人が便利になったから近い人は不便になってもがまんしてもらいたいと、こういうのは少し冷たい仕打ちだろうという気がするのです。じゃ乗りかえの便を考えるならば、高架と地下との間は上がったり下がったりするということにしなくたっていいように、線路が並行しているところに乗りかえの設備をつくるということを考えるのが、これは利用者の便宜を考える上に私は必要だろうと思うのですね。全部やれということは言ってません。北千住で乗りかえなければならぬ人を、じゃもう一つ手前の綾瀬なりあるいは亀有あたりでそういう設備をつくってやったらどうか、片方は線路が並行しているわけですから、線路が並行しているところだったら、その下を乗りかえ通路にすれば非常に簡単に乗りかえができるというわけです、これは構造上。ところが、片方は地下で片方は高架だ、こういうところでまあ上がったりおりたりしなければならぬということになると、これは乗りかえに五分もかかっちゃう。だから、こういう点をもう少し考えてしかるべきではないかということを私は言ったわけです。快速線を全部乗りかえの設備をして全部とめろということを言っているわけじゃない。あまりにも現在の乗りかえは不便になっておるということを言いたいわけです。 北千住で乗りかえないでいいようにしようと思えば、じゃ西日暮里に行かなければならない。西日暮里で乗りかえようと思えば、東京方面に行くには七十円よけい金を取られる、こういうことになってしまう。これは利用者にしてみれば実にばかげているということになる。七十円くらい問題じゃないということなら別ですけれども、金を出さなければならないし、改札を通る手間もかかるということになるわけですから、これは金町やあるいは亀有方面の利用者にとっては踏んだりけったりでしょう。だから、踏んだりけったりじゃあまりひど過ぎるから、踏んだりけったりじゃなくて、まあ踏んだり程度にしておくということはできないのかということを私は言っているのです。そういう点、もう少しくふうすれば、近距離の利用者のためにも便宜をはかる方法はあるのじゃないかということを私は聞きたいのですが、その点はどうですか。
○説明員(伊江朝雄君) お客さまをわざわざ不便にするような設備は——私どもは乏しい財源の中からたいへんな大きな金を投じまして輸送力増強をした設備でございますので、全体のために輸送力を増強して混雑緩和ということをはかるのが最大の使命と考えているわけでございますけれども、そのために、まあ先生の御指摘のように、近間の者は不便させてもよろしいかというのは、あまりにもちょっと私は端的な御質問じゃないかと、まあ恐縮でございますけれども、そう申し上げざるを得ないと思います。 乗りかえの便宜の問題につきましては、確かにおっしゃる点も多々あると思います。しかし、都市がだんだん輸送が高層的になってまいりますと、やはり平面での乗りかえという設備は都内どこを見ましても実はないわけでございます。ほとんど立体化しているわけでございます。そういうふうなことでございまして、乗りかえの設備にどういうふうな便利な乗りかえ設備をつくるかというのは、確かに御指摘のとおりの私は課題であろうかと思いますが、現に、先生先ほど北千住ではエスカレーターがないんだというふうな御指摘でございますけれども、現在ございまして、多少、なるほど三分と申しましても、ホームに上がります場合のエスカレーターの待ち時間などを加えますとあるいは四分、長くて五分というようなこともあろうかと思いますが、一応乗りかえの便宜のためにはエスカレーターをつけて皆さまに利便を与える、こういう感じでおりますし、今後ともそういうふうな設備を考えてまいりたいと、かように存ずるわけでございます。
○瀬谷英行君 北千住の場合は、地下鉄の駅と国鉄の北千住の駅がかなり離れていますよね。離れていて、上がったり下がったりしなければならぬ。だから、大臣の言うように二分か三分というのは、これは人けのないときにかけ足で行けばそれで間に合うかもしれませんけれども、混雑しているときにはとても二分や三分じゃ行けないと思う。ああいう上がり下がりが激しいところでなければ乗りかえができぬということじゃなくて、もう一カ所くらい乗りかえ設備をつくることによって、簡単な乗りかえ設備をつくることによって、つまりレールが並行している個所でもってそういう設備をつくることによって、乗りかえ客はそこを利用するということになるのじゃないか、それを私は言っているのです。 それからホームの要員の問題ですけれども、全然無人にしてしまうということは、これはかなり問題があるのじゃないかと。テレビでもって監視をするというしかけも私、見ましたけれども、ああいうやり方でもってはたして安全を期し得るのかどうか。ラッシュの時間帯にすでに——この前の委員会では答弁がはっきりしませんでしたけれども、どれだけの要員を配置しているのか、その点をちょっと、安全の面からお伺いしたいと思います。
○説明員(伊江朝雄君) いま各駅の数字がちょっと手元にございませんので、一般的な抽象的な御答弁を申し上げるかっこうになると思いますが、朝夕のラッシュのときにはいままでと同じように職員を配置いたしております。先生御指摘の、ホーム要員がいないと。全然皆無じゃございませんけれども、少なくなる時間帯というのはデイタイムの時間帯でございます。これは乗降も非常に少のうございますので、そういうふうな省力化をやっているわけでございます。朝夕のラッシュのときには、いままでと同じようにちゃんと職員を配置いたしまして、お客さまの誘導、安全を期しているわけでございます。で、デイタイム、非常に閑散になりましたときには、先ほどおっしゃいました工業用テレビなどをつけまして、ホームの監視をホームの駅長室からやっている、こんなような状態でございます。
○瀬谷英行君 これも国有鉄道から葛飾区に対する答弁の中に出ておりますが、快速電車を三本増発をする。三本増発をして、カッコして七千人分と、こう書いてある。一本で二千三、四百名ということになるのですね。これを八輌編成にすると、一車に三百人も人を詰めるという計算になるわけです。一車輌三百人ということになると、これは超満員ですよ。座席はたしか七十何名分しかない。そのあと二百人もの人が立つということになると、まさに超満員ですね。そういう超満員の状態を続けていくということは、それは利用者の立場からすれば耐えられないところであろうという気がいたしますから、乗車効率ということも考えたならば、もっと平均化をする——これは、きょうは常磨線の問題だけでありますけれども、常磐線以外にも、これは、三百人も詰め込んでおるという例はざらにあるわけです。だから、こういう通勤者を一事三百人も詰めておくという状態があたりまえであるという考え方は、私は解せないと思うのですね。だから、つまり三本で七千人、一車三百人、こういう状態を緩和をするということを当面の目標にすべきであろうと思うんでありますが、そこまでの配慮の上に立ってダイヤの改正を行なうなり、輸送力の増強を行なうなり、あるいはまた乗りかえの便宜をはかるということは、近い将来に考えていくのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
○説明員(伊江朝雄君) 御指摘のとおりでございまして、実はいまやっております輸送力増強の、この急遽手を打ちましたこの問題も、従来使っておりました車と違う車を使っておりまして、従来の車はすべて、今度新しい四月二十日からの輸送改善で、車を全部入れかえてございます。性能のいい車に入れかえてございますが、急遽増発いたしました関係で、従来使っておりました古い電車を投入いたしております。で、おいおい、これは御指摘のとおり将来輸送力の増強に応じながら、車の増備をやってまいるつもりでございますので、輸送力の、混雑の緩和ということに対しては、ほかの線も同様でございますけれども、この線につきましても努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
○瀬谷英行君 最後に、これは沿線の利用者の声を聞くということをもう少し謙虚にやるべきではないかということを私は考えるのですけれども、各区でもって、これは葛飾区でも荒川区でもそうなんですが、あるいは松戸近辺でもそうだったと思うのですけれども、ある程度あきらめてしまって、ものを言わなくなるのを待っているという状態はいけないと思うのです。利用者の立場に立つということであれば、もちろん利用者はしろうとですから技術的なことはわからない人が多いわけで、中にはそれは誤解もあるでしょうけれども、そういう利用者の声をもう少し運輸省として謙虚に聞く、こういうことを私はもっとやるべきではないかと思うのですね。そのためにも実態調査ということを私はやっていいんじゃないかと思うのです。自然に何とかお客のほうがダイヤになれるのを待つというのではいけないと思うのです。そういう意味での実態調査と、それから各区のそれぞれの利用者の代表の意見というものを聞いて、そうして輸送の改善を行なう、こういうことをやるべきだと思うのですが、その点についての考え方をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○説明員(伊江朝雄君) 実は、私どもも沿線の方々の御希望は十分に踏まえて対処してまいるつもりでございますけれども、個々の駅の利用者の方々の御意見だけでは、実は輸送の問題は解決しないかと考えておるわけであります。したがいまして、全体の、まず常磐線の今回いたしました輸送の改善というものの効果が、先ほど申しましたように、松戸以遠のお客さまには非常に好評を博しておほめをいただいていると存じます。一部の金町、亀有の乗りかえに御不便をいただくお客さまの御意見というものは、確かに先生御指摘のとおり、運賃問題はじめ御不満多いと思います。したがいまして、沿線の方々のお声を拝聴するといたしましても、おのずから御要望の度が違ってまいりますので、で、私どもは、先ほども先生のお読みいただきました葛飾区長、葛飾区議会の代表の皆さまに、私どもの考えております沿線の皆さまの御注文に対するお答えを申し上げたと、こういうことでございまして、したがいまして、個々の駅の乗客の代表から、一々私どもが御注文をいただくということよりも、やはりその区あるいは区議会というものを通じまして、私どもの御意見を申し上げ、また御要望などを承っていくと、こういうかまえをいたしておりますので、その点御了承いただきたいと、こういうふうに存じます。
○委員長(鬼丸勝之君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十七分散会