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65回国会衆議院1971/02/25

予算委員会第四分科会 第6号

発言数
198
登壇者
22
会派数
4
開催日
1971/02/25

会議録

森田重次郎自由民主党

○森田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、通商産業省所管を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。竹本孫一君。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 私は、昨年の三月十七日でありましたか、予算委員会分科会におきまして、印刷工業並びに再生資源の取り扱いにつきまして、産業政策の面から御質問をいたしました。その双方につきまして、宮澤通産大臣及び関係当局の局長さんから、きわめて前向きな政策実施のお約束をいただいたわけであります。それから約一年経過いたしまして、双方の業界をめぐる経済環境にもいろいろの変化がありました。そこで、きょうは昨年の分科会の継続といった形で二、三の問題について御質問を申し上げてみたいと思うわけであります。  第一に、中小企業一般の構造改善事業についてお伺いいたしたいと思います。政府の御努力によりまして、この関係の業種指定の数もだんだんふえてまいりましたが、同時に新しい問題も生まれておるわけであります。その最大の問題は、言うまでもなく、せっかく構造改善をして新鋭設備を導入してまいりましても、旧来の能率の悪い設備の廃棄が十分行なわれない場合には、結果としては設備の過剰、供給過剰におちいるわけであります。繊維関係におきましては、御承知のように、構造改善については従来いろいろの経験を持っておりますから、設備のスクラップ・アンド・ビルドといったようなことにつきましてもうまくこれを続けてやっておると思いますが、他の業種につきましては、そうした経験がないということでいろいろ問題が出てくるのであります。国費を使って構造改善を実施しましても、同時に古い設備の廃棄を本格的に行なわないということになりますと、いま申しましたように、結果としては設備過剰ということになり、供給過剰ということになりますので、この辺でやはりスクラップ・アンド・ビルド、このスクラップのほうもあまり現実に引きずり回されないように、き然とした態度でやっていかないと、全体としての日本の産業構造をむしろ弱めるといったようなことになりはしないか。こういう観点から、近促法の中でも構造改善がうたわれておる、その基本計画の中にスクラップ・アンド・ビルドがあり得るというような解釈もあるようでございますけれども、解釈上あり得るというだけの問題ではなくて、現実的、具体的に行政の面でスクラップ・アンド・ビルドを積極的に指導していく、こういう強い姿勢、積極的なかまえが必要であろうと思いますので、まずこの点について通産大臣の御決意、御方針を伺いたいのであります。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 基本的には竹本議員の言われるとおりと思います。スクラップということを厳格にやってまいりませんと構造改善事業というものは成功をいたさない。これは繊維あるいは織布業等に限ったことではございませんで、一般の通則として申せることであると思っておりますが、現実の行政をやってまいりますときに、そういたしますと現有設備というものをある程度把握確認しておかなければならないという、業種によっては非常にめんどうな問題が起こるわけでございます。しかし原則は、やはりそういうことを原則にしてやっていくべきだと思っております。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 もちろん、大臣のお考えの中にあると思うのでございますが、その場合どうしても指定業種ごとに具体的な指導がなければならぬということについて、特に御留意を願いたいと、要望申し上げておきたいと思います。  第二番目には印刷工業の問題でございますけれども、この問題につきましても私昨年質問をいたしまして、三宅前繊維局長から、印刷工業の構造改善計画を検討中であるという、はなはだ前向きな御答弁をいただいたわけであります。それから一年たちましたけれども、検討はどこまで進んでおるかということを具体的にお伺いしたいわけでございます。  仄聞するところによりますと、すでに基本計画は立案中であるということでございますけれども、御承知のように、基本計画は政府によって承認をされなければならないし、業種指定も、具体的に指定をいただかなければ具体的なものにはならぬわけでございますが、その後の御検討の経過の中で、はたしてこれはいつごろになれば基本計画が承認されるのであるか、いつごろになれば業種指定が行なわれるのであるか、端的に申しましてそれは四十五年度内には行なわれるだけの見通しがあるのかどうかという点についてお伺いをいたしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 昨年来竹本議員から適切な御指摘がございまして、業界の中核にもそういう要望が高まってまいりました。それで、基本計画の策定、特定業種への指定といったような段階に向かって、関係各方面と接触を進めておるわけでございます。非常に複雑な業界でございますだけに、テンポが思ったほどいきませんでしたが、そういう状況に入ってまいりましたので、ただいま政府委員から具体的に申し上げることにいたします。

楠岡豪通商産業省繊維雑貨局長

○楠岡政府委員 印刷業の構造改善につきましては、ただいま大臣のお話しのとおりの方向でございまして、すでに印刷業の実態調査の報告書もでき上がっております。それで具体的に基本計画の検討を始めておるところでございますが、御承知のように印刷業は、各種の業態に分かれております上に、受注産業でございまして、将来の適正規模としてどのくらいの規模までやっていったらいいかというようなことをきめますにつきましても問題がございます。それから印刷業に関連しまして、たとえば写真製版とか製本業とかいうのがございますが、そういうような業界との区分をどうしていくかというような問題もございまして、実は最終的な結論がおくれていたわけでございます。しかし、だんだん業界との話し合いも煮詰まってまいりまして、ただいまのところでは最終的な段階でございまして、私どもとしましては、できるだけ早く基本計画の策定というところにこぎつけたいと努力しておる次第でございます。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 最終的段階ということでございますから、これは早く御指定になるということになるかと思いますが、せっかく一年の経過があることでございますので、可及的すみやかに業種指定までいくように、これも要望しておきたいと思います。  次に、印刷業のシステム化の問題でございますが、いまも御答弁の中にありましたように、印刷業というのはやたらに複雑な業種でございまして、産業分類の上から申しましても、印刷、製本それから写真製版、こういうようにそれぞれ幾つかのものが分かれております、したがいまして、印刷業の構造改善といった場合にも、必ずしも製本業の、あるいは製本業を含めての構造改善ということにはなり得ないといったような、特殊な事情があるのではないかというふうに思うわけであります。もちろん産業分野のあり方だけによって業界が左右されるというわけでもありませんけれども、いまも御答弁にありましたように、印刷業はそれらを全部含めて総合的な流れ、総合的な部門である、こういうふうに考えられますので、印刷業の構造改善といったような場合には、どうしてもシステム化ということが絶対な必要な条件になるというふうに思うわけでございます。したがいまして、横に印刷、製本、写真製版と、こういったように並べて問題を考えるのではなくて、印刷業というものを一つの体系にまとめてとらえるというような考え方が必要であろう。そういう意味からいえば、行政官庁や統計局なんかの産業の分類等につきましても、この従来の横に並べたような考え方を切りかえていかなければならぬと思いますが、その辺に対するお考え並びに御努力はいかがでありますか。

楠岡豪通商産業省繊維雑貨局長

○楠岡政府委員 実態はただいま先生の御指摘のとおりでございまして、私どもも、産業分類というのがいわば絶対的な分類で、一つの分類にあるものはそのほかとは区別して考えなければいかぬ、そういうようなことは考えておらないわけでございます。したがいまして、中心は印刷業でございますけれども、構造改善の実態に応じまして弾力的に考えていきたい、かように考えております。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 これと関連いたしますけれども、現在の印刷機械の耐用年数というものを見ても、同一の機種でありましても、印刷業の中にあるものと製本や製版等の専門業種の中にあるものとでは、耐用年数が現実に違うそうですね。そういうことは非常にアンバランスでおかしいと思いますから、ぜひシステム化というものに積極的に取り組んでいただいて、同じ印刷に関する部門なら同じように耐用年数なんかでも考えなければおかしいじゃないか。活字の鋳造機械の問題を一つ例にとってみましても、印刷業の場合には耐用年数は十三年、ところが活字専門の鋳造専業でやっておる場合には十一年というふうにアンバランスがあるようでありますが、そういうことも含めて、このシステム化というものを特に急いでいかなければならぬではないかと思います。この点はもう一度、ぜひこのシステム化というものについてもう少し前向きに取り組むお考えはないのか、お伺いをしておきたいと思います。

楠岡豪通商産業省繊維雑貨局長

○楠岡政府委員 ただいまの減価償却の問題でございますが、現実には、たとえば複写業と印刷業によりまして、同じ機械でも耐用年数が違っておるというような例がございますが、いまの減価償却の制度でございますと、個々の機械に着目しませんで、いわば業種に着目した総合的な観点から耐用年数をきめているようでございます。したがいまして、いまの制度の上に立って申しますと、間々このような不均衡の制度がどうしても出てくるのではないかと思いますが、なお私どももこの点十分検討させていただきたいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 ひとつ善処を要望いたして、次にまいりたいと思います。  次は再生資源の取り扱い業の問題でございます。昨年の分科会で宮澤大臣に、再生資源取り扱い業は予想外に取り扱い数量も多いということを私指摘いたしまして、御確認をいただきました。両角企業局長も、立て場業を近促法の指定業種にする問題については前向きに検討して対策に遺憾なきを期したい、こういうような御答弁があったわけでございます。したがいまして、これに関連して二つばかりお伺いをいたしたいのであります。  御承知のように、さきの臨時国会では、公害国会ということで公害対策が取り上げられました。その公害対策の一環として、廃棄物の処理及び清掃に関する法律というものができまして、いわゆる廃棄物処理法というものが成立したわけです。この法律の目的である廃棄物の適正処理と、もう一つ生活環境を清潔に保っていくという問題と、二つの課題を実行するために、一般廃棄物と産業廃棄物の処理業がそれぞれ許可を受けて業を営むことになったわけであります。許可制になった。しかし、これと別にもう一つ、もっぱら再生利用の目的となる廃棄物のみを収集し、運搬し、処分しておる、そういうことを業とするいわゆる再生資源取り扱い業というものは、この法律に直接ではないけれども、この法律のワク外にあってその企業活動をするものであるということが明記せられたわけであります。すなわち廃棄物処理のための社会的機能を持つものとしてこの法律によって許可されるところの処理業と、この法律のワク外ではあるけれども、民間企業でそういう分野があるのだという再生資源取り扱い業と、二本立てになったわけであります。そういう意味でこの法律で確認をされ、認められた存在になったということでございます。  そこで伺いたい点は、民間企業である再生資源取り扱い業に関する産業行政を通産省が御担当になっておるということでございまして、この法律の関連行政として、この再生資源取り扱い業というものに対して現にいかなる方針で臨んでおられるか、いかなる政策態度を持っておられるのか。法律では、そういうものが社会的機能として必要であるし、存在するということを認めておる。その関連行政としてどういう具体的な取り組み方をしておられるのか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。

井上保通商産業省企業局次長

○井上説明員 ただいま先生御指摘のとおり、再生資源の回収業は国民経済的に相当な分野を占めておりまして、特に資源の循環というような点から考えますと、現在の回収業につきましては多くの問題があろうと思われます。そういうことでございますし、さらにそれに加えまして、さっき御指摘のありましたような都市公害対策の一環というような任務もになっておるというふうにも考えられますので、通産省といたしましては、この取り扱いにつきましては前向きに考えまして、非常にいろいろな段階でいろいろな問題があるわけでございますけれども前向きに考えまして、近代化政策をとっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。たとえて申しますと、回収業者あるいは立て場の問題あるいは問屋の問題、それそれ問題がございますので、そういう点につきましては、いろいろ業界の自発的な自覚の問題あるいは業界の体制の問題等もございますけれども、そこら辺を十分に検討いたしまして、適宜、あるいは協同組同の共同行為の問題であるとかあるいは近促法の指定の問題であるとか、そういう問題を対象にいたしまして前向きに検討していきたい、こういうふうに考えております。  さらに具体的に申し上げますと、たとえば鉄くずの加工処理の関係であるとか、あるいは故紙の加工処理の関係につきましては、すでに近代化資金助成の対象となっております。立て場につきましては、これは何といいましても業界の問題がございますので、そこら辺の成り行きを見きわめまして近促法指定の問題も一応検討いたしてまいりたいということでございます。  さらに、問屋等の段階におきましては、いろいろなストックの加工貯蔵のための施設をつくりたいとか、いろいろな近代化につきましての構想がございますので、そういうものがだんだん具体化してまいりますにつきまして所要の対策を講じたい、こういう考えでおります。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 ちょっと御答弁が聞き取りにくいところがあったのですが、具体的に立て場業に関しましては去年も近促法の指定を前向きに考えるということになりましたけれども、それはどういうふうになりましたか。

井上保通商産業省企業局次長

○井上説明員 現在まだはっきりした結論が出ておりませんですが、業界の実態、法律の趣旨等にかんがみまして今後検討いたしてまいりたい、こういうことでございます。まだ結論は出ておりません。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 社会的な機能の問題はいま申しましたように重要でありますが、公害対策としての面からも新しい角度から問題をとらえなければならないような新しい事情もできておりますので、大臣、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。  これは要するに従来の通産行政のあり方の問題にもなるわけでございますけれども、いま故紙の話も出ましたけれども、その企業に直結しておるような形において故紙の問題とかあるいはくず鉄の問題とかいったような問題は取り組まれておるわけです。ところがそうでないものについては、社会的な機能というものが認められたということが間接ながら非常な前進であって、現実にそれに取り組む姿勢というものが、あるいは特に行政の面の助成とか指導、そういった問題については本格的でない、そういうふうに思います。そういう意味で、これからはぜひ廃棄物処理法と並んで積極的に取り組んでもらいたい。そういう意味から申しますと、いまの答弁にありましたように、これは業界が複雑怪奇と言っては悪いかもしれませんが、なかなか複雑な事情もあるし、業界自身にもいろいろな事情もあるようでございますからなかなか簡単にいかない。行政として指導するにしてもなかなかとらえにくいむずかしい面があろうかと思いますけれども、しかし、むずかしい面があるから逆にそういうものに一つの方向づけなり秩序づけなりが必要であるということもいえるだろうと思います。そういう意味から申しますと、結論として再生資源取り扱い業法というものを制定していく、そのための実態調査も指導もひとつ取り組んでもらいたいと思うのでございますが、そうした廃棄物の処理法と並んで再生資源取り扱い業法といったものをひとつ制定する、法的措置を講ずるというようなお考えはないか、お伺いをしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 御指摘のように、従来どっちかといえば舞台裏の機能のような感じで扱っておったことはいなめないと思いますけれども、だんだんそういうことではほうっておけなくなりますし、規模も大きくなってまいります。つまり国民経済の一つのリサイクルの問題であろうというふうに考えますので、実態は非常に千差万別のようでございますから、まず、実態をしっかり把握をいたしまして、これを業として助けて整備していくためにどうすればいいかというようなことを考えてまいりたいと思っております。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 これは要望になりますけれども、ひとつすみやかに実態の把握をしていただきまして、それを方向づける業法の制定というところまで前回きにぜひ取り組んでいただきたいと思います。  時間が若干余りましたから、この問題はこれで終わりまして、全然別個の問題になりますけれども、一般論として大臣のお考えを伺いたいと思いますが、それは設備投資の問題です。御承知のように景気の調整と関連をいたしまして、今回の不景気でも、ある人は在庫調整だ、一兆数千億円くらい在庫調整しただろうと思うのですが、その在庫調整だけに問題をしぼって考え、したがってあるところまでいけば、三月くらいで底をついて景気は上昇するのじゃないかというふうに期待をしておったと思うのです。しかし私は、そういうふうに簡単にはいかないだろう。それは年々十五兆円とか十七兆円とか、ことしもやるわけですが、そういう設備投資をやって、それが生産力化してくる。わが国の設備投資というものに、われわれの立場から申しますと大きな、あるいは長期的な総合的な計画性が少し足らないもんだから、どうしても設備投資は行き過ぎる傾向がある。自由主義経済においてはやむを得ない面もありますけれども、そういう意味で設備投資というものが一段階終わって次の過程に入る。ある人は減速過程と言ってもおりますけれども、そういうような設備投資からくる、あるいは生産力のほんとうの意味の過剰がきておるというような意味からくる不況というものはなかなか解決がむずかしい。そういう意味で、今回の景気調整といいますか不景気といいますか、経済不況については単なる在庫調整だけではなくて設備投資の行き過ぎからくる生産力化の問題があるのではないか。そういう点と、もう一つそういうことから考えますと、日本の設備投資というものについてもう少し大きな総合的な計画性というか見通しというものがあっていいのではないか。この二つについて大臣の一般的な基本的なお考えをひとつ伺いたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 第一の点は、これは目下の大問題であるわけでございますが、私が別に特に権威をもって判断を示せる問題ではないわけですけれども、非常に大まかに申しまして、ジュグラーのサイクルみたいなものに入ってきたかあるいはそうでないかということになりますと、どうも私はそうでないという感じがいたしております。なぜかといいますと、これは証明も非常に困難でございまして、日々の指標はかなり低迷しておりますし、業界を分けていきますと、なかなか勢いのいいところは少ない。かたがた家庭電器にしても自動車にしても、したがって鉄鋼にしても、屈折点にきた云々というお話を一々聞いてみると、もっともなような気がいたしますけれども、それでもジュグラーの波の低いところに入りつつあるという感じはどうも私自身は正直に申すといたしておらないのでございます。  第二点は、これはしばしば竹本委員の御指摘になるところでありますけれども、結局私どもが産業構造審議会等と、あるいは経済企画庁でもそうでございますけれども、長期見通しを立てますときに、やはりいままでに過小評価をする傾向がずっとございました。ここのところになかなか政府の見通しというものを民間企業に信じてもらえなかった理由があるわけでございまして、ある程度こういう長期計画も長いことやってまいりましたから、今後小さく見積もって大きくなればけっこうだというような考え方というのは、実は過大も過小も同じように弊害がございますので、そういう見通しの方法をもう少し客観的な信頼性のあるものにしていく。それによって大きな意味で民間設備投資を誘導していくということが必要なのではないだろうか、そういうふうに考えております。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 吉田さんがいらっしゃったからこれで終わりますが、大体この生産力、設備投資の関係から見て、おおむね一五%以上だんだんふえていく。ところが最近は、金融引き締め等もありまして、生産力が一五%あるいは一七、八%くらいふえていくのにかかわらず、生産のほうはごく最近においては、ある部分についてずいぶん違うでしょうが、大ざっぱに言って一〇%あるいはそれを割ったということになりますと、それだけの食い違いが出てくるわけですね。そういうことからくる不況というのは、単なる在庫調整が終わったら終わるということにならないという意味で、私はやはり一もちろん日本の経済事情の中には、予算も毎年一七、八%くらいふやしていくとか、労働賃金もまあ一七、八%上がっていくとか、輸出も相当に伸びておるといったような強いささえの柱もありますから、一がいに悲観する必要はないと思いますけれども、それにしても生産力化ということから考えてみた設備投資の大きな波と、それを受けて立つ生産あるいは消費といったものの間に、どうしても食い違いがあり過ぎるのではないかと思いますが、その点についてのお考えをもう一度伺って、終わりにいたしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 またむずかしい問題でございますけれども、結局懐妊期間の問題が一つあると思いますし、それから労働力との関係での省力投資といいますか、そういう投資との関連もございますから、両者がパラレルだとは竹本委員もおっしゃっていないわけですけれども、多少いままでとは違う関係が出てきてもやむを得ないのではないか、くるのではないかとも考えられます。しかし半分は、竹本委員の言われていることがごもっともだなという感じもいたします。

竹本孫一民社党

○竹本分科員 じゃ、大体以上で終わります。ありがとうございました。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 吉田賢一君。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 ちょっと大臣にお願いしておきますが、時間が非常に制約されておりますので、できるだけ私も簡単に申しますから、ひとつ要点だけきちっと御答弁願いますように、よろしくお願いいたします。  私の伺いたいのは、対米繊維規制の例の問題につきまして、これに伴いまする国内繊維業界への具体的な深刻な影響の実相を踏まえまして若干お尋ねしたい、こういうことなんであります。  まず第一には、その前提といたしまして、対米繊維問題につきましてこの間、今月二十二日ですか、ミルズ下院歳入委員長が声明いたしまして、何か日米間において協定ができないようなときには日本の規制案に同調するかのような新聞の記事が伝わっておりますが、この真相もしくはこれに対する今後の見通し、これはいかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 そういう報道は私ども存じておりますけれども、正確にどのような発言であったかということを確認する方法が実は政府としてはございませんわけでございます。業界のほうはまた業界自身のルートでいろいろにその辺を探索しておるようでございますけれども、基本的に、私どもとしては、これは文字どおり業界の考えることで、政府としては不即不離の態度をとることで、直接に業界を、ああしろ、こうしろと、いわば指導するようなことは一切いたしておらないというのが現状でございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 私はその点につきまして、根本的に政府の、特に通産大臣のお立場、これは姿勢の点でありますが考えていただきたい、もちろん外務省と一体の関係でお考え願いたいのであります。やはり政府としましては、アメリカのかりにも国会の重要責任のある委員長の発言でありますので、日本における行政当局の発言より一そう向こうにおいてはウエートは大きいと思うのです。そこでその一言、一挙一動は日本のこのいま当面する問題に対する方針の決定の上に重要な資料でなければなりません。そういう情報を正確に綿密に周到につかむということが、経済外交の一つの基本的な姿勢であろうと思います。  しからば、通産省直接でなければ、これは、外務省経済局長が見えておるが、外務省側におきまして、この重要な情報はつかんでおられるのかどうか、その真相いかがか、この点どうですか。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 お答えいたします。  今回のミルズ議員の新聞記者に対する発言でございますが、これにつきましては、われわれもどのような話をしたかということはいま正確に把握中でございます。ただ、直接わがほうからミルズ議員そのものに対してお考えを現在直ちに聞くということは——ちょうどフラニガンと牛場大使の交渉というものがございますので、それの関係で、まだミルズさんに今回の発言について直接ただすということはいたしておりません。時期を見ております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 そこで大臣に伺いたいのでありますが、こちらがあわてふためいて何も情報をつかむという意味ではないのであります。また、だから、こちらがある一定の方向づけをそれに義務づけられるということもない、牽制されるわけでもないのでありますが、ただしかし、こんな情報時代でありますから、情報は一切、有利不利にかかわりませず正確につかむということが前提になって、今後の見通し、外務省とのお話し合い、日本の方針が立つのではないかというふうに思うのであります。ただ公式に出てきたものをさあ検討するというのでは、時期を失する問題もあります。タイミングの問題も重要と思いますので、今後は、あるべき通産省のお立場、外務省のお立場、一体の関係でこのような重要な情報はやはりできるだけ正確につかむということを国民としては要請したいのであります。どうでありましょう。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 私が先ほど使いました用語が少し適当でなかったかと思います。関心を持たないというのではなく、実は非常に正直に申しますと関心を持っておるわけでございますけれども、正式に接触をするということはアメリカ国内の政治情勢等々考えますと、比較的微妙な配慮を必要とする問題でありますものでございますから、公式にはということを実は申し上げようといたしたわけでございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 アメリカにおけるニクソン大統領の最近の通商法案の改定の問題につきましても、何か法案を出すかのようなこういう決意のほども伝わっておるのでございます。そういうことになりますと、具体的には国会の審議という、向こうの議会審議ということもありましょうし、等々いたしまして、かなり時間が先にずれていくのではないだろうか、この辺に対する見通し。一体そういう改正に関する法案が出るのだろうかどうだろうか、いつごろ、どこでどう審議するのだろうか、こういう段階につきまして、これもやはり時の関係もありますから、これは早急に実現するものかどうかにつきましても、ぜひひとつ見通しを伺っておきたい、こう思うのですが、これはひとつ、外務省と両方の関係になりますので、よろしくお願いします。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 ニクソン政権といたしましては、繊維についてはある程度規制法案を出すこともやむを得ないという立場を従来からとっておるように思いますが、ただ、いろいろなことを考えると、日米間で合意ができるならばそのほうがはるかに望ましいことである、こういう態度は従来から継続してとっておりますし、現在もおそらく変わっていないものと考えますが、日米間の交渉はかなり長引いてまいっております。その辺のことを、交渉の推移を見ながらおそらくニクソン政権としても考えておるのではないであろうかと私は考えております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 外務省のあなた、きょうはひとつ大臣の外務省方針を伺っておきたいと思うのですが、外務省方針といたしましては、従来とってきた方針で何ら変わりなしに今後対処していこう、こういうことにもなっておるのかどうか、そこに、さらに具体的な情勢の推移、変化に伴いまして、通産省との間に適切な連絡、協議をしながら、日本の具体的な方針を決定する、こういうことになるのであろうかどうか。その辺は向こうの出るものが出てから、法案にしろ何にしろ出てから検討しようということになっておりますか。その辺の基本的な態度はどうきまっておりますか、外務省。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 昨日愛知外務大臣から外務委員会で、やはり曽祢先生の御質問、同じような御質問でございましたが、それにお答えになりました点を、私繰り返させていただきますが、愛知大臣といたしましては、やはり日米繊維交渉というものはなるべくまとめたいという非常な熱意を持っておられるということを伺っております。ただ、日本の国内情勢あるいは国会決議、またアメリカのほうの各種の事情ということで、そのような熱意を持っておりながらも、客観情勢という点では、去年の年末から現在まで話は進まない状態でございます。ちょうどそのようなときに、ミルズ委員が議会人としての立場から一つの解決策というものを示唆されたということにはたいへん敬意を表しておられる。ただ、先ほども申し上げましたとおり、ミルズ委員のお考えそのものの原則的なことは大体承知いたしておりますが、細目についてはまだ承知しておりませんし、それからまた、はたしてアメリカの行政府とミルズ発言との間にどのような関連があるのか、またどのような根回しが行なわれておるのか、このような点をもう少し詳細に承知いたした上で、日本の考え方というものはまとまっていくのではないか、こういうことを申されたのございますけれども、その趣旨をそんたくいたしますと、やはり何とかしてまとめて、やや円滑を欠いております現在の日米経済関係というものを好転させたいという非常に強い熱意を持っておられるやに拝察いたしますので、その点から具体的にそれをどうしていくかということについては、常にそうでありますように、通産省とも非常によく連絡をとりまして、一度きめたことだからといって、それに固執することはない、そういうふうに私は考えております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 次に、具体的な内地におきましての繊維業界の深刻な実情を基礎にいたしまして、少し伺ってみたいと思うのであります。  御承知のとおり、四国の丸亀、今治、あるいは福岡県の田川、北陸の金沢、兵庫の北播等、前者につきましては大部分がアメリカ向けの製品がおもであります。最後の播州におきましては、これは御承知のように西脇を中心といたしました先染めギンガムでございます。ギンガムの全国の九割をここで産しております。全部をお尋ねすることが本意でありますけれども、時間がありませんので、やむを得ませんから割愛いたしまして、兵庫県の西脇の織物一点にしぼってみたいと思うのであります。  そこで、一口に申しますと、産地の現況は、最近のニュースは不況ニュースが多いのでありまして、明るいニュースはないのです。とりわけ去年の一−三期、一月ないし三月には一ヤールが三十四セントぐらいのものが、ことしの二月には二十九セントまで輸出の相場が下落したのです。これを受けまして、この産地におきましてのいわゆる織り工賃は一ヤールが三十五円でありましたものが、いまは二十五円に下がっております。さらに先物になりますと、これは一ヤールが二十二円まで下がっている。どうしてそうなるのだろうか。この影響は、やはり外地における売り値が安くなった影響であります。そうしますと、工場を休ませるわけにはいかぬ、小さな工場ですから。小さなのは三台、五台で、百姓片手間にやっているのがあるのです。大きいので百台、中小もしくは零細兼業の工場でございます。  数にいたしまして千四、五百くらいでございます。織機台数二万六千くらい。それだけ数あるのですが、休ますわけにいかぬし、といって、一番小さな工場では、百姓のほうが利益が多い、だから二台、三台休ませちゃって百姓労働に出るというような悲惨な状態が出てきて、たいへんなんであります。  こういうことでありますので、具体的にどうしたらいいのだろうかということでございます。これは福井県なんか別の角度で深刻になっておりますが、どうしたものであろうか、こういうことなんですが、これにつきまして、反面から見ますると、物価高でしょう。天井知らずの物価高だし、織り工賃は下がって、賃金は上げなければいけませんし、諸般のものが上がっています。原料糸もずっと上がりました。御承知と思います。ないしは一般の管理費も上がっています。経営費が上がって、いうなら生産原価が上がって、工賃が下がっておる。こういうのでありますので、どうにもいかぬという状態なんです。そこへ持ってきて、これは御承知のとおりに、通産省が日本の国策として大旗を振りまして、構造改善事業の進展の第五年目であります。五年目で十割までいっておりませんけれども、ばく大な投資をしております。ことに、染色のほうは小さな染色業者ですけれども、昨年西脇で七億円を投じまして公害対策の設備をやりました。みな借金ですよ。そしてまた、染色のほうも工賃下がりです。工賃は下がるわ、経費は上がるわ、ものが高こうなった、管理費が高こうなった、借金は山のようにある、政府は音頭とって国策だ国策だ、やれやれと義務づける、責任は負わしていくというのが今日の現状なんです。  そこで、基本的に伺っておきたいことは、こういうようなことをやってきたゆえんのものも、それは国際外交のしわ寄せかもしれません。世界経済情勢、アメリカの情勢のしわ寄せかもしれませんけれども、いうなら当業者、従業者には責任はないのですよ。政府が音頭をとるものだから、一生懸命で借金もして、親の財産も担保に入れてしまって、首くくらぬばかりになって、いまの現状におちいっているのですが、これは悲惨です。言っていくところがない。一体どうしたらいいのか。ここに生きた政治がなければならぬと私は思うのですね。だから、最初に、構造改善を大鼓をたたいて全国でやって、法律の改正までやって、音頭をとった、重要国策として乗り出された通産省、通産大臣は、この現状に対しましては相当政治責任も感じ、何とかしなければいかぬ、救済もしなければいかぬし、打開策を講じなければいかぬし、ないしは今後の建設的な対策を立てなければいかぬ。ここにほんとうに一つの足場を置いて対処していただきたい、こう思うのでありますが、その点いかがでありましょう。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 実はこの間の日曜日も西脇の方から御陳情を受けたところでございます。品種は違いますけれども、福井等々の産地もやはり織り工賃が非常に下がっておりまして、六割ぐらいになっておるものもございます。対米折衝のおくれということももちろん無関係ではございませんけれども、やはり昨年来の金融引き締めあるいは嗜好、趣味の変化等々、いろいろな要素が複合しておると思います。ただ、私思いますのに、国内のこういう賃金の上昇に加えて、周辺国が、低賃金で比較的やりやすい仕事でございますから、繊維業に手をつけていくというような状況の中で、やはり構造改善というものは基本的にはやっていかざるを得なかった、いくことが生きる道である。そうして高級化していく、省力をしていくということが、考え方としては間違っていなかったのであろうと思っております。いまもそう思っておりますが、基本的に、しかしよほど製品を高級化し、付加価値を上げていかなければ、低賃金の国とは競争が困難でございます。そういう実情であろうと思います。  それから、当面の問題でございますけれども、実はこの日米繊維交渉と一応無関係に相当の滞貨もありいたしますから、どういう救済の措置が可能であろうかということについて、産地の実情を聞きながら、いま実は私どもの繊維局で検討をいたしておるところでございます。これは当面の対策でございますから急ぎますので、できるだけ早く結論を出したいと思っております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 大臣、現状は織機一台について月一万円の損です。織機一台に一万円損して、物は上がった、収入は減った、経営費は高くついたという、借金は山のようにあるという、これはほんとうにやはり破産、倒産、世の中は首つりですよ。まだ自殺者が出ないだけいいのですよ。ただ、こういうことをいまだから露骨に言えるのですけれども、金融機関にこういう言い方をしましたら、いよいよ締めちゃう。そうしますと、高利貸しがまた首を締めにかかる。こういう一種の公害殺人が起こりますことさえ心配するのであります。そこで、急場しのぎ策につきましては、一つの安定資金がどうしても要ります。安定資金といいますか、応急対策の資金、これを可能な方法をひとつ発見してもらいたいと思うのです。これにつきまして、たとえば石炭対策の経費がありますね。石炭対策の資金は法律に基づいてやるのですけれども、低利でありまして、三年は六分、四年以下は七分になったかと思いますが、ちょっと記憶違いかもしれませんけれども、というようなこともありますし、ないしは中小企業近代化資金につきまして無利息の金というものもありますし、いうならば、これは業者と、かつ多数の労働者の立場からするなら、一種の公害ですよ。一生懸命まじめに責任を負って国民のため、自分たちのため、政府のおっしゃるところに従ってやっていまのどたんばまで来ているのですから。そういうことを考えますと、やはり何らかの方法で臨時の救援対策をとるべきでないだろうか、こういうふうに私は実は思うのであります。どの資金がいいかわかりませんけれども、ともかく政府は相当な腹をくくってやるべきでないだろうか。  開銀、来ておられますね。——開銀は資金量は多いのだし、開銀の資金はもっといけるのでなかったかと思うのですが、いまのところ開銀よりも中小公庫と商工中金などを、この種の普通のああいう業者並びに協同組合で使っているようでありますけれども、開銀はこの資金割り当てがあるはずでございますので、当面こういうときには積極的に乗り出していくべきではないか、こう思うのですが。

小宮仁日本開発銀行理事

○小宮説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のございました業種につきましては、たまたま私どもの担当業種でございませんで、現在は中小企業振興事業団のほうの対象になっておるわけでございます。私どもは主として紡績業をやっておりまして、現在織布はやってないわけでございますが、先生の御指摘のように、かりに公害の施設のために非常な負担がございますれば、企業規模を勘案いたしまして、私どものできるものは積極的に取り組んでいきたいと思っております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)委員 あなたのほうの開銀は、輸出の事業については、資金ワクはあるでしょう。

小宮仁日本開発銀行理事

○小宮説明員 先生御指摘の、かつて構造改善法が出ます前におきましては、輸出産業ないしは地開資金を使いまして織機業にやっておりましたけれども、今回構造改善法ができましてからあとは、一応輸出産業からはずしまして、それぞれの担当金融機関のほうで、一般資金のほうで配慮しておるわけであります。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 あなたのほうは、事業団のほうに出してそして構造改善に流している、こういう方法をとっておるのですか。

小宮仁日本開発銀行理事

○小宮説明員 その仕分けにつきましては、通産省のほうで仕分けをしていただきまして、私のほうは紡績並びに染色整理のほうをやっております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 私がいま伺っておるのは、機屋のみならず染色も入る、加工も入る、全部入るのであります。それは関連した一貫の産業でございますので、一つがよくて一つが悪いということはありません。全部が軒並みにやられようとしておりますから、そういう意味におきましてやはり何らかの形でてこ入れして、あなたのほうの責任をとっていくということが必要じゃないかと思うのであります。とかく基幹産業に流れがちでありました開銀の資金が、もっとこの種の方面に大胆に乗り出していくというきっかけをつくらなければいかぬと思うのです。一番大きな資金量を持っておるのですから、私は常にそのことを考えるのです。大臣、いかがでしょう。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 全般的な中身のことを、ちょっと中小企業庁長官から御説明させていただきます。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 先ほど来御指摘をいただいております織布業の形態、これは圧倒的に中小企業あるいは零細企業ということでございます。したがいまして、いま繊維関係の不況対策、あるいは繊維のほかにさらに不況物資があるわけでございますけれども、そういうものを含めまして年度末金融対策というものにつきまして現在取っ組んでおるところでございまして、おそらく今週中、ここ数日中に最終結論を得たいということで関係方面と折衝いたしております。特にいま安定資金と申しましょうか対外輸出と申しましょうか、そういうふうなものを一番多く要求いたしておりますのは繊維業でございますが、その他モザイクタイルあるいは家電の関係の下請関係その他がございますけれども、繊維がやはり一番そういう意味での資金需要が強いというふうに伺っております。  現在、繊維関係業界から事情をお聞きいたしますと同時に、中小企業関係金融三機関——中小公庫、商工中金、国民金融公庫、一番零細なのは国民金融公庫のほうでございますが、その窓口でも全面的にそこらの資金需要調査をやっておりまして、それらを現在すり合いまして、それを前提にいたしまして三機関の貸し付け規模の拡大をさしあたりやりたい、こういうことでございます。それが第一でございます。  それから第二は、信用保証協会の保証のワクを、やはり年度末対策としてこの際ふやしてまいりたいというふうなことを考えておりまして、これもあわせましてここ数日中に最終結論を得たいということで関係方面と折衝いたしておりまして、これらの措置を通じまして年度末のいまの面その他の不況対策資金に充てたいと思っております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 資金量もついでに言ってください。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 いまその具体的な数字につきまして、それぞれの産地からの状況を詰めておる段階でございまして、現在幾らというふうなところの数字までにはまだ至っておりません。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 これは焼け石に水になってはだめでありまして、二階から目薬になってはなおだめなのであります。ですから適切な効果のある資金の使い方をしなければいけませんので、それならば、あと改善もされ、償還の見込みも立つという方法を一面考えながら、適切な資金のワクを決定しなければいけません。いま全然それを考えずに、他と組むとか協調、協定するというのはいかがかと思うのです。大まかな基礎的な資金量の案でもなければなりませんが、どうでしょうかね。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 繊維業界だけの関係で申し上げますと、私ども伺っておりますのは二百億弱というような、これは資金需要といたしましてそれくらいのものがあるというふうに承っております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 それは織布、染織、それから加工、全部含めてよろしいのですね。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 すべてを含めてでございます。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 わかりました。  いま一つは、これは長官でもよろしゅうございます、あなたのほうの担当だから。いろいろ考えますと、構造改善の途上にもありまするし、一面におきまして、やはり織機台数にかなり過剰とかロスと考えられるような面がどうもあるのです。この点、私どもは産地を歩きまして切実に感じるのでありますが、その辺も遠慮なしに適切に処理する、あるいは買い上げをするということもとらなければいけません。この点はだいぶ前からやかましく言っておりまして、業界もようやく踏み切ったらしいのですけれども、これはかなり難色もあったのですけれども、その辺も積極的に施策を講じないと、この緊急対策としましては、うまくいかぬのではないかと心配をいたしておりますが、過剰織機の処理もしくは買い上げはいかがですか。

楠岡豪通商産業省繊維雑貨局長

○楠岡政府委員 過剰織機の処理につきましては、業界のほうからも非常に強い要望がございますが、過剰織機の問題は、いわば繊維産業の構造問題でございます。ただいま中小企業庁の長官からお答えしましたのは、ここ急場の策でございまして、構造改善問題につきましては、私どもも、将来の需給とか、そういう基本問題から十分検討して、なるべく早く結論を出したいと思います。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 その対策の一環として、今度は建設対策になりますが、もしくは、同じく大きな脅威に当面しております例の特恵の問題でありますが、特恵もだんだん具体化していますので、時間の関係もありますので、長官にちょっと伺っておきますが、特恵に対しまして、対特恵の問題の処理、これは法律の立法のことがありましょう、その他のこともありましょう、立法とか予算とかその他の対策等がありましょうから、具体的なものは文書で資料にして当委員会に出してくださいませんか。御答弁はなくてよろしゅうございますから……。よろしゅうございますか。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 要約いたしまして提出いたします。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 それから大臣、私は二つの面から考えていきたいのであります。  一つは、危急存亡の関頭に立っておりますいまの応急対策、これは絶対に立てなければいけません。これは政府が、そこまで腰を据えてやろうとしておられるのだから、ぜひともわれわれは期待しておきたいのでありますが、同時に、やはり今後の建設的な対策も、これは積極的に立てなければいけません。私は、これにつきまして、いろいろと、あちらこちらの将来のホープともいうべき中堅どころの意見を、ずっと何人か聞いて回ったが、こういうおもしろい一つの発想があるのです。やはり、政府代表というのじゃなしに、公的資格を持ちまして、若手の将来性のあるようなそういう業界の人々、あるいはその中へ労働関係の人々もまじって、ともに行ってもいいのですが、新しい世界の市場を開発していくということに道を開いてはいかがか。行けば、最近は東南アジアにちょいちょい行くのであります。またアメリカへ財界の代表も行かれるのでありますが、たとえば例をあげれば、ソ連なんかはどうだろうかということもちょっと話題に出たりするのであります。どこをどうというのではありませんが、そういう一つの公的な資格を与えて、バックアップして、交換も適当に利用して、あるいは何かの意味におきましてそれが成果があがるように視察させるということが一つの発想ではないだろうか、これは次の建設への準備であります。そういうふうにいたしまして、中小企業なりに生き抜いて、今後建設的な対策を長期的展望に立ちまして立てていくということが必要ではないか、これが一つであります。  もう一つといたしましては、やはり構造改善が、へたをいたしますと例の構造改善の事業が蹉跌をする心配が実はあるのです。よほどこの点につきましてはそつのないような、誤算のないような進展をはかっていかねばいかぬだろうと思います。これにつきましては、もちろん業者に責任もあります。もちろん責任を負っていきますが、政府は一体となりましてこの完成を期していくということが、こういう窮境におちいっておる地域のためにも明るい一面になるのではないだろうか。それはただきょうの急場をしのぐという方向だけじゃなしに、将来への夢もなお取り戻しまして、建設的な対策を立てていく。この二面から、一つは構造改善、一つは新しい市場の開拓等で、世界的な視野に立ちまして建設方針を立てていく。こういうふうにしなくてはいかぬのじゃないだろうかというふうに考えております。  同時に、もう一点伺っておきますが、従来も私は切実に感じておったのでありますが、外務、通産が一体となりまして経済外交は推進するということ、もっと国民に一体感が受け取られるような体制をぜひ充実していただきたい。外務省は外務省で、通産省は通産省で材料を持っているけれども、窓口は外務省だ。外務省でいろいろなことをやって、通産省はあとから材料を持って追いかけていくという意味ではなしに、常に表裏一体の関係で、名実ともに一つの政府の方針として進んでいく。これが経済外交の一番重要な点でないだろうか。ばらばらになるべきではない。とかくばらばらになっておるという印象を国民に与えておりますから、この点につきましては、大臣間におきましても、しっかりと手を組んでやってもらいたい。  この三点を最後に伺って、私の質問を終わることにいたします。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 第一の点でございますが、これは傾聴すべき御提言だと思います。その際、できれば業界ぐるみで出ていかれることを考えてもらうほうがいい。と申しますのは、現地の安い労働力でつくりましたものが、また日本のマーケットに逆流するという問題が起こってまいりますと、業界の中で特定の人はいいがあとの人は困るということになりますから、何かそういう仕組みで考えられましたら非常にいいのではないかと思います。  第二の点でございますが、構造改善も、四年前に考えましたときと、現在と、国内の賃金あるいは周辺の国のありさまは非常に変わってまいっておりますので、織機につきましては二年ほど延長をさせていただきたいと考えておりますが、その際に、もう一ぺん基本的な事情、これからの動向を見直して、やや新しい構想をまじえて延長したいと思っております。  第三の点は、外務省、経済外交にこのごろ非常に力点を置いておられますし、私どもの役所の者も現地の大使館に出て一緒に仕事をしておるわけでございますけれども、今後とも十分連絡を密にやってまいるように努力をいたします。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 いま宮澤大臣からお答えになりましたとおりでございます。通産、外務、事経済外交に関しまして、現在ほどうまく一体となっていっているときはない、そのようにいささか自負しております。

吉田賢一民社党

○吉田(賢)分科員 わかりました。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 中谷鉄也君。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 住友金属の公害防止協定について、昨日の第一分科会に引き続いて質問をいたします。  最初に大臣に御所見を承っておきたいと思いますが、既設製鉄所である住友金属の公害防止協定がいよいよ二月二十七日に協定されようとしている。全国のかなりモデルケースになろうかと、地元の関心は非常に高まっております。そこで、過去十年来住友金属の公害防止に取り組んできた住民の一人として、新日本製鉄の室蘭、釜石、あるいは広畑、八幡、こういうところは、住友金属和歌山製鉄所とは比較にも何もならない、これは国の基準を守っているのかもしれませんけれども、問題にならないようなとにかく公害まき散らしといっていいような状態。住友金属の言い分は、よその既設製鉄所の現状を見てくださいというのが言い分なんです。これは、新日鉄は八幡、富士が合併してあれだけ大きくなった。発後メーカーの住友は住民との間で——現在われわれは協定についてかなり不満を持っておる。住友の言い分としては既設新日鉄を見てくださいということ、これは通産省としては、こういうふうな全体としての既設工場の水準が同一でなければならぬと私は思うのですが、この点について大臣いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 いろいろ地域の実情もございましょうから、私どもとしては、まず基本的に国の基準を守ってもらいたい、こういうことを申しております。  なお、それに上乗せをするということで関係者問に合意ができますことはもとよりけっこうなことでございますから、できるだけ支援をいたしたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 大臣、いずれにいたしましても室蘭、釜石、広畑、八幡などというのが、たとえば今度結ばれた住友の防止協定などのあり方と比べて、とにかく目標年次においてもはなはだ劣るもの、こういうことはお認めいただけるわけですね。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 詳しいことは存じませんけれども、地域の実情に応じておのおの違いがあるということは存じております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 ですから私が聞きたいのは、地域の実情ということですけれども、その地域の住民が権利の上に眠っている。そうして企業がそのことに甘えて、そうして、とにかく既設メーカーと同じスタートの中でスタートさせてもらわなければいかぬ。要するに公害防止に対する設備投資をやらない。そこで、とにかく競争するということなら、これはもう新日鉄のほうが有利にきまっています。こういうようなことがはたしてあっていいのかどうか、このことが現在住民の住友への重大な抗弁になっている、このような実情についてどのように理解しておりますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 そうは言いましても、住友の和歌山は、三者ぎりぎりの折衝をして協定ができつつあると聞いております。でありますから、決して企業側にとって楽なものができたとは私は考えておらないわけでございます。国全体おしなべまして国のきめた基準を守ってもらわなければ困る。これは最低限でございます。その上にだんだんあちらこちらに、たとえば日本鋼管の扇島から問題を発しましたから問題が波及をしていく、これは当然考えられることであります。私どももそういう意味でなるべくきつい基準をつくり上げていくということは、基本的には支援をしていくべきことだと思っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 局長にお尋ねをいたします。  昨日もお尋ねしたことですけれども、もう一度確認をいたしておきますが、この住友金属の防止協定の一番争点になる点は年間平均値、目標年次、大気汚染において〇・〇一二PPMで押えている。たとえば日本鋼管扇島、川崎製鉄千葉製鉄所においては最大着地濃度で押えている。そうすると非常に論理的に言えば、年間平均〇・〇一二PPMというのは、最大着地濃度としてはそれに四倍かかってくる。したがって、達成年度においても〇・〇四八PPMにならざるを得ない、こういうふうなことがこの防止協定の一番の問題点であったと思いますが、この点はもう一度確認をいたしておきます。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 昨日の第一分科会で申し上げましたとおり、御指摘の点、そのとおりだと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 局長にお尋ねをいたします。  昨日各製鉄所の現状について詳細な御答弁をいただきました。しかし、たとえば和歌山県の公害白書の中には、測定しなかった日を忘れられておる。そして学者たちは、汚染度はもっと高いんだ、こういうふうなことの指摘をいたしておる。こういうふうな実情があるようでございます。といたしますと、結局そういうふうな問題について欠測日があるということについての防止対策についてはどのようにお考えになるでしょうか。これらの問題についてひとつお答えをいただきたいと思います。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 地元のほうでいろいろ御調査があって、大気汚染の状況の数字等も当然あろうかと存じますが、私ども、公式に承知いたしております厚生省の大気汚染測定網の調査結果を拝見しておりますが、四十四年度が最近のものでございますけれども、和歌山市の周辺で、問題の地域も確かにございますが、大体において国の環境基準の〇・〇五PPM年平均という線は最近は満足しつつある、かように承知しておるわけであります。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そうじゃないのです。今後公害防止協定に基づくところの達成については企業、住民はもちろん、地方公共団体、国も厳重にとにかく努力をしなければいかぬ。そういう中でこれは器材、それから人員の問題だと思うのですが、これらの問題についての充実についてかなり欠陥があったのです。こういうことは観測日を忘れておるということになると思うのですが、こういう点について一般的な御答弁と、和歌山の具体的な問題についておわかりであれば御答弁いただきたいという趣旨なんです。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 質問を取り違えてたいへん申しわけございません。大気汚染の常時観測という点、これは今回の改正されました大気汚染防止法におきましても特筆大書されておることでございますけれども、臨時国会の御審議の附帯決議にもそういう体制の器材及び人員の警備強化ということが特に問題としてうたわれておるということでございまして、従来から厚生省を中心に通産省も、器材等の面で府県のそういう監視体制の整備につきましては補助金等で御援助申し上げてきておったわけでございますが、今後はさらにそれを格段に充実するということは基本的に最も大事な前提だろう、かように存じております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 お尋ねいたします。そこで和歌山の中で、非常に残念ですが、環境基準をオーバーしている地点が一点あるわけです。これの地名をひとつこの機会に明らかにしていただきたい。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 厚生省の四十四年度の公式の調査結果について申し上げます。  これは東消防署の測定点でございまして、年平均値が〇・〇六一PPMということに相なっております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 SO2の住友金属和歌山製鉄所の総排出量についての現況と、達成年度における総排出量の見通し等についてお答えいただきたいと思うのです。同時に海南火力二百十万キロワット、そうしてこれについては非常に将来の問題で紆余曲折があろうかと思いますが、かりに大阪府下における多奈川火力発電所が建設された場合、海南火力と多奈川火力、それぞれの総排出量はどの程度予想されますか。そういう点についてもしわかれば御答弁をいただきたい。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 長期計画を含めました出力は、私手元に現在資料を持っておりますが、正確なSO2の排出予定量といいますと、結局どういう重油を将来使っていくかということときわめて関係がございますので、若干慎重な検討を要しますので、後ほど資料で御説明さしていただきたいと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 和歌山製鉄所の一つの特徴的な問題、それはとにかく人家に密接しているということでございましたですね。そういう中で騒音対策というものが具体的に検討されなければならないと思うのです。これについては通産省としてはどのように理解をしておられますか。なお、騒音対策に要する公害防止設備投資額はどの程度のものとして報告を受けておられますか。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 住友金属和歌山の場合には、確かに御指摘のように、ほかの製鉄所よりも住宅地に近接しておるという特殊事情がございますので、今回地元で結ぼうとしておられます協定におきましても、ほかの製鉄所と違いまして、住宅地並みの基準値というものを明確な数字で、昼間は五十ホン以下、夜は四十五ホン以下というふうなことで案文に明記をしておられるということでございまして、その限りで非常に地域の特殊事情が十分に配慮される、一言で申し上げればこういうふうに理解しております。  対策のほうの御質問がございましたが、現在のところ約百十億程度の全体としての設備投資が計画されておる中で、防音関係の内訳につきましてはまだしさいに実は承知いたしておりませんので、あらためて御報告さしていただきたいと存じますが、原料関係から高炉関係、製鋼関係、発電所関係、大体考えられるすべての重要施設について、防音のへいをつくるとか消音器をつけるとか、鋼管、パイプ関係の工場では建物まで改造していくというような、かなり思い切ったことをして、基準を達成しようということでございますから、金額的にもかなりのものが計画の中に入っておると思っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 大臣にお尋ねいたします。  住友と和歌山県及び和歌山市との防止協定の中で最大の争点になりましたのは、住民の立ち入り権の問題でした。そういう中で、和歌山県と住金和歌山製鉄所との協定では、県の立ち入り検査に住民の同行権が認められたわけです。この点については、協議をするということばがあることについて、住民のほうから、当然とにかく立ち入り権を認めるべきだというふうな意見もありましたが、いずれにいたしましても立ち入り権が認められた。とにかくわれわれは県会議員だとか市会議員だとかいうものの立ち入りは自由に認めるべきだと主張もいたしましたけれども、いずれにいたしましても立ち入り権が認められた。これについてどのように評価をされるか。この点について大臣、でなければ局長のほうから御答弁いただいてもけっこうですが、これは大臣から御答弁いただく筋合いのような感じがいたしますが、いずれにしても通産省から御答弁いただきたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 立ち入り権というようなものがあるかどうかについてはいま即座に申し上げかねますけれども、県なり市なりが検査をするときに住民の代表が同行するということであれば、それはそういうことでお話がまとまればけっこうなことだと思います。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そこで、これはどうでございましょうか。工場側の同意というふうなことが条件になっているようですけれども、これは結局被害者住民の立場からいいますと、こういうようなことが——これはちょっと局長の御答弁をいただきたい。県の条例の中で——ちょっとむずかしい質問です。住民の立ち入り権、同行を認めるというふうなことをかりに県の条例化をすれば、これは企業を拘束しますね。ちょっとこれは、わからないならわからない、またよく調べるなら調べると言ってください。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 正直に申し上げます。条例について私どもあまり突っ込んだ知識はございません。法律問題について、中谷先生と私あまり議論できるだけの自信は初めからございません。そういうことでございまして、ただ覚え書きないし協定で、大臣がいま申し上げましたとおり、同意ということにはなってないと思います。協議して円満に話し合って、そのつど実質的に会社のほうもよく理解を示してという精神だろうと思います。そういうことでお互いにやっていこう、こういうことはまことにけっこうじゃないかと私ども思っております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 そこで、質問の手筋がこまかいので質問がどうも落ちていきます。水についてきょうはお尋ねするのですが、水についてざあっとお尋ねしていきますから、まとめてお答えいただきたいと思います。  この防止協定については、水質汚濁に関しては前国会でも問題になりましたけれども、濃度規制、排出基準についての規制だけがあって、排出量についての規制が行なわれていない、行なうべきじゃないかという問題点は常に指摘されましたですね、これが質問の第一点です。  その次、これはやはり評価をすべき点は一応評価しても私はいいと思うのですが、第二は、和歌山県の公害防止協定に基づく排出基準というのは、他の製作所における協定、水質基準などと比較して通産省はどのように考えるか。もう私は新日鉄の八幡だとか広畑だとか釜石なんというものは問題にもくそにもならぬ、お話にならぬ、これでとにかく後発メーカーの住友に追っかけられて泣きごとを言っているというのはおかしい、こういうふうな考え方でいるのです。第二点として、この水質の問題についてどうか。  次に、これは願望になるのかもしれませんけれども、第三点として、今回の防止協定の基準値で魚の斃死などの従来起こっていた漁業被害はなくすることができるというふうに見通されるかどうか、これはまあ将来のことだからわかりませんけれども、またいろいろなものが重なってきますから、他の工場の排出が。この点が第三点。  第四点は、排出処理に伴って発生する汚泥の処理、しゅんせつなどに伴うしゅんせつ物の処理等に関する第二次公害の発生防止について、できる限り明確に記載せよという地元の要求も多いし、そうでなければならないんじゃないかという考え方もあろうかと思いますが、この点についてはいかがでしょうかという質問をさしていただきます。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 第一番目の御質問、排出規制のあり方としてPPM規制をするだけでなくて、負荷量そのもの、汚濁の絶対量を規制する点についてどうなっておるかという点でございますけれども、住友金属の今回の協定は、排水関係では非常にシビアなものになっておりまして、PPM規制もございますと同時に、物質ごとにこまかく排出の絶対量、負荷量を協定の中にうたっております。川鉄についても同様なことがございます。ほかの製鉄所に比べましてこの点は非常に目立ったところだろうと思います。  その次の具体的な排出基準がそれではどうなっておるかという比較を申し上げたいと思います。制度の立て方として非常にシビアであるということのほかに、二つの例を引いて申し上げたいと思いますが、一番問題になるシアン、フェノール、これを引いて申し上げたいと思います。住金の場合には、排出基準の一に対しましてシアンが実に〇・三というものに上乗せされております。ほかの製鉄所関係では洞海湾が大問題になりまして、御案内のように、八幡が基準の一に対して〇・五、二倍の強さに上乗せを洞海湾の場合はやる勘定になっております。それよりもなおきついものが住友金属で要請されておるということであります。それからフェノールは異臭の原因になるといわれておりますが、住金の場合、同じ国の基準一に対しまして、ほかの製鉄所でも全部一でありますが、〇・五、二倍の強さになっておるというふうに、実質的な排水基準の面でも先ほど先生ほめて……。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 評価すべきと言ったんで、ほめてはいない。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 失礼しました。地域の実情に応じた上乗せ協定という形で行なわれておるという点は、私どももそのとおり評価すべきものがあると思っております。  それから、では和歌山で問題になりました魚の死んだ問題、これはどうなるか。おそらくシアンが原因だったというふうに当時言われておったと思いますが、コークス工場が製鉄所にはございますので、そこからシアンが出る。先ほど申し上げましたとおり〇・三という非常に強い上乗せで実施に移され、改善工事が行なわれていけば、当然こういうことはなくならなければならない。今後大いに改善工事の実施に期待できるんじゃないか、こういうふうに思います。  それから最後に御指摘ございました汚泥の処理の問題、しゅんせつの問題でございますが、協定ではたしか湾内の汚泥につきましては、企業が全額負担の形でこれを適正に措置をするということはうたわれていると思います。それからその際に湾内を攪拌いたしまして第二次公害等を起こさないように十分つとめるという努力規定も設けられておるように聞いておるのでございますが、それではどういうふうに具体的に第二次公害防止について配慮をするのか、このあたりがもう一歩、せっかく協定するならやってしかるべきではないかという御指摘だと思いますが、こういう点につきましては、今後両者間でお話し合いがつくんじゃないかということを実は私ども予想いたしております。そういう状況でございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 大臣にお尋ねをいたします。  実はいよいよ二月の二十七日、全国のモデルケースにしようと思っているこの協定の調印が行なわれると聞き及んでおります。そこで大阪通産局長が協定締結に立ち会い人になられることについてもすでに内定をしています。そこでこの問題について通産省としては、特に県のほうから要請をして立ち会い人になっていただいた、これは立ち会い人というのは、ただ単に立ち会ったというわけではないと思うのです。この協定の実施について、目標実現について今後責任を持ってもらう。実は地元には、協定はできたけれども、修正改定をしていくけれども、協定の達成年次において達成できなかったら一体どうするんだ、そのときには一体罰則があるのか、契約違反による損害賠償ができるのかというような問題だって出ておる。これは立ち会い人というのは、ただ単に立ち会い人であって責任はないということではいかぬと思うのです。そういう点について、立ち会い人になっていただくということについての通産大臣としての——これは和歌山で南海電車に乗ってきていただいて、名前を書いて判を押していただいたというものではないと思うのです。立ち会い人としては今後どのように協定実施について御責任を持っていただけるか、将来どういうふうにやっていただけるかということについて、通産省の決意を込めた御答弁をいただきたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 関係者、特に県知事から要請がありましたようでございまして、通産省としても、公害行政は最も大切な行政の一つでございますから、その地元の責任者として、関係者が御要望であれば立ち会うということは、私は適当なことであろう、こう考えております。製鉄所の監督は、今後県当局、それから発足いたしますと環境庁の所管になるわけでありますけれども、今後技術的に、たとえば焼結工場の排煙脱硫でありますとか、あるいは低硫黄原油の確保でありますとか、そういったようなことについて、通産省のいろいろ研究開発の面で、あるいは行政の面で、応援も得たいというふうに会社は考えておると思いますので、当然また私ども公害防止のためにそういう協力をすべきものでございますから、そういう関係者として立ち会いをすることにはことさら意味があろうと私は考えております。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 最後の質問であり、これはもう通産省の格段の努力を求める点であります。いま大臣から特にお話しがありましたけれども、きのうもこの問題はやったのです。排煙脱硫装置については重ねてお尋ねをいたしますけれども、現在通産省は非常な努力をしておられる。昭和五十年度には要するに実用化のめどが立つわけでございますね。これはどうも立たないからといってけしからぬというわけにいかぬし、私は言うつもりはありません。しかして通産省の目的としては、昭和四十八年のころには、もうとにかく大型実験の問題を終えられる、現在実用化されていない排煙脱硫については、五十年度にはとにかく実用化のめどを立てる、これは通産省の非常な一つの基本的な開発目標として、こういうことになれば、とにかく製鉄所の公害というものについての私は大きな防止対策というものが飛躍的に前進すると思うのです。この点について、そうなってくると、また住友の公害防止対策について、あるいは各製鉄所の防止対策に対する投資額もプラスアルファされますけれども、何といっても公害防止が重大な問題であり、五十年度には——きのうかなり局長さんと話を詰めたのですよ。だからできなかったから、これはもうここでやむを得ない、そのときはという、そんな話があったのではないけれども、目標としては五十年度でございますね。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 ただいま言われますのは、製鉄所の排煙脱硫のことを言われたと思います。ダストや何かの関係もありまして、電力会社の排煙脱硫、なかなかむずかしいらしいのでございますけれども、これはどうしても残されました大きな汚染源でございますから、ただいま言われました年次を目途として開発を急ぎたいと考えておるわけでございます。

中谷鉄也日本社会党

○中谷分科員 終わります。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 細谷治嘉君。     〔主査退席、渡辺(栄)主査代理着席〕

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 最初に通産大臣にお尋ねいたしますが、昨日通産省のほうからいただいた資料によりますと、昭和四十六年度の電力需給バランス、ピークロードの点から需給バランスを見てみますと、四十六年度は供給余備力が五万五千キロワット、〇・一%の供給予備力しかない、こういうことになっております。試みに四十四年度は七・三%の供給予備力、三百十一万一千キロワット、四十五年度は三・四%の供給予備力があったのであります。百六十四万三千キロワットの供給予備力があったのでありますけれども、四十六年度にまいりまして五万五千キロワットの予備力しかない、こういうことであります。昨日なりあるいは一昨日の新聞を拝見いたしますと、たとえば昨日の新聞では、電力九社の四十六年度の設備投資計画というのは前年比二八・四%である、設備投資の金額は九千七百七十四億円である、こういうふうに日本経済新聞は発表しております。おとといの新聞によりますと、この電力問題というのは公害防止問題というものがたいへん重要なことになっておりまして、無公害の燃料としてLNGを主力として使っていこう、今後の電力開発のためにはLNGを使っていこう、あるいは大規模の揚水電力、こういうものを主力にしていこう、こういう記事が出ております。本会議で総理大臣は、公害、公害というけれども、電力がなくなったらもっと大きな公害じゃないか、こういうたいへん時代にそぐわない発言があったのでありますけれども、銚子で火力発電所建設に対して地元が反対した、あるいは京都の宮津で長年懸案になっておりました火力発電所も、これもやめになった。いろいろ各地で問題が起こっております。これの根本的な原因は、電力会社がたれ流してまいった、こういうことにあると思うのでありますけれども、それにいたしましても電力の需給バランスというものがたいへん危機に立っておる、こう思うのであります。通産大臣として一体どう対処していこうとするのか。この表によりますと、四十六年度はもうほとんど供給予備力がないのでありますけれども、四十七年度は見込みでありまして〇・一か二ぐらいの供給予備力は期待しておりますけれども、いまのままではどうにも解決のめどがないんじゃないか。したがって、四十七、八年になりますとたいへんな電力需給のアンバランスというものが起こってくるのではないかと私は思っております。この点について通産省としてどう対処していくのか、まずお尋ねしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 御指摘のような問題はございまして、心配をいたしておるわけでございます。四十六年度は、私どもの持っております数字では、北海道を除いてございますが、供給予備率〇・七ということになっておりまして、これは確かに数字の上でもあぶない数字でございますし、相当の綱渡りのような数字になってまいりました。ことに関西、北陸等に問題があるわけでございます。これをどうするかということでございますが、これはもう第一には広域的な供給をするということ、それから大口需要者にはやはりある程度調整をしてもらうということ。それから試験の電力あるいは工事中のものをなるべく急がせる。それから修理なども適当に時期をアジャストする。それから需要家に休日の振りかえをしてもらう、いろいろなことをくふうを重ねてまいらなければならないと思っております。ぎりぎり一ぱい泳げるであろうというような気持ちでおるわけでございます。  そこで、これから先どういうふうに考えていくのかと言われることでありますが、おっしゃいますように、低硫黄の油でありますとかあるいはLNGの輸入でありますとか、電発を中心にやっております揚水発電、要らないときの電力を使いまして水を揚げるわけでございますけれども、そういったようなこと、それからもう少し先に行きますと、原子力発電にかなりの期待が持てるようになるかと思います。結局そういうふうにいたしまして、発電所というものは何か非常に不安な、公害を起こしているのではないか、一応公害の基準もきまり、それを順守するめどもできたのだということで、とにかく住民が発電所といえばもう目のかたきにするというようなことでない、信用を再獲得するということがどうしても必要なのではないだろうかと思っておりますわけで、そういう意味では公害行政というものをきつくやってまいりますことが、かえって電力に対して住民の受け入れる姿勢をもう一ぺん回復してもらうゆえんではなかろうか、こう考えておるわけでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 昨年暮れの臨時国会で私は通産大臣に、電力の施設を増強して、需給のバランスが破れようとする段階であるだけに、もっと公害対策に真剣に取り組まなければならないのじゃないか、そういう意味で大気汚染防止法からの電力の適用除外というのは問題があるのじゃないかと、具体的な根拠をあげて質問をしたのでありますけれども、どうも大臣はその辺のことはお考えにならないようであります。きょうは時間がありませんから重ねてそれに触れることはいたしませんけれども、これに関連いたしまして技術院長の太田さん見えていますが、せんだっての一月十一日の日本経済新聞に、これから無公害燃料として大規模にアラスカ等から輸入しようとするLNGが、水に触れると爆発をする、こういう記事が出ておりまして、通産省が米国に照会を急ぐ、こういうことが新聞に書いてありました。時間がありませんから、照会された結果がおわかりでありましたら、簡単にひとつお聞かせいただきたいと思います。たいへん重要な問題でありますから……。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 保安上の問題でございますが、たいへん貴重な実験がアメリカで行なわれた。これは保安上非常に貴重なデータであるというふうに私ども思いまして、さっそく外交ルートを通じて現地に手配して、ごく最近原文を入手いたしました。高圧ガスの保安協会等の専門家に委託いたしまして、翻訳とか検討、それから運輸省等にも船舶のほう、運送の面で関係がございますので渡しまして、専門家の検討に入っておるところでございます。内容は非常に技術的、専門的な高度なもののようでございます。簡単でございますが概要だけ申し上げます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 技術的、高度なもののようでありますが、私も非常に心配している一人であります。その翻訳等済みましたら、その資料をいただけるかどうか。いかがですか。

莊清通商産業省公害保安局長

○莊政府委員 新聞等にも概要が出たりしたことでもございますし、翻訳ができましたらさっそく先生のところにもお届けをさせていただきたいと考えております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 次に大型プロジェクトの問題です。先ほど中谷委員からも話がありましたように、現在までに九つのプロジェクトに取り組んでまいったわけでありますが、その中で四十四年度に完了いたしました排煙脱硫の問題について若干お尋ねしたいと思うのであります。  時間がありませんから端的にお伺いしたいのでありますけれども、通産大臣なりあるいは工業技術院長は昨年十二月十五日号のエコノミスト「大型プロジェクトの成果に疑問」「脱硫技術開発にみる官僚の論理」という記事をお読みになったかどうか、まずお尋ねします。

太田暢人工業技術院長

○太田(暢)政府委員 読ましていただきました。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 どういう御感想でしょうか。

太田暢人工業技術院長

○太田(暢)政府委員 いろいろの問題点がこの論説と申しますか記事の中には出ておるわけであります。研究成果に対しますいろいろな批判というものは立場によっていろいろなしかたができるだろうという解釈をしておりまして、私どもは、そこで筆者の言っておられます意見に対しては賛成いたしかねます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 大臣お読みになりましたか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 読みませんでした。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 大臣、これは院長は否定されましたけれども、私は非常に重要な問題点が指摘されておると思うのであります。  その一つは、あとで通産省からいただいておりますプロジェクトの評価について若干私は触れたいと思うのでありますけれども、開発計画の担当者である通産省工業技術院は去る九月、研究開発はほぼ目標どおりの成果をあげた、こう言っておるけれども、事実はさにあらず、たとえばこの研究の目標は大体一キロリットル当たり五百円くらいのコストにしたいのであるけれども、そのコストが満たされていない。このコストはプロジェクトの終わりの段階においては大体二倍から四倍くらいのコストについておる、それから長時間運転、連続運転に耐えられない、こういうのが成果ではないか、こういう指摘がされております。  それから第二の問題は、こういうことをやった担当官というのが、プロジェクトの中間でほかの省の全く関係のないような仕事に行った。いわゆるエリートポストをプロジェクトと関係なしに動いていっておる。言ってみますと、個人無責任主義で組織責任主義だ、こういうことで丸山真男のナチス戦犯と日本の戦犯の違いを例をあげて書いてあります。そうして最終段階では、通産省が取り上げた段階ではなるほど乾式法が有利なようであったけれども、さっきも排煙脱硫の問題がありましたけれども、今日では神奈川工業試験所なりあるいはその他で開発した湿式法のほうが有利に立っておる、こういうふうに書かれておりまして、この大型プロジェクトの成果に対して幾つかの点の疑問も投げかけておるのでおります。これを読んでいただいてどうお感じになるか、ぜひ読んでいただきたいのでありますけれども、いま私があげたのについて大臣、一言感想ありますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 いずれ読みたいと思いますが、やはりわが国が独自の排煙脱硫の技術を完成したということは高く評価すべきだろう。コストなんかの点で、パイロットプラントでやります場合とテストプラントでやります場合と、実際にやっていきます場合と、時間もたっておりますから多少の計算違い等々はあり得ることだと思いますが、しかし現実に東電なり中部電力なりが実際にやってみようとしておるのでございますから、それを見まして、どのくらいのメリットがあったかということを判断してもいい問題で、さっき院長が申し上げましたように、実験室でやっておったことが現実の施設になっていきます場合にはいろいろなことが起ころうと思いますが、こういうものを開発した意義というものは私は決して過小評価をすべきではないものであろうというふうに思っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 私は、過小評価というよりも、問題は技術の問題でありますから、工業技術院の努力を全くネグっておるということじゃないのですよ。ただ完成したかどうか、こういうことになると問題がある。そこでこの技術院が出しました「活性炭法排ガス脱硫技術研究開発に関する評価について」、これは先ほど申し上げましたように、この直列方式で九〇%の脱硫、コストは重油キロリットル当たり五百円程度、こういうことで発足いたしたのでありますけれども、この評価の一六ページに、二十五万キロワット相当のもので重油一キロリットル当たり約千三百円、この開発の技術の結果は、三十五万キロワット相当のもので約千二百円と推定される、これが活性炭法であります。     〔渡辺(栄)主査代理退席、主査着席〕  それからもう一つの活性酸化マンガン法を見ますと、二十五万キロワット相当のもので一キロリットル当たり千百円、三十五万キロワット相当のもので約千円ということでありますから、間違いなくこのコストは五百円の目標から二倍以上になっておる。  なお、これも指摘しておりますけれども、たとえば耐酸性等の問題でなお技術的な検討を要するのじゃないか。ですから、私の言いたいところはそういうことでありますから、計画は機械的に四十二年で終わったということになりますけれども、ここまできておるのですから、仕上げということでプロジェクトが四十四年で終わるというのが四十五年になっても、完成するまで当然取り組むべきではないか。暦のように計画の年次がきたら終わっていくという、そういうやり方ではいかぬ、それが一つであり、もう一つは、通産省が取り上げなかった乾式法、活性炭法以外に湿式法というのが今日では、いまの日本鋼管あたりあるいは昭電方式という方式等いろいろございまして、民間ではそちらのほうのタイプをとりつつあるというのが今日の傾向であります。そういう点からいきますと、成功を認めるにやぶさかでありませんけれども、そのプロジェクトは完成していない。もっと取り組むべきである。同時に、どうも自分の取り組んだ以外のテーマについては、方式については軽視する傾向が工業技術院にあるのではないか、私はこれを読んでそういうふうに感じました。通産大臣、いかがですか。

太田暢人工業技術院長

○太田(暢)政府委員 まずコストのほうでございますが、これは最初の五百円という試算をいたしましたときといろいろ過程を変えてきておりまして、耐用年数あるいは稼動率、そういうものが変わってきておりますので、特に二倍以上にはなっておるというふうには読めないと思いますけれども、若干上がっておるのは事実でございます。  それから乾式法との関係でございますが、湿式法は大体ミストの多い鉄鋼の場合とかあるいは小型の排煙脱硫の場合に適しておる方法でございまして、電力に関しましては、現在でもやはり湿式法のほうは、小型のものとかミストの多い排煙に非常に適しておるものでございまして、大型の電力の場合には、現在でも乾式法が一番適しておるというふうにわれわれ考えておりますし、大体そういうふうに学会でもいわれておるかと思っております。  それから、ほかの方法に対してあまり関心がないというような御発言がございましたけれども、神奈川県の湿式、これは非常にすぐれた方法でございますが、これに対しましては昭和四十三年、四十四年に補助金を出して研究を助成しております。ほかの方法に対しましても非常に関心を持っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 関心を持って補助金を出したというけれども、この文にこう書いてあるのです。私もちょっと技術屋生活をしたことがあるから感ずるのでありますが、どうしてもワクにはまってしまう。「「工業技術院は、大型プロジェクト以外の技術は、頭からバカにして、悪口をいうので困る」と怒っている民間企業の担当者にもわたくしは会った。」こう書いてあります。  そこで、大臣、いまは九つのプロジェクトのうちの完成したと思われる脱硫の乾式法、通産省が取り上げられた活性マンガン法あるいは活性炭法、これはなおまだ最終的な仕上げの追及をしなければならぬのでありますから、暦だけでストップするのではなくて民間の人が安心してその技術を導入することができるところまでやっていただかなければならぬ。これが一つであります。  もう一つは、自分の委託した、あるいは自分が選んだプロジェクトばかりではなくて、ややもすると、他の人が取り組んでいるものについては評価を怠りがちでありますけれども、そういうことをせぬようにというのが一つであります。  もう一つは、このプロジェクトをやった以上は、これが途中で、いかにエリートコースの人であろうとも、あまり将棋のこまを動かすようにというと少しことばが適切でありませんけれども、動かさないようにしていただきたい。ほんとうに今日の日本の研究というのは外国と逆転で、本来プラスになるのかマイナスになるのかわからぬにかかわらず基礎的な研究にこれから取り組まなければならない。単なる技術の改良程度のものではなくて、基礎的なものに取り組まなければならないというのが今日の段階でありまして、それには国の責任は非常に大きいわけでありますから、そういう態度でやっていただきたいということを強く要望をしておきたい。あとでまた感想があったら承ります。  そこで、私は、最後に大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、プロジェクトの選択の基準というか選択の方法をどこでやるのですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 東京電力と中部電力が、片方は活性マンガン法、片方は活性炭法ですが、相当のプラントをつくりつつありますから、それらを見ながら、私どもでなお改良すべきものがあれば進めてまいりたいと思います。研究しております者は自分の研究にプライドを持つというのは当然のことでございますけれども、同時に、他人に対しても寛容でなければならないと言われますことは御指摘のとおりでございます。でございますから、神奈川県に対しましても補助金を出しましたし、また関西電力では工業技術院が開発したのではない、ほかの方式だそうでございますけれども、いま排煙脱硫の工場をつくりつつあるわけでございます。行政の面では決して工業技術院のものをどうしても使えというようなことは一切申したことはございません。  それから大型プロジェクトはたしかたいへんむずかしいプロセスを経て各方面の意見を聞いてスタートする仕組みになっておりますが、これについては工業技術院のほうから説明いたします。

太田暢人工業技術院長

○太田(暢)政府委員 これは、工業技術院の諮問機関といたしまして工業技術協議会というのがございます。そこで一応検討いたしますけれども、ここで原案をつくっていただきまして、工業技術院で決定するわけでございます。その前の過程におきまして原局、それから工業技術院の中にたくさんの研究所がございますが、そこのところでいろいろな案を検討していただきまして、それは民間のいろいろの知識を聞いて、そしてそういう案をつくってもらい、そしてそれを持ち寄ってきて、最終的には工業技術院が決定しているわけでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 そこで、私がいままで取り上げた九つのプロジェクトはまず妥当であると思うのでありますけれども、しかし、それがベストであったかということについては、私も、もっと他にプロジェクトがあったのではないかという気もいたします。たまたまそういう気がいたしておった際に、あなたのところの工業技術院の技術参事官の長沢さんが、「世界の先頭走る時」という題で、このプロジェクトの問題を日本経済新聞に書いております、論文というほどのものじゃありませんけれども。その中で、いろいろ問題を取り上げておりましたけれども、日本の今後の大型プロジェクトの方向としてはエコロジカル・テクノロジーだといっているわけですよ。これは一技術参事官でありますけれども、かってに個人の意見ということじゃないと思うのです。今後の方向はこのエコロジカル・テクノロジーだ、こういう方向で大臣は考えているのか。院長も考えているのか。イエスかノーか、簡単にお答えをいただきたい。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 それはよろしいことだと思います。この排煙脱硫にしましても、電気自動車にいたしましても、そういう趣旨でございますから、問題の指摘はそれで正しかろうと思います。

太田暢人工業技術院長

○太田(暢)政府委員 私どものほうも大体そういう方向で、一つの重要な今後の工業技術の方向であろうと考えております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 私もこの方向は正しいという感じを持っております。今後やはりエコロジーというものは非常に重要ではないか。例をあげて申しますと、現在の微生物産業というのは古くから日本にありますみそ、しょうゆ、甘酒、カツオ節、これがもう大体一兆円産業に成長しておるんですね。それから近代産業といたしましては例の抗生物質あるいはアミノ酸あるいはたん白質、農薬、これも大体一兆円産業に育っておるわけです。合わせて今日すでに微生物産業というのは二兆円産業に育っておるわけです。たとえばこの問題について、いまメッキ工場でたいへんな問題になっておるシアンの廃液、こういうものを微生物が食う、自分でシアンの中の炭素と窒素を分解して食う、そしてシアンを無害にするという微生物があるわけです。それから硫酸銅の廃液から銅を食う微生物もおるわけです。あるいは問題の中性洗剤をバクテリアで分解すればいいという。あるいはいま産業廃棄物で問題になっておるプラスチックを食うカビ、そういう産業も起ころうとしておる。あるいは原子力の原料になるウラニウムだけを食って、非常に貧鉱の中からウラニウムを取り上げるという産業もすでに現実化しておる。いってみますと、公害防止の産業にも、あるいは普通の物理化学的方法ではできないものもこれで可能になりつつある。反面、たとえば飛行機の翼にガソリンが入りますとそこで微生物が繁殖して、この微生物のためにアルミニウムが極度におかされる。そういうために飛行機の事故、これから速度が上がるに従っていろいろな心配が取りざたされております。あるいはエレクトロニクスにカビがつく。アルミニウムの熱交換器等も微生物でおかされる。あるいは高分子でつくった塗料が微生物のためにやられて悪臭等の公害が起こる。いろんな問題が、いい面と悪い面にかなりきびしく、今日微生物問題というのが出てまいっております。でありますから、これは農林省とかあるいはおれの領分だとか運輸省だとか、いろいろあるでしょうけれども、この長沢さんが指摘したエコロジカル・テクノロジー、これこそ産業面から取り上げた大型プロジェクトの重要な一つの方向であり、テーマではないか、こういうふうに私も思っております。  この指摘は私は同感でありますが、今後こういう問題について、大型プロジェクトとして取り組む意思があるのかないのか。ひとつ大臣なり院長からお伺いしておきたいと思います。

太田暢人工業技術院長

○太田(暢)政府委員 まず、先ほど先生の御指摘になりました微生物を使いますいろいろの重要な工業があるわけでございますが、これにつきましては、工業技術院の中に微生物工業技術研究所というのがございますが、そこで盛んに研究をいたしております。  それから、大型プロジェクトにそういうものがテーマとして取り組めないかというお話でございますが、今後いろいろ検討してまいりまして、システム研究に取り組めるような的確なものが出てまいりましたときには、ぜひそういうものも取り上げたいというぐあいに考えております。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 私もしろうとなりにそういうことに興味がありまして、バイオケミカルとかあるいはバクテリオロジーというようなものが、いろいろな意味でエコロジーと関係してくるということ、そのとおりではないかと思っております。工業技術院にもそういうスタッフが、いま申し上げたように、おりますので、ただ、ただいま申し上げましたように、システムとしてとらえられるようなものがプロジェクトとして浮かんでくるかどうかということであろうと思いますので、そういうことがありましたら、これはやはり大型プロジェクトの一つとして考えなければならないと思っております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 終わります。

森田重次郎自由民主党

○森田主査 貝沼次郎君。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 私は、今日巷間においてずいぶん興味を引かれております特恵関税の問題、並びにその特恵関税によってかなりの影響があると思われますのでその影響、そしてその対策、この三点についてお伺いしたいと思います。  初めに、わが国が発展途上国に対しましていろいろの特恵供与をやっておるわけでありますけれども、たとえばその特恵の品目についてもいろいろ問題のあるところでありますが、それは今回は別といたしまして、この日本からの特恵供与によりまして、日本の国内の一次産業あるいは軽工業に対しましてどれくらいの影響が考えられるのか、こういう点につきまして大臣の御見解を承りたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 特恵のスキームをつくりましたときに、一次産業、ことに農業のほうは非常に特恵の点を配慮いたしまして、たいへんに軽い、あるいは全くないというような構成をとりましたから、まず問題は非常に少ない。軽工業につきましても、例外を設けましたり、あるいは五〇%カットのものをつくったりしておりますから、たいへんに大まかに申しまして、大きな影響はないだろう。ただ、いずれにしても、賃金等の関係で、これから長くわが国でこのままの状態で残っていくのはむずかしいという企業、こういうものも多少ございますわけで、そういうものにつきましては、特恵を供与することによって、そういう時期が早まるかもしれない。それについては、別途御審議願っております法案を通じまして対策を講じていこうと思っております。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 この特恵の受益国の選定によって、ずいぶん影響のしかたが違ってくるのではないかと思うのでありますけれども、この指定は全部終わったのでしょうか。

原田明通商産業省通商局長

○原田政府委員 特恵の受益国につきましては、国連貿易開発会議の場所で大体の原則ないしは考え方はきまっておりますが、いかなる国を具体的に指定をするかということは、法律を御制定いただきましたあとで、政令によって指定をするということできめていくという考え方でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 まあそのあとでといえば、それははっきりするのは、そのあとでもけっこうなんでございますけれども、たとえば一つの方法として、一番現在影響を受けそうだといわれておるような、たとえば香港であるとか、あるいはガット三十五条による援用国の問題、それからさらに中国に対してはどういうふうな考え方を持っておるのか。こういう点につきましてちょっと説明していただきたいと思います。

原田明通商産業省通商局長

○原田政府委員 国連貿易開発会議というこの特恵問題の議論がなされました場所で、各国によって大体まとまった考え方によりますと、まず開発途上の国である、かつ話が国連貿易開発会議で起こっておりますので、当然にその国連貿易開発会議のメンバーである、しかもこの特恵を供与してもらいたいという希望を表明した国、これを自己選択原則と申しておりますが、そういう国であるという考え方でございます。その上に、さらに日本といたしましては、たとえばガット三十五条を日本に援用している国でございますとか、他に差別を非常に強く行なっている国でありますとかいうものの中には、必ずしも特恵をやることが適当かどうかというような観点を考慮しなければならない国もあるかと存じますので、そういう意味で、日本として適当と考える国、大体以上のような原則の考え方に立ちまして、特恵の受益国を考えたいということでございます。  そうなりますと、いま御質問にございましたような、香港は一応先進国である英国の属領でございますので、そのまま開発途上国というふうに考えることはちょっと困難な点もあるわけでございます。また中国は、国連貿易開発会議の加盟国ではございませんので、当初から考えられております現在のスキームの中での受益対象国の中には考えておらないわけでございます。したがいまして、現在でき上がっております案に基づくスキームというものの中では、いまお話のございました二つの国は入っていないわけでございますが、しかし、属領でございましても、貿易、関税その他の制度で固有の制度を持っております、たとえば香港のごときはスターリング・ポンドという通貨を使わないで香港ドルという自分の通貨も持っております。したがいまして、その意味では、開発途上国に準ずるような地域でもございます。  そういうことでございますので、こういう長い間、十年というものを目当てにしてつくられた制度の中で、やはり一般的な原則から見れば、じかにそのまま適用はされないかもわかりませんが、筋においてはこれを適用するほうが日本の国益に合致するというようなものが出てくることが考えられるわけでございます。そういう場合も考慮いたしまして、法律の条文の上では、もし必要な場合、そういう国々にも適用することが法律上は可能であるという仕組みにしたらどうかということで、法案を現在考えておるわけでございます。ただその場合にも、現在のスキームはそういう国は対象にするということで考えられているものではございませんので、もしそういう国を将来受益国の中に加えることが必要であるという判断が起こりました場合には、いまのスキームを若干限定をしなければならないということを可能にするような仕組みに法律上つくるということで現在考えているわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 大体考えはわかりました。  それから、この特恵が行なわれた場合にはいろいろな影響が考えられる、それについては別の法案という話がさっき大臣からありましたけれども、私、あの法案の一部を少し見まして、転業する場合はこれはちゃんときめてあるようでありますけれども、たとえば合理化の問題、あるいは商品によっては、同じものをやっていたのではいけないというので、急激にアイデアチェンジを要求されるようなもの、こういうものがあるわけでございますので、そういうものにつきましてはどういう考え方で対処をするお考えですか。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 特恵対策で一番主要な柱をなしますものは、いま御指摘ございましたように、近代化を積極的に進めていく、あるいは品質の高級品化をはかってまいる、そういうふうな施策が中軸になっておるわけでありまして、これは実は数年前からそういう方向で、いわゆる協業化、構造改善等の事業に着手いたしておるわけでございまして、法案の中にも一条だけ起こしまして、転換対策のほかにそういう積極的な施策を進めるようにというふうなことが書かれておるわけでありますけれども、従来使っております手法、御承知の中小企業振興事業団によりますいろいろの高度化資金をフルに活用いたしまして、これらに対処いたしてまいりたいと思っておるわけでございまして、こちらのほうの重要性というものは当然に前提にあるわけでございます。今度の法案で取り上げておりますのは、そういう方策だけでは不十分な面があるというふうなことも考えまして、この際、むしろ長期的観点から、事業の転換をはかったほうが企業の成長発展につながってまいる、こういうふうな業種も出てこようかと思うわけでございまして、そういうふうな業種につきまして特別の転換助成策を講じてまいりたい、こういう考え方でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 それから、ことしはいよいよ米国が発展途上国に対しまして特恵供与を行なう、こういう話がもっぱらであります。これは、いつになるかということはまだはっきりしていないようでありますけれども……。そこで米国が発展途上国に対して特恵供与を行なうために、その発展途上国から米国へ入るわけでありますけれども、それと同じような商品が実は日本からもかなりアメリカに行っておるわけであります。その関係で、日本の商品が他の国の物に比べて高くなる関係上、市場が非常に圧迫を受けてくるというようなことから、現在中小企業の間におきましては、非常に心配をしておる人たちがたくさんおります。私も、そういう人たちの意見あるいは声というものもずいぶん聞いておりますけれども、これに対しまして、たとえばどういう業種がどれくらい影響を受ける可能性があるのか、この辺のところをひとつ説明していただきたいと思います。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 特にアメリカ市場での競合関係が大きいわけでございますけれども、大ざっぱに考えまして、まず第一に、その製品のうち、輸出ウエートが非常に高くて、しかもその輸出ウエートがアメリカ市場が相当部門を占めておるというふうな業種が、端的に申しますと一番影響を受けてまいる業種になるわけでございまして、その中にもいろいろの種類があろうかと思いますけれども、たとえば、すでに発展途上国の追い上げによりまして、アメリカ市場におきます輸出の絶対額も、それから同時にシェアも、いずれも低下しておるという業種がございます。これは、たとえて申し上げますと、人形でございますとか、ゴムぞうりでございますとか、バドミントンラケット、その他クリスマス電球等があるわけでございます。それから、絶対額は現在すでにもう横ばいの状況に入っておりますけれども、発展途上国のほうの輸出量がふえることによりまして日本のシェアが落ちてくる、こういうふうな業種もあります。たとえて申しますと、金属洋食器でございますとかかつらでございますとか、あるいはメリヤス製衣類というふうなものがこういうような範疇に入ろうかと思います。それから、絶対額は一部ふえてはおりますけれども、ただシェアとしては低下しておる、こういう商品もございます。玩具でございますとかモザイクタイルでございますとか、あるいは洋がさでございますとかかばんでございますとか、その他いろいろあるわけでございます。  要するに、現実にすでに追い上げを受けておりますいま申し上げましたような、いずれかといえば労働集約的な業種における影響というものが非常に大きくなってまいるのではないであろうか、こういうふうに考えております。もちろんいま申し上げました業種によりましても、やはり直接消費者に直結しているような商品もございますし、消費者の好み、デザインその他をくふうすることによりまして、必ずしも悲観だけをしておらなくても済むような、こういうふうな面で努力をいたすべき点も残っておると思います。  したがいまして、これがどの程度の影響を受けるかというふうな点につきまして、これを計量的に把握いたしますことは非常にむずかしい問題でございますけれども、そこらの努力措置と相まちながら、同時にまた、発展途上国自身の生産拡大のテンポというようなものとの見合いもあろうかと思いますので、それらの動向を常に注意深く見守ってまいりたいと思っております。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 この影響の度合いでありますけれども、確かにこれは現在まだ起こったわけではありませんので、計算は非常にむずかしいと思います。と同時に、この特恵の影響というものがかなりいわれている関係上、中小企業がたとえば近代化をしようというような場合においても、たとえば金を貸してくれるところが狭くなってくるとか、いろいろな疑惑というか、心配があるわけですね。したがって、大きな声でそういうことを言うこともあるいはどうかと思うのでありますけれども、しかし、これは非常に弱いところが圧迫を受けるものでありますから、やはりこれに対する対策というのは、そういうようなところまでも考慮に入れてやる必要があるのではないか、こういうわけで実はきょうは取り上げているわけであります。  そこで、たとえばかばんであるとか、あるいはプラスチックすだれであるとか、またクリスマス用のものであるとか、私はそういうような業者とずっと会ってまいりました。その結果、その人たちの言う意見というのは、一つは、これは確かに近代化のできる業種がある、あるけれども、近代化をするためにはやはり金が必要であるし、あるいは、どうしてもやっていけないような場合に、たとえば退職する人も出てくる。そうすると、それに対する退職金の問題、また次の職業をあっせんしてやる問題ということをきちんとやらなければならない。そうすると予想外の金が必要になってくるということですね。  それからもう一つは、もうアメリカではこれは売れない、それで見切りをつけて、そうして別の業種にかえていく、いわゆる転換でありますけれども、これとてもやはりいままで設備をしたばかりなのにすぐかえなければならない、そうすると、それに対する償却の問題というふうなことがやはりある。さらに今度は、近代化並びに転業ができればいいけれども、できないものがある。たとえばグローブミットとか、こういう手縫いなんかをやるようなものにつきましては、これは近代化といっても実際困るわけですね。こういうような業種はやはりそのままそれを続けていかなければならないという種類のものがございます。そうすると、こういうような人たちは新しい市場を開拓する必要がある、あるいは国内においてそれを伸ばすか、いろいろなことが考えられなければならない。そのためには一定の期間というものがどうしても必要になってくる。その間にシェアを伸ばす考えをしなければならない。  それから、クリスマスの用具のようなものになりますと、これは同じものがアメリカに入って、もうとうていコストの面で太刀打ちできないならば、一つのアイデアをもって勝負をしなければならない。そのためには、自分がいいからといって相手が喜ぶとは限らないのでありますから、これはどれが当たるか当たらないかはわからない。そのための研究費というものが、これまたばかにならないほど実はかかってくるというようなことで非常に苦しんでおるわけでございます。  こういうような方々に対して具体的にどういう対策を講じていかれるのか、この点を伺っておきたいと思います。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 業種業態によりましていろいろの態様が起こり得ようかと思っております。したがいまして、いまの転換を中心にいたしました今回御提案申し上げております臨時措置法案の運用におきましても、そこらの事態を十分念頭に置いて考えてまいる必要があろうかと思っておるわけでありまして、今回提案しております臨時措置法案の骨格をなしておりますのは、こういう特恵によって影響を受け、あるいは受けるであろうおそれのあるそういう業種を特恵業種として指定いたします。その指定されました業種に属する事業者が——その転換と申しますのは、製造業内での転換というふうに非常に狭く考えておらないわけでございまして、たとえばある特定の事業をやっておられる方がその敷地等を利用してアパート業をやる、あるいはほかの仕事をやろうといいます場合に、バー、キャバレーのような、そういうふうなところへの助成ということは非常に困難かと思いますけれども、そうでない限りはっとめて他の事業を広く転換というふうなことで考えまして、それに対する金融、税制上の助成措置を講じてまいりたい、こういう非常に弾力性を持った考え方でこの法案の転換の運用をやってまいりたいと思っておるところでございます。  そこで、実は助成施策のほうの関係でございますけれども、ともするとこういう業種は産地産業を形成している場合が多いわけでございます。したがいまして、産地のほうの相当の方が集まって事業転換をやろう、ある成長分野に事業転換をやろう、こういうお考えの方も出てくるかと思います。こういう場合におきましては中小企業振興事業団のいわゆる高度化資金、これは六五%まで金利二・七%の非常に安い金利でございます。それはしかも償還期間が十六年、これは振興事業団の中で一番長い償還期間をとったわけでございますけれども、そういうふうなことで集団して、一緒に共同して新しい分野について事業をやってまいろうというふうな方につきましては、そういう助成措置で後援をいたしてまいりたいと思っております。  それから、個別企業の方々が個別企業として事業転換をやるというふうな方々に対しては、これも新しく中小企業金融公庫の中に特恵転換ワクというものを創設いたしました。これは特利でございまして、金利は七%、償還期限は十年でございます。そういう特恵転換のための金融のワクを一つ準備いたしております。  それから、さらに金融関係で信用保証協会の機能が現在非常に重要さを増しておるわけでございます。これを利用される方が多いわけでございますけれども、この信用保証制度の中にやはり特恵転換のための特別の制度を創設いたしまして、これは安い料率でしかも損害が出ました場合、保険公庫、したがいまして国でありますけれども、国が普通のてん補以上のてん補を信用保証協会にやるというふうなことで援助をしておる施策でございますけれども、こういう手段を講ずることによりまして一般金融の導入を容易にするというふうな措置をもあわせ講じたいと思っておるところでございます。  以上が金融施策の中心でございますけれども、さらに税制上の問題といたしまして、現に持っておる設備につきまして、まだ耐用年数、償還期限が一ぱい来ておらないというふうなものにつきましても、それが特に特恵転換のために不要となる設備であるというふうな場合には、繰り上げ償却が可能であるというふうな道を今回つけたいということで、これも法案の内容になっておるところでございます。  それから、御指摘ございました労働者対策等の問題につきましても、やはり国のそういう職業訓練その他につきましての国の施策をフルに活用できるよう、この法案の中で労働者に対する施策につきましての努力義務を国に課しておる、こういう組み立てになっておるのでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 その法案の内容はまた後ほどその委員会におきまして、いろいろ問題点もあるようでありますから検討しなければならないと思いますが、たとえば近代化促進法による援助のしかた、これには第三条の第一項ですか、業種の指定というのがたしかあったと思うのですが、この中にたとえばプラスチックすだれであるとか、こういうようなものは政令では入っていないと思うのでありますけれども、特殊な事情の場合こういうものを入れて考えられるお考えはあるかどうか。

吉光久中小企業庁長官

○吉光政府委員 御指摘のように、プラスチックすだれは現在近促法の指定対象になっていないそうでございます。もともと近促法で近代化指定業種をきめます場合に、これは積極的に設備を近代化することによって競争力を強化してまいる、こういう業種を個別的に拾ったわけでございます。現在までにすでに百数十業種のものが指定を受けておるわけでございます。そういう積極的な近代化施策を講じていくにふさわしい業種であれば、これはやはりこの中に指定をいたしまして積極的に推進してまいる、こういう姿勢が必要になってこようかと思います。  ただ、この近促法の指定と別の問題といたしまして、近代化資金の資金融通に関する法律があるわけでありまして、資金的助成につきましては、集団化ではなくて個別的企業が自分で自分の機械設備を近代化するというふうなものに必要な資金を融通をいたしておるわけでございますけれども、この関係ではやはり近代化、合理化に必要な機械設備、これを網羅いたしておりますので、そちらのほうの制度は現在も利用できる、こういう体制になっております。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 最後に伺っておきたいのですけれども、アメリカの特恵供与によって日本のこういう中小企業のいわゆる雑貨を中心とする商品が市場において非常に圧迫を受けた、こういうときに日本の業者として非常に困ることはいままでお話ししたとおりでありますけれども、その場合政府としては、たとえば他の国に対してその市場を獲得するような働きかけというものをなさるお考えはあるのかどうか、この点をお尋ねしておきたいと思います。

原田明通商産業省通商局長

○原田政府委員 先生御指摘のとおり、特恵の影響の中で、日本の国内に発展途上国の産品が入ってくる影響だけではございませんで、特に雑貨、軽工業品につきましては、アメリカに限らずほかの先進国の市場に売れているものが、他の発展途上国との競争条件が悪くなりますために、売れにくくなるという問題があるわけでございます。この点は私どもは、輸入面の影響だけではなくて輸出面の利益ということで、この特恵の問題を国際会議で議論しております当初から、特にほとんど日本だけが強く関心を表明したといってもよろしいくらいに強く訴えてきたところでございます。その結果——その結果だけでもございませんが、アメリカは繊維とくつといったようなものについては、いまのところ特恵をやらないということを明言をいたしておりますので、まず繊維についてはそういう意味でのアメリカの特恵供与による影響というものは起こらない形になっております。しかし、その他の雑貨につきましては、先ほどから御指摘のような問題があるわけでございまして、これが今後影響を受けない形でできるだけいままでのような輸出の伸びを維持できるようにという支持をやらなければならないわけでございます。ただ相手の市場のことでございますので、非常に多岐にわたる輸出努力も政府としての役割りの範囲における援助ということになろうかと思います。  第一は、やはりいかなる物がどのような状況で売れるかという市場動向その他の調査ではないかと思いますが、この点はジェトロその他でいままでやっておりました分をさらに強化をいたしまして、特にこういう特恵の対象になるようなものについてはぜひ市場調査活動というものを強化してまいるようにしてまいりたいと存じます。  それから次は宣伝、PRでございますが、この点につきましてもやはり同じような考え方で業界と御一緒になって進めてまいりたいと考えております。  それから、ブランドを自分のブランドで売りまして、しかも発展途上国がどちらかといいますとやや低級品と称せられるものから追い上げてくるという傾向がございますので、その同じ低級品と称せられる分野でいつまでも競争するということではなしに、高級品の分野に移行をいたすという考え方をとりまして、その移行をできるだけ促進をいたしますために、国内でそういう高級化のための指導助成、これは先ほどからお話のございましたようないろいろな施策をやりますと同時に、相手国の市場におきましてもできるだけ自分のブランドを売り込みまして、そのブランドによるものは一定の高級品であるという品質保証的な措置を国内でも講じますと同時に、相手国の市場では、そういうブランドであればこれは高級品であるから、発展途上国の商品に比べてこちらが少しくらい高くてもよいということで販売が促進されるというようなふうに持っていきたいということで、いわゆる統一ブランド制度というものがございます。これもできるだけそういう制度の対象に乗るものを広げていくという努力をこれからしたいと思っております。     〔主査退席、渡辺(栄)主査代理着席〕  その他、もし非常に問題が起こってまいるというようなことになりましたら、そういうコマーシャルの分野だけでいけないという場合には、いわゆる広い意味での経済外交の分野でお手助けをするということも必要かと思いますが、こういう広い範囲における助成、促進措置というものを総合いたしまして、先生の御指摘のような状態にこたえるようにしてまいりたいと考えておるわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼分科員 終わります。

渡辺栄一自由民主党

○渡辺(栄)主査代理 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 大臣は先般の産公特別委員会の席上で所信の表明がありました。私はその所信の表明を注意深く聞きました。公害規制の強化、公害対策の推進等国民生活の質的充実をさらに推し進めることである、こういうふうに言っておったわけでありまして、その結びとして、今国会に環境庁設置法案が提出されるが、公害問題を含めて環境保全対策の強化がはかられることになる、こういうような意味のこともいろいろ申されたわけでありますけれども、はっきり大臣にお伺いしたい一、二の点があるわけであります。  大臣の言っているこの所信表明の中で、所管の分野において各種の指導、助成、調査、技術開発を強力に推進するほか、企業内部における公害防止体制の整備を促進し、環境庁の果たす機能と相まって公害防止に全力を傾ける考えである、こういうふうに言っているのです。かつてないようないい文句だ、決意だ、私はこういうふうに思って聞いておったわけです。そしてその中で私自身もいろいろ同じようなことを考えながら、通産省関係で公害防止のための企業側の体制整備、この立ちおくれ、こういうようなことを認められまして、昨年の二月の調査では、製造業の従業員三百人以上の大企業二千五百十二社のうち、公害防止のための管理組織を何らかの形で持つ企業はただの四三%にすぎなかった、こういうような報告もあるようでありますけれども、この点等については、いままでは、大臣の言っていることと実際の企業の体制とはあまりにもマッチしないんじゃないか、こういうふうに考えたわけです。今後はこういうような状態ではいけませんし、重大な決意をもって臨まなければならないのは当然であります。まず大臣の決意のほどをもう一回伺って、一、二の点を質問させてもらいます。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 ただいまの点との関連に限って申し上げますと、昨年の二月、そのような調査をいたしました。昨年を通じまして、この問題についての関心が非常に高まっておりますから、現在このような状態であろうとは思いませんが、ただ現状では企業の公害管理体制というものをいわば法的に義務づけるというようなことにはなっておらないわけでございますから、昨年来産業構造審議会の特別の部会でいろいろ研究を願っておりましたが、やはり何かの形で法的に体制を整備する必要があるというふうに考えておりまして、できますれば今国会に所要の法律案を提出させていただこうかと、ただいま整備を急いでおるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 そういたしますと、それは産業構造審議会の産業公害部会がいろいろ指摘されたそのことじゃないか、こう思いますけれども、企業という工場ごと、事業所ごとに、これは公害防止全般についての責任を持たせるような体制にする、いわゆる総括責任者、総括者を置く、こういうような発想と、もう一つはそのもとに実施を担当する技術者を配置する、こういうような二つの構想じゃなかったか、こういうふうに思うわけでありますが、そういうようなことで立法化を急いでいるということですな。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 それらのことを中心に、ただいま立法化の検討をいたしておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 それは、すると産業公害防止管理者等に関する法律案、この法律ですか、別ですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 そのような仮称のもとに、ただいま検討いたしております。それでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 先般の公害国会といわれるいわゆる暮れの国会におきまして、十四の法律案が成立いたしました。その中にいわゆる公害罪法、公害罪処罰法ですか、こういうのがあるわけでありますが、それによると、「おそれ」の文字は取りました。しかしながら、今後やはり責任者を罰するのと同時に、その法人格を持った会社、そういうようなものも罰するようにする両罰規定で臨むのだ、こういうようなことになっているわけであります。そうなりますと、当然それを行なった人、それからその責任者、こういうようなことに相なろうかと思います。いま大臣のほうで、産業公害防止管理者等に関する法律案を早急につくるように準備されておる、こういうようなことを発表がありました。そうなりますと、この技術者といわれる人は、この工場の中の公害のその部分の責任者であるのか、また総括者といわれるのは、その公害の全体に関する責任者であるのか、この辺の関係をつまびらかにさせてもらいたい、こう思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 そこらあたりが実は比較的むずかしい問題があるところだと思いますが、おそらくたとえば工場長、工場の総括的な責任者は、やはりその工場において発生する公害について責任がある、これはそういうふうに考えて相当であろうと思いますし、さらにその下における担当者も当然でございます。  問題は、どう申しますか、本社と申すのでございましょうか、会社の中枢の管理機能がそのことにどのような関係を持つかということになりますと非常にむずかしい問題になってまいりますので、そこらのところは法制局にも法務省にもいろいろ意見もおありでございますから、その辺を実は検討しておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 巷間承りますところによると、立法の趣旨として、いつでもそこに働く下部の労働者がその事犯によって直ちに逮捕され罰を受ける、これではいけないので、その会社が命令し、やらせるのであるから、会社全体の責任としていわゆる法人格も罰せられるのである、こういうようなことがその当時議論され、そのことのためにいろいろ準備もされておると聞いておったわけであります。しかし、いまの大臣の発想によりますと、法によってきめられた技術者、これは担当者であり直罰を受ける人である。それからその上における人は総括者といわれる人である。工場をやるような、法人格の上にいる社長なりまたその上にある会長なんかは依然として何ともない。その両者をここにきめておるのは、責任はこれだということにして、また公害に対する責任を回避するための一つの抜け穴になるのじゃなかろうかという危惧があるのでありますけれども、そういう危惧はございませんか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 たとえば公害についてある法人格全体が責任があると考えられますような場合でも、技術担当の重役、営業担当、機械担当、建設担当、それから経理担当、一体どこにどのような責任の分担を法律上考えるかということになりますと、これは非常にむずかしい問題に発展してしまってほとんど不可能な問題になるのではないかとも考えられるのです。その辺がむずかしいところでございますけれども、この法律をつくります目的、あるいはこの法律をつくることによってこういう事態だけは避けたいと思っておりますのは、下部に責任を固定してしまって、それが責任者でそれ以外は無責任だというようなことにしてしまったのではこのような法律を設ける意味が薄れますから、そうでないような構成をしたいということは一番大切なこととして考えております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 わかりました。ただ、いろいろな点からして今後も準備はされると思いますが、これからは企業そのものも公害と取っ組んで、公害にやり込められる企業じゃもうだめなんだ。公害にぶつかってもこれを乗り越えるようなはっきりしたモラルの上に成り立った企業でないとだめなんだ。これが常識になってきつつあります。またそう私は思っております。いろいろな点から公害処罰法ができました。公害処罰法ができた以上、公害を排出するそのものは社会的な犯罪者というらく印を押されたことになります。いかに「おそれ」を取ってもそういう法律がある以上、それをたれ流ししたり出したりする以上は犯罪行為をやったということになる。したがって、そういうようなことをやらせないためには、いまのようにして技術者というか担当者という者に責任を持たせるということは必要だと思いますが、その会社全体を含めての責任者、こういうものも社会的な制裁はもちろん、法的な制裁も受けるのだ、こういうような気がまえをもって公害の排除のために今後企業を指導してもらわなければならないのじゃないかと私は考えておるのであります。しかし、いまの構想、発想だけによりますと、依然として上部の経営者は何でもない、きめられた人たちがそれぞれによって罰を受けるのだ、こういうように考えられますので、こういうことがないように内容を十分煮詰めた上で万遺憾なきを期してやってもらいたい、こう思います。この点はよろしゅうございましょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 ただいまそこらあたりのところでいろいろ腐心をいたしておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 そういうようなことからしても、産業構造審議会の産業公害部会のいろいろな中間答申をちょっと見てみましても、まず公害防止に対する企業の考え方が変わってきているということは現実に認めておられるようであります。しかし、実際の排出物の処理などの面ではこれまでと何ら変わっていない、こういう指摘があるようであります。そうなりますと、今日のこの深刻な産業公害問題を生んでいるこういうようなものの追及の到達点、これはやはり企業経営者である、すなわち公害防止は企業経営の基本的前提である、こうまで締めくくっておられるようであります。これは今後の一つの対処するための態度になるんじゃないかと思いますけれども、これは企業責任をはっきり持たすべきである、明確にすべきである、こういうようなことの一つのサゼスチョンであろうと思います。今後の産業排出物のこの面でのいろいろな企業責任またはその防止体制、こういうようなものも通産省として十分考えて指導しなければならない状態にあろうかと思います。  次にお伺いいたしたいことは、通産省の昭和四十五年の調査によりますと、四十四年度で五千八百四十七万トンの産業廃棄物が出ている、こういうようなことであります。また大阪に至りましては、二百七十万トンの総廃棄物のうち九三・七%が産業廃棄物である、こういうようなデータ、これは通産省の発表であります。高度経済の成長、巨大設備投資、自由主義の国でGNP世界第二位、この一連の関係において産業廃棄物が膨大なる排出をされている、こういうようなことでなかろうかと思うのでありまして、その処理の問題はこれからの大きい一つのポイントになってくる。もうすでに新しい法律によって一般廃棄物、産業廃棄物、それらの処理の方法等も一応はきまりましたが、きまったからそれでいい、そして企業に対する指導の手を抜いてもよろしいということにはならない、またそういうことがあってはならない、こう思うわけであります。それで、すべてのこういうような排出物自身が資源である、こういうような観点に立って通産省ではいろいろと今後企業に対する指導は当然すべきなんです。このための開発研究というようなことは当然積まれていると思うのであります。これに対しては通産省はどのように努力をされておりましょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 一般にリサイクルといわれている部分で、新しい廃棄物産業というものがそこから発展する可能性も確かにあるわけでございます。いろいろな面で技術的にも検討いたしておりますが、工業技術院の院長から申し上げます。

太田暢人工業技術院長

○太田(暢)政府委員 先ほどの産業廃棄物のうちの特にプラスチックの廃棄物につきましては、工業技術院におきましては、現在、公害資源研究所と機械試験所、東京工業試験所の三つの試験所の共同研究といたしまして、プラスチックの廃棄物の燃焼に関します、特に大型の処理に適します技術の開発、それからその場合のエネルギー源を回収する、あるいは原料ガスとしての回収を行ないます研究も兼ねて行なっております。四十五年度には大体二千六百万円でございまして、今年度は五千二百万円の研究費を投じておりまして、四十八年度には完成いたす予定にしております。  それからプラスチックのもっと根本的なものに戻りまして、プラスチック自身に自然崩壊性を与えますために、崩壊性のプラスチックの開発研究を四十六年度から始めさせていただく予定にしております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 もうすでに通産省が行なっている点もわかりますけれども、そうでない面でも、産業廃棄物そのものを資源にしてそれで事業を進めているような企業もあるんです。どうもこれからこれからということはいつも後手後手ということでおそいのであります。もうすでに、あの鉄鋼の煙を電気集じん器にかけて、その煙のかたまりであるすす、こういうようなものももう一回溶鉱炉に落とすことによってもうすでに素粒化亜鉛になるのだ、こういうようなことで、メッキ材料に使い、ただの煙のかたまりが一トン三万円にもなる、こういう企業に転化しつつあるではありませんか。こういうような点等からして廃棄物だ廃棄物だとこの処理に事欠くより、この方面の開発を全体的に指導するのがいまの通産省の一つの姿勢でなければならないと思うのです。この点でも何か立ちおくれがあるようであります。われわれ自身としてもプラスチックのような自然還元サイクルに乗らないような製品についての製造禁止または加工販売、こういうような点に対しても十分考えろ、こういうようなところまでいっているわけであります。しかしそれも一つの熱源として十分それを、悪いガスを空中に排出しないようにまたこれもくふうして使うならば、これまた有効な資源にもなるわけでありまして、こういう点等において、方々に分かれてただやっているのではなく、もっと一元的なほんとうに効果のあがるような研究開発をしてもらいたい。またしなければならない。通産省において、もうける企業に対する指導と、もう一つこういうような産業廃棄物といわれているようなものを資源にもう一回還元してやる、こういうような一つの大きい構想をここに実現させて、そしてこれが、いかに日本がGNPが世界第一位になっても、一つも公害がないのだ、これこそ世界に誇り得る日本の産業になるわけでございまして、そうならないのは通産省の怠慢である、こう言わざるを得ないのであります。こういう体制をこれから強化していくということを聞きました。これはしていくなというわけにはいきません。大いに現実に間に合わせてがんばりなさい。あまりにも企業のきげんばかりとって振り回されるようなことをしないで、独自の立場から規制してもいいが、こういうようなもののりっぱな成果をあげなさい、こういうふうに言っておきたいわけでありますけれども、そのための特許関係、もしこれができたならば、それを優先的に特許の点は考慮していくような一つの配慮がなされておりましょうか。依然として何年間も下積みになっておる、こういうようなことでは、せっかくいい発想もいい特許申請も地に埋もれてしまうおそれがあるのでありますが、この点、格段の配慮を必要とするのではないかと思います。この点大臣いかがですか。

佐々木学特許庁長官

○佐々木(学)政府委員 公害関連技術につきましては、社会的な影響の大きさから、特許庁におきましても他の技術分野に優先して審査する方向で現在検討を進めております。具体的に申し上げますならば、たとえば一人の審査官が数部門の技術部門を担当いたしております場合に、比較的公害防止関連技術を多く含んでいる技術部門を優先的に審査いたしまして、特許の原則であります先願主義の原則をその部門内において貫きながら、公害関連技術を優先審査していく、こういうやり方を考えております。あるいは特定の部門に審査官の数をふやしていく、そういうふうなやり方で考えておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 その考えはいいと思います。大臣においてもこれを十分行なわせるように十分配慮して、行政上の手落ちのないように指導してやってほしいと思います。そうでないと、あとからあとからと発見されたときにはもうおそかった、こういうようなことであっては困るのであります。この点あわせて要請しておきたいと思います。  それと合わせて産業廃棄物、この定義です。「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚でい、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」、これが一つの定義になっているようであります。私どもこういうようなことからして、いま現に起こりつつあるいろいろな問題も、こういうような一つの原理に当てはめて、企業責任において完全に処理させるようにこれは持っていくべきだ、こう思うわけでありますけれども、最近私のいる北海道でも、一つの事象として、日軽金がその精製過程で排出する膨大なる赤どろ、これをそのまま海上で投棄するということで、漁民との間のトラブルをいま起こしているのであります。いまの場合トン数は少ないが、追って本操業するとばく大な量になる。それがまたちょうど魚道に投げられる。そういうふうなことからして、いろいろ魚類に対する被害ということで反対が猛烈であります。これは北海道の例であります。まして、こういうような企業は本州ではついに設立の機運を見ることができなくて北海道へ行った企業ではないかと思うのであります。北海道でも同じ公害のたれ流し、こういうようなことをしてはとんでもないのでありまして、これはやはり出したものそのものを工場においてなぜはっきり処理しないのですか。昭和電工では、東京ではちゃんと埋め立てに使ったという、そうして一ぱいになってしまったから東京湾に投げて今度は、いまやその処理に困っている、そういうふうなことがあっては困るのです。あくまでもそれは企業責任において処理させる、こういうふうなことを明確にすべきであろう、こういうように思うのですが、この点等についてはいかがでしょうか。

森口八郎通商産業省公害保安局公害部長

○森口政府委員 先生のお話しのように、赤どろにつきましては、アルミニウムを精製いたします過程において発生をいたします。過去においては埋め立て等に使用してまいったわけでございますけれども、埋め立て地もだんだん狭小になっておりまして、現在海中投棄をしておるものが大部分でございます。ただ赤どろを海中に投棄いたしました場合に、魚類にどういうような被害を与えるかというような点については、これは関係方面とよく打ち合わせをして、もし有害でありますれば、有害でないような方法で投棄を指導しなければいけないというように考えておるわけでございます。  なお、前の国会で産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律が成立いたしまして、当然この法律によりまして、そういう投棄物は無害なものにして、しかも海洋汚染防止法で定められた地点あるいは方法で海中投棄をしなければいけないというようにきめられておりますので、当然いま問題になっております日本軽金属の苫小牧工場の場合には、そういう法の規制に従って処理をされるということになるというように思っております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 法の命ずるところによって処理する、この法の命ずるところ、それは地方自治体で公営処理をせい、その場合の費用は企業が出す、こういうようなことであります。やはり処理の権限は地方自治体にある。しかしながらそうしないで、持っていって自分が投げてきたら金を出さぬでもいい、こういうようなことで海上投棄をする、これはやはり安あがりの方法ですから、こういうことは私は十分考えないといけないと思います。すなわちもう投げることばかり能としないで、資源としてこれをいかに活用するかを考えたらいいじゃありませんか。簡単だからといって、もうけるだけもうけて、あとは野となれ山となれで、水を幾らよごしてもいいのだという考え方はもう古い。こういう企業こそつぶさないとだめなんです。そういう指導をやったとすればとんでもないことであります。その点は今後十分意を用いて指導してやってほしいと思います。  次に、やはり公害排出そのものの大きい原因の一つに、大企業もさることながら、中小零細企業の面も多いのであります。そうなりますと、その防除の施設に対しては、現在一番活用されなければならないのは公害防止事業団の融資であります。そういうような面においては隘路がないようにして、これを融資させなければなりません。また十分その成果をあげるようにしてやらなければなりません。現在の場合この点に対しての隘路としていかに考えられるか、まず地方に支店、出張所がないということ、それと同時に、今度は担保は普通の銀行のとおりに設定しなければならないということ、それから借りるまでの間に長年月を要するという点、この三つが隘路じゃないかと思います。これに対して、中小企業中心にどのように考えて公害の防止のために通産省は御努力をなさっておられるか、また考えておられるか、この機会に全国に向かってその発想を明らかにしてやってほしいと思います。

森口八郎通商産業省公害保安局公害部長

○森口政府委員 おっしゃいますとおり、公害防止事業団の融資の方法につきましては、直接公害防止事業団が貸し付けるという方式をとっておりませず、現行の市中金融機関を経由いたしまして代理貸しというような方法で処理をいたしております。この点はおっしゃるような一つの難点もあるわけでございますが、他面、中小企業者という面から見ますと、直接の店舗ということになりますと、中央の事業団が支店を設けましても、全国で四十六とか五十とか、そのぐらい設けるのが関の山でございますが、市中金融機関を活用するということになりますと、それだけ窓口が広がるというような利便もございまして、中小企業者の利便という点から申しますと、直貸しがいいのか代貸しがいいのかという点については、一長一短があろうかというように存じておるわけでございます。  次に、中小企業者が公害防止のためにいろいろ資金を借ります場合に、おっしゃいますとおり担保が直ちに問題になるわけでございます。事業団もやはり一つの金融機関でございますから、金を貸し付けます場合には、中小企業者といえども担保を出していただくということを原則といたしておるわけでございます。ただ、公害防止事業団は、一方では公害防止というような、非常に現在社会的に急がれておりますようなことについていろいろ助成をいたすわけでございます。特に相手方が中小企業者の場合には、こういう点について特に配慮をしなければいかぬというように感じておるわけでございまして、中小企業者等でありまして、しかも公害のためにどうしても施設をつくらなければいかぬ、しかも担保がなかなかないというような場合には、現在の事業団の業務規定等におきましては、でき上がる物件のみを担保物件とするというようなことで差しつかえがないというようにきめられておりまして、こういうような規定を活用いたしまして、中小企業の公害防止施設に対する融資を円滑に行ない得るように配慮してまいりたいというように存じております。  それから、貸し出しまでの時間につきましては、特に昭和四十五年度におきましては、公害意識の高まり等もありまして、非常に事業団に融資申請が殺到いたしまして、中小企業者の方々に多大の迷惑をかけたことになっております。ただ、同事業団も昭和四十六年度からは人員を充足いたしまして、貸し付けの時間等については、極力短縮をするような方針をとることにいたしております。なお、事業団の融資にあたりましては、特に中小企業者の人に対する融資の審査は最優先的に行なうというような方針をきめておりますので、特に中小企業者の方につきましては御迷惑をかけることのないように、私のほうで指導をいたすつもりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いわゆる中小企業の場合には、大企業の場合と違ってなかなかデリケートな問題がたくさんあることは御承知のとおりです。利息の問題については、これまた大企業であるならば、億を超えるような融資である。したがって、これは担保がしっかりしなければならぬし、時間がかかっても差しつかえない。経理士も何人もかかってやっていくということは認められるでしょう。しかし、零細中小企業の場合には、国民金融公庫方式といいますか、担保がなくてもこれをやれるのだ、こういうところまで近づけてやることがほんとうに愛情ある措置だ、こういうようなことが言えるのではないかと思うのであります。しかしこの点についても、中小企業金融公庫の場合には特にそういうような点には配慮されなければならないような状態ですが、この公害防止事業団の融資の場合の担保、この担保の場合についても、これは実際の零細企業や中小企業でも十分これを活用できるように、この点は十分考える必要があろう、こういうように思います。  それと、現在あるものでもだいぶこんでおるという話ですが、なるほどいま申請していま受理されても、これをやるまでに七月までかかる、こういうような状態では何にもならぬじゃありませんか。これは長過ぎる。この点、現実の問題としてこれを解決するようにして、零細中小企業のこの公害防止に対する熱意をそがないように十分配慮して指導してやるようにしてもらいたい。これを強力に要請しておきたいと思います。  いまの利息の点は、これは答弁をもらってやめたいと思うのですが、一回でやめられるように大臣の御答弁を要請いたします。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 これは公害防止の仕事の中で、私は、一番むずかしい部門になっていくだろうということを心配しておるわけでございます。つまり生産拡充施設ではございませんから、そこから利潤が生まれてくるという種類の投資ではないわけでありますので、これは金融機関としてはどっちかといえばやはり非常に貸しにくいということになりやすい。しかしそれでは困るから、公害防止事業団で、先ほどもちょっと申し上げましたが、それ以外に担保がとれないにしても、当該物件そのものでしたら、これは担保に出してもらっても差しつかえないだろうと思いますが、そういうていさいで、これは一種の——ほんとうの事業上の金融というようなことと意味合いが多少違ったものでございますから、運営についても、原資についても、条件についても、もっと改善をしてまいる必要がある、そういうふうにつとめたいと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本分科員 では、これで終わりますけれども、いままでの答弁はかつてないように、公害部長をはじめ皆さんの答弁はよかった。きょうはほめてやりたいと思います。ただ、ことばだけよくてあとやらないということになったら重大ですから、議事録を右手にして十分その成果を確かめるということを宣言して、私の質問を終わります。

渡辺栄一自由民主党

○渡辺(栄)主査代理 堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 本日は、かつて私商工委員会におりましたときにたいへん論議をさしていただきました新日本製鉄ができました以後の問題について、少し通産大臣と公正取引委員会にお伺いをいたしたいと思います。  最初に、通産大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、資本主義体制下における企業、特に製造業というものがあるべき姿というのは一体どういう形が望ましいとお考えですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 たいへん長いことを申し上げることができないといたしますと、資本主義下における製造業は、国民福祉に貢献するような分野においてお互いに自由な競争をしていくことが望ましいかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 私も全くそう考えます。同時に、企業というものは少なくとも資本主義体制下では自己責任を全うして処理をする性格のものであります。自己責任を全うするためには、その企業は自分たちの生産に関しては少なくとも本来はフリーハンドである、こういうふうに考えますけれども、その点はいかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 それが原則だと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 生産がフリーハンドであるということは、少なくともその将来の生産計画を含めてフリーハンドである、こういうことであると思いますし、将来の生産計画を含めてフリーハンドであるということは、当然その企業が自分の企業における設備投資を行なうことについては本来フリーハンドが企業側にあるものだ、こう考えるのでございますが、大臣いかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 その辺からおもしろくなっていくところでありますけれども、原則論として私はそうであろうと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 いま大臣、原則論としてはそうだとおっしゃいましたから、もし例外があるならば、その例外を挙証するだけのいろんな諸条件がなければ、これは例外にならないこう考えるのであります。  そこで今度はひとつ公正取引委員会にお伺いをいたしたいのでありますけれども、独占禁止法第二条に「この法律において私的独占とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法を以てするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」こういうふうに五項に書かれておりまして、その次に「この法律において不当な取引制限とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義を以てするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」こういう項目が実はあるわけです。それからあとにいろいろな禁止規定がずっとあるわけですね。  そこでいま私が読み上げたことの中で、設備制限をある特定の集団が、その集団の中におるものに対して強制的にその設備制限を求めて通謀し、または相はかり協議し結合しすることは、私は現行独禁法に違反しておるじゃないかと思いますが、まず一般論と申しますか、法律論としてお伺いをしたいと思います。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 いまおっしゃった御趣旨でございますが、ある鉄鋼なら鉄鋼の業界団体が設備制限をそのメンバーに強制するということであるかと思いますが、確かに先生先ほどおっしゃいました独占禁止法の第二条の第六項でございますが、不当な取引制限、いわゆるカルテルについての規定でございますが、ここには共同して対価を決定し、あるいは設備投資制限する等、相互にその事業活動を拘束し、云々と、こうありますが、これは団体でもって強制する場合じゃなくて、いわゆる団体性が薄い、つまりカルテル、各事業者がそこで共同してひとつお互いに設備を制限しようじゃないか、そういった場合に、相互拘束によって一定の取引分野の競争が実質的に制限されることになれば、これはいわゆるカルテル、不当な取引制限として違反のおそれがあるわけでありますが、団体がその力でもってメンバーに設備制限をさせるというのは独占禁止法の第八条「事業者団体は、左の各号の一に該当する行為をしてはならない。」その第一号に「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」これに該当するおそれがあるということでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 要するに独占禁止法は事業者たると事業者による団体たるとを問わず、そういう設備制限によって取引制限を行なって、実質的にその競争を制限してはならない、こうなっておりますね。それには法律的な例外がありますか。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 それにつきまして、カルテルについては主として中小企業団体法でありますとか輸出入取引法、そういった独占禁止法の適用除外法によって認められておるカルテルはございます。団体につきましても、たとえば協同組合による価格協定であるとか、そのほか独禁法の第八条の規定をはずしておる法律によってそういうカルテル行為が行なわれる場合は、これは一定の場合に限るわけでありますが、適用は除外するということでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 大臣、いまお聞きのように、もし私がこれから話をすることがいまの独占禁止法第二条または第八条の事業者または事業者団体をとわず、設備制限をして、要するに取引の競争条件を制限するということは独禁法違反である、そしてそれは法律に基づいては、例外規定は、ただいま公取が申されたとおりの範囲しかない、こうなっておるわけでございますね。  そこで私伺いたいのは、ちょっと通産省の事務当局に伺っておきたいのですが、鉄鋼が設備調整をやっておりますね。これはいま私もつまびらかにいたしませんから伺うのですが、これはどういう機関がやっておるのでしょうか。いまの事業者になるのか、事業者団体になるのか、このいずれかの、二つの一つしかありませんからね。これは何かああいう設備調整ということをやって、新聞で見ておりますと、住友金属が鹿島の二号高炉を建てたい、新日鉄の稲山社長は建てるべきでない、こういう議論が出ておるわけですね。ちょっとそのところを通産省でお答えいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 ただいま鉄鋼で行なわれているいわゆる自主調整、これは事業者間の自主調整だと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、第二条に該当するほうだ、こういうことでございますね。  そこでそういう事業者間の自主調整が行なわれておる。自主調整ということばは、私はこう理解するのですね。もしそれをやっておるとすれば、当然独禁法違反になることと思いますが、少なくともある何人かが集まって、お互いにこうしましょうということに話がつくのをたてまえとしているのが私は自主調整だと思うのですね。中のものがいやだというのに、それをおまえはやらせないといって、こういって押え込むというのは、これは日本語で自主整調というのではないような私は気がする、強制調整というのですか、こういう感じがするのですが、大臣、ここはどうでしょうか、自主調整というのはすでにおかしいような気がしますが……。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 このごろ自主調整ということばがよくそういうふうに使われるようでありまして、結局初めはいやだったが、いろいろ話しているうちにそういうことかなというようなのも自主に入るというのではございませんでしょうか。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 いみじくもいま大臣は、自主調整というのは、そういうのも入るとおっしゃるのは、力の強いものが弱いものを押し込めておいて、そして外側に対しては自主だ、これが最近のはやりじゃないかと思っております。こういうことはやらせたくないから、実は新日鉄合併問題に反対してきたのですが、今日その後の経過から見ると、ようやくここで新日鉄ができたという弊害というものが非常に顕著に出ておるのではないかと私は思います。  そこで通産大臣にお伺いいたしますが、今度は経済的な問題でありますが、前段で、競争によって国民の福祉に奉仕することが企業本来の性格だとおっしゃったが、富士、八幡合併後には、それ以前にも、特に鉄鋼業の場合には競争条件が確保されていく必要が私はあると思う、こう考えておりますが、通産大臣はいかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 それにお答えいたします前に、私は、初めいやだ、こう考えていたが、だんだん話しているうちに云々と申しましたという趣旨でございますけれども、それは力の強いものに押えられたということよりは、結局自分の利益のためにどっちがいいだろうかということをいろいろ考えてみると、最後にそうしておいたほうがやはり自分も得かな、こういう人がものを考えますプロセスがあって、そういう場合にも自主といって差しつかえないであろう、こう申し上げたつもりでございます。  後段の問題ですが、私は、前から堀委員が御承知のように、各社の間の競争が非常に激烈でございますから、八幡、富士の合併がありましても、いわゆる管理価格のようなものが生まれることはあるまいと申し上げておりましたし、今日もそのように思っております。競争は依然として激甚であるというふうに考えておりますけれども、確かに他の面で見ますと、上位の二社が一緒になったのでございますから、ばらばらでおるよりは一緒になったほうが発言力はともすれば強くなるであろう、そういう蓋然性というものは確かに考えておかなければならないと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 私が、いまこの設備調整問題に触れておりますのは、一に実はそこにあるわけであります。いま通産大臣も競争条件が確保されておることは必要だとこうお考えのようであります。私もそうなんでありますが、いまの住友金属の鹿島二号高炉の問題というのは、私は単に住友金属だけの問題としてここで取り上げておるのではありません。どうしても鉄鋼業界に必要な競争条件を確保していかなければならない。それを確保するためにはどこに問題があるかというと、現在のように一般的に不況になってまいりまして、各社経理状況が悪いときには——これは通産大臣もよく御承知のことでありますが、鉄鋼業界においては高炉を一本建てたのでは非常に採算がよくない、少なくとも二本建ててようやく一応の企業単位になる。これは私通例だと思うのであります。そうすると、さっき私は前段に申し上げましたように、企業が自主的に自分たちの生産計画をきめ、あるいはそれについての長期の見通しを立てながら、その長期見通しに関係する設備投資をするということは、あげて私は企業の本来みずからきめ得る範囲の問題だと考えておるわけでございます。おまけにこういう情勢の中で、一本しか高炉を建てていないために非常に競争条件が悪くなってきている。それを力の強いものがともかくおまえのところは一本でやめておけ、建てさせないぞというかっこうでやることは、企業にとっての採算状態を非常に悪くしている。その採算条件を非常に悪くすることは、そのことによって競争条件を取り除いていこうということに連なり得るというように、私は論理的に問題を見ておるわけであります。ですから、これは単にいまの状況から見ますと、二本にふやしたからそれの将来の生産状態がどうなるかという問題がもしあるのならば、私はもう一つ粗鋼減産の問題に触れておかなければならない。きょうは時間があと十分くらいしかありませんから、粗鋼減産は次の商工委員会にお願いをすることにして、そこで今度は公正取引委員会に事実関係でお伺いをしますけれども、さっき重工業局長がお答えをしておりますように、企業間においてそういう設備調整を行なっておる。ですから、このことは自主調整という名前を使おうと何を使おうと、私は独禁法第三条に違反をする。設備を制限して、要するに競争条件を保とうというわけですから、そのことは私はやはり独禁法第三条に違反だと思うのですが、公正取引委員会のこれに対する見解を公式にひとつお答えをいただきたいのです。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 いまおっしゃいました設備調整、自主調整でございますが、自主調整がはたしてこれはほんとうに話し合いによってみんなでこうしょうという明白な合意によって行なわれる、その結果競争が実質的に制限されるということになれば、これは独禁法違反のおそれがございます。ただ競争が自主的に制限される状態ができたかどうかというところの認定が非常にむずかしいとは思います。およそ自主的制限という事態が起これば、話し合いによってそういう事態が起これば、これは第三条違反、つまり不当な取引制限違反というふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、いまのあなたのお話では、設備調整をもし全員一致できめたらば、設備はふえませんね。よろしいですか。——設備がふえないということは、生産力がふえないということですね。生産力がふえないということは、設備の調整によってやろうとあるいは話し合いによって生産制限をやろうと、私は結果として同じ行為になる、パターンは違いますよ。実質的な生産制限になる、時間は先にいくか、現在の問題か、この差しかない、こう思いますけれども、その点どうでしょうか。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 おっしゃるとおりだと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そこでいまの問題は二つあるわけですね。そうやってカルテルの力によって生産制限をやろう、一つはこうやっておる。それからもしこういう機関を認めておけば常にそういうことが起こるという蓋然性があると私は思うのです。そういう機関がなければそんなことありませんよ。そういう自主調整のための機関が設けられて、そしてそこへ各社長が出てきていろいろと議論をして、何年度には高炉を何本建ててこうしてこうして、こうしよう。通産省が計画を立ててそして指示をするというのなら、これは例外になるでしょう。しかし、いまのところは、通産省はこれに対しては介入していないでしょうね。どうですか。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 これは設備の調整のやり方といいますか方式でございますが、四十一年に産業構造審議会から答申を受けまして、そしてそれに基づいてほぼ行なわれております。その答申の骨子は、産業構造審議会でまず将来の需給の見通しをある程度立てる。その将来の需給見通しについて各社間で適当な高炉についての調整を行なう、こういったようなたてまえになっております。これがうまくいかない場合には通産省が行政指導する、こういうのが一つの産構審のきめられたルールであります。現在行なわれておりますいわゆる各社間の話し合い、こういったものは、このルールから見ますと、四十七、八年度に高炉ができるわけでありますが、いま建設するといたしますと、四十七、八年度にでき上がって生産にかかるわけでございますが、その以前の段階で一応業界それぞれの将来の見通しにおいても意見の違いがあります。そういったことをもとにして、まず事前に業界の意見の調整をしているという段階だと了解をしていただきたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、意見の交換をしておるのなら何もここに拘束力がないということですか。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 少なくとも強制力はないということです。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、いまかりに住友金属が——新日鉄の稲山社長はつくるべきでない、まあつくらないというような表現を盛んにしておるが、住友金属は当然やる。これは資本主義社会ですから法律に抵触するわけがない。鹿島の二号高炉を建てる、ちゃんと着工しても別にそれに対しては強制力は働かない、拘束力は働かないと、こう見てよろしいわけですか。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 それはおっしゃるとおりです。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そうすると、あれはいろいろなことを各社の社長が適当に言っておるだけであって、要するに問題はそうたいしたことはないんだ、法律的あるいは行政的に見れば。やりたければやったらいい。通産省はその場合については、特にここまで介入して、ともかくおまえのところは二号高炉を建てては相ならぬなんということを言う意思はない、通産大臣、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 いま局長が申し上げたのはそういうことではなかったのだと存じます。これはもう御承知のことでございますけれども、昔、昭和四十一年ごろに公正取引委員会と通産省との間に覚え書きがございますし、産業構造審議会でも、どうしても話がまとまらないときは、通産大臣は産業構造審議会の意見も聞いて裁定をしろというようなことになっておるようでございますから、まあ伝家の宝刀というものはおそらくあるのでございましょう。が、じょうずな剣術つかいならなるべく抜かずに済ませたほうがいいということではなかろうかと思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 そこで、さっき重工業局長のほうで、四十七、八年の需給見通しの話が出ましたけれども、ちょっとこれについて私は聞いておきたいのですが、通産大臣、私、最近の経済情勢を世界的に見て、おりまして、アメリカに対して鉄をたくさん輸出をするということは今後相当困難である。自主調整をさらにいろいろと求められておるという現状を見ますと、それじゃ欧州にどんどん鉄が出るかといえば、これもやはり限界にある。国内的にどうかといえば、国内的にはまあまあ見通しが一つ立ちますけれども、今後一つ大きな政治上の課題であるし、同時に経済問題の課題であるのは、中国を含む共産圏との間に原材料を含めての貿易を拡大していくということ、この点私は日本の成長を維持していくということがきわめて困難な情勢が世界的な問題としてある、こう考えておるわけであります。そしてこの中で住友及び川崎製鉄は、御承知のように周四原則に賛成をして、要するに台湾、韓国との取引を停止をして中国とひとつやりましょう、こうなっているわけですね。ブレーキをかけておる側は、新日鉄は周四条件お断わり、韓国、台湾とやります、中国は除外をします、こういう考え方に立っておるわけですね。私はやはり日本の成長を今後も——いまのようなむちゃな成長は困りますけれども、モデレートな成長という点では私宮澤さんとあまり意見は変わらないのです。そういう意味では成長論者ですが、成長することなくして日本の将来の発展はないということになれば、これまでの考え方、要するに資本主義圏だけで日本が今後成長を維持できるかどうかは、資源的に見ても、さらに市場の問題から見ても問題がある、私はこう考えておるわけです。そうなれば、たとえば昭和五十年の鉄鋼需給見通しにしても、現在皆さんのほうで考えられておるのは中国市場なり、そういう社会主義圏の市場についてのファクターは入ってないんじゃないですか。どうでしょうか。

赤澤璋一通商産業省重工業局長

○赤澤政府委員 いまの五十年の見通しでは一億五千万トン程度ということでございまして、一応の輸出の数量は頭に描いておりますが、市場別にどうということまではまだ確定をいたしておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 常識としていまの政府の方向からいえば、私は中国貿易の比重を、そこに大きくウエートを見ていると思いません。私は、そういうものが開かれれば当然プラスアルファが出てくる、こう思います。結局問題は、ワクの中に小さく追い込めておいて問題を考えるのか、やはりある程度のプレッシャー、ちょうど池田さんのとってこられた要するに一種の強圧経済といいますか、こういう形の中で問題を発展させるかという発想の問題にも連なると思うのですね。やはりある程度のプレッシャーがあれば、そこで必然的に市場の拡大をする。市場の拡大は武力にたよったり帝国主義的なやり方は困りますけれども、少なくとも相互間の理解と共同の利益をもたらすために行なわれることなら大いにやるべきだと思うのですね。最近拝見しておると、自民党もだんだんと少し弾力的になりつつある。宮澤さんは本来だいぶ弾力的なほうだろうと私は見ておるのです。  そこで、時間がありませんからいまのこの問題に返りますけれども、そういうような見通しを含めて考えていくならば、現在の情勢についてある一つの企業が、一つの外からの圧力によって企業条件が非常に悪い条件に長く置かれて、競争条件が低下することをその大きな企業の側の新日鉄が求めておるという理解を——これは思い過ごしかもしれませんが、そういうことになって競争条件が落ちることは、四十一年の産構審の当時の答申と違うわけでございまして、これは新日鉄という新たなものができた後におけるそういう設備調整の問題というのは、新たな角度から検討し直してもらわなければいかぬと思います。公正取引委員会では四十一年の覚え書きを交換しておるそうです。今日までその覚え書きがそのままでいいと思いますか。その点は一回まず白紙に返して、新しい条件下における新しい設備調整のあり方という問題については、公取委員会としても新たな角度でひとつ検討を進めて、方針をきめてもらいたいと思いますがどうでしょうか。

吉田文剛公正取引委員会事務局長

○吉田(文)政府委員 四十一年でございますか、通産省との間に、これは事務局長と通産次官の間で覚え書きを交換しておりますが、その内容は、要するに私が先ほどから申し上げておりますように、投資調整、設備調整というものを話し合いによってきめた場合、その結果どこか一定の分野の競争が自主的に制限されることになれば、これは当然独禁法上の問題である。ただあの覚え書きの趣旨は、投資調整というものはその効果が生産調整のように直ちに競争的制限という事態につながるというふうには——これはいろいろ場合がございまして、そこのところの実質判断が必要なわけでございますから、そういう意味で覚え書きの内容は、独占禁止法適用の判断基準として、一定の取引分野における競争の自主的制限ということを、ことばをかえて表現したものであって、競争の自主制限が起こればいかなる場合でも独禁法違反のおそれが出てくるということでございます。投資調整の話し合いが直ちに競争自主制限になるか、これは実態をよく見た上で結論を出すべきだと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 ちょっとそこは議論のあるところなんですが、要するに独占禁止法は、今日ただいまのことだけを求めておるのかというと、私はそうじゃないと思いますよ。独占禁止法というものはある一定のタームを切って見ないと、きょうこの時点だけ、何秒の問題ということではないと思うのです。それじゃ何日か、そうはならぬと思うのです。何カ月か、そういうことじゃなくて、やはり常識的に考えてみて、競争制限を起こしてはならぬぞ、不当な取引制限を本来やってはならぬぞ。そうなるならば、ここできめることが二年先に起こるか三年先に起こるかは別にして、きめた時点の問題はイコール三年先を予想して、実際にはそこで取引制限が起こるようにやっておるのではないですか。いま通産大臣と原則論をやったわけです。競争が自由に行なわれておる限り、設備投資は自由であるのが本来の原則である。例外は何かという場合に、異常な過剰生産を起こすという問題が起これば別ですよ。しかしこれはさっき私が申し上げたように、今後の政治的な条件、経済的な条件というものは、少なくとも昭和四十六年の時点に立って五十年の時期を想定する、こういうことですから、先は確かに動き得る条件はもちろんありますよ。動き得る条件はありますが、それにしても一定のそこの基準をきめておいて、ここでものをきめようという発想になっておるわけですから、これはやはり制限になると私は思うのです。その点、きょうは時間がありませんから、またゆっくりこの問題の法律的見解については論議はいたしますが、本日の結論として私通産大臣にお願いをしておきたいことは、特に新日鉄ができた今日の状態において、いま競争条件を確保しておるのはまさに住友、川鉄しかないんですね。日本鋼管はどちらかといえばやや中立的といいますか、この二つの問題の間にはやや中立的な感触をわれわれは持っておりまして、競争条件の緩和について一番問題なのはこの住友、川鉄の三社の問題だと私は理解しているわけです。この住友、川鉄の二社が競争条件を失うような可能性のあるいろいろな問題、特にこの場合には二本建てていた。私は三本目を建てるというならば実はここまで言わないのです。一本しか建てていないというのは鹿島製鉄、鹿島製鉄所というのは、こういう情勢の中で経理条件が急激に悪くなることはわかっておるわけです。急激に悪くなることに対して、住友金属の競争力をもし下げようとするということになるならば——そういうことを考えておるかどうか知りませんけれども、結果として起こっておることです。それは私が前段で申し上げておる新しい独占体のようなものができておるのです。競争条件を確保するためには、少なくとも二本目を建てさせられるのが常識ではないかと考えておるわけです。さっきの重工業局長の御発言もありましたが、要するに通産大臣、この問題については少なくとも通産省は中立的立場で処理をしてもらいたい、こう考えるのですが、いかがでありましょうか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○宮澤国務大臣 こういうことではないかと思って見ておるのでございますけれども、確かに片肺というものは、住友金属にとっては鹿島の場合なかなかつらい。それはそうでしょう。そうでしょうが、しかしいまこういう時期に、ことに昨年は四千立方メーター、年産にしますと四百万トンでございますから、ぽこっとそういうものがこの際できてくればお互いに困りませんか、あなたもお困りになりますでしょうと、そういうようなお話のやりとりがあっておるのだと思いますので、何も新日鉄が困るからというだけのお話ではないんだろうと私は思います。これはなるほど両方に言い分もあり理屈もあることではなかろうかと思っております。片っ方で新日鉄ができたという事実がありますが、他方で内容積が非常に大きくなったということが事実としてございますから、その辺のところも両方考え合わせていかなければならない。当面のお話はまあおとなのお集まりでございますから、何か結論を出されるのであろう、しばらく静観をしてみたいと思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀分科員 いまの大臣のお話で、住友の側にもやめておいたほうがいいのではないかという判断の働く余地があるのではないか、こういうふうに思ったのですけれども、住友側は、いや私のほうはそうは思いません、こうなればこれは話し合いになる可能性はないと見ておるのです。私の見る限りでは話し合いになる可能性はない。そうするとさっきの重工業局長のお話のように、ここは本来強制的な団体ではないようでありますから、当然私はものごとの推移としては、鹿島の二号を建てますという話を住友金属としてはやるだろうと思うのです。そのときに、通産省がそれをやめるべきだということになったら、これは非常に重要な問題だと思うのです。実はさっきの、伝家の宝刀を抜かないほうがいい、私も抜かないほうがいいと思うのです。だから、私が申し上げておるのは、確かにそういう意味で、いまの四千トン高炉が建つことは、かなり生産力が拡大することは間違いありません。しかし、生産力が拡大してくる場合に、それをやはり私はさっき申し上げたような国の政策の中で、新たな市場を開拓しながら問題を処理する道も残されておるのではないだろうか、そういう問題も含めて、私は、非常に全体の問題になりますけれども、通産省として、ひとつ問題の角度をもっと広げてもらって、あまり小さなワクの中の争いの中に入ってもらいたくない、こういうことを申し上げておるわけでございます。これの法律的な公正取引委員会との関係については、また商工委員会において、新日本製鉄のその後のトレースの問題とあわせて論議させていただきますが、本日はここまでで終わらせていただきます。

渡辺栄一自由民主党

○渡辺(栄)主査代理 これにて昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中通商産業省所管に対する質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、農林省所管、通商産業省所管及び労働省所管に関する質疑は全部終了いたしました。      ————◇—————

渡辺栄一自由民主党

○渡辺(栄)主査代理 この際おはかりいたします。  昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中農林省所管、通商産業省所管及び労働省所管に関する本分科会の討論採決につきましては、先例により、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺栄一自由民主党

○渡辺(栄)主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段なる御協力によりまして、本分科会の議事を無事に終了することができました。ここに深く感謝いたします。  これにて散会いたします。     午後一時五十三分散会

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