予算委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/02/10
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会に入ります。 この際、御出席の公述人各位にごあいさつを申し上げます。本日は御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。御承知のとおり、国及び政府関係機関の予算は国政の根幹をなす最重要議案でありまして、当委員会といたしましても慎重審議を続けておるわけでありまするが、この機会に、各界の学識経験豊かな各位の有益な御意見を拝聴いたしまして、今後の予算審議の上において貴重な参考といたしたいと存ずる次第であります。何とぞ各位におかれましては、昭和四十六年度総予算に対しまして、それぞれ御専門の立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと思う次第であります。 次に、御意見を承る順序といたしましては、まず林公述人、続いて磯村公述人の順序で、約三十分程度ずつ一通りの御意見をお述べいただき、その後、公述人各位に対して委員から質疑を願うことにいたしたいと思います。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長に許可を求められること、また、公述人は委員に対しては質疑をすることができないことになっております。この点あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。 なお、委員各位に申し上げますが、公述人各位に対し御質疑のある方は、あらかじめ委員長にお申し出くださるようお願い申し上げます。 それでは、林公述人から御意見を承りたいと存じます。林公述人。
○林公述人 林でございます。現在の日本の財政のあり方に関心を寄せる市民の一人といたしまして、四十六年度予算を中心に、以下三つほどの問題について申し述べて、御審議の参考に供したいと存じます。 三つと申しますのは、一つは一般的な財政の民主主義的な運営についてであります。二つ目は四十六年度の税制改正、特に所得税の改正についてであります。三つ目は財政投融資についてであります。では、以下順に申し上げます。 ごく一般的に申しまして、最初の財政の民主主義的運営と申しますのは、言うまでもなく財政なり予算なりが民主主義のルールに従って十分国民の意思が反映されるようにつくられているかどうかということでありますが、この点につきまして、日ごろ感じておりますことが幾つかございますので申し上げます。 たとえば、これは昨日もたいへん話題になったようでありますが、ここ十数年来、国会で政府が提出された予算案に、結果において手が加えられなかったじゃないかというようなことがきのう話題になっておりましたが、これは、一つには政府に対する批判勢力である野党の力量が及ばなかったということでもありましょうが、しかし、与党も含めまして、立法府が行政府を統制、制約するという意味で予算審議を行ないますのがおそらく財政民主主義のたてまえでありましょうから、そうしますと、国民の一人としてはやはり少しもの足りないという感じを日ごろ持たざるを得ないわけであります。これが第一点であります。 それから、財政の民主的な運営に関する第二の点は、これは税制でありますが、たとえば医療保険の診療報酬に関するやり方だとか、あるいは利子、配当分離課税というような問題、あるいは交際費の損金不算入というような、いわばいろんな理由はございましょうが、ともかくごく限られた人々の税だけを軽くするというような内容を持っておる租税特別措置がなかなか整理廃止されない。これは税のことですが、逆に経費の側からいいまして、新聞紙上等で報ぜられますように、いわゆる圧力団体というような力の強いところが比較的予算をとりやすいというようなことが私ども新聞など拝見してわりと感じるわけでありますが、国民全体の意見がうまくまんべんなく予算に反映するという点に関しまして、やはり多少問題が残っているのではないかという感じを持ちます。 〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 しかし、これらは運用でかなり是正していただけるわけでありますけれども、政財の民主的な運営という見地から一番問題だと考えますのは、国会議員の定数配置がアンバランスになったままであるということであります。これはこまかい数字はわかりませんが、よく俗にいわれますように、東京都民の一票はたとえば鳥取県の三分の一にしか当たらないじゃないかというふうなことがよくいわれるわけでありますが、こういうアンバランスが問題ではないか。これは経済の高度成長に伴って生じた急激な人口の都市集中あるいは都市周辺への集中、それにもかかわらず議員の配置がそれに応じて修正されてこなかった。その意味で政治の体制が経済におくれをとった、こういうことだと思いますが、これがかなり長いことそういう状態が続いているわけでありますが、これが放置されるということは、単に財政の民主主義的な運用のみならず、広く日本における民主主義体制そのものに対する国民の素朴な、しかし根元的な信頼を傷つけるものというふうに私には思われます。政府、国会のイニシアチブによってすみやかにこれの是正を進めていただきたいということを強く申し上げたいわけであります。 なお、財政の民主的な運営に関しまして、財政投融資との関連で申し上げたいことがございますが、これは最後に財政投融資を申し述べる際にいたします。 以上、財政の民主的な運営に関する私の日ごろの感想を三つ申し上げましたが、次に四十六年度の税制改正にかかわる問題を取り上げたいと存じます。 今回の税制改正では、例の自動車重量税が最も話題となったようでありますし、これについてはかなり各方面で論ぜられておりますので、きょうは私はこれは省略いたしまして、あまり論ぜられていない、あるいはほとんど論ぜられていないけれども、私としては重要じゃないかと思っております問題が一つ二つございますので、それについて申し上げます。 第一は、今回の所得税の減税に関してであります。今回の所得税減税は、税率引き下げは御承知のとおりございませんで、もっぱら各種の控除を引き上げるという形で行なわれております。すなわち、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などをそれぞれ一万円ずつ引き上げる。それから給与所得者の定額控除を三万円引き上げるというようなことが今度の減税の中心をなしております。これにつきまして政府関係では、基礎控除や配偶者控除、扶養控除を引き上げるというのは、中小所得者の所得税負担の軽減をはかるためである、また給与所得控除については、給与所得者のうちで最近若年労働者の被課税者がふえておる、それの減税をはかる、あるいは給与所得者の中の中小所得者の負担を軽減する、こういうことがねらいであるというふうに説明なさっておられます。私は、現在いろいろな条件を考えて、こうした減税のねらいというのは妥当だと存じます。ただ、そのねらいが、今度の改正で十分生かされているかどうかという点に多少疑問を感じておりますので、その点を次に申し上げます。 どの点が疑問かと申しますと、たとえば基礎控除、配偶者控除を一万円ずつ引き上げたというその一万円についてであります。現在基礎控除、配偶者控除十八万円でありますからこれが十九万円になるという案であります。したがって十八万円を十九万円に一万円引き上げますから、その引き上げ率は五・五六%になります。なお四十五年度、今年度の場合には、前年度、四十四年度の十七万円をやはり一万円引き上げて十八万円にいたしました。これは引き上げ率を計算しますと五・八八%に当たります。 ところで、基礎控除とかあるいは配偶者控除とかあるいは扶養控除というようなものが何ゆえ所得税制度の中にはめ込まれているかと申しますと、それは国民の最低生活費の部分には国家は税金をかけない、最低生活を保障するんだ、こういう趣旨からだろうと思います。そうなりますと、わずか十九万円で国民がいま最低生活ができるかどうかという疑問がすぐ生じますけれども、ここで申し上げたいのはそのことではございません。一応たてまえに基づきましてこの十九万円なり十八万円なりで私どもが一年間生活できるというふうに仮定してもよろしいのですが、いずれにせよこれは、十八万円なり十九万円なりは国民の最低生活に充てられるというたてまえでありますから、それは一番基礎的な消費財の購入のために支出されるということが予定されていると考えていいと思います。 ところで、四十五年度の予算が編成された際に政府が立てました消費者物価の見通しというのは、四十四年度に比べて四・八%上昇するという見通しでありましたが、実績ではこれをかなり大幅に上回りまして、四十五年度末までの段階では七・七%上昇したというふうに発表されております。したがいまして、事四十五年の基礎控除、配偶者控除に関する限りで申しますならば、五・八八%基礎控除、配偶者控除が引き上げられて、一方でその基礎控除、配偶者控除がそれに充てられるだろうと予想されている消費財が七・七%上昇したということになりますと、実質においてそれは、控除が引き上げられたのではなくて引き下げられたことにならないかどうか、こういう感じがいたします。しかもこの場合、消費者物価の上昇七・七%と申しますのは、かなり多数の、つまり単なる最低生活をカバーするだけではなくて、もっと多数の消費財の上昇率を集めて、そうして結果において集計して計算した数字でありますから、その中でもとりわけ基礎的な最低生活に最も深くかかわる品物の騰貴率は、この七・七%よりもはるかに高いというふうに考えられます。たとえば、これは新聞で報ぜられて皆さま御承知のとおり、野菜などは年間に三三%上がっておる。くだものは二二%上がっておる。生鮮魚介類は二 一%上がっておるというような上がり方ですね。個別商品を一、二例をあげますと、たとえばタマネギはひどいのですが、一三三%上がった。大根は六九%上がった。胃腸薬は、これはまあ管理価格の関係があるかもしれませんが、四三%上がった。あるいはワイシャツは一六%等々、例をあげれば切りがございませんが、こういうぐあいであります。したがいまして、四十五年度、今年度控除が名目的に五・八八%引き上げられた、それと比べるべき実質の数字は、全体の平均の七・七%上昇ではなくて、おそらくそれをもっとはるかに上回る、つまり基礎的物資の上昇率が高いですから、七・七%をかなり上回るという数字を対比する、そこに名目と実質の食い違いを見るということになるのではないかと思われます。 いま申しました例はすべて四十五年度にかかわることでありますが、四十六年度についてはどうなりますでしょうか。政府の見通しでは消費者物価の上昇率は五・五%とされておりまして、もしそのとおりになりますと、これは十八万円を一万円引き上げて十九万円が五・五五%でありますからちょうどとんとん、実質がどうやら四十六年度は四十五年度の水準が維持できるということになりますが、どうも大かたの見通しでは、五・五%に物価をとどめるというのは相当困難じゃないかということが普通の見通しのように思われます。そうなりますと、今度もまた、割合はともかくとして、どうも実質的に引き上げにならないということが続くんじゃないか、こういうことでありますと、政府がせっかく中小所得者の負担軽減を目ざして控除を引き上げるということが台なしになってまうのではないかという感じが、どうもぬぐいがたくなってくるわけであります。これはある意味では基礎控除、配偶者控除というものの考え方が、現在ではだんだん変わってきておるんだということがあるかもしれませんが、従来のたてまえからいいますと、どうもそういう感じが強いわけでございます。 なお、二月の一日に大蔵省がこの委員会にお出しになった資料によりますと、四十六年度の物価上昇率を五・五%とした場合には、四十六年度の所得税減税は一千六百六十六億円予想されておりますが、そのうちの七百四十億円というのが、まあ物価上昇によって吸収されてしまうが、差し引きすれば、しかし九百二十六億円は残るんだから、これは実質減税に当たるというふうに説明されたというふうに、私は新聞で拝見いたしました。私がいただきました資料にはこの資料は入っておりませんでしたので、現物を確かめてございませんが、新聞がそのように報じておりました。確かにそういう計算は一つの計算方法として参考になりますけれども、しかし四十六年度の所得税減税の千六百六十六億の中には、給与所得者だけにかかわる給与所得減税分が七百五十二億円ございますし、それから新しく設ける青色事業主特別経費準備金というのが九十五億円予想されておりますから、したがってそういった国民全部にわたる基礎控除、配偶者控除とは多少性質の違う減税分を一緒に込みにして、そうして実質減税はかなりあるというふうな算出には、計算の手続として一応はそういう計算はむろん意味がありますけれども、それだけですと、最初に私の申しましたような点が完全に見えなくなって、どうも問題じゃないかという感じを私は持っております。政府は今度の予算で、経費の側面から物価抑制のためにいろいろな手を打っておられるということは読み取れますが、しかしその効果ということになりますと、これはどうも財政だけではなかなか手が打ち切れない面もありまして、容易なことでは効果はあがらないのじゃないかという感じがいたしますが、せめて税のほうでは基礎的な基礎控除、配偶者控除、扶養控除というようなものは、物価上昇には追いつくようなカバーのしかたができないものかというのが、減税について申し上げたい第一点であります。 次に、今度の税制改正について申し上げたい第二の問題は、租税特別措置の処理についてであります。 こまかいことは一切省きますが、要するに今度の租税特別措置の処理のしかたと申しますのは、一方である程度租税特別措置を整理する、そしてそこで、したがってある程度財源が浮いてまいりますが、これをそっくりそのまま新しい特別措置あるいは従来の特別措置の拡充のほうに使って、両者相殺するというようなやり方でありまして、これはちょっと見ておりますと、何か特別措置による減免税の与えられたワクがあって、既得権としてワクがあって、何かそのワクの中身を多少入れかえるというふうに見えるのであります。この特別措置についてはむろんいろいろな評価がございますが、私もこの特別措置がすべてよくないというふうには必ずしも考えませんが、しかし特別措置の内容に関して申しますならば、これは高度成長の中で経済成長をあらゆる政策に優先させるという考え方が、税制に一番はっきり出ておる部分だというふうに考えまして、それはある時期にはそういうことが重要な意味があったと思いますが、もうそろそろこの租税特別措置というものについては抜本的な整理、廃止の方向で力を注いでいただきたいというふうに私は感じております。税制調査会なんかでは、かなり抽象的でありますけれども、租税特別措置の効果についてちゃんとテストして、時期がきたらなるべく廃止の方向で、整理の方向でという主張をよくされますが、どうもなかなかそれが現実化してこないように私は感じて、もどかしく思っております。これが税制についての第二点であります。 税制について申し上げたい第三点は、今回の改正で全く触れられておりませんが、法人税についてであります。 戦後のわが国では、法人税率はかつて四二%だったという時期がございます。これが一番高い時期です。これが高度成長過程でどんどん引き下げられてまいりまして、三五%まで下がってきまして、昨年これがちょっと戻されて三六・七五%、これは大企業の場合ですが、になりました。日本ではこの法人の負担する税金と申しますと、法人税のほかに事業税とか住民税がございますから、法人税だけでは議論できませんが、事業税、住民税も考慮して実効税率をとってこれを諸外国と比較してみましても、日本の場合には、主要な先進資本主義諸国では最も軽いほうに属しておると思います。こまかい数字は省略させていただきます。 かつては、日本自身でも四二%というような時期があったわけであります。四十六年度は御承知のとおり景気が多少落ち込んでおりますから、法人税に手をつける、あるいはましてそれを引き上げるというのは非常に不適当な時期でありますけれども、日本の税全体を考えますと、私はある時期を見てもう少し高いほうに戻すということをお考え願いたいと存じます。これはこの高度成長の過程で民間設備投資が非常に伸びたのに政府の行なう社会資本の投資がなかなか追いつかなくて、そのギャップが生じて物価なりあるいは公害なりというような問題が生じておるわけですが、そのギャップを多少とも埋めるという意味からいいましても、法人税のほうをある程度上げて財源をつくって、これで政府の社会資本を充実させるという、そういうような資源の配分のしかたが、やはりこれから国民生活を第一に考える予算をつくろうということであれば、望ましいのではないかという印象を持っております。ただし法人税につきましては、これは法が予定しておりますように、法人あるいは株主が必ずしも十分負担しないで、これは法人企業がつくる商品の価格に含められて、かなり購入者に転嫁されておるのではないかという疑いが強いわけでありますが、これは調査が非常にむずかしゅうございますので、大蔵省なり税調なり、こういう大きな組織のあるところでぜひ実態をちゃんと調査して、もしそういうことであれば、これはまたそれで違った考え方を立てなければなりませんので、ここいら辺はぜひ大きな調査能力のあるところで手をつけてほしいというふうに感じております。 以上、税制につきまして三つほど申し上げました。 最後に財政投融資について申し述べたいと存じます。 四十六年度の財政投融資計画は、前年度に対する伸び率が一九・五七%、制度変更がございますから、制度変更を考慮しますと一九・九%という、ほぼ二〇%ぐらいも伸びたということで、近年にない高い伸びであります。しかもこのところ大体毎年一般会計の伸びよりも財投の伸びは多少いつも低目だったのですが、ことしは、四十六年度はそれが逆転いたしまして、財投のほうが大きく伸びておるのであります。かなり四十六年度予算で財投が積極的に膨張されたということは明らかであります。これは一般会計予算あるいは政府関係機関の予算あるいは特別会計予算というもの以上に、景気てこ入れについて重い役割りを期待されておるということであると思いますが、とりわけ四十六年度の場合には、景気の動向いかんによっては当初の予算で定めた公庫、公団の政府保証債、あるいは政府保証の借り入れ、及び非政府保証債についてもある程度そうらしいですが、当初定めた限度の五割増しの範囲で増発が可能だといういわゆる弾力条項を適用いたしまして、いわば予算外運用によって景気を調整するというレギュレーターの機能を期待することが予定されているわけで、これが非常に特徴的であります。おそらく四十六年度のいわゆる中立機動型のその機動性のほうは、かなりこの財投に期待が寄せられておるという感じがいたします。ここには財政投融資というものの持っておる便利さと、その便利さのゆえに持っておる一種の危険性のようなものがあるように私には感じられます。すなわち景気に対して機動的に機敏に対応しよう、そして政策的にそれをならそうというふうに対応しようといたしますと、どうしても国会、議会の議決を必要としない財投を利用するほうがいわば便利でありますし、おそらく効果も早いだろうと思われます。つまり、何といっても立法府にかけてそれからいろいろ判断を待ってということになれば、当然時間が必要でありますから、そうしますと景気のほうはどんどん変わりますから、やはり機敏に対応しようという点を非常に強調いたしますと、財投を利用するのがたいへん便利だということはもう明らかでありましょう。今度の場合にはある程度はそれがまさに使われようとしておるわけですが、しかしそうやって、いわば国会の手が直接には届かないところで政府の機能が強まっていくということは、結果においてそれがいい結果を生もうが、場合によっては悪い結果を生もうが、その結果のよしあしを一応別にして、やはり財政を民主的に統制する、財政民主主義という側からものを考えますと、やはりかなりそこには財政民主主義の一種の空洞化が広がっていくのじゃないかというおそれがあるわけであります。一般に、一般会計は国会でかなりきびしくチェックする、財投はチェックしなくてもいいというのは、それは一般会計のほうは何といっても強制的に徴収した税金がもとでありますから、ある意味ではあたりまえのことで、それに対して郵便貯金あるいはいろいろな各保険の掛け金というような、いわば金融的に政府に集まってくるお金を運用して元利をちゃんと返すというものは、一般会計がそうであるのと同じように、国会が統制しなければならぬとはむろん思われませんが、しかし、いまのように、ただ参考資料として出てくればいいというわけにもいかぬのじゃないかという感じがどうもいたします。特に現在では、一般会計とかあるいは財投あるいは一般会計と政府関係機関特別会計というものの間には、実質上かなり相互補完的な、あるいは代替的な関係がありまして、あちらでできなければこちらという、そういうふうな使い方が相当程度実質上はやられておるんじゃないかと思います。私自身がその点ははっきりわかりませんが、もしそういうことがある程度事実だ、つまり一般会計でも道をつけ、財投でも道をつける、一般会計でも家を建て、財投でも家を建てるということですと、一般会計のほうを大いに国会で厳重にチェックされても、財投と込みで見ませんと、政府の政策全体はつかまれない。むろん国会が財投を無視しているとはさらさら思いませんが、つまり形式的、手続的にやはり片っ方は議決を必要とし片っ方はしないということになれば、そこにおのずから相当の差が生じますが、その差にはそれなりの意味があると思いますが、しかしもう少し、一般会計と同じでないにしても、国会が立ち入って判断をするようなルートが、形式的にも制度的にも開かれたほうが、国の政策全体を国民にわからせる、私どもからいえば国会を通じてわからしていただくわけですが、そういう意味からいっても望ましいのじゃないか。むろん具体的にどうするかということはいろいろむずかしいことがございますけれども、原則的なことを、私ども机の上で考えた上で申せばそういう感じがいたします。財投のそのもののこまかい内容につきましては、もう時間もございませんので一切省略さしていただきます。 以上、財政の民主的な運用について、それから四十六年度の税制の改正について、それから財政投融資について、日ごろ考えておりますこと、あるいは今度の新しい予算を拝見して感じましたことを申し述べまして、御審議の参考に供したいと存じます。 以上です。(拍手)
○坪川委員長代理 ありがとうございました。 次に磯村公述人にお願いいたします。磯村公述人。
○磯村公述人 磯村でございます。 国民の一人といたしまして、このような機会を与えていただきましたことをお礼を申し上げます。 考えを申し上げまする前に、一つのエピソードを申し上げることをお許しをいただきたいと思うのですが、私、ちょうど二年前のこの二月十日に、全く同じような立場でワシントンの国会の席におりましたわけでございます。下院の特別委員会から要請がございまして、アメリカのアジア政策について外国人の意見を聞きたいというので招きを受けまして、ワシントンの国会に出ましたわけでございます。そのときは私と、ヨーロッパから二人の学者でございますが、二人の学者がやはりアジアの政策についてということでございます。予算の審議の参考にということでございますが、私は日本の国会がそういう面でどういう方法をおとりかよく存じませんでございますけれども、アメリカの国会が外国人の意見を聞くというような一つの方向を持っているということも一つの御参考になるのではないか、こういうわけでございまして、三日間にわたりまして日本のアジアの政策、特に経済の繁栄と都市化、日本が非常に都市化しているその問題につきましての私の意見というのを、三日にわたりまして意見を聞かれたわけでございます。こういうふうに外国人が日本人の意見あるいはもう一つ申し上げまするのは、日本人ばかりではございませんで、外国人が日本の予算について関心を持っているという例をもう一つ申し上げます。 それは、この一月に日本地域開発センターというのが主催をしたのですが、アメリカの学者八人と日本の学者八人でホノノルルで非公式の太平洋の政策についての会談がございました。アメリカからはエドウィン・ライシャワーを中心にしました知日派の学者、日本からは茅誠司氏、われわれを加えまして七人が参りまして、やはり三日間にわたりまして討議をしたのでございます。そのとき出ました問題が、日本の今度の予算の中におきまして、これは特にライシャワーを中心にその指摘がございましたのですが、いかにも日本の教育文化に対しての関心というものが少しまだ低いのではないか。日本の七〇年代の開発というのは経済、地域というものに次いで人間開発という面が非常に重要だと思うのだけれども、おまえたちはどう思うというので、私どもの意見を聞かれたわけでございます。 こういったような二つの例は、外国がすでに日本の予算の作成に関心を持っているということと考えまして、何らかの御参考になればしあわせだと思うわけでございます。 そういう意味で私がきょう申し上げますのは、私は比較的自分が直接大学というものにおります関係からいたしまして、いささか具体的と思うかもしれませんけれども、まず第一に今回の予算につきまして、全体的に、一体過去二年間にわたりまして日本列島を吹き荒れました大学というものの紛争を、予算のどういう面にどれだけ反映しているかということは、われわれ大学関係者としては非常な関心でございます。何も私は大学の予算を直接ふやせというようなことを申しているわけではございません。大学紛争というものは決して大学のキャンパス内だけの問題ではございませんで、それが日本の社会に浸透し、それが政治に反映するというところに大学紛争の七一年、二年にわたる段階があると私は思うわけでございますが、それがどのように理解されるかということに私の関心があるわけでございます。 それは何かと申しますると、当面的に申しますれば、大学紛争にはいろいろの問題がございます。私どもは学究といたしまして一番反省しなければならないのは、一体われわれが学究としましてどれだけの内容とどれだけの熱意を持って若い世代に対応しているかということにつきましては、これは私ども自体がまず国民の代表の皆さまの前に率直に私は批判を受けたいと思いますし、また自己批判をしたいと思うわけでございます。フランスのパリのソルボンヌの校舎の中におきまして、大学の教授よ、あなた方の講義は古くなったのではないかという、そういうポスターが出ておりましたことは、そのままわれわれ日本の大学の中にこれは率直に受けとめなければならないと思うわけでございます。しかし、その反面におきまして考えますることは、現在の日本の大学にこれほど大きな差別が存在しているということを、もう少し国会の皆さま方が御理解を願いたいことでございます。 すでに周知のことと思うわけでございますけれども、国公立の大学と私立との間におきまして、あえて授業料とか入学金とかという問題は別といたしますが、そこの設備の点におきまして、また、そこで講義をいたしまする教授たちの負担という意味からいたしましたならば、全く比較にならない状態にあるのが私立の大学と、あるいは私立の教育と、それから国立、公立の間ではないかと、こういうふうに思うわけでございます。もうすでに、数字等のことは避けたいと思うわけでございますけれども、現に国民の大学、高等教育を受けたいという七七%の者は、私立というそういう組織が受け持っているわけでございます。それに対しまして、国民の八〇%に近い者の教養を受けとめながら、その現状というものが全く比較にならない差別の状態にある。設備の低下、講義の内容というものの不十分であるということは、それがたまたま大学のキャンパスから外に出ましての大衆運動にまで発展するという、そういう根源になっているということは、これは考えていただかなければならない問題ではないかと思うわけでございます。 したがいまして、この政府がつくられました新全国総合開発計画なんかを拝見いたしますると、高負担高福祉という、たいへんけっこうなそういうスローガンが出ております。しかし、少なくとも文教政策に関しましては、私立大学におきましては高負担低授業であるというような、まことに国の政策には沿わない現状というものが依然として続いているわけでございます。国会の皆さま方の御助力によりまして、あるいは私立大学に対する助成というものが若干ふえたということは、これは考えられるわけでございますけれども、一面においては経済の負担、一方においては学生の抵抗という中におきまして、一体これから大学の経営とかあるいは大学の授業といったようなものが、どれだけの安心と熱意をもって国民全体の期待にこたえるかということになりますると、ほんとうに心の冷たくなるものを感ずるわけでございまして、こういう点につきましてぜひ皆さま方の御一考をわずらわしたいと思うわけでございまするが、私は、大学のそういう現状というものがすでに大学以外に波及している、こういうことを申し上げたいわけでございます。 それは何であるかと申しますると、最近におきまするあらゆる社会のいわゆる民主主義に対しまする疑問というものがこの大学紛争の中から出ていきまして、それが大衆の中に若干定着しようとする、そういう傾向でございます。それは一体何であるかと申しますると、御案内のごとく、大学の問題の中におきましてはいわゆる大衆団交というようなことばがございまして、われわれが非常につらい立場の中におきまして学生との対話をしなければならなかったのでございまするが、こういったような大衆団交の形式というものは、これはおよそ民主主義の、いわゆる代表的制度を背景にした民主主義としては、これは全く異なる方式でございます。一体その方式がなぜ大学でとられたか、こういうことになりますると、それは一つは、学生のリーダーたちの一つの資格という問題もございますけれども、そういうものをわれわれ教授たちがはたして真剣に受けとめているかどうか、そういう問題の中にあったように私は思うわけでございます。したがいまして、大衆団交というものを単なる多数の圧力をもって権力に対抗するという、そういうものだけとは理解をいたしませんで、私は、そこに多数とそれから責任者との間における意思の疎通というものに、もっと努力をしなかった結果が大衆団交の形式を生みつつあるのではないか。これが地方議会というようなものに随所にあらわれまして、すなわち今日、議会制民主主義のいわゆる多数の人の意見を聞く形としての請願、陳情、あるいはこれの対応しまする監査といったような、そういうシステムに対する国民の不信でございます。 こういったような問題が、私は必ずしも、現在の議会制民主主義に対しまして直ちにこれがどういう影響があるかということは申しません。しかし、陳情、請願あるいは監査といったようなそういう制度というものの運営がややもすれば形骸化しつつあるところに、そこにいわゆる住民参加という別の方式が一つ生まれようとしている。この実情に国会の皆さま方の御関心がいただければ、われわれとしては非常なしあわせだと思うわけでございます。 一方におきましてもう一つの理論というのは、たとえばシビルミニマム、こういうことを申しますけれども、すでにシビルミニマムというようなことでございましても住民は納得するわけにはいかなくなりつつございます。これがある一つの地方自治団体の基準であるというような、そういうきめ方がシビルミニマムでございましたならば、これは住民はそれに納得はいたしません。シビルミニマムというものは単なるつくられたる一つの基準でございまして、その基準がはたしてある地域社会にどれだけの妥当性があるかどうかという、その努力が伴わない限り、シビルミニマムそれ自体がすでに形骸化している。そういうものが具体的にあらわれておりまする東京都内におきましてすでにシビルミニマムに批判が出ているということは、これなんかもやはり大学紛争といったものがすでに国民の生活の中にはね返っている、こういう現状ではないか。したがいまして、私は、そういう点からまいりまするといわゆる地方自治とかあるいはそういう形の中におきまする議会制のあり方について、これは予算そのものを決定する非常に大きな面でございますから、あえて私は皆さまの良識に訴えておきたい、こういうふうに思うわけでございます。 二、三具体的な面に触れますると、一つは、私としましては衣食足って礼節を知るとは申しませんでございまするが、いわゆる国民にとって、やはりどこに住居をかまえるかということくらい重要なものはないと思うわけでございます。そういう点で住宅政策というものが今回の予算の中におきましてもかなり大きなシェアを占めておりますけれども、問題は、対住宅政策というものが公営住宅に助成をし、住宅公団によって団地住宅がつくられるということでもってもし終わるとしたならば、これは国民にとっては決して国民の期待に沿うものとは思わないわけでございます。 最近公明党が調べられましたアパートの調査というものを見ましたが、その場合におきまして最も注目すべき問題は、公営住宅とかあるいは公団住宅に入居できないアパート住まいの人々が、その住居をかまえまする場合において契約条件が実に過酷である、おそらくこれほど過酷な条件はないんじゃないか、こういうことを示していることでございます。それは特に関東と関西におきましては非常に違うのでございまして、関東が非常にきびしい。関東の場合におきましては、少なくとも五つの条件を果たさなければアパートには入居できない。五つの条件とは、敷金、保証金、権利金、礼金、それから手数料。五つの料金を払わなければならないということは、これは団地とかあるいは公団住宅に入る人たちに比べましては全く比較にならない負担でございます。この負担というものには、二カ月の間飲まず食わずをしなければたえられないのが現状ではないかと思うのでございまするが、この点に対して政治の手というものは全く伸びていない、こういうことを御指摘を申し上げたいわけでございます。関西の場合におきましては、いわゆるこの五つの契約条件というものは二つでございますけれども、非常に合理的でございまして、保証金は六カ月から十二カ月、それから敷金は五カ月、こういったような数字が出ております。つまり、関西のほうはそういう量でもって考えまして、東京、関東のほうはいわゆるいろんな質でもって国民の負担を求めている、こういう状態でございます。これはあまりにも国民の福祉というものが、公団なりあるいは公営住宅に入っている者と一般との間における過度の格差ではないか、こういうことでございまして、何らかの、こういう措置に対しましての一つの政治というものが私はあってよろしいんじゃないか。 その一つの例としまして、これはアメリカで知ってまいったのでございますけれども、アメリカの場合におきましては、いわゆる国の公債または郵便貯金というようなものを、一定の期間、一定の額を持っている場合におきましては、それが住宅、アパートに入りまするときの保証金にかわる、こういう制度を持っております。国の予算を拝見いたしますると郵便貯金は一兆円をこえる、こういうことでございますけれども、この一兆円というものは主として最も零細ないわばアパート族の預金である、こう考えてもよろしいわけでございます。こういうものが、郵便貯金のある程度の額とそれから期間があれば、それを示せば保証金が免除されるぐらいの政策というものが、私はあってもいいんじゃないかということをこの調査の結果感じたわけでございます。こういったようなことは、いわゆる住宅というものは、あなたはどこに住んでいるかと言われたときに、その住居に対してはっきりした発言ができる、そういうところに国民生活の安定というものがあると思うわけでございます。保証金あるいは権利金なり敷金に追われる、そういう形の中に多数の若い世代を置くということは、決して国民生活の安定にはつながらないものではないかということを申し上げておきたいわけでございます。 第三番目には、近く環境庁というものがつくられることでございます。昨年の臨時国会における十四の法案の成立、これに伴いまして環境庁ができる。国民としてはまさに好ましい方向に向かっていると思うわけでございますけれども、しかし、そういう環境庁ができるということと、それからその環境庁というものは必ずしも十四の法律というものを実施する官庁だけではない、そう理解したいわけでございます。それはなぜそうなのかと申しますると、率直に申しまして、今日の経済の繁栄、それに伴いまする環境のいわゆる変化といったようなものにつきましては、これまで何年かとられましたところの国の政策がやはり原因しているということをいわざるを得ないわけでございます。 緑と水とそれから太陽と、こういうスローガンでいわれました新産業都市建設の理想も、今日におきましてはそれが公害の基地になっているわけでございます。したがいまして、当初の新産業都市建設促進法とか工業整備特別地区の設定、こういう政策は、すでに十年近い今日におきまして十分反省の時期にきているんじゃないか。こういうことを考えてまいりますると、今度の環境庁の設置というものは、そこに企画調整局というものもございますけれども、はたしてそこの機能がこういったような過去の政策のデメリットというものを反省するようなことが一体できるのかどうか、これを国民としてはぜひ聞きたいところでございます。 すなわち、私どもといたしましては、この環境庁それ自体は、おそらく経済企画庁等はこれはある意味においては対立する、あるいはむしろ新しく従来の政策についてのある程度の修正をするような、そういう官庁であるということを期待したいわけでございますけれども、はたして新全国総合開発計画といったようなもの、これはどう見ましても経済優先の政策でございます。それが、生活優先というスローガンのもとに出てまいりまする環境庁が、どれだけこれを調整して国民のわれわれに示していただくかということの中に、私どものいわゆる新しい官庁への期待があると思うわけでございまするが、はたして一体そういうことがどのように予算の段階におきまして、あるいは今後の運営の段階におきましてなるかということにつきましては、必ずしも十分にわれわれには知らされていないということでございます。これなんかは、おそらく国民としましては最も聞きたいことではないか、こういうわけでございまするが、アメリカのニクソン大統領は、いわゆる環境保護庁の設定に伴いまして、四回にわたって教書を出してその具体的な内容というものを示しておるわけでございます。私は、環境庁の設定というものが単なる官庁の設定というものとは考えません。どういう働きとどういう結果というものになるんだということと、それに伴いまする予算のついた説明というものを十分に、この予算審議のプロセスの中におきまして国民の前に明らかにさせていただくということは、私は、これは政府の責任ではないか、こう思うわけでございます。 次に、一、二加えるのでございますが、もう一つは、三年前に国会の皆さま方全員の御賛成によりまして成立いたしましたのは、明治百年ということばがございましたが、明治百年の国会のプロセスにおきまして私が最も評価いたしましたものは、同和対策事業基本法という法律の成立でございます。明治の初めに身分解放令というものができまして身分というものの格差がなくなったんでございますけれども、その後百年、依然としてわれわれが、いわゆる同和という地区の問題につきましてこれを考えなければならないというのは、日本の国民にとりまして非常な不幸ではないか、こう思うわけでございまするが、幸いに同和対策事業基本法というものが国会で成立をしております。問題は、この国会の御審議の中におきまして十年間で一応の同和問題の解決をはかる、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、この同和問題というものはすでにスタートをいたしまして二年、あと八年のプロセスの中におきまして、同和問題というものがこの日本の社会の中においてどれだけの解決ができるかということは、同和対策事業基本法というものを審議されました、それを支持され、その実行を誓約されました国会並びに政府としては非常に大きな責任があると私は思うのでございます。総理府が中心になりましてこの関係の予算というものを相当おまとめになっておりますけれども、私どもの目からいたしましたならば、とうてい十年でもって同和問題に対する一応のめどをつけるということも全くできないような状態ではないか、こういうふうに思うわけでございまして、これは現在昭和元禄とかそういうことをいわれまする段階におきましての日本の最も恥ずべき問題ではないかということでございます。しかし、私は、あえて恥ずべき問題であるというこの問題の発想自体がすでに変わりまして、かつては寝た子をさますなという問題が、問題は寝た子をさましてこの問題に対応するというのが現在の段階だということになりましたならば、この問題に対する予算のつけ方につきましては、私はもう少し御配慮があってしかるべきじゃないかということを国民の一人として思うわけでございます。 最後に、やはり現在国民の関心の焦点は、何と申しましても、私は沖繩の祖国復帰という問題があると思うわけでございます。私は来週茅誠司氏と一緒に沖繩へ参りまして、琉球大学というものが国立になりまする場合において、 〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕 われわれが、いわゆる全く独自な学者の立場から、どれだけこれに援助できるかという話し合いに沖繩に参るわけでございますけれども、再三沖繩に参っておりまして感じておりますることは、沖繩というものが、二十五年のいわゆる異民族による支配の中におきまして、非常に大きな意識的な変化を遂げている、こういうことでございます。それは、私が身をもって感じましたことは、数年前に参りましたときには、沖繩にございまする、本島にありまする、いわゆる本州の各都道府県の慰霊碑といったようなものに対しましては、本島のいわゆる沖繩の県民の方々もある程度の敬意というものを払っておりましたのですが、最近沖繩に参りまして私どもが感じますることは、どうして本土の県の人たちの慰霊碑だけがああいう形で並ぶのだろうというそういう一つの考えでございました。すなわち現在の沖繩の住民の方々の中におきましては、二十五年にわたりまするいわゆる異民族の支配というものに対して、もう少し日本国民全体が贖罪的な考えというものが出てきていいんじゃないかということが私どもの身に伝わってまいるわけでございます。すなわち慰霊碑というものは本土から来た人たちの観光の一つの対象になっておりますけれども、すでにそれは観光というものとしてあれを見ることができない。逆を申しましたならば、二十五年間にわたる異民族の支配に対するいわゆる日本のわれわれの無関心の象徴であるというものとさえこれは考えられることを考えますると、私は沖繩復帰に対しまして、やはり考えをもう少し直すべきじゃないか、こういうことでございます。 その点でさらに具体的に申しましたならば、沖繩というのは二十五年間、一つの国のような形でもって、アメリカ、日本というこの中で介在してまいりました。行政府があり、立法府があり、そういう形でございましたので、したがいまして、日本の歴史の中におきまして、これだけ長い間その国土というものが他民族によって支配されたという地域はないのではないか、私はそう思うわけでございます。したがいまして、ある沖繩の指導者たちは、私にこういうことを申しました。沖繩が復帰すれば鹿児島県の次に沖繩県になるんだ、それはやむを得ないかもしれぬけれども、それははたしてそれでいいのか、こういうことでございます。それは何も沖繩の特権というものを主張するということには私は考えませんですけれども、それでは明治の初めにどうして東京、京都、大阪というものが府という名前で他の県とこれを差別したか、こういうことでございます。あえてこれは差別でございましたのですが、それは今日の場合におきましても、東京は東京都となりましたけれども、京都府、大阪府というものがございます。国土の首都を京都から東京に移し、大阪に首都が移るといったような、そういう状況の中を調整するためのあるいは配慮であったかもしれませんですけれども、それでは、二十五年間の異民族の支配というものをわれわれがもう少し意識するために、あるいは復帰にあたってここに沖繩府といったような名称を使うことも一つあり得るのじゃないか。おそらくこういうことを申しましたならば、若い世代の方々は、それは欺瞞であるとかあるいはどうであるということはあるかもしれませんですけれども、多数の沖繩の住民の方々は、少なくともそこを何らかの形で、そういう形を整えることによって、予算なりあるいは行政なりの従来の二十五年間のそのハンディを若干取り戻すといったような姿勢を示す一つのよすがとしては考えてもいいんじゃないか、こういうことでございます。 以上のようなことが私の申し上げることで、総括的に申し上げましたならば、七一年というものは、確かに総理は社会開発への、人間開発への一つのプロセスである、こうおっしゃったと思うわけでございますけれども、今回の予算の中におきまして人間開発というものを考えてまいりますると、教育のレベルと教員のレベルというものを上げるということと、それから身分の格差というものをなくすということと、異民族の支配に対する配慮といったようなことをすることは、いずれもこれは人間開発につながる至上命令ではないか、こういうことを考えまして、まことに不遜のことばがあったと思うわけでございますけれども、率直に一国民としての衷情を訴えまして皆さんの御参考に供したわけでございます。ありがとうございました。(拍手)
○中野委員長 これより両公述人に対する質疑に入ります。足立篤郎君。
○足立委員 林公述人に二、三の点について、ごく簡単に御意見を拝聴させていただきたいと思います。 林さんはいま公述の冒頭に、選挙区の定数のアンバランスの問題についてまず根本問題として触れられましたが、それに関連いたしまして、選挙区制度についてどうしたら一番いいというふうにふだんからお考えになっていらっしゃるか、ちょっと参考にお聞かせいただきたいと思います。
○林公述人 まことに申しわけありませんが、私、選挙の制度そのものについてほとんどちゃんとした勉強をいたしておりませんので、具体的に現在の選挙制度がこうで、それの欠陥がこうで、ここをこう直せばこうだというふうにちゃんとお答えできませんので、まことに申しわけございません。ただ国民の一人としてアンバランスを是正するようにという希望を強く持っておるだけで、積極的に何か案を示せというふうにおっしゃられますと、私は全く不勉強で恥じ入るばかりでございますが、いまのところこれという提案を持って発言をいたしたわけではございませんので、希望を申し述べたことだというふうに御了承願ってお許し願いたいと存じます。申しわけございません。
○足立委員 民主政治の先進国といわれる英米におきましては、健全なる民主政治の発達のためには一人一区の小選挙区が理想である、これは政党対政党で政策で争われるということで、もう百年の経験を経てこれが固定をいたしております。実は私は自民党でございますが、正直に申し上げると自民党の中にもいろいろ意見がございまして、小選挙区制度あるいは一人一区の小選挙区制度必ずしも是なりとする意見ばかりではございませんが、政府なり自民党がそういうことをいいますと、野党の諸君は、何といいますか、自民党が党勢拡張のためにそういうことを言うのだというふうにすぐ批判をされるわけですが、林さんの先ほどの御意見も、結局俗にいえば、死に票をなくしたい、こういう意味だと思うのです。一人一区の小選挙区の一番の弊害は、一人だけが当選をして、それにほとんど近い票を取った反対党の票は全部死んでしまう、これを補うために比例代表制を加味しよう——まあドイツあたりではやっておるようでありますが、そういうふうな意見もあるようであります。また参議院におきましては政党化が進んでしまいまして、二院制度の意義はほとんどないじゃないか、したがって参議院議員の選出方法にまでさかのぼって根本的に検討しないと、ただ衆議院の延長だけで、同じようなことをやっているのでは全く意味がないという意見もあります。なおまた現在の全国区制それから地方区制、特に全国区制については、あまりにも選挙区が広いために、いわゆるタレント候補のような者は、えだんテレビ等で顔を売っていれば楽に当選ができるが、そうでないと、役人か何かの上がりで大きな組織の上に乗っかる、あるいは労働組合等の組織に乗っかる、あるいは宗教団体の組織に乗っかる、そういう者だけしか出られないじゃないか、それがひいて参議院らしい、いわゆる政治のチェックをする役目が果たせるかというような問題があるのですね。こういう問題、先生いま選挙区制度については不勉強だからと逃げられましたが、冒頭の御発言、私も全く同感でございますので、一国民として、特に学識経験者のお一人として、そういう点に触れられてもふだんからお考えがあると思いますので、もしお漏らしいただければ幸いだと思います。
○林公述人 どうも申しわけありませんが、謙遜ではなくて、事実なものですからこれ以上申し上げられないのですが、おっしゃられたとおり、私は、要するに死に票が最も少なくなる制度が最もいい制度だと考えております。それについて、現在の制度からどういうふうにしてそこに持っていくかということについては、私は先ほど申したとおり、具体的なプランなり案なりがあるわけでございませんで、希望を申し述べるということにとどまりますので、どうぞ御了解願いたいと思います。
○足立委員 それでは、物価の問題に触れられましたが、最近の物価上昇の根本原因といいますか、一口でおっしゃっていただくのは非常にむずかしいと思いますが、何が一番大きな要因であるというふうにお考えですか。これも参考にひとつお聞かせいただきたいと思います。
○林公述人 これもおっしゃるとおり非常にむずかしい問題だと思います。ただ、今度政府が発表された数字の中では、四十五年度の間の消費者物価の騰貴の中で、寄与率が一番大きいのは食料品あるいは、主として野菜、生鮮食料品でありまして、これはいわば低生産性部門のものということになります。一つはそういう低生産性部門が第一。それからあとは、これは実態がいろいろめんどうでありますが、例の管理価格の問題。それから、海外からいわゆるインフレーションを輸入されると申しますが、そういう問題。おそらくどこか一つにポイントがあって、そこをたたけば物価が何とかなるというものではないのじゃないかというふうに感じております。したがって、物価上昇の真因は何かということになりますと、これは一言ではちょっと尽くし切れないということがございまして、あれもこれも、できる限りあちらこちら考えられるものをつぶしていかないと、物価はなかなか安定しないという感じを持っております。 直接お答えになるかどうかわかりませんが…。
○足立委員 もちろん物価対策は総合的な手を打たなければならぬということは、これは常識だと思いますが、最近議論されている問題の中に、所得政策ということがいわれております。最近の経済の指標等を見ましても、毎年のべーアップが物価のあとを追っかけている間は、物価を突き上げるそれほど大きな力にはならないと思いますが、昨今のように、生産性の向上をはるかに上回るような率でベースアップが毎年繰り返されますと、これが勢い物価についての重圧になってくる。いま先生もおっしゃったような生産性の向上のメリットが考えられない中小企業、それから原始産業等におきましては、この労賃の値上がりを克服するためにはどうしても製品の値上げに期待せざるを得ない、こういう悪循環が相当激しく起こっているといわれているわけであります。このために所得政策というものを考えなければ物価の抑制はとても困難であろうというふうにいわれておりますが、先生は専門のお立場から、この点についてはどんなふうにお考えでございますか。
○林公述人 いまの日本で、労賃が非常に上がって、それが物価を押し上げているということにつきましては、これはいろいろな考え方がございますけれども、私はちゃんと専門的にそれを勉強したことはございませんけれども、幾つかの理由かちどうもそうは言えないんじゃないか。むしろ労賃がやっぱり追っかけておるというほうが強いように感じております。つまり日本の労働力市場の状態から考えましても、現在フルエンプロイメントになっているというわけではございませんし、かなり高いところと低いところと格差がありまして、低いところは、低生産性部門が主として低い。高生産性部門といいますか、組織化された部門に属する労働者の賃金がかなり高いというふうに格差がございまして、この格差の問題は、つまり高生産性部門の労働力がある程度高い賃金を支払われて、それが高い価格に直接響いているかどうかということは、私よくわかりませんが、労働力市場の逼迫の度合いが所得政策を導入しなければどうにもならぬほど、また全体としては逼迫していない。低い部分がまだかなりあって、そういう状態のもとでは、労賃が全体として物価を上げる力は少なくともそんなに強くはないんじゃないか、こういう印象を持っております。しかしながら、私は物価問題を正面からちゃんと分析したことがございませんので、日ごろ持っておる印象はそういうことだということを申し上げて、御参考に供したいと思います。
○足立委員 私もこの問題で議論をしようと思っておりませんから…。 次に税の問題について先生触れられましたが、租税特別措置法につきましては、私ども与党の立場で税制改正に取り組む場合の態度といたしましては、公共性の非常に強い企業に対してこれを育成するための特別措置、あるいは国際競争力を強めるための特別措置、特に弱小企業等についての助成策、こういう点に重点を置いておるつもりでございます。かつてはいわゆる高度経済成長オンリーの特別措置もあったと思いますが、最近はそういう点だんだん整理をして、しかも国際競争力についてもガット等の制約もございますので、遠慮をしながら何とか負けないようにということで税制措置をとっておるつもりでございますので、いま先生がおっしゃった、全面的に否定するわけではないが、特別措置のおもなる部分といいますか、これがどうも高度経済成長を押し上げる役目を果たしておるのは自分は反対であるという御意見がありましたが、私はどうもその点は根本的な考え方が違っております。これはいまここで議論をするつもりはございませんが、税について先生のお考えを伺いたいと思うのは、最近いろいろ新聞等にも出ておりますが、日本は直接税重点主義である、アメリカに次いで直接税に重きを置いておる。今度の税制改正でも、実は逆に直接税のほうがウエートが重くなってきている、皮肉な現象でございますが。まあ直接税の中でも法人税は別として、所得税については特に苛斂誅求を受けているという感じが多いわけですね。被害意識が強いわけです。しかも所得を正確に把握するということはほとんど不可能でございまして、クロヨンということばが出てくるのもその辺に由来するわけでございます。この所得税をなるべく軽くしてそうした国民の被害意識というものを少なくしていって、国民生活全般の向上に資するということは、政策としてまことに喜ぶべきことであるし、そういう方向に向かうべきだと私ども思って、極力努力はしておるつもりでございますが、しかしやはり財源をまかなう必要がございますので、そうなると間接税というものを考えなければならぬ。ところがこの間接税も行き過ぎるとやはり大衆課税になるという問題がすぐございますので、いまヨーロッパでやられている付加価値税ですね。いま自民党の中でもいろいろ研究されておりますが、これも一般的にいうとまたいろいろな弊害も伴ってまいりますが、この問題について根本的にどういうふうにお考えですか。やはり間接税にだんだん重点を移していくべきだというふうにお考えですか。またそうであるとすれば、やはり付加価値税のようなものを考えざるを得ないというふうにお考えですか。ちょっとお考えをお聞かせ願いたいと思うのですが…。
○林公述人 これもかなりむずかしい問題でありますが、私は非常に遠い将来の議論ならば、付加価値税というような一般的な消費税が採用されるということは必ずしも反対でありませんが、現在の税制が根本的——根本的というのは言い過ぎならば、持っておる明らかな欠陥が是正されることがまず第一で、そしてなおかつ高福祉を進めるというためにどうしても財源が足りないということになりましたならば、いまおっしゃられたとおりで、大衆課税にひどくなるところをある程度手直ししたような形の税制を導入するということは必要だと存じます。ただしかし、繰り返して申しますが、いまおっしゃったとおりで、クロヨンをはじめとしてそういう所得が正確に把握されない、あるいは私の意見では特別措置のかなりの部分を私はやめるべきだと思っておりますが、そういうものがやめられ、そして先ほど申しましたように物価調整ぐらいはちゃんと基礎控除、配偶者控除がやられるというふうに、いまあります最も中心的な税である所得税についての欠陥が十分埋められて、修正されて、それから法人税につきましては、先ほども申しましたようなことがある程度は導入されて、その上で高福祉のためには高負担だということが国民に広くコンセンサスとして成立するという事態が参りますならば、私は一般的な消費税あるいは付加価値税というものが導入されることは大いに考えられてしかるべきだと考えております。
○中野委員長 足立君に申し上げますが、質疑者がたくさんあるので、簡潔にひとつ……。
○足立委員 すぐ終わります。なるべく簡単に伺っているつもりです。 先生のおっしゃるとおりだと私も思っておりますが、付加価値税をいますぐ導入することは、さっき申し上げたように大衆課税になるおそれが非常に強いものですから、これはよほど注意しなければならぬと思いますが、これで日本国民全般の生活程度がどんどん上がっていき、所得もふえ、いま五人世帯だと百万以上まで非課税になっておりますが、これが核家族になってきていますから、四人で八十何万というところまできておりますが、これがかりにまあ二百万ぐらいまでいくあるいはもっと欲をかいて三百万ぐらいまでいく。一般の所得がぐっと上がってくれば、その所得税を相当思い切って減税するのと振りかわりに、大衆課税はもう承知の上で付加価値税のようなもので広く取るというような行き方、間接税に重点を置くというような行き方、そういう時期がくるんじゃないかというふうに考えますが、その辺の感触はいかがですか。これで終わります。
○林公述人 私はそういう時期がくれば非常にいいと思いますが、さあ、といって、くるだろうともこないだろうともちょっと申しかねますけれども、国民の水準が非常に高くなって、ある程度生活必需品は付加価値税、一般取引税からはずした上でやるということであれば、そういう仮定が実現するならば私はけっこうだと思いますが、これはしかし、ごく一般的な話でありますから…。
○足立委員 ありがとうございました。
○中野委員長 田中武夫君。
○田中(武)委員 林先生に二点ばかりお伺いいたしたいと思います。 その第一は先ほどの租税特別措置法の関係でございますが、これは租税の公平の原則からいっても、あるいは反面このことは国庫債務負担行為ともいえるのではないかというような点から私は先生と同意見であります。 そこで、財政投融資につきましては、先生も御指摘のようでありましたが、法律的に何ら基礎を持たず、きわめて便宜的な運用をせられております。そこで先日私は、私の質問で、これは財政議会主義あるいは財政民主主義に反する。したがって一般会計と財投、財投の中でも金利の要るものと要らないもの、すなわち産投と資金運用部資金等との間に区分けをした一つの基準を設けるべきである。どういうものが一般会計にいくべきであり、どういうものを産投で、あとはどういうものを資金運用部資金に回すのか、こういうことでけじめをつけた基準を提出するように大蔵省へ私は要望しておきました。そこでひとつ先生に承りたいのですが、そういうような一つの基準を設けるとするならばどういうものがいいだろうかという点が一点でございます。 さらにもう一点は、国際的に低金利政策がとられております。先日も議論になりましたが、大蔵大臣は否定をいたしておりますけれども、円価の切り上げが現実の日程にのぼってきておると思うのであります。他面日本の財政は膨張いたしておりまして、この財政の弾力的な運営がむずかしくなってきておると思うのであります。そこで金融あるいは財政政策との関連で財政運用をどのようにしたらいいか、そのかじのとり方はどうあるべきか、こういう点につきましてお伺いをいたします。
○林公述人 いずれもたいへんむずかしい、ある意味で深刻な問題でありますが、あとのほうから申しますと、おそらくこういうことだろうと思います。現状は、国際的に金利が下がってくる。またアメリカでは最近かなりまた下がり始めているようですが、下がる。そうしますと、日本の国内の金利も国内の景気のいかんにかかわらず、それにある程度追随しませんと、たとえば最近輸出入金融はそれぞれドルシフトが相当生じておりまして、これが直接大いにショックになるかどうかわかりませんが、そうでなくとも外貨が累積しているところで、日本の金利と海外金利にある程度差ができてドルシフトが生じて、こちらにますます外貨がたまるということになりますと、一そうこれは円切り上げへの圧力が海外から強まってくるわけで、これを避けようといたしますと、どうしても金利を海外並みに下げていかなくちゃならない。ちょうどいま、現時点では何となく景気が沈んでおりますから、金利を下げることがたいして問題じゃございませんで、むしろちょうど国外と国内、うまく金利を下げていい時期に当たったみたいに見えますが、これが逆にある程度景気が上がっていって、あるいは過熱しそうになって締めようというときにいまの問題が響いてまいりまして、海外金利は下がったままで、こちらは景気が過熱したので、普通ならばここで金利引き上げを中心にした金融政策なり何なりで締めるという時点がきましたときに、締めようと思って金利を上げますと、さっき言った話でますます外貨の累積がとりあえず生じるというので、これはちょっと動きにくくなってまいります。そうなりますと、金融政策は別に金利だけではございませんけれども、しかし金利が基軸でございますから、これをいじりにくくなってまいりますと、どうしても経済全体をある程度過熱を防ごうとしますと、財政のほうがいまよりももっと、かなり弾力的にそれに対処する、具体的には締める方向に対処するような体質を備えていませんと、事がかなりめんどうになるんじゃないか、そういうふうに全体としての流れは考えられます。そこで、たとえば今年度の予算のあり方を考えてみますと、いわゆる硬直性がむしろますます進んできておりまして、これは一般会計もそうですが、先ほど触れませんでしたが、財政投融資も私はかなり硬直的といっていいような形になっておるというふうに判断しておりますが、どうも財政のほうはますます柔軟に対処することが期待されておるのに、実質のほうはますますどうもからだが固くなってきている、こういう印象があります。むろん海外の金利の動きが今後ただただ下がる一方であるか、あるいは下がったままとまっておるか、あるいは場合によってはかなり上がるかということはむろんわかりませんで、いま申しましたようなことは一番悪い条件を考えてのことですけれども、しかし考えられないことではございませんので、そういう含みもあって、財政運用というのは今後単にいまの景気対策だけのためではございませんが、もっと財政の体質を弾力化しておくということは、これはもう絶対に必要ではないか、その意味で先ほどは申し落としましたけれども、今年度のみならず今後とも財政の組み方についてはぜひ御配慮をいただきたい、こういうふうに感じております。 それから財投につきましては、これも具体的なこと、立ち入ったことは私よくわかりませんので、非常にむずかしいと思いますが、先ほど触れましたように、たとえば産投出資というようなものがごく限られた部分にだけ出ておるわけでございますね、開銀とどこでしたか。あれは事実上は一般会計から流れてくるお金ですから、元手のかからないお金、他のほとんどすべてはいわば郵便貯金その他元手のかかったお金というようなことで、それがつき合わされているわけですが、しかし元手のかかったという意味では、一般会計だって公債を出しておりますと、これは元手のかかったお金、どうもその意味からいっても一般会計と財投の間にはいろんな意味で共通点がありまして、相おおう点がありますから、御質問にちゃんとお答えになりませんが、一般的にいえば何らかの形で両方を見通しながら予算を判断をする。そのために先ほどはどういう基準がいいかというふうにおっしゃいましたが、これは私ちょっと答えだけ申しますと、わかりません。つまりどういう基準で両者を区分けするのが一番いいかということはもっと制度上の問題に立ち入って勉強しませんとわかりませんので、お答えはできませんけれども、方向としてはかなり両者代替的で相おおう以上は、一般会計でも道路をつくり、住宅をつくり、財投も道路をつくり、住宅をつくりという必然性がどうも乏しい場合には、やはりそこではっきりさせて、いわば元手のかからない金でぜひまかなわなくちゃならないような部分、抽象的にいえばそういうことですが、それはなるべく一般会計に回す。ですから産投出資がもっぱら輸出入金融あるいは設備投資に回るというようなことは私はあまり望ましくない。あまりお金のかからないのはいわば一般会計的な部分になるべく集中する、お金のかかる部分についてはそういうものとしてより分ける、という一般的なこと以上に立ち入ってこういうふうな基準で分けたほうがよかろうということは、具体的には申せませんが、抽象的にはそういうことであります。
○田中(武)委員 どうもありがとうございました。
○中野委員長 鈴切康雄君。
○鈴切委員 私は磯村先生にお伺いしたいと思いますが、ただいま述べられました御意見は、私、一々ごもっともなことであり、予算審議上非常に参考になる点がございました。いまいろいろお話しになりました中で、二、三点お伺いをしたいと思っております。 先ほども大学紛争の原因についていろいろお話しになりましたけれども、現在高等教育における私学の役割りはきわめて大きいものがあると思いますし、また私学は約八〇%の大学生を受け持っている現状であります。しかし私学は、御存じのとおり高負担低授業である点、まあ昨年から私学助成が出されておりますけれども、それは人件費、経常費であって、額も少ないと思うわけでありますが、私学が一番困っておられる施設の貧弱な点、これも大きな問題であろうかと思います。このような国立と私学の格差をなくすために、国の強力な助成が必要と考えられますけれども、その点についてどうお考えになっておられるか。またその場合一番大きなことは、やはり私学の自主性、独自性が国の助成によりそこなわれはしないかという点が心配でございます。その点についての御意見をお伺いをいたしたいと思います。 次に、先ほど住宅の点でお話がございましたが、わが党も、御存じのとおり住宅の総点検によって民間木造賃貸アパートの住生活の実態は、調べれば調べるほど深刻な状態であるということが浮き彫りにされました。先ほどアメリカの例をとられて、郵便貯金を裏づけに住居が与えられているという実情を聞いて、非常に参考にはなりました。しかし日本においては公営、公団等の住居に入っている人たちの差が非常に著しいわけでありますけれども、このような現状をどうお考えになっているか、その点についてお伺いいたします。 もう一点お願いいたします。それは、沖繩等の問題をお話しになりましたけれども、ちょっと話が違いますが、発展途上国の援助のあり方については、いろいろ国会等でも問題になっている点があります。わが国の経済援助の大半というのは東南アジア地域に向けられておりますけれども、従来の経済援助は、経済援助に名をかりた経済侵略だと非難をされてもやむを得ないと思われる点として、発展途上国の生産力を増す効果的援助、すなわち相手国の経済自立あるいは経済開発に通ずるものが少なかったからではないかと思うのであります。われわれは発展途上国に対する経済援助は大いに行なうべきであると思いますが、その際どのようにやっていかなければならないか、御意見を承りたいと思います。 以上三点でございますが、簡略でけっこうでございますが、御意見を賜わりたいと思います。
○磯村公述人 第一点の、大学紛争に関しましての私学振興の問題でございますけれども、この問題は、私学は御案内のごとく学生の増加という面で何とかその経営をカバーしておるわけでございます。しかし、もし現在政府でやられておりまする中教審の答申が完成しまして、そのとおり実行しろと私学にもしお示しがございましたならば、大部分の私学はおそらく門を閉じなければならないんじゃないかと思うわけでございます。それは現在の文部省がいろいろな面において基準を置いておられることが、私学ではほとんど守られておりません。まことに遺憾ながら守られておりません。一例をあげますると、私は都立大学の教授でおりましたのですが、そのときの授業の担当は、三回講義すればよろしいんです。東洋大学へ参りましたらば七回でございます。したがいまして、もう度数それ自体が違うところへもってまいりまして、おそらく私学の平均定員は三倍でございます。一体文部省はこういうものの現状をまずどのようになさるか、こういうことでございます。したがいまして、もし教授が二倍の授業時間を持ち、学生が三倍の収容ということでございましたならば、それに対して、その現状というものをまず標準に小刻みにしていくという、そういう援助の方式というものが出されなければならないんじゃないか。それを飛び越えまして、何か未来論的に中教審の答申というものができたから、今度はこれをやるといったらば、さらに高い基準だけをお示しになるので、全くこれは絵にかいたもちで、おそらく大学の内部の改革なんというものは、現在二年間の紛争の中で、ほとんど手がついていないのが現状ではないか。もう少しそれを直視していただきたい、こういうことでございまして、したがいまして、それでは人件費の助成というものに対しての政府の介入があるかどうかということでございますけれども、御案内のごとく、アメリカなんかでは二〇%というものを助成しております。私立大学だけの、アメリカにおきまして二〇%。イギリスの場合におきましては、私立大学だけでございますけれども、八〇%国がこれを助成しております。こういう状況の中におきまして、国が助成されまして、そこにもし適当なお約束がございますれば、決して介入とかなんとかいう問題なしに、私はそういう助成を受けることはできるんじゃないか、こう思うわけでございますし、あるいは私学振興財団への融資といったようなものをもう少しこれを増額なさるということでもって、設備の改善ということもなし得るんじゃないか、こういうふうに思っております。 それから第二の点でございまするが、私は公営住宅、公団方式による住宅の政策という、そのものを否定しているわけではございません。それはそれなりの役割りを果たしていると思うわけでございますけれども、御調査にもありましたように、そういう国の恩恵を受けている人と全然国の恩恵を受けていない人との間の格差があまりにもひどい、こういうことでございまして、政治というものはそういう格差というものを埋めていくところに、ほんとうにきめのこまかい政治があると思うのでございますけれども、それは一体何であるか、こういうことなんです。それを軽んずるから公団が幾ら団地をつくりましても、片一方がいま申し上げましたような、全く問題にならない状態でございますから、おそらく全部が公団か公営住宅に入らなければ満足できないんじゃないか。そういう方式を国がおとりになるならば、私はそれはそれでけっこうだと思うのでございますけれども、一方におきましては、建設省の住宅政策によりまして六〇%というものは、国じゃなくてこれは民間のデベロッパーに依存するんだ。こういうことになりますと、その六〇%と四〇%のシェアはよろしゅうございますけれども、六〇%の中においてのかなりの部分というものが民間アパートのきびしい契約条件の中に押し込められている間においては、おそらくこの六〇%というものが全部公営住宅にいかない限りにおいては、問題は解決しないのじゃないか。そこに、六〇%というものを民間に依存するというふうにお考えになるならば、その政策をお示しをいただきたく、私はそう思うわけでございます。 それともう一つは、あの調査にもございましたように、最近マンションができましたものでございますから、マンションは比較的便利な、東京も大阪も都心に近いところにできつつございます。これがいままでのアパートをこわして、そしてマンションをつくりますものですから、比較的低所得のアパート居住者が今度は郊外に出されております。ところが郊外に出ますると、郊外のアパートというものは、これは家賃が高いのでございます。そういう結果でございますから、つまりマンションというものができることによって、民間のデベロッパーが住宅政策をやればやるほど、そういうアパート居住者は高い家賃の郊外に追いやられる、こういう現象が出ておりますけれども、そういう面についての政策の御検討をいただきたい、こういうふうに思うのでございますが、日本では家賃の助成ということについては、いろいろ議論もございますけれども、やはり一つの研究すべき課題ではないか、私はそう思います。家賃の助成ということもこれはある意味によってはいいのじゃないか。現に民間の会社でございますとかなんとかというのは事実上もう社宅その他でもって家賃助成ということをやっております。したがいまして何らかの方式で家賃助成の方式というものもお考えいただけたらばどうか、こういうふうに思うわけでございます。 最後に、沖繩の問題に関連をいたしまして、いわゆる発展途上国の東南アジアの問題でございまするが、これは最近私がいろいろその方面での会議に出席をしましての感触は、ただいま御指摘のとおりでございまして、実は日本地域開発センターというのがシンガポールに東南アジアの開発の研究センターをつくるということで、数名の学者の方々とシンガポールへ参りました。ところが周辺の国の大学の教授から、非常な批判を受けてしまいました。それは何かと申しますると、私どもは全然学者というレベルで行ったのでございますけれども、また経済開発の先兵をやるためにやるのじゃないか、というのでございまして、せっかくわれわれが金を持って行きまして、そしてそこで会議を開いて、どうでしょう、一緒に開発の学術的なセンターを置こうじゃないかとこう申しましたらば、それはおそらく経済発展の調査のために来るんだろうというのでございまして、その不信感は非常に強いものがございました。したがいまして私はもしそういう面について国会の御関心があれば、あるいは学術会議なりあるいはそういう機関を通じて、あくまでもこれは文化的な交流であるという意味でのこの開発の助成といったような問題につきまして、文化的な面でかなり大きな御援助をいただくようなことがございましたならば、日本のいまエコノミックアニマルと考えられておりまするものを是正することに非常に大きな役に立つのではないか、このように思います。
○中野委員長 細谷治嘉君。
○細谷委員 磯村先生にお尋ねしたいと思います。先ほどの公述の中で、新全総計画は経済優先のものだ、したがって今日の人間優先、しかも公害問題、こういうものが多発している中においては当然改定すべきものである、こういう御意見だと思うのであります。同時に新産都市等のことも述べられたわけでありますけれども、三十年代にたくさんの開発立法がなされたわけでありますが、いずれもこれは経済優先の立法であることは申すまでもありません。したがいましてこういうものもすべて今日の四十年代に即応するように全面的に改正すべきである、こういうふうに思うのでありますけれども、先生どうお考えになっているか、こういうことであります。 第二番目の問題は、先ほども林先生のおことばにも財政民主主義ということが言われたのでありますが、財政民主主義ということばはこの予算委員会でも相当出たことばでありますけれども、やはり原則というのは民主主義である。同時にやはり公開主義に徹しておらなければならぬ。さらに平和主義に貫かれておらなければならぬ。これが財政の原則であろうと思うのであります。そういう問題点の一つとして林先生もいろいろ指摘されたのでありますけれども、私は国と地方との間の税財源の配分ということも、これはやはり非常に重要な財政民主主義の問題ではないかと思うのであります。昨日発表されました地方財政計画を見ますと、まあ大体地方の税収は、財政計画の中ではおよそ四割、それから地方交付税がおよそ二二%くらい、それから国の補助金というのが二六%近くなっております。言ってみますと、財政計画の中にある国の補助金というのが二五でありますから、それの裏負担というのがほとんど全部交付税を出してもまだ足らない、こういう状況であります。そういう点からいきまして、地方の自治というのがこれはやはり民主主義の大前提でありますけれども、たいへん問題がある。これは財政計画にあらわれた数字でありますけれども、たとえば大阪を例にとりますと、国に入っていく税金というのがおおよそ七割、大阪の府民が納める税金は国に入っていくのが七割、大阪府に入っていくのが二二・三%、そして残りの一一・二%程度しか市に入っていかない、こういう状況でありますから、いよいよ中央集権化が進む。予算編成のときにはお百度参りをしなければならぬ。したがって、財政民主主義とは逆行する形が進んでいっておる。過密問題、過疎問題にもお手あげ、こういう事態が生まれてきておるのではないか、こう思うのであります。どだい国民の納めておる税金が三割で、あと同額以上のものを国から補助金としてもらわなければやっていかれぬというところに財政民主主義の根本的な問題点が私はあるのではないか、こう思うのであります。特に都市問題等を専門にやっていらっしゃる磯村先生にこの点についてお尋ねすると同時に、原則である公開主義、民主主義、平和主義、こういう観点から見た場合に、国の予算というのはどういうふうに見てよろしいのか、そういう方向なのかあるいは逆の方向に走っておるのか、この点について林先生の御意見もお伺いしたい、こう思います。
○磯村公述人 第一点の問題は、やはり新全総計画とかあるいは新産業都市建設促進法といったようなものに伴いまする、いわゆる日本の地域開発をこの際再検討すべきじゃないかという点についてでございますけれども、一つの例を申し上げますと、新全総計画によりますると、東京湾、伊勢湾、大阪湾というものを、これを非常に具体的な開発の対象にしております。ところが今日におきまして、東京湾を開発する、埋め立てするということとかあるいはそこに企業立地するなんということは、すでに今日においては議にのぼすこと自体がむずかしくなっているのが現状でございます。しかし新全総計画の中におきましてはそういうふうに明らかに書いてございます。伊勢湾開発につきましても全く同じ考えでございますし、大阪湾についても同じではないか。しかし別の面におきましては、大阪湾の汚染を一体どうするかということがもう先に出ておりまして、開発どころの騒ぎではないのが現状ではないか。その点で先ほど私が、環境庁ができて企画調整局はそれを一体どういうふうに企画調整をなさるかということはおそらく国民が注視をするところではないかと申し上げましたのは、そういう具体的な例があるわけでございます。しかし政府はすでに、あるいは陸奥湾であるとかあるいは志布志湾であるとかいう ふうな、別なプロジェクトもおっしゃっているのでありますけれども、一たびおきめになりました新全総というものの中においては、依然としてそういう根が残っている。私は、これだけの大きな政治的な方向の、経済優先から生活優先である、こういったようなことが国民の意識として定着しようとするときに、新全国総合開発計画なんというものを、率直にその方向をもう一回検討なさるということが、私は国民に対して忠実なるゆえんではないか。そういう意味におきましては、新産業都市あるいは工業整備特別地域といったようなものも加えまして、もう一回この環境庁成立の時点におきまして御検討をなさることが適当じゃないか、こういうふうに申し上げます。 それから財政民主主義のお話は、むしろこれは林先生からのお話が適当ではないかと思うのでございますが、これも一つの例をあげて申し上げますると、ただいま大阪の例をお示しになりまして、府と市と国への税収の割合なんかを申されましたのですが、これもいま私が申し上げました新産業都市というものが一応軌道に乗りまして、その場合において今度はどれだけ地元に税収があるかと申しますると、岡山の水島地区というものを取り上げてみますると、その八〇%といったようなものが国、県に吸い上げられてしまいまして、そうして倉敷とか岡山といったようなものは、わずかに十数%しかそこの税収は入ってこない。新産業都市として優等生と言われました岡山地区がそうでございますから、おそらくそこの住民というものは、それが完成した暁においてのある程度の住民福祉へのはね返りということを考えたと思いますけれども、完成した結果においての現在の税収の制度というものはそういうふうになっていくわけでございます。いまお示しになりましたような大阪とか東京なんかはまだいいほうでございます。したがいまして、そういう点から申しますると、財政民主主義というものは、一体国を中心にした民主主義であるか地方自治体を中心にした民主主義であるか、こういうことを考えましたならば、全くいわゆる国偏重の民主主義、民主主義は民主主義かもしれませんですけれども、そういう結果ではないか。それでございますから、今日のいわゆる地方自治体の三割自治という問題は、三割自治の権限の問題ではございませんで、これは財源がどれだけ与えられるかということによって——最近のように自治能力というものが県、市町村で発達した段階におきましては、権限よりはまず財政的基盤を与えろという、そういう面からいきましたならば、いまお示しのような方向性は遺憾ながら国中心の財政民主主義である。その中ではあるいは公開主義なり平和主義なり、そういうことはある程度営まれているかもしれませんですけれども、最近のいわゆる市町村、特に前線である市町村を中心にしました住民参加というああいう傾向というものは、ただいまおっしゃいましたような公開主義、平和主義というものに対する欲求を何とかして満たそうとするあらわれとして、ああいう参加主義的な動きがあらわれてきたので、したがって、これに対応するためには、どうしてもやはり税源を地方自治体に移すというような方向でなければ財政民主主義のほんとうの趣旨は通らないのではないか、こういうふうに思っております。
○林公述人 もうおそらく時間も切迫しておると思いますので、いま磯村先生のおっしゃった範囲については私はほとんど全部磯村先生の御意見に賛成でございます。したがいまして、重複いたします部分は発言をいたしませんのでお許し願います。 あと公開主義と、平和主義、あるいは財政民主主義一般について感想をちょっとつけ加えますと、公開主義ということにつきましては、これは先ほど財投に関連して申しましたけれども、国民がともかく財政のことを知り得る、よく理解して、それが自分の利益になるかならないかが判断できるというのが、要するに簡単に言って財政公開をする意味でありますから、現在国民が財政のことをよく理解できるようになっておるかどうか、あるいは国民の多くが財政のことを知っておるか、それが自分にどういう利害を持っておるかということを事実において国民の多くが理解できているかどうか、できるようなシステムになっているかどうかという実態について反省すれば、かなりの程度事柄が明らかになるわけで、むろん一般会計につきましてはかなり予算委員会をはじめとして国会で審議され、われわれの目にも届いてまいりますが、先ほども言いましたように、たとえば財投になりますと、これはもう正式に議決を要求されておりません。特別会計につきましても、おそらくそうかなり多くの時間をさく余裕もございませんと思いますが、そんなに国民、少なくとも私どもは、新聞やラジオくらいの情報ではそう十分理解できるような情報は得られません。したがって、何も意識的に閉鎖されているわけではないかもしれませんけれども、いまのところ財政の公開というのは、むろん門戸は開かれているかもしれませんが、結果において国民がそれぞれ財政をよく理解して、自分の立場からそれを判断できるような、いわば財政民主主義が当然の前提にしておるような条件は残念ながら十分は満たされていない。まして財投についてはさっき言ったような制度的な問題があるというふうに思います。 平和主義につきましては、言うまでもなく憲法がまさに平和主義でございますから、平和主義で予算が編成されることはあたりまえ、当然のことでありますけれども、御存じのとおり三次防が追って完成、新しく四次防が始まる。これはよくいわれますように、国民経済——GNPならGNPに対する防衛費の比率というようなものは私はそんな大きいとは思いませんが、しかし問題は、国民経済との比率が小さければ平和主義であるということにどうしてなるのか、そこがまるで理解できないわけで、つまり軍国主義的であるかないか、平和主義的であるかないかというのは、GNPに対して防衛費が大きいか小さいかということは一つのめどかもしれませんけれども、しかし、日本の場合のように世界に例のないものすごい高度成長、GNPの膨張を続けておりますと、かりに〇・七%にしろ何にしろその比率を維持しておれば、自動的に急激に防衛力あるいは軍事力が膨張する、事実してきたわけで、いまやアジアにおいては中共を除けば——まあアメリカの兵力が事実アジアにありますから話がむずかしいと思いますが、国単位でとれば、おそらくアジアでは最強の国家になっているわけで、むろんそれが国会で十分に統制される、市民の意向が反映して十分に統制されていれば、逆に大きければ軍国主義といきなりおそらくなるわけじゃなくて、ちゃんと市民の利益、世界的な侵略を絶対しないというようなたてまえでそれが堅持できるならば、これが大きいから何もすぐ悪いというふうには逆に結びつかぬと思いますけれども、しかし、普通いわれますように、GNPに対する割合が小さいから、あるいは日本経済の中でまだ軍事的な要素がそんなに経済を大きく動かしていないから、だから平和主義は文句なく貫いているということでももちろんないんじゃないか。したがって、この点は今後いかに国会が平和主義に徹せられるかということにひとえにかかっているんじゃないか。むろん国会がという意味は国民がという意味でありますが、その意味でむしろ私は今後を、推移を注視したいというふうに考えております。
○細谷委員 簡単に一点だけ磯村先生に。 いろいろな問題で、たとえば公害問題等で当然国に吸い上げられておる権限というものを地方に委譲すべきだ、こういう場合に地方というのは何かといいますと都道府県知事なんですね。私は本来は、地方委譲するというのはローカリティを織り込むわけですから市町村、こういうものでなければならぬと思う。しかし、市町村はその能力がない、こういうことで、言ってみますと国からおりたものは都道府県、逆に市町村の権限というものが知事のほうに、県のほうに吸い上げられていく、こういうような形があらわれてきていると思うのですが、これはいいか悪いか、一言。
○磯村公述人 ただいまの問題は、いわゆる地域民主主義というたてまえからいたしましても、県いわゆる都道府県というものと市町村というものは、目標としては将来は私はやはり一体的なものになるんじゃないかという考えを持っております。その点から申しますと、原則としては市町村に下げるべきもので、府県はやはりこれを援助する、あるいは指導、援助というたてまえでいくべきじゃないか。特に環境問題なんかについては全くそのように考えております。
○中野委員長 安井吉典君。
○安井委員 磯村さんに初めのお伺いをいたしたいのですが、その前に住民要求の多様性をなかなか政治がくみ上げかねているということの御指摘の中で、シビルミニマムヘのアプローチにおいてもそれが十分に行なわれてないというふうな御指摘があったのですが、いわゆるシビルミニマムという方法論は、これは革新首長がいろいろやっているわけなんですが、その欠陥を補うために、シビルミニマムなるものを固定的に考えないで、もちろんこのマスタープランというものは一応あって、そして三年ぐらいのミニマムを設定して計画を立てて、毎年その三年目がだんだん繰り上がっていくように次々ローテーションをさせながらずっといくという手法で、固定化したりマンネリ化するのを防ぐ努力をしているようですね。ですから、シビルミニマムで問題が全部解決するというわけじゃありませんけれども、そういうふうな固定化しないような努力をしているということだけちょっと申し上げておきたかったわけです。 それから、時間がないそうですから具体的な問題をお二人にと思うのですが磯村先生には、ヨーロッパ、東の国へ行っても西の国へ行っても、都市人口の制限をどこもやっているようです。ミニマムをきちっと設定して人口と自動車はもうここまでというふうなことをきめて、たとえばニュータウンのほうへ送ったりきびしい人口制限をしているようなものと日本の場合を比較いたしますと、何か人口がふえたら町がりっぱになったり大きくなったりするようなそういうのがあって、百万都市、五十万都市なんていうのがそれぞれの町のねらいになってみたり目標になってみたり、そういうようなことがあると思うのですが、やはりこの際人口制限、それからモータリゼーションヘの挑戦といいますか、そういうのをもう少し大胆に打ち出すべき段階まで来ているんじゃないかと思うのですが、その点いかがかということと、それから林先生のほうには、いわゆる自動車新税、自動車重量税ですか、これについてのお考え、これをひとつ伺いたいと思います。
○磯村公述人 最初の御質問でございますが、人口制限、大都市への人口の制限という問題は、一体人間がどうして集まるかという原因を追及しなければならないと思うのでございますが、原則的には人口の移動というのは、これは憲法にございますものでございますから、したがいましてこれを制限するということは無理じゃないか。したがいまして、移動する根源をどうするかということは、申しますと、全くの私見でございますけれども、私は日本の場合におきましてはたいへん遺憾ながら、こういうところで申し上げるのでございますけれども、政経分離じゃなければならないんじゃないか。政経分離、いわゆる経済的なアクティビティというものが政治、行政とあまりにも密着し過ぎている。県庁も、東京も大阪も全くそうでございます。したがいまして、私は一つの例を申し上げますと、熊本の県庁を熊本城のそばに再びおつくりになるというときに知事からお話がございまして、私、それは少なくとも二、三キロ離れるように申し上げまして、熊本の県庁は全然離れてしまいました。これで熊本市の人口のある程度の分散ができております。 こういう形で、特に官庁がその建物をおつくりになる場合におきまして、そのロケーションというものをかなりお考えになるということで、ある程度のモータリゼーションというものの制限もそういう面からできるんじゃないか。後段のモータリゼーションというものも、東京なんかは何らかの方法でやはりこれは制限すべき時期に入っている、こういうことをお答えいたしておきます。
○林公述人 自動車新税について意見を述べろというお話でございまして、これは実はかなりめんどうなことがいろいろありまして、一義的にこれは私は賛成とか反対とかちょっと言いかねる感じがいたします。気分としてはかなり反対のほうが多いのですけれども、しかし、これに多少のメリットもあるのかなというふうにも思っておりまして、はっきりと断定的に申し上げられません。 疑問は幾らもありまして、たとえばすでに自動車に関しましては八つほど、軽自動車とか含めまして八つほど税金がございますが、それぞれある程度ずつ性質が違う。ここにさらにもう一つ重量税というのが加わりまして、この重量税というものの性質が必ずしもはっきりしない。特にそれが課された場合に最終的にだれに帰着するかということがどうもいまのところでは私にはよくわからない。重量に応じてある程度重く取っておりますから、あれは道路損傷を補償させるというねらいがもちろんあると思いますが、しかし、たとえばトラックにかなり重い税金をかけて、それが運輸コストに——いわばトラックの運送業者が負担するとは限らないわけでして、商品の価格上昇に作用しないかするか、はっきり何ともわからないという感じですが、しかしするおそれが相当いたしますと、これは試算をちゃんとしなくちゃなりませんが、相当程度おそらく物価を押し上げるように作用するおそれがあります。私は、いまの時点では、政府はあらゆる手を通じて物価を下げる方向で何事かを一かりにそれが有効でなくてもいいですから、あらゆる手を打つべきときに、上げるかもしれない方向で何かをなさることについては、まず原則として賛成しかねるという感じが強いのであります。 したがって、気分として一番反対の気分はその点でありますが、しかし、そのおそれが、かりにある程度薄いのだということでありますと、自動車というものは、私はあまり望ましいとは思いませんけれども、今後まだかなり成長する分野であって、そこから税金を取れる可能性が確かに残されているようにも思います。つまり、その分野には——むろん低所得層もだんだん自動車を持つようになりますから、負担にもいろいろ問題があって、それはそれでいろいろきめこまかく考える必要がありますが、まあ概していえば、まだ負担能力がかりにあると、あるいは成長すると考えますと、そこから税金を取って、あとは使い道の問題でして、私は目的税で道路に集中することには賛成できません。 今度の場合には、おそらくこれもいろいろ問題になっているようですが、総合交通特別会計か何かをおつくりになって、道路並びに各種社会資本の充実ということでお使いになる、あるいは各種社会資本じゃございません、交通の社会資本でしょうか、ということのようですが、もしどうしても自動車新税を取るのならば、理論的にいろいろ問題あるのかもしれませんが、むしろ一般の税のほうに入れたほうがいい。つまり道路というのは、もちろんいま非常に道路が状態が悪くて国民生活は脅かされておりますけれども、しかし、社会資本全体の中では、これまでの高度成長の中で、どちらかといえば、私は道路は優先されてきたと考えております。したがって、同じ社会資本の中でも、もっと生活関連に投資すべき部分が非常に置いてきぼりになっておりますから、どうしても自動車新税を取るのであれば、そういう部分を必ず補えるような支出の体制を組んだ上で新しい税を取る、こういうふうに思います。 それともう一つ、自動車に税をかければ、自動車がある程度減って公害がある程度減るかというように感じがわりとあるようですが、ちょっと現状では、私はその点についてはとうていそうは思えません。つまり、自動車に重い税金をかけて、私どものような低所得の者は、それじゃ自動車を買うのをやっぱりやめようといってやめる、そういう部分はあると思うのですが、かし、それである程度すきますと、いまのままでは、所有している、それでもやめなかった車の走行のスピードが早まったり回数が早まったりするばかりで、結局吐き出されるガスのほうはふえるか減るかわからないような感じで、公害対策に多少ともなるかなという感じは、むしろ逆なんじゃないかというおそれがあります。 どうも全体として、私は基本的には反対ですが、どうしても取るのならば、支出の体制も考えた上で、もっと生活関連の社会資本が充実できるような見込みなり体制なりがあるのならば、この際、多少成長するかもしれない分野から税金を取ることはしようがないかなという、あいまいなところでございます。
○中野委員長 原茂君。
○原(茂)委員 時間切れだそうですから、一つずつ両先生にお伺いをしたいと思うのです。最初からお伺いしたいことを両先生に申し上げます。 最初に、磯村先生に、先ほどのお話ばかりでなくて、もうすでにいわゆる公立と私立のアンバランスということはいろいろな角度から論議をされてきたわけなんです。私、いま言われています問題のほかに、基礎部門といいますか、端的な一例を申し上げますと、基礎学科に属するようなものを中心に公立にウェートを置いていく、私立がその他の部門における分担を行なう、ちょうど産業分野の確立がいま論じられていると同じように、教学の面においても、基礎、一般という分野の確立を公私立の間で行なうという考え方が、もう少し現実の問題として取り入れられていいのではないか。このことが非常に大事だと思うのですが、この点に関する先生の経験からする率直な御感想をひとつ……。 それから、林先生にお伺いしたいと思いますのは、財政投融資のお話がございましたが、この財政投融資の中で、いきなり国会での審議を中心にした、いわゆる財政民主化をはかるというようなことも、いますぐにはできそうもないわけなんです。ということになりますと、配分の問題において、どうも特に産投会計からいく開銀、輸銀などの資金が、大企業とばかりは言えませんが、非常に多くの分野がそちらにまいりますときに、上限がないのですね。無制限と言っては言い過ぎかもしれませんが、一般の他の企業が民間融資等を受けようとするときにはたいへんきびしい条件があるのです。御承知のとおりだと思いますが、これがどうも開銀、輸銀から出る八幡なりその他に対してのいわゆる貸し付けというものには、私どもが想像を絶したような無制限に近いような金額が出ているのですが、こういうところにむしろ現段階においては思い切った制限を加えるような法的な措置が講じられないといけないのではないかという点を痛感しているのですが、これに対するお考え……。 一問ずつお答えをいただきたいと思います。
○磯村公述人 ただいまたいへん重要な御指摘をいただきまして、もし国立と私立の大学が、ただいまの御意見のように、国立が基礎的な学科に対してその焦点を置き、私立が特殊な学問についての準備をする、こういうことになりましたならば、これは日本の科学の推進の上におきましては非常に大きな改革であると同時に、一つの方向を示すと思うのであります。 大体、私立大学というものが日本で明治の初めから発足いたしましたのは、具体的にいえば早稲田は政経がいいとか、京都大学は経済がいいとか、そういう形でいわれておりましたのですが、最近は大学がマンモス化するに従いましてどこでも同じようなものをやるようになりましたものですから、それで学問の水準を下げてしまっております。したがいまして、結果的には東大なんかに全部のものを集めてしまいまして、東大自体もやはりいろいろなものを全部やりますから、特殊な専門についてのレベルというものは必ずしも上がらない。その点が、先ほど私が冒頭に申し上げました、実はライシャワー教授が強く指摘したので、日本の大学紛争の中で学問が低下しているとまで申し上げました。大学それ自体が、いわゆるお互いが自分の領域を同じように守ろうというのでございますから、学問というものは特殊なものが進んで初めてよろしいのでございますが、もしそのような傾向というものが今度の中教審で考えられるようにでもなりましたならば、これは私立大学の一つの行き方に明るいものを与えていただくのではないかと思うのでありまして、ぜひそういう御意見の御発展を祈りたい、こう思います。
○林公述人 財投に関連して特に産投出資の問題を御指摘になりまして、私は基本的にお考えに賛成、そのとおりだと思います。と同時に、これはたてまえ上いろいろあると思いますが、産投の出資というのは、先ほど御指摘のように、輸銀とか開銀とかだけに集中しているというのは、もういまの時点ではあまり望ましくないと考えます。どうしても一般会計から産投を通じてくるお金が財投で運用するということが続くのであるならば、それはむしろたとえば公害防止事業団だとか、あるいは中小企業金融公庫だとか、国民金融公庫だとかいうようなところに流して、そしてそれが最近公害防除設備に金を貸しているわけですが、六%なり六・五%なりなものだから、なかなか中小企業が借りにこないというような問題があるようでして、そういう部分に手当てをするという方向に使うほうがよほど望ましいのではないか。輸銀、開銀から通じる大企業への融資について一定の制約を加えたらどうかというのは、私は基本的にそのとおりだと存じます。
○中野委員長 林、磯村両公述人には、御多忙のところ長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 午後は一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。 午後零時二十分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 昭和四十六年度総予算について公聴会を続行いたします。 この際、御出席の公述人各位にごあいさつを申し上げます。本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。御承知のとおり、国及び政府関係機関の予算は、国政の根幹をなす最重要議案でありまして、当委員会といたしましても、慎重審議を続けておるわけでありますが、この機会に、各位の有益な御意見を拝聴いたしまして、今後の予算審議の上において貴重な参考といたしたいと存ずる次第であります。何とぞ各位におかれましては、昭和四十六年度総予算に対しまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと思う次第であります。 次に、御意見を承る順序といたしましては、まず檜山公述人、続いて新田公述人の順序で、約三十分程度ずつ一通りの御意見をお述べいただき、その後、公述人各位に対して委員から質疑を願うことにいたしたいと思います。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長に許可を求められること、また、公述人は委員に対しては質疑をすることができないことになっております。この点あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。 それでは、檜山公述人から御意見を承りたいと存じます。檜山公述人。
○檜山公述人 私、丸紅飯田の社長の檜山でございます。本日は、本委員会の先生の方々に、本年度予算につきまして意見を申し上げる機会を与えられましたことに対して、厚く御礼申し上げます。 御指示によりまして、私が平素考えておりますことを含めまして、予算の問題に関して若干意見を申し述べたいと存じます。 まず、四十六年度予算及び財政投融資計画の眼目でありますが、政府案によりますと、経済の持続的成長と物価の安定、それから物価対策、公害対策の推進とともに、社会資本、社会保障などの重点施策の充実、これを目標に編成されております。 〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 また、一般会計予算は九兆四千百四十三億円、対前年度比一八・四%の伸び率、財政投融資計画の規模は四兆二千八百四億円、対前年度比一九・六%の伸びでございまして、いわゆる中立機動型予算として編成されております。一九六〇年代は、経済はいわゆる量的な拡大の時代でございましたが、七〇年代は、質的向上の時代とも申されておりますし、しかも流動する内外の経済情勢のもとに、わが国経済を低位安定ではなく均衡のとれた繁栄に導くためには、来年度予算に示されました眼目あるいは規模は、私としましてもまことに賛同をいたしておる次第でございます。 ただ、今後の経済の運営上、景気対策の面でも、構造政策の面でも、財政の果たす役割りはまことに大きなものがございます。大筋としましては予算の規模、性格は正しいといたしましても、今後の運営のしかたあるいは個々の部門に対する予算の配分などについては、種々の問題も感じられますし、また注文もないわけではございません。これらにつきまして、以下順次申し上げたいと思います。 まず、今回の予算は、経済情勢に即応する財政の機動的運営として、政府保証債の発行限度などを弾力化しておりますし、また、国庫債務負担行為の限度額増額あるいは予備費の増額などを含めまして、総計七千五百億円の景気対策費が用意されております。 そこで、景気の現状をどう見るかが問題となるわけでございますが、昨年十月と今年一月の二回にわたって日銀の公定歩合を引き下げてまいりました。金融政策はかなり大幅に転換しまして、量的にも引き締め政策が緩和の方向に向かっておることは事実であります。にもかかわりませず、企業の資金繰りは相変わらず緩和されませんで、また、金利の引き下げも遅々としております。また実感としましても、市況、出荷など、あらゆる面で景気の停滞は明らかでございます。 まず、生産、出荷は横ばい傾向にありますし、在庫は連続十カ月も増加しまして、在庫率は、さきの調整時昭和四十年と同じく一〇〇をこしておる高水準にございます。特に景気に対して大きな影響を持ちまする鉄鋼業界をとってみましても、粗鋼の減産あるいは生産調整など、業界が市況立て直しに懸命に努力しておるのにもかかわりませず、実需の回復が伴わないために早急な改善は全く期待薄という実情でございます。また、急成長を続けてまいりました化学業界も、内需の伸び悩み、エチレンの大型設備の稼動の影響などもございまして、需給は大きく変化してまいりまして、全般的に深刻な供給過剰感が支配しております。その他繊維あるいは家電などの耐久消費財についても、御高承のとおりでございます。 それでは、いつから一体景気が回復に入るのだということでございますが、これを見きわめるには、何と申しましても大きな要因は、在庫投資と設備投資でございます。しからば、この在庫調整がいつ終わり、いつから積み増しが行なわれるかということでございますが、これは業界によってももちろん異なりますが、概して三−四月に終わり、秋口から在庫調整あるいは在庫投資が再び起こってくるのではないかというふうな見方をする向きもございますが、また、もっと長期的に停滞するという見方もございます。いずれにしましても、現在の需給情勢から考えまして、調整はかなり長引くであろう、あるいは調整が一応終わったとしても、すぐに多額の在庫投資は行なわれないのではないかという見方が、まず大方の意見であろうかと考えます。 次に、設備投資でございますが、政府見通しでは、今年度一一八・九%に対して、来年度は一一二・六%の伸びと見ておられますが、低目に見るところでは一〇五・一%というふうに見ておるところもございます。価格の低迷あるいはコストアップなどから企業の投資意欲はなかなか出てこないと見るのが大半の見方でございます。 現時点では、輸出あるいは個人消費につきましては特に申し上げる点もございませんが、個人消費の中では、教育費あるいはレジャーなどのサービス的消費の比率が上がってきておることは事実でございます。いずれにしましても、それらを勘案しますれば、現在の停滞を回復し、経済を安定的発展に持っていくということのためには、非常に財政の役割りにまつところが大きいのでございます。 このために、景気対策費が用意されたのでございましょうし、まことにその点においては時宜を得た措置であろうと考えます。ただ、このような措置は、用意されただけでは何にもなりません。発動の時期を失っては無用の長物にもなりかねないのでございます。景気の停滞の実情、その深刻さを十分に配慮されまして、これらの景気対策費が機を失せず早目早目に動員されることを要望する次第でございます。また、公共事業費の繰り上げ支出も有効な景気回復の手段であります。機動型といわれる今年度の予算が、真に機動型となるように、運用面に格段の御配慮をお願いいたしたいと思います。 〔坪川委員長代理退席、小平(久)委員長代理着席〕 四十六年度予算は、歳出増は一兆四千六百四十六億円でございますが、当然増経費が約一兆円と見られておりまして、これを差し引きますと、新規政策費は四千六百億円、九兆四千百四十三億円の総予算に対しまして、わずかに五%にすぎません。食管あるいは健保、国鉄など、いろいろ予算上のむずかしい問題もあるだろうと思いますが、財政負担にも限度があることでございますので、可及的すみやかに改善されていくことを国民の一人として要望する次第でございます。 また、行政の効率化も毎年度いわれておりますが、単にから念仏に終わらぬよう、ぜひともお願いいたしたいと考えます。これは全国民の一致した期待であろうかと思います。私ども民間企業におきましても、七〇年代の険しい環境に対応してこれに挑戦するために、企業の合理化を一段と強力に進めておる際でもありますので、行政の非効率より来たる財政の硬直化、これは絶対避けていただくように、実現方お願い申し上げます。 わが国の物価は、卸売り物価の低迷、消費者物価の高騰という特異な形をとっております。消費者物価の高騰の要因としましては。天候異変なり、あるいは高生産性部門と低生産性部門の格差とか、需要構造の変化とか、いろいろと考えられますが、その対策もしたがって画一的ではないと思います。消費者物価引き下げの有効な手段としては、輸入の自由化あるいは関税の引き下げ、または流通の合理化など、いろいろ考えられますが、それらについては個々の政策が進められております。 また、これを予算面でながめますと、四十六年度八千百七十五億円、四十五年度は六千五百二十六億円でございましたので、千六百五十億円の増加となっております。この物価対策費が計上されております。ただ、この物価対策費は、しろうとの目から見ますと、実に種々雑多な費目が寄せ集められておるという感じがしないでもないのでございます。全体としては確かに大きな金額ではございますが、はたしてどれだけ有効な物価対策となり得るかということについては、若干の疑問が抱かれるのでございます。たとえば、消費者物価の上昇の中で現在大きなウェートを占めておりまする農産物、特に生鮮食料品でございますが、この生鮮食料品対策費は百十四億円でございます。この費目には、産地近代化促進とか、あるいはモデル団地とか、出荷近代化とか、いろいろな項目があげられておりますが、広範囲な、しかも、こま切れ的な少額補助金になってしまっては、はたして有効な効果が生ずるかどうか、その辺に疑問を持っております。総合農政の一環として効率的な支出が望まれる次第でございます。 次に、貿易の振興のあり方について若干申し上げたいと思いますが、まず本年度の国際経済環境については、比較的楽観的な見方をする人もございますが、問題も他面非常に多いのでございます。米国景気も逐次上昇に転ずるものとは思われますが、実質成長率ではせいぜい二、三%どまりと見られますし、世界貿易拡大の要因となるとも必ずしも考えることはむずかしいのじゃないか。むしろインフレの再燃によってドルの不安が懸念されるというふうな環境にございます。他方ヨーロッパ、西欧の成長も鈍化は明らかでございます。東南アジア諸国も、政情不安なり、加えて一次産品の市況の低落あるいはベトナム特需減少などで、輸入余力もきわめて乏しいという実情にございます。こう見てまいりますと、世界貿易の伸び率は、昨年の推定一二%強から、本年はおそらく一〇%台に落ち込むだろうと考えております。 なお、米国の保護貿易的傾向は、国際収支改善の期待薄から、より一そう強まってくるものと思われますし、輸出成長率の高いわが国の商品に対しては、ますます風当たりが強くなるだろうと覚悟せねばなりますまい。また、今後わが国輸出の戦略的商品と期待されておりますプラント類の輸出の現状は、全くさびしい限りでございまして、世界市場に占めるシェアも、アメリカの三割、西ドイツの二割、英国の一二%、フランスの七%、イタリアの六%に対して、日本は五%と、いわゆる主要先進国で最もしんがりをつとめておるという状況にございます。 プラント輸出のおくれには、導入技術依存あるいはコンサルティング能力の不足、世銀内での発言力が弱いとか、地盤の欠除などのいろいろな問題点が指摘されるのでございますが、いずれをとってみましても、一朝一夕に改善を期待し得るものではございません。プラント輸出におきまして後発国でありまするわが国としましては、よほどドラスティックな振興対策をとらなければ、これらの諸国にキャッチアップすることは非常にむずかしいと考えます。しかもエイドアンタイイングも、ここ一、二年のうちには実現すると思いますが、こうなると、わが国のプラント輸出には一段ときびしい環境がやってまいるというふうに考えます。その意味からも政府の強力なる対策が期待されるわけでございます。 かかる環境にかかわらず、来年度税制においては、輸出割り増し償却あるいは海外市場開拓準備金のうち、輸出貢献企業に対する割り増し償却が廃止されることになりました。また一般交際費とは全く違った性質を持っておる輸出交際費でございますが、これも廃止されることになりました。これらによる輸出企業の税負担増は、昭和四十六年度で百三十九億円、平年度換算で三百二十億円となります。輸出に全力をあげているわれわれ輸出企業としましては、まことに遺憾な改正であると考えるのでございます。外貨の積み増しが大きいとか、あるいは早過ぎるとか申されておりますが、国内に何の資源もなく、貿易なしではわれわれ日本人は食っていけない、そういう日本の立場を十分御認識願いたいところでございます。 次に、輸銀、経済協力基金の原資につきましては、ほぼ量的には私どもの要望をいれていただきましたが、ただ、先ほども申し上げましたように、今後この援助協力というものがアンタイイングということになってまいりますると、非常に一面では国際協調というようなことが叫ばれておりますが、そういうことは言うべくして困難でございますので、やはり一般的に見て延べ払い輸出という競争はますます激化してくるだろうと思います。このような輸出競争にうちかつためには、融資条件なり金利などについても、今後格段の御配慮をお願いしたい、こういうふうに考える次第でございます。 最後に、資源確保について申し上げて私の公述を終わらしていただきたいと思いますが、御承知のように、わが国はエネルギー、金属資源の大部分を海外に依存しております。しかも、これらの資源確保については、大半は先進国に牛耳られており、しかもなおかつ、この先進国の巨大資本と競争もし、協調もしながら、何とかしてこの資源の確保をしていかなければならない状況下にございます。しかも、その資源開発に伴うリスクが非常に巨大である点からも、資本蓄積の低い私企業ベースでは有効なる手がなかなか打てないというのが実情でございます。 今度の予算の面では、石油開発公団に対しまして、本年度百三十五億円に対しまして百七十億円の予算がつけられておりますが、探鉱の調査開発費について、公団から少なくとも事業費の七五%現行は五割でございますが、を融資できることを原則としてしかるべきであろうかと考えます。参考までに、西独のデミネックスでは七五%を基準として援助しております。このためには、百七十億円の予算では、とても来年度の融資需要を充足することは困難でございまして、増額が絶対必要かと思います。金属鉱物探鉱促進事業団につきましても、財投から四十億円が計画されておりますが、これにつきましても非常に少ない。事業の重要性からしましても増額が所望される次第でございます。税制調では、今回石油開発投資準備金制度を、非鉄金属、鉄鉱石、原料炭、木材などを対象に加えまして、資源開発投資損失準備金制度に改正をされたことは、全く時宜を得たことと賛意を表します。 要するに資源開発の問題は、今後のわが国の経済発展を大きく左右する重要な問題でございます。御承知のように、現在問題になっております石油産油国、OPECの要求を、バーレル当たり三十五セントアップとしましても、二億キロリットルの輸入を考えますれば、約一千五百億円、前回の値上げ分、バーレル十一・四セントを加えますと約二千億円の負担増となるというわけでございます。まことにわが国としましては大きな問題で、資源開発に対して、国は総力をあげて有効な政策展開をはかるべきだろうと考えます。もちろん資源開発について、単にリスク負担あるいは投資の巨大性のほかに、発展途上国におけるナショナリズムの台頭などの問題もございます。これらについては、私もたまたま太平洋経済協力委員会の天然資源委員会の委員をいたしております関係で、いろいろと国際協力などについて努力は重ねておりますが、国としての政策の推進をこの機会にさらにお願いする次第でございます。 以上、気がついた点を申し上げまして、私の公述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○小平(久)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、新田公述人。
○新田公述人 ただいま御紹介いただきました愛媛の新田でございます。本日はここに、昭和四十六年度の予算案につきまして私見を述べる機会を与えていただきましたことを、心から感謝申し上げます。 私は、まず初めにお断わりしたいと思いますことは、何ぶんおとといまで子供とともに教壇で生活しておったので、財政とか予算とか、そういった面には非常に造詣の薄いしろうとでございます。 それで、ほんとうに一般的な私たちの立場で感じましたことを申し述べさせていただきたいと思います。 もう一つお断わり申し上げたいことは、私、かぜをひきまして、たいへんお聞き苦しい点が多々あるかと思いますが、御了承賜わりたいと存じます。 まず、私は、この総予算一般会計九兆四千百四十三億円、財政投融資四兆二千八百四億円という予算案を見まして、次のようなことを感じました。それは、この激動の時代といわれる七〇年代、しかもその第二年目を迎え、経済、社会の激しい変動のテンポに対処していこうとする政府の意欲と前向きの姿勢が随所に見受けられるような感じがしたのでございます。この点、私、率直に評価したいと思います。 それから、時間の都合で幾つかしぼって取り上げてみたいと存じますが、まず第一点としまして、運営の面でこの予算案は非常に弾力性を持たしているということを感じます。すなわち政府債の発行限度の弾力化とか、国庫債務負担行為の拡充、予備費の増額等々、四十年不況の教訓に学び、備えて、予防的なそういった面の非常に強い予算ではなかろうかと判断いたします。これは福田大蔵大臣のおっしゃる中立機動型予算という意味も、こういう意味かと存じます。しかし、ちまたにはこの弾力的であるということ自身に、何かしら不安の気持ちを抱く人もあるかと存じます。やはり現在のように、こういう経済的な環境が世界的な規模におきまして激しくゆれ動くことを考えますと、ある程度はこういう予備的、予防的な体制も必要ではないかと思います。 次に第二番としまして、食管改革への大きな第一歩が踏み出されているというような感じでございます。すなわち、これまで三大赤字といわれた国鉄、健保それから米のうち、この余る米に対する私たち国民の悩みはたいへん大きかったわけでございますが、今度の予算案を見ますと、買い入れ制限五百八十万トン、それから生産調整二百三十万トン及び米の物価統制令の適用の廃止等々、抜本的な対策を打ち出したことは、ほんとうに特筆さるべき勇断といいますか、そういったものがうかがえるような気がいたします。毎年毎年余る米、頭の痛い米の問題も、そういった新しい方向づけによっていよいよ変わりかけたのではないか、そういった感じを受けております。ただ、米の問題は、私たちの地方ではミカンがございますが、やはり農家の仕事としましては、これは土地という宿命的な長い生活を通してのそういう職業でございますから、そういう方向が転換する場合、当事者、農家の方々は非常に不安な気持ちがあるんじゃなかろうかと思います。そういう意味で、運営にあたっては十分なこまかい御配慮が要るんじゃなかろうかと感じます。と同時に、消費者の私たちの立場からしましても、やはり米価の高騰とか、そういったような不安も何か感じられるような気がします。このあたりにもやはり長期的な農業対策と同時に、こまかい御配慮がほしいような感じがいたします。 それから三番目に感じますことは、公共投資が生活優先化の方向へ向き始めたというような感じでございます。これが成長第一主義から生活中心主義へ、すなわち生活環境整備関連事業に八百八十二億円、つまり前年度比四〇%も増額されておるということは、たいへん国民の生活を重視した新しい方向として感じ取れるような気がいたします。特に新しく自動車新税の創設が見られるようでございますが、そのうち四分の一、百三億円が地方道の改修に向けられるということに、私たち地方の者はたいへん期待をしております。 以上一般的なことにつきまして申し述べました。 次に第四番目としまして、文教関係の予算について感じを申し述べさせていただきたいと思います。昭和四十六年度の予算案の中に占めます立教費は、全体の一一・五%、九千八百億円で、前年度比一六・五%という数字が出ておるかと思います。これは昭和四十年以来伸び率において最高となっている点、たいへん心強く思います。 私は小学校の第一線で毎日子供とともにその道に励んでおりますと、何かしら感じます。今度こちらへ参りまして、私は最初に申し上げましたように、このはえある会場にお呼びいただきましたその喜びとともに、もう一つの大きな喜びを受けました。それは、私がこちらへ来るということが、どこかの新聞の片すみに出ておったのを、私のかつての教え子が見て、それで、私の遠い愛媛まで電話をかけてきまして、先生、八幡浜からいつ来られますか、どの駅へお着きになりますか、着かれたらどうぞ動かないようにしてくださいという声でございます。私もその子供の顔をほうふつと思い出したのでございますが、それは十九年も昔に教えた子供、わずか四カ月受け持ったことのある子供でした。ついすると、まぶたから消えがちであったその子供の顔がほうふつとして浮かび出たのでございます。その子供の喜びの電話を受けましたおりに、私はほんとうに教育者として、ありがたい、うれしい感じを持ちました。そういうこと、教育の仕事はほんとうに重大である、責任が重いということを、私はつくづく感じました。そして東京駅へ着きますと、まっ先にその子が抱きつくようにして私を迎えてくれました。私はほんとうに小学校の教師の喜びといいますか、そういったものを心からそのおりは味わうことができたのであります。 といいますのは、義務教育の課程で子供の心理に与える影響、これはいろいろな学者の申されることでございますが、非常に大きな影響力を持っておるということでございます。そういう意味で、非常に大切なことだと思いますが、予算に関しまして、私、思いますことは、よくいわれます経済大国に成長したという、この日本のGNP、自由諸国世界で第二位というこの驚異的な成長はどういうところに原因があるかということ、これはもうすでに御承知のとおり、アメリカのカーン博士の説をまつまでもありません、教育の力がたいへんあったんじゃないかと私は思います。 そういう意味で、ほんとうに私たちの責任を感ずる次第でございますが、経済大国に成長した日本にもやはり問題はあるのじゃなかろうか、新しい問題が生まれておるのでなかろうか。それはよくエコノミックアニマルということばを聞きますが、これが教育の今日の課題の一つではないかと思います。 佐藤総理も施政方針演説の中にお述べになっていらっしゃるようでございますが、やがて新しい教育改革の制度的なものを中教審から答申される御予定だそうですが、それを見ましてほんとうにまた新しい政府の御施策が見られると思います。ところが、やはりここまで成長させた教育の力、現在要求されて望まれておるものは、物と心の豊かな人間性の問題じゃないかと思います。 そこで、私たちは次のように考えるのであります。いろいろ今度の予算を見せていただきますと、施設の面でもこまかい御配慮があります。特にいろいろ施設、制度、そのほかの問題もたいへん大切な問題かと思いますが、私はやはり人の問題、教育は人の問題だと思います。そういう意味で、私、常に思いますことは、私たちのあとを継ぐ教育者になる人、若い有能な青年が私たちのあとに続々と来てくれるかどうか、そういうことを一番心配するものでございます。 そういう意味で、たいへんうれしいと思いますことは、つい先日も人事院勧告が出されておりましたが、あの四十億円にのぼる給与改善の問題でございます。あれはたいへん私たち教師の毎日の営みに非常に意欲と勇気と喜びを呼び起こすものであろうと思いますし、将来教育者に人材を迎えるための非常に大事な点かと思います。 さらに、教育は、将来を見越した未来からの呼びかけにこたえる夢のある仕事であるのが教育の本来の姿だと思います。そういう意味で、教師は、私たちは夢を持つべきではなかろうかと思いますが、先ほどのように教師になる人が、大学などの入試の状況などを見ましても、わりに少ないということは、何か一まつのさびしさを感じます。そういう意味では、やはり教師に夢を持たせる、そういう若い有能な人たちがこの道に続々と集まれるようなそういう点の施策、そういう御配慮が望まれると思います。そしてよくいわれますように、そういう新しい教師が新しいビジョンを持って教育を推進していきますときに、初めてまた新しい輝かしい日本の将来が次々と生まれ出るのではなかろうかと思います。 いろいろございますが、以上で私の公述を終わりたいと思います。(拍手)
○小平(久)委員長代理 どうもありがとうございました。 —————————————
○小平(久)委員長代理 これより両公述人に対する質疑に入ります。原茂君。
○原(茂)委員 お忙しい中をおいでいただきました公述人に感謝申し上げますが、最初に新田先生に二、三お伺いをしてみたいと思うのです。 いま先生も、特に教育者の立場で、物と心の豊かな社会というものを大事に育て上げるという感懐を漏らされたわけで、そういう観点からの今回の予算に対するいわゆる感じ方が、二、三の問題にわたって述べられたわけですが、私も同じ立場で先生にお伺いしたいと思いますのは、たとえばいまお米の問題を出されたわけですが、米は、消費者の立場で考える面と生産者の立場で考える面とあるわけですが、先生のお教えになっているお子さんの中にも、ことによると農家の子弟もいるのではないかと思うのですが、この一年、二年来の米が余る余るということを中心にした農家のたいへん精神的な苦しみ、非常に激しく変わっていく余剰米を中心の、しいて言うなら、食管制度そのものまで根幹的に変えられていくような、この引きかえに何があるのかを模索しているような状態が、農家にとってたいへん大きな心配の種になっていると思うのですが、そのことがやはり家庭における子供にも、農家においては相当の暗い一面を与えているに違いないと思うのです。 で、同じような観点から考えますと、さきに触れられましたいわゆる自動車の新税、これも道路の開発に向けられる面でたいへんいいとは思いますけれども、現在もう自動車を、あるいは二輪車にしても、持っていないところはほとんどないのでありますが、やはり学校に来られる子弟の家においても、大部分が何らかの車を持っている。この新税がきめられたことで、結果的にはいきなり増税になったと同じなんであります。これも生活の面には、やがて実感としてもたいへん苦しみを与えていくわけであります。生活を圧迫する一面になる。3Kといわれます健康保険にしても、患者負担が増額いたしますと、これもいわゆる先生のお扱いになる子弟の家庭にとっては、増税と同じ苦しみを与えていくようになる。 こういう面からいいますと、物と心の豊かな社会をと考える先生のお立場からいっても、この予算のあり方の、私どもの立場で批判をしておりますようなこの3Kの処理のしかたが、下部の家庭においてはたいへん悪い意味の影響、圧迫感、生活に対する一面の苦しみが増加していくという、そういう心配があるわけなんですが、こういう点を、きょうごらんをいただきました予算とのからみ合いで、いまお述べになりましたお立場でどういうふうにお考えになりますかを、一点お伺いをしたいのであります。 それから、檜山さんについでにこれもお考えおきをいただきたいのですが、現在世界的な経済の状況の中に、わが国の非常に困難な経済というものが置かれているわけなんでありますが、これに対処するために、先ほどからるる資源の問題にも触れられて国家的な施策を要望になりました。私も同感でございまして、特にエネルギー政策といいますか、国家的な見地で長期にわたっての政策というものがまだ確立されていない。ある意味では、模索中なのでしょうか、あるいはそういうところに手が届かない現状なのかもしれません。いずれにしても、早期に国としての燃料政策が中期、長期にわたって確立されまして、その方向づけができませんと、お立場上たいへん大きな困難をお感じになるだろうと思う。 そういう面から考えてみますと、たとえば電力を考えると、将来だんだんに原子力発電に依存する面が多くなります。あるいは燃料の一つであります原油、石油等を考えましても、中東でいまあのような事態になっておりますほかに、ソビエトその他の油を考えてみたり、天然ガスを考えたり、あるいはまた、だんだんに国際問題化してまいりました尖閣列島における——韓国に至るまでがいまくちばしをいれてまいりました、いわゆる海底資源の問題ですとか、おそらくもうすでに話題になっていると思いますが、中国沖、出雲沖といいますか、新たな油田がすでに探索されていて、この開発も国家的な重要な問題になるだろうと思う。 こういうようなエネルギー資源を考えましたときに、おっしゃったとおりに、海外に依存する度合いの多いわが国が、やはりいま申し上げましたような尖閣列島なり、わが国近海における海底の資源開発というものは、非常に重要になってくるだろうと思うのですが、しかし、この資源の開発が、早期にわれわれの要求するエネルギーの供給源になることはむずかしい。当分の間は、外国にこれを求めざるを得ない。ひるがえって、このことを戦前の状態に置きかえてみますと、あのいまわしい太平洋戦争前にわが国が経済封鎖をされましたあの当時の、何かいやな記憶を思い出すわけでありまして、そういう意味では、急速に政府の施策も必要なのですが、皆さん方の立場からも、やはりエネルギー資源のわが国の力と手による確保というものに新しいくふうと意欲と提案をされまして、ただ国にたよるばかりではなくて、実際にお困りになる、将来を憂える、しかも巨大な力をお持ちの檜山さん方のお考えというものが、もっと先行するといっては恐縮ですが、こうしてほしい、こうあったら、こうあるべきではないかというアイデアなり提案なりが具体的にされることが私は望ましいと思うのですが、これに対するお考えが一点であります。 それから二つ目に、やはりこれに関係するわけですけれども、現在貿易全体を考えましたときの、先ほどもちょっと触れましたような、サハリンからのいわゆる天然ガスのパイプ輸送の問題等もあります。要するに、対ソ貿易の問題でありますが、今日わが国の日米貿易に対比いたしまして、やはり対ソ貿易の重要性というのはたいへん強いウエートを持ってきたと思うのであります。同時に、対中貿易も、いまのような覚書貿易程度の内容では困る。もっと積極的にこれが進められるならということが、おそらく檜山さん方の立場では、いろいろと具体的に明瞭な、こうあってほしいという案があるはずだと思うのでありまして、そういう点をざっくばらんに——いわゆるわが国のあすの貿易を考え、今日の経済の打開の施策の一つとしても積極的にやりたい対ソ貿易、積極的にやりたい、やる必要のある対中貿易を行ないたいんだが、現在のいわゆるこれを阻害する要件は一体何か。事業を通じまして、具体的にいろいろとお感じになったり、ぶつかっておられる障害を簡潔に二、三点ずつ、対ソ、対中に関してこうあってほしいということをお教えいただいたら非常に参考になりますので、お伺いをいたしたいと思います。
○新田公述人 自動車新税に対しての御質疑をいただいたのでございますが、私は、自動車新税によって、なるほど御父兄の負担はふえるのでございますが、と同時に、それにも増して、受益者といいますか、いわゆる現在の道路事情は、かつての、これが道路か道路の予定地かといわれたくらいの道路ではなくなって、諸先生の御努力によりまして、たいへん国内全般によくなってはおろうと思いますが、しかし、周辺のほうへ、たとえば私たちの近くのほうで見ますと、まだ舗装されていない道路が、たくさんではありませんが、残っております。そういうところを走るそのつらさと、自動車を買うぐらいのいわゆる資力のある、その資力に比べれば、負担は好ましことではないけれども、やむを得ぬのじゃなかろうか。そして結局、高負担の高福祉といいますか、そういった精神がやはり生かされるのでなかろうか、私はそのように思いまして、子供の豊かさにはそれほどこの問題は痛切には考えなくてもいいのではなかろうか、そういう感じがいたします。
○檜山公述人 先生のいまの御指摘の資源確保対策、これは全く先生と同感でございまして、当然官民としても、この中期、長期の基本的な対策を立てるということは絶対必要だと思います。軽工業から重化学工業化へと非常なスピードで拡大してまいりましたので、予想以上にこれらの基礎資源——鉄鋼資源にしろ、エネルギーにしろ、石油にしろ、木材にしろ、非常な需要の拡大を伴ったわけでございますが、幸いにしまして従来は、日本が資源の消費国として長期契約とかあるいは若干の融資あるいは投資、こういうふうな民間の自主的な立場における契約なりあるいは投資とか融資とかということで、やや従来まで、そこそこに資源の確保はできてまいったのでございますが、今日になりますと、技術の発展が、ややそうした重要基礎資源の節約効果というものもございましたが、そういうものではとてもまだまだ足りない。むしろ、さらに高度加工時代に入っていくにつれて、再びそうした基礎資材の輸入がさらに拡大するということがはっりきとしてまいっています。 特にただいま御指摘のエネルギーの資源につきましては、その度合が非常に強いということで、民間は民間なりに、決して国にだけたよったわけでもなしに、できるだけのことはやってまいった。ところが、最近になりますと、開発なり確保の規模が非常に大きくなってきました。したがって、とうてい、その蓄積の少ない私企業だけではやっていけないあるいは単なる財閥なり企業結集だけではやっていけない。そこで、少なくとも石油なら石油の探鉱の段階あるいは調査の段階で何十億、何百億というようなものを、やはり国のそうした施策と、それに呼応した資金というものにたよらざるを得ない。したがって、そういうものは、官民協調、要するに、国と一般私企業が相提携して、世界の巨大資本に立ち向かっていかなければとうていやっていけないということで、ただ安易にお国にたよっているということではないので、いままではむしろ私企業が先端を切ってやってきたのですが、今日に及んではとてもそれはなかなかたいへんだということで、そういうことを先ほどお願いしたわけです。 第二の対ソ、対中共の貿易でございますが、ソ連についてはただいまのところ格別これといった障害はございませんが、何さまいろいろ開発なりあるいは向こうの資源の開発にあたりましても、社会主義国家と資本主義国家ということで、やり方もなかなか違うということでございまして、しかも大体ソ連側はいろいろな開発にあたっては、いわゆるプロダクション・シェアリング・システム、PS方式といいまして、向こうの資源を、何億トンありますから持っていらっしゃい、ただし日本はこういうお金とこういう機材をもって開発して持っていってくださいということで、いわゆる決済の問題がなかなかむずかしくなってくる。したがって、そのクレジット、バンクローンとかそうした長期的なクレジットをソ連側に与えれば、ソ連はそれをもってストレートに輸入も輸出も決済しようじゃないかというような、いまいろいろな交渉の段階にありますが、何さま日本としましても、幾多の東南アジア諸国等、なおかつ低開発国に対する援助とかそういうことがございますし、そういう方面に対するクレジットもなかなか不如意の際に、先進社会主義国家に対してそう大きなクレジットを与えるというようなこともなかなかむずかしいでございましょうし、いろいろな、煮詰めてできないことはございませんが、さしずめ日ソ間ではそうした、あまりにも——決済関係で若干むずかしさを伴う場合もありますが、商談としてはさほどむずかしいことはないのじゃないか。できるだけのことはやっているという現況だと思います。 中共関係でございますが、これもいわゆるコマーシャルベースとして、商業採算ベースでできるものは私どもはどんどん、先ほど申し上げましたように、日本は貿易立国であり、貿易なしにはやっていけないのだということで、商機のある限り、いわゆる商業採算、いわゆるコマーシャルベースでやっていける商売はどんどん積極的にやっておる。ただいろいろな政治的な要因がからむとかなんとかになりますと、これは非常にむずかしい問題になりますので、要するにコマーシャルベースで、商業採算ベースでやっていけるものはどんどんやっていくという現況になるわけです。
○原(茂)委員 どうもありがとうございました。 新田先生、これはきょう議論するわけじゃありませんから、一言感じだけ言っておくのですが、農家が、あるいは一般が自動車を買えるほどの資力があれば、という考え方なのですが、もうすでに機動力が生活必需品になっているのが現代だと思うんですね。自転車ではもうとても日常生活もできないという時代になっているわけですから、自動車等を買える資力があるような者は、という感じ方が、どうも私はちょっと気にかかるのですが、先生のおっしゃる意味がわかりますので、私の感じ方もつけ加えて終わりたいと思うのです。 それから檜山さんには、エネルギー資源等の問題に関して、安易に国にばかりたよるな、こう言ったわけではないのでありまして、安易にたよっていると考えてはおりません。当然のことを国がやるべきでありますが、それにもまして、実務的な立場で具体的ないろいろな問題が提起されるはずだと思いますので、大胆にひとつ御提起を願ったらと、こう思ったわけであります。対ソ貿易に関しては、おっしゃるとおり資金の問題が一番大きなネックになるでしょう。イギリスとソビエトの方式等が日本で採用できるなら、これはもうたいへん思い切った拡大ができると思うのですが、そういった具体的な、こういう点が困る、こうあってほしいという、大胆なお話がもしここで聞けたらと思いましたが、これもこれ以上は、いろいろお考えがあると思いますのでお伺いいたしません。 それから対中貿易に関しては、ココム等の制限がまだ非常にきびしいのであります、日本だけが。このことに関しても、檜山さんのお立場で、むだではないか、こういうことに対する配慮がぜひ国としてほしいんだというようなことをお聞かせいただいたらと思ったわけなんですが、これも、もうお考えのほども大体わかりましたので、いろいろの立場でそれまでかと考えますから、お伺いをして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。 終わります。
○小平(久)委員長代理 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 檜山公述人にお伺いをしたいんですが、率直に申しまして、日中貿易の観点から見ますならば、昨年示されたいわゆる周四原則、この周四原則についてはどのような考え方をしたらいいものか、いわゆる実務的な立場にあらわれる檜山公述人のお考えをお伺いしたいと思います。
○檜山公述人 あの四原則というのをよく読んでみますと、いろいろな政治的な配意もあるんだろうと思いますが、いずれにしましても、あまり、業界としてあの四原則にそう抵触するようなことをやっておる業界はないんじゃないかというふうな気がしておるわけですが、結局私どもは、むしろ、早く、ああいうことでなしに、従来も順次積み重ね方式でやってまいりまして、日中間の貿易が一億から三億、三億から四億、八億と、その間若干の上がり下がりはありましたが、去年あたりも往復八億二千万ドル、こういうふうになってきたので、むしろ従来のように、先ほど申し上げましたように、私どもとしましてはいわゆる純然たるコマーシャルベースにのっとって、そして有無相通ずる原則で商売をしていくということになれば、私は、日中間の貿易も非常に伸びるだろうし、やりやすくもなるんじゃないか。そういうことが無為自然な間に日中間にでき上がることを私どもとしては所望しておるわけなんですが、どうもあの四原則というものを——いろいろ二つの中国とかあるいは敵対をしないのだとかいう、全く、われわれ一般私企業にとっては、そんなに抵触しない、そんなにといわず、抵触しているとは思わないのですが、そういうことがなかなか非常にむずかしいということになってきたので、私ども、いまのところ、要するにコマーシャルベースでできるものはやりたいという考えで進んでいるわけなんですが、周原則がどうということで、あまり私も深く突き入って分析したわけではございませんが、大体そういうことで私どもどんどんやってまいったんですが、ただ、それに抵触するということになりますと、今度はできなくなるということだけで、たとえば日台、何ですか、日華経済協力委員会というのですか、私どもの副社長が出席した、それは要するに周原則にもとるものだということになれば——私どもは、従来のそういう会議にたまたま私のところの副社長も出席していたというようなことが、それが抵触するということになると仕事ができなくなるということ、そういうことでなしに、従来のような積み重ね方式で、いわゆる有無相通ずるコマーシャルベースで両国間がどんどん商売をやっていくというようなことを期待しているわけであります。
○楢崎委員 この問題はこれ以上聞かぬことにいたします。 次に、対外経済技術協力あるいは技術援助、この問題について、いろいろな問題点が中にあるのですが、大体どういう条件の場合はこれを大いに拡大していくということになると思われますか、ひとつ簡単に。
○檜山公述人 経済協力と申しましても、戦後、たとえば米ソは市場を支配しようとか、日本とか西独は輸出の拡大を企図しながら経済協力なり援助をやってきたとか、あるいはフランスとか英国等は各地の植民地を確保していくというような、いろいろな意味で経済協力という姿で今日までやってまいったわけですが、今日このような状況になって、それがそうしたおのおの異なった目的ではなしに、世界平和のために、要するに後進国、発展途上国について援助をしようじゃないかということで、これが一つの考え方として、言われるようなピアソン報告に基づく経済協力体制をしこうじゃないかということが各国間の合意であろうかと思います。したがって、日本としましてもGNPの一%というもの、しかもそのうちの七割というものを政府ベース、いわゆるソフトローンでGGベースに持っていくというような、大きな方向としてはそういう方向を歩んでおるのでございましょうが、しかもまた従来の経済協力というものは、民間の協力は六割ぐらいが東南アジア、政府間の協力というものはもう九割九分までが東南アジアであった。しかし、これも逐次そういう各国との協調のもとに協力をやるということになれば、やはり一地域一国に偏重するということなく、やはり全体とにらみ合わせながら経済協力を推進していくということではないかと思います。 しかしいずれにしましてもそれが国益につながるということで、あまり国益をむき出しにしますと協力が協力にならないということにもなりましょうが、長期的にはやはり国益につながるような経済の協力のしかたというものが好ましいのではないかというふうに考えます。したがって、しょせん何といっても東南アジアとかいう近隣諸国がどうしても多くなっていくような傾向をとるのではないか、またとるべきではないかというふうには考えられます。 〔小平(久)委員長代理退席、 坪川委員長代理 着席〕
○楢崎委員 実は私は昨年の三月一二十日に当予算委員会において、アルゼンチンの国鉄近代化計画に対する経済技術援助について質疑を行ないました。その質疑について多くの問題が解明されないまま、問題は理事会に移されて実は今日に至っておるわけであります。檜山公述人はこの問題に直接関係のある立場でありますが、きょうは公聴会でございますから、公述人としてお伺いする限度内において若干の問題についてお伺いしたいわけであります。 まず、このアルゼンチン国鉄近代化計画に対する丸紅を中心とする日本チームはたいへん有利な商談を進めておられまして、その後アルゼンチンの政変もあったわけでありますが、今日この問題の状況はどのようになっておりましょうか。
○檜山公述人 実はそれもきょうは用意もしておりませんし聞いてもおりませんですが、現地で何とか成約に導くようにその後も大いに努力しているんだろうと思います。それ以上のことは私も格別聞いておりませんので、その辺はあまりあれですが……。
○楢崎委員 実は私がお伺いするのは、これは巨額の政府資金を伴うファイナンスを条件としておりまして、当然、対外経済援助の問題として当予算委員会の主題にかかってくるわけであります。それでお伺いをしたわけですが、実情をあまり知られていないということでありますからその点はおきまして、この対外経済援助をやる場合に、相手国の政情なり国情が安定をしておるということが非常に重要な一つの要件になろうと思うわけでございます。そういう点については、実際いろいろやられておる立場からこれは非常に大きな条件になろうと私は思いますが、どうでございましょうか。
○檜山公述人 おっしゃるとおりでございます。私どももとにかく危険のあるところへはあまり出ていけませんし、したがって政治なり経済の安定というものは絶対条件ではございますが、しかし後進国は必ずしもそうではございません。したがって、たとえ政情不安あるいは経済の不安が若干あっても、今後日本としては、場合によってはできる限りそういう政治あるいは経済の安定を招来するようなためにもやらなければならぬようなことがあろうかとも思います。しかしわれわれ企業にとっては何と申しましても政治と経済の安定ということがまず前提で、なるべくわれわれはそういう危険のないような、しかも資金効果のあがるようなところをねらってやっていきたいということは、企業経営者としては当然考えなければならぬだろうと思います。
○楢崎委員 これは一・八億ドルの借款の問題ですから当然予算委員会にかかるわけであります。したがって、この見通しなりを一応お伺いしておきたかったわけであります。昨年質問しました立場も、そういう予算を検討するという立場からの質問でありましたし、また日本の国鉄の技術というものは世界最高であります。それで、アルゼンチンの政府並びに国民から歓迎されるような、喜ばれるような立場からこれが成功されるように、いやしくもそこに何らかの疑問なり不安というものがあれば、これはいうところの、いま非常に世界的に一つの批判になっているエコノミックアニマルという日本の経済進出の状態であってはいけないという立場から、日本の経済援助が清潔な経済外交の一環として行なわれる、そういうことを願うがゆえに昨年お伺いをしたわけであります。これは非常に大きな借款の問題であるし、世界注目の的でもございますので、ひとつそういう日本の真の国益という立場から、たくさんの企業が合同してなさっておるのですから、成功されますようにこれはぜひ御努力をいただきたい。これだけ申し上げまして、御存じないようでございますから、ではこれで終わります。
○坪川委員長代理 西宮君。
○西宮委員 檜山公述人に二、三お尋ねをいたします。 実は今回の公聴会には八人の公述人の方が御出席をいただくことになっておるわけでありますが、ほんとうの純粋の経済人というのは檜山公述人お一人のようでございますので、私はそういうほんとうに経済の、産業の現場におられる方としてどういうお考えを持っておられるか、二、三の点をお尋ねしたいと思うのであります。 第一は物価の見通しでございます。政府では五・五%といっておりまするけれども、それがことしはその程度でおさまるだろうかどうだろうかということであります。私ども見る限りでは、ことしの四十六年の予算もかなり景気を刺激するそういう性格を持っているのではないかというふうに思われまするし、あるいはまた公定歩合の引き下げというような金融措置等々と相まってかなり景気刺激の方向に動く、こういうふうに考えられますので、そうなりますると、勢い物価もいまの見通しの程度ではおさまらないんじゃないかというような気がするわけでございます。したがって、そういう点で純然たる経済人のお立場でどういうふうに観測しておられるか、お尋ねをしたいと思います。 それから二番目は、国民大衆とでも申しますか、あるいは雇用労働者とでもいいますか、そういう人たちの所得の現状と現在の景気の動向、こういう点であります。つまり、もっと別な表現をいたしますと、要するにそういう雇用労働者とか、そういったような人たちにもっと所得を保障する、そういうやり方をとれば、景気はおのずから回復をする、こういうふうに考えるわけです。つまり、そういう点から申しますると、現在のたとえば賃金のあり方なり、あるいはまた税金の制度なり、こういう点に検討を要する点があるんではないか。もっとそういう大衆の負担が軽減され、大衆の所得が向上する、そういう方向に税制その他も改善する余地が十分あるんではないかというふうに考えられるわけでございます。そういう点を、私ども実はいろいろわれわれの立場から提案をいたしておるわけですが、そういう点が実現をいたしますると、そういう大衆のふところぐあいがだいぶよくなってくるということになりますと、いま申し上げたようなことが実現してくるんではないか。と申しますのは、国民総支出の中に占めております個人の消費支出がだんだんに低下をしておるわけです。支出として相対的に低下をしておるわけでありまして、こういう点ではいけないと思う。あるいは具体的にたとえば米どころの農村地帯などを見ますると、米価の据え置きというようなことで、直ちに消費支出のほうが制約をされておる、こういうことが統計の上にも明らかにあらわれておるわけであります。そういう点から申しまして、私はもっといわゆる国民大衆のふところぐあいを改善するという方向で、それが景気の回復、景気の上昇に役立つ、そういう方向をさぐっていってよいのではないかというような感じがするわけであります。それについての御意見……。 それから三番目には、財政の硬直化を避けるようにというお話がございまして、私も全くごもっともだと思うわけです。ただ具体的にどこにどういう手を加えたならば財政の硬直化を避け得るのかという点について、何かそういう提案をお持ちでございましたら、お教えをいただきたいと考えるわけです。新規事業などは、いわゆる政策経費になるわけでありますが、これも一年限りの仕事というのは非常に少ないんで、大半は何年間かの継続事業になるわけです。そういうことになりますと、ことしの新規事業は来年からは義務経費になってしまう。いわゆる硬直化の中に入ってしまう、こういうことになりますので、非常に財政硬直化の傾向が強い、こういうふうに考えられるわけですが、先ほどのお説は何かその具体的な提案をお持ちかどうかという点でお尋ねをしたいわけでございます。 それからもう一つでございますが、輸出ないしは輸入の関係でお尋ねをいたしますが、生鮮食料品を海外から輸入するという問題が、現在の物価高の日本の情勢に対しまして、どういうふうにこれを運営していったならば、物価の上昇を押えるということに有効に作用するかという点で何かお聞かせいただきたいと思います。 それからもう一つは、先ほど原委員が質問をいたしましたけれども、私はやはり対ソ、対中の貿易をもっともっと拡大をしなければならぬのではないかという感じでございます。なぜならば、現在の対アメリカの貿易も、あるいは対東南アジア地域の貿易も非常に順調のようでありますけれども、これが両方とも戦争の影響がかなり強いのではないかという感じがいたします。たとえば一番戦争の激しいベトナムなどに参りましても、あそこでは戦争と国民の消費生活というのは、全く無関係でございます。つまり国民はアメリカから落とされるドルで生活をしているわけでありますから、消費物資に対する需要などはきわめて旺盛なわけであります。そういう点で東南アジアの貿易は、この現在の戦争に影響されておる面が非常に多いので、そういう点を考えると、将来に非常に、不安があるわけであります。あるいは先ほどちょっとお話のありましたプロダクト・シェアリング問題も、現在ではどうもあまりうまくいっていないのではないかというふうに私は見てまいったのでありまするが、数年前に参りましたときに比べると、どうもこのやり方がうまくいっていないというふうに観察をしてまいったのでありますが、それらを考えあわせますと、東南アジアの貿易というのは、かなり将来にいろいろなむずかしい要素を抱えておる。したがって、対ソ、対中の貿易を拡大するという必要性はますます強くなるのではないかというふうに考えますけれども、それについてどのようにお考えでございましょうか。
○檜山公述人 私も経済学者でございませんので、あまり物価の見通しということもあれですが、結局先ほど日本では卸売り物価はやや落ちついている、しかし消費者物価はかなり高騰を続けているということを申し上げたのですが、先生のおっしゃられたような五・五%、政府の見通し、これと大同小異、まあ若干これより上がるのじゃないかというふうな感じがします。と申しますのは、卸売り物価も、いまやや落ちついてはおりますが、海外で欧米ともに非常にインフレが高進しているために、いろいろな諸原料が、フレートも上がれば、原材料も上がるということで、インフレを輸入しなければならないという結果から、したがって当然賃金も上がってくる、原料も上がってくるということで、今度は卸売り物価が上がってくる。したがって、その面からやはり当然消費者物価にもだんだんはね返ってくるのじゃないかというふうなことで、卸売り物価も逐次もう少し上がるのじゃないか。ただいま幸か不幸か現在のような景気動向なために、卸売り物価のほうはなかなか上がらない、過剰供給ということで上がっていかないということでございますが、しかしコストがどんどん上がっていきますと、企業が商品に転嫁する以外にはなくなっていくということで、逐次卸売り物価も若干は強含みになってくるだろう、そうすると消費者物価も若干それにつれて上がるのじゃないかというふうな気がしますので、政府見通しよりはあるいは若干上がるのじゃないかというふうな感じがしております。 第二番目のことは、結局これもやはりインフレに影響されるのだろうと思いますが、インフレが強ければ強いほどかなりの——私どもの会社でも、二割とか二割三分とかいう前年比賃金がどんどん上がっていく、にもかかわらず、やはり実質所得がふえたような感じがしない、購買力がそれほどないという生活の改善が考えられないということであるのは、やはり大きな意味でインフレの影響を受けているのじゃないか。したがって、やはりインフレ対策というものが行なわれないと大衆、働く者のふところが非常によくなるという感じはなかなか出ないのじゃないか。結局二割上がっても、やはり一割とか一割何分とかいうような、実質的にはいろいろな面で——たとえばインフレというものが起きていると、非常に実際面でそれだけの生活の向上というものは感じられないというようなことじゃないかというふうに考えます。 それから第三番目の財政の硬直化、これは私は一般の財政の硬直化というより、むしろ行政の効率化をお願いしたい。行政の非能率化から来る財政の硬直化ということを避けてもらいたいということを先ほど申し上げたのです。とにかく民間というのはこの前も申し上げたのですが、要するにバランスシートを常に背負って、とにかく遊んでいては食えないんだということですが、えてして役所の方、行政当局の方というものは、国家のお金でやっていくんだということで、その辺の考え方が違うんじゃないか、ほんとうに民間企業がバランスシートを背負ってやっておるようなつもりでお役人さんもやられたならば、もっと行政効率があがるんじゃないか。決して私どもより働いてないんだということじゃないのです、働いている人は非常にりっぱに働いているんだろうと思います。特にお役人さんなどというのはわれわれ庶民階級よりは非常にりっぱな人が集まっているんだから、そういうふうなところに意を用いたならば、もっと行政効率はあがるんじゃないか。そういうことで、行政効率を向上してもらって、行政の非能率から来る財政の硬直化というものを改めてもらいたいということを申し上げたのでございます。全般的な硬直化をどう防いだらいいんだというようなことまで、どうもいまさしずめの具体案は持ち合わせておりませんが、まあそういうことを申し上げたつもりでございます。 それから生鮮食料品、これは私どもタマネギとか肉とかそういうものをどんどんやっておるのですが、いま総合農政の端を発しただけでありますので、なるべく国内的にも摩擦の少ないような方法をもって逐次そういうものの完全自由化を願っておるということで、いろいろな問題があるだろうと思いますが、いずれにしましても、私どももできるだけ、そうした生鮮食料品の輸入に対しては関税も下げ、クォータも大きくし、行く行くは完全に自由化にしてもらいたい、農業も、国際農業の一環としての日本の農業のあるべき姿に持っていかなければならぬだろうというようなことを申し上げてはおるわけですが、やはり国内の農政との関連も勘案しながら最もフリクションの少ないまま、いかにしてそういうものをやるかというようなことで、種々農林省側とも話をしながら、私ども実際そういうものの輸入にも携わっておるという状況でございます。 それから確かにおっしゃるような対ソ、対中——しかしアメリカとか東南アジアとか、日本の産業構造それ自体が二十五年も商品的に取っ組み合いができている関係上、急に新しい市場へ向かって市場転換をやればいいだろうということもなかなかいかない。しかし、おっしゃるようにやはり対ソであり、対中であっても、やはり先ほど申し上げたように純然たるコマーシャルベースでできるものはどんどんやっていく。これは、おそらく業界みんなそういうつもりでやっているのだろう、こういうふうに考えております。
○西宮委員 もう一点だけ檜山さんにお尋ねいたします。 これは食糧管理問題に関連するわけでありますが、経済同友会で三、四年前に、米は間接統制に移せ、こういうことを提案をされました。丸紅さんなどもその有力な推進役になっておられると承っておるのでありますが、それならば、そこでいうところの間接統制というのは、具体的にはどういうことを、どういう統制のしかたを構想しておられるのかというのが一点。 それからさらに間接統制は、これはやはり依然として統制でありますが、さらにそれ以上にもっと、戦前の自由米の時代のような正米市場が成立をするというような状態を構想し、あるいは期待し、あるいはまたそれが望ましいという方向でお考えになっておられるのか。その二点についてお尋ねをいたします。
○檜山公述人 同友会には御存じのようにいろんな委員会がございまして、私は国際経済委員長というのを仰せつかっておるわけですが、これはおそらく東洋電機の社長太田さんがこの農業の問題の委員長をやっておられると思います。私もその委員会には顔を一回ほど出したことはあるのですが、その企図するところということも、そのときの委員会で、一回だけ顔を出しただけなものですから、どういうことを主としてあれを提案をなされたか、あまり存じないのです。あれは二年前くらいでしたものですから、私ちょっと記憶にございませんので、まことに相すみませんですが……。
○西宮委員 御記憶になければ、提案そのものでなくてもけっこうだと思いますが、あなたの個人的な御意見として日本の米の問題は、これは大事な問題でありますから、どういう方向に持っていくのが望ましい姿というふうにお考えでございますか。 〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
○檜山公述人 私も水戸のほうの百姓のせがれなんですが、どうも先ほどからいろいろお話があったように、農村にもよし、皆さんにもいい、消費者にもいいというようなかっこうで落ちつけば一等いいのだろうと思いますが、本件は、私ども一介の商社の社長よりは皆さんくろうと筋の御意見に従ったほうがいいのじゃないかと思って、ここであえて申し上げるほどの私見も持っておりません。
○西宮委員 終わります。
○中野委員長 青柳盛雄君。
○青柳委員 檜山さんにお尋ねをいたしたいのでございますけれども、先ほどからもうすでに御質問も出ております日中貿易の問題でございますが、日本と中国との国交の回復ということがどうも前提になければ日中貿易は大きく発展する可能性はないような状況になっておる。檜山さんも財界の有力者とされて、この日中貿易をどうしたら発展していくことができるかということについていろいろとお考えがおありになると思うのです。先ほど出ました周四条件の問題につきましても、いろいろとこれに対する反応を日本の財界もお示しになったようでありますが、それだけではなかなか解決しない。二つの中国問題というのが最近盛んに論議されておりまして、中国大陸のほう、中華人民共和国とも仲よくやっていきたいし、また台湾のほうとも仲よくやっていきたい。これができれば一番いいんだけれども、どちらの政府も中国は一つだといっておって譲らない。これが困った原因のようにもいっておりますが、日本の政府の方針は、中華人民共和国との関係においては政経分離でいこうといっておられます。しかし、台湾政府との関係は、そういうことばは使っておられないようですけれども、政経一致で行っているのじゃないかと思うんです。片方に対しては政治も経済も一致して密接なつながりを持つ、片方は政経分離だ。どちらも相手は中国は一つだといっているときに、片方に対してだけは政経分離、片方に対しては政経一致というような形、このような日本の態度がまた日中貿易をいろいろと妨げている原因にもなっているのじゃないかと思われるのですが、この問題について、日本の財界の方々としてみれば、どこの国とでも商業ベースで交流をやっていこうということでございましょうけれども、それが外的な条件といいますか、先方さんの違いでもってできないというときに、こちらのほうがこれをどう調整していくか。中国を承認して、そして台湾との国交も断絶すれば経済交流も断絶しているという国々も世界に幾つかあるわけですが、日本はそれはできないのかどうかという問題もあります。そこでお尋ねをいたしたいのは、日中貿易をあえて大きく進めることによって、台湾との貿易がうまくいかなくなるその利害得失、そういうふうなことについては、檜山さんはじめ財界の方々は検討してごらんになったことがおありになるかどうかという点、これを率直にお聞きいたしたいと思うのであります。
○檜山公述人 利害得失、そろばんでいえば日台間で何億ドルだ、日中間で何億ドルだということで、数字的にはすぐ出てくるのだろうと思いますが、一体将来はどうなんだということが非常に問題だと思います。ですから将来が一体どうなんだということを、いまのような状況下ではなかなかはかりがたい。いまおっしゃるように、お互いが一つを主張しておるというようなことで、要するにたてまえと現実というものが交錯してしまって、何していいんだかわからないというのが現在の状況で、われわれ業界としてもほんとうにそういうふうな話し合いでもできて、これだけは日本としては譲れないのだ、中共としてもこれだけは譲れないのだ、こういう前提で、ではやろうじゃないかというふうな何か基本的な話し合いでもできれば、それによってまたいろいろな算定のベースもあるでしょう。いまのところどういうふうに進んでいいか皆目——大勢はたとえば中共国連加盟というのは時日の問題であろうとかいろいろなことがいわれていますが、しかし一体いつどういうふうな方法でということがなかなか測定しがたいということで、はっきり言えば、うろうろでもないのでしょうが、まあ何とはなしにごもごもしておるというのが現況じゃないのでしょうか。したがって、私どももそろばんを置いてみろといっても、なかなかそういう前提条件がはっきりしませんので、ここでどっちが得かどっちが損かということもいま申し上げかねるわけですが、その辺、もう少し大勢の推移でもながめないと、どうも政界でもわからないように、われわれでもわからぬのじゃないかと思います。
○青柳委員 別にあなたと論争するつもりでここにいるわけじゃありませんが、中国あたりへ商社として出かけている方々が、承認をして国交の回復している国々からの売り込みが非常に盛んで、そして日本で売りたいような品物をよそに取られちゃうというようなことに、いら立ちを感じているというようなことを、よく新聞記事などによって見るわけですけれども、そういう障害を何とか取り除いていきたいという要求は、当然日本の財界としてはお持ちになっていらっしゃると思うのです。そうしませんと、アジアの孤児になってしまうというようなこともありますけれども、世界じゅうの孤児になってしまったのではたいへんなことなので、この辺のところについて、もちろん政府の施策などに対していろいろ見解を持っておられると思うのですけれども、これは政府にまかせる以外にないのだということでおられるのか、それを少しずつでも改善していくということについて、財界としても一つのイニシアチブをとる、協力するというようなことについて、何か方途はおありにならないのでしょうか。
○檜山公述人 いま現在でもすでに、去年は八億二千万ドルですか、したがって中共が四十億ドルの貿易をやっても、二割というのは対日で、おそらく一等中共のいいお得意さんだと思うのです。だから、いまほかから、たとえばヨーロッパで取られてしまうとか、ほかの国に中共の市場を取られてしまうというようなことは、まずないのじゃないかというような気がします。
○青柳委員 私はもう一点お尋ねしようと思っておったのですが、先ほどの御質問で、どうもよくおわかりにならないということでざごいましたが、米の統制をはずして食管会計をなしくずしになくしていく。丸紅さんも米に対しては事業の上で関係がおありになるようでございますけれども、物価統制令をはずしてそうして自由販売にする。必然的に、政府のほうでもう買わなくとも、日本の業界が乗り出して、この流通過程の中でけっこう活躍してくれるのじゃないかという予想があるのじゃないかと思うのですけれども、米というものをいままで扱った関係で、相当の利益のあがるものかどうか、同時に利益があがるということと、消費者の立場との関係も考えなければならぬわけですけれども、こういう点については、先ほどのお話ではあまりおわかりにならないようなお話でもございましたけれども、もしあなた個人のお考えでも何かありましたら、物価統制令をはずしてしまうというようなことになったのがコマーシャルベースの上でどういう影響を持つかということですね、その程度のことでもけっこうですけれども、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
○檜山公述人 実は私もあまり米のほうはあれなんですが、私のところで、いま業務部長の言うのには、タイの砕米をやっているだけで、その他の米はやったことがないということで、そういう統制がはずれたほうが一体商社が取り扱う場面が出てきてもうかるのかどうなのかというようなことは——私どもは、タイからの砕米ですか、これをやってせんべい屋さんに売ったりあるいはえさに売ったり、そういうことはやっているらしいのですが、あと酒屋さんに何か若干やっているとかいう話を聞いておりますが、あまり米問屋としての経験がございませんので……。
○中野委員長 青柳君、簡単に。
○青柳委員 砕米のことにつきましては、この委員会でも質問が出まして、古々米など砕米並みでせんべいやみそ、しょうゆに使うということはどうだろうかというような話が出て、農林大臣のほうでは、砕米の輸入価格がトン当たり十万円内外だから、この赤字がますます大きくなるというようなお話で、できるともできないとも、そこのところははっきりいたさなかったようでありますけれども、こういうふうに日本で米が過剰になっているというような状況の中で、もしこれが安く買えるものならば、食料品といいますか加工品のほうに使うというようなことも計画しておられるのかどうか、その点はいかがでございましょう。
○檜山公述人 丸紅としてでございますか。——私残念ながら、社長でございまして、そこまで存じておりません。あるいは食糧部あたりでやっているかもしれませんが、いまのところ私のところまでまだそういう稟議の上申がないものですから……。
○中野委員長 檜山、新田両公述人には、御多忙のところ長時間にわたって貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。 明後十二日は午前十時より公聴会を開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時十九分散会