予算委員会 第18号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/03/01
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、締めくくり総括質疑を行ないます。小平忠君。
○小平(忠)委員 私は、昭和四十六年度予算審議の本院における最終段階を迎えるにあたりまして、民社党を代表いたしまして、予算に最も関係のある数点について、佐藤総理はじめ関係閣僚に若干の質問を行ないたいと思います。 まず第一は、日中問題であります。日中問題は、昨年六月、日米安保条約の自動延長後、わが国にとりましては、当面、最も重要な外交課題であります。日本の対中国政策は、全アジア人はもちろん、全世界の関係者は、日本の出方を見守っているのが偽らざる姿であろうと思うのであります。したがいまして、この際、佐藤総理は、戦後歴代の首相がなし得なかった日米国交回復の歴史的な大事業をあなたの手によってなし遂げられてはいかがでございましょうか。そこで、まず、日中正常化の目標についてお伺いいたしたいと思います。これまでの政府の方針は、日中の改善については慎重に検討したいといい、また他方において、中華人民共和国政府との対話を持ちたいという方針一点ばりであります。しかし、慎重に検討するにいたしましてもあるいは対話を持ちたいというにいたしましても、当然何らかの目標あるいはゴールがあるはずであります。もしそうでなければ、その検討は、検討のための検討に終わり、またその対話は、相手から決して受け入れられぬことは明らかであります。それではわが国としては中国問題については何もしないということをごまかすための言いがかりにすぎないことになるのであります。 そこでお伺いいたします。日中改善に臨んで、佐藤総理は政府の目ざすゴール、目標はどこに置かれるのか、この点についてお伺いいたします。
○佐藤内閣総理大臣 お答えをいたしますが、御承知のように日中問題、これはきのうきょう始まった問題ではございません。戦後長く続いている問題でございます。これはもう御承知のとおりだと思います。ところで、なぜこの一両年特にやかましい議論になっているか、これは申すまでもなく中国大陸における中華人民共和国、これが非常に確立された、安定的な形になりつつある、こういうことだろうと思います。いままでもっと早く解決さるべきものがなかなかできなかったのも、そういうところにあるのだろうと思うのです。その点から見ますると、私は両国間の関係でいま一番必要とするのは、相互理解の問題ではないかと思うのです。私どもの態度は非常にはっきりしている。自由を守り平和に徹するという、その国柄が十分理解されれば、ただいまのような状態はよほど変わってくるだろうと思います。どうも私、それらの点を考えながら、両国間で最も必要なものは相互理解ではないだろうかとただいま感じておるような次第でございます。政府は何にもしないとおっしゃるけれども、そうではない。欠くるものは相互理解、そこに尽きるのじゃないか、一言で言えばそうだろう、かように思います。
○小平(忠)委員 総理はただいま、日中問題解決の方向として最も重要なことは相互理解だとおっしゃいました。まことにきわめて重要な点でありますが、しかし同時に従来本院あるいは対外的にときおり表現される字句の中で、私は非常に懸念をしている点があります。それはただいまの相互理解というその考え方のほかに、現在の日中関係について不自然な状態ということをときおり口にされるのでありますが、総理はこのいわゆる政府のいう不自然な状態というのは、具体的にどのようにお考えでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 不自然な状態というのは、隣同士の国がつき合いがないということ、これは不自然な状態じゃないでしょうか。隣同士の国だと、これはいろいろ考え方が違っても、イデオロギーが違おうが、また政治形態が違おうが、経済形態が違おうが、隣同士というものはやはり何らかのつき合いがあるものです。そのつき合いがないということ、それを私は不自然な状態と、かように思っております。
○小平(忠)委員 総理はただいまの御答弁で、相互理解、さらに不自然な関係とは、隣同士のつき合いがされてないということ、私はまことにそのとおりだと思うのであります。しからば一歩進めまして、政府のいう日中関係の改善、さらに国交の正常化ということは、具体的にいってどのようにお考えでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、いま中国をめぐって、われこそは正統政権、正統政府であるとい丁、そういう政権が二つあるということだと思います。申すまでもなく、台湾における中華民国政府、北京における中華人民共和国政府、この二つもあること、そこに問題があると思っております。しかしこの二つの政府があることは、これは現実の問題でいなめない状態だ。そして本来はこれは中国自身の内輪で解決さるべき筋のものだろうと、かように私は思いますが、とにかく現在は二つある。そうして日本の場合は、いままでの経過から申しまして、サンフランシスコ条約締結後中華民国と講和条約を締結した日華講和条約がある。また大陸との関係においては、ただいま人的な交流はある程度細々ながらある、貿易は相当額に達しておるという状態ではありますが、正式に政府間交渉はないというのが現状でございます。そこらに問題があろうと思います。
○小平(忠)委員 それではちょっと総理にお伺いいたしますが、この日中の国交回復は一つの目標なのでありますか、そうじゃないのか、念のためにお伺いしたいと思います。目標かどうか。
○佐藤内閣総理大臣 目標かと言われることがちょっと私にわかりかねるのですが、現在はそこに達しておらない、しかし将来はそこへ達するつもり、そういうことで、ただいまも目標ということばをお使いになればそのとおりでございまして、現状で満足すべき状態ではない。これはもうはっきり申し上げる。何度も申し上げたとおりでございます。だからそういう意味で、現状を改善するという意欲は十分ある。そういう意味で目標ということばを使われるならば、私の意図するところとも同じであります。
○小平(忠)委員 しからば、総理はどういう状態になれば国交回復に踏み切るのでありますか。
○佐藤内閣総理大臣 そこが先ほど冒頭に申しましたように、もっと相互の理解が深まらないとむずかしいと思います。
○小平(忠)委員 それでは具体的にお伺いいたします。本年一月一日朝日新聞が発表されました日中関係改善への提言という報道があります。この提言について、総理はその内容を御存じでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 読んでおりません。
○小平(忠)委員 それでは申し上げます。私はこの一月一日の朝日新聞の日中関係改善への提言は、まことに含蓄のある提言と思います。すなわち、簡単でありますから申し上げますが、「日中復交のために日本のとる道」という提言であります。 それは、「中国との国交回復が平和への条件であり、日本の国益に合致することを再認識し、まず吉田書簡を破棄するなどによって、台湾との関係を縮小し、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府であるとの立場に立って、同政府との国交回復を目的とする日中両政府の接触に乗出すこと」である、これが本年一月一日、朝日新聞が一つの提言としてなされた内容であります。 私はこの提言につきましては確かに一つの方向を示すものであると考えるのでありますが、この提言について総理はいかがお考えでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 朝日新聞の社説に責任を持ちません。
○小平(忠)委員 問題は、具体的な内容について私は指摘したのでありますが、その内容について関知しないというのであるならば、これは一つも前進されていないと私は見ざるを得ない。 それでは総理にお伺いいたしますが、人的交流についてどのようにお考えになっているか。すなわち、日中の正常化への第一歩は、何といっても人的交流の促進、拡大であると思うのであります。しかしながら、最終的な目標やゴールが明らかにされないまま人的交流といっても、特に信義を重んじ、いろいろな面で問題の多い中国との間におきまして、私はそういう目標なりゴールが何らないという形においての折衝は不可能であろうと思う。特に最近の中国はきびしい条件を打ち出しております。すなわち、去る二十三日の藤山・周会談、この会談において明らかにされている報道は、一つ、中華人民共和国政府が全中国を代表する唯一の合法政府であり、二つ目は、台湾省を中華人民共和国の領土の一部であると認める原則に立って、日中間の人事交流は活発化するとの原則を明らかにいたしております。したがいまして、わが国としては、今後中国との人的交流を進めるのにあたりましては、この原則に立たねばならなくなると私は思うのであります。したがって政府はこの原則を認めるかどうか。朝日新聞の提言でありません。具体的に藤山・周会談にこのことが触れられております。総理の所見をお伺いいたします。
○佐藤内閣総理大臣 いま幾つかの問題でお尋ねがありました。まず人的交流。相互の理解を深めるためには人的交流、これが先行するものであること、これはお認めになるだろうと思います。日本から中国へ行っているのはどのくらい一年にありますか。中国から日本に来ているのはどのくらいの数ですか。まずそれから私は反問したい。わずかな方しか日本に訪問しておられません。おそらく十数名でしょう。こちらから中国を訪問しているのは三千人近いだろうと思う。そういう一方的交通で人的交流が行なわれていると、かように私は思わない。日本側は門戸を開放しておるはずなんです。だからこそ中国にたくさんの人が出かける。そうして中国を十分理解したい、そういう立場にあると思います。 もう一つ申し上げます。ただいま中国の北京政府についてのお話がありましたが、われわれが加入しておる国際平和機構、国連では一体どういう立場にありますか。申すまでもなく、国連の安保理事会の常任理事国、これは小なりといえども中華民国が代表しておる。そういう状態にあること、これは無視はされないでしょう。そういう国際的な状況——これは国際的状況ですよ、そういう問題がやはり国際状況のもとで解決されるということが一つの問題ではないでしょうか。(「日本が解決する」と呼ぶ者あり)日本だけがそういうことをできるものではございません。御理解いただきます。
○小平(忠)委員 人的交流の次にお伺いいたしました藤山・周会談の中に出てまいったその内容について、最も重要なことを総理にお伺いしたのですが、いかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 藤山・周会談の結論をまだ私は得ておりません。したがってそれはわかりません。それに答えなかったことはたいへん申しわけございませんけれども、私が知らないことは知らない、かように申すほうがいいかと思っております。
○小平(忠)委員 新聞報道はごらんになっておりませんか。
○佐藤内閣総理大臣 詳細は読んでおりません。
○小平(忠)委員 外電も耳にされておりませんか。
○佐藤内閣総理大臣 外電も耳にしております。きょうあたり調印されるというのがなかなか調印ができないということも、けさ新聞で見ました。
○小平(忠)委員 昨晩おそく覚書協定が調印されました。けさの報道であります。私は具体的に一歩一歩進められていると思うのであります。したがって、それは藤山さんが帰ってこなければ詳しいことはわからぬ。それは確かにそうでしょう。しかし、外電はある程度的確なものを報道されていると思う。
○佐藤内閣総理大臣 外務省のほうでは、まだ入ってない、かように申しております。
○小平(忠)委員 外務大臣、けさNHKのニュースでは、昨晩九時過ぎこの覚書が妥結したと報道されておりますが、あれは間違いでありますか。
○愛知国務大臣 話がまとまったというふうに報道が伝えていることは私も聞きましたけれども、この交渉というのは、そもそもが御承知のように政府の交渉ではございませんから、そういう関係もあって情報の入手がおくれているのかもしれませんが、ただいまのところこの時点で外務省としてはまだ調印されたということは承知しておりません。そういう情報は確認しておりません。
○小平(忠)委員 時間の問題でありますから、むだな時間を避けたいと思います。 それでは、総理、さらにお伺いいたしますが、劈頭に日中関係のいわゆる正常化を促進するのに、何といってもいわゆる相互理解、この不自然な関係を打開することだと指摘されました。そういう相互理解という見地に立つならば、実は伝えられるところによりますと、去る二十二日、総理は有力な財界人代表との会談におきまして、台湾政府のナンバー・ツーの実力者である張群秘書長の六月に予定されている来日に快諾を与えられたと伝えられておりますが、もしそうなれば、わが国と中華人民共和国政府との接触、拡大にとって悪影響を及ぼすこととなり、さらに日本政府の真意を中華人民共和国をして再び疑わしめることになるのではないでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。また、政府として張群氏と公式に接触する予定であるかどうか、あわせてお伺いいたします。
○佐藤内閣総理大臣 小平君のいまのお尋ねですが、私はどういうような考え方なのか、ちょっと理解に苦しむのです。私は、友好関係のある国から人が来る、また友好関係をこれから求めようという国からも人が来る、そういうことを拒むものではございません。そういう人の交流が行なわれてこそ、友好親善関係は深まるだけであります。たいへんけっこうなことなんです。だれに遠慮して友好国の勢力者が来るのを拒むということになるのですか。私はどうもわからない。私は、どういうところからもいらしゃって——この国はオープンにしてあるのです、そういう方はやはり受け入れて、自由を守り平和に徹する、そういう外交こそ望ましいのではないでしょうか。だれに遠慮してそういうものを拒まなければならないのですか。どうも私にはわからないのです。そんな日本の自主性を失ったような考え方でものごとを律すること、これはちょっと私、小平君と意見を異にいたしますが、やはり自主性をもって友好親善を深める、そしてほんとうに自由を守り、平和に徹する、そういう国柄をつくろうじゃありませんか。私はそのように思います。
○小平(忠)委員 私はあえてこのことを総理にお尋ねいたしましたのは、総理が劈頭に、相互の理解を深める、現在のような、隣国でありながら隣づき合いをしてないというこの不自然な状態を解消していくという、そういう配慮に立つならば、少なくともいま北京政府との重要な会談、重要な話し合いを進めておるやさきに、あえて台湾政府の有力な実力者といろいろ会談をして疑惑を持たせるようなことが、はたして現在の正常化を推進するということにプラスになるのかどうか。それは政府間あるいは与党の実力者が台湾の政府と話し合いすることもよろしいだろうけれども、特に一国の宰相である総理が、そういう表向きに立ったような立場なり発言というものは、私は十分に考慮しなければならないと考えてお尋ねしたのであります。総理の真意はわかりました。そういうお考えならば、なかなか日中関係というものはスムーズに進みません。 私は、さらに人事交流についてもう一点伺います。伝えられるところによりますと、去る一月、日中の大使がパリで接触し、その際日本側よりの政治会談呼びかけに中国側が拒否をしたと伝えられております。それに間違いはないでしょうか。また、今後は引き続き当面パリを窓口として中国との接触をはかるとの方針であると伝えられますが、政府の方針はいかがでございましょうか。
○愛知国務大臣 政府といたしましては、日中関係をより正常な状態にしたい、政府間としても話し合いを持ちたいということをかねて提唱しておりますことは、御承知のとおりでございます。そういう考え方でございますから、中華人民共和国が在外公館を持っておるところで日本側も在外公館を持っておるところが相当ございますから、そういうところに在勤しております日本側の公館長に対しまして、社交的な接触その他中国外交官と接触をすることはよろしいという、一般的な訓令はかねがね出しております。いまから一月余り前に、パリに在勤しておりました公使の松永君というのが、離任に際しましてのレセプション等におきまして、黄中共駐仏大使と出会い、ちょっとした話をしたことも、そういった一連の行事といいますか、そういう出会いの一つでございまして、特にパリの大使館を通して会談を持ちたいというような話が具体的に出て、そしてそれをどちらかが断わったというようなところまで実は行っておりません。これはただいま申しましたとおりの社交的なことの一つというふうに御理解を願うよりほかはないと思います。それ以上のことはございません。
○小平(忠)委員 では、次に台湾問題についてお伺いをいたします。 中国問題の最大の焦点、ネックは台湾問題といわれておりますが、政府は台湾問題とはそもそも何と何であるかについてお伺いいたしたいと思います。
○愛知国務大臣 いろいろとまたお尋ねがあるかと思いますが、ただいまのお尋ねでは、ちょっと真意を私も捕捉できないのですけれども、これは政府側のただいままで申しております見解でも明らかなように、一つの中国ということがやはり一番むずかしい問題——一方と国交を持つということは他のほうは断絶をする、どうしても一つの中国でなければならないというこの主張が双方にありますことが、一番むずかしい問題の焦点である、こういうふうな私は認識をいたしております。そういう点から申しまして、本来この種の問題は両当事者間の話し合いで決着してもらいたい問題である、そうしてその決着ができたら、これを日本としてはもちろん尊重するのである、こういう筋合い論を政府としては持っております。したがって、そのいずれかということについてただいま言及すべきではないと考えております。同時に、しかし日華平和条約というものが結ばれておって、そしてそのもとに友好親善関係が行なわれておる。国連においてもただいままでのところ多数の国々が国民政府を中国の代表政府として認めている。こういう状況からいって、現実の姿の上においては国民政府を日本としても合法政権としてずっとおつき合いをしているわけでございます。そういうところをいろいろの角度からお取り上げになって、台湾問題が中国問題の一番むずかしいところであるということを、政府というよりは、一般的に国内的にも国際的にもここに問題のむずかしさがあるということをいわれておることは、お互いによく承知しているところである、かように私は考える次第でございます。
○小平(忠)委員 台湾問題が一番むずかしい問題であるということに片づけられたのでは、これは問題解決への具体策にならないと思います。私は、少なくとも台湾問題とは、第一番に正統政府がいずれかという問題、第二は領土帰属問題、第三は国連での地位問題、第四番目は台湾住民の意思問題、そして五番目には日華条約問題、六番目に日台貿易問題などであると私は考えますが、いかがでございますか。
○愛知国務大臣 よく論議される問題のいわゆるサブジェクトとしては、そういういまおあげになったような種類の問題がある、かように私も承知いたしております。
○小平(忠)委員 それではそれらの問題について、重要なことでありますから、一つずつお伺いしたいと思いますが、まず、正統政府問題についてわが国としては一体何をなし得る立場にあるか。さらに北京政府、台湾政府のいずれが中国の正統政府であると考えられるのか、まずお伺いいたします。
○愛知国務大臣 その点は先ほどお答えをいたしましたとおりでございまして、政府としては、一つの中国ということに双方の当事者が非常に強い主張をしておられるその事実を承知し、かつそういうことは両当事者間で話し合いで解決していただきたい筋合いのものである、こう申しておるわけです。現実の事態、現実の状態は、かねがね日華平和条約を結んでおりますその立場から、現在日本としては国民政府を中国を代表する政府と認めていることは、この関係からいいまして当然のところでございます。
○小平(忠)委員 一体どちらが正統政府であるかもわからないで、中国との折衝ができるのですか。そして国交回復ができるのですか。最も中国という国は、最近においてある程度、信義も厚い、そして原則をたっとぶという、この中華人民共和国政府とそんなことで具体的に国交の回復が進むと思われるのですか。私はもう少し前向きの答弁を願いたい。
○愛知国務大臣 前向きとかうしろ向きとか簡単に片づけるべき問題ではないと思います。政府の立場は先ほど来るる申し上げているとおりであって、そこに意味をおくみとりいただくのが私は政治家としてのお互いの役割りではないだろうか、私はかように存ずるわけでございます。
○小平(忠)委員 まことに残念であります。 それでは、領土帰属問題についてお伺いいたしますが、台湾の領土帰属問題については、これを政府はどのように見ているのか。またこの問題について日本はどこまでコミットできると考えておられるのかお伺いいたします。
○愛知国務大臣 これはサンフランシスコ平和条約にさかのぼる問題でございますけれども、サンフランシスコ平和条約においては、台湾、澎湖島に対しての一切の権利、権限を日本としては放棄したわけでございます。そしてこれは日華平和条約の第二条において再確認をいたしております。したがいまして、台湾を日本は放棄した。どこに対して放棄したかという相手方はございませんから、日本といたしましては、この台湾は放棄したので発言権を失っておりますから、台湾についてどういうふうにすべきだということは言うべきでない立場に日本政府はある。これが政府の立場でございます。
○小平(忠)委員 私はこれらのことも、いま外務大臣が領土問題については触れるべきでないというような単純な考え方で今後臨むならば、いろいろ今後の外交折衝に障害があろうと思う。 そこで、私は次に外務大臣に、しからば国連での地位問題についてどのようにお考えになっておるか。台湾政府の国連での地位問題は、これも領土問題と同様にどこまでコミットできるのか。またその意思があるのか。あくまで国連での議席確保につとめるという考え方に立っておるのか、この点についてお伺いいたします。
○愛知国務大臣 これはやはり過去からの経緯と現在までの立場ということでまず御説明しなければならないと思いますが、日本としては日華平和条約で、この条約の締結の相手方である中華民国を代表する機関としての政府として国民政府を選んだといいますか、それとの間に日本政府は条約を締結しているわけでございますから、その関係から申しまして、先ほど来言っておりますように、現に日華平和条約を締結している日本政府の立場といたしましては、いわゆる国民政府というものが中華民国を代表する機関としての政府である、こういう理解に立っている。それと私は、法理論的にいえば若干いろいろの意見もあろうかもしれませんが、私は常識的には非常に似ていると思うのが国連における代表権の問題であると思います。国連加盟国である中華民国を代表する機関として、中華民国政府が代表権を持っている、この姿は国連ができまして以来、今日に至りますまる二十五年間終始変わらず中華民国政府すなわち国民政府がずっと代表権を持っている、これが現状でございます。そして、今日までのところ、多数の国によってこれが支持されておる。そして、原加盟国として、誠実な加盟国としての義務を果たしてきている、これが現実の姿でございます。これがいろいろ国際的の動きもあり、いろいろの議論もあるように、今後こういう状況をどういうふうにすべきかということについては、これからいろいろの考え方もあり得ると思いますけれども、現状までのところはさような状況にある、かように理解すべきものと思います。
○小平(忠)委員 私は国連での地位決定問題は、今後一そう具体化してくるものと考えるのであります。その際やはりわが国としてはどういう原則に、いかなる原則に立って臨むのか、この点は非常に重要であります。あらためてお伺いいたしたいと思います。
○愛知国務大臣 国連における、たとえば第二十五総会の状況あるいはその前後から今日に至り、これからの国際的なこの問題についての各国の態と度というようなところも、十分見きわめて、日本しては国益に沿った態度を決定すべきものである、かように存じまして鋭意真剣に検討いたしておるわけでございます。 それから国連憲章と申しますか、国連の立場から申しますれば、憲章上は中華民国ということがはっきり明白にされておる。そして先ほど来申しておりますようにそれを代表するものが中華民国政府すなわち国民政府である、こういうことになっておるし、それからもう一つは、これは政府の現在の見解というよりも一般的な国際的な感じから申しまして、国連加盟国としての各国の立場からいえば、やはり普遍性の原則というようなものが、国連を守る、加盟国の立場からいえば、非常に大事なことであるという感じが強いようでございまして、そういう点から申しますと、現に国連結成のときからずっと誠実な加盟国としての義務を果たしてきたというところを追放するということに対しては非常なためらいを感ずる、あるいはそうすべきでないというような見解が、国連加盟国としての立場で国際的に相当これは強いムードになっておるというふうに見受けられる次第でございます。
○小平(忠)委員 われわれはその原則は、結局国連憲章の精神及びその原則によらざるを得ないと思うのであります。そこで、この精神、原則について私は次の諸点でちょっとお伺いいたしたいと思いますが、第一は紛争の平和的解決という原則については、これを台湾の国連での地位決定に際して考慮するのかどうか。二つ目は内政不干渉の原則についてはどうなのか。三つ目、民族自決の原則についてはどうか。四つ目、政府はこれまで中国問題については、中国は一つであると言ってまいりましたが、このことは当然国連代表権問題についても貫くと考えてよいのか。具体的でありますが、この点についてお伺いいたします。
○愛知国務大臣 ちょっとあるいは聞き漏らした点があろうかと思いますが、もしそうでしたら補足いたしますが、国連についての普遍性の原則ということは、先ほど申しましたように、加盟国としては、加盟国の立場に立っている各国の態度や立場の中には、相当強いそういうふうなムードがあるということは見受けられると思います。 それから民族自決問題については、特に少数国あるいは新興国の間にこの民族自決のたてまえというものは尊重さるべきであるということを強く主張する国々がございます。これは当然かと思います。そこで日本政府の立場はどうかと申しますれば、国連に加盟を認められて以来、国連の憲章全体の考え方には、全部に対してこれを支持し、これを順守するというのを外交の基本にいたしておりますから、こういう国連として確立している原則に対しては、忠実にこれを考えていくことがしかるべきであると思っております。 それから、中国は一つであるという政府の立場は変わらないか。これは先ほど来申しておりますように、実は中国の人たちといいますか、当事者が、一つの中国以外にはないのだ、こういう非常に強い主張をしている。それから従来からの国際法の原則からいえば、一つの国家一つの政府というのが従来は国際法上の通念であった。そういう意味から申しましても、一つの中国というものは、国際法あるいは国連的なものについても、原則としては、従来の考え方としては、中心になっている考え方である、かように存じます。ただこれは世界情勢の変化あるいは客観的の事実の移り変わりというようなことに即応して、流動的に考えられなければならない場合ももちろん私はあり得ると考えますけれども、従来の考え方はさような考え方であった、かように存ずる次第であります。
○小平(忠)委員 総理にお伺いいたしますが、ただいま外務大臣の答弁を聞いておりますと、従来の考え方から一歩も進んでいないような感じがいたします。私は今日日中国交の正常化を具体的に進めるという前提に立って、やはり台湾問題が一番大きな問題、ネックであろうと思う。総理もそのようにお考えだろうと思うのであります。しかしすでに時期は、このめんどうな台湾問題にこだわって日中の国交正常化をなおざりにするということはできなくなってきている現時点であろうと思うのであります。 具体的に、それでは総理の所信を最後にお尋ねいたしたいのは、この時点において、特に台湾問題について一つの最近の例としてはカナダ方式があります。すなわち台湾問題については留意する、このカナダ方式について総理はいかようにお考えでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 外交で一番大事なことは何でしょうね、これは私いま日本がとっておるような国際的な信義を重んずるということじゃないだろうかと思います。国益国益ということで国際的信用を失うようなことがあったら、それは国益に結局合致しないのじゃないか、国際的信用があってこそ初めて外交は維持され、そこに信頼が持たれ、そこに重きをなすゆえんではないかと思いますから、いま言われるように国益、日本に都合がいいからこれを変えたのだ、こういうような安易な姿はひとつやめていただきたい。また小平君もそういう意味じゃないとおっしゃるだろうと思いますが、私はやはり日本が国際的な信用を高めるゆえんは、国際的な権利義務を果たす、こういうところにあるだろうと思います。そうして簡単に、どうもこちらのほうが都合がいいとかいうようなことでは変えないという、これが日本の外交の信頼性、国際信義を重んずるということであると思います。ただいま台湾が一つのネックだ、こういう言われ方をしておりますが、私はネックだということがどういうように取り上げられておるか、ちょっと小平君と私では違うように思うのです。御承知のように、私どもはサンフランシスコ条約で、いわゆる台湾、澎湖島に対する一切の権利、権原は放棄した。したがってそれは別な問題になっておる。そのときに引き続いて講和条約を締結したのが中華民国です。日華平和条約という形でこれは結ばれておる。これは理の当然とでもいうか、さきの戦争は国民政府に対して宣戦布告し、それと戦った、そのもとで破れた、講和条約を締結するのもそれが相手である。ことにサンフランシスコ条約でもやはり連合国の主たる一員としてその地位は十分に評価されておる。だからそれに続いて今日もなお国際連合の安保理事会の常任理事国になっておるのじゃないですか。ここらに台湾の問題があるのです。それを日本政府の都合から無視するわけにはいかない。先ほど外務大臣も申しますように、台湾、中国との問題がどうしても解決しないのは、一つの中国を主張しておるとか、あるいはどちらが正統政府であるか、こういうような議論があるのだが、そういう問題に第三国である日本が巻き込まれることはたいへん迷惑なんです、と、それは当事者間で相互で話をつけるべき筋のものだ、と、これが先ほどから一貫して説明されておる問題であります。私は国際信義を重んずるという意味において、いままでも友好親善関係を深めておる、その形をあえてそこなうようなことはしたくない。先ほどお尋ねになりましたように、張群さんがいらっしゃるなら私どもは歓迎する、これは変わらない態度であります。しからば中国大陸から要人が来ることについてそれを拒むか。これが相互の立場を理解し、内政に不干渉という原則が維持されておる限り、私どもはもろ手をあげて歓迎する、それにやぶさかでございません。このことが先ほど来、両国関係を改善するのにはやはり相互理解が先立つのだということを申しましたのもそういう点にありますから、また日本の態度もそういう立場でこの問題と取り組むつもりであります。したがいまして、私はいままでの成り行きを、経過を考えながら今後の新しい事態に取り組むという、そこにどうしても在来からの経緯、これは無視はできないものがある、それをいかにして克服していくか、そういう点がこれからの問題だろうと思います。そこに何と申しましても双方が理解し合うということがあれば必ず時で解決する、かように私は思いますが、その事態がまだ実らないというのが現状じゃないでしょうか。私はずいぶんひまな時間を持ちますので、毎晩北京放送も聞いております。この状態のもとではどうも両国関係、親善友好なかなか進まないのじゃないだろうか、かように私は思います。お互いに少なくとも理解するという努力、これはしなければならない。日本側は理解するのだ、また大使級会談もいたしましょう、望まれるなら場所も時も文句は言わない、こういうところまで申しておるのです。しかしそれに対して反応がない。私自身の政治姿勢が、日本国民からは支持されておりましても、北京からは支持されない、そういう状態のもとではなかなか話がむずかしいのじゃないか。これはどうもまことに残念に思います。(「相互理解じゃないじゃないか、断絶じゃないか」と呼ぶ者あり)いま不規則発言がされておりますが、反動佐藤内閣はどうも、どちらから断絶ということになりますか、お互いに理解し合うというその努力はしなければいかぬのじゃないか、それは私どもあらためて主張したいことです。
○小平(忠)委員 ただいま総理の御答弁の中で、相互理解を深める、人事交流もけっこうだ、同時に大使級会談についてもけっこうでございます、場所も指定してください……、その考え方については私も同感であり、敬意を表します。特に総理は、外交の大きな基本的理念というか考え方として国際信義を重んずる、そういう考え方についてもまことに同感であります。ただし、ただいま総理のおっしゃったように、過去の経緯あるいは現状、これを無視してなかなか短兵急に進むものではないでしょう。しかし、ただいま最後に総理のおっしゃった、大使級会談もやりましょう、場所も指定してください、こういう謙虚な姿勢に立つならば——それは従来の行きがかり上、北京放送、外電の伝えることによっては総理の胸中におもしろからざることがあっても、一歩一歩これらの問題の解決への努力をされるのが一国の宰相ではなかろうかと私は思うのであります。日中問題の解決、国交の正常化を促進するという見地から総理のただいまのお考えが最後にあるならば、いまはなき鳩山元首相があの不自由なからだを押されてソ連、モスクワにおもむき、今日の日ソの国交正常化に大きな役割りを果たされたのでありますから、佐藤総理の一国の宰相としての在任期間は、戦前戦後を通じてまことに記録的なものがあるのであります。だから、総理としては、いまやろうと思えば何事もできないことはないと思う。私は、どうかひとつ日中国交正常化について全国民の輿望にこたえて、大英断をふるって前向きの姿勢で前進されることをこいねがうものであります。このことについて総理の最後の所信を承って本件の質問を終わりたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いろいろ御鞭撻を賜わりましたが、私は大陸との間に交渉を持つことができればたいへんしあわせだと思います。ただいままでも覚書貿易、これを続けておること、また私どもの自民党員が大陸へ行くことについても反対はしておりませんし、そういう事柄が今後の発展への一石になると思えばこそ私もそれを力づけておるような次第でございます。そういう意味で、いま古井君や田川君や藤山君と積極的な交渉こそあったわけではございませんが、私がとめなかったことも御理解がいただけるだろうと思います。また私は、ことに野党の諸君からも御鞭撻をいただくということはたいへん果報者だ、かように思います。ただいまの御意見はたいへんありがたく伺っておきます。
○小平(忠)委員 次は、日本農業の現状と将来について、総理並びに農林大臣、大蔵大臣の率直な所信を承りたいと思います。 わが国は古来から瑞穂の国として、食糧の生産に適する環境と条件を具備している国であります。したがいまして北は北海道から南は九州まで、地域差こそあれ多種多様の食物が生産され、戦前におきましては、特殊な年度は別として、食糧を諸外国に依存せず何とか自給自足のできる国でありました。しかしながら敗戦といううき目にさらされた日本はまず食糧不足に悩まされ、国民の多くは栄養失調となり、あの終戦直後の食糧難はまさに筆舌に尽くし得ぬものがありました。この未曽有の食糧難を克服するために国をあげて食糧増産に取り組み、膨大な国費と米作農民の汗と血の結晶によりまして今日では食糧不足で困る者もなくなったのであります。まことに同慶にたえません。加えて昭和三十六年には農業基本法の制定によりまして、農業の選択的拡大とその近代化に大きく拍車がかけられ、特に昭和四十二年以来打ち続く大豊作によりまして、米の飛躍的大増収となったのであります。 しかしながら最近においては、国民消費者大衆はパン食、粉食になれ、その嗜好がふえ、逆に米食の需要が年々低下し、ここ一、二年においては、本日も報道されておりますが、逆に米の需要が高くなってパンの需要が低くなったようではありますけれども、依然として米食の需要が低下しているというこの現象、その結果は、今日では七百五十万トンという膨大な古米、古々米をかかえてその処理に一大苦慮をしており、現在思い切った米の生産調整をせなければならなくなったというのであります。過剰米の処理と食管の赤字の解決を強く叫ばれてからもうすでに四年、政府はこのような過去の経緯と現状をいかように考えておられるのか。すなわちこのことは、日本農業の将来をどのように考えておられるのか。これはきわめて重大な問題てありますから、この考え方について総理の御所見を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 総理のお話の前に私申し上げたいと思います。 わが国農業の過去の歴史的事実については、ただいま小平さんからお話がありました。私どもといたしましては、仰せられるように豊葦原の瑞穂の国であり、また北は亜寒帯から南は亜熱帯の地域にまたがっておるわが国でありますし、いろいろ長い間の経験によれば米というものは国民の主食であるし、またわが国の国土に適した農作物であることは間違いございません。そういうことで今日まで出てまいりましたが、お説のようにだんだんと国民経済が伸び、そしてまた食糧に対する国民の好みが高度化すると申しますか、大きな変化を生じてまいりましたために、今日のような状況に相なった次第でありますが、しかし御存じのように、かつてからいっております選択的拡大と称せられる品目につきましては、ものは国内で生産されますけれども、そういうものを生産するための必要なる資材の多くが海外に依存しなければならないような状態になってきておる、反面において米は生産過剰である。そういうような二つのことを調整いたしながら、しかも国民食糧をできるだけ充足いたしてまいるという方向に農政を進めていかなければならないのではないか。しかもなお、最近は農業についても新しく勉強する生産者の若者たちが各地に続出しておることは御存じのとおりであります。農林省はこういう人たちにも大きな望みを嘱し、農業がわが国産業経済の中で有力なる主柱となり得るようにこれを育成していく、こういう考え方をもって農政を進めてまいりたいと思っておるわけであります。
○小平(忠)委員 きわめて重要な点でありますから、本件はあとでこの日本農業の位置づけというか将来について総理の所見もただしたいと思いますが、私はさらに農林大臣に、政府が数年前から総合農政を打ち出して盛んに宣伝いたしておりますが、率直にいって、政府の総合農政というのは、畑作農業が水田農業に比較して立ちおくれているから、このおくれている畑作を水田の地位まで引き上げると称しながら、逆に畑作農業もやはりそう積極的な振興は見せない、逆に水田農業には今日過酷な犠牲を強要しなければならなくなった、こういうことが結論的に言い得るのであります。私は、戦後長い間の努力で、農政らしい農政といえば水田農業だ、米づくりだ、そこで農業基本法制定を機会に立ちおくれている畑作や酪農、畜産を水田農業まで引き上げようとして、これはまさに政府も農業団体も農業者もたいへん努力をしてまいっておると思うのであります。ところが、それはそうとして、最近では一変して、端的にいって水田農業は一大危機にさらされていると申し上げても過言ではありません。一体政府は米作農業の将来をどのように考えるのか。あの終戦直後の米作農民の苦労や、膨大な国費を投じて土地改良や開拓をやった、この一大事業をむだにするのでございますか。農林大臣の率直な所信を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 昭和四十六年度予算をごらんいただきましても、われわれは今日の農業の中でもやはり御指摘のありましたように、必要量の米を確保するためにはばく大な予算を計上いたしておりますし、これが大体自給自足ができるようにという方向で米作を、ことに米の中のなるべく良質の米が生産されるように指導はいたしながら、やはりそれに合うような基盤整備、土地改良等は継続してやっておることは御存じのとおりでありますが、農業生産が御指摘のように必ずしも農産物の需要に対応していないという事態に対処いたしますために、供給過剰の米の生産調整を行ない、同時にまたそのために行なうところの転換作目については、特にわれわれが必要としておる畜産あるいは果樹園芸、そういう方面に主たる力を入れて、そうして国民の必要とする食糧のバランスをとれるようにいたしてまいりたい、こういうねらいがいわゆる総合農政のねらいであることは、かねがね政府も「総合農政の推進について」という政府の方針を発表いたしておることでも御了承願えることと思いますが、そういう方向で総合農政というものを進めてまいりたい、こう思っております。
○小平(忠)委員 総理大臣にお伺いしますが、ただいま倉石農林大臣のおっしゃった総合農政の考え方を拝聴いたしました。そこで、時代の趨勢、食糧需給関係の推移、これらによって、終戦直後米が足らなかったときには食糧増産だといってずいぶん拍車をかけました、ところが今日では米を食べる者も少なくなった。一、二年の豊作で米ががんととれた。ところがしかし、一方においては輸入食糧は、依然として外麦を飼料を含めて四百五十万トンを輸入している。しかし、現実に米が余るんだからしかたないわいという形で、今度は戦後のいろいろ努力した米作農民に報いることなく、今日のような生産調整を強要するような形で、これが真に今後の日本の農業のあり方だと総理はお考えでございましょうか、いかがでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 いまお尋ねの点、私も感無量なものがあります。と申しますのは、戦争直後主食が足らない、当時、三百万の餓死者が出るだろう、こういわれたものです。吉田さんがしばしば例に引かれますが、どうも三百万の餓死者が出るといわれた、しかし幸いにして餓死者は一人もつくらないで済んだ、ここにアメリカの援助が有効であった、かように話されております。しかし、アメリカの援助、それはただいまの牛馬の飼料と同じようなものをもらってきた、こういうような批判が二、三年たつと出てきた。とにかく食糧はどんどん変わるものであります。良質のものがわれわれの口に入ってくる、こういう状態であります。でありますから、ただいまの終戦直後の食糧不足の際、いわゆる牛馬の飼料になるようなものまでもわれわれは食べてそうしてつないできた。そのときを思い起こすと私は感無量なものがあるというのでございます。 ただいま、農業基本法を制定した、それから後幸いにしてどんどん増産ができるようになった。生産者の努力、これは高く評価してしかるべきだ。同時にまた消費者の不足なしに需給関係を調節することのできた当時の政治、それもやっぱり責任がある、やっぱりうまくいったのだ、かように思います。これは皆さん方の御協力も当然でございます。私は、そういうような立場から、むしろ食糧不足の状態のもとにおいて最も必要だった食管制度というものは、どちらかといえば生産者よりも消費者を第一義に置いたものではないか。必要なる食糧を確保する、そのために生産者も生産を上げて国内消費者の不足を来たさないようにしようじゃないか、そこに生産者と消費者との利害が一致した。それで食管会計というものが特別な効果を発揮してきている。ところが、そのうちにだんだん生産のほうが伸びて、米が残る、いわゆる需給関係に変調を来たした。そうすると、今度は食管会計自身が、これは生産者のためにできているのだ、その意味でそれを守れという主張が非常に出てきている。しかし、私は、戦後に牛馬の飼料になるようなものまで食ってわれわれは命をつないだということを申しましたが、その後の食生活の変化、これはすばらしい状況ではないでしょうか。そこに米が在来のようなつくり方だけであってもおそらく残るような状態だったろうと思う。それにさらにプラスして耕地の改良、これは米作に適するようにできてきている。そこらにますます米は過剰になった、こういう状態じゃないかと思います。 たいへん余談も申して時間をとりまして恐縮ですが、私は初めてアメリカへ行ったときに、アメリカでは夏は草が枯れるものだ、これに実はびっくりしたのです。日本では夏になれば草木は青々とする。ところがカリフォルニアへ行くと草が枯れる。そこにスプリンクラーを回してそれに水をやってそして蔬菜をつくっている。その状態を見た。日本の場合は、水田をつくることのほうに意が用いられて、どうして水をためようかという、そういう耕地整理はどんどん進んだ。しかし最近のような状態になってくると、水田をつくることも大事だが、同時に水田から水を抜くことも考えなければならない。これがやはり畑にせざるを得ないような状況にもなっておる。耕地整理の関係、土地改良の政策が、そこらにも一つ問題があるのじゃないだろうか。これは、われわれがいま考えなければならない問題だと思います。しかも先ほど来、主食は残るけれども、しかし日本の食糧としての自給率は八〇%になるやならず、少なくともわれわれは、食糧は八〇%の自給率は維持したい、かように考えておる。偏重した作物依存、これはよくない。また農村の生産者も、そういう意味でまんべんなく需給関係を調節する、そういう方向であってほしい。それがいわゆる総合農政がいま取り上げられておるゆえんであります。その総合農政には土地改良ももちろん含んでおると思います。いままでのような水田方式、これにばかり依存しておると、これはどうしても二毛作できないでしょう。 〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 根は、水分のあるところに根を張りますが、同時に水が多ければ腐る。水分を吸い過ぎると、そういう状況にもなる。そこらに土地改良の新しい方向があるわけです。そういう点を、ただいま農林省は取り組んでおる、かように思います。私は、総合農政としていままでのような行き方でなしに、新しいものが考えられる。これが一つ私が例にとった土地改良の問題ですが、その他の問題についても、やはり総合農政を展開するのに必要なもの——これは、あるいは小平君が後にお尋ねになろうとしておる問題かと思いますが、当然そういうことを考えるべきだ。作物を広げる方向、そうしてそういうものが、あまり質が変わらない、あまりこまかに質が変わらない、大量的に整理されるような方向に総合農政があってしかるべきだろうと私は思います。
○小平(忠)委員 たいへん貴重な時間で総理にすっかり演説されて時間を食ったのですけれども、総理の考えているような状態に、しからば農林省や大蔵省が具体的な施策をいま持っているかというと、これから私は具体的に質問することによって明らかになってまいりますが、そうなっていないんです。総理のおっしゃるように、自給度八〇%、八二%、まことに日本はいまだに主食である米、麦、これは完全に自給自足のできる体制じゃないんですね。政府の発表で主食である米、麦の年間の総需要量、一カ年間の間の一億の国民が食べたり、あるいはその他の粉食やあるいはその他の原料に使う総需要量は千九百十九万トンといわれております。ところが、これに対して国内の生産量は豊作で、一番最大とれたのは千四百五十万トン、麦が二百二、三十万トンから二百四、五十万トン。これをプラスいたしましても、千七百万トン前後で、やはり総需要量に対しては、米と麦の生産量はまだ二百万トン以上足らないのです。足らないのにかかわらず、年々米が二百万トン以上余るんだ。現に古米、古々米を七百五十万トンもかかえるんだ。この不合理な現象というものは、総理、えりを正さなければならぬのです、これは。それは現実に米からパンに変わっている。四百五十万トンという外麦を輸入している。必要量以上の外麦を輸入して、国内食糧を結果的に圧迫しているのです。そして米を余らしているのです。したがって、これらの問題を、私はさあとかけ声だけでなく、もう壁にぶつかって何とか解決をしなければならないどたん場にきていると思うのです。 そこで総理、せっかくいま長い演説をされましたが、その諸点として、たびたび総理は今日の食管の根幹は維持するんだ——食管法は生産者よりも消費者に対しての大きな役割りを果たした、私もそう思うのです。戦後この二十五年間に、現行食管法の果たした役割りは大きいと思うのです。現在いろいろ事情は変わっても、総理、政府が食管の根幹は守るんだ、維持するんだとおっしゃっておりますが、いまでもその考え方は変わらないのですか。
○倉石国務大臣 食管の根幹というお話が出ましたけれども、根幹というおことばをお使いになる方によってそれぞれニュアンスが違うようでありますけれども、私どもが理解いたしております根幹と言っておりますのは、米の面で申しますならば、国民の基本的な食糧である米の必要量を確保し、国民経済の安定をはかるため、政府が米の需給及び価格を調整し、米の配給について必要な規制を行なう、これは法律の文句であります。したがって政府は、国民食糧の確保とその目的達成のため政府が買い入れて管理する必要のある米を買い入れればよいという理解をいたしているわけであります。したがって今般の政府買い入れに関する措置は、米穀の需給の実態に即応いたしまして、生産調整の実効を確保するとともに、政府買い入れの適正を期するために行なうものでありまして、国民食糧の確保という目的達成のため、政府が買い入れて管理する必要のある数量につきましては、政府が売り渡し義務を課して買い入れるのでございますから、食管制度のワク内でやっている措置である、このように考えております。
○佐藤内閣総理大臣 食管会計の根幹、これは、もうただいま農林大臣からよく説明いたしました。私が立ち上がったのは、小平君は簡単に米麦、こうおっしゃるけれども、この米麦という観念で米も麦も両方が余っている、そういうことを考えていらっしゃるのでないことは、麦は輸入している、米は残っている、この事実でおわかりだろうと思います。この米麦がわれわれの主食だと言いながらも、米麦という表現でこの事態をとらえることは、やや違っているのではないだろうか。だから麦作がだんだん縮小されている、そういう事実に目を向けなければならぬ、かように私は思いますので、その点を一言指摘しておきます。
○小平(忠)委員 その点は総理、よくわかりました。農林大臣が根幹の説明をされましたが、いま農林大臣がああいう説明をして国民がわかるでしょうか。総理、端的に食管の根幹を守るのですか守らないのですか、これを伺います。
○佐藤内閣総理大臣 問題は、必要な消費者の利益を確保するし、同時に、生産者の努力を十分われわれは評価していく、ここに食管会計の根幹がある、かように思っておりますので、その点では安心して消費者も生産者も精出していただきたい、かように私は思います。
○小平(忠)委員 回りくどいことを聞くのではない。食管の根幹を守るのですか守らないのですかと聞いているのです。
○倉石国務大臣 これは、もう何べんか申し上げておりますし、ことに小平さんは失礼ながら、たいへんそのほうの御専門でいらっしゃいますからして、いろいろなことを申し上げる必要はございませんが、食管制度というものは、ただいま御存じのような米の需給関係にありますので、私どもといたしましては、これからいま生産調整が行なわれております経過等を見まして、どのように今日の状況に合うようにこれを運営していくかということについては、この生産調整の結果等ともにらみ合わせて慎重に検討いたしてまいるつもりであります。
○小平(忠)委員 それは農林大臣、たいへんな発言をされましたね。そうすると従来根幹を守るとおっしゃったけれども、いま農林大臣の発言では、それは何か危うくなったような感じがいたします。しかし、私はさらにこれに重要な関連事項がありますからお伺いしますが、それでは農林大臣、生産者米価は本年もさらに引き続き据え置きにされるのでありますか。
○倉石国務大臣 理屈を言うわけではありませんが、生産者米価が本ぎまりになるのは、御存じのように米審にかけて、それからきまるわけでありますが、予算編成に際しましては米価の水準は据え置く、こういうたてまえであることは御存じのとおりであります。
○小平(忠)委員 それでは、予算編成に際しては水準は据え置くのだから、据え置きですね。そうすると、生産者米価を据え置くというこの考え方は、食管法第三条に抵触しませんか。
○倉石国務大臣 どういう御意図の御質問かよくわかりませんけれども、いま申しましたように、今年度は米価の水準は据え置く、こういうことでございます。
○小平(忠)委員 農林大臣、生産者米価を据え置くということは、食管法第三条の精神に違反しませんかと聞いておるのです。
○倉石国務大臣 第三条に違反しているとは思いません。
○小平(忠)委員 それは昨年政府が政令の改正を行なって、この食管法第三条の考え方を私は極端にゆがめたような感じがいたします。自主流通米にしてもしかりです。ですから農林大臣はただいまの答弁で食管法の精神に違反しないとおっしゃったけれども、すでに食管の根幹はもう守らないような、食管法の一部については手直しを、あるいは手をつけなければならぬような発言をいまなされたのも、どうもそういう点においては一貫性がないと私は思う。 問題は、現行食管法の第三条あるいは食糧管理令、これらの精神から見てどこに——すでに生産者米価は二カ年据え置きする、四十六年度の予算編成では水準を据え置く、三年連続でしょう。 経済企画庁長官にお伺いいたしますが、本年度の予算編成について一体物価の上昇を何%と見込んでおられるのでありますか。
○佐藤(一)国務大臣 これはもう小平さんも御存じのように、消費者物価は五・五%、こういうふうに四十六年度見通しております。
○小平(忠)委員 農林大臣、ただいま経済企画庁長官御指摘のように、消費者物価の上昇は五・五%見込んでおります。そういう観点に立って、食管法第三条にどう規定しているのですか。もうすでに二カ年間連続据え置きして、さらに本年度も据え置きする。 さらにお伺いしますが、それでは生産調整期間中は米価はどうしますか、どういう方針ですか。
○倉石国務大臣 食管法、これを読むのをやめますが、四十六年度予算編成に際しましては先ほど申し上げましたとおりでありますが、四十七年産あるいはそれ以降の生産者米価については、いまどういうことを考えているわけではございません。需給事情に即応してきめることが必要であると考えております。いずれにいたしましても事態の推移に応じまして、諸般の事情を考慮しながら慎重に対処してまいらなければならない、こう考えております。
○小平(忠)委員 政府は本年大きな誤りを一ついたしております。それは消費者米価についての物統令の廃止であります。現在政府がとろうと考えておるいわゆる消費者米価についての物統令あるいは昨年の自主流通米、生産者米価の据え置きの継続、これらはどう考えても現行食管法のいわゆる基本的な精神、これは私は貫かれていないと思うのです。したがって、こういうことについて政令を改正すれば何でもできるんだというこの考え方が私は誤りだと思うのだ。政令を改正して何でもできるなら、法律は要らぬじゃありませんか。まずこのことから明確にしなければ、今後の食管のあり方や、さらに米の生産調整ということに大きな障害をもたらすと私は思うのであります。いかがでしょうか。
○倉石国務大臣 政令のお話がございましたけれども、従来は食管法第三条の運用として予約制をとりまして、そして生産者は政府への売り渡しを希望する数量について予約の申し込みをいたしました。御存じのとおりであります。それがいわゆる義務数量となる仕組みでありましたので、無制限買い入れに近い運用が行なわれておりました。そこで今回は予約限度数量というふうな形に置きかえたわけでありますので、予約限度数量を指示されたものはそれだけ政府に売却をする義務数量に相なる、こういうことで政令をそのように改正いたしたわけであります。したがって政令はやはり法に基づいて行なっておるものでございます。ただ基本的に先ほど総理が申されましたように、食管法につきましてはもちろんのこと、従来の米作の方々が非常な御苦労をなさっており、また将来御不安をなからしめるためにはあらゆる努力をして、農家の不安なからしめるようにわれわれが最大の努力をいたさなければならぬことは当然のことでございます。 〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
○小平(忠)委員 それでは次に食管の基本的なあり方と重要な関連のある問題でありますが、現在政府の過剰米はどのようになっておりますか。
○倉石国務大臣 数量ですから、政府委員からちょっと答えさせます。
○亀長政府委員 お答え申し上げます。 過剰米の概念でございますが、これは私どもは、主食用に向けることが数量的に困難であるというもの、あるいはだいぶ古い年産であって主食用に適さないもの、こういうものを過剰米というふうに考えております。四十六年の三月末現在、四十五会計年度末現在でおおむね六百六十万トン、約七百万トンに近いものが過剰米とみなすべき数量であると考えております。御承知のように食糧庁の在庫米はすべて年産別に区分をして保管をしてございます。特に過剰米というふうなしるしはつけておりません。これはあくまで数量上の概念でございまして、各年産ごとにそれぞれ政府の保管倉庫において保管をいたしておる。以上でございます。
○小平(忠)委員 総理大臣、たいへんな古米、古々米であります。七百万トン、これはトン当たりかりに十三万と換算いたしましても、九千億を上回る、約一兆円に近い膨大な古米、古々米であります。国家の不経済まさにこれに過ぐるものなしと断言しても私ははばからないと思うのです。一体米が余る、余るといって何年たちましたか。食糧はだれが管理しているのでありますか。政府が管理しているのです。農林省の食糧庁が管理しているのです。なぜ、この古米、古々米をすみやかに処理しないのですか。一体世界の国で、主食、邦貨に換算して一兆円という膨大な主食——古米、古々米をかかえて、逆に外国から食糧を、その古米、古々米に匹敵するような膨大な食糧を輸入する、そういう国が一体外国でありますか。私はこの古米、古々米について、単にこれだけありますというだけでなく、この際、古米、古々米について、いわゆる過剰米の処理について、私は政府の所信をただします。
○倉石国務大臣 御存じのように、農作物の過剰というのはひとり日本に限ったことではございませんで、アメリカもそうであり、カナダもそうであり、EECなどはこれにたいへん苦しんでおります。そこで、それらの国々は思い切った過剰対策をとっておりますが、小平さん御存じのように、日本ほど生産調整について手厚い保護をいたしておる国は一カ国もございません。御存じのとおりであります。それは大きな財政負担を伴うことでありますけれども、われわれは、やはり政府としてはいろいろな歴史もあり、将来の展望を持ちますので、こういうことをいたしておるわけでありまして、生産者の方々も去る十六日に生産対策協議会を開きまして二十数個の農業団体あるいは県知事会、町村長会等の代表が参加いたしまして非常に御熱心に御討議を願いましたのも、そういうようなことについて十分腹づもりを持ち、将来の展望を持っておるからでありまして、そこで御存じのように、昭和四十年ごろはすでに百万トンも外米を輸入したような状況でありましたので、あの当時から農林省の将来の見通しについては若干需給の状況は緩和するであろうと見通しはいたしておりましたけれども、その後引き続いて千四百万トン台が三年も続いたということで今日の状況に相なったわけでありますが、この処理を急がなければならぬことは申すまでもありません。そこで日本米の輸出状況といたしましては、四十四年三月に韓国に対して貸し付けにより三十三万三千トンの輸出を行なうことといたしまして以来、現在までに貸し付け方式、延べ払い方式、KR食糧援助、特別措置法に基づく沖繩向け延べ払い輸出等によりまして、今年度末までに累計百三十一万トン、これは玄米換算でございますが、実際に行なわれております。今後は年間約四十万トン程度の輸出を見込んでおる次第であります。
○小平(忠)委員 私は、この過剰米、古米、古々米の処理については、当該農林水産委員会等におきまして、さらに具体的にその内容をお尋ねして政府を鞭撻、督励いたしたいと思うのであります。しかし総理大臣、現在の食糧政策について、よく国民がおこらぬでいる。生産者、消費者が、これでいいのか。これは今日の最大の政治課題であろうと私は思うのです。というのは、現実にいま農林大臣も指摘されましたように、これだけのいわゆる過剰米、古米、古々米をかかえて、それで政府もその処理に一生懸命なんだというけれども、依然として七百万トン近い古米、古々米をかかえて、さらにことしは生産調整のために二千億を上回る奨励補助金を出さなければならない。戦後食糧不足のときには、国をあげて土地改良だ、開拓だといって膨大な国費を投じて食糧の増産につとめた。ところが現状においては何せ米が余るんだ。ところが戦後投じた国費だけでも膨大でございましょう。それがいまたんぼを遊ばしておいて、それに奨励補助金をやる。逆に外国から外麦を四百五十万トンも輸入する。こんなことをもし戦前において内閣が行なったならば直ちに不信任が成立して総辞職ですよ。現在は野党が微弱で政権を担当する政党がないからということで、どうも私の考えでは、その日暮らし、長期展望もない、そういう感じがするのです。もっと具体的にこの古米、古々米の処理やあるいは生産調整についても本腰を入れて取り組む段階に来ていると私は思うのですが、総理大臣、いかがでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 小平君御指摘のとおり、これはいまの状態ではたいへんな問題です。したがって政府は本腰にこの問題と取り組んでおる。それが先ほど来触れましたいわゆる総合農政の展開だということでございます。米は残ったが、麦は不足だ。さらにまた農産物について、野菜の不足さらに畜産あるいは果樹、あらゆる面で不均衡を来たしておる。需給の調節はどこにあるのだ、それをつかさどるのは農林省じゃないか、それは政府じゃないか、かようにおしかりを受けるのは私は当然だろうと思うのです。幸いにして私は、食糧、主食、これが残っておるという、あり余る状況にあるこのときこそ農政を転換すべきたいへん適当なときじゃないかと思っております。ただいまのように総合農政の展開を必要とするのは、こういう状態だから初めてできるのです。こういう状態でなくて主食が足らないときには、総合農政を幾らたたいてもだれもついてはこない、かように思っております。だからいま政府が前向きに積極的にこれらの問題と取り組んでおる。この姿勢、これはひとつ評価していただく。その意味でもっと政府を御鞭撻賜わりますようお願いしておきます。
○小平(忠)委員 私はいま総理が率直に、真剣に取り組んで、また野党からもまた生産者団体からも鞭撻を賜わりたいというその謙虚なお気持ち、それは了といたします。しからば、私は若干指摘したいのは、先ほど農林大臣が答弁されたいわゆる需要の拡大、消費の拡大、これらについて、単に後進国や災害国に援助物資として輸出する等の問題は、これは微々たる問題だろうと思うのです。ですから、私はもっと積極的に次のような諸点について、消費の拡大についての具体的な問題として考究されてはどうか。今日、もう三年、四年越しの古米、古々米は食用に供しないのですから、もっと積極的に家畜の飼料に振り向けることについて真剣に考えてください。その次は学校給食の問題です。学校給食の問題もずいぶん希望が出ているけれども、文部省が何だかんだめんどうなことを言って積極的に取り組んでいない。それから三番目はこうじ原料や菓子原料にもっと積極的に振り向けてはどうですか。さらにライスフレークなどの開発研究をもっと積極的にやろうと思えばできるのです。現在の搗精歩どまりをもう少し引き下げてはどうですか。現在の九〇・五%を二%切り下げても、これは相当いわゆる消費の拡大、過剰米の処理になります。それから集中精米によってこれを格上げして混米をなくするようにする。その次は日本酒の輸出を考えてはどうか。それから卸、小売りなどの流通近代化をはかることによってこれは相当具体的な問題の解決になると思いますし、さらに先ほど農林大臣もおっしゃった後進国や災害国に対する援助米、これなどももっと計画的にお考えになってはいかがでしょうか。そうして最後に私はやはり備蓄米制度を真剣に考えたほうがいいと思うのです。それは現在の玄米貯蔵でなくもみ貯蔵によるならば備蓄米制度も活用できると思います。それから外麦の輸入については、頭からこれは見返り物資として外麦の輸入の制限ができないという考え方はおやめになったらどうですか。一挙に外麦の輸入を削限しなくとも計画的に漸減できる方法はあると思うのです。これらを真剣に考えて、食管の貴重な国費というものを最小限度に食いとめるということを私は考えていただきたい、こう思うのであります。これは私から希望を申し述べておきます。 時間の関係で、最も重要な生産調整について私は農林大臣にお伺いいたします。現在政府がなさんとする生産調整は、私は本年度計画どおりはなかなか進まないと思う。進まないと思う。その理由について諸点あげたいと思いますけれども、この生産調整について、農林大臣、その見通しについてお伺いいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 お答えいたします前に、ただいま御提案いただきましたこと、われわれも全く同感でございますし、たいへんよい示唆を与えていただいたと思います。学識経験者に委嘱いたしまして、ただいまお話のような点についていま熱心に農林省で研究いたしておりますので、その成果をぜひひとつあげられるようにいたしたいと思っております。 それから生産調整でございますが、これは二月末までに三十二道府県が末端まで生産調整をおろしていただいておりますので、三月初旬になりますと、もうほとんど末端まで徹底するのではないか、このように思っております。
○小平(忠)委員 私は、今回の生産調整で農民が最も心配していることは、休耕などの一時的施策ではたして農政の展望が期せられるかどうかという点であります。極端にいえばいまのような状態を繰り返していくと、一体将来米づくりだけでなく日本の農業全体がどうなるんだろうという不安が非常に横溢しているんです。私は率直に訴えたいのは、いまのような政府のやり方では健康的な農村環境というものはでき上がらない。今日公害や物価高で社会環境は非常に悪化しつつあるが、農村は農村の過疎化というものがますます拡大し深刻になっております。したがいまして、これは単に思いつきやあるいは一時的な現象にとらわれた生産調整では、私は重大な問題が惹起すると思うのであります。 具体的にお伺いいたしますが、本年度実施の二百三十万トンの生産調整、これは大臣、いかなる根拠でこの二百三十万トンをおきめになったのですか。
○倉石国務大臣 本年度つまり平年作の中から政府が必要とする米、つまり五百八十万トン、それからあと百八十万トンが自主流通、それから農家保有米が四百五万トン、それを平年作から控除をいたしますと二百三十万トン、つまり単年度需給調整をいたしたい、こういう考え方から二百三十万トンといたしたわけであります。
○小平(忠)委員 しかし昨年の場合、千四百万トンの生産に対して千二百五十万トン台の需要があるから差し引き百五十万トンの生産調整をするんだといったわけですね。ところがもう一年たって、今度は二百三十万トンの調整をするんだ。私は大体この需要見通しの、いわゆる試算の中身の千百六十五万トンという、この需要見通しに大きな間違いがあると思うのです。そういうことでありますから、なかなか生産農民も、どうも政府の考え方が次から次へと変わってくる。昨年までは千二百五十万トン台の需要があったが、一年で百万トン近くも食い違ってくる、どういうのだろう。しかし逆に昨年はこの生産調整を、生産者は全面的に、一〇〇%協力でなく一三九%生産調整に協力しているわけです。にもかかわらず逆にことしは二百三十万トンの生産調整をしなければならぬというのは一体どういうわけだろう。こういう点で、現に各都道府県においてはこの割り当てをめぐっていま非常に問題が起きております。現在この生産調整を下部におろしておりますが、おろしておる現状について農林大臣どのようにそれを把握されておられるでしょうか。
○倉石国務大臣 先ほど申し上げましたように、二月末までに末端までおろしたのが三十二道府県と申し上げましたが、その他もう協議会等ほとんど終了いたしておりまして、これは現地からの報告でございますが、そこで先ほど申し上げましたように三月の上旬には一番末端までこれがおりてまいる、こういう見通しを持っておるわけであります。
○小平(忠)委員 農林大臣のお調べになった、その吸い上がってきた点は具体的におっしゃらなかったけれども、私がいろいろ調査をした段階では、非協力の県、難航している県、実は十数県あるわけです。これはかりに県段階から市町村段階までおりても、問題は農協から末端の農家におりる点においてそれは問題になってきます。それは現実に奨励補助金が昨年は平均十アール当たり三万五千円、ことしは三万円だ、五千円の開きがある、こういう状態でいくとまた来年もどうなるんだろうという不安感。それに現実はこの二百三十万トンという生産調整は、米作農家のある程度半数近いものが休耕するかあるいは転換をしなければならぬという、これは非常に重大な段階に来ているのです。ですからそんな形式的に都道府県や市町村へおりたからといって、これは安心できる問題ではないと思うのですが、大臣いかがでございますか。
○倉石国務大臣 御存じのように、市町村長がこれの事務を取り扱ってくれております。同時にまた、ただいまお話しのように、農業団体等御協力を願わなければならぬことはもう当然でございますが、私どものほうはそれらの方々とは緊密な連携をいたしまして、それはなるほど二百三十万トンというのは相当な数量でございますし、地方によっては御迷惑であるところもあるかと存じますが、先ほど御指摘のように、四十五年度においては生産調整に対する報償金というのは単年度だけの考え方でやっておりましたが、今回は五年間、しかも計画的に稲作転換を進めてまいるということのためにかなりの予算的措置もいたしまして、農家の方々はそれに従ってやはりそれぞれの地域において自分たちが転換をするために、非常に御熱心にやっていただいております。でありますから、私どもといたしましては現在注意深く各地方の状況を、県の農政部長等からの報告、それからまた団体からの報告等を聞いておりますと、なかなか困難なところもあるかもしれませんが、いま申し上げましたように私はいけるものである、こういうふうに楽しみにいたしておるわけであります。
○小平(忠)委員 農林大臣、これは楽しみどころか、いよいよまきつけ時あるいは収獲期になった場合に、そんな楽しみだなんというわけにはいかないと私は思うのです。というのは、農民感情として、戦後、政府、農業団体、生産者一体となりまして、食糧増産に取り組んで来、その間に食糧増産のために土地改良や開拓に農業生産基盤費として膨大な国費を投じておりますよ。それを今度、たんぽをつぶしてしまえ、遊ばしておけ、銭をやるから。補助金もらったからそれで農家の経済が成り立っていける……。しかし国費あるいは都道府県のいわゆる上積みによって土地改良や開拓を行なってきておる地帯においてはそれはもう深刻なものです。ですから、このようなことについてもっと真剣に考えないと、それは生産調整が大体予定どおりいくだろう、楽しみにいくだろうという問題ではないと私は思うのです。農林大臣、戦後農業生産基盤、食糧増産のために投じた国費は一体どのぐらいあるとお考えでございますか。
○倉石国務大臣 ちょっと数字のことでございますので、事務当局からやらせます。
○太田(康)政府委員 お答え申し上げます。 昭和二十一年から昭和四十六年までに農業基盤整備費として予算に計上されましたものの総計は一兆五千八百六十四億四百万円でございます。
○小平(忠)委員 そのうち米の増産に振り向けられた予算は幾らになりますか。
○太田(康)政府委員 私の手元に持っておる資料で申し上げますと、三十五年から四十六年までの米に対する農業基盤整備費は、順次申し上げ、ますと三十五年が二百四十八億、三十六年が二百九十五億、(小平(忠)委員「トータルでいいですよ。」と呼ぶ)ちょっとトータルが出ておりませんので、申しわけありませんが、数字を言わせていただきます。三十七年が三百五十五億、三十八年が四百二十二億、三十九年が四百八十八億、四十年が五百九十五億、四十一年が七百六億、四十二年が八百五十一億、四十三年が九百三十六億、四十四年が千百五億、四十五年が補正後で千百九十九億、四十六年が千三百二十億、以上でございます。
○小平(忠)委員 総理大臣、実は耳を傾けていただきたいと思うのでありますが、食糧増産のために投ぜられた国費は、ただいま農林省官房長指摘のように、一兆五千億を上回る膨大なものであります。その中で、米の増産に投ぜられておる予算は、いま官房長の手元には終戦直後からの全体はないようですけれども、私が調査をした中身では、この一兆六千億に近い食糧増産の予算の中で、米だけに費やされた予算が一兆二千億に近い膨大なものです。こういう膨大な予算を投じて、今度はたんぼをつぶせ、遊ばせておけ、こんなことで、私は簡単にこのことが解決できると思わないのです。農林大臣、もしこの生産調整が予定どおりいかなかった場合、どうしますか。
○倉石国務大臣 農業団体と私どもが生産調整について話し合いをいたしましたときに、やはり先方としては、なるべく自分たちのやるべきものが少ないに越したことはありませんから、いろいろお話し合いをいたしましたが、大体百九十九万トンというふうな話で、その間に若干のそごはいたしておりますが、私ども、大体二百三十万トンという数字は、先ほど申しましたように、単年度需給均衡というたてまえでやりました。四十五年度は御承知のように、先ほどお話もありましたように、一三九%もやっていただいたわけでありますので、私どもといたしましてはできるだけ皆さんに御協力を願って、二百三十万トンは必ずいけるものだ、こういうふうに確信を持っておるわけであります。
○小平(忠)委員 私の持ち時間が大体終わりになってまいりました。 最後に私は、まとめてこの生産調整と、あわせてこれを実際に国民の輿望にこたえて実行していくために、次の提言をしたいのです。というのは、単にいまの数字だけの現象にとらわれて生産調整を行ないましても、やはり問題は、日本という国は北から南に細長く、気候、風土も変わっておりまして、一律に作物の生育、生産条件が伴わない国なんです。したがって適地適産による適切な、現実に即する地域分担、これなどが示されて、将来こういくのだという方針が示されてこそ、初めてこの生産調整に生産者も協力できるものであると私は思うのです。したがって、先般農林省がこの農業生産の地域分担を非公式に発表されたようであるけれども、これなども私をして言わしめれば、ずさんです。もっと下部から、農業団体、生産者から盛り上がったものを集約して、もっと現実的なものをすみやかに策定すべきであろうと思うのです。 時間がありませんから、最後に私はこの米問題解決のための一つの提言をして、これに対する所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。 私は、現下最も重要な、いわゆる古米、古々米の過剰米の処理、さらに生産調整と真剣に取り組んでいくためには、次のようなことに農林省は真剣に取り組んでいただきたい。 第一は、古米、古々米については、家畜の飼料あるいは後進国、災害国の援助物資、あるいは食糧以外の加工原料など、緊急すみやかに処理することが先決であります。 第二番目は、国民への食糧配給は当分新米だけに限る。現在そのようにだんだん展開しているようでありますが、古米等は配給をしないで、第一に申し上げたような線で処理する。それから新米と古米の混合を行なわない。この混合をすることによりまして配給業者の悪徳暴利を増長するばかりです。したがって、こういうことについては厳罰をもって対処するという態度が必要であります。 さらに、先ほど農林大臣は、何か食管法を改正するかのごとき発言がありましたけれども、私は、あくまでも食管のいわゆる理念、根幹、これは絶対に守るべきだ、しかし現在の配給制度などで現実に即しない点は、これは是正すべきであろうと思いますが、食管の根幹、食管の精神というものは絶対この時点でこれを改めるべきでない、これが第三点であります。 それから米の消費拡大については次のような方法を積極的にとってもらいたい。これは重要なことでありますからもう一ぺん申し上げます。学校給食を年次計画によって行ない、五年後には現行パン食より米食に完全に切りかえること、現在百十二校から申請がありまして五十六校実施中であります。また、超近代的な米飯給食センターを地域ごとに設置いたしまして、学校給食に重点を置きつつ、一般にも配達できるような施設を都市近郊を中心に設けること。それから搗精の歩どまりを現在の九〇・五六%から二%ほど引き下げること、集中精米による格上げを行なって混米をなくすること。それからライスフレーク及び菓子原料などの米加工を増大すること。清酒の輸出を積極的に行なうこと。薬用アルコールなど食糧以外の用途に振り向けるよう開発研究を行なうこと。米の主産地における今後の米貯蔵方式は、従来の玄米貯蔵方式をやめてもみ貯蔵方式に切りかえること。それから八番目は、品種別、等級別にもみすり、精米、卸、小売りまで一貫して行なえるシステム化をはかること。それから外麦の輸入を計画的に削減して、少なくとも飼料用の百二十六万トンは半減して、米の代替でいくこと。それから備蓄米制度を確立すること。それから現在行なっておりまする休耕などの生産調整は最小限度にとどめて、永年転作か作物以外の転換に重点を置いて実施すること。最後に、農業生産の地域分担は末端耕作農民、農業団体、市町村などの意思を十分に聞いて、現実に即した国家的見地に立ってこの農業生産の地域配分をすみやかに確立することでありますが、この場合予算的財政的処置を講ずること。たくさんありますけれども、私は以上のような諸点について政府が、農林省が中心となってすみやかにこれらの問題に取り組んでいただきたい。このことを私は強く要請を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○中野委員長 これにて小平君の質疑は終了いたしました。 次に寺前巖君。
○寺前委員 本国会における主要議案であります予算案を審議してきた当委員会の締めくくりにあたり、私は日本共産党を代表して国政に関する二、三の問題について、どう取り扱われるのか、総理をはじめ関係閣僚の基本的な姿勢あるいは政治姿勢をお伺いしたいというふうに思います。 第一番目は外交問題であります。本委員会においては、日米安保条約の実質的な変化が起こりつつあるのではないかということについて、日米共同声明なりあるいは沖繩返還協定の交渉問題などをめぐっていろいろ論議されてきております。私はここで総理並びに外務大臣に聞きたいのでありまするが、二月二十五日に発表されたニクソン外交教書では、日本の役割りに対する期待が強く述べられております。この中で、軍事問題に関してこういうようなことが指摘されております。日本の通常防衛の必要をすべて満たす自衛能力を期待するように書いてあります。そうだとすると、在日米軍の性格といいますか役割りというのは一体どういうふうな役割りになるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
○愛知国務大臣 まず第一に、日米安保条約のワク組み、使命、性格は今日におきましても何ら変わるところはございません。そこで在日米軍の役割りと自衛隊の役割りというようなことの御質疑と了解いたしますけれども、日米安保条約は、日本の安全と日本を含む極東の安全に寄与するということが目的で設定されておるものでありますが、まあこれを平たく言えば、第五条というのはいわゆる日本自体の専守防衛の立場かと思いますし、それから第六条の系統の考え方というのは、日本を含む極東の安全に寄与するという考え方であると思います。平たく言えば、第六条の系統のほうは自衛隊の職責とは直接に関係がないというふうに常識的に理解される分ではないかと思います。それから第五条の系統のほうは、米軍の役割りでもございましょうが、自衛隊の充実ができればこの第五条の系統というものは相当に自衛隊の力で充実できるのではないだろうか、そうすればその限度におきましては、安保条約のワク組みの中でその担当する比重というか役割りといいますか、それにある程度の変化があるということは当然のことではなかろうか。まあごく大ざっぱに常識的に申しますと、そういうことではないかと思います。
○寺前委員 サイミントン委員会でジョンソン国務次官が、現在日本の直接通常防衛の責任は全く日本に属する、アメリカは日本の直接通常防衛のために地上軍も空軍も置いていない、こういうふうに述べています。またマッギー在日米軍司令官はこう言っています。在日米軍は主として日本本土の直接防衛のためではなく、日本の安全に関連してくる地域の他の条約上の公約を遂行するためのものである、と述べています。そうすると、在日米軍の性格というのは私は明らかに今日時点では変わってきているというふうに見なければならないと思うのですが、再度外務大臣に聞きたいと思います。
○愛知国務大臣 変わっていないのでありまして、そもそも安保条約としては、日本を含む極東の安全に寄与するということが眼目でございますから、その役割りは在日米軍の役割りであって、そしてその安保条約の目的のためにということは、言いかえれば日本に対する脅威が起こらないように未然に防止するという、抑止作用をねらった効果というものを期待しているのが安保条約の眼目である、かように考えるわけでございまして、その内容というものは何らの変質はない。ただそのワク組みの中で日本の本来の自主防衛といいますか、専守防衛に徹するその役割りのにない得る能力がふえれば、その限度で、その分のアメリカの役割りは減少するということは、私は当然の推移としてあり得ると思います。
○寺前委員 いまの外務大臣の答弁で、役割りは変わっていないと、こういうふうにおっしゃるけれども、事実の変化は起こってきていることは認めておられます。そうすると、安保条約の運用が明らかに変わってきている。事態が変化が起こっているから運用のしかたが変わってきている。とすると、ことばでいかに否定しておっても、実質的には安保条約はアメリカ軍の役割りが変わってきているというふうに私は見てしかるべしだと思うのですが、最後に総理の答弁を聞きたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 いま、先ほど外務大臣からお答えしたように、別に安保条約自身が変わっておるわけじゃありません。私どもの力によってみずからの国を守ることができれば、これに越したことはございません。しかしながら、まだそこまではいっておらない。したがって、安保条約はそのまま残っておる。安保条約がある限りアメリカが駐兵しておる、これはもう変わらない状況でございます。
○寺前委員 私は、明らかにこれは詭弁に属するんじゃないかというふうに思いますが、この問題についてはさらに委員会で追及するということにして、次に移りたいと思います。 次に私は、きょうはビキニの実験が行なわれて被曝を受けた、非常に不幸な記念すべき日、そういう立場に立って、きょうは日本の原子力の公害問題についてお聞きしたいというふうに思います。 最初に科学技術庁の長官に聞きたいと思うのですが、私最近、敦賀の原子力発電所の定期点検報告なるものの内容について聞きました。この内容を見てみると、驚くべきことが点検の結果から出ているわけです。それは、関電興業の関係作業の中で、通算最高被曝線量が七百ミリレムという人が出てきているという事実であります。これの日数は二十二日間の日数です。二十二日間に七百ミリレムという放射能をあびてきている。これは私はたいへんな数字だというふうに思うのです。まだ原子力の発電は緒についたところです。緒についた段階でこういう数字が出てきている。さらに最近、動力炉・核燃料事業団のプルトニウム開発で行なわれた高次化プルトニウムの実験、その被曝状況の問題について話を聞きました。そうすると、ここでは三カ月の間に五百五十ミリレムという数字が出てきております。私たちの日本においては、まだ原子力を動かしている施設は少ないです。しかもこれが、六〇年代は重油を中心とする電力の果たした役割りが、全体の大気汚染という公害の中で大きな位置を占めておりました。ところが七〇年代、八〇年代の将来の展望、電気事業を見るときに、原子力の位置が非常に高くなってくる。その緒についた段階において著しい高い被曝が出てきているという事実は、私は、将来の公害に対しておそるべき問題といわなければならないと思うのです。 そこで大臣、研究所なり動燃なりが、最近までは、ここ十年の間に受けてきた被曝の個人の量というのは、十年間かかってやっとこさ百ミリレムぐらいのものであります。それが最近の実情は、短時日の間に著しい変化が起こってきている。これが事実だとするならば、原子力に対する、放射能に対するところの対策をほんとうにまじめに考えているのか。世界で初めてあの原爆の被害を受けたこの日本、そしていまビキニでまた人を失った。私はこのことを考えるときに、ほんとうに日本の放射能をどう守るかという責任は、国際的にも高い地位にあると思います。はたして大臣、このような現象が起こっていることをあなたはいいと思っておられるのか、これは指導改善しなければならないと思っておられるのか聞きたいと思います。
○西田国務大臣 お答え申し上げます。 科学技術庁が、原子力等規制法に基づきましてきめておりまする許容量は、三カ月三レム以下としております。これはICRPつまり国際放射線防護委員会の勧告に基づきまして、放射線審議会にはかって決定したものでございます。 そこで、いま動燃事業団等の施設でかなりの被曝があるということでございますが、先生のいま御質問にございましたように、〇・三ないし〇・五程度のものは確かにございますが、これはかりに〇・三あるといたしましても、これは許容量の十分の一以下でございまして、安全上全然問題がないと存じます。しかしながらそのような状況が少しでも改善されるように努力はいたしております。
○寺前委員 私がいま提起した問題は、たとえばわかりやすくほかの話でしてみましょう。川崎では、個々の会社の排出基準は、実際に煙を出しているのは半分程度なんです。ところが半分程度だけれども、全体の公害被害は非常に高いのです。個々の排出基準が守られているからといって、全体の環境が守られるということにならないことは、何十回も警報が出ているという事実があるということです。しかも川崎では、一万人近くの人が、推定されるのは、この公害の被害を受けた病気にかかっているということなんです。いま原子力の放射能の問題についていうならば、放射能が最大許容量まで許されるということで、もしもその範囲までかまわぬのだといっておったときには、子孫に影響を及ぼすところの放射能を受けることになるから、非常に危険な問題なんです。だから許容量の最大限を問題にしておってはたいへんなことになるのです。そこで、大臣、いいですか、そこで従来十年かかって大事に、放射能被害を守るために努力してきたその努力が、十年で百ミリレムであったものです。それが最近新しく産業活動を始めだしたら、二十二日間に七百ミリレムというものが出てくる。こんな防御のやり方でいいのか、私はそのことを言っているのです。こんな防御でいいというのだったら、私は禍根は、たいへんな禍根になる。そのことを指摘しているのです。改善しなければいかぬのじゃないですか。
○西田国務大臣 繰り返して申し上げますが、この限度量は、先ほど申し上げましたように三カ月三レム以下とこうしております。いま先生が例にあげられておりますのは七百五十ミリレム、つまり〇・七レムということでございまするから、許容量の十分の一ないし五、六分の一でございまして、しかもこれは、川崎の例をおあげになりましたけれども、これはいわゆる特定期間中の作業についてでございまして、プルトニウムの受け入れの分析というある期間に限ったものでございまして、川崎の常時の例とは状況が違うと思います。しかしながら私先ほど申し上げましたように、さらにそれを少なくするような改善の努力はしたい、こう申し上げておるのであります。
○寺前委員 あなたはわかってないのですよ。三カ月云々ということをいわれたけれども、二十二日間に七百ミリレムという高い数値が出てきているということが重要なんです。もう少し研究してもらわなかったら私はたいへんだと思うのです。放射能をそんなに甘く見てもらったら困る。 そこで、次に聞きたいと思うのです。動燃の事業団では、プルトニウム開発室のプルトニウムを含有する廃棄物を海の中に流しているのです。これはおそろしいものです、プルトニウムというのは。たばこの煙がぽっと出ただけでも、その煙に関する部分だけでもたいへんなものを与えてしまうのです。このプルトニウムを、一定の基準をもうけてあるとはいえ、海の中に流していく。ところがその隣の研究所のほうでは、プルトニウムというのはそう軽々しく流すべきではないといって、長い間研究して、これをたくわえて、かんの中に入れて別に置いているのです。大臣、プルトニウムというのはもっと慎重に扱わなければならぬじゃないですか。どうです、こんな扱いでいいですか。聞きたいと思うのです。
○西田国務大臣 御指摘になっておるのは、最近発生しました東海村にあるところの動燃のプルトニウム燃料開発室の廃液ですね。これがタンクに集められまして、そして法規にきめられた飲料水基準の許容濃度以下で絶対安全であることを確認の上、排水パイプで海のほうに流しておりますが、その排水パイプが六百メートルばかりあるのでありますが、その六百メートルの排水パイプの先のほうに二十メートルのビニール管がつないであります。そのビニール管の先端が約十メートルほど破損をした状態で廃液を流して、砂の上に若干流れたということを御指摘になっているのだと思います。しかし、廃液の放射能レベルは、申し上げましたように、水中許容濃度以下で全く安全であることが確認されております。そういう状況のもとに、破損した状態で一時流れたことはありますが、現在はその部分はすでに修復が行なわれておるはずでございまして問題はございません。 なお、念のために申し上げますが、飲料水基準とは一般人が一日に二・二リットル、五十年間飲み続けても安全であるというレベルでありまして、すなわちウランにつきましては一立方センチメートル当たり6×10マイナス7乗『マイクロキュリー、プルトニウムにつきましては一センチメートル当たり5×10マイナス6乗でございまして、人間が飲んでもだいじょうぶだ、こういう基準のものであります。
○寺前委員 大臣はもう少し人の話を聞いて答弁をしないとちんぷんかんぷん、違う話をしておられるのですよ。これがわからぬとすれば、政府機関のこの分野の最高責任者がこの話がわからぬようでは、原子力公害をほんとうに責任をもって守れるのかと私は不安になったのですよ。 もう一回簡単に聞きますよ。研究所のほうでは、プルトニウムというのは非常に破壊力が激しいものだから、そんなものを流すのはいかぬのだといってかかえている。動燃事業団のほうでは流している。一定の基準があるからかまわぬのだ、こう言うけれども、慎重さが足らぬのではないかというふうにいわれているのです。あなたはその点について、もっと慎重にやるべき必要があるというふうに思われぬのかということなんです。わかっているのですか、その話が。
○中野委員長 寺前君、政府委員から説明させて……。
○西田国務大臣 これは後ほど、専門的なことでありますから政府委員から答弁をさせますが、私はかってに流しているのではないのでありまして、事業団はちゃんと県知事に協議をいたしまして、そうして県知事のほうからの支障ない旨の回答をちょうだいして流しておるのでございまして、しかも安全を守っておるのでありますが、なお詳細は政府委員に答弁させます。
○寺前委員 それじゃ、原子力公害についていま一番問題になっているのは、内部では放射能が著しく高くなっている、外には危険なものを流している、これについてあなたが、これは重大問題だとして研究しておられないということが明らかになったということですよ、簡単に言うたら、私は事態は重大だと思うのです。だからもう一つだけあなたに簡単に聞いておきたい。それはあなたの答弁の中にあった問題だけれども、あそこの廃液を流すのに海の中に放出して、海の水と一緒に流れ込んでいったらいいという拡散方式がとられている。ところがそれが途中で切れてしまったまま長期間にわたって放置されているということについて、地元の漁民が知ったのです。何でそんなものを放置しておくんだといっておこり出した、地元の人が。あまりにも軽々しく取り扱っているじゃないか。そこへ持ってきて、さらに最近あそこに再処理工場をつくるにあたって、地元の人に事前によく話し合ってやりましょうという紳士協定を、あなたと県知事との間にかわしているはずだという。ところがそれを無視して、かってに事業をやっている。これは県知事のほうからもあなたのほうに、ばかにするなということで申し入れがきているはずです。一体政府のほうは、地元住民が真剣にこの放射能公害から守るために考えているのに、こわれたものはかってに放置されているし、かってに工事をする。ほんとうに私たちの気持ちがわかってくれているかということを聞いているのです。あなたこの二つの事件を通じてどういうふうに思われますか。
○西田国務大臣 その破損の問題につきましては、これは事実関係でございますから、原子力局長から答弁をさせます。 それから再処理工場の建設に関しましては、県知事と私の間に、七項目につきまして要望がございましたから、私からは、射爆場の問題につきましては、射爆場が返還をされた後でなければこの工場の作動はいたしませんということを約束をいたしておりますし、その他の問題につきましては、それぞれの要望事項でございますから、原子力局長の名をもって回答いたしまして、そうしてそのことにつきましては県知事と随時協議を行ない、誠意をもってこの要望にこたえるような努力をいたしておるわけでございます。 なお、漁民の方々が若干の不安を持っておられまするが、そのことにつきましては、すでに水産庁を通しまして十分調査をいたしましたが、まだ若干の懸念を持っておられますので十分話し合いをいたしまして、その上でひとつ問題を解決したい、かように考えておる次第でございます。
○梅澤政府委員 先ほどから先生おっしゃいましたプルトニウムの扱いでございますが、これにつきましてはもちろん慎重に扱うことと、それからもう一つは、やはりプルトニウムを扱います場合のことにつきましては原研、動燃が国として十分にその扱い方を考えて、それがまた民間に普及するという考え方で、慎重な扱い方の研究を進めております。 ただ、現在基礎的なプルトニウムの扱いをしておりまして、その研究段階として、受け入れの分析のところで三名が受けました。しかし、あそこには百六十五名おりまして、その三名がわずか受けましたことにつきましては申しわけございませんが、そういう点について十分慎重に今後とも持っていきたいと思います。 それから動燃の再処理工場に実は一部関係がございますが、道路の変更等をいまやっております。その点について知事から動燃に対して、慎重にというお話がございましたが、これにつきましてもこれから先十分なる検討をして進めていきたい、こう思っております。
○寺前委員 もう総理お聞きになっておわかりだと思うのですよ。これは話がちょっと通用しないじゃないですか。これは私は、六〇年代の公害の段階とは違う性格を持つから、もっと慎重によく研究してもらいたい。最近の事態というのはちょっと異常だということについて総理に直接理解していただきたいと思いますので、総理の御見解を聞きたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 寺前君からいろいろ原子力の生ずる公害というか、まあ公害とまではいかぬが、いろいろ危険性のある点についてお触れになりました。政府におきましてもその点については十分住民あるいは国民の納得のいくような処置をとらなければ、これから原子力時代だといわれておるにもかかわらず、その原子力も十分使えないということでありますから、これはやはり基本的問題としてこれと取り組んでおるつもりでございます。したがって、ただいまお尋ねになりましたような点が、これは純科学者の受け持ちの範囲ではございますが、そういう意味で私ども十分、科学者が納得のいくような説明をしてくれる、しかもしろうとにもわかりいいような話をしてくれることを実は期待しておるのでありまして、それが原研等におきましても種々議論されておるというのが現状でございます。したがいまして、先ほど来あげられました実例等についてあるいはこちらの政府側の答弁もぴったりしてないものがあるかわかりませんが、お尋ねになる点は、これから先にかもし出されるであろう原子力公害というものを、大事な、あぶないものだ、こういう意味で取り組め、かようなお説だと、かように考えまして、一そう真剣にこの問題と取り組む決意でございます。
○寺前委員 私は次に、総理に直接手紙を渡してくれということで、全盲の御婦人から依頼を受けましたので、これはもう総理のお手元に渡っていると思いますが、ちょっとその要点だけを紹介して、総理のこれはお気持ちを聞かしてもらいたいというふうに思います。 「私は視力障害者で女の細腕で二人の子供を養ってきました。児童扶養手当の支給があると人から教えられ喜んで申請いたしました。しかし窓口の福祉事務所で受付けてもらうのがなかなかできず、一人歩きの不自由な身体で何回も行って、やっと受付けてもらいましたが、結果は二度とも支給できないということでした。私が障害福祉年金をもらっているからです。福祉事務所では、子供を他人にあづければ支給されるともいわれました。また両親がいて、父親が障害者の場合、父親には障害福祉年金、健体者の母親に児童扶養手当と、その家庭には二つの制度から支給されているのに、私のような母親だけの障害者の場合は福祉年金が支給されているからと、適用されません。父親のない子供が少しでも立派に育つようにと国が児童扶養手当を支給しているはづです。それなのに私のように全盲の母親が一人で子供を育てているのに児童扶養手当が支給されないことは、どう考えても納得がいきません。これまで私がなめてきた苦労はとうてい手紙では書ききれません。障害福祉年金三、一〇〇円をもらっているだけの理由で子供には手当もやれないというのは余りにも冷い国の政治です。私たち障害者ほど、人間として、子供を健全に育てたいという望みを強くもっています。この望みがかなえられるよう一日も早く児童扶養手当が支給されるようお願いします。」 総理は、社会の健全な発展と国民の福祉を確保するためには社会保障体制の整備をはからなければならないということは申すまでもありませんと述べられてきました。身体障害者、私は社会の中でも非常に困難な生活を送っておられると思います。まして、いまこの方は病床に伏せたままでありますけれでも、ほんとうに片親だけでも子供の就職は困難な実態です。社会的にいろいろ言われるわけです。今後もこの方は非常に苦しい思いをされるでありましょう。 ところで、この人が言っておられるように、父親がなくて、母親が身体障害者で、その手当をもらったら子供を育ててやるための扶養手当がもらえないという矛盾、この矛盾は何とか解決してもらえぬかと言っておられる。きわめて小さな望みだと私は思うのです。率直にこれを改善せねばならないと思っておられるかどうかを、総理に聞きたいと思います。
○内田国務大臣 私が所管大臣でございますし、実はそのあなたがお預かりくださった手紙を総理から渡されまして、けさ読んでまいりましたので、私からお答えをさしていただきます。 児童扶養手当というのは、御承知のとおり、御主人と別れて、生別したおかあさんが子供を育てられる場合に渡されるものでございますので、御主人がなくなった場合に渡される母子福祉年金の変形といいますか、趣旨は同じものでございます。ところで本件の場合は、そのおかあさんが御主人と生別はされておるが、目が悪くて、身体障害で、身体障害福祉年金をもらわれておる、こういうわけでございますので、これは寺前さんも御承知のように、違った種類の福祉年金の併給というのは、たてまえとしては認めておりません。そこで障害福祉年金をもらっておられる意味は、生活にいろいろ御不便もある、また子供を育てられるのにも不便があるという趣旨で、金額が多い少ないは別といたしまして三千百円、今度これが三千四百円になるわけでございますが、それを渡されているということで、その御婦人は児童扶養手当をもらわれておらぬわけであります。 ところが、あなたの持ってこられた手紙の中を見まして私もふしぎだと思われましたことは、夫婦が一緒におられてその御主人が身体障害福祉年金をもらっておられる、ところがおかあさんのほうは、これは身体障害者ではないのに母子福祉年金をもらっておられる、その場合に比べた場合におかしいじゃないか、こういうことで、私もおかしいと思いまして調べさせましたところが、夫婦が一緒におるけれども、おとうさんの、御主人のほうは身体障害で、全くその生活、家計を維持することも子供をめんどう見ることもできないので、障害年金はもらっておるが、おかあさんがその子供だけを見るよりしようがないということで、いわば実態上は生別したのと同じだ——これは非常に情のある厚生行政ということになるのでございましょうが、生別しているのと同じだということで、そのおかあさんに対して児童扶養手当が渡されておる、こういうことでございまして、それで私もその趣旨がわかりました。 ところで、そういうこともあるわけでありますから、いまのこの目の悪い御婦人に返った場合に、たてまえとしては出せないが、しかし目が悪くてそのおかあさんが寝たきりで子供をほんとうにめんどうを見られないという状態のもとにおきましては、これはそのおかあさんに障害年金とそれから児童扶養手当とを渡すのではなしに、実際渡すことになるかもしれませんが、その子供さんをだれかほかの兄弟とかあるいはおばあさんとかがめんどうを見る場合には、これは養育者としてその方に児童扶養手当を渡すこともあり得る。私はその辺が行政の妙味だろうと思いますので、その手紙を預かりましたから、実態をも調べまして、どう私が情をもって考えましても、できないものはできないし、しかしできる範囲のことは、よく実態を調べた上で対処することもあり得る、こういう気持ちで、これは総理大臣の気持ちも、できることはひとつめんどう見てやってくれ、こういうふうなお話でございますので、私も同じ気持ちをもって調べてみたいと思います。
○寺前委員 私はすなおに矛盾は矛盾として、法的にも整備されることを要望して、この問題は終わっておきたいと思います。 それでは最後に、きょうも新潟の阿賀野川の問題で裁判が行なわれております。私は法務大臣に聞きたいと思います。これも私は政治姿勢として聞くわけでありますけれども、まず熊本の水俣病の問題です。ここでは最近法廷で元工場長であった西田さんが水俣病の原因がチッソ工場の廃液であることを認める証言をされました。そうすると、これは水俣病の原因についてもうそれ以外にあるのだということを言わない段階に今日きているのだけれども、法務大臣として、これは刑事問題としては一体どういうふうに取り扱われるのか、どういうふうに検察的には取り扱われるのか、これを聞きたいと思うのです。もう一つはきょうの法廷で午後一時からやられる中で、千葉大の大八木先生というのが証言に立たれる予定になっております。大八木先生は田宮委員会というところに昭電の安西社長が参加をしておったという事実を証言するということを言っておられる。田宮委員会というのはこの水俣病の究明についていろいろやってきた委員会です。ここで安西社長が一枚加わってその事実を知っていながら阿賀野川の水銀中毒事件が起こってきている。さあ安西社長に対してどういうふうな取り扱いをされる予定なのか、この点について聞きたいと思います。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。 熊本におきましての水俣病の問題、この問題について元のチッソ工場長が原因は工場廃液にあるということを公判廷で証言をしているようでございます。こういう事態が明らかになった以上は、これに対して法務当局、検察当局としての態度をどうするかという御質問だと承るのでございますが、これをいわゆる刑事事件として取り扱うかどうかという問題になりますと、これはやはりまず第一に警察当局が十分に事態を調査いたしまして、そうしてそれを検察当局に対して送致してくる。そうするとそれによって検察当局がその警察当局の調べ並びにその実態について十分調査の上で刑事事件として立件できるかどうかということを初めてきめる、こういう段階になるのでございます。したがって、今日までにはまだ警察当局から何ら起訴の送致を受けておりませんので、われわれとしては十分にまだその内容はわかっておらない、こういう状況でございます。 それからその次にいまお話しの田宮委員会と申しますか、そのほうに安西社長が委員として参加しておられた、その事実関係等について検察当局はどうするか、これもやはりわれわれの刑事事件の取り扱いといたしましては同様な措置になるのでございまして、警察当局が十分この問題について責任があるかないか、これを刑事事件として立件すべきかどうかというようなことを研究の上でそして自信を得、調査の上で、法律的に犯罪ありあるいは責任ありということでどうしても刑事的に処分が必要だという場合には、初めて警察当局から検察当局にやはり送致をしてきまして、その上において研究の上で当否を決定する、立件するかしないかを決定する、こういう順序になるものと心得ております。
○寺前委員 それでは警察当局の人、やってください。
○荒木国務大臣 現在のところ立件は困難であるかと思います。ただし推移を見守ります。
○寺前委員 それはどういうわけ……。
○荒木国務大臣 原因と結果について法廷で十分に立証困難であるか、立証できるかということを中心に検討を要するからであります。
○寺前委員 私はさらにこの問題について深く検討したいと思いますが、与えられた時間の限度が来たようでありますので、もう一度全体を通じて、締めくくりでありますので申し上げたいというふうに思います。 外交問題について、明らかに在日米軍の変化が起こってきているのにもかかわらず、これが事実上安保条約の変化につながっているというふうに思うわけでありまするが、この点についてきわめてあいまいな態度のままに過ごされているように私は思います。 第二番目に、原子力の公害の予防についてであります。この予防について現在すでに危険な状態が内部で発生しているし、外に対しても行なわれてきている。これをこのまま放置するならば将来に重大な禍根を及ぼすという点についても、これはメスを入れなければならないと私は思います。 第三番目の社会福祉の問題であります。社会福祉の問題についても私はもっと積極的に、たくさんの矛盾が提起されているのですから、この矛盾の解明のために積極的に乗り出す必要があるというふうに思います。 第四番目に、特になかんずく重大な問題は、だれが聞いても明らかに原因者になってきているのにもかかわらず、これが放置されたまま、検討中で過ごされていこうという検察的な姿に対して不満を持たざるを得ないと思います。そういう点においては真剣に国民に納得させることができるように、いち早く再検討して、まじめにこの問題に対する処理をされることを願って発言を終わりたいと思います。
○中野委員長 これにて寺前君の質疑は終了いたしました。 次に理事会の協議により、一昨日の楢崎君の保留分として、三十分の範囲内で質疑を許します。 御報告を申し上げますが、去る二十七日楢崎君の質疑の際に要求のありました資料は、本日外務省及び防衛庁より提出されましたから、以上御報告を申し上げます。 この際、去る二月二十七日の楢崎君の質疑に関し、法制局長官より発言を求められておりますので、これを許します。高辻法制局長官。
○高辻政府委員 一昨日の当委員会で地位協定の二条四項の規定に関しまして、自衛隊の施設を駐留米軍の用に供する場合の根拠規定についてお尋ねがございました。自衛隊法にその種の規定がないことはすでに申したとおりでありますが、お尋ねの根拠規定としましては、地位協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律という法律の第二条に「国は、協定を実施するため国有の財産を合衆国の軍隊の用に供する必要があるときは、無償で、その用に供する間、合衆国に対して当該財産の使用を許すことができる。」旨の規定があげられます。用に供するのはもとより地位協定のワク中のことであり、またこのような問題を現実具体的に検討したのは初めてでありますが、ともかくも関係当局も含めた検討の結果としてここに御報告を申し上げます。
○楢崎委員 私に与えられた時間は三十分でありますから多くを論議するわけにいきません。私はたくさんの疑問を呈しておりますが、私はまず一昨日の政府答弁に対する反論をしておきまして、それが終って、提出資料に対する批判をいたしまして、そしてそれが終わって、二つの問題だけにしぼって質問をしたいと思います。あとは残したいと思います。 まずいまの高辻法制局長官の御見解でありますが、私は根拠がないと思います。自衛隊法改正の必要があると思う、そういう場合は。なぜならば、たとえば電波を外国の民間放送が使用する場合には電波法を変えなくてはできない、あるいは電波障害緩衝地域を設定する場合には民法以外に国内法上の根拠がありませんから、物件の所有者と契約をしなくてはそれもできないわけです。あるいは米軍基地に土地を提供する場合には、土地等の使用等に関する特別措置法はありますけれども、しかしたとえそれがあっても、それは国と国との関係でございますから、実際に借りるときにはやはり契約を結ばなくてはできない。それができて初めて特別措置法という国内法で律していく、こういうことになるわけですから、したがって自衛隊の基地を米軍に使用せしめるためには、やはり自衛隊法上にその根拠を明確にする必要があろう、このように私は思います。この問題は残しておきたいと思います。 さらに提出された資料の批判をいたしておきます。 まずサイミントン委員会の報告、これの訳文でありますが、私が指摘したところだけしかこれは出されておりません。おそらく考えますに時間的に余裕がなかったのだという気がいたしますから、これはおとといもお話ししましたとおり、沖繩返還を前にして重要な示唆に富んだ参考文献になり得る。したがって、邦訳全文をいつごろ提出されるか、これは後ほど明確にしてもらいたい。 さらにザブロツキー委員会の報告も外務大臣御承知のとおり、あの中にはハワイ水域における演習の状態も書いてあるし、サイミントン報告もそうですが、並びに沖繩の情報学校についても触れておりますから、これまた邦文全訳のものをいただきたい。これもいつごろ提出されるか、明確にしていただきたいと思います。 なおこれを見てみまして、私の訳とはとんど変わりませんね。もし変わったところがあるとすれば、私は正確に訳しておるが、外務省は、たとえば「コンティニューイング ツー プレス ザ ジャパニーズ」というところは、明らか日本に一種の強圧的な、というほうが正確なんでありまして、こういうふうに配慮を求めておるなんというようなことにはならぬのですね。 それから一つだけ私ははっきりしておきたいのは、空軍についての包括承認についてのワン・クリアーカット・ケース、これはあとのほうの文章を読みまして、私は外務省の見解のほうをとります。ただ問題はすでに提出しておりますとおり、もしそういう解釈をすれば、今度は逆に、では空軍の出撃以外の事前協議は非常に明確なケースではないということになる、逆に言えば。明確なケースだけをこれはあげております。核の問題もそう、明確でないということになる、海軍艦艇の場合も明確でないということになります。私のこの疑問はすでにこのサイミントン報告の中で、私と同じことをサイミントン委員長が疑問を呈しております。だから一つの明確なケースというのは間違いではないかということをサイミントン委員長がわざわざ指摘しておるぐらいですから、私の疑問とするところは明確であります。 なお、おととい、出撃命令を受けた海軍艦船が日本に寄港して、そうして寄港地から出る場合は事前協議の対象になるではないかと言ったら、愛知外務大臣は、いや寄港地から出て途中で出撃命令を受けたら事前協議の対象にならない、それは何べんも聞いております。しかし、そういう問題はここに介入してくる余地はないのですね。私が出しておる問題あるいはサイミントン委員会の報告の中に出ておるケースは、そういうケースじゃないのですよ。すでに出撃命令を受けたものが、日本の港に入ってきて、出撃に出るのですから、この場合、サイミントン委員会の場合は。だから途中で命令を受けたかもしれないというような問題のすりかえをされちゃ困るのです。そういう問題はここには入ってくる余地はないです。途中で受けたら事前協議の対象にならないということは、政府の答弁の中から百も私は耳にしております。そんなことは関係ないのです。だからこれもいずれはっきりしていただきたいと思います。 以上が、たくさんありますけれども、サイミントン委員会の問題。それからザブロツキーは出してもらいたい。それから航空交通管制の合意議事録、これはきょうもらったやつは、この前、年末にもらったのです。あの中からこういうように適当に選別してそれで適当な文書に書きかえて出されたって、真の審議はできませんです。私が指摘したい点は、全部抜かしておる。したがって、これも全文出してもらいたい。 それから防衛庁の資料でありますが、このうちのXJ−ALQ−3、この「開発の経過」というところの一番最後にこう各年度の予算が書いてある。しかし残念ながら一番大事なところが抜けておるのですね。いいですか、ここに「備考」とありますでしょう。ここに問題のあるそのことが書いてあるのです。どういうことが書いてあるかというと、CXのことが書いてある。CXは御承知のとおり次期輸送機のことであります。つまり次期輸送機は、次期偵察機と申しますか、われわれのいういわゆるスパイ機です。次期輸送機を改造してスパイ機にするという計画があるはずであります。それにこのXJ−ALQ−3を載せる予定になっておるのですよ。だから備考のところに書いてあるではありませんか。そういう大事な問題を、そうしていかにも何か別のことを言うような、事実を隠蔽するような答弁はなるたけ避けていただいて、資料も正確なものをお願いしたい、このように思います。 それから空幕運第三六七号、これは正確に出ております。これは公報に出ておるのですから出されるのは当然であります。私も公報で見たのですから、公の報ですから、見るのはあたりまえでありましょう。 さらに総隊防第一二四号、これは四十一年一月六日に破棄されておることは私は承知をいたしております。問題は中身であります。中身を中會根長官は御存じであるかどうか、問題は、それが今日まで中身は生きておるということを私は指摘したいのであります。したがって、この問題はいずれ沖繩の返還批准国会で徹底的に論議をしたいと思って残しておくことにいたしましょう。提出された資料についての見解は大体以上のとおりであります。 なおサイミントン委員会報告につきまして公明党に触れた個所がありましたので、公明党からも御意見を出されたいそうでありますから、委員長のほうでお取り計らいを願います。
○中野委員長 坂井君より関連質疑の申し出がありますが、楢崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。坂井弘一君。
○坂井委員 サイミントン委員会における公明党の米軍基地総点検に対する報告がなされております。したがって、この際政府の米軍基地に対する考え方をただしておきたいと思うわけであります。 本来、在日米軍基地の実態を調査ないし把握することは、政府の国民に対する当然の責務であると私は思います。政府がやらないから公明党があの総点検をやった、そういうことでありまして、そのことについては、総理も、政府も高く評価すると認められたはずであります。ただ、この際非常に大事なことは、私たちはただ感情的に基地反対のために意図的なそういう調査をやったのではない。あくまでも、客観性を欠いたものでは国民的合意の資料とはならない、こういう観点からきわめて主観を排除いたしまして、そして実態の総点検を行なった。その結果、国民の声として、当然返還されるべき基地もあるではないか。あるいはまた基地周辺の公害の非常に深刻な実態が浮き彫りにされた。このことにつきましては、当時矢野書記長の質問に対して、総理もお認めになっていらっしゃるはずであります。ところがこの報告を見ますと、ジョンソン次官並びにジョージ担当官の公明党の米軍基地総点検のこの批判というものは全く当たらない。多くの日本国民の反基地感情あるいはまた深刻な基地公害、これを全く受けとめておらない。まさに無視した暴言であろうと私は思うのです。しかしここで非常に大事なことは、なぜこのような国民感情をさかなでするような発言をあえて行なったのか。これは私は、まさに政府が国民生活を顧みない対米政治姿勢、そういうところにあやまっておったという根本があるのではないか、こういう点を指摘したいわけであります。 そこでこの報告の中に、日本政府から主要基地に対する返還要求への大きな行動はなかった、こういっておるわけであります。総理は四十三年の十二月矢野書記長の質問に対しまして、公明党の総点検資料が米側と交渉するにあたって政府を力づけてくれた。また愛知外務大臣は外務委員会におきまして、今後いろいろの場において大いに活用させていただきたい。このような答弁があったわけであります。一体どのように活用されてきたのか。在日米軍基地に対して政府の具体的かつ基本的な態度をひとつ明示していただきたいと思います。 同じくサイミントン報告の中に、基地公害の多くないし全部は騒音や通常の公害など正当なものである。これはあたかも、基地があれば公害が発生するのはあたりまえだ、こう言わぬばかりの発言だと思うのですけれども、一方この基地公害の深刻な実態を持って総理に矢野書記長が質問いたしました際に、その答弁には、基地周辺住民の生活上の不安や不便を取り除くために万全の措置をとる、こう総理はおっしゃっております。この深刻な基地公害の実態というものは、この総点検資料を見れば瞭然としております。前段にも述べましたとおり、総点検は国民の声であります。これを率直に受けとめてでき上がったのがわれわれの総点検のレポートであります。政府は一体この国民の世論、要望に率直に耳を傾けるべきであると私は思いますけれども、サイミントン報告を見る限り、政府は基地公害の不安におののいておる真剣な国民の声を一体どのように伝えておるのか、全く疑問に感ずるわけでございます。 そのような二つの点につきまして、総理からひとつ明確なる御答弁をお願いいたしたい。
○愛知国務大臣 公明党が非常な御努力で行なわれました基地の総点検については、その当時私もお答えいたしましたとおりであって、したがって、ただいま御指摘のありましたとおりでございますから、十分これを参考にさせていただき、また国民感情に基づいて、またその実態に応じて基地の整理、縮小と申しますか、あるいはそれに関連する国民的な立場に立っての善処については、今後ともできるだけの努力をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。 いまちょっと関連の御質問ですから、楢崎君にお答えをしたい。
○楢崎委員 私の希望どおりしてください、時間がなくなりますから。
○愛知国務大臣 ですから資料についてはできるだけの御協力をいたしますから……。 それから先ほど私の言ったことに了解を与えてくださったことを私は感謝いたしますと同時に、それだけが一つの例であるというのは、一つの明白な例を例示しておるのであって、あのサイミントン委員会の全体が非常に長い時間で、そしてこういうふうに質疑応答ですから、全体の質疑応答の中からくみ取らなければならない部分がたくさんございますから、あれは一つの例であり、ほかも政府が言っているとおり、事前協議については一昨日申し上げたとおりでございますことをあらためて明確にしておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 楢崎委員の御質問にお答え申し上げます。 まずナパーム爆弾の点であります。 これは昭和三十二年、三十三年、三十四年にわたってアメリカから無償援助で材料を当方は入手しております。しかしその後大部分これを返還いたしまして、若干その材料を保持しております。この材料を一定時間かけて合成して、その上に弾体や信管を装着してナパーム弾はできるということであります。それで自衛隊は展示演習のたびごとに、このナパーム弾を合成してつくっております。それで過去において六回演習をしております。これを陸上自衛隊の者等に見学させておりまして、ナパーム弾というものはこういうものであるということを見せておるようであります。最終は四十二年八月に行なっております。 空幕のこの通達は四十四年七月に出ておりますが、展示演習をする際の監督用として厳重にこういうふうに措置してやれと言っておるのであります。 ナパーム弾は相手が上陸地点等に着いて使用するという可能性もあります。わがほうはそのときの態様に応じて使用する可能性も保持しておく必要がありまして、これらは外国に向かって領土攻撃用に使うというものではございません。ナパーム弾を保持すること、これを侵略用、攻撃用兵器として断定することは私は適当でない、このように思います。 第二にバッジ作戦委員会の件でございますが、これはオペレーションということばを作戦と翻訳された結果であり、正確には運用であります。一九六四年バッジ決定の翌年にこれを建設するための委員会をつくって、空幕それから航空総隊、五空群、それからアメリカのこれを担当する建設会社が入ってつくった建設準備委員会です。 それから「ルール・オブ・エンゲージメント」これは米軍が領空侵犯等に対して平時要撃規則としてつくったもので、現在はわれわれのほうは関知しません。現在領空侵犯は日本側が自分でやっているわけで、自衛隊は領空侵犯に関する法規に基づきまして訓令をつくって、いざというときの武器使用等を規制しておるものであります。日本側は関知いたしません。 それから先ほどの航空総隊の百二十四号というのは、敵がレーダーを破壊するときに妨害電波を出します。これからレーダーを守る必要があります。そこで妨害電波を出す装置を開発して、実験して、わがレーダーを守る、そういうための電波を出す装置の研究で、これは成功しております。しかしこれは射程は短いものでありまして、攻撃用、侵略用のものではございません。それでこれをCXに装着される。これはALQ−3の問題でありますが、CXは輸送機でありまして、この上につけて、レーダーの試験にかけてみるというまでで、スパイ用のものではございません。これは、距離が、いま申し上げましたように二カ所かけますけれども、短いものでありまして、外国の領土のレーダーをやろうとするものではございません。 大体、御質問は以上でお答えしたと思います。
○楢崎委員 私は、時間がかかるから、残した問題はいずれ別のところでやりましょうと言っておるのですから……。私の質問時間はないじゃないですか、もう十分しか、三十分の時間ですから。 あなたはそういうことをおっしゃるが、ここに出されておる資料は「隣接する二カ所のレーダー」となっておりますが、本文はそうじゃないでしょう。「隣接する二カ所以上のレーダーサイト」となっておりますよ。ちゃんと正確に本文のとおり持って来られたらどうでしょうか、そういうことをおっしゃるのだったら。 それで私は、二つの問題にしぼって、いまから質問をいたします。 いまお話がありましたが、侵略用ではない、ナパーム弾は、ということですから、お持ちになるつもりのようであります。それで、いつどこで六回の展示演習をしたのか、それが一つ。 いまあなたは、材料として持ったと二番目にはお答えになりましたが、もう常識じゃありませんか、信管と弾体を別にするのは。こんなことはもう常識ですから、材料としては持っておるなんという御答弁は、私はまことにけしからぬ答弁であると思う。一体何発分自衛隊は所持しておるのか。それをまずお伺いします。
○中曽根国務大臣 昭和四十二年までに過去六回やりましたが、場所は雨ケ森の演習場であります。それで材料はございますけれども、弾体とか信管はないのです。少しはありますけれども、ほとんどない。そのたびごとにつくっておるのであります。
○楢崎委員 これまたたいへんあいまいであります。大体何発分持っておるか、そういうことは把握をしていただかなければならない。あなたは一昨日の答弁では、六発とたしかおっしゃいました。しかしきょうは六回に変わりました。もともと歴史をたどれば、四十一年の三月に、当時の海原防衛局長もナパームは持っていないと言われた。今度の国会の予算分科会では、私はこう聞いたのです。——総理聞いておってください。まさかベトナムで焼き尽くし、殺し尽くし、破壊し尽くすという、あの代表的な兵器である枯れ葉剤、ボール爆弾、ナパーム弾は、自衛隊は持たないでしょうねと聞いたのです。ところが、何を血迷ったか知りませんが、装備局長は、ナパーム弾は持っておりません、それだけ答弁したのです、それだけはっきりと。そうしておとといは、その材料は持っておる、こうなりました。さらに私が通達を追及しましたら、今度は六発演習した。そうしてきょうは六回演習した。そうしてしかもこれは専守防衛の兵器である、侵略用の兵器じゃない。ということは、それは持ってもかまわないという意味だと思うのです。 そこで通産大臣にお伺いしますが、ナパーム弾をつくっておる会社が日本にありますか。
○宮澤国務大臣 存じません。
○楢崎委員 中曽根長官は御存じですか。
○中曽根国務大臣 存じません。
○楢崎委員 それは正確に調べてもらいたい、重要なところですから。そうしないと、今後の問題として——昔、米軍から借りたものか、もらったものかというような、そういうあいまいな答弁ですから、これは明確に、ひとついま調べて答弁をしてください。
○蒲谷政府委員 私も知りません。
○楢崎委員 これでは審議できませんです。 〔「そんな答弁があるか」と呼び、その他発言する者あり〕
○中曽根国務大臣 合成は、わがほうで、自衛隊でそのつどやるそうです。したがって、工場には出していないそうです。
○楢崎委員 私が聞いておるのは、ナパーム弾を製造しておる会社が日本にあるかと聞いておるのです。
○中野委員長 知らないと言うておるのだから……。
○宮澤国務大臣 ないそうであります。
○楢崎委員 ナパーム弾は、日本の会社はつくっていない。そうすると、自衛隊は、これは先ほどの質問とも関係がありますが、何発持っておるかということと、それがどこから手に入れられたか。先ほどは米軍から貸与されたというような意味のことを答弁なさいましたが、一体その辺はどうなんですか。ずっと貸与され続け、もらい続けておるのかどうか。その金は一体どうなっておるのか。これは予算と関係があります。明確にしてもらいたい。
○蒲谷政府委員 先ほど大臣が申しましたように、三十二年から三十四年にかけまして、無償援助で、MAPで供与を受けております。そのためにすべての構成材料は、日本の予算は支出しておりません。
○楢崎委員 装備局長は答弁をする資格はないのですよ、あなた。あなたの答弁はもう信頼できないのです。中曽根長官はおかげんが悪いそうですから、おすわりになっておってけっこうですから、官房長なら官房長が答えなさい。そんなことじゃだめですよ。
○宍戸政府委員 ナパーム弾につきましては、先ほど装備局長がお答えいたしましたとおり、MAPで無償供与を受けております。その後、日本政府としては発注したという事実はございません。(「何発だ」と呼ぶ者あり)発注したことはございません。 〔「何発あるのか」と呼ぶ者あり〕
○中曽根国務大臣 数量は二千発程度あります。材料は二千発分ぐらいの材料があります。
○楢崎委員 全然くるくる答弁が変わるのですが、これでは審議は進められませんね。これは重要な兵器でありますから、しかも予算にからんでおりますから。 以下、私は明らかにしたいと思いますけれども、あの答弁ではだめです。
○中野委員長 ちょっと速記をやめて。——ちょっと静かに願います。 楢崎君、使用したのはということを防衛庁長官が言っておるのですから、食い違いはないと思うのですから、さらに御質疑を御継続願います。——予定の時間が来ておりますから、どうぞ。
○宍戸政府委員 補足して、かつ正確に申し上げますけれども、MAPで約六千発分無償供与を受けましたが、その後四千発分は米軍の都合で米軍に返しておりまして、約二千発分の材料を日本側が持っている、こういうことが事実でございます。
○楢崎委員 そうして、いままで何発消費されました。
○宍戸政府委員 先ほども大臣から申し上げましたとおり、六回展示演習をやっておりまして、それで使いましたのは約五十発分でございます。
○楢崎委員 委員長が御承知のとおり、次から次に答弁が変わるではないですか。どうなるのですか、これで一体。私はこれでは審議はできませんです。 〔発言する者あり〕
○中野委員長 静粛に願います。
○宍戸政府委員 先ほど大臣も六回の展示演習と申し上げました。その点は正確でございます。それで使いましたのは、たいへん技術的なことでございましたので、大臣は御答弁にならなかったと思いますが、約五十発使いましたのが正確なお答えでございます。
○楢崎委員 では、今後これを購入したりあるいはアメリカからさらにもらい受けるという計画がありますか。
○宍戸政府委員 現在のところはございません。
○楢崎委員 現在のところとはどういう意味ですか。
○宍戸政府委員 現在防衛庁いろいろ長期の計画を立てておりますが、それに入っていないということでございます。
○楢崎委員 予算委員会の正式の代表に見せる用意がありますか。
○中野委員長 もう一ぺん、何ですか。
○楢崎委員 そのナパーム弾が貯蔵されている状態をです。
○宍戸政府委員 事柄の性格上、現場をお見せすることは差し控えたいと存じます。
○楢崎委員 委員長もお聞き及びのとおり、また同僚諸君もお聞き及びのとおり、答弁は二転三転四転五転、私が次から次に聞かないとそれが出てこない。しかも事実は見せないという。これで一体審議ができますか。シビリアンコントロールがこれで果たせますか。私が黙っておれば、そのままどうなっておるかわからぬでしょう。これではシビリアンコントロールはできませんですよ、総理。一体どうするのですか、われわれは何を審議するのですか。総理の見解を聞いてみたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど来防衛庁長官さらにまたそれぞれ官房長その他からお答えいたしましたように、これが実戦に使われるというようなことは、私どもがシビリアンコントロールというか、そういう立場において厳正に処置いたすつもりでございますから、その辺の御心配はないようにお願いします。ただいまこれらのものが簡単には使われておらないこと、その事実は御了承いただきたいと思いますし、また国内でさようなものは製造されておらないこと、これもまた御了承いただきたいと思います。私はいま申し上げますようにいわゆるシビリアンコントロール、これに支障がある、かようには考えておりません。
○楢崎委員 総理はこれでもなおシビリアンコントロールが行なわれているとお考えですか。こんなに一転二転三転四転答弁が変わってもそう思われますか。私は了承できません。そうして、これが専守防衛の兵器にふさわしいものであるとお思いですか。 私はハノイに参りました。ナパーム弾の悲惨なその結果を目で見ておるのです。全く——ジェノサイドが問題になっておりますけれども、大量の殺人兵器であり焼き尽くす兵器なんです。一体これを日本本土で使用するという想定ができますか。あの状態を見ますと、その悲惨さは核兵器にも匹敵すると私は思うのです。これをしも総理は専守防衛の兵器としてふさわしい兵器である、これからも自衛隊は所持していいとお考えでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 自衛隊が持つという、そういうことは考えておりません。先ほども防衛庁長官が申しますように、日本国内で相手方が使うような場合があるだろう、それはどういうものかというくらいな知識は持っていないことには自分の防衛ができないじゃないか、これは当然のことだと思います。私はそういう意味で、これは先ほどの防衛庁長官の答弁を御了承いただきたいと思います。
○楢崎委員 その論理でいったら……
○中野委員長 楢崎君、ちょっと発言をやめてください。
○楢崎委員 核兵器だって持てるじゃありませんか、訓練のためなら。
○中野委員長 楢崎君、委員長の命に従ってください。
○楢崎委員 そういう論理になるのです。
○中野委員長 楢崎君、すでに……。佐藤総理大臣。(「そっちのほうはいいのか」と呼ぶ者あり)
○佐藤内閣総理大臣 核兵器は、私ども三原則、すでに皆さん方にお約束をしております。国民にも納得をしてもらっておるつもりです。したがって、核兵器は日本は持たない、つくらない、持ち込みも許さない、これだけは厳然たる事実でございます。したがって、ナパーム弾あるいはその他のたまと一緒にはされないようにお願いいたします。
○楢崎委員 総理はナパーム弾の悲惨さというのを御存じないのです。私はハノイに行ってその悲惨さを見てきているのです。こういう兵器を持つからアジアの諸国なりあるいはアメリカすら軍国主義化の危険というものを指摘するのです。私はこの点については了承できません。 これは重要な個所でありますから私はまだ質疑をしたいのです。しかし時間であるという、全くこれでは、この危険な方向というものは、ほんとうにこの形式的な時間で縛られて真相が明確にならない。そしてマル秘とか機密とかいって国民に知らされようとしない。これでは佐藤内閣の存在というのはむしろ国民にとって悲劇であるかもしれません、私に言わせるなら。むしろ佐藤内閣というものは最大の公害であると私は思うのです。四百九十一中、公害の許される限度は二百四十六PPM、その許容限度を越えた三百三PPMというのが一番私は国民に対して被害を与えておると思うのです。三百三PPMをわれわれはなくすために今後とも野党共闘で浄化装置を、まあ小林さんは退いていただきましたけれども、徹底的にやっていきたいと思う。 私は問題を御承知のとおりずっと残しておきますから、決して了承していないということを申し上げて、一応本日のところは終わります。
○佐藤内閣総理大臣 最終的な席を立たれる前に一言申し上げておきたい。 先ほど来の話で、私どもはナパーム弾を使用する、こういうようなものでないことは、これはお約束ができると思っています。(「二千発持っておるじゃないか」と呼ぶ者あり)また二千発持っておると、二千発分の材料があるという、そういう説明でございますから、そのたまになるまではさらに雷管その他を施設しなければならない。その材料のあるということと、たまがそのままあるのだということとは違います。したがって、これを使うことについては厳重にする、ただいま御指摘になったとおりいたさなければならないと思います。 なおまだ、次をお尋ねがしたいようですが、時間がないので、これはまたの機会に譲るといたしまして、一昨日の私に関する部分については、私が一昨日答えたように、私はニクソン大統領とはお目にかかりましたが、その他の次官等とは会っておりません。したがって、私に関する限りにおいて、これは私と大統領以外に発言する資格のある人はないと思う。このことだけはっきり申し上げます。またしたがって、あの報告にもお尋ねになったような点については規定がない、こういうことがいってございますから、したがって、私とニクソン大統領との話はこの問題に触れておらないこと、それを御了承いただきたいと思います。 その次に、公明党に関する部分、これは私どもも、日本の国内の問題について外国においていろんな評価をされること、これは私まことに残念だと思います。私は、公明党はわが国のりっぱな政党だと思いますし、私ども自身がその点検を高く評価しておる、その点をそのとおり、私がここでお答えしたとおりに評価していただきたいと思いますし、また地域住民の方々の生活を守る、そういう立場において、いわゆる基地公害といわれたような点について、私どもが騒音その他についていろいろ対策を立てておることは、もうすでに予算上にも計上されておりますから、御承知のとおりであります。外国において何と言われようと、それらの点では別に小さくなられる必要はない。胸を張って、アメリカの報告と違う、かように言われてちっとも差しつかえない、かように思います。
○楢崎委員 一言だけ言わしてください、総理が言われましたから。 私はもう一ぺん念を押しておきます。 このナパームの問題について一転二転三転四転五転しました。事実と違うことを言うことがどんなに責任が重いかは、田中昭二君もここであやまられ、しかも懲罰にかけられようとしておるのです。本問題は、わが国会全体がうそをつかれたことになっておるのです。国民がうそをつかれたことになっておる。その責任は一体どうなる。この問題は、この責任の問題は私は残しておきたいと思います。理事会においてひとつ取り計らい願いたい。
○中野委員長 理事会で扱うべき問題ではございませんから……。すでにお約束のとおり時間が経過しております。 坂井君の関連質問を許します。
○坂井委員 答弁いただきましたのですけれども、米軍基地については数多くの問題がございます。したがって、内閣委員会あるいは外務委員会等、関係委員会においてこのことは追及してまいりたい。質問を留保いたしておきます。
○中野委員長 これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、昭和四十六年度総予算に対する質疑は全部終了いたしました。 午後は二時十分より再開し、討論、採決を行ないます。 この際、暫時休憩をいたします。 午後一時四十三分休憩 ————◇————— 午後二時十三分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 この際、細谷治嘉君外十六名より、日本社会党、公明党及び民社党三党共同提案にかかる、昭和四十六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。 ————————————— —————————————
○中野委員長 これより、その趣旨弁明を求めます。細谷治嘉君。
○細谷委員 ただいま、日本社会党、公明党、民社党の三党共同で提出されました昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算及び昭和四十六年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、私は、提案者を代表いたしまして、その趣旨を説明いたしたいと思います。 予算は、その国の政治の顔といわれるのでありますが、今回提案されました政府の総予算案は、はたして国民の期待にこたえるものでありましょうか。以下、私はそのしからざるゆえんを順を追うて述べてみたいと思います。 まず第一は、国民生活軽視の予算だということであります。昭和四十六年度予算に対する国民の要望は、これまでの産業優先政策を大きく転換し、人間優先、国民生活、福祉の向上に重点を移すことであります。しかるに、政府予算は相変わらず、経済成長優先の政策を続け、大企業本位、産業中心の刺激型予算を組み、高物価、重税、国民福祉軽視の予算編成を行なって、国民の期待を大きく裏切っておるのであります。 第二は、税負担の不公平が拡大されている点であります。昭和四十六年度における税の自然増収は、一兆五千億円に達する巨額にのぼっているにもかかわらず、減税は千六百六十六億円にとどめ、反面、大企業や資産所得を中心とする租税特別措置などの整理を怠り、税の不公平を一そう拡大しております。その上、税体系の矛盾を改めることなく、いわゆる自動車新税を創設して、高負担化の方向に拍車をかけていることは許しがたいことであります。 第三は、物価政策の不在であります。物価の安定は、国民生活にとって最大の課題であり、政府も予算編成の再重点項目に置くと公約しておきながら、何ら有効な物価安定対策はとられていないのであります。公共料金を抑制するといいながら、郵便、電話料金の値上げを事実上容認し、緊急課題である野菜価格安定対策や管理価格の監視体制の整備等は放棄しております。また急騰を続ける地価対策を忘れ、さらに消費者米価に対する物価統制令適用除外を行なおうとしていることは、消費者米価の値上がりのみならず、諸物価の上昇を招き、国民生活を脅かすものといわなければなりません。 第四は、公害予算がきわめて不十分な点であります。第六十四臨時国会で成立いたしました公害関係諸立法を実施するための財政的な裏づけすら十分でなく、地方公共団体に公害防止事業を押しつけ、監視、調査、研究体制の整備も著しく立ちおくれております。特に無過失賠償責任制度の実施と被害者救済制度の充実、中小企業公害防止施設に対する援助など、緊急な問題に対する取り組みが軽視されており、公共下水道についても、補助率の引き上げが見送られてしまっておるのであります。 第五は、社会保障の後退であります。先進諸国に比し著しく立ちおくれている社会保障の充実は、現在最も緊急を要する課題であります。しかるに、社会保障関係費は依然として低水準に置かれています。福祉年金、生活保護基準の改定、児童手当の実施、被爆者援護など、申しわけ程度にとどまり、老人医療の無料化は全く無視されております。しかも、政府が公約した健康保険の抜本対策を行なわず、保険料の恣意的引き上げと患者負担の増大など、重大な制度改悪を企図していることは断じて容認できないことであります。 第六は、住宅、社会資本の立ちおくれであります。深刻な住宅難で苦しむ勤労者のための住宅建設をはじめ、高度成長の中で矛盾を拡大しつつある社会資本の充実に対する施策は、全く場当たり的であり、第二次住宅建設五カ年計画も、民間自力建設にその大半を依存するというさか立ちした計画となっております。また、国鉄の再建についても、国鉄経営の根本検討、総合交通体系の確立した上で、利用者の立場に立った抜本策が講じられなければならないのに、何ら手をつけておりません。さらに、人命尊重の中心である交通安全対策についても、ほとんど前進が見られず、交通事故がますます増大することは必至であります。 第七は、教育軽視の予算であります。教育予算の充実に対する国民の要望はきわめて高いものがあります。ことに、社会教育をはじめ、幼児教育の拡充、私立学校の経営安定に資するため、経費を含めた助成制度の拡充、大都市周辺の人口急増地域及び過疎地域の文教施設の整備については、財成措置の増大が強く求められているのでありますが、依然として不十分のまま残されております。 第八は、農業の荒廃と中小企業の危機があげられます。政府の農業軽視の政策の結果、いまや農業は荒廃し、農家は農業の将来に全く希望を失っております。従来の場当たり的農政を改め、農業再建のため真剣に取り組むべきであるにもかかわらず、かえって米の買い入れ制限と大幅減反によって、農政失敗のしりぬぐいを農家に押しつけ、農業を一そう危機におとしいれようとしております。特に消費者米価の物統令適用廃止は、事実上の食管制度の切りくずしであり、消費者には米価の値上がり、生産者には経営危機を一段と激化するものとなることは明瞭であります。 また不況含みの景気を背景として、中小企業経営は困難の度を濃くしているとき、中小企業予算は相変わらず冷遇され、中小企業労働者に対する施策も、全く見るべきものがないことは遺憾のきわみであります。 第九は、防衛費の急増であります。国際緊張の緩和と平和を願う世論に逆行して、防衛費を大幅にふやし、攻撃的兵器まで準備しようとしていることは、平和憲法の精神に反し、諸外国に軍国主義への疑念を抱かせ、アジアの緊張を激化することになります。ことに国庫債務負担行為をはじめ、四次防計画に事実上着手していることは許せないのであります。 さらに、海外経済協力費の増額がはかられようとしていますが、これらが開発途上国民衆の生活向上と自立達成のためでなく、企業資本進出の先導的役割りを演じ、援助諸国民の不安を増大させ、非難を強めるようなことも容認できないのであります。 第十は、財政民主主義の軽視であります。昭和四十六年度予算案は、政府保証債の発行及び運用に弾力条項を設け、また、予備費や国庫債務負担行為の増額を行なうなど、憲法が規定する国会の権限を不当に縮小しようとしていることは、国会の審議権の軽視であり、財政民主主義の原則を破壊する方向であって、絶対容認することができないのであります。 第十一は、財政投融資の恣意的運用であります。財投計画は予算と一体のものであり、その民主的運用が確保されなければなりません。しかるに、その大部分を大企業産業中心の投資に振り向け、大衆生活に直結した部分への投資が押えられてきました。申すまでもなく、財投原資は、国民の零細な貯蓄の集積であり、その運用は、住宅、生活環境整備や勤労者福祉施設への融資の増大など、国民大衆に還元することが必要であります。政府の計画と運用はこれと逆行しております。 以上述べましたように、国民生活軽視の政府予算案はとうてい容認することができないのであります。日本社会党、公明党、民社党は、三党共同して、昭和四十六年度政府三予算案を撤回し、次に述べる基本方針と重点組替え要綱に基づいて、予算案の編成替えを強く要求する次第であります。 基本方針の第一は、国民生活優先予算への転換であります。すなわち、経済成長の成果を民生の安定と国民生活、福祉の向上に振り向け、大企業、産業優先の予算から、人間尊重、国民生活、福祉優先の予算とすべきであります。 基本方針の第二は、アジアの緊張緩和と日中国交回復を推進するため、防衛費を削減し、海外経済協力は体制のいかんにかかわらず、開発途上国の経済の発展と民生の向上を中心として計画実施し、平和のための財政経済政策を進めることであります。 基本方針の第三は、国民生活上の緊急課題を解決することであります。すなわち、勤労所得税の減税と税の不公平是正、物価安定、公害対策の拡充、社会保障の充実、住宅、生活環境の整備、交通安全対策、教育政策、農業の再建、中小企業の育成、沖繩援助の拡大など、国民の要求する緊急課題の解決をはかるべきであります。 以上述べました三つの基本方針に基づいて、われわれが緊急に組替えを要求する重点は、具体的に次のごとくであります。 まず、歳入予算の組替えについて御説明申し上げます。 政府の減税案は、まことにミニであり、物価減税と呼ぶにもふさわしくないものであります。そこで所得税の減税を重点に行なうこととし、基礎、配偶者、扶養控除及び給与者の定額控除をさらに引き上げることによって、五人世帯の課税最低減をおおよそ百三十万円まで引き上げることといたしています。これによる減税額の増は二千五百三十億円と見込まれます。また、さきに述べました理由により、自動車重量税の創設は、これを取りやめることといたしております。以上二つの措置による減収は二千八百三十億円と相なります。 一方、年々ばく大な額にのぼる交際費課税の強化によって九百三十億円の増収を見込み、租税特別措置の整理、合理化による増八百億円、法人税率を三八%に引き上げること等による増一千百億円を合計いたしますと、税制改正による増収も二千八百三十億円と相なるのであります。 次に、歳出予算の削減について申し上げます。 まず、第三次防計画を直ちに中止し、新規装備費、自衛官の定員増、欠員補充を認めず等の方針で、防衛費から千六百五十億円を削減することといたしております。さらに、産投会計繰り入れ金の半減、物件費、公共事業費の効率的使用、その他既定経費の節減、予備費の削減等によって千九百八十億円、総額三千六百三十億円を、政府案の歳出から削減することといたしております。 次に、歳出予算の重点的な増額について説明いたします。 今日、国民生活上、物価安定対策が喫緊の急務であるにかんがみ、公取の強化による管理価格監視機構の充実、野菜生産の振興と出荷の安定、消費者保護行政の強化、冷凍、貯蔵集配施設の整備、流通対策の拡充、公共料金の抑制等、一連の政策を推進することとし、総額九十億円を物価対策費に増額すべきであります。 公害対策費につきましては、第六十四国会で成立いたしました諸法律の強力な推進と公害監視設備及び人員の拡充が強く望まれるのであります。同時に公害被害者の救済対策、中小企業の公害防止施設への助成、地方公共団体への財政措置、公共下水道の整備拡充等は、欠くことのできない重要事項であります。したがいまして、公共下水道に対する補助率引き上げを中心に六百二十億円を増額いたしております。 社会保障費につきましては、健康保険勘定への繰り入れを、取りあえず一〇%とするとともに、国民大衆にしわ寄せした健保赤字対策の撤回を強く要求いたします。さらに児童手当は、義務教育終了前の第三子より、月額三千円を今年度から実施するための経費、老齢福祉年金の増額、七十歳以上の老人医療の無料化、生活保護費の二割引き上げ、原爆被爆者援護費等の増額など、合計二千六十億円を増額することといたしております。 住宅対策としては、公営住宅の増加、公団への出費等に二百九十億円、交通安全対策には、交通遺児対策、救急医療体制の整備を含めて百二十億円を、また文教関係では、社会教育施設の充実、過密過疎地域の義務教育施設の整備、私学振興、幼児教育の振興等、合計百億円を増額いたしております。 中小企業については、五十億円を増額し、農業予算は、全面的な組替えを前提として、作付転換の条件整備をはかる等、予算の再編成を行ない、米の買い入れ制限を行なわず、消費者米価の物統令適用除外をやめることといたしております。 国鉄については、長期債務に対する利子補給の増大、公共負担金の国庫支払など、赤字対策として、百億円を増額すること。 また、沖繩復帰に伴う財政需要の増大に対応し、国の援助を増大することとし、二百億円を沖繩対策費として加えております。 最後に、財投計画の抜本的改革であります。この原資が、国民の零細な資金であることにかんがみ、大企業、産業中心の資金計画を改め、住宅、生活環境施設など、大衆生活に密着した面に大幅に投入し、国民に還元すべきであります。同時に、第二の予算と呼ばれる財投計画の運用を民主化するため、国会の議決事項とするなど、現行制度を改むべきであります。 以上、日本社会党、公明党、民社党の三党共同提案による組替え案の趣旨を説明申し上げたのでありますが、詳細は、別に配付しております案文を御参照いただきたいと思います。 何とぞ、御審議の上、御賛成くださるようお願い申し上げまして、私の趣旨説明を終わります。(拍手)
○中野委員長 以上をもちまして、動議の趣旨弁明は終わりました。 —————————————
○中野委員長 これより討論に入ります。 昭和四十六年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議を一括して討論に付します。 討論の通告がありますので、順次これを許します。大坪保雄君。
○大坪委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十六年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算の三案に賛成の意を表し、日本社会党、公明党、民社党三党共同による予算の編成替えを求めるの動議に反対する討論を行ないます。 以下賛成の理由を簡単に述べます。 まず第一は、財政の規模とその弾力性についてであります。 一般会計予算の規模は、伸び率一七・九%をやや上回る程度の規模を確保したことであります。 さらに、公債については、その発行額は前年同様とし、かねて財政制度審議会で主張されてきた公債発行額の依存度を五%以下に押える主張に対し、四・五%としていることであります。 また、国、地方を合わせた国民経済計算上の政府財貨サービスの伸び率は、名目経済成長率一五・一%をわずかこえる程度であり、停滞ぎみに推移しつつある経済の現況に対し適当な規模と考えるものであります。 一方、機動型の点については、経済情勢の推移に対して、一般会計予算総則において、中小企業金融公庫、日本住宅公団、日本道路公団等の特定法人に対する政府保証の限度を必要な際には、一定範囲を限り、増額できるようにしたことなど、この一連の措置は、予算に弾力性を持たせ、経済情勢の不測の事態に備える態勢を示したものであって、政府のいう景気に対し過熱もなければ大きな落ち込みもないような方途を考慮したものとして、今日の経済情勢に適合したポリシーミックスの一端を示した措置と考えるものであります。 第二は、国民負担の軽減と合理化についてであります。 所得減税は、中小所得者を対象として、平年度千九百九十億円、住民税の減税を合わせて平年度約二千八百億円に及び、また、配偶者、扶養両控除の適用要件である所得限度額についても実情に即した改善をしたこと。 また、青色事業主特別経費準備金制度を創設し、事業所得の一部を積み立て、必要時期にこれを活用することとしたこと。 さらに、相続税及び贈与税についても、いわゆる妻の座を保護する措置をとったこと等々は時宜を得た適切妥当な措置と思います。 租税特別措置においては、たとえば、公害防止、海外投資、資源開発のためには、それぞれの措置を講じたほか、とかく世間で問題となっている交際費課税に対しても、その強化をはかり、さらに、個人財産の蓄積のために少額貯蓄制度の改善と、新たに勤労者財産形成のための貯蓄に対し優遇措置を講じたことは、まことに有意義なる施策と考えますとともに、一方、社会資本充実のため、自動車重量税を新設し、総合交通対策の税源を確保したことは、限られた税収に対し、受益者負担の思想と、直接間接両税の比率をも考慮した措置であると考え、政府の英断に対し心から賛意を表するものであります。 なお、世間では、とかくわが国の税負担が高率に過ぎる旨の意見があるが、これは事実に目をおおう議論であって、諸外国の例から見ても、いまだわが国の税負担は高額なものではないのであります。 第三は、財政体質の改善についてであります。 社会経済情勢の変化に即して予算を効率的に使用するためには、各般の財政制度について改善を加えることは当然のことと考えます。 まず、食糧管理制度についてであります。昭和四十五年末の政府手持ち米は約七百万トンに達し、国民の米需要をはるかに上回る結果となっているのであります。この過剰米の原因は、米消費の減少と一定面積における米の収穫が、近代科学の進歩等により増産の傾向をたどったところにあると考えます。 この対策について、昭和四十六年度は、米の政府買い入れ数量限度を定め、残余を自主流通米とし、今後、過剰米の生じないよう休耕、転作等により生産調整を行なわんとするものであり、この米に対する財政措置にあわせて、物価統制令の適用を廃止することにより、米の銘柄並びに価格に対し競争の原理を導入しようとするものであり、これらの措置は、国民、特に消費者に対し、よい米は高く、悪い米は安価に販売される等の点からも、大いに歓迎されるべき措置であると考えます。 米作に片寄った農業が、その地域の特性を生かして構造改善により、近代農業の方向に発展することはまことに望ましいことであり、政府においても、諸施策の中で、合理的な資金の配分と十分なる援助を行なうよう願うものであります。 次は、政府管掌健康保険の財政改善についてであります。 この保険財政は、昭和三十七年以来、毎年赤字が続き、四十六年度の累積赤字は三千億円と予定されております。このため、四十六度は、標準報酬の合理化、再診料の一部負担の新設、入院料の引き上げ等を行ない、赤字に対処することとはしたが、一方、保険給付費補助を定額制から定率制に改めるとともに、二千数百億円の累積赤字を一般会計から補てんし、また、老人に対する優遇措置をとる等、これは単なる赤字処理ではない抜本的改正の第一歩であり、適切なものと考えるものであります。 次に、国鉄財政の処理についてであります。 四十五年度末の累積赤字は五千三百億円余と見込まれております。これに対し、四十六年度は、一般会計からの出資金、財政再建債利子補給金、補助金をはじめ、財政投融資により、財政再建に踏み出し、総合交通体系の中における国鉄の位置づけを検討しようとすることは、まことにけっこうなことと存ずる次第であります。 最後に、財源の重点的配分についてであります。 まず、公害対策費であります。 公害は、日本のみならず米国をはじめ世界の先進国がともに悩んでいる問題でもあります。したがって、昭和四十六年度の予算は、一般、特別両会計を含め、対前年比、約三九%の大幅の増額を行ない、財政投融資、地方予算を合わせ約三千億円となっております。これらの経費は、生活環境整備のための下水道事業、水質汚濁対策、大気汚染対策、地盤沈下等に充てるとともに、税制面では公害防止施設、重油脱硫や低硫黄原油に対する減税措置を講ずる一方、公害対策の総合機関として環境庁を新設するなど、積極的姿勢を示していることは、時宜を得たものとして賛意を表するものであります。 次に、物価対策費についてであります。 昨年来、卸売り物価は幸いにして安定しておりますが、消費者物価は、遺憾ながら四十五年度対前年比七・七%の大幅上昇を示し、その値上がりの三分の一は野菜、くだもの、生魚等の季節商品の影響を受けている点に着目し、思い切った増産対策を推進するようにいたしたことは、時宜を得た措置であるし、公共料金についても、真にやむを得ない郵便、電報料金の値上げを除き、いずれも当分の間ストップ措置を講じたことは、物価関連予算の対前年度伸び率二五・三%の増加と相まって、消費者物価抑制に大きく寄与するものと考えるのであります。が、物価の国民生活に及ぼす影響はきわめて大きいものがありますので、政府は今後一そう、その抑制策に努力されんことを望みます。 その他、社会資本の充実については、四十六年度民間設備投資と政府固定資本のアンバランスを解消することは、刻下の急務でありますが、公共事業関係費は対前年度比伸び率一九・七%で、住宅、下水道、港湾、空港の五カ年計画を策定し、従来から継続している道路、治水、海岸等の計画と合わせ、長期的視野に立ち、その達成に着実な努力をしていることは、これまた適当な措置と考えます。 また、社会保障への資金配分についても、四十六年度は対前年度比一七・八%の伸びを示し、新たに児童手当月額三千円の支給措置をとり、生活保護費の扶助基準を一四%引き上げたほか、老人及び心身障害児等の社会福祉施設の整備、母子福祉の向上対策、厚生年金、福祉年金等の年金額の引き上げ等を行なう等、きめこまかな措置を講じたことは、福祉国家建設に大きく前進しているもので、これら多岐にわたる諸施策は、いずれも人間尊重を標榜する佐藤内閣の姿勢を示すもので、心から敬意を表します。 その他、文教関係については、義務教育諸学校の教職員の勤務の特殊性を考慮し、給与を四%引き上げ、その改善をはかるとともに、人口急増地域の校地の取得に伴う資金措置、学校施設の基準単価の引き上げ、私学振興資金の増額等、学校教育のための諸経費にも検討を加えており、また、貿易振興、中小企業、沖繩対策等に対しても、適切な資金配分を行なっております。 時間の都合上、各省庁関係にわたって詳細に述べることはできませんが、これらの理由によって本予算案に心から賛成をいたします。 なお、今回野党三党から提出された編成替えを求めるの動議については、その要望事項のおもなる点はおおむね本予算に計上されており、反対の意を表明するものであります。 以上をもって、私の討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に、阪上安太郎君。
○阪上委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま、議題となっております昭和四十六年度一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算の三案に反対、日本社会党、公明党及び民社党による三党共同提案の編成替え動議に賛成の意を表するものであります。 さて、この委員会の審議を通じて明らかにされましたように、佐藤内閣は、一応、人間尊重の政治を唱えてはおりますが、その実態は相変わらず国民の生活や福祉を阻害する政策となっていることをまず指摘しなければならないのであります。 ここ数年来の高度経済成長の中で、都市化をはじめとする急激な社会、経済の変貌に対応するため、財政に課せられた役割りはきわめて重大であります。にもかかわらず、政府は、相も変わらず古色蒼然たる予算編成方式をとり続けているのであります。すなわち、租税及び専売益金の自然増収見込み額に、国債発行分を加えて、その一部を減税に当て、残りを支出に充当する方式であります。今年度も減税分を差し引いた自然増収は、一兆三千億円余にのぼり、一方、前年度からの当然増経費は、八割近いところの一兆三百億円に達するのでありますが、財政硬直化打開の抜本対策は、すべて見送られ、そのため新規施策を打ち出す余地は全くなく、高負担が先行しても、それに高福祉が追いつくことができない実情に追い込まれているわけであります。 そこで、今年度予算の第一の特色は、不況を誇張する財界の意向をことさらに反映したことであります。すなわち、中立機動型予算と称して、国債の実質的な増発、予備費の増額計上、政府保証債の発行額に弾力条項を設けるなど、財政民主主義の鉄則を無視して、財政国会中心主義を踏みにじり、行政権の不当な拡大を行なったことであります。 第二の特色は、税制改正に見られるのであります。超ミニ減税といわれているとおり、減税割合はわずかに三%にすぎず、過去十年間のうち、下から数えて三番目で、実質で、一割以上の物価高の中ではむしろ実質増税であります。 所得税課税最低限は、四人世帯で九十六万円余りであり、いまだにこれは百万円にも達しておりません。これに対応する住民税は七十二万八千円で、約二十三万円と下回るありさまで、生活費には課税せずの原則は依然として守られるに至らないのであります。 さらに、自動車重量税の新設は、直接税中心主義の修正、付加加値税創設への橋渡しと見ることができるのであります。他方、法人税・租税特別措置を甘くいたしております。そのねらいは、負担の公平に反する高負担であり、大衆負担増大の方向であります。 その第三は、物価であります。 今日、物価高の根源は高利潤であります。いわば利潤インフレーションなのであります。一般会計予算で物価対策と名のつくのは千二百八十七億円でありますが、その内容から見て、政府の物価抑制に対する熱意が欠けていることを物語っているのであります。すなわち、独占価格に対する規制を行なう公正取引委員会の定員の純増をわずか五名にとどめ、その予算額は総額六億五千万円、これはファントムジェット一機分の三分の一にすぎないなどということは、大型合併、寡占化の進められつつある中で、管理価格などの不当価格を野放しにするにひとしいのであります。 公共料金対策にしても、健保改正による再診料、入院費創設による値上げ、郵便料金などの値上げが年度内に予定されているほか、来年度には、国鉄をはじめとする公共料金の値上げが既定の事実となっているのであります。 野菜の生産、出荷の安定、流通に関する政策の対策の怠慢は、いまさら言うまでもありません。ことに地価対策は、今日物価抑制の基本であります。そのためにも、日本列島全域にわたる土地利用計画の策定、新土地税制の創設など、国会決議の趣旨を尊重し、すみやかに措置されるべきでありますが、いつまでもこれを放置し、他方、物価の値上がりの原因を賃上げにすりかえようとするがごときは、本末転倒もはなはだしいのでありまして、知恵のないことおびただしいといっても過言ではありません。 第四には、低福祉であります。 政府は四十二年以来、健保の抜本改正の公約を踏みにじり、赤字救済のための値上げだけにうつつを抜かして、医療供給制度の改革には手を触れようとしなかったのであります。そして、ようやく社会保障制度審議会の答申を得たものの、その答申を無視したものである以上、国民の国会の名においてその改正法とその予算はとうてい承認することはできないのであります。 また、児童手当は、財界の反対を押し切りようやく日の目を見たとはいうものの、第三子、学齢前、三千円がきびしい所得制限つきであることは、これまた納得することができないところであります。 福祉年金の三百円引き上げ、生活保護基準一四%アップなどとともに、スズメの涙ほどであり、福祉対策は高物価の中で全く取り残されたままであります。ことに深刻な老人問題に対しては、医療無料化をはじめとして、あたたかい施策を思い切って講ずることは焦眉の急である。にもかかわらず、政府ははなはだしくこれに対して冷淡であります。 その第五は、公害対策であります。 日本列島総汚染といわれる今日、さきの臨時国会で、十四の公害法案が成立を見たのでありますが、その裏づけ予算というものは、一般会計で九百二十三億円、これは東京都の公害対策費一千二百八十億円にも及ばないのであります。そして、その予算額の七〇%が下水道事業に充当されていることは、これはよいとして、監視体制の整備にはきわめてわずかであり、被害者の救済には、ゼロということでまことに情けない。ことに地方公共団体の公害対策に対する財政措置の強化につきましては、はなはだしく不十分であります。 その第六は、住宅、環境対策であります。 公共投資の伸び率は一九・七%と著しいのでありますが、その内訳は、道路偏重であり、これには景気対策あるいは来たるべき選挙対策のいやなにおいがいたします。 また、第二期住宅五カ年計画の第一年度に当たり、これからようやく質の時代といわれているにもかかわらず、依然として量の問題すら早期解決のめどがつかないのであります。すなわち、本年度、公的資金による建設戸数は四十六万六千五百戸で、約四百万戸といわれる住宅難の早期解決のめどはほとんど立たないのであります。 他方で道路予算は、公共投資の四三・六%を占めているのでありまして、都市再建、生活環境づくりのあり方が根本的に問い直されているときに、依然として一九六〇年代の古い国土開発方式から抜け切ることができないところの、これは狂った公共投資であります。 最後に、防衛予算と海外協力費であります。 言うまでもなく、内外における日本軍国主義復活論に見るごとく、日本の防衛力増強が世界の注目の的となっているのであります。そういった中で、第四次防が発足し、五兆八千億円の巨額が計上されているのであります。しかしながら、公害、交通、住宅など、国民生活防衛をなおざりにするようでは、真の国防が成り立つはずはありません。 また、GNP一%の線に沿って、海外経済協力費の膨張は目ざましいものがありますが、ベトナム戦争が、インドシナ半島に拡大しているとき、わが国の経済援助が反共国に片寄っていることは、戦争に加担する結果となります。いまや、国民の総意となりつつある日中国交回復を一日も早く実現し、対等互恵、民族自決の原則に立つ援助政策に切りかえるべきときであります。 以上の理由により、政府は、政府提案の予算三案を撤回し、日本社会党、公明党、民社党の三党共同提案による組替え動議を採択の上、これに基づいて、すみやかに、昭和四十六年度予算三案の編成替えを行なうことを強く要望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に、坂井弘一君。
○坂井委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十六年度予算三案に反対し、社会、公明、民社三党共同提出の予算組替えの動議に賛成の討論を行ないます。 昭和四十六年度予算に与えられている課題は、従来の政府の大企業優先、国民生活無視の政策によって招き寄せられた物価の高騰や公害激化などによる国民生活の犠牲をどのように解決するかということにあると思います。 しかしながら、政府は、相変わらず経済成長優先の姿勢を改めず、大企業擁護、国民生活軽視の予算を組み、深刻な物価上昇、公害激化等の解決には熱意を示さないばかりか、緊急に解決を迫られている国鉄、農業、健保の改善について何ら抜本策がとられていないのであります。このような反面、防衛関係費は、実に六千七百億円も計上しているのであります。さらに、政府案は、政府保証債の発行及び運用に弾力条項を設けるなど、国会の審議権を軽視し、財政民主主義の原則を破壊する方向をとろうとしていることであります。 以下、反対のおもな理由を明らかにいたします。 第一に、税制改正についてであります。 政府は、高福祉、高負担の名目のもとに、税の自然増収見込みが一兆五千億円もの巨額にのぼっているにもかかわらず、所得税減税を千六百億円というような、全くの小規模のものにとどめてしまったことであります。反面、大企業優先、資産所得者優遇の租税特別措置については、交際費課税、輸出振興税制の手直し等、内容の一部入れかえをしたにすぎず、かえって税負担の不公平を増大させているのであります。その上、政府は、自動車重量税の創設に見られるように、国民の全く意図せざる高負担の道を指向しようとしているのであり、認めることはできないのであります。 第二に、物価対策についてであります。 政府は、現在のように物価上昇が一段と激化しているときこそ、政府みずからが物価抑制にきびしい姿勢を示さなければならないことは当然であるにもかかわらず、郵便料金、電報料金など公共料金の値上げを予定し、加えて医療費の値上げ、消費者米価の物統令適用廃止をもくろんでいるのであります。これでは全く、物価安定とは絵にかいたもちであり、政府みずからが、物価上昇を促進しているといっても弁解の余地がないと思うのであります。さらに、生鮮食料品の価格安定の見通しをつけることは困難であること、管理価格ややみ再販などの対策は放棄してしまっていることなどを考慮すると、政府の物価安定とは全く口先だけであり、国民を欺瞞する以外の何ものでもないと断ぜざるを得ないのであります。 第三に、公害対策予算についてであります。 公害予算は、その大部分が下水道整備であって、大気汚染、水質汚濁などの対策費はごくわずかであり、手放しでは評価できないのであります。あれほど、強く叫ばれていた公害認定患者の介護手当の増額あるいは生活費、教育費の新設等、これらも認められず、さらに激増する産業廃棄物処理、大気の汚染や自動車排出ガスなどの全国的監視網の整備などは、全く無視されていたという以外にないのであります。 第四に、社会保障関係予算についてであります。 福祉年金、生活保護基準の改善なども申しわけ程度にとどまり、多くの国民の期待によって創設された児童手当制度も、実施それ自体は高く評価されても、内容はきわめて貧弱なものになっているのであります。その上、老人医療の無料も全く無視されているのであります。しかも政府は、政管健保の赤字の再建策として、保険料率、初診料の引き上げ、再診料の復活など、加入者の負担を行なおうとしております。しかし、何回となく公約した抜本改正を行なわず、単に加入者の負担を増大させるばかりであって、これまた納得できないのであります。 第五に、住宅、交通対策であります。 大都市地域における住宅難は、依然として深刻の度を増しております。四十六年度から実施される第二次住宅五カ年計画も、その六割を民間自力建設に依存しており、住宅難解消にはほど遠いといわなければなりません。 国鉄に対する政府の予算措置も、抜本策を行なおうとしないばかりか、償却前赤字を当面帳簿上なくそうとする操作的な措置にすぎず、全く消極的なものといわざるを得ないのであります。国鉄経営のあり方を根本的に再検討し、総合交通体系を確立して、利用者の立場に立った抜本策をすみやかに講ずるべきであります。 交通安全対策についても、政府は警察庁が交通事故死者の半減を目ざしてまとめた、総額予算三千七百二十六億円にのぼる交通安全施設整備五カ年計画を、一千六百億円と大幅に縮小しております。人命尊重の立場からこのような政府の貧弱な交通安全対策を認めるわけにはいかないのであります。 第六に、文教予算については、人口急増市町村の教育施設補助の援助、公民館等の社会教育施設、私学依存の大学教育、幼児教育等、大きな欠陥を生じさせているのであります。こうした教育行政上の諸問題が早急に解決されず、生きがいある教育など画餅に帰してしまうと思うのであります。 第七は、農業対策であります。政府は四十六年度において、事実上の米の買い入れ制限や物統令の適用廃止などにより、食管制度の切りくずしをはかろうとしております。政府は将来にわたる農政の具体的方向も示さず、政府の農政の失敗を農民に押しつけようとするもので、許すことができないのであります。 第八に、防衛関係費についてであります。 さきに述べましたように、防衛関係費は六千七百億円の計上をしているわけでありますが、わが党は、今国会の審議を通じて、軍事力削減という世界の趨勢にさからって、わが国だけがなぜこのように軍事力を急増させる必要があるのか、国民の前に明らかにするよう政府に強く要求したのでありますが、明確に説明することはできなかったのであります。政府のこうした姿勢は、国民の不信や不安を増長させるものであって、認められないことは当然であります。 次に沖繩対策についてであります。 明年の祖国復帰を目前にして、沖繩県民は期待と同時に不安を持って、政府の誠意ある平和で豊かな沖繩県建設の諸施策も待ち望んでいたのであります。しかしながら、豊かな沖繩県の建設に対して、その具体的なビジョンも示さず、本年度沖繩関係予算も十分であるといえないのは、沖繩県民の期待を裏切るものであるといわねばなりません。 以上、政府予算案について反対の要旨を述べましたが、この国民不在の政府案に対して、われわれは、社会、民社両党とともに、予算の組替え案を提出いたしました。この組みかえ案は、私が述べました政府案の反対諸点を、国民本位の立場に立って最小限度の是正と充足を行なったものであります。したがって、私は、政府原案に反対し、三党提案の予算組替え案に賛成の意をあらわして、討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に、岡沢完治君。
○岡沢委員 私は、民社党を代表し、政府提案の昭和四十六年度予算案三案に反対し、社会、公明、民社三党のこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成の態度を明らかにしたいと存じます。 すでに、社会党の細谷治嘉委員より、われわれの編成替え動議の趣旨については詳細に説明されておりますので、私はまず政府案の欠陥を概括して申し述べ、次いでわれわれの動議の内容に触れたいと存じます。 本日までの連日の予算委員会審議の最大の特徴は、佐藤総理が逃げの答弁しかされなくなったことであります。慎重に検討します、前向きに善処しますという趣旨の総理の答弁が、本日までに何回繰り返されたことでありましょうか。国民が最も知りたい国政上のポイントになると、総理は与党三百余議席の重みの上に安住しながら、この答弁をもって野党の攻撃に体をかわしてしまわれました。したがって、本国会は、速記録には数千言、数万語が記録されていましても、これすべて、すれ違いの記録であり、いまや心ある国民から最も強く求められている国民合意を形づくろうとする国政審議にはほど遠いものでありました。 私はここで、物価問題を実例としてあげてみます。二月十九日、わが党の和田耕作議員が生鮮野菜の価格問題を取り上げ、十二月二十九日の東京卸売市場で、大根一キロが築地では二十五円、神田では五十円という値開きというか、価格差が横行している事実、さらに一月五日には大根一本が東京で二百二十円もすると報道され、その当日の築地市場ではキロ六十三円、神田市場では三十八円だったと指摘いたしました。これに対して総理は、東京の卸売市場は人口五百万人時代の施設のままだから早急に整備しなければならないという答弁をされただけであり、担当の農林大臣は、中間のロスをどう省くかに苦労している、卸売り人は安心してまかせられる人にやってほしいというような、心情的、倫理的な答弁を繰り返すだけで、価格決定は市場の運営で考えなければならぬ重要問題だと答弁し、市場の機能プラス生産地の生産及び出荷の計画的な組合せについて、何らの新しいアイデアも示されませんでした。さらにまた東京における年末年始の野菜の高値の原因は狭い市場にどっと荷が集まるというところにもあるのだから、広い敷地に新しい市場をつくる必要があるとの政策提案に対して、東京都がその気持ちにならなければできないというきわめて次元の低い、失礼ながら小役人的な答弁でありました。これには、われわれのみならず、テレビで農林大臣の答弁を聞いていた家庭の主婦の人々をもがっかりさせたのであります。この国会において、あえて物価問題についての合同審査の機会がつくられ、物価抑制を目下の内政の最重要課題として慎重審議すべきであったにもかかわらず、政府は全くやる気を示さず、乗り気にすらならなかったのが予算審議の実態であります。ここに佐藤内閣成立以来、連年高騰を続ける物価上昇の真因の一つがあると見るのは間違いでありましょうか。 このような事例は、税制、公害、社会保障、特に健康保険、国鉄赤字、食管赤字を中心とする農政、教育の各施策並びに、その裏づけとなる予算の編成全般についても同じように指摘されるのであります。 さらにまた防衛関係費は、一般会計予算で総額六千七百九億円が計上されているのでありますが、第四次防衛計画の基本が何であるか、すなわち自主防衛についての基本的な理解も心がまえもなしに一千十三億円の増額をし、沖繩防衛についても、依然として核問題や、沖繩からの作戦行動としての発進についての事前協議等に大きな疑惑を残したままであります。かつまた、中国問題につきましても、佐藤内閣は中国側から話相手として拒否される姿勢のままで、防衛関係費の増額をはかっている点に、アジアの緊張をむしろ激化する方向に大きな役割りを果たす結果を招いているのであります。 私は、西郷元法務大臣や小林前法務大臣の言動について、ここでは触れませんが、佐藤内閣の閣僚の中から、国民の政治不信をさらにつのらせるような人物が相次いで出ている点に、佐藤政治の弛緩を認めないわけにはまいりません。 今回、社会、公明、民社三党が、ここに共同組替え動議を提出いたしましたゆえんは、政治を常道に戻し、議会政治が国民の信義にこたえるに値する機能を回復するための、われわれの熱意のあらわれであります。 本国会では、すでに三党共同で、環境保全法案、無過失損害賠償責任法案、及び地方に対する公害対策についての権限移譲に伴い、地方財源強化をはかる地方財政特別措置法案を提出いたしました。今回の共同組替え動議の後には、管理価格の監視と抑制に関する法律案並びに、政府提出の野菜生産出荷安定法の共同修正案を用意いたしております。 今回の共同組替えでは、第一に、五人世帯家族を中心にして、年収百三十万円以内の生計を営む者に所得税を課税しない国民生活状態の実現を意図いたしました。さらにまた、悪税のそしりを免れない自動車新税に反対し、これによって政府案よりも二千八百三億円の減収となりますが、これを交際費課税、租税特別措置の改廃と大法人の法人税率三八%への引き上げによってまかないます。 第二に、歳出面では、防衛費、産投会計繰り入れ、物件費と、公共事業の効果的な使用による節約、並びに既定経費と予備費の節減の六項目で三千六百三十億円の新財源を調達し、これを物価対策、公害、社会保障等、主として国民生活の防衛と安定のために配分するものでありまして、あくまで昭和四十六年度という一定の時間帯に実現可能な予算編成替え及び新規政策の実施なのであります。 何とぞ、三党共同提案にかかる編成替え動議に御賛成あらんことを希望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 次に山原健二郎君。
○山原委員 私は、日本共産党を代表しまして、本予算三案に反対いたします。 第一に、本予算案は、日米共同声明と、ニクソン・トクトリンに基づく日米共同作戦体制を推進しようとするものであって、日本の平和と極東の安全にとってきわめて危険なものであります。 政府は、本予算案において、第三次防計画を完了し、明らかに攻撃的性格を持つ第四次防へ事実上移行を始めました。すなわち、ナイキ、ホーク装備の拡張、ミサイル積載護衛艦の新規購入など、公然と核武装のできる兵器体系に踏み出し、同時に沖繩への自衛隊配備の準備を始めました。防衛費が、自衛隊創設以来最高の伸びとなったのは、まさにこの結果であります。また、韓国、なかんずく、インドシナ地域に対する侵略的な対外進出費の増大も、国民の激しい憤りを買っています。いわゆる対外進出費は、巨大資本の原料資源の開発、市場獲得など、彼らの帝国主義的進出のための援助であると同時に、ジョンソン米国務次官がサイミントン委員会で証言しているとおり、アメリカの侵略戦争への経済的協力にほかならぬものであります。これが実に対前年比三〇%、項目によっては六〇%もふえたのであります。かくて本年度予算は、以上二点から見ただけでも、侵略的な日米共同作戦体制へ踏み出したことは明らかであって、わが党の絶対承認できないところであります。 反対の第二の理由は、独占資本奉仕の大インフレ予算だということであります。特に一兆六千億にものぼる膨大な公共事業費には重大な問題が含まれています。 佐藤総理は、施政方針演説で、日本列島利用再編のビジョンを描いて見せましたが、政府・自民党の高度成長政策が、国民に何をもたらしたかは、今日明らかであります。公共事業費のほとんどは、巨大資本のための産業基盤の造成と、景気刺激が目的であって、新全国総合開発計画実現の資金であります。それは、一そう自然と環境を破壊し、交通災害、公害を激増し、物価をつり上げ、地方自治を破壊していくに違いありません。われわれはこれを断じて許すことはできません。 反対理由の第三は、昨年に続いて依然とした国民生活破壊の予算だということであります。 国の公害対策費は、一東京都の公害対策費にさえ及ばず、反対に公害規制の経費のほとんどを地方自治体に転嫁しています。大企業には、公害対策を名目に百十億円余の減税と、他に融資など実に七百六十億円の、至れり尽くせりの大奉仕をしているにかかわらず、公害救済対策費は、わずか七千四百万円にすぎません。これでどうして国民の命が守れるでしょうか。 物価問題では、わが党が早くから提唱してきた独占価格の規制について、政府は言を左右して、ついに応じませんでした。しかも、郵便、健康保険料などの公共料金の引き上げを予定し、消費者米価を物価統制令からはずして、国民の主食を投機の対象にさえしようとしています。政府の目には大資本あって国民はないのであります。 失対就労人員の削減や失対事業廃止の企図に至っては、事実上再雇用の当てのない人々をさらに追い詰めるものであって、まさに非人間的政治の典型と言わざるを得ません。 最後に、予備費を大幅に増額し、政府保証債には千二百億円も増発できる弾力条項を設け、国庫債務負担行為のワクを拡大する等、政府の予算執行権を拡大したことは、そのこと自体、インフレと重税の大きな要因となるばかりでなく、国会の予算審議権を乱暴におかすものであって、憲法、財政法の精神から見て重大な反民主主義的行為と言わざるを得ません。 日本共産党は、以上の理由によって本予算三案に強く反対するものであります。 なお、社会、公明、民社三党の共同組替え案は、部分的経済要求の面では一定の積極面も見られますが、防衛費、海外援助費等については、なお問題があると思われますので賛成できず、棄権といたします。 以上で討論を終わります。(拍手)
○中野委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。 まず、細谷治嘉君外十六名提出の、昭和四十六年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議につき、採決をいたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立少数。よって、細谷治嘉君外十六名提出の動議は否決されました。 これより、昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中野委員長 起立多数。よって、昭和四十六年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。 おはかりをいたします。 委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○中野委員長 これにて昭和四十六年度総予算に対する議事は全部終了いたしました。 ————◇—————
○中野委員長 この際、国政調査承認要求に関する件についておはかりをいたします。 すなわち、予算の実施状況に関する事項並びに予算制度等に関する事項につきまして、議長に対し、その承認を求めることとし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————◇—————
○中野委員長 次に、小委員会設置の件についておはかりをいたします。 すなわち、予算制度等の調査のため、小委員十名よりなる、予算制度等調査小委員会を設置いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、その小委員及び小委員長の選任、また選任後における小委員の補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、小委員及び小委員長は、公報をもって御通知することといたします。 ————◇—————
○中野委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 去る一月二十八日、総予算の審査を開始いたしまして以来、終始真剣なる議論を重ね、慎重な審議を尽くし、本日ここに審査を終了するに至りました。これは、ひとえに委員各位の御理解ある御協力のたまものでありまして、委員長といたしまして、衷心より感謝の意を表する次第であります。ここに、連日の審査に精励されました委員各位の御労苦に対し、深く敬意と謝意を表しまして、ごあいさつといたします。(拍手) 本日は、これにて散会をいたします。 午後三時十八分散分