予算委員会 第11号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/02/13
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括議題とし、一般質疑に入ります。川崎秀二君。
○川崎(秀)委員 一般質問の冒頭にあたりまして、しかも雪の降る日、腰かけも新しくなりましたところで質問を許していただきまして、中野委員長並びに与野党理事の好意によるものと、この際、初めに深く敬意を表する次第であります。 しかし、補正予算の質問の最後にハプニングが起こって、いまさらその事件の責任を追及しようとは思わない。すでに済んだことです。けれども、与党議員は居眠りばかりしている、予算委員会はお祭りで、ところてん式に三十日たてば上がるのだ、こういうことはとんでもないことであって、予算委員会の性格にも及ぼすことですから、大蔵大臣にびしっといい範例をたれてもらわなければならない。元来、予算委員会は、国家の進路、国民生活に最も大きな影響を与え、かつ財政的裏づけをする予算案審議の最重要委員会である。昨日も中野委員長は公聴会でこれと同じ趣旨を言われた。全く同感であります。したがって、国会の少数勢力たる野党が予算案を通じて施政を批判し、将来の政府施策に注文をつける唯一の最高の発言場所である。野党議員の健闘をまず祈りたい。同時に、与党も黙っているわけではない。なぜならば、与党議員は、多かれ少なかれ党内で予算編成について注文をし、陳情をしている。したがって、予算委員会では、まず野党に多くの発言権を許すべきだが、三百以上の代議士、四百五十人になんなんとする衆参両院議員が、一々予算の根幹に触れて党内で質問をしておるのでもなければ討論をしておるのでもない。したがって、予算案編成前に具体的な意見を述べるけれども、今後の施策並びに行政の末端について、予算委員会では総括質問で少なくとも二、三名、一般質問では五、六名、それから具体的な行政部門の審査に当たる分科会では相当な数が発言して、そして国民の世論を盛り立てることは私は必要だと思う。近来、予算の編成にあたって党がいろいろ容喙をする、党は基本政策に対して立案をすることは当然、政党政治のたてまえである。しかし、編成権は厳として政府にあるのであって、政府と与党が一緒になってつくったということは紛淆もはなはだしい。このけじめを今後つけてもらいたい、私はそう思うのであります。ことにイギリスなどでは、御案内のように、大蔵大臣が本会議場で内容を発表するまでは数字が出ないという。それはイギリスの制度をそのまま引用するというわけではないけれども、そういう精神があってしかるべきだということを申し上げておきます。 それから第二に、予算審議で与党は眠っているばかりではない。とんでもない話である。また、審議の結果、野党が修正したことはあるのです。戦後修正はないというけれども、これは、自由民主党が保守合同で、保守唯一の政党になったから、ないので、編成前に意見を調整しているから修正はないのです。前にはあったのです。乃公みずからが予算修正の先頭に立ったことがあるのです。修正組み替え動議が出て、成立し、私はそっちに回って答弁したことをちゃんと覚えておる。昭和二十八年です。五千九百六十八億円の予算に対して三百七十億の大修正を行なっておる。そういうことはできるのです。ですから、いまは与党と野党の差が多い。自民党は責任をもって政治をしておる。けれども、いつの日か与野党の数が接近をする。あるいは逆転する。修正は今後相当に起こる日もあるだろうと私は予想しておるので、そういう意味合いからすれば、予算審議というものがいかに重要かということはおわかりかと私は思うのであります。この意味で、予算編成権の政府にあること、これと政党政治の関係、審議にあたっての野党の立場、多数党の与党からも発言すること、予算審議の結果修正権のあること、これらを大蔵大臣によって明らかにしてもらいたいと思う。
○福田国務大臣 私は、いま川崎議員の予算審議 のあり方に関する御意見、賛成です。そういうふうに考えています。まず編成の段階の問題でありますが、これは政党政治でありますので、与党の意見をまず聞く、これはもう川崎委員のおっしゃるとおりだと思います。詳細に聞いております。しかし、野党の意見、これもまた私は尊重すべきであると思う。編成の段階の話です。そう考えまして、本年度の予算の編成にあたりましても、各党の書記長に御連絡をとりまして、そして各党の考え方をひとつお聞きしたいというので、そういうことを実行いたしております。また、そういう中におきまして、各党の考え方、建設的なものにつきましては、私どももこれを考えるというふうにいたしております。そういうふうで予算ができ上がる、審議がいよいよ始まる。そういう段階におきましても、決して私どもは居眠りをしておるわけではございませんです。注意深く与野党の皆さんの御意見を拝聴いたしておるわけです。しかし、この修正権の問題、これは、私は、国会に修正権があると思います。ただ、先ほど申し上げましたように、予算の提案権、編成権、これは厳として政府にあるわけであります。したがいまして、その編成権、提案権を阻害しないという範囲の修正権である、こういうふうに考えるわけでございまして、とにかくそういうふうな法的な解釈に立っておりまするけれども、この予算委員会は、財政当局といたしますと最も重点を置き、尊重いたしております委員会でありますので、ここにおいて行なわれるところの議論につきましては、また私どものお答え申し上げていることにつきましては、御議論はよく拝聴し、また私どもの申し上げることにつきましては責任をもって今後の施政に当たる、かような決意をもって臨んでおる次第でございます。 たいへんいろいろ御注意をいただきましてありがとうございます。
○川崎(秀)委員 いまの、予算委員会における与党議員の発言はどうですか。
○福田国務大臣 与党議員の発言の問題、これは委員会の運営の問題でありまして、私がかれこれ言うべき問題じゃないと思います。しかし、私個人といたしましては、与党議員はどうも少し発言の場が少な過ぎる、もう少しどんどんやられたらどうだろう、かような感じを持っております。
○川崎(秀)委員 大体合格ですな。 それでは、きょうは日中問題だけであとの時間をいただきます。中国政策全般にわたり申し上げ、建設的にわれわれの意見も申し上げる。小さい問題ですが、看過できない問題からぼつぼつ始めます。 日中覚書貿易、毎年二月になると期限切れで交渉しておる。その日中覚書貿易に政府の金が使われておるかどうか。これはもう一週間ほど前から通産大臣、外務大臣に私は調べをしておくように申し上げたわけでございまして、どうぞお答えをいただきたい。
○愛知国務大臣 日中覚書貿易については、日中間の大切なパイプでございますから、政府としても、この覚書の話し合いというのが成果があがることに期待を持っております。しかし、たてまえとして、これは民間貿易の話し合いでございますから、政府として、予算をもって、いわば行政的な経費としてこれを支持しているということはいたしておりません。
○川崎(秀)委員 それでいいんですか。通産大臣、いまのでいいんですか。
○宮澤国務大臣 私どもでは、一般的に貿易関係の市場調査に精を出しておりますので、日中関係につきましても、市場調査という観点から、駐在員の給与、それから事務所の借賃など定額の金を出しておりまして、一億にはいっておりませんが、たぶん四十六年度で九千万円ぐらいの金を補助しておると思います。
○川崎(秀)委員 野党ならこれは突っ込むところですな。あなたの答弁と通産大臣と違うわけです。実は、正直な話、私も去年の春まで知らなかった。向こうへ行ってみて、この建物の費用をだれが払っているのだといったら、政府が払っている。主計局長も大体知らなかった。ことしは三百十一万円建物借用料、これは北京市朝陽門外三、里屯、外交人員辨公楼というのですな、外交官事務所、こういうものの費用を三百十一万円払っておるし、いま行っているのは宮本君以下だな。五人の費用が出ておるから、九千万円というのはほぼ正解です。外務大臣、あらためて認識をしていただきたい。これは一体いつから始まったことですか。
○愛知国務大臣 私、その事実は承知しておるのですが、先ほどの御質問が、今回の覚書交渉に出かけることの費用について、たとえば旅費とかその他という意味と私存じましたから、そういう面では行政的な経費としての支持はしておりません、こう申し上げたわけで、ただいま通産大臣のお答えのとおりでございます。
○川崎(秀)委員 それはもちろん、藤山さん以下これは自分の費用で行かれたのは間違いないです。けれども、北京事務所の費用が、市場調査とはいいながら、日本の費用で払われておる。それから、向こうから来ておる、すなわち中日備忘録東京事務所、これはもちろん中国政府が払っているわけですから国費だ。つまり、ここに覚書貿易を認めるに至ったときの、政府が補助をする、あるいは政府が全額を支出するという意味で、LT貿易発足のときの池田内閣の方針というものは、小さい方針ではあるけれども、露頭を出しておる。すなわち、私から言わせれば、これは民間貿易ではあるけれども、半政府間貿易である。半とはハーフ、セミ・オフィシャル、こういう解釈をとってしかるべきだと思うけれども、そういう意味においての見解はどうですか。
○愛知国務大臣 これは実際問題として、北京の事務所を通じて、市場調査というようなことで、政府としては関心を示しているわけでございますけれども、たてまえとしては民間貿易の話し合いということにいたしておりますことはよく事情御承知のとおりと思います。
○川崎(秀)委員 これが将来断絶をするかパイプが切れるかということでいろいろ言われておるけれども、いま日中貿易は往復八億四千万ドルですか、そのうちの八五%か八六%、これは友好貿易ですね。覚書が非常に少なくなっている。だんだんだんだん細くなっておるが、重要視されておる意味は、たとえば政経一体化であるとか、政治から離れてはいけないという中国側の見解。日本側もこれに同意しておる。そういう要素があったわけであって、池田前首相がこれを通産大臣をして認めさせるに至ったときの決意というものは、やはり相当に高く評価されてしかるべきだと私はいま考えております。 これは愛知外務大臣に申し上げますが、日中関係が改善をされて、覚書貿易の線が太くなる、あるいは将来国交を回復して政府間の貿易協定ができる、それまでのつなぎという意味として考えておるのか。それが一問。もう一問は、めんどくさいから申し上げますが、これを双方が増員をする。これはいまの、九千万円ほど出ているというが、建物が三百十一万円ですが、五人の人件費がほとんどですね。そういう場合に応ずる意思がありますかということを伺っておきます。どちらの大臣からでもけっこうです。
○愛知国務大臣 覚書貿易については、率直に申しますれば、いまの日中間の貿易の中で占めている割合は、いま御指摘のとおり非常に少なくなってきておりますが、これは私としては、この比重がもっと多くなることが望ましいことである、また、それだけこの覚書貿易の量が増加することが望ましいことだと考えております。したがいまして、そういったような必要性から、いろいろの人員その他の関係において増加を必要とするということであれば、それなりの積極的な考慮はしてしかるべきものである、かように考えております。
○宮澤国務大臣 先ほど九千万円程度と申し上げましたが、精査いたしますと、四十六年度で九千百八十八万何がしでございます。 外交上の御配慮さえ差しつかえないことであれば、私どもとしては、仰せられる方向がもちろん望ましいと思いますし、そのための予算関係、費用の点につきましては、別段たいして差しさわりはない、困ることはない、要れば出したいと考えております。
○川崎(秀)委員 中国貿易は、日中間の不正常な関係にもかかわらず、今日、日本の対外貿易の第七位ということになってきたわけです。これは、もうとめんとするのをかまわず、だんだん民間の間に、中国と交易をしよう、中国側も交易をしょう、こういう機運の高まりだと思うのです。いつか周恩来総理は、将来交易はもっともっと拡大するであろう、日本と中国との貿易が第六位とか第七位などというのはわけがわからない、一歩譲ってアメリカには及ばないだろう、アメリカと日本は工業的な高い水準を維持しておるし、アメリカなしに日本が立ち得ることはないという非常に透徹した考え方でわれわれに言っておる。アメリカには及ばなくても、その次にくるものがオーストラリア、三番目が今日は韓国ですか、リベリアですか、船をうんと買っておるというようなことはおかしいじゃないか。どう見たって、中国との関係が正常化すれば第二位になる可能性はあるんだし、それは日本人民と中国の民衆の心からの願いであろうと思う、阻害をしておるのは政治態度だとわれわれを非難したことがあるけれども、貿易だけで見ても、通産大臣の立場から、将来の日本の対外貿易の中において中国が占める比重というものが、正常関係に立ち至るならば、どういう構造を持ってあらわされてくることが正常であるか、この点を伺っておきたい。
○宮澤国務大臣 この点は中国自身の方針の問題でございますので、それをとやかく申すつもりで申し上げておるのではございませんか、やはりある程度国内情勢あるいは北京としての国防体制が落ちついてまいりますと、当然民生の向上ということにより意を用いることになるのではなかろうかと考えております。その際、われわれとしては、それに必要な貿易体制を十分にとれるだけの経済力を持っておるつもりでありますが、また同時に、そのような多数の人口をかかえた国として、膨大な輸入を直ちに全部いわばキャッシュベーシスでまかなうことができるのかどうか、この辺のところもはっきりはいたしませんが、私どもとしては、やはり広く人類全体の生活水準向上という立場から、求められればそれに協力をしていくという心がまえを持っておらなければならないと思います。ただ、これは先さまの国の政策いかんによってきまることでございますので、私どもがとやかく申すという筋合いのものではないと思っております。
○川崎(秀)委員 通産大臣は、すっかり先さまにばかり責任があるようなことを言うけれども、そうではない、実際は。これは、あとで私は本格的に論じたいと思いますから申し上げませんが、そういう意図はある、構造は変わるだろうということの答弁を得ましたことは、私としても同意であります。 今度の覚書交渉があさってから始まろうとする。おそらく、きょうは藤山さんは北京へ着き、岡崎さんは団長として明後日あたりから話し合いが始まると思うのですが、昨年からの変化はどういうものがあるか。これはやはり、台湾に対する日本の投資、あるいは台湾に対する借款の供与、こういうものがだんだんふえておるのではないか。それが、かれらから言えば一われわれは必ずしも同意しない。日本軍国主義の台頭と関係がある、こういうことであります。しかし、防衛費は現にふえておるし、防衛産業は拡張しておる。これに、台湾に対する投資のうちに、軍事的なものと結びつくものが相当あるとするならば、その立論は相当迫真力をもって日本の代表団に迫ってくるものと私は思う。この際、宮澤通産大臣は、民間市場の動きを見て、防衛産業というものはだんだんふえつつあるのか、減っておるのか。ふえておることは間違いがない。どういうシェアで動きつつあるか。また韓国も見のがすことができない。韓国には製鉄所その他の建設が始まっておる。それが防衛と結びついておるが。私は重点からすれば、それはもう台湾は中国問題に非常な大きなウエートを占めておるわけですから、韓国はそれほ思うけれども、そういうような関連において防衛産業のシェアが非常にふえておるということの具体的な数字はありますか。
○宮澤国務大臣 具体的な数字としてさしずめ考えつきますものは、現在防衛庁の調達しております艦船、航空機その他の装備等々が工業生産額の中でどのくらい占めておりますかと申しますと、〇・五%をちょっと割り込む程度の数字でございます。この数字は、しかも年々あまり動いておりませんので、いわゆる産軍云々あるいは日本の軍需産業の非常な発展といったようなことは、実証的には出てまいりません。そういうふうに私どもは感じております。
○川崎(秀)委員 これはこの席上で申し上げるよりは、機会をあらためて十分掘り下げていかなければならぬ問題です。ただ、こういう問題が提起をされておるということをお考えをいただいただけで、私はまだ本格的な論議を他に持っておりますので、これでその問題を打ち切ります。 前向きにいろいろお話を申し上げたい点があります、建設的に。岡崎嘉平太氏は出発の前に、大蔵大臣のもとの稲村国際金融局長を訪れて、いままでポンド決済で日中貿易をやってきたけれども、ポンドが非常に動揺した。これから先はそう大きな変化はないと思いますけれども、中国側の要望もあるし、日本側の要望もあるし、できれば円・元決済、こういうものをしたいということを昨年あたりから申し入れておる。ところが中国側では元建て、元決済、こういうようなことを言いまして、まだ妥結には至っておりませんけれども、まあ、それでも少しの歩み寄りだろう、こういう意味で稲村国際金融局長を訪れて話をした際に、決済通貨問題は、民間レベルの問題であり、日中貿易業界や外国為替銀行が実現性のある具体案をまとめれば、大蔵省としても前向きに考えて解決をしたい、こういう答えをしておるんですね。大蔵大臣は、この問題については昨日私がもう通告してございますから、ぜひこの問題についての方針を席上で承ればしあわせであります。
○福田国務大臣 ただいまお話しのとおりに考えております。つまり私の基本的な考え方は、日中経済関係、これを決済の角度で阻害をするというようなことは、これはよろしくない。日中貿易を推進するという立場から、為替の関係、決済の関係、そういうものは弾力的に考えたらいいじゃないか。お話しのとおり、円・元決済問題が昨年は出ました。ところがこれが両者の間に話し合いがつかなかったのです。これと並行して中国側におきましては、元・元決済をイギリスはじめ各国との間に進めておるのです。まあ数カ国が元・元決済ということになった。おそらく元・元決済というものを持ち出すのじゃないか、そういうふうに思いますが、これは、為替銀行だとか、あるいは中に立つ商社、そういうような人が、元・元決済でいきましょうということになり、決済の残高につきまして、中共のほうでそのコンバーティビリティというか、ちゃんときまったレートでこれが決済をされるのだという保証があれば、一向差しつかえないんじゃないかというような気もいたしますので、岡崎さんには、そういう弾力的な気持ちを持っております、よくひとつそういうお気持ちで話し合われたらいかがでしょうか、かように申し上げてあります。
○川崎(秀)委員 ただいまの御答弁、たいへん適当だと私は思っております。そして実際問題として、これは政経不可分であっても、純金融問題である、国際金融問題である、元が変動が少ない、ほとんどないというような意味合いでも、ぜひひとつ前向きに問題を解決していただきたい、こういうふうに大蔵大臣に要望をいたしておきます。 この次の次から本格的に問題を取り上げたいと思うのですが、その前に、卓球代表団、ピンポン、テーブルテニス代表団が来るわけであります。これは政治とスポーツを混合したとかいろいろな話があるけれども、事実を知らぬわけですね。国際卓球協会というものは、戦後いち早く全世界的な組織を完成して、日本も加盟をしておるし、中国が加盟しておる。中国は過去四回、五回の大会に連続選手を出しておる。世界選手権をとったこともあります。ところが、文革が勃発したものですから、したがってミュンヘンその他の大会に二回欠場したということであって、今度はただ復元しただけであります。復元というよりは、むしろ参加を取りやめておったのを今度は参加をしよう、再登場という意味だと私は思っておるので、これは何ら問題ではない。問題になるならば、アジア卓球連盟から台湾を除外するということは多少の問題があるだろう。しかし、これは中国側の政治三原則で貫こうとしておるが、国際卓球協会が主催しておる世界選手権大会に中国が来日する。久しぶりの大型代表団だといわれておる。文化代表もともに来るといわれておる。その場合に、文部大臣はこれを歓迎しますか。
○坂田国務大臣 わが国で開かれます世界卓球選手権大会に、中華人民共和国を含めまして、一国でも多くの国が参加することは、まことにけっこうなことでありますし、いままで中共とも中断しておったのが、今度は参加をするわけでございます。しかしながら、この選手権大会の開催を日中間の政治問題に関連づけるような印象を与えるようなことにつきましては、やはり慎重でなければならない。これも川崎先生もお認めいただけることだと思うわけでございます。
○川崎(秀)委員 いまちょっと私なにしたら、ここらで聞いているのに、中共と言ったが、中華人民共和国政府と、政府まで言っているのですから、だんだんそういうふうにしてください。これはあなた、日本を自民党日本と言ったらおこるのと同じで、よく考えてこれから御答弁をいただきたいけれども、まあ、これはよけいなことです。 それから卓球代表団の来日について、秋田兼摂法務大臣、個別審査をするというようなことも伝えられておるけれども、これは久しぶりのことでもあり、別に大きな政治目的を持って来るわけではないわけですから、文化代表として要人の二、三も加わって敬意を表そう、こういうことであるならば、一括審査ということでぜひ認めてもらいたいと思う。そういう点で秋田兼摂法務大臣の答弁を求めます。
○秋田国務大臣 お気持ちはわからないではありませんが、元来入国審査というものは、外国人個個につきまして、日本への入国の適否を審査する性質のものでございます。したがいまして、一団の人を一括して審査をするということは、入国審査の趣旨にも沿わないのでありまして、適当でないと考えられます。国交のない国の方の入国でありますので、日本への国益の影響等も十分考えて、真に日本の国益に合うということを審査する必要もありますので、一括審査ということは適当でない、やらない、こう考えております。
○川崎(秀)委員 一括審査はやらないと言うのですが、個別審査でもよろしいから、なるべくこの代表団については、趣旨、目的からしてぜひ実現をして、とにかく六年間交流はないわけですから――中国側からする交流はない。毎年、古井君、田川君だけが行っておるだけだ。昨年は松村先生、本年は藤山先生も行かれたけれども、その前数年というものは古井、田川二人だけで行っておる。こんなことではあなた、日中交流というものはほんとうに実を結ぶとは思わない。その意味で、久しぶりに来るわけですから、ぜひ法務大臣におかれても、そういう意味合いでのしんしゃくをしていただきたい、こう思うのです。もう一度答弁を求めたい。
○秋田国務大臣 日中スポーツを通じまして、文化の交流、平和の促進という趣旨に反しない、それに合致する方々の入国は十分歓迎をするのでありますが、一括審査はいたさない、こうひとつお含みおきを願います。
○川崎(秀)委員 大体気持ちはわかりましたから、これから私の、中国政策が行き詰まっておる現状、そしてそれはどこに原因があるか、またその打開策、それから佐藤内閣でできないならば次期内閣。――ちょっと法務大臣が病気だそうですから、よろしゅうございます。――そういう根幹に触れての質問を私は本日はさしてもらおうと思っております。佐藤総理大臣が予算委員会で中国問題で野党の質問に答えた最後のくだりは、中国問題は手詰まりでいまとほうにくれておる、こういうお話であります。これは内閣は一体であるから、総理大臣がとほうにくれておるというなら、それが最後のことだと思うけれども、しかし、日日進展をさせなければならぬ、日々考えなければならぬ、そういう意味で、愛知外務大臣がいま考えておる、どうすればこの行き詰まりを打開することができるかという方寸、こういうものをまず第一に伺っておきたい。
○愛知国務大臣 非常にとほうにくれていると総理が言われたのは、率直な表現だと思いますけれども、これはこの国会の当初におきまして総理大臣や私から申し上げたとおり、問題が非常に長く、また問題の幅も非常に広い、そしてその中にたいへん越えるのにむずかしい問題があるということからいって、前向きにいろいろ考えておりますけれども、なかなかそう簡単に手が出ないということを率直に表明されたことばであると思います。その意味におきまして、私も同感でありますことはもちろんであります。 どういうところがむずかしいかといえば、これはいまさら申し上げるまでもないと思いますけれども、一つは、一つの中国という問題であると思います。そして一つの中国ということは、両当事者がそれぞれ、一方と国交を結んだところとは必ず即時に断交するという態度、双方とも一つの中国ということをこれほど強く主張しておる。これをどういうふうに見ていくかということでありますが、政府の見解としては、本来この種の問題は両当事者間で話し合いで解決すべき問題であるから、その話し合いということが行なわれて、その結果ができましたら、どういう形であっても、これは日本としては尊重していきたい。ただ、一つの中国の問題の解決に武力行使ということだけはもうやらないでほしい、こういう態度で臨むべきものであるというのが政府の見解でございまして、そういう見解を今後とも保持していきたいものだと考えておるわけでございます。 同時に、国際法の通則からいえば、一つの国一つの政府というのが通則でございます。それがまたそこへかぶってまいっておりますが、日本としては、これもまた申し上げるまでもないことでありますが、一九四五年の九月に降伏文書に調印して署名をいたしまして以来、国民政府ということばを便宜上使いたいと思いますが、国民政府に対して平和条約を結んだ関係を持っておる。この関係から申しますると、日華平和条約によりまして国と国との関係が律せられた、そういう姿勢を今日に至るまでとってまいっております。この関係というものが、ここに一つの大きな要素になっておる。この点がなかなか解決するのにむずかしい点であるということは、いまさら申し上げるまでもないことであると思います。 それからもう一つ、国際環境の中におけるこの問題の取り扱い、この角度から見まして、これは政府の見解にもやはり述べておりますように、最近における国際的な、ことに国連の場等におきまする中国問題の扱い方の趨勢というものも非常に変わってきておりますが、その間に処して日本としてどういう態度をとるべきであるか、こういうことがまた一つの問題でございますが、これにつきましては、友邦諸国との関係はもちろんでございますが、国際的な環境の中で、国際的な雰囲気の醸成の中で、日本として誤りのない態度をとっていくためにはどうしたらいいか、こういうふうな一そのほかにもいろいろの角度から問題の取り上げ方はございましょうけれども、現在そういったようないろいろの要素を考えまして、日本の国益からいい、またアジアの緊張の緩和ということからいって、とるべき方策について慎重、真剣に検討を続けている。こういう次第であって、いまクリアカットに、こうすれば最も賢明な策であるということについて、政府として断定的な意見を申し上げることがまだできない状況にある。そういう意味で、総理も非常に率直なことばでそういった環境を表現された、こういうふうに御理解を願いたいと思いますし、また私もさように考えておるわけでございます。
○川崎(秀)委員 愛知外務大臣、それはとほうにくれているということに対して、また私が出したこの「中華人民共和国を承認すべしとする意見」これは昨日はリコピーのほうで回したのですが、そういうものを何か外務省の係官から聞かれて、それの答弁のようだったが、私は、いまの段階で何か打っている手はないか。たとえば、あなたは大使級会談を提唱しておる。政府間で接触をしたいと思う。政府間の接触ができるのですか。どこの大使が中国の大使と接触をしたか、あるいは会見をしたか。何もそういうことがなければ、東京で演説をして電波で流れておるだけだ。活字になっているだけだ。どこかそういうものはないか、改善の方途について一歩でも具体的に行なったことはありますかと私が問うたのが、いまの質問の本旨であります。
○愛知国務大臣 たとえば、大使級会談ということを提唱しているわけでございます。提唱しているということを、いまもお話しのとおりでございますが、国会を通じあるいはその他の場で公表して提唱しているわけでございますが、同時に、具体的に第三国で中華人民共和国、日本国政府双方が大使館を開設しているようなところも相当数ございますので、そういうところを通じましてこの提唱というものが先方に通ずるように、いろいろの働きかけをやっていることは事実でございます。 それにもう一つ続けて申しますならば、私は、対話の場を政府間としても持ちたいということを積極的に表示しているわけでございます。そして、私がこう思っているのですが、こちらには支障はない、いついかなる場所でも接触の用意はございます、ということを申し上げることができると思います。
○川崎(秀)委員 いまいろいろな手段を通じて、ことに日本が大使館を持ち、中華人民共和国、中国政府が持っておる大使館と接触をしておるというのですな。それはなんでしょう、フランスとかあるいはスウェーデンとかルーマニアとかいうわりあいに中国とも近い、日本ともいい関係にあるということのルートを通じてと私は判断しますが、直接行って会ったことはあるのですか。
○愛知国務大臣 これは政府間の接触であり、大使館同士の接触ということになりますと、いままでもいろいろの、複雑といいますか、長い時間が経過しておりますから、これはずいぶんむずかしい仕事で、直接に接触ができたというところまではまだいっておりません。いろいろくふうはいたしております。 それから、接触を持つ、対話を持つことについての支障、これを阻害する要素を、当方としては持っていないつもりでございます。
○川崎(秀)委員 結局、政府の基本方策、国交を回復したいとかあるいは日中を改善したいという真意というものは中国側に通じていない。また腰がきまっていない。このために、中国側は接触を避けているものと私は思うのです。だれか外国で、政府の特使とかあるいは政治家が中国側と接触したことはありませんか。
○愛知国務大臣 特使とかその他の方法による接触というものはございません。 それから、ただいまお話がございましたが、これはいろいろのやり方もいろいろの意見もあると思いますけれども、私の考え方といたしましては、まずとにかく双方が双方の立場を尊重し、そしてお互いに内政に対する干渉というようなことなしに、長年にわたった不正常な状態を打開するのには、どうしたらいいかということをまず話し合うということが必要ではないか。相互に相互の立場というものをそんたくし合い過ぎて、これでなければいかぬだろうというような、雷あいわばプレコンディションというものを前提にして臨むということは私は不適当だろう、かように考えているわけでございますから、相互の立場尊重、そして相互に内政干渉、そして何でもひとつ、お互いに誤解もあったろうと思いますけれども、誤解を解くような意味で何でも率直に話し合いを始めよう、そして話し合っていこう。その過程において、いろいろとむずかしい問題と思われていたことも、相互の理解が進めば、そこにだんだんと成果があがってくるし、またこの種の問題は、こういうふうに解決をすることができようかという考え方もだんだん相互に芽ばえてくることが望ましいのではないか。私は、そう考えますと、ある程度の時間はかかるけれども、やはり非常に大切な問題でございますから、相当の時間をかけてもじっくり腰を据えてかかることが必要ではなかろうか、かように存じております。
○川崎(秀)委員 それはまああなたの目から見れば政治家ではないかもしれぬが、政治家で、あるのですよ、そういうのは。私は、これは公的な場所で発言するのは初めてです。去年の九月二十四日、ルーマニアのブカレストで、中国側の大使館がどういう方針をもって対欧政策を進めておるかということも興味があったし、ルーマニアにある中国大使館を訪問した。二十三日に着いて、二十五日に会いたいと言うたら、二十五日の朝にぜひおいで願いたい。行きましたよ。もちろん私が松村訪中団の一人であるということは向こうも知っておる。姿勢の問題だと思うのです。その場合に、ルーマニアにある中国大使館がどういう態度をとるだろうか。われわれに会うだろうと思ったけれども、なかなか時間が制約されている。また日本の大使館員が一緒について行ったなら会わないだろうと私は自分で判断した。すると、通訳でいろいろ問題があるけれども、まあルーマニアの外務省の連中に頼んで前から打ち合わせをしておけば何とかいけるだろうというので、電話をしてみると、中国側が言ったかどうか知らぬが、ルーマニアの外務省の言うのには、先生の御判断でよかった。日本側は川崎先生一人か、日本大使館員は来ないのかと言わんばかりであった。そういうことをしないということの原則がきめられておるものと思うのですな、これは。われわれは午後一時ごろに行ったら大使代理の参事官が出てきて、落花生とマオタイを出した。マオタイというのは五十三度の酒だ。まさか川崎秀二が酒飲みだということを知っていて出したとは思わないが、マオタイ酒を二本出している。一本飲めば酔っぱらってひっくり返ってしまう。非常な歓待ぶりであったけれども、そのときの話に、いろいろな話をして帰った。初めからルーマニア側と打ち合わせて行ったから非常にスムーズにいったんです。ところが帰りがけに中国側は言うのです。ルーマニアにいる中国大使館員ですよ。佐藤内閣の反動的政策にもかかわらず、日本人民の中において非常な日中復交の熱が上がっておる。ことに政府与党の中においても、日中復交を願う人々がふえてきておることにわれわれは深く敬意を表します。これで態度がわかるじゃないですか。 さて、私は、いまあなたに関係のある話を持ち出す。よろしゅうございますか。なぜ中国側が佐藤内閣に対してこんなきびしい態度をとらなければならぬのか。それは佐藤・ニクソン会談以来非常にきびしくなってきたことは事実です。けれどもこれは政策の問題です。また保守党内閣の限りにおいては、修正は将来するでしょう。しかし基本は変わらぬ。が、その政策以前についての不信感というものはあるのです。そういう事件がある。これは一、二の雑誌なんかでは書かれたことがあると思うけれども、予算委員会の席上を通じて疑いを発しておるのは初めてである。それは一九六四年五月十四日、四月半ばから日本を訪れた中国国際貿易促進委員会主席南漢宸氏が佐藤国務相と会った。そのときにどういうことが話されたか、立ち会った者は少ないからわからない。けれども朝日新聞を見ると、「佐藤国務相は十四日午後、来日中の南漢宸中国国際貿易促進委員会主席、南向前中国経済貿易展覧会副団長と東京・溜池東急ビルの佐藤事務所で約一時間にわたって会談し、日中問題などについて意見を交換した。この会談は南氏らの求めによっておこなわれたもので、南氏らは佐藤氏に対し①中共はここ二年ほど準備し てから第三次経済開発五カ年計画を立てる②日本側の「政経分離」の建前にはかまわず、日本との貿易は拡大すればよい③日本の対中共プラント輸出の延払い方式をめぐって複雑な問題があることは承知している④中共とソ連の間に領土上の問題はある、などの点を述べた。」こういうことです。これは私は佐藤事務所が発表したものだと思う。当時の佐藤事務所。佐藤さんは通産大臣をやめて、そして単なる国務大臣、しかしながら北海道開発庁を担当しておった。晴海の埠頭で行なわれた中国の産業見本市に勇を鼓して出席をしてテープを切った。この事実は明らかです。先般松野頼三君は、佐藤首相は日本で初めて中国側と接触したる閣僚であると賛辞を呈された。その勇気やまことにとうとぶべし、評価すべきであります。 しかし、この問題の第二点に問題がある。「日本側の「政経分離」の建前にはかまわず、日本との貿易は拡大すればよい」これは南漢宸が言うたことば、これを裏打ちしておるでしょう。裏打ちをしておる。どういうことばで言うたか知らぬ。ほぼ確実だと思うものは、佐藤氏は、池田内閣は政経分離の方針である、政治と経済が分離をしておるなどということは、国交を将来始めるにあたって支障がある、政経分離ではない、政経一体である、もし私が次期政権の首班になるならば、必ず前向きになって政経一体の方針であるということを言うておるのです。これは中国側からわれわれにはね返ってきておる情報である。日本側の北京消息筋もそう言っておる。日本の中にもそういうことを言うておる人がある。これを公開の席上で言うのは私が初めてである。問題はそこにあるのです。もちろん、そのときに国交を回復するとまでは佐藤国務相は言うておらぬでしょう。政経分離などはばかばかしい、政経分離などはできない、政経一体化であるということだけははっきり言ったとわれわれに伝えられておるので、できれば佐藤首相にこのことは直接お伺いをいたしたかった疑いである。その後に某代議士が北京へ行った。われわれは親友であるので、その内容は私はこの席においては申し上げない。しかし 巷間ではいろいろなことが伝わっておる。周恩来首相は、そのことを真に受けて、佐藤首相とラングーンで会ってもいいとか、いろいろなことを言うたと伝えられておる。これはさだかではない。さだかでない点とほぼ確実な点は、分けてこの席上で申し上げます。あなたはそのとき南漢宸と他の席上で会った。この間聞いてみれば、南漢宸と議論をする前に、日本にいた孫平化と議論になってけんかしたということを言われた。しかし、この佐藤会談の前ぶれとして愛知・南漢宸会談も相当なものがあったと思う。こういうことをあなたその当時知っておりますか。 中国側が不審を抱いておることの第三は、内閣ができて佐藤首相は首座にのぼった。そのときに中国問題は池田内閣と同じ方針だと言うた。これは逆戻りです。まあ逆戻りならいい。けれども、その直後に起こった彭真北京市長の来日を正面から断わった。自来、向こうから来日する者二、三にわたって断わった。これが中国側に、佐藤首相は言うこととやることが違うととられてもしかたがないことだ。私は日本の議員である。佐藤首相を周恩来首相より信用したいが、できない。けれども、そういうことが佐藤内閣に対する不信の原因になった。まつりごとのもとは正しきにあり、信をもってしなければ立たないと中国は昔からいうておる。それは共産党でも今日変わっておらぬと私は思う。あなたは、南漢宸に会ったその前後、佐藤会談の内容も相当知っておるに相違ないと思うから、正直に言ってください。
○愛知国務大臣 当時の佐藤国務大臣が南漢宸氏に会ったよりは、私が南漢宸氏に会ったほうが時期はあとであったと私記憶いたします。 そこで、私の想像でございますけれども、当時の佐藤国務相と南漢宸氏との間では、何とか日中関係を改善したいものであるという気持ちで双方とも話し合われたことだと私は想像いたします。先ほど申しましたように、その当時から日中の貿易関係などは大いに増進をしたいという気持ちで両者が合意されたということは、いまからでも想像にかたくないことであると私は思います。 それから、私が南漢宸氏に会いましたのは、先方の求めによりまして、二人だけで会いましょうということでありましたが、先方はほかに二、三人連れて来られましたので、その方々と一緒に会いました。私は、当時政府としては責任のない立場におりましただけに、きわめてざっくばらんに双方意見を戦わしまして、肝心の経済問題などに入ります前に、相当長時間にわたりましていろいろ双方の考え方を主張し合って、時間が消えてしまいまして、日中貿易の改善の話などの具体的なものには入りませんでした。しかし、私としてもたいへんだめになったことであると思いますし、また先方も、まあ私から言っては変でございますが、相当よく日本のわれわれの立場、考え方も理解されたのではないか。双方に時間的な都合が許しさえすれば、またこういう会談はできるだけ続けましょうやということでお別れしたわけですけれども、そのときは南漢宸氏の滞日の期間が短かったために、東京ではその後お会いができませんでしたし、その後南漢宸氏がなくなられたというようなことを聞いて、非常に残念に思っておる、これが実情でございます。
○川崎(秀)委員 その佐藤会談の内容については、あなたも立ち会ったわけじゃないでしょうから、したがってこれ以上申し上げないが、とにかくそれが佐藤氏への不信の起点になっているのです。全然間違いない、起点になっておる。北京のある消息通は、佐藤さんは前向きだと言って政権を取った、とたんにうしろに向いてかけ出した、こういう表現を使っておる人もある。西園寺公一氏です。われわれは、そういうような意味合いで、ひとつ佐藤内閣でも中国問題を打開することができるならば、あとで私はあなたに、その一つの手があるということをぜひおすすめしたい。おすすめしたいが、やはり第一は信用の問題です。南漢宸氏は、文革の最中に修正主義者と非難されて、広州の何とかビルの上から投身自殺をした。投身自殺をした原因は、修正主義者としてのいろいろな罪状があげられたからでしょう。これはわれわれの関知しないところだ。しかし、ある者は言う。南漢宸が東京に行って佐藤国務相と話をして、政経一体というものを貫こうとしたら逆になった、これも自殺の原因の一つだと言う者がある。私はそれは信じない。もっと大きな問題がなければ自殺なんていうことをしはしない、こういうふうに思っておるが、とにかくそういういきさつがあって、佐藤内閣とボタンがかけ違ったことだけは、残念ながら事実であります。私は人の非難ばかりはしない。今日は、自分の考え方――同志の多くが全部一緒だとは言わないけれども、少なくとも長年このことについて意見を同じゅうしておる者に、こういう意見書を出した。 中華人民共和国を承認すべしとする意見 一、中華人民共和国政府は(以下中国政府という)一九四九年十月成立、宣言を発して以来、廿一年餘中国大陸全土を支配し、政府組織を確立している。広大な面積と八億に近い人口を擁する此の政府を認めないわけにはいかない。 二、中国と日本はアジアに於て近代文化を持つ二大国家であり、その友好なくしてアジアの安定はない。此の両国家間に於て親善と友好のない為に幾多の紛争、戦乱が起伏した。その友好増進は独り両国の繁栄に繋るのみでなく、アジア全体の平和と繁栄を招来する源である。 三、中国政府の外に台湾地域に国民政府が存在しているが、両政府とも中国は一つであると呼称している以上、問題は何れが正統政府であるかである。私の見解では主義、体制の如何を問はず大陸本土にある唯一の政権が正統政府である。中国の中心は歴史的に見て古代中国文明の発祥たる黄河流域、近代文化を開花させたる揚子江流域である。かりに揚子江を境にして二つの政府があるならば、これは分裂国家といい得るであろうが、中国と台湾は分裂国家でなく、台湾は中国の一部であり、旧領土である。此の点佐藤首相の国連演説の分裂国家という表現の中に含まれておることには同意し難い。 四、中国は将来的に視て、その資源が有効に開発され、民度が向上し、各国との交易が増進されれば、地球上最も有力なる市場となり、至近距離にある工業国日本にとり国益上頗る有利である。 五、世界の主要国中、国連創始当時の安保理事会の過半数、即ちイギリス、フランス、ソ連は中国を承認し、EEC諸国の過半が之を承認、次いで大半が本年中には近く承認する傾向にあることは世界の常識を反映している。 共産圏、中南米の諸国の一部は早くから国連の普遍性を説いて中国承認に努力し、アジア、太平洋諸国にも同調国を生み、遂に昨秋アルバニア決議案の可決を見ている。此の形勢は中国外交の積極性転化と共に本年以降更に増大することは必至である。 六、国連に於ける中国承認の形勢は別として、政府の姿勢は中国との関係改善をはかり、国交回復を基本路線とすべきである。その理由は過去五十年の日本の歴史、外交史は対中国を軸として展開し、戦前の膨張政策から戦時中、侵略の過誤を犯し、戦後も断絶のページを繰り返へしている。経済的繁栄を具現した今日でもこれが国民の不安の種となっている。速かに国交を回復し、千二百年に及ぶ日中平和交流の本然の姿に戻るべきである。 七、日本政府が中国を承認し、国連に於て中国の代表権を認むるならば、中国問題は急坂を下る如く解決し、アジアの紛乱を停止し、世界平和を招来する契機となる。 世界史の発展にも貢献し得ると確信する。此の場合友邦米国との緊密な関係が重要であるが、米議会には既に中国承認論が抬頭して居り、日本は中国問題の解決にむしろ水先案内の役割を果してこそ、解決後の発言権を世界に確保し得るものである。 八、台湾問題の処理は中国、台湾両政府の話し合いと国連の舞台で決せらるるべきで、日本はポツダム宣言を受諾し、サンフランシスコ会議により之を放棄している以上、「中国の内政問題」であるとする立場に一貫すべきである。 廿年の歳月と実績は日本に於て「毛沢東政権」「中共の呼称」が中国政府と変り、当初の国民政府は国際的に今日通称「台湾政府」と呼ばれていることからして正統政府の論議は結着の段階に入ったと見て良い。 日本政府は速かに中国政府を正統政府とし、復交を促進し、日華平和条約の処理を準備すべきである。というのが私の見解でございます。はなはだ潜越でありましたが、こういう見解をまとめてみたわけでございます。 私はこの見解について一々外務大臣にお尋ねしたいが、この中の中心である正統政府はいずれなりや。これは条約的には台湾だとあなたはおそらく御答弁になると思うけれども、今日の現実を踏まえての国際認識あるいは中国本土に対する認識はどういうものか。それだけはこの際、しっかりと承っておきたい。
○愛知国務大臣 川崎委員から昨晩大体の御意見を承りました。そして、ただいまこうして印刷をされて、八つにわたりまして御意見をいただきすしたことを、大いに私としてもありがたく思っております。 そこで、おまえの見解はどうかというお尋ねでございますが、まずこの順を追うて申し上げたいと思いますが……(川崎(秀)委員「よろしゅうございます、三番だけで。」と呼ぶ)三番目だけ。 率直に言うことをお許しいただきますと、この中にも随所に出ておりますけれども、この一つの中国問題というものは内政問題であると解すべきであると、こう言われている御趣旨は、私も賛成でございます。そして、両当事者が話し合いでこれは解決してもらいたい筋合いのものである、そして、その結論が出ましたならば、それを政府として尊重をいたしたい、こういう立場を政府としてはとっておりますから、この第三項の三行目に、「私の見解では」とございます川崎委員の御見解はここに書かれたとおりですが、これはまあ率直に――率直にということを何べんも繰り返して恐縮でございますが、中華人民共和国の主張もこうである。政府といたしましては、この二つの主張に対しては相互に話し合いをしてもらいたいという立場をとっておりますから、この川崎委員の「私の見解」に、政府としてただいまの段階で御賛成申し上げるということはできません。第三点についてはさように考えます。
○川崎(秀)委員 政府としては賛成するわけにはいかない。承っておきます。
○愛知国務大臣 前提がございますよ。
○川崎(秀)委員 論議は、さっきこれに関連してのお話もありましたので、私も承っておきますし、非常に時間を厳守して進みたいと思っておりますので……。 福田大蔵大臣、佐藤内閣ではやはりなかなか中国問題は解決の糸口にも行かないと思う。じゃ、だれが行かせるのか。それは次期政権をねらっておる三人の有力な候補者、福田、田中、三木。これがい、ずれにその軍配が下るにしても、中国問題を避けては通れない。そこでわれわれは、次期政権首班者――幹事長室にいるか、麹町にいるか、ここにいるか、わからぬ。中国問題のプログラムを――これは非常に建設的な話です。第一に、国内においては中国との国交回復運動を起こし、日中議連を中心とする国論の高まり、自民党内部で多数がこれを支持するという形勢を生んだときに、首班者はこれを決意するということが第一です。鳩山さんと同じです。鳩山さんのときより情勢はやりよいです。それはまあ一九七一年、これから。これまでにやめるかどうかはわからぬ。七二年八月末だと思っておる。そして次期首班は、そんなに大きなことをやらぬでいいです。すべての政策は佐藤内閣、自民党の政策を継承する。ただし、中国政策は転換する。三カ月以内に中国政策について一つの前進を見る具体的な事実をあげれば、中国側は相呼応して立つ。私はそれを申し上げておく。 第二、その次には、どうしても外務大臣を派遣することです。そして運輸大臣――航空協定が一番早くできるです。これは臨時航空便問題で、もう去年九分九厘までいった。ところが佐藤さんの手柄になっちゃ困るなと言うのです。通産省をはじめ関係閣僚が順次所管事項、たとえば航空協定、郵便その他の協定に参加し、人文経済の交流を七二年中に拡大する。一九七二年国連総会においては、中国の国連加入を承認し、正統政府として代表権を与える。台湾問題は中国の領土であると確認し、その処理は――ここがむずかしいところです。この処理は中国の内政問題として当事者間にまかせる。昨年秋、友好貿易の中の一人、これは共産党員じゃないです。元来は自由主義者だけれども、一度都合上共産党に入っておった人がおる。それが私に、周恩来首相に、私たちが台湾問題をどうしたらいいのだと聞いた。周首相は、国連の舞台で中国の代表権が確定し、台湾は中国の領土であるときまれば、台湾政府の処理は問題がない、その原則がきまれば両者の話し合いできまる。私はあまり想像してもいかぬが、中国は今日香港をほうっておるじゃないですか。どういう形式のものがその中から生まれるかわからぬ。私はそういう意味で、一九七三年秋には中国の安保理事会入りを実現し、同時に、七二年秋までには、アメリカ軍のベトナム撤退というものが完全にならなければならぬ。アメリカはやはり大きな国です。今日ごちゃごちゃやっているけれども、やはりだんだん引こうとしておる。アメリカの潮流はもう変わっておる。そして大統領といえども判断を間違えないと私は思っておるのです。その場合に、日中貿易が発展して、半政府間性格をさらに強化し、通産大臣、党代表がこの協定に出席をすることになれば、政府間協定ということになる。その間に防衛問題、いろいろな問題があるが、これは時間がないからきょうは割愛する。そういう手順で次期政権が進むならば、必ず中国問題は解決する。 ただ、ここで、じゃ佐藤内閣はもう全然だめなのか。われわれは、党員である以上は佐藤内閣に最後の協力をしたい。よって、一つだけ申し上げたい。 手が一つある。これは私が言っておるのじゃない。いまや日中国交回復のためには私心がない、俗事を払ったる松村老が言っておる。一段階高めて、責任者たる愛知外務大臣が訪中すれば問題は解決する方向に向かうと言っておる。あなたは訪中する決意がありますか。
○愛知国務大臣 松村先生のお考えや御意見も直接間接に伺う機会もございますので、私は個人の立場を離れまして、さような御提案や御提唱がありますことを非常にありがたく思っております。私は政府間の接触ということをぜひ持ちたい、話し合いを持ちたいということを積極的に提唱いたしておるくらいでございますから、いまの御提唱につきましては、ひとつ真剣に考えてみたいと思っております。
○川崎(秀)委員 これは国家のために申し上げるのです。私が言って、あくる日やったというなら――とてもそういうわけにはまいらぬ。少し時間がたって世間が忘れておるときに、ある日突然愛知揆一氏がそう言い出した。あなたはパスポートを自分で発行できる。問題は総理大臣の判こをもらうだけだ。その決心がつけば、あなたは伊達正宗の流れをくんだ青葉城の決意が再現するんです。あのときには――歴史をさかのぼったらよろしい。私は切言しておく。それを方々に行って聞いちゃだめだ。台湾から文句が出てきたら――これはあくる日必ず台湾から文句が出る。そうすると、ああいちいちきいちゃだめだということになる。あなたの名前のとおりである。ああいちいちきいちゃだめだ。あなたの名前をゆっくり読めばそうなる。これはほんとうに、ジョークも交えつつ、ひとつあなたの決心を促しておく次第であります。 私はそういうふうに問題を考えておるわけでございまして、すでにわれわれの考え方の全貌もここにほぼ吐露いたしたわけであります。ただ、私は、支那事変の前から一これは中野委員長などは戦前からの政党人で、よく知っておられる。一つの流れがある。自由主義を守ったる者と軍部に売ったる者。また、鬼畜米英とかつては称しながら、いまは蒋介石万歳。戦争中、蒋介石を相手にせずと言った者が、蒋介石万歳。そして鬼畜米英と言った者が、アメリカ一辺倒。われわれは違う。流れが違う。支那事変の最中には軍部を批判する自由主義者があった。よろしゅうございますか。齋藤隆夫氏があの言論窒息の中で何と言ったか。齋藤隆夫氏が本会議に立とうと言ったら、齋藤日記によると、幹部はこれを好まず、手段を尽くしてわが演説を押えようとする、町田総裁に直接電話をしたるところ、言辞を左右にして答えず、けれども余は決心せり、というてあの演壇にのぼって大演説をされた。支那事変処理の演説です。しかし、さすがに軍部の圧迫、国論というものを考えて、初めは、あの演説は何だか軍国主義みたいな演説をしておるのですね。領土を取ったらどうだ、代償を取ったらどうだ。それはそうでしょう。聖戦というたてまえでやって、そして領土も求めない、割譲も求めない。割譲も求めなければ賠償も求めない。そんな戦争いままでかつて日本はしたことがないから、そういうアイロニーを交えつつやった。しかし、後段はきわめて厳粛なる演説をされておる。すなわち、問題になった個所で、速記録から削除された部分です。「ただいたずらに聖戦の美名に隠れて国民的犠牲をを閑却し、いわく国際政治、いわく共栄共存、いわく世界の平和、かくのごとき雲をつかむような文字を並べたてて、そして千載一遇の機会を逸し、国家百年の大計を誤ることがありましたならば、現在の政治家は死してもその罪を滅ぼすことはできない」こう言われておる。今日はそれほど逼迫した状況ではない。しかし、日中間はすでに国民の世論が台頭しておる。七〇%の者が日中復交を願っておる。もちろん台湾の問題についても相当懸念をされておる議論が出ておるから、これは複雑であるから一がいには言えない。しかし、国交回復ということについてはもはや相当な世論の高まりがある。これを、齊藤さんの言うたことをそのまま置きかえたらどういうことになるか。私はあまり激しくは言わぬ。ただ、こういうことも言えるだろう。「ただいたずらに国際信義の美名に隠れて砂たる台湾政権に固執し、いわく蒋介石への恩義、いわく米、ソ、台湾、韓国とも相談」――一月の四日に言っておる。かくのごとく国民に理解できないことを並べて、あげくの果ては途方に暮れたとあっては、国民が困る。国民だけではなく、自民党の党員も多くこれを言うておるのですから、困るのではなかろうかと私は思う。あの演説の中に、一番しまいにまたおもしろいことを言うておる。傾聴すべきことを言うておる。すなわち「聞くところによれば、いつぞやある有名な老政治家が演説会場において聴衆に向かって、今度の戦争の目的はわからない。何のために戦争をしておるのかわからない。自分はわからない。諸君はわかっておるか。わかっているならば聞かしてくれたいと言うたところが、満場の聴衆一人として答える者がない。」「笑い」と書いてある。速記録に 「笑い」と書いてある。私はいまの佐藤首相はそれにはなぞらえない。これは老咢堂のことなんだが、署堂に難が及んではいかぬというので、齋藤さんは名前は特に秘したと思う。私も名前を秘そう。しかしいまこの中国政策について、病床にありながら前途を心配している二人の老政治家がいる。名前をあげなくても皆さんよく知っておると思う。彼らにもし会うならば、こう言うでしょう。それは、二面では佐藤さんをほめると思う。「佐藤君はなかなかよくやっておる。沖繩問題もみごとに解決した。国民とともに拍手したい。六年も政権が続いているゆえんである。しかし、あの中国政策はわからない。前向きなのか、うしろ向きなのか、しょっちゅう変わっておる。あの中国政策は一体どういうことなのか。諸君の中においてわかる者があるならばおれに聞かしてくれ」そう老政治家が言ったら、満場の中で、わかりました、あれは横向きなのではないかぐらい言う者があるかもしらぬが、姿勢はうしろ向きです。姿勢はうしろ向き。そこに問題があるということだけを私は指摘したい。 そこで、私は一番その心中を知っておる木村官房副長官に、きょうは出てくれ、いやな質問しない。同じ選挙区だ。だから、それだけはどっちがほんとうなんだ。毎日毎日木村君は前向きのことを言っておる。政府間協定をしたい、航空協定をしたい、いろいろ言っておる。それが佐藤首相の本心かと思う者もいる。だが、あくる日は本人が違う。アメリカ、ソビエト、台湾、韓国と中国問題を相談してどうするのです。アメリカはわかる。アメリカとは相談しなさい。しかし台湾と相談すれば、困ると言うにきまっておるではないですか。そんなわからぬことを言うて国民を瞞着してもらっては困るというのが、われわれのほんとうの心懐であります。心情であります。 どうぞ、佐藤首相は六年間も政権を担当したのです。その業績はあがっておる。私は青少年の交流で、ずいぶんいろいろな日本の青年に会う。このごろ世論は変化しておる。三年ぐらい前までは、いままでの戦後の総理大臣で偉いのはだれだと聞くと、吉田総理大臣、これはもう間違いない。二番目は鳩山、三番目は池田だった。去年沖繩返還をやってから佐藤総理大臣が二番目です。吉田総理大臣、佐藤総理大臣、池田総理大臣。鳩山さんはだんだん遠い存在になったゆえもあるでしょう。変わっておる。われわれ決して党の総裁、シンボルを傷つけようとは思わない。けれども中国政策だけがどうもわからない。本人が途方にくれているという。そんなことでいいもんですか。感想があれば承りたい。
○愛知国務大臣 私の答弁では御満足いただけないかもしれませんけれども、私は先ほど来申し上げておりますように、本日は川崎委員の烈々たる愛国の至情に燃える御意見を拝聴いたしまして、まことにありがたく思っております。 先ほど来申し上げておりますように、いろいろの御提案につきましては、私といたしましても真剣に検討いたしたいと思います。ただ、ただいまもお述べになりましたが、まあほかの国と相談すれば前向きがうしろ向きになっちまうだろうと簡単にお片づけになりましたけれども、やはり日本の主体的な立場、それからアジアの一番中心といわれておる日本といたしましては、その辺のところも十分に協調し合って、またそれらの国々が中華人民共和国に対してどのように観察をしているか、あるいは将来に対してどういうふうな考え方をしているかというようなことも十分見きわめ、あるいはそこにコンセンサスをつくり上げながら対処するということが非常に必要なことではないだろうか。政府といたしましては、さように考えているわけでございます。 先ほど私の訪中というようなことも御提案をいただきましたが、これはいろいろな条件などもございましょうし、一つの御提案として真剣に考えさせていただくということにさせていただきたいと思います。
○川崎(秀)委員 時間が参りましたので、これで最後の締めくくりをいたしまして質問を終わらせていただきたいと思うのであります。 わが国の過去三十年の歴史、それからもう少しさかのぼって五十年といってもいいでしょうが、その政治史、外交史の大半は、支那問題の処理をめぐって行なわれておるのであります。それを誤ったがために、わが国は大東亜戦争までいった、こういう考え方を私どもは持たざるを得ない。なぜならば衆議院の速記録、参議院――貴族院ですね、それの速記録を見まして、あの時代に外交問題での決議案というものの三分の二は対支外交の処理に関する決議案です。いかに国会が支那、中国というものに対して大きな関心を寄せておったかということがわかるわけであります。これを軍部の強硬外交のために誤られた。齋藤さんも、大東亜戦争は無謀な戦争だ、こう言っておるのです。けれども無名の戦争でもない。無名の戦争は支那事変だというのです。なるほどそうです。支那事変は文字どおり無名の戦いであって、他人の領土へ押しかけて、東洋平和のためだという。戦争をどんどん拡大しておきながら、事件不拡大だという。全然やることが違っておる。そのために、われわれの同じような若い青春がどれくらい中国で犠牲になったか。その数知れず。いま戦争の歴史をひもといてみて、一番日本軍が玉砕をしたりあるいは大量に敗残をしたものは、それは南太平洋の島々です。けれども、長い間、十年にわたり、十五年にわたり戦って、そうして苦労して、その中には戦病死者数知れず、戦死者もまた百万をこえておる。こういう英霊に対してわれわれはやはり報いなければならぬ。そのためには、日中国交回復というものが必要です。無事の中国民衆の犠牲に対しても贖罪すべきです。 まず第一に、私は、最近における日本外交の快事は、やはり何といってもサンフランシスコの平和会議における吉田茂氏のことです。そうして、吉田のやらなかったことは自分がやって、日本を国連に参加させると決意した鳩山一郎氏の信念である。この二つの信念によって日本が貫かれてきた。佐藤さんはいろいろな問題を解決してくれたです。感謝したいが、大事業はやっておらぬ。一番大事業は、言うまでもなく日中国交を闘いた人、それが歴史に残る総理大臣である。――福田大蔵大臣、よく聞いておいてくださいよ。歴史に残る総理大臣であります。 いま日中問題でいろいろ党内で動いておる者があります。決して、先を見て動いて自分たちだけがいいという考え方はない。相当苦難な道である。藤山愛一郎氏のごときは、財界にいればいまは経団連の会長です。政界に入ってじっとしておれば、あるいは何回か後継の首相の座が回ってきたかもわからない。しかし、志を立てていま中国に行っておられる。その心境は、ちょうどあの唐詩選の最初にある「述懐」の文句の初めにある、「中原還た鹿を逐い、筆を投じて戎軒を事とす、縦横の計は就らざりしも、慷慨の志は猶お存せり」「人生意気に感ず、功名誰か復た論ぜん」、この心境で行かれたと私は思っております。 どうか、この演説を終わるに際して――初めは質疑であったが、しまいは演説です。相手が十分答えてくれなければ質問演説だ。間違いない。いまや日中復交は両国民の願いである。むなしく散った日中両軍戦士たちの叫びでもあります。天の声である。民の声である。どうかそういう悲願をもって、国民、与野党一致してこの難事業を完成させたいと私は思う。これが私のきょうの質問のとどめでございます。 ありがとうございました。(拍手)
○中野委員長 これにて川崎君の質疑は終了いたしました。 次に、広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 私の予定いたしました質問に先立って、昨日の新聞にも一せいに報道されました買収農地の売り渡しの問題について、若干農林大臣あるいは法務大臣、大蔵大臣にお伺いをいたしたいわけであります。 この物価値上げあるいは土地価格の上昇という中であえいでいる庶民大衆にとって、国民全体にとって、今回の三・三平米、一坪当たり買収当時の二円六十銭という価格で払い下げをする方針である、しかもその払い下げは公共の目的に限らないのだ、こういうような措置を農林省が農地法施行令改正によってされる、こういう報道ほど、今日国民大衆をびっくりさせたというようも憤りをすら覚えさせた問題は、最近においてない、だろうと私は思うわけであります。この問題について、なるほど四十六年一月二十日に最高裁の判決が出て、旧地主から請求があった場合に、農地法及び施行令にかかわらず、もとの持ち主に売り渡さなければならないということになったわけでありますけれども、これを受けた政府の措置、態度、こういうものにたいへんな問題があると私は思うのであります。 法務大臣、自治大臣、出てませんか。――それじゃ、自治大臣が出てくる前に、農林大臣も、昨日これは要求しなかったわけでありますが、きょう要求したので、何か病院に行かれているという話もありますので、政務次官出ておられますから、政務次官にお聞きいたしますが、この問題について農林省として、きのう閣議で決定をして政令改正をやろうというのでありますが、この政令改正の内容についてごく簡単に、ひとつその中身を要点だけここで明らかにしていただきたいと思います。
○渡辺(美)政府委員 政令の改正の中身でありますが、施行令の第十六条中「左に掲げる土地等に限り」とありまして、いわゆる公共の用に供する云々というものがあったわけでありますが、それを「次に掲げる土地等につき」ということに範囲を広げたわけであります。そこでその一つは「法第四条第一項第五号に規定する市街化区域内にある土地等又は市街地の区域内若しくは市街地化の傾向が著しい区域内にあるその他の土地等」、もう一つは「洪水、地すべり、鉱害その他の災害により農地若しくは菜草放牧地文はこれらの農業上の利用のため必要な土地等として利用することが著しく困難又は不適当となった土地」、その次に「その他自作農の創設又は土地の農業上の利用の増進の目的に供しないことが相当である土地」、またもう一つ条項を加えまして「農林大臣は、前項第七号に掲げる土地等につき法八十条第一項の認定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事の意見をきかなければならない。」こういうようにいままでの公共用地というふうなものを範囲を広げた、こういうことであります。
○広瀬(秀)委員 続いて農林政務次官にお伺いしますが、この政令改正によって、現在までの農地法八十条なり施行令の十六条なりに基づいて売り渡しをしておったものに今度追加され、いわゆる買収当時の対価相当額で売り渡しされるという、この二円六十銭で売り渡しをする対象になる――新しくこの最高裁判決を受けての立場で改正をされた場合に、どれだけ一体この対象の面積、該当農地があるのか、この点を数字だけちょっと…。
○渡辺(美)政府委員 大体この国有農地の管理状況を簡単に申し上げますと、いままで取得の実績というものは、たとえば既墾地について申し上げますれば、二百六十一万一千七百五十三ヘクタールが合計額であります。それで、それらのものの売り渡し等が行なわれまして、昭和四十五年の三月三十一日現在の国有農地は、既墾地で三千三百三十六ヘクタール、未墾地で、これとは別ですが、未墾地で八万二千五百二十二ヘクタール、こういうことになっておりまして、このうち市街化区域内にあると思われるものは、正確な数字はいまのところまだつかんでおりませんが、おおよそ一〇%、三百ヘクタール程度、こういうように考えております。
○広瀬(秀)委員 続いて、この三百ヘクタールの大体の時価というものはどの程度に調査をされておりますか。
○渡辺(美)政府委員 農林省は農地として持っておりますから、一応農地として以外の時価は調べてありません。
○広瀬(秀)委員 該当農地がどのくらいの時価でその近辺が取引されているかということについては、まだ調べてないそうでありますが、これはたいへんな額にのぼる。所によっては十万円をこえるというようなところがある。二円六十銭対十万円というこの乖離、まことに言語道断なこういう状態というもの、これに対して、国民がきわめて常識的に全く納得できないことであります。 そこで自治大臣、法務大臣を兼務なさっておりますから法務大臣としてお答えをいただきたいのでありますが、自創法によって買い上げられた、そして農地法によってずっと保護されてきた、こういうものはもう二十年をこえている。この期間に社会情勢、経済情勢というものはきわめてラジカルなテンポで変革をしてまいりまして、なるほど農地法の八十条の二項でございますか、これには買収価格に相当する価格で売り渡すということなんでありますが、この「相当する」ということについて、いわゆる法には事情変更の原則というものがやはり働くべきだ。そうでなければ、法の真の公平というものは確保されない、法の正義というものが確保されない場合があろうと思うのですが、この事情変更の原則という問題について、政府みずからどうお考えなのか。また、法の要求する公平の原則というもの、そしてまた同時に、これはもう行政行為でなくて、最高裁の判決では、民法上の取引である、私法上の取引と解してよろしい、こういうようにいわれているわけでありますが、そういう意味からいきまして、信義誠実の原則、これらの法のきわめて大きな、しかも三大原則、こういうものについて、この問題と関連していかなる見解をお持ちになっておられるのか、この点を法務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○秋田国務大臣 常識上、結論的に非常に不合理なような感はいたします。しかしながら、いきさつ上いろいろの過程がありまして、判決の趣旨等もあって、公共用地に適するものは極力それに提供をお願いをするということで、万やむを得ざる措置と考えております。
○広瀬(秀)委員 私が伺っておるのは、最高裁の判決は、市街化区域の中に入ってしまって、いわゆる自作農創設維持法の自作農をそこで発展させようというような立法の基本がくずれた場合に、こういうようなものはもとの地主に返還するのは当然であるという判決を下したのであって、この対価の面について何も最高裁は判断を下しておりません。しかも八十条の二項におきましては買収価格に相当する価格というのですね。 〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 この「相当する」という問題について、私はいま、信義誠実の原則、公平の原則、そして何よりも事情変更の原則というものが、こういう場合にこそ働くのがほんとうの法の精神ではないのか、このことを伺ったわけです。ところが、それに対して何もあなたは答えてないじゃないですか。どうぞ答えてください。
○秋田国務大臣 その点につきましては、万やむを得ず、いきさつ上こうなった、こう考えまして、時価評価その他につきまして問題点はありますけれども、初めの買収価格でお返しをするということはやむを得ないものと考えております。
○広瀬(秀)委員 全然質問の趣旨を理解していないし、全然答弁になっておりません。しかし、あなたも兼務だということで楽な気分で答えられているかもしれないけれども、兼職であろうとも、あなた自身はやはり現職の法務大臣なんですよ。その法務大臣が、私の質問に対して何一つ的確な答えをされないということはきわめて遺憾であるということ、だけで、時間の関係もありますから、大蔵大臣にひとつお聞きいたしたいのであります。 その前に、農林政務次官にもう一つ二つ聞きますが、大体農林省としては、そういう政令改正をやられて、閣議決定をされたというのでありますが、私がいま申し上げたような趣旨からいうならは、まずこの部分について農地法を改正して、そして事情変更なりあるいは公平の原則なり信義誠実の原則なりを侵さない、そういうものを今度の措置が侵しているというところに国民の最大の怒りがあるし、むしろ国民全体が驚愕し、今日これ ほど不当なことが行なわることはないじゃないかという形で怒りを燃やしているのはまさにそこにあるのですから、これに対して、何を水鳥があわただしく飛び立つように政令改正をやり、そして二円六十銭で払い下げるということをやらなければならないのか。積極的にこれほど早くやるということをしないで、事情変更の原則を加味し、公平の原則を加味して、あるいは信義誠実の原則を加味した形における農地法そのものの改正をやって国会に提出して、それからやってもおそくはないと思うのであります。重ねて言うけれども、最高裁は、この対価の問題について、二円六十銭そのものでやれということではなくて、そのことに触れてないし、法律自身も対価に相当するということをいっているんだから、そこにそういう措置が当然あってしかるべきであった。それにもかかわらず一まあ私ども国民の側からするならは、少なくとも物価上昇限度ぐらいこれを上げる、物価が当時に比べて五百倍になっているなら五百倍の値段とか、せめて一というのは、もうすでに買収するときに相当の対価は払っておったということで、最高裁判所はこれでもう問題はないんだということをこの問題についてはいわれている経緯があるし、もう一つは、この被買収農家に対する国家の補償もちゃんとやられておるわけですね。もうそれで相済みだ。最高裁判所の問題では相済み。その上になお見舞い金のようなものも差し上げているというような事態の上に、さらに今度はこういうことをやるというこの問題に対して、なぜ国会に法律改正を提案することができなかったのか、この点をまず伺っておきたい。
○渡辺(美)政府委員 現在、政府が管理をしておる国有農地は、先ほど言ったように約三千三百ヘクタールあるわけでありますが、いままでに実は売り払いの実績というのがございます。四千四百六十六ヘクタール、旧地主等に売り払いをしておる。そのうち、この旧地主の転用しない部分が二千五百ヘクタール、これらはいずれも、御承知のとおり八十条二項に、取得価格で返せという意味のことが書いてありますから、買収当時の値段でいままでも返還といいますか売り払いをやっておるわけであります。今回新しく、約三百ヘクタールというように思われる、市街化線引き内に入るであろうというような土地について、それが農地法の目的に使用されておらないというものについては地主に返還請求権がございます。これはもうすでにそういうふうに客観的に最高裁が一番権威のある法解釈をきちっと明示をした。しかも農林省の政令で公共用地に限定をするというようなことはこれは無効だとはっきりいわれたわけですから、無効である、しかも違法なことを農林省としてはいつまでも放置しておくというわけにはまいりません。したがいまして、速急にその最高裁の判決の趣旨に沿い、なおかつ、先ほど申し上げました政令を見てもおわかりのように、まず公共用地等にもできるだけ使っていただけるように、事務次官会議においてもそういうような申し合わせもして今回の政令改正、こういうことになったわけであります。 立法論といたしましても、すでにもう二千五百ヘクタール程度は取得価格で地主に売り払いが今までも行なわれてきておるし、現在新しく三百ヘクタールというようなものについては、もう権利が発生済みというふうにわれわれは考える。そうすると、それでは三千ヘクタール残っておるうち、あとの二千何百ヘクタールについては、農地法を改正してでもやったらいいじゃないかというような御意見も一部にあろうかと存じますが、いままでの経緯にかんがみて、それは非常にむずかしい。立法政策上もむずかしい。不均衡な問題が起きますので、現在のところ農地法を改正してやるということはできない。ここですでに最高裁が決定してしまった部分についても農地法を改正して、さかのぼってそいつをひっくり返すんだというようなことはできないというようにわれわれは考えております。
○広瀬(秀)委員 どうも政務次官、誤解をした答弁をしているんだけれども、私は払い下げというか売り渡しをするということについてどうこう言っているんじゃない。その対価の問題をいま主として問題にしている。この対価がきわめて国民の常識を破り、公平の原則を害し、しかも事情変更というような問題を何ら考慮してないことをやっておる。 自治大臣、これは自治大臣にお聞きするのですが、先ほど、この対象は、市街化区域あるいは市街地の中に含まれている区域、こういうようなところが大体三百ヘクタールぐらいあるんだ、こういうことでありますが、こういうところはもう自治省自身も固定資産税の評価において宅地並み課税をしようとしておる。そういう現実を踏まえて、この取り扱いについてあなた自身疑問を感じませんか。簡単に答えてください。
○秋田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、常識的にはおかしいと見られるのはごもっともでございますが、いきさつ上やむを得ない、こう考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 いきさつ上やむを得ないというまことに無責任な答えでありますが、大蔵大臣、この二円六十銭という一われわれ経済・財政問題を論議していて、最近はもう銭というのがなくなったのですね。通貨でも銭はもうない。ところが、ここに唐突として、これほど大きな、センセーショナルな問題として、坪当たり二円六十銭という価格が出された。ちょうどそういうもので、一坪払い下げてくれといったら、二円六十銭をどうやって払うのですか。
○福田国務大臣 これはあくまでも計算上の単位であります。計算して端数は切り捨てと相なる、かように承知しております。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣の答弁とも思われないのでありますが、二円六十銭、常識的に四捨五入ということならわかりますが、端数は切り捨てだといっても、たとえば何百坪も売って端数に五十銭なり三十銭なりが出たという場合と違うのですよ、一坪だけであったという場合にどうするのかということ、しかしこの問題は本筋の問題ではないけれども、そういう問題があるということは、この法の趣旨そのものが、八十条二項の趣旨そのものが二円六十銭で買ったならば二円六十銭で売り渡しをしなさいということを求めているのかどうか、この点が問題なんですよ。相当する価格というのは、それには事情変更の原則というのが当然入ってしかるべきだ、公平の原則が入ってしかるべきだ、そういう措置をなぜやらなかったのか、そのために国会に農地法改正の提案をしてからこの措置をしても、ちっとも最高裁の判決に違反をしてないのだ、こういうことなんですよ。この点、大蔵大臣としてどう思います。
○福田国務大臣 相当する価格ということは、いろいろ解釈があろうと思いますが、そういういろいろな解釈がつく、その中におきまして、先ほど政務次官からお話がありましたように、これは他にもうすでにそういう価格をもって払い下げをしておるというようなものがあるのです。それとの権衡上とも考えなければならぬ。そういう事情も考えまして、この相当する価格とは買い上げをいたしましたその価格である、こういう解釈といたしたわけであります。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣は、新聞にもこれは選挙対策ではないかというようなことがいわれておりますけれども、そういうものではないと言われるが、いまの答えはもうすでにやった例があるからというのだけれども、今度は一つの非常に大きな最高裁判決というものを踏まえた上での措置である。そういうものと、いままでにちゃんと対価は払っているのだからこれは違法ではないのだということの最高裁判決があり、その後これに対しては重ねて被買収農地のもとの所有者に対する補償というものもやった。この問題についてはもうすでに全部片づいている。それにもかかわらず今度当時の二円六十銭でやるのだということをまたやられた。このことはやはりいわゆる対価相当というものに対する法の盲点を利用した政府の怠慢の措置である、こういうように考えて私は差しつかえないと思うわけであります。しかし、きょうはこの問題ばかりやっていますときりがありませんので、私の予定した質問は主として税制の問題をやろうということでありますが、三十分もう経過しましたので、あとまた別な機会でこの問題をさらに突っ込んでやりたいと思います。 これはもうとうてい政府の答弁で国民が納得するはずのものでは断じてない。実にこれは政府みずからが国民に向かってのたいへんな不信行為を行なうこと、一部の旧地主だけにたいへんな利がある、一坪十万円をこえているような農地を二円六十銭でというようなこの対比においてどうしてもこれは納得できないことである、このことだけを指摘してきょうはこれで終わりますけれども、この問題の最後に官房長官にお伺いしたいのは、先ほど秋田自治大臣、法務大臣兼職でありますから法務大臣としてお伺いをいたしたが、これほど重要な法の基本原則の問題について、法務大臣としての見識ある答弁は聞かれなかった。まことにおざなりのいいかげんな答弁で終始されている。一日も早くこれはちゃんとした、これらの問題に答えられる法務大臣を選任すべきだと思うのでありますが、これは一体いつやられるつもりでありますか、こういうことで過ぎたのでは、法務の問題はたいへんな問題だと思うわけであります。
○保利国務大臣 大臣の任免につきましては、これは総理大臣の固有の権限でございますから、総理大臣に広瀬さんの御趣意の点は申し上げますけれども、しかし、にわかのことでございまして、閣内で適当なお方をということで、総理も慎重に選考せられました結果、りっぱな秋田自治大臣に御兼任を願うということにされました。 それは、ただいま御質問のお話を聞いておりますと、まことに専門家でもそう簡単にお答えできるような筋合いのものではないようでございますし、私は一般常識としてお答えになりました点で、この段階は御理解をいただけると思うのであります。 要らぬことでございますけれども、私は閣議に請議をされましたときに、このいきさつを一わたり聞いてみました。やむを得ない処置であろうと思いまして閣議に付議いたしましたのは、広瀬さんも御記憶でございましょうけれども、四十一年の秋ごろ、そのころ政府がこの政令の政正案を準備され、そうして閣議段階まで出たようでございますけれども、いまだんだん広瀬さんの御質問のような点について多くの方も疑問を持たれて、それでさらにひとつ慎重に検討してみようということで保留になっておったようでございます。検討されているさなかにこの事案についての行政訴訟が最高裁判所に持ち込まれ、最高裁判所でどういう判断が下されるかということを待った上で適切な措置をとらなければなるまいということで、農林省はじめずっと注意をしてきておったようですが、御指摘のように、先般最高裁判所の判断が下されまして、そうして今日まで、先ほど政務次官が申しておりますように、すでに二千五百ヘクタールからの売り渡し事例を持っておる。その売り渡している二千五百ヘクタールについてもやはり買い上げの価格をもって売り渡しておるという、そういうことからいたしまして、これは最高裁判所の判断はこの政令は違法である、したがって、この違法を早く手直しをしなければいけないということで閣議に持ち込まれましたものですから、もうごもっともなことでございましょうということで、閣僚も皆さん御異議なしに、最高裁判所でそういう判断が下された以上は、一日も違法の政令をそのまま放置しておくということはできないということできまったようなことでございます。 なお、法務大臣につきましては、これは総理大臣が考えられることでございますが、総理大臣も法務大臣のポストの重要性からいたしまして、非常に慎重に検討をされておる、私はそう理解をいたしております。できるだけ御期待に沿うようにされるように、広瀬委員のお話しの趣意は十分総理にもお伝えいたしておくつもりであります。
○福田国務大臣 この問題は、いま官房長官からもお話がありますように、ずいぶん長いいきさつがある。これをどう処置するかということにつきましては、これは議論が非常に多岐にわたって展開されたわけなんです。 そこで、問題の要点は二つですが、これは旧所有者に返すかどうか、こういう問題と、渡すときの価格をどうするか、こういう問題であります。事は法律問題である。最高裁の判決が出た、これにそむいた施策を政府がとるわけにはいかぬ、こういうことで今度の政令改正ということになったわけですが、広瀬さんは、前の点については、第一点ですね、返すという点については問題にされていないので、その価格について問題にされておるわけなんでありますが、これは農林省でも検討をされまして、慎重な検討の結果、これは相当する価格というふうな判決になっておりますが、その相当する価格とはかくかくのものであるという結論を出しておるわけです。その点を一言政務次官から申し上げさせていただきたい、かようにお願い申し上げます。
○渡辺(美)政府委員 相当する価格について、農林省はこういうふうに考えております。 法八十条二項にある買収価格に相当する価格とあるのは、これは買収対価の法意であるというふうに解釈します。なぜならば、八十条第二項においてはさらにかっこ書きがございまして、「耕地整理組合費、……」こういうようなもの等を買収価格に加算した額というようなこともあります。これはつまり、相当する価格は買収価格そのものずばりの場合もあるし、買収価格プラス土地改良費、区画整理費というような場合もある。これはこの七十二条の未懇地の買い戻しの対価についても同様に解釈をいたしております。
○広瀬(秀)委員 この問題については、もう私どもとして政府の答弁はすべて納得がいかない。しかし、特にこの際――この法律をつくった当時には地価がこんなに年率二五%、三〇%というようなことで上がってくるというようなことは全く考えられていなかった。しかも最近になって特にそういう問題が都市近辺において著しく起こっている。そういうことを全く放置してきたという政府の土地政策に対する無策ということをまず大きいマクロの問題としては指摘したいということ。そしてさらに、一部の特定の者にだけばく大な利益を与えるという、非常識な利益を与えるという、そういうものに対する内閣自体の姿勢の問題として私どもはこれは理解できないのだという問題を指摘しておきたい。 それから、保利長官からお答えがあったわけでありますが、法務大臣、ここのところ二代続きまして、一人はやめたあとのことではあるにしてもたいへんな問題である。次の法務大臣は現職においてあのようなとんでもない、国会を無視するような、野党を無視するような、政党政治を破壊するような言動をやってやめさせられたというようなことで、法務行政の権威を高からしめるためにも、法に対する信頼の回復のためにも、これは当然専任のしっかりした大臣を任命されることと、しかもこれを早くやってもらいたい。兼職であればやはり、きょう秋田自治大臣もかぜを引いて非常に高熱であるというようなこともあるようでありますが、基本的な法の基盤をなす三つの原則に対しても、この問題との関連に対してまことにあいまいな答えしかされていない。こういうことではとんでもないことでありますから、これを早急に任命されて、国民の負託にこたえられるように、この点を要望いたしまして、次の問題に移りたいと思うわけであります。 最初に、私が大蔵大臣にお伺いしたいのは、今日わが国の税制において一番大きい問題点は、やはり税の不公平ということである。このことが国民の重税感ということともきわめて密接な関連を持って、特に勤労大衆、勤労所得者、こういう人たちに一これは単にサラリーマン、労働者だけでなしに、からだをすり減らしながら働いている事業所得者、こういう人たちから見ましてもきわめて不公平感が強いというところに問題があるだろうと思うのです。 そこで、日本の税制全体の基本を私がながめてみて何が不公平な税制になっている大きい原因かと申しますと、やはり資本優遇。資本におきましては、たとえば資本の調達段階から、資本の運営、経営の段階において、あるいはまたその資本が果実を生み、利潤を生んでその配当分配、こういうような段階、格段階を通じて資本に対してきわめて優遇措置がとられている。それと同時に、ただいまの議論の中でも一部ありましたように、資産所得、土地を持っている者、大山林地主であるとかいうような者、あるいは株式その他有価証券資産を、あるいは預金をたいへん持っているというような人たちに対する至れり尽くせりの優遇措置が行なわれている。このことがやはり日本の税制を不公平なものにしているという最大の原因だと思うが、大蔵大臣はその点についてどのようにお考えでしょう。
○福田国務大臣 私は、広瀬さんと多少その考え方が違うのです。資本、資産というものは、これは非常に大事なものである。これは大事にしなければならぬ、こういうふうに考えておる。いま、とにかく大きく言いまして、わが国におきましてはその年々の所得、これは高い水準になってきておるのです。しかし、資産がない。企業においても、また個人においてもそうなのです。この資産のある状態、これが社会の安定の基本になる。これを特に優遇する、これは一般論として私は特に優遇するという考え方はとりませんけれども、それをまた冷酷に扱う、こういうような考え方をとるのはいかがであろうかというふうに思います。私は、資産、所得両方並べてみまして、いまの日本の税制は大体公平なところをいっているのじゃないか、さように考えております。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣としては、まさか野党の私の質問に対して、まことにそのとおりだということは責任大臣としてお答えになれないだろうと思う。しかしながら、たとえば資本の調達段階において、昨年度、これは最近目立っていることでありますが、時価発行のプレミアムというようなものがあるわけであります。昭和四十四年度で八社百六十四億、四十五年度では十九社で六百五十七億だ。こういうようなものが資本準備金としてそのプレミアムはそっくり非課税として法人税の対象にならないでいく、こういうような事態があるでしょう。さらに、ある電機の社長が、昨年これは大蔵委員会でも問題にしたわけでありますけれども、自己の持ち株を上場して市場に放出をした。その段階で、額面五十円に対して三百三十円の時価がついたということで、千五百万株放出をして四十二億の個人所得があった。これに対して所得税はびた一文かからない、こういうような現実を目の前にして、どうお考えでしょうか。 さらに続いて聞きますが、いわゆる給与所得者の課税最低限と、いわゆる配当だけで生活をしている人の課税最低限、これは非常に大きな乖離があるわけであります。たとえばこれは住民税一つを例にとってみますと、夫婦子供二人で、四十六年度の改正が行なわれたとして七十二万八千円である。これに対して配当所得者の場合には、道府県民税の場合には百二十九万三千円、約倍であります。市町村民税では百八十一万六千円だ、こういうことになっておるわけですね。国税の場合につきましても、夫婦子二人で大体九十六万というのが四十六年度の、初年度の課税最低限であるというのに対して、約二百七十万というようなところまで配当だけの所得者の場合には課税されない、こういう問題。 一体大蔵大臣は、いま私数字をあげたのでありますが、こういうものについて、これでも公平なんですということでございますか。
○福田国務大臣 大体において税の体系としてはまあ公平ですね、公平な内容になっている、こういうふうに思います。しかし、公平という意味がいろいろあろうと思うんですが、機械的な公平、広瀬さんはそういうような立場において議論を進められておりますが、やはり公平といいましてもその内容の面がある、こういうふうに考えるわけでありますし、私が言う公平とは、やはり機械的な意味、そういうとらえ方もしなければならぬけれども、社会全体を見回しまして、また国全体を見回しまして、このような税制措置はどうだろうかというような、国全体の施策の中における税制のあり方、こういうことも考えなければならぬと思います。 いま、広瀬さんの御指摘、具体的になるのは配当、利子、これが優遇され過ぎておるのではあるまいか、こういうことに尽きると思いますが、これも配当、つまり証券というか直接投資といいますか、これを奨励しなければならぬ。いまわが日本で国土の建設がどんどん進んでいる。また企業の設備も進んでおる。これはどこから金を求めるのだといいますれば、まず第一義的には、何といっても望ましい形は、企業がこれを証券、株式の形において調達する、これかと思うのです。これを刺激し奨励するということ、これはもうどうしても国土建設上必要なことなんです。また、それだけじゃとても足らないのが現状でありますので、そこで貯蓄の奨励、日本じゅうの人がことし手に入った金を全部ぱっぱっと使っちゃう、それで事が済むならばよろしゅうございますが、そうじゃない。やはり国にも蓄積というものが要る。その資源というものはどこに求めるかというと、やはり家庭に蓄積というものが必要になる。その蓄積の手段として株、証券というものがあり、また預金というものがある、そういうものに対しましても配慮しなければならぬ。こういう少し広い立場に立ちまして考えなければならぬ、こういうふうに思うのです。税制における公平、これはもう非常に大事なことだと思いまするけれども、それをあまり機械的に考え過ぎるのもいかがなものだろうかという感じがいたすわけであります。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣の答弁は、これは問題をすりかえているのであって、私が指摘しているのは、今日フローの面においては一般的にいわれることは、GNP成長に伴ってフローの面ではかなりヨーロッパに追いついてきたというようなことがいわれる。しかし、資産、ストックの面では蓄積の面においてたいへんな開きがあるのだ、こういうことがいわれておるわけなんです。そういう中で私がいま問題にしているのは、現に日本でも資産をたっぷり持っている階層が若干いるということなんですね。これは確かにいまの段階で少数です。しかも、広範な大衆は年々の所得を得るだけで、蓄積というものはきわめて乏しい。住宅の問題にしても、あるいは証券、資産等の問題についても。資産というものは非常にまれな人が大部分である。これはもう九〇何%はそうだというような状態、そのたっぷり現在持っておる資産所有者、こういうものに対して過度の優遇措置が行なわれておるのだということは、配当の問題あるいは利子所得の問題だとか、その他いろいろな問題について、キャピタルゲインの非課税の問題についても、そういうものに対していえるのです。そして、いま大蔵大臣が言うようなことならば、これからほんとうに資産が形成されるような税制になっているかというと、そうではないのですね。その点を、いまの状態を私は問題にしているのであって、これからそういうようにやっていくというその点については、ある程度わからぬでもない。しかし、そういうように議論がいま食い違っておる。現在その一部少数の個人の資産所有者、こういうもの、あるいはまた資本を中心にして企業活動をやる法人、こういうようなものに対してきわめて甘い課税が行なわれ、いわゆる勤労性の所得、こういう大部分の所得者に対する税制というものは非常にきびしいということから、日本の場合に、まだまだヨーロッパ先進諸国と比べても、その貧富の差というものが、税制を通じてそういうものがつくられておるのではないかということを指摘するのであって、すりかえないでいただきたいということであります。 そこで、先ほどの問題で時間をだいぶとりましたので、ことしの減税規模等についても少な過ぎるという問題で論戦をしたかったのですが、その時間的余裕もありません。いま大蔵大臣がそういうように言われた、しかも税調等においても、いわゆる課税最低限というものはゆとりある家計――ゆとりある家計というのは、少なくとも相当な貯蓄ができるというようなものを課税最低限のところにしなければならぬのだ、こういうことだったわけです。そこで私、総理府統計局でできるだけ新しい資料をと思って、実は調べてみたわけでありますが、これは平均三・八九人というのが大体今日常識になって、したがって、ことしも四人世帯をこれから標準世帯にしていこうということになったわけです。 そこで、この四人世帯の場合に見ますと、四十五年度八十八万円ということになった。ことしは九十六万三千七百二十七円ということになった。そこで去年、実は四人世帯の家計消費支出が、当寺八十七万円という数字が出ておったわけなんです。これを基礎にして大体いいではないかということだったのですが、それで八十七万円よりも一万円上回っておるじゃないかというような説明があって、課税最低限が消費支出八十七万円を上回っておった、こういう事態なんだ。ことしは九十六万三千七百二十七円になった。ところが、私の調査によりますと、これは四十五年の一月から十一月までの分は実績として出ておるのであります。それでその合計が八十七万二千三百二十八円だ。そうしますと、四十五年の十二月分が抜けるわけでありまして、十二月分、これはたいへん金のかかる時期、これを落としちゃいけませんので、統計が出ませんから、去年の四十四年の十二月、これが十二万一千九百二十七円かかっておった。これに対して一五%、やはり十二月も――そのほかの各月も四十四年に比して大体一五%平均ぐらい上がっておるわけですから、十二月についてもまあ大体一五%上がったものとして計算をいたしてみますと、百一万一千五百九十九円という数字が出るわけであります。課税最低限はことし改正をした、かなり野党の言い分も取り上げたということを言って自慢なさるわけでありますが、九十六万三千七百二十七円である。こういうことになりますと、これはもう消費支出の実態というものは、四人世帯で百一万をこえておる。ところが、課税最低限がカバーするのはわずかに九十六万円である。その間に五万も開きができてしまっておる。これは生計費に食い込んでおる、もうすでに課税が。そういうことを証明するわけでありますが、この点について、それじゃどうなんですか。
○福田国務大臣 まあ百一万円というのは、大体そんなところにいくかもしれませんが、これはあくまでも平均の話なんです。平均の消費支出が百一万円だ。そこへ課税最低限が九十六万円までいった、私は、これは非常に良好な状態ではあるまいか、そういうふうに考えます。
○広瀬(秀)委員 そういうお答えをするだろうと私も想像をしておった。しかし、これは平均だというならば、それよりも以下の人もたくさんとっているわけです。それから、その上の人もとっているわけです。われわれの分も入っている、会社の重役も入っているのです。そういうようなものの平均だ、こうおっしゃるわけです。それでは最低というのは一体何なんだ。これは平均的に出ている。平均で論ずる以外にないじゃないですか。標準世帯だという、標準生計費だという、そういうもので論議する以外にどこに論議がありますか。最低でいくならば、あるいは五十万で消費支出を押えている超倹約家がいるかもしれない。そこに置くのですか、それをカバーすればいいのですかということになる。やはりあくまで平均的なものをカバーしなければ、課税最低限というのはいけないんじゃないですか。そうだとすれば、ことしのあれは、あまりにもミニ減税であった、所得税減税がまだまだやり足りないということを示すんじゃないですか。あなたは、それは平均なんだ、いわゆる最低生計費には食い込んでいないんだと言う。それならば、そのことはどうやって立証するのですか。
○福田国務大臣 生活の最低限、これはその国の国力だとかあるいは社会環境、そういうようなことでずいぶん違ってくると思うのです。ことしの生活最低限は、もう来年はまた同じものではない、また前進する、そういうふうに思いますが、いま九十六万円というわが国の課税最低限は、とにかくイギリスや西ドイツ、これよりも上の水準をいっている。こういう一事をもちましても、この最低限が決してそう酷なものではないということがおわかりになるのではないか、さように考えます。
○広瀬(秀)委員 またそういう筋違いの答弁をされるわけでありますが、日本の場合には、先ほどあなたの言う考えを言うならば、そう資産所得者を優遇していないんだというようなことを言っているけれども、そういう方向に持っていきたいんだというのですね。資産所得がたっぷり、有価証券資産でも、あるいは家屋、土地、住宅というような、そういうストックをやはり豊富に労働者、勤労大衆も持てるようにするんだ、こういうようなことを考えるならば、もっとこういう人たちを対象にしなければいけないのでしょう。その対象の基本になるのがこの問題じゃないですか。ゆとりある家計と言えますか。もう勤労大衆は、特に労働者は、サラリーマンは、この平均世帯よりももっと貧しいところに生活を落として、少なくとも課税最低限以下の生活を強制的にして、そして貯蓄を生み出しなさい、あなたはこうおっしゃられるわけですね。――そういうわけですか。
○福田国務大臣 私は、財政の目標といたしまして、企業には蓄積を、個人には貯蓄を、こういうことをよく言っておりますが、そういう方向を大きく目ざしておるのです。さらばこそ、四十五年にはかなりの規模の所得税減税をやった。しかるにもかかわらず、四十六年度におきましても、なお引き続いて所得税減税をする。これは家計にゆとりを生ぜしめたい、こういうことです。 それから、いま予算の御審議を願っておる。これは、かなり弾力性のある大型の予算を提案をいたしておるわけです。これは何か、こう申しますれば、どうも景気が落ち込みそうだ、それではいかぬというようなことに財政を機能せしめたい、こういうような考え方。それで、企業にも家庭にも蓄積を与えたい。六〇年代は量的成長の時代であった、しかし七〇年代は質的成長の時代であるという、その質的成長という中の一つの大きな柱は蓄積、社会における資本の充実、家庭における資産の形成、そういうものです。現にそういう方向のいろいろな施策を今国会でも御審議いただく、こういうことになっておる次第でございます。
○広瀬(秀)委員 その抽象的な立場でおっしゃることはよくわかるのだが、ことしの課税最低限が少しまだ上げ足らないではないか。私どもは、四人世帯で百三十万ぐらいまでことしあたりやるというのならば、いまあなたがおっしゃったとおりに、大体それに近いものになるだろう、こういうことを認めておるわけです。去年は八十八万円の課税最低限に対して八十七万円の実態生計費である、これは平均であるけれども。そうして、あなた方の予想問答集でも、やはり課税最低限を論ずるときには八十七万円という消費支出との関連において論ずべきであろう、こういうことを言っておられるわけだ。それがことしは逆転をいたしましたよということを私は数字をあげて──しかもこれは今日取り得る資料で一番新しい資料だ。ただ四十四年の十二月分を一五%増しでプラスしたということが百一万円になったということなんで、大蔵省の事務当局に聞いても、これはあたりまえのことで、私が水増し計算したのではないと事務当局も認めておられる。それが五万八千円も開きが出ておる、こういうことになっている。このことについては、これは大臣がどう答弁されようとも、私は、ことしの標準世帯の課税最低限というのは低きに失している、ゆとりある家計、いまおっしゃったそういう方向を目ざすのだというものとまさに逆転して、もうゆとりある、貯蓄などのできる家計の今日状況ではない。しかもそういうものに税制が食い込んで、そういう中から税金を取り上げているということにつながるのだ。 〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕 こういう状態になっているということ、この事実に対して、もう所得税改正は、大体長期答申も一巡したから、一段落したんだから、今度はこっちはあまりやらないでというような方向ではいけないのであって、その辺のところに対して、これは来年のことを言うと笑うかもしれぬけれども、ことしかりに所得税において自然増収が予想以上にあった、そういう事態を想定したら、年内減税でもやって、少なくともこの程度の差というものは、去年もそういうことで課税最低限のほうが一万円高かったのだから、ことしも課税最低限をそのぐらい上げるぐらいのことはやれませんか。当然やるべきだと思うのです。
○福田国務大臣 私は直接税の減税には非常に熱心なんです。これは広瀬さんもよく御承知のとおりなんで、ここでおしかりを受けようとは思わなかったのですが、ただ、消費支出四十五年度百一万円、これはあくまでも平均の話なんです。これを目安にする、これはいいです。しかし課税最低限がそれを上回らなければならぬ、そういうふうには考えません。 しかし、それはそれといたしまして、私は、日本の租税体系というものが直接税にどうも少し片寄り過ぎている。これはぜひ是正したい。その主軸は所得税の減税に置きたい。所得税の減税のまた中心は何であるか、こういいますと、課税最低限を引き上げるということに置きたい、そういう方向で今後の税制改正には臨んでいきたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 自治大臣に質問いたします。 自治大臣は、昨年大蔵委員会に来ていただきまして、私質問をいたしたのでありますが、その際に、住民税の課税最低限と所得税の課税最低限が三十万近くも離れているという状況を幾ぶんでも改善をして、できるだけ近づけていきたいということをおっしゃったわけでありますが、ことしの状況を見ましても、まことに微温的であって、まあ幾らか気持ち程度があらわれたというだけであって、これは昨年の答弁とは、まさに私は、羊頭を掲げて狗肉を売るというたぐいの改正でしかない、こういうように考えるわけですが、この点について一しかもそれをやったら地方財政にたいへんな影響を与えるということが理由のようでありますが、この住民税は大体地方財源の一一%か一〇%ぐらいだ、それだけに、これは所得税と同じにしなくてもいいんだ、いうならば地方税というのは、いわゆる応益原則により多く問題があるんだ、応能原則ではないんだ、そういう特殊性があるんだということを言われるが、一一%の資金にしか当たらない、その分についてそう表面切って言うことはおかしいのであって、この点については、今後もっとこの課税最低限の差を急速に詰めていくお考えがあるかどうか。この点お伺いいたしたい。
○秋田国務大臣 昨年度は、所得税の課税最低限一と住民税のそれとの差を一万円縮めたわけです。ことしは、二万円縮めたわけでございます。わずか二万円じゃないかというお説でございますが、なかなかこれは相当の苦心を要するところでありまして、ひとつお認めを願いたいのでございます。 しこうして、今後の問題でございますが、所得税と住民税とは性格が違います。この点は税制調査会の長期答申にもうたわれておるところでございますので、課税最低限を限ずしも同一にしなければならないという理屈はないと思います。しかし、住民の負担を軽減することは当然われわれの考えなければならないところでございまするから、国民生活の水準の推移あるいは所得税の課税最低限の推移、地方財政の状況等を勘案いたしまして、事情の許す限り今後も住民税の課税最低限を引き上げて住民負担の軽減に資したいと考えております。
○広瀬(秀)委員 十分やってもらいたいと思います。 大蔵大臣には、この問題について私が指摘したようなことが、去年の場合の論議の過程とことしの過程において、それが逆転しているという状況がことし出ているんだから、これは動かしがたい事実なんですから、この点については十分ひとつ、あなたももう一ぺん考え直していただきたいということを強く求めて、次の質問に移ります。 貸し倒れ引き当て金の問題です。これも、昨年大蔵委員会で十二分に問題にして、問題の所在はわかっておるし、総理も本会議の阿部君の質問に対しまして、これはまことにおかしい、十分検討するというお答えをしておったが、今度何らの措置をされなかったわけです。とり得る資料で一番新しいものでちょっと数字を申し上げますと、貸し出し金の総額が四十兆八千六百八十三億円、そして貸し倒れ引き当て金額が七千六百三十一億円、法定の限度額は六千百三十億円である。それに対して滞り貸し金、償却費と申しますか、これが百三十八億九千万円、こういう状態でありまして、これは引き当て率としましては千分の〇・三、四くらい、これは全金融機関を平均いたしましてこういう状態であります。これはその引き当てを、このように実際の引き当てと乖離したものをやることによって、金融機関に非常に巨大な、一年洗いかえはするけれども、少なくともその年それだけの内部留保を認めて課税繰り延べさしてやっているという、まことに金融機関に対する過保護である。全くおかしいわけですね。こういう状況であるにもかかわらず、何らことしこの点についての是正、改善の措置をとらなかったということについて、一体大蔵大臣はどうお考えでしょうか。
○福田国務大臣 御指摘のような問題はあるわけであります。そこで貸し倒れ準備金は、ごく大まかな業種別をきめまして、その業種ごとに準備金繰り入れ率をきめておるのです。これをいまお話の金融機関について見ますると、そのきめられた繰り入れ率と実際の貸し倒れ率との間にたいへんな乖離がある。これは昨年も御指摘にあずかりまして、この乖離をどういうふうに考えるかということは、その当時の政府側の答弁に従いまして検討をいたしております。ことしのこの国会に、その検討の結果を税制改正案として御審議を願えるとたいへんよかったのです。ところが、それが間に合わない。間に合わない理由は、金融機関がそういう低率の貸し倒れ準備金であるということは、これは貸し倒れの認定、これは大蔵省の銀行検査官がやるわけなんです。これは金融機関の内容をよくしたい、堅実なものにしたいというので非常にきびしいのです。他の業種と非常な権衡を失しておる点があるのです。これを多少ゆるめて考えなければならぬかなと、こういうふうに考えるに至りまして、いまゆるめた場合においてその貸し倒れ率は一体どういうふうになるかということをいま検討をいたしております。その検討が済みますると、その検討の結果に従いまして、準備率の乖離が、それでも生じておるという状態でありまするとこれが是正をする、こういうふうな段階を考えておるわけでありますが、おそらく昭和四十七年度の税制改正におきましては処置ができるのではあるまいか、さように考えております。
○広瀬(秀)委員 時間がありませんので、詳しくこの問題を論ずる時間がないのですが、とにかくこれは銀行に対する過保護の最たるものであるということがいえるわけで、銀行の債権にはほとんど担保がつけられておるというのが現状なんです。その上にこれだけの貸し倒れ引き当て金が、千分の三じゃないんですよ、千分の〇・三ですよ。都市銀行のごときは千分の〇・一、二というようなところなんですよ。こういう、これこそまさに天と地ほどの差がある。こういうものが今日まで行なわれてきて、しかも昨年大蔵大臣も答弁し、また総理も検討すると言ったから、われわれはもう当然ことし出てくるだろうと期待しておったのだけれども、これが出てこなかったということに対しては、やはりどうも金融界の圧力に安易に総理大臣以下、現内閣が屈服するのではないか、そういう圧力のぜいではないかと、こう疑っても、これはおかしいことじゃないだろうと思うのです。そのことを指摘して、いま四十七年度には必ず出すということ、これはあなたの確約だと、私この際了承をしまして、この問題についてはこれで終わりたいと思います。 そこで、だいぶ時間がなくなってしまいましたが、通産大臣お見えになっておりますが、あなたのほうの所管の問題で、租税特別措置が、これは通産からの要求に従って行なわれる。通産省が産業界の代表でありあるいはそういうものを反映して、中小企業の代表でもあるわけですけれども、そういうことを反映して産業体質の改善、企業体質の改善あるいは企業の再編成、合理化、こういうようなもので数多くの措置が税制の中に取り入れられておることは、あなたも御存じだし、またあなた自身こういうものについて特別措置をやってもらいたい、今度の場合でも、特恵を供与する、それに従って関連産業が問題になる、これについてもこうなるというようなことで、税制についての優遇を要求されたわけでありますが、私この一つ一つについて実はきょうやりたかったのですが、少し時間がありません。特に問題になるのは探鉱関係の問題、新鉱床探鉱費のいわゆる特別控除というような問題は、まさにわずか八社ぐらいのところに対してたいへんな所得控除をやっておるというようなこともあるし、あるいは中小企業の合理化というような政策を進める際に、その合理化機械の特別償却を認めるというようなことなんかも、いろいろあるわけなんですが、そういうことを一つ一つ実はあなたにもお聞きしたかったわけでありますが、時間がありませんので、ただ一つだけ。 大体この特別措置というのは政策減税である、かくかくの政策効果をあげたいんだということで問題を出される。しかしながら、そのような政策効果というものが一体どういう形で出てきたのかという証明はいまだかつてなされたことがないのです。こういう問題について、あなた方は少なくとも中小企業合理化の問題で要求された、その結果がこの減税をやることによってどうなったか、あるいは重要機械の免税をやった、その結果がどうなったのかということを、ちゃんとそういうものについて、それだけの財政援助を与えているのですから、補助金に類するものを与えているのですから、隠れたる補助金といわれる優遇を与えているのですから、その結果について必ず、これはやはり要求した企業側を代表する官庁として、追跡し調査をする、そしてどれだけの政策効果があったんだというようなことを証明すべきだと思うのです。これが国民に対する義務だし、大事な公平の原則を害してまで行なっているものに対するやはり国家の責任でもあろうと思うのですが、そういうようなことをどういうようにお考えになり、その問題点についてどうお考えになっておられ、またどういうようにそういうことをやった例があるかということについて、二、三例をあげて、かくかく効果をあげましたというようなものがあったら、ここではっきり政策効果について証明をしていただきたいと思うわけです。
○宮澤国務大臣 租税特別措置法の関係は、御指摘のように、そのときの政策目的を助長するという意味で行なわれるわけでございますから、マンネリズムになりませんように絶えず検討していくことが必要である、御指摘のとおりだと思います。 昨年、たとえば輸出振興関係で広瀬委員と総理大臣との間に、委員会において質疑応答がありまして、その御趣旨などもくみながら、私ども今年は輸出関係のものについてかなりの見直しをいたしたわけでございます。所得控除、それから市場開拓準備金等々は、いわゆる輸出貢献企業というものからかなりのものを削りまして、新しい政策目的であります海外投資あるいは海外資源、あるいはいま仰せになりました特恵、または公害等等に、いわば財源をそちらのほうにむしろ優先権があると考えたわけであります。 そういう努力は絶えず怠らずいたしておりますが、たとえば探鉱でございますと、御指摘のような準備金あるいは減耗控除というようなものをいたしまして、この五年間に探鉱費の支出が、過去この制度創設前の五年間の二倍以上、四百六十九億円になっておるそうであります。前の五年間は二百四億円だそうでありますが、政策としてのメリットはかなり上がっておる。 御指摘のように、そのいずれの部分が租税特別措置法の効果であるかということを区別して申し上げることは非常に実はむずかしいであろうと思います。確かに効果があった、そうして実績がこのぐらいふえておりますということは申し上げられても、そのうち何がしが租税特別措置法の直接の効果であるかということは正確には申し上げにくいと思いますが、絶えずそういう努力を怠ってはならない、私どももある程度の前提なり仮定を設けましてでも、その租税特別措置法のメリット分が幾らあるかということはできる限り追跡をしてまいらなければならない、そういうふうにつとめたいと思います。御指摘の趣旨は、私はごもっともなことだと思います。
○広瀬(秀)委員 この問題は時間がありませんのでこの程度にして、いずれ大蔵委員会において通産大臣にもおいで願うようなことで、もっと詰めた議論をしてみたいと思います。そこで次の問題に残念ながら移らざるを得ないのでありますが、もう時間があまりありません。 最後にお伺いいたしたいのは、医者の社会保険診療報酬の所得計算の特例、これは今日税制の中で一番不公平な問題だといわれておるわけであります。 先ほど通産大臣が答弁されたわけでありますが、輸出関係優遇税制の中に八割まで所得から落とすというようなこともあって、まあこれから見れば医師もそれほどではないじゃないかというような議論をなす人もあったようでありますが、これは今回改正されてその半分くらいになったわけですから、これは一歩前進である。しかし、この社会保険診療報酬は、これは二十六年の閣議了解以降、ずっともう二十年にわたって、しかも期限が付せられずに続けられてきている。この法律ができたのは二十九年でありますが、それから数えましてももう十六年以上たっておるわけであります。その際国会の附帯決議がついておるわけでありまして、これは議員立法であることは御承知のとおりでありますが、社会保険診療報酬の適正化の実現まで暫定措置であるから、政府はすみやかにこれが実現をはかるよう善処されたい、ということが、その法案が通ったときの附帯決議であるわけです。これをたてにいたしまして、昨年、大蔵大臣もまた総理大臣も、総理大臣の答弁は、前略ですが、「たいへんな問題だと思います。お医者さんでも、病院につとめる人と開業医とでは特別な違いがある、その不公平だけでもたいへんなものだ、かように思いますので、こういう問題はやはり税の問題として取り扱うべき問題だ。」、税の問題として取り扱うべき問題だと、こう総理大臣はおっしゃっている。福田大蔵大臣の答弁も、これは読み上げることを避けまするけれども、医療費の単価問題につきましては、これは医療費の根本的改正という問題がありまして云々ということで、これと関連して最終的に処置したいのだということで、これでもやはりある程度積極的な姿勢を示されたのです。示されたんだが、一向にことしもやられていない。しかも税制調査会は何回となくこれを廃止せよという答申を出しておるわけです。三十一年以降ずっと何回も出しております。廃止せよということをはっきり三十一年、三十三年、三十五年、三十八年、三十九年、四十二年、四十三年、四十五年、みんな税調ではこれを廃止しなさいということを求めておる、これを全然やらない、こういう状態。このことについて、大蔵大臣が言いました医療の診療報酬制度のいわゆる適正化というものについて、一体厚生省は、大蔵大臣の答弁はそういうことになって逃げておられるのだが、それでは報酬体系などを含めた報酬制度の適正化というものについて、どういうように作業を進め、どういうめどを持っているのか、まずこの点を明らかにしてもらいたい。
○内田国務大臣 いまの税金の問題に関連をいたします診療報酬の適正化のことでございますが、これにつきましては、先般来当委員会でも御議論があったわけでございますが、医療保険の抜本改正の車の両輪のような形で、最終的にその結論を出さなければならないことでございますので、私どものほうでは、御承知のように昭和四十四年、一昨年の夏に、診療報酬の適正化をも含めました医療保険の抜本的改正につきまして、社会保険審議会並びに社会保障制度審議会に、一つの考え方まで添えて諮問をいたしておるわけでございます。ところが、これは非常に広範多岐にわたる問題でございますので、両審議会とも非常に御勉強くださっておりますが、なお最終的な結論、答申にまで至っておりません。特にこれは余事でございますが、そのことに関連いたしまして四十五年度におきましても抜本改正への第一歩の改正は私どもはしなければならない点がございますので、両審議会に審議の促進も実は申し入れたわけでございますが、ちょうどここにごく簡単な両審議会の文章がございます。一つは社会保険審議会からの文章で、これは昨年の十一月二十五日、暮れの二十五日でございますが、これは非常に複雑多岐な問題であるから、結論を得るにはなおしばらく時間をかしてほしい。四十六年度の措置については、これはいろいろ意見があるが政府の考え方で処理しろ、こういうようなことでございます。したがいまして、診療報酬についての抜本的適正化の時期には、なお若干時間が要ると私は考えております。 なお、ついででございますが、私も税のことに携わってまいりました一人といたしまして、税は、お医者さんの税であれ、サラリーマンの税であれ、中小企業の税であれ、すべて横に見て公平でなければならないと考えますが、同時にいまの医療というものは、国民皆保険の制度で、診療報酬の請求などにつきましては、御承知のとおり各月末の何日か、医療機関の方々がその請求のために非常に時間を費やして苦労をされておりますので、税の公平の問題はもちろん必要でありますけれども、税の簡素化というようなことにつきましても、私はぜひ医療機関の税につきましては考えてあげてしかるべきではないかというような考えも持つ者の一人でございますことを申し添えさしていただきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 厚生大臣は、担当大臣としてある程度考えるということを言われたわけですね。現在七二%の経費の概算控除だ、こういうことになっている。これは特別措置の中でも、先ほどちょっと例をあげたようなあれを除けば、これが最大の所得控除であり、実に完全な不公平税制の最たるものだということが、いまや国民的な常識になっているわけですね。しかもこれに対して、そういう国民世論の高まりに従って、国税庁が――これはまあ中間調査であるということはいっておるけれども、産婦人科医が五九・六%である。外科が五七・一%、内科が五一%、歯科四七・九%というように、平均しましても五一%の経費しかかかっていないということが、千名の調査によってはっきりしているわけです。こういうような実態調査、これは中間調査だというけれども、これは有力な資料である。七二%の経費の概算控除を認めるにはあまりにも実態調査ともかけ離れているではないか。少なくともこういう実態、このことが、国民の納税意識、重税感というようなものを一そうあおる一つの大きな問題にもなっているというようなことで、これはやはり医師の倫理との問題も関連して一しかも今日脱税の問題などではいつでもお医者さんが出てくる。こういう概算控除を受けたほかになお脱税があるのだという、こういうようなことでは、これはやはり国民の医師に対する信頼、信望というようなものにとっても、医師にとっても、これは社会生活の中で非常にマイナスになるのではないかということも考えられるわけです。医療の質が非常に向上するということはたいへんけっこうなことで、それを私ども願うけれども、少なくともそれは別な方向で考えることが幾らでもある。税制の面でこのようなメリットを与えてやるということについては、これはどうしても納得ができないわけであって、それでいまおっしゃるように、あなたは制度改正とにらみ合って、すなわち附帯決議の趣旨に従って医療保障制度の抜本改正というか、そういうものだと言う。そうして、それではその作業はどう進んでおるかというと、これはかいもく見当がつかない。どこになったら適正化なんだということが言えない状況だ。そうすれば無期限にどこまででも続くということです。このようなことで国民の税に対する信頼というものは回復されない。やはり不公平感というものがここに集中して出てきている。したがって少なくともとりあえず一もうすでに四十二年の十二月、四十五年の二月、こういうようなところにおいて、いわゆる診療報酬制度の適正化のための措置は積み重ねられてきているのですね。そういうような段階において、やはりこの実態調査の結果というものを尊重した形で、とりあえず暫定的に六〇%なら六〇%まで、あるいは五五%まで落とそうかというようなことを暫定的にでも考える。そして適正化のほうは、厚生省も海のものとも山のものとも、どうともとれないようなあやふやな答弁では、これはそういうことがこれから何年続くかわからぬという状況なんです。こういう段階において大蔵大臣は、いつこの問題について断を下し、税の公平を回復するか、この点についてひとつはっきりさしてもらいたい。
○福田国務大臣 医師の所得に対する所得税の特例ですね。それが公平という租税体系から見て問題があるという御指摘につきましては、私は何らこれに反対する意見を持ちません。ただこの問題は、これは広瀬さんもよく御承知のようないきさつがあります関係で、そう簡単な処置ができない。そこで今日までじんぜんとしておるわけでございますが、しかしながら、これは私も非常に頭を痛めておる問題でございます。何とか早くこの問題の決着をつけたい、かように考え、そのプロセスを一体どういうふうに持っていくかということなんです。医療の抜本的改正、これと関連がある。特に医療費報酬、この問題と深く関係をするわけでありますが、何とか早く決着をつけたいということで、ひとつくふうをしてみたい、こういうふうに考えておるのですが、いつどうするというところまで申し上げる段階までまだきておりません。
○広瀬(秀)委員 昨年の私に対する答弁と全く同じ繰り返しであります。一つも前進がありません。しかもことしも税調は、これについて早急な改善、是正の方策をとれ、期限をつけろというようなことがいわれているわけです。三十一年以降ずっともう十回近くも廃止しろ、そして最近では、あまりにも廃止しろ廃止しろ、こういってきたのに、ちっとも大蔵省やらぬものですから、是正、改善の措置にせめて期限をつけろというように一歩後退したけれども、その肝心の医療保障制度あるいは診療報酬制度の改善というものについては、主管の厚生省のほうで、いつになったらできるかどうにもわからない。特に技術料の問題だとか、あるいは物と技術の分離だとか、点数単価の問題であるとかというような根本問題というのは、なかなか手がつかない状況にある。そうすればそのままの姿で進む。そうではなくて、やはりそのほうをほんとうに円満に促進をさせ、適正化がより一そう促進されるためにも、やはり税制の面では区切りをつける。すなわち、先ほど申し上げたような実態調査の数字もあるのですから、それをまあほんとに少し上回る一みな実態以上にカバーされるわけだけれども、かりに六〇%とするというようなことをやっておけば、それでその適正化のほうが、診療報酬制度の適正化というものも、そしてまた体系化というものも、むしろ進むのではないか。それから、医者の技術料をどう評価するかというような問題も、逆にそういう中において今度は適正化の方向というものが進むのではないか、こういうことも考えれば、去年と同じような答弁の繰り返しでは私は満足できません。もう一ぺん答弁してください。
○福田国務大臣 今日この段階では、去年と同じような答弁になるわけですが、私どものこの問題に対する取り組み方ですね、これは、深く沈潜しながら進行はいたしておるわけです。なるべく早くこの問題の処置はつけたい、とこういうことで、ひとつお許しを願いたいと思います。
○広瀬(秀)委員 時間がオーバーしましたので、これでやめますが、この問題は、また引き続いて大蔵委員会においても十分やりたいと思います。もっとやはり税制の問題については原点に立ち返って、今日ほんとうに公平が侵されている税制というものについて、体系的に、もっともっと真剣にこれを是正する方向というものに対して、大蔵大臣、もっと真剣に考えていただきたい、このことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
○中野委員長 これにて広瀬君の質疑は終了いたしました。 午後は、二時から再開することとし、暫時休憩をいたします。 午後一時十一分休憩 ――――◇――――― 午後二時一分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質疑を続行いたします。相沢武彦君。
○相沢委員 私は、本論に入る前に、国有農地の旧地主への原価売り戻しの問題につきまして、一言触れておきたいと思います。 午前中も野党議員からるるきびしい質疑があったわけでございますが、現在、土地問題は、国策として総合的な施策をしていかなければならない、土地利用計画からいっても非常に大切だ、住宅や道路また地域開発と、非常に山積みしている問題と連係しております。公共用の土地の先行取得は、建設省にしてもまた大蔵省にしても、また政府の地価対策協議会で決定されているはずでありますし、いまこそ国やまた地方公共団体が、国有農地の処理を土地政策全体の上から配慮すべきときが来ておりますし、そういう論議がなされている。にもかかわらず、今回政府がとろうとする措置は、一部の旧地主の利益を不当に守ろうとする政府の独善的措置である。結局、自民党の土地政策の不在をあらわすものであり、また、こうした措置に対する国民感情を無視した行き方である。私どもは、この問題を重大な政治問題として、政府の措置に対する断固とした追及を行なっていきたいと思うわけでございます。 午前中に、政務次官は農地法の八十条二項をあげられていろいろ弁明されておりましたけれども、最高裁の判決も、売り戻し価格については何ら触れておりませんし、また法的にいっても、事情変更の原則から、元値で売り戻す必然性はないわけでありますが、この点に対する御答弁をもう一回お願いします。
○渡辺(美)政府委員 すでに御承知のとおり、農地法において、売り払うべき場合には、これは買収価格相当額ということをいっておるわけであります。今回、政府が公共用地等に緊急に転用して、まず転用されることが確実なものに限ってだけ売り払いをするという政令を出しておったところ、それは違法な、無効なものだという決定になったわけですから、それによって、最高裁の決定ですから、それに従って売り払いをする。 しからば、その価格ということになりますが、それはもう法律で明定をされております以上、やはり買収価格相当額ということになるわけでありますから、買収価格そのものの場合もあるし、それに区画整理、土地改良等で国が金を出しておれば、それを加算するという場合もございます。
○相沢委員 この問題は、もう単なる政令委任でやるべき小さな問題じゃないと思うのですね。渡辺さんにお尋ねいたしますが、あなたは法律家でいらっしゃいますか、それとも政治家でいらっしゃいますか。
○渡辺(美)政府委員 私は政治家でございます。
○相沢委員 農地法で農地解放された時点とその後の高密度化された現在の社会情勢から考えても、国有地の位置づけというものが大きく変化しているという現状認識、また国民全体の福祉の公平の原則あるいは事情の変更の原則というものをわきまえて、政治的な配慮を十分にしなければならない、こういう時代ではないかと思うのです。政府の今回のやり方は、先ほど申しましたように、最高裁の判決に便乗した自民党の選挙目当ての対策、こういう批判も世間でいわれておりますが、その批判は全くそのとおりだ、こう思わざるを得ないわけであります。法律に違反しないからかまわないのだ、そういう政府の態度、姿勢がいまただされているわけではございませんか。昨日も参議院の予算委員会におきまして、わが党の議員より安中の公害問題について追及なされましたけれども、そのときの御答弁でも、法律に反する事実はなかった、だからいいんだ。違反さえしなければ国民の健康がどうであろうとかまわない、そういう政治姿勢が問題だということを私どもは言っておるのであって、それに対して政府も、姿勢を改める、こうおっしゃっているじゃありませんか。 どうも納得できないのは、旧地主に対して、政府はこれまでにも手厚い優遇措置を講じてきているはずです。買収のときに二円六十銭という価格で買い上げ、それ以外にも奨励金といいますか協力費というものを与えて、さらに四十年の六月にも報償金を出しておりますね。その四十年六月の報償金の総額は一体幾らになっておりますか。
○中野委員長 総理府、だれかいますか。――
○相沢委員 けっこうです。時間がもったいないので、こちらのほうからお話しします。 その当時は一千四百五十六億円というお金を報償金として出しておる。当時の財政規模から考えて、これは相当な額であります。こういう手厚い保護をしているわけでありますから、一たん所有権というものは一応否定されていた。一般の買い上げとは根本的に意味が違うと思うのです。しかもこの千四百五十六億円というものは国民の税金によってまかなわれているわけです。しかも今回三・三平方メートルを二円六十銭、こういう安い値段で売り渡すということは、常識的に考えても、とてもでないけれども、平均して現在の価格は三・三平方メートル十万円という価格になっているそうでありますが、あまりにも大きな開きがある。これでは国民感情としては全く納得できないというのは当然だろうと思うわけであります。 農地法の改正を考えなきゃならないということはこれまでに言われてきた。たしか四十一年のときだったと思いますが、自民党でも特別立法をつくって、国有農地は遊園地などにつくりかえる、こういう松野私案が出されたそうでございますが、どうしてその後国有農地を公共用地にしていくという努力をなさらなかったのか。もっと早く手を打つべきでなかったのか。現在、住宅あるいは災害避難用地というものを公共用地によって至急取得しなければならない。先日もロスアンゼルスの地震等で、もし日本にも大震災が起きた場合にどうするかということで、いろいろ論議されておりますが、その災害用の避難用地ということも、非常に身近な問題としてわれわれは早急に解決をはからなければならないという時点まで来ている。そのことを考えますと、今回の政府のとられた措置というのは全く納得できない。たとえば水田五万ヘクタールの転用等についても、地方公共団体が先行取得をするために利子補給までやっているではありませんか。どうしてもっとこの問題に対する慎重な検討をしようとなさらないで、最高裁の判決がおりたので、農林省でいつまでもかかえておきたくない、これは幸いだということでこういう措置をしたということは、全く国民をなめた行き方だ。これはもう政治道徳の問題になってくると思うのですね。 先ほど申し上げましたように、私は、単なる政令委任や何かでやる問題ではなくて、当然これは立法措置を講じて国会の議決を経るべきだ、こう考えます。その点についての政務次官及び大蔵大臣の御返答をいただきたい。
○渡辺(美)政府委員 まず最初に、法律違反でなければいいのかというお話でありますが、われわれは政令を出して公共用地に制限をして売り払いをしよう、こういうことでやってきたところが、それは法律違反であるという最高裁の決定が出たものですから、その法律違反のままの状態ではいられないから、法律違反にならないように姿勢を直しましょう、こういうことにしたのであって、法律違反でなければいいというんじゃありません。いまのままでは法律違反になりますから、法律違反にならないように政令を改めたということでございます。 それから報償金の問題でございますが、これは確かに一千四百億という金が出されておりますが、それはもう二百六十一万ヘクタールという膨大な買収農地に対する一つの報償金という形で出されたわけでありまして、その全部がいかにも国有農地に残っておるような印象を与えておりますけれども、現在残っておるのは、二百六十一万ヘクタールの中で農用地に使い切れないで残ったものが三千ヘクタールある、こういうことでありますので、御了解をいただきたいと存じます。 それからなお、立法措置を講じろ、別にやれ、こういうことでありますが、午前中もお話しを申し上げましたけれども、すでに買収農地の中で約四千ヘクタール程度いままでに売り払いをいたしております。その中で旧地主に売り払いをされたものがおおよそ二千五百ヘクタール現在までにございます。ところが、裁判等が出てまいりまして、ともかくそれに対する非常な議論が出たということで、結局それを慎重に取り扱って今日に来たわけです。 それで、まあ法律を改正しなければ時価で売るというようなことはできません。しかしながら、すでにいままで買収価格相当額で二千五百ヘクタール売っておるし、現在の判決によって市街化区域と目される約三百ヘクタールの、数万になりますか、その人たちにはもう元値で返してもらえるという権利が発生してしまっておりますから、それと全然取り扱いを、違った法律を今後つくるということは立法政策上も非常に困難である、かように考える次第であります。
○相沢委員 簡単にお願いします。
○福田国務大臣 ただいま政務次官からお答え申し上げましたとおり、法律に準拠すればそれで何事もいいのだというのじゃないんです。この問題は、もしいままでのような行き方でありますれば、これはまた訴訟が起きて、そしてまあ最高裁では終局的にはひっくり返される、そういうことが明らかになってきた、そういう案件であります。したがいまして、最高裁の判決に合うように政令を整えまして、そしてこの問題を処理したい、こういうことでありまして、いろいろ長い間これは議論のあったところでありますが、まあ事ここに至るというか、最高裁の判決まで下された、これに準拠するということは私は妥当な行き方である、さように考えております。
○相沢委員 しきりに弁明をされますけれども、今回の措置によって喜ぶのは一部の旧地主であって、国民のほとんどがこの政府の措置に対して、法律を守るために政府はよくやったと拍手かっさいを送ると思いますか、どうです。国民大衆は今回の措置に対して、政府のとった態度をよくやったとこう思いますか。それとも不当である、もっと慎重に考えるべきである、もっと論議をしてから別の措置をとるべきである、こう思われるかどうか。
○渡辺(美)政府委員 これは、政府としては、法律違反のままでいることはできないということでやったやむを得ざる措置である、こういうふうに考えます。
○相沢委員 土地対策では、もうすでに私有権についてすら公共のためには制限しなければならないということが最近いわれてきているじゃありませんか。ですから、今日の都市再開発問題や、住宅あるいは災害避難地等の実情から考えても、この国有農地の取り扱いということは大きく変化させなければならない、考え直さなければならない。その措置については十分国会で論議を重ね、また国民の合意を求めて、合理的な納得のいくそういうやり方で措置をしなければならなかったはずであります。 この点で押し問答しても時間のむだになりますので、私は今回の現状を無視した、また国民感情を無視した政府の措置に対して、国民の福祉を守る立場から、農地法の改正を含めた立法措置をとって、国会の議決で方針を定めるように再検討することを要求したいと思います。答弁はけっこうでございます。 〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 引き続き、私は、一昨日の国鉄急行事故につきましてお尋ねをしたいと思います。この件につきましては、昨日参議院でわが党の議員から追及があり、また政府も綱紀粛正をはかる旨を発表されて、陳謝の意を表しておられますので、一点だけただしておきたいと思うわけでございます。 昨日資料要求をしたのでありますが、四十三年度、四十四年度に限って国鉄の責任に基因した事故件数とその損害費用が幾らになっておるかということで資料提出を求めましたが、出された資料でははっきりしません。国鉄総裁のほうで、いまの件につきまして明快な資料がございましたならば、御答弁をいただきたい。
○磯崎説明員 まず、御答弁申し上げる前に、一昨日の事故につきまして深くおわび申し上げます。就任以来事故の撲滅につきましては、私、物心両面にわたり全力を注いでまいりましたけれども、不幸にして一昨日のような不祥事件が起きましたことは、全く私の不徳のいたすところでございまして、まことに申しわけございません。国民各位に対しまして、深くおわびを申し上げます。 さて、いまの御質問でございますが、昨日御提出いたしました資料でございますが、いろいろこれは見方がございまして、たとえば直接損害と間接損害をどう見るか。それから、間接損害の中に得べかりし利益を見るか見ないかということで、いろいろの見方がございまして、御提出いたしました資料はお手元にございますと思いますが、一応直接損害、すなわち物的な損害とそれから急行券等の払い戻しの損害、これを御提出いたしたわけでございます。その他、たとえばそのために列車がとまって、貨物輸送が一日、二日とまったというふうな場合の収入減等につきましては、一応それはお手元に入れてございませんが、これは御要望がございますれば、いつでも調達いたしますが、いわゆる間接損害でございますが、これは計算はできておりますけれども、非常に複雑でございますので、昨日は直接の分だけを申し上げたわけでございます。
○相沢委員 四十三年度の列車事故による旅客への賠償金だけを見ましても、おもなものとしてございますから、ほかにもっとあると思うのですが、四十三年の四月に起きた高崎での事故百六十九万円、七月十六日に起きた東京での衝突事故で二百四十四万円、また十月の十二日に札幌で起きた脱線事故で二千百三十八万円、これは負傷者に対するだけの賠償金でございますね。いま総裁がおっしゃったように、その他レールだとか、あるいは客車、貨物列車そのものの損害費用、復旧費用、また、その事故が完全に整備されるまでの間に当然収入として利益を受けたと思われる旅客運賃その他、そういうものを合算しますと、膨大な金額になると思うわけです。いま国鉄では破産寸前といわれるほどの赤字に悩んで懸命に増収対策を購じているわけでありますが、まあ駅の電灯を暗くして、少しでも電気代を節約しようというほどいじらしいというか、涙ぐましいというか、そういった赤字対策を講じられているようでありますけれども、いわゆる内部の国鉄職員による士気の乱れというか、士気の衰え、そういうものから、赤字財政を立て直さなければならない身内、国鉄の職員そのものからの事故によって、このような多額なまた赤字をふやしていく、また赤字の一因をなしていくということは、非常にこれは重大な問題だと思うわけです。 その点を、単なる通達で――何回も同じような事故を起こす、赤字がなかなか解消しない。また今年も国鉄運賃の値上げ等が予想されておりますけれども、そういうことでは国民としては納得できない。今回も事故直後に副総裁の名前で、今後に対する通達が出されておりますけれども、これまでとは変わって、ほんとうに国鉄全職員があらためて士気を鼓舞し、ほんとうに国民の生命をあずかるというか、その重大な任務に対して意識を改めて事故を起こさないように誓ってやっていくということがここでお約束できるかどうか。最後に一言、総裁と、また監督の立場にある運輸大臣から御答弁をいただきたい。
○橋本国務大臣 このたびの東北線の事故につきましては、まことに言語道断でありまして、国民の皆さんに対して心からおわびを申し上げる次第であります。 御承知のように、昨日付をもちまして、まだ事件は刑事的には決定をいたしておりませんけれども、酒を飲んで運転をしたという事実は明確でありますので、刑事的な責任を別にいたしまして、国鉄当局としましては、国鉄副総裁以下関係者十三名に対し、減給その他の措置を厳重に処置いたしたのであります。また、私からは国鉄総裁を招致いたしまして、今回の事件はいわゆる悪質な問題である、全く人命をあずかっておる従業員としてあるまじき行動であって、これはその一人だけではなくして、国鉄全職員が自戒して、今後いわゆる国鉄の使命邁進に努力すべきものであると考える、この点総裁自身も譴責に値するのであるから、今後ともにこの点を十分に留意をして国鉄の使命達成のために全力を尽くせ、かような意味での警告書の手渡しをいたしたのであります。 もちろん、監督の衝にある運輸省といたしましては、これらの措置につきましては万全の措置を講じていきたい。たとえば飲酒運転のごときものをなくすためにはいかなる措置を講ずるか、あるいはまた、これは飲酒だけではありませんけれども、人間は病気の器でありますから、かようなときに備えるためのEBの自動装置等も一刻も早くこれを措置して、万全の措置を講じたい、かように考えておる次第であります。
○相沢委員 私は次に本論の郵便事業問題、値上げ問題、また電信電話拡充七カ年計画について質疑を進めたいと思います。 最初に経済企画庁長官にお尋ねしますが、昨年十二月、長官は公共料金一年間凍結の閣議提案をされまして大きな反響を呼んだわけでございますが、各省からの強い抵抗を受けまして、このストップ令はあえなく後退しちゃったわけですね。それで翌十二月の九日の閣僚協では、当面は公共料金の値上げを厳に抑制するという基本方針を発表したわけですが、厳に抑制するというだけでは、今後の推移によっては、やむを得ない事情をかかえる公共料金にあっては、ある程度の値上げは認める場合があるという含みを残した形でありまして、結局その形というのは、十二月二十三日に郵政省は大蔵省の予算案に合わせて値上げ案を決定しちゃったわけであります。ことしの四月一日には小包が上がるし、六月一日には電話の設備料が上がる。七月には第三種、四種が現行の二倍、あるいは四種では一・五倍から二・五ばいに上がる。また、年を明けて四十七年の二月には第一種、第二種、これが値上げをされる。書留、速達も値上げをされる。三月になると電報料金が今度は上がってくる。九月には広域時分制による料金体系の合理化、まあ実質的には値上げでありますが、このようにずらっと一連のいわゆるさみだれ値上げが控えているわけでありまして、長官が公共料金のストップ令を提案したその背景には、何よりもまず四十五年当初からの消費者物価の急ピッチな上昇に対して、物価の担当大臣としての危機感があったのじゃないかと私は思うのです。長官としては、郵便料や電信電話料のあとには住宅公団家賃や、あるいは地下鉄運賃、航空運賃あるいは国立大学の授業料など、メジロ押しに公共料金値上げ待ちのものが並んでいる。したがって、これらの値上げの動向を阻止しようという意図があっておやりになったと思うのですが、その辺の御見解を承りたい。
○佐藤(一)国務大臣 いま御指摘がありましたように、御存じのような生鮮食料品を中心として昨年から急激に消費者物価の上昇がございまして、まさしくおっしゃいましたように、私もこのままでは済まない、こういう気持ちで公共料金の抑制ということを提案したわけであります。また、くずれたとおっしゃいましたが、まあ郵便料金の三種、四種、これはやむを得ず途中から認めることにいたしましたが、大体四十六年度中という一年間の抑制ということの目標は、大かたにおいて達成できる、こういうふうに考えているわけであります。
○相沢委員 公共料金の一時ストップというのは物価対策の応急対策であって、その応急策が意味を持つものは、総合的な物価対策の一環として応急策をとっている間に、何らかの抜本的な措置を講ずるという時間かせぎだということは私も承知しております。したがって、料金ストップは心理的な効果をねらうというか、構造的な矛盾、それをそのままにしておいたんではかえって一時しのぎになって、次の大幅な値上げの口実をつけやすくしてしまうということで、今年における政府の物価抑制に対する総合的な施策というものは非常に重要な意味を持ってくる。また私は物価上昇抑制の諸施策が功を奉ずるまでは公共料金の値上げは一切これはやるべきでない。企画庁長官、押されてとうとう郵便料金等を認めてしまったわけでありますが、さみだれ値上げにしてしまったその企画庁長官の責任は重大だと思うわけなんですが、前年度のように、消費者物価指数の大幅な見込み違いは断じてない、このように明言されますか。
○佐藤(一)国務大臣 五・五%という数字はわれわれの政策目標でございます。そういう意味において、ぜひともこれをこれ前後のところに実現したいと思っておりますが、率直に申し上げまして、今日の物価情勢はそう安易な判断を許さない状況にあります。そういう意味においてよほどの努力を必要とするものと考えております。幸いにして経済の鎮静化の状況のもとにおいて輸入の促進その他できるだけ政府として取り得る対策を講じてまいる。特に一番問題となっております生鮮食料品につきまして、おそまきではございますけれども、徐々に対策の実現を見つつあるわけでございます。こうしたことを中心にして早急にさしあたっての急上昇、このムードを押さえていかなければならない、こういうふうに考えています。
○相沢委員 郵政大臣に今度は順番を回わしますが、公共料金の値上げについて国民が大いに怒り、また不満を感じていることは、これまでの経験、事例から見て、郵便料金の値上げのたびにサービスが低下してきているということなんです。郵便物の最近の遅配あるいは誤配の多いこと、これは郵政大臣十分御承知と思いますけれども、遅配、誤配は、これは一般利用者に対する実質的な値上げになっている、こう思いますが、郵政大臣はそれをどう思われますか。
○井出国務大臣 お答えいたします。 たいへんサービスの低下をおしかりを受けたわけでございますが、このところ鋭意戒めまして、いま、現状においてはかなりよくなっておるとは考えます。しかし、御指摘のようなことのないように、さらに鋭意努力をいたす所存であります。
○相沢委員 いまの御答弁から誤配、遅配があればそれは実質的な値上げになっている、申しわけない、それを改善する、こういうお話しのようでございますね。郵便料金は、郵政省のキャッチフレーズのように早く、安く、確実に、そして届けられる郵送サービスに対する料金のはずなんです。早く、確実でなければ郵便料金の安いことは意味をなさなくなっちゃうのです。一般大衆の感じからしますと、現在遅配、誤配によって実質的に値上げの負担をこうむっている上に、今回またさらに料金の値上げをされる。さらにまた値上げになった上にサービスが向上したためしがなくて、年々サービスが低下をしてきている。これでは国民にとってはダブルパンチでなくて三段打ちを受けるというのです。 いろいろとこの郵便のサービス低下について国民の不満の声が新聞の投書欄等出されておりますけれども、ここに二、三例をあげますと、わずか軽井沢にいる友人から東京の豊島区長崎にあてて速達を三日前に出したんだけれども、着いてないか、こういうわけです。速達で三日もかかっている、軽井沢から。頭に来たので交渉したら、申しわけないといって五十円返してくれたんですね。 またこの人の友人の人に話したら、いや同じようなことがあったんだ。配達の人に文句言ったら、五十円返すから局まで来てくれ。その人の自宅から局まではバス賃が往復六十円かかる。五十円の速達料を返してもらうために六十円のバス賃使って取りに来てくれ、こういう言い方をしているわけですね。 またこれは別な主婦の方ですが、歌会に出席しまして、自分の出したはずの歌が届いていないということで、お友だちとがやがや話になった。そうしたら、みんなが、普通郵便なんか当てになりません、速達にしなければだめですよ、こういうふうに言っているんですね。結局このごろの郵便事業は慢性的機能不完全で信用できないというわけです。郵便局では大切なものは書留で、お急ぎのものは速達でと、こう宣伝をされておりますけれども、どうでもいい、いつ着いてもいいという郵便物なんかないんですよね。この方は高い書留料六十円、あるいは速達料五十円を郵便を出すたびに払わされている庶民の私どもの嘆きを郵政大臣どうお聞きですかとこういっております。まあおそらく着くならいい、着かない場合もある、またちゃんと名あてを書いても、それが誤配をされる、こうなるとほんとうに困るんですね。 ここにも声がありますけれども、東京都のある大学講師の方ですが、月のうち三通も正当なあてどころが書いてあったにもかかわらず、受け取り人が見当たらず配達不能という横長朱印が押されて返ってきた。おかしいなと思って確かめたら、間違いなくその住所に本人はいる。私もつい最近の経験でございますが、友人に手紙を出しました。受け取り人がいないということで戻ってまいりました。さては転勤したか、あるいはどうしたかな、家をかわったのかな、こう思いました。ところが、間もなくその人から私の書いて出した住所、その住所から私のほうにたよりが来ているわけです。着いてない、戻ってきた、こういう配達不能という疑問。こういうように国民がいろんな迷惑をこうむっている。特に普通郵便はいつ着くかわかんないし、あるいは誤配されちゃったり、あるいは途中でどうなのか――これは年賀郵便の特殊状況といえばそれまでですが、途中で投げられちゃったりして着かない場合もある。要するに、普通郵便に対する国民の信頼感は全く失われている。ですから結局郵便を使うときには書留か速達を使用しなければならぬ、こういうことになっちゃう。 ここに郵政省からいただいた通常郵便物数の推移状況の一覧がございますが、これを見ますと、昭和四十二年度、指数でいきまして一〇六の指数になっていますが、四十三年度には速達の利用度が 一〇八というように指数は上がっておりますし、四十四年度には急激にこれは伸びまして一一九、まあ諸般の事情はありましょうけれども、いま私が申し上げましたように普通郵便ではもういつ着くかわからぬ、当てにならないということから速達を使う利用者はふえてきている。不満を持ちながらふえてきているということですね。先ほど私投書を読みましたが、現在の書留の六十円、速達料五十円でも高いという庶民の嘆きですよ。これを今回この六十円の書留料は百円に、速達五十円が七十円にという値上げ案であります。これではますます庶民の嘆きは深まるばかり、高まるばかりである。ですから大臣として、今回もし値上げをした場合に、断じてサービスはこれ以上低下しません、回復させます、決して御迷惑はかけません、こういう御自信がおあかりですか。
○井出国務大臣 私がいろいろ申し上げますと、あるいはそれは弁解だということに相なるかもしれませんが、御案内のように、郵便の仕事は何としても労力にまつのが大部分でございまして、そういう意味から非常に困難な、悪条件下に置かれておるのでありますが、国民の皆さまの御理解を願って値上げに踏み切るという以上は、これは私から始まって末端の配達担当者に至るまでこれを十分に戒めまして、いま御指摘のあるようなことのない努力を十全の決意をもっていたす所存であります。
○相沢委員 そのほかまた、郵便犯罪の実情を見ますと、四十三年度あたりから比べると若干減ってはいるようでありますが、まだまだ四十五年度四月から十二月、ここに資料がございますが、郵便の袋の窃取、この犯罪金額四百十六万、件数十五件。あるいは郵便物の窃取、横領、これも約四百件近いですね。これで約二千万円。あるいは小包とかあるいは切手売りさばき金代金の横領まで、いろいろとそういった事件が起きて、結局これは利用者に全部迷惑をかけているということですね。郵便業に対する不信感もまた国民の中には相当残っている。努力はされているのでしょうけれども、なかなか減らない。 また、郵政省では誤配、遅配の多いのは人手不足である、こういうようにおっしゃっていますが、その解消策として、郵政審議会の答申にあったように、今後主婦の労働力の活用を考えて、いらっしゃって、今年度の予算にも費用を見ていらっしゃる。しかし、郵便事業の中核というのは、あくまでも政府の郵便職員である職員の働きやすい、また能率をあげやすい環境の整備が最も大切であって、郵便サービスには当局と郵政職員の人間関係あるいは信頼関係が根本であろうと思うわけなんです。その確立がなければ郵便サービスの向上も望めないと思うわけでありますが、こういった内部の点についての大臣の今後に対する決意、これを御答弁をいただきたいと思います。
○井出国務大臣 おっしゃるとおり、三十万からの従業員を擁しておる仕事でございまして、先ほども申し上げますとおり、何としても人手にたよらなければならぬ、こういう性質上、私は部内で、人は石がき、人は城だ、何か人間関係、ヒューマンリレーションを大事にしてやらなければならぬということを強調しておるわけであります。しかし、御指摘のような労務政策上における批判等も昨年あたりは受けておりますので、そういう点は十分戒心をいたし、方向としては私はよくなりつつある、このように信じております。 なおまた、いわゆるパートタイマーとして主婦の労力を活用するということも始めつつあります。これは非常な好評を博しておりますけれども、しかし、これはあくまでも副次的なものでございまして、主体は正規な従業員諸君が職場を大事にし、また管理者の側からするならば、労働の条件に注意を払い、そしてこれを主体として郵便事業の遂行を期していく、これが当然の方向であろう、かように考えます。
○相沢委員 私は今後まずい点は解決をしていくというその姿勢、決意はけっこうでありますけれども、やはりこれまでの郵便事業に対する国民の信頼を回復してから値上げ案は国民の前に提出すべきだ、こう思うわけですよ。 次に第三種の問題でお尋ねしたいのですが、郵政省は第三種郵便料の値上げの理由として、膨大な赤字をあげていらっしゃいます。第三種の年間扱い数は約十億通といわれているのですが、そのうちの七〇%は新聞形式をとった商品や自社宣伝のための通信を目的とした商業通信です。第三種郵便物の認可基準、これを厳格に当てはめるとだいぶやはりもぐり刊行物といいますか、こういうものが多いと思うのですね。今回の第三種の郵便料の値上げに伴って、地方紙あるいは業界紙、いわゆる直売機構を持たない、配達機構を持たない、郵送によってやっているような、そういう業界紙は非常な影響を受けるということです。特に非日刊紙、これなんかはやはり規模が小さいということで致命的な打撃を受けるのではないか。部数減、場合によっては廃刊の状況まで追い込まれてしまう。これは一種の言論の自由を奪い去るものだというような声も、これに携わっている人たちからは実はそういう訴えの声もございます。 一番私どもが憂慮するのは、この第三種の郵便の値上げによって過疎地帯がますます政治、経済、文化、教育から取り残されるのではないか。郵送で送らなければならないところが、郵送料が二倍も上がってしまう、負担が大きい、送られないということから、過疎地には送らない、そういうことになると、そういった面からますます過疎化を早めることになっちゃう。これでは憲法に保障された健康にして文化的な生活を営むことができるということを脅かすことになるのではないか。この点、郵政大臣どうお考えですか。 また、自治大臣は過疎地対策については非常に御熱心だとお聞きしましたけれども、この件について今後どういう対策をお考えになりますか。
○井出国務大臣 第三種の問題でございますが、これはいわゆる公共政策割引というたてまえで長い歴史、沿革があることは御承知のとおりであります。しかし、原価主義とでも申しますか、そういうたてまえからいたしますと、第三種はかなりの持ち出し、赤字ということに相なっておるわけであります。そういう次第で、今回も最小限度値上げに踏み切ったわけでありますが、日刊紙などにつきましては一部に対して三円か四円という程度のはね返りかと思うのでございます。そんな次第で、まだこれでもいわゆる引き合うというところからいいますと、かなりほど遠いのでございまして、この辺でごしんぼうをいただかなければならぬのではないか、こう考えております。
○秋田国務大臣 第三種郵便物の値上げが過疎地域に対してマイナス要因として作用するじゃないかという御質問でございまして、そのことは否定できないと存じます。したがいまして、過疎地域対策をいたしております自治省といたしましては、できることならば三種郵便物の値上げを避けていただきたい、心から希望するわけでありますが、しかし一方、郵政会計の実情等を考えまして、それまたやむなしと考えられるので、その欠点を補うべく、過疎地域対策緊急措置法の精神にのっとりまして、産業基盤の強化、住宅環境の拡充強化、その他教育文化施設の向上、強化によりましてその欠点を補いたい。モデルコミュニティーの形成等、そこに文化生活館とかというようなものの設置を通じましてその弊害をなるべく少なくいたしたい、さらに文化の向上に、これらの地域の向上に資したい、総合施策を一段と強化いたしてまいりたいと存じます。
○相沢委員 第三種の中には、特に日刊紙あるいは非日刊紙でも非常に地域住民に対する情報提供あるいは文化向上に果たす役割りの大きいまじめな定期刊行物がたくさんございます。これが認可基準に反するようなもぐり刊行紙のために影響を受けて、その使命が全うできなくなってしまうということは、これは非常に憂慮にたえないわけでありまして、これに対する防御策というか、今後対策をお考え願いたいということを要望として申し上げておきます。 いま、赤字のために、それを補わなければならないために値上げしなければならないのだ、やむを得ない事情があるんだというお話がありましたけれども、公共料金をすべて独立採算に基づく原価主義で割り切ってしまうということは、これはいけないと思うのです。今回の郵便法の一部改正する法律案の要綱等を見ましても、料金に関する規定の整備を行なう、要するに、原価主義に変えようという意向だと思うのですね。そういうふうにした場合には、公営企業に基づく公共性の役割りは果たされない。結局、郵便のような公的な国民生活の最低基準を確保する上で最も重要な密接なこの郵便事業は、断じて独立採算制なんかとられるべきじゃない。一定限度までの赤字は、簡易保険や郵便貯金事業会計の黒字によって埋められる部分があるわけですから、補う、あるいはどうしても補えないときには一般会計から赤字を補てんする、こういう態度で、この郵便料金は断じて値上、げすべきじゃない、こういう考えに立つわけでありますが、大蔵大臣、その点の御所見はいかがでありますか。
○福田国務大臣 郵便料金は、これはなるべく上げたくはないんです。ないんですが、そもそも郵便事業は特別会計法にもありますように、企業的にこれを運営する、そういうたてまえにしておるのです。これを税金で補てんをするということになりますと、これはまあ親方日の丸というか、企業としての経営が非常に非科学的になってくる、こういうようなことに相なるわけでありまして、最近赤字の傾向が出てきた、それを利用者に負担をしていただく、つまり企業会計の原則で運営するという考え方、これはやむを得ざる措置である、かように考えております。
○相沢委員 やむを得ないやむを得ないで、何でもかんでも国民生活が圧迫されるようなそういう施策があまりにもいまの政府には多過ぎる。せめて郵便事業ぐらいは赤字もやむなし、こういう態度で、大蔵大臣、日本一の渋ちんだと、こう自負されておるわけですが、郵便事業に限っては、その渋ちんも変えるべきじゃないか、こう思うのですよ。諸物価値上げに非常にある意味では反映します。そういう点で、この郵便料金の値上げについてはもっともっと慎重に審議をし、絶対上げないという方向で政府は臨んでいただきたい、また、臨むべきであるということを私は強調しておきたいと思います。 次に、私は電信電話拡充七カ年計画につきましてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、電電公社が発表しました昭和四十六年度を初年度とするこの計画は、所要金、額が十兆一千六百七十億円、建設投資額で八兆五千億円という膨大な規模に及ぶものでございます。防衛庁の第四次防予算が五兆八千億だということで騒がれておりますが、この電電公社の七カ年計画予算はそれを上回る膨大な予算で、今後大いに論議されなければならないし、関心が払われねばならないと思うのですが、計画案にいろいろ述べられておりますが、最重点はどこに置くのかということをまず伺っておきたいと思います。
○米澤説明員 お答えいたします。 現在窓口にたまっております電話が約二百九十五万たまっております。公社といたしましては、この申し込みの積滞をなるべく早く解消したい。また国会でもそういう御要望がしばしばありましたので、七カ年計画を昨年の八月に立てまして、これは昭和四十六年から五十二年に対しまして千九百七十万個の加入電話をつける。現在の加入電話が千五百万でございますから、二千万個つけるというのはたいへん大きな工事でございますし、また資金といたしまして八兆五千億円が要る。これは政府がおきめになりました新経済社会発展計画、これは昭和五十年まででございますが、それを二年間延長したことになっておりまして、物価換算いたしますと、大体新経済社会発展計画の中で電信電話事業に割り当てられているものとほぼ合っているということであります。 それから収入につきましては、大体十三兆、正確には資料がございますが、十三兆円ぐらいでございまして、そして収支はごくわずかプラスになる。正確にいいますと、百四十億円ぐらいプラスになる。十二兆に対しまして百四十億円ぐらいのプラスになる、そういうところでございます。
○相沢委員 建設投資額八兆五千億円の「調達にあたっては、引き続き財政投融資等の資金の確保につとめるほか、現行単独電話三万円の設備料を五万円に改定するとともに、加入者債券引き受け制度を定めている電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律の期限延長」をはかる、こうありますが、この資金調達の見込みを見ますと、外部資金五兆三千五百八十億円のうち設備料一兆三百五十億円を見込んでおります。これは約五分の一を占めるわけですね。財投等期待額一兆三千百十億円、これは財政投融資ではなくて、融資等の等のほうだけであって、公募債、縁故債で一兆三千百十億円ということです。この計画によりまして電話がつけられる、あるいはデータ通信が今度開始されるといいますと、これは結局加入者の負担ということですね。あまりにもこの資金調達の見込みからいって加入者負担が多過ぎるのではないか、もっと国の財政援助があってしかるべきではないか、こう思いますが、大蔵大臣、これはよく検討されたのですか、この計画自身。
○福田国務大臣 電電公社の行なう事業は、電信電話さらに情報化時代に対応する諸施策、非常に重大であります。したがいまして、これは長期的に公社の計画は進めていく必要があり、またその財源につきましても国でも十分協力をしなければならぬ、かように考えておりまして、公社の発行する公社債につきましては、政府は保証を与えるというような手段で市中資金を優先的に獲得する道を開くなどの措置を講じておるわけなんです。これを財政資金でまかなうかということになりますと、つまりこれは租税負担ですね。これを財源として使うかと、こういう問題になるわけでありますが、まあ大体においてこの公社の行なうところの事業は、電信電話が主力をなしておる、その電信電話等の利用者にその負担をお願いする、これがまた企業会計としてこれは当然のことではあるまいか。これをはずしてまた財政資金ということになると、一般国民がこれを負担する、こういうことになり、また同時に先ほど申し上げましたように親方日の丸だというようなことにもなり、企業会計としての運営が非近代的になる、こういうふうに考えまして、政府保証債という形の最大限の援助をいたしたい、かように考えております。
○相沢委員 初年度の四十六年度の財投の内訳を見ても同じことがいえるわけです。私が言いたいのは、今年六月から設備料の値上げをやるようになっていますが、その三百七十四億円という増資を見込んで利用者負担にしてしまうという行き方ですね。これはどうも納得いかないのですよ。話は設備料の性格の問題で、経企庁長官にお尋ねしたいのですが、この設備料というのは料金ですか負担金ですか。
○佐藤(一)国務大臣 負担金と考えております。
○相沢委員 郵政大臣はどうお考えですか。
○井出国務大臣 同様に考えております。
○相沢委員 公衆電気通信法の第六十八条、料金の項に「公衆電気通信役務の料金であって、別表の左の欄に掲げるもの」云々とあって、別表第六に設備料が掲げられておって、これは料金の項目に入れておりますが、郵政大臣、よろしいのですか。
○井出国務大臣 なかなかそこのところが、しからば料金とは何ぞやというふうな、たいへんむずかしい問題になるかと思いますが、私どもの考えを簡単に申し上げますと、設備料は加入電話に新規に加入いたします際に、電話利用者の側において、その工事の費用の一部負担をしていただく、こういう考え方に立っておるわけでございます。現在、一つ電話を引きますと三十万円余りかかるわけでございまして、その一部を負担をしていただく、こういうことでございますから、法律のほうにはあるいは料金というところに出ておるかもしれませんが、まあその内容といいますか、これは利用者が負担をしていただく分だ、こういう理解のしかたをしておるわけであります。
○相沢委員 郵政大臣、ちょっとおかしいですな。電気通信法の第六十八条の料金の項目に、設備料をきちっと料金として欄に掲げてあるのですよ。また、負担金だとおっしゃいますけれども、この法令用語辞典を見ると、「負担金は、強制的に国民から金銭を徴収するものであるから、法律の根拠を必要とする。現行法上負担金を定めたものに都市計画法、道路法、河川法等があるが、地方自治法二百二十四条、土地改良法九十一条、港湾法四十三条の三、四十三条の四等に規定する分担金又は費用の負担も、ここに述べる負担金と同じ性質をもつものである。」公衆電気通信法はこれに入っておりませんよ、負担金を説明してあるところに。矛盾するのじゃありませんか。
○井出国務大臣 公衆電気通信法には、いまおっしゃるように料金という掲げ方がしてあるわけでございますが、その内容を御説明申し上げれば、負担金の性格を持ったものだ、こういう意味でございます。
○相沢委員 そうすると、公衆電気通信法のは、はずさなければならない、整備をしなければならない。その辺が非常にあいまいだと思うのです。設備料が法的に料金であろうと、あるいは実質的にその内容が負担金であろうと、私が言いたいのは結局国民の負担になることは間違いないということなんです。今回の七カ年計画を見ましても、設備料によるところの資金調達の見込みは非常に大き過ぎる。すなわち利用者負担があまりにも重過ぎるということです。また、今日までの電話加入の際の設備費用の負担の変遷を見ますと、昭和二十一年の四月、電話規則改正から始まって、現在の四十三年五月十二日の公衆法の改正までの間に何回となく改正され、またその設備料、費用の負担のしかたというものは非常にまちまちないろいろな方法を使っておりますよ。私ここにその方法を一覧にまとめたのを持っておりますが、装置料のときもあった。装置料に公債を加えたときもあった。また装置料と負担金と債券、こういう組み合わせのときもあった。現在は設備料と債券という二本建てでありますが、どうもなかなか一貫してない。負担のしかたが非常に一貫性がない。どうして一貫性がないのか、あるいはこの設備料の負担のしかたは現行法が一番いいというお考えに立っているのか。その点を伺いたい。
○井出国務大臣 一貫性がないという御指摘でありますが、あるいは少し弾力的に扱っておるということになるのかもしれません。そこでおっしゃるように、ただいまは設備料とそれから電話公債を買っていただくということが、これは段階的に二万円くらいから始まって十五万円くらいまでございますが、ともかく三十何万円かかる仕事なものですから、それを一部はやはり利用者に御負担をいただくということが、電電の事業が一つの公企業であるというたてまえからいたしますと、まずそういった方式が一番妥当であろう、こう思っております。
○相沢委員 郵政大臣にお尋ねしますが、架設されたその設備はだれの財産になるのですか。
○井出国務大臣 総裁から……。
○米澤説明員 お答えいたします。 電電公社としては、これは公社の財産でございますけれども、国民のためのものというふうに理解しております。
○相沢委員 国民のためのものというおことばはけっこうでございますが、実際的には設備料を負担し、つけたその設備それ自体は公社の財産ですよね。ですから加入者の財産にならないものに対してあまり大きな設備料の負担を負わせるということは不合理ではないか、こう思うわけです。まあ今回、昭和五十二年までに一千九百七十万台ですか、電話架設をするということですが、四十四年度末で電話の加入数というものは一千三百万台に達しております。ところが、先ほどお話がありましたように、電話の急増にもかかわらず、申し込んでもなかなかつかない電話の積滞数というものが増大しているわけですね。それを解消しようとされておるわけですが、四十五年度末の積滞数は推定で二百八十五万台、需要に対する充足率は三七%、こういうわけです。電話の架設には優先設置基準という規則がありまして、事務用電話のほうが住宅電話よりは優先されている。したがって住宅用電話の積滞がひどい。架設済みの電話にしても事務用のほうが大きい。積滞数のほうは住宅用のほうがずっと大きい。これから架設される電話にしても住宅のほうが大きい、こういうわけです。結局今後の電話架設は住宅用の電話架設が主体になる、こういうことですね。大企業やあるいは事業者あるいは生活に裕福な家庭の人たちはこれまでにほとんど申し込んでつけてしまった。これからの架設をする人たちは平均的な一般国民大衆だ。今回この設備料を三万円から五万円に引き上げるという改正案は六六%もの大幅な値上げになります。だから、これは明らかに国民大衆へのしわ寄せなんです。大企業は事務用はほとんどついてしまった。これからつける人たちは一般的な平均国民大衆です。今度のビジョンに、公社では、全国的な総合電気通信網を建設して情報産業の中核体となって総合的な情報通信公社へ躍進すると、こういう構想をお持ちでありますが、その構想を実現するのもけっこうですけれども、データ通信などは大企業が利用するものであって、一般家庭とは縁遠いわけです。電信電話拡充七カ年計画を、結局は大衆負担の増大でやろうという姿勢、考え方、これは断固賛成できません。ですから、いま設備料の性格の問題あるいは財政投融資等の問題でずっと話してまいりましたけれども、やはりこの資金調達の見込み、これはもっと考え直すべきだ。また設備料の値上げはこんな大幅にしないで、もっともっと慎重な検討が必要である、こう思いますが、いかがですか。
○米澤説明員 お答えいたします。 現在設備料は三万円でございますが、今回これを五万円にするということを考えたわけでございます。これは電話が、一つつけるのに三十五、六万円かかる。これは、電話機は五千円ぐらいしかかからないのでありますが、あと交換設備、ケーブル、そういうものを全部総合いたしますと三十五、六万円かかる。それからまた電話局から各家庭に引っぱる場合に、その端末のほうだけ考えましても約七、八万円かかるというわけでありまして、この際積滞を一掃する、あるいはまた大きな拡張計画を今後の電話希望者の方にやるためにその負担をしていただく、まあこういうことで考えた次第でございます。
○相沢委員 設備料は四十三年五月に改正したばかりですね。まあ人件費は上がったとしても、資材はそんなに上がってない。いま器材はそんなに高くない、五千円ぐらいだとおっしゃいました。しかもこれだけ現在電話が増設されてきて、架設工事が、普及している現状に上のせする工事ですよ。ですから工事費は逆に割り安になるのじゃないですか。その点がどうも私どもは納得いかないです。まあそう言いますと、電話の工事のほうは水道と違って、ただ管を引っぱってつなげばいいだけと違う、新しく架設すると今度は、これまで架設されている電話と全部話ができるように線を結ばなければならないんだ、そこが水道管とは違うんだとこうおっしゃって、設備料の値上げの正当性を主張されますけれども、そんなにも一挙に大幅な値上げをしなければならないほど、工事費そのものがかかるのかどうか、ほんとうに厳密な原価計算をやっているのかどうか、これは大いに疑問だと思うのです。私は、この設備料が厳密な原価計算に基づいて決定されているのじゃないと思うのですよ。それで、よくいわれることですが、サービスの原価とは関係のない、価値主義とかあるいは効用主義ということばを使われておりますけれども、特に設備料については、実際にそんなに設備料としてはかからない、費用はかからない、だけれども、年々加入者がふえて通話範囲あるいはその電話の効用性が拡大されているので、設備料は増大しても当然だ、という考えもだいぶ含まれているのではないか、こう思いますが、いかがですか。
○米澤説明員 お答えいたします。 先ほど一加入電話約三十五、六万円と申し上げましたが、電話機は五千円くらいでありまして、むしろこれはマスプロによって下がっている。しかし電話というものは結局ガス、水道と違いましてやはり根元までずっと引っぱって、お話し中にならないように分離しなければいけない。したがって、結局組み合わせがふえてまいりますと、どうしても中継線がふえるとか、あるいはそのほかスイッチがふえるとかいうことで、システム全体としてはマスプロのきかないものでありまして、個々の器材というものは、これはまあ技術革新も入れておりますし、値段を下げるように努力しておりますけれども、組み合わせの数というものは結局電話機の数の自乗でふえていくというわけでありまして、そういう意味で、原価的に考えましても、むしろ幾らか上がっていくという傾向を持っておるわけでございます。
○相沢委員 どうもお話だけでは納得できませんので、綿密な、どうしても設備料に伴う工事費がこれだけかかるという具体的な資料を提出していただきたいと思います。 また、それに関連して、電話の積滞数、先ほどお話ししましたが、設備料が改定されだとすると、何年も前から申し込んだ人も、また新規の申し込み者も、一律の値上げの負担になるわけですよ。これはまた不合理だと思うわけです。たとえば二人の人が同時に電電公社へ電話の架設を申し込んだ。一人は事務用と申し込んだ。わりあいに早くついた。もう一人の人は、住宅用のために、優先順位がありますから、待たされているうちに今回の値上げになってしまった。こうなりますと非常な差がつくわけでありますね。この間に待たされは人は非常な不便を感じる。また、電話がつかないためのもろもろな不利なことがある。あまりにも差がつき過ぎる。ようやく順番が来たけれども、設備料の改定で、前につけた、同時に申し込んだ人と比べて二万円も多く払ってつけなければならない。これはいかにも不合理だと思うのです。ですから、これはつかなかったのは申し込み者の事情でなくて公社のほうの都合で待たされた。そういうわけで、改正前からの申し込み者に対しては、設備料を割り引くとかその他の方法を講じるべきではないか。これに対してはどうですか。
○井出国務大臣 なかなかその辺がむずかしい問題でございまして、私も前回の値上げの時期にはたしてどうしたかということをちょっと調べてみたのでございます。しかし、やはりどうも、どこかにボーダーラインというものがございまして、なかなか御期待のようなぐあいにいかなかったのでございますが、あるいはまあ公社のほうから何か名案があれば申し上げることになるでしょう。
○相沢委員 十分検討していただきたいと思います。その前に、先ほどのように納得のいく、どうしても三万円から五万円まで引き上げなければならないという具体的な資料が出なければ、これはもう問題外の話になります。 私は、次に、この七カ年計画の中で大きな問題点の一つである通話料金体系の合理化の問題でお尋ねをしたいと思うのですが、これまで市内電話の場合は度数料金制度というものを使ってきましたが、これを今度広域化し、また時分制を採用する、広域時分制を行なう。こういう新しい計画でありますが、これは今後の社会情勢、情報化の時代に向かって合理的な一つの料金体系であろうとは思います。しかしどうも、これまで時間の制限なしに利用できた市内電話に対して、いきなり三分というきびしい時間のワクをはめてしまうということは、これは実質的な値上げになるのじゃないですか。最初は十円にするというお考えだったようですが、これは反対にあいまして現行据え置きで時分制にする。確かに、これまでの加入区域を大体均等的な単位区域にしますから、ある面では、これまでごく東京に近い周辺の地域で、東京都内にかけるのに一回一回市外通話を払わなければならなかった人たちにすれば、これは非常に有利でありますけれども、その反面、特に住宅用の電話を使っていらっしゃる方、これはあまり関係ないのですね。ほとんど自分の住んでいる市内だけの通話で終わってきた、こういう方たちがほとんどですよ。そうした人たちにとりますと、七円で据え置かれたとはいうものの、これまで無制限で使用できた市内通話を三分刻みで料金が加算されるということは非常な負担になります。しかも今度、単位料金区域にしますと、基本料金が自動的に値上げになるわけですね。そうなりますと、二重の負担をそこでこうむるということも考えられる。公社は今回この広域時分制で、増収が目的ではなくてその分をこれまでの市外通話を幾らかでも安くしたいということでお考えのようですが、今回の案でいきますと、せいぜい二十キロ範囲内のこれまでの市外通話が多少安くなるということでありまして、その面の利益もありますけれども、一番問題点は、大都会の家庭で、実際にこれまで市内通話を主体に使っていた人たちにすれば、三分刻みで料金が上がるということはたえられないと思うのです。これについてどういうお考えでございますか。
○米澤説明員 お答えいたします。 大体電話の平均の通話時間というものは百十一秒という統計が出ております。それからまた国際通話なんか、あるいはまた市外の手動通話あたりを見ましても三分というのが一つの基準になっておりまして、大体通話の八十何%かは三分で話が全部済んでいるという統計が出ております。それから先ほど東京の例もちょっとございましたけれども、東京の二十三区の場合とたとえば三多摩の場合とは、だいぶ違うのでありまして、今度の案は七円のまま、いわゆる広域時分制をやる。これによって従来加入区域というものがせいぜい直径平均五キロぐらいであったものが、今度の広域時分制はそれを三十キロに広げまして、その三十キロの範囲内におきましては、いままで八十秒七円であったものが今度は三分七円になると、非常に値下げになる分があります。公社といたしましては、これによって増収を目的といたしませんので、将来の電話体系というものを考えた場合に、歴史的に、いままで市内というものが無制限で市外が時分制だったという、これは市外がそのころはみんな手動通話であったからそうだったのでありまして、全体が自動になってまいりますと、市内市外という格差をなくしていくというのが世界的な方向でございます。現にイギリスあたりはすでにそういうふうになっておりまして、公社といたしまして、そういう将来のために、国民のためにもそういう市内市外の格差をなくなして、しかも加入区域が、あるところは三十キロも直径があったところがあるし、片方はいなかに行くと、直径が五キロ以内あるいは二キロというような、そういう極端な、何といいますか、バランスのとれない状態を、むしろバランスをとるように改善しょう、こういうのが主体なねらいでございます。
○相沢委員 先ほどの論議の蒸し返しになるのですけれども、確かに格差はなくなるという点はいいですよ。だけれども三分刻みで加算されていくということでして、非常な負担をこうむる家庭が、利用者が実際にたくさんいるということですね。しかも市外通話は、遠距離になればなるほど大企業の利用度が高くて、住宅用の電話をかけている人たちは利用度は少ないということです。結局、公社の料金改正案は大企業優先の時分制になるのではないか。それに対する不満が相当いま巻き起こっている。設備料の問題にしてもそうです。これからはもう住宅用の電話がどんどんふえる。結局、設備料という問題でも、一般大衆が負担をこうむる。またこの時分制によっても、大企業は市外通話が安くなればそれだけ負担は軽くなってくる。差し引きとんとんというのが大体多いようでありますけれども、時分制によって費用の負担が増すのはやっぱり一般庶民である。こういうことになると、公社の今回とられようとする案は二重の公正さを欠く料金政策になるのではないか、こういうように指摘せざるを得ないわけです。 また、いま総裁は、日本の電話の平均使用時間が百十一秒、こうおっしゃいましたけれども、何の資料をもとにされてやっておるのですか。今回、私は質問するにあたりまして、わが党の通信部会を通じて、約一カ月間前から、時分制を三分のワクにはめるその科学的な根拠を明らかにしてほしい、その資料がほしいと資料要求してまいりました。きのうも最後にもう一回この科学的な調査資料を出していただきたいとお願いしたけれども出てこない。いま総裁がそこで百十一秒とおっしゃいましたけれども、調査資料お持ちじゃないじゃないですか。もし百十一秒が平均だとおっしゃるならば、いつどういう人たちが、どういう範囲で、どういう方法で調べたのか、具体的な調査資料をお示しの上御答弁いただきたい。
○米澤説明員 お答えいたします。 これにつきましては、公社は監査装置というのを持っておりまして、その電話局にある監査装置によって抽出調査をいたしまして、その数字をまとめて出しておる次第でございます。詳しくはまた資料を差し上げてもけっこうでございます。
○相沢委員 結局こういうことになるだろうと前から予想していたのです。かなりの期間の前からその調査資料を出してほしい、われわれが科学的に納得できる調査資料を出して具体的に説明してほしいと、何回も申し上、げたけれども調査資料は出てこない。機械だって故障もあるでしょう。また一体どれだけの範囲、どういう方法でやったのか、具体的にここでお示しにならないで言ったのでは全然納得できない。私どもは今度の広域時分制に伴う一般庶民の意向というものをやはり直接お聞きする必要がある、こう思いまして、わが党ではアンケートをとってみました。昨年の暮れから一月十五日までの期間、全国の都道府県の中から十四県選びまして、その調査地域における電話帳から無作為抽出して一千軒の住宅電話利用者に限って調査を行なってみました。いろいろ項目がありますが、まだ未完成でありまして、きょうの質問の三分時分制問題に関するところだけまとめたものでいまお話しをするわけでありますが、その回答によりますと、「一カ月のうち市内通話と市外通話の利用はどちらが多いか」、こういう設問に対して、市内通話が多いと答えたのが八三・五%、市外通話のほうが多いと答えたのがわずかに七・九五%、あと、わからない、無回答、その他ございます。また「市内通話が三分ごとに七円ずつ加算されることについて」賛成ですか、反対ですか、こういう設問に対しては、反対であるというのが八三%。最初の設問の市内通話のほうが圧倒的に利用度が高いと答えた八三・五%の人は、残らずこの三分で料金が加算されるという行き方には反対を示しております。また時分制を採用した場合に、「市内通話で一回に通話される時分は平均どれぐらいですか」という問いに対しては、三分以内と答えたのが二六・八%。先ほど総裁は、全体の約八〇%近くが三分以内で終わるとおっしゃいましたけれども、また別な調査ではそれが七〇%だという声もあるし、またその調査もまだまだ疑問が多いという学者の意見もございまして、調査資料なしに、百十一秒、三分以内に八〇%終わっている、こうおっしゃっても納得できない。この調査では圧倒的に多いのは五分以内というのが三九・七%ございました。また三分制に反対というのは、その理由としては、基本料金を払っておるではないか、こういう意見を申される人が三三%、また一般に市内通話がおもだからというのが二九・三%、住宅用電話では三分制は短過ぎるという意見が一八・二%。総裁は何とかという装置で機械的にお調べになったと言いますけれども、やはりこういう問題は単なる機械の調査だけに限らず、実際利用している人たち直接になまの声を聞いて検討するという、そういう姿勢が大事じゃないですか。時分制にするということは確かに合理的な行き方で、当然将来そうあるべきだと思いますけれども、やはり三分でいきなり打ち切ってしまう、三分で加算されるということについては、あまりにも反動が大き過ぎるということです。やはり公社独自の、実際の利用者に対して意見を聴取ずる、そういう姿勢がまず大事じゃないかと思いますが、その点いかがですか。
○米澤説明員 お答えいたします。 いまの三分制につきましては、また後ほど資料を差し上げまして――私、実は、資料を提出してないというのは知らなかったので、たいへん申しわけないと思いますが、監査装置その他によりましてやった結果でございます。 それから、国民の声を聞けというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、たとえば昔からやりました手動通話、これもやはり三分あるいは昔は三分三分、三分一分とかいうふうに、これはずっと昔から三分が単位になっておりますし、それから全般的に、そういう国際的にも日本、アメリカの通話というものもやはり三分一分と、三分というのが一つの区切りになっておりますので、そういうこともあわせ考えていたした次第でございます。
○相沢委員 三分制にした場合、たとえばこれまで住宅用電話は頼んでもなかなかつかない、そのために近所の電話を使用している。これまでは一回十円払って使用さしてもらう、気がねなく使えた。もし時分制になると、相当やはり気がねしなければならないと思うのですね。三分ごとに料金加算される、自分は一体何分使ったんだろう、幾らお払いすればいいだろう、借りる人は気がねしますよ。貸すほうも、何分使うかわからない、これまでみたいにフランクには貸せませんね。そういったことから、近所隣つき合いの円滑さが欠ける、そういうような弊害もあると思うのです。特に市外通話をかけるときに、料金を知りたいために、出張先あるいは他人の電話を使う場合、一〇〇番かけてそして使うわけですね。自動でかければ一分で終わる電話も、料金を知りたいためにわざわざ一〇〇番を通してかける。それが結局公社のほうもその応待に対する労働人員が必要だ。いま夜間八時から割引になっているので非常に人もたくさん要る。そういった点、問題がある。相当遠距離の場合なんかは、自動でかけた場合あるいはDSA、一〇〇番を通した場合と、料金に大きな開きができます。そういったことから、広域時分制に踏み切るならば、公社は料金測値計を開発して、利用者に対して全部つける、それができた時点から開始をするというような対策、サービスをやはり考えなければならないと思うのですよ。 その他いろいろと私はこの電信電話拡充七カ年計画についての疑問点を持っておりますけれども、時間が参りましたので、あと当該委員会におきまして詳しくまたこの問題についてやってまいりたいと思います。 本日は、以上で終わります。
○坪川委員長代理 これにて相沢君の質疑は終了いたしました。 次に、上原康助君。
○上原委員 まず私は、具体的な質問に入る前に、七二年の沖繩の施政権返還が一応めどづけされているわけですが、昨年来相次いでいる沖繩の県民の基地に対する不満あるいは本土政府に対するいろいろの要求が出されております。 〔坪川委員長代理退席、小平(久)委員長代理着席〕 具体的に申し上げますと、暮れのコザにおける反米騒動事件、さらに国頭村における実弾射撃演習場の設置問題、そして、年を明けて毒ガス問題、さらに、さきおとといの全軍労の大量解雇撤回闘争、その他県民の復帰に向けての不安、具体的な復帰作業がどのように進められているかということに対しての疑惑、不信というものが相当出ておると思います。 そのような最近の沖繩の実情に対して、政府としてどう見ておられるのか、どうお考えなのか、まず官房長官の政府としての御見解を賜わってから具体的な質問に入りたいと思います。
○保利国務大臣 佐藤総理が沖繩の施政権返還に注いでおられる御熱意は、よく御理解をいただいているところだと思うのです。その気持ちを受けて、内閣一体となって、何とか一日も早く沖繩県民の方々が御満足をいくような返還が遂げられなければならないということで、最善を尽くしておるわけでございます。私どもも、六、七年の占領時代の本土国民の苦難をなめてきておるわけでございますけれども、沖繩の方々の御苦労というものは、そういう私どもの体験を通じましてても、いかに長い間の、比較にならない困難な状態を耐え抜いてきていただいているかということ、深く察しておる次第でございます。したがって、もろもろのいろいろな事件が起きてきております。何とかならないものかと思う一面において、無理もないという共感する面もないわけではないわけで、そういうことがどうかひとつきれいに払拭されて、ほんとうに日の丸のもと、青空のもとに、一体となっていける日を早く迎えなければならぬ。そういうことで、内閣としてとにかく最大の課題として取り組んでいるというのが、これは実際の政府の姿でございます。御了承いただきたいと思います。
○上原委員 心情的な面では政府としても理解をいただいているというようなお答えですが、しかし、そういう立場ではいまの沖繩のかかえている諸問題というものが解決をできない。そこに県民のほんとうに苦悩があり、また、本土政府に対する強い要求もあるということを御理解いただきたいと思うし、具体的に進めていく中でさらに見解を賜わりたいと思います。 まず第一番目に、昨年暮れの第六十四臨時国会をはじめこの通常国会を通して、総理の所信表明や各関係大臣の答弁の中では、沖繩の返還作業は順調に進んでいる、そして沖繩県民の意思というものも十分反映をする形での復帰の返還作業を進めていくということをしばしば強調されてきております。そのことは、本予算委員会の総括質問においてもたびたび強調されているわけですが、まず第一番目にお伺いしたいことは、沖繩の施政権返還の諸準備が「きわめて」ということばまでお使いになっているわけですが、順調に進んでいるということは、日米交渉が順調に進んでいるということなのか、それと不離一体をなす内政面、本土法適用にあたっての法律制度の一本化の問題等含めて進んでいることなのか。外務大臣と総務長官の見解を賜わりたいと思います。
○愛知国務大臣 沖繩の施政権返還の問題については、対米折衝におきまして返還協定の作成ということと、これに関連するいろいろの話し合いと、大きく分けましてその二つあるわけでございます。そして同時に、完全な本土並みとして復帰をされるに際しましての国内的な諸手続準備と、大きく分けますと三大別することができるかと思いますが、この三つの方面におきまして非常に広範な問題がたくさんございますので、並行的にそして相互相関連する部分も相当ございますので、それら全体を総括的に見ていろいろの検討や準備が相当に進んでおるということはいえると思います。そして返還協定あるいはアメリカとの話し合いを詰めるという問題につきましては、今国会の冒頭の本会議でも申し上げましたように、おそくも夏ごろまでにはめどをつけることができる、こういう状況でございまして、これからしばらくの間、全体についてますます、何といいましょうか山登りにたとえれば頂上を目がけて作業を進めていかなければならない、努力を新たにしてまいりたい、こういうふうに考えております。大体そういう状況で現在ございます。
○山中国務大臣 沖繩復帰の準備は大別して外務省が主として行ないます返還協定の締結交渉、大蔵省とアメリカの財務省の間において事務的に詰めてまいりまして外交ルートに乗せる資産の引き継ぎの問題、さらに防衛庁が中心となって、沖繩の米軍基地に関係する諸問題、復帰後の防衛問題等を中心としてこれもまた外務省との三者協議によって進められる分野、それらの分野以外の分野として内政の問題のすべてといっていい残りの問題が私の手元で作業を昼夜急いでおるわけでございます。 率直に申しまして、内政を詰めてまいりまするのには、千余りの法律を全部洗って沖繩の現地における実情と照合しつつ特例、暫定あるいはまた何らかの配慮を、経過措置を要する等の法律を拾い上げていく作業が非常に膨大な作業でございます。現在のところは、復帰後廃止さるべき法律、たとえば端的に申し上げますならば、一例をとるならば、沖繩産糖の政府買い入れに関する法律等は、本土並みになるわけですから、直消糖の全量買い入れも含めてこの法律は要らないということになりますので、そういう廃止の法律等もございますが、これらを含めて約六百件余り。さらに、この中で実質上沖繩の県民の皆さま方の生活にどのようにしたならばショックを与えずにさらに生活が向上して、沖繩県民の未来が明るい設計ができるかというような問題に関連する法律が約五百七十数件にのぼると思っております。これらの問題を総合的に、しかも具体的にいま検討をいたしておるところでございまして、これらの作業の過程においては、琉球政府側と十分の検討をいたしつつ一項目ごとに沖繩側と話し合いをいたしておるところでございます。あるときには私のほうの職員を向こうに派遣し、あるときにはまた琉球政府側の意見のまとまり次第こちらに来てもらいまして、持ってきてもらったものを素材として意見を交換するという作業をいたしております。 さらに、基本的には復帰後の沖繩対策庁はどのような機構として沖繩に対して残さるべきであるか。さらに沖繩に対する特別の開発計画あるいは振興法、あるいは開発の特別の沖繩県民のためのみの金融機関等はいかなる形でつくるべきか。これらの問題の作業が少なくとも外務省サイドの作業に比べて非常におくれておりますことは認めざるを得ません。 これは、物理的な問題でもございまして、私自身も直接、日夜と申しましたが、毎晩おそくまで沖繩北方対策庁の職員とともに作業をいたしておりますが、第二次復帰対策要綱に盛ろうとしております問題の幾つかを取り上げてみても、金融一つにしても、やはり沖繩の将来にとっては大問題でございますので、一つ一つ慎重なこちら側の議論をしつつ、現地の意向を十分に反映しておるものは反映しておる実情に沿うように、現地の意向と食い違っておるものは調整するようにという作業等を目下全力をあげて行なっております。その作業も大体八月一ぱいには終わると思いますので、政府の判断において開催される臨時国会、おおよそ九月をめどといたしておりますが、その時期に国会において、復帰後の沖繩の法において措置しなければならないすべての輪郭、個々の法律の内容を明らかにして、これが沖繩県民の長い苦労にこたえ得るものであるかどうかについて議会の御審議をいただく手はずにいたしておる次第でございます。
○上原委員 お聞きしたいことがたくさんありますので、ひとつ答弁、簡単にしていただきたいと思うのです。 私がそれをお尋ねするのは、これまでの政府の国会答弁なりあるいはマスコミを通していろいろ見解を述べておられることは、返還交渉あるいは返還準備はきわめて順調に進んでいるのだということを絶えず言っておられるわけなんです。しかし、実際問題として、おっしゃっておられるとおりに返還交渉なり返還準備というのは進んでいないとわれわれは見ておる。その点が県民の復帰に対するいろいろの不安、そういう面が出ている、現実の問題として起きている、そのことを申し上げておきたいわけなんです。 そこで、琉球政府も復帰準備についてはかなり積極的に取り組んでおります。たとえば本土法の即時適用の問題なり経過措置――自動的にそのような措置が必要となるもの、暫定措置――一定期間または当分の間特別な措置を必要とするもの、特別措置――沖繩の特殊事情に基づき相当長期にわたり特別な措置を必要とするもの、保留すべきもの、本土法の適用ないしは制度の一本化という面でかなり無理がある。そういう五つの体系に分けて、政府に対しても要望書なり要請が出ていると思うのです。そこいらの法的な分類なり、具体的にこういう法案はこういうふうに適用がなるのだ、この制度はこうするんだということが、昨年十一月二十日に発表された第一次素案の中では出ていない。その中身を具体的にどうなさるかというのが、県民が知りたい法案であり法律であり制度あると思うのです。そういう面はどうなっていますか。
○山中国務大臣 簡単にということでありますから、御質問があれば一々具体的に答弁いたします。
○上原委員 五つの法律体系に分けた、その分類なり、特別措置をやるのは幾つの法律がある、制度がある。たとえばそういう暫定措置、そういうようなものについては、政府としてはまだ具体的におきめになっていないかということなのです。
○山中国務大臣 そのような五つの分類に分けた琉球政府の要請を受けて作業をいたしております。
○上原委員 その作業はいつまでに終わるのですか。
○山中国務大臣 第二次の分は二月末までに作業を終わりまして、三月初めの閣議にかける予定でおります。なお、それでも琉球政府との間に意見が積み残したものは、第三次復帰対策要綱になろうかと考えます。
○上原委員 第一次素案なり第二次復帰要綱をおつくりになる、あるいは二十五カ年間のいろいろなたまりですから、問題があるということも私たちも理解をいたします。しかし、いま少し具体的な法案の中身なり、制度の一体化ということを、たばこ産業の労働者に対してはこうするんだ、現にあるたばこ産業の保護はこうするんだ、通関業の問題はこうなるんだというような具体的なものを、早口にお出しになっていただきたいと思うのです。時間がかなり限られますので次に進みます。 一点だけ、基地労働者の問題で政府に確かめておきたい点があるわけですが、全軍労の十日、十一日のストをめぐって、総務長官がいろいろ御努力をなさった点は認めます。その中で、タイミングが非常におくれたということ、あるいは六億三千万円の支出を退職手当の補てんなり特別給付金としてお出しになるということが報道されております。そのことは、ストを回避という条件でお出しになるのか、一応そういうふうな閣議でおきめになったことなので、やはり基地労働者の離職者対策なり、これからの問題解決をはかるという前向きの姿勢でそのことをおきめになったのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
○山中国務大臣 具体的な問題としてたばこと通関の問題がございましたから、まずお答えいたします。 たばこは、生産者についてはそのまま生産を続行してもらって、専売公社で買い上げるという方針であります。さらに、たばこの製造メーカーについては、三社ございますが、しかし、これは専売法に基づいて民営が許されませんので、これを復帰と同時に、専売法に準じて、専売法に従って民営はやめていただく。そのために廃業のための諸補償金、退職金等の算定をいたしております。しかしながら、一方七百名にのぼる解雇者がございますので、これらの人々のために、さらに反面においては、たばこは嗜好品でもございますから、一挙に沖繩の人々にハイライトやホープでがまんしなさいというわけにもまいらない現実の背景もありますので、これらの、現在まで流通いたしておりまする嗜好品を、引き続き一定期間は供給してほしいという要請等にもこたえるために、できるならば一つの工場ぐらいは残して、そこになるべく多くの離職者の方々が再就職するとともに、残りの人々については、特殊な技能も持っておられる方々でありますので、関連方面への就職のあっせんその他について、さらに努力をいたすつもりでございます。 通関業者については、これもまた同じく、通関業のほとんどが本土との間のいわゆる貿易でございましたので、本土と一体となって、沖繩は本土となるということによって、通関業者の大部分はその職業の分野を失うことになります。したがって、原則的には専売に準じて、現在大蔵省の関税局と通関業者の代表の諸君との間に、どのような補償でもって、手切れ金を――手切れ金ということばはおかしいのですが、営業補償等について措置ができるかという話し合いをしておるところでございます。なお通関士法については、今国会に法案を提出して、復帰のときまでに通関主たる手続を、試験の手続その他を経て通関士の業務が行なえるような措置はするようにしてございます。 さらに、ただいまのお尋ねの最後の軍労の問題でございますが、六億三千万円の緊急支出をいたしましたのは、総理と大蔵大臣、官房長官、外務大臣との協議の結果でございまして、これが今回のストの、できれば回避のお役に立つならばという配慮でございまして、というのは、本来退職金の平均五万円を八万円に三万円引き上げましたのは、昭和四十六年度予算においてなされた措置でありますから、本土全駐労も含めて、これは沖繩に措置いたしました本年一月から適用すべき性格の金ではございません。しかしながらこれらも、沖繩に対して、今回の非常事態、ことにコザ市を中心とする、伝えられる県民同士の不穏の事態というものを回避するためには、どうしても嘉手納の第二ゲートのピケだけは何とか遠慮してもらいたい、排除してもらいたいという希望がございました。そこで、率直に、何も金を差し上げるからやめなさいということを言う権利はありませんし、一義的には米軍が支払うべき金でありますけれども、本土政府のほうでそれだけの支払いをいたしますから、この措置によって、せめて嘉手納第二ゲートが紛争の種にならないことが了解に達することを自分としては希望するということで、予算委員会の了解を得て、まる一日がかりで琉球政府との間の調整の結果、幸いにして、米側が第二ゲートを封鎖したことも大きな効果があったと思いますけれども、不測の事態としての県民同士の流血ということを避け得たことをただ一つの収穫だと考えております。しかしながら、軍労の皆さん方の全面解雇撤回という厚い壁、さらにそれに対応する、今回からつけ加えられました各種の、退職させるならばさせるだけの条件を満たせという御要望に対しましては、今日までもわれわれとしては公的、私的に要請を受けておる点でもありますので、引き続き、六億三千万円の緊急支出をしたからといって、それらの努力を途中で放棄するということなしに、このような事態が再三再四、引き続きどろ沼ストに引きずり込まれていかないような、あらゆる努力を外務省とともに展開をしてまいりたいと考えております。
○上原委員 この基地労働の問題と関連して、いま一つ。 これは外務大臣の管轄かは知りませんが、現在、沖繩の基地労働者というのは、御案内のように、布令一一六号で労働基本権を著しく制約を受けております。なぜあのような激しいストライキが繰り返されるかということは、二十五カ年間、そういった布令一一六号あるいは労働者としての権利を制約をされた中で、安上がりの基地労働のためにしいられてきて、使うだけ使って、現時点では首になる、そういう県民、労働者の根強い不満もあるわけなんです。これまでも、ストライキをすると報復処置ということで、懲戒処分なりいろんな問題が出てきております。現段階において、すでに布令一一六号が、名目上は死文化されておるにしても、現に基地労働者の基本権なり団交権、スト権というものを否認していることには間違いありません。復帰を目前に控えている中で、労使の摩擦を避けるという意味でも、この布令一一六号の撤廃なり、あるいはストに対しての米軍の報復処置をとらないという、外交的な折衝なり申し入れといいますか、そういうものをやる必要があると考えるわけですが、それについてどうお考えなのか。 時間の都合で総理府関係にいま一つ。日本学術会議への沖繩の科学者の参加については、現在認められておりません。現地の新聞によりますと、特別立法でこの問題を早期に解決なさるという政府のお考えをきめたということが報道されておりますが、三月までに選挙権、被選挙権というものが正式に認められない場合は、復帰時点においても、なお学術会議の会員としての資格、あるいは本土におられる科学者と同等の資格なり、学究ができないということになります。この面について、なぜここまでおくれたのか、また現時点で早急に解決する面が出ているのかどうか、この二点についてお聞かせ願いたいと思います。
○山中国務大臣 ストライキ権と布令との関係については、実際上、上原君も御指摘になったように、これはなしくずしに現実としてはアメリカ側も存在を主張しておりませんし、現実にはジェイコブソンが四軍の議長として、代理となってそれぞれの交渉の相手としてやっておることも事実でありますし、ストライキを打っておることも事実であります。ただそのあとの報復的な解雇措置、これらは布令とは直接関係のないこととして、やはりこれは内地においてもそうでありますけれども、そういう場合においてストライキの不法性がかりにありました場合に、その責任者が若干の懲戒処分その他を受けることはあり得ることでありますが、しかし現実にはその布令が厳然として存在しておることは事実でありますので、これらの点については、外務大臣とともに日米協議会等において、これらの問題が復帰前の正常な状態として、もうなくするものをなくするという作業の中に入っていくように努力をいたしております。 学術会議の委員の選挙がございます。これは三年に一ぺん選挙がありますので、ことしの選挙をはずしますと、沖繩の科学者その他の学術会議の会員たるにふさわしい、あるいは選挙権を持つべきにふさわしい人たちが、あと三年まで復帰後も選挙権も被選挙権も与えられないまま学術会議が運用されるという結果になります。したがって、今回は時間的に無理であるという事務当局の判断もありまして、最終的にまだ閣議としては、学術会議の委員の選挙に沖繩も参加させる特別法についての最終了解を得ておりませんが、これは国会のほうの御尽力をお願いをしまして、三月末までに法律が成立をしないと事務的に不可能になりますので、国会になるべく早く提出をいたしますから、その際、衆参両院において、この沖繩の学術会議の選挙に対する権利を行使する特別の法律を可決さえしていただければ、これは御了解があれば内容はむずかしい法律でございませんので、一週間で衆参両院は通過できると思いますので、そういうことをお願いして、沖繩からも学術会議の被選挙権が行使できるように今回はぜひ措置をしたいと考えて準備をいたしております。ほぼ準備はでき上がっております。
○上原委員 学術会議の件についていま前向きの答弁がございましたが、ぜひこれが実現するように政府として特別な御配慮をいただきたいと思います。おそらく国会も――国政参加もすでに実現をしておりますし、これがいままでできないこと自体に問題がある。反対なさる方いらっしゃらないと思うのです。早々に法案をつくっていただいて、その手続をとって、ぜひ沖繩の科学者の強い要望を実現するようにあらためてお願いをして、この問題を終わりたいと思うのです。 スト権の問題については、確かに実質的にストライキは打たれているわけですが、しかし報復処置という立場でとられた場合に、ますます労使の関係なりいろんな面で問題がむずかしい面が出てくると思います。労使の話し合いというようなことでなくして、政府としてもこの種の問題についても積極的に取り組んでいただくように要望申し上げておきます。 次に、労働大臣に一、二点お伺いしたいわけですが、沖繩の軍雇用員の離職者対策の問題なりあるいは労働行政全般の問題――もちろん現在は直接の関係はないとおっしゃるかもしれませんが、しかし現に出ている解雇の問題やあるいは本上への就職の問題、いろいろ出てくると思います。その中で、二、三年前から総訓やいろんな面で御配慮いただいているということもわかります。しかし、昨年十二月に総訓が開所はされても、現に実技をやる機械設備というものはほとんどなされておりません。非常におくれている。どうしてそういうおくれをとっているのか。もっと積極的にこの職業訓練の問題も政府の立場でおやりになることだと思うのです。あるいは公共職業安定所の問題にいたしましても、基地労働者の解雇なり新卒、いろいろな面でいま非常に不備をかこっております。これも当然日本政府の立場でやるべきだと思います。 さらにいま一つは、基地労働者の離職者センターの問題は、二、三年前から話し合いが出されて、前年度の予算にも予算化されていると思います。しかしなかなか着工できない現実、こういう労働行政、再就職、職業訓練の問題が遅々として進まないところにも、いろいろ労働者の不満なり、また現実的に問題解決ができないという隘路があると思うのです。それについて政府がこれまでやっておられる、労働省がおやりになっておられることや、今後どういう形でおやりになろうとしているのか、そこいらをひとつ説明と見解を聞かしていただきたいと思います。
○野原国務大臣 沖繩の米軍関係労働者の問題につきましては、全力を尽くしていろんな対策を講じておるわけでございます。そこで労働省としましては、いろんな対策を講じておりますが、特に全体としては、復帰後におきましては、本土の駐留軍関係労働者と全く同様の対策、労働法規を適用することにしておりますが、復帰前にありましては、離職する米軍関係労働者に対しましては、一昨年の九月、沖繩におきます軍関係離職者等臨時措置法が交付、施行されましたので、沖繩・北方対策庁と協力しまして、その運用に必要な財政上、技術上の援助を行なっているところでございます。さらに、沖繩総合職業訓練所など就職援護センターの設置、運営等につきまして援助しておりまして、離職後の再就職問題につきましては万全を期しております。今後は、沖繩・北方対策庁との緊密な連携のもとに、これらの施策の拡充につとめまして、沖繩の米軍関係労働者に対する施策について、本土との一体化をはかってまいりたいと考えております。 なお、先ほど御質問の件でございますが、沖繩には那覇及びコザに職業訓練所がございまして、それは沖繩でやっておったわけでございますが、そのほかに先般総合職業訓練所を開設いたしまして、これは少しまだ準備が十分でなかったのでありますが、軍関係の離職者が急にふえるということを考えまして、昨年の十二月から開設いたしました。それには離職者の関係の方々が約八十数名入っておりますが、まだ機械、施設等は十分に間に合っていないわけでございます。そこで、大急ぎでこれは二月中あたりには大体準備が全部整いまして、本土から指導者が参りまして指導、訓練に当たるという体制ができることにいたしました。そういった面でいささかおくれた感はございますが、今後はそれぞれの施設を活用いたしまして、できるだけ大ぜいの方々を就職訓練に収容いたしまして再就職等に役立たせたいと考えておりますが、いままでございました沖繩におけるコザあるいは那覇の訓練機関は、必ずしも軍関係の方々に十分に活用されてない向きもございますので、そういった面もあわせまして、御要望等が出た場合には、この施設の拡充につとめ、軍関係者の方々のできるだけ大ぜいを収容しまして、対策に資したいと考えております。
○上原委員 ぜひ早急にそういう関連施設が十分機能を果たすように、なお一そう御努力することを要求いたします。 次、返還協定の問題でお伺いをしたいわけですが、これまで、先ほども申し上げましたように、返還協定交渉はきわめて順調に進んでおる。しかし、順調に進んでおるというわりには、なかなか政府の公式な御見解というのは明らかにしていただけない。だが、最近の新聞紙上なりを見ますと、かなり具体的に煮詰まっているという面が出てきております。少なくとも、ここまでくると、政府が進めておられる交渉の中身なり返還協定にどういうものが盛り込まれているのか、また個々の項目についてもこうなっているのだということを明らかにしてしかるべきじゃなかろうかと思うのです。まずその点を御説明いただきたいと思います。
○愛知国務大臣 返還協定につきましては、前々から申しておりますように、その協定の文案等については、まだ政府として最終的なと申しますか、案文を協議するに至っておりませんものですから、その内容について責任を持ってまだお話しをするだけ話が煮詰まっておらぬわけでございます。先ほど申しましたように、おそくもこの夏までには協定の署名ということに段取りをつけたいということで、いま鋭意交渉しているわけでありますが、相手のあることでもございまするので、まだ若干の日にちはかかることを御理解いただきたいと存ずるわけでございます。 なお同時に、協定とこれに関連する問題と、それから先ほど来御説明がありますような国内的な問題、いわゆる批准国会におきましては、その全部、いわばAからZにわたりまして、沖繩の方々に十分御納得のいただけるように、いままでも十分各方面の御意見をいただいておりますし、また、これからも国会を通じてもいろいろの御論議をいただくと思いますが、十分それらをそしゃくいたしまして、御安心願えるようにいたしたいということでいま鋭意努力を続けているわけでございます。 で、協定の内容として考えられることは、御案内のように政府の考え方は、サンフランシスコ平和条約の第三条をもとにいたしまして返還協定をつくる。この関係におきましては、小笠原、奄美の返還協定というものも相当に参考になる部分が多いと思います。それから、主体といいますか根幹としては、一昨年の日米首脳部の会談でできました共同声明の六項、七項、八項ということを眼目にいたしまして、その眼目が十分に貫徹できるような趣旨にいたしたい。しかし、二、三日前にも本委員会でもお答えいたしましたように、そのワーディング、文言というようなことにつきましては、先ほど来申しておりますように、まだ案文ができておりません。 それから、実態的な問題としては、ただいま申しました小笠原、奄美等も参考になりますけれども、裁判権の問題、それからいわゆる対米請求の問題、資産の引き継ぎの問題というようなことが、実態的な内容としての部分を占めるのではなかろうか、かように考えております。 そういう方向で鋭意作業あるいは日米双方の意見を十分調整し、かつ、沖繩の方々に十分御納得のいただけるようにという考え方で、今後とも大いに努力を進めてまいりたいと思っております。
○上原委員 相変わらずの御答弁なんですが、県民に十分納得をしてもらって、ほんとに県民の意思が反映をするあるいは取り入れられるような返還協定、施政権返還にするためには、来年七二年の四月ないし七月というのは目前に控えています。いつまでも明らかにする段階でないということでおやりになって、はたしてそれで県民の納得いく返還協定なり返還というものが実現できるのかどうか、きわめて疑問が出てくるわけなんですよ。 そこで、じゃ私のほうから具体的にお聞きいたしますが、返還協定の調印というものはいつごろになるのですか。
○愛知国務大臣 返還協定の調印は、おそくも本年の夏ごろまで、これをめどにいたしております。
○上原委員 一部では四月、おそくとも五月というような説もあるわけです。また現に大臣もそういうお話をしている記事も出ております。夏の限界も、沖繩の夏は長いですよ、それは。十一月までも夏ということになりますと、返還するまでも返還協定の中身を知らされないままに返還されるということにもなりかねません。 そこで請求権の問題についてお尋ねいたしますが、これまでも国会の答弁なりで、十九条(a)項に基づいて放棄をするというようなことを言っております。この取り扱いについてどうなっているか、少なくとも現段階で言える面があると思うのです。その問題が一つ。 それと、米軍の施設、区域の使用の範囲の問題、これについて、沖繩の現在の基地というものは、御案内のように密度においても面積においてもきわめて高いものがあります。たとえ安保条約や地位協定を適用するという場合においても、先ほど私の最初の質問にも、完全本土並みになるという御答弁がございましたが、それとの関連で基地の態様の問題、施設、区域の範囲、定義の問題について説明いただきたいと思います。
○愛知国務大臣 請求権の問題は、これも前々から申し上げておりますように、サンフランシスコ平和条約の第十九条の日本及び日本国民という項の中には、これは沖繩及び沖繩県民が入る、これが従来からの政府の統一的な解釈でございます。同時に、沖繩県民の方々の請求権というものに対するお考え、御期待というようなものについては、これは前国会の沖繩特別委員会におきましても詳細にお答え申し上げましたように、非常に広い問題がたくさんございますが、その各種の御要請に対しましては、逐一実態の掌握、それからいろいろの事実関係等を政府におきましても十分検討いたしまして、沖繩県民の方々の御趣旨に沿うようにいたしたいということで、ただいま十分検討中でございます。この問題につきましては、これは関係各省、あるいは大蔵省あるいは沖繩・北方対策庁、政府部内におきましても関係方面と十分に打ち合わせをしながら、またそれらをもとにいたしまして、先ほどもお話がございましたが、対米折衝におきましても、専門家同士の打ち合わせ、協議等も十分に現在並行的に行なわれている、こういうわけでございます。 それから基地の態様についても、また同じことを繰り返すというおしかりを受けるかと思いますが、これは考え方が一番大事なことでございまして、返還と同時に日本が提供すべき沖繩における基地は、安保条約、地位協定に基づいて提供する施設、区域ということに性格が一変するわけでございますから、日米安保条約の目的に即するようなものを日本側として提供するということになるわけでございます。もちろんこれは日米間の合意ということがその前提として必要でございますけれども、こういう角度で、基地の態様といいますか、基地に対する考え方は政府の考え方を貫徹してまいりたい。同時に、現在米軍が使っておりますところでも、沖繩県民の福祉の向上あるいは経済の発展のために欠くべからざる必要性というようなものについては、提供すべき施設、区域からこれをはずしたい、これを眼目にいたしまして、鋭意折衝を続けつつあるわけでございます。こういう基本的の考え方を貫徹してまいりたい。そして返還になりましたならば、完全に本土と同様に地位協定がかぶることは申すまでもございません。
○上原委員 まず請求権の問題なんですが、平和条約十九条で講和発効前の対米請求権の放棄というのは、当時は沖繩県民というのはそのことはあずかり知らないことなんですよ。アメリカの軍政下に置かれている。それは県民の意思を問うことなく、日米両政府がかってにきめたことなんです、われわれの立場で申し上げると。したがって返還時点でアメリカが責任を持つのか、日本政府が責任を持つのか、明確に返還協定の中で打つべきだというのです、政治的に考えても、道義的に考えても。ちなみに申し上げても、軍用地の問題だけでも九十四万六千ドル、さらに漁業補償の問題を含めて、全然補償されていないのがおよそ百十九万ドル、これは年間の損失額。総計では千六百三十九万ドル余りも、現にアメリカの軍事演習なりいろいろな災害、基地公害によって起きている。こういうものを、復帰をする時点で、アメリカもわかりません、日本政府も十九条に基づいて放棄をしているんだからできませんということになると、これこそまさに沖繩処分にならないですか。そのことをどうするか、われわれは知りたいわけなんですよ。その問題をぜひ明確にしていただきたいということ。 時間がありませんのでこれと関連して、次に米国資産の買い取り問題でいろいろ出ております。大蔵大臣にお尋ねいたしますが、現にアメリカは米国資産の買い取りを幾らを要求しているのか。また日本政府は、どういう資産を買い取るように、あるいはまた買い取らないにしても、譲渡しなさいという立場で交渉なさっておるのか、それが一つ。 さらに、私が知る限りにおいては、返還協定の中で通貨交換の取り扱いについてはお触れにならないというような報道もあります。しかし、奄美の返還協定の場合は、通貨交換問題については協定の中で明確にされております。少なくとも沖繩の返還をするという段階においても、百万近い人の通貨を返還協定の中で明確にしないでいいのかどうか、なぜそうなっているのか、それを聞かせてもらいたいし、さらに最近の金融事情というのは、アメリカのドルの価値低下によって、いろいろ国際金融で話題が出ております。また、国内の世論というものも、そろそろ円の切り上げを断行したらばという意向も出ております。しかし、このことは県民の、返還と密接に、というよりも重大な生活上の問題があります。そういうようなものについて政府としてどうお考えなのか。あるいは現時点で、本会議でも答弁は聞きましたが、円の切り上げとかそういうものはないということを大臣おっしゃっておりましたが、県民が非常に不安を持っていることは事実なんです。そういうものを具体的に早目に明らかにするのが、私は政府の当然とるべき態度だと思うのですが、先ほどの問題と含めて、時間の都合上、……。
○福田国務大臣 まずドルの問題でありますが、これは返還のその日から数えまして一定の期間内に円と交換をする、そういうふうにいたしたいと思っています。これを協定に書くのか書かないのか、その辺、私はつまびらかにいたしませんが、これはいずれにしても条約をどういうふうにつくるか、こういう問題です。心配のないようにいたします。 それから交換のレートですが、これはもちろん公定交換率、これが〇・七五%のマージンがありますが、その範囲内においてそのときの実勢に応じて買い取る、こういうことになります。 それから公定歩合を動かすか、つまり円の切り上げですね、これはいたしません。これは先般も本会議で申し上げたとおり、ただいまそういうことは全然考えておりません。 それから資産の問題ですが、これは買い取りということをいうのが適当かどうか、私どもは承継というふうに考えておるのです。米軍が資産を置いていく、それを当方において使わしてもらう。その置いていく財産を、しかも価値のある財産があるわけですが、それをただで使わしてもらうのもどうもがめつい、こういうふうな感じもいたしますので、何らかの支払いをいたす、こういうふうな考え方がいいんじゃないかというふうな感じがするんです。資産を買い取るとすると、何か沖繩を買い取ったような感じになりまして、どうも感触がよくない、こういうふうに考えます。そこで、それならばどういう、額を支払うのか、こういうふうになりますが、これはアメリカからは幾ら支払えということをまだ言っておりません。去年の夏から話をしておりますが、いま交渉の過程でございますので、どういうふうな額だというふうなことは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、交渉は思ったよりもなごやかに進行しておる、まあよくやったなということになるんじゃないか、私はそう期待しながら努力をいたしております。
○愛知国務大臣 いわゆる資産の引き継ぎあるいは通貨交換の問題等については、いま大蔵大臣から答えられたわけですが、それらについてもいま大蔵大臣の言われるとおりで、どういうふうな内容について合意が円滑にできるか、またそれに関連して、協定にどういうふうにこれを書くか、あるいはその他の方法があるかというようなことについていま鋭意検討中でございますし、また非常に技術的な問題もありますので、現在協定文案としてこういうふうなことを大体考えるというところまでまだ行っておりません。 それから、対米請求の問題について重ねてお尋ねがございましたが、これもすでに前国会のときにかなり詳しく私も御説明申し上げているつもりですが、そして先日松本委員の御質問にもお答えしたつもりなのでありますけれども、平和条約第十九条で放棄をしたと、こう言うと、一切そういうものは捨てて顧みないのか、こういうふうに御解釈になると、これは間違いでございまして、沖縄県民の方々の請求権というものについて、ただいまお話がございましたように、アメリカの責任において処理して至当なものと、それからまた本土政府として考えなければならないもの、こういうふうに分けられるのではなかろうかと思います。 そういったような多少広い意味の請求権ということになりますと、沖繩特別委員会で申し上げましたように、講和前補償の中で、人身損害に関して補償漏れに対する補償をはじめといたしまして、すでに琉政あるいはその他の公私の団体から御要請を受けておりますものが、大分けに分けましても十項目ございます。先ほどおあげになりました漁業補償等もその中に入っております。この大分けに分けましても十項目もございますような各種の補償問題につきましては、先ほど申しましたように、あらゆる御要請の書類あるいは口頭等による御関係の方々からの御要請を謙虚にそして真剣に取り上げて、沖繩の県民の方々の御要望に沿うようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○上原委員 大蔵大臣、きわめてよくやったということなんですが、では一点お確かめしておきたいのですが、復帰の時点で一ドルは三百六十円で交換するというお約束はいたしますか。
○福田国務大臣 公的に申し上げますと、公定レートを基準として交換を行ないます、こういうことです。 〔小平(久)委員長代理退席、坪川委員長代理着席〕 基準としてということを申し上げますのは、そのときの取引の実勢で〇・七五のマージンが上下にあるのです。かりに円の実勢がそのときの時点において一ドル三百五十九円と円が強い、こういう状態下において三百六十円で買いますとこう言ったら、ドル買いというか、ドルが方々から流れてきて、そして有利な状態で円と交換をする、そういうような思惑が入ってくる、それじゃいけません。そこで、三百六十円、こういうふうに言わないのですを基準として、こういうふうに申し上げるわけです。 しかし、実際問題とすると、公定レート――これは公定レートですから、そのときに公定レートになるべくその実勢が近づくようにという配意はいたすつもりでございますが、正確にいいますと、公定レートを基準として円とドルとの交換を行なう、こういうことであります。
○上原委員 私も上限、下限の公定レートの差があるということはわかります、〇・七五。しかし、その公定レートというものがくせ者なんです。実質的な損をしてしまうことにもなってしまう。そういうことのないように、特にこの問題については協定の中でも十分取り入れてもらいたいし、その配慮をしていただきたいと思います。 次に、基地問題にしぼって、あと外務大臣にお聞きしたいわけですが、その前に簡単に防衛庁長官にお伺いしておきたいことは、復帰の前あるいは復帰後において自衛隊の沖繩配備というものがかなり進行しておるということが報道されております。いろいろ最近の国防の問題については、国民の知らない間にされている面もかなりあるのじゃないかという疑惑さえ持たれております。沖繩返還がそういう日本の国防増強の一つのてこにされるような懸念もありますし、防空ミサイルの買い上げ問題等も含めて、一体防衛庁は、復帰に向けて、あるいは復帰後の沖繩に配置をする自衛隊なり米軍との基地使用の問題等をどういう方針で進めておられるのか、ひとつ明らかにしていた、だきたいと思います。 〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
○中曽根国務大臣 沖繩が復帰しますと、日本国憲法が通用し、わが主権下に入るわけであります。したがって、当然わが主権下にある領土は、わが国民の努力で第一義的に守らるべきものでありまして、沖繩についても全国民が熱意を傾けて防衛を全うすべきであると思います。そういう考えに立って、沖繩県民の皆さんにできるだけ御理解を深めて御協力をいただこうと思っておるわけです。 ただ、沖繩はあのような激戦の行なわれたところでございますので、人心も必ずしも本土の府県とは違うところもあります。そういう意味において、慎重に対処してまいりたいと思います。 それで、現在沖繩にありますところのアメリカの軍隊は、一面において抑止機能を持っております。と同時に、沖繩防衛の任にも当たっておるわけです。沖繩に進出いたします自衛隊の防衛力というものは沖繩の防衛に充てる、そうしてアメリカがいままでやっておるような対外的な足の長い抑止機能というものはアメリカに依存する。こういう考えで当初約三千人、終局的には、目下のところは約六千人、それよりあるいは多少またふえるかもしれません。大体その程度を目途にして三自衛隊を派遣しようと思っておるわけであります。
○上原委員 あとでまた関連でお尋ねいたしますが、そこで、先ほど外務大臣の御答弁の中で、いわゆる沖繩が復帰をするということは、基地の性格が一変をすることになるのだという答弁がありましたが、基地の性格が一変をするという意味は、どういう意味ですか。
○愛知国務大臣 平たく申しますと、現在は二十数年来米国の施政権下にございましたから、まあ米本土におります米軍とその性格というものは同じであった。平たく言えば、こういうことが言えるのではないかと思います。返還と同時に、駐留しあるいはこちらから提供するところの施設、区域の利用というものは、安保条約の目的すなわち日本及び日本を含む防衛のためという、こういう性格になりますから、そういう意味で、性格が違うと、私は平たく言って言えると思います。これがただいま防衛庁長官からもお話があった点に関連するわけでございます。したがって、現に本土におけるところの提供しておる施設、区域と同じ性格のものに、いわゆる基地というものが沖繩においてもそういう性格になる、こう理解すべきであり、またそういうふうにしなければならない。そういう意味で、安保条約の目的に沿うような体制にしてもらうということを基本の考え方として、さように計らってまいりたいというのが、政府の考え方でございます。
○上原委員 そうしますと、共同声明の発表の際に、いわゆる核抜き本土並みの返還だということをおっしゃっております。核抜き本土並みということは、裏を返せば、現に沖繩に核が貯蔵されている、あるということを認めたということにもなります。本土並みという意味は、どういう意味ですか。
○愛知国務大臣 本土並みということは、本土におけるところの日本政府が他国と結んでおる条約、その中に安保条約はもちろん入りますが、これに何らの変更なしにその条約が沖繩に本土並みに適用される、こういうことになるわけでございます。
○上原委員 本土並みということは、安保条約や関連取りきめが本土にある基地と同じように適用されるということが本土並みということですか、基地の態様が本土並みということですか、明確にしていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 基地の性格といいますか、使命と申しますか、これをもちろん含んで本土並みということになるわけでございます。
○上原委員 私がお聞きしているのは、核抜き本土並みの返還が実現をするということを強調されてまいりました。少なくとも国民も沖繩県民も、本土並みということは、基地の態様――本土にある軍事基地と同じように沖繩の基地も性格なり機能なりが変わっていくということが、そういう政治的なものがあると思うのです、あったと思うのだ。しかし、いま外相のおっしゃることは、安保条約や関連取りきめが沖繩にも無条件に適用されるから本土並みなんだということですか。沖繩の基地も、本土の基地の態様――形、機能、性格そのものも本土並みになるということですかということを、いま一度明確にしていただきたいということなんです。これを県民は非常に知りたがっているのです。
○愛知国務大臣 これは何べんも申しますように、それがいわゆる本土並みでございますから、おっしゃることをそのままそのとおりでございますと申し上げて間違いではないと思います。現に、先ほども私、外電を見ましたけれども、最近いろいろと御心配に基づく御議論がございましたけれども、米側の国務省当局も、沖繩が返還されれば完全に基地は本土並みになるのである、したがって、そこから戦闘作戦行動というようなものはもちろん事前協議の対象になるし、全部本土並みになるということは間違いのないことであるということを、たまたま十二日――先方の十二日でございますが、国務省のスポークスマンが確認をしているようでございます。そういうところからも明らかでありますように、基地の性格というものは全く本土並みになる、こういうことは間違いのないことであると思います。
○上原委員 ことばでそういう御説明をなさっても、現実に沖繩の基地の性格、機能というものは決して本土並みになる傾向にはないわけなんです。たとえば例を申し上げても、六九年以降でも、どれだけ沖繩の軍事基地の機能なり性格というものが強化をされているのか。渡洋作戦行動の支援強化、嘉手納基地をフォーカス・レチナ演習ということでやっておるのが六九年三月。さらに通信施設の強化、八重岳に現に大幅な通信施設をつくっているじゃありませんか。本土から撤退をする、あるいは交代をしていく基地は、全部沖繩に増築されるか強化をされている。あるいは兵たん機能の強化の問題、普天間海兵隊の航空基地拡張とステーシヨンへの昇格、キャンプバトラーの司令部への昇格、在沖米陸軍司令部の強化、第三海兵隊の司令部の設置、第一海兵隊緊急出撃軍の編成、沖繩の北部の上本部村にこれまで使っていない空軍の基地があります。現にマリーンのヘリコプターの演習施設として滑走路を舗装し、朝から晩まで演習しておりますよ。あるいは先ほども申し上げましたように、北部の第三海兵隊の実弾射撃演習場の設置の問題なり、さらに毒ガスの貯蔵の問題。事前協議とおっしゃいますが、事前協議をしないでも、もうこれ以上持ち込む必要もないほど核も化学兵器もあるのが沖繩の軍事基地なんですよ。 私がお尋ねしているのは、なぜそういう基地であるならあるという前提での話の進め方をおやりにならないで、あたかも基地の機能や性格というものが本土並みになるかのような印象を与えながら、実質的には安保の質的変化じゃありませんか。もう一度、基地の機能の問題なのか、性格の問題なのか、ほんとうに本土並みの基地になるのかどうか。
○愛知国務大臣 これはもう前々からお話をいたしておりますように、安保条約の質的変化などということは全然ございません。ただいまも私ちょっと引用いたしましたが、ちょうどここへも来ておりますけれども、たとえば二、三日来御論議もございましたが、たとえばこういうものがございます。ワシントンの十二日共同発電でございますが、「米国務省当局者は十二日、沖繩の米海兵隊が再びベトナムに出動したとの報道に関連して「この動きと沖繩返還後の米軍基地使用問題とはなんの関係もないと思う。返還後の米軍基地のあり方について”本土並み””事前協議”の方針は全く変わらない」」ということを確認いたしておるわけでございます。さらに「これは今度の海兵隊の動きからベトナム戦争が沖繩返還後も続く場合、沖繩の米軍基地が日本政府との事前協議もなく自由に使用されるのではないか、との疑問に答えたものである。」といっております。そして「六九年の日米共同声明にある「ベトナム戦争が沖繩返還後も続く場合の基地使用に関する協議」について、同当局者は「そのような協議は行なわれていないし、今後行なう必要があるとも考えていない」」と述べておりますことは、政府として前々から申し上げているとおりでございます。 なお、先ほどお話もございましたが、昨年の十二月二十一日と思いますが、安保協議会等におきまして、本土からの米軍が相当程度撤収をいたしました場合にも、それが全部沖繩にしわ寄せをされたというようなことはございませんで、沖繩自体としても、米側としては沖繩におけるところの米軍兵力の漸次縮減ということを前提にして、その範囲内で一部の航空部隊等が沖繩に移駐をした、そのほかの大部分は米本国あるいはその他の地域に移駐したということが明らかにされているわけでございます。 それから、これは申し上げるまでもないことでございますが、現に沖繩の地位というものとそれから返還後というものとはこういうわけで全然変わるわけでございますから、現在、あるいは現在までこうこうであったからと仰せられましても、これは返還前の状態とは違ってまいることは、いまも読み上げましたような考え方でございますから、その点は返還後においてはこうなるということについては、沖繩県の方々におかれましても御理解を十分進めていただきたい、かように存ずる次第であり、またその御理解を一そう進めていただきたい、御協力をお願いいたしたいと、あわせて申し上げたいと存じます。
○上原委員 返還後における基地はそういう方向に進んでいくのであるから、理解をしてもらいたいということですが、現に沖繩に住んでいる人はそういう立場にはとれないわけなんです、実際問題として。B52がいなくなったといいましても、現に嘉手納地域は毎日毎晩七十ホンから八十ホンの爆音に悩まされておりますよ。そういう軍事基地が本土にありますか。あるいは百万の県民が住んでいる一つの県なり地域なりに約十二%、沖繩本島においては二三%も軍事基地に使用されているんですよ。そういう基地の面積なり密度というのが本土にありますか。それが将来において本土並みになるというような希望的観測ならまだしも理解はできる。七二年の何月何日かにそういうような基地の態様になるというような保証はどこにもないわけなんですよ。核抜きの問題にいたしましても、事前協議ということを盛んに強調されておりますが、事前協議以前の問題が沖繩にはあるのです。 では、現にある核をどのように撤去したかという証明は、どういうふうにおやりになるのですか。
○愛知国務大臣 これもしばしば申し上げておりますように、日米政府がまず最高首脳間で最高の政治的決定について合意をいたしまして、そしてその根幹とするところの支柱というか、柱が返還協定の中にでんと確定的に今度は両国のそれぞれの立法府の支持を得て、この上ないと申しましょうか、最高の約定、条約ということになるわけでございますから、現にこうだからと言われても、そこはまあお考えの、見方の相違ということに結局なるかもしれませんが、返還後におきましては、先ほど来申しておりますように、両国の最高の決定によって核抜き本土並みになるのでございますから、これはひとつ御信用していただくよりほかにないと思います。 そして返還になった、なるほどこういうふうに本土並みに地位協定も適用され、そして米側が、現に今日も言っておりますように、返還後になれば本土並みになり事前協議も完全に適用される、自由使用ということはあり得ない、こういう姿になるわけでございますから、いましばらくのことでありますから、その状況の推移を御理解をもって御協力をいただきたいというのが、政府の立場でございます。
○上原委員 まあ私はあえて見解の相違ということでこの問題を片づけようとは思いません。核抜き本土並みになるということは、返還協定の中で明確にいたしますか。
○愛知国務大臣 これは政府間の最高首脳同志で約束ができました合意が、条約としていかなる形で十分に協定されるかということについて現に政府としては十分検討をいたしておるわけでございます。ですから、その文言がどういう形になるかということについては、先般来申し上げておりますように、お約束はできませんけれども、その趣旨というものは十分に政府としては考えておるわけでございます。
○上原委員 返還協定の中にそういうことが明確にされない限り、両首脳が合意をしたからというが、共同声明の第八項を読んでも、そういう核抜きになるということは書いてないのです。日本国民の心情を理解した、ということなんです。アメリカから撤退をするといいながら、現にインドシナ、ラオスにもどんどん進撃しているじゃありませんか、大統領も。そういうようなことを信頼していただきたいといいましても、沖繩は二十五カ年間ああいう基地被害を受けながら、現に毒ガスもある、原爆もある、爆音もある。いろいろな基地被害の中に住んでいる人は、本土並みになるということなんてとうてい考えていないわけなんです。 そのことをぜひ――これから返還協定を進める中で、ほんとうに七二年に本土並みになるのか、基地の性格、機能、態様がですよ、あるいは安保条約を適用することが本土並みなのか、これからより具体的な例を出して、あらゆる場で政府の見解をただしていきたいと思うのです。 時間の関係もありますので、次に毒ガス問題についてお尋ねいたします。 せんだって百五十トンの毒ガスが一応撤去をされたわけですが、しかし、夏までに残った分を撤去するという方針を出しております。それについてどのような外交折衝なり日米政府の話し合いを現にお進めになっておるか、その点を簡単に御説明をいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 毒ガスがそもそも貯蔵されておったということについては、非常に政府としても遺憾なことと存じております。したがって、この事実が明らかになりましたその瞬間からと申してよろしいと思いますけれども、あらゆる努力をいたしまして、早期かつ安全な撤去ということについては、対米折衝を執拗に続けてまいりました。これは東京においてもあるいはワシントンにおいても、私自身が努力を続けてまいりましたし、また御承知のように、防衛庁長官もワシントンに行かれた際に、これは直接担当である国防総省のレアード長官とも話し合ったことは御承知のとおりと思いますが、政府としては全力をあげて早期、安全な撤去ということについて努力をしてまいったつもりでございます。 その後の詳細については幾らでも御説明をいたしたいと思いますが、御質疑の時間の関係もございましょうから簡単に申しますと、きわめて最近のところでは、その発表のあります前にも私は抽象的に申し上げておりましたとおり、私の折衝中の心証からすれば、アメリカも非常に真剣になって、そして十二月の初旬に国防長官が発表したときには、移送先のジョンストン島の格納能力等から申しまして、あるいは来年に及ぶのではなかろうかということで憂慮された時期もあったわけでございますが、さらにその後折衝につとめました結果、現在のところは、ジョンストン島における格納といいますか、収容につきましては、これまた夏というと、どこの夏かという御質疑が出るかと思いますけれども、英語でいいますとレート・サマーということばが使われておりますが、晩夏までには完全に格納の設備ができるように、政府としては相当の財政的負担もした、そして御要請に応ずるようになりました、これが現状でございます。 そしてさらに配船等につきましても、先方としては、これはまあ当然と申せましょうけれども、当初伝えられたような考え方よりも非常に積極的な努力と計画をいたしておるようでございますから、その点につきましては、対米折衝をやっておりまする者といたしましても、相当の程度にこちら側に引き寄せてくることができた、こういう心証を得ているわけでございます。 私は、こういう条件がだんだん整ってまいりましたから、安全ですみやかな移送について関係の方々の積極的な御努力、御協力をいただきたい、また本土政府といたしましても、なし得る限りの御協力は今後とも十二分に続けてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
○上原委員 安全にすみやかに撤去をするということはこれは当然のことなんです。しかし、第一次輸送の場合にあれだけ大きな社会的政治問題に発展をしたということはおわかりだと思うのです。また、現に輸送通路に当たる地域住民がどれだけ不安を持ち、毒ガス撤去ということに対して強い怒りを持っているかということ、沖繩全島が十日ないしは二週間もわずか百五十トンということに費やしてしまった。伝えられる残った分は四十五日から六十日かかるといっている。しかも毒性においてもVX、GBというような、非常に強度の毒性を持ったやつ、これを撤去するには、まず第一に住民の安全確保というものを十分に明確にしなければいかぬと思います。あえてここで基準というような問題は持ち出しません。ほんとうに住民が安心して、安全を確保して撤去できる方法は何なのか、それから出てくるいろいろの費用負担の問題、そういうものは日米交渉でどう進めていかれるのか、その点を開かせてもらいたいと思います。
○愛知国務大臣 もちろん日米交渉におきましては、ただいま申しましたように、いままでも全力をあげて努力をしてまいりまして、私は、先ほど率直に申しましたように、ある程度の実りはあったように思われますが、今後とも安全ですみやかな輸送につきまして、米側に要請すべきことについてはもちろん最大の努力をいたしますけれども、同時に、移送それ自体につきましては、本土政府といたしましても、また琉球政府とされましても、県民が安心を一日もすみやかにするために、ひとつ十分な協力、努力をいたさなければなるまい、かように考えておるわけでございまして、これらの点につきましては、私ももちろん努力をいたしますけれども、総理府総務長官も非常な努力をされていることは御承知のとおりでございます。政府一体としてできるだけのことをいたしたいと思っております。
○上原委員 総務長官に一点お伺いいたしますが、現在アメリカが第二次輸送を開始するということは、第一次輸送をしたルートという条件をつけての発表だと見ております。その面が、本土政府に対しても、そういう申し入れなりが、現にランパート高等弁務官にお会いなされたときにあったのかどうか、また、もし輸送ルートの変更がない場合には撤去というのはかなりおくれますという、実に高圧的な、自分らの責任で撤去すべきものを琉球政府なり沖繩側にげたを預けたような高慢な態度は許せない。そういう二点についてどういうふうにお考えなのか。
○山中国務大臣 米側の発表は、現在の百五十トンを撤去したルートを使用すること、並びにジョンストン島の施設ができ上がることを前提として晩夏までに撤去を完了できるということをいっておるわけです。そこで、第一次ルートというのもおかしいのですが、すでに百五十トン通ったルートの変更もしくはジョンストン島の受け入れ施設工事の遅延等の事態が起こらない限りという表現があることは、御承知のとおりであります。ということは、高圧的に、第一次ルートを通らなければおくれるぞということを言っているのではなくて、第二次ルート、すなわち幾つもの案が検討されておりますが、沖繩県民の人々が、関係部落民を含めて、一応納得されるルートというものの建設が完成したならば、そのルートを経由して運び出すということに対して、柔軟な態度をむしろ示しておるものと受け取っております。 私とランパート高等弁務官とがお会いをいたしましたときには、まだ米側の晩夏までには撤去を完了できるよう見通しがついたという発表がある前でございましたので、したがって、なるべくすみやかに撤去することを前提とした一次ルートの美里村から具志川市に至るルートでは、私としては非常に困難であるという前提に立って、弁務官との間に、かわるべきルートを琉球政府がすみやかに地域住民その他と話をされて決定してこられたならば、これを受け入れるべきであること、受け入れた場合においては、その工事について、設計、工事その他に米側の工兵隊を中心とする協力 をすべきであること、そしてそれに対しては、必要ならば本土政府においても二分の一程度の負担をするにやぶさかでないこと、これらの点について話し合っておるわけでございます。 結論から申しますと、主席とも相談をいたしておりますが、なるべくすみやかに現地住民の方々の賛成を得られるルートの決定をしていただくということが先決条件であろうかと考えます。
○上原委員 時間が来ましたので、最後に、毒ガス撤去の問題で、確かにこれだけ大量の毒ガスというものを撤去をするには、地域住民なり琉球政府あるいは県民の協力というのも必要かと思うのです。必要かつ前提になります。しかし、毒ガスというのは実際には知花だけにあるのじゃない、辺野古にもあるということがほぼ明らかにされております。量においてもいろいろ問題がある。そういうようなものを含めて、まず県民の安全対策というものを第一に考えてしかるべきだということ。裸のままで運ぶのでなくして、鉄のコンテナでもつくって、それにぴしゃっとはめ込むというような、最大の配慮がなされてしかるべきだと思うのです。そういうような面についでも十分折衝していただきたいし、さらに県民の了解を得て、納得がいって、輸送道路の変更というようなことに対しても、かりにある場合も、それが変更になったからといって撤去がいたずらにおくれるというようなことのないように、早急に、完全に撤去するという政府のいまの姿勢というものを実現するように、強く要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
○中野委員長 これにて上原君の質疑は終了いたしました。 ――――◇―――――
○中野委員長 この際、分科会の件についておはかりをいたします。 理事会の協議によりまして、昭和四十六年度総予算審査のため、五個の分科会に分かつこととし、分科の区分は、第一分科会は皇室費、国会、裁判所、内閣、防衛庁・経済企画庁を除く総理府、法務省及び文部省所管並びに他の分科会の所管以外の事項。第二分科会は、会計検査院、防衛庁、外務省及び大蔵省所管。第三分科会は、経済企画庁、厚生省及び自治省所管。第四分科会は、農林省、通商産業省及び労働省所管。第五分科会は、運輸省、郵政省及び建設省所管。 以上のとおりといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 明後十五日は、午前十時より委員会を開会し、一般質疑を行ないます。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時九分散会