予算委員会 第9号
- 発言数
- 322 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/02/08
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括して議題とし、質疑に入ります。田中武夫君。
○田中(武)委員 本日は補正予算の審議でございますので、まず補正予算に直接関係のあるものからお伺いいたしたいと思います。いろいろと盛りだくさんに用意をいたしておりますので、できるだけ簡潔な御答弁をお願いします。 まず、最初に大蔵大臣にお伺いいたします。四十五年度の最終的な自然増収は幾らぐらいになると見ておられますか。その分はどのようにせられるのか。たとえば、公債の発行減にもっていかれるのか。さらに、所得税関係で大体八百億といわれておりますが、これのほとんどは給与所得だと思います。したがって、この分は年度内に給与所得に対する減税という方法で返すべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 ただいま正確に見通し得る自然増収の総額、他の歳出の不用額等も含めますが、これは三千百億円余り、かように見通されるわけであります。ただ、これはいま法人決算なんかの動きがありますので、あるいは若干の増額があるかもしれない。これをこえました額は、あげて公債の発行を縮減をする、そういう用途に充てたい、かように考えております。 いま給与所得の減額にこれを充てるべきではないかというお話でございますが、これは四十六年度の予算において考慮をいたしたい、かように考えます。
○田中(武)委員 ミニ減税といわれておる四十六年度の減税ですが、そのことにつきましてはまた本予算のところで論議するといたしまして、次へ参りたいと思います。 物価値上がりによるところのいわゆる財政の硬直化要因が高まってまいりました。それが経費の増大に拍車をかけておると思います。補正予算と物価上昇との関連をどのようにお考えになっておりますか。
○福田国務大臣 補正予算の大宗をなすものは給与費であります。この給与費は、これは直接の物価の影響というふうには考えませんけれども、間接的には物価上昇の影響を受けておる、かまうに見ておるのであります。すなわち、この給与予算はどうして補正をするかと申し上げますと、これは人事院勧告である、人事院勧告はなぜあのような高いものになったか、こう申しますと、春闘等の影響、それからさらに、春闘はどういうふうにしてああいうふうになったかというと、物価の関連もある、こういうようなことで、間接的に物価の影響をこの予算は一部受けている、かように御理解願います。
○田中(武)委員 食管会計への繰り入れの分は、余剰米の処理に充てる分がだいぶあると思います。そこでお伺いいたしますが、援助として、これは輸出ということばが当たるかどうか知りませんが、援助として輸出したものあるいは工業用、えさ等への払い下げをやっております。しかし、その価格を安く払い下げておりますので、その価格の引き下げが、いわゆる払い下げの値段を安くしたそういうことが、再加工品の販売価格にどのように影響するか、あるいは再加工品の価格の引き下げのために役に立っているのかどうか、この払い下げのルートと払い下げ価格、これを明確にしていただきたいと思います。
○倉石国務大臣 ただいまお話のございましたのは、過剰米をみそ、しょうちゅう等に払い下げております問題だと思いますが、従来みそ、しょうゆ等の原材料用米として輸入砕米、それから準内地米を売却しておったのでありますが、過剰米を処理いたします一環として、これらの輸入米にかえて過剰米を売却することにいたしたわけでございますので、政府の手持ち米を売却いたします価格は、いま申し上げましたように、従来しょちゅうだとかみそだとかの原料に使っておりました輸入米に見合うような価格で払い下げておるわけでありますから、原料代としてはその製品の価格の低落のためにはあまり影響がないわけであります。
○田中(武)委員 それでは具体的に輸入米は幾らで、払い下げ米は幾ら、ここで私そういうことは言いたくないのですが、農林大臣のほうからみそ、しょうゆと、こう出ましたので申し上げるのですけれども、そういうことで、みそ、しょうゆ関係の業界というか、業界の連合会というか、そういうところから献金がなされたのではないか、こういうようなうわさもあるわけですが、このことについて、私は別にその資料をもって詰め寄ろうと思っておりません。しかし輸入価格とあまり変わりがない、こういうことですから、一ぺん価格の点をはっきりしてください。
○倉石国務大臣 輸入米の価格については、事務当局からひとつお答えいたさせます。
○亀長政府委員 お答え申し上げます。 現在、原材料に払い下げいたしております破砕精米、砕いた米の値段はトン当たり六万八千二百円でございまして、これは、破砕精米によって加工原料にいたします前に外国から輸入した米を使っておりまして、その米と同等の値段で払い下げをする、かような計算でいたしておるわけでございます。
○田中(武)委員 まあこれにはいろいろとうわさがありますが、これは後の機会に譲りたいと思います。 次に、補正予算で万博跡地購入費として八十三億三百四十万円ですか、出ております。われわれは、もちろん大阪大学の用地を除いてですが、全部政府が買い上げて、政府のほうでその利用の計画を立てろ、こういう主張をしてきたんですが、おそらく跡地利用懇談会等で話が出たんだと思うのですが、半分買い上げるという話はどこでどのようにしてつけられたのか、あるいは、券買い上げた土地をどのように利用するというような計画をお持ちなのか、お伺いいたします。
○福田国務大臣 万博跡地につきましては、一時、これを全部国で買い上げたらどうだろうという地元公共団体側の要請があったんです。しかしその後いろいろ話をしている間に、私は実はあれは御要請のとおり全部一括して国で買い上げてもよろしい、こう申し上げた。ところが、地方公共団体、大阪府の側とすると、やはりあの跡地の利用については、大阪府においても発言権を留保しておくという必要を感じたのでありましょうか、まあ半々にいたしましょうや、こういうお話になってまいりまして、地元側のそういう意見の推移等も尊重いたしまして、半々、こういうことにいたしたわけです。これは、跡地は一括して使用するという方針であります。これも、地元側の強い要請であり、地元のみならず、万博に関係したあらゆる方々が、一括使用、こういうことを言っておりますのでそれを尊重したい、かように考えております。 その使用の方法につきましては、これを、長く万博を記念をするという、国民の金字塔というような性格のものにいたしたい、これも関係者の一致した意見であります。それを具体的に、それじゃどういうふうにするかということについては、いま万博跡地懇談会を設けて、各界各層の意見を聞いておるわけでありますが、中間的にまとまりました意見は、あれを緑に包まれた文化的公園、そういう性格のものにいたしたいという意見が、私のところへ述べられております。
○田中(武)委員 この問題は、分科会等で地元の人もまた詳細に触れると思いますから、議論は差し控えたいと思います。 そこで、シンボルゾーンの大尾根ですね、あれは残すという予定だったが、何かギリシャですかから買いたいといってきておるそうですが、政府はどうしますか。 それから、万博跡地利用のための事業団とか公団とかいったようなものをおつくりになるおつもりはありますか、いかがです。
○福田国務大臣 シンボルゾーンをどうするかということにつきましては、いろいろ構想が出ておりますが、これはただいま申し上げましたような跡地懇談会において具体的な意見を述べられる、それを参考といたしましてその結論を出したい、かように考えております。 あの跡地をどういうふうにするかは、まだそういう過程でございますが、いずれにしてもあの跡地を管理する事業主体が必要である、こういうふうに考えておりますので、何らかの認可法人というような性格のものでもつくりまして、これが管理運営に当たらせるということが適当であるというふうに考えて、いま関係方面と相談しておりますが、相談がまとまりますれば一またこれを国会に審議をお願いしたい、かように考えております。
○田中(武)委員 次に、外務大臣にお伺いいたしますが、外務省の予備費使用調書を見ますと、約二十八億七百三十九万一千円ですかがベトナムの難民救済等の補助金として出ておるわけなんです。そこでお伺いしたいのですけれども、これは日本赤十字社を通じてということになっておるのですが、いずれにいたしましても、これは国庫債務負担行為であると思うのです。もちろん予備費でもって国会の議決をもらっておるから自由だ、こういうようにお考えになるのかとも思いますけれども、私は、これはやはり国庫債務負担行為である、したがって事前に国会の承認を得べきじゃないか。さらに、日本赤十字社を通じて行なった、こういうことでありますが、それは一体、その相手国自体に渡したのか、それとも難民といいますか、そこの国民に分けたものか。さらに、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、その第五条によれば、まず日本赤十字社から申請が出なければならないと思います。そして、第七条によるところの条件をつけたのか、つけなかったのか。さらに、第十四条の実績報告はどうなっておるのか、お伺いいたします。
○愛知国務大臣 昭和四十五年度の外務省関係の予備費の支出につきましては、ただいま御質問がありましたベトナムの人道的な立場に立っての難民の救済の問題と、それからカンボジア、東パキスタンと、三件ございまして、それから、予備費の支出については都合六件かになっておるはずでございます。御指摘のとおりでございます。 これはいま申しましたように人道的な立場に、それぞれの国の赤十字を通じての要請にこたえて日本赤十字社が計画をつくりまして、政府としては、予備費の支出をお願いといいますか、外務省としてはお願いをして、予備費の支出を日本赤十字社に対して交付いたしまして、実施をいたしておりますわけで、これは政府の見解としては、予備費の支出であって国庫債務負担行為というかっこうはとっておりません。 それから、実績でございますけれども、これは当然、日本赤十字社から、その実行した実績を詳細にとるわけでございますけれども、比較的最近に行なわれましたことでございますから、まだ実績についての――実施中のものもございますくらいでございますから、実績の報告というものはまだ詳細にはとっておりません、こういう状況になっております。
○田中(武)委員 実は、その援助に問題がある、こう言われておりますが、きょうはほかにもたくさんあるので行ないません。 そこで、資料として要求をいたします。先ほど読み上げましたように、補助金等に係る予算の執行の適性化に関する法律の第五条による日本赤十字社から出された申請書の写し、さらに、七条による条件を付したのか付さなかったのか、付したならばいかなる条件であるのか、付さなかったならば何がゆえに無条件にしたのか、そして第三点は、同法の第十四条による実績の報告書、これは現時点でけっこうです。これを資料として、一般質問の始まるまでに出してもらいたいのですが、委員長いかがでしょうか。
○中野委員長 外務省、出ますか。
○愛知国務大臣 承知いたしました。
○田中(武)委員 それでは、この問題はあとの楽しみにいたしまして、次へまいります。 次に、給与についてお伺いをいたしますが、本年度では、これは予備費だったですか、五%アップを組んだのですね。大体、予備費の性格からいって、給与を予備費に組むことに問題があります。そこで、来年度はそうではなさそうです。いずれにいたしましても、五%なんかでおさまらないということは、初めからわかっておったわけなんです。それを五%のワクに閉じ込めようとしたところに、今度の補正の大きな給与についての支出が出てきたと思います。大蔵省がかつて――いまもそうだろうと思いますが――唱えておられました総合予算主義からいって、それは少しおかしいのじゃないか、そう思います。さらに、昨年末の臨時国会で、給与関係法が成立をいたしました。そうするならば、私は、この給与等の補正はその法律と同時に出されるべきものである、そうでなければならないと思うのに、給与関係法律が成立いたしましてから相当日のたった今日出しておられる。そのために、公務員諸君に迷惑をかけたり、実際、金も十日にもらえぬ者もおるわけなんですね。われわれもないのですよ。われわれのことはまあよろしい。そういうことは一体どう思います。今後、給与関係等が成立すれば、当然、それに見合う補正を行なうべきじゃないですか、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 いま田中さん、ちょっと誤解されておるのじゃないかと思いますが、四十五年度におきましては、給与の五%というのは予備費じゃないのです。本費のほうで五%……(田中(武)委員「前に予備費でやったことがあるでしょう」と呼ぶ)四十四年度まではそうなんです。四十四年でおしかりを受けるのは、これはしょうがないのです。もう四十五年度にはちゃんと直しまして、本費で五%、それをこえるという際には予備費でいたそう、こういうことでありますので、これはお答えは省略いたします。 そこで、人事院勧告があった、それに対して政府が態度をきめた、そのときに法律が出されるわけでございますけれども、その法律とともに補正をいたすべきじゃないかというお話でございますが、法律がきまって、その執行に必要な金が出せない、こういう状態でありますれば、補正を組まなければならぬと思います。しかし、そうじゃないのです。予算に計上された給与費を繰りかえ使用して公務員には御迷惑をかけない、こういうことが可能でありますので、まあしばらく補正予算を編成することを見送るということにいたしたわけでありますが、同時に、もう一つ事情がありますのは、いま高度成長から安定成長への経済の流動期でありまして、当時の状況では、法人税の収入の見積もりというものが非常に困難なんです。これはもう少し推移を見なければならぬ、こういうふうに考えたわけでありまして、そういう両々の理由から、法人税のかなりはっきりした見通しがつく、それから、一般公務員に繰りかえ使用ができるという、そのぎりぎりの限界までこれを持ち越した、こういう事情に基づくものであります。決して何か計略的な、また、意図的なものがあるかというと、さようなことではございませんです。
○田中(武)委員 これは四十四年と四十五年、私のほうの間違いでした。 そこで、四十六年度はそういうように予備費ではなくて五%を組んでおられます。ところが、この税制改正の要綱、これを見ますと、源泉所得のところで、給与総額は一七%増――入ってくる税金のほうですね。そのうち、人員による増が三%、一人当たりが一四%増となっておるのです。これも私の勘違いかどうか知りませんが、予算には五%を組んでおられる。ところが、取る税金のほうは差し引き一四%アップと見ておられるのかどうか。もちろん、これは民間関係もあるので数字は変わるだろうとは思います。さらに、政府自体が、ことしの物価上昇率も、われわれは甘いと言っているが、五・五%だと言っておるのでしょう。それを下回る五%しか組んでおられない。一体、本年度は人事院勧告がどのようなものが出ると思っておられるのか。すでに御承知のように、民間では、春闘で一万五千円を要求するということをきめております。これがどうなるかわかりませんが、少なくとも五%なんかでおさまるとは思っておりますせん。今後の人事院勧告のあり方、それに対する政府の考え方、そういう点についてはひとつ総理から、その他については大蔵大臣から、この税金を取るほうは一四%、予算のほうは五%とせられた、その辺のところを明確にしていただきたいと思います。
○福田国務大臣 給与の上昇見通し、特に給与課税の収入の見通し、これと五%の関係がどうなるか、ごもっともなお話だと思いますが、税法は累進税方式をとっておるわけであります。したがいまして、給与のアップ率と給与の所得税収との間には、給与上昇期においては非常な差異が出てくる、これは御了承願えると思うのであります。税法を変えなければ、税率がどんどん累進します関係上、給与のアップがありますると、かなり給与アップ率をこえた税収になってくる、こういう関係にあるのでありまして、そういうふうにいまの数字の違いは一般的には御理解をお願いしたいと思います。 ただ問題は、五%というのが実際の現実とは非常に離れておるのじゃないか、こういうお話でありまするが、そう思います。そう思いますが、四十五年度の当初において考えた、さあことしの人事院勧告はどうなんだろう、私どもの見通しとすると、まあ一〇%はよもやこえることはなかろうじゃないか、こういうふうにも見ておったわけでございますが、しかし実際は一二%というような予想外の勧告が行なわれる、それが行なわれたのは、予想外の春闘相場というものが実現されたというところにあろうか、こういうふうに思います。または、その背景として予想外の消費者物価の上昇というものがあった、こういうふうに思います。しかしその五%――これは五%をこえる物価上昇という際におきまして人事院は初めて勧告権が発動できるという規定になっておりますので、その五%をとらえて、一応の目安として五%を予算本費に計上するということにいたしましたが、さてその五%を、これは少し現実よりは低いというような気持ちはいたしながらも、さてそれをこえてどの辺でこれを計上するかということにつきましては、これは非常にデリケートな問題である、人事院の勧告権の基準線である五%、これを基準として本費には計上をするということが妥当ではあるまいかというふうに考えまして、四十五年度において初めてそういう制度、仕組みを採用したわけです。四十六年度におきましても同様の理由においてこれを踏襲する、かようなことにいたしました。
○田中(武)委員 総理にさっきお伺いしたのですが、いまの大蔵大臣の税のほうの収入見込みと五%の関係は、なるほど高額ほど累進課税で多くなることはわかりますが、ちゃんと平均で一人頭一四%とこれには書いてあるわけですね。一方五%、政府の見積もりは物価上昇率だけでも五・五%、これはわれわれは低いと言っておるのです。そこで総理、今後の公務員給与のあり方、さらに民間がいま一万五千円を要求することをきめております。これは春闘をやってみないとわかりませんが、その春闘の結果を待つまでもなく、公務員と民間との給与の差額、格差といいますか、こういうものがますます開いてくるのではなかろうか等等も考えますので、そういった基本的な政府の考え方、これは給与担当大臣でなくて総理自体から御答弁をお願いいたします。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの御意見のうちにもありましたが、民間では春闘相場一万五千円、これを要求する。しかしこれは要求で、結果はどうなるかわからない、こういうお話でございます。(田中(武)委員「応援して取らすよ」と呼ぶ)応援して取らすというお気持ちのようですが、これはそういうことになるかどうか、まあ結果を待ちたい。 それに対しまして、政府の場合は一体どうなるのかと。これは申すまでもなく、政府の場合は、人事院という制度を設けて、そうしてそこで民間給与との均衡をとっていく、こういうたてまえでございます。私ども、いまのたてまえ、政府が主導的な立場でなくて、人事院という、中立的な性格を持つ人事院がこういうことについて勧告をする、この制度はけっこうなことじゃないか、かように私は思っております。しかして、先ほども大蔵大臣からるる説明いたしましたように、今日の段階でとやかく申し上げることはいかがか、かように思います。
○田中(武)委員 そこで、まあどのようなものが出るかは別といたしまして、人事院勧告が出た場合には完全実施をする、こういうことをひとつ約束をしていただきたいと思いますが、いかがです。
○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、人事院勧告、これは尊重するというのが政府のたてまえでございます。どうも完全実施しておらないじゃないか、こういって皆さん方からずいぶんやかましくいわれた。ようやく政府も完全実施、こういう方向に踏み切った、今日の状態はそういう立場でございます。したがいまして、正常というか普通の状態ならば完全実施これはできる。とほうもないものが出てくれば、これは別ですよ。しかし、私は、さようなものがいま出てくるとは思いませんから、ただいまの政府がきめた完全実施の方向、この線は堅持したい、かように考えております。
○田中(武)委員 とほうもないものとは一体どんなことかということをひとつ議論をしたくなるのですが、次へまいります。 そこで、お伺いいたしますが、四十六年度でも、財政投融資が四兆二千八百四億円、一般会計に比べて四五・五%ですか、約半分です。ところが、この財政投融資計画というのは、実は、法律あるいは命令、法令に何ら基礎を持たないのですね。一部それは単独法で何かあるかしらぬが、全体として法律に基礎がなく、したがって財政投融資ということば自体が法律的な概念ではございません。したがって、この第二の予算といわれる、これだけ膨大な金額が、しかもこれはほとんどが国民大衆から集めた金あるいは税金、国民の金です。それが国会の決議の外にある。ただ参考資料として出てくるだけです。私は、こういう点について、もっとはっきりせねばいけないのじゃないか、こう思うのです。従来慣行でやっておったからというようなことでは私は済まされぬと思うのです。財政議会主義、この上に立っても、財政投融資の問題は、もっと、国会も、政府も、考えるべき問題が多いと思いますが、いかがでしょう。
○福田国務大臣 御所見の御趣旨については私もそう思いますが、そもそも財政投融資とは、これは……(田中(武)委員「定義がないですよ」と呼ぶ)お話しのとおり定義もないです。便宜的なもので、つまり財政投融資というものは、これは政府機関でありますとか、あるいは地方公共団体でありますとか、そういう公的の機関の資金繰りと、それから政府資金、また政府の息のかかった民間資金、これらとの関連を一覧にしてみるということは、これは財政また経済を加えての基本的な施策を考えるために有効であるというような見地から、これをまとめて、施策の参考に供する、こういうような便宜的な趣旨で入れたものであります。個々の機関の、政府機関あるいは地方公共団体の資金をどういうふうに充足するかというようなことにつきましては、その個々の機関においてそれぞれ国会の御審議をわずらわしておる、こういうことなんでありまして、いろいろ考えてみまするけれども、これを一表として国会の議決の対象にするということは、どうもそれぞれの機関の間に、一表として審議の対象とする、そういう、だけの法的な根拠、また具体的な根拠という、その統一性が見当たらない、そういうようなことで、最大限の努力をいたしまして一覧表をつくり、説明書にこれを掲記いたしまして御審議の参考に供しておる、こういう実情でございまして、いろいろ考えてみるのですが名案もこれなし、これが現状でございます。
○田中(武)委員 ここで私は大論争を吹っかけようと思っておるのですが、時間もないのであまりやりませんが、大体現憲法は、明治憲法の財政のやり方を廃しまして、徹底した財政民主主義あるいは財政議会主義をとっております。したがって、この財投の問題につきましても、いま大蔵大臣は基礎がないからと言うのですが、基礎をつくらなかったのです。当然基礎をつくってやるべきなんです。予算の編成過程を見ておりますと、まず一般会計という陳情なりなにが行なわれる。ところが一般会計に入らなかったからということで、そこで与党の議員さんや圧力団体の顔役の顔を立てるために、一般会計では入らなかったが財投で何とかいたしましょう、こういうことで総理、きわめて便宜的にこの制度が扱われておる。そのことは私は許せないと思う。いま大蔵大臣は、何とかやりたいんですが、法令に基礎がないからできないんだと言うんだ。そうではなしに、逆なんですよ。法令に基礎を置くべきなんです。当然法律等によってきめるべきものだと思いますが、いかがですか。法制局長官も、ひとつあとで伺いますが、どうですか。
○福田国務大臣 私は、法令に基礎がないということと、もう一つ法令に基礎を求めるような統一的な基準がない、こういう二つのことを申し上、げたはずなんですが、各政府関係機関、地方公共団体、そういうものを一覧してながめることはできまするけれども、これを法的に――今度は新しい問題としての法的です。法的に横に一貫した予算のようなものとしてこれを御審議願う、その対象とするに足るそういう根拠、つまりこれらの諸機関を通じての統一性というものが見当たりがたい、こういうことを申しておるわけであります。
○田中(武)委員 私は、一般会計ではどういうものをやるべきか、また財投の中でもいわゆる産投からのものは無利子である、資金運用部等から出るのは利子がつく、この一般会計そして財投の中でも利子のつくものとつかないもの、利子のつかないのは九五%までが特定の輸銀とか石油開発公団に限られておる、そうして当然一般会計で見るべきものが財投のほうへ回るために利子がつく、そこに行政の企業化といいますか、当然国民の権利としてただでやってもらう、あるいはただで使うことのできるものが、たとえば道路のように有料化する、ここに行政の企業化という問題が出てくる、したがって、国民の高負担という問題が出てくる議論をやりたいんです。時間がないし、あとでおもしろい問題がありますので、そのほうへ急がねばなりませんので、ここではひとつ一般会計ではどんなものをやるべきなのか、あるいは財投のうちの産投会計では何をやるべきか、そして財政投融資計画の資金運用部等にはどういうことをやるのか、こういった一つの基準、私は法律が望ましいと思いますが、少なくとも基準を示していただきたい。きょうは補正予算でございますので、それが出ない限り審議はいたしませんというような姿勢はとりません。しかし、いかがでしょうか、この基準を、これも一般質問の始まるころ、それが無理なら最終的な締めくくり総括質問を始めるまでにひとつ示してもらいたい。そのことによって最後のお楽しみにこの問題をおきたいと思います。いかがでしょう。
○福田国務大臣 一般会計は、租税その他一般財源をどういうふうに配分するかということなんです。財政投融資のほうは、これは具体的に言うとびんとくるかもしれませんと思いますので申し上げますが、その財政投融資の中の一番大きな問題は資金運用部資金、これは郵便貯金でありますね。これは国民からお預かりした金である。これは、あだやおろそかにこれを使用することは許されない。これは資金運用部資金法によりまして、有利確実にこれを運用しなければならない、こういうふうになっております。そこで、有利確実にこれを運用する方途はどうだ、こういうことになると、やっぱり政府関係機関、政府の息のかかった機関あるいは地方公共団体、これに運用する、これが最も有利にして確実である、こういうような関係で資金運用部資金の配分計画をきめるわけであります。ところがその……。
○田中(武)委員 だから、そういう資料が出せるかどうか、それだけにしてください。時間がないのです。
○福田国務大臣 資料はいかなる資料でも、お求めに応じまして御相談いたします。 〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
○田中(武)委員 確認します。一般会計、財投計画、そのうちで産投会計でまかなうもの、その他のもの、これの少なくとも配分の基準というものがあるべきだと思うのです。その基準をひとつ出していただきたいと思います。いいですね。
○福田国務大臣 たとえば資金運用部資金の配分を……。
○田中(武)委員 いや、こういうもの、こういうもの。――それではあとで秀才局長と打ち合わそう。
○福田国務大臣 そうですか。どうぞお願いします。
○田中(武)委員 次に、やはり財政議会主義に反するものとして二、三の例をあげてみます。 まず、今度予算総則の十一条二項を新設して、本来ならば国庫債務負担行為となるべき借り入れ金あるいはそれの保証等々、これをいわゆる行政裁量でしょうとしておる。今度この十一条二項が新設せられたことは、いわゆる行政裁量の幅を広げる、その先例をつくるものではなかろうかと思います。 二つ目、郵便料金、これは当然法律で定めるべきものである。にもかかわらず、今度第三種、第四種は省令料金にする、小包料金は現在政令であったのを省令にするというように、いわば郵便料金を手軽に変えるように考えておる。先日問題になりました健康保険料金であります。これも今度の改正要綱を見ますと、弾力的調整とかなんとかいう名目で、保険庁長官が料金改定権を握るような改正をしようとしておられます。ここでも、法律的な論議をするならば時間がだいぶん必要なのですが、これら郵便料金、健康保険料金と財政法三条の「法律上又は事実上国の独占に属する事業」の事業料金との関係、私は、当然財政法三条に該当すると思います。それを省・政令で直そうとすることは法律違反、こう思いますが、簡単でよろしい。場所を改めまして、詳細な論議は別のところでします。これでやっておるとあとの楽しみがなくなりますので、簡単でよろしいから、三条をお伺いいたします。
○福田国務大臣 お話しのように財政法第三条との関連がありますが、それであるがゆえに、法律をもって弾力的な政令運用をしたい、こういうことを構想したわけでありまして、あくまでも法律に根拠した委任である、さように考えております。
○田中(武)委員 健康保険料金や郵便料金もですか、法律に根拠を持ったと……。私は、法律がきめておるのは、総括的委任というものをきめたものではないと思います。少なくとも具体的、個別的にやるべきである、それが財政議会主義の本旨ではないですか。ここでこの論議をいたしますと――どうしますか。時間くれますか。徹底的にやりましょうか。いかがです。財政法三条あるいは憲法第七章にさかのぼって論議してもよろしいですが、いかがでしょう。
○福田国務大臣 どうもその辺は見解の相違があるようでございますが、私どもといたしましては、法に根拠を持ちました弾力運営、これは支障はない、さような見解でございます。
○田中(武)委員 それでは、これは幾らやってみましても、法律的解釈の違いだと、こういうことになればしょうがない。そこで、これは、理事会等で一ぺん専門家を呼んで意見を聞くことにいたしたいと思いますが、委員長、どうです。
○坪川委員長代理 いずれまた理事会で御相談いたします。
○田中(武)委員 いずれにいたしましても、ともかく法律で総括的委任をして、そうして実際のところは役人でやろう、行政でやろうという、いわば国会を煙たがる、あるいは国会をじゃま者にする、そういった考え方が各省に出ておるじゃありませんか。 ついでに申し上げます。たとえば国家行政組織法、これも、いままではすべて各省庁設置法によって法定事項であったものを政令でやろうとする証拠である。中曽根防衛庁長官は、これは今度やめるというようなことになったようですが、防衛庁設置法及び自衛隊法を改正して、いままで法定事項であったことを、たとえば師団の編成、そういうようなものを全部政令でもやれるようにしたい、こういう野望を持っておられたようです。しかもそれの裏には、予備自衛官を結集して郷土何とか、昔の在郷軍人以上のものをつくろうという魂胆がひそんでおる、こういわれておりますが、国家行政組織法については総理か担当大臣、あとの点につきましては中曽根長官から、簡単にその気持ちをお伺いいたします。いずれにいたしましても総理、常に国会をじゃま者、なるべく国会を避けて通ろうという風潮が、ことにあなたの時代になってから多くなっておる。このことを反省していただきたいと思います。いかがでしょうか。
○荒木国務大臣 私の担当のことだけをお答え申し上げます。 行政組織法を改正しまして、現行では各省庁の部局の設置を、設置法の改正、法律事項になっておることを、政令に委譲したいという考えで検討を進めております。それは……(田中(武)委員「よろしい、よろしい。理由はよろしい」と呼ぶ)
○中曽根国務大臣 国家行政組織法を改正しまして師団や艦隊を政令事項にしようという考えは、初めも終わりも、ありません。あの新聞報道は間違いであります。それから、予備自衛官をもって在郷軍人組織みたいにしようという考えもありません。
○田中(武)委員 総理、お聞きのように荒木大臣は、はっきりと、法律事項を政令事項にしたいと、こう言っておるのですよ。いま私は、財政投融資から入りましていろんなことを例にあげました。これすべてが、国会をじゃま者と考え、なるべくああいう口やかましい連中にはものを言わさない、干渉させない、おれの思うようにやるのだ、そういう風潮のあらわれだと思います。これは議会民主主義の大きな危機を招くだろうと思うのです。この辺でひとつ総理、あまり行政権が出しゃばらずに、立法権のあるところはやっぱり立法権にゆだねるというような気持ちになってもらいたいと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
○佐藤内閣総理大臣 お答えをいたしますが、私は、議会をうるさいところだとか、あるいはたいへんやっかいなところだとか、さように思っておりません。しばしば申し上げますように、私ども、りっぱな民主主義、民主国家をつくろう、そのためには何といっても三権分立、明確に三権分立、これをしくことが基本だ、かように考えております。そういう意味で、ただいまの、あるいは国家行政組織法その他の問題等につきましても、三権分立の立場でそれぞれの分野を守っていく、こういう考え方でございますから、誤解のないようにお願いします。
○田中(武)委員 言われることはほんとうにけっこうなことなんです。しかし、やっておられることは、いま二、三の例をあげたように、すべて国会を避けて通ろう、避けて通ろうというような法律の改正案が、次々と用意せられておるじゃありませんか。まあ、この辺にしておきます。 次に、これは総裁として御所見を承りたいんですが、大石内蔵助ならぬ自民党田中幹事長を筆頭といたしまして、四十七士が連名をもって――これは、四党が話し合った上でということになっておったはずだが、それをあえて押し切って、今回靖国神社法案なるものを提出いたしております。これは選挙の一つの対策とでも思いますが、そういう議論はやめます。いずれにいたしましてもこの靖国神社法案なるもののねらいは、靖国神社を宗教法人とみなさず、結局は国から、国庫からの支出を受ける、これがねらいであります。そういたしますと、憲法の財政民主主義あるいは特定の宗教団体にというような条文とも多くの関連があります。いま私はその論議をいたしませんが、ほんとうにいま総理が答弁をせられたようなお気持ちであるならば、ひとつ、この際田中幹事長等を説得せられて、一応この靖国神社法案は撤回せられるようにやられたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 この靖国神社法、これにいろいろ意見がございます。宗教法人だから、さようなものについて政府がとやかくすべきでない、こういうような真正面から取り組んだ考え方もご、ざいます。また、もう一つは、何としても、国のために生命をささげた、という非常なそういう英霊というか、そういう方々に対して、われわれとしても何かするのが当然じゃないか、こういう非常な精神論的なものもございます。私は、こういう問題であまり議論をしたくないと、かように思っております。そういう意味からも、与党だとか野党だとか、そういう立場だとか、あるいは宗教にいたしましても、キリスト教はどうだ、仏教はどうだ、何々教はどうだとか、それぞれの宗派でこういう問題を議論するという、そういうことこそ、どうも国に生命をささげられた方々の英霊に対しても申しわけのないことだと、かように私、思っておりますので、この問題はぜひとも各党で十分話し合って、しかる上でその問題の取り扱い方をきめていただきたい、かように私は思っております。この考えには今日も変わりはありません。しかし、いま法案を自民党は出したからといって、それを一応取り下げて出直してこい、そうしたら相談に乗る、これは少し、あまり窮屈な考え方じゃないですか。とにかく、ただいま申し上げるような気持ちでこれは扱うべき国民的な課題の問題だと、かように私思っておりますので、そういう意味で、出過ぎた自民党のやり方について、これは私十分注意をいたしますが、どうかそういう意味で問題を取りかえないようにして、本来の本筋からどうか御審議を願いたいと思います。
○田中(武)委員 問題をすりかえておるのはどちらかと言いたいんですが、私は時間があれば憲法を中心にして間違いであると、こういうことを申し上げたいのです。中には御用学者で、かまわぬという学者がおることも知っております。しかしそういうことはもうやめたいと思います。したがって、この靖国法案については、これはもう各党の国対にまかせてもらいたい。 次に入ります。次は、実は貿易と物価の問題を相当やりたかったのですが、時間の関係ではしょりまして、簡単に申し上げていきたいと思います。 先年、韓国ノリを輸入した際に、五つの問屋が価格操作のために、それを全部倉へ入れてしまって問題を起こしたことがありました。豚肉でもありました。ところが、今度こんなに物価がやかましくいわれ、ことに消費物価上昇の一番原因が野菜だと、こういわれておる。あるいは食料品だといわれておる。そこで、政府は緊急にタマネギを輸入した。ところが、そのタマネギの、これは年末ですが、九千トンのうちの九五%以上がどこかへ雲隠れしてしまって、市場に出たのはわずか四百トンであった、こういうことが報ぜられておる。またきのうの新聞によると、これはここに持っておりますが、これは一々読み上げる間がないのですが、見出しだけでも申しますと、たとえば読売では「安いタマネギ”泣き別れ”」「緊急輸入一五、八〇〇トン”オープン”わずか八〇〇トン」、朝日の見出しだけを見ると「ガッカリ”輸入タマネギ”」等々といって各紙が、一体どうなっておるのかと――ここに持っておりますが、出ておるのです。これ等はすべて輸入機構、流通機構に問題がある。 さらにもう一つは、先日石橋君が業者との癒着の状態を指摘いたしました。ここにもやはりこれらの輸入業者と通産省との間の問題、ことに公取委員会からの申し入れがあったにかかわらずそれをやらなかった、こういうことについて、タマネギの多くが雲隠れしてしまったというその実態、あるいはどこに問題があったのか、今後輸入機構、流通機構等についてどのように変えていかねばならないか、簡単でけっこうですが、ひとつやってください。
○宮澤国務大臣 農林大臣がちょっと席におられませんので、私のほうの関係から申し上げます。 確かにいろいろ問題がございますので、御教示を得たい点もございます。多少御説明が長くなることをお許しいただきたいわけであります。
○田中(武)委員 簡単でいい。
○宮澤国務大臣 簡単にはまいりません。
○田中(武)委員 じゃここでじっくりやろう。
○宮澤国務大臣 御承知のように、タマネギそのものは輸入が自由化をされておりますから、たとえば米国、オーストラリア等々から、どなたでも幾らでも輸入することができるわけでございます。現にことしも一万トンぐらいの輸入があるわけでございます。ところが、台湾の場合には、国の貿易として、御承知のように一手に向こう側が管理をいたしておりますので、これをこちら側を自由にいたしますと、いわゆる普通のことばでいうと足元を見すかされて、非常に高いものを買わされるというようなことがございますわけで、いっときこれは自由化を考えたことは御承知のとおりでございます。そういたしますと、現実にはだれでも輸入ができるということになるわけでありますので、ペーパー会社とか、ダミー会社とかいうのができてまいりまして、この人たちは、輸入をするよりは輸入権を売る、こういうことになりましたことは御承知のとおりでございます。そこで、その結果は、決して安いものが渡らずに、かえって高いものになった。そういうことがございましたから、向こうが窓口が一本である関係上、こちらも窓口を一本にしなければ有利な取引ができないということになりまして、輸入組合というものができたわけでございます。この輸入組合をつくりましたときに、したがってアウトサイダーを規制したということになるわけでございます。ことしのタマネギの割り当ては、昨年が一万トンでございましたが、台湾との関連でございますが、一万七千トンという相当大きな割り当てをしております。私どもこの割り当ては、実は外貨に不自由がございませんのですから、もっとふえましても一向に差しつかえないと考えておりますけれども、品物のぐあいがどうもそのぐらいなところだそうでございます。 そこで、この輸入をいたしますときに、主たる部分は、結局実績のあったものが輸入をすることが、従来のガラポンのような、あるいはダミーとかペーパー会社とかいうものが、輸入権を売り買いするということを防ぐ意味からはよかろう。そうしますと、この辺がどうももう一つ知恵のほしいところですが、在来の実績に従って割り当てることが、比較的間違いがないであろう、穏当な行政であろうというようなことになってまいりました。しかし、それだけではいけないから、何とかそこを、もう少しいわゆる組合員でない者にも割り当てることができないかと考えまして、一定の資格のある者には、組合員でなくてもひとつ割り当てをつけようじゃないかということですが、もちろん取引の条件は、先ほど申しましたように一本化が必要でありますから、価格、数量等はアウトサイダーを規制する、こういうことでやっております。 そこで、たとえば生協のようなところが、消費者団体が、自分たちも割り当てを受けたいといわれることは、一応ごもっともなことなのでございますけれども、それならば、そういうところで、自分でLCを開いて、つまり輸入権の売買をせずに自分で貿易決済をやってくれるか、そうしてしかるべき消費機構に流してくれるかといいますと、それほどの仕組みができ上がっておりませんものですから、おそらくそういう割り当ては、自分でやってくれない限りは、結局輸入業者のところへ権利として移っていってしまう。こういう結果になってしまう。どうもそこのところが、みんなが自由にやれて、しかも相手も自由で、自由競争で安いものが入るというのならよろしいわけですが、相手が一本であるためにそういかないというのが問題でありまして、似たような問題は、実はバナナにも御承知のようにあるわけであります。 そこで、私ども基本的には、通産省の立場といたしましては、少なくともある程度よその国からも入り得る、つまり台湾のシェアがある程度まで下がりましたら、こういうことはもう完全に自由にしても、こちらの消費者にも貿易上もあんまり悪い影響がないのではなかろうかというので、そういうふうになることを実はいろいろに考えておるわけでございますが、これには農林行政上の配慮も当然にございますので、ただいまのようなことをいまはいたしております。どうももう少しうまい知恵がないものかということは、昨年来実は私も事務当局にも申し、農林省にも申し入れをいたしたりしておるところでございます。
○田中(武)委員 いま通産大臣長々と御答弁せられましたが、総理、よかれということで緊急輸入したが、結局はそれは何にもならなかった。業者を太らしただけに終わった、こういうことなんです。これは私は、やっぱり行政の仕組み等々から考え直すべき問題が多々あると思います。しかし、その問題についての論議はきょうは避けたいと思いますが、実際問題としてそういうことがあったということ、これは重要だと思います。 それから、これも通産大臣になると思うのですが、これももうはしょって簡単に申し上げます。 テヘランにおけるいわゆるOPEC、石油輸出機構と国際石油資本との交渉が決裂いたしまして、産油国側は一方的に値上げを宣言した。そこで、最大の石油の輸入国である日本には大きな影響があり、ある意味においてピンチに立った、こう思います。この問題を理論的に基礎的にやっておると、これだけでも時間が要ります。そこではしょりまして結論を申し上げます。 私はこの際、ひとつ日本としては、この石油産地国といいますか産油国側の主張を認める。そうすると石油なり石油製品の値上げになるじゃないかと言うが、これはひとつ国家が負担する。ということは、この石油問題は、ある面から見れば南北関係、南北問題とも言えると思います。そこで、いま日本として必要なのは、いわゆる国際資本による寡占状態、国際カルテルというものの束縛から脱していく。そのためには、石油産地国側の主張を認めて、そしてその差額金――国内の値上げにならないというのは、これは開発途上国に対するつまらぬ経済援助もやっておるのですから、こういうところにこそ経済援助の一つとして金を出す、そうすることによって、将来日本が自主開発するときにもいいじゃないか、早口で申しましたが、そういう構想を持っております。ここへ来るのには、ずっと段階を経て言いたかったのですが、時間の関係で結論を申しましたが、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 今回の産油国側の態度は、先般のパーレビ・イラン国王の言にもありますように、十年間に自分たちの売るものはこれだけ下がった。しかし、消費国ではこんなに上がっている。その差額はだれがとったんだ、一応こういう主張になるわけでございます。そこから見ますと、ただいま言われましたようなものの考え方になってまいると思います。これもいろいろ私も段階的に申し上げたいことがございますけれども、おっしゃることは、これは傾聴すべき議論だと思います。
○田中(武)委員 これは、ひとつまた商工委員会なり分科会で一ぺん詰めてみたいと思います。これは私もそう思っておるのですから。 そこで一言だけお伺いいたしますが、いま中断状態になっておる日米繊維交渉で、何か牛場大使が請訓を起こしたとか、あるいはダニエルズ弁護士ですか、これがミルズ委員長の特使として一両日中に来るとか、こういわれておりますが、私は、このことについても前のこの委員会で申し上げましたが、こちらが何もあわてる必要はない。七一年通商法案が成立して、法律でやるならやらしたらいいじゃないか、こういう考え方を持っております。そこで、そういった動きに対して、政府はいままでの態度が変わっておるのか変わっていないのか、あるいはそういうことによって変わることがあり得るのか、そういう点だけをお伺いいたします。何回も、国会の決議は尊重する、あるいはわれわれの質問に対して答弁をせられました点からの変わりがあるのかないのか、それだけをお伺いします。
○愛知国務大臣 今国会が始まりましてからも、本会議、当委員会におきましても本件についての御質疑がございましたが、何とかして国益の上に踏まえて、国会の御決議の趣旨に沿うて話をまとめたいという気持ちは、非常に強く政府としては持っているわけでございます。同時に、先般この委員会でも申し上げましたように、この問題は双方ともに関係者も非常に幅が広く、底も深いわけでございますから、いろいろの情報やいろいろの往来がございます。政府といたしましても、それらの情勢の流動的な展開については、関心を深くして情勢の掌握につとめておりますが、ただいまあらためて訓令を出すとか、請訓に接したとかいうことはございません。
○田中(武)委員 では次にまいります。 政府は、ベトナムの、あのインドシナ三国に対しての援助方針を、人道的ないままでの立場から、いわゆる復興のための援助というように方針を変える、こういうお考えだということを聞いておりますが、これはどのように言われましても、結局、援助を受ける相手、これを見ました場合には現にいま交戦中であります。復興云々といっても、まだ戦争のさなかである。したがって交戦中の一方側に対する援助ということになろうと思います。また、分断国家のこれまた一方に肩入れをする。したがってこの問題は、方針をどのように説明せられましょうとも、きわめて政治的であり、軍事的だと思うのです。いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 先ほどもお話がございましたように、カンボジアを中心に申し上げれば、政府としては、人道的な立場で難民救済ということで、赤十字からの要請にこたえた援助をやっておるわけでございまして、この点は、必要な資料等を御参考に配付することは、先ほど申し上げたとおりでございます。 それから一般的に申しますと、やはり流動的な状況下におきましては、まず人道的な立場の救済ということが、一番必要なことだと私は思っております。同時に、平定化が進み治安状況が回復するに応じて、経済再建、民生安定ということに心を置いて考えておくということも必要なことであると思いますけれども、そういったような意味合いの考え方は、従来から変わるところはございませんで、あらためて政府の援助方針を急角度に切りかえ、新しくこうこうやるというようなことを現在考えておるわけではございません。
○田中(武)委員 総理、先ほど私申しましたように、私は必ずしも経済協力に反対するものではありません。しかし、現に戦火を交えておる、こういうところに対する経済援助は、結局は政治的、軍事的である、一方へ加担するものである、こういうことになるのです。しかも、その方針は、どうやら佐藤さんとニクソン大統領との会談のところで話がきまったようなことをいわれておりますが、どうでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま外務大臣が答えたとおり、私ども、人道的見地から、これはやっぱり援助すべきものは援助する、こういう考え方でございます。これは、私とニクソン大統領との間で話しした、そこできまったわけでもございません。従前からそのとおりやっております。
○田中(武)委員 そうすると、戦争というか内乱というか、これによってけがをしたり死んだり、あるいはいわゆる難民の出るのは、一方だけと違いますね。北側のほう、相手のほうでも同じ状態だと思うのですが、そこへはやらないのですか。少なくとも人道的見地というならば、両方にやるべきじゃないですか。
○佐藤内閣総理大臣 当方の問題ではなくて、要求する側の問題だ、かように私、思っております。
○田中(武)委員 要求する側の問題とはどういうことです。いや相手やと言うけれども一どうもわからぬね。まあよろしい。次にまいります。 このインドネシアに対する、ことにスカルノ時代に与えた借款、五百億ともいわれておるのですが、これは一体いま幾らあって、そしてそれがどのように残っておるのか、それをどう処理するのか、こういうことで外務省から実は資料をもらったが、さっぱりわからぬ。何か政府は、今度輸銀法による貸し付け金の特例を開く法案を考えてこれを処理しようとしておられるようですが、これは一体いま幾ら貸して、幾ら残って、そしてそれをどのようにして処理しようとするのか、これをひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。
○愛知国務大臣 インドネシアに対する借款問題は、一つは賠償担保の借款がございましたが、これはすべて返済が完了いたしましたので、これはもう問題ないわけでございます。 それから、そのほかに民間の延べ払い信用による債権がございます。民間の延べ払い信用は、昭和三十三年度から四十年度までの間に輸出保険の対象となった延べ払いの金額をとりますと、約一億八千五百万ドルということに相なります。そして、その中で今後返済さるべきものが残っておりますが、御承知のようにこれらの債権については、債権国会議等、関係各国との協議等もございます。それによりましていろいろの債務救済措置等が考えられておりますが、簡単に申しますと、輸出入銀行がすでに実施しましたリファイナンスに基づく輸銀債権の約七千六百八十万ドルですか、こういうものの処理の関係もございますので、これは大蔵省からお答えいただいたほうがいいかと思いますが、日本輸出入銀行法の貸し付け金の利息の特例等に関する法律案というものを部内で検討いたしておるわけでございまして、いずれ御審議をいただきたいと考えております。
○田中(武)委員 経済協力関係は、必ずしも外務省だけではないわけなんです。経済協力白書は通産から出ておるようなことで、これは一緒に聞いてもよくわからぬのです。そこで委員長、ひとつ一目でわかるような資料をつくってもらいたいと思うのです。どうも私、わからぬのです。だから、どういう根拠に基づいて、いつ幾ら貸して、それがどうなっておるのか、それをずっと積み重ねてきて現在幾ら残っておるのか、それをどのように処理するのか、こういうことを一目でわかるところの資料の要求をいたしたいのですが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 用意いたします。
○田中(武)委員 少なくとも次に私がやれる機会までにいただきたいと思います。 そこで、総理にお伺いしたいのですが、総理がほんとうに日中関係の前進というか打開を心から考えておられるなら、この際私、二、三の提案をいたします。 その一つは、台湾に対する借款の供与は見合わすべきではないか。その二つは――これは吉田書簡云々とは申しません。輸銀使用、いわゆる日中貿易に対する延べ払い等々で輸銀使用を認めるべきではないか。それからココム、チンコムは、これは法律的には何もないことは明らかになっておりますが、これを廃止すべきではないか。こういう点を提案いたします。ほんとうに総理が日中関係の打開を考えておられるなら、ひとつこれをやってもらいたい。そうでなければ、口先だけで、ほんとうに腹の中はそうではないと思います。この答弁に、ケース・バイ・ケースといったような従来の御答弁でなくて、イエスかノーか、ひとつはっきりとお答え願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いまの御提案の三つとも、すでに答えたとおり、いままでのお答えがございます。その答えの一つ、台湾への借款、これはいわゆる政府借款ではないんだ。したがって、これは民間借款だから、そういう意味で、それが真に民生の安定に役立つものかどうか、そこらをひとつ十分考える、こういうことでありますし、輸銀の使用については、これもしばしば申しましたようにケース・バイ・ケース、その答弁じゃ困るとこう言われましても、その方針でございますから、これはもういまさら表現の問題ではない、その方針で依然としてやっておる。 それから最後の、ココムの問題になりますと、ココムというものは、いわゆる共産国に対する貿易制限というか、同じような立場に立っている国国が相談をしてきめたものでございます。それで、そのものが――最近チンコムの表というものはなくなっておりますが、だからいわゆる共産圏として、お互いに輸出することを遠慮しよう、こういうような約束をしたもの、これについては、日本は忠実にその約束を守っておる、こういうことで、ただいままでのところ、これもいわゆる仲間からはずれる、こういうような気持ちは持っておらない、このことを御承知願いたいと思います。 ただ、私、申しますが、中共貿易の場合、中国大陸との貿易の場合に、ココムに該当する、こういうものがどの程度貿易を支障しているか、これは私にはわかりません。ただ、そのもの自身が直接軍需その他軍用に関するものが主でしょうから、そういうものがはずされることは、これはもう他の国に対して、ひとり共産圏ばかりではない、日本の場合は軍需物資の輸出、これは気をつけろと、あらゆる場合に注意されておりますから、この辺は同じじゃないか、かように思っております。
○田中(武)委員 私は、輸銀使用の問題、輸銀法の条文からいって、あるいはココムの問題をあらゆる角度から詰め寄ったら、総理がお困りになる基礎はあるのです。しかし、きょうはこれも申しません。ただ、ほんとうに総理が腹から日中関係を打開しようというならば、二つの中国に協力するような姿勢は改めていくべきではないか、このように思いますが、一言だけお願いします。
○佐藤内閣総理大臣 私も、ずいぶんがんこな者だ、かような御批判を受けるかわかりませんが、ただいま田中君からいろいろの御忠告がございました。それは謙虚に伺っておきます。
○田中(武)委員 それでは次に移ります。 去る二日の閣議で、春の叙勲がきまったようでございます。ことしは対象者が三千二百五十人で、去年より二百五十名多い。これは一般に、地方選挙とか参議院選挙を控えて、政府がたっぷりと地方の有力者にサービスをしょう、そういうことではなかろうかといわれております。 さらに、総理は、この三月二十七日でめでたく古希を迎えられるそうでございまして、それはおめでとうございます。 そこで、総理自体も生存者叙勲の基準に入ったわけです。総理、勲章を受けられる気持ちがあるのかないのか、あるいは、勲章を受けられるとするならば大勲位ではなかろうかと思うのですが、一体これはだれがきめるのですか。お伺いいたします。
○佐藤内閣総理大臣 まず第一の問題で、この春の叙勲でそれが選挙に使われるんじゃないか、そういう御疑念があるようです。これはしかし、いまの憲法のもとで、私ども政府の、何といいますか、助言、承認、そういうことで叙勲という制度、賞勲制度、栄典制度があるわけです。これはもう田中君のことですから、憲法のことは説明せぬでいい。そこで、春秋二回いままで叙勲をしております。しかも、どういう人に叙勲をするかという、それはやはり私どもが相談する相手があるわけでございまして、いわゆる委員の方、学識経験者の意見を徴してやっておるわけでございます。したがって、これはたいへん厳正に、そして、しかも一部は事務的なものでもある、かように思うものでございます。したがって、ただいま言われるような、特に選挙に利用するとかそういうようなことは絶対にございません。 ただ、この機会に一言。二百五十名例年より多い、ことしはそういうことになっております。これは、年齢を七十歳以上としておりますが、いわゆる叙勲され得る人たち、そういう潜在有資格者が大体二万人くらいいるんじゃないだろうか、かように思いますので、それをだんだんなしくずしにでも減らしていくというのが望ましいことではないか、かように思いますから、わずかではありますが、二百五十名ふえた。このことだけは一通り申し上げておかないと、これが、いわゆる選挙に利用したんだ、かように言われると、私はたいへん迷惑するように思いますから、一言その点に触れておきます。 それから、満七十歳以上になると、これはもう政府も衆参両院の議員の方々も、また議長さんも、それぞれに適用する。そこの基準がございますから、その基準で叙勲の手続をする、こういうことになろうかと思います。 私自身の問題も、満七十になります。ただいまお喜びを言われまして、たいへん恐縮に存じております。しかし、私の場合に、在任中にそういうものを受けることがいいか悪いか、自分自身が総理であるだけにどうか、いろいろ首をひねっておる最中でございます。陛下からいただくものに対して私がお断わりするというのも、これはどうもちょっと違う、そういうこともございますし、社会党の場合も、できるだけお受けくださるように――最近は、だんだんそういう方もふえたようでございます。私はたいへん喜んでおります。ちょうど私の場合もございますので、同様の点をいろいろ考えておるということでございます。
○田中(武)委員 そこでお伺いしますが、この叙勲は現在では、法律的には明治八年の「勲章従軍記章制定ノ件」、これにやはりのっとっておるんですね。ちょっと読んでみますと、「今般賞牌別冊ノ通被定候條此旨布告候事」と書いてある。この法律に基礎を置いておるんですね、いかがですか。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように、勲章につきましては、ただいまの明治の、御指摘の勲章ばかりじゃございませんけれども、そのほかにもたとえば褒章条例、明治十四年等がございまして、それらが根拠になっております。
○田中(武)委員 そこでお伺いしますが、勲章従軍記章となっておるんですが、一体従軍記章というのはどういうものなんです。
○高辻政府委員 従軍記章というのは、特に御説明申し上げることもないと思いますが、先ほど根拠になっていると簡単に申し上げましたが、これはもう少し正確に申しますと、総理大臣が先ほど申し上げたように、内閣の助言と承認の一般的基準としての根拠になっておる、こういうわけでございます。
○田中(武)委員 総理、従軍記章とあるんですが、現憲法下において従軍ということは考えられるんですか。それとも、従軍があり得ると考えておられるんですか。
○佐藤内閣総理大臣 現憲法の場合と、また、さきの帝国憲法の場合と、これは明らかに区別して扱うべき筋のものだと思います。それは田中君も御承知のように、旧憲法の場合は第十五条だ、かように思っておりますが、今回の新憲法では七条、十五条と七条とこれは違う、こういうことをお考え願いたい。
○田中(武)委員 いわゆる生存者叙勲について、三十八年七月十二日の池田内閣当時の閣議決定事項でも、この従軍記章については何ら触れていないのです。これをこのまま使うということです。そうするならば、私はこの法律は、従軍記章ということがある限り、現憲法においては違憲の立法である、違憲であると思うのです。いかがですか。少なくとも現憲法に抵触する分は、たとえば民法なり刑法なりは、そのつどに改正したではありませんか。ところが、これは改正せずにそのままやっているということ、これは全体が憲法違反の太政官布告である。したがって、これに基づくところの――これは勲章もらって喜んでおる人には悪いけれども、憲法違反の基礎に基づいて勲章をもらったということになるのですが、その件どうですか。
○高辻政府委員 実はまさに御指摘の問題は、久しぶりで私はその問題を伺ったのでありますが、昭和三十年の一月に褒章条例を改正したことがございます。これは紫綬褒章と黄綬褒章というものを追加したことがございますが、その際にも全く同じ御質問が、先生からではございませんが、一般的に指摘された問題でございます。その基本は、先ほども申し上げましたように、現在あります栄典の基礎にある勅令あるいは太政官布告等の旧法制は、いまは政令の効力を持っておるものとわれわれは考えておりますので、政令でその際も改正したわけでございますが、そのもとは内閣の助言と承認の一般的基準であるという考え方をとっております。むろんそういうものでも、法律で制定してもとより妨げないとは思いますし、また、かつて政府はそういう努力をいたしましたが、実らないで今日そのままになっております。 ところで、いま申し上げましたように、実態は助言と承認の基準でございますから、そういう実際に生じないようなものについては、全く無意味であるものとして考えればよろしいわけでございますので、将来従軍記章なんかを偏するようなことはとても日本の憲法では考えられませんから、そういうものについてはなきにひとしい。これは妙なことを申し上げて恐縮でございますが、たとえば監獄法にはいまでも軍刑務所なんかの規定が整理されないで残っておりますが、だからといって、これは憲法違反というのはどうかという気がいたします。いわんや褒賞等につきましては、栄典の基準としての政令として見ているものでございますので、それを従軍記章があるからといって法律違反で無効であるというような性格のものとは違うのではないかというのがわれわれの考えでございます。
○田中(武)委員 わからなくて、憲法に違反するかどうかは、これは裁判所で決をつけることになるのです。ところが、はっきりしておるもの、これは民法を変えたでしょう。刑法を変えたでしょう。刑事訴訟法を変えたでしょう、憲法に合うように。それなら、これは意味をなさないというならば、この中から従軍記章に関する件は除くとか、削除をなぜしないのです。あるということは、将来従軍記章で出し得る事態を考えられておられるんじゃないですか。いまさら明治八年のこういうものをとって私言うのもおかしいのですが、これは法制局長官の見解ではなしに、総理、どうです。おかしいと思いませんか。憲法に抵触するとわかっておるものは全部そのとき変えたですよ。何なら変えた条文を読み上げましょうか。民法でも、刑法でも、ことに親族法、相続法なんというのは変えたでしょうが。
○高辻政府委員 御指摘のように、刑法、民法、むろん新憲法になりましてから必要な部分について改正を加えたことは、また改正を遂げたことは御指摘のとおりであります。しかし、ただいままで申し上げましたように、民法あるいは刑法の規定は、要するにわれわれが法規というたぐいのものでございますが、ただいま御指摘の勅令、太政官布告等、現在政令と呼びかえられているようなたぐいのもの、これは法規というようなものではなしに、内閣の助言と承認の基準としていま作用をしているのだということを繰り返し申し上げましたが、そこが違いますので、刑法と民法と同じようには必ずしもまいる必要がないのではないかということでありまして、将来従軍記章を出すつもりではないかということがございましたが、むろんそれは、そういうことではなくて、助言と承認の基準としてのことでございます。それだけ申し上げます。
○田中(武)委員 法制局長官から法律的なものであると聞きましたけれども、従軍記章を将来出すようなことを考えておるかどうかということは、あなたの問題じゃないわけです。そこで、政府に、総理に聞くのですが、この際、はっきりしたらどうです。また法務省関係でも、まだ監獄ということばを使っておるんですね。典獄というようなことばを使っておる。こういうのはいまないんですよ。相当整理する必要があると思うのですが、いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 御説のとおり整理を要するようですね。ただいまの従軍記章なども、出すつもりはございませんし、自然消滅しておる、かように私ども考えておるのですが、御議論なさるとただいまのようなことが出ますから、これは整理すべきものだと考えます。
○田中(武)委員 そこで、先ほど、はしなくも総理みずからが言われましたが、栄典制度については、明治憲法では十五条、新憲法では七条七号にうたってある。そこで、その二つを一ぺん比較してみたいと思うのです。明治憲法十五条は、いわゆる天皇の大権として定められておって、「天皇ハ爵位、勲章及其ノ他ノ榮典ヲ授與ス」となっておるのです。現憲法七条の七号、これはただ単に天皇の国事行為として「榮典を授興する」とだけ書いてあるのです。いいですか。そういたしますと、明治憲法の栄典に関する考え方と現憲法の考え方は違うんじゃないか。すなわち、いわゆる爵、これはなくなっています。次に位です。位階令というのが、これは大正十五年か何かにありますね。これはまだ残っておる。これは勅令です。それから次がこの勲章です。こう見た場合には、私は、現憲法がただ「栄典を授与する」ということは、明治時代の明治憲法下の栄典と違うものを考えておる。すなわち、爵だとか位だとか勲章は除いて、明治憲法でいうならば「其ノ他ノ榮典ヲ授與ス」、この趣旨ではなかろうかと思います。現に、これは吉田内閣当時ですか、昭和二十八年九月十八日の閣議決定では、一応現勲章をと、一応ということをうたっておるのです。そのことは、できるならばすみやかに新しい栄典制度を考えろということでなかったかと思うのです。総理みずから言われました明治憲法の十五条と比べてみたときに、同じように思われますか。ことに憲法三条において、天皇の国事行為については「内閣の助言と責任」ということをうたってあります。しかし、一面、内閣の職務をきめた憲法七十三条各号と天皇の国事行為、一々ずっと見てみますと、たとえば法律の公布だとかあるいは条約の批准だとか、あるいは恩典といいますか大赦、特赦等々あるいは復権、こういうものが裏表に規定してあるんですよね。ところが栄典だけは、天皇の国事行為に書いてあるけれども、内閣の職務に書いてないでしょう。もちろんあなたの法律的解釈としては三条を受けるからとくると思うのです。しかし、そういう点を見た場合には、私は、違う栄典というものを考えるべきである、このことが憲法の精神だと思うのですよ。それをずるずると明治八年、ここに明治八年の人が一人でもおりますか。「被定候條」と書いてあるのがいま生きておるというのはどうなんです。これは一ぺん考えるべきじゃないですか。ことに明治憲法と新憲法の精神をにらみ合わせて考えるべきではなかろうかと思いますが、どうですか。――いや、法制局長官、やりたいんだったらやりますよ。
○佐藤内閣総理大臣 いまの御議論は、新しい栄典制度、その場合にどういう勲章を出そうかと、ずいぶん議論したものでございます。政府部内では、旧勲章をそのまま使うことがいいか悪いか、どうもすぐはできないからまずこれでスタートしよう、こういうこと、それはいま御指摘になりましたような経過でございます。その後もいろいろの議論がございましたが、しかし、ただいまのところは旧勲章をそのまま使うこと、そういうことで政府の意見は一致しておるのでございます。したがいまして、ただいまのところはいまこれが定着している、かように私は考えておりますので、ただいま変える考えはございません。
○田中(武)委員 定着しておるという考え方、これは慣習法とでもいいますか、しかしそれの問題ではないと思うのですよ、これは。いや、現に明治憲法と比較したときに、はっきりしておるじゃないですか。しかもこの議論を、こんなことをここでやって、勲章をもらった人に、あなた憲法違反の太政官布告でもらったその勲章、値打ちがありますかと言ったときに、どない思いますか。値打ちが下がりますよ。選挙運動にもならぬですよ。だから、われわれがどういうものに賛成するとか反対するとかは別として、爵だとか位だとか勲だとかいうことは、これは現憲法は考えていない。これははっきりします。それともそうでないというならば、よけいに三十分ください。そうしたならばひとつ法制局長官とびっしりと憲法論議をやってもいいんですが、いかがでしょう。考えていないですよ。二つ比べたときに、明治憲法十五条と現在の七条七号を見た場合に、すべての憲法を流れる精神から見た場合は、これは検討する必要があると思うのです。しかし、総理としていまここで私に約束できないだろうから、まあいいです。がしかし、ほんとうに総理が憲法を守る、こういう気持ちがおありなら、すぐ考えてもらいたいと思う。しかし本心は、ひとつ憲法を変えてやろうと考えておられるのじゃないですか。そんなことないとおっしゃるならば、自民党の中に憲法調査会というのができて、改憲の動きがございます。総裁としていかがでしょう。
○佐藤内閣総理大臣 政党は絶えずいろいろな問題を研究しております。ことに憲法の問題になりますと、国民の一部にそういう改憲しろという議論がございますし、なかなか有力な議論でもある、したがって、そういうものを無視はできない、だからそれについて十分こたえ得るような検討をする、これは私はいいと思っております。 〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、いま直ちに憲法改正、かようなことを一個人あるいは一政党が呼びかけましても、国民の支持を得るものではない、やはり国民とともにこういう基本法は改正するなら改正すると、そういうときがこなければできるものではない、かように思います。
○田中(武)委員 これについても、総理ほんとうにひとつ考えてもらう必要があると思うんですよ。ほんとうに憲法をあくまで守る、総理大臣の義務ですからね、憲法上の。そうするなら、あなたの、部下じゃないが、統率するところの政党内で、そういう動きについては慎重にひとつ考えてもらう必要があると思うのです。 そこで次に、防衛庁関係に入りたいと思います。 防衛庁長官、あなたは先日わが党の楢崎委員の質問に答えて、量より質、少数精鋭主義、そういうことばを使われたかどうかは一そういう御答弁をなされたはずなのです。それは装備の面だけではなくて、人の面でもそうであろうと思うのです。私は昨年決算委員会で、兵庫県下で起こった、たとえば女の人の胸部レントゲン写真をつけて身体検査を受けたとか、あるいは医師の診断書を偽造してからだの悪い人を入れたとか、そういうことを取り上げました。そのとき長官は、厳重に注意する、こういうように仰せられたわけなのです。そのあと始末についても私は了解に苦しむ点がありますが、それはきょう時間があればやりますが、それは別といたしまして、そのようなことがまた現にその後も何回か起こっておるということですね。長官も御存じだろうと思うのですが、まず一つは山梨地方連絡部で知能指数の五八、五九、七二――文部大臣、知能指数、IQは七五以下は大体知恵おくれだということになっておると思うのですが、そういうのが三人入っておるのですね。中学の先生に言わすと、あれが学科試験に通るはずがないのだが、と。一体防衛庁の学科試験というのは、一応国語、数学――算数ですね、それから社会科なんかでやられておるようですが、これは形式なのですか。そういう人が入っておったという事実をどのようにお考えになっておるのか。おそらく、少々知恵がおくれておってもまじめにやればいいじゃないかと言われると思うのですが、これは問題だと思うのです。ことに最近、総理も聞いてください、この暴力団問題がやかましい今日、いいですか、佐世保の海上保安隊佐世保教育隊で、かつて麻薬の密売で香港まで出かけていったという広島県下の暴力団の準幹部、銀バッジ、こういう人が組の内紛で逃げ出したわけです。普通の場合は、こういうときには追っ手が来てやられるわけなのですね。それを逃げるために自衛隊に入ったわけです。それを知っておって入れたわけです。しかも入れ墨の除去手術を受けさせてオーケー、これで入れたわけです。そうして本人は、これで自衛隊におれば安心だ、組の報復も受けることはなし、こんなけっこうなところはないと言っているそうなんですね。直接聞いたことでないから、どういう言い方をしておるのか知らぬが、そういうことを言っておるそうですよ。そうするなら、自衛隊は土地のやくざの親分とひとしい。やくざ関係でトラブルを起こして逃げてきた者をかくまう、こういう機能を果たしておるということになるのです。その点、詳細な点につきましては防衛庁長官、そういう姿勢に対しては一応総理からお答えを願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 それらの問題はいずれも新聞に出ましたので、詳細に取り調べましたが、山梨の事件は、なるほど知能指数の低い子供のようでありました。しかし入ってからは非常にまじめにやっておりまして、見違えるように人間的にも熟成してきておるのです。自衛隊にはある意味においてはそういう子供まで教育してあげるという要素もあると私は思います。その人たちを、では社会に出したらどういう待遇を受けるかということを考えてみますと、その面で非常に得意の技能その他が出てきて、社会へ出てから十分社会人として働けるという人間に自衛隊で熟成できれば、それは自衛隊としても社会に貢献していることになるのではないかと私は思うのです。それから佐世保の事件も、これはそういう世界から足を洗いたいという人のようでありまして、それで入れ墨を消したというのは、本人がそういう決心をして、自己の意思でやってきたようであります。その人間もやはり入ってからは非常にまじめによくやっているようであります。それは暴力団のそういうなわ張り争いその他のあおりで出たというものではないようであります、調べてみましたら。それで、入ってからの成績等見ますと、非常にまじめにやっておるのです。私は、そういう人までも、まじめな人間になりたいというならば協力してあげるというのが自衛隊としてのやり方ではないか、それが全部では困りますけれども、そういう人間も自衛隊としては引き受けて真人間にしてあげるということも意味あるのではないかと思っております。
○田中(武)委員 中曽根長官が常に言われておる量より質、少数精鋭主義、その点からいうてどうなのでしょう。私は、人道的見地に立って、いまおっしゃったことは肯定いたします。しかし、あなたの常に言っていることとはどういう関係になるのですか。まさか自衛隊は救済作業をやっているわけじゃないのでしょう。そういう人の更生のために、あるいはまたそういう人たちに適当な職を与えるのは、別な面で政治が考えるべきじゃないのですか。いまやっていることは、あなた、佐世保の事件なんというのは、やくざの貸し元と同じことですよ。そうじゃないですか。総理、どう思われますか。防衛庁長官、どうなのです。少数精鋭主義とはどうなのです。映画に兵隊やくざというのがあったですね。ああいうのをそろえてやるつもりですか。
○中曽根国務大臣 自衛隊の中にはいろいろな機能がございまして、レーダーのような複雑な仕事をやるのもありますれば、普通科連隊のように一般の仕事をやるのもあります。単純労務をやる人間もまた必要なのです。そういう部面に向けまして、非常にまじめに黙々と成績をあげているという人間ならば、これは精鋭になりつつあると考えていいと思うのです。
○田中(武)委員 兵庫県の事件を私が決算委員会でやったときには、あなたもっと低姿勢だった。いま開き直った感じを受けますがね。 総理、どうです、そういうことでいいのですか。
○中曽根国務大臣 あの人たちも日本国民でありますから、まじめに一生懸命いまでもやっているわけです。その人はこの委員会の討論を聞いて何と思うでしょうか。私はそういうことを考えてみて、一人の日本国民といえども、りっぱにやろうという人間はそれ相応の待遇を与えてやらなければならぬと思うからです。
○田中(武)委員 そのことはそのこと。それは、政治の面において適材適所でその人の能力を生かす、あるいは更生をしようとする人に対してはあたたかい手を伸べること、そのことを私は否定しておるのではありません。しかし、規律を重んずるところの自衛隊であるからこそ申し上げておるのです。総理どうです。
○佐藤内閣総理大臣 田中君のお尋ね、また中曽根長官のこれに対する答え、私はそれを聞いていながら、ちょっと話が食い違っているな、かように思いました。と申しますのは、やはりあげられた事例が、悪いような面を大きく説明された、そういう点について、中曽根君はまた現在の置かれておる状況をよく説明し、それが誤解に基づくものじゃないかという説明をした、かように思います。しかし、基本的な態度は、申すまでもなく自衛隊は量より質、またりっぱな軍紀が保たれ、国民から愛されるものである、こういうことでなければならない。どこまでも自衛隊は国民の自衛隊だ、こういうところを貫きたい、これが中曽根君の真意でもありますし、また田中君のお尋ねもそこにあるんだろうと私は聞き取ったのでございますから、やや話が食い違ったようでございますが、その辺は御了承をいただきたいと思います。
○田中(武)委員 総理からああいう御答弁があったのですが、中曽根さん、こういうことは救済事業として今後も続ける、こういうことですか。
○中曽根国務大臣 それが自衛隊の本務であるとは思いません。だからなるたけそういうケースは少なくしたいと思います。 しかし、窮鳥ふところに入ればということばもございますが、日本国民の中で一生懸命まじめにやりたいという人が来た場合には、自衛隊は拒否するというようなことはやらぬでもいい、私はそう思います。しかし、趣旨はあくまで少数精鋭の部隊をつくり上げるということにあります。
○田中(武)委員 いまはしなくも窮鳥ふところに入ればと、仁侠道を説かれたようです。 自衛隊がどうも貸元、親分のようなものだというもう一つの事実を申し上げたいと思うのです。 これは新聞に出たのですからもう調べられておると思うのです。楯の会の三島事件以来、自衛隊と右翼とのつながりがいま問題になっております。ところが大阪で、大阪府警が治安上問題がある右翼団体としてマークしていた団体の事務局が自衛隊の中にあった。しかもその自衛隊の現職の幹部がそこの事務局長をしておって、その運営のかなめになっておった。これには何かよくわからぬですが同じような名前のものが二つあるようですが、関係団体のようです。その一方の関係団体の全国の会長は自民党の幹部の方がしておる、そうして二十支部というか、二十カ所ぐらいのその関係団体の事務所が各地の駐とん部隊の中に置かれておった、こういうことが報ぜられております。あの三島事件以来、自衛隊と右翼団体との関係がいろいろと角度を変えて批判をせられておる、そういうときにこういう問題があったということについてはいかがでしょうか。これも窮鳥ふところに入ればということで、仁侠精神に立ってのお考えであろうかどうか、お伺いいたします。
○中曽根国務大臣 その問題は空挺同志会と空挺戦友会の問題であると思います。空挺同志会と申しますのは、園田直君を会長にしまして、第一空挺団のOB、現役及び昔陸軍の空挺関係にあった人々等で構成されておりまして、これはそういう空挺関係にあった人々の懇親の会であると同時に、お互いに防衛思想を強化、普及しよう、そういう考えもあったようであります。空挺戦友会のほうは、これは旧陸軍のほうの空挺関係の人々で、空挺関係で戦死された方々の英霊を祭ろうとかあるいは懇親をしていこうとか、そういう団体のようです。それで、空挺戦友会というのは現在は実体はほとんどない状態で、大阪府にだけ残っておるそうです。それで、たまたま空挺戦友会の仕事を自衛隊の者がやったのではないか、こういう新聞記事でございましたが、名目的に看板を掲げたことはあるようです。しかし実態的に、両方が一致して仕事をしたとかなんとかということはないようです。それで、しからばそれでは空挺戦友会というものは右翼団体かと見ますと、なるほどその人たちはわりあいに旧軍人の集まりでございますから、憲法を改正せよとか国体を護持せよとか、そういう考え方をつくった当時は持っておって、文書にはそういうことも書いてあったそうであります。しかし、だからといっていわゆる右翼団体の類には属さない。郷友会とかそういうたぐいのもので、いわゆる右翼団体としてマークするようなものではない。警察のほうの調べもやってみましたけれども、警察も右翼団体とは認めない、そういう回答でありました。まあそういうかげんで、たまたま大阪において空挺同志会と空挺戦友会の――空挺戦友会のほうは実体のない状態でありましたけれども、たまたま看板も掲げてあったということはあった由でありますが、実態はそういう事実の模様であります。
○田中(武)委員 実態はそうであったが、そういうことはいいと思っておるのですか悪いのですか。今後どうするのです。
○中曽根国務大臣 空挺戦友会のほうのことは、もう実体がないのでありますから、看板は取ったほうがいいと思います。それから空挺同志会の諸君が、第一空挺団のOB等を中心にして同志を練成しているとか防衛思想を普及するということは、これは拒否すべきことではない。私はむしろ防衛庁としては、一般民衆の間に防衛思想を普及してもらうということはありがたいことだろうと思っています。
○田中(武)委員 どうもその考え方には問題があると思うのですが、時間もだんだんなくなっておりますので、もう一つ。防衛庁が三重県の自由町でナイキミサイルの基地を建設するにあたって、その用地買収の直前、事前工作として自衛隊の特別機YS11でその町の町会議員等二十名を一泊旅行で博多へ案内した。そうして博多では一晩泊まって芸者四名を入れてどんちゃん騒ぎをした。一体その費用はどういう名目でどこから出たのか、あるいはそういうことを自衛隊がやってどうなのか。いわばブローカーが土地買収にあたってやるようなやり方をやっておる。そういうことも含めてどうなんです。いまの防衛庁長官の答弁ではどうも私、了承はできないのですが、こういう土地買収でどんちゃん騒ぎをやった、特別機を使って旅行に連れていった、そういうことはどうなんです。それもいいとおっしゃいますか。その金は一体どこから出たのです。
○中曽根国務大臣 その問題も調べてみました。私は行き過ぎがあったように思います。それでナイキ基地を設置しようとする場合に、地元の方々がナイキとはどういうものか、基地はどういう影響を受けるか、そういうことでほかの場所を見たいという御要望がございます。そこで町のそういう方々を自衛隊としてはYS11を提供して運んで、そして九州のナイキ基地を見学する便宜供与をやりました。私はこれはいいと思うのです。しかし夜、宴会をやりまして芸者四名あげたという事実もありました。しかし、その費用は九万円ばかりかかったようです。それで自衛隊が負担したのは四万数千円で、あとはその宴会に出た人々が負担したということであります。しかし、そこまで自衛隊がやることは、職務の熱心なあまりであると思いますけれども、行き過ぎであると思いますので、今後は戒めたいと思います。
○田中(武)委員 総理、ああいう答弁をしておられるのです。金額は少ないからかまわぬというわけでもないと思うのですが、それについてもいろいろやりたいのですが、一言でよろしいから、ひとつどう思われますか。
○佐藤内閣総理大臣 いま中曽根長官も、行き過ぎがあった、かように申しておりますが、私も、これはこれから厳重に取り締まって、さようなことがないようにしなければならない、かように思います。
○田中(武)委員 もう時間が参りましたので、最後に一点だけお伺いいたします。これは先日の原委員の質問に関連してでございますが、消防団員のことが出ました。そこで、もう時間がないので簡単に伺います。消防団員の身分は、消防組織法第十五条の六で規定せられておって、それは非常勤地方公務員ということになっておる。そこでその手当の性格はどうなのか。その職務は同法十五条の四できめられております。したがって、法令で定められた公の職務になります。そこで今度は労働省、労働基準法第七条で、公の職務のためにはその時間を与えねばならないということになっています。しかも労働省の解釈は、この公の職務とは何かというと、労働省の出しておる労働法コンメンタールには、法令に根拠を有する公の職務になっておる。ならば、消防団員の職務は法律に基礎を置くものである。それでもしこの手当の性格いかんによって、この税金の問題にまで触れたいのですが、時間がございませんのでこの程度で終わりますが、この二つの点だけを簡単にお答え願います。もう一つの質問はいたしません。その答えを聞いて、次の場所でその問題について論争いたしたいと思います。それぞれお答えを願います。
○秋田国務大臣 労働基準法の関係は労働大臣の御解釈にまかせたいと思いますが、消防組織法でいきます市町村の消防事務に従事する消防団員の職務は、これは公の職務だ、消防法を扱う関係からはそう考えております。これの手当は消防事務に従事する消防団員の実務を弁償する実費弁償的な性格を持っておるものだ、こう解釈をいたしております。
○野原国務大臣 お答えいたします。 労働基準法第七条では実は明確に規定がないわけでございます。そこで非常勤の消防団員等につきましてはいかなる扱いがよろしいか、学者の間でもいろいろ議論がございます。通説はございません。そこでいまこれから検討いたしたいというふうに考えております。
○田中(武)委員 これで終わります。 委員長の時間を若干見ていただいた点を感謝いたします。 いまの消防団員の手当が給与なのかどうか、給与なら安過ぎる。それから労働法の問題等につきましては、場所を改めて論議をいたしたいと思います。 それではこれで質問を終わります。
○中野委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。 午後は一時より再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。 午後零時十五分休憩 ――――◇――――― 午後一時五分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
○近江委員 私は、まず本論に入る前に、沖繩の基地労務者の解雇問題に関しまして、非常に緊急性の事態が起きておりますので、最初にその問題についてお聞きしたいと思います。 この予算委員会等を通じまして、政府のこの復帰への作業というものは非常に順調に進んでおる、こういう御答弁があったわけでございますが、しかし、現地からの報道によりますと、復帰の日が近づくにつれまして復帰不安が非常に強くなってきておる、そういう事情が伝わっております。きょうはその中で、特にこの十日、十一日に行なわれることになっております全軍労の三千人解雇反対のストライキの点にしぼってお伺いしたいと思います。 初めに外務大臣並びに総務長官にお尋ねしたいと思いますが、この十日、十一日の両日にわたって行なわれる四十八時間のストライキについて現地ではどういうような状況であり、また雰囲気になっておるか、その辺つかんでいらっしゃる点をお聞きしたいと思います。
○愛知国務大臣 沖繩における全軍労の問題につきましては、政府としては非常に重大な関心と心配を持ちまして、できるならばストライキというようなことにならないように何とかひとつ解決ができぬものであろうかということを中心にいたしまして、したがって刻々の状況につきましては詳細に情報もとり、また現地の関係機関とも十分な連絡をとっておる次第でございます。 ことに、御承知のことと存じますけれども、万万一沖繩の県民の方々同士が、意見の食い違いから相対立、対決状態が激化いたしますと、これはほんとうに痛ましいことであると考えますので、具体的に申しますと、よく御承知の基地の第二ゲート周辺等につきまして、もしスト等になりました場合、あるいはピケの張られ方等について、これは先般のコザ事件等の経験にかんがみましても、予測を越えるような重大なことになってはたいへんなことであるということを非常に心配しているわけでございます。したがいまして、まず全軍労のほうに対する対策といたしまして、本土政府自身としてやれること、あるいは対米折衝を必要とすること等につきまして手分けをいたしまして、政府といたしましても、外務省としては沖繩対策庁と緊密な連絡をとり、また一方米側とも十分緊密な折衝過程を通しまして、何とかして荒立ったような結末にならないようにということについて、いま最大の努力をいたしておるわけであります。 ちょうどだだいま琉政の屋良主席も上京いたしまして、ただいまも山中長官がそれらに対して御相談をいたしております。また私もこの御質疑が終わりましたら直ちに屋良主席との協議にも入りたい、かような状況であるわけでございます。
○近江委員 山中長官にお聞きします。
○山中国務大臣 屋良主席とただいままで会見いたしておりましたので、遅参いたしまして申しわけありません。質問を全然聞かないで答弁するわけでございますから、誤っております点があればお許しを願いたいと思いますが、質問はおそらく今回の全軍労の予期された四十八時間のストライキの間において、主としてコザ市において沖繩県民同士の不測の事態が予測される、これに対してどうするつもりかという御質問であるだろうと思うわけでございます。屋良主席もそのことを心配されまして、急遽上京されて、直ちにまた本日沖繩に引き返されるようでございます。その点は私どもたいへん心痛いたしておりまして、一つは、全軍労の諸君がストライキを部分的にでも、一番問題になる第二ゲート付近だけでも解くことのできるような、できればストに突入しないで話し合いがつけるような条件等について、外務大臣とも相談をしつつ、財政上の措置や外交上の措置をいろいろととらなければならないと、いま折衝中でございます。 いま一つは、コザ市内の米人、基地相手の業者の方々というものの、一方における非常な生活の問題が背景にあるわけでございます。これは御承知でもありましょうが、コザ事件のあと、コザ市という町は非常に危険な町である、そういう考え方が米軍の、ことに家族の間に浸透してしまったようでございまして、ホテルの売り上げの減八〇%を最高に、質屋の六〇とかあるいはレストランの六〇%とか、いろいろと五〇%以上の売り上、げの減というものを顕著に示しておる業界がございます。これは一つには、コザ事件直後に外出禁止をいたしましたための減もありますが、その後十二時以降の外出禁止が依然として解除されておりませんために、深夜営業等のAサイン業者、レストラン等がやはり六〇%以上の収益減になっておる。このことが、当面の自分たちの生活の問題でございますから、今度再び、全軍労の立場はわかるにしても、コザの第二ゲートでストを打たれた場合に、アメリカ側がまた外出禁止その他を強化するのではないだろうか、あるいはもとの営業が続けられるような状態であるべき外出の許可条項が、依然としてきびしいままでいよいよコザの生活の問題におおいかぶさってくるのではなかろうか。したがって、第二ゲート封鎖というものは実力をもってでも自分たちは阻止するのである、阻止しなければならないという、一方において生活の問題としての不穏な動きと申しますか、具体的な行動に出ようとする動きがあることも承知いたしております。これらの業界の人たちも、さしあたりの問題としては、米軍側がスト問題をうまく回避し、あるいは乗り切ることによって、コザ市が昔のような基地依存の営業形態というものを当面は続けられるようなことを、当面切望しておるわけでありましょうし、長い目で見れば、やがては転業その他の資金その他についてもそろそろ考えなくてはならないという立場に置かれておると思いますので、当面の問題と長期的な沖繩全体の問題も含めてのことでありますけれども、ことに軍事基地依存の強いコザ市の特殊な営業形態の方々のあり方については、金融面等で考えていける点は手を打たなければならないというふうに考えておる次第でございます。 あと、時間が迫っておりますので、できるだけ最大限の手段を講じまして、少なくとも沖繩県民同士の流血の惨の不測の事態だけは排除したいものである、ないようにしたいものであると、私は念願をしておるところでございます。
○近江委員 両大臣ともこの問題を非常に重大認識としてとらえていらっしゃる。私もこの問題は非常に重要な問題であると思います。 私の手元にも手紙が来ておりますが、ちょっと読んでみたいと思います。その一部でございますが、「全軍労の職場大会が何回か持たれておりますが、今回のストでは、九九%まで流血騒ぎは免れないといっています。コザ市の場合騒動事件以後基地業者の収入減が約七、八割と聞いております。そこで、業者も生活を守る会を中心にコザの第二ゲート(航空隊入口)では全軍労のストは絶対にさせない、全軍労が生活を守るのであればわれわれ業者も生活を守らねばいけないといっています。そのためには住民同士の流血騒ぎもしかたがないだろうとある業者はいっていました。ヘルメット五百個、角材等を準備し三十分間で全員集合の臨戦体制をとっているとのことです。戦後二十五年の矛盾と錯誤の中に悲惨の二字におおいかぶされた沖繩の縮図コザの街、この償いは一体だれがやってくれるのであろうか」これは一部の抜粋でございますけれども、大体両大臣ともそうした状況というものをつかんでいらっしゃる。私はこうした問題を考えてみますと、軍雇用者の方々も、もうぎりぎりのところまで来た段階で、ストという追い詰められた気持ち、業者の方々も生活がぎりぎりの状態まで来ておる、そういうせっぱ詰まった状態にいまあるわけです。考えてみれば、いま沖繩返還が順調に作業も進んでおる、このように政府からお聞きしておるわけでございますが、しかしながら、そういう基地の問題等は、このように県民の犠牲の上に一方的にこういう形でもうすでに進んでおるという事実なんです。前回では二千人の人が解雇されました。今回は三千人です。ということは、本土と人口比率でいきますと、三千人といいますと三十万人の首切りなんです。前回は二千人ですから二十万人の首切りなんです。したがって、その与える影響というものは、これはもうたいへんなものなんです。ですから、それだけにこの雇用員の方々あるいは業者の人々も真剣にこの問題に取り組んでおるわけですが、どうにもならない状態で今日まで来ておるわけです。ですから、今回のこういう動きはもう単なる意地とか感情の対立でないということを、政府も強く認識をしていただきたいと思うのです。 そこで、いま対策についても若干のお話があったわけでございますが、きょうも屋良さんも来ておられるそうでありますし、煮詰めた話にもなろうかと思いますけれども、われわれとしては、もしもここで流血騒ぎが起きれば、お互いに国民同士が血で血を洗う、そういうことがまた本島内に広がっていく、そういう事件の拡大ということも私はおそれるわけです。どうしてもそういう惨事は避けていただきたい。したがって、雇用者に対するそうした対策、あるいは米軍との折衝、あるいはまた業者に対する対策――先ほど山中長官も短期、長期ということを言われましたけれども、どうかそうした惨事を絶対に起こさないという決意で、ひとつ十分なる対策を立てていただきたい、このように思います。その件につきまして総理に重ねて決意をお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま外務大臣、総務長官の二人から折衝のあらましをお聞き取りだと思います。また、政府としても、あらゆる相談をして最悪の事態を回避する方向であらゆる努力を惜しまないものです。どうか現地におきましても対立、同胞相はむという事態が起こらないように、この上とも事態が円満におさまるように、ひとつ御協力願いたいものだ、かように思っております。
○近江委員 それでは、沖繩のストライキの点をめぐるこの点について、強く対策を要望しておきます。 次に、四十五年度補正予算案についてお聞きしたいと思います。 まず、第一点にお伺いしたいのは、この補正予算提出の時期についてお尋ねしたいと思うわけですが、昭和四十五年度一般会計補正予算のうちで給与改善費が千六十五億百二十二万四千円、こうなっておりますが、しかしながらこの給与改善の法律は昨年末の臨時国会で成立したものであります。したがって、この法律の成立以来現在まで給与費の先食いをしてきたことになるわけなんです。その一方で、当初予算の場合は予算関連法案の提出を予算案提出よりもおくらして、予算案と表裏一体の具体的な審議というものをやりにくくしてきておる。これは全く政府の御都合主義というしかない実情じゃないかと私は思うのです。本来、予算技術の原則からいきますと、補正予算の提出時期というのは法律改正と同時にすべきじゃないか、このように思うのですが、大蔵大臣はこのことについてどのように思われますか。
○福田国務大臣 法律と予算が並行して同時に行なわれる、これはまあ理想的だと思うのです。現実の問題といたしまして今度の給与関係予算、その根拠となる法律改正は昨年暮れの臨時国会で行なわれたわけであります。その臨時国会に補正予算を提出するのが、したがって好ましい、そういうふうに考えたんです。ところが、いま御承知のように経済界が激動期にあるわけであります。つまり超高度成長態勢から安定成長態勢に移行するその過渡期にあるわけでございまして、そういう時期でありますので、この財源、つまり法人税の見積もりについてこれが見通しを得ることがはなはだ困難であったわけです。たまたま、先ほども申し上げたところでございますが、給与予算というものは繰りかえ使用ができるような状態にある、それが二月まではできそうだ、こういうようなことで、的確な財源対策が、その見通しがつくというときまで見送ら、ざるを得ない、こういうふうな判断に到達いたしまして、おくればせではありまするが、今回補正を提出、御審議をお願いする、かようにいたした次第でございます。
○近江委員 ですから、いろいろな都合があるということをいま盛んにおっしゃったわけですが、本筋としてはどうなんですか、この点について。
○福田国務大臣 他の事情がなければ、本筋といたしますと、同時に御提案、御審議を願うのが筋である、かように考えております。
○近江委員 それでは、この昭和四十六年度の給与改善の際はどうなるかという問題なんですが、それじゃ法案とこの補正予算を同時に提出されるかどうかですね、その点についてお答え願いたいと思います。
○福田国務大臣 まあ四十六年度は本費の中に、予算の中に五%の見積もりをしておるわけであります。したがいまして人事院勧告がそれ以上上回る一まあどうも上回ることは上回るだろうと思うのですが、私は達観といたしまして、非常に景気停滞期に向かっておる、こういう状態でありますので、民間給与との権衡を考慮する人事院勧告は昭和四十五年度のようなこの高さとは非常に違ったものになってくるんじゃないか、こういうふうにまあ想像をいたしております。しかし現実にそういう事態が起こった、五%を上回る事態が起こり、それが何%ということが明らかにされる、こういうことになった際にはできる限り、予備費もふやしてありますので、予備費、また既定経費の整理節約し得るものがありますればそれも充当する、あらゆる努力をいたしまして補正予算がないようにというふうな努力をいたしてみます。まあその努力が一体成功するかどうか、それは他の予算編成後に生じまするところの補正要因、これがどうなるかにかかっておる、こういうふうな見通しでございます。
○近江委員 いつも問題になるわけですが、総合予算主義ということであります。総合予算主義をとるという発想ですね。これは最初水田さんが言われまして、福田大蔵大臣もその根幹は継承なさっておる、このように思いますが、その発想のどこにあるかということを簡潔にひとつお答え願いたいと思うのです。
○福田国務大臣 予算編成は限られた財源の中に無限の需要を押し込む、そういうようなことで、非常に窮屈なものでございます。そこで従来ややもすれば、予算はこういうふうに応編成しておく、本予算はこのとおりにしておく、しかしいずれは、秋ごろになったら補正予算を提出いたしましてそれを補足しよう、そういうことを年度の当初から想定をするという傾向があるいはあったかもしれない。そういうようなことがあってはこれは断じて相ならぬというのが水田蔵相の考え方であったと思います。そこで総合予算主義を貫くということを申し上げたわけでありますが、それを国会の側ではもう絶対に補正は組まないんだということを宣言をしたかのごとく理解をされたわけでありまするが、私は水田蔵相のあとを受けまして大蔵大臣になってすぐ申し上げたのです。補正がないという、それはおかしなことだ。予算編成後に異常な事態、非常な事態、これが起こるかもしらぬ。そういう際に総合予算主義が残って国の行政が行き詰まる、こういうような事態は、これはあまりにも硬面した考え方である。そうじゃなくて、予算編成のときには、-もう編成のその時点では補正がないという、補正要因を一切払拭した予算を編成すべきであるけれども、しかしその後に異常だ、非常だというような特殊な事態が発生いたしますると、これは補正予算を組まなければならない事態もあり得るのでありますということを申し上げたのですが、私現在におきましてもさように考えております。
○近江委員 そこでこの昭和四十五年度予算編成のときも当然総合予算主義ということでやられたわけですが、二千六百三十三億二千百万円という、こういう非常に大型の補正予算を組まれた。私は何も補正をしたことがいけないと、それを言っておるのではないのですけれども、総合予算主義の根幹からいきますと、あまりにもはみ出しておるのじゃないかということなんです。したがってこの総合予算主義というものはもう形骸化されておるのじゃないか、そういうことでこの総合予算主義というたてまえはもうおやめになったほうがいいんじゃないか、このように思うのですけれども、大蔵大臣はどうですか。
○福田国務大臣 予算編成の考え方として総合予算主義ということをやめるわけには、これはなかなかいかぬと思います。つまり予算は編成の時点におきまして見通し得るあらゆる歳出要因というものを検討いたしまして、それに対する財源措置を講ずる、こういうことでありまして、その時点で補正を予想するという考え方はとらない、これは絶対に私は捨てべきものではない、こういうふうに考えております。ただその結果補正予算が必要がないということになると非常にいいのでありまするけれども、四十五年度を見ましても、私どもは人事院勧告が一〇%増か以下ぐらいじゃないかというふうに当初予想しておったのです。それが物価のはからざる上昇等もあり、また民間賃金のあの春闘の状態等もありまして、一%増加だというような勧告が行なわれるに至りまして、その手配をしなければならないということ。それから米が過剰な状態にありまして、それで海外への米による援助、そういう事態が起こってくる。これも予算のとき予定しておったものもありまするけれども、予定外に起きたような事態もあるわけであります。そういうようなことで補正を、そういう人事院勧告、また過剰米の処理というような形でお願いをしなければならぬ、こういうことになったことは残念でございますが、今後はできる限り気をつけていきたいというので、ことしも引き続いて人事院勧告、去年ほどの高さではないと思いまするけれども、とにかく四十五年度同様に五%を本費に計上する、なおまた予備費をとにかく千四百億円に増額をする、これもかなり前進した措置である、こういうふうに考えておりますので、何とかひとつ補正なんというようなことのないようにいきたいものだというふうに思っておりますが、今後のいろいろな推移を見てまた御判断を仰がなければならぬ、かように考えております。
○近江委員 財政法の第二十九条では、特に緊要となった経費の支出要件が生じた場合を補正の要件としておる、こうなっておりますが、補正を可能とする歳入の伸びが非常に大きいということでありますが、この数字を見てまいりますと、不足の緊要補正要件よりも歳入の伸びがはかれなかったという点が非常に疑問点になるわけです。一方歳出の面から見ましても、給与改善費などは当初予算ではだれもが不足である、このように思っておりました。 そこで歳入補正の租税及び印紙収入の三千十一億、それから専売納付金の百二十二億、これは当初予算編成時の歳入の大きな見込み違いであったとこの前におっしゃったと思うのですが、そうだとすると、実際にそういう予算編成をやりながらなぜそういうような見込み違いをしたか、その点についてひとつお聞きしたいと思うのです。
○福田国務大臣 歳入が当初の予定と大きく狂ってまいりましたのは、法人税と所得税でございます。法人税は約千三百億円ふえることになり、所得税は約六百億円ふえることになってきておるのでありますが、法人税がなぜそういうふうに伸びたかと申しますと、当初私どもは一昨年の秋から金融調整政策を始めたわけです。これは景気をスローダウンさせる政策でございますが、どうもその政策をとって一年間というもの、ほとんど実体経済の面に影響というものがあらわれなかった。やっと昨年の秋になりまして、景気鎮静の動きが出てくる。実はもっと早く影響が出てくるという想定のもとの法人税見積もりであったわけなんですが、そういう景気調整のズレというのが予算に予定した額を下三百億円も上回るという法人税の伸びに出てきていると思います。 それから、次いで大きな増加要因である六百億円余りの所得税、給与所得が中心でございますが、これは私どもがあの予算を編成する当時、春闘の高さ、あれが一八、九%までいこう、これは夢にも思わなかったのでありますが、それがそのような高さになった。これが端的に増収にはね返ってきておる、こういうふうに御理解願ってよかろうかと思います。
○近江委員 いろいろな理由はあろうかと思いますが、しかし、これだけの大きな見込み違いというのは少し大き過ぎるのじゃないか、このように思います。当初予算の編成では、政府は財政硬直とかあるいは総合予算主義のたてまえとかいって、そうして一つは所得減税をしぼる、あるいは受益者負担ということで、国民の負担で財政負担を肩がわりさせる、あるいは義務的経費増で国民福祉増強のための新規政策費あるいは政策内容の充実にはこの要求を満たすことができない、そういうことで総理以下大蔵大臣も非常に硬直した姿勢を示していらっしゃる。一方巨額の自然増収はあったけれども、最も緊要であると思われる公害対策等については地方サイドでやれ、こういう態度でいらっしゃるわけです。これでは国民としまして、あくまで政府ベースであらかじめ仕組まれたテクニックでこの予算を組んでいると思われてもしかたがないと思うのです。この点どのように考えていらっしゃるか、大蔵大臣、そして総理から、お二人からお聞きしたいと思うのです。
○福田国務大臣 総理大臣は内政の七〇年代ということを言っておる。私は量的成長の六〇年代から質的成長の七〇年代、こういうふうに申し上げておるわけでありますが、そういう考え方に沿って内政重点の予算を編成しておる、こういうふうに御理解願ってよかろうと私は確信をいたしております。 つまり、今度の予算九兆四千百四十三億円、非常に膨大なものでございますけれども、何がそういう膨大な予算の内容になっておるかということを見てみますればすぐおわかりかと思うのですが、このうち二三%、二兆円余りが地方交付税交付金です。つまり地域社会を大いに振興する、建設する、こういう上に多大の貢献をなすことであろう、これは公害問題を含めてであります。 それから第二の大株主は何であるかというと、公共事業費でありまして、これが約一兆七千億円になるわけであります。この額というものは、世界先進諸国の予算の中において、また経済力の中における比率において、飛び抜けて第一位の地位を占める額でありまして、これで住宅の問題を、今度は新住宅五カ年計画が発足する。水道の問題、おくれておる水道の取り戻しをやる、これで新五カ年計画が発足する。また交通対策、これで交通安全対策五カ年計画が発足する。港湾でありますとか、航空につきましても新五カ年計画が発足いたしますが、これらが四十五年からスタートいたしました道路の五カ年計画と相まちまして、日本の国のわれわれの生活環境を改善する上において非常に大きな役割りを果たす、こういうふうに思っておるわけであります。そういう問題。 それから第三の大株主は何かというと、一兆三千億円の社会保障費であります。社会保障費につきましては、これは先進諸国に比べますとその水準がまだまだ立ちおくれております。そのスタートがおそかったゆえもありますけれども、非常な速度で取り戻しに取りかかっておる。 こういうような状態でありまして、私は内政の七〇年代というものにふさわしい予算である、そういうふうに考えておりますし、特に当面問題にされておりますところの公害の問題、これにつきましては、一般会計におきましては千三百億円、これは額はわずかでございますけれども、そもそも公害対策は公害を出さないように、公害発生源者において対処すべきものであって、企業がまず第一次責任者で、これがどのくらいの額を出すか、私も計算をしようと思っているのですけれども、計算がし切れないくらい多くの投資をこのために企業はするわけです。それからまた、一つ一つの企業というとらえ方はできないけれども、公共事業でこの問題に対処しなければならぬという問題は、地域社会の問題でもありますので、これは第一次的には地方自治団体がこの措置に当たる、それに対しましては国がその地方公共団体の行なう事業の執行に支障のないような財政措置を講ずるというので、千三百億円、その大部分が地方に対する補助金でありますが、そういうもの、また地方のこれを行なうために必要とする起債、そういうものに対する財政投融資の割り当て、そういうものを考えておるわけでありまして、お話のような筋に向かいまして最善の努力をしているわけです。まあしかし、近江さんなんかからごらんになりましていろいろ御批判もあろうと思いますが、今後とも十分そういう方向で努力をいたしていきたいと存じております。
○近江委員 いまおっしゃったことを一つ一つ反論していけばいろいろあるわけです。たとえば公害の問題にしても、千三百億とおっしゃっても、ほとんどは下水道だ、実際の対策費はどれだけ回っているかということにもなってくるわけです。あるいは地方交付税の考え方にしても、大体あれは地方自治体固有のものですよ。政府からこれを上げるのだという考え方自体、これは本質論でありますから相当論議になると思うのです。そういうように一つ一つそのように考えていきますと、やはり大きな問題があるわけです。きょうは時間の関係がありますので、その問題はあとに譲りたいと思います。 次に、この補正予算案において既定経費を四百四億円節減することになっておるわけですが、最近の補正予算編成の際に行なわれるこの種の措置一を調べてみますと、年、その金額が大きくなってくる傾向にあるわけです。この既定経費の節減に努力をされておるということは非常にけっこうだと思うのですが、しかし、この内容を見ますと、ほんとうの意味での節減であるかどうかという点が非常に問題になると思うのです。当初予算編成の際のテクニックによるものではないか、このような疑問が非常に出てくるわけです。必要なものまで節減しているように見受けられるわけですが、たとえば消費者物価の値上がりに関連して卸売り市場の機構整備が課題の一つである、このようにいわれておるわけですが、農林省予算の卸売市場施設整備費が当初二十七億円計上しておったのですが、八億円も節減されているわけです。これほど物価問題がいわれているわけです。流通機構を整備しなければならぬ、こういう市場の問題ということは一番大事な問題です。それを八億円も削減しておる。きょうは農林大臣がかぜを引かれて欠席させてもらいたいということで了承いたしました。大臣おられないので残念でありますが、大蔵大臣……。
○福田国務大臣 四百億円の財源を今度の予算の中自体から出したわけですが、その半分は、これは整理、いわゆる節約であります。つまり、これは予算があればあるに越したことはないのでありまするけれども、まあひとつこの際財源を供出せられたいというので、大蔵省と各省との間でずいぶんいきさつを経まして、やっとひねり出した二百億円であります。それから残りの二百億円はどういう金かというと、あるいは予算は出ましたけれども、法律が成立するに至らなかった、こういうので、自然自動的に使えることにならない、そういうものでありまして、これは不用額というふうに呼んでおるわけでありまするが、それが二百億円あるのです。ただいま農林省の関係のお話がありましたけれども、これは卸売り市場の法律案が提案はいたしたものの成立に至らなかった、おそらくその関係上自然に使用を停止した、その額であるまいか、かように考えております。
○近江委員 政府は、昭和四十一年五月二十七日の臨時物価対策閣僚協議会了承事項の中で、一二番目に、都市部市場への過度集中の緩和対策として、外縁部に早急に新市場を建設する措置をあげておられるわけです。昭和四十二年の七月には、中央卸売市場審議会から、「東京地区及び大阪地区における中央卸売市場の整備について、当面次の方向でこの計画的実施につとめるべきである。」との答申を受けておるわけです。四十五年の六月十日の物価閣僚協議会でも、「過密都市における中央卸売市場の整備等を緊急に実施する。」このように決定しておるわけです。にもかかわらず、いまいろいろ説明がありましたけれども、この補正予算において八億三千九百万円減額をしておる、これは非常にけしからぬと思うのです。 先ほども申し上、げましたが、この卸売り市場が流通機構に果たす役割り、また物価に与える影響というものは非常に大きいわけでありますが、こういう大事なところをこれから八億数千万円も削減をしておる。これがはたして国民の皆さんに説明がつくかという問題です。こういう市場の整備については特に、順序からいうならば何よりも力を入れなければならぬ問題です。従来までの経過を見ていきますと、三十九年に高松、四十一年室蘭と船橋、四十二年には盛岡、四十三年、四十四年は開設がないわけですよ。きわめて遅々としたこういう動きになっておる。政府は閣議でこれを進めろといっておる。いっておりながら四十三年、四十四年には開設がないわけですよ。しかもそれだけの政策を掲げながら削減をしておる。これは政府が流通機構を整備するとかなんとかいっておることは全部口先だけですよ。もう物価安定に対するそういう努力が全然ないという証拠ではないかと私は思うのです。 この点について総理はどう思われますか、総理にお聞きします。――大蔵大臣の次に総理お答えください。
○福田国務大臣 この間、倉石農林大臣も本委員会においてお願いをいたしておったのを私聞いておりましたが、卸売り市場の法律案につきましてはぜひ御協力を願いたい、こういうふうに申しておるわけであります。昨年の特別国会におきまして、卸売り市場の整備に関する法律を御提案申し上げたのですが、これが成立するに至らなかったのです。そこで、この法律案の中にはどういうことがあるかというと、国からの補助率を引き上げよう、こういうあれがあるのです。したがって、この補助率の引き上げもできない、こういうことになりまして、したがって八億円減ということに相なってきておるわけでございますが、どうかひとつ卸売り市場の問題につきましては、倉石農林大臣も非常に熱意を持っておりますので、ぜひともひとつ今国会においては御成立くださいますよう御協力方をお願い申し上げます。 それから、先ほど私、公害対策の国の財源千三百億円と申し上げましたが、これは私の記憶違いでございまして、九百三十億円でございましたので、訂正させていただきます。
○近江委員 総理にこの問題、確かに法案のこともいま話があったわけでありますが、特にいま物価の問題については、国民の皆さんはほんとうに毎日深刻な物価戦争の戦いをやっておるわけですよ。そういう点において流通機構のこういう整備ということは特に大事なわけです。その点、ただ法案がそうだったからもう削りました、そういうあっさりとしたそれでいいか。大体流通機構整備、この市場等についての対策は、政府は非常に口先だけであまり力を入れてない。これについては今後総理としては物価対策上どういう決意で臨まれるか、それをひとつお聞きいたしたいと思うのであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま国会において継続審議になっておる法案、これはもう先日もこの席から皆さん方にお伝えをして、どうか卸売市場法を早く通してください、成立させてください、こういうお願いをいたしました。このことはやはり流通機構を整備する、こういう観点に立てばどうしても法律が必要でございます。したがって、ただいま継続審議でもありますから、これは皆さんの御協力も得られることだ、かように思いますので、この国会では必ず成立するものだ、かように思いますから、できるだけ早く成立させてそうして早く公布する、そういうことをしたいと思います。 ただいま、八億削減した、これはけしからぬじゃないか、かように言われます。確かに削減したということならば、不都合だと思います。物価のやかましいこの際に削減するということはけしからぬ、かように私も思います。しかし、これはいま申し上げますように、基本法がないというとせっかく計上いたしました予算も使えないのです。政府は法律に基づいて予算を執行しておるのでございますから、その基本法がない、こういう点に欠陥があるのでございます。私は、物価の問題については、その市場というのも一つの行き方だが、その他の方法でもまだ考えがあるだろう、かようにも思いますので、その根拠法がないから使えなかったと、このことはそれなりに了承しても他の方法で、款、項、目の目の程度のものならばこれは使えるはずでございますから、何かそこらにこまかい使い方の道はなかったろうか、こういうことをいまくふうしておる最中でございます。 私は、そういう点で誤解を受けることのないように、国民の皆さまにも予算の執行、これはなかなか厳重に、厳格にやっている、大福帳式な金の使い方はしないのだ、この点を御了承いただきまして、そうして大事な物価問題と政府が取り組むその姿勢も正しますが、ただいま申し上げますように、その基本法をやはり成立さして、政府に権限を与えてくださるよう、これをお願いいたしておきます。
○近江委員 この法案のことを重ねていろいろおっしゃっておるわけですが、通さないのが悪いのだ。しかし、内容がそれ以上に悪過ぎるわけですよ。だから、そういう点を政府としてももっと真剣に納得できるような、そういう内容にさらに努力をしてもらうということ。われわれも当然この物価問題は真剣に考えておりますし、これはもう力を入れることは当然であります。さらにまた、総理がおっしゃった、ほかにも卸売り市場、流通機構にそういうものが使えたのではなかったか、その点は、非常に率直にそうした感想を申されましたので、ひとつ今後は、こういう節減をなさることはいいけれども、必要なものについては十分に予算を行使していただきたい。このことを強く申し上げておきたいと思います。 補正予算の問題については一応これでおきまして、次に、私は商品取引所の問題についてお聞きしたいと思うのでございます。 御承知のように、この商品取引所というのは、アズキあるいは生糸、あるいは砂糖、ゴム、繊維、まあいろいろと取り扱いをやっておるわけでございますが、ところが最近、傾向といたしまして、くろうとしかできないといわれるこういう取引関係にしろうとが手を出しておる。これは当然、物価高で生活が非常に苦しくなってたいへんだ、少しでも利殖をしよう、あるいはまた、家も非常に高い、マイホームがほしい、少しでも利殖をしたい、そういうような気持ちが非常に庶民の間には多いわけですが、ついひっかかってしまうというようなことで、こういう被害というものが非常に拡大をしてきておる。しかも取引所自体は価格の形成という機能がありますし、これは物価問題にも非常に影響してくる。こういうことで、健全なそういう商取、また業界のそうしたあり方というものが要求されるわけであります。 そこで、政府もまあいろいろとその点はお考えになったと思うのでございますが、この一月に許可をされたわけであります。ところが、この許可を見ますと、日にちでいいますと一月の二十七日、農林、通産の両主務省が、問題の仲買い人二十九社を含む二百六十二社の申請者全員の許可を決定しているわけです。これだけ社会問題化した一いままでにも政府からそういう紛議の実態とかそういうことが報告もされておりますが、現実にそういう問題を起こしておるところが、二百六十二社出したのが全部通っておる。これはどうしても納得ができがたいわけです。この件につきまして、政府としての見解をまず初めにお聞きしたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 農林大臣がおられませんので、両省合わせまして申し上げます。 多少報道に誤って伝えられたところがございますが、実は三百八社ほど現在の法律に移行いたしますときにあったわけでございますが、このたび正式に申請をしてまいりましたのは二百六十二社でございましたか、したがって、四十幾つのものは、これはとても合格しないということで自発的に廃業いたしたわけでございます。 そこで、その二百六十幾つを、客観的な点数制をとろうと考えましたので、法律の違反関係の減点、それから取引所から見たビヘービアの採点、それらを総合いたしまして私どもで総合採点ということをいたしまして、どうも問題のありますものが御指摘のように三十社ほど残ったわけでございます。 〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕 そこで、そのうちでどうも許すことができない――実はその中にはかなり大手があるわけでございますけれども、そういうものが七社残りまして、これについては、さしずめ毎日取引が継続しておりますし、お客さんもおりますし、従業員もおりますから、六カ月のうちに事、実上営業を廃止させる、したがって、移行とともにそれらは資格のある健全なものに営業譲渡をさせるということにいたしました。これは混乱を避ける意味でございます。したがって、それらの七社は、半年たちますと事実上廃業するということで、よそに移譲させましたときに事業所の数でありますとか従業員の数でありますとか、そういうものについても縮小して営業権を譲渡させるようにいたしました。残りの二十数社でございますが、これは経営陣の刷新であるとかあるいは事業所の数であるとかいうものを指導いたしまして、縮小した形で存続することを認めました。繰り返して申し上げますと、最初の四十数社については事実上廃業する、それからどうしても問題があるという七社につきましては、六カ月のうちに営業をやめさせるが、その内容は一応縮小した形で、新たに誕生する信用のあるところへ移譲させて、従来の七社は廃業させる、こういうことにいたしたわけでございます。
○近江委員 昭和四十二年の四月から四十四年の十月までの約二年半の間、この事故調査総括表――これは通産と農林両省から提出されたものです。この事故件数が三千三百二十六件に達しておるわけです。金額にして約二十億円をこえるものであるわけです。こうした過去の実例がある。そして、特に昨年はそういう社会問題化した紛議というものが非常にまた多かったわけです。 そこで、お聞きしたいのですが、昨年一年間のトラブルはさらに膨大なる数字である、このように聞いておるのですが、四十五年度のトラブルの件数及び金額はどのようになっておりますか。
○宮澤国務大臣 四十五年度と言われますが、実は詳細にはまだわかっておりません。ただ、申し上げられますことは、本来商品取引所というものは正常な機能を持っておったと思いますが、大衆を巻き込みましたことによって、もう本来の目的を離れて非常な社会的な悪を生みつつあることは明らかでございます。ただいまの数字は、いずれ四十五年分についてわかりましたら後ほど資料として差し上げたいと存じますけれども、したがって今回のような問題のある取引員を整理するということとともに、本来この取引所に上場してしかるべき品物がいまのままでいいのかどうかという問題が、これは農林、通産両省にわたって相当に私はあるのではないかと思いますので、今度審議会を通じましてその点を洗い直してもらおうということで、審議会がそういう作業を始めたところでございます。
○近江委員 この事故件数あるいはこの金額の点について、まだまとまってないようないま御答弁でございましたが、局長さんもきょうは来ておられるのですが、その点どうですか。おわかりでございますか、つかんでないのですか、その点ひとつはっきりしてもらいたい。つかんでおるのか、わかっておって公表しないのか、どちらですか。
○両角政府委員 四十五年度の全般的な数字はまだつかんでおりません。ただ、特に問題になっておりまする営業成績の悪い十五社につきましては、現在までのところ約六十五件という事故が報告をされております。これは四十二年から四十四年の間におきまして年平均千百件以上の事故を起こした十五社でございまするので、その事故の割合というものは著しく減っておる、かように存じております。
○近江委員 特に悪いところ十五社ぐらいは六十五件という数をつかんでおる。しかし、このつかんでおらないということ自体が問題なんです。少なくとも許可をするということについて、あくまでも綿密に、そういう事故の状態なりあるいはそういう内容なりをつかんでおらなくして、どうしてその許可を与えることができるか。そういうところに、うやむやな状態で許可が与えられてしまう。これじゃ全くなれ合いと言われたってしかたがないじゃないですか。その点について重ねて大臣にひとつお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 この問題が世間の注目を浴びるようになりましたのは昭和四十四年ごろからでございまして、四十五年に入りますと、かなり委託者、お客さんもいろいろ注意をした。国会でもいろいろ御質問がありましたから、会社もおそらく、したがって従来のような放漫なことはかなり戒めつつあったものと思われますが、いずれにいたしましても、今回の移行につきましては、過去の実績を最近のところまで非常に厳格にとりましたので、まず選考の方法に誤りはなかったものと考えます。
○近江委員 きょうは倉石農林大臣がかぜで来ていらっしゃらない。私もそれは病気のことですから了解はしますが、特にこの穀物相場ですね、非常に問題が多いわけですよ。農林省の担当局長さん来ていらっしゃると思うのですが、いまの件についてどうですか。
○小暮政府委員 私どものほうでも、先ほど通産省の局長が申しましたと同様の趣旨で、最も大手の問題の多いと思われます十四社につきまして精査いたしましたところ――四十二年の四月から四十四年十月までの間に二千六百五十七件という事故件数がございましたグループにつきまして四十五年四月から八月までにつき精査いたしましたところ、前から引き続き係争中の事故を含めますと三百三十六件、しかし四月以降に新たに発生した事故、これは六十五件というような形に相なっております。
○近江委員 そこで、この許可について非常にきびしくやった、このようにおっしゃっておるわけですが、それじゃ許可をするためには、当然審査基準なり、あるいはまた取引所からそういう審査した点数等も報告があり、そういうことを加味してやっていらっしゃると思うのですが、その辺の審査をなさった基準なり、あるいはその内容なり経過なりについて、局長さんでも大臣でもけっこうでございますが、よくおわかりの方に詳しくひとつお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、基本の点数は三つの部分からなっておりまして、第一は、過去における事故発生の点でございます。第二は、取引所から見ましたビヘービアについての採点でございます。第三は、主務官庁及び取引所を含めまして全体の総合採点と申しますか、そういう部分の三つからなっております。 ちょっとこまかくなりますが答えろということでございますので、二百点満点にいたしまして減点をいたしました。そのうち役員あるいは業務体制等については二十点、事務処理をする能力のある点について三十点、それから従来の注意を順守しておったかどうかについて五十点、営業の姿勢百点、こういうことでいたしまして、そして全体をA、B、C、Dの四つに分けまして、減点八十点以上のものをDクラスといたしまして、減点六十点以上のものをCクラスといたしました。 そこで、A、Bにつきましてはまずまず問題なかろうと考えましたが、CとD、これが先ほど御指摘の二十九社になったわけでございます。その二十九社につきまして、どうも世の中にこれ以上存続させることが不適当であるというものが七社ということになったわけでございます。残りの二十二社につきましては、先ほど申しましたような注意と改善を求めました上で存続を許す、こういうことにいたしました。
○近江委員 この採点については、各取引所がそれぞれの仲買い人、いま取引員になっておりますが、その採点をした。したがって、各取引所からあがってくるのは当然そういうばらつきということは考えられますが、そこでこの点数でございますが、一番悪かったのは一体何点ですか。政府としては、要するに六十点が一応の基準合格のめど、こういうことですね。それで一番最低は何点であったか、ちょっと聞かせてください。局長さんでもだれでもけっこうですよ、わかっている人で。
○両角政府委員 お答えいたします。 最低八十点の減点が一番悪いクラスでございますが、その中でも特に悪かったものは百十二点ないし百九点といったような減点の実績がございます。
○近江委員 この政府の基準としては、六十点が合格のラインですね。もう一度重ねて聞きます。
○両角政府委員 改善計画の提出を求めましたものは、減点六十点以上のものについて求めております。
○近江委員 二百点満点で六十点減点が限度である。そうしますと、百点満点に直しますと七十点が合格基準点、こういうことです。そうしますと、百十二点減点された人は八十八点でありますから、百点満点に直しますと四十四点、七十点でなければ合格しないところを四十四点で合格している。そういうことで、申請した二百六十二社が全部合格しておる。こういう許可のしかたというものは一体あるかということなんです。これは大問題ですよ。これについては、大体政府のこういう機関といいますか、そういう許認可といいますか、みんなこんな甘いのですか、これは。学校でいえば佐藤総理は校長さんですよ。七十点ときめておいて、四十四点の人をすうっと通す、こういうことが行なわれておっていいのですか。佐藤総理は昔から成績が優秀と聞いておりますから、まあ点のそういうことはあまり苦しんだことはないと思いますけれども、どう思われますか、これは。総理にひとつお聞きしたいと思うのです、感想でけっこうですから。
○小暮政府委員 農林経済局長でございますが、事務上のことをちょっと一点だけ補足させていただきます。 減点制の話でございますので、先ほどの通産省の局長さんの御答弁が若干お聞き取りにくかった点があるかとおもいますが、二百点満点の中で減点が六十点以下、ということは得点が百二十点……。そこで、そういうものにつきましては、それは全部フリーパスでございませんで、そういうものにつきまして、なお法令違反等特段のものがなければ、これをまずAクラス、こういたしたわけでございますが、そのほかに減点が六十点、七十点八十点、九十点、百点、先ほどお答えございましたように百点をちょっとこえるものが若干あった、こういうことでございます。
○近江委員 いま重ねてのお話があったのですが、七十点なければ百点満点で合格しないのに四十四点で通っているのですよ。これじゃ裏口入学と言われたってしかたないでしょう、これは。そういう甘い、それでいいのですか、これは。総理どう思われますか、これは。
○宮澤国務大臣 申し上げている方法については大体御理解をいただいておると思いますので、そこで減点が百点をこえたものについて許可をすることが適当であると考えられたものが一、二社ある由でございますが、これは実は農林物資のほうの取引のようでございますので、よろしければ農林省の政府委員からお聞き取りいただきたいと思います。
○小暮政府委員 先ほど申しましたように、各取引所を通じまして総合減点主義で提出させましたのは、本件を審査いたしますために三百社に近い膨大な会社の内容の審査でございますので、問題のあるものをえりすぐりまして、これについてそれぞれ複数の職員を担当に直接割り当てまして、経営の内容、営業姿勢その他を精査するということをいたします便宜といたしまして、これを減点主義でまず大分類をいたしたという趣旨でございまして、先ほど来何点なら合格かというお話がございますが、この点数は、実態調査まで含めて厳重に審査するというグループを抜き出すための手段として取引所を通じてやらせたものでございまして、先ほども申しましたように、かりに減点が六十点以下であってもフリーパスにはしたなかったものがございます。減点という形では六十点以下のところになりますが、そのほかに明らかな法令違反というものを私どものほうが握っておりますものにつきましては、別途強制措置をとるというようなことをいたしてございます。 ところで問題の二十九社、これが最後にえりすぐられた問題の会社でございまして、これらの中に先ほど両角局長が触れられました減点百点をこえるものがごく少数ございます。これは全体としての今回の許可の仕事の基本的な考え方の問題にかかわるわけでございますが、先ほど通産大臣から詳細御説明ございましたように、実質的に不許可に相当するような厳重な処分をいたしたものがございます。具体的にいえば、総営業所の数を半分程度に圧縮した上で、これを東西中央の三社に分割し、それぞれ問題のない会社に営業譲渡するという形で六カ月以内に解消するということを改善計画で明記させ、その実行を誓わせたようなものがございますが、それらのものも、ただいま申しましたような形でいえば、許可という形の中に入っておりまして、ただいま問題といたしておりますものの中にいまのような形に相なっているものもございます。したがいまして、点数は、どこまでも具体的な精査をいたすための事前の作業として全取引所に事務を分担させてやったわけでございますから、私どもといたしましては、その結果を握ってさらに約三十社についてきわめて詳細な調査をいたしたということでございます。
○近江委員 非常に言いわけみたいな説明がついたわけでありますが、この点数のあれについては、取引所からまず主務官庁である通産、農林へ来た。私はここで、この来た点数は非常に甘いのではないかと思うことは、この前にこれだけの紛議が発生したときに、取引所から自発的に紛議の件数を出したときがあった。それから数カ月して、通産、農林両省が追跡調査をした。それの数字を申し上げますと、自発的に出したときの数字は紛争が千四百六十件ですよ。ところが、政府が追跡調査をして、政府が調査したサイドでは三千三百二十六ですよ。千八百六十六も多い。ということは、自発的に点数でも何でも報告の来ているのは甘いということですよ。その甘い点数の中でなおかつ百十二点という点なんですよ。甘く点をつけて百十二点。百点満点でいけば四十四点で通っておる。こういうことがあれば国民の皆さんが疑惑に思うのはあたりまえですよ。思うなといったって思いますよ。いままで私はずっとメモしておるのですけれども、だれが言うたのか知りませんが、最近では、犯罪の陰に商品相場あり、こういうようなことまで言われておるのですよ。やはり国民大衆に及ぼす影響というものは大きいわけですから、健全な取引所なりそういう業界になってもらわなければ困るわけですよ。 総理も御承知かと思いますが、関係した事件としては、殺人事件としては、商取外務員を刺殺した前川事件、大阪です。商品取引ブローカーの老女殺し、三鷹市。自殺として、北洋相互銀行支店長首つり自殺。繊維会社会長ガス自殺、日本橋。日本マッサージ協会副会長自殺、赤坂です。富士銀行不正融資事件十九億。ヤシカ横領事件五億。北海道農協経理課長の使い込み三億。日本トムソン寺町社長退陣十五億。日米礦油経理課長の横領事件一億二千万。日建マンショングループ事件の四億。住友倉庫手形乱発事件二億六千万。その他日大富沢事件の共犯大竹、これも多額の損害をしたと伝えられておるわけです。その他富士商品の脱税事件とか、林大社長等のにせ花嫁輸入事件とか、住友通商もぐり仲買い事件とか、いろいろ最近マスコミの上で大きな問題になった事件にはこういうことが関係しておる。ましてや被害者というのはもう非常に広がっておるわけですよ。それだけに、この許可については取引員として新たにスタートをするわけです。ヨーロッパなんかを見ますと、特にイギリスなんかは、商品取引員というのは銀行家と同じぐらい信用があるわけです。そのぐらい格を持っておるわけです。それだけ国民に信頼があるわけですよ。その信頼をさすもさせないも、これは政府の姿勢いかんにかかるのではないですか。その第一関門がこの許可じゃないですか。それがそういう甘い申告の点数であって、なおかつ減点百十二点で通っておる。これはもっと納得できるように説明してもらいたい。
○宮澤国務大臣 この制度が社会悪の一つの原因になったことはもう疑いないところでございますが、このたびの審査にあたりましての審査のやり方につきましては――詳しくお聞き取りを願いたいと思うわけでございます。 先ほど近江委員が御自身で言われましたように、そうすると、百四十点までがまず文句なしに合格だな、それは百点満点では七十点ということだなとおっしゃいましたが、そのとおりでございます。 そこで、ただいま百十二点が生きたということをおっしゃいますけれども、それはそうではありませんので、先ほど申し上げましたように、現実に契約関係が続いておりますから、即日免許取り消しにすれば、それらの契約関係というものは非常に混乱いたします。ですから、そういうものは縮小をして、今後存続する信用のあるところへみんな預けろ、そうして半年後にそれらのものは廃業しろ。廃業いたしますということになりましたものがその七社でございますから、行政そのものには問題がないのでありまして、ただ、このこと自身が従来社会悪の一因になったということは、もうそれはそのとおりでありますから、私は厳格な行政をいたしたつもりでございます。
○近江委員 信用のあるところへ預けて合流ですか、する。それじゃ、お聞きしますが、これが合併するのはC級、D級のところばかりですよ。成績がきわめて不良のところが一緒になるのですよ。成績不良が一緒になったら何ができますか。いいものができますか。そういう点も一つあるわけですよ。だから、そのように政府がおっしゃっていることは、一つ一つ見ていけば、全部まずい点が出てくるわけですよ。この商取法のこれを見ましても、商取法の第四十四条第一項には許可基準というのが明示されているわけです。その項目に適合していると認めるときでなければ許可をしてはならない。その第一項第三号には「申請者がその受託業務を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。」と定められている。こういう許可基準があるわけですよ。ところが、こういうような紛議がどんどん出てきて、社会的な信用なんかも失墜しておるわけですよ。しかも点数は悪い。しかもそれを吸収して合流をやるといったって、C級、D級の悪いところが一緒になるわけですよ。それではたして社会の信用を回復するようないいものが生まれるかということです。こういうことについては、少なくとも許認可行政というのは、これは総理も御承知のように、各省合わせますと一万一千からあるわけですよ。一万一千の許認可行政がみなこういう納得できないような姿で行なわれておるかと思わざるを得ないですよ、これははっきりしてくれなければ。私はそのためにも、これは行政管理庁長官もいらっしゃいますからお聞きしたいと思いますが、当然こういうことについては特別に監査をすべきだと思うのです。荒木長官にひとつお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 廃業を予定して営業を譲渡いたします先は、すべてAまたはBのクラスのものでございます。テストに文句なしに受かりましたものに譲渡させることにいたしておりまして、Cのものに譲渡させるというようなことはございません。これは事実が違いますから申し上げておきます。
○近江委員 それじゃ、あとで資料を要求します。それは私が報告を聞いておるのと食い違いがありますので、資料を要求します。これはあとで私が資料をもらってはっきりしますから。 それじゃ、荒木長官……。
○荒木国務大臣 お答えいたします。 商品取引業務の改善適正化をはかる観点から、従来の登録を行なっていた商品取引業者に新たに許可を与えるに際して、問題のある業者、すなわち二十九社については、種々の条件を付して許可されたばかりでありますので、今後における取引業者の業務の実施状況の推移を見た上で、必要があれば行政監察の実施について考慮したいと思います。
○近江委員 あとまだ問題がありますので、この問題は一問だけにしたいと思いますが、そこで、一応今後行管庁としてもよく見ていく、こういうお話でございましたので、そのようにしていただきたいと思いますし、今後主務官庁として、この許可にあたってどういう決意あるいは対策をもって臨んでいかれるか、その点をひとつ明確にお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 その点が最も大切な点であると思います。この制度は、本来商品の取引価格の安定をもって発足したわけでございますけれども、はからずも大衆を巻き込みまして、ただいま御指摘のようなたくさんの不幸なできごと、社会悪を生んだわけでございます。本来の目的と違ったところでそういう結果を生じたわけでございますから、今後この商品取引のあり方を検討するときに、そういう事実起こったこと、事実をやはりもとに考えなければいけないのではないだろうか。そういたしますと、まずこれは当事者だけのこと、専門家だけの取引であって、大衆は巻き込まない、いわゆるみだりに勧誘をするというようなことは許してはならないということが一つございましょうと思います。それから次に、もっと根本的には、現在上場されておりますような品物がはたして全部上場される必要があるのかどうかという問題がございます。輸入にたよっておるものもございますし、自然の条件でない、いわゆる工業の製品もあるわけでございまして、それらのものについて商品取引ということがどのような意味を持つであろうかという根本問題がございます。それらの点をあわせまして実は審議会において検討を開始したところでございまして、この問題の本体はただいま御指摘のようなところにあるのではないかというふうに私どもも考えております。
○近江委員 最後に、この問題について総理にお伺いしますが、これだけ世間を騒がし、そして今回の許可制については不明朗な目で見られておるわけであります。事実そういうような不明朗な点が出てきたわけでありますが、今後取引所のそういうあり方について、最高責任者としての総理の決意をひとつお聞きしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 この問題は、ずいぶんあちらこちらに迷惑をかけている、そうして多数の大衆、国民をそれに巻き込んでおる、こういうことでございますから、何といいましても取引所員の資質を向上させなければならない。そういう意味で、最も厳正に取り扱うべき筋のものだと思います。先ほど来宮澤通産大臣もそういう意味のお答えをしたと私は聞いておりますが、ただ問題は、いますでに契約をし、そしてその契約が進行をしておる、そういう事態において、簡単にこれは不良だからといってそれを取り消す、そういう波紋のほうが非常に心配だ。したがって、それに対する善後措置を十分とる、こういう形で再びかような事態が起こらないように注意をしておる、これが説明の大旨でございます。どうもその趣旨も十分おくみ取りがいただけなかったように思いますし、また誤解があるようにも思います。問題は、この種の事件を重ねて起こさないように一そう取り締まりは厳重にすべき、また許認可等についてもそういう意味でその尺度を厳重に守るべきものだ、かように私は考えます。
○近江委員 委員長にお願いしておきますが、この四十五年の紛議の発生件数あるいは金額等、主務官庁である両省が調査なさると思いますが、そうした資料要求をお願いしたいと思います。お願いします。
○小平(久)委員長代理 ちょっとお尋ねします。先ほどの御質問は四十五年度、四十五年度とおっしゃっておりますが、四十五年中でいいのですか。
○近江委員 四十五年十二月まででけっこうです。
○小平(久)委員長代理 どうですか、四十五年で出ますか――承知しました。
○近江委員 よろしくお願いします。 次にまいりたいと思います。次に、大気汚染とエネルギーの問題についてお伺いしたいと思っております。 この前厚生省が発表をされた大気汚染の状況でございますが、これは二十八日に発表されておられるわけであります。この結果によりますと、亜硫酸ガスが日本をむしばんでおる、三十四市町村で基準を上回る、東京、尼崎などは年々悪化してきておる、こういうような報道もマスコミにおいてもなされたわけでありますが、まず、これだけ被害がどんどんと拡大をしてきておる、このことにつきまして、厚生省から、できるだけ簡潔に要点をひとつ御報告願いたいと思います。
○内田国務大臣 大気汚染の状況を測定いたしますために、私どもは国設の測定所を持っておりますほか、従来の公害指定地域の市町村に対しまして、測定機器設置の助成をいたしてまいって、その測定個所は、毎年ふえてまいってきております。そういう状況のもとに、最近この両三年を見ますると、測定機器全体がふえておりますが、その中で一年間の環境基準に適合しないパーセンテージというものは減ってきておる点はございますけれども、しかし個々の都市について見ますると、監視を稠密にいたしました結果が、悪い結果があらわれてきておる都市も幾つかございます。たとえば東京、名古屋、倉敷、大牟田等は、この三年間ぐらいの間に精密測定の機器を設置しましたけれども、そこに反映しました結果は悪い状況があらわれており、その反対に、川崎、四日市、北九州などは、かなり改善のあとも見えてまいってきております。横ばいのところも幾つかございますが、厚生省といたしまして遺憾なところは、大阪など悪い状態のままで横ばいというようなところもあることは事実でございます。でございますので、私どもは、先般の法律改正によりまして、大気、環境をきれいにするための指定地域制度というものを全部取り去りまして、全国を大気汚染から守るという体制をつくりましたので、この測定機器なども毎年さらに飛躍的に一そうふやしてまいりまして、全国的に大気汚染状況の改善をいたしたいという努力を続けます一方、いま申し述べましたような悪化の傾向のありますところにつきましては、排出基準等を厳重にする等のこともいたしまして、これが改善につとめてまいります。 なお、御承知のように、先般の大気汚染防止法の改正によりまして、直罰主義とか、あるいはまた改善命令を待たずして、悪い施設については運用、稼働停止命令を出すとか、あるいは勧告措置でありましたのを命令措置に直すとかいうような、そういうきつい措置もつくりましたので、これらも政令の制定とともに、遠からず実施になりますので、さような手を整えまして、状況改善につとめてまいりたいと考えます。
○近江委員 昭和四十三年の二月に、この環境基準というものが閣議決定をされて、満二年が経過したわけでありますが、いま厚生大臣から状況の御説明がございましたが、しかし非常にいい面の報告が非常に多かったと私、思うのですが、半数以上の三十二都市――すなわち四十四年度中に全国五十七都市、八町、二百二十一地点で硫黄酸化物による大気汚染状況を測定されたわけですが、それによりますと、半数以上の三十二都市、二町が環境基準をオーバーして、そのうち札幌、東京、大阪、神戸などの十七都市は、三年連続して基準を越える汚染ぶりを示しておるわけです。さらに札幌、東京、名古屋、尼崎、倉敷、大牟田の六市では各種の汚染防止策にもかかわらず硫黄酸化物による大気汚染が年々悪化してきておる、しかもこの被害というものは拡大してきておるわけですよ。こういう点において、いま、状況の説明だったのですが、これについてどう反省されますか、厚生大臣は。
○内田国務大臣 大気汚染防止法を制定をいたしましたり、また先国会で改正をお願いいたしました趣旨は、日本国じゅうを、これは特定の地域だけに限らず、国民の健康保護の目的から安住するに足るような、そういう大気の状況を実現するためにございますので、私どもは先ほども申しますように、測定の網をさらにこまかくするために地方に助成をいたしたり、あるいはまた環境基準を常に反省しつつ強化をいたしたり、あるいはその汚染源の発生企業に対する改善命令等の措置を峻厳にいたしていく、こういうことをやってまいるためにいろいろな施策を整えておるわけでございます。
○近江委員 まあこの測定点などをふやされるとか、改善命令なり基準なり、それは非常にけっこうだと思いますが、東京や大阪の過密地帯等では環境基準の達成期間というものは十年というような、そういうほんとうに驚くような、そういうようなことにもなっておるわけであります。そこで、いま拡散方式をとりまして、その対策の一つとして、高いところから亜硫酸を吐き出さす、そうすると、その地域の観測地点では、濃度は低くなるかしらぬけれども、日本全体をおおう硫黄の量というのは、これは同じなんですよ。ですから被害がさらにさらに拡大してきておるわけです。私は、大阪ですけれども、たとえば大阪の北攝山脈というのがあるわけですが、大阪から気流に乗ってくる、その拡散された亜硫酸があの山なみのほうを全部汚染する。だからもう至るところ弱っておるからマツクイムシが食って、木が赤茶けてきておる。そしてまた気流に乗って生駒山脈のほうにいく。そういう拡散方式をとって、そういうような対策ばかりとっておるから被害がさらに拡大してきておる。これは一例を申し上げたわけですが、現実に厚生省の課長さんも、いまとっていらっしゃるような、そういう対策ではだめだということをおっしゃっておる。山本厚生省公害課長さんの話では、今回のデータから言えるのは、従来の高煙突の採用による拡散方式では、もはや硫黄酸化物の大気汚染を防止するのは限界ということである、こういうようにも反省なさっておるわけですよ。それをあなたの第一線の方が、そのように重大なる反省をされておるのに、厚生大臣さんは、測定点をふやしますとか、改善をしますとか一そういう根本的な反省がいま迫られておるわけですよ。そういう小手先のことで解決しますか、この問題は。もう一度、厚生大臣お聞きします。
○内田国務大臣 厚生省の課長の考え方は、すなわち厚生大臣、私の考え方でございまして、私のほうは、企業官庁ではございませんために、企業のほうにいろいろな制約を与えるようなことがございましても、国民の健康保護なり環境保全のためにきれいな空気を守っていくというのが私どもの使命でございますので、課長が考えておることを大臣が抑制しておるということでは全くございません。ことに従来は大気汚染につきましては、局地対策主義で、全国特によごれておる地域だけを指定して、そこをきれいにしようという考え方でございましたのを、これは私自身のかねてからの考え方、哲学でもあったかと思いますが、全国のどの地域をもきれいにするというやり方でなければだめだ、こういうことを述べてまいりました。幸い先般の改正で大気汚染防止法のたてまえがそういうことになりましたので、高煙突主義ということももちろん一つの方法でございましょうが、他のいい技術的な方法があれば取り入れるにやぶさかではございませんし、ことにまた燃料基準なども、冬の間、特定の地域につきましては基準をきめさせるというようなことをやってまいったのもその趣旨でございますことを御理解いただきたいと思います。
○近江委員 まあ厚生大臣は、いい方法があればぜひ取り上げたい。それはいい方法があるわけですよ。それをいまから申し上げたいと思うわけです。 それは、山中長官もあるいは宮澤大臣もすでに御承知のとおりでございますが、このLS計画、すなわちローサルファ計画、すなわち低硫黄化計画ですが、政府は四十八年、五十三年度をめどとしたこの十カ年計画を立てていらっしゃるわけですが、現実にこれだけ空が汚染されてきておるという時点からして、現在の時点におけるまず第一段階である四十八年度までのこのLS計画というものについて、これではたして環境基準が達成でき、いまよりも状態がよくなるとお考えでいらっしゃるかどうか、ひとつお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 LS計画を立てましてから、すでに時間がたっておりますが、四十五年の時点で考えますと、大体四十八年、五十年というその投影の上にまず乗っておる。まずあれにきめましたことは、実行できるのではないかと考えております。
○近江委員 実行できるといまおっしゃっていますが、現実にこういう被害が拡大されておるし、こういう汚染状態になっておるわけですよ。いまのままのこういうLS計画で、考えてみれば、この低硫黄の輸入だって非常にむずかしくなってきているわけです。御承知のように、石油事情も悪化してきておりますし、値上げをいってきておる。現実に現在入れておるアフリカや中東等にしましても、アフリカなどは半分、五〇%ぐらいがヨーロッパへいっておる。そのように、欧米諸国においてもいまや低硫黄というものは取り合いなんですよ。非常に入手がしにくくなってきておる。LNGにしたってどれだけ開発ができるか。まあ通産省としてもこれから自主的に今後開発をするということをいっておられますけれども、いまから、いいところは全部外国糸資本に押えられているわけですよ、いまからそこを探して、しかも探鉱して、どれだけ成功ができるか、そういうような点、いろいろあるわけです。確実にこれから大幅に低硫黄がそれじゃ輸入できるかということですよ。あるいはLNGがそれだけ輸入できるかということです。そういう確たる見通しもなくして、ただ四十八年度まで何とかいけると思いますと、そういうはっきりとした、確実なこともなくしてそういうことを言ってもらっては困るわけですよ。現実に第一線の方々に私はお聞きしたら、非常にこれはむずかしいということを皆さん言っておるのですよ。大臣だけが、やりますと、こうおっしゃっているんですよ。できますか、ほんとうにこの目標達成は。
○宮澤国務大臣 LS計画に掲げました目標の達成は、できると思っております。第一には、低硫黄原油の入手でございますけれども、これは四十五年で大体総輸入量の一五%ぐらいは入手できると思いますので、原油にいたしますと、三千万キロリットルぐらいになるわけでございます。そのほかに、御承知のように、直接脱硫、これは毎年脱硫能力がふえていっておりますから、これも計画に乗るであろう。排煙脱硫はもともとあまり大きな期待をまだかけられませんで、実際に近いプラントがいま二つ建設中であるわけでございます。しかし、これにはまだ確たる大きな期待をかけてはならない。もともとLS計画ではあまり大きな期待をかけておりません。あとはLNGの取得と、原油のなまだきと、そういう幾つかの部分からなっておりますが、大体私はLS計画というものは達成ができる。もとより低硫黄原油をできるだけたくさん入手するということが、最も確実な方途でございますから、それにつきましては、先般来お話もございますように、経済協力等々も考えながら、できるだけ自分の油源を持ちたい、こういう努力をいたさなければならないことはもとよりでございます。
○近江委員 まあ四十八年まで、それじゃ一歩譲って、大臣の責任のもとにおいてこの目標を達成すると、これは一応了承しましょう。そうすると、次の五十三年度のその目標は、いまのような状態でできるのですか。私は、見直す必要があると思うのですよ、この点は。大幅にどこで実際に低硫黄のそれだって輸入ができるか。石油の需要だってもういまの二倍、三倍になってくるわけですよ。もしも大臣そこまで把握しておられなければ、局長でもけっこうです。
○宮澤国務大臣 それは、ただいまから五十三年に低硫黄をどこでどうしてと言われますと、これは証明することもまた反駁をされることも困難と思いますけれども、まず四十八年までいま計画の上に乗っておるわけでございますから、まだわれわれに与えられた時間がございますので、低硫黄の油源というものをわれわれで求める。世界の油源は全部もう押えられておって、それは行くところがないのだというふうに、私は考える必要はございませんと思います。よその持っておる権利を譲り受けるということもしばしば御承知のようにあるわけでございますから。それからなお五十三年になりますと直接脱硫がもっともっと処理能力が多くなってまいりますから、私どもの掲げた目標が五十三年という、いまから七年先の時点で、それもとてもだめだというふうにお考えになることはないのではないか。私どもはできるであろうというふうに考えるわけであります。
○近江委員 いままで非常にそういうばくたる見通しの状態を立てておられますが、じゃ、わが国の輸入原油量に対して低硫黄がどれだけ輸入されておるか。これを見てきますと、全体量に対して四十年度は一一%ですよ。四十一年は九・五%、四十二年は九%、四十三年は一一・二四%、四十四年は一五%と、こういう輸入の状態というものはそう期待ができぬわけですよ。これに対して、大臣としては確実にそれじゃ五十三年の目標も達成できるという確たるそれはないわけですよ。ですから一歩譲って、四十八年のそれをあなたが達成なさるとおっしゃるのだから、しかし現実にこれだけの基準をオーバーしておる事実を出しておるということは、これは達成できないということですよ、結局は。これに対してLNG計画を担当なさる大臣として、四十八年度の、いまのやっておるそのままの対策をとっていかれるのですか。さらにそのまま継続してそれは五十三年度までいかれるのですか。私は目標は目標として当然そこには対策をさらにきめこまかに立てる必要があるんじゃないかと思うのです。ですから短期的には四十八年度までにおいては、この厚生省発表のこういう基準があるのだから、こういう考え方でいく、次の五十三年においてはこういうようにいくという何らかの考えがなくてはいけないんじゃないかと私は思うのです。その点また非常にこまかくなってきておりますので、もしなんでしたら局長からお答えになってもかまいませんし……。
○宮澤国務大臣 ただいま言われました低硫黄の原油の輸入率はそのとおりでございまして、そこで四十五年、今年度は先ほど申し上げましたようにまず一五%、二億キロリットルのうちで三千万キロリットルでございます。四十八年は二〇%ぐらいにいたせると思います。それは二億五千万キロリットルとしてまず五千万キロリットルと考えております。その辺までは確かにただいまかなり推量のできることでありますが、五十三年を具体的にどうするかと言われますと、これは第一にこれからのわれわれの開発の努力にかかることでありますし、第二に脱硫技術、そのころにはあるいは排煙脱硫がかなり実用に適することになるかと思います。直接脱硫はもとよりでございます。それからLNGの入手と思います。それらのことは、実はこれから具体的にどのような供給が可能であるかということをもう一度LS部会で検討いたさなければならないところでありまして、したがいまして、四十八年以降どういう需給になるかということを具体的に計画を立てる必要があろうとおっしゃいますことは、そのとおりでございます。
○近江委員 そこで低硫黄を輸入すればいいということは、これはもうだれでもわかることなんです。ところが現実に非常に頭打ちになっているわけです。今後いろいろと努力はなさると思いますけれども。そうなってきますと、まずこの大気汚染を防ぐのは、硫黄分を押えるということ、これがもう根本なんです。そうすれば、低硫黄の輸入がたいして期待できないとなればあとどうするか。いま大臣がおっしゃったように脱硫という問題になってくるわけです。あるいはまたLNGの使用とか、いろいろとそういうようになるわけですが、そこで、きょうは工業技術院からも来られておるわけですが、昭和四十一年から排煙脱硫、すなわち、皆さん御承知と思いますが、煙から硫黄を抜くあるいは油から直接抜くのが直接なり間接脱硫ですが、まずその煙から抜く排煙脱硫装置を、工業技術院で四十一年から開発して十五億を投じてやってきたわけですが、それについて性能が政府が言っておるほどでないじゃないかということもあるわけですが、きょうは技術院長も来られておりますし、もう時間がありませんので、簡潔にひとつその評価の点についてお聞きしたいと思います。
○太田(暢)政府委員 いまおっしゃいました排煙脱硫は、昭和四十一年度から大型プロジェクト研究といたしまして行ないまして、四十四年度に一応の成果をおさめまして終了いたしております。そしてその研究の結果に基づきまして、電力業界におきまして来年度中に十一万キロワット及び十五万キロワットの発電能力に該当いたします排煙装置を建設いたすことに決定しておる次第でございます。
○近江委員 技術的な評価はある。十五億も投じてやってこられた。非常にこれは世界的にもいい技術じゃないか。ところが、それをいかに今後は使っていくかという問題なんです。四十四年の当初にこの脱硫装置を完成されたわけです。そうしますと、こういう排煙脱硫などというものは、中小企業とかそういうところでは使えぬわけですよ。当然大口のところでしていかなければならない。御承知のように、電力などは、火力発電所だけで総油の三十数%は電力会社が使っておるわけです。そういう点からいきますと、そういう大きなところ、でこの脱硫装置を使っていく、そうして輸入してくる低硫黄などは中小企業とかそういう脱硫装置等をつけられないところへ回していく、こういう対策をとっていかなければならぬわけです。 そこで、技術が完成しないときはしかたがないとして、四十四年五月からこの発電所が許可されているわけです。それをちょっとお聞きしたいと思うのですが、何カ所許可されたのですか。
○宮澤国務大臣 ただいま排煙脱硫をテストとして相当大きな規模でやっておりますのは、東京電力の鹿島とそれから中部電力で一カ所、関西電力は工業技術院の技術でない技術でやっておるわけでございまして、実験中のものは二カ所でございます。
○近江委員 私はその脱硫が何カ所やっておるかということはもうわかっておるわけですよ。通産省が発電所を許可をなさっておるわけですよ、脱硫装置が完成してから。それが何カ所あるかということを申し上、げておるのです。
○長橋政府委員 お答え申し上げます。 昭和四十四年度以降電源開発促進法に基づきます電源開発基本計画に掲上せられました火力発電所の建設計画は相当地点ございますが、そのうち将来排煙脱硫が実用化されるに至った場合に、用地面でその排煙脱硫装置の設置ができないことになるというようなことのないように、あらかじめ用地の確保につきまして指導いたした上で認可いたしましたものは、全部で十五地点、ボイラーの数にして二十四基に該当いたしております。
○近江委員 そういういいかげんな、用地を確保したところだけあなたは言っておるわけですよ。これはあなた方からもらった資料ですよ。五十二地点、六十七基を許可しているじゃないですか。そのうち用地を確保しておるのはたったの、いまあなたがおっしゃった十五地点、二十四基ですよ。こういう姿勢を見て、電力会社は一体真剣に大気汚染に対して取り組もうとしておるかということです。ほかのところは用地も確保してないのですよ。そんなところに許可を与えておる。それは当然低硫黄を回しますとか、LNGを回しますとか、いろいろとおっしゃるかもしれない。だけれども、絶対量が、低硫黄なりLNGなり、そういうものは限られているわけですよ。それを電力会社のような大口がとれば、中小企業やあるいは一般のビル暖房とか、そういうのはどんどん重油をたかなければならぬ。亜硫酸ガスが充満するわけです。そういう大きいところが積極的にやるべきなんです。用地すら確保していないのをなぜ許可するのですか。これ自体政府が真剣に公害対策に取り組もうという姿勢がないからですよ。
○宮澤国務大臣 そのお話には少し飛躍があると思います。まず許可いたしました中で、ことに過密地点あるいは要注意地点については、できるだけ将来の排煙脱硫に備えて用地を確保するのがよい、これは私どもの将来に対する用心でございます。それからどうしてもそういう地点でその用地の確保がむずかしいということであれば、これはもう低硫黄をたくしかないあるいはLNGを使わせる。 現在の時点において排煙脱硫というものは、先ほども申し上げましたように、まだ実はこれはだいじょうぶだという自信がございません。それで三カ所でいまテストしておるのでございますから、これを絶対に義務づけるということには多少問題があるわけでございます。地形によりまして必要のないものもございましょう。しかし、できるならば低硫黄の重油を倹約したい、節約したいというのはおっしゃるとおりでございますので、そういう地点にはいまからそういうあき地を確保しておくように、こういうふうに言っておるわけです。
○近江委員 技術の問題については、工業技術院は、はっきりと責任を持っていますということを胸を張っているわけですよ。それを技術の点ではちょっとまだ心配ですというようなことを言い出してきた、そういう言い方は私はおかしいと思うのです。それでは技術にそういう心配があるなら、なぜそれ以後予算をつけて国費を投じて研究をやらないか。打ち切っているわけですよ、五カ年計画、十五億を投じて。それだってつじつまが合わぬわけですよ。そんなに心配なら、なぜ継続してもっと研究費をつけてやらないかということです。いま直接脱硫の研究をして、ことしの六月に完成の予定ということになっておりますけれども、排煙脱硫は、もう四十四年に打ち切りじゃないですか。工業技術院は技術については自信があると言っているのです。そうであれば、こういう大口のところに当然つけさせるのがほんとうですよ。それを用地が確保してないじゃないかといえば、LNGなりほかの対策を持ってくる。絶対量からいけば、そんなものは足りませんよ。それでは、この厚生省が発表したこの基準のことについて、これだけオーバーしてくることについて、通産大臣は責任を持ってくれるのかということですよ。 〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、そういう点において、まず大口のところに排脱なり、あるいはそういう製油会社にこの脱硫の装置をつけさせていく、こういうことは絶対義務づける必要があると思うのです。 きょうは科学技術庁長官も来られておりますから、科学技術庁長官の西田さんにもお聞きしますが、脱硫装置について工業技術院は責任を持って言っているわけですよ。科学技術庁長官はその点については十分認識があると思うのですが、その点はどうなんですか。簡単にお願いします。
○宮澤国務大臣 予断をお持ちにならずによくお聞き取りいただきたいわけですが、工業技術院としては排煙脱硫の大型プロジェクトは十五億円使いまして完成いたしたわけです。そこで、それを今度は東京電力の鹿島はじめ実用に近い規模で、現に御承知のように建設中であるわけです。御承知のように、技術院でテストとして完成いたしましたプラントを、実際大きな規模で動かしてみた場合に、いろいろな問題が起こり得るわけでございます。これはもう申し上げるまでもありません。操作の方法あるいはコスト等いろいろな問題が起こりますから、これを動かしてみた後に、さらにもう、だいじょうぶだということで、実際にあちこちに行なわせる、こういうステップは一つ入れておきませんと、工業技術院で済んだから、それでどこでもやってみろというわけにはまいらないわけで、それでありますからこそ、開発銀行の金をつけたりして、いま東京電力の鹿島のほうでやっておるわけでして、私どもこれが工業技術院の研究どおり実用に適することを祈っておりますし、またそう考えますけれども、一応やはりやってみまして後にほかにも採用さしたい、そのために用地をあけ、さしておるわけであります。
○近江委員 それであれば、あなただってそんなに慎重にやるなら、それじゃこれが大成功するなら、当然つけるべきであるのに、六十七基の許可をしてあるうち、二十四しか用地を確保してない。全部それじゃ用地だけは――いろいろな施設にだって用地は要るわけですから、当然用地をつけさしておくべきですよ。そうでしょう。それでは今度はこの四日市なり鹿島なりが成功する。もうこれは規模においてだって六十万キロワットのところへ十五万キロワットですよ。工業技術院のその指導どおりやっていけば、これは成功しますよ。私が申し上げたいのは、当然こういう大口の電力会社なりあるいは鉄鋼会社のそういう石炭の排煙脱硫あるいはまた製油会社のそういうような直接脱硫なり、これは私はもう当然将来義務づけていくのがほんとうじゃないか、こう思うのです。この義務づけていくということについて、これについては大臣、どう思いますか。
○宮澤国務大臣 LS計画に従いまして、排煙脱硫技術がもうまず問題ない、だいじょうぶだということがわかってまいりましたら、要注意地域あるいは過密地域にはもうできるだけ地形の許す限りこれをやらしていくということは、これはもう確かに私は必要だと思います。 それから製鉄所でございますけれども、これは焼結炉にほんとうは一番ほしいところでありますが、御承知のように、焼結炉からはダストが出ますので、それとの関係で工業技術院の技術そのものを応用することはできない。しかし、できれば電力と製鉄所がこういうことをやってくれますと、あと残りました低硫黄の重油が非常に中小によくじょうずに使えるようになる、そういう問題意識は確かに持っております。
○近江委員 これでもう終わりますが、総理が、この予算委員会が始まってすぐに、この電力問題があったときに、電力はほしいけれども困るというのは身がって過ぎるというような意味の発言をなさりた。これが、この公害が反対だということをみな言っているわけですよ。ですから、この電力会社六十七基が、排煙脱硫が完成してから、許可されておるにもかかわらず、二十四カ所しか用地も確保しておらないという事実、それは技術が海のものとも山のものともわからないという、企業のそういう不安もあるかしらぬけれども、ほんとうに排煙脱硫をして公害を防いでいくのだという姿勢があるならば、少なくとも用地も確保しておくのがほんとうなんだ。そういううしろ向きの姿勢なんですよ。だから、地元の住民なども反対をするわけなんですよ。 ですから、こういう事情ということを総理によく知っていただきたいと私は思うのです。ですから、身がってであるとおっしゃったかどうか、それは総理おっしゃったかしらぬけれども、そのことばは総理に本日をもって返上をするべきだと私は思うのです。公害が反対だからみな反対しているのですから。 ですから、最後に私は総理に申し上げたいのですが、当然鉄鋼なり電力なり大口のところでこの脱硫等をやり、低硫黄化計画のそれを強力に進めていくべきであると私は思うわけです。将来これを義務づけるべきであると思いますが、最後にひとつ総理のお答えをいただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 近江君にお答えいたしますが、この前のこの席からの私の発言に、批判されながらただいまのような御議論を展開されました。私も近江君の言われることを理解できるのです。私もそのとおりであろうと思います。また地域住民が協力するのもそういう条件のもとにおいてできるのだろうと思います。ただ、私が指摘したいのは、そういう話にも入らない、先ほど土地も用意していないじゃないかというが、許可されたけれども土地の取得もできないのが現状でございます。それは、どうも発電所といえば公害を発生する場所だ。公害を発生しないと幾ら申しましても、その証拠はないじゃないか、 こういうことで、どうも実現されない。地域の住民の協力を得られない。そのために土地の取得もできない。したがって、土地の取得ができ、地域住民が納得のいく発電装置ができる、これが前提の問題だと思います。そのときに、発電所は必ず公害を発生するものだ、事業家はどうもわれわれの気持ちは理解してくれないものだ、こういうかたくなな気持ちで相談に乗らないようにというのが、私の主張したいところであります。必ず地域住民の方も納得がいくという、そういう企業家の立場において十分折衝を続けてまいりますから、そのときには、納得がいったら発電にも協力してやってください、これが私の言い分でございます。この点では別に誤解はないようですから、私は、たいへん先ほど来のお尋ねでこの点が明らかになったということを喜んでおる次第です。ありがとうございました。
○近江委員 これで終わりますが、総理、要するに、脱硫装置の場所の確保が住民の反対でできなかった、だからなかったのだ、用地も確保できなかった、こういうお話ですよ。現実に発電所の建設用地はちゃんととって、それで許可の申請を持ってきておる。そして許可になっておるわけです。その時点に、当然脱硫装置も含めたこれだけの用地は要るものだということの前提で持ってくればいいのですよ。大体そんなものをつける意思がないから、用地も確保していないわけです。そういう企業の、住民の健康がどうだろうがかまわないというそういう姿勢自体が用地も確保し得ないというところに出ておるわけですよ。それをはっきりと総理としては認識していただきたい。このことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○中野委員長 これにて近江君の質疑は終了いたしました。 次に、堀昌雄君。
○堀委員 昨年の予算委員会に引き続きまして、本年も予算委員会で論議をさしていただくわけでありますが、昨年ここで取り上げました問題の中で、二年越しではございましたけれども、妻の座の税制の問題については、本年度税制改正の中で取り入れていただきました。私もこの点については満足をいたしております。 さらに、もう一つ、昨年看護婦の准看護婦学校、養成所における勤労学生控除の問題を取り上げましたが、これも本年度に解決を見ましたことは、看護婦対策のおりからたいへんけっこうだと思っておりますが、最初に、もう一つだけ、政府も努力をいたしておられるようでありますけれども、ここでどうしてももっと抜本的に考え直さなければならない問題が、昨年提起をいたしました問題の中に二つ残っておるわけであります。 その一つは、実は交際費課税の問題でございます。もう一つは、健康保険の問題でございます。この二点は、昨年の当予算委員会で問題を提起をいたしました。そうして大蔵省としても、本年交際費課税については、これまでの六〇%否認分という部分を、本年度税制改正の中で一〇%引き上げて七〇%になさるということになっておるのでありますけれども、しかし、現状の交際費の様態は、一体そういうことで解決するのかどうか、まず、最初にこの問題から触れておきたいと思います。 国税庁が発表したところによりますと、昭和四十四年度における民間企業が費消いたしました交際費は九千百五十五億円に実は達しておるのであります。これはまさに四十四年度の納めました法人税の約半分くらいに匹敵をするという、臣額な交際費が使われておるのでありまして、私が昨年指摘をいたしましたように、四十五年度においては一兆円をこえるであろうということは、これまでの趨勢から見て、私はまず間違いがないだろうと思いますが、大蔵大臣いかがでございましょうか。
○福田国務大臣 大体そんなところへ行くんじゃあるまいかと思います。
○堀委員 私は昨年も申し上げておきましたけれども、世界の諸国における交際費課税というものは、税制の公平の面から見ましても非常に問題があるということで、御承知のようにケネディ教書によってアメリカは交際費課税を強化しておりますし、イギリスは御承知のように輸出産業に関係あるもの以外は、一切交際費を認めないというきびしい態度をとっておるのであります。現在大蔵省がとっておいでになるようなやり方では、たとえこれを七〇%を一〇〇%にしても、全体の交際費の中に占める否認額というものは二四、五%をこえることはないのではないか、こう私は考えるのでありますけれども、大蔵大臣いかがでございましょうか。ことし一〇%上げていただきましたよ。七〇%になりました。これを一〇〇%にしても問題の解決にならないと、私、考えておりますが、この点。
○福田国務大臣 主税局長からお答え申し上げます。
○細見政府委員 金額といたしまして約四百億くらいの増収になりまして、否認割合はおっしゃるように二〇%と三〇%の間というような感じになろうかと思います。
○堀委員 ですから、もし一〇〇%にしても、一兆円の中で七千五百億円くらいは全然税金に関係なく大手を振って通る。税金を取られる、否認対象になるものはようやく二千五百億円くらいにしかならない。私はこのやり方では交際費課税の問題は解決がつかないと実は思っておるわけであります。ちょっと交際費の中身――本来主税局から伺うといいのでありますが、時間がありませんから、これを分析されたものを見ておりますと、九千百五十五億の中身は、資本金一億円未満のものが六千三百四十七億円、資本金一億円以上のものが二千八百八億円でありますから、大体七〇%は実は一億円以下の中小企業の交際費がたいへん大きな額になっておるということが、ひとつはっきりわかるわけであります。そうしてこの損金不算入の割合、要するに損金としては認めませんよというのは、そのいまの二千八百八億に関しては千三百六十一億であり、中小企業の六千三百四十七億に対してはわずかに六百二十一億でありますから、、ざっと中小企業のほうは一〇%しか否認はされない。一億円以上のところは大体五〇%くらい否認がされておる、こうなっておるわけであります。これは確かに中小企業対策としていろいろ問題がありましょうけれども、しかし、私は交際費に関しては、中小企業といえどももう少しけじめをきちんとしてもらうのでなければ、これは一般の国民、特に給与所得者等から見ましては、税の公平を失する点ではきわめて大きいものがある、こう考えるわけであります。 そこで、私はこれまでの交際費課税の様態にとらわれることなく、ひとつ単独立法をもって交際費に課税をする、こういう何らかの発想を取り入れていただいて、少なくとも現在の交際費が直ちに半減ができなくても、たとえば三年なり五年の経過の中にこれが五千億程度に下がるというような経過措置を盛った交際費の取り扱い――ペんに半分にするのはたいへんけっこうですけれども、そのことによっては、中小企業に比重がかかっておりますから、いろいろと問題もあろうと思いますから、少しタームを置いて、三年とか五年なりの経過の中でこれらの問題が解決するような方向をとることが、納税者の正当な納税意欲を高めることになる、こう私は考えるのでありますけれども、まず、最初に大蔵大臣の見解を承ってから、総理大臣の見解を承りたいと思います。
○福田国務大臣 御指摘の問題は交際費の基礎控除の四百万円、この問題にあるのだろうと思うのです。いま御指摘のように、交際費課税の課税の対象からはずれるもの、それは中小企業に非常に多いのでありまして、中小企業になぜ多いかという問題は、この四百万円問題、これが影響している、こういうふうに見ておるわけなんです。ですから結論といたしまして、交際費課税の問題、これを問い詰めていきますと、中小企業のほうに負担がかかっていく、こういうことになる。私は、四十六年度の税制改正におきまして、この交際費の課税対象を拡大をする、こういうことも考えなければならぬけれども、この四百万円問題というものも、これも再検討しなければならぬというふうに存じまして、税制調査会にも御議論をわずらわしたのです。しかしこれが中小企業にもろにかぶっていくという問題でもあり、きわめてデリケートな問題にもなってくるわけです。そういうことを考えまして、今回は損金算入額、これを減らすということにとどめまして、中小企業に関連のあるこの四百万円問題、これはなお今後検討いたしていきたい、こういうふうにいたしたわけでございますが、とにかく交際費課税全体につきましてまだいろいろ問題があると思います。これらの問題は今後の宿題にいたしたい、かような考えでございます。
○堀委員 実はいま大蔵大臣が触れられました四苦万円は、昭和三十七年には実は三百万円であったわけです。それから資本金等に対しては千分の一が実は認められておった。これが昭和三十九年に四百万円になり、資本金の千分の二・五というふうに引き上げられたわけであります。私がいま申し上げておることは、要するに四百万円を三百万円に一ぺんにするというのはこれは問題があろう、だから来年度は三百五十万円にしますよ、その次は三百万円、私は少なくとも二百万円くらいまで下げていいのではないかと思う。そうして片一方の千分の二・五も、これも千分の二に下げ、一・五に下げ、一に下げる。要するにかつてやっていた三十七年当時の水準まで戻すことはそんな問題はない。一ぺんに戻せば問題がありますけれども、何年かのうちにやっていくことによって――大体交際費を使うことは私はフェアだと思わないわけです。今後海外との競争が激しくなればなるほど、そういうような形でなしに、ネットで競争するような条件を、中小企業といえども持たざるを得ないようになってくるのではないか、私はこう考えますので、そういう意味では企業経営の体質の改善とあわせて、課税上の問題として、この問題を少なくとも中期的な計画をもって取り組むべきではないか、こういう具体的な提案をさせてもらいたいのでありますが、総理、いかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 税の場合にいつも問題になるのは公平の原則だろうと思います。したがって公平の原則が保てない、これは中小企業だろうが、大企業だろうが、また個人の経営の場合にも、そういうことがいろいろいわれる。ところで、その公平の原則は保つ、そのためにただいまのような建設的な御意見が出たのであります。私はこれはよく検討して、税制調査会もありますから、そこらでも検討してもらわなければならないと思いますが、先ほど来大蔵大臣からも答えたように、だんだん控除額、基礎控除がふえる方向、その方向には大体行ったと思いますが、それを減らす方向にはなかなか行きにくいのではないか。相当年限をかけて段階的にいたしましても、これは非常にむ、ずかしい問題じゃないかなと、かように思って伺っておったような次第であります。いずれにいたしましても建設的な御意見でありますから、十分検討したいと思います。
○堀委員 だんだんと所得がふえるにつれて税金がふえてくるのでありますから、特に給与所得者の皆さんについては、納税上非常に不満があることは御承知のとおりであります。やはりこの問題は、法人と個人の間で非常に差別があるわけです。自動車を買いました場合に、法人で買えば、これは業務用といいながら、日曜日には皆が一緒にこれに乗って遊びに行って、費用は全部経費になって落ちるわけです。一般のサラリーマンが自動車を買えば、これは全部税金を払ったあとの金でしか使えないという、きわめて不公平な状態があるわけであります。すでにそういう面で、法人そのものは、いろいろなものを経費として落とすことによって実はメリットがある。だから、法人成りが非常にふえてきておる。八百屋さんも魚屋さんも法人になろうという世の中になっておるわけでありますが、残念ながら、会社員は法人になるわけにはいかぬのです。あくまでも個人でなければならない。その点では大蔵大臣、総理大臣といえども、あなた方も個人で負担をしなきゃならぬのであって――政治資金でやるやつは別ですがね。これは法人よりもう少しうまいかもしれないけれども、まあそれは別として、個人として負担をするというのが原則でありますから、そうなれば、私は、やはり個人の、特に給与所得者の場合には、課税上いろいろな点で法人とは大きな差があるわけでありますしいたしますので、この点はひとつ、日本の税制上の重要な検討課題として、来年度またここで伺うときに、ああ、ことしもたいへんよくやっていただいたと、私から返事ができるような、ひとつ誠意のある処置をしてもらいたいと思います。もう一ぺんだけ大蔵大臣の答弁を求めて、次の問題に移りたいと思います。
○福田国務大臣 私も、たいへん堀さんの御意見傾聴いたしました。できるだけ努力をいたしたいと存じます。
○堀委員 ことしの税の自然増収は約一兆四千億円くらいありました。ところが、この一兆四千億ありました中で、当然増経費というのが約一兆円くらいある。こういうことでございますね。実際の減税なり、新規財源に使えるものは四千億弱ということになっておるわけであります。このような税収をもたらしておりますのは、実は、きわめて高い名目成長率であります。昭和四十五年度の皆さんのほうの実績見込みでは、名目成長率は一七・三%と見込んでおられるようであります。 そこで、実は過年度から見てまいりますと、政府の名目成長率の見通しというのは、毎年かなり低目になっておるのであります。ちょっと四十一年度から読み上げますと、GNPの当初見通しは、名目成長率四十一年度一一・三%、実績が一六・七%、約五%ぐらい違います。その次の四十二年度二二・四%と一七・五%、これも四・一%ぐらい違います。四十三年度、当初が一二・一%の見通し、実績が一七・八%、これも五%以上違います。四十四年度一四・四%の名目成長、実績が一八・三%、これも約四%ぐらい違います。今度も、幅がちょっと小さくなりましたけれども、一五・八が一七・三、これは実績見込みでありますから、あとまだ動くだろうと思いますけれども、動くのは小さくなるより、どうもやっぱりやや大きくなるんではないか。大体政府の見通しというのは常に低目に計算されておりますから、あとは実績が多くなると思いますが、こうなっておるわけですね。 そこで私、この間実は大蔵委員会で福田さんとちょっと論議をいたしました。福田さんがたいへんいいことを言われたわけです。これまでのような、いま申し上げたような高度成長が続いて、GNPが五年で倍になるようになればもう日本経済は崩壊をする、こうおっしゃったんですね。私は、実はこの事実認識にはたいへん敬意を表しておるわけです。五年で倍になったら崩壊するという認識はたいへんけっこうだと思っておるのですが、そのあとで、私が、それじゃ経済社会発展計画は一〇・六%だから、七年目に倍になるから、五年目に崩壊するなら七年目はどうなりますか、こう申し上げたら、それには御返事がなくて、いや、政府は一〇%なら安定でだいじょうぶだ、こういうお話でございました。一〇%なら、八年目に倍になるわけですね。ここでちょっと議論が少しすれ違ったわけでありますが、一体大蔵大臣は、先は少し下げるのだという考えなのかどうか。当面一〇%と、こうお逃げになったから、私はそれは先へ行ったら下がるのだろうという認識でおっしゃったのだろうと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○福田国務大臣 四十一年から四十四年までの期間、これは私は超高度成長だと思う。これには問題がありますのは、つまりこの成長制約要因、超高度成長をはばむ要因というものがいろいろ出てくる。つまり、先ほども話がありましたが、資源の問題が一つですね。それをまた国内に輸送する問題、また国内でそれらを製品化いたしまして消費者へ届ける、この国内の輸送の問題、そういうものを考えて、とても五年間で倍にはならぬ。また最も重大な問題は、これは労働力の問題です。近代化、合理化が進みます。ですから、五年で生産が倍になるにいたしましても、倍の労働力が要らぬにしましても、しかし倍近い労働力は要る。これが一体準備できるか。これはまた非常に困難なことだろう、そうするともう人手の取り合い競争、賃金はどんどん上がっていく、加速度的に上がっていく、そして悪性インフレに突入する、そういうようなことになる。ですから、私は、そういう制約要因を乗り越えるというこの超高度成長の勢い、これはどうしても阻止しなければならぬ。それから同時に、この勢いでいきますと、いまの問題とされている物価の問題、公害の問題、この手のつけようが非常にむずかしくなる、そういうことを考え、これまたどうしても成長の速度を落とさなければならぬ、こういうふうに考えるのでありますが、さて、過熱もなく、またそういう制約条件を乗り越えて息長く前進し得る経済の成長の高さというものは一体どのくらいが適当だということになると、そのときの国際情勢、また、これからの資源の確保の状態、労働政策の労働流動化の進展の状態、そういうものを見て慎重にきめなければならぬと思いまするけれども、とにかくいま一つの考え方として、新経済社会発展計画、こういうものが出ておる。当面この辺で行ってみる。そうして障害事項、制約条件というようなものがどうしてもこれじゃ乗り切りにくいのだ、こういうようなことになってくれば、その際また考える。あるいは、この一〇・六という経済社会発展計画、これは低過ぎるのだというようなことになれば、またこれは上げるという問題も起こってくるかもしれませんけれども、私は、上げるという方向はまずまずあるまい、むしろもう少しなだらかにというのでありますが、しかし、当面とにかく一三、四%の勢いで発展してきたわが国の経済の勢いを、一〇%を大きくめり込むというようなところまで落とし込むと、これはいわゆる不況感が全国をおおうというような状態になりまして、これは政治の運営として適切でない、さように考え、まあ当面はとにかく一〇%がらみ、この辺を目標にしてやってみる、こういうことかと考えております。
○堀委員 実は口で一〇%といってもなかなかたいへんなことなんですね。一年間に一〇%ずつふえるのですからたいへんなことなんですが、はたしてこれが将来どうなるかは、ことしの問題も実はなかなかさだかではありません。アメリカの問題なり周辺のいろいろな問題がありますから簡単でありません。アメリカの問題は、御承知のように、アメリカ経済はすでに昨年中に底に入ったという説もありますが、この間の教書でいわれておるところを見て、名目で九%の成長をするなどということは、私はどうも考えられないと思っておるわけであります。実質で三%を切るのではないだろうか、私はこう思うのでありますが、それにはそれなりのいろいろな情勢があるわけでありますが、そこで伺いたいのは、私は、だんだん先へ行って下がる場合に、自然増収も下がってくるわけですね。成長が下がれば自然増収は下がる。当然増経費はあるテンポでふえていく。特に皆さんのほうでは各種の年次計画をつくっていろいろとおやりになりますから、こういうものを考えればどこかでクロスする可能性は出てくるんじゃないのかという問題が将来あると思います。そうなったときには、一体、これはいまの政府は、だいぶ先のことですから、皆さんにお聞きしていいのかどうかもわかりませんけれども、一応今日から見通して伺うとして、これは増税によって処理をしようということになるのでしょうね。どうなんでしょうか、そこをひとつ。総理大臣はどうでしょうか。――じゃ、大蔵大臣から。
○福田国務大臣 四十六年度の予算は、自然増収が一兆五千億、これは実質成長一〇・一、名目成長一五・一、弾性値一・一、こういうことを基本にして出しておるわけです。私は、先ほどから申し上げているとおり、日本の経済の当面の運営は一〇%前後を目標にして前進をする、こういうことを申し上げたわけでございまして、これをまた大きくめり込むというような事態、そういうような事態になりますれば、これは租税の増加、自然増収はぐっとまた減ってきます。お話のとおりです。しかし、そのような事態まで想像していまおりませんです。あくまでも大体一〇%程度の経済成長が実現するように、その前提のもとに財政運営というものを考えておる、さような状態であります。
○堀委員 それでは、最近私、一連のものを見ておりまして、今度皆さんのほうでは自動車新税なるものをお出しになっておるわけであります。これもやはり一つ増税の方向ですね。この前からだいぶ自民党の方も御熱心に流通税としての付加価値税の問題を取り上げておいでになります。この間の参議院の委員会では、福田大蔵大臣は、まあ三、四年かかるだろうとおっしゃいますが、取り入れるという考え方のようであります。いろいろ見ておりますと、だんだんとこれからは増税をするという方向に行くのではないのか。特に今度の、あとでぎっちりやらしていただきます健康保険などは、まさに増税の最たるものだと私は思っておるのでありますが、形はなるほど保険料といっておりますけれども、国民の負担の上では、これは強制徴収でありますから、まさに増税ということになる。一般的にどうも最近の傾向というのは、これからは増税に向かうというのが日本経済の体質ではないのか、こういう感じがするのでありますが、そうではないんでしょうか。なければ、たいへんけっこうなんですけれども、ここはどうでしょうか。
○福田国務大臣 わが国の租税負担率、これは国際社会においては非常に低いほうなんです。大体先進国の水準は三〇%内外である。わが国はそれが一九%ちょっと出るというような状態であります。それにもかかわらず、減税論が非常に多い。また租税の重税感が訴えられる。なぜかといいますると、わが国の租税体系が戦前と非常に大きく違ってまいりまして、間接税が非常に減ってきておるわけです。戦前とまさに逆転をいたしまして、今日ではいわゆる直間比率、直接税が三分の二、六五%で、間接税が三分の一、三五%だ。しかもこれからだんだんだんだんと直接税の比重というものは高まっていく傾向にある、こういうふうに認められるんです。 私は、こういう事態に臨みまして、どうしても直接税の負担というものを軽くしていく必要がある。特に所得税、またその中でも勤労者の所得に対する課税、こういうものについてくふうをこらしていく必要がある、そういうふうに考える。その場合に、そのよって生ずる財源欠陥をどういうふうに穴埋めするかというと、私は間接税にこれを求める、こういう方向をとるべきだというふうに考えておるんです。その方向といたしまして、一ついま話題になっておりますのが付加価値税ということであります。昨年は自由民主党では、水田政務調査会長がみずから欧米諸国を回りまして、特にヨーロッパの付加価値税の状況を聞いてきたんです。そういうようなことで、自由民主党のほうではかなりこの問題に関心を持っておるんですが、この付加価値税を取り入れますると、これは思い切った所得税の減税が可能になるのでありますが、さて、付加価値税を採用するかどうかということ、これはまたきわめて重大な問題でありますので、時間をかけて十分慎重に検討してみたい、こういうことをこの間参議院でも申し上げておるわけです。 私は、そういう問題が税制の中に伏在しているということを申し上げると同時に、税全体としてどういう傾向をたどるか、増税の方向にいくのかどうかというと、私はそう大きな増税という方向に持っていくことを考えておりません。しかし、一九%という租税負担率が、いろいろなこれから施策が始まっていく、それに対応いたしましてまあ一、二%あるいは二、三%、そんな程度七〇年代において進んでいく、この辺のことは、福祉社会を建設する上におきましてどうもやむを得ないことではあるまいか、そういうふうな展望をいたしておる次第でございます。
○堀委員 付加価値税の問題が所得税との置きかえで増税にならないというのならば、あるいはまだ検討の余地があるかもしれませんが、私はやはり間接税は問題があると思っておるわけです。 具体的に、私、今度給与が上がりましたから幾らになったのかわかりませんが、私の歳費が約五百万円ぐらい、これまで四十五年はそうだったと思うのでありますが、松下幸之助さんは十億ぐらい所得があるというのですね。私と松下さんの間に一対二百の比率があるわけですね。よろしゅうございますか。私は酒を飲みませんけれども、かりに私がビールを一日に一本飲むとしましょうか。松下さん、実は一日に二百本ビールを飲むことはできないのですよ。彼もやっぱり一本か二本なんですね。象徴的に間接税というものは所得の高い者にきわめて有利に働くということは間違いがないのでありますから、所得税を減らして、そして付加価値税のような間接税をふやすと、何か一般が得するような錯覚があるかもしれませんが、所得税が減れば松下さんは得をする。付加価値税が出ればその負担はうんと小さくなるから、これも得をする。二重に得をするということになって、そのかぶりはどこへくるかというと、税金を納めていない低所得者も付加価値税を全部かぶることになるのですから、私は間接税というものの本質を十分わきまえておいていただかないと、何か税金が高いから少しまけてやるために新しい税金を考えたと言われても、これはまけていただいたことにならないのじゃないか。ですから、それがパーに置かれても、増税にならないとしても、中身は違うのですね。負担しない者はたくさん負担させられて、いま高い負担をしている人は負担が減る、こうなるのですから、ましてや、これをやって増税するなんということになったら、これはたいへんなことだと思うのであります。そういう意味では、国民の皆さんも税の問題は複雑なものですから必ずしも理解が十分でないかと思いますけれども、やはり税金というものは直接税が主体であって、所得の高い者がそれを払う。税というものはそういう意味では所得再分配のための大きな機能を果たしておる、こういう認識の上に立っていただきたいと思うのであります。総理、いかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 いま聞いていたところだけでは、たいへんにけっこうなようですが、私はかつて大蔵大臣時分に、一体どのくらいの一人当たりの負担が適当だと思うかと、皆さん方からしばしば聞かれたと思います。今日と当時とはよほど違っております。個人所得が当時といまでは比べものにならないほど、いまのほうが所得が大になっております。したがいまして、その課税最低限ももう百万突破するという、そういうところになっておりますから当時とは違いますが、こういうように所得がふえる、そのほうが私どもは望ましい、そういう世の中だと思っておりますので、所得がふえると、どうしてもやっぱり負担も相当なものになる。やっぱり高負担を払い得るような所得、そういう社会ができ上がることが望ましい形ではないか、かように実は思いますが、いま過去にいろいろ議論したことを思い起こしながら、なるほど日本人の場合はまだ一九%か、それならまだもう少し上げ得るのかな、かようにも実は思ったのです。しばしば皆さん方から高負担、高負担と言われますが、これからやっぱり高福祉にもなる、それに相応しての負担もやっぱりふえていく。その場合の負担はやはり公平の原則で、ただいまおあげになったようなことがあってはならない、かように思うような次第でございます。
○堀委員 そこで、一つだけ問題提起をしておきたいのですが、現在、所得税を納めておりませんでも、何らかの形の間接税、その他の消費税で税金を納めないで生活しておる国民というのは非常に例外になっております。ところが、法人の場合は、欠損会社というのが三〇%くらい実はあるわけですね。この法人の欠損会社というのは、地方税の法人均等割りを四千円なり六千円払うだけで、あと一円も税金を払わないで、そこで公害をまき散らし、そうして国の投資した道路を使い、港湾を使い、あらゆる意味でいま総理がおっしゃった高福祉を享受しながら実は負担をしないというのが法人数の中に三〇%ある。一体これが税の公平の上で適当なのかどうか。それをどうしたらいいかということについて私もいろいろ検討してみましたけれども、いま確実な名案がありません。たとえば一つの方式としては、かつてシャウプが勧告をいたしました事業付加価値税のようなものですね。こういうものであれば、なるほど赤字のところでも取れます。しかし、それを取ったときに、全部に転嫁をするのならば、これはそこから取ったことにならなくて国民の負担をふやすことになりますから、何らか方法を考えなければなりませんが、ちょっとまだ私も実は具体的な名案がありません。 しかし、それにしてもこの法人が一おそらくこの間の石原産業も、四日市の地方税なんというのは、本社が、これはおそらく東京か、大阪ですかな、どこかよそにありますから幾らも納めてたいと思います。どうもこういう問題は、負担の公平の原則から見て検討の余地があると思うのですが、この点、大蔵大臣、どうでしょうか。
○福田国務大臣 いま堀さんのおっしゃったような御意見を、実は松下幸之助さんが非常に熱心でありまして、私、忙しい忙しいという中をつかまってはそのことを言われるのです。つまり、松下さんの考え方は、付加価値税という表現じゃありません。人頭税というような形であります。実体は同じことをおっしゃる。私もまた事務当局もその考え方についてはずいぶん検討してみた。技術的になかなかむずかしい点があるのと同時に、政治的に、どうも赤字会社である、それから膨大な課税が行なわれるのだ、こういうようなことになると、何か頻死の人の足を引っぱるのだというようなかっこうにもなりまして、これは社会的に評価が一体どんなふうになるんだろうという点にも非常に大きな疑問があるのです。しかし、その同じ考え方をいま堀さんから伺いました。 そういうようなことでありますので、なお検討はいたしておりまするが、いろいろ難点があるんだということだけでもひとつお含みおき願いたい、かように考えます。
○堀委員 きょうは時間がありませんから取り上げませんけれども、新日本製鉄、まあ日本一のたいへん巨大な会社ですね。これがずっとしばらくいったら赤字会社にならないという保証は、私はないと思いますね。あれだけ巨大なものが赤字会社になって税金を一円も納めないとしたら、これはやはり国民、納税者の観点から見て、何だかおかしいなという気になるんじゃないかと私は思うのです。これは早晩検討が必要な重要な課題だと思いますので、どうかひとつそういう意味では、せっかく――いろいろむずかしい点があることは私も承知しております。まだ提案ができないくらいにむずかしいと思いますけれども、しかし、そこらは十分ひとつ御検討いただいて、これも将来の重要な課税上の課題だということで問題提起をしておきたいと思います。 以上で財政と税の問題を終わりまして、次は健康保険を少しみっちりやらしていただきたいと思います。 ちょっと最初に法制局長官にお伺いをいたしますが、現在の健康保険法には目的が設けられていないのです。そして国民健康保険法にはその第一条で、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と、こう書かれておるわけです。次に日雇労働者健康保険法には、「この法律は、日雇労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は分べん及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は分べんに関して保険給付を行うことによって、その生活の安定に寄与することを目的とする。」とこうあるのですね。健康保険法は古いものですから、目的が何にも書いてないのですよ。しかし、国の法律ですから、先に出たものとあとに出たものがある。かたかなの法律だから、そこまで修正をすることもないだろうというので放置されておるのであって、私は、政府の考えとしては、やはり目的としては、国民健康保険法がいっておるように、「もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的」としておることに変わりはないだろうと思うのですが、法制局長官、その点はどうですか。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のような問題は、実は法令というものは時の経過に応じてでき上がるものですから、必ずしもていさいを一にしないということがございます。一般の方々からごらんになりますと、これはちょっとおかしいではないかとお思いになるのもふしぎではないと思いますが、まあ、ざっくばらんなところ、古いものから新しいものへとくるに従って立法整備の技術も進んでまいります。おっしゃいますように、その際直したらいいではないかとおっしゃられれば実はそれまででございますが、今後も機会があるときにはそういうふうにつとめるのが普通でございますけれども、御指摘の点は十分に今後の立法に際して気をつけてまいりたいと思います。
○堀委員 総理大臣、いま私が申しましたように、憲法十四条というのは「法の下に平等」でありますし、国民健康保険の対象者も国民であり、健康保険の被用者保険も国民でありますから、書いてはないけれども、考え方はやはり、健康保険法といえども、いま私が申し上げたように、「もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的」としておることに変わりはないと、こう認識をいたしますが、いかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 私もそのとおりだろうと思います。
○堀委員 そこで、実はこの健康保険の問題を、私は三つの角度から少し議論をさせていただきたいと思います。 その一つは、まだ審議会で御検討中のようでありますけれども、今度新たにまた一部負担金等が創設をされるように諮問がされておるのであります。この一部負担金の関係の問題、これが一つであります。もう一つは、特別会計の改正案がおそらくあわせて出されるでありましょう、その特別会計の問題。それから最後の点は、政府管掌健康保険というものの位置づけ、いまのように法の下に平等である以上は、組合健康保険なりその他の共済組合と均衡のとれた条件に置かれるべきである。こういう三点について少し具体的に伺いたいと思います。 最初に、厚生大臣にお伺いをいたしますが、厚生大臣は、この間の同僚大原委員の質問にお答えになって、いろいろなことをおっしゃった中で、今度改正を行なうけれども、医療需要を押えるようなことはしない、こういう御答弁をしておられるのですね。これは私、ラジオでも聞きましたし、また速記でも拝見をしてまいりましたが、事実相違ないんでしょうかどうでしょうか、その点をひとつ確認しておきたいと思います。
○内田国務大臣 国民の医療水準というものは、文化の進展に伴いまして当然増大するものでございますし、また医療技術も上昇し、薬の開発も行なわれるわけでありますので、全体としてのたてまえから、健康保険のあり方というものはそういうものを押えるようなあり方であるべきではない、かように私は考えます。
○堀委員 医療需要を押えるべきでないということは、患者が診療所を訪れる数がこれまでに比べて、ある一つの制度を行なうことによって急激に減るようなことはしませんということですね。ちょっとここを正確にやらしてもらいますからね。
○内田国務大臣 医者にかかる頻度あるいは薬なり注射なりを受ける頻度、そういうものが私は必要以上に多いことであってはならないと思いますが、必要なものは押えるべきではないと考えます。
○堀委員 ちょっとはっきりしないのですがね。私は注射や薬のことを言っていないのです。受診率だけ言っているわけです。よろしゅうございますか。ある一つの制度を導入することによって、――いまの受診率は高過ぎる、そういうことじゃないのですよ。いいですか。これはあなたは前段でずっとこう言っておられるのですが、医者に早くかかるようになって早くなおるようになった。確かに実日数が減っているわけですから、早くかかるから早くなおるようになる、これが私は本来の健康保険の目的だと思うのですよ。早期受診、早期治療、早期治癒というのが保険の本来の目的ですからね。それがあらわれておると思うので、私がいま伺っておるのは、医療需要を抑制しないということは、正確にいえば、ある一つの制度を導入することによって、患者の受診率を急激に下げるようなことはしない、こういうことですねと聞いているわけです。
○内田国務大臣 簡単に答えるとそういうことなんですが、これにはいろいろ状況がございます。状況がございますというのは、これは堀さんはよく御承知のように、今日大体一人の患者が一月に再診を受ける回数というものは、私どものほうの計算ではたしか三回弱ぐらいな状況でございますし、今度また私どもが計画をいたしておりまする再診時の一部負担というものは百円を限度とする、こういうようなことでございますから、したがって負担の関係から見まするときに、三回フルに行った場合に三百円、二回半の場合には二百五十円というようなことでございますし、したがって、金額的に患者に非常に大きな再診制約を与えるような状況ではない。むしろ再診でございますから、患者は医者の指図を受けてもう一度来なさいというようなことで通える状態で、それを阻止するような企てではないと私は考えるものでございます。
○堀委員 重要な点ですから、もう一回確認をさせていただきます。皆さんのほうでは、今度百円の一部負担金を受け取ることによって収入がふえるという計算をしておられますね。よろしゅうございますか。一日百円一部負担を取るんだから収入はふえるわけですね。そのふえるというところの積算の基礎になった患者が受診をする率というのは、この制度を導入したために減るとして計算してあるのか、減らないんだとして計算してあるのか。この意味はわかりますね。だから、あなた方が減らないとして計算をして出しておるならば、それはいま大臣が何か抽象的な答弁をされていますが、あなた自身も減らないと考えておるということになると私は思うのです、具体的な計数上から見て。いいですね。どういう積算の基礎を出しておりますか。事務当局でもいいですよ、あなたでもいいです。
○内田国務大臣 それがはね返って減らないと、こういう計算に立っておるはずでございますが、私の勘違いがあってはいけませんので、もう一度事務当局からその点は答えさせます。
○穴山政府委員 医療保険部長でございます。 お答え申し上げます。 一部負担の計算の根拠になります受診率につきましては、大まかに申しますが、おおむね外来が五・〇、それから歯科が〇・九ということで、これによる減少ということはこの中には織り込んでおりません。
○堀委員 織り込んでいないということは、大臣、あなた、減少しないと考えておるということですね。いいですか。もう一回答えてください。
○内田国務大臣 私どもの積算の基礎はそういうふうに考えてとりました。
○堀委員 あなた自身ですよ、厚生大臣としての考えを聞いておるんですよ。積算の基礎はもうそう出ておるわけだから、あなたの考えと違うことで要求しているはずはないと思うから、もう一ぺんあなたも減らないのだと、こう言ってほしいんですよ。そうでしょう。きわめて具体的なことははっきり言ってください、時間がもったいないから。
○内田国務大臣 はっきり申しますと、減らないと考えて減らしておりません。
○堀委員 ずいぶん簡単なことで時間がかかって困るんですがね。 そこで、それでは厚生大臣、ちょっとお伺いをいたします。よろしゅうございますか。四十二年の九月に厚生省は、患者に対して一日一剤十五円の薬剤費負担という制度を導入いたしました。私どもこれは健保国会でずいぶんやりました。徹夜でやったことは、あなたも当時議員だから御経験のことだと思いますね。そのときのことをちょっと私、いまここで申し上げますと、四十二年の九月の政府管掌健康保険被保険者入院外の受診率は〇・四三三七二と、こういうことになっております。それが十月に――わずか一剤をもらうときは一日十五円、二剤もらって三十円の負担をするということになったときに、十月にはそれが〇・三八八三〇と、ここまで受診率が下がっているわけです。この昭和四十二年の十月の受診率は、対前年比で見ますと九二・〇九%ですが、八%対前年比で減り、前月との間では八九・五二%と、約一〇%強減っておるわけであります。この減り方はその後ずっと続きまして、十一月は対九月の比率で八三・二五と、一六%も実は十一月になったら減っている。十二月はやや回復したといえども九月に対して八六・二九%、こういうふうに実はたいへんな減り方になっておるわけです。わずか十五円か三十円の一部負担でこれだけ減っておるのに、一日に百円ずつ負担をするということになってあなたは減らないということを言っておられるわけですね。厚生省も減らない前提で計算しておる。国民を欺くのもほどほどにしてもらいたいと思うのですよ。どうですか。
○内田国務大臣 薬の一部負担を先年やりました際に、その後若干の期間、診療率が減ったということは聞いておりますが、それはまたその後旧に復して、影響がほとんどなくなったということを私は聞いております。今回の場合にも百円でございますが、先ほど申しましたように、一カ月に計算をいたしますと三百円未満でございますし、また、再診時百円にならない人は百円取りません。七十円でございますか八十円でございますか、そういう金額でとめますので、金額はさらにそれより低くなるわけであります。 私は、この問題は、簡単に答えろということになりますと、減るか減らぬか、どちらかしかないわけでございますが、もちろん患者に微妙な心理的な影響はあると思いますが、さっきも申しましたように、再診は医者の指示によって受けるわけでもございますし、また負担率の全体から考えましても、再診を妨げるような負担ではないと私はほんとうに考えまして、今度のような計算をいたしておるわけでございます。
○堀委員 実はいま大臣のお答えの中に、その日の費用が百円にならないものはそれだけでよろしい。これは一部負担金と書いてあるのですよ。よろしゅうございますか。かりに眼科に患者が来たとしましょう。初診料はいま三百円です。二百円取られますね。このときは百円だけ保険で負担してもらいました。あくる日から、これはたいしたことはありませんからひとつ目を洗ってあげましょう、まあ三日間ぐらいいらっしゃい、四日間ぐらいいらっしゃいということで洗眼をしてもらいますね。単純洗眼なら一日に三十円、それに再診料の五十円がついて八十円ですね。八十円で三日間来て、それでなおった。それに八十円ずつ取られる。これが健康保険といえるでしょうか。一部負担金というのは、かなりあるものの中の一部というなら一部負担金です。しかし、それはたくさん払っているものもありますが、低いところでは、あなたがいま言ったように、その日の費用の額まででよろしいと書いたのは、百円以下の治療行為があることをあなた方がここに明らかにしているわけですから、百円以下の治療行為があったものがそこまでの金を取られる。そうして一部負担はそうだけれども、今度は保険料も上げるしへ料率も弾力的に上げられるようにするし、あらゆる点で健康なときの保険料を上げておいて、病気になったらみんな金を払いなさい、これは一体健康保険といえるでしょうかね。私は、保険というものの概念は、大体こういうものだろうと思うのです。これは私保険、公保険いろいろありますから違うでしょうけれども、しかし、少なくとも自動車賠償保険のような公的な保険でありましても、保険料というのをかけたら、事故になったときはそれがもらえる、ただで保険の給付対象になったものをもらえるというのが私は保険だと思っているのです。いま国民の多数が高い保険料を払っているのも、被保険者本人は、病気になったときは一応初診料を払えばあとはたいした費用なしに受診ができるから、高い保険料を払っている。高い保険料を今度は上げる、病気になったら百円ずつ取るぞで、一体これは健康保険と言えますか。 私は、今度のこの一部負担の改正問題というのは、健康保険の精神の根底をゆるがすことになると思っているのです。これで私が前段で触れた社会保障の推進なり国民の保健を守ることに一体なるのかどうか。私は保険の制度としては、財政の問題があるでしょうから、ある程度保険料をふやすことは財政上の問題としてはやむを得ないことがあるかもしれないと思う。しかし、病気になったときに、その百円のためにきょうはこのくらいでやめておこうかなどということになるのなら、私は健康保険なんという制度はやめたほうがいいと思う。総理大臣、どうでしょうか。総理の御見解をひとつ聞きたい。
○佐藤内閣総理大臣 問題は、その金額が負担のできないような高いものかあるいは適正なものか、そういうところにあるのじゃないだろうかと思います。その意味でだいぶ感じが違っているようですが、必ずしもいまの制度そのものを堀君も否定なさるとは思いませんが、どうも高過ぎるというような感じでおっしゃるのじゃないだろうか、かように聞きました。
○堀委員 いや、私が申しているのは、かつて十五円なり三十円なり負担をしたときでも、受診率が一〇%以上も減ったということは、私は、現在の状態というものでもしこれがかりに実施されたら、二〇%ぐらい減るだろうと思いますよ、百円ですからね。十五円と三十円のときに一〇%減ったという前例は、百円になればもっと減るということは、経済行為として当然のことなんですから。ですから、私が言いたいことは、そういう形で医療というものを一さっき厚生大臣は、医療需要は制限しないのだと言っておられるわけです。制限しないのだと言って、やっていることは、制限をすることによって財政を浮かせようという発想は、私はこれは問題がある、こう考えておるわけであります。 ですから、その点は、いま私が申し上、げたように、今度百円ふやすということは、厚生大臣は需要を制限しないと言われましたけれども、制限をすることになるということはもう私は明らかだと思いますが、総理大臣、どうでしょうか。その点は制限することになるでしょうね。
○佐藤内閣総理大臣 政府とすれば、先ほど来厚生大臣がお答えしておるように、変わりがない、こういう見方をしているのです。変わりがないということは、制限をするということではない。だから、その需要が非常に少なくなった、受診をする方が非常に減った、明らかに改悪だ、こういう批判だろうと思います。しかし、そこまでは考えておらない、こういうのでございますから、これはし実施してみないと、いまここでとやかく議論してもしかたがないように思います。
○堀委員 過去の例を基本的に私はあげて、そうして過去になったこと以上のことをすれば減るというのは、もう間違いがないと思うのです。私はこれ以上やりません。時間がむだですから、あとは国民が判断をすると思いますからやりませんけれども、私はやはりこういう問題は、もう少し誠意をもって考えてもらわないと、減るという前提でものを考えないなどというような非条理なことを国会の中でぬけぬけと言われることは、私はもうがまんがならないと思います。ですから、そういう点はきちんとしてもらいたい。 次にお伺いをしたいのは、国庫負担が今度は五%定率になるという話ですが、この五%の国庫負担の定率は、一体いつから払うつもりなんですか、いつから五%払うのですか。これはスタートはいつですか。
○鳩山政府委員 お答え申し上げます。 今度法律改正ができましたならば、その法律の施行時期、これは一応十月からということにしてありますので、私どもが予算の編成をするときには、要するに四十六年度は半年につきまして五%の負担をしよう、こういうふうに考えております。
○堀委員 ちょっとお伺いをいたしますが、昭和四十六年度の給付の総額に対して満年度では定率五%ということだと思うのですが、いまのお話では六カ月ということのようですが、厚生保険特別会計に計上をされております金額は二百七十五億円のようであります。これは計算してみますと大体六千億になるんですね。四十六年の給付費は六千七百五十二億七千六百二十二万九千円ということになっておりますから、これの五%というのは、大体三百三十七億にならなければならぬと思うのですね。その三百三十七億の半年分というのなら百六十何億かになるのだと思うのだが、計上されておるのは二百七十五億ですが、これはどうなっておるのですか。
○鳩山政府委員 いまのお話を正確に申し上げますと、健康保険の支払いは二月分まで払いますので、ことしの予算といたしましては五カ月分について五%を適用した、こういう計算であります。
○堀委員 そこでちょっとお伺いをしたいのですけれども、五%というのはこれはどうして出てきたのでしょうか。
○内田国務大臣 御承知のように、最近この二、三年間二百二十五億円という定額の国庫補助を受けておりました。それを明年度の、いま堀さんからお示しがありました保険給付額六千何百億に対して見ますると、たしか三・三%ぐらいになります。私どもはこれは被用者保険であり、事業主が半分負担するたてまえで、本人は保険料の半分しか、と言っては悪いわけですが、本人が半分負担すればいいことは国民健康保険とは違うわけでありますが、それでも社会保険であって、上に社会という字がついておる以上は、国もある程度定率の補助をすべきであるという論戦を実は展開をいたしまして、三・二%よりよけいの五%、私どもも他にいろいろのことをやることを条件として五%をいわばかちとった、こういうような形でございます。
○堀委員 それはおそらく、私も五%が何も根拠があると思いません。しかし、少し私はこういう問題については理論的な根拠を与えるべきではないだろうかと、実は思うのであります。その理論的な根拠を与えたいということの中で、ちょっと簡単に時間がありませんから答えていただきたいのですが、いま皆さんのほうにあるのは四十四年度の決算でしょうから、政府管掌一人当たりの保険料の額は幾らで、組合管掌の一人当たりの保険料額は幾らになるか。そうして、その組合管掌の中で法定給付費に相当する部分は幾らで、家族の付加給付に使われておるのは幾らで、山の家その他の保健施設に使われておるのは幾らで、準備金その他で残っておるものは幾らか、これを事務当局からでけっこうですから、ひとつ簡単に答えてもらいたいと思います。
○内田国務大臣 いま資料を調べておるようでありますが、私の記憶に間違いなければ、政管健保におきましては、四十四年度あたりは一人当たりの保険料納付額は三万七、八千円でございまして、そして今度は保険給付額のほうは、それより四千円ぐらい高い四万円を少しこえるぐらいの額である。その差額が、政府から二百二十五億円をもらいましても赤字になっておるというような状況であったと思います。それに対しまして、組合健保のほうは、大体標準報酬の金額が平均して政管健保より二割ぐらい高うございますので、低い料率をかけましても、御承知のように他方において罹病率も低いことなどがございまして、保険料収入額と、それから保険給付額とは、政管健保とは若干趣を異にして、余裕金というといけませんけれども、付加給付の財源ができたりあるいは保養所その他の設置の財源ができておる、こういう状況であるはずでございます。
○堀委員 ちょっと正確な金額だけ言ってください。
○戸澤政府委員 政管健保と組合健保の保険料の比較でございますが、四十四年度決算が一番最近の判明しているところでございますので、それについて申し上げますと、政管健保のほうの一人当たり保険料額は三万四千三百九十一円、組合健保の同じ一人当たりの保険料額が四万二千二円でございます。しかしこの組合健保の保険料の中には、法定給付のほかに付加給付とか保健施設費とか、そういうものの相当部分が非常に多うございますので、それを差し引きまして法定給付に要する保険料だけで比較しますと、政管は三万四千三百九十一円、それに対して組合は三万四百四十一円でございます。
○堀委員 要するに組合管掌の健保はたくさん収入がありますけれども、法定給付、政府管掌と同じ部分に使っておるものは約四千円実は使わないで済む。なぜ使わないで済むかといえば、実は政府管掌健保は、いつもいわれますように中小企業の集団でありますから、そうしてここから成績のいいのは全部組合へ持っていくわけですから、言うなればたまった、残ったものは下に政管健保で残って、成績のいいやつはみな上へいって、いまの条件のいいところへ出ていく、こうなるわけですね。私はさっき法の前に平等だと言ったのですけれども、しかし国としては、政府管掌の健保の加入者も、それから組合の健保の加入者も同様に考えてやるべきだという考え方に私は立つわけです。そうすると、制度的な仕組みのために実は四千円ずつたくさん病気をする条件が政管健保の中にあるのだ、こういうことになるわけですね。これは制度上の問題として起きておるわけですから。そうすれば、その制度上の問題ぐらいはカバーしてやったらどうだろうか、こう考えてくると、これにいまの政管健保の被保険者数の約千三百万をかけてみますと、五百億ぐらいだとここの制度的な相違によるアンバランスが是正できるんじゃない、だろうか。だから、これまで二百億あったから、それを三・三%、だから五%にするというのは、私は財政的に見てもつかみ金で何とかしょうということで、何とも理論的な根拠がない。少なくともいま私が申し上げたようなことなら、制度が行なわれておるところの不均等な状態を均等な条件に戻す、将来的にはこのことが社会保険の調整の方向に向かい得る一つのアンダーグラウンドを整備することになると思うので、そういう意味では、私は少なくとも定率負担の基準を五百億程度のところに置いてスタートをするのが適当ではなかったのか、こういう考えを持つのですが、厚生大臣、その点はいかがでしょうか。
○内田国務大臣 二つ問題があり得るわけだと思いますが、その一つは、まさにおっしゃるとおりに、従来は二百二十五億円というつかみ金で、保険給付がどれだけ伸びても、私がさっき堀さんから御批判を受けましたように、医療水準がかりに上がって保険給付が伸びましても、このままでおりますと、二百二十五億のつかみ金でございますので、私はそれを保険給付がふえましたならば、それに応じて政府の国庫補助もふえるような仕組みに、ぜひしたい、こういうことで、ほんとうを申しますと、六%ぐらいで吹っかけました。いろいろやりました結果が五%ということでありますが、これは私は第一歩は成功いたしたと思います。これは私は五%というものが永久末代にフィックスされたものとも思いませんので、これは大蔵大臣のほうからお小言が出るかどうかは別といたしまして、私は将来いろんな情勢から五%はフィックスのものじゃないとしていきたいということであります。 もう一つの点は、いまおっしゃるような組合健保と政管健保の財政状況の違いの問題がございますので、でありますから、私どもはかねて財政調整案あるいは勤労者保険を一本にするという抜本の試案を出して諮問を申し上げているのですが、これに対しては抵抗もございますし、研究の過程にございまして、お答えがない。しかしほうっておけませんので、今度のようなことをいたした、こう御理解をいただければありがたいと思います。
○堀委員 そこで、今度の考え方に基づきますと、四十六年度の赤字は資金運用部で見る。しかし四十七年度になったら、これまでの四十六年度までの会計の分は全部一般会計で見るけれども、あとは大蔵省知りませんよということらしいですね。大蔵大臣、そういうことですか。
○福田国務大臣 まあ前提はありますけれども、大体そういうことです。その前提ということは、医療の抜本改正をする。これは時間の多少かかる問題かと思いますが、制度全体の根本的建て直しを行なう。そういうことを前提といたしながら、とにかく今回は過渡的な手段として五%の定率補助を行なう。それから四十六年度までに生じた赤字はこれをたな上げをする、逐次政府においてこれを穴埋めをしていく、こういうことでありますが、そういう三つの前提のもとに、政府におきましては赤字が出ましてもこれに責任を持たぬ、こういう見解であります。
○堀委員 そうすると、抜本対策が四十六年中に行なわれなかったらまた持つということですね、赤字は。あなたの前提だから。
○福田国務大臣 前提というか、とにかくその努力はします。努力はしますが、今回、それまでの臨時措置といたしまして二つの大きな援助を与えるわけです。ですから、もうこれで保険会計のほうは、政管健保のほうはやってもらいたい、それ以上のことは政府は責任は持たぬ、こういうことであります。
○堀委員 いや、抜本改正をやらなくても責任持たないのですか。あなたは抜本改正をやるという前提で持たぬと言われたのだから。抜本改正ができるかどうか、私は大体四十六年中にできるなんて絶対思いませんね。ここにおる方で、できると思う人があったら一ぺん手をあげてもらいたい。どうですか。私は一人もないと思う。全部にらみ渡して四十六年中にできることはない。それなら大蔵大臣言われた前提というものはないのですね、初めから。だから、それができない、抜本対策ができない。できない前提でも、なおかつ払わないのかどうか、そこをちょっときちっと答えておいていただきたいのです。
○福田国務大臣 前提というのは抜本改正の樹立に努力をする、そういう前提です。
○堀委員 それじゃ、努力しておれば、赤字が出てもまた払う、こういうことですね。ちょっとそこをはっきりしてください。あなたは努力をするというのだから。抜本対策をやるように努力をしておれば、赤字が出たらまた政府がめんどうを見ます、そういうことでしょう。
○福田国務大臣 それは逆です。前提というのは、第一は抜本改正の方向の努力を最大限やってみる。しかし同時に、それまでの経過的期間におきまして政府は大いに援助をしよう、たな上げもするし、定率補助もします。しかしそういう援助をしても、なお赤字が出るということについては政府は責任は持てませんよ、こういうことであります。
○堀委員 それじゃ要するに、何があっても、もう四十七年度からは赤字が出ても政府は知りませんということですね。そうでしょう、いまの話は結局。違いますか。
○福田国務大臣 当面そういうことです。
○堀委員 当面そういうことは、そのときになったらまた変わるということですね、これは。いいですね。変わりますね。
○福田国務大臣 ただいま変わることは考えておりませんです。
○堀委員 いや、それでだいぶ話がはっきりしました。実はもしそういうことでないとしたときには、一方では医療費の値上げというのはすでにお医者さんたちの間では問題になっておるわけです。よろしゅうございますか。医療費の値上げが問題になっておって、今度いろんな対策をされるのでしょうけれども、私はいまの健康保険、赤字が四十七年度以降出ないなんということを考えている人はまだここに一人もいないと実は思うのです。ですから、私はその点さえはっきりしておれば、当面の考えだ、努力をするけれどもやむを得ぬときはしかたがないという話なら、それでいいのですよ。ものごとはきわめてスムーズな話ですから、赤字が出たら政府が見なければどうにもならないのですから、その点がはっきりしましたから、健康保険の問題は以上で終わりまして――何かあるのですか。
○福田国務大臣 どうも私が申し上げていることと反対のほうにはっきりした、こういうふうにおっしゃるのですが、いろいろ手当てをいたしましても政管健保の会計に赤字が四十七年度以降において生ずる、そういう事態におきましては政府は責任は持てぬ、こういうことであります。
○堀委員 厚生大臣、どうするのですか、そのときは。
○内田国務大臣 その前に一言申し上げておきたいことは、先ほどの再診料の一部負担の問題でいろいろお説がございましたが、これは堀さんも本ちろん御承知だと思いますが、再診時一部負担々いたしますのは、これは家族など全額給付を受けていない者については全く関係ございませんので、本人の十割給付を受けている人だけでございます。そのことは頭に置いていただきたいということ。(堀委員「それはわかってますよ」と呼ぶ)ただ大ぜいおりまして、誤解があってはいけませんから申し上げておきます。 それから、あとの今後の財政の問題につきましては、大蔵大臣と問答がございましたが、私は、抜本改正というのは、保険制度の改正と同時に、あるいは診療報酬の適正化、合理化というような問題も含みながら、四十七年度には、今度の措置をやっていただければちゃんと財政的の見込みも立てるようにいたしますが、ここでは言い得ない、私は、もし私が厚生大臣である限りにおきましては、実はいろいろな方法を考えて、できる限り患者の方や被保険者の方に御迷惑をかけないで、健康保険の制度として高く評価されるようなことをやってまいるつもりでございます。
○堀委員 抽象的な話を聞いても何もなりませんから、ですから、そんなことは、希望的観測としてそれは聞きますけれども、もし赤字になって金が出なくなれば、支払い停止以外にないですよ、そうでしょう、経済的行為ですから。金がない、赤字になっている、金を出さないというなら支払い停止ですよ、医師に対する支払停止。一ぺん全国の医師に一カ月分支払い停止をやってごらんなさい、世の中どんなことになるか。それだけの勇気が私は自民党政府にはないだろうと思うから、そう心配しておりませんけれども、しかしものごとはやはりもう少し合理的にやっておいてもらわないと、いまは時間がありませんから、もうこれ以上詰めませんけれども、今度の決定はきわめて重要な決定だということだけは、総理も十分許識をしておいていただかないと困りますから。 そこで時間がありませんから、次にかけ足で公害問題に入ります。 資料をひとつ配ってください。 最初に、山中総務長官に伺いますが、公害というのは、ごく簡単に言ったら、一体どういうことをいうのでしょうか、公害の概念といいますか、ごく簡単に一ぺん言ってみてください。
○山中国務大臣 事業活動や人の生存のための活動によって生ずる不要なるものが、自然の浄化作用を越えて処理し得なくなった状態において、だんだん人の生命や健康に被害を与える現象を生ずる状態を公害と考えております。
○堀委員 とかくこれまで、私は公害問題というのは、経済現象、企業活動に伴うものが非常に中心になって取り上げられておると思うのでありますが、きょうはちょっと違う角度の公害を取り上げたいと思うのです。いまお手元に――ちょっと配ってください、総務長官のところにも。 ちょっと総理にお伺いをいたしますけれども、あなたの前任者であった池田さんが在任中に病気になられてなくなられました。池田さんがなくなられたことは、何の病気でなくなられたと総理はお考えになっておりましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 いまさら私が言うまでもなく、ガンだろうと思います。
○堀委員 私、この間、長く池田さんのそばにおられた登坂議員に、池田さんはどのくらいたばこを吸っておられましたかと聞きましたら、ずいぶん吸ってましたが、一日に五十本以上吸っておったでしょうね、こういう話でございました。 そこで私は、実はいまお手元に具体的なデータを差し上げて、少しこれを申し上げたいと思います。一番ページの左のほうに、ガンによる死亡者、昭和四十四年は、昭和二十五年を一〇〇といたしまして、全部のガンは一八三です。胃ガンは一五八です。食道ガン一七一、肺ガンは九〇五にふえています。肝臓ガンは一五三、乳ガン一五七、子宮ガン七八、減っています。すい臓ガンが七七五とふえているわけです。 そこで、その右に、肺ガンによる死亡者数は、昭和二十五年に千百十九人で、これを一〇〇といたしますと、四十四年は一万百三十人が実は肺ガンで死亡しておる、こういう状態であります。 今度その下に、専売納付金とたばこ消費税、財政がこの裏で一体どういう金を国民から吸い上げておるかというと、同じ昭和二十五年を一〇〇といたしますと、四十四年に四一八、四倍以上実は財政資金をかせいでおるわけです。たばこの販売数量は、その右に書きましたように、一〇〇であったものが三二四、三倍に販売量をふやしておる。要するに、政府が専売益金その他の財政収入をふやせばふやすほど肺ガンの患者が急激に増加しておるということが、具体的にこの中で明らかになっておるわけであります。 そこで今度は、厚生省がん研究班の助成による「人がんの多発原因に関する研究班の調査」というのがありまして、主任は曽田国立公衆衛生院長でありますが、この「喫煙程度別にみた男子年齢職業標準化死亡比」というのを見ますと、昭和四十年から四十三年までの統計でありますが、非喫煙者を一として、一日四十九本以下と一日五十本以上、こう分けて統計がとってありますが、総死亡、全体の国民の死亡一に対しては、たばこを吸ったからといってふえているのは丁二九、二・一八であります。全ガンも一に対して二と二・二 ○であります。肺ガンが一に対して七・〇八、二〇・二、すい臓ガンは一に対して三・二八、二二・二であります。要するに肺ガンとすい臓ガンが異常にふえてきておるということは、この統計からも明らかにたばこが原因である。さらにつけ加えておきますと、肝硬変もたいへん影響を受けておりますから、ヘビースモーカーの方は、この資料を見て十分御自戒なさるようにひとつ要望いたしておきたいと思うのであります。 そこで、それでは私は総理にお伺いをしたいのでありますが、一般的に日本の政府は、アメリカ政府のいろいろなことについては非常に意見を尊重しておられるのでありますが、ここに具体的にこういうふうに出ておるのであります。一九七〇年の四月一日の第九十一回アメリカ議会を通過しました「紙巻たばこ喫煙法(パブリック・ヘルス・シガレット・スモーキング、アクト・オブ・一九六九)」、その中で、喫煙と健康の関連性の立場上一九七〇年七月一日以降、包装に「警告-公衆衛生局長官は紙巻たばこの喫煙があなたの健康に危険であると裁定している」と印刷すべきことを義務づけている。これはこのアクトの中の「ラベリング・セク四」というところに出ているわけであります。「ウォーニングーザ・サーンヤン・ゼネラル・ハズ・ディターミンド・ザット・シガレット・スモーキング・イズ・デインジャラス・ツー・ユア・ヘルス」とこうなっているわけであります。さらに「紙巻たばこの広告は、一九七一年一月一日以降どのような電波にものせることはできない。」ということで、「アンローフル・アドバーティスメンツ」ということで、「セク六」のところに罰則について一万ドルの罰金を付して実は法律が通過をしておるわけであります。 御承知のように、われわれはすでにずっと前から、この一九六五年法というのが出ておったことを承知しておったわけでありますが、一九六五年七月十四日にアメリカ議会を通過いたしまして、大統領が七月二十七日に署名をいたしました前の法律は、一九六六年一月一日以降、すべての紙巻たばこの箱に「注意-紙巻たばこの喫煙はあなたの健康を損う可能性がある」と印刷すべきことを義務づけていた。これがこれまで皆さん御承知になっている「コーショソーシガレット・スモーキング・メイ・ビー・ハザーダス・ツー・ユア・ヘルス」という文であります。 この五年間にどういう変化があったのか。「コーション」が「ウォーニング」に変わり、「シガレット・スモーキング・メイ・ビー」が「ザ・サージャン・ゼネラル・ハズ・ディターミンド」に変わり、それから「メイ・ビー・ハザーダス」が「イズ・デインジャラス」に変わってきておる。アメリカにおいてはすでに今日たばこの害というものが公的にオーソライズされて、国民の健康を守るためにはこれだけのことをやるべきだということに実はなっておるわけであります。これは民間のたばこに対する政府の指導、日本の場合は政府が率先して財政収入をあげながら、国民を公害に追い込んでいる。これほど結果が明らかな公害は私はほかにないと思うのでありますが、総理大臣いかがでございましょうか。
○福田国務大臣 私が所管をしておりますので、まず私からお答え申し上げます。 最近国際的にたばこの害の問題が、論議が出てまいりました。各国ともたばこの害につきまして、これをたばこのケースに表示するというような傾向が出てきておるのです。そこで、わが国におきましても何らかのことをしなければならぬと、こういうことに考えまして、一体どういう表示をしたらいいんだろうか。これは国民各界各層の意見を聴取する必要があるだろうと思う。よって、代表的な方々に集まっていただきましてその表示方を――方法論です。それをいま相談をしていただいております。いずれ、そう遠からぬ機会に結論が出ると思いますので、その際は、その結論に従いましてたばこと健康の問題をはっきりさしたい、かように考えております。
○堀委員 総理、いま大蔵大臣お答えになっておるんですが、公害問題というのはこの前の国会でもたいへん議論になりまして、総理、あなたも人命尊重の見地からきちんとしなければならぬとおっしゃっておるわけですね。私は会議録全部整理をして拝見をいたしました。たいへんけっこうです。しかし、一般のいまの公害の中の大気汚染というような問題は、確かに問題がありますけれども、それによって死亡者がどれだけできたかということを立証することはまだできないのです。しかし、たばこだけは明らかにこれは立証されておるわけですね。世界の科学者が立証をし、日本の科学者も立証しておる。いまの大蔵大臣のおっしゃるように、私はじんぜん日を送って適当な時期になんという問題じゃないと思っておるのですが、総理、あなたが公害に対する考え方を広げていくならば、特にこれは政府の責任でありますから、事は重大だと思うのであります。ひとつ総理から、最も重要な公害の問題の一つであり、同時に政府に責任のある問題について政府としての見解を聞かしていただきたいと思います。 〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
○佐藤内閣総理大臣 専売当局並びに大蔵省もいろいろ研究しております。ただいまお答えしたとおりであります。私も政府としてこの問題とやはり取り組ま、ざるを得ない、かように私考えておりますが、そのうち具体案が出るだろうと御期待を願います。
○堀委員 大臣、いつまでにやりますか。私どもは、大体政府はいろいろこれまでやってきたけれどもはっきりしませんから、この通常国会に、社会党、公明党、民社党、場合によっては共産党を含めて各野党共同で目下法案を準備をしておりますから、少なくともこの通常国会中にあなたのほうで処理がされるというのならば考えますが、これがここではっきりお答えがなければ、私どもは大蔵委員会に、いま準備中の法案を野党連合によって提案をして、国民の前にその姿勢を聞いたいと、こう思いますが、この国会中にあなたのほうで、少なくともアメリカと同等の警告を与える意思があるかどうか、大蔵大臣のお答えを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 私は実はWHOの警告がありましたあのとき思い立ったのです。それで昨年中に結論を出したい、こういうふうに考えておったわけでありますが、懇談会のほうの意見をまだ聞く機会がないわけです。そこでなるべく懇談会のほうにも取り急いでいただきたい、こういうふうに存じますが、まあおそくも今国会中には結論を得て実施をいたしたい、さように希望しております。 〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
○堀委員 もう一つちょっとつけ加えておきます。その下にもう一枚ついておりますから、これもちょっとごらんをいただきたいのです。 実はこの二月から、手術をいたしましたり外傷いたしましたときに受ける輸血の保存血液が、これまで二百CC千五百五十円から千八百六十円に三百十円値上がりをいたしました。約二〇%の値上がりと、こうなったわけであります。 そこで、これは私はぜひ政府に考えていただきたいと思うのは、昭和四十五年の献血の総量は、四十五万六千四百六十八リットルあります。四十六年の献血はおそらく四十六万リットルくらいだろうと思うのですが、これは国民の少なくとも二百三十万人の方が――自分のからだの血液というものは、これは自分のからだの一部分なんであります。この一部分を無償で一ただで善意に基づいて実は献血をしておられるわけですね。これは政府の方針に基づいて、いま売血から献血にたいへん進捗をいたしました。そうして二百三十万人の人が何らの報酬を考慮することなく、からだの一部を、それも血液という貴重なものを、一年間に二百三十万人が献血をしておられる。その血液が実は日赤に委託をされておるために、日赤の人件費の上昇分をもろにはね返して千八百六十円に今度値上がりをするということになるのです。ところが、献血の制度は合理化をしようなんという芸当はできないわけですよ。ですからこれは今後とも人件費が上がれば輸血を受ける側の費用というものはどんどん上がります。おそらく次には三千円になり四千円になってくるでしょう。こうなったときに、国民の側からすればただで自分の貴重な血液を献血しておるのに、受け取るものが三千円も四千円もになって受け取るのはおかしいじゃないかということが起こってくるのは、私は当然だと思うのであります。 そこで提案をしたいのは、今度二月から一応引き上げましたけれども、その今度の引き上げ額を一年間に計算すると、わずかに六億五千三百四十八万円にしかすぎないのです。だから、これをただにしろとは言いません。これまでの千五百五十円というものを当分据え置いて、これから出る差額程度は私は国が補助をしてもいいのではないか。それはだれのために補助をするのか。いまの二百三十万人の国民の善意のために、私はこの程度のことは国が責任を持っていいのではないかと考えますけれども、総理大臣いかがでしょう。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま御指摘になりましたように、十分考えておきましょう。
○堀委員 金額が非常に大きいということではありませんから、すでに二月から値上げをして動いておりますから、ひとつできるだけ早い機会にこの問題については、いまの千五百五十円に据え置いて、その差額分について、それは赤十字としてはやはり人件費が上がれば払わなければなりませんから、その分はひとつ国から国庫補助によって処理をしてもらいたい。たいへんな額じゃないのです。そうして二百三十万人の国民の善意にこたえるということですから、これはぜひすみやかにひとつ御検討をお願いしたいと思います。 それで、終わりのほうになりましたが、ことしは一ことしというより昨年ですね。私ずっと見ておりまして非常にいやなことがたくさんございました。御承知のように富士銀行の事件以来いろんな問題がああいう形で起きております。これは汚職問題の中にもたくさん起きておるわけであります。その問題の中で非常に残念に思いますのは、これが大体四十歳から五十歳程度のかなりの地位にある人たちが、そして日ごろの日常の業務はたいへんまともにやっておる人たちが、実はああいう事故を起こしておる。これは私は非常に考えなければならぬ問題点だと考えておるわけであります。そこで新聞には、こういう表現で報道されておるのですね。「銀座で豪遊、ツケ回す」「私生活、老後へ胸算用」「職場で、信頼厚い勤務」となっておるのですね、残念なことでありますが。そういう中で、実は専売公社の生産本部資材課原価第一係長四十六歳の人と、郵政省大臣官房建築部設備課建築技術官というのが五十二歳、いずれも人生の半ばを過ぎて、もう締めくくりへの段階に入っておる人たちがこういう事故を起こしておる、まことに私は遺憾なことだと考えておるわけでありますが、一体、こういうことが起こるもとは、単にその個別の人の問題なのか、一体現在の社会体制の中にそういうことを起こす要素があるということになるのではないのだろうか、こういう感じがするのでありますが、総理はこの点についてはどうお考えでございましょう。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま一、二の例をあげられましたが、これはなかなか考えさせられる複雑な問題だ、かように私は思います。ただこれは、本人の問題だとかあるいは社会的な問題だとかあるいはその環境がどうだとか、そう簡単には片づけられない、かように思いますが、たいへん私は心配している一つの社会現象、そういう状態に思っております。
○堀委員 これに関連しまして、実は元北海道開発庁の事務次官をしておられた堂垣内尚弘さんという方が、当時北海道開発局長の地位にありながら、北海道の標茶町の開拓区農業協同組合の財産の原野十町歩を何か買い取られて、奥さんの名義にされたという問題が実は北海道で起きておるようです。この問題は、いまの問題とはやや角度が違うのでありますが、私は非常に残念に思うのは、ともかくも特定の地位にある者が将来の開発その他の問題を見越して、そうして土地を購入するということは、土地の購入そのものには問題があるいはないかもしれないけれども、開発利益という問題の関連では、特にそれらのインサイダーの知識を持つ方がそういう処理をするというのは、これは私は重大な問題なのではないかという感じがしておるわけでありますが、こういうような問題についてはどうお考えになるか。これは綱紀の粛正の面で、情報を持っておる者が適当に先へ行って処理をするなどということでは、これはもう私はたいへんなことになる、こう考えるのでありますが、総理、その点はいかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの話は、私は初めて聞いたのですが、これはしかしどういうような事情で入手されたか、堂垣内君についてよく調べてみないとわからない。ただいまのように開発利益を先取りした、こういうものであるか、あるいはまたその他いろいろな事情もありましょうから、よく調べてみないときめつけるわけにいかないように思います。
○中野委員長 井野正揮君より関連質疑の申し出がありますが、堀君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。井野君。
○井野委員 ただいま堀議員から御質問がありました二、三の点についてお尋ねしたいと考えます。 まず最初に、農林省の農地局長にお尋ねをいたしたいと思います。 総理は、ただいま本件については初めてだというお話があった次第でありますが、実は本年の一月十五日「財界さっぽろ」にこの問題は堂々と大きく報道されておるわけであります。また北海道議会におきましては、昨年の十二月第四回定例議会で問題になっておりますが、国家公務員でありますから審議不十分なまま終わっておる次第であります。 そこでまず第一番にお尋ねをいたします点は、この標茶町の、具体的にいいますと、西標茶町の百八十二の二番地、十町歩、これは当時北海道開発局長から釧路開発建設部の技術長を通じて標茶町に開発局がこの地方における泥炭湿地の試験のために使いたいから取得をしたいという申し入れがあり、本件については標茶農業委員会に同様趣旨の議事録をもって証明される説明がなされております。ただ、この機会に開発局が役所として取得するのには手続上めんどうであるから、個人の名前で取得したい旨の申し入れがあったと説明をされておるのであります。そしてこの審議にかける前にすでにこの土地は契約をされておりましたが、四十年三月十二日にこの土地は堂垣内夫人の香千枝さんの名前で登記をされております。したがって、これが四十三年の地籍調査で明らかになりまして、同地域の農民は増反計画として配分を受けるものを、この地域の地質的宿病ともいうべき湿地帯の実地試験をやって、将来にバラ色の土地改良をやってくれるというのでありますから協力をしたわけでありますので、農民は憤激をしてこの土地の償還を求めております。堂垣内氏からの回答は、秘書を通じて、代替地をよこすならば返してよろしいという回答をされておりますが、代替地もまた農地であります。したがってここでまず局長にお尋ねしたいのは、第一番目に、農業委員会に説明をされた官公庁の公用取得は手続がめんどうだから個人の名前にするということでありますが、農地法第三条は公共団体の公用取得はこれを規制から免除いたしております。したがって、そういうことはあり得ないと考えますが、この点一点。 それからこれは昭和三十四年に国が自創法四十一条によって開拓農協の財産として払い下げたものでありますから、もとここは軍馬補充部の土地であります。したがって農地であります。これを雑用地として不用地に地目変更させて登記をしたものでありますが、この農地を取得する場合に、一つには不用地にするかもしくは堂垣内夫人を農家に仕立てるか、この二つのいずれかをとらなければ合法的に取得することはできないわけでありますが、この場合は不用地として堂垣内夫人に取得させる道をとったわけであります。これ以外に取得の方法があるかどうか。 第三に、私がお尋ねしたいのは、こういうような手段をとって農地を取得いたしましても、農地法はまさか政務次官や開発局長がこういう不法手段で土地を取得するなどということを考えて制裁規定を設けておりません。したがって、農業委員会、財産の所有者、開拓農協がだまされた場合には、六十日以上日がたちますと北海道知事はこれに再審議を命ずる権利を失っております。したがって、今日になっては、農地法をもってはこの土地を規制することはできない、一般行政の規制は及ばない、監督も及ばない、こういうことに相なると思いますが、この三つの点についての見解をお尋ねいたしたいと思います。
○岩本政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘のございました土地につきまして、北海道庁からの報告によりますると、北海道開発局が(井野委員「そんなことを聞いておりません。聞いたとおり答えてください」と呼ぶ)試験用地として取得をしたという事実はないようでございます。ただ先生の御質問にございましたように、該当委員会の議事録の中に、そのような記録があることは承知いたしております。 それから北海道開発局が試験用地として土地を取得いたします場合には、国の機関でございますから、農地法第三条第一項第三号の規定によりまして、都道府県知事の許可は要らないということに相なっております。 さらに北海道の問題の土地を、一般論として個人が取得をいたします場合には、農地または採草放牧地でありますれば、農地法第三条第二項の規定によりまして、農業に精進する見込みがない限り、農地法第三条の許可が受けられないことになっております。しかしながら、先生の御質問にございましたように、本件の土地につきましては、昭和四十年三月十二日に地元の農業委員会におきまして、原庁が農地法上の採草放牧地に該当しない土地であるという認定をしております。すなわち、非常な湿地帯でございまして、採草放牧をするのに適当でない土地であり、したがって、雑種地であるという認定をしております。そうでありますれば農地法上の問題にならないわけでございまして、許可なくして売買が可能に相なるわけでございます。 最後の御質問でございますが、農業委員会のなした処分がかりに違法な処分であったということが判明いたしました場合には、処分をした日から六十日の間でありますれば都道府県知事が再審議命令を出すことができるわけでありますが、六十日を過ぎますとそれができないわけでございます。もちろん、この都道府県知事の立場として行政上農地委員会に対する指導をなすべきことは、当然であろうかと存じます。
○井野委員 次に、北海道開発庁長官にお尋ねをしたいと思います。 私は、社会党中央執行委員会の決定に基づきまして、一月二十三日現地に参りまして、釧路開発建設部技術長、標茶町助役、また農業委員会事務局長、開拓農協組合長、当時の責任を持っておりました参事等、町役場応接室に御会合願いまして、これらの案件についてそれぞれお聞きをして意見を交換をしてまいりました。その結果、明らかになりましたことは、昭和三十九年の暮れごろに、北海道開発庁の釧路開建の技術長近藤光男君を通じて、ただいまお話のありましたこの地方の土地改良のために必要な湿地試験を行ないたいから該当適地をさがしてもらいたいという要請を受けて、町にとっては願ってもない福音でございますので、将来、オソベツ川その他の開発を期待をしながら、開拓農協にこの話を申し入れたということでございます。ただ、ここで一点、町と農協と食い違いました点は、一切を開拓農協にゆだねたのだから、私のほうは知らないというのが町の言い分でありましたが、開拓農協参事によりますと、そうではなくして、そういうお上のことであるから、一切を町役場にお願いをして、たとえば価格の決定あるいは移転登記の手続、さらには登記等の問題については町に一任をしたという回答がございましたが、い、ずれもこの地目変更なり用地権利移転の問題は、開発局が行なう湿地試験としてこれを信頼し渡したというものであります。ところが、先ほどもお話を申し上げましたように、四十三年に地籍変更の調査で、堂垣内香千枝さんのものになっているということで開拓農家からはがぜん問題になりました。このことはあとから総理にお尋ねをしたいと思いますが、ここまでで長官にお尋ねをしたい点は、この北海道開発局長の名をもって釧路開建の近藤技術長に命じた仕事、及びこの庁舎の中においてあるいは標茶町役場の中において合議折衝されたこの行為、及び公用電話を使ってこれらの連絡をした行為は、公用なのですか、それとも堂垣内君の私用なのですか、この点お答えを願いたいと思います。
○西田国務大臣 お答えいたします。 ただいま御質問の点で事実と相違する点が一点ございますので、その点をまず明らかに申し上げておきたいと思います。ただいまの御質問によりますと、当時の開発局長は堂垣内尚弘君、こういうことでございますが、堂垣内君はその当時は建設部長でございまして、開発局長には四十年の四月一日に就任をいたしております。したがいまして、その点は事実と違っておりますので……。 そこで、ただいまお述べになりましたような土地を堂垣内夫人の名において取得しておりますことは事実でございますが、結論から申し上げますと、実は昨年の暮れにこういうことが新聞にも出ましたし、雑誌にも載ったということで、そこで、開発局並びに開発建設部並びに本人からも事情を聴取いたしましたが、結論から申し上げまして、開発局の幹部という地位を利用いたしまして取得したという事実はないようであります。 それからお尋ねの点は、電話をかけたことが公用か私用かというお話でありますが、電話でそういうことを話したかどうかという事実は私はいまの調査の段階において明らかでございません。
○井野委員 簡単に聞いているのですよ。それは国の仕事なのですか、それとも奥さんのために土地を買っておいてやりたいという私の仕事だったのですかということを聞いておるのです。よけいなことを言わぬで、簡単に答えてください。
○西田国務大臣 私が調査した限りにおきましては、個人財産の売買であって、全く公の仕事とは無関係である、かように承知しております。
○井野委員 総理にお尋ねをします。 いろいろ言いわけはあると思いますが、問題は一点たいへんなことが残っておるわけであります。この土地は、現在国は四十六年度予算に八百万の調査費をつけているのです。そしてこの地籍の中にあるのです。おわかりですね。四十四年と四十五年調査をして、四十六年実施計画を立てておるという事実、したがって農地不用地ではないということであります。しかももう一つお尋ねをしたいのは、これが個人取得のものだったら、現地はだまされたということなのです。戻してもらいたい。ここの農家は昭和二十二年以降入植をして、七町しか土地を持っていないのです。しかしこの地方の経営は根釧パイロットで見られるように、三十五町、五十町を必要とするのです。しかもこれらには根本的に一戸当り一千万円以上の開発費をかけようという計画、総額では十億の予算をつぎ込もうという膨大な計画がもたらされております。この堂垣内さんのやった行為がいい悪いの議論よりも、この土地を戻してくれということに対して、堂垣内さんのほうでは、代替地をくれなければ返すことはできないという紛争になっている。少なくも官名を使って開発局の行なう湿地試験であるということで取得をして、それがこの雑誌によれば、将来値上がりがするだろうから孫子のために買ってやりたいと思ったのが何が悪いのだ、こうなっておるのです。総理、これは天下に出されている雑誌ですから、御見解をひとつ承りたいと思う。
○西田国務大臣 試験の目的で買ったということですね。そういう疑問をお持ちのようでございますが、私どものほうにはそういう事実は全く見当たりません。 それからこの土地の問題でございますが、現在まだこの土地は未利用の状態にございます。そこで所有権移転があったのは三十九年でございますが……。
○井野委員 違うよ、四十年三月……。
○西田国務大臣 売買契約があったのは三十九年でございます。登記は四十年の春でございます。そこで、所有権の移動がありましてから数年後に、釧路川流域の河川整備の進展に伴いまして、当該土地を含むところのオソベツ川流域の排水も部分的に可能になってまいりました。また一方、この周辺には、旧制開拓で入植いたしました農家が散在をいたしております。これらの農家は平均七・七ヘクタールぐらいの土地を所有しておりますが、そこで時代の推移とともにこの経営規模の拡大ということの要請が出てまいりました。そこでこの流域を含めまして四十四年から下オソベツ地区九百五十ヘクタールを対象といたしまして、農地開発事業計画調査に着手をいたしまして、現在調査を継続中でございます。それでこの調査区域の中にはいまの土地も含まれておりますが、今後この土地が事業対象区域に入るかどうかということは調査の結果を見なければわかりません。しかしながら、それがもし対象区域の中に入るということになりました場合におきましては、当然のことでございますが、周辺農家の規模拡大に積極的に資するように適切な措置をとりたいと考えております。
○井野委員 総理、お尋ねをしたいのですが、長官はその土地を適切な措置をするといったって、もう公務員じゃないのですよ。一般国民で、国の権利は及びませんですよ。しかし、道義的にいうならば、事務次官というのは役人の上がりすごろくの最高の栄誉ですね。その人が官職を使ってこういうことをやったという事実が明らかになりましたら、総理としてこの土地を国が買い戻すなり、あるいは総理として勧告してこれを戻させるなり、少なくも公務員法で示しております官職によって官庁の信用を失墜する行為があってはならない、公務員法第九十九条に違反いたします。あるいは九十六条、公務員服務の基準に違反をいたします。さらには近藤君をして行なわしめたことは、九十八条の規定に違反いたします。そして八十二条に戻りますならば、現職であったならば懲戒免職をさるべき罪過だと私は思います。またこれは調査をしなければわからぬとおっしゃるかもしれませんが、調査をしていただいて、さかのぼって公務員法適用というわけにはまいりませんが、しかし事実と違うことをもって用地を取得する等の行為は、刑法これまた詐欺の罪に問われることにも相なっておるわけであります。私は非常に重要な問題をここで発言するのでありますから、総理もこの行政の信用を回復をし、こういうような無秩序をなくするためにも、この際総理は国民にこの問題に対する態度を明らかにしていただきたいと思います。 もう一つ参考に申し上げておきたいと思います。このことに、非常にうまくやれるものだと感じた北海道庁の釧路支庁の経済部長、拓殖課長、同時に標茶町の今日税務課長をやっておりますが当時の開拓係長、いずれも同様手段で相当の地積の土地を取得したことが、実はこの開拓農協の参事の引き継ぎ書に明らかにされております。すでにこれらの手口というものが、一般的に罪の意識をなくして、普遍をしておるとするならば、総理、私はこれから北海道に行なう開発事業の上に、国民の血税を使う上にたいへんな問題があることを私は感じますので、あえてこの質問をするわけなんです。総理の御決心を聞きたいと思います。
○西田国務大臣 いろいろとお述べになりましたが、公の地位を利用して部下に命じて買わしたとか、あるいはまた私用目的を公用に名をかりて土地を取得したとか、こういう事実は全く私の調査する限りにおいてはございません。したがいまして、ただいまお述べになりましたことは、総理にお問いになりましても事実のないところに総理はお答えすることができないと思うのでございます。 ただ、いま申しましたように、この土地がもしも農地として適当であるというような調査の結果が出た場合におきましては、堂垣内君が農業経営の考えはないと思いますから、適切な措置をとりたいと、こう申しておるのでございます。
○井野委員 じゃ長官、あなたはそうすると、標茶町農業委員会において、議案に議長から番外に発言を求めて、事務局長小場唯夫君に説明をさせております。その写しはここにちゃんとありますよ。それに明確にそのように書いてあるのです。ですから私が農地局長に聞いたのは、公用取得ならばそんな説明は要らないじゃないかということを聞いておるのです。要らないものをわざわざ説明をして、何で地目変更をして、しかもこの登記の日付も――登記簿かここにあります。さらにこの登記申請のときも最初は司法書士の名前でやらしておいて、あとから今度は開拓農協の名前に申請者を書きかえさせる等、これらの農地移転の書類をめぐる手続の苦心のあとを見ますと、あまりにも哀れさが見られますよ。だからあなたの調査が不十分なので、総理の御答弁を下さい、私の時間、もうありませんので。総理の決心をひとつお聞かせください。
○西田国務大臣 事実問題でございますから……。私はそのことを知りまして、さっそく開発庁の幹部に命じまして開発局並びに現地の開発建設部並びに本人からも事情を聴取させましたが、いまお述べになっておるような事実もなければ、またそういうような考え方をカモフラージュするとか、そういったことは全くございません。しかしながらこの土地を、別に堂垣内君はこれによって非常な利得を得ようとか、そういう考えを持って買ったものではないようでございますから、したがいまして、これが農地として適当であるというような調査の結果が出た場合におきましては、これは適当な措置をとりたいと考えております。そのことは可能であると考えております。
○佐藤内閣総理大臣 事柄はたいへん重大なる問題でございます、個人に関することではございますけれども。しかも取得したその土地が、三十九年の事柄です。ただいまは私が申し上げるまでもなく四十六年、その間にいろいろ北海道開発庁も手づるがございますから、いろいろ取り調べたことだとは思いますけれども、どうも先ほど来の御説明を聞いていると、なかなかふに落ちない点もあるようだ、これはまた、これだけではお尋ねのほうの井野正揮君も納得はなさらない、こういうことのようです。私は、ただいまのような時の変化もございますし、しかも北海道の事柄でありますから、事柄が個人の名誉に関する重大な問題ですから、十分取り調べた上で私の返事はする、私は最初申し上げましたように、私は無能力者で、答弁する資格がない、そういう立場にございます。そこで先ほど来西田大臣の説明を聞いていたようなわけです。私は、よもや西田君がでたらめな報告をしておるとは思いません。この大事な国会の場において、予算委員会の場において、そうでたらめな話をしておるとは思いません。私はそれを信頼する以外にはございません。そのことを申し上げておきまして、どうかただいまの事柄、三十九年のできごとですし、しかもあの付近は相当の、根釧原野とこういうことを言われますが、これは荒蕪地であることだけは確かでございますので、その辺もお考えの上、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
○堀委員 ただいまの案件は、私どもの井野委員と西田開発庁長官との間に事実関係の認識の点でちょっと問題がありますから、この点はひとつ理事会において事実関係については十分精査をされて、御検討いただくように要望いたしまして、そこで……
○中野委員長 ちょっと待ってください。理事会で相談をする議案とは大体違いまするから、あなたの御意見は御意見として伺っておきますが。
○堀委員 そこで、この問題は私は非常に関心を持ちましたのは、このインサイダーの問題ですね。情報のある者が、もしたとえば新幹線をどこかへ通すということが早期にわかっている者がその土地を買うとか、そういうことで開発利益をインサイダーの情報を持つ者がやるなんということになったら、これは私はたいへんな問題になると思いますので、私は遠隔の地でわかりませんが、何か話を聞いておりまして、十町歩の土地を北海道におる専門家が買う以上は、何らかのやはりめどがなければ、いま土地を買う者はないわけでございますから、買ったって値上がりをしないような土地を買うはずはないし、農業をやっていない方が十町歩の土地を買うはずはないし、そこらにどうもわれわれ常識的に聞きましても、何かひっかかるような問題があるわけでございます。どうか政府においても十分ひとつ公正な立場で精査をされまして、国民にそういう疑惑がないように、何か役所におる者はうまいことをするなあというような疑惑がもし起これば、これは今後私は重大な問題になると思いますので、その点を特にひとつ総理から、今後そういう点を十分調査をして遺憾ないような処置を期したいという御答弁をいただければ、私はこれで質問を終わりたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま関連質問でお答えしたとおりでございます。
○堀委員 終わります。
○中野委員長 これにて堀君の質疑は終了いたしました。 ――――◇―――――
○中野委員長 この際、おはかりをいたします。 明九日の竹本孫一君の質疑に際し、日本銀行総裁を参考人として出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと思いまするが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。 ――――◇―――――
○中野委員長 次に、公聴会の公述人の件について御報告いたします。 公述人の人選等につきましては、さきに委員長に一任願っておりましたが、理事会において協議の結果、次のとおり決定いたしました。 すなわち、二月十日午前十時より意見を聴取する公述人の方は、東京大学経済学部助教授林健久君、東洋大学学長磯村英一君、午後一時三十分より意見を聴取する公述人の方は、丸紅飯田株式会社社長檜山廣君、愛媛県八幡浜市立真穴小学校教頭新田斉君、また、二月十二日午前十時より意見を聴取する公述人の方は、日本証券業協会連合会会長瀬川美能留君、東洋大学経済学部教授御園生等君、午後一時三十分より意見を聴取する公述人の方は、日本消費者連盟代表委員岩田友和君、全国消費者団体連絡会会長中林貞男君、以上八名の方々を決定いたしました。 以上、御報告を申し上げます。 明九日は午前十時より委員会を開会し、補正予算に対する質疑を続行いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会