予算委員会 第8号
- 発言数
- 124 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/02/05
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、右三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。 松本善明君。
○松本(善)委員 私の本日の質疑は、沖繩問題、中国問題、その他外交、防衛問題が中心でありますが、その前にひとつ総理の政治姿勢について伺っておきたいと思います。 それは、秦野章氏の都政改革についてのいわゆる四兆円ビジョンについてであります。総理はこの「東京緊急開発行動五カ年計画」というのをお読みになりましたですか。——けっこうです。これによれば、御本人は新しい東京を創造する第一歩であるというふうに言われておりますが、その資金計画を見ますと、新東京開発公団というのを設立をして、そしてその公団の資金計画は、政府出資が一兆五千億ということになっております。 私はここに大蔵省の編集いたしました財政金融統計月報を持ってきております。この中には、四十四年三月三十一日現在の「政府出資法人一覧表」が載っておりまして、これが政府の出した最も新しい政府出資についてのもののようであります。これによりますと、国鉄に出しておる政府出資が八十九億、専売公社が二百三十二億、電信電話公社が百八十二億。三公社合わせましても五百四億であります。それから金融機関については、国民金融公庫と住宅金融公庫と農林漁業金融公庫、これら九つ合わせましても三千八百九十億であります。日本銀行や開発銀行、輸出入銀行合わせても五千四百二十億です。この政府出資法人の三公社、金融機関全部を合わせましても、これが一兆にはなりません。九千五百億です。それからさらにすべての政府出資法人の政府出資額を全部集計をいたしましても二兆一千億ということでございます。そうすると、一兆五千億の政府出資というのはとうてい考えることのできないようなものであります。しかもこれは、個人が夢を発表するならば別にどうということはありませんけれども、御本人が、これは総理大臣が約束しているんだ、こう言っている。これで一体いいだろうか。総理大臣にあらためて聞くまでもないかもしれませんけれども、私は、一兆五千億もの出資をお約束されたのかどうか、お聞きしておきたいと思います。(「それは問題じゃないの、立候補を予定されている人のことを聞くのは」と呼ぶ者あり)
○佐藤内閣総理大臣 いま不規則発言で、立候補を予定しておられる方の議論をすることはどうかという議論がございますけれども、しかしせっかくの松本君のお尋ねですから、私の感ずることを申し上げたいと思います。 秦野君個人のことを申し上げると、あるいはいま言うような選挙にかかわり合いがあるかと思います。思いますが、とにかく秦野君が東京改造について非常なビジョンを持っている。そのビジョンはただ単なる夢というにしては、どうも現実に即しておるものでございます。私は一兆五千億、いつまでにそれだけのものが出るか、そういうものの約束はしてございません。また彼も、自分の言っている都市改造、それがわずか一、二年のうちにでき上がろうとは思わない、かように申しておりますから、それはそれなりに評価すべきだろう、かように思っておりますが、しかし、東京をこのままにしてこれで済むという筋のものじゃないのだというこの熱意のほど、それに対しては私もほんとうに共感を覚えますので、これはできるだけ協力、応援してやろう、かような気持ちでございます。ただいま言われておりますようにあまり深入って立ち入った話をすることはどうかと思いますが、お尋ねがありましたから私の気持ちを率直に伝えてお答えといたしておきます。
○松本(善)委員 これに関する新聞報道は、もちろん、こんなことをほんとうにしておるのかというような趣旨のものもありますが、首相が秦野ビジョンを了承した、あるいは首相が約束をした、四兆円の新ビジョン、首相が実現を約すとか、そういうようなものも幾つもあるわけです。これは国民も、一体そういうことがほんとうなのかどうかということを心配をする。総理大臣はいつまでというような約束はしてないと言うけれども、これは出すつもりですか、ほんとうに。時期はともかくとして出すつもりですか。出すということになりましたら、政府出資計画、これは全部全面的に再検討ですよ。私はまともに質問するのも問題だと思うのだけれども、しかし、こうなっている以上は、やはり聞かざるを得ない。出すつもりでありますか。
○佐藤内閣総理大臣 とにかく正式な手続を踏んできて、そしてそういう事柄についての相談があれば応じなければならない、かように私は思っております。そのためにはまず第一に知事になること、そうして都会が賛成すること、その上で政府がこれに対して応援すること、そういう順序はございます。しかし、私ども個人的に秦野君を知り、また私が総理である限り、おまえのは夢だ、こういって片づけるわけにはいかない。これはやはり東京都民が秦野君を信頼して、ひとつ東京都をまかそう、こういう気持ちになってくれれば、ただいまのようなそれぞれの手続を経てそうしてわれわれが協力する。そのときには必ず皆さん方におはかりをしてきめるのでございます。かってにきまるわけじゃございません。
○松本(善)委員 先に確かめておきますが、十分のように思いますが、その四兆円ビジョンというのは、金の話は当選してからの話だ、いまの問題ではない、こういうことでございますね。
○佐藤内閣総理大臣 もちろん当選しなければ、そういう事柄が実現しようと、緒につくわけにもまいりません。
○松本(善)委員 当然そういうお話になると思っておりましたが、秦野さんは、この約束が破られるならばやめるというようなことまで盛んに言っておられますから私は確かめておこうと思ったわけであります。 それからもう一つ、これがほんとうの質問でありますが、この問題に関して。大体この東京都の予算につきましては、富裕団体であるからという理由で地方交付税による財源は削られている、起債は大きく制限をされている、超過負担の実態はそのまま放置をされている。現職の知事が都民の要求に従って国に援助を求めているのに対してこういう態度をとって、そして知事がかわったら、政府出資計画を全部変更しなければならないようなばく大なことを、とうていだれもほんとうにできないようなことを言うという、そういう政治姿勢は一体いかがなものだろう、それは人をだますことになりませんか。あるいは一体、人によって地方自治についている地方財政の援助を変えるという考えなのか、それについての総理大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 人によって中央政府の態度を変えるとか、あるいはその人の所属政党によって変わるとか、さようなことはございません。同じように中央政府は地方自治体を育成強化する、こういう立場でございます。すでに松本君も御承知のように、いわゆる富裕団体、そういうものに対して中央から交付金の行かないことは、これは御承知だろうと思います。そこにやはり地方同士の相互を公平に扱うというたてまえの考え方があります。またいま、起債のワクを制限するじゃないか、かようなお話がございました。しかし私どもはいままでも、あらゆる機会に、有用なる起債ならば認めてやる、こういうことでございまして、現に大阪には、外国からまで金を集めてきて、そうして大阪港をつくることについて援助をいたしております。そういうように、東京都の場合でも、同じようにマルク債の場合はやはりわれわれも協力しておる。これは人によってどうこうされるものではございません。しかしいやしくも計画を立てる以上、その計画の内容についてわれわれが納得がいかないと、これはそう簡単に計画したから何でもかんでもよろしい、こういうものでないこと、これは御承知願いたい。
○松本(善)委員 もう一つあらためて確かめておきたいと思いますが、大体御答弁いただいたので了承してもいいのですけれども、こういう知事がかわれば富裕団体でなくなるというものでも全くないし、東京で一兆五千億ということになりますと大阪はどうだということになりますね。沖繩は二十五年、これは日本国民の中で一番被害を受けているところです。私ども五年間で一兆円出すべきだと言っていますけれども、こういうものは全部変わりますよ。こんなことは軽々に政治家たる者は言うべきではないと思います。総理はもちろんのことですけれども、秦野さんも政治家ならばこんなことは言うべきものでないと思いますけれども、政治家の姿勢として伺っておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 松本君にお答えいたします。いろいろの御批判、御意見はこれは御自由です。また私が個人的な意見をここで述べては、これは申しわけがないので、これはやはり政府としてこれを通じて国民に訴える、かような立場で先ほど来お答えをしたとおりでございますから、人によって左右するとか、また場所によって区別するとか、そういうようなことが中央政府であってはならないこと、これははっきりいたしております。またそういうものが具体的な計画になってくれば、それぞれの手続を経て審議をするということ、先ほど申したとおりでございますから、ここらに誤解のないようにお願いをしておきます。
○松本(善)委員 この問題はこの程度にしておきましょう。 いよいよ本題でございますが、沖繩返還協定につきまして、この内容を本委員会でも論議をされましたけれども、国民は多く知りたがっております。この問題については、総理も心配な点があればみんな聞いてくれということを本委員会でもお話しになりましたから、一つ一つお聞きしようと思います。政府は、この協定は奄美の場合とか小笠原返還協定のようになるということをたびたび言ってまいりました。この二つの協定によりますと、サンフランシスコ条約三条の権利放棄の問題、それから安保条約及び関連取りきめの適用の問題、基地提供の問題、そういう共通した条項があるわけでございますが、沖繩返還協定の場合もこの二協定に共通したものは入ると考えていいのでありますか。
○愛知国務大臣 沖繩の返還協定の作成については、ただいま政府としても一生懸命努力をしているところでございます。したがって、その内容等についてまだ明らかにすることの段階には来ておりませんけれども、お尋ねの点についてお答えいたしますと、沖繩の返還につきましては、平和条約第三条を基本にして返還を求め、またこれに対して米国政府が合意をいたしたわけでございますから、返還協定については、平和条約第三条をもとにいたしまして返還協定がつくられることになると思います。したがってその限りにおきましては、奄美、小笠原の返還の協定と性格を同一にいたしております。 それから、基本としてこれはもう憲法はもちろんでございますけれども、一切の法令、一切の条約、一切のこれらに関連する取りきめというものが沖繩に本土並みに適用されるということは、もちろんこの返還協定作成の際の基本でございます。そういう点につきましては同様の考え方でよろしいと思いますが、何ぶんにも沖繩の場合におきましては、小笠原や奄美とは地域的にも非常に広いわけであります。それから県民が百万人二十数年にわたって住んでおられるというようなことで、いろいろの点で奄美あるいは小笠原とは違った形のものもあるいは必要であろうかもしれません。それらにつきましてはただいま話し合い中でございますので、それならどういう点がどういうふうになるであろうかというような点について詳細に申し上げるまでの段階にまだ来ておりません。
○松本(善)委員 交換公文については、奄美のときにはつきましたが、そういうことは予想されましょうか。
○愛知国務大臣 これも、内容についての協議というものが現に進行中でございますから、正確にどうなるであろうということを申し上げる段階ではございませんが、一昨年の秋の共同声明に基づきまして、一切、たとえば一番大事な安保条約の点についても何らの変更なしに沖繩に適用されるということになっておりますから、そういう種類の点について何か異なった取りきめをするというようなものは全然予想されません。 〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
○松本(善)委員 両協定とも請求権の放棄がきめられておりますけれども、沖繩の場合も同様になりましょうか。
○愛知国務大臣 第十九条の問題であると思いますけれども、日本といたしましては、第十九条によって放棄をしておるその問題の中に、沖繩という地域あるいは沖繩県民が日本国あるいは日本国民の中に入らないと解するのは無理である、これはやはり同様に放棄すべきものである、これが従来からの政府の一貫した態度でございます。
○松本(善)委員 私のお聞きしますのは、講和条約、サンフランシスコ条約発効後の問題についても同じように請求権の放棄がきめられるのかということであります。
○愛知国務大臣 いま申しましたのは、私が申しましたように、第十九条の解釈適用については、沖繩はやはり本土並み、こう解すべきものである。一切日本国とアメリカとの間の関係あるいはサンフランシスコ平和条約において律せられたものと同様に取り扱う。それからさらに、具体的にどういう対米請求についてどういうふうな処置をどういう時期のものについてどういうふうに処理するかというようなことについては、まだ協議がととのっておりませんし、また政府としてはっきり申し上げられる段階ではございません。
○松本(善)委員 沖繩の女子高校生の刺傷事件でありますとか、あるいはコザ事件の原因になりました糸満のひき逃げ事件でありますとか、こういうような事例はもう無数にあるわけであります。補償漏れでありますとか正当な補償もされていない、そういうようなことがたくさんあるわけであります。政府はこれらの損害賠償をアメリカに要求すべきであるというふうに思いますが、私はさらに問題を次に進めたいと思います。 基地提供の問題でありますが、安保条約に基づいて提供する施設、区域は一体どれだけ貸与するという方針でありますか。沖繩が返還になれば、返還と同時に安保条約に基づいての地位協定に基づいて施設、区域を提供する、そういう関係になるということは政府がたびたび言ってきたことであります。この提供するという施設、区域はどれだけのものであるかということです。
○愛知国務大臣 まず最初のお尋ねの補償の問題でございますけれども、これは事情をよく御承知の方にはよくおわかりになると思いますけれども、ただいままで、きょうのいままでの質疑と応答だけをお聞き取りになった方は、何か補償問題というものは、それではたな上げになってしまうのじゃないかというふうにお聞き取りになる誤解を招くかと思いますから、一言つけ加えておきたいと思いますけれども、沖繩の県民の方々の補償請求の問題については、すでに外務委員会や沖繩北方特別委員会におきましても、私はかなり詳細に具体的事例をあげて御説明しておりますように、いろんな種類のものがございます。これらについては、実態を詳細に把握し、また直接沖繩の方々のいろいろの団体あるいは私人からも直接私どもも御要請を受けておりますが、それらの実態について十分掌握し、そして対米的にアメリカとの間に処理すべきものもございましょうし、日本本土として処理すべきものもございましょうが、いずれにいたしましても沖繩県民の方々の御趣旨に十分沿うように処理をいたしたい、かように考えておりますことを特に明らかにしておきたいと思います。 それからいまの御質問でございますが、返還がきまりますれば、安保条約によって基地といいますか、正確に言えば施設、区域を提供することになるわけですが、その提供することは安保条約によって提供するわけでございますから、安保条約の目的に沿うような、さような役割りを果たし得るという性格の施設、区域を日本政府として提供することになるわけであります。ですから、これもまた、ただいままだ詳細に申し上げる段階ではもちろんございませんけれども、考え方としては安保条約の目的に沿うような施設、区域でなければならない。それからいま一つは、これはもっと沖繩の県民の方々の御関心の深いところであると思いますが、沖繩の民生の向上あるいは経済の発展のために有用であると認められるようなところの目的に沿うように、現在基地として使われていることを転用といいますか、そういう目的に使いたいというところも相当あろうかと思いますが、これらは具体的に検討整理をいたしまして、いわゆる俗語でいうところの沖繩におけるところの基地の整理縮小という目的に沿うようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
○松本(善)委員 これは、考え方としては日本側の意思に基づいて提供するということになるわけでありますから、当然にこれはどれだけのことがどうされるのかということは国民が知らなければならない。これは、その範囲など、広さ、そういうものはいつ明らかになりますか。
○愛知国務大臣 私がいま申し上げておりますように、いわゆる基地に対する政府の基本的な考え方、姿勢はいま申し上げたとおりでございますが、安保条約の目的に沿うようにということは、日本政府だけの考え方だけではいかないところもあり、これこそ日米間の協議によってきめて、そしてその協議に基づいて日本側が提供する、そして提供されたアメリカは安保条約並びに関連取りきめによって付せられておるところの条件のもとに、この制約のもとにおいてその使用をするということに相なるわけであります。 それから、くどいようでありますけれども、いまどういう施設、区域がどういうふうな形になって提供されたがいいであろうか、あるいはどういう地域はいわゆる整理という対象になるかということは、いま申し上げられる段階ではございません。 先ほど申し上げました日本政府としての基本の趣旨に即して、そして安保条約の目的にも適合するように、沖繩県民の方々の御要請にも沿うようにというところで処理をしていきたい。これは、もちろん返還のときには条約によって当方が提供するわけですから、もちろんそのときまでには、その実態というものが明確にされなければならないわけでございます。
○松本(善)委員 いま言われた返還のときというのは、返還協定を結び、そしてそれを批准し、それが発効をするというときまでにはわかる、こういう意味ですか。
○愛知国務大臣 発効をしたときには、その瞬間に日本政府が安保条約によって施設区域を提供した、こういうかっこうになるということを申し上げたわけでございます。
○松本(善)委員 私のお聞きしますのは、いつ明らかになるかということをお聞きしておるのは、返還協定締結のときに国民には明らかになるのか、それとも政府が——私どもは、すぐ明らかにしろというのですけれども、政府がこの国会に協定をかけるときに明らかになるのか、その段階でもまだ明らかにならないで、そして発効の段階になるまではわからないのか、それはどの時期でどれだけの基地を提供するということがわかるのか、その心づもりはどうかということをお聞きしているわけです。
○愛知国務大臣 御質疑になっているお気持ちはよくわかります。そのお気持ちというものは、沖繩県民の人たちの気持にも通ずるものであろうかと私は想像されますから、そのお気持ちを体して処理をしていきたいと思っておりますが、先ほど来申しておりますように、この返還協定並びにこれに関連する協議は、ただいま進行中でございまして、ただいまいつ何日に何と何は明らかにされるということを申し上げるまでの段階ではございません。
○松本(善)委員 私がお聞きしておることは、政府の政治日程というものではなくて、一体これはどういうふうに政府が考えておるか、日本の領土を基地に提供するということについて、一体国民はいつまで知らされないのだろうかという問題ですよ。場合によっては返還協定発効後になっても知らされないということがありますか。そういうこともあり得るでしょうか。
○愛知国務大臣 返還になれば日本の完全な本土並みでございますから、そういうようなことがあり得るはずはない、こう申し上げるよりほかにないと思います。
○松本(善)委員 別の角度からお聞きしようと思いますが、愛知外務大臣は、日米共同声明についての説明をアメリカでされましたときに、その中で沖繩の基地は、復帰後は本土と同様にすべて安保条約に基づく施設区域として地位協定に従い日米間の合意によって使用を許される、したがって既存の米軍基地がそのまま既得権として存続するのではないと説明されました。これは地位協定に基づく日米間の合意が成立しなかった基地はすべて撤去する、こういう意味でありますか。
○愛知国務大臣 そこにいまおあげになりましたそのとおりで、きわめて私は明確だと思います。それ以上別につけ加えて御説明するところもないと思いますけれども、なお御不審の点がありましたならば、御質疑を続けていただきたいと思います。
○松本(善)委員 合意が成立しなかった基地は撤去をするということになるかということです。
○愛知国務大臣 裏から言えば、合意が成立したものを日本政府といたしましては提供する、こういうわけでございます。
○松本(善)委員 じゃ、こういうふうにお聞きいたしましょう。奄美の協定や小笠原の協定では、基地提供の手続が終了するまではそのまま使わせる、いわば占領状態を引き延ばすという協定が入っているわけです。そういうことはするのかしないのかということをお聞きしているわけであります。
○愛知国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、そういう点についてはいま少し時間をかしていただかなければ、現在の時点で協定上はこういうふうになりますということを、これは協定でございますから、私がここで自分の希望的意見を申し上げましても、相手のあることでもあり、またこれは全国民の非常な関心の的の問題の一環でございますから、私としては真剣に慎重に、いずれ政府として全力を今後とも続けてまいりまして、形が煮詰まってまいりましたときに御説明することにいたしたい、またそうしなければならない性格の問題であると思います。
○松本(善)委員 外務大臣、そう言われますが、もしそういうことについても答えないということになると、土地の所有者の承諾を得ないまま基地としてそのままアメリカ軍が使っていくということはあり得るということになるんですよ。あるいはその前に地位協定に基づいて土地収用をするのか、そういうような問題もありますけれども、いまの外務大臣のお話でいけば、政府も同意しない、土地の所有者はもちろん同意しないというような場合であっても、そのままアメリカ軍が占領の継続として基地を使用していくということがあり得る、まだそこは詰まってない、話ができないということになれば、そういうこともあり得るというふうに考えざるを得ない。そういうこともあり得るのですか。
○愛知国務大臣 日本政府が合意しないものを、返還後に占領の継続だといって提供させられるなどということが一体考えられるでありましょうか。これは施設区域を提供するのは、日本政府が合意しなければできないわけですね。それから日本政府が施設区域を提供するという場合に、これが民有地でありますれば、地主の承諾というか納得といいますか、そういうことがなければできないのが、これもまた通常の考え方である、そういう点を十分踏まえまして、そして現に沖繩がアメリカの施政権下にある、そして一九七二年の某月某日を期して、その瞬間に完全に日本の本土並みになる、ですから、それまでの間には諸般の準備をすっかり整えて、そして某月某日に完全に本土並みになるような一切の制度、法制、そして実質的に関係者の協力、理解、納得ということが完全にできるようにする。これは、ことばで言うことはやさしいけれども、実際上は手続その他でずいぶん手の込んだ仕事でなければならない。これを扱ってまいります私どもの気持ちとしては、松本さんがいろいろお考えになっております、おなかの中にあることは、私も十分お察しをしながら返還協定についての批准国会等におきましては、政府としては十分御納得ができるような御説明をしたいと思って、ねじりはち巻きで努力しているところであります。
○松本(善)委員 私は返還協定について、いろいろさらにお聞きしていきますが、前提として総理大臣にも外務大臣にも聞いておいてもらいたいと思うのは、批准国会と言われるけれども、そうなったら修正はできないということを、本委員会でも政府は答弁しているわけです。いま問題があるならば、これはこうしなければならないということを、はっきり国民の意見を聞かなければならない。そしてそういうことで考えますと、この予算委員会が終わりますと地方選挙もあるということになると、実際上沖繩返還協定の問題を政府が締結するまでに論議をするのはこの国会だけなんです、この予算委員会だけなんです。だから、私は総理大臣も外務大臣も、これは非常に重要な機会だということをお考えになって、正確に答弁をしていただきたいと思うのでありますが、いまの点でいいますならば、土地所有者の——いまの愛知外務大臣のお話でいうならば、所有者の承諾を得ないまま基地として提供するということは、通常考えられないと言われました。これは、所有者の承諾なしに沖繩において基地が提供されるということはあり得ない、こういうふうに伺ってよろしゅうございますか。
○愛知国務大臣 日本政府として、先ほど申しましたように、安保条約の目的に適合するような施設、区域ならば提供しなければならないと考えるわけですが、同時に、現にある基地の中で沖繩県の民生の安定、向上のために、これを使えば非常によろしいと思うようなところは、やはり基地を整理をしていかなければならない、こう考えているわけでございます。日本政府として、この施設、区域の提供は国益のため、本土と同様の立場に立ちまして、これは提供すべき施設であるということについては、私は、関係の地主の方々なども十分御協力がいただけるもの、こういう前提に立って考えてまいりたいと思います。
○松本(善)委員 私は、かなり具体的にお聞きをしておるわけでありますが、本土の場合には、これは、提供する場合に政府が所有権を取得しないで——地主の承諾もしくは土地収用というようなことで所有権を取得しないで提供をするということはあり得ないわけです。いま外務大臣は、本土と同じようにということを言われましたけれども、本土と同じようにこれをやられるというならば、必ず承諾を得るか、あるいは手続的にいうならば、土地収用という手続をしなければ提供できないということになります。そういう関係のものとして認識をして、この沖繩の基地の問題を処理をしておられるかどうか、この点をお聞きしたいわけであります。
○愛知国務大臣 政府として、先ほどのおことばを返すようですけれども、返還後においても、占領が継続しておるなどというような考え方が、少しでも残るようなことなどは全然考えておらぬわけでございますから、本土並みに復帰される沖繩のこれが一番いい状態である、そしてそういう観点から施設、区域の必要性のあるということが認められるようなところについて、関係の方々が御協力いただけるもの、そういうふうに私は考えて、またその御協力がいただけるような限度と言いますとことばはいかがかと思いますが、そういうことで十分これからの仕事を煮詰めてまいりたいと思っておるわけであります。
○松本(善)委員 私の質問はかなり端的なつもりなんですけれども、外務大臣なかなかお答えにならないということは、非常に心配せざるを得ないわけです。 私は、あらためて端的にお聞きいたします。政府が同意なしに——地位協定による同意の手続が済まないのに、基地が提供をされるという、基地の使用を継続されるということはないのかどうか、これが第一点です。 それから、第二点は、所有者の同意なしに基地が提供されるということがあり得るのか、どうか。この二つについて明確にお答えをいただきたい。
○愛知国務大臣 繰り返すようになりますけれども、私としては、いままで申し上げましたような基本的な考え方によって処理をしていきたい。それからもう少しこまかく入っていきますと、いろいろまた御議論があろうかと思いますけれども、本土並みにやっていくわけでございますから、地位協定は、もちろん何らの変更なしにかかりますし、それからまた提供すべき施設、区域に関係する本土における法律、その他本土における法令等が、本土と同様に適用されるということもまた当然であると、かように存じております。 〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
○松本(善)委員 外務大臣は、私が聞きました地位協定に基づく政府の同意なしに基地が提供されるかどうかという問題と、それから所有者の同意なしに提供されるのかという問題についてはっきり明示をしてお聞きをしておるにもかかわらず、その点についてお答えにならないということは、これは土地の所有者の意思は無視をされる。もしそういうつもりがいささかもないならば、はっきりと土地の所有者の意思を無視して基地が残るというようなことはあり得ないということをはっきり言われるべきです。にもかかわらず、言を左右にしてその答弁をされないということは、その危険がきわめて大きいということを考えざるを得ません。私は、この点については、外務大臣は口を引き裂かれても言わないというつもりではないかと思うぐらいに一言も言われない。これは沖繩県民にとっては非常な疑惑であります。しかしこの場においては、私はこれ以上押し問答してもお答えにならぬのではないかと思いますので、次に進みたいと思います、もしお答えになることがあればお答えいただきたいと思いますけれども。 一日の本委員会で外務大臣は、安保条約に基づく事前協議については、その考え方を必要な限度で協定に書くべきかどうかという点が、この返還協定作成の一つの主要な事項になる。事前協議の問題を協定に書くべきかどうかということが返還協定作成の一つの主要な事項になる、どう書くかは検討中だけれども、従来の協定、交換公文、了解事項がそのまま沖繩に適用するという趣旨をはっきりさせることになるという趣旨の答弁をされました。事前協議の問題についてどういうふうに協定に入るということでございましょうか。
○愛知国務大臣 まずさきのくだりでございますけれども、私は、現在どういうワク組みでどういうふうな処理の方向をとるべきかということについて、技術的にも法制的にもいろいろ考えておりますから、ただいま冒頭からお断わりいたしましたように、いまこまかい点までまだ申し上げる段階ではないと言っておるのでございまして、これは追って沖繩の方々、松本さんをはじめとして全国民の方々に、私は御納得のいけるような十分な御説明ができるようなものを必ずつくり上げてごらんに入れたいと、かように存じております。いま仮想に、それこそ先ほどもいろいろ東京都の問題で御質疑があったようでございますけれども、こういう大切なことには、言うべからざる段階においては言うべからざることのほうがほんとうの責任をとるゆえんである、私はかように考えております。まだ言うべきときではございません。 それからその次にお尋ねになった点ですが、これは私もそれでは速記録を調べてみましょうが、もしお述べになりましたとおりに速記に載っておるとすれば、私の言い方が、多少、何といいますか、意が十分に尽くし得なかったと思います。私の申し上げたいのは、この安保条約並びに関連の取りきめが何らの変更なしに沖繩に適用されるのであるということは、一つの考え方からすれば、もう共同声明で実にはっきりしておるのであります。同時に、憲法をはじめ、一切の法令、条約、これに関連するものが沖繩に適用されるのだ、本土並みに。そういうことが協定にはっきりするということもまたりっぱな一つの方法でございましょう。いずれにいたしましても、事前協議が全く本土と同じに適用されるということは、もう当然、自明なことであります。このことにいささかでも疑いを生ずるかのごとくおとりになったといたしますならば、それは私の真意ではございません。言い方が少しまずかったかと思いますから、その点は私も速記録を調べてみますが、ただいま申し上げたとおり、これが私の真意でございます。
○松本(善)委員 少し角度を変えてお聞きしょうと思いますが、本委員会で総理大臣も外務大臣も、沖繩返還はいわゆる核抜き本土並み、七二年返還というワク内で行なわれるということをしばしば答弁をされておる。これは日米共同声明の六項、七項、八項に当たるわけですというふうに、総理大臣や外務大臣は言われております。この趣旨は、日米共同声明の六項、七項、八項、いわゆる核抜き本土並み、七二年返還という趣旨は、返還協定に書き込まれるでありましょうか。
○愛知国務大臣 これは、たびたび申し上げますように、本土と全く何らの変更なしに一切の条約が適用されるということがあれば、もうそれ以上協定というようなものについてさようなことを取り出してまた書く必要もないことではないだろうかと、私は一応考えておりますけれども、なお御意見等のありますことは、十分にひとつ私も謙虚に御意見は伺ってまいりたいと思います。
○松本(善)委員 私は書けということを言っておるのではなくて、事実の経過を国民に報告をしてもらいたいということを言っておるのでございます。小笠原の返還協定の場合には、その前文に佐藤・ジョンソン共同声明で合意をしたので協定を結ぶという趣旨の文言が入っておるのであります。沖繩返還協定の場合に、そういう一昨年暮れの佐藤・ニクソン会談での日米共同声明のワク内での返還というようなことが書かれるのだろうかどうか、この点についての政府のお考えをお聞きしたいと思います。
○愛知国務大臣 これもおしかりを受けますけれども、まだ条約のいわゆるワーディングといいますか、文言等についての協議のところまでいっておりません。しかし、先ほど申しましたように、平和条約第三条に淵源しているというか、因由しているところの考え方で沖繩返還協定もつくるべきであると考えておることと、それから今度の場合の中心の問題でありますところの、安保条約に何らの変更なしに適用されるというこの佐藤・ニクソン共同声明のこの大切なくだりというものが、先ほどもいろいろの御意見がございましたが、そういう点を十分頭に入れて、条約の一方においては技術的な作業に、専門的な作業にもゆだねなければならないところがあると思いますけれども、政治的に最高の両国の首脳間で完全に合意されたこの基本線というものが、この協定におきましても完全に裏打ちされるような、そういう趣旨の協定にすべきであると、かように存じております。ワーディングはいろいろ考えるべきことであると思います。
○松本(善)委員 日米共同声明に裏打ちされる返還協定ということが明確になるような協定にする、こういう趣旨でございますか。
○愛知国務大臣 条約文のその形として、いろいろの文言の使い方というものは考えられると思います。共同宣言というような字句が適当である場合もありましょうし、さらにそれよりよい表現もありましょうし、その辺のところは今後とも十分に検討してまいりたいと思います。
○松本(善)委員 私は、これは文言というだけではなくて、この日米共同声明ということが、どういう関係を持ってこの沖繩返還協定の中に入ってくるかということは、非常に重大な問題ではないかと思う。入るのか入らないのか、入るとすればどういうふうに入るのかということをお聞きしておるのでありますが、その文言といいますよりは、日米共同声明のワク内でやっておるのだということを盛んに政府は言われるのでありますが、これは入れないという方針であるか、それとも入れるという方針であるか。入れるについてのいろんな文言その他を検討しておる、こういうことであるか。その点についてお聞きしたいと思います。
○愛知国務大臣 いま申しましたことにつけ加えること私はないと思うのですが、両国最高首脳の間で合意されたこの共同宣言に盛られていることが十分に協定の支柱である。そのことが条約上においてはっきりすることがベストであると考えております。そのために——私は技術的なと申し上げたのはそこなので、そのためには条約文としてはどういう形がそのベストであるという考え方に応じてベストの形であろうかということをあらゆる角度から検討いたしておるわけであって、そして現在第一条あるいは前文をこうこうこういうふうにするがよろしいと思いますと申し上げられる段階にまだ政府としてもきめておりませんし、また日米間の合意の段階にも達しておりませんから、まだ申し上げる段階ではないということを先ほど来申し上げておるとおりでございます。
○松本(善)委員 角度を変えてちょっと聞こうと思いますが、日米共同声明は法的拘束力はないと思いますが、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 この点もしばしば申し上げておりますように、共同声明というのは、法的にとおっしゃっておりますが、法的にという意味からいえば拘束力はないということが言えましょう。同時にこれが共同声明の中で、沖繩返還の問題については双方は、立法府の支持を得て云々とあるところにも、その点に関連があると思います。しかし政治的には、両国の政府の最高首脳が合意をされて内外に堂々と発表せられたものでございますから、そういう意味におきましては、私は、政治的には大きな拘束力があると言うと、またいろいろそれからそれへと御論議の種になりましょうから、何ということばを使っていいかわかりませんが、そういう意味においてはたいへんな効力があるものであると、私は常識的にかように申し上げておきたいと思います。
○松本(善)委員 外務大臣、共同声明の説明の中で、沖繩返還は、返還協定によって、日米両国の国会の承認を得て法的にかつ最終的に取りきめられるが、この共同声明に盛られた事柄は政治的、道義的な力を持つものである。外務大臣の言によれば、やはり説明ですが、これは日米共同声明は双方の政策と方針を記録にとどめたものだと言われております。これが返還協定に盛り込まれた場合に、共同声明は政治的、道義的な力からどういう政府をも拘束するような法的拘束力を持つということになるんではないかと思います。総理大臣、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 いまのお尋ね、ちょっと私に受け取りかねたんですけれども、これはアメリカと日本と制度も違いますし、日本はもう世界に冠たる議会主義、民主主義の国ですから、一切の条約、協定、名前はどうであろうとも、国会の御承認を受けるという、私はたいへんよい制度であると思う。しかしアメリカのほうは、まあどういったらよろしいのでしょうか、行政府と議会との間のお話し合いによって、これは行政協定として扱おうとか、これはどういう方式で承認をしたことにしようとかいうことがあるようでありますので、共同声明の上でも日本だけの立場からいえば国会の承認を得てと、こういうふうに書きたかったわけですけれども、アメリカのほうの御都合からいって、立法府の支持を得てという字がわざわざ使われておるくらいでございますが、いずれにしてもアメリカ側が立法府の支持を受けたということが確認されるならば、そして日本で国会の御承認を受けて、そして条約の扱いとして批准の交換ということになり、そして条約できめました効力発生の時期ということが合意されたとすれば、そこであらゆる意味で両国を政治的にも道義的にも法的にも拘束力というものが完全に出てくるということは、あえて私が申し上げるまでもない自明の理ではないかと思います。
○松本(善)委員 共同声明が返還協定に盛り込まれた場合には法的にも拘束をするという答弁と受け取りましたが、間違いありませんか。
○愛知国務大臣 これはやはり仮定の問題でございまして、返還協定がどういう文言になるかということについては、まだ政府としてはお話を申し上げる段階ではないんでございます。いまのお尋ねは、共同声明全文が協定になるようなお尋ねでございましたが、仮定の事実ですが、もしそういうことになれば、それは当然お話しのとおりだと思います。
○松本(善)委員 そうすると先ほどの、ちょっと前の御答弁によりますと、共同声明に盛られていることが協定の主柱である、このことが条約上はっきりすることがベストであるという趣旨のことを言われました。共同声明が法的拘束力を持つというようになることがベストである、こういうふうにお考えになっておるわけでございますか。
○愛知国務大臣 そういうふうにおとりになったでしょうか。何かそうすると、私の言ったことは共同声明そのまま条約にするというふうにおとりになったとすれば、それは誤解でございます。そこまではまだきめ切っておりません。私の申し上げたいのは、このきまった共同声明の眼目、その核心がこの返還協定の精神で貫かれているということがたいへん大切なことであると申し上げたのであって、文言をどういうふうな文言にするかということは、その趣旨に沿うように専門的、条約的な知識も十分活用し、かつ日米間で大いに知恵をしぼり合ってよいものにしたいというのでございまして、私の申し上げたことをそういうふうに断定的におとりになるのは、私としては本旨ではございませんから、その点は御了解願いたいと思います。
○松本(善)委員 共同声明全文が条約になるというような協定は考えていない。それはそうでしょう。そうでしょうが、この共同声明の趣旨が十分に生かされるような協定にしたい、しかもそういうものが、文言が入れば法的拘束力を持つということになりますと、これはたいへん大きな問題でございます。 木村官房副長官がこういうことを言ったことがあります。六九年の十二月三日に「日米首脳会談を終えて」ということで国民政治研究会で講演をされた。その中に「沖繩を安保条約適用の対象に組み入れたことによって、日米安保という一つの条約機構は、確かにホーンが高くなった。そこをとらえていえばまさに本土の沖繩化という表現も、ある意味では正しいと思う、」こういう講演をしておられます。私どもは前から本土の沖繩化だということを主張してきました。それは安保条約の内容が日米共同声明によってその運用が規定をされるということになってくるからです。それが法制化されて、佐藤内閣だけでなくてこれからどのような政府が生まれようとも、この日米共同声明によって安保条約の運用が規定をされていく、それが基準になっていく、これが法的拘束力を持っていくということになると、これはたいへんなことであります。政府は特別取りきめはしないということを言ってこられましたけれども、この協定そのものが、もし日米共同声明に基づきとか、あるいは日米共同声明の精神を生かしてとか、そういう文言が入っていくならば、まさにこれが特別取りきめであります。まさに安保条約の改定であります。私ども日米共同声明が発表されて以来、これは日米安保条約の実質的改定であるということを言ってきました。それでジョンソンの背景説明も出、それからサイミントン委員会の秘密聴聞会の議事録も公表されて、この内容が実に危険なものであるということがだんだん明らかになってきております。これはいま申されたような日米共同声明との関係が協定の中に書かれていくということになれば、これから出てくる政府をすべて拘束する、そういうような安保条約の改定になる、実質的改定でなくて改定になる、特別取りきめになる、安保条約の特別取りきめになるというふうに考えられませんか。
○愛知国務大臣 まあ率直に申しますととんでもない御意見だと思うのです。というのは日米安保条約、いまここでわざわざ読むまでもないと思いますけれども、安保条約の前文、第一条等々におきまして安保条約の目的とし、またその性格としておりますことを何らの変更なしに沖繩にアプライしよう、これが本土並みである、そしてその趣旨が、今後の協定等においても、そこが十分に盛られるようにするのが、私のいわゆるベストであると、こう申し上げておるのでございます。 それからまたよく昨年来御意見が出ますけれども、事前協議に対する解釈にしましても極東の地域に対する解釈にいたしましても、従来から一九六〇年以来、私は一々ここに例を示してもいいと思いますけれども、歴代の私の先任者等も、あるいは歴代の総理大臣も、事前協議については、事前協議というからにはイエスもあるしノーもあるということはもう政府の従来からの確定した解釈であって、安保条約の変質論であるとかあるいは本土の沖繩化であるとかいうことに対しては、私はさようなことは絶対にないんだ、ことにそういう考え方を前提にして返還協定が安保条約の変質であり、安保条約を改定するんだというようなことは、まあこれは広く国民的に私は論争をいたしたいと思いますが、私は断じてあなたの御意見には賛成することはできません。
○松本(善)委員 私は別に私の意見に賛成をしてもらおうということではなくて、事実を正確に国民に明らかにしたいと思っておるのです。 いま外務大臣は、もし共同声明の内容が協定の中に入ればこれは法的拘束力を持つということを言われました。共同声明がいまの段階ではもちろん法的拘束力はないということははっきり政府も言っておる。この法的拘束力を持つということになった場合と持たない場合と、何が同じですか、この違いを指摘していることが何がとんでもない意見ですか。違いはないのですか。日米共同声明の文言が法的拘束力を持つというのと、持たないというのと、違いがないのかどうか、お聞きしたいと思います。
○愛知国務大臣 どうも少し議論のための議論ではないでしょうか。私率直に申しますが。というのは、私の見解は、日米共同声明というものは、性格において、使命において、目ざすところにおいて、日米安保条約の本体と何ら変わるところはないのです。これが一つです。それからその次には、仮定の問題として、共同声明そのものを条約にした場合にはそれは条約としての効果があるだろう、それはそのとおりでございますと言っているので、かりにそうなったって、前段の内容が同質のものであって何らの変更がないものがかりに条約になったって、何ら変わるところはないではございませんか。私は、ですから、率直に申しますけれども、ちょっと御質疑が論議のための論議のように思えてなりません。
○松本(善)委員 論議のための論議どころではなくて、これは佐藤内閣がかわっても、将来の日本の政府をすべて拘束することになるかどうかという、たいへんな問題であります。あなたは基本的なワク組みの中だというふうに言われますが、明らかに安保条約の運用についての質を変えております。これは先ほど申しました木村副長官の講演でも明らかです。たとえばその六、七、八項について、これは入ったほうがいいと言われておりますけれども、この中には、アメリカ側から見るならば、六項は、沖繩における日米両国の安全保障上必要な軍事基地の米国による保持、これを規定をしております。七項は、米国の極東諸国に対する防衛条約上の義務の効果的遂行の妨げとならないことを規定しております。サイミントン委員会の議事録によれば、この防衛条約上の義務の効果的遂行の中には、核兵器の使用も入るかもしれないということがいわれております。八項は、事前協議制度に関する米国の権利の留保を規定しております。こういうことが協定の中に入っても、そんなことを心配するのはとんでもないと言えますか。これが法的拘束力があるかないかということは重大問題ではありませんか。総理大臣どう思われますか。まあ総理大臣、外務大臣のあとでもいいです。
○愛知国務大臣 お答えいたします。 そうすると、安保条約は日米両国を完全に拘束しているというか、私どもはたいへんけっこうな条約だと思って、これをずっと継続していきたいと思っているわけですが、安保条約は廃棄すべきであるという御所見の上に立っての御意見だと私は思うのです。私はさっきも、たいへん失礼ですが、わかりやすく申し上げたつもりなんで、この沖繩返還協定の中にかりに共同声明が、仮定の事実だけれども全部入ったって、私は政府の解釈は、安保条約が何らの変更なしに沖繩に適用されるんだということなのであって、これは安保条約を変えるものでも何でもないのだと申し上げているわけです。 それからサイミントン報告のお話なども出ましたが、これはサイミントン委員会の議事録等につきまして、私はその後、昨年の九月十何日ですか、国連の一般総会に出ましたときに、ジョンソン次官、これがわざわざ私を宿舎にたずねてくれて、そのときの経緯また自分の言い方が日本の新聞、国会等で問題になったくだりに触れまして、いろいろの話を聞きました。そのときにも彼がはっきり私にも申しておりますことは、この共同宣言を発表されたその直後に、あなたが自分の名において解説をされた、このことに一点の疑いもございません、御必要ならば、自分がそういったことをクォートされてもいいというようなこともございましたが、御参考までにちょっと触れておきたいと思います。 そしてそのことは、アメリカはたとえば米韓あるいは米華との間に条約上のコミットメントを持っている、しかしそれだからといって、日本政府が安保条約によってイエスということに自動的にならないのは当然であって、これは日本は米華条約に対しての義務を負っているわけではないのであります。これは日本の安全、日本を含む極東の安全ということからいって、日本としてこれはたいへんだというようなときに、その認識のもとに態度をいずれかに決すべきであるという当然のことがこの声明にあらわれており、そして日本国としては当然のことを総理大臣がプレスクラブの演説の中でもふえんされておるのであって、この点は政府としては一貫して明白な立場であるし、また米韓、米比条約との関係に御言及になりましたけれども、その点もきわめて明確であるということをあらためてこの機会に申し上げておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 外務大臣からたいへん詳細にお答えいたしたので、私からあまりつけ加えるものはございませんが、この際一言明確にしておきたいのは、現在あるアメリカの基地と、これからできるであろうという心配のアメリカの基地、この二つがあるだろうと思います。これはもうはっきり分けて問題を考えないと、混淆して考えるとずいぶん疑問が出てくる、かように私は思います。いまありますものでも、これが先ほど来はっきりしたように、これは占領中にアメリカが基地を自由につくった、そういうものについて、もう不要不急のものはとにかくその基地をやめよう、こういう整理の方向でいろいろ取り組んでおる。しかしいまこの段階でどの基地はなくなるとかどうこうということは言えない。これは先ほど来の外務大臣の答えであります。また将来新しい基地ができる、こういう場合になったら、これはもう明らかに事前協議の対象ですから、私どもが本土における基地と同様に処置していく、こういうことになってくるわけでありまして、その辺は混淆しないようにお考え願いたい。そしてただいま本土の沖繩化というような心配は全然ない。また本土に核の持ち込みも許さないというこの厳然たる態度、その態度は沖繩に対しましても、これから沖繩が祖国に返ってきたら直ちにそれが適用される、かように思いますので、その点でも不安はない、さように御了承いただきたい。これを先ほど来外務大臣は、いろいろといま折衝の段階ですから、はっきり申し上げてどれがどうだ、こういうことが言えないから、先ほど抽象的なお話をしておった、かように思いますが、基本的な態度ですから、その点だけははっきりしておきたい。本土並み、核抜き、七二年返還、これが六、七、八項、いわゆる共同声明でそういう点が出ておるのだけれども、それを心配らしく新しく基地ができる、こういうような意味におとりになると、なかなか範囲が拡大されて、御心配もいろいろと次次に生まれてこよう、かように思いますが、ただいま申し上げるような状態です。
○松本(善)委員 やはり予算委員会の論議というものは、ただ、いままで言ったことを繰り返すのではなくて、国民の代表として国会議員が聞いておるのですから、それにやはりかみ合うようにやっていただきたいというふうに私は思います。 それで私は、総理としてお聞きしたいのは、いま外務大臣は日米共同声明が条約の中に入るということになれば、それは法的拘束力を持つということを言われました。外務大臣は仮定の問題だと言われるけれども、私は、とうてい仮定の問題ではないと思います。これはもうすぐ調印が目の前に迫っている重大な問題です。その議論を前提にして総理大臣にお聞きしたいのは、総理大臣、それじゃ日米共同声明が法的拘束力を持つというようなことになるということは一切しないということを、ここでお約束いただけますかどうか。
○佐藤内閣総理大臣 ちょっとお尋ねが私に取りかねるものがございます。これは今回の返還協定、これで新しいものが生まれる、こういうことのないことだけははっきり申し上げていいと思います。したがって、いわゆる法的拘束力を持つにいたしましても、在来から持っておる日米安保条約並びに地位協定、そういうものに変更を与える、こういうものでない、かようにお考えになっていいんじゃないか、かように思います。
○松本(善)委員 もう一度お聞きしましょう。日米共同声明の内容が法的拘束力を持つというようなことに決してならないようにする、こうお約束いただけますか。
○愛知国務大臣 これは総理からも御答弁があると思いますが、私は返還協定の衝に、微力ですが、ただいま当たっておりますが、その者の立場から申しまして、さようなお約束なんかはとてもできません。
○松本(善)委員 これは私はたいへん重大なことだと思います。これは総理大臣や外務大臣は何でもないことのように言われますけれども、政府を拘束していくのですよ、法的拘束力を持つということならば。そんな約束は一切できぬとここで明言をされました。そうしたらそういうことが入るという可能性がある。それがそうなった場合にどんなに日本の国民が、佐藤内閣や自民党の政府が変わっても、将来ともあの運用が、あの内容が効力を持っていくということになったら、これは日本の国の進路に関し、民族の運命に関する重大な問題です。 私はもう一つの重大な疑問というものを提起をしておこうと思います。この共同声明の六、七、八について私はお話をしてきましたけれども、五項についてこういうことがあります。愛知外務大臣の説明によれば、これはいわゆる安保堅持のことをきめたものでありますが、外務大臣の説明によりますと、条約の廃棄権を制限をして条約の有効期間を固定するがごとき、法的合意でないことは多言を要しない、ということがアメリカでの説明で言われております。ところがこのジョンソンの背景説明、これはサイミントン委員会の議事録の公表によりまして、公式なものとなったということが明らかになっております。これにつきましてはどういうふうに言われているかというと、「次に第五項ですが、ここでは安保条約を事実上無期限に継続するという両国政府の意図の表明に注目したい。これは安保の無期限継続の意図について、両国政府による初めての公式の再確認です。御存じのとおり、安保条約は一九七〇年六月二十三日以降アメリカが結んでいる他の条約の多くと同様、廃棄条項を持つことを定めています。いずれかの政府が廃棄の行為に出ない限り条約は無期限に継続されます。そのようにすべきだとの両国政府の意図の表明がなされたわけです。」、これがジョンソンの背景説明であります。万々が一にもこういうことが条約にうたわれるようになった場合——日米共同声明に基づいてとか、日米共同声明との関係を入れないというようなことは絶対約束できないというふうに言われたわけですから、そういうふうになった場合に、一体この解釈は、五項の解釈は一体どういうことになるだろう、愛知外務大臣、説明していただきたいと思います。
○愛知国務大臣 第五項については、安保条約の第十条によって期限が一応来たわけであります。それに対して一年の双方からの予告期間をもって廃棄することはできるという条文がございますが、両国政府ともただいま廃棄権を行使するというような意図はない。その意図が表明されている。その意図の表明は、日本国政府としては六月二十三日に政府声明を出しておりますことは御承知のとおりでありますし、表現は多少変わるかもしれませんが、サイミントン委員会でジョンソン君が言っておることも、その趣旨において変わるところはございません。これは安保条約それ自体を改定するものではございません。廃棄権について何らかの別の約定をするということであれば、安保条約の改定になりますから、そういうことを言っているわけではございません。 それからそれに関連して、また先ほどの御意見に戻ったところがありますから、私も念のために一言いたしますけれども、私は先ほど来いろいろ言っておりますように、協定の案文についてまだ私は申し上げるまでのところにいっておらぬということをまず一番の大前提としてお考えをいただきたいと思います。したがって、現在どういうことを書けあるいは書くなということについて、いまの段階でお約束はできない。できないというのは、これは全体の一般的な原則論としてお答えをいたしたわけです。 それからこの共同声明の全文を松本さんは協定にするかのごとき、まあ仮定の上に立って御議論を展開されておりますけれども、私が強調しておりますのをもう少し具体的に申しますならば、沖繩には一切の条約や法令が何らの変更なしに、本土並みで返還ができるということが、共同声明の眼目だと私は思うのです。その眼目というものが今後行なわれる返還協定においての一番大切なことであると、かように考えております。 それからもう少し別の角度から申し上げますならば、この協定というものが、ほかの条約にもいろいろそういう例はございますが、こうこういうプロセスにおいて話し合われたようなことを経過の上に踏まえてこの協定ができたのであるというようなことが、たとえば前文などに出ましても、条約の内容の拘束力という点からいいますと、これはいろいろの角度から見なければならぬものがございますから、そういう点を十分踏まえて、私からいえば一番大切な、何らの変更なしにあらゆる条約、法令等が本土並みになるという共同声明の一番眼目が、この協定つくりの際の一番の主柱になればよろしい、これがベストである、かように考えているということを私は申し上げているわけでありまして、こういう点は私の申しておりますこともよく含味していただきたいと思います。
○松本(善)委員 外務大臣が一つ実のあることを言われたのは、前文に書いても必ずしもそういうことになるかどうかという問題があると言われた。これは前文に書くのと条約本文、協定本文に書くのとは違うでしょう。違いますが、前文に書き入れられたら、これを変更するということは、やはり新たなる条約が要る、そういう拘束は持ってくる。そういうような関係の問題であります。私はきょうの外務大臣の説明を聞き、それから総理大臣の答弁を聞きますと、これはまことに重大な問題であるというふうに思います。 ジョンソン国務次官の背景説明のことを先ほど申しましたけれども、五項の問題だけでなくて、沖繩における核再持ち込みの問題、沖繩からの核兵器の使用の問題、沖繩における核の貯蔵する権利の問題、こういうところを随所に触れております。韓国の安全に関しては、事前協議に関する肯定的かつ敏速な態度決定の方針、これは総理は前向きのと言われましたけれども、英文ではポジティブリーとなっている。これは明らかに肯定的、英文では肯定的ということであります。こういうことも入っている。こういうことがそういう拘束力を持つ、単なる声明だけにとどまらないで、協定の中に入って国会の批准を得るということになったら一体どういうことになるか、これが沖繩返還協定問題の最も重大な問題だろうと私は思います。こういうことになれば日米共同声明はもちろんですけれども、ナショナル・プレス・クラブにおける総理大臣の演説、外務大臣の説明、ジョンソン国務次官の背景説明、サイミントン委員会の議事録、すべてにわたって一字一句検討しなければならぬということになってくるのですよ、これが協定の中に入ってくるということになると。それは今国会でやるべきことではありませんか。締結してしまったら、前文であろうと入ってしまうならばこれはあと修正できないと言った。これは日本の国民の将来をほんとうに拘束をする重大な問題です。公然と日米共同声明を協定にうたい込む、こういうことは場合によっては政治的な謀略と言ってもいいと思うのです。私はそういうような秘密外交の危険というものをほんとうに痛感するのです。私はすぐ、詰まっている、もうでき上がった協定、その協定を調印する前に今国会に示される、そして論議を尽くされるということを要望してやみませんけれども、総理はどういうふうに思われますか。
○高辻政府委員 ただいま外務大臣の御答弁に関連して一つわかったということを御指摘になりましたが、前文の中に佐藤・ニクソン共同声明を引用したからといって、その中身が法的拘束力を持つというふうに即断するのは少しいかがかと思います。やはりこの佐藤・ニクソン共同声明によって沖繩の返還がきまった、そういう政治的な背景の上に立って法的拘束力を結ぶのが協定そのものでございますから、その中に引用されるか引用されないか私は知りませんが、引用されたからといってその中身が全部法的拘束力を持つことになるというのはいかがかと思います。 また、この共同声明の中のことは十分に御承知のとおりに、これが法的拘束力を、中身自身、文言自身、意味自身がそういうものを持つにふさわしいものであるかどうかということも疑問でございますけれども、それが政治的背景としては十分な意味がありますが、それが引用されたからといって、すべてがそのままに法的な力となって転嫁していくというのは確かに大いに疑問のあるところでありまして、その日米共同声明の中身を今度は条約という形で実現していこうというのが協定の主眼だと解するのが当然ではないかというふうに考えるわけでございます。
○佐藤内閣総理大臣 いまの外交の問題ですから、政府がいろいろ折衝し、そして成案を得る。しかし、国家の最高機関である国会の承認がなければ批准ということにはなりません。ただいま承認するかしないか、これは国会が持っておる権限です。その点で私どももいたずらに多数の上に何もかもというような気持ちはございません。しかし、少数だけで反対されましても、政府が納得がいかないような反対ならば、私どもはやはり多数決の原理でその条約を成立さす、こういうのがいまのたてまえでございます。 先ほど来いろいろ御議論がございましたが、私どもは一貫して説明しておりますのは、いままで本土に適用されておる安保条約並びに地位協定そのものはそのまま沖繩に適用になる、性格は変わらない、こういうことでもう一貫して説明いたしております。十分成案を得た上は国会においても御審議を願いまして、何とぞ御承認のほどお願いをしておきます。ただいままだ早いのですけれども、この点をお願いしておきます。
○松本(善)委員 総理はこの委員会で、心配なことは何でも聞いてくれ、協定そのものについては何の心配もないと言われました。そして日本の新聞記者の諸君がこの危険な内容を察知していろいろ報道されておる。それに対しては外務大臣は、すべてこれは政府から出たものじゃないんだ、信用できるものじゃないんだというようなことを言われておる。私はそういう態度は非常に遺憾だと思います。いまわれわれが、国民の多くがこの協定について持っておる心配をなくすために、やはり明らかにすべきであるというふうに思います。 いま法制局長官が、本文と前文のことを言いましたけれども、これは私はここで議論をしようと思いませんが、これから国際法学者であるとかいろいろ議論をされるところでありましょう。これは入るか入らないかで同じだなんということは絶対ないですよ。そのことだけははっきりしております。そのことを承知の上で法制局長官がそういうことを言われると私は許せないと思うのです。法律家としても私は許せないと思います。 それで、ここの協定の問題についてはこの程度にしておきますが、もう一つ中国問題が非常に大事なんで少しだけお聞きしておきます。 総理大臣は、この中国との国交回復の問題につきまして、参議院の本会議でこういうことを言われました。「政府としても、郵便、気象、電信、電波、農業、畜産、衛生等に関する業務当局者間の取りきめや、航空機の臨時便の相互乗り入れ等の措置につきましても、北京政府が応ずるならば前向きに検討する用意があります。」こういうことを言われました。政府は政府間協定を——郵便でありますとか気象でありますとか、それから電信、電波とかそういうようなことは、これは政府間協定でなければできないと思います。政府間協定を結ぶという考えはないのですか。
○佐藤内閣総理大臣 私が参議院の本会議で説明した、その趣旨はそのとおりでございます。私はどういうような形でやるか、そこらは十分考えないと、まだ政府同士いまのところ接触がございませんから、そういう点でいろいろむずかしい問題もあろうかと思います。だからこそ、当方はそれだけの考えがあるが、北京政府もそれに応ずるならばとこういう条件がついておる、これはもう御承知のとおりであります。
○松本(善)委員 総理大臣、私が聞いておりますのは、政府として協定を結ぶとか、ここは、いま私が申しましたことばは、非常に慎重に、政府間協定ということばがないのですね。政府の間の取りきめというようなこと、たとえば航空機の乗り入れ協定であれば、政府間協定でなければとうていできませんが、そういうことが入っていない。政府の間で協定を結ぶとか、あるいは政府間接触と言われますけれども、政府として中華人民共和国を相手にして、そうして協定を結ぶという考えはあるのかないのか。これは中華人民共和国政府をどう見るかということに関係するわけです。だから、何かやられるように言われるけれども、しかし、ほんとうに政府間協定とかあるいは政府間接触というものをやる気があるのかどうかということをお聞きしておるわけです。
○愛知国務大臣 総理からただいまお話がございましたように、いまおあげになったような問題について、北京側でも応ずるという気持ちがあるならばこちらはそういう話し合いに乗る用意はある、こういう気持ちを示されたものでありますが、もう少し今度は具体的に考えてみますと、政府と政府、つまり政府が双方で代表を指名した者の間で調印をするというような形は、現在のところは国交関係がございませんわけですから、国交関係がない間におきましては、これは言うべくして行なうことは無理ではないかと思います。しかし同時に、双方にやる気があれば、たとえば実務岩間同士の何と申しましょうか合意書というようなものによってさような取りきめができることもあり得るのではなかろうか、こういうふうな考え方を持っているわけでございます。現在そういうものはございませんけれども、それに近いものは必ずしもないわけでもないかとは思いますが、要するにこれは、ただいま総理も言われましたように、政府間同士の接触ができるようにでもなりますれば、国交は国交として、こういう実務者間同士の間で何か便法的なやり方があるのならばというふうなところへ行き得ることもあろうかという、こういう何といいましょうか意図を抽象的に示された、こういうふうに御理解いただければけっこうかと思います。
○松本(善)委員 政府間協定はやらない、これは国交がないからだと言われますが、政府として認めないという日本政府の立場があるからこれはできないんじゃないですか。政府間協定ということは言えない、政府間接触ということも言えない、こういう立場ではありませんか。政府間協定を結べば中華人民共和国政府というものを認めるということになる、だからできない、それはやらない、こういう立場ではありませんか。
○愛知国務大臣 私は、いま申しましたように、事実関係として現在のところは正常な国交関係がございませんから、政府と政府との間の条約的なあるいは約定的なものは、いまの段階では事実問題としてやれと言われても双方とも無理だと思います。しかし事柄が、先ほど来あげられておりますようなことについて、先方もその気になり、こちらもその気でいこうというような環境ができますれば、私は、いま私のことばでは実務者間同土の話し合い、取りきめということばを使いましたけれども、そういうかっこうで何らかの取りきめや実行ができるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
○松本(善)委員 外務大臣、私がなぜこれをお聞きするかというと、何か相手のほうの態度が悪いからできないかのように言われておるけれども、そうじゃないんじゃないか。事実関係として無理だというふうなことを言われるけれども、日本政府の態度が、佐藤内閣の態度が政府間協定を結べるような立場にない。蒋政権を唯一の正統政府というふうに考えているということですから、政府間協定なんか結べる立場にない。このことをあたかも相手に責任があるかのごとく言うというのはまことに正しくない態度だと思います。それでは政府間協定を結べる立場、相手が応ずるならば政府間協定を結ぶという立場ですか。それは国交の回復であります。そういうことをするということがないにもかかわらず、あるかのように言うということは私は正しくない、だからはっきりさせたいということです。政府間協定を結ぶという意思はないんですねということです。
○愛知国務大臣 長年にわたる複雑なこの問題といいますか経過をたどってきた日中間でございますから、何らかの改善というものはどうしても考えていきたいと思うのが政府の立場でございますが、これも、きょうはだいぶ失礼なことを先ほどから申しまして、またこれを繰り返すことになって恐縮でございますけれども、やはりこういうような場合に一方の、向こうさんだけの言い分で、こちらがもう何も御無理ごもっともということだけで国益が守れるものかどうか。これは松本さんもそういう点もお考えになっていることと思いますけれども、政府といたしましてはそういうことも十分考えてまいらなければ、国民に対する責任というものも私はとり得ないのではなかろうか、こういうふうに思いますから、事実関係において現状のところともかく正常な国交がない、この段階において打開のできるところから双方相互の立場を尊重し内政に干渉しないということでまず政府間の話し合いができれば、そういうふうな環境の中でだんだんと問題が前向きに改善されていくのではなかろうか、政府としてはかように考えております。大多数の国民の方々もそういう考え方に期待を持っておられるのではなかろうか、私はかように存じております。
○松本(善)委員 いま愛知外務大臣が、双方からの考えに問題があるというふうなことを言われたけれども、これはやはり正しくないんですよ。はっきりその点を明らかにしなければならない。応じないのではなくて、政府間協定などということは、いろいろ郵便とか電信電話とか言われたけれども、そんなことはできない、政府として認めるという立場が佐藤内閣にない限りこれはできないことなんです。できますか。政府として認めるという立場をとるかどうかということです。ここの問題が、事実関係ではなくて政府の態度の問題です。それはやるのですかどうかということです。
○愛知国務大臣 事実関係をいま申しましたが、事実関係の中にも御承知のように、御利用いただいていると思いますけれども、日中関係には電話も通じておりますし、電信も通じておりますし、これらは政府間で協定をしているわけではないけれども実務者同士、気象についても相当に連絡はできている。こういうことをさらに改善し、さらに広げていくということは双方ともの利益ではなかろうかと私は考えるわけでございます。
○松本(善)委員 私のいま聞いておりますのは、政府としての協定はやらない、これははっきりしてきたようであります。そしてそれ以外のことはやる。しかし、政府としての協定をやらないということになれば、これは国交を回復をする意思がないということであります。政府としての協定ができなければ、これは国交がないということであります。ただ日中関係改善ということは言われるけれども、国交回復ということは一言も言われないというゆえんは、そこにあると思います。国交を回復をするという意思がありますか。中華人民共和国を正統な政府として認める意思がありますか。これを総理にお聞きします。
○佐藤内閣総理大臣 先ほどのお話ですが、北京放送を聞いていると、この放送についての注文は北京に対して手紙でもはがきでもいいから言ってください、必ずその一言がついておりますね。そのことを考えると、いま私ども政府の態度がどうあろうと、やっぱり交流はあるんですね、現在。だからそういう交流を深めていこう、これが私どもが本会議で説明したところのものです。これは日本共産党が四つの敵の一つだとかように言われても、松本君もいまのような状態はよろしくない、こういう立場から質問をしていらっしゃることだと、かように私は受け取っております。 ただいま、それではこの状態で直ちに北京政府を認めるか、中華人民共和国を認めるか、こういうことになると、そこにはまだまだもう少し時間がかかるんじゃないか、かように思っておりまして、そこはもっと慎重にやるつもりでございます。でありますから、しばしばお答えしたように、政府はこの問題には慎重に取り組んでおる、かように御了承いただきたい。
○松本(善)委員 総理大臣は問題をいろいろ別のほうにすりかえられましたけれども、中国問題でもやはりすりかえておる。中華人民共和国の側に責任があるかのように言うことは正しくない。この国交回復の問題については、あげて日本政府の側に問題があるのだということを私ははっきり指摘をして、そうして私の質問を終わります。
○中野委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。 この際、去る一月二十九日の石橋君の質疑の際の石原産業の件に関し、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤通産大臣。
○宮澤国務大臣 去る一月二十九日、当委員会において石橋委員が取り上げられました石原産業株式会社四日市工場の酸化チタン工場増設問題につきましては、名古屋通産局に命じまして当時の事情を調査させますとともに、本省におきましても鋭意実情調査につとめてまいりました。その結果、以下申し上げますような不行き届きを発見いたしまして、まことに恐縮に存じております。 最初に、このたびの問題の背景になっております工場排水等の規制に関する法律のたてまえにつきまして、簡単に申し上げます。 一般に工場の建設は原則として自由でございまして、工場排水規制法におきましても、許認可制ではなく、届け出制をとっております。すなわち、公害関係の特定施設の設置は届け出を要し、六十日間は着工、操業をしてはならないことになっております。政府は、この間に、公害規制の違反となるような計画につきましては、法律に基づき変更命令を出しまして改めさせることができるのであります。 御質問の石原産業の場合、増設に伴うPHの悪化が問題でございますが、当時は四日市海域につきましてはPHの規制がございませんでしたため、通産局として法律上の変更命令を出すことができなかったわけでございまして、いわゆる行政指導によりまして排水処理計画を改めさせる方法がとられたのであります。しかし、行政指導には強制力がございませんため、一たん届け出を受理いたしますと、六十日経過後には自動的に着工が可能となる状態でございました。 次に、調査の概要でございますが、当時の担当課長でありました鷲見裕彦、同課の課長補佐でありました森和男及び担当係員の杉本仁彦のほか、当時の関係職員から事情を聴取いたしますとともに、局内の文書、帳簿類及び工場からの提出文書などに基づきまして厳重な調査を行ないました。また、当時の名古屋通産局の局長、部長、総務課長につきましても調査をいたしました。 なお、一月二十九日、石橋委員がお読み上げになりました報告書、いわゆるメモにつきましては、工場に対し調査いたしましたところ、これは当時四日市工場の総務課長でありました後藤速雄氏が社内報告として作成したものであることは明らかになりましたが、その写しを入手することができませんでした。 以上の調査の結果、現在までに判明いたしました事情は次のとおりでございます。 第一に、酸化チタン製造設備の増設の経緯。名古屋通産局が四日市工場について調査いたしました結果、同工場の酸化チタン製造設備増設工事は、昭和四十二年十一月二十一日起工され、翌四十三年六月二十日に火入れ式を行なっております。このうち工場排水規制法の規制対象であります特定施設は加水分解施設及び洗浄施設でございますが、これらの特定施設は四十三年二月二十日から四月一日までの間に逐次着工されております。 第二に、届け出書の受理及び指導の経緯でございます。通産局に保存されております届け出書によりますと、四日市工場長から通産局長あてに、昭和四十三年六月十五日付で、工場排水規制法の第四条に基づく特定施設設置の届け出書が提出されております。同届け出書には、六月十五日付で通産局がこれを接受したことを示す印が押されております。また、通産局の総務部総務課の文書受付簿には、六月十五日付でこの届け出書を接受した旨の記載がございますが、この記載は後日行なわれたものであると判断されます。工場排水規制法施行規則第六条によれば、特定施設の設置届けを受理したときは、受理書を交付することになっておりますが、本件に関する受理書は、九月三日付で通産局長から工場長あてに、昭和四十三年六月十五日に受理した旨記載の上、送付されたことが、通産局の記録に残っております。 この間の経緯は、通産局の当時の関係者からの事情調査の結果及び記録等によりますと、次のとおりであると思われます。 昭和四十三年六月中旬に、三重県から四日市港周辺に赤い排水がある旨の通報がございましたので、当時四日市工場の総務課長であった後藤速雄氏の来局を求め、担当者である杉本仁彦が事情を聴取しております。その際、同社に酸化チタンの増設計画があることを聞きましたので、工場排水規制法に基づく所定の手続を説明をいたしまして、届け出をするように指示いたしました。 その結果、その翌日かあるいは翌々日、この点はどちらでございましたか、本人の記憶がはっきりいたしません。折り返し四日市工場から、完成予定を九月十五日とする増設計画が提出されました。 この計画の内容は、法律上は水質基準に適合するものでございましたが、増設に伴いまして排水の水量が倍増いたしますので、汚濁負荷量の減少をはかるとともに、赤い排水の原因となっている硫酸鉄の処理計画、PHの改善等が必要と考え、これに沿って計画を修正するよう行政指導をいたしたのであります。 その後、この行政指導につきまして、何度か折衝が行なわれました。この点はもう石橋委員よく御承知のように、PHの改善をいたしますと、逆にSSのほうが悪くなるわけでございますから、酸が減りますと浮遊物が増加するという関係になっておりますことは御承知のとおりでございますので、PHも改善しながらSSも押えるという、そういう装置が必要になるわけでございまして、この点が非常に技術的にむずかしいということと、かつ巨額の費用が必要であるということをめぐりまして、両者間にそういう折衝があったように聞いております。 なお、この間杉本は、杉本と申しますのは通産局の担当の者でございます。会社から提出された当初の計画内容及び行政指導の内容を、上司であります係長及び課長に説明いたしました上、もし行政指導に従った計画改善が行なわれるならば、六月十五日に届け出書を受理したものとして扱うということについて了解を得ております。 昭和四十三年八月中旬ごろに、会社から修正をいたしました書類が提出されましたので、八月二十一日、通産局内の手続を始めまして、昭和四十三年六月十五日、届け出を受理した旨の受理書を、九月三日付をもって四日市工場あてに送付いたしますとともに、その写しを三重県に送付いたしました。 この間におきまして、通産局の関係者は、四日市工場がすでに特定施設の設置に着手していたことについては、会社側からも説明を受けておらず、着工の事実を知った上で会社側と届け出時点の調整を相談した事実はないように思われます。 また、通産局の記録によりますと、昭和四十二年一月から四十三年九月までの間におきまして、産業立地課の職員がこの四日市の石原産業の工場に出張いたしましたのは、四十三年二月七日、当時の総括係長畠山胖及び係員杉本仁彦の両名が水質の立ち入り検査を行なったときのみでございます。 以上が私どもが調査して得ました事情の概要でございますが、私どもの調査の能力にはおのずから限界がございます。石原産業は港則法違反の疑いをもって、すでに昭和四十四年十二月、海上保安庁四日市海上保安部の捜査を受け、目下津地検四日市支部で取り調べ中でございますので、ただいまここで御報告いたしましたてんまつにつきましては、すでに法務当局に連絡をいたしてございますが、なお検察当局にも通報をいたします。取り調べによりまして、事情の全貌が明らかになると存じますので、関係者及び会社に対する措置など残されました問題は、その結論を待って法に従い厳正に決定いたします。 公害に対する認識が高まりました今日、振り返って考えますと、産業行政に携わってきた私どもの従来の姿勢には幾多改めるべきものがあり、この点深く反省いたしております。
○中野委員長 この際、石橋君より質疑の保留分について発言を求められております。持ち時間の範囲内においてこれを許します。石橋政嗣君。
○石橋委員 私が前回指摘いたしました問題に関連して、ほぼ全面的にお認めになっておるようでございますが、なお若干疑問の点がございますので、これを明らかにしていきたいと思うのです。 いま大臣から報告がありました点ではっきりしましたのは、工事に着工したのは四十二年の十一月二十一日であったという点ですね。その中で、特定施設の分に関しては四十三年の二月の二十日に着工したということでございますが、工排法の四条の趣旨に基づく届け出は、本来ならばいずれの時点でなさるべきであったと判断しておられますか。
○宮澤国務大臣 特定施設につきまして、着工をいたす六十日前でなければならないわけでございます。で、着工とは何かということにつきまして、当時確定した解釈がなかったようでございますけれども、今日では、着工とは、その特定施設の部分を置きます地盤のくい打ちをする時期と考えられております。
○石橋委員 そうしますと、法律に基づく届け出は、どう見ても、おそくとも四十二年の暮れまでには行なわれておらなければ違法であるということは確認したわけですね。
○宮澤国務大臣 その点につきまして、法律違反がございましたことは明らかと思います。
○石橋委員 その点をお認めになったわけですが、四十二年中に届け出なければならないものを、四十三年の六月十五日で届け出たことにした。しかしそれも実際に届け出たのは、会社の帳簿でも明らかなように、八月の二十日、これは文書発信台帳に基づいて四総外三五二号ということで確認されておると思うのですが、八月二十日に会社はとにかく届け出を出した。通産局のほうは、八月二十日に受け取って稟議のために起案書を作成したのが翌日二十一日、このことも確認されておると思うんですが、それでいて六月十五日に受理したことにするというような方法は許されるのであるかどうか、このことを確認しておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 会社が届け出を正式に出しました日が八月二十日でありますことは、御指摘のとおり会社の発信簿によりまして確認されております。通産局がこれにつきまして局内手続を開始いたしました日が八月二十一日でございますことも、御指摘のとおり局内に書類が残っております。 そこでただいま御指摘の点でございますが、これは私どもの調査いたしました範囲で申し上げるこの前提を、ひとつ当然のことながらお認めいただきたいと思いますが、六月の十五日ごろと申し上げますが、計画書を持って注意を促しましたのでまいったわけでございます。この計画書自身は、法律的には水質基準の関係では適法のものと認められた。しかし先ほど申し上げましたように、PHの改善、硫酸鉄、SS等についてもう少し改善をさせたい、行政指導をいたしたいということを係の者が考えまして、そこで中身を改善をするようにということを申しましたわけでございます。その改善につきましては、先刻申し上げましたように、かなり複雑なかつむずかしい、また金もかかるものでございましたから、そのやりとりにはかなり時間がかかったように思われるわけでございます。そうして最後になりまして、改善の内容につきましてまず合意ができましたので、それを盛り込みましたところの計画書を八月になりまして持ってまいった。そこで係の者が考えましたことは、そもそも六月十五日ごろ提出された書類そのものが違法ではなかった、しかし自分としては改善させたかった、こういう意思を持ちましたから、改善の内容が盛り込まれた段階においてこれは当初持参したところの六月十五日の受理として扱うことが適正ではないか——適正ということばは不適当であります。よいのではないかと判断をいたしたようであります。その判断をいたすにつきましては、上司にも一応了解を得た、こういうことでその文書を六月十五日をもって受けつけた、このような経緯と聞いておるわけでございます。
○石橋委員 実際はそうじゃないのです。大体もうどうせ違法でおくれたんだから、おくれついでという意識がまずあったんじゃないかということが第一です。本来なぜ六十日前に届け出の義務を規定しておるかということは、大臣もおっしゃっておるから、私あえて申しませんが、届け出があったそれ以後の間に行政指導なり法に基づく指導なりを行なって、汚濁の要因をなくするように指導する、こういう目的のもとに着工六十日以前の届け出というものを要請しておったと思うのです。ところが、いまはっきりしましたように、六月の時点でわかっておりながら、八月まで届け出をさせておらない。八月に届け出したら、それをさかのぼって届け出たことにする、この姿勢からしてまず問題なんだ。それでもなおその間に規制のために努力をしたというならば、まだ一応それなりの理由は成り立つかもしれませんが、大臣がおっしゃるような形で何とかして汚濁の要因をなくそう、そういうような姿勢で話し合いをしておらない。実はこの間、私七月十六日の談合というものを指摘したわけですが、それ以前に、七月九日にも談合が行なわれているのです。これはどういう目的で行なわれたかというと、当時中日新聞の北勢版で、七月七日付だそうですが、この工場排水の問題で記事になった、これはたいへんだというので、両者の話し合いが行なわれているわけです。これは七月九日通産局で行なわれております。大体三時半ごろから五時ごろまでやっておるようですが、この際は、この間申し上げた人のほかに、鷲見課長も出席しております。そのときは何とか汚濁の要因をなくそうという姿勢で話し合いが行なわれておりません。大体こういう考え方のようですね。通産局としては、新聞社から局としての態度はいかんとの問い合わせもある、当問題を放置した場合問題が大きくなって四日市港のPH規制まで発展することをおそれる、そこでわざわざお越しを願ったのだ、という前提で話が行なわれておるのですよ。新聞が取り上げて騒いでおる、通産局にもどうだどうだといって聞きにくる、困ったことだ、このままほっておくとPH規制まで問題が発展する、だからお呼びしたのです、こういうかまえの話し合いが行なわれているのです。全くあなたがいまおっしゃった、まあ部下からお聞きになったのでしょうけれども、内容とは全然違います。鷲見課長が特別に発言して、ほとぼりのさめたころを見計らって県へ伺候したらどうだという、そういう示唆までここでしていますよ。だから、そういう八月に届けがあったのだけれども、一生懸命指導をしておった、会社が努力したとはっきりはおっしゃっていないけれども、会社に何とか努力させようとしておった、だから、六月十五日にさかのぼって受け付けたのもまあまあ認められるのじゃないかというニュアンスの発言は、これは私認めるわけにはまいりません。そういう善意の、法の精神に基づく指導は行なっておらないのです。PHの規制がなかったとおっしゃいますが、SSの規制は受けているわけです。このSSの規制だけでも法に基づく指導はできたのです。それすらやっておらないのです。やっておらないどころか、PHのほうに発展したら困ると言っておるのです。これは今後次第に明らかにさらにしていかなくちゃならない問題です。 それに関連して、もう一つ私いまの報告で抜けておる点があると思うのです。実際にこの操業を開始した時点ですね、これが少しはっきりしない。私はこの間操業日報までお見せしました。最初に前社長の「八十年の思い出」で、火入れ式が六月二十日に行なわれておるじゃないか。きょうはお認めになったけれども、大臣はそれはなくなった人の思い違いじゃないでしょうかと言うから、私は操業日報をもとにして、間違いないと、きょうは確認した。しかし、それ以後に実際に操業したのでしょうか。その操業した日にちをはっきりさしてもらいたいと思うのです。 それから、実際に操業を開始した時点においては、これも届けが必要だと思いますが、その届けばいつなされておるかということも、はっきりしていただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 いろいろな点がございますので、まとめましてお答えを申し上げますが、まず、六十日間の期間を設けてあるのは、その間にいろいろ行政指導をするためのそれが六十日ではないかと言われるわけでございますが、法律のたてまえではさようではございませんで、六十日間に変更命令を出すことができるということになっておるわけでございます。そこで、この場合には変更命令の対象になるものがなかったわけでございますが、PH、SS等の関係で行政指導を行なった。この行政指導と申しますものが、実は私はいろいろ問題であろうと思います。善意でなされましても、結果としてはいろいろな疑惑を起こしやすいという面も御承知のようにございますので、いろいろ問題であろうと思いますが、この際どのような行政指導をいたしたかというその内容だけは、はっきりいたしておるわけでございます。すなわち、この工場は、それまでPHは二前後という相当強いものであったわけでございますから、それを少なくとも三ぐらいにはしたいということが行政指導の目標でございました。ところが、PHを三にいたしますと、それだけ酸分が減ってまいるわけでございますから、SSが溶けるという度合いが小さくなる。放置しておきますと、SSが二〇〇PPMぐらいになるのではないかということが心配されたわけでございます。当時のこの地方のSSの水質基準は、日間平均一五〇PPM以下、最大二〇〇PPMでございますから、このSSを行政指導の目標としては八七PPMぐらいに押える必要がある。本来この工場はSSについては御承知のようにあまり問題がなかったわけでございますけれども、PHを改善いたしますれば当然そちらに影響をしてまいります。そこでそういう行政指導をいたしました。この行政指導の内容は、実は非常に詳しく関係者の記憶に残っておりますので、それを申し上げますと長くなりますから項目だけ申し上げますが、要するに排水口のSSの減少、それから硫酸鉄の処理、チタン関係の廃酸の応急処理、チタン関係廃酸の抜本的処理対策等々、相当多岐にわたっておるものでございます。そのような行政指導をいたしたというふうに解釈されますので、行政指導そのものが法に照らしていろいろ問題を起こしやすいということは私も認めますが、指導の目標ないしその内容はかなりはっきりいたしております。 それから操業開始の日でございますが、これは先ほど申し上げましたとおりのことを会社につきまして確認をいたしております。六月の二十日火入れ式でございまして、この火入れ式には何人かの、これは役所の者ではございませんが、者が呼ばれておるという記憶がございますから、おそらくこの日には間違いがなかろうと推定をいたします。 そこで、せんだって、生産数量が生産日報によればだんだんふえてきておるのではないかと言われました。これはそういう記録が会社につきまして確かにございますわけでございますが、通産局としてはそのような報告を徴しておりません。これはこの工場ばかりでなく一般に徴しておりませんで、統計法上の指定統計は、これはとっておるわけでございますけれども、統計法の規定にございますとおり、統計の純粋性を確保する意味で行政目的には使わないのが原則でございますので、御指摘になりました日々、月々の生産の増加については通産局として知る方法がなかった、このような報告を受けております。
○石橋委員 どうも御説明を聞けば聞くほどだんだんわからなくなっちゃうのですがね。少なくとも工事に着工したのは四十二年の十一月だ。四十三年の二月に工場排水についての立ち入り検査をやっていますね。これはきのう私通産省からいただいたのですが、四十三年の二月に工場排水についての立ち入り検査をやっております。増設のための着工をしていることには気がつかない程度の立ち入り検査なんですか。まずその点が疑問なんですが。
○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、四十三年の二月七日に立ち入り検査を、これは排水関係の立ち入り検査を、水質の検査をやっておるわけでございます。ところで、このいわゆる特定施設の着工につきましては、先ほど申しましたように四十三年の二月二十日から四月一日までとなっております。御承知のように非常に大きな工場でございますので、特にこの関係施設の着工がその当時まだなされておりません。としてみますと、このことに気がつかなかったことに特段の過失があったかどうかということにつきましては、私は問題があろうかと思っております。
○石橋委員 それから、行政指導したとおっしゃいますが、それはしたかせぬかということはあとではっきりさせるとして、効果があがっておりますか。私が指摘しておるように、結局増設をした。いままでは硫安工場のほうに廃酸を回収してそれで硫安を生産しておったからまあバランスがとれてあんまり廃酸や硫酸鉄が流れないで済んだが、増設はしたけれども、その増設の分については、もう硫安工場で原料として回収しなくなった、もう硫安が市況が非常に悪い、硫安をつくっても売れないというので、そのまま捨ててしまった。これを、一日二十万トンも流したじゃないか、私はこう言っているのですが、行政指導したとおっしゃるけれども、こういうふうに効果があがっていないわけですね。これはPHの規制がないからということでお逃げになるつもりですか。少なくとも通産省の日ごろの口ぶりでは、かりにPHの規制がなくとも、汚水処理指導をやるたてまえからいって、そういうことは、劇物であるし、酸のような劇物の投棄については指導しなければならぬ、それは当然のことだとしょっちゅうおっしゃっておったのではないですか。その辺はどうお考えになっておりますか。
○宮澤国務大臣 それはこのように考えております。このような行政指導をいたしまして、一応工場側と通産局との間の合意はできたわけでございましたが、翌年二月までを期限として行政指導を実現することを約束しておったにもかかわらず、翌年、昭和四十四年二月になりましても、なおそれらの施設はなされておりませんでした。そこでそれは違約であるというふうに申したわけでございますが、言われますように、どういう事情でございましたか、行政指導を実行に移していなかったという事実がございます。これは多少推定が含まれますが、当時のこの企業の最高の経営者の考えとして、いわゆる法律上のものでない行政指導については、相当金もかかるので、これに従うという意思が十分にあったかないかについて疑いが持たれるわけでございます。その後経営者の交代がございましてからはその点はかなり改善をされたわけでございます。したがいまして、この行政指導の内容は昭和四十五年の半ばになりまして完成をいたしております。それが、先般申し上げました六十五億円という改善の内容でございます。したがって、現在におきましては、この工場は過去にあったような問題はございません。 なお、硫酸二十万トンを放出してと、先だっても御指摘がありまして、これは決して反駁をするわけではございませんけれども、二十万トンの硫酸を、これは相当高価なものでございますから、放出するということはむろんあり得ないことでありまして、二十万トンの排水の中に硫酸分が含まれておる、こういう意味で御指摘になりましたものと存じます。それを回収いたしまして硫酸を再生するあるいは硫安をつくるということが最もよろしい方法でございますが、これには相当の費用を要する、こういう問題があるわけでございます。
○石橋委員 流しているもので一番問題なのは硫酸鉄といわゆる廃酸なんですね。それではお尋ねいたしますけれども、硫酸鉄はそのまま水中に流すと硫酸に戻るということをお認めになりますか。
○宮澤国務大臣 実は私も同じような疑問を持ったわけでございますけれども、そういうことはございませんので、硫酸鉄そのものはむしろSS、浮遊物だそうでございます。一つの化学作用を起こしました以上は、それが水の中で硫酸がさらに分離されるということはなくて、むしろその硫酸を分離するためには相当高価な施設を持たなければならない、かような由でございます。
○石橋委員 私も専門家に聞いているわけですが、一つはこの硫酸鉄が問題なんです。写真で見て、まっかになっているのがこの硫酸鉄ですが、これは硫酸に戻る。いま一つは、一番多いのですけれども、廃酸、これはPHが一・八ですよ。これは会社立ち会いではかっているのです。非常に高い数値を示しているわけですね。このことはお認めになるわけですね。それは水だ水だ、中に硫酸が入っているんだとおっしゃいますが、そういう言い方をすればそのとおりです。しかし、強酸性であることはPH一・八ということで、これはおわかりでしょう。それからもう一つ、硫酸の性質として薄いほうが、希硫酸のほうが人間にとっても、物体に対しても非常にきびしい直接的な害毒を及ぼす。そのこともお認めになりますか。
○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、当時のPHは二前後となっておりますから、石橋委員の言われましたように一・八という数値はそれと遠からぬものと思います。したがいまして、これは相当強いPHでございますことは御指摘のとおりです。現在六ないし七まで回復をいたしましたことから考えますと、かなり強いPHでございます。その結果は逆にSSのほうは小さくて済んでおったということになるわけでございます。その両者を、PHを改善しながらSSをふやさない方法いかんというのが、先ほど申し上げましたとおり、行政指導の内容であるわけでございます。 なお、硫酸鉄は、私も権威あることは実は申し上げることができないわけでございますけれども、それ自身はもう化学反応を起こしましたら、水の中へ出て硫酸が分かれるというようなことは、これはやはりないことであって、そこから硫酸を回収するという技術そのものにむしろむずかしい問題があった、こういうふうに承知をいたしております。赤い物質というのは硫酸鉄というふうに思われます。
○石橋委員 その俗説を大臣がまともに受け入れて私に反論がましく言ったから申し上げているのです。硫酸二十万トンももったいなくて流すものか、それはわれわれ貧乏人の考えですよ。いままではもったいないから、硫安工場のほうに原料として回収して硫安をつくっておった。ところが、硫安を幾らつくってももうからない。もうからないから回収をやめて全部そのまま捨ててしまったのですよ。それが一日二十万トンという推定が出てきたのです。硫安の生産量から大体二十万トンくらい出ていると逆算したのです。これは非常に酸性度の強い、強酸性を示しているということが、いま大臣はPH二と言う、私はPH一・八。証明されておる。希硫酸そのままをなまで捨てたと言ってもこれは少しもオーバーな表現じゃないんですよ。何か、そんなもったいないことするだろうかとすぐ考えますけれども、もったいないかもったいなくないか、——もうかるかもうからぬかという基準で考える会社にとっては、もうからぬから捨てているのです。だから、これを回収して硫安をつくるということは増設以後やっていない。捨ててしまった。少しもおかしなことじゃないのです。 そこで、先ほどの私が質問している本論に入りますが、この特定施設の使用開始届けはいつ出されておりますか。
○宮澤国務大臣 詳しくは政府委員より申し上げさせていただきますが、操業開始後十五日以内に出されなければならないものが非常におくれて出ておる由でございまして、これらの関係は、この会社が届け出について法律違反を幾つか犯しておるということは、私は疑うことができないと考えております。
○莊政府委員 お答えいたします。 工場排水規制法に基づきます操業開始の届け出は、法規によりますと、開始の日から十五日以内に出さなければならないと定められておりますが、石原産業四日市工場の場合には、先ほど大臣から詳細申し上げましたとおり、実際の操業開始は四十三年六月でございますけれども、操業開始の届け出は、特定施設設置の届け出で述べられておりますところの操業というものに、両方ともこれは違法だと思いますが、合わせまして、四十三年の九月二十一日操業開始という書類を出しております。 なお、この届け出は、実は会社側が怠っておりまして、四十四年の九月になりまして出しております。 以上でございます。
○石橋委員 私は、局長が答弁したことをとやかく言うつもりはありませんけれども、非常に重要なことですね。大臣、これは自分で調べて自分で答えるくらいの誠意が必要な問題です。実際には四十三年の六月に操業している。ところが、届けば四十三年の九月二十一日から操業するように届けている。その届けをいつやったか。翌年ですよ、一年後ですよ。十五日以内に届けなければならないのを四十四年の九月にやっているのですよ。あなたがみずから答弁するほどの価値のない問題なんですか、これは。私にはどうしたって納得いきませんがね、これは。うその届け、しかもそれを一年後、厳密にいえば一年三カ月後、法律なんてあったってなくたって一緒じゃないですか、そんなことが許されているなら。そんなことがまた談合なしでやれるのですか。立ち入り検査もしている、行政指導もした、それでいて肝心の届けについては一年三カ月もほうりっぱなし。それを堂々と処理して、受け付けておいて、一年三カ月後に、不問に付しておる。法律ですか、これが。法律を守る態度ですか。話にならないのです。現在でも会社には誠意の一片だに認められませんよ。私が基本的な姿勢をここで追及しておるのに、政争の道具にするとか、あるいは競争会社と何かツーツーでなかろうかとか、どこにその誠意がありますか。一般市民にこんなにも迷惑をかけて済まぬという気持ちがどこにありますか。とにかく法を守るべき行政機関がこんなことを認めているのじゃ話になりません。これだけは知らなかったと言えないはずです。あなた、さっきからおっしゃっている。立ち入り検査もしている、行政指導もしている、いろいろなことをやりました、やりましたと言っているのだから知らぬと言えないでしょう。それなのに実際の操業届けというのは十五日以内にしなければならないものが一年三カ月後になされる、それを黙って受理している、判こを押している、ちゃんと、よろしいと。うっかりして人は見過ごしますよ、四十三年と四十四年のミスプリントじゃなかろうかと思って。私はたまたまだまされなかったですけれどもね。とにかく話になりません。しかし私に与えられた時間がもうすでにオーバーしておりますから、これ以上この問題についてここでお尋ねすることはやめます、事実ははっきりしたわけですから。要は検察当局にゆだねるということでございますが、その前に一つ、これこそ大蔵大臣、ぽかんと聞かれてもとおっしゃるかもしれませんが、そんなむずかしい問題じゃないですから。操業開始時期をこんなに大幅にずらしたということは脱税行為にもなると私は思うのですが、どうでしょう。
○福田国務大臣 これはどういうふうに税務当局に法人決算報告をしておりますか、それが事実と違っておりますればこれは脱税ということになりますが、それが事実に合っているということになれば税の問題は起こらない、さように思います。
○石橋委員 大体問題がはっきりしてきた。それで検察当局にゆだねたいということでございますが、この際、法の厳正なる適用を私としてはやってもらわなくちゃならぬと思うのであります。行政機関がこのような状態で、住民の生命も健康も脅かされるということになりますと、政治の姿勢も疑われますし、行政機関の信用も失墜する、そこへもってきて司法当局までが信用されないということになったら、これはしまいですよ。住民は直接行動しか手はなくなります。直接行動にもいろいろありましょうけれども、アメリカではこのごろ排水口にふたして回る、煙突にふたして回るというような怪盗があらわれているそうですが、こういう方法でもとらなければどうにもならなくなってまいります。法務大臣としてはいままでずっと聞いておって、どのような心がまえでこれの処置をなさるつもりか、決意のほどを聞きたいと思います。
○小林国務大臣 いまいろいろ御指摘のことは十分われわれも考慮いたしまして厳重に捜査を行なう、こういうことを申し上げておくものでありまして、それにつきましては、いろいろの関係者を調べるということについても当然あることであると考えております。
○石橋委員 私はその推移もずっと見守りながら、さらに国会でも必要に応じて、私なり同僚議員から逐次この問題についての追及を継続して行ないたいと実は思っております。 このあと、こういう状態だからこういうふうにしなくちゃならないのではないかというふうな対案と申しますか、対策というもの、そういうものを順次出すつもりでございましたが、時間がありませんから二つ三つだけまとめてお聞きしてみたいと思うのです。 一つは検察庁や警察、こういった司法機関に十分に公害問題に取り組むだけの体制がないのではないかと思うのです。専門家もおらない、一生懸命勉強しておるようですけれども。私もやってみて、専門的なもので非常にこれはむずかしい。こうなりますと、やはり司法当局、司法機関、検察庁や警察にも公害専門で取り組める体制がなければ、幾ら法律だけ先に行っても裏づけがないということになるのではないかと思うのですが、その点について検討なさったことございますか、法務大臣。
○小林国務大臣 これはもうお話しのような懸念はあるのでございますから、私どもこれらの担当の検事等も指定をいたしておるのでありまして、これらについての再訓練、再教育ということは十分いたすつもりでおりますし、なおもっと根本的な問題にいたしますれば、これからはまた検事にしても判事にしましても単に法律知識とか、法律の経験、技術、こういうものばかりでなくて、どうしても科学技術の基礎的な教養が必要であろう、こういうふうに思うのでありまして、さしむきのところは現在の、現任者を再教育をする、こういうことをいたしまするが、次の問題としては、私どもは科学技術の上に法律知識を授ける、こういうふうな方法についても検討せざるを得ない。お話しのようなことはこれから十分配意してまいりたい、かように考えております。
○石橋委員 あと二つまとめてお尋ねします。 この間、加重平均方式の矛盾をお認めになって経済企画庁長官、改めるとおっしゃいましたが、そのほかにちょっと気がついたことが二つばかりあるのです。この測定に当たって排水の連続的な自動測定という形をとらなければときどき行って、それもほんとうに思い出したように行って測定したって、これは厳格な測定が行なわれないのではないかと思うのです。この連続自動測定というような方式をとられるつもりはないかどうか。私はぜひやるべきだ。この点についてSSとかPHとかいうものは自動装置でできるものとできないものとあるというようなお答えがあるかもしれませんけれども、新しい方式も何か考えられておるようです。私もちょっと本を読んでみたわけですが、私はやろうと思えば全部できるというふうに理解しております。この方式をとられるつもりはないかどうかということと、もう一つは企業内にやはり公害防止監視体制といいますか、そういうものが整えられる必要があると思うのです。たとえば消防法によって自衛消防隊とか防火管理者というようなものが規定されておるが、そういうものと同じようなものをやはり公害に関連して責任体制を明確にするという意味で、法律的に規制を義務づけるというようなことも考えていいのではないかと思うのですが、この二つは前向きの問題、どなたになりますか、総務長官ですか。——経済企画庁どうぞ。
○佐藤(一)国務大臣 前段のお話につきましては、まことにおっしゃるようにわれわれも考えております。できるだけすみやかにいわゆる自動測定器の据えつけを促進してまいる。従来も小さなものはございましたが、すべてのものをはかれるような測定器の開発というものはまだ必ずしも完成はいたしておりませんけれども、現状において可能なものについて、できるだけそれを促進してまいりたい、こういうように考えております。
○宮澤国務大臣 企業内における公害の監視体制でございますが、私どもも実はそういうものの必要を感じておりまして、昨年産業構造審議会の公害部会にそのことをおはかりをいたしておるわけでございます。答申が出ましたらば、それにつきまして、これは立法を要すると存じますので、それに従いましてそのための所要の措置、あるいは教育方法等もまた考えなければならない、こう思っております。
○石橋委員 私、時間がありませんので、若干だけ提案をしたわけですが、全部前向きの非常に積極的な御答弁を得られましてけっこうだと思います。 これで終わりますが、最後に、この二日間にわたってやりとりを聞いておられた総理大臣、前回も中間的な感想なり決意を表明していただいたわけでございますけれども、あらためて私の質問を終わるにあたってひとつ決意のほどを表明していただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 行政官庁として、国民に直接接する第一線でございますので、そういうものが新しい時代の要請に即しての知識を持つこと、これは何よりも必要だろうと思いますが、基本的な心がまえが十分でないと、ただいまの点が納得がいかないんじゃないか。言いかえますならば、いままでは皆さん方からしばしば、第一線官庁はもっと国民と接触し、国民に対して親切であれと、これが大体の要望だったと思います。しかし、親切であることと、何だか企業者となれ合いで仕事をしていると、こういうような印象あるいは誤解を持たれる、こういうようなことがあってはならない、かように私は考えますので、この点ではまず十分に事務当局、これらにも綱紀粛正と申しますか、そういう意味のことが徹底するようにいたしたいものだと思います。どうも先ほど来のお話を聞いておりまして、たいへん私は、私自身の感じ、おそらくこれは国民の感じでもあるだろうと思いますが、行政そのものがルーズではないか、どうも締まりがないんじゃないか、こういうような感じを受けたのでありまして、そういう点については政府自身が十分自粛自戒する、また指導的立場にある私どもがそういう意味で各官庁を引き締めていかなければならない、かように私は思います。 またいろいろ貴重な資料を提供されましたが、お説のように、今回公害問題を取り上げることになっておりますので、これは新しい分野である、こういう意味で、ずいぶんまだ科学的その他の面で不十分な対策というようなことはあるだろうと思いますけれども、このほうはしばらく時間をかしていただいて、さらにそれについての具体的な処理ができるように一そう対策を進めていきたい、かように思います。 基本的には、ただいま申し上げるように、何よりも国民には親切でなければならない。なれ合いで仕事をするというような誤解を受けるようなことがあってはならない。また、法を守るについてはもっときびしい姿勢でなければならない。その意味におきまして、いままでやってきたことを再確認する、こういう意味で、さらに行政官庁に対しましても、十二分に綱紀の粛正と取り組む、こういう姿勢を明確にしたい、かように思います。
○中野委員長 これにて石橋君の質疑は終了いたしました。 以上をもって総括質疑は全部終了いたしました。 次回は、来たる二月八日午前十時より委員会を開会し、昭和四十五年度補正予算三案について審査を行ないます。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十五分散会