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65回国会衆議院1971/01/28

予算委員会 第1号

発言数
55
登壇者
11
会派数
1
開催日
1971/01/28

会議録

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算並びに昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上各案を一括して議題とし、審査に入ります。     —————————————  昭和四十六年度一般会計予算  昭和四十六年度特別会計予算  昭和四十六年度政府関係機関予算  昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1  号)     〔本号(その二)に掲載〕     —————————————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 まず、各案の趣旨について政府の説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 昭和四十六年度予算につきましては、過日の本会議でその方針並びに大綱について御説明申し上げましたが、予算委員会の審議が始まるに先立ちまして、その概要につきまして重ねて御説明申し上げます。  昭和四十六年度予算の編成にあたりましては、景気の過熱もなければ、大きな落ち込みもない、均衡のとれた安定的成長を確保することを眼目といたしましたが、その特色は、次の諸点であります。  第一は、経済の動向に即応した適切な財政運営を行なうように配属し、機動性を備えた中立的性格のものとしたことであります。  すなわち、わが国経済の安定的成長を確保するため、財政規模を適正なものとするとともに、公債及び政府保証債の発行額は、それぞれ前年度当初予定額と同額といたしました。  さらに、経済情勢の推移に対処しまして機動的に財政運営を行なうため、政府保証債の発行限度等を弾力化するとともに、使途を特定しない国庫債務負担行為の限度額を増額することにいたしました。また、不測の財政需要に円滑に対処するため、一般会計予備費の増額をはかっております。  第二は、租税負担の軽減合理化をはかったことであります。国民の租税負担の軽減をはかるため、所得税、相続税及び住民税の減税を行なうことといたしました。  また、租税特別措置につきましても、社会経済情勢の推移に即応して、その弾力的改廃を行なうとともに、自動車について新税を創設することといたしました。  第三は、予算及び財政投融資計画を通じまして、財源の適正かつ効率的な配分につとめ、国民生活の充実向上をはかるための諸施策を着実に推進したことであります。  特に、現下の重要な課題とされております物価の安定と公害対策の推進については、格段の配慮をいたしました。  以上により編成されました昭和四十六年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも、九兆四千百四十三億円でありまして、四十五年度当初予算に対し一兆四千六百四十五億円、伸び率にいたしまして一八・四%の増加と相なっております。  また、財政投融資計画の総額は、四兆二千八百四億円でありまして、四十五年度当初計画に対し七千五億円、伸び率にいたしまして一九・六%の増加となっております。  まず、一般会計を中心に、その概要について申し上げます。  まず、歳入でありますが、歳入予算の内訳は、租税及び印紙収入八兆土千九百六十三億円、税外収入五千九百二十二億円、公債金四千三百億円及び前年度剰余金受け入れ九百五十八億円と相なっております。  歳入予算のうち、租税及び印紙収入について申し上げます。  昭和四十六年度税制改正におきましては、中小所得者の所得税負担の軽減を主眼として、給与所得控除をはじめとする各秘の所得控除を引き上げるとともに、青色事業主特別経費準備金の創設、相続税の軽減合理化等を行なうこととし、合わせて平年度約二千億円の減税を実施することといたしました。  このほか、当面の社会経済情勢の推移に即応するよう、公害対策、海外投資、資源開発対策、貯蓄奨励及び住宅対策、企業体質の強化等に資するため所要の措置を講ずる一方、輸出振興税制を改正し、あわせて交際費課税を強化する等、税制の整備合理化をはかることといたしますとともに、道路その他の社会資本の充実の要請を考慮して、自動車重量税を創設することといたしております。  以上の税制改正による増減収を調整した昭和四十六年度における減収額は、千三百八十七億円となる見込みでありまして、これを税制改正前の収入見込み額八兆四千三百五十億円から差し引いた八兆二千九百六十三億円を昭和四十六年度の租税及び印紙収入予算額といたした次第であります。これは、四十五年度当初予算に対し一兆三千五百七十八億円の増加と相なっております。  次に、歳出のおもな経費について、順次、御説明いたします。  まず、社会保障関係費といたしましては、総額一兆三千四百四十一億円を計上し、施策の充実をはかっております。  まず、わが国の社会保障制度の整備上かねてから懸案とされておりました児童手当制度は、四十七年一月から段階的に実施することといたしました。  また、社会福祉施設の整備を一段と充実するとともに、生活扶助基準の引き上げ、児童、母子、老人、身体障害者等の福祉対策の充実等各般の施策にきめこまかく配慮するほか、厚生年金、福祉年金の改善を行なうことといたしております。  なお、健康保険財政の健全化に資するため、所要の改善合理化の措置を講ずることといたしております。  次に、文教及び科学振興。文教及び科学振興費といたしましては、総額一兆七百八十九億円を計上いたしております。  文教につきましては、文教施設の整備、私学教育の振興、特殊教育の充実等各般の施薬を推進するとともに、新たに、教員の勤務の特殊性に即し、その給与制度を改善し、また児童生徒急増市町村の義務教育施設を整備するため、特別の助成を行なうことといたしておるのであります。  科学技術の振興につきましては、時代の要請にこたえて、動力炉の開発を中心とする原子力平和利用の促進をはじめとして、宇宙開発、海洋開発、大型工業技術の開発等を推進することといたしております。  以上のほか、社会教育の振興、文化財の保存等につきましても、十分配惹いたしました。  次に、国債費。国債費につきましては、一般会計の負担に属する国債の償還及び利子の支払い等に要する財源を国債整理基金特別会計へ繰り入れるため、三千百九十三億円を計上いたしております。  次に、恩給関係。恩給関係費につきましては、恩給金額の改定等の措置を講ずることとし、三千三百六十億円を計上いたしております。  次に、地方財政。まず、地方交付税交付金といたしましては、二兆五百四十四億円を計上しておりますが、これは、四十五年度当初予算に対し三千九百十六億円、伸び率にして二三・五%の増加と相なるのであります。  このほか、四十六年度の地方財政におきましては、引き続き地方税その他の歳入が相当増加すると見込まれるのでありまするが、国と同一の基調により重点主義に徹し、適切な財政運営を行なうとともに、将来に備え、その健全化を一そう推進するよう期待するものであります。  次に、防衛関係。防衛関係費につきましては、昭和四十六年度を最終年度とする第三次防御力整備計画の目標をおおむね達成することを目途といたしまして、また他の諸施策との均衡を勘案しつつ、六千七百九億円を計上いたしております。  次に、公共事業関係。公共事業関係費につきましては、わが国経済の均衡ある発展と国民生活の質的な向上を期するため、各種社会資本の整備につき格段の配慮を行なうこととし、総額一兆六千六百五十六億円を計上いたしておるのであります。  まず、下水道、ごみ処理施設、公園等の生活環境施設につきましては、特に重点を置き、大幅な拡充をはかっております。なお、下水道につきましては、四十六年度を初年度とする第三次下水道整備五カ年計画を策定することといたしておるのであります。  住宅につきましては、新たに第二期住宅建設五カ年計画を策定することとし、四十六年度におきましては、公的資金による住宅として約六十五万戸を建設することといたしております。  次に、道路につきましては、国道の二次改築、都道府県道の舗装及び都市交道対策に重点を置き整備を行なうこととしているほか、日本道路公団等の有料道路の延段についても、その推進につとめております。また、現行の交通安全施設等の整備計画を改定し、新たな五カ年計画を策定することといたしておるのであります。  さらに、港湾、漁港、空港の整備、治山、治水の推進等につきましても十分配慮いたしておるのであります。なお、このうち港湾、空港につきましては、新たな五カ年計画を策定することといたしました。  以上のほか、日本国有鉄道につきましては、財政再建に資するための措置を拡充するとともに、通勤通学輸送の混雑緩和、幹線輸送力の増強等につとめております。  また、日本電信電話公社におきましても、引き続き施設の整備を推進することといたしております。  次に、経済協力の推進と貿易の振興。経済協力の推進及び貿易の振興につきましては、日本輸出入銀行、海外経済協力基金の事業規模を拡大するとともに、技術協力等の援助の拡充をはかっております。  次に、中小企業対策。中小企業対策につきましては、中小企業の高度化、近代化等を引き続き推進することとし、各般の施策を充実しておるのであります。  すなわち、中小企業振興事業団の事業規模を大幅に拡大するほか、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の普通貸付規模を四十五年度出初計画に対し一八%増といたすことにいたしております。  次に、農林漁業関係。昭和四十六年度の農林漁業関係予算におきましては、需要に即応した農林漁業の振興と生産性の向上を一役と推進することといたしております。  まず、米につきましては、生産が需要を大幅に上回り、政府手持ち過剰米が七巨万トンにものぼっている現況にかんがみまして、生産調整措置を講ずることといたしたのであります。すなわち、四十六年産米につきましては、自主流通米を百八十万トンと見込み、政府買い入れ数量を需給上必要な五百八十万トンにとどめるため、休耕、転作等生産調整の態様に応じた奨励措置を講じ、二百三十万トンの減産を期することとし、総額千七百十一億円の米生産調整対策費を計上いたしました。  次に、食糧管理特別会計につきましては、国内米の買い入れ数量を前述のとおりとするほか、生産者米価の水準を据え置く方針をとることとし、また、政府手持ちの過剰米につき計画的な処分に着手することといたしております。このため、一般会計から同特別会計に二千九百二十三億円を繰り入れることといたしたのであります。  以上のほか、需要に即応した農林漁業の振興と生産性の向上をはかるため、農林漁業の基盤整備、構造改善の推進、農林漁業金融の充実、流通改善の推進等各般の施策につき配意いたしておるのであります。  次に沖繩復帰対策。明年に控えました沖繩の木上復帰を円滑に進めるため、沖繩と本土との一体化を強力に推進し、沖繩における住民福祉の向上、産業経済の振興、各種社会資本の整備等各面にわたる施策を大幅に拡充することといたしております。  次に、公害対策、物価対策。以上の説明と重複する点もありますが、現下の重要な課題とされておりまする公害対策と物価対策につきまして、総括して申し述べます。  公害対策につきましては、公害行政の推進をはかるため、環境庁を新設するとともに、下水道等の生活環境施設を大幅に充実することとしたほか、水質保全対策、大気汚染防止対策等の強化、公害防止のための研究調査の充実等各面にわたり特段の配慮を加えております。また、関税面におきましても、新たに低硫黄原油に対する関税の軽減を行なうとともに、重油脱硫に対する関税の軽減率を大幅に拡大することといたしました。さらに、財政投融資計画及び税制におきましても、特に重点を置いて、公害対策の拡充強化をはかっておるのであります。  物価対策につきましては、年々その充実をはかってまいりましたが、昭和四十六年度におきましても、低生産性部門の生産性の向上、流通機構の整備、労働力の流動化の促進、競争条件の整備、生活必需物資等の安定的供給、住宅及び地価対策等の各般の施策を一段と充実いたしておるのであります。また、関税面におきましても、生活関連物資の関税の引き下げに特段の配意を行なっております。  なお、公共料金につきましては、厳にこれを抑制する方針のもとに、郵便料金、電報料の改定にあたりましても、必要最小限にとどめるよう、料金改定の幅、また実施時期等につきまして十分配意いたしておるのであります。  以上、主として、一般会計について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、資金の重点的配分と経費の効率的使用につとめ、事業の円滑な遂行を期することといたしております。  財政投融資計画につきましては、以上それぞれの項目において説明いたしたところでありますが、その原資といたしましては、出資原資として産業投資特別会計出資八百五十三億円、融資原資として資金運用部資金三兆千三百三十四億円及び簡保資金四千九百五十億円を見込みますほか、公募債借り入れ金等約五千六百六十七億円を予定しております。  その運用の内容につきましては、住宅、道路等の社会資本の充実並びに公害防止施設整備のための融資の拡充及び下水道の整備の促進等公害対策の推進に重点を置いております。  終わりに、今回提出いたしました昭和四十五年度補正予算について申し述べます。  この補正予算は、公務員の給与改善をはじめ、当初予算作成後に生じた事由に基づきまして、特に緊要と相なった事項につき措置を講ずることを内容といたしておるのであります。  一般会計補正予算の規模は、二千六百三十三億円でありまして、歳出に追加されるものは、国家公務員の給与改善等の経費、国民健康保険助成費等義務的経費の追加、食糧管理特別会計への繰り入れ、万国博覧会跡地購入のための経費、地方交付税交付金の増加等であります。  一方、歳入につきましては、租税及び印紙収入において三千十一億円、税外収入において百二十二億円を追加計上しておりますが、公債金を五百億円減額しておりますので、差し引き増加額は、二千六百三十三億円と相なっております。  この結果、四十五年度の一般会計予算は、歳入歳出とも八兆二千百三十億円と相なるのであります。  次に、特別会計予算におきましては、国立学校特別会計等七特別会計について、公務員の給与改善等のため必要な補正を行なうことといたしております。  また、政府関係機関予算におきましては、日本国有鉄道について、仲裁裁定の実施等に伴い、所要の補正を行なうことといたしております。  以上、昭和四十六年度予算及び昭和四十五年度補正予算につきまして、その概要を御説明申し上げましたが、なお、詳細については政府委員をして補足説明をいたさせます。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださるようお願いを申し上げます。(拍手)

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これにて大蔵大臣の説明は終わりました。  大蔵大臣、経済企画庁長官以外の閣僚各位は、御退席を願ってけっこうでございます。  引き続き、政府の補足説明を順次許します。鳩山主計局長。

鳩山威一郎大蔵省主計局長

○鳩山政府委員 昭和四十六年度予算及び昭和四十五年度の補正予算につきまして、ただいま大蔵大臣から御説明いたしたとおりでございますが、なお細部にわたる点につきまして補足して御説明申し上げます。  お手元に「昭和四十六年度予算の説明」という冊子がお届けしてあると思いますが御参照いただければ幸いでございます。  まず、財政の規模等でございますが、一般会計予算の国民総生産に対します比率は、四十六年度予算では一一・二%となります。ちなみに、四十五年度につきましては、今回提出いたしました四十五年度の補正予算を追加いたしますと、その比率は二・二%、ちょうど同じ比率ということになるわけであります。  また、中央、地方を含めた国民所得計算上の政府財貨サービス購入の増加率は、四十五年度に対しまして、経済成長率一五・一%を若干上回ります一五・四%と相なる見込みでございます。  次に、歳入のうち税外収入につきましては、五千九百二十二億円でありまして、四十五年度当初予算に対し三百二十九億円の増加となっております。税外収入の内訳は、専売納付金が二千九百四億円、官業益金及び官業収入二十六億円、政府資産整理収入百六十七億円、雑収入二千八百二十五億円となっております。  公債発行額につきましては、四十五年度当初予算と同額の四千三百億円を予定しておりますが、その結果、公債の依存度は、四十五年度当初予算の五・四%から四・五%に低下いたします。  前年度剰余金の受け入れ九百五十八億円は、四十四年度決算の結果新たに生じた剰余金でございます。このうち、二百六十億円は地方交付税、道路整備費等の財源に充てられまして、これを差し引きました残額の二分の一相当額三百四十九億円は、財整法第六条の規定によりまして、国債償還の財源として国債整理基金特別会計へ繰り入れることといたしております。  次に、歳出につきましては、社会保障関係費一兆三千四百四十一億円は、四十五年度当初予算に対しまして、二千三十三億円、一七・八%の増加となっております。  生活保護のうち、生活扶助基準の改定は一四%としておりまして、東京都の標準四人世帯を例にとりますと、生活扶助のための支給額は、月額三万四千百三十七円から三万八千九百十六円に増額されることになります。  社会福祉施設整備につきましては、老人、心身障害者の施設等の大幅な増強を行なうことといたしまして、このため、四十五年度を三十億円上回る八十三億円を計上いたしております。  児童手当につきましては、十八歳未満の児童が三人以上いる場合の義務教育終了前の第三子以降の児童につきまして、月額三千円を養育者に支給するという基本的な構想のもとに、四十七年一月から、このうち五歳未満の児童についてまず実施に移すことといたしております。このため、給付費等の財源として、一般会計より、厚生保険特別会計児童手当勘定へ三十一億円を繰り入れることといたしております。  福祉年金につきましては、各年金額の月額三百円の引き上げ、扶養義務者所得制限の緩和等の改善をはかることといたしております。  また、厚生年金につきましても、年金額を平均一〇%程度引き上げる等の改善につとめております。  政府管掌健康保険につきましては、単年度収支の均衡回復を目途として、所要の改善合理化措置を講ずることといたしておりますが、その一環として、定額補助の定率補助への切りかえを行ないまして、二百七十五億円の国庫補助を行なうことといたしております。  文教及び科学振興費一兆七百八十九億円は、四十五年度当初予算に対しまして、千五百三十億円、一六・五%の増加となっております。  公立文教施設の整備につきましては、社会増地域を重点に事業量の増加をはかるほか、新たに、児童生徒急増市町村の公立小中学校施設の整備の円滑化をはかるため、二十億円の特別整備事業費補助を計上いたしております。なお、児童生徒急増市町村が公立小中学校校地の取得のため起こした既往の地方債の利子につきましても、所要の助成を行なうことといたしております。  私学の振興につきましては、特に、四十五年度から開始しました私立大学等の経常費に対する助成をさらに拡充いたしまして、百九十八億円の補助を予定いたしております。  時代の要請に即応した科学技術の振興をはかるために、動力炉の開発につきまして二百七十三億円、宇宙開発につきまして百二十四億円を計上いたしますほか、海洋開発、大型工業技術開発等につきましても、その推進につとめております。  公共事業関係費一兆六千六百五十六億円は、四十五年度当初予算に対しまして一八・一%の増加となっておりますが、災害復旧等を除く一般公共事業費では一九・七%の増加となっております。  まず、下水道をはじめとする生活環境施設整備につきましては、特に重点を置き、四十五年度当初予算を四〇・四%上回る八百八十二億円を計上しております。このうち、下水道整備事業につきましては、総額二兆六千億円の第三次下水道整備五カ年計画を策定することといたしております。  住宅につきましては、建設総戸数九百五十万一尺このうち公的資金による住宅三百八十万戸の第二期住宅建設五カ年計画を策定することとし、この初年度として、四十六年度におきましては、公的資金による住宅六十四万四千五亘戸の建設を予定いたしております。一般会計におきましては、住宅対策費として四十五年度当初予算を二一・五%上回る千百五十九億円を計上しております。  次に、道路整備事業費といたしましては、六千九百四十三億円を計上しておりますが、その財源構成は、特定財源五千九百五十三億円、一般財源九百九十億円となっております。  さらに、港湾、漁港、空港につきましては、四十五年度に対し二〇・四%増の千四百十四億円を計上しておりますが、このうち、港湾、空港につきまして、それぞれ、総額二兆千億円の第四次港湾整備五カ年計画及び総額五千六百億円の第二次空港整備五カ年計画を策定することといたしております。  次に、経済協力の推進と貿易の振興についてであります。  日本輸出入銀行につきましては、貸し付け規模を四十五年度の四千三百億円から五千三百五十億円に拡大することといたしまして、六百五十億円の産投出資を予定しております。なお、他の主要債権国と協調いたしまして、インドネシアの債務履行の円滑化をはかるため、同国の中央銀行に対しまして日本輸出入銀行が行なう貸し付けの財源として、一般会計から同銀行に四十二億円を貸し付けることといたしております。  海外経済協力基金につきましては、投融資規模を四十五年度の七百三十億円から八百九十億円に拡大することといたしまして、三百三十億円の一般会計出資を予定いたしております。  次に、中小企業関係でございます。  中小企業振興事業団につきましては、公害防止施設等のための特定高度化資金をはじめとして事業規模の拡大をはかることといたしまして、このため、一般会計からの出資金を四十五年度の二百五十七億円から三百二十二億円へ増額しております。  国民金融公庫等政府関係中小企業金融三機関に対します財政投融資計画額は、五千六百四十二億円でありますが、その内訳は、国民金融公庫が二千七百七十六億円、中小企業金融公庫が二千七百三十六億円、商工組合中央金庫が百三十億円となっております。中小企業信用保険公庫への出資金は、百十億円を計上しておりますが、その内訳は、保険準備基金が四十億円、融資基金が七十億円でございます。  次に、農林漁業関係でございます。  米生産調整奨励補助金は、稲の作付を休止する方法によりまして米の生産を減少させた者に対しては、当該減産にかかる稲の不作付地十アール当たり平均三万円、それから市町村、農協等への寄託を行なって長期間計画的に休耕する者等に対しましては、十アール当たり平均三万五千円、それから永年性作物または一定規模以上の面積をまとめて他作物への作付転換を行なった者に対しましては、十アール当たり平均四万円交付することといたしております。  なお、以上のほか、農産物の需給の動向に対応しまして、水稲から他作物への転換を促進するため、総額四百二億円にのぼる経費を計上いたしております。  農業基盤整備につきましては、農道整備、圃場整備、畑作振興、草地開発等の各事業を拡充し、四十五年度に対し一八・一パーセント増の二千二百三十三億円を計上いたしております。  農林漁業金融におきましては、農林漁業金融公庫の融資ワクを四十五年度の二千三百億円から二千六百二十億円に拡大するとともに、農業近代化資金の融資ワク三千億円を確保いたしております。また、漁業近代化資金の融資ワクを四十五年度の二百五十億円から三百五十億円に拡大いたしております。  次に、沖繩復帰対策につきましては、本年七月からはじまる一九七二琉球会計年度におきまして、一般会計からは、前年度に対しまして六四%増の四百二十七億円、財政投融資からは、前年度に対し倍増の百四十億円の援助を行なうことを予定し、それぞれ所要額を計上いたしております。  次に、以上の説明と重複するところもありますが、公害対策と物価対策について、補足して説明いたしますと、公害対策につきましては、一般会計、特別会計を通じまして、四十五年度を三九・七%上回る九百三十一億円を計上いたしております。また、財政投融資計画においても、対象事業費として、四十五年度当初を四九%上回る千七百二億円を予定しております。  さらに、物価対策に関係ある経費につきましては、低生産性部門の生産性向上、住宅及び地価の安定、労働力の流動化促進等のための経費を、一般会計、特別会計を通じ合計いたしますと、四十五年度を二五・三%上回る八千百七十五億円となります。  次に、昭和四十五年度補正予算につきまして、補足して御説明いたします。  まず、一般会計について御説明いたします。  歳入につきましては、租税及び印紙収入の追加が三千十一億円でありますが、その内訳は、所得税八百一億円、法人税千三百九億円等であります。  税外収入の追加百二十二億円でありますが、これは日本専売公社納付金の増加によるものであります。  また、公債金五百億円を減額いたしまして、昭和四十五年度の公債発行予定額は三千八百億円となります。  次に、歳出面につきまして申し上げます。  給与改善費千六十五億円は、第六十四回国会において成立いたしました給与関係法に基づく公務員の給与改善等のため必要な経費であります。  義務的経費の追加百六十五億円は、生活保護費、国民健康保険助成費等の義務的経費の精算等のため必要な経費であります。  食糧管理特別会計におきましては、過剰米の処理及び国内米の買い入れ数量の増加等によりまして、同特別会計食糧管理勘定の損失額が増加する見込みとなりましたので、一般会計から同特別会計調整勘定に七百三十億円を繰り入れることといたしております。  万国博覧会跡地購入費八十三億円は、万国博覧会の跡地の一括的な利用の確保をはかる見地から、同跡地のおおむね二分の一を購入するため必要な経費であります。  地方交付税交付金千八十七億円は、所得税、法人税及び酒税の増収を歳入に計上いたしましたことに伴う増加額七百八十七億円と四十五年度の特例措置としての地方交付税交付金の減額を修正することに伴う追加交付額三百億円との合計額であります。  次に、歳出追加の財源に充てるため、既定経費の節約及び不用額の減額によりまして、四百四億円の修正減少を行なうこととしたものであります。  以上で私の補足説明を終わります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 次に細見主税局長。

細見卓大蔵省主税局長

○細見政府委員 昭和四十六年度の歳入予算と税制改正の概要につきまして、補足して御説明いたしたいと思います。  昭和四十六年度の一般会計歳入予算額九兆四千百四十三億円のうち、租税及び印紙収入予算額は、八兆二千九百六十三億円となっております。これは、昭和四十五年度一般会計租税及び印紙収入予算額六兆九千三百八十四億円に対しまして、一兆三千五百七十八億円、伸び率にして一九・六%の増加となっております。  この租税及び印紙収入予算額は、昭和四十五年度予算額に、昭和四十六年度の自然増収見込み額一兆四千九百六十五億円を加算した現行法による収入見込み額八兆四千三百五十億円を基礎とし、この見込み額から、昭和四十六年度の税制改正による減収額千三百八十七億円を差し引いたものであります。  以下、この内容につきまして、若干の御説明を申し上げたいと思います。  まず、昭和四十六年度の収入見込み額の基礎となっております自然増収額の見積もりについて申し上げます。この見積もり額は、昭和四十六年度の政府経済見通しを基礎いたしまして、最近までの課税状況及び収入実績等を考慮して見込んだものでございます。  わが国経済は、昭和四十五年度下期に入ってかなり鎮静化してきておりますが、昭和四十六年度におきましても、民間企業設備投資等の増勢の鈍化はあるものといたしましても、個人消費支出、民間住宅建設等の堅調にもささえられまして、対前年度比一五・一%程度の成長と見込まれているところであります。  このような経済見通しを基礎といたしまして、各税日ごとに積算いたしまして、一兆四千九百六十五億円の自然増収額を見込んだ次第でありまして、この自然増収額の昭和四十五年度予算額に対する伸びは二一・六%となっております。  この自然増収額の内訳を見てみますと、所得税の六千九百四十八億円、法人税の四千四百九十九億円がおもなものとなっており、このほかでは、酒税が八百十二億円、揮発油税が七百七十一億円となっております。  次に、ただいま大臣から申し上げました税制改正の概要につきまして、その規模及び内容を補足して説明させていただきます。  第一は、所得税の減税であります。  所得税につきましては、まず、中小所得者の負担の軽減をはかるため、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げることといたしておりますほか、給与所得者につきましては、その負担を軽減するため、給与所得控除の定額控除を三万円引き上げることといたしております。これによりまして、たとえば、給与所得者の課税最低限は、平年分で夫婦と子二人の場合九十八万五千円に、夫婦と子三人の場合百十五万四千円に、それぞれ引き上げられることになります。  これを、夫婦子二人の場合について、主要諸国と比較してみますと、アメリカの百三十一万四千円は別といたしましても、イギリスの七十七万二千円、西ドイツの七十八万五千円を上回っております。国際的に見ましても相当高い水準に達したことになると考えております。  以上の改正にあわせまして、障害者控除、老年者控除、寡婦控除等の引き上げ並びに白色申告者の専従者控除の引き上げにも配慮いたしております。  さらに、今回の改正におきましては、青色申告を奨励する等のため、新たに青色事業主特別経費準備金制度を設けることといたしております。これによりまして、青色事業者は、毎年の事業所得の五%に相当する金額を限度といたしまして、最高十万円までの金額を上記の準備金に繰り入れ、必要経費に算入することができることとなるわけであります。  その他の改正といたしましては、配偶者控除及び扶養控除の適用要件である所得限度などにつきまして、その引き上げをはかることといたしております。  以上の諸改正によりまする所得税の減収額は、初年度千六百六十六億円、平年度千九百八十九億円の規模に達しております。  なお、昭和四十六年度におきましては、御案内のように、地方税につきましても、住民税を中心として負担の軽減が行なわれることになっておりまして、昭和四十六年度の税制改正による国、地方を通じての減税規模は、平年度約二千八百億円にのぼる見込みでございます。  第二に、相続税、贈与税の軽減合理化等であります。  妻の座を優遇するため、妻に居住用財産を贈与した場合の贈与税の配偶者控除の拡充をはかりますとともに、これに応じて、相続税の配偶者控除の引き上げ等を行なうことといたしております。また、入場税につきましては、免税点の引き上げをはかる等の措置も講じられておりまして、これらに伴う減収額は、初年度二十三億円、平年度七十一億円と見込まれております。  第三は、租税特別措置の弾力的な運用であります。  当面の経済社会情勢の推移に即応するよう、公害対策、海外投資、資源開発対策、貯蓄奨励及び住宅対策、企業体質の強化等所要の措置を講ずるとともに、期限の到来する輸出振興税制を改正いたし、交際費課税を強化する等租税特別措置につきまして所要の整備合理化をはかることといたしております。これらの諸措置による増減収額は、初年度では、輸出振興税制の改正等租税特別措置の整理合理化による増収額が百七十八億円、公害対策等租税特別措置の拡充等による減収額も、同じく百七十八億円と見込まれております。なお、平年度では、それぞれ、四百七十七億円の増収、四百四十億円の減収と考えられます。  これは、新規の特別措置の創設及び既存の特別措置の拡充は、既存の特別措置の整理合理化に伴う増収額の範囲内にとどめるという昭和四十三年度以来の考え方を踏襲したものでございます。  第四は、自動車重量税を創設したことであります。  すなわち、道路その他の社会資本の充実の要請を考慮いたしまして、自動車の重量に応じ、その使用者に対し必要最少限の負担を求めることとし、自動車重量税を創設することといたしました。本税の創設に伴う増収額は、初年度四百三億円と見込まれ、このうち四分の一相当額が地方に譲与されるため、三百二億円が一般会計の歳入に計上されております。なお、平年度では、総額千二百五十一億円、一般会計分九百三十八億円と見込まれます。  以上のような税制改正の結果、昭和四十六年度につきましては、所得税減税といたしまして千六百六十六億円の減収が見込まれ、また、相続税等の軽減により二十三億円の減収が見込まれる一方、自動車重量税の創設に伴う増収が三百二億円と見込まれるため、以上を差し引きいたしまして、一設会計租税及び印紙収入では千三百八十七億円の減収となるわけでございます。  昭和四十六年度の租税及び印紙収入予算額の中では、法人税が、税収の伸びとしては鈍化いたしまするものの、二兆八千七百十五億円に達しまして、一般会計税収の三四・六%を占めております。一方、所得税につきましては、税制改正前の伸び率はかなり大きいわけでありますが、さきにも申し上げました規模の減税が予定されておりますため、予算計上額は二兆八千三百二十八億円、全体の三四・一%となっております。  このような結果といたしまして、昭和四十六年度におきましては、専売納付金をも含めました国税収入全体に占める直接税と間接税等の割合、いわゆる直間比率では、直接税の割合が上昇いたしまして、六六・六%に達することになると見込まれます。  以上に述べました昭和四十六年度の租税及び印紙収入予算額を基礎といたしまして、国民所得に対する租税負担率を推計いたしてみますと、国税につきましては、一三・二%程度になるものと見込まれます。地方税の収入見込額は、まだ必ずしも確定いたしていないのでありますが、一応の推算をいたしますと、六・一%程度と見込まれまして、国税・地方税全体では、一九・三%の負担率となり、昭和四五年度の実績見込み負担率一九・三%と同水準で推移することになるものと予測されております。なお、この租税負担率は、国税・地方税ともに、昭和四十六年度に予定されている減税を行なうことといたしまして算出された負担率でありまして、このような負担の軽減がもし行なわれない場合には一九・六%程度の負担率になるものと見込まれる次第であります。  最後に、昭和四十五年度補正予算について、一言御説明申し上げます。  今回の補正予算に計上いたしました租税及び印紙収入の追加三千十一億円は、補正要因を勘案しながら、最近の微妙な経済情勢をも踏まえまして、最近までの課税状況、収入実績等から見て当初予算に対して増減が見込まれまする税目の中でも、増減額がある程度の規模に達するものにつきまして、確実と見込まれるものを計上いたしたものであります。  以上をもちまして、補足説明を終わらせていただきます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 次に、相澤理財局長。

相澤英之大蔵省理財局長

○相澤政府委員 昭和四十六年度財政投融資計画及び財政資金の対民間収支見込みについて補足説明を申し上げます。  まず財政投融資計画でございますが、昭和四十六年度の財政投融資計画は、総額四兆二千八百四億円でありまして、これを四十五年度当初計画額、以下「前年度計画額」と申しますが、三兆五千七百九十九億円と比較いたしますと、七千五億円の増加となっており、その伸び率は一九・六%であります。  この計画の策定にあたりましては、わが国経済の動向に即応し、適切な財政運営を行なうよう、その規模を適度なものとするとともに、資金の効率的な配分に留意いたしております。  最初に、原資について御説明申し上げます。  まず、産業投資特別会計出資は、八百五十三億円を計上し、前年度計画額に対し、百八十二億円、一七・六%の減少となっております。  次に、資金運用部資金は、前年度計画額に対し、五千八百九十四億円、二三・二%増の三兆千三百三十四億円を見込んでおります。このうち、郵便貯金につきましては一兆三千五百億円、厚生年金につきましては九千四百六十六億円、国民年金につきましては千九百四十九億円をそれぞれ見込んでおります。  次に、簡保資金につきましては、前年度計画額に対し、千二十億円、二六・〇%増の四千九百五十億円を見込んでおります。  また、公募債借り入れ金等につきましては、前年度計画額に対し、二百七十三億円、五・一%増の五千六百六十七億円を予定いたしております。このうち、政府保証債につきましては、前年度計画額と同額の三千億円を予定いたしております。  これらの資金を合計いたしますと、四兆二千八百四億円の原資となります。  この原資をもちまして、財政投融資の運用を行なうのでありますが、先ほど、大蔵大臣からも説明いたしましたように、四十六年度におきましては、特に、住宅、道路等の社会資本の充実、下水道整備の促進等公害対策の推進に重点を置きますとともに、中小企業金融の充実、社会開発及び流通対策の促進にも十分配慮いたしております。  各機関に対する運用につきましては、資金計画の表に掲げてございますが、ここでは、概略して、使途別分類表によって御説明申し上げます。  使途別分類表のうち、(1)住宅、(2)生活環境整備、(3)厚生福祉施設、(4)文教施設、(5)中小企業及び(6)農林漁業につきましては、国民生活に最も密接な関係を有する部門でございますが、これらに対する資金配分は、財政投融資総額の五七・八%を占めており、また、その前年度計画額に対する伸び率は二二・六%にのぼっておりまして、これを財政投融資計画総額の伸び率一九・六%と比べますと、三%も大きな増加となっており、四十六年度の財政投融資計画はこれらの部門に重点を置いていることが明らかであると存じます。  次に、(7)国土保全・災害復旧、(8)道路、(9)運輸通信及び(10)地域開発に対する財政投融資は、総額一兆千五百六十七億円となっております。  なお、(7)国土保全・災害復旧、(8)道路、(9)運輸通信に、(1)住宅、(2)生活環境整備を加えました広義の社会資本と目される部門を集計いたしますと、財政投融資総額の五五・二%に当たり、その前年度計画額に対する伸び率も二一・六%と、総額の伸び率に比べて大きな増加となっております。  また、(11)基幹産業につきましては、二千二百九十九億円、(12)輸出振興につきましては、四千百九十億円を計上しております。  以上で、昭和四十六年度財政投融資計画の補足説明を終わります。  次に、財政資金の対民間収支見込みについて御説明申し上げます。  昭和四十六年度の財政資金対民間収支見込みでありますが、予算を前提として推計いたしますと、八百十億円の散布超過と見込まれます。  まず、一般会計におきまして、前年度剰余金九百六十億円を使用することにより、九百六十億円の散布超過が見込まれます。また、食管会計におきまして、食糧証券の発行減少によりまして、四百億円の引き揚げ超過が見込まれ、資金運用部におきましては、繰り越し資金による国債の引き受けにより、三百億円の散布超過が見込まれます。以上、差し引きして散布超過要因が八百六十億円になります。  その他、国庫と日銀との間の納付金、法人税、利子、割引料等の受け払い及び各特別会計等の収支で千八百億円の引き揚げ超過要因が見込まれますので、これらの要因をさらに差し引きいたしますと、外為資金以外の財政資金対民間収支では、九百四十億円の引き揚げ超過が見込まれる次第であります。  最後に、外為資金につきましては、四十六年度の国際収支の動向等から見て、千七百五十億円の散布超過が見込まれますので、これを差し引きいたしまして、四十六年度の財政資金対民間収支全体といたしましては、八百十億円の散布超過を見込んだ次第であります。  以上で、昭和四十六年度の財政資金対民間収支見込みについての補足説明を終わります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 以上をもって大蔵省関係の説明は終わりました。  次に、新田経済企画庁調整局長。

新田庚一経済企画庁調整局長

○新田政府委員 予算案の参考として、お手元にお配りしてあります「昭和四十六年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」につきまして、その概要を御説明申し上げます。  初めに、四十六年度の出発点となります四十五年度の経済情勢について申し上げますと、夏ごろから生産・出荷の伸び悩み、製品在庫率の上昇、卸売り物価の落ちつき等の変化が次第にあらわれ、景気は下期に入ってかなり鎮静の度を強めてきております。  こうした情勢を背景に、日本銀行は、四十五年十月及び四十六年一月の二回にわたり公定歩合を引き下げましたが、今後の推移としては、消費需要等は依然堅調であるものの、投資需要の伸びの鈍化等が予想されますので、年度全体の総需要の伸びは前年度を下回ることとなると思われます。  この結果、四十五年度の国民総生産はほぼ七十三兆二千四百億円程度の規模となり、経済成長率は名目一七・三%、実質一〇・八%程度になるものと見込まれます。また、国際収支は、総合収支で九億一千万ドル程度の黒字と、前年度を下回るものと予想されます。  他方、物価について見ますと、卸売り物価は年度当初ごろから落ちついた推移を見せている反面、消費者物価は依然根強い騰勢を続けており、前年度比七・三%程度の高い上昇となることが懸念されます。  次に、四十六年度のわが国経済の見通しについて申し述べます。四十五年度後半からの景気鎮静のあとを受け、四十六年度のわが国経済の動向にはなお注目すべきものがあり、また消費者物価の騰勢は引き続き根強いものと思われます。さらに海外におきましても、世界貿易の伸びの鈍化等注視すべき要因も少なくありません。  このような内外の諸情勢のもとで、後に申し述べる政府の適切な経済運営を前提として四十六年度経済の姿を想定いたしますと、経済は年度間を通じてゆるやかな成長過程をたどり、国民総生産の規模は八十四兆三千二百億円程度、経済成長率は前年度を若干下回る名目一五・一%、実質一〇・一%程度となる見込みであります。  この場合における経済の主要項目につきまして、簡単に御説明申し上げます。  まず国内需要について見ますと、個人消費支出及び民間住宅建設は引き続き堅調に推移するものと見込まれるのに対し、民間設備投資は、製造業における伸びがかなり鈍化するため、伸び率は前年度をかなり下回る一二・六%程度になり、また在庫投資は、前年度をわずかに上回る規模になるものと見込まれます。  財政面では、このような経済の動向に弾力的に対処しつつ所要の施策を進めることとしており、政府の財貨サービス購入は、前年度に比べ一五・四%増の十三兆七千九百億円程度となる見込みであります。  このような国内需要と輸出の動向に応じて、鉱工業生産は、前年度をやや下回る一一・八%程度の伸びになるものと見込まれます。  また、国際収支につきましては、輸出は、世界貿易の伸びの低下等に伴ない二百二十八億ドル程度、輸入は、国内経済活動の動向等を反映して百八十一億五千万ドル程度が見込まれ、経常収支では二十一億五千万ドル程度の黒字が予想されますが、長期資本収支の動向を考慮いたしますと、基礎的収支は四億五千万ドル程度の黒字となる見通しであります。  次に、物価につきましては、卸売り物価は引き続き落ち着いた推移を示すものと見込まれますが、消費者物価は依然根強い上昇基調にあり、各般の物価対策を強力に実施することにより、前年一度比五・五%程度の上昇にとどめるよう努力をいたすこととしております。  四十六年度のわが国経済の見通しは以上のとおりでありますが、四十六年度の経済運営にあたりましては、景気の動向を注視しつつ、財政金融政策をはじめとする経済政策の適切かつ機動的な運用により、総需要を適正に保ちわが国経済を安定成長路線に定着させることを基本とし、物価の安定を最重点課題として取り組むとともに、社会開発の積極的な推進、対外経済政策の積極的な展開、経済体質の改善と経済発展の基盤の強化等に重点を置いて政策運営を行なってまいることといたしております。  以上、昭和四十六年度の経済見通しと経済運営の基本的態度につきまして、御説明申し上げた次第でございます。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 以上をもちまして補足説明は終わりました。      ————◇—————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 この際、公聴会の件につきましておはかりをいたします。  総予算につきましては公聴会を開かなければならないことになっておりますので、昭和四十六年度総予算について、議長に対して公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、公聴会の開会承認要求並びに公聴会の開会に関する諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後は一時から再開し、昭和四十六年度総予算に対する総括質疑に入ることといたします。  この際、暫時休憩をいたします。     午前十一時八分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議

中野四郎自由民主党

○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  まず、理事の補欠選任についておはかりをいたします。  委員の異動によりまして、理事が一名欠員となっております。つきましては、この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野四郎自由民主党

○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、藤田義光君を理事に指名いたします。      ————◇—————

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これより昭和四十六年度一般会計予算、昭和四十六年度特別会計予算、昭和四十六年度政府関係機関予算、右三案を一括議題として総括質疑に入ります。松野頼三君。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 自民党を代表して、本日は政府に政治一般についてお尋ねをいたします。本日は、特に各委員のお許しを得て、私が自民党を代表して、私の意見も交えながら党の意見を中心に総理にお尋ねをいたします。  議会は与野党の白熱した論議、これが最も必要なことであることは論を待ちません。しかしながら、静かに与党と政府と話し合いながら新しい政治の道を探求する、新しい考えを求め出すという場面を国民の前にこの議会を通じて行なうことも必要なことだと私は感じます。したがいまして、本日そのような状況で温和な中に総理の御意見を伺いたい。おそらく野党の諸君も本日は静かに御協力を願えると思います。また、私が本日はただ一人の質問者で、本日は私だけでございます。そう考えてまいりますと、そういう気持ちで諸政一般について御質疑を申し上げたいと存じます。  私は、佐藤内閣を振り返ってみて、一番大きな特徴は長期安定政権、これは歴史の上に最高の功績を残された。ある方は言います。長いだけが政治じゃないと言う方もありますが、民主政治の一番大きな長所であり短所は時間だと私は思うのです。いかに有能な優秀な政治議題をかかえても、時間がないためにそれを全うし得ないというのが民主政治における短所である。ある意味においては時間が一番有効な民主政治の基礎だとさえ私は考えます。その中で佐藤総理はその時間を持たれたということは、民主政治家として歴史の上で一番大きな長所であると私は思います。その中に小笠原であり、沖繩であり、懸案事項が解決され、また解決される今日の状況、国民ひとしく派閥を越え、政党を越え、感情を越え、これが佐藤内閣の特徴であると私は信じます。その意味で、佐藤内閣の業績を本日議論しようというわけではありません。なお国民が期待するもの、佐藤内閣がもっとこれをしてほしい、こうあってほしいという要望を、六年間振り返って私は感じまして、その国民の要望を背景に本日質問を続けたいと思います。  佐藤内閣の成立当時、世論調査の人気は四六%であります。その後安定してやはり四〇前後、三七、三八、四〇近い世論調査が六年間ずっと続いておるということ、これは佐藤さんの人柄がこうあったと私も思います。またその反面、佐藤内閣を支持しないという者、最低が一一%、最高が三七、平均して三〇%弱、これもまたある意味においては固定しております。したがって、内閣が急激な爆発的人気があったり、爆発的不評を買ったというのでなくして、私は佐藤内閣を支持する者、また佐藤内閣を支持しない者、これもある意味においては固定化したものだ。言うなれば、これが佐藤内閣の、世論調査を基礎とした基本的特徴であると私は思います。  次に、佐藤内閣に内政で何を希望するかというのも、これも六年間をずっととってまいりました。一番当初のころは減税でありました。減税が佐藤内閣に期待する内政の一番大きなものだった。二七%です。毎年毎年減りまして、本年は一〇%を割りました。したがって、減税は公約どおり着実に実行されたということがこの統計でも出ております。本年はまた国、地方を通じて二千八百億の減税案を提出された。これは佐藤内閣が着実に行なわれた減税の結果だと私は思います。もう一つ大きなのは物価対策、これが今回も一番多い。三十九年が四十数%、今年もまた三十数%、あまり変わらない計数をとっておるのが実は物価対策です。これも内政の上に注意しなければならないことです。次に、ほとんど二〇%台を六年維持しておりますのが社会保障の充実であります。その次に位するのが住宅と交通であります。最近特に見えますのは、農業政策が当初は二%、三%というものが、最近は一〇%に近づきました。これは今日の農業、農政の苦難がここにあらわれたのではないかと思います。  外交を振り返ってまいりますと、当初から一番要望の多いのは沖繩の祖国返還であります。これは幸い今回その見通しとその実現を目前にいたしました。その次が安保問題であります。安保は昨年一応のケリがつきましたので、本年はこの世論調査はほとんどもうその影をひそめました。本年特に目立ちますのは北方領土と中共問題であります。アジアの平和な発展、国連中心の外交、この四つの項目が、二〇%以上を占める外交上の、佐藤内閣に要望する、してもらいたい、してくれという国民の声だろうと私は思います。したがって、この国民の希望と要望を背景に、ただいまから第一に外交問題の沖繩問題からお尋ねをいたしたいと思います。  沖繩は、佐藤・ニクソン会談によって非常な大成功の中に、一昨昨年、日本に返還が日米間で決定いたし、すでにその準備も着々進み、その当時の申し合わせの七二年も来年に迫りました。したがって沖繩県民、日本国民はすべて一日も早からんことをこれについて待望いたしております。したがって、一日も早くということは、いつの時期にどうなるかということが今日その希望の中心であると私は思います。したがいまして、第一にお伺いしたいことは、党の首脳部もあるいは政府筋からも、本年の調印の時期について、あるいは次の批准の準備について、国内法の整備について、いよいよ返還の時期が来年の四月とかあるいは初旬とか実はいろいろいわれております。願わくはこの際総理から、今日いわれます返還の調印の時期、それに対する国内法の整備の時期、日本の国会にこれを提案する時期、それから返還の最終の日にち、でき得るならば第一にこのことを総理からお答え願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 松野君からいままでの経過その他過去の政治を振り返りながら幾つかの問題を提案されましたが、それらはいずれ追って具体的に入るとして、ただいま具体的に提案されておりますのは、沖繩の交渉の経過はどうなっておるか、こういうことであり、またその見通しはどうかというお話でございます。  沖繩の返還問題については、私はこれと取り組みまして、ほんとうにただいま一九七二年中に沖繩は返ってくる、しかもそれが本土並み、核抜きである、そういう大原則のもとに祖国復帰を実現しようとし、また基本的な合意ができておること、これをあらためて考えてみまして、まことに感無量なものがございます。ジョンソン大統領、さらにまた引き続きニクソン大統領、二代にわたって私は交渉を持って、そうしていよいよ具体的に、ただいま申し上げるような核抜き、本土並み、一九七二年返還、これが約束できて、その準備をただいましているということ、まことにうれしくもあり、同時にまた感無量でもあります。  ことしに入りまして、愛知外務大臣と米国の駐日大使とこの話し合いをし、同時にまた、事務当局の間でも話が掘り下げられております。私の聞くところでは、これらの諸交渉は順調に進んでおるという二とであり、したがって、この四月にもあるいは五月にも、その辺で調印ができ、国会の審議を仰ぐような段階にまでこぎつけ得るのではないか、かようにもいわれておるように聞いております。しかし、その詳細については、相手のあることでもありますし、まだこの機会にいつ調印するとかまたどういうようになっているとかいう、なかなか話しにくい点もあろうかと思いますが、この交渉の衝に当たっておる外務当局からそれらについてはお聞き取りいただきたいと思います。私から申し上げ得ることは、私がニクソン大統領と話し合った核抜き、本土並み、そして一九七二年中返還、そのワク内において話がまとまりつつあるということ、それだけをお話をいたしますので、詳細は外務大臣からお聞き取りいただきたい。

愛知揆一自由民主党

○愛知国務大臣 本国会の再開の劈頭に外交演説で申し上げましたように、返還協定につきましてはおそくとも夏ごろまでには署名をするという段階までこぎつけたいと思っております。そしてその後、協定と相並んでいろいろの対米折衝事項もございますし、それから国内的な立法措置等もございますから、それらの準備が十分できましたところで国会の御審議を十分仰ぎたい。アメリカ側もたいへん意欲的にこの作業に協力してくれております。アメリカ側が議会関係等でどういう手続をとるか、これは承知いたしておりませんけれども、政府の熱意のあるところから見まして、これも順調に進むであろうと期待いたしておるわけでございます。  そうして、具体的な返還の時期がどうかということは、ただいま総理からも言われましたように、これはその期日等についての話し合いまではまだ進んでおりませんので、いま何とも申し上げかねますけれども、しかし、準備はできるだけ進めておきまして、来年のなるべく早い機会に返還の実現ができるようにとこういう心組みで折衝をさらに続けたいと思っております。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 もう一つ沖繩では、佐藤・ニクソン会談の第四項に、ベトナム条項、協議事項というのが第四項にあったと思います。これについてその協議の必要な事態というものが今日あるのかないのか、これを一点お伺いいたしたい。  もう一点は、安保行政協定の改正とか、抵触はないということを本会議で答弁をされました。その他に付属文書とかいうものももちろんないという答弁をされましたが、何か特別取りきめというものがありやなきゃという議論も出ております。この点を一点。  一点は、今日の事態において日米間の協議事項という前提が必要であるのかないのか、これは佐藤・ニクソン会談の第四項を私はさして申しております。もう一つは、日米間において特別な取りきめ事項というものがあるかないか。内容はまた別としましても、そういう事態が起こるか起こらないか。この二点を沖繩問題でさらにお尋ねをいたしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま、お尋ねについては、私、一応本土並み、核抜き、七二年中、こういう三つの大原則を申しました。このワク内においてものごとはそれぞれ話し合いが進められるのであります。したがいまして、非常に御心配であるようなベトナムの戦争が続いていたら何か特別なことがあるか、かようなお話ですが、しかし、その点についてもただいまの本土並みのもの以外には別に考えられるものはございません。したがって、さような点は御心配は要らないと、かように御了承いただきたい。  また、沖繩が現在米国の強力な軍事基地であること、これは事実でありますが、そのときに特別な取りきめをする必要があるのかどうか、かまうに考えますと、これもないのでありまして、これも本土並み、その範囲内において私どもが話し合うということでございますから、この御心配のないこと、御懸念のないことをはっきり申し上げておきます。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 一応沖繩は、佐藤総理の核抜き、本土並み、七二年返還、佐藤・ニクソン会談のとおり順調に進行して、その成果をもう来年目前に期待しております。心から、最後の仕上げまで国民の期待をつないでいただきたい、また国民の期待をぜひ実現をしていただきたいことを私は希望いたします。  次に、中共の問題であります。中共と申しますと、総理大臣は今回は中華人民共和国とお呼びになりました。これを略して中共ということばに私は便宜上いたしたいと思います。中華人民共和国、ちょうどその上とまん中をとりますと中共ということになると私は思います。中華民国は一応私は国府と呼ばしていただいて、議論が間違うといけませんからお願いいたします。特に、佐藤総理大臣の日中問題というのは、やや一般世間から誤解をされておるのではないかと私は思います。佐藤総理大臣は、かつては中共の政府要人と面会されたということは先駆者であると私は思います。  なお、中共問題になりますと、日本を決定した百年という吉田総理の当時の回顧録を拝見しても、吉田総理もこの中国問題が一番むずかしい問題であった、また今後もむずかしい問題があるんだということをるる書かれておる。もちろんその当時いろいろな裏話もありましたろう。ある意味においては思い出話もありましたろう。必ずしもこれがすべて政治そのものとは私は思いません。一つの回想録であったと私は思います。しかし、吉田さんのこの心情を見ますると、非常に中国問題で頭を悩ましたということだけは否定できないことであります。これは一つの回顧録ですが、吉田総理、岡崎外務大臣が日華平和条約の締結のとき、やはり議会において野党諸君から問題が提起されております。そのときも吉田さんは非常に含みのあることを言われておりました。必ずしも吉田さんが硬直した中国政策を持っておったとは私も思いません。しかし、理想ばかりを追って現実を見忘れたような外交は吉田さんはしておりませんでした。理想は掲げながら、現実に、着実に日本の国益を中心に今日まで日華平和条約の歩みをしたこと、これを非常に強く私は感じました。だからといって、これが永久に動脈硬化のような、吉田さんの印象では、この回顧録の中にもありません。  佐藤総理も同じような感じで、ややどちらかというと議会、本会議——一般にあまり佐藤総理に対して色をつけ過ぎた印象を持っているのではないか。一番その印象を持っているのは中共そのものだと私は思います。中華人民共和国、北京放送を見るならば、これは大いに佐藤内閣に対する誤った認識を持っておる。どちらかというならば、もう少し建設的に中共問題は前進すべきものだと私は思います。しかし、相手のあることですから、日本だけがこれに手を出しても握手は片手ではできません。それはそれとして、でき得るならば日中の国交の回復の前進ははかるべきものであるという信念と感情は持っております。いつか、どういう方法か、あるいはその内容は、これはとうてい今日結論を見出すわけにはまいりません。しかし、念頭に日中問題の一わが党内におきましてもいろいろな意見がございます。私もいろいろな意見を拝聴しております。どれもまだ確定したものでもなければ、そう効果的なもの、きょうにこれを期待するというようなものはなかなか出てまいりません。しかしながら、一日一日進んでまいらなければ日中のこの問題、アジアにおける日中のパイプというものも私は前進しないであろうと思います。  その観点から日中二カ国だけを考えてまいりますと、これを放置してよろしいという世論よりも、何らかできないであろうかというのが今日の一般的な感情、国民の声であることも否定できないことだと私は思います。そこで問題は、何がそれでは障害になっておるんだ、どこが進まないんだという事実をあげながら、私たちは前進したいが、どこまでは前進できる、できないのは何が理由だということを究明しながら、ただ感情に走らず郷愁におぼれず進んでまいりたいという感じから本日御質問申し上げます。  第一は、日中問題と申しますと、これは日本の不幸な戦争の事態から第一に発足したと思います。大東亜戦争、ポツダム宣言、カイロ宣言、日本のポツダム宣言受諾による一九四五年の要するに戦火の終息、この事態における中国の代表は、申すまでもなく中国を代表した今日の蒋介石政権であったことは否定できません。したがって、この終戦のときの調印、これが平和条約につながる調印者でなければならないという方もおります。あるいは政権が交代したためにそれが変わったんだという議論もあります。たまたま四五年が終戦であり、五二年が日華平和条約であり、四九年が中共の政権と申しますか、政権の樹立であります。五四年に中共は憲法を制定しておりますが、要するに四九年が中共の政権樹立といわれておるのであります。この六年間の間に、中国国内における政権の交代あるいは変化、この二つが、今日議論をするならば、ここが大きな問題だろうと私は思います。したがって、中共問題は好ききらいじゃなしに、この事実のもとに今後の方針を立てなければならない、こう私は考えます。  第一には、今日まで歩んでまいりましたのは調印をした終戦の連合国として、日本対その連合国の一員としての中国、すなわち今日の蒋介石政権における中国が代表してこれを調印をいたしました。これに応じて引き揚げ者をあるいは日本の終戦的問題を処理をいたしました。その後、中国側の国内の変化によって一部変動し、大陸が中共政権となり、台湾、澎湖島が今日の国民政府となった。しかし、これはあくまで新しい国の誕生とはだれも言いません。一つの中国ですから、これは新しい国の誕生というわけにまいりません。そうなるならば、少なくとも代表して調印をした蒋介石政府の代表する中国によって平和条約を結んだ、ここに私は誤りはないと思います。法律的にも現実的にも誤りはないと思います。もしかりにまだ戦争状態が続いておるんだ、いまから日本と交渉をするんだというならば、日本は一つの国と戦争をして二つの終戦問題を処理しなければならないのか、こんな不合理なことはありません。日本は一つの中国と戦争したならば、一つの条約と一つの問題であって、新たにこの中に別なものを対外的に要求すべきものは私はあり得ないと思います。日本の終戦において賠償問題で、ベトナム、これはベトナムを代表して南ベトナムに日本の国交回復あるいは当時の賠償問題が解決をいたしました。地域的にどうだとかあるいは政府が二つあるからとかいうことは、それは国内問題であって、日本の対外的要求というものは私はどの問題もあり得ないと実は思います。したがって中共政府といえど、調印した四五年における中国を代表した蒋介石政府を否定はしないであろう、これは否定できないことだ。それならば、その後において政権と地域とあるいは内情が変わったこと、これは中国の国内のことであって、対外的に要求すべき権利もなければ、国際的に慣例もない、私はかく考えますので、法律的にも現実的にも日本と中国と戦争の不幸な状態は完全に終局したという立場で、まず中国問題の焦点と申しますか、第一歩から進んでまいりたいと思いますが、佐藤総理大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 松野君にお答えいたしますが、お話しのとおり一九四五年九月二日、ミズーリ艦上において日本は降伏し、降伏文書に調印をした。このときはアメリカばかりではない、中国の代表者徐永昌もいた、これははっきりしております。そうして終戦がそこででき上がった、そういう状態、この歴史的な事実は、これはだれも否定するものはないだろうと思います。しかして、この条約と後に結ばれた日華平和条約、その間にはしばらくの時間の経過もあるし、その間に中国自体におきましても政権の交代等があった。そういうことでこのミズーリ艦上における降伏文書に調印したこと、その事実は無視はしてない、さように考えると、私は戦争は終わったものだ、かように考えるのはこれは当然だろう、かように思います。したがって、ただいままで言われたこと、それはそのとおりであると私も認めるものでございます。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 次に、それから中共の誕生といいますか中国政府が確立をした。その後残念ながら日本とは国交もなければ何ら連絡がありません。それが今日ある意味においては不安なアジア状態をかもしておるという方ももちろんおります。今日までやってまいりましたのを見ますると、一番代表的なのがLT貿易における貿易交渉、いまは覚書貿易にこれは変わっております。この覚書貿易が少なくとも日中間のパイプであることは私も認めます。またその役割りもある意味においてはあると私は思います。ただ日中を、正常に今後国交回復を進めようというときこれでいいかと考えてみますると、残念ながらこの日中覚書貿易の最近の動きを妥当なものだと日本の国民で認めるものはほとんどないであろう。交渉の当事者、交渉に行かれた方でさえも喜んでこの共同声明に調印をされたものではないと私は思います。申すまでもなく、好まれた人物が好まれた場所に行って好まれたことを聞かされて、そうして好まれた一方的な覚書貿易交渉、これはパイプとしての役はあるかもしれませんが、国交回復へ拡大すというには逆行するんじゃなかろうか。逆にいうなら、こういうことのためにかえって日中のみぞが深まるんじゃないかとさえ私は善意な意味で憂慮するものであります。できるならば覚書貿易をパイプとしておること——これもないよりもましであるかもしれないが、もう少し善意な意味で、これを点から線に、線から面に拡大するという方向がなければ、何ら日中の接触も改善も行なわれない、私はこう考えて、今後覚書貿易を、貿易協定ですから経済に限定して、もしも政治論をやりたいならば別なもの、これこそ政経分離のパイプのほうがまだ罪が軽いんじゃなかろうか。今日まで日本は、日中は外交はない、政治だけだ、中共のほうは経済よりも政治が優先だ、言うなれば両方の意見が食い違ったままその中間的なものが覚書貿易という姿であったと思います。しかし、この姿はできるならば改善すべき時期である、こう考えて、まず考えられることは、よくいわれておりますが、経済以外に大使級の会談を総理は是認をされ、あるいは政府もそれを認め、ある場合には大もの派遣ということも出ました。ある場合には何らかの大使の接触、これも出ました。あるいは第三国を通じての接触、これも私はやられたと思います。もちろんなかなかそのとおり中共はやってまいりません。しかしながら今日考えられることは、人事の交流と、こういわれるのですから、好まれた者だけの会談よりも公平な世論を代表する者の交流が私は望まれるし、もちろん外交がなくても人事の交流と接触の前例はあります。日本が占領中であった当時、日本には外交権がなくて、もっぱら外交はGHQと日本政府はやっておりました。そのとき日米間の議員懇談会を議提案したのが松本瀧藏君であったと私は思います。もちろん派閥とか思想はこえておりました。お互い別に外交権があるわけじゃありません。しかしながら公平な、好まれた人物ばかりじゃなしに超党派的な、当時の議長が山崎さんだったと記憶しますが、議長が中心でやられた記憶を私は持っております。もちろん中共に、議員がどんな姿かこれはわかりませんが、要するにあまり好まれた、中共好みの人事交流でなしに、公平な人事交流の場を開くことこれが今日の覚書貿易の固定化した動脈硬化を改善する道ではなかろうか、こんな感じを実は持ちながら、中共問題に対する態度を、総括的でありますが事例をあげながら私の感じを申し上げたい。総理の御答弁をお願いいたしたいと思います。

愛知揆一自由民主党

○愛知国務大臣 政府間の接触につきましては、これも演説でも申しましたように、政府間の対話というものができればやりたい、そしてそれは相互に立場を尊重する、内政不干渉という原則で話を始めて相互の理解を増進するようにすれば双方のためによろしいであろうという見解と立場をとっているわけでございます。しかし、これはただいまも御指摘のように実際問題としてなかなかむずかしい点があろうと思います。したがって、ただいま御指摘のように覚書貿易について、むしろこれは貿易の問題に限定してやって、政治的な話は、まあ制度が違いますから必ずしも日米間と同じような形はとれないかと思いますけれども、しかるべき対応する方々との間で政治的な意見を交換されるという機会ができれば、これも望ましいことである、一般論としてさようには考えております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまも外務大臣からお答えいたしましたように、いろいろのルートができることは、これは好ましいことだと思いますが、しかし、そこらにそれを実現をはばむようないろいろ困難な問題があるだろうと思います。松野君がせっかく提案される議員相互の間の話し合い、占領下における日米間で経験したような方法を考えてみるのも一案だろうと思いますが、当方でさように考えましても、そこまではたして実現できるかどうか、相手方もそういうように話に乗ってくれるかどうか、そこに問題があるのではないかと思っております。いままでのところ、覚書貿易自身を唯一のパイプのように考えておりますのも、これは幸いにして相手方も覚書貿易を存続しよう、そういう立場で交渉しておる、またそういう意味から相手方が好ましいと申しますか、あるい一は望ましい諸君の来訪を待っておる、こういうような形でもある。そういうところが、われわれは別に区別をするわけではありませんが、だんだん交渉が広がるゆえんでもあろうか、かように思います。当方から働きかけることも必要でありますが、相手方もこれを受け入れる、また積極的にそれに応じてくれる、その態度が望ましい、かように私は思いますので、いろいろ具体的な案について、どれが悪いとか、どれがいいとか、かように申すよりも、いまの状態ではあらゆる場合に何らかのルートを残す、さがし求める、こういう態度が必要であるように思います。そして、これは本会議でもお話しをしたように、今日のようにこじれてきておるゆえんのものは、これはやはり二つの政府がいずれも中国の正統政府であるということを言って他を排撃しておる、そういうところに問題があるように思いますので、そういう点が直らない限りというか、改まらない限り、変わらない限り、変わっていくというほうが適当だろうと思いますが、変わらない限り、適当な方法はなかなかないのじゃないだろうか。ただいまもとほうにくれているというのが当方の立場でございます。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 実は議員の話をしましたのは、先般当委員会の理事坪川団長が、自民党の中堅議員二十名を引き連れまして台北に国府訪問をいたしました。考えてみると、同じような立場でわれわれは平等に扱えるのではないか。しかし、相手がこれを聞かないのだ。これをあえて一方的な姿勢だと言われるそしりを、私はこの際明確にしたいために議員というのを提案したわけで、それは中共に対しては佐藤内閣が冷たい、国府に対しては特別だと、不公平だと言わんばかりの論調が、ややもすれば誤解を受けます。そこで、先般坪川団長が行かれたと同じように、われわれがもし中共に行かれるならば、堂々と行ってもいいではないかというのが私の真意であって、残念ながら私は渡航申請を出したことはありませんが、同僚の中には中共に渡航申請を出したが、なかなか好まれて許されないまま何年も実はおる方がたくさんあるのです。そういうことも事実を念頭に置いて議論をしないと、何となしに公平なほんとうの日中回復を一ほんとうに言うなら、平等な立場で、言いたいことを、真相を言わなければ、ただお互いに好まれた者が老酒の乾杯ではなかなかそれは成功しません。それは私はその意味はないとは言わないが、日中国交回復を促進する努力をしながら、現実はゴボウ抜きにあっているのじゃないか。もしも今後覚書貿易で代表者が行かれるならば、真の日本の姿を話してもらいたい。外交は、お互いの真相を話すことが外交で、もちろん相手の感情をこわしてはいけませんが、真実を話さないままやることは、必ずしも賢明な善意の外交では私はないと思います。  今日、もう一つ中国問題で気になるのは、日本を軍国主義と非難する、このことは私はどうしてもわからない。あるいは最近日本の中にも、佐藤内閣をそう誹謗する方も出てまいりました。ことばをつくることはじょうずかもしれないが、内容と真実は——私はこれには一言触れたいと思います。軍国主義とは何ぞや、百科辞典を開いてみなければ、軍国主義の実は定義が違いますが、私は今日、中共の憲法と日本の憲法を比べてみたい、あるいは中共の軍事力と日本の軍事力を比べてみたい、徴兵制と志願兵制を比べてみたい、戦力の大きさを比べてみたい、あるいは今日までの終戦後の歴史を比べてみたい。考えてみると、日本は中共から軍国主義呼ばわりを受けるような事実は一つもありません。最後に残るのは経済が大きい、経済の成長が軍国主義というなら、先進国はみな軍国主義といわれざるを得ないと私は思う。私は、このことは中共自身ももう少し日本に柔軟な態度をとってもらいたい。佐藤内閣よりも中共そのものが柔軟な態度をとってもらいたい。またその道があるならその姿を中共に伝えてもらいたい。会う機会があるなら、その人はもう少し日本の真の姿を伝えてもらいたいというのが、中共問題のすべてにおける私は問題の焦点だと思います。われわれが中共問題で硬直化しているのじゃないのだ、現実阻害しているものはこのとおりだ、渡航もわれわれはできないではないか、話し合いもできないではないか、北京放送だけで外交の道が閉ざされているような状況は、日中にとって不幸なことであると私は思います。  そこで次は、この中国問題で国連の問題に触れたいと思います。  国連の問題は、多年重要事項指定方式——先般はアルバニア案というものが過半数を占めました。占めたといいましても国連百二十六の加盟国の中で五十一ですから、総数から見ると四割であります。重要事項指定方式は六十六カ国、昨年の暮れ、百二十六の中でいうなら、これは過半数を占めております。したがって、アルバニア案に賛成をしながら、今度は重要事項指定方式にも賛成される方もある、あるいは中共を承認していながら、やはりアルバニア案ではだめだという国もある、と考えますと、要するにこれは、重要事項指定方式がどうなるか別としましても、ただ言えることは、アルバニア案のような過半数で中共の招請を決定するということは不安定であると私は思います。国連憲章においては、除名、加盟は三分の二となっております。代表権だから除名でも加盟でもない、代表権を、中共を代表として国府を追放しろというのだから、これは加盟、除名の問題ではないというのが実はアルバニア案の提案だったと記憶します。しかし、この状況をずっと見ますと、アルバニア案も何年も提案してやっと今日この五十一と四十九という数になっただけで、安定したものだとはだれも言えません。もしもこの状態を続けていくなら、本年はアルバニア案で中共が加盟をする、翌年は今度は中共を追放して国府を加盟しろという案が出、またこれが可決されるならば、毎年毎年不安定な関係が国際情勢に残ると思います。したがって、佐藤総理大臣も、あるいは愛知外務大臣も、重要事項指定方式に、本年の模様をまだ明確に答えられておりませんが、ただ、私が願いたいことは、安定した中に好まれてこの問題を解決したい。ということは、三分の二の安定数というものを絶対に持つべきである。また、国連の憲章と運営の中からいってもこれは当然なことである。さにあらずんば中共問題が国連でなお次の紛争を巻き起こすと私は思います。したがって、国連問題では、中共を阻止するがごとき行動を日本がとるということは、私は得策ではないと思います。ただ、国連の中で、日本が国連の運営と国際関係の確立のために忠実に安定した国際情勢をつくるためには、三分の二という——除名、加盟以上にこれは重大な問題だと私も信じます。資格審査だけだというならば資格審査委員会ではかられればよかったが、これでも結論は出ない。それから総会にきた。総会でも結論が出ない。アルバニア案だ、いやソビエト案だ、各種の案が実は今日長年続いております。そうなれば、これは除名、加盟以上に重要なことであるから、安定した国際情勢とアジア情勢をつくってもらいたい。それには三分の二ということを念頭に置いて、いかなる案、いかなる方策があるか。これは中共阻止ではないんだ、要するに国際間、アジアの国際情勢、国連における加盟と代表権はその安定につながるものだという意味で、三分の二というその安定をぜひ私は保ってもらいたいと思います。したがって、国連の対策、いまからの方向と内容については国際間の問題でありましょうが、できればこの基本的な姿勢だけは私は保ってもらいたいということについて御意見を伺いたいと思います。

愛知揆一自由民主党

○愛知国務大臣 総理からもお答えがあるかと思いますけれども、国連における中国代表権の扱いの問題でございますけれども、私は一言にして申しますと、ただいまお述べになりました御意見きわめてごもっともだと存ずるわけでございます。この長年にわたる代表権の国連における取り扱いについては、あらゆる角度からいろいろの意見が明示的になされており、また黙示的と申しましょうか、観測されるいろいろの意見が各国それぞれの立場からなされております。したがいまして、昨年の国連総会における議決の内容、またその各国の態度決定に至りますまでの経過をしさいに分析してみましても、これは決して簡単なことではございません。いまも御指摘がございましたように、たとえば中共をすでに承認している国であっても重要事項指定方式には引き続き賛成をしておる国もございますし、またアルバニア決議案に賛成をしておる国々の中にも、国府追放ということについてはためらいを持ちながら、ある意味では、正確な法律用語ではございませんが、留保づきで賛成をしているという向きもある。同時に棄権が三十カ国近くある。結果において、ただいま御指摘のとおり、アルバニア決議賛成国の五十一というのは全加盟国の中でいえば五分の二にすぎない、こういう結果になっておるわけでございますから、今後政府といたしましては、あらゆる角度から慎重に検討をして態度を決定すべき問題である、かように存じております。  それからもう一つ、ただいま御指摘がございました点でございますけれども、別の角度から申しますと、第一回の国連総会から昨年の二十五回総会に至りますまで、総会で議決された事項が約千三百件あまりございますけれども、このうちの九割以上は三分の二の議決方式で議決されておる。その中にはあらかじめ重要事項として指定した方式によってさようになったものもありますし、それから総会議長のいわゆるルーリングというやり方によって三分の二方式をとった場合もございますし、その他いろいろのやり方がございますけれども、とにかく総会議決事項の九割何分というものが三分の二議決方式をとられている。こういう状況から見ますと、これだけ長い間、そして国際的にきわめてむずかしい問題でありますところの中国代表権の取り扱いというものが、大切な問題として、重要な問題として扱われなければならないということは、私は当然ではなかろうか、こういうふうに存じておりますので、冒頭に申し上げましたように、一言で申しますれば、ただいまお述べになりましたことに私はまことにごもっともだと存ずると申し上げたのも、そういう点から申しましても、私政府としての考え方が御理解いただけると思うわけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 松野君の所説については、また述べられたことについては、私も冷静に傾聴してただいま伺ったつもりでございます。まだもちろん結論は出しておりませんが、十分それらの点毛勘案いたしまして、最終的に出すべき時期に来れば結論は出したい、かように思います。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 そこで、この中共問題は、このまま放置はできないが、なかなか難問題が実は山積しておる。私たちは、本日この席を通じて、自民党政府も柔軟な態度で中共に接近をしたい、またしてもよろしいが、しかし現実にそれをはばむもの、この真相を見きわめなければ、一方的議論ではこの問題は解決しないと思います。ある方は、日本と中国との平和だけ確立したらどうだ、外交調査会でも議論になったと思いますが、平和宣言をして、とにかく戦争状態という、そういう不幸なものを忘れた前向きなものをやってはどうだ。おそらくこれは日ソ平和宣言に関しての意見だったと私も思いますが、しかしこれも一つの意見で、何ら前進的、具体的なものはありません。まあそんな案がある。私もこれは、政府間でこれというのは少し飛躍し過ぎているのではないだろうか、政府間の接触もないとき、政府間の宣言なんということは少し飛躍し過ぎている。ただ、佐藤内閣は平和に徹した外交ですから、中共も同じように同意見で平和に徹してくれるなら、これはお互い平和宣言という理想には近づけるのじゃなかろうか。政府ではないが民間で、こんな運動とかこんな感じで進まれるなら、私は平和宣言ということばは、これは宣言は政府のことばでしょうが、平和の話し合いとかいうことが一部で進むならば、私は一つの方向かと思いますが、これはあえて答弁を求めるほどの、まだ時期でもなかろう、しかし、われわれはこんな希望とこんな姿勢は示しておるという気持ちで、この問題の次に進みたいと思います。  次は、日中の問題では日華平和条約、今日の台湾政府における地位、これはすでにサンフランシスコ条約及び日華平和条約、日本の終戦、カイロ宣言、ポツダム宣言以来の伝統ある歴史と力を持っておる。現実に両国の友好というものは今日まで確固たるものがある。これは私は高く評価して、今日の時点において国府との関係は日本にとって十分友邦であると私は信じます。そこでそれでは、この議論が出ますと必ず、何だ、あと戻りじゃないかとか、ある方は、台湾問題が解決しなければ中国問題はだめだと断定してかかっている方もあります。それなら、これは一をとって一を引くのですから、どちらかというと、右を捨てて左をとるということにしかならない。そんな単純なものでは、国と国とは、私はないと思います。したがって、今後の進め方は、日中の国交の回復にはあらゆる努力とあらゆる方向を示す。しかし、その他の問題まで普及し、あるいは憶測して、台湾あるいは日華平和条約の破棄を言わなければ日中は近づかないんだという硬直した意見で今後進むならば、アジアの平和は必ずしも確立しない。一方的な宣伝と一方的な方向に追従し過ぎる傾向も日本の国内に私はあると思います。ともにこれは解決できるものであると私は信じます。案はどうだ。日本だけがこれをつくり得るものではない。たまたま先般、一月四日ですか、伊勢神宮にことし佐藤総理が参詣されたとき、日中問題は、日中だけで解決できない場合も多い、やはり諸外国との連携と意見の調整をしなければならない。ことに最近見ますると、中ソ関係というものも容易なものではないと思います。あるいはアメリカ、中共の問題も、かつてのような敵がい意識からある程度雪解け的に近づいたようにも見受けられます。ワルシャワの会談もやはり継続されておる。だから、時世はやはり変わってまいりますから、硬直した国際情勢ではないと同じように、慎重に、信義を重んじて、といってこれは何もしないわけではなしに、諸般の状況を見きわめて、勇断を持って進むべき時期も私は日本には到来すると思います。先般伊勢神宮へ参詣の際記者会見をされました。関係国との提携のもとにというのが、私は総理の最終的な御意見ではないかと思いますが、伊勢神宮の、連合した日中問題の解決について、何かより以上進んだ御意見があるならば、お伺いをしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 別に進んだ意見というものはございませんけれども、ただ問題を、非常に解決を急ぐために日中両国間の立場だけでものを判断すると間違いが起こる、そういうこともあるんではないか。私は本会議でもそういう話をしましたが、国際主義に徹するということを申しておる。昨日は参議院で国際主義とは何かというような質問を野坂君から受けましたが、やはり一国だけの立場でものごとを考えないで、他国とも仲よくする、その相手国がどういうような政治形態をとっておろうとも、区別することなしに友好関係をつくっていく。そうして国際的な立場でものごとを判断し結論づけていく、こういうことが望ましいことではないだろうかと、いまなお考えておる次第でございます。伊勢神宮における一月四日の会見の趣旨はその点にあったと思います。ことに日中間の関係について最も利害関係の深い諸国の名前まであげて、そうしてこれらの国々の模様もよく考えなければならないのじゃないか、日本だけの都合でものごとをきめるわけにいかぬだろう、こういうことを実は申したのであります。  どうも日中の問題となりますと、とかく自主的であるあるいは自立的であるということ、たいへんことばはけっこうなんですけれども、置かれておる国際的立場をも無視して一つの結論に急ごうとする、そこに間違いを起こしやすいように思いますので、私は、この際に、われわれの考えるのは、たいへん多角的な面で考えて結論を出す、そういうことが望ましいのではないだろうか、かように思っております。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 日中問題は、なお努力をしながら——実は相手のあることであるということをつくづく私も感じます。同じように、その相手を誹謗するより、相手とお互い同士話し合ってみなければ、誤解を解くこともできない、また相手方に真意を伝えることもできない。もとへ戻るかもしれませんが、お互い話し合う人事の交流ということが、まず効果をねらう身近なものじゃないかということも感じました。  次に、国際問題で、北方領土の問題を……。  これは、今日は、時期的に申しましても、北海道あるいは東北の漁民が漁業問題で非常に関心が深まっております。その基本は何だというならば、領土問題であります。日ソ平和条約が締結できず、日ソ平和共同宣言になったというのも、当時の鳩山さんが四つの島に対する日本の固有の権利を主張された、その提案にソ連との意見の調整ができなかった、そのために平和条約から共同宣言に実は変わったという歴史的過程をこれは持っております。また、サンフランシスコ条約におきましても、千島であって、四つの島はこれに含まれていない。しかし、現実にはソ連が占領し領有しておる。それがひいては十二海里という公海説につながって、日本の漁民の実は毎年の不祥事件が起きておる。ことに国後、択捉のほうにその拿捕事件が非常に多い。もちろん歯舞、色丹周辺にもその相当な数があります。しかし、その数は国後、択捉のほうが比率が非常に多い。  こう考えてまいりますと、われわれは、安全操業と同時に、領土問題というものが念頭に、やはりソ連にもあるのではなかろうかと思います。幸い佐藤総理は小笠原、沖繩に成功されました。ある意味においては、領土返還には一番適した方であります。また日本の終戦を完全に処理し得る最大な実はホープであると私も思います。最後に、実はこの北方領土の問題について根強くやられた。もちろん一生懸命努力をされたが、いまだに必ずしも明快なものが出てこない。北方領土に対してさらに努力をしていただきたい。でき得るならば、北方領土問題について総理自身がこれに直接取り組んでいただきたい。これはおそらく国民すべての声だと思います。なかなか、いままでの歴史からいうと、取りつく議題にさえまだなって  いない。ただ、鳩山さんのときからこれは懸案であるということだけは、これは否定できないことだと思う。これはソ連も否定できないことだ。それならば、その懸案の処理ということについては、一歩前進したものが導き出せるのではなかろうか。北方領土についての見解、なお、あわせて安全操業——先般来安全操業についての会議をされたと聞いております。これは領土問題が解決しないにしても、その間今日の問題として安全操業問題についての努力と見通し、あわせて北方問題についてお伺いをいたしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 国後、択捉、歯舞、色丹、これらの諸島、これは日本古来からの固有の領土であること、これは文献をもっても説明ができるように思います。ロシア帝政時代にロシアでつくられた地図におきましても、ソ連のものでないということがはっきり色づけされておる。かように思うと、これは国本の固有領土であるということ、これは主張するに十分の根拠があるように思います。同時にまた、サンフランシスコ条約の際に日本が放棄した地域に入っておるのではないか。これはまことに残念なことですが、国内にもさような議論をされる方もあります。これは私まことに残念に思っております。しかし、吉田全権は南千島、いわゆる国後、択捉は放棄しておりません。したがって、サンフランシスコで放棄した領土だということには当たらない。これは重大なる点でありますので、国民の皆さま方もその点では誤解のないようにしてもらいたいと思います。また、これらの地域がソ連に占領されたその時期は一体いつなのか。それらの時期も考えながら——これらの点はまことに不当なように思います。私どもがいろいろソ連に対して、本来の固有の領土だから返してくれろ、こういうことを申しましても、もうそれらの話は全部済んでいるのじゃないか、いまさら何を言うんだというような話が飛び出してきますが、これはもう少し説得力のある話が必要ではないだろうかと思います。どうも領土問題ということになると、これは民族的に非常に大事な問題でございますし、国をなすその基本の一要件でございますから、それだけに領土問題は民族としての非常なむずかしい主張のある問題であります。私はソ連にもいろいろの都合もあろうと思います。したがって、それらについて無関心であろうとは思いませんが、またソ連の置かれておる立場についても理解を示しながら、この話を平和のうちに話をつけて結論を出したい、かように実は思っておる一人でございます。  幸いにいたしまして、南の諸島、さきには小笠原が返り、また一九七二年中には沖繩も返ってくる。戦争で失った地域がそういうように次々に返ってくる。南方の日本固有の領土が解決を見るということ、相手がアメリカだから解決したんだということばかりでなく、やはり南が解決することが北の領土問題を解決することについても非常な影響力のある問題ではないか、かように思いますので、私は、この点にも望みを託しつつ、今後とも北方領土問題、この解決に当たっていくべきだ、これが政府の方針でなければならない、かように思っております。  この点に関連し、安全操業の問題がかねてからいわれております。なかなか安全操業の話も進まなかった。昨年万国博の際にイシコフ漁業相が日本にやってきた。そのときに、ぜひ安全操業の話はひとつしたいものだ、結論を出したいものだ、こういうことを申しましたら、イシコフ漁業相も、安全操業の問題、これはひとつ解決したい。そのときも、基本的には領土問題があるんだけれど、どうも皆さんと領土問題について話をするということは適当でないように思うが、安全操業ならいいだろう、こう言ったら、イシコフさんも、安全操業の問題を話しましょう、こういうことだった。そこで、イシコフさんに、あなたとの交渉は、いままでの経過から見まして、非常に長くかかるんです、それから考えると、イシコフさん、あなたソ連に帰られないかもわかりませんよ、長い交渉になるかわかりませんが、そのこと御承知でしょうね、こういって冗談を言いながらも、安全操業の話の口火を実は切ったような次第でございます。  もちろん安全操業はこれによって初めて口火が切られたわけではありません。過去においてもしばしば交渉を持ったけれども、どうも安全操業はなかなか話が具体的に煮詰まらない。そこで、これが漁船の拿捕事件というようなことが起こる根本の問題というか、そのためには安全操業の問題があるのでありますから、この安全操業問題を解決することが漁民の保護にもなるし、また国益を守るゆえんでもある、かように思いますので、そういう意味で、私は積極的にこの話をつけるべきだと思っております。この点については外務大臣からお答えをすることにいたしまして、私は、ただそのきっかけであること、またソ連もただいま領土問題について直ちに入ってくることについてはまだまだ壁がかたいようでありますし、また安全操業の問題にしてもいまようやく話をしようとしたばかりでありまして、先の見通しも明るいとか楽観を許さないものが私はあるように思っております。これはなかなかそう簡単に、歯舞、色丹地域につきましてだけでもそう簡単な問題であるとは思いません。しかし、ただいませっかく話が進もうとしておる際でありますので、こういう際こそ日本もあらゆる努力をする最適のチャンス、時期が来たのじゃなかろうか、かように思っておりますので、経過等は外務大臣からお聞き取りいただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党

○愛知国務大臣 ただいま総理からお話がありましたような背景のもとに、今月の十一日から十五日までの間、モスクワで安全操業についての話し合いが開始されました。これもずいぶん長い間の問題でございましたが、ともかくいわばテーブルについてソ連側も話に応ずることになった。この点はけっこうなことだと思いますが、先方はイシコフ漁業大臣が首席代表になって、わが国から送りました代表団との間にいま申しましたように会議が行なわれたわけでございますが、イシコフ漁業相がこの会議の冒頭でも言っておりますのですが、小千島周辺水域ということばを使っておるのは、具体的に申しますと、やはり歯舞、色丹を中心にした水域ということがソ連側の頭に強くあることを意味しておるわけであります。ところがわがほうといたしますれば、先ほども御指摘ありましたように、国後、択捉の水域が一番拿捕事件が多い。まあ統計で見ますと四割八分がこの水域でございますから、わがほうとしては国後、択捉の水域をも含める水域を対象にするということで、今後とも忍耐強く話し合いを続けたいと思いまして、ただいま水産庁その他関係方面ともとっくり協議をしながら、第二ラウンドをなるべくすみやかに開始するように準備を進めておるようなわけでございます。  なお、北方領土問題は、ただいま総理からお述べになりましたとおりでございますから、つけ加えて申し上げることはございません。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 あと国際問題では、よくのぼっておりますのが日米の繊維。非常に長い懸案事項でございますが、日米間は特にいままでの国情からいって非常に密接な関係にあるだけに、小さな問題といえど、ぜひ繊維交渉は円満に国際間において解決をしていただきたいと思います。  一応内政問題に移らせていただきます。  第一には、福田大蔵大臣、簡単なことですが、ひとつお伺いいたしたいと思いますのは、たびたび言明されているにもかかわらず、円の切り上げの不安というものがまだときどき出ます。たびたびあなたは言明をしておられますが、本年の予算委員会冒頭でありますので、なお一そうこの問題について、円切り上げ不安というものについて一言明快にお答えを願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 お話しのとおり、円の切り上げにつきましては、最近内外の人から、うわさ話というような形で話が出ておるのであります。その根拠といたしましては、わが国の外貨が急増をしておる。そういえば急増しておるわけでありまして、この一年間に約九億ドルふえまして、今日四十四億ドル、十年前の十三億ドルというのに比べますとたいへんな増加になっておる。ところが、これを諸外国との関係で見ますと、アメリカは百四十八億ドルを持っております。ドイツは百三十五億ドルです。それからフランス、イタリア、わが国と比べますと経済の規模においてもたいへん小さいこの両国においても、フランスが五十、イタリアが四十五、カナダまでが四十五億ドル持っておるわけです。そこへ自由主義諸国でまあ経済力第二位といわれるわが日本が四十四億ドルである、これが何のふしぎがあるか、こういうふうに思うのであります。  それから、いわれるところの第二の根拠といたしましては、いま日本の国の国際収支がたいへんよろしい。それから今後の経済をながめてみましても、まだまだ輸出輸入の状態がますます改善されていくんじゃないか。そうしますと円の実勢というものが強くなっていくに違いない、こういう見方でございます。しかしながら、わが国の円は終戦後の二十四年にきめられた一ドル三百六十円——この三百六十円一ドルがきめられた当時は、確かに私は、わが日本の経済にとりましてはこれは重い負担であったと思う。実勢は、三百六十円というようなそんな強い円ではなかったと思うのです。それがだんだんと改善されまして、いま私が総合的にずっと見ておりまして、やっとバランスがとれる状態になったかなあ、こういうようなところでございます。そういうようなことを考えますときに、円の切り上げというもの、これが起こってくる、これは思惑以外の何ものでもない、かように考えるわけであります。  第三の理由といたしまして、外圧ということをいう人があるのです。つまり、外国からいろんな形で、日本の経済の急成長に対してブレーキがかかってくる、そのブレーキの一つの手段として円の切り上げの要請があるのじゃないか、こういうことをいう人があるわけなんです。しかし、これは私は非常におかしな議論だ。優等生、日本の経済はいまや世界の優等生だと思います。この優等生を、勉強するな、勉強するなといって劣等生に肩を並べさせる、そういうような諸外国の考え方、これはおかしな考え方だと思うのです。しかし、一昨年の秋、ドイツはそういうような外圧、また内部におきましてもいろんな政治上の情勢がからんで論争がありまして、切り上げをやったのです。これは私はおかしな切り上げだと思いますが、しかしその結果一体どうなったのだろうということを見ますと、あの隆々たるドイツの経済が、あのときを境にいたしまして非常に混乱というか、不安定な状態になってきておる。つまり国内経済が安定していないときに、ああいう措置が行なわれたということが災いをしたのじゃないか、こういうふうに思います。  私は、日本の経済を内外の環境下において大観しまして、日本の円を切り上げるべき理由というものはどこにも見当たらない、かように存じます。本会議でもお答えいたしたように、いろいろお話をする人があるけれども、私のこの頭の中にはどこの隅にも円の切り上げというような問題はありません、こういうふうに申し上げたわけでございますが、ただ日本の経済が非常な、世界においてもそびえ立つ富士山のようなかっこうをしている今日の状態です。その状態のわが日本は、世界じゅうから注目を浴びている。そういう円の切り上、げというようなうわさが立たないように、またそういうようなことをいわれないようにするためには、私は日本の経済の世界に臨む姿勢、これがほんとうに世界で第二の経済力を持った日本である、その日本にふさわしいようなりっぱな態度である、これが何よりも必要である、こういうふうに考えております。円の切り上げ説がいろいろいわれましても決してお惑いなさらぬように、きめるのは政府でありますから、政府のこの一言を御信頼くださるようお願い申し上げます。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 福田の頭には円切り上げはない、ということが非常に明快になりました。少なくとも福田さんがその衝にある間は、あるいは政治の中心におられる間は、頭にないと私は思います。  次の問題は物価問題です。物価問題は、どこを取り上げるかによってなかなか議論が多いが、とにかく佐藤内閣六年間を見て、やはり物価というものには今日まで非常に明快なものが出ていないことも事実であります。また、物価というのが非常にむずかしいものであることも事実であります。どこから議論すればいいのか、私もあまり膨大な問題ですから、言えません。ただ、言いたいのは、消費者物価の中の目立ったもの——目立ったものといえばすぐ季節商品、こういわれます。農林省がいつも犯人のようにいわれますが、私は、そうばかりとも言えないのではないか、農林省だけが犯人だとも言えないのではないかと思う。最近は一般的に非季節商品も値上がりをしてきました。したがって、これはどこから取り上げてどう解決するかといいましても、攻め道具はあるが対案がなかなか出てこないのではないか。先般の衆参の本会議の代表質問を見ましても、攻め方は非常にみごとであるが、対案がなかなか出てこなかったのではないか。私もその中の一人であります。必ずしも明快なものが——こうすればいいなという懸案をと思いますが、なかなかそうも出てまいりません。ただ目立ったもの、季節商品における野菜と魚が必ずいわれますが、野菜も非常に上がりますが、この統計を見ますと、季節商品で三十九年が一〇%上がった、こう書いてあります。四十年が八・九%、季節商品が上がった。四十一年は四・六%に下がった。四十二年は今度は八に上がった。四十三年は〇・二に下がった。四十四年は二〇だ。四十五年も二〇だ。これはこのままいっているのでしょう。この上がり下がりを見ると、ちょうど農業の豊作、凶作ではないが、つくって売れなかった、豚に食わせたというカボチャの時代をわれわれは二、三年前に記憶します。これでは農民はつくらない。翌年はつくりませんから、今度は二〇に暴騰しました。つくらないときに、農林大臣が、ことしは間違ったが来年は心配ないぞとは、これはなかなか言えないものだと思う。要するに計画生産と計画消費がなければ私は安定しないと思う。いま計画生産に農林省は尽力されておることはわかります。もう一つ言うならば、計画消費までいくならば、要するに需要供給のバランスが、天候の異変があってももう少し順調にいくのじゃないか。一番いい例は病院——まあ中曽根長官もおるが、自衛隊、これは買い方がじょうずです。病院もじょうずです。なぜかといえば、献立がきまっていますから、予約注文でやりますから、産地直売ができる。こういうものを考えてみると、一人一人がきょう六時の食事に四時に八百屋にかけ込むようでは、これは販売も計画も立たないじゃないか。これもひとつ考えられると何かもう少し方法はないだろうかという考えで、この物価問題を議論してまいりたいと思います。  何といいましても、われわれの周辺に目立って高い。聞けば人件費が高いと必ず言います。最近は加工食品などが、非季節商品でも目立って値上がりしている。被服が目立って値上がりしている。季節商品ばかりじゃなしに、ほかも値上がりをしてきました。聞いてみると、それは人件費ですと、こう言う。人件費が暴騰する。今度はその次に聞くと、人手不足ですと必ず言う。人手不足の次には、いや、働き手がありませんと、こう言う。そのわりに日本じゅう人口は毎年ふえております。どこの町を歩いても、人間の増加は目立っても、人手不足という印象は目立ちません。そこに私は、経済全般の中から——これはある意味においては、二十歳未満の青年の求人と求職を見るとたいへんな比率です。一人の青年を雇うのに一人の課長がいなかまで行って口説かなきゃならないという実情、中小企業は人手不足を感じておると思う。逆に言うなら、それが一部の人件費の、非常な苦労な、人件費の暴騰につながるであろう。それが物価に反映するであろう。私はあえてここで所得政策の議論をしようとは思いません。これはまだもう少しいろいろな議論が出てくると私は思います。ただ、何となしに物価問題は経済全般からとらえなきゃならないとはいえ、それをとらえておるうちには生活費が毎月毎月上がってくる、追いつかない。何か少なくとも政府かとめられるもの、一つでも二つでも政府が値上げをとめられるものから手をつけるならば、右へならえで次に出てくると思う。代表的な値上がり物資について、政府が何らか値上げをとめられる措置をまずとってもらいたい。そうしてその突破口から一つの方向を見出したい。私はどうもどこを突いてもどうすればいいかという案はありませんが、また、どこを突いても何となしに物価問題は頭の痛い問題であるし、佐藤内閣六年間、引き続いてこの問題は実は懸案が継続しているといっても私は過言ではないと思います。担当大臣、御意見——何かいい方法をひとつやってもらいたい。もう案じゃないと私は思います。案じゃない、実行だと私は思います。全部実行しろは無理です。一つでも二つでもやってみて、これによって右へならえができなきゃいかぬと私は思う。一々言うならば、タクシー料金から理由はあります。どれもこれも正当な理由は私はないとは言いません。物価問題をどこから取り上げるということよりも、何らかやってもらいたい。国民が目につくものの物価の政策を一つでも成功してもらいたい。そうすれば、私はこれが他に及ぶと思う。企画庁長官が何もしなかったという意味じゃありませんよ。毎年これは苦労してきた問題だから、あなたが担当されてからも苦労は多いと思う。しかしだれかがいつかはやらなきゃならない問題である。  質問としてはなはだ広範囲でございますが、佐藤総理六年を振り返って、一番懸案が継続している問題は内政ではこれだと思います。ひとつ佐藤総理のお考えをお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 なかなかむずかしい問題のお尋ねでございます。お尋ねのほうも楽でないだろうが、答弁もなかなかむずかしい。しかし、私は、ひとつその基本に立って考えていただきたいのは、一方で経済は成長する、膨張する。その中において賃金の上昇がある。私は広い意味で賃金また物価だというような考え方で申し上げるのですが、それはやはりそこまでいかないとこの問題は解決されない問題だと、かように思います。しかし、その生産性を上回る物価高、賃金だとかこういうようなことだと、これはお互いに破産の状態だと思っております。しかし、全体としてみまして、ただいままでずいぶん物価も上がりましたが、所得もふえた、こういうことを考えると、いままでのところはまだがまんもできるようでございます。あるいはまたずいぶん物価も上がると、かように言われますが、金利を上回るような物価の上がりはまだ出ておらない。そういうことを考えると、やはり国民も貯蓄ということを意味のあることだと、かように考えておるように私は見受けております。しかし、物価の上がりが金利を上回るような状態ができると、これはたいへんだと思っております。特殊なものについてそういう事態が起こっておるのではないかと御指摘になろうかと思います。これは全体的ないまの見方でございまして、あるいは特殊なものについては必ずしもそうなってない。最近の季節的な野菜あたりの値上がりは、これはもう言語道断じゃないか、そういう状態を許しておいて政府が何らの対策を立てないということ、これは音心味ないじゃないか。もっと緊急輸入でもできないものか。大根の緊急輸入は考えられなくとも、玉ネギくらいは考えられないのか、こういうことを言われると思っております。玉ネギは相当、北海道の在庫数量やその他の地域等をも考えながら、台湾から緊急輸入することによって押え得るという計算を一応立てたようであります。しかし、あるべきところになかなか品物がないという。したがって予想したとおりの状態にはならなかった。しかし緊急輸入はそのまま続けていく。豚肉が非常に高くなる、そういうものに対しての緊急輸入、これもやっていく。  そこで、最近考えられるのは、そういうものばかりじゃなく、もっと身近なものでわれわれが手に入りやすいような方法はないのか。アメリカ大陸のことを申し上げるまでもないのですが、西海岸でできた蔬菜が東海岸の家庭で使われておる、あるいはくだものが使われておる。あれだけの遠隔の距離を克服して、しかも適正な値段で蔬菜あるいはくだものが販売されておる。欧州においでも同様なことが言えると思います。必ずしも都市近郊ばかりでできたものではない。あるいはイタリアからあるいはスペインからそういうものがパリの市場をすっぱりまかなっておるところも相当ある。  そういうことを考えると、われわれはどこかに欠陥があるのかと、そういう点についてもう一度考え直してみなければならない。大体いま言われた点、これは一つの考え方だと思います。計画生産、その前にやはり計画消費ということ、それが結びつかないと需給の調節はできないのだとおっしゃる、これはそのとおりだと思います。生産だけに力を入れてくると、過去の例のように、生産者は、どうも農林省の言うことを聞かないほうがもうかります、言うとおりをやっていると損をします。こういうことを言われるように不信な状態になりますから、ただいま言われるように、やはり計画生産、計画消費、そういうものがうまく合致するようにいかなければならないと思います。だいぶん時間のかかることだと思います。しかし、いままでのしきたりをやはり克服していかなければならない。ことに最近の都市集中、過大都市が非常に急速にできる、そういう状況のもとにおいては、これに対応し得るようなマーケット、これを整備することはどうしても必要だと思います。いま各方面のお知恵を拝借してそうして対策をいろいろ練っておりますが、どうも消費者の方にもこれがきめ手だというものはないようであります。私はそういうことを考えると、本会議でも申したのですが、いま国会で懸案になっておる、継続審議になっておる市場法改正などは早急にやるべきじゃないだろうか、かように思っております。流通機構に手を染めないで、ただいまのような価格の問題が解決するとは思いません。ことに近代都市が急速に過大都市になった、さようなことを考えると、まあ人口五百万を目当てにした昔のような卸売り市場、それが現代において東京で幅をきかすというようなわけにはいかないだろうと思います、一千万以上の人口を擁しておるのだから。また大阪においてもそういうようなことが言える。またその市場のあるその場所におきましても、その場所が適当なりやいなや、そういうことも考えなければならない。かようなことを考えると、いま継続審議になっておるこの市場法改正法案はぜひとも早急に、いまの物価解決のためにも通していただきたいものだと思いますし、またその他具体的なものについて、何といいましても、自由経済のもとですから、お互いに競争さすという、競争条件を整備すること、また特別に行き過ぎたものについて公取その他からこれを取り締まることも、これは私は可能なことだと思います。それこそ、幾ら自由経済と申しましても、暴利はやはり取り締まるべきだとかように思っておりますし、最近のように輸入が自由にできる、かような点もございますから、いままでとは事情も変わってくる。そこらで新しい対策も立て得るんじゃないだろうか、かように思います。  最近、きわめて小さな問題ではございますけれども、国内において、やはり供給する範囲が拡大された都市に対する一これはフェリーボートが非常に広範に利用される、こういうことが非常に影響しているようであります。これなどは、あるいは北海道から、あるいは九州から、あるいは四国から、その地域でやはりできたものを東京に供給できるものだと思っております。もちろんトラック輸送もありましょうが、これではずいぶん高いものにつきますから、いまやられるフェリーボート、これをもっとうまく使うことによって、やはり産地と直結することも可能ではないだろうか。そうして、日本だけではなしに、やはり外国にも供給を仰ぐような、そういう処置をとるべきじゃないだろうか、かように思います。  まあ、総体的な観点から申したのでございまして、あるいはお尋ねになった個々の問題に対する答えとしてはまことに不十分なものかとも思います。お許しを得たいと思います。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 あと内政問題では農業の問題、物価統制令の問題、もう一つ先般努力されました公害の中で、無過失賠償責任というのが残ったように思います。あと三つ、大筋としてお伺いいたします。  第一は農業です。農業の問題で、さっそく米が議題になりまして、物価統制令を廃止するという政府の方針である、これは消費者米価の値上げにつながるものである、どうだというので一般に今日不安を持っております。したがって、米についての物価統制令に対する政府の態度をお伺いいたしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま米、いわゆる配給米で生活している者が国民の二割あるいは三割と、とにかくこの配給米を受けておる者も多数だとかように思っております。したがいまして、この制度から申して、やっぱり主食、その米の値段、そこに大変化があってはならないと思います。いわゆる自主流通米、うまい米を高く買うとか、こういうような制度はできておりますけれども、政府としてはやっぱり米の配給制度、それを確保するというそういう観点に立つと、物統令を廃止することは危険があるのじゃないだろうかと心配なきを得ない。そこでただいまのような御議論が出てくるのであります。しかし、いま政府が米を持たない状態ならたいへん心配だろうと思いますが、米は政府自身があり余るほど持っておるので、高くなればいっでも放出できるはずであります。私は、そのことを考えると、物統令を持っておること自身がいまの状態では矛盾をしているのじゃないだろうか。物のないときに物統令を持ってどうしても値段を押える、こういうような必要が感ぜられるときと、物はあり余っていまさら統制令を使う必要はないんだ、おもむくままに適当な値段が自由にきまる、やはり米屋自身が勉強しなければ買ってくださらないんだ、こういうような状態に置かれておるときとは違うんじゃないか、かように私は思っております。したがいまして、一部でこの物統令廃止についての御疑問があるようでありますが、私は、ただいまこの物統令はやめるが、消費者に不安を与えない、もしも必要があるならば、米はもっとどこでも売れるように、場合によったら政府みずからが販売もするくらいの決意を持ってこの物統令を廃止する。幸いなことにはいま米があり余るものでございますから、政府はその米を持っておる、そういう意味でこの米の値段が高くなるという御心配はございません。しかし、もちろん銘柄によりまして特例な米についての値段は高くなる、これは御承知おき願いたい。しかし配給米、これについては私ども政府は責任をもって値段を安定さしておりますと、こういうことを申し上げておきます。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 総理のお考えはよくわかりました。ただ問題は、食管法という法律の中において総理の思想を生かそうとすると、その条文が必ずしも、いまのままではうまく——法律の話は、特に私は議論するわけではありません。私のほうから申し上げますが、食管法第四条というのが、米穀業者に政府は売り渡すと、業者ということが書いてあるのです。したがって、政府が面接消費者に売れないではないかという疑問が一つ。  もう一つは、政府がいかに業者に払い下げしても、業者同士がつり上げたならばだめではないか、議論の焦点はこういう議論なんですが、これが二つ、実は食管法にある。  それから第三番目に、物統令そのものにいま関係している物資はもうほとんどありません。米とアルコールと、たしか、大蔵大臣の金がこれに入っていると思います——金は入っていない。それじゃ、ふろ屋、公衆浴場。そうすると、この三つでしょう。今度米をはずすと、あと二つ残る。昔はたくさん入っていたのです。これが、第一条が御承知のように終戦当時の混乱時代のポツ勅を日本の法律に継続した、これはわかります。  そこで、一番心配するのは暴利取り締まり、第十条がたしか暴利取り締まり、第九条が不当な価格の契約、これが米をはずすとなくなるんじゃないかというのが物統令の廃止についての不安。第二番目が、食管法は業者に払い下げると書いてあるので、一般国民に売るようにはいまのルートはなっていないんじゃないか。もちろん、総理の意向どおり改正するとか運営すれば、これはよくわかりますが、いまのままをすなおに見ますと、その辺が、物統令廃止というなら、それに伴ってこことここはこう改善するという、もう一つ総理の意のあるところをほしいわけなんです。それが出てこないから、物統令廃止は上がるんだという単純計算的議論が出てくると私は思うのです。これは農林大臣、倉石さんもおられるが、もう一ぺんひとつ農林省で——私がすらっと読んだ中では、食管法第十条というのがある。緊急な場合には加工賃まで変えてもいいと書いてあります。そうすると、これは小売りの精米賃になると、これは小売り業者までいくんじゃないかという気がします。しかし、これはいままで運用したことがないのです。運用しなかったのは、物統令があったから、運用の必要がなかった。そこで、これは法制局長官にも研究してもらいたいのですが、緊急な場合と十条にあるのですよ。したがって、恒久的、常にこれを発動することは、私は、法制局では賛成しないんじゃなかろうか。食管法第十条ですよ。十条が、緊急な場合には小売り業者の加工賃まで変えることができるというのが食管法にある。物統令をはずして、これに対応するのはこの条項である。この条項はまだ動いていない。動いていないのは、物統令があったから必要なかった。今度物統令をはずすなら、食管法十条をもう一ぺん洗い直して、政令もこれはできておりませんから、政令のときに明確にしてもらう。こうなると、単純計算の反対論者の意見は、私はある程度なくなるんじゃないか、その辺はたしか政府自身も——私はここで何も賛否を言うんじゃない。私の考えを申し述べて、間違っていたら、またその後御研究いただいてけっこうなんです。きょうは提案をしておきますので、もし御意見がもうすでに出ているならお答えいただきたいし、いまからだとするなら、よく私の意見も参酌して参考にお願いしたい。どちらでも、お願いいたします。

倉石忠雄自由民主党

○倉石国務大臣 方向につきましては、総理大臣お答え申し上げましたとおりでありますが、実は、私ども四十六年度産米が出てくるころまでに諸般の準備をいたしたい。こういう準備の中には、ただいま御指摘にございましたような事柄を一切処理いたして、物統令の適用を廃止するという、こういうつもりでありましたが、食管法でも、御存じのように、農林大臣の指定するもの、または販売業者でございます。販売業者に出します場合においても、私どもはそういう価格の操作等について十分念頭におきながら対処してまいるわけでございますので、ただいま御指摘のようなことについては十分に調査検討の上、消費者に憂えを抱かれないような措置を講じつつ処置をいたしてまいるつもりで、いま検討いたしておる最中であります。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 物統令にも関係しますが、米の問題、やはり良質米の生産を奨励する。消費者は良質米を好む。この傾向は、いままでの食管法の画一的定食主義ではこれは取り入れられない。そこに今回もし物統令が価格問題から解決するならば、この長所を私は生かし得る善政になる。これが価格の暴騰につながるなら、この行政は悪政になる。問題はそこだと私は思うのです。     〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕 幸いに、代表的に東京で好まれているものはササニシキとかコシヒカリとかという良質品種、これは関東周辺では代表的銘柄です。九州方面ではレイホウというのが代表的銘柄です。こういうものはやはり良質品種だけに、反収が必ずしも多くありません。良質で反収が減るにきまっている。それだけに価格も、もしもこれを奨励するなら、反収が減るのだから、買い上げ価格または売り渡し価格も変えてもらわなければなかなかつくりません。かつてわれわれイモ増産のころ経験しました。同じつくるなら「沖繩」をつくるとたくさん収穫を得る。「農林」をつくると非常に少ない。供出用と飯米用と、良質悪質をきめたというようなもので米もその時代にぽつぽつ入ってきたと私は思います。その意味では、この物統令を機会に、選択的なもの、あるいは生産と消費の選択的なものを入れられるなら、これは私は善政というか、前進した政治だと思う。これがただ物価の値上がりにつながるなら、これはあまり感心しない問題につながってくる。ただいま十分な御答弁をいただきましたし、米のことは佐藤総理大臣、案外非常にお詳しいことと存じています。また御出身は田布施で、あの辺の米もよく御存じでありますが、どうぞひとつその点は、もちろん御注意あると思うが、事前に予防措置をとってからやってもらいたい。米だけにまた恨みも強いかもしれませんからね、米の恨みは。どうかひとつこれだけはくれぐれも、物統令の前に予防措置を十分やってからやってもらいたい。二十五年間ついているつえをはずすのですから、やはり何となしに不安がありますよ、だいじょうぶだと幾らお医者さんが言っても。だから、だいじょうぶだという姿を見せた上で歩かしてもらいたいという感じが私はします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま言われるように、米の問題は、簡単にただ口先だけでこの問題が理解されるとは思いません。また、私ども過去におきましてもにがい経験を、私自身はこの年ですから知っておりますが、またポーランド等において、最近の物価高から、あのきつい国でもなかなか国民大衆はおとなしくはしておらない。そういう事例にも直面しておる際であります。したがって、(「日本もそうなるよ」と呼ぶ者あり)——日本もそうなるよというような方までありますから、私はさような方はないと確信をいたしますが、ぜひそんなことをさせてはならない、政府の責任はそこにあると思います。  幸いにして、いま直ちに物統令を廃止してどうこうするというのではございませんし、いましばらくまだ時間がございますから、その間に国民が納得のいくような処置はとり得るのであります。やはりこの国会におきましても十二分にそれらの点について御審議をいただく機会を得たいと思います。十分手厚い手続をして、これならもう心配ないのだ、これを見きわめることが必要だ、かように思いますので、これは事務当局にも十分督励するつもりでございます。また、野党の方も、ただ自民党がやることだというように簡単に見過ごされないで、ひとつ御鞭撻を得たい。この機会にお願いしておきます。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 次に、農業問題です。  農業問題は最近非常に佐藤内閣に求める声が農村からふえた。私は、農業はいま非常に谷間というか、非常な不安の、苦難の中に突入していると思います。しかし政治のよろしきを得るならば、この深い谷、苦難が多いだけに、将来の光明も獲得できるというのがいまの農業だと私は信じて、自民党の農政に誤りなきものをなおお願いをしたいと思います。  一番大きな問題は何だというと、米の問題。第一は何だ。消費がこの七年間でうんと減りました。これは農林省の統計ですが、国民総平均、三十七年には一人当たり百十八・三キロ消費をしておった。年間です。四十四年には九十六・九キロになりました。ちょうど約二割。これを分類しますると、農家が同じ年百五十五・五キロ、それが百四十キロぐらいに、これも減りました。消費者のほうは九十・四キロ、これが六十・九キロに減りました。平均いたしまして、先ほど申しました百十八・三キロの米の消費が九十六・九キロに減ったという。二割。ここが一つの米の過剰の第一原因だ。生産は、三十七年が千三百万トン、四十三年まで、平均千三百万トンから下ってはおりますけれども、二割と、そんなに減っておりません。せいぜい一割ぐらい、減りつつある。昨年生産調整をやりましても、なおかつまだ過剰米——まあ瞬間的年度の調整は本年度予算でできております。しかし過剰米はまだそのまま、おそらく千万トン近いもの、千万トンをこえたかもしれません、というものを持っておる。といって、これを米食い運動で消費をふやせというわけには、これはまいりません。われわれのときには、一升飯を食べた農村の健康な青年は幾らでもいた。いま一升飯を食べる青年なんて、探してもなかなかいないというぐらい食生活が、これは逆にいえば変わったんだ、上昇した。その一番いいのは内田さんのところのこの厚生白書を見ますると、米を食べなくなったからよくなったとは書いてありません。しかし栄養が非常によくなったと書いてある。栄養の中身を見ると、脂肪 植物脂肪、動物脂肪。それで長生きをして、日本の栄養は非常によくなって老人がふえた。老人病がふえたために、最近は脳卒中が死亡の第一順位である。第二番目が心臓病である。こう書いてあるんですから、米とはこれは面接関係ありませんが、やはりこのでん粉より脂肪がうんとふえたということは、否定はしてないようです。農林省と意見が違うわけじゃありませんが、要するにそういうふうに書いてある。これも日本の体育向上にはけっこうなことだ。そう考えると、私言いたいことは、米の増産だ、米食い運動だということは、もう消費者の胃袋が承知しなくなったということであります。そうなれば、国民経済全般からは、米の生産をある程度調整をしていかざるを得ないということに結論がなってきたんじゃないか。これを無理に一年間とめても、これは無理です。  さあそこで一番被害を受けますのは農村。この米作農村、農民、これをどうするかということについて、これはやはり国民の栄養方向、国民の生活様式の変化に応ずる変化を農業にも取り入れなければならない。どこに犯人がどうだというのじゃありません。変化を取り入れて、やはり農業が行かざるを得ないと私は思う。いまさら米食い通動をやったってこの大勢をくつがえすことはできないのじゃないか。要は農業における転換をどうじょうずにやるか。転換ということは所得に通ずるものでありまして、一日の農業における一日の報酬価格を見ると、やはり米が一番安定して、米が一番高いのです。次に報酬効果のあるのは果樹であり畜産であり、最近は豚肉、養豚がまただいぶよくなりました。養鶏もこれに続く。転換すべき農業政策をぜひ私はこの際立ててもらいたい。いままでは農民の数が多くて非常に農家戸数も増加しておりましたが、最近は農家の人口、農家戸数も減という、今日、いうならば改善するにはある意味においてはやりやすい時期じゃなかろうか、改善にはやりやすい時期じゃなかろうか。人手不足の今日ですから、要するに集約農業に向かうには一番いい時期じゃなかろうか。それには大蔵大臣ひとつ金を出してもらいたい、こう思います。たまたま先ほど外交で吉田元総理を引き合いに出しましたが、この中には実は米のことが書いてあるのです。日本の経済を救った一番大きな自分の喜びは、米の生産が豊作であったこと、これが日本国内における踏み台となって、日本経済の奇跡か起きたのだ。——外交だけできょうこれを持ってきたわけじゃありません。ということも考えていただくならば、私はただでたらめに財政だけ出せというのではありません。効果ある農業政策を効果ある財政でやってもらいたい。そうして日本の農業をぜひ混迷の中から建設をしてもらいたい。これが私の希望で、ぜひ政府の決心をお願いしたい。小さいことよりも基本はここにあると私は思う。またそれだけ価値のあるものは日本の農業だと私は信じます。しかし惰性農業では成功はない。抜本的なもの、やるべきものは大胆に、そのかわり大胆なる保護と指導もしてもらいたい。中途はんぱでは農業は立て直らないと私は思う。一年二年じゃありませんけれども、気長に、だか基本だけは早く立ててもらいたい。やることは順次行なってもらいたい。今日日本の農業は混迷しておるが、また日本の農業ぐらい一を教えれば直ちに十につながる組織と秩序を持っておるものはないと思います。それだけに一の教え、一の方向づけを政府がやってもらうならば、十の効果は必ずある。農村は混迷しておるが秩序は乱れていない。ぜひこれは総理大臣のお気持ちから農業を立て直してもらいたい。これが日本農村の現状と、私が物価統制令に関して心から語り合いたい農業の気持ちであります。総理の御答弁をお願いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 米の消費がよほど変わってきた。われわれの生活がすっかり変わった。大体言われるように二割は減っておるだろう。二合五勺平均であったものが一合六勺程度になっている。さように考えるとたいへんな変化だと思います。あるいはここにいらっしゃる方々も、おそらく米を食べる量はいま言う平均以下だろうと、かように考えます。私自身はもう老齢ですから、特にあまり米を食べないようにしております。一合六勺も食べない。なかなか一合六勺というのは食べられない。しかしいま御指摘になりましたように、ないときなら、これはたいへんなことで、増産のほうに打ち込む、くふうするというようなこともなかなか考えられない。しかしいま幸いにして米の生産が非常に伸びて、消費が減って、もう米の不足というようなことを心配するようなときではない。あらゆる面で合理化が必要だという、そういう意味で米の生産についても合理化しよう、その形を、ただいまは集約農業、こういうような説明をされました。そうして人手のかからない農業、こういうような意味にお話があったように思います。いまは農業自身もう私どもの子供のときのような農業の状態とは違っております。婦人、子供でできるような農業になって変わっておる。重労働ではない、こういうことも実は言えるのではないだろうかと思っております。機械の操作さえできれば大体農業はできるように思います。その集約農業、これはもちろん場所にもよりますが、例にとっては気の毒ですが、田ごとの月というような場所では、なかなか農業がこれからはできにくくなるだろう、かように思いますけれども、しかし、もっと農業を、生産性を向上さす、平地農業に切りかえるとか、そういうようなことを考えると、よほど米の生産調整ははかり得るんじゃないだろうかと思います。ただ問題は、米の生産からはずれていった農民あるいは農村、そういうのはどうなるかという、そこで転作の問題が論議されるわけであります。新しい果樹も、また畜産も酪農も、これからどんどん手をつけるべきものだろうと思います。そういう意味で、いわゆる総合農政を展開しようといっておる。一年や二年で簡単に片づく問題だとは思いません。しかし私は、そういうものともう取り組むべき状態ではないだろうかと思います。先ほど吉田さんの話をされましたが、吉田さんからしばしば聞いたのですが、戦後の日本の農業統計から見ると、あの状態ではどうしても百万人以上の餓死者が出る、そういう状況であったようにいわれております。幸いにして吉田さんは餓死者を出すことはなかった、アメリカの援助もその意味ではたいへんありがたいが、もう一つは、どうも日本でつくっている統計が間違っているんじゃないのか、どうして正確なものが握れないのかと、実は事務当局である私自身がずいぶんしかられたものであります。私はいまこそ、最近は情報化時代だといわれ、統計もよほど進んだといわれておる。そういう統計の進み、また情報化時代と、そういうものに即して新しい農業、総合農政を展開するなら、これは十分国民も納得ができ、またたよりにできるような農政の展開ができるのじゃないだろうかと思います。問題は、いまの資料なしで、ただ米が余っている、だからうまくやれというだけでは、これはハッパをかけただけで実際にはあがらないと思います。しかし現実に、現在はもうあらゆる統計は整っているはずだ。それらの資料を十分に使っていけば、先ほど言われるような計画生産も、計画消費も、これは可能でありましょうし、また不足部分についてのこれから伸ばすべき方向、米作はやめていくが、これから先に果樹や園芸蔬菜や、さらにまた畜産、そういう方向にどういうように力を入れればいいか、またこれはどういうように指導すべきだ、こういうような点も農林当局にはあるだろうと私は思います。私の聞きたいこと、またこういう機会に話したいことは、そういうような点にありますので、ただいまお述べになりました点、これは多分に示唆に富んでおると思います。要は、われわれがいま持っている資料、材料、それをどういうように活用して、そうしてこの時代の要請にこたえることができるかどうか、こういう問題だろうと思いますので、同時に事務当局をそういう意味において督励、これはただいまのお話から一そう督励して実をあげるようにいたしたいものだと思っております。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 ぜひ大事な時期に大事な農政を堅実に行なっていただきたいと思います。  次に公害、これは確かに画期的な立法を先国会でやられました。このことについて私はよくやられたと思います。大体産業あって公害なしという理想郷をつくりたいと、いま全国の市町村では、工場誘致には大賛成であるが、公害誘致には全部反対。したがって、工場進出のときには公害問題が第一条件に今日なってまいりました。農村といえどそうです。工場誘致したいが公害はどうですかということが工場誘致の第一条件になってきた。元来産業人が公害を出すことは私は恥なことだと思います。産業の発展と同時に、その産業の発展は人類に貢献するべきもの、それが脱線をして人類に、生活に被害を与えるということは、これは産業人の良識ではないと私は信じます。その意味で各種の立法がされまして、最後に、これは小林法務大臣の所管でしたが、民法第七百九条に抵触する無過失賠償責任問題、民法の七百九条にはなかなかこれはのめない、抵触するというので、先国会も懸案になりました。被害者立証がむずかしい、挙証責任の転換ということもなかなかむずかしい、あるいは物資指定をやろうかという意見もたしか出たように聞いております。縦割りか横割りか、いろいろな場面が出てくると思いますが、もちろんいままで前例のないことでありますので、前例のない問題を私はかかえられたと思います。すなおに考えて今日の問題は産業人みずからも考えなければならない。都会におきまして大体公害の出る工場はみなわかっている。わかっている工場は大体老朽化した工場が多い。経営者もどちらかといえば、心配しながら、改善に努力おしたいといいながらできないというところもあります。大体もうみな国民は知っております。それはほとんど老朽的なもので、近代的な工場に公害が最初からあるとは、それはよほどの間違いであって、ほとんどのものは老朽工場から公害発生を導き出しておるのじゃなかろうか。私の郷里にも同じ被害の第一号があります。考えてみると公害問題は新しい社会問題として大きな場面を占めておる。そこでこの前の懸案の法案はこの国会ではどうされるのか、どういう方向をとられるのかということを一点だけ、公害問題ではお伺いをしておきたい。公害には相当力を尽くされたこと、これは私は国民もすなおに承知しておると思います。ただやはり一本のくぎをどうなのだろうという、これがある意味においては公害立法の全部の評価をこの尺度でされるのじゃなかろうかという気も私はするものだから、これは与野党とも同じ気持ちです。国民も同じ気持ちです。むずかしいこともあるでしょうが、どうぞひとつその辺を明確に、この国会中を通じて御答弁を願いたい。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 公害は、大きくいいますと、主としてその負担を負いますのは企業なのです。企業がどのくらいの金を負いますか、これはちょっとはかり知るべからずというか、計算できません。それに対して政府、地方団体がやるという事業、これは何といっても比較にならぬと思います。しかしそれにもかかわらず、今度御審議を願います一般会計予算、八百億円くらいになりましたか、一般会計でもそのくらいの金を出す。これは下水道を中心とするものでありまするが、とにかく八百億円内外の金。そればかりじゃないのです。これは関税の引き下げを行ないまして、脱硫に対しまする関税の軽減率を引き上げるとか、あるいは低硫黄の原油輸入に対しまして関税を軽減いたしますとかいう関税、それからさらに減税ですね。もう膨大な企業負担、これがなかなか耐え得られないかもしらぬ、こういうようなことから特別償却を認めますとか、あるいは耐用命数の切り上げ、短縮をいたしますとか、各種の免税措置をいたす。またさらに財政投融資、この中に多くの額が含まれておるわけです。特にこの仕事は田、地方団体と申し上げましたが、地方団体の行なう仕事が多いのです。その地方団体の行なう事業に対しまして国は財政投融資金を投入する、こういうことをしているわけです。かれこれ総合いたしますと約三千億円という額になるわけでありまして、決してこれは少ない額じゃない。いままでの努力に対しましてはかなり前進をしておるというふうに考えておるわけであります。ことに水の問題の中心をなす下水道措置、これなんかにつきましては、これは五カ年計画を設定いたしまして二兆六千億円。これをやりますと下水問題はかなり改善をされてくるわけです。下水対象としては都市人口が多いわけですが、その対象人口に対しまして、五年後には実に七割の下水を整備し得る、こういうふうになるのであります。  日本の国は何といっても社会資本、生活環境、そういうものに着目されたのは戦後やっとじゃないかと思うのです。まあパリあたりでは百年前に万博が行なわれておりますが、あのころもうすでに下水道なんというのは完備しておった一それに比べますと何十年のおくれでございますが、わが国はそういう立ちおくれをいま急速に取り戻しに取りかかっておる。しかしこれが経済力を背景とし、またその経済力の中におきましてもそういう社会投資に投ずる金は非常に多いわけでございますので、これはそう長い期間を要せずして取り戻しができる、先進国並みにできる、かように考えております。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○山中国務大臣 御質問は、大蔵大臣がどんなにお金のことを説明しても、無過失賠償責任の問題が一本抜けたんでは画竜点睛を欠くのではないかという心配があるという御質問だったと思います。そこで、御質問の前提にもありましたように、法務大臣の所管である民法の特別法として、すなわち近代法の大原則である過失責任の例外として特別法を設けることは非常にむずかしい、技術的にも実体的にもたいへんむずかしいということについては、担当大臣たる私も同感せざるを得ない点があります。     〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら今日、世界の各国の環境保護の現状から見て、日本は公害によって現実に人の生命や健康、財産等に被害の起こっている国である。したがって、それらの問題について私たちがそれを克服していくためには、どうしても人の健康や生命等に影響のあった場合において、これが法廷その他においてどのように処理されるために国が力をかすかという問題を無視しては通らない国になってしまっておることを私たちは恥じなければならないと思っております。その意味において、毒物、劇物等に例示されておりまする各種毒物、劇物の物質の中で、公害現象として発生した場合に人の健康、生命等に被害を与え、あるいは与えると明らかに認定されるもの、そのようなものを現在拾い上げつつ、このような物質にかかる公害によって人の生命や健康に影響を与え、それによって係争が起こった場合において、少なくとも立証責任は訴えられた者が転換してそれを一義的に示さなければならない。あるいはできるならば無過失賠償の責めに任ずるという形の手段をとるべきことを検討しております。  これを一つ検討の最中でありますが、いま一つは、原子力損害賠償法あるいは鉱業法等に並んで(「労働基準法もそう。労働災害だって無過失責任だよ」と呼ぶ者あり)それもありますが、それらに並んで現在、私どもが先国会で相談いたしました各種取締法の中で、それに準じてなじむものがあればそれを取り入れていくことも可能ではないかと考えまして、民法の特別法以前においてもなお措置しなければならない問題として、これを緊急に取り組んでおるわけでございます。今国会中に間に合わせるといたしますと三月の半ばごろまでには成案を得なければなりませんが、一生懸命努力をいたすことにおいて変わりはございませんが、なるべく間に合わせたいと思っておりますけれども、しかしながら事柄がたいへん技術的に法律的にむずかしいようでございます。私もほとほと困惑をしたりまたあらためて勉強をしたりいたしておりますので、努力をいたしますが、万一締め切り日に間に合わなくても、これが皆さま方の合意によってそういう法律ができるということであれば、御相談をいただけるならば幸いかと存じまして、一生懸命努力をいたしてまいっておるところでございます。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 以上、相当長時間にわたりまして内政、外交について与党の立場から政府にお尋ねをいたしました。ある意味においては、この委員会を通じて国民も与党、政府の意のあるところをわかっていただいたと私も思います。  あと残りますのは選挙制度の問題あるいは公害の問題もあります。なお公害について御答弁があればいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 公害の問題は、先ほど大蔵大臣や山中総務長官からお話をいたしましたのでおわかりいただけたと思いますが、新しい問題としてこの問題とほんとうに取り組むというか、その姿勢が必要だと思います。先ほど米の問題について、米の消費が非常に減った、こう言って、それが減ったこと自身が生活が近代化になったかのような表現にもちょっと通じたのでありますが、私は公害の問題について基本的にわれわれが取り組む姿勢、これは何といっても生活環境を守っていく、そういう意味から生活自身、いままでの生活をほんとうに近代化しないと、切りかえていかないとこの公害はなくならないと思うのですね。  先ほど大蔵大臣から下水道の整備の話を出しましたが、私ども自身が私生活において公害自身を発生しているもの、これも何とかして片づけなければならないと思う。われわれの厨房から送り出すごみの処理からさらに屎尿処理、これなどは最も大事なもの、緊急を要するものではないかと思います。ここらに非常に、大工業は起きたが、どうもそれに対応するだけの近代的生活になっておらない、こう言われるものもあるようであります。この意味においての私生活の近代化をはかってまいりますが、これを注意すればするほど、もう一つは大企業のかもし出す公害について、どうも反対の方向へ行くのじゃないだろうかと思う。  最近私どもは、何よりも必要なのは電力ではないかと思う。最近、もう台所から冷暖房に至るまで全部が電気でございます。いままでは電力だといえばただ単に電灯のように考えておりましたが、私生活においても電力を無視することはできないのだ。しかし電力発電所はどこも引き受けてくれない。しかしお互いはその電力を心から望んでおる。発電所のかもし出す公害、それがけしからぬのだ、電力は要るけれども、あの電力発電所だけはつくってもらいたくない、こう言われる。最近の科学技術をもってして、私は亜硫酸ガス、これを抜くくらいな技術はもちろんできると思っております。また重油の使用にしてもあるいはまた石炭の使用にしても、低硫黄のものが好まれておるのもただいまのような点からであります。あるいは原子力発電、これなどが一部で理解されておるのもただいま申し上げるように電力の必要からであります。私がこの点をあまり強調すると電力会社のために特別に議論をするようでまことに恐縮ですが、私はいまの公害論が、公害に対する対策が科学技術で不可能だ、こういうように投げやりの気持ちで産業の興ることをはばんではならないということが申し上げたいのであります。どうしても電力が必要だ、そういう意味からも電力会社にも思い切った公害を起こさない措置はとっていただくが、いまの技術をもってすれば、集じん装置もうまくできるし、また同時に、大気汚染に対する対策も可能なように私は思います。それらのことを考えてまいりますと、それぞれがみんなむずかしい問題だが、先ほども大蔵大臣からも説明しているように、公害防止のために企業がどれだけの犠牲を払っておるか、そういうことについてもよく理解してやらなければならぬのだ。また、そういう意味で政府もこれを助長するような政策をとっておる。あるいは減税、免税、あるいは関税の軽減等もはかっておるというようなことも、そういう意味の説明であったと思います。  私は、今日、公害のない社会、福祉なくして成長なし、かように申しますが、企業者自身ももちろん公害のおそろしさをよく理解しておるのだと思うし、また、われわれ国民も、この企業がわれわれに提供する利便、これに十分理解をし、同時に、公害防止についてどういう措置をとっているかということも理解して、納得づくでやっぱり産業も興っていくような世の中にしたいものだと思います。電力はほしい、しかし発電所は困る、どうもそういうのが至るところいま起きている。これを見るにつけましても、私は何とかってな言い分だろうか、自分のところだけには発電所はつくりたくない、どうもかってな言い分が出ているように思う。そこらのところをよく理解されて、そして国民と一体となって産業が興ることを望んでいるような次第でございます。

松野頼三自由民主党

○松野(頼)委員 皆さん各委員の御協力で、与党質問として今日外交、内政について種々の質疑を遂げました。各委員の御協力もまた政府の十分な答弁もいただきました。  以上をもって私の質問を終わります。

中野四郎自由民主党

○中野委員長 これにて松野君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十九日午前十時より委員会を開会し、総括質疑を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十四分散会

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