法務委員会 第12号
- 発言数
- 110 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/03/16
会議録
○高橋委員長 これより会議を開きます。 民事訴訟費用等に関する法律案、刑事訴訟費用等に関する法律案並びに民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法案の各案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。畑和君。
○畑委員 今度の法律によりますと、民事訴訟法のほうですけれども、期日の指定あるいは期日の変更または証拠の申し出、こういったものがしょっちゅうあるようでありますけれども、その手数料を廃止することになっていますが、この理由はどういうわけなのか。ある意味では期日の変更とか期日の指定、または期日の続行などについて手数料を負担させておったということは、一種の制裁的な意味もあったのではないかと思います。そういうことだとすると、今回廃止したのはそれと別な何か理由があるのか。そのことからすれば逆ではないかという印象がするのです。ただ、しょっちゅうあることであるから、これは一々印紙を張ったり何かするのは非常に煩瑣だ、こういうことであろうかとも思うのですが、従来期日の指定や何かはそういった制裁的な意味も若干加わっておるのではないか。そういう点からするとどうなのかという点でございます。したがって、手数料に対するいろいろの考え方が変わったのかどうか。 これに関連して、控訴の提起については第一審の額の一・五倍、上告の提起については第一審の二倍という額の手数料を負担しなければならないということに現在はなっております。また今度もそうですが、このことはみだりにいろいろ上訴をさせるということを防ぐという意味も相当含まれていると思うのです。民事訴訟法の三百八十四条ノ二というのがありますが、これは途中から入った、そういった乱訴等を防止するために入った規定であるわけです。これは明らかに上訴権の乱用者に対する制裁として、上訴に関する印紙金額の十倍以下の金銭の納付を命令することができる、こういうことになっておる。ところでこの制度の実情はどうか、そういった必要性があったので特に三百八十四条ノ二というものを設けたのだろうと思うのですが、その結果実際にどれだけこの制度が適用になっておるかということを、統計等でもありましたらお示しを願いたいと思うのです。 この三百八十四条ノ二の規定と、本法案の九条の第二項の一号に規定してある控訴の提起に対して口頭弁論を経ない控訴の却下の裁判の確定の場合の手数料の二分の一を還付する規定との関連は一体どうなのかということもあわせて聞きたいのであります。いろいろ質問が続けてありますけれども、ひとつ覚えておいていただきたい。 なお、九条の二項の第一号には、「訴え若しくは控訴」とあって、上告ということが入ってない。上告の場合には還付は受けられないという理由はどうなのか、その区別した理由はどうなのか。 以上まとめて、手数料の問題についてお伺いいたしますが、法務省あるいは最高裁のほうから御答弁を願います。
○貞家政府委員 まず第一点の期日の指定、変更あるいは証拠の申し出について手数料を徴しないこととした点でございます。御承知のとおり現行法におきましては、それが独立の手続を開始するものであるといなとを問わず、どんな中間的な付随的なものでありましても、あらゆる申し立てにつきまして印紙を貼用することが要求されているわけでございまして、その印紙の額は十円あるいは二十円というようなきわめてさまつな額の印紙を張らなければならないというふうになっておるのでございます。ところが、申し立ての中には、御指摘の期日の指定あるいは証拠の申し出というように、どんな事件でも必ずひんぱんに行なわれる性質の申し立てがございます。こういった申し立てにつきましては、本来訴えを起こす、あるいは控訴を提起するという基本になる申し立ての手数料の中ですでにまかなわれているというふうに考えることも不可能ではないわけでございます。そうした当然審理の過程において、あらわれてまいります、しかも数多く出てまいりますそういった申し立てにつきましては、無差別にそのつど、さして意味のないような額の金銭を徴するということは、現在におきます手数料の取り方としていかがなものであろうかということが考えられたわけでございます。 なお、そういった申し立てにつきまして、必ず手数料を納めなければならないということになりますと、もしそれを怠った場合には、その申し立てを却下するとかいうようなことになりますれば、結局は事件の迅速な進行にも差しつかえるということが起こってくるわけでございます。さらにのみならず、そういったきわめて少額の印紙をそのつど当事者が貼用する、そして裁判所書記官がそれを審査するというようなことになりますと、当事者、裁判所、ともに非常にわずらわしい仕事に忙殺されることになるわけでございまして、むしろそういったさまつな印紙の貼用、それに伴う事務ということからは解放いたしまして、訴訟の本案の進行に協力する、つまり本案の主張とそれに対する応答とに全力を注ぐということが、望ましい姿ではないかと思うのでございます。 そういった中間的、付随的な申し立てについて現在要求しております印紙の額は、先ほど申し上げましたように、きわめてさまつなものでございますから、これを手間と手数料という点から考えましても、この手数料がきわめて軽微でありまして、むしろその手数料を徴するための事務量のほうが金銭的に評価すれば大きいということも言えるのではないかと思われるわけでございまして、また、そういった状況でございます以上、十円、二十円の印紙を貼用するということは、必ずしも制裁的な意味があったとは思いませんし、また、そういった効果を現実に持っているということはとうてい考えられないわけでございまして、これはやはりそういった申し立てに対しまして、それを審査し裁判所が応答義務を負う、そういった制度を利用するための対価と申しますか、手間に対して払われるべきものだという性質におきましては、これは特に変わっていなかったと思うのでございます。 そこで今回、以上申し上げましたような理由によりまして、そういった中間的、付随的な申し立ての大部分につきましては、別に法律の別表で書きますものを除きまして、徴収しないということにしたわけでございまして、これを高額にして制裁の役に立たせようという考え方もなくはないと思いますけれども、それは必ずしも妥当ではないのではないか。したがいまして、そういった手数料というものの考え方につきましては、従来と変更はいたしてないつもりでございます。そういったさまつなものを省略して、基本的なものに含めるという考え方でございます。 第二の控訴の提起につきましては、訴えの提起の一倍半、上告につきましては二倍という率でございますが、これは従来明治以来ずっと続けておりました態度でございますし、また外国の立法例などを見ましても、おおむねそういった態度がとられているようでございます。これはおそらく原審の裁判に対して不服を申し立てる、そうして上級審にいきます場合に、第一審での判断資料に加うるに、さらに新しい判断資料なり、さらに新しい法律問題というものが出てくるわけでございまして、そういった丁重な審理をさらに求めるということに見合う手数料といたしまして、一倍半あるいは二倍というようなことになっているのだと思うのでございまして、その態度を踏襲したわけでございます。もちろん、これは訴訟費用のうち裁判所に納める手数料というものが全然無料ではないということは、結果的に申しますと、乱訴なり乱上訴を抑制するという作用を営んでいると思いますし、訴訟費用の制度としてそうあるべきだと論じている者もあるわけでございます。しかしながら、常にそういった制裁的な要素というものを重視いたしまして、高額にするというわけにもまいりません。一倍半、二倍という金額は、東西を問わずほぼ普遍的になっているように思われるわけでございます。 そこで、御指摘の民訴法三百八十四条ノ二の場合でございますが、これは控訴を棄却いたします際に、控訴が訴訟の完結を遅延させる目的のみのためになされたと認められる場合でございます。これはまさに制裁的な意味があるわけでございますが、これは控訴の実体に入って内容を審査いたしまして、結局その控訴の提起が訴訟をおくらせる目的だけから出ているのだ、そういう悪意があったと認められる場合だけに限るわけでございます。これに対しまして、今回民事訴訟費用等に関する法律の九条の二項の各号でいっておりますものは、却下あるいは取下げの場合でございまして、いわば玄関払いの場合でございます。この場合には実質に入らず、いわば入り口で却下される、あるいは取り下げるということでございまして、それに必要な裁判所の手間ということも考えますと、やはりこれは全額徴収するのは不適当であると考えられたわけでございまして、もちろん、その中には実質的に見ますと、これは不当な控訴、訴訟遅延のための控訴あるいは上告があったという場合もございましょうけれども、これはとにかくそこへ行き着く前のいわば玄関払いの場合でございますから、そういった判断をいたしまして、制裁的に民事訴訟費用法三百八十四条ノ二と同じような取り扱いをここで考えるということは、きわめて困難かと考えるのでございます。したがいまして、そういった区別が出てくるわけでございまして、一見いたしますと棄却の場合には取り上げられてしまう、却下の場合にはこれは返してもらう、おかしいではないかという感じもいたすわけでございますけれども、よくよく考えてみますと、やはりそれは事案が違うわけでございまして、私どもはこれは矛盾した態度であるとは考えていないのでございます。 なお、民事訴訟法三百八十四条二の実情につきましては、これは裁判所当局からお答え願うといたしまして、その次の御質問でございますが、民事の第九条第二項の各号でございます。第一号におきましては「口頭弁論を経ない却下の裁判の確定又は最初にすべき口頭弁論の期日の終了前における取下げ」ということになっておりまして、これはまさしく入り口で、結局裁判所の手数を要しないことになった場合でございます。上告の場合は実はこの第五号に別に書いてございまして、上告の場合には「原裁判所における却下の裁判の確定又は原裁判所が上告裁判所若しくは抗告裁判所に事件を送付する前における取下げ」これが半額還付の事由になっているわけでございます。やや控訴の場合と異なっておりますが、これは控訴提起の方法と上告提起の方法と違いまして、控訴を提起いたします場合には、控訴訟は原審あるいは控訴裁判所に出すわけでございますが、いわば原審は素通りになりまして控訴裁判所に事件が送付されるわけでございます。ところが、上告の場合には必ず原裁判所に上告状を提出いたしまして、民事訴訟法の三百九十九条におきまして、実質ではございませんが、その上告について実質に近い審査が行なわれる、そういった上告審査手続があるわけでございます。したがいまして、その時点をとらえるのが相当ではなかろうか。また上告審に事件が参ってしまいますと、今度はいわば上告審は書面審理が原則でございますから、前段階と本段階と申しますか、予備と本番との限界というものは必ずしも明確に手続上区別されていないわけでございまして、この場合に控訴と同じように取り扱うということは適当ではない、手続上はっきりとした段階がございますので、そういった段階でもって区別をいたしまして、そこで却下あるいは取り下げが生じた場合に原則として半額を還付するということにした償うが適当ではないかと考えた次第でございます。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 御指摘の民訴法三百八十四条ノ二、これは乱上訴に対する制裁規定でございますが、これがどのくらい行なわれているか、課せられているかということについては、全国的な調査をしたことはございません。したがって、司法統計年表にも記載されておりませんので、その件数は明らかではありません。しかし、判例集を拾ってみますと、この規定ができましてから現在まで最高裁判所で四件、高等裁判所で一件、地方裁判所で一件、この納付金を命じた裁判が行なわれております。その額は三千円ないし二万円というところでございます。
○畑委員 それじゃその次の質問に移ります。 今度の民事訴訟費用等に関する法律案、その中の第二条第六号の訴状などの書記料、これについては最高裁判所がきめるということに今度の法律案でなっていますが、どの程度を考えているのか。私も最近しばらく訴訟の実際に関係しないので、いま幾らだったか忘れましたけれども、これを最高裁判所がきめることになっていますが、それをどのくらいに考えているのか、聞きたいと思います。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 訴状等の書記料の額は、最高裁判所規則で定めるということになっております。現在事務段階で予定しております額は、日本工業規格B列五番の用紙一枚につきまして五十円、半枚に満たないものは二十五円、その程度のことを考えております。図面につきましては、一葉につき百円程度のところを考えております。これは裁判所が交付する正本あるいは謄本等の交付手数料が法案におきまして一枚につき五十円と定められておりますし、戸籍簿の正本、謄本等の交付手数料が一枚につき五十円であるということを考慮して、この程度の額を考えているわけでございます。なお現行民訴費用法では一枚につき十五円という規定になっております。
○畑委員 次に、二条の第七号ですね。当事者などが訴状等提出のために裁判所に出頭したその出頭日当、これが訴訟費用に含まれないようになっておるように思われます。従来はこれは出頭日当で、訴状等そういったものをいろいろ提出するのは日当を計上するようになっておりますが、それは今度はそういうふうになっておらぬで、郵便料か何かの最低のものになっておるようです。これはどういうことなのか承りたい。
○貞家政府委員 訴状等の書類を提出するために裁判所におもむいた場合の旅費、日当の点でございますが、現在解釈は必ずしも統一されているわけではないと存じます。裁判例といたしましてはあまり直接取り扱ったものはないようでございますが、答弁書提出のための旅費、日当については訴訟費用にならないというような、これは下級審の古い判例でございますが、そういったものはあるようでございます。ただ実務上、訴状あるいは支払い命令提出のための旅費、日当が訴訟費用になるというような取り扱いもされているようでございます。しかし、今回の法律案によりますと、御指摘のとおり現実に出頭いたしましてもそれは郵便料と書留料となる。「第一種郵便物の最低料金に書留料を加えた額」ということになるわけでございます。 なぜそういうことにしたのかという理由でございますが、今回の法律案は、従来訴訟費用の範囲というものにつきまして法律が概括的な規定をしておりまして、「権利ノ伸張又ハ防禦ニ必要ナル限度ノ費用」というような抽象的な表現で、何がそれに入るかということを全く実務の慣例あるいは解釈にまかせるということになっていたわけでございますが、いろいろはっきりしない点がございますので、むしろその訴訟費用となるものの項目を列挙的にあげるということ、それからその額にいたしましてもそれぞれそのつどいろいろな考え方で計算をするという態度をやめまして、はっきりと固定額、固定額といいましても金何円というふうにきめるわけではございませんけれども、客観的に計算できるはっきりした金額に改めたわけでございます。 そこで、訴状その他の書面を裁判所に提出するために出頭したという場合でございますが、これは本来出頭が要求されているわけではないのでございまして、郵送の方法でも足りることになるわけでございます。そこで訴訟費用の負担をどうするかということにつきましては、やはり敗訴の当事者が原則でございますが、訴訟費用を結局負担する者、それの負担ということも考えなければならないわけでございまして、そういった公平の考慮ということが必要であろうかと思います。また計算を単純化する、画一化するということが、やはりこの制度の将来にとって望ましいことであるというふうに考えられるわけでございまして、そういった公平化をはかるということ、計算の単純化をはかるということから、これは必要な最低限度の費用にしぼったわけでございまして、そういった郵便で足りるものにつきましてはその郵便料金を基本にするということに改めたわけでございます。
○畑委員 そうすると民事訴訟費用法の第九条の当事者、証人の日当という点、これはそうするとその限りにおいて改められたということになりますか。その当事者あるいは証人がどうしても当事者、証人などとして当然出頭を要求されるべき場合に限るんだ。民事訴訟費用法第九条は、当事者、証人の日当としてありますが、それは「当事者及ヒ証人ノ日当ハ出頭又ハ取調一度ニ付キ」云々とこうなっておりますけれども、その点はそういうふうに解釈してよろしいことになりますか。
○貞家政府委員 当事者についてはさようでございます。
○畑委員 次に第四条の第二項、ここに規定する非財産権上の請求の訴えについてお尋ねをいたしたいと思うのですが、訴訟の目的の価額を現行法上五万円とみなしておる。これを三十五万円とした理由は何か。この辺若干食い違いみたいなのがちょっと感ぜられるのですが、それを説明してもらいたい。現行法の民事訴訟用印紙法第三条、これには五万円とみなしておるけれども、民事訴訟法第二十二条第二項ではこれを「三十万円ヲ超過スルモノ」とみなしておる。その理由はどうなのか、この辺ちょっとわからない。
○貞家政府委員 財産権上の請求でない訴訟、つまり非財産権上の請求につきましては、裁判所法の規定あるいは民事訴訟法第二十二条の規定によりまして、訴訟の目的の価額を算定することができないという場合でございますから、これは地方裁判所が管轄権を持つことになるわけでございます。この事件は、おもなものといたしましては、会社の設立無効でございますとかあるいは合併無効、株主総会の決議取り消しというような会社訴訟、あるいは婚姻、親子等に関する身分上の法律関係に関する訴訟が代表的なものだと思われるのでございますが、そういったものはいずれも事件の内容といたしまして複雑困難な部類に属しますし、また、その結果によって当事者が利益を得また失う、そういった利害の非常に大きいものがあるわけでございます。したがいまして、そういった裁判所の手数もかかり当事者の利害も大きいところのこういった事件の手数料の額というものは、やはりそれに相応した額であることが適当だと思うのでございます。ところが、こういった事件につきまして個々別々に価額を法定するということは困難でございますので、地方裁判所が取り扱うべき事件だということに着目いたしまして、地方裁判所の取り扱う財産権上の請求の訴えの最も低いところの手数料の額に合わせたわけでございます。つまり三十万円をこえるわけでございまして、五万円刻みになっておりますので、三十五万円のところに合わせたということになるわけでございます。 実際問題といたしまして、こういった事件は訴訟物の価額が三十万円である一般の財産権上の請求に比べますと、よほど事件の中身はむずかしい。複雑で審理に手間がかかるということは否定できないところだと思うのでございます。従来もそういった考えから、簡易裁判所、あるいは昔は区裁判所でございますが、区裁判所の取り扱う訴訟物の価額の最上限、つまり簡裁と地裁との分岐点というところと、いわゆるみなし価額と申しておりますが、この価額とが大体対応しているという関係が認められたのでございますが、昨年裁判所法の改正によりまして三十万円という最上限がきめられました。したがいまして、これに対応してこの印紙法の額も三十万円をこえる額、つまり三十一万円なら三十一万円に上げるということが相当であるということに結果的には相なるわけでございますが、昨年はなお訴訟費用全般につきまして検討をまさに開始していた段階でございまして、申し立て手数料についての構想というようなこともいろいろ案がございまして、必ずしも従来とってきた方式を踏襲してそのまま金額を改めるということをしなかったわけでございまして、今回それを従来行なっておりましたように両者を合わせるということにいたしたわけでございます。
○畑委員 次に、別表第一のうちの四の項ですね。「請求について判断をしなかった判決に対する控訴又は上告の提起」これについて本案判決に対する控訴または上告の二分の一でよろしいということになっておりますけれども、この理由は何か、お尋ねいたしたい。
○貞家政府委員 別表第一の第四の項におきましては、請求について判断をしなかった判決に対する控訴または上告の提起につきまして、本来の通常の控訴、上告の場合の半分だということになっているのでございますが、請求について判断をしないつまり訴訟判決でございますが、そういった判決に対して上訴いたしますと、訴訟要件の存否、つまり当事者能力あるか、訴権あるか、当事者適格あるかどうかというような審査をいたすことになるわけでございまして、またそれに限られるわけでございます。そして訴訟要件の存在が認められればこれは差し戻すということになるわけでございまして、その後は差し戻しでございますから、前の原審の審理が復活するというような形になるわけでございます。これは民事訴訟法三百八十八条、それを準用いたしました三百九十六条でそういうことになっておるわけでございます。したがいまして、そういった訴訟要件に対する判断だけを求める結果になる。そういった申し立てにつきまして、やはり通常の本案まで入って審理をすることを求める申し立ての場合に比較いたしまして、これは手数もかからない、簡単であるということで、半額にしたのでございます。
○畑委員 次に、同じく別表第一の八の項ですね。再審の訴えの提起の場合に、簡裁と簡裁以外の裁判所と区別して、簡裁の場合に五百円、それ以外の場合が千円、こうして固定金額とした理由は何か、それを承りたい。
○貞家政府委員 再審につきましては、従来は通常の訴訟と同じような取り扱いをしていたのでございますが、再審の訴えにつきましても、これは手続を観察いたしますと、民事訴訟法四百二十条にあります再審事由の存否を判断するということになるわけでございます。その存在が肯定されればまた前の審理のやり直しということになるわけでございまして、前の審理を求めた場合の手数料によってカバーさせるべきではなかろうか。といたしますと、その前段階としての再審事由があるかないかということの判断だけであるということからいたしますと、どうしても通常の訴えよりは低額にする必要があるわけでございますが、今回の法律案はなるべくわかりやすくすると申しますか画一化する、均一化するというようなことから、これは低額に親しむのではなかろうか。ただ簡易裁判所事件と地方裁判所以上の事件とではかなり差異もございますし、簡易裁判所につきましては、そもそも訴えの手数料の最低額でございます五百円というところに合わせまして、それを下るということは適当ではないだろう。そこで五百円として、その他の場合にはその倍額ということにいたしまして千円としたわけでございます。これはランクが百円、二百円、三百円、五百円、千円というおおむねわかりやすい金額をとっておりますので、そういった結果にもなっているわけでございます。
○畑委員 続いて、十八条の第三項の規定によると、「証人、鑑定人及び通事は、あらかじめ旅費、日当、宿泊料又は前項の費用の支払を受けた場合において、正当な理由がなく、出頭せず、又は宣誓、証書、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、その支払を受けた金額を返納しなければならない。」こういう規定になっておりますが、この法的性質はどういうものなのかということです。民事訴訟法の規定によりますと、不出頭の場合に対しては民訴の二百七十七条ノ二に書いてありますね。「五千円以下ノ罰金又ハ拘留」に処せられ、このことは同時にまた民訴の二百九十三条の宣誓拒否、民訴の二百八十四条の証言の拒否についても同じことになっておりますけれども、民事訴訟法の規定に基づく行政処分または刑事処分のほかに、この法案によってもなお処分を行なう、こういう趣旨なのかどうか。さらに続けて申しますが、この規定からは最も悪質な行為であると考えられる宣誓と証言を偽証した場合については何らの規定はないと思うけれどもどうか。偽証した場合は含まれないとすると、その点公平を失することにはならないか、こういう点であります。この点を御答弁願いたい。
○貞家政府委員 今回の民事訴訟費用等に関する法律案の第十八条の三項に、新たにいま御指摘の規定が入っているわけでございますが、実はこれと同趣旨の規定は刑事訴訟法百六十四条の二項にございます。なお、これは証人に関する規定でございますが、鑑定人とかその他につきましては百七十一条、百七十八条で準用いたしておりますし、今度の施行法によりまして改正されます刑事訴訟法の百七十三条の二項でも同趣旨の規定を入れているわけでございます。この三項の場合は、あらかじめそういった旅費、日当その他の費用を受けまして結局は出頭しない。したがって、証人としての義務履行もしないということでございますから、それに対する補償はしません。したがって、あらかじめ渡したらそれを取り返しますのはいわば当然の事理だと思われるのでございますが、民事訴訟費用については従来そういった趣旨の規定がございませんでした。ただ、これは特に何らかの処分をするという考え方ではございません。実体上、国が当該証人等に対しまして返還請求権を持つということを宣明しただけでございまして、これは任意の履行に待つ。あるいはどうしても返さなければ、通常訴訟によって取り返すということでございまして、特に制裁的な行政上の処分という意味合いではございません。したがって、御指摘のとおり刑事罰あるいは過料の制裁はございますけれども、それとあわせて何らかの処分が行なわれる、処分が三重になるということになるわけではないのでございまして、いわば不当にやってしまったから返してもらうという単純な事柄でございます。 第二の点で、偽証の場合はどうかという問題でございますが、これは非常にむずかしい問題で、実は御納得いただけるようなお答えができるかどうかわからないのでございますが、どうも従来からそういった手当てというものはなかったわけでございます。刑事についてもございません。これを考えてみますと、これは非常に常識的なお答えになるかもしれませんが、偽証につきましてはかなり重い刑事罰が科せられております。これは刑法百六十九条でございますか、たしか三カ月以上十年以下の懲役というようなかなり重い刑事罰でございます。そういった点も考慮されることもあるかと存じます。ただ、これは刑事の問題であって、民事の返還請求とは別ではないかという議論も当然あるかと思いますが、この十八条三項でいっておりますのは、不出頭、宣誓拒否あるいは証言拒否というような非常に形式的に明白なことをとらえまして返還請求権を生ずるということになっているわけでございます。したがいまして、その処理もすみやかにされるわけでございますが、偽証というものは、これは偽証罪が成立するかどうかということは非常に困難な問題でございます。形式的に外形的には必ずしも明確でないわけでございまして、そういった場合に直ちに処置するということはおそらく困難ではないかと思われます。偽証罪が確定するというようなことは、本案の裁判が確定いたしました後になってから初めて起こってくるわけでございまして、一たんケリがついた償還関係をまたくつがえすというようなことはあまり妥当ではないのではないかというようなことも考えられます。結局そういった法律関係の混乱を避けるということもございますし、むしろこれは費用の負担を命ぜられた者あるいはその偽証によって損害を受けたという者が、偽証した者に対して別途損害賠償の請求をするということは、これは立証はきわめて困難でございましょうけれども、理論的には可能でございまして、むしろ救済はそちらのほうにいくということになるのではないかと考える次第でございます。
○畑委員 民事上の偽証ですけれども、実際に事件を担当してみると、偽証というのがほとんど明らかなような事件がずいぶんある。しかし、それが実際偽証で問題にするような例は、立証の困難等もあってなかなかむずかしいのでありますけれども、証言について記憶がはっきりしないというようなことが長い期間ではあるけれども、そうでない場合は偽証と見られる場合が非常に多い。しかし、これは結局は裁判所の裁判官の心証ということで解決する以外はない。これは意見です。 次に、訴訟の扶助制度について質問いたしたい。法律扶助協会というのがいまございます。それの組織とか予算、扶助料の件数、それから運営の実情、法務省以外の諸官庁からも補助がなされておるのかどうか。たとえば自動車関係の運輸省からの自賠法関係の補助があると思うのです。その扶助料の基準がいろいろあると思うのですが、いかなる基準を持っておるか。話に聞くと、生活保護を受けている人でなければなかなか扶助は受けられないというようなことを聞いておりますが、そうなるとなかなか狭くなってしまう。この辺はどういうことなのか、ひとつ総括的に答弁していただきたい。簡単でよろしゅうございます、時間がかかりますから。
○貞家政府委員 法律扶助制度によりまして、訴訟費用あるいは弁護士報酬等の立てかえが行なわれ、また弁護士を付するということによりましてその者の権利を保護するということになるわけでございますが、現在御指摘のとおり、財団法人の法律扶助協会が国の財政的援助を受けてこの事業を行なっております。法律扶助協会は、御承知のとおり本部は東京都に置かれまして、全国の都道府県の所在地、北海道にも四カ所ございますが、合計四十九の地方支部を設けまして全国的規模で活躍をいたしております。昭和三十三年度以降は国から補助金を受けるようになったのでございます。補助金のうち大部分は法務省でございますが、自動車事故に関するものにつきましては運輸省所管のものがございます。 その実績でございますが、発足後昭和四十四年までに扶助の申し込み件数の合計が三万一千六百六十六件、そのうち扶助決定をいたしました件数が一万二千五百十六件でございます。一昨年度、昭和四十四年度の例をとってみますと、申し込み件数が五千五百八十二件、扶助を決定いたしましたのが千九百六十八件、三五%ということになっております。 なお、補助金につきましては、四十五年度におきましては、法務省所管のものが七千万円、運輸省所管のものが千五百万円でございます。 この扶助を決定いたします基準としましては、まず資力に乏しい国民であること、それから勝訴の見込みがあるということ、それからその請求が扶助の趣旨に適するものであるということが要件になっているわけでございまして、その第一に申し上げました資力に乏しい国民であることというのは、なかなか基準がむずかしいのでございますが、これは現在の取り扱いといたしましては、生活保護法による保護を受けている者には限らない。むしろそれは統計上は比較的少数であるようでございます。やや古くなりますが、昭和四十年ごろでは十数%にすぎないというようなことでございます。結局訴訟のための出費によって生活を脅かされるおそれのある者ということになるわけでございまして、多少の資産がございましても訴訟のための出費ができないという人々も救助の対象にされているという取り扱いであるように聞いている次第でございます。
○畑委員 いま聞くところによると、生活保護法による生活保護を受けている者には限らぬ、むしろそれはわりあいに少ないというお話でございますが、これはひとつやはりそういうふうにやっていただきたいと思うのです。場所によると、そういうことがいろいろとむずかしい点があるようでございますが、これはやはり生活保護法による者に限定すると非常に狭くなりますから、勝つ見込みがあるということで実際上これを遂行する資力が足らぬという場合には、ひとつできるだけ広げてやってもらいたいと思います。 それから、扶助による訴訟費用の負けた者のほうからの、負けた場合の求償関係というものはどうなっておるか。それから弁護士に対してはどの程度の費用を払っておるのか。それをちょっと簡単に……。
○貞家政府委員 訴訟が終了いたしますと、扶助を受けたことから償還することになっているのでございます。この償還率は、最近の正確な数字は存じませんけれども、大体五五%ないし六〇%という程度になっているようでございまして、これは中には分割弁済の方法もございますし、あるいは三年以内猶予するということも認められているようでございますし、勝ちましても財産的な利益は非常に少ないというような場合には、分割弁済、あるいは徴収をできないという場合もあるわけでございます。また、不幸にして敗訴になりました場合、これは統計上は非常に少ないのでございますけれども、その場合には現実には償還請求が行なわれていないというように承知しているのでございます。 なお、弁護士費用の点でございますが、これも一応予算単価と申しますか、扶助協会のほうで決定いたします予算単価でございますが、四十六年度におきましては、その単価は、一応弁護士の手数料、これは立てかえ金その他だと思いますが、二万八千九百円、弁護士に対する謝金というのが四万二千円というふうにきめられているようでございます。しかし、もちろんこれはいろいろ主事件がございますので、ものによりましてはこの単価を大幅に上回る、あるいはこれより少額で済むという場合があることは当然でございます。
○畑委員 平均してだと思うのですが、ちょっと安過ぎるような感じがするのです。こういう点は少し思い切って予算を許す限り——また実際に実績をあげないと予算も次がふえない、そういう傾向にどうしてもあると思うのです。そこで訴訟救助あるいは訴訟扶助、こういう関係はひとつ相当思い切ってワクも広げて実績もやっぱりあげてやるようにすべきだと私は思います。そういうふうにひとつ運営をしてもらいたい。 いままでのは訴訟扶助ですが、訴訟上の救助の制度の運用はどうなっているかということを聞きたいのです。訴訟救助の申し立てをする者の資力の程度、これまた生活保護を受けているような人でなければ救助が認められないというように聞いておるのです。この点は実際の運用は訴訟扶助よりもむしろ非常に厳密なんじゃないか、そういうようにも聞いておりますが、この実情はどうか。これはあまり厳格にするとせっかくの趣旨も没却されると思うのでありまして、特に公害訴訟というような場合には、証人や鑑定などの訴訟費用、そういったものがかさむというようなことから、訴訟上の救助は結局意味のない規定となるようなことになりはしないか、国民の権利救済という点からこの点の考慮の必要があるのではないか、こう思っておりますが、その点をどう考えるか、承りたいと思う。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 御指摘のように民訴法百十八条におきましては、訴訟費用を支払う能力なき者という要件になっているわけでございます。通常の場合におきましては、いわゆる生活保護を受けているというような人がこれに該当することは明らかでございますけれども、公害訴訟のように多額の鑑定費用を要するという場合におきましては、生活に困っていない人でもそれだけの訴訟費用を支払う能力がないという結論にもなりますので、そういう場合には救助が付与されるという結論になりまして、具体的訴訟との関係において訴訟費用を支払う能力があるかどうかということが決定されることになると思います。現に富山地裁のイタイイタイ病第二次ないし第五次につきましては、おおむね訴訟救助が付与されておる現状でございます。
○畑委員 訴訟救助の実績というかそういうもので何か統計みたいなもの、数字がありますか。あったらひとつ最近のあり方を示していただきたい。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 昭和四十年以来の統計が出ております。昭和四十年におきましては申し立て件数二百九十一件、四十一年におきまして四百八十四件、四十二年におきまして八百十六件、四十三年千百三件、四十四年千七十件、大体例年ふえているようでございます。以上は申し立て件数ですが、このうちのおおむね八七%というものが付与を受けているという現状でございます。
○畑委員 そういう制度があることはあるんだけれども、なかなかそれを利用しないという傾向があると思うのです。この点、最近だいぶ数も多くなってきているようでけっこうなことだと思いますが、さらにそういった点で救済の方法をさらに道を開いてもらいたい、そういうふうにひとつ指導、運用をやってもらいたいと思います。 それから最後に、これは訴訟費用の点で聞き忘れたのですが、例の訴訟費用を相手から勝った場合に取るという訴訟費用の確定決定をもらってやりますが、私たちが若い時分には、綿密にその辺計算をして裁判所に出して、訴訟費用の額の確定決定をいただいて、それで強制執行の際にそれをあわせて執行するということをよくやっておりましたが、私が弁護士をやるようになってから最近はほとんどそういうこまかなことはやらなくなった。私のところの事務所だけの関係でもなかろうが、また逆に相手になってやられたこともあまりなくなった。その点は非常に最近大まかになっておりますけれども、そういう点が最近どういうふうになっておるか、傾向を承りたい。訴訟費用の計算をして確定決定をしてもらってそれを執行するという場合が、私は最近非常に少ないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょう。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 確定決定の申し立て件数はきわめて少のうございまして、昭和四十年の統計によりますと、全国地裁で七百九件、これは全既済件数の一%に当たります。四十一年におきましては七百五十四件、これは全既済件数の一・一%、四十二年におきましては六百七十五件、これは〇・九%、四十三年におきましては六百九件、〇・七%で、四十四年におきましては六百四十六件、〇・八%、百件に一件あるかないかというのが現状でございます。
○畑委員 以上で終わります。
○高橋委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 最初にまず御質問いたしますが、この改正法案ですけれども、裁判所のほうがこの訴訟費用の改正をなぜもっと早くおやりにならなかったか、この点について御説明願います。 〔委員長退席、小澤(太)委員長代理着席〕
○貞家政府委員 御承知のとおり、民事訴訟費用に関する基本的な法制は明治二十三年、刑事訴訟に関しては大正十年というきわめて古い法律でございました。それが七十年もたって初めて本法の根本的な改正をするというのはおそきに失しているのではないかという御指摘でございますが、その点は確かに御指摘のとおりでございます。ただ、これははなはだ言いわけがましくなるかと存じますけれども、まず刑事訴訟に関しましては、この法律はだいぶ古いのでございますが、大正十年に制定されたわけでございますし、事柄が比較的簡単でございますので、それほど不備、欠陥が目立たなかったという点がございます。それに反しまして、民事訴訟費用のほうは明治二十三年の法律でございますし、法律自体も非常に抽象的、概括的な規定でございまして、いろいろはっきりしない点があったのでございますが、こういったいわばコケむした領域にメスを入れるということはなかなか一朝一夕にできない。なかなか勇気が出ないものでございまして、ついおくれたわけでございます。これは一つには、先ほど裁判所当局から御指摘もございましたが、民事における訴訟費用額の確定決定を求める、つまり訴訟費用を問題にするという事件が全体の中で非常に少ない。これは国民性にもよると思いますし、逆に法律の不備もあるのではないかという御指摘もあるかもしれませんけれども、非常に少なかったわけでございます。したがって、そういった点から訴訟費用の問題は、従来ともすればあまり重大視されなかった、軽く取り扱われたということで立法のエネルギーが盛り上がらなかったということも一つの原因ではないかと思うのでございます。ただ、いかに弁解いたしましても、これは非常に古く放置されておりまして、数年来はできる限りの努力をいたしました。ここ二、三年来はもっぱらこの法律を現代的なものにするための努力を傾注いたしたわけでございます。
○沖本委員 話は別になりますけれども、同じ民事訴訟法で罰金等のこともあるわけですね。これは昭和二十二年ということになっているそうですが、これはこのままでございますか。
○貞家政府委員 御指摘のとおり昭和二十四年の施行でございまして、これも早晩何らかの措置をとらなければならない問題であると存じます。現在刑法の全面的改正を検討中でございまして、かなりの程度に進捗いたしております。その結果によりましてかなり罰金額というものも考え直さなければならない点もあるというような事情でそのままになっているのでありますが、ただ事務的には、必要に応じましてそれとは別に検討を鋭意進めているという段階でございます。
○沖本委員 むしろ罰金等のほうが、現在の問題に即しまして、より現実的な大事な内容じゃないでしょうか。この点いかがでしょう。
○貞家政府委員 確かに仰せのような考え方もできると思います。ただ刑法のみならず各種の特別法すべてにわたることでございまして、その制定された年代に応じましていろいろその緊急度というようなものが違うと思いますけれども、これはやはり現代の事情に合うように本法で規定するということ、何らかの法的措置をとるということは必要である、鋭意所管当局において検討中の段階でございます。
○沖本委員 先ほどのお話でございますが、刑法の全面改正、こういうものと一緒に合わしてお考えだ、こういうことですけれども、この刑法の全面改正はなかなか進まないのですね。こういう罰金等だけがどんどん残っていって、実際六法全書を見ていってわれわれが評価すると非常に困るわけです。ですから国がいろいろな材料に使うときに、罰金がどのくらいだということで一つ一つ検討するときに、いまどうなっているのだろうかと非常に迷うのですが、こういうものこそ先に早くそのときどきに応じて改正されていく、現在に即したものにしなければならない、こう考えるわけですけれども、さらにこの点どうです。
○貞家政府委員 御指摘のとおりでございまして、刑法の全面改正ということとにらみ合わせながら考えるということはぜひとも必要かと存じますけれども、必ずしもそれと同時ということに考えをきめているわけではござません。これは必要に応じて別個に検討を進めているという次第でございます。
○沖本委員 これは早急に検討していただいて、現実に即したようにできるだけそのときどきに改めていただく、こういうふうな方向に向かっていただきたいと思います。 それで、現在の裁判の制度の中に三審制度、こうなっておるわけですけれども、三審制度はなぜ裁判の過程で必要なのか、この点いかがでございますか。
○貞家政府委員 非常に大きな御質問でございまして、正確な御答弁ができるかどうか危ぶむのでございますけれども、まず第一に、何と申しましても上訴制度というものが、万一の過誤がありました場合、その裁判によって当事者が受ける不利益を救済するという点があるかと存じます。それと同時に、ことに上告審におきましては、当事者の不服を機会にいたしまして、上級裁判所による法令の解釈、適用の統一をはかる、それによって法律秩序の安定を期するという点が主たる目的ではないかというふうに考えるのでございます。
○沖本委員 この中で、裁判所側の責任と考えられるような内容のものは、どういうものが法律で規定されておるわけですか。
○貞家政府委員 裁判所の責任によって直接にそれが手数料にはね返るというものは、具体的にはないわけでございます。常に裁判所の過失がある場合の申し立てとかいうものがございません。結局それは事後になってわかることでございますし、裁判所の過失なりや当事者の過失なりやということになりますと、民事訴訟法の原則によりまして弁論主義をとっております以上、当事者がまずその責任を負うということになるのが通常でございまして、特に裁判所の責任によって手数料の額を左右するというような仕組みはとっておりません。
○沖本委員 この三審制度の中で、結局上告しなければならない、こういう過程に至るところのその理由ですね。それによって分けられていくと思うのですけれども、結局費用がすべて負担させられるという点が出てくるわけです。この費用の点についても、いろいろな理由が出てくるわけですけれども、それを上へ持って上げなければならない、こういうときに、やはり本人の側の準備の不十分とか、理由の申し立てが悪かったとかいうこともあるでしょうけれども、やはりその審理の過程でまずかったという点も出てくるのじゃないでしょうか。そういう点について、中身ですね、いわゆる裁判所側の責任になってくるのではないかと思われるものは、法律でどういうふうに規定されているわけですか。
○貞家政府委員 司法作用でありましても、ほんとうにその過程で違法がございます場合に、あるいはこれは議論はございますけれども、国家賠償の対象になるということはあり得るかと思います。これを全く否定することはできないかと思うのでございますが、裁判の過程におきまして、原審の判断と上級審の判断に見解の相違があったということから、直ちに原裁判所の判断に違法、過失があったというふうにきめつけるわけにはいかないのでございまして、法律解釈というものに相対性があるわけでございます。それによって違う場合もございますし、なお、ことに民事の控訴というようなものをとってみますと、それは結局控訴審において原審と結論を異にしたといいましても、それは原審の続きでございまして、事後に新しい資料が出るということもあり得るわけでございます。 〔小澤(太)委員長代理退席、委員長着席〕 極端な言い方をいたしますと、本番が控訴審だから、それまで伏せておいて、控訴審で初めてほんとうの主張をするということもあるわけでございますし、なかなか、訴訟は生きものでございまして、原審か控訴審か結論が違った、上告審で破棄されたといいましても、必ずしもその状況において、原審あるいは控訴審の判断が誤りである、過失があったということは言えないかと思うのでございます。ことに民事訴訟におきましては、当事者処分権主義、弁論主義がとられております関係上、事案の解決のために主張立証の責任はまず当事者にあるわけでございます。その負担というものは当事者にせしめるというたてまえをとっているわけでございます。
○沖本委員 たとえて言いますと、「上告理由」の中で、「上告ハ判決二憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコト又ハ判決二影響ヲ及ボスコト明ナル法令ノ違背アルコトヲ理由トスルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得」こういうふうになっております。「絶対的上告理由」という中にも、「左ノ場合ニ於テハ常二上告ノ理由アルモノトス」この中に「判決二理由ヲ附セス又ハ理由二齟齬アルトキ」こういうような内容もあるわけです。ですから、たとえば理由が不備であるとか、釈明権が不行使というよう主点、あるいは審理の不尽、こういう点が出てくるわけですが、こういう点についての御意見いかがですか。
○貞家政府委員 結果的に上告審の判決の表現などを見ますと、これは審理不尽あるいは理由粗漏、理由不備というようなことがございます。そうなりますと、いかにも原審は理由がないあるいは非常に粗漏であったという感じをお持ちになるかもしれないのでございますけれども、しかしながら、結局当事者が主張立証の責任を尽くすわけでございまして、当事者がイニシアチブをとる。それに対しまして、原審の裁判所でもちろん釈明権を行使するわけでございますが、この釈明と申しますのは、やはりそういう弁論主義をとっておりますわが民事訴訟におきましては、いわば公権的な役割りを果たすものでございまして、権限はございますけれども、これは極端にそういう役割りをあまりにも果たし過ぎてえこひいきをするということがあっては、これは公平な裁判とはいえなくなるわけでございまして、その辺はまたやはり抑制が必要でございますし、そういったある程度の公権的な役割りを果たしました上で、当事者の主張を整理し判断をして一つの見解を出したといたしましても、さらに上級審におきましては、やはりこれは裁判でございますから、何と申しましても、個々の事件についての具体的な整理というものを追求する、またそれによりまして法律の解釈も異なってくるということで、結論が逆になることはどうしても避けられないわけでございます。 そこで、そういう場合には、これは結論としてどうしても原審を破らなければならないわけでございますが、そういう場合に、その理由といたしましては、訴訟法に書いてありますどれかに当てはめる——当てはめるというのが不適当であれば、その該当するものをさがすわけでございまして、たとえば審理不尽であるとかあるいは経験則違反であるというようなものは、はなはだはっきりしない概念でございます。しかし、それは概念がはっきりしないということを責めるべきではなく、やはり上級審というものがほんとうに良心的に自分が裁判をしたとすれば、どうしてもこうでなければならないということになった、その一種のテクニックといたしましてそういった表現を用いられるということがあり得るわけでございます。私ども判例集などを読んでみましても、これは非常にきついことばで審理不尽、理由不備ということを書いてございますけれども、これはやはり非常にきわどい問題でございまして、やはり法律解釈の相対性ということからこういう違いが出てくる。それを破棄、原判決の結論をくつがえすためにそういう表現を用いているということが多いわけでございまして、その一事をもって直ちに原審は間違いである、客観的に採用されなかったのだからこれは過失があったのだということを断定することはできないのではないか、さように考えております。
○沖本委員 いまいろいろ申し上げているのは、お金がなくて、もっと高いところへ持っていきたい、こういうふうに考えてもなかなかできない、こういう人たちが非常に多いわけですね。ですから、そのために原審が大事であるということになるわけです。そういう点から、その点はもう十分裁判所のほうで理解していただかなければならないわけですし、そういうふうに隠れた人が非常に多い。こういう問題はやはりよく考えていただかなければならない問題ではないのでしょうか。そういう点につきましてしばしば長官からもいろいろ通達が出されますけれども、裁判は適正、迅速にやることが裁判の責任であるということになっておるわけですけれども、なかなか結審が出ない。どんどん長引いていく、こういうことが現実にあるわけです。そういうふうになっていく場合はやはり原審の裁判所の審理不尽ということになっていくのではないでしょうか。審理の内容そのものよりも、そういうふうに長引いた場合に結局お金の面で困っていかなければならない、解決ができない、こういうふうな過程に至っていく。それは事実の問題ですけれども、こう雇った場合はやはり早くしなければならないという点について裁判所のほうにも責任が出てくるのじゃないか、こういうふうに素朴に考えるわけですが、この点についてはいかがですか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、裁判所といたしましては常に訴訟の迅速な処理、適正な判断、これに努力いたしておるわけでございます。
○沖本委員 民事訴訟法の八十九条には「敗訴ノ当事者ノ負担トス」となっておりますけれども、いま言ったことにこだわるわけですが、審理不尽という原因がなければ敗訴者は負担しなくてもよいということになるわけです。原因は裁判所に出てくる、こういうことになるわけですけれども、この点は裁判所はどういうふうにお考えですか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 先ほど法務省のほうからお答えいたしましたとおり、民事訴訟というのは当事者主義のたてまえでございまして、当事者が提出した主張、証拠に基づいて裁判所が判断をする、いわば裁判所はアンパイアの立場にあるわけでございまして、結局訴訟の勝敗というものは当事者の責任に帰せられるというたてまえで、民訴法八十九条以下が敗訴の当事者の負担という原則をきめているものだと存ずる次第でございます。
○沖本委員 そうすると、最近五カ年間ぐらいで破棄とか差し戻しになった事件はどれくらいありますか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 昭和四十年以後の最高裁判所における統計が出ておりますが、大体三・五%ないし五・四%、最近五年間の統計はさようになっております。
○沖本委員 内容は一がいには言えないと思いますけれども、こういうふうに変わっていく内容でやはり裁判所にある程度責任があるのじゃないかというような内容のものはわかりませんですか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 最高裁判所は原則として法律審でございますので、法律の判断を誤ったという、判断が原審と違うという理由のもとに破棄、差し戻しされる事件が多いかと思いますが、先ほどから申し上げておりますとおりに、法律の解釈ということはこれは学説も多様に分かれる部面が少なくないのでありまして、結局法律解釈の見解の相違というところから破棄、差し戻しが行なわれているわけでございまして、原審裁判官に過失があるという結論にはならないかと存じます。
○沖本委員 ですが、先ほど申し上げたとおり、裁判の過程が迅速に行なわれない、こういうことで延びていく場合、これはやっぱりある程度考えなくちゃならないのじゃないでしょうか。私の知った範囲内でも、この前も御質問したことがありますけれども、一つの裁判が行なわれる過程で判事さんが十何人かわる、こういうのもあるわけです。こういうことになってくると、途中からみんなもとへもとへ、初めからやり直しということが何度も何度も行なわれるわけですね。そういうことは現実にあるわけですけれども、こういう点についてはどういうお考えですか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 訴訟の遅延とかあるいは上級審で破棄される場合をなるべく少なくするように、なお一そう裁判所としては努力をしたい、こう存じております。
○沖本委員 そういうおことばに変わってくると思うのですけれども、しかし、当事者にとってみればこれはたいへんな問題なんですね。利害が伴っていき、いろいろな問題がからんできているわけですから、それがその裁判官の御都合によって、裁判所の御都合によってどんどん長引いていくということになれば、当事者にとってはたいへんな問題になっていくわけです。ですから、そういう点についてはなるべく早く済ますように、こうなってくれば一方的ということになるわけですね。その点やっぱり国民のための裁判であるということをお考えになっていけば、それは何らかのお考えがもう少し加わっていくべきである、私はそう考えるわけです。それは絶対ないとは裁判所のほうも御断言にはなれないと思うのですけれども、極端准例といいますけれども、しばしばあるわけですね。新しくその判例を生まなければならないとかいろいろなことになってくると、判事さんの御都合によっていろいろ変わるという事態は現実にあります。そういう点はいかがでございますか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 裁判の遅延の原因はいろいろございまして、証人が出てこない、あるいは当事者が立証を尽くさない、いろいろな原因がありますが、裁判所側にも全く責任がないというわけではございません。その点はなお一そう自戒し、努力をしていきたい、こう存ずる次第であります。
○高橋委員長 委員長からも勧告しますが、選挙違反事件のほうばかり早くやって、ほかの国民の生活に直結するものが遅延するようなおそれがあるので、大いに勉強してやってほしいと思います。
○沖本委員 訴訟費用の金額は、控訴の場合は原審の一・五倍であり、上告の場合は原審の二倍の額になる。一審より二審、二審から三審と、こうだんだん高くなっていく。こういうふうに高くなっていく金額の取りきめというのはどういう段階できまったものなのでしょうか。
○貞家政府委員 控訴審一・五倍、上告審二倍という手数料の取り方でございますが、これは実はわが国では近代的な民事訴訟が導入されまして以来、終始そうでございます。なお、外国におきましてもこれは相当昔からそういう制度がとられているようでございます。
○沖本委員 あらまし、これは議論の行き違い行き違いになりますので、時間がたちますからこの辺できめていきたいと思いますけれども、この法律には関係はありませんけれども、刑事補償法で死刑の執行による賠償は三百万円、こうなっているのじゃないでしょうか。この点どうですか。
○貞家政府委員 刑事補償法第四条第三項でございますが、「死刑の執行による補償においては、三百万円以内で裁判所の相当と認める額の補償金を交付する。」ことになっております。「但し、本人の死亡によって生じた財産上の損失額が証明された場合には、補償金の額は、その損失額に三百万円を加算した額の範囲内とする。」ということになっておりますので、三百万円内というのは、いわば精神的損害に対するもの、慰謝料に当たるものでございます。したがいまして、物質的な損害が証明されたという場合にはそれに加算されるわけでございますが、それは遺憾ながらどうも実例がございませんので、裁判例もないわけでございます。
○沖本委員 自賠法は五百万円になっているのですがね。その点だいぶおかしいんじゃないですか。その辺が、それは実例がないにしましても、御検討にならなければいけないのじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
○貞家政府委員 確かに御指摘のとおり、自賠法には五百万円ということになっているわけでございまして、決して現在の額が十分だと考えているわけではございません。これは従来から非常に安い金額に定められておりまして、これは一つには全くの無過失責任によるものであるということ、それからそれ以外に国家賠償法による損害賠償の請求が可能であるということから来ているものだと思いますが、この点につきましては、関係事務当局におきまして合理的な額というものにすべく全般について鋭意検討中でございます。
○沖本委員 これは過去に例がない、こうおっしゃっておられるのですが、一例出たらたいへんなことになりますよ。それこそもう大問題、また新聞でがたがた、こういうようなたいへんなことになります。こういう点ずいぶん法律的な不備が現在のところいろいろな問題にいろいろにからんであるという点、お考えになっていただいて、早急に全面改正に向かっていただかなければなりませんけれども、個々の問題十分御検討いただいて、国民の納得いくような、現在の社会情勢、社会通念に合ったような内容にすみやかに変えていただきたいことを要望しまして、質問を終わります。
○高橋委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○高橋委員長 速記を始めて。 これにて三法律案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、三法律案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 まず、民事訴訟費用等に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、刑事訴訟費用等に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○高橋委員長 この際、大臣から発言を求められております。植木法務大臣。
○植木国務大臣 ただいま御採決をこうむりました三案につきましては、いずれも非常にこまかい問題、手続等の問題が主でございまして、にもかかわらず御熱心なる、また綿密なる御審査を賜わりまして、しかも総員御賛成の結論を得まして、非常にありがたく存じます。厚くお礼を申し上げます。 ————◇—————
○高橋委員長 次に、民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。小澤太郎君。
○小澤(太)委員 まず第一にお伺いしたいことは、裁判所法改正、この前の国会において審議されました、その際に、附帯決議として参議院において、法曹三者の間で十分に今後は意見の調整をする。「今後、司法制度の改正にあたっては、法曹三者(裁判所、法務省、弁護士会)の意見を一致させて実施するように努めなければならない。」というのが参議院法務委員会の附帯決議になっております。 今回、この民事訴訟法の一部改正法律案が御提案になりましたが、この提案に至るまでの間にはたしてこの三者の間の十分な意思の疎通がありましたかどうか。最近、私ども非常に憂慮いたしておりますのは、とかく裁判所と日弁連あるいは法務省、この三者の間に円満な話し合いが進んでおるという雰囲気が必ずしもないのじゃないかということを、実は憂慮いたしております。そういう関係もございまして、この法案提出に際しまして、いま申しましたような附帯決議に従ってどのような努力を払われましたか。そのことにつきまして第一に伺っておきたいと思います。 これに関しまして、日弁連のほうから私どもに要望書というのが出ております。これは御当局もごらんになったと思いますが、その中にやはり十分な協議ができていないということが書いてありますし、また「法曹三者の協議等に関する経過メモ」というのがありまして、それを見ましても、裁判所と日弁連との間には、この裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議に関して、今後十分な連絡をとっていきたいという申し出が日弁連に最高裁のほうからあり、また、それに法務省を協議に参加させるかどうかということについての意見を聴取しておったような経過が書いてあります。その話がつかないさなかに、まさに昭和四十五年の十二月二十五日ごろに、突如として法務省の民事局参事官室から、民事訴訟法等の一部を改正する法律案が提示され、また四十六年の一月二十五日に、法務省がこの法律案を法制審議会民事訴訟法部会に付議したということを初めて日弁連が知った、こういうことになっておるようでございます。おそらく実質的には、法務省と最高裁と日弁連との間にいろいろ話し合いがあったこととは思いますけれども、ひとつその間の経過を御説明いただきたいと思います。どなたからでもけっこうです。
○川島(一)政府委員 私からお答えいたします。 昨年の裁判所法の一部を改正する法律案の御審議の際に、参議院の法務委員会におきまして、司法制度の改正に関しては、法曹三者がその意見を一致させた上で法案を提出するようにつとめるべきである、こういう趣旨の御決議があったことはそのとおりでございます。この件につきましては、参議院の御決議を待つまでもなく、私どもといたしまして当然なすべきことであり、司法制度に関する問題は、法務省、裁判所、弁護士会三者の一致した意見に基づいて行なうのが何よりも必要なことであると考えておりますので、私どもいままでそのような考えで事を処理してまいりましたし、また今回の民事訴訟法等の一部を改正する法律案の国会提出につきましても、そのつもりで努力をいたしてまいったつもりでございます。 その経過を申し上げますと、この法律案を今度の国会に提出しようということがきまりましたのが昨年の秋でございますが、要綱を作成いたしまして、昨年の十二月、大体要綱がきまりましたので、法務省の民事局の参事官が日本弁護士連合会に参りまして、事務総長と次長にお目にかかりまして、要綱案についての御説明をいたしたわけでございます。これは十二月十六日ごろだというふうに記憶しております。それから年が明けまして、今年の一月九日であったと思いますが、日本弁護士連合会の中に置かれております委員会、司法制度部会というのがございます。そこでこの法案を審議するという御連絡がありましたので、民事局の係官二名がこの委員会に出席いたしまして、法案の内容を御説明申し上げるとともに、質疑応答などを行なったわけでございます。午前中の部会にはそういうことで出席いたしましたが、午後は全体会議が開かれるというので、こちらからは出席を差し控えたわけでありますが、あとで伺うところによりますと、この全体会議においても、内容についても特に異論はなく、弁護士会の実質的な了承が得られたと考えてよいだろうというような御連絡を受けたわけでございます。今度の国会は御案内のとおり非常に会期が短いというので、私ども法案の作成を非常に急いでおりまして、その後、特にこの関係で弁護士会のほうの御審議も開かれなかったために、大体了承は得られるであろうと期待しておったわけでございます。そうして一月の二十六日に、これは直接弁護士会との関係ではございませんけれども、法務省の内部に置かれております法制審議会の民事訴訟部会と強制執行部会の合同会議を開催いたしまして、ここでやはり今回の民事訴訟法の改正につきまして御説明をいたし、その合同部会の了承も得ております。この部会にも弁護士会の方が何人か参加しておられるわけでございます。そうしてこの法案の閣議提出が二月二十日というふうに予定されておりましたので、法務省といたしましては、大体これで連絡は終わったというふうに考えまして、そのままこの法案を閣議決定いたしたわけでございます。 先ほどおことばにありました弁護士会の要望書なるものがその後つくられまして、そして国会議員の先生方のほうに参っているということを伺いまして、実は、はなはだ驚いたような結果でございまして、これを聞きました後におきましても、私どもといたしましては、日本弁護士連合会に参りまして、いままでの経過などから、何とかこういう形でなくおさめていただきたいということを申しておるような次第でございまして、法務省といたしましては、以上申し上げたような経過によって、弁護士会の同意をいただける努力は十分にいたしてきたつもりでございます。 それから、最後にお話のございました三者協議会の問題でございます。これは当初日本弁護士連合会と最高裁判所の間でそうした協議会をつくろうというお話が進んでおったようでございますが、私どものほうにそのことが伝わりましたのは、一月の——正確にはちょっと日時は覚えてはおりませんが、一月の下旬であったと思います。そこで私は、できるものならばそういった協議会を開いていただいて、この案もこれにかけたいと考えておったわけでございますが、法務省といたしましては、三者協議会を設置するについては、もう少しいろいろと構成その他についてお打ち合わせをしておいたほうがいい、いま直ちに早急に、将来どういう形で運営されるかということをはっきりさせないままでつくってしまうのは、また問題になるかもしれないから、このことは一応今回の民訴の問題とは切り離して、ゆっくり三者の間で御相談をしようということになりましたので、この法案提出の際には、この三者協議会が開かれるに至らなかった、こういう状態であります。
○小澤(太)委員 この提出法案に限っては三者協議会という形ではないけれども、実質的にはいま申されたように、昭和四十六年の一月九日に日弁連の司法制度部会に法務省の担当官が出て改正の趣旨を説明して、全然反対がなかった。それで了承を得たものと思って、今度は民事訴訟法を法制審議会にかけた、こういうことでございますね。 そこで、これは形式的な形の上では話し合いがいわゆる三者協議会という形でできなかったにしろ、現実には意思の疎通をはかって、その判断に基づいて提出したということで一応私も了承できるのでありますが、さて根本的に、本法案ばかりでなしに、今後立法について三者協議会という形でいくべきものであるかどうか。これもまた日弁連からいただいた要望書に書いてあるのでありますけれども、裁判所と弁護士会との連絡協議会はずっと開かれておるようでありますが、これはそうですか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 裁判所と弁護士会とは昨年の秋以来連絡協議の場を持ちまして、この簡易裁判所の専属管轄に属する事件についての請求異議事件、これが三十万円をこえる場合には地裁に移すという附帯決議の内容を実現したいということは伝えてございます。
○小澤(太)委員 私がお聞きしたいのは、そういう具体的な案件についてはもちろんでございますが、一つの協議機関としての連絡協議会というものをお持ちになっておられるのかどうかということと、これに法務省を参加させるについて日弁連の意見を聴取しておられるようでありますが、日弁連からどのような回答があったのか。それから昭和四十六年一月二十九日には法務省から、この附帯決議のみを審議する三者協議には不参加を表明されたと書いてありますけれども、この意味は日弁連から聞かなければわからないけれども、今回の法案の審議に関するのか、今後いわゆる三者協議会というものをつくることは不賛成であるのか、こういうことについてのはっきりしたことがわからないものですから、一応裁判所と法務省からお答えいただきたいと思います。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 裁判所と弁護士会との連絡協議会は現在も引き続いて開かれておりまして、これに法務省が参加するように裁判所も協力している段階でございます。
○川島(一)政府委員 法務省といたしましても、今後の問題として裁判所、弁護士会、法務省三者の協議会を持つことについてはもちろん異論はございません。その方向でいま日弁連のほうにもお話をしているところでございます。
○小澤(太)委員 法曹三者がよく話し合い、意思を疎通させながら、日本の司法行政に遺憾なきを期する、裁判の公正あるいは司法行政の公正をはかる、これは当然のことでございますし、またそのことが願わしいのでありますが、とかくいろいろな風評を耳にいたしまして、必ずしもしっくりいっていない。いっていないのは当然のことでございまして、それぞれの立場があり、それぞれの職分があるわけでありますから、その職分とその立場に立ってこそ、それを堅持しながら三者の間で話し合いをして、必ずしも意見一致はできないものもありましょうけれども、少なくとも了解を得る、理解を得るという努力をしながら運営されることが望ましい。現在新聞等にもいろいろ出ております。そういうことから特に痛感いたしますので、この際法曹三者、特に裁判所、法務省の両民事局長からただいま御答弁がありましたように、今後はひとつ、三者協議会という形を持つか持たぬかは別でございますけれども、その点に遺憾ないようにお願いを申し上げます。 次に、法案の内容に入りたいと思います。第一点は、簡易裁判所で成立した和解にかかる請求の額が三十万円をこえる場合にはその請求異議の訴え等の管轄裁判所を地方裁判所とするというのがこの法案の改正の趣旨でございますが、これはどういうことでございますか、御説明をいただきたいと思います。
○川島(一)政府委員 お答えいたします。 御承知のとおり、簡易裁判所は軽微な刑事事件も取り扱いますが、比較的小額な民事事件を簡易な手続で迅速に処理するという目的のために設けられた裁判所でございます。したがいまして、簡易裁判所で取り扱う民事訴訟といたしましては、訴訟の目的物の価額が三十万円以下の事件を取り扱うことが原則となっております。 ところで、ただいまお話に出ました、簡易裁判所で成立した和解に関する請求異議などの執行関係の訴訟につきましては、民事訴訟法に特別な規定がございまして、現在の制度のもとでは、訴訟物の価額にかかわらずすべて簡易裁判所にその訴えを提起しなければならない、こういうことになっております。したがって、場合によりますと三十万円以上の、たとえば百万円、二百万円あるいは千万円といった事件でも簡易裁判所にこういった訴訟が係属する場合があり得るということになるわけでございます。しかしながら、このようなことは、最初に申し上げました簡易裁判所に比較的小額な事件だけを取り扱わせる、そして簡易迅速に結論を得よう、こういう簡易裁判所の設立の趣旨にかんがみますと、必ずしも適当でないと思われますので、そこでこの場合におきましても一般の訴訟と同じように三十万円で区切りまして、三十万円以上のものは簡易裁判所ではなく地方裁判所の管轄にしようというのが今度の法律案の趣旨でございます。 なお、この点につきましては、以前から問題がございまして、昨年当法務委員会におかれまして裁判所法の一部を改正する法律案の審議の際に附帯決議として、この点の検討をお求めになったことがあるわけでありまして、法務省といたしましては、そのような事情も考えまして、裁判所と協議いたしまして、このような改正をいたすことにした次第でございます。
○小澤(太)委員 この改正法によりまして、地方裁判所の専属管轄に移る三十万円以上の件数はどの程度のものになりますでしょうか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 従来の統計によりますと、年間百五十件程度のものになります。
○小澤(太)委員 地方裁判所に移すのが百五十件、その程度ですか。これは前の衆議院の附帯決議の第五項にありますとおりを法の改正によって実現するということでございますので、その点は了承できるのでございますが、次にやはり附帯決議の関係でございますが、衆議院の附帯決議の第三項に、「簡易裁判所の民事関係事物管轄の改正にかんがみ、裁判所は訴訟当事者の意向を尊重し、不動産に関する訴訟その他複雑な事件の取扱いについては、民事訴訟法第三十条第二項、第三十一条の二の活用」つまり移送の活用によりまして、「簡易裁判所の管轄に属する訴訟を地方裁判所において処理しうるよう努めるとともに政府及び裁判所はこれに関する法改正についても検討すること。」また参議院におきましても同様の附帯決議をしております。 この点につきましては、法務省においても検討を加えておられると思いますが、今回の法改正にはそのことが出ておりません。これはどのような扱いをされるつもりでございますか、お聞きいたしたいと思います。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 附帯決議の趣旨は、まず運用をしっかりやれ、それで足りなければ立法も考えろという趣旨と存じまして、まず裁判所としては自庁処理ないしは裁量移送の制度を大いに活用しようというたてまえに立ちまして、その旨の通達も出し、中央会同を開き、あるいは本年に入りましてはブロックの簡易裁判所判事会同を開きまして、もし簡易裁判所の事件であっても地方裁判所で受理してもらいたいという要請があった場合には、なるべくこれを受理しろというたてまえをとっております。また、簡易裁判所の管轄に属する事件でございましても、複雑困難なものは地方裁判所に移送をしようということを、会同等において徹底しておるわけでございます。 裁判所法が改正せられて実施せられたのは、昨年七月一日からでございますが、七月一日以後昨年末までの間に要請受理によりまして地方裁判所が受け付けた事件が、一カ月平均百七十五件、裁量移送によって簡裁から地裁に管轄が動かされた事件が百二十四件、合計三百件程度のものが、本来簡裁の管轄のものを地裁で処理しているという実情でございます。なおこの運用の状況をさらに見きわめた上で、立法の要否ということを検討していきたいと存じている次第であります。
○小澤(太)委員 それでは、ただいまのところ立法の必要は一応なし、その運用でもって十分に附帯決議の趣旨を達成していきたい、こういうお考えでございますね。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。
○小澤(太)委員 それでは、今回の改正案にあります決定書、命令書、調書等の署名押印を記名押印にかえるということになるのでありますが、これを改正する理由について御説明をいただきたいと思います。
○川島(一)政府委員 御承知のとおり、民事裁判関係の文書は、裁判書にいたしましても、また調書にいたしましても、あるいは当事者が提出する訴状、準備書面にいたしましても、すべてその作成者が署名捺印するということが法律で定められております。最近、裁判所の事件がかなり増加しておりますので、それに伴いまして、このようにして作成される書類も相当の数に増加いたしております。 ところで、民事裁判関係以外の文書の作成方法というものを見ますと、必ずしも常に署名捺印が要求されておるとは限らない。むしろ記名押印でまかなっておるものが非常に多いわけであります。たとえば商取引の分野におきましては、手形、小切手の場合はもちろんすべて記名押印でよいことにされております。それからまた官庁関係の文書におきましても、これは行政官庁のみならず特許審判のようなものも含めまして、非常に広い範囲において記名捺印制度が採用されております。それからまた同じ裁判の分野におきましても、刑事裁判の関係では、昭和二十六年に規則の改正がございまして、それによって判決書以外の文書につきましては、ほとんどすべてが記名捺印でよいということになっておるわけでございます。 最近いろいろ文書の型なども変わってまいりましたし、またいろいろ文書の整理の方式その他も変わってまいりました。それから民事裁判の手続の面でもいろいろ改良が行なわれておりますが、ひとりこの署名捺印の点だけが、明治時代の昔から民事裁判の分野ではずっと取り残されておるわけでございます。この点を何とかしたいというのが裁判所の現場の要望であるというふうに聞いております。裁判所で特に忙しいところでありますと、一人の裁判官が一日のうちに何十となく署名をしなくちゃならない、こういうところもあるようでございます。そこで民事蔵判につきましても、判決書を別といたしまして、それ以外の文書については、原則として記名捺印でもよいということにしていただけると非常に裁判事務の近代化がはかれるのではないかと考えまして、このような改正をお願いしたわけでございます。
○小澤(太)委員 記名捺印と署名捺印はどういうふうに違うのですか。
○川島(一)政府委員 署名捺印というのはその作成者がみずから自分で氏名を記載いたしまして、そして判を押すことでありますが、記名捺印の場合には、名前を書くほうは必ずしも本人が記載しなくてもよい、あるいはタイプに刷ったものに判を押しても記名捺印になりますし、またゴム印を使って名前の部分を表示して、それに判を押す、これでもよいわけであります。ただいずれにいたしましても、捺印の関係は、これは自分で判を押すことになります。記名の部分をみずから記載するか、あるいは他人に記載してもらってもよいというだけの違いであります。
○小澤(太)委員 署名ならば必ず自分が善かなければならぬ。記名の場合は印刷をしてあってもよろしい。捺印ですが、これは必ず本人が押さなければならないものだと思うのですが、間々書記官に預けっぱなしで押さしておるという例もあったように聞いております。そういうようなことは厳格に、捺印はみずから押すんだということははっきりさしてあるわけですか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 そもそも裁判書というものは、裁判官がみずからその内容を決定した上で慎重に作成すべきものであることは言うまでもないことでございまして、今回の改正によってその点は全く変わらないのでございます。必ず裁判官がその裁判書に目を通して、内容を確認した上でみずから捺印をするということは、従来といささかも変わるところはありません。ただ、従来は署名した上で印を押していた、それが記名に印を押すという違いがあるだけでございまして、裁判書の内容の決定や判を押すということを他人に代行させるようなことは決してあり得ないわけでございます。これは裁判官に課せられた義務でございますし、また、裁判実務において確立した取り扱いでもございまして、これは従来と少しも変わりはございません。
○小澤(太)委員 とかく書記官判決とかいわれておりまして、裁判官がこういう決定書、命令書等は書記官にまかせきりであるというようなことをとかくいわれることがあるのですが、そういうおそれは絶対にない、しかも、決定書、命令書等は、裁判官がみずから原案を書いて、浄書等はあるいはほかの者にやらせるかもしれませんけれども、確認した上でみずから判を押す、こういうことが間違いなく行なわれるという保証があるわけでございますね。——それではよろしゅうございます。 次に、先ほど法務省の民事局長から御答弁がありました刑事裁判関係では、昭和二十六年の刑事訴訟規則の改正で、署名押印を記名押印にするととができるというごとにして、かなり簡素能率化が行なわれておるということでございますが、今回は、憲法七十七条の最高裁判所が定める規則でやらずに法律でやるということでありますから、刑事の場合とタイプが違うわけでありますが、これはどういう事情でありますか、伺いたいと思います。
○川島(一)政府委員 刑事の場合におきましては、裁判書あるいは調書などの作成方法と申しますか、いまも申しました署名捺印するかどうかといったような点は、法律に規定がございませんので規則で定められておるわけでございます。したがって、規則の改正によってこれを行なうことができる。ところが、民事訴訟のほうではすべて法律に記載してございます。したがって、法律を改正しなければ法律と抵触する規則を制定することはできませんので、どうしても法律の改正が必要になる、こういうことでございます。 なお、補足的に申し上げますと、実は昭和二十六年に刑事関係の改正がございまして、その後民事につきましても、同じように改正をしたほうがよかろうという意見が出てまいりました。そこで、昭和二十九年に、実は民事訴訟法の改正法案を当時提出いたしております。ところが、その際には、今回の法案とは異なりまして、署名捺印をするかどうかといったような点についてはすべて民事訴訟法の中から落としてしまって、そうしてそれは別途最高裁判所の規則できめる、こういう考えのもとに改正案をつくったわけでございます。ところが、その法案を審議された委員会におきましては、現在法律できまっている事項をわざわざ落としてしまって、そうして規則に譲るということは問題があるという御意見が多数でございまして、その結果その点の改正は見合わせるということになったのでございます。そういう経過がございます。
○小澤(太)委員 そういう経過で、昭和二十九年の提案はまとめて規則にゆだねるという改正案だったのですが、それが否決されたという形になっておりますので、今回は規則によることなしに法律でもってこの改正をしようという趣旨だと了解いたします。 そこでお尋ねしたいのは、せっかくこのような法改正をいたしまして記名押印にかえることができる、これはできるですから、原則はやはり署名捺印だと思うのです。原則と例外という形に考えていいかと思いますが、実際上の能率の向上というような効果からすれば例外を多く認めたほうが法改正の趣旨に合うと思います。が、しかし一面、裁判書につきましても相当重要なものもありますし、重要でないものもある、何もかも簡素能率化ということで記名押印にかえてしまうということになると、これまた趣旨に反する、裁判の信用と申しますか、そういうものにもかかわってまいります。したがいまして、その間をどのように扱い、仕分けていくかという問題があろうかと私は思います。 まず、それより先に、かりにこの法案が通ったとしまして、どの程度の件数が記名押印の対象になるものか、ちょっとその数字をお知らせいただきたいと思います。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 過去の統計によりますと、年間調書の件数が百七十万件、決定、命令の件数が約百万件でございます。
○小澤(太)委員 それは全部を記名押印の対象にしたという数字ですか。その中の重要なものは除いて、いわゆる軽微なものとして考えて百七十万、百万件ということになるわけでございますか。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 調書百七十万件と申し上げましたが、調書については本改正法によりまして裁判官の押印のみになるわけでございます。その件数が百七十万件ということでございます。 それから、決定、命令が百万件と申し上げましたのは、全決定、命令の事件数全部でございます。
○小澤(太)委員 時間がございませんので、あと、はしょって質問いたしたいと思いますが、先ほど言いかけました重要なものと軽微なもの、つまりあくまで署名押印でやるべきものとそうでないもの、記名でやるものという区別はどういうふうにつけるかという問題があろうかと思います。たとえば仮差し押え、仮処分決定あるいは強制執行の停止、取り消しまたは執行の決定等の事項は相当重いものがあると思います。そのきめ方をどういうようにするのか。あるいは規則によってきめるのか、あるいはまた国民の最も良識ある人たちが裁判官だと思いますから、各裁判官の判断によってきめるのか。それにいたしましても、何らかの基準というものが示されておりませんと、あるいは裁判の効力というようなことにも関係してくるのじゃないかと思いますので、その点をどのように扱われるか、この点をお答えいただきたい。 それから先ほど触れましたように、記名押印することによって裁判が簡単に扱われる、あるいは何らかの弊害が起こるおそれがあるのじゃないかというような疑念もございます。 この二点をひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 申すまでもなく、裁判において大事なことは、慎重な審理とその結果下される判断内容にあるのでございまして、裁判書というものはその結果を表示するものにほかならないのであります。裁判官が裁判書に署名するか記名押印するかで、事件の審理が慎重になったりあるいは軽率になったりするわけのものではございません。署名するか記名するかということは単なる方式の問題にほかならないのでございまして、判断内容とは何らの関係がないわけでございます。それゆえ、重要な決定については必ず署名しなければならないという根拠は、われわれはこれを見出すことができないわけでございます。しかし、裁判官の下します裁判書に裁判官の署名がほしいということは、争っている当事者として望むのは無理からぬことかと存じますので、これらの当事者の心情ないし国民感情を考慮しまして、運用の面で適切な処置をとりたい、こう考えている次第でございます。
○小澤(太)委員 運用の面で適切な処置をとられると言われますが、それは各裁判官個人の判断でおやりになりますか、あるいは裁判所として裁判官会同等の機会にお互いに議論をし合って、この程度のものは署名にしましょうというような一つの基準というものを自主的におきめになるのかどうか。こういう点が、何か個人だけにゆだねるということもどうかと思うのですが、どういうようなお考えか、聞きたいと思います。
○瀬戸最高裁判所長官代理者 この点は、裁判官会同等で大いに裁判官と話し合いたい、こう存じている次第でございます。
○小澤(太)委員 まだいろいろ伺いたいことがありますが、時間の関係でこれで終わりたいと思いますが、冒頭にお願い申し上げましたように、どうぞ法曹三者の間で十分な意思疎通をはかることを今後とも積極的に進めていただきたいと思います。もちろん和して同ぜずということがございます。何もかも一致した意見でなくてはならぬとは思いませんが、少なくともお互いに理解し、認識し合うということはひとつはかっていただきたい、このようなことを特にお願い申し上げまして、質問を終わります。
○植木国務大臣 小澤委員の質問によりまして、法曹三者一体の問題の運用のしかた等についての従来の弁護士会当局の御不満、御陳情等のありましたことは、私いま初めて知ったので、申しわけございませんが、いろいろ仰せになりました点、非常に参考になりますので、今後は特に留意いたしまして、三者一体の実をあげるように努力をしたいと思います。また、御発言の中にもございましたが、三者は一体でなければならないけれども、おのずからその地位、職分が違いますから、その間においてこれを運用するにあたりましては、よほどお互いに紳士的な態度をもって、また寛容の精神で話し合いをしていくことが必要だと考えます。 御趣旨まことにごもっともでございますから、極力そうした方針によって今後臨みたいと考えます。 簡単にお答えいたしておきます。
○高橋委員長 次回は来たる十九日午前十時理事会、理事会散会後直ちに委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十六分散会