文教委員会 第14号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1971/04/23
会議録
○河野(洋)委員長代理 これより会議を開きます。 委員長が病気のため委員会に出席できませんので、委員長の指名により、当分の間私が委員長の職務を行ないます。 国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。塩崎潤君。
○塩崎委員 教員の給与改善が最良の教育改革といわれております今日、この教特法案といわれる法律案が提出されておりますことはほんとうに意義が深いと思うのでございます。しかし、これに対しましては、期待が大きい一方、同時にいろいろと不安があるといわれ、さらにまた問題点が指摘されておるようでございます。これまで当委員会ではすでに谷川さらにまた山中両委員がいろいろと御質問されまして、問題点がだいぶ明らかになった。特に佐藤総裁、自信満々ですという名答弁、あるいは自信のほどを見せておられましたので私どもも安心したわけでございますが、なお今後の給与のあり方、あるいは今後のこの法律の行くえ、これらの観点から少し御質問を申し上げたいのでございます。 まず第一は、いろいろと世上いわれております、この法案によって教員は無定量の、あるいは無制限の勤務が強要されるのではないかという点でございます。この法案の最大の問題点はこれに尽きようかと思うわけでございますが、まず守部大臣に、そういった指摘を受ける点はどこにあるのか、この法案のどこにあるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
○宮地政府委員 お尋ねでございますが、私どものほうといたしましては、なぜ無定量という御質問、御懸念が出るのか実はわからない、率直に申しますとそういうことでございます。と申しますのは、超過勤務につきましては、国家公務員は国家公務員法の規定に基づきまして人事院規定で相当の制限がなされております。それはまず第一に、公務で臨時にまたは緊急に必要がある場合ということで、臨時、緊急という大きな制約がございます。さらに、それを命じます場合には、職員の健康と福祉ということに十分注意しなければいけないという規定がございます。でございますので、今日でも一般国家公務員には相当強い規制があるわけですが、その上に今回の法案ではさらにしぼりをかけまして、いま申しました範囲内で任命権者が自由に命令できる、それを人事院に文部大臣が協議いたしましてそこではっきりきめる。これははっきり考えておりませんが、告示で世に公にしたいと思いますが、そういうことでこれ以上の制限はちょっとないのではないか。 さらに、一般にそういうふうな規定がございますが、運用するものといたしましては、よく今後はどんどん命令を出すのであろうといわれますが、従来から教員には超過勤務を命じてはいけないということまで言っておりまして、したがいまして、今後この法案が通りましてもできる限り超過勤務は命じないということが、運用の場合にも命令権者に当然の責務として課されることでございますので、私ども、相当な制限、規制、歯どめがございまして、無定量という御懸念はどこから出るのであろうかといったような感じを持つわけでございます。
○塩崎委員 私も、その考え方は、いま初中局長のおっしゃいましたように、杞憂と申しますかそういう懸念はないと思います。しかし、おそらく言われんとするところは——本俸の二五%という超過勤務手当の支払いということが、おそらくいままで歯どめになっておったに違いないという考え方が一つあると思うのです。今度はそれが本俸に織り込まれた。したがって、何時間残ろうとも二五%という、給与の支払い者から見れば大きな負担がなくなってきたから、無制限の、あるいは無定量の勤務を負わされるのではないかという心配だと思うのです。いま初中局長がおっしゃいましたのは、七条にいろいろと制限がある、それからまた公務員法にもそういった規定があると言われておるわけでございますが、はたして七条でその法的な保障が得られておるかどうか、これに尽きようかと思うのでございます。 そこで、私は七条の規定を見てみますが、どうもまだまだ心配な点が指摘されるのは、もう少し皆さん方が、この国会でもいいから、内容あるいはその基準をどういうふうにきめていくか、人事院との協議の内容はどんなものかという点を少し明らかにしていただければ、歯どめといいますか一つのチェック材料になろうかと思うのです。したがって、七条の「文部大臣が人事院と協議して定める場合」の基準、これをどういうふうに考えておられるか、文部省から明らかにしていただきたいと思います。
○宮地政府委員 実はこれは文部大臣が人事院と協議して定めますので、文部省でどのように考えましても人事院と協議が整いませんと、先ほど申しました文部大臣告示で出すわけにもいきません。したがいまして、いまの段階ではっきり申し上げられませんが、私どもの一応の心がまえを申しますと、一つには、量で歯どめということから、これを量的に制限せよという声が確かにございます。しかしながら、量で制限いたしますと、量で週二時間と制限いたしますれば、二時間はやらしてもいいではないかといったようなことが、逆の考えからすぐはね返ってまいります。私どもは、できる限り超過勤務は命じたくない、先生方には超過勤務を命じてまでさせたくないという前提がございますので、したがいまして、量といったようなことではなくて、やはりおのずから内容で示さざるを得ないと思います。その場合、学校の先生方の仕事で、この委員会等でも、学校の先生は勤務の中で授業が一番の本体であるというふうなことをよく言われますが、超過勤務の場合に、一般の社会科とかあるいは算数、国語といったような教科科目、さらに道徳、こういった一番先生方が授業としてやるのが本体だといわれるそういうことは、私どもは、超過勤務では命ずべきでなかろうという考えを持っております。したがいまして、先生方の昼間の勤務の大きな本体である授業、こういうものではなくてその他の——これは訴訟にもなっておりますが、学校の運営のために先生方が会議をなさいます職員会議であるとかあるいはクラブ活動であるとかいったような本来の教科科目以外のもの、それをどの程度きめていくか、もう少し具体的に考え、人事院とも協議もしたい。 さらに、私どもが今日はっきりした段階を申し上げにくいし、また申し上げるべきでもないと思いますのは、これは労基審の建議にもございますが、関係者の意向等が反映されるように、実情について十分配慮すべきであるというふうなお考えがございます。したがいまして、法案の審議途中に、あたかも法案が通っていまにもきめるといったような段階のことを申し上げるということは適切でなかろう、まだ今後も関係者の意向も十分に聞いていく必要があろうというふうに考えておりますので、はっきりしたお答えができかねますが、以上——。
○塩崎委員 どうもその点が私も心配なんです。特にこの「人事院と協議して定める場合」、これが同時に地方の条例において超過勤務を命ずる場合の基準になるだけに、私はあいまいでほうっておいてはたいへんだと思うのですが、いま言われたような点でなかなか慎重に検討する要素はあるにしても、おそらく皆さま方の頭にはいろいろのケースが考えられておるに違いないと思うのです。たとえば非常災害の場合にどうするか、このようなことが一つの基準になろうかと思うのですが、このような例示的なことをもう少し体系的に言って、こういう場合に限られるのだ、そしてまた、本質的には、根本的には超過勤務は望ましくないのだというふうな考え方があるのだということを明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○宮地政府委員 どうも先ほどお答えしましたようなことで、はっきり申し上げるのは、やはり法の趣旨といたしましては、教員の実態も十分考え、また関係者の意向も聞きということでございますので、いま申し上げるのもいかがかと思いますが、たとえば——しいてたとえばということでございますので、先ほど申しましたように、教員にはできる限り超過勤務を命ずべきでないという基本的な考えを持っております。したがいまして、臨時、緊急必要やむを得ないようなときに限るべきであるという前提を持っております。しかし、これは個々のものをあげていきますと、その場その場に即しませんとそれが必要かつ臨時、緊急なものかどうか、具体的に例をあげましても臨時、緊急に必要な場合と必ずしもそうでないものもございますが、そういう前提で非常に制限いたしますが、たとえば先ほど申しましたような教科科目とか道徳とか、こういったようなものは除外したい。むしろ除外するほうとしてはそういうことで、したがいまして、大きなくくりとしては、いわゆる昼間授業としてやっておられるものは除かれる。それ以外に残るものということになりますが、いまこれから申し上げますものは、そういう意味で固定したものでもない一つの例示というふうにお受け取りいただくとするならば、子供たちが授業の中でも、たとえば農業高等学校あるいは工業高等学校等で生徒の実習というのがございます。この実験、実習、こういったものは授業の一部ではございますが、五時以後五時半とか六時ごろまで学校農場で生徒が実習をやるといったような場合に、全然だれも監督の教師がいないということは教師の本務にもそむきますので、そういった実習の場合、それから修学旅行、遠足、運動会、いろいろございますが、学校の行事で必要やむを得ない場合、こういうもの、さらに学校が具体的に計画、実施します行事以外のクラブ活動のようなもの、さらに職員会議とか、そういうものと多少例が違いますが、もちろん非常災害のような場合には、生徒の人命に関することでもございますし、そういった非常災害のときは当然超勤命令の対象にしたい。しかしながら、これはすでに山中委員等からも御質問がございましたが、こういったようなものをやるときはすべて命令をしていくのか、そうではなくて、期待される教師像と言ってはちょっとぐあい悪うございますが、そんなものは命令を待つまでもなく当然教師がやるべきことなんだということで自発的におやりになられれば、命令はないということもあろうと思います。したがいまして、こういうものをきめましても、多くの先生が当然それは自分らでやるべきだという場合には命令は発せられない、しかし、多くの人は当然やるべきだというお考えですが、ある一人、二人の先生が、自分たちはもう勤務時間が過ぎたんだから帰るんだというようなことをおっしゃるときは、何々先生居残ってくださいという命令が出されるというふうに考えます。
○塩崎委員 なかなかむずかしい問題ですけれども、ひとつ元法政局長官であった、しかもいま人事院総裁でいらっしゃる佐藤総裁にお伺いしたいわけでございます。確かに、いま初中局長のおっしゃるように民主的な、しかも教職員の守り本尊である文部省が中立機関である人事院と相談してきめられるんだから、大体まかしておいてだいじょうぶじゃないかというようなことかもしれないのです。しかし、労働基準法なんかを見ますと、時間外労働をさす場合には、たとえば非常災害の場合といった一つの限定が法律に書いてある。それからまた、経営上の必要の場合には労働組合と協定を結んでやるというようなことが法律に書いてある。ところが、今度の教特法の第七条では、文部省と人事院にまかされるといっても大体間違いないかと思うのです。私は、もの心づいたときに、佐藤法制局長官にいろいろと法律の書き方を習ったわけでございます。できる限り戦後は——戦前はそうでもなかったような思想でしたが、戦後になるととたんに長官はできる限り法律に書けということで、税法などは、全くむずかしくてわけがわからなくなって、動きがつかなくなっている面がある。私は疑問だと思うのです。こういったバランスですね。ひとつ皆さんに安心していただくには、法律がやはりいいと思うのです。しかし、法律でなく、わしらにまかせておけというようなことで足りるのか。いま無制限、無定量の勤務が問題なだけに、その歯どめとして人事院総裁の去就が非常に大事だと思うのですが、何か法制局長官としていらっしゃった佐藤総裁、いかがでございましょうか。
○佐藤(達)政府委員 昔相当恨みを買ったやに見受けられますけれども、いまのお尋ねは、この間もちょっと片りんに触れましたけれども、いわゆる歯どめの問題としてこれを把握いたしました場合に、私どもがどう考えているかということを一言申し上げておきたいと思うのですが、先ほどちょっと、いままでは超過勤務をさせれば手当を支給するということになっておったからそれが歯どめの役目をしたのじゃないかというおことばがありましたが、これは私はまことに適切な指摘だと思う。ただその点について、私どもは、この間もちょっと触れましたように、ではお金を出したら幾ら働かせてもいいのか、そういうものじゃないだろう。お金は決して、歯どめになるという意味では、その筋論として話がどうもぴったり合わないんじゃないか。現に看護婦さんの夜勤関係では、手当のほうでは相当手厚いことをやっておりますけれども、なお労働が過重であるというような不満をわれわれのほうに訴えてきておられるという面がありますから、お金は、私は大きな歯どめにはなり得ないというふうに考えます。したがいまして、国立学校の先生の場合について、これは適例としてあげることができるわけであります。御承知のように、国立学校の——これはわれわれは国立学校だけしか所管しておりませんから、国立学校のことについては責任をもって申し上げられるわけであります。御承知のように、国立学校の先生方にも、現在超過勤務手当の予算措置というものはほとんどされておらない、論文審査と入学試験の手当くらいしかない、普通の時間外勤務については何ら予算上の措置もなく、当然超過勤務手当も支給されていないのであります。しかも片や労働基準法は、もう二十何年前にはずされておる。したがって、六三協定を結ばなければ超過勤務も命じ得ないという制度的なものも国立学校の先生には全然ないという実情で、もう二十何年来来ているわけであります。そして現在われわれとして、国立学校の先生につきまして実情を人事院として調べました結果では、文部省のお調べでもそうでございます、相当時間外に仕事をしていらっしゃるということは厳然たる事実でございます。しかしながら、この二十何年ですか、時間外勤務に対して超過勤務の手当をよこせというような声は一度も出たことがない。国立学校の先生の場合については——御承知のように訴訟がたくさん出ております。そしてある場面においては手当を支給すべしということになっておりますが、国立学校の先生の場合においては、全然そういう訴訟自体も提出されておらない。 それからもう一つ、この関係で一番有力な歯どめとしては、これも前回申し上げましたけれども、公務員法上の行政措置要求の道があるわけであります。要するに過重な勤務をしいられたという場合には人事院に本人から提訴してくる、人事院はその実情を、こっちから職員を派遣し、ちょうど裁判審査とほとんど同じような丁重なる手続を経て、はたして過酷な労働強制の事実があったかどうかということを調べて、あったということになれば、その命令者あるいは所轄庁に対して、かようなことは今後厳重にやめてもらいたいということを勧告する権限を持っておるわけであります。これは、たとえば職業安定所とかいろいろな場面では、そういう措置要求の申し立てが過去においてたくさん人事院に来ております。われわれはつぶさにいま申し上げましたようなことで審査をして、これは本人の言うほうが無理だ、命令は決して無理だとは思わないという場面もありますし、明らかにこれは命令が無理だ、過重な勤務をしいられているという場合には、先ほど申しましたように、勧告あるいはその中の判定書の中でそういうことを明記いたしまして所轄庁のほうに申し入れる、その結果、たとえば臨時雇いを増員してその勤務を軽減したというような効果も現におさめておるわけであります。そういう保障の道があるわけであります。今後御心配ならばそのほうでどんどんやっていただきたい。 地方の分については、人事委員会というものがございます。同じような権限を持っております。その保障が一番大きな保障だと私は思いますけれども、国立学校の先生については、いま申しましたような措置要求すらも今日までは出ていないわけであります。きわめて平穏に現実進行してきておるということでありますから、よけいなことを言いますけれども、今度実質六%の手当が出ることは、もう国立学校の先生方にとってはたいへんなお喜びなのであります。という現実があるということを踏まえまして、しかし、いまお話がありましたように、やはり不安を抱けば不安を抱かれる向きもあるわけであります。そういう不安を、これは私どもとしては御心配ないことと思いますけれども、しかし私ども、先生方の代表者にたびたびお会いして、やはりそういう不安をお述べになりますからして、これはやはりわれわれとしてもその辺を考慮しなければいかぬだろうという措置で、ここに先ほど御指摘のような超過勤務を命ずる場面というものを限定しようじゃないかということで、本来ならば文部大臣にお預けしっぱなしでいいところでございましょうけれども、この間ちょっと文部大臣にいやみを言われましたけれども、まあこれは人事院が乗り出してじっと監視していかねばいくまいということで、人事院と協議しておきめをいただくというようにたてまえがなっております。 そういうことから申し上げますと、私は、特にこの国立学校の例から考えましても、これはいかに無理をしてもこれも法律の中に書けと申し上げたにいたしましても、このケースのものは、これは法律でくぎづけをするのはむしろ適当ではない、学校行政の立場から文部大臣がやる、それから公務員法の立場から人事院がこれにタッチいたしまして、そして両々よろしいというところできまったところを一般にお示ししてそれに従っていただく、これが一番適切なる方法ではないか。ですから、私どもとしては、先ほどおことばがありましたように、臨時、緊急の場面ということを学校運営に欠くべからざる業務であるというような面からできるだけしぼっていく、そしてあるいは狭いぐらいにしぼっておいて、どうしてもこういう困った事例が出てきたというようなときにはまた御相談に応じて、現実の事態を把握した上で、ではこれはもっと広げましょう、そんなにお困りならば広げましょうということでいく道も、これは法律でくぎづけする道よりもそういう点は伸縮性のあったほうがいいだろう、あるいは現実に乱用が行なわれたという場合には、これは人事院としては実行上、運用上害がある、これはもっと狭めようじゃないかということを申し入れる場面も私はあり得ると思います。とにかく一つの形で出発していくというたてまえでは、いまの法案のたてまえが最も適当ではないか、これもまた自信満満としておるわけでございます。
○塩崎委員 自信満々の御答弁を伺いまして安心いたしましたが、少なくとも労働基準法は、非常災害の場合には命ずることができる、命ずるといいますか、超過労働をやらすことができるというようなことが書いてあることとのバランスで、いまおっしゃったことから判断すれば、非常災害というような臨時的な場合、特定の予測できない場合ぐらいしかこれは考えられない。毎年毎年、たとえば修学旅行とかあるいは職員会議といったような予測できるような場合には、超過勤務はあまり好ましくないし、これまた野放図に認めるべきではない。そういった基準を、私は法律に書くのも労働基準法との関係で適当ではないかと思ったのですが、それまでも文部大臣、人事院にまかされたのは何か。法制局長官であった佐藤総裁らしくないような気もしたから御質問いたしたわけでございます。 そこで、いまの基準から考えてみると、一部でいわれております測定可能な労働としからざる労働とに分けて、測定可能な労働に対しましては、たとえ教員であっても超過勤務手当になじむものとして手当を払いなさい、しからざるものは今度の四%あるいは六%の調整額で吸収さるべきだという考え方がありますが、文部大臣、この考え方についてはどう思われますか。非常に大事な問題でございますので、ひとつ大臣からお答えを願いたいと思います。
○坂田国務大臣 そもそも、先生方の職務あるいは勤務というものの態様は、元来私は、時間的に労働を切り売りするというような考え方とはなじまないと考えておるわけでございます。その意味合いにおきまして、そういう勤務あるいは職務の態様であるがゆえに、先生方に対しては調整額という形で待遇改善の一環として今回の法案を御提出申し上げ、御審議をわずらわしておるわけでございまして、それを、これを出したからもうあとはぎゅうぎゅう勤務を命じて、そうしてやらせるんだ、こういうつもりは実は毛頭ないわけでございます。そういうことをやるということそれ自身が、いわば教職員の自主性あるいはまた創造性という性格にもとるわけであろうかと私は思うわけでございます。したがいまして、ある場合におきましてはその職務、勤務等につきまして測定可能な部面もないわけじゃないと思います。しかし、総合的に全体といたしましては、先生方の勤務あるいは職務というものは、そういう時間的な測定、量的な測定ということになじまないという形でとらえておる。そこがこの法案の趣旨でありますし、そのことが同時に、私は今後の教職員の方方の待遇をよくすることによって、あるいは勤務に対しましても過重な労働をしいるということがないようにして、そうして安心して生徒児童を育成していただく、そういう念願がきめられておるわけでございまして、これは待遇改善の一環であって、将来私どもといたしましては根本的に、抜本的に待遇の改善を行ない、そうして安んじて教職員の方々が国民の次代の青少年を育成していただく、またそこにりっぱな先生方を確保するという考えが背後にあるということをお考えいただきたい、こう思うわけでございます。
○塩崎委員 超過労働の、測定可能かどうか、測定可能論が非常に大事な主張になっておるのがいまの状況のようでございますので、人事院総裁どう思われますか。たとえばクラブ活動の指導、職員会議、遠足、修学旅行の引率など、測定可能な超勤に対しては労基法三十七条に基づく手当を支給するという主張があるわけでございますが、給与の責任者としての人事院総裁はどう思われるか、お伺いしたい。
○佐藤(達)政府委員 これは基本的な問題点になると思いますが、測定可能と不可能との二つに分けて考える考え方というのは、これは一応なるほどなという、思いつきとしてはなるほどと思う点がありますけれども、ところがその根本を探ってみますと、これは前に国会の御審議に提起された文部省案ならば、あるいはこの二元論というのは成り立つのじゃないかという気がします。あのときの御趣旨は、おそらく、普通の勤務時間外の勤務に対する一つのものとして四%というものをやる、したがってそれは本俸扱いでも何でもない、超過勤務の一種の手当の包括的な支給の性格を持っておるというふうに私はそばで承っておったことを覚えておりますが、それならば、従来の時間外勤務というものを二つに分けて、測定可能なものについてはその時間に応じたものをやる、測定不可能なものについては四%、本俸でなしに付加的な手当として支給するということは考えられないこともないと思いますけれども、われわれはこの文教委員会でも人事院としていろいろ発言もさせられたのですけれども、これはいろいろ問題があって、なかなかわれわれとしては、合格でございます、及第でございますと言うわけにはまいりません、しかし、これは暫定的な案ですからあえて反対はしない、いずれ人事院がじっくり検討した上で、また恒久的な自信のある案を提出せざるを得ないと言わんばかりのことをここで申し上げたわけで、私どもはこの間、前回申しましたように、昭和三十九年に報告書で指摘して以来ずっと満を持して検討してまいりました。今日に至って、いまの勤務時間というものについての根本的な考え方というものをここで打ち立てたわけで、私どもはいま、さきに申しましたところから言えば、これは別の角度からこれを見ている。つまり勤務時間の外ばかりに目をつけるということがそもそも浅いんではないか、勤務時間の内にも目を注いで、内と外と両面にわたって勤務の実態を把握してそれを評価するというたてまえに徹しなければ、学校の先生のような特別な立場にあられる、特殊な勤務をしておられる方々については適切にならない。普通の行政職ならば格別、先生方のように、たとえば勤務時間の中といえども放課後における勤務態様、あるいは夏休みにおける勤務体制というようなものその他が行政職とは全然違う。しかも片や、しからば勤務密度が薄いからといってその勤務の重要性は軽いかどうかというと、決して軽くはない。重い重要なる勤務の内容を持ちながら、しかし外から見た密度は薄く見える。しかし、実質は重要であるというような勤務時間の内外にわたっての先生方の勤務の実態をとらえてみた場合には、勤務時間を出たからどうのこうのという問題は、これは決してなじむものではないんだというところに結論を求めますと、もう時間計測によってどうこうという話は初めから一切問題になり得ない。あくまでも内外にわたって勤務の再評価をして、その再評価の結果、われわれは四%、本俸のほうの上積みとして四%差し上げる。はね返りからいえば六%ぐらいになるでしょう。これぐらいの手当はどうしても必要だということで踏み切っているわけで、それでおしまいということであります。
○塩崎委員 そういたしますと、例の測定可能論は、文部大臣もそれから人事院総裁もとらないということと了解いたすわけでございますが、そこでもう一つ、人事院の例の「意見の申出に関する説明」の中に特殊勤務手当という条項がございまして、これについて御説明がある。つまり、いまの非常災害のような場合には、これは予測もできない。ふだんの普通の教員の給与を包括的に評価するものの中に入っておるかどうか、おそらくそれが疑問になってくると思うのでありますが、非常災害の場合における児童の保護等に努力した場合には、特殊勤務手当を支給されるといっている。そうしますと、これと七条の超過勤務を命ずる場合とは別な概念と考えたらいいのかどうか。そういたしますと、そういうふうに考えた場合には、たとえば非常災害の場合、正規の時間をこえて超過勤務命令を出した場合には普通の超過勤務手当の関係がどうなるのか、この質問を総裁ひとつ明らかにされて、いま測定可能論の中に含まれておる問題を明らかにして、皆さん方を安心させていただきたいと思うわけでございます。
○佐藤(達)政府委員 まことに適切なお尋ねであると思います。先ほど申し上げましたようなことから、私どもは決して時間計測の立場からはものを考えない。これだけはもうはっきりしておるわけであります。ただし、その仕事の実質、その場その場におけるおやりになる仕事をながめておりますと、ふだんの日常に起こってくる仕事の性質のものもございましょうし、いまわれわれの考えております非常災害の場合、これはもう完全に突発的なことであって、日常の業務として予測できないような、またそこに御苦労が加わってくるだろうというようなものもあり得るわけであります。そういうようなものに対しては、これは一種の二元論になります。しかし、先ほど一部の先生方のおっしゃっておるような超勤と手当との二元論ではないんだ。私どもは、この調整額と特殊勤務手当とやはり二本立てで考えていくべきものではないかというわけで、最も典型的な例として、非常災害の場合には特殊勤務手当ということで、これはどうしても差し上げるのが当然であろうということから、このことを掲げたわけであります。あるいはそういう目で見れば、これは谷川委員から気に食わぬという御批判がありましたけれども、われわれの立場からいうと勤務の特殊性というものはやはり行政職にもありますし、先生方にもある。これは時間を超越しての——普通行政職の場合は、時間内の勤務についても特殊勤務手当を差し上げておるわけであります。そういうことで、勤務時間の内外を問わずに、その面から特殊性をとらえて処置をするということは成り立ち得ることではあるまいかということで、この典型的な例としていま御指摘の非常災害の場合、これはもう差し上げていいんじゃないか。児童の保護にたいへんな御苦労をなさるだろうというようなことを考えてのものでございます。
○塩崎委員 おそらく他の公務員に対する影響などの理由から、この特殊勤務手当が非常災害の場合に出されるということがちゅうちょされるようなことはないかと思うのでございますが、そんな点はいかがですか。これはもうどうしてもやるんだというなら、ひとつこの際に明らかにしていただきたいと思うのであります。
○佐藤(達)政府委員 もちろんわれわれとしては、先生方ばかりを所管しておりませんから、ほかの公務員の場合にも同様な場面というものがあるかどうか、これは、非常災害というものは一様に起こってまいりますからして、場面としてはあり得るわけでありますけれども、学校の先生方が貴重な子供たちをお預かりになっているその子供たちを、一身を挺して保護しなければならぬというおつとめをそこにお持ちになっておるというような面から着目すれば、学校の先生方に差し上げることはこれは間違いないだろう。しかし、他の公務員にも同じようなことがあるんだろうというような御意見は、これはいろいろ御意見を拝聴して検討しなければならぬことですけれども、この先生の場合、児童という他人の子供さんを預かっておる。この子供さんの保護に当たったということでこれを見た場合には、こういう手当を差し上げていいんじゃないかという気持ちから、説明書の中にこれを掲げたというわけでございます。
○塩崎委員 無制限勤務の問題、無定量勤務の問題が一番大事な問題だと思いますが、もう時間がございませんので、これにつきましては、ひとつできる限りその基準を明らかにして、不安のないようなことにしていただきたいということを申し上げます。 第二は、この法律には規定がございませんが、この法律が及ぼすと思われる影響についてお尋ねしたいのでございます。 第一は、この法律は国公立の先生に限られておる。しかし、人事院総裁の御説明によっても、超過勤務手当制度は教職員の自発性、創造性という職務の内容からなじまないんだ、こう言われる。そうすると、私らみたいな平凡な頭の悪い連中には、私学の先生も同じじゃないか、こういうふうに考えられるんですが、私学の教職員に対してこのような措置をとらなかった理由をひとつ文部大臣からお答え願いたいと思うのです。
○坂田国務大臣 教職員の職務と勤務態様の特殊性という点から考えれば、御指摘のとおり国公立の学校、私立の学校の間にとりたてて差異があるわけではございません。しかしながら、御承知のとおりに、国立学校の教員給与というものは他の一般の国家公務員と同様に法律で定められております。また、公立学校の教員の給与の種類と額というものは、国立学校の教員の給与の種類と額を基準として条例で定めるということにされておるわけでございます。今回の教職調整額も給与の一部をなすものでございますので、このたてまえに従いますと、国立学校の教員につきましては法律で定め、公立学校の教員につきましては国立学校の教員を基準として条例で定めるというものでございます。しかし一方、私立学校の教員の給与は、国公立の学校の教員の給与のように法律、条例等によって一様にきまっているものではございません。言うなれば、個々の学校の設置者と教員との契約によってきまっておるものでございます。また、各学校の実態によってさまざまに定め得る制度となっておるものでございます。このように、公務員たる教員と私立学校教員との間には、その職務と勤務態様につきまして差異があるわけではございませんが、他面、賃金、労働時間等の労働条件の設定方法もまたその内容も異なっておるものでございます。教職調整額に関してのみ法令で特に何らかの定めを置き、私立学校の教員の給与の決定方法に変更を加え、給与内容を拘束するということは、当面必ずしも適当なこととは思われないものでございます。ではございますけれども、しかし、私立学校の教員の給与が非常に低くなったり、あるいはまた各学校の間に非常なアンバランスがあったりするということは好ましいことではございません。また、私学振興の観点から申しましても必要な助成措置がとられていかなければならぬというふうに考えるわけでございますが、ただいまはそういうように考えております。しかし、やはり教育界に人材を得るということは単に国立あるいは公立、私立を問わないものでございまして、その意味から私といたしましては、将来にわたりまして私学の先生方の待遇改善のために、やはり国といたしましても相当思い切った助成措置を講ずる必要があるんではなかろうかというふうには考えておる次第でございます。
○塩崎委員 私もそうなんですが、もうだれよりもだれよりも私学を愛される文部大臣ですから、まさか私学に混乱を起こすようなことはないと思うのですが、いまのお答えではどうも私は納得できない点がある。それから金額こそ片や法律、片や契約なんですけれども、それは本質的な問題じゃない。つまり法律で書いてあっても契約で規定されておっても、公務員法や労働基準法の適用を受けることは同じなんですね。そこで、文部大臣は、この四%の調整額が国公立の先生たちに支給されたならば、私学の先生たちの給与は四%やはり上がると考えるべきじゃないでしょうか。つまりおふれに弱い、お上のものが基準になりがちな日本では、偶然的な超過勤務手当というものは給与の中に考えないという考えが正しいとすれば、おそらく私学も四%、実質六%の給与が上がってくる。そうなると、またまた私学の財政面からの困難というような主張も出てくる。そしてまた、本質的には超過勤務がなじまないのだという私学の経営者の悩み、この問題は依然として解決しないのですが、この点をどういうふうに考えておられるか。 それともう一つは、財政上そういった私学の四%の給与アップというようなことを考えられて、ことしあたりの補助金がとられたかどうかですね。ひとつ、だれよりも私学を愛される文部大臣にぜひともお伺いしたいのです。
○坂田国務大臣 非常に見識の高い御質問でございますが、私どもといたしましてはただいま申し上げましたようなことでございます。しかし、一応国立、そしてまた公立においても本俸四%というような調整額が支給されるということになりますと、国立と公立にそういうふうにきまったから直ちに各学校に本俸の四%というようなことにはまいらないかと思いますけれども、しかし、そういうことがやり得るような形に持っていかなければならないというふうには考えておるわけでいざいます。そのために、実は昨年度、御承知のとおりに私立の高校以下の学校、学校法人の高校、中学校、小学校、幼稚園に対しましては私学振興という立場から、昭和四十五年の地方交付税によりまして、国の私立大学等に対する経常費助成の例にならいまして約四十五億円の助成費の財源措置を行なったものでございます。この私学助成費の財源措置は、私立学校教員の個々の給与をとらえて措置するというものではございませんけれども、しかしながら、私立学校の経常経費に対する抱括的財源措置の積算方法として、教員の人件費を指標に用いて算定することといたしておるわけでございまして、私どもといたしましては、今後これを増額していくということで、国立、公立に準ずる調整額等が各私学の個々の学校において支給されるということを期待したい、かように考えておるわけでございまして、四十六年度の予算におきましては、この前年度、つまり四十五年度の四十五億円を九十五億円に大幅に増額する措置を講じておるところでございます。
○塩崎委員 時間がございませんので急いで御質問申し上げたいと思うのですが、いまおっしゃるようなことになれば、四%の調整額は私学の先生にも大体は支給されると予想されるようなお話でございますが、そうなると、やはり超過勤務のときにはその四分の一の、二五%の超過勤務手当を出さなければならない、こんなことになって何か悪循環みたいな気がする。そこで私は、労働基準局長が来ておられますのでひとつ伺いたいのですが、国公立の先生にはこういった超勤手当制度が調整額制度に改められる。ところが、私立の先生たちには依然として労働基準法の適用があって、どうしても超勤命令を出せば二五%の超勤手当をまた払わなければならない。これはどういうふうに考えられるか。そもそも超過勤務手当制度が日本になかなかなじまない、また日本的に運用されると変な弊害が出てくる、ことに教育の面ではそうだと思うのですが、これはひとつ労働基準局長として一つの大きな——大きなと申しますか考えるべきアンバランスと申しますか、いい意味のアンバランスかもしれません、出てきておるわけでございますが、これをどういうふうに考えられるか、一ぺんお答え願いたい。
○岡部(實)政府委員 ただいま御指摘の点は、審議会でもいろいろ御意見が出たわけでございます。私どもは、実は労働基準法の適用につきましては労働基準法で明示しておりますように、原則といたしましてはほとんどすべての労働者に適用する、ただ親族だけで、家族従業者とかあるいは家事使用人等には適用しないというのがたてまえ。ただ、御承知のように、国家公務員には適用いたしております。地方公務員の一部のものについても一部適用して、一部は適用していないということ。それから、公企体については適用はしておりますけれども、たとえば団体交渉の対象範囲等についてはこれを法律で制限するとか、いろいろな態様の規定がございます。そこで、基本のたてまえといたしましては、すべての労働者が、適正な労働の態様に応じて適正な労働条件が確保されるということが基本の原則である。そのためには、労働基準法あるいはそのほかの関係法規によってそれぞれの保障があるということがたてまえになっておる。そこで教員の問題につきましては、御指摘のように、国公立の教員であろうと私学の先生であろうと職務の中身は、実態はほとんど変わらないということは、国鉄と私鉄の職員の場合の勤務の仕事の中身が同じように同じであろう。ただその場合に、労働関係の適用の法規はそれぞれ異なった適用をしている、それぞれの態様に応じまして必要な保障をとる、こういうことに相なっておりますので、ただいま直ちに、勤務の実情が似通っているからということでこの基準法の適用からはずしてほかに持っていくとかいうようなことにはならない。それぞれの労働の実態あるいはその適用を受ける職等によりまして、いろいろな適用関係の法規が異になることも考えられるし、それによりまして労働条件の保障がとり得るならば、基本的な労働基準法による精神は生かされていくというふうに考えております。したがいまして結論的には、いろいろ問題は提起されると思いますけれども、いま直ちに私学の教員を基準法のいまの超勤の適用からはずさなければならないのだ、平仄が合わないのだということになるものとは考えておりません。
○塩崎委員 直ちにはならないかと思うのですが、文部大臣いかがですか。だんだんとこの法律の及ぼす影響を見ていって、私学に対する影響がどんなものか、弊害が出たならば、おそらく文部大臣のことでございますから改正をし、そしてまた私学の教員の職務を充実さすということが考えられるのじゃないでしょうか。いかがですか。
○坂田国務大臣 この点につきましては、中教審におきましても、標準教育費というものをやはり国立、公立あるいは私立等においても考えるべきであるというような中間報告等もございます。そしてこの両三年来、私学に対する政府としての姿勢といいますか、基本的な考え方というものも大幅に変わってきたおりからでございますから、十分検討に値する課題であるというふうに考えております。
○塩崎委員 最後に、この法律の規定にはございませんが、この法律の及ぼす影響の問題の一つとして、教員の給与改善の問題について特に文部大臣にお伺いいたしたい。 これは超勤の問題の処理として考えられておりますが、同時に、教頭やあるいは校長の給与が改正されたように、多分に給与改善の問題とも見られるそういう要素は含んでおると思うのです。しかし、心配なのはこの実質六%、四%上がったからといってもう給与改善は終わりだというようなことは、文部大臣ですからお考えになっていないでしょうね。この点をひとつぜひとも承りたい。
○坂田国務大臣 先ほど申しますように、国立、公立、私立の学校を問わず、よき人材、りっぱな先生方を教育界に確保するということがやはり教育の振興の一番基本になるということを私は考えておるわけでございます。したがいまして、ただいま申しましたように、中央教育審議会に対しまして幼稚園から大学までの制度改革についての諮問をいたし、その中間報告も得、そしてこの五月末には最終答申を期待いたしておるわけでございますが、しかし、その制度改革がいかようになろうとも、あるいは審議会の御答申にも必ずそれが触れられてくると思うわけでございますけれども、大きな柱の一つは、教職員がその自主性と創造性を持った専門職としての教職に安心して専念できるという生活条件と申しますか、そういうものを確保してあげるということが必要なわけであって、その一つの大きい柱というものはゆるがないものであるし、私どもといたしましては、そういう態度でもって幼稚園から大学まで含めまして抜本的な待遇改善を考えたい。そして私どもといたしましては、さっそく本年度、まあ最終答申を得ました後におきまして発足すると思いますけれども、待遇改善に対するいま一そうの精緻な調査研究をいたしたい、かように考えております。 しかし、その改革案が出てきてそれを実行するまでには相当な時間がかかりますが、その間におきましても、人事院というのは常に教職員の、国家公務員の勤務条件その他に対する関心を持ち続けていらっしゃるわけでございまして、そのつどそのつど時宜に適した勧告をいただいておるわけでございます。私どもも先般、数年にいたしましてようやく人事院勧告の完全実施をやり得たわけでございますが、今回新たに人事院からの教職員に対する調整額の意見、まあ勧告と申し上げても差しつかえないと思いますが、この勧告をいただきました。しかし、私は、まだそれだけで十分だとは思っておりません。人事院にもまだお願いしたいことがずいぶんございました。それがはずされておることは私といたしましても多少不満でございますけれども、しかしながら今回の意見というものはきわめて時宜に適したものであるというふうに私は受け取っておりまして、将来の抜本改革はまたわれわれ最善の努力をいたすといたしましても、まずこの勧告を完全に実施するということが、人事院の勧告に対する私たちの態度でなければならないというふうに考えておるわけでございます。 その意味から申しましても、数年来問題になりましたこの問題を、できれば今度の国会におきまして何とかして成立をさせたい。そうすることによって、来年の一月からではございますけれども、とにもかくにも中堅の先生方に約四千円、しかもそれは単に本俸だけではなくてそのはね返り分もございまして、退職金あるいは年金等にもはね返るわけでございます。そして、それがまたベースアップ等において雪だるまのようにずっとふくれ上がっていくわけでございます。全国の高等学校以下の現場の先生方は、何とかしてそういうふうにしてもらいたいというふうに考えていらっしゃると私は思うのです。したがいまして、この際与野党一致して、これでまだまだ不十分な点は今後考えるとして、当面の人事院の勧告のことに対しましては、私どももいろいろ考えました末、当面の問題としては最善なりとしてこれを出しておりますし、ひとつ国会におかれましてもこれを通していただいて、全国の先生方の教育条件の整備、今後の待遇改善の一環としてその橋頭堡を確保する意味において御協力を願いたいというのが文部大臣としての切なる願いであるわけでございまして、今後ともひとつ御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
○塩崎委員 文部大臣のお話は、私も全く賛成でございます。ただ、この法案にあまり力点を置かれるあまり、これが通ってほっとされて、とにかく四%ついたからいいじゃないかということになりはしないかという心配なんです。私は、最初に申し上げましたように、教員の給与改善こそ最もよい教育改革だと思うのですが、それがずうっと延びやしないかと思う。小学校の先生の半分以上が女性というような現在、やはり男性に魅力のあるような給与にしなければならぬと思うのですが、それを来年ぐらいにやってこの四%の調整額はその中に吸収する。おそらく大臣のことですから一年ぐらい留任されると思うのですが、大臣の在任中にやられる気持ちがあるかどうか、ひとつこの際ぜひともお伺いしたい。
○坂田国務大臣 これは私の持論でございまして、とにかく制度改革だとか何だとか申しますけれども、よき人材を教育界に求めるということなくしては、教育の振興というものはあり得ないというふうに私はかたく信じております。私がこの座にあろうとなかろうと、私が国会議員である限り教職員の待遇改善のためには全力を注ぎたい、かように考えておりますので、安心していただきたいと思います。
○塩崎委員 だいぶ安心いたしましたが、ひとつ人事院総裁に、文部省からいってきたから四%上げてやったわいというようなことで、しばらく根本的な給与改善はやらないでおくのではないかといういまの私の心配ですね。佐藤総裁でございますからまさかそんなことはないと思うのですが、この点についてどう考えられるか。 特に昭和二十三年から、教員は他の公務員に比べまして初任給がよかった。最近だんだんとその差が縮まってきて、むしろ何年かたったら他の公務員の給与に追いつかれる。しかもそれは、本俸の面だけでなくて、超過勤務手当や旅費なども入れますと多分に格差があるかもしらぬと私は思うのですが、少なくとも本俸の面において、何年かたつと、最初の初任給で差をつけてやろうという親心がなくなるのはどういうことか。やっとそれが、最近は十七年に差が延びたというようなことをいっておるのですが、最初の初任給で違えてやろうという親心は、最後まで続いていってしかるべきじゃないかと思う。この点を人事院総裁はどう考えられるか。これは給与体系の問題でございますので、ぜひともお答え願いたい。
○佐藤(達)政府委員 ちょっと大事なことを最初に申し上げておきますけれども、片言隻句をとらえてなんでございますが、文部大臣から四%上げてくれと頼まれたからという最初のおことばは、これは間違いです。たびたび申し上げておりますように、いまの坂田さんが文部大臣になられるずっと前です。昭和三十九年、中村さんが文部大臣のころですね。これはむしろ私どもが報告書の中でこの問題を指摘して、将来検討する必要があるということをはっきり打ち出して、その結果がここに来ておるんでして、これは文部大臣とは全然関係なしに、独立機関といわれるわれわれが、中立機関として名誉にかけて、また自信に満ちてここで御提案申し上げたのであって、そしてこの場までたどり着いたということでございますから、まあ先取り権はわれわれのほうにあるということだけは十分御理解をいただきませんと、妙なふうにこれを考えられるとはなはだ困ると私は思うのです。 そこで、全体の問題として一般の教員の方々の賃上げ、これは文部大臣たいへん御熱心です。教員組合の方も来られますけれども、文部大臣もそれに劣らず熱心で、毎回八月勧告を前にして教員の待遇改善のために努力をされておる。もちろん教員に対する待遇改善ということについては、私どもとしてもこれは大事なことだという立場におりますから、御注文のとおりにはいきませんけれども、その御趣旨に沿って従来ずっと努力を続けておるわけなんです。したがいまして、いま御指摘のような全体的の問題としては、今回の分はたまたま三十九年に報告したその分の関係でございますので、一般の待遇改善の問題は、またその上に次元の高いものとしてもう一つあるというたてまえで今後も臨んでまいるつもりでございます。ただ、私ども、たいへん思い切って一律六%の賃上げまでここに勧告申し上げて、意見の提出でありますけれども勧告を申し上げて、これは一日で全会一致で通るものだと思っておりましたけれども、この大幅賃上げがこう問題になるようでは、ことしの八月勧告もよほど用心しないとあぶない。うっかりと賃上げもできないじゃないか、多少心配を持ちながらおりますけれども、おそらくこれは通るでしょうから、八月勧告は勧告としてりっぱな勧告を出したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○塩崎委員 一言たいてい明確に答えられる人事院総裁から、お答え残しのないようにと、公務員と教員との給与の、何と申しますかかけっこの問題、なぜ追いつかれて公務員のほうが追い越すか、初任給の格差の意図は最後まで持たすべきじゃないか、この点についてのお答えがなかったようでございます。
○佐藤(達)政府委員 これは私ども、毎回勧告のたびごとにグラフを書きまして、行政職のずっと昇給曲線、教員の方々の昇給曲線というものを常に並べて書いて、そして勘案しつつまいっております。しかし、これで充分だとは思いません。したがいまして、少しでもこれを今後さらによくしていこうという努力のもとに問題に臨んでおるというふうに御了承願います。
○塩崎委員 時間も過ぎましたのでこれで質問は終わらせていただきますが、とにかく給与改善の問題は、いまおっしゃったように教育の改革の最大の理想だと思うのです。いま人事院総裁がおっしゃいました、努力はしておるがまだ不十分であるということはもうおっしゃるとおりでございますし、いまの明瞭な、最初の初任給で格差を広げてやろうという御意図は最後まで持ち続けることが、最も合理的にものごとを考えられる佐藤人事院総裁の御思想にぴったり合うと思うのです。これを今度の勧告くらいから実現するようなお気持ちでぜひともやっていただくことをお願いいたしまして、この教特法に関する質問はこれで終わらせていただきます。
○河野(洋)委員長代理 松永光君。
○松永委員 この法律案についての本質的な次元の高い問題点については、谷川委員やただいまの塩崎委員のほうから詳細質問がありましたので、私のほうは、次元の低い事務的なことについて二、三質問したいと思います。したがって、私の質問に対するお答えは、説明のうまい法律に詳しい事務の方でけっこうでございます。 まず私が質問したい点は、法律の解釈といいますか読み方の問題なんです。大体私は、どうも法律というやつはむずかしいものだ、わかりにくいものだというあきらめ感を持って法律を読むのですけれども、それにしてもこの法律案の第十条、全く読みにくく、わかりにくい条文になっておるのですが、説明のうまい人どなたか、説明してください。
○宮地政府委員 この十条でございますが、まことにパズルのような読みにくい規定にいたしまして、まことに申しわけございません。説明いたします前に、なぜこんなに難解なことで、なぜもっとわかりよく書かないのかということをちょっと申し上げたいと思いますが、申すまでもないことですが、学校の先生方、国立の先生方は、こういった身分関係、給与関係は国家公務員法なりあるいは一般職の給与に関する法律なりが母法でございます。また、公立の先生は地方公務員法が母法でございます。ところで、この十条の規定がこのようにわかりにくくなりましたそもそもの趣旨は、本来公立学校の先生は、地方公務員法を母法として地方公務員法の適用を受け、さらに特例は教育公務員特例法なりあるいは今回お出ししておる臨時措置法なりで最小限のことを規定する、こういうことになろうかと思います。ところで、この地方公務員法の規定には、いま問題になっております超過勤務を職員に命ずるか命じないかといったようなことが、労働基準法との関係におきまして労働基準法を一部分受け、あるいはそうでない独特のやり方が地方公務員法に書かれております。したがいまして、今回、公立学校の先生も地方公務員法の中で処理できるものは処理すべきであろうというような考え方から、こういう非常にわかりにくくなった次第でございます。したがいまして、十条は、教員の職務と勤務態様の特殊性に基づきまして、地方公務員法の特則を地方公務員法の読みかえでいこうということでございます。 そこで、そこにございます「地方公務員法第五十八条第三項本文中「第二条、第二十四条第一項」とあるのは」云々と、ずっと四、五行続きまして「第二十四条第一項、第三十七条」とありますそこまでを、地方公務員法の二条、二十四条一項ということばをその五、六行で読みかえていっておるということでございます。でございますので、この十条で読みかえられました後の地方公務員法五十八条三項はどうなるかということでございますが、それは労基法三十三条三項中第十六号とあるのは十二号と読みかえます。それから、「労働させることができる」とあるのは「労働させることができる。この場合において、公務員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない」と読みかえまして適用いたすということでございます。 そこで、労基法三十三条三項中十六号とありますのを十二号と読みかえるということは、労基法三十三条三項の十六号というのは一般の官公吏でございます。十二号は教育職員でございます。それを一般官公吏とあるのを教育職員と読みかえるという、技術的にはそういうことでございます。 この読みかえの実益は、要するに三十三条の三項に、現在一般地方公務員は、非常災害以外でもさらに三六協定によっても公務のために働かせることができるというふうなかっこうになっていきます。ところで、十二号職員の教員は、いまのままでは超過勤務を命ずるという根拠規定がございませんので、したがいまして、超過勤務を命じます根拠規定を設けるためには、十六号職員すなわち一般公務員と同じ形にしなければいけないということで、端的に申し上げれば、超過勤務が命じられるという根拠規定を置いたわけでございます。したがいまして、一般労働者のほうは、労基法の関係で三六協定によって超過勤務は命じられることになっていきます。しかし、それと違って、非常災害等のときには使用者のほうで命じられる一般公務員のほうは、三六協定の適用の余地がございませんので、任命権者が超過勤務は命じていくということは公務であるからということであろうと思います。したがいまして、教員も訴訟で、今日超過勤務命令を出していないのですけれども、訴訟の判決を見ますと、命令はしてなくても、命令があったと同じ実態だから超過勤務手当を払うべきであるという、まあ私どもあまり納得がいかないような判決が出ています。と申しますのは、その辺、超過勤務命令が出せる根拠規定が現在教員にはございません。したがって、文部省は従来から、教員には超過勤務命令をしてはいけないんだということを申しておるのも、命令規定がないんだからすべきでないといったような法律解釈も出しておるわけでございます。そこのところを修正したということでございます。
○松永委員 そうすると、もう一つ聞きたいのは、この第十条の最初からずっと読んできまして、まん中辺に「適用するものとし、同法」と書いてある。この「同法」は何法でしたか。条文からいうと地方公務員法と読めるのですが、それとも労働基準法ですか。
○宮地政府委員 地方公務員法五十八条三項本文中の引いております二条は、これは労働基準法第二条でございます。ですから、「同法第二条」は労基法第二条でございます。
○松永委員 そこで局長さんにまたお尋ねしますが、そうすると、こういう読みかえ規定をした結果、労働基準法の条文中、この読みかえをすることによって適用除外されるおもな条項はどれとどれですか。
○宮地政府委員 三十七条が適用されなくなります。したがいまして、割り増し賃金規定が排除されます。それからその結果、三十六条のいわゆる三六協定が不適用ということになります。
○松永委員 そうしますと、次にお尋ねしたい点は、この特別措置法の規定によりますと、その第七条において、国立の教職員についての超過勤務命令を出し得る場合、そのことについては人事院と協議して定める、こういうことに第七条でなっていますね。ところが地方公務員法の第五十五条によりますと、地方公共団体の当局は、職員団体から勤務時間その他の勤務条件に関して交渉の申し入れがあった場合には、その申し入れに応ずべき地位に立つものとする、こういう地方公務員法第五十五条の規定がございますね。この五十五条の規定からいきますと、公立の義務教育諸学校の教職員の時間外勤務——正規の勤務時間をこえて勤務させる場合、どういう場合にそういう命令を出せるか等については、この地方公務員法第五十五条の規定に基づいて、職員団体から交渉の申し入れがあった場合においては当局はこれに応じなければならぬような、そういう解釈論が成り立つと思うのですね。しかし一方、この法律の第七条並びに第十一条によりますと第七条によって文部大臣が人事院と協議して定めたもの、それを基準として条例で定める、こういうことになっているのですが、条例を定める場合に、地方公務員法第五十五条で当局が職員団体からの交渉の申し入れに対して応じなければならぬ、こういうふうな解釈論が出てくるような感じがするのですが、その関係はどうなんでしょうか、局長さんにお尋ねします。
○宮地政府委員 御指摘のように、公立学校の先生方——地公法の五十五条で登録を受けた職員団体から当局に交渉事項として超過勤務の内容等について申し入れがあるという場合には、申し入れ事項に該当しようかと思います。しかしながら、この五十五条の九項に「職員団体は、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程にてい触しない限りにおいて、当該地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができる。」もちろん、これは書面による協定の規定でございますけれども、書面によらない協定でも、法令、条例、規則等に抵触しない限りにおいてできるということでございます。 今回の超過勤務につきましては、国立は文部大臣が人事院と協議して定めますが、その定めたものを基準といたしまして県では条例で定めることになります。したがいまして、その条例に抵触しない限りにおいてということは、これは地公法の関係から当然かぶってくるであろうということでございます。したがいまして、交渉事項ではございますけれども、今回の法律の趣旨で規定される条例に抵触するようなことはできない。いろいろな運用の問題その他につきまして双方がお話し合いをなさる、そのことは実質的には、労働基準審議会で関係者の意向が反映されるように実情について十分配慮せよといった御建議がございましたが、その趣旨で私どものほうとしても、文部大臣が定めます場合でも当然関係者の意向を十分聞きますが、そういった関連において第五十五条の問題は事実上も行ないますし、また交渉として応ずるか応じないかということは、法律解釈としては余地がありますが、そういうことは当然話し合われていくものというふうに考えます。しかし、あくまでも制限がございますから、条例でどのように書こうとも、その協定によって抵触したり、あるいは条例を制定するのに非常に制約を設けるといったようなことは筋ではなかろうというように考えております。
○松永委員 そうすると、ただいま審議されているこの法律案の第七条、第十一条の規定に基づいてそれぞれの都道府県で条例が定められる、その条例のほうが優先するから、したがって五十五条で交渉の申し入れがあっても、抵触するような交渉は第五十五条の趣旨からいってできない、抵触しない範囲内における交渉だけである、こういうふうに解釈されるわけですね。
○宮地政府委員 そうでございますが、地公法の五十五条の関係の前に、今回の法律で文部大臣が人事院と協議して定めたもの、それを基準として条例で定めるということになっておりますから、たとえば文部大臣がいろいろなことを基準に書かれた、例はよくございませんが、そのあるものを書かれたものをその趣旨の三分の一か、分量で言うのはおかしいですが、ほんのわずかのものを条例で書いていくということは、文部大臣がきめた例を基準とするという基準とはされてない。ですから、条例は、当然文部大臣が定めたものとほぼ同じ、基準としたといえる範囲内で条例は定めなければいけないという前提が一つございますし、さらにそのような趣旨で条例で定めた、それにまた抵触するような交渉は当局としても応じられないであろうと思います。応じて話し合いをしても、まとまらないということになろうかと思います。
○松永委員 けっこうです。
○河野(洋)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時十一分散会