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65回国会衆議院1971/02/26

文教委員会 第5号

発言数
124
登壇者
11
会派数
2
開催日
1971/02/26

会議録

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。川村継義君。

川村継義日本社会党

○川村委員 国立学校設置法の一部改正の問題について、二、三お聞きしておきたいと思います。  私ごとで失礼ですけれども、かぜを引いて熱を出しておりますから、不作法があったらお許しをいただきたいと思います。私は、大臣の所信表明の中に学術振興の問題等に触れておられますので、そのことを頭に置きながらお尋ねをしてまいりたいと思います。  お尋ねをする一つは高エネルギー物理学研究所の問題についてでありますが、その前に、ちょっと局長のほうに予算のことをお聞きしておきたいと思います。  いただいておる予算書の予算要求額事項別表、これの五四ページから五五ページになるわけでありますけれども、高エネルギー物理学研究所の創設十五億五百万計上してあります。それから国立特殊教育総合研究所、これが計上されております。それから研究所の整備充実等に十二億九千五百万計上されております。局長、そこの中の文部省所轄の四研究所、それから国立大学付置の四研究所、これはどこどこなんですか、ちょっと明らかにしてくれますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 お尋ねの予算書、私手元に持っておりませんので、どこに該当するかちょっとわかりかねますので、調べて御返事申し上げます。

川村継義日本社会党

○川村委員 この四つの研究所、国立大学付置の四つの研究所十二億九千五百万のどこどこかというのはわかりませんか。——じゃ、調べてくださいね。  それからもう一つお尋ねするんですが、五四ページにあげてあります科学研究費の二〇%増八十六億を計上してありまして、昨年よりも十四億の増加になっておりますが、これは、昨年の七十二億の配分された大綱というのはわかりますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 科学研究費は特定研究、それから総合研究、一般研究、それから奨励研究、それから成果の刊行費といったぐあいに分かれておりまして、総額を、従来の実績などを加味いたしまして一応ワクで配分いたします。一方、科学研究費を必要とするものから申請をとりまして、学術審議会の研究費分科会の審査を経まして配分いたすわけであります。  内容の金額につきましては、必要がありますればさらに資料を取り寄せまして御説明申し上げます。

川村継義日本社会党

○川村委員 いまの配分の金額の中身につきましては、ひとつきょうでなくともいいですから、資料にしてぜひ委員会に提出いただきたいと思うのです。  そこで、この八十六億という、ことしは二〇%増加となって十四億増となっておるのですが、実はこれは前々からこの科学研究費の少ないということが指摘されてきたのであって、大臣にもそういう声は届いていると思います。われわれが少なくとも百億は計上すべきであると指摘したのは、もう実は数年前になる。予算八十六億という金額、それからこういう科学研究体制の促進、そういう予算を見ながら、今日までの科学研究費についての必要な要求、それから途中では配分の問題で少しトラブルを起こしたこともありましたけれども、そういうものを考えながら大臣の所信表明にございましたことばをずっと再度読んでみると、私はどうも、この科学研究費の拡充という項目を掲げてありますけれども、不十分な気がしてならないわけですね。これについてひとつ大臣の考えをお示しいただきたいと思っております。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 ことしは、いまお話しになりましたような金額にとどまったわけでございまして、これは私十分だとは考えておりません。飛躍的にこういう予算を拡充しなければならぬというふうに思っております。今年度の当委員会におきます私の説明におきましても、学術研究を重視しなければならぬという意味は、これからという意気込みを実は示しておるわけでございます。  それには一つの理由があるわけでございまして、大学のあり方、大学改革ということが一面にございます。御承知のように、大学が昔の大学と違って、量的にも質的にもいろいろの変貌を遂げた。そして大衆のための大学ということで、一定の能力があるならばほとんどその人は大学に行ける、また、そのために大学というものは開放しなければならない、チャンスを与えなければならない、それが今日の国民のために開かれた大学の性格でもあろうかと思います。しかし、ともするとそういう傾向が、大学の従来基本的に持っておりますところの学術研究といいますかあるいは基礎研究と申しますか、学問の水準を維持し発展させ、あるいは新たな価値創造をやって、日本の学界に貢献するばかりでない、世界の学術文化に貢献するそういう意気込みを、少なくとも経済大国といわれておる日本は持たなければならない。  そのためには、飛躍的にこの科学技術研究、特に大学でやっておる基礎研究、あるいは付置研究所の基礎研究、あるいは共同研究所における研究というものについて、どういうふうにその投資をやっていったら一番いいだろうか、あるいは研究が活発に行なわれるためには、どういう人事行政をやっていったならばいいだろうかという基本的な問題を実は中教審においても検討しておりますし、また私たちの学術関係の審議会におきましてもこの中間報告を出しておるわけでございますが、これも本年度一ぱいぐらいかかりまして、その研究所のあり方あるいは研究投資のあり方等について基本的な考え方をまとめ、そのあとにやはり画期的な予算の要求というものをいたさなければならない。そういう一つの構想がございますので、今日のところはまだ十分皆さん方が御納得するような予算にはなっておらない。しかしながら、やがてこれは相当思い切って広がっていかなければならない。そういうふうに御了解を願いたいと思うのでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 大臣のこれからの取り組み、進め方についての御決意はよくわかります。しかし、やはり申し上げるまでもないことですけれども、大臣の文教行政に対するりっぱな所信表明を承っておると、やはり裏づけとなるこういうものに大きな手落ちがあるというか、そこまで手が届いていない、絵にかいたもちになってはならぬのではないかとわれわれは感ずるわけであります。特にこの科学研究費の問題につきましては、もう具体的に申し上げる必要はないんですけれども、アメリカ軍からたくさんの研究費が流れている、あるいは製薬会社その他のほうからいろいろと大学の研究に金が流れているとか——それはもちろん私は、全部を悪いと否定するつもりは全然ありませんけれども、一ころ二、三年前に委員会で非常に大きな問題になったこともございます。やはりこの科学研究費というものが不十分であれば、どうしても研究費というものはそういうような他の力にたよらざるを得なくなる。そういうものが一つの原因として、一昨々年ああいう大学紛争の一つの原因にもなっておったということを思い起こすときには、やはりこういう科学研究費の問題につきましては、文部省としては思い切った前進をはかっていただかなければならぬのではないか、こう考えざるを得ないのであります。幸い、いま大臣から非常に前向きなお話がいただけましたので、一そうの努力を要請いたしておきます。  それから次に、いま一つ予算の問題でありますが、大臣、内之浦の例の科学衛星、東大のロケット観測、ずいぶん苦労もしておられます。失敗も重ねておられます。失敗そのものを私はとやかく言う気持ちは毛頭持っておりませんが、あの研究あるいは実験研究についてどう評価をしておられるか。これをひとつ、大臣のお考えを聞きたいと思うのです。私が申し上げますのは、科学衛星及びロケット観測の推進という項目もあるけれども、どうも予算面を見るとロケットの開発が削減されておる、あるいは科学衛星研究経費がほとんど増加をされていない。こういうような予算内容を見ると、すべてひっくるめても二千二百万円程度しか本年は昨年より増加していない。わずか二千二百万しか科学衛星及びロケット観測にプラスされた予算しか計上されていないのであるから、どうもこういう科学衛星やロケットの観測については、まあ従前どおりぼちぼちやっておけばいいというお気持ちが文部省内にあるのかどうなのか、そういうところが少し気になりますから、大臣の考えをひとつ……。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 内之浦のロケット観測でございますが、本年打ち上げに成功しましたことは、まことに喜びにたえないところでございます。この特徴といいますか、評価というものは、ほかの国々のロケットに比べまして費用が非常に安くて済むということが一つの評価であります。特徴であろうかと思います。それからもう一つは、固型燃料を使っておるという点でございます。これは画期的なことであろうかと思います。世界のどこにもない珍しいロケットだということで、従来それを進めてまいったわけでございます。予算につきましても、実は東大のロケットといたしましては、既定計画を順調に消化しておるわけでございまして、現在のところ懸念はない、こういうふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 私がいま申し上げておることは、大臣の所信表明等々のお考えが飾りものになっちゃいかぬのじゃないか、そういうような気持ちで実はこの学術振興の問題を、ひとつ予算面からお尋ねをしたわけであります。もちろん科学技術振興費としてこれは各省にいろいろな予算がついておりますが、ことしは、昨年よりも百九十五億ぐらい増額された費用が各省関係全部にはあります。しかし、何と申しましても大臣のおことばにもありましたように、文部省が所轄するところの科学研究、これが何といっても土台になるのではないかと私は考えますから、学術の面から考えてもそれが一番大事にされておる問題でありますから、文部省のこういう経費はやはりもっともっと大事にしていかねばならぬ、こういうことを申し上げたいのでございます。  そこで、第三点として高エネルギー物理学研究所の問題についてちょっとお尋ねいたします。十五億五百万の費用がありますが、これは局長にお尋ねいたしますが、この予算は今度の四十六年年にはどういう仕事を計画しておられるのか、それを第一にお示しいただきたい。それから、その物理学研究所を一つのまとまった完成といいましょうか、そういう形でするにはどれぐらいの予算を大体考えておるのか、その辺を初めちょっと御説明ください。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 高エネルギー物理学研究所は、この準備調査会で構想を練ったわけでありますけれども、完成の形といたしましては一応人員が二百八十人程度、それに至る建設費が、設備も含めまして約八十六億円という構想であります。四十六年度といたしましては、御指摘の十五億円が計上されておるわけでありますが、これは振りかえ八名を含めまして五十四人の新規の人件費と施設、つまり本体となるべき陽子シンクロトロンを入れる施設を建設するわけでありますが、それが七億一千八百万、それから設備費といたしましてこの中に入れる本体の製作に着手するわけでありますが、それの初年度分五億一千百万円、それから運営費といたしまして二億七千五百万円、合わせまして十五億円を計画いたしております。

川村継義日本社会党

○川村委員 本年予定される五十四人という人は、いわゆるここの高エネルギー物理学研究所の所員、職員の人だ、こう考えてよろしゅうございますね。しかし、これが完成の域に達したら二百八十人ぐらいの職員を考えておる。そうでしたね。それから、これが完成する大体の予定総額は八十六億、まあ九十億近くですね。これくらいかかる。ことしが十五億で、ことしの十五億の予算の使い方は、先ほど人件費、施設設備、運営費、こういうものをお示しいただきました。そこで本年度及び将来の高エネルギー物理学研究所の組織というようなものは大体わかりました。そこで、研究所は筑波につくるということも説明なされております。この研究所を国立学校設置法第三章の二に高エネルギー物理学研究所として置かれた理由というのは、これは大学付置の研究所でもないではないかと私は受け取っておるわけです。東大なら東大の研究所ではない。それで私は、第三章の二に新しく、高エネルギー物理学研究所というものをこの国立学校設置法の中の法文として定められた、こうなっておる、そう見ておるのですね。そこで、個々のいまの職員の人の身分は、教育公務員特例法の適用を受ける方々になる、こういうように附則で説明をされているようですが、そのように解釈してよろしいか。お尋ねしているポイントは、なぜ国立学校設置法の中に入れてあなたのほうの大学学術局の所掌事務とされたのか、この考え方をちょっとお示しいただきたい。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 国立の研究所は、御指摘のように大学付属でつくりますものと、それから文部省直轄の形でつくりますものと二種類ございます。さらに、特定の研究目的で特定の大学に付属するわけでありますけれども、この中でも、大学が共同利用ということを目的に特にうたっておるものが若干ございます。そこで、高エネルギー物理学研究所につきましても、どういう形がいいか、準備調査会でも十分研究をいたしました。その結論が、従来の大学付属研究所でもない、しかし、従来のような文部省直轄の研究所でもない、第三の形がこの研究所の目的使命に照らして適当であるという結論になったわけであります。特定の大学に付属するには、幾ら共同利用といっても組織にしましても大きいし、また従来の共同利用研究所の運営の実績を見ますと、共同利用をうたっておっても特定の大学に付属いたしますと、どうしてもその大学の運営管理のかさの下に入るわけでありますから、共同利用という面からは若干の制約がある。したがって、大学付属はぐあいが悪い。しからば文部省直轄ということでやりますと、これは従来の身分、給与その他が国立学校とは違っておりまして、そういう面から、たとえば人事交流などについて、これはまあやろうと思えばできないことはないわけでありますけれども、若干観念的なきらいはございますけれども、付属研究所よりはぐあいが悪いんじゃないかというような感じもございました。そこで、今回の高エネルギー物理学研究所は、非常に大きな科学を対象とし、大学のみならず、その他の共同の研究を目的とするものの利用に供せしめるという意味合いにおきまして、大学には付属しない、しかし従来の直轄研究所よりは大学に近い形で措置する。根拠といたしましても、国立学校設置法で措置いたしますし、それから給与も教育職の俸給表を適用するようにいたしますし、それから身分の取り扱いにつきましては、これは大学ではございませんので、教育公務員特例法がそのまま適用にはならないわけでありますけれども、これは従来直轄の研究所が準用されておりましたと同じ程度において教育公務員特例法を準用するように措置いたしまして、大学の利用にも便利である、それから研究者としても、従来の直轄研究所よりはより大学に近い感覚で研究活動ができるというぐあいに配慮いたしたわけであります。

川村継義日本社会党

○川村委員 どうもわかったようで私よくわからぬのですけれども、第三の性格という意味で、結論的に国立学校設置法第三章の二に置いた、いろいろお話がありました。  そこで局長、文部省設置法の第十四条にあるところのいわゆる研究所等は幾つありますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 お答え申し上げます。  文部省設置法第十四条は、単に研究所だけでなく、その他の機関も含めまして文部省所轄の機関を規定してございます。この中で研究所同様の扱いといいますか、研究所という概念に入っておりますものは、大学学術局の所管といたしましては国立教育研究所、それから緯度観測所、統計数理研究所、それから国立遺伝学研究所の四つでございます。なお、そのほかにも、国立科学博物館などにつきましても若干研究所的な機能もあるわけでありますけれども、大学学術局で研究所として扱っておりますものは、以上申し上げました四つでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 いま十四条で文部大臣の所轄下に置いてあるものはいろいろございまして、十四条で示してあるところの国立学校その他の機関としていまお話しの研究所そのほかがありまして、八つばかり書いてある。そこで、いまの国立教育研究所あるいは国立科学博物館、緯度観測所、こういうものと国立学校設置法の中に置かれようとしている高エネルギー物理学研究所、これは先ほどお話はあったけれども、なぜそういう区別をしなければならぬのか。今度の高エネルギー物理学研究所というものは、あなたの文部省の大学学術局の所掌事務として国立学校設置法の中に一章を設けるよりも、これは十四条に——こういう大事な大きな、とにかく将来実に重要な研究所になっていくであろう研究所は、文部省設置法の十四条に規定するこういう研究所として、文部大臣の所轄ののもとに置くのがいいのではないか、こう考えておりますからお尋ねしているわけです。  それで、職員の身分等で、十四条のやつは教育公務員特例法をそのまま当てはめるわけにいかぬ、しかし、国立学校設置法の中に置いておけばそれが適用できる、何かそういう配慮で一体置かれたのかなあという邪推までしてくるわけです。そんなことはないのだと思うのだけれども、今度の高エネルギー物理学研究所というものは、これはおそらく日本の将来の一つの大事な中軸になるものではないかと思う。そうなると、ただあなたの所掌事務として国立学校設置法の中に一つ入れてこれをつくるよりも——今度文部省設置法の十四条の中に国立特殊教育総合研究所というのが新しくできるわけでしょう、神奈川県に。これは十四条に入れるわけです。私は、高エネルギーのほうもこれと同じように、文部省設置法の十四条の規定として大臣の所轄機関、こうすべきではないかと思うのですが、大臣ちょっとお考えをお聞かせください。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 大学局長からお答えをすると思いますが、やはり高エネルギー物理学研究所というのは、先生も御指摘のように、将来の大きい、あるいは非常に重要な研究機関になるかと思います。したがいまして、むしろ学術局と非常に密接な関係がある、あるいは学術行政といいますか、純粋科学と非常に密接な関係があるということで、ただいまのようなことになったというふうに理解をいたしておるわけでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 大学等の研究ということになりますと、十四条の中の三つか四つのやつも全部関係があるんですよ。今度設立されます国立特殊教育総合研究所、こういうものも大学の教育学部等々の研究と大きくマッチしなければならない重要な使命を持っておるわけでしょう。国立特殊教育総合研究所は、文部省設置法の十四条の中に一つの機関として設置しようとしておる。どっちが大事かといって比べたらこれは語弊があるかもしれぬが、高エネルギー物理学研究所、日本の将来を展望するとき、こういう最も重要な研究機関を大臣の所轄下に置き、十四条の研究機関としてその目的を達するようにするのがいいのではないか。国立学校設置法の中に置いて、教育公務員特例法の適用をするということになると、変なことばですけれども、大学局のほうは非常に都合がいいに違いない。しかし、きょうの理事懇談会でも話が出ておりましたように、所長さんをはじめ所員の方方の人事の問題にも直接あなたのほうでタッチできることになる。その面で研究体制が阻害されることがないかという心配を、議員さん方みなが持っておられる。そんなことはないと思いますよ。あってはならない。しかし、そういうようなことを考えると、全く独立の研究機関として存置をしたほうがいいのじゃないか。私は、何もそうしたからといって、あなた方のほうに不都合を来たす理由は見出せないと思うのですが、これは何か大検討を加える必要がある組織の問題じゃないかと思うのです。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 研究所をどういう形で、どういう管理、運営でやるかにつきましてはいろいろな御意見もありますし、現に先ほど来御説明しておるように、いろいろな形のものがあるわけでございます。高エネルギー物理学研究所につきまして御提案しているような形をとりましたのは、形式論で申し上げますと、これも先ほど説明しました、設立のための準備調査会を学識経験者で設けたわけであります。そこでこういう形がよろしいという結論が出たのに沿ったという経過がございます。  それから、実質的な議論といたしましては、若干御説明申し上げましたように非常に巨大科学である、これを十四条の機関にいたしますと、これは慣例として会計の所属が一般会計になります。一般会計で非常に大きな人員、予算をとるということは、これも実質論になりますけれども、特別会計よりもかなりむずかしい状況が見られます。それから実質論をさらに進めますと、文部省の十四条機関というのは、どちらかといえば行政目的があって、それに沿ってテーマを選び、研究を展開するという色彩が強うございます。それから、大学付置ということになりますと、研究テーマはみずから研究者が採択してそれを展開していくという色彩が強うございます。高エネルギー物理学研究所につきましては、単に文部省の行政目的でテーマを選んで展開するというだけではなしに、やはりこういう未知の分野の開拓でありますから、研究者が自分で研究テーマを選んで展開するというような必要性も、より強かろうかと思われます。そういうことで、どちらでなければ絶対にいかぬという説明はなかなか困難でありますけれども、いろいろ検討いたしまして、大学ではないけれども大学の共同利用ということがかなり大きな使命であるのだから、それから会計とか運営の実情なども勘案いたしまして、国立学校設置法の体系に入れたほうがベターではなかろうかと判断した次第でございます。また、その間におきまして、どちらにもぴったりいかぬから、独特の単行法をもって存置したらどうかというふうな議論もございましたけれども、できれば既存の体系のどちらか近いほうに入れるというような便宜論もございまして、現在のような形で御提案をしたような次第でございます。  なお、これは蛇足でございますけれども、十四条機関にいたしましても、また国立学校設置法に入れましても、また大学にいたしましても、これはニュアンスの違いはございますけれども、すべて文部大臣所轄の機関であることには変わりはないわけでありまして、事務としてはいずれも大学学術局で担当するということになっております。両者そのおのおのの特徴を生かして研究目的が達成できるように、私どもとしては配慮いたすつもりでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 いろいろ研究されたのですから理屈はあると思いますけれども、どうもこの高エネルギー物理学研究所は、それは大学学術局のお世話はどこでも受けるわけだけれども、もっと独立性のある、むしろ会計あたりはどんどん独立しておいたほうがいい。それは、文部省がうんと力を入れて取ってやるというようなかまえがあるとすれば私は差しつかえないと思いますけれども、とにかく将来の研究体制、あるいは所員がほんとうに自主的な高度な研究を進めていくその体制に、たいへん失礼な言い方だけれども、文部省が大きく介入したり——まあそんなことはないと思います。それはお約束していただけると思うのであります。そういう事態が起こったらたいへんだ。しかも各大学の中からたくさんの研究者があるいはここに来て研究するかもしれないし、そういう場合のことを想定すると、これはほんとうに独立的な性格を持った研究所にしておいたほうが、私はいいのじゃないかと思います。この点はひとつぜひ、ことしの発足まぎわにいま法案をやりかえるというわけにもいかぬとは思うけれども、もっともっと検討してもらいたい。そういう要望を実は申し上げたいのです。大臣、何かお考えがありましたらお伺いしたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 いま大学学術局長の答弁を聞いておりまして、やはり十四条の研究所はむしろ行政目的による一つの研究所である。たとえば、いま御指摘になりました今度できます特殊教育総合研究所、これとはやはりちょっと違う。もっともっと純粋な学問の領域だ。ということで、むしろ行政目的による研究所でないほうがよろしいということは一つ言えるのではないか。それから、先ほどからお話し申し上げておるように、それじゃ大学の付置研究所となりますと、ともすればその大学だけが使うという弊害もあろう。あるいは閉鎖的な面も出てくる。そうじゃなくて、国公私立の各大学等もこれを利用できるような体制というものが望ましいとするならば、第三の道として、このような形がいいのではないかということで落ちついたのじゃないかというふうに私は思うのでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 それでは一応皆さん方の御意見を承っておくことにいたします。  あと二、三点お尋ねしたいと思っていますけれども、たいへん時間があれでございますから、一つだけお尋ねをいたしておきます。  自治省が医大をつくる、これは文部省もよく聞いておられると思うのですが、自治省にここへ来てもらってその構想を聞けばいいのだけれども、皆さん方が十分承知と思いますから、辺地医大と自治省がいっているあの構想を、局長ちょっと説明してください。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 自治省におきましては、僻地の公立病院などに勤務する医者が得られないということから、その確保対策のために医学校をつくるということをお考えになっておるようでございます。当初は大学よりもむしろ高専という構想であったようでありますけれども、医学につきましては、人命を預かる相当高度の精神的成熟の上に医学の理論、技術を研修する必要がございますので、医専はいかがであろうかということで、自治省においても医専構想はやめまして、これは現在の基準にのっとった、形としては学校法人による私立の医科大学をそういう目的のためにつくろうということに構想を変えられました。現在進めておられるのは、この私立の医科大学構想でございます。私立医科大学と申しましても、これは単なる有志によって設立するのではなくて、自治省の肝入りで四十六都道府県が協力いたしまして、いまその準備会をつくっておられるようであります。必要な資金は自治省並びに各都道府県が持ち寄って、現在の医学の大学基準にのっとったものをつくる。学生に対しましては十分な奨学金などを与えまして、そのかわり、卒業したら何年間か、自治省や府県が必要とする僻地に勤務してもらうというようなことで設立の構想を練っておられるというぐあいに承知いたしております。

川村継義日本社会党

○川村委員 大臣、これは医者が足らない、医療問題が大きな問題になっている。これは昨年の秋田大学医学部を新設なさるときにも、ずいぶんこの委員会で各委員から質疑があった問題であります。私はそれをいまここで繰り返しませんが、なぜ、こういうような情勢にあるのに、文部省が医大をつくってりっぱなお医者さんを養成することをしないのか。辺地に赴任してもらうというならば、それの内容で、たとえば勉強するときの学費はどうする、卒業したらどれくらいは辺地に勤務するというような条件はあっても、どうして文部省が医師養成の医大を考えないで自治省にこれをやらせるのか。個人が医大をつくる、私はそれにどうこう言いたくないけれども、自治省というのは役所でしょう。なぜ文部省が医大をつくることに踏み出さなかったかということが、ちょっと頭にひっかかっているわけです。大臣のお考えをひとつ。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 われわれ、国立医科大学をつくりたいというのは、非常に強い願望でおるわけでございます。したがいまして、どういうような医科大学をつくるかあるいは医学部を増設するかと申しますのは、医学部のあり方、医師養成のあり方ということが実は大学紛争の発端になったわけでございまして、これは根本的に問い直してみなければならぬ課題であるということで、中教審を含めましてこの点につきましていまメスを入れておるところでございます。ところが、世の中はそういうこととはおかまいなくどんどん進むわけでございまして、辺地、僻地等における医者不足というものがきわめて強い状況になってまいりました。もちろんわれわれのほうでも、各学部に対しまして定員を増加するという形でこれを補っておりますけれども、それではとうていまかない切れない、需要にこたえることはできないというわけでございまして、いずれ中教審の答申はございますが、私といたしましては、本年度じゅうに文部省としましてもこの医学部をどういうふうに計画的につくっていくかということについての結論を得たいというふうに考えておるわけでございます。全然何も考えておらないということではない。しかしながら、そういう段階で自治省のほうで一番最初には高専という形でお出しになりましたけれども、いま六年の教育課程すらも、われわれは生命を預かる医師の養成ということには不足だという考え方に立って、これ以上水準を低下させるわけにはいかないということで、実はこの案に対しては反対をいたしたわけでございます。また厚生省当局においても反対されましたので、その点は自治省も思いとどまられたようでございますが、また自治省といたしましては、自治省が主体となって独自の新しい医科大学をつくる、それは私立大学と同じような形において一条校として認めていただきたい、こういうことでございますので、われわれといたしましても、そういう一条校としてのちゃんとした条件を整備されるならばそれはけっこうであるということで承認を与えた、こういうことでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 自治省の辺地医大の構想については、またいずれ機会を見て自治省にもいろいろ聞きたださなければならぬ問題があると思いますが、要するにいま大臣がおっしゃったように、速成的な、何か間に合わせ的な医師養成ということは、よほど注意をしなければならぬ問題があると思うのですよ。これは文部省も厚生省とともに自治省とよく連絡をとって、そういう結果にならないように対処してもらわなければならぬと思うのであります。  そこで大臣、いま中教審の答申を待ってという御決意のようだけれども、医大一つつくるにも相当な金が要るから、どんなに大臣が御決意になっても、なかなか右から左に動くかどうか疑問です。昨年、秋田大学の医学部をおつくりになった。ことしは、またどこか一つくらいは、全国を見渡して必要なところに医学部の創設でもなさるかと思っておったが、ことしはなかった。ところが、ちょうど一月の五日でしたね、大臣熊本にお帰りになって、医大をふやす、医師不足に対処するというお話があったので、実は題目を見たときにことしも一つできるかなと思ったのですが、実はそうじゃなかったのですね。そこで大臣のおことばの中に、これは新聞記事ですから正しいかどうかわかりませんが、「大学問題については、中教審の最終答申がこの五月に予定されているが、これを待っていては間に合わないほど医大増設は急を要する課題なので、四十七年度から実現できるようにしたい。」こう言っておられる。「すでに新年度予算で二百五十万円の調査費が認められたのでさっそく検討に入る。」——これは大臣、失礼ですが、この二百五十万円はちょっと間違っておりますね。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 もうちょっと大きいです。

川村継義日本社会党

○川村委員 それから、「この場合、医療行政とにらみ合わせ、全国各地のうちどこにつくるか、総合大学の医学部とするか単科大学とするかなど具体的に煮詰めていく」、こういうお話があっておりますが、来年、四十七年度は、とにかくどこかでつくるという一つの見通しは持っておられるわけですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 来年からはっきりつくるということは言ってはおらないわけでございますが、少なくとも来年からは取りかからなければならない。そしてそれまでにわが文部省においては全力をふるって、どういうあり方にするのかということ、それからその前提となりますのは、先生御承知のとおりにいま定員法で縛られておりますから、そのワクがございまして新しい大学をつくるというようなことはなかなかむずかしい状況にございますから、国民の非常な医科大学設立に対する要望、しかも一面においては私立医科大学において相当のお金を納入しなければその医科大学に入れないとなると、これは金を持っておらなければ私立の医科大学に入れないというこういう状況は、これはもうとんでもないことではなかろうか、そしてわれわれのほうがじんぜん日を延ばして国立の医科大学をつくらぬということは、これはどうしてもいけないというふうに私考えましたので、何としても今年度じゅうには、それに対する具体的な考え方をまとめたいという熱意があるわけでございます。できるならば、四十七年度からひとつ医科大学ができますように最善の努力をしたい。その前提といたしましては、やはり定数等につきましても荒木長官のところの了解を得なければなりませんが、その点についても、ぜひその壁を打ち破りたいというふうに考えておるわけでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 ぜひ努力を願いたいと思います。調査費は、これは五百万でしたね。たしか二百五十万じゃなかったですね。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 はい。

川村継義日本社会党

○川村委員 時間も参りましたからあれですが、私は最後に、この前、木島委員がいろいろと御質問いたしました養護教諭養成所の問題、養護教諭養成の現状等々は、この前いろいろと話が出ておりました。これはぜひ四年課程に——まあわれわれは、ほんとうは養護教諭養成所の設置法から、これこそ国立学校設置法の中に入れるべきじゃないかという考えを持っておりますが、それはおいたとしても、三年課程をぜひ四年課程にしてもらうということを強く私も実は要望したいのです。いま三年制で、専門教育課程それから教職課程等々、相当の単位を消化していくのに非常に苦労なんですね。これは先生方もたいへんですよ。やはり学校に赴任をしていく一人の先生ですから、四年課程が望ましいという結論が出ておるようであります。実は、きょうそれをいろいろお聞きしたいと思うのですが、時間もありませんから、これはぜひ文部省当局で検討願いたいということを要望しておきたいと思います。  私は、実はあと、この国立学校設置法一部改正に関連をして、先ほど高エネルギー物理学研究所がつくられる筑波学園都市に関係のある、筑波学園都市のほうに移ろうとしておる教育大学の問題、新構想大学の問題についてお尋ねをしておかねばならぬと思っておりました。もう一つは、大学入試のあり方、これは文部省からも一つの要領が示されておりますが、そういう問題について、実は国立学校設置法一部改正のこれに関連してぜひお尋ねをしたいと思っておりましたが、それに触れますと時間が詰まってしまいますから、それはいずれ大臣、局長にお尋ねすることにいたしまして、私は、これで私のきょうのお尋ねは終わらせていただきますが、要するに、大臣が今国会の初めにお述べになった所信を読んでみると、特に大学制度改革の問題もあります、学術振興の問題も強く触れられておる、そういうようなものを考えると、実際の本年度の予算措置というものはまだまだ手の届かない部面が多い。特に高エネルギー物理学研究所のあり方、問題については、やはりきょうお尋ねしたようにもう一ぺん検討しなければならぬ問題があるのではないか、こういうことをひとつ念頭に入れておいていただいて、今後の施設ができて、あるいは研究所の運営が進んでいく中において検討をぜひしてもらいたい。こういうことを申し上げて、きょうの私の質問を一応終わらせていただきたいと思います。

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十七分休憩      ————◇—————    午後三時六分開議

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国立学校設置注の一部を改正する法律案について、質疑を続行いたします。小林信一君。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 沖繩が返還されるにあたって、国立に移管されるような教育施設というものはあるのですかないのですか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 沖繩には現在琉球大学がございますが、これは返還された後には国立大学にするということで準備を進めております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 将来国立になり得るような付属高校とか付属幼稚園とか、付属のものはないのですか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 付属学校は持っておらないようでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 国立に移管をさせるという方針はきまっておるわけですね。そうすると、それに対する構想というふうなものがあると思いますが、それをひとつ御説明願いたいと思います。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 現在、琉球大学は五つの学部からなっております。移管にあたりまして事前に内容についてお互いに協議をしておりますけれども、率直に申しますと、学部の基準に照らしてみますと、本土の相当の大学と比べまして人員、施設設備などにやや遜色があるようでございます。そこで、いままでも援助ということをやっておりますが、ここ一両年さらに援助の程度を高め、それから琉球大学側でも御努力を願って、できるだけ円満に復帰後国立大学に移行できるように目下準備中でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 いまは程度の問題なんですが、その仕組みというふうなものが、たとえば教育委員会のように、公選制である、そして現在の日本は任命制であるというような違い、そういう違いは別にありませんか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 琉球大学は、沿革的に申しますと、最初は特殊法人のような形でできたわけでありますけれども、数年前に政府立という形になっております。言うなれば本土の県立大学のような形になっておるわけでありまして、政府資金で運営されておりますし、内容にしましても学割、学科、講座というようなものは本土の大学設置基準を参考にして組み立てられ、運営も本土の国立大学の運営などを参考にしておやりになっておるようであります。細部の点につきましてはニュアンスの違いがあり、また物的条件などにつきましては若干遜色があるようでありますけれども、移管にあたってやり方を根本的に変えるというような問題はないように承知しております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 もっと詳しくお聞きしたいのですが、来年沖繩が返還をされるとすれば、それと同時に国立に移管をされるわけなんですが、援助しておるというお話がいまありましたけれども、すぐ切りかえられるものかどうか。今回のこの法律等の中でそういうふうなものを見ることができなかったわけですが、それは心配ないのですか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 琉球大学の現状を見ますと、敷地、建物、設備、これらの点は多少の出入り、遜色があるようでございますけれども、かりに大学設置基準に照らして認可するかしないかというような尺度で見ました場合に、認可できない程度の遜色はないように思います。一番問題は教員組織でございますが、これも内々大学設置審議会などの意見を聞いております。現地から簡単な履歴などを取り寄せまして教員組織についての判断を仰いでおりますが、本土の大学認可の基準に照らしまして、教員が資格がないと認められるようなことは、どうにかなくて済むように思います。したがいまして、学生の定員に比べまして教員の数が足らないという点が、一番の問題であろうかと思います。これにつきましては、鋭意充足につとめることと思いますが、場合によっては若干の経過的な扱いをせざるを得ないのではなかろうかと思っております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 沖繩返還をめぐって、経済的な面その他いろいろ考慮されておるようでありますが、一番大事なのは、復帰して直ちに文化的な面がそこに格差を生じないようにするということは、そのときでなく、それ以前に配慮しなければならない問題だと思います。一応の検討はされておるようでございますが、これは移管をされて後にいろいろ問題があるのじゃないかと思いますが、来年度一年しかない。そういう状態からすれば、相当この点には積極的な取り組みをしなきゃならぬ、こういうことを心配するわけであります。  近々、衆議院から、与野党一緒になって幾つかの委員会が合流して視察をするという相談がなされておるようでありますが、文教関係からも、できるだけ代表の委員を各党が出して調査をする必要があるし、また、それに対しては文部省が資料その他というものを、われわれに勉強するように配慮していただきたい。実はいま本会議の中でそんな話を聞きましたので、この際、そういう点についての委員会としての検討の機会を委員長につくっていただきたい、私はこう思うわけであります。

八木徹雄自由民主党

○八木委員長 ただいまの御発言の沖繩視察の件につきましては、まだ正式に委員長のところに申し出がございませんが、おっしゃるような方向で議運で調整をしておるようでございます。仄聞するところによりますと、外務委員会を中核にしまして、その他委員会は人数がたいへん限定されるようでございます。当方といたしましては、当委員会単独でも視察に行きたいという強い希望があるくらいだから、善処方を要求いたしておりますが、いずれ理事会で御相談をいたすことにいたします。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 委員長のお計らいを感謝いたしますが、十三、十四、十五という差し迫った日程のようであります。委員会としてこの際、この機会を利用して——いままでそういう期待、希望というものがあったのですが、実現できなかったわけです。この際、できるだけ各党とも御協力の中で、成果をあげていただくようにお願いしたいと思います。  続いてお尋ねいたしますが、佐藤総理が新幹線大学というふうなことばをもって、だいぶ国民に何か新しい大学構想というものを投げかけたのですが、一体その新幹線大学と称するものは、放送大学であったのか、あるいは筑波新大学であったのか、あるいはもっとほかのものであったのか、この際、大臣は十分その点を御承知だと思うので、お聞きしたいと思うのです。私どもとすれば、あの当時大学紛争の中で軽率に大臣が口ばしったのか、あるいはもっと根拠があって天下に声明したのか、そこら辺、これは一応結末をつけなければならぬ問題だと思うので、お聞きしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 御承知のように、大学が量的にも質的にもいろいろ変貌いたしまして、そして現在の大学が社会の要請あるいは未来からの要請に対してなかなかこたえていない。大学紛争の原因も、あるいはそういうようなところにも一つの原因があるんじゃないかということが言われてきたわけでございますが、私もやはりそういうふうに考えるわけでございます。  それから、大学へ進学いたします学生の希望というものは今後なお高まっていく。それに対して、一定の能力のある人に対して高等教育機関で学ぶチャンスを与えるということは、政府としての当然の責任ではなかろうかというふうに考えられるわけでございまして、既設の大学だけで、あるいは定員増だけでまかなえるかといったら、そうではないのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。  それから、せっかく新しい大学をつくるとするならば、現在の既設の大学にとらわれない新しい大学を構想してもいいのではないかというような考え方から、あの新構想大学、これをたとえば新幹線大学というようなことばで言ったこともございますが、新しい構想の大学というのは既設の大学にとらわれない大学、たとえば、昨年私はイギリス、フランス、ドイツを、特に新しい大学を見てまいりましたけれども、イギリスにおきましては、すでにロビンス・レポートによりまして、既設の大学にとらわれない新しい大学が七つか計画をされ、一九八〇年までの計画がございまして、着々これを進めておる。それからドイツにおきましても、ボーフム大学等も見てまいりましたけれども、新しい大学が発足し、既設の大学とは全く違う——全くというわけでもございませんけれども、くふうをした新しい大学ができておる。それからフランスにおきましては、新しい法律に基づきまして新大学改革をやっておる。こういうようなことから、世界的に見ましてもやはり大学が新しく生まれ変わる時期に来ておる、こういうことが言えるかと思うのでございます。  日本の教育土壌におきましても同様な必然性を持っておる。そのために、どういうような新しい構想の大学をやるかということをいま中教審で検討し、この五月には最終答申が得られるのではなかろうかというふうに思っておりますし、私どもといたしましても、やはり長期教育計画を定めまして、一体今後十年後にはどれくらい高等教育機関に学ぶ学生を考えたらいいか。国立、私立、公立でどれくらいだ、あるいは日本列島全体に対して大学の配置はどういうふうに考えたほうがいいのか。六大都市に集中するというような、そういうことが一面において人間不在のいろいろの問題を投げかけているんじゃないか、大学紛争だってそれが原因ではないかというような反省に立ちまして、やはり教育環境にふさわしい自然の中、あるいは緑の木の多いところ、あるいは湖その他、そういったところに大学を構想したらばどうだろうかというような考え方も一面においてあるわけでございます。  たまたま教育大学が移転をいたしますが、せっかくそういう新しい構想の大学が練られておるとするならば、この筑波山ろくに移転をする東京教育大学も、新しい構想の大学として発足したならどうだろうかということで準備調査会等も設立されて、いま大学当局といろいろのマスタープランの内容を検討しておるということでございます。  それからもう一つは、マスメディアを媒介とするところの新しい大学、つまり放送大学というものの構想も、着々準備が進んでおることは御案内のとおりでございます。  これらのことをひっくるめまして新構想の大学ということでございまして、今後どの程度つくっていくかということは長期教育計画等の具体案を練りまして発表をいたしたい、また御協力をわずらわしたい、かように考えておる次第でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 新幹線大学を総理が表明されたときには、もうすでに一つの構想があって、構想があるけれどもいまは発表しないというくらい、何だろうかという中身を国民が知りたいくらいのそそのかせ方をして発表したものですよ。しかし、その後それを今度は押してまいりますといま中教審が中教審がで、その後抽象的なことばで、イメージがあるようなないような、そういう印象が与えられつつあって、最近その点があまり長過ぎる。それは、中教審の答申は五月出るとかいろいろなことをいわれておりますけれども、しかし、中間報告等を見れば、必ずしもそこに最初国民に与えた夢のようなものは望めないのじゃないかというようなことすらいわれておるのです。いま大臣がお述べになっても、きわめて抽象的なことばだけで、最初総理が投げかけたそのイメージというものはだんだん消えていくような気がいたしますよ。  そこで、私は特に注意申し上げたいのは、大学に限らず義務教育の制度を改革するにあたっても、大臣みずからほんとうに中小学校の現在行なわれておる姿というふうなものをもっと常に認識して、その上に立って、中教審の答申がどう出てくるか知りませんが、それをりっぱに現実に沿って消化するような態度を持たなければいけないと私は思うのですが、何か最近、私は黙って聞いておりますと、そっちのほうは忘れちゃって中教審オンリーのような、中教審の答申待ち、それだけが道であるかのように聞こえるのですよ。大臣は、文教政策では大臣以外に人はないといわれているわけですから、あるいは続いて大臣をやられるかもしれませんが、何となくいまの機構では、まあおれもそのうちにやめるんだろう、いまのうちに言いたいことだけ言っていればいいんだ、あとの責任はないぞというような憶測もするわけですよ。まあ非常に夢を出されましたが、将来のそういうもののことですが、たとえば教育大学の問題、教育大学にああいうふうな問題が出ております。移管賛成、反対というふうなものがあって、まことに悲惨な状態が教育大学にあるわけですが、あれなんかも、ただ筑波新大学に抽象的な夢を描くだけであって、もっと現実的な納得させるようなものがいつになっても政府のほうから打ち出されない、そういうところにあるのじゃないかと思うのですよ。そして新幹線大学というようなことを一方に口にしながら、一方大学の実態はどうか、こう考えますと、いろいろ問題があるけれども、経済成長は世界第二位であるという中で、教育予算なんというものはいつも政府予算の中に組まれ方が依然として同じ状態であって、特にその意欲を燃やして総理大臣が壇上でもって教育を重視しますというふうな、そういうものが具体的になってあらわれるようなことが一ぺんもない。中小学校の先生方の実態というものを、私はこの際大臣と具体的な問題をあげて実際話をしたいのですよ。そこへ着々と手を打つ、そういうものがいま要求されておるのですが、そのほうはいつになっても同じ状態であって、そうして中教審、新幹線というふうなものが今日の教育行政の実態ではないか、こんなふうに思われるわけです。  そこで、私は具体的な問題を取り上げるわけですが、川村先生が先ほどもお触れになりましたし、鈴木先生もこのことに触れたわけでありますが、医科大学、医学部の問題についてお聞きしたいと思うのですが、まず第一番に、自治省から来られておられますので、自治省のほうから、自治省がいま考えておる医科大学の構想について御説明願いたいと思います。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 御指摘になりました僻地等におきます医療を担当する医師養成のための医科大学の設置でございますが、現在、文部省なり厚生省なりとの協力もいただきながら準備を進めておるところでございます。  この大学は、都道府県を設立者といたしまして学校法人をつくりまして、その学校法人によって医科大学を設置するいわば私立の医科大学でございまして、入学定員は一応百名を予定いたしております。なお、大学の開校は四十七年四月を予定して準備を進めておるところでございまして、その建設にあたりましては、国庫補助金をも受けまして四十六年度から四十八年度までの三カ年間で校舎、付属病院その他の付帯施設及び設備の完了をはかりたい、かように考えて進めておるところでございます。  なお、入学資格でございますとかあるいは修業年限等は、もとより大学設置基準に基づきまして設置する大学でございますので、一般的な大学と異なるところはございませんが、ただ修学資金なり、いわば入学金、授業料その他の修学資金等を、在学生に一切都道府県の負担によりまして貸与してまいりたい。したがいまして、卒業後は一定の期間、辺地等の公立の病院等に勤務をしていただく、そして勤務をしていただいた場合にはその返還も免除して、いわゆる医療の機会に恵まれない地域の医療を確保してまいりたい。このような考え方で現在準備が進められておる、こういう状況でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 もう少し詳しくお話し願いたいのですが、私立という名目でお建てになる、しかし、補助金をだいぶ当てごとにしておるようですね。普通私立並みの補助金ですか、それともそこには、そうは言いながらも都道府県とかあるいは自治省という名前をうたっているから、たくさんにもらえるのだろう、そういうふうな予想をされておるのか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 この医科大学につきましては、いわば医療の機会に恵まれない辺地等のいわゆる地域医療を確保する、いわゆる医療格差を是正してまいりたいという総合的な過疎対策の一環として進められておるわけでございまして、建設費につきましては定額として十億円、四十六年度では、予算御審議賜わっております中で二億円の計上がされておるところでございます。建設総額は一応七十五億円を予定いたしまして、その補助金は、都道府県に対して補助をするという形で計上されておるところでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 都道府県に補助するという名前であっても、だいぶ国の力というものを考えているわけでしょう。それから今後は、教授等をどういう構想で、どういう予定でお集めになる考えですか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 現在この大学につきましては、先ほど申し上げましたように学校法人を設立することになりますので、知事さんの中で、これは正副会長以下七名の知事が発起人になって発起人会を開いておりますが、このほかこの準備を進めるために開設準備委員会、これは発起人の知事のほか、学識経験者等に参画をしていただいて準備が進められておるところでございまして、現在学長等についての選考を進められておるという段階で、ここでお話し申し上げられるように特定の先生がまだ具体的にきまっておる段階ではございません。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 いまだれをというふうなことでなくて、たとえばその点が、文部省のほうへお願いをするとか、いや文部省には一切お世話にならない、あくまでも都道府県の知事さんたち発起人が集まってそういう相談をやるんだ、こういうことを私は実はお聞きしたかったわけです。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 大学の設置の問題につきましては、広く文部省なり厚生省なりの協力もいただいて進めたいと存じておるところでございまして、それぞれいろいろとお知恵をかりながら準備を進めておる、こういう状況でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 いままでのお話を聞いても、都道府県の知事を発起人として、都道府県が金を出して、僻地の無医村ですね、そういうところに医者を充足するというたてまえでおやりになるんですが、結局その中の大きな力というものはやはり国の力であって、都道府県の知事さんたちが発起人になってきても、自治省のほうでもって教授陣というものはやはりつくるんじゃないですか。そういうふうに解釈してもいいですか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 最終的には発起人の知事さん等でいろいろとおきめいただくことになろうと思いますけれども、その過程の中では、当然のことでございますけれども、文部省の協力も相当いただかなければなりませんので、そのほか厚生省の協力もいただきながら教授陣その他の確保、準備を進めてまいりたい、こういうのが今日の考え方でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そこで各都道府県から入学する学生を出すわけですが、その場合の選考のしかたというふうなものは、いまどうお考えになっていらっしゃいますか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 現在考えておりますところは、入学の選考につきましては、先ほど申し上げましたように一応入学定員百名を予定いたしておりまして、各都道府県から大体二名程度くらい確保できるような形で、第一次的に都道府県知事の推薦をいただく、そうして最終的には大学で試験によって選考を決定したい、こういう考え方で進めております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 県で推薦するとき、それについてのもう少しこまかい何か構想というものがあるのかどうか。そういう点は、ただ選んできなさいというだけですか。最終的に学校で入試をやって、十分資格があればそれは入学させる。だが、その前の県段階でもってどういう人を選んでくるか、そういうところに対して細心の注意をしなければならぬものがあると思います。これは結局入学金もあるいは授業料も要らない、あるいは生活費も心配するのですか、そういうようなものであれば、選考というものは非常に問題になると思うのですが、各県の自主性にまかせるのか、あるいはこの法人がそういうことを規定するのか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 御指摘の点は全くそのとおりでございまして、生徒の学力の程度、そのほか情操、身体等の関係はもとよりでございますけれども、在学中に修学資金を貸与する関係もございますので、そういう意味で都道府県知事の推薦ということで考えておるわけでございますが、先ほど御指摘になりましたような細部の点についてはまだ未定稿の状況でございます。現在いろいろとそういう細部の詰めをしておるという状況になっております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 さらに、これは何か全国で二つつくるという予定だと聞いておりましたが、そのとおりですか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 当初予算要求をいたしております際には、医師の絶対数が不足しておりますけれども、とりわけ辺地等におきます医師不足の状況が深刻でもございましたので、三校設置いたしたいということで考えておったわけでございますが、補助金とのからみもございまして、現段階ではとりあえず一校ということでございます。将来のことにつきましてはまだ云々できない状況でございますけれども、私どもといたしましては、よりよい人間形成につとめるとともに、医学、医術の最高の水準を保つような大学に持ってまいりたい、こういうことで、そういうような環境を考えながら将来のことはさらに考えてまいらなければならぬのではなかろうか、そのように考えております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そうすると、いまのところ三校設置というものはむずかしい。そのむずかしい原因というのは、政府のほうでもってあまり心配してくれないということが理由になるわけですか。もしうまくいくならば、二校でなくてもっと幾つも学校を建てるということになるわけですか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 その辺につきましては現段階で、先ほど申し上げましたように、当初は二校考えて——われわれは少なくとも二校程度考えたいのでございますけれども、都道府県の負担との関連もございますので、そういうことを含めながら今後さらに検討を加えてまいりたい、こういうような考え方でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そこを念を押したいのですが、都道府県の予算とも関係があるから——ともというのは、何かほかにもあるということですね。要するに国の補助ですか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 それらのものを総合しながら考えをまとめてみたいと思うわけでございまして、現段階で二校というように、いま確定的にお答えをするような状況にはないわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そして、どこにつくるつもりですか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 この設置しようとしております大学につきましては、現在、いわゆる大学の医学部の設置されていない県が十六県ございますが、そういう医学部の設置されていない県、あるいは付属病院を当然持つわけでございますが、これが患者需要との関係を考慮するとか、あるいは教授陣の確保の問題を考えるとか、あるいは教育研究の施設、環境等を考える、そういうようなこと等を総合的に勘案いたしまして場所を決定してまいりたい、こういう考え方で進めております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 最後に聞きたいのは、百名では一つの県に平均二名ですね。二名でこれは所期の目的を達することができますか。

神崎治一郎自治省財政局公営企業第二課長

○神崎説明員 御指摘のように、二名ですと、今日の医師不足の現状から考えてみまするとなお不十分であろうかと思います。したがいまして、当然のことでございますけれども、国公立の大学について入学定員の増加等もいろいろ検討されておりますが、そういうことを考え、あるいはまた私どものほうといたしましても、現在都道府県が行なっております修学資金の制度の拡充、あるいは大学付属病院におきます医師に対する研究費の貸与、こういうような施策、あるいはまた国公立の病院についての施設設備の充実、そういうような策を総合的に進めることによりまして医師確保ということにつとめてまいりたい、かように考えております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 いまほんとうにざっぱくに自治省の予定をお聞きしたのですが、目的は過疎地帯とかあるいは僻地とかいうところに医者を確保することができないというところから、自治省として都道府県の同意の中でこの構想が持たれるわけですが、国も金を出さなければならぬらしいのですね。そしてしかも、せっかくこういう仕事をしましても、毎年毎年百名ずつ卒業していく、それは各府県に割れば二名ずつである。お話にもありましたように、最初は拘束するけれども、ある一定期間たてば自由であるといえば、これはやはりいつまでも僻地や過疎地帯に、医者の気持ちからすれば普通とどまっておらない。とすれば、しょっちゅう新陳代謝が行なわれるわけですが、結局十分その目的を達することはできないと思います。国の金を当てごとにしたり都道府県の協力の中で、初めてどこかの国に医者をつくるような形であって、その国には医科大学なんて全然ないような状態の中でするような気がするわけですが、これを見ております文部省、厚生省はどういうふうにこれをお考えになるか、両省からこれに対する御意見をお聞きしたいと思います。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 医師不足の問題に対処いたしまして、医学部の定員の増加あるいは新設の問題につきましては、ここ十年来だんだんに進めてまいっておりまして、今日までに約千五百名入学定員がふえております。四十六年度につきましても、現在国立で二大学、県立で一大学、それから私学で若干大学、保留分を除きまして現在までに二百四十名程度の定員増が見込まれております。なお、私学の新設あるいは定員増でなおペンディングがございますので、それらが認められればなおふえるわけであります。  文部省としては、厚生省の立てております医師の需給計画をにらみながら、できるだけこの医学部の入学定員増ということで対処しておるわけで、その後にこれが一体必要とする地域に配置されるかどうかという段になりますと、これは医療制度あるいは医務行政といいますか、そういうことと関連してまいりますので、文部省としてはそこまで手が及びかねるわけであります。そういう観点から、自治省において特定の目的のためにやや特別な配慮をする私立大学をつくるということにつきましては、文部省としては絶対数の増加だけでも処理できないという面があることなども勘案いたしまして、やむを得ないこととも感じ、内容的な面につきましては、御相談を受けまして御協力申し上げておる次第でございます。

新谷鉄郎厚生省医務局医事課長

○新谷説明員 今回の僻地医科大学の設置構想は、先ほど自治省から御説明ございましたように自治体が連合してつくるということで自治省のほうで推進されたわけでございますけれども、厚生省といたしましても、当初から自治省のほうのお考えにつきましては密接な連絡を受けてよく承知いたしております。こういう大学をつくることには積極的に賛成いたしまして、つくる以上はりっぱな大学ができるようにぜひ協力してまいりたい、そういうふうに考えております。  なお、この大学ができまして医師が養成されましても、先ほどお話がございましたように僻地に落ちついていただくためには、やはり現地の受け入れ体制その他ほかに検討すべき点もたくさんあると思いますので、そういう点で厚生省の果たすべき役割りもよく検討いたしまして協力してまいりたい、そういうふうに考えております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 文部省のほうの、自治省が計画する大学には、まあ何か責任もありますから、あまり積極的でないようであるけれども、こうやって進んでおる以上それが悪いとは言えぬから、やむを得ずしかたがないというようなお話、厚生省のほうはきわめて積極的にこれを推奨するようなお話でございますが、これは無理かもしれませんよ。文部省が、僻地やあるいは過疎地帯に医者を確保するような考えを持って大学を設置したり教育したりするということは、これは無理かもしらぬ。それは教育という中では、大いに医者は仁術でなければならぬというふうなことをする教育であれば、何も僻地あるいは過疎地帯に医者を配置するための特別な工作をしなくてもいいわけなんですが、とにかくそういう形式的なことはできないかもしらぬ。できないかもしらぬけれども、事全国をにらみ合わせながら、医者になりたい希望者もある、医者をふやせという国民の要望もある、一方においては国民皆保険とかあるいは福祉国家とかいう政策も掲げられておる、そういうときであれば無医村を解消するような考えの中で学校というもの、大学というものが設置されなければならぬと思うのです。そういうことについては、文部省と厚生省でもってもっと一体になった考えの中で、自治省があえてああいう計画をしなくてもいいものが私は出てこなければならぬと思うのです。そういう基本的なものを厚生省が忘れておって、自治省のいまのお話のように非常に無理な仕事ですよ。そして、はたしてその所期の目的を達するかどうかわからない、そういうものをあなたは推奨しておるけれども、それが厚生大臣なり厚生省の考えであると、こういうふうに承っていいんですか。

新谷鉄郎厚生省医務局医事課長

○新谷説明員 僻地医科大学を設置するにつきましては、当初は高等専門学校という形で設置をしたいというようなお話がございまして、そういう問題につきましては、厚生省といたしましても、今後における医師の資格という観点から賛同できないという態度をとったわけでございますけれども、いろいろお話し合いの結果、あくまで学校教育法に基づく大学として、学校法人として設置運用していくという方針になりましたので、厚生省が期待しておりますそういう医師教育が十分行なわれる。もちろん先生御指摘のように、そこまで学校の内容を整備することにつきましては、いろいろむずかしい問題もございますけれども、そういう方針が出ました以上は、何とか、先ほど申し上げましたように、いいものができるように協力してまいりたい、そういうふうに考えております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そんな私はお尋ねをしておるのではないのです。最初高専とかなんとかいう、それがだめだったからということじゃなくて、自治省がそんなことを心配しなくてもいいような、そういう医師を確保する、医師を配置をする、そういうことについて、これは文部省が私は主だと考えるわけですよ。さっき大臣が夢を説明されたけれども、現実はその夢から非常に遠い。医学部や医科大学の問題すら、自治省が何か構想をしなければ解決しないというふうな現状ではないかというところを私は言っているわけなんです。自治省なんかにそんな心配させなくて、厚生省にはそういう権限がないかもしらぬけれども、国民の医療、健康を管理するというふうな点から、これは同じ政府でしょう、だから、文部省にもっと積極的に働きかけて自治省のいまの計画に満腔の賛意を表するのでなくて、そういうことでなくて、本筋は文部省というふうな機関があるのだから、そのほうでやったらどうですかというような考えでなければいけないのではないか、私はこう言っているわけですよ。どうですか。

新谷鉄郎厚生省医務局医事課長

○新谷説明員 学校法人としての今度の大学を設立するということにつきましては、文部省のほうも御方針が出ておるわけでございまして、私どもといたしましても、この問題につきましては厚生省と自治省の間だけではなくて、文部省のほうとも、いままで三者で連絡をして進めてまいったわけでございまして、つくる以上はいい大学にするということにつきましては、三者の意見につきまして食い違いはないというふうに考えております。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 それはお役人さんが仕事をとる、事務を処理するだけの考え方なんです。もっと積極的にいかにして無医村を解消するか、そして医療をなるべく安い医療費で、しかも国民全体にこれを潤わせることができるかというふうな、そういう人間的な責任を感じてものを言ってもらいたいと私は思っているのですが、申請をされてきたからしたがってそれを許可する、こういう仕事が始まったら協力しなければならないということは事務的なことなんですよ。厚生省と文部省の関係というふうなものをもっと密にして、こういう問題を解決していかなければならぬのじゃないか。実は厚生省のあなたのほうに問題を持っていこうというつもりではないのですが、実は文部大臣にそういう考え方を持ってもらいたくてあなたのほうを責めているわけです。文部大臣のほうから御意見を承りますから、またしばらく聞いていてください。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 医師の養成ということは私のところが所管になるわけでございますので、したがいまして、厚生省とはよく相談をしなければならぬ。ただ、日本列島全体を見回してみまして、一体どれくらいのお医者さんが必要なんだ、そういう長期の見通し、計画、これはやはり厚生省でひとつお出しをいただかなければならない、また現に一つの案ではございましょうが、出ております。そういうわけでございまして、文部省と厚生省とはよく連絡をとりつつやっていかなければならないということは、先生のおっしゃるとおりに考えておるわけでございます。  ただ、先ほどから申し上げますように、大学紛争そのものも医学部のあり方、そういうものから始まっておりますから、そしてどういうふうに医師の養成をやるかということは非常にむずかしい問題であります。むずかしい問題でありますけれども、これは解決しなければなりませんし、そうじんぜん日を延ばすわけにはいかない、そういう事情にある。しかし、いよいよことしの正月から、私たちは、本年度中には具体的に医師養成についての考え方をまとめたい、こういうことを申し上げておるわけで、どうも文部大臣は、あるいは総理大臣は何か夢のような話ばかりしていて国民を惑わしておるというふうに聞こえる御発言でございますけれども、決してそうではないので、やはり大学制度にしましてもあるいは小・中・高の教育制度にしましても、これは一党一派ででき上がる問題ではない。国民各界各層がやはり大かたのコンセンサスの上に立って制度をつくりませんと、結局あとでまた手直しをしなければならぬということでございますから、制度の改革についてはそう拙速にやるべきものではないというふうに私は考えて中教審にもお願いをし、われわれ自身も考える。しかも中教審にしましてもただ最終答申を待つということではなくて、この間中間報告を何回かやって国民の各界各層に、いまの段階ではこういうふうにまとめましたがどうでありましょうかと、常に皆さん方の御意見を求めながらこうやってきた。これはいままでにない、文部省としては非常に柔軟なやり方をとってきておるのではないか。これをいままでは、何か自分たちだけできめたことは一切修正は相ならぬというような形で出したがために、いろいろ失敗した例もあるわけです。そういうやり方がいかぬから、むしろ中間報告の形で、最終答申の形で出して国民各界各層あるいは各政党の方々の御意見に十分耳を傾けて、そうして慎重の上にも慎重、しかし具体的に夢ではない、実現可能なものをやっていこう、こういうわけでありまして、われわれはこの考え方にちっともよどみはないわけでございます。どんどん進んでおるということは、ほかならぬ小林さんもひとつ御了解を賜わりたい、こう思うのであります。  それから、医学教育の要請にいたしましても、自治省からこういう話がありましたときに、それはわれわれの学校教育法に基づいた学校であるから、しかも僻地等にはなかなかお医者さんが行かないということであるから、それはけっこうなことであるということで御協力を申し上げておるわけであります。ただ、その際、自治大臣からお話がございましたから私は申し上げた。いま自治省関係で九つの医科大学をお持ちでございますが、その公立の医科大学の定員は六十名、八十名というところでございます。これをもう少し充実し、これをくふうされたならば、新しい大学をおつくりになって、いまから六年後に出てということよりも現実的ではございませんか。また、いままで九つの公立大学に対して、自治省自身としても予算をおとりになるという御努力もあったかもしれないけれども、結果としてはそうではない、われわれ自身も、文部省もこの公立の充実のためにはわずかなお金しか獲得できなかったという、そういう反省はいたしますけれども、何とか自治省と文部省と話し合いをして、この県立の医科大学を充実する方向へ進んだらどうでしょうか。その条件整備に国が全体として考え、大蔵省にもお願いをするというようなことならば、より現実的ではなかろうかということを私は申し上げた。現に福島大学においては、これは知事さんがお医者さんでもありますから、そういうところはよくおわかりだろうと思うのです。とにかく二十名ふやすということで予算をお願いしておるわけでありますけれども、そういうことはかなり現実的なことではないか。やはりそういうことも含めて、今後、私たちが国立の医科大学をつくるについてもこの公立大学をどう考えるか。ところが地方に行ってみますと、その公立の医科大学は、もう早く国に移管してくれとおっしゃられるわけです。その原因は何かというならば、十分な予算措置が国やあるいは自治省関係でできないというところにあるのではないか、あるいは定員の確保というものが十分でないのではないかというところにあるかと思うのであります。そういうようなことを基本的に政府全体としてやはり考えなければならぬということは、もう先生御指摘のとおりでございまして、私自身が文教委員として、文部大臣をやめましてもこの問題はやはり文部大臣のときからの問題でございまして、死ぬまでこれは考えていきたいというふうに考えておるのです。それはひとつわかっていただきたいと思います。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 いまの問題を分けますと三つばかりになると思うのですが、第一番は、いろいろ意見を聞いて新しい制度をつくっていく、その仕事をするのに何が悪いか、私は決してそれは悪くはないと思うのです。しかし、そう言いながら自治省でもってこういう医科大学をつくらなければならぬというようなことは、私は何か矛盾を感じているからその点を一つ申し上げたわけです。それについていま大臣がおっしゃったように、九つの各都道府県がつくっておる公立の医科大学がある、だから、その定員をふやすとかそういう形でもってやったらどうか、この御意見も私は正しいと思う。正しいと思うけれども、そういう意見を持ちながら自治省を説得できなかったというのは、文部大臣、どこか教育的な熱情というのが足りないのじゃないか、こうも考えられるわけです。  それから、将来にわたっても云々というようなお話があったのですが、それはみんな同じですよ、その気持ちは。とにかく新しい制度をつくる——確かにそれが進みつつあることについて私どもがとやかく言うのじゃない。だがしかし、そこになりまして、あなたが一生懸命になっておいでになるときに、足元のほうはがらがらになるというようなことが見えているのじゃないだろうか。だから、そのほうもしっかりやりながら構想というものも立てなさいよ。しかもその構想が、中教審、中教審という名前だけなんで、もっとこういうものですというものが——それは中教審の中間報告もありましたよ。ありましたが、もう少し国民がなるほどと思うような、絵にして見せるようなものが出てこなければいかぬと思うけれども、いまの医科大学の問題一つ取り上げてみても、それはやはりただ宣伝にすぎないのじゃないかというふうなことになると思うのですね。  そこで局長にお伺いいたしますが、ことしの医学部の志願者はどれくらいあるのですか。競争率はどれくらいですか。ほかの一般大学との比較はどんな比率になりますか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 医学部だけでなしに歯学部と一緒の資料があるわけでございますので、多少正確を欠きますが、それで申し上げますと、医学部、歯学部、国立で二千七百三十の定員に対しまして三万四千九百五十七の志願者がございます。したがいまして、倍率は十二・八倍ということになります。それからなお、これを一期校、二期校に区分いたしますと、一期校の場合、これは旧帝大系が多いわけでありますが、千九百五十の定員に対しまして一万五千七百五十八人の志願者で、八・一倍でございます。それから二期校のほうが、これは医科歯科大学その他ということになりますが、七百八十名の定員に対しまして一万九千百九十九名、二十四・六倍という倍率になっています。平均いたしますと十二・八倍になります。国立大学全体をとりますと、入学定員六万七千八百四十名に対しまして志願者が三十五万八百八十四名、倍率にいたしまして五・二倍でございます。昨年も大体同様の傾向で、倍率等からいきますと昨年よりはやや減ったという感じになっています。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 もう一つお伺いいたしますが、ここにこういうデータが出ているのです。日本の総人口六千万のときに医者を養成した数は四千である、いま一億の人口になっておって、計画的に養成される医師が四千三百である、こういう数字があるのですが、これはどうですか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 人口六千万の場合の対応は、正確に存じませんが、大体戦前昭和十年代ごろに、医師の養成数は、医専も含めまして大体四千台だったと思います。現時点では、御指摘のように四千三百八十名でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そうすると、相当医療制度というふうなものが進歩して、医者にかかる率というか機会、そういうものは多くなってきている。またそういうことが政治の重大な面である。そして世の中はこうして進歩しておる。進歩しておって、なおかつ六千万人の時代と同じ医師が養成されておる。こういう点から考えても、もっと医者というものをふやさなければならぬことはわかるわけです。そして、いまのように希望者は多いわけです。そして、一般の国民の声として医者をもっとつくれといっておる。それがつくれないというのは、国の予算がかかり過ぎるからか、あるいは、厚生省のほうにお伺いいたしますが、かつて四千くらいのときにこれ以上医者をつくるな、大体この程度の人数にしておけというふうな医者のほうからの要請があって、厚生省のほうはある数字で押えて文部省のほうの医師養成というものを拘束した、こういうふうな声も聞くのですが、まず、厚生省のほうではそういう意向を持っておるかどうか。

新谷鉄郎厚生省医務局医事課長

○新谷説明員 かつてそういう考え方があったかどうか、私は存じません。現段階におきましては、先生御承知のように医師数が絶対的に不足しておる、そういう観点で、昭和六十年までの間に約六千人の大学の医学部の定員をふやしていただきたいということで、文部省のほうに厚生省の立場でお願いをしておるという状況でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 そうすると、文部省の怠慢かあるいは大蔵省が金を出さないのか、あるいはそういう教授陣を整備することができないのか、その他にもいろいろ条件があると思うのですが、そういう厚生省の要請にも、入学しようとする学生の希望にも、あるいはもっと医者をふやしてくれという国民の声にも応ぜられないのは、一体どこに原因があるのですか。大臣のほうがいいと思うのですがね。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 その要請が厚生省から出ましたのは、おそらく去年だろうと思うのです。ですから、それに基づいてわれわれのほうでは計画を考えておるわけです。これは先ほど申し上げたような状況だと思うのです。  それから、厚生省のほうでも、それは一応の試算だと思うのです。そのことについては、厚生省と私のほうといま接触を始めておるという段階でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 厚生省のほうから要請があったのが去年である……(坂田国務大臣「だろうと思うのですよ」と呼ぶ)いいです。(坂田国務大臣「大事なところだよ。局長、それははっきりしなさい」と呼ぶ)

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 医学教育機関の養成数の問題でありますが、戦前は、医専を交えまして大体四千名程度でありました。戦時中に主として軍医なども不足いたしますので、医専を大幅に増設しまして、医学校が一番ふえた時点では、医専を含めましてたしか六十八校にまで達したことがございまして、養成数が一万人をこした時点がございます。戦後になりまして、一面では、こんなに医者を養成するのは戦後の状況に合わない、それから医師の養成は医専では不適当であって、これは大学にすべきであるということで、文部省、厚生省、医師会、それから医学教育の関係者で協議会を持ちまして所要数なども算定した結果、大学だけにしぼって人口十万人当たり百人を目途として、養成数を二千八百程度にすれば足りるという結論を得まして、それによって医専は大幅に整備して、大学になし得るものは大学として、これを四十六大学にしたわけでありまして、四十六大学で二千八百四十という定員をきめました。そういう関係で、むしろ戦前からの大学では、百人以上も養成しておったものを最高限八十人、それから新しい大学のごときは、四十名でスタートさせるというようなことで再編成したわけであります。こういう状況が実は十数年続いたわけであります。私どもとしては、戦前に比べましてちょっとしぼり方が激し過ぎるので、戦後の情勢の安定に対応いたしまして、医師の養成数も若干ふやすべきではなかろうかという感じは持っておりますが、厚生省あるいは医学教育関係者の間では、養成数をふやすべきだという意見は昭和三十七年ごろまでは出てこなかったわけであります。むしろそれまでは、人口十万人当たり百人というようなめどで、まだまだ少ないということはない、医師の不足はむしろ地域的あるいは配置上の問題であるという御意見が強かったわけでありますが、昭和三十七年ごろから、医療制度の整備それから医療内容の複雑化等に関連いたしまして、医師は若干ふやしてもいいじゃないかということに相なりました。しかし、その時点では、まだ需要数の推定というような全体的な作業は行なわれないままに、多少ふやしてもいいではないかというようなきわめて大ざっぱな検討のもとに、医学校の入学定員増を希望するところについてはふやすという措置をとったわけでありまして、自来、入学定員の増加、それから昨年あたりからは医学部の新設にも踏み切りました結果、増員の合計が千五百余ということになって今日に至ったわけであります。  一応推定にしましても目標の数字が示されたのは、大臣も申しましたように昨年初めてでございますので、医学部というのは、御案内のように膨大な組織、人員、特に医師ないしそれに関連する看護婦その他の従事員の相当数を要する施設でございますので、必要性が立てられましても、それを直ちに満たすということはきわめて困難でございます、そこで、この目標を一挙にということはなかなかむずかしいわけでありますけれども、一応の目標が設定されましたので、必要な要員の確保、行財政措置などをこれから進めていきたいと思っております。ネックとしては、御指摘のように非常に膨大な費用がかかるというのもかなり大きなネックでありますし、医師、看護婦等、医学部をつくれば病院を含めまして千人近い人が要るというようなことも、これは数量的にも非常にネックであります。それから医学部の教員組織、これも基礎、臨床を含めまして相当数の適格者が要るわけであります。臨床面もさることながら、基礎の適格な教授を得るということは、最近そうたくさんつくらない段階でも、すでに部分的には困難が感ぜられております。そういう人的、物的な面できわめて困難の多い仕事でありますけれども、医学部の増設についてはできるだけ努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 大臣のほうは、厚生省からの注文が昨年だったということでのがれようというわけですが、決してそれでのがれられるもんじゃないと思うんですよ。厚生省からそういうふうなものがあろうがなかろうが、教育というものはすべてから優先しなければうそなんで、経済成長そのものにも教育が優先をしていくということは、これは大臣もかねがね言われておったことですが、それが、なかなか教育というものは一朝一夕に成果があがるものではないだけに、それだけよけいに新しい社会の進展があるならば、それに即応する手段というものを教育は常にとらなければならない。厚生省から要請があったから、それから着手するなどということは、おそらく理由にはならないと思います。大臣もきっとそういう意味でお答えになったと思う。それから、教授陣もそろえることができないとかあるいは金がかかるとかいう問題を局長は言われましたけれども、とにかく国の政治の方向というものは、何といっても国民から病気をなくす、こういうことが一番国民を幸福にすることなんです。そして一方では、現に先ほど申しましたように医者のなり手が続々とある、国民は医者をつくれと言っている、そういう中で取り組み方がおそいということは、教育行政というものが、いま制度の改革のために一生懸命苦労しておるというだけではこの問題は解決しないと私は思う。それも進めながら、そういうものにも一歩一歩先手先手と打っていくような教育行政でなければならない。いま経済成長というものが、国民にただ物欲だけを旺盛にしてしまって、精神的な面をどうするかというようなことがいわれておる。これは決して文教行政だけの責任だとは私は言わないけれども、そういう点に常に考慮をし、責任を感ずるような文教行政でなければならぬと思うのです。  そういう意味で、私は、この医科大学あるいは医学部という問題がもっと真剣に取り上げられなければいけないじゃないかという点を指摘したわけでありますが、そこで、金がかかるという中で、これは武見さんあたりの言い分を聞けば、私立大学が医学部を持ったり、新しい医科大学をつくったりすることを非常に罵倒するようなことばで言っておりますが、これはやはり社会の一つの情勢の中からそういうものは生まれるわけで、私立の医学部というものもその後たくさん生まれてきておりますし、去年も現に三つの私立大学が認可された。いまも相当に申請をされておると聞いております。それはやはり一つの社会情勢に応じようとする学校経営からだと思うのですが、武見さんに言わせると、自分の経営する病院の医師補充に行き詰まった企業大学がそういうことをするのだ、したがって、教育にはしろうとの病院事業家が、定年退職教授を集めた大学でほんとうの医学教育ができるかというふうに言っておりますけれども、そういうものがあるかもしれぬけれども、やはり国のほうの体制というものが不足しておるから、社会的な要求の中で私立大学の医学部というのがつくられる。ところが、いま局長が言うようにたいへん金がかかります。その金を今度はどこにしわ寄せするかといえば、入学する者に寄付金を要求するというような形になる。去年あたり大体一千万円の入学金が取られましたが、その中で、私の聞いたことばですが、ある大学のえらい人ですが、その人は一千万ぐらい安いもんですよ、来年あたり五千万になるでしょう。ことしのことですがね。そういうようにたくさん金がかかっても、いまのように要望するものが多ければ、そういうものが消化されていくわけでしょう。しかし、その結果どうなるか。一つは医療費が高くなるというふうに、今度は国民にしわ寄せが出てくるといっております。それは厚生省なりあるいは文部省なりから御意見を承る大事なことだと思います。そうして医者が仁術でなく算術だ、こういうふうに世間の医師に対する従来の考え方というものが変わった形でいま出てきつつある。中には国家試験をもっと厳重にやれ——ということは、金でもって入る学生がたくさんいる、粗製乱造だから、したがって人の命を預かる人が、きわめて危険に感ぜられるものがある。だから国家試験を厳重にやれ。私どもは、大学を卒業するなら、それでもって医学部を出たんだから国家試験の必要はないじゃないか、こんなふうに考えておったんですが、最近のそういう人たちのことばを聞くと、非常に試験がやさし過ぎる。もっと厳重な試験をやれ。厚生省から伺ったんですが、必ずしもその試験もやさしくしているわけでなく、九七%、九八%の合格率で、落ちる者はわずかだというふうにいわれております。試験問題も厚生省がかってにつくるのではなくて、全国的な一つの問題を出す機構をつくり、それを選択する審議会をもつくってやっているので、決してむちゃなものではないという話は聞いておりますが、しかし、そういう声もあるのですよ。したがって、いまこの医者の問題に対していろいろな意見が出てきております。こういうふうな声に対してどういうふうにあなたはお考えになるか、お聞きしたいと思うのです。  もう一ぺんまとめます。私立大学が医学部、医科大学をつくるようにたくさんなってきた。しかし、それは大かた入学生からたくさん金を取るという形になっている。まずそこに、してはいけない負担というものを父兄にさせて、教育が行なわれているわけですね。それがひいては医療費に響くんじゃないか。そういう中でもって、従来医者が世間から期待されるものは仁術でなければならぬ、それが算術になってきておるという、医者に対するいわゆる営業本位な形になってきているそういう問題、そして国家試験の問題、これらについて大臣のお考えをお述べ願いたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私も厚生大臣はやりましたけれども、厚生大臣の答弁みたいなこともつながっていくんじゃないかと思いますが、しかし、私が申し上げたいのは、決して私が国立の医科大学をつくらないと言っているのじゃないので、非常につくりたい、つくりたいんだけれども、しかし、それにはちゃんとしたつくり方をしなければいけないのだ、その順序を踏んでおりますということは、ひとつわかっていただかなければいかぬと思うのです。  それから、今日、あなたがいま御指摘になりましたように私立の医科大学ができる。ところが、先ほども私が申し上げましたように、その入学納付金というものが相当の多額のお金を要するようになってきておる。これは事実だ。そういうことをよく聞く、またどうも事実らしい。こういうようなことでいけば、金を持った者ならば医学教育は受けられるけれども、そうでない者は受けられない。これは社会問題じゃないか。こういうことではいけないので、それをなくしていく方向としては、まず第一に、国立の医科大学をつくるということなんだということを、るる申し上げておるわけです。  それからもう一つは、私立の医科大学にしましても、あるいは私立大学にしましても、なぜそのような多額のお金を取らなければならないのかというならば、従来のその私立学校に対する国の助成というものが十分でなかった。この点で、去年から、実は私立大学に対する人件費を含む経常費助成というものをやっておる。しかもそれは傾斜をつけまして、医学部、歯学部ということに重点を置いてやってきておる。こういうようなことも、私たちが、どうやってそういう入学金が高くなっていくか、それを何とかとどめさせようという意欲のあらわれである、こういうふうに見ていただきたいというふうに思うわけです。小林さんがおっしゃるようなことを私は全然否定しておるわけではございませんし、むしろその方向でもってやっていこう。ただ、そうは言っておるものの、現実問題としてはちっとも実効があがらぬじゃないかということについては、まことにそのとおりでございます。ただし、それは順序を踏んでいかなければならない、その道を文部大臣としては踏まざるを得ないのだ、しかし、本年度中には具体案をきめたい、こういうことをるるもう何回も申し上げておるわけでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 私学に援助をしているじゃないか、しかも医学部を持つ大学には特に傾斜をつけてやっているじゃないか、これは私も認めます。認めるよりも全くいいことだと思う。だが、いまの状態じゃどうしようもない。もっとやはり、一千万の寄付金をしなくてもいいような国が援助をするには、大臣が相当な決意をして、閣僚全体を説得するような力がなければできないと思うのですが、そこまでいかなければならぬのが現実だと思うのですよ。  それから、つくりたい、国民の要望にこたえてもっと医学部を設置したり、医科大学を新設したりしてつくりたい、だが、そのつくる順序を考えさせろ、結論がいま出てくるから、こういう話ですが、私は必ずしもそれを待って構想を練る必要もないと思うのですね。一応あるものは構想を練って、国民を安心させるような構想を出す。それと、いかに新制度にのっとって学校というものを運営するかというようなことについては、私は別問題だと思うのです。要するに国民の要望あるいは入学しようとする人たちの希望、そして医療制度をもっと充実しなければいかぬ、こういうふうなものにこたえるために医者の学校をたくさんつくるというふうな構想をつくることは、私は何も中教審の答申を待たなくてもできることだと思うのですよ。それはいま大臣が持っておられる構想、一つの学校で百億かかる、二百億かかるというときに、そんなに無制限につくれるものじゃないけれども、私はこのことを最後にお聞きしたいのですよ。  先日、文教委員が北海道を視察したときに旭川に行きました。そうしたら旭川市長その他が来まして、ぜひ旭川に医科大学、医学部を置いてくれという陳情をされました。そして道庁に行ってその話を聞いたら、北海道では釧路と旭川と両方がいまあがっている、そのどちらを先にするかということがいま道の悩みです。まだ文部省の腹もきまらぬのに、下のほうではそんな悩みを持っておるわけですよ。私はそのときに、どっちのほうなんという苦しみ方はしなくても、金はかかってもあの広い北海道なんだ、いまの自治省の問題もああいうところにあるのだろう、旭川と釧路の両方を満足させるようなことを、この際思い切ってできないものかどうかというふうなことを考えると同時に、やはりそれが単に医学生をたくさん入学させるという問題でなく、医科大学があればその地域の国民の健康管理ということは、私は非常に助かると思うのですよ。ただ養成機関であるといえばそれまでなんですが、付属病院を持ち、研究機関を持っておるわけです。最近、公害なんかでもって、徐々に独特なものが発生しておるというような問題を解決してもらいたいというふうなことからも要望が出ておって、これはどこの県に置くというのではなくて、いまでなくてもいいが、一応文部省の計画というものが出されて、将来は必ず各都道府県に一つずつは医科大学かあるいは医学部が、国立がなくて私立がやっておったらそれでもいいのですが、国民の健康管理に万全を期するためにも、そして医師の充実をはかるためにもそういう考えを持っております、そういう構想で進みます、それも中教審の答申が出てくるまで待てという時代では、いまはないと思う。あまり待ち過ぎるから、自治省の計画というようなものが生まれてくるわけです。私は、自治省のあの計画というものがなされても、医者の絶対数というものを確保しない限り、この問題は決して解決しないと思うのですよ。私は、そういう意味から大臣に、この際——中教審を待ってからでなければできないというなら、もうこれ以上聞きません。そういう計画も言えないというならば聞きませんが、それくらいでなければ、ほんとうに満足した医学部あるいは医科大学の設置はないと思うのですよ。  それから、これは管理局長の責任になるかもしれませんが、とにかく最近の私立の医科大学の寄付金の取り方は、少し野放しのような気がするのですね。これに対しては、いまのような希望者が非常に多い、そういう中でその希望者を満足させるためには、高い金を集めても私立の医科大学がふえることを文部省は希望しておる、そういう立場からあまり文句を言うことはできないというふうな立場でもって遠慮しておるのか、あるいはそのつど、それじゃ少しむちゃじゃないかというふうな、そういうことも言っておるのか。もうこのことについては文部省の手が出ない、そうして医者になるためには金が必要だというふうな宿命的なものが国民に考えられておるんですが、この際、文部省は放置しておるのか、それに対しては重大な関心を持って何らかの相談をしておるのか、これはひとつ国民に聞かしていただきたい。重大なことだと思いますので、お願いいたします。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 北海道の事情は私もよく聞いております。そういうようなことを考えて、とにかくあの中教審の答申も五月には出ることです。しかし、私は大学局長にはこの正月すでに、中教審は中教審として、わが文部省としてもこの医師養成の問題については本年度中に、とにかく具体案を発表できる段階まで進めてもらいたいということを指示いたしております。また現にやっておるわけでございます。まず第一には、たとえば五百床以上の病院というようなものが全然ないようなところ、それから私立の大学もない、あるいは国立の医科大学もない、そういうような地域をまず最優先的に考えていかなければいけない。それからやはり、その地域にそういう国立大学あるいは公立の医科大学というものがあるのとないのとでは、その地域住民における医療は非常に違う。それがセンターになって、そうして公害病をはじめとしていろいろのむずかしい病気が発生しておる、それで開業医の人たちがいろいろ診療される、そしてその中でどうしても手に負えないものは全部そこへお願いをする、またそれについて研究をする、あるいは開業医の人たちが、そういう医科大学があれば、一たん開業してやりながら、なおかつ時間を見て研究をするというようなこともできる。それからその地域独特の地域病というものもあるわけでございます。そういうようなことについて、その県なりあるいは国なりの病院が研究をし、その研究の成果を地域社会に還元していくということが非常に大事だということで、やはり地域地域においてそういうセンターがあるということが望ましいことだというふうに私は考えておるわけでございます。

岩間英太郎文部省管理局長

○岩間政府委員 先般私学振興財団法を御審議いただきましたときにも、私どもといたしましてはああいう人件費を含む経常費の補助金を創設いたしました場合に、私学の水増し定員とそれから法外の寄付金、この二つは明らかに何とかしたいということは大臣からも申し上げました。医学部につきましては、実際に金がかかることは事実でございます。大体年間に、学生一人当たり百万円くらいかかるのじゃないかということをいわれております。ところが実際に授業料として取っておりますのは、その半分の五十万円程度ということになりますと、どうしてもあと六年間の差額というものを何かで埋めなければいけないわけでごいますが、従来は病院の収入等をもってそれに充てるというようなことも行なわれておりましたけれども、最近では病院の収入もそう黒字が見込まれないというふうな状況でございます。そういうことで、だんだんとそういうふうな悪い傾向が目立ってきたというふうなことではないかと思います。  その対策につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、既存の医学部につきましてはこれは助成を強化してまいりまして、そういう法外な寄付金を取らないでも済むようにするということが一つではないかと思います。それから新設のものにつきましては、私ども、そういうことがあっては認可するわけにはいかないということを重々申しまして、そういうことを防いでまいりたいということでございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 それじゃ、最後に大臣、大臣だって私の言っていることがわからぬわけじゃないと思います。そして大臣のいまの、すでに局長にそういうものは伝えてあるということを信じます。それがなければ、いままで坂田文部大臣に払っておった敬意は全く帳消しにしなければならないような気持ちですが、そこで、中教審中教審と言っておりますが、いまはこういう声があるんです。なぜ国立大学あるいは私立大学のあの収容人員、入学定員ですね、たいがいあれは八十、百でしょう、もっとふやしてやらぬですか。私立なんか、八十の大学だってはっきり言ってますよ、文部省なんか決してこんなことに干渉しないのだということで、平気でもって水増ししておりますよ。もっと積極的に、いまの現行制度の中で定員をふやすことによって医者の数をふやすことだって可能でしょう。これくらい、なぜやらないのです。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 大学が、特に私立大学の場合、入学定員を越えて入学させておる事例は多々あるわけでございますが、医学部に関しましてはその程度がきわめて低うございまして、大体定員ないしその一割程度でおきまっております。と申しますのは、医学教育の特性からいたしまして、いろいろあるわけでございますけれども、特に人体解剖というのを必ず必修いたします。人体解剖というのは、以前は学生四人一組、最近は二人一組で、必ず頭から足のつま先まで解剖の実習をやった上でないと、それから先に進み得ないわけであります。この人体解剖というのが、また社会情勢の進展の反面、非常に獲得困難になっております。そういう制約もありますので、医学部の定員については、医学関係者は、現在設置基準では最高限百二十になっておりますけれども、百名を限度としたほうがベターであるといいますか、そういう意見でございます。しかし、こういう情勢でもありますので、文部省としては、現に設置基準が最高限百二十名になっておるから、その施設設備、人員等が整うのであれば百二十名限度まで入れてほしいというような意向も伝えまして、この四十六年度からは若干の大学で百二十名ということで増員をいたしております。しかし、それにいたしましても医学部については定員厳守というのは、何も文部省が形式的なことを申すまでもなく、医学教育者の間の常識として大体守られておるというのが実情でございます。

小林信一日本社会党

○小林(信)委員 整うならばという、これはそういう意味だったかちょっとわからなかったのですが、施設が、あるいは教授陣が整うならば、これは文部省側が学校側に言うことばであるとするならば、そういう消極的な態度が増員をすることをはばんでいるのじゃないか。してやるから定員をふやせというふうなことがいま要求されているんじゃないかと思うのですが、金のない文部省のそれが痛手かもしれませんが、私はそういうところにいまの問題解決があると思うのです。   〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕  そこで、厚生省からお聞きしますが、公立の病院にいわゆる公務員としてつとめる病院のお医者さんが大体十万円、それから私立の病院につとめるお医者さんが三十万円、開業医はその十倍だというふうに、医者になってからの給与のあり方というものは非常に差別があるのだそうですが、厚生省がつかんでおるのはどんなものであるか、そういう大きな差別が出てくるのはどういうところに原因しているのか、医者の不足から出てきているのかあるいはそのほかの問題があるのか、そこもひとつお聞きしておきたいと思います。——むずかしければいいです。  要するに、そういう非常な矛盾というものが医者の中にあるわけですが、医者は必ずしも三十万円、百万円取らなくても一般人を考えれば、自分が修業中金がたくさんかかったから金をたくさん取るということはなくてもいいと思うのです。開業医は非常に収入があるということから、いろんな点で問題が起きているわけです。医者の希望者が多いというのも、そんなところにあるのかもしれない。医者の子供は必ず医者にしなければならぬというので無制限に金を出すというようなことが、私学の寄付金を高くしていることになってくると思いますが、結局は医者の絶対数が足りないからじゃないか、こう思うのです。もっと潤沢にすればそういう問題は解消すると思うのです。私は大臣にも失礼なことを言いましたが、とにかくこんなに入学希望者が多いのですからね。そして医者が足りないというのですから、中教審の答申がどうであれ、何か局長に命じたという構想を早く実現してこの問題を解消しなければいけない。そういう姿勢をもって中教審を振り回せばそうでもないのですが、どうも実際が何かもの足りぬ。あるいは新幹線大学なんて総理も無責任なことを言うが、現実はこうだ。もっとしっかりしてもらいたいということを申し上げたわけでありますが、ひとつよろしくお願いいたします。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長代理 山中吾郎君。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 私、最後の質疑者だと思いますが、この国立学校設置法の一部改正の内容は四つの要素があるようであります。第一は大学院の設置、第二は短期大学部の設置、第三はその他の研究所の設置、第四は高専の設置であります。若干ずつ疑問がありますけれども、時間がありませんので、その中で大学院と高専について若干の提案をしながら、こういう小出しに出るものが、中教審の答申に基づいた新しい学校制度にやがてどういう位置づけ、関連があるかということは、この法案の審議に非常に重要な問題でありますから、その点をしぼって、できる限り簡潔にお聞きいたしたいと思うのであります。  まず大学院でありますが、局長にお聞きします。現在の大学院が収容できる能力ですね、日本国全体で、同一年齢人口で何%収容しておるか、博士課程が何%、修士課程が何%、それから私立と国立とどういう比率であるか、それをお聞きしておきたいと思います。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 現在、大学院を置きます大学は、国公私立合わせまして百八十校でございます。これは全大学の四七・一%に当たります。修士、博士の両課程とも持ちますもの九十三、修士のみ設置するもの六十六、博士のみのもの二十一でございます。  入学定員は、修士課程で一万七千六百二十一人であります。これは、同一年齢層の正確な数字は持ち合わせておりませんが、現在、同一年齢層はおそらく二百万程度おろうかと思いますので、一%程度でございます。それから博士課程は、入学定員が七千四十一人でございます。  それから、国公私立で申し上げますと、修士課程のみを置きますのは、国立が三十二、公立が五、私立が二十九であります。それから博士課程のみを置く大学は、国立が二つ、公立が七つ、私立が十二であります。両課程とも置くものは、国立が二十五、公立が七、私立が六十一でございます。合わせまして、大学院を置く大学百八十の中で、国立が五十九、公立が十九、私立が百二ということになっております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 同一年齢人口のパーセンテージを聞いたんですが、私の問いに答えたのは、修士課程が同一年齢人口の大体一%程度ということだけで、あなたはほかは何も答えてない。資料がそこになければいいです。あとで出してください。日本の国力発展その他を含んで、大学院計画として同一年齢人口の大体何%程度必要か、こういう大学院計画が必要だと思うから聞いているわけです。いまお聞きしたら、修士課程は同一年齢人口の大体一%だと言うが、これは非常に少ない。博士課程はわからぬようですが、この点については、日本の国民の中の最高の研究者、技術者であるから、大体のめどとして、国民の素質その他も含んで最低何%までは必要であり、文部省の教育政策、大学計画としては、ここまでは増設をしていきたいというくらいのめどはお持ちになるべきであろう。これは、個々の地方の設備、施設が充実したら認可してもいいという、そのときどきの思いつきのような出し方になるので、全体としてはやはり国会に説明すべきだろう。きょうは時間がないから、国会開会中にその辺ひとつ答弁をしてください。よろしゅうございますね。  それから国立と私立の関係をお聞きしたかったのですが、これは私が調べてくればいいのですけれども、あなたに聞いたほうが早いと思って調べてこなかったのです。おそらく私立の博士課程及び修士課程もずいぶんあると思いますが、私のお聞きしておきたいことは、こういう国民の中の最高の研究者、技術者の養成というのは採算がとれない。金のことを考えないで充実したる設備、施設、優秀なる教授を置かなければならないから、実は国の力でしてやるべき基本課題であろう。私学に全部おっかぶせるような性格のものではないんじゃないか。したがって、もし私立関係に博士、修士課程の養成が相当あれば、私学に対する経常費援助の場合は、少なくとも大学院関係については国がほとんど責任をもってやるという政策が正しいのではないか、そういう意見を持っておるので、その辺のパーセンテージを聞きたかったわけです。  坂田文部大臣にお聞きしますが、大学まではいいけれども、博士課程というのは最高の研究者の養成であり、日本国民の将来に対して新しい学術を創造するものであるから、こういうものは国が責任を持つべきじゃないだろうか。これまでも私学におんぶしておるということは、国はあまりにも責任回避ではないかと思うのですが、いかがでしょう。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 午前中、川村先生の御質問にもお答えをいたしましたように、日本の学術研究ということに抜本的な力を入れなければならない時期に来ておる。そのために、特に大学院における基礎研究、いまお話しの博士課程の研究を重視するということは当然のことであろうと思います。しかしながら、これがまた私立の大学でも大学院を置いておりまして、博士課程も置いておるわけでございますが、これはこれなりに意味を持つ。しかし、その研究に対しまして国が相当程度大幅に援助していくという方向はこれから考えていかなければならない。それで、これはまた夢のようだといって小林さんからはしかられるのですけれども、やはりこれからの研究者というものは、つまり私が考えております博士課程の研究者、これは若い人は夫婦一緒になって子供を育てながらやっていくというような形でいくと思うのです。だから、そういう研究員の待遇等については相当大幅の処遇を確保してあげる。しかし、実際問題として、先ほどからもちょっとお触れになっていたように、博士課程のほんとうの基礎研究を一生涯やり抜くという能力もあるし、また実際それをやり得る人というのは、そうたくさんはいない。たしか私の記憶に間違いがなければ、コナント博士は、博士課程で、人文、自然科学全部を含めてだったのか自然科学だけだったのかは覚えておりませんが、当該年齢人口の三%とかいうような記憶が実はあるわけです。そういうようなことも各国で研究しておられると思いますから、そういうようなデータも一方参考にしつつ、日本ではどの程度まではという目安はつけなければいけないというふうに思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 もうすでにつけておかなければならぬのですが、まだついていないのですから、ひとつ研究して発表してください。たしか教育年齢人口の三%ないし四%、したがって、百名のうち三名ないし四名は最高の能力を発揮できる素質をどの民族でも持っておる。それに金をつぎ込むということは民族の発展のために必要なんですが、現在の日本の大学の博士コースは非常に少ない。おそらく一%以下じゃないか。そして私学において博士をずいぶんつくっておる。だから私学にも必要です。経常費についての責任は大幅に持ってやる、これを民族の発展から考えて考えなければならぬだろう。そういうことを文部大臣は具体的に検討されたらどうだろうか。いまのはあまりにも一山何ぼで、全部責任回避。学部と大学院というのは、国の責任は違うのではないかということです。  それから、修士課程の場合については、これも全国の国立大学がだんだんと施設設備が充実し、学問の実績が積み重なってきた場合には、どこの大学にも修士課程を設置してやる方針なのかどうか。  それから、時間がないので先に私見を申し上げます。私は、ほんとうの研究と教育を兼ねた大学に値する大学は、日本では修士課程水準の大学がほんとうの大学だと思うので、施設設備が充実する限り、全部修士課程は設置して、そして結果として日本の大学が修士程度の大学、修士大学というのが大学らしい大学であるので、こういう要望があるときは修士課程は惜しみなく認可してもいいだろう。しかし、博士は計画を持っていなければならぬという私見を私は持っているのですが、いかがですか。

村山松雄文部省大学学術局長

○村山(松)政府委員 文部省は、少なくも国立大学の修士課程、博士課程の設置につきましては、ほぼ御指摘のような考え方で対処いたしております。ただ、修士課程につきましても、一つは当該大学の充実度というのが要素でありますが、やはり現実の問題としては卒業生の需要、就職というようなことも考えなくちゃなりませんので、当該大学の充実度に、あわせまして修士に対する社会的需要というようなことも考え合わせまして漸次進めております。そういう関係で理工系が先んじ、人文社会系がややおくれておるという順序の差はございますけれども、究極的な目標としては、ほぼ御指摘のようなことで対処いたしております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 おそらく中教審の方針ができて、大学制度の場合でも、日本の大学の終着駅は修士水準の大学で定着せしめるということは矛盾がなく出るだろうと思うので、この点は財政が許す限り、施設設備が充実する限り、ぽつんぽつん出てくる修士課程の設置については、私も阻止するような考え方は決してないわけです。博士課程だけは、私は計画を立てる必要があるだろうと思います。文部大臣が時間があれば、もう少し突きとめたいのですが、大体わかったので進みます。  また、そうだから、きのうの高専問題のように、大学という場合、修士課程の大学という構想と一方の国立の大学ということでないと矛盾が出て、制度自身が成り立たないから、そういう思想を持っていなければこういう発想は出ないわけですね。  そこで、次に高専の問題でお聞きしたいと思いますが、この間の木島、正木両氏の質問に対して文部大臣が答えたことについて、二十五日の毎日新聞その他を見たときに予想外の反響があった。一面に坂田文部大臣の写真まで載って、「高専大学文相が構想」と、たいへんな、公害に次いでのような大きな記事が出たので、私はこれを見て、ああこれは高専に対する社会の関心が非常に深い、何か一つの新しい学校制度の芽を専門的に考えなければならぬ問題がこの辺にひそんでおるのじゃないかとひそかに考えたわけなんです。私は、これから中教審の答申も出るのですが、確かに高専制度というものは今後の大学制度のあり方に大きい意味があるので、新しい学校制度における高専の位置づけは文部省としてもいまのうちに検討しておく必要があるのじゃないかと痛感をしたので、そういう立場から私見を加えながら、提案をしながら御質問します。  この高専制度は、私自身は新しい学制の芽としてきわめて重視いたします。その点は経済界の要求という立場でなく、国民の教育水準の向上と国民のいわゆる専門的技術の向上といいますか、そういう教育政策の本質から検討すべきである。なぜこういう高専が生まれてきたのかと考えてみると、やはり六・三制に対する批判が入っているのではないか。第一には、現行の高等学校教育に対する批判が含まれている。六・三制の発足当時においては、そのときの記録を見ても、新制高等学校というのは単なる中等学校でなくて、旧制高等学校、旧制専門学校の前半ぐらいを含んだ、新しい後期中等教育と前期高等教育の半分ずつぐらいを兼ねたような発想で発足したと思うのです。ところが、いわゆる中等教育のままに低く現在定着しつつあるので、どこかそこに矛盾がある。帯に短したすきに長しというような矛盾を高専制度というもので修正する一つの意図が入っているような気もするのです。だから、上野高等学校のように生徒諸君が騒いでおるのも、十七歳、十八歳の青年諸君には昔の子供扱いの中等教育では何か矛盾があるので、ゼミナールその他というようなものをつくって、あそこに新しい一つの高等学校教育のあり方を示しているということも、前期高等教育を加味するような何か制度にしなければ、高等学校というものも定着しないのじゃないか。それから大学のほうも、旧制高校、師範、全部含んで一本にしたから、高等学校、大学制度に対する批判もこの高専の姿に出ておるのだ。そういうことを考えてみたときに、六・三制の検討の中で、ある意味では高専というものを核にしながら上に向かって大学制度をどうするか。そのときに坂田文部大臣の修士大学構想も出るし、下に向かえば、六・三制をそれに向かって四・五にするとか、幾らも問題が出るので、こういう新聞の記事を私見たときに、単に経済界の要求という次元の低い制度でなくて、新しい制度における一つの基準を高専として、上に向かって、下に向かってどうするかを検討する価値のあるものだろうと私は思うのですが、大臣いかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 山中先生はよくおわかりいただいたというふうに思うのです。そしてまた私自身も、その点ももう一ぺん考えてみる必要があるというふうに思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 そこで、そういう一つの学制における位置づけというものを高く評価しながら質問をしていきたいと思うのです。  この間の新聞に高専大学構想というものが出たのです。これがまだどうなるかは別にしまして、そのときに、高等専門学校というのは完結教育で、高い専門性を帯びた専門技術者、職業者を出すというのが本来の制度である。これは非常にいいことなので、いままで大学まで準備教育、予備校化をしている、そして教育不在の状況というものに大きな批判があるので、この高専の完結教育という制度はやはり精神は生かさなければならない。しかし、ただ上にまたいきたいといって予備校化させるようなことでは、やはり魂をとってしまうのではないか。もしそれをお考えになるならば、高専の卒業生は全部一年以上職業につくんだ、一年以上ついたもので、なお学問をしたい者を入れる。この機会をうまく善用されて、高専の修了者に対しては一年は就職をする、そしていきたい者には、その一年以上の者にまた勉強できる制度を考えてやれば、私は、新しい学校制度に対する非常に大きい芽をつくるのだと思う。直ちにいきたい者は受験をさせても、在籍就職というか、一年後にはキャンパスで勉強できるという保証がある。しかし、せっかく完結教育として高等専門学校の教育を受けたのであるから、その延長線で官庁でもどこでもいいから一年間職業生活をするのだ。在籍就職という制度も考えて、完結教育の趣旨からいって一年は必ずやらせる。そしてそのあと入れるという制度をつくったらどうでしょう。これは日本の教育制度に非常に大きいものがあると思うのです。ただずらっと上げていくのは、やはり私はたいした意味がない、そういうことを検討されたらどうかと思う。提案を含んで大臣の御意見を聞いておきたい。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 実はこの間、私は、この高専に対する私自身の個人的といいますか、そういう考え方を申し述べ、そしてまたそれは一応うちでも検討をいたしておるという非常に慎重なことばで表現をしたつもりであったのでございますが、翌日の新聞を見て私自身が実はびっくりしたわけです。しかし、ということは、やはり世間でこれに対して非常に関心を持っているということだと思って、その意味においては幸いなことだと思うのです。またいまは、それに引き続きまして山中さんから一つのユニークな御提案がございました。それをも私は含めて考える必要があるのではないかと思う。  それで、やはり私は非常に同感だったのは、ひょっとしたら山中さんは、私がさきの委員会で完結教育であると言ったことで、またそれは別に考えないといかぬとおっしゃるかと思っておったのです。そうでなくて、一応これは完結教育として認めた上で、そして一ぺん出て職業について、なおかつ帰ってくる、あるいはまたほかの大学へいく。そういう袋小路はなくするような全体の大学制度にしなければならないという御意見の上に立って、そしてただいまはそういう御提案かと思うのです。これは私は非常にユニークな考え方で、そしてまた前段としては、もちろん試験を受けて——全国の高専を出た人で、とにかくもう少し研究したい、勉強したいという人には試験を受けさせてやるという道も開くということでございますので、その辺はひとつ相談してわれわれも検討するという柔軟な姿勢でまいりたいと思っております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 前向きの文部大臣の検討について敬意を表しておきますが、この機会を善用して、いままで大学に向かっていく、日本の有名校、学歴主義、予備校化、こういう弊害をなくする積極的な機会にされることを切望します。  ちょうど高専の修業年齢は満二十歳未成年で成人になる年齢なのです。一度は社会生活をしなさい、そして必ず上の学校は保証する。そしてその卒業生のいわゆる高専大学は四年ないし三年ですから、最終の一年の就職は実習とみなして、そして次の学問に非常に大きなプラスになる職業生活を一年すれば、あと三年で修士課程の認可をしていくだけの値打ちはあるのではないかと思うので、ぜひ検討されたらどうか。私は、全体の新しい学校制度は、ほんとうは未成年に対しては国が責任をもって全員就学制度をとり、未成年は国が責任をとって一たん職業生活をした者が大学へ入る制度が、一番理想的だと思っておるのです。それはなかなか全体としてはできないから、いまこういう一つの問題ができたら先行的実験としてやれば、すばらしいものができる。  大学の学者が、小さいときからできるからといって、少しも職業生活をしないで大学を出て研究室に入った者は、どうもかたわだと思う。だから、大学の学長、学部長になって管理をし、人を使うという立場になってきたときに、非常に欠陥が出てきてどうも常識も足らない。だから、若いときに一、二年はどんなにできる者も職業生活をして、そして自分が自発的に、おれは学問研究に生涯をささげることに生きがいを感じる、自発的にやりたいという者が入るのが大学だとすれば、人間としても学者としても、いまのようにかたわのような者は出ないのではないか。優秀な者は同時に管理能力があるという人間が出るのが正しいのでありますから、私は、これはぜひ御検討を願ってしかるべき問題であると思うので、提案を申し上げて善処を願いたいというふうに考えます。  次に、当面のそういう意味づけを私は重視しながら、これも提案を含みながら文部大臣にお聞きしたいのでありますが、昨日の新聞を読みますと、私が答弁を聞いておるのとは反対の答弁がここに載っておる。「現在の工業、商船高専に加えて農業、商業高専の設置も前向きで検討したい」と書いているが、それは現在考えていないと答えられたと耳に入ったが、これはいかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 わりあいにその点については消極的にお答えしたつもりなんです。ですけれども、それをもやはり全然検討しないわけじゃない、という意味でお話しをしたつもりであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 高専を重視するものですから、この検討も、将来の問題として中教審その他の学校制度の全貌が出たときに検討されるべき課題と思うが、現在考えるものは、むしろ水産高校というものを、広い海洋科学を中心とした高専にするということが私は緊急の課題ではないかと思うので、私見を申し上げて、また大臣に検討願いたいと思うのであります。  現在、水産高等学校を見ますと、全国に大体二十くらいあるようであります。各ブロックに四、五校ずつある。九州、四国、中国その他ですね。水産高校というのが三カ年ということについては、非常に修業年限が足らないし四年でなけりゃだめだ、あるいは船舶の知識も要る、最近養殖問題ができておるということで、水産高校自体そのままで改造の要求が多いのでありますが、そのブロックの中で数校のうち一校は高専として、しかも水産だけでなくて海底資源の開発、あるいは最近は海底公園から海中基地あるいは海上都市というふうな、海というものの意味がだんだん変わってきておる。人類の衣食住の供給地として、陸だけでなくて、海が単なる交通路コミュニケーションの利用基地だけでなくて、海中、海底、海上全体が人類の新しい生活の場となりつつあると見ておるわけであります。  そういう点からいって、ことに日本が洋上国家であり、海洋を利用するかどうかが日本の発展のキーポイントだ。同時に、資源に乏しいが、他国の陸上の資源を求めればこれは侵略といわれ、また侵略戦争の危険もあるから、海底に向かって国策としてそういうことの心配のない平和的発展という意味において、海底を大いに活用するということが非常に大事なことではないか。そういうことを考えてみましたときに、日本の場合は宇宙開発よりも海洋開発が一番大事ではないか。宇宙開発はもうアメリカ、ソ連におまかせをして、洋上国家の日本は、海洋開発にどんどん全力を注いでいくということが日本の進むべき道の課題であると私は思うのです。  そのときに、科学技術庁その他で計画を出しておりますが、海洋開発計画という中に教育研究計画というのがほとんどない。いま海洋開発に必要なものは教育計画であり、教育研究というものが非常に大事ではないか。それが一つもない。わずかにあるのは、私立東海大学の海洋学部だけである。その海洋学部の修了者というのは、非常にあちらこちらから引っぱりだこなんだ。同時に、海洋関係の学術の研究は、研究学習方法、環境その他も違った環境で養成しなければ、海洋関係の人材は生まれてこない。潜水技術も必要であるし、研究ならば海底に研究室を置いて、海底の場で研究をするのでなければ、海洋開発の技術者にはならないのじゃないか。これは学者に聞いても、そういう意見をみな述べております。東大の付設研究所ではできないので、やはり日本列島の臨海都市の海岸に面したところに、海半分、陸地半分のキャンパスを持ったような専門学校、大学を置いて、そしてそこに海洋開発の環境、それから海洋学問についての必要な研究施設、設備というものを、大きなものをつくらなければできないのではないか。また実習、実験に必要なものも、調査船が要る。陸上の学術を必要とする大学とは非常に違った行き方をとらなければならぬと思うのであります。  そういうことを考えてみたときに、まず高専というものがあれば、ブロックに一つずつくらい現在歴史的にある水産学校の中から高専に昇格をさせ、単なる水産資源を対象としたものでなくて、海底資源、海上都市、海底公園その他潜水技術も含んだ総合的な海洋学の専門高校というものは、日本の教育政策に最も重要なものではないか。幸いにこの高専という制度が新しい学生の目を開くという一つの位置づけをするならば、当面検討すべきものは、この水産学校の内容を総合海洋科学に拡大しながら、そしてそれを高専に昇格をし、日本海、太平洋の要所要所に、全国七、八カ所は設置するということが、日本の今後の発展にどれだけ大きい教育的意味を持つかしれない、私はそう確信するわけであります。この点について文部大臣の御意見をお聞きいたしたいと思います。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 この点は、あるいは先生の意見とちょっと違うかもしれません。と申しますのは、この海洋開発というのはこれからの研究すべき学問的対象である、あるいは実地にやらなければならぬ方法論についての対象である、その意味からいいますと、やはりこれはまず大学でやるべきじゃないかというふうに思います。そして大学である程度この資源をどういうふうにして探求するか、そういうようなことがわかった上で、それに従事するいろいろの技術者を養成するという意味において、この高専なら高専ということを考えるべきじゃなかろうかというふうに思うのでございます。たとえば、きのうもちょっとお答えしたわけでございますけれども、公害についてもやはり同様のことが言えると思うのでございまして、どうせ将来においては公害担当のいろいろの面、いわゆる理科的な分析的なそういうような技術者というものも必要でしょうし、あるいは法制的な問題を担当する人たちも必要でございましょう。そういうようないろいろのものがはっきり客観的に生み出されて、解明をされて、そしてそれをある程度量的に効率よく教育をしていくというのが、あの高専の役割りではなかろうか。新たなる価値を創造し、つくり出すというのは、本来の高専のやるべきことではない。しかし、それではあるけれども、なおかつ研究部門に入りたいという人たちのためには、上に修士課程までいくような研究機関を一つくらいはつくったほうがいいというのが、この前私が申し上げました意味でございまして、そういうようなことを十分踏まえて検討しなけりゃいけないのじゃないかというふうに私は思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 文部大臣の構想は、私説明しなかったが、大体同じなんですね。高専の上に修士課程の高専大学を考えるように、日本列島の、太平洋、日本海のブロックの要所に海洋高専を設置して、その上に修士課程の総合海洋大学あるいは大学院を置いてやる。これが、洋上国の日本の新しい発展の方向におけるこれこそほんとうの新構想大学、二十一世紀に向かっての大学構想ではないかと思います。それで少しまだ、文部大臣きょうは時間がないので、もっと論議を深めなければいかぬのですが、この高専の水産学校自体、大体前期高等教育その他の関係からいっても、海の中に親しむという環境の中で潜水という技術も身につけ、海の中に入り、そして研究をするというのでなければ、結局は海洋に心酔する技術者も学者も出ません。学問的にいっても、海底地質とか海底物理学、海底生物学というふうなものは、やはり海底、海水における特質の中で研究方法もやはり違う。だから、その海洋を前提とした総合学術の体系化というのは必要だと、これは学者が言っておるわけでありますし、また東大その他で研究したい、勉強したいというのは、海の中に沈んで研究する学者はつまらないわけですから、全体としては、水産学校があればそれに応じた海洋高専があり、その上に修士大学というふうなものを置いて、全体として日本がこの領海の周辺に向かって領土をだんだん拡大し、資源を拡大していくという、そういう構想というものが私は新しい大学構想の一つではないかと思う。端的に言ってその点がまだ研究されてない。これはずいぶん私は聞いて歩いたのです、東海大学の教授その他から聞いて歩いたのですが、やはり研究方法と研究場所が違うのです。同じ地質でも海底地質学というのは一つの学問としてあるのだ、そういうものを前提としたときに、私は、その富士のすそ野として、工業だけが高専が必要だというのはもう古いんじゃないか、海洋学術高専というようなものがあって、そしていまのような大学水準のものがあり、海洋国日本が一つの新しい——人口が多過ぎる、領土は狭い、資源に乏しい、この日本の歴史的、地理的、経済的条件の中で、少なくとも教育政策の中で文部大臣が識見をもって検討すべきものに値するのだと私は思うのですが、いかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 ですから私は、これから先は海洋開発というものを相当拡充し、充実していかなければならぬというお説に対しては、全く同様に考えておるのであります。ただ、いますぐそれを高専に、そのような形において水産高等学校を昇格させるというところまでには、ちょっと私はまだ時間的にそこまでは考えておりません。将来は、先生のおっしゃるようなことにつながっていくだろうということは予想されるのですが、前提としてはやはり大学で、あるいは独立の海洋大学ができて、そしてある客観的な教育方法等が相当検討されて、それでないと、たとえば水産高校を高専に昇格しましても、その先生になる人がまずいないのですよ。これはもうほんとうにいないわけですから、まあその前提としては、大学でもう少し海洋開発という面について十分の検討が行なわれ、また実際的に教育をしてみて、それからのことではなかろうかということを先ほどから実は申し上げておるのです。あなたの構想それ自体がいけないとは思っていませんし、将来は必ずそういうような方向につながってはいくだろうと思いますが、当面はちょっとどうであろうかという気がするわけであります。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 当面非常に緊急的な検討すべき問題だと思って意見を述べておるわけですが、現在の水産高校、私も三つか四つ創設した経験があるのですが、三年では足らない、これは熾烈な要望なんです。漁労に養殖というものが入ってきて、ただ自然に育ったものをとる漁業ではなくして、育てる漁業になってきている。したがって、いままでの水産高等学校の教育では、とてもそれだけの技術のなにが養成できない。それを現在のように漁労だけで、しかもおざなりの教育をしているものだから、水産学校の卒業生の大部分が海に行かないで、山の僻地の学校の先生をしておりますよ。三年では、いわゆる遠洋漁業とまで言わなくてもいいが、沿岸漁業その他の船に親しむという実習も、いまの水産学校ではほとんどない。文部省の補助金のある練習船もあるけれども、非常に貧弱である、それから電気、通信その他の施設も必要だ、だからもっと広く水産学校が海に関する科学、そういうものを教えなければだめだから、四年ないし五年にしなければ魅力のある水産教育にならないし、いまのままでは、ある意味においては陸に住む卒業生を水産学校で養成しているというようなことになる。水産学校そのものが検討すべき課題なのです。そういうことを前提として、水産高等学校の中身を海洋高等学校にするとか、そしてその中のブロックに一つぐらいは高専程度のものをつくり、そして初めて海の中に、単なる船に乗り魚をとるだけではなくて、海に関する技術者を養成するということになれば、私はもっと教育的需要もあり、魅力のあるものになるのではないか、こういうことです、いろいろ調べてみると。  そこで初中局長、現在の水産学校ですね、あなたに質問の中身を言わなかったので調べていないかと思うが、水産高等学校の卒業生の就職状況はどういうものであるか。あるいは現在の全国の水産学校が、地方からの要求で非常に魅力のない実態があるわけですが、全国の水産学校の就職状況並びにこの水産学校における全国的な機能についての現状ですね、局長の知っておる範囲内でお聞きしておきたいと思います。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 いまの先生のお尋ねでございますが、水産高校は全国に五十五校ございます。そのうちほとんどの五十三校が県立で、庁立のものは北海道に三校ございます。  で、この五十五校の卒業生の全体について申し上げますと、四十四年度の卒業生が千五百六十八名でございます。漁業科、機関科、無線科、水産製造、水産増殖、大体そういったようなあれがございますが、漁業科では二百トン未満の船に乗る航海士の免許状が取れるようになっております、その関係で漁業科の卒業生は船舶に乗船した者が千五百六十八名のうちの五七%、これだけが船に乗る就職をいたしております。それから専攻科に進学する者が一六%ございます。その残りの二二%が、先ほど先生のおっしゃいました陸上の水産会社その他に就職いたしております。でございますので、この専攻科に進学いたします者は、漁業科で乙種一等航海士の免許状、大体五二、三%の者が合格しておるようでございますが、そういう免許状の関係、さらに甲種二等航海士の免許状を取るとか、いろいろな関係で進学しておるのですが、大体海に行かないでおかに上がるというお話でしたが、統計では大体船に乗っております。ただ、私どもが聞きますのは、商船に乗る人と漁船に乗る人、水産高校ですから大体水産業、こうなりますと商船学校のような商船ではなくて、漁船ということが地域の要望でございましょうが、その点商船のほうの要望もありまして、大体商船と漁船に乗るのは半々でございます。しかし、大部分の者が船、海の仕事をしております。それから機関科のほうで申しますと、これは漁業科より少のりございますが、機関科の四三%が漁船なり商船に乗っております。約二〇%が専攻科に進んでおります。三分の一の三〇%ばかりが一般の水産関係の会社その他でございます。でございますので、三分の二の者は海に関係しているわけです。無線科は無線関係で、漁船、商船いずれもあれでございますが、この無線関係が六〇%ぐらいがおかに上がっております。したがいまして、その他水産製造、水産増殖等はそれぞれ水産関係の会社にほとんど就職しておりますわけでございますので、総じて申しますと、水産高校の卒業生は一応、商船に行く者はございますけれども、大体海に関する仕事で就職しておるのじゃないか。その点、無線関係だけは、これは無線の性格もございましょう、六〇%ぐらいがおかで無線に従事しておる、そういうことでございます。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 地域によって違うんだろうと思うのですが、そういう全国統計が五〇%は……。年限はどうです、三カ年では足らないという声が相当あると思うのですが。

宮地茂文部省初等中等教育局長

○宮地政府委員 先ほど申しました、それぞれ専攻科へ二〇%前後の者が進んでおります。この専攻科は二年の専攻科でございます。でございますから、本科三年、専攻科二年、合わせて年限だけはすぐに高専ではないかというようなことにもなりますが、ただ、需要といたしましては、商船高校が高専に昇格いたしましたその場合に、それでは一般の商船高校は要らないのかというような問題、これは国会でも御審議がございましたが、そういったような関係で、水産のほうは、ほとんどがこの免許状の関係で大きな船でなくて二百トン未満の漁船、中には遠洋漁業にも行きましょうけれども、岩手の水産関係でも北洋漁業に行くのもおりますけれども、大体私どもが聞いておるところでは、商船学校が商船高専に転換しなければいけない、転換した後はもう商船高校は要らないといったような関係でなくて、こちらのほうは三年間で、大体現状でいいんではないか、その上乙種一等航海士で二百トン未満の船長にもなれますし、乙種一等機関士で二百トン未満の機関長にもなれるわけです。それが高専になりますと二百トン前後の船に乗る航海士、機関士、無線士、そういうものがなくなるわけでございまして、一方、運輸省関係の海技学校ですか、ああいったようなところの各種学校的な卒業生だけが二百トン未満の船に乗るといったようなことでは、わが国の水産業、特に遠洋漁業でない近海漁業、こういったようなものの前途にも関係してくるんじゃないか。そういうことで、いろいろ魅力を持たせるとか、学科なども漁業経営科といったようなものを今度学習指導要領に入れてくれるようにいたしましたが、そういったことで種々のくふうをしなければいけないと思いますが、総じて、いまのような形でよいのではないかというふうに私どもは関係者から聞いております。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 現在、いまの報告の中で二〇%くらい、二カ年ぐらいの一つの専攻科がある。したがって、そういう需要というものは現実にあるわけだが、したがって一つの東北なら東北、北海道あるいは九州でも、七つあるわけです。大体二〇%というと一つに合わせて一〇〇%ぐらい、五カ年の需要が事実出ている。だからぼくは、この水産高校というものを各ブロックごとに、もし高専を次に考えるならやはり水産関係の高専だろう、現実にどうしてもそう思う。だから文部大臣が、もし次にこの高専というものを検討すべきものだというなら、私は海洋関係の水産ではないか。農業、商業なんというものは、これはたいへんなことなんで、大量の問題で、これは学校制度の問題の根本に考えるべきものだと思うのです。水産の場合には、坂田文部大臣の九州からいえば福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、一つずつありますね、六つある。そこに専攻科が二カ年、二〇%ぐらいずつ入っている。それを一つに集めて、そうして三カ年の水産学校も小さな漁船に乗る必要なものがあるとすればそれでいいが、どこかブロックに一つ五年制の高専を置いて、そしてその機会に、海底資源その他、あるいはもう少し高専に相当するような海洋技術者をつくってやるということは、私はやはり、高専をもし考えるならば、いわば次に考えるべき教育的需要のあるところではないかと思うのです。それは将来の問題ではなくて、具体的に検討されたらどうだろう。いかがですか。

坂田道太自由民主党文部大臣

○坂田国務大臣 私も、いまの初中局長の話を聞いておりまして、まだ先生のおっしゃるような必然性が高いとは考えられない。これはちょうど農業と同じような状況に私は見たのです。しかし、先生がさっきから言っておられるのとちょっと違っているのじゃないかという気がするのです。先生がおっしゃっておられる海洋開発というのは、これから進みます、また進まなければいけません。それで、これは大学でもやらなければならない。そしてその研究の成果がだんだん積み重ねられていって、そしてどういうようなことにそういうにない手を養うかということが出てくると思うのです。そのときには、現在の水産高校は水産高校で果たしておる役割りを果たしながら、さらに別の課題として、あるいはそれを多少転換する部面もありましょうけれども、しかし、そういうものが出てきてもなおかつ現在の水産高校でやっておる課題というものは、やはり残るのじゃないかという気がして実はならないのです。だから、先生の考え方は考え方として、もう少し時間をかければ当然そういうような形が出てくるのじゃないか。これはまた別な形として、やらなければいけないものじゃないかというふうに思います。あるいはそれを、そのときに水産高校を改善、改革してそういうふうに移行し、そしてその上に高専をつけてしまう、移行するということですけれども、いまの初中局長の話を聞いておりますと、まだまだかなり、水産高校それ自体としての役割りは水産高校の存在を必要としておる、こういうふうに思えてなりません。しかし、私自身もいまちょっとお聞きしたようなことでございますから、ひとつ十分検討させていただきたいと思います。

山中吾郎日本社会党

○山中(吾)委員 文部大臣、少し誤解が——水産高校は残すので、その中で必要な五カ年のいわゆる水産高専に相当するものを一つぐらいつくる需要が、養殖その他が進んできておるからそれを検討してくれ、こういうことであります。大いに検討されるというからひとつ文部省内で検討していただいて、必ずしも将来の問題とかなんとかじゃなくて、これは緊急な課題だと思うのです。  しんがりでありますので、この法案全体について、短期大学問題も研究所の問題もありますけれども次にしまして、研究所の問題も、これは理事懇談会で論議をしていますから、そのときに譲って、私の質問を終わります。  最後に要望を申し上げたいのですが、新しい大学制度を含んだ学校制度全体に矛盾のないように、こういう法案の出し方を今後していただきたいと要望しまして、質問を終わります。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会

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