農林水産委員会商工委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 105 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/05/18
会議録
○草野委員長 これより農林水産委員会商工委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、農林水産委員、長の私が委員長の職務を行ないます。 農村地域工業導入促進法案を議題とし、審査を進めます。
○草野委員長 本案の趣旨につきましてはお手元に資料が配布いたしてありますので、これにより御承知願うこととし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋口隆君。
○橋口委員 農村地域工業導入促進法案について若干御質問を申しげたいと存じます。 午前中農林水産委員会におきましていろいろ質疑がかわされたようでございますので、多小重複するかもしれませんが、ひとつ簡潔にお答えいただければ幸いと思います。 初めに、この法案の目的につきましてお伺いいたします。 この法律は、序文にもございますとおり、工業導入を計画的に行なって、農民をそれに就業させ、あわせて農業構造の改善をすることによって、「農業と工業との均衡ある発展を図る」そして「雇用構造の高度化に資することを目的とする。」とございますが、抽象的表現でございますので、「農業と工業との均衡ある発展」また「雇用構造の両度化」というのはどういうことを意味するのか、これをまず伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 私どもがこの法律を提案いたしますまでにも考えておりましたことは、つまり、いまのわが国の経済、産業の振興してまいります状況を見ておりますと、やはり工業あるいは人口等が偏在していく傾向がございます。こういうことを放置しておくことは、私どもにとって将来いろいろな困難な問題を生ずるのではないか、こういうことが考えられるわけでありますが、そういうことよりも、さらに私どもとしては、現在の日本の農業というのは、農業基本法制定以来十年を経過いたしておりますけれども、やはりあの基本法が志向いたしておりましたような成果を残念ながら十分にあげているとは言えないと思うのであります。しかしながら、農業につきましては、やはりこの基本法の志向いたしております自立経営農家というものを育成していく必要がある。そういう方向で農政を進めてまいっておるわけでありますが、しかし、もう御存じのように、八割以上が兼業の農家であります。この兼業の人々に、本人の希望によりまして、離農を希望される方には農業者年年制度を活用したり、あるいはまた雇用機会の拡大をはかっていくということが必要ではないか。しかもまた、なお兼業農家でおって、自分で持っておる労働力というもので、現金所得を得るために、できるだけ地元において働きたい、こういうことを考える方も非常に多いわけであります。一方において、だんだんとこの規模拡大が進んでまいり、また農業それ自身がいろいろな変化を伴いつつ、基本法の志向する方向に進んでまいるといたしますならば、やはり労働力というものはますます余ってくるわけであります。私どもはそういうものをなるべく平均的に、偏在しないように、効率的に所得を上げさせるような方向をとりながら、しかも過疎地帯等をできるだけ防いでまいるというようなことを考えてまいりますと、やはり地方に産業を分散していくことが必要ではないか。そういう着想から今回のような法律案を提案するに至りました。これは農林省サイドの考え方でございます。
○橋口委員 次に、これは農政局長に伺いますが、農村地域の数でございます。この計画によりますというと、農業振興地域、山村振興法による地域、過疎地域、こういうものから新産都市、その他の地域を差し引いた農村地域だろうと思われますが、この数を幾らと想定されておりますか。 また、実際に工業を導入する場合には、第五条によりまして、実際の実施計画をつくる。そうすると、第五条にありますとおり、いろいろの条件がついております。そういういわば工業適地というものを拾い上げるわけだと思いますが、そういうものを入れて、全体として市町村の数は幾らというふうにお考えになりますか。 また、そのうち初年度にはどういうふうに手をつけるか、それをお伺いいたします。
○中野政府委員 今回の農村地域の指定の見込みでございますが、全国の市町村が現在三千二百五十八でございます。その中で、農業振興地域あるいは予定地域を含めまして計算をいたしますと、三千百三十二ということになります。それから農振地域に入っておりません、この法律にあります振興山村、これが十四町村になります。その両方に入っておりません過疎地域が十七町村ということになります。合計いたしますと三千百六十三になるわけでありますが、御指摘のように新産都市、工業整備特別地域あるいは首都圏、近畿圏、中部圏の該当の都市、それから人口十万以上の都市等を除きますと、結果といたしまして二千五百二十五の市町村が対象になる。現在の市町村の区分ではそういうふうに見ておるわけでございます。 それからもう一つ、四十六年度の予定でございますが、これは県の実施計画で比較的規模の大きい団地をつくりますのは、各県平均的に二地区、それから町村の場合は全国で百五十地区というものを予定しております。
○橋口委員 そうしますと、これだけたくさんの地域に工業を導入するわけでございますが、それについて、この法律は時限立法ではございませんけれども、五年ないし十年という長期目標を定めて計画的にやることが必要だと思うのです。それについてまず第一に、転用農地をどれくらいに予定されているか。きのうの新聞の発表によりますと、減反の目標五十一万四千ヘクタールに対して九五%までは大体実現の見通しである。そのうちでいわば転作が十八万五千ヘクタールある。残りをどういうふうにするか。それは住宅用地あるいは工業用地と目されるわけですが、その工業用地への転用の目標は、大体どのくらいのめどを置いておられますか。
○中野政府委員 本年度の米の生産調整との関連におきまして、二百三十万トンの減産目標を立てました。それの面積は五十一万四千ヘクタールでございますが、その二百三十万トンを出してきます過程におきまして、相当な転用を見込む必要があるのではないかというようなことから、五万ヘクタール程度の転用見込みを持っておるわけでございます。この法律との関係におきましては、町村の計画、県の計画合わせまして、そのうちで大体三千ヘクタールくらいがこの計画にのってくるのではないかというふうに想定をしているわけでございます。
○橋口委員 そうしますと、この地域へどれくらいの企業を導入しようという計画をお持ちで、また、農民を何万人くらい就業させるという計画でございますか。
○中野政府委員 これはこれから具体的に県あるいは市町村で実施計画が立ちませんと、まだ明確に推定できないわけでございますが、ただいままでの工業導入の経過等を見ますと、われわれのほうでは、県の計画の場合は平均的に五十ヘクタールと見まして、そうしますと、工場としてはそこへ、二ヘクタールだと思えば二十五くらい入ってくる。それから町村の場合は、これは規模が小さくて平均的に五ヘクタール程度と考えております。工場の数が大体三つくらい入ってくる。それを合計していくわけでございますので、ちょっと目の子算でございますが、千数百工場に計画的にはなるのではないか。これはまだ机上の計算でございますが、一応計算しましたらそういうことになるのではないかというように考えております。そこで人の数でございますが、これもまた入ってくる企業によっていろいろ違うかと思いますが、従来の傾向から見ますと一ヘクタール当たりの工業用地に対しましては、大体六、七十人の人が就業しておるということでございますので、いまの計算でいきますと年に二十万、あるいはそれに近いというような数字が出てまいるわけでございます。最初に申し上げましたように、これは目の子算でございまして、これから具体的に実施計画を立てる際に詳細に検討いたしたいと考えております。
○橋口委員 そうしますというと、これだけの工場を全国に配置するわけでございますが、その際一番の問題になりますのは、一体ブロックごとに一つの拠点団地をつくるのか、各市町村にまんべんなく個別企業を配置するのか、その辺はこの過程においても一番問題になったようでありますが、その点は今後どのように推進をされますか。
○両角政府委員 農村地域への工業の導入にあたりまして、拠点方式をとっていくかあるいは市町村単位の分散方式をとっていくか、これはそれぞれの地域の実情に応じまして両方の方式が併用されるものであろうかと考えております。しかしながら、工業の積極的かつ計画的な導入をはかるという法案の目的に照らしまして、府県単位におきましてはなるべく拠点的な先行造成を伴いました計画的な立地を推進することが望ましいし、それに対応いたしまして具体的に企業の進出の話等が進んでおりまするような市町村につきましては、それぞれの個別立地を推進をしていくというような、両方の体制を併用していくことが実際的でなかろうかと考えております。
○橋口委員 この両方式を併用するということでございますが、私は併用ではばらばらになって、非常に景気の好不況に影響されるところが大きいんじゃないかと思うのです。そういう意味で、団地造成をしながら個別企業を配置する場合に、その有機的な構成を考えて、そして一つの計画的な造成をすべきではないかと思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○両角政府委員 拠点方式と市町村方式との併用にあたりましては、もちろん両者の間で有機的な調整というものがはかられてまいることが望ましいわけでございまして、そのために、この法律案におきまして府県におきまする基本計画というものを定めることになっておりまして、この基本計画の中で当該府県における拠点的な団地造成並びに市町村単位での工場立地の実現ということとの調和ある、均衡ある計画を作成することにいたしておる次第でございます。
○橋口委員 農村に誘致される企業というのは、いままでの例を見まするというと、非常に不況に弱いというふうに考えられます。そういう意味で、今後そういう有機的構成を考えて、十分ひとつ配慮されるように特にお願いをしたいと思います。 そこで、こういうような工業用地を造成する場合、その主体を都道府県、市町村あるいはその他どういうふうにお考えになっておりますか。
○両角政府委員 工業団地の先行造成にあたりましての造成主体というものにつきましては、府県という地方自治体当局それ自体、あるいはその出資をしておりまする府県の開発公社といったようなものが実際上は造成主体になることが多かろうと考えております。
○橋口委員 この拠点団地を造成する場合に問題となるのは、非常にばら点方式に農民が供出をしてもいいという土地が点在をしている、それをまとめて一つの工業団地をつくるという場合には、いまの法律ではできないんじゃないかというふうに思いますが、そういう点をどのように措置されるお考えですか。
○中野政府委員 御指摘のとおり、現在の土地改良法ではその点が不十分でございます。そこで、今国会に別途土地改良法の一部改正を御提案申し上げているわけでございますが、その中に創設換地制度というのを一つ起こしたい。それからもう一つは、異種目換地制度というのを考えております。これはいずれも農地と非農地とを、両方を土地改良事業でやっていこうという考え方でございまして、たとえばもう離農して、農地は工場に提供したいという農家の申し出あるいは同意によりまして、換地処分の段階におきまして、それを非農地の部分に充てる。そうして農業を継続していきたい農家には農地のほうを換地処分によって割り振るという考え方をとっているわけでございます。そこで、この土地改良法の改正案が成立いたしますれば、すでに農林省といたしましてはそれの事業予算もとっておりますので、それが円滑に進むのではないかと考えております。
○橋口委員 私これは農林大臣にお伺いしたいのでございますが、いまのような拠点団地をつくって、そうして一つのブロック別に有機的構成を考えてやったほうがいいと思うのですが、そうなりますと、たとえば農業振興地域あるいは最近実施されつつあります広域市町村のそういうような範囲が単位になるのではないかと思いますが、こういう工業化の段階ではたとえば西ドイツあたりでも地方構造政策というものを特に考え出して非常に計画的に造成をしているようでございます。その点につきまして、そういうブロックごとの、こういう考え方というものについて、農林大臣はどういうふうにお考えになっておりますか伺いたい。
○倉石国務大臣 いまお話しのような点につきましては、やはり私どもいま御審議を願っております法律の前に、新産都市という計画、これが進行いたしておるわけでありますが、そういうところに参加されておらない地域に、いまここでお話しのございましたように基本方針をつくって、県それから市町村がそれぞれ計画を立てて、いま御審議を願っておる法律のような形の工業導入をいたそう、こういうわけでございますので、いま西独のお話がございましたけれども、そういう形とは別になると思うのでありますが、私ども先ほど農政局長も申し上げたと思いますけれども、現に地方に工業立地をつくるということと並行して、やはり農業の構造改善、圃場整備等を並行してやってまいって、そうして調和のとれた、何と申しますか、一口に言えば田園工業都市的なことを待望いたしておるわけでありますので、そういう意味におきましては、地域地域の特性を生かしながら、工業と農業が混然一体となった調和のとれた農村をつくってまいりたい、こういうような考えを持っているわけであります。
○橋口委員 次に工業導入の方法でございますが、地方に出たいという工場、それを受け入れたいという市町村に配置することが最も大事なことだと思いますが、その方式についてはどういうふうにお考えになっておりますか。聞くところによれば、センターをつくってそれを推進するということですが、この法案には出ていないわけで、その点をどういうふうに今後推進をされることになるのか、具体的にそれを教えていただきたい。
○両角政府委員 ただいま御指摘がございましたように、農村地域への工業の導入をはかります場合に、企業に対する情報の提供あるいは各種の立地条件の提示といったような仕事は、このために特に設けられまする開発のための推進センターというものにゆだねたいと考えております。もとより、このような機関が企業に対しまして提示をいたしまする各種のデータというものの基礎には、工場等の立地調査法というものによりまして、通産省といたしましても従来全国の工場適地につきまして長年にわたりまして調査をしてまいりましたデータもございます。かようなものを立地センターと相協力しまして企業に提供をして、選択に誤りなきを期したいと考えております。
○橋口委員 このセンターの組織と機能についてちょっと農政局長に承りたいと思います。
○中野政府委員 まだ仮称でございますが、農村地域工業導入センターというものを予算で計上しておるわけでございます。四十六年度予算は一億、そのうち基金造成が七千万で、補助金が三千万ということになっております。そういう金額でございますので、さしあたりこれは財団法人として組織をいたしまして、二十人くらいの有能な職員をこれに充当して、いま企業局長も申し上げたと思いますが、情報の収集、それからもう少しなれてまいりますれば、実施計画をつくるための技術上の援助等のコンサルタント事業等もやってはどうかという構想でおるわけでございます。
○橋口委員 二千五百の農村に数千の工場をこれから導入するというのに、政府からの基金としてはわずかに一億円、しかも人員はわずかに二十人というようなそんな弱体な財団法人で、はたしてこういうような大事業が遂行できるかどうか、非常に疑問に思っております。産炭地域の振興方式についてはこれは政府も非常に本腰を入れて、そして事業団までつくって、そのために非常にうまくいっていると思います。ところが、これほどの大事業でありながら、こんな弱体なセンターではたしてやれるかどうか。一体政府は本腰でこれをやろうと考えておられるのかどうか、われわれは非常に疑問なきを得ないのでございます。そういう点について、農林大臣はこのセンター方式でやむを得ないとお考えでございますか、将来はどうしても事業団方式に切りかえて強力にこれを推進しなければならないとお考えでありますか、その点をひとつ承りたいと思います。
○倉石国務大臣 これは当初予算の発足の時代でございますので、とりあえず本年度まず法律を御審議願うと同時に、頭を出しておるということでありますが、私どもはこのセンターをさらに活用することによりまして、所期の目的を達成し得るような機能を十分発揮し得るように育ててまいりたい、こう思っておるわけであります。
○橋口委員 この点は、今後十分ひとつこの事業の成果を見まして、御検討いただきたいと思います。 そこでこの目的の中にも、農業構造の改善をあわせて行なうということでございますが、この農村の農民たちが工場に就職をする。そうしますと、あとの構造改善と同時にこの土地の大規模化をはかられるつもりであるか、それとも零細兼業のままで収入をふやしていけばいいのであるかどうか。これはおそらく農林委員会でも午前中問題になった点ではないかと思いますが、この工業の導入によって兼業零細化ということがいよいよ進行するんじゃないかと懸念をされる向きもございます。そういう意味で、農林大臣はいまでも農業基本法に基づいて、やはり規模の拡大化をあくまでも推進するのだ、しかも工業導入を契機としてさらにこれを一そう推進するために、何らかの法的な処置あるいは特別の財政上の措置、そういうものをお考えであるのか。それともこの零細化で農外所得がふえればそれでいいとお考えになりますか。基本的な課題だと思いますので、その点を承りたいと存じます。
○倉石国務大臣 これは産業を地方に、つまり農村に分散してまいろうという考え方、同じ政府の中でもそれぞれの立場でいろいろな構想をお持ちになることだろうと思いますが、私どもは農業の面から見まして、農業それ自身というのはやはり基本法ができまして十年間、いま所期の目的が達成されたとはあえて申しませんけれども、やはり農政の中核は基本法の方向を志向いたしてまいる。どうしてもわが国の農業はそれでなくてはいけないと思うのでありますが、それにもかかわらず、現在でもそうでありますが、ここしばらくの間、当分はやはり兼業農家というものがわが国には続くでありましょう。しかも、その兼業農家の中の大きな部分はいわゆる第二種兼業農家というものでございます。この第二種兼業農家の人々は、いまの農政及び経済全体の変転に対処いたしまして、離農をして新しい雇用機会を持ちたいと考えられる人には農業者年金制度を活用したり、それから農地保有合理化法人等がその土地を買い上げてあげるとか、いろいろな農政上の施策を講じておって離農しやすくするようにいたしておりますが、やはり自分で若干の農業を営みながら、その余剰の労働力を活用して現金収入をふやしたいと考えられるような人には、それに対処することがわれわれとしては必要なことではないかと思っております。それからまた、そういうことによっていわゆる出かせぎというふうな問題も多く解決の緒につくのではないか。 もう一つは、農村に出てまいります少年たちの新しい労働力、こういうものについて地方に工業が分散されていくということによって、そういうところで通勤的に雇用機会が増大されるわけでございますので、私は先般大きく報ぜられました二十一世紀の日本というふうな多くの人々の論文など読んでみましても、人口が偏在し工業が一方に偏在していくという状態は、わが国全体のためにいかがなものであるかということを考えてみますと、一方においては非常な過疎地帯が現出しているわけであります。こういうことを考えてみますと、やはり農業はどこまでも国際競争力のある、体質を改善した強い農業を中核にしながら、しかもあと余っておる労働力に対して現金所得を得られるように、新しい労働力が新しい職場を得られるようにやっていくことが必要ではないか、このように考えておるわけであります。
○橋口委員 この工業導入につきましては、いま問題となりましたように兼業零細化がいよいよ進行する、あるいは地元の中核の労働力が奪われる、そのために農業は荒廃する、また公害が発生するというような、いろいろの弊害が出てくると思いますので、これを進めるにあたりましては、農業外の農家の収入はふえたけれども農業の発展にはなり得なかったということのないように、十分御配意を賜わりたいと思います。 そこで、時間もございませんので最後に通産大臣にお尋ねしたいと思いますが、この農村工業化を総合農政の一環として打ち出されたわけでございますが、ほんとうに日本の経済あるいは工業立地の立場からすれば、経済性があって今後とも本格的に育成すべきものであるかどうか、それとももうやむを得ないからやるというのであるか。そういう通産省の企業立地政策の立場から、通産大臣としての所信をひとつおただししておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 この法律案の目的は法律案に書いてあるとおりでございますけれども、通産省の産業の見地から申しましても、実は積極的に御支援と申しますか協力をしてやってまいりたいと考えておるわけでございます。すなわち、新全国総合開発計画で示されましたような、いわゆる情報なり通信なり交通なりのネットワークが着々とつくられておりますし、他方で従来の産業資本集積地におきましては外部不経済という問題が出てまいりました。両方から考えまして、できることならば、ことに内陸型の機械工業などはさようでございますが、新しい立地を求めたい。労働力の観点から申しましてもこれはあることでございます。したがって私どもとしても、ことに工業用地なり関連の公共投資を先行投資して、やや拠点的なものを持っておりたいと考えておったところでございます。でございますから、積極的に協力をし推進をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○橋口委員 この法案は、地方の住民が非常に期待をしておるところでございます。そういう意味で、主務大臣であります農林大臣、通産大臣、また労働大臣の各位におかれましては、どうかひとつ積極的にこの実施に取り組んでいただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
○草野委員長 石川次夫君。
○石川委員 今回の農村地域工業導入促進対策、これは結論的にいえば、たいへんいい法律だと思うのであります。中央におきましては過密というものが進んで、もろもろのひずみ、公害などが出ておりまするし、労働力不足という問題もあります。一方農村では過疎あるいはまた収入の不足ということがございますので、これに対しまして、農村のどこへ行きましても、最近では、何とか工業を誘致してもらえないかという希望の切なる声をあちこちで聞くわけであります。しかしながら、今度初めてこの法案が出たわけであって、いままで工業と農業の協調の機運の増大というものはあったのでありますけれども、歴史始まって以来といってもいいくらい、こういう法案が初めて出たという意味じゃ、私は非常に高く評価してよろしいんじゃないか、こう思ってはおりますけれども、さて、これの効果といいますか、実績はどうなんだろうかという見通しについては、私は非常に悲観的にならざるを得ない。そういう点から基本的な問題について二、三質問を申し上げたいと思うのでありますけれども、まず現在の工業のあり方でございますが、太平洋ベルト地帯、これは関東関係あるいは東海、近畿を含めまして、大体昭和三十年には何%でありますか、六〇くらいだと思うのでありますけれども、それが四十三年になりますと、実にこれが七五%、どんどんどんどん太平洋ベルト地帯のほうに工業生産というものは集中をしておるという状況でございます。これは言わずもがな、エネルギー産業というものが臨海工業地帯にどうしても集中していることから出てくるということもありましょうし、それから海外にこれからますます依存しなければならない、この度合いはだんだん増大をする一方であります。おそらくこれから二十年たちますと、ほとんどすべてといってもいいくらいの資源というものは海外依存である。というようなことになれば、どうしても太平洋ベルト地帯のほうに工業が集中するという必然性を持っているのではなかろうか、こう考えるわけであります。情報化の問題のほうでいろいろ本を読んでみますと、大体太平洋ベルト地帯に九割の人口が集まるであろうというのがあと二十年後であろう、こういうことがいわれておる。だからこそ、それであっては行き過ぎだから、今度の法案でもって何とかその是正分散をはかりたい、こういう意図から出たものであろうとは思うのでありますけれども、しかしこの非常に根強い趨勢というものに逆行するような形でやるということからして、なまじっかな考え方では成功する見込みはほとんどないのではないか、こう考えるのでありますけれども、いや、断じてこれはなし遂げることができるのだというお見通しがあるとすれば、その論拠をひとつ農林大臣にお聞かせを願いたいと思うのです。
○倉石国務大臣 石川さんおっしゃるとおり、従来の傾向をそのまま見ておりますと、私のほうの所管の仕事でも、たとえばその原料の多くを海外に依存いたしております製粉工場なんというのは、ばら積みでやってまいりますからして、港に工場をつくる傾向が多くなってきております。鉄鉱石だとか、そういうものでなくて、製粉工場のようなものですらそういう状態であります。しかし私どもはやはりその原料の輸入等を考慮いたすと、そういうこともだいぶ考えられるのでありますが、したがっていま私どもがいろいろねらっておりますのは、たとえば機械工業であるとかあるいは電気機具工場とかそういうようなものが一番向いているのじゃないか。つまりいまお話のございましたように、太平洋ベルト地帯に多くのものが集中するという傾向は、いままでほとんど計画的でなく、それぞれ自由に土地を買い上げて工場設置をいたしておったという傾向でこういうふうになったと思うのであります。したがって、私どもはこれから先ほどお話のありましたセンター等をつくりまして、県庁並びに町村が主体になりましてもろもろの計画を立ててまいりますためには、やはり地方に道路網を整備をいたしまして、そして輸送コストを引き下げるということに努力してまいりますならば、労働力は地方にあるわけでございますので、ただいまお話しのようにたいへんむずかしい問題ではあると思いますけれども、全力をあげてこの法律のねらっております目的を達成できますように、最大の努力を、関係各省御協力を願ってやってまいりたい、こう思っておるわけであります。
○石川委員 いま、何とか実現をさせたいという切なる願望だけは聞いたわけでありますけれども、私はどう考えても、これはよほどのことが裏づけにならない限り、具体的な裏づけがない限り、そうあってほしいとは思うけれども、実現の可能性はきわめて薄いということを考えないわけにはいかないのでありまして、先ほど推進センターというものの予算も質疑応答の中で聞いたわけでありますが、わずか一億というようなことで、この程度のことでこんな大事業ができるとはとうてい考えられない。 それでちょっと伺いたいのでありますが、この過程では、事業団方式でやろうではないかという話も出ておったやに伺っておるわけであります。事業団ということになれば推進センターとはだいぶ形が変わるし、かなり政府自体も腰を入れた態度でもってこれに臨んでおるというふうなこともうかがえるわけでありますけれども、この事業団方式というのがいつの間にか消えてなくなった。推進センターになったらしく思われるのでありますが、その経緯。 それから、これも先ほども質問があったようでありますけれども、やはりやるからには中途はんぱな推進センター的なものではどうにもならぬので、事業団的なものでもって相当強硬に推進するのだという裏づけがなければ私は不可能ではなかろうか、こう思うのでありますが、その点はどうお考えになっておるか、通産大臣でもけっこうでございます。
○宮澤国務大臣 当初、事業団というような構想もあったわけでございます。ただ、いろいろやってまいりますうちに、工場団地を造成するという仕事そのものは地方債の起債のワクをつくるとかあるいは農協等の系統の金融を使うというようなことで資金の手当てはできるということになりましたから、土地造成について地方公共団体がやってくれれば事業団は必要ではないのではないかというふうに考えが変化してまいりました。そういたしますと、残った仕事は、いわゆる資料あるいは情報紹介等になるわけでございますから、これはセンターの仕事をもって足りるであろう、こういうふうに考えたわけでございます。もちろん政府として新しい公社、公団というようなものをなるべくつくりたくない、行政を簡素化して国民の租税負担をよけいかけないようにという配慮が基本にございましたこともございますけれども、まず土地造成等については地方公共団体がやってくれる、その資金手当てもできるということでございましたので、あえて事業団をつくるまでもなかろう、こういう判断に落ちついたわけでございます。
○石川委員 その説明は一応話す範囲では理解できるのでありますけれども、この予算の中身を見ますと、いまの事業団の問題ともからむのでありますけれども、地方債のワクが私の言っている数字が合っているかどうか、ちょっと確かめていただきたいと思うのでありますが、内陸工業団地造成地方債のワクが百三十億円、農村地域工業導入関連基盤整備として補助金が六億五千万円、それから農村地域工業導入関連換地特別対策費が百二十万円、その他事務費補助というようなものもありますが、この程度の予算になっておるのですか。
○中野政府委員 お話しのとおりでございまして、合計しまして約十億の予算を計上しております。 その中身は、先ほども一部御指摘があったようでございますが、計画費といたしまして町村、県の実施計画費、それからいま御指摘がありました工業導入関連の基盤整備費、それから換地処分の経費、これは土地改良法が通りましてから、それの事務費でございます。それとあわせまして工業導入促進センターの予算が一億円ということになるわけでございます。そのほかに、労働省におかれましても、農村工業関連での相当な予算を計上しておられるということでございます。
○石川委員 だれかがこれを評しまして、にがりのきかないとうふだということを言っておりました。たいへんけっこうな計画ではあるけれども、その程度の予算、その程度の姿勢ではとても——私は、これからの世の中は、太平洋ベルト地帯に人が集まることは、先ほども申し上げたように必然的な趨勢ではないかと思うし、情報の集まるところに二次産業、三次産業は集まるというようなこれからの見通しもありますので、それに抵抗するようなかっこうなんですね、この計画は。だから、地方に工場を造成しましたら、そのまわりの交通をどうするか、あるいはデータ通信ができるようなところまでいくかどうか、そういうようなことまで考えていきますと、この程度の予算でこれが軌道に乗るとはとうてい私は考えられない。したがって、農林大臣に伺いたいのでありますけれども、ことしの予算は、訂正しない限りは一応このままということになるわけでありますが、これからもこの程度の予算を積み上げていって、こういう遠大な計画、農村の熾烈な要望にこたえることができるかどうか、どうお考えになっておりますか。
○倉石国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、私どもは、これは当初の予算でまず着手するということでございますので、先ほど申しましたように、これからすぐに都道府県それから市町村がそれぞれ事情に応じて計画を立ててみるわけでありますから、次年度からその計画に基づいてどんどん進めてまいりたい、こう思っておるわけであります。
○石川委員 これは先ほどの質問と若干重複するので恐縮なんでありますけれども、土地改良法の一部改正法案はどうも今度の国会は通りそうもないという見通しが強いようでありますね。そうしますと、共同減歩方式によるところのこういう団地造成は、やってできないことはないでありましょうけれども、非常に困難ではないか。そういうところからも、ことしの予算はこれだけとったけれども、その予算すらも消化できないということになりかねないのではないかというおそれを私個人は持っておりますが、農政局長、この点はどうお考えになっておりますか。
○中野政府委員 先ほど橋口先生の御質問に、今度の法律案で創設換地制度の説明を申し上げたわけでございます。われわれといたしましては、一刻も早く土地改良の改正案をお通しいただきまして、具体的にその六億五千万の実施に入りたいと考えておるわけでございますが、まず計画を立てましてそれから事業ということになるわけでございますので、できるだけそれに間に合うようにわれわれは期待をしておるわけでございます。
○石川委員 この法律が通らないと仮定しますと土地造成が非常にむずかしくなるということがいえるのじゃないかと思いますけれども、これは仮定の問題になりかねませんから、これ以上申し上げません。局部的な問題で恐縮でありますけれども、農村地域工業導入基本方針というものをまず中央でつくる、こういうことになるわけですね。これは導入センターでおつくりになるのでしょうが、よほどきちっとした、地方の農民の意向も十分にくんだ基本方針でなければならぬと思うのでありますけれども、どういう組織でこれをおきめになるのか、どういう基本方針を立てようとしておられるのか、この点を伺いたいと思うのです。
○中野政府委員 農村工業導入の基本方針は、センターで立てるのではございません。これは第三条にもございますように、主務大臣が立てるということになっております。したがいまして、農林省と通産省と労働省とが相談をいたしまして立てるわけでございます。そこで立てました案につきましては、企画庁なり建設省なり、非常に関係のある役所がございますので、そこと御相談を申し上げるということになっております。 そこでの基本的な考え方でございますが、将来の農村に工業をどういうふうに入れていくかということにつきましても、やはり年限的に考えたほうがいいのではないかと考えておりまして、ただいまのところ、五カ年くらいを目標にして基本方針を立ててはどうかということを考えております。そういたしまして、第三条にもございますように、工業導入の目標でございますが、これはどういう地区に導入をしたらいいか、どういう業種がよろしいかというようなことを具体的に立てる。それから、その工業への農業従事者の就業の目標、これはどれくらいの数になって、またどういう就業の条件で入れていくかというような目標でございます。それとあわせまして、工業が導入されることを契機にいたしまして、その周辺の農業構造改善事業をやりたいと考えております。そういうことになってまいりますと、その地域におきます離農あるいは兼業の見通し、あるいはそこでの農家の所得水準をどういうふうに持っていくか、あるいは経営規模の拡大をどういうふうにしてやっていくか、こういうような具体的な方針を示したいというふうに考えておるわけでございます。
○石川委員 そうしますと、これは中央の官庁がつくって——日本の官僚というのは優秀だという定評があるわけでありますけれども、そこでつくったものに基づいてまた府県の段階でつくる、町村の段階でつくるということで、これはいわば天下りということになりかねないわけですね。そうしますと、やはり地方の意向というもの——これは実際行なおうとする場合には、いろいろな障害があると思うのですよ。そういうふうなことを十分にくまなければならぬということになれば、中央の官庁ベースだけで基本方針をつくるということについては、これから非常に障害になるのではないかと私は考えるわけなんですけれども、末端では、こういう工業団地をちょいちょい導入しているところがあっちこっちにあるわけですよ。そういうところで違和感が生じたりいろいろな問題が出たりしているという実態を十分くみ上げた上での基本方針でなければならぬと思うのですが、その点はどうお考えになっておりますか。
○中野政府委員 御指摘の点は、私たちもそのとおりだと思います。役人だけでつくるのはいかがかと思いますので、現在農林省、通産省、労働省三省で離農円滑化対策協議会——先ほど農林委員会で、離農円滑化というのはおかしいという御指摘も受けたわけでございますが、そういう協議会を持っております。それには民間の農業側、工業側、労働側、いろいろな方々にもお入りいただいておりますが、そこでも十分この基本方針を御審議いただければというふうに考えておるわけでございます。 なお、各省にもそれに相当する審議会等がございますので、そういうものを通じて民間のいろいろな御意見を伺った上でこの方針は立てるべきだと考えております。
○石川委員 農林大臣に伺いたいのでありますが、専業農家の生産基盤の強化、これはどうしても必要だ。同時に、兼業農家も評価して施策をしなければならぬ。いまのところは、私から申し上げることもないと存じますが、七〇年のセンサスだと兼業農家は八五%、そのうち第二種と称されるものが五〇%もあって、農外所得の増加というものが非常に多いわけですね。四十四年で二〇・三%、四十五年で二四・四%というように農外所得がふえて、またこれが農業所得を増している原動力になっているということになるわけでありますけれども、そうなりますと、専業農家というものの生産基盤を強化しこれを育成していくというような方針、あるいはまた兼業農家も評価しなければならぬというような、現実にまた兼業所得がふえているというようなところに工場を今度誘致をしたということになりますと、これはさっきの質問とも重複するのでありますけれども、専業農家は専業農家としてそのまま残していくんだというようにお考えになっているのか。専業農家もばらばらに兼業所得を得るように工場につとめてもやむを得ないのだということになりかねないと思うのです。そういうふうに実際に工場を誘致した場合に、この専業農家育成という基本方針とは違ったものになってくるというような可能性が生じるのですが、その辺の食い違いに対してはどうお考えになっておりますか。
○倉石国務大臣 先ほども橋口さんにお答えいたしたことでありますが、私どもは、これは日本農業の特質のようなものでありますけれども、御指摘のありましたように、兼業が大体八割、そのうちのまた五〇%以上は第二種兼業農家です。農家全体の所得だけ見ますと、半分以上は農外所得であります。お話のとおりであります。しかし一方においては、やはり米は生産調整をしながらも一本立ちでやっておられる自立経営農家というのが、とにかく一七%近くは存在いたしておるわけでありまして、基本法はそういう農家を育成していくということをいっておりますが、われわれも農業全体から見ましたときに、わが国が一億をこえる人口をかかえておって、やはり八〇%余りの自給率を維持していこうという考え方に立ちますときに、農業の体質をできるだけ強固にして、そして農業の中核を占めるものはやはり自立経営農家ということになり得るように育成していくという農政の基本は、少しも変えておらないわけであります。 しかしその間に、なおいまお話しのございました八〇%に及ぶ兼業、その中のことに第二種の兼業農家の方々には、よい職場があるならば離農したいと希望される方がおられます。そういう方々には離農機会を多くするために農業者年金制度等も活用することができるでありましょうし、それからまた農地保有の合理化法人等の施設あるいは農協等が土地を所有し得るようにこの前の国会で法律を改正いたしておりますので、農地を流動しやすくいたしまして、離農して他に転換したいと考える方には、できるだけそういうことのできるように助成をいたしたい。 それから、兼業ではあるがやはり農業をやってまいりたい、こういう人たちは、政府委員も申し上げておりますように、二十町歩単位ぐらいな広域の団地というふうなものを構想いたしておりますので、その中でその自立経営農家を中核にした協業等を盛んにいたすことによってやはり農業は継続のできるように、しかも余っておる労働力と家族の中にあります労働力を遠くに入れていかないで、家庭から通勤し得るような施設ができましたならば、いま過密、過疎の問題等に対しても一挙両得ではないか。そういうようなことで、その地域地域に応じた状況を勘案いたしましてそれに対処してまいりたい。どこまでも自立経営の農家は育成してまいりたいという農政の方針には、変わりはないわけであります。
○石川委員 ことばの上ではそういうことになるんだろうと思いますけれども、現実の問題としては、やはり農業に工業が入れば、専業も兼業化するという可能性はどうしても出てくるであろうし、また兼業農家がその農地を手放すかというと、私が見ている範囲では、特にまた工場地帯ができるということになればそこの地価が上がるのだというような見通しも立ちますと、土地を手放すということはなかなかやらない。したがって、兼業農家が完全に離農をして農地を集団化するということは考え方としてはわかるのでありますけれども、現実としてはなかなか実現の可能性は薄いのではなかろうかと思う。 それから、これは通産大臣にもう時間がありませんからあと一問聞いておきたいのでありますが、これからの工業というのは世界的な規模で競争の荒波に耐えていかなければならぬということになるわけであります。ところが、今度のこの計画で団地に持っていくところの工場というものは、そう大規模なものは期待できないのじゃなかろうかと思うのです。これは思い切った交通手段を考えるとか、あるいは電気でもデータ通信でも何でもやれるというふうなところまで思い切ってやれるならともかくですけれども、現実にいまあるのは、中学校が併合してあいたところに持っていくとか、あるいはまた役場が統合されたためにあいたところに行くとかいうふうな部分的な団地がかなり見受けられるわけなんでありますが、そういった程度のものはほんとうに家内労働的なもの以上には出ないというのが現実です。それで不景気になるとまた全部引き揚げていってしまうというのも間々見受けられる現象なんであります。しかし、そういうものであってはならないわけなんですね。そうなりますと、今度の計画でやる場合には、非常に小規模なものでなくて、しかも世界の競争にも耐えていけるというふうなものを前提としてやらなければならぬということを考えますと、この程度の法案で、この程度の予算の裏づけでは、私はどう考えてもこれは絵にかいたぼたもちになるだろうという懸念をどうしても払拭できないのです。その点、通産大臣はどうお考えになっておりますか。太平洋ベルト地帯と同じような大規模なものが堂々と地方に進出していくということはちょっと私考えられないし、小規模なものが行った場合には、そういうふうなことで兼業農家の問題もありますけれども、ほんとうに競争に耐え得るようなものじゃなくて、かなり家内工業的なものになってしまう、あるいはほんとうに中小企業に毛のはえた程度のもの以上には出ないのではなかろうか、こういう感じがするわけなんです。これはどうお考えになるでしょうか。
○宮澤国務大臣 それは先ほど来のお尋ねとも実は関連をすることでございますけれども、確かに装置産業は臨海に立地をしたい、またそれがいいということはおっしゃいますとおりでありまして、そういうふうにして現在の京阪神ベルト地帯がつくられてきたと思いますけれども、内陸にはまた内陸型の産業というものが立地されますし、いまのベルト地帯の過密から申しますと、そうなっていくのではないであろうかというふうに私どもは実は考えております。たとえばいまありますところでは松本・諏訪地区が御承知のようにそのような産業をかなり持つに至っておるわけでございますけれども、やはり付加価値の高い、そうして公害関係が起こらず、しかも港湾というものをそれほどには必要としないというような産業ネットワークができたことを前提にして考えますと、やはり機械工業などが中心になっていくのではないか。そうしますと、これは入るほうもまた迎え入れるほうも相当都合がいいし、また付加価値も高い、安定性もある、たとえて申しますとそういうタイプの工業は大いに有望なのではなかろうかというふうに私は考えます。
○石川委員 そういう答弁を聞くと何かすべてうまくいくような感じなんですけれども、私はうまくいくとはどうも考えられない。しかし何とかうまくいくことができればそれに越したことはない。これは全農民待望の的であろうという気がしますから、何とかこれが円滑にいくようにという意味で私はあえて質問をしているわけなんであります。 税制の問題でちょっと最後に聞きたいのでありますが、七条、八条、九条、十条で税制の特典がありますけれども、この程度の特典ではという感じがしないでもないわけです。なかんずく固定資産税、不動産取得税、事業税の減免をした場合に、交付税でもって補てんをするというのでありますが、これはどこが御担当になるかわかりませんけれども、全額補てんではないのだろうと思うのですね。どの程度の補てんをお考えになっていますか。
○中野政府委員 ただいままでの例でありますと、これは自治省当局のこまかい自治省令等による計算の方法があるようでございますが、七五%程度は補てんされておるようでございます。
○石川委員 いままでのやり方だと、交付税の補てんというのは大体その程度なんだろうと思うのですけれども、この場合には、そういったことも思い切って特例をつくるくらいな気持ちがないと、あらゆる面でよほどの恩典を与えるということがないと、よほどの裏づけがあるということでないと、成功しないのではないか、私はこう考えるわけなんです。それから農林中金の金を貸してもいいという特例の道も開いておるようでありますけれども、これは農民から預かっている金でありますから、金利は決して安くはないわけですね。むしろ高いです。そういうことも、これを育成助長していくにとっては、そういう特例の道を開いたといっても促進する刺激剤にはならないのではないかというようないろいろな面を含めて、何とかこれを軌道に乗せたいけれども、この時代の趨勢に逆行するようなことをあえてやろうとするからには、この程度のかまえ、この程度の姿勢であったのでは、私は成功する見込みはとうていおぼつかないのではないかということを非常に心配するがゆえに、よほどの体制の切りかえというものを今後やっていってもらいたい。そうして何とかこれを軌道に乗せてもらいたいということを、私、時間がありませんから要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○草野委員長 松尾信人君。
○松尾(信)委員 最初に両大臣にお尋ねいたしますが、私の考え方は、この法案は非常に立ちおくれておるのではないか、このような感じを強く持っております。それは工業用地の点から申しましても、四十年に十万ヘクタール、五十年に二十万ヘクタール、六十年三十万ヘクタールというふうに、年々そのような膨大な需要の見込みもございまするし、また既存の、太平洋ベルト地帯といわれておりますけれども、そういうところは用地難等ですでに行き詰まっておる。また労働力の点から申しましても、いま非常に不足が激化しておりますし、農村地域からそれを仰ぐ以外にない。公害もこのようにひどくなっておる。複合の公害まで起こりまして手がつけられない。こういうことでありまして、どうもいままでは産業政策、これが大企業優先、生産第一主義というので効率、効率で、やはり便利な非常に利用しやすいところに密集してきた。いままさに分散しなければできないときに来ておる。でありますから、ある企業なんかは現在すでに自衛といいますか、そういう立場からどんどんと農村地域に進出しております。そういうことからいいましても、これは三年又は五年くらい早くこういうふうな点に政府も注目されて、早く切りかえてなされたら、こうまで現状のようにいろいろ問題が起こらぬでも済んだのではなかろうか。むしろこの法案は、法案自体、時期的な問題でありますけれども、おくれておるのではないだろうか。内容につきましてはいろいろまた心配な点がありますから聞きますけれども、まずそういう点につきまして両大臣の御意見と、感想といいますかそういうものを聞きたいと思います。
○倉石国務大臣 これから多々ますますわが国の経済産業は伸びていくわけでありますから、そういうことを考えますと、やはりそれはもう少し前に着手すればそれにこしたことはないかもしれませんが、これからなお大きな変化を遂げるわけでありますので、なるべく早く今回の法律のようなことを実施に移してまいることが必要ではないか、私どもはこのように考えているわけであります。
○宮澤国務大臣 その点は、実は先ほど石川委員が御指摘になりました、これは趨勢に逆行する考えであると言われましたこと、私自身は必ずしもそう考えていないのでございますけれども、しかしそういう御発言の中に、やはりこういうための自然的な情勢はむしろ熟していないのだと言われます点がございます。ごもっともな点があると私は思うのでございますが、そうなりますと、早くこういう手を打ちましても、実はそういうふうに産業を誘導することがいまの段階でなければなかなかできなかったのではないかという点がございます。 他方で今度、いま松尾委員が御指摘になっておりますことは、ある程度は入っているではないか、それはスプロールになっているではないか、こういうことだと思いますので、私どもはそういういろいろなことを両面から考えてまいりますと、ことに米を中心とする問題が顕在化いたしましたのはここ最近のことでもございますしいたしますから、まずまずこれ以上スプロールさせないで計画的にやっていくことが——これは入られるほうはスプロールは迷惑でございますし、入るほうにとってもよくないのでありますから、まずタイミングとしてはいまあたりのところで適当なのではないだろうか。もっと、ずっと早く先行投資をしておきまして、整ったときに、さあ、入ってこいといえば、これが一番理想的なんでございましょうけれども、なかなか先行投資というものにもそうそう前もって、ということもいけない点もございますから、まずまずこの辺ではなかろうかというのが私の感じでございます。
○松尾(信)委員 それぞれお答えがあったわけでありますけれども、一応私はそのような感じを非常に強く持っております。 そういうことを論じておりましてもしようがありませんので、次にまいりますけれども、この法案の目的としましては、農村地域への工業の導入を行なう、それから農業の従事者を吸収するのだ、他面、並行的に農業構造の改善を進めていく、こういわれておりますけれども、この工業導入の年次計画、これをまず聞きたいし、先ほどからも質疑を重ねてまいりましたけれども、どのような業種を農村地域へ引っぱっていこうとしておるのか。機械工業だ何とかというお話が出ましたけれども、そういう業種別にこの導入の年次計画というものをあわせて立てているのか、両方をまず聞きたいと思います。工業導入の年次計画、次には業種別の年次計画、これを聞きたいと思います。
○両角政府委員 農村地域への工業導入につきましては、この法案で示しましたように、基本方針というものの中で全体の長期的な計画といいますか、方針を出すことになっております。これによりまして、私どもが現在検討いたしておりますのは、大体全国を十四ブロックぐらいに分けて、各ブロック単位での長期的な工業導入のための目標を示したい。これが五年間で全体で十兆円程度の出荷額を期待をしてまいりたい。さらにこれに対応いたしまして、雇用はこれに応じて約百万人というものの雇用の増大をはかりたい。同時に、用地につきまして、大体この目的のために一万五千ヘクタールくらいを使用したい、こういうことが基本的な工業導入のビジョンということになろうかと思っております。 ただ、これを業種別にどういうふうな年次計画でやるかということになりますと、これはなかなか策定が困難でございまして、企業の側の進出意欲、地元側の受け入れ計画というものとの対応関係を見きわめまして、今後さらに検討いたしたいと考えておりますが、一応進出が適格であると認められるような業種といたしましては、機械産業あるいは電気機械製品の産業あるいは食品工業、さらには繊維品の二次産業といったものが一応の適格業種ではなかろうか。その具体的な計画は、各府県のあるいは市町村の実施計画にまちたい、こういうことでございます。
○松尾(信)委員 この業種別なんかはいまからだと思います。 さらに都道府県別の計画ですね、これはさらにいまからの問題と思いますけれども、東京通産局で工業団地づくりの調査がまとまったといって新聞に発表になっておりますが、六十年目標でありまして、五万八千ヘクタール必要とする。これは東京周辺の一都十県の工業団地造成計画でありますけれども、その基礎調査ができた、こういうことでありまして、団地計画が、他方、通産局のほうでは作成されておるわけです。これは東京だけでなくて、やはり全国的にもこのような通産局の団地調査、団地づくりという計画があるのじゃないか。そうしますと、この工業導入計画による、いま局長のお話ですと、先般来すでに進めていらっしゃるこの団地づくりの分、これとのかみ合わせというか、調整というのはどうなるのですか。
○両角政府委員 現在も御指摘のように、団地計画というものは各通産局単位で進められております。私どもは、この法律案が通りましたならば、大体年間にいたしまして二千ヘクタールくらい、個所にしまして六十カ所といった程度の団地を全国にわたって造成をしていくことが望ましいと考えております。その場合にこういう六十の団地計画の中に、ただいまお示しをいただきました現在検討中の各種の計画を取り入れて生かしてまいりたいと思っております。具体的には、秋田、山形あるいは南の鹿児島、宮崎といったような府県では、きわめて積極的にこのような団地計画を検討されておるようでございまして、そのようなものをこの長期計画の中に組み入れて実現をはかってまいりたいと考えております。
○松尾(信)委員 それから、地方ではどういう企業が来るだろうかというわけでありまして、非常に心配なんですよ。東京周辺だとかそういうところはこのような計画もどんどんできておりまするし、大企業との話もうまくいくだろうと思いますけれども、北海道だとか九州ですね、そのようなへんぴなところは質の悪いと申しますか、不景気にもたえがたいような、または東京の周辺で断わられたような、公害上どうだとかこれはどうだとかいうような分がだんだん地方のほうへしわ寄せてくるのじゃないか。質的にもそういう景気変動にもたえがたいようなものが来たら、なお地方としては困るのだが、このように考えておりますけれども、そういう調整というものはどのようにやるのですか。
○両角政府委員 農村地域に進出をいたしまする企業というものにつきましては、私どもはいろいろな望まれる条件があろうかと思っております。一つは、当該企業の属する業種としまして、非常に成長性の高い、あるいは将来成長が見込まれる業種に属する企業が望ましいと思います。同時に、当該企業自体も、経営が十分安定的にあるいはさらに発展的に経営が期待されるような、いわゆる優良企業というものをまずもって選定されることが必要ではないかと考えております。同時に、こういった業種は、お話にございましたように、公害を発生しない、あるいは公害的な要素につきましては少なくとも最小限度のその防止措置あるいは公害の予防措置といったものが、施設において計画において完備されているということが望まれるかと思います。同時にまた、雇用の面から考えましても、なるべく中高年齢者層のみならず、広く労働集約効果のあるようなそういう業種、企業というものを選定していくことが望ましい、そういうものを各地域の実情に合わせまして具体的な実施計画の中で織り込んでまいりたい。したがって、いわば安定成長型のかつ非公害型の企業というものが、遠隔地におきましても地方におきましても受け入れられると思っております。
○松尾(信)委員 中小企業に対する問題でありますけれども、農村へ工業を導入する、これは大企業優先となりますかね。大体大きな企業が出てくるんじゃなかろうか。中小企業は非常に少ないんじゃなかろうか。これは私の考えですよ。その点をあなたのほうで基本的に何か考えたものがあるかどうか、それとも並行的にやろうと思っているのかどうか、その点まずどうですか。
○両角政府委員 農村地域に進出をいたしまする企業は、おそらくは現在ある大企業の工場という形で進出をいたすものもございましょうし、また、独立の中小企業として新しく事業を開始されるものもあろうかと思いますが、実際にどの程度の割合になるかということは、今後計画の具体化を待って考えてまいりたいと思います。
○松尾(信)委員 現在地方に出ておる企業を見ますと、大企業の工場というのがほとんどなんです。中小企業はほとんどありません。そういう点から見ましても、非常に人手不足といわれておりまして、中小企業は福利施設、賃金等、ますます大企業と格差があります。それがまた、このような一つの計画によりまして中央の大企業がどんどん出てくるわ、今度は地方の中小企業はますます人手不足で補充難だとか、または賃金が隣に工場ができまして上がって、ここはだんだん評判が悪くなり、雇いにくい、こういう傾向がありますから、いま抽象的にお答えがありましたけれども、これはがっちり考えていきませんと、農村はいいかもしれぬけれども、地方の中小企業は非常に重大な問題が起こるだろう。この点についてもう一回念を入れて、しっかり考えていくならいくように、はっきりと言ってもらいたいと思うのです。
○両角政府委員 御指摘を賜わりました点はたいへん大切な点でございまして、私どもが農村の工業化を促進をしていきます場合に、地元の中小企業とそれから進出をしてまいる企業との共存共栄関係というものは、十分基本計画、実施計画の中で配慮をしてまいるべきものと考えております。
○松尾(信)委員 次に、本法によりまして農業従事者をどのくらい工業へ導入するかという人数の問題でありますけれども、これをもう一回おっしゃってください。
○両角政府委員 これは現在の推定でございまするが、五カ年計画におきまして約百万人を導入をいたしたいと思っております。
○松尾(信)委員 そうしますと、農業就業者が大幅に減っているというような労働力の調査が出ておりますが、農林大臣、総理府の統計局が四十五年度平均の労働力調査というものを発表しておりますけれども、これによりますれば農林就業者は八百三十万人、それが四十四年度に比べて六%、五十三万人減っておるわけですね。そのようなことが一つ現実にございます。これは四十四年もまた前年に比べて減っておりましょうし、また来年も減っていくんじゃないかと思います。他方農村地域における中学、高校の卒業生、これが毎年相当の卒業生というものがあるわけですよ。五十三万人も離職者が出てきておる、四十四年から四十五年を比べましてそれだけ減っているわけです。この中には当然老齢なんかで仕事のできない人も相当あるかと思いますけれども、大部分の人は他にやはり就職して働いておるんだろうと思います。おまけに中卒が十万人、高卒が三十万ということで、毎年毎年新たに農村地域においてはそのような新たな労働力というものが出てくるわけでありますから、自然とやめていく五十万というような人々と、このような四十万も毎年新卒が出てくる、これを導入法で年間二十万ですか吸収しておくくらいではどうしようもないような離職者、新卒が非常にふえてくるというわけでありますから、農村のそういう人々をどうしていくかということは、この導入法ができたからこれにおんぶされるということでは解決はできないし、基本的にはまだいろいろお考えにならぬといかぬと思いますけれども、大臣どうでしょう。
○倉石国務大臣 私はちょっと頭の中に数字がはっきりしておりませんでしたが、この資料によりますと四十五年に八百八十二万、これお説のように五十二年の見通しだと六百二十四万でありますか、これは私どもといたしましては——つまり単純な農業従事者というものがいままで非常に多かったということ、多くてしかも生産力というものがそのわりあいに伸びておらなかったところに農業経営の弱体性があったわけでありまして、やはり近代化することによりまして、就業人口は減りましても農業生産は逆にふえていくということが好ましいことでございますので、先ほど来ここで兼業所得等のお話もございましたけれども、だんだん就業人口というものがいまでもすでに一六・二%くらいでありますか減っておるわけでありますから、これがもっと減るかもしれません。たとえばイギリスごときは就業人口の中の農業人口が四%を下回っておると思いますが、生産額というものは逆にふえております。ここに農業の近代化、つまり私どもといたしましては農業というものを考えます場合に、やはり近代化して体質を強化して、そして生産コストを下げていって国際競争力を持つようにしなければならないのではないか、こういう考え方で農政をやっておるわけでありますが、ただいまお話のございました中で、私どもが考えますのに、農業というものをどのようにしていくかということと農民をどのようにしていくかということ、それから農民の住んでいらっしゃる農村をどのようにやっていくかといういろいろな問題があると思います。したがって私どもといたしましては、やはり農業の体質を改善し規模拡大をいたして競争力の強い農業を維持していくということは基本法の志向するところでありますので、そういう方向をとっていきたいのでありますが、その間において出てこられる労働力をできるだけ効率化して所得をふやしていくということが必要ではないか、そういうようなことを考えます場合に、先ほど来お話のあります八割余りが兼業農家で、しかもその兼業のうちのまた五十数%、六〇%近いものが第二種兼業農家でありますので、そういう人々の労働力というものを効率的に活用する手はないだろうか、同時にまた、いま御指摘のありましたように中卒、高卒等これらの人々が全部大都会の産業に吸収されるということでは困るのではないか、やはり私どもといたしましてはできるだけその地域に滞留していただいて、そして地方に分散されてくる産業に効率的に働いていただくようにすべきではないか、こういうことを農村のサイドから考えておる次第でございます。
○松尾(信)委員 少し私の言っていることと違うのでありますけれども、私は五十万も幾らも——四十五年ですよ、五十万も幾らも毎年農村の離職者がそれだけ出てきている、他方新卒も四十万もある、そういう人々の地元における働き先ですね、こういうものをやはりこの導入法以外にいろいろお考えにならないといかぬのじゃないか、こういうことを言っておるわけであります。この点はひとつ今後ともしっかり御検討願したしと思います。 それでこの地方へ工業が出ていく問題でありますけれども、この導入法ができると、従来は自由に出ていったわけでありますけれども、自由に出ていく分とこの法に基づき出ていく分と、それを今後は調整するのかどうか、財政的な面、税制的な面等で本法というものに自然と吸収されていくのか、二本建てかどうか、どちらに重点を置くのか、こういう問題でありますけれども、簡潔にどうぞ。
○両角政府委員 これまで年々約一万ヘクタールの新しい工場用地ができておりまして、その中で約半分以上が内陸型の立地でございます。さらに今回の法案で予定しております農村地域につきましては、さらにその半分ぐらいが該当するかと思っておりますが、こういった地域に従来とも進出をされておるわけでございますので、今回この法律案が成立いたしましたならば、これら企業の進出計画というものについては、各市町村あるいは府県等と十分緊密な連絡をとりまして、計画の中に取り込みまして、そしてその恩典措置、優遇措置が均てんできるように指導してまいりたいと思っております。
○松尾(信)委員 それでは二本建てでいくというわけですか。
○両角政府委員 全国にわたりましてすべてこの方式に統一するわけにはいかないと思いますので、どうしても結果的にいえば二本建てになると思います。ウエートといたしましては、農村地域の計画的な導入でカバーされるものが大きくなると思っております。
○松尾(信)委員 では時間の関係もありますので、地価の抑制対策の問題を聞きたいと思いますけれども、これはいなかへ行きますとバイパスができるということだけでどんどん上がるわけです。ですからこのような拠点団地だとか、また市町村等でいろいろ話が出ますと、その値段が上がっていくのじゃないか、そこにはもちろん県の先行投資がなされますけれども、その先行投資をする段階の前にひとつしっかり考えていかなくちゃいけないのはその地価の抑制、また団地ができますと周辺が上がっていくというわけで、自然と全体的な地価というものが上がっていくわけでありますけれども、そういうものに対する配慮または悪徳な不動産業者の横行で、この前も商工委員会としましては、北海道のほうに行きまして苫小牧等を視察したわけでありますけれども、悪質不動産業者がおりまして、ぽろぽろと買いまして、値段がぐっと上がるのを待っているわけであります。政府のそのような計画さえも、不動産業者の先行投資が先に行くわけですから、よくよく考えませんと、これは地価がどんどん上がって、非常に地方としては迷惑する、これが言われるわけでありますから、この計画の機密の保持それから実施の慎重さ、そういうことについてどのように考えていらっしゃるか、聞きたいと思います。
○両角政府委員 地価の高騰は確かに大きな問題でございますが、この農村地域への工業導入計画につきましては、各都道府県におきまして基本計画を策定をいたしまするが、その基本計画におきましては、どの地点を導入地区とするかというようなことは公表をいたさないようにいたしたいと考えております。しかしながら、実施計画の段階では、これは明らかにする必要がございますが、基本計画から実施計画に移ります間におきまして、府県並びに市町村はそれぞれ地元の地主の方あるいは農業を営まれる方々と事実上の話し合いを進めまして、土地手当てのめどをつけまして具体的な地域指定に踏み切りたい、こういうことを通じまして、不当な地価の高騰を抑制したいと思います。
○松尾(信)委員 時間がなくなって残念ですけれども、労働省の方いらっしゃいますか。——それで、いままでいろいろ話したとおりでございまして、まあ、農村の離職者が年間五十万それから新卒が毎年四十万、こういう地元の人々をできるだけ地元に落ちついて働かせたい、こういうのがねらいになっておるわけでありますから、その労働対策というものは非常に重大だろうと思うのです。ですから、今度はその二本立てで、工業導入でもいくんだ、自分でも大企業が入ってくるんだとしますと、まず新卒のほうから引っぱりだこというようなことになりまして、相当やみの周旋業者が出てきたり、会社直営のそういうものが出てきたり、政府の機関とそういうものとの競合とか、いろいろこれはむずかしい問題が出ると思うのですけれども、そういうことをきちっと調整していこうという計画なり考えがあるかどうかということでありますが、どうです。
○中原政府委員 先ほどの御質問にも関連いたしますが、四十六年度から五十年度にかけましては、第二次産業におきましては年平均七十四万人、第三次産業におきましては三十三万人の就業者が増加する見通しになっております。したがいまして、この法案の関係の増加だけではございませんので、経済全体としまして、少なくとも中卒、高卒につきましては、先生御承知のとおり、むしろ足りないようなことでございますが、しかしながら、足りないとはいいましても、労働環境のいい、労働条件のすぐれた職場にそういう学校卒業者を就職させるとともに、あわせましてこの法案の関係には離転職者は主として中高年齢層とか婦人の問題が非常に重要になってくると思いますので、これらの人に対しましては、そのような人たちの、いままではそういう工場で働いたこともないというような経験、実情等を勘案しまして、きめのこまかい対策を立てまして、たとえば機動的に職業訓練を実施する、普通は若干長期にわたるようなことも多いのでありますが、特にこういう人たちのためには三カ月程度で早く覚えていただくとか、いろんなきめのこまかい懇切丁寧な指導を行ないまして、先生いま御質問、御指摘になりましたような問題点がないように万全の配慮をいたしたい、かように存じております。
○松尾(信)委員 終わります。
○草野委員長 川端文夫君。
○川端委員 企画庁長官に御質問申し上げたいのですが、何か御用がおありのようですから、最初に一、二問、全部質問申し上げますから、それでお答え願って御退席願ってもけっこうじゃないかと思います。特に私は委員長にも御理解願いたい、委員の各位にも御理解願いたいのは、重複を避けて簡潔に質問を申し上げますから、お答えもひとつその要領で、なるべく時間の節約をして効率的な御答弁を願いたい、このことをまずもって申し上げたいと存じます。 そこで長官、これまでに農村に工業導入については、地域開発立法として、三十六年の低開発地域工業開発促進法なりあるいは新産都市法なり工特法などのこの三つの法律が出されておるわけです。この法律が実施されてきょうまで、その地域住民の生活の向上にどの程度寄与したのか、効果をあげたのかどうか、私は、成功か失敗かという問題をもう一ぺん顧みてものを考える必要の時期ではないか、こういうことが第一問です。 そこで私は、次の質問を申し上げれば答えが出てくるようになるのでおかしくなるのですが、私の感じでは、言うなら国民生活の国内の平均化というか、平均化の問題にかなりウエートを置いていろいろ考えられてきたけれども、先日の朝日新聞の民力調査というものが発表されておりますが、これらを見ますと失敗だという、新聞社の見方ではあるけれども、失敗だといっておるわけです。民力の水準を見ると、六三年から七〇年に至るまでに比較してみると、北海道、東北、四国、山陽、九州などでは、ほとんど民力水準が低下している、こういうことが新聞に載っていたわけです。ただ、首都圏すなわち東京近郊だけがわずかに民力の水準が上がっておる、こういうことがいわれておるのですが、いままでに法律を三つも出して努力してこの成果があがっていないという事実はどこに原因があったのか、法律をつくっても、追跡しなかったのか、実効のあがるような努力をしなかったのかどうかという点に対して、経済企画庁長官としてはどういう見方をされているか、お答え願いたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 これは確かにいろいろな両方の見地から見方があると思いますが、私はこの新産都市その他の構想、いわゆる大都市の過密を何とか防止をしていこう、こういうような見地から打ち出された法律でございますが、今日までの実績を考えてみますると、たとえば人口の確保であるとかあるいはそこにおけるところの工業の伸びであるとかそういうようなものについてはまあまあわりあいに予定したラインには到達しているとは思います。ただ、いわゆる公共投資その他の面について、先行投資について不十分なものがあったり、そしてしかも全体としての日本の経済成長が御存じのように非常に予想を上回る高さでありましたために、そういう意味において、いわゆる従来の大きな都市における過密というものを防ぎ切れなかった。そっちのほうはそっちのほうでやはり過密が相当進んだ、こういう意味においては確かにもの足らないというか、不十分だった点があるし、しかしまあ、いわゆる計画としての目標というものはある程度達してきておる。そういう意味において、満点をつけるわけにはいかないけれども、ある程度の実績は残した、こういうふうに私は考えております。低工地帯につきましても、ある程度の人口の増加ということがこれによってもたらされたことも数字が示しておるとおりでございますから、同様なことが言えるんではなかろうか、こういうふうに考えています。
○川端委員 まあ、忙しい時間にあまり長々とお引きとめするのもどうかと思うけれども、言うならばいままで農村工業導入というような目的も加えて施行されている法律によって、民度が向上していないという事実ですね。過密化、いろいろな問題はそれは別な議論といたしまして、地域の生活の向上に貢献していないという事実はやはり踏んまえた上でなければ、この法案を見ることは困難じゃないか。これまでいろいろなことを書かれておるけれども、前の三法案の提案理由の説明等にもかなりこれに近いりっぱなことばをもって提案理由とされておるが、実効はあがっていないではないか。こういう点で、法律をつくることはなかなか巧妙におじょうずであるけれども、それの実効をあげるための努力というものがいままでもあまり行なわれていなかったのじゃないかというきらいを、やはり総合的な経済を見ている企画庁長官に知っておいていただきたいし、よく見てもらいたいという考え方でいま質問しておるわけです。この点は、時間がないならお帰りいただいてもけっこうですが、そういう趣旨で質問をしているということでありますから、よくいままでの所管大臣がいろいろ言われている結果が出ていないものを、企画庁としてどういう総合経済計画の中に見ておるのかということを知ってもらいたいためにお呼びしておるわけです。 何かそれに対して反論があれば反論をしていただきたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 別に反論申し上げる気はないのですが、確かにおっしゃるように不十分であったという点は私はあったと思います。やはり私こういう感じがいたすのです。これはやはり日本の経済成長の発展段階というものにも関係してきておるのじゃないか。そして成長第一主義、数量的な成長、いわゆる規模の利益を追求する成長、そうしたことが今日ずっと行なわれてきておりまして、そしてやはりそれに対する反省というものが今日になってようやくほうはいとして起こってきておる。でありますから、御存じのように新全国総合開発計画というようなものも新たに考えられ、いろいろな意味で新しい国土開発の方向というものを最近になって政府も打ち立てておる。そういう意味においては私は少し、旧段階におけるところの立法であるというふうに感じられます。まあ今度の立法はそうした新しい段階、新しい空気というものを背景にしてできてきておるわけでございますから、当然新しい角度からこれを取り上げる。たとえば工業の分散が公害の分散であってはならないとか、あるいは工場のスプロール化になってはいけないとか、そうしたことはわれわれのこの経験によって、今度新しくできるところの法律の運用にあたって十分考えていかなければならない基本になるわけでありますが、そうした点がやはり段階の相違といいますか、確かに新産都市の当初の構想というものが、その後の日本の経済成長によってある意味においては基礎的に不十分なものにされた点があるように私は思います。そういう意味では——まあしかし、おっしゃったように民度ということになると、私は相当貢献したと思うのです。地方における民度の向上には相当貢献したと思っておるのですけれども、しかしまあまだあきたりないものがある、そういう感じは率直に持っておりますが、今度こういう法律をつくりまして運用するに際しては、今度こそそうした点について十分の反省が行なわれる、一つのそうした角度でこれができたものと、こういうふうに理解しておるわけであります。
○川端委員 もうけっこうです。お引きとめしても悪いから……。 そこで、農林大臣と通産大臣に、どちらからお答えいただいてもけっこうであるわけですが、この法律も結局は成功なかなか困難ではないか、こういうふうに私は考えざるを得ないし、特に特徴的な目新しいものもない、こういうふうにも考えられる節が多いように思うのですが、進出していこうとする企業にどのようなメリットを与えるのかということが何か私どもにぴんとくるような説明があれば、どちらさんからでもけっこうですが、お答えいただきたい。
○宮澤国務大臣 その点は先刻石川委員のお尋ねとやはり関連をしておると思うのでございますが、ただいまお話しになりました低開発地域の工業地帯あるいは新産、工特——最初に政府が第一次の全国総合開発計画をつくりましたときに、やはり関東、近畿、中部以外のところの人口が計画期間中にはウエートが大きくなるであろうという想定をしたわけでございます。これはしかし、事実においては誤りまして、集中がなお続いたわけでございます。なぜそうなったのかという反省の上に立って現在の新全国総合開発計画ができたわけでございますが、そのときいたしました反省がは、結局まだ集積の利益のほうが強かった、結局集積地へ企業なり人なりが集まる、その経済のほうが不経済よりも大きかったということにあったと思います。そこで第二回目の、いまの現在の新全国総合開発計画では、だんだんやはり集積地へ集まる不経済のほうが大きくなりつつあるということとともに、そうであるならば、今度は新しくいわゆる分散傾向を助長するためにネットワークをつくったらよかろう、こういうことでいまの新全国総合開発計画ができております。この想定が今度は当たるか当たらないかということが非常に問題なわけでございますけれども、私は、あれは昭和五十年あるいは六十年ぐらいまでを考えておりますが、いまの趨勢は集積地へ集まる不経済のほうが大きくなりつつある、もうそういう傾向が出てきたのではないかというふうに考えます。その点は公害の問題なども一つ寄与しておりますけれども、何と言ってもその過密からくるところの外部不経済が大きいのと、よくお聞き取りになりますようにもう立地をしようにもなかなか臨海地帯には場所がないということ、これはよくお聞きになると思いますが、現実にさようでございます。そういうことでございますから、それはメリットを与えてやることは必要でございますけれども、同時に全体の趨勢が、やはりいいところがあれば、そうしてネットワークがある程度できてくれば、むしろそちらに行きたい、こういうことに趨勢がなりつつあるのではないか、私はこう考えますので、この程度のメリットがございましたらこの施策は成功をするのではないかというふうに基本的には判断をいたすわけでございます。
○川端委員 まあ私もそれぞれ諸外国を見てまいっておりますし、いろいろな観点から考えてみますと、資本主義経済というものは本来中央集権にどうしてもなりがちだ、このなりがちなものを強力な力で阻止しよう、転換しようとするには、よほど思い切った転換の決意がなければいかぬのじゃないか。そういう意味においては、やはりイギリスなりイタリア等ではかなりな強力な処置をとって地方に工場を分散さしておるという事実をも聞いてみたりして帰っておるわけですが、この際は、これをやろうとするならば、この中央集権的になりがちな世相を切りかえようというのであるから、たとえば法人税の切り下げとか電力料金の特別の優遇措置であるとか、いろいろなものがもう少し考えられてしかるべきではないかと思うのですが、まあそういうことをせぬでもだいじょうぶだと言い切れるだけの自信がおありかどうか、お答え願いたいと思います。
○宮澤国務大臣 資本主義経済においては集中してくるのが原則であるとおっしゃいますけれども、それはやはりそのときの段階によるのではないか。私はいま日本のありさまを見ておりますと、確かに中枢管理機能というものは中央に集まりつつある傾向がまだ続いておると思います。それは言ってみれば本社機能のような部分でありまして、その生産部門、工場部門というのは実はもう分散の趨勢に入ってきたのではないか、こういうふうに、これは見方でございますから、十年たちましたらあるいは誤っておったということを申し上げなければならぬかもしれませんが、どうも私はそういう気が現段階ではいたしますので、それはメリットは大きければ大きいほうがよろしいには違いございませんけれども、すでにそういう傾向が生まれつつあるという判断が正しいとすれば、この程度のメリットでかなりプラスになるのではないかというふうに考えております。
○川端委員 今回の案では、地域指定をしてそこに導入するという方針になっておるわけですが、従来伸びてきた大型のコンビナートと違いまして、比較的小規模の二次産業をおもにねらっておいでになるのではないか、これを導入しようとしておいでになるのではないかと理解するのですが、この場合に、企業間の連携というか関連産業のことをも考えなしにぽつんと一つだけ行ったって仕事にならぬというのが事実であるわけです。たとえばいま東京周辺の埋め立て地ですら、これは鉄鋼団地だ、こういうことできめて、鍛造なり何かの工業だけを誘致しようとしても、鋼材、工具等の業者がその近辺にいないために非常に不便な感じを持っている。ましてや地方に出ていく場合においては、そういう関連産業をも含めて行ける条件をやはり構想として準備しなければならぬのではないかと思うのですが、こういう地域開発をしようというときに、単に一つだけ企業が来ればそれで何がしか仕事ができるということはあまりにも少しものの見方が足らぬのではないか。私は先般中国に行きましたときに、やはり自動車工業をつくる場合には、そこにいろんな関連産業の用意をして、あるいは住民の住宅等をも用意した姿において新しい工業地域を開発しておる事実を見てきておるわけです。シンガポールにおける最近のジュロン地域においても同様のことが見られるわけですが、こういう形において単に工業を農村に導入するというだけで来るものという見方はあまりにも機械的な机上理論に終わるおそれがあるのではないかということを懸念するのですが、そういう懸念に対して何か準備がほかに用意されているというもの、おありかどうかお聞かせ願いたいと思います。
○両角政府委員 御指摘のとおり進出します企業とその下請あるいは関連企業との関係を有機的に考えていくということはきわめて大切であろうかと思います。ただこの場合、親工場というものはたとえば既設の工場地帯にございまして、そしてその分担をしまする協力工場あるいは下請工場というものが農村地域に進出をするというような形式もまた考えられるわけでございます。 たとえば一つの例を申し上げますと、ある電機会社は電気こたつをつくりますアッセンブル工場を阪神地区に持っております。それに対しましてこたつやぐらをつくる工場を四国に設けておる。こういう場合には、そのやぐらの組み立ての工程が四国の分工場において行なわれまして、そこでつくられましたやぐらが大阪に送られまして、そして電気部品と組み合わさって一つの製品になっておる。こういったようなことは各企業単位におきまして全国的に工場配置を考えていく場合に周到な計画を立てて行なわれるものと思います。そういう計画に即応しました企業の地方進出というものをこの農村地域導入計画の中に取り込みまして、そしてこれを促進していくということも非常に意義があることではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
○川端委員 先ほど冒頭に言ったように時間の節約をしたいという気持ちをもって言っておるのですが、私は工業人です。みずから工業をやっておるものでありますから、そういう簡単なものではないという見方をせざるを得ない。そこで、言うならば従来工業用団地というものを各府県につくったけれども、かなり向こうに進出した連中が困っている現実も数多く聞いておるわけでありまして、いま先ほども言いましたように、関連産業というか関連業者というものがそれぞれ間近かにいない。工具一つがないからといって一日機械をとめて東京まで買いに来なければならぬとか、大阪まで買いに来なければならぬということでは仕事になりません。それほど余裕のある今日の工業の状態ではない。かなりきびしいものである。輸送賃を含めてかなりきびしい条件の中に工業はやっておるのであるから、よほどの準備体制というものがなければこれは容易でないということを私は身をもっていろいろな地域で見ておるわけです。 したがって時間も来ましたから多くを申しませんけれども、甘い考え方で単に机上理論だけではうまくいきませんよ。かなり思い切った、たとえばシンガポールなんかの工業地域をごらんになったと思うのですが、まず工場をつくる前に住宅をつくったり、学校施設を先につくって、そして中小企業の誘致をしている。日本ではそうではなしに工業を来いよということでそれができてから、あとからいろいろな公共団体に陳情書を出してものをやっていかなければならぬためにその間の難儀なり不利益というものは容易でないからなかなか腰があがらぬというのが実態ではないか。私も農村地域に下請を出しておる一人ですから、そういう経験を持ってなかなか出したくても出せない、連絡もとりにくいということで、仕事を出したくてもそこで間に合わないということにおいてなかなか思い切って仕事を大量に出せないという事実をも体験しておるものですから、容易でございませんよということを強く警告を申し上げておきたいと存じます。したがって結論としては、この法案をいま立案された考え方では甘いのではないか。冒頭から言っておりますように、このような条件を法文化しようとするならばこの工業誘致だけ、導入だけではなくて、関連の問題等をももっと幅広い角度で考えて強力なものにする必要があるのではないかという考え方に立っていま御質問しておるので、反対のための反対をしようとしておるのではない。甘い考えでいままでつくった法律も成果をあげていないと同じようなことになってはわれわれ審議しておる立場がないではないかということを憂えておることを申し上げたいわけです。この点は大臣からでも決意を聞かしていただきたいと存じます。
○宮澤国務大臣 確かに私どもも経験することのある一面の真理をお述べになったと思います。私どもこの基本方針なりあるいは現実に企業の選択をしてまいりますときにそれらの点もよく考えてやってまいりたいと存じます。
○草野委員長 林百郎君。
○林(百)委員 最初に通産大臣と農林大臣にお尋ねしたいと思います。 先ほどからお聞きしておりますと、この法案の目的は農工を一体として双方が成り立つようなそういう方向で運営をしていきたいというように考えておる、こういう答弁でございますが、この法案の底流には、まず通産大臣にお尋ねしますが、これは財界方面の強い意向があったのではないかというふうに思われるわけなんですが、それは、経団連月報のことしの二月号で、経団連の副会長、東芝電気の社長の土光さんが、「わが国経済の高成長に伴う工業地域の過密化、公害問題、工業用地の確保難、労働力不足など、いろいろな問題が出てきており、この際、わが国工業の持続的発展をはかっていくためには、農村と工業の協調による農村地域における内陸型工業を中心とする工業開発を積極的に推進していくことによって国土の高度利用と工業の分散化をはかり、また一方、それを起爆剤として農業構造の改善を推進して」いく、むしろ内陸型の工業を開発していく、それを起爆剤として従属的に農業構造の改善を推進するんだ、こう述べておるわけでありますけれども、これから考えますと、企業側は労働力の確保、用地の確保等でどうしても地方に分散しなければならない、こういう要請を強く持っておるのではないかというように思うわけです。したがって、農業のほうは、企業が進出することによって、それに沿った農業構造改善が行なわれる。農業構造改善はその企業の進出に従属したものになるんだ、こういうように考えられる。こういう財界の強い要請があるのではないかというように思うわけなんです。 その点と、それから農林大臣に、この法案は一見して農家、農民の利益を守るかのようなことが文面上は出ておりますけれども、ほんとうは、もうどうしても地方へ分散しなければやっていけなくなった企業に対し便宜をはかってやるということが主たる目的ではなかろうか。したがって、むしろ農業は、取りつぶすということばが刺激的ならば、非常に合理化されて、そして農業に従事した若い労務者を工業の労務者として提供するような方向へ農業を再編成していくという方向で考えられていくのではないか。そして一方では地方財政の負担のことがある。これはあとで聞きますけれども、そういう方向で、やはり企業がもういまの状態ではやれなくなって、内陸型の工業に進出する、これが主目的ではないでしょうか。そして、そのことのために、農業構造改善が従属的にやられていく、農村から労働力を排出する、そのことがこの法案の真のねらいではないかというように思うわけですが、両大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほど農林大臣もお答えになりましたように、専業農家が大体一五%になった。そして農業就労人口が八百二、三十万でありますが、昭和五十年の推計によれば、それは六百万台になるであろう、こういう御答弁も農林省の事務当局からございました。しかも、農林大臣の御方針は、少なくとも主食というものは自給をしていく、のみならず総合農政を展開する、ただそれは、生産性が上がることによって現在ほどの人員は必要としない、そういう姿の農政が望ましいということを言っておられるわけでございます。私どももまことにそのとおりだと思います。そういたしますと、必要としない人口というものは、これは農業所得でなく農家所得ということからいいますと、どのようにして所得を確保していくか、上げていくかという問題は当然あるわけでございまして、かりに工業が集積地だけにあるといたしますと、それらの人口は農村から都会へ流出してこなければならない。そのことは、しかし本来生活環境として都会というものはいいところではございませんし、できるならば在村在宅でそういう二次産業あるいは三次産業に働く機会があったほうが好ましい。これはおそらく農村に住んでおられる人々の立場から申しましてもそのとおりだと思います。また産業の立場から申しまして、私ども何もいわゆる企業の利益に積極的に反することをここで御提案申し上げているつもりではございませんので、企業としましても、そのような地域に入っていくことが可能であれば、それは確かに入りたいという希望がございます。これが、農業を犠牲にして行なうとかあるいは農村に迷惑をかけて行なうということを考えておっても、これはできるものでもございませんし、そう考えるべきものではないし、両方の調和点というものがこの法案のような形で見つけられるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
○倉石国務大臣 林さんのお尋ねを伺っておりまして、そういう考え方も出てくるのかなと、実はふしぎに思っておりました。あなたのおっしゃいましたような、そういう考えは全然ないのであります。私どもは先ほど来——林さん、ここにいらっしゃったかどうか存じませんが……。(林委員「ずっといて聞いていました」と呼ぶ)お答えいたしましたように、従来のような方針で野方図にやっておれば、やはりある地域に大部分の人口が集まってしまう。しかもそれがいままで無計画に行なわれておったことでありますので、われわれやはり国全体のことを考えてみまして、ことに林さんも私も同じ郷里でありますが、ああいう郷里にだんだんと過疎地帯が出てくるような情勢、そういうことを考えてみますと、農業従事者自身及び農業団体等が、やはり人口をできるだけ地元にとどめておきたい、そしてまた新しい職場を希望いたしたい、そういう考え方から、たとえば農業者年金制度等にも賛成しておられますし、今度の工業導入などについても非常に賛成である。この前の国会で農協法の改正案などについても、団体が非常に協力をしていただきましたゆえんのものも、やはり自分たちの持っております先祖代々のこの美しい土地、しかもそこで生まれておるお互いの労働力というものをできるだけ地元にとどめておいて効率的に働きたい、こういう考えは当然なこと、だと思うのであります。 したがって、いまお読みになりました経団連の土光さんか何かのお話、それは私は初めて承るのでありますが、全然そういうこととは関係なしに、私どもといたしましては、自立経営の農家を育成していくという大方針には変わりはありませんが、やはり多くを占めております兼業農家に、本人の希望に応ずるように、あるいは離農したい者は離農しやすくしてあげるように、そして雇用機会を増大していくように、しかもまた兼業でも、そこに踏みとどまって片手間に農業をやっていきたいというような人は、自立経営農家に配するに協業などでそういう人たちの希望を生かしてあげるようにつとめたい。 そういうことを並行して考えてまいりますと、私どもは、先ほど事務当局も申し上げましたように、大体二十町歩ぐらいなところを多く見当をつけまして、そして一方においては構造改善をいたしてまいりたい。一方においては、それと並行して工業の導入をいたしてまいる。いわば田園工業都市的な構想で、地域の繁栄をそういうことでもできるだけはかっていきたい。純朴なそういう考え方から出発いたしておる法案でございます。
○林(百)委員 農林大臣は非常に甘いことばで答弁なさっておると思うのです。この法案で、とても倉石さんのおっしゃるような方向へは行けないと思うのです。それはやはり、大企業が内陸へ進出するということと、あらゆる農民が自主的に農業を発展させるということは両立しないのです。それは最近の、あなたの郷里の長野県をごらんになってもわかるじゃありませんか。出かせぎ農民が多くなり、農業は放棄されている実情を見れば、おわかりになるわけでしょう。そしてさらに、まだそれでも労働力が足りないから、もっと農村から労働力を排出させなければならないというのが企業側の要請ではないでしょうか。そして、経済の高度成長政策にマッチしていくようにさしていきたいというのが企業側の要請ではないでしょうか。それで、そういう考え方が林さんにもあるかとおっしゃったのですけれども、これは大企業側にあることを私があなたに言っているわけなんです。いまの経団連の月報の二月号に、新日本製鉄の副社長の藤井さんがこう言っているのです。工業も農業も合理化が迫られているけれども、しかしいまわれわれの望むことは、工業側のほうの要請が大きな要因になっているということは、私も全く同感だ。工業側の合理化のほうがどう合理化するか、どうこの行き詰まりを、労働力の面からいってもあるいは土地の面からいってもあるいは水の面からいっても電力の面からいっても、合理化していくか、開発していくかということのほうが、農業構造改善よりは大きな要因になっているということは、全く私も同感だ、前の発言者を受けてそう言っているわけですね。そして「実は去年の夏、私は軽井沢で佐藤総理に国土総合開発の問題について相当長時間にわたって私見を申し上げたことがあるのです。」こう言っているのですよ。そのことを私があなたに言っているので、私の主観をあなたに言っているわけじゃないわけなんです。 そこでお尋ねしますが、そうしますと、本法による都道府県が定める実施計画によって、地区が、地形だとか地質だとかその他の自然条件あるいは用水の事情、輸送条件その他の立地条件から見て、その地区へ工業の導入を促進することによって当該地区を工業進出の拠点とする、そのような立地条件を持っているところは、同時に農業としても、地盤が平らだとかあるいは地盤がかたくて農業機械を使用することができるとか、あるいは用水事情が便宜があるとか発電事情があるとかあるいはそのほかの条件で、農業としても非常な適当な土地へ工業が進出する、進出する条件を同時に備えている、こういうことになりませんか。どうでしょう。
○倉石国務大臣 これは、したがって私どもといたしましては、審議会もつくって地元の人々の意見も聞くようなことを考えておりますし、また基本方針を立てて、それの実施計画を立てるのは市町村長等がやるわけでございますので、地元の人人の御意向を十分に尊重してやることになっているわけであります。したがって、そういうようなことを何もこちら側が強制するわけでありませんで、十分に地元の住民の状況、御意思を尊重して計画を立てるわけであります。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 私は、先ほど来申し上げております考え方、たとえばあなたのところに例をとって、適切な例だと思いますが、昔は製糸業が非常に盛んであった。製糸がだんだんだめになってきて、いち早く空気の乾燥しておるところではああいう精密機械工場をおやりになって非常な成功をして、土地の労働力もそれによって効率的な所得をあげられるようにやっております。こういうように、やっぱり地方地方の状況に応じて適当なと思われるような産業を導入するわけでありますので、地元の意思が十分反映できるようにつとめてまいる、こういうことでありますから、経団連だとかなんとかというよその人々の御意向は、御意思はかってなことでありますが、私どもといたしましては、ことに農業サイドから見ますというと、農業というものを並行してやはり確立してまいりつつ、地元の適当だと思われるような産業を誘致してまいる、こういうことであります。
○林(百)委員 農林大臣、この法案をよく見ますと、国が基本方針をきめて、それから都道府県それから市町村が基本政策、それから実施計画を策定するようになっているので、この点はあなたの言うように下からの意見によってそれをやるようにはなっておらないわけなんですよ。その点、私たちがこの法案に批判的な一つの大きな理由になっているわけなんですが、時間がありませんから、その点はいずれまた他の委員会で同僚議員から質問することにいたします。 そこで、農林大臣と通産大臣にお尋ねしますが、これは資本主義の自由経済のもとで工業が進出するわけなんですから、これは決して公法人でもなければ国家事業でもないわけですね。これがある経済的な変動によって工場を閉鎖しなければならない、あるいは事業の事情によりまして縮小しなければならない。たとえばいま長野県でも起きておるのですが、弱電機関係の工場がずっと農村地域へ進出した。しかし、いま弱電機関係が非常に大きな不況の見通しのもとに事業を縮小している。したがって、農工一体だという、たとえば長野県なら長野県の下伊那に太陽をというようなスローガンで工場が進出して、農民は農業を放棄してそういう工場へ労務者としてつとめたわけなんですけれども、それがいま弱電機関係が非常に縮小の方向へ企業がいっておりますから、閉鎖をどんどんしていくわけです。ところが、戻ろうと思っても、もう農業は放棄されて荒廃しているか、あるいは土地が他人のものになっている、一方、つとめの工場のほうは閉鎖されている、これは失業せざるを得ないようになるわけなんです。こういう事態に対する補償はどういうところにあるのでしょうか。そういうことを自由主義的な経済を基調とする資本主義のもとではわれわれ考えなければならないし、現実に長野県では起きているわけなんですけれども、そういう場合の補償はどうしたらいいのですか。一方では農業構造改善で農業は放棄されて、そうして三割農業か何かで大規模化した構造改善が行なわれている。そして、土地はそちらのほうに集中されている。土地は放棄して、そして工業のほうへ従事している。ところが、その工業が縮小で犠牲になってしまった。ことに通産大臣も、これは倉石さんも御承知でしょうけれども、長野県あたりの山の奥へ企業の採算が合うような状態で進出する企業というのは非常に限られたものであって、基本的な重化学工業がまさか長野県の下伊那の山の奥やあなたの郷里の山の奥へ進出するはずはございませんですから、これはやはり下請のまた下請という形になる可能性が非常に考えられるわけですね。あるいは中小規模の企業ということが非常に考えられるわけですね。そうなりますと、日本の経済の変動の最初のしわ寄せがいくような企業がここへ行くし、こういう形で導入をされる可能性をやはりわれわれは考えることが現実的だと思うのですよ。そういう場合、日本の経済全体の影響から、その導入された企業が縮小され、閉鎖されたような場合、そこで働いている人の補償というものはどうなるのでしょうか。通産大臣と農林大臣にお聞きしたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、これから導入されるのはどういう種類の工業であろうかということを考えてみますと、内陸型の機械工業であるとかあるいは電機関係であるとかあるいは食品工業であるとかというようなものがその典的型な例ではないかと申し上げ、またいわゆる装置産業というものは、これは内陸型の産業でございませんから、やはり海岸にあるべきものであろう。そのときに諏訪・松本地区の例を実は申し上げたわけでございます。で、確かに現在、ことに伊那あるいは諏訪地区において、たとえ電機関係の影響が住民に出ておりますことは存じておりますが、長い目で見まして、わが国の経済あるいは工業というものがこれからさらに伸展をするであろうか、しないであろうかと考えれば、おそらく大半の意見というものはまだまだ日本の工業が伸びていく、こう考えるに違いないと私は思います。(林(百)委員「伸びていくものもあるし、縮小するものもある。」と呼ぶ)さようでございます。伸びていくものもあるし、衰微するものもあると思います。しかし、それならば日本の労働力というものは今後余るであろうか、不足をするであろうかと考えれば、これも不足をすると考える人のほうがはるかに多いと思いますから、一とき家庭電器のような現象は起こっておりますけれども、大局的に見て日本の企業、工業というものが衰えて失業がどんどんふえていくというようなことではない、大まかに私はこの判断は間違っていないというふうに考えるわけでございます。企業として一定の地域に工場を進出させて、その製品についての需要がかりになくなったということになれば、当然新しい需要のあるものをそこでつくるということは間違いないことではないか。私は大局的にはそういうふうに考えます。
○倉石国務大臣 いま通産大臣がお答えになりましたので、あまり重ねて申し上げることもございませんが、私ども農政の立場で工業を導入いたしますにしても、それから農地転用を緩和いたしてまいるにしても、大事な農地がスプロール化することのないようには十分警戒しなければなりません。毎々申し上げておりますように、一億をこえる人口の主食につきましては、絶対に現状程度の自給率は保持してまいりたいというたてまえでありますので、そういう点からはわれわれはきわめて慎重に対処いたしておるわけであります。おっしゃいましたように、山の上に工場を持っていこうというわけじゃございませんで、しかしながら、地方に産業を分散してまいるためには道路網を整備しなければならぬ。これはもう林さんも全く御賛成であろうと思います。そういうことにいたしまして、地元の労働力を通勤でまかなえるようにすべきではないか、これは地方産業発展の原動力でありますので、こういう施策につきものである道路の整備ということは当然やらなければなりませんし、これはやはり農業についても大事なことだと思っております。
○林(百)委員 通産大臣、それは労働力の需要が現状を維持し、あるいはそれを拡大するといっても、このような農村へ導入された工業へ従事する労働力というのは相当の中年から高年層の労働力も考えなければならないわけですね。したがって、いわゆる金の卵といわれる中卒やそういう労働力でない中高年層の、農業を放棄した農村出身の労務者がこういう導入された工場で働いている場合に、その工場が日本の経済全体の最初の影響のもとに閉鎖された場合に、はたして中高年層の労働力が吸収されるような労働の需要者が拡大されるという見通しを持つということは、それはそういう場合もあるでしょう。しかしそうでない場合も考えられるわけなんですから、その保証を私は聞いているわけです。答弁はいいです。 それから農林大臣に、現在の農地を荒廃化しなくて、農業を維持しながら、しかも導入された工業に従事するなんということは、それはもう農民の労働力からいって不可能ですよ、肉体的に。やはり本法によって導入された工業に従事するためには、農業をあきらめてそしてこれに専心しなければ、体がもたぬわけですから。そういう意味で、あなたの言うような、一方では農業を維持しながら、一方では導入された工場で働いて、農工一体田園都市をつくるというようなことは甘い夢のことばではないかというふうに私は考えます。これも答弁要りません。 自治省呼んでおりますから、自治省に一問だけ質問して、それで終わらしていただきます。 本法の十条によりますと、地方税の免税あるいは不均一課税について減収額を地方交付税の基準財政収入額から控除して減収分を補てんするとしてあるわけですね。そこでこの規定を見ますと、「第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、自治省令で定める方法によつて算定した当該地方公共団体の当該各年度分の減収額」だから現実の減収額ではなくて、自治省で定める方法によって算定した地方公共団体の当該各年度分の減収額ということになっておりますので、この自治省令で定める方法によって算定した減収額というものは、どういう計数を基準にして算定されるのか、それを説明願いたいと思います。そしてそれは交付税全体の中からその分を差っ引くわけなんですから、本来なら地方自治体が自由に本来の地方自治体の任務のために使うことのできる交付税を削減して、ひもつきの財源にしてしまうことになるのではないか、だから自由に本来地方自治体の使うことのできる交付税、地方財源を実質的には減額することになってひもつきになるのではないか。ここで減収してしまっているものを埋めるだけですから、本来これは減収しなくてとれば、それプラス交付税が来るわけです。ところが減収されているから、減収された分でそれが埋められるわけですから、三二%の交付税全体からいえば実質的には削減されたことになるのではないか、本来地方自治体の使用することのできる交付税から。 それから第十二条の「地方債についての配慮」のところに、「地方債については」「適切な配慮をする」ということばがありますけれども、この「適切な配慮」というのはどういう意味なのか、「法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、適切な配慮」これはどういう意味なのか、そしてこの元利償還については何らかの措置をとるのか、この三つの点ですね、それをせっかく自治省私呼びましたので、これだけ質問して私、質問を終わります。
○森岡説明員 第十条の自治省令で定める方法によって算定した減収額と書いておりますのは、御承知のように低開発地域工業開発促進法などでも同じような規定を設けております。内容が課税免除と不均一課税という二種類ございます。それからこれも先生御承知のように基準税率というのは、県分八割、市町村分七五%という基準税率の定めがございます。そういうような課税免除ないしは不均一課税の区分に応じ、県及び市町村が基準税率の区分に応じて算定方式を自治省令できめておる、これがいままでの同種の立法例の内容でございます。私ども、いまの段階ではまだ自治省令の内容まで詰めておりませんけれども、おおむねそういうふうな方向で自治省令を定め、算定方式を変えていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 それから交付税総額の問題でございますが、おっしゃいますように交付税総額は国税三税の三二%でございますから、こういうふうな形で減収補てんというものがきまってまいりますと、その分はそっちのほうに充てられていくということに当然なるわけでございます。そういう意味合いでは、交付税の運用としては、率直に申しますと、こういう措置があまりふえることは私どもは適切ではないと考えます。ただ農村地域の工業導入の重要性を考え、また先ほど申し上げました低開発地域工業開発促進法等の立法例を考えまして、こういうインセンティブを与えていくということに踏み切ったということでございます。 それから地方債の問題でございますけれども、「適切な配慮」と書いてありますのは、地方債の許可にあたりまして優先的な取り扱いといいますかそういう措置を講じてまいりたいということでございます。 なお元利償還費の交付税算入は考えておりません。 以上であります。
○三ツ林委員長代理 以上で本連合審査会は終了することとし、これにて散会いたします。 午後六時三十一分散会