農林水産委員会 第18号
- 発言数
- 129 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/04/21
会議録
○草野委員長 これより会議を開きます。 漁港法の一部を改正する法律案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法案の各案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。小宮武喜君。
○小宮委員 私は、ただいま提案されております海洋水産資源開発促進法案及び水産業振興に関して質問をいたしたいと思います。 さきに政府が発表した漁業白書によりますと、四十四年度の漁業総生産量は八百六十一万三千トンと、前年並みになっていますが、総生産金額は、前年に比べて一四%増の八千四百八十八億と、過去五年間の最高の伸びを示しております。 さらに白書は、わが国の漁業がかかえている問題点として、一つはサバ、イワシ、イカ等の漁獲量の減少によって、漁業総生産量は伸び悩みの傾向にあること。二つ目は、中高級魚に対する需要は年々増加の傾向にあるが、一方生産はそれに十分対応できていないこと。三つ目は、その結果、水産物価格は依然上昇傾向にあること。四つ目として労働力不足、沿岸漁場の公害による汚染などのほか、遠洋漁業に対する国際規制が強まっている点等を指摘して、わが国漁業を取り巻く環境はますますきびしくなっていることを強調しております。 それで白書は、わが国漁業の今後の方向として、沿岸漁場の汚染など環境悪化と、遠洋漁業に対する国際規制の強化に対処するため、いままでのとる漁業から養殖、増殖、遠洋漁場の開発などを積極的に推進して、つくる漁業への転換が必要であることを強調しております。 そこで質問したいことは、まず遠洋漁業に対する国際規制の強化についてであります。 現在モスクワで行なわれておる日ソ・カニ交渉は、日本漁船に対し、ソ連側が一方的にかつ独占的に取り締まりを強く要求しているため、交渉は行き詰まりの状態にあります。そのため、すでに出漁期に入った国内のカニ業界では、強行出漁の動きさえ見せており、一方ソ連側も二十日から西カムチャッカ水域で操業を開始することを日本側に通告したと伝えられております。このようにソ連側が一方的に操業開始に踏み切ったのは、西カムチャッカ水域のタラバガニの漁期に入ったため、交渉が妥結するまで待っておられないという理由のようでありますが、日本側は交渉妥結まで出漁は見合わせるのかどうか、この点をまず水産庁長官にお尋ねします。
○大和田政府委員 過去の例で、交渉がおくれまして漁期が過ぎるというときに、船を出しまして漁場付近で待機をしたという例がございます。赤城特使が行かれて交渉が促進されるものと確信いたしますが、出港することの可否は別といたしまして、協定が実質的にととのわない限り、網をおろすということは、ソ連が大陸だな資源というたてまえをとり、そうして国内法によりまして、国際協定あるいは国内的な手続によって許可が与えられなければ大陸だな資源としてのカニをとるものは罰せられるという、そういう国内法規が整備されておりますので、私どもは協定がととのわなければなかなか網をおろすことはむずかしいというふうに思います。それよりもむしろ漁期がすでに到来しておるわけでございますから、できるだけ早く交渉を促進させまして、いま申し上げたような事態が来ないで済むことを私ども希望し、また期待をして努力をいたしておるわけでございます。
○小宮委員 この二十日の日ですか、交渉の局面打開のために赤城元農林大臣が特派大使としてモスクワに派遣されたわけですが、これによって妥結の見通しはあるのかどうかということをまた重ねてお伺いします。
○大和田政府委員 私どももちろん妥結を期待をして努力をいたしておるわけでございます。
○小宮委員 日ソ・カニ交渉にしても、それから現在行なわれておるサケ・マス交渉にしても、毎年同じようなことを繰り返しているわけですね。したがってこういうようなことを毎年交渉をやる、それで出漁期が迫ってくる、そこでやむなく日本側が一方的な譲歩によって妥結をするというようなことがいままでも繰り返されているわけですが、この際、こういうような問題をやはり根本的に解決するような方途をやはり政府自身考えるべきじゃないのかというふうに考えますが、これに対しての何らかの考え方があればひとつそのお考えをお伺いしたい、これは大臣のほうがいいでしょう。
○倉石国務大臣 政府といたしましてはこれはカニ、サケ・マス等の漁業の関係の交渉でございますけれども、ただいまお話のございましたように両国外交関係を含めた問題でありますので、いろいろ両国の間の親善を高めること等も考えまして、そのやり方についてはなお検討してまいりたい、こう思っておるわけであります。
○小宮委員 このカニ交渉にしてもまたこの三月初めから現在第十五回の日ソ漁業交渉においてサケ・マス、ニシンの交渉問題も操業の五割減船を含めてきびしい漁獲規制が提案されておると聞いておりますが、この日ソ漁業交渉の状況とサケ・マス、ニシン交渉の現在の状況とそれから今後の見通しについてもひとつ水産庁長官からでけっこうですから、御説明を願いたいと思います。
○倉石国務大臣 これはただいまきわめて微妙なところにありますので、内容についてお話しを申し上げることはなるべく控えたいと思っておるわけでありますが、御存じのようにカニはモスクワですが、こちらは東京でやっておりますので、ただいま両方の代表が鋭意折衝いたしておるところでございます。したがって、たいへん微妙なところにありますので、詳細な内容を申し上げることは御遠慮させていただきますが、大体においてこのほうは非常にきびしい点もありますけれども、順調に取り運んでおります。そういうふうに申し上げることができると思います。
○小宮委員 それから日ソ漁業交渉にしても日中漁業協定の問題でもそうですが、日中漁業協定の内容を見ましても、これは日本の水産界が当初予想していたものより非常にきびしい内容になっておりまして、特に長崎県あたりは日中漁業協定に非常に関心が大きいわけですが、今回の協定によって現在まで大体四十統、二百五十隻くらいが出漁しておったのが、今回は三十統で百八十隻ぐらいに減らされているわけです。したがって、日本の漁業界あたりが今度の減船をどうするかという問題とか、あるいは経営に非常に悪化を来たして倒産寸前の業界もあるというふうに承っておるわけですが、こういうような問題をやはり解決するためには政府も民間漁業協定だけにまかせず、日中問題、現在国交回復とか取り上げられておる問題でもありますし、そういったおりから、こういうような日中の漁業協定にしても民間協定に依存するということだけではなくて、何らかの形で政府間交渉というのは考えられないかどうか、この点もひとつ大臣にお聞きします。
○倉石国務大臣 御存じのように、日中間におきましては今日まで国交を持っておりませんので、残念ながらそういうことがいまは可能な段階ではございませんことは御理解願えると思いますが、しかしながらわが国の政府の基本方針としては、いずれの国ともできるだけ親善を保っていきたいと思っておりますし、また現に大陸にああいう政府のあることも一これは現実の事実でありますので、政府としてはそれらに対してできるだけ人事の交流、それから経済の交流等について努力をしようといたしておることは御存じのとおりであります。したがって、ただいまのところはお話のございましたように、日中間のこちらは民間の協定をいたしておる、こういう次第でありますが、今回取り結びましたやり方等につきましては水産庁の長官のほうから御報告いたさせます。
○大和田政府委員 日中民間漁業協定は、従来は底びき網の規制だけでございましたけれども、昨年の六月に底びき網の規制に関する協定を来年の六月まで延長いたしましたときに、昨年中にまき網についても協定を結ぼうという話し合いが中国でございまして、その結果昨年の十二月にまき網の代表が中国へ参ったわけでございます。それで主として資源の保持ということがおもでございますけれども、規制区域を三つ設けまして、一区につきましては船が入らない、二区につきましては一定の時期に日本側が十五統、中国側が三十五カ統、三区につきましても同様という規制になったわけでございます。これはまき網関係者といたしましては相当きびしいということの予想はしておりましたけれども、予想以上にきびしい結果になったわけでございまして、奥田団長以下帰ってまいりましてからまき網業界の取りまとめになかなか苦慮いたしたわけでございます。最近多少落ちつく方向に事態がおさまりつつございまして、私どもも業界からもいろいろ相談を受けて、民間協定といいましても両者の約束でございますから、約束いたしました以上、それをやはり適正に守るべきものと考えますので、まき網関係者の話も十分聞きながら、事態が円満におさまるように私ども一も十分指導をいたしたいと考えております。
○小宮委員 今度は日韓のほうですが、日韓の漁業問題についてもまた質問しておきたいと思いますが、昨年の後半から東シナ海において発生した日韓両国の漁船の紛争問題です。これは昨年六月以降、東シナ海方面で操業中の日本の漁船に、網を切られたから補償せよといって韓国の漁船員が乗り込んで居すわるという事件がたびたび発生しているわけです。しかも昨年の十一月の二百にはその損害補償を船主と直接談判するために韓国の漁船が長崎港に不法入港して二週間に及ぶ直接談判の結果、漁網や船体修理費、休業中の給与、食糧、燃料などを補償するという日本側の大幅な譲歩によって解決されたという事件さえ起きているわけです。私も本件について漁業会社の社長とお会いしていろいろと事情を聞いてみましたところ、両国の漁船の紛争については日本側の大日本水産会と韓国側の水産協同組合との間における取りきめによって事故責任の追及、損害補償が行なわれるようになっておるわけでございますね。しかも協定の五条に照らしても船主と直接談判するために不法入港することは明らかに協定違反だと思います。 そこで東シナ海を主漁場にしておる長崎県の漁業関係者の中ではこんなことでは安心して操業できない、またこのようなことを前例に、今後も協定を無視して韓国の漁船が長崎港に入港するのではないかということを心配されております。したがって、関係者間では、このような紛争をなくするため、両国の政府間で、この協定に従って今後紛争がないように話し合いをしてほしいという要求が非常に強まっておるのです。 そこで、まずこの事件の概要について、長官からひとつ御説明願いたいと思います。
○大和田政府委員 韓国船と日本の漁船との間の紛争が昨年は比較的多く発生いたしましたけれども、いま御指摘の問題は、韓国のイカ刺し網漁船でペクソン——日本語で書きますと百勝号ということでございますが、これは昨年の十月三十一日十九時三十分、大体済州島の南方でございますが、長崎市の灘という漁業会社所属の二十一、二十二浜吉丸という、これは以西底びきの二そうびきの船でございますが、これが韓国のイカ刺し網のペクソン号の刺し網を切ったという事故がございました。そこで現場において、話し合いがつきませんで、ペクソン号は、この二十一、二十二浜吉丸にそれぞれ韓国人一人ずつを乗せまして、十一月の二日の朝、長崎の港に入ってきたわけでございます。長崎市において交渉しました結果、ペクソン号の修理費でございますとか、仕込み品でございますとか、それからまた切ったと思われる漁網千八百メートル分として約百三十万ウォンの金を、灘の漁業株式会社が支払うということで妥結をいたしまして、ペクソン号が十一月十七日長崎港を出港して帰ったという、そういう事件でございます。 実はこの問題は、私どもとしてははなはだ遺憾な問題でございまして、日韓の船が入り合うような地域につきましては、当事者同士の話し合いを主として、それがうまくいきません場合は、日本における大日本水産会と韓国における水産業協同組合中央会とで話し合いをしてきめるという、そういう両者の取りきめができておるわけでございまして、この二つの団体は、相当ひんぱんに会合をいたしまして、事故の解決にいままでも当たってきておるわけでございますが、それをやらないで、このペクンン号は、いわば直接行動に出たわけでございまして、私どもこういう事態がひんぱんに起こりますと、日韓の漁業関係でせっかく波風がおさまりましたのに、また波風が立つことになりますので、この事件に関連いたしまして、昨年の十一月に外交ルートで正式に韓国に対して、民間取りきめに従って解決をはかるよう、そうして私どもも当然大日本水産会の指導をいたしますけれども、韓国におきましても、水産業協同組合中央会の指導に当たって、責任をもって両民間団体の間で話し合いできめるように、そういう強硬な申し入れをいたしたわけでございます。韓国もそれを了といたしまして、幸いに四十六年度に入りましてからは、このような紛争事件は起こっておらないわけでございます。
○小宮委員 幸い長官が言われたように、ことしは起きておらぬようですが、あのペクソン号の場合、結局どちらが悪いのか、どちらに非があるのか、その点は長官どう思いますか。
○大和田政府委員 これは、私からどちらに非があるかということを申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、せっかく大日本水産会と韓国の水産業協同組合中央会とにおいて、当事者同士の話し合いがつかない場合は、その両団体において話し合いをつけるという約束になっておりますのを無視して、直接的な行動に出たことをはなはだ手続として遺憾である、そのことを強く私どもも考えておるわけでございます。
○小宮委員 ペクソン号の場合は別としても、これはいろいろ問題はあるわけですね。厳密にいえば、これは不法入国でもあるし、いろいろ問題が起きると思うのですが、こういったペクソン号以外に洋上において韓国の漁船の乗り組み員が日本の漁船に居すわるという事件が再々起きているわけですね。そういった場合に、その協定からいっても、この場合両国の巡視船か監視艇が、そういった権威ある筋によって双方に話し合いをつけるというような問題も協定の中には当然含まれているわけでありますけれども、それが居すわって非常に困るという場合に、たとえば日本側が日本側の巡視船に連絡して、そうして今度は向こうが韓国側の巡視船に連絡して、そういうような場合は立ち会いの上で乗り組んでいる船員を韓国側の巡視船に引き継いでもらうという何らかの措置をとられるかどうか、その点は海上保安庁でもけっこうですが、水産庁長官にお尋ねいたします。
○大和田政府委員 昨年起こりました事件の中で、日本の漁船に韓国の船員が乗り組んで交渉を執拗に続けるという事件が幾つかあったわけでございますが、そのときは、これから漁に行かなければならない日本の漁船でございますので、そう長いことこの問題にかかずらうのをやめて、とにかく両団体同士で話し合ってくれということで、韓国の巡視艇にその人たちを引き渡したという例がございます。私ども海上保安庁の船と、水産庁の船も監視船二隻、用船五隻でその後日韓海域あるいは東シナ海等で監視をやっているわけでございますから、便宜そういう船に対して事態の収拾を頼むということも私どもやっていただいてけっこうであろうと思います。 それで私どもも韓国の巡視艇あるいは国内的には海上保安庁の巡視艇とよく連絡協調をとりまして、事件が起こりそうな場合は、船を増派するというようなことで今後ともこの事件の発生を未然に防ぎたいというふうに考えております。
○小宮委員 海上保安庁に質問しますが、五島方面からこの東シナ海方面にかけては、非常に監視体制が不十分だというような声が現地の人からよく聞かれるのです。その意味では現在五島の福江海上保安署では二隻の巡視艇しか配置されていないで、一隻は常時東シナ海方面に出動しており、一隻は五島近海方面をやっておりますが、これが非常に老朽船で、そのために海難事故だとかいろいろな問題が非常に起きても間に合わないということで、いろいろ現地から要請があるわけですが、この海上保安庁の警戒体制といいますか、監視体制といいますか、この点は大体だいじょうぶと思っておられるのか。特に海洋汚染防止法が成立する際にも、私はこのことで運輸委員会で質問したのですが、その場合、海上保安庁長官の答弁もなかなかはっきりしなかったので、その点について、だいじょうぶなのかどうか、まず海上保安庁長官からひとつお答えを願いたい。
○上原(啓)政府委員 御説明申し上げます。 現在、東シナ海方面の海上警備、救難業務を担当しておりますのは、第七管区海上保安本部でございますが、そこには現在巡視船十三隻、それから巡視船に準じた性能を持っております巡視艇が九隻配置されているわけでございます。この巡視艇九隻と申しますのは、現実に若干問題のある東シナ海方面に行動できるのは約三隻程度の配置状況になっております。この勢力で決して十分とは申せないのでございますが、海上保安庁の当面しております問題は、先生先ほど御指摘のように船の性能が悪い、老朽化しておるということが大問題でございまして、この隻数を増加するということよりも、何とか早くこれを性能のいい新造船に切りかえたい、こういう方向で進んでいっておるわけでございます。一昨年と思いますが、巡視艇の代替建造につきましては軌道に乗りました。特に先生御指摘のように海洋汚染防止法の制定に伴いまして、本年度におきましては巡視艇二十二隻という画期的な代替建造が認められておるわけでございます。巡視船につきましては、まだ船齢云々の問題で財政当局と完全な話がついておりませんが、これについては来年度以降早急に代替建造を進めていきたい、こういう強い希望を持っておる次第でございます。 概況はこのとおりでございます。
○小宮委員 以上私が申し上げましたように、まあ日ソ漁業の問題にしても日中漁業の問題にしても日韓漁業の問題にしても、とにかくもうわが国の漁業はじり貧におちいって、全く八方ふさがりというような感じがいたします。そこでやはり日本の漁業どこへ行くぞというような感をいたしておるわけですが、そういった立場から、今回提案されておりますこの海洋水産資源開発促進法についていろいろ質問をしてみたいと思います。 まず最初にお聞きしたいことは、現在の水産物の需給状況は、輸出入需要も含めてどうなっておるかということをまずひとつ御説明を願いたいと思います。
○大和田政府委員 四十三年、四十四年ともに生産は八百六十万トン台でございます。そうして輸入輸出は大体その生産量の一割程度、八十万トン前後でございます。したがいまして八百六十万トンとりまして、大体その分だけ輸出入で相殺されるわけでございますから、八百六十万トン分を食用とえさ等で消費するという、それが大体の日本の水産物の需給状況でございます。
○小宮委員 いや私の質問したのはそういったことじゃなくて、結局魚種別に実際はどうなっているかということをお聞きしておるんですよ。
○大和田政府委員 魚種別に申し上げますと、生産で八百六十万トンというふうにお考えいただきまして、その中でスケトウダラが二百万トン、サバが百万トンというのが一番大口でございます。そうして国民の需要が非常に強いたとえばカツオ、マグロ等についていいますと、マグロは数年前は大体四十万トン前後が三十万トン少しこえる程度に減少、カツオは十六、七万トンに増加ということでございますが、総量といたしまして戦前の水産物が一番とれましたときが昭和十四年で、四百三十三万トンでございます。戦後それをだんだん回復をいたしまして、昭和二十七年に四百八十万トン台になりまして、戦前の最高水準をオーバーいたしたわけでございます。それから五百万トン、六百万トン、七百万トン、八百万トンというふうに五年ないし二年ぐらいの期間で大台を更新をしてきたわけで、一たん大台を更新して次の百万トン台になりますと決してあとへ戻らないということが、まあ結果としての立論でございますけれども、日本の水産物が大体非常に一気に伸びている。四十三年、四十四年は八百六十万トンということで二年間八百万トン台を記録したわけでございますが、四十五年はまだ詳細締めておりませんけれども、どうやら九百万トンの大台をこえるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 しかしそうは申しましても、スケトウダラが二百万トン、四十五年はおそらく二百万トンをかなりこえるぐらいでございますし、サバが百万トン前後でございますから、スケトウダラとサバとを除いたそのほかの魚というのはここ数年間ほとんど動かない、むしろ多少減りぎみという状態でございまして、この点が、水産物の生産は非常にふえながらいかにも需給が窮屈である、そういう感じを持たせる一番大きな理由であろうと思います。
○小宮委員 次は、開発計画についての問題ですが、これは農林大臣は水産物の需要及び生産の動向を勘案して基本方針を定め、その基本方針に沿って都道府県は開発計画を定めることになっております。こういうような中で、国の基本方針と都道府県の開発計画との調整はどうするのか、その関係についてひとつお答えを願いたいと思います。
○大和田政府委員 まず国がつくります開発基本方針でございますが、私ども水産物の需給の動向を五年ないし十年でまず測定をいたすつもりでございます。これはなかなかむずかしい作業で、農業とも違いまして比較的自然的条件に支配されやすいわけでございますから、なかなかむずかしいと思いますけれども、まず生産及び需要の動向を測定いたしまして、それに基づきまして水産資源の開発についての大きな手段といたしまして、沿岸における増養殖、海洋における新漁場の開発というものを想定するわけでございます。それでその想定をいたしまして、法律の第三条の第二項に書いてあるわけでございますが、第三条第二項の第一号で、「沿岸海域における水産動植物の増殖及び養殖の推進に関する次の事項」で「増殖又は養殖を推進することが適当な水産動植物の種類及び当該種類の水産動植物の増殖又は養殖による漁業生産の増大の目標」ということで、生産及び需要の動向に合わせてそのまま生産を増加させるということは、これはなかなか困難な問題がございますけれども、できるだけ国内における生産を進めるために、増養殖についてのいかなる種類の、たとえばクルマエビでありますとかタイでありますとか、あるいは私ども現在水産庁の水産試験場でサケ、マスあるいはマグロ、タラバガニ等々の養殖についての企業化試験を行なっておりますから、五年、十年先にはそういうものの養殖も可能になるだろうと思いますが、そういうものについての種類と、それから生産増大の目標と、それからそれらに関するたとえば水温でありますとか塩分でありますとかあるいはCOD、DO等々の自然的環境に関する基本的な基準を開発基本方針に取り上げる。また漁場改良その他についての生産基盤についての基本的事項も取り上げる。それに基づきまして、都道府県知事は具体的に自分の県で沿岸につきまして増養殖をやるのに非常に大事な水域を指定をいたしまして、沿岸水産資源開発区域という指定をいたしまして、そこでタイあるいはクルマエビ、カサゴ等々の増殖についての相当具体的な計画の内容を盛らせる。そういうことでございます。したがいまして、国全体の計画をにらみながら、県が、自分の沿岸地帯における増養殖に関する種類あるいは生産の目標、さらに漁場整備、その他の生産条件の整備あるいは水質の汚染等を防ぐためにどういうふうにするか、あるいは汚染された漁場をどういうふうに復旧するかという漁場環境の保全に関する事項を開発計画に盛るというふうに考えておるわけでございます。
○小宮委員 国のほうでそういったいまの基本計画を立てるでしょう。その場合、県が独自で、その基本計画の方針にのっとって開発指定地域をきめるわけですが、その場合、国のほうとして、たとえば日本全国の各県に対して国の方針はこうだ、したがって、ここの県はこういうようなものを、ここの県はこうだということで、その生産量に見合った、そういうようなことをどこどこでつくるかということを国は行政指導して、この連係、調整を——これは各県で開発計画をばらばらに独自でやったら、それぞれ変わってきますから、それがそのまま総合された場合に、国の基本方針に沿うかどうかというのは疑問なんですね。その点の調整をどこでどういう方法でやるのか。
○大和田政府委員 私ども開発区域を指定いたしますときに、まず農林大臣に協議があるわけでございます。それから指導で開発計画を立てますときに、県と農林省といいますか水産庁とで協議をいたしまして、国全体の開発の方針と県の具体的な方針とをできるだけかみ合わせるように、その国と県との協議の段階において調整をいたすつもりでおります。
○小宮委員 次は、その増殖、養殖をやる場合の種苗の問題です。この種苗の確保というのが、県独自でやる場合非常に至難な問題が出てくると思うのですね。県独自で確保するというのは非常に困難であるが、そういった場合も水産庁あたりが音頭をとって、種苗の確保については、各県がそういうようなことをやる計画をした場合には責任をもってやってくれるわけですか。
○大和田政府委員 現在ハマチの養殖が非常に盛んになりまして、大体三万五、六千トンの出荷額があるわけでございますが、ハマチの幼魚につきましては各県でなかなか苦労されておるわけで、その協議会を農林省で持ちまして各県の調整をやっておるわけでございます。それからクルマエビ等につきましては瀬戸内海の栽培センターで一億尾以上の稚魚の育成をしております。これはタイ、ガザミ等、これから相当大規模にそれをいたすつもりでございます。またアワビ等につきましては、すでに第一次構造改善事業で相当な人工ふ化の施設が東北その他の各県にできておりますので、まず農林省が委託事業としてやっております栽培センター、それから各県の種苗センター、またさらに四十六年度の予算で、新しく日本海における栽培漁業をどういうふうに進めるかということで、基礎的な調査費も予算に計上いたしまして、鋭意日本海における栽培漁業の推進をはかっていくつもりでございますが、それと関連いたしまして、瀬戸内海栽培センターというのは、一体全国的にどういうふうに考えていくか、これは正直に申し上げまして、きょうの段階で、私どもまだ確定した案はございません。これは確定した案はございませんけれども、瀬戸内海あるいは日本海の栽培センターを進め、さらに太平洋にそれを移すことによって、それほど長い期間を経ないで私は全国的な見取り図ができるというふうに考えておりますので、自然に稚魚をとるものも若干残りましょうけれども、あとは国あるいは国的な機関と県の機関とによって種苗の配付というのは私は確保されるというつもりでやっております。
○小宮委員 確かに栽培センターは大体瀬戸内海だけに限られておる。だから全国的な規模にまで発展しておらないという問題もありますし、また各県の水産試験場というものもやはり活用すべきじゃないかと考えるわけです。それから特に今回新設される開発センターとこういった水産試験場とか栽培センターというのは別個になっておるわけですね。こういうものとの関係は、開発センターは遠洋とか沖合いのものだけを資源開発をやるというから別問題とは思いますが、しかし、こういった開発センターがただ遠洋とか沖合いの漁場開発だけをやるということについても、もっと一元的に、水産試験場とか栽培センターと開発センターとの結びつきですね、そういったものも検討する必要がありはしないかと考えるのです。その点で長官がどう考えておられるかということ。それから社団法人日本水産資源保護協会というものもありますね。これは将来どうなりますか。
○大和田政府委員 まず海洋水産資源開発センターでございますが、これは現在のところは海洋における新漁場の開発ということに限定をいたすつもりでございます。そして栽培漁業の中心的なあるいは全国的な機関をどういうふうに考えるか、あるいは全国的な機関を考えないでむしろ地域的な、ブロック的な機関を考えたほうがいいのかどうか、その辺は私どもまだ十分の確信を持てない段階でございますので、とりあえず新漁場の開発のための海洋水産資源開発センターをつくりまして、新漁場の開発を促進する。片や瀬戸内海の栽培センターあるいは県にすでにできております種苗センター、それから今年から第二次構造改善事業を相当大がかりで進めます過程で、また種苗センターの建設が相当行なわれる予定でございますが、それの利用、それから日本海における基礎調査、そういうものをまちまして、一体どういう規模あるいはどういう形で、栽培漁業特に種苗人工ふ化あるいは場合によりましては大規模な放流、そういうものを考えるかということは今後の検討に——それは非常に長い将来ということでは決してございません。緊急の問題でございますけれども、今後の検討にいたしたいというふうに思います。 それから水産資源の保護協会でございますが、これは現在調査あるいは啓蒙、普及という仕事をやっておる団体でございますので、これは、これから栽培センターあるいは裁培の全国的あるいは地域的な機関をどういうふうに考えるかということによっても多少の影響はあるかもわかりませんけれども、私は、水産資源保護協会は調査あるいは啓蒙の機関として当面いまのままでその活動を促すということでよかろうと考えております。
○小宮委員 次は生産基盤の整備の問題ですが、生産基盤の整備や開発並びに施設の整備について都道府県が独自で行なうということは、財政上非常に無理があるのではないかと考えます。そこで国としても、当然この生産基盤の整備については助成措置を講ずべきではないかと考えますが、現在長官としてどのように考えておられるのか、この点についてひとつ質問したいと思います。
○大和田政府委員 生産基盤の整備といいますと、内容的には、一つは従来からの大型魚礁とか並み型魚礁の問題がございます。それから四十五年度から実施をいたしました浅海漁場開発事業という、これは数千ヘクタールの浅海漁場を、水中のブルドーザーを使ってみおをつくって内海におけるいわば腐った水と浅海における新しい水とを交換させて漁場の若返りをさせるということでございますが、それらにつきましては四十六年度におきましても相当な予算を組んでおります。たとえば大型魚礁につきましては六億四千二百万円、浅海漁場の開発につきましては五億一千百万円というふうに、昨年度二カ所、本年度三カ所の事業実施に取り組むつもりでございます。また、並み型魚礁等々につきましては、構造改善事業で相当な金も用意をいたしておりますので、まず漁場の改良につきましては、私どもいままでと違った相当なスピードと範囲でやれるというふうに考えております。
○小宮委員 この法案で開発区域だとか開発計画というのは、沿岸の場合従来から実施しておる沿岸漁業構造改善事業の実施区域あるいは事業種類と大体どのような関係がありますか。それが乗り移るだけですか。その点について質問します。
○大和田政府委員 構造改善事業といいましても、第一次の構造改善事業はおおむね全県一円、長崎のようなところはたしか二カ所、北海道で四カ所に分けておりますが、それ以外は全県一円で国がその沿岸漁業に対して相当額の投資をするということは、漁港以外には第一次構造改善事業が初めてであったと私は思いますので、生産から流通加工等々相当総花的に振り向けられた事実があろうと思います。その第一次構造改善事業のいわば成果を受けまして今年度から実施いたします第二次構造改善事業は県下一円総花ということではございませんで、現在もいい漁場であり、今後もいい漁場として残されるという、そういう漁場を特定をいたしまして、そこで増養殖あるいは漁場改良、漁船の近代化等々の事業を進める、流通加工よりもむしろ生産関係に相当のウエートをかけて、おおむね十年間ほどの事業で、事業費全体、いまの見積もりでは千四百十四億という相当多額の事業費を考えておるわけでございますが、そこでは相当いい漁場は構造改善地域として予定をされるわけでございますから、開発地域を予定する場合はそれをはずして別のところというふうに実際問題としていかないだろうと私は思います。しかし、構造改善地域というのは相当広い地域でございますし、開発区域というのは、そこで増養殖をするのにぜひとも必要な海面でございますから、構造改善地域とは完全に重ならないで、その一部の地先、海面といいますか、そういうものを開発区域として指定するということが実際の姿ではないかというふうに思います。
○小宮委員 これは増殖、養殖する際、今度の基本方針の中でも具体的に大体何を対象に、どのくらい生産をふやそうと考えておられるのか。増殖、養殖の対象とその生産量についてお答えを願いたいと思います。
○大和田政府委員 海藻類としては当然ノリとかワカメとかいうことになるわけでございますが、一番技術も進み、また確実で需要も豊富であるというものはおそらくクルマエビであろうと思います。それから養殖の中では現在ハマチが一番大きいわけで、三万五、六千トンの生産額があるわけでございます。タイがやや企業化されておりますが、ハマチに比べればまだまだ低いわけです。それからカサゴでありますとか、ガザミでありますとかいうところまでは現在の技術の水準で企業化されるというふうに思います。貝でアワビとかホッキとかいうものは、これも当然行なわれるわけでございます。それから先ほど申し上げましたように、いまは全然行なわれていない、ただ実験室で可能であるけれども企業化されておらないものとして、マグロ、サケ、マス、タラバガニというものが、おそらくここ数年のうちに養殖の花形として登場するという、私ども、県独自のものもございますからそう限定するつもりはございませんが、大体広くながめて、増養殖の問題として登場する魚介類あるいは海藻類というのは、私がいま申し上げたようなものであろうと思います。 それから、増養殖で今後どれだけ増産するかということは、これはなかなかむずかしいわけで、ワカメが現在三万何千トンでございますか、ハマチが三万五、六千トンということで、ノリとワカメそれからカキ、そういうものの養殖が大きな部面を占めるわけでございますが、私が申し上げましたようなハマチを含めましてタイでありますとか、そのほかの魚類につきましては、それほど大きなものはここ五年ぐらいの間には計上できないのではないかというふうに思います。しかし、先般の委員会でもたしか申し上げたかと思いますが、開発基本方針をつくります場合の生産及び需要の見通しで、いままでは単純見通しということで、過去の趨勢を伸ばせばこうなるということでございましたが、開発基本方針でやりますのは、それとあわせて国なり県なりが努力をすればここまでいくのではないか、あるいはぜひいかしたいというものがございます。それは海洋開発センターの設立に伴う新漁場の開発あるいは増養殖の推進等々を含めまして、私ども非常に目の子の計算でございますけれども、大体八十万トン前後の増産というものが十年間に見込まれるのではないか。これはまだ私どもの推算でございまして、そういうおつもりでお聞きいただきたいと思いますけれども、八十万トン前後の水産物の増産の中で、増養殖あるいは漁船、漁場等を含めまして、大体三分の一程度が沿岸、三分の二程度が遠洋というふうになるであろうかというふうに、現在試算をいたしておる段階でございます。
○小宮委員 遠洋の未開発漁場の調査については、これはすでに昭和四十三年から開始をしておるわけですね。したがって、その調査結果について、ひとつ御報告願いたいと思うのです。というのは、この開発センターが設立されたというのは、その調査結果に基づいてこういった一つの開発センターをつくって、これを大々的に、また大がかり的にやろうというようなお考えがあるようですから、その意味でいままでの三年間に及んで調査してこられた遠洋の未開発漁場の調査結果について、ひとつ若干御答弁を願いたいと思います。
○大和田政府委員 四十三年度から補助または委託によりまして、四十五年度の予算でいいますと大体七、八億の予算でやっておりますが、それとあわせて開洋丸による海洋調査も参考に当然なるわけでございますが、最近これらを合わせまして開きました漁場といたしましては、ニュージーランド付近の漁場、それから今後有望と思われますのは南米の先端のチリ、アルゼンチンあたりの沖合い、それから北西大西洋のニューファンドランド沖の底魚あたりが有望な漁場というふうに私ども考えておるわけでございます。
○小宮委員 開発センターは、理事長以下二十人の人員で大体運営されることになっておりますね。しかし、この開発センターの業務というものは、新漁場の開発、調査をやるというのが仕事ですから、その意味ではこの陣容で調査活動に支障はないのですか。
○大和田政府委員 小さく生んで大きく育てるというつもりで、仕事がだんだんふえるに従いまして人員も当然増加いたしたいと思いますが、調査員で若い優秀な科学者を水研から開発センターに一時といいますか、数年間移して研究と調査との交流をやらしたいというふうに私ども思います。したがいまして、二十人が全部そういう調査者ではございません。総務関係の者たちも当然おるわけでございますけれども、まず船に調査員一人、二人が乗って調査をするわけでございますから、私どもの現在の調査計画では、この二十人の人数でまず支障なく任務が遂行できるというふうに思っております。
○小宮委員 この法案の十二条の第二項によれば、指定海域の漁場としての効用を保全する必要があるときは、海面の埋め立て、干拓等を行なう者に対して必要な勧告をすることができるというふうになっていますね。私は、こういった指定海域の漁場でその効用を保全する必要があるときは勧告ということだけではたしていいのかどうか、もっと強い規制措置をとるべきではないかというふうに考えますが、その点どうなんですか。
○大和田政府委員 これは海の利用といたしまして、水産ばかりでなしに、たとえば海底油田の開発その他いろいろございまして、海は魚をとるだけで、ほかの産業は一切寄せつけないというふうには私はなかなかいかないというふうに思います。私どもがこの法案の御審議をわずらわします意味は、いままで水産資源保護法というものが昭和二十年代に制定されましたけれども、三十年前後からの高度成長に伴って、水産業あるいは漁業をほとんど無視されて、いろいろな企業がいろいろなことをやって公害が相当深刻になったということでございますので、海はもう水産だけでほかのものは入れないという、そういう態度ではなくて、むしろ産業間の調整を一つの法律的な制度としてやりたいということが今回のものを考えます端緒でございます。 公害問題というのは別にこの法律だけで処置できるものではありませんで、昨年の暮れに成立いたしました水質関係の法律でありますとか海洋汚染防止法でありますとか、水産の立場からずいぶん意見を申し上げて、法案作成の過程で修正をしてもらった経過がございまして、それらのものをあわせて私ども海を公害から守るといいますか、漁業と他産業との調整をやりたいというふうに考えております。したがいまして、いままで何もなかったところに新しい制度として出ていくわけでございますから、勧告あるいは届け出ということはいかにもひよわい感じもされると思いますけれども、いままで何もないところに新しい制度を築くものとして公害関係法規の厳正なる施行とそれからこの届け出、勧告制度を十全に利用することによって水産の立場は十分守るようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○小宮委員 最後に一つ質問しておきますが、増殖とか養殖する場合に非常に問題になるのは、全国的に沿岸漁業の大敵といわれる赤潮の問題があるのです。この赤潮の問題、これは長崎の大村湾でも非常に困って、漁業は不振になって転職をする人がかなりふえてきたのですが、この赤潮の原因について大体どこに原因があるのか、その点ひとつ。それについて原因がわかれば対策がわかるわけですけれども、一部には工場排水だとかいろいろなことがいわれておりますが、この赤潮の原因は大体どういうように考えておられますか、ひとつ長官にお答えを願いたい。
○大和田政府委員 赤潮は大村湾でもございますし、瀬戸内海でもあるいは伊勢湾でも相当深刻な問題になっておるわけで、瀬戸内海、伊勢湾の問題としては、やはり主として工場排水、あるいは都市屎尿等によりまして燐酸あるいは窒素分が海水の中に非常にふえる。それで水温でありますとかあるいは水の流れでありますとかビタミンB12等の刺激物資等の存在によりまして鞭毛虫と称するプランクトンが異常に発生をする。そういたしましてそのプランクトン自体が毒を持っております場合もございますし、プランクトンが大量に死んで、死ぬときに当然酸素を分解して酸素が欠乏するということになりますので、酸素欠乏によって養殖のハマチが死ぬ、あるいは海の中で泳いでおる魚類が死ぬという事態が来るわけであります。 ところが、大村湾につきましては、別にまわりに大きな都会があるわけではございませんし、したがって都市の屎尿の問題がそんなに深刻であるわけではございません。また工場排水もございません。そこで、私ども長崎大学の先生方にお願いをして、大村湾における赤潮の分析調査をやってもらいまして、一〇〇%の確信を持って先生方も言われないわけでございますけれども、大村湾につきましては、古くから真珠の養殖をやっておるわけで、真珠の養殖による老廃物の堆積、それが一定の水温、あるいは雨が降って海底のどろが上へ上がるという、そういうような問題等がございまして、窒素、燐酸分が海中で相当豊富になるということで、先ほど私が瀬戸内海あるいは伊勢湾で申し上げたようなプランクトンが発生して、いわゆる赤潮の弊害が起こるということではないかということが、私ども調査を委託した先生方の結論でございます。ですから、赤潮は抽象的にいえば公害ともいえない、大村湾の事例などはまさにそういうことですし、学者の中でもっと議論をいたしておりますのは、たとえばアラビアのそばの紅海で相当赤潮ができる、別にあそこは真珠なんかの養殖をやっておるわけでもございませんし、都会がそばにあるわけではございません。これは全く自然的な何らかの理由で燐酸、カリ等のいわゆるプランクトンの栄養分が異常に発生する。異常に発生するために鞭毛虫類その他いわゆる赤潮をつくるところのプランクトンが異常に発生して、それが生きておる間に毒を出したり、あるいは死んだときに酸素を欠乏させたりして赤潮現象が起きるということのようでございます。 そこで、大村湾につきましては、湾の中央部で相当赤潮が起きるのが通例でございますので、最近私ども長崎県の水産試験場とも相談をいたしまして、そういう地帯では真珠の養殖を少し移動させる、場所を変えるということの奨励をして、それはある程度の実績があがっておるようでございます。学者の話によりましても、しかし赤潮というものは条件によっていろいろ種類の違うプランクトンが発生するので、そう簡単な対策というものもいますぐにはできないけれども、私ども広島にある南西海区水産試験場、それから東海区水産試験場を中心にいたしまして、大学あるいは県の水産試験場とも連絡協調、共同研究の形で去年から相当力を入れて赤潮の研究をやっておりますので、そう時間をかけないで赤潮の発生原因の究明とその対策についての何らかの対策が立つというふうな見込みを持っておるわけでございます。
○小宮委員 それから長官にまた質問しますが、ちょうど昨年の本委員会で私、有明海のノリの汚染の問題で質問したとき、長崎、福岡、佐賀、熊本の関係四県にその原因調査を委託しておるというようなことが当然あがっておりましたが、結局その結果、いわゆる有明海のノリ汚染は大体何が原因だったですか、ひとつ調査結果を御報告願いたいと思うのです。
○大和田政府委員 有明海だけではございませんで、全国の多少あぶないと思われる漁場につきまして、二百幾つかの漁場を選んで、昨年の九月でございますか、一斉点検をいたしました一部として、いまお話しの四県の共同調査があるわけでございます。ただ、残念ながら水銀、カドミウム等についての重金属の分析がまだできておりませんので、大体ことしの六月ないし七月ぐらいには、私ども全国的な所見とそれから有明海についての所見を申し上げることができるだろうと思います。これはCODあるいはその他の調査は一応できておりますけれども、まだ重金属の分析ができてないわけでございます。
○小宮委員 最後の質問をします。 いまの漁業共済の対象の問題は、いまハマチだけだったですね。——このように現在のとる漁業からつくる漁業へというように転換期に来ておるわけですから、その意味では、この漁業共済の対象についても一度全部見直すということが必要ではないかと思うのですが、その点どうですか。
○大和田政府委員 まだ、養殖共済を始めましてそう年もたっておりませんので、全般的な見直しというのもむずかしいですけれども、ことしの予算から新しくハマチの二年子の共済を加えたわけです。それからいろいろお話のございましたタイとワカメにつきまして、共済の対象にすることの適否についての調査をことしやるつもりで、予算その他の準備をいたして、仕事に取りかかる用意をいたしておるわけでございます。
○小宮委員 ほかに質問がありますけれども、約束が一時間ということでございますから、これで私の質問を終わります。
○草野委員長 田中恒利君。
○田中(恒)委員 水産業協同組合法の一部改正につきましてのみ本日は御質問をいたしたいと思います。 最初にお尋ねをしますが、漁協の合併の問題がやはり日本の漁業をどう進めていくかという一つの重要な主体づくりという観点から多年問題になってまいったわけでありますし、当委員会におきましても、先般この助成法の延長を決定をいたしておるわけでありますけれども、現在、この漁協の合併の状況はどういうふうになっておるのか。特に問題の壁になっておるような事項はどういう点なのか。こういう点をまずお示しをいただきたいと思います。
○大和田政府委員 漁協の合併が本格的に始まりましたのは、漁業協同組合整備促進法による合併でございまして、昭和三十五年から四十二年にかけまして、件数で二百十九、関係組合数で六百七十五の合併ができたわけでございます。次いで漁業協同組合合併助成法が制定いたしまして、それに基づく合併が行なわれたわけでございますが、四十二年から四十五年までで件数で八十、組合の数で二百四十四でございます。 〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕 したがいまして、三十五年から四十五年度にかけまして、件数で二百九十九、組合数で九百十九というのが現状でございます。どうも私ども見ていて、最近は、それほど熱心に合併が行なわれていないという感じを持っておるわけです。その原因といたしましては、人によっていろいろ言われております。隣の漁協と漁業の実態が全く違うということがある。それから漁業権の行使について、合併によって不安が生ずるということを非常に強調する立場の人もございます。それから漁村でございますので、組合間の感情の対立もございますし、役員がきわめて不熱心だという問題もございます。それから財務状況が隣の組合と非常に違うという問題もございます。まあ私ども、むずかしいことを言えば切りがないわけでございますけれども、しかしこれから漁業協同組合が経済的に基盤を固めて、漁民のためのほんとうの協同組織になるためには、やはりある程度の規模が必要でございますので、系統組織ともよく相談をしながら熱心に合併の問題は取り上げていきたい。特に合併助成法の延長が今回行なわれましたこともございまして、この問題につきましては、十分の熱意をもって仕事を進めていきたいというふうに考えております。
○田中(恒)委員 やはりこの漁協の問題は、何といいましても漁業を発展さしていく主体をどう形成していくかという問題が、私は農業等と比較をして、たいへん立ちおくれておると思うのです。いろいろ会社、法人といったような面が、最近漁獲高等では伸びておるわけでありますけれども、やはり零細な漁民をもって構成する漁業協同組合というものが本格的な体制をとらないと日本の漁業というものがなかなか前進しにくい、そういう感じがいたしまして、合併助成法等が制定され、さらに再延長されるということになったわけでありますけれども、いま長官が申されましたように、どうも私どもいなかにおりまして、じっと見ていますと、漁協の合併というのは、さほど熱心に行なわれておるようには感じないわけであります。この際、水産庁といたしましては、漁協合併というものに対して相当腰を入れた指導や方針を立てられるべきだと思うのでありますが、一応この適正な合併規模といいますか、こういったようなものはどういうふうにお考えになっておりますか。
○大和田政府委員 この漁協の正組合員の平均は大体二百人でございます。それで私ども漁協の経済的に自立可能な事業規模というものを考えますと、大体信用事業で貯金が三億程度、販売事業で六億程度の販売額というものがどうも損益分岐点と言うとおかしいですけれども、経営が健全に行なわれるための一つの目安というふうに考えます。そういたしますと、組合員の数で大体三百ないし五百という数字が出てくるわけでございまして、漁村でございますから、農村と違って交通の便その他非常に質の違う問題がございますから、いま申し上げた線でゴリ押しをするというつもりはございませんけれども、合併を進める場合の一つの目安として経営が健全に行なわれるということは、当然考えなければなりませんから、そういたしますと、いまのような数字が一つの目標といいますか、考え方の筋道になるのではないかというふうに思います。
○田中(恒)委員 農協等では、合併——もちろんこれは、やはり協同組合でありますから、系統組織は自主的に進められるというたてまえがとられるわけでありますけれども、県段階なりあるいは地域段階で合併推進についての協議会的な促進機関が設置をされまして、積極的に合併ムードというものをあおっていくわけであります。こういったことを、水産庁としても将来行政指導のたてまえからお考えになる必要があるのではないかと思うわけでありますが、こういう点。 あるいは、私どもは村におりまして、私も半農半漁でありますけれども、やはり役員、これは農協も同じでありますけれども、漁村の場合は特に役員の意思というものが非常に強い影響力を与えるわけであります。しかも、漁協の役員というのは、ともするともうほとんど漁業者とはいえないような方で役員になっている方も相当あるわけでありますが、漁業協同組合の組合員なり役員というものに対しては、やはり漁業というものに対して打ち込んでおる、こういう人々が積極的にそういう役職について指導していくというたてまえをとらないと、どうも従来からいなかの——昔は網元であったのでしょうけれども、全然いまはさほど関係ないような人が、ただ有名だからということだけでおる。それが、なかなか漁協の合併等の組織上の問題になってくるとうんと言わない。前へ進まない。こういう問題がしばしばあるわけでありますが、こういう漁協の純化といいますか、こういう面についても水産庁としてはどういうふうにお考えになっておるか、この際お聞きをしておきたいと思うのです。
○大和田政府委員 漁民の正組合員の資格というのは、組合法によりますと、漁業従事日数年間九十日ないし百二十日で、定款できめるということになっておるわけで、その規定を厳格に行なえば、いまお話しのようなことにはならないわけでございます。私ども、昨年この水協法の改正を考えます前に、組合問題についての研究会をいたしましたときにも、組合員の純化論と、それから漁協が一つの経済体として成長するためには、そういうことをいわずに、できるだけ基盤を拡大すべきだという意見と、両方ございまして、必ずしもすっきりした結論にはならなかったわけでございます。しかし、私は漁業権の行使その他の面を非常に強く考えますと、当然漁民らしい漁民が正組合員として役員その他になるということが普通でございます。しかし、漁村の事情からいって、漁協の信用を増すためにあの人の力をぜひかりたいという問題もございましょうし、そう理屈どおりにいかない面があるわけでございます。しかし、法律でとにかく九十日ないし百二十日ということがきめられておりますし、それは定款できめる。いわば資格審査委員会みたいなものを漁協に事実上置くこともできるわけでございますから、私は役所の行政といたしましては、組合員というのはとにかく法律にございますような規定を適正に実行してもらうように、九十日ないし百二十日の間で定款で定める期間について漁業をやらなければ正組合員の資格がないということで、私は推すべきものというふうに考えております。
○田中(恒)委員 漁協の合併については、いろいろ問題はたくさんあるわけですが、やはり水産庁はもう少し腰を入れて、せっかく助成法を延期したわけでありますから、この際——末端にいけばいくほど、漁村というのは確かに非常に複雑な仕組みが残っていますから、特に漁業権の問題が根本的にこの漁協の合併とからんで、ある程度の方向を出さないと、漁民意識としてこれはなかなかむずかしいという問題もあるわけですけれども、積極的にこの漁協合併というものに力を入れていただきたい、このことを要請をいたしておきます。 次に、法人の組合員の資格の引き上げの問題につきまして若干お尋ねをいたしますが、協同組合でありますから、自主性というものがどうしても中心になるわけであります。一つは行政権がこれに介入することを極力避けるということがたてまえであると同時に、組合の内部で、やはり組合員の中で強弱関係が出てきて、運営なり組織上の問題をめぐっていろいろ問題を起こさせないという処置がどうしても必要になってくるわけですが、今回の法人組合員の引き上げということをめぐって、私は、漁業協同組合の中で法人の発言権というものが非常に強くなる心配がないか、この点を多少心配をしておるわけであります。今度の法人組合員の引き上げによって、大体日本の漁協が、沿岸漁業の組合員の漁獲高の中で法人の持っておる割合はどの程度になりますか。この点をちょっとお聞きをしておきたい。
○大和田政府委員 漁船漁業で法人の取り前は、大体全体の漁獲高の半分でございます。法人の中で、階層別に申し上げますと、三百トン未満でありますと、法人の中の大体一四%程度でございます。今回の千五百トン以下への引き上げによりまして、それが四割程度にふえるわけでございます。したがいまして漁船漁業全体といたしますと、五〇%の四割でございますから全体の二割ということになるわけでございます。
○田中(恒)委員 法人の数は、今度の場合、正組合員九四・八%、准組合員を入れると九八%というわけでありますから、大体ほとんどの法人がこれに入るというわけであります。量的には漁獲高等から見ると、いま言われたように二〇%、これは正組合員ですね、ということでありますが、しかし二〇%の持つ比重というのはそうばかにはならないと思うのです。特に、組合員個々は非常に零細でありますだけに、法人の持っておるウエートが非常に大きくなる。さらに想定されますことは、今後の漁業協同組合というのはやはり事業面活動というものを相当積極的にやらなければいけないし、またやらせなければいけないと思う。そういう場合に、この法人組合員の持つウエートというものが内部的側面から漁協に対して大きな発言権を持っていく。全体の三〇%までに達するようになりましたら漁業協同組合を法人組織でもって支配をしていく、こういうことも、これは企業全体、どういう企業でもそういうことがいわれるわけでありますから、私は出てくると思うので、二割というわけでありますからだいぶ近づいておるわけでありますので、やはり今後の漁協の運営の中で、こういう法人が漁協運営の中に持つ発言力といったようなものを、なかなかむずかしいわけでありますけれども、十分配慮しながら、本来の零細な漁民の協同組合であるというたてまえを貫かせなければいけないと思うのです。こういう点について何か特別に水産庁のほうでお考えになっておるよう主点はございませんか。
○大和田政府委員 法人組合員の資格の引き上げに関連いたしまして、そういう法人が漁協を意のままに支配するということがもしあるようでありますれば、私ども当然手配をしないといけないと思いますけれども、具体的な問題として考えますと、地区漁協の組合員は、正組合員の数は四十五万六千人でございます。そうして法人格を持っております漁船漁業者は三百トン以下が七百十八、今回千五百トンにすることによりましてさらに三百七十ほどふえるわけでございます。それで、いわゆる沿岸漁業者でつくっております漁協にこうばらばらこの約千ほどの法人が入るということではございませんで、焼津でありますとか、あるいは三崎でありますとか、宮古その他カツオ・マグロあるいは底びき、まき網というように拠点がわりあい限定されておりまして、すでに法人としての組合員が若干いるところに、新しく全国でいえば三百七十のものが組合員として入るわけでございますから、抽象的に考えますと、いかにも法人形態をとる大きな漁業者が組合を支配するというふうにも心配されるわけでございますけれども、実態的な問題としては、私はそう御心配になることはないのではないかというふうに思います。しかし、現実にそういう問題が起こるような地点がありますれば、私どもは県の水産課その他の指導をいたしまして、そういう事態が起こらないように十分配慮をいたすつもりでおります。
○田中(恒)委員 やはり漁業の形態の中で、これから法人組織というものがだんだんふえていくんじゃなかろうか、こういう感じがしていけないわけです。これはやはり農業と違って漁業の場合は、特に機械装備、資本装備等が大きいほど効率が高いという経済法則が貫きますから、私は、やはり法人組織というものはだんだんふえていくのじゃないか、そういうことを想定しながら、今度の法人の組合員の資格引き上げという問題を考えた場合に、今日まで水産業協同組合法が出てきてから二回にわたって法改正がなされておるわけでありますけれども、やはりこの法律のたてまえが、漁業を営む個人である、こういうたてまえを中心にして組合員の資格がなされておるわけであります。そこへ法人の数では——もうほとんどが漁協の組合員になれる。しかも将来、これはまあ予想でありますけれども、だんだんこれは大きくなるのじゃないか、こういうことになってまいりますと、水産業協同組合法に書いておる個人を中心としたという法の目的ですね、こういったようなものとこの法人の加入との関連というものを考えざるを得ないのじゃないかと思いますが、こういう点については法改正をめぐってどのような議論がなされたのか、この点もひとつ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○大和田政府委員 法律の改正をめぐる私どもの研究会における学識経験者の意見としては、法人の場合に、船を非常にたくさん使っております大資本家的なものは別といたしまして、中小企業的なものを正規の組合員とすることについて、それほどの抵抗はなかったわけでございます。これは法人といいましても、実際は個人がだんだん大きくなって経営合理化の必要から法人の形態をとるということでございまして、個人たる漁民と異質のものでは私はないと思うわけです。たとえば、五千トン以上というようなそういう漁業者は、これは個人と異質のものでございますけれども、千五百トンというものをとりますれば、カツオ・マグロの個人の業者が法人成りをするわけで、法人であるからといって個人たる漁民と異質のものではない。むしろ先般の委員会でもお答えいたしましたように、私ども水産業協同組合法の第一条というのはやはり一番重視すべき条文でございますから、その漁民というものが組合の中核、主体であるということに違反しない程度で法人の正規の組合員の資格を認める。それは一体限界はどこかといえば、私は、やはり中小企業の名に値する法人というふうにいうべきではないかというふうに思います。したがいまして、今後さらに組合員の資格について水産業協同組合——まあ漁業協同組合あるいは加工組合等々を含めまして、片方における中小企業協同組合の実態なりあるいは法制の変化に従いまして私どももまた検討する機会があろうと思いますけれども、その場合もあくまで実質的に個人たる漁業者と同じようなものというものがやはり最後の限界でございまして、それを逸脱して、個人たる漁民と非常に異質なものを現行の水産業協同組合法のワクの中で法人を組合員化することは私は無理だというふうに思います。長いこと申し上げて恐縮でございますけれども、それは要するに、今回の改正は、実態として漁民と変わらない法人を正規の組合員にするだけであって、何も第一条に違反して新しい観念のものを導入するつもりではない、そういうことを申し上げたいわけでございます。
○田中(恒)委員 長官は個人と同じような漁業者をということですけれども、私は、三百人の使用者を持っておる千五百トンの所有船舶を持つ漁業者が組合員になるということは、単なる個人とは相当違った要素を——もちろん同じ一票を持つ。しかし発言権にいたしましても、議決権にいたしましても、その影響するところは非常に大きいし、経済団体でありますし、あとで水産業協同組合法の改正で剰余金の配分等をめぐっても、出資割り当てから事業割り当て、いずれでもよろしい、こういう形が出てきておるわけでありますけれれども、こういう問題の選択等をめぐりましても、明らかに大きな組合員の発言権というのは全体をやはり支配をしていくし、特に漁村の現実の姿、漁協の今日の実態からいたしますと、やはりこれらの組合員の持つ影響というのはある面では決定的な要素を持っていく。さらに漁業協同組合というものが持っておる性格は、単なるそういう経済的な側面だけじゃなくて、人間をいかに解放していくか、こういう一つの重要な側面があるわけでありますので、こういう観点からいいますと、私はやはり将来いろいろ問題が残るような気がいたしてならないわけであります。 そうして、いま長官言われました中小企業者ということですね。これにつきましても、水産業法の改正では、千五百トン、三百人以下ということになったわけですが、その他の水産関係法律においてはこれらの概念規定がきわめてばらばらになっておるわけでありますが、引き続いて、水産業協同組合法という基本立法のこの改正に基づいて、その他の水産立法関係においても中小漁業者の概念というものを一体どういうふうにしかれていくのか、これに準じて改正されるというお考えはあるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのです。
○大和田政府委員 水産関係でいろいろな法律、諸制度で中小漁業者の定義があるわけでございます。たとえば三百人以下、千トン以下の漁業者をいいます場合は、沿岸漁業等振興法、それから漁業生産調整組合法でございます。また三百人以下千トン以下だけれども、業種別漁協の場合は、二千トン以下というそういう型のものは中小漁業振興特別措置法あるいは漁業災害補償法、また中小漁業融資保証法等々あるわけでございまして、確かに水産関係の中小漁業者の定義というのは必ずしも統一されてないわけでございます。しかし統一されておりませんけれども、大体の感じは似ておるわけで、そう異質のものが入り込んでおるというわけではございません。しかし今回の水産業協同組合法の改正がございますれば、できるだけ将来水産における中小漁業者等の定義を統一する方向で、私ども仕事を進めていきたいというふうに考えております。
○田中(恒)委員 次に移らしていただきますが、新しく総代会の権限を強化をされるわけでありますが、二百人に限定された根拠は一体どういうものですか。
○大和田政府委員 今回の改正にあたりましては、できるだけ組合民主主義の立場から総会の重視をはかるということで、総会の開催が容易であるように、たとえば代理権等々の改正をいたしたわけです。それと同時に地理的な事情、あるいは経済的な事情でなかなか総会をやれといっても事実上開けない、それを無理に開けば、俗にいえば金がかかるばかりで実効があがらない、そういうような場合には総代会で相当な権限を強化するという、そういうたてまえでございます。したがいまして、従前では組合員百人以上の組合でありますれば総代会を置くことができましたけれども、今回は二百人以上ということにいたしたわけでございます。これは総会の重視と、あわせて総代会による合理的な組合の運営をはかるという、いわば二つの方針に基づく改正でございます。
○田中(恒)委員 農協法の改正をやって、総代会というものを相当かちっと位置づけたということに準じて、漁協法も総代会を農協に準じてというようなこともちらほら聞くわけでありますけれども、確かにいまの漁協の実態からいたしますと、総代会を置くということは、これやりますとほとんど総代会になっていくのではないかという気が私はするのです。それで総会が中心だ、このたてまえをはずすとやはり協同組合としては、それは運営は組合長が簡単にやれるでしょうけれども、しかし現実問題としてはやはり総代会という形では、本来の協同組合法の趣旨に沿わないことになるような気がしますし、いま長官は総会中心ということを言われておりますが、実際はこれからますます総代会に移行して、総会なんというものは漁協については開かれない、こういうことになってしまうのではないかという気がするわけであります。特にいままで二人であった総会の代理者を四人にしたわけでありますから、いまの漁協の経営規模からいいますと、平均が二百四人だというわけでありますから、二百四人の四人の代理権を認めれば五十人集まればいいわけですから、さほど総会開催が無理だというふうにも考えられないわけであります。それを総代会にそういう権限を相当付与していく、この辺が少し私どももひっかかるわけでありますが、基本的にやはり総会が協同組合の中心だし、今後の運営についてもやはり総会中心ということをたてまえとして貫いていく。特に合併等が相当進みまして、農協法の議論のときにも話がありましたように、物理的に総会を開催することがむずかしい。もう組合員を入れる建物がないとか、距離が非常に遠過ぎる。漁協の場合、相当広範囲な場合は離島等がありますから、そういう関係が非常にありましょうけれども、そういう場合には総代会ということが考えられるわけですけれども、そうでない場合には、やはり総会というものを中心の運営にしていくという行政指導をとってもらわなければ困ると思うのですが、こういう点について、この際はっきりと長官のほうから言明をしておいていただきたいと思うのです。
○大和田政府委員 総代会と総会の関係では、私ども総会を尊重するというたてまえで行政指導をやります。総代会を開くようにという指導はいたしません。
○田中(恒)委員 それから役員の選出でありますが、これは総代会での選任制の問題あるいは総会外の選挙といったようなことがあるわけでありますが、この総会外の選挙、総会の外で選挙するなどというのは、具体的にはどういう方法をお考えになるわけですか。
○大和田政府委員 これは総会で選挙するのが普通でございましょうが、別に総会の日以外に投票日を設けて選挙するということは、これは当然常識として考えられることであろうと思います。どういう方法であるか、選挙でやるか、選任でやるか。選挙も総会でやるか、あるいは総会外でやるかということは、これは総会外でやり得る制度をつくっただけで、どういう方法でやるかということは、私は組合の自主的な判断にまかすつもりで、どちらかがいいというようなことはいたすつもりはございません。
○田中(恒)委員 役員の選挙などというものは、これは公職選挙法に基づく選挙でも、地方選挙がいままっ最中でありますが、なかなかいろいろなできごとが起きておるわけでありますが、特に団体の役員選挙というのは、買収があるとか何とかそういう問題ではないわけですけれども、非常に不明朗な選出のしかたで役員の選挙が選ばれる場合が、事例的に非常にたくさんあるわけです。特に漁村なんかの役員選出などというのは、せっかく法律で選挙をしなければならないと書かれておっても、選挙といわれるものだろうかというような場がしばしばあるわけです。それに持っていって総会外でかってに自主的に組合できめてやればいいのだということになると、どういうものが出てくるのか、これは組合員の意思が反映するような方法が講ぜられればいいですけれども、逆に全然そういうものではないようなやり方が出てくる心配のほうもあると思うのですよ。そういう点については何かやはり組合員の気持ちが当然反映されるような選挙の方法というものを考えてやらないと、野放しにしておったのでは、特に漁協の役員の選挙というものについて、非常に不明朗な事件が将来起こるのではないかと心配するわけですが、この点はどうでしょうか。
○大和田政府委員 私ども総会外で選挙ということを一つの制度として打ち出しましたのは、物理的な事情でなかなか総会が開けないような大きな組合等もございますし、それから船の乗り組み員が組合員になっている場合が当然あるわけでございまして、たとえばカツオ・マグロまき網、底びき等々、総会のときに組合員がなかなか村にいないという場合もあるわけでございますから、そういうことを考慮いたしまして、総会外で選挙することを認めたわけでございまして、確かに漁協の場合に、非常にへんぴな村では、いろいろな形で必ずしも合理的でない方法で選挙が行なわれたり、選任が行なわれたりするということも、ないことはないと私は思います。そういうことを否定するつもりはございませんけれども、総会外における選挙あるいは役員の選挙とか組合の運営等々によって、だんだん漁民が鍛えられていくわけでございますから、私どももあまり妙なことが行なわれないように、十分県の水産部等々を指導して、この問題についての指導をいたしたいというふうに考えております。
○田中(恒)委員 時間が参りましたので、私の質問は以上で終わりますが、問題はやはり、この水産協同組合は、何といいましても焦点は漁協でございますけれども、日本の漁業を発展させていく主体勢力としての位置づけをもっと明確に水産庁のほうでもしていただいて、合併であるとか、事業の拡大の問題であるとか、特に将来、販売といったような問題、産地使用の問題、こういう問題等については、水産庁としても足らないところを積極的に補っていくような施策をとっていただきたいと思いますし、今回の法人組合員の引き上げの問題については、私が指摘いたしましたように、将来この法人というものが漁業の中で、あるいは加工協同組合の中で決定的な、相当大きなウエートの影響力を持つ、こういうことのないように十分配慮をしていただきたい、このことを特に要請をいたしまして、私の水産協同組合法改正についての質問を終わらせていただきます。
○三ツ林委員長代理 三案のうち、水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきましては、他に質疑もないようでありますから、これにて質疑は終局いたしました。 —————————————
○三ツ林委員長代理 これより本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○三ツ林委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手) —————————————
○三ツ林委員長代理 この際、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により、角屋堅次郎君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。角屋堅次郎君。
○角屋委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表して、ただいま議決されました水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 日本漁業をめぐる内外の諸情勢が年とともに厳しさを加えるなかで、わが国水産業の振興と漁業者及び水産加工業者の経済的社会的地位の向上を図るためには、今後水産業協同組合の果すべき役割は極めて重要である。 よって、政府は、水産業の発展に即応しうるよう、漁業協同組合の合併の促進等による整備、水産加工業者に対する指導助成等その育成強化に努め、沿岸漁業者、中小漁業者及び水産加工業者の組織の在り方についてさらに検討を加えることはもとより、本法の施行にあたっては、協同組合原則にのっとり組合の健全な管理運営が確保されるよう特に左記事項に留意すべきである。 記 一、漁協における法人の組合員資格要件が緩和され、あるいは総代会の権限が拡大すること等に伴い、沿岸漁民の漁場利用に不安を生ぜしめないよう配慮するとともに、漁協の規模等の現状から総代会制を採用するにあたっては慎重を期し、全組合員の意思が十分反映されるよう指導すること。 二、連合会の「一会員一票制」に対する特例の運用にあたっては、連合会の民主的な管理運営を誤らないよう適正を期すること。 三、漁協における法人の組合員資格要件を緩和したことに伴い、他の水産関係法令との調整を早急に図るとともに中小漁業振興特別措置法、農林漁業金融公庫法等における適用対象となる中小漁業者の範囲の拡大を図ること。 以上の附帯決議の趣旨につきましては、法案審議の過程において各位の十分御承知のところと思いますので、説明を省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。(拍手)
○三ツ林委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。 本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○三ツ林委員長代理 起立総員。よって、角屋堅次郎君外三名提出の動議のごとく本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。倉石農林大臣。
○倉石国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、慎重に対処してまいる所存でございます。 —————————————
○三ツ林委員長代理 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三ツ林委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○三ツ林委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時三十六分休憩 ————◇————— 午後一時四十九分開会
○草野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 私はこの際、非常に重大な段階にきております日ソ漁業交渉問題について、十四日の本委員会でこの問題を取り上げたのに引き続きまして、政府の所信をただしたいと思います。 私が十四日の本委員会で日ソ漁業交渉の問題を取り上げた際に、日ソのカニ交渉の問題について農林大臣はすみやかに解決することを期待しながら最善の努力をいたしたい、例の大陸だな資源論争の問題については、たな上げの状態の中で交渉が進められる時点にきておるというお話の御答弁がございましたが、われわれが予期した以上にこのカニ交渉の問題は重大な段階にきておりまして、二十日には異例の赤城特使を派遣するという政治交渉の事態にまで発展をしてまいっておるわけでございます。 この際、政府にお伺いしたいのでございますが、十四日の本委員会で農林大臣が答弁された当時の情勢が急転直下こういう非常にきびしい条件下になった経緯、同時に赤城特使を派遣することになった事情等についてまず政府の見解をお話し願いたいと思います。
○倉石国務大臣 前回この問題でお尋ねをいただきましたときにお答えいたしました状況とただいまはあまり変わっておりませんで、当初、いろいろきびしい現実の漁獲量等に入る前にいろいろな問題について議論が行なわれておりました。だんだんそういう専門的なことも進行いたしまして、私どもといたしましては、実際の問題にすぐに入っていくものであろうと想像いたしておったのでありますが、その後の進展があまりはかばかしくありませんので、そこで赤城特使をわずらわすということにいたしたわけであります。別段特にいろいろな悪条件が加わってきたとかなんとかということではありませんが、御存じのように、もう出漁期も切迫いたしておりますので、すみやかに解決する必要があろう、こういうことでございます。ただその内容につきましては現在いろいろ折衝中でありますので、その内容をつまびらかにここで申し上げることはお許しを願いたいと思います。
○角屋委員 日ソのカニ交渉の問題についてソ連側からきびしい規制の内容が提示されているということが報道等でも明らかにされておるわけでございますが、いま農林大臣のほうでは、交渉の経過中であるので規制案の内容について明らかにすることは差し控えたいということでございますが、新聞報道等によりますと、いわばカニ交渉の一番中心地域であります西カムチャッカの水域におけるタラバガニについては、ソ連側からは四船団を一船団に削減をする、漁獲量についても三分の一以下にするというふうな提示や、さらにまた同じ西カムチャッカ地域におきますイバラガニについても従来の二船団を一船団に減らす、あるいは漁獲量についても七十六万匹程度のものを三分の一以下に削減をする。さらに東樺太沖のアブラガニ、オリュートルのズワイガニについても全面禁漁という提案がなされておる、あるいは北海道沿岸の二丈岩のケガニ、三角水域のタラバガニあるいはハナサギガニについても規制強化の内容が提示されておるというふうに報道されておるわけでございますが、大体規制案の内容というものは報道等に明らかにされておる点とおおむね差はないのかどうか、そういう点についてひとつ御答弁を願いたいと思います。
○倉石国務大臣 詳細なことにつきましてはよくわかりませんが、おおむねただいまお話しのとおりでありまして、また伝えられておりましたその辺のところだと思います。
○角屋委員 言うまでもなく北洋水域におけるカニ資源の開発は大正十三年以来非常に長い間苦心惨たんをして日本のカニ漁業者が開拓をしてきた歴史のあるところでございますが、ことしのソ連案の提示の内容はおおむね報道と大差がないということでありますと、なぜこういういわば北洋漁業から日本のカニ操業を締め出すというふうにも思われるようなきびしい提示をしてきたのか、こういう問題について政府側としてどういうふうに判断をしておられるか。たとえば昨年の十一月の日米のカニ交渉あるいは米ソの十二月のカニ交渉、特に昨年十一月の日米のカニ交渉における日本側の非常な弱腰というものが今回の日ソのカニ交渉にあたってソ連側の強い姿勢の一端になっておるというふうにもいわれておるわけでありますし、同時にまた資源論争の問題も、もちろん日ソの間に見解の相違はございますけれども、最近の日中間の国交回復の促進ムードというものが政治的にソ連側に影響を与えておるというふうにも見られておるわけでありますが、ことしのこういう非常なきびしい規制案の政治的背景あるいは漁業サイドの背景というものをどういうふうに政府側としては判断をしておられるのか、その点明らかにしてもらいたいと思います。
○倉石国務大臣 先方の強調しておられますことは資源論であります。したがって、わがほうと先方とのいままでの専門家委員会でなお意見が一致しないゆえんのものは資源に関する考え方、われわれのほうとして主張いたしておるのは技術的研究の結果間違いのない資源論というものの立場に立ってわれわれのほうは主張いたしておるわけであります。先方は先方でそういう立場であると説明しておられますが、そういう点で意見が一致する段階に至っておりません。もう一つは、伝えられておりますように大陸だなの問題、それらのことについて種々専門家の間で論議が戦わされておりましたが、なお今日合意を見るに至らない、こういう状況であります。 先ほど昨年のカニ交渉の日本側の弱腰というお話がありましたが、私どもといたしましては決して弱腰とは思っておりません。私どもは筋の通った主張を堂々と昨年もいたしておりまして、先方も当初彼らが主張いたしておったよりもずいぶんわれわれの主張を理解して妥結に至りましたことは御存じのとおりでありますが、本年は特段にきびしい主張を資源論、大陸だな案件等について主張いたしておることは御指摘のとおりであります。したがってそういうことについてこれからなお先方と詰めなければなりませんが、先ほどもお答えいたしましたように出漁期が迫っておるわけでありますから、緊急にそういうことについて最大の努力をいたすために赤城特使をわずらわした、こういうことであります。
○角屋委員 大臣は出漁期は迫っておると言われましたが、すでにもう十五日に解禁日は来ておったわけであります。したがって、出漁期をすでに過ぎておりまして、北海道その他出漁を控えてじりじりの気分で待機をしておるのが現状であろうと思います。 そこで、大陸だな問題にも大臣の御答弁の中で触れられましたので、外務省のほうに若干お伺いをしておきたいと思うのですが、大陸だな条約には日本自身はこれを国会で批准をし、あるいは条約に加盟をしていないわけであります。それはそれなりの理由を持っておるわけでありますが、いわゆる外務省として大陸だな条約の批准の問題に関する当面の方針はどういうふうに考えておられるのか。 さらに、カニ資源の問題が、ソ連側では大陸だな資源だ、日本側ではこれは公海資源だということで、これは日ソの漁業条約の中では四十四年、四十五年、カニの部分は従来から別立てにいたしまして、いわゆるカニ協定というものを四十四年、四十五年、結んで、本年で三回目の交渉に来ているわけでありますけれども、大陸だな条約の加盟国あるいは加盟国でなくても、カニ資源の大陸だな条約との関連における国際的な受け取り方というものはどういうふうに外務省としては見ておられるのか、こういう点等についてもひとつお答えを願いたいと思います。
○有田政府委員 お答えいたします。 大陸だな条約は御承知のように一九五八年に海洋法会議ででき上がりまして、その後六四年に発効しております。で、ソ連側は六二年にたしか加入しておりますし、六八年には幹部会令を発出しております。日本側は大陸だな条約に加盟しておりません。これは御承知のように、日本側の立場は、大陸だな条約の中でその資源とされている定着生物というものは、これはカニ等甲殻類が入るわけですが、日本側の見解によりますれば、これは公海資源であるという立場でありまして、また、これらの関係において日本側は公海資源として従来から漁獲に従事しております。また、一方においてこの大陸だな条約の中で天然資源に認められております海底の鉱物資源等につきましては、国際慣習法の立場からすでにこれが沿岸国の管轄に属するものであるということがほぼ認められております。したがいまして、その面についての支障はございませんので、日本側の立場は、この大陸だな条約には日本側としていま参加するということは考慮しておらないというのが現在の立場であると存じます。もっともこの点は私の所管でなく、より条約局の問題ではございますが、ほぼそれに間違いないと存じます。 また、この定着物の問題につきましては、この五八年の条約審議のときに非常な議論を呼びました問題でありまして、ことにカニ等が魚とどこが違うのかというような問題で議論をいたしまして、日本側は、これは魚と同様公海資源であるという強い立場をとったということでございます。一方、カニの生息しております大陸だなの沿岸国であるソ連、アメリカ等一部の国がございますが、そういう国はそれらの資源が、やはり定着物というものも大陸だなの資源の中に入るのだというふうに解釈している。しかしそこに統一的な解釈がないというのが現状だというふうに理解しております。
○角屋委員 引き続き欧亜局長にお尋ねをいたしたいのでありますが、赤城特使の二十日の日本出発と時を同じゅうして、ソ連におきまして新関駐ソ大使がイシコフ漁業相と日ソ漁業交渉の問題で会っておるわけであります。その経緯について御答弁を願いたいと思います。
○有田政府委員 お答えいたします。 新関大使は昨月十九日にソ連に赴任いたしました。そこでグロムイコ外務大臣には直ちに面会いたしまして、その後の信任状捧呈の日取り等について要請をいたしました。この党大会の前にもポドゴルヌイ議長に会うような予定も一時は組まれたようでございますけれども、党大会その他の関係で、信任状捧呈が党大会終了後に延びまして、たしか十四日に信任状を捧呈しております。 したがいまして、信任状捧呈後この関係の大臣にあいさつをするということで日程をお立てになっておられたようでございまして、二十日午前に会いましたのは、イシコフ大臣と初めての会見でありまして、そういう意味におきまして着任のあいさつという意味もございました。それと同時に、このカニの交渉がモスクワで行なわれておりまして、いま御指摘のようにいろいろ話が長引いておりますので、イシコフ大臣に直接お会いして、先ほどお話がありましたように、このカニ魚業というものが、北洋開発というものが日本が長年努力してきたものであって、そのような点について十分認識して、また科学者の判断も参酌して双方の納得のいくような解決をすみやかにしてほしいということを要請したように承知しております。 また同時に、その時期にすでに赤城特使の出発ということがはっきりしておりますので、赤城特使が本日午後にもモスクワに到着するので、十分赤城特使との間にこの問題の解決を促進されるようにということで要請したというふうに承知しておりますし、イシコフ大臣のほうも赤城特使とは旧知の間柄であって、喜んでお会いして問題解決を促進したいというふうな意向を示されたというふうに承知しております。
○角屋委員 新関大使がイシコフ漁業相と会ったときにも、いわゆるソ連側の規制案の修正という要請と同時に、ソ連がことしこのカニ漁業の西カムチャツカ地域にすでに二十日から一次船団が一方的に操業開始する。まだこれは事実上操業はやっていないというふうにいわれておりますけれども、そういうことを一方的に通告してくる。さらに一船団が二十四日ごろには同水域に到着をする。日本側に対しては日ソのカニ交渉が取りまとまるまでは出漁まかりならぬ、こういうことを言いながら、一方ソ連側においては西カムチャッカ水域に、すでに二船団が同水域に到着もしくは到着の過程にある、こういう異例のやり方をやっておるわけでありますが、日本側として、ソ連側の態度は、これはどういう主張に基づいて彼らはこういうやり方をやってきておるのか、あるいは日本側としてこういう問題についていかなる手を打ってきておるかという問題をあわせてお伺いしておきたいと思います。
○有田政府委員 お答えいたします。 新関大使がイシコフ大臣と会いましたときには、こまかいいろいろの点については現実にモスクワで森澤代表と先方の代表との間に交渉が行なわれており、また赤城特使も来られることでありますので、その個々の点についてのお話はなかったように承知しております。 しかしながら一般的に従来示されたソ連側の態度というものが相当にきびしい、また日本側の立場、過去の経緯等について十分の配慮がなされておらないのではないかという点を指摘いたしまして、先方の考慮を促したというふうに承知しております。 またソ連船団の動向につきましては、私ども必ずしも確実な情報を有しておりませんが、これは過去におきましてもこの話し合いをきめて、そうして双方が出漁しているという実態であるのでございまして、その点を新関大使からソ側に指摘して、話し合いを促進して、円滑に双方が操業できるということを期待するというふうに言われたように承知しております。
○角屋委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、今度二十日に赤城特使を派遣されたわけでございますが、森澤代表等がソ連に行って三月一日からカニ交渉をやっておる。今度派遣された赤城特使の役割りというものは、どういうふうに要請をして赤城さんが出ていかれたわけですか。また佐藤さんも総理みずからの親書を託されたというふうにもいっておりますが、いわゆる赤城特使の代表団との関係における役割りというものは、どういうふうに理解したらよろしいのでございましょうか。
○倉石国務大臣 先ほど来お話のございましたように、当方のカニに関する代表団は専門的な話、それから合意が得られればそこで話を取りまとめるという権限を持って行っておるわけでありますが、御存じのように、半ば膠着状態に入っておる。そこでこれは両国間の問題でありますので、やはりこういう状態を打開いたしていくことが、ひとり漁業関係ばかりではありませんで、両国親善関係にも必要なことである、こういう見地に立ちまして、特使を赤城君にお願いをして差し向けた、こういうことであります。おそらく、いま欧亜局長もお答え申し上げましたように、赤城特使は先方とも長い間の交際を持っておりますし、漁業関係の問題についても十分の知識を持っておられる人でありますので、やはりああいう立場の者が参りますと、先方はそれだけの待遇もなされますし、また上層部と話を進めることができるわけでありますから、そういうことを考慮いたしまして、先方に行ってもらった。もちろん妥結をいたしますときには、赤城特使から私どものほうに請訓があるはずでありますから、当方はそれについて判断をいたしまして訓令を出す、こういうことは当然なことであります。
○角屋委員 今回の日ソのカニ交渉の経緯については、私どもの予期以上の難航、しかもソ連側のきびしい規制案の提示という経過になっておるわけでありますけれども、従来十五回も続いてきておる日ソの漁業交渉の中でサケ・マスあるいはニシン、こういうものに政府や農林省としては日ソ漁業交渉のいわば主役的な評価をしておって、カニというものはある意味ではわき役的な考えを持っておったというきらいがないではないという感じが率直にいってしないでもありません。ことに先ほど来の質疑の中でも明らかなように、ソ連側としては大陸だな条約というものに基づいてカニは大陸だな資源だ、あるいは国内のいわゆる布令といいますか、そういうものでもってさらにそれを明らかにしておるというふうな経緯等もございまして、ことしの場合は赤城特使の派遣ということになりましたが、マスコミの報道等で、大臣の考え方が出ておる記事が出ておりますけれども、いままでのような日ソ漁業交渉について、いわば水産ベースの交渉では限界にきておる。やはりもっと政治交渉を含めた交渉を今後考えていかなければならぬという意味の報道がなされておるわけでありますが、今回の赤城特使の派遣というふうなものを含めて、今後は従来の交渉形式というものにもっと政治的な交渉も含めた幅の広い折衝というものも考えていかれるのかどうか、こういう点について、ことしはまだカニ交渉にいたしましてもあるいはサケ・マス、ニシンにいたしましても決着はしておりませんけれども、今後の問題に対する見解等も含めてお考えを聞いておきたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 角屋さんのお尋ねに対して私がお答えし得る資格があるかどうか疑問だと思いますが、まあ国務大臣ということでお尋ねいただいたことだと思います。これは私ばかりではありませんで、多くの人々が考えておられることだと思いますが、もう申すまでもなく、御存じのように日ソ両国というのはきわめて接近した地位、地域にありますし、総理大臣も申しておりますように、いろいろな意味において親善を深めていくべき間柄であるわけであります。したがって、これからますます人事の交流、経済の交流等を通じて両国の親善をやってまいるのは当然だと思うわけでありますが、漁業以外にかなりのものが貿易において過去にもありますが、将来ますます考えられる点ではないかと思うのであります。したがって、私どもとしては、別段いままとまってこうするという見解を持っておるわけではありませんけれども、やはり日ソ両国の経済関係の交流の中において漁業交渉というものをどのように位置づけ、経済全般の交流の中でどのように対処していくべきであるかということについて研究すべき段階ではないか、こういうことは考えているわけであります。具体的にはこれからの研究課題であると存じます。
○角屋委員 赤城特使の派遣によって日ソのカニ交渉は新しい事態にきたわけでありますが、この際、今後の日ソ・カニ交渉の妥結に対する見通し、ここ当分赤城さんの側面的な努力といいますか、あるいは中心的な努力といいますか、それに代表団の大詰めの努力等も含めて、大体ここ五日なり一週間なり、そういうめどのもとで妥結さしたい、こういう方向で考えておられるのか。ソ連の規制が非常にきびしいだけに、やはり少々出漁がおくれてもじっくり取り組んで将来に悔いを残さないようなそういう形で妥結をいたしたいという方向であるのか、その辺の基本的なこれからの交渉の判断なり見通しというものをどう思っておられるのかという点が第一点であります。 同時に、現実にもうすでに出漁期を過ぎて待機しておる関係のカニの船団につきましても、場合によっては若干の船団の削減ということもあり得るかもしれません。そういうことが出てくる場合には、当然、ことしはそういうことを予想もしていなくて準備をすでに終わっておるわけでありまして、これらの問題は今後の問題でございますけれども、そういう問題に対してどうするかということもやはり考えておく必要があるだろうというふうに思うわけであります。いずれにしても赤城特使の派遣を契機にして新しい事態にきておるわけでありますが、日本側としてぎりぎりこれ以下には絶対に譲れないという線はどこに置いて交渉を進めていかれようとするのか、今後の交渉の見通しも含めて御答弁願いたいと思います。
○倉石国務大臣 私どもの見解といたしましては、やはり従来派遣してたいへんな努力を重ねております代表団の諸君の活動範囲というものに限界があるんではないかということについて考慮いたしました結果、特使を派遣するという段階になったわけであります。そこで、先ほど欧亜局長からもお話がございましたように、赤城特使の活動はこれから始まるわけでありますから、したがって、それに大きな期待を持っておるわけでありますが、これから交渉が始まってどのような進展をするかということによって、赤城君から私のほうに請訓がございますからして、そういうことについて政府は判断をいたすわけであります。したがって、赤城特使の十分な御活動を期待いたしておるというのがただいまの段階でありますが、先ほど来申し上げておりますように、先方は技術的な資源論であるとかあるいは大陸だなの問題とかということについてやっておるわけでありますので、そういうこともさらに専門家会議等では詰めなきゃならぬと思います。したがって、そういう結果どのような判断をするかということでありますので、まだいまのところは何とも申し上げかねる次第であります。
○角屋委員 交渉が非常に難航した場合には、場合によっては洋上待機等の手段に訴えることもあるわけですか。
○倉石国務大臣 せっかく行かれた特使の報告を待って私どもも判断をしなければなりませんが、いつでも出られる用意は万端整えておるようであります。
○角屋委員 私は、前段部分に日ソのカニ交渉問題について御質問申し上げましたが、申し上げるまでもなく、同じく東京においてサケ・マス、ニシンの交渉がいま行なわれておるわけでありますけれども、私ども心配をいたしますのは、ことしの日ソ漁業交渉に対するソ連の非常に強い、しかもきびしい交渉に対する姿勢から見て、サケ・マス交渉とカニ交渉とは別個に行なわれておりますけれども、カニ交渉に見られるようなソ連のきびしい態度が、サケ・マス交渉にもはね返ってくるのじゃないか、あるいは全体としてソ連はきびしい姿勢でくるのじゃないか、こういうことを懸念をするわけでありますが、サケ・マス、ニシン等の交渉に対する問題は、カニ交渉とは全然別個に、順調に行き得るものと判断をしておられるのか。あるいは相関連して、サケ・マス、ニシンの交渉についても相当に難航を予想しておられるのか、その辺の判断についてお伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 これは全然別個の扱いをいたしております。したがって、サケ・マス、ニシンにつきましては、いまお話しのように東京でやっておるわけでありますが、これもやはり資源論はこの前から行なわれておるわけでありますけれども、そういう点について、専門家の会同それから代表の会合等しばしば繰り返しておりますが、先方もいまお話しのようにきびしい態度を当初言っておりましたので、難航はすると思いますが、これはカニ交渉とは全然切り離して妥結をし得るものである、こう見ております。
○角屋委員 時間の関係もありますので、私はおおむね結論に進みたいと思うのでありますが、今回の日ソ漁業交渉の当面の情勢にかんがみまして、私どもは、政治的効果といいますか、委員会としても、日ソ漁業交渉が、日本の国益を守る立場から従来の実績というものが尊重される点で円満に妥結をするということを望む点では、別に与党も野党もないわけでありまして、今回の赤城特使の派遣を契機にして、赤城さんの精力的な努力と相まって成功を見るように期待をいたしておりますし、われわれ党といたしましても、国会の決議の提出はもちろんでありますが、別にソ連政府なりソ連大使館等についても、すみやかな機会に、日ソの漁業交渉が日本側の主張が正当に受け入れられて解決するように努力をしてまいりたいとも考えておるわけであります。 この際、最後に、この日ソのカニ交渉並びに日ソのサケ・マス、ニシンの今後の交渉の問題について大臣の御決意のほどを承って、私の質問を終わりたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほども申し上げましたように、資源論というふうな技術論が先行いたしておるわけでありますので、これについてはこちらの主張を先方に十分理解をさせるように努力を続けておる、こういう次第でありますが、逐次そういうことについて合意を得られるものである、このように私どもは想定をいたしながら、一日一日最善の努力をいま代表団をして払わしておる次第であります。そこへモスクワにおけるカニ交渉には先ほど来申し上げております赤城特使を派遣をいたした、こういうことでありますが、私どもにとりまして、カニ交渉もそれから東京において行なわれておりまするサケ・マス、ニシンにつきましても、今年はソ連側が非常にきびしい態度で臨んできておるということについては、私どもといたしましてはまことに残念に思っておるわけであります。したがって、われわれの主張が彼らに合意をでき得るようにさらに最善の努力をいたさなければならないということで鞭撻をいたしておる最中であります。
○角屋委員 以上で終わります。
○草野委員長 鶴岡洋君。
○鶴岡委員 ただいま角屋議員から現在行なわれている日ソ漁業交渉の問題についていろいろ質疑がございましたが、私から重ねて二、三の点だけお伺いをいたしたいと思います。 最初にお伺いしたい点は、これは第一点ですが、去る三月一日からモスクワで開始されたカニ交渉ですが、その後すでに五十日余りも経過しているにもかかわらず、交渉はいたずらに難航しているわけです。漁獲量の規制問題では話し合いの糸口も見出せない、こういう状態ですが、このため出漁期を迎えた北方漁民にとっては、いつ交渉が妥結するかがその深刻ないわゆる生活問題になっているわけです。 例年カニ交渉が難航し、遅々として進まない最大の原因は何なのか。もちろんサケ・マス、ニシンの交渉についても同じことがいえるのではないかと思いますが、問題解決の見通しはあるのかどうか。 二点目は、二十日の日に赤城元農相が特使として派遣されたわけですが、政府はどのような具体的な解決策を与えたのか。 この二点についてお伺いします。
○倉石国務大臣 お尋ねの第一点につきましては、これは先ほどもお答えいたしましたように、資源論という専門家会議がなかなか合意を見られなかった。これは今年に限ったことではございませんで、毎回そういう点については意見の食い違いがあります。私どものほうではかなり長期間の研究をいたしまして、そういうデータに基づいて、先方に対して合意を得られるように努力をいたしておるわけでありますが、その点についてなかなか合意が得られないということであります。そこで、そういう問題についてさらに合意ができるように努力することと、さらにまた、いまモスクワに派遣いたしております諸君、非常な努力をしておってくれますが、やはり国と国との交渉でございますので、今回はハイレベルの特使を派遣することによってこういう問題について打開をする必要がある、こういうことで特使を派遣いたした、こういうことでございます。 東京において行なわれておりますサケ・マス、ニシンについても、やはり論点は、ただいま申し上げましたような資源論であります。その点については、これは、いろいろ専門家の間で意見を交換し、長時間かけて勉強し合っても、結局なかなか、目に見えておるわけではございませんので、妥結点ということについて非常な時間を要しておる、こういうことでありますが、さっきもちょっとお答えいたしましたように、サケ・マスにつきましては、私どもとしては順調にいき得ることを期待いたし、なかなかきびしい要求ではありますけれども、これはさらに努力を続けて順調な妥結ができるように最大の努力をいまいたしておる、こういう次第であります。
○鶴岡委員 特使の具体的な内容については……。
○倉石国務大臣 特使は先方に行かれまして、こちらの代表団からつぶさに今日までの経過の報告を受けまして、そして、特使みずからが判断をされて、先方のトップレベルと話をされるわけでありますので、こちらからは、別にきまった指令というものは出しておりません。したがって、先方では随時私どものほうに請訓されるはずであります。
○鶴岡委員 いま申しましたとおり、このカニ交渉が始まってから五十日余りもたっているわけです。そこで、出漁日も、四月十五日の解禁日をすでに過ぎてしまっているわけです。カニは、いま繁殖のために沖合いから岸べのほうへ移動しておるわけです。いわゆる入りガニの最盛期と言われているわけです。ここで出漁がおくれているということは、この入りガニが十分にとれないというばかりではなくて、また出ガニのほうもとれなくなる。そうすると漁獲量は大幅に減ってくるのではないか、このように心配されるわけです。そこで日本漁船は、いま港にくぎづけにされたままになっておるわけですが、それに対してソ連側は、カニ漁船団が二十日から西カムチャツカ水域で操業を開始する反面、日本の漁船団の操業は交渉妥結まで一切認められないとの通告をしてきておるように聞いておりますが、カニはソ連の大陸だな資源だから交渉が成立しなくとも漁獲は自由との主張をしておるようであります。こうした一方的なソ連の態度に対して、政府はどんな考えを持っておるのか、その点をお伺いします。
○大和田政府委員 カニが大陸だな資源であるかどうかということにつきましては、かねてからソ連と日本と対立をいたしておるわけで、従来も両者の話し合いがきまったところで出漁いたしておるわけでございますから、今年度、協定がまだきまらないうちにソ連が出漁するということははなはだ不当であるという立場から、日本代表は、はげしい抗議をソ連に対して行なっておるわけでございます。
○鶴岡委員 もう一つ、今回のカニ交渉が難航した理由として、ソ連側のカニは大陸だな資源でソ連の領有物である、このいわゆる大陸だな資源論を持ち出して一歩も引かない点があげられております。日本側は公海資源論、こういうふうに主張しておるわけですけれども、この論争は現在ではいわゆる水かけ論になってしまうのではないか。これをたてにとって交渉を引き延ばすソ連側の態度というものは非常に遺憾ではございますが、日本政府としても、このような毎年同じ原則論に悩まされてきた経験の上に、また同じやり方で交渉がおくれている事態を考え、その食い違いの点を、もっと研究することもそうでしょうが、事前に協議するとか、また何とか前向きに取り組む方法を考えるべきではないか、このように思うわけです。単なる交渉の技術的な問題や調査等ではなくて、先ほどもお話がありましたけれども、政治的解決の時期を迎えているのではないか。何とかこれを政治的に解決する方法はないのか、この点についてお伺いします。
○倉石国務大臣 先ほど角屋さんの御質疑にもお答えいたしましたように、ソ連とわが国とはさらにますます経済交流、人事交流を深めてまいる考え方でありますので、経済的にも大きな問題がまだたくさんございます。したがって、日ソ間における経済の交流全体の立場から、その中にある漁業関係をどのようにするかという問題であるので、この交渉の方式等については、さらに高度の次元に立って検討し直すべきではないかという意見がございます。きまったわけではありませんが、ただいま御指摘のような御意見もそれに類する御意見ではないかと思っております。政府部内においても十分そういうことに関して研究をいたして、事前にいろいろやることがいいのではないか、こう思っております。
○鶴岡委員 それでは最後に、このカニ交渉の問題は、いわゆる北方漁民の危険をおかしての事前出漁も考えられたほどの深刻な死活問題になっているわけです。希望としては、万難を排して交渉の早期妥結に政府は総力をあげるべきではないか、このように思うわけです。ここで最後に大臣からこの交渉に対しての所信を述べていただいて質問を終わりたいと思います。
○倉石国務大臣 このたび赤城特使を派遣いたします決意を持つに至りましたその過程の中で、ただいまお話のございましたように、わが国の大小の漁業者の人々の問題、それからまた国益の問題等を考慮いたしますと、かなり重大な問題でありますので、私どもといたしましては、そういう国民諸君の熱烈なる御要望を背中にしょって、あくまでもわが国の国益を守ることのできますように最善の努力をいたさなければならないということで、いま鋭意そういう方向で努力を続けておる最中であります。
○鶴岡委員 以上で終わります。 ————◇—————
○草野委員長 この際おはかりいたします。 日ソ漁業問題に関する件について決議をいたしたいと存じます。 本件につきましては、本日の理事会で御協議をお願いいたしておりましたが、先刻その協議がととのい、その案文がまとまりました。 便宜私から案文を読み上げます。 日ソ漁業問題に関する件(案) 今次日ソ漁業交渉は、三月一日からモスクワで行なわれているかに交渉、三月二日から東京で行なわれているさけ・ます、にしん交渉ともソ連側の強硬な態度により例年になく難航し、かに漁業は、すでに出漁期を過ぎており、これ以上の遅延を許されない。 政府は、昨日、赤城特使をモスクワへ派遣したところであるが、かに交渉の妥結およびさけ・ます、にしん交渉について一刻も早く円満なる妥結が図られ、日ソ両国の友好親善と両国の北洋漁業関係者の共存に資するべきである。 右決議する。 以上であります。 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、ただいまの決議に対し、政府の所信を求めます。倉石農林大臣。
○倉石国務大臣 ただいま御決議いただきました件につきましては、その御趣旨を十分にくみまして、政府としても最善の努力をいたしてまいる所存でございます。(拍手)
○草野委員長 なお、ただいまの決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は明二十二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十一分散会