農林水産委員会 第9号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1971/03/10
会議録
○草野委員長 これより会議を開きます。 第六十三国会から継続審査となっております芳賀貢君外六名提出、国が行なう民有林野の分収造林に関する特別措置法案、及び内閣提出、国有林野の活用に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
○草野委員長 両案につきましては、六十三国会におきまして趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○草野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。澁谷直藏君。
○澁谷委員 私は、ただいま議題となりました国有林野の活用に関する法律案について、若干御質問を申し上げたいと思います。 実は、私はこの国有林野の活用に関する法律案をすみやかに成立をさせたいということで、足かけ七年間この問題と取り組んでまいった一人でございます。なかなか私どもの要望が実現することができないで苦心をしておったのでございますが、幸いに現倉石農林大臣がこの前に農林大臣に就任された際に、直接私ども同志代表がお目にかかりまして、諸般の情勢をるると説明を申し上げ、農林大臣の勇断をもって政府提案という形でこの法律案を提案をしていただきたいということをお願いいたしたのでございます。幸い倉石農林大臣、大英断をもちまして政府提案という形でこの法律案を提案をしていただいたわけでございまして、私は倉石農林大臣のその政治家としての御英断に対しまして、あらためて感謝の意を表明いたしたいと思うわけであります。にもかかわらず現在に至ってなおこの法律が日の目を見るに至っておらない。一度はこの衆議院で審議を尽くし、本会議を通過して参議院に送られたわけでございますが、残念ながら参議院で成立を見るに至らないで終わったわけでございます。 以上のような経過を経ておるわけでございますから、この法案については、当委員会におきましても各党のそれぞれの委員からいろいろな角度からの審議が尽くされておるわけでございますから、私はできるだけ重複を避けて三、四点について政府の所信をただしたいと考えるわけでございます。 そこで、この法律案に入る前に、私は日本の林業、木材というものについて、最近非常に容易ならない情勢になってきておるというふうに判断をいたしますので、この点についてまず最初に若干御質問いたしたい。最初に、政府委員にお伺いいたしますが、外材の輸入が非常に増加をしてきておるということはもう明らかでございますが、最近この四、五年間における外材の輸入状況はどうなっておるのか、要点だけでけっこうでございますから簡単に御説明をお願いいたします。
○松本(守)政府委員 お答えいたします。 外材の輸入状況でございますが、昭和四十年に千六百九十二万立方輸入がされまして、逐次増加いたしております。しかもその増加の幅は相当大幅でございます。四十四年度では三千五百八十一万立方になっております。
○澁谷委員 ただいまの御説明で明らかになりましたように、この数年間における外材の輸入は急ピッチで増加をいたしてきておる。四十四年におきましては国内の木材と比較いたしましても五一%の外材ということでございますから、まさに半分を若干上回ったという状況になってきておるわけでございます。したがいまして当然これは国内の木材価格に反映をいたしておるだろうと思われるわけでございまして、次いでお伺いいたしますが、このような外材の大幅な輸入を受けて、最近における国内の木材価格がどういう推移をたどっておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
○松本(守)政府委員 最近の木材価格の推移でございますが、これを国産材について、しかもその中で杉について申し上げますと、これを指数で申し上げますと、四十年を一〇〇といたしますと四十一年、四十二年、四十三年、四十四年とずっと上がりまして、四十三年が一四二になっております。これから四十四年は少し下がりまして一三八、四十八年の杉の立方当たりの価格が、これは丸太でございますが二万円、これは日銀の調査資料でございます。
○澁谷委員 全般にただいま御説明がございましたけれども、私の調査したところによりますと四十一年、四十二年、そのころまではかなり国内の木材価格も上昇をしておるわけでございますが、四十三年、四十四年になりますと、国内木材の価格の上昇というものが非常に急ブレーキがかかって上昇の度合いが鈍ってきておるということが統計の数字でも明らかになっておるわけでございます。そこで、そういった価格上昇がほとんど鈍ってきたということで、しかもその間における労働賃金の上昇というものは、御承知のようにきわめて大幅な上昇を続けておるわけでございますから、その結果として、最近国内の林業を経営しておる人の間にこのままでいったならば一体木材の将来はどうなるだろう、せっかく高いコストをかけて造林をやってみても、その木材を伐採するような段階になったらこれはもうほとんど値段にならない。外材に押されてしまってもう値段にならない、元も子も取れない、こういう不安が非常に強く影響をしておるのが現実でございます。これはもう容易ならざる状態ではないかと思うわけであります。森林資源が国の国土保全あるいは緑というわれわれの生活にとってきわめて大事な資源というものを涵養する、あらゆる意味において、さらにさらに造林意欲を振興してわが国の森林資源というものを伸ばしていかなければならぬ、これは基本的な国策であろうと思うのでございますが、肝心な林業経営をする人がその造林に対しても意欲を失おうとしてきておるこの実態は、これは非常に重大な問題でございまして、こういう点について政府農林省としては一体どういうふうに判断をされておられるか、またそのような現況に対してどのような基本的な施策を準備されておられるのか、農林大臣、林野庁長官からそれぞれ御所見を伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 ただいまのお話は、きわめて重要な点を御指摘いただいたと思うのでございます。 まず民有林の造林事業は、昭和六十年度までに一千万ヘクタールの人工林を造成することを目標といたしまして実施いたしておるわけでありますが、拡大造林を中心といたしましておおむね計画どおり進捗してきております。 それから造林政策の今後の方向につきましては、木材需要の動向、森林が有する公益的機能の要請等に対処いたしまして、森林資源がその機能を最高度に発揮する状態に開発整備されるように、拡大造林を中心に積極的に推進いたす考えでありますが、ただいま御指摘の中にございましたように、林業の経営につきましていろいろ困難な問題がたくさん横たわっておるわけであります。したがって政府はそういうことにも目をつけまして、合理化、近代化等について諸般の施策を講じてまいらなければならないという考え方を持っておるわけであります。これは国有林並びに民有林に対してはそれぞれの適当な措置を講じていかなければなりません。御指摘のように先祖から伝えられましたこの美しい、しかもわれわれの生存のために、国土保全のために必要な林政につきましては、重大な関心をもちまして、この危機を乗り切るように全力をあげなければならない、このように考えておるわけであります。
○松本(守)政府委員 造林事業が最近だんだんやりにくくなったという声も聞きますし、林野庁の把握しておりますところでも確かにそのような傾向がございます。幸いに、四十四年度の造林実績を見ますと拡大造林は若干ふえております。これは戦後最高の数字ではないかと思いますが、再造林の面が少し減ってきております。いずれにしましても、今後はさらに造林を取り巻く情勢はきびしくなるということを考えまして、いままでは林業者が行なう造林に対しまして補助とか融資制度また税制の改善という面を逐年改善をするように努力いたしております。 第二番目には、公社とか公団等による分収造林を推進しております。また有力な造林のにない手でありますところの森林組合の強化策に努力しなければいけないということで、いま森林組合問題にもその強化のための検討会を予算措置でとって続けております。と同時に、林業構造改善、里山事業、そういうものを通じて森林組合に仕事を与えていく、それによって森林組合が強化されるということをいま考えております。 それからさらに四十六年度には、森林資源に関する基本計画と長期見通しを改定する作業を進めております。そういうことにあわせまして、造林推進対策をいままでは造林保護課が担当しておりまして、とかくその課だけの考えで対策を考える場合、その範囲が狭いということもございまして、林野庁あげてこの造林対策に取り組むということで、部内を通じました関係課、係を集めて検討会を編成をいたしまして、同時に民間の関係業界からも代表的な方に別途参加をしていただくということで、官民あわせてこの問題に取り組むという姿勢で今後万全を期する所存でございます。
○澁谷委員 ただいま大臣、それから林野庁長官からそれぞれ御答弁をいただきまして、政府が非常に重大な関心をもってこの問題と真剣に取り組んでおられることがはっきりとわかり、私も安心をいたしたわけでございます。 そこで私もう一つこの問題についてお伺いいたしたいと思うのでございますが、御案内のように外材の輸入は完全な自由になっておる。私しろうとでございますから間違っておるかもしれませんが、おそらく国内の木材の中枢を占めておる杉、ヒノキというようなものと競合する関係にある外材の値段は、国内産よりも安いだろうと思うのであります。そういうものの輸入が完全に自由化されておるという客観情勢のもとで、外材が先ほど明らかになったようにこの両三年輸入が急ピッチで増加をしてきておる。おそらくこのままでいくならば、本年も来年も引き続き外材の輸入は相当なスピードで増加を続けていくのではないか。しかもその値段は国内産よりもかなり安いということになりますと、せっかく丹精をして育てた国内の材木の値段が上がるどころかむしろ安くなっていくということを私は実は心配をするのでございますが、こういう点の見通しについてどういうふうにお考えになっておりますか。
○松本(守)政府委員 外材の輸入の見通しまた価格の見通しというお話でございますが、いま内地の建築に一番多く使われております杉の柱角、またそれに代替されようとしておる米ツガというのがございます。それを比較してみますと、三割ぐらい外材のほうが安い。そのときどきによって違いますけれども、そういう傾向がございます。確かに価格の面において、また供給の面において外材の影響を受けておる。そこで一体外材が幾ら入ってくるかという見通しでございますが、外国の資源的な事情、また開発の進度、またそれぞれの後進国におきましては開発するための資本が必ずしもないということで、いま開発輸入ということも行なわれておりますが、それにしても積み出す港の施設とかそういうことで、急に大幅にはそれほど入ってまいらないのじゃないか、外国でも資源的な限度もございますので。ただ、いま産材が減っております。減っておりますので、その上に外材を縮めるということになりますと、需要があるわけでございますから、価格が相当高騰をするということになりますと、かえって林業・木材というものに対抗する代替品にその位置をとられてしまうということもありまして、価格も適正を考えていかなければならぬということで、国内材生産に対しましては、それぞれ造林、林道というものに補助金を出しておりますし、外材輸入につきましては、今後国内材と調整をする必要がある。消費者ベースの各個ばらばらの輸入ではよろしくないというようなことから、商社、 関係業界、県その他入りまして外材需給検討会というものも設置をいたしまして、適正な、円滑な輸入をはかっていくということで今後とも努力をしてまいりたいと存じます。
○澁谷委員 いろいろな努力を総合的な角度からされるということは当然必要なわけでございますけれども、何といっても、生産の最大の要因というものは価格なんですよね。いま、米が余って、この始末に非常に苦労しておるわけでございますが、一体米がどうしてこんなに生産されるようになったかといえば、言うまでもなく、いろいろな農産物の中で、値段が非常によかった、価格が安定しておる、こういうことが魅力で現在のような米の過剰生産というものになった。この例は、非常にいい端的な例だと思うのでございますが、農林省や林野庁が非常な努力をされて、造林を全国的に推し進めようとされておる、これは当然のことでございますが、幾ら農林省が本気になって音頭をとってみても、肝心の価格が、さっぱり先行きの見通しがない。外材は、国内材に比べて三割程度安い。そういったものがどんどんと入ってくるというような情勢下では、先行きこの国内材の価格について不安であるということは当然なことなんだ。そういう問題に根本的な解明を加えないままに、幾ら農林省が造林をやれやれといってけつをたたいても、肝心な林業経営者はもうそれに乗って踊らない。そうなってしまうと、先ほど指摘いたしましたように、国の大事な森林資源というものがだんだん枯渇をしていくということが結果として出てくるわけでございまして、私は、この問題は非常に大きな問題だと思うのであります。 そこで、時間がありませんから、これはもうこれ以上追及いたしませんけれども、私はやはり、林業に限りません、米作についても、あるいは畜産、酪農全般について言い得ることは、日本の農業生産というものが、諸外国のそれに比べて生産性が低いというところに根本的な問題がある。コストが高い。したがって、日本の農業経営全般について大事なことは、その近代化あるいは合理化というものを強力に推し進めることによってコストを下げる、生産性を上げる、これがこれからの政策の中心でなければならぬと私は確信をいたしておるわけであります。この造林についても、この基本原則は全くそのまま当てはまると私は思うものでございまして、そういう意味で、外材との競合というような状況から判断をして、国内の木材の価格を、何か操作をして人為的に上げるということについては当然限度がある。そうすると、その代案として考えられるのは、当然、そのコストをどうして下げていくか、林業経営の近代化、合理化という政策をどうして推し進めていくかということが中心の対策にならなければならぬと考えるわけであります。先ほどの御答弁の中でも、そういう考え方で農林省は真剣に努力をされておるということを伺ったわけでございますが、これは単なる答弁ではなしに、ただいま申し上げたような情勢の中でございますから、ほんとうに真剣にこの問題についてはそういう方向で取り組んでいただきたいと思うわけであります。 そこで、この問題について最後にもう一つお伺いいたしたい点は、何といっても、やはり国内の木材を搬出する、あるいはその造林を進める場合に基本的に大事な条件の一つは道路の整備だろうと思うのです。林道を整備するということがあらゆる施策の基本条件の一つであると私は思うのでございます。当然林野庁におきましても林道の整備についてはもう真剣に取り組んで努力をされておられるわけでありますけれども、この林道の整備の現況と将来についての対策について御所見を伺いいと思います。
○松本(守)政府委員 いま先生の御質問の中に、外材との競争力をつける必要がある、確かにそのように存じます。造林事業の盛衰は外材輸入の多寡に、いままでの大正時代以来の歴史を見てみましても、比例をいたしております。そこで、外材に対して国内林業が力をつけていく一番大きなきめ手になりますのが林道であろうと思います。その林道は、いわば農業でいえば土地基盤整備、土地改良ということにも当たるわけでございます。いま農林省としても、造林のほか林道につきましても一番の力こぶを入れておるのでございます。その林道をつくることによってそういったコストの引き下げ、あわせて林業従事者の所得の増大、また関係地域の振興というものにも大きく寄与しておることを考えますと、今後さらに積極的な林道事業の推進をはかってまいる所存でございます。
○澁谷委員 林業についての質問は以上で終わりまして、次に国有林活用法案について二、三質問をいたしたいと思います。 この法律案につきましては、すでにわが党からも、前の国会の当委員会におきまして、森田、瀬戸山両委員から相当詳細な質疑が行なわれております。したがって、その審議、両委員から触れられた点については、つとめて重複を避けたいと思うわけでございますが、私がここで一つお聞きいたしたいと思う点は、国有林という現在の形というものは、御承知のように、これは国有林を国が持つことが妥当である、これが国家国民のために正しい、よりよいためになるという理論的な立場に立って現在のような国有林というものができ上がったものでないことは、もう言うまでもありません。これは明治維新以来の歴史的な産物として現在のような国有林という形態ができ上がっておるわけであります。そういう偶発的な歴史的な所産としてでき上がった国有林というものの管理経営に林野庁が当たっておるというのが現在の形態であるわけであります。 そこで私、基本的な考え方でございますが、こういう歴史的な所産である国有林というものを、国が現状のままの形で維持していくことが正しいというか妥当である、あるいは国家国民のためにそのほうがいいとお考えになっておられるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○松本(守)政府委員 いまの国有林の配置それからその量でございますが、それは確かにいま先生御指摘のとおり、旧藩時代から明治政府にかわりますときの歴史的な所産といえばそのとおりでございます。その結果、東北地方九州の一部、また内地の一部にもございますが、きわめて国有林の多いところと、また国有林がほとんどない地域とございます。まあこれを、国有林をどういうふうに配置がえしたらいいかということにつきましては、いろいろな説もございます。諸外国の例もございます。しかし、いま林野庁としては当時与えられました国有林を最大の効果をあげながら国民の財産として国民経済、また地元経済に寄与するということでいま経営をしておるのでございます。これを再配置をし直すとか、そういうことは現時点では考えておらないわけでございます。
○澁谷委員 国有林の総元締めである林野庁長官としては、当然ただいまのような答弁以上に出ることはまず困難であろうと、これは考えるわけでございますが、私は、ただいま申し上げたように、歴史的な所産としての現状のような形に国有林がなった、当然その結果として国有林の所在というものは非常に地域的に片寄っておる。ある県におきましてはその道府県の六割、七割というものが国有林で占められておる、東北、北海道がその代表的な地域であるわけでございますが、ところが、関東から西にかけてのこの日本のどまん中の地帯というものにはほとんど国有林というものは見られない、そういうアンバランスな形でなっておるわけであります。 そこで、私は、基本的にはこの国有林というものを現在の形のままで国が直接管理しなければならぬという理論的なまた実際的な根拠もはなはだ乏しいというふうに考えておるものでございます。しかし、この議論はここで幾らしてみてもこれはもう堂々めぐりでございますから、これ以上申し上げません。端的に私の考え方を申し上げたわけでございますが、そこでその根本議論は一応その程度にいたしまして、国有林の存在、管理経営という現状を一応認めた上で、しからばこの地域的にきわめて偏在しておる国有林というものをその地域の住民、地域の農民に対してどう活用していくか、積極的にどう活用していくかということがこの法案の提出の目的とも関連をしてくるわけでございまして、この点をいま少しくお尋ねをしてみたいと思うわけであります。 御案内のように、最近の日本の農業経営というものは非常に追いつめられてきておる。まさにこれは有史以来の大変革期に入ってきておるわけであります。平たん地において従来米作をしてやってきて、比較的豊かな農民の間にすら最近の米価の据え置き等の影響がございまして、農家の生活状態というものはだんだんだんだんと逼迫してきておる。いわんや平たん部でないいわゆる山村地域、そういった地域における農民の生活というものは、従来からも平たん地におけるそういう比較的恵まれた農民と比べると非常にそこに格差がある。生活条件としては非常に苦しい中で生きてこざるを得なかった。それが全般的に日本の農業全体が追いつめられてきておるわけでございますから、一段とこういった山村地域における農業従事者の生活というものは、これは特に苦しくなってきておるのは御承知のとおりでございます。 そこで、そういった山村地域に生活をする農業従事者——そういうところに住んでおるのか悪いのだからおまえたちはそこをやめて都市地域に出てこいというような考え方もあるかもしれません。しかしそういうことを法律によって、強制力によってやるということは、これはもう政治でも何でもないわけでございますから、現実問題としてそういうことはできない。そこで山村地域に住む人々は山村地域における諸条件を最大限に生かして、そうしてその地域の住民ができるだけ所得をふやして豊かな生活ができるような対策を講じていくのが、これは政治だと私は思うのであります。 そこで、そういった地域における人は、それでは何を一体たよりに生きていくかと考えますると、当然これはそういった山に囲まれた地域におきましては、山を利用する以外に生きる道はございません。山における森林資源を活用し、これに依存して生きていく以外に生きる道はないわけであります。 ところが、ただいま御指摘いたしましたように、東北、北海道というような国有林のきわめて偏在しておる地域におきましては、山の大体五割から六割、七割くらいまでが国有林で占められておる。その国有林についてのいままでの取り扱いというものを見ますると、これは一言で言って、国有林は国のものであるから、おまえたちは入ってはならない、これを使ってはならない。そうではないという答弁が返ってくると思いますけれども、これには詳細な資料が実はもう調べ尽くされておるわけであります。この前の国会の当委員会におきまして瀬戸山委員からもその点については具体的な数字をあげて詳細な質疑がなされておるわけでございますから、私はこの点については同じことを繰り返そうとは思いません。端的に言って、従来の林野庁の方針というものは、そういう国有林、軒先まで国有林に囲まれておるその森林資源を生かさなければ生きていけない、そういう農民に対して、これはやはり私どもが公平に判断して積極的に国有林をそういう人たちに活用させようとするあたたかい政策をとってきたというふうには、私はどうしても思うことができない。私どもが同志と相はかってこの国有林活用の法律をどうしても出さなければこの状態というものを打開できないのだ、どうしてもこれは政治の力で法律をつくらなければならぬ、こういうふうに考えてこの運動を起こしたのはすでに七年前であります。その結実がまだ実っておらない、こういうことでございますから、これについて林野庁いろいろお考えがあるだろうと思いますけれども、私はいままでの事態は一応別といたしまして、これからの政策のあり方といたしましては、こういう国有林に包囲されたような状態で生活せざるを得ない地域の住民に対しては、積極的にただ唯一の資源である森林資源をあたたかい気持ちで利用させてやる。これにはやはり林野庁も一生懸命協力をしてやる。こういう気持ちが私は大事だと思うのでございますが、政務次官、これについてひとつ御所見を伺いたいと思います。
○渡辺政府委員 御説のとおりであります。
○澁谷委員 政務次官から私の考え方に同意であるという答弁がございましたので、この点はこの程度にいたしたいと思います。 そこで私ひとつ締めくくりの意味で、これは政務次官、それから林野庁長官にお伺いいたしたいと思うのでございますが、これはこの国会でこの法律案は成立をさせなければいけないと考えておりまするし、おそらく成立することはまず確実だというふうに私どもは観測をいたしておるわけであります。そうすれば、この法律がいよいよ日の目を見て施行される、こういうことになるわけでございますが、この法律ができて、法律は施行になった、ところが、法律には御承知のようにそれぞれの条文において、こういう場合、こういう場合については国有林は払い下げをするし、貸し付けをする、あるいは部分林を設定する、それにはまた最大二十五年間ですか、二十五年間の延べ払いも認めておるというような、いままでにはなかったいろいろな新しい考え方が今度法律に盛られておるわけであります。この国有林の偏在しておる地域の農民は、この法律の成立、施行というものをもう首を長くして待ち望んでおるわけであります。そこで、法律ができ上がって、施行になった、ところが、実際のこの法律の施行に入ってみたところが、依然として農林省、林野庁の運営の考え方は従来とあまり変わりない、法律はできたけれども、この法律に基づいて、法律第何条に基づいて払い下げをしてもらいたい、あるいは部分林の設定をお願いしたいというような要請と申しますか、その申請が出てきた場合に、従来のやり方でございますると、地方の営林署はなかなか簡単においそれとその相談に乗らない。まあ私どもがはたから勘ぐってみますと、林野庁、営林署の役人は、国有林は自分たちの財産なのだ、だからおまえたちにはかってには使わせないぞといったような気持ちで取り扱っているのではないかというふうに、これはげすの勘ぐりかもしれませんけれども、そう思わざるを得ないような実態で、いままでは展開されてきた。それが法律ができても、やれ法律はできた、今度こそはわれわれも利用できるというふうに思っておる、申請は出てきたけれども、実際の運営はいままでとそう変わりないということでは、われわれがせっかく苦労をしてこの法律をつくった意味は、全くなくなってしまうわけであります。これはきわめて大事なポイントでございますから、この法律の制定施行後におけるこの法律運営についての農林省当局の基本的な考え方を、端的にお伺いいたしたいと思うわけであります。
○渡辺政府委員 国有林野の活用につきましては、農林省としては従来も適正円滑な実施をはかってきたつもりでありますが、御指摘のような御批判もあります。今回画期的な活用法を成立をさしていただくならば、その趣旨に沿って、かりそめにもその精神にそむくことのないように、厳重にこれは指導するつもりであります。
○澁谷委員 ありがとうございました。政務次官の熱意ある答弁、まことにありがたいことでございますが、事務当局の最高責任者としての林野庁長官からも、ただいまの点について答弁をいただきたいと思います。
○松本(守)政府委員 いま政務次官から御答弁ありましたような趣旨に沿いまして、事務当局としても努力をするつもりでございます。国有林は確かに国有財産であります関係上、国有財産関係法令に従って管理をいたしておりますが、国有林は国有林というだけでその経営を万全にやれる時代ではございません。地元との共存をはかりながらやってこそ、初めて国有林の万全の経営ができるのだということもございますので、十分その点は意を用いながらつとめてまいる所存でございます。
○澁谷委員 ぜひともひとつただいまの答弁のような線で、法律の施行にあたっていただきたいと思うわけでございますが、ただいまの答弁の中で、国有林は国民の財産だから、いろいろな関連法規というものがある、これは当然のことでございます。しかし、国民の財産であるということは、その裏から申しますると、国民のために最大限に能率的に使う責任があるということは、当然その裏にあるわけでございまして、先ほどからるる申し上げたような、この国有林に包囲されたような状態の中で生活せざるを得ない地域の住民あるいは農民に対しましては、その人たちの生活のためにこの唯一の資源というものを最も効率的に活用していくということが国有財産の趣旨に私は合致しておると考えておりますし、そういう趣旨でこの法律の制定を私どもは一生懸命努力をいたしておるわけであります。したがいまして、この法律の施行にあたって、ただいま私が希望申し上げておるような線に沿っての実施が困難である、それの障害となるようないろいろな法律なり規定があるということが判明いたしますならば、私どもは立法府でございますから、そういった趣旨の障害になるような法律は、これは私どもの力で改廃をしていくという、その努力はもう継続していくつもりであります。でありますから、ぜひともひとつ、ただいま政務次官それから林野庁長官から答弁をいただきましたような基本線に立って——大体、政務次官であるとか林野庁長官というような方は私どもの話はよくわかるわけです。問題は末端における運営なんですよ。本省はこういう方針で指導しておりますといっても、末端に行くと全然それが徹底しておらないというのは、これは何も林野庁だけじゃありませんけれども、日本の行政全体について言い得る通弊なんです。林野庁についてもこれはそのまま言い得ると私は思う。でありますから、せっかく待望の法律が実施に入るわけでございますから、実施になっても、本省ではそういう基本方針は立てたけれども末端にはさっぱり徹底しておらぬということがないように、私は繰り返し要望を申し上げておく次第であります。 時間もまいりましたから最後に一点だけ私の希望を申し上げまして御協力いただきたいと思うわけございます。 長官も御承知のように、林野の偏在しておる地域におきましては、軒先まで国有林であるという、そういう状態のケースが非常に多いわけです。私の選挙区なんか回ってみますと、そういう地点が実に多いわけです。そこでそういった方々と懇談をいたしますと、この十年間私は聞かされてきた、それはどういうことかというと、たとえばたんぼをつくっておる、そのたんぼのぎりぎりまで国有林になっておるわけですよ。太陽がその木にさえぎられてたんぼに日が当たらないわけです。日が当たらないのですから当然減収です。何よか日が当たるように、そのたんぼのぎりぎりま立っておる樹木を伐採してもらいたい、これはもう、そこでそれをたよりに生きている農民としては、ほんとうに腹の底から出るような切実な叫びですよ。ところがそれは国有林である、国の財産であるから、かってに手をつけたら手がうしろに回ってしまうわけですから、それはできない。常林署の担当の役人に幾ら頼んでもそれは聞き入れてもらえないという状態のままで、何十年という間そういう忍従の生活をして生きてきておるわけです。私は、こういった状態をこのままで認めておいたのでは政治は不在じゃないかと思うのです。私は七年前、どうしてもこの国有林の活用の法律をつくらねばいかぬと強い決意を固めたのはそういうところからきているわけですよ。それは林野庁としては、大切な国民の財産を預っておるという責任もございますから、いろいろ立場もございましょう。しかしながら、いま私具体的な例として申し上げた、そういったような点は、膨大な国有林から見れば、それも大した量じゃないのですから、都会でも日照権という問題は非常にやかましい問題になってきていることは御承知のとおりですよ。生活権に直接つながっているわけですから、そこはひとつ、そういう時代の変遷もあるわけでございまするし、国有林活用の法律という画期的な法律もでき上がろうとしておる段階でございますから、従来の考え方、従来の取り扱いというものは一応この辺で再検討をしていただいて、そういったほんとうにその日の生活にはなはだしい障害になっておるというような事例については、林野庁長官、あなたが勇断とまでいきませんよ。あなたがひとつこれはめんどう見てやろうじゃないかという気になればこれは直ちにできるのです。法律は要らないのですから、ひとつやってくださいよ。これを一つ、私ほんとうに心から要望申し上げるわけであります。お答えをいただきます。
○松本(守)政府委員 ただいま例でもって御指摘がございましたが、そのようなために国有林では、施業計画を立てる際に除地と申しまして、林木生産の用に供しない地域、言いかえれば雑地といたしましてその区域を区分して木を仕立てないというやり方、これは隣接のたんぼが民有地ですぐ国有林があるという場合の扱い方でございます。それから国有林の中にそういう農耕地があるという場合、それを貸し付けておるという場合には、そのまわりの日陰にならない部分まで含めてお貸しをしておるはずであります。ですからいま先生の御指摘の場所がどこであるのかお聞かせいただければ、すぐ調査をいたしまして改めるようにいたしたいと思います。
○澁谷委員 御親切な答弁ありがとうございました。具体的な事例は一ぱいございますから、私さっそく調査をいたしましてお願いをいたしますので、ひとつよろしく御協力をいただきたいと思います。 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
○草野委員長 この際休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕