内閣委員会産業公害対策特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 239 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/05/12
会議録
○天野委員長 これより内閣委員会産業公害対策特別委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。 環境庁設置法案を議題といたします。
○天野委員長 本案についての趣旨説明等は、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本十郎君。
○松本(十)委員 環境庁設置法案の連合審査にあたりまして、二つ三つ山中長官はじめ関係当局に質問をいたしたいと思います。 最初に、環境庁のこの案につきまして、国際比較に基づきますアブレーザーと申しましょうか、国際的な比較のもとに日本の環境庁の内容というものがどのような位置づけ、評価を受けるものであろうか、こういう角度から伺いたいと思うのであります。われわれ聞いておりますところでは、アメリカ合衆国では環境問題諮問委員会、それから環境保護庁が設置されましたが、特に環境保護庁のほうは大気汚染の防止、水質の保全、固形廃棄物の処理、放射線の関係あるいは農薬等が約六千名からなる大機構で処理されようと聞いております。また、イギリスでも住宅とか道路、これまでも含めた環境省が設置された。また、フランス、カナダ、スウェーデン等におきましては、自然環境を保護するものまで含めた広い分野にわたる機構があると聞いております。そういうものとの比較におきまして、わが国でこれからつくろうといたしております環境庁というものは、いろいろ諸外国の実情等を勉強された上で案をつくられたと思うのでありますが、どのような位置づけを誇ってしかるべきか、あるいは評価されてしかるべきか、それについての見解をお願いいたします。
○山中国務大臣 わが国では、国会でもし法案が可決をされますと、七月一日から環境庁が出発するわけでありますが、その位置づけの国際的な比較の問題、これはやはり一応念頭に置いて議論しなければならない基本的なポイントだろうと思います。ということは、やはり人間の生活向上の意欲、快適なる生活というものの欲求の前に大量供給、大量生産という過程が、主義のいかんを問わず全地球的な規模で進められておりますから、公害はまさに地球上の大問題として、各国が国境を越えあるいは思想を越えて取り組んでおる問題である。そういうことを考えますと、私たちがここで法案を審議いたします場合に、日本の提出された法案の原案というものだけの可否を単に議論することは、やはり早急に過ぎるのであって、基本的な広い視野から、わが国はこれでいいのかという議論はやはり提起されていいのだと思います。その意味では、最も近く発足をいたしましたのはアメリカの環境保護局であります。昨年大統領の直轄の環境問題諮問委員会の委員長ラッセル・トレイン氏と私との間で日米定期閣僚会議を開催することを合意いたしまして、第一回の会談をいたしたわけであります。その際、アメリカとしては環境保護局、環境問題諮問委員会の長、いわゆる向こうの大臣でありますが、ラッセル・トレイン氏を長とするそういう機構をつくる予定であったように思います。そのときは、総数七千五百名ということを大体聞いておったのでありますが、現実に十二月の発足を見てみますと、これがラッケルズハウス氏の就任による環境保護局になり、そして三人で構成される大統領の諮問委員会は、依然としてトレイン氏を頂点としてそのまま残っておるという機構になったわけであります。 そこで私のほうでは、公害対策本部の担当官を現地に派遣をいたしまして、短時日でございましたけれども、それらの実態とそういうふうに変わった理由等について聞いたわけであります。それについて、環境問題についての姿勢ということから、やはり大統領直轄の諮問委員会というものの必要性、すなわちわが国における現在の時点からいいますならば、総理を本部長とする現在の公害対策本部的な機構が、やはり日本に来てみてふさわしいと思うということを、逆にアメリカとしては学び取ったような感じであります。全く行政段階のみにおいて事を処理する役所として環境保護局を新たに設けたのである。したがって人員等も六千名ということになったわけでありますが、予算は十四億ドルと変わっていないようであります。向こうで逆に設問されまして、われわれは日本と会談をして日本の公害対策本部の機構というものを非常に高く評価したのでこういうふうにしたのであるが、今回聞くところによると、日本は公害対策本部の解散をやって、そうして大臣を長とするとはいえ、別に機構を新しくつくるようであるけれども、せっかくの本部という機構がもったいないではないかという指摘を受けて、どうも返答のしように困ったという事実もございます。したがって各国まだいろいろな問題について模索しておる段階であると思うわけです。 しかしながら一番最初に設けましたのはスウェーデンの環境保護庁であります。これは農林省に所属をいたしておりますし、自然保護並びに特定な公害防止についての行政事務を行なうわけでありますが、スウェーデンの悩みはそのようなものをつくらざるを得ないこと、いわゆる河川、湖沼に恵まれ、森林に恵まれた美しい国でありますけれども、大気汚染というものが国境を越えて、ドイツの工業地帯やイギリスの工業地帯等からの国際汚染であるというような悩みがあるようであります。そこでスウェーデンとしてもいまいろいろと研究をして、国際会議等の提唱をしておるようでありますし、来年の国連の環境問題の委員会もストックホルムで開くことを積極的に姿勢として示しておるのも、そこらのところにスウェーデンはスウェーデンなりに大陸の中の一国家としての問題をかかえて悩んでいるのではないかと思います。 一方イギリスでは、お話しのように住宅や道路等も入っておりますが、日本の地方自治、いわゆる自治省の権能的なものも含めた、逆にいいますと、イギリスの現在置かれておる行政機構の中で、環境問題に関係のありそうな分野を一応分離してかき集めて、そうして出発をしたという感じがしないでもありません。しかしイギリスは、ロンドンにおける十年余り前の大気汚染による四千数百名の死亡という痛ましい事実を踏まえておりますから、その姿勢というものは、私どもも調査いたしておりますか、非常に日本の参考にしなければならない点があろうと思うわけであります。しかし行政機構としては、どうもイギリスの場合は日本よりか劣っておるような気がいたします。 フランスにおいては、与党の幹事長であるプジャード氏を、四十二歳の働き盛りを大臣に発令はいたしましたものの、まだ機構、内容等は詰まっていないようでありまして、これから諸外国の動向を見ながら、ことに日本等を参考にしておるようでありますが、どのような権能、機構を持つことがふさわしいのであるかという問題にいま取り組みつつある、こういう感じがいたします。 さらにカナダ等においても、米大陸の一画を占めておりますから、私に対しても、日米閣僚協議会でもし許されるならば、カナダもぜひ御指導いただきたいという意味の丁重な話がありました。したがって、カナダではいま環境汚染に対する機構あるいは政治のあり方について検討中でございますので、私は残念ながら公的な会議でアメリカに参りますから立ち寄りませんが、同席しております公害対策本部城戸首席をカナダに派遣をいたしまして、カナダ側と——向こうのほうが私どもの意見を聞くことが多いと思いますけれども、意見の交換をいたしまして、将来はカナダとの間においても、太平洋をはさんだ緊密な公害環境問題に取り組みたい、こういうふうに考えておるわけであります。 これらの諸外国の実情、傾向等を見ますと、日本の新しくお願いをいたしておりまする環境庁というものは、ある意味においては若干小規模な感じもございます。しかしながら、法体系の整備、権限あるいはまたきちっとした地方との所掌事務の分け方等については、国際的に見て一番整然とした体系になっておると私は思っておるわけであります。したがって問題は、これからどのようにその実効をあげていくか、いわゆる環境汚染を克服した日本という実を取るという行動が今後示されなければならない。これについては、なお事業官庁等の分野における今後の環境庁との協力ということがどのようになされていくかということが一番大きなポイントであろうかと考えまして、それらの点を悔いのないようにして出発しなければならぬと考えております。 第一問に対して、たいへん長時間の答弁をいたしましたが、こういう基本的な国際比較の上に立った日本のあり方というものが、どのような評価を受けるべき立場にあるかという問題は、やはり申し上げておかなければならないことでありますので、若干饒舌に過ぎたのでありますが、以上、日本の国際的な立場から見た環境庁の出発にあたってのあり方というものについての私の見解を申し述べさせていただきました。
○松本(十)委員 国際比較から申しましても、組織体系としてはかなり進んだものである、こういうお答えをいただいて心強い限りではありますが、また公害問題が特に大きくクローズアップされましてから一年余り、また公害対策実施本部が発足しましてから十カ月程度ですか、この間に公害の臨時国会が開かれまして、公害関係の法律というものが整備されたわけでありますが、今回は環境庁の設置に踏み切ろうとする法案が出された。まことにこの間の御努力は多とするわけでありますが、しかし先ほど長官がお答えになりましたように、要はこれからのやり方でどのように実効をあげるか、これにかかっておると思うのであります。また諸外国のことを批評してあれではございますが、ストックホルムを中心としますスウェーデンといえば、これは何といいましても林野国と申しましょうか、主として湖と森林に囲まれた国でございますし、あるいはまたカナダをとりましても、これはほとんど農業が主じゃないか。アメリカは先進工業国だと申しますが、やはり広い面積全体から考えます場合に、一部には鉄鋼のピッツバーグとか、自動車のデトロイトとか、あるいは航空機の南カリフォルニアとか、新しい宇宙科学のダラスを中心としたテキサスとかいろいろあるでありましょうが、全体として見れば、日本のアメリカからの輸入品のほとんどが農産物であるといわれますほど、やはり農業が相当多いわけであります。またイギリス、フランスといえば、これはヨーロッパ諸国でありまして、何百年と申しましょうか、何世紀にもわたって社会資本が蓄積されて、町づくり都市づくりというものがその間に整備されている。そういう意味では、やはり公害問題の切実さと申しましょうか、国民のその日の生活に及ぼす影響というものは、ある意味では日本ほどひどくない、こういえると思います。しかも日本の今後の動きを見ます場合に、新全総あたりがいっておりますのも、そのとおりだとしますならば、なお十五年近くたった昭和六十年には、太平洋ベルト地帯に七割から八割の人口、八千万近い人間が住む、こういうことでありまして、その人たちが生活を営み、また巨大な産業活動をやるわけでありまして、そういう形で出てきます太平洋ベルト地帯のメガロポリス、これの生み出します公害というものは、ほかの諸国に比べて全然質的に違った特異なものである、こう言わざるを得ないと思います。そういったものを踏まえて、やはり環境庁とされましては、発足の上は何とかこれに対します効果のある施策を打ち出していただきたい、こう思うわけであります。そういう意味では、何と申しましても公害対策というものの基本に、都市に対する政策と申しましょうか、広い意味での都市政策というものが大事であろうと思うのであります。そういう観点において、都市政策との関連において公害の担当大臣としての山中長官は、どういうふうなピジョンといいましょうか、展望をお持ちか、これを伺っておきたいと思います。
○山中国務大臣 まず日本側の公害の問題として、諸外国に対してはやや恥ずかしいと申しますか、今日まできてしまってから立ち上がらざるを得なかったということで、公害というものが、単に自然の環境の破壊あるいは人間の居住環境への脅威という問題、あるいは鳥獣、水産、動植物等への被害という問題の以前の問題であるべき人間の健康その他に具体的な被害が生じているというところに、日本側として諸外国に対して、どのような新しい法律を整備し、機構を整えて出発しても、やはり取り返しのつかない私たちの過去の政治のあやまちだったと思う点があります。ニクソン大統領の教書等には、あの広大なアメリカの土地、しかもその中には荒蕪地等を含めて新しいアメリカ大陸の土地計画をやり直せということも指摘していることを見ますと、私たちの狭い日本に一億余りの人間が住んで、しかもその居住可能面積というものはおおむね三、四割にすぎない、その中における過密状態の中で御指摘のような太平洋ベルト地帯にメガロポリスを構成して、しかも近代国家としての足並みはまだ僅々百年余りでございますから、第二のパリが地下にあるといわれているような、百年余り前にりっぱな社会投資を前提として済ませているフランスその他の歴史の長い近代国家の歩みに比べて日本の場合は、それらの社会資本の育成強化というものが非常におくれていた、これらの点は私たちは率直に反省しなければならぬと思います。でありますから、環境庁が出発いたしました後の一番大きな課題は、やはり日本列島のレイアウトあるいは日本列島の利用し得る限界、そういうものについて最も合理的な土地計画というものがやはり先行しなければならぬ。これは同時に、すでに過密化して社会資本その他においても不足しがちで、人間としての居住環境について大いに不満のある地域の六割をこえる人たちに対して、どういう施策をとるかということも含めるわけでありますけれども、そういう新しい政策というものがどうしてもとられていく時代がくる。これがやはり環境庁が発足いたしました後の基本的な国の姿勢の一番大きな問題ではなかろうか。またその問題については、建設その他具体的な国土の計画を遂行する役所あるいはまたそれらの構想を練り上げる経企庁その他の関係庁、こういうものもありますが、今後については、やはり国際的な立場から見て環境庁というものに、新しい私たちの子や孫に私たちの国土を残していくために、われわれがいま何をなしておかなければならないのであるかという基本的な姿勢というものを検討すべき課題が大きく残されている。その点は、私たちは謙虚に反省するとともに、これに対して勇敢に取り組んでいかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○松本(十)委員 そこで、建設省の都市局長に伺いたいと思いますが、きょうの新聞を見ておりますと、根本構想が打ち出されまして、土地の先行取得と先買い権を認める方向で収用法を強化してはどうか、こういう考えが出ておるようでありますが、戦後の二十何年間、まさにわれわれは焦土の中から立ち上がったので、何としましても社会資本の充実が後手後手にまわって町づくりがおくれた、これはやむを得なかったと思うのです。しかしこの辺で、公共投資の先行と申しましょうか、やはり民間のデベロッパーというものがどんどん開発をしまして、スプロール化したあとをまた町づくりだと称して再開発したり、あるいは道路をつけたり、その他必要な公共投資をやっていく、これでは順序が逆で、手間もかかるし金もかかる、こういうことでありますので、やはり将来の日本列島のレイアウト、先ほど出ましたこういう展望のもとに、これからの都市政策というものは思い切って前向きに進んでもらいたい、こう思うわけであります。そういう点について何かひとつ都市局として一つの夢と申しましょうか、理想を持っておられると思うのですが、この辺のことについて伺いたいと思います。
○吉兼政府委員 ただいまお尋ねの件は、非常に基本的なしかも広範にわたるお尋ねでございまして、ただいま大臣からお答え申し上げました基本的な考え方の点に私どもも同感でございます。先生の御指摘のような方向につきましても私どもは十分に踏まえておりまして、具体的に都市計画の面でいかに受けとめていくかというお尋ねになろうかと思いますが、都市計画といいますのは、御案内のとおりでございますが、都市の健全な発達と秩序ある都市整備ということが一つの大きな理念になっております。具体的には、その目的に即応いたしまして、土地利用の合理的な配置、それに見合ったところの根幹的な都市施設を整備していくということが大きな柱になっておるわけであります。 まずその前提といたしまして、都市地域といいますか、都市整備を行ないますところの土俵というものをつくらなければならないということから、先般来新都市計画法に基づきまして、いわゆる線引き作業を続けてまいったわけであります。やっと全国の主要都市地域におきましての線引きもほぼ完了のめどをつけたわけでございます。これから私どもは昭和五十五年といいますか、十カ年を当面の目標にいたしまして、この地域に秩序ある町づくりをしていくということにこれから向かわなければならぬわけであります。率直に申しまして、お尋ねのとおりでございまして、日本は世界に冠たる過密地域でございます。しかも世界の先進諸国に比べまして、社会資本等の都市施設も非常におくれております。そこへもってきて、こういった地球上の共通の公害と申しますか、都市公害というものがかぶってまいったわけであります。都市機能を維持するためには都市施設を整備しなければならぬ。しかし都市を整備するにあたりましては、都市公害と申しますか、都市のいわゆる生活環境を防衛するといいますか、そういうふうな課題も背負っていかなければならぬ非常にむずかしい時点にわれわれは逢着しているというふうに率直に私どもは認識をいたしております。 具体的には、都市施設の整備におきましても、従前はとかく、申し上げましたように、都市機能をいかに確保するかという観点から道路の整備を重点、先行的にやってまいったと思います。それから産業、人口の集中に伴いまして、従前は非常にそういうものを無秩序に受け入れてまいったということからスプロール現象も起きてまいった。生活環境施設におきましては、下水道でございますとか公園というものはおくれている中でもおくれているのが現状でございまして、これからはそういう都市施設の中におきましても、環境秩序等も十分現状を踏まえまして、たとえば下水道でございますとか公園緑地、そういう生活環境の保護といいますか、維持のための基本的なものを大いに推進をしてまいりたい。それから無秩序な町の発展に対しましては、土地利用計画をきちっと立てまして、土地利用の面からそういう公害の発生源を制限していく。それから具体的なそういう秩序ある町づくりにつきましては、お尋ねになりました根本大臣のああいう構想等も十分われわれは検討いたしまして、これの実現をはかってまいりたい。 以上のような考え方でもって臨んでまいりたいと思います。
○松本(十)委員 土地に対する問題、土地政策といいましょうか、日本ほど私有権がとにかく無限に尊重されている国は世界じゅうにないと思うのでありまして、そういう意味では、やはり一億の人間が共同してこの狭いところに住んでいるのだ、一緒に生活しているのだ、こういうことで、公共の利益のために何らかの形で私有権が制限されるということは、これは諸外国の例を見ても当然のことでありまして、思い切った手をやはり打っていただく。わが党の都市政策調査会でも、土地問題については相当思い切った結論を出しまして提言していると思うのでありますが、そういうものを参考にしていただきながら、建設省はこの構想がから玉に終わらないように、ひとつ実効をあげるように努力をお願いしたい、こう思います。 次に環境庁と各省庁との関係について少し質問をしてみたいと思いますが、今度の環境庁の設置法案によりますと、短時間の間に、いろいろ長い間続けてきた各省の仕事というものをどのように一元化するか、こういう意味で交渉に手間取ったりいろいろ曲折はあっただろうと思うのでありまして、ここまでまとまったことについては一応その努力を多とするわけでありますが、しかししさいにこれを検討してみますと、何かボーダーラインのところが必ずしも明確に線が引かれているとは言いがたい、こういう感じがするわけであります。たとえば先ほどの建設省の下水道行政あるいは農林省の森林行政、さらにまた運輸省の自動車に対する行政、または船舶に対するもの、またこれはちょっと角度が違いますが、通産省関係の電気ガス事業に対する権限、そのうち政策まで含めますとたいへんなことになりますから別であろうと思いますが、少なくとも通産省ではそういった特殊の事業に対する関係、そういったものがはたしてこの設置法案のままでいいのかどうか、将来にわたってさらにまた再検討を続けていただいてしかるべきじゃないか、こういう感じがするわけですが、その辺についての長官の御見解はどんなものでありましょうか。
○山中国務大臣 ただいまの御指摘は、環境庁をつくるにあたって最も議論を最後まで集中したところであります。これは各省庁の賛否、セクショナリズムの問題を越えて議論いたしました。その中で下水道行政というものがやはり都市生活の水質汚濁等についての最も大きな先行投資でなければなりません。その五カ年計画もようやく予算上設定された程度でありまして、その立ちおくれというものは諸外国の統計比較をいたします場合に、私たちが最も恥ずかしい分野の一つである。それに伴ってやはり水洗便所普及率というものも、これまた比較表を見たくないというくらいの非近代国家的な状態にあることも、これまた現実の姿であります。そこで、できるならば環境庁に下水道行政を全部移したらどうかという考えでもって、建設大臣も賛成をいたしまして、それが可能であるならばかまわないじゃないかというところまでは行ったわけであります。しかしながら環境庁が発足をいたしまして当初から、下水道の実務行政というものは非常に専門的な分野でございますし、はたしてそこまで手が回り切るのであろうか。まあ国立公園部はそのまま当たりますから、末端のレインジャーも含めて具体的な実際の業務も行ないますものの、下水道全体については、やはり環境庁のほうで今後やってまいります。すでに指定されました三県の公害防止計画並びに中公審にかけました東京と神奈川、そして知事交代によって、事務的には話は進んでおりますが、手続上一応見送りました大阪、これを指定しようといたしますと、建設省の立場からいいますと、現在のような予算のあり方では、ただいまの東京、大阪、神奈川だけをとってみても、それらの主要県においてほとんどの下水道予算を食われてしまう。そうすると建設省はやはり地方中小都市についても建設省の立場から見て下水道行政の必要性というものは存在するわけでありますから、いまのままの仕組みではちょっとむずかしいということで、今回いまのままの形で環境庁に移すことは一応私と根本大臣との間で見送ることにいたしましたが、今後新しく環境庁が順調に作業を開始いたしますならば、そのなるべく早い過程において建設省と合意の上で、これは地方自治体関係者の協力も得なければならない当然の事業でありますが、下水道関係並びにそれに伴って厚生省の水道部門、こういうものはやはり環境汚染を防止するための一番基本的な問題として将来現業業務まで行ない得る、環境庁がそのような性格を持ち得るという自信がつきましたならば、これはやはり政府の責任において官庁を越えてそういうふうな姿勢をとるべき時代に来るであろう。これは、先ほどいわゆる大きな都市政策というものが環境庁の今後の一番大きな問題であろうということを申しましたが、内政の各行政部門においてはまず下水道の問題というようなものが一番検討されなければならない問題であると思いますし、建設省もこれについてはそう特別に環境庁に移るのはいやだというような議論をいたしておるわけでもございません。検討中ということであります。 それから林野行政の中では、一応林野行政に付属したものとしての鳥獣保護、狩猟行政は移しましたものの、あと風致保安林から始まりまして直接環境保護に関係のあります問題としての国有林野行政、こういうものをどうするかという問題も議論をいたしました。これについては、国有林野はやはり国有林野経営業務としての現業を持っております。これらの経営業務はどうも環境庁にそのまま移していいかどうかという議論はやはりしなければならない点の一つであります。しかし、かといって保安林関係を全部そのまま移しますについても、ちょっと林野行政の中でちぐはぐな感じになるということで、一応風致保安林等の環境汚染上どうしても関係がある、あるいは建設省の都市近郊緑地もそうでありますが、こういうものは環境庁長官が意見を申し述べたり協議したり勧告したりする権限をその中に包含さしておるわけであります。これまた将来の検討課題の大きな問題の一つでありますが、下水道ほど焦眉の急とは思っておりません。 さらに、運輸省の廃油処理施設等を中心とした港湾運輸行政の問題等も、やはり今後の検討課題でございます。 それから御指摘になりました通産省の分野として、なお独立の法律のもとに一般の、昨年の国会で議論をいたしました公害重要法案から適用除外がされております水質、大気、騒音等に対する電気ガスの問題であります。これは明らかに今後広域行政としての、たとえば電力等の瞬間的な他電力事業所からの供給体制は、国が責任を持たないため知事ではできないという点をどう克服するか。さらにローサルファ原油の確保について日本においてもっと知恵を出して、科学技術はすでに持っておるわけでありますから、これを何も公害輸出ではなくして、それから産出するアスファルト等を利用して中近東の砂漠を緑に変えるというような、日本側の原油産出地域に対してそういうことの貢献ということが可能であるというようなこと等をよく相談をいたしますならば、私は公害を日本が輸出したということでなくて、そういう意味で中近東あたりの産出国においてローサルファにして日本に持ってくる方法もあるのではないか。これは国際的にローサルファはいま争奪戦を展開しておりますし、日本がいつまでも確保しておると思いましたインドネシアでさえもいまのような状態でありますから、これらの問題もやはり解決を見ましたならば、これまた適用除外というものはいずれの日にかはずしていかなければならない。やはり環境汚染の一番大きな発生源の一つであることは、これは通産省といえども否定できないところでございますので、そういう点も今後の検討課題としたいということで、決してこれは議論をしなかったわけじゃなくして、十分議論をした結果、それらの前提条件を満たした場合においては当然環境庁が所管していくべきであろうというふうに思うわけであります。 でありますから、環境庁としては、物価の経企庁、公害の環境庁ということで、おおむね両方五百名を下ら、ざる官庁ということで一つの対比し得る双壁として出発をしたい、そういう希望を考えておるわけでありますけれども、環境庁としては今後その機構、権力、権能、人員というものは増加していく方向に持っていくべきであるし、おそらく相当膨大な機構に将来なっていくであろうと私は観測しておるわけでございます。
○松本(十)委員 まあ今後さらに、それではそういうふうな検討をしていただくとしまして、ただ環境庁がやはり一元的に効率的に実効のある仕事をしていただく、こういう方向でひとつ御努力をお願いしたい、要望いたしたいと思います。 最後の質問といたしまして、地方行政との関連について伺いたいと思いますが、公害問題となれば、やはり地域住民に一番密着した府県なり市町村というものが一番公害に対する施策を現実に実施していく立場にあるだろうと思うのでありますが、環境庁がかりに発足しました場合に、そういった地方行政との関連をどのように持っていかれるか、これについての方針と申しましょうか、御見解を伺っておきたいと思います。
○山中国務大臣 これは権限を地方に委譲いたしました以上、まず一義的に財政的な国の姿勢を示さなければならない、これは国会においても指摘されたところであります。でありますから、公害防止事業費事業者負担法においてまず一義的には企業側がその負担を負うのだということを明確にいたしました。その残りの事業については国が二分の一を下らざる、一義的に国が責任を持つという姿勢を貫くために、今国会において地方公共団体に対する公害関係の補助率のかさ上げ法というものを提案をいたしたわけであります。これらを受けて、あと地方自治体とどのように緊密な連絡を保っていくか、これは非常にやはり大きな問題であります。地方に権限を委譲して中央では涼しい顔をしておるという問題ではございませんので、これらの連絡の緊密さというものは、自治省の協力を得ますと同時に、やはり地方における逐年増加いたしております公害の立ち入り権その他を持った専門職員、こういう人たちは、公害の実態並びに科学的に究明された人の健康や環境に関係のあること、そういうものを知ると同時に、それに対する最新の防止機械あるいはそれに対する環境汚染を排除する手段へ方法、こういうものを絶えず地方公共団体の少なくともその専門職の諸君が身につけて帰ってもらわなければならない。政治姿勢の問題は、各県知事のニュアンスの違いはあるかもしれませんが、少なくともそういう第一線の実務を担当する諸君は中央の環境庁と絶えず密接な連絡を持つべきであると思いまして、今回の提案の中に公害研修所というものを設置いたしますのは、まさにそのことを念頭に置いてのことでございます。ここで少なくとも三カ月、半年というような期間に各地方の公害担当の諸君が入れかわり立ちかわり中央に参りまして、最も新しい公害防止のための手段あるいは環境汚染への考え方、国際的な進行度合いと日本というような問題をつかんで、全国普遍的な知識を持ってそれぞれの各県に散っていただくということがぜひとも必要であると考えまして、単に財政手段を講じたからそれでよろしいというものではないということで、人的なつながりと全国普遍的な公害防止行政の展開という点に思いをいたしていくつもりでございます。
○松本(十)委員 昔から人が機構をつくる、人の意思で機構ができるのですが、でき上がった機構というものがまた人を動かすと申しましょうか、制約をしていく、こういうふうな制度論といいましょうか、機構論というものがあるわけでありますが、何と申しましてもこの環境庁、最初のスタートが肝心だろうと思うのであります。今後の動きというものに期待されることが多いと思いますので、どうかその辺のところ十分御勘案の上でこれから進んでいただきたい。要望いたしたいと思います。 まあ国民の大多数が期待しておりますことは、もちろん起こった公害を早く片づけていただきたい、これはもうみんなの気持ちでありますが、しかし同時に、大多数の国民というものは、何とか公害が起きないように、そしてわれわれの生活環境が一日一日少しでもよくなっているのだ、こういう実感を持ちたい、これが切実な国民大多数の気持ちだろうと思うのであります。どうか、環境庁をつくるにあたってはそういう期待にこたえて、ひとつりっぱに運営されますことを特に念じ、さらにまた最初申しましたように、国際的な比較においてもりっぱな体系を持っているのだということでございますので、やはり公害について特異な存在である日本というものが、国際的な場におきましても指導的な立場を堅持できますように、今後高い水準で進んでいかれますことを特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
○天野委員長 正午再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十時五十一分休憩 ————◇————— 午後零時二十五分開議 〔小林産業公害対策特別委員長、委員長席に着く〕
○小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きま す。 内閣委員会、産業公害対策特別委員会連合審査会を再開いたします。 内閣委員長が所用のため、出席がおくれますので、指名により暫時私が委員長の職務を行ないます。 環境庁設置法案を議題とし、質疑を続行いたします。島本虎三君。
○島本委員 いま公害列島とさえ言われる日本でございますけれども、GNPは自由主義国第二位である。このもとに国民がいま自分の悩みの中から期待を持って環境庁はいまでき上がろうとするわけであります。そうなりますと、何としても発足当時の姿勢というようなものはまことに大事じゃないかと思います。これに対して大臣もいろいろ検討されておることだと思うのですが、事務はどこでやるのか、もう検討済みなのかどうか。初めからばらばらであっては行政もばらばらになるおそれがあり、またせっかくそれを統括して一本にしてやる姿勢が当初からくずれるということがあっては、国民の期待を裏切ることになるのであります。私は発足当時のこの姿勢とあわせてこの状態がまことに大事であると思います。事務はどこでとるのか、発足する場合にはどういうふうにしてやるのか。いまやもう総理府の地下で、夏なお寒いところで対策本部が——調整機能を今後環境庁へ移し、開庁せんとすわけでありますけれども、そういうような状態では、国民の代表として心配なのであります。これに対して、構想と見通しをはっきりしてもらいたいと思います。
○山中国務大臣 久しぶりで質疑応答をやるわけでありますが、昨年来議論してまいりましたことを踏まえて、私もいまのような点が出発にあたっては最も大事だ、環境庁が出発しますときの姿勢によって、大かたの国民の期待と申しますか、あるいは逆に失望を誘うことになるかきまってしまうと思います。 そこで、環境庁の姿勢については人事その他について私が責任を持って誕生までの産婆役を完全に果たしたい、私の責任において、いままで国会等の質疑応答において十分考えてまいりまして、かくあらねばならぬと考えております方向に沿うように最大の努力を人事面等においてしたいと考えるわけであります。 さらに、やはり産婆役でありましても、生まれる子供にはりっぱにうぶ湯を使わせ、うぶ着を着せて、すこやかな赤ちゃんにしなければなりませんので、建物等にこだわるつもりはありませんが、当初予定のございませんでした、十月ごろ完成予定の新合同庁舎ビルの最も展望のよろしい、いわゆる長官室から都内の汚染状態までわかるのじゃないかという最上階をあてがうということを大体大蔵省理財局の営繕関係等と話をいたしまして、環境庁は新庁舎の最も見晴らしのいい場所におさまっていただくつもりでございます。それにはいろいろ、当初入る予定等の計画でございましたものも遠慮をしてもらった役所が幾ぶんございます。これらは環境庁としてりっぱな出発をするために必要なことでありますからがまんをしていただきまして、完成までの間は、現在あいております場所、千駄ケ谷の非常に古い建物でございますが、そこで若干の間、不自由をかけない程度の設備はいたしますけれども、忍んでいただいて新庁舎の完成待ちということにしたいと思います。諸外国も新しい建物までつくっておる国はないようでございまして、アメリカあたりも、発足はいたしましたが、なおそれぞれの役人諸君はそれぞれの原局におって、所属は環境保護局であるというような状態に現在はあるようでございます。日本の場合には環境庁は、発足後間もなく完成する新庁舎ビルでりっぱな姿勢をもって、一カ所に全部集合して大臣以下やれるわけでありますから、その意味では私としては環境庁出発の姿としてふさわしいものであろうと考えておるわけでございます。
○島本委員 したがって、その新庁舎に入る前でも、いかに古くとも分散しないで一カ所にまとめて行政を執行できる体制だ、こういうように私は理解しましたが、ばらばらになって結集に事欠くようなことはなかろうと思いますが、念のためにその点もはっきりしていただきます。
○山中国務大臣 これは収容能力の問題がありまして、わずか二、三カ月のことでありますから、その間は御期待に実は沿わないわけで、一カ所に集めることができません。仮庁舎の間はできないということでございます、これは収容能力がないものでありますから。したがって、十月完成予定の際に全部集まってもらうということで、七月一日から見ますと約三カ月くらい現在の状態に近い——中枢部はもちろん一カ所に集めますけれども、若干原局に残っていただいてしんぼうしてもらうという点がありますことは、いたし方がないわけでございます。
○島本委員 その間に、原局においてそれぞれの各省の首脳から洗脳されて、もう真の公害の実があがらないような人材にされてあと一カ所で集中されないように、極端なことを申し上げましたけれども、その点十分注意して、ばらばらのうちでも一貫した行政をつかさどるように、これは強く要請しておきます。 それと同時に、公害は現地において確実、迅速、具体的に除去、これは改善されない限り、いかに機構をいじっても、対策してもわりあいに効果がないし、意味がない、こういうことになります。特に現地性と迅速性、総合性、これが重要だということは、いままでの公害の実態を見てよくおわかりのとおりであります。もちろん、臨時国会で成立した十四の公害関係法律、その政令等についてもうすでに準備もずいぶんできている、拙速ではなく十分期待にこたえるようにもうできているんじゃないか、こう思います。この点についてはどうなっているのか。本法に入る前に、私はこれもただしておきたいのであります。 ことに、地方自治体への権限委譲、これはもう自治体による規制機能を強化するためには絶対に必要であります。こういうような点からして、先ほどからの質問も行なわれたわけでありますけれども、主導的にこれは促進すべきであります。それと同時に、権限は幾つくらい委譲するようになっているか、この準備の状態はどうか、この点についても、これから発足する環境庁のために、ひとつ承っておく次第であります。
○山中国務大臣 すでに御承知のように、公害防止事業費用負担法については、政令を十日付で決定いたしましたが、逐次現在作業中でございますので、次々と決定を見ていくこととなると思います。ただ、三月ごろに予定いたしておりました騒音規制の環境基準等の設定が各省間において、新聞報道のとおりいろいろと——そのとおりでもございませんが、若干ごたごたが続いておりますので、先週から公害対策本部がその調整に入りました。したがって、これも近く解決すると思いますので、それぞれの法律に従う政令というものは近く決定を見ると思います。しかしながら、この地方への権限をどの程度委譲するのかということは、これはすでに昨年の国会並びに今国会を通じて議論をいたしましたとおり、国のほうに残る権限のほうが少ないというくらいのものでございますから、あとはその基準づくりとか、科学的に客観的に国際的にりっぱな根拠のある基準をつくるとか、そういうような問題について今後中央が努力をしていかなければならぬと考えます。 さらに、地方のそのような権限を委譲されたことに伴う、先ほども答弁をいたしましたけれども、また各地方ごとにばらばらの行政が展開されても困りますので、それらの関係は、環境庁のあるべき公害防止施策というものについて一貫した平均的なバランスのとれた行政の展開できるように公害研修所等を十分活用してまいりたい。もちろん財政措置については御承知のとおりでございますから触れませんけれども、手落ちのないようにしてまいりたいと思います。
○島本委員 後ほど環境庁の構想なりその予算等についても言及さしてもらいます。その前に、やはり二、三処理してこの中に入らないといろいろな質問の状態がとぎれますので、この点ひとつおつき合いを願いたいと思います。 その一つは、前からいろいろ言っております無過失賠償責任についてであります。 これはもうすでに私どもが何回も申し上げました。これと同時にイタイイタイ病、水俣病、四日市ぜんそく、また川崎等に発生しておるぜんそく、こういうようにして大気や水質、こういうようなものからしてもう長い間の懸案であって、当然被害者の救済関係の法律案とあわせて、こういうような問題に対しての開設はすみやかになおかつ的確でなければならないはずでありまして、これは国民の期待であります。 そういうような状態からして、公害の実態から法改正の必要があるのは、これは被害者の救済関係の立法であります。各党をはじめとして公害による被害者、こういうような各方面にわたって生活と医療面からの救済、こういうようなものがいま必要となってきておるのであります。これはもうすでに準備されておるということであるならば私はまことに同慶にたえません。しかし、いまだに手をつけていないとするならば、やはりこれは急ぐ必要があるのではないか。環境庁が出発せんとするのにまた国民の期待に沿わないままに出発してしまった、これではまた恨みだけが残るのでありますから、そういうようなことのないように発足にあたってこの点も確かめておきたい、こういうように思います。
○山中国務大臣 まず第一の無過失賠償に関する法律の問題でありますが、これはたびたび私答弁をいたしておりますとおり、今国会に提案すべくいま成案をつくりつつあるわけでございます。一応手続として必要な関係上、すでに今週の月曜に中央公害対策審議会にこれを付託をいたしまして、いろいろと御注文もございましたが、了解を得ておるわけであります。ただ私どもは政党政治として内閣を組織いたしております関係上、与党たる自民党の最終的な合意というものを得なければなりません。そのためにいま議論をいたしておるところでありますけれども、まだ政調会、総務会等の最終的な機関決定に至っていないという点は率直に申し上げざるを得ませんが、これについては私も全力をあげてお願いをいたしまして、そして無過失賠償に関する法律をつくり上げたいと考えておるわけでございます。 さらに、第二点の健康被害の問題は、これは制度上の問題でありますと同時に、どうしても予算を伴う問題であります。したがって、現在の方向としては、厚生省が所管いたしておりますから、その被害の、たとえば当該地域に居住していなくともそれによって公害病になった者が他地域に住んでもそれは認めていくとか、いろいろな対象範囲の拡大あるいは給付条件の改善等について検討いたしておるようでありますが、これはやはり環境庁発足後昭和四十七年度予算に関連してきめられなければならない問題でありましょうし、環境庁に付属する法律になるわけでありますから、純粋の環境庁本来の姿である人の生命、健康を守る立場から最大限の努力を展開していくつもりでございます。現段階においてそのような内容について金額が幾らであるかというようなことはやはり予算問題でございますので、予算要求の内容としていま検討しておる。その作業はそのまま引き継がれて環境庁の予算要求になるであろうということだけしか申し上げられないと思います。
○島本委員 前から要請して国民が期待しておった無過失賠償責任であります。こういうような問題に対してはやはりベターな方法で——ベストを望みます。しかし、まずベターな方法でこれを取り上げる。少なくともベターであると思われる方法をこの際やはりもう考えたほうがいいのではないか。単独に個々の立法で規制する、こういう方法だけではまずベターじゃない。地域の関係また場所等の関係もあって、企業はこれでは少しやりきれないと思われるほどにこれをやらないと実効はあがりません。それと同時に、法で規定しても、複合汚染、こういうようなものの因果関係の立証、こういうようなものも当然行なわれることになるでしょう。そうなる場合には、挙証責任の転換が当然必要になってまいります。大気汚染は何としても会社、工場による硫黄酸化物によるところの複合汚染、こういうようなことになります。私どもがいまここでこれをはずしてしまうと、せっかくいままでのイタイイタイ病、水俣病、四日市、川崎、こういうような方面に発生したぜんそく、これに悩む人々や学童、これを含めて総体的に救済という面、また同時にこれの責任をはっきりさせるという面、あわせて必要なんであります。その必要を十分に皆さん考えた上で、政府も考えた上で立法されていることには相違ないと思います。したがって、この複合汚染、こういうようなものに対しても、川崎や四日市、大阪、この方面のぜんそくや慢性気管支炎、こういうようなものを野放しにしておくということは断じてあり得ませんが、適用が実際行なわれるのは逆に地方の多数の中小企業だけであって、大企業はそれから免れるし、コンビナートあたりでは、それは何ともとうてい手の出しようがないといったようなことがあってはたいへんであります。私どもは、そういうようなことからして、やはり賢明にして信頼できる長官でありますから、あえてこの点は申し上げるのでありますが、大気汚染のいわゆる複合汚染、こういうようなものに対しても十分手を打って、ベターな方法でこれを出すことを期待し、私どもは一日も早くそれを手にとる日を楽しみにしているのであります。この点についてはひとつ御見解を承っておきたいのであります。 なぜかというと、やはり前から政治姿勢ということが問題になっている。いまもなお産業界から、これではやりきれない、これではだめだというこういう圧力にまた再び屈して、その結果が環境庁のほうへ移管された、これでは困るのであります。したがって、無過失賠償責任制、こういうようなことも、たとえ国の基準を守っていても被害が出た場合には企業が責任上困るんだ、こういうような理由で産業界もおそらくは反発するために手が出ないんだ、こういうようなことが一切あってはならない、こう思いますので、この点について私ははっきり聞きただしておいて、次へ進みたいと思います。
○山中国務大臣 これは一番いい手段をとるべきだということでありますならば、やはり民法の特例として、公害にかかる無過失賠償制度というものが一日も早く打ち立てられなければならぬと私は思うのです。しかしながら、政府の中において法理論上、民法の特例というものを設けることが非常に困難であるという、半年以上の議論を経ましてもなお解決ができません。そうなりますと、いわゆる過失なきところに責任なしという前提をくずさないとするならば、今日の公害訴訟の典型的な姿を今後再び引き起していいのかということに対して私たちは答えを用意しなければ、それをやめるということはできないと思うのです。そこでそれならば、現在の公害立法の中で人の健康や生命に場合によっては被害を与えるようなものについて、まず一般法として、たとえば原子力は特例でありますが、鉱業法の例等もあることでありますから、そういう問題を念頭に置いて、公害対策本部において独自の作業を進めたわけであります。もちろん、その間において四日市や川崎等のことは念頭にありますから、大気汚染の公害、しかも複合という形によって起こりましたものについて、当然その範囲の中に入れるべきであるという姿勢をもって検討を続けてまいったことは事実です。 しかしながら、最終的には大気及び水質に関する無過失賠償の物質をこまかく指定をいたして、それにかかるものは、事故の場合はもちろんのこと、正常な場合であっても人の健康に被害を与えた場合においては——大体ここらのところは社会党その他の野党提案と似ておるわけであります、ほぼ一致していると思いますが、無過失の賠償の責めに任ずるという内容にしておるわけであります。ただし、食品添加物、薬品等については、せっかくの野党の御提案でありましたが、やはり公害に関するものに限定をして出発をすべきであるということで、公害対策基本法第二条という考え方のワク内において処理する方針をとりました。 一方、しかしながら、毒物劇物も含めた薬品あるいは食品添加物の問題等については、これは直接人命にまともに影響を与える問題でありますから、厚生省においてもこの無過失賠償制度を打ち立てるべく、いまチームをつくって研究中であるということでございますから、これまた今国会には一緒に出ませんけれども、当然そういう検討がなされて議会の御審議を得る機会はあり得るというふうに考えて、それは分離したわけでございます。 そこで、最後の問題点である主として硫黄酸化物に関する物質としての複合汚染の問題は、これは非常な議論の分かれるところでございます。いわゆる複合汚染の大気によるぜんそくその他の被害というものははっきりしているではないか、しかもまた、それによって現在係争中の裁判、一つはその現実がありながら、今回の無過失賠償の中で取り入れられていないではないかという、当然の私は批判があるんだと思います。またしかし、一方においてやはり無過失賠償の責めを負わせるということでありますと、それに対する効果を期待し得るものでなければならぬと考えます。その場合において、複合された汚染の結果、先ほどもお話のありましたとおり、問題は因果関係の究明もありましょうし、かりにそういうコンビナート等の数多くの煙突の複合が、結果的にその地域の環境汚染基準をこえたものとして健康に被害を与えたんだということが客観的にだれもがわかりましても、さて、どの会社のどの煙突が対象になるか、全部がそうか、あるいはその中で無過失賠償ということで賠償の責めに任ずる場合に、どの会社はどの程度の負担というものを持つべき基礎をそこで明確にできるのか、非常にむずかしい問題に逢着をいたしました。これは、私どもと党との対立でもございません。いろいろと議論をしておりまして、今回は、場合によっては複合汚染の大気関係に関する硫黄酸化物は落とさざるを得ないのではないかというところまで、実は正直に申し上げて考えております。 しかし、それを除いて、公害に関する無過失賠償法律をつくったといっても、それでは何にもならぬという御批判もあると思いますけれども、私はやはり前進することである。少なくともそれらの問題点は議論を避けて通るわけにいかない現実があるわけでありますから、今後さらに専門家の間で検討をしつつ、やがて今回の法律の中に物質として追加していく時期を早くもたらすようにしたい。そのためには、やはり今国会でかりに最終的に硫黄酸化物が除かれた内容の水質汚濁並びに大気汚染に関する無過失賠償法というものを提出できたとしても、私は、やはり一応の前進である。やはり突破口というものがなければいけないと思います。もちろん、環境庁ができればそれに専念する大臣を一人ふやすわけでございますから、あくびして昼寝している大臣は環境庁に行ってもらっては困ると私は思うのです。したがって、そういうことを、あと出発する環境庁にまかせればいいと思うのですけれども、しかし、私が担当して環境庁を発足させまするにあたっては、やはり総理の姿勢の問題もあり、私はやはり今国会に無過失賠償に関する法律というものを提案をしたいという、執念に近い努力をしているわけであります。目下のところでは、まだその硫黄酸化物についての結論が出ていない。ほかの点は、大体、野党提案よりももっと幅広い物質の指定までいけるというふうに考えておるわけでございます。
○島本委員 いまいい御意見をちょうだいいたしました。しかし私は、これに対して二つの疑問が即座に出ました。それは、なるほど公害の問題ではイタイイタイ病、水俣病、いま大きくなっているぜんそくの問題を含めて、各患者の数、それらはいままでずっと列挙されたとおりであります。しかし、その中でやるのとやらないのがあるという、こういう不公平な状態で問題を将来に残したまま環境庁を発足させるということ、これに対してはやはり私もつかえる、抵抗を感ずる一つであります。なぜできないのか、ここまで十分に究明されたと思います。これはぜんそくその他複合汚染、こういうようなものは無過失を適用できない、この理由としては大気汚染や硫黄酸化物では測定困難であるという理由なのか、それとももうつかまえようと思えば現在の状態でもつかまえられる状態なのに、姿勢の問題としてこれはやれないのか、またこういうようなものをやることに対して産業界側からの圧力があったのか、こういうふうな疑問も当然出るのであります。私はこのままにしておくのはほんとうに困る。 困る第二の理由は、じゃ、できないということになれば、自賠法のように保険的な要素で業者がまずかりに金を出し合って、基金を出しておいて、そして複合汚染については、たとえば四日市、川崎、こういうようなところの、ぜんそくについては、企業はおれの煙ではないのだということじゃなくて、企業の排出した煙に相違ないのですから、こういうようなことから現実に苦しんでいる人、こういうような人をまず自賠責任を負わせて、そうして救済していく、こういうような方法だってやろうと思えばできるじゃありませんか。できるものに対してやらないで発足させる。これは私はいまほんとうにあなたを尊敬し、かつ、今後に期待しているのです。そういうような人であるだけに、できることをやらないで今後に持ち越すということはまことに私は抵抗を感ずるのであります。あなたのために私は聞いておきたいと思います。
○山中国務大臣 私もこれは情緒的な議論ではなくして、やはり硫黄酸化物というものを含めなければ、大気汚染の公害というものに対して無過失賠償に大きな穴があくということは同感です。そのために努力してみたわけです。ですから、姿勢がそういうことは避けて通ろうという姿勢でないことも、もちろん財界の圧力というものも私にはありません。私自身はまたそういう圧力があれば反発をするほうでございますので、別段痛痒を感じませんが、私に対しては何の圧力もありません。やはり純法理論的にそういう議論の場合において、法務省もいろいろな見解がございますし、また法制局としてもこの段階で硫黄酸化物までということはむずかしいというような議論をこれからいろいろとしていく段階にあるわけでありますけれども、純法律的に見て、取り入れて物質を指定をしても、それらの裁判の過程を経なければなりませんが、無過失賠償の対象物質であるということの効果がはたしてできるのかできないのか。いまは保険の構想もひとつ御披露がありました。これらも今後検討してみるべきことかもしれません。企業というものがそういうことを法律に書いてないから自分たちはかってに出していいのだという問題じゃないので、やはり企業自体が——少なくともそういうような複合汚染の原因になるような排出基準というようなものについては、これが原因にならないような基準も定めていかなければなりませんし、それを厳守させなければなりませんし、厳守してもなお起こるという場合において一般社会、不特定多数の国民に対して自分たちが責任をどのように償うかというような問題における保険構想というようなことも、私は一つの考えであると思いますが、無過失の賠償の議論の中では保険というものはやはり生まれてこないわけでありますから、これはやはり別な制度論になると思います。それも参考にさせていただきます。 しかしながら、現在のところこの問題で非常にひっかかりまして、二カ月ほど時間を費やしております。しかし、硫黄酸化物を含まないものなら出すべきでないという御意見でありますと、これは結局今国会に提案をしないことになるわけでありますけれども、私としてはまだわかりませんが、かりに硫黄酸化物が対象にならない、穴があいているという法律であっても、ここでやはり公害に関する物質について、数多くの物質にかかるものが、事故時はもちろんのこと、正常なる状態であっても健康被害が起こった場合には無過失の賠償を負わされるぞ、そういう政治の姿勢というものをこの国会で出しておくということは必要だと思いますので、御批判は十分覚悟いたしておりますが、これからもさらに議論を続けますけれども、なるべく早く、できれば党の同意を得て今週中にでも私は国会に出したいと念願しております。しかし、硫黄酸化物の問題がどうなるかはこれからの議論でございますので、十分御意見はこの際承っておくということにしたいと思います。
○島本委員 この際ですからもう一つ固めてお伺いいたします。 それは、挙証責任の転換についてはどうなったのか。それと同時に、いろいろの診察を受ける程度のいわば健康被害に限定されたけれども、漁業補償、これはいま大きくなりつつある問題の一つでありますが、こういうようなものに対しては適用外になっているように承っておるわけでありますが、これは私はなかなか問題があろうかと思います。それから天災、不可抗力の場合には、これはもう裁判の場合には企業の責任を問わないのか、ゆるめるのか、そういう方法をとるらしいということも報道されてございます。こういうような点では少しやはり残るものがあるのです。この点についてはひとつこの際明確にしておいてもらいたい、こう思います。
○山中国務大臣 立証責任を転換するという問題は、これは手段の問題でございますから、立証責任転換の問題として提起するならば、それで貫く法律をつくらなければなりませんし、無過失の賠償の責めに任ずるという形で法律をつくれば、そちらのほうでいくべきものでございましょうから、やはりこれはどちらの手段をとるかの問題だ。私は法律はしろうとでございますが、議論をずいぶんいたしましたので、そういうふうに受け取っているわけでございます。 それから健康被害だけになぜ限るかという問題でございますが、これは当初予算委員会で、今国会において野党の提案をどう思うかという御意見がありましたときに、やはりこういうものは与野党合意できれば国民のために一番いいことだ、そのためには今回の御提案については自分たちも非常に敬意を表するということを申し上げました。その際も硫黄酸化物については私としてはどうだろうかという若干のむずかしさのある点は指摘をしておいたつもりでございますが、しかし、その際において具体的には触れておりませんが、財産被害等はこれからの問題である、まずさしあたり何よりも緊急な健康という問題に影響を与えるようなことはまず無過失でやれという御意向だと承りましたし、私もまた財産被害に広げますとたいへんむずかしい議論をまた繰り返さなければなりませんために、さしあたりまず出発しなければいけない。国際的に見ても日本はこういう法律を整備すべきところに来ているんだ。たいへん残念なことですけれども、人の健康というものが公害を原因としてむしばまれておる現象がある。まずここから入らなければならないんだということで、物的補償の問題については今回は一応入れないつもりでおりました。したがって、健康被害に関する法律として提案をするつもりでございます。 ちょっとメモをとっておりませんでしたので、不可抗力、天災、地震等の場合においては、裁判の場合における実情をしんしゃくするという問題は、これはもう法律論の問題でございまして、野党共同提案の中にもその一項が入っておると思うわけであります。したがって、その項はやはり入れておかなければならない問題ではなかろうかというふうに考えますが、それも全部事業者の責任であるとはなかなか言いにくい部門が出てくるでしょうから、その点はしんしゃく規定というものが入るというだけのことでございます。
○島本委員 大体の様子がわかりました。いずれ出た上で、これはひとつ完膚なきまでに議論を展開していきたい、こういうように思います。 それにいたしましても、大臣も御承知のように、去年の一月二十三日、野村平爾さん、これは日本学術会議の公害関係の委員長をやっている人ですが、この人と新聞で対談をされました。その対談の一つずつの記事は、おそらく国民の脳裏に生きております。その中に一つ一つの意見、国民はいまのいわゆる無過失賠償責任、これをその言質のとおりだと期待しておるわけであります。したがって、無過失賠償責任の問題、言っていることばはまことにいいのであります。私はそれを持っていますが、いまのような状態では——まだまだあれを読んで脳裏になまなましく刻まれている。国民の期待を裏切るんじゃないか、こういうように思うがゆえに、またあなたに今後期待するがゆえに、国民を裏切らないようにして今後実行し、そういう法案を提案してもらいたい、こういうようにお願いします。 これをもって、今後出た場合にあと議論を譲ることにして、今回提案されております環境庁の構想について少し伺ってみたいと思います。 まず試験研究機関、この一本化一番公害に対して必要であり、環境庁発足に対しては大事なところじゃないかと思いますが、これはなぜできなかったのですか。
○山中国務大臣 これは国立公害研究所というものを設置することが法律にうたってございます。ただ、なぜ七月一日に出発しなかったのかという御質問と受け取って答弁をいたしますが、これは筑波の研究学園都市ということを予定いたしておりまして、厚生省のほうでは審議会を設けまして、国立公害衛生研究所という構想でおりましたために、今回は大きく環境庁に所属する国立公害研究所として公害に関する研究を広く一元的に吸収し、そこで国民のために、あるいは国政的な論争の場にたえ得るようなものとしてつくりたいという念願を持って、再出発、再構想というようなもので設置をきめましたので、やはり物理的にいって建築期間が二カ年かかるというだけのことでございますので、その出発の日は政令で定める日といたしてございますが、なるべく実務については、建物が完成しなければ実務もやらないということではなくて、やはり研究機関でございますので、逐次いろいろ学者その他も、たとえば自動車で排気ガスだけの専門の人というよりもやっぱり自動車の構造、性能全体の中の排気ガスという分野で取り組んで研究をいたしておるでありましょうから、それらの分野等の学者をどのように集め得るか、各省庁の研究機関とどのように重複しないで、むしろまた国立公害研究所というものが一番中心になって、各省庁の研究機関が国立公害研究所のデータによって各省庁のプロパーの分野を研究していくというものにしなければならぬと考えております。建物の関係だけで発足を七月一日にできなかったというだけのことでございます。
○島本委員 予算の配分の面では環境庁は強力にこれを今後実施しあるいは指導していかなければならぬ、これはまさにきめ手になるんじゃないか、こう思うわけであります。すなわち各省庁はそれぞれの予算を持っております。今度環境庁ができます。環境庁ができても、今度は予算を渋っては、これはまた実力をもって各省庁に振り回される結果になるんじゃなかろうか。そういうことからして、環境庁をつくっても何にもならないという結果にならないように運営しなければならない。ほかの政策とのバランス、こんなことをやらないで、やはり信頼に値するような予算をもって、今後緊急な公害に対処するためにも、予算の面から強力に、実効があがるように行なっていく、これが必要なんじゃないか、当然そう思います。そうなりますと、せめてこの予算の配分権、こういうようなものは環境庁でやることになっておるようでありますけれども、これはもう研究機関の場合はそうなっております。しかし、試験研究機関だけであっては困りはせぬか。すなわち予算の一括計上権、これは本予算についても環境庁は各省庁に分けて執行させるような方法にすべきが強力に実施させる一つの近道だ、こう思うのですが、そういうようになっておりますかどうか、お伺いいたします。
○山中国務大臣 国立公害研究所については、研究費の予算というものは環境庁が一括要求をして、その決定した予算を各研究機関の省庁に配分をいたします。これはもう御意見どおりであります。しかしながら、一般の普通の環境保護行政あるいは公害防止その他の行政についての予算は、またそれぞれ各省の行政機能の実施する実態の中で必要とする予算等もございます。したがって、それらの問題については総合的に環境庁が一括して計上はいたしませんが、調整したものを大蔵省に対して予算要求をし、そしてそれに基づいて各省庁の環境維持のためあるいはまた公害防止のための行政がバランスよく配分されていくような中間の姿勢をとっておるわけでございます。したがって、国立公害研究所みたいに研究費を予算で一括計上して、そして環境庁の研究費として各省に分けるということをやりませんけれども、それに準ずる措置をとっておるということでございます。
○島本委員 研究機関はわかりました。公害関係の各予算について、これも環境庁のほうで各省に分けて執行させるような方法を強力にやることにおいて、環境庁の一つの力、一つの指導力というようなものが発揮されるのではないかということです。そういうようなことをやるべきじゃないかということ。 それとあわして調整費、それから緊急に要する費用、こういうようなものに対してもあるいは阿賀野川の中毒に対するいろいろな調査、こういうようなものがあるわけでありましょうし、今後その対策等に緊急に当たらなければならない場合もあるわけであります。調整費はほかの庁にもあるのですね。北海道開発庁なんかにも総合的にやって、それを配分するというような行き方もとっておりまして、やはりいまできる環境庁もいい点はあれ以上の利点をここでつくり上げても、現在あるもの以下にしてはいけない、こういうような私の一つの危惧であります。そういうようなことからして総合調整の中で行なう、こういうようなことでありますけれども、環境庁が握っておってそれを配分してやらせる、こういうほうが強力にいくのではないか。これはどういうようなことでございましょうか。これは私のほうでお伺いいたしますから、よく納得できるように知らしてもらいたいと思います。
○山中国務大臣 これは理想は、やはり将来はそうなるべきだと思います。たとえば先ほどの御質問にお答えいたしました下水道行政等も、将来環境庁に移っていくというようなことになりますと、そういう現業予算まで環境庁が所管することになりますから、そこらまでまいりますと、いま言われたような構想というものが実現できると思いますが、現在の段階ではやはり各省庁の行政事務の中で消化されていって、それに環境庁が関与し、そして環境庁の意見を予算査定において反映させ、逆に環境庁がそういうのはダブっておるからやめろという場合においては、おそらく予算はつかないようなことになると思いますので、これは各省庁やはり予算はほしいわけでありますから、十分環境庁と事前編成、作業の途中あるいは最終妥結のとき等においての連絡調整は、現在の状態において十分行なわれ得ると私としては考えておるわけであります。
○島本委員 したがって、そうなる場合の環境庁は、強力な一つの調整官庁でもあり実施官庁でもあり、それに対して指導官庁でなければなりませんし、まさに強力な一つの権限を保持しなければならないということであります。しかし、やはり何か実施官庁プラス調整官庁の折衷案みたいな感じがするわけであります。そうなると二重行政が実態ではないか、こういうことになって、強力に実施するはずの予算面でもやはりそこまで手が及ばない、こういうことだと、せっかく装いを新たにして出発せんとするこの環境庁、国民の期待にすぐ沿わないような、裏切るような結果を生じては困るじゃないか、こういうことをいま感ずるわけであります。いろいろあるでしょうけれども、いまの答弁で私はその点が一つ疑問として浮かび上がりました。この点は今後どのようにして実施いたしますか。
○山中国務大臣 さしあたりは、いわゆる俗に公害関連の予算については、各省庁それぞれ単独の形で行なわざるを得ないもの、あるいは各省の行政事務の中で環境維持等に意を用うべき予算、そういうものについては切り離すことは非常に困難な部門もあります。それらは一括して環境庁においてどういう予算要求をしておるか、あるいはそれはどういうわけであるか、あるいは環境庁から見て、こういう予算はこの省でやるべきであるとか、そういう調整等はやれるわけであります。またこれは一般の行政の姿勢の問題でありますけれども、どうしてもそういう調整機能というものが環境庁において制御できないというような実態がありますれば、環境庁長官には特別の法律上の権限が与えてございます。勧告という手段もありますし、あるいは勧告の実行を報告しなければならぬという義務をほかの省の大臣にも課しておりますから、またそれももっと必要な場合には、内閣法第六条の総理大臣としての各省庁の長たる大臣を閣議決定に基づいた方針において指揮をするというような手段の行使を要請するというようなことも与えてございますので、大体において予算編成はもちろんのこと、そういう各種の公害防止行政なりあるいは環境保護行政についての環境庁長官の発言力というものは、実際においてこの法律が成立をして役所ができますと、相当なウエートを持って各関係省庁にかぶさっていくものと私は信じております。
○島本委員 しかし、戦前の総理と違っていまの総理はやろうと思えば何でもできる、こういうような一つの強力な権限があるのですから、逆にそういう権限があるからといってもそれは歯どめにはならない。権限があるということをただ言うにすぎないようなことではこれは困るわけであります。そういうような点からしてもこれは大きな姿勢の問題であります。そういうような点を十分考慮しなければならないと思いますが、内閣法六条の総理の一つの指揮監督権、こういうものは環境庁でなくても使えるわけでございましょうし、いま必要があった場合やれる。これがやはり二重行政の弱さをカバーする歯どめになるのじゃないか、こういうことになって、ただ単に行政の弱さをカバーするだけでは強力な実施を期待している国民の期待をまた裏切りはせぬか、こういうように私は、老婆心とは申しませんが、おそれるわけであります。この点に対しては少しは議論が一致すると思います。そうでない、強力な実施ができるのだ、このことをはっきり国民の前に明らかにしてもらいたいと思います。
○山中国務大臣 これは老婆心でなくして老爺心でございましょうが、冗談は別にして、これは当然そういう権限を環境庁長官に与えませんと、環境庁が行なうことがいろいろ法律に書いてございますが、実際において政府全体の姿勢がそのとおりずばりと貫かれるかという点には私も危惧を抱かざるを得ないわけです。そこでやはり環境庁長官に、先ほど申したような総理大臣の権限の発動を要請するような法律上の権利を与えたということでありますから、やはり環境庁長官たる者、私みたいに数多くの問題をかかえて大臣をやっているのと違って、今回はただでさえ多過ぎる大臣を一人ふやして——これは少し失言かもしれませんが、ふやしてまで専任大臣を置こうというのでありますから、その専任大臣の責任たるや私は国民のためにまことに重大であると思います。人選も慎重でなければならないし、その環境庁長官たる者、国民の期待あるいは国際的な立場において日本がたえ得る環境克復の条件をつくり上げるための重要な責任を負って登壇する大臣でありますから、私はそういう人の配置についても十分意を用いられるだろうと思いますし、またその大臣たる者、せっかく与えられた権限というものを十分に行使すべきである。また総理といえども環境庁長官の要請を却下するような姿勢というものはおそらく国民の立場においてなし得ないものではないかというふうに考えますので、これはうまく利用すれば相当な権限を行使できるものと私は考えております。
○島本委員 まず一括計上権は予算の面でわかりました。それと同時に、今後組織的にもいろいろな面で重要であるから、実施の面で考えなければならないという点は仰せのとおりであります。問題は人であります。人は寄せ集めだけでは今後の環境庁はだめだと思います。おそらくそういう構想ではなかろうと思う。えてして各省庁から採ると、また何年かしたら帰れるのだ、こういうような安易な考えがいま行政官庁全体にあるのです。まして地方のほうへ行って部長なりなんなりやらされる人は、もう必ず本庁のほうへ二年か三年たったら戻るのだ、そのときえらくなって戻れるのだ、こういうような期待と約束があるのです。やはり環境庁のほうもこういうようにしてできた。行った、また戻れるのだ、そのときになったら環境庁の装いを新たにしてりっぱに箔をつけて他の官庁へ戻るのだ、こういうような人事のやり方では環境庁はまさにくだらない官庁になってしまう。ベテランをそこへ呼んできたら動かすな。これは具体的に手を打たなければならないし、黙っておいて、ただ来たならばまた箔をつけて戻れるのじゃないか、こういうようなことではだめであります。したがって、出向すればすぐ戻れるような傾向がある。これでは優秀な人材は集まりません。出てきた以上、今後使われる大臣に命をかけてまでもこの仕事に当たるという優秀な人材、こういうような者を移転させるようにしなければならないのじゃなかろうか。環境庁のためにこれはぜひ必要な事項であります。各省に意見を伺って、その省の仕事をそのまま中に持ち込んでは環境庁が死んでしまいます。この人事の面で具体的な手を打ったかどうか、これからどうするのか、これをはっきりお願いいたします。
○山中国務大臣 設置法が国会を通る前に人事をやるわけにもまいりません。これは常識でございます。したがって、それはあとのことになるわけでありますけれども、姿勢としては、私として経企庁その他の例をとるまでもなく、総理府自体がいままで各省庁の出向者によって占められて中途はんぱな形の役所であります。これはやはり総理府に職を奉じた者はやがては局長、次官というほかの役所みたいにみんな総理府に骨を埋めるという役所にするために非常な苦心をいたしております。でありますから、環境庁の場合も当然——肝心の大臣が一年交代で首を切られるなんてことははなはだ私としてはよくないことだと思うのですが、しかし、役人に関する限りは、環境庁に職を奉じ、しかもやはり国民全体が一番たよりにする役所である。補助金をもらうとかなんとかいう役所もたよりにされるでしょうけれども、それは末端の全国民すべてであるとはいえません。しかし、事環境行政に関する限りは、全国民が全国民的規模において期待をし、声援を場合によっては送る役所であると思いますから、そこに職を奉ずる喜びと誇りを持てるような機構にしたいし、人事にしたいと考えます。でありますから、環境庁の中において、将来は自分も環境庁で骨を埋める、そのかわりにまた分に応じてそれぞれの役人としての一生をかけた仕事でありますから、いわゆる俗にいう出世街道も環境庁の中でたどっていけるというような機構にぜひ最初にしておかなければならない。新設の機構等についてはよくありがちな、各省からどのポストをとるとか、長をどこがとったら副をどこがとるとかいうようなことを公団その他でよく見ます。しかし、環境庁に関する限りは、そういうことをやっては私はならぬと思うのです。そういうことをやってはならないと私は思っておりますので、環境庁の出発については十分の慎重な配慮と相当な決断をふるうつもりでございます。
○島本委員 わかりました。それとあわせて、今度具体的な問題になりますけれども調査権限、この六条の中にはっきり資料提出、勧告、報告を求める、こういうような権限がございますが、どうしてもこういうような権限だけでは環境庁は不足であります。なぜ不足か、各省庁のほうにはそれぞれの権限が残っておるわけであります。残っておることは先ほどのお話にもありました。今後あらためてその点もお伺いしなければならないのでありますけれども、この各省庁に残された行政上の、運営上の実績、こういうようなものも十分見て強力に監視する機関が、これまた環境庁になるわけでありませんか。そうなる場合には各省庁の残された権限に対する結びつき、こういうようなものも、資料の提出、勧告、報告を求めるくらいでは足りない。したがって、もう調査権限とともに各省への立ち入り権もはっきりこの際持つことが必要じゃなかろうか。ことに許可権を持つ官庁にすべて立ち入り権を認めておく。そうでなければ、今後は官庁は官庁で別々にやる。それとまた企業との癒着がもしあったとする。そういうような場合に、環境庁はただ基準を示しただけであとはわれ関せずえん、これでは公害の実効があがらない。石原産業のあの企業癒着の例もあるわけですから、こういうことのないようにするためにはやはり各省への立ち入り権というか指導権、いまやこういうようなものも環境庁にはっきり認める必要があるのじゃないか、こういうように思います。大臣の御所見を承ります。
○山中国務大臣 これは立ち入り権の問題でありますけれども、そのことばの問題ですけれども、環境庁の職員がほかの役所に立ち入って、その役所の意思と関係なく一方的に書類検査その他をやろうという意味の立ち入りであれば、これは政府としては醜態だと私は思うのです。やはりそういうことのないような措置をとらなければならぬ。政府というのは省庁に分かれて大臣が幾人かおりますけれども、何もそれがばらばらであっていいわけではありませんので、たとえば自由化について農林省と通産省と大蔵省が意見が違った、かといって大蔵省が農林省に立ち入り検査をする、そういう表現のものではなかろうと思うのです、長は国務大臣でありますから。したがって、第六条では順を追うてそういうことについて、環境保全のために必要な場合には関係行政機関の長たる大臣に対して資料提出、説明を求める、また特に必要があるときにはそれらの長に対に対して勧告をする、勧告をされた者はそれについてとった措置について報告を求められるということでありますから、報告をせざるを得ない。以上のような第六条二、三、四項に基づいてとった環境庁長官の措置について、なおかつどこかの省が第六条二項、三項、四項、こういうような行為に対して知らぬ顔をしておる、あるいは協力しないという場合のために、第六条第五項の内閣法第六条の規定による措置がとられるように総理大臣権限の発動を意見具申するということに補完してございますから、ここまでやっていけば、環境庁は内閣の外に飛び出してできるわけではありませんから、内閣の中の環境庁ですから、立ち入り権というのはそういうつもりで言ったのじゃないとおっしゃるかもしれませんが、一つの官庁がよその官庁に立ち入って検査するという、そこまでしなくてもいけるのではないか。そういうことをしなければできないとなると、いまの内閣というのは一体何だ、総理大臣を長として内閣を組織していながら、そういう総理大臣の指揮権も全然受け付けない役所があるかというと、そんなことはありませんですから、そこまでは法律に書く必要はないではないか、事実上も必要ないではないかと思います。
○島本委員 あまりにも具体的ななまなましい事例が、公害の審議の中でいわゆる企業との癒着の問題、こういうものがあって、それは一つの官庁の事務であり、その官庁そのものには司法権が入っていろいろやる以外にはない。しかし、今度は環境庁ができるのだから、そういうようないわば環境庁の決定や指導、こういうようなものを侵してかってに動いてはならないのだ、公害に関してはすべて環境庁が当然いろいろと指導をするわけですから、そういうことを完全にしているかどうか、これはやはり報告を求め、そういうようなことを事務的に処理するんだ、これはあたりまえの話で、いまでも当然やっているわけでありますし、方法だってあるわけでありますから、それ以上強力にやるために環境庁のお役人さんはもう少しそれより高い地位に置いて指導もできる、もちろん見識もりっぱな人にしてもらいたいから先ほどから言っているのですが、中へ入って相談、指導ぐらいはちゃんとできるようにしておいたほうがいい、私はそう思っておる。したがって、いままでと同じような状態でやるんだ、これだったらたいした期待も持てないんじゃないだろうか、こういうふうに思うわけであります。しかしながら、そうでないとするならば、いろいろ見解の相違だけでは済まないりっぱな施策もあるでしょう。それを私は期待しますけれども、各省の事務の総合調整、こういうようなことだけじゃなくて施策の総合調整、こういうようなものに対しても踏み入って十分やらなければならないと思いますが、この点はどうですか。
○山中国務大臣 いまの各省のやることについて環境庁は全部に加わって、審議なりあるいは方針決定等に関与していかなければならぬ、それはそのとおりだと思う。でありますから、審議会等は環境に関する問題としては十三ほど関係があると思います。それは新全総その他も含めての話でありますが、そういう十三の審議会には全部環境庁がそのメンバーに入ることにしております。さらに事務がそのまま全部環境庁に移されるものとしては十四の法律に関するものがあります。事務の一部が移される法律としては、農薬、廃棄物や下水道、海洋、こういうものが四件あるわけです。それから所管大臣が何かやろうとする場合に必ず環境庁長官に協議しまたは意見を聞かなければならないとされておるものは、十四法律にわたる二十一項目に及ぶわけであります。でありますから、これを総体的に見ますと、審議会という関係は全部環境庁が入っておる。そうしてまたただいま申しましたような数多くの、少なくとも公害や環境汚染に関係のあります行政については何らかの形で環境庁が常時関与いたしておりますから、これによって環境庁が各省の行なっていることを掌握しておくとか、各省の行なっていることについて事実認識がないためにそれに対して注意すべき時期を誤るとかいうようなことはないように、私は補完をしておるというつもりであります。
○島本委員 それとあわせて、今度は環境庁ができても、他に残された業務が各省にある。それに対しての立ち入り権の問題を含めて施策のいろいろな調整、こういうようなものに対してもいろいろ御発言がございましたが、危惧される点がやはり一つあります。 それは、環境庁ができたら環境庁のほうは人も予算もあるいはまた組織的にも整備された状態で運営する。各省庁に残された問題がある。たとえば厚生省では清掃事業関係や食品、薬品関係、それから農林省では土壌汚染対策事業関係やまた農薬全般の規制の問題、そのほかにまた建設省では都市計画や先ほど答弁がありましたように近郊緑地化の問題、公共下水道の事業の問題が残る。通産省には依然として産業立地の規制や電気、ガス事業が残る。それからまた運輸省の車検や海洋汚染の関係が残る。こういうようなことになります。そうなりますと、結局田子の浦のあのヘドロの問題は現在まだ大きないろいろな事件を発生したままです。まだ対策に困っておるような状態でありますけれども、あれも公共下水道事業の中から生まれた一つの行政上の怠慢による被害であります。ヘドロの問題、これは田子の浦の公害の問題じゃありませんか。それと同時に電気、ガス事業、これは亜硫酸ガスの大きい問題をはらんで、公害のいわば大家であります。 こういうように見ますと、環境庁ができた、権限は自分みずからが持ってやる、しかし残された権限がある。しかしながら環境庁のほうへは公害に関係した事務は行ったのであるから、残された業務に対しては、公害面は環境庁でやるのであるから、企業利益にのみ走る傾向が出ないかどうか。これが出るならば、環境庁ができてなお残された業務があるために悪くなる、こういうような結果が心配されるわけであります。そして残ったために一そうやりにくいような状態になりゃせぬか、われわれの危惧するところであります。それと同時に調整機能であります。行政目的から離れてばらばら行政になった場合にはむしろもっと悪い結果ができる。この歯どめ、こういうような指導の問題に対してどういうように考えて今後環境庁を運営なさいますか。これも国民の前に疑念をはっきり晴らしてもらいたいと思います。
○山中国務大臣 その点は、先ほどもはっきりと与党質問に対して私の答えた点でありますが、確かにまだ残された部門で問題がございます。さっきの答弁で申しましたように、それぞれ公害に関係のあります行政については全部環境庁が関与することになっておりますから、それらは環境庁の国民の環境、生命、健康、そういうものを守る立場から、それと逆行するような形で政府の政治がある省庁において行なわれようとする場合においては、環境庁の行動というものはそこで監視されるわけであります。したがって、私、先ほど答弁いたしましたように、電気、ガス等がいろいろの理由によって前提条件が解決されれば、将来はそういうものも当然入ってこなければならぬだろうというようなことも言いましたけれども、現在ではやはり通産行政の中で環境庁の意見を十分に反映させながら行なっていってもらう以外には、広域供給のさせ方もあるいはまた低硫黄重油の確保のあり方も、手足のない環境庁としてはやはり末端まではむずかしいというような気がいたしましたので、さきの臨時国会の重要法案の中で適用除外にされました点は、そのまま今回も一応法律上の適用除外にはなっておりますけれども、実際上においては環境庁長官の、さきほど申し述べましたように、第六条の権限と、さらに事務の移管やあるいはまた審議会あるいは協議、そういうもの等の対象としてとらえてございますので、それらの点に遺憾のないように出発をさせたいと考えております。
○島本委員 それならば、先ほど与党質問に答弁された中で、国有林野の関係で経営業務があるので、これは移していいかどうかの点はまだまだ考慮中である、こういうような御発言があったと記憶しております。自然保護局を設置する趣旨からすれば、少なくともこれは保安林の指定だとか、保安林の整備計画の策定、こういうようなものは自然保護のための基本的な施策、これは環境庁の所管とすべきものが当然じゃなかろうか。これが経営業務、こういうようなもののためにできないということは、やはりこれは何か、できても実際業務の点で御遠慮なすっておられるのじゃないか、こういうふうに思います。これはできないことはないと思うのです。なぜやらないのですか。
○山中国務大臣 保安林と申しましても、種類にはずいぶん各種の保安林があるわけです。そこで、これは環境庁と関係のない純粋の保安林、そういう種類の保安林もございますし、保安林行政の中で、たとえば典型的な風致保安林というようなもの、これは環境庁でとっても差しつかえない、環境庁でやるべきことでもあると思っておったのですけれども、やはり一連の林野行政の中で特定の保安林の中の二、三の部門だけを環境庁で所管するということもどうかと、これは建設省の都市公園もやはり都市計画の中の一環で行なわれるので、その都市計画の中の公園部分だけ環境庁ということもおかしかろう。かといって、近郊緑地等だけをものをいってみても、近郊緑地というのがまた建設省の考え方によってきまるものが近郊緑地でありますから、そこの部分だけを環境庁で別にやる、建設行政と関係ないというやり方もなかなかむずかしいというようなことで、先ほどの林野庁の主たる任務が国有林野の現業という作業、いわゆる特別会計による作業をやっておりますから、そこまで環境庁がやる必要はないのではないか。しかし、農薬その他については、これは国有林野といえども、問題は環境庁も提起し、あるいは協議していくわけでありますけれども、伐採事業その他については、原木供給、需要、その他ありますから、なかなかむずかしい問題で、そこまでは入らないでいいのではないかということで、林野庁の組織自体もいまのままでいいかどうかというような議論も、私は一方にあると思うのです。したがって、林野の中で鳥獣保護と狩猟行政というものだけを、今回は環境庁プロパーの仕事として環境保護局のほうへ持ってきたということにとどめたわけでございまして、あとすべてこれで終わりだ、あるいはこれが正しいのだというふうには私も言っておりません。さしあたりはこの程度の出発から始めようということのつもりでございます。
○島本委員 そういうような、その問題については国有林野行政全体を環境庁の所管事務と、こう考えるように当然ならなければ、緑の保護はできない。これは事務であり経営であるから、それはまかせるのだ、私どもはその報告を受けて指導すればいいのだ、この間に何か断絶があってはならないのであります。これからおそらくは鳥獣の保護及び狩猟に関する法律の施行、これだけが環境庁の掌握事務、こういうようなことではおさまらなくなります。私はその先を見るがゆえに、この程度でいまや妥協と思われるような、こういうようなやり方には、まだ少し不足な点があるのではないか、こういうようなことであります。したがいまして、その意味からいうとこれはどういうことになりますか。千鳥ケ渕の戦没者墓苑ですか、この維持管理が今度環境庁の所管事務になる。これはむしろ林野庁がそれをやるほうが、これよりなお前向きであり、日本全体の緑を守るために正しいのじゃないか。これは千鳥ケ渕の戦没者墓苑を今度維持管理を環境庁がやってこれで環境保全をするのだ、こういうようなことになるようであります。やはりこれは厚生省の援護局の所管事務だったと思うのでありますけれども、それよりもなお林野庁の経営なんかを言わないで、全体を保護することは環境庁として重要じゃありませんか。この千鳥ケ渕の例は何ですか。
○山中国務大臣 これは特別に大言壮語するような成果でも何でもないわけなんです。いわゆる国立公園部の中の仕事の中にただいまの千鳥ケ渕もあれば宮城前あるいは新宿御苑、こういうものが入っているわけなんですね。たとえば温泉行政も入っているものですから、広義の環境保護の意味では温泉もむやみと掘られては木が枯れるということもありましょうからいいとして、一応現在の国立公園部そのものを全部、技術者を持っていってもらわないと、厚生省に千鳥ケ渕だけ預かれとかあるいは新宿御苑だけ預かれと言われても困るという、これはささたる末端の行政が入りますから、それは国立公園部がそっくりそのまま移行することに伴って、現在行なっている業務が全部移ってきたということを意味するわけであります。 そこで、今度は林野庁の問題ですけれども、林野行政全部、国有林行政全部持ってこいということも、私はある意味でいいと思うのですけれども、しかし国有林を環境庁に移したら、私は、ほとんど木を切ってはならないという方針をとらなければいけないと思うのです、環境庁ですから。とんでもない原始林の千古斧鉞を知らない森におのを入れるような、いまおのとは言いませんが、チェーンソーでしょうけれども、そういうことは環境庁は絶対しないということになります。そうすると国有林は一方には開放運動もある。国有林を開放せよという一般の声もあるわけです。開放するということは、林野の状態のままほうっておくのはもったいないということを意味しているのが大部分の理由です。そういうことからいたしまして、やはり一応そういうような現業業務というものが林野庁の場合には必要だということは、伐採ということには植林もするわけでありますが、当然やっているわけですけれども、林野庁なら伐採することを、環境庁だったら伐採そのものをやってはならない役所だと私は思うのです。そういうことを考えますと、一応国有林業の行政というものの中では、現業部門というものはやはりむずかしかろう。しかし、その他の林政の問題についてはなお林野行政の中で検討を加えるべきものがあるということで、保安林の問題も含めて今後の検討事項にしておるということであります。
○島本委員 それに加えて次の問題はどうでしょうか。名勝、天然記念物に関しては文部大臣と文化庁長官と環境庁長官との間で意見を聞く規定が附則十五条によって設けられておりますが、名勝、天然記念物に関することは環境庁の所管事務、こういうことが一番きれいでさっぱりして、区分上一番やりやすいのです。この辺に対してもどのようにお考えになりますか。
○山中国務大臣 これは一口で文化財行政といいましても、名勝、天然記念物、こういうものは場合によってはそれが家であることもありますし、徳川時代の末期の家だからそれを指定をされているとかというようなことで、これはやはり環境行政そのものの分野ということはなかなか断定……。 〔発言する者あり〕
○小林委員長 答弁しておりますから、お静かに願います。
○山中国務大臣 だから史跡、名勝、天然記念物は、やはり環境行政の中になじんでいるものも確かにあると思います。しかし、それは物であったり建物であったり、そういうもの等が多いわけであります。しかし、かといって、やはりその中にはそれらの自然の風致というものを文化財保存の上から必要とする範囲もございます。そういう意味からいって、そういう風致地区なんかを定めます場合、保護地域なんかを拡大いたします場合、そういう場合はやはり環境庁長官が協議に参画する必要がある。ただ文化財保護のためだけの狭い視野ではいけないのではないか。いわゆる環境保護という観点からは狭いと思いますから、そういう意味で積極的な協議をするということで、環境庁プロパーの仕事としてはやはりもてあますような仕事がその中にありますので、そういう意味でそのような仕分けをしておるわけであります。
○島本委員 なお公害防止事業団については、今度逆に環境庁の所管になってくるわけであります。いまいろいろ林野庁関係、自然保護関係の名勝、こういうようなものに対してはだいぶ御遠慮なさっておったのですが、今度の場合、公害防止事業団、これは具体的に事業を行ない、公害を防止する共同の施設を行なう事業団であり、それと同時にその方面に金を融資してやる機関でもあるわけです。そういう具体的なものがいままで通産省の指導のもとにあったのが、今度は環境庁のほうに移るわけであります。これはやはり一元的に行なうということで、監督は環境庁になったのではないか、こういうふうに思います。そうなりますと公害防止の投資、今後は急速に増大してまいりましょう。その事業団の資金量、これはまた飛躍的に増大してまいるでありましょう。環境庁が取り締まり官庁の立場、監督官庁という立場から、今度は逆に、その予算面についても直接行なうようなことになるわけであります。そうなりますと何%くらい増したらいいのだという、こういうような考え方より一歩出て、今度はいままでの画期的な行き方をとって指導するのでなければ、せっかく環境庁ができて一元化のために公害防止事業団の監督は環境庁のもとにしたという意味がなくなります。それに対してはっきり自信があるものだと思います。その自信のほどをひとつ聞かしてもらいたい。 こういうこととあわせて、いままでいろいろな時点にぶつかりますと、中小企業対策が公害の防除の問題であるいは一番困難な問題であり、あるいはこの問題に対しての一番被害が多かったのであります。こういうようなことからしても、今後は要求された額、それに何%くらいしかふやさないのだというようなことではなくて、額からも画期的な運営が期待されるところではなかろうか、こう思いますが、公害事業団を、その監督は一元化のために環境庁のほうに今度はいったということとあわせて、今後の運営の点についてはっきりした対策をお示し願いたいと思います。
○山中国務大臣 これはいままで通産と厚生省の共管のもとに公害防止事業団があったこと、そのこと自体が私はおかしいことだと思うのです。やむを得ずそういう妥協で両省共管ということになったのでありましょうが、この公害防止事業団というのはだれのためにあるのだといえば、公害防止のために事業を行なうための事業団でありますから、これはもちろん文句なしに環境庁専管の事業団になるべき性格のものであるわけでありますから、これはもう何の疑念もないところであります。したがいまして、環境庁の予算というものは事業団の予算も含めて、これから国民の目にはっきりと出るわけであります。 国立公園部——かつての国立公園局、一省一局削減で部、というようなことで、大体過ぎ去った各年の予算の伸び率を見ますと微々たるものであり、しかし環境庁の大きな柱として自然保護行政、環境保護行政というものが一本立つ。そして一方においては公害本来の水質、大気、そういうものの大きな柱が立つということであれば、これは国民から見て、環境庁が出発して、その一本の大きな柱が、いままでのような国立公園行政予算のつけ方では、とても国民が納得しないだろうし、厚生省の数多くの問題点の中に埋没してきた感のあるところからひなたに出るわけでありますから、これは予算折衝の結果を待たなければいけませんけれども、その実質上も予算上も当然国民の納得する姿として登場してくることは間違いない、私はかように考えます。
○島本委員 時間的なことをいろいろ言われまして申しわけありませんが、それにこたえる意味でも、少し結論を急がしてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。 そのまず第一、船舶内または海洋施設にある者の日常の生活に、これは必ず生ずるものは廃棄物の処理。この基準の設定、これが環境庁の所管事務から除かれているように伺っております。そうすると、これらの廃棄物の処理はいわば事業者の行なう廃棄物の処理に該当するものであるから、陸上で行なわれる廃棄物の処理との均衡上も、当然に環境庁の所管にすべきであり、これを除外するのはちょっと理由がないのではないか、こういうように思われるわけであります。まして今後は海洋関係におきましてもなかなか忙しいことに相なってまいります。公害専門技術者の養成、こういうようなことも大いにむずかしい問題の一つになっておりますけれども、新たな義務がつけられて公害監視に立ち向かう一つの機関に海上保安庁もあるわけであります。今後そういうような点からしても、海上保安庁はこういうような専門技術者の育成とあわせて、定員が十分行き届いておるのかどうか。そして広い海域、ことに太平洋を汚染から守る、この約束を米国のトレイン委員長としたのは山中長官でありまして、そういう点からして油濁防止だけでなく海をよごさない、そのための廃棄物の監視、こういうようなものも当然考えなければならないはずであります。これをやるものは海上保安庁、これが重任を負うことになるのではないかと思います。五%ずつだんだん減らされていっている現状だと聞いておるのでありますけれども、この新たな義務を負わされる公害監視の役に立ち向かう保安庁の公害技術専門官、これの育成の点とあわせて定員はどうなっておるのか。この際、新しい観点からこの点についての御発表を願いたいと思います。
○山中国務大臣 まず海洋汚染防止につきましては、これは環境庁の所管になるわけでありますが、その中の海洋油濁防止に関する国際条約に関します公海上の、いわゆる海上保安庁の船などとうてい出ていけないような遠くの一般公海、国際公海等における問題としての、通常許される船員の日常生活のための廃棄されるもの、屎尿を含めたそういうものについては、これは条約において国際共通の問題として一応の許容基準があるわけでありますが、これはこれで守っていくものでありますし、海上保安庁の飛行機、ヘリ、船、その他の足の届く範囲の日本の領海もしくは領海に影響を及ぼし、あるいは漁場その他に影響を及ぼす近傍の公海等についての取り締まり体制そのものが、今日までの海上保安庁の業務にはなかった新しい仕事として、あるいは撮影のために特殊な赤外線撮影のものでありますとか、いろいろなことも研究しておるようでありますが、船足、飛行機の航続距離の問題、あるいはまたそういう撮影や撮影観測機器の問題、それの技術者の問題、これは新しく負荷される任務でございますので、運輸省において予算要求をいたしまする際の海上保安庁の予算というものに対して、当然の一義的な意を用いられる点があると思いますが、先ほど来申しておりますように、これらの部門は同じ保安庁の予算であっても、公害に関係する部門の予算として、やはり環境庁が予算要求のときに、あるいはその査定の過程において関与してまいります。運輸省の数多くの行政の中で海上保安庁が新しい任務を負荷されて、任務のみ与えられて予算がつかなかったというようなことがないような配慮はできると思います。
○島本委員 いろいろと内容等について伺いました。しかし、今後の実施の面等におきましてはまだまだ充実しなければならない点も多いのであります。まして環境保全と公害を防止するための適切な都市計画の策定こういうようなものについても今度は実施が不可欠な要件になるわけであります。この意味からしても環境保全対策の一元化、これを実施するためには環境庁を設置するというこの目的に向かって、今度は都市計画法、首都圏の整備法、こういうような都市計画及びその土地の利用規制に関する法律の所管官庁の環境庁、この方面への移管の問題を十分あわせて公害防止の見地からも強力にしなければならないのじゃないか、こういうふうに思われます。先ほど来の与党質問もありました。この点等についてはやはり私は今後強力に実施しなければ効果があがらない、こう思いますのであらためてお伺いしたいと思いますが、この辺の見解を承ります。
○山中国務大臣 これは先ほども答弁いたしましたように、環境庁が発足いたしますと、その環境庁のまず最初の大仕事は、この日本の国土をいまのような無計画な状態にゆだねて公害の発生その他の現象に四苦八苦しているような状態に置いていいかどうか。そのためには都市計画はもちろん包含した日本全体の土地政策というものをやはり——ニクソン大統領の教書等においても、あのだだっ広いアメリカでさえ荒蕪地も含めて問題を提起しておるわけでありますし、アラスカにおけるパイプライン一つをとっても、私たちから見ればほとんど人間も住んでないツンドラ地帯なんだからと思いますが、それでもツンドラ地帯のそういう特殊な草と申しますか生物がよごされるということでいろいろな議論を呼んでおるところから見まして、私たちの日本の公害行政の取り組み方というものはもっと前のところに戻って考え直さなければならぬのだと思いますから、ただいまの御提言を待つまでもなく、環境庁というものが経企庁やその他の単なる日本国土の新全国総合開発計画その他の単なる計画でない国土全体の、先ほどは子々孫々に私たちが残していくための国土のあり方という問題で表現しましたけれども、そういう角度から環境庁というものは基本的な姿勢として取り組んでいくべき役所であると考えます。
○島本委員 なお最後に、やはり各省に残されているいろいろな業務がございます。この業務との関係、これはことばをいかに言っても、各省それぞれ予算と権限と人員を擁して実施するわけであります。いかにことばではきれいであっても、一そうやりにくいような状態を来たさないように、この点は十分留意して、企業サイドを考える各省の行き方にはブレーキをかけて、そして公害対策に万全を期してやってもらいたい。これだけは強力に要望しておきますとともに、公共下水道、それと電気、ガス事業関係、これらも時期の到来を待つまでもなく早く環境庁の所管にして、日本の青い空、きれいな海、そしてここに人が侵すことのできない、自然が与えてくれた権限、これが環境権であります。この環境権のもとにGNP自由主義国第二位を誇っている日本がりっぱな環境の中で住める、こういうような日本を再来し、世界に模範としてこれを示してもらいたい。また示すための環境庁が発足した、こういうようなことになるように私は心から期待すると同時に、皆さまの御健闘を今後ともに祈って、私の質問を終わる次第であります。
○小林委員長 岡本富夫君。
○岡本委員 環境庁設置法案に対する質問の前に、いま島本委員からいろいろと質問がありましたからできるだけ重複は避けたいと思いますけれども、最初に、この環境庁の生みの親である山中長官から若干姿勢だけを伺っておきたいのです。 それは、御承知のように西ドイツでは四百年で三%の環境破壊をした。しかし、日本は十数年で三倍以上の環境破壊をしている。したがっていま公害列島だ、こういうぐあいにいわれておりますが、そこでこのまま推移しますと膨大な人たちが住めなくなる、同時に、公害の患者がたくさん出るところではもう住めなくなるというような状態であります。したがって、ここで経済の発展が若干鈍化してもほんとうに環境破壊を食いとめなければならぬ、こういうような現状ではないかと思うのです。それに対して政府としてはどういうように考えておるのか、これをひとつお聞きしたい。
○山中国務大臣 これは結果的に、公害防止施設、機器というものは収益をあげない部門でありますから、したがって、その投資は直ちに企業収益にデメリットとして働くわけです。したがって、現在公害企業等の決算期が来ておるようでありますが、無配転落とかいろいろな記事が出ておりますけれども、やはりよき隣人としての存在あるいは反社会的な企業でないようにしたいということを果たそうとするならば、当然収益というものは低下をしてもそれらの義務を果たすための投資をしなければならないという要請がそこにあらわれてきているものと私は思います。この傾向は日本においてはいよいよやはり法的にも政治姿勢的にもきびしく要求されていくものでありましょうし、また地域住民もそう簡単にいままでのようには引き下がらないということから考えますと、政策ではありませんが公害防止をやれ、いわゆる公害というものは出さない企業でなければならぬということを強く要請することによって、結果的に日本の経済成長率なりあるいは企業の収益率の低下ということがある時期もたらされるということは当然のことであろうと考えておる次第でございます。
○岡本委員 企業においてはいま話がありましたように、公害の防止機器あるいはそういった設備をしなければならぬので、若干費用が要る。しかし、国全体といたしますと、大体石油を年間二億キロリットル使っている、このままいくと、新経済発展計画を見ますと、将来、厚生省の調査によっても、これから二十年たてば現在の約八倍の汚染になるというような資料も出してきておりますが、これで八倍にもなったらどうなるかということを考えると、やはり政策的にもいろいろと考慮しなければならぬ時代が来たのではないか。したがって、GNPを若干押えてもここで環境保全というものを考えなければならぬ、そういう時代に入ったのではないかと私は思うのです。したがって、今度できる環境庁については、これは相当強力な権限がなければならないと思うのです。 そこで、いままで厚生省というのがあるわけですが、厚生省は大体人の健康と命を守る、これが役目であるのに、厚生省ではできなかった。したがって、公害対策本部なんかつくったり、あるいはまた今度は環境庁をつくろうとしているわけですが、厚生省でなぜできなかったのか、そこの隘路をよく確かめないと、同じようなことであれば、結局は環境庁ができても同じことになってしまうということでありますから、その点について厚生省でなぜ今日の健康保持ができなかったか、あるいはまた環境保持ができなかったのか、この反省と、それから今後の環境庁はどういうわけだからちゃんとできるのだ、こうした明確なたて分をひとつ国民の前に明らかにしていただきたい。
○山中国務大臣 まず、先ほどの質問の残りが少しございましたが、そのGNPを押えてもという表現ですけれども、これは政策的にGNPを伸ばしておるものでなくて結果の集計でありますから、ある時期において収益は低下すると申しましたが、公害防止機器の設備投資もやはりGNPにはプラスの要素になるわけですし、また日本人のことですから、公害防止産業というようなものをどんどんいままた新しく登場せしめておりますので、そういう意味において国全体のGNPにあらわれる指数としては、公害防止のために金をさいたからそれを押えるとか、あるいは結果的に押えられたとかいう因果関係は若干違うと思うのです。したがって、企業が収益に貢献しないものであっても、そこに投資をしなければ企業の存立も営業も危うくなるということのために、結果収益の低下というようなことがあり得るだろう。またそうなるのが当然だ、ある時期においてはそうだ。それを克服したらまた正常な、他人に迷惑をかけない範囲の環境の企業の活動として、地域住民からも国民からも歓迎される質のよい経済成長を遂げる国でなければならぬと私は思っているわけであります。 第二点の厚生省のほうは、これは厚生省を責めるのは酷でありまして、厚生省からも私たちが無力でございましたからというような答弁をするわけにいきませんし、かといって、私たちの言うことをほかの省が聞かないからというようなことも言えないと思うのです。実際は厚生省が人の生命、健康というものを守る立場から、公害行政に対して確かに国民の立場に立って行動をし、努力をしてきたことは私は認めなければならぬと思うのです。しかし、そのことが的確な効果をあげるまでに至らなかったというそしりは、またある意味で認めなければならぬ点もございます。これは一に行政機構の問題ですから、従来厚生大臣と通産大臣あるいは農林大臣、建設大臣、これは対等の独立した権限を持つ閣僚同士でありますから、厚生大臣が通産大臣に勧告をしたりあるいは命令権を行使したりすることは、実際上でき得ないわけですね。そこでこれでは間尺に合わないということで、その姿勢は厚生省の姿勢というものを中心にいたしますけれども、総理大臣を長とする公害対策本部というものを緊急に出発さして、そしてやはりこれは恒久的な機構にしなければならないだろうということで今回環境庁というものも出発をさせるわけでありますから、今日までの厚生省もやはり努力はしていた。しかし、行政機構のあり方からいって、各省大臣とかりに正常の場合においては並列であっても、対等であっても、事環境汚染、公害防止という問題に関しては、環境庁長官は総理大臣というものをバックに置いて、指揮権限を背後に置いて行動できるのだという役所にしたらいいんじゃないかということで参ったわけでありますから、厚生省にかわりまして私から弁明をさしていただきます。
○岡本委員 厚生省にかわらなくてもよろしいから、あなたは閣僚の一人として、現在の日本の政治のあり方というものをここで反省しなければならぬのじゃないかと思うのです。たとえば、実例を引けば、私どもが富山県のイタイイタイ病をいろいろと調査したときも、それまでに何べんか厚生省で研究班ができておるけれども、それがつぶれておったり、あるいは水俣でもそういうような状態があった。 〔小林産業公害対策特別委員長退席、天野内閣委員長着席〕 そうした企業の圧力によって、結局そうした研究調査がくずれてしまうというようなことでは、これは環境庁ができても同じようなことになってしまうのではないか。したがって、その点をはっきりとここでひとつそういうことにならない、企業の圧力によって研究班がこわれてしまったりあるいはまた調査が不徹底に終わったりしないということを言明しておいてもらいたいと思います。
○山中国務大臣 環境庁ができますと、環境庁は公害研究所等も持つわけでありますから、非常に権威のある、国際的にもたえ得るそういう医学的なあるいは科学的な解明というものに当たる唯一の役所になるわけです。今日までは、あえて通産省というわけじゃありませんが、企業自身で分析調査をしたデータあるいは厚生省が諸種の制約を受けながらつかんだデータというものに食い違いがあった場合に、それのどちらが正しいという権威ある判定というものがなされないまま、論争の対象にされてきたというところに問題があるのではないかと思うのです。今後環境庁というものが出発をいたしますと、ただいま申しましたような権威あるデータというものを駆使して、単に国内のみならず、国際的にもたえ得るものをもってものを言うわけでありますから、今日まで間々見られたような遺憾であった現象というものは絶滅を期さなければならぬと考えております。
○岡本委員 姿勢はわかりました。 そこで、先ほど島本委員から無過失責任についての質疑がありまして、私もこの問題については少し触れておかなければならぬし、聞いておきたいことがあるわけです。重複は避けますけれども、長官は先ほど今国会にこの提案をしたいということであったのですが、公害対策本部ではこういったところの原案は大体三月ごろにでき上がったように思う。ところが今日まで延ばして、さらにここで自民党の了解を取りつけるということになると、あと会期は何日かということを考えると非常に短いのじゃないか。こういうことを考えますと、無過失責任を出したぞ、しかし審議があまりうまくできなかったというようなところで簡単に成立させるか、あるいは成立しなければ、これはもう野党の責任だというように、選挙対策みたいな感じがするようにも言う人がいるわけでありますけれども、大体何日ごろには提出をするのか、この点のめどがはっきりなければ、もう会期は何ぼもないわけですね。この点いつごろにめどをつけておるのか、はっきりしてもらいたい。
○山中国務大臣 そうたいした問題はもう残っていないと思いますが、これから法制局で詰める時間がございますので、できれば今週中ということを先ほど申し上げたのですが、党との調整その他が若干残っておりますし、関係部会の開催の日取りが最終は木曜日という部会もありますので、あるいはそのとおりに運ばないかもしれませんが、なるべく国会において実質審議というものが相当行なわれるような期間だけは置きたいと思います。さっき島本君は完膚なきまでに議論すると言われたのですが、完膚なきまでにということはやっつけるという意味であって、そうじゃなくて、徹底的に議論をするという意味では私は賛成であります。野党共同提案のものも一つありますし、私たちも今度政府として責任を持つものを出す、その範囲がどうなっているか、あるいはそれはなぜそうなったのか、それならば国民の目から見てそれでいいのか、そんな法律ならもう成立させないほうがむしろましだという結論に国民の審判が下るか、いずれにしてもそういう実質の中身の議論をぜひする時間を持たなければいかぬと私は思います。ですから見せかけだけで法律を出すなんということなら、私も環境庁長官に残るはずはありませんし……(「残るよ」と呼ぶ者あり)まあ私の推測であります。わざわざ苦労して会期末に出して、そうして一生懸命皆さんと汗水流しながら議論をするということは、一人間としての立場からいえば、もういいじゃないかという気もしないでもありません。しかし、そういうことをやってはならない立場が公害担当大臣の私でありますから、少なくとも参議院で最終日の夜中に成立してもいい、要するにそれまでの間に十分議論を尽くし、お互いが一致するところを見出して、合意点を見出した法律にしたいものであるということで、今国会の提出ではなくて成立を期しておるということを御了解賜わりたいと思うのです。
○岡本委員 そこで、先ほども出ましたが、複合汚染を抜いたりいろいろなことで非常に不満足でありますけれども、先国会においても公害罪が最初出してきたのは「おそれ」を抜いたということになって非常に問題になったわけでありますが、大体いまの原案のままほとんど了承するかどうか。またこれ以上骨抜きになったら何もなくなってしまうわけでありますけれども、その点の見通しあるいはまた考え方をひとつお聞きしたいと思います。
○山中国務大臣 原案というものを確実にこれだというて資料で提出するところまでまだいってないことは、先ほど来申し上げておりますが、中央公害対策審議会にかけましたので、政府の提案する内容というものはおおむねはっきり出ておると思います。そのことを前提に申し上げますと、大体そのとおりにまいるであろう。ただし、その場合において、かけてありまする審議会の了承を賜わりましたものは硫黄酸化物が入っていないということでございます。したがって、党との間においてもまだその議論をいたしておるということを先ほど来正直に申し上げておるわけでありまして、そのことを前提にいたしまするならば、提案いたしまする際は中公審にかけたそのものが法律案として提案されるであろう、それ以上の後退はないということははっきり言えると思うのです。
○岡本委員 そうすると提案をされる長官の考え方ですね。根本の姿勢として、大気汚染と水質汚濁だけでありますけれども、無過失賠償責任をここに入れる。それが大気汚染のほうでは硫黄酸化物を抜いている。非常に後退した、どっちかといえばほんとうに骨抜きみたいだと思うけれども、しかし、一応こうして成立させようということはわかるわけでありますが、その背景ですね。なぜ無過失賠償責任をここに成立させようとするのか。おそらく公害の被害を受けている、少なくとも健康被害を受けている人たちを救ってあげよう、救わなければならぬというような考えで法案を出してこようとしていると私は思うのですね。その点は間違いございませんかどうですか。
○山中国務大臣 もちろんそうであります。だから私としては現在係争中のものの中で四日市、あるいは現在の川崎の公害等が入らないことになってはたいへん問題だということで、ずいぶん長時間の議論をしておるということを率直に申し上げたわけであります。これは政治の姿勢としても、昨年総理大臣が国会ではありませんが一日内閣で、非公式なものであると申しましても、無過失の問題については早急に検討してやるということを言っておられますから、それを昨年の公害国会といわれた臨時国会、そして今回の通常国会、二国会を通してもなおかつ提案できないというのは——総理の政治姿勢、総理自身が言われたことばそのものを実現する姿勢においても、今国会も提案しないということはあってはならないことだ、義務だと感じておるわけであります。そういう意味において、私は使命感を持ってこの法律を提案するつもりだということを御理解願いたいと思います。
○岡本委員 ただ総理が一日内閣で言明したとかあるいはまた先国会で出すということを言ったから、これは責任上出さなければならぬというようなものではないと私は思うのです。そうでなくして、いまこうして被害を受けている人たちをほんとうに救済するというのが根本の考えでなければならぬと私は思うのです。おそらくあなたもそういう考えではあろうと思うのです。そうであるならば、いま一歩前進した考え方に立つならば、加害者の挙証責任の転換ぐらいは併用してあなたが提唱してこの法案の中に盛り込むとか、あるいは何らかの方法で被害者を救済していこうということを考えなければならないと思うのです。いま各所で裁判が行なわれておりますけれども、結局被害者というのは弱い立場です。またいろいろと証拠を出すことができない人たちなんです。その人たちを救うためにはやはり挙証責任の転換ということがここでは一番大事ではないか。この法案を出してきたあなたの精神からすればそこに一つの考察がなければならぬ、私はこういうふうに思うのですが、それについてひとつ国民の前にあなたの姿勢を明らかにしてもらいたい。
○山中国務大臣 まず前の質問に関連をいたしますが、総理が言ったからやらなくちゃならないのだ、食言をするわけにいかぬのだということではありません。最初二つに分けて申し上げますと申し上げた前段は、現在の公害裁判といわれる裁判の現状というものを、何ら法律上なすところなくこれ以上ほっておいたらいかぬ、二度とこういうものを起こしちゃいかぬということを担当大臣として使命感を持っておりますということであります。そして政治の姿勢としては、そういう経過をたどっておりますから今国会でぜひとも御審議、成立を願いたいと私としては念願しておる、この二つに分けて申し上げたつもりであります。 それから挙証責任の転換、すなわち立証はどちらがするかという問題と無過失賠償である。それはもう特別な事由によるものでない限りは賠償を負うのだ。これは法律の形態としてはどちらのほうでもよろしいわけでありまして、それぞれ一長一短はありますけれども、挙証責任転換の法律であればそれで全部を貫かなければいかぬと思いますし、しかし、その場合には無過失賠償の責任というものは負わされていないという形でうらはらの問題がございますので、ここらから先は、私も法律の専門家じゃありませんから、場合によっては法務省なりうちの事務当局の助太刀をお願いしたいと思うのですけれども、要するに無過失賠償というものでいければ、それは立証責任の転換というものを要しないということの意味で、今回はむしろ第一段が立証責任の転換であって、もっと前進すれば無過失賠償法であるということで、一つ前進したものとして無過失賠償にかかるものとして大気と水質という物質を掲げたということにしておるわけでございます。
○岡本委員 長官、話をかえてもらったら困るのですよ。私がいま言っているのは、複合汚染あるいは硫黄酸化物を抜いているわけですが、これを抜いているとどうしてもほんとうの救済はできないわけです。そこでいま、たとえば川崎あるいは尼崎あるいは大阪といったところで被害を受けている人たちが裁判を起こした場合は、私のところではありませんという証拠を企業のほうから出してきて初めて被害者の人たちは救済されるわけですよね。ですから、いま無過失賠償責任の制度が出たからこれで救われるのだというんじゃなくて、それで抜けた分は今度はこっちのほうで何とかするというような二つの手段がなければならない。その点を一緒にして、ではこっちを出しておるからもう必要ないのだというような考え方は国民もちょっと納得しない、こういうふうに私は思うのですが、その点について……。
○山中国務大臣 質問の意味はよくわかります。これは公害罪の議論のときも法務省にお願いをした法律ではございましたけれども、十分議論はしておりますが、複合汚染については、同じような議論でもって結果的には困難であるということに結論が出たわけです。 そこで、立証責任転換を盛り込んでそれで形が通れば済むんだと言われますけれども、一つ一つの企業は定められた排出基準その他を守っていても、それが複合して複合汚染という形をとった場合に、一つ一つの企業の責めには帰せられないけれども、全体としてその地域に人身被害、健康被害が起こる。その場合において立証責任をいわれても、おそらく一つ一つの企業は守っておるのだと思うのです。守っておる証拠を出せると思うのですよ。しかし、それでは済まない問題だと思うのですね。 だから、どうしても今後の検討課題としては、そういう場合においても複合して汚染が起こった場合においては加重されるわけですから、あるいは地域が移動して被害が起こるわけですから、そういう場合において無過失賠償というものを取り入れる場合にはどのようなことが必要であるかという問題を、これは純法理論としてもう少し詰めないと、ここでただ硫黄酸化物を入れた、したがって大気汚染の一番の犯人をつかまえることができたといえるかどうか、そのことがやはりまだ自信がないということでございます。
○岡本委員 現在の拡散方式やあるいはまたK値、ああいうものでやっている間は、ほんとうのところからいえば、いつまでたっても解決しませんよ。しかし、この問題については、あなたのほうから無過失賠償責任の法案が出てきたときにもう一ぺん審議しましょう。一つだけ言っておきたいことは、現在の基準値というものは将来大きな問題が起こってくる。けさのNHKのテレビを見ておりましても、いろいろと基準を出してきても、その基準は非常にあやふやだ、PPMというのはわからぬというのです。あいつPPMだと言うと、全然わからぬということになっておるわけですね。だからもっと絶対量、そういうものの規制をしなければならぬという時代に入ってくると私は思うのです。ですからそういう面からも、根底からも変えなければならぬ時代にもうすでに到達をしている。したがって、そういう面から考えても、被害者をほんとうに救済して、国民の健康を守ろうという環境庁の長官が、もしもその設置をする産みの親である山中長官であれば、そこまでも考えていかなければならぬと私は思う。それだけをひとつ要求しておきまして、次に移りたいと思うのです。 そこで、先ほどお答えの中で、この環境庁は環境保全に関するすべての権限を持っておる。二月二十五日の本会議におけるわが党の大久保君の質問に対しても、佐藤総理は、「基準の設定や取り締まり等に対する指導、監督は、各省との共管や協議事項とすることを避け、環境庁の専管で処理する方針をとりましたので、御了解をいただけるものと考えます。」これは間違いないと思います。そこで一つの事例を申し上げますれば、先ほどあなたもちょっと触れられましたけれども、騒音の環境基準の決定について、これは山中長官が先国会でもたびたび三月の閣議で決定するということを約束されたわけであります。これはこの間当委員会でいろいろと質疑したわけでありますけれども、厚生省としては生活環境審議会の答申に対して、建設省やあるいは運輸省、そういうところから横やりが入ってなかなかきめることができないということになっている。そこで環境庁ができてこれを調整する、または環境庁だけの考えでこういった環境基準をきめられるというように解しますれば、騒音の環境基準、これはもう私どもが調べたところ、あるいは各省が調べた人体に影響のあるところの公害の中で、交通振動あるいは騒音というのが一番数が多い。被害の中で約五〇%ですね。ですから、やはりどうしてもこの環境基準というものをきめて守らせなければならない。そのためにはいろいろな問題が起こってくるだろうけれども、やらなければならない時代が来ておる。したがって、これについての決定に対するところのお考えはどうであるかということを聞かせていただきたいと思います。
○山中国務大臣 先ほども御答弁いたしましたとおり、一部新聞に報道されたような若干の意見の違いがございます。建設省としては、運輸省の自動車関係者も含めての話でありますが、そのような環境基準を達成する場合において、自動車の走行速度というものを二十キロ以下に押えなければ達成できない環境基準である。あるいはスピードを一定以上出すと、普通の排気騒音とか、そういうもの以外にタイヤの摩擦音というものが反比例して加わっていくというような意見等もいろいろ専門的にありまして、難渋しておるようであります。そこらでこだわっておってはしようがありません。やはりだれのためにつくる基準かということでありますから、そのためにはマスキー法の例を引くまでもなく、相当きびしいものであっても、それに合致するような、努力目標値でありますから、やはり妥協すべきところは妥協してもらうために、公害対策本部として先週からこれに介入をいたしました。でありますから、間もなくこの調整が終わるものと信じております。
○岡本委員 もし調整がつかないときは、環境庁長官として独自にきめることもあるのか、この点をひとつはっきりしておいていただきたい。
○山中国務大臣 現在は環境庁長官ではございませんが、公害対策本部副本部長、公害担当大臣として、両者調整つかざるときは私の手元で裁断をして決定をいたします。
○岡本委員 じゃ、ついでですから、いつごろを目標にしておりますか。
○山中国務大臣 まあ十日間ぐらいのうちにはやっつけてみましょう。
○岡本委員 えらい簡単にやっつけてみましょうなんて、みましょうだけで、やると言わなかった状態ですからね。 報道によると、生活環境審議会がかんかんになって申し入れておる。中にはこれから新しい道路は基準に入れるよう、再度申し入れたと報ぜられているのです。ですから、あなたがいまおっしゃったように、国民の健康のための基準でありますから、それでは十日間お待ちしておりますから、ひとつはっきりしたものをきめていただきたい。これも達成期間というのはこれから五年というようなことになっておりますから、そうするとその間にいろいろな手段が講じられるわけですが、いつまでもこうしてお互いに各省が寄って反対をしておったのではどうしようもない。こういう時代に来ておると思います。 次に、環境庁ができまして一番問題になってくると思うし、また現在も問題になっておるのは、法案の中にありますところの常時監視あるいはまた測定、こういうようなものでありますけれども、これに対しての明確な地方自治体に対する指示がない。地方自治体に対しては、ただ常時監視を行なうことというような一項目がちょっとあるだけですが、こういったものはやはりはっきり国で定めておかなければ地方自治体でも困ると思うのです。そこで、西ドイツにおきましては、一平方キロに一カ所というようなことで測定点を都市部においてはきめてはかっておるわけです。しかも測定機器をきめて、こういう機器でやりなさい。私、過日調べたところによりますと、そこの汚染が非常に多くなりますと、測定点を移動しているのです。そしてデータを出しているのです。データの上ではなるほど少なくなっているように見えるけれども、それはよく見ると測定点を移動している。これでは何も公害対策ができているのではないわけです。国民を欺瞞しておる。こういうようなことでほんとうの公害対策ができるのかと思ったら、もうほんとうにはだ寒く感じましたよ。したがって、国としてやはりそういった西ドイツのような測定点あるいは測定機器、こういうようなものをきちんと規定して、そして環境基準を守らしていくというのでなければ、私は、将来解決しないのではないか、こういうように思うのですが、これについての御意見を伺いたい。
○山中国務大臣 一応そこらのこまかな問題は私も把握しておりませんので、関係役所から答弁が必要であればさせますが、移動した、あるいは測定点をふやしたために、全体の汚染値というものが相対比でもってやると低いような数字に——うその数字じゃないのですが、実態と少し違う数字のような印象、薄めたような印象を与えたのかよくわかりません。しかしながら、今後は外国の例等もやはり勉強しなければなりませんが、そういうような監視測定のあり方あるいは監視器材等の統一規格、そういうもの等について、やはり国立公害研究所というようなところで絶えず、先ほど来申しますように、同じものでもって同じ値を出して同じ対策を講じていくというような普遍的なものにしたいというのが念願の一つでありますから、あるいは過去においてはそういうあやまちをおかしているかもしれませんけれども、そこらの具体的な点については、私よく承知いたしておりません。
○岡本委員 ことばじりをつかまえてまことに申しわけないのですけれども、山中長官が公害対策本部の副本部長になられてもうだいぶになると思うのです。しかも本部長は佐藤総理でありますが、いままで出てきたこういったデータを見て、あるいはまた視察に行かれて、そういった面についてお気づきにはならなかったのかどうか。また、私は当委員会においては、たびたびこの問題はやかましく言ったわけでありますけれども、厚生省のほうからの報告もなかったのか、あるいは通産省のほうからの打ち合わせもなかったのか。こういうようなことを考えますと、非常にこまかい問題といえばこまかい問題でありますけれども、結局いろいろな出したところの公害の物質がはっきりと測定されなければ、これは非常に問題だろうと思うのです。したがって、やはりそこまできちっとした——これはすでに西ドイツあたりのものもやはり出ておるわけですから、すでにお読みになっておると思うのですけれども、ほんとうに環境庁によって、環境を保全し国民を守ろう、こういう考えであれば、やはりそこまで行くべきではないかと私は思うのですが、ひとつ長官の今後の考え方、もしも環境庁の長官になったり、あるいはまた、環境庁の長官に今度はやはりこういうものがあったと要請しなければならぬと思うのですよ。ただあのとき質問されたからそれだけ答弁しておいて、いまに至った、今度長官はだれになったかしらぬ、そんなことではつくった人の——親はやはり子のめんどうを見なければいかぬ、このように思うのですが、その点について……。
○山中国務大臣 もちろん、引き継ぎについては将来の問題点まで全部指摘した詳細な引き継ぎもしなければなりません。どこに私おりましょうとも、そういう問題についての行政については、事務当局もおるわけでありますから、今後も相談に乗って応援していかなければならないと思います。 そこで、出発以来、昨年八月からでございますからもう相当月日もたっておるのに、そういう恣意に観測しておる、動かして、数値の低いところに移動したんだということを報告も何も受けていないのかという話でありますが、恣意にやっていれば報告し切れないわけだと思うのですね。またそういうことを私はやっていないと思うのですけれども、もしそういう事実等が、具体的に先ほどから何か言われておるようでありますから、あるとすれば、厚生省のほうで何かその理由がありましょうから、御説明をいたすと思いますが、少なくとも数値その他をごまかすために観測器材を移動したり、測定地点をかえたり、そういうようなことでごまかせる時代はもう去ったのだということだけははっきり私は明言できるし、環境庁というものは国民の側に立ってそういうことを行なわなければなりませんし、国民の監視の目、期待の目というものが環境庁自体の姿勢でなければならぬというふうに考えますので、そういうことは今後は絶対にないだろうと私は思っております。
○岡本委員 私、これは当委員会で何べんも話をしたのです。どこということを指摘もしておるわけですけれども、あとの調査もなかったわけです。そういう事実を、私はその状態を見てきておるわけですが、それはそれとして、その問題を私はいま取り上げてとやかく言うのではなくて、長官、お見せしましょうか。西ドイツあたりではちゃんとこうした地域内を、ここをこういうように分けて、はっきりと地図をこしらえて測定しておる場所を全部明示をしておるのです。そうして測定機器もきちっと分けて初めてほんとうのデータが出てくると思うのです。したがって、やはりこういった一つの類型と申しますか、そういったものをつくらなければならぬ。こういうことも、今度は山中長官は将来の環境庁長官に話をしてやらしていくという考えがあるのかどうか、これをまず一つ聞きたいのです。 もう一つだけ、ついでだから聞いておきますが、いま亜硫酸ガス、特に火力発電所においては非常にやかましくいわれておりますけれども、たとえば尼崎市の火力発電所の亜硫酸ガスは市全体の八〇%に及ぶ大気汚染の原因になっておるわけですね。それについてどうするかというと、これはやはりどうしても排煙脱硫装置を早く完成をして、そして排煙脱硫をつければ、これは煙から取ってしまうということで、これは私も何べんもやかましく言ったのでありますけれども、現在の姿勢は排煙脱硫装置を企業にやらしておる。企業のほうはなるべくゆっくりしたほうが、それはあっちこっちつけなければならぬということになると非常にコストがかかるからできない。だから、もっと政府主導型の、やはり環境庁あたりで金を出して、そうしてこういうものができるのだというかちっとしたものを技術革新、技術開発をしなければならぬと思う。いま通産省の工業技術院においては、小さなプラントみたいなものができたらしいのですけれども、それもほんとうに活用しなければ——活用するところにおいてどうなるか、やはり設計が変わってきたりいろいろすると思うのですけれども、こういう技術開発について力をどういうように入れるのか、あるいはまたそういった面をどういうように考えているのか、これをひとつ国民の前に明らかにしていただきたい。
○山中国務大臣 先ほどの西独の例をとっての、一つの参考としてのそういうことを考えてみるかということ、これはだれがなるにしても、そういうことを将来やっていく姿勢があるかということでありましょうが、これは各国それぞれいろいろなくふうをこらしておりますから、なるべく各国のいいところは、日本はどんどん、ものまねじょうずな国といわれても、この点は私かまわないと思いますので、そういう点はやはり日本に最も適した方法があれば、日本独自の方法でもよろしいし、外国でいいものがあれば、日本はそれを採用するにやぶさかであってはならぬと思っておりますから、そういうことはきちんとした将来の検討点の中に入れていきたいと思います。 それから排煙脱硫の問題、これは通産省に答弁してもらったほうがよろしいと思うのですが、私もまだ現在研究の段階で、実用化に一、二カ所踏み出しておるということはちらっと聞いておりますけれども、この専門の分野については通産省当局の答弁をお願いしたいと思います。
○岡本委員 これは答弁をもらってもしかたがないわけです。現在の通産省の姿勢というものが——長官、よく聞いておいてください。今度環境庁になったら、権限を持ってどんどんやらしていくという立場の上から私は言っておるわけです。それでなかったら、環境庁ができたって何にもならぬ。厚生省と同じだったら何にもならぬ、そういう立場から一つ一つ提案をしているわけですから。 もう一つ提案がある。それは常時監視の問題でありますけれども、測定点をきめると同時に、今度は、一年のうちに何回やるというようなこともいまのところはっきりしていないのです。常時だから毎日なのかというと、いや毎日ではございませんという答弁が来る。これもやはり国できちっとした基準というものをきめなければ私はならないと思うのです。 それからもう一つ、緊急時には低硫黄に切りかえをするようになっているのです。ところが、切りかえるところの低硫黄の燃料は何日分保持しなければならぬ、こういうところの明確な指示もない。西ドイツでは大体八日間、これはいろいろと気象状態を調べて八日間ということになっておるのですが、こういった面も明確に国のほうで基準をきめてやらなければならぬと私は思うのですが、いかがですか。
○山中国務大臣 常時監視の問題のきちんとした基準をきめること、これも必要だと思います。さらに緊急時低硫黄の正常なる状態のときの備蓄量というようなものも、個々の企業の問題もですが、国家としてもやはり正常なる供給の体制の確立と同時に、緊急時の備蓄量というものを、ある程度一般の石油の、たとえば六十五日分を国として備蓄するためのCTS計画その他を計画しておるように、低硫黄についてもやはり国が大体どれくらいの備蓄を持たなければならないかというようなことは、通産省とともに常時研究をして、実現可能な数値を要請することができるならば、そういう数値もやはり定めておく必要がある大事な点の一つだというふうに思います。
○岡本委員 そこで、環境庁の中身を見ますと、実施官庁と調整官庁の両方が併用されたようになっておりますけれども、いままでの経済企画庁や公害対策本部のような、ただ調整だけでは相ならぬと思うのです。やはり主導権を持ったところの調整でなければならない。それには私ども野党がいろいろと考えたシンクタンク、あらゆるところの学者を含んだシンクタンクをつくって、網羅したものからいろいろと答申を受けてやらなければならぬと私は思うのです。それでなければ主体性を持ったところの環境庁にならないと思うのです。ですから、生態学者から土木あるいはいろんな専門家の数がなるべく多いほうがよいと思うのです。そういったシンクタンクのようなものを考える必要があると思うのですが、これについて長官の御意見があったらひとつ……。
○山中国務大臣 それも一つの御提言だろうと思いますし、また審議会等をいかに活用していくか、現在の中公審というものがそのまま残りますが、それぞれに部会を設けて——なるべく簡素化いたしましたために、部会を設けることによって専門的に深く広くある分野について究明したものが、今度は中公審の中に構成員としてその意見が上がっていくということは、いま考えておるわけであります。しかし、将来にわたっては、頭脳という問題になりますと、国立公害研究所にどの程度の国際的なりっぱな学者が集められ得るのか、研究者の充実がはかられるか、さらにまたそれ以前に出発いたしますデータバンク等の機能というものがより有効にされるように、国民のためにもあるいは住民のためにも、企業のためにも、国際的にも公開し、もしくは相互に利用し合うような体制ができるかどうか、そういう問題にかかってくると思います。いまのシンクタンクの構想も、データバンクや中央公害対策審議会のそういう内容の部会の活用、そういうことによって、やはり名前は違いましても同じような方向に進んでいくための法案を出しているつもりであります。
○岡本委員 現在政府が考えておるようなこの審議会では、ただ専門分野だけになりまして、たとえば騒音なら騒音あるいは水質汚濁、その専門の分野だけの答申であります。それだけではほんとうの環境保全というものはできないと私は思います。たとえば環境庁の権限あるいはまた勧告、いろいろなところを見ますと、やはり国土開発の問題とかあるいは建設の問題とか、いろいろな問題に対してチェックをしていく、そういうことを考えますと、国土全体から見たところの総合的ないろいろなものを検討するところのシンクタンクでなければならない。ただ一つの部会だけではほんとうに視野が狭くて、ただそれだけのものになってしまう。だから国土保全、環境保全の上から見れば、いろいろの学者あるいは生態学者、いろいろな人を入れたところの将来の国土環境保全計画をつくらなければならぬと思うのです。それにはただ一部の専門家に一つずつ部会を持ってやったのでは、これをまとめる人がなければならない。ですから非常勤でもよい。したがって、そういった大きなあらゆるものを総合したところのシンクタンクというものをつくる、そしてその専門分野については、いまあなたの話があった審議会あたりに検討させてもよいのではないか、こう思うのです。ちょっとあなたの考えと違うのですが、ひとつその点についての将来の計画について構想をお聞きしておきたい。
○山中国務大臣 あるいは私の説明が少し足らなかったのかもしれません。中央公害対策審議会という、いままでの審議会のままではないのでして、その審議会にそれぞれ水質とか大気とか生態学その他も含めたいろいろな部会をつくりまして、それぞれの部会で討議される、その部会の構成員の責任者が中央公害対策審議会の委員としてメンバーに連なっておるということでありますから、そういう構想のもとに中公審の運営をやっていきますと、中公審という中に一つ一つの分野というものが全部直結して中に入ってきます。いままでのように水質は別な審議会でやっておる、大気は別にやっているというのではないのです。今度の中公審の構成員のメンバーの中にそういう部会が入っていくということになるので、私の説明が少し足りなかったのかもしれません。
○岡本委員 では最後に、もう一つだけ念を押しておきたいことがあるのです。 今度公害病の救済の所管も環境庁でやるというようになっておりますが、これは少し前に当委員会で厚生省から答弁をいただいておるわけでありますけれども、公害病の認定について、一つは、現在指定地域が非常に限定されておりまして七カ所しかありませんが、これをもっとふやす考えがあるかどうか。それからもう一つは、指定地域以外に移転した人、この人たちの救済もちゃんと入れるように今度の法改正でするのか、これを何とかするという話がありましたが。 同時にもう一つ、私きょうは長官にお聞きしておきたいことはいま大気と水だけしか救済の対象に入っていないのです。航空機の騒音による被害、これは私いまから三年前だったか、佐藤総理に約束を取りつけまして、航空機の騒音による人体試験、被害調査をいまやっておるわけですけれども、すでに私、現実の証拠を見ますと、航空機の騒音によって引きつけを起こした、それによって医者にかかったりいろいろやっておるわけでありますが、こういったものが明らかになってくれば、大気と水以外のこういった公害病にかかった人たちの被害も救済するように将来考えていくのかどうか、この点についてもひとつ……。
○山中国務大臣 詳しくは事務的に厚生省から答弁をさせたいと思いますが、いまの地域の拡大あるいは公害地域において罹病したと思われて他地域に住んでいる人たち、そういう問題についても具体的に検討が進んでいるようであります。さらに航空機騒音については、附則でなお今後検討するということをはっきりと書いてございますので、これはいまのところまだ結論を出せる段階に至っていないということだけでございますから、これは引き続き検討して、ただいまのような問題もやはり人間の生活上健康に影響を及ぼすような被害が実際上想定されますので、そういう問題についての対策を今後検討していくという姿勢は打ち出しているつもりでございます。
○岡本委員 健康被害の救済の検討をして、そして法改正もしなければならぬと思うのですが、また法の運営もあると思います。厚生省は来年の二月に法改正をするというような話をちょっと私聞いたのですが、この点についてもう一ぺん確かめておきたい。いつごろ法改正に持っていくのです
○曾根田政府委員 来年二月というのは特別な——私は二月というようなことばを使っておりませんが、いずれにいたしましても来年度の予算に当然関連するわけでございますので、来年度予算に要求し、そしてその中身によっては、法律改正を要するものは来年度予算関連法案として国会に提出する、そう申し上げたつもりでございます。
○岡本委員 最後に長官に。関西新空港の問題が出ているわけですが、大体本年中に決定するのじゃないかというような話も出ておるわけです。これも人体に対する騒音の被害というものを非常に心配しているわけですが、この設置に対する検討についてやはり環境庁としてもいろいろと意見をいれ、そして国民の健康に被害がないようなことを考えておるのかどうか。この点について。
○山中国務大臣 特定の場所の問題は別といたしまして、そういう問題については、当然環境庁長官というものは環境庁設立後はそういう問題に対する意見あるいは協議、報告、そういうものを求めるということになると思います。
○岡本委員 それでは約束の時間ですから、質問を終わります。
○天野委員長 西田八郎君。
○西田委員 先日も、公害対策特別委員会で総理を迎えましていろいろ議論したわけでありますけれども、どうももう一つふに落ちない点があるので長官にお伺いするわけでありますが、政府の環境保全に対する基本的な施策を施す上での基準というものを一体何に置いておられるのか、この点をひとつお伺いいたしたい。
○山中国務大臣 まず第一点は、不幸にして日本において公害現象というものが現在いわれているような姿になっておる。こういうことを今後は絶対に防止し、あるいはそういうことが起こらないようにすることがまず第一義的な任務でございます。さらにその次には、諸外国に劣らない姿で環境破壊というものに対して立ち向かう、環境を保全する姿勢というものを日本は環境庁によってもう一つの大きな柱として樹立をしていきたい、こういうことでございます。
○西田委員 そうしますと、人間が生活していく上において必要な環境を保全するということになりますと、現在起こっております公害というものは、人間が生活をするのに必要な環境というものを無視して、言うならば破壊をして起こってきておる現象をとらえて公害といわれているのじゃないだろうかと思うのです。 そこで、昨年のいわゆる公害国会において公害対策基本法が改正をされて、第二条の経済関連条項というものが削られたわけであります。ところが先日、総理に対してお伺いいたしましたときには、総理は経済成長というものをとどめずして環境の保全を期していきたい、こういう答弁であったわけであります。ところがどう考えましても、現在の経済成長あるいは経済の進行度合いというものをそのままにするなら、これはいまのままの環境ということになるわけであります。それをよりよき方向で保全をし、それを改善していこうとするなら、その経済活動というものをある程度押えなければどうにもならないというふうに考えるのですが、この点、長官どうお考えになりますか。
○山中国務大臣 これはものの言い方の表裏の問題でもありましょうし、角度の問題でもありましょう。要するに日本の命題は、公害を克服して、なおかつ資源の乏しい国でありますから、貿易に依存して国民が発展していかなければなりませんが、そういう意味における生活の向上というための経済の発展は続けていかなければならぬ。いわゆる公害を克服して続けていくということであります。でありますから、先ほどの質問にも答えましたように、その過程において企業利益に貢献をしない投資、設備というものをいたしました場合のデメリットというものは、少なくとも現象面としても実績面としても、その会社に関する限りあるいは経済指標に関する限り、収益率の低下あるいは企業利潤の低下というものになってくる時期が現在の時期である。しばらくはそういう状態を余儀なくされる。それはいわゆる国民の要望であり、国際的に日本が公害への投資を怠ってダンピングをしておるという疑いを事実自分たちの姿勢でもって晴らしていく唯一の手段であるというふうに考えておりますから、大体おっしゃることと違ってはいないと思いますが、人為的に経済成長を押えたからといって公害投資を怠っていれば、やはりいまの状態ということになるわけでありますから、これはもういまの状態をなくする、そして克服して前進するということだと思います。
○西田委員 そこで問題になってくるのは公害防止技術の開発ということであろうと思うのです。これは私は昨年の連合審査のときにもお伺いしたわけでありますけれども、たとえば電力が今日多少需要が減っているとはいわれるものの、おそらく家庭電化製品等の普及によって、今後相当電力需要というものは増大していくであろうと思われるわけであります。ところが片一方においては、それでは電力の発電量はどうかということになってくると、これは需要に応じ切れないという実態であります。東京におきましても大阪におきましても、この電力需要を満たすためには相当無理な発電所の稼働をしなければならないわけであります。そうすると、どうしても火力発電所というものも稼働していくということになると、ここでは重油をたき、重油をたけば亜硫酸ガスが出る、そうして大気汚染という問題が出てくるわけであります。一方今度は国民の生活の中では、冷蔵庫がとまりクーラーが——クーラーといえばぜいたく品だと思いますけれども、クーラーがとまるあるいはまたテレビが自由に見られない、電気掃除機も使えない、洗たく機も使えないということになってくると、国民の生活環境に非常に大きな影響を及ぼしてくるわけですね。そうした場合にこれをどうするかという問題ですね。そこで排煙脱硫なりあるいは原油脱硫なりいろいろ開発はされておるとは聞いておりますけれども、まだこれが普及化するところまでは行っていない。こう言われたときに一体国民に、現在の生活はより豊かになったのだからそれを押えてしんぼうしなさいと言うのか、国民の需要を満たすために、ある意味においては多少の大気汚染はしかたがないのだからしんぼうしなさいと言うのか、そのどちらをとるべきであるか、きわめて私は重要な問題だと思うのです。その辺について、それではローサルファーの重油をどんと買い込んできて、そうした大気汚染を防止するという措置をとられるのか、一体その措置をどうしようとされていくのか、その辺のことがはっきりしないと経済発展は——とにかく安定成長を遂げていくのだということは、去年の生産量よりもふやしていこう、また国民需要にこたえていこう、片一方ではそうしたことから起こってくる現象としての公害を押えよう、これはとてもじゃないが両方を調和するということは困難である。一体その辺は政府としてはどちらをとられるのか。総理はこれに対して両方調和をとっていくのだと言われるけれども、そんな調和がとれるくらいなら、いままでこんな苦労をしなくて済むと思う。その辺のところをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○山中国務大臣 これは通産大臣がおって御答弁いただくのが一番適確かと思いますが、東京電力の銚子発電所にしても、あるいは関西電力の京都の発電所にしても、やはり公害という問題はいままでのような概念でもっては企業の新しい立地はできないのだということを如実に示している例だと思うのです。しかし、一方においては、これはたまたま電力問題でありますが、こうやって拝見いたしますと、昭和六十年の電力というものはどうにもならないのだという推計がある。大体来年あたりからはピンチを迎えるようなことを予測されておりますけれども、こういう両者の間にはさまって何をなすべきか。これはやはり企業が住民の納得する条件の、公害を発生させないぎりぎりの条件の企業施設という条件を示して、住民側との協定なりあるいはそれらの了解をとるための投資をして、企業利潤に直接に貢献しなくとも、そういうときにこそ電気、ガス、そういうものが公共的な性格があるからということで適用除外にも大気、水質等でなっているということの半面の義務を負わされているものだと私は思う。したがって、そういう意味においては企業からいえば相当むだな投資に近いものであっても、立地をするためにはそれをやらなければできないのだ。そういうことをしないでほっておくなら、広域供給としての、基礎的エネルギーとしての供給を行なう公益事業としての使命をみずから放棄するものであるということをそしられる可能性は私はあると思う。やはり企業者の自覚があった場合においては国において事業団融資なりあるいは開銀なり、その他の零細企業等もありますが、畜産事業団から農林漁業金融公庫に至る畜産公害防止施設の融資なり、そういうものにきめこまかくやると同時に、公益に貢献しない事業でありますから特別償却等の恩典もあわせてこの際考えたわけであります。国としてはそういう姿勢を示しておりますから、あとはやはり企業の自覚、しかも公益事業であるならばなおさらのことであるという問題ではなかろうかと私は見ております。
○西田委員 そうすると、それは企業が全部の責任を負うということになってくるわけですから、企業としては幾ら公営企業といえども営利を目的とした企業である限り収益を度外視しての企業というものは成り立たない。そうすると、そこに膨大な公害投資をしなければならない。しかもその開発はまだ十分すぐに対策ができないというような場合には、その対策が確立するまでは待たざるを得ないのですか。そういうことを認めるのですか、どうなんですか。
○山中国務大臣 どうも通産大臣がおりませんので、私はしろうとに近いのですけれども、そういうことは企業自体も研究してやってやれないことはないし、また事実それぞれの地域においてこれ以上の複合汚染に貢献してもらっては困るというようなところにおいては、ちょっと政府から見たら常識以上のきびしい基準をのんで、それの目的を達成することを約束にして立地をしておる企業等があるわけです、電力も含めて。そうなりますれば、やればやってやれないことはないのだということが現実に私は証明されていると思います。何も企業を敵視しただけでもって日本の今後の生活というものはあり得るものではありませんし、それならば原始生活に返ることが一番いいわけですけれども、そんな暴論は与野党だれ一人吐いていないわけですから、やはりそこに企業の良識というものが——国等が何もしないとは言っていないわけでありますし、みずからの研究所等もみんなお互いに持っているようですし、そういうところで日本人の英知というもので住民のあるいは地域の住民の代表者たる人の了解を得られるような開発研究の努力は、国に意見ばかりしていないであえて自分たち自身も努力をしませんと、たとえば自動車産業がいかに輸出がいまいいといってわが世の春を謳歌しても、一九七五年のマスキー法案というものは現実に大統領が署名をいたしております。わずかに残されたものといえば窒素酸化物の一年の猶予があるかないかくらいのところであって、なおかつアメリカの自動車会社もそうですから責められませんが、日本の企業も行ってアメリカの公聴会でそんなことはとても無理でございますなどと言っていますけれども、しかし、一九七五年は正確に秒を刻んで近寄ってくるわけです。私はそこらに今後企業というものが単に企業内の従事者というものとの人間関係ばかりでない、社会的な問題について自覚を持つことによっておおよそのことは解決できる。どうしても解決できないものであるならば、国をあげて研究に取り組まなければならぬ。そういうものが国立公害研究所にやがてなっていくであろうというふうに考えているわけであります。
○西田委員 それはよくわかるのです。わかるけれども、現状もうすでに大気汚染されておるわけですね。たとえば電気という問題であればそれぞれの電力会社ということになってきますけれども、ただ水ということになったりどうなるかという問題が起こってきますね。私は選挙区が滋賀県でありますから琵琶湖のことをよく言うのですけれども、琵琶湖の水が汚染されておる原因というものは、家庭用排水と農業用排水にあるわけですね。それがとにかくすごい汚濁になってきておる。今日このまま放置すればあと一、二年で南湖といわれておる琵琶湖大橋から南のほうに区切りがあって、琵琶湖そのものが区切られているわけじゃないのですが、水温から水質まで全部違っておるので、南湖、北湖というそういう俗称がつけられておるわけですが、ここが上水道用水にたえ切れないところまでよごれておるわけです。しかし、この家庭用排水、農業用排水というものを処理するためには、何といたしましても下水道の整備ということが問題になってくる。ところが現在、滋賀県の中心である大津市で下水道の整備がどのくらいできているかといえば、一二、三%しか進んでいないといわれておるわけです。そうすると、一〇〇%達成するためには何年かかるか。おそらくいまの大津の財政規模でいくならば五年ではとうていできないということになってくると、大津でさえそうだということになれば、この隣接の市町村においてはほとんど不可能に近いものじゃないか。そうすると、水の汚濁の防止ということは全然できない。その水がさらに流れて宇治川になり、京都の木津川、保津川となり、合流して淀川になって大阪に入っていくということになると、大阪の上水道あるいは工業用水というものは非常にきたないものを使うことになる。一体この責任はだれがとるのだということになる。農薬を使うのはやめろ、家庭用洗剤を使うのはやめろということになるのか。これはとても国民はしんぼうできないと思う。そういう点について一体政府はどういう対策をもって臨まれようとされるのか。よごれるものはしようがないからよごしていくのだ、しかし、それをなるべく早い時期に回復するのだ、こう言われると思うが、それでは年限がかかり過ぎる。そういう点についてどうお考えになりますか。
○山中国務大臣 琵琶湖の汚染の中で、さらにモーターボートその他の汚染等も実はそういう水質汚濁の中で若干漏れていた点があったように思います。今後やはり法律改正を考えて、内水面におけるそういう遊覧船なりモーターボートの油濁防止も考えなければならぬのじゃないかと思っておりますが、これも新しい課題として引き継いでいきたいと思います。 ただいまの問題は、やはり結論は終末処理をちゃんと備えた下水道があればいいのだという一点に尽きると思うのですね。ところが、それがなかなか下水道五カ年計画をつくってみても、今度東京、大阪、神奈川が公害防止計画の対象県として計画が具体的になっていきますと、もう三分の二くらい、去年きめました三県を含めて持っていってしまう。残りの県はどうなるのか。まさに滋賀県などは大阪の公害防止計画をつくります際には、当然大阪から隣接する京都、さらに奈良まで含めて流域については流域下水道等の一連の計画というものが関係各県知事の了承を得てセットされなければならぬと考えるのです。そのときに、しからばもっと上流の滋賀県はどうなるのか、結果は同じじゃないかという点は、隣接地の問題として、現在の下水道の配分計画では文字どおり百年河清を待つということになるおそれがあるのではないかという心配は、私自身の心配でもあります。現在東京、大阪、神奈川のそういう計画の内容について検討いたしておりますけれども、やはりそこらのところが一番問題であるように考えます。自分たちの県は場合によっては加害県になっていることもある、あるいは被害県になっていることもある、ここらにおいて環境庁長官というものがそういう水系等、県境を異にする場合においては強力な発言権を持っておりますが、それと別に発言権を持つなら対応するそういう措置を財源的にもあるいはまた行政上の援助もしてやらなければならない範囲というものを相当広く踏まえていきませんと、限られた下水道の五カ年計画の中で、公害防止計画の大宗はやはり下水ですから、そういうところにとらわれてその他の中小都市はしばらくしんぼうせいというわけにはまいらない性格のものだと思いますので、これはなるべく早くこういう問題について国が対応できる五カ年計画なり予算措置なりというものについて衆知を集めなければならない、まず財政当局も含めてでありますけれども、最近私はそういう感を深くしているところであります。
○西田委員 結局これは長官だけに詰め寄ってみたところでどうにもならぬ問題だと思うのです。私がそうした問題にまで触れて御質問申し上げたのは、結局問題は環境保全というものを中心にしてやるのか、公害防止ということを中心にしてやるのかというところに、政府の環境保全対策といいますか経済政策というかそういうものとのからみ合いできわめて重要な問題が出てくると思います。その姿勢について伺いたかったわけです。要するに、人間の生活する環境を保全するという立場で起こってくる公害というものに対策をするのか、あるいは公害というものが起こっておるから、人間の環境が破壊されつつあるからそれをできるだけ押えるということでいくのか、これは似たような問題であるけれども非常に大きな問題だと思うのです。その辺のところをひとつはっきりと聞かしていただきたい。
○山中国務大臣 日本の公害というものは諸外国においてはとても考えられないところまで実は進んでしまった。この点は政府がまず第一に反省をいたしますということを申し上げておるわけです。したがって、今後はそのような人の健康にまで被害を与えるような公害というものは絶対に出さないようにする。その次は何かといえば、人の居住環境というものがそれぞれの地域にふさわしい居住環境たるべく公共投資その他社会資本の充実を含めてそういう環境を維持していくというのが一方の環境庁の柱であり、いま一つは、これ以上日本の自然保護というものが侵されてはならない、いわゆる自然破壊に対する挑戦を開始しなければならぬ。これをやはり自然保護局というものを中心にして今度の環境庁の一方の柱に立てたということでございますから、日本の場合においては諸外国よりも公害対策そのものは進んでおりますけれども、進んでいるということは、進まざるを得ない現象が日本においてはそこまでいってしまっておるんだということの証明でございますので、決して諸外国にいばれるものではないと考えます。したがって、そういうような諸外国よりも進んでしまったものはなるべく早目に、即刻、すみやかにこういう状態を排除するということがまず当面の緊急の仕事であるというふうに考えます。
○西田委員 長官から、こうします、ああしますという答えをもらえれば一番いいことなんですけれども、これはなかなかいただけないと思います。たとえば電気をとめますと言えないだろうし、といって国民にしんぼうしていただきますとも言えないでしょうし、これは非常にむずかしい問題であろうと思う。しかし、そういう問題を含んで今度環境庁が発足してくるということになると、その環境庁の任務というものは非常に重要になってくるわけです。ところが法案を見てみますと、第三条の「任務」のところでは、「環境庁は、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全を図り、」ということで、公害防止が第一番に持ってこられているわけです。そこで第四条で「所掌事務及び権限」ということになってくると、「環境庁の所掌事務の範囲は、次のとおり」ということで、まずその冒頭に「環境の保全に関する基本的な政策を企画し、立案し、及び推進すること。」こうきておるわけです。そうすると一体環境庁が持つ任務というのはどちらに重点が置かれるのか。人間生活の環境を保全するということに重点が置かれるのか、それとも現在起こっておる公害というものを防止することに重点が置かれるのか、その点どちらに重点が置かれるのか。それは双方だと答えられるだろうけれども、双方という答えでは答えにならないので、そういう点、この法案の立案責任者としてお答えをいただきたい。
○山中国務大臣 第三条の言い方は、まず当面の公害の防止は緊急の重大事でありますから、こういうふうな任務の第一に掲げたんですけれども、「自然環境の保護及び整備」ということを次に並べることによって、公害防止とあわせて環境の保全をはかるのだという意味であります。次の第四条の所掌事務の範囲の順序が環境保全が最初に来ているんじゃないか、これはまたこういう場合においてすべての公害防止計画その他公害防止に対する施策を定めていきます場合に、こういうような形で環境の保全に関する基本的な政策というものがあって初めてそこに各所掌事務というものが生まれてくるということで分けてありますので、まず姿勢としては環境の保護ということが優先である。それを破壊するものは、自然の破壊であれ居住環境の破壊であれ、これを抑圧しあるいは防止していくということに受け取っていただきたいと思います。
○西田委員 そうしますと、三条の「任務」というのは、やはり四条でいわれている「環境の保全」というものを受けて公害の防止というように考えていいわけですね。 そうしますと、今度この公害を防止するためにはいろいろな問題が出てくるのではないか。けさの朝日新聞によりますと、建設省の道路計画というものが住民の生活環境を騒音、振動ということで著しく破壊しておる、住宅街のどまん中を道路が走っておる、こういうことでは実際の人間環境の保全にならないのでということで、厚生省から建設省に対して申し入れが行なわれておりますね。 こういう面を考えてみますと、はたして環境庁の環境保全という任務の中からそうした各省庁のいろいろな計画というものにどの程度までタッチでき、どの程度までそれに介入する権限があるのか、その辺のところが非常に私は重要だと思うのですが、それはこの法律によるとどの程度まで行なえるのですか。
○山中国務大臣 道路をどこを通してはならぬ、どこを通せというまず一義的な権限は環境庁にはないのですね。しかし、その道路の騒音の環境基準値の設定その他について異論があるという場合には、先ほど来申しておりますように、現在は公害対策本部、いずれ七月一日から環境庁というものがそういう基準設定という立場から中に入っていく、それは当然騒音をなるべく少なくするという目的の姿勢をもって入っていく、調整権能をもって入っていくということになるだろうと思うのです。
○西田委員 そうしますと、建設省がかりに道路計画をやる、あるいは地方の都道府県、市町村の都市計画が出てくると、それが環境にマッチするかどうか、人間の生活環境を保全するために非常にいい計画であるかどうかというような点はどういう形においてチェックしていくのか。たまたまいまこういう問題が出てきたからと、問題が起こってから対策しておったのではもうすでにどうにもならぬ。測量もでき橋脚も立ったということになれば、変更することはとうてい不可能だと思う。そうすると事前にそれを防止しなければならぬことになるわけですが、そういう企画、立案というか調整というものは事前にどこでどう行なわれるのか。この法律によって何条でそういうことが行なわれるようになっておるのか。
○山中国務大臣 これは環境基準の設定ということでありますから、現在はそれぞれ分かれておりますので、お互いが、厚生省が審議会の答申の数値を出そうとして、それに対して政令決定の前に関係省の合意を得るためにいまいろいろと議論がかわされているということでありますから、それについて公害対策本部が将来環境庁の持つべき権能というものはいま持っておるわけでありますから、私どものほうが先週からそれに対してあっせんに入った。どうしてもあっせんできなければ現在の公害対策本部において最終裁断をするということでございます。したがって、道路をどこを通すかという問題とは関係がない問題としていま扱っておるわけであります。
○西田委員 そこで、私はお伺いしたいのですが、内部部局は結局五つに分かれておるわけですね。官房とそれから企画調整、自然保護、大気保全、水質保全。そうなると、いま言うような人間の生活にまつわってくるところの環境というものの保全という問題は、せっかく環境庁ができてもどうにもならないということなんですか。その点だけ……。
○山中国務大臣 道路をどこを通すかとかなんとかいう問題は、環境庁が……
○西田委員 道路にこだわっておるわけじゃないのです。そういう人間の環境——ごみ取り、屎尿くみ取り、すべて人間の環境の保全ということになってくるわけですね。そういう問題まで含んで……。
○山中国務大臣 それは事柄にもよりますが、大気、水質、自然保護、それぞれの柱が立っておりますけれども、全体の立案企画、総合調整は、企画調整局で主として行ないますし、その他のいろいろなあっせんは官房が加勢をするということになると思います。
○西田委員 そこで一点お伺いいたしたいわけですが、公害対策基本法第二条第一項でいろいろあげられておるわけで、あげられておる問題は、それぞれ対策法なりあるいは基本法ができて、水の汚濁の防止、大気の汚染の防止あるいは自然の保護というような形で出てきておるわけですが、この中に振動というのが出てきておるわけですね。第二条の「水質の汚濁、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭」というふうに出てきておるわけです。悪臭は、先日悪臭防止法ができました。騒音も騒音規制法ができておるわけですが、振動に限っては、まだ全然そうしたものが出てきてないですね。この振動を一体どういうふうに扱われるのか。
○山中国務大臣 これは悪臭防止法と違いまして、振動というものは、現在は建設現場の振動とか、あるいはその他のいろいろな振動というものが複雑多岐でございますので、一律に単独法という形にはなじまないということでございますが、それぞれの法律の中に振動というものは一応入っているわけですね。そうするとこの振動というものは、一応大気保全局の所掌するものの中に置いて、典型公害の中の、基本法第二条の中に掲げられた現象としての振動及び悪臭というものに関係するのだということを言っておるわけでして、それぞれの法律の中に振動に関して及んでいる点を所管するということを言っておるわけです。
○西田委員 その点、ちょっと私は解せないのですけれども、そういう意味で振動というものをとらまえていくと、——じゃ、先に答弁してください。
○城戸政府委員 振動の問題でございますが、これは御指摘のように、典型公害には入っておりながら、現在では法律規制がされていないということになっておるわけでございます。実は悪臭でも技術的に非常にむずかしかったわけでありますが、振動についても、振動だけを取り締まるということは非常にむずかしいわけでございまして、多くの場合、騒音に伴って発生する、こういうことでございますから、現在騒音と一緒に取り締まっているということだけしか法律上の規制は及んでいないわけでございまして、ただ条例では、青森、茨城、新潟、愛知、三重、大阪、兵庫、奈良等の県におきまして、振動の規制をやっております。ただ、非常に抽象的だとか、あるいは基準も必ずしも十分でないというような現状でございますので、こういう各県の条例によります取り締まりの状況等も十分調査しまして、将来の問題としては、当然何らかの形で規制できるように、典型公害を全部カバーした規制法に持っていくようにしなければいかぬと思っております。これが今後残されました環境庁の大きな仕事だと思っておりますが、技術的に非常にむずかしいということだけここで申し上げておきます。
○西田委員 公害技術の開発というものは、非常にむずかしいから、むずかしいからということで、どんどん延びて、またどうにもならぬ状態に至ってしまったわけですが、振動についても規制がむずかしいから、むずかしいからということでそのままほうっておくと、どうにもならぬ状態になってくると思うのです。現在鉄道なんかでは、全国幹線網というものを張りめぐらして、とにかくこれに新幹線並みの列車をどんどん走らせるということを考えておるわけですね。いま東海道新幹線の振動を受けて、そしてそれに対する議論がありますが、しかしそこに住んでいる住民は、どこへ文句を言っていくということも実際にできない。著しいところになりますと——朝の東京発六時、大阪発六時、これはひかりです。それからあと、こだまが二十分おきに、それからひかりも二十分おき、最もふくそうしておるときには、十五分ごとに上下線が通る。そうすると、大体朝の六時から終列車の十一時四十分大阪着、東京着、この時間に至るまで三分に一ぺんずつぐらい、その沿線では新幹線が走る。そのたびにさらが落ちて割れるわ、あるいは戸のたてつけがゆるむわ、病気で寝ている人も全然保養にならない。さらには、小さいことですけれども、テレビもまともに見られない。こういうようなことが起こってきているわけですよ。テレビは振動じゃないけれども、この振動によって起こってくる人間に対する被害、あるいは家財に対する被害というものは、非常に大きなものがあると思うのです。しかしそれも規制の方法がないから、技術的に見つからないからということで放置するならば、国民はそこで泣寝入りをしなければならぬということになってくるのじゃないか。こうした点について、今後一体どの程度待てばそういう問題が規制できるのか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
○山中国務大臣 先ほどうちの城戸首席のほうからも答弁しましたが、一応振動の問題、ことに新幹線の問題では、運輸省も来ておられると思いますけれども、現在中央公害審査委員会のほうに、たしか一件あったと思いますが、そういう問題が持ち込まれまして、国鉄との間の合意を得て、大体住民の納得される——それはたしか防音壁ではなかったかと思いますが、振動も関係があったかと思いますが、そういうところに一応道が開けているわけでありますけれども、なおまだ相当検討しなければならない課題の一つであることは明白であると思います。
○西田委員 だから、課題であることはわかるのですが、もうすでに先ほどの御答弁で、課題だ、しかしまだ技術的に開発がむずかしいのだ、こういうことも言われておるのです。せんだっても労働衛生研究所の医務官と話をして、いろいろ測定方法もどうにかわかってきたというふうに言われておるわけですが、振動にはいろいろあるけれども、人間がいろいろなものを持って、そうして自分のからだに直接感ずる作業上の振動というものは、これは労働衛生上の問題だと思うのです。しかしトラックが走っていくことによって、重量のかかってくるための振動、それからいま言う列車が走るためにかかってくる振動、こういうものとは全然別個に考えなければならぬ。そういう問題も同時に考えられているように聞いているわけです。しかし、この被害がだんだん大きくなっていくわけです。すでにもう岡山まで新幹線が延びようとしておるし、四十八年までには広島まで延びるということになってくれば、この沿線の受ける振動による被害というものは非常に大きいということですから、したがっていつごろになったらその結論が出、そしてそれに対する対策が立てられるのかということを聞いておるわけです。
○山中国務大臣 まあ騒音、振動は、場合によっては似通ったところもありますが、常時振動を起こしている問題、これはわりとつかまえやすいと思うのですね。ところが一過性と申しますか、さっと通り過ぎるときの振動というものは、たとえば新幹線ならそれが非常にひんぱんであるから、単に一過性とはいえないという問題もあると思うのですが、そういう問題等もありまして、私も専門家じゃありませんので、非常にむずかしいという作業の過程の報告は受けておりますが、しかしこれはやはりむずかしいからといって、周辺に住んでいる人に、むずかしいからしんぼうせいという政治はありませんので、これは課題といって、また同じようなことを言うとおこられるかもわかりませんけれども、引き続き積極的な検討ということを、残された分野としてはしなければならぬ分野だと思っております。
○西田委員 この点はひとつ十分に、私は長官から関係の研究所なり、あるいは関係官を督励をして、急いで基準なりあるいは規制の方法なりというものを考えていただきたいと思うのです。新幹線みずからは震度三以上のゆれがきたときにはとめるような装置までしておるわけです。そして自分の起こしている振動については知らぬ顔というのは、虫のいい話だと思うのです。私どもも乗っておると比較的快適なものだから、ああ速くなってよかったなくらい思っているわけですけれども、しかしその沿線では、頭が痛くて寝ておる、それにこの振動では、ということになるわけです。十一時で済めばどうかというけれども、そうではないのです。このあと今度は工事の車が来て、保線だ何だということで入ってきますから、これは結局二十四時間じゅう悩まされるということになるわけです。しかも一過性といえば一過性ですけれども、それが小刻みに来れば連続ということにもなるわけです。同時にこういうものは、トラックの大型化ということによって、国道沿線あるいは主要道路沿線でも同じような問題が起こってくるのではなかろうかと私は思うのです。騒音については、これはいま長官のおっしゃるように防音壁を設ければ幾らか緩和はできるわけです。しかし振動が周波で来るものではなしに、風という形で起こってくる問題ではなしに、地殻に伝わって入ってくるものですから、どうにも防御の方法がない。とするならばとにかく振動が伝わる範囲の深さまでみぞを掘って、そこに何か緩衝材をほうり込んで食いとめるよりほかないと思うのです。そんなことをするくらいなら、もっとほかの方法が考えられるのではないかということになって、実はこの間もそういう問題で困っておられる人たちと一緒に当局のほうへ陳情に行ったわけですけれども、手のつけようがない、こういうことで放任されておる。放任しておるのはなぜかというと、結局はそういうものを取り締まる、規制をするという基本法がないからだ、もとがないからだということになるわけでありますから、長官もこれはひとつ早急に督励をしてその対策を立ててもらいたいし、そして小さな問題といわずに、やはりこういう問題が起こっておるところは、親切に行政面で解決のための指導を、その補償なり、いろいろな面について御努力をいただきたいと思うわけであります。 続いて、私、先ほどお伺いしておったわけですが、もう一つはっきりしたいのは、いわゆる環境庁長官が、先ほどのような総合計画立案の際にもそうですが、いろいろ起こってきておる問題に対して、どの程度他の省庁に対しての権限をお持ちになるのか。「勧告することができる」という条文がありますけれども、私は勧告程度では済まされぬと思う。その点どうなるのか。この新しい環境庁長官の権限というもの、その範囲をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○山中国務大臣 これは先ほども第六条の御説明を申し上げたわけでありますが、第六条の環境庁長官は国務大臣である。その国務大臣たる長官は、環境の保全を図るため必要があると認めるときは、関係行政機関の長である各省大臣というものに対して資料の提出及び説明を求める。さらに必要な場合には環境行政の立場から重要事項について勧告をする。そして勧告を受けたほうは、関係行政機関の長に対して報告を求められますから、しなければならない報告を怠ったり、あるいは勧告について合意しなかったりというような場合においては、第五項の、総理大臣に対して内閣法第六条の権限の発動というものを申し出るということでございますから、ここで総理大臣が、環境庁長官のそういう権限の行使に対して知らぬという総理大臣がおれば別ですけれども、大体これは総理のほうが、そういう第六条の指揮権を使ってくださいといった場合には、関係省庁の大臣に向かってそれを環境庁長官の申し出どおりやるようにということに大体なると思うのです。その意味においておおよその考えられる現象に対しては、条を追うて最終的に第六条権限というもので補完をしておるつもりでございます。
○西田委員 そうしますと、環境庁長官がそうした、事前に資料の提出その他説明を求める、そして結果的にそれを改善する必要があったりするときにはいわゆる勧告をするという話で、聞かなければ、環境庁長官の勧告というものはかなり効力をもってその関係省庁に働く、こういうふうに受け取っていいわけですか。
○山中国務大臣 関係省庁の長たる大臣は、国務大臣の辞令は天皇陛下からいただくにしても、どの省の大臣に任ずるというのは、総理大臣たる国務大臣からもらうわけでありますから、任命権者の命令を聞かないで、その席に居すわることはできないのが常識だと私は思いますので、その権限は、何でもない、ただわずか二行半の法律でありますけれども、この条項は非常な強い権限を環境庁長官に付与しておるものと常識上解釈すべきものと思います。
○西田委員 先日の公聴会におきましても、各参考人の同一の意見として、やはり環境庁そのものの権限の強化という問題がかなり出ておったと思うのであります。私自身もいままでやはり公害行政ばらばらだということをしょっちゅう追及をしてきました。また事実このばらばら行政というものが、今日のような公害というものを引き起こしたといっても過言でないと思う。そういう面で特にこの点についての気がかり、危惧というものがありますので、確認をしておきたいのですが、それではこの法案が通過し、環境庁が設置されれば、そういう面では十分活動できる、こういうふうに長官はお考えだ、こう理解していいわけですね。
○山中国務大臣 人にもよりましょう。よりましょうが、しかし、これだけの法律上の権限を与えられて、その権限を行使すべき責任にある大臣の位置について、その権限を行使することをちゅうちょしたり、あるいはなまけたりするような者はもう不適格者だということでありまして、大体適格者を選んで環境庁長官には据えることになるでありましょうから、まあまあ法律上はきちんとされておるので、あとは人だということに尽きるのではないかと思います。
○西田委員 その人だというところにやはり問題があるわけですよ。これは私、言うては悪いけれども、大臣の中にもやはり序列があると思うのです。そういうことを言うと長官に対して非常に失礼だと思うのですけれども、序列があると思う。ですから序列に従って、公害研究をやりたいから何億円金をくれといっても、大蔵大臣がそんなものはだめだというふうに首を横に振れば、なかなか出てこないといういままでの実情もあるわけですね。だからそういう点から考えて、金を出すということと仕事をさせるということは別かもしれませんけれども、よほどこの点は運営面において、また任命をする上での人を選定する場合においても、慎重にやってもらわなければいかぬ。結局仏はつくったけれども魂は入れなかった、環境庁は何をしておるのか、各省庁からの寄せ集めで、基準をつくるに精一ぱいだった、何も対策は立てられなかったということであっては、せっかくの環境庁が設置されても何にもならぬ。そういう点についてこの法案を出してこられる前に、閣議なり何なりの事前の協議を十分なされてきたのかどうか。
○山中国務大臣 これは人選の問題を閣議で相談するほどのものではありませんで、またすべきことではありませんが、私自身が組閣に関与もいたしませんが、少くとも自分がこれほど苦労して産む環境庁でありますので、その生まれる環境庁の赤ちゃんの健全な発展をこいねがう気持ちにおいて、熾烈な感情を持っております。情熱を持っております。でありますから、いつ改造があるかわかりませんが、私は総理に対して環境庁長官の人選についてはものを言わしてもらう、私にはある意味の権利があると私は思いますので、環境庁長官の人選については、私は総理に意見を出すつもりでございます。
○西田委員 誤解があるといけませんが、私はそういう人選にまで閣議でどうこうしたかということを聞いておるのではない。そんなことを言うたのでは私は少し言い過ぎだと思う。そういう誤解をしてもらっては困る。しかしそういう任務を持った環境庁の発足ということをお互いが認識しないと、今後環境庁ができても何にもならぬということを申し上げておる。その点はひとつ誤解のないように願いたいと思います。 多少まだ時間が余裕があるわけですけれども、ほかにもお待ちの方もおられますので、私はこれで質問をやめますけれども、最後に、せっかくこうした環境庁ができて、いままでばらばらであると批判された行政を一本にまとめてやられようとする限りにおいては、かなりな決意と英断を持たなければできない。特に今日のように経済成長がかなりのところまでその水準に達して、国民生活がある程度文明の中に享受されておる。もちろん大きな格差はありますけれども、いわゆる水準というものも引き上がってきておるときに、これを環境保全という上に立ってやっていこうとすれば、非常にジレンマにおちいることもあろうと思うのです。それを克服しなければこの現在の公害を防止することもできなければ、環境の保全もむずかしいと思う。そのために企業に対してはきびしい態度で臨んでもらいたいということが一つの要望であります。 さらに、私は、国民全体に対して、一体この環境を保全するためにどうするかという国民の意識の普及ということも十分考えていかなければならないと思います。特に水質汚濁等については家庭排水、農業排水にその原因があるとするならば、家庭排水をする場合、農業排水をする場合は、その農業用の薬品の投下の問題、そうしたものも十分考えた上で使用していかなければならぬのではないか。洗剤なんかでも、これはまことに申しわけないけれども、家庭の主婦にしてみれば、たくさん入れればきれいに落ちるのじゃないかと思って、書いてある量よりたくさん使っている場合が多いと私は思うのです。そういうようなことも、ささいなことであるけれども、水質の汚濁を防止するための一つの方法である。そういうPRをぜひしていただき、そして経済の先行に対しておくれておる政治の場面におけるところの、特に行政面におけるそうした措置を十分講ぜられますことを総務長官に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○天野委員長 古寺宏君。
○古寺委員 最初に兵庫県の加西市の病気の問題についてお尋ねしたいと思います。 兵庫県の加西市の在田地区というところで甲状腺がはれる奇病が非常に多発をしております。患者数はすでに住民の四割をこえているということでございますが、厚生省はその実態をどのようにつかんでいらっしゃるか、お伺いいたします。
○浦田政府委員 兵庫県加西市におきまする、いわゆる甲状腺腫についてでございますが、これは新聞紙上に発表されるまで、実は委細については厚生省としては承知していなかったのでございます。発表後、さっそく県を介しましていろいろと報告を受けております。それによりますと、加西市の在田地区の小学生の学童検診に端を発しまして、昭和四十二、三年ごろから甲状腺腫様の学童が多くいることがお医者さんによって指摘されておる。今藤というお医者さんでございますが、このことを地区の医師会に御報告されました。事の重大に気がつきまして、岡山大学あるいは名古屋大学その他の大学のほうにも連絡いたしまして、昭和四十四年におきましては、当時の岡山大学の長谷川助教授を中心といたします研究班ができて調査をいたしております。また加西市におきましても若干の調査研究費を予算化いたしまして、昭和四十五年度には、この研究班を中心にして一部住民の検診と、それからあるいは水に起因するものではなかろうかというふうなことで水質検査といったようなことを実施しております。詳細につきましては、時間の都合もございまして、ここで申し上げるのを控えますが、発生の状況から見まして、その地区を流れております万願寺川の流域に多い。また同河川の上流に廃坑がございまして、その廃坑から流れ出る物質が水を汚染しておるのじゃなかろうかということで、水質調査をしまして、マンガンの含有量が、ほかと比べまして、これは水道水の水質基準に比べまして十倍ほど高い。クロムにつきましても若干高いといったような事実が出ておりますが、この病気の本体につきましては、先ほど申し上げました研究班の方方の御意見あるいは東京の虎の門共済病院の鎮目博士の御所見などによりましても、従来のいわゆるバセドウ氏病あるいは橋本氏病といったような病気とは違った病状が見られるということで、目下この本体についてはなお研究、検討中であるというふうに報告を聞いております。
○古寺委員 この地区につきましては農薬の散布が非常に大量に行なわれております。空中散布も行なわれております。地形的にいって非常にため池が多いわけです。そのため池の周辺にこういうような疾患の方々がたくさん発生しているわけでございますが、こういう点について厚生省はいままで全然知らなかったわけでございますか。
○浦田政府委員 厚生省がもちろんすべてのいろいろのことをじきじきに承知しているということは、そうあるのが望ましいと思いますけれども、なかなかそういかない場合もございます。しかしながら事健康の問題に直接関係のあるといったような事態あるいはそれの疑わしい事態が生じました場合には、もちろん厚生省の立場からそれぞれの都道府県あるいは自治体を通じましていろいろと技術的にも援助し、あるいは必要がありますれば財政的な措置を講じていくということが実態であろうかと思います。しかしながら、かねていわゆる国民の健康状態についての情報を日常から整理し、それをちゃんと蓄積し、事のあるときにはそれをあたかも鏡のようにしていろいろな異常状態にいち早く対応できる体制ということにつきましては、望ましいことでございますが、ただいま厚生省一省のこととしてはまだ計画の段階で、実現には至っていないところでございます。 いずれにいたしましても、私どもは日ごろから情報連絡を密にいたしまして、できれば事前に、あるいは少なくとも事後すみやかに対応できるように今後とも努力してまいりたいと考えておるところでございます。
○古寺委員 地元の人は非常に不安を感じて、保健所なりあるいは県当局なり市役所にもいろいろお話をしておりますし、また実際に検診に当たった名古屋大学の柏木教授のほうからも厚生省のほうに対して研究費を助成してもらいたいという申請をしているはずです。それに対して厚生省が、新聞の記事を見ないうちはわからぬということは、公害に対しての取り組み方が非常にいいかげんじゃないか、私はこういうふうに思うのです。 今度は農林省、農林省は一体どのくらいこの地域に対して農薬を散布しておりますか。
○安尾説明員 兵庫県加西市におきます四十五年度の空中散布の実施状況を申し上げますと、この地区は四農協で空中散布を一回ないし二回行なっております。延べにいたしまして三千七百六十二ヘクタールでございまして、防除は二化メイ虫の一化期に有機燐系の殺虫剤を微量散布いたしております。それから二化メイ虫の二化期にウンカあるいはいもち病と同時防除のために有機燐系の薬剤並びにカーバメート系の薬剤、それから抗生物質を混合した殺虫殺菌剤を散布いたしております。
○古寺委員 数量はどのくらいですか。
○安尾説明員 一化期の二化メイ虫の散布に対しましては十アール当たり有機燐殺虫剤が八十ccの微量散布でございます。それから二化メイ虫の二化期の散布につきましては粉剤を使用いたしておりますが、十アール当たり三キログラム散布いたしております。
○古寺委員 そこでお伺いいたしますが、有機燐剤の場合に一アール当たりどの程度までが微量であり、どの程度までが多量でございますか。
○安尾説明員 有機燐系の薬剤につきまして、十アール当たり五十グラムないし百グラムでございますと問題がない、こういうふうに考えております。
○古寺委員 そうしますとこの在田地区と九会地区、この両地域は約三千八百ヘクタールですが、ここに対して去年の七月の十五日と二十三日に散布いたしております。これはあなたはいま微量とおっしゃいましたけれども、実際には微量でございますか。
○安尾説明員 空中散布におきましては一般的には粉剤が多く使用されておりまして、先ほども御説明申し上げましたように十アール当たり製剤にいたしまして三キログラムまくわけでございますが、この七月にまかれました空中散布は、最近の新しい技術を導入いたしまして十アール当たり八十ccの乳剤を散布いたしておるわけでございます。
○古寺委員 それはこういう非常に湖沼の多い、ため池の多い地域とそうでない地域と同じように散布しておるわけでございますか。
○安尾説明員 単位面積当たりに対しましてはみな同じ量で散布いたしております。特に昨年の七月この地区にまきましたときの薬量がここだけ多いということはないと思います。
○古寺委員 それでは最近の、四十四年、四十二年の散布量について教えてください。
○安尾説明員 加西市におきます空中散布の実施状況を見ますと、四十一年度におきましては千二百八十ヘクタールに対しまして主として有機燐系の殺虫剤あるいは殺菌剤を十アール当たり三キロの割で粉剤を散布いたしております。四十二年も四千四百七ヘクタールに同様の薬を同じ比率で散布いたしております。それから四十三年におきましては四千二百八十七ヘクタールを対象にいたしましてほぼ同じ薬剤を十アール当たり同様の三キログラム散布いたしております。それから四十四年度におきましては延べ五千四十九ヘクタールにつきまして散布を行なっておりますが、そのうち八百二十二ヘクタールにつきましては、先ほども申し上げました微量散布でございまして十アール当たり八十ccの有機燐系の殺虫剤をまいております。残りの四千二百二十七ヘクタールにつきましては粉剤を十アール当たり三キロの割で散布いたしております。
○古寺委員 農林省ではこの加西市の在田地区においてこういうような甲状腺腫様の患者さんあるいは大量の結膜炎を起こしておる患者さん、こういう患者さんが発生しているという事実を知っていて空中散布をおやりになったわけでございますか。
○安尾説明員 特にそういう報告を受けておりませんので、それを意識して散布はいたしておりません。
○古寺委員 そういたしますと、農薬による中毒の患者さんあるいは農薬による相当の土壌汚染、そういう地帯に対しましても、何ら事前の調査なしに農林省は承認をして空中散布を行なっているわけでございますか。
○安尾説明員 農薬による中毒あるいは土壌汚染という問題がはっきりしておる場合におきましては、農林省といたしましても、特にその地区につきましての薬剤散布につきましては特別の考慮を払いますが、はっきりしない場合におきましては、現在の段階、特にそういう措置をとっておりません。
○古寺委員 そこで、総理府にお伺いをしたいのですが、今度環境庁が設置になります。その場合に、農薬に対する取り扱い方はどのようになるのか、お伺いしたいと思います。
○山中国務大臣 残留性の問題なんかが確かにいまの問題だと思うのですが、そういうような問題等については、環境庁の所掌事務として、それから、使用の制限勧告とかあるいは登録取り消しとかということ等をやるわけでありますけれども、本来、農林省の持っております機能の中で、この農薬は散布してもだいじょうぶである、あるいは、現在のところは非常におくれておりますけれども、国際的に見ても日本はおくれておると思いますが、そういう農薬の残留性検査、こういうようなものまで完全に済ませて登録してそれを許可するというようなこと等の仕事は、なおかつ農林省のほうに残しておくわけでございます。
○古寺委員 散布をする場合はどうなりますか。
○城戸政府委員 農薬に関しましては、農薬の登録の仕事、あるいは登録の取り消しの仕事、あるいは公定規格をきめます場合、あるいは一般の農薬安全使用基準、こういうものの設定、それから実際の使用します場合の指導監督、こういうものは全部農林省でやるということになっておりまして、環境庁としましては、特に登録を保留すべき場合というのがございますが、その基準を厳格な姿勢できめていくというのが一つの仕事でございます。それからもう一つは、作物残留性農薬、土壌残留性農薬、水質汚濁性農薬、こういうものの使用規制をしますということが一つございます。この使用規制、いろいろな形がございますが、この農薬を指定しますこと、また、その使用の場合の基準をきめますこと、こういうことがその中に含まれるわけでございます。
○古寺委員 この今回の設置法案の提案理由の説明の中に「第三に、公害の防止に関する科学的な調査、研究の重要性にかんがみ、国立公害研究所を設け、従来必ずしも十分でなかった公害の人の健康及び生活環境に及ぼす影響の研究その他公害の防止に関する調査、研究等を行なうこととしております。」こういう趣旨の説明がございましたが、これはいまのような公害病患者が発生した場合にはどのような調査研究を行なうことになりますか。
○山中国務大臣 これは先の問題として、環境庁付属機関の国立公害研究所というものができたあとのいろいろのテーマの設定のしかた、その範囲の問題になろうかと思いますが、現在のところでは、やはり一応、厚生省関係の薬事法あるいは食品衛生法、農林省の農薬取締法、こういうものか、やはりそれぞれの技術者と長年の習熟した経験知識を持っておられますので、それらの分野はそれらの分野として一応やっていただく。しかし、それらが、ことに農薬の場合等において、残留性について危険な場合等の予想あるいはそういう事態がありますときには、環境庁のほうにおいて、そういう問題を提起し、あるいは基準を勧告するというようなことになるであろうと思います。
○古寺委員 そうしますと、典型公害の場合はどうなりますか。
○城戸政府委員 ちょっと御質問の趣旨よくわかりませんが、おそらくこういうようないろいろ公害に関連したと思われるような被害が出てきた場合に、どういう形で具体的な調査研究あるいは原因の究明をやるかということだと思うわけでございますが、これは先生御承知のように、健康被害というのは、これはいろいろな原因で起こるわけでございます。したがって、これは典型公害ときめてかかれるような段階ならば、そのあとは環境庁の全く専管でやっていけるわけでありますが、そういうえり分けができます段階に至りますまでには、やはりいろいろな原因を想定しまして調査も検討もやらなければいかぬことでありますが、その場合には、環境庁と厚生省と一体となって調査班を組んでやる、こういう形がやはり一番適当じゃないかと思います。これは公害とはっきりしますれば、そのあとは環境庁でもっぱらその辺の究明はやっていくということで行ったら一番いいんじゃないかと思っております。
○古寺委員 そこで、総務長官にお尋ねしたいのですが、国立公害研究所の構想と申しますか、現在考えられておる国立公害研究所というものの内容について具体的にお話ししていただきたいのですが……。
○山中国務大臣 これは法律でも、国立公害研究所の発足は政令にゆだねておりますので、まだその中について、具体的に機構、人員あるいは組織、そういうもの等については検討中でございます。しかしながら、場所は筑波学園都市というところに厚生省が予定いたしておりました国立公害衛生研究所というものを換骨奪胎、拡大をして機能を付与していこうじゃないかということで行っておりますので、現在の段階では、どの省からあるいはどの程度の研究機関からどれくらいとか、あるいはどの分野の学者、研究者をどれくらいとか、それをどのような仕組みによって国立公害研究所の中で分けておいて、それをデータバンクと連結しながらどういう活用をするかという問題は、これから具体的な詰めに入るということでございます。
○古寺委員 四十九年の三月までに発足する予定になっておりますが、大体いつごろまでに具体的な詰めができ上がるのでしょうか。
○山中国務大臣 これは建設の日にちが約二カ年ということを見越しまして、大体四十九年三月三十一日までの間ということで政令で定めるということにいたしてございますから、これは建設等の進捗等が、事柄も事柄でございますから、いろいろな敷地取得その他の環境が許しますれば、これはなるべくピッチを上げて早い時期に出発させるべきものと思います。したがって、いまその内容についてはいつごろまでかということでございますが、目下のところは、七月一日出発の環境庁というものをまず国会でお通し願う。それについて国会の意思が定まって、環境庁をつくってよろしいということに確定をいたしました場合においては、まず環境庁の人選なりあるいはその機構その他の細部の課その他の審議官、参事官等の配置、そういうものについて詳細な、行政と直結した機構、配分その他をいたしたいという作業の過程でございますので、国立研究機関というものの内容については、何月何日までというようなものに現在まだなっていないという状態でございます。
○古寺委員 そこで、総務長官は、日本の公害というのは非常に世の注目を浴びている、そういうような立場から、日本が公害克服の先進国になり得るかどうかというような、そういう大事ないま立場に置かれているので、産婆役としては後世に悔いを残さないりっぱな環境庁というものを設置したい、こういうような意味のこともお聞きしたこともございます。そこで、今度の環境庁設置法案が最初の構想よりも非常に後退をしているのではないか、こういうように言われるのですが、その点についてはどうでしょうか。
○山中国務大臣 これは後退をいたしておりませんで、公害関係閣僚協議会で逐次議論を重ね、さらに環境庁設立のための準備委員会というものの中で具体的に関係各省庁と意見を調整してきめたわけでございますので、御指摘の点があればお答えをいたしますが、特別に後退をしたという点はないと思っております。
○古寺委員 当初におきましては農薬や食品公害も環境庁に含むのだ、こういうふうなお話も承ったように覚えておりますが、この点についてはどうでしょうか。
○山中国務大臣 私が農薬、食品公害あるいは薬品、毒物、劇物、そういうことに触れたのはたしか無過失賠償の議論のときだったと思います。やはり環境庁というのは公害対策基本法の第二条の典型公害というものをどのように処理し、さらに一歩前進して自然環境の保護というものをどのようにやっていけるかという課題に答えなければならぬと思います。したがって、やがては農薬によって、カーソン女史の「沈黙の春」というような警告の書も出たわけでありますが、そういう問題が自然の鳥獣類あるいは水産動植物というような、木あるいは生存しておるものたちの上に影響が及んでいくことは必定でありますので、やがてはそういう問題の議論も環境庁所管とすべきかどうかについて、今回鳥獣保護については入ったわけですけれども、議論をすべきことはあると思いますけれども、環境庁の所管に薬品や食品添加物や農薬の登録、検査事務、そこまでを入れるというような意見を申し上げた記憶は、私としてはないというふうに思っております。
○古寺委員 それから電気、ガス事業の規制権でございますが、これはいままでどおり通産省にあるわけでございますね。そうしますと結局公害のいわゆる一元化という問題からいって、既存の省庁の権限が非常に尊重されるような結果になるのではないか、こういうふうに思われるのですが、この点についてはどうでしょう。
○山中国務大臣 これは昨年の公害国会と俗称されました臨時国会において、大気、水質、騒音等について電気、ガスを適用除外としておるという点についてずいぶん議論をいたしたわけでございます。私もまた、その主として野党側の御意見というものも耳を傾ける価値が十分にあるということで、事前に調整もいたしたのでありますが、先ほどの質問者にもお答えをいたしましたとおり、やはり電力の広域供給、たとえば不時の事故なりあるいは公害の取り締まりの上から操業停止等を命ずるというような場合に、瞬間的に全く一秒の間隔も置かないで電力というものは不特定多数の地域住民に供給が継続されなければならないものであります。その場合において、環境庁が他の電力会社あるいは発電所、そういったものの供給余力とか全国的なプールのしかたとか、そういうものまでふだんやっておるわけではありませんので、そういうことについてやることについてはどうだろうかというような議論は、そのときもいたしたわけであります。いま一つは、やはり低硫黄、ローサルファの確保というような問題について、やはり国際的にも供給の限度があっていまや奪い合いであるし、国際的にはそれをいいことにしてローサルファの投機的な要素まで一時動いた傾向もございましたし、そういうことでやはり技術面のそういう重油脱硫の早期な日本の技術開発というものの必要なことと同時に、国際的なローサルファ確保というものをどのようにすべきかという政策上の問題がある。これは経済外交の分野でもありましょうし、そういう問題等も含めて考えますときに、臨時国会においていろいろ意見があって、自分もあながち否定はできないけれども、今回の法律の中で適用除外をせざるを得なかったという説明を私並びに通産大臣ともどもいたしたつもりでございます。でありますので、今回の環境庁の場合にもその法律の修正ということまではいたしませんでしたが、そのようなことを踏まえて、しかしながら環境庁長官というものは、それらの法律の個々の条項では適用除外になっていても、環境汚染防止あるいは保護の立場から、先ほど来繰り返しております第六条の二項から五項までの項目について、それはひとしく権限の行使ができるものであるというふうにいたしておるわけでございます。
○古寺委員 産業立地政策についてはどうなんですか。
○山中国務大臣 これはまた議論のあるところでございますし、あるいは都市政策その他一般の総合開発計画との関係、これらはいろいろと議論のあるところでございます。産業立地の問題もやはり環境庁というものが日本の国土の全体の再計画というものをやります場合に、当然産業の適正なる配置ということによる、単に経済上の考え方のみならず公害防止の見地からどのような場所には立地してはならない、どのような場所ならばどういう条件で立地してよろしいという問題に取り組まなければならぬ。やはり環境庁出発のあとの一番大きな基本的な姿勢は、それをどう片づけるかの問題であろうということを申し上げておるわけでありますが、現在ここで環境庁設立の法案を出しますにあたっては、そこまで取り組むだけのまだ環境庁としては内容を持ち得なかったということでございます。
○古寺委員 そういたしますと、いままでの新産都市、あるいは鹿島にいたしましても千葉にいたしましても、いろいろな公害が発生している地域は産業立地政策というものがほとんど失敗したような形になっております。今後この産業立地行政というものがきちんといたしませんと、環境庁の使命といいますか、目的というものを達成できないのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点については今後検討して、この点についても環境庁の中にこれを包含していくというお考えでございますか。
○山中国務大臣 姿勢としては将来そういう問題を環境庁がどのように関与していくか、あるいはどのように指導権を持っていくかという問題が一番大きな課題として、環境庁の検討事項と申しますか、姿勢の打ち出し方の問題になるであろう。これは大きくいいますと、日本の国土をもう一ぺん見直す作業でございますから、環境庁だけではできないことですけれども環境庁が主導権を持つ、そのような土地政策の万般にわたる作業というものももう一ぺんやらなければならない状態にいまなっておるのではないか、結果的に、人為的でない、自然の結果として太平洋ベルトラインに生じたメガロポリスの中の居住環境の悪化というものが主として公害でありますし、かといってただいまのコンビナートあるいは日本の石油備蓄を六十二日間くらい持ちたいということの前提のCTSあるいはそれに伴う精製施設、あるいはまたいままでは何のちゅうちょすることなく、新産都市の争奪あるいは低開発地域工業開発促進法、また最近も農村地域工場誘致促進法等々、最近はやや公害の問題について念頭に置いた法律になっておりますけれども、古い法律は公害というものはあまり念頭に置いておりませんので、こういうこともやはり環境庁が出発したならばそういう全般の法律も洗い直して、国のこれまでとってまいりました政策というものを全般的に検討し直す、その中に立地政策というものも当然入るのではないかと考える次第でございます。
○古寺委員 次にお伺いしたいのは、現在、公害にかかる健康被害救済法による救済は厚生省にあるわけですが、今度環境庁の設置に伴って移管されるわけなんですが、人の健康被害以外のいわゆる動植物であるとかあるいは農水産物等に対する被害についての救済についてはどういうようにお考えでしょうか。
○山中国務大臣 これは公害にかかる健康被害の救済問題として一つの問題が将来提起されることもありましょうし、一方においては無過失賠償等等の問題で、やはり財産被害としてのそういう問題についての議論が、もう一つ隣接部門として議論をしなければならないという問題として、いずれ議論が提起されなければならないだろう、またそれに取り組まなければならない時期が来ておるのではないか、というふうに考えておるわけでございます。
○古寺委員 そういたしますと、現段階においてはまだ考えていないということですか。
○山中国務大臣 考えてはおりますが、いまここで、こういうふうに思います、たとえば健康被害の救済法案ではこういうふうにいたしましょうというところまで考えておりませんということでございます。
○古寺委員 次に、いままでは各省庁が所管をしておったいろいろな部面が環境庁の中に入ってくるわけなんですが、各省庁の場合にはそれぞれに出先機関を持っております。しかし今後環境庁がいろいろな公害の問題と取っ組んでいく場合には、出先機関がないわけでございますが、そういう点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
○山中国務大臣 これは、いまの行政機構では、厚生省が一番人の健康、生命という立場からはそういう保護の立場にあった役所でありますけれども、これとてもそうきわ立った出先は持っておるわけではありません。県庁衛生部と保健所等の組織を通じて協力を得ているわけです。環境庁が出発をいたしますと、引き続きそれらの協力も願わなければなりませんし、現在三千数百名に達しております、交付税で措置しておる立ち入り権その他を与えられた公害専従の地方職員、並びに都市型保健所を中心とする立ち入り権を持った国の補助職員、こういうようなもの等をさらに年次別に増加をしながら、それらの人々に公害研修所に集まってもらっては絶えず最新の知識や技術を修得し、さらにそれによってまた人的なつながりも持って地方に帰る、そういう意味で県庁機構、保健所機構というものにお願いをしていけば、権限等も地方に大きく委譲しておるわけでありますので、環境庁がブロックごとに一つ出張所を持つというようなことはしなくてもよろしいのではないかと思っております。
○古寺委員 そこで、先ほども加西市の例で申し上げましたが、実際にそういうような病気が発生しておっても、厚生省が新聞の記事を見ないうちはわからない、こういうような実情になっているわけです。それが今度は環境庁の中にそういういろいろな公害の問題の行政が入ってまいりますが、実際にいろいろ公害が発生した場合に、そういう地方自治体だけに依存して、はたして公害行政の目標というものが達成できるかどうか、非常に疑問があります。地方自治体には格差もございます。人員の問題もあります。あるいは財政の裏づけの問題もあります。そういう点については大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
○山中国務大臣 権限の問題並びに人件費の問題ですが、財政処理の問題等は先ほど申し上げたとおりでありますけれども、その他にも今国会で公害防止事業に対する国庫補助のかさ上げの特例等も一応整備をいたしました。したがって、都道府県あるいは特定市、場合によっては市町村プロパーの固有事務もございますが、それぞれの分野における権限を委譲されることに伴う仕事というものは、決して、国から押しつけられて自分たちがしぶしぶやっているんだ、あるいは環境庁ができないから自分たちがやっているんだという感触じゃなくて、そういうものは地方に権限を委譲せよという強い地方公共団体の呼びかけというもの、あるいは世論というものによって、私たちも身近な住民の代表者たる人々がそういう権限を持つことが一番ふさわしいことだと判断をして、そういう方向に踏み切ったわけでございますから、これは積極的に環境庁に御協力を願えるものだと私どもは思っておりますし、事実そういう関係で唇歯輔車、相補い合いながら助け合っていく立場を持つべきものであろうと考えます。中央と地方と対立をしてやるものではなくて、いわゆる県民不在、国民不在というようものであっては決してならないというふうに考えておるわけでございます。
○古寺委員 先ほどたとえば保健所のお話がございました。保健所にいたしましても、医師の充足率からいっても現在は四一%でございます。あるいは国立の衛生試験所にいたしましても、たとえばガスクロにいたしましても、七台のうち五台が借りものであって、そして非常に人員が少ない、こういうような実態になっているわけです。それで、環境庁が今後公害研究所をつくるにいたしましても、そういうようないままでの研究機関というものを全部総合して公害研究所をつくるのか、あるいは新たにあらゆる面の学者あるいはそういう機関というものをこれからつくっていくのか、そういう点についてもまだ非常にはっきりしていない面があるわけです。そういう点から考えて、今後環境庁が設置されましても、実際に公害行政というものがいままでより以上に一元化されて、有機的に、総合的に機能を発揮し、目標を達成していけるかどうかということは、非常に心配な点があるわけです。そういう点については、先ほどからいろいろ大臣のお話を承っておりますと、非常に御確信もあるようでございますが、はたしてその大臣のお考えのとおりに今後日本の公害行政が進むかどうか、そういう点について最後にもう一度承りまして、時間でございますので、終わらしていただきたいと思います。
○山中国務大臣 たびたび申し上げて恐縮でありますが、世界各国とも行政機構や政治の姿勢はもちろんのこと、やはりいまのところ環境破壊問題に対しては、まだいまその緒につこうとしておる段階だと思うわけです。したがって、日本の場合も環境庁をつくりまして、この法律の中身で、これで足りるんだとは私は思っておりません。少なくともこれでもって出発をしてみて、たとえば下水道等も、将来環境行政の中の現業的な部門であっても、中に入っていくべきではないかとかいうようなこと等は、絶えず検討を続けていかなければならないものと思いますし、外国もやはり試行錯誤と申しますか、まだいろいろと研究段階という段階でございますので、わが国の環境庁あるいはそれに伴う諸法令の実態等が、法律だけは整っていても、はたしてそれだけの効果があがるのかどうか、昨年一年、公害を情緒的に議論したといってはたいへん失礼でありますけれども、やや現象的な議論もずいぶんありましたが、今度はもうそれによってどうなるのか、実際上日本の公害というものは、どういう現象の公害はどのように処理されるのかという、実質の問題の議論に入ってきた年であろうと思います。その意味において環境庁の任務はけだし重大である。したがって、大方の御期待に沿う良心的かつ積極的な行政を展開しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○古寺委員 最後に、国際的な視野に耐え得る公害の日本の大元締めにしなければならない、こういうふうに大臣はおっしゃっております。しかしながら、先ほどから申し上げましたように、産業立地行政の問題、あるいは発電所の許可権の問題、下水道行政の問題、エネルギー政策の問題、いろいろな大事な問題が取り残されております。こういう面についてこそ積極的に取り組んでいかなければ、私は今度の環境庁ができても日本の公害の撲滅は期し得ないのではないか、そういう点について非常に心配でございますので、今まで非常に熱心にこの公害に取り組んでこられた大臣として、この問題に向かっては積極的に今後も取り組んでいただきたい、そういうことを御要望申し上げまして終わります。
○天野委員長 東中光雄君。
○東中委員 重複しないように、具体的な問題についてお聞きしたいと思います。 田子の浦のヘドロの問題でありますが、きのうの新聞を見ますと、五月十一日、河川敷への投棄は五月末まで延長されたという報道がされておるわけですが、五月末まで作業をやって投棄が完了できるのか、一体どういう見通しになっておるのか、その点についてまずお聞きしたいと思います。 〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
○山中国務大臣 天候も非常に影響があるようでございますので、確固たる見通しの数字は申し上げられないと思いますが、当初、三十万トンを少なくとも出水期まで、富士川の河川敷使用期限までに片づけたいと言っておりましたのが、やはり相当下回るのではないか。四月中の処理実績はごくわずかなものでございますから、地域住民との話し合いで五月末まで一応延期を認めていただいた結果、五月一ぱい作業ができるとして、やはり三十万トンの当初の目標の達成は困難ではなかろうかというふうに考えております。
○東中委員 外洋投棄から河川敷投棄に変わったということもあって、作業の着手がずいぶんおくれたわけですが、しかしそのためにヘドロの堆積は、昨年非常に問題になった百万トンといわれた時期から比べて、底質状況というのはむしろ一そう悪化してきているのではないか、こう思うのですが、現在一日どれくらいのヘドロが排出されてきておるのかという点、お聞きしたいと思います。
○森口政府委員 田子の浦問題が起こりましたときには、日量約三千トン、これはウエットの最でございますが、ヘドロが流れ出ておったわけでございますが、現在緊急対策として大企業がいろいろなことをやっております。それからまた、この七月一日から実施されます水質基準に対応いたしまして、企業側の処理施設が逐次完成しつつあります。そういうようなわけでございまして、現在のヘドロの堆積量は、ウエットの量で日量約二千三百トン前後というように私どものほうでは計算をいたしております。
○東中委員 そうしますと、昨年九月百万トン、現在で日量二千三百トンだ、この期間ずっと続いておったわけですから、百万トンよりはるかにふえているのが現状ではないか。四月末日までの約十日間投棄がやられて、完了は一万七千トンくらいだというように報道されていますが、そうだとすれば、昨年よりもずっとひどい状態になっていると思うのですが、現在の堆積量を大体どのくらいに見ておられるのですか。
○森口政府委員 運輸省のほうのお調べによりますと、やはり現在も約百万トン程度のヘドロが堆積しておるというように私どものほうで聞いております。
○東中委員 数字からいくとそうはならないわけですけれども、必ずしも算術計算だけではないと思うのですが……。 そして現在五月末までの投棄可能量、これは一日大体七千トンぐらいというふうにいわれておりますが、そうですか。
○城戸政府委員 正確な数字が、まだいま作業を再開したばかりでございまして、ポンプ二台を使っての作業もこれから能率をあげる段階でございますから申し上げられませんが、現在では大体六、七千トンだといわれております。ただ目標としましては、さっき大臣からお答え申し上げましたように、大体五月中に十五万トンは処理できるように能率をあげていこう、こういうことでございます。
○東中委員 そうしますと、昨年三十二万トン四月末までという計画が半分以下になった。そして依然として排出はされているという状態で、もうすぐ夏になるわけですが、昨年起こったような健康被害が起こらないかどうか、そういうことが言えるのかどうか。硫化水素その他有毒ガスが出てくるのではないかと思うのです。昨年ずいぶん大きな問題になったわけですが、そういう点についての見通し、そういうものは起こらない、そういう施策や処置がとられておるということが言えるのかどうか、その点いかがでございましょう。
○城戸政府委員 これは昨年の十月に水質基準が設定されて以来、非常にSSの量も減ってまいっておりまして、目標ではこの七月の初めまでに六割以上カットするということでございましたが、現在すでにその目標に近づいておるということでございます。したがってそういう面での要素は相当減っているわけでございます。ただ、時期的に今後硫化水素が出る時期になるということもあるわけでございますので、そういう点、また河川敷を使用する点、こういう点を考えまして、五月末までが河川敷の使用の期限ともなっておりますので、その間に能率をあげました上で、夏場はこれは硫化水素問題があって処理できませんので、また秋以後の問題としてその後の対策を立てていこう、五月中の成績を見た上でその後の処理の方法を考えていこうというのが地元の静岡県の考え方でございます。
○東中委員 四月二十一日の午後、富士南中学校で、生徒の約半数二百九十人くらいが、のどが痛い、不快感を訴えたというふうな問題が起こっていると報道されておるわけです。これは作業をやり始めたときですけれども、そういう中で、硫化水素だけではないかもしれませんけれども、亜硫酸ガス等の影響もあると思いますけれども、こういう状態が起こっている。いま季節的に被害が出ていないというだけのことで、事態は昨年と比べてむしろひどくなっているのではないかというふうに思うのです。当面ヘドロ処理を五月末までやって、そうして十五万トンかりに計画どおりにやられたとして、それではむしろ事態は悪化するという状態だといわざるを得ないわけですが、なぜこんなに当初の計画からずれてきたのかということですね、その点はいかがでございましょうか。
○城戸政府委員 ただいま御指摘になりました南中学校の件でございますが、これは、実はその際私どももいろいろ地元に照会しまして、県のほうでも保健所等を通じて調べたわけでございます。そうするとこれは、事実は全くそういうことはないということでございます。ちょうど測定のための観測地点というのがその中学にございますが、その結果で見ましても、硫化水素につきましては痕跡程度であり、PPMでいえば〇・一PPM以下だという報告を受けているわけでございます。全くこの点は、何かほかの原因があったのではないかと思いますが、少なくとも硫化水素問題ではないということははっきりいたしております。 ただ今後は、その点確かに時期を迎えますと問題になりますので、一応五月末までということを考えているわけでございますが、その間におきましては硫化水素の問題は生じないという見通しで、現在は作業を進めているわけでございます。 なおこの点は、当然測定点もたくさんございますので、もし問題が起これば直ちに中止できるような体制を持ちながらやっていくということになろうかと思うわけでございます。
○東中委員 建設省来ていただいていると思うのですが、河川敷の使用については、五月末までというよりは、要するに雨期に入らない、出水期に入らない、そういう条件つきだったと思うのですが、どういう条件で河川敷を処理場として使用することを認められたのか、その点はどうなんでしょうか。
○川崎政府委員 期間の問題につきましては、やはり富士川も河川でございますので、梅雨期、出水期になりますと相当洪水等のおそれもございますし、そのために脱水処理場として使用しております川原が、河川のためにいろいろ侵食される等のことで、ヘドロがまた流出いたしますといろいろ問題を起こすという判断から、そのほかに硫化水素の問題もございますけれども、通常雨期と考えますのはやはり六月であろうというようなことで、五月末を河川管理上の使用許可の期限にしたわけでございます。
○東中委員 そうしますと五月末までに、ここに投棄されたヘドロはのけるということが条件ですね。そうなるわけですが、そうではないのですか。
○川崎政府委員 河川敷の占用の期間が五月末までになっておりますので、それまでに撤去を完了するということになっております。
○東中委員 ところが逆に五月末までここに投棄をするということに、いま期間が延期されたということになっているわけです。だからこの河川敷、五月末までに投棄をして、脱水して、そこから除去をするということですけれども、脱水をする時期にはもう雨期に入ってしまう。出水期に入ってしまうということなんですが、この点は非常に矛盾してくるわけですけれども、どういうふうに公害対策本部のほうでは考えていらっしゃるのですか。
○城戸政府委員 これは当然河川敷の使用の許可の条件でございますから、それの順守される範囲内において作業をやっていくということでございます。ただ実際上はろ過機四台をもってやっておりまして、これを順次回していくわけでございますので、相当効率的にやれると思いますし、撤去そのものにはそう時間がかかるものではないようでありますから、できるだけ最大限活用して、いま申し上げましたような能率をあげていこうということが、現在の私どもなり地元の県の考え方でございます。
○東中委員 投棄されたヘドロ、脱水したヘドロは、すでに除去されたり、あるいはされる段取りというものはついておるのですか。それは全然ついていないのではないですか。
○城戸政府委員 脱水されましたヘドロにつきましては、一応ビニールに包みました上で仮置きをするということになっておるわけでございまして、最終的にどういう形にするかということにつきましては、まだ最終的な処分先につきましては決定いたしておりません。
○東中委員 五月末までにここへ投棄をする、運搬船で運んできて投棄をする。そして五月末までにビニールに入れて、そして除去してしまう。そういうことはもう不可能なことはきわめて明瞭なんですけれども、脱水はどの程度の脱水をすれば、そのビニールに入れ除去するということができるのですか。
○城戸政府委員 私が申し上げましたのは、作業全部五月末までやるのではなくて、いま申し上げましたようにすべての作業を終わって、撤去できる目標を五月末までということで作業をやるわけでございます。作業は御承知のように運搬船で運んでまいりまして、ケーソンのところからパイプであげるわけでございまして、ろ過機が四カ所あるわけでございます。これを順次使って脱水したものをダンプで搬出しました上で、県有地に持っていく。この状態がビニールで包んだ形で、県有地に仮置きをするような形になろうかということでございまして、最終の撤去に要する日にち——脱水に要する日数は三日程度ではなかろうかということでございます。
○東中委員 そうすると脱水でもう一つ確かめておきたいのですが、何%くらい水分が脱水されたら脱水状態だということをいわれておるのですか。
○城戸政府委員 脱水率で申しまして七〇か八〇%程度まで脱水しようということでございます。
○東中委員 そうしますと、先ほどの計算でいきますと、一日に七千トンとしても、脱水期間を入れ、除去期間を入れれば十五万トンなんてとてもできない。計画どおり毎日かっちりやったとしても十万トンそこそこになってしまうのではないですか。計画と実際の数量とはずいぶん食い違ってくると思うのですが。
○城戸政府委員 いま先ほど申し上げました七千トンというのは、現在聞いている範囲でございまして、能率をあげていって、先ほど申し上げました予定の三十万トンの半分程度までいこうということでございますから、七千トンで今後毎日行くということではございません。
○東中委員 陸上パイプを使うという方法を当初検討されておったようですけれども、それが運搬船使用という方法に変わった。このことで今度は波の問題でずいぶん作業がおくれてきたということになっておるわけですが、なぜ陸上パイプという確実にやれる方法をとられなかったか。こういう現状では、状態は全然改善されてないといわざるを得ないわけですけれども、なぜそうなったか。
○城戸政府委員 これは県の研究の結果によりますと、相当の距離を圧力をかけてパイプで送るわけでございまして、いろいろ技術上の問題があって困難であるということで、こういうような方法に変わったと聞いております。
○東中委員 県の山田利広土木部長が、この方式では五月から十月まではヘドロのしゅんせつは不可能なんだというふうに、土木部長自身が言っておったわけです。今度は五月末までやるのだ、こうなったわけですけれども、運搬船の利用方式で行く限りは、夏は硫化水素が出てくるから、ガスであぶなくてできない。先ほど言われたとおりです。冬は波が高いからだめだ。結局やれなくなってしまう。現にやれなくなってしまっているわけです。あれくらい騒いで大山鳴動、さっぱり何もやられていない。夏になったらたいへんだ、こういうふうに私は思うのですけれども、こういう点どうされるつもりなのか、このつもりで行かれるのか、どうなんでしょう。
○城戸政府委員 先ほどから申し上げましたように五月中はこの方式で行きまして、十分能率をあげました上で、さらに夏の硫化水素の出る時期は避けまして、秋以後に、その間の成果を見定めた上で、さらに抜本的な対策を講じようというのが、現在の段階の考え方でございます。
○東中委員 運搬船を利用するようになった経過ですけれども、これは海洋投棄のための運搬船の改造をやった、二億数千万の金を使った。こういう船を改造して費用を使ったものを使わないわけにはいかないということで、陸上パイプ輸送のほうを考えておりながら、こういうものに切りかえた。それが実際に進まないようになってきた原因なんじゃないですか。だからほんとうに田子の浦のヘドロ問題を解決していくという点では、これはいまやられておる情勢では全く解決つかない。むしろ流出はあるわけです、排出はまたされておるわけですから、問題になったころと堆積量は変わっていないとおっしゃいますけれども、理屈からいけばふえているわけなんですね。そういう点、秋になって抜本的にもう一回考えるということではなくて、これは直ちにいまおくれた原因をはっきり究明して、対策を考えられなければいけないことじゃないか、こう思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。
○城戸政府委員 運搬船をすでに外洋投棄のためにつくったから、それに引かれたのではないかということでございますが、実はやはり実情は、このほかの方法いろいろ検討した結果、パイプ輸送の点につきましてもいまのような技術的な問題点がある、あるいは硫化水素等につきましては、パイプ輸送の場合さらに問題点が大きいというようなこともございまして、現在の方式に落着しておるわけでございまして、この方式でできるだけ能率をあげていくということが、いま最上の方法ではないかと思っております。
○東中委員 海洋投棄のためにつくった運搬船を利用したのだということは、それは当局としては認められにくいことだと思いますけれども、現実に作業がずっと延び延びになってきておる、こういう方式しかない、というふうなことで、これだと来年十月、秋になったって、これまた風が吹いてきますからだめだと思うのですが、そういう点での、ほんとうにこの問題を解決していくという真剣な取り組みを強く要望しておきたいわけであります。それと同時に、発生源の規制ですが、七月一日がもう目の前に来ているわけですけれども、規制の計画の点を通産省のほうで明らかにしていただきたいと思います。
○森口政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、この七月一日からはSS規制がされることになっております。大体大企業等におきましては八〇PPMという水質基準が実施されることになっております。現在大企業は八〇PPMのSS規制に合格いたしますためにクラリファイアーの設置等、各種の公害防止工事を進めております。私のほうで確認いたしております限り、七月一日の水質基準の設定時には十分公害防止工事の設置は間に合います。水質基準は十分守れるものと考えております。 なお、中小企業等につきましては、大部分が岳南排水路に排水するわけでございますが、岳南排水路の受け入れ基準の案もほぼ固まりました。それに対応するような各種の工事を中小企業の側面においても実施しつつありますので、両々相まって七月一日からは排出いたしますSSの量は大幅に減るというように期待をいたしております。
○東中委員 環境庁が発足すれば、七月一日からこの問題の処理は通産省から引き継がれることになると思うのですが、いまやられているような方向で排出基準は十分守らせる、そういう方向でやっていかれるということかどうか、これは当然のことですけれども、長官……。
○山中国務大臣 これは本来国が責任を負ってやらなければならないケースであったかどうかは問題のあるところでございますが、しかし当初田子の浦の主として製紙業界のSSに伴う港湾機能麻痺直前の状態、あるいは海員組合が入港を拒否するというような異常事態、これはやはり一つのモデルケースとして退治しようじゃないかということで、竹山知事に来てもらって始めたのが事の始まりでございます。したがって、今後は洞海湾その他にいたしましても、地方の行為として行なわれるということに対して国が援助することになると思いますが、この田子の浦の問題も、静岡県の計画に対して国のほうで前例のない転貸債——最終的には民間の負担であるべきものを一応緊急だから起債でやっておこうというような措置等もとったというのも、国が何をなし得るかという問題で協力をしたわけです。 竹山知事が来られたときも、大体運搬船の注文もして来られたような段階でございましたし、したがって外洋投棄という線を主張されましたので、一応漁業その他の影響等を水産庁等とも相談をしながら、黒潮の外ならよかろうということであったのですけれども、全漁連あるいは日本鰹鮪組合というところから、それでもなお黒潮に乗った場合に影響があるというような話等がありまして、私はもともと外洋投棄については、水産動植物への影響から陸上投棄のほうがよろしいという意見を持っておりましたけれども、何分にも私たち知事さんのほうの御意向というものをバックアップするということしかありませんので、知事の御意向に従ったのですけれども、結局はそれも湾内移動という第二案を持ってこられましたし、これも私としては不可能じゃありませんかと申したのですけれども、貯木場と鈴川埠頭でできるという話でありましたが、これまた付近の住民の反対で、結局建設省の河川敷を使わしてもらうという案に変わりました。建設省としては、河川敷をそういうことに使ってもらうこと自体が、建設省が昨年河川法の政令をつくりました際の趣旨からいって、わざわざ建設省が許可をして、きれいに保ちたい河川敷をよごす行為を認めるわけでありますから、時期的に短期的にとはいっても、公害対策本部、水産庁と相談をして、公害対策本部副本部長、公害担当大臣の公文書をもって、建設省河川局に対して、大臣あて敷地の使用許可をお願いをしたといういきさつもあるわけでございます。いずれにしても現在の田子の浦の状態というものは諸外国にまで聞こえかねないような、視察に田子の浦はどうだろうとトレインさんも言ったくらいですから、たいへん恥ずかしい状態でありますので、いまの水質規制、浮遊物規制等が七月等から大体六、七〇%カットというところまで参りますと、あとの堆積の問題は、主として岳南排水路の終末処理場の建設、これがやや時間が、来年までかかりますけれども、これが完成と相まって、まず出ていくものはきちんと処理をする。あとは残ったものの処理でございますから、したがって、環境庁が出発したあとは当然それを引き継いで、やはり一つのモデルケースとして取り上げたものを始末をつけないでほうり出すということは、政治の責任において許されないことでありますので、知事、市長、地域住民等の協力を得ながら、すでに堆積された推定百万トン——あるいはそれが先ほど来お話のある、さらに堆積が重なっているはずだが、港の機能は麻痺していないのか、それは駿河湾だって漁業者を結局脅かす、水産動植物に影響を与える範囲が広がっているのではないか、御質問ありませんが、そういうこと等も心配しているわけです。 〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、湾内にたまっておりますものそのものも、やはり完全に港湾の機能を回復し、あるいは駿河湾への影響というものを断ち切るための河川敷利用の処理というものは、地域住民の了承を得、建設省の許可をさらに求めて、秋口以降またさらに進めなければならぬと思います。ことしは秋口には——そういう意向が地元から表明されておりませんでしたから、押し詰まってそういう許可が出たわけでありますけれども、今回は同じ行為をやるわけでありますから、建設省とも事前に相談をして、なるべく出水期が終わった時点においては、再びその行為が繰り返して実行できるように、そして湾内のすでに堆積してしまっておるもの、いまから排出を幾ら締めても、すでに中にあるものについては、これをなるべくすみやかに撤去できるように努力したい、環境庁においても当然これの責任を放棄しないで知事と相談しながら進めていくべきであると考えております。
○東中委員 駿河湾のサクラエビの排卵期はちょうど五月になる。こういうこともあって、漁民のほうではいろいろ心配をしておられるようであります。そういう点で特にお聞きしたわけですが、最後に底質悪化の環境基準ですか、費用負担法では、河川、港湾のしゅんせつ事業がきめられておるわけですけれども、どういう状況になったらそのしゅんせつ工事をやるのか。いわゆる環境基準がこれはまだきめられていないのではないか、あるいはきめられないのではないか。そうすると、結局費用負担法でいっておることをやるのは、基準がない以上、住民が騒ぎ出してやり出さなければ、ほうっておかれるようなかっこうになりかねない、そういう性質を持つと思うのですが、洞海湾にしましても、いま長官の言われましたように、世界的に有名になってしまったこの問題にしても、非常に象徴的なことですから、そういう点について環境基準なり、あるいはつくるかつくらないか、どうしていくか、そういう点お話をお聞かせいただきたい。
○山中国務大臣 これはお話しのように、公害防止事業費事業者負担法並びに国のそれらの事業に対する補助率の特例等については、普遍的に対象にすることにいたしております。したがって、あるところでは、たとえば洞爺湖の透明度が浅くなったとか、あるところにおいては底質の悪化によって魚介類に影響が出るとか、洞海湾は有毒、有害物質もあるかもしれませんが、色、におい等の問題があるとか、いろいろ形状は違うと思うのです。したがって、これらの基準の設定というものはこれからやらなければなりませんが、どのような基準にするか、判断基準と申しますか、一種の測定値をいろいろな形状に当てはめるようなものをどうしてもつくっていかなくちゃならぬ、それに対して国の補助を適用した作業というものをやっていかなければならぬだろうと思っておりますが、現在のところまだそこまで参っておらない次第でございます。
○東中委員 質問を終わりますが、いまのヘドロの問題にしましても、実際上なかなか実効があがっていない。昨年と同じ事態が、政治的にはなるほど一応静まっておりますけれども、環境汚染といいますか、公害のこの実情というのは一向に改善されていない。こういう事態でありますから、ひとつ強力に国民の健康を守るということ、同時に、環境保全という点での適切な施策というものを強く要請いたしておきたいと思います。
○天野委員長 以上をもちまして、連合審査会は終了いたしました。 これにて散会いたします。 午後五時二分散会