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65回国会衆議院1971/05/10

内閣委員会公聴会 第1号

発言数
57
登壇者
11
会派数
4
開催日
1971/05/10

会議録

天野公義自由民主党

○天野委員長 これより会議を開きます。  環境庁設置法案について公聴会に入ります。  本日午前中に御出席をお願いいたしました公述人は、関西労働文化教育研究所理事長音田正己君、東海大学工学部教授前田慶之助君のお二人でございます。  この際、両公述人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席いただきましてまことにありがとうございました。  本案は、御承知のとおり、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全をはかり、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進する必要があるとして政府から提出されたものであります。  当委員会は、この機会に広く各界からの御意見を求めるべくここに公聴会を開会いたした次第であります。  何とぞ、両公述人におかれましては、本案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、もって本案審査の参考に資したいと存ずる次第でございます。  なお、御意見の開陳はお一人約二十分程度順次お述べいただいた後で、委員からの質疑にお答えを願いたいと思います。  なお、念のため申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、公述人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、関西労働文化教育研究所理事長音田正己君。

音田正己関西労働文化教育研究所理事長

○音田公述人 ただいま委員長から御紹介にあずかりました音田正己でございます。本日公述の機会を与えていただきましたことを厚く御礼申し上げます。  さっそく私の所見の開陳に入りたいと思います。  環境庁設置法案は、公害対策を推進させるという点におきましては、評価するのにやぶさかじゃございませんけれども、公害対策じゃなくて、もう少し次元の高い環境保全という観点からこれを検討いたしますと、設置法に規定されております任務では、まだ不十分の点が多々あるように考えます。  以下、簡単に私の所見を開陳させていただきます。  まず第一に、環境の悪化は、人口の増加、都市化の進展、生産技術の高度化を伴った工業化、これらが原因でございます。なかんずく、わが国は、御承知のとおり、世界でもまれな超高密度社会でございます。たとえばGNP世界一といわれますアメリカと比較いたしまして、平地面積当たりの人口密度は実に五十倍でございます。GNP密度は約十五倍と推定されます。かような超高密度社会におきまして、過去十数年間にわたりまして、人類史上まれな急激な経済成長が行なわれたわけでございまして、いかにわが国の現在の環境悪化が激化しているかということは、かような点からも推測がつくわけでございます。  さて、六〇年代は、このような環境の悪化に対しましてあまり考慮が払われなかったといって差しつかえないかと思いますが、七〇年代こそは環境保全に十分な考慮を払いまして、環境保全に対しては重点的な資源の配分を行ないませんと、永久に取り返しのつかないようなことになりはしないかと考えられます。  第二に、現在の中央の行政機関は、厚生省を除きまして各省庁とも環境保全を第一義的な任務として設置されているものではございません。ところが昭和四十二年の公害対策基本法の制定の過程におきまして、この法律に関係のない省庁はおそらく外務省だけであって、あとの省庁は全部関係があるというふうにいわれておりました。ところが現在では、御承知のように、環境問題は国際関係、国際外交上の非常に大きな柱にさえなっております。たとえば一昨年の十二月にアメリカの大統領は国務省の中に環境問題部というものを設置いたしまして、ハーター二世がこの長になったことは御承知のとおりでございます。昨年の春には彼はさっそく日本に飛んでまいりまして、各界と話し合いをしておりますし、またアメリカは在外公館に一斉に指令を発しまして、その国々の公害の現況並びに対策の現状を調査いたしております。あるいはまた昨年の秋、大統領環境問題諮問委員会議長のトレイン氏が日本に参りまして、山中総理府総務長官と会った。あるいは今度は六月に山中長官がアメリカに参りまして、またトレイン氏と会談されるということになっておりまして、外務省すらこの公害問題を避けて通れない。むしろこれが今後の国際問題の非常に大きな柱になっておるわけでございます。そこで、従来のいわば縦割りの行政機関に対しまして、今度提案になりました環境庁というのはいわば横割りの行政機関であると言って差しつかえないかと存じます。ちょうど経済企画庁が経済関係の各省庁に対しまして横割りの機関であると同じような意味でございます。  第三に、現在までのところ、産業立地、都市計画、交通体系の整備など、いわゆる国土開発が強力に推し進められてきたわけでございますが、その反面が環境悪化となってあらわれております。したがいまして、今後は産業の発展、国土開発あるいは物的生活水準の上昇などが環境悪化をもたらさないように、総合的、システム的に対策を講ずる必要があろうかと存じます。そのためにこそ環境庁が設置されようとしていると私は理解しております。すなわち、環境庁は、環境の保全という観点から国の施策を総合調整することが任務でなければなりません。したがいまして、国の経済計画、国土総合開発計画等は当然環境保全計画という観点から見直しをする。そうしてこれらの諸計画との整合性が保たれなければならないわけでございます。したがいまして、社会開発に関しまして、環境庁は経済企画庁とともに車の両輪のような機能を果たすことが望ましいと考えます。そして、おそらく今後産業構造、土地利用、生活用式に関して根本的な再検討を加えることが必要になろうかと存じます。こういう任務が環境庁に当然課せられる必要があると存じております。  第四に、それでは現在のわが国の法令あるいは行政の上で環境の保全はどのように規定されておりますか、しばらく振り返ってみたいと存じます。  現在ございますところの基本法は、公害対策基本法でございます。決して環境保全基本法ではございません。それでは、公害対策基本法で「公害」という概念はどういうふうに規定されているかと申しますと、言うまでもないことでございますが、第二条に定義がございまして、この法律で「公害」とは、事業活動その他人の活動によって相当規模の大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、悪臭、振動、地盤沈下及び騒音によって、健康の被害または生活環境の被害が生ずることをいう、こういうふうになっております。わかったような、わからないようなこれは定義でございまして、ちなみに英訳いたしますと意味が通じないといわれております。非常に公害の定義というものはある意味で便利かもわかりませんけれども、どうもこの三つの柱の上に定義が成り立っておりますが、この三つの柱、つまり人の活動によって起こるということと、七つの典型的な環境汚染とそれから被害、この結びつき方がどうもはっきりしないわけでございます。  そこで私の私見を申し述べてみたいと思いますが、私は、環境汚染因子、英語でポリュータンツと申しますが、環境汚染因子が環境受容量、エンバイロンメンタルキャパシティーをこえて排出されたときに環境汚染、エンバイロンメンタルポリューションが起こるのであります。そうしまして、この環境汚染を防止することが、とりもなおさず環境の保全ということでございます。  それでは、何をもって環境汚染というかということが問題になりますが、私は環境の質、エンバイロンメンタルクォーリティー、これが変化したときに環境は汚染されているというふうに考えております。したがいまして、公害対策基本法第二条の定義とは異なりまして、病人がたとえ発生しなくても、あるいは異臭魚、くさい魚があらわれなくても、環境汚染ということはあるわけでございます。もし病人が発生したりくさい魚があらわれたときには、これはもう非常に深刻な事態であり、手おくれだと考えなければなりません。もちろん、どこに境界線を引くかということは必ずしも明確ではございませんが、私は環境汚染を三つのカテゴリーに分けております。  第一は、環境汚染因子、たとえば水銀であるとか農薬でございますが、これが食物連鎖を通じまして濃縮をするような汚染がございます。これを私は第一のカテゴリーに入れております。たとえば日本の水俣病、あるいは一九五七年、アメリカのカリフォルニア州のクリアレイク――クリアレイクといいますから澄んだ湖だったと思いますが、クリアレイクにおいてDDDという農薬によってカイツブリという鳥が大量に死滅した事件がございます。これなどは、私の第一の範疇に入る環境汚染でございます。言うまでもなく、湖のポリュータンツによる汚染度はそれほど高くございません。クリアレイクの場合には、湖の水は〇・〇二PPMのDDDを含んでおった。これが湖におりますところのプランクトンの体内では五PPMに濃縮されております。ところがこのプランクトンをえさにしております小魚の体内では何と二〇〇〇PPMまで濃縮されたのであります。これを食べたカイツブリという鳥が死滅したわけでございます。日本の水俣病は、それを人間が食べたわけでございます。  第二のカテゴリーに入りますのは、日本の法律では主として生活環境の被害というふうに申している環境汚染がこれに入るわけでございます。これを日本の法律ではいわゆる七つの典型公害と申しております。  第三のカテゴリーに入りますのは、たとえば生態系、エコシステムの破壊、それから生物圏、バイオスフェアの破綻あるいは大気圏、アトモスフェアの破綻等がこれでございまして、例をあげますと、空中の浮遊微粒子並びに炭酸ガスの濃度が高まってまいりますと、気温に重大な変化を引き起こすだろうといわれております。これは直接人間の健康に被害をもたらしませんけれども、気温が変化いたします。あるいはまた微量な農薬が海中に入りまして、海中におりますところの植物性プランクトンの光合成機能を破壊したり、あるいはプランクトンそのものを死滅させます。そういたしますと、海洋動物のえさがなくなる、あるいはまた植物性プランクトンによる光合成機能が非常に低下いたしまして炭酸ガスの分解能力が落ちるわけでございます。こういった汚染もございます。  さて、日本の公害問題は、私の申します第一のカテゴリーである環境汚染によってクローズアップしてきたことは御承知のとおりであります。次いで第二のカテゴリーの汚染が問題とされておるわけでございます。これに比べまして欧米では、第一、第二、第三の環境汚染を総合的に取り上げております。たとえば蚊がいなくなる、これは一応われわれには好都合だというふうに考えますが、はたしてそうでありましょうか。コウノトリが死滅する、桜が枯れる、しかも人間だけが絶対安全であるというようなことはございません。またわれわれ一代は無事に一生を終えることができたといたしましても、われわれの子孫にどういう遺伝的な障害が生ずるかということを考えますと、環境汚染は非常に深刻でございまして、先ほど申しました三つのカテゴリーを総合的、体系的に取り上げて対策を考える必要があるように思います。  環境庁設置法を拝見いたしました限りにおいては、たとえば第三条及び第四条を見ますと、どうも環境保全というのは、現在まで行なわれてまいりました公害対策と自然公園に関する事業を行なう程度に考えられているようでありますが、この点は、先ほどから申しましたように、きわめて不十分だというふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、公害対策基本法と、これを基礎として設置されようとしております環境庁の構想の土台となっておりますところのものの考え方と申しますか哲学と申しますか、これと、現在進行しておりますところの人間環境の汚染の現況との間にはかなり乖離があります。汚染の現状は、環境庁設置法の任務として規定されております程度ではなかなか解決しないのじゃないかという感じがいたします。  第五、日本で公害が社会問題となっておりますが、このことは、環境汚染に関する認識と評価に関しまして、なかなか国民各層の間に一致が見られないということを意味するものだと考えられます。環境庁が設置されましても、国民的合意が成立せず、あるいはまた各省間でなかなか合意が得られないということになりますと、環境の保全を推進することはきわめて困難ではないかと考えられます。たとえば、日本では昭和四十三年度からいわゆる公害白書というものが出されておりますけれども、これの作成過程は、言うまでもなくいろいろ各省の意見を調整いたしまして、だれも反対をしない部分だけお書きになっているのじゃないかという気がするのです。どうもこの性格がはっきりしない、一本太い線が通っていないように私は考えます。それに対しまして昨年出ましたところのいわばアメリカの環境白書、エンバイロンメンタルクオリティーでございますが、これは昨年日本に参りましたトレインが委員長でつくったものでございますが、日本の公害白書とは非常に中身が違っております。私は、せめて日本の公害白書もこのアメリカのエンバイロンメンタルクオリティー程度の次元の高い、非常に指導性のあるものであってほしいと考えます。もちろん私は、日本の国家公務員の方々がアメリカのそれらの人たちに比べてまさるとも劣らないと思っておりますけれども、先ほど言いましたような、つまり合意ということがだれも反対のない線できまるというふうなことが多うございますので、どうも皆さん方の実力が十分生かされていないように考えるわけでございます。今度の設置法によりますと、二十人以内の非常勤委員をもって構成される中央公害対策審議会が従来どおり引き継がれることになりますが、はたしてその程度のものでこういった国民的合意がまだ見出されていない環境保全といった問題に対処するのに十分であろうか、疑問に思っております。少なくとも現在の内閣総理大臣の諮問機関でございます経済審議会程度の規模の活動を早急に始めていただく必要があると考えております。  第六、自然公園等の事業の実施を除きまして、公害防止関連事業の実施面は従来どおり縦割りの各省庁に残されております。これは私はきわめて賢明な行き方だと思います。なぜならば、狭義の公害防止事業を他の関連する公共事業から切り離して実施いたしましたのでは、決して効果があがらないからであります。また実際問題といたしまして、環境保全事業のすべてを一つの官庁の手に集めようとしても、これはできないのでございまして、アメリカでも環境保護庁をつくるときにこういう点が問題になっておりました。  それでは、環境庁はどのようにして総合調整機能を発揮すべきでありましょうか。簡単に私の考えを申し上げたいと思いますが、まず十分にその機能を発揮するためには、いわゆる人と金、人事権と予算権が非常に有力な武器であることは言うまでもございません。この点が一体どうなりましょうか。経済企画庁と同じように、このような横割りの調整的機能を主とします行政機関であるという性格上、他の省庁から職員が出向してこられるということはやむを得ませんし、また必要でございますけれども、やはり一日も早く固有の職員が充足されるべきであると考えております。  次に予算の問題でございますが、設置法によりますと、「関係行政機関の公害の防止並びに自然環境の保護及び整備に関する経費の見積りの方針の調整」ということがその任務の一つになっております。私は、具体的にこれは何を意味するか、必ずしも的確に理解できませんけれども、たとえば現在の予算編成では、防衛費であるとか社会保障費であるとか教育費というものが予算項目としてあがっております。それと同じように、環境保全費というふうなものを一つの予算項目として計上される必要があるのではないかという気がいたします。なぜこういうことを申すかといいますと、それぞれ実施面を各省庁が担当いたしますけれども、その省庁の事業では公害対策が行なわれているというふうにお考えになるかもしれませんけれども、その実は、公害防止対策というものが第二次公害を引き起こすことが少なくございません。たとえば大気汚染を防止するために集じん器をつける、あるいは排煙脱硫装置をつける。しかし、その結果集まったところの粉じんあるいはスラッジが一体どう処理されるか。これを川に流し、あるいは海に捨てますと、水質汚濁を引き起こすことは言うまでもございません。ところが縦割り行政ですと、どうもその関連が十分に押えられにくいのでございます。そういう意味におきまして、予算編成上、私は環境保全という考え方から環境庁がそういった予算の体系的、システム的な検討をなさる必要があろうかと考えますし、また限られた予算を有効に使うために環境保全事業に対しては思い切ってPPBSによるところの効率的な財政投入の方途を探究すべきであると考えます。  第七、環境保全のために環境汚染データの収集と分析、さらに解析が必要であることは言うまでもございませんし、また環境汚染防止技術の開発が急がれております。これらの情報は、国内はもとより国際的にも交換され、利用されることが望ましいわけでございます。しかも一環境汚染に関する科学技術は、ほとんどあらゆる科学技術の領域と関連を持っております。したがいまして、どんな大規模な国立公害研究所をおつくりになりましても、環境保全に関するすべての研究と情報をそこ独自で生み出すことは不可能でございます。したがいまして、国立公害研究所は環境保全に関する科学技術の情報センター的な機能をまず備えるべきであろうかと考えます。そしてさらに、国内はもとより国際的にこれを利用する道を開くべきだと考えます。  また、わが国は環境汚染の先進国だといわれております。これははなはだ不名誉な話でございますが、しかしながらこのことはとりもなおさず環境保全のための科学技術の開発と環境保全行政の先進国になり得ることを意味するわけでございます。現に、すでに世界の先頭に立っている領域もないわけじゃございません。大気汚染防止、特にこの脱硫の問題では、私は日本は先端を切っておるように考えます。したがいまして、公害研修所の設立と相まちまして国際的に利用し得る研修センター、これは国連の機関になってもいいかと思いますが、国際的に利用し得る研修センターを設置して、GNPの一%を予定されております対外協力資金の一部をこれに充当することを考えるべきだと思います。さらに、もし私見をつけ加えることを許していただけますならば、私はそういう場所としては昨年の万博のあと地が最も適当と考えます。これらの施策は、GNP第三位の経済大国といわれる日本として当然行なうべきことかと考えます。  結論を申しますと、環境庁の設置に伴いまして、わが国の環境保全対策におきまして、従来の公害対策の次元から環境保全の次元へと飛躍が行なわれることを期待している次第であります。  以上で私の公述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

天野公義自由民主党

○天野委員長 どうもありがとうございました。  次に、東海大学工学部教授前田慶之助君にお願いいたします。

前田慶之助東海大学工学部教授

○前田公述人 私、前田でございます。  本日、この公述の機会を得ましたことを非常に感謝いたしておる次第でございます。  まず、環境庁の設置に関します法案に対しまして、私は、この法案に対して、環境庁の設置が必要であるかどうかという問題につきましては、去年来非常に騒がれました例の環境の保全と、それからまた公害の防止という問題から考えまして、早急に環境庁を設置しなければならないという意味におきまして、こういう構想につきまして賛成でございます。  しかしながら、この環境庁を設置したということによってのみ環境の保全並びに公害の防止というものは終わるものではないわけでございます。御承知のように、日本というのは四面海に囲まれまして細長い国でありまして、まん中に山脈が通っておる。それからまた四季こもごもの風が吹きまして、台風等もありまして、いわゆる自然浄化能力というものにつきましては従来非常にすぐれておるといわれておる国でございます。ところが、近来まれに見るいろいろな経済成長、高度発展をやりまして、ついにいろいろ去年騒がれるような状態というもの、目に見えるような状態というのになったのは御承知のとおりでございます。そういう意味におきまして、現在日本の縦割り的な行政面におきまして、国民は環境庁というものを、どういうことであるべきかということについてきわめて関心を持って観察しておったということは、皆さんも御承知のとおりだと思うわけでございます。したがって、いわゆる環境の保全が悪くなり、あるいは公害が出るということは、とりもなおさず、簡単に申しますと、環境サイクルの破綻によるいわゆる浄化能力や洗浄能力というものが大きい面で足らないがために第一の公害が起こり、さらにだんだんと公害がエクステンドしていくというのが公害の実態でございます。  したがって、私は現在のこの公害問題というものを考えてみますときに、一番早急になさなければならないことは何であろうか、国民の期待しておるところの環境庁は何であろうかということをひとまず考えてみたい、こう思うわけでございます。  まず、やはり公害問題というものは環境の保全という問題とあわせまして、現在、実態というものを把握するということは一番重要なことではないだろうかと思います。昨年来公害、公害、もう毎日毎日新聞紙上に見ますように、そういうものが騒がれる。しかしながら振り返ってみると、はたして具体的に打たれた手はあるだろうかということを考えますときに、いわゆる環境保全に関するいろいろな問題だとか、あるいは公害に関する原因というものが地についてわかっていないがために、ただ右往左往して騒がなければならないというのが実態ではないだろうかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、私は公害の現況というものをいわゆる環境保全とあわせまして早急に把握するということは必要ではないだろうかと思うわけでございます。  しかも、御存じのように、一がいに公害とは申しますけれども、最近出ておりますところの大気汚染あるいは水質の汚濁あるいは海洋の汚濁あるいは土壌の汚染等、いろいろ考えてみますと、すべていわゆる公害というものは複合公害でございます。シンプルな公害ではないわけでございます。したがって、この問題というものにわれわれは取り組みます場合において、かなり高い角度から、相当広い視野からこの縦割り行政下においてどういうふうにしてそれを考えることによって人命の尊重あるいは環境の保全というものがなされるであろうかということを考えなければならないのではないでしょうか。そういう意味において、現況を把握したならば、いままでわれわれがたとえばいわゆる産業立地の問題を考えますときに、産業立地という問題から考えます場合において、港も必要でありましょうし、それから水も必要でありましょう。それから土地も必要でありましょう。それと同時に、第一番目に考えなければならないのは、この公害関係について、公害防止についてどうであろうかということを考えなければならない時点に達しておる。したがって環境保全及び公害防止という面から考えてみた場合の、いわゆる日本全体を見た場合のマスタープランと申しますか、そういうものが是が非でも必要ではないだろうかと考えるわけでございます。すなわち、大きい目で見た日本というものの国土建設という意味から考えますと、いわゆるいま早急に、迅速になされなければならない問題点、それから将来考えなければならない、いわゆる予防的に考えなければならない問題点、それから現実いろいろとトラブルが起こっておる問題点についてどう処置していくかという、三つの問題点があろうかと考えるわけでございます。そういう意味におきまして、先ほども申しますように、相当ゼネラリスト的な考え方から、総合的に現況というものを把握しまして、そうして現況を把握した上で方針というものを決定をいたしまして、そしてその対策及び指導というものが必要であるのではなかろうか、そういうことを国民はこの環境庁というものに望んでおるのではないだろうかと私は感じるわけでございます。  そういう意味におきまして、私はこの環境庁の設置の法案に対しまして、いささか最初の環境庁の設置の心がけよりも少し後退したのではないだろうかということを痛切に感じますので、その感じたおもなところを二、三点、特にポイントをあげさしていただきたい、こう思うわけでございます。  まず第一点といたしまして、この環境庁の設置法案に関して、大体主体性を欠いておるのではないだろうかと思われる点があります。第四条は御存じのように、まず第一項の「環境の保全に関する基本的な政策を企画し、立案し、及び推進すること。」これは当然でございましょう。それから、「関係行政機関の環境の保全に関する事務の総合調整を行なうこと。」これも当然だと思います。ところが、第三項の「関係行政機関の公害の防止並びに自然環境の保護及び整備に関する経費の見積りの方針の調整を行ない、」このことで見ますと、この環境庁というものは各関係庁からの公害に関する見積もりを大体とって、その調整を行なうのだということになっておるわけでございます。ところが、実際われわれが第三者的に従来の予算編成というものを見ておりますと、いま言いますように、あくまでも主体性がなければいけないわけでございますが、往々にして、たとえば八月までに大蔵に提出するということになりますと、各関係庁でいわゆる公害の防止、環境保全に対する一筋の筋が通った上でそういう公害問題というものができきればいいのでございますけれども、ついつい各省にも頼んで、頼むぞ頼むぞでやっちゃう。そして大臣が認可したものを調整しようとしても、事実調整は、ことばでは書いてあるけれども、調整はできない。すなわち、公害対策におけるところの一本の筋が通らない、環境保全に関する一本の筋が通らないという実態になりはしないかという心配があるということを思うわけでございます。そういう意味におきまして、私はあくまでも将来の日本の発展ということを考えます場合に、いままでやってきた、去年から騒がれましたような公害の問題が出てきたとするならば、その問題に関しまして、わが国が発展するためには公害面から中立的にこういうことを考えなければいけないという方針を立てる必要があるのではないだろうか、そういう意味において主体性を欠いておるのではないかということを言っておるわけでございます。  第二点でございます。まず予算のことでございます。この法案で見ますと、予算面につきましては、環境庁が研究費の一切の一括計上を行なわれるようでございますけれども、いわゆる一番当初に国民の望んでおるところの現況把握という問題点につきましては、何も各省からぶんどってやるというわけじゃなくて、やはり一筋通った方法論において調査を行ないまして、どうするかという対策を行なわなければならないわけでございますが、そういう意味におけるところの予算というものが一銭もない、ほとんど計上されないというような状態のようにわれわれは受けるわけでございます。そういう意味におけるところの調査、調整費というものは、これは将来早急に公害対策というものあるいは環境保全というものをやります場合において最も重要であり、大幅に早急に調査費をまずつけなければならない問題ではないだろうかと思うわけでございますが、それが各省にゆだねてやられて、それを総合調整するということになっておりますが、その総合調整は、先ほど言いますように、いままでの例から見るとなかなか基本的なものができないというようなことで、なかなかそういう方針が立てられないという問題があるのではないかということを感じるわけでございます。  実は私、四、五年前から産業廃棄物について、どのくらい全国的に数量が出るかということをいろいろと調べたのでございますけれども、現在日本におけるところの産業廃棄物、いわゆる固型廃棄物、そういうものにおけるところの数量、質、それからどういう種類のものがどれだけ出て、どの都道府県にどのくらいあるというものがやっと現在、私の知っているところでは大阪府、去年東京都、通産は全国的に考えられる、それから和歌山、その他二、三の県くらいしか、どういう種類のものがどのくらいの量出るというようなものもわかっていない。したがって対策ができない。ましていわんや、そういうものはどういう性質であるということについても調べていない。そういうようなことで、結局においてなかなか対策ができないという意味を感じるわけでございます。  それから第三点でございますが、いま申しましたように調査、調整費というものが必要でございますけれども、できましたら、やはり公害防止に関するところの予算というものはそういう一定の指針に基づきまして環境庁が提出されまして、それによって、一定の方針に基づいて環境の保全、防止対策を行なうというのが必要ではないだろうかと思うわけでございます。  それから第四点は、環境庁がはたして公害に対する規制並びに的確な指導ができるであろうかということを感じるわけでございます。この法案をちょっと見てみますと、御存じのように各省には各省の性格がございます。したがって、各省は企業サイドとかあるいは業界のサイドとかあるいは生産者サイドという見方をしなければならないという問題が出てこようかと思います。ところが、いわゆる環境保全及びそういう公害の防止という問題になりますと、そういうこととは一つ離れて、中立的に日本の将来というものを考えなければならないということを考えますと、各省に対する資料の提出の要求権とかあるいは勧告権というものはあるようでございますけれども、もっとこういう問題については立ち入って調査する権限というものを持つことによって、公平に、将来のためにも企業の発展のためにも、そういういろいろなサイドにとっても、そういうことをすることが、将来においていろいろトラブルがなく問題が進行していくのではないだろうかということを感じるわけでございます。  それから次に申し述べたいことは、国立公害研究所の問題でございます。この国立公害研究所の問題につきましては、第九条において「大気の汚染、水質の汚濁、騒音等が人の健康及び生活環境に及ぼす影響の研究、」と、それから「大気の汚染、水質の汚濁、騒音等の監視測定方法」となっておるわけでございます。私は、この国立公害研究所の問題点につきましては、人の健康に関する問題点ということについては、これは人命の尊重から絶対必要でございますけれども、この国立公害研究所でやるかやらぬかということにつきましては、できましたらば、基本的に国立公害研究所の問題点というものはもっとゼネラリスト的な、いわゆるシステムエンジニアリングと申しますか、そういう公害全体というものを押えることによってスペシャリスト的な研究をするという一つのソフトウエアでなければいかぬのじゃないかと思うわけでございます。つまり、この国立公害研究所というものがすぐに試験機械を用意しまして、現在各省にあるところの同じような機械をラップするような研究を一部でもやって――国家的にも非常に経費がマイナスでございますし、そういうことにおきまして、先ほど言いましたように全体的を見直して、全体的にそういうものを解決するソフトウエアの開発、いわゆるシステムエンジニアリングというものが公害研究所において必要ではないかということであります。往々にして、いままでありますところの研究所というものは、どちらかといえば、あるきまったデータにミクロ的なスペシャリストの研究をやるというのがいままででございますけれども、そういうふうなことから考えますと、もっとゼネラリスト的な見方をする国立公害研究所のあり方というものが必要ではなかろうかと思うわけでございます。  それで、実はこの国立公害研究所のあり方が、昭和四十九年三月三十一日までの間につくりなさい、つくるようにするということが書いてありますが、私はこの国立公害研究所は、さしあたってそういう機械器具がなくとも、全体的な見方をするということからすれば、もっと早く同時にもつくっていただいて、政策、いわゆる環境庁の基本方針と公害の研究というものが一体となって環境保全及び公害防止をやるということがいいことではないだろうかということを考えるわけでございます。  結論的に申しますと、私はこの環境庁の設定に関しまして、先ほども申しますように、人間の問題でございますけれども、各省から派遣されておいでになるということはさしあたってしかたがないとしましても、やはり公害問題ということを独立的に考える、独立の人間というものを養成されることによって、要は自分の省を向いてのみしか仕事をしないということでないような体制に持っていってもらいたい。そういうことにおきまして、今後に出てくるところのプロジェクトのうち、この公害問題というものは一番大きい範囲を含みますし、そういう意味におきましては相当の広い視野、高い角度からものごとを考えられるような人材の登用ということが必要ではないだろうかと思うものでございます。  以上、簡単でございますが、私の意見を述べさせていただきました。(拍手)

天野公義自由民主党

○天野委員長 どうもありがとうございました。     ―――――――――――――

天野公義自由民主党

○天野委員長 これより両公述人に対する質疑に入ります。  音田先生は十二時までの御予定でございますので、音田先生に対する御質疑をお願いしたいと思います。大出俊君。

大出俊日本社会党

○大出委員 本日はたいへんお忙しいところを御参画いただきまして、どうもありがとうございます。大出俊と申しますが、たくさん問題があるのでありますけれども、時間の関係もございまするし、承りたい方々もおいでになりますようでございますから、ごくしぼって申し上げます。  いまお話がございましたが、予算の説明書によりますと、人と予算というお話なんですけれども、何と九百三十一億しか公害予算というものを組んでいないのですね。これは四十六年度予算の説明書に公害関係でまとめて書いてあるので間違いないのであります。ところが、この中に下水道整備に関する予算が六百億から入っておるのですね。だから正確にいいますと、実は予算を三百億ちょっと欠ける金しか組んでいない。東京都の美濃部さんのところは四十六年度の公害予算を千二百八十五億組んでいますから、そうするとこの三百億ない金で何をやれというのかという問題がまずある。  一例をあげれば、横浜の根岸の日石の集合煙突以下、いわゆる飛鳥田方式というものをやっただけで、根岸の日石なる会社はこれだけに八十億金をかけている。つまりそれだけ金がかかるものなのですね。にもかかわらず金と人をそろえないで公害対策をやろうというこの基本的な姿勢、この姿勢がまず改まらなければ、何を考えたってこの公害対策は前に進まない。音田先生のあとに前田先生のお話がありましたが、この公害の基本あるいはいま何をとらえればいいかという問題のお話がありましたが、実はそこのところ、ある程度私はわかっていると思うのですね。これはやる気があるのかないのかという問題だけではないかという気がするのであります。  そこで実はいまのお話の中で特に承りたいのは、独自の官庁という、独自の人をそろえろと、こういうお話なんですが、実際問題としてこれはそろわないのですね。経済企画庁の物価をやっている中西さんのところなんかも、各省の出先でしょう。自分のところに関係ある物価というものはみんな手控えちゃうのですね。みずからの省の利益代表になってしまうのですね。  そういう意味で実は音田先生に一つ承りたいのは、たとえば産業立地なんという問題を通産に残しておりますね。そういうふうに各省庁に残したのはいいことだというような意味のお話がさっきあった。環境庁で何を考えるといったってこれはできないのだというお話があったのでありますが、これは御一考願わなければならぬのじゃないかという気がする。産業立地という点、公害の発生源、国の予算は組んでないのですから。そうすると、ここのところをどう押えるかということをまず考えなければ、何をやったって野放しになっちまうのじゃないかという気がする。  もう一つ例をあげますが、今度は産業廃棄物を含めましたが、清掃関係の仕事というのは厚生省なんですね。今度はまたほとんどのところは厚生省に残っちまう。これを見ますと、中身はこうなっている。この廃棄物の処理及び清掃に関する法律というのが実は環境庁の所管の法律にあるのですけれども、中身は廃棄物の最終処分に関する基準の設定だけに限るのですね。そうすると今度はどうなるかといいますと、これは横浜市の例をとりますと、大体一日二千四、五百トンの一般御家庭のごみ、廃棄物がある。これは産廃まで入れますと一日に五万トンこしちゃうのです。それだけのものを自治体が今度やれといったって、人はいない、研究機関はない、つまり処理場をつくることもできない。おまけに、例の調整区域と市街化区域に分けましたから、農家のほうに行って、廃棄物を捨てるところを、何とか山の谷に捨てさしてくれといえば、総あげで反対なんですね。廃棄物の種類が、今度は腐らないものがたくさん入っていますから、埋めたって地すべりが起こるということになりますから、一切反対なんですね。五万トンものものを捨てる場所がない。そうすると埋め立て権をもらって海の中に埋め立てなければ一こういう形で最終処理の基準だけを環境庁がきめる、あとは政府はきれいに肩がわりして自治体に全部預けた、あとは各産業が金を払ってやればいいのだろうという形のやり方をされると、自治体は全部パンクしてしまいます。一般の、それこそ御家庭の廃棄物も処理もできない、間違いなくそうなる。  そうなると、いまおっしゃる、環境庁のほうにみんな行かないで厚生省に残っている、そのことがいいのだということになると、これはいま申し上げた点で、国は自治体に責任を肩がわりしたというかっこうだけになっちゃう。したがってそこのところをどう押えればいいか。私実は、私自身の案もありますけれども、きょうは午後三時過ぎから質問するので、ここで種あかしはできませんから申し上げませんが、そういう、つまりいまおっしゃったポイントの環境庁の持つ分野と、いわば基準というふうなものをきめる分野と、それから各省に残ったものと――産業立地の例をあげましたが、あるいは清掃の例をあげましたが、そういう関係は私はもっと環境庁に大きな権限を付与しないと、予算も人も、そうして権限、内閣法に総理大臣の権限がありますから、総理が前に出てやるという姿勢でやればいいのですけれども、御存じのとおりの総理のこの間の公害国会の答弁を聞いていると、これはPRはされるけれども中身はないのですから、そうすると制度的に法律的にぴしゃっと権限を与えなければこれはできないということになる、その相関関係をどういうふうにお考えになられるかという点、ポイント、お話にございましたのでその点だけ音田先生にお聞きしたい。

音田正己関西労働文化教育研究所理事長

○音田公述人 非常に重要な点を御指摘いただいたと思いますが、私は先ほども申しましたように、環境庁の性格は現在の経済企画庁に非常によく似ている。では、一体経済企画庁は二十五年間何をやってきたかという御批判があるかもわかりませんけれども、まあ私は、経済企画庁は一つのガイドラインを経済問題に関してやはり示してきたと思うのです。それと同じような立場で環境保全、私は環境保全ということは経済問題と並ぶほどこれは七〇年代の重要な問題だと思っておるのです。それに関してやはり進むべき道を示すというところに主たる任務があるというふうに考えているわけでございまして、先ほども産業立地の問題と清掃事業の点を御指摘になったわけでございますが、産業立地に関しましては、通産のみならずいろいろな省に権限が分かれておりますし、予算がついております。それではどういう予算のつけ方をすればいいのか。具体的に申しますと、たとえば陸奥湾でございますか、あそこで大型なコンビナートをつくるという場合、どういう産業をそこに入れるか、あるいは鉄をつくるにしても、いままでのつくり方でやるのか、公害、環境保全の問題を考えて原子力製鉄をやるのか、そういったいろんな選択可能な案があろうかと思いますが、そういうものをやはり各省の縦割りにこだわらずに検討をする、そういうところに環境庁の大きな任務がある。いままでそういうブレーキをあまりどこもやっていなかったわけです。わずかに経済企画庁は、今度の新経済社会発展計画でやろうとしましたけれども、これはいろんなデータ不足その他でやれなかったのですが、そういう点が環境庁ができることによって、もしやる気さえお持ちならば、いまのこの法律でやれるのじゃないかという気がいたします。  それから、清掃事業でございますが、今度清掃法が改正されまして、それによりますと、いままではこれは市町村長の事業だったわけでございますが、これではどうもしかたがないということで、都道府県知事の権限を非常に強めております。また責任を課しております。私はすべてを国におんぶする行き方がいいのか、やはり都道府県は地方自治体として、ちょうどアメリカのステートに近いような仕事の行き方も今後は考えていいんじゃないかという気がします。非常に経済社会が変化をしておりますので、いままでのような地方行政のあり方及び中央の諸官庁のあり方そのままでやっていけると思いません。たとえば、アメリカのニクソン大統領が出しております案は、いままでの省庁を再編成いたしまして、従来のものをそのまま残すのは国務省と国防省と司法省、それから、ど忘れしましたが、もう一つあります。そして他の省庁は、天然資源、人的資源、経済関係、それから社会開発というかコミュニティーデベロプメント、そういう四つの大きな省にシステム的に割ってしまうというような行き方があるわけですが、おそらくこれはそういうふうなものが実現した場合に、その省庁ですべての事業を一括して実施することは不可能だと思います。幸いアメリカの場合はステートが大きな権限を持っておりますから、そこで実際の事業面は推進するということになろうかと思います。私が申し上げました趣旨は、一つは地方自治体の力をやはり強めるということ、それから当分従来の各省が担当している実施面はそのまま続けていく、総合調整をそのかわりにうまくやってもらう、そういうつもりでこの法案に賛成したわけでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 いまの行政機構というのは、いずれにしても、たとえば部を局にする場合に、部長さんが局長になる、ただそれだけじゃないかということじゃなくて、部が局になるということは、その面の行政がずっと前に出るということですからね。そういう意味では環境庁が要らないんだという理由はないと思うのですよ。ただ、私が要らないんだという理由はないといま申し上げている程度に、きわめてあいまいなものだという認識なんですが、しかし、それにしてもそこの部分が前に出るということは必要なことだという意味で、要らないという理由はないということになると思うのであります。  そこで、いまのお話にありました、アメリカの例が出てまいりましたけれども、実はアメリカは、日本の環境庁に類するものをニクソン大統領だいぶ一生懸命になってつくりましたが、放射能なんかの場合も原子力委員会がやっていたのですね。それを、日本でいうなら環境庁の中に入れてやらせる。ずいぶんこれは思い切ったことをやったと思うのですね。つまり、環境庁をつくるなら、これは一例ですけれども、思い切ってそのぐらいのことを考えるのが何かなければ、私は意味がない気がするのです。しかも、ふしぎなことに、見るとどこの国もこれはやる気なんですね。これは見方ですけれども、アメリカの環境保護庁の長官というのは三十八なんですね。非常にお若い方である。英国も、環境省というのがありますが、三十九歳ですね。フランスの環境保護省というのは、これは四十二歳ですね。とにかく若手のやる気十分なのをずらっとそろえて、どこの国も、固有のそこで育ったのではありません、歴史が新しいのですから。スウェーデンが一番古いけれども、それでも一昨年でしょう。だから、やる気な人材をばんと集めてやる。その姿勢がこの法案にさっぱり見えない。私は、だから、この辺のところを、環境庁と各省の関係でいえば、放射能あたりの問題まで取り込んでやらせるという、実はほんとをいうと各省の権限をもう少しふんだくってきてやらせるという、そういう姿勢のほうを強調していただきたい気がするのですよ。逆に各省庁でやっているのを、何もかも環境庁でできはせぬのだから、それはいいことだとこう言われると、いささか私はかちんと来るものだから、そういう意味で御意見を承りたいと思ったのです。  それからもう一つ、いまの地方自治体との関係なんですが、それは生活環境というのは住んでいる人間のまわりなんだから、会社があるのも国じゃないのだから、それは都道府県知事の権限強化をしてそっちでやらせろという。わからなくはないのだけれども、前回の国会で福田大蔵大臣が答えているのは、これは何もかも府県に預けるのですという言い方なんですね。国の責任はないのだという言い方なんです。それが政府の統一見解で出てきましたから、大騒ぎになったのですね。統一見解が出ました。統一見解は、国は対策の基本的総合的実施の第一義的責任を持つ、これが第一です。例の公害国会の政府の統一見解。第二番目は、地方はその地域の公害に第一義的責任を持つ。このため権限委譲を行なった。三番目は、全国画一的な施策の権限は、国と地方が分担協力する。四番目が、経費は地方にかかわるものについては地方が主として支弁し、そのうち機関委任事務に国が必要と考える措置をとる。国の責任をここでぼかしちゃったのですね。これでもめまして、結局統一見解を一ぺん撤回して出し直したのが、国に第一の責任があるということ、そして財政負担を地方に押しつけることはしないということ。だから、地方自治体に権限を与えるのはいいけれども、金が伴いませんと、いまの三割自治なんていわれていると、これは横浜市の場合に、横浜市民一人当たりの税金の一四%――補助金、分担金その他入れても一六%くらいですよ、実際には。これはシャウプ博士以来の税源配分に問題があるのですね。中心は住民税と固定資産税しかないのですから、高速成長といったって、ふえるわけではないですから。そのままで、さてみんな押っつけてやらせるといったって、これはとてもじゃないができない。実はいまのお話の産廃を含めた清掃関係の新法の実施は七月からなんですね。その間に政令をつくるというのですが、まだできてない。できないと思うのです。つくって、やらせるとなると、いま申し上げた金と人の問題が、自治体には負担のしきれないものになりますから、だからこの辺はやはり企業から金を取るなら取るで、国がやはりそれをやってくれぬと、自治体にやれといったってできないですから。企業廃棄物なんですから。だから、そこらのところを、どこまでを一体産業廃棄物といい、どこまでを一般廃棄物というかという基準もないですね。一つ基準を間違うと、一般廃棄物だけで二千五百トン一日あってふうふういっているのに、今度は産廃を入れると五万トンになるのですから。基準を取り違えてきめられると、一般廃棄物と称するものが一日に三万トンだ、産業廃棄物が実は二万トンだ。そうすると、いま二千五百トンの処理をしているのが三万トンの処理をしなければならぬ。一般廃棄物というワクができちゃってですね。そうすると、家庭のごみが取れなくなっちゃう。そんなに清掃の人をいきなりふやせといったって、やり手はない。清掃車をふやせといったって予算はない。金をくれるといったって、人はないし、機構ができない。捨てる場所がない。こうなると非常なことになる。いまは企業が自分でやっているんですけれども、それを実際にこうおっかぶせられたんではえらいことになるという気がするので、そういう意味で先ほどの環境庁と各省の権限という点で、環境庁の権限が相当なものになって、各省庁がいまの方針で肩がわりをして地方自治体に責任をかぶせようというやつを環境庁が押えていけるようなところまで権限を持たせないと、私はできないんじゃないかと思って、御質問申し上げたんですが、時間がありませんから……。

音田正己関西労働文化教育研究所理事長

○音田公述人 簡単にいまの御意見に対して私の所見を述べさせていただきます。  まず、各国の環境庁の長官は非常に年齢が若いんじゃないかというお話ですが、おそらく日本と違いまして、いわゆる公務員試験に通った人を長官につけるんじゃなくて、最も適当な、また元気のある、また新しいセンスを持った――時代の非常な激変期でございますから、われわれのようなもう五十過ぎた人間ではそういう問題点が十分つかめないと思うのですが、アメリカの昨年の大統領の公害白書を書いたのはハーバード大学の大学院を出た二十数歳の男だといわれているのですが、この点全く同感でございます。なかなかその点は日本の公務員制度に触れてくる問題である。そこで私は、せめて中央公害対策審議会を強化する。ただ据えぜん、据えはしを食う審議会ではなくて、フルに動けるような審議会にしてください。できれば常勤の委員もあっていいじゃないかということも私は考えております。それから第二点につきましては、国と地方との権限配分の問題、したがって配分を変えるならば財政制度まで私は変えなければならぬということです。ただ私が申し上げたいことは、つまりいまの財政制度にしましても、権限の配分にしましても、まだ日本が農業社会からやっと離陸した時代にできた制度でございまして、必ずしも、全般を見たときに、現在のように非常な精密機械になり高密度社会になった時代に、はたしてこの制度がマッチするかどうかわからないと思うのですが、だからこれは当然変えていかなければとても時代の進歩、社会の変遷に対応できない。それへの一歩を踏み出そうとしたのが環境庁じゃないか、環境庁ができたらしっかりやってほしいというのが私の考えでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 わかりました。ありがとうございました。

天野公義自由民主党

○天野委員長 横路孝弘君。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 きょうはどうもお忙しいところありがとうございました。時間がございませんので、まとめて御質問したいと思いますので、音田先生に三点ほどと前田先生に一点でございます。  一つは今度環境庁ということで、公害対策庁じゃなくて名前だけは環境庁になったわけでありますが、いま御指摘のとおりでありまして、環境保全の点、非常に不十分だろうと思います。先ほどお話がありましたように、この環境庁の基本はやはり公害対策基本法が基準になっていまして、環境庁が、公害対策基本法をいろいろ引用しながら、いろいろな点を定めているわけでありますけれども、先ほどの環境保全という立場からいくとやはりどうしてもこの公害対策基本法をいじらなければならないということに、お話を承っていたわけですけれども、やはりそのように理解してよろしいのか。つまり私たちいま環境保全法を出しているわけですけれども、公害対策基本法をやはり改正するなり、あるいは環境保全という立場に立った新しい基本法というものは必要だというお考えのように承っていいのかどうかという点が一つ。  それからもう一つは、従来の公害対策というのは、いろいろな具体的な結果が発生して、その後特に人の人命に対する危険というものが発生してからいろいろと対策を講じてきたという経過があるわけですけれども、先ほどそういうことではなくて、もう少し環境保全あるいは自然の浄化作用そのほかを含めた非常に大きい立場からの基準の設定が必要だというお話がございました。生活環境基準あるいは自然環境基準というものが必要だというお話があったわけですけれども、その中でいろいろな汚染因子というものをとらえられてお話があったわけですけれども、いま一酸化炭素にしても、亜硫酸ガスにしても、個々のそういう因子をとらえて環境基準みたいなものが現在のところは設定されていて、われわれの生活環境とか自然環境の基準というような、そういう個別的なものではなくて、全体的なものについての基準設定というものはなされていないわけです。これは非常に科学的にもどうしても個別の因子に分解しなければならぬ要素というものもあると思うのですけれども、その辺の、先ほどお話がありました環境汚染の基準あるいは自然環境基準というものについて、もう少し具体的にお話を承りたいと思います。  それからもう一つは、いま大出先生のほうからも話がありましたけれども、先ほどの話の中で、たとえばこれからの公害対策、環境保全という点から社会開発、都市計画、土地利用、そのほか含めてやはり環境庁でやるべきだというお話があったと思うのです。経済企画庁と一緒に、それくらいの権限を持ってやるべきだというお話がありまして、それで最後のほうで実施権限を各省庁に残した縦割り行政はそれでもいいんだというお話があったわけですけれども、結局環境庁の設置法案を前提にすると総合調整機能というところに何を持たせるかということが大きな問題になってくるんじゃないかと思うんです。先ほど一歩前進というお立場から話があったわけですけれども、そうするとこの総合調整機能の中に、たとえば通産省なら通産省が企業の認可をするわけですね、それはそのまま権限として残されているわけです。そういうものに対する総合調整機能といっても何をいっているのかよくわからないんですけれども、少なくとも同意権とか拒否権みたいなものが環境庁になければ、一歩前進ということさえ言えないのではないかとも思うのですけれども、その辺のところをどのようにお考えになっているのか。あるいはこの法案についての御意見があればさらに承りたいと思います。  それからもう一点は、国民的合意がないからなかなか公害対策が進まないんだというお話でしたけれども、その要因が何かという問題ですね。それについてお話がなかったので承りたいのですけれども、私たちのほうの考えからいうと、今後の予算委員会でも問題になりましたけれども、行政と企業がやはり癒着していて、国民の健康とか命というよりも経済の成長といいますか企業第一の行政のあり方が一番大きな問題じゃなかったんだろうかというように考えるわけですが、合意を得られないという理由ですね、阻害要因というのを先生どのように御理解されているのか。  それから今度は前田先生のほうですけれども、先ほど各省庁に対する立ち入り調査というお話がちょっと出てまいりましたけれども、今度の法案によりますと、必要な資料の提出と説明を求めるだけになっていますね。結局行政機構の一元化ということでこの程度の規定しかないわけですけれども、ただ公害の十四の法案によりますと、大体都道府県知事にいろいろな権限というのがまかせられている。そうすると各省庁に対する立ち入り調査権というのは、ちょっとよく内容が理解できないわけですけれども、もし何かやるとするならば、いろいろな実施部分というのは環境庁のこの法案では全然盛っていないわけですね。そうすると何か直属の公害の監視官みたいなものを持って、これは各省庁というよりは具体的なそういうものを何か調査する権限みたいなものを環境庁で持つということになりますと、資料の提出なり説明を求める場合にも非常に役立つんじゃないかと思うのですけれども、その省庁に対する立ち入り調査権というのはちょっとよく聞き取れない面がございましたので、さらに御説明いただきたいと思います。  以上音田先生と前田先生にまとめて御質問いたします。

音田正己関西労働文化教育研究所理事長

○音田公述人 まず第一の環境庁というのは現在の公害対策基本法を踏まえておるとすればこれは名前負けじゃないか、名前だけ環境庁ということになっているんじゃないか、したがって環境保全基本法というような法律の制定が必要ではないかという御意見でございます。私はこれに同感であります。しかしながら先般野党がお出しになった環境保全基本法を拝見したわけでございますけれども、まだまだ政府側も野党も私ども研究者も、日本で環境保全基本法をつくるだけの研究なり検討の積み上げが足りないんじゃないかという気がするのです。先ほども申しましたたとえばアメリカの公害白書程度のものができる段階にならないと、私は環境保全基本法は無理じゃないかという気がしております。これは単にお役所だけの仕事ではございません。これはやはりみなが一致協力してこういうものができるような実力をたくわえなければならぬということでございまして、つくる必要があるということについては全く同感でございます。  それから第二点でございますが、個々の環境因子を取り上げて意見を述べたが、もっと全体的、総合的に汚染というものを見る必要があるんじゃないかという御意見に対しても、これも私は同感なんですが、ただ環境基準にいたしましても排出基準にいたしましても具体的な数値をもってこれを示さなければならないということでございます。それがいまのところ、まだ国際的に見ましてもその段階に至ってない。ただ大気汚染に関しましては、たとえば硫黄酸化物だけならば、別に〇・〇五PPM以下でなくても慢性気管支炎の有症率は低いはずだ、それにほかの浮遊微粒子その他がくっつくから〇・〇五ですらかなり有症率が高くなるということでございますから、複合汚染の問題、汚染因子の結合状態、どういう結合状態になればどういう症状が起きるか、この研究が進むに従って、おっしゃったような行き方にならなければならないというふうに考えます。  それから、たとえば企業の認可を一方でする、一方でそれが公害を出す、ということでは一体どういうことかという御質問でございますが、これはおそらくこの行政法全体にわたる問題でございまして、それは全体の検討を待つ必要があろうかと思います。  それから最後に、国民的合意がなかなか得られない根本的な理由はどこかという御質問でございますが、私は端的に申しまして、いままで私どもは環境を考えなくても経済活動をやり、生産を行ない、消費をすることができたわけです。しかしながら初めに申しましたように、非常にわれわれの活動量がふえてまいりまして、もはや狭い環境の中では浄化し切れない状態に来たわけですから、この際、環境に対する考え方を企業も国民も一変しなければならない。すなわち、この場合環境と申しますのは、大気と水と土壌と空間、これを私は環境と申しております。大気と水と空間に関しては必ずしも私有財産権は成立しておりませんけれども、土地に関して私有財産権が確立していることは御承知のとおりですけれども、いまのような状態ではたしていいかどうか。所有権のほうはこのままにいたしましても、この使用上、相当な規制を加えなければ環境保全はできないのじゃないかと、実は私は考えている次第でございまして、そういうことに関して企業も国民も深刻な反省をする必要がある。これが私の根本的な発想でございます。

前田慶之助東海大学工学部教授

○前田公述人 先ほど御質問のありました、各省に関する立ち入り調査という意味は、御存じのように、いまお話しになっておりますように、各企業の認可と申しますか規制と申しますか、それは各省に残されているものが相当ある。そういう意味におきまして今後いろいろな公害というものを発生するというような場合において、少なくとも勧告程度のものの弱さではそういうものを規制していくことはできないのじゃないだろうか、時間も非常にかかるのではないだろうか。そういう意味において、環境庁の権限というものをもう少し強めて、そういうことを迅速にやるという方法をとったらどうだろうということでございます。

横路孝弘日本社会党

○横路委員 どうもありがとうございました。まだちょっとお尋ねしたい点もありますけれども、時間がございませんのでこれで終わります。

天野公義自由民主党

○天野委員長 鈴切康雄君。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 きょうはお忙しいところをおいでをくださいまして、法案審議に先立って御意見を賜わりましてありがとうございます。環境庁ができるということにつきましては、これが行政面の上においては一元化されるというもので一歩前進だと思っております。しかし内容的に見ますと、組織、予算、そして権限と、いろいろ問題がございますけれども、きょうは私は前田先生にちょっとお聞きしたいと思いますが、国立公害研究所の問題でございます。施行期日にかかる部分は「昭和四十九年三月三十一日までの間において、それぞれ政令で定める日から施行する。」こういうふうになっております。実際にはもう現在の公害は一刻も猶予ならない今日の環境汚染下にあって、それだけ期日的においても待つということは私はできない問題ではないかと思うのですが、各省にそれぞれ試験所あるいは研究所等の公害に関係する機関が現在ございます。これを国民的なサイドにおける公害の取り扱いとして環境庁が受け持ったらどうかというふうな考えを私は実は持っておるわけでありますが、国立公害研究所を行政に取り入れるならばどういう方法がよりベターであるかという点について、この点を一点お聞きします。  それからもう一つは、いま生活必需品としてプラスチック製の品物というものが生活の中に非常に大きなウエートを占めていることは事実でございます。しかしそれがまた処分においては非常に大きな公害を及ぼしているということもまたこれはいなめない事実でございます。今日、固形廃棄物の中においてプラスチック製の廃棄物処理、処分について専門的立場にあられます先生の御意見、どういうようにしたら処分、処理という問題についていい方法があるかということについての御意見を賜わりたい。この二点についてお伺いいたします。

前田慶之助東海大学工学部教授

○前田公述人 ただいま御質問の第一点の国立公害研究所を行政に取り入れるためにはどうしたらいいだろうかという御質問でございます。それにつきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、従来の研究というものはややもすればミクロ的なものになりかねなかった。そういう意味において私はそういう必要な試験機械というようなものももちろん必要でございましょうけれども、往々にしていま見ますと、たとえば建設省にある土木研究所あるいは運輸省にありますところの港湾技術研究所とかあるいは通産省にありますところの研究所等を見てみますと、そこにかなりラップした分野があるわけでございまして、そういう意味におきまして、また国立公害研究所をつくるために、その公害の研究と称してそういうものを取り入れて予算をかけるというのはむだではないだろうか、それよりも多岐にわたるところの公害というものを処理するためには、先ほども申しましたようにもっと大きい角度からシステムズアナリシスをやる、たとえば先ほどお話が出ましたけれども固形廃棄物の問題をちょっと考えてみますと、たとえば東京都で、われわれの都市ごみでございますが、これは家庭から約最大二十五キロのところを通りまして大体六〇%、七〇%が生ごみで夢の島に捨てられておるという実態でございます。残りの二、三〇%が焼却されてその灰が夢の島に捨てられておるという実態でございます。ところがその都市ごみにつきまして考えてみると、トン当たり大体六千円くらいの経費がかかっておるわけでございます。いわゆる家庭から持ってきて夢の島に捨てる経費を見ても大体六千円くらいトン当たりかかっております。さらにまた調べてみますと、そのうちの八〇%が大体収集とトランスポーテーションコストにかかっておるというような現実でございます。しからばこういう問題について、これをより安く、より有効利用という考えの観点からするにはどうしたらいいだろうかという意味のような、大きい意味のシステムエンジニアリング的なものを、いま国立公害研究所で主として考えて、できるだけ現在ある各省の研究所とかあるいは地方にある衛生研究所等についての費用を少しでも増してやって、いわゆる公害行政というものをよりよくするということは必要ではないだろうかと思うわけでございます。これは私の調べたデータによりますと、たとえば西ドイツのエッセンという市では、ノルドライン・ウエストファーレン州という州がありますが、これは六千平方キロの広さがあるところに、一平方キロごとに一カ所ずつの大気汚染観測装置というものを置きまして、五年ないし六年のデータを持っている。そうすると、その地方に企業が進出したいといった場合には、その企業に対して、君の会社から出るところの有毒ガスとか亜硫酸ガスというものはどのくらいだろうかということを各州の公害担当なら公害担当に届け出させて、それが現在の環境汚染にオンして初めて、危険信号であるかあるいはいいか、あるいは立地的にここにしなさいというような指導を行なっておるという例もございますが、これは一例でございますが、そういうふうにハードウェアといいますか、シンプルな研究、スペシャリストの研究というのはむしろ現在ある施設を十分利用するということでいわゆるソフトウェアというものを行政にあれしたらどうだろうかということを申し上げたわけでございます。  それから第二点のプラスチック類の問題でございます。これは現在プラスチックというものは焼けば困る、それから捨てれば腐らないで困るといっておって、どうもこうもならないというのが現在の評判でございます。ぼくはこのプラスチック類の問題につきましては、プラスチックというものはごみとなったら何かすぐ焼却しなければいかぬというようなニュアンスを受けるところに問題があると思うのです。もう少しプラスチックというものはどういうものであろうかということの性質を把握した上で、これはどういう性質を持っているからどうしたらいいだろうかということを考えるべきではないだろうか。ぼくはなぜプラスチックが腐らないのが悪いのだろうかということを考えるわけです。というのは、プラスチック類というものは適当にプレスしたり何なりしたら土地のレクラメーションなり何なりに適当に利用することが可能だと判断しておるわけでございます。しかも先ほども申しますように、都市ごみに含まれておるプラスチック類というものは、日本では大体一〇%、ヨーロッパでは大体一%ないし二%の間ぐらいですか、二、三%ぐらいだと私は聞いておりますが、そういうことから考えますと、家庭で少なくとも都市ごみに含まれておるプラスチック類というものを考える場合においては、われわれが日々排出します場合において、一週間に一ぺんぐらいは、奥さん連中がプラスチックというものは別途に捨てようという観点に立ちますと、プラスチック類だけである程度性質のまとまったものをプレスして運んで土地利用というものもできる可能性がある。そういう意味におきましてもっと総合的ないろいろな性質を把握した上で処理したらどうだろうか、こういうことを考えるわけでございます。

鈴切康雄公明党

○鈴切委員 どうもありがとうございました。

天野公義自由民主党

○天野委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 音田公述人に御質問をいたします。  いまの公害の問題は、害が起こったあとであとを追っかけるものではなくて、害が起こらないような環境保全の問題をまともに取り上げなければならぬという御主張には、私どもも非常に賛成でございます。できるだけ早くそういう体制に持っていかなければならぬと思うのですが、ただそういう意味で一歩前進であるということで環境庁の問題を考えて取り組んでおるわけでございますけれども、これは音田さんもあるいは前田さんもお話がありましたとおり、各省の持っている権限との調整ということは実際問題として非常に困難な問題が多いのです。たとえば物価という問題がありまして、経済企画庁が一応物価の責任官庁ということになっておりますけれども、これは調整機能であって、それ自身の権限を持たないわけで、ごらんのとおり物価の問題についてのきめ手が一つも出てこないというのと同じような問題が、たちは違いますけれども、環境問題について、公害問題についてあると思うのですね。そういうような意味で、とにかく責任を持った官庁として公害庁ができるということは一歩も二歩も前進をしたものとして私どものほうは考えるわけなんですが、将来やはり見通しとしては、もっと権限のしっかりした独自の行動のできる公害省というものに発展させていく見通しを持つべきであると私どもは考えておるわけです。この問題について音田先生のお考え、同時に前田先生のお考えをお伺いしたい。  もう一つの問題は、公害庁ができていろいろ内容についてのあれがありますけれども、何しろやる気があるかないかということがきめ手になるわけですね。やる気がなければほとんど意味をなさないようなことにもなるわけなんで、やる気をつくらすためのいろいろな運用についての考え方が必要だと私は思うのです。その中で特に重要なのは、実施計画といいますか、ある一定の時期のうちにこのことだけはやっていきなさいというような、くくりが非常に必要な感じがするのです。たとえば環境基準という問題が議論されておりますけれども、環境基準については、これは非常なむずかしい問題でしょうが、かりに不十分であってもこの二年間には環境基準は問題になっているものについては全部設定、策定をするというような一つの計画を持つとか、あるいは前田先生のおっしゃった実態調査の費用が一つも計上されていない、これは非常な欠点だと思います、実態調査については当面起こっておる、将来起こり得る問題については三年間には必ず実態を把握していくんだというような、実施計画的な観念が公害庁の今後の運営についてはぜひとも必要だという感じがするのです。いまの下水道計画については、四十九年までには下水道整備をするとかいろいろなことがありますけれども、これは非常に大事なことでありますが、いま言ったような環境基準の問題でもあるいは大気汚染とか水質汚濁の問題についても、四十九年ごろまでには一応のめどをつけるんだというような、そういう実施計画的な感じというものが非常に必要だと私は思うのですが、この問題について、いやそれは必要だけれども非常にむずかしいとかいうことがあれば、ひとつ御意見をお聞きしたい、こう思うのです。

音田正己関西労働文化教育研究所理事長

○音田公述人 第一点の環境庁を早急に公害省にまで強化する必要があるという御意見ですが、これをやるためには、従来あります縦割りの省の機能、権限、これを全部一ぺんばらばらにいたしまして再編成するのでなければ、たいした効果はあがらないのじゃないか。私は七〇年代という時代はそれをやっていい時代だというふうに思っております。それで先ほどもアメリカのニクソン大統領のあの行政機構改革のお話をしたわけでございます。しかしそのためには洗いざらい一ぺん各省の現在の権限を洗ってみる、その上で再編成をして新しい省をつくるならつくるということになるんじゃないかという気がします。  それから第二の、ある目標年次をきめて実施計画を立てて強力に環境保全を進めるべきだという御意見には全く賛成でございます。御承知のように、現在は公害対策基本法で公害防止計画の策定を各都道府県知事に総理大臣が指示するということになっておりますが、それよりももっと高い次元で環境保全というところから、いまおっしゃったような実施計画が必要だと思います。ただ公害の問題は経済計画の問題と違いまして、たとえば日本全体で亜硫酸ガスの排出量が幾らまでなら環境を汚染しないかというふうな議論をしても、これは無用でございまして、それぞれの地域ごとにやらなければならぬという問題があります。水質汚濁にいたしましてもそれに近い状況でございますので、つまり各地域地域の、これも汚染因子ごとにその地域のとり方は変わってくると思います。水ならば流域ごとにやらなければなりません。そしてどうしても目標であるところの環境基準を達成するためには、工場はもとより住宅も無制限に建てられないと私は思うのですが、そういった地域ごとの非常にこまかい調査をいたしまして、それを集めて初めて国全体の計画というものはできるわけでございます。この点は経済計画の策定とかなり違っております。ミクロからマクロへ上がってくる。マクロをまず示してこれを、ミクロにブレークダウンするというやり方は、環境保全の場合にはとりにくいんじゃないかという気がいたしますが、いずれにいたしましてもおっしゃるような実施計画をつくって強力に推進する必要はあると思います。

前田慶之助東海大学工学部教授

○前田公述人 第一点の、公害庁を将来公害省に発展させたらどうだという御意見でございます。これはいまも音田先生がお話しになったように、私たちはいまいろいろな仕事をやります場合において常に感じますのは、縦割り行政の弊害というものをかなり感じておるわけでございます。したがってこの激動する発展している社会において、いまのままでは必ず将来行き詰まるんではないだろうかということを身につまされて思わせられることがかなりございます。これは話が違いますが、たとえば東京湾のパイプライン計画等もございますが、これもたとえば各省にまたがる。そうするといろいろの利害関係があってなかなかまとまらない。したがって、国全体としてはいいことがきまっておっても、なかなかそれが利害関係があってできないという問題がある。そういう意味におきまして、もう一度日本の行政というものを広く考える意味において、公害省というものは将来そうなるべきであろうし、それによって日本の第二の発展があるのではないかと思っております。  それから第二点の実施計画の件でございます。これはものごとをやる場合においては私は最も必要なことだと思います。したがって、先ほど私が公述しましたように、この実施計画というものは、一番最初に必要なのは調査資料、調査資料がないがゆえに設定基準も何もできない。先ほど申しましたように、固形廃棄物の種類、数量さえもまだまだつかんでいないという実態において、これこそ早く金をつけて、そして自主性をもって調査をして、あるべき姿ということを早くやっていくべきである、それがわが国の発展のためになるのではないか、そう思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま実施計画の問題について音田先生からいろいろ御意見がありました。これは経済計画と違って非常にむずかしい面がある。マクロに押えても、ミクロから始めなければならないというような面があるので、非常にむずかしい面がある。これは非常によくわかります。ただ、それがありましても、この二年間でいろいろ総合的な研究をした結果、一つの環境基準というのはこうだ、あるいは日本全体の水質をながめて、この水系についてはこれ、この水系についてはこれというような基準をつくったとして、かりにそれに誤りがあったとしても、そういうものをつくるべきではないかというのが私の意見なんです。かりに誤りがあれば直していけばいいのです。ミクロから始まって一応のマクロの目標なり基準なりというものをとにかく設定をする、誤りがあれば次第にそれを直していくという考えはむろん必要なんです。そういうふうなことがないと、非常に困難だから時間がかかる、時間がかかるでおると、いつまでたってもできるかどうかわからないという性質のものが公害問題ではあると思います。特に政府の行政態度が消極的である、そうであってほしくないのですけれども、消極的であるとすれば、ますますそういうことになるわけなんで、経済計画と違って非常に無理があることは承知しておりますけれども、それをあえて、できるだけの万全を期した実態調査をもとにした、そういうふうな基準なりをできるものとしての実施計画というものを考えてみることができないかということなんです。

音田正己関西労働文化教育研究所理事長

○音田公述人 いま環境基準というお話が出ましたが、私は可能な汚染因子につきましてできるだけ早く制定すべきだと思います。しかしながら、研究の進歩によりましてこれは変わるものだと私は思います。その点全く同感であります。その環境基準を達成する具体の計画あるいは施策が実は環境保全計画だと思うのです。ですから、環境基準なくして環境保全計画あるいは公害防止計画はあり得ない。そこでそれを実施するのは各問題地域と申しますか、それごとに計画を立てていかなければいかぬのではないか、こういうことでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 終わります。

天野公義自由民主党

○天野委員長 細谷治嘉君。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 簡単に二、三お聞きしたいのです。  最初に音田さんですけれども、いままでのお話を承っていますと、今度の法律案は環境庁設置法ということですけれども、まあ公害庁、それから環境庁、環境保全庁あるいは公害省、また私どもでは環境保全省と、こういう考えがあるわけであります。御意見を承っておりますと、どうも環境保全基本法というのはいまのレベルでは高過ぎる、こういう音田さんのおことばでしたね。そこまでは行っていないんだ、こういうことのようであります。そういたしますと、いまのお話ですと、今度の政府の環境庁設置法では不十分だ、こういうことなのでありまして、きわめてむずかしい質問なのでありますけれども、大体総合いたしまして、今日の公害問題に対する研究の状態、あるいはいろいろな基礎データ等からいって、環境庁では不十分だ、この法律の内容次第ですけれども、大体今度の法案はどの程度のものだと評価されておるのか。お答えにくいかと思うのです、私の質問もきわめて抽象的でわからないと思うのですけれども、その辺をちょっとお聞きしたいと思う。  二番目は、この前の国会で十四の法律案ができて、今度典型公害といわれます悪臭の法律が、まあ今度成立するでしょう。ところで、これだけ法律の体系、世界に冠たるものだといわれておりますけれども、逆にこの法律が今日の公害問題を矮小化してしまうのではないか、こういうふうな批判もございます。これについてどういうふうにお考えなのか、これをひとつお聞きしたいと思うのです。  それから、前田先生にちょっとお尋ねしたいのですが、さっきも音田さんからお話がありましたけれども、三つのカテゴリー、そのうち生物体内、特に人の体内で濃縮されるもの、最近たいへん大きな問題になっているのはPCBの問題です。POBで特に鳥類等が汚染される、そうすると卵が無精卵になってしまう、こういうたいへんな問題があるわけでありまして、私は、そういう濃縮されるようなものについては、簡単にこのような基準でいいのだ、こういうことにはいかないのじゃないかという感じがいたします。たとえば水質が汚濁される、その場合にPOBならPCB、有機水銀なら有機水銀というのが何PPMなら安全だ、こういうわけにはいかぬのじゃないかという感じがいたします。この辺に、濃縮されるようなものについて基準を設けるということは、逆に危険性もあるのではないか、こういう感じがいたします。この辺を音田さんのカテゴリー一との関連においてどうとらえているのか。  もう一つ、もはやスペシャリストの段階ではなくて、ゼネラリストが必要なんだ、こういうことなのでありますが、現在の私の見方は、公害に対する研究というのは、これからということもありますけれども、私は、今日の研究成果そのものというのが公害行政に生かされていない。いってみますと、研究のレベルのほうが高いのであって、公害問題に対する姿勢なり政策というものが研究のレベルよりかなりおくれている、こういうふうに見ているわけでありますけれども、この辺をどうお考えになっているのかということです。  それからもう一つ、これは音田さんかと思うのですけれども、ステート、こういうお話がさっきありました。今日日本では公害問題と広域行政という形で問題が取り上げられようとしておるわけでありますけれども、私は、広域的にものを取り上げることも必要でありますけれども、問題を亜硫酸ガスにいたしますと、木更津のほうの亜硫酸ガスが風によって横浜に来る、そして夜になると今度は逆になる、という形でありますから、広域行政という形の取り上げ方も問題があるのであって、やはり発生源対策というものがきわめて重要じゃないか。特にことしも起こるでありましょう二次公害、特に大気の汚染等でこの辺の問題が、たとえば東京では、発生源はないけれども奥のほうでたいへんな空気の二次汚染が起こっている、こういうことであります。しかもこの間アメリカでもいっておりますけれども、もはや酸化窒素なんというのは予定の計画どおりは達成できないのだと、自動車会社でも手をあげちゃっているわけですね。そういうこともありますので、広域行政なんという形の公害対策というのは問題をそらすものではないかという感じがするのです。  少し質問がわかりにくかったと思うのですけれども、以上お聞きしたい。

音田正己関西労働文化教育研究所理事長

○音田公述人 いま提出されております環境庁設置法での環境庁というのはどれくらいのことがやれるかという問題でございますけれども、初めにも申しましたように、これが踏まえておりますところの法律はやはりどこまでも公害対策基本法であります。これに対しては、私は一日も早く、もっと次元の違った環境保全基本法というふうなものができなければならぬというふうに考えております。  また役所の任務、機構というものはやはり時々刻々変わり得るものだというふうに思っております。経済安定本部が経済企画庁に変わってきた、そういう変化もあり得る。また一年たてば改正されるかもわかりません。そういう変わるということに期待をかけております。  それから十四の公害関係法が成立したが、その点だけをとらえると世界に冠たるもののように思われるけれども、かえって今度は公害対策の前進において足を引っぱるようなことになりはせぬかということでございます。日本の行政法の多くはこまかい数字、具体的なことは政令にゆだねております。その政令がどういう形で出されるかというところにこの十四の法律が生きるか死ぬかの分かれ目があるということが一つと、それから政令ができまして法律を実施する場合に、やはりそれぞれ有機的にシステム的に活用しないと、いろいろなそごが起こるのではないかという感じがいたします。  それから第三の亜硫酸ガスの例で御説明のありました公害と広域行政の問題ですが、広域行政とおっしゃったのは拡散方式をさしていらっしゃるのではないかという気が私するのでございます。それにつきましては御意見に私は同感でありまして、やはり徹底的に行なうべきは発生源対策だ、こういうふうに感じております。

天野公義自由民主党

○天野委員長 これにて音田公述人に対する質疑は終了いたしました。  音田公述人には、御多用中のところ長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)  前田公述人

前田慶之助東海大学工学部教授

○前田公述人 ただいま御質問にありました第一点の問題につきまして、私は整備という問題につきましては専門ではございませんので、詳細なことは言えませんけれども、設定基準の問題においてある一つのものをとらえて、そしてそれでもって規制していくというのは問題があるのではないかというような御質問かに承りますが、私は現在における人命尊重という前提に立って、そういう非常に危険性があるものにつきましては、現在あるデータからして、しかもわかり得る範囲内からしてこのくらいだろうという制限をして、人命尊重に関する問題についてはそれを考えるということが必要ではないかと思っております。たとえば実際の例を見ますと、あるところの川に流れて水質汚濁のために人命を非常に毒しておる。ところが昔からある工場地帯とかそういうところにおいては、同じような性質にもかかわらずないというようなことが現実に起こっております。それがゆえにいろいろと問題が起こってくるのではないかと思っておるわけでございますが、そういう意味におきましては科学の進歩とともにもう少しそういうことを研究をして――そのファンクションがただ一定の基準のみでは確かにいかないからそういう問題点が起こってくるのであります。だけれども予防措置としてあぶないものはあぶないぞという警告をもってある程度の基準というものを考えていかなければこの問題というものは解決しないのではないだろうか。またあとになって、そうであった、だからというようなことであると、企業側も人間側も両方悪いということになるのではなかろうかと思っております。  それから第二点のスペシャリストの問題でございます。私の申しておりますスペシャリストと申しますのは、往々にして技術屋がある一定の、重箱の底をほじくるようなことばかりやって、もって公害問題というものをやろうとしてもなかなかできない。その点において、公害というものは非常に多岐にわたるものであるから、そういう柔軟な姿勢でスペシャリストを利用するという考え方はどうだろうということを申したわけでございまして、そういう意味において研究のほうが進んでそれをやる気があるかないかということでございますけれども、問題によっては研究がわりあい進んでおるものもございますし、まだまだ、先ほど申しましたように何一つ、たとえばヘドロの問題が出た場合において、ヘドロの性質はどんなになるのか、どういうものであるかというようなものについてもわかってない点もあるわけでございます。そういう意味におきましてスペシャリストももちろん必要でございますけれども、まず問題をいまや出さなければならないものは、全体的から見てこれとこれとこれはやらなければならないことだ、研究しなければならないことだ、こういうようなことを考えて問題を進めていかなければいかぬのじゃないだろうかということを申しているわけでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷委員 先生、私が聞きたいのは、いまの公害に対するもろもろの研究というのが行政に十分生かされていないのじゃないか、こういうことなんですよ。むろん今日の公害問題について研究しなければならぬことが大小山積しておると思うのです。しかしかなりの成果があるわけですね。その成果というものが行政に生かされてないんじゃないか。もう一つは、そういう研究者の成果というものが残念ながら科学的な評価がされないで、場合によっては学者自体が結果に対するねじ曲げた評価をしたりしている、こういうこともありますよ。それはありますけれども、私は今日の研究の成果というのを活用すれば、もっと前向きな公害行政というものができるのではないかと思っているのですよ。その辺についてどうお考えかということです。

前田慶之助東海大学工学部教授

○前田公述人 それはいまおっしゃったように、かなり研究をされておるものは研究されておると思います。したがっていまおっしゃいますように、行政にいかに取り入れていくかという問題だと思います。ところが行政に取り入れるか入れないかという問題につきましては、日本の風習のいろいろな問題がございまして、その評価の問題においていろいろと曲げられる点がある。そういう点につきましては、今度のそういう審議会というようなものを通じまして、いいものはいいとして行政に取り入れることによって効果が発揮できるのではないかと思っております。したがって、いま言うように研究しなければならない問題がまだございますけれども、そういう意味においては情報及び研究の結果というものを収集されて、早く行政に取り入れてもらうということが必要ではないかと思っております。

天野公義自由民主党

○天野委員長 前田公述人に対する質疑は終了いたしました。  前田公述人には御多用中のところ長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)  午後二時より公聴会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十分休憩      ――――◇―――――     午後二時十二分開議

天野公義自由民主党

○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  環境庁設置法案について公聴会を続行いたします。  本日午後、御出席をお願いいたしました公述人は、横浜市公害センター所長助川信彦君、中央公害対策審議会会長和達清夫君のお二人でございます。  この際、両公述人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  本案は、御承知のとおり公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全をはかり、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進する必要があるとして政府から提出されたものであります。  当委員会は、この機会に広く各界からの御意見を求めるべく、ここに公聴会を開会いたした次第であります。何とぞ両公述人におかれましては、本案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、もって本案審査の参考に資したいと存ずる次第でございます。  なお、御意見の開陳はお一人約二十分程度順次お述べいただいたあとで、各委員からの質疑にお答えいただきたいと思います。  なお、念のため申し上げますが、衆議院規則の定めるところによりまして、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、公述人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、中央公害対策審議会会長和達清夫君にお願いいたします。

和達清夫中央公害対策審議会会長

○和達公述人 環境庁設置法案について公述人としてお呼びいただきましたので、それに関して思うところを申させていただきます。  まず私は、中央公害対策審議会の者として、同審議会における本件に関する審議の経過について御説明申し上げます。  まず昨年十一月、本審議会は、公害対策関係諸法律の制定及び改正に関しての審議をいたし、その結果は総理大臣に答申いたしましたが、その際提示されました各法律案の要綱について了承し、政府が国民生活環境の確保の趣旨を貫くという立場に立って、これらの公害対策基本法その他の諸法案の立案に万全を期されるよう強く要望しました。それに続き、広範多岐にわたる公害問題に対処するためには、今後さらに社会情勢の進展に立脚した長期的展望に立って諸制度を整備するとともに、幅広く各般の措置を推進することが必要であると考え、このため行政機構の一元化問題について検討を行なうほか、政府として一そう総合的な施策を推進されるように要望いたしました。  さらに本年二月、同審議会は、環境庁設置について、山中長官のお話に続き、公害対策本部より環境庁設置構想についてかなり具体的内容をもって詳細説明を受け、審議をいたしました。もとより審議会は、前に申しましたように、公害問題に関して行政機構の一元化について政府に要望しておることであり、それに対して提出された環境庁設置の構想につきましては審議の結果、趣旨として賛意を表し、そしてその大綱については大体了承いたしたのであります。ただし、その法案の内容につきましては委員の間から種々の意見が出たのでありまして、そのうちのおもなるものをあげてみます。  まず、公害と環境問題に関し、各省庁との関係において二重行政にならぬよう、すなわち役所の窓口が一つふえたようにならぬようにということであります。また一方、総合調整の内容についてあるいは対象範囲を拡大すべしという議論が出ましたが、これらは環境庁設置の基本的問題でありますので、後にあらためて私見を加え申し述べさせていただきます。  審議会の議論のうち特に留意されるべきと思いますのは、第一に、新しい環境庁が強力な総合調整機能を持つならば、それには専門的行政的に、そして自然科学、人文科学の立場から相当の見識を持って長官を補佐する補佐官ともいうべきスタッフが必要であろう。特に各種の業務について関係する省庁との間に事務の移行にあたって、行政の調整を強力円滑に行なうためにこのことは大切であろうとの意見であります。  第二は、情報システムの問題であります。  公害や環境に関する情報システムをいかにするか、ぜひしっかりした情報センターを持つこと、そのことは、企画立案を行ない、総合調整を行なう、新しい環境庁の業務における最も大切なる基盤をなすものと思われます。これに関しては、環境庁設置法案においては、付属機関として国立公害研究所を設け、そこで「公害に関する国内及び国外の資料を収集し、整理し、及び提供する」とあり、それはけっこうに存じますが、本件はきわめて重要なこととして研究所設置以前においてすみやかにその完備の必要があり、特にそれを設ける場合に情報センターとして十分なる規模と近代的な設備を持ち、これが公害や環境問題に関し、環境庁自身のみならずあらゆる機関、研究者、事業者など広く一般の利用に役立つようにされることを切望いたすものであります。  なお、環境庁のもとに設けられる審議会関係のことでありますが、従来の中央公害対策審議会が総理府より環境庁に移ることに関しましては、その機能が従前どおり、あるいは以上に発揮できるという条件において異議なく、問題は中央公害対策審議会のもとに中央水質審議会、地盤、沈下対策審議会、土壌汚染対策審議会あるいはその他のものを統合し、専門部会としてそれぞれに設け、別に総合部会を設けることにより全体として統一をとり、このような組織でそれぞれの専門部会が効果的、発展的に審議が行なわれ、実があがるように、中央公害対策審議会を拡大強化させることであります。この点につきましては、総合的な見地からは審議会組織が形の上で整います。ただ実質的には運用に努力して効果をあげるべき必要があります。その方向にすることには異議はございませんが、ただそうなりました暁において、中央公害対策審議会がそれだけの責任を十分に自覚し、その義務を完遂すべく努力を傾けることが必要であり、その覚悟をいたす必要があると存じます。  中央公害対策審議会における意見は他にもありましたが、ここにはその程度にとどめ、以下審議会における委員から出された諸意見を踏まえて、私個人の環境庁設置法案について思うところを二、三述べさせていただきます。  まず、現代社会の情勢において、公害問題、環境問題に取り組む政府の基本姿勢を確立し、効果的に対処できる行政機構としてここに環境庁を設置されることは、時機を得たものと私は喜ばしく存ずるものであります。  そこで、まず所掌事務を公害対策にしぼることなく、自然環境の保護整備を含む環境保全に広く広げた点についてでありますが、これについて、公害対策の重点推進の焦点がぼけるのではないかという議論があります。これにつきまして、私は前に、基本法の審議のとき申し上げましたように、そもそも公害問題の基盤は環境問題であります。そのことから基本的に環境保全に取り組むことが生活環境の破壊防止、エコロジーというような面から考えても、まさに当を得たものと考えます。もとよりわが国の公害問題は、近年特に深刻さを加え、喫緊な事態となっているという特別な現状でありますので、これの対策は決しておろそかにできず、すみやかに適切強力な措置が講ぜられるべきことは言うまでもありません。環境庁は基本的に問題に取り組む体制を整えつつも、現下の緊要な事態に、すなわち公害問題に当面は全力を傾けるべきで、それは事実そうなされることと信じております。  それではこの際、公害対策基本法を環境保全基本法として考え直すべきではないかという意見もあると存じますが、これにつきましては、基本法案審議の際にも述べましたように、基本的にはそうであろうと私も思いますが、そうとしても、現在の公害対策を強力に現実的、効果的に行なうという意味で、現状では公害対策基本法にはそれとしての意義があり、これを直ちに環境にまで広げることは必ずしも当を得たものであるとは言いかねると考えます。  次に、公害行政をはじめ環境保全行政を一元化するということで、環境庁設置が行なわれるといいながら、この設置法案では関連行政が環境庁に移されるのでなく、各省庁になお行政が多く残っていて、一元化の実があがらないのではないかということであります。しかし、これは環境庁設置の根本問題として、環境庁は関係行政を全部取り込み、事業までに深入りするというのでなく、いわゆるばらばら行政に総合的、能率的、効果的の筋を通すということを使命として設置され、一元化ということはその意味でいわれるものと考えます。決してあまり取り込み過ぎ、従来各省庁が長年努力してきた、また今後も努力しようとする公害や環境問題について、それを挫折させてはならず、また二重機構的の繁雑となることも避けるべきであります。「企画」「立案」「推進」とか「総合調整」とかいうことばは、それを表現していると思います。もとよりこうしたことは、ことばでなく、環境庁が設置後にいかに適切に運用されていくかにかかっていることであり、実際は非常に困難なことかもしれませんが、この大切な現下の公害と環境との問題に対して、決意と万全の努力とをもって、設立の意図を達成されんことを望み、それを期待するものであります。  したがって、下水道行政や河川行政や都市計画行政や交通行政などいろいろ問題があると思いますが、これらの行政、そして特に事業に関連して従来の各省庁の行政に密接に関連しているものについての事業の実施は、それぞれの省庁が今後一そうに強力に推進され、それらが環境庁と密接な関係を保ち、国として総合性ある効果的な施策を推進し、実現されるように希望するものであります。その意味におけるばらばら行政の一元化と産業に対する取り締まりと指導とに関する機関が分離することが、現在多くの国においても考えられている方向と思いますし、環境庁を新たに設置する意義もそこにあろうかと存じます。そして環境庁の所管となる重要な事項は、これまで関係各省庁に分散していた各種の基準の設定、監視、測定、取り締まりなどの公害規制に関する権限を環境庁に集めて行政の一元化をはかることであることは、本案の提案理由にもありますが、そのとおりであると思います。  次に、環境の保全あるいは公害防止に関する研究の推進について申し上げます。  環境庁は、国立公害研究所を新設し、付属機関として持つことになっておりますが、これにつきましては、第一に公害や環境に関する研究であるからといって、関係各省庁の研究所のその方面の機能をいたずらに吸収、集中することは決して適当でないと思います。要は、この問題の基礎的、総合的な面で従来各省庁研究所において十分行なわれなかったところ、また腰を据えて行ない得なかった面について、よく考え、健康問題を中心とした科学的究明に焦点を集中し、資料センターを活用して研究を進めることが大切で、ことに基準の設定について、または監視、測定の方法等について総合あるいは精密を要する場合には、新しい国立研究所で十分に研究が行なわれるべきであります。この意味で私は国立研究所の新設はそれだけの意義があるものと考えますが、この場合も、いたずらに範囲を拡大したり何でも取り込むことはかえってマイナスの結果となるおそれがありますので、既存研究所の関連研究については、それぞれの研究所の歴史的伝統と研究体制や機能とを生かして、それぞれの分野における研究を推進、援助する役割りを環境庁が心がけ、全体として研究が総合的に効果を発揮するようにすることによって、国立研究所を新設すべき意義が存在することであると考えます。したがって、ここでも新設の研究所における適切なる運用ということはきわめて大切なものとなります。  以上、環境庁設置法案に対して考えられますことを申し述べてまいりましたが、要するに環境庁の新設は、現在の情勢において公害対策や環境保全の適切強力な推進のため、きわめて望ましいものであると思いますと同時に、その運用にあたっては十分に設立の意義に徹し、形式上の機構の繁雑や混乱におちいらないことが強く望まれるということであります。特に研究方面につきましては、その方面に関係する私として、研究費や研究委託費について環境庁が適切なる配分計画をされることは意義あることでありますが、いたずらに研究統制的でなく、また目的を持ってその解決に向かうという研究であっても、研究者の研究上の自主性を十分に尊重し、基礎から応用にわたる価値高い研究が生まれ、その結果が結局は長期見通しを持った行政に織り込まれるようなことが――もちろん現実的問題も含みますが、長期見通しを持った行政にも織り込まれることが望ましいのであります。研究に関する経費や委託費の配分計画に大学関係を除くとされたのも、大学関係の研究の自主性を尊重されたことで適切なことと思いますが、大学においても環境や公害問題について基礎的な研究は必ずや多部門にわたって多く生まれることと思います。これに関しては文部省においてそれらの研究費等について十分に配慮されると思いますが、その結果が今後の国の公害対策、環境保全の行政のうちに十分反映され、生かされるような配慮が環境庁においてとられることを望みます。  最後に、環境庁の設置については、法案の趣旨は大体けっこうと存じますが、運用は非常に大切であることを再度申し述べるとともに、これが適正の規模であるべきことは言うまでもありませんが、しかし一度設立される以上は中途はんぱなものでなく、整々と業務が遂行できるだけの予算、人員の確保については、政府におかれても格段の御配慮ありたいことを申し添えます。  以上御参考になれば幸いです。(拍手)

天野公義自由民主党

○天野委員長 どうもありがとうございました。  次に、横浜市公害センター所長助川信彦君にお願いいたします。

助川信彦横浜市公害センター所長

○助川公述人 ただいま和達先生の御高見を承りましたのでございますけれども、大筋にして同感の点も少なくないわけでございます。ただ私は、都市自治体におきまして公害行政の実務に携わっておる者の一人でございますので、その経験に基づきまして、このたび政府からこの委員会に提案されました環境庁設置法案についての所見を申し上げてみたいと存じます。多少重複しそうなところは省略して申し上げることにいたします。  ただいまも、実は六大市の、指定都市と申しておりますけれども、市長さんのお供をいたしまして、佐藤経企長官それから山中総務長官にお目にかかりまして、都市行政の実務の面から政府の公害対策についての行政ないし財政上の御援助をお願いをしたやさきでございます。そうした第一線の私どもの苦労につきましては、山中長官、御理解を示してはおられたのでございますけれども、この環境庁設置法というようなものによりまして、さらに公害行政が軌道に乗るか乗らぬか、これはやはり一つの重要な問題でございます。皆さんも御承知のとおり、これまでのわが国の公害行政の所管が縦割りにいろいろと分かれておりましたために、一つの事案につきましても、その責任の所在がとかく不明確となりがちでございまして、そういうことはないはずでございますけれども、ことさらにたらい回しをはかっているというような印象を国民に与えることがございました。それからまた、各省庁がそれぞれ理由があってお仕事の面での主張をしておられるわけではございましょうけれども、何かなわ張り争いに終始しているのではないか、そうしたことによって国民の生存権をないがしろにしているのではないか、あるいはそれぞれ所管の関係諸団体あるいは産業界の利害を幾らか代弁して、これに過剰な保護を加えているような印象を国民に抱かせるようなことがたび重なったように思われますので、そうした疑惑を払い、また弊害がありといたしますればそれを除くために文字どおり公害行政を強力に、そして総合性あらしめて推進しようという御意図のもとに提案されたものと受け取っておる次第でございます。  これは、決して政府の公害施策全般につきまして、それぞれその立案の動機あるいはプロセス、その得られました成果、こういうことに関しまして、一々詳しく承知をいたしたいという国民の知る権利を奪うために立案されたものではないと信じております。政府各省同士のお話し合いの過程であまり公にしたくないことを調整してから示すということのあまりに、知る権利を奪うというようなことにならないことを願っているものでございますけれども、強力な施策を実施し総合政策を推進するという名のもとに、国民の政治参加の機会が奪われたり関係資料の公表がとめられたりするようなことは、こうした時世でございますから、万々ないわけでございましょう。申すまでもないことでございますけれども、とりわけ地方自治の本旨というものにもとるような政策を一方的に中央から地方へ向かって強力に流すための行政機構であってはならないわけでありまして、むしろいろいろ問題の山積をいたしております都市自治体を初めとする地方公共団体の公害対策を有効に支援をいたしまして、そしてその足りないところを補完をしていくというための機構として構想され、その方針で運営されるということで提案されているものと思います。  なお、この法案は昨年の十二月に本院が行ないました環境保全宣言の線に沿って生まれたものと存じます。かつまた、自然保護を含む環境づくりあるいは生存権の確保を切望する民意がこの法案を生み出したものとすなおに受け取りまして、その趣旨につきましては了承いたしたいと存じております。この意味におきまして、私は環境庁設置を支持いたします。  また、この庁が調整官庁であるか実施官庁であるかという議論がございますけれども、これはやはり主として調整官庁としての機能に徹すべきであるのではないかと思います。  具体的に法案の内容を検討してみますと、このままでは公害行政の強力かつ総合的な推進をはかる上で十分ではないように感じられる点が幾つもございます。また、それらの点がかりに補強されたといたしましても、これを運用する者の姿勢が正しくなければ、和達先生がおっしゃいましたように、所期の効果があがらない、それはもとよりのことでございますので、幾つかの注文を申し上げてみたいと思います。  また再度ここでこのようなことを先生方に申し上げますけれども、憲法に定められております健康で文化的な生活を営む国民の基本的権利というのは、一面におきましては国民の不断の努力によって保持すべきものとされております。それは侵すことのできない永久の権利として現在及び将来の国民に信託されているものでございますし、私ども公務員は、これらの規定を尊重して擁護すべき義務を負っている。御高承のとおりのことでございますけれども、いまや中央各省庁をはじめといたしまして、地方の出先行政機関を含めて各級の行政責任者は、公害問題やその他の対策に関しまして調整の困難な問題に苦慮をしている、また下僚同士の間でも苦慮をしておるものが結論を出して持ってくるまで待ってから裁決するというような消極的な態度を持っている方々は少なくなったわけでございますけれども、さらに積極的に世論の動きや識者の意見を絶えず吸収いたしまして、それぞれのトップレベルにある方々がみずから問題点をとらえて積極的にこの調整をはかり、国民の生存権にかかわる問題を他のすべての問題に優先させて解決をはかるというきびしい姿勢を確保すること、これが大切であるというふうに思います。  私も、都市自治体におきまして、三十九年以来、庁内の公害対策連絡調整会議の招集者といたしまして、関係部局の責任者と必要な調整を行なってまいりましたけれども、これはやはりその当事者もさることながら、私どものほうの首脳部の、他の市政の課題のすべてにこの市民の生存権を優先させるのだというきびしい決意が背後にありまして初めて私が職責を全うすることが――全うはできませんといたしましても、ある程度まで果たすことができたと考えているわけでございまして、こうした姿勢はさらに首脳部の間で決意を新たにしていただく必要があるというふうにも考えております。  一つの地方の都市自治体とわが国の中央政府の組織とでは、機構その他大きな差異がございますので、同一に論ずることはできないと存じますけれども、わが国における環境の保全に関する基本政策の立案及び推進という環境庁長官の責務は、法案第六条の三項に規定されている程度の勧告権ではたして万全でありましょうか。特に必要があると認めるとき、重要事項につきましてのみその権能を発動できる、こういう制約がつけられておりますことにつきましても、割り切れぬ感じを受けます。もちろん内閣法に基づきまして総理は権限を持っておりまして、行政各部の指揮監督あるいは権限上の疑義が生じました場合これを裁定する、あるいは行政各部の処分または命令につきましてもこれを中止させる権利を持っているわけではございますけれども、そうしたものを発動いたして公害対策を推進するということでございますればあるいはこの法案の程度でけっこうかと思いますけれども、重要事項についてのみ権能が発動、あるいは必要があると認められるときだけ発動されるという制約がつけられておりますことに  つきまして、割り切れぬ感じを受けるわけでございます。行政管理庁長官の権限を調べてみましても、むしろその点は行政管理庁長官の権限のほうが充実しているという感じがいたすわけでございますけれども、せめて各省庁の業務の実地調査権というようなものだけでも与えるべきではないかというふうに思います。  また、予算の面につきましても、法案第四条の三号にございますように、単に見積もり方針の調整というだけでなくして、その具体的な執行につきましても環境庁長官が関与し得るように法制化をはかるべきではないかと存ずるわけでございます。  このようなことを申しますのは、都市自治体の公害担当者が従来政府各省庁その他の行政機関と多元的に折衝をいたしませんければ意思の疎通がはかり得なかった。その各庁の意思もばらばらでございまして、私どもが相互に取り持って意思の疎通をはかり、そして職責を全うするというようなことで苦慮した経験に照らしまして、少なくとも今後は環境庁との連絡によって一つの方向を知り、政府の協力が得られるかあるいは得られないかというようなことにつきましてすみやかに結論を出して、あるいは都市自治体独自で仕事を進めていくか、政府との協力で進めるべきか、こうしたことにつきましていままでよりもスピーディーに判断を下しまして、そして都市住民の熾烈な要望に積極的にこたえてまいりたい、あるいはものによりましては住民の要望を先取りしてまいりたい、このように存ずるゆえでございます。  しかし、そうは申しますものの、長い間縦割り行政になれてまいりました――これは地方におきましても同様の点もございます。官公庁の機構というものに太い横糸を張りめぐらし、この横糸を大綱に育てていくという仕事は並みたいていの努力では十分な成果があがらないというふうに存じます。しかしながら、これは国民の強い要望でございますので、政府及び国会におかれましてもあらゆる角度からこの横糸を育てていく、総合調整の権能を育てていく、こういうことについて格段のお骨折りをいただきたいと存じております。  国民が特に環境庁に期待しておりますことを考えてみますと、自然環境の保護整備という公害防止の根底にさかのぼって国民の健康あるいは文化的な生活を確保するという問題でございますけれども、もとより国民の健康保護というのは本来厚生省の所管でございます。しかし、近年申すまでもなく環境汚染が著しく累積してまいりました。それは高度経済成長政策の結果でございますけれども、この汚染の物質の放出量が一定の極限を狭いところで越えましたために、それが質的に転化をいたしまして、自然浄化やあるいは自然界のサイクルに狂いがきたというような、たとえば光化学スモッグのようなことが起こってまいっておるわけでございます。異常な現象が起こっておるわけでございます。このような異常な現象の究明や対策の樹立につきまして、環境庁のような特殊な行政機構を設けまして、単に医薬関係あるいは保健関係者だけでなく、関係各方面の専門家が学問の境界、領域を越えて協力する必要があるわけでございまして、たとえば生物社会学あるいは人類生態学などと呼ばれておりますような新しい学問を活用して、厚生省と相携えて学際的な調査研究を振興する必要がございます。そうしたことによって、その成果によりまして、これも和達先生がおっしゃいましたけれども、環境庁本来の任務が果たされるわけでございますので、特にたとえばある年間環境庁のお仕事をなさればすぐに他の重要なスタッフに移っていくというようなことでなくて、ここではじっくりと腰を据えてお仕事に取り組まれる方が長官を補佐する立場にお立ちになる必要があろうと思います。しかし、とかく調整官庁というのは軽く見られておりまして、各省の出向職員の寄せ集めで仕事を始める、そういうことが多いわけでございまして、従来はとかくそれぞれ出身省庁の利害に偏して仕事をするような印象を持たれることがなかったとはいえないわけでございます。そうした弊害を事前に防止して庁を発足させることが必要だと思います。  また一方、この環境保全行政というものにつきまして国民に正しい理解を与え、また強い支持を受けるために、その声を封ずるということでなくて、民意を広く伸ばしていくということが大切でございます。たとえば、野鳥を銃砲で捕獲するというようなことを趣味とする一部の国民の利害よりも、あるいは銃砲を販売するというような立場の特殊な業態の方々よりも、乏しくなってきております野鳥を保護するために働いている篤志家の声を優先的に大切にするというふうな方向に持ってまいりたい。かりに所管の大臣と環境庁長官が所見を異にするような場合、環境庁長官の声を支持する者、支持する声というものを背後に十分たくわえるという御努力を、ただその学者の方の御意見を聞いてそれだけで仕事を進めるということでなくて、こういう点について一段のごくふうをお願いしたいと思います。  くどいようでございますが、さらにいけ花、園芸などに心を寄せるゆかしい人々も国民の中には少なくないわけでございますので、多くのしろうとの目で都市の植物の発育、そういったものの実態などについて広く意見をくみ取り、発言をする機会を広く与えるというようなこと、ものが言えない草木や鳥獣、魚介になりかわってもの申す人々の声を大切にすること、これが人命を尊重することにつながるかと存ずるわけでございますが、そうした世論を結集することなしに公害行政は絶対に伸びてまいりません。そうした世論結集の仕事というのは環境庁自身がすぐにやるということではございませんで、回り道のようでございましても地方自治体を通じて推進されることを望みたいと思います。  環境庁法案によりますと、この庁は直轄の強力な地方行政機構を有しておりません。大気、水質、土壌、騒音、悪臭、地盤沈下等の実務行政はことごとく地方自治体にまかせてあるわけでございまして、きょうお目にかかりました総務長官の御意見でも、そうすることが、公害対策として私が一身に引き受けたのではとうていやり切れない、やはり持ち場持ち場をきめて地方自治体との協力でこまかな配慮、きめのこまかい配慮をして進めることがこの環境保全行政の骨子だというふうなことをおっしゃっておられましたけれども、そのおことばを生かすような方向でこの法案が煮詰まることを期待いたします。  国立公害研究所あるいは公害研修所の設置等につきまして和達先生からお話もございましたし、また御質問がございますればお答えをいたしたいと思うのでございますけれども、さらに、そうは申しましても、下水道法だとかあるいは廃棄物処理法あるいは海洋汚染防止法のごとき環境保全の基本的な法令、特に水質汚濁防止法と不可分の関連を持つ法令につきまして、汚泥や廃棄物の処理、処分に関する基準の設定に限るとしている点はまことに不可解な感じがいたします。特に産業廃棄物の処理、処分に関しまして環境庁がもう少し行政上の権限を持たないで公害対策の推進ができるのであろうか、その点きわめて疑念を持つ者でございます。重ねて慎重に御審議がいただければしあわせだと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)

天野公義自由民主党

○天野委員長 どうもありがとうございました。     ―――――――――――――

天野公義自由民主党

○天野委員長 これより両公述人に対する質疑に入ります。大出俊君。

大出俊日本社会党

○大出委員 本日はたいへんお忙しいところを本院のお願いを聞いていただきまして御出席いただきましてありがとうございます。社会党の大出俊でございますが、お二人の先生方に幾つかの問題点について、時間もございませんのでしぼって御質問申し上げて、御回答いただきたいと思うわけであります。  和達先生は中央公害対策審議会の会長をおやりになっておられまして、先ほど来その幾つかの経過の御説明等をいただきましたが、一つは、これは助川先生のほうにも承りたいのでありますが、日本学術会議が最近、環境シンポジウムをやっておられます。この中で私は特に痛切に感じますのは、国立公衆衛生院労働衛生学部長をやっておられる鈴木さん、この方の「環境基準をめぐって」という、環境基準ということばあるいは中身等についてのレポートみたいなものがあります。この中で、汚染や騒音で許容の基準がきめられると、汚染地区ではそこまで減らせばいい、こういう目標になってしまう、いまだ汚染されざる地域におきましては、そこまではよごれてもいいのだという、逆によごしてもいいのだということにとられがちである、ここのところをどう考えるべきなのかという一つのテーマが出されております。あるいはまた、従来の疫学的なもので基準をきめるということになりますと、公害で病気が発生しないと基準がきまらない、こういうことになる可能性が非常に強い。したがって、この環境基準というものを学問的にも行政的にももう少しとらえ方をはっきりさせる必要があるんじゃないかという意見が吐かれておりますが、まことにこれは問題の焦点の一つであろうという気がするのであります。たとえば通産省が川崎大師地区等に対しまして亜硫酸ガスの着地濃度などについて指導通達を出された。たいへんどうも私どもからすれば不満足な基準を示されている。ところが、当該の地域におきましては、たとえば、助川先生お見えになっておられますが、横浜市のような場合には、非常に厳重な、着地濃度の規制を〇・〇一PPMというようなことにしている。片方は〇・〇五が出てくる。国のほうでそういうものを出されてしまいますと、その地域の会社、企業、工場は非常に強くなってしまいまして、ここまではいいんじゃないか、何を言っているのだ、ここまで下げればいいのじゃないか、うちは〇・〇六だ、あと〇・〇一なんだから、そんなに何もがたがた言わぬでくれ、こういう言い方になっちゃうのですね。とにかく小学校なんかでも、この地域は外で体操をやって深呼吸するときには教室の中に入って窓をぴっちり締めて深呼吸をやる、こういう学校がたくさんあるわけですから、そういうところに国がそういう指導通達などを流すとなりますと、いま私が申し上げたようなことがまざまざと出てしまう。こういう点をもう少しやはり、この環境庁というものをつくるという趣旨ならば――私も実は環境庁は要らないということにはならぬ、結論的にそう思っています。なぜかといいますと、午前中もちょっと申し上げましたが、一つの行政というのは部を局に昇格をさせた、部長が局長になったということだけじゃない。つまり局にすれば、その部分の行政というのは前に出る、それだけの効果はある、こういう見方を、長年この機構をいじってまいりまして感じておりますので、そういう意味ではこの際、不満足に違いないけれども、私もこれは不満な点がたくさんございますが、それにもかかわらず要らないのだというば、そこらのところもやはり一つ考えておかなければならぬのじゃないかという気がするのであります。  それをもうちょっと具体的に申し上げますと、さっきこれは和達先生からお話がございましたけれども、既設の官庁がやっておる公害対策の部門、機構があります、それはそれなりにもっと努力してもらわなければならぬ、だからそれはそれでいいのだということになるのでありますが、しかし、今回これを見ますと、厚生省の例をあげれば、いま最後に助川先生お話しになりました清掃事業というふうなものは、これは非常に大きく残っている。さらに薬品、食品関係などはまる残りになっている。最近は厚生省のある局長さんはある薬について、たいへんこれはきくのだと言ったら、全くきかなかったというので新聞騒ぎになった例もあるわけでありますが、そういう意味での非常に大きな問題があとに残る。さらに農林省の場合には土壌汚染の対策事業あるいは農薬全般、これもいまお話がありましたが、野鳥だ云々だということになりますと、非常に大きな関係が出てまいりますが、ここらも非常に大きくこれは残る。それからこの中で全般の規制が残ることになってしまえば、規制が残るのですから、指導だけを環境庁に移管してみても、実体は農林省に残ったということになるんじゃないか、結果的には。ここらは一体どう考えればいいのかという問題も具体的には出てきます。建設省の場合でも、都市計画なりあるいは近郊緑地化事業なりあるいは公共下水道事業そのものは建設省に残るのですから、そうなると、ヘドロ一つの問題をつかまえましても、こことの関係で環境庁の意見というのは、考え方というのは一体推進できるのかというと、制度的にできない。ここに問題がやはり依然として残る。  それから産業立地、特に通産省の場合の、これはさっき午前中にもほかの先生方にいろいろ御意見いただいたのでありますけれども、産業立地、つまり公害の発生源でございますから、これが通産省のほうに、環境庁ができるときのやりとり、裏面で行なわれた非常に激しい相克を見ておりますと、何であそこまで強引に陰で争われたかということを考えますと、ここで産業立地の問題が通産に残ったということは非常に大きなことだという気が私はするのです。おまけに電気、ガス事業はそのまま残っている。これは公共事業だからという主張で残ったわけでありますから、そうなると、今度はその公共性、公共事業をたてにとった形になって、どうもまた石原産業事件じゃありませんけれども、似たようなことが行なわれるようになると、これはまた仏つくって魂入れずになってしまう。  幾つか私例をあげたわけでありますが、この種のことが次々にあるわけでありまして、そうすると、公害防止の規制と防止基準の設定と承認に関する権限、これが実は調整機関でいいですけれども、助川先生もおっしゃっているようにそれでいいのでありますけれども、これが集中的に一元化されて環境庁にぴしゃっと付与されるということでないと、いま残ったところは一人歩きをしてしまう。そうすると二重行政だけが残ってしまった、これはもう何にもならぬことになってしまうと私は思うのでありまして、そういう意味でその一番背景には政府の今日的公害対策、いまある公害に対してこれを一日もすみやかに、一時間もすみやかになくすという強力な姿勢、これが確かにとられなければなりませんけれども、よしんばそれがあったにしても、なおかついま私の申し上げたような意味での制度的なたいへんなものが残っているわけでありますから、その面からくる二重行政というものはぬぐい切れないのじゃないかという気がするわけでありますが、その辺を和達先生に、先ほど来御報告いただき、御意見をいただきました観点から見てどうお考えになるかという点についての御意見を賜わりたいとまず思うわけであります。  それから助川先生に、さっき私、横浜の例、川崎の例をちょっとあげましたが、そこらあたりは住民の側からどうとらえたらいいか、どうやれば――国がそういう当たりさわりのない基準の出し方をされるというと困るのは地元の住民でございますから、健康そのものからいってもたいへんなものになるというわけでありますから。特に最近カドミウム等の問題をめぐりまして、幾つか三省が総点検をおやりになって基準が出ております。三省のカドミウム総点検、これは厚生、農林、通産の三省なんでありますが、これは総点検の結果がおのおの違うのですね。ということになると、これを今度環境庁に置きかえて考えた場合にどうなるかといいますと、まさに経済企画庁の物価をやっておられるセクション、中西さんがずっとやっておられたところと同じになってしまうのですね。当時十四名か十五名しか人がいないのに、厚生省から来ている人は、自分のところの関係の物価の問題になってくると、自分の省の利益代表になってしまう。だから、さあ物価対策をということになると、共通項しか表に出せない。そうするとそれはもうつまり最低の規制になってしまうのですね。だから陰のほうでこの三省の違う基準で争いが起こって、乗っかっている環境庁、こうなると、三省のわれわれから見て一番条件の悪い結果が出ているところに合わせればまとまるのでしょうけれども、きびしく出たところに合わせようとするとまとまらない。そうすると、環境庁の持っている権能のゆえんですけれども、常に一番国民にとってまずいところに線がそろっていくというかっこうになって表に出てくると、日本の公害白書みたいなばかなことになる。したがって、これがもしそうなるとすると、環境庁をつくったことは逆にマイナスだということになる。私は非常に大きな心配をするのでありますが、そこらをどういうふうに受け取ったらいいかという問題が出てくるのであります。  時間がありませんから、もう二点ぐらいにさせていただきますけれども、実はいまお話が助川先生からございましたので承りたいのでありますが、たまたまきょうは十日でございまして、全国の愛鳥週間、野鳥を保護しようという愛鳥週間にきょうから入ったわけなんであります。ところが、資料がここに幾つかありますが、読んでみると、国際的に最近、日本ぐらい急速に、しかも急激に野鳥が減っている国というのは、いわゆる文明国という中ではちょっと珍しい、ない。逆に最近は、日本の場合もそうでありますけれども、都市近郊よりも都市の中のほうが野鳥がふえている。都市近郊のほうが減っている。ささやかながらいろいろなグループの方々がおありになって、鳥獣を保護しようというグループの方々がおありになって、公園緑地その他の都心のまん中のほうで巣をこしらえてかけるとかいろいろなことをやって野鳥をふやす努力をしている。ところが、お話しのように郊外のほうはやたら鉄砲を持っていって撃つということがあるわけであります。西ドイツの例を調べてみると、たいへんな野鳥のふえ方なんです。どんどんふえている。一羽の野鳥が年間に一億以上の害虫を食べている、こういうデータが出ているのですね。中には何億という害虫を一年間に野鳥が食べる。したがって、農薬を使用する限度というものを非常にきびしくしている。少なく使うということに押えて、野鳥の育成を助ける。そういう基準などをきめて、国民も非常に協力をしながらそういう方向に進んでいる。だから、野鳥がどんどんふえていくということで、つまり農作物、森林の保存、自然保護、こういう面で野鳥の力を生かした形で最近は非常に成功してきているというのが西ドイツの例なんですね。そうだとすると、先ほど申し上げたように、農林行政の中に、農薬の基準だ、云々だというのはみんなそっちにいっている。ということになると、これらの問題についてもう少し実はいまの環境庁の提案されているあり方というものを、そういう角度からも変えなければならぬ問題点があるんじゃないかという気がいたします。  最後に、いまお話がございました産業廃棄物なんでありますが、清掃法を改正いたしまして、前回の公害国会で産廃を含むというふうに法律改正が行なわれたわけであります。さっきもちょっと御指摘があり、お聞きいたしましたけれども、実は午前中もこれはちょっと私、ほかの先生方に御意見をいただいたのでありますけれども、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、この中で廃棄物の最終処分に関する基準の設定に限るということになっている。ところが、これは助川先生のほうが横浜市においでになりますから専門だと思いますけれども、横浜の例をあげますと、一日に二千五百トンというのが御家庭のごみなんですね。ところが、これへ産業廃棄物を含めると、何と横浜で推定五万トンになってしまうのですね。そしてその中で特に問題は、中小企業なんかの場合には、横浜市に対してやってくれという。大きな企業はいま自分で処理しておりますが、金を出せばいいじゃないか、市がやれ、この法律ができたために。そこで基準をきめなければいかぬですね。どこまでが一体一般廃棄物で、どこまでが産業廃棄物かという基準をきめなければいかぬ。つまり今度新しく改正された法律からいけば、地面の上にあるごみと称するものは、一般廃棄物か産業廃棄物か、どっちかというふうに割り切っているわけですから。そうすると、どっかで基準をきめて、ここから先は一般廃棄物、ここから先は産業廃棄物だということにしなければならぬ。そうすると、その基準のきめ方を一つ間違うと、いまは御家庭のごみは一日に二千五百トンだけれども、基準をきめたら御家庭のごみに類する一般廃棄物が三万トンになるかもしれない。通称いわゆる大きな企業が出す廃棄物は二万トンになるかもしれない。そうなると、それはいかに横浜市がさか立ちしてみたって、いまの清掃車の台数、人の数、機構の数、それから廃棄物の処理の方法、さっきもお話がちょっと出ましたが、いまは土地区画整理、調整区域と市街化区域ができましたから、いなかへ持っていって、この谷の間にごみを捨てさせてくれといったらお断わりをする。とにかくこれは調整区域に入っちゃったのだから、宅造ができない、売れない。だからそんなところを埋められたって三文の価値もないから畑にしておくということになりますから、断わられる。さあ今度は逆に廃棄物の種類からいって、埋めてもらっても将来ズレが起こればやり直さなければならぬから、そういう性格のごみだからお断わりをする。捨てるところがない。そうだとすると、この一般の大企業の産業廃棄物まで手がける、それが実際の権限、責任なんだとやられた場合に、埋め立て地をつくって海の中にでも捨てるところをつくらなければできない。金を出せばいいじゃないかといわれてみたって、たいへんな時間と人がかかる、処理施設をつくるのには。こういう問題が直ちに出てくる。これは実施の年月日がきまっているのですから、それまでに政令をつくると言ってまだつくってありませんけれども、これはえらいことになりはせぬかという気がするのであります。そこらのところで、ただ単に、まず生活環境の改善というのは自治体の仕事なんだから、本来自治体がやるべきだ、やるべきだということでそれはそれでいいと思いますけれども、それに対してどこまでを大きな補完を国がするか。これは大きな企業は金を取ればいい、そう簡単にはいきません。だからそういうところまで入って考えなければならぬにもかかわらず、ここには、環境庁の仕事というのはどうなっているかというと、廃棄物の最終処分に関する基準の設定に限る、これでは私は自治体泣かせもいいところで、あわせてこれは住民泣かせにしかならぬという気がするのでありますが、そこらのところをどういうふうに実は考えていったらいいのかという点、この辺についてのお答えを両先生からいただきたいのであります。  最後に、ことしの予算、四十六年度の予算を見ますと、公害予算というものは、特別会計、一般会計含めまして九百三十一億円しかない。これは予算説明書に書いてある。その中で六百億をこえるものが下水道処理のほうの第一次計画でございます。そうなりますと、三百億ちょっとの予算しか国の予算として公害予算がない。しかも、きまっている環境庁の人間というものは三十九人ですか、そこらしかついていない。あとはこれは各省折衝をやってみなければどうなるかわからぬ、こういうことですから、東京都の公害予算だけでも千二百八十五億あるというのに、九百三十一億で六百億からは下水道のほうの予算なんだ、だから純然たる公害予算というものは三百億しかないということになると、どうも環境庁というものは、公害国会まで開いて大騒ぎしたにしては、あまりといえば金がつかな過ぎるじゃないかという国民の風当たりを環境庁で防いだという感じさえ、勘ぐればしなくもないという実は気さえするのであります。だから、つまりそういう意味での環境庁だと、悪い面だけが残ってしまいやせぬかという気が私はいたします。国立公害研究所にしても三年先から発足するのだ、いろいろな議論があって、学者の意見も一つあり、あまりそんなところに、国立公害研究所なんかにいろいろな優秀な人材を集めちゃったり環境庁に優秀な人材を集めちゃうと、びしびしそこから規制してくると端的にいって産業が困る、だからそこまで集中するなという動きも背景に現にあるわけでありますから、そこらのところを先生方のお力もいただきながら、私どもも努力はするわけでありますけれども、この対国民という意味でどう前に進めるかという視点で、ひとつ御高見があれば承りたい、こういうふうに思うわけでございます。  時間の関係で、中心点だけ申し上げておきます。

和達清夫中央公害対策審議会会長

○和達公述人 まず最初に環境基準でありますが、現在の日本の公害は場所によっては非常に深刻でありまして、これを基準以下にするということがまず問題のところが多い。そのために、これより以上はいけないという基準が設定されたわけであります。しかし、これから汚染されるというようなところに対しては、私は二段がまえのように、これだけにはありたい、これ以上はいけないというような、二段がまえがいいかどうか知りませんが、何かそういうようなことが必要ではないかと思っております。  なお、しかしこの問題は、根本をいいますと、現代の医学が私の承るのでは病気の医学としては発展したが、健康の医学としては発達していないということで、ここには大きな研究が基礎に必要であるということを聞いております。  次に、いろいろお話を伺いまして、まことに私もごもっともと思います。この環境庁が総合調整ということによってできておりますが、実際に複雑多岐にわたる環境問題、公害問題が、どこまでが総合調整で、どこまでが規制で、あるいは事業だと、非常にふくそうしております。それで私は初め、原則としては事業は各省庁であるが、運用というものが非常に困難であるが、何とかやっていかなくちゃいけないであろう、もちろん運用の中に、第六条に、長官が勧告することができるとか、報告を求めることができるとか、あるいは必要があると認めるときには内閣総理大臣に対して次々の意見を具申することができる。一々内閣総理大臣まで持っていくというのはこれはたいへんなことだと思いますけれども、しかし、道はここにあるということにおいて、まず環境庁を設立されまして、運用においてあくまでもいま言われたような不便のないようにして進め、そこでいよいよの場合にはまた法案の改正でも出るんじゃないかと私は思っております。

助川信彦横浜市公害センター所長

○助川公述人 環境基準についての考え方、まあ行政上の目標として、たとえば亜硫酸ガスあるいは一酸化炭素について濃度を、着地濃度とかあるいは排出濃度とか、あるいはいろいろなものが複合いたしました濃度とか、基準の立て方もございます、計算のしかたもございます。そうしたこともございますけれども、やはり絶対排出量がふえればそれだけ問題が多くなる、狭い地域にたくさんできるというところに問題があるんだ、こういうことに最近は割り切られてきております。さらにその影響も特殊な気象条件のときに特殊な反能が強くあらわれるのは、人間よりもやはり敏感なのは植物でございます。あるいはカナリヤのような小鳥だとか、水の中のものでございますれば、これは飲料水についてはすでにどこの水道局でもやっておりますけれども、万一シアンが入ったというような場合にすぐ魚が浮いてくるというふうなことで、あらかじめ飲料水になります水にはたくさんのコイとかそういうものを飼っているわけでございますけれども、こういうものがこの排水池から河川なり公共水域に入ります前で生物をもって指標といたしまして調べていく、環境基準にそうしたものを取り入れようというふうな動きがございます。そうしたことにつきましては、国際的にもこうした方法が一番いいという基礎的な研究がまだ実ったとはいえないわけでございまして、その意味でそうした新しい基準、新しい指標、そういうものを生み出す仕事は、これはとうてい地方自治体の力ではできませんので、こうした仕事はじっくり腰を据えて、そうしてできるだけ早く、ある程度の第一段階に使えそうな目安だけでも煮詰めて出していただいて、そうした最新の知識を公害研修所で地方の職員にも、あるいはなかなかりっぱな方々をそこへ集めるのがたいへんだというようなことでございますれば、場合によりましては、大都市あたりには多年そうしたことを手がけた仲間がおりますので、それの御活用をいただいて、一刻も早く研究機関あるいは研修機関――最低の大きな建物ができ上がるのはあるいは三年先だといたしましても、そうした体制を整備して、とにかく一つの作業にかかることをお願いしたいというふうに思います。  さて、愛鳥週間のお話などもございました。横浜の根岸におきましては、お話しのように非常にきびしい規制をいたしております。たとえば液化天然ガスを導入いたしまして、全然亜硫酸ガスが出ないような措置をとりましてもなお、根岸へ年々渡りましたたとえばキアシシギというようなきれいな赤い鳥でございますが、そういうものが十羽来たのが最近は一、二羽になり、姿を見なくなったという傾向をたどってきておるわけでございまして、こうした事柄は非常に憂慮すべきことであると思います。  大出先生のお話はことごとく同感でございまして、予算の点にいたしましても、あるいは産業廃棄物の横浜市の実情等についてのお話も承ったわけでございますが、そうした事柄につきまして同感でもございますし、他の御質問もあろうかと思いますので、このぐらいにさせていただきます。

天野公義自由民主党

○天野委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 両先生とも環境庁が調整官庁としての任務、調整官庁としての役割りというものに徹していったほうがよろしい、それができるような体制を強めていったらよろしいという御意見だと思ったのですが、その問題について若干御質問を申し上げてみたいと思います。  調整官庁ということに限定してとなりますと、環境庁ができる前の公害対策本部、佐藤総理大臣を長にしたあのものがありました。つまりこの機構をもってしても、あるいはそのほうがもっと強力にできるというような感じもするわけでございます。それなのに公害国会でもって環境庁ができることになったという意味を考えてみますと、もっと違った要素がある、あるいは必要だと思われてつくるということになったんじゃないか、こういう感じがするわけでございます。  それで私は、この問題は、いろいろ新聞を見ましても、いままで毎日毎日公害というのを書いておりましたけれども、国会が済みまして環境庁ができるとなると、環境庁で何かやるだろうということで、このごろほとんど公害ということばが新聞に載っておりませんけれども、それほど多くの期待を持っておられるわけですね。しかしいままで、残念なことですけれども、公害という問題について政府の取り組み方というものは非常に消極的なものであったという全体的な印象は免れないと思うのです。こういうようなことを考えますと、環境庁というものをつくった場合、今後の問題として最も大事なことは、何とかしてやらしていく、やるべきことをやらしていくというこの一つのかなめに環境庁というものがなるようにしなければならない、こういうように思うわけです。  そういうふうに考えてまいりますと、私は今後の公害問題、環境保全の問題についてやるべき幾つかの重要主筋があると思うのです。この筋については、実施計画のような、年度計画のようなものをぜひとも取り入れていく必要がある。これがございませんと、調整官庁としての任務が効果的に果たされないんじゃないか。つまり適当なところで実施計画をつくる、こういうふうな計画については各省とも納得をする、その点に立って、各省の公害対策に対する至らざる点をいつでも追及していく、あるいは勧告をしていくというそういう基準が必要だと思うんですね。ところが、たとえば下水道の問題については四十九年までにはこういうものをつくるというのがあります。こういう個別的な問題だけでなくて、たとえば先ほどからお話しになっております環境基準の問題でも、これはなかなかむずかしい問題だと思います。それで早急にこれをきめるということになるといろいろ間違いも出てくるだろうと思いますけれども、あえてその間違いがあっても、二年後までには環境基準として中央あるいは地方、地方の一つの基準なるものをつくり上げていくんだというようなものを持つとか、あるいはまた、これは午前中の議論にもありましたけれども、つまり今度の環境庁の予算で、いま大出委員からの発言でもありましたとおり、非常に必要なことは実態調査なんですね。つまり調整機能を発揮するにしましても、実態を環境庁がしっかりつかんでいないと調整機能は事実上できない。こういう実態調査というものをあげて各省のほうにまかしておるとするなれば、これは私はきわめておかしなことじゃないか、そういうふうに思うのですね。そういうようなことで、実態調査についても今後三年間には、現に日本の問題になっている点、なりそうなところについては、かなり完全なデータが得られるようにしていくんだとかいうような目標があれば、それができるわけです。そういうようなお考えがあれば、当然今度の予算の中にも実態調査の費用として、つまり各省なりあるいは地方の自治体に対して連絡、総合をする費用として膨大な金がかかる、当然これは計上すべきものだと私は思うのです。そういうようなものが一つも組まれていないという面が、つまりこの環境庁の問題についてほんとうにやる気なのかどうか、申しわけ的なものじゃないのかというような疑問が出る一番大きな原因だと思う。そういう点についてひとつお二人の先生方からぜひとも御意見を承りたいと思う。  以上です。

和達清夫中央公害対策審議会会長

○和達公述人 環境庁というものができて、それに専念する長官または有力なスタップがつき、日常業務として常にその業務に専念しようとする、そういう組織が私は非常に大切なのではないかと思っております。  なお、いろいろなことの基本的なことは、この環境庁の権限として、基本的な政策を企画し、立案し、推進する、そうして実際には各省庁のこれに関する経費の見積もり方針の調整を行なう、そういうふうにして推進していくわけでありますが、ここのところが、たとえば私も測定ということは非常に大事だと思います。いま測定は厚生省その他でやっておると思います。その費用をここで見まして、そしてもっと盛んにやるならば意見を幾らでも言うこともできるし、また全体にわたれば大綱をもっと早く示しておくこともできる、こういうようなことでこの運用がうまければできるのじゃないかと私は思うのであります。いよいよそういうことがむずかしいならば、これはその時点においてもう一ぺん見直したらどうかと私は思っております。

助川信彦横浜市公害センター所長

○助川公述人 ただいまの先生のお話に関連いたしまして、私先ほど申し上げましたのは、行政管理庁長官というのが相当大幅な勧告権というものを各省に対して持っております。ところが、たとえばその勧告権もさることながら、各省庁の業務の実地調査権を持っておるわけでございますけれども、この法案の第六条の三項に規定されておりますのはきわめて限定された条項についてだけ勧告権があるということでございまして、大きな希望をつけるといたしますれば、命令権のようなもの、そうしたものが持てる形になれば一番よろしいかとは思いますけれども、勧告権についてもう少し幅広くする必要があるのじゃないだろうか。予算の面につきましても、見積もり方針の調整だけでなくて、具体的な執行につきまして、先生の御質問もございましたように、年次計画を立てて、あるいは長期的にあるいは当年度限りというふうに短期的、長期的な二通りの――各省庁の公害に関する仕事というものは、なかなか予定と実行というものはいつも一致するとは限りません。あるいは過大に遂行されることがあり得るかもわかりませんけれども、そうしたことは期待できない場合も多いわけでございますので、そうしたことにつきましてきちっと、環境庁が各省庁と連絡をいたしまして、ことしはここまで仕事をするのだ、欲ばり過ぎたけれども、しかし八〇%はできたのだ、これは計算のしかたとか取り方によってまたいろいろパーセンテージが変わるというよけいな問題はあるにいたしましても、そうしたものに逐次合理性、科学性を与えまして、そうしたことにつきましてもあるいは国立公害研究所あたりが案を策定をいたしまして、国民が安心して公害行政について総合調整の権能を環境庁が十分に発揮してくれている、ガラス張りで国民の前に仕事をしてくれている。そうしたことによりまして、われわれ都市自治体の努力というものにつきましても、市民からの評価ができるというふうな――総合調整という仕事は、私のところでこれだけできましたというふうに、つまり自慢ができるようなものはあまりできないわけでございまして、総合調整の成果があがっているということは、環境の保全がどの程度できたか、公害対策が総合的にどこまで伸びたか、国民の健康、生存権というものはどの辺まで守られたかというところで評価せざるを得ないと思うわけでございまして、一つ一つのどの省がどういう努力をしたからという分析はむずかしい場合もあろうかと思いますけれども、それに近い形で、御発言のございましたような科学的な予算執行、その他年次計画につきまして追及をしていく、各省庁あるいはわれわれのような地方自治体、この両方のたばねをしていく、その実態を大づかみにでもまずできるだけ把握するということから始めていただくということがよろしいと思います。御発言に賛成でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 もう一つだけ。いまの調整官庁としてのあれですけれども、たとえばこの前の公害国会で十四の法律ができました。最近騒音等の問題についてもできるようです。私は民社党の者ですけれども、将来は公害省のようなものに発展させていく必要があるのだという考え方を持っているのですが、省ということになりますと、単に調整的な機能ではないわけです。ある限定された問題についての実施官庁になるという含みを持っているわけですけれども、こういうふうなことができるとお考えになるのか、あるいはできるとすればどういうふうに限定されたほうがいいのか、こういう問題についてひとつ両先生、簡単でけっこうですけれども御意見を伺いたい。

和達清夫中央公害対策審議会会長

○和達公述人 わが国の縦割りで発展してきた行政組織に対して横割り的のそういうものをつくることに対しましては、功罪いろいろあると思います。私ちょっとここで簡単に申しかねます。

助川信彦横浜市公害センター所長

○助川公述人 非常に困難ではありましょうけれども、こうした環境庁の運営のような仕事を積み重ねていくことによりまして必ずできることであろう、そういうふうに思います。それをどういう形にしていくかということにつきまして詳しいお話をする時間もございませんが、簡単に言いますと、現在の公害諸法案のような形ではちょっと困難でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 終わります。

天野公義自由民主党

○天野委員長 大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 社会党の大原です。簡単に具体的も問題でお聞きしたいと思います。  和達先生は中央公害対策審議会会長をしていらっしゃいます。きょうの毎日新聞のコラム欄で、この前出ました記事の中から東京湾の問題をとらえております。その中で「経済企画庁長官の諮問機関である水質審議会が、東京湾などの水質環境基準を決めた。東京湾全体を十八の水域に分けて、最低「不快感がない」海にしようという基準だが、」これはA、B、CのCランクですね。Cでありますが、「いったいいつきれいな海が実現するのか、はっきりしない。というのは、今度は目標だけを決めて各工場の排水基準」等については見送っておる、こういうわけですね。そこで具体的な問題というのは、たとえば東京湾の汚染をきれいにしていくためには、これから出していく都市排水や工場排水をきれいにしていくということなんです。それからいままでの蓄積をした汚染物質、ヘドロをどうしてきれいにするかという問題がある。それで助川先生のお話も引用されるわけですが、自治体にできるだけ力を持たす、これは当然だと思います。しかし、これは及ぶ県や都市が非常に多いというわけです。川も非常にたくさんある。ですから今度環境庁ができて、経済企画庁については、たとえば水の問題、水質基準等の問題は七月一日から環境庁に移ると思うのです。経済企画庁は完全になくなると思う。局長もできてまいります。しかし、総合調整機能だけでそういうふうな広い地域の、東京湾のようなあるいは瀬戸内海のような広域の汚染の事前の予防とそれから事後の処理の問題を含めて総合的にきれいにしていく仕事について、大体今度は新しくそういう官庁ができた場合にどこが責任を持ってやっていけばいいのであるか。ここにずっと全部一応書いていますけれども、そういう予算上あるいは行政上の責任分野が明確じゃないというんですね。だからA、B、CのCランクは非常にきびしい、工場の排水口付近の基準だと思うのですが、東京湾を将来どうするのか、あるいは瀬戸内海等広域の海水の汚染をどうするのかということになりますが、そういうときに、いまの新しくできる環境庁だけでそういうことについてきれいにする責任を持った仕事ができるのかどうか、これについて御意見を聞かせていただきたいと思います。和達先生と助川先生と両方……。

和達清夫中央公害対策審議会会長

○和達公述人 私は、環境庁はそのためにできているのじゃないかと思っております。

助川信彦横浜市公害センター所長

○助川公述人 これは環境庁を各関連の自治体が自治体連合という形で、もちろん、その東京湾の湾内の問題になりますと、海上保安庁というようなところが取り締まっていくわけではございますけれども、環境庁と緊密な連絡のもとに問題に取り組んでまいるというようなことによって、この問題の解決に当たり得ると考えております。総合調整官庁でありますけれども、しかし、事環境の問題については、逃げられないお役所ができるんだ、そんなふうに考えております。

天野公義自由民主党

○天野委員長 これにて和達、助川両公述人に対する質疑は終了いたしました。  両公述人には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)  これにて公聴会は終了いたしました。     午後三時三十二分散会

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