大蔵委員会 第30号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/05/10
会議録
○毛利委員長 これより会議を開きます。 金融に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。広瀬君。
○広瀬(秀)委員 五月六日のヨーロッパの為替市場が閉鎖されるような、一連の、五月の三日あたりから急速に始まりましたいわゆる史上最大のマルク投機といわれる国際通貨不安を象徴した事件があったわけでありますが、これに対して、これは遠く日本にも影響を及ぼして、日銀が三億四千万ドルの買いささえ、買い出動をするというような事態を含み、またEC六カ国だけではなしにその影響はかなり広範に及んでいるようであります。スイスあるいはスペイン、オーストリア、南アフリカあるいはシンガポールというようなところでも、何らかの意味で為替市場が停止をされるというような事態にまでも及びました。これはやはり国際通貨上の非常に大きなドル不安、ドル危機、ドルの弱さというようなものを反映して、こういうような問題が何回もかつても起こってまいったわけでありますが、今度は先ほども申し上げたように史上最大だといわれるような、しかも及ぼした範囲がきわめて大きい。しかもこの問題が固定為替相場制度、IMFのそういう立場から、何らかこの問題について為替相場制度の変革をもたらさなければやまない、あるいはドルを切り下げないとするならば諸外国の通貨の切り上げというようなことを迫る、非常に大きな問題だと思うわけであります。 まずこの問題について、これは国際金融局長からでもけっこうでありますから、この全貌というもの、今日まで皆さんがその立場においてとらえられた国際通貨不安、マルク投機、さらに為替相場の関係、こういうものについていままでに皆さんが把握をされた状況というものを、質問の時間がなくなりますから簡潔にこの問題について報告をまずいただきたいと思うわけであります。
○福田国務大臣 お話のように非常に大きな国際通貨不安が起こったわけです。発端は、五月の三日にドイツの五大民間研究所が連名で当局に対しまして、マルクの為替変動制度、これを採用すべしという意見具申をした。これに対する当局の対応のしかたがどうもあいまいというか、きっぱりとしておらなかった。その辺から端を発しまして、四日からマルクの思惑買いが始まる、こういうことになり、五日はドイツでは、為替市場を開くということになりますと三十分ないし四十分ぐらいの間に数億ドルのマルク買いが行なわれる、こういう事態になり、直ちに為替市場を閉鎖する、こういうことに相なったわけです。それに連動いたしましてスイスが、あるいはオランダが為替市場の閉鎖を行なうということになり、この膠着状態を打開しなければならない、こういう立場に国際金融市場は置かれたわけであります。 そこで、昨日EC大蔵大臣会議が開かれまして、これはもう徹宵の審議であって二十四時間を要した、こういうふうにいわれておりますが、この審議の結果一つの結論が出た。その結論は、為替相場はこれを変更しない、こういうこと。それから第二は、為替相場をフローティングの状態に置くことは好ましい状態ではないけれども、しかし短期資本が著しく流入をするという事態に緊急に対処するために、時間を限り、また上限下限を限ってフロートの状態に置くことはやむを得ない場合もある。それから第三には、こういう事態を惹起せしめないために、為替管理を含めた金融諸対策を検討すべきである。こういう三つの結論を出したのです。 これがきのうでございますが、きのうからきょうまでの状態はどうだというと、この決定を背景に、ECの決定に参加いたしませんでしたスイスとオーストリア、この両国におきまして、スイスにおきましては七%、それからオーストリアにおいては五・〇五%の平価の切り上げを行なうことにいたしております。これはおそらく変動為替制度をドイツが採用するであろう、こういう際に、マルクに続いてアタックを受けるのはスイス・フランだ、あるいはオーストリア・シリングである、こういうようなことからその防衛の挙に出た、こういうふうに見られておりますが、とにかくそういう措置。 それから問題のドイツにおきましてはこの変動為替制を採用する、それからオランダもこれに追随する、こういうことになりました。これは平価の変更は行なわない、こういうことに相なったわけでありますが、特にドイツにおきましては、閣議においてフロート制、つまり変動為替制を採用するということをきめたことはもちろんですが、これと並んで、この状態に対処するために金融上の措置をとる。これは為替管理のことを言っておるのかあるいは金利その他のことを言っておるのかちょっとわかりませんけれども、金融上の施策をとる、こういうふうに言っております。それから第三に財政上の措置、つまり歳出を削減する。また予定の公債発行額を縮減する、こういうようなこと、これをとるのだ。つまり一連のデフレ政策をとる、こういうことであります。 以上がヨーロッパの状態でございますが、この状態に対しましてアメリカでは財務長官が、現行の為替相場の変更は行なわない、こういう方針を声明しております。 それからわが国におきましては、マルクの動揺が始まりましたその当初の時期におきまして、外国為替銀行が手持ちのドルを外国為替管理特別会計に売却するという動きがありました。これはいまお話しのように三億にのぼる額になりました。ところがその翌々日から非常に平静な状態になってまいりまして、ほとんどこの方面の動きは鎮静化した、こういうような状態でございます。 今度のこの通貨不安はなぜ起こったかというと、アメリカ、ヨーロッパに滞在するところの短期資本、これの激しい移動であります。これがマルク買いに立ち向かう、こういう事態になったことに端を発しておるわけでありますが、わが国は御承知のように短期資金につきましては厳重な管理をいたしておるのであります。したがって、ヨーロッパにおけるようなそういう激しい動きは全然見られないという状態で推移をいたしております。 私どもはこれらの状態に対処いたしまして、現在の国際通貨政策に対する姿勢、これを堅持いたしまして、つまり現行の為替制度並びにわが国の為替相場、これを堅持する、こういう基本を堅持いたしまして、そしてこの国際通貨不安のあらしを切り抜けていきたい。また、そういう為替管理体制をとっておるわが国といたしましては、必ずこれは切り抜け得るという確信を持っておるわけであります。 ただ、為替管理という面じゃなくて、貿易というか、トレードの面でいろいろ問題が今後あり得ると思う。つまり、わが国の輸出が非常にふるっておる半面において輸入が鈍化しておる、そういう状態でありまするから、外貨がどんどんたまっていく。そのトレードの面、これにつきましてはいろいろ諸外国で今日までも批判がありまするけれども、ややもすればその批判が高じないとは言えないような状態にある、かように考えます。 そういう世界情勢の中における日本経済の運営といたしましては、輸入制限の撤廃、これをいまスケジュールをきめて進めておりますけれども、これを着実に行なう。また資本の交流の自由化、これにつきましても、短期資本につきましては厳重に管理をいたしますけれども、長期資本のほうにつきましては自由化をさらに進めていかなければならぬ。 それから関税の問題でありますけれども、いまケネディラウンドが終わった段階に来ておる。しかしまた特恵関税問題というのが出てきておる。特恵関税につきましては、敏速にこれに対処していく。さらにわが国の一般関税につきましても前向きで世界諸国と協調していくという問題。 さらに国際経済協力、この面におきましてもすでに積極的な努力をしておりまするけれども、なお質的面につきましても十分国際社会に対応し得るような変革を行なう、こういうこと。 さらには輸出マナーといいますか、わが国の輸出というものは、この商品は売れるというとだあっと出ていくというような傾向があるのです。いまアメリカでぶつぶつ言っておりますが、自動車なんかがことしになりますと昨年の同期に比べまして二倍以上ふえている、こういうような状態。そういう状態が輸出を受ける国に対しましてどういう影響を及ぼすであろうか、そういうような点につきましては細心の注意を払いながら、いわゆる秩序ある輸出、オーダリーマーケットという問題、これに真剣に取り組んでいく、こういうことが肝要である。 かように考えるのですが、このトレードの面におきまして十分配意してまいりますれば、私は、わが国の経済、これは順調である、優等生である。これが、劣等生が優等生を批判する、こういう余地はなくなる、こういうふうに考えておりますので、とにかくわが国は通貨につきましては現行体制を堅持する、しかしトレードにつきましては十分配意しながら対処してまいる、こういう基本姿勢でまいりたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 いま大臣から、今回のマルク投機にあらわれた国際通貨不安の問題について概要を報告され、またEC閣僚会議、蔵相会議での結論など、また影響が報告され、日本においてこの影響を受ける度合いというものはかなり為替管理の関係もあって少ないということ、さらに円の問題についても固定為替レートを守るんだということも言われたわけでありますが、こういう事態というものが、一体、いま大臣の御意見だと、ユーロダラー、短期のきわめて浮動的なユーロダラーの動きによってこういうことが起こるんだ、その原因としてはこういうことだというお話があったと思うのでありますが、単にそれだけであろうか。このような通貨不安というものはこれからもまた起こる余地というものもきわめて可能性があることなんだ、こういうように考えられるわけです。基本的にはやはり国際のキーカレンシーであるドルの弱さというもの、これがやはり根源であろう。しかもそのドルの弱さはアメリカの国際収支がきわめて悪い。しかも最近におきましても経済成長率というような点でもきわめて悪い。しかも物価はかなり上昇するというようなアメリカのいわゆるドル、キーカレンシー国であるアメリカのドルというものの弱さというものにやはり基本的には問題点があるだろうと思うのです。 そういう根源の問題に対して日本としてどういうような発言をし、どういう要求をしていくかというようなことがないと、これはやがて固定相場制維持ということもむずかしくなるし、今度の場合でもそれから脱却するためにというか、鎮静化するためにワイダーバンドを広げる、それが二%幅になったのか三%幅になったのか、あるいは五%幅になったのかわからないにしても、そういう方向になる。その次には、これは必ず、今度の場合でも出たように平価の切り上げというようなことになってくるというならば、もう円の切り上げというような問題についてもかなり問題がある。やはり国際化時代ですから、経済の国際化時代において日本だけ涼しい顔をしていられないようなことにもなるだろうと思う。したがって、もっとより深くその根源にさかのぼって対策を立てていく。またそういう点でのアメリカの国際収支改善策等について、ドルをもっと強くするというような形の何らかの対策というようなものもやはり考えられなければならないと思うのでありますが、その点どうお考えになっておられるのか、お聞かせを願いたい。
○福田国務大臣 この通貨不安の背景にはアメリカの問題があると思うのです。それはアメリカの経済という根本的な問題もありますが、当面いまアメリカとヨーロッパの間に大きな金利差があるのです。これが一つ。 それからもう一つは、世界的にインフレとスタグフレーション、好況と不況が同居しておる。つまり、不況状態ではあるけれども、それにもかかわらず物価が上がるという状態が世界じゅうにあるのです。しかしその度合いはどうかというと、アメリカが幾らかその状態が激しい。そういうヨーロッパ経済とアメリカ経済とのすれ違い、こういう問題があると、こういうふうに見ておるのです。 その根源をさらにさかのぼれば何だ、こういうことになると、アメリカの経済が非常にいま苦しい立場にある。つまり、これは私はベトナム戦争だ、こういうふうに見ておるのです。長い間のベトナム戦争、これがだんだんとアメリカの国際収支態勢というものを悪化さしておる。金の保有量も毎年減ってくる。昨年のごときは百億ドルの赤字を出す、こういうような状態、そういうこと。そういうものがまた根源にあって金利を下げて、そうして不況を克服する景気刺激政策をとる。それにもかかわらず物価はなかなかおさまらぬというような状態。まあそういう状態であるにかかわらず国際収支が赤字を出す、こういう状態、そういうことがあると思います。 ですからアメリカに早く国際収支の均衡、このような状態になってもらいたいということを念願をいたしておりますが、これもそう急にはいくまい、こういうふうに思いますが、そういう経過期間中においてどういう措置をとるか、こういうことにつきましては、私はやはりアメリカに努力をしてもらって、ドルの価値の堅持、これにさらにさらに努力し、実をあげてもらう。 同時に、わが国の立場とすると、やはり自由貿易日本、自由経済日本といたしますると、その根底は何といってもこれは為替相場を堅持するというところになければならぬ、こういうふうに存じますので、この姿勢はわが国としては堅持する。そういう間において、先ほども申し上げましたようにトレードの問題、これにつきまして批判を受けるような立場にならない、こういうこと。これが私はわが日本として最も大事な姿勢ではなかろうか、かように考えておるわけです。
○広瀬(秀)委員 日本の場合には、今回のこういう事態にもかかわらず、外国為替管理法が厳として存在をし、特に短資の流入に対する強い規制があるというようなことで、この渦中にもろに巻き込まれるというような事態は避けられたというような事態になっていると思うのであります。あの七日の日でございましたか、テレビの質問に答えた柏木財務官の、大蔵省の見解を表明された中にも為替管理ということを非常に強調されておったわけでありますが、大臣のお考えとしては、この短資に対する為替管理というものは現在のまま、むしろ強化をするのか。それと同時に、長期資本のほうは、これについては自由化をはかって、この為替管理とその資本の自由化の問題についてどういうように日本として対処を今後されていくつもりか。端的にお答えを願いたい。
○福田国務大臣 長期資本につきましては、これは自由化の方向を進めたい、かように考えております。これがまた国際社会においても歓迎するところであろうというふうにいま考えております。 それから短期資本につきましては、わが国のこの管理しておる状態、これは国際社会では珍しい存在なんです。しかし、今度のこの通貨不安を通じまして、日本の行き方、これが高く評価されている、こういうふうに見るのでありまして、EC大蔵大臣会議におきましても、為替管理を含めた金融対策を強化する、こういうふうに言うております。わが国の姿勢に追随すると言ってはまあ語弊があるかもしれませんけれども、わが国のやっている方式、これを採用する、こういうふうな動きでございますので、私はこの姿勢は堅持して一向差しつかえないし、また堅持すべきものである、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 ドイツがああいう事態に追い込まれて今回変動相場制をとる。しかもワイダーバンドは従来のIMF規則による上下一%というようなことではなしに、おそらく二、三%というようなところまでいったのではないかというようなことがいわれるし、オランダもそういうものに追随する、スイスは切り上げでこれに対処する、そういう状態になった。オーストリアでも五・〇五%の切り上げをやったというようなことで対処する。こういう事態になっておるわけでありますが、変動為替相場制、フローティングの幅を広げていくというようなことについて、IMF自体が今日のこういう状態というものを踏まえた上で、かなり変動相場制への移行というようなものについて考えているというようなことが伝えられておるわけであります。この問題について、日本の場合にあくまで固定ルートを守るのだということでありますが、それにいたしましても上下〇・七五%というようなものを規則上もまた実際上もやっておったわけですが、この問題について今度の西ドイツの措置をどういうように評価され、そして日本においてそれをどういうように考えられていくのか。この変動相場制というものについてどういう評価をなされているか、この点をお伺いしたい。
○福田国務大臣 変動相場制、つまりワイダーバンドといわれるやり方ですね、これはいまIMF協定で固定為替相場上限下限一%の変動を許容するということになっております。これが現行制度でございますが、まあいろいろな国でいろいろな意見がある。あるいはクローリングペッグというような方式はどうだろうというような意見もある。あるいは完全フローティングというような制度はどうだろうというような意見もある。これらが国際通貨専門家の間で議論されておったのでありますが、最近の傾向といたしましては、そう根本的な為替相場制度の変革、これは好ましくない、こういうような空気でありまして、そしてまあ現実的なのはいわゆるワイダーバンド、つまり一%とあるけれどもこれを二%、三%、こういうようなところに少し広めてみたらどうだろうというような意見を言う人があるだけになりまして、基本的な改革論を打ち出す人は影をひそめた、こういう状態、これが現状でございます。 これに対しまして各国の反応はどうだ、こういいますと、わが日本が一番はっきりしておる。これは固定為替制でいくべきである。変動幅一%、上限一%、下限一%、この辺で為替制度を運営する、これが一番賢明である。何となれば、変動幅が大きいということになると、これはもうその幅の中におけるいろいろな思惑というようなものがある。それで通商を阻害するということになるのじゃないか。それが一つ。 それからもう一つは、IMF協定で一%上下変動幅がきめられておりますが、これを改定する、そして二%、三%ということになると、これは協定の変更でございますから、加盟各国の国会の承認を得る必要が出てくるわけです。その承認を得る過程における論議、これは簡単には進みません。時間のかかる問題です。その時間のかかる過程におきまして、各国において思惑が生ずる、混乱が生ずる。これはまた十分考えておかなければならぬ問題ではなかろうか。 こういう二つの理由に基づくものでありますが、国際社会の中におきまして、日本の立場、考え方、これはかなり説得力のある主張というふうに理解され、フランスのごときはこの立場と非常に似通った主張になってきておるわけです。それから今回のこの混乱に際しましてイギリスもそういう主張をいたしておる、こういう状態でございます。わが日本としてはあくまでもオーソドックスでいく。当面、こういう事態であるから、制度としてこういう改革をするというようなことに走らないで、どこまでもオーソドックスな道を歩む。しかし現実に即して、ドイツが一定の期間、ごく短期間緊急の措置を講ずるというようなことはこれを容認をするというような行き方、これはおそらくIMF当局もそういう考え方を打ち出すと思うのです。きょう緊急理事会が行なわれるわけでありますが、私はおそらくそういう考え方を打ち出すだろうと思います。この考え方、私ども日本と同じ考え方でありますので、IMF体制、つまりわが国がとっておる現行の姿勢、これを堅持していく、これが国際社会の中で筋の通った行き方ではあるまいか、そういうふうに考えておるのであります。
○広瀬(秀)委員 時間がありませんので、最後に一つだけ、ひとつ簡単にお答えいただきたいのですが、オーダリーマーケティング、秩序ある輸出ということを考えていくということでありますが、対策が六項目からあるわけでありますが、その中でそういう問題が出ております。これとの関連におきまして、今度、短資の流入が若干はあって、日銀も三億四千万ドルからの買いざさえをやって一挙に六十億ドルの外貨準備をこす、こういうような事態になっておるわけでありますが、こういう事態の中でそういう点が提案をされておるのですけれども、この一環として、最近新聞の報ずるところによりますと、輸出税制における優遇租税特別措置というものは全廃をしたいというようなことを大蔵省でも方針を固めた、こういわれておるわけであります。このオーダリーマーケティング、秩序ある輸出というようなことで、外貨がこれだけたまっているというような状態の中で、そういう方向を、これは昨年も十分論議をした問題で、輸出振興優遇税制というものを廃止をするのだという総理の確約もしながらことしは中途半ばに終わったわけだけれども、これを明年に向けてやっていくおつもりがあるのかどうか、その辺の決意のところをひとつ聞かしていただいて終わりたいと思います。
○福田国務大臣 私はオーダリーマーケティングということを申し上げておりますが、決して輸出をディスカレッジしようという考え方はありません。輸出は日本とすると大事なことでありますので、ますますこれを盛んにしなければならない、こういうふうに考えております。ただその輸出のしかたです。これが相手国の市場あるいは業界を混乱させるような結果になったのでは申しわけないことだ。その辺を日本の輸出全体としてよく考えていかなければならぬ。その仕組みをどうするか、これは業界の自主的な御協力、これが大事な問題になるだろうと思いますが、そういうところから入っていこうというふうに存じておるのでありまして、今回こういう問題がありましたが、輸出税制のことまではまだ考えておらないのであります。そういう税の問題ということになると、来年度の税制改正をどうするか、こういう一般的な問題の中の一こまとして検討してみたい、かように考えます。
○毛利委員長 堀君。
○堀委員 最初に国際金隔局長にお伺いをいたしますが、一番近い時点での外貨準備はいま幾らでありますか。
○稲村政府委員 先月末五十七億七千七百万ドルでございました。それに対しまして今月、先ほど大臣から答弁がございましたように大量のドルの売りがございまして、そういうものを買いましたので、大体六十三億以上にいまなっているかと思われます。
○堀委員 もう一つ局長にお伺いをいたしますが、いま国際収支の中での基礎収支の状態ですね。私、最近における基礎収支の状態というのは、いま先進国の中でどうも日本が一番基礎収支がよくなりつつある、こういうふうに見ているのです。ドイツを上回って日本の基礎収支のほうがいい、こう見ておりますが、その点はちょっとドイツとの対比で答えていただきたいと思います。
○稲村政府委員 数字につきましてはいま資料を調査いたしまして申し上げますが、全体の感じといたしますと、貿易収支に関しましては、確かに日本の貿易収支の黒字というのは先進国の中でも最も大きな数字を示しておりますが、御承知のとおり貿易外収支は日本は大幅の赤字でございます。経常収支といたしましても、おそらく日本の黒字は非常に大きなあれであろうかと思われます。いまのは経常収支について申し上げましたが、基礎収支になりますと、これはそのほかに長期資本収支の項目を加えないといけないわけでございますが、これにつきましては、日本は後進国援助その他非常に大幅の赤でございまして、この基礎収支になりますとそれほど大きな黒ではない。黒であることは事実でございますが、それほど大きな黒ではないということであろうかと思われます。
○堀委員 計数的にあわせて答えてください——じゃあ、ちょっとあとでそれを聞きますから……。 大臣、お聞きのように、いま貿易収支、非常に大幅な黒字になっております。結局アメリカの問題、日本の問題、西ドイツの問題、いろいろありますけれども、国際収支というものはどこかが黒になればどこかが赤になる、こういうことたと思うのです。ですから、なぜ黒字ができ、なぜ赤字ができるのかという問題の中には、その国における生産性の上昇の問題、これが基本の土台にあると思います。で、生産性の格差が出てくれば相対的にその国の通貨価置というものは差が出てくるわけでございますから、その差をあらわす一つのバロメーターが、私はやはり国際収支のプラスマイナスで一つのあらわれをなしているのだ、こういうことは経済的に客観的に間違いのない事実であります。 そこで、いまお話を聞いておりまして、確かに私どもの国は短期資本に対する為替管理が残っておりますから、直ちにそういうホットマネーによるアタックというものは避けられますけれども、それは技術的な問題だろうと思うのです。実際その土台にある問題を私どもはもう少し真剣に考えておかなければこの問題の解決にならないのではないか。そうなりますと、さっきたまたま大臣が、ことばのあやでおっしゃったと思うのですけれども、劣等生が優等生を批判することはない、こういうふうにおっしゃったわけです。その劣等生というのは、大体大臣の感触では一体どの国を考えていらっしゃるのか、ちょっとお答えいただきたい。
○福田国務大臣 せっかくの御質問ですが、私は抽象的に申し上げているので、具体的にどこの国がどうと、こういうことじゃないのですから、御了承願います。
○堀委員 抽象的な概念でいけば、結局赤字国が黒字国を批判するのはおかしい、こういうことだと思うのです。これは私はやや優等生側の思い上がりがあるのではないかと思うのですね。やはり国際的な慣行では、おそらく赤字国側からいえば、生産性が非常にどんどん上がっておる国が本来ならば平価の問題も考えるべきであるにもかかわらず、その他の貿易政策について考えるべきであるにもかかわらず、それを考えないから実はそういうプラスマイナスが起こるのだ、赤字国側はそういうふうに見るだろうと思うのですね。そこで私は、その点を赤字国、黒字国の立場を離れて、ニュートラルに少し考えてみる必要がわが国にもあるのじゃないか。いまの大臣の御答弁を聞いておりますと、プラス側の言い分というふうにマイナス側に聞こえる感じがするのであります。要するに、劣等生が優等生を批判するのはおかしいというのは、どうもやはり優等生側からのものの考え方のような気がするのです。ですから、やはりこの際、非常にこの国際金融上の問題で重要なのは、私どももつとめてニュートラルの立場でものを考えるということにならないといけないのじゃないかそうすると、ニュートラルな立場から考えるならば、私たちのいろいろな政策の中にも問題があると思うのです。いま広瀬委員がお尋ねをしましたが、私たちは輸出を振興することはわが国の置かれておる立場から必要ですけれども、それがニュートラルな範囲における輸出の振興なのか、それを越えておるかどうかというところをはっきり見定めて、この問題を考えていかなければいけないのじゃないか。そういうことになりますと、輸出振興税制などというものは少なくとも私はニュートラルではない、こう考えるわけですね。 ですから、私はまず基本的な考え方として、われわれの政策をいまの優等生の政策ではなくて、客観的に見て、すべての赤字国も黒字国もがなるほどと考える政策をこの際とらなければならないのじゃないか、こう思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
○福田国務大臣 堀さん、さすがに非常に深く見られていると思うのです。今度の通貨問題、またそれをめぐるわが国の立場、そういうところの根源が輸出入の問題にある。つまり貿易収支、さらには経常収支、基礎収支——基礎収支ということを最初にお話がありましたが、その辺に問題があるのです。短期資本の問題は、これはわが国の問題とするとそう問題ない。御指摘のとおり技術的な問題だ、こういうふうに思うのですが、さて私が先ほどから申し上げておりますのは、あなたが御指摘になる貿易収支というか、経常収支、基礎収支、その辺に問題がある。その辺で諸外国から指弾を受けるような立場に日本が立つということになると、これはたいへんなことになる。そういうようなことで深く反省をいたしまして、六項目掲げましたが、この辺はどうしても早急に対処しなければならぬ問題である、こういうふうに申し上げておるわけであります。そういう考え方で、国策——これは国策ですね、もう財政金融政策じゃない。日本が世界から貿易上批判を受けるというようなことになると、これは日本の成長政策、これに非常に大きな影響があるのですから、これはまさに国策中の国策になってきておると思うのです。そういう角度で、財政金融諸施策におきましても同じ考え方でいろいろ検討してみたい、かように考えます。
○堀委員 そうすると、さっき大臣は輸出振興税制についてはちょっとお茶を濁されたわけですけれども、これは諸外国はおそらく、これだけ日本が貿易収支黒字であるのにさらに税制をもって国が輸出を振興しておるというのは、私が申し上げたようにニュートラルより上にある、こういうふうに客観的に見られるのじゃないか。まず国ができることを先にやらなければいけないのじゃないかと思うのです。あと民間にやらせることは、国がどうやれと言っても民間のことですから、オーダリーマーケットをやれと言っても、いまの資本主義というのはもうけるためには手段を選ばないという原則があるのですから、これはなかなかそう簡単にいかないと思うのです。まずそこは国がやれることを先にやるということが原則じゃないかと思うのですが、その点大臣いかがですか。
○福田国務大臣 国でやるべきことがあれば率先してやる、これは原則です。しかし、税制という具体的な問題を先ほどお尋ねでありますが、これは税制全体の問題としてよく検討してみなければなりません。いま堀さんは、これは日本は行き過ぎだというようなお話でありますが、はたしてこれが行き過ぎなのかどうか、そういう問題も深く検討してみなければならぬ問題です。それですから結論は申し上げませんでしたが、気持ちは、私が先ほどから申し上げておる基本的な姿勢から諸施策を検討する、こういうふうに御理解願います。
○堀委員 いますぐ税制をさわるということは国会のいろいろな情勢がありますけれども、少なくとも税制をニュートラルにする。いまの外国から見まして少なくともニュートラルな政策であるならば、あとは伸びていくのは自分たちの力である、こうなるわけですが、それにプラスアルファをさせておるのが私は現状だと思うのです。これはかつてわれわれが外貨不足に悩んだ歴史的な経過がありますから、その経過的なものが一つの既得権になっておるということが私は確かにあると思います。しかし、それは少なくともこの際、国としてはそういう特別なフェーバーだけはここは切りますよ——ここをどうしろということを私は言っているのではないのです。税制というものについてはすみやかに検討して、少なくともニュートラル以上のものについてはやめる、このくらいの言明をなさることが対外的にも日本の信用を確保する道ではないか、こう思いますけれども、重ねて大臣ひとつ……。
○福田国務大臣 国際社会から批判を受けるようなことがありますれば、これは改正をしなければならぬ、かように考えます。
○堀委員 そこで、あと残っておる問題は、私はいまのドイツが、なぜ変動相場制を五つの経済研究所が提案をしなければならなかったのか、ここに問題があると思うのです。要するに五つの研究所が変動相場制を提案した。変動相場制というのは、それを二%にしようが三%にしようが、片方に弱いものがあって片方に強いものがあれば、これは天井に張りつくのは間違いがないと思うのです。ですからこの変動相場制という程度で乗り切れるというような情勢にないというのが、私は現在の通貨の力関係の状態だと思うのです。ですから、変動相場制を横で行なうという見通しを立ててスイス・フランとオーストリア・シリングを切り上げたというのは、結局そういう一つの事実をはっきり認めたということになっていると私は思うのですね。変動相場制というのは切り上げを回避するための一つの手段として考えられたことだろうと私は思いますけれども、結果としてはやはりマルクの切り上げを迫られることになるのがいまの情勢から見て正しい見通しになるであろう、こういうふうに私は思っておりますけれども、その点、大臣いかがでありましょうか。
○福田国務大臣 ほかの国の政府の考え方ですからこれに深く触れたくありませんけれども、事実といたしましてマルク切り上げの思惑があったと思うのです。そういう間に変動為替制の採用という建議が行なわれたことから見ますと、切り上げのムード、それと深い関連がある建言ではあるまいか、そういうふうな感じがするわけであります。どうもほかの国の機微な動き方で、深く私も観察したわけではございませんけれども、直感的にはそんな感じがいたします。
○堀委員 そこで問題は、短期資本の問題、要するにユーロダラーの今後のいろいろな問題があると思いますが、スイス・フランが切り上げられ、オーストリア・シリングが切り上げられたあとで、この収拾を欧州の金融市場がどういう形でするかといえば、欧州におきましてはある程度広範な切り上げを引き起こすのではないだろうか。これは全体のバランスから見て、七%、五%という切り上げがあれば不可避的にそういう問題が、時間はわかりませんけれども、引き起こされてくる情勢にある。 そうした場合に、確かにわれわれはそういうホットマネーのアタックは受けませんけれども、一体日本はこのままでいけるかどうかという問題については、かなり国際金融市場の中では深刻な問題が残されてきておる。われわれは何らかのかっこうで宿題を与えられたかっこうになってくるんじゃないか。私はきわめて重要な問題がこの中に含まれておると思うのであります。ですから私はさっき申し上げたように、そういう諸外国の情勢にもうすでに既成事実ができておるわけですから、スイス・フラン、オーストリア・シリングという既成事実ができておる中で私たちが対処するためには、これはこれまでどおりのことだけではなかなか簡単にいかない。それはさっき大臣がおっしゃった六項目もけっこうですが、あるいは私が申し上げておるような、政府がやるべきことを率先して直ちにこういうふうにやる、ある程度かなり強い意思を対外的に出すことなくして、私はただ通り一ぺんに項目をあげただけで問題が解決するとは思わないわけです。要するに、ただわれわれは平価を動かしません、変動相場制は反対です、それはそのままでいいです。そのことはいいけれども、そのままで済むかどうかというところに私は重要な問題点が今度ははらんできておる、こう感じております。 ですから、私どもがいま輸出振興税制についてニュートラルにしてもらいたいという問題が、これは私は非常に重要なこの時点における日本政府としてとるべき一つの処置ではないだろうか。要するに、やるのは来年のことになるかあるいは秋になるかわかりませんが、すみやかに対策を講ずるという政府の姿勢が、私はいまの非常に強く動いておる国際金融市場の状態に対応する政府の姿勢として正しいという判断をしておるわけです。それらのことを伺って私の質問を終わります。
○福田国務大臣 その点は私はお話しのとおりだと思います。つまり、ここでわが日本が強い姿勢を出しておく。私は六項目を申し上げましたが、その考え方は税制の問題についても同じだと思います。他の国から批判を受けるような税制ではいかぬ、こういうふうに考えておるわけです。とにかく言うばかりじゃいけません。現実に実行しなければいかぬ。そして、日本はこうやっておる、どこに非難のところがありますかということで、私は現行為替相場を堅持する、こういう日本の主張の裏づけにもなるんだ、こういうふうに思います。
○堀委員 終わります。
○毛利委員長 貝沼君。
○貝沼委員 先ほど大臣から六項目についてお話がありましたけれども、この六項目の中の一つに、経済協力の質的な改善という項目がありました。日本の場合よく見てみますと、質の面から見ると確かに悪いと思うのです。これはもう私がくどくどと説明するまでもなく大臣よく御存じのことでありますけれども、たとえば低利な政府資金の比率というものを見ましても、他のアメリカあるいはフランス、先進国の平均等から見ましても、これが三四・五%というふうに非常に低いわけであります。また円借款の平均金利はきわめて高いとか、あるいは返済期間の問題にしましても先進国よりも約八年も短いとか、あるいは贈与率にしても、六九年度のものを見ますと前年の五九・七%から四三・二%に逆に減ったとか、あるいは約八割がひもつき援助であったとかいうふうに、いろいろ言われておるわけでありますけれども、大臣が質的な改善と言う以上は、ここに具体的なものが考えられておっしゃっておるんだと思うのですが、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○福田国務大臣 わが国の対外援助は一つの新しい段階を迎えつつあり、また迎えなければならぬ、こう考えておるのです。つまり、量的には一九七五年にGNPの一%、そういう意思表示をしたときには、これは日本国でもかなりの議論があり、また国際社会でもずいぶん驚きを持ってこのことばを聞いたわけです。ところがもうすでに昨年〇九三%までいっているのです。一九七五年にGNP一%、これはもうそう問題ではない、こういうふうに考える。 ところが、いままでの経済協力というものを見てみますると、物量援助です。しかもその物量援助がまたわが国の輸出と癒着、密着しておる。輸出伸長本位の物量援助である、こういうふうな実態であったと思うのです。しかし、私は対外援助をする以上は、相手国の経済を、またしたがって社会を、政治を安定させる効果を持たなければならぬ。同時に与えるわが日本と与えられる開発途上国との間に、心と心の触れ合いというものができなければならぬ、そういうふうに考えるのです。そういう方向に援助の考え方の基本的な切りかえをしなければならぬ、そういうふうに考える。 いま貝沼さんの御指摘の援助の条件の問題もその一つであります。また援助、それが物財だけの援助ではなくて、技術の援助でなければならぬ。あるいはわが日本から見れば、教育投資というようなことが言われます。これは穏やかであるかどうか、それはそれといたしまして、やはりわれわれの持てる技術はもとより、その他のいろいろな頭脳というものを相手国に与える、こういうことも考えなければならぬだろう。そういうためには人と人との交流、特に青年と青年との交流だとかあるいは技術者と技術者の交流でありますとか、そういう方面、あるいは与えられる開発途上国というのは、貧困はもとよりでありますけれども、疾病に苦しんでおる、この疾病に対しましてわが日本が高い医療技術をどういうふうに提供できるか、こういう問題ももう真剣に考えていく時期に来ておるのじゃないか。 それらをいろいろと考えますると、どうしてもここで切りかえが必要である。物量援助、輸出伸長策としての援助、そういうものでなくて、与えられる国とわが国との間にほんとうに心と心のつながりを実現するという方向で万事を見直すという切りかえが必要だ、こういうふうに考えておるものです。
○貝沼委員 それからいまも話が出ておりましたが、外貨準備高とそれから輸入の規模という関係でございますけれども、この関係から日本の外貨準備高というものは、現在の情勢から考えてどれくらい持つのが妥当とお考えになるのか、この点をお伺いいたします。
○福田国務大臣 その議論はなかなかむずかしい議論でありますが、通説は、輸入規模の三分の一を持たなければ不安だというのが、これは通説といっていいのじゃないかと思います。しかしそうは申しましても、その外貨準備高の、外貨保有高の内容が問題だろう。わが国は内容は比較的いいのです。ドイツのごときはいまどのくらいになっておりますか、百七、八十億ドルまでいっているのじゃないかと思いますが、短期資本が多い。これは幾ら持ったって、何か金利の変更でもありますればどっと逃げてしまう、そういう短期資本を多額に含んでおるわけでありますが、わが国にはそういう性質のものはわりあいに少ないので、しあわせだというふうに思っております。輸入規模、それの三分の一ぐらいというのが通説なんですが、通説は通説として、そのときどきの経済事情もありますから、その通説と言われる三分の一をこえたらこれが持ち過ぎだ、こういうふうにも一がいには言えないところがあるのであります。とにかくあんまりこれを多額に保有するという状態もいかがなものであろうか、かように考えておりますが、問題はその急増というところに問題があるのじゃないか。その持っておる水準よりは、増加に至ったその過程に問題がむしろある、そういうふうに考えております。
○貝沼委員 確かに私もその急増というところに一番問題があると思いますが、日本の外貨準備高の傾向を見てみますと、最近とみにふえてきておるわけですね。そしてまたドイツの場合も、これは大蔵省からいただいた資料でありますけれども、一九六九年の十月においては外貨準備高が百八億ドルですね。これが数カ月後においてはたちまち七十億ドルに滅ってしまっておるということは、やはりこれは先ほどの大臣のおっしゃったとおりであります。日本の場合も現在の輸入規模というところから考え、そして日本の外貨準備高が先ほど話がありましたように非常に多くなっている、こういうところから、私は非常に円の問題について不安を感じておるわけでありますが、この点について大臣のお考えをお願いいたします。
○福田国務大臣 私は別に円の問題については不安は感じていないのです。円の問題と深い関連のある通商の問題、これには私は重大な関心を持っておる。わが国はアメリカだとかあるいはソビエトだとかそういう国々と違いまして、資源を外国から買って、それにわれわれの頭脳、汗水をつぎ加えまして外国に売る、自由貿易でなければいけない国であります。その自由貿易そのものがどういうはずみかでその自由を失うということになると、これはたいへんなことになるだろうと思います。その辺に非常に私は重大な関心を抱いておるわけでありますが、円の将来、これはさほど心配というどころじゃない、円は非常に堅実な状態でありまして、大蔵大臣といたしましては心豊かにこれを思っておる、こういう状態であります。ほかの、国際収支の悪い国がその国の通貨の状態に不安を感じているという状態でないことを喜びといたしておる次第であります。
○貝沼委員 いまの話は、大体三分の一というところから考えると、西ドイツの場合も大体三分の一のところでマルクの切り上げが行なわれておりましたので、そういう輸入規模というところと日本の外貨の問題を考えた場合に、大体それぐらいの線に近くいくのではないか、そうするとこの切り上げという問題が起こるのではないか、こういう心配があるということでございます。 それからさらに、アメリカの公定歩合とそれから日本の公定歩合の関係において、この金利の問題においていろいろ問題があるのではないかと私は考えるわけでありますが、この点について大臣は考えている点がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
○福田国務大臣 アメリカとわが国の間は、アメリカは公定歩合四・七五%、わが国は五・五%、〇・七五%の差があるわけなんです。差はありますが、これがどういう関連になるかといえば、主として、もしそういう状態でありますれば短期資本がわが国にアメリカから流入する、こういう傾向、これを持つであろうというふうに思うわけであります。しかしわが国においては短期資本の流入を管理しておるというので、そういう方面の心配は実はないのです。 問題はアメリカの経済情勢、日本の経済情勢、これを対比してみる。そうすると、いまわが国の対米輸出というのが非常な勢いで今日なおふえておるわけです。アメリカは経済は不振だ、スタグフレーションだといわれる中におきまして、わが国の対米輸出がふえておる。そうして逆にアメリカの対日輸出、これは停滞ぎみなんです。その辺に問題がある。つまり、わが国におきましては一昨年の秋金融引き締め政策をとった。その引き締め政策の効果が昨年の秋ごろから浸透してまいりまして、いま一〇%成長じゃありません。一〇%をかなり下回るような傾向になり、特に設備投資がたいへんな減り方である。そういうことを考えますると、それが諸外国からの、特にアメリカからの輸入に響いておる。そういうことは国際社会の一員としてまた考えてみる必要がある問題である、そういうふうに考えられるわけです。 この間、日本銀行が〇・二五%の金利の引き下げを行ないましたが、これは国際金利の趨勢に順応するという一面もありまするけれども、そうじゃない。それよりもむしろこれは国内の景気をここで少し活気づけようじゃないか。そして諸外国からの輸入も輸出と同じ勢いで伸びるような状態にしようじゃないか。こういう配意が実はあったわけでございまして、そういう面で、〇・二五%の引き下げを行ないましたが、その結果〇・七五%の格差がアメリカとの間にはありまするけれども、ころは格差があってそう支障がある状態ではない。問題は、わが国の経済が、一〇%成長と私が言っておりまするけれども、それに向かって前進を始めるということになりますると、世界市場の輸出、これを刺激することになり、国際経済界としては歓迎するということになるのじゃあるまいか。逆にわが国が輸出ばかり伸びて輸入は停滞しているという状態では、また批判を受けることになるのだ、こういうふうに配意をいたしておるわけです。
○貝沼委員 以上で終わります。
○毛利委員長 竹本君。
○竹本委員 大臣の時間の制約があるようですから、簡単に一、二伺います。そのあとで局長にちょっと伺いたいと思うのですけれども、一つは、SDRが創設されて、そのときの期待からいくと、国際通貨不安というものはこれで一応解決ができるような体制になるのではないかというふうに期待しておったわけです。しかるに今回のような問題が起こると、そのSDRとの関係において今度のマルクの問題は大臣はどういうふうに受けとめておられるか、その辺を伺いたいのです。
○福田国務大臣 SDRは長い目で見まして、これは私はたいへんけっこうなことだ、こういうふうに思います。つまり、世界の経済が伸長する、それに伴いまして世界貿易の規模もだんだんと拡大をする、こういうことになりますと、基軸通貨であるドルにその決済資金をあおいでおった国際貿易、この決済手段というものが不足してくる。そういうことになりますので、ここで、わが日本ではいま国内では管理通貨体制でございますが、国際的にも管理通貨的な思想を取り入れるということはこれは私は正しい行き方であった、こういうふうに思います。ただ、そういう事態がありましても、そういう施策が進められましても、また今度のような激しい短期資本の移動が起る、こういうことになりますると、これはSDRも手の施しようもない、こういうようなことかと思いますが、今度の問題が起こったからSDRはだめなんだ、こういうふうには考えておりません。
○竹本委員 関連いたしますが、アメリカのドルが最近過剰ドルだということをよく言う、よく聞くわけですけれども、その点についてはいかがですか。——ドルが、アメリカのインフレ、輸入超過といったような形でばらまかれ過ぎておるということからくるドルへの不信ということです。
○福田国務大臣 アメリカではインフレという問題が大きな問題で、ニクソン政権が一昨年一月発足、このときには、ベトナム戦争の終結、それからインフレの克服ということを二つの看板として発足をいたしたわけです。 ところが、インフレの問題になりますと、どうやって解決するかというと、最初金利政策をやってみた。高金利政策。この高金利政策が一向きき目がない。そこで途中で量的規制に入った、こういう状態のようでございますが、この量的規制が非常にきびしかったわけであります。つまり、一昨年の春ごろからこの量的規制が始まって、もう銀行の貸し出しなんかは一切ふやさぬというくらいなきびしい量的規制をやった。そういう強い規制でありまするから、それがまた経済には強い影響を及ぼす。そこで不況という状態になり失業者が出る。しかもそれが四・五%という危機ラインを突破して五%になる、最近は六%の失業だ、こういうような状態になってきておる。そこで今度はアメリカは急にまたかじをとり変えまして、量的緩和政策を出しておるわけなんです。ところが、そういうふうに冷え切ったアメリカ経済でございますから、金融は幾らゆるめてみても、金利の水準なんというのは、これはもう御承知のように四・七五%です。そこまで下げてみたが、さて実体経済は少しも盛り上がりを見せない。したがって、量的緩和でありまするが、金融はその需要は起こらないということで、ドルはアメリカの国内においてはだぶついておる。これが現況かと思います。
○竹本委員 その量的緩和の問題が私はこれからの大きな問題だと思うのです。結局 ニクソン大統領は来年の大統領選挙を控えて、政治的考慮もありますし、特に黒人問題もありまして、とにかく量的緩和を思い切ってやる。何でも、ことしの初めくらいですか、アメリカの通貨増発は二%前後じゃなかったかと思うのです。それを五%にも六%にも、大体三倍くらいの勢いで通貨増発一量的緩和をやって、要するにしゃにむに景気をあおって、それで六%に達しておる失業の問題の解決あるいは緩和、また黒人問題の解決もしくは緩和といったような方向に、政治的意図も含めて無理やりにやっていると私、思いまして……。そこで、先ほどもマルクの問題が出ましたけれども、マルクが強過ぎるというのではなく、むしろドルが弱過ぎるのだ。日本の円の問題も出ましたけれども、私は日本の円の場合にも、円が弱くなる心配よりも強過ぎる。その強過ぎるというのは、特にアメリカのドルが弱過ぎるので強くなり過ぎるというような意味で、これからの通貨問題あるいはインフレ問題というのは、アメリカの経済政策あるいは財政金融政策を離れては論ずることはできないけれども、そのアメリカは、ニクソン大統領がしゃにむに景気をあおっていこう、通貨も増発していこう、こういう態勢でございますので、これから先が見解が分かれるかもしれませんが、私は、この通貨問題、国際通貨問題、特にその起爆薬をするであろうドルの将来というものに対して非常な不安を感ずるわけです。その点について大臣のお考えをひとつ伺っておきたいというわけです。
○福田国務大臣 アメリカは、アメリカ史上最大の経済のむずかしい時期だろうと私は思います。つまり、先ほど申し上げましたような状況で、景気をつけよう、こういう考えの施策を打ち出す。打ち出してもどうも景気がなかなかそうはかばかしくよくならない。かと思うと、そういう状態であれば物価が鎮静するはずだが、その物価が鎮静しない。それと同時に国際収支が、不況下ならば改善されるはずなんですが、これが改善されないで、昨年度のごときは実に百億ドルの赤字を出す。こういうような状態で、非常に苦しい状態だ、こういうふうに思います。 ただ、私は大局的に見まして、この苦しい状態がどこから出てきたのか。いろいろな推移は経ておりまするけれども、基本的にはベトナム戦争、この負担が、重圧が響いてきておる、こういうふうに見るのです。ところが、ベトナム戦争の戦費は、昨年は二百八十億ドルというふうにいわれておりますが、ことしは撤兵が相当行なわれる、そういうようなことで半分ぐらい、百四十億ドル前後になるのじゃないかというような見方が多いです。そういうようなことで、このアメリカ経済の基本的な苦悩の根源、それがだんだんと改善される。それが改善されたからといって直ちにアメリカ経済がぴんとするというふうには思いませんけれども、しかし底の底に横たわる問題が解決されるということになると、アメリカの経済の先々には基本的には明るい傾向というものが出てくるのではあるまいか、そういうふうに見ておるのです。 アメリカ当局はいま大いに経済に景気をつけようという努力をしておりますが、しかし当局者の中にも非常に慎重な人がかなりおりまして、あまり景気をつけてもまずい、あまりつけると物価の問題、これが処置ないところになりはしないか、そういうようなことで、不況、つまり不況の実態は何かというと失業者ですが、この問題にも目を投じなければならぬけれども、やはりつま先上がりの経済回復ということ、これが一番理想的だという意見が多いようです。私はそういう意味においてベトナム戦争の推移というものに、経済の角度からも十分深く注目しておかねばならぬじゃないか、さように見ております。
○竹本委員 アメリカの経済についての見方になりますとなかなかむずかしい問題ですけれども、全体的に申しますと、私はアメリカの経済はまことに救いがたいジレンマにおちいっておる。失業問題を片づけ、選挙にも有利なように景気をあおろうと思えばどうしてもインフレになる。インフレを押えようと思えば先ほど御指摘のありましたような六%の失業率も出てくるという、その間をある意味においてはあまり定見がなく思いつきでやっておる。全体として見れば、とにかくここ当分は物価の問題には目をつぶってやると、たしかことしの初めの経済白書にもそういうことをニクソンさんが言いました。その瞬間に私は、これはドルの将来、少しまたあぶなくなるぞということを感じたわけでございます。今回の問題は短資の動きでございますから、基本的な問題ではないとも言われましょうけれども、しかしどうしてもアメリカにそういう基本的な矛盾があるのだということで、これは希望でありますけれども、アメリカの動き、したがってまた国際通貨の問題についてはよほど真剣に注意深く見守っていただきたい。わが党はことしの代表質問の場合にも実はこのことを指摘しております。すでにそのときのわれわれの感じでは、やはりドルの将来に対する一まつの不安というか、大きな不安を禁じ得なかったということだけ申し上げておきたいと思います。 それからもう一つ、これは、ドイツがフローティングな為替の変動制をとろうといった場合に、だいぶ議論が、先ほど御指摘ありましたように二十四時間もあったというのですから、たいへん深刻な論議があったと思いますが、結局これで直ちに通貨同盟に大きなひびが入ってだめになるということは考えられません。やはり一応フローティングでやっておいて、適当なところで模索が終わったらマルクの切り上げというようなところへつながっていくかもしれませんが、それがただにマルクの切り上げの問題だけにとどまらないで、フランスの一部にもそういう意見があるようですけれども、むしろやるならば全面的に平価の再調整をやれ、したがって全面的にドルとの関係において比価を変えろというような声が出る。そのときにはまた日本の円まで含めてやれという意見もあったとかいうようなことを新聞で見たと思いますけれども、とにかく通貨同盟が、今回のドイツの措置を通じてひびが入ってしまうとは思いませんけれども、新しい通貨同盟の再出発の際に、場合によってドルが持っている基本的矛盾というものが救いがたいものであればあるほど、かえって全世界的な規模における通貨の再調整といったような問題が出てくる心配はないか。この点についても大臣のお考えを承って、大臣に対する質問を終わりたいと思います。
○福田国務大臣 今回の通貨不安はヨーロッパ大陸で主として起こっている。その中でもEC諸国ですね。ことにEC諸国におきましては六月の中ごろから為替相場の変動幅を縮小しよう、いままでは〇・七五だったのを〇・六に窮屈にしよう、こういうことで、六月中ごろからそれをやろうというやさきのことでありまするから、そういう措置を含めてのEC通貨同盟の進路に対しましては、若干足踏みというか、水をかけたような結果になった、これはそのとおりだ、こういうふうに思いますが、だからといってそれがさらに発展して、世界的規模で為替相場の行き方を改定しよう、こういうところまではなかなかいかないのじゃないか。私はその点におきましてはIMFの、いま終りましたか、まだ継続中でありますか、緊急理事会がどういう態度をとるか、これに注目をいたしておるわけでございますが、おそらくIMFにおきましてもそういうドラスティックな考え方は取り上げられるはずがない。おそらくドイツの今度の措置、またオランダの措置、これを容認をする、黙認をする、そういうようなところが落ちじゃあるまいか、こういうふうに考えておるのでありますが、とにかく国際通貨のうるさい時期でありまするから、十分世界の動きに注目をしてまいりたい、かように考えます。
○竹本委員 大臣に対する質問は以上で終わりますから、どうぞ……。 短資対策の問題として次に局長にお伺いしたいのですが、為替管理が日本では十分行なわれるはずだからだいじょうぶだという説明をよく聞くのですけれども、現在の為替管理は具体的にはどういう方法でやっておられるか、その法的根拠と行政指導の内容というものについて伺いたい。
○稲村政府委員 為替管理につきましては、むろんそのもととなります法律は外国為替及び外国貿易管理法というのがございまして、それに基づくこまかい政令その他省令、告示等に基づいて行なっております。そのほかに御指摘のとおり行政指導と申しますか、そういう面のものによりまするあれもございます。その個々につきまして申し上げることは非常に広範でございますが、先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、アイデアといたしましては、短資の流出入につきましてはこれは非常にきびしく管理をいたしまして、他方長期のものにつきましてはこれからは次第に自由化をさらに進めてまいりたい。むろんいまの長期資本の問題につきましては、外国為替及び貿易管理法のほかに外資に関する法律というのもございますことは当然でございます。
○竹本委員 今度の新しい情勢に即応して為替管理を強化するというか、必要を感じておられるか。強化するとすればどういう強化の方途を講じられるか、その点をひとつ伺いたい。
○稲村政府委員 ただいまのところ、現在の為替管理の制限を短資につきまして特に強化しなければならないとは感じておりません。現在のところいままでございます制限をもちまして今回の問題は処理し得るというふうに考えておりますが、なお事態の推移によりましては、むろん打つべき手が必要となるような事態になりますればその点は検討をいたすということでございます。
○竹本委員 いまで終わろうと思いましたが、それではもう一つ先に聞きますが、日本で円投機が行なわれるとすればどういう道行きがあるか。それに対していまの為替管理法その他の体制においてはこういうふうに受けとめていけるから安心であるという点について御説明をいただきたい。
○稲村政府委員 円投機についてはどういう方法があるかというのは、これは私としてなかなか申し上げにくい点でございますが、非常に大きく資金が移動いたしまして、円に対して外貨が入ってまいりまする道としましては、一つの問題は貿易の決済の関係でございます。よくリーズ・アンド・ラッグズといわれておりますが、標準決済規則によりまして貿易の決済の期間が定められておりますが、その期間の中で場合によりましては早くドルを受け取るということが起こります。それがまとまってまいりますと一時に多額の資金が入ってくる、こういうことが起こりますが、これは恒常的な意味の流入ではございません。いわばあとで入ってくるべきものが先に入ってくるという問題でございます。これもある期間をとってみますとやはり短資の流入というかっこうになりますが、これは貿易の関係の金融でございますので、現在の制度の範囲内で、特に追加して何か措置をとるという必要はないかと思われます。 その次は、短期の証券に対する外国からの購入というのがございましたが、たしか三月の初めでございましたか、これは原則としてとめましたので、その道は現在はございません。 それからあとは、これは短資ではございませんが、たとえば日本の株式あるいは公社債に対しまする外国からの買い、これは相当の規模に起こっておりますが、これはまだ円投機であるとは言えないと思います。と申しますのは、円建ての輸出がだんだんと多くなってまいって、長期の輸出が多くなってまいること等によって、外国で円の債務を持つ、インポーターで円の債務を持つというものがふえておりますから、したがいまして、そういうものは当然のこととして、他方で通貨ヘッジのために円の債券を持ちたいということは取引上通常の考え方でございますので、これは特に投機的というふうに申せないかと思います。ほんとうに円に対して投機が起こるという事態になりますれば、円建ての確定利付の債券につきましては大規模な外国からの購入が起こってくるという可能性がございますが、現在までのところ特にそれが非常に投機的な様相のところまで至っているということではございませんので、注意深く見守ってはおりますが、特別な措置をとる必要は現状ではないかというふうに考えております。 それから、先生の御質問に対しましては大体そういうことでございますが、先ほど堀先生——いまおられませんが、基礎収支の問題に関しまして若干数字が不完全でございますので少し申し上げますと、実は基礎収支というのが、手元の資料で各国ともなかなかそういうかっこうの分類をいたしておりませんのが多いので、必ずしも十分な御答弁にはならないかと思いますが、日本の四十五年度の基礎収支の黒字十億八千五百万ドルに対しまして、西独はむしろ基礎収支は赤でございまして五億三千九百万ドル、カナダが十九億二千四百万ドルの黒でございます。したがってカナダの基礎収支のほうが大きいということでございます。それからイギリスが経常収支が十五億一千九百万ドルの黒字でございます。これも暦年でございますが、先ほどのカナダも暦年でございまして、これに対しまして基礎収支という統計がございませんが、総合収支で三十四億八百万ドルの黒でございますので、おそらく基礎収支というところにおきましても日本の黒よりは大きい数字ではないかと思われますが、これは統計の関係で、イギリスにつきましては基礎収支の数字がただいま手元にございませんので、御了承をお願いしたいと思います。
○竹本委員 終わります。
○毛利委員長 次回は、明十一日火曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時六分散会