大蔵委員会 第18号
- 発言数
- 184 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/03/11
会議録
○毛利委員長 これより会議を開きます。 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。堀君。
○堀委員 まず最初に、いま沖繩で非常に重要な問題になっております沖繩における関税の取り扱いについて、少しお伺いをいたしたいと思います。 この問題は、大臣も御承知のように、これまで関税がしかれていなかった国が新たに日本に復帰をいたしますために、本来ならば、復帰と同時に日本の関税が適用されるということになるのが当然だと思うのでありますけれども、実は関税がなくて一種の消費税だけで県民が暮らしておりますところへ、突然にもし関税が日本並みに行なわれるということになりますならば、これはやはり沖繩県民の日常生活にも、沖繩の経済活動の上にも大きな影響が生じることはもう自明の理でございます。 そこで、この問題で二、三お伺いをしたいのでありますが、まず第一点は、沖繩が日本に復帰をするという以上は、日本のこれまでの国内と本来同様の取り扱いをするということが原則だと私は思いますが、その点については大臣いかがでございましょうか。
○福田国務大臣 そのとおりと存じます。つまり本土の関税料率が沖繩にも及ぶということになる。これが原則である、かように考えます。
○堀委員 そうなりますと、考え方としては、沖繩と日本の間に関税が残るなどということにはなり得ない。要するに沖繩の側はこれまでどおり関税がないという形にしておいて、沖繩から日本に来るもの、国内から沖繩に行くもの、この間に関税を設けるなどということはあり得ない、こう考えますが、その点をひとつ確認をいたしたい。
○福田国務大臣 そのとおりに考えます。
○堀委員 そうなりますと、これはやはり最初の原則に戻るわけでありますが、同一の関税を施行するというのがたてまえとしては当然となるわけでありますが、しかし、現在沖繩の県民の皆さんが沖繩で生産される生活必需物資もございますけれども、その生活必需物資の中で、輸入にたよっておるものも相当数あるわけでございます。まずその一つの象徴的なものは、これは牛肉だろうと思うのであります。そこで、この牛肉について、農林省きょうは来ておりませんからあれですから、私のほうからちょっと申し上げますけれども、牛肉は、一九六九年には約三百万ドル一年間に輸入をいたしております。日本からも一万一千七百四十ドルという輸入があるようでございますが、まさに外国からの牛肉の輸入の比率は九九・六%に達しておる、こういうのがいま沖繩の一九六九年の実情だと思うのであります。その際に、牛肉につきましては日本の関税はたしか二五%ですね。そうして、いま沖繩では五%の消費税がかかっておる。こうなりますので相当な——実は五%の消費税はなくなりますでしょうが、関税を本土並みにすれば二五%関税がかかる、実はこういうことになってくるわけであります。片方、いまの沖繩の牛肉の価格の問題でありますけれども、東京では、大体この例示をしたものは六ドル六十七セントになっておりますが、沖繩では二ドル四十二セントという価格で実は取引されておる。近い鹿児島でも五ドル三十六セント、こうなっておるということであります。沖繩を基準にして考えますと、東京はいまの沖繩県民が食べております牛肉の大体二・七五倍、それから鹿児島で二・二一倍、国内のほうが高い、こういうことになっておるわけでありますね。ところが、もしこの関税をまともにまずかけるとすれば、これだけで大体二〇%開きが出てくるというわけでありますから、そういう面で見ましても、実は牛肉のようなもの一つを例にとりましても、いきなりまともに関税をかければ、沖繩の県民は年間大体いま三百万ドル、十億円輸入しておるわけでありますから、これが二〇%の値上がりをする。その負担をもろに県民が受ける、こういうことになると思うのです。これは単に牛肉だけでなく、マーガリンその他についても、相当な値開きがみなございます。 そこで、まず順序を逆にして少しお伺いしたいのは、沖繩復帰対策要綱の第一次草案の中で、観光物資の取り扱いについての関税の問題が出されておると思います。これの取り扱いについてはどういうふうになっておるのか、これからどういうふうにしようとするのか、局長でけっこうですから、答えていただきたいと存じます。
○谷川政府委員 いまお話しのように、第一次復帰要綱で書いておりますが、観光対策といたしまして、これはいまと同じように、復帰いたしましても、たとえばジョニーウォーカーとか外国製の時計を本土からの旅行者が安く手に入れることができるように、一応店では高いところで買っていただきまして、一定の証明書をとりまして、飛行場を出ますときに、そこにあります銀行でフェーバーを払い戻すという例外の制度をいま研究しております。ただ、すべての品目につきましてやることは事務的になかなかできませんので、一定の価格がはっきりしたもの、ウイスキーとか洋酒とか、いまの時計とか、そういった品目は特定したいと思っておりますので、その範囲等は研究しております。
○堀委員 大臣、いまお聞きのように、事務当局としては一応この第一次要綱に基づいて、いまの観光物資についての戻し税といいますか、私どもフランスで買いものをした場合に行なわれておる制度と非常に共通したような制度をとるようであります。観光物資というのは、これは特定の観光物資——この人たちに対するフェーバーでございますから、もし観光物資にそういうフェーバーが与えられるとするならば、私は、当然生活必需物資に対してやはり何らかの配慮をするのが相当である。やはり関税を国内並に適用することによって二〇%も、あるいはもっと値上がりが起こるようなことは、これは沖繩県民が本土に復帰したからといって所得が直ちにふえるわけではございませんし、そういう復帰の形の中では、本土の物価上昇というものをもろに沖繩県民も受けることになってくるのは明らかでありますので、そこらの問題についてはやはり、特に生活必需物資等については関税上の対策も必要ではないか、こう考えるわけでありますけれども、大臣いかがでございましょうか。
○福田国務大臣 非常にむずかしい問題が伏在しておるわけでありますが、つまり沖繩が本土と一体化する、その結果、沖繩の経済が全体としてどうなるかということを把握しなければならぬと思っておるのです。つまり、賃金水準は一体どうなるのだろうか。またアメリカの、わが国の三倍以上高い労賃を使って生産された品物がずいぶん入ってきたわけです。その沖繩の対米輸入、これがどういうふうに変わっていくのだろうか。おそらく本土の、三分の一弱の労賃を使った品物が入ってくる、こういうことになるだろうと思います。そうすると、沖繩の物価水準は安くなる傾向を持つわけです。そういうようなこととかいろいろな要素があると思いますが、沖繩の購買力また物価水準、そういうものがどういうふうになるだろうかということをひとつ検討してみなければならぬかな、こういうふうに思っておるのです。しかし、非常に特異な品物につきましては、たとえばいま設例の牛肉、これなんかは日本本土は高いものを食べている。向こうのほうは、いま安いものを食べているのです。ところが、安いものではあるけれども、関税の関係で幾らか値上がりの傾向もある。それをどういうふうに消していくのだ、こういう問題。 それからもう一つ問題があるのです。それは何かというと、いままでは本土と沖繩とが関税領域が違うわけです。そこで、沖繩は、本土の安い商品が沖繩に入っていったのでは沖繩の産業が成り立たない、こういうようなことから、対本土保護関税というようなものも設けているわけです。たとえばみそ、これは一〇%関税、しょうゆは二〇%関税、これが撤廃される。それを今度は、関税領域が一緒になるということになると、存続するわけにいかない。その場合みそ、しょうゆ産業を一体どうするのだ、こういうような問題もある。そこで、関税領域は一緒にしなければならぬ、これはあくまでも鉄則であります。先ほど原則と申し上げましたが、鉄則なんですよ。鉄則ではありますが、その鉄則を貫くゆえんによって与える衝撃をどういうふうに緩和していくか、こういう問題が起こってくるだろうと思うのです。 そこで、いまショッピング品目につきまして一種の戻し税制度というものを考えておるわけでありますが、その他についてどういうふうにするか。これは衝撃を緩和するという気持ちはやまやまあるのです。あるのですが、その方法につきまして、まだ具体的にこうするのだというところまでいかないのです。ただ言えますることは、とにかくいずれにしても沖繩と内地は一緒になる。一緒になる結果、内地の産業と沖繩の産業との格差解消はやらなければならぬ。そのために財政上あるいは金融上格段の援助を与えて、沖繩産業の体質強化をやらなければならぬ。これだけははっきりしているんで、どういうふうなことをやるか、それはこれからの問題として、そういうことはやります。やりますが、それで救い切れない部面についてどういうふうなことをするかということは、まだ具体案が実はないのです。これからいろいろ考えなければならぬというふうに存じますが、ひとつ何か名案でもありましたら、これは親身になって考えていただきたい、実はそう考えておるわけであります。
○堀委員 実は私は、いまの問題は幾つかに整理をしなければならぬと思います。 まず、さっき触れましたような生活必需物資の問題、これはもう県民の生活のために非常に重要なことですから、やらなければならぬ。ところが、そのやり方として見ますと、物品税とかいうものと離れて見ても、いまとり得る処置というのは、私どうも関税処置以外ないように思います。たとえば牛肉一つをとりますと関税しかない。それがみそ、しょうゆとなりますと沖繩の生産者の問題になるわけですが、消費者側から見ますと、実は国内の安いみそ、しょうゆが行くことは沖繩県民に対してプラスなんですから、そういう安いみそ、しょうゆを沖繩に入れるためには、沖繩のみそ、しょうゆ業者をどうするかという問題になってくると思うのですね。沖繩にはごく少数のみそ会社、しょうゆ会社、そこに二、三百人おられる。それを維持するために、沖繩八十万県民が高いみそ、しょうゆを食べるというのは問題があると思うのですがね。発想の基準は、私はあくまでも沖繩県民の生活必需物資の問題は県民の生活上の利益を考える、それを視点に置けば、沖繩におけるみそ、しょうゆについて、財政、金融上の処置ができてそういう競争力が持てるようにできるかどうか。もしそういう見通しがあれば何らかの助成をして、国内のものと対等に競争できる条件をつくることは当然だと思いますけれども、もしできないとするならば、これらの問題の新たな転換政策が配慮されてしかるべきではないか。ごく少数の企業のために、多数の沖繩県民がいつまでも高いみそ、しょうゆを食べるということには問題があると思います。ここらは、場合によっては法人税の処置のしかたなり、いろんなそういう他の税制の取り扱いも加えて、十分検討する余地があると思うのです。 ただ、いまのように、牛肉みたいにストレートに輸入で入ってきて、それがそのまま消費されるものについては、私、手の加えようがないと思うのですね。ただ、その場合に問題が起こるのは、安い税率をそのまま固定する、たとえば五%消費税がありますから、それをかりに関税五%にしておきましても、実は安い牛肉が沖繩を通じて今度は国内にどんどん入ってくることには、これまた多少問題もあろうか、ということになりますと、考え方としてはやはり、さっきの観光物資ではありませんが、一種の何らかの戻し税的発想ということの処理をして、沖繩県内で消費される肉についてはこれだけで、しかし沖繩からもし何らかのかっこうで本土に入ってくるものは、何らかそこらで処置をするとか、本土に入ったものは関税はそのままでいいけれども、沖繩で消費されるものは何か少し戻し税として安くする。それは沖繩の肉屋の消費というのは直接税でわかるわけですから、肉屋が直接沖繩県民に売る分だけは、あとで戻し税として肉屋に払ってやれば、私は処理ができるんじゃないかと考えます。いま大臣が何か考えがあればとおっしゃるので、そういう方法——輸入ですから肉屋以外に販売できないと思いますから、沖繩の肉屋で販売したものに対する戻し税というかっこうで考えてやれば、いまの肉の問題は解決するんじゃないか。 すべてがそうなるかどうか別問題でありますけれども、例示をすると、そういう処理をしてでも沖繩県民に対するいまの直接のあれを軽減する。ただし、いつまでもそのままではなかなかむずかしいですから、ある時点を限って、何らかの戻しの処理を、徐々に変更する形で処理していくことにはなろうかと思います。いずれにしても経過処置でありますから、何かそういうような考え方を、ひとつ生活必需物資についてはやはりとっていく必要があるのではないか、こう思いますが、いかがでございましょう。
○福田国務大臣 何か対策をとりたいと思っておるのですが、しかし、先ほども申し上げましたように、まず総合的に考えてみる必要があると思うのです。いま肉の場合に、ただ肉だけを見るとそういうふうになりますけれども、私、適切な材料をいま持っておらないので、関税局長からは話を聞いてみたいと思いますが、いま沖繩で高い関税がかかっておる。今度本土との関税領域一体化の結果、安くなるものもこれはあるのです。そういうような総合的な観察、これもまた必要ではあるまいか、そういうふうに考えるわけですが、そういうことで救い切れないものについてどういうふうにするか、こういう問題であると思うのです。なおこれは非常に技術的にむずかしい問題でありますが、知恵をしぼっていきたい、また御協力をお願いしたい、かように考えております。
○堀委員 私どもが聞いておるところでは、沖繩県返還のための諸法律は、大体ことしの十月の臨時国会にかけられるというふうに聞いておるわけであります。いま三月でありますから、あと半年しか実は十月までないわけであります。伝え聞くところによると、この沖繩関係の法律は六百本にわたって提案をされるだろうということもいわれておりまして、私は、大蔵省関係の問題だけでもたいへんなことになるだろう、こう思っておるわけであります。しかし同時に、いまは非常に沖繩では関税の問題について重要な関心がありますけれども、大臣おっしゃるように、これは総合的に考えなければなりませんから、関税だけではなくて所得税の問題もありましょうし、法人税で処理をする問題もありましょうし、あるいは特別償却をどういうかっこうで認めるとか、各種の手段を確かに総合的に扱って、その結果、大臣のおっしゃるようなことになるのですが、ただ、どうも関税が一番しまいという発想はちょっとまずいと思うのですね。全部を待って、最後が関税というのは、発想として少しおかしいのではないか。だから、やはり関税も前段として一ぺん考えてみる、関税を考えてみたときに、残ったとき一ぺんどうなるか。ここらはやはりかなり多面的に見ませんと、さっきの大臣の話を聞いておると、いろいろやってみて、いかぬところだけを関税とおっしゃるのはちょっとまずいのではないかと思いますので、その点はやはり、特にいまの牛肉のようなものは、これは例にとって悪いのですが、どうも考えてみて所得税で処理しようもない、法人税で処理しようもない、まさか肉を食ったやつは減税するというわけにいかぬわけですから、そういうことになるとこれは関税プロパーの問題になる。関税プロパーでやろうとすると、いま観光物資でやっているような戻し税で処理する以外にはどうもできそうもない、こういう感じがしておるわけであります。ですから、これは例示でありますからいいのですが、私は、少なくとも生活必需物資に対する関税の問題については、大臣がここで関税の面においても考慮するというひとつお約束をしていただくと、沖繩県民が非常に安心をするのではないかと思います。何も関税ですべてやれというのではありませんから、生活必需物資については関税の面においても十分考慮して、沖繩県民が急激な物価上昇にあわないような配慮を政府としてやりたい、こういう御答弁をいただきたいと思うのですが……。
○福田国務大臣 関税と特定いたしまして配慮するのだ、考慮するのだというお答えを申し上げかねるのですよ。私は総合的だと申しておきたい。本土との一体化に伴って、沖繩の経済は一体どうなるのだという、県民の負担能力という問題も検討していかなければならぬ。上がるのか下がるのか、こういうようなことですね。そういうようなこと。それから関税が上がるということによって与える影響については、関税自体ではなかなかそのものずばりの解決がむずかしいことは、これは堀さんもよく御承知のとおりなんです。そこで、いろいろな方策をとって、関税の引き上げに伴う衝撃を緩和する方策というものを考えなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。おるのですが、関税だけでこれを救い切る……(堀委員「関税を含めてでいいですよ」と呼ぶ)あるいは他の施策が救い切れないという場合に関税をどうするのかというお話でございますが、あくまでも全体の政策の中で、沖繩の県民に生活の不安を急激に与えないという何らかの方法はとらなければならぬだろう、かように考えております。
○堀委員 きょうは関税定率法の質問なものですから、私は特に関税を前に出しておるわけで、大臣おっしゃるように、何でもかんでも関税でやれという気持ちは私もありません。ありませんが、まあ例示した牛肉を見ても、どっちから考えてみましても関税以外にないというものもあるのですね。そういうものを戻し税にでもしなければしようがないというふうに私は考えておるのですが、事務当局、何か考えていますか。たとえばいまの牛肉について、私は所得税、法人税——まさか県民に肉食ったら減税するというわけにいくわけじゃなし、金を貸してやるというわけにいくわけじゃなし、財政的、金融的処置なんていっても、とにかく日本の牛肉は高いのですから、高い肉を向こうへ持っていって安くするようなことはできっこないから、どうしても外から安い牛肉を入れるということが原則になる。こういう場合に技術的に考えられることは、私がいま申し上げているように、肉屋の売り上げに基づいてその肉屋に戻し税をしてやるという、こういう処理くらいしかないのじゃないかと思うのですが、技術的に考えられる道はありますか。
○谷川政府委員 牛肉は実は課徴金が別途かかっておりまして、それを入れますと、大体ただいまも負担は二五%くらいなんです。肉は適切な例じゃありませんが、その他の生必物資、肉の調製品等ございまして、いい考えはありませんが、大臣の御趣旨をいただきまして、どういう影響があるだろうか、ただいま実態を調査いたしております。そして、かりにやるとするとどういう点があるのだろうか、いまいい御示唆をいただきましたので、そういうことも頭に置いて勉強いたします。
○堀委員 それでは沖繩問題はここまでにいたしまして、時間がありませんから、次は特恵の問題で少し大臣にお伺いをいたします。 実は、今度の特恵の問題というのは画期的な方法でありまして、私は少なくともロー・デベロップト・カントリーですか、LDCに対する方途としてはまことに適切だと考えております。そこで一つ問題になりますのは、いま御承知のUNCTADでAグループといわれておる七十二カ国及びそれに関連する国、九十一カ国ですか、これを特恵国の対象にしようということはUNOTADではきまっておりますが、日本に対して三十五条を援用をしておる国が二十三カ国実はこの中にあります。ちょっと関税局長、二十三カ国読み上げてください。
○谷川政府委員 三十五条援用国は二十三ございます。まず、アフリカ諸国から申しますと、南アフリカ、それから中央アフリカ、トーゴー、チャード、ダホメ、カメルーン、タンザニア、セネガル、ガボン、ガンビア、モーリタニア、シェラ・レオーネ、ナイジェリア、コンゴー、ブルンディ、ケニア、そのほかにオーストリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド、サイプラス、ジャマイカ、ハイチと、二十三でございます。
○堀委員 大体私は、特恵を与えるということになるならば、これは少なくとも日本に対してそういう三十五条を援用しておる国というのは、たてまえとしてやはり除外されるのが相当ではないか、こう考えておるわけでありますが、それじゃ局長から先に……。
○谷川政府委員 受益国の点につきましては、暫定法の八条の二の第一項で書いておりますことは御承知のとおりでございます。具体的には法律成立後に政令で、政府で判断をいたしまして決定するようになっておりますが、三十五条につきましては、お話しのように、一九五五年に日本がガットに入りすましてから今日まで、長い間こういう日本だけ差別されて、たいへんどうも威信の問題でもございます。ございますが、さてそうだからこれに特恵を初めからやらぬかということになりますと、いろいろ考えてみますと、日本がガットに入りましたときに、これらの国のうち大部分は属領であったわけです。本国が三十五条を援用した。それがそのままになっておる。まあ中にはどうも経緯もはっきりしないような向こう側の役所もあります。それから多くの国につきましては、対日片貿易で非常に貿易的にアンバランスの国もございます。いろいろな事情がございますから、直ちにこれに初めからもうやらぬということが言えるかどうか、この点もただいま検討しておるところでございます。若干の経過措置を置かなければいかぬじゃないか。そこで、実は特恵の話が出まして以来、機会あるごとにわが国はこれらの国に対しまして早く三十五条を撤回するようにということを申し入れてございまして、昨年の夏以来暮れまでに六カ国が援用撤回をしております。申し上げますと、ニジェール、コートジボアール、クウェイト、ルワンダ、ウガンダ、上ヴォルタというふうに、働きかければ動く態勢にあるようでございますので、外務省に相談をいたしまして、法が成立しました後におきまして、早い機会にこれらの国に特派大使を派遣いたしまして、そうして説得をする。大蔵省からも相当者を出しまして、積極的に働きかけるというふうに考えております。
○堀委員 大臣、いまお聞きのように、私はやはり、少なくとも特恵を与えるというのは、対等の原則の上でなければ第一、筋が通らないと思います。日本のいろいろな最恵国待遇だけを拒否をして、自分のほうだけは特恵だというのでは、これはあまりに一方的に過ぎると思いますので、この点はぜひやはり——三十五条援用国であるから特恵を与えないというのもおかしいかもしれませんが、しかし、逆に与えるというのもちょっといかがかという点があるのでありますし、この点はひとつぜひ善処をしていただきたいと思います。ちょっと答弁をしておいてください。
○福田国務大臣 国会でそういう御論議がありますことは、たいへん私どもの対外交渉上いいことである、こういうふうに考えます。そういう国会の御論議を踏んまえまして、この問題に対しましては善処いたしたい、かように考えます。
○堀委員 もう一つ、この三十五条援用とはやや違いますけれども、もう一つのファクターがあると思います。それは英連邦内のこれまでの既存特恵、それからEE0のアフリカその他の国に対するヤウンデ協定というのがありますが、これが実は、これらの諸国がEECなりイギリスに対して逆特恵を与えておる国があるわけでございます。これをちょっと局長のほうで事務的に答弁をしてください。
○谷川政府委員 ございます。ヤウンデ諸国は十八カ国ございますが、そのうちコンゴーとトーゴーは逆特恵をEECに対しまして与えていないようでございます、はっきりいたしませんが……。まあそういう問題がございます。それから英連邦諸国は、これは二十カ国から二十五カ国くらいございますか、この間におきましてはいまの問題があるようでございます。
○堀委員 アメリカはこの逆特恵問題を非常に重視しておるわけでありますね。やはりこれも、ちょっとタイプとしては三十五条援用と非常に似ているわけですね。特定の国にフェーバーを与えていく、そうして今度はこっちには一方交通でフェーバーをとろう、こういうわけですから、いまの英連邦協定なりあるいはヤウンデ協定というのは、彼らが既存特恵で特恵を与えておるけれども、逆特恵もあるのだということになりますと、そいつを、われわれがそういう国を相手にするときには、ただ一方的に特恵というのは、ややちょっとひっかかる感じがするわけでありますね。まあそれは、日本はいまアメリカのようにきびしい要求を出していないのだと思いますが、やはりこれも特恵そのものが、ガットのそういう無差別の原則に反してはおりますがね。しかし、原則に反してはおるけれども、この特恵という発想の中では少なくとも無差別でないとこれはおかしいんじゃないかと思うのです。それでいま私が三十五条援用国の問題を取り上げ、いまの逆特恵国を取り上げているわけですが、その点はやはりもう少し、われわれとしても別にアメリカのしり馬に乗るわけではありませんが、筋としてはやはり、もしそういう逆特恵があるのならこっちにも逆特恵をよこせという——逆特恵をやめろというのはむずかしいかもしれませんよ、しかし逆特恵があるのならこっちにもよこせという話になるのか、アメリカの言うように、逆特恵やめちまえということなのか、そこらはどう処理するがいいかは別としても、少なくともそういう公平平等の原則をここのベースに置くということでないと問題があるように思いますので……。
○谷川政府委員 この問題ももう先生は非常にお詳しいようでございますから詳しくは申しませんが、UNCTADの場等でも非常に議論になりました。議論になりましたが、なかなか解決がつきません。ヤウンデ諸国とEECとの間、英連邦諸国間はいろいろ歴史的なつながり、経済的なつながり等がありまして、なかなか解決がつきませんで、結局合意書では、特恵国間でさらに協議をする必要性を認めるというふうに強く注意を喚起する。お互いにそういう努力をする。一方開発途上国のほうでは、せっかくもらっているものがなくなるのじゃ困るというようなコメントもございまして、そうならぬように期待するというふうに、もらっているほうからはあれが出ているということで進んでおるわけでございますが、アメリカは、その後の情勢を聞きますと、五年以内に逆特恵をやめることを約束するならば特恵をやるというふうに法案に書くようでございます。日本はそこまではこの会議では言いませんでしたが、これは受益国を判断する場合のキーエレメントだということを強く申しております。
○堀委員 大臣、いま局長が答えましたように、これは非常にUNCTADの中で問題になっております。私は、いまアメリカがそういう五年づきの条件を出しておることについて、ややきびしいかもしれませんけれども、しかしこういう問題はお互い少しフェアにやるという原則に立てば、いまのキーエレメントだというように、これもやはり何らかこれらの国に選択を求める必要のあるフクターだと思うのであります。これについての大臣の考えをちょっと承りたいと思います。
○福田国務大臣 これも、御指摘が国会という場においてございましたことは、私はきわめて重要なことだ、かように考えます。この重要な事実を踏んまえまして対外折衝に当たりたい、かように思います。
○堀委員 そこで、今度は少し中身の問題に入りまして、少しはっきりしない点が特恵の中に残されております。そのはっきりしない点の中では、実は原産地認定の問題の中に、当該受益国の完全な生産品、これは問題ありません、非常にはっきりしておりますから。その次に、当該受益国で実質的変更を伴う加工度で製造された物品というものが実はもう一項あるわけでございます。そこで、実質的な変更に関する基準といいますか、どれが一体実質的変更を加えたのかというところにまたルールをつくらなければならぬ、こうなっておるわけでありますね。そこでそのルールのつくり方については、一つは付加価値基準ということで、その国に物が入ってきて、それに幾ら付加価値をつけたらそれはいまの実質的な変更、加工をして実質的に変更したということに認めるという付加価値基準というようなこと。それから加工基準、プロセス基準といわれるものと、二つ実はあるようであります。ここでどうも問題になるのは、日本では——時間がありませんから私のほうから申し上げますけれども、日本は主としてこのプロセス基準によろうという考えのようでありますが、このプロセス基準も必ずしもそれだけでは十分ではない、いろいろ問題がある。 そこで、これは今後の問題でございますから、政府はこれから詰めることでありましょうが、ちょっとよく申し上げておきたいことは、何か日本がそういうLDC国へ出かけていって加工をしてどこかへ輸出するということばかりを頭に置かないで、たとえばアメリカがLDCの国へやってきて、そうして加工したものが日本に入るという場合をも含めて考えておきませんと——実は一昨日ですか、うちの佐藤委員が韓国に対する日本企業の進出問題というのをやりました。しかしこういう発想だけでものを見ておりますと、それならフェーバーを与えておいてもいいではないかなんということになると、逆に先進諸国が今度は東洋のLDCの国に進出をして、そうしてこれが日本へどっと入ってくる場合も特恵だ、こうなるわけでありますから、ここらはひとつ、加工基準の取り扱い等については慎重な取り扱いをしておく必要がある、こう考えるわけであります。では局長、先に答弁してください。
○谷川政府委員 そのとおりでございまして、ただいま慎重に検討中でございます。これは御審議いただいております暫定措置法の八条の三で規定してございまして、非常に技術的でございますから最後は政令、省令あたりに譲って書こうと思っておりますが、とにかくプロセス基準、それから付加価値基準、いろいろ議論が行なわれました。合意書ではなかなかそれがきまらなかったものですから、とにかく世界的に同一の基準にして、かつ後進国相手でございますからなるべく簡単な規定がいいじゃないかという程度にとどめたのでございますが、わが国は、実質的変更を判断いたします場合には、大体プロセス基準によりまして、かつ付加価値基準的な要素も入れまして考えております。ですから、アメリカの企業がたとえば韓国、台湾へ行きまして、そこでつくってきますものはオーケーでございます。日本が、この間から議論されておりますように資本進出する場合はオーケーであります。ただ、AとBとの機械を持ってきてくっつけてCをつくった、それは簡単に認めるわけにはいきません。その場合には、Cの価格のうちでAプラスBの価格の割合が四割以下とか、一定の割合以下でなければ特恵を与えません。つまり付加価値的な思想が入っております。それから、原則はさっき申しましたBTNの号が変われば認めますが、いま言ったようにアメリカ等も考えましてやるというようなことを考えましたり、なかなかこまかいのですが、たとえば繊維品につきましてはツーステップ方式というのをとっておりますが、織物をつくる、それは織糸からつくっただけではだめだ、繊維からこなければだめだ。ツーステップですね。それから衣類、縫製品の場合は、織物からつくっただけではだめだ、織糸から持ってこなければだめだとか、いろいろこまかいあれがございますが、慎重に検討いたしまして、あまりこれをきつくいたしまして特恵の意味をなくしてもいけませんが、国内産業に与える影響を十分考えたいと思っております。
○堀委員 いま局長答えましたけれども、同じ号の中でも、要するにちょっと長い紙を切れば処理ができるとか、いろいろあるわけですね。実際にはBTN必ずしもそういうことの目的のためにできているわけではありませんからね。ですから、そこらについてはひとつ慎重にしてもらいたいことと、いま私が言っているのは、アメリカ企業が進出をした場合に、要するに国内から部品を持ってきて、すぐ簡単にノックダウンして持ってきた場合のことを言っているわけですよ。ですから企業の進出そのものを言っているのではなくて、そういう企業が国内でできた製品をぱっと持っていってくっつけて持ってこられれば、これはたちまちそうなるわけですね。だからそこらの問題について、ひとつ慎重に考えておかなければいけないんじゃないかということであります。 特にセレクテッド・プロダクトはいま五十七品目書いてありますね。ですけれども、私は五十七品目以外にも、いまはそういうLDCだということで考えてないものもあるでしょうが、早い話が自動車一つにしたところで、これはもう場合によっては入ってくるわけですね。自動車なんというものはまさにいまのノックダウンで入ってくるにきまっているからして、相当多角的にこの問題を考えておかないと、日本が行ってもうけることばかりを考えているとちょっと問題が起こると思いますので、この点は特にひとつ注意を喚起しておきたいと思うのであります。 時間がありませんからもう一つだけちょっと。特恵が、一国で行なわれる生産の問題は非常に簡単でありますけれども、これが二国間以上にわたるという、グループオリジンの問題というものが一つあると思うのですね。これはいま政府はどういうふうに考えているのか。これもちょっと技術的ですから局長のほうからひとつ答えてください。
○谷川政府委員 グループオリジンの問題はいろいろ各国で研究しましたが、どうも実際上こういうことはないようでもございますので、わが国も各国と同じように認めないことにいたしました。
○堀委員 そこでちょっと、あと十分ほどで終わりたいんでありますが、昨日松尾委員の質問に対して政務次官は、今後各種の石油製品については関税引き下げの方向でひとつ進めたいという御答弁があったように、ちょっと私席をはずしておりましたので、けさの新聞で承っておるわけであります。私、たいへんけっこうだと思うのであります。 通産省、石油関係入っておりますね。ちょっと聞きますが、自由化品目でちっとも輸入されていないものがありますね。実際輸入されているのはどうも何か品質表示の内容の取り方で誤差があるようだが、いまの関税を下げるというのはたいへんけっこうなんですけれども、関税を幾ら下げても輸入のないものはこれは関税を下げた効果が起こらないわけですね。このように自由化品目でありながら輸入がないというのはこれは一体どういうことなのか。これは石油業法か何かで押えておるのか。どういうことになっているのか、ちょっと答えてもらいたい。
○栗原説明員 石油について申し上げますと、日本の石油製品は比較的従来、フレートその他の問題もございます、安く入っておることは事実ございます。そういったことも含めまして、一方国内のほうの体制を見てみますと、やはり過当競争というような実態もございまして、外国に比べまして比較的安い状況になっておるという事実関係が裏にあると思います。そういった事実がございますので、現在までのところ、自由化されておる品目につきましても実績としてはほとんどないというのは、御指摘のとおりの実態だと思います。
○堀委員 そうすると、それは価格上の問題で、要するに国内品が安いから入らない。しかし、たとえば灯油のようなものを見ますと、輸出をけっこうしているわけですね。ですから私は、これから灯油がもしどんどん上がってくるというような場合に、なるほどいまフレートの関係で、確かにベースになっているもの自身が安いですからこれは競争力があるかもしれない。しかし早い話が、もしアメリカのように今度のOPECの値上げに関係のないところの灯油、こういうものと、今度のOPECの値上げではね返ってきた灯油との関係を見れば、当然私は国内のもののほうが高い場合が予想されるわけですね。だからそういう場合には、要するに価格の問題だけなんであって、これについてはそういう輸入制限なりそういうことは自由化品目だからいまはやってないんでしょうが、今後もやらないということですか。その点をはっきりしておいてもらいたいと思います。それがなければ関税を下げても意味がないと思います。
○栗原説明員 御指摘のとおりで考えております。
○堀委員 それでは石油の問題は一応以上にいたしまして、最後に、皆さんずいぶんおやりになった問題なんですが、私もひとつKRの問題で、中国の生糸の問題を少し触れておきたいと思います。 大臣、いま中国が御承知のように生糸一五%の関税、韓国が七・五%の関税、こうなっておるわけですが、これのほんとうの意味というか目的というか、これは一体どこにあるのかを、ちょっと大臣から承りたい。
○福田国務大臣 これは、ほんとうの意味は国内生糸産業を保護する、こういうことであります。この間農林省の局長がここへ参りまして、その必要なゆえんをるる御説明申し上げたわけなんですが、どうも背後地の非常に豊かな中共生糸が、どうやら関税を引き下げる、こういうことになりますとわが国に殺到する傾向を持つであろう。わが国の生糸はそれに対して保護という考え方をとらなければならぬ、こういうことであります。
○堀委員 私は実は今後の日本経済の進路を——たいへん話が大きくなって恐縮ですが、考えてみますときに、だいぶアメリカが新しい非関税障壁を設けている。繊維自主規制に見るように、これも私は非関税障壁だと思う。そういう形でだんだん非関税障壁のかきねが高くなってくる。それじゃ欧州へ出ていけるかというと必ずしもそうではない。今後隣国である中国との貿易を拡大するということが、日本経済の今後の発展にとってもきわめて重要なファクターになってくる。それには、今日いますぐということではないかもしれませんが、少なくとも中期的展望に立てば、これは非常に重要な課題になってくる、こういうふうに考えるのです。その点は大臣は御同意がいただけると思いますが、どうですか。
○福田国務大臣 それは同意見であります。
○堀委員 それで私はやはりさっきから申し上げておるように、ガットもそうでありますが、本来的に貿易というものは無差別自由であるというのが原則だと思うのですね。この前大臣は輸銀法の改正のときにもお答えをいただいたわけですが、第一点としては、体制によってそういうLDCに対する援助は区別をしないんだ、こうおっしゃったわけですが、私はやはりそういう貿易のほうも、全般を通じてそういう体制による区別があってはならぬと思います。純経済的な条件、こうなるべきであろうと思います。そこで純経済的条件となるときに、ここで一つ問題が出てまいりますのは、中国の場合はなるほど貿易その他については価格の決定ということが大体まかされておるといいすすか、そういう仕組みになっておるように思います。そうなりますと、もしいつまでもわれわれが高い関税を置いておけば、逆に、要するに価格を切り下げてこられれば実はこれは対抗できなくなると思うのですよ。聞くところによりますと、この二月に中国生糸は五%価格を引き下げたということであります。五%価格を引き下げたということは、言うなれば関税の面でいいますと一〇%の関税になったと同じような効果が生じておるわけでありますね。そうすれば、もう二・五%引き下げてくれば実質的にいま韓国にとっておるものと同じ条件にくる。そしてそれはしかし防ぎようがないんだ、こうなるわけです。やはりそういう場合に、中国が必要以上に価格を引き下げて日本に品物を送るようなことをしなくてもいいような措置をとることのほうが、私はこの問題の長期的な解決であり根本的な解決につながるのではないか、こういう感じがしてならないわけであります。ですからやはりガットの精神のように、貿易については各国無差別平等の原則というものが本来あるべきであるし、同じ生糸について、中国は確かにバックグラウンドが大きいかもしれません。しかし韓国もいま第二次五カ年計画というようなことで、生糸の産出に非常に努力をしておるということも事実だと思うのであります。農林省、ひとついまの第二次五カ年計画でいって大体どのくらい韓国産の生糸がふえるのか、答えてください。
○荒勝政府委員 お答えいたします。 韓国の繭増産第二次五カ年計画というのがございまして、四十二年に始まりまして四十六年に終わるものでございますが、昭和四十二年の計画といたしましては、これは生糸の俵数でございますが、二万四千二百五十俵を計画しまして、四十六年を八万八千四百三十三俵、こういうふうに四倍近い計画を持っておられます。それに対しまして実績のほうは、当初の間は非常にすべり出しがよくて、私たち日本からも多少のいろいろな援助もいたしましたが、実績といたしまして四十二年には二万五千七百九十五俵で、達成率は一〇〇%をオーバーいたしております。それに対しまして昨年の結果でございますが、昨年は、韓国の目標といたしましては六万七千八百三十三俵というのが目標でございましたが、実績は四万六千八百俵ということで、達成率が六九%、われわれの見方では七〇%前後の達成率には至らないのではないか、こういうふうに実は見ている次第でございます。
○堀委員 大臣、いまお聞きのように、計画と達成は、これは桑を植えていろいろやっていくわけですし、家屋の構造上の問題もありましょうし、なかなか簡単にいかないだろうと思います。しかし、やはりいま日本がそういう意味で主要な購入国になっているわけでありますし、これまで韓国の生糸というのは保税加工でアメリカに出ておりましたけれども、アメリカの輸入量というのは最近非常に減っておりますから、将来的には日本のほうにストレートに入ってくる条件があるわけであります。欧州は実は韓国の生糸を買っておりません。そういう条件もありますし、私は必ずしも韓国だけにフェーバーを与えておくことが、将来の日本の蚕糸業のためにもプラスであると考えていないわけであります。ですから、そこら全体として把握をしながら、この問題というものはさらに検討を進める余地があるのではないか、こう考えるのでありますけれども、大臣の御答弁をいただいて私は質問を終わりたいと思います。
○福田国務大臣 まず第一に、政治上の見地から差別しない、これはよくおわかりいただいたと思います。 それから、わが国の生糸産業の立場をどうするか。これはいま米の調整問題というのがありまして、転作を何にするかという問題があるのですが、その転作対象といたしまして蚕糸業というものを一つ加えておるわけです。そういうようなこともあり、今日この時点におきまして蚕糸業をディスカレジする、これはかなりむずかしい問題かと思うのでありますが、お話の点はよく承りましたので、事は総合的に考えてまいりたい、かように存じます。
○堀委員 終わります。
○毛利委員長 広瀬君の関連を許します。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣に質問をいたします。 いま対中国貿易の問題で御答弁があったわけでありますが、いまの答弁の中でも、国内産業保護ということが、生糸の場合に一五%、七・五%の差別をつけている主たる理由だ。それが本音だということを言われたわけなんですが、なるほど中国のほうがバックグラウンドが大きいので、いわゆる潜在生産力といいますか、そういうものが脅威なんだという農林省の考えをそのまま言われたと思うのでありますが、韓国の場合のほうが現に輸入量としては中国産生糸よりも五割以上も多いわけです。そういうふうに多く日本が輸入している現実、これは生産計画と達成率は七〇%とか六 〇何%とかいうことはあるにしても、そういうようなことでどんどんふえていくというようなことになるならば、現実の脅威はむしろ韓国ではないのかということは、逆に言えば言えるわけです。それを七・五%に下げておく。現実に少ない、二万俵足らずの中国のほうを一五%にしておくという、どうもこの辺のところはすっきり割り切れないわけです。どうしても政治的なものがそこにからんでいるのではないかという疑惑を持たざるを得ないわけでありまして、その辺のところを将来どうするかということについて、もう一ぺん大臣のお答えをいただきたいと思います。
○福田国務大臣 政治的な何ものも考慮いたしておりません。問題は、韓国は精一ぱいの輸出をしておる。まあ対日輸出の数量は中共よりも多い。けれども、今日韓国がわが国に輸出しておるもの、これは韓国の輸出余力から見て、これからそう拡大されるものとは考えられない韓国の国内の蚕糸業の状態である、こういうふうに考えておるのです。一方中国のほうは一体どうだというと、これはかなりのゆとりを持っての対日輸出である。これが、関税の軽減等がありますとさらに増加するであろう。そうすると、一体稲作転換調整下のわが日本の蚕糸業をどうするのだ、こういうことになってくるわけですが、現に両院におきましてもわが国の蚕糸業は保護育成しなければならないという御決議をいただいている状態です。そういうようなことを踏んまえまして関税率の上において格差があるという状態ですが、これは当面の問題とするとどうもやむを得ないように思うのです。しかし、誤解のないようにくれぐれもお願いしたいのは、これは国際政治的な配慮からの問題ではなくて、もっぱら蚕糸業の保護育成という国内的事情に基づくものである、かように御了承を願います。
○広瀬(秀)委員 そういう答弁を繰り返しされるわけでありますが、先ほど堀委員も質問しましたように、価格の面でも中国産のものがやや安い、また中国の価格形成機構からいって、国自体の考え方というものが生糸の価格にも直接的に反映するというふうな仕組みにかりにあるとするならば、一五%の税率を課しておっても、それじゃ中国がもっと養蚕関係の構造改善、技術の進歩、こういうようなものを通じて安い値段で供給できる体制ができたら、やはりどんどん入ってくるということなんです。国内養蚕農家に対する脅威——大臣の出身県は日本でも最大に近い、一、二番という養蚕県なのでありますけれども、それならばこの際、そういう政治的な背景も何もないのだというならば、そして価格の問題についてはそういうことで中国側がどんどん合理化して安くしてくるということになれば、一五%をかりに課したって競争力は幾らでもついてくるということになりかねないものであるというならば、この際、韓国からの輸入量も現実には非常に多い、日本の輸入量の五〇%以上も占めているわけですから、そういうもののほうが実際には脅威なんだという気持ちも含めながら、中国と韓国と、ケネディラウンドの税率を両方とも同じに均てんさせる。ほんとうに国内の養蚕農家に対して脅威になるならば、関税割当というようなことだって考えられないことはない。むしろ数量を押えるというならばそういう方向で、一次関税、二次関税というような関税割当てというようなことの活用だって考えられるだろうと思う。だからそういう点で、やはり政治的な意図はないといっても、中国側としては、ケネディラウンドで、日本の輸入量の関係においても現実に韓国のほうが多いにもかかわらず、少なく輸出している中国のほうに倍の関税率を課しているということについては、やはり政治的な何かがあるんではないかという疑いを持って向こうでは見るだろうと思うんです。したがって、いま申し上げたように、この際、そういうことではないんだということで、真に国内の産業を保護するというのなら、いま私が申し上げたような方法だってこれはあり得るはずだというようなことではないかと思うのですが、そういう点でのそういう方向も、これはまさに検討に値する。今日の日中問題の、今度の覚書貿易の問題なんかでもかなりきびしい線を出しているというようなことでも、やはり日本自身の対中国政治姿勢の問題というものに対して中国側がかなり警戒を新たにしているというようなきびしい情勢だと思うのです。そういうようなことに対して、いままでも、たとえば輸銀使用の問題についても漸進的に一つ一つ積み上げていくんだ、この関税の問題でもやはりそういう友好への積み上げというものが具体的な政治の中で積み上げられていく、今日こういうものが必要な段階だと思うのです。だから、そういう意味でこの問題もひとつ検討をしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 広瀬さんは、関税は韓国、中国一緒にせい、そのかわり万一の場合には輸入割り当てをしてもいいじゃないかというようなお話でございますが、輸入割り当てをただ中国だけに行なうというようなこと、これはずいぶんかどの立つ行き方ではなかろうか、私はこういうふうに思うのです。私はそういう行き方には賛成できない。やはりいま日中間は貿易を拡大する必要がある。あるが、同時にわが国の産業という立場も考えなきゃいかぬだろう、こういうふうに思うのです。先般来申し上げておるとおり、農林省は、中国の蚕糸がどんどん入ってくるということになるとわが国の蚕糸業が重大な危機に当面する、こういうようなことで、とにかくきき目のほどはそう十分ではないかもしれません。相手は社会主義体制である、そういうような国でありますから、きき目につきましては自由主義諸国に対するとはちょっと違っておるかもしれませんけれども、とにかく関税に差別を設けるという方針をとることを切望しておるわけで、私もそれは妥当であるというふうに考えておるのです。しかし、これはくれぐれも誤解がないようにお願いしますが、これは政治的な配慮じゃありません。
○広瀬(秀)委員 関連ですからこれで終わります。
○毛利委員長 坂元君。
○坂元委員 私は、今回の差額関税に属する豚肉の自由化の問題について二、三御質問申し上げたいと思いますが、最近の畜産事業が必ずしも振興していない、こういう立場から、生産者の立場を擁護するという意味にしぼりまして質問を申し上げたいと思っております。 いま自由化が非常に進められておりますが、日本の畜産がはたして国際競争力にたえ得る状態にあるのかどうかということについて、農林省の御意見をお聞きしたいと思います。
○増田(久)政府委員 畜種によりましていろいろのことがあるわけでありますが、率直に申し上げまして、たとえば鶏、ブロイラーのごときにおきましては、これは完全に国際競争力があると断定して差しつかえないと思っております。ただし、牛関係につきましては、乳牛、和牛、肉牛、ともにこれは国際競争力ということではほど遠い現実にあるわけでございます。ただ、豚につきましては、先生十分御案内のとおり、現在非常な勢いで合理化の過程が進んでおりまして、二十頭以上層というものが全体のシェアの七〇%以上も、近い将来は八〇%、九〇%にもなるであろうというような合理化のテンポで進んでおりますので、これはやり方いかんによっては十分国際競争力も持ち得るもの、そういう期待を持っておる次第でございます。
○坂元委員 今回自由化を決定するにあたりまして、畜安法に規定をいたしまする価格安定帯との関係は一体どういうふうに考慮されておるか。
○増田(久)政府委員 御承知のとおり、豚というものはどの国におきましてもこれは自給というのがたてまえで、国際商品ではございません。そういう意味で、われわれはどうしても畜安法というものを堅持いたしまして、下がったときには事業団で買い上げる、上がったときには事業団のものを放出する、あるいは緊急輸入をするというような体制を原則的には今後も堅持してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。ただ、輸入によりまして物がどんどん入ってくるということで、万一にもその結果として生産費を償えないような事態になるということは当然避けなければならないことでございますので、今度の関税を定めました場合におきましても、いわゆる上位価格と下位価格の中心価格、へそ価格という価格を基準といたしまして、それ以下のものは差額関税として徴収するという制度を考えているわけでございます。大体、へそ価格は現在生産費に見合っている価格でございますので、そういたしますれば、国内の需給体制というものは、自由化いたしましても十分でき得るものと考えておるわけでございます。
○坂元委員 大臣においでをいただきましたので、いま日本の畜産農家というものは、一面自由化の波にあふられておる。またきょう国会に出てまいりました悪臭防止法。たいへんな窮状にあると判断をしておるわけでありますが、米の生産調整というものからどうしても畜産をやらなければいかぬという情勢にあるわけでございまして、そういう際に貿易の自由化あるいは悪臭防止法、この両方からせめられまして非常に困窮しておるということについて、大臣はこういうふうに御認識をいただておりますか。 さらにまたもう一点は、米は一〇〇%自給する、畜産物あるいは野菜あるいは果樹、そういうものの国内生産の自給度というものは大体どのくらいに押えられておるのか、そういうことをお尋ね申し上げます。
○福田国務大臣 わが国の農作物の自給度をどの辺に置いて農政を進めるか、これは、いま米は御承知のように百十数%の自給度になって弱っておるわけでありますが、小麦なんかになりますと一四%とか、非常に低率なものであります。畜産は八〇ないし八五%、さらに畜産のもとになる飼料というようなものになりますと、これは自給度は低うございまして四十数%。それで総合しますと、今日の自給度というのは、米を一一七というような高い計算をしないで、かりに一〇〇%だというように計算しますと、大体七五前後というような計算になるわけなんです。大体いま政府としては米の自給度、これはいま余っておりますが、これを一〇〇%まで落とす、こういうような計画を進めておるわけです。それに対しまして他の転換作物の奨励をいたしておる。それを合わせまして、やはり数年後の農作物の食糧の自給度を七五%前後、こういうふうなことを総合をいたしおるわけであります。そういう中におきまして畜産が非常に重要な意味を持つのでありますので、これに対しましては、あるいは価格の面におきましてあるいは生産性の向上という面におきまして、いろな施策を進めておるわけであります。こういう米の自給度を押えて他の作物の自給度を上げなければならぬという転換期に際会しておりますので、これらの転換先食糧につきましてはますます国家の援護体制を整えていかなければならぬ、かような見解でございます。
○坂元委員 いま国内には食料品、肉類等、非常に安くしろという声もございます。また一面、先ほど申し上げますような点から、そういう畜産を保護しなければいかぬじゃないかという声も非常に高いわけであります。それらの関係を調整して今度の関税の問題になったと思うのでありますが、いま関税定率の一〇%というものをきめられた根拠、こういうものについてお伺いを申し上げたいと思います。
○谷川政府委員 これは国産の枝肉の卸売り価格と、アメリカ、台湾をとりましてその平均のCIF価格に輸入諸掛かりを足しましたものと比較をいたしまして、内外の価格差から見て一割の税率が必要である、またこれが適正であるというふうに決定をした次第でございます。
○坂元委員 差額関税の扱い方についていろいろ検討してみますと、中心価格をきめる。そういう点から輸入肉と国産の肉との価格について多少の資料をもって検討しますと、やはり国内の肉は非常に高い、外国肉は非常に安い、こういうことになりまして、かりにいまきめられておりまする中心価格、これで計算をいたしますと必ずしも中心価格を上回らない、生産者の生産費を補償し得るような価格が出てこない。そういう意味におきまして、上限価格というものになるべく近づけることが、生産者の経営の安定あるいは今後やらんとする生産意欲を非常に強めることになると思うのでありますが、そういう点についての考え方はどうですか。
○谷川政府委員 私どもが今度の改正をいたしましたときに判断をいたしましたことは、先ほごも畜産局長からお話がありましように、ただいまの上下限の価格のきめ方は、まず中間のへそ価格を、需給状況それから生産費を勘案いたしまして、とにかく再生産可能な価格としましてきめる。そして、上下に一〇%ずっとって上限、下限をきめておるわけなんです。具体的な数字を申し上げますと、四十五年の価格でへそ価格が三百八十三円五十銭、上が四百二十二円、下限価格が三百四十五円。今度の差額関税でいきますと、とにかく三百八十三円五十銭以下で入ってくることはないわけであります。必ずそこまではとるわけであります。そういたしまして、それだけではございませんで、日本へ来ましてから卸売市場へ出ますまでにいろいろな諸掛かりがかかります。それから適正な利潤も見込まなければなりません。最近の統計から見ますと、そういった諸掛かりか三%ないし一〇%になっております。こういたしますと、三百八十三円五十銭までは必ずとられて、それ以下で入ってくることはない。その上に一割程度のものがかかるとしますと四百二十二円近くになる。そうしますと、いまの価格安定制度を乱すことはないし、それから私ども、自由化後の輸入豚肉についてどれくらいなCIF価格になるか、それに一割の関税をかけたらどれくらいになるだろうかという検討をしてみたのでございます。アメリカと韓国の豚内の価格をとります、そうしますと、アメリカの場合が四百二十円余り、それから韓国の場合が四百三十五円くらいになりますので、——これは統計の関係で四十三、四年をもとにいたしましたが、そういたしますと、いま御心配のようなごうも低いものが入ってくることは予想されない。そこで、さっきお話がありましたように、一方消費者のほうから安い豚肉という要望があるわけでございますので、そういたしますと、とにかくこの上限価格以上でないと入ってこないというようなことにしてしまったのでは——いまお話しのように、差額関税の基準を上限価格にしろという御要望がいろいろございました。その点も私どもいろいろ研究しましたが、そうしますとこれは自由化しても意味ないのではないかというそしりも免れないことになるのではなかろうか。そういうことで、いまのへそ価格を基準にしまして差額関税にしたのでございますが、心配は要らないと考えます。 ふえんして申しますと、この間も申し上げましたが、かりにそういう制度をとりましても、なおかつ輸入豚肉がふえまして畜産農家に甚大な被害を与えることになった場合には、関税定率法九条の二に緊急関税の規定も用意してございます。そういう手当て、歯どめもございますから、畜産農家に御迷惑をかげることは万々ないというふうに考えておる次第でございます。
○坂元委員 念を押しておきたいと思いますが、そういうような事態が生じた場合に、緊急関税を発動して調整するということをお約束願えますか、どうですか。
○谷川政府委員 ただいま申しましたように、ちゃんと関税定率法の規定にもございますから、要件が満たされる事態が生じましたならば、御迷惑をかけないように機を逸せず発動をする用意がございます。
○坂元委員 さらに大臣、いまの点を重ねて…。
○福田国務大臣 先ほど申し上げましたように、畜産はわが国がこれからの農政上非常に重要視いたしておりますので、関税の面を通じましても万遺憾なきを期したい、かように存じます。
○坂元委員 大臣、けっこうです。 ————◇—————
○毛利委員長 福田大蔵大臣。
○福田国務大臣 かねて第一銀行、それから勧業銀行の間に合併談が進められておったのです。十八日ころ正式にこの合併談をきめたいというような話を聞いておったのでありますが、一部の新聞にけさ報道されるようなことになりました。ついては、急いだほうがよかろう、こういうことに相なりまして、きょう両行ともそれぞれ取締役会を開いておるようでありますが、いずれきょうじゅうには両行とも合併方針を決定するということになろうか、かように存じます。 それで、この合併につきましては、それは国際化時代に対処する金融界のあり方、こういう立場からいきましてまことに機宜を得た措置である、かように考えますので、この合併が支障なく実現をするということにつきましては御協力する姿勢で臨みたい、かように考えております。 きょう新聞に出ましたので、一言御報告申し上げた次第でございます。 ————◇—————
○毛利委員長 坂元君。
○坂元委員 時間がありませんので……。いまわが国では大体肉の需要量が年間百三十万トン、一人当たり年間十三キロぐらいであります。一人当たり日量三十グラムという計算になりますので非常に少ないのであります。この内訳を見ますと、牛肉が一九・一%、豚肉が四七・七%、鶏肉が三二%、その他でありますが、このうちで豚肉は、どのくらいどこの国から入ってきて、どういう商社の手を経て入ってくるのか、その辺を御答弁も願いたいと思います。
○増田(久)政府委員 昭和四十四年、四十五年の暦年で見てまいりますと、豚肉は四十四年で四万二千六百トン、四十五年に一万七千百トンばかりの輸入がございました。その国といたしましては、沖繩まで入れまして八カ国でございます。それで四十四年に見てまいりますと、約六〇%がアメリカから入っております。アメリカから二万九千トン、台湾から六千トン、豪州から四千四百トン、あとは全部百トン台のオーダーでございます。また四十五年につきまして見ましても、一万七千トンのうちでアメリカが四四%、台湾が二六%、あとはもう沖繩が七%というようなことで、ほかの国ははとんど微々たる数量でございます。輸入商社につきましては、昭和三十六年から指定商社制度というもので、そこに輸入割り当てをやっておるわけでございますが、現在伊藤忠その他十六朴に割り当てをいたしております。それが輸入しているわけでございます。
○坂元委員 それらの商社はどういうふうにして末端に流通しておるのか。大体輸入卸売り価格というのはきまっておりますからつかみやすいのでありますけれども、その末端における肉の価格は非常に高い。流通機構の点にもかかっておると思いますけれども、一体外国から入ってきた肉がどこでチェックされて、そうしてどういう経路を通って末端市場に出ていくのか、そういう点について御答弁を願いたいと思います。
○増田(久)政府委員 輸入されましたものは、市場に直接売るものと小売りに売るものと加工に売るものと、それぞれ三つの経路をもって末端に流れているわけでございます。
○坂元委員 そういう数量あるいは品質、そういうチェックはどこでやることになるのでありますか。
○増田(久)政府委員 そのシェアと申しますか、輸入されたものの割合は、大体慣例的に、加工が四割、それからいま言いました市場、小売りという形でいきますものが六割。それで、市場に参りますものがその六割のうちの三〇%、小売りに参りますものが三〇%、こういう形で大体流れているわけでございます。
○坂元委員 この差額関税を検討する過程におきまして、課徴金制度というものについて比較検討された経緯はないのかどうか。これはEECあたりでやっておるようでありますが、そういう点についてお答えを願いたいと思います。
○谷川政府委員 課徴金につきましては、これはまた御意見もございましょうから、きょうは検討の過程だけを申し上げますが、EECで課徴金制度をとっておりますけれども、これはなかなか問題がございまして、そのために生産だけがいたずらにふえて、とにかくEEC内部でも困っておるという事情もございます。今回の豚肉、それから生きた豚の自由化に際しましての関税の改正の際には、とにかく差額関税で問題なくやれると判断をいたしましたので、いま申しましたような問題のあるものにつきましては、とるべきではないということを考えたわけでございます。
○坂元委員 この肉の問題は、将来の問題として非常に大きいと思いますので、生産と消費との関係につきましては、的確に数量を把握して、そして輸入による国内への不必要な圧迫だとかあるいは摩擦がないように措置をしていただきたいと思っておるわけでございます。その点を農林省と通産省と大蔵省で十分御協議を願って、行政措置としても一的確な措置を進められるようにお願いを申し上げておきたいと思います。 もう一つ、肉の問題につきましては、牛肉の自由化については将来どう考えておられるのか。というのは、三月八日の読売新聞の夕刊に、オーストラリアの非常に安い肉が入ってきておる、三越の全店でこれを販売しておるという広告が出ておりましたが、牛肉の輸入についての将来のお考えを、それぞれの立場から御答弁を願いたいと思っておる次第であります。
○谷川政府委員 最初の御質問の点につきましては、私ども一関係御当局と十分連絡を緊密にいたしまして、畜産農家の保護、それから農政展開の上に支障を来たすことのないように万全の措置を講じていきいと思います。
○増田(久)政府委員 牛肉の考え方でございますが、御承知のとおり、肉牛というものは山村地帯の零細な農家に零細な規模で飼われておる、しかも山村地帯の有数なる現金収入源であるという実態があるわけでございます。かたがた牛肉につきましては、将来にわたりまして需要の非常に強いものである。また国際的に見まして、これはOECDあるいはFAOの報告等を見ましても、世界的に需給の逼迫する商品である。一九七五年には百万トンないし百六十万トン世界的に不足するのではないか、こういうことがまたいわれているわけでございます。そういう意味におきまして、肉牛を全面的に海外に依存するというようなことに相なりますと、これは将来にわたってきわめて禍根を残すことになる。若干の時間はかかりますけれども、現在の肉資源を維持培養しながら、できるだけ国内での供給体制というものを確保していくというのがわれわれの基本的な考えでありますし、また諸外国におきましても肉牛の生産については、そういう需給実態から、それぞれ自給体制を強化しているということは御承知のとおりでございます。
○坂元委員 最後にグレープフルーツの自由化についてお尋ねをしたいと思います。 これはきのうも質疑が行なわれたわけでありますけれども、四十四年の十月に日米間において自由化交渉が行なわれました際に、いろいろ取りきめ等があると判断されておるわけであります。それに対するいろいろな条件がどうなっておるのか、また、その条件が整わない前にいわゆる見切り発車等のことが起こってはたいへん困りますから、そういう点も含めて御答弁を願いたい。
○荒勝政府委員 ただいま御指摘のグレープフルーツの輸入の自由化につきましては、四十四年の日米協議の際、日本側は、米国が日本産温州ミカンの輸入解禁州を実質的に拡大するとの了解のもとに、日本はグレープフルーツを四十六年十二月末までに自由化することとする考えである旨を表明し、かっこの場合、グレープフルーツに季節関税を設定することを明らかにしております。このような日米協議の結果を勘案いたしまして、四十四年の十月十七日の関係閣僚協議会におきまして、四十六年十二月末までに自由化することが決定されたいきさつになっております。その後、内外の情勢にかんがみまして、四十五年九月十日の関係閣僚協議会におきまして、四十六年十二月末までに自由化するものと決定された品目については、四十六年四月末日を目途にその完遂につとめると決定された次第で、この品目の中にグレープフルーツが入っておるわけでございます。しかしながら、グレープフルーツの自由化につきましては、さきの日米協議の経緯もありますし、さらに現在総合農政を展開中でございますので、これらのことを念頭に置きながら慎重に自由化については対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○坂元委員 終わります。
○毛利委員長 小林君。
○小林(政)委員 今回の関税の改正は、ケネディラウンドの繰り上げ実施と、そして輸入の自由化、公害あるいはまた物価対策、非常に多目的な政策課題を関税機能が活用して行なっておるものでございますけれども、私はまず最初に公害問題について対策についてお伺いをいたしたいと思います。 大気汚染の主要な原因は、これはもう明らかになっておりますとおり、重油に含まれている硫黄によるものだということがその主要な原因になっておりますけれども、この重油の脱硫については、四十五年の七月から一応減税制度というものを設けて、そして脱硫重油の関税負担というものを四十五年には一キロリットル当たり三百円軽減をはかり、今回二百円を増加いたしまして五百円の減税、これで関税負担分は全額免除するというようなことになったわけでございますし、新たにまた、低硫黄のものについては、暫定税率の六百四十円を百十円の軽減を行なって、重油の低硫黄化というものを行なっておるものでございます。私はそこでお伺いしたいんですけれども、脱硫装置の通油をいたしました量というのは大体どのくらいになるのか。そしてそれは総需要量の何%になるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○斎藤説明員 現在、脱硫装置が昭和四十五年末で、設備の能力といたしまして三十八万六千バーレルの能力がございます。これが公害対策上の目標年次でございます四十八年に、七十一万バーレルまで増加することになっております。その時点におきまして、脱硫装置から出てまいります重油は四千三百四十三万キロリットル、これは全体の四四%に相当いたします。
○小林(政)委員 そのことは、きめられている環境基準、これに照らして一体いつまでに——環境基準としては、これは年間を通じて一日平均値が〇、〇五PPM以下というようなことがきめられておりますけれごも一、これに照らして現状のもとではどの程度になるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
○斎藤説明員 ただいま申し上げました数字は、昭和四十八年の目標に対して、それに対する対策としての重油脱硫による効果ということの数字を申し上げたわけでございますが、昭和五十三年をもちまして一応環境基準を達成する目標年次としておりますが、現在、昭和四十九年以降のものにつきましては数字を詰めておる最中でございます。
○小林(政)委員 しかし、これは一応四十四年二月に閣議でもって決定された環境基準でございますし、私どもは、いま公害問題がたいへんやかましく問題になってきておりますときに、五十三年などというような目標を立てることはげっこうではございますけれども、いまこれがどうなっているのか、こういう点について明らかにしてもらいたいと思います。
○斎藤説明員 ただいま公害対策の上で、SO2に対しましては低サルファの原油をできるだけ輸入すること、それから重油を脱硫設備にかけること、天然ガス、LNGの積極的な導入をはかる、それから排煙脱硫を促進していく、こういうふうなありとあらゆる手段を講じまして環境を整備していくというふうにつとめておりますが、これらのうち昭和四十八年度の、先ほど先生御指摘の数字でございますが、現時点では、昭和四十八年度の最終目標に対しまして、それらの対策がその目標値に対して順調に進められておるというふうに私ども考えております。
○小林(政)委員 この間接脱硫あるいはまた直接脱硫等によって硫黄の含有率というものを減らしておりますけれども、しかし、専門家の人の話を聞きますと、この装置によっても丁四%ぐらいしかこれは下げることができないというふうに言われております。技術もいまだいぶ進んでおりますので、あるいはもう少し下がるのかもしれませんけれども、それでも一%ぐらいは空気中に、使用する場合にはこれが出ることになりますし、まして最近の消費量というものは、これは年々増加をしているわけでございます。したがって、その絶対量というものは少なくなるというようなことはなく、むしろ公害を完全に防止するという点から考えますと、はたしていま問題になっております亜硫酸ガス、この大気汚染の問題等について、これでいいのかどうかという点に非常に大きな疑問を感ずるわけでございますけれども、これらの点について、はたして完全にこれで防止できるのだということがいえるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○斎藤説明員 先生、先ほど脱硫設備の問題につきまして御指摘がございましたが、脱硫設備のつち、直接脱硫と間接脱硫とございますが、間接脱硫は技術的に完成しておる設備でございます。直接脱硫につきましては、世界で初めて動く設備であった関係上、当初いろいろなトラブルがございましたけれども、最近はそれらの問題も解決いたしました。現在ございます直接脱硫三基は順調に稼動しております。 それから、昭和四十八年度の目標値に対しまして、だんだん重油の使用量がふえてくるということに関する御質問でございます。私どもは、公害対策上のローサルファ燃料が供給されなければならない地域のことを要対策地域と呼んでおりますが、それらの数字は、四十八年度で約九千九百万キロリットルの重油が供給されなければならないというふうに推定しております。それの平均の硫黄分の含有率を一・二%と推定しております。もちろんこれは、今後需要がふえていくということを推定した上での数字でございまして、あるいは地域的には風洞実験にかげまして、それらの地域が今後いかに発展するかということを、風洞実験を含めまして詳細に分析した結果、定めた数字でございます。その平均サルファー・二%に対していかなる手段でこれを達成するかということで、先ほど申し上げました諸手段があるわけでございますが、この中で特に脱硫設備の果たす役割りということは、先ほど申し上げました四千四百万キロリットルというものが、その際脱硫設備から出てくる重油の量でございます。
○小林(政)委員 平均一・二というお話でございますけれども、私はやはり、一・二%であってもこれが燃料として使用されます場合にはどうしても亜硫酸ガスを排出する。これを完全になくするということはいろいろときわめて困難だとは思いますけれども、しかし、このような状態の中では、むしろ完全に公害を防止していくのだ、こういうことであれば、これはどうしても法律に基づいてでも完全な排煙脱硫、こういう装置を企業の責任で取りつけさせるべきではないだろうか。いわゆる一・二、これで事足りるということではないと私は思います。その点について一体どのようなお考えを持っているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○斎藤説明員 先ほど一・二%と申し上げました。この数値は、燃料のみならず、これらの排煙脱硫の効果というものを燃料に換算いたしまして一・二%という数字を申し上げたわけでございますが、昭和四十八年度における排煙脱硫というものは、現在のところ数字を持っておりませんので、お答えがむずかしいのでございます。排煙脱硫につきましては、通産省は、大型プロジェクトということで工業技術院で予算をつげまして、ここ三年余り研究してまいりました。一応排煙脱硫というものの技術的効果あるいはプラントの運転につきまして自信を得たということで、現在千葉と四日市で、おのおの東京電力それから中部電力で実験プラントを建設いたしました。それらの一応の成果を得たということから、実験プラントはほぼ五万キロワットのプラントでございますが、それを十一万キロワットに大きくいたしまして、もう一度十一万キロワットスケールでの排煙脱硫の実験をしようというのが、排煙脱硫に関する現時点での状況でございます。
○小林(政)委員 いまの御答弁ですと、排煙脱硫も一応計算の中に入れて一・二%というようなお話でございますけれども、私、この前この大蔵委員会で通産省に質問いたしましたときに、いわゆる間接脱硫あるいは直脱、こういったようなものを行なっても大体技術的には一・二%だ、しかし、実際にはそれより少し上がるかもわからない、こういったような御答弁をいただいております。それがゆえに、いまのこの脱硫装置を取りつげているから、これによって減免の措置を今回行なうのだというけれども、そういうことであるならば、大口使用といいますか大量に使用する鉄鋼だとか電力だとか、こういうところにきちっと責任をもって排煙脱硫を行ない、そして取り切れなかったこれらの硫黄分をやはり取っていかなければ完全な公害の防止ということにはならないのじゃないか、こういうことでいま質問をいたしているわけなんですれけども、これをも含めて一・二%ということでは、ちょっとこれは納得ができないわけです。排煙脱硫でこの程度しか取れないということになるのでしょうか。
○斎藤説明員 一・二%と申しましたのは、四十八年度の環境基準を守りました上での数値、重油のサルファ含有量に換算いたしました数値でございまして、そういうふうに一・二%の重油をたいたと同じ状況がはかれるならば、現在の目標値として定めております環境基準を守ることができるということでございます。 また、排煙脱硫でございますが、四十八年度はまだ試験的な段階で、本格的な大型プラントが操業できるという段階には至らないのではないかというふうに私ども考えるのでありますが、それらの数字は、先ほど九千九百万キロリットルと申しましたけれども、それらの中における排煙脱硫の占める位置というものは非常に低い数字でございます。 それから、将来の排煙脱硫の問題についていかに考えるかということについては、先生御指摘のとおりでございまして、私どももその方向で考えさせていただきたいと思っております。
○小林(政)委員 この硫黄を取り除いていくということで、今回脱硫装置を通った原油に対しては関税負担分というものを還元するのだ、そしてさらに低硫黄の原油についても減税、これを今回初めて適用するのだ、こういうことで必要減税額ということになっておりますけれども、私はむしろ、関税でこのような措置をとられるということについては、本来、さきの国会でも問題になりました、公害は当然企業がその責任を負うべきである、したがってその公害対策費というものも企業の負相によって行なうことが原則である、こういうことが前回国会の中でも大きく論議をされたわけでございます。私は、このような措置を今回とるということになりますと、むしろ公害対策費という本のを国が援助をするということになるのじゃないだろうか、いわゆる国の負担によって転嫁をするというような結果になるんじゃないだろうか、このように考えますけれども、この点について局長の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○谷川政府委員 私はそう思いませんですがね。とにかく脱硫業者はそれ自体では公害を出しているわけではございませんですから、いま通産省からもお話がありましたように、油精製業者に、その油について脱硫をして使用者に提供してほしいという、むしろ相当な施設費を負担させておるわけでございますから、とにかく脱硫しますものについては、建設関係についても何らかの建設するについてのインセンティブを与えなければいけない、そういうことで昨年の措置を拡充したい。それからできるだけローサルファのものを入れなければいかぬ。業界でもだんだんローサルファのシェアを多くするようにつとめておりますし、政府でも一指導しておりますが、先般も議論がありましたように、欧米を中心にしましてローサルファの原油の需要か高まってまいりましたから、なかなか手に入りにくい。また今回それをインセンティブを与えてシェアを拡大していくということでございますから、私は先生がお話しになったふうには思っておりません。
○小林(政)委員 減税をしたその結果というものが公害を防止するんだからいいではないだろうか、こういうようなお話でございますけれども、少なくとも減税措置でもって行なう場合には、前回参考人の方からも、できるだけ一般の消費者、そういう末端まで行き届いたものでなければならない、こういうようなお話がございましたけれども、はたしてこれによって原油の脱硫を済んだものが、それだけ価格が安くなるとか、そういったようなことが行なわれているでしょうか。
○斎藤説明員 重油の脱硫コストとそれの製品の販売価格についての関係を現時点の数字で申し上げますと、現在脱硫コストは一キロリットル当たりおよそ千八百円かかるというふうに考えられております。それに対しまして製品の販売面でございますが、これは硫黄分が幾ら含まれておるかということによって商品価格がきまってくるわけでございますが、この硫黄分が低くなったものの販売価格の幅というものは脱硫に要するコストよりはるかに低いものでございます。したがいまして、現在まで脱硫を行なってまいりましたけれども、それらの価格は、そのために末端価格が上がるというふうな現象は起こっておらなくて、それはいままでのところでは企業の合理化ということの中に吸収させるべきであり、また吸収してきたわけでございます。サルファが低くなったという商品価値のメリットですが、それは製品の販売価格に反映されておるというのがメリットでございます。
○小林(政)委員 サルファが低くなった重油というものは、逆に、私は値段の上では、非常に良質なんだということで価格は上がるんじゃないだろうか、そしてむしろ硫黄をたくさん含んでいるものは値段が安くて、逆の結果が出てくるんじゃないだろうか、こういうふうに考えるのです。それらの点から考えても、今回の減税措置というものが、先ほど申し上げましたとおり、当然硫黄をたくさん含んでいるものを承知で、これを燃料として使用するというか、製油会社がこれを仕入れているわけですし、私、そういう点からいけば企業がその負担というものも負うことが原則じゃないだろうか、非常に矛盾する内容をこの中では含んでいるんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
○斎藤説明員 硫黄分の少ない重油は、その硫黄分が少ないということがその価値が高いということでございますので、当然販売価格は高くなっております。先ほど私の説明ちょっと舌足らずで、先生御理解いただけなかったのですが、高くなっておるというのは先生御指摘のとおりでございます。それから現在までの脱硫コストというものをそのまま製品価格に落としておるわけではなくて、製品価格と、製品価格に出てまいりますローサルファのメリットというふうなものは、そのメリットは脱硫コストをカバーし切れないという現状が起こっておりますけれども、それらにつきましては従来は企業合理化ということの中で吸収し、今回の脱硫設備に対する関税還付というふうな手段によりまして、これが吸収されていくという効果を持っておると思います。
○谷川政府委員 ちょっと誤解があるようでございますからふえんして申し上げておきますが、脱硫重油減税について、たとえて申し上げますと、とにかく硫黄分の多い油をたいて大気汚染をする工場等につきましては、これは確かに工場のほうでいろいろな公害防止施設をしなければなりません。それらにつきましては別途政府のほうで、開銀でも出しておりますし、それから公害防止事業団でも、それから中小企業につきましては中小企業金融公庫でも、公害防止施設等の貸し付けのワクを昨年よりも増大をいたしております。ところがこれは、とにかく硫黄分の軽いものをつくるような施設はたいへんばく大な金がかかります。政府で、ひとつつくってくれ、どんどんつくってください、そういっても、なかなか助成をしてやらぬとつくれませんので、こういう措置を講じまして、油精製業者に、ここで直接この公害が出てくるわけではありませんが、公害を出さないような油を提供してやってください、その施設をつくりなさいということをやっておるわけでございますから、誤解のないようにしていただきたいと思います。
○小林(政)委員 この問題はここでやっておりますとだいぶ時間をとりますので……。ただ、ここでちょっと一言だけ言っておきますが、局長の言うことはわかりますけれども、あくまでこれは商品としてやはり売っているものでございますね。そうしますと、何かサルファの高いものを、これをもっと低いサルファのものにしていくのだ、そのことが結局は公害を防止していくことになるんだから、それを援助していくことはこれは当然なんだ、こういうお話について、商品として当然そういうものを、別に公共団体がやっているわけではなくて一般の民間業者が、企業がこれを行なっているということについて、私は、こういうことをやることが、むしろ国が公害の企業負担を背負っていることになるんじゃないだろうか、肩がわりをしてやることになるんじゃないだろうか、こういうことを申し上げたわけでございまして、この点については一応先に進ましてもらいたいと思います。 昨日もすでにもういろいろお話が出ておりまして、宮澤通産大臣からも一御答弁がございましたけれども、OPECの原油値上げ問題について、国際石油資本が原油一バーレルについて二十八セントの値上げを通告をしてきたというようなことから、石油各社が元売り価格の値上げの問題について、一斉にこれのもう金額まで新聞などでも報道されております。たとえばガソリンは一キロリットル二千円だとか、灯油は二千円だとか、軽油が千五百円だとか、重油は千円とかいう形で出されております。私は、この値上げ問題については現在交渉中である、こういったようなときに各石油会社が元売り価格としてこういったようなことな実施をするという姿勢を示すということは、これはきわめて遺憾だというふうに思いますし、ましてこの結果、一般の消費者の消費価格にこれが大きくやはり値上げという形ではね返ってくるような結果を招くのではないだろうか、こういうふうに思うわけです。宮澤通産大臣は、これは業者が吸収するように指導する、こういうような御答弁を昨日されましたけれども、指導するということで、はたして結果はどうなるのかということは明らかにならないわけでございますし、具体的にどのような対策を考えていらっしゃるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
○谷川政府委員 OPECの値上げ問題につきまして、そのはね返りの問題につきましては、きのう通産大臣もお答えになりましたように、ただいまメジャーと日本の石油精製会社、交渉中のようでございます。これがすべてこっちへひっかぶってくるということは何とかして阻止してもらいたいと私も考えております。それからまた、かりに日本側に負担がかかってくる場合にも、それをなまに直ちに消費者に転嫁していくということはおかしいというふうに思います。新聞に出ておりますことはまだ予想の段階がだいぶ入っておるようでございまして、あれでもうきまったものだとはまだ聞いておりません。精製会社のほうで合理化の余地も相当あるように私どもは見ておりますし、それからまた流通段階につきましても合理化の余地があるように思います。そういうことをやってもらって——全部転嫁するということはおかしいというふうに私は考えております。 なお対策ということでございますが、おそらく原油関税などをどうするかということも含まれておると思います。これに関して申し上げますならば、この間もお答え申しましたように、現状では減税することを考えておりません。とにかく巨額な金額でございまして、しかもこれが大部分が石炭対策の財源になっております現状におきましては、これをどうすることもできません。したがって原油関税を下げるということにつきましては考えておらないことを申し上げます。
○小林(政)委員 結局具体的な対策というようなものは、いま検討してはいるけれどもまだきまっていない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○斎藤説明員 大筋の考え方につきましては先ほど私がここで述べたとおりでございます。私どもも大臣の意向を体しまして、それに対していかに対処していくかということをただいまいろいろ検討しております。まだ具体的にどうというようなことを申し上げられる段階には立ち至っておりません。
○小林(政)委員 これは強く要望いたしておきたいと思います。消費者の灯油だとかあるいはガソリン、こういったようなものにとかく大きなしわ寄せがかかってくるのではないか、こういうことが予想されるわけでございますけれども、この点については、これを消費者に負担させるというようなことは極力避けるべきだ、こういうふうに考えますので、その点を強く要望いたしておきたいと思います。 時間がありませんので、それでは、先般来すでにこの問題についてもいろいろと各委員から御質問が出ておりましたけれども、グレープフルーツの自由化の問題について一点お伺いをしておきたいと思います。 グレープフルーツの輸入の割り当ては、ここ数年来具体的にどのような状態であったのか、あるいはまた温州ミカンの輸出量等については、ここ数年来具体的にどのような状況であったのか、まずその点についてお伺いをいたしたいと思います。
○荒勝政府委員 グレープフルーツの輸入量は、四十三年に千二百十三トン、それから四十四年に千八百十四トン、それから四十五年には二千二百六十五トンと、年々多少ずつ増加しております。これは私たちのほうで、現在、輸入制限でございますので、割り当て量をふやしておる結果、こういうふうになっておるのではなかろうかと思います。 また国内の値段を申し上げますと、一キログラム当たり卸売り価格が平均しまして、三百円前後でございまして、小売り店では、一つ、安いので二百五十円、高いのでは五百円前後で販売されておるようでございます。 また、ミカンの輸出量につきましては、いまちょっと手元に——さがしまして、あとでまた御報告申し上げますけれども……。
○小林(政)委員 今回自由化を行なうということでございますけれども、自由化した場合の輸入量は大体どのくらいということを見込んでいらしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
○荒勝政府委員 私たちの見通しでは、グレープフルーツを自由化した場合にどのくらい入るかということにつきましては、現在アメリカから主として入れておりますが、アメリカの年間の総輸出量というものが、ヨーロッパあるいはカナダ等にも出されてはおるようでございますが、全部で大体十万トン前後でありまして、バナナの自由化あるいはレモンの自由化のときのように、そう一挙に大量のものが輸入されるとは思っていない次第でございます。したがいまして、小売り価格につきましては、自由化されますと輸入数量が増加いたしますので、また現在は比較的高級品が売れておりますが、大衆品の輸入等も行なわれるという判断もありまして、現在の半値前後にはなるのではなかろうか、こういうふうに見ておる次第でございます。
○小林(政)委員 温州ミカンは現在ではもう計画を上回って非常に大量に出回っておりますし、こういった関係から、温州ミカンの米国への輸出が一体どの程度どういう状況でふえていっているのか、その点についてちょっと先に伺いたいと思うのです。
○荒勝政府委員 温州ミカンの対米輸出につきましては、全体といたしまして四十二年に約一万九千五百トン前後の輸出、四十三年に二万三千トン、それから四十四年はおおむね横ばいでございまして、やはりこれも二万三千トンということでございます。四十五年はまだ集計いたしておりません。
○小林(政)委員 いま数字を伺ったわけですけれども、四十三年、四十四年ほとんど動いていない、こういう状況になるわけですけれども、何か聞くところによりますと、温州ミカンの対米輸出は、アメリカではかいよう病についての心配といいますか、そういう点から、一定の証明をちゃんとされるような、そういう指定園で栽培されたものでなければならない。こういったようなことから、指定園のまわりについても四百メートルくらいの地域は雑かん類等全部一本もあってはならない、こういったような非常にきびしい規定があるというふうに聞いております。ナツミカンだとか伊予カンだとかハッサクだとか、こういったようなものがまわりにあれば、引き抜かなければ、これが適格なものとして受け取れない、こういうようなきびしい条件がついているということでございますけれども、これではミカンが逆にグレープフルーツの輸入を増す露払いというような役割りを果たさせられるのじゃないだろうか。こういう点で非常に心配をしておりますが、このような事実があるかどうか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
○荒勝政府委員 日本の温州ミカンの輸出につきましては、ただいま御指摘のとおり、日本側におきましても非常にきびしい、いわゆる無病地区というものを、主たる輸出生産県に私たちのほうで補助金を出しまして設けまして、また日本側の国内の植防上の検疫官もしばしば現地を訪れ、またアメリカ側からもときどき検疫官が参りまして、厳重な検疫を実施した上でアメリカに輸出しております。これは私、植防の担当責任者ではありませんが、国際的にやはりミカンとかその他のくだものの輸出につきましてもきびしい検疫を設けて、相互になるべく無病のものを輸出するように努力しているのではなかろうか。したがいまして、アメリカのほうでもこういうかんきつ類については相当な検疫は十分やっておられると思いますし、また逆に、日本が現在、たとえばリンゴ等については、病気があることを一つの理由といたしまして、検疫上アメリカ筋からはリンゴ等の輸入はいたしておらないということで、やはり相互にきびしい検疫というものが、自由化いたしましてもなお今後とも続くのではなかろうか、こういうように思っております。
○小林(政)委員 そういうきびしい条件がつけられているということで、一つには輸出がいろいろとむずかしい、伸びない理由にもなっているんじゃないだろうか、私はこういうふうにも考えます。特に、このような状態の中で、いま需要をはるかに上回るミカンが出回っているわけですけれども、こういったような中で、先ほどもお話ございましたが、なぜ今回、日米間の話し合いや閣僚会議の決定によって、四十六年の十二月までに自由化を実施するという——話し合いによってきまったことだとはいうけれども、このような中で、私は、少なくとも日本のかんきつ類、特に温州ミカンを保護していくことは非常に重要なことじゃないだろうかというふうに考えますし、まして、季節関税というような取り扱いで今回やっておるわけでございますけれども、グレープフルーツは御承知のとおり冷蔵すればいつでも季節に関係なく出荷をすることができるような状況にもなっているわけですし、このことによってミカン業者、ひいては日本全体のかんきつ類等にとって大きな打撃を受けることは各委員も指摘されておりますけれども、私もその点はもう明らかだろうというふうに思います。こういう立場の中で、なぜ今回急いで実施をしなければならなかったのか。その点について、閣僚会議の決定というこどだけではなくて、具体的に、国民が納得のできるような御答弁をいただきたいと思います。
○荒勝政府委員 このグレープフルーツの自由化に伴いまして、自由化と同時に関税率の季節税を設けるということで、今回当委員会に審議をお願いしているかっこうになっておりますが、われわれといたしましては国産のかんきつ類全体の出回る時期を考慮しながら、十二月から翌年五月までの六カ月間を季節関税として四〇%を課する。これらの季節関税でおおむね国産のかんきつの出回る時期、約九割が出回り時期に相当するということで、われわれといたしましては国産のかんきつ類に対してある程度の保護ができるのではなかろうか、こういうふうに思っております。 それから第二点の御質問の、十二月とあるのをなぜ四月にしたか、具体的な答弁をしろというお説でございますが、これは当初アメリカに対しましては十二月ということで一応の話をしておりますが、純粋な国内事情で、いわゆる経済事情その他のいろいろな事情で、四十六年十二月とあるのを、ほかの輸入自由化予定品目も全部一括四十六年四月中に自由化するという政府の一つの方針に従ったまででありまして、グレープフルーツだけを特に十二月を四月に繰り上げたというわけではないのであります。 なお現在の段階におきまして、四月に直ちに実施するかどうかにつきましては、あらためて政府の方針といたしまして一応確認の上、四月に自由化するかどうかについては現在慎重に検討しておるということでございます。
○小林(政)委員 私は今回のグレープフルーツの問題、そしてまたなおかつ日米間で、アメリカの余剰農産物等は日本が大きな市場になってきている。しかも自由化というような問題についても、このような立場から非常に強くアメリカから要請をされてきている、こういう中で行なわれているというふうに聞いておりますけれども、日本のミカンがいま危機に瀕しているといっても言い過ぎではない。こういう状況の中で、アメリカの一方的なこのような要請の中で、すべての食糧やあるいは原料、農産物、こういったものも含めて日本がアメリカの市場になっていく、こういうあり方といいますか行き方については、やはり十分考え、反省もしていかなければならないのではないだろうか。この点を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○荒勝政府委員 ただいま答弁いたしました中に、温州ミカンの輸出の量を申し上げましたが、あれは全体の量でございまして、アメリカだけに限定いたしますと、四十二年に五十三トン、四十三年に六百七十七トン、四十四年に六百九十三トン、こういうふうになっておりますので、訂正さしていただきたいと思います。
○毛利委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五十八分休憩 ————◇————— 午後三時九分開議
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。木野君。
○木野委員 私は、関税定率法の一部を改正する法律案につきまして、そのうち特恵関税に関する事項につきまして、福田大蔵大臣の御意見を聞きたいと思うのであります。 この特恵関税の問題は、一九六四年に第一回の国連貿易開発会議におきまて、南北問題解決の一つの方策として取り上げられたものでありますか、いよいよ実施の段階に入ってまいりました。この特恵関税の問題といいますのは、代償なしに関税を一方的に引き下げるということでありまして、関税政策としましては、私は異例なものであると思うのであります。この問題につきましてはまた南北問題の解決という大きな問題かありますので、広い視野から検討しなければならぬ問題である、このことも感ずるのでございます。それとともに、特恵関税が施行になりました場合には、国内産業に与えますところの影響がきわめて大きなものがある。ことにそれが中小企業に対して深刻な打撃を与えるというのであります。私は、各国見てまいりますと、どこの国におきましても、この南北問題の解消という大きな問題と、もう一つは国内産業に摩擦なしにやっていこうというこの二つの命題、これをどのように調和するかということで努力をしていると思うのであります。 ことにそういった点から見てまいりますと、わが国の場合を具体的に考えてまいりますと、大臣も御承知のとおり、わが国の輸出のうちの繊維、雑貨といったものの占める割合が三〇%である。アメリカでは一二%、西ドイツは一五%、そういった数字を見てまいりますと、非常にわが国の経済が重工業化しておるといいましても、ほかの国に比べますといまだ軽工業に重点を置いた域にあるわけであります。そうしてまた、この軽工業品の輸出先を見てまいりますとアメリカが多いということもいわれると思います。そうして、アメリカの市場に対しまして東南アジアの開発途上国の輸出先が競合するわけでありまして、ただいま申しました日本の国の経済構造からいいましても、また輸出先からいってみましても、ほかの国以上に関係が深いものがある、影響の大きいものがある、こういうふうに思うのであります。しかも、わが国内の産業を見てまいりますと、中小企業が非常に多い。後ほどまた申しますが、九人以下の従業員をかかえておるところの中小の企業が非常に多いということでありますので、あれやこれや考えてみまして、非常に国内的な影響、深刻な打撃を与えるんじゃないかと思うのであります。この二つをどのようにマッチさせていくか、ここを政府としましても十分にお考え願いたい、このことを思うのでございます。 それで、そういった意味から見てまいりまして、ただいままでの審議を通じまして、たとえば特恵関税につきまして、一般品目のほかに例外品目を設ける、またSP品目を設けるというふうに税率の調整をはかっておるということも出ております。また、農産物につきまして特別の課税を考えておるということも出ております。また、エスケープの条項も載っております。さらにまた、緊急関税の制度、これも考えておるということが条文に出ております。そういった条文を考えるということで、政府としましても実情に即してやっていこうということはお考えなのでございますが、しかしながら、これの運用につきましてさらに考えていただかなければいかぬ点があるんじゃなかろうかと思うわけであります。要するに、この特恵関税につきましては、開発途上国の援助といった大きな国際経済的な問題と、国内経済の摩擦をなくするという問題この二つがあるわけでありまして、実情に即して弾力的に運営していくということ、そうしてその必要性は外国以上に強いと思うのであります。 そういった点につきまして、大蔵大臣が特恵間税に対してどういうように考えておられるか、またどういうように運営していこうとしておられるか、まずもってお聞きしたいのであります。
○福田国務大臣 特恵が与える影響、特に中小企業、これに対する影響につきましては、あなたと同じような認識を持っております。つまり、わが国は何といっても中小企業の国であるといってもいいくらいな国柄でございますので、中小企業に対する影響は諸外国の比ではない、こういう認識を持つべきである、かように考えます。ただ南北問題これにわが国として留意せざるを得ないわけで、問題は御指摘のとおり、その調整をいかにするかという問題だろうかと思います。これはすでに御説明してあるわけなんですが、この特恵関税のやり方自体の中にもそういう配慮がありまして、中小企業に対する影響、最悪の事態におきましてはこの特恵関税を取りやめるというところまで考えておるわけなんであります。しかしそういう事態は好ましくない。そこでそういうところまでいかないで何とかしなければならぬ こういうのが私ども政府の考え方になるわけであります。 そこで中小企業特恵対策臨時措置法というものを策定いたしました。いま御審議を願っておるこの法律案でございますが、この法律案の成立を見た上は、これにのっとって最善の策を尽くしてまいりたい。つまり、資金上においてしかり、また税制上においてしかり、またその他各般の面において中小企業の受ける影響というものを緩和してまいらなければならぬ、かように考えておるのであります。万遺憾なきを期してまいる、かような考えでございます。
○木野委員 ただいま大臣から、日本の国の産業構造を見てまいりまして、やはり中小企業の果たす役割りが非常に大きい、中小企業の国だともいえるという話がありました。そうしてこれが円滑にいけるように十分配意するという話がございましたが、そのためにはどうか実情をしっかりと認識していただいて、そうして適時適切な手を打っていただきたい、このことを思うのであります。 そうして南北問題の解決、開発途上国に対する援助ということについては、私も広い視野から見ていく考えでございますが、しかしながら実情をよく見ていただいて、そうして措置願いたいと思うのであります。そういった意味からいってまいりますと、開発途上国のうちで競争力の非常に強いものがあるわけです。日本と比べて相対的に強いというのではなくして、わが国以上に強いというふうな場合もあるわけであります。そういった場合には特恵関税を与えることがどうであろうか、考えざるを得ない点があるわけでございます。 そういったものはたくさんございますが、たとえば繊維についてお話し申し上げたいと思うのであります。東南アジア各国すべてそうでございますが、韓国につきまして申しますと、一九六七年に韓国からわが国に入ってまいりました繊維が五十一億円という統計が出ております。それが一九七〇年には百九十二億円となっておるのであります。倍率で申しますと三・七倍になっておる。韓国から日本に繊維製品がそれだけたくさん入ってきているわけであります。そうしてまた日本だけに入ってくるのではなくして、おそらくアメリカにも行っておると思うのでありますが、アメリカにおきますところのわが国のシェフを見てまいりますと、自主規制その他があったかと思いますが、一九六六年では三三%だった。それが一九六九年には二九%になっておる。この数字から申しますと、韓国の繊維製品は競争力が非常に強くて、わが国にもどんどん入ってくる。またさらにアメリカにもどんどん出ておるということではなかろうかと思うのであります。台湾につきましても同じことが言えると思うのでありますが、そういった競争力の強い国ないし競争力の強い物品、こういったものにつきましては、ことに弾力的に運営していく必要がある、このように思うのでありますが、それにつきまして大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
○福田国務大臣 貿易の大勢論といたしまして、わが国は重化学工業、これにだんだんと重点が置かれるような状況になりつつあります。軽工業品は、南北問題というような立場から申しましても、開発途上国がそれを分担するというような傾向を持つだろうと思うのです。ただ、そういう傾向が進む過程において、わが国の産業に大きなショックが与えられてはならない、こういうふうに考える。それが私は妥当な考え方ではあるまいか。軽工業品は、これは開発途上国でなじみやすい産業でありますが、それのわが国に対する輸出に対しまして、極端な防衛対策をとるというようなことでありますると、これはやはり南北問題という広い視野から見まして、わが国の立場としていかがなものであろうか、こういうふうに思います。ただ問題は、そのショックをどういうふうに緩和するか。そこで絹関係につきましては特にそういう関係が目立ちますので、これを特恵関税から除外するというふうにいたしましたが、その他のものにつきましては特恵対象として関税の減免を行なう、こういうふうにいたしておるわけであります。また同時に、地域的に問題があるところがあるわけでありまして、たとえば香港がいま特恵の対象になるかならないか、こういうふうな問題がありますが、香港、これは繊維がかなり優勢な地域でございますが、そういう点をどんなふうに考えるか、そういう問題があります。まあ要は、私はあんまりかたくなな考え方をとってはいかぬ。開発途上国の産業の育成というようなことにも思いをいたさなければならぬと同時に、わが国においてそういう国々からの輸入が急激にふえるということに対しましては、これは考えなければなりませんが、同時にわが国の産業の体質ですね、ことにいま繊維産業はちょっと過剰設備の状態にありますとか、あるいは設備が陳腐化したとかいう特殊な問題をかかえております。そういう問題に取り組みまして、特恵の影響が過当に深刻に響くという状態に対しまして備えるところがなければならぬ。そういうふうに考えまして、それらの対策に遺憾なからしめたい、かように考え、四十六年度の予算なんかでもかなりそういう面に配慮をいたしておる。また資金の面におきましても特恵ワクというようなものを設けまして、そうして資金融資の面からもさような考え方を進めていく、こういう対策をとっているわけであります。
○木野委員 特恵関税は、初めに申しましたとおり、国際経済的な問題それともう一つは国内的な問題と、二つあるわけでありますが、大臣は初めの問題についてはかたくなな態度はいけないということで話がございました。私は特にあとの問題につきましては、あたたかい気持ちでひとつ御処置願いたいと思うわけであります。 ただいま香港の話が出ましたが、八条の二の二項で、地域を限り、品目を指定して、そうして特恵関税を供与することができるという条文がございます。この特恵関税の問題は、第一回のUNCTADの会議におきまして、加盟国に対して与えるということがあるわけであります。八条の二の二項で地域についてもできるとなっております。そこで加盟国の場合と八条の二の二項の場合と、条文によりますと、地域を限り、品目を指定してできるとありますから、私はこの二項の場合のほうは——項の場合でございますと、会議その他の合意がありますから一応縛られますが、二項の場合は品目に限るのでありますから、さらに幅広い運営ができるのではないか、こういうふうにも思うわけでありますが、その点につきましてどうでございましょうか。
○福田国務大臣 それはそのとおりであります。たとえば、いまお話しの香港のごときは、英国の一部である、こういう地域でございますから、その一部である香港を指定いたしまして、そして指定した品目につきまして特恵を与える、こういう他の特恵供与国とは違った処遇ができる、そういう仕組みになっております。
○木野委員 香港で繊維製品について私見てまいりましたところ、この国も実は非常に競争力の強いところでありまして、一九六七年には九億九千万円というものがわが国に対して入ってきたのでありますが、一九七〇年には八十三億円と、八・五倍にのぼっているというような状態であります。私は、さきにNCTAD諸国につきまして申し上げましたが、実情に即して運営してくれと申しましたが、こういった競争力の強いところの場合、こういった場合には実情に即するように運営していただきたい。したがいまして、繊維についてもそうでありますが、雑貨、そういったものについても同じことが言えると思うのであります。こういった競争力の強い繊維とか雑貨、そういったもの、これにつきましては特別に考えていくべきじゃないか。ことに八条の二の二項によりまして品目を指定することができるのでありますから、こういったものは除外品目とすべきではないかと思うのですが、それに対して大臣の考え方を伺いたいと思います。
○福田国務大臣 香港のような地域につきましてはお話しのとおり品目指定をいたしまして、わが国に対する影響、こういうものを緩和する、こういう考え方で進みたい。かりに香港が特恵地域として指定されるにいたしましても、そのようなふうにいたしたい、かように考えております。
○木野委員 特恵関税の制度につきましては以上にいたしまして、次に国内産業に与える影響、こういった点から二、三お伺いいたしたいと思います。 先ほど申しましたとおり、特恵の実施によりまして国内産業が非常に影響を受ける、その点は他の諸外国と違いまして、日本においては特にしかりだと思うのであります。しかも、そういった打撃を受けるのはどういった業種かといいますと、繊維製品、軽工業品であります。しかもその実態は中小企業が非常に多くて、織物に例をとってみますと全部で五万七千軒ありますが、従業員九人以下というのが八六%、メリヤスにつきましては一万四千軒ありますが、七二%が九人以下だという状態であります。そういった中小企業に非常に影響を受けるわけでありますから、それにつきまして、最初に大臣言われましたが、金融面、税制面その他の面から特設の御配意をお願いいたしたい、私はこういうように思うのでございます。政府の各部局におきましても、このことはたいへんだということは十分に感じておられまして、お考え願っておると思うのでありますが、一線におきますところの実情は、そういった非常に中小零細企業でありますので、さらに思いをいたしていただきまして、十分な配意をお願いいたしたい、こう思うわけであります。 それで、この点につきましては、これまた大臣が初めに言われましたが、中小企業特恵対策措置法というところで救済の措置を講じておられるのは私も見ておりますが、何と申しましても裏づけになるのが財政的な措置であります。資金の裏づけであります。大蔵大臣はこの資金の裏づげという点につきまして一番の当面でございます。先般の本会議におきまして、福田大蔵大臣は金が渋いのじゃないかというお話がありましたときに、金は渋い、国全体の財政を預かる者として金は渋いが、しかしながな必要なところはどんどん出しておる、そういったところでは決して渋くないんだというお話がございましたが、私は、こういった部門につきましてはどうかひとつ思い切った金を出していただきたい、そしてショックができるだけ軽く済んでこの問題を乗り切るようにいたしたい、このことをお願いする次第でありますが、大蔵大臣といたしまして、国内産業、ことに中小企業に対するそういった問題についての考え方をお伺いしたいのであります。
○福田国務大臣 そこで具体的な中小企業特恵対策といたしましては、中小企業特恵対策臨時措置法というものを本国会に提案をいたしておるわけなんです。そこでまず資金の問題その確保をはかること、それからなお企業は中小企業でありますので、信用保険の特例を設ける必要があるというふうに考えまして、付保限度額を別ワクとして設定する、てん補率を百分の八十とする、保険料を通常の三分の二とする、そういうような特例を行なう。さらに、課税の面におきましても特例を設けまして、特恵の関係で廃棄、譲渡というようなことが行なわれる企業にありましては、減価償却、資産の償却につきまして特別に措置を講ずる、こういうようなことをいたしますとか、その他、これは金や税には関係ないかもしれませんけれども、あるいは転換する人のための職業の訓練を実施いたしますとか、できる限り国としては助成をしていきたい、かように考えておるのであります。特恵というものは、世界体制上、世界の中の日本という立場でやむを得ないことでありますけれども、その与える衝撃が中小企業者にしわ寄せされることがないように最善の努力をしてまいりたい、かように思います。
○木野委員 大臣に二つばかりお伺いいたしたいのであります。 ただいまの御方針でやっていくということで、中小企業もその点は力強い激励を受けたと思うのでありますが、特恵関税の実施によりまして被害を受け、苦況におちいったという産業につきましては、特定事業ということでこれを救済するわけであります。ただいま言われました措置が講ぜられるわけでありますが、それでは、特恵関税で困った、だからなるんだというのではないのであります。繊維製品が困っておる、中小企業の雑貨等が困っておる、それじゃ当然なるのかというと、そうじゃなくして、そういったうちで政令で定める事業、そこで初めて、ただいま大臣の言われましたような点が動くわけであります。いよいよ台風が近づいてきて、近く実施になるということで現在業界では非常に心配し、かつ相談しておるのでありますが、政令で定める特定事業の認定、これを早くしてやらないと困るのじゃないか。倒れてしまってから特定事業に指定いたしました、金を出しますといっても、これはもう手おくれということになるわけであります。そこで機を逸せずやるように、拳闘でいえばドクターストップをかけるのでありますが、ふらふらになって倒れてからかげてはもうおそいのであります。これはこうだというその辺のところが非常に大事だと思うのであります。大蔵大臣のことでありますから、その辺のところは間髪を入れずに間に合うようにやられると思うのでありますが、非常にかたくいいまして、半分以上ほんとうに倒れなければだめだというようなことで運用になりますと、私はせっかくの措置が生きてこないと思うのであります。この特定事業の認定につきましては、少し前広にやっていくぐらいの姿勢で臨んでいっていただきたいと思うのであります。臨時措置法の三条の認定、これにつきましての大臣の考え方をお聞きいたしたいと思います。
○福田国務大臣 臨時措置法の業種の認定、それに関連する認定のタイミングにつきましては、関係各省、これがまず第一次的に目を光らせなければならぬ問題なんです。これらの関係各省においては、特に中小企業を預かる通産省におきましては留意をしておると思いますが、十分連絡を密にいたしまして、機を失することがないように善処いたします。
○木野委員 この認定の問題は、ただいま大臣からお答えのとおり、品物によりまして通産省あるいは農林省ということであろうかと思います。しかしながら、「政令で定める。」となっておりますし、全体を通じましても大蔵大臣の関係でもあると思いますので、十分にお願いいたしたいと思うのであります。 それとともにもう一つは、特恵関税につきまして国内的な措置も十分にとったということでありますが、これは今後流動化するし、そしてさらに深刻な場面もあるのではないかと私は思うわけであります。これで十分だというのでなくして、場合によってはさらにまた援助措置をふやすというふうなことも考えていただきたい、こう思うのであります。 そしてまた、業界全般で見てまいりまして、今度の措置法は産業構造を高度化するという意味で、転業という面でとらえておるわけであります。しかしながら、実は中には廃業のやむなきに至るものもあるのじゃなかろうかと思います。そういった場合でも、民間の中小企業におきましては力を合わせて協業化をはかり、近代化をはかり、合理化をはかってがんばっていこうという機運にあると思うのであります。さらにまた、昔からの代々の家業というのもありましょうし、またその地域ではそれだけが産業だというのもありましょう。そういった意味で、中小企業の連中はそれなりに力を合わせてがんばっておるというのが現状でありますから、どうかひとつ大臣におかれましては、今後の特恵関税実施の事態、これを十分に見ていただいて適時適切に手を打ち、そしてまた民間のそういったような動き、これに対しては、よしわかった、応ずる、そういった気持ちでいっていただきたい。このことを強く念願いたしておるものでございます。
○福田国務大臣 特恵関税は、それ自体としてもわが国の中小企業にはかなり影響があるのでありますが、万一これが乱用されるというようなこと、つまり第三国の巨大な資本が低開発国へ出向いていって、そこで企業を興す、その品物がわが日本に押し寄せてくる、こういうようなことになるとか、あるいは場合によると、わが国の資本がこの特恵関税を乱用して海外に出ていって、そしてわが国にわが国の資本のまた逆輸出が行なわれるというようなこともあろうかと思うのです。そういうようなことになるとこれは影響するところは甚大であろう、こういうふうに思うのです。ですから、そういう弊害のないようにこれからの推移を見なければなりませんけれども、それはそれといたしまして、この特恵が与える中小企業への影響というものは、これはもう常に注目しなければならぬと思います。そして関税制度自体の中にもそういう悪影響に対する防遏の仕組みがあります。これをまず発動しなければならぬ。同時に、わが国国内自体の問題として産業体制、そういう一部門としてわが国の産業の強化、これを考えなければならぬ。あらゆる面にわたりましてこの特恵の面につきましては慎重を期してまいりたい、かように考えます。
○木野委員 特恵関税の問題は、さっき申しました非常に大きな問題であり、かつ刻々変わっていく問題であるわけであります。繰り返し申し上げますが、国内の産業に対する影響も大きいわけでありますから、どうかひとつ実情に即するように、そうして繰り返し申しますが、思い切った手を場合によっては打つということでお考え願いたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
○毛利委員長 広瀬君。
○広瀬(秀)委員 午前中関連質問で若干大臣にお伺いしたわけでありますが、ケネディラウンドにおける対中国あるいは北朝鮮、北ベトナム、こういうような国々に対する差別がまだ二十三品目残っている。ここ数年の間にかなり格差解消に努力されたことは認めながらも、今日なお依然として二十三品目残っている、こういうことについては私ども非常に遺憾なのであります。と申しますることも、これはすぐ隣に、社会主義国であり、政治体制において異なる国といえども、約八億に近い人口を持つ大国が存在している。そういうことで、これから日本が真に平和の中で、同時にまた世界的な平和を達成しながら経済発展をなし遂げていくというためには、どうしてもこの日中関係の政治的な友好と経済的な交流の増大、こういうことは当然の問題だと私ども考えるわけであります。しかも昨年には、中国を国連に加入をさしていこうというアルバニア決議案が過半数をこえるというような事態になり、その後中国を承認する国もどんどん出てきておることは御承知のとおりであります。中国自体も、文化大革命後、第四次五カ年計画を設定して新しい経済の発展段階に入っているというようなことで、非常にヨーロッパ諸国との経済交流というものに熱意を示しておるし、また西欧諸国、EEC諸国等も非常に積極的に国交の回復あるいはまた経済の交流というものにきわめて熱心になっている、こういう状態であります。しかも、それについて一体こういうような差別を日本がしているということは、そういう方向に対する日中関係というものの改善、政治的な面経済的な面における改善につながらない問題だと私ども理解をするわけでありまして、この問題について、先ほども申し上げましたけれども、一つ一つやはり友好の実績を積み上げていく、こういう観点からするならば、当然このケネディラウンドの格差解消ということについては、引き続きこの解消の方向に向かってまず努力をしてもらわなければならない、このように思うわけでありますが、大臣のこの点についての御所見をはっきりひとつ承っておきたいと思うわけであります。
○福田国務大臣 私は前々から申し上げておりますとおり、経済関係につきましては中国との関係をゆがめるような行き方はよろしくない、こういうふうに考えているのです。今度の藤山さんあるいは岡崎さんが向こうへ行って政治交渉なりあるいは貿易交渉なりをされる、そういう際に、たとえば中国が特恵関税の適用を受けたいというような意向が表示されるならば、前向きで取り組むという姿勢でお答えしてください。また決済問題につきましても、これはわが国とすれば円決済、実際はそこまでなんです。しかし、中国側が円・元決済だというならば、何もそれにしつこくこだわる、円・元決済にこだわるという態度をとらぬでもよろしゅうございますよという意向を表明したくらいなんです。ケネディラウンドにつきましても、逐次他国との格差を解消してまいりまして、いま日中間の貿易の九三%までは平等化されてきておるわけであります。そういうような状態でございますので、もういわゆる中国側の関心品目にして格差の残っておるというものは数品目というふうに聞いておる状態でございますが、関税率審議会なんかの御審議も経なければならぬ、こういうようなことから、ことしの改正につきましてはただいま御審議を願っておりまするけれども、また毎年これは洗い直しをいたす、来年度におきましても洗い直しをいたしまして、なるべく早い機会にこの格差が解消できるように努力してみたい、かように考えます。
○広瀬(秀)委員 いま来年度にもというお答えがありました。来年度にも、洗い直した結果何品目かは差別を撤廃してもよろしいだろう、こう思われるような品目が出てきたならば、来年度にも本年度に続いてやっていく、こういうかまえでございますね。
○福田国務大臣 さような考えであります。
○広瀬(秀)委員 そこで、ちょっとこの際お聞きしたいのですが、関税定率法等の一部改正とは若干ストレートな関係はないわけでありますが、輸銀使用の問題この問題について輸銀法の一部改正、まあ先般ここで論議が行なわれたその際に、日本のこれからの海外援助のあり方、さらに輸銀の使用の問題等について、包括的に大臣の考え方として、堀委員の質問に対して、いわゆる政治体制の異なる国、社会主義国というようなところに対してもとりたてた差別というものはしていかないのだ、こういうお返事があったわけでありますが、このことは御確認してよろしゅうございますね。
○福田国務大臣 よろしゅうございます。
○広瀬(秀)委員 そこで具体的に今度はお尋ねしますが、輸銀使用の問題について、今日まで総研も大蔵大臣もいわゆるケース・バイ・ケースだということで、ほとんど対中国の輸銀のいわゆる延べ払い融資、かなり長期の延べ払い融資というようなものは、プラント輸出であるとか重機械の輸出であるとか航空機の輸出であるとか、こういうようなことについて今日まで行なわれたためしがない、みんな申請してもだめになってきた、こういうことなんだけれども、これからはもう具体的に民間ベースにおいてそういう点で商談が成立するならば、積極的に輸銀使用を認めていく、こういうお気持ちと了解してよろしいわけですね。
○福田国務大臣 輸銀の使用は、いずれの国につきましてもケース・バイ・ケースなんです。たとえば社会主義国にありましてもソビエト・ロシア、これなんかに対しましては延べ払い、輸銀使用ということをやっておるわけなんであります。中国との間にはなかなかそういう話が出てこない、その辺に問題があるんだろう、こういうふうに思うわけであります。とにかくケース・バイ・ケース、これは社会主義国であると自由主義国であるとにかかわらず、そういう妥当な輸出延べ払いプロジェクトというものが出てくるかこないか、そういう問題だろうと思います。
○広瀬(秀)委員 もうすでに中国におきましては、かなり最近になってイギリス方面あるいは西ドイツ等に対して経済使節団を送って、航空機の輸入の計画であるとか、あるいはまた化学産業のプラント輸入であるとかいうようなことなどを、イタリアとの間あるいは西ドイツとの間、イギリスとの間、こういうようなところと盛んに活発に折衝、交渉に入っているというのでありますが、そういう場合において、日本がいままでと同じようにただケース・バイ・ケース、これはどこの国とやる場合でもはっきりいえばそういうことなんだということで、今日日本の情勢は、もう輸銀使用は大体政府が認めない。ケース・バイ・ケースと口では言っておるけれども、これは単なるリップサービスであって、もうだめなんだ、日本の経済界自体にもそういうものが定着しているんじゃないか。こういうようなものをほぐすためにも、やはり輸銀使用を、ケース・バイ・ケースであろうと、向こうのプロジェクトがしっかりしているものだというような場合ならば、もう積極的に許していくんだ、こういうような何らかの一つの転機を国会答弁なり何なりを通じてやはり明らかにしないと、いままでとちっとも変わらない。ちっとも変わらないということは、要するにやらないんだということなんですね。だから、この辺のところをいままでと違って、日本の経済人も向こうとの間に、そういう輸銀延べ払いというようなものを十分踏まえた上で折衝ができるような気持ちにさせていくようなやはり転機をつくらなければいかぬだろう、そういうように私ども思うわけですが、大臣はその点について、ただリップサービスでケース・バイ・ケース、これはもう同じなんだ、決してサービスをしないんだということだけであって、日本の財界人はいままで行なっていなかった。行なってもいつもげ飛ばされてきたという実績等について、そういう考えというものはもう定着しちゃっているんだ、それを打ち破ってやはり積極的に、バスに乗りおくれるというようなことばは悪いんですけれども、お互いに隣国同士で経済協力、援助、こういうようなものもやっていくというような立場に立つならば、やはり何らか一つの転機というものをつくらなければならないところに今日来ているんじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 輸銀は、自由主義諸国との間でも決してこれは無制限じゃないのです。これは妥当なプロジェクトであって、そして日本の政府資金を使用してもいいんだというものについてのみ使用されるという状態でありますので、ケース・バイ・ケースが決して対中共の間だけの問題である、こういうわけじゃないのですが、とにかく中国という国は政治形態が非常に違っておる。それから、いままでも交流が非常に少ない、そういうようなことで、ケース・バイ・ケースのそのケースに当てはまる機会というものがなかった、これが実情じゃないかと思います。そういうようなことで、ケース・バイ・ケースという輸銀資金の運用に関する基本方針、これは変わることはないわけでございますが、問題は、そのケース・バイ・ケースのそのケースに妥当する日中間の貿易、そういうケースが出てくるかこないか、こういう問題だろうと思います。
○広瀬(秀)委員 大臣、まだ私の意図をよくわかってもらえないのですが、これを繰り返して言いますと時間もありませんので、ケース・バイ・ケースということだげじゃなしに、もう少し踏み出した積極的な姿勢というものをひとつこれから具体的に示してもらうように、これは強く要求をいたしておきたいと思います。
○堀委員 一点だけ関連して。いまのお話を聞いておると、こちらでこのごろ話が出ないわけですが、もし日本でやりたいという話が出たときはケース・バイ・ケースのケースが出るわけですから、そのときにはどうなるのでしょうか。
○福田国務大臣 そのことを言っているのです。そのときに妥当なプロジェクトというか、妥当なケースに該当するかどうかという判断だと思う、そういうことを申し上げているわけであります。
○堀委員 その妥当だという表現が非常に抽象的でございますから、この際、妥当なほうを言っていただいてもいいし、妥当でないのはどういうものかということ、ちょっとそこの感触を伺わないと、非常に抽象的な話ではこの問題か一向前へ進まないと思いますので、妥当でないものはこういうものだと言っていただいてもいいし、妥当なものはたとえばこんなものだということを言っていただいてもいいのですが、そのプロジェクトに対するお考えをちょっとお伺いします。
○福田国務大臣 そのケースの与えるいろいろな他への関連でありますとかあるいはそのケース自体の償還の可能性でありますとか、いろいろの問題があろうかと思いますが、そういうものを総合勘案いたしまして、これは妥当なケースであるというならば輸銀を使用しても差しつかえないんじゃないかということでございます。つまり、妥当なケースであるかないかということ、それが問題である、こういうことを申し上げているわけでございます。
○堀委員 確かに、それがたとえば軍事用に使われるおそれのあるものとか、そういうことになればこれはまた別だと思いますが、純粋に、たとえば繊維の、この前ちょうど問題になりました、日防プラントが問題になったというところがこの問題の発端でございますから、そういうような純民生的な機械、それは何もそういう織物、繊維に関係しているだけではございませんか、純民生的なものであって、そうして中国国民の生活の用に役立つことである、あまり軍事目的その他に直接関係がない、さらに、いまお話しの支払い条件なりその他の問題も、これはおそらく西ドイツその他各国がいまやっておるわけでありますから、そういう各国の通例の支払い条件、本来日本が初めてやるわけではございませんから、いろいろなものがあると思うのでありますが、そういうものに合っておるならば一応そういうものを——これは一応仮定の話でありますが、妥当なものとみなす、こういうことになりましょうか。
○福田国務大臣 そういうものもありますが、通商政策、そういうものも入ってくると思います。いろいろな角度から総合しまして、妥当なケースに該当しますれば支障ないというのがケース・バイ・ケース、こういうことでございます。
○堀委員 けっこうです。
○広瀬(秀)委員 次に、復帰後の沖繩の関税の問題なんですが、けさほど堀委員からも質問があり、昨日も実は質問をしたのですが、これは一体どうなるのか。沖繩は、来年の七月ごろとかあるいは四月とか、日にちは確定しないにしても、いずれにしても返ってくる。その場合に、今日のところ沖繩には関税はない。輸入された物品は、琉球政府が独自な立場で五%程度の物品税をかけている、こういう状況なんですね。これが復帰と同時に日本の関税法が当然、対なんですから、そういう立場では全部日本の関税定率が適用されていくということになりますと、これが物価の問題、生活の問題にきわめて甚大な影響があるだろうということは当然予想されるわけですね。形式的に考えれば、一つの国で二つの関税を持つということはおかしな話だけれども、そういう生活の激変緩和というような立場において、関税面における何らかの便法の措置というものを考えることはないのかどうか。 それと同時に、それとうらはらの関係があるのではないかとわれわれ考えるのが、いわゆる山中総務長官がよく言っておりますコザあたりを中心としたいわゆるフリーゾーン構想というようなもので、ここは一切の関税を免除する、そういうようなことになる。そうしますと、今度はコザから、沖繩のそれぞれ本島その他の諸島に物品が出ていくときには、あらためてまた関税がかかるというようなことになったら妙なかっこうにもなる。こういうような点について、沖繩復帰後における関税政策、それから自由地域、フリーゾーン構想というようなものについてどういう関係があるのか。そしてまた、大蔵大臣としてはそのフリーゾーン構想というものに対してどういうお考えをとっておられるのか、この際御見解を明らかにしていただきたいと思います。
○福田国務大臣 沖繩の関税問題につきましては、これはまず日本本土と同じ関税領域になる。そういう場合におきまして沖繩に対してどういう影響があるか、こういう問題だろうと思います。そこでその影響というものは、ただ関税の率が上がった下がったというだけの、ことにある特定の品目について関税率が上がった下がったというところだけ論ずべきじゃないと思うのです。広く沖繩の経済状態が一体どうなるか、あるいは所得の状態が一体どうなるだろうか、そういう総合的な面、それからもう少し範囲を狭めまして関税の領域だけに問題を移すにいたしましても、関税率が上がるものもあれば下がるものもある。そういうものを総合して考えなければならぬ。ただ牛肉の関税が二〇%上がりました。そこで牛肉けについて論議をするというのは、これは少し視野が狭いのではないか、そういうふうに思います。あらゆる物品についてどういうふうな影響があるか、それぞれ全体として県民にどういう生活上の影響があるか、こういうことを関税全体として考える。また同時に、関税ばかりじゃない、消費税の問題もある、いろんな税の問題があります。そういう問題を通じて県民の生活がどういうふうになるか、そういう視野から考えるのが筋だと思います。ですから、肉のことがかよく引き合いに出されまするけれども、それだけの議論じゃこの問題の妥当な結論というものは出てこないのじゃないか。そういうふうに考えまして、総合的にものを考える。そして、その総合的なものの考え方の中において一つ一つの解決策を見い出していく、こういう考え方をとるべきじゃないかと思います。 それからもう一つのフリーゾーンの問題です。これは純粋な香港みたいなフリーゾーン、そういうことは私は考えられないと思います。しかし、いま何か特定の、もう少し狭い意味のフリーゾーンというようなこと、これはおそらく保税地帯を設定するかしないか、こういう問題だろうと思いますが、これもそれだけの必要があるのかないのか、これはなお考えてみる必要があるんじゃないかと思います。なおこれは検討はします。検討はしますが、それだけの利益があるかどうか。積極的な利益がどうもありそうもないような気がしますが、これはなお検討問題とし、もしこれが何かの、ただいま申し上げましたような総合的な観察の中の一つの問題として取り上げ得る、こういう問題でありますればこれは取り上げてよろしい、そういうふうに考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 関税局長に。沖繩は、現在は関税はほとんど無税である、こういうようにわれわれ承知しているのですが、どういうぐあいになっておりますか。大ざっぱでけっこうですから。
○谷川政府委員 沖繩の関税につきましては、関税といわゆる日本の内国消費税とが判然と分かれておりません。私ども、関税としての機能を果たしているんだなと考えているものを見ますと、輸入品にだけ課税されているもの、これには物品税、砂糖消費税、酒類消費税、葉たばこ輸入税がございます。それから輸入品に重課されているもの、嗜好飲料税など、これが関税的な機能を果たしているものだろうと思いますが、必ずしもゼロとは限りません。低いことは低いんですけれども、ゼロとは限りません。それから大臣もただいまお話しになりましたように、対本土関税というものがありまして、日本本土から、みそ、しょうゆとかお菓子とかビールとか、安いですから、日本のやつが入ってくると困るというので遮断しているものがあります。これは撤廃いたしませんと下がりません。そういうことであります。
○広瀬(秀)委員 関税の問題も、無税あるいは非常に低い税率というような関税、類似の消費税、国内消費税というようなもの、ところがやはり相対的にいえば、日本の関税が適用されるという場合に、非常にこれは税体系全般を通じての問題にはなりまするけれども、やはりそういう面での何らかの配慮というものも必要なのではないかということを私ども考えるわけで、これは十分全体的な生活激変というようなことにならないように、一般的な要望だけきょうは申し上げておきたいと思うわけです。 大体以上で、関税定率法等の関係の質問はこれで終わります。
○毛利委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○毛利委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 各案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしております。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 所得税、法人税法関係の質問をいたしますが、まず最初に、減税規模の問題なんですが、過般の長期答申の一段落ということでことしは減税規模が非常に少ないわけであります。数字を申し上げますと、自然増収がことしは一兆四千九百六十五億円見積もられております。これに対して所得税の減税が千六百六十六億ばかりである。こういうことになっておりますが、総体的な減税率が九・三%、所得税だけについていえば一一・一%、こういうことでありますが、全体的な減税規模で四十五年は一二・八%、四十四年が一二・六%、四十三年は特段に低かったわけですが五・八%、四十二年が一〇・九%、自然増収に対する減税比率というのがそういう状況にあるわけなんですけれども、ことしはこれが九二二%でしかない。しかも四十五年度で七・四、五%の物価上昇というようなこともある。経済見通しでは四十六年度は五・五%だと言っておりますが、かりに五・五%としても、物価調整減税というものを考慮すると、いわゆる減税が物価に食われてしまう面が七百四十億もあるということになりますと、実際に所得税の減税は、千六百六十六億から七百四十億引きますと九百二十億程度になってしまう。これがかりに四十六年度に四十五年度と同じくらいの物価上昇があると仮定をしたら、これはおそらくは一千億ふいになるだろう。大づかみで一千億くらいはふいになるんじゃないか。というとまきに六百五、六十億くらいの減税でしかないということで、自然増収からいってまことにミニ減税だということが言われるわけでありますが、大蔵大臣は、この減税、特に所得減税が足りない、こういうことについてどうお考えでございます傘
○福田国務大臣 四十五年度におきまして、ともかく長期答申を完全実施する、こういうことになったその直後でありますので、減税の数字とすると小さいことが目立つというような御感触かと思います。しかし、これを四十六年度、四十七年度ぐらいは減税をしないで、たとえば四十八年度にまとめて減税をするというようなことになると、またこれはかなり目立つ減税ができるわけなんでありますが、そういうような考えよりは、経済の事情も変動するのだからじみちではありますけれども、毎年所得税減税というものに取り組んでいったほうがよかろう。これはミニ減税だというふうな御批判を受けることは承知をしておりますけれども、それにもかかわらず毎年毎年減税の努力をしていったほうがほんとうの意味において着実な行き方じゃないか、こういうふうに私は考えまして、今度の減税というものをとり行なうことにいたしたわけです。しかし、ミニ減税ミニ減税といわれますが、とにかく今度の減税は所得税が中心である。しかもその所得税減税の中で給与所得者に対しまして給与所得の控除を三万円も引き上げるということまでいたしたので、決して私はそう一がいに批判ばかり受けるような減税ではないのじゃないか、そういうような私なりの感じを持っておるわけです。東畑会長も、これはたいへんかっこうがいい、こういうことを申しておりましたが、立案者たる私どもといたしましては、精一ぱいのことをいたした、こういう感じでございます。
○広瀬(秀)委員 大臣は高福祉高負担ということについてどうお考えになるか。私どもは、政府のそういう言い方に対して、高福祉のほうはなかなか実現せぬで、高負担だけが進むのではないかということを主張するわけなんです。高福祉高負担の方向というものは、ほんとうに国民がなるほど高福祉時代に入ったと、いろいろな意味で実感として受けるような施策がどんどん進んで、国民の目の前に、生活の中にそういうものが入ってくるということが実感として受けとめられる場合には、私は高負担ということを受け入れることもあるだろう、これは気持ちよく受け入れるだろう、こう思うのです。 それともう一つは、高福祉高負担ということを政府が言う際に、われわれは、その前にまず政府がやるべきことが一つあるのだ。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 それはやはり、税負担の公平というものをもっと推し進めた段階においてこのことは妥当する、国民に受け入れられやすいことばになるんだ。そういう意味で今日の税負担の公平という角度から言うならば、高福祉高負担ということをまだ言うべき段階ではない。もっと税における公平を実現していかなければならない、こういうように考えるのですが、今日の税制というものが完全に公平であると大臣は言い切れる自信がございますか、まずその点をひとつお伺いしたい。
○福田国務大臣 まず、高福祉高負担でございますが、これは非常にまぎらわしい言い方であると思うのです。政治の目標として高負担なんというのを掲げるべきものではない、こういうふうに思います。私は政治家として、高福祉社会、これは目ざします。しかし、高負担、これが政策の目標であってはならない、こういうふうに思うのです。しかし、高福祉を実現するためにはどうしても財政手段を要する。私は負担は軽いほうがいいと思いますけれども、しかし、それにもかかわらず高福祉社会を実現するためには金がかかる。 〔山(元)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、やむを得ず国民にも負担を求めなければならぬという意味においてその負担の増加もついてくる、そういう意味において高福祉高負担ということを御理解願いたい、また願ったらいいのじゃあるまいか。決して高福祉高負担社会、これが目標であるべきじゃない、そんなものを目標にしてはならぬ、やはり高福祉社会をこそ願うべきである、こういうふうに考えます。 それから、その高負担という事態を実現する前に税の公平を実現しなければならぬじゃないかというふうなお話でありますが、これは私はそのとおりに思います。現実はどうなっているかというお話でございますが、これは一億国民を相手にいたします税の仕事でございますから、ケース・バイ・ケースですから多少のことがあるわけです。また、それはいわゆる税の調査にもはっきり出てくるわけでございますけれども、税の通脱という ことがありまして頭を痛めておりますが、制度的に見て、私は税の負担の公平というものは確立されておる、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 税の公平ということは、大臣も原則的にはまさに賛成である、こう言われたわけですけれども、この租税特別措置により大企業、大資本にきわめて有利な、これはかつては八割近くは大資本、大企業優遇の税制である、こういわれておったわけでありますが。最近、中小企業やあるいは労働者の住宅建設等に対する税の特別措置というようなことも含めて、幾らかずつ大衆のための租税特別措置というようなものも入ってきておるわけです。しかし、昭和四十六年度は、たしか大蔵省の試算によりますと、この租税特別措置による減税額が国だけで大体四千三百九十四億くらいになっている、昨年は三千八百四十一億であった、こういうように私は数字を記憶しているわけです。確かにある程度勤労大衆あるいは中小企業に恩恵の及ぶ特別措置も入ってはきておるけれども、やはり大企業、大資本に少なくともまだ六割から七割は帰属する恩恵である、こういうことが大づかみに言えるだろうと思うのですね。そういうものが、昨年の三千八百何十億かに対してことしは四千四百億にもなる、こういうことで、そういう数字をあまり大きくしていかないように整理改廃をしていく。政策目的を失いあるいは効果がはっきりしないというようなものを整理改廃して、それに見合う分くらい新しい要請があるならばそういうものをやってもいいという、その範囲にとどめるべきだということは税制調査会からいわれているわけですね、ところがことしは、それにもかかわらずその面で非常に大幅な租税特別措置の減税額が出ている。 こういう点などが一つの例だし、さらに依然としていわゆるキャピタルゲインの非課税というようなことも含めて、資本家、あるいは個人でも非常な資産家であるという人たちにメリットがきわめて大きく帰属するような租税特別措置というものが行なわれておる。こういうようなことで、勤労大衆にはまだまだ、給与所得税におきましても事業所得者の所得税においても、かなり高負担、過重な負担というものがかかっておる。こういう点でそういう問題について、もっとやはり勤労大衆、中小企業を含めて、そういうものの税負担を軽減するということがまず先である。特に高福祉高負担——高負担という場合にはさらに一そう公平の原則というものが、高負担を求める場合にはあくまで公平負担ということが同時にいかないと、これは非常に国民の不満の大きな原因にもなる、こういうことで、今後さらに中小企業あるいはサラリーマン減税、こういうようなものを重点に所得税減税をやっていかれる気持ちが多少はあるだろうと思うのですが、いまも大臣ある程度答えられたのですが、その点についての大臣の率直な見解をお聞かせいただきたい。
○福田国務大臣 広瀬さんは、いまの特別措置を特にとらえまして税制が平等でない、こういうようなお話でございますが、どうも機械的、教字的平等、それがほんとうの意味の平等であるか、こういうことを考えざるを得ないと思うのです。ややり社会的妥当性というものがほんとうの厚みのある平等、こういうことじゃないか、こういうような感じがするわけでございます。 特別措置というものは、特殊の階層に対して恩恵を与える、こういうことをねらっておるわけじゃないので、それ自体がそれ自体の目ざすところの政策目標というものを持ち、それが社会全体を築き上げる基礎になる、そういう観点に立っての特別措置であるわけであります。これは税のほうばかりではない、その辺、広く歳出の面においてもとられているわけです。決して弱いもの、小さいものが、何というか、冷遇されておる税制というふうには考えません。むしろ、そういうふうに特別の配慮をいたしていこう、今日、税制の関係を見ましても、中小企業の税制、これなんか、去るいは所得税法においてもそうであります。また法人税法においてもそうであります。そのように特別の配慮をしておる。あるいは寡婦でありますとか老人でありますとか、そういう方に対しましても特別の配慮をいたしておりますとか、いろいろきめこまかい配慮をいたしておるわけで、そういう数字や機械的な平等というものでなくて、もう少し幅のある、厚みのある平等というか、社会的妥当性というものを考えて初めてほんとうの意味の社会的公平というものが実現されるのではあるまいか、そういうふうに考えておるのです。そういう意味において、今日の税制というものは、私は公平原則というものが貫かれておるというふうに考えております。ただ、小さいもの、弱いものの立場、これはこの上とも尊重しなければならぬ、特別に力を添えなければならぬ、国としての責務である、そういうふうに考えますので、今後ともそういう方面の施策につきましては、国の歳出の面においてももとよりでございますが、同時に、税の面においてもそれを進めていかなければならぬ、こういうのが私の考えであります。
○広瀬(秀)委員 大臣のお考えを伺ったわけですけれども、前々からこの委員会で税法のたびに問題に出されているキャピタルゲイン課税の問題ですね。昨年もこの委員会で問題になったわけであります。某電機の社長が株の上場をして四十二億円のキャピタルゲイン所得があったということなんですが、これが税金が一文もかからぬのだ、こういうようなことなどについても、これはよその国でもかなり、事務的な面での困難はあるにしても、そういうものに対する適正な処理を通じて、そういうものに対して課税をしているというようなことが例としてあるわけですね。そういうものに対して、日本ではこれが全く野放しになっているというようなことに対して、一体大臣は、そういう点でどういうようにお考えになられますか。
○福田国務大臣 去年赤井電機のケースがありましたけれども、ああいうものは、私ども大蔵省として税制のねらいとすべきところではない、こういうふうに考えまして、その是正を実は考えておったのです。四月一日からその是正を発足しようというその直前においてダイエーの問題があって、まことにこれは残念なことに思ったのです。しかし、あれは税法が考えておることじゃないので、むしろああいうことは排撃をしているわけなんです。ただ、処置がおそかったというようなことで、事志とたいへん違った結果になりまして、遺憾に存じておりますが、あの問題の処置、それは四月一日から是正をされる、こういうふうに御了承願いたいのであります。ああいうようなケースが税法のねらっておるところではないけれども、税法にも穴があります。その穴をどういうふうにふさぐか、こういうことにつきましては、今後とも気をつげ、また皆さんからも御注意いただいて誤りなきを期していきたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 そこでダイエーの問題は別といたしまして、将来キャピタルゲイン課税というものを検討して、諸外国の例もあるのですから、日本もこれは絶対にできないというものではないだろうと思うのです。そういうものについて課税をなし得る方向へ検討されるという気持ちがあるのかどうか、そのことだけひとつ聞いておきたいと思います。
○福田国務大臣 キャピタルにつきましては、いろいろ学問上また税理論上議論があります。キャピタルといえども、これは労力の成果、その積み重ねではないが、これを特別に見るのはどうかというような議論もありますが、どうも社会的、客観的に見まして、その年々の勤労の所得、それと、それがかりに積み重ねられたにいたしましても、キャピタルとしての社会的処遇を受けるそういう資金、これとはおのずから違ったものがあるように考えられるのです。ただ、資金というものは、資金、労働、土地、これは経済の三要素だというふうにいわれるくらいに大事な経済を動かすエネルギーです。ですから、これをあまりいじめるということもなかなかむずかしい問題かと思うのです。産業を興し、国を興す一つの大きな力である。そういうようなことに着目をするときに、これをあまりにいじめて、その蓄積なり、資産というものができにくい状態に社会というものをするということ、これについては注意する必要がありまするが、その辺は相対的な問題だと思うのです。これがあまり行き過ぎてもまずい、しかし同時に、これが全然野放しにされておって、社会的な批判を受ける状態もよろしくない。そういうような見地から、四十五年度税制におきましては経過的な時限的な措置がとられたわけでありますが、この時限的な措置が終わるという段階におきましては、そのときの客観的諸情勢をにらみまして、その時点における社会的妥当性のある措置をとる、こういうふうな考え方をいたしておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 私も何も、資本蓄積というものか経済発展のやはり基礎にあるのだということでありますから、特段に色目をもってキャピタルゲインに対して特に重課しろということではなしに少なくとも一般の所得と同列に扱ってもいいだろうということであって、これはひとつぜひ前向きでやはり検討していただきたいと思うわけです。 というのも、所得税減税においていつも問題になりますのは課税最低限の問題——今日長期答申を大体実現をした。そして税率も課税最低限も、かっての五人家族で百万という目標は一応できた。今度は四人家族でひとつ考えていこうというようなことになって、ことしもさらに、四人家族で九十六万三千七百二十七円という課税最低限が実現したわけでありますが、私ども、この課税最低限というのはやはりまだ低い、こういう考えを持つわけなんです。それというのは、過般、四十五年平均の家計調査報告が総理府統計局から出されておるわけです。これで見ますと、一分位から五分位までの所得階層別の第二分位の場合、これは第一分位の一番貧しい低所得の階層の上の階層ですね。その平均家族数が三・七三人である、世帯主の年齢が三十七・七歳である、こういうことでありますが、その数字で見まして四十五年の一カ月の消費支出が六万九千四百二十一円だ、こういうことになっているわけです。この階層では一五%くらい消費支出が前年よりふえておりますから、大体四十六年では平均七万九千八百三十四円くらいになるのではないか。これは一五%四十五年よりもふえると見た場合、こういうことになります。そうしますと、年間消費支出がこの比較的貧しい低所得階層で年間九十五万七千八円、こういうことになるわけであります。これを平均的な第三分位で見ますと、四十五年の一カ月の平均支出が七万八千八百四十五円、年間では九十四万六千百四十円であります。これを、一三・四%というのが対四十四年の数字になっておりますので、かりに一三%ふえたと仮定してみますと八万九千九十五円になる。これを年間にならしてみますと百六万九千百四十円くらいになる。これは第三分位ですから、きわめて平均均だということが言えるだろうと思うし、先ほど申し上げた数字は低所得階層だ、こういうことが言えるわけであります。それとことしの昭和四十六年度改正案による夫婦及び子供二人ということで九十六万三千七百二十七円という数字と突き合わせてみますと、この二分位の場合に三・七三人ですから、大体これはとんとんに見合うということだと思うのです。そうしてみますと、やはりこの消費支出がこういう状況だと推定されるならば、四十六年度の税制改正としては第二分位の低所得層のところをどうやらカバーしたというだけだ、こういうように見られるわけですね。 だからそういう点から見ると、まだこの課税最低限は引き上げねばならないだろう。こういうことであります。その点について、いま数字をこまかく申し上げましたけれども、これはおおよそ間違いのない数字だと思うのでありますが、そうだとするならば、課税最低限のあり方として、ほんとうに第二分位あたりのところをやっとことんとんに見たという程度なんですね。これはやはり、大蔵大臣がよく言われるゆとりある家計、そのゆとりあるということでかなり貯蓄もできるというようなことにはならぬのではないか。したがってこの課税最低限はまだちょっと低過ぎやしないかこういうように言えると思うのでありますが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 課税最低限は高ければ高いほどけっこうなことです。それには間違いはございません。ですから、ならべく高いところに持っていきたいと思いますが、さてその目標、基準というものは一体何なんだ、どこに置くのだということになると、一番大きな指標となるものは国際水準だと思います。国際社会に比べてわが日本の課税最低限というものがどうもまだ低いのだということであれば、その国際水準に近づけるという努力をする、これは筋の通った見解だ、こういうふうに私は思います。課税最低限をどこに置くかという問題は、国際水準が一つ。 それからもう一つは、その国の生活を取り巻く諸種の環境、また財政力、そういうものが一つの考え方の指標になると思うのです。財政にゆとりがあるという状態でありますれば、 何も平均の家計所得にとらわれる必要はございません。もっと高いところまで持っていって、無税国家を実現するということも私はいいと思いますが、問題はそうじゃなくて、やはりそのときどきの現実の財政の状態、それから生活を取り巻く諸種の環境、そういうものをとらえて、そしてそれをにらみ、かつ国際水準、とにかく国際水準並みには最低の生活も保障しなければならぬ、こういうふうに考えられますので、その辺、そういういろいろなことを考えながらやるので、あって、平均的な家計支出ということのみを目標にするということはいかがなものであろうか、こういうふうに考えるわけであります。 しかし、それはそれといたしまして、課税最低限が高ければ高いほど国民はお喜びになるわけであります。ゆとりのある家計になるわけであります。ですから、それを目標にし、目ざして、毎年毎年課税最低限を引き上げるように努力していきたい、かように考えます。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣おっしゃったことは、おっしゃった限りにおいては理解できるのです。私はわざわざ消費支出の問題を、特に第三分位、第二分位というような二つの例を引きながら言ったわけですが、第二分位というのは平均的レベルよりもかなり低い所得の層なんです。そこの消費支出というものと課税最低限がようやくとんとんである。第三分位でとったら、何万円か消費支出の中に食い込んで税金を取るという形になっておる。そういうものであってはならないということが一つ、税理論として言える。生計費に課税せずということからいえば、そういう面が一つ言えるのではないかという問題があるのです。それに対して大臣は、そうはおっしゃるけれども、したがって高ければ高いほどいいということはわかるのだが、国際水準というものもあるではないか、こうおっしゃったわけです。ところが、その国際水準という場合に考えなければならないことは、これは税制調査会でも答申の中にはっきりいっておるのです。どういうことをいっておるかというと、わが国の給与所得者は、いわゆる蓄積資産にきわめて乏しいということなんですね。国際水準で課税最低限を比較する際には、いわゆるストックの差、資産の差というものも見なければならない、そうようなことがいまの大臣の答弁からは、私は欠落していると思うのですね、その差というものは。やはりゆとりのある、貯蓄の十分可能なもので、これからそういう資産の蓄積というものをやっていけるだけの課税最低限というものをわが国の場合にやらなければならぬ。なるほどフローの面ではかなりいいところに来たが、ストックの面ではかなり劣っているのだ、そういうことは税制調査会でもいわれておるのだから、そのことを国際水準の比較の場合には十分考えなければならぬということが一つであります。 それからもう一つは、たとえば日本にはこのほかにも税外負担、特に学校教育等について、小学校でも数万円のいわゆる父兄負担が税外負担としてある。中学校ではもっとあるのですが、そういうものなどの問題かやはりもう一つ考えられなければならないし、さらに、生活環境基盤といいますか、そういうものに対する便宜の与えられ方、そういうサービスを国からどれだけ受けているかというようなものの比較を同時にやらないと、なるほど数字だけ為替レートで換算をして比較して、アメリカとフランスに次いで課税最低限が高くなっている、西ドイツよりもあるいはイギリよりも高くなりましたというだけでは、私はお答えにならないだろうと思うのです。そういう面を考えるならば、やはりまだまだ所得税の場合に課税最低限を引き上げていくということは、大いに努力をしてもらわなければならない点である。国際水準というものを、先ほど私が申し上げたような観点を含めて言うならば、国際水準にかなりいいところまで追いついてきたということは、必ずしもその数字だけでは私は言えないと思うのです。その辺のところはいかがでございますか。
○福田国務大臣 私は、課税最低限が高ければ高いほどそれはいい、こういうふうに思うのです。しかし、平均の家計支出をのみ基準にするという考え方、これはいかがなものであろうか、こういうことを申し上げておるのです。それは世の中の移り変わりに従いまして、生活の様式なんかもだんだんと変わってきている、エクスペンシブというか、そういう家計のしかたになっていくわけです。そういうようなことを考えますときに、課税最低限、これがだんだんと上がっていくということになって、平均以下はこれは税は負担せぬでいいのだという、その平均という考え方に抵抗を感ずるということを私は申し上げたのです。
○広瀬(秀)委員 だから私は第二分位までとったわけです。もう一度そこのところ……。
○細見政府委員 いまのところは計数にわたることでありますので私から申し上げます。 確かに消費支出は伸びておるのでありますが、その中身をごらん願えれば、もう広瀬委員万々御承知のことでありますが、たとえば主食などであれば二、三%程度しか伸びておりません。同じ主食の中でも伸びておるのは副食費で、端的にいえば、これはいいものを買えば高くなる——もちろん野菜が高くなっておるという面を無視するのじゃありませんが、どちらかといえば副食費が伸びておる。それから一番大きく伸びておりますのは、いわゆる雑費といわれるものの中で教養、娯楽の関係でありますとか、あるいは自動車の関係の経費が、今度はこれはもう三割近く伸びておる。あるいは交際費が伸びておるとか——生活が豊かになっておることをどうこう申すわけじゃありませんが、そういう面にかなり支出がさかれておる。さらに端的に、これは全世帯でございますが、エンゲル系数を見てまいりますと、四十年ごろに三六・二一であったエンゲル系数が、四十五年になりますと三二・二、この傾向は四十年以来ずっと下がってきておる。そういういわゆる最低生活という感じの生活費とかなり違っておる生活ではないか。そのことはけっこうなことでありますが、だからといって消費支出そのものを持ってくるというのは、中身の分析からいって、課税最低限のあり方としてはもっと別の角度があってしかるべきではないか、こういうことを大臣から申し上げておるわけであります。
○広瀬(秀)委員 確かにそういう消費の高度化というような面はあるし、あるいはまた多様化というようなこともある。しかし、国全体の中で、私はいま特に第二分位という比較的低い——まあ五分位の中ならば第三分位がちょうどまん中ですから、かりにそれをとったとしましても、これは平均的だ、そこまで課税最低限がカバーしなければならぬが、そのことには若干問題があると思うから、もっと低いところの数字もあげて、それをようやくカバーしたにすぎないというようなことだと申し上げたわけなんです。 もう五時ですから、大臣もお疲れだろう、予後のからだのようでありますから、あとに質問を保留いたしまして、きょうはこの辺でやめたいと思うのですけれども、さらに所得税の減税、これは給与所得はもちろんでありますが、それだけではなしに、事業所得をも含めて、この課税最低限の引き上げということを、このような物価の高騰という状況の中で、明年度においてもやはり課税最低限の引き上げということを中心にして所得税減税というものは続けていく、こういうお気持ちがあるかどうか。この辺のところをずばりひとついい返事を聞かしていただきたいと思うのです。
○福田国務大臣 きのうも参議院におきまして税の論議があったわけです。その席で、これからやるべきことは税率の改正が必要じゃないかというようなお話でありました。私はそれに対しまして、余裕があるならば所得税減税をしたいのだが、その所得税減税のやり方は、いきなり税率改正にいくというのではなくて、当面なすべきことは課税最低限の引き上げ、つまり弱い者、小さい者の立場を尊重するという立場の課税最低限の引き上げが当面のわれわれの課題ではあるまいか、こういうふうに申し上げたのですが、財政に余裕がありますれば、来年もひとつその課税最低限の引き上げをやってもらいたい、かように考えます。
○広瀬(秀)委員 もう一問重ねて聞きますが、いわゆる物価調整減税が、ことし五・五%を基準にして七百四十億ぐらいに相当するという数字が大蔵省からも出ているわけですね。だから、少なくともこの物価調整減税程度というようなことではなしに、いま最後におっしゃった低所得層を中心にした課税最低限の引き上げも考えていきたいということは、そういう意味と了解してよろしゅうございますね。
○福田国務大臣 そういうことであります。
○広瀬(秀)委員 では、きょうはこの辺で終わっておきます。
○毛利委員長 次回は、明十二日金曜日、午後二時理事会、午後三時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十九分散会