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65回国会衆議院1971/03/09

大蔵委員会 第16号

発言数
136
登壇者
15
会派数
3
開催日
1971/03/09

会議録

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これより会議を開きます。  関税定率法等の一部を改正する法律案を議題とし、質率を続行いたします。竹本孫一君。

竹本孫一民社党

○竹本委員 今回の関税の改正につきましては、輸入の自由化に備える措置とかあるいは物価対策、公害対策、さらには特恵関税といったような数多くの政策目標が打ち立てられておるようでありますけれども、本日は時間の関係もありますので、そのうち若干のものについて重点的に御質問したいと思います。  まず最初に、経済の国際化や自由化の問題に対しまして今度の関税改正がどの程度の寄与と貢献をなし得るものであるか。したがってその結果、日本の関税の平均の率は国際社会において、どの程度のレベルに達するものであるか。時間がありませんからあわせて聞きますが、同時に先進国のケネディラウンドの実施状況はどういうふうになっておるか。この三つについて最初にお伺いいたしたいと思います。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、最近の国際化時代の要請にこたえまして、政府といたしましても昨年来急ピッチで自由化を進めてまいりましたが、ただいま残存輸入制限品目は八十残っております。これをこの四月末には六十に減していこう、そして九月末になりますとこれを四十に減らしていこう。大体これで西独並みになるわけでございますが、そういう一応のタイムスケジュールを組んでおり     〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕  ところで、自由化するにつきましては、とにかく自由化の効果をそこなうようなことがあってはなりませんので、もう国際競争力も十分ついたというものにつきましてはいまの関税率を据え置くことはもちろん、カラーフィルムなどのように積極的にその税率を下げてまいる。しかし、私が申し上げるまでもございませんが、ただいま残っておりますものは非常にむずかしい農林水産物資とか中小企業関係とか、ハードコア的なものが残っておるわけでございますので、そのまま自由化いたしますと急激なショックが国内産業にくるということも考えられますから、先ほど申しましたように自由化の効果を無にするような措置はいけませんけれども、関税上のいろいろな技術を使いまして補強していこう、そして自由化を進めていこうという方針で今度の改正をやっております。  新たに自由化対策といたしまして措置いたしました物品二十五品目でございますが、なまに引き上げましたのは六品目にとどめまして、あとは、たとえばソーセージのように原料の関税を引き下げまして国際競争をさせながら自由化をしていく原料関税の引き下げ。それから関税割当制度の採用ということも考えました。これはたとえば硫化鉄鉱などのように需要者とメーカーの要望を勘案しながら、原料として必要な部分につきましては税率を無税ないし低い税率にしました。それ以上に入ってまいりますものについては高い税率を適用する、こういう関税割当制度。それから先日も御議論がございましたが、季節関税をグレープフルーツに採用していく。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 それからもう一つは、これまた先日御議論がございましたが、豚肉などにつきまして差額関税を採刑するというような方法をとりまして自由化を進めていく。かっこの制度につきましては、自由化対策につきましては自由化の時期と合わせまして関税率の改正をする、しかもこれは恒久税率にしませんで暫定的な税率にいたしまして、国内競争力がつけばこれをまた別の、引き下げなりしていくということを考えている次第でございます。それからケネディラウンドにつきましては御案内のとおり来年の一月に最終段階に達するわけでございます。それをわが国は九カ月早めまして、ただいま御審議いただいておりますように四月から実施したいという案を持っておるわけでございますが、御案内と思いますが、昨年十一月のOECDのEPCにおきまして世界のインフレ対策が議論されました際に、ひとつケネディラウンドの実施を早めようじゃないか、一九七二年を待たずに七一年中にできるだけ早く実施しようではありませんかという申し合せがなされております。すぐに一昨年カナダとアイルランドが繰り上げ実施をしております。それから昨年はスイスが繰り上げ実施をしております。日本はこれで四番目に繰り上げ実施をするということになった次第でございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 四十品目残るという問題ですけれども、ドイツ、イギリス並みに、こうおっしゃいましたけれども、ドイツとイギリスではだいぶ違うと思うのです。ドイツ並みならばほとんどこれで終わり、イギリス並みならばもう一足ということになりますが、さらにイギリスのほうに近寄せていくつもりであるかどうかということをひとつ伺いたい。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 率直に申しまして、九月末に四十品目残ったあとの段階につきましては、これはいままでのようにいつまでに減らしていくということで、タイムスケジュールを組んで残存輸入制限品目を減らしていくということはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。イギリスは二十五でございますが、直ちにイギリス並みに減らしていくということはむずかしかろうと思っております。  それから先ほどの御質問で私落としましたが、関税の負担でございますが、これは比較するということはなかなかむずかしいのでございますが、今度の関税改正をやりまして大体六・二%ぐらいの関税負担になろうかと思っております。諸外国に比べますと若干高目であるという感じでございます。なお、昨年の関税率負担は六・九%でございました。  なおふえんして申しますと、戦後の二十七年ごろをとりますと関税率負担が三%ぐらいでございました。当時は自由化なんというのは考えておりませんから関税率負担は低くてもよかったわけでございます。今日自由化が九十何%かありまして六・二%に負担が下がってきておるということを考えますと、非常に国際競争力がついてきたということを証明するものではないかと思います。諸外国に比べますと若干高目であるという感じでございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 政務次官にちょっとお伺いしたいと思います。  いまお聞きのように自由化の努力というものが最近非常に急ピッチで行なわれておる。われわれも高く評価をいたしております。なお関税の負担においても六・二%で非常に高目であるとか、あるいは残存輸入制限品目について見るとドイツ並みには大体なったけれども、イギリス並みにはこれからたいへんな課題が残されておるということでございますが、やはり自由化というのは諸外国の要請等もありますから相当真正面から積極的に取り組んだほうがいいのではないか。特に国内における物価政策というものもありますし、それから日本の産業構造の過保護からくるだらしのない経営もありますから、そういうものの構造改善を進めるためにも、やはり自由化というものは、ことに残っておるものは農業でございますけれども、農業製品等についても構造政善を急テンポで進めるためには自由化の刺激が必要であろう。いろいろな点から考えまして、自由化に対してはさらに積極的に取り組むべきであると思うがどうかという点が一つ。  それから自由化をするということになれば結局保有外貨の問題もあります。幸いにして最近は五十億ドルをこえたというような話もありますが、このままでいけばどんどんふえていく。この問題について、保有外貨というものは当分これはふえっぱなしに——ドルシフトの問題もいろいろありますし、国際金利の動向もありますからむずかしい問題でありますけれども、このままでいけば一体いつ何十億ドルになるか。また何十億ドルぐらいが適正なのであるか。あるいは日本としては一つのめどをどの辺に置こうということについて、大蔵省で最高首脳部においてそういう問題を論議されたことがありますか、その二つをお聞きしたい。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 第一番目の今後の関税率の問題取り扱い方、あるいは制限品目の自由化の問題、これは今回の措置で一応諸外国からの要請、あるいは諸外国並みになったのではないか。もちろんイギリス等に比べてまだ低い点もあります、努力の要するところもありますが、一応のスケジュールでやってまいりました問題はここで一応区切りをつけることになるだろう。あと今後についてはさらに、いま御指摘がありましたように物価の問題あるいは日本の産業構造、特に農業構造改善等への刺激等を通じてこういった問題を前向きにやるべしということでございますが、そのとおり私たちも考えております。今後も前向きでそういった方向に努力いたしますが、スケジュール、いつどうする、何をどうするというところまでまいりませんが、今後とも引き続いて前向きで検討してまいりたいと存じます。  第二番目の保有外貨について、現在約五十億ドルぐらいになっておりますが、ドイツなどを見ますと百億ドルをかなり上回っておるというような国もありますし、五十億ドル持ち過ぎという感じはまだいたしておりませんが、今後の推移を見て対処しなければなりませんが、当分の間は持ち過ぎということでの対策というようなことは必要ないのではないか。当分このままでいきまして、今後の情勢を見た上でまた新しい判断のもとに措置をしていくべきである、このように考えておるわけでございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 念のために伺っておきますけれども、このままの勢いでいったならば——いま五十億ドルですね、百億ドルにはいつごろになるであろうかということについて、企画庁でも通産省でもけっこうですが、あるいは大蔵省でも試算をされたことがあるか、お伺いします。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 まだ五十億に到達したばかりというところでして、今後の経済情勢によって大いに変化してくるものでありますから、推定はなかなか困難であり、百億ドルに何年になるかということはまだ計算はいたしておらないようでございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 まあむずかしい問題ですから、これ以上、時間もありませんし、あれしませんが、円の切り上げというものは——ドイツの例を見ても国内の政策としてマルクの切り上げをやったという要素は大体二割ですね、八割は外圧、外からの圧力でマルの切り上げをやらされたわけなんです。日本の場合には、自由化に対する外国の要請のほうが強いので、幸いにしてそういう圧力はいまの段階においてはそう心配をしなくてもよろしかろう。いま日本の政府としては自由化をどんどんやってもらうということでいいのではないかと私も思いますが、しかし国際金利の動向なんというものは、ある意味においては日本のほうは迷惑をするだけなのかもしらぬが、そういう形においてドルがどんどんふえていくということで、そういう問題がまた再燃しかねまじき情勢もあると思いますので、そういう条件を含めて、一体百億ドルにいつごろなるんだというようなこともぼつぼつ計算はしておくべき段階だろうと思うのですね。その辺はひとつ御検討を要望いたしておきたいと思います。  第二の問題は、世界における自由化、国際化の新しいあるいは当然の流れに反しまして、保護主義の台頭というものが非常に強いということにつきましていろいろとお伺いをいたしてみたいと思います。差額関税とか季節関税というような問題も、先ほど御答弁がございましたけれども、今度の繊維交渉等の経過にもかんがみながら、外国のそういう国際化や自由化に反する動き、保護主義的な動きに対して日本はいかなる備えを持っておるかということを中心にこれから若干伺いたいと思うのです。  まず、関税そのものについて言うならば、季節関税や差額関税はいいとして、報復関税については従来どういう考え方に立っておられるか。また報復関税というものを日本で実際にやったことがあるのかないのかという問題をお伺いしたいと思います。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 ただいま先生お話しのように、最近アメリカを中心にいたしまして保護主義の傾向が非常に強くなってまいっております。たいへん私どもも憂慮しておるところでございます。しかし私どもはこれに対しますには、やはり先ほどお話がありましたように、わが国が中心になりまして資本の自由化、貿易の自由化を積極的に進めていって、そしてガットの精神にのっとって自由貿易の推進をしてまいるということが先ではないか。いまの保護貿易主義を抑制する一番いいあれではないかというふうに考えております。したがいまして、私どもとしましては、ガットの多数国問題の会議の場とか二国間の会議の場、いろんな場を通じまして保護貿易主義に対するいろんななにをしておるところでございますが、かりにいまお話がありましたように不当な貿易上の攻撃がありました場合には、これはもちろんガットの規定の上でも、御案内のとおり十九条とか二十三条とか二十八条とか、いろいろございます。それから、わが国にもガットの規定にのっとってダンピング関税とか緊急関税とか、いろいろな制度がございますが、しかしこれは一たび発動いたしますとエスカレートしてまいりまして、私どもが念願しておる世界の自由貿易をまたそういった面から阻害していく、世界貿易の発展に非常な害になるということを心配しているわけでございます。従来はまだ自由化も進んでおりませんでしたから、いまの関税の規定を適用した例はございませんが、これからは国際化してまいりますとそういう事態が発生してくることがあるかもしれません。そういう事態に備えまして事務的にも万全の態勢を整えてやっておる次第でございますが、これは最後にならなければ発動してはならないというふうに考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 従来適用した例がないというお話でございますが、適用し得る条項、条文は何と何ですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 まず、不当廉売関税というのがございます。これはいわゆるダンピング関税でございます。それから報復関税というのがございます。これは日本に対しまして不当な取り扱いをしました場合の関税でございます。それからただいま申しました緊急関税、こういうのがございます。これは外国からの輸入が急増して国内産業に重大な被害が出たという場合に発動するわけであります。それから相殺関税、外国がその国の産業にいろいろな補助装置をいたしましたために、日本の産業にいろいろな影響があったという場合に発動する。いろいろな制度がございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 そこで、いまガットのお話がありましたから、まずガットのほうの質問をいたしたいと思いますが、ガットというもの、今度も繊維の自主規制問題を中心にガットに訴えるとか訴えないとか、いろいろ論議がありましたが、はたして訴えてガットの場でどれだけの問題を解決し得るのであったかというような問題を考えると、私は非常に疑問を持つわけであります。それからまた、先ほどケネディラウンドはもうやがて終わるんだという御答弁もございました。それから、今日ノン・タリフ・バリアーといいますか、とにかく非関税障壁というものも各国においてそれぞれ巧みに考えられておるというような問題もあります。こういう点から考えてみますと、ガット、ガットといいますけれども、ガットの役割りというものは非常に限界があるし、あるいはもう終わりの段階に来ておるのではないかというふうに思いますが、関係各省の間ではガットの役割りを今後どの程度に期待しておられるのであるかということをまずお伺いしたい。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 私は、これは申し上げるまでもございませんが、ガットが発足以来、関税の一括引下げとか、それから輸入制度の撤廃、こういった方面におきまして果たした役割りは非常なものがあるというふうに考えております。ガットのいままでの活躍によりまして、これまで各国の保護主義を防遏してまいることができたというふうに考えております。最近いろいろ繊維の問題とかむずかしい問題がございまして、ガットは役に立たぬじゃないかというようなことをいわれておりますけれども、ガットとしましては、ただいま、ケネディラウンドが来年一月に終わるという段階を控えまして、いまお話のように非関税障壁の問題に真剣に取り組んでおります。これは、各国から非関税障壁としてそれぞれ通報してまいりました事項が約八百項目ぐらいにのぼっておるようでございますが、ただいまたとえばガットの工業品貿易委員会でございますか、これで五つの部会をつくりまして熱心な討議が行なわれております。今後の作業の進め方といたしましては、とにかく、なかなかむずかしいものからというよりは、成果が期待できるものから順次片づけていこうじゃないかという姿勢でやっておりまして、私は今後ともガットの役割りというものは大きいものがあるというふうに期待しております。私どもといたしましても、日本といたしましても、ガットをもり立てて、やはりさっきも言いました保護貿易主義の防遏等にも先頭を切ってあれする必要があるんじゃないかというふうに考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 外務省、通産省のほうにお伺いをいたしたいが、被害なきところに規制なしというようなガットの重大な精神が、今度の繊維自主規制問題についてはさっぱり取り上げられなかったというか、貫かれなかったと、非常に遺憾に思っておりますけれども、ガットの精神からかんがみて、今度の繊維自主規制問題について、あるいはそれをめぐるアメリカの保護主義的な姿勢について、いかなる見解を持っておられるか伺いたい。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 お答えいたします。  今回の繊維交渉とガットの関係でございますが、政府間交渉におきましてはやはり、インジュリーなきところに規制なし、もしくはインジュリーのおそれなきところに規制なしという立場を政府ではずっと貫いたところでございます。したがって、御案内のとおり政府間の合意というものは最後までできなかった。その意味ではやはりこのガットの精神、協定というものが日本にとりましても、また相手方のアメリカにとってもきめがございました、このように私は理解いたしております。昨日、繊維連盟のほうで一方的な自主規制ということを宣言されましたが、これは表面上は少なくともわがほうの業界が実質的な日米関係を考えてとられた措置でございまして、一応政府間の交渉ではないという意味でガットの協定とは無関係ではないか、そういうふうに考えております。  第二番目に、保護主義をどうするかという点でございますが、先ほど大蔵省の谷川関税局長が答えましたことと私大体同意見でございまして、このアメリカを中心とする保護主義というものを押えるためには、もちろんアメリカの国内事情もございましょうが、日米関係から申しますとわれわれもやはり身を正して先方に諌言する。具体的に申しますれば、物の自由化にいたしましても資本の自由化にいたしましても、やはりガットの精神にのっとってわが国も進める。そしてその立場からアメリカにも保護主義に戻らないようにはっきりものを言うべきである。このように感じております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 外務省の立場からいえば、特にそういうふうにガットの精神というものが生きておるとか、あるいは消極的かあるいは間接的か、とにかくいろいろな役割りを、働きを持ったであろうと解釈したくなるのは当然でありますけれども、現実にわれわれの立場からどれだけ役に立ったかというと、やはり問題があるだろうと思うのです。しかしこれは本日の主題でもありませんからあまり深く触れたくないけれども、たとえば失業者がふえたといっても、アメリカの失業者の増加は最近非常に大きい、六%までになったとかいうことでございますが、その中で繊維の失業者が特に多いということでもないようである。それからまた繊維関係の、化・合繊をはじめとして輸出がずいぶん伸びておりますけれども、それが直接大きな打撃を与えたという確実な証拠も実はなかった。そういうことからいえば、実質的にいえば、被害なきところに規制なしという精神に反したことが、アメリカの保護主義のために強引に行なわれたということだけはこれは間違いないと思うんですね。そういう意味では、論争をすればきりがありませんので私はその点だけ指摘して次へまいりますけれども、今度の問題は非常に遺憾であった。通産省は今度のようなやり方でもなお自主規制と思われるかどうか、確かに形は、最後に谷口さんが宣言をしてやるんだから自主規制だけれども、これだけの圧力の前に行なわれる、五%の伸びにとどめる、実際は半分以下になるわけですね、そういうことで、それをもなお、本人が言ったんだから自主規制だというふうに解釈されるのかどうか。一体通産省が考えておられる自主規制とはどんなようなものであるかということについての見解をひとつお伺いしておきたい。

室谷文司通商産業省通商局国際経済部長

○室谷説明員 今回の繊維の自主規制につきましては、確かに先生の御指摘になりますように、完全な意味での自主的判断に基づく、オーダリーマーケティングの精神による全くフリーな立場での規制ではなかった。そこに日米の繊維、特に米国の繊維業界あるいは米国政府の強い圧力が働いていたということは事実であろうかと思います。しかし、先ほど平原局長からも話がありましたように、政府間の問題としてでなくて、業界の自主的判断に基づく業界の自主的規制という形が守られましたことは、ガットのそのものから見ますと精神的には望ましくない点がございますけれども、業界の自主的判断が、形式的な面であるいは内容において若干の自主的な判断が立てられたということはせめてものことであったというふうに判断をいたしておるわけでございます。今後アメリカの業界等から同じような圧力がかかるということは確かにおそれられるところでありますけれども、私どもといたしましては、こういう点につきましては前例といたしたくない。また米国側におきましても、そういう政府間交渉による自主規制、あるいはプレッシャーのもとにおける自主規制というものが、この繊維の問題の長い過程を見て必ずしも、そこに容易でない問題がひそんでいるということもよく認識されたことだろうと思いますので、そういう点につきましても米国側としても反省をいたしている点が見られるのではないかというふうに思われます。心後の問題といたしましては、前例としないというのみならず、先ほどからもお話のありましたような、日本といたしましては自由化を進めると同時にガットの体制をもり立てて、より自由貿易の方向、自由貿易のモメントの維持確立をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 重ねて伺いますが、論争の点はあまりやりたくないのですが、これは自主規制というのは名のみであり、業界の人は谷口さんが言ったから自主規制という形になったんだというだけで、私は、実質は全然自主規制ではなく、アメリカの脅迫みたいなものである、非常な強制であると思います。一〇・五%伸びておったものを五%にするということでございますから、伸び率を半分にするということでございますから、これは重大な問題だ。いまの御答弁によりますと、これは前例にしたくないというお話がございましたけれども、通産省あるいは外務省の側においては、こういう問題、こういうやり方は前例にはしないんだという強い日本政府の決意というものを表明されたことがありますか。あるいは考えておられますか。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 お答えいたします。  今回の繊維交渉、一応わがほうの業界の一方的宣言という形で結末が出ましたが、それと同時に、駐米の牛場大使がロジャーズ国務長官及びフラニガン補佐出目にもうすでに会ったはずでございます。その際、訓令によりまして牛場大使から、このようなできごとというものは他の品目に及ばないというふうに日本としては期待し、希望するというこを重ねて申し入れてございます。ですから、一応わがほうの政府の立場・といたしましては、このようなことはほかの品目には起こらないことを強く希望したいということをアメリカに申し入れた次第であります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 牛場大使のそういう発言あるいは申し入れだけにとどまらず、さらに私はこの際強い意思表示が必要であると思うが、これは、まあ大臣レベル下、論議すべき問題だと思いますから、そういう強い要望をここで申し上げて次へ進みます。  具体的な問題に入りますが、先般日本にやってきました米国大統領顧問のリチャードアレンさんは、この繊維自主規制と同じようなやり方が電器並びに自動車にも及ぶことがあるかもしれぬと述べたそうでありますけれども、その心配はないかあるかということだけを伺いたい。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 アレンさんの言ったことは私間接にしか存じ上げておりませんけれども、将来絶対に起こり得ないということは、私の立場からは絶対という副詞はちょっと使いかねますが、われわれとしてはそのようなことが起こらないようにつとめて努力するということ以外、この場では私の立場上では申せない次第でございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 アレンさんのことばはどうでもいいんですけれども、問題は、鉄鋼も五%に押えた、これも半分ぐらいに押えてしまった。今度は繊維を押えた。先般はピアノをかってに、関税率を下げるものをまたもとに戻して上げた。アメリカの次々にやってくるやり方は、まことにむちゃくちゃだと私は思うのですが、次にねらわれているのは電器であり自動車であると思いますから、それが非常な警戒を要するということだけここで警告して次に進みますが、たいへん重大な問題だと思うのでひとつ善処していただきたいと思います。  今度アメリカがやりましたのに引き続いて——これは外務省にお伺いするが、欧州諸国やカナダが日本の繊維製品についてまたそういう保護主義的な姿勢態度をとる心配はないかどうかということを……。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 御案内のとおり、従来、カナダ及び欧州諸国とわが国との間の繊維貿易は残念ながら——従来アメリカは自由でございましたが、欧州及びカナダにつきましては従来からある程度の規制が行なわれております。ただ幸いに、これらの諸国の日本の繊維に対する規制というものは、歴史的に見ますと制限が少なくなってきておる状態でございます。したがって、今回のアメリカの言い分も、われわれとしては全部納得できない言い方でございましたが、やはり国内的には、日本はカナダや欧州には繊維を規制しておきながら、わがアメリカにはしないというのがアメリカの言い分でございました。そういうわけで、もうすでにカナダと欧州との間には繊維の規制がございますが、幸いにその規制は年々減ってきておるという状態でございますので、この際欧州あるいはカナダが従来にも増してきびしい規制を要求してくるという可能性は、絶無とは私申しませんが、あるいはアメリカ市場にいくべき繊維が欧州あるいはカナダに非常にふえてきたという段階ではそういうことを先方が言うかもしれませんけれども、われわれといたしましてはこれらの国々にはすでに規制が行なわれているというものをたてにいたしまして、理不尽な要求には応じない、そういう覚悟でおります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 これも議論をすればきりがありませんので次にまいりますが、外務大臣は今度の目主規制に関連いたしまして、香港、台湾韓国も同時発車をしてくれるようにという談話を出しているようでありますが、同時発車ができる見通しであるかどうかという問題についてお尋ねいたします。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 これも相手国のあることでございますから、必ずできる、あるいは三国とも同時にできる、あるいは三国のうち二国はできる見込みである——いろいろ考え方があると思いますけれども、私たちといたしましては、第一次的には、やはりこれは日本が頼むことではなくて、当然アメリカがこれら極東三国にも日本に対すると同じように頼むのがしかるべきである。その際、われわれといたしましては、今度わがほうの立場からいいますと、やはりほかの三つの国も一緒にやってくれというのがわがほうの利益でございますから、間接的にはこれらの国々にも一緒にやろうじゃないかというものを申しますが、第一次的にはアメリカが頼む、べきである。見通しといたしましては、今回わが国の業界がこのような決議をいたしました以上、三国全部ということは私申し切れませんけれども、三国のうち二カ国くらいはおそらく同時発車になってくるのじゃないか、そのように期待し、また見込んでおります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 第一次的にはもちろんアメリカの問題かもしれませんが、しかしこういう問題が起こって以来、この韓国や香港、台湾がどう出るかといり問題は、日本の業界あるいは日本の政府としても重大な問題でありますから、十分手も打っていただかなければならぬし、情報も集めてもらわなければならぬと思うのでありますが、これはなかなか同時発車はむずかしい。もちろん全部がむずかしいとは申しませんけれども、全部がそろってということはなかなかむずかしい。そういうことになれば、もちろん今度の自主規制の宣言にも、あれには留保がついているようでございますけれども、日本の外交というものが、そういう意味から言うならば、もう少しいわゆる経済外交の面に積極的な姿勢を持たなければならぬのじゃないかという問題にこれは関連してくるのではないかというふうに私は思うのであります。しかしながらこれはいまここで議論もできませんから、やはり警告し、あるいは注意を促すということで次に進みたいと思いますが、全体としてこの繊維の自主規制の問題で私が一番心配をしている問題は、繊維だけにとどまらずに、日本の産業進出、経済進出すべてに、特に私が心配しますのは、鉄鋼も五%だ、繊維も五%だといいますと、アメリカにも、あるいはカナダさらにヨーロッパにも、日本の貿易の伸び率というものは五%に押えるということがオーダリーなんだということになりはしないか。そういう悪い先例や原則、一般的な理解が出てきやしないかというふうに思いますが、大体日本における最近の貿易の伸び率というものの平均したものはどのくらいになりますか。大体世界の貿易の伸び率の二倍くらい伸びていると私は思いますが、世界の伸び率とあわせて日本貿易の伸び率というものの趨勢を簡単に言ってもらいたい。そうすれば、それを五%に押えられた場合にどれだけ日本の経済に被害が大きいかということが想像できると思うのです。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 わが国のものはわかりますが、世界の状況がちょっと手元に資料がございません。わが国の貿易の伸び率を申しますと、昨年は輸出が二一%、対前年度比でございます。輸入が二五%、こういう状態でございます。

新田庚一経済企画庁調整局長

○新田政府委員 昨年の世界貿易輸出の伸び、まだ正確の数字が出ておりませんが、一四%という一応のIMFの数字が出されております。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 先生のおっしゃいましたとおり、鉄鋼の場合も今回の繊維の場合も五%の伸びしか認められておらない点は、私たちも非常に気にしておる点でございます。ただ、いささかの救いは、今回の繊維の一方的宣言におきましては、初年度は五%、二年目、三年目は六%増ということで、いわゆるマジックナンバーの五という点はいささか破れて六という数字も出てきたという点だけは、非常にいささかではございますが、鉄鋼の五%に比べて繊維の場合は五、六、六という数字が出てきております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 ですから、とにかく五、六、六となったとしても問題にならない。繊維自体は一〇・五%というのですけれども、いずれにしましても日本の輸出というものは大体二〇%は伸びている。世界の五割増しかあるいは倍くらいに伸びているという日本貿易なんですね。そういうことでございますから、これがオーダリーマーケティングとかいうような美名のもとに、しかも自由規制というとんでもない形式で五%に押えられるという一つのルールができた場合には、これはたいへんな問題だということを私指摘しておるわけであります。そういうような関税障壁以外の別の形でこういう問題が出てくる。  そこでもう一度ガットの問題に返るわけですけれども、ガットがそういう問題について、先ほども述べましたようにあまり役に立ってないということをわれわれは考えまして、このガットのあり方についても少なくとも再検討を加えるべきである。  さらに、ケネディラウンドの問題もついでに関連して申し上げますが、私はガット自身がそういう大きな役割りを果たし得る限界が出てきたということとあわせ、ケネディラウンドも一通りこれで終わるんだということを考えますと、次のラウンドは一体どうなるかということについて、日本の政府としては新しい国際経済のほんとうの意味の秩序づけというものが必要だろうと思うわけです。そういう意味でガットをさらに強化するという立場からも、あるいはケネディラウンドのあとに世の新しい経済秩序を、日本の立場においてひとつ本格的に積極的なプランをあるいはビジョンを打ち出していくというような問題について、政府に何かお考えがあるかということを伺いたい。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、私はやはり、世界貿易の発展のために自由無差別のガットの体制を堅持いたしてまいらなければならぬ。日本もその精神のもとに、これからもできるだけ、関税だけではございません、その他の非関税障壁も撤廃する、軽減するという方向でまいらなければならぬと思っております。たまたま、先ほど申しました昨年十一月のOECDのEPCの会議でも、ケネディラウンドが終わったあとの関税率引き下げをどうするかという問題が議論されたのでございまして、これはインフレ対策の一環として議論されておるわけですが、とにかくもう一度一般的な関税率の引き下げをグローバルに考える時期に来ておるのじゃないかという意味の勧告がなされております。日本といたしましては、ただいま御審議いただいておりますように、各国に先がけまして、来年一月の最終段階を待たないで、九カ月早めてこの四月一日からケネディラウンドの繰り上げ実施をしたいというふうに考えておるわけでございますが、さて、いま申しましたように、来年これが一段落いたしましたあとどうするか、非常に大きな問題でございます。私は先ほど申しましたように、これからもあらゆる機会をとらえて、やはりできるだけ関税率を引き下げていくべきではないかと考えておりますが、考えてみますと、先ほど来議論が行なわれておりますように、アメリカを中心にして保護主義の傾向が台頭しておる、そういう非常にむずかしい時期でございますから、なかなかいまの話を持ち出す時期が問題ではなかろうかと思っております。姿勢といたしましては、やはりさらにケネディラウンドを上回る関税率の一括引き下げということを考えなければならぬじゃないかというふうには考えておりますが、いまその時期であるかどうかということにつきましては、なかなかむずかしい問題であろうと思っております。引き続きこれを検討していかなければならぬ問題であるというふうに考えておる次第であります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 この点も要望にとどめますが、ケネディラウンドのあとには、一部にはジャパンラウンドということがいわれる時代が来ましたのですから、ひとつ積極的な総合的なビジョンをこの辺で日本は考えなければならぬ。これは大臣の大きな課題だろうと思いますが、そういうケネディラウンドに負けない、もっと雄渾なる新しい世界貿易秩序のあり方についてビジョンを打ち出してもらいたいということを要望いたしておきたいと思います。  ところが現実はまたあまりにもきびしい状態でございますが、二つだけ私はここでついでに関税の問題について最後にお伺いしたいのですが、一つは、アメリカの関税は日本の関税と比較した場合に、高いものもあるでしょうし安いものもあるだろうが、問題の起こるような業種については大体において二倍くらい高いと私は思うのだが、アメリカのほうが日本の関税に比べて著しく高いもの、また著しく低いものがあれば、その代表的な一ものをひとつあげてもらいたいと思います。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 アメリカのほうが高いものといたしましては繊維製品、それからトラックですね。綿織物で申しますと、アメリカがKR最終段階で一七・九%でございます。日本が一二・三%、それからトラック、これはKRはアメリカはございませんが、現行暫定税率で二五%でございます。日本はこれを今度一五%に下げる。それから陶磁製のタイルでございますが、アメリカが二四・五%、KR譲許がありません。日本の場合はKR最終段階で五%でございます。それから八ミリなんかの映写機、これがKR最終段階で一七・五%、日本が今回一〇%に引き下げる。それからもう一つ申し上げますと、洋がさでございますが、アメリカが、これはKR譲許なしで現行二〇%、日本は今度これを一〇%に下げるというふうに、相当アメリカの高いものがございます。逆に申し上げますと、日本が高いものでございますが、これは牛肉でございます。二五%でございますが、アメリカは六・五二%。それから乗用自動車でございますが、今度日本は一〇%に下げますけれども、アメリカはKR最終で三%。それからテレビの受像機でございます。これは今度日本は七・五%に下げますが、アメリカはまだ五%でございますから安い、こういう状況であります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 ピアノはどうですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 ピアノは、日本が今度下げまして、KR最終段階で一〇%でございますが、アメリカが七〇年で一一・五%でございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 あれは一一・六%になるものが一三・六に繰り上げたのじゃないですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 失礼いたしました。エスケープクローズアップというのがありまして、輸入が、日本と同じように、やはりふえて国内産業に被害を及ぼすというような場合には、それらを発動いたしまして引き上げることができるようになっております。それを発動いたしまして一三・五%にいまの税率がなっておるようであります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 ですから、大体日本のごくわずかな例外的なものは日本も高いが、実際は、問題を起こしているようなものは大体においてアメリカのほうが高いのですね一それをまた今度は自主規制だとかなんとか、かってなことを言うのだから、ほんとうを言えば——外務省にもよく研究してもらいたいのだけれども、アメリカがはたして、ケネディラウンドを主張するとかあるいは自由貿易主義だというようなことを言う資格があるのかどうかということにぼくは深刻なる疑問を持つわけです。そういう意味でこれからは日本の姿勢を強くとってもらわないと、次々にアメリカがかってなふるまいをする。日本のほうは無条件降服の続きで、いつまでたってもあまり文句を言えないというようなことでは困りますから、ひとつこの点は、われわれは国民の名において大いに抗議をしておきたいと思うのです。  そこでもう一つ、抗議の問題に関連いたしまして、米国の関税委員会というのがいつでも問題が起こると出てくるわけですけれども、簡単でいいですが、その委員会の構成なり権限なりというものが一つ。それから、それが問題を取り上げたときに、一体日本の政府はどういう働きかけをしておるのか、し得るのであるかという問題をひとつ伺いたいと思います。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 米国の関税委員会でございますが、これは緊急関税とか調整援助措置の発動とかダンピングの損害調査とかいったような、関税に関する事項一般につきまして、常時または要請があった場合に、大統領または国会に対しまして、所要の調査に基づきまして報告をしたり勧告を行なうというような権限を持っております。これは行政府から独立した委員会でございまして、委員は六名でございますが、中立的な立場を維持しますために、そのうち三名以上は同一政党に属してはいけないというようなことが規定されているようでございます。  それから、私ども感ずるのでございますが、ダンピング問題につきましては、やはり第一次的にはアメリカにおける当該貨物の輸入者、それから日本からの輸出者が米国の関税当局と接触をして交渉をすべき性質のものではなかろうかと思います。しかしそうは申しましても、政府といたしましても非常に大きな問題でございますから、そういうことにかんがみまして、アメリカの財務省が、解釈、判定等につきましてはひとつ慎重に検討してくれるように、それからまたダンピング防止行動を適切に解釈して適用するように、外交チャネルを通じまして——これは外務省からまたお話があるかとも思いますが、随時接触をしておる次第でございます。  それから、いよいよ関税委員会に事案が付託されたとなりますと、先ほども申しましたように、同委員会が行政府から独立した委員会であるということからかんがみまして、わが国政府が直接そこに接触をしていくということは、申し出を行なうというようなことは、外交慣例上からいって必らずしも適切でないのではなかろうかというふうに考えます。その場合には関係業界に対しまして、同委員会と接触するにつきましてのいろいろなサゼスチョンを政府側としてやっていく、間接的な意味でやっていくのが適切な措置でなかろうか。いままでもそういうふうにしてやってまいった次第でございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 外交慣例として、関税委員会でダンピングの問題が起こったような場合に、独立した機関ですから簡単に申し入れもできないということもわかりますが、問題は、かかる前に外交折衝の段階において日本政府はもう少し積極的な姿勢をとるべきではないか。またとっておるのかという点が一つ。  それから次には、かかってからも、私の見るところ、聞くところによれば日本は全く情報の収集というのがなっておらぬ。完全に向こうのペースで最後まで持っていかれてしまって、結論が出てああそうであったかということになるだけであって、これは前もって情報を収集するということについてははなはだ、大使館がどうとかということを言うわけではありませんが、遺憾なことが多過ぎると私は思うのです。情報の収集が不足であるし、それから同時に、大体逆の情報が入っておる、あるいはウエートの置き方が間違っておる。例を言えとおっしゃるなら幾らでも申しますが、きょうは時間がありませんから……。  とにかく、かかる前の外交折衝の過程においてもう少し努力すべきではないか。それから関税委員会にかかってからも情報の収集ぐらいは、政府はもっと的確な情報を手に入れるべきではないか。またそれに関連しまして、ダンピング問題については、谷川局長自身向こうの当局と話し合われたこともあると聞いておるが、そういう問題についてもどういうような感触を持たれておられるのか、承りたい。三つであります。

平原毅外務省経済局長

○平原政府委員 最初に、関税委員会にかかる前にいかなる手を打っておるかという御質問でございますが、まあこの点に関しましては、過去にも幾つか例がございますけれども、まず財務省が取り上げる取り上げないという段階で必要な場合は、たとえば牛場大使がケネディ財務長官につい最近も会っておられますけれども、正確なわがほうの持っておる数字等を示しまして、これなんか問題になるはずはないという申し入れをし、成功した例もございます。  関税委員会にかかりましたあとでございますけれども、これは先ほど谷川局長からも御説明いたしましたとおり、独立の機関でございますし、よく秘密が保たれておるようでございますが、大使館筋のみならず、各種のロビースト、弁護士というものを使いまして情報をとっておりますけれども、御指摘のとおり反対の情報が入ったこともございますし、どうも満足すべき結果にはなっておりません。ただ関税委員会の決定そのものにつきましては、少なくとも過去におきましてはかなり客観的に先方としてはやっておるようでございまして、たとえばことしの初め、一月九日の裁定でございます。が、こういう場合、たとえば壁のタイルにつきましては、日本製のタイルは白、しかしイギリスのは黒というようにはっきり判定をいたしまして、必ずしも日本のものだからやるというふうな風潮はない、そのように承知をいたしております。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 お尋ねでございますが、実は昨年の暮れにダンピング課税をやっておる総元締めのアメリカの財務省のアンブロースという関税局長が、これは別の用件でございましたが、面会を求めてまいりましたので、私、いい機会でございますからいろいろと実情を話しまして、慎重な検討を要請したのでございます。一つは、われわれ見ておって、ダンピング課税の調査を財務省がやるにあたって資料が非常に古いような気がする、ひとつ最近の資料に基づいて判定をすべきである、そのためには、ずいぶん古いものをやっておりますので、ひとつダンピング調査を促進してもらわなければ困るということを申し入れました。それからもう一つは、これは重要な点でございますが、日本の商取引につきましてどうも理解が薄いような気がする、ひとつ日本の取引の特殊性を十分考慮して判定をしてもらいたいということを強く要請しておきました。もう一つは、どういう判定をしたか、最後にひとつ政府ベースでダンピングの価格差計算の根拠、数字などもできれば教えてもらいたい、それによって、これはまた通産省のほうにその資料も差し上げて、業界に自粛等の措置もとるように指導もできるからという話をいたしまして、約束をして帰ったわけでございます。  この際申し上げておきたいのですが、その際アンブロース局長が申しておりましたが、非常に残念なことがある。というのは、昨年来のテレビのダンピング調査などが繊維関係のトラブルと軌を一にして起こったために、日本側では日本に貿易戦争をしかけてきているというふうにとられていることである。決してアメリカの政府がイニシアチブをとってダンピング調査に乗り出しているのじゃない、これを理解してもらいたい。ずっと前からとにかく提訴がたくさん出ておるのだ。最近また提訴がたくさんなされておる。これについてはやっぱり日本の業界にも自粛してもらいたい点があるのだ。この点を理解してもらいたい。アメリカ政府がイニシアチブをとってない証拠には、一九六七年以降提訴があったその二十七件を見ると、十一件は却下しておるじゃないか。それからまた取り上げたものの中でも、六件につきましては価格差ありという判定をしておりますけれども、被害なしというのも出ておるじゃないか。こういう点で理解が願えないかという話をしていましたが、今後とも接触をいたしまして、十分日本側の実情に即した措置を講ずるからということを申しておりました。以上でございます。

竹本孫一民社党

○竹本委員 局長がいま指摘された、アメリカが問題を取り上げておる場合に資料が古過ぎたり、あるいは日本の商慣習を十分に消化してないといったような問題は、いい点を指摘されたと思うのです。  しかし、ついでにこれも要望でありますが、私が見るところ最も大事な問題がある。それはこれからのPRの問題で、政府として全体の姿勢の問題にも関係いたしますから申し上げるのですが、アメリカは関税委員会なんかで問題を取り上げるときに、全部それはそうしなければダンピングにならないということになるわけだから、ダンピングという結論を急ぐために日本のまじめな努力というものを評価する面が非常に少ないと私は思うのですよ。商慣習を知らないでとかなんとかいう点もありますが、たとえば今度の繊維の問題について、繊維産業なんというものはファッションインダストリーといわれる時代で、どんどん構造改善をやって、そして新しい時代の要請についていかなければ繊維産業自身が没落するのですよ。それを、アメリカの繊維産業がそういう努力を怠っておるためにまいった面が非常に多い。そちらのほうはたな上げして、日本から入ってくるほうだけを問題にする。これは自分の努力というものを全く無視して、自分の努力に欠くるところのある点を反省しないままにダンピング問題の結論を急いでおるという態度である。  それからピアノの問題を私が見たときにも、これは一番大事な問題は、ピアノを売るということが問題ではなくて、音楽人口をふやすということが大事なんです。そのために、音楽人口をふやすために日本の業者が非常な努力をして、みんながピアノもエレクトーンも興味を持って、関心を持つようになった。そこで日本のものがどんどん出ていく。そういう努力をアメリカがやったかというと全然やってなかった。要するに企業努力というものはアメリカにはない。だんだん老大国にアメリカはなりつつある。怠慢になりつつある。貿易の面からもそうでありますが、それを内在的な矛盾から見ると、企業努力というものが近代的になされていない。日本のほうはそれをやっておる。そのためにアメリカは追いまくられて受け太刀になっておるということを全然反省しないままに、ただ入ってきた数量だけを取り上げてダンピングであるとか、いや自主規制であるとかいうようなことを取り上げておる。そういうアメリカの態度、外交姿勢の中にも倣慢な、でたらめなところがあるだけじゃなくて、経済問題から問題を見てもそういう地道な企業努力というものがないんだ。それがためにトラブルが多くなっておるんだということを、自信を持って日本の政府もアメリカにやはり指摘してやらなければいかぬ、こういう点の努力を要望して、私はこの問題は終わりたいと思います。  最後に物価問題ですが、物価政策ということが今度の関税改正にもうたわれておるようでありますが、政府が四十五年の四月に取り上げた閣議決定で、輸入政策を大いに活用してこれから物価を下げるんだ、日本の輸入物資の消費量の二%くらいは入れるんだとかいうような閣議決定をされましたけれども、その結果、はたして閣議決定の何割を実行したのであるか、その結果、物価の引き下げに対してどれだけの役割りが果たせたのであるか、その点をひとつ伺いたい。

山下一郎経済企画庁国民生活局参事官

○山下説明員 昨年の四月の物価対策閣僚協議会、さらにそれを具体化いたしますために、同じく昨年の六月九日の物価対策閣僚協議会において、当面の重要な問題であります物価政策につきましていろいろ決定いたしております。その中に一つ輸入政策の活用がございまして、御指摘がございましたように、国内消費量の二%以上の輸入割り当てを行なっておりません残存輸入制限品目につきましては、二%に達するまでの輸入割り当てを行なうということを決定いたしまして、これを昨年、昭和四十五年度の上半期におきまして実施に移したわけでございます。昨年はこういうことを実施いたしましたけれども、今後とも国内の需給動向に応じまして、物価の動向を勘案いたしながら、必要な場合にはさらに輸入割り当て額の一そうの拡大をはかるなど、機動的、弾力的に所要の措置を講じてまいりたいと考えております。  そこで、昨年の実施状況でございますけれども、これは先ほど申しました決定に従いまして、例示を申し上げますと、加工肉、ハム、ソーセージ等でございますとか、菓子類、ビスケット、チョコレート等、それからマカロニ、スパゲティ、トマトケチャップなど三十六品目につきまして輸入割り当て額を拡大いたしました結果、四十五年度の上期におきまして八千四百万ドルの輸入割り当てを行なっております。これに対応いたします前期、四十四年度の下期の輸入割り当てワクは三千六百万ドルでございましたので、その二・二倍になっております。  なお、御参考に四十五年度におきます残存輸入制限品目に対する輸入割り当てワクについて申し上げますと、これは四十一億三千三百万ドルと見込まれておりまして、これは四十四年度の実績二十四億七千五百万ドルに比べまして六七%増となっております。  そこで、この措置を実施いたしました結果、物価にどのような影響を及ぼしたかということでございますけれども、これは先生御案内のとおり、具体的にこの措置によって個々の品目についての物価の上昇をどう押えたか、計数で申し上げることはなかなかむずかしゅうございますけれども、しかし私どもといたしましてはそれなりに効果をおさめたものというふうに判断をいたしております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 その割り当てのパーセンテージなり数量なり、あるいはドルの問題を数量的にもう少し活発に、顕著な効果がおさめられるように積極的に数最をふやしていこうというような、したがって二%とかなんとかいったような問題も再検討するというような前向きの姿勢と準備がありますか。

山下一郎経済企画庁国民生活局参事官

○山下説明員 昨年六月の物価対策閣僚協議会を開きましたときの物価問題一般の動向からしまして、いろいろの当面の対策あるいはもう少し時間を要します対策の一環として、その際におきまして二%に達していないものについて二%まで拡大をするということを一斉に実施いたしてみたわけでございますけれども、今後物価の動向等を勘案いたしながら、必要な事態が生じますれば、当該品目につきまして関係省庁と協議をいたしまして、できるだけ輸入割り当てワクを拡大することにいたしまして、物価の安定効果を期待するということを個々の品目につきましてその情勢に応じて具体的に今後も検討いたしてまいりたい、このように考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 最後に、簡単でけっこうですが、関税局長に聞きたいのですが、香港の問題ですね、一特恵関税との関係において香港をどういうふうに取り扱い、どういうふうに対処する方針であるのか、今回の法改正とも関連をいたしまして、政府のお考えを承って終わりにしたいと思います。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 香港につきましては、具体的にこの香港を特恵の受益国にするかどうかということはまだきまっておりませんが、今度御審議いただいております関税暫定措置関係の改正の八条の二の二項というところに「経済が開発の途上にあり、かつ、固有の関税及び貿易に関する制度を有する地域のうち、」この特恵供与につきまして希望する地域につきましては受益国にすることができる旨の規定を置いてございまして、そういう希望が出た場合にどうするかを検討したいと思っておりますが、具体的には香港を指定するというふうにいまきめておるわけではございませんが、与え得るようになっております。  なお、その場合には、同じ規定で、物品につきましては——つまり特恵関税を供与する問題を議論いたしましたときには香港等を予想していまのスキームをきめておりませんものですから、物品につきましては、かりに香港を指定した場合には若干の制限をする場合がございます。これは政令で品物の範囲を定めることに規定しておる次第であります。

竹本孫一民社党

○竹本委員 これは国内業者、国内産業、特に中小企業等に与える影響は非常に深刻なものがあろうと思うのですね。そういう意味で善処を要望いたしたいと思うのです。いま、できるということは、そういうことにするということもできるわけですが、物品については特に慎重な配慮を行なうという御答弁であったと思いますけれども、慎重の上にも慎重な配慮を願いたいという要望をいたしまして、私の質問を終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 佐藤君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 まず最初にお伺いしたいのですが、関税の問題をずっと当たってみると、関税の性格というものはこの五、六年ずいぶん変わってきたのではないかと思うのですが、本来関税というものは何のために課せられたものなのか。国家収入の面及び国内産業の保護ということがあったと思うのですが、その性格がこの五、六年は変わってきたのではないかと思うのですが、この点についてまず関税局長の御意見はどうでしょうか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 御質問のように、関税の仕組みについて申しますと、やはり一面では国内産業の保護を関税によって講じていく、それから石油、砂糖などのように相当な関税収入、財政収入を確保するという面もございます。それから、また最近では、原重油関税を石炭の対策に使うというふうに、目的税的に使っておる面もございます。しかし、今度の改正に見られますように、そこから出て、いろいろ当面します問題にひとつ多目的にこれを積極的に活用していこうじゃないかという改正につきましての考え方につきましては、この間申し上げたとおりでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 確かに関税というものはかなり目的税的になってきたということは私も思うのですが、ただ自由化なりケネディラウンドなりの点からいって、国内産業の保護という観点がそう関税ではできなくなってきたと思うのです。  それで、たとえば国家収入に占める関税の割合を見ましても、四十年に六・八%、四十一年が七%、四十二年が七・二%、四十三年くらいから減り始めまして六・四%、四十四年が六・三%、四十五年は確定はしておりませんけれども、大体五・九%、本年度の予算の中では五。七%くらいになるのではないか。だんだん関税の割りが下がってくるという傾向があるようなんですが、今後の見通しですね。いま申しましたように、だいぶ性格が目的税的な、つまり国家財政の面からということは、これはある程度ふえる面もありましょうが、国内産業の保護という観点からいくと現在的にはだんだん関税は減ってくる傾向にあるのではないかと思うのです。その辺大かたの、国家収入に占める割合等から考えて、今後の関税の量と申しますか、額と申しますか、こういうものはどういうふうになるというお見通しでしょうか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 これについては基本的には、先日来御議論が行なわれておりますように、また先ほども竹本先生から御質問がございましたように、世界の貿易の発展のためにとにかく関税率はできるだけ下げていきたいという基本方針ではございます。それから、それがまた物価対策でもあるわけでございますが、一方におきまして大きな財政収入のもとになっておるという面もございますので、一がいにどれくらいになっていくということは申し上げるわけにはいきませんが、先ほどもちょっと申し上げました関税の負担で御参考までに申し上げますと、戦後二十七年ごろをとりますと関税の負担率というものは三%くらいでございました。これは関税で産業を保護しませんでも全く自由化をしておりませんから、保護主義のもとにありましたからそういう心配がなかったわけでございますが、その後だんだん自由化をしてまいって、三十六年くらいをとりますと自由化率が六〇%くらいでございましたが、まだ国際競争力が弱いということで、関税率はたしか七・九%くらいではなかったかと思います。これが昨年は六・九%に下がり、さらにことしは自由化を九月までに四十品目、残存輸入制限品目の自由化率を九四先ぐらいという段階になって、六・二%に負担率が下がる。非常に国際競争力がついてきたことを証明しておるわけであろうと思いますが、そういったふうに逐次下げてまいりたいというふうには思っておりますが、どれくらいになるであろうかということは一がいには申せないと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それで、本論に入りたいのですが、まず物価対策ということで三十八品目、本年度で関税が大かたは下げられているわけですけれども、その品目というのを見ますと、これがはたして物価対策というふうに大蔵省のほうで分けた範疇に入るのだろうか。こういうものの関税を下げるとほんとうに物価対策というものになるのだろうかというように、非常に疑問に思うものがあるわけです。たとえば真珠、それからウサギの肉、それから琉酸カルシウム、生鮮ナツメヤシの実——生鮮ナツメヤシの実を下げても、個々のものは価格は下がるでしょうけれども、関税を下げて物価対策上の配慮からというのはどうもあまり納得いかぬわけですね。それからイチジク、メロン、馬肉、インスタントカレー、それからカラーフィルム——後ほど個々についていろいろ御質問申し上げますけれども、まず関税局にお伺いしたいのですが、おたくさまのいう物価対策というのは個々の価格を下げるという意味の物価対策という意味なのか。それとも、いま非常に問題になっている物価の高騰、あるいは物価の安定がないという、そういう面から、従来のものより、高い関税率のものは幾らかでも下げて物価安定策に供しようという意味なのか。物価対策というふうにお考えになった観点、その物価対策というのはどういう意味なのか、まずその辺をお伺いしたいと思います。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 今度物価対策といたしまして私どもが御審議をいただいております関税率引き下げが、私ども自身でも十分満足いくかというと必ずしもそういうものではないのでございますが、ただ、いまお話がありましたように、引き下げをいたします個々の当該物品の輸入価格を下げるということだけをねらっているわけじゃございません。それによりましてやはり国内産品の物価につきましても抑制の効果があるのではなかろうか。それからまた、先ほども御議論がありましたように、輸入を促進することと相まちまして、それからまた国内の流通機構の整備と相まちまして、全体として国内の物価安定に、非常に不十分ではございますけれども、国内物価安定に役立つのではなかろうか。不十分ではございますが、これからもいろいろと努力をしたいわけでございますが、物価対策の重要性からいいまして、とにかくできることは何でもやっていくべきじゃないか、そういういろいろな目的を持ちまして御審議をいただいている次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そこまではっきり物価対策上と言われると、私もどうしてももう少し追及したくなるわけですが、たとえばいま申しましたように、たいへん私もへそが曲がっているかもしれませんけれども、生鮮ナツメヤシの実とかイチジクとかメロン、こういうものを輸入量を多くしたからといって、物価の安定、あるいは物価の上昇を抑制するような効果があるようにはどうも私は思えないわけです。その個々についてはまた御質問申し上げますけれども、そこで問題なのは、一応おたくの範疇の中で物価対策上こういうものを関税を下げたというふうにおっしゃるけれども、いま申し上げたように、これだけの三十八品目の関税を下げたならば今度は販売価格が必ず下がるという保証、見通しがあるのかどうなのか。それがないということになると、これは単なる業界、輸入業者あるいはその業界だけが関税の下げた分だけ利益に戻ってくるという形になるんじゃないか。まず、こういう三十八品目というものが関税が下げられたわけですけれども、関税を下げたから、それならばその個々のものが価格が下がるという見通しというか、保証があるのかどうか、その辺をまずお伺いいたしたいのです。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 これまた先日も御議論があったんですが、私どもといたしましては、確かに輸入価格は下がるはずであると思いますが、やはりこれは、関税を下げたからと申しまして、その輸入価格が下がったことが小売り価格にまで直ちに反映されるかと申しますと、それは自信がございませんが、これは関係の産業官庁とも協力いたしまして業界を指導する。そしてまた下がっていくように見守っていくということによりまして、流通段階のいろいろな措置によりまして下がっていくことを期待しなければならぬというふうに考えておる次第であります。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 物価対策上関税を下げなければいけない、あるいは輸入量をふやして物価抑制策に供するというのは理論的にいいわけです。そうしますと問題は、結局最終的には物価対策上この三十八品目にしぼられてきたということですね。結果はこの三十八にしぼられてきたわけだけれども、私はその過程がやはり問題じゃないかと思うのです。いま言われましたように、関税を下げたからといって必ずしもこれらの個々の販売価格が下がる自信がないとおっしゃるならば、行政指導するにしても、その関税を下げた分だけその中間マージンに結局食われていってしまうならば、これはやはり問題だと思うのです。  そこでお伺いしたいのですが、この三十八品目は、たとえば経済企画庁なら経済企画庁として、いろいろの関税の面あるいは物価のいまの上昇のいろいろな観点から考えまして、こういうものとこういうものを下げてもらいたいというような要請があり、あるいはそういうものを通産省あるいは農林省、それから大蔵省、いろいろ協議した結果、三十八品目に最終的になったと思うのです。一体どういう経過で、どういう過程でこういうふうに三十八品目にしぼられてきたのか、その点をお伺いしたいと思います。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 企画庁等から、物価対策もありまして、とにかく問題になるものを、価格が非常に上がっているもの等につきましていろいろ提案がございました。それにつきまして関係の産業官庁等と十分議論をいたしまして、——これは国内の同種産業の国際競争力につきましても検討しなければいけませんものでございますから、そういう検討をいたしまして、とりあえずこの三十八品目につきまして関税の引き下げをしていこう。物価対策と銘打ちましたのは三十八品目でございますが、全体の関税の引き下げの物品はすでに御案内のとおり百二十四品目でございます。とにかく、これで終わったわけではございませんで、とりあえずことしはこれをやろう、下げられるものからまず下げていこうということで、この提案をしている次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私が問題にしたいのは、もちろん百二十四品目ですが、今度の関税の引き下げをすれば、それらの個々のものは、それがいま申しましたように市場価格にどういうふうに影響になるかどうかはわからないわけですけれども、その際に、物価対策上といわれるからには、やはり市場のメカニズムとかあるいは価格における関税の度合い、それから輸入品とシェア、こういうものをやはり考慮してやらないと、いやしくも大蔵省が物価対策上関税を下げるのだというからにはやはりどうしても理由が弱いんじゃないか。そうじゃなくて、私は悪く見れば、これらのものはさっき言ったように、必ずしも実際の全体の物価抑制になるのかどうかも非常に疑わしいものがある。それは逆のことを言えば、どうも業界から圧力があって、これらの関税を下げてくれ、さりとて必ずしも販売価格は関税が下がった分だけ下がるとは限らないということでは、結局中間の輸入業者なりあるいは個々の販売の業者だけが関税下げた分だけ全部食ってしまうんじゃないか、そういう懸念があるのじゃないかと思うわけです。やはりこういうふうに物価対策として関税措置をしたもの三十八品目というふうにしぼられた限りは、私が申しましたような、価格における関税の率とか、あるいは輸入品の国内市場に占める割合とか、市場のメカニズムとか、そういうものをやはりある程度配慮されたと思うのですが、その点はいかがですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 いろいろな点を考えましてきめたわけでございますが、先ほどお話がありましたように、業界から下げることでプレッシャーがあったということは全くございませんから、よろしく御了承いただきます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 経済企画庁にお伺いしたいのですが、ここに三十八品目というのは物価対策上の配慮から下げたということで、たとえばバナナなんか見ましても、確かにいままで、前の関税率ですとキロ当たり九十九円関税がかかっていたわけです。それが今度の改正案によりますと、これは季節関税でございますので、四月から九月ですと八十六円、十三円関税が下がるわけです。パーセンテージにして一三・一%、かなりこれは大幅だと思うのです。ではこれが一体、キロ当たり十三円下がるんだけれども、実際の販売価格が下がってくるんだろうかというと、やはり私は非常に疑問に思うのです。バナナとか自動車とか家庭電器製品、その辺なんかはまだ私は理解できるんですけれども、たとえばカラーフィルムなんか、これはいろいろ六種類ばかり種類があるわけです。これなんか大きく分けましていわゆる一般の方々が使うフィルム、たとえばさくらとかフジとかいうところで販売しているフィルム、こういうものはある程度関税を下げれば、それだけの分が価格に影響するかもしれませんが、外国業者、コダックなんかがはたして販売価格を下げるかどうかということについて、また個々の問題としてあとで申し上げますが、そのほかのいわゆる大型の、映画会社で使うような映画のフィルムの関税、こんなようなものがはたして物価対策ということで、個々の販売価格といっても普通の一般の消費者には関係ないわけですね。  まず経済企画庁にお伺いしたいのは、ここに真珠とかナツメヤシの実、イチジク、メロン、インスタントカレー、こういうものが物価対策上ということで入っているんですけれども、いま論議がありましたように必ずしも個々の価格が下がるという自信もない。それでまた物価対策上こういうものを関税を下げるということになっている。この点、経済企画庁として、つまり物価の抑制策を絶えず考えていらっしゃる経済企画庁として、この三十八品目というのは一体物価対策という面でどういうような効果があるとお考えになっているのか、その点をお伺いしたいんですが。

山下一郎経済企画庁国民生活局参事官

○山下説明員 今回の関税引き下げの品目の中で物価対策関連ということで整理をされておりまする三十八品目につきまして、その物価対策上の効果いかんという御質問でございますけれども、確かにこの三十八品目の中で、直接国民の消費生活に関連する度合いから申しますと、先生御指摘のように、バナナとか、あるいはカラーフィルムのしかも一般の使用に充てられるもののように、より関係の密接なものと、それから真珠のように関係の比較的簿いと思われるものとがございますけれども、いずれにいたしましても物価問題を担当いたしております私どもといたしましては、現在非常にむずかしい物価対策の一つの手段といたしまして、輸入品につきましての関税の引き下げをはかるということが、直接に当該輸入物資の価格の引き下げにつながると同時に、間接的に当該業種についての国内における企業の合理化の刺激剤になるということも含めまして、物価を引き下げる方向への効果を持つものであることは否定できない事実でございます。このように考えまして、物価対策の一環といたしましても関税率のできるだけの引き下げを、大蔵省はじめ関係省庁に必要あるごとに、機会あるごとにお願いをしておるわけでございます。  四十六年度におきましては、御指摘のようにこのような品目についての関税率の引き下げがはかられているわけでございますが確かにこれが実際に物価に影響を及ぼしますためには——先生の御質問にもありましたように、流通段階における中間マージンの引き下げになるようなことになってしまってはまことに何のために関税率の引き下げをやったかという結果になるおそれも十分考えられますので、その点につきましては、今後当該物資なり産業を所管しております関係省庁と密接に連絡をとりながら、その関税率の引き下げの効果の最終価格に反映いたしますように、と申しましても実際になかなかむずかしい問題でございますけれども、あらゆる機会をとらえましてその方向で努力をすることによりまして、物価安定の一つの手段としての効果をあげ得るように努力をしてまいりたい、このように考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そこでもう少しお伺いしておきたいのですが、つまり個々のものについて一体市場メカニズムがどういうふうになっているのか、あるいは個々の価格にその関税の占める割合がどうなのか、あるいは輸入シェアというものは一体どういうふうに影響するだろうかということで、まず通産省にお伺いしたいのですが、乗用自動車ですか、これは六種類ございますけれども、四十五年五月のとき、軽自動車の関税を下げましたら確かに日本の国内の軽自動車が下がったという事例はあるのですが、今度の乗用自動車に対する関税引き下げで日本の自動車の販売価格が下げられるという見通しはございますか。

室谷文司通商産業省通商局国際経済部長

○室谷説明員 自動車の今回の関税引き下げにつきましては、一つは物価対策上の配慮もございますけれども、同時に、従来わが国の自動車産業は、いわゆるワールドエンタープライズと称せられる世界的な大企業に比べまして資本力が弱い、国際競争力が弱い、十分でないというようなことから、世界的に見ますと比較的高い関税で保護されてまいったわけでございます。それが最近、外国の関係業界なり政府なりから、特に先ほど来問題になっておりました一般的な保護主義的風潮に関連いたしまして、日本のそういった自動車等の関税についての批判あるいは不満というものがかなり集中して、そういう保護主義的な風潮にまた拍車をかけるというような傾向が見られたわけでございます。そういう意味で、わが国としましても一面において自由化を促進すると同時に、やはり関税面でもそういった批判なり不満をできるだけ排除していきたいということから、いわばこれらの産業をめぐります国際環境の是正ということも一つの重要な配慮になっていたわけでございます。  ところで、自動車の関税の引き下げによりましてどのくらいの価格面での影響があるかと申しますと、一つの試算によりますと、理論的には輸入価格が、今度の引き下げによりまして、自動車の型によりましていろいろ違いがございますが、一つの例をとってみますと、八・二%ぐらい理論数値としては輸入価格が下がるということになっております。具体的にこれがそのまま下がるかどうかという点につきましては、自動車、あるいはカラーフルィムもそうでございますが、外国のそういった大資本のもとにおける系列販売が非常に確立いたしておりますので、その辺なかなかむずかしい面があろうかと思います。しかし、特に自動車の場合、小型乗用車は外国の日本市場における競争力がついてくるということがまた事実でありますし、またフィルムにおきましても一月からあわせて自由化措置をやっておりますので、自由化あるいはこういった関税の引き下げということによって、少なくとも国内メーカーに対する刺激剤ということはかなり強いものがあろうかと思います。そういう意味で、国内メーカーが一そうより競争力のつく輸入品に対して合理化あるいは価格引き下げの努力というものをして、今回の趣旨が生かされるような方向になることを期待いたしておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いま御答弁あったように、確かに、八・二%というと小型乗用車ですと関税を下げたことによって受ける影響は大体五万七千円なんですね。大型乗用車では六・四%、十三万六千円というものが関税の額からいうと下がるわけです。これは八・二%、六・四%という数字を見ているとたいしたことはないようですが、五万七手円と十三万六千円というのはかなりな額だと思うのです。いまの御答弁ではこれだけ関税が下げられるわけですから、この分が一体ではどういうふうに価格に影響させてこれるのか。その行政指導として通産省として何か手を持っているのか、あるいは法律上はさっぱりできぬのか、その点はどうなのですか。

室谷文司通商産業省通商局国際経済部長

○室谷説明員 通産省としまして、今度の関税の引き下げに関する面における引き下げの実現をはかるという意味では、特に法的手段はございません。ただ、先ほど関税局長からのお答えもございましたように、関係業界に十分連絡をいたしまして、今回の趣旨が生かされるように協力をお願いしたいと思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いままでの日本の乗用車の関税というのは大型で一七・五%、小型で二〇%、これが今度一律一〇%になるわけですね。ケネディラウンドの最終でアメリカが三%、イギリスが一一%ということでございますので、大体イギリス並みにはなったということはいえると思うのです。ただ問題なのは、日本の企業の刺激にするといっても、さっき申しました五万七千円あるいは大型自動車で十三万六千円というのは、そのまま輸入業者なり何なりに吸い取られてしまって価格に全然影響してこないということでは、これは何の効果もない。ただ中間のマージンをとるだけだと思うのですね。その辺で私は非常に疑問を覚えるわけなのです。  あまり時間もございませんので、その次に通産省に伺いたいのは、硫酸カルシウムというのがございますね。これはブロックか何かを固めるものなんだそうですけれども、そのあとの建築用ボード、この辺ならまだわかるのですが、硫酸カルシウム——私もしろうとだからぽっとこんな硫酸カルシウムなんか物価対策上の配慮からの関税指置といわれても、どうもあまりスムーズに納得できないのですが、一体硫酸カルシウムというのは、これを下げますとどういうふうにいろんなものに価格の影響というのがあるのですか。

室谷文司通商産業省通商局国際経済部長

○室谷説明員 硫酸カルシウムは、いわゆる化学石こうと申しますものでございまして、最近建築物の内装材に多く使用されております石こうボード、またいわゆるセメント等の原材料として使用されているものでございます。ところが建材の需要が最近非常に増大してまいりまして、原料の不足が非常に顕著にあらわれてきた製品価格にも影響を与えるおそれがあるということで、今回関税率を引き下げることによって、原料の安定供給、できるだけ安価な不燃建材の供給をはかるという意味で、税率を無税にいたしたわけでございます。現在関税率が一〇・五%でございますが、これは価格にいたしまして坪当たり八円十銭程度の石こうボードの工場出荷価格に相当いたすわけでございまして、現在石こうボードの工場出荷価格は四百五十円、小売り価格で大体七百円か七百五十円ということで、無税にいたしますと理論的には対工場価格が一・八%の影響があるというふうに考えられるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それからカラーフィルムなんですが、これは六種類あるわけなんですけれども、いろいろ調べてみますと、カラーフィルムというのは外国製品はほとんどコダックが扱っているようなわけで、私がさっき申しましたように、いわゆる三十五ミリというのですか、普通の写真用のものでしたら、まだコダックが販売価格を下げるかもしれないという可能性があると思うのですね。そういうものの物価への配慮というのはまだわかるのですが、いわゆる映画会社なんかにカラーフィルム、こういうものになると、必ずしもそれは物価対策上の配慮ということは言えないのじゃないかと思うのです。カラーフィルムに関して、では、はたしてこれだけ関税を下げて価格が下がる可能性というのはあるような市場ですか。

室谷文司通商産業省通商局国際経済部長

○室谷説明員 今回のカラーフィルムの関税の引き下げにつきましては、先ほども申し上げましたいわゆる国際環境の是正という面も非常なファクターになっております。御承知のようにカラーフィルムにつきましては、一般用のロールフィルムについては書本に入ってきておりますのはほとんどコダックのカラーフィルムということになっておるわけでございます。そのコダックのような大企業のもとにおける系列販売というものが非常に強くなっていますので、コダックそのものが直ちに価格を下げてくるかどうかということについては、必ずしも私としましては自信を持って申し上げることはできないと思います。ただ先ほど申し上げましたように、輸入の自由化とあわせてこれを総合的に考えてみますると、日本市場におけるコダックのカラーフィルムの競争力はさらに相対的に増加する、販売競争が激化するという形になることは必然であろうかと思います。そういう過程を通じまして、国産のカラーフィルムのメーカーが一そう合理化あるいは価格引き下げ——いろいろな要因が価格の引き下げを直接にできなくても、カラーフィルムのコストアップ等をさらに吸収して、物価の安定に寄与されることが期待されると思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それじゃ農林省にお伺いしたいのですが、農林省の品目として真珠とそれからウサギの肉、生鮮ナツメヤシの実、イチジク、メロン、馬肉、インスタントカレー、バナナ、それからハッカもそうですが、ハッカからとった油もまた物価対策用ということで入っているわけですけれども、これなんかも、たとえばイチジクとかメロンあるいはウサギの肉、馬肉、こういうようなものは、いま関税を下げれば価格が下がるというようなメカニズムですか。

吉岡裕農林省農林経済局国際部長

○吉岡説明員 いまお話のございました品目はいずれも自由化されております品目でございまして、関税の引き下げの効果と申しますのは、いままで関税局長等からも申し上げられましたように、一般的に関税の引き下げによりまして、CIF価格プラス関税ということで、国内に入ってまいります価格の引き下げは理論的には可能なことでございます。ただ、実際問題といたしまして、そのときの市況の変動あるいは国内におきます需給関係といったようなものが当然反映いたしますので、それが実施されました暁に、そのまま小売り価格等に反映をいたすというふうな保証はないわけでございます。しかしながら、こういったものをやることによりまして、一般的に、そういう外国から供給されるものがより安い値段で入り得るということになりますと、胃内の生産の価格の目標としてそういうものが働くということか、あるいは各種の流通機構に関する合理化、改善というふうなことを側面的にも加えることによりまして、そういうことによる効果が国内価格に反映するように指導してまいる、役所側のそういう足がかりにもなる、こういうことであろうかと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 個々についてもう少しお伺いしたいのですが、時間もございませんので、もう一つ厚生省のものも入っておりますけれども、とにかく関税をかなり大幅に下げても市場価格にちっとも影響しないということでは、いわゆる日本の国内の産業に対してもこれは刺激にはならぬと思うのです。その部分だけ価格がちっとも変わらないということでは。その点で今後の行政指導で、先ほどの自動車なんかもこれだけ大幅に下がったわけですから、市価場格も下がるということ、そして国内産業にそれが影響を与えるように指導していただきたいことをお願いしまして、次の問題に移らせていただきたいと思います。  次は原重油関税軽減の問題なんですけれども、御存じのように、原重油関税というのは石炭対策特別会計の財源になっているわけです。まずお伺いしたいのですが、今度の減税措置によりまして一体幾ら減収になる計算になりますか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 御案内のように、原重油関税につきましては、亜硫酸ガスによる大気汚染防止ということで、従来やっておりました脱硫重油に対する減税の幅を広げたことと、それから一%以下のローサルファのものを入れました場合に、キロ当たり百十円の減税をやる二つの措置がございます。今度の措置によりまして、これは十一月から実施することにしておりますが、三十五億減税になります。平年度で申しますと八十一億。十一月からでございますから、いま申しましたように平年度とだいぶ差がございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 まあ先のことを言うのはなんでございますけれども、御存じのように公害対策ということでこれはもっともだと思うのでございますが、将来ともこの原重油に対する関税、これはますます下げていく傾向にあると考えてよろしゅうございますか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 お話しのように、重要なエネルギー源でございます原重油関税につきましては、本来ならば関税をかけないようにしたいと思いますが、先ほども申されましたように、何しろ原重油関税収入の八割というものが、とりあえず四十八年度までは石炭対策の財源になっております。そういったこと。それからまた、一方におきまして減税の要望もありますけれども、石油の資源確保のためのいろいろな対策に原重油関税収入を使うことはどうかという、いろいろな意味がございますので、この際は引き下げということはなかなかむずかしかろうというふうに考えておる次第であります。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、それは局長としては、将来のことはそう確定的にはだれも言えぬわけでありますけれども、昨年度、脱硫装置ですか、それに対して、たしか四十八億だったと思うのですが、原重油関税がまけられましたな。本年度二年目ですけれども、そういうことで、大体原重油に対する軽減措置というのはこれくらいがめどであるというふうにお考えでございますか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 御案内のように、関税率審議会におきましても、四十八年度に石炭対策特別会計の終期が参りました際に、ひとつエネルギー課税につきましてはもう一ぺん見直しをすべきではないかという附帯決議がついております。そういうこともございますから、先ほど申しましたいろいろなことも考えながら、十分慎重に検討してみたいと思います。これが限度だということも言えませんが、一挙に無税にすることもできません。いま申しました関税率審議会の附帯決議の旨も体しまして、慎重に検討したいと思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ところでお伺いしたいのですが、石炭の今後ということが問題になってくるわけですけれども、一応石炭特会は四十八年で終わることになっておりますが、それで目安がつくものでございましょうか。

阿部茂通商産業省鉱山石炭局石炭部長

○阿部政府委員 お答えいたします。  ただいま佐藤先生の、石炭政策は四十八年度までで一応のめどがつくか、こういう御質問でございますが、御存じのように、ただいま実施しております石炭政策の基本というのは、昭和四十三年の暮れに石炭鉱業審議会が第四次石炭政策についての答申をなされまして、それを受けて、四十四年の一月になりまして八項目にわたる閣議決定をなされまして、それに基づいてただいま石炭政策を実施しておるわけでございます。ところで、一応第四次政策は、石炭経営者の自主経営の原則を貫いていく、それに対して国ができるだけの保護政策をしてやって、できるだけ早くめどをつけるべきである、こういう基調でなっておりますけれども、いまの現状から申しまして、一応四十八年度末でめどがつくとは、遺憾ながらとうてい申せないような状況でございます。しかしその辺につきましては、第四次政策では四十九年以降のことにつきましては特に具体的に触れておりません。したがいまして、この問題につきましては今後の状況等を勘案しまして、再度いろいろな角度から検討を続けてまいる必要があろうかと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 どうしてもこの原重油の関税を問題とするとやはり石炭の今後ということに触れておかなければいけないと思うのですが、去年の十一月二十日の石炭鉱業審議会の中間答申にもありますように、いま阿部さんのほうからお話がありましたけれども、実はこの第四次の対策をやって助成の拡充にもかかわらず、企業の当初計画と現在の事情との間にかなりの違いが生じているということで、逆に石炭というのは——この特別会計が発足当時はまあ石油にかわられるあと始末のような形でできたと思うのです。ところが現状では逆に、もっともっとやはり日本の唯一の貴重なエネルギー源として、なおかつ日本ではほぼ一割ぐらい石炭にたよっているところがありますし、それから資料を見ましても、これからもさらに原料炭を開発していかなければいけないというような報告書が出されているわけです。そういう観点に立つと、ここにも書いてありますけれども、「長期的にその供給の確保が必要とされているという観点からは、いわば、石炭鉱業は産業政策上必要な産業となっており、」と、かつてのような、石炭特別会計ができたころの認識とは逆に、さらにもっと積極的に石炭特別会計というのは進めていかなければいけない状況になっているんだと私は思うのです。その点はそういうふうに判断してよろしゅうございますか。

阿部茂通商産業省鉱山石炭局石炭部長

○阿部政府委員 お答えいたします。  ただいま佐藤先生が御指摘の、かつての石炭政策は言うなればスクラップ政策を基調としておる、こういうようにただいまお話を伺ったわけでございますが、おことばを返すようでたいへん失礼でございますが、必ずしもそうではなくて、俗にビルド・アンド・スクラップと申しておりまして、どうしても自然条件等に恵まれない老朽炭鉱については、これはスクラップを急いで閉山対策を行なってまいったのでございますが、片や再建の可能性のあるいわゆるビルド炭鉱というものも国内にはなおかなりございまして、それらのものについては合理化、近代化の政策を推進してまいり、かつ財政の面からもいろいろな角度から相当なてこ入れを従来ともしてまいった次第でございます。  ところで、御指摘の昨年十一月に石炭鉱業審議会の体制部会から出しました答申の点でございますが、その後の数年の石炭鉱業の現状を分析いたしますと、最近の特に公害の問題等の規制が非常に強化されてまいったというようなこれが非常に影響いたしまして、一般炭が特に最近閉山を急いでおるような状況でございます。ところが、片や御指摘の原料炭でございますが、御存じのとおり国内鉄鋼業は世界じゅうどこの国よりもたいへん高度の成長を遂げておるわけでございまして、そのためにコークス用の原料炭というものを毎年海外から、このところ年間五百万トンずつほど増加しつつ、今日では五千万トン近い原料炭を入れておる。これに対する国内原料炭は大体千二百万トンから千三百万トンの間を安定して供給しておるわけでございます。その海外原料炭との配合性等が非常にうまくいっておりまして、そういう意味で、体制部会は現時点の国内石炭鉱業を分析した結果、高サルファの一般炭等はある程度閉山を急ぐのはやむを得ないけれども、原料炭は非常に今後とも長期的に安定供給していく必要がある、こういう結論を答申された次第でございます。したがいまして、御指摘のように数年前と今度の体制部会の答申が基調を変えたのかという御指摘については、必ずしも変えていない、むしろ現状に即して流動的にこれを分析して答申を出しておられる、かように判断しております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いや私の申したのは、基調を変えたということではなくして、先ほど言われたように、石炭特別会計ができた当時というのはスクラップ化だけだったと思うのですね、おもに基調が。そうでもないですか。

阿部茂通商産業省鉱山石炭局石炭部長

○阿部政府委員 予算面等から見ましても必ずしもそうではございません。ビルド面にもたいへんな予算を使っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それでその点はいいのですが、法制局にお伺いしたいのですが、石炭特別会計法の第三条の一号には、その収入として、「次条の規定により石炭対策に要する費用の財源に充てられる関税収入」ということが書いてあるわけですけれども、いま石炭特会というのは四十八年度まで、とりあえずそういうことになっている。将来のことについてはいろいろこれから論議しなければいけない点があるわけですけれども……。こういうことになってきますと、この原油関税というのは一般的な意味で目的税であるというふうに法律上−目的税というのは法律用語ではございませんから法律上というのはむずかしいのですが、観念としてこれは目的税なんだというふうに考えてよろしいのですか。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 目的税といいますのは、特定の使用目的あるいは特定の事業に要する経費に充てるということが法律で明定されている特定の税目をいうんだということでございまして、国税でいいますと、地方道路税というものは、県なり指定市に対し「道路に関する費用に充てる財源を譲与するため」にこの税を取るんだということが明定してございます。あるいは特別とん税というものは、別途特別とん譲与税法という法律の定めるところにより「地方公共団体に財源を譲与するため」という目的が明確にうたわれている、こういうような税目が目的税といわれるのでございまして、そのほか地方税法の中には目的税というものが法定税として多数列挙されております。それは都市計画税でございますとか軽油引取税でございますとか、入湯税、入猟税あるいは共同施設税あるいは国民健康保険税というような、特定の目的に充てるんだということがその税目を設置する目的として法律で明らかにされているというもの、またそういう恒久的な性格をもって設けられているというものが目的税というのでございます。  それに対して、たとえば現在道路整備緊急措置法の規定によりまして、揮発油税の収入額及び石油ガス税の収入額の二分の一というものはその道路整備事業の財源に充てるのだというふうに、一定の期間、その道路整備五カ年計画というような期間その税収を特定の財源に充てるんだというふうになっておりますもの、それからお尋ねのような、この重油関税による収入というものは石炭対策特別会計の歳入にするんだということで、その石炭対策特別会計法第四条に収入の帰属が書かれておりますが、こういうようなものは、その税目が設置された目的として書かれているのではなくて、一定の期間特定の財源に充てるということに義務づけられておるというもの、こういうものは通称特定財源と呼んでいるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 もう一点だけお伺いしておきたいのですが、この石炭特会がとりあえず四十八年度までということになっておるわけですけれども、そうすると、関税定率法のほうには石炭特会に使うということは書いてないわけですね。おそらく書いてないと思うのですね。つまり、原重油の関税というのはその十二分の十を石炭特会のほうに回さなければいけないということは書いてないわけですね。石炭特会が終わるというか、仮定の場合で、たとえば四十八年度に打ち切った場合に、原油にかけられている関税というのはどうしなければいけないという制約はそれによって受けますか。

荒井勇内閣法制局第三部長

○荒井政府委員 石炭対策特別会計法が、現在の附則に書いておりますように、昭和四十九年三月三十一日までに廃止されるということになりますと、この特定財源として規定しております第四条の規定も失効いたしまして、そうなりますと、財政法第二条でいうところの、「国の各般の需要を充たすための」一般的財源になるということが法律的なお答えであろうかと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私はこの原重油に対する関税の一問題を考えるときに、二つの矛盾しているものが一本に結びついているのはどうもあまりうまく納得できないのです。というのは、石炭鉱業審議会のほうで、一番最後に財源措置として、「財源の確保」ということで、「以上の諸対策その他石炭施策の実施に遺憾なきを期するためには、何よりも財源の確保が重要である。」これは先ほど通産省のほうからもお話があったように、なおかつ石炭というのはやらなければいけないわけですし、そういう面からいえば当然のことなんですが、「これに関連して、昭和四十五年度末をもって有効期限が終了することとなっている原重油暫定関税について、これを昭和四十八年度末まで延長することを要請する。」ということが書かれているわけですね。一方、関税率審議会のほうの答申の附帯決議には、とにかくこれは早くやめなければいけない。こういうような矛盾したものが石炭特別会計というもので結びついているわけです。私は石炭をやめていいということを言うのではない。逆なんです。石炭はまだまだやらなければいけないのに、その財源として、関税率審議会の附帯決議にもあるように、原重油に関税をかけるのがいけないという、その発想からそういうことになっているということは、どうもあまりすっきりしないじゃないか。やはり石炭は石炭として必要なんだから、これはちゃんと確保した財源を見つけて、つまり、下げなければいけないという原重油に対する関税の財源でなくして、それはたとえば半分を一般会計から、半分を何か別のところからということで考える、これが本筋じゃないかと思うのです。片方はまだまだこれからやらなければいけない、財源がもっと必要だというものと、片方は関税率を下げて、附帯決議にもあるように、なるべく早い時期に廃止を検討すべきであるというようにいっているものとを、石炭特別会計で結びつけているというのはいかがなるものかというふうに考えるわけです。これから石炭特会をさらにエネルギー特会にするなり何なりということもまた問題になってくると思うのですが、それとは別に、この財源の措置として、片方はやめなければいけないというものを、さらに必要であるという財源と結びつけていくというのは、どうもあまり納得できるものじゃないが、そのあたり政務次官、お考えいかがでございますか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 確かに、エネルギー対策という点から考えていきます場合に、国産の唯一のエネルギー供給源であります石炭産業を、先ほど通産省からもお話がありましたように、一方におきまして合理化をしながら保護していくということは必要な措置でございます。その場合に、いま先生がおっしゃいますように、何も特定財源で裏づけしなくてもいいじゃないか、一般財源でいいじゃないかという御議論もありますけれども、私どもといたしましては、沿革的に見ました場合に、原重油関税がずっと石炭対策として使われております。それから各国にもそういう例があるのでございますが、わが国でも原重油関税が石炭に対します保護関税的な機能も果たしておる。そういうことを考えますと、やはり現在の財源措置、つまり石炭対策特別会計で書いてありますように、原重税関税の相当分を石炭対策に使っていくということは当面続けていかざるを得ないと思います。ただ、いまの法律ですと、四十八年度に特別会計が終期が来る。それからまた対策費もだんだん減ってくるという場合に、原重油関税をどうするかということになりますと、先ほど申し上げましたが、いろいろその御意見がございます。これは別の石油資源の開発のために使ったらどうかという御意見もございます。一方において、エネルギー課税はけしからぬからやめろという御議論もございます。そういうことでございますので、その段階でやはり考えなければならない問題であろう。関税を原重油に課しておりますのは日本とアメリカだけでございますが、石油全体の負担を考えてみますときには、各国はいろいろな消費税をかけております。日本もかけておりますが、全体のそういったエネルギーに対する負担を見ました場合には、まだ日本はそう高いものではない。アメリカの次くらいに低い負担になっております。そのことも頭に置きながら、そして全体としてエネルギー政策をどうしていくかということも頭に置いて、その一環として原重油に対する関税をどうするかということを考えていくべきではなかろうか、こういうふうに実は考えておる次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 この問題は、局長からお話があったように、日本の今後のエネルギーをどうするかという非常に大きな問題になってきますので、この点についてはそう簡単に議論できることじゃございませんので、この際はこれまでにしておきたいと思います。  その次に特恵問題についてお伺いしたいのですが、第八条の二に「経済が開発の途上にある国際連合貿易開発会議の加盟国で、関税について特別の便益を受けることを希望する国のうち、当該便益を与えることが適当であるものとして政令で定める国」という条項がありますが、これはどういうところをお考えになっておりますか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 ただいまの受益国につきましては、御審議をいただいておりますこの法案が御通過を許していただいたあとにおきまして、具体的に政令できめてまいりたいというふうに考えておりますが、大体の考え方といたしましては、国連貿易開発会議に入っておりますAグループ、Cグループ、アジア・アフリカ、中南米諸国といったところを中心にして、諸外国がこれらの国につきましてどういう取り扱いをするであろうかということもにらみながら決定してまいりたいと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 逆の聞き方をすれば、UNCTADに入っている国、いまほぼ百ぐらいあると思いますが、そのうち除外される国も可能性としてはあるわけですね。その基準みたいなものはどういうふうにお考えになっておりますか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 いまお話がありましたように、たくさんの国がUNCTADに加盟いたしております。そして、ただいまお答えいたしましたように、大体開発途上国であると考えられますのがAグループ、Cグループでございます。その中でも南アフリカのように受益を希望していないところもございます。そういうところはもちろんやらないわけでございますし、その他ガットの三十五条を援用している国とか、それから関税などで対日差別をしておる国、こういったところをどういうふうに取り扱っていくかということもございますので、ただいま申しましたように、法案成立後政令で指定してまいりたいというふうに考えます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それから第八条の三なんですが、農水産物についてこういう項目がありますね。その輸入が、これと同種の物品その他用途が直接競合する物品の生産に関する本邦の産業に損害を与え、又は与えるおそれがあり、当該産業を保護するため緊急に必要があると認められるときは、「という条項があるのですが、 このところの「損害を与え、又は与えるおそれがあり、」というのは一体どこが判定するのですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 もちろん政府でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 政府は政府ですけれども、それは関税局ですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 こまかく申しますと、もちろん農林省を中心にいたしまして関税局も一緒に、被害を受けておるか、受けそうだというあれを判定するわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 先ほどの竹本さんの御質問ではないですけれども、日本も、ダンピングだ、ダンピングだとアメリカで騒がれおるわけですね。そういうことの裏返しに、おそれがあるといっても、一体どういう状況になったらおそれがあるのか、それの判定というのが非常にむずかしいと思うのです。また、これに対しても判定の基準を入れないことには、開発途上国からそんなおそれはないんだといわれて問題が起こるときがあると思うのです。ですからその辺のところは、アメリカのようにダンピング委員会なる権威のあるものを——権威があるかないかはわからぬけれども、つくるのかどうなのか。それとも、何らかの判定の基準というものをつくらないと、これはいろいろ国際問題になってくるんじゃないか。その点はいかがですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 ただいまのところ関税率審議会にかけるかどうかということは考えておりません。それから、まず申し上げておかなければならないと思いますことは、この規定を働かすことは万々あるまいというふうに考えております。実は特恵のスキーム自体が、農水産物につきましては、御案内と思いますけれども、熱帯産品を中心にいたしまして、わが国の産業にさしたる影響はないというものを選んでおります。大体特恵供与というのが、特恵関税というのが開発途上国の工業化を促進しようということでございますから、工業産品を中心にして、考えておるものでございますので、農産品につきましてはいま申しましたようなことで品物を選んでおる。それから税率につきましても、偶々に物品に当たりましてずっときめこまかくきめておりますから、まずこの規定を働かすことはなかろうと思っておりますが、もちろん非常に開発途上国にも影響を起こすことでございますから、判定につきましては十分慎重に検討いたします。ただ、どういう基準でということをいまからきめておくということはなかなかむずかしい問題でございまして、働かすことは最後の段階に考えまして、そしていかなる場合に働かすということは、やっぱり具体的な問題が生じましたときでないと、何%こうしたらこうだとかいうふうな基準を考えてきめることは、むしろかえって弊害があるのではないかと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それから、これは重大なことだと思うのですが、UNCTADの最終会議は、いつですか——これを見ればわかるのだけれども、そのところの最終議定書に原産地証明の規則、これが討議されたと思うのです。その中身については詳しくはまだ確定していないと思うのですが、その辺はどういうふうになっていますか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 原産地規則につきましては各国いろいろ議論が分かれまして、たしかお手元にも差し上げたかと思いますが、合意議事録報告書によりましても、できるだけ統一したものにしたい、かつできるだけ簡単なものにしたいということが確認されたというふうな書き方になっておりますが、そういったことで各国できるだけ同一のものをつくろう、できるだけ簡単なものにしようという努力はいたしておりますが、きまった規則というもの妹できなかったわけでございます。そうして、統一見解には達しておりませんけれども、特恵関税を早くやるということが大事でございますから、多少違ってもそのためにはしかたがないじゃないか。今後努力をして、ひとつ不備なところは、見直しの機会もあるから、レビューの機会もあることであるから、そういう際にも一ぺん議論しようじゃないかということで刷れておる次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 UNCTADで原産地規則が討議された内容には、このできたものがその特恵国、もちろん手をあげて特恵関税を受ける国ですけれども、その国の中でできたものならば何でも——何でもというのはもちろん特恵関税をかけられるものですけれども、その特恵国でできた、その場所でできたものならいいという精神ですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 大体そういうことでございますけれども、たとえば、国によりましては、先進国から入ってきた原料に対する付加価値が何%ぐらいでなければいかぬとかいうようなことをいうあれがありまして、大体そういうことでございますが、さっき申しましたようなことできまった。統一されたというものはございません。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それではお伺いしますが、そのつくっている工場の——工場というか、会社の資本比率は全然関係ないわけですね。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 そういう点は関係ございません。実は開発途上国に先進国から企業が進出いたしまして、そこの産品が入ってくる場合もございますが、それによりましてその開発途上国の雇用機会がふえ、かつ工業化が促進されることになるわけでございますので、これは、私どもだけじゃありません、国際会議でのそういう先進国の気持ちでございますが、いいじゃないか、企業につきましてそこをどこが支配しているかということは問わなくていいじゃないかという姿勢でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私はちっともいいと思わないんですね。これはたいへんな問題だと思うのです。御存じのように、韓国というのはUNCTAD下もちろん手をあげると思うんですね。日本の企業が韓国に一〇〇%の資本を持っていって工場をつくる。これはたしか韓国も保税地域になっていたと思うのですが、すでにそういう保税地域のもので数々のものが、繊維のものとか窯業のものとかいうようなものものは韓国を保税地域として、保税工場から入ってきて、日本の産物が非常に打撃を受けるということは現にあるわけですね。今度特恵が設けられるということで、日本の商社が韓国に工場をつくり——一〇〇%でも七五%でも五五%でもいいのです、つくって、そして今度つくる特恵の恩恵を受けて日本に商品をまた輸出する。韓国から見れば日本に輸出するわけですね。その際に特恵関税をかけられる、こういう可能性というのは十分あるわけですね。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 そういうケースも考えられます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 これはやはりたいへんなことだと私は思うんですね。つまり、ほんとうの意味で経済協力というなら、あるいは経済援助というならわかるわけです。それはあくまでもやはり従来の国の力をテークオフさせるということが本来の経済協力でございますから。それが外国の——いま韓国と日本の例をとってみるほうが簡単だと思うのですが、日本の企業が韓国に場所があるがゆえに、工場があるがゆえに、逆にその日本の韓国にある会社が日本に今度特恵関税で物を輸出できるということは本来の意味の経済協力ではないと思うのです。そうじゃございませんか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 私は、まあ特恵だけに限って申しませんでも、一つの開発途上国に対しまする工業化促進の手段ではないかと思っております。ただいまでも関税上、御案内のとおり加工再輸入減税というのがございまして、たとえば韓国の馬山とか台湾の高雄で、いわゆるフリーゾーンでいろいろな一この中には日本の企業も相当いっていると思いますが、日本から原料を持ってまいりまして、そして製品にして返ってきます場合には、原料に対する関税を免除するという制度がございます。こういった措置もございまして、むちゃくちゃに進出してまいるということは、それは当該国においても許可をしないだろうと思います。そういうことで秩序ある中で、先ほど申しましたように当該国の工業化を援助し、促進適することができますならば、それは一つの協力の体制と考えていいんじゃないかと思います。特恵はまさにそのことを考えておるわけでございまして、各国とも同じ計画を立てておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 特恵は、その開発途上国が一日も早く先進国並みに、経済的にもあるいは国民生活の面でもテークオフする、そこまで引き上げることを目的とするのであって、日本の企業が資本を韓国に持っていって——それは確かに韓国の方々の労働力を吸収する面にはなります。しかし本来の意味での韓国の工業化をそれによって助けるものとは私はちっとも思わないですね。そういう日本からの、向こうからいえば、韓国でいえば外資でありますけれども、日本から資本を持っていって日本より安い労働力を使って製品をつくり、そして特恵関税をかけられて、同じ日本人のつくったものが、韓国でつくれば特恵関税をかけられてまた日本に戻ってくる。そして日本の業者がつくったものに打撃を与える。これが一体韓国のテークオフの力にほんとうになるだろうか。工業化するということはやはり韓国の技術なり資本なり、こういうものを本来的な意味で力をつけさせる、それが私は海外協力だと思うんですね。ところがいまのような状態では、日本の大きな企業がますます資本を持っていき、韓国の労働力を使い、そしてまた特恵関税という、安いというかきわめてゼロのような関税で日本に商品を売り込む、これじゃ日本はたまったものじゃないと私は思うんですね。  で、私お伺いしたいのは、原産地規則という中に資本比率というものは全然考慮にないのかどうか。やはりこの際、非常に話がややこしくなりますけれども、韓国における外資、この場合例にとったのは日本でございますけれども、日本の外資に対しては特恵を設けないというような措置というのは、やはり原産地証明規則という精神、考え方の中に入ってもいいんじゃないか。そうしないと、これはほんとうにどちらが食いものになるかわかりませんけれども、結局韓国というのは日本の経済力に労働力だけ取られるえじきになってしまうんじゃないか。特恵がそういうふうに使われるというのは本来的な意味の経済協力じゃないんじゃないかと私は思うのですが、いかがでございますか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○谷川政府委員 先ほど来申しておりますように、原産地規則を置きます場合に先進国の資本比率が幾らにならなければいかぬということをきめることは考えておりません。それからまた、国際会議で議論されました場合もそのことは議論はいたしませんで、やはりこれはもちろん、さっき申しましたようにむちゃくちゃに進出できるというわけではございません。当該国のいろいろな規制もございますから、その範囲内において企業進出をいたしまして、とにかくその国の人と物とを使って、そうしてその国の工業化を促進することになることがまた一つの特恵関税の目的であるというふうに考えられておるわけでございます。とにかく第一義的にはその国の資本でやるということがもちろんあれでございましょうが、いま申しましたように、ある限度でいま申しましたような協力をすることは、一つの特恵関税のあるいはメリットではなかろうかと私も考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 たとえば、これはまだ特恵ではございませんけれども、大島つむぎが韓国でつくられて日本に戻ってきて、本来の大島つむぎに打撃を与えたり、あるいはワイシャツの加工を韓国でやるとか、特恵が設けられるということになったら東芝が韓国に進出して卓上の電子計算機をつくる、あるいはシャープも月産一万台の、やはりこれも卓上の電子計算機ですけれども、こういうものをつくるというような計画もすでにあるわけですね。これは明らかに特恵を目安にして安い韓国の労働力を使おうということだと思うのです。局長が言われるように、韓国の労働力とそれから資源を使って、その国の工業力を——「その国」というところに私は横に点を打たなければいかぬと思うのですが……。その国の工業力とおっしゃるけれども、日本の資本比率が八〇%か——借款も韓国はほとんどないくらい借りておりますから、今度は日本の資本自体がもう直接行っちゃうという形にこれからなるわけですね。現になっておる。これは外務省の経済協力局なり何なりに聞けば、もっと詰めればいいわけですけれども、そういうときにその国の工業力をふやしてやるんだといっても、それはちっともその国の工業力ではないと思うのです。単なる市場があり労働力があり、結局資本は日本の資本で、安い労働力を使って逆に日本にその商品が来るということでは、経済協力という意味での、いわゆるテークオフさせるという意味でのその国の工業力を助けてやるんだという精神では私はないと思うのです。これはもう古くさいことばでいえば、資本進出をしてかってに工場をつくって安い労働力で物をつくり、そしていままで特恵関税がなかったから日本にはある程度の関税で入りましたけれども、今度は特恵関税という、わざわざ壁を低くしたわけですね。それで来させるというような状態になるわけですね。私は局長が言われるような、これがその国の工業力を助けてやるんだという考えには絶対賛成できないのですが、再度御答弁願います。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 佐藤委員の御指摘のように、理想的な姿は資本も資源も労働力もその開発途上用が分担をして、そこから出た産品を特恵扱いにするのが理想的な形だろうと思うのです。ところが、資本がなくて産業が起きない。そこで日本に対して資本参加を要請しているわけです。要請した結果、これも経済援助の一つですが、産業ができた。その物は買わない、特恵の扱いをしないということになると、だれが不利益をこうむるかというと、やはりその開発途上国の産業が伸びない。そこで困る。何とかその分も含めて特恵の扱いをしてもらいたいというのが、開発途上国の要請でございます。要請にこたえることが、これが特恵の精神ではなかろうか。その結果、日本から資本を出した人が利益になる分もこれはあるかと存じますけれども、これは副次的なことであって、あくまでも特恵はその国の希望、その国の産業発展に——もしその国がそういうことは困ります、これは日本だけがよくなって特恵の被供与国である開発途上国が困るんだという声がありましたならば、これはそういう扱いをしてはなりません。あくまでも特恵国がやってもらいたい、外国の資本が入っておるものについても、産業開発政策上やってほしいという要請があるから、日本もまた世界各国も同じやり方で対象として扱っている、こういうことに御理解をいただきたいと存ずるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私は必ずしもそういう観点に立ってないのですが、最後に、やはりこのごろの世界貿易なりあるいは経済進出というものは、非常に法律的なものがうしろにあってやられてくると思うんですね。というのは、資本自由化の問題、自由化にしても、あるいはいまの問題にしましても、何かやはりうしろに法律という——かつての帝国主義というのは武力をもって力で押してきたのだけれども、今度はその辺のところは法律という形でもってきているのじゃないかと私は思うのです。問題なのは、それじゃこれを日本の業者にとってみたら、これは日本でつくるよりも韓国でつくったほうが安いものが入るわけですね。確かに経済協力という面ではそうでしょうけれども、それがほんとうの長期的な意味で韓国の工業刀をつけることになるのだろうか。私は決してなるのじゃないと思うんですね。(発言する者あり)うしろからいろいろお話がございましたように、逆に、そういうような経済進出、これを助ける一つの法律的な目安が、今度の特恵関税のこういう原産地証明規則というものが、そういう精神がない。どのような資本でつくられたものであろうとも、そのつくられたところが特恵を受ける国でつくられているならば、どんなものでも特恵にして、低い壁で物をどんどん入れましょうというやり方だと思うのです。これは私は非常にあとあとまで、いま軍国主義ということが騒がれておるよりに、やはり新しい日本の海外進出——海外進出というとことばは非常にいいけれども、これは韓国をかつてのように、また従属国のように経済的にしてしまう、そういう大きな問題だと思うのです。  時間がございませんので、反論があればしていただいて、私の質問は終わらしていただきたいと思います。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 いま佐藤委員の御指摘、一面から見るとごもっともなように見えるのですが、あくまでも、先ほど申し上げましたように、その判断は特恵を受ける国が判断すべきことであって、その国が、日本のためにしかならない、自分の国のためにはならぬということであるならば、これはやるべきではありませんし、その国が、自分の国の資本でできた工場からはもちろんのこと、それだけではできませんから、日本からあるいはその他の国から資本を貸してもらいたい、そのできた産品も、ひとつその国の産業の長期的な発展あるいは現在の発展からいって必要だという要請があったものに限ってやるわけでございまして、日本の都合、日本の商社のためにやることではございませんので、ひとつ御理解いただきたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 最後に、確かにお話は、形の上ではそういうふうに見えますけれども、いまの日韓関係、経済的な状況——これはもっといろいろなことを詰めていかなければなりませんけれども、そういうことから考えますと、特に南北に分かれているところでもございますし、私は必ずしもそういうことは言えないと思うのです。その点についてはまだまだ、わが党のあとの質問者がございますので、さらにさらに御質問を申し上げることにいたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  入場税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、去る五日質疑を終了いたしております。  本案に対しまして、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表して、広瀬秀吉君外三名より修正案が提出されております。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ただいま議題となりました、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党の四党共同提案にかかる修正案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  修正案の案文はお手元にお配りいたしてありますので、朗読は省略さしていただきます。  すでに御承知のとおり、入場税はそもそも戦費調達の一環として設けられたものでありまして、もの後若干性格が変わってきたと説明されてはおりますが、文化的先進国を自負するわが国において、むしろその助成をはかるべきであるにもかかわらず、大衆負担をもたらしているこのような課税がいまだに存在することは、アメリカやイギリスなどの諸外国の例にまつまでもなく、適当であるかどうか、全く理解に苦しむところであり、一方において租税特別措置のうち、利子・配当の一項目についてさえ七百億円をこえる大幅な特例的減税を行なっておきながら、総額でもせいぜい百四十億円程度の収入をあげているにすぎない入場税に固執する財政的な理由もまた見出しがたいところであります。  このような観点から、われわれといたしましては、本来入場税はこの際廃止すべきものと主張せざるを得ないところでありますが、諸般の事情を考慮し、当面の措置として、今回の政府案に対し次のような修正を加え、一般大衆の税負担の大幅な軽減をはかることといたしたのであります。  すなわち、競馬場、競輪場等を除く映画、演劇音楽などの一般の興行場への入場について、政府原案では免税点を百円に改めることといたしておりますが、これは大蔵大臣が公約をした入場税減税の名に値しないものでありまして、われわれはこれをさらに引き上げて千円とするとともに、これをこえる入場につきましても、その実態等を勘案をし、税負担の軽減、そして七〇年代の政治の課題とされている人間性の回復、文化政策の充実等に資するため、税率を現行の一〇%から五%に引き下げることといたしております。  なお、本修正案による減収額は、昭和四十六年度において約百十五億円と見込まれるわけであります。  以上が修正案の概要であります。  何とぞ、御審議の上、満場一致の御賛成をいただきますようお願いを申し上げまして、修正案の趣旨説明にかえる次第であります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本修正案は歳入の減少を伴うこととなりますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があれば、この際発言を許します。福田大蔵大臣。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田国務大臣 ただいまの議員修正案につきましては、他の個別物品やサービスに対する課税との負担の権衡を著しく失することとなるのみでなく、歳入予算額に重大な影響を及ぼすことになりますので、政府としては反対であります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これより原案及び修正案を一括し  て討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。吉田実君。

吉田実自由民主党

○吉田(実)委員 私は、自由民主党を代表して、内閣から提案されました入場税法の一部を改正する法律案に賛成の意を表しますとともに、広瀬秀吉君外三名から提案されました入場税法の一部を改正する法律案に対する修正案に対し反対の意見を表明するものであります。  わが党は、国民の税負担の適正化をはかることについては常に意を用いているところでありますが、一方において所得税の軽減の要請にこたえつつ、他方社会資本の充実、社会保障の拡充等、国民の福祉向上の要請にもこたえていくためには、各種の消費支出に対しても応分の負担を求めることは、ある程度やむを得ないものと考えます。  入場税は、現在のわが国の個別物品またはサービスの消費に関連する課税の一環をなすものであります、サービスに対する消費課税である通行税、娯楽施設利用税等との均衡を考慮し、バランスのとれた妥当な水準を保つべきものと考えるのであります。  今回の政府原案は、最近における入場税負担の現状に顧み、まずその免税点を三十円から百円に引き上げることとしておりますが、これはさきに述べたような入場税負担のあり方に照らし妥当な改正であると考えます。  また、高等学校、中学校等の生徒児童の団体入場に対しては、視聴覚教育の拡充の見地から、これを非課税とする等の改正が盛り込まれておりますが、これまた文化及び教育に対する政府の積極的な姿勢をうかがうに足るものと信ずるものであります。  このような観点から、私は政府原案に賛成の音を表するものであります。  これに対し、修正案は、ギャンブル場への入場を除き、免税点を千円に引き上げるとともに、その税率を五%に引き下げようとするものであります。このような修正は、わが国の国・地方を通ずる税体系のあり方から見て基本的な問題があり、また同種のサービスの消費に対する課税との負担の均衡を失するばかりでなく、その減収額が入場税の税収見込み額の約九〇%にも及ぶこととなり、歳入予算額に重大な影響を及ぼし、昭和四十六年度予算の執行に支障を来たすこととなるのであります。したがって、私は、このように多くの問題がある修正案に対しては、あえて反対せざるを得ないものであります。  以上をもちまして、政府原案に賛成、修正案に反対の討論を終わります。(拍手)

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 竹本君。

竹本孫一民社党

○竹本委員 私は野党四党を代表いたしまして、政府原案に反対、四党修正案に賛成の討論をいたしたいと思います。  御承知のように、今回の入場税法の改正は、いままでの零細負担の軽減の見地から、すべての催しものについて一律に三十円という入場税の免税点を今回は百円に引き上げようということでございまして、一応の努力を評価するにやぶさかではございませんけれども、本来的に入場税というものは、われわれは基本的には撤廃すべきものであるという考え方の上に立っておるわけであります。  言うまでもなく、こういうものは第一に大衆課税であります。第二には、今日の人間疎外の管理社会の実情を考えますときに、芸術性の豊かな演劇とか音楽とか、スポーツというものは、ますますこれを大衆のものにして、人間性を回復しなければならない大きな使命を持った分野であります。したがいまして、そういうものに課税をするということはいよいよもって人間疎外を激しくするものでありまして、われわれの理想とする人間性の回復に逆行するものであります。そういう立場におきまして、私どもは基本的にこういう入場税というものは撤廃すべきものであるというふうな考え方を強く主張しなければならぬと思うのであります。  しかも、これによって失うべき税金は、全部といたしましても百数十億円でございまして、今日の九兆円予算から見ればまことに微々たるものでありまして、重大なる、予算の上に影響があるということはあまりにもオーバーな表現であるというふうに思うわけであります。  したがいまして、われわれとしてはこれを撤廃すべき立場に立ちますけれども、今日の情勢のもとに次善の策といたしまして、ただいま広瀬さんから御提案のありましたように、税率を百分の十を百分の五にしよう、免税点は百円を千円に引き上げようということで、次善の案をただいま提案をされておるわけであります。もちろん競輪あるいは競馬といったようなところへの入場につきましては特別措置を講じ、また前売り券等につきましても新たなる措置を講ずるきめこまかな配慮をいたしておる次第であります。  なお最後に、政府のお考えの中で、物品税とこの入場税の問題でございますけれども、物品税の改革をやらないままに入場税に改正を加えるということはアンバランスになるというような理由で、昨年は入場税が見送られたわけでありますが、本年は逆に入場税のほうの改正だけが取り上げられたということでございまして、物品税との間には逆のアンバランスが拡大されようとしておるということも、われわれの立場としてはなはだ遺憾であります。  以上の理由によりまして、私は四党の修正案に賛成、原案には反対の討論を終わりたいと思います。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、広瀬秀吉君外三名提出にかかる修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一件願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     〔報告書は附録に掲載〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 次回は、明十日水曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十八分散会

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