大蔵委員会 第12号
- 発言数
- 205 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1971/02/26
会議録
○毛利委員長 これより会議を開きます。 日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案を議題といたします。 質疑の通告がありますので、順次これを許しまます。藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私は、二、三日前に御質問いたしましたことに引き続きまして、きょうは幾つかの点について質問したいと思うわけでありますが、その前に、ひとつそれぞれの関係当局に対してたいへん遺憾に思うことがあるわけであります。それは前回の委員会において、私がインドネシアの、俗称焦げつき債権といわれておりますが、この問題に関連をして、取引をしておる貿易商社の保険金額なりあるいは取引をしてきた内容等についての資料要求をしたわけでありますが、たいへんこれは皮肉に聞こえるかもわかりませんけれども、私が公式な委員会で資料要求をしても、なかなかそれは時間がかからなければ資料が提出できない。ところが与党議員が資料要求をすれば直ちに資料の提出ができる。こういうように与党議員と野党議員との間に区別をつけるような、そういう態度で国会審議に臨んでおる政府委員並びに政府の態度というものに対しては、私はきわめて遺憾に思うわけであります。この点については、小林法務大臣の国会軽視ではありませんけれども、私は、議員経歴が古いから、あるいは新人だから、与党だから、野党だからということによっていささかたりともこういう差別があってはならぬと思うわけであります。具体的な質問に入る前に、これからの答弁をしてもらうことにも関係をいたしますので、これは中川次官からひとつ確たる見解を承っておきたいと思うわけであります。
○中川政府委員 ただいま藤田委員御指摘の点につきましては、藤田委員からお話のありましたように、与党たると野党たると、また当選回数が多かろうと少なかろうと、地位があろうとなかろうと、一切差別があっていいものではございませんし、そのように今後もいたしてまいりますが、今回そういうような印象を与えたとしたら、われわれの不徳のいたすところであります。そういうつもりはなかったのでありますけれども、そう受け取られまするならば、遺憾であり、十分注意してまいりたいと存じます。
○藤田(高)委員 いま私が要請し、質問いたしましたことはなかなか、爆笑の中に答弁もあったわけでありますが、私はこれはきわめて大事なことであるし、まじめな意味において質問をしたつもりであります。その点はどうか国会の権威をいやが上にもお互いに高めていく立場から、ひとつ中川次目の答弁のあった趣旨に沿りてやってもらいたいことを重ねて要望いたしておきます。 そこで、私は事務的な関係を十分確かめないまま質問に立ったわけでありますが、前回の続きからいきますと、いわゆるこの種の焦げつき債権ができた、あるいは今回、いま法案として提出されておるような三十年間無利子で延べ払いをしなければいけないような、ちょっと予想することができなかったような状態に立ち至っておるわけでありますが、私はやはりこれはどう考えても、行政レベルは行政レベルとしての責任があると思うわけであります。また、佐藤内閣全体としての、政府としての責任それ自体も私は免れないと思うわけであります。そういう点では前回も申し上げたとおり、この責任問題については私は総括して大蔵大臣からその見解を承りたいと思うわけでありますが、これはぜひ委員長の取り計らいで、本日の午後になるのか、午前中大臣が入ってくるのか知りませんが、その場であらためて私は大臣の見解を聞かしてもらいたいと思う。 それ以前の問題として、私はどう考えてみてもそれぞれの、通産は通産として、外務省は外務省として、大蔵は大蔵として、さらには特にこの輸出入銀行の立場としては、こういう状態に立ち至らして、しかも三十年もかかって延べ払いをせにゃいかないような状態にまでくるような取引をした責任は、私は輸出入銀行に相当大きな責任があるのじゃないかと思うのですよ。そういう各セクション、セクションにおける行政責任というものを、それぞれの分野において今日ただいまどのようにみんなが考えているのか。私はこの反省の上にこの出されておる法案を審議しないと、官庁というところは次から次へ人がかわるのだ、おれたちのやったことは時間がたてばその責任は問われないのだということになれば、この種の対外貿易の問題についても、特に国策としても後進国開発の問題はもうすでにわが国の重要な政治課題になっているわけですけれども、これから将来に向けての大きな政治問題になる場合、そういう責任の明確さというものについて一つのけじめをつけていかないと私自身は納得いかないわけであります。そういう点でそれぞれのセクションにおける責任をどう考えておるかということをお尋ねし、その上で大蔵大臣の答弁を求めるようにいたしたいと思いますので、皆さんの見解を承りたいと思います。
○稲村政府委員 このようなインドネシアの債務の累積が生じましたもとになりました状況につきましては、前回の委員会におきましても御説明を申し上げましたとおりでございますが、スカルノ政権の末期におきまして経済情勢がだんだんと悪くなっていたということはあったかと思うのでございますが、当時といたしましては、大蔵省関係で申しますと、通産省の延べ払い輸出の承認に関しまして、大蔵省といたしましてはこれの同意を求められるわけでございまして その点は、われわれのほうといたしまして関係各省と十分協議をいたしまして、そうして当時の状況におきまして最善の努力をいたしまして判断をいたしまして、延べ払い輸出についての同意をいたしたわけでございます。確かにいまから考えてみますと、結果としてはこういうことになったということは残念でございますけれども、当時の判断としては最善を尽くしたということを申し上げたいと思います。
○後藤政府委員 通産省といたしましては、本件に関し延べ払い輸出の承認と、それから関連いたしまして輸出保険の引き受けの仕事をやってまいったわけでございます。当時といたしましては、当時の状況にかんがみできるだけの努力、注意を払った次第でございますが、予期せざる事態の出来によりましてこういう事態におちいったわけでございまして、私ども通産省の守備範囲に関する責任を感じております。
○沢木政府委員 この前も御説明申し上げましたとおり、国際情勢の変化と申しますのは非常に目まぐるしいものがございまして、われわれとしましてはその段階におけるあらゆる情報を総合して分析し、関係各省並びに国民各位にもそれを伝えるという役目を負っておるわけでございますが、後進国の特に経済情勢と申しますものは、外貨準備もせいぜい何億ドルというようなきわめて低い段階にございますし、一般に政情不安が存在いたします。したがいまして、一歩政治を誤って革命その他が起こりました場合に、その国の経済が行き詰まる状況というのは今後とも発生し得るというふうに思われますので、われわれとしては、今後このような、ミスジャッジメントが起こらないように、あらゆる情報をできるだけ的確に分析、判断いたしまして関係各省に伝える責任をとりたいと思っておる次第でございます。
○石田説明員 われわれがいわゆる輸出に対しましてファイナンスをいたしました状態から申しますると、まことに結果的に申しますとぐあいの悪いことになりまして申しわけないと思っておるのでありますが、その当時の状況といたしましては、各国ともある程度まで輸出を続けておるというような状況でございましたし、また政府の輸出承認あるいは輸出保険というものもちゃんとついておるわけでございますので、まあ間違いはないだろうと思ってやったことにつきまして、いまから考えますと反省すべき点は多かったと思うのでございまして、今後はこういうことにつきまして特に留意をしてまいりたい、さように思っている次第でございます。
○藤田(高)委員 いまの答弁を聞きますと、大蔵省の見解は、この一九六五年の九月三十日のいわゆるインドネシアにおける政変以前の問題を中心に答弁されたように思います。通産は、ごく抽象的でありますけれども、いわゆる政変以降のことも含めてその責任を感じているやに答弁をしたように理解をいたします。外務省の場合も、これは将来に向けての問題もありましたけれども、主としてこれまたスカルノ政権時代のことを中心に答弁されたように理解をするわけであります。 私は、そのこともあります。いま答弁のあったこの時点のその当時のこともありますけれども、それよりももっと問題になるのは、いわゆるこの政変後における——一九六五年に政変があって、一九六六年の十一月に——パリ会談でインドネシアの対外債務処理に関する関係国会議の協議があって、そうしてその後六七年末までに支払い期限の来るものについては七一年以降にやるんだということで、いまからいけば三、四年前に、この政変後に見通ししたことがこんなに狂ってきた。輸銀の立場からいっても、また政府全体の立場からいっても、六七年には四千五百万ドル、六八年には七百万ドル、六九年には約六百万ドルの民間の延べ払いの債権を、輸銀からのいわゆるリファイナンスによってしてきたわけですね。いわばここ三、四年間の経過というものは、そういう形で処理ができるのではないか、そういう幻想を国会に対してもあるいはわれわれ国民に対しても与えておきながら、そうして今日三十年もかかって延べ払いをしなければ支払いをしてもらうことができないというような、わずか三、四年間の見通しにおいてこのように狂うということは、あまりにもこのインドネシアの経済援助問題というのは政治的に過ぎるのじゃないか。その見通しというものは、これはあとでも質問いたしたいと思いますが、輸銀の立場でいえば、通産が認証を与えた、あるいは保険に入ることもきまった、政府の方針がそういうことになったから、輸銀は、極端に言うたら自動的ですね、自動的にその輸銀の金をつけるのだと言わんばかりの答弁をいたしておりますけれども、私はこのインドネシアの経済協力、経済援助の問題については——その他のもちろん東南アジア諸国に対しても私が指摘しておるような性格のものがありますけれども、どうも、国内でいえば、国内の民間の会社が商取引をするような、あるいは先進国と先進国が貿易をするような、そういうシビアな検討の上に立ってこのインドネシアの経済援助というものはなされてなかったんじゃないか。いわば、あまりにも政治的にこの問題が取り扱われてきたところにこういう今日の事態を招来しているんじゃないか、こう思うわけであります。そこらのことについてそれぞれの関係当局はどう考えているか。 特にこの政変以降における分析については、非常にそこにそれぞれの甘さがあったのじゃないか。またその甘さが出てきた一つの原因には、役所間の協力関係というものがうまくいってないのじゃないか。端的な言い方をすると、これは私自身が直接その仕事に携わっておるわけではありませんが、外務省あたりはアジア局と経済協力局との間はいつも背中合わせになっておるということをよく聞くわけであります。おそらく答弁では、そんなことはありません、こう言うでしょうけれども、私は、こういうような事態が生まれるということは、わが国の役所というものは非常にセクショナリズムが強いといわれておるところがこういう対外貿易の中にも出てきておるのじゃないかと思うわけでありますが、そういうことを含めてのひとつ見解を聞かしてもらいたいと思うのです。
○中川政府委員 藤田委員が疑問を持たれることはわかるわけなんですが、当初から申し上げますと、スカルノ時代にとった措置がどういうことかということが第一番。この点についてはいろいろな心配の点も、正直なところないではない、後進国家というものはそういう性格ですから。しかしあの時点では諸外国それぞれ、援助国も何とかあの体制で再建をしたい、またいけるであろうという見通しのもとに、わが国だけがかってに、あるいは輸銀がかってにやったわけではない。諸般の情勢をしてやらざるを得なかった。やったところが不幸にして政変が起きて非常なインフレ、経済状態がおかしくなった。そこでまた、大蔵省だとか外務省だとかいうことではなくして、日本全体が、債権国、諸外国と相談をして、この事態に対処していくのにはどうしたらいいかという、世界的な協力国間における協議の結果、リファイナンスという方法によってやっていけるだろうということで三回にわたってやってまいりました。三カ年間やってまいりまして、それじゃこれが失敗だったから今回新たな方法というのではなくして、それはそれでやっていけばやっていけるのだ。やっていけるのだけれども、インドネシアの政情というものは非常によくなってきて、経済の安定から成長に向かうようになってきた。それにはもっと新規の別の援助をしてやらなければいけない。それがいま大事なところであろうという国際間の話になったわけであります。それにあたっては、従来のやり方でやってもできるのだけれども、これをここでひとつ長期のものに切りかえてやれば、新規投資もより効果を発揮するし、現在のインドネシアの立ち上がりに、総合的に見てこの方法をとってやったほうがよかろうという、政治的といいますか、経済的といいますか、今日の後進国家インドネシアを見た場合に、そうしたほうがよかろうという日本の判断もありましたし、諸外国もそうやってもらいたい、みんなでそうしようということになったのであって、焦げつきをごまかしてこうやるというような性質ではない。前向きの援助であるということでひとつ御理解をいただきたい。前向きという意味は、新規援助はこれからしていくわけですから、その援助が効果をあげて、全体としてインドネシアが再建できる姿というものはこういうことではないかという意味において前向きの措置をとったということでございますので、疑問になられる点は十分わかりますけれども、ひとつそういった事情、いきさつ、経済援助の性質、これも先ほど外務省からも御答弁ありましたように、いずれの国もそういうふうな政情、あるいは経済事情が不安定なために援助するわけでありますから、問題点が今後絶対ないとも言い切れない特殊な性質であることを御理解いただきたいと存ずるわけでございます。
○藤田(高)委員 こういった後進国の経済援助のことでありますから、いま次官が答弁されたような特殊なものであるし、特殊な条件のあることについては私も十分理解ができます。また、本来的な意味における後進国開発並びに経済援助の問題については、私は別途あとで触れたいと思いますけれども、それはそれなりに明らかに目標を定めて、隣国のあるいは特に東南アジアの経済開発に協力することは大いに私ども賛成であります。 しかし、いま私、答弁の中で理解できないことがあるのです。というのは、インドネシアは、いままでの契約だったら契約で債務返済をしようと思えばできぬことはないのだけれども、わが国の立場や債権国会議の立場から考えて、将来に向けてこういうふうにやったほうがインドネシアのためにもなるのだということでやるのだ、こうおっしゃった。私は、将来に向けてこういうことにすることが、インドネシアの経済協力という立場からはインドネシアも歓迎するであろうし、あるいは債権国としてもそのほうがいいんじゃないかということになるかもわからない。かもわからないですよ。しかし、インドネシア自身は、いままでどおりの契約どおりに返すこと自身はできないのじゃないですか。その点はいまの次官のなにからいうと、できぬことはないのだと言うのだが、できぬことがないのだったらやっぱりそこまで、極端にいったら三十年無利子なんといえばある意味では半ば贈与に近いような性格になるので、私どもはそういう理解の上に立ってないのです。たとえばここにも資料はありますけれども、六七年から六九年にかけたような延べ払いで、期限が到来するものをいままでの計画どおり返してくる、そのことによって問題が起こらないのだったら、私はこういった債権国会議自身を開く必要がなかったのじゃないかと思うのですが、そこはどうですか。
○中川政府委員 簡単にいうと、破産会社みたいな会社が借金を持っておる。払えば会社は解散してしまって、国民経済もおかしくなってしまう、基盤も失ってしまう。返すことだけでいえば返せないこともない。無理やりして取り立てれば取り立てられるものだし、また払えるかもしれない。しかしそれでは海外援助の性質にならぬじゃないか。海外援助して後進国家を引き上げてやろう、開発途上国というか、開発に影響を持っている国なんですから、会社をつぶしてしまうわけにはいかない、国家をつぶしてしまうわけにはいかない、経済的に崩壊してしまうわけにいかないので、新規に援助をしてやっていこう。そのためには、救済についてはこういう補完措置をやることによって、これからめんどうを見るものも生きるし、したがってインドネシアの経済がよりよく発展していく。いま政情も安定してきて、ようやく立ち上がる態勢でありますから、これをやることが、債権を取り立てる意味からも、またこれから投資する意味からも、そしてまた後進国援助の目的からいってもいいのではないかということであろうかと存じます。
○藤田(高)委員 次官自身の答弁の中で、性格的には少し変更されたので私も理解をいたしますけれども、私はいまの答弁それ自体で論議をすれば、それ自体でもずいぶんあると思う。それは、これをやらなかったら国がつぶれる、こう言いますが、それは別ですよ。それはインドネシアであろうとどこであろうと、経済政策の失敗をやれば、スカルノが失脚してスハルトになって、スハルトが経済政策なり政治の面で行き詰まったら、あとへだれが政権の座につくかはその国民がきめることであって、国がつぶれるとかつぶれぬとかいう、そんな観点からではないですよ。そんなことでこの種の問題をなにすること自身おかしいと思うのです。私は、そういう点については基本的にあなたの考え方は誤っていると思うのです。そういう考え方からいくと、たとえば特定の政権にわが国がこういった経済援助を通じててこ入れをすることになるじゃないか、こういうことに問題が発展するのであって、そういうことでなくて、もっと本来的な、後進国の経済開発という観点からこの問題を考えていくべきじゃないですか。
○中川政府委員 そのとおりでありまして、先ほど国がつぶれると言ったのは、スカルノ体制がつぶれるということをさした意味ではございませんで、インドネシアの経済が立ち行かぬようになってしまう。政治体制をさしたものではないので、その点誤った言い方をしているとすれば訂正しておきます。
○藤田(高)委員 私は、そのこと自身がきょうの質問の中心でありませんから、それはそういうことにいたします。 そこで、今度は質問の観点を変えますが、この問題については何カ国かの債権国があるわけでありますが、この債権国会議の中で、わが国がどのようなことを主張したのかということをこの前の委員会でもお尋ねしたのでありますけれども、特にきょう角度を変えてお尋ねしたいのは、このアプスの報告が出て、その線で今回の措置を講じようとしておるわけですね。こういった債権国会議の中で、たとえばIMFでこの種の問題を解決するということになれば、IMF加盟国の一部の国だということで、IMFとしてはこの問題を処理するようなことにはならなかったのかもわかりませんけれども、私は、こういう問題が起こったときに、国際的な機構、国際的な組織においてめんどうを見ていくというのが、いわば広い意味における国際的な経済機構であり協力機関だと思うのですが、そういうことについては債権国会議の中では論議がなかったのか。またわが国の代表は、その種の発言というものは、問題の提起というものはやらなかったのかどうか、それをひとつお尋ねしたいと思います。
○沢木政府委員 存在いたします国際機関としては、IMF、世界銀行、それから第二世銀と通称いわれますIDA、この三つの機関があるわけでございますが、IMFの金融というものは、主として短期の為替困難に対する金融をいたしております。世界銀行並びに第二世銀は、大体プロジェクトを中心とした援助をするたてまえになっております。したがって、このような長期債務の返済その他については、国際機関としてこれを金融する制度はいままででき上がっておらないわけであります。 それから、特にインドネシアにつきましては、一九六六年に東京におきまして第一回の債権者の会合が開かれまして、そして毎年それが開かれた結果、現在の国際コンソーシアムに発展しておるわけでございますが、あらゆる後進国につきまして、現在おもな援助国がかたまって、国際的な協議のもとにその国の経済を助けるという方向に漸次後進国援助問題は動いております。したがって、この問題が取り上げられましたのも、そこの会議で取り上げられたという歴史的な沿革がございまして、そのようになった次第でございます。
○藤田(高)委員 国際機関において処理する問題の適否については、それぞれの機関の性格がありますから、いまの答弁で一応私も理解をいたします。 次にお尋ねしたいのは、国内的ないわゆる輸銀がこの種の問題のいわば中心になるべきか、あるいは海外経済協力基金ですね、この海外経済協力基金法の目的——これはぜひ、きょうは経済企画庁からも来られていますね。それから輸銀の総裁にもお尋ねしたいわけでありますが、私は輸銀法との関連において、同僚の佐藤君なりあるいは先輩の堀議員のほうからも質問がありましたが、私は日本輸出入銀行法の目的あるいは本来的な業務、こういう十八条の二の規定等から申しますと、輸銀自身はこのようないわば、これはたとえが悪いかもわかりませんが、前科者債権といいましょうか、これは傷もの債権ですよ、こういう不良債権を三十年間も、極端に言ったらかかえるというような、そういうものをかかえる銀行であるかどうかということなんですね、この輸銀法のたてまえからいって。私はこの経済協力基金法のなにを見た場合に、輸銀がかかえることができないような経済援助の資金については、この海外経済協力基金においてめんどうを見るというのが、私はこの基金法の性格じゃないかと思うのです。これは、たとえば海外経済協力基金法の第三章二十条「業務の範囲」一項「東南アジア等の地域の産業の開発に寄与し、かつ、本邦との経済交流を促進するため緊要と認められる事業のために必要な資金を貸し付けること。」これが一項ですね。これはぴしゃり当たっていますね。それから二項は「開発事業の遂行のため特に必要がある場合において、前号の規定による資金の貸付けに代えて出資をすること。」ができる。これも私は該当すると思う。次に四項ですね。「東南アジア等の地域の経済の安定に寄与するため緊要と認められる本邦からの物資の輸入について、当該地域の外国政府に対して当該輸入のために必要な資金を貸し付けること。」ができる。こういうふうに、四項には明確に載っております。また、この二十一条一項には「その開発事業につき日本輸出入銀行及び一般の金融機関から通常の条件により資金の貸付けを受けること又は基金以外の者から出資を受けることが困難であると認められる場合」、いま私が最後に読んだところ、あるいは金融機関との競争禁止の条項、第二十四条「基金は、第一条に掲げる目的にかんがみ、その行なう業務について、日本輸出入銀行の業務との調整に努めるとともに、一般の金融機関と競争してはならない。」こうなっておりますが、こういう関連条項を読んでいくと、私は輸出入銀行がこの債権をかかえて政治的に問題を処理するよりも、この経済協力基金で問題を解決することのほうが、どうも法律の性格からいって筋が通っているように思うわけです。なぜそういうことができないのか。そういう検討がなされてきたのかどうか、これをひとつお尋ねしたい。 輸銀総裁には、私がいま指摘したような観点から考えると、特に先般来の同僚の質問にも関連いたしますけれども、特に輸銀法の業務内容からいって、この種のものを、政府がこう言ったから輸銀では半ば自動的にかかえ込まざるを得ないんだなんというような、そういう自主性のないというか、輸銀関係者はこの輸銀法に基づいて業務を忠実に執行したらいいのであって、大蔵大臣がどう言ったとか、やれ政府がどう言ったからというので、そのことによってとやかくすべきものじゃないだろう。そういう点から考えた場合に、輸銀の立場としては、私がいま指摘したようなことについての見解の表明なり、そういった意味の検討というものは十分なされたのかどうか、この点ひとつお尋ねしたいと思います。
○中川政府委員 輸銀から輸銀としての立場の答弁があると存じますが、政府見解としては、藤田委員御指摘のように、これからの援助をやる場合にはなるほど経済協力基金のほうからやるべき性質であろうと存じますが、今回のは輸銀が貸しておった分の延べ払いといいますか、リファイナンスを長期的にやるということでありますので、輸銀のやったものを別の機関に持っていくというのはどうも性質上なじまない。やはり輸銀でやったものは輸銀で繰り延べるという措置をとらざるを得ない。御指摘のように、今後の貸し付けについては輸銀よりは協力基金のほうでやるのが妥当であろう。こういうわけでございますので、今回の分はひとつ、そうせざるを得ない事情がありますので、御了承いただきたいと存ずるわけでございます。
○石田説明員 われわれのほうの考え方を申し上げますと、いわゆる繰り延べ債権が発生いたしまして、それに対しましてリファイナンスをいたしております。それは輸出金融でやっておりました段階においては、まあ返ってくるのではないかという判断のもとに出しておったわけでございますが、この法律の観点から申しますと、そのやっておりましたところの金がどうしたら返ってくるかというのが、われわれとしては非常な関心事であるわけでございます。そこでスハルト時代になりましてリファイナンスが行なわれ、あるいはまた今回のような措置になってくるわけでございますが、これにつきましても、債権の保全ということを中心にわれわれが考えます場合に、各国が集まりましていろいろと債権国会議などをいたしておりますけれども、これはどういうふうにしたら結局その債権が戻ってくるであろうかという前提に立ちまして、そのためにはこうなるであろうという趣旨のものであると考えるわけでございます。それに乗っていくしか、なかなか回収ということはないのじゃないか。債権保全という点から申しますとないのじゃないかというふうに考えまして、いろいろとリファイナンス等をやってまいった次第でございます。
○藤田(高)委員 輸銀総裁の答弁は要領を得てないと思うのですが、私の質問しておるのは、あなたのところでこういった債権をかかえ込まなくてもいいじゃないか。輸銀法のたてまえから見た場合、海外経済協力基金法のたてまえからいけば、いま中川次官が答弁したとおり——これは大蔵省のいわば大蔵大臣に次いでえらい人が、本来的な性格からいったら私の言ったとおりに認めたわけでしょう。いままでのいきさつはこれまたいまから論議しますが、いままでのいきさつがなかったら、私が指摘したように海外経済協力基金でこの種の問題を処理したほうがいいのだ。将来この種の問題が起こったら海外協力基金で処理したいというのが次官の答弁だったでしょう。そういう性格上はっきりしておるようなものを、なぜ輸銀が、極端に言うと無抵抗というか、その本来的な輸出入銀行のたてまえに立って業務をやるという基本的な姿勢を貫かないで——いま言ったように、できることならば今回を機会に海外経済協力基金のほうで処理をしてもらえぬかというようなことについて、あなたは論議する過程でやったのかどうか。そのほうが望ましいじゃないかということを言っておるのです。そのことに対するあなたの見解を求めておるわけですよ。
○石田説明員 今回の問題につきましては、リファイナンスの場合におきましても、われわれのほうがやるのではなくして経済協力基金がやるということになりますれば、われわれのほうも回収がつきますし、われわれの立場からすればけっこうなことだというふうに思います。その点につきましては、そういうことができればわれわれとしては経営上非常にぐあいがよろしい、こういうぐあいに考えるわけでございます。しかし、遺憾ながら問題が、要するに債権のもとがわがほうがやったものでありますし、それからして、残念ながら基金のほうにおきましては、基金の法律におきましてリファイナンスができない、こういう形になっておりますものでございますから、われわれのほうで将来の回収ということを期待しながらやらざるを得ないのではないか、かように判断した次第でございます。
○藤田(高)委員 いずれの答弁を聞きましても、私が指摘したように、この種の債権は現在のわが国の国内法のたてまえからいけば、海外経済協力基金によって処理することのほうがよりベターである、そういう答弁があったように理解します。私は、それであればあるほど、今回のこの処理にあたっては、いまからでもそういう方向で——これは同じ政府金融機関ですから、そういう方向で処理することが望ましいのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
○中川政府委員 私の答弁をちょっと誤解しておるようですので訂正させていただきますが、これからの新規投資にあたっては経済協力基金にお願いするほうが性質上なじみやすいものである。しかし、あと始末については、これは輸銀がやったものは輸銀のところで処理するのが適当であろう。輸銀のやったあと始末を協力基金に持っていくことはできない、こういう性質でございますという意味で申し上げたのでございまして、御了解いただきたいし、もうちょっと詳細は事務当局から御説明いたさせます。
○稲村政府委員 ただいまの政務次官の御答弁を若干補足させていただきますと、今回の繰り延べの対象となります九千三百七十万ドルばかりの金額は、全部が輸銀の債権でございます。そのうちの千六百九十万ドルばかりは民間の延べ払い債権でございますけれども、これは当然輸銀がリファイナンスをする債権でございます。したがいまして、すでに輸銀が行ないました五千八百八十万ドルのリファイナンス、それから今後支払い期日がまいりますにつれて輸銀のリファイナンスをいたします千六百九十万ドル、この全部が輸銀関係の債権でございます。したがいまして、これをこのように長期の繰り延べをするというにあたりましては、やはり輸銀がやるのが適当ではないか、こういう判断をいたしたわけでございます。 それから、新規のインドネシアに対します経済援助につきましては、これは先生御指摘のとおり、長期低利の援助をいたしますにつきましては経済協力基金というのが適当でございますから、それですでにやっておりますし、今後もやるということでございます。
○藤田(高)委員 あと始末だし、いままでの経過があるから輸銀でやるんだということだけがせめてもの大義名分になっておるのであって、国内法のこういった法律のたてまえからいってどちらで処理することが望ましいかという基本的な立場からいけば、海外経済協力基金でやることのほうが筋が通っておると私は思うのです。 ただ、いま一部訂正があって、新規投資についてはこれからやるということなんですけれども、この経済協力基金法は昭和三十五年にできておるわけですから、いま私が指摘しておるような、法律に忠実な業務処理をやっていくということであれば、スカルノの政変が昭和四十年ですから、国内法との見合いにおいて、この種の問題を処理することについて政府のやってきたこと自身に少し間違いがあったのではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
○川口説明員 今回の債務救済を輸銀でやるか基金でやるかという点につきましては、私どももその過程におきまして御相談にもあずかりましたが、政務次官以下の御答弁にもありましたように、今回の債務救済は過去のいきさつもあり、また現在のところ基金法におきましてはリファイナンスをする規定が法律上ございませんので、輸銀がこれを担当するということが最も適当であろうかと、企画庁としても考えております。インドネシアに対します新規の援助につきましては、先生御指摘のとおり、その条件なり国内事情から申しまして、基金が担当することが適当でございますので、一九六〇年以降、新規の政府借款はすべて基金において担当いたしております。この関係の対象になっておりますのは、もとの債権は輸出延べ払いが大半でございまして、これは従来も輸銀においてやっております。基金におきましては個々のそういう延べ払いよりも、むしろインフラストラクチュア的な開発事業というものを担当いたしておるのが原則であったわけでございます。
○藤田(高)委員 私自身の理解力が乏しいせいかわかりませんが、いまの経済企画庁の答弁は私にはぴんとこないのですね。この法律は昭和三十五年にもうできておるわけです。なるほどいま言われておるように、債権のあと始末だ、また延べ払いを取り扱う銀行は輸銀だから輸銀にさしておるのだということですけれども、いまの中川次官の答弁では、とにかくこの種の問題については、これから先は新規投資については海外経済協力基金でやったほうが法律にはぴたり適合しておるのだ、こういう答弁ですから、それであれば、いまから十年前にこの法律ができておるわけですから、この中で処理するようなことにしたほうが、現在の輸銀法のたてまえからいってもベターじゃないか。これはあえてまた輸銀総裁にもお尋ねしますが、どうも輸銀法のたてまえからいって、これは十八条の二ですが、法律を筒一ぱい拡張解釈してあと始末をするようなことにしておるのじゃないか。少なくともこの輸銀法ができたときの立法の趣旨というものは、十八条の二に照らして考えても、この種の前科者債権というか不良債権的なものはかかえるようにはなってないですよ。われわれしろうとではありますけれども、この輸銀法をずっと読めば読むほど、この種のものを輸銀がかかえていくということは法律違反じゃないか。それでは国内法としてこの種の問題を処理する場合にどういう法律が一番適当な法律だろうかということで見てみると、やはり海外経済協力基金のほうがより適合している、こういうことになるのですね。その関係は私はあまりにも政治的にこのものを処理し過ぎて、法律のたてまえからいってこの性格を非常にあいまいにしておると思うのですが、その点はどうでしょうか。これはあとで法制局あたりの見解も聞きますけれども。
○石田説明員 いろいろとわれわれのほうといたしましては輸出債権の融資をいたしておるわけでございますけれども、その場合におきまして、これはもう輸出入銀行がやらないで経済協力基金でやるのだということになりますれば、それはまた心配がないという点がございますけれども、しかし、いろいろなたくさんの国があるのでございまして、その国に対して、こっちはやめたからおまえのほうでやれ、こういうふうなことを輸出入銀行あたりが言い出すということはどうだろうかというふうなぐあいに考えておる次第でございます。
○藤田(高)委員 単なるそういう理由ですか。
○沢木政府委員 ちょっと筋違いかわかりませんけれども、経済協力基金法ができましたときに、私、外務省におりまして関与いたしましたのでお答え申し上げます。 現在繰り延べの対象になっております債権というのは、貿易上の延べ払い輸出の債権でございます。経済協力基金法は、東南アジアの開発事業等について、日本輸出入銀行その他の金融機関ができない金融をやるというのが基金法のたてまえになっております。したがいまして、その当時の輸出の延べ払い金融と申しますのは、日本輸出入銀行が全くできる範囲内の金融でございまして、したがって、経済協力基金は使われなくて、通常延べ払い輸出を金融する日本輸出入銀行がやった。そして、それじゃ経済協力基金に基づく金融がどうしてなされなかったかと申しますと、その当時におきましては、基金が発足当初でもございますし、お金もまだ十分になかった、かつスカルノ政権の将来という点についての多少の問題もございました関係上、主として賠償を担保に取りました賠償担保借款というものを援助的に使っておった。そして、基金から現在インドネシアに出しておりますような長期低利の借款は、その当時は差し控えておったというのが実情でございます。
○藤田(高)委員 答弁をなさるのは、政府委員ですからどなたがおやりになろうともそれはけっこうです。しかし、やはり担当省の、担当課長か局長か知らないけれども、この種の程度のことが、いわば直接の担当省でない外務省のほうから答弁されるなんというのは、答弁のあり方としてこれはおかしいですよ。どう考えてもそんなべらぼうな話はないですよ。これは私がさっき冒頭に、新人議員だとかなんとかいうようなことを申し上げたけれども、一種のそれに通じますよ。これは、ベテランで、この種の問題でなにしておる議員だったらたいへんな問題になるのじゃないですか。それは外務省がおやりになってもけっこう、だれがやってもけっこうだけれども、そのために私は経済企画庁にもきのうから事務局を通してなにしておるわけですから、できれば答弁のできる人を出してほしいと思います。この海外経済協力基金の担当というのは経済企画庁でしょう。そこの正式な見解表明がなければ、質問する側としては、不承不承ながら了承するにしてもできないにしても、これは納得がいきませんよ。これは一つ留保します。 いまの外務省の局長の答弁によりますと、なるほど十年前にこの基金はできた、しかし出発当初だから資金力もなかった、いま一つは延べ払いができないという点を強調されておるわけですけれども、しかし中川次官の答弁にもありましたように、これから先のことはできるのであれば——輸銀法でも、今度の法律の改正も輸銀法の中にないものを特別措置を行なうためにこういう法律改正をやっておるわけですから、国内法のたてまえからいって、海外協力基金で処理することのほうが、新規投資についてはそれはもうそのとおりであるのだというのであれば、これを機会に、輸銀法のほうをわざわざ手を入れないで、経済協力基金だったら基金のほうで処理するように、いまからでも再検討し直したらどうですか。輸銀の総裁に聞きましても、なぜ海外経済協力基金のほうであなたはおやりになるように主張なさらないのか、輸銀法のたてまえによって業務を忠実に履行していく総裁としては、こういう不良債権をかかえ込むこと自身が輸銀法のたてまえからいっておかしいじゃないか、こう言うたら、債権国会議あたりでこういうふうにやろうという方向がきまったものだから、と言う。私は積極的な理由というものはないと思うのですよ。少なくともわれわれが理解するだけの積極的理由はない。私はその点では、この機会に海外経済協力基金のほうで処理するように再検討してはどうかと思うのですが、あらためて見解をお尋ねしたいと思う。
○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、若干補足して御説明申し上げますと、この輸銀におきまして今回の問題になっておりますものは、先ほどから御説明を申し上げておりますとおり、過去の延べ払い輸出債権に基づくものでございます。これは、輸銀がこのファイナンスを引き受けておりまして、そのリファイナンスにつきましても輸銀がやるというのが筋ではないか。 それから、先ほどから、新規の援助につきましては、これは長期低利のものを与えるという意味で基金がやることが適当ではないかということでございますが、これは延べ払い輸出ではございませんで、要するに直接借款と申しますか、そういう意味の援助で、ほんとうの意味の援助でございます。そういうものは、先ほどから御説明申し上げておりますとおり、長期低利のインフラストラクチュア的なものでございまして、これは経済協力基金がやるのが適当ではないか、こういうことで現在処理しておるわけでございます。(「それを初めから言えばいいのだよ」と呼ぶ者あり)
○藤田(高)委員 いま与党議員のほうからも激励をいただいておりますが、ある意味ではそういうことであろうとも思うわけであります。しかし私は、くどいようですけれども、輸銀が輸銀の立場で、これは輸銀の性格上この種のものは——なるほどいままでの経過はあります、それと延べ払いという条件がある、こういうなにからいけば輸銀にもそれなりの責任はありますね。処理してはどうだろうかというなにもありますけれども、しかし、何回も言うように、この種の不良債権的なものをかかえ込むということは、輸銀法の本来の性格からいってこれは問題がある。きびしくいえば法律違反にさえなるような性格のものだということで、輸銀の責任者が、政府がどう言おうと、輸銀法のたてまえによって忠実に業務をやる善良な管理者の意思によっては、この種のものは今後はもうこれ以上やりませんということで突っぱねたらどうなるかといえば、私はやはり海外経済協力基金との関係も出てくると思う。 この条文、目的を読みますと、「海外経済協力基金は、東南アジア地域その他の開発途上にある海外の地域(以下「東南アジア等の地域」という。)の産業の開発又は経済の安定に寄与するため、その開発又は安定に必要な資金で」、これからが問題ですよ。「日本輸出入銀行及び一般の金融機関から供給を受けることが困難なものについてその円滑な供給を図る等のために必要な業務を行ない、もって海外経済協力を促進することを目的とする。」こういうふうに、輸銀だったら輸銀との関係でいえば、「日本輸出入銀行及び一般の金融機関から供給を受けることが困難なものについて」こうなっている。ここで、いま言ったように輸銀が、こういったものを将来にわたってかかえ込んでいくわけにはいかぬということで、その自主性を発揮された場合にはどうなるのかという問題です。 そういう点については、インドネシアの賠償問題以来、今回問題になっておる再融資の問題を含めて、政府機関がこういった法律に基づいて忠実に仕事をやるという立場を離れて、きわめて政治的に問題を処理してきておるのじゃないか。こういう機会に政治の筋を立てると同時に、それぞれの各機関がこの法律に基づいて忠実な業務執行ができるような、そういう体制に切りかえることが必要じゃないかと私は思うのですが、前段触れたことを含めて、ひとつそれぞれの立場から答弁をいただきたい。
○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、先ほどから御説明申し上げておりますとおりの考え方に基づきまして、延べ払いの輸出債権に関連いたしますものといたしまして、現在の法律のたてまえからして輸出入銀行がやるのが最も自然であるというふうに考えまして今回御提案を申し上げている次第でございます。 それから基金のほうにつきましては、先ほども申し上げましたとおり新規の直接借款と申しますか、そういうものは、現在の制度全体から判断いたしまして基金でやるのが適当であるというふうに考えてやっておる次第でございます。
○川口説明員 先ほどは御答弁が不十分でございまして申しわけでございません。いまの国際金融局長のお話のとおり、現在新たに供与いたしております新規借款については確かに基金条件に適するということで基金で扱っておりますが、先ほどからるる御答弁がございましたように、現在問題になっております債務救済の対象のもとが、当時においては輸出入銀行で扱うことを適当とした延べ払い案件でございまして、輸銀、基金、それぞれ性格によりまして、扱います延べ払い、投資についてもおのずから分担ができておりますが、それに従いまして、従来輸銀の供与しておりましたもののこういうことになりましたそのあと始末でございますので、企画庁も含めまして、政府といたしましても、輸銀において処理することが適当であるという判断でございましたので、私どもといたしましてはこの件につきましては輸銀で扱う。今後の前向きの借款につきましては、現在の状況におきましては基金案件とすることが適当ということで、累年の政府借款を基金が担当しておる、こういうことでございます。
○藤田(高)委員 輸銀法のたてまえと海外経済協力基金との関係について、基本的なあり方についての質問は一応この程度で終わります。しかし問題はやはり残っておるということだけは申し上げておきたいと思います。 それで、質問それ自体は前後いたしますけれども、この法案が実質審議に入りましてから、輸銀がこの種の債権をかかえておることの是非について、あるいはいままでの述べ払い不良債権の問題について論議をしてきたことに関連して輸銀総裁の答弁を聞いておりますと、通産省がインドネシアとの貿易をすることについて認可を与えた、またそのことによって輸出保険の適用を受けることになった、この二つの条件が整っておれば輸出入銀行は金を貸しあるいは延べ払いの対象にするのだ、こういう意味の答弁が一昨日でしたかありましたが、それはそのように理解してよろしいのですか。
○石田説明員 われわれが法律を守っていきます場合から申しまして、われわれの判断としてもこれはどうしてもだめだというふうに判断いたしました場合においては、輸出保険がつき輸出承認がありましても融資は断わるということはすべきであるし、またできると思うのでございます。ただ今回の問題につきましては、申し上げましたようなぐあいに、まあそこまではいかないではないかという、最後のことについては輸出保険との関係もございまして、まあまあいいんじゃないかと思ってやってきたので、このことにつきましては反省しなければならない面がある、こういうふうなことを申し上げておる次第でございます。
○藤田(高)委員 まあまあ主義でいままではやってきた面があった、こういうことですね。
○石田説明員 結論的に申しますればそういうことでございます。
○藤田(高)委員 これは私はたいへんなことだと思いますよ。それは政治的にものをまとめていくことであればまあまあでまとめることはありますよ。しかし、いま私が質問したようなことに関連して、いわゆるまあまあ主義でやってきたなんということになりますと、たとえば通産なり大蔵のほうが、実質的にも力関係からいえば強いのでしょうけれども、いま輸銀総裁が言われるような態度だったら、筋の通らない延べ払いであったって、政治的に、君、これは輸銀でやりなさい、それで通産や大蔵のほうもきわめて政治的に動かして、そして認証を取りつける、輸出保険の中へも入れるということになれば、もう輸銀はいわゆるフリーパスでみな処理するようなことになるじゃないですか。いまのような御答弁で輸銀業務をやっておるとすれば、それこそ責任問題が起こりますよ。これはなお議事録を調べてなにしますけれども、これは責任問題だよ。そんな自主性のない立場で、まあまあ主義でやってきましたなんということは、私は輸出入銀行の責任者の答弁としてはいただけませんね。これは大問題になります。どうですか。
○石田説明員 大体輸出入銀行というものは、輸出を促進するためにファイナンスをするということになっておるわけでございます。それでこの問題につきましては、輸出を基礎にどこまでつき合っていくかという問題になると思うのです。助成するのはもちろんでございますけれども、あぶない場合にどこまでつき合っていくかという問題だと思うのでございます。この問題につきましては日本だけでなく、各国ともみなそれぞれ輸出保険がございまして、それによってファイナンスが行なわれる。こういう異常な場合も異常でない場合も含めまして、みなそうなっておるというのが各国の例でございます。そういうふうな場合に、日本もそれと同じようなぐあいに輸出保険というものがあるわけでございます。ほかの国があぶないといってとめてしまわないのに、日本もそういうふうな各国並みのことをやっておるときに、輸出入銀行の判断で日本だけが先にやめるということは非常な決断を要すると思います。それはひとり対内的な問題でなく、対外的にも問題が起こると思うのであります。早い話が、どこかの国が、もうあぶないからやめちゃったという旗を上げていただきますれば、まあまあということで、おしかりは受けますけれども、そういう場合はやりいいのでありますけれども、日本だけが一番初めにそれをやるということは、現実問題としてなかなかむずかしい問題があるということを御理解いただければしあわせだと思います。
○藤田(高)委員 私はますますそういう答弁を聞くと疑問を持ちますよ。自主性は何にもないじゃないですか。輸銀法のたてまえに沿って銀行業務をやるという、そういう自主的な判断なり、この法律に基づいて忠実に業務をなさるという姿勢がないじゃないですか。外国のほうがきわめて政治的にこの種の問題を取り扱ってきた、外国がやるのだったら、これは全く極端にいえば盲従というか、追従的にやるということですか、そのまあまあ主義というのは。そういうことに聞こえますよ。日本の立場さえはっきりできないじゃないですか。輸銀の立場さえはっきりできないものが日本の立場をはっきりすることなんかできないですよ。だからその点では、どこかの国がひとつ旗上げしてくれたらやりやすいのになどというのではなくて、この輸銀法のたてまえからいってこれはどうも問題があるということであれば、あなた自身のところで旗上げをおやりになったらどうですか。そういう立場からいうと、あなた自身はこれは問題があると考えておるのでしょう。どうですか。
○石田説明員 これはいろいろ内外の情勢を見なければなかなか判断がむずかしい問題でございます。われわれなりに判断いたしますけれども、本件に関する限りはまあ返済確実であろう、こういうふうに思ってやりましたわけでございます。
○藤田(高)委員 現実にこれは一回二回三回というようにリファイナンスやって、確実だろうと思ってやったことがみんな、何やらじゃないけれども前から前からはずれていったわけでしょう。みんな当たってないじゃないですか。確実だと思っていたって、結果としてはあなたが判断したこととは逆に出てきておるわけです。それで今回のこういう処置にならざるを得なくなったのでしょう。ということは、その時点で、いわゆる再融資をする時点で、輸銀総裁としてのあなたは、これはいわゆる十八条の規定からいっても返済が確実ではない、こう確かに思っておったと思うのだ。そういう判断ができておったと思うのです。ところが政治的な圧力というか、そういうものによってあなたは、さっきのまあまあ主義じゃないけれども、妥協してきたからこういうことになったのじゃないですか。結果が証明しておるのじゃないですか。
○石田説明員 われわれといたしましてはいろいろな融資をいたしておりまするけれども、あらゆる場合におきましてこの条文に従いまして、返済確実であろうと思ってやっておるのでございまして、これはとても回収できないがそれでもやるのだということではございません。それは結果的に申しまして、先生の御指摘のようなぐあいに、結果的には回収が初めの思うとおりにいかなかったではないか、こういう点はあるかと思います。このリファイナンスの問題につきましても、前に貸しました問題からスタートしておるわけでございまして、延べ払いから始まっておるわけでございますけれども、リファイナンスをやらないでこれを必ず取れるかということになりますと、やはり各国とともにリファイナンスをやり、また新しい経済協力を基金にもお願いいたしまして、そして融資をしていく、そういうことによって債権の確保ができるのであろう、こういう判断に基づいてやってまいったわけでございます。
○藤田(高)委員 私は、私の質問の持ち時間の関係もありますから、留保するような形で前へ進まなければいかぬかとも思いますけれども、少し酷な質問かもわからないけれども、私は輸銀総裁にあえてお尋ねします。この間からずっとあなたの答弁を聞いておると。やはりあなたの善良な管理者の意思とやってきたことの間にはかなりのズレがある。あなた御自身は相当な矛盾を感じられておるのじゃないかと思うのですよ。あなたの御経歴は私は十分知りませんけれども、大蔵事務次官までおやりになった経歴をお持ちのようでございますが、どうですか、長年役人生活をなさって、輸銀法の法律に忠実にあなたは仕事をしてきておると思いますか。してきたと思いますか。どうですか。
○石田説明員 私はそう思ってやってきておるわけでございます。
○藤田(高)委員 それでは先ほどのまあまあ主義との関係はどうなりますか。
○石田説明員 これは結果的に申しまして、確実であろうという判断が甘かったじゃないか、こういう意味におきましてまあまあ主義であるというお話になると思うのでありまして、そのときの判断が間違っておったということは、結果的に申しましていなめないと思いまするけれども、私のほうで融資をいたしております段階におきましては、返ってくるであろう、こういうふうに思ってやったわけでございます。
○藤田(高)委員 これはすでに指摘もしておりますし、いまも意見が出ておりますが、輸銀の金は国民の税金なんですよ。そうでしょう。ですから私はこの前も指摘したように、一般の民間会社であったら、この種の判断違いが生まれて結果としてこのような事態になったら、民間の会社だったらつぶれておると思うのですよ。あるいは会社の重役は責任をとらされておると思うのです。これは政府機関の金融機関だからあなたもまだこういうふうに答弁をされたり、またその地位にとどまることができておるのですよ。これは民間だったらたいへんですよ。そういう点について、私は人情的に言ってこれ以上よう責めませんけれども、私は冒頭から言っておるように、そういう意味であなた御自身は自主的に責任をもっと強く考えなければいかぬのじゃないですか。その点ではどうですか。私は、国会の場は人情論なんか出すべきところではないと思いますけれども、やはり直に顔を見ておるとそれは少しお気の毒にもなるからこれ以上はよう言わないけれども、実際言うたら、こういういまのまあまあ主義で自分の仕事をやらざるを得ないような立場に立っておる、あるいは結果にもしろこういう事態になってきた、そのある意味における一番中心的な責任の所在におられるあなたが、いまのような答弁でのらりくらりいくだけで、それで自分の責任を果たしておると思いますか。責任問題ではあなたに関する限りもうこれでやめますが、あなたの良心に顧みて恥ずかしくない答弁をしておいてください。
○石田説明員 われわれといたしましては輸出入銀行法の規定に従いまして、できるだけ間違いを起こさないように努力をいたしておる次第でございまして、今後におきましてもさらに一そう留意してやってまいりたい、かように思っております。
○藤田(高)委員 きわめて不満足な答弁でありますが、この問題は大臣に質問することを保留いたしておりますから、これで次の質問に移りたいと思います。 次にお尋ねをしたいのでありますが、インドネシア債権、この問題に関連をして、いわゆる通産省の管轄になっております輸出保険の関係について、一昨日質問の中で、関係の商社あるいは業者に支払った保険金額及び主たる輸出品目について資料要求をしたのでありますが、それは四十六年の二月二十四日、通産省貿易振興局から出されたこの資料に間違いありませんか。
○後藤政府委員 間違いございません。
○藤田(高)委員 この資料によりますと、丸数でいきますと、日綿実業に対しては二十三億三百万円、三井物産が約二十億、同和海運が九億三千六百万、日本車輌が六億四千二百万、トヨタ自販が五億八千八百万、近畿車輌が三億七千百万、野村貿易が三億四千三百万、川崎重工業が二億一千百万、住友商事が一億九千万、丸紅飯田が一億五千七百万、その他が十六億四千四百万、全部で九十三億九千百万というのが延べ払いを含めた保険金の支払い額、これが主たる、俗称十社といっておりますが、十社の保険金の内容として間違いありませんか。
○後藤政府委員 間違いないと存じております。
○藤田(高)委員 そうだとすれば、事務的なことをお尋ねしますが、この保険金はどういうルートで商社の手に渡ることになっておりますか。またその保険金は、輸出保険の特別会計との関係においてはどういうルートで返ってくるのか、説明してもらいたい。
○後藤政府委員 先般来お答えいたしておりますとおりに、通産省といたしましては、延べ払い輸出に関しましては大蔵省と協議の上、一々輸出承認をいたしております。輸出承認をいたしました件数につきまして、その輸出者からの申し出によりまして、輸出保険特別会計がございますので、その際に申し出者と保険契約を結ぶわけであります。保険契約を結びまして、事故が起こったという場合に支払いをいたすわけであります。今般の政変によりまして、インドネシアの輸出代金保険、ただいま先生から御指摘ございましたこの資料にございますとおりに、この十社を含めました主要なるところの延べ払い輸出に対しまして、合計いたしまして九十三億九千一百万円の輸出代金保険としての保険金を支払ったわけであります。したがって、この輸出代金保険の支払いは、結局保険の事故が起こったわけでありますから、輸出保険特別会計としてはもう支払い済みということになりまして、だから事故の起こらないところで保険金収入等がございます。そういったもので補てんをいたしておるということになりますから、この分の支払った分だけは輸出保険会計というものがそれだけへこんでくるわけであります。そこで今度リファイナンスが起こってまいりますと、これはもちろん輸出代金保険でございますので、ちゃんとした担保を取ってやっております。この輸出代金保険の場合でございますと、インドネシア国立銀行の支払い保証を担保に取っております。ところがインドネシアでそういう政変が起こってそれが払えなくなったということでございますので、このたびそれがリファイナンスでインドネシアに支払えというような事態が起こってまいります場合は、保険契約者のところへまた支払いが出てくるわけでありますから、輸出保険法の規定に基づきまして、支払いました代金は輸出保険特別会計のほうへ回収をいたして、保険会計の穴埋めをいたした、こういう経過でございます。
○藤田(高)委員 しかし保険金がこれだけ現実に出ておるわけですから、出ておるということは、もう業者の手には保険金がいっておるわけですね。問題は、輸出保険にこれからインドネシア銀行を通してどのように返還されてくるかということが残っておるわけでしょう。そのように理解していいですね。
○後藤政府委員 今般のリファイナンスによって入ってくる分もまだ若干残っておりますが、すでにこれまで行なわれましたリファイナンスによって、インドネシアにそれだけ支払いの力が新しくできたわけでございますので、その分につきましては、回収できるだけのものは保険金支払いの穴を埋めるべく、輸出保険特別会計についてはほとんど回収いたしております。
○藤田(高)委員 これからの分はそういうことになりますが、実際問題としては、この保険金は輸銀から業者に直接円で支払われたわけでしょう、今までの分は。
○奥村説明員 輸出入銀行はリファイナンスをいたしましたときに、これはインドネシアの中央銀行に金を入れるわけでございますから、インドネシア中央銀行が日本側に支払いをしておるというかっこうになります。
○藤田(高)委員 いままでの分ですよ。
○奥村説明員 いままでそうでございます。
○後藤政府委員 私のお答えが若干ことばが足りなかったと思いますが、ただいま奥村理事からもお話し申し上げましたように、輸出入銀行のリファイナンスというのはインドネシアの国立銀行のほうへまいりますので、輸出保険特別会計といたしましては、一応その経路としては、商社へ当時の契約によって入っていきますが、その商社は、保険法の規定によりまして輸出保険特別会計へ一たんこれがまた返ってきたわけですから、保険で支払ってもらった事故と二重取りになってはまずいし、そうされるはずはありませんので、保険会計のほうはその商社を通じて、全部支払った保険金を回収いたしておる、こういうことでございます。
○藤田(高)委員 たてまえとしては、輸銀がインドネシア銀行に融資しますね。そうしたらインドネシア銀行から業者を通しましてそして輸出保険の特別会計に入る。入ったものを今度は保険が業者に支払う。それはどちらですか。
○後藤政府委員 業者に対する保険金の支払いは、すでにほとんど大部分済んでおる、この事故事由を認定したときに済んでおるわけであります。したがいまして、インドネシアでこういう事態が起こったということによって、そのために輸出保険特別会計としてはそれだけの分が穴があいたということになるわけであります。インドネシアにそういう力ができたらその分は、端的に申し上げますと、インドネシア側からそれを輸出保険会計のほうへ回収をして繰り入れる、こういう結果になっておるわけであります。
○藤田(高)委員 これは私自身の若干の誤解でしたが、いわゆる保険のほうからも業者に直接払っておるわけですから、いまのこの保険のほうに入ってくるリファイナンスとの関係とは直接そういう点では関係がない。ですから、いま現在払っていますから、その点の穴があいておるといいますか、その分についてはこれからインドネシア銀行等を通して入ってくる。その金についてはその点を補充していく、こういう関係にある、そのように理解していいですか。
○後藤政府委員 大筋としてはおっしゃるとおりであります。
○藤田(高)委員 そういうことになりますと、この再融資の問題は、なるほど表向きの議論としては後進国開発、インドネシアの経済開発、インドネシアの経済援助、こういう性格のものでありますが、実態論として考えた場合は、日本の商社に対する救済の措置にもなっておると私は思うのですが、その点についてはどうですか。
○後藤政府委員 たてまえから申し上げますと、このリファイナンスの問題と、それから輸出保険の支払いという問題とは一応区別されるべきものであると思います。それで、リファイナンスをするということは、めぐりめぐって輸出保険特別会計の穴埋め、つまり保険金を支払った分が埋まってくるということにはなりますが、商社は、すでに、事故事由を認定いたしましたときは保険契約の結果に基づきまして保険金はすでに入っておるわけでございますから、対商社の関係はそれで済んでおるわけでございます。
○藤田(高)委員 答弁にもありましたように、もちろんこのリファイナンスの関係は輸銀とインドネシア銀行との関係だし、それから保険の関係は、業者と特別会計である保険との関係だというふうに区分して考えられるわけですけれども、結局、輸銀がそういうリファイナンスをするということは、結果としては保険の穴埋めにも役立つわけですからね。そういう因果関係からいけば、私はやはりこれは国内の業者の救済策的な性格を、結果論として、実態論としては帯びてくるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
○後藤政府委員 輸出保険というものの性格が、やはり輸出を振興するために輸出業者保護というたてまえからでき上がっていることは仰せのとおりであると思います。しかし本件に限定して申し上げますならば、先ほど申し上げましたように、事故事由を認定して保険金を支払ったときにすでに商社との関係は済んでおり、商社は保険契約によって保険のてん補率九〇%のものはすでに入手をしておるわけでありますので、今度のリファイナンスが直接商社保護という問題にはつながらない。ただ輸出保険特別会計というものが、これは各国いずれもそうでございますが、輸出業者保護、輸出振興という線につながった機構であることは仰せのとおりであると思います。
○藤田(高)委員 私はあえて、いわばわかり切ったようなことをお尋ねしたのは、そのこと自身を確認をしておきまして……それは私も不勉強であるとはいいながら、この輸出保険が輸出振興のために、業者に対してのそういう危険があった場合に保護する仕組みでできたぐらいなことはわかっています。しかし私がそういうことをあえて確認をさしてもらったのは、そのこと自体に目的があるわけではありません。この種の、今回のこういう長期の延べ払いをやるような問題にまで遺憾ながら事態は発展してきたわけですけれども、私が非常に不明朗なことを感じるのは、これまた形式論としては問題ないといえばそれまでかもわかりませんが、政治献金との関係ですね。たとえば、いま御報告のあった日綿実業以下十社ですね、インドネシアとの関係におけるこういった会社が相当多額の政治献金を、私の手元には昭和四十三年以降の資料を持っておるわけですが、これはずいぶんやっております。きょうは時間の関係で中身は一切私は省略をいたしますけれども、相当多額の資金が国民協会を中心として出されています。たとえば、総計だけ申しますと、四十三年の下期が八百七十四万、四十三年上が二千三百十五万、四十四年上が、これは少しく少なくて百三十万ほど、四十四年下が一千百万という形で出ておりますが、これは十数社との関係です。このインドネシアの今度の保険金のこれとの関係だけでそれほど多額の資金が出ております。一つ一つ区別して考えればそのこと自体には問題がないように見えますけれども、インドネシアのこの賠償の問題、インドネシアとの貿易の問題、この問題はきわめて不明朗なものがあまりにも多過ぎる。本来的に援助国のための援助なのか、それとも援助をしてもらう国のインドネシアそれ自体の援助なのかというぐらい、このインドネシアの問題というものは非常に不明朗な問題が多いわけですね。これは私は時間があれば、賠償の問題を含めてインドネシアにおけるわが国の経済援助がどのように効果を発揮しておるかということを実は聞きたいわけですけれども、日本のなにが一番おくれておるわけでしょう。あの問題の三Kダムですね、あれ自身も実はその後どうなっておるかということをひとつ聞かしてもらいたいと思うのですけれども、実に日本のそういう協力したものが稼働率が悪い、効果としてあがっていない。端的な例でいえば、肥料会社ではありませんけれども、インドネシアにとってはいま農業の問題が非常に重要な問題なんですね。そうすると、その肥料会社をつくりたいといっても、日本が肥料がいま過剰生産になっていますから、肥料会社をインドネシアにつくらすよりも、日本の市場にしたいという形で、実際いうとインドネシア自身のためになるような経済協力にはなっていないのですね。ですから、私はこれは一つの代表的な例をあげましたけれども、この間堀委員が大来さんでしたかに質問されたときにも、インドネシアを中心とする後進国開発の経済援助の基本的なあり方について意見がありましたが、私はあえてこの保険金との関係を申し上げたのは、あまりにもこの保険金をもらっておるような会社が——保険金をもらうこと自身については、その限りにおいては何も悪いことはない。しかしこういった保険金をたくさんもらっておるような会社が、一方では国民協会を中心に多額の政治献金がなされておる。この政治献金との関係において、それでは業者なり商社はどうかといえば、やはり輸出の認証をとられている。やはり政治的な関係が生まれてくる。私はこういう一連の関係においてこの今回の問題についても考えていかなければいけないし、また将来に向けてのインドネシアの経済援助のあり方についても考えていく必要があるのじゃないかと思うのですよ。そういう点に関する、これは政務次官の統一した見解をひとつお聞かせ願って、私質問事項もありますけれども、持ち時間が若干超過したようでありますから、これで私の質問を終わりたいと思います。
○中川政府委員 海外に対する輸出保険つきの延べ払い、このことが海外援助にはあらずして輸出する業者の保護ということに重点があるようなこと、そのことがまた、政治献金というようなことがあっては断じてならないと存じます。かくないと存じますが、そういう疑いを持たれるということすらよくないことでありまして、そういうことは断じてあってはなりません。特に今回改正いたしました分は、これはましてや政治献金とからむようなものではありませんで、業者保護、間接にはなりましても、先ほど来御説明のように、業者は保険機構等を通じて当然支障なく保険金をもらえる仕組みになっておりますので、この制度をやったからといって直接業者が特によくなるという性質のものでもございませんし、ましてや今後の海外援助すべてにわたって、政治献金、国内業者の保護というような形は断固としてないように、われわれもただいまの御指摘をよく聞きましてさらに反省を加えて、不明朗な声の聞けないように努力してまいりたいと存じます。
○毛利委員長 関連質問の要望がありますので、許します。佐藤君。
○佐藤(観)委員 せっかく通産省のほうから資料が出ましたので、ちょっとこれについて御質問申し上げたいのですが、この備考のところに「対象期間は一九六六年一月より一九七〇年十二月末まで」とありますけれども、これはどういう意味なんでしょうか。これは保険金が支払われた時期が六六年の一月から去年の十二月末までという意味でございますか。
○後藤政府委員 備考に書きました期間に決済期が参りまして、そのときに送金が行なわれない、向こうから金を払ってこないというために、事故である、こう認定をいたしまして支払ったものの合計でございます。
○佐藤(観)委員 そうすると、輸出保険が支払われる時期はわかるのですが、支払われる長さですね、つまり輸出保険は一時金にぽんと出ますか。
○後藤政府委員 決済期がまいったたびごとに支払っていくということでございます。
○佐藤(観)委員 それから、この輸出保険というか、インドネシアに対して輸出承認をとめたのはいつの時点ですか。
○後藤政府委員 四十年九月に政変が起こりまして、その後送金が遅延するような状態になったので、これは非常にあぶないということで、その年の十二月に、保険事故が起こったと認定いたしたわけであります。
○佐藤(観)委員 しかし、事は延べ払いですね。そうすると最低三年から十年ぐらいの長期にわたって払うわけですから、六五年九月に政変が起こって十二月にはお金が来なくなった、だから輸出承認を見合わしたということは、あまりにも措置としておそ過ぎるのじゃないかという感がするわけです。外務省なり何なりからその前にある程度、直接の政変はわからないにしても、すでに六三年ごろからインフレの状態が出ていたわけですから、九月三十日にクーデターが起こって、その年の十二月に延べ払いの輸出承認をとめたということは、あまりにもおそ過ぎるのじゃないか。クーデターが起こる前にも、延べ払いですからやめてもいいのじゃないかと思うのですが、その点どういうぐあいでクーデターが起こったあとで輸出承認がとまるようになったのか、どうも納得いかないのですが、その辺をお答えいただきたいと思います。
○後藤政府委員 延べ払いの承認の問題と、それから輸出保険の問題とからんでおるようでありますが、四十年九月三十日にクーデターが起こりました。起こったということはもちろん外務省を通じまして私ども知ったわけでございますが、そのあとすぐにその取引関係、つまり金の支払いその他がとまったということで、そのあとも続いておったわけでございます。そして十二月二十八日に至りまして、外国為替銀行から輸出手形保険の事故が発生してこの支払いが行なわれなくなったという連絡が参りましたので、直ちにこれをとめて、将来に向かっての保険の引き受けをとめて、そして保険事故であるという認定をして手続をした、こういうことであります。
○佐藤(観)委員 その場合に、輸出の承認をとめたということは、これは契約をとめたということだと思うのです。そうしますと、それ以前に契約していて、現実には政変後も、あるいは輸出承認がとめられた一九六五年十二月の時点でも、実際に物はインドネシアに行っているという事例もあるのじゃないかと思うのです。そういうことも延べ払いということを考えますと、いわゆる保険事故が実際に起こった、だから輸出承認をとめたという処置は、私はあまりにもおそ過ぎるのじゃないかというふうに考えるのですが、どういうことでそういうふうにおそくなるのか、どうも納得いかないのです。
○後藤政府委員 二つに分けて申し上げます。十二月二十八日に、保険事故が起こったと認定をして、それ以後の保険の引き受けをとめたわけでございます。それから輸出の延べ払いの承認に関しましては、これは政変が起こったあとも、形としては承認をとめたということでなしに、とめたという形にはなっておりませんし、また事実上延べ払いの承認というものはケース・バイ・ケースで判断するわけでありますので、今後一切インドネシア向けの延べ払い輸出の承認をとめるという宣言をする必要はないわけであります。ただ実際の問題といたしまして、そういうぐあいに向こうがあぶないとなってくると、おのずから輸出業者その他は延べ払い輸出の承認を求めない。つまり延べ払いで物を売ろうとする人が出てこないわけであります。実績から見てもやはりそういうことでありますので、延べ払い輸出の承認という問題と、それから保険の事故が起こったと認定して、そして保険金の支払いを開始するということ、並びに将来に向かって輸出保険を引き受けないということとは、それぞれ別の立場に立って処理をいたしておる、かように御了解願いたいと思います。
○佐藤(観)委員 ですから、別ですから、輸出承認をしないということのほうが先になると思うのですね。それからもう一つは、いまの御答弁あまり納得しないのですが、政変が起こったからもうおれは知らぬぞと言われても、実はそういうことは歴史上幾らでもあるわけですね。今度のスハルト政権の場合にはスカルノ政権の債務を引き継ぐということで、いまこういう問題になっているわけですけれども、革命が起これば、前の政府がやった借金というものは知らないよと言われてもしようがない。そういう事例というのは歴史上幾らでもあると思うのです。だから、そういうことから考えますと、輸出保険事故が十二月二十八日に最初に起こって、その時点でとめた。六五年の十二月に輸出承認をとめたという——輸出承認はいつとめたのですか。
○後藤政府委員 先ほどお答えいたしましたように、輸出承認をもうしないということは、とめたということじゃなしに、現実問題としてそういうあぶない国に延べ払いで物を売ろうとする人がない、申請が出てこないわけであります。したがって、輸出保険の事故であると認定して、将来に向かって輸出保険の引き受けをストップするということ、それから以前の輸出保険契約に基づいて保険金の支払いを開始するということ、それからさらに延べ払い輸出の承認をする、しないという判断を下すこととは、それぞれ別の立場に立っているわけであります。現実問題として、政変が起こりましてから延べ払いの輸出というものは申請が出てこないわけであります。
○佐藤(観)委員 時間がございません。もう一点だけ輸銀の総裁にお伺いしたいのですが、四十二年六月九日から三回にわたってインドネシア中央銀行に対してリファイナンスされている額が、合計で二百十一億七千万円ですね。それでこのスカルノ債権にかかる輸出保険、これは平均九割が出されているわけですけれども、その合計が九十三億九千百万円であるということですね。そうすると、三回にわたってリファイナンスした額というのは、これはスカルノ債権に対するリファイナンスですね。そういうことになりますと、この差はあまりにも大き過ぎるのじゃないかというふうに私は思うわけです。これは私、何かの勘違いかもしれませんが、ということは、その延べ払いの輸出をして保険がおりなかったものもあるのじゃないかという気もするのですが、その辺の関係はどうなっているのでしょうか。
○後藤政府委員 ちょっと御質問の趣旨がよく私、了解できないのですが……。
○佐藤(観)委員 じゃ、もう一度御質問申し上げます。つまり、輸銀が三回にわたって二百十一億という額をインドネシアの中央銀行に出した。それだけいったということは、インドネシアの中央銀行がそれだけ穴があいているということですね。総裁、いいですね。インドネシアの中央銀行は、この延べ払いに関しては穴があいているということですね。ですから、こちらからそれだけ補てんしなければ流れなくなったということでしょう。それは、ここにいまとりあえず十社、日綿実業からあげてありますけれども、輸銀のほうとしても、この合計二百十一億にのぼる額のおのおのの契約の合計というものは輸銀のほうに回ってきているわけですね。輸銀のほうでは、こういうもののあれが戻らなかったということで、インドネシアの中央銀行にリファイナンスしまして——インドネシアの中央銀行がだめになる。先ほど藤田委員の御質問があったように、結局最終的にはインドネシアの中央銀行のほうがパンクしてしまうという状況だと思うのですね。ですから、この輸銀のほうからインドネシアの中央銀行のほうに二百十一億七千万円というものが三回にわたってリファイナンスされた。それから、このインドネシア債権に関しては九十三億九千万円というものが保険でおりているわけですね。この差というものは一体どういう意味なのかというのが、どうも私はよくわからないのですけれども、そういうことで質問の趣旨がよくわかりませんでしょうか。
○後藤政府委員 三回にわたりまして輸銀からリファイナンスされたということと、それから輸出代金保険の対象ということになって、事故事由を認定して保険金を支払ったというものは直接には関係ございません。輸出保険といたしましては、事故が起こったと認定いたしたときに保険契約に基づいて保険金を支払っておる、こういうことでございます。
○佐藤(観)委員 どうもこの点に関して疑問が残るのでありますけれども、大蔵大臣が見えましたので、また機会があればもう一度御質問申し上げたいと思います。
○毛利委員長 本案に関する質疑を暫時中断します。 ————◇—————
○毛利委員長 この際、福田大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
○福田国務大臣 一昨日の当委員会で堀委員からキューバの問題につきまして御質疑がありました。私並びに政府委員の答弁が多少誤っておりましたので、ここでおわびかたがた訂正いたしたいと存じます。政府委員から申し上げます。
○稲村政府委員 前回の本委員会におきます堀先生の御質問の中で、IDAの加盟要件及びIDAにキューバが加盟しているかどうかという点につきましての御質問がございました。ただいま大臣から御発言のございましたとおり、当方の答弁に若干誤りがございましたので、深くおわび申し上げます。 その訂正を申し上げたいと存じます。 まず、IDAの加盟要件として、国連に加盟している国に限る、及び加盟の決議には総務の三分の二が投票をいたします、総投票権者の四分の三の賛成が必要である、こういうふうにお答え申し上げたように記憶いたしておりますが、これは誤りでございます。IDAの加盟国となりますためには、国連ではございませんで、国連の専門機関である世銀の加盟国であればよい、こういうことが正確なお答えであったわけでございます。それから、ここで世銀に加盟できますためにはさらにIMFの加盟国であることが必要でございますが、IMFはすべての国に加盟国となる資格を開放する、こういうたてまえでございます。したがいまして、IMF、世銀さらにはIDAの加盟国につきましては、国連の加盟は条件とはなっておりません。その点、前回の答弁が間違っておりましたので、おわび申し上げますとともに訂正をいたしたいと存じます。 それからまた、新規加盟の承認につきまして総務会の決議事項とされておりますが、そのための総務会の定足数は、総務の過半数及び総投票権者の三分の二の投票が要る、こういうふうになっております。さらに承認決議の成立のためには、この総務会におきまして投票数の過半数の賛成が得られる、こういうことになっております。 以上が、IDA加盟要件につきましての前回の答弁に関しまして訂正申し上げたいと存ずる点でございます。 次に、国連、IMF、世銀、IDAとキューバとの関係でございますが、補足して御説明を申し上げますと、キューバはIDAの発足当時、つまり一九六〇年ごろでございますが、IMF、世銀加盟国でございました。したがいまして、IDAには当初より加盟国になれる資格はあったわけでございますが、IDA加盟申請をいたしておりません。その後、一九六〇年の十一月にキューバは世銀を脱退いたしました。さらに一九六四年の四月にはIMFからも脱退をしております。したがいまして、現状におきましては、キューバはIMF、世銀に再加盟いたさない限りIDAに加盟する資格を失った形となっております。なお、キューバは国連には当初より加盟国でございまして、現在も加盟国でございます。
○毛利委員長 ただいまの大蔵大臣の発言に関し、この際発言を許します。堀昌雄君。
○堀委員 事実関係といいますか、論議をいたしますべースが著しく異なる条件になりましたので、ちょっとほかも合わせていまの問題についてお伺いをしておきたいわけでありますけれども、いまのキューバの問題を私が例示いたしましたのは、要するにIDAなりそういうところが、一昨日申し上げたように、その国の体制のいかんによって排除をされたりするようなことは望ましくない。私たちの低開発国援助というのは、少なくとも人道的な見地に立って、人類の貧困を少なくともこの地球上から取り除くために、先進国として当然の責務を果たすということに基づいておるわけでありますから、そういう意味では、資本主義国である、社会主義国であるという、そういう体制上の問題としてこれを取り扱わないということをまず確認をしたい、こう考えて実は問題を提起したわけであります。 そういう意味で、いろいろとそこらの複雑な入れかわりがありましたので、いまのそういう新しく訂正をされた前提の上に立ちまして、かりにキューバでありましても、再度世銀なりIMFなりIDAに加盟をしたいというときには、特別のそういう差別等をしないで取り扱うということかどうか。日本政府としての態度とあわせて、そういう一般論的な体制上の問題によって低開発国に対する援助の問題を差別しないというのが相当だと考えますので、この二点についてもう一ぺん大蔵大臣の御見解をお伺いします。
○福田国務大臣 IMFをはじめとする国際金融機構、これの加盟については、その国の政治形態がどうであるということによって差別をすべきではない、かように考えます。
○堀委員 そのことと、もう一つ低開発国援助に対する日本の考え方として、原則的には差別をすべきではないのじゃないかということですね。
○福田国務大臣 これは原則的にはそうだと思います。しかし実際問題とすると、国交のない国というのがあるわけですね、そういうようなことでなかなかむずかしいこともありますが、考え方としては差別はいたしたくない、かように考えます。
○堀委員 終わります。 ————◇—————
○毛利委員長 この際、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に対する質疑はすでに終了いたしております。 これより討論に入るのでありますが、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○毛利委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後三時六分開議
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案を議題といたします。 質疑を続行いたします。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 いままでこの援助の問題につきましてここまで論議が進んでまいりました。いままでお話がありましたように、これから日本の対外援助はだんだん大きくなる。七五年にはGNPの一%までいこうという、こういう国民にとってもたいへんこれは重大な問題であります。ところが私は先日新聞を見ましてがく然としたわけであります。それは、わが国の対外援助額がだんだん大きくなってくる、国民の多くがほとんど実態を知らされない、密室状態の中で、理念のない援助がふえ続けていいものだろうか、こういうような文句を見まして、実際この対外援助というものが一体国民に十分理解されておるんだろうか、内容はわかるんだろうかということを考えてみると、実際寒けがするわけでありまして、私はこの委員会で質問しようとする場合、大体十分な資料もわれわれには提示をされないのでありまして、政府自体、こういう重大問題が、国会議員がめくら判を押すような形でやっていいものかどうか、十分これは国民に知らされておると確信をしておるのかどうか、その問題からまずお伺いしたいと思います。
○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、援助につきましてはただいま先生御指摘のとおり、これからますます量的にも拡大をしてまいらなければならない。日本の経済の全体から見ましても次第に大きなウエートを占めてくる問題でございますので、それがほんとうに有効に、かつ国民の一般の御理解を得て、十分に効果のある、国内的にもまた国外から見ましても遜色のないと申しますか、問題のないような援助の体制をしいてまいりたい、こういうふうに思っております。
○阿部(助)委員 私のお伺いしておりますのは、この援助の内容が、密室状態の中でやられておるなんということでは困るのであって、特にこの問題は、あとでお伺いしますけれども、いろいろとこれからの国の進む命運にも関するかもわからない、こういう点でこれが国民に十分知らされておるというふうに皆さんは確信を持っておられるのかどうか、こういうことです。
○稲村政府委員 われわれといたしましては、それぞれ援助につきまして、随時、御議論いただいておりますとおり関係する各省が多いわけでありますが、それぞれの関係におきまして、また対外的な問題といたしましては、外務省が中心となりまして、それぞれ国民に対するPRと申しますか、いろいろな白書その他によりましてその実情を明らかにいたしております。決して何か密室で援助が行なわれるというようなことはないというふうに確信しております。ことに最近及びこれからの援助につきましては、世銀等を中心といたしまする国際機関が中心となりまして、国際的に相談をし合いながらやっていく、こういう傾向が次第に強くなってきておりますので、そういう意味におきましても、これからはますます、ほんとうに後進国に喜ばれ、かつ、いわゆる密室での援助ということではない援助で進みつつある、現在も進んでいる、そういうふうに信じております。
○阿部(助)委員 もしこの程度で国民によく知らせておるといっても、いままで続いてきたここの場における論議を私拝聴しておりましても、さっぱりわからない。われわれにはさっぱりわからないのですよ。いつどこでどういう形で国民にあなたは知らせましたか。私は、この問題はあまり深く、時間とりたくないのですけれども、あなたが国民に十分知らせておるというならば、いつどこでどういう発表をして国民に知らせましたか。
○沢木政府委員 各国と借款取りきめをいたしました場合は、必ず政府は公表いたしております。それからたとえばパリの今回の繰り延べに関します合意ができました際には、各国の共同コミュニケというかっこうで合意内容の大体は全部発表されております。それからわれわれといたしましては、御承知のように、毎年経済協力強調週間というものを一年の間に一週間程度開催いたしておりますが、その場合講演会を全国に持ち、かつ広報映画を作成してやるとか、それからまた外務省が借款協定を結びました際には、新聞発表を別個に同時に行なっておりますと同時に、詳しい内容につきましては通産省が経済協力白書を毎年発行しておられます。したがいまして、いまだ先生の御理解をいただくまでに浸透いたしてなかったことは残念でございますけれども、われわれは与えられたそれぞれの分野におきまして、できるだけ国民の支持を得べく、内容について発表を積極的にやり、広報活動を活発化するということをやっておるつもりでございます。
○後藤政府委員 ただいま外務省のほうからもお答えがございましたが、先生仰せのとおりに、確かに現在経済協力、低開発国援助という問題は、今後ともわが国の国民経済の中に非常に大きなウエートをますます持ってまいることは事実でございます。同時にまた、わが国のGNPが相当進んでまいりまして、世界各国の中でも上位、二番目、三番目といわれる状態になってまいったことではございますが、国内経済の上におきましても、ただ経済のみならず、一般の社会資本の充実の面その他、国民生活に密接いたしております国内問題でもあまたの問題点を控えており、そちらのほうへのそういった経済的な成長、繁栄の結果を向けていくということも必要であります。したがいまして、対外的に援助をすることと、国内的な社会資本を充実し国民生活の向上に資するという点とは、両方これは車の両輪のごとく相まっていかねばならないわけでございますので、したがいまして経済援助の問題につきましても、国民的な同意、総体的な同意がなければ円滑に行なわれていかないということは全く仰せのとおりであると私は存じます。 そこで、この経済協力というものにつきましての国民への浸透の問題でございますが、先ほど沢木局長からお答えいたしましたとおり、そのつど機会を利用して、国民全般に、経済協力が日本国自体の立場としても必要だということを浸透するようにいたしておりますし、私ども、経済協力白書と俗称いわれておりますが、正式には「経済協力の現状と問題点」というのを毎年一回ずつお手元にも差し上げてあると存じますが、すでに過去十年にわたりまして、毎年一回これを一般に公にして、経済協力のあらましを国民に知らせると同時に、経済協力強調週間あるいは経済協力強調月間、そういうものを通じまして、できるだけの努力を続けてまいったつもりでございます。今後ともこういった努力は、国民全般の理解と、その上に立った、政府、民間、一体となっての対外的な経済援助を実施するために必要と存じますので、今後ともさらに御趣旨を体しまして努力を続けてまいりたい、かように考えております。
○阿部(助)委員 この問題は、私は不満はありますけれども、あまり時間をとりますので次に移ります。 日本の援助はよくひもつきだというようなことがいわれるわけでありますが、その点はどうですか。
○稲村政府委員 ひもつきであるという意味でございますが、これはおそらく日本の援助が、援助資金を出します場合に、これを日本の産物なり日本からの技術、そういうものでなければ使えない、こういうふうになっているというところの問題であろうかと存じます。この点につきましては、確かに、従来の日本の援助の二つの機構のうちの輸出入銀行にいたしましても、これは先ほどからいろいろと御議論がございましたとおり、元来日本の輸出を振興するという趣旨でできてきた機関でございます。それから経済協力基金にいたしましても、やはり商品につきましては日本の商品でなければいけないというふうになっております等の、そういう意味ではひもがついた体制になっておりますが、これにつきましては、ピアソン報告その他の国際的な要請もございますし、援助の効率化と申しますか、そういう点からいたしましてひもつきでない援助にすべきである、こういう国際的な世論もございますし、また日本といたしましても、今後はそういう方向にいくべきではないかというふうに感じておる次第でございます。昨年の九月東京で開かれましたDACの上級会議におきまして、大体ほんの一部の国を除きまして、今後のDACの経済援助はひもつきをやめる、ひもつきでなくなるという原則にすべきである、こういう一般的な方針がきめられまして、その線に沿いまして具体的にそれではどういうふうにそういう方向に持っていくかという点について、関係各省とただいまいろいろと検討いたしておる段階でございます。
○阿部(助)委員 東南アジアの諸国、タイ国、インドネシア、マレーシアあるいはフィリピンやシンガポールというふうな、こういう国々から、日本はエコノミックアニマルだというような批判が強いようでございますが、なぜこういう批判を受けておるかということは、どういうふうに皆さん理解をされておるのですか。
○沢木政府委員 確かにそういう非難が出たことは事実でございますが、これにはいろいろな原因があるように思われます。まず第一は、結局、現地に行っておる人が経済関係の人が非常に多いということ、かつまた現地に進出いたしました企業が相当といいますか、猛烈なエナージーで拡大していくというような、そういう商魂たくましい姿を見まして、これがエコノミーのアニマルであるというような感じを先方が持つこと、それから日本の援助の中に教育関係あるいは社会厚生面の援助がいままで少なかったこと、それから日本の旅行者がやはり経済関係の人が多くて、文化関係、学者関係が少なかったようなこと、こういういろんな問題が重なりましてそういっておるわけでございますが、その根底には日本の経済力に対する恐怖感あるいは日本の異常な発展に対するそねみの心理というものも一部に働いておりますし、あるいは借款あるいは貿易のアンバランス等に対する不満というようなものが根強くその根底に横たわっておりまして、一つの原因からだけこれはいわれておる問題でないというふうにわれわれ解釈いたしております。
○阿部(助)委員 私も大体そうだと思うのでありますが、全体として非常にもうけ主義に徹し過ぎておる。また先ほど大蔵省のほうのお話ありましたように、輸出振興という形で、結局日本の企業がもうけ主義に走り過ぎておるというところに一番大きな問題があると思うのであります。そういう点で、アメリカのニクソンのきょうのこの新聞を見ましても、日本の場合には過去のように民間ベースの融資に重点を置くのではなしに、日本が国際的かつ地域的援助の面で指導的役割りを果たすものと期待しておるみたようなことで、どうも日本の援助というものは、いままで企業の輸出振興、もうけ主義というような形に重点があって、もっと無償で、あるいは国自体でやるようにということ、ニクソンがかってなことを言っておるには違いないけれども、そういう指摘があったということで、大体私はいまのお話のとおりだと思うのであります。 そこで、政府はこれから、輸出の振興型から海外の資源開発あるいは開発輸入という方向へ重点を指向するというふうに聞いておるのでありますが、そのとおりですか。
○沢木政府委員 援助というものは、その結果として輸出市場の確保に連なることもございますし、輸入資源の確保に連なることもございますが、目的はあくまで相手国の経済の発展のために行なうものでございまして、結果としてそれが輸出振興になり、結果としてそれが輸入資源確保を容易にするために貢献するという効果はあるにいたしましても、それ自体を目標として援助を出すものではないという点についての認識は、関係各省とも一致しておるかと思います。 今後の問題につきましては、この委員会の当初の段階でもお答え申し上げましたとおり、日本の援助の中で政府開発援助をふやせというのが国際的な要望でもございますので、そういう項目を重点的にふやすことについて、関係各省努力しておるところでございます。
○後藤政府委員 輸出振興並びに資源開発という点の御指摘がございましたので、私からもつけ加えてお答え申し上げたいと存じます。 経済協力という問題が起こってまいりましたのは約十年ほど前でございます。当時のわが国の経済というものと、現在のこの大きくなりました経済というものを比較いたしてまいりますと、何しろ当時におきましては、現在もある意味においてはそうだと思いますが、日本の置かれておりました経済状態というものは、やはり輸出を振興し、そしてその見返りとして輸入を行ない、そういった輸出入というものを旺盛にして国内の経済、ひいては国民生活の発展向上に資するという立場をとらざるを得なかったわけであります。そこで、日本の経済協力というものは輸出振興のためだけではないか、いわゆるもうけるという、企業のそういった意欲というものが先に立って出てくるのではないか、こういったような非難が一部にあったことは確かでございます。確かに経済協力というものの中身が輸出振興というものとうらはらになって進んでまいったことも事実でございます。しかしながら今日の段階におきまして、すでに日本も、どうしてもこの輸出振興だけをしゃにむに推し進めるという状態とは若干、国際情勢並びに日本の国自体の経済は異なってまいってきておると存じます。このDAC諸国におきまする、DACの会議におきまする日本に対する援助のあり方についての批判、並びにそれに伴いまする世界的な世論の動きというものをも勘案いたしまして、今後日本といたしましては、民間ベースよりもむしろ政府借款、政府贈与の面をふやす。あるいはまた、でき得る限り相手国の事情というものをより尊重した、経済的な分野よりもむしろ厚生、文化、その他広く一般の、援助受け入れ国側の福祉に関係するような分野というものに、より多く経済協力の重点を注いでまいることが必要であると存ずるわけであります。 最近、日本の経済発展に伴いまして、わが国経済としての資源の入手の必要性というものはますます増大してまいりました。これがまたかつての、経済協力は輸出振興の見地からのみ行なわれておるのではないかというような非難と同じように、日本の経済協力は日本の経済自体の資源開発のためだけで、発展途上国にある資源を持ってくるためにやるというような見地から見られないように、この問題についても処理をいたしていかなければいけない。具体的に申し上げますならば、そこにある鉄鉱石、原料炭あるいは非鉄金属鉱石、あるいは石油あるいはボーキサイト、そういった日本経済に必須な資源をただそのまま持ってくるということではなしに、それを開発し、ある程度現地でそれの加工段階を進めて、発展途上国自体にも経済的な立ち上がりのチャンスを与える、雇用の機会を与える、そういった形で、わが国と併存両立していけるような形での相互の相提携した資源の確保の方式をとっていくことが、経済協力の見地から申しましても、それからまたわが国自体の、国際的な環境の中でいたずらな非難を受けないという立場から申しましても重要である、かように考えておる次第でございます。
○阿部(助)委員 新聞ではアニマル的な援助というけれども、皆さんたいへんりっぱな理念をお持ちなようでありますが、それならば、インドネシアへ賠償以外で政府援助は幾らいって、いわゆる商社を通じての投資というか、そういうものとの比率はどんなふうになっておりますか。
○稲村政府委員 ただいまちょっと数字を申し上げますと、賠償以外の円借款と申しますか、六六年以降に対インドネシアに、最初はバイラテラルでございましたが、その後マルチラテラル信用を中心といたします新規援助グループと申しますか、それの話し合いに基づきまして最近は新規援助を与えているわけでございますが、それ全体を通じまして新規援助債権の性質を申しますと、これは約束額ではなくて現実に与えたものでございますが、六六年の円借款が二千六百九十万ドル、六七年が四千九百九十万ドル、六八年が七千三百九十万ドル、六九年が六千四百八十万ドル、七〇年が三千四百五十万ドルでございまして、合計いたしますと二億五千万ドルくらいになります。 民間ベースと申しますと、先ほどから御議論になっておりますとおり、これはいずれも延べ払いがリファイナンスの段階になっておりますので、新しい意味の民間ベースの延べ払いというのは、そういう意味の援助というのはほとんどないというふうに最近ではなっております。
○阿部(助)委員 私はいま数字をちょっとどこかへわからなくしたのですが、全体、東南アジアに対する援助では、どうもやっぱり政府ベースのものはどっちかといえばまだ日本は比率が低いというふうに私はどこかで記憶しておるわけであります。日本の対外援助というかそういうものは、初めは御承知のように賠償で出発したと私思うのです。しかし何といっても、あまり他国の批判を強めることは得策でないということなんでしょう。そこで、どっちかといえば輸出でいって、資源開発ということはときには帝国主義的な進出という批判を受けるのではないかということで、日本ではどっちかといえば遠慮をしてきたと思うのです。ところが、いよいよ今度は、一昨日の藤井委員の質問にもありましたように、大蔵大臣もこの委員会の当初に、資源問題の重要性というものを非常に強調されたわけであります。いま皆さんの計画しておる予測でまいりましても、大体五十年には石油の九九%以上を輸入にたよらざるを得ない。鉄鉱石もまた九〇%、アルミ、ニッケルに至っては一〇〇%も輸入に依存せざるを得ない。そこで今度は資源開発という形に重点を置く。最終的にどうのこうのと言いますけれども、私はほんとうにいままでの援助が向こうの人民に——日本の国民も納得し、向こうの人民のほんとうの要求にぴしゃり合っておったかというと、私はあとでこれは質問いたしますけれども、必ずしもそういうことにはなっていないのじゃないかということを感じざるを得ないのでありますが、そういう形で資源援助のほうにこれから重点が入るということになったのではないですか。
○後藤政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおりに、資源確保は、先生御指摘のとおりに、日本の経済のためにもこれは非常に必要なことであります。また発展途上国側からいたしましても、現在の経済発展の段階から一段上へとテークオフしていくということのためにこれは必要でありますので、日本の立場から申すならば、日本経済の発展、成長のためにそういう資源を入手いたしていかなければなりませんし、発展途上国側としても、その天賦の資源を開発し利用することによって経済発展というものを遂げなければなりませんので、一方側のみの利益ということではなしに、両国がそれぞれの立場においてひとしくその恩恵を受けるようなぐあいに問題を進めてまいることが必要であると存じます。
○阿部(助)委員 この問題はまたあとでお伺いしますが、今度はインドネシアに対して九千三百七十万ドル、これを三十年間無利子で貸しておくわけでありますが、この佐藤内閣以来、ことしになって、物価の上昇率は平均して大体六%だと思うのです。来年は五・五%と、こう言うけれども、五・五%にとどまるという見込みは、佐藤企画庁長官じゃないけれども自信がない、こういうことになってくる。そうすると、平均大体六%で貨幣価値の減価を見た場合、三十年後に日本の円換算で、私どもおおむね計算をしておりますが、九千三百七十万ドルというのは日本のいまの円で換算して幾らで、そして六%ずつ減価をしていったら三十年後には大体幾らになるのです。これは輸出入銀行総裁いかがです。銀行さんが一番かたく考えておるでしょうから……。
○奥村説明員 総額は二百十一億でございますが、あるいは利息を加えますと三百三十七億円でございますが、いまの金利計算の件は、ちょっとそろばんを置いてみないとわかりませんので、いますぐ返答はむずかしかろうと思います。
○阿部(助)委員 これは普通銀行でありますと、たいへんこれは真剣なんですよ。金利がどうだとか、金利が〇・一%上がったとか下がったとかということは、これはたいへん真剣に考えておるのですよ。皆さんのところは、まことに大きな金を勇敢に使っておられるので、こういうことはあまり計算されないのですか。損しても得してもいいということですか。
○奥村説明員 お説のとおり、非常にばく大な金でございます。その金の値打ちについては、私どもはよく認識しているつもりでございます。 計算については、いまこの場で仰せになりましたことは、別途その問題はお答えをいたしたいと思います。
○阿部(助)委員 いま堀先生が計算してくださるそうですが、これが三十年たちますと大体一割ちょっとに減価してしまうのですよ。おそらく、いま結論出るでしょうけれども、三百三十七億というのは四十億前後に減価をする。私は大体目算を立てておるわけでありますが、それだけ小さくなってしまう。それだけ損をする。そうすると、これがどうなんですか、一体だれが損をしてだれがもうかるのです。いろいろと先ほど来、保険であるとか輸出入銀行であるとか、インドネシアの中央銀行だとか、いろいろ話があるけれども、一体一番端的に——先ほど藤田委員から、だれが一体こういうばかばかしいことをやった、責任はどうだと、こう追及されたけれども、だれが一体一番これは損をして、だれが一番もうけるのです。
○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、今回の措置、これを端的に申しますと、インドネシアがいまスカルノ時代の債務をこの前御答弁申し上げたとおり、ほぼ二十一億ドル世界全体に対して持っております。これがこのままでいきますと、大体毎年一億七、八千万ドルくらいのインドネシアにとりまして外貨負担になる。これをアプス提案によりまして繰り延べをいたしますと、これが毎年七千万ドル程度の負担で済む。大体毎年一億ドル程度インドネシアの負担を軽くする、こういう効果でございます。したがいまして、これはむろんこれによってだれがもうけるかと申されれば、当然これはインドネシアの経済がそれだけ負担が少なくなりまして、それだけインドネシアの復興が早く行なわれる、こういう意味でインドネシアのためのものであるというふうに申せるかと思います。 それから損するのはだれかという御質問でございますが、これは損するということが適当かどうかわかりませんが、これは確かに輸銀が三十年間無利子でということで繰り延べをいたすわけでございますが、これは御案内のとおり、輸銀自体に負担をかぶせるということは適当でございませんので、一般会計から毎年予算に定められるところによりまして必要な資金を無利子で貸し付ける、こういう仕組みにいたしております。これはあとでインドネシアがだんだん返してまいるにつれまして、やはり国のほうの回収もございますから、それに基づきまして一般会計も輸銀から返済を受ける、こういう仕組みでございます。
○阿部(助)委員 そうくどくどおっしゃらなくたって、結局結論は日本の納税者、国民が損をする、こういうことですね。インドネシアは払うにしても一割ちょっとしか払わなくなるのだから得をした。そしてその間に商売をする商社は、そうすると全く安心して、どぶの中へでもぶち込むような形ででも商売ができるという仕組みになっておるということですね。延べ払いのときにはまず輸銀さんが融資をしてくれる。それでだめになれば保険から払ってくれる。心配なしに、政府がどうなろうと、どんな腐敗政権であろうと、どんな危険なところであろうと、商社は一割——一割は大体商社のもうけの一部ですな。そうすると、うまくいけばまるまるもうかってくる。まかり間違っても、もうけをちょっと吐き出せば済む。そういうことで商社のほうは全く安心して出せる。そのしりぬぐいは国民が、納税者がやる、端的に言うとこういうことですね。
○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、今回の措置は、午前中の論議からもあれいたしましたとおり、商社といたしましては輸出保険によりまして、今回の措置とは関係なしに損失のてん補を受けているわけであります。今回の輸銀のリファイナンスは、輸銀がいわばインドネシアの中央銀行に対して貸すわけでございます。したがいまして、このリファイナンスがなくとも商社は保険のほうからすでにてん補を受けていた、また受けるはずになっているものでございます。したがいまして、今回の措置はその意味では商社をもうけさせるとか、商社を援助するというものでは全くないわけでございます。ただ、確かに今回の措置によりましてインドネシアの復興が順調に今後まいりまして、日本とインドネシアの貿易がどんどん広がっていくということになれば、間接的に経済的な便益を受けるということは当然であろうかと思います。
○阿部(助)委員 私があなたに質問した私の意見は間違いですか。大体人民をだますときはぐちゃぐちゃ言うて、くどくど言うて、それでわかりにくくしてごまかすのが大体手なんです。私に説明するのではなしに、国民にわかるように、端的に明快に言ってもらいたい。私は、簡単に申し上げれば、商社がもうけようとしてやったしりぬぐいを納税者、国民が負担することになるのじゃないか、こう言ったのですが、間違いであれば簡単明瞭にひとつ反論をしていただきたいのです。
○後藤政府委員 ただいま輸出保険というお話が……(阿部(助)委員「いや、私は保険であろうと、みなひっくるめて言っているのです。保険だとか銀行だとか言っていないのだ。」と呼ぶ)今般のリファイナンスの措置はインドネシアの国立銀行に対するものでございますので、その意味におきまして、輸銀とインドネシア国立銀行との間の融資ということになってくるわけでございます。それに関連いたしまして、商社というものは、先ほど来先生御指摘のように、すでに延べ払い輸出を行なう際に輸出保険契約というものを結びまして、事故が起こりましたときにその保険金をもらうということで、この分についてはすでにほとんどその大部分はケリをつけているわけでございます。輸出保険特別会計というものは全額国の出資でございまして、またさらに金融機関としての輸出入銀行というものはやはり国がその全部を負っておるという面から申しますならば、このリファイナンスというものが行なわれて、そして輸出保険特別会計の保険金を支払った穴が埋められてくる、あるいはまた輸銀に対する一般会計からの繰り入れが行なわれるという点では、これはやはり一般の国民の負担ということにつながってまいるわけでございますが、今回のこの措置というもの、リファイナンス措置というものと、この件に限っての、商社がリファイナンスによって直接利益を得るということとはつながってまいらないと存じます。輸出保険特別会計というもののあり方、さらにまた、これは私からお答え申し上げるのが適当でないかもしれませんが、輸出入銀行のあり方というもの、機構それ自体が輸出を伸ばすということのためにあることは事実でございます。
○阿部(助)委員 一つの流れをごく部分的に取ってみれば何らふしぎもない。しかし全体の流れとして、結論としてお伺いをしておるのであって、輸出入銀行がどうしたから違法だとか違法でないとか、あるいは保険を払うのがいいとか悪いとか言っているのではなしに、全体としていままでの質疑応答を聞いておりますと、結局は国民の負担においてしりぬぐいをするということだけは間違いないじゃないですか。その点をあなたは否定されるわけですか。
○中川政府委員 聞いておりまして、そういう心配を持たれるのは無理もありませんが、簡単に言いますと、延べ払いで商社が品物を売る、そのときに輸出保険というのがある。輸出保険というものがあることによって商社が保護を受けておるということですから、商社が損をしなくてもいいようになっておると言われればそのとおり。危険な外国に出すことですから、保険でもって保護してやろう、若干の掛け金をもらって、ほかの普通の保険のように危険な場合には損をしないように保護してやると言われれば、そのとおりでございます。
○阿部(助)委員 いま次官がおっしゃったように、その一般会計から出さなければいかぬというのはそういうことなんです。商社はそれだから——相手の国が不安定であろうとか、あるいはほんとうに相手の人民にただくれてやるならくれてやるでわかる。ところがそういうものはあまり考えていない。商社は大体においてもうかればいいのですよ。だから皆さんのほうから渋々出された一部の資料を見ましても、農機具を持っていったら倉庫で腐っていたとかいうような例、私はくどく数はあげませんけれども、そういうものが出てくるのですね。ほんとうに向こうの国情を考え、民度を考え、そして親切な援助ではなしに、むしろ日本側の商社はそれを売ってもうければいいのですよ。商社はそんなにりっぱなことを考えていませんよ。そしてその危険負担は保険でやってもらうということなんですよ。延べ払いのときには金融は輸出入銀行でおやりになる。私は別の機会に譲りますけれども、この輸出入関係の商社の場合には二重あるいは三重に融資を受けておるということすら行なわれておる。これはアメリカの連邦準備銀行から注意を受けたことすらあるのですよ。私はこの問題は別の機会に譲りますけれども、それほど商社、企業は保護されておる。そしてそのしりぬぐいを納税者、日本の国民がやるということだと思うのですが、これを否定されるならばもう少し私は論議をいたしますけれども、局長はこれを否定されますか。
○後藤政府委員 メーカーにしましても商社にしましても、企業活動はその企業活動に相応する利潤を得るために本来的に動いておるものでございます。したがいまして、単にインドネシアに対するだけではなしに、あらゆる国に向けて、メーカーが物を生産し商社が物を輸出する場合には、そういった利潤というものを商社、メーカーとしては追求する企業活動、資本の論理というものによって動いていくことは、これは事実でございます。
○阿部(助)委員 どうも問題をそらされますと、これは何時間かかるかわからなくなってしまうのです。私の申し上げたことを否定されますかと私は聞いているのです。あなたちっとも私の質問に答えていない。
○後藤政府委員 インドネシアの場合につきましては、商社としては事故が起こりましたときに保険金をもらっておりますので、したがってその分については商社は、これは補てん率は九〇%でございますが、一〇%の負担をすることによって、その事故が起こった場合にその補てんは受けておるわけでございます。
○阿部(助)委員 そんなことを聞いているのじゃないのです。保険が九〇%払うぐらいのことは皆さんから説明を受けてとうに承知しておるのですよ。答えにくいのだろうと思いますが、答えにくいなら答えにくいでいいんですよ。 それならば私もう少し聞きますが、あのスカルノ政変が起きる前ごろから、また皆さんが保険をストップする時点以前にも、これは非常に不安定なところだということは、皆さんも商社も御存じだと思うのです。私の友人があの三カ月ほど前に行ったときに、すでにスカルノはおそらく一、二カ月のうちに没落するだろうということを、単なる旅行者である私の友人すら話しておった。案の定起きた。それくらいのことが皆さんのほうでも、また商社自体もわからないはずがない。いままで輸出入銀行総裁やなんかに責任追及のような形で質問が続いたのもそれでしょう。だけれども商社のほうでは、これだけ保護されておるから安心して、とにかく品物を出しておったじゃないですか。プラントになれば輸出入銀行が融資してくれる、万が一しくじったときには、とれなくなったときには保険で九割とれるということで、安心して輸出しておったのでしょう。そしていま穴があいたといったら、今度は国民の金で補てんをするということなんで、最後は日本の納税者の負担において結局は日本の商社をカバーしておるということだけは間違いがないのじゃないですか。これは間違いですか。
○後藤政府委員 究極においては先生のおっしゃるようになると思います。
○阿部(助)委員 こんなことばかり聞いておると先へ進まない。 このように、一見非常にわかりにくい仕組みがありますけれども、結局はいま局長のお話しのように、国民の税金で負担をさせられるわけでありますが、皆さんはこういうことがまた起きないように、こういう調査を十分おやりになっておるのだろうか。また援助をした場合の追跡調査は十分におやりになるのが当然だと思いますが、どんな手段でだれがどういうものの調査をしておられるのですか。
○沢木政府委員 経済協力の効果の調査につきましては、昭和四十三年度より外務省に予算がついておりまして、それに基づきまして四十三年度以降、国別に経済協力効果の調査をいたしております。調査団の報告は公開いたしております。
○阿部(助)委員 どんな調査団を出されたか。何べん出されましたか。
○沢木政府委員 調査団員名簿をただいま持参いたしておりません。
○阿部(助)委員 キャップでいいですよ。
○沢木政府委員 昭和四十三年度予算で実施いたしましたのがインドネシア、団長は元公正取引委員会におられました北島さんでございます。韓国の場合は原覚天氏という学者でございます。四十四年度に調査いたしましたのがパキスタン、これは慶応の山本教授、台湾は高島元経済企画庁次官、インドは川野重任氏という学者の方でございます。四十五年度、タイは熊谷元通産次官でございます。調査団長は民間の方から採りまして、それに関係各省並びに輸銀もしくは基金のメンバーがそれを補助するという形をとっております。
○阿部(助)委員 幾つかの調査団の報告は、非常に走り走りでありますけれども読ましていただきました。しかし、皆さんに失礼なんだけれども、こういうものを、こういう法案や何かのかかるときには早く、説明においでになるときにまとめて持ってきていただけませんか。一つ要求すると私のところに一つくらい持ってくる。パキスタンのじゃない、インドネシアと言うと次はインドネシアを持ってくる。こういうのがあるじゃないかと言うと、またそれを二日もたって持ってくるということで、質問する前の日ぐらいにこんなのを一ぱい持ってこられたって、なかなかこっちも読むひまがないのですから、国会議員にめくら判を押せというのなら別ですけれども、ほんとうに国民のためにお互いに審議をしようじゃないか、こういう姿勢をとるならば、もう少し皆さんのほうも親切に、ひとつ資料だけは十分に御提出を願いたい。ことに、このいま論議されております対外援助というのは国内とは違うのです。会計検査院が検査をするわけでもないのでしょう。そしてわれわれもまたそう外国へ行って調べるということもできない。先ほど皆さんも認められるように、これからますます大きな金がいく。しかもそれが場合によってはいろいろな国際問題、トラブルということも考えられないではない。これだけ重大な問題を論議するには、われわれに与えられる資料というものはあまりにもお粗末過ぎるということなんです。これは私はいつも大臣にも要請するのでありますが、次官からもひとつ、資料の提出だけは最大限度出してもらいたい。大蔵省や通産省のどういう項目の資料があるかなんということはわれわれにはわからぬのです。そうすれば、こういう関係の資料を一々正確な名前をあげて、こういう書類があるだろう、こう言うと持ってくるというような、何かわれわれには秘密主義のような印象を与える資料の提出方法はやめにして、国会で十分に審議をしてもらうというたてまえでひとつ出していただくように、私、次官にこれはもう強く要求をしたいと思っているのですが、いかがです。
○中川政府委員 審議は大いにすべきでありますし、また事前に十分資料を提出しておく、基本的にもう大賛成であります。ただし、どういう資料が御必要なのか、たくさん量は出したけれども御希望にかなわなかったという場合もあろうかと存じますので、委員の先生方におかれても遠慮なく、この資料は出せということを事前に言っていただきますならば、出せない秘密的なものは大体ないようでありますから、十分出したいと思いますので、その点も御協力いただきまして、法案は数日前に出ておるわけですから、この資料、あの資料ということをひとつ的確に御指示いただいて、お互いに不勉強というか、理解の疎通が欠けて必要以上にここで時間をとることのないように、われわれもつとめていたしますので、委員の皆さんにおかれてもそのようにしていただけると非常にありがたいと存じます。
○阿部(助)委員 ぜひそうお願いしたいのであります。 ところで、午前中に藤田委員からいろいろと政治献金の問題——この対外援助というような問題での不明朗な話はわれわれもいろいろと聞くわけです。しかしわれわれにも警察権があるわけではなし、的確ではありません。まあ私、国の名前はあえてあげませんけれども、貿易商社の連中から聞けば、プラントを輸出すればどうしても二〇%ぐらいはそこの国に政治献金をせなきゃいかぬので、二〇%ぐらいかさ上げをして額を水増しをするんだというようなことをよく聞くわけであります。そうすると、こういうものをチェックする手というものはどこかあるんですか。
○沢木政府委員 借款に基づきます輸出契約については、輸出入銀行あるいは通産省その他で契約の審査というものがございます。それから賠償に基づく契約につきましても契約の審査がございます。しかしこれは契約のダンピングを防止するための価格審査が主体になっておりまして、適正な契約価格は幾らであるかということはバイヤーとセラーとの間できめられるべき問題でありますので、一見して非常に高いという場合はこれは問題になりますが、そうでない場合は、こちらも検察庁でございませんので、それを実証する証拠がなければやむを得ないという結果になるわけでございます。
○阿部(助)委員 そうしますと、特に安くダンピングだという場合にはチェックをするが、高いのはあまりしないということですな。そうしますと、それを輸出入銀行では単価や何かを調べたことがあるのですか。
○奥村説明員 輸出入銀行は、日本の法人に対する融資というものについては法律上いろいろと要件がありますので、法律要件についての審査はいたしております。さっき外務省からお話がありましたように、単価について適正であるかどうか、これがどの程度高いか、どの程度安いかということは、これは銀行の性格から、チェックをし是正を求めるということはなかなかむずかしいわけであります。要らない金について資金を供与するということについては、これは私どものほうとしても問題があるということで考えておりますが、おのずから審査の対象範囲というものは限定されております。
○阿部(助)委員 今度インドネシアにこれだけ三十年も借款で延ばすわけでありますが、政府は日本の足元も少し見てもらいたいのであります。私のところは二年続きの水害で作を二年流した、家を二年流されたというような苦い経験をしておる。そして政府のほうは自作農維持資金を貸すといっては、年限十五年で返還できるものを七年でやれなんていう県の指導があるものですから——県のほうは上の指導だ、こういっておるのですが、そうしますとたいへん負担が重い。しかも償還の期限は昨年から来ておる。そこへ政府は、作付転換だ、やれ二年続きの米価の据え置きだという政策を加えてきておる。災害というものは、災害直後は災害復旧でかせげるからまだいいのです。ところが災害が終わってしまうと、この農民は働く場所がなくなる。たまに働けば、今度は小さい土建会社がつぶれて二カ月も三カ月も賃金不払いということがしょっちゅういま起きておる。まさに踏んだりけったりなんです。そういうものも、せめて自創資金は十五年で償還するなら十五年でやるとか、三年か五年先へ送ってくれるというくらいのことは、私は大蔵省は少しは考えてもいいんじゃないか。そういうものの足元も見ないで、外国のほうへだけは三十年間無利息だ。山一証券じゃ無利息無担保で無期限だなんていう、われわれのほうのことばでいえば、これはある時払いの催促なし、そういうことをおやりになる。私たち、これはひがんでおるわけじゃありませんよ。いまのこの問題を見ても、あまりにも大企業、大商社に対する優遇が過ぎておって、そしてほんとうに汗水流して働いておるほうの人たちに対してはまことにきびし過ぎるということを現実に感ずるわけでありますが、そういう点での配慮も少しは考えたらいかがでしょうか。
○中川政府委員 阿部委員の選挙区の新潟県の農家の皆さん方が二年にわたって災害を受けられて非常にお困りになっておられる、まことにお気の毒であり、しかも償還期限が来ておる。一方米価の据え置きあるいは作付の休耕というようなことでお苦しみの点は重々わかります。実はその制度でありますが、そういった災害を受けられた方々に自作農創設維持資金ということで、金利五分、据え置き期間三年以内で、二十年以内の償還期限、かなり長期低利の制度があるわけでございますが、聞きますと十五年くらいにできないものかという御指摘がありましたが、これは制度としては十分できることと相なっておるわけでございます。貸し付けのことについては、御承知かと思いますが、もし貸し付けを受けた方が災害その他特別の事故によりまして予定どおりの元利金についての支払いが困難となった場合には、公庫の業務方法書において貸し付け条件の変更をすることができることになっております。したがって、実情に即して適切な処置を行なうたてまえとなっております。この権限は実は支店長にゆだねられておりますが、この資金の貸し付けの窓口となっている受託金融機関であります信農連への借り入れ者の申し入れにより、信農連が公庫の支店へ進達し、支店長がその実情を認めたときには貸し付け条件の変更ができるという制度になっておりますので、阿部委員の御指摘のことでもありますし、おそらくお申し出をいただくならば御期待にこたえられるのではないか。ちなみにいまどういう条件になっておるかというと、五年以下のものが全体で二百八十八件、五年ないし十年というのが六千七百十八件、十年ないし十五年というのが七千六百六十三件、十五年から二十年、期限一ぱい借りておられるのが六千百五十二件、このように現実に二十年一ぱい一ぱいの人もかなりあるわけでございますので、実情に即してその点は処理できるものと存じますし、私のほうでもそのほうについては農林省あるいは関係機関に働きかけて、御要望にこたえられるようにいたしたいものと存じております。
○阿部(助)委員 ぜひそう願いたいのであります。 先ほどちょっと触れたのでありますが、これからは資源開発に重点を置く、あるいはまた開発輸入に重点を置くという報道がなされており、先般のここでの藤井委員の御質問、また大臣のここでのお話等を聞いても、私はそうだと思うのでありますが、資源開発という場合には非常にこれはまた問題をはらみやすい問題であると思うのであります。ときには帝国主義だといわれる、そういうような問題を持っておると思うのですが、こういうことを指向する場合のこれからの援助のあり方、そういうものについて皆さんのこれからの方針というものをお聞かせ願いたいと思うのであります。
○後藤政府委員 資源開発につきましては、主としてこういった発展途上国への進出企業単独もしくは発展途上国側との合併企業という形で資源開発を行なう事例が多いわけであります。その際に、当然企業側として考えなければならないことは、現地の産業の育成、つまりたとえば鉄鉱石あるいは銅鉱石等にしましても、これを開発することによってその土地にその開発という産業が興る。あるいはさらにそれが製練段階にいきますならば、そういった製練業というものが興るということで、産業を振興し、ひいてはその地域の住民に雇用の機会を与える。それからまた地域全般の発展開発に資するというような点、さらにまた、ある一部、きわめてまれでございますが、すでにそういう事例が起こっておりますが、たとえ非常に広く、人口が少ない発展途上国におきましても、公害問題等にも十分留意をし、さらにまた日本からの企業が出ていって、そしてその地に経済的な力を加えたり、あるいは日本経済というものの、言うならば経済的な侵略といったような感じを受けさせないように、住民感情というものも十分に考慮をいたし、そしてその開発の結果が、日本の国、また受け入れる国、両方にとっていいような心がまえというものが必要である、かように考えております。
○阿部(助)委員 いろいろお話のありました最後のおことばのように、援助というものは、先般堀委員がここでお述べになったように、民生の安定、そして文化水準の引き上げということで、できることならば無償で援助するということが私は理想だと思うのですよ。そして資源開発と援助とをからませるというやり方にはやはり多くの疑問を私は持つわけでありまして、資源開発は資源開発で、いまお話しになったように合弁であるとかいろいろな点はありましょうけれども、それはそれにして、援助とからませるということだけはできるだけ避けるという方向でこれから臨まれるのが正しいのじゃないかという観点でお伺いしておるのでありますが、いかがですか。
○後藤政府委員 理想といたしましては無償の援助、経済的なたとえばこちらの輸出振興とかあるいは資源確保、そういうような目から見られないような無償の援助、贈与という形が一番望ましいことは先生仰せのとおりであると存じます。それで資源開発の問題でございますが、これはやはり両面性を持っておりまして、資源開発のために日本の企業が単独もしくはその地の企業と一緒になってそこでやるということは、これは厳密にいって経済協力ではない。経済協力はそういうあり方は望ましくないという見地もやはり出てくると思います。しかし、発展途上国側におきましてはそういったやり方で、むしろ援助よりも貿易、援助よりも資源開発、みずからの力が一〇〇%いかぬまでも、五〇%、三〇%加わった形での経済発展がしたいというのが発展途上国側の希望でございますので、そういった両面の意味が出てまいるわけで、現実の事態において経済協力というものと資源開発というものとをさい然と区別しにくい状態である。しかし、理想といたしましては、先生のおっしゃるとおりに、これは全然リターンなしの無償の援助というものが望ましいことは確かでございます。
○阿部(助)委員 私が先ほどからこの問題をくどく申し上げますのは、経済進出というか、こういう形で資源開発という形と援助とがからんでいく、こういう経済進出がえてして戦争につながってきたというのは人類の歴史の示すところなんです。だから私は、ほんとうに相手国の援助ならば援助——なかなかこれは二つすっきりと分けることがむずかしいという現実もわかりますけれども、そういう点を考えないで、これは名前は単に援助であるけれども、これがやがて戦争か平和かという問題に発展をしないという保証は何もない。そういう点を考えれば、ほんとうに向こうの人たちの自力更生をするための援助に重点を置き、資源開発は資源開発で、またできるだけそれを混同しないように努力をしていかないと、やはりまた日本は帝国主義といわれ、そして戦争への道を進まないという保証がないだけに、私はこれからの対外援助には特にこれを注意してもらいたい。と同時に、先ほど冒頭に申し上げましたように、皆さんいろいろな国民に知らせる手を打っていると言うけれども、これは横浜大学の長洲さんの書いた文章でありますが、こういう学者ですら、国民に密室状態の中で行なわれているんじゃないかという感じを持たせるとお述べになっている。私自身も今度のこの委員会質問の過程にあたって、また全く同じような感じを受けたということは間違いがないところなんです。そうすると、一般の国民はさらにそういうことになるのではないかということを考えると、これをできるだけ、特に外国でありまして、先ほど言ったように会計検査院の検査もないということでありますので、これは密室状態を開放するという努力をさらにしていただきたいということを強くお願いをしておきます。 それで最後に私お伺いしたいのは、外務大臣のたしか一月二十二日の外交演説だったと思いますが、インドシナ地域の民生の安定と経済発展のため、できるだけの援助を行なう、こうおっしゃっておると思うのであります。要するにこれは南ベトナムに援助の手を差し伸べる、こういうことだろうと思うのですが、どういうふうな援助をされるわけですか。
○沢木政府委員 外務大臣がお述べになりました趣旨は、インドシナ地域の住民の民生の安定と向上のために、情勢が許す限りできるだけの援助を行なうという政府の一般方針について御説明があったものと了承いたしております。具体的には、従来どおり人道上の援助を行ないますとともに、情勢の安定した地域に対しましては、民生安定のために経済開発に資する援助を行なうこととしたいというのが、外務大臣の言明の趣旨であろうかと拝察いたしております。
○阿部(助)委員 インドシナで情勢の安定した地域というのはどこにあるのです。
○沢木政府委員 インドシナの情勢につきましてはすでに新聞で御承知のとおりでございますが、あらゆるところで現在戦闘が行なわれておるわけではございません。したがいまして、比較的再度破壊されることの少ない地域で住民が困っておるというようなものについて、やる余地があればプロジェクトごとに、そういうものがあればやっていこうという趣旨でございます。
○阿部(助)委員 インドシナ全域、一寸の土地もたまが落ちておるわけじゃないことは私も想像いたしております。しかし、いまあれだけの戦乱の中にあって、あれが情勢が安定しておるというふうに外務省は理解をされるのですか。
○沢木政府委員 情勢の安定しておるということばの解釈の問題になりますといろいろあろうかと存じますが、たとえば先般サイゴンにディーゼル発電機を借款で出したわけでございますが、これはサイゴンの市街が難民の流入によりまして電力が非常に足りなくなっておる。それに対しましてディーゼル発電機を供与いたしませんと、病院の手術室も電気がなくて手術ができないというような情勢でありましたので、これは民生の安定のために資するということを考えまして、そういう式の援助を与えたわけでございます。
○阿部(助)委員 どうもいろいろと今日までのわが党の質問の中で、ことばで表現をしないかもわからぬけれども、いろいろな多くの不満は、今日までの日本の援助というものが、二つに分かれておる国の一方を援助してみたり、反共国家群にだけ重点的に援助がされておる。しかもその援助のあり方は、先ほど私も申し上げたように、どっちかというと日本の輸出の振興というところにウエートを置きながらやっておるというあたりに、基本的な不満がいろいろな形で表現されておると私は感じておるのであります。いまサイゴンの町の中がどうだこうだと人道的なようなことをおっしゃるけれども、ほんとうに外務省は、日本の政府は、人道的な立場に立つならばまだまだやることは幾らでもあるのじゃないですか。サイゴンの病院がどうだこうだというりっぱなことをおっしゃるならば、日本の政府のやるべきことは、世界の平和のために、人類が戦争からのがれるために打つべき手はまだまだあるのじゃないのですか。それをいま戦乱の、しかも二分されておる片っ方の政府に対して援助をやる。それならばナイチンゲールのように、北へも南へも医療団で玉派遣をしてやるほうが私はよっぽど筋が通っておると思う。それを皆さんは何かりっぱなことを口ではおっしゃるけれども、現実は反共国家群に対する援助であり、これはアメリカの肩がわりだといわれてもしようがないのじゃないですか。どうなんです。
○沢木政府委員 そういうふうな、先生のおっしゃいましたような御意見があることはわれわれも十分承知いたしております。ただ、北ベトナムは現在国交がございませんので、われわれのほうからはこれに手を差し伸べるにも差し伸べられないという状態にあるわけでございます。
○阿部(助)委員 国交がないのは日本の政府が悪いからじゃないですか。国交を開けばいいじゃないですか。そんなことは理屈になりませんよ。
○沢木政府委員 国交の問題は両国政府の相互的な問題でございまして、一方のみの問題ではございませんと思います。
○阿部(助)委員 そのために、じゃ、少し問題がはずれるようだけれども、一体外務省はどれだけの努力をしたのです。
○沢木政府委員 これは私の所管でございませんので、あるいはアジア局長が御答弁申し上げるべき筋合いかと思いますが、従来、国交のない国といえども、あらゆる国と平和に交渉していきたいというのが日本政府の基本的な外交姿勢とわれわれ承知しておるわけでございますが、残念ながらいままでそのチャンスがなかったというのが現状であろうかと存じます。
○阿部(助)委員 私はこの問題は、皆さんがいろいろとどう陳弁をされようとも、いまあそこであれだけ民族が血を流しておるところへ、アジアの平和のためにアメリカに手を引けぐらいのことが皆さん言えもしないで、言う勇気もなしに、そして人道的な立場だなんていうことでいま分れておるあそこへ援助をすることは、結局アメリカの肩がわりに乗り出す、こういうことじゃないかという不安をわれわれは持つわけでありまして、もう少し、特に南ベトナムヘの援助というものはもっともっと私は慎重であるべきだと思うのですが、いかがですか。
○沢木政府委員 ただいま先生の御発言の中に、アメリカに手を引けと言ったことがないように理解される御発言がございましたが、先般ラオスの問題に関しまして関係各国に出しました政府の声明の中には、あらゆる国の外国軍隊はラオス領から手を引くべきだということをはっきり申しております。その中にはもちろんアメリカも含まれているものと解釈されるわけでございます。
○阿部(助)委員 私は実は終わりたいと思っておるのですが、そう開き直られると一言言わざるを得ないのです。 一体あなたのおっしゃること、日本国民の九割までがあなたの言うことをまともに信ずると思いますか。その辺の、外務省のお役人さんの良心を私はまずお伺いしたい。
○沢木政府委員 その点につきましてはいろいろ御解釈もあろうかと思いますので、先生の御解釈に従うわけでございます。
○阿部(助)委員 私の解釈に従ってくださるということでありますので、それじゃこれを申し上げますけれども、いまのような戦乱の中へ日本が介入するような形で援助をするなんていうことはおやめになって、むしろアメリカに早く手を引け——そんな、外国軍隊はどこもかしこもみんななんていう抽象的ななまぬるいことではなしに、ほんとうにアメリカのためにも、いまベトナムからアメリカは手を引くべきだということをはっきり言うくらいの元気、勇気を日本の政府も出してやること、それがまた人道的な立場だろうと思うのであります。私は経済援助の問題でいままでのあり方に数多くの不満を持っております。どう考えてみてもいままでのあり方は商社保護に過ぎるではないかという不満を持っております。それが今度資源開発へ移った場合に、これがへたをすると非常に帝国主義的な利権という形に結びついてくる危険性をすら感ずるわけであります。そういういままでの方向で私は幾つかの危険を持つだけに、皆さんにこの問題をより慎重にしてもらいたい。特にいま戦乱のベトナムヘの援助なんていうものは、えてして外国から、平和な諸国から批判を受けるだろうと私は思うのでありまして、その点で皆さんにより慎重にしていただきたいということを要請しまして、私の質問を終わります。
○毛利委員長 答弁の要請がありますから……。奥村理事。
○奥村説明員 先ほど御質問のありました三百三十七億円、これを三十年間六%で割れば幾らになるかという計算でありますが、かりにそういう計算をいたしますれば五十二億六千九百万円に相なります。
○毛利委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○毛利委員長 次に、相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 入場税法の一部改正法律案、相続税法の一部改正に関する法律案について、若干質問をいたします。あと二十分くらいしかありませんのでこれから質問をいたしたいと思いますが、この入場税というものをなぜ取るのかという問題、いろいろ考え方があると思うのでありますが、課税しなければならない根拠というものをひとつ正確にお示しいただきたい。
○細見政府委員 入場税は広義の消費税の一種でございまして、消費税としては、一方では物品を消費いたしましたときに御承知の物品税がかかるわけでありますし、サービスを消費いたしましたときには入場税がかかる、そういう形におきまして、われわれがある程度の高度の消費をいたしたときに課する税、それは消費税の一つの体系、こういうわけであると思います。
○広瀬(秀)委員 一種の消費税である、いまこういうことが言われました。そういう観点で、消費をできるだけ抑制するという気持ちがその中に働いているのかどうか、この点をお伺いいたします。
○細見政府委員 正直に申しまして、戦時中にそういうような考え方がある程度入っておった時代がございます。しかし、現在の入場税はそういうことよりも、先ほども申し上げましたある程度の高度といいますか、ある程度通常の消費よりもより豊かな消費と申しますか、そういうものに対する課税で、それを抑制しようということではなくて、そこに見出される担税力を課税の対象にする、こういうわけでございます。
○広瀬(秀)委員 やや、二回の答弁で、それを両方合わせると入場税というものの性格、本質といいますか、そういうものがつかまえられたような気がするわけであります。 そこで、前々からこの税法につきましては本委員会でもしばしば論議をされてきたわけでありますが、特に文化国家というようなことがよくいわれるわけでありますが、これから人間優先の政治でなければならないとか人間性の回復であるとか、そういうようなことがいわれる。国民総生産の成長率というようなことだけで人間のしあわせをはかることはできないんだ。こういうような立場において文化国家への指向というようなものが経済発展と両々相並んでいかなければならないんだ、こういう時代に入ってきている。これが七〇年代の政治課題でもあるといわれておるわけでありますが、そういう立場において前々から、民族伝統的な芸術であるとか純粋な音楽鑑賞であるとかいうようなものに対しては課税を——むしろ入場という行為、そのサービスを消費をする、そういう中でこの担税力を見出すんだということ、そして一般的なレベル以上にそういうものを楽しもうというものについてはある程度担税力があるということで表現をするのか、あるいはそういうものに対してはやはり国家的な何か、きついことばでいえば一種の懲罰的な、抑制的なそういう考えでかけていくというのでありますが、そういう立場に立つこの入場税の考え方の中で、そういう文化国家への移行というものをねらい、また人間性回復というものを重点に置いていく政治の中で、そういうものに対して前々から論議がされ、そういう芸術的なもの、国民の気持ちをやわらげる、潤いのある生活を人間に保障していく、そういうような立場において、そういうものに対しては課税すべきではないのではないか、入場税体系からこれを何らかの形で分離する余地はないのかということが大きく問題になってきたわけでありますが、そういう点についてどういうようにその後検討され、いま主税局長はその問題についてどういうようにお考えになっておられるか、この点をお聞きいたしたいと思います。
○細見政府委員 先ほど申し上げましたように、この入場税はある程度の高度と申しますか、豊かな消費を、しかもサービスという形で提供される消費を課税標準にするわけでありますので、それを禁止しようとか、あるいはそういうような税制があることが必ずしもすぐ反文化政策的であるということにはならないかと思いますのは、たとえば今日の通行税でありますとかあるいは料理飲食税というようなものを見ましても、あるいはまた物品税のようなものの中でも、かなり今日普及されておるものにも課税を行なっていかなければならない。これは税体系のあり方として、サービス物品との間にバランスをくずさないようにするというほうが、国民に広く税負担をお願いするにあたってはむしろ大事な事柄ではないかと思うわけであります。 ただ、広瀬先生のおっしゃる、何もしておらないではないかというようなことにつきましては、たとえば国立劇場のようなものにつきましては、古典芸能あるいはそのほかの古くからの民俗的なものにつきまして、一般の興行ではたえ得ないというようなものについて、伝承と申しますか、演芸の技術を保存していくというような意味で非課税にしておる措置がとられておることは御承知のとおりでございます。ただ、この国立劇場の演劇のあり方などについていろいろ批判のあることも承知いたしておりますので、それらについては国立劇場の運営を純化するという形でお願いしたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 何もしないわけじゃない、国立劇場で配慮をしているというわけでありますが、伝統芸能といいますか伝統芸術といいますか、そういうものについては非課税の措置をとっているというのでありますが、これは具体的にどういうものを今日までやったわけですか、これを伺っておきます。
○細見政府委員 歌舞伎が主であり、その場合の出しものなどにつきましても、制度本来のあり方としては、一般のたとえば歌舞伎座などで上演されるものと異なった、非常に技術はむずかしいけれども一般受けはしないというようなものもある程度の規模でやっていただくというのが国立劇場を設けられた本来の趣旨ではないかと考えております。
○広瀬(秀)委員 前々から言われておることですけれども、たとえば音楽会などでも、いわゆるクラシックの分野等において、それぞれの民族が生んだ偉大なる作曲家の作曲になる名曲を演奏する、こういうようなものなどに対して、こういうものはやはりどこまでも人類の貴重な遺産として残していきたいというようなこともあるし、またあのすばらしい交響曲を聞きながら悪いことを考える者はない、そういうことはまず一般的に言っていいだろうと思うのでありますが、そういう芸術にはやはりそういう面がある。何か心が洗われるというか、今日のドライにまさにかわき切った世相の中で、そしてエコノミックアニマル的にあくせくあくせく、経済的動機を中心にして追いまくられている人生の中に潤いをもたらす、なごやかな雰囲気、人生におけるいわば潤滑油でもあるそういうものが待望される、そういう今日の世相であろうと思うわけです。そういうものなどに対して入場税を課するということは不合理ではないのかということがずいぶん前にも主張されておるわけであります。まあしかし入場という行為で、これはギャンブルの問題と、そういう芸術的なものと、その他中間的に映画あるいは通常の演劇というようなものもあるわけで、それをどういうように区別して、区分けをして、これは非課税、これは課税というようにするのはなかなかむずかしいことではあるけれども、そういう作業というものはさらに努力をして続けていくべきだと思うわけですが、そういう方向に検討をする気持ちはあるのでありますか。
○細見政府委員 それは、文化なり芸術なりを所掌しておられる役所なりあるいはりっぱな委員会というようなものにおきまして、どういう芸術は保存、たとえば商業劇場には上演できないけれども取り上げていかなければならないというようなことは、広瀬委員おっしゃるように、文化国家、文化振興の意味において今後も検討されていくと思いますが、私どものようにいわば税の面だけに携わっておる者が、この芸術はこれは芸術性が非常に高いものである、この催しものなり映画なりは非常に娯楽性の強いものであって、むしろ入場税はかけるべきものだというような判定をわれわれ税務当局のほうにおいて行なうということは、いたずらに混乱を招くばかりでありますし、またそういうやり方をいたしますことはいたずらにしろうとの税務職員が芸術性を云々するというようなことで、むしろある意味では芸術の冒涜というようなことにもなるわけであります。かつて、なまものとかいうような区分けで軽減税率を考えてみたこともございましたが、そのボーダーラインのところの判断がつかない。非常に芸術的なものと、たとえば、こういうところで言っていいかどうか知りませんが、ストリップ劇場とか、非常にはっきりした両極端はあるわけですが、まん中は結局税務職員では無理じゃなかろうかというふうに考えておりまして、国立劇場制度が設けられましたように、文化政策全般として何らかの政策が行なわれて、それに対して入場税はどう適用していくかというふうなのが今後の検討する方向ではなかろうか、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 音楽だけではなしに、近いうちに日本の演劇界の人たちが私どものところにも、入場税の問題についてぜひ陳情いたしたい。それは、どうも文化政策的にいっていまの入場税というものは、まことにそういう演劇人等にとって——演劇は総合芸術だというようなことばもありますけれども、これはたいへんな苦労をしておるし、むしろ映画などに出る演劇じゃなくて、なまの演技というものを舞台において演じてそのまま見てもらうという、あの演劇の構成、舞台装置、その他演出、いろいろたいへんな血のにじむような苦労があるわけでありますが、入場税があることによって、かなりその人たちの経営の面でもやはりたいへんな負担になるし、またそれをささえる観客にとっても、これは非常に耐えがたい負担とはいわないまでも、かなりの負担感というものがあるのだという、こういうようなことから私どもに、GNP世界第二位になった経済大国日本としては、やはりこういう面についてももっと文化政策的な立場から、税制というものもそれと見合った考え方というものをぜひ立てていくべきではないか、こういう趣旨で来られるわけでありますが、そういう問題について、いま主税局長の答弁では、やはり文化政策が大いに進展することはけっこうだし、それとのにらみ合いにおいて逐次改善をするという気持ちのようであります。税制の面でへたにいじると確かに芸術をかえって冒涜するという面も出てくる微妙な問題であるかしれ色けれども、その問題については私が言ったような趣旨においてさらに前向きに——たとえばイギリスは大体入場税のない国ですね。フランス等におきましては、俗に概括的に純芸術という表現をいたしますけれども、そういうものに対しては国の補助がかなり出されている。減税をすることだって、入場税は課さないということも、積極的にやるか消極的にやるかの差だけであって、やはり国の援助であろうと思うのですね。そういうような分野というものもやはり入場税の中でも切り開いていく、こういう前向きな考え方をほんとうに持つかどうか、この辺のところについて、ほんとうの気持ちをひとつ聞かしていただきたい。
○細見政府委員 もう先ほど来申し上げておりますように、これは広い意味での消費税体系の一環でございまして——これは芸術の立場ということじゃなくて、税を取る立場の議論を申し上げてはなはだ恐縮でございますが、税の立場として考えますと、たとえば通行税が課せられておるとかあるいは料理飲食税が課せられておるとかというような事態、あるいは物品税の中にも、今日におきましてはかなり日常品だといわれておるようなものにも消費税が課せられておる、それらの現実と、広瀬委員のおっしゃった、こうした税の中にも文化政策なりあるいは国の大きな政策に対しての順応あるいは適応の方策を考えていくべきだ、その辺なかなかむずかしい問題であろうかと思いますが、私どもも、いたずらにかたくなな態度だけをとっておるのが能だとは思っておりません。ただしかし非常にむずかしいと思います。
○広瀬(秀)委員 前向きでそういう問題に対処するということが聞かれなかったのは非常に残念なんだけれども、これはいずれ大臣の御出席をいただいた際にまたやりたいと思いますから……。 そこで、事務的なことを聞きますが、入場税を支払っている人の数は大体どのくらい、そして税額の予想はどれぐらいなものですか。
○細見政府委員 入場税が課税になっておりまするいわば場数といいますか、入場税の徴収事務をやっていただいておるところの数が四千七百三十三、税額は百三十八億と、約百四十億ぐらいの税額になっております。
○広瀬(秀)委員 いま前段で四千何百という数を言われたわけですけれども、実は私ども、この入場税の問題でもう一つの問題点がある。というのは、これは労音などの問題でもかつてだいぶここでもはなばなしく論議をしたわけですけれども、あのような、ずっと永続して定期的に興行をやるということではなしに、たとえばある地区の労働組合が、これはこの前にもちょっとここで問題を提起したのですけれども、クリスマスパーティーを地区の労働者がやる。青年部の諸君が、青年男女の諸君が、二百円くらいの会費でクリスマスパーティーでダンスパーティーをやろう、こういうようなことを計画をする。そして会員券を二百円で買ってもらって、どこか、工場のしまったあと、机を寄せて、そういうところでやるわけです。たまたまそこに町のバンド、これはやはりつとめをしていながら趣味でやっているバンドがある。そういうところに若干謝礼をやり、またむしろ友情出演というようなことでバンドをやって、クリスマスのイブを楽しく踊る、こういうような企画をやるわけですね。そのとき二百円の会員券を出す。そのうち半分近くはサンドイッチ一包み、牛乳一本あるいはコカコーラ一本というようなことで、そういうものを用意して、来た人にみんな差し上げる。そして楽しく飲みかつ食べ、そして踊って一応過ごす。こういう場合に、これはやはり入場税の対象になって、ちゃんと入場税を徴収されているわけですね。徴収されてもいまのところしかたがないから、しかしみんな楽しくやりたいということで毎年恒例にそういうことをやっている。年に一回しかやらないのだけれども、しかしそのたびに入場税をびしびし取られている。こういうような例が非常に多いわけですね。この問題について、これははたしていわゆる入場の行為そのものに対して税金を取るのかという問題がある。たとえばいわゆる営業用としての映画館に入るのだとか、ダンスホールに行くのだとか、そういうようなことではないのですね。そういう場合にでもこの入場税が働いておる。この問題についてちょっと前にも問題を出したわけですけれども、未解決の問題になっているわけです。こういう場合についても入場税を課すると、先ほど局長がおっしゃった点からいって私はこれはおかしいじゃないかと思うのですね。これは国税庁と主税局と両方からお答えをいただきたいと思うのです。そういうものに対して入場税を課すべきではないのじゃないかという考えなんですが、いかがですか。
○細見政府委員 いまの場合、ダンスをなさったという行為が入場税の課税になるというわけじゃなくて、そのバンドをお聞きになるために代金が払われたというのが、この際もしかかるとすればかかるわけです。したがいまして、お話のように、お菓子や牛乳、サンドイッチのようなものをお出しになった場合には、当然にその分は入場税の課税対象からはずれまして、いまの場合であれば、百円と今度改定していただければまさにかからなくなるわけでございます。免税点が百円になればそのようなものはかからない。三十円じゃ少し低過ぎた、こういうわけです。
○下條説明員 ちょっとお答えいたします。 ただいま主税局長からお答えいただきましたように、ただいままでは免税点が三十円でございます。したがいまして、完全にうちうちの者のダンスパーティーであるということであるならばこれは課税の対象になりませんけれども、その場合に、ダンスもするし、音楽も聞かせるということになりますと、入場税の対象はそういうふうに演劇を見せるとか、音楽を聞かせるとか、そういう行為で金を払った場合に課税されることになりますので、その行為は課税の対象になるということでございます。なおその場合には、ただいま御説明いたしましたように、飲食を提供した場合はこれは別でございます。それを控除した上で課税の計算をいたします、こういうことになっております。
○広瀬(秀)委員 どうも私おかしい、割り切れない、というのは、たとえばキャバレーに行くと、キャバレーではもうプロの専属の楽団——楽団なんと言うと私古いのかもしらぬけれども、オーケストラぐらいのものまでやれるくらいなりっぱな専門的なプロフェッショナルなものがいる。それでサービスしているわけですね。入った人は酒飲むために入るのかショーを見るために入るのかわからない。それはもうそういうショーを見る、あるいは音楽を聞きながら踊るというのをやっているわけであって、入場税は課せられないわけですね、酒飲むからだと。片方はコカコーラ飲んでる。——まあ会員券は出さない。それは高いスコッチウイスキー一ぱい飲んで、何千円、何万円というような料金を払う。それは遊興飲食税はかかるだろうけれども、これは入場税の本質と全く違わない部分というものがあるはずなんですね。それをどうやって区別するのですか。その問題との対比においてどうもおかしいのじゃないか。そういう、みんなが自主的に会員券を買うという形を通じて、金を出し合ってみずからが踊る、そしてそれを助けるためにいわゆるしろうとの友情出演のバンドがやる、そういうものに対してまで、この入場行為に対して税を課するという。これは入場税の本旨からいっても、そんなものにまで入場税を課するというようなことは行き過ぎではないのか。この点はどうしても納得できないのです。キャバレーの分についている入場税との関係はどういうようにお考えになるのです。
○細見政府委員 こういうふうに申し上げたらいいのかと思います。キャバレーで飲み食いいたしましたときに払う代金は、そういうバンドの場合もそうでございますし、あるいはフロアダンスのようなもの、それが飲み食いの代金の中に含まれておるわけでございます。もちろんそのキャバレーとか何かが慈善興行でやるわけではありませんから、当然飲み食いの代金の中に含ませてその分を取るわけです。そのものに御承知の料理飲食税がかかっておるわけであります。その税率は入場税と同じように一〇%。したがってそれを別々に区別をして課税するというよりは、むしろ課税としてはすっきりする。しかも料理なり飲み食いの代金に、そのショーを見る、あるいは楽団を聞く料金は当然に含まれておるのが実情ではないか、かように思います。
○広瀬(秀)委員 それならやはり同じことがいえると思う。二百円の中に飲み食いの代金も入っているのだし、それならば、料飲税を課するということになれば免税点がうんと高いのだから、全部そんなのは落ちちゃうわけですよ。そんな二百円、三百円でやるものはそういうようにしたらいいのじゃないですか。そこのところは何としても納得できないのだが、もう一ぺん考え直すことをきょうは要求をして、私の言うように答弁があるなら答弁をいただきますけれども、満足できるような答弁ができないとするならば、もう時間も五時を過ぎましたし、これでやめておきたいと思います。
○細見政府委員 御満足いただけるかどうか知りませんが、答弁だけはさしておいていただきたいと思います。 いまのような遊興飲食税の特別徴収義務者になっておる料理屋とか、あるいはそういうところ、地方税法に列記しておりますところで行なわれます遊興飲食は——古いことばを申し上げまして恐縮です——料理飲食は料理飲食税が課税になるわけでありますし、いま広瀬先生のおっしゃいますのは、むしろそういう料理店とかあるいは飲食店とかいう範疇に入らないわけでありまして、この際はむしろ、そういうバンドをやりあるいはダンスをするということが主であって、その場合にはしたがって飲み食いに該当するものは入場税の課税の計算上は除いておる、こういうわけでございます。
○広瀬(秀)委員 この問題はどうも納得できないので、またやります。相続税の問題とともにその点保留をしまして、きょうはこれで終わります。
○毛利委員長 次回は、来たる三月二日火曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時八分散会