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65回国会衆議院1971/02/23

大蔵委員会 第10号

発言数
181
登壇者
13
会派数
4
開催日
1971/02/23

会議録

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について、本日、日本経済研究センター理事長大来佐武郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、これについて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 きょうは、日本輸出入銀行法に関するものと、それからIDAに関する二法についてやるわけですけれども、その前に、これからの海外協力について、基本的な点について二、三お伺いしたいと思います。  それは、愛知外相が、日本政府は一九七五年までにGNPの一%は海外協力に回すのだというふうに言われているわけですけれども、新経済社会発展計画によりますと、一九七五年にはGNPは百四十二兆円になるといわれているわけです。そうしますと、この一%というと一兆四千二百億、約四十億ドルというばく大な額になるわけで、これは国民一人当たりに割ってみますと、一万四千円近くが海外投資、経済協力に回されるということになるわけです。これを具体的に言いますと、新幹線が二・五本と、霞が関ビルが九十六個建つくらいの額にのぼるわけですけれども、愛知外務大臣自体が、GNP一%ということを外に向けて言うと同時に、この前の、昨年のDACの東京会議でも、「質の問題は、わが国が依然として社会資本不足や公害などの問題をかかえているので、思い切った条件緩和は国民の支持を得にくい」、こういうようなことを言われているわけですけれども、そこでまず福田大蔵大臣にお伺いしたいのですが、この一兆四千億というばく大な額というものが七五年に海外経済協力に向けられる。社会資本が少ない、あるいは公害に悩んでいる、こういう数々の国内問題があるときに、はたしてこの一兆四千億という額はいかなるものか、どのような経済想定のもとにこの一兆四千億というものが出てくるものだろうか、国内とのバランスの問題でどうだろうかということを非常に疑問に思うのですけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 新経済社会発展計画はたしか一〇・六の実質の成長だと思います。それで、物価の上昇を考えてやっていくとこれが四十億ドル、こういう計算になるのです。ですけれども、これは非常に大胆な推計でありまして、最近の情勢等から見ましてそこまでいき得るかどうか、かなり問題があるんじゃないか、そんな感じもします。そういうようなことで、実情に応ずるよう、今後経済社会発展計画もよく注視していかなければならぬ、こういうふうに思いますが、とにかく一昨年の段階でながめてみまして一〇・六という成長率、これは大体いけるのじゃないかという見通しであったわけでありますが、これはどうも少し高過ぎるかなというので、四十六年度におきましては、これを一〇・一、こういうふうにしておるのです。その辺のことはありますけれども、しかし、わが国の経済力もかなりの増強が行なわれる。まあ四千億ドルはどうかといたしましても、その辺に近いところにはいくのじゃあるまいか、そういうふうに思われるわけです。その際におきまして、とにかくGNPの一%、これを海外低開発国援助にさこう、こういう決意を示す、国会でもしばしば申し上げるし、また海外に向ってもそういう決意であることを表明しておるわけであります。そのうち政府負担、これが今日の状態では大体三割を占めておるわけです。七割は民間ぺースの協力である。  そこで二つの問題があるのです。その一%を必ず実行できるかという問題と、この三割であるという政府関係援助のシェアをふやす、こういう二つの問題があるわけでございますが、対外的には、一%ということは、これは日本政府としてそのかたい方針を言明をいたしておるのです。それから三割という政府援助のシェアをふやす問題につきましては、これはいま佐藤さんのお話のように国内の問題がある。国内でまだいろいろ取りつくろわなければならぬ諸問題があるので、これはそうそう簡単にはできない、こういう旨の姿勢をとっておるわけなんです。  そういうワク組の中において、今後世界各国に、ことに南北問題というか、低開発国問題に臨む協力体制をどうするかという、こういう問題だろうと思いますが、地域的にはとにかくアジア近隣諸国、これが中心でなければならぬけれども、ひとりアジア近隣諸国にとどまらないで、世界各国の低開発国についても思いを及ぼすという姿勢をとる、これが一つ。  それからもう一つは、いままでの援助がどっちかというと二国間援助の形を中心にしてきておるわけですが、だんだんと国際機関を通じての協力という方向に転換をしていこうという気持ちを持っておるわけです。いずれにいたしましても、願うところは、せっかく低開発国に対しまして援助をするわけですから、援助の効果があがるように、つまり、相手国がこれを受け入れて、ほんとうに民生の安定に活用できるようにということで、相手国の経済政策、また産業政策、そういうものと十分マッチするような援助でなければならない、こういう考え方をいたしておるところです。相手国の動向と志向ということを無視いたしまして援助をいたすということになりますと、何か援助を押しつけるんだというようなことにもなり、また極端にいうと経済侵略だというようなことを考える。ということになりますると、これはせっかく与えました援助も、元も子もないということになりますので、その辺につきましては十分配意してまいりたい、これが基本的な考え方であります。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 七五年に福田内閣かどうかわかりませんけれども、この前私が本会議で税について、特に所得税などについて質問を行なったわけですけれども、そのとき、物価の上昇率を引いてみると大体千二百億、これを一億人で割ってみると、一人当たり、赤ん坊も何もかも入れて、一千百円くらいの減税にしかならないというふうに私ははじいたわけです。この点についてはまた税法がこの委員会に付託されたときに論議するわけですけれども、一人当たり一千百円の減税ということと、七五年には赤ん坊も何もかも含めて一人当たり一万四千円という、これは税金を納めるのじゃなくて経済協力に回されるという点、このかね合い、及び、大蔵大臣も御存じのように日本はまだまだ社会資本が乏しい、さらに住宅も乏しい、いろいろなまだ乏しいことはあるわけですね。その辺とのかね合い――国民感情として、そんなに海外に向けないで、さらに自分たちの環境整備に使ってくれということは幾らでも起こるのではないか。その辺のかね合いというものがまず国内的にいかなるふうになるものであろうか。ただただ一%という先進国並みにしなければいけないということもわかるけれども、国民感情として必ずしもしっくりいかない。それはやはり、まだまだ社会資本は充実してないし、国民生活のさまざまな問題がいま山積している。七五年にもそう簡単には解決しないと思うのです。その辺のところは、一人当たり一万四千円海外協力に使われるということになったときに、はたして国民としてしっくりした気持ちになるだろうか。その辺のところ、どのようなお見通しをなさっているかをお伺いしたいわけなんです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 佐藤さん御指摘の点は非常に大事な点だと思います。確かに、これだけの海外経済協力をするということになると、国民のうちには、国内の整いがまだ済まぬじゃないか、それなのに海外経済協力へそれほど力をさくとは何事であるかというような感情がある。しかし一面においてわが日本はもう、GNPにおきましてもアメリカ、ソビエト、日本だといわれるような立場になり、日本の経済動向が世界のすみずみまでにも波及し、また世界のすみずみの一つ一つの問題がわが国の問題であるというふうになってきた今日の世界情勢下の日本といたしますと、世界が繁栄し世界が平和でなければわが日本の繁栄も平和もない。これはまた国内の整いの問題とは別に大きく国民が理解し、そして国際社会に臨む日本の姿勢というものがいかがあるべきかということを考え直さないと、これは日本自体の成長発展にも限界がくる、こういう事態になってきております。  その二つの問題、相反するような問題をどういうふうに調和するか、こういう問題でありますが、そこで対外経済協力全体のスケールはGNPの一%だ、これは堅持する、これは何とかやっていきたいという姿勢をとると同時に、民生の安定と直接つながっているところの政府関係の低開発経済援助、これについてはそう割り切ったというか、明快、さわやかな発言をしておらぬ、こういうことなんです。ですから、低開発国援助の中における政府シェアにつきましては、それは国内の整いというような問題と十分調和をとり、また財政の状況ともよくにらみ合わせてこれを具体化していかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけです。御指摘の点は十分配意しながらやっていく、こういうことでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 外務省の経済協力局長さんにちょっとお伺いしたいのですが、日本も過去ずいぶんいろいろと経済協力をやってきたわけですけれども、どうもいろいろ批判が多い。日本の経済協力というのはひもつきだとかあるいは中途はんぱだとか、あるいは、福田大蔵大臣がたびたび言われますように、政府の資金と申しますかが少ないという、いろいろな指摘を受けているわけですけれども、少しその辺をかいつまんで、日本の経済協力がどのようないままで批判を受けてきたか。それは日本のやるほうにもあるし、また受け入れ国側のほうにもいろいろ問題があると私は聞いておるのでございますが、その辺をかいつまんで、時間がございませんので要点だけちょっと御答弁をいただきたいと思います。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 日本の援助につきましては、毎年OECDの開発援助委員会で年次審査を受けておるわけでございますが、そこで出ておりますおもな、委員会のほうの日本の援助に対する問題点としましては、第一が援助量の問題。これはまあ一%をやるということを表明いたしておりますけれども、それがふえる過程においてその内容の問題が問題になっております。一九六九年度の援助額十二億六千三百万ドル中、約半分が輸出信用の形をとっております。それをできるだけ、援助の純粋な形である政府開発援助でふやせというのが批判の第一でございます。第二の問題は、円借款の援助条件の緩和ということでありまして、DACでは六五年、六九年と標準の条件の目標を設定いたしておりますが、日本の条件はまだそれに及んでおらない、それを今後緩和しろということでございます。それから第三番目には、技術協力の予算が政府開発援助中、日本は四・四%程度でございますが、ほかの国は大体二〇%程度いっておる。それでこれがほかの国に比較してあまりにも低いから上げていけ。それから第四番目には、援助が日本の場合あまりにも東南アジアに集中し過ぎておる。世界的な経済大国である日本はアジア以外の地域についてももっと援助をふやしてほしい。そういうような点が国際的にDACで批判を受けておる点でございます。  それから後進国の側におきましては、当然に日本の援助に対する期待は非常に強い。期待が強いがゆえに、さらにもっと日本の援助をふやしてほしいという問題からいろいろな要望が出ております。その中には条件を緩和してほしいという要望もございますし、かつ日本の経済の異常なる発展という点に対するそねみといいますか、ねたみというような問題と恐怖心がまじった心理作用というようなことから、御承知のようなエコノミックアニマル論も出ておるような次第でございますが、これにできるだけミートすべくわれわれといたしましても努力いたしまして、最近はエコノミックアニマルという批判は昨年の夏以来非常に下火になってきております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いま局長さんのお話がありましたけれども、たとえばインドのテンサル・スチールのように日本が援助して工場をつくった。しかし外貨不足でインドでは原料の手当てができない。そのために結局低操業を余儀なくされてしまって、結局鉄ができないというような援助のしかた。ここまで、運転資金まで日本がめんどう見ていないというような問題も、何か日本の援助というのは中途はんぱなんじゃないかというような批判も食っておりますし、それから援助量、援助額の問題について、あるいはその条件の問題については先ほど大蔵大臣のほうからお話がございまして、その点についてはまたあとに譲るわけですけれども、地域の問題、とにかくいままでやってきた日本の経済協力の中で、いろいろとにかく経済協力すると、何だ、それは結局日本がもうけるためにやっているんじゃないかという批判というのが、私は各国の状況をつぶさに読んでみるときびしいように思うのです。それで、きょうこれで抽象的な話をしておりますとなかなか長くなってしまいますので、ひとつこの点に関してだけ締めくくりたいのです。  そこでお伺いしたいのですが、DACの日本の経済援助に対する指摘点でございますね。これを一つ一つ直していく。いま五点ばかり日本の援助のやり方については述べられたわけですけれども、こういう方向で一つ一つ直していくというのが日本のこれからの海外経済協力に対する態度なのか。それとも、一つには北欧諸国のように、援助を与えますと何かとどうしてもひもがついてしまう。どうしても日本の国の物を買えというような形に何かとなってしまう。そこでひとつそういう形の援助はやめまして、技術援助だけにしたらどうかという話もありますし、逆にもう徹底的にめんどうを見ろ、一度投資したところにはそれが完全操業にいくまで運転資金も出してめんどうを見ろという、かなりどちらかに徹底しないと日本の経済協力というのは中途はんぱに終わってしまって、変な形で日本が批判を食うというようにいわれておるわけですけれども、これからの海外経済協力のやり方の基本というものは、DACの指摘のあったような点を少しずつ手直しをしていけばいいものなのか。それともそろそろ基本的に考え方を、私が申しましたようにただ技術援助だけにするのか、あるいは徹底的に最後までめんどうを見るようなやり方にするのか。そろそろ決着をつけてかからなければいけない時期にきているのではないかという声もあるわけです。その辺のところを大蔵大臣と、それから経済協力局の局長にお伺いしたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 基本的な考え方はだんだんと積極的になってまいりまして、先ほど申し上げましたように援助の量の問題、それから質の問題ですね。質の問題は、いま御指摘のDACの提起されておるような諸問題があります。そういう問題がありますが、それに対応する態度につきましては先ほど申し上げたとおりです。  それから与えるところの低開発国の地域的な問題、これはアジア中心主義、これはもとよりそれでなければならぬけれども、その他の地域についてもなお必要に応じてこれを進めていかなければならぬという考え方です。  それから援助の方式の問題でありまするが、これは二国間援助、そういう従来の方式、もとよりこれも必要でございまするけれども、重点をなるべく国際機構を通ずる援助方式というものに切りかえる、こういう考え方。それからさらにこれと並行いたしまして、国内へのPR、国民への理解を求める、こういう姿勢ですね、そういうことが基本でありますが、いま援助の方式をどこまで、たとえばある特定の低開発国、それに対してどこまでも援助をやり切るのか、あるいは中途はんぱにするのかというお話でございますが、これはケース・バイ・ケースだろうと思います。つまり、この国はわが国が力を入れれば必ず安定してくる、こういうような見通しのものにつきましては、これは積極的にやらなければならぬ、そういうふうに考えますが、まだそういう見通しのつかないものにつきましては、国際社会に呼びかけるとかいろいろいたしまして、日本ばかりの力じゃない、ほかの国にも力をかしてもらいたい。また同時にその国自体においてもいろいろな再建安定の方策をとってもらいたいというような要請もし、そういう世界各国の努力、また当該相手国の努力、そういうものとにらみ合わせながらやっていく、そういうような考え方になると思いますが、いずれにいたしましてもケース・バイ・ケースでこの問題は判断していかなければならぬ、かように考えます。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 ただいま大蔵大臣から御答弁されましたことで尽きておると思いますが、もう一つ申し上げたいことは、日本人は割り切るのが好きでございますから、技術協力だけに徹底するとか資金協力だけに徹底するというような意見も、確かに傾聴に値する御意見であると思いますけれども、現実におきましては、各国とも国によりまして、日本の技術援助をさらに求める国、あるいは資金協力も一緒にやってくれという国がございまして、資本協力だけに徹底するとか技術協力だけに徹底する、あるいは全部を国際機関を通ずる援助だけに徹底するというふうなことには、なかなか実際の政策としてはまいらないと思います。常に資本と技術と双方をかね合いの上、かつまた民間資本と政府資本とをかね合いしながらやっていくという以外に実際の方法としてはないのじゃないかというふうに考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 もう一点だけ聞いて、ある程度抽象的な話になってしまいますので、やめにしたいのですが、いわゆる経済協力と貿易との関係というものは一体どういうふうなものだろうかということを非常に疑問に思うのです。というのは、たとえば、いま東南アジアの話が出てまいりましたけれども、東南アジアの場合にはほとんどドルもない、ポンドもないという状態、ほとんどないというと語弊がありますけれども、ほとんど手持ちのドルなりポンドなりがないような状態に近いと思うのですが、そういうところと貿易するといっても、実質上は貿易じゃなくて経済協力という形になると思うのです。このごろのこういう傾向を見てみますと、貿易というものといわゆる経済協力というものははたして一線が引けるものかどうか、その辺のところの基本的な考え方ですね。どういうふうに貿易と海外協力というものを一線を引いていくのか、また引く必要がないのか。そういうものをずるずるとそういう概念でやっていっていいものだろうか。その辺のところをひとつ、この点に関しては最後にお伺いしたいと思うのですが、これは三つからんでくると思いますので、通産省の貿易振興局と、できれば外務省の方にもお伺いしたいと思うのです。

後藤正記通商産業省貿易振興局長

○後藤政府委員 お答えいたします。  経済協力と貿易とのからみ合いという御質問でございますが、御承知のように、この問題は相互に非常に関連をいたしております。御指摘のように、先ほど沢木局長からお答えありましたように、日本の現在与えております経済協力の中の相当部分が輸出信用の供与という、延べ払いという形になっております。これは貿易という面から考えますと、純粋に貿易面で向こうへの輸出あるいはこちらへの輸入、輸出入という形でとらえられるわけでありますが、経済協力的な見地から見ますれば、これまた一つの経済協力の、日本のやっている中の大きなウエートを占めておる。こういう状態でございまして、私考えますのは、経済協力というものは、究極の目標は先進国側から発展途上国に対して何らかの恩恵なりメリットというものを供与する、与えるという形というものがだんだん進んでまいりまして、結局においてはその発展途上国が経済的な開発、発展を遂げまして、先進国のレベルにまで上がってくるということで、そういう自分自身の力による自立というのが究極の目標となってくると思います。しかしながら一挙にそういうわけにはまいりませんので、その間あるいは政府開発借款の形、あるいは民間による輸出信用供与の形、あるいはさらにまた海外投資という形をとって、発展途上国の経済発展に資するような産業を起こすための投資を行なうというような、いろいろな方面からの先進国側からの働きかけがあって、発展途上国はそれらを自分たちの経済活動の中に取り入れながら進んでいくというのが現状でもありますし、なかなか急激に自分だけの力で立ち上がっていくというところまで、現状ではまだいってないという状況でございます。したがいまして、この貿易と経済協力というものは相互に非常にからみ合い、密接に関連をいたしております。そのどちらの見方から見るか、これは貿易というとらえ方、輸出入の問題としてのとらえ方、経済協力という見地から見るならばこういった経済協力というぐあいのからみ合いになっておると思います。  ただ、しかしながら、従来にも一部にございましたように、日本の経済協力というものは日本自身の輸出を伸ばす、極端にいうならば輸出ドライブ、特にブラント類の輸出等を増すために借款を供与して経済協力を行なっていくというぐあいのある一部の見方もございましたが、これはものの見方の問題であると思います。しかし十分その点には留意しながら、ただ、日本の経済協力というものは自国の貿易を伸ばすためのものであるとか、さらにまた、最近特に資源の確保問題と海外投資の問題等が論議されておるのは先生御承知のとおりでございますが、あの問題につきましても、日本が資源を確保したいためにその国に経済協力を行なう、そういうぐあいの非難を受けないように、十分相手国側の個々の事情を考慮しつつ経済協力を行なっていくということが、日本自身の貿易の発展のためにも、また受け入れ国側の経済発展の円滑な順調な発展のためにも必要だ、かように考えておる次第でございます。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 後進国援助というのは、要するに後進国の経済力をふやすためのものでございまして、そのためにはいろいろな方法がございますが、ピアソン報告でも指摘されておりますとおり、後進国の経済力をつける上においては、貿易とそれから民間資本の海外投資、それから経済援助というものの三つを並行してやっていかなければだめだということを申しております。  そこで、後進国援助と申しますのは、結局は発展途上国に対しましてその経済の発展を助け、その結果として向こうが購買力を持って貿易をやっていく。したがって貿易面で特恵を与えておることも、一つは後進国に対する援助の意味を持っておるわけでございまして、貿易と援助と、それから資本投資というようなものが並行して後進国に経済力をつけていく結果になるのであるというふうに考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 この点についてもまだまだ質問したい点があるのですが、時間がありませんので本論のほうに入らしていただきたいと思うのです。  私はきょうは輸出入銀行の問題について問題をしぼってお伺いしたいのですが、まず外務省にお伺いしたいのです。  この十年間のインドネシアの政情及び経済事情、これについて簡単に要点だけ御報告をいただきたいのでございます。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 御承知のように、スカルノ大統領が倒れましたのは、いまちょっと年数を記憶しておりませんが、たしか一九六五年に九月三十日事件が起こりまして、そして次の年にスハルト政権が誕生したと思います。スカルノ政権時代は、御承知のように軍部とそれから共産党の二またを踏まえたバランスをとった政治ということでございますが、経済的には、後進国の常としましてファナティックな発展をねらいました。その結果として、共産圏諸国、それから自由圏諸国、双方から援助を得たわけでございます。その間日本といたしましては賠償の支払いがございまして、賠償の担保借款あるいは支払いを通じてこれを援助してまいったわけでございます。その後スハルト政権ができましてから、国際機関の要望をいれまして、われわれのほうから見れば非常に健全な経済発展政策を目ざしておるというふうに解釈したわけでございまして、そのためスハルト政権を育て、インドネシアの経済の復興をはかるために国際的なコンソーシアムが結成されまして、世界銀行あるいはIMFというような機関がインドネシアの経済全体の計画についても関与いたしました。その結果、インドネシアの経済で一番問題でありましたインフレも非常におさまってまいりますし、将来性が非常に出てきたということから、日本といたしましても積極的にこの国際コンソーシアムに参加いたして援助を出し、かつその機関できめられましたアプス方式に基づく旧債務の繰り延べという点についても、日本はこれに賛成いたしまして、これから御審議いただく法案をもちまして債務の繰り延べをしたいというふうに関係ができておる次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ところがどうも私はそう簡単にものは考えられないのです。というのは、いま局長のお話があったように、共産党とそれから軍部とが握っていて、経済的に非常にファナティックな政策をしていたということもあります。それから通産省の貿易振興局から出ている「経済協力の現状と問題点」という本のインドネシアの分の一番最初に、「インドネシアは豊かな天然資源に恵まれているにもかかわらず、スカルノ政権下において経済原則を無視した政治優先の経済政策がとられた結果、同政権末期には激しいインフレ昂進を基調とする破局的状態を呈した。」これが一九六五年の九月三十日のクーデターでスハルトが政権を取って、その年の十二月十三日には新通貨措置として、一新ルピアは旧の千ルピアに相当するというように通貨を変えなければならないくらいインフレというのは進んでいたわけです。今度ここに出された法案というのは、このスカルノ政権下にずるずると日本が貸し出していた金の借款の、簡単にいえば穴埋めというか、延べ払いというか、返すのを待ってやるということなんですね。  そこで私はどうも納得がいかないのですが、どうしてこういうように一九六五年の十二月には新一ルピアは旧千ルピアに値するというくらいのインフレの状態にまで経済が持っていかれたかということは、私は外務省御存じだったと思いますし、その他の政府の関係当局の方々も私は御存じだったと思うのです。それなのになぜこんなにずるずるとインドネシアに金が出ていったのか。この点がどうも納得がいかないのですが、その点をちょっと御説明願いたいと思います。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 インドネシアにおきまして最も破局的なインフレーションが起こりましたのは、スカルノ政権が倒れましてスハルト政権が誕生するまでの間、革命の期間がございます。その間ほとんど経済政策につきましては無政府状態のような様相を呈しまして、その間にできたインフレーションというのが最も激しかったわけでございます。スカルノ政権時代にもある程度インフレは進行いたしておりましたけれども、その後に起こったような激しいインフレではなかったわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 しかし私はそうは思わないのです。何度かインドネシアも経済計画をやっておりまして、たとえば一九六一年から六九年までの総合開発八カ年計画も始めようとしたのですが、これが一九六三年九月のいわゆるマレーシアの対決政策によって、イギリスなりアメリカなりの反発を食うようになった。このマレーシア対決政策が外国からのいろいろな反発を招いて、そして原材料がストップする、生産がストップする、そして外貨準備が非常に悪くなる。確かに一番激しかったのはスハルト政権ができた六五年の九月の三十日以後であったかもしれないが、その前に、スカルノ政権の時代に十分その下地があったわけです。先ほど言われたように、経済そのものが非常にファナティックなことをやっていたことは外務省もお認めになっていると思うけれども、スハルト政権ができてから最もインフレは激しかったけれども、その下地というのは十分あったし、それがゆえにかえってこういう国内の経済的な問題でスカルノが失脚するという一つの原因もあったと思うのです。ですから、そういうことから考えて、それは政治的な混乱の中で、クーデターの直後は最もインフレは激しかったかもしれないけれども、それ以前においてもその賠償は十分使われていない。スカルノ個人用のヨットが賠償で買われたり、あるいはきれいなホテルがつくられたけれども、ちっとも使われないというような状態もあったことは、外務省十分御存じだと思うのです。  そういうふうに考えますと、今度の日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例に関する法律案の中身に出てくる金額というものはスカルノ債権である以上、しかもつぶさに調べてみれば、スカルノ政権下のインフレの状態がかなりひどかったことは私は外務省もお認めになると思うのです。それなのになぜ日本の借款というものがどんどん供与されていったのか。それがどうも納得いかない。いまの御説明だと、スハルト政権になってからのほうが最もひどかったとおっしゃるけれども、この五年間新規援助としてまた、四十一年七月一日以降五回にわたって新規援助がスハルト政権になされている。そうしていろいろな報告によれば、いま経済が安定に向かい、さらにテークオフ――テークオフとまでいかぬでしょうけれども、とにかく軌道に乗っているのだとおたくの報告書には二、三書いてある。確かに直後はひどかったけれども、そんなに激しいインフレがこの五年間にすぐになくなるものとは思われない。これはやはりスカルノ政権下におけるインフレというものが何といっても基盤になっていると思うのです。そこに日本がこれだけ、三十年年賦という長期にわたって援助というか、延べ払いを認めなければいけないような状態になるまで金を貸し出していたという状況、それがどうも私は理解できないのですが、その辺、もう一ぺん御説明を願いたいと思います。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 スカルノ政権時代に与えました借款は現在の借款と違いまして、その返済について賠償支払いを担保として出しましたいわゆる賠償担保借款でございます。賠償につきましては、これがある意味において戦争の償いであるというような意味合いも持ちまして、もちろんその効果としては相手国の経済発展に寄与する効果もあるわけでございますが、その年次計画取りきめの交渉その他におきましても、できるだけ相手国の意思を尊重するという態度で内容を交渉してまいっております。したがいまして、現在与えておりますような日本の主導的な援助とその当時の賠償を中心とする援助とは、その質におきまして根本的に違うわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ちょっと資料的にお伺いしたいのですが、いまとりあえず本年度四十二億円ですか、政府出資の要請が出ているわけですけれども、つまり戻ってきてないお金、昭和四十一年六月までに総額二百二十七億円ですか、累積してこれだけになったわけですけれども、その年度ごとの資料というのがございますか。それをちょっと教えてください。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  スカルノ政権時代の借款は、ただいま外務省のほうから御答弁いただきましたとおり賠償担保借款ということで、これは賠償の支払いによって完済と申しますか、きれいになっておるわけでございます。それに対しましていま御審議をいただいております法律案に関連いたします借款は、これは民間の延べ払いの借款でございます。これはスカルノ政権の時代に輸出等で出ておりました延べ払いが――この前の予算委員会のときに愛知外務大臣から、輸出代金保険の引き受けが総額で大体一億八千五百万ドルぐらいあったという御答弁をいただいたと思いますが、これは保険ベースの数字でございます。実はこの中には現金でないもの、つまりプロダクションシェアリングと申しますか、生産物でもって返ってくる、こういうものがございます。それからまた、実は船積みをいたしません、その前に、いろいろないまのような状況で、これは焦げつき債権になるといかぬということで政府といたしまして船積みをとめまして、つまり保険のあれをとめたことがございます。これで実はほんとうの意味の債権にならない、こういうものもございます。それで、そういうものを引きますと実際の信用供与額と申しますものは大体九千六百九十万ドルぐらいであったわけでございます。これに対しまして、四十二年から三年にわたりまして、実はスハルト政権になりましてから国際的に、そういうインドネシアの旧債務を――先ほど外務省のほうから御答弁ありましたように、債務の救済をしてやらないとインドネシアの復興がうまくいかないということで国際的な会議が毎年開かれまして、それによりましてすでに、御承知のとおりと思いますが、元本で五千八百八十万トルにわたる――三回にわたっておりまして、六七年が四千五百五十万ドル、六八年が六百九十万ドル、六九年が六百四十万ドル、合わせまして五千八百八十万ドルをリファイナンスということでいたしました。したがいまして、先ほどの九千六百九十万ドルあったわけでございますが、そのうちの五千八百八十万ドルはそういう意味の三回にわたりますリファイナンスで処理されまして、そのほか実際に回収のあったもの等もございます。したがいまして、一九七〇年十二月三十一日現在におきましては、中長期の民間信用として残っております額は千六百九十万ドルでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 時間がないので、突き詰めてお話しをしたいのですが、いま九千六百九十万ドル、これは民間の延べ払いの簡単にいえば輸出入銀行の肩がわりだと思うのですが――ちょっと肩がわりという意味が違うかもしれませんけれども、そうすると問題になってくるのは、先ほど私が申しましたような政情の中でどんどん民間がインドネシアに延べ払いの貿易をしてきた。私に言わせればそういうものをルーズに許してきたところに一つの問題があるんじゃないかと思うのです。  それで、きょうは輸出入銀行の方は見えておりますでしょうか。――ちょっとお伺いしたいのですが、おたくの業務内容というのは輸出入銀行法の第十八条に書いてあるわけですけれども、私もきのうずいぶん読んではみたのですが、つまりこういう場合には輸出でも輸入でも融資をしてはいけないという項目はおたくの銀行法にございますか。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 御質問の点は、こういう場合というふうなぐあいには書いてございませんと思いますけれども、輸出入銀行法の規定といたしましては、大体輸出入銀行がファイナンスする場合において償還確実と見込まれる貸し出しだけができる、こういうことになっておりますから、結果的にはいまのようなぐあいになりましたについては、何でそんなことをやっておったのか、こういう問題が起こるだろうと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうなんですよ。起こるのですよ。これだけの額を結局焦げつきというか、輸出入銀行が肩がわりさせられる。よくよく見ると輸出入銀行は法律的には、国際金融のことですからおそらく大蔵省の国際金融局が貿易に関して許可をおろすんだと思うのです。そうしてそれに対してなお輸出入銀行がチェックをできないのか。こんな融資は輸出入銀行の業務内容からいってとてもできませんと言うことはできないのかと思うのですが。その辺が法律的に何もないように私が見た範囲ではあるのですが、輸出入銀行は、大蔵省がそれは延べ払いかまわぬということではんこを押してきたものに対して、いや私の銀行のほうではできません、そんなあぶないところにそんな多額の金を延べ払いすることなんかできませんと言う、断わる権限というのは法律にありますか。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 いま申し上げましたことを徹底的に言いますれば、こういう貸し出しができないと言うことができるんだろうと思います。ただ、政府機関といたしましてそういう問題を実際問題としてどうするかという問題になりますと、結果的にはこれはだめになってしまいましたけれども、その段階においてだめであるかどうかという判断はなかなかむずかしい問題でございます。この問題に関しましては、われわれのやっております業務の内容を申しますると、あぶないようにわれわれは思いますということは政府には申し上げます。そのときに政府がどういうふうな扱いをされるかといいますと、現実問題といたしましては、われわれの業務をやる上におきまして、まず政府が輸出許可とか輸出保険をつけるとか、こういう問題が先行しておるわけでございます。これが輸出許可をしないとか、あるいはわれわれがちょっと心配でございますという場合に政府が輸出保険をやめてしまうとか、輸出自体をやめてしまうということでございますれば、われわれとしては十八条の二、償還確実ということを運用する上において非常に楽なわけでございます。ところが現実問題といたしましては、先ほど来のいろいろ貿易とかあるいは海外協力という問題がございますが、このけじめをどうしてつけるのだという問題があり、なかなか現実問題としてむずかしゅうございます。したがいまして、われわれがやりました、輸出入銀行なぜ貸したかということにつきましては、これは心配でございますということを申し上げておるわけではございますけれども、しかし実際問題として輸出の許可があった、輸出保険として引き受けてしまった、そういう場合に、輸出入銀行法というものがありまして、民間の資金だけではそれができないということになりますと、すべての責任を輸出入銀行がとっても、この国はだめだという判定をするだけの自信がなかなかないわけでございます。したがいまして、大体政府のほうもだいじょうぶだという前提で輸出許可をし、輸出保険をしておるという以上におきましては、その範囲内においてわれわれは融資をする、そういうことでやってまいったというのが実情でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 そうしますと、いまの御答弁で、あぶないとかあるいは心配だということがわかっていても、政府にそれは参考意見としては述べられるけれども、具体的におたくの輸出入銀行法の中には、それに対して、いや、これは政府が保証をつけたとしても銀行としてはできませんと、つまり輸出入銀行の意思を明確に権限として与えられてはいないというふうに確認してよろしゅうございますか。つまり逆にいえば、政府がこういうふうに認めて持ってきたならば、それはもちろんあぶないという参考意見は言うけれども、政府の貿易保険なり何なりがついていることだからこれはやるんだという、簡単にいえば事務的行為しかおたくのほうの権限の中にはないというふうに判断してよろしゅうございますか。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 これは、権限があるかないかというのは、償還確実というものでなければ貸し出しはいけないというものの解釈にかかわると思います。それを引用いたしましていやだと言う権利があるのだということは、私はいえるのではないかと思います。しかし実際問題として、普通の民間機関じゃございません、政府機関としてやっております場合には、輸出延べ払いの場合におきましても、あるいは円借をやるとかいう問題につきましても、政府の行為が先行しております場合におきましては、われわれとしては意見は言いますけれども、それがきまったという、それが国際協約になったとかあるいは国際慣行であるものを、輸出入銀行だけでストップしてしまうということがいいか悪いかという問題にかかわると思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 時間がないのでもう一問だけ。  いやだと言える権限はあるというふうにお答えになっている。それから政府の行為が先行してそのあと――国際慣例もあるでしょうし、確かにあると思うのです。私がお伺いしたいのは、おたくの輸出入銀行法の中にそれをノンと言える権限があるのか。あるいは、政府のやってきたことが先行しているんだから、それならば政府の言うとおりにやらざるを得ないような、悪いことばになるかもしれませんけれども、それは事務的な処理しかできないのか。法律的に十八条の逆の面ですね。こういうことはできるけれども、こういう場合にはこういうふうにしちゃいけないという項目はおたくの輸出入銀行法にはないと思うのです、私の見た範囲では。それは解釈的には総裁はあるのだと思うとおっしゃるけれども、法律的にはないのでしょう。その点を確認して、いよいよ話は佳境に入ったところで残念ですけれども、この際留保して、続けてやらしていただきたいのですが、その点ちょっと確認さしていただきたいのです。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 これは御承知のとおりに、法律というものは政府がおつくりになりまして、それに従ってわれわれが……(「政府がつくったんじゃない、国会がつくったんだ、冗談言うな」と呼ぶ者あり)国会でもけっこうでございますけれども、そういうところでつくられたものでございまして、輸出入銀行がつくった法律ではございません。したがいまして、その法律的な解釈というものは、われわれとしては、政府がこれでいいんだということになりますればそれに従わざるを得ないというのがあれだと思います。いまの権限の問題についても、われわれはわれわれなりに、政府の言いなりの形になってはいけないというので、われわれはこう思いますということはその案件が起こってくるたびに申し上げておりますけれども、しかし、それを最後に、これでやれるんだからこうやれと、こう言われるならば、やはりそれに従わざるを得ない、かように思っておる次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 残念ですけれども、これはちょっと途中にしまして、参考人の方が見えましたので、さらに質問を続けさしていただくことにして、私の質問を中断さしていただきたいと思います。     ―――――――――――――

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これより、両案について参考人からの意見を承ることといたします。  大来参考人には、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ両案につきまして忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。  なお、参考人の御意見は、初めに十分程度お述べいただき、その後は委員からの質疑により承ることといたします。大来参考人。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 本日、御依頼を受けまして経済協力問題について申し上げるわけでございますが、十分間でございますので、あるいはいろいろな点につきまして後ほど御質問がございました場合に補足をさしていただきたいと考えております。  基本的に、私どももこの援助の問題、いろいろ関係しておりますけれども、なぜそういう低開発国の援助が必要なのかという問題につきまして、これは一昨年のピアソン委員会、あるいは昨年の国連開発の第二次十年のストラテジー、一般にティンバーゲン委員会、こういうものに私も委員として参加しておりましたので、おりに触れてそういう議論が出てまいったわけでございます。日本でもいろいろ問題がございますが、国際的にもいろいろ問題があるわけでございます。それぞれ国によって援助を始めました動機というのはいろいろございます。たとえばアメリカの場合には東西冷戦というようなことがかなり影響したと思いますし、あるいはイギリス、フランスの場合には旧植民地との関係というようなことも戦後の援助にかなり関係しておったように思いますし、あるいは日本やドイツの場合には経済協力というのが輸出促進の手段でもあるというふうな点が、かなり援助を与える側の理由といいますか、動機にもなっておった点があるかと思うのでございますが、世界各国、こういう援助活動、あるいは低開発国のほうではこの援助を受ける経験というものが、戦後二十何年間か積み重ねられてきたわけでございまして、いろいろいまでも見方はございますけれども、私どもあるいは開発問題の専門家、国際的に考えましても、一般に現在の段階でいわれておりますことは、やはり豊かな国が、金持ちの国が貧乏な国を助けるという性質のものではなくて、地球の上からできるだけすみやかに貧困を追放したい、ことに非常にミゼラブルな人間として生存水準以下で暮らしているような人たちが世界の人口の半分以上を占めるという状態を一刻も早く終わらせたい、またそれを終わらせるだけの経済的な力は人類社会にもう十分でき上がっておるという認識からしまして、金持ちの国も貧乏の国も協同して世界からこういう悲惨な貧困を追放するんだ、それと協同事業だという考え方がやはりだんだんと強まってきておるように思うわけでございます。各国も国内の政策におきましては、それぞれ国内から貧困を撲滅するということで、所得の再配分とか社会保障とか、いろいろな形での政策がもう当然のこととしてやられておるわけでございますが、これは、これだけ交通通信の発達いたしました現在の世界におきまして、さらに国境を越えて世界から貧困の撲滅をするのだという考え方がやはり何といっても一番基礎になるのじゃないかと存じます。  なお、もう少し具体的な点になりますと、援助と貿易との関連がございまして、従来から援助か貿易かというような議論もあるわけでございますが、私ども最近の段階で考えておりますことは、経済が非常に貧しい国、たとえば一人当たり所得が百ドルを割るような国につきましては、援助の要素が依然として非常に必要である。ソフトな緩和された条件、あるいはグラントを含めたものを先進国としては相当提供しなければならない。だんだんと経済が発展いたしてまいりまして経済成長が加速してまいる、所得水準も上がってまいりますような段階になりますと、これらの国々に対してはトレード、貿易の面がだんだんと重要性を示してくる。資金援助のほうは次第にコマーシャルな援助としてもやっていける。ただ、そういう国々からの輸出に対して先進国が市場を開放けるということが、ますますこれらの国に対しては重要になってくるのではないかと考えるわけでございます。  さらに、たとえば人口問題でございますが、人口問題について、先進諸国の間には、貧しい国々に援助を与えても、これらの国々で人口が年に二・五%も三%もふえるということでは、結局援助や経済成長がございましても人口増加に吸収されてあまり一人当たりの所得は上がらないじゃないか、だからまず援助を受ける国のほうでしっかりした人口政策を持つべきだという議論が広く行なわれておるわけでございます。私どもも、とにかく年に三%もふえるような状況が続きますと、二、三十年でその国の人口が倍増するというような、こういう状態を続けていることは世界全般としてみても非常に問題でございますから、人口問題を重視するのは当然でございますけれども、一面、客観的な事実といたしまして、各国の例あるいは日本の明治以来の実績を振り返ってみますと、所得がある程度上がってまいりますと人口増加率が急速に下がってくるという現象がございます。つまり、経済の発展と人口の動態の関係ということがどうも見られるように思うわけでございます。大体、所得の水準で申しまして一人当たり二百ドルないし三百ドル、その辺に到達いたしますと出生率が急速に低下してまいっております。日本でも大体大正の半ばごろから出生率の低下がかなり始まってまいりまして、戦後これがさらに急速化したわけでございますが、他の国々でも似たような現象が見られるわけでございまして、最近の例では、シンガポールあるいは香港、台湾というような国が、大体所得の上昇に伴いましてこの十年間に出生率が半減いたしております。千人当たり四十三、四人というところから千人当たり二十三、四人というようなところに下がり、さらに低下を続ける可能性がございます。そういたしますと、とにかく人口計画をしっかりやらなければ援助をやっても意味がないという議論よりも、むしろこういう非常に貧しい国々に対しての援助によって、何らかの形で、たとえば所得百ドルの水準から二、三百ドルの水準に、できるだけ短い期間で移ることができれば、そのこと自体によって人口問題解決の可能性が非常に強まってまいるというような事情もあるわけでございまして、世界全体からの貧困の追放、あるいは長期的に見た世界の人口問題の解決というようなことも含めまして、やはりいまの段階におきまして、経済的に相当余力のある先進諸国が援助を提供する、その援助をできるだけ経済の加速的な発展に役に立つような形で提供することが望ましいのではないか。そういうふうに考えるわけでございまして、ごく一般的なことを申し上げたわけでございますけれども、また御質問がございましたらお答上えいたしたいと存じます。     ―――――――――――――

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 時間が限られておりますので、一問だけお伺いをしたいと思うのであります。  すでに先ほども出ておりますけれども、今後わが国は、昭和七十五年を目途としてGNPの一%の海外経済協力を行なう、こういうことを政府は方針として決定をいたしておるわけであります。今後の経済協力のあり方というものは、政府べースのものとそれから民間ベースのもの、そうしてその様態も、インドネシアにありますような商品援助のようなもの、プロジェクトの援助、技術協力と多岐にわたっておるわけでありますけれども、簡単にちょっと一%といいましてもたいへん大きな額に達するわけでありますし、今日そういうことを発表するためには、もう少しバックグラウンドの整備といいますか、そういう一つのマスタープランか何かがないことには、行き当たりばったりに処置をしていくということでは非常に問題があるんじゃないか。特に国別の問題を一つ取ってみましても、どこかの国だけにきわめて集中的に援助がいっておるというようなことも、ある地域全体の問題として見て、その地域におけるナショナリズムの関係から見て非常に問題を残すことになるのではないのか、こういう感じがするのでございます。  そこでひとつ、大来さんがこれまでのいろいろなそういう関係の面から御判断になって、そういう約束といいますか声明をすることは、私はそういう方向で努力をすることはいいと思いますけれども、はたしてそういうことが実際に行なえるのかどうかという裏づけの問題に非常に重要な問題が残されておるのではないか、こういう感じがいたしますので、今後のそういうプログラムの立て方といいますか、基本的なものの考え方――政府ベースのものというのも、さっきお話のありましたように、大体これまではひもつきの関係になっておりますから、ほとんどこれは貿易に結びついてきておる。その結びついた結果がいろいろな反発を起こすので、今度はエイド・アンタイイングになるようでありますけれども、そうはいってもどれだけそうなるかという点も疑問がありますので、これらの点も含めてお考えをお伺いいたしたいのであります。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 その一%問題につきましては、一つは国連の場その他の国際的な要請というのがございまして、外からくる要請という点がございます。  ただいま御質問のございました、それではその程度にいく可能性というものはどうなのかという点でございますが、御承知のように現在の一%問題、これは厳密にはOECDのDAC等ではリソーセス・フローと申しますか、先進国から後進国への資金の流れの総量というような表現をしておりまして、必ずしも援助と申しておらないわけでございます。  日本の場合には、そういうトータルな資金の流れの約三分の一が政府関係というようなことで、延べ払い信用あるいは民間投資部分がかなり多いわけでございます。いわゆる政府ベース援助の関係につきましては、日本政府もまだ公式なコミットといいますか、約束をいたしておりませんで、極力GNPに対する比率を上げるように努力するというふうに言っておるように存じますが、これは私個人の意見でございますけれども、一九七五年、昭和五十年にそういう民間部門を含めた全体の後進国に対する資金の流れが日本のGNPの一%に達するということは、客観的にもかなり可能性があるのではないか。つまり、日本側の主体的な条件といたしましても、ますます資源の海外依存度が高まってまいりますし、そのためには海外に投資をしなければならない、あるいは資金的な援助もしなければならないというようなケースがますますこれからふえるかと思います。また輸出の面におきましても、だんだん輸出内容の高度化ということが起こりまして、単なる製品輸出からだんだんプラント輸出的なものが相対的にふえてまいりますと、これには輸出の延べ払い信用をつける必要があるというようなことで、全体の資金の流れがGNPの一%に到達するということは、客観的に見てもかなり可能性があるのではないかというふうに考えております。最近、西ドイツなどもそういう傾向が顕著に出ておるように思うのでございます。  いま御指摘の点で、援助の計画の問題でございますが、これは民間部門につきましては、計画というよりもかなり予測的な要素が強いかと思います。政府部門につきましては、いまの一%のフローの中でどの程度政府ベースのものにするか。これはピアソン報告ではGNPの〇・七%というような勧告をしておりますが、日本の現在の状況から申しますと、GNPの〇・二五から二六くらいでございますので、これを急激にそこまで上げるというのには事実上相当な無理がございますし、またこの政府ベースの援助の分についてはかなりソフトな条件でやらなければなりませんから、それだけ国民の租税負担の中からまかなわなければならないという分がふえてまいります。そういう点がありますので、これは結局、政府ベースの援助は政府がおきめになることでございますけれども、基本的には、日本の対外的な関係等からいいまして、多少租税の負担が増大いたしましてもこの政府ベース援助をふやす、そのことがやはり日本の対外的な関係におきまして、あまりに商業的、経済主義的であり過ぎるということ、それから相手国の経済情勢から見ますと、やはり相当長期低利の援助を与えませんと発展が軌道に乗りにくいというような事情もございますので、その辺は逐次上げていくことが望ましいのではないかと思います。  国別、地域別の計画ということは、これはできればやるべきことだと思いますが、ただ、その対外的関係がございまして、これは他の援助国などの従来の経験で、政府が全く内部的に検討しておくということは必要だと思いますが、それを公表するということになりますと、対外的に向こう側に響いてまいりますので、その辺の扱い方はかなり慎重に扱わなければいけないのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 大来先生に二、三お伺いしたいのであります。  海外経済援助の問題につきましては非常にむずかしい問題がたくさんあると思うわけでありますが、その中で、日本では国際的にも、一九七五年四十億ドル、対GNP一%の援助といたしますということを表明をされておるわけで、新しい段階を海外援助の問題について日本では迎えていると思うのであります。   〔毛利委員長退席、上村委員長代理着席〕 そういう中で、この十年間のいわゆる先進国による低開発国援助ということについて、最大の役割りを果たしてきたと見られるアメリカのニクソン大統領がこういうことを言っているわけですね。ちょっと読んでみます。「開発についての挫折と失望の多くは、計画の失敗からよりもむしろ、結果と期待との間のギャップから生じてきた」、さらに「マーシャルプランの劇的な成功を思い起こして、われわれは、他のすべての人にとって何が最善であるかを知っており、われわれはそれを実現させうるし、また実現させるべきだと時として想像してきた。しかし、経験によって、われわれは、それができないことを知った。」という、まさにいわゆる低開発国援助に対する先進国側の失望というものを、これほど適切に言いあらわしたことばはないのじゃないかと思うわけであります。その反面、後進国のほうでは、やはり挫折の十年だというようなこともいわれるという面もあるわけですね。そこへもってきてニクソン大統領のグアム・ドクトリン以来、依然としてやはりアメリカの援助の構想として、まず第一に「他国の安全一保障を支持し、これによりアメリカの安全を強化する」「人道的救済の手をさし延べること」「発展途上国の長期的な経済的社会的開発を促進する」、こういうようなことで、それぞれ安全保障援助、人道的援助、開発援助、こういう三つに分けてアメリカはこれからの十年やるのだということをニクソン大統領が言って、そういう計画がいま進んでおるわけです。しかも今日のアメリカの相対的な世界経済における地位の低下、ドルの信頼がだんだん薄らいでくる、一種のドル危機状態にもあるという、こういう状態の中で、低開発国援助等につきましても、西ドイツであるとか日本にある程度肩がわりさせようというような考え方もずいぶん強く出ているわけですね。  そういうものを受けて、どうも日本のこれからの、新しい時代を迎えた、四十億ドル目標というものを実現しようという中で、こういう日米の今日までの関係の中から、そしてまた安全保障条約体制で結ばれている日米の関係で、その一つの側面的な立場で海外経済援助というものが行なわれるのじゃないか。そこで私どもが気になるのは、やはり安全保障援助であるとか人道的援助であるとか、これはやはりアンタイングの経済援助の質における問題が非常に大きな問題になっているけれども、こういう問題は、人道的援助になると何か恩恵を施してやるのだという色彩が強く出るし、安全保障という立場になれば、これは発言力、それから地歩の確保という政治的支配の色彩というものが非常に強く出るし、これはことばでアンタイイングと何ぼいってもそういうものはぬぐい去れないだろうと思うのですね。日本のこれからの大型化した、アメリカの相当部分を肩がわりしていくいうような意味もあってのことも、これはないとは言い切れないだろうと思うのですね。  これからの日本の援助のあり方というものと、いままでの、ニクソン大統領がそういうように失望を外交教書において表明するという事態にならないために、日本の援助の正しいあり方ということについて、先生のお考えをお示しいただければ幸いだと思うわけでございます。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 ただいま広瀬委員から御質問ございましたアメリカの問題でございますが、確かにあの教書でも言っておりますように、マーシャルプランが、いってみれば予想以上の成功を示したという点がございまして、ただこのマーシャルプランの場合には、人的にも物的にも高度の工業国の基礎がございまして、一時的に戦争によって破壊されたものを復興するということで援助の効率が非常に高かったわけでございますが、その結果をあまり機械的に今度は世界の低開発国援助に延長して考えたというような点が、その後なかなかうまくいかないということになりました一つの原因に確かになっておると存じます。ただその点は、援助を与えた国々の、特にアメリカの政府当局の世界の低開発国問題、貧困問題に対する考え方が多少甘かったといいますか、そう簡単に貧困を除去できる問題ではないということの一つのあらわれだったかと思います。だんだん最近になりますと、もっともっと根の深い問題であり、もっともっと長期、根本的に取り組まなければならない問題だという認識は、援助を与える国々の関係者の中にも強まってきておると思うのでございます。  各国の動きといたしましましては、アメリカはそういう一種の挫折感がございますことと、同時に、国内で御承知のように都市問題その他非常に国内中心の問題が山積しておりまして、アメリカ国民全体の気分が内向的と申しますか、多少内向きになっておるように私ども思います。援助につきましてもやや消極的な傾向が見られるわけでございます。ただ、これも時代とともにまた変わっていく可能性がございまして、昨年の十一月、実はワシントンで世銀のマクナマラ総裁に会いましていろいろ援助問題の話をしておりましたときに、マクナマラ総裁は、いまアメリカの援助問題の考え方は最低だけれども、この五年の間には相当積極的な方向に向かうだろうと自分としては考えておりますということを言っておりました。これはもちろんどうなることかわからないことでございますけれども……。  それからイギリスとフランスは、先ほどちょっと申しましたように、戦後続々属領が独立いたしまして、その後いろいろな面で技術援助をやるというようなこともございます。英語やフランス語の教師の派遣ということもその援助の中に入っておるわけでございます。だんだんこういう旧植民地の独立化が進むに従いまして、そういう面からする援助も、どちらかというと横ばいぎみないし場合によっては減るということで、英仏の場合もこれは一%をだいぶ上回っておったわけでございますけれども、だんだん、むしろGNPに対する割合としては多少減っていくような傾向がございます。  一方、北欧諸国とかカナダとか、こういう比較的中小国ではかなり積極的な動きが出ておる。これはあまり直接的にからんだ問題ではなくて、国内で突き上げも相当あるというわけでございまして、オランダとかスウェーデンなどでは学生運動で政府にデモをしかけて、政府はなぜもっと積極的に低開発国援助をやらないのかというデモがときどきあるというように聞いております。  それからドイツ、日本は、戦後急速に経済力が高まってまいりまして、そういう点からだんだん援助を積極化する余裕といいますか、力がついてきたというような事情で、世界的に見ましていろいろ国によっての動きはあるわけでございますが、従来はアメリカが全体の資金の流れの半分前後を占めておりましたので、このアメリカの援助努力が停滞的だということはかなり世界的に影響があるわけでございますが、日本はその問題と別にいたしまして、世界の先進国の中でまわりが全部低開発国だというのは日本だけかと思います。そういう意味で日本は地理的にも特殊な立場がございます。それから日本自身の経済の性格から申しまして、貿易なり資源なり、海外の依存度が高いという事情から、やはりそのまわりの低開発諸国との友好な関係を維持していかなければ日本経済自体にもいろいろな障害が出てまいるという事情もあるように思うわけでございまして、これはむしろ、アメリカの肩がわりということよりも、日本自身の必要に基づいてこの援助問題を自主的に考えることが非常に大事かと存じます。  で、いろいろとこの援助問題に関連いたしまして、あるいは、民間の投資、民間の貿易活動というようなものに関連しまして、批判的な見方も低開発諸国で出てまいる面もございます。私もせんだって、昨年、南米諸国、アンデス諸国に呼ばれまして、いろいろな会議で議論がございましたのですが、その際、日本はこれからだんだんと海外に投資をしたり援助をふやしていく段階にあるので、いわばある意味ではフリーハンドなんだ。できるだけ現地のナショナリズムと――その低開発国自身は先進国の進んだ技術とか経営の経験というものはどうしても学ばなければならないので、この先進国側の、たとえば民間企業の活動と現地のナショナリズムと調和してやっていけるような新しい海外活動、経済活動のやり方を日本はひとつ考えてもらえないだろうかというような意見を、南米の学者の方々に言われたこともございました。   〔上村委員長代理退席、委員長着席〕 それで、民間の接触ということが必ずしも現地の国々にとってマイナスということにはなりませんので、たとえば紡績機械あるいは繊維機械を輸出するので、これは民間の延べ払い輸出だ。それに伴いまして紡績の技術者が現地に派遣されます。これも機械の代金に入っている。これは純粋にコマーシャルな活動でございますけれども、結果的には相手の国に綿紡績の種が植えられ、しかも、民間ベースでございますと非常にコストとか能率を当然考えるわけでございますから、その結果相手の国の紡績産業がコストの安い、輸出競争力もある、外貨の獲得もできるということになる場合、これは日本のコマーシャルな条件でやったことではございますけれども、結果的に相手国の経済自立、輸出増進に役立っておるというケ一スもございます。反面、いろいろな国際機関あるいは各国で非常に低利長期の援助をやったけれども、それが大きなダムをつくる、そのダムがその国の経済の実情に合わない、必ずしもその援助としてやったプロジェクトが外貨を生み出す、輸出を伸ばすというようなことに役立ってないというような場合もございますので、この援助が、民間べースは日本だけが得をするのだ、政府ベースは相手国の立場を主にしてきたものだというふうに、必ずしも割り切れない点がございます。  私どもの感じから申しますと、日本はこういう資源の乏しい国でこれだけの輸出、特に工業製品の輸出をつくりあげてまいりまして、経済発展にもかなりな程度成功したわけでございますから、こういう経験を自分たちの国にも取り入れたいという気持ちは各国に非常に強いわけでございまして、それが、その活動の相当部分が民間ベースであることも、ある意味では相手国にプラスになる面がいろいろあると思うわけでございますが、ただ、その面だけがあまりにきわだって大きいとやはりいろいろな反発を招いてまいりますので、先ほど申しましたように、オフィシャルな公的な援助ベースを拡大いたしまして、日本人の納税者が負担しながら、その相手国の経済発展のために相当な犠牲を払っておるという、民間ベース、政府ベースが相伴って相手国に働きかけるような姿、こういうことが望ましいんじゃないかというふうに思っております。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 ありがとうございました。  アメリカの経済援助はマーシャルプランを除いて必ずしも成功でなかった、そういうことで、やはり日本としては相手国のナショナリズムの反発を招くような形でやってはいけないんだという御趣旨の御発言と理解するのです。  もう時間がないので、一つだけ御意見を伺っておきたいのですが、総理の諮問機関として対外経済協力審議会の意見が十二月二十三日に出されておるわけですが、その中で、今日この対外援助問題がきわめて各省ばらばらに行なわれている。先ほど堀委員からも、マスタープランをやはりしっかりつくっていくような形が必要ではないかということもあったわけですが、担当大臣を置いたほうが望ましい。開発協力行政の一元化、簡素化、実施機関の強力な推進、こういうことでいうならば、対外開発協力省あるいは庁というようなものをやはり日本でも設けるべきではないかという趣旨の中間答申――まだ中間答申の段階だと思うのですが、そういう意見も出されて、政府も十分検討されたい、こういうようなことがいわれておるわけなんであります。現在の日本におけるこの経済協力が各省にばらばらにまたがったこのあり方から、われわれが国会でこういう問題を取り上げるについても、そういうものが一元化されて、新しい時代を迎えた経済協力についての一元的な強力な機構というものが整備をされる必要があると私ども考えるわけでありますが、先生の御意見はいかがでございましょうか、これだけお伺いします。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 私もただいまお話のございました対外経済協力審議会の委員をやっておりまして、この勧告につきましても多少関係してまいったわけでございますが、この経済協力問題というのは関係各省が非常に多くございまして、従来、歴史的に考えてみますと、いわば外からのいろいろな要請が個別的にやってまいりまして、それに日本の政府としては受け身で対応していくというようなケースが多かったように思うのでございます。しかし、いま御指摘のように、だんだん日本の経済協力――これは私とも、名前としても今後、経済協力というよりも開発協力というような考え方のほうがよろしいと思うのでございますが、文化な面、医療その他の協力を含めまして、広い意味での相手国の開発発展に協力するという意味でございますが、そうなってまいりまして、しかも全体の資金の流れが七五年に四十億ドル前後というようなことが予想されるようになりますと、この開発協力政策がどこかで統一的に考えられる必要が非常にあるように感じておるわけでございます。もちろん実施の場面になりますと、農業があり交通があり、あるいは産業面があり、いろいろございますし、どうしても所管の役所に分かれることはこれは当然だと思うのでございますが、私、個人的な意見といたしましては、できれば閣内に担当の閣僚が一人おられる。それはほかの省と兼務される場合もございましょうけれども、最高的な意思統一というものが政府としてできるようなことがいいんじゃないか。省がいいか、庁がいいか、あるいは行政委員会的なものがあるのがいいのか、あるいはいまの審議会を強化する程度でいいのか、これはいろいろ行政機構全般の問題ともからんでまいりますけれども、担当大臣と最小限の何らかの意味の事務局――事務的レベルで処理できるものは各省間で処理されてよろしいわけでございますが、いろいろ方針に関する問題とか各省間の調整が非常に困難な問題とかいうのは、そういうところで統一的に処理されるということが必要な段階になっておるように思いますので、審議会の委員の方々も大体そういう御意見でこういう勧告になったかと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 どうもありがとうございました。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 松尾正吉君。

松尾正吉公明党

○松尾(正)委員 大来参考人にお伺いいたしますが、先ほど、経済援助と人口問題というのは非常に重要な影響がある、こういうお話を伺いましたが、具体的に、相手国が自発的にこの人口問題に取り組んでその価値効果を考えていけばこれは問題ありませんけれども、これを受け入れる国が実際に人口問題、人口政策を経済援助、開発と並行して行なっていくためには、援助国から口入れをすることも内政干渉、こういうようなことになりましょうし、あるいは国連機関等でやっていくか、どういう方法がおありであるか、こんな点をお伺いしたいと思うのです。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 人口問題につきましては、国連の人口問題についての総合的な活動をするような機構を整備するとか、国際機関を通ずる動きのほうが、直接援助を与える国からの働きかけよりも、受け入れ側にとってみれば受け入れられやすいという事情があるかと思います。アフリカ、中南米等でよく聞きますことは、先進国が人口問題をやかましく言うのは、われわれの人口の増加を押えて、いまの先進国の支配力を維持しようという陰謀だというような意見もいろいろございまして、そのほか宗教的なカソリックの問題等もございまして、なかなか人口問題はデリケートな点がございます。国によりまして、たとえばインドネシアなども担当の省を設けて閣僚も置いておるというようなことで、だんだん積極的に取り組もうという動きは出てきております。  ただ、先ほど申し上げましたことと関連いたすわけでございますが、たとえば非常に貧しい国で所得が百ドル以下というような場合には、お医者さんの数も非常に少ない、病院のベッドの数も非常に少ない、農村は電灯がなくて夜はまつ暗だ、交通通信も発達しておらない、貧しいからやはり小学校その他の就学率も低いというような条件が基本的にございますと、いろいろ上から家族計画のことを働きかけようとしても一般の民衆に浸透しない。その結果成果があがらないという点があるように思います。それが所得が二、三百ドルをこえるような段階になりますと、いま申しましたような不利な条件がかなり緩和されてまいりまして、家族計画の呼びかけが一般の民衆に届くようになる。これはもちろん各個人の自由意思の問題でございますから強制はできないけれども、いろんな手段が効果的に届かなければいけないわけでございます。そういたしますと、所得が上がるということは結局そういう対策が届きやすくなる。その結果急速に出生率が下がってくるというようにもなっておるかと思うのでございます。  もちろん、これはアジア地域におきましては、先ほども申しましたように、もうすでに実績がかなり顕著でございますが、ラテンアメリカではまだあまりそういう結果が出ておりません。これはやはり宗教上の問題とか、あるいは所得分配が非常に上層に片寄っているとか、いろいろな理由があるのではないかと思うのでございます。しかし、人口問題をそういう経済的、社会的な関係から取り上げるということ――従来はどちらかというと医学的な面からのアプローチが中心になっておりますが、経済、社会の問題から総合的に考えるということがわりと弱かったのではないかと思います。そういう点が一つ重要な点だと存じます。  同時に、人口問題についてやはり医学的な見地の研究もさらに一そうやらなければなりませんし、いま申しましたような経済、社会制度、法律とかいろいろな面がございますが、こういう研究を大いにやらなければならないわけでございまして、具体的には、たとえば日本政府にも厚生省に人口問題研究所がございますが、日本の人口政策の経験というのは世界的に非常に注目されているわけでございますし――これはよけいなことかもしれませんが、やはり日本としては、たとえばこういうせっかくの人口問題研究所、世界的に知られた学者の方々もやっておられるわけでございますが、こういうものを相当思い切って拡充して、日本の人口問題の研究体制だけではなくて、世界の人口問題、特に低開発国の人口問題について相当本式の研究をする。またその成果を技術援助の上に反映させていくというようなこともぜひお願いいたしたいものだと存じているわけでございます。

松尾正吉公明党

○松尾(正)委員 それからもう一つは、経済協力の発展という面と効果の面ですね、こういう意味からいきまして、現在まで相当ばく大な援助がありますけれども、むしろ批判というような形態のほうが大きく取り上げられている、こういう感じを受けるわけです。これは結局、せっかく援助して投資したものがどこまで効果をあげているかという、その効果の把握が非常にむずかしいという点はよくわかるのですけれども、この効果が理解できたときには-わが国でも、先ほど来お話がありましたように非常に大きな負担になってくる。しかし、経済援助の主目的というものは、やはり地球民族主義的な、低開発国の国民にはそれぞれ文化も経済も向上してもらおう、こういうところにあるわけです。したがって、この効果面がはっきり把握できて、そうしてこれがPRされたならば、これこそスムーズに行なわれるのじゃないか、こう思いますので、非常にむずかしい条件がありますけれども、その効果を把握するにはどういう行き方があろうか、こういう点について伺いたいと思います。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 これは実は御指摘のように、はっきり数字で評価するということがなかなか困難なのでございますが、ただ、たとえば一九六〇年代平均いたしまして、低開発国の経済成長率が大体五%、これは第一次国連開発十年の目標が五%でございましたが、その程度までいったということ、もし全く援助があの場合なかったらどこまでいったろうかという――これは仮定の問題になるものですからあまりはっきり比較できませんのですけれども、しかしなかった場合に比べては多少成長が高かったのではないかという気がいたします。  実は、なぜ援助が必要かという問題の中で二つの大きな考え方がございまして、一つは、援助のエフィシェンシーと申しますか、できるだけ効果のあがるところに援助をするべきだ、そのほうが援助の資金がうまく活用されることになるという考え方が一つと、それからもう一つは、ウェルフェア・プリンシプルと申しますか、福祉的な意味で、所得再配分的な意味で、必ずしもその援助がたとえば効果があがらなくても、あまりに貧しい状態をほっておけないから援助すべきだというような議論がございます。  前の援助効果、いわゆるエフィシェンシー・プリンシプルで割り切りますと、一般に、わりあいに経済成長が軌道に乗った国ほど援助をうまく有効に役立てる可能性が高いわけでございまして、このプリンシプルで割り切っていきますと、おそらく将来は低開発国の中の一部は加速的に経済が発展する、だんだん先進国とのギャップを縮めるけれども、他の低開発国のグループは非常に成長もよくない。その結果、経済は停滞を続ける。ですから低開発国の中に分化が起こって、わりあいうまく成長していく国と、そうでない国とがはっきり分かれてくるというような問題がございます。どうしてもそういう意味で援助を援助の効率だけで割り切れない面がございまして、やはり非常に所得の低い国につきましては、さしあたりすぐ効果はあがらなくても、いまのウェルフェア・プリンシプルの面から見て相当手を打たなければならないのじゃないかという点がございます。  また、これは援助の効果を五年ではかるか、十年ではかるか、十五年ではかるか、二十年ではかるか、あるいは五十年ではかるかという点でだいぶ違ってまいりまして、従来のたとえば銀行的な考えでいけばせいぜい十五年か二十年ということになるのでありますけれども、最近、人口学者や栄養学者等が指摘しております問題の一つに、子供が生まれて三歳ぐらいまでの間に適当な量と質のたん白質食料をとるかとらないかで、その人間の一生の肉体的、精神的能力がきめられるといいますか、そのときに非常に悪い栄養のもとで赤ん坊が育ちますと、その人間は一生の間やはり能力が低いというような状況、それから非常に貧しい国では農民が腹一ぱい食えないために農作業が非常に緩慢になる、そのために農業生産もふえない、したがって栄養もよくならないというような悪循環がございますが、めしがよけい食えるということが、これは消費の増加でございますけれども、そういう計画では大きな生産的効果を持つ場合もございます。ですから、それは直ちに効果という、たとえば国際収支、輸出の増進というような点に出ませんでも、少し長いものさしで人間社会の将来を考えますと、現在の援助が相当大きな効果をあげることになるかもしれません。この辺はなかなかはっきりした形では申し上げられませんのですけれども、相当広い、それから相当長い期間をとってこの援助の効果というものを評価する必要があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。

松尾正吉公明党

○松尾(正)委員 時間がありませんので、もう一点だけお伺いしたいのですが、先ほど広瀬委員の質問に対して、受け入れ国の各ナショナリズムを十分配慮をしていかなければならない、こういうことを伺ったわけですが、わが国の現在までのやり方を見ますと、現状は分裂国の一方にだけやっている。南ベトナムあるいは韓国、台湾、こういう事実は、このまま五年、十年続けていくと相当大きな問題になると思いますが、この現状をひとつ早急に改めていかなければならないとお考えになっておられるか。この点を一つお伺いして終わりにします。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 もしこの援助の目的というものが、世界から貧困をできるだけ早く撲滅するといいますか、それが目的にあるといたしますれば、政治的な立場いかんにかかわらず、もし相手側が受け入れる用意があるならば援助を提供するということが正しいのではないかと私ども考えております。これは多分に政治的な問題でもございますけれども、本来そういうことであるべきものだというふうに思ます。

松尾正吉公明党

○松尾(正)委員 以上で終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 竹本君。

竹本孫一民社党

○竹本委員 私は、きわめて簡単に三つばかりお伺いをしたいと思います。  一つは、七五年になれば四千億ドルのGNP生産ができ、一%分ということになれば四十億ドルの援助をしようということになるわけでございますが、その援助あるいは協力の問題について、従来ややもすれば、こちらからいえば思いつきであるし、相手さんのほうからいえば言ってきた国、あるいは押しの強い国が得で、ほんとうの意味でアジアの経済建設のために基本線に沿ったものであるかどうかということについては、私、若干疑問があるというふうに思えますが、そういうことのないようにするためには、やはりアジアの中の日本として、アジア全体の福祉を中心とした経済開発計画というものがなければならぬと思うわけです。五カ年計画か十カ年計画かわかりませんけれども、アジアにそういうものが考えられる。そういうものが軌道に乗るのは一体いつごろであろうかという点について私は心配いたしておりますので、先生のお考えで、アジアがアジアらしい経済総合開発計画を持ち得るのは何年ごろの段階であろうというふうに見通しておられるのですか。その点をお伺いしたいのが第一点であります。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 地域全体としての開発計画というような点につきましては、従来国連のエカフェ、アジア極東経済委員会で各国の計画担当者等を集めてしばしば会合を重ねているわけでございますけれども、何といっても大部分の国が比較的近い過去に独立になりましたような状態で、相当強いナショナリズムがございます。これは先進国に対するナショナリズムだけではなくて、低開発国同士の間の問題もあるわけでございますが、そういうことで、必ずしも十分に話し合いが通じないというケースもございます。  もう一つは、私どもの感想でございますけれども、やはりこれらの新しい国々がまずやらなければならないことは、自分の国内の条件整備でございまして、非常に弱い経済がただ集まっただけでは、集まったものも弱い状況になるわけでございますので、やはりいましばらくの間、各国がそれぞれの自分の国の経済政策を能率的にしていく、効果的にしていくという努力が主体になるのではないかと思います。ただ、地域的な協力が非常に望ましいケースが、いろいろ個別的に考えるとあるわけでございまして、たとえば交通通信体系というようなものは、やはり一国だけで計画したのでは非常にぐあいが悪いわけでございまして、国境を越える地域としての計画が必要だと思います。現在、アジア開発銀行はそういう調査を外部に委託してやっております。それから工業化の場合に、たとえば製鉄業とか石油化学工業とかいうことになりますと、鉄鋼業にしましても、東南アジア各国の国内の鋼材の需要がせいぜい数十万トンという状態では、各国ごとに製鉄所をつくったのでは非常に不経済な、コストの高い製鉄業になりますので、できれば幾つかの国がマーケットをプールしまして、共同で一つの製鉄所をどこかにつくるということが経済的に非常に望ましいわけでございます。しかしこれはなかなか、各国とも自分のところでやりたいのだということで簡単に話し合いがつきませんが、まあ全体の総合計画を立てるということも将来は行く行く可能になってくるとは思いますが、かなり長期、もし年限といえば二十年もかかるような問題かと思いますが、現在からやるべきことは、地域的に協力をしなければ非常にむだの多いようなことをまず取り上げて、一つずつそういう協力をして計画を立てるということがいいんじゃないかと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 お説のように、国内的なそれぞれの国の条件整備が中心であり、可及的な範囲で地域協力を進めていくということ以外にないのではないかと思うわけでありますが、全く同感であります。  次にお伺いをいたしたい点は、日本の援助、協力、先ほど来御議論が出ておりましたけれども、それの経済効果を全うする、貫徹するということのために制度的なくふうとしては何を考えたらいいのか。惜しみなく金を与えるだけが能ではありませんから、与えた金が、協力いたした金がほんとうに役に立っておるということを見届けていく方法なり制度的なくふうなりが必要ではないか。その点については、国内においてさえいま御承知のように体制が十分できておるとは思いません。会計検査院は会計法上の違法かどうかということだけしかいっておりませんで、九兆円の予算の経済効果がはたしてうまくいっておるのかどうかという、エフィシェンシー、エフェクティブにうまくいっておるかどうかということについては、国内の経済にすら十分なコントロールの方法はないといいますか、制度的なくふうが不十分である現状でございますから、無理は申し上げませんけれども、しかし、それにもかかわらず、それなりにわれわれの国として出した協力の援助というものが所期の目的を達するにはどういうふうに、監視監督というとことばが悪いかもしれませんけれども、制度的なくふうをしたらいいのかという点についての先生のお考えを第二にお伺いいたしたいと思います。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 従来日本の援助はやはり多少受け身で、その場に問題が出てきたたびに処理をするというような面もございましたし、ことに最初は賠償の支払いということで、これは相手国に与えた損害の賠償ということでございますから、それが相手国でどう使われるかということを日本側からあまり口を出すということは非常にはばかられるというような点もございまして、多少そういう点について、まあ一度支払えばあとは相手の責任であるというような面もあったのでございますけれども、しかし長い目で見て日本の援助があまり役に立ってないということになりますと、日本のタックスペイヤーに対しても申しわけないし、結局相手国もこれを評価しないということになるおそれがありますので、相手国の立場を尊重しながら、その援助の効果、どの程度役に立っているかというような評価を継続的にやっていく必要があるように存じます。  従来日本の経済援助、技術援助の面でも、そういう面についての予算等の措置がわりあいに乏しかったわけでございまして、援助を与える前にいろいろなプロジェクトの経済性を検討する、あるいは多数の援助のプロジェクトの中からどういうプロジェクトが相手国の経済発展に一番貢献する度合いが強いだろうかというような比較研究とか、あるいは援助を与えたあとのただいま御指摘のような効果がどの程度あがっているだろうかというようなレビューとか、こういう面につきましては、単に経済援助として与えるだけではなくて、そういう調査的な予算も組みまして、日本の専門家なりあるいは場合によれば外国の専門家も加えて調査できるようなやり方を将来だんだん考えていく必要があるかと存じます。多少今年度予算等からそういう方向にだんだんなってきておると思います。  もう一つの評価につきましては、国際機関による評価というのがございます。実は国連の第二次開発十年に関連いたしまして、各国の援助を受けた国々がどういう成果をあげているか、また援助国側の援助のやり方についても問題がないかというような点の評価が必要でございます。後者の場合につきましてはOECDの開発援助委員会が従来からある程度手がけております。  援助受け入れ国側の評価というのは、従来世界銀行とか、あるいは国連等もある程度関連しております。実はことしの一月にバンコクで、エカフェで六人ばかりの専門家が呼ばれまして、第二次開発十年のプログレスといいますか、それに関連して各国の経済の状況がどうなっているかということの評価が必要だ、その評価をするのにはどういう機構なりやり方が必要だろうかというような議論がございました。それからことしの三月にまたジュネーブで、国連の例のティンバーゲン員会でそういう問題の議論がございます。この点、いまこの援助と関連いたしまして、いかにその成果なり効果を評価するか。それは国際機関の場合、それからバイラテラル、政府ベースの場合もございますけれども、両方の面で、相手国の政府の立場を認めながらそういう努力を強化しなければいけないかと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 いまの問題に関連して、結論だけでけっこうですが、これからの協力のあり方の問題ですけれども、政府ベースでいくのがいいのか、民間ベースでいくのがいいのか。それからまた金と物と技術とどれに重点を置いたほうがいいのか。結論だけ先生のお考えを承りたい。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 第一の点は、私は、民間も効果的であるけれども、これからの段階では政府援助をかなり強化することが、ここしばらくの問題としては必要なように存じます。  金と技術の点につきましては、技術援助を特に従来よりも範囲を少し拡大いたしまして、たとえば相手国の関係研究機関に対する援助とかあるいは医療面における援助協力とか、そういう面を含めましてこの協力の範囲を拡大していく。同時に、経済援助と技術援助の相互の関係が従来どちらかというと弱かったように思いますので、先ほど申しましたいろいろな経済援助のプロジェクトの評価というような問題につきましても、これを技術援助のほうから見て予算を考えていく。両者の関係をできるだけつけていくというようなことが望ましいと思います。

竹本孫一民社党

○竹本委員 最後に、東南アジアを中心に日本の円ブロックをつくるということをいま言っても問題にならぬと思いますが、日本の円に対する信頼はどういうふうであるか。また日本の円が将来アジアの経済の中でいかなる役割りを果たし得るとお考えであるか、その点だけお伺いをいたして終わることにいたしたいと思います。

大来佐武郎日本経済研究センター理事長

○大来参考人 円に対する東南アジア諸国の信頼は最近次第に高まりつつあるというふうに考えます。これは円が国際的に強い通貨だという認識が世界的になってきておるということの反映でもあるかと思うのでございます。ただ、日本の経済の構造、性格から申しますと、資源の輸入の面あるいは製品の輸出の面におきまして非常にグローバル、世界的な性格が強いわけでございまして、資源等におきましても、中南米、アフリカ、大洋州あるいはシベリア等からの輸入も非常に重要でございまして、日本経済の規模がここまで大きくなりました段階におきましては、経済面でアジア地域にあまり立てこもるといいますか、その中へこもるような形では日本の経済がうまく動かないことにもなります。ただ、日本といたしましては、他のアジア諸国が地域的な協力をいろいろやろうとすることに対してはできるだけ協力する、これに力を添える一自分がその中へ入っていくかどうかは、問題によればあるいは考えてもよろしいかと思いますが、向こうの国々が地域的に協力しようとする努力に対しては、できるだけ日本は好意的、協力的であるということが望ましいと考えております。

竹本孫一民社党

○竹本委員 終わります。ありがとうございました。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  大来参考人には、御多用のところ御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。どうぞお引き取りいただいてけっこうでございます。     ―――――――――――――

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 質疑を続行いたします。佐藤君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 先ほどの点に関してもう少しお伺いしたいのですけれども、はたして現在の法律体系の中で、日本輸出入銀行に、たとえばこのスカルノ債権ならスカルノ債権に限って、こんなあぶない、政情がはっきりしないところへの輸出に対してはうちの銀行からは貸し出せませんというような、拒否権があるかないかという問題なんです。結局十八条の一項には確かに業務内容として十三項目ですか、項目があって、こういうことができるというように書いてありますけれども、十八条の二に「日本輸出入銀行は、次の各号に該当するときに限り、資金の貸付、手形の割引、公債の取得又は債務の保証を行うことができる。一銀行が通常の条件により資金の供給を行うことが困難な場合 二 当該貸付に係る資金の償還、当該割引に係る手形の支払、当該取得に係る公債の償還又は当該保証に係る債務の履行が確実であると認められる場合」というふうにあると思うのです。これは十八条の二の第二番目にあるわけですけれども、「債務の履行が確実であると認められる場合」に限り貸し付けなり保証ということができるというふうに書いてあると私は思うのですが、その辺、石田総裁の御見解はいかがでございますか。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 先ほど先生から御質問がありました場合に、権限があるのかどうかという問題よりも、むしろそういう不確定なものを貸していいか悪いかという問題の、輸出入銀行法の規定がございます、そういう意味でお答えを申し上げた次第でございます。われわれが実際の仕事をやっております場合におきましては、非常にむずかしい場合が多いわけでございます。この銀行は元来が輸出振興という形でできておるわけでありますが、できました場合におきましてはいまと情勢が違いまして、輸出をすれば金が取れないなんということはまず考えられない、こういう時代だったろうと思います。そういう情勢を背景にしてこの日本輸出入銀行ができたのではないかと私は思います。ここに書いてありますところのおもなる点は、日本輸出入銀行がやります場合に、やはり金融機関として不確実な貸し出しをどんどんやってはいけないという意味の規定ではないかと思います。  しかるところ、だんだんと世の中が変わってまいりまして、たとえばアメリカの輸出入銀行のような場合におきましては、これは大体先進国に対するものが相当大きな部分を持っております。したがいまして、心配なしに、輸出ができればもういいんだという面が強いと思うのであります。ところが日本のような場合におきましては、先進国に対する輸出よりも後進国に対するところの輸出が多い、こういう実態があるわけでございます。そういう場合におきまして、心配であるからということになりまして全然出さないということになりますれば、これはもうだいぶ輸出が阻害されるということになるだろうと思います。したがいまして、償還確実という場合でなければ出してはいけないという規定をどういうふうに受けとめて出していくかということが、日夜一件ごとに頭を悩ましている問題でございます。われわれといたしまして、一応われわれは第一義的に、われわれの銀行の貸し出しでございますからわれわれが判断するわけでございますが、その場合におきまして、問題がないと思うときにはどんどん出しますけれども、心配がありますような場合におきましてはいろいろ検討いたしまして、そしてどうもあぶなっかしいという場合におきましては、政府金融機関でございますから政府の御意向も伺わなければならないという問題になってくると思うのでございます。  お話の点は、インドネシアの場合にどうしたか、こういうような御質問の要点かと思うのでございますが、この場合におきましては、大体日本のいまの政府のやっております態度といたしましては、先ほども申しましたようなぐあいに、為替管理と申しますか、そういう点からいいまして、まず輸出承認という問題がございます。これは通産省が運用されておるわけでございますが、実質的には大蔵省も入りまして、これはいわゆる標準外決済というのがわれわれのほうの融資の主として対象になるものでございますが、そういうものがどういうふうになるかということをまず見る必要があるわけでございます。  それから輸出保険がつくのが大体例でございますので、輸出保険のほうとしてはどういう扱いをされるのであろうかということを見るのが一つでございます。特に輸出保険の問題につきましては、日本におきましては輸出保険というものは通産省がおやりになっておりまするし、金融は私どものほうでやっておりますけれども、外国におきましては、輸出振興の場合といたしましては輸出保険は政府がやって、そのあとで政府機関が貸すというよりも、むしろ民間の金融機関に貸させるという場合が多いわけであります。それらのことを考えてみますと、われわれといたしましてはやはり輸出保険をどう扱うかということも一つの参考になるわけでございます。  そういう点を勘案いたしまして、これは出したほうがいいか悪いかということを一々判断をして出しておる、こういうことでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 確かに、この日本輸出入銀行法は昭和二十五年の施行でございますから、体系としては輸出振興の体系だったと思うのです。それは外国為替及び外国貿易管理法なんかにしてもできたのは昭和二十二、三年ですか、そういう意味で法体系としては輸出振興の面があったと思うのです。  しかし、インドネシアヘの貸し出しの場合には、単なる、いまのおことばの中では、心配がある程度ではないと私は思うのです。いわゆるスカルノの一九六三年からのマレーシアに対する態度など調べれば、ずいぶん危険な要素があったと思うのです。先ほどの石田総裁の御答弁では、政府が輸出も許可したし輸出保険もつけたし、ですからそのままやってきたということでございますけれども、失礼ながら私はその当時石田さんが総裁であったかどうか存じ上げないのですけれども、問題は、十八条の二にあるように、「債務の履行が確実であると認められる場合」という問題のところにポイントがくると思うのです。それで残念ながらスカルノ債権に対しては、三回の二百十一億にのぼるリファイナンスをしなければならないぐらい赤字が出てしまったわけですけれども、現実にこういうふうに起こった場合に、この「債務の履行が確実であると認められる場合」に限り「債務の保証を行うことができる。」という十八条の二、このことに関しての責任というのは、日本輸出入銀行がとるのか、あるいは大蔵省の国際金融局が責任をとるのか、あるいは輸出保険の中に関係のある通産省の貿易振興局に責任があるのか。現実にこういうスカルノ債権のような赤字が出た場合にどこが一体責任をとるのか。その点をおのおのの方から責任のある明快な御答弁をいただきたいと思います。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、先ほど輸銀総裁のほうから御説明申し上げましたとおり、延べ払い輸出につきまして輸銀が融資をするということにつきましてのチェックポイントと申しますか、それは方々にあるわけでございますが、たとえば、まず発端は、通産省のほうの延べ払い輸出のための輸出承認、これをあれするに際しましては大蔵省のほうに協議がございます。それからもう一つは、通産省のほうの輸出保険の部分、この点につきましてもこれは通産省のほうがいたされるわけでございますが、さらに金融機関といたしまして輸銀が、それを貸すかどうかという点の金融上の判断をされる。その判断をされる場合に、いま御指摘の十八条の二の問題ということがあるかと思いますが、そのスカルノ時代の問題につきましては、当時、こういうようなシステムのもとに各関係のところでいろいろと検討をいたし、相談をいたしまして対処していたと思うのでございます。その当時のあれといたしましては、当面、六五年の九月三十日にあの事件と申しますか、クーデターが起こったわけでございますが、そのころまでは、先ほども外務省のほうから御答弁がございましたように、特に延べ払いの輸出をとめるという情勢、そういう判断ではなかったと思われます。その後この事態が起こりまして、そうして、これはやはりこのままでは放置し得ないということになりまして、六五年の十二月に輸出代金保険の付保をとめる。すなわち、債権が累積してはいかぬという判断に立ちまして、輸出代金保険の付保をとめるという措置をとって、債権の累積を防いだわけでございます。

後藤正記通商産業省貿易振興局長

○後藤政府委員 本件に関しまして、通産省は延べ払い輸出の承認をいたすわけでございます。これは標準外決済でございますので、ただいま稲村局長からお話がございましたように、内部的には大蔵省とも連絡をいたしますが、通産省は独自の立場から、このものを延べ払い輸出として出すことが適当であるかどうか。それが産業政策と貿易政策と背馳するものかどうかという点につきまして検討をいたしまして、大蔵省の意見も聞きながら延べ払い輸出の承認をいたす。その次に、この延べ払い輸出の承認をいたしたものにつきまして、輸出保険の関係がございます。輸出保険につきましては、これも通産省が所管をいたしておりますが、これを保険の対象とするかどうか、また保険の対象とするだけの担保が取り得るかどうかということ等をもその際に十分勘案いたしまして、これを輸出保険として引き受けるかどうかということを判断して決定いたす次第でございます。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 輸出入銀行の立場から申し上げますると、一般の案件によりまして貸し出しをやりました場合において、すべての貸し出しにあたって回収不能がないつもりでやっておりまするけれども、しかし回収不能が全然起こらぬかということになりますると、これは一般の金融機関と同じようなぐあいに、やはりそれは自分の銀行の責任で処理しなければならないというのが第一の問題だと思います。そのために貸し倒れ準備金もあるのだろうと思います。しかしながら、事柄によりましては輸出入銀行だけの判断でやることがどうかと思うので、政府の御意向を承りましてやっておる。政府としても、これは償還不確実ではない、確実であろう、こういうふうな御判断で、先ほど来お話がありましたような輸出保険とか輸出承認とかが行なわれておりますような場合においては、いろいろ御相談をしながらやっておるわけでございまして、そういう事態が起こりました場合におきましては、われわれが単独でこれを処理するということでなく、政府と御相談の上、どうするかということを考えてまいりたい、こういうふうに思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それでは、さらに突っ込んでお伺いしたいのですが、通産省のほうから、延べ払い輸出として出すのが適当かどうかという判断、それから第二はチェックとして、輸出保険の対象にしていいかどうかというチェック、二つのチェックの関門があるというふうにお話があったわけです。それではお伺いしたいのですが、償還が可能である、確実である――輸出入銀行法の第十八条の二によれば、これは「確実である」ということばが使われているわけですけれども、当時に振り返って、確実であるという根拠は一体何だったのか。もうすでに六三年にはマレーシアの問題でイギリスなりアメリカからひじ鉄を食って、貿易も十分インドネシアはできないような状態になり、さらにそれがインフレの端緒になっている中で外貨事情も悪くなってきた。それなのになお延べ払いを認めていた。一体その根拠は何か、そこをお伺いしたいと思います。

後藤正記通商産業省貿易振興局長

○後藤政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、この延べ払い輸出の承認に際しましてケース・バイ・ケース、一つずつにつきまして、その当時の相手国、また輸出したい、こういう申請の出ておる物件につきまして、具体的な事情を十分に考慮いたしつつ輸出承認をするわけであります。  さらにまた、この輸出保険の問題につきましては、これは保険独自の立場から、およそ全然危険のないところでしたら、これは保険を引き受けてくれという申し込み自体がないわけであります。これは根本でありまして、やはりある程度の危険を考えるからこそ輸出保険を付保してくれ、こういう申請が出てくるわけなんで、これは生命保険にいたしましても火災保険にいたしましても輸出保険にしましても、保険というものはやはりそういうものである。引き受けるほうの保険の特別会計の立場からいたしますと、若干そういうぐあいの危険度というものは当然やはり含まれておるけれども、しかしその場合、もし万一事故が起こった場合にも、それはその輸出保険運営の立場から、どういうぐあいにしてその分が補てんされていくかという、担保物件等が取れるかどうかということを考慮いたしつつ、この引き受けをこれまたケース・バイ・ケースに考慮いたしているということでございます。  その間、政府関係機関の間とも連絡をとっておりますが、基本的に申し上げまして、大体この範囲は一致いたしておりますが、延べ払い輸出の承認したものというものは全部輸出保険の対象になるかどうかという点につきましても、これまた若干立場が違いますので、見方が違いますのでこれは食い違ってまいりますし、それから延べ払い輸出承認の対象になったもの、輸出保険の対象になったもの、さらにまたそれが輸銀融資の対象になるものというものの範囲は、必ずしもこれは全部一致しているというわけのものではない。おのおのその立場におきまして判断をいたして実施をいたしておる、こういうことでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 もう一点通産省にお伺いしたいんですが、今度のリファイナンスをしなければいけない額というものは、これは全部民間の延べ払いということでございますけれども、政府の経済協力に対しては賠償の物品が担保になっているわけですけれども、民間の場合にはこのスカルノ債権に相当する期間及びそのものというものは、どのようなものが一般的に担保としてあげられていたわけですか。

後藤正記通商産業省貿易振興局長

○後藤政府委員 スカルノ政権時代に行ないました延べ払い輸出につきましては、他の発展途上国に対しまする輸出信用供与の諸条件等と同様に、担保といたしましては、銀行、特に相手国立銀行の支払い保証状を取りつけて実施をいたしたものでございます。細部について申し上げますならば、これはあくまで保険の立場から申し上げるのでございますが、第一に短期決済輸出につきましては、輸出信用状によるものに限っております。第二に一般の延べ払い輸出、これは一年以上の中長期の決済のものを含むものでございますが、これはインドネシア国立銀行の支払い保証状を取りつけたものに限っております。第三点といたしまして、いわゆるプロダクションシェアリング方式による輸出につきましては、生産物の現物返済にインドネシア政府もしくは国立銀行の返済保証を取りつけて行なっております。それから第四点、賠償担保による輸出は、賠償金を担保として行なったわけであります。以上四つの点の担保物件を取ってこの輸出保険付保を引き受けた次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 今度の場合、やはり何といっても相手がインドネシアであること、賠償のときからいろいろ黒いうわさがあってなされてきた、しかも今度のこれだけの、リファイナンスしなければならない額が二百十一億あるということを見ますと、いろいろ私はこのシステムを考えてみると、非常にふしぎでならない。それは、あれだけ不正常なあぶないところに民間の商社がどんどん延べ払いをする。延べ払いを、政府がそれを認めている、通産省が認めているわけです。輸出保険もかけている。それでいざ六五年のクーデターが起こって、そして回収不能になる。そうするとその借款というのは全部輸出入銀行に回ってくる。輸出入銀行としては、政府が認めたものだから、あるいは輸出保険がかかっているものだからということで、ほとんどそういう条件のもとで認めてそのまま輸出入銀行にツケが回ってくる。輸出入銀行としてははっきりとそれに対してノンと言えるだけの十分な権限もない。どうもそのあたりが、一番もうけているのは民間の企業であって、あぶないところへばかりどんどん出していく。政府がそれを認める。そしていざとなれば、結局ツケは輸出入銀行に回ってくる。このシステムの中で、これは佐藤さんのポケットマネーでやられるのならいいけれども、結局輸出入銀行の出資金にしろ、あるいはこういう三十年の延べ払い、残りの十五年で払う、利子はその前の十五年は払ってない、その分だけは日本の国民としては正直いって大きな損をするわけです。インドネシアの方々には申しわけないけれども、日本の国民としては損をするわけです。そういうことを考えますと、今度の二百十一億のリファイナンスを認めろということは、どうも国民ばかりが損をして、もうけているのは民間の企業ばかりで、そのツケというのは最後には輸出入銀行のほうに回されてくる。私はこれでは国民はたまらぬと思うのです。  それでやはり問題になるのは、輸出入銀行法の文章によれば、債務の履行が確実であるかどうかという判断のしかただと思うのです。どうも、クーデターが六五年九月三十日にあって、それ以後インフレが急速に進展したのだと言われますけれども、私はそうではないと思うのです。六三年のマレーシアの対決政策があって、そのときからさらに急速になったわけで、その前からインドネシアの政策に対しては、政府の資料にあるようにかなりファナティックであるし、政治優先であるということはずいぶん指摘されていたわけです。そういうところにずるずると金を貸し出された。しかも賠償の点には数々の問題があったときに輸出の承認がなされ、あるいは輸出保険がかけられ、そしていざとなれば日本の輸出入銀行のほうにそのツケが回ってきて、国民がそれを負担しなければいけない。そして大きな企業というものはそのままぬくぬくと営業を続けられる。この制度では私はやはり国民はどうもあまり納得できないのじゃないかと思うのです。  そこで私は最後に詰めてお伺いしたいのですが、これだけの大きな焦げつき、これは日本だけではございませんけれども、焦げつきが出たということに関して、まず輸出承認をした通産省は一体どういう態度をおとりになるのか。それとともに、協議をした大蔵省の国際金融局はどういうことになるのか。確かに条文上ではまだ少し十分とはいえないかもしれないけれども、輸出入銀行法の第十八条の二にも、債務の返済が確実であるときのみ貸していいというふうに書いてあるのだけれども、現実には悲しいかな、こういうツケが回ってきてしまった。この責任というのは一体どこにあるのだ。この三者に対して、私は責任問題についてお伺いしたいと思います。

後藤正記通商産業省貿易振興局長

○後藤政府委員 輸出承認につきましては、これは先ほどもお答えいたしましたとおりに、そのときそのときの輸出の物件、それを出したいという業者の意欲、それからさらにそういうものを出すことはいいかどうかという相手国の状況等々、ケース・バイ・ケースで判断しつつ実施をいたしてまいっており、またその当時としても行なったわけでございます。保険につきましても、先ほどお答えいたしましたように、当時といたしましてはこれをこうすることが適当であるということで、当時の時点におきまして確実と考えられる担保物件というものを取って保険の対象にいたした、かように考えております。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいまの件でございますが、いま通産省のほうから御答弁がございましたとおり、延べ払いの輸出承認につきまして通産省のほうから大蔵省のほうにも協議がございまして、そうしてその際にはむろん相手国の状況、それからそのほかの国がどういうような輸出信用の状況をなしているかというような信用の条件とのバランス等を考えまして判断をいたしたわけでございます。当時の状況といたしましてそういう判断のもとに通産省の協議に応じたということでございます。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 いろいろとお話があって、こちらから答弁がございましたけれども、はっきりいたしておりますることは、賠償担保の借款でございますが、貸し付けでございますが、その貸し付けを輸入出銀行がいたしております。これは賠償で返すということでもって貸しておるのではないのでございまして、一応担保にはなっておりまするけれども、最後の場合におきまして、賠償でもって差し引けば心配がないという最後の保証があるわけでございまして、これにつきましては全部完済されております。輸出入銀行としては全部完済されておりますが、その中におきましては、インドネシアが自分の保有の外貨でもって払いまして完済しました分と、インドネシアが払えなくなって、結局日本の賠償特別会計のほうからわれわれのほうへ直接金をくれた、こういう場合と二つあるわけでございます。  なお、いわゆるPSと称しておりますのは、これはインドネシアの石油の問題でございますが、これは輸出入銀行が貸しましたけれども、しかしその全額は向こうから油の返済を受けまして、スマトラ石油が全額輸出入銀行に返しまして、全額これは償還になっております。  問題になっておりますのは、そういうものとは別の、一般の貿易がいまたまってきておる、こういう状況でございます。われわれといたしましては、先生のお話しのようなぐあいに、マレーシアの対決とかいろいろ政治問題もありまするけれども、そうでなくて、インドネシアの経済運営全般につきまして――われわれは政治問題につきましてはよくわかりませんけれども、経済の運営だけはわかるわけでございまして、そういう点から申しまして非常に心配しながら貸し出しをしておった、こういうのが実情でございます。  もう一つ、お話のございました中では、ツケが輸出入銀行に回ってくるという問題でございますが、これは二つございまして、輸出入銀行が貸しまして輸出承認があり、それから輸出保険がついておるということで貸しましたもの、これがございます。それからあと、輸出承認があり輸出保険がつきましても、わりあいに期間が長くない、やはり二年以内でやるような取引につきましては、これは自分の資金でやったかあるいは民間の金融機関から金を借りてやったかというような問題もあるわけでございます。それを政府がリファイナンスしたほうがいいだろうということで、六七年、八年、九年と三つリファイナンスをするということになりまして、輸出入銀行の貸し付けた部分と、それから輸出入銀行が貸していない部分を、ともに輸出入銀行がリファイナンスした、こういうのが実情でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それでは時間もないのであれですが、やはり気になることは、一つは石田総裁にお伺いしたいのですが、石田総裁のいまのことばの中に、政治問題はよくわからないけれども、経済問題では見ていたつもりだというお話でございますけれども、インドネシアの、少なくともスカルノ債権にかかわる時期に関しては、経済だけで見ていたということでは、銀行マンとして、私はああそうですかというわけにいかぬと思うのです。特に政府の報告書すらにも書いてあるように、政治のほうが優先してしまう。経済あるいは賠償でも、スカルノ時代の賠償のやり方というのは、ホテルだけ建って、そのホテルに入る人がいなかったり、個人用のヨットをあれしたり、いろいろ中途でとまっちゃった賠償が幾らでもあるわけです、インドネシア賠償というのは。そういうような状況も考えてやはり判断していただかないと、政治はわからぬということでは、これからの低開発国援助というか、経済協力の場合には、特に経済協力をしていかなければならないというところは何といっても政情不安なところが多いわけですから、そういうところも鋭敏な目で見て判断していただかないと、ますますこれからこういうまたツケが幾らでも回ってくるということになるのじゃないですか、いまのあれでは、政治問題はわからないけれどもということでは。これが短期の輸出入ならかまわぬ――かまわぬということはないけれども、すぐ金を払ってもらえるならまだわかるのです。延べ払いというからには三年なり五年なり十年という、長期に貸し出すわけですから、やはり長期の政情の安定ということがない限り、完全に返ってくるということはわからないわけですね。ですから、その辺の答弁をもう一度ちょっと――どうも問題は、先ほど大蔵省の方あるいは通産省の方から、当時の状況では貸し出してもいいのだ、戻ってくるのだという判断だったというけれども、残念ながらこれは貸し出して、だめだったわけですね。民間からそれだけリファイナンス、二百六十一億七千万円を出さなければならない。赤字がたまってしまったわけです。これを大体国民の負担で三十年の長きにわたって、しかも前の十五年間は利子を払わず、あとの十五年間は利子を課する、もう少し緩和してもいいという条件もついていますが。これからインドネシアに対して債権を要求するわけですけれども、これは国民の負担にかかってくる。これからは判断をするにしても、皆さま方が適切な判断をしてくれない限り、外務省は的確ないろいろな状況を、これはあぶないということを通産省に言うくらいの関係を持たないと、これは全部国民の負担で――まだ日本国民だって家もつくってもらいたいし、公害問題もあるし、先ほど申し上げましたがいろいろ問題がある。ですから、金が余っているわけじゃないですよ。ですから、そういうことを言うならば、当時の状況では平気だったけれども、残念ながらこれだけツケが回ってきてしまっているということに関してどういうふうなお考えなのか。まず石田総裁にもう一度最後に伺いたいと思います。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 政治問題がどういうふうになるか、後進国についてはわからないということを申し上げたといたしますれば、それは訂正いたします。ただ、私の申し上げましたのは、われわれは貸した金が返ってくるかどうかという問題でございますので、それは経済問題のほうに帰結するわけでございますから、その点は見ておりますけれども、政治がどうなるであろうかとか、あるいはどういうことが起こるであろうかということにつきましては、なかなか予測ができません。やはり政府の御意見も承らなければならない、こういう意味で申し上げたわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それから、一番最初の輸出の承認をした通産省にお伺いしたいのですけれども、通産省、四つばかり民間の担保がとってあるということでございますけれども、担保というのは、輸出入銀行のリファイナンスしなければならない額との関係は一体どういうふうになっているのか。いまその担保というのは一体どういうふうになっているのか。私も十分システムがわかりませんので、その点をひとつ伺いたい。  それから先ほどの話では、とにかくインドネシアの政情が悪くなったのは六五年の九月三十日のクーデター以降なんだというようにお伺いしますけれども、スハルト政権になってから現在まで五年間、新規貸し付けがなされて、その合計が千六百五十六億円新規援助がされているわけですね。それでその結果、インドネシアの状況は、先ほど私もちょっと申し述べましたけれども、おたくの提案理由にも書いてありますけれども、「インドネシア経済は安定化の時期から復興と開発の時代に移行する方向をみせており、」というふうに書いてあるわけですね。つまり、スカルノ政権時代は一九六五年まではインフレ、インフレ。インフレが続いたけれども、今度スハルトにかわってみて、そして今度新規援助の千六百五十六億円ですか、これを出したときには、いま言ったような表現まで国が復興してきた。テークオフということばはまだまだでしょうけれども、そういうふうになってきた、ということを考えますと、一九六五年の九月三十日のクーデターを前にしてどんどん金を貸し出していた。そしてクーデターが終わってスハルトが政権を握ったら、今度は千六百五十六億円を出せば非常にいい状態に変わってきた。どうもその辺が――ではなぜそんな悪い時期にどんどん金を貸し出したのかということが、どうも私は納得ができないのですけれども、実はその担保がどうなっているかということ。それから、どうも政治情勢から考えて十分納得ができないという点をもう一度お伺いしたいと思います。

後藤正記通商産業省貿易振興局長

○後藤政府委員 延べ払い輸出の承認につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおりに、当時といたしましてはこの延べ払い輸出の承認をすることが適当であると、ケース・バイ・ケースに判断をいたしたわけでございます。  それから先ほどの担保物件につきましては、この担保の問題と、それから輸出入銀行のリファイナンスの問題とは別個の問題であります。あくまでこの担保は、私どものほうの輸出保険特別会計の運営上の見地からこれをいたしたわけでございます。事実このスカルノ債権につきましては、事故の認定が起こりましたときにちゃんと保険金を、一般から集めました保険料収入の中から、相当巨額でありますが、支払っておるわけでございます。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 私先ほど答弁の中で申し上げましたのは、インフレーションがスカルノ政権が倒れてからスハルトが就任するまでの間に一番高かったということを申し上げたつもりでございます。六六年の対前年度の物価の上昇率は、指数で申しまして六三九でございますが、六七年が一一三、六八年が八五、それから六九年が一〇、七〇年が八というふうに、インフレーションはおさまってまいっております。今回の債権繰り延べにつきましては、インドネシアがスハルト政権にかわりましてから、先ほど申し上げましたように、IMF、世界銀行というようなリーダーシップのもとに、国際的な団が組織されまして、その中で債権を繰り延べたほうが適当であろうという国際的な決定がなされましたがために、日本もその一員としてそれに同調するという態度をとっておるわけでございます。一般に後進国は外貨準備も非常に、インドネシアに限りませず少のうございます。かつ政情が不安定なのはきわめて一般的でございます。したがって、一度政策を誤った場合は直ちに、破産にひとしい債権繰り延べ問題の起こり得る可能性は、インドネシアに限らずほかの国にも常にあるわけでございまして、われわれもできるだけそういう方面の情報を入手するのにつとめておりますけれども、やはりクーデターあるいは国内の状態というものは急速に変わる情勢にございますので、その当時において今日のような事態が起こり得るということは、その当時のベストの常識をもってしても予想し得なかった次第でございます。

後藤正記通商産業省貿易振興局長

○後藤政府委員 少し先ほどのお答えを補足いたします。  佐藤先生御質問の、保険の担保物件につきまして、四つに分けて申し上げましたうちの第一の短期決済の輸出につきましては、輸出信用状によるものは短期決済でございますので、すべて終わっております。  第三番目に申し上げましたPS方式、これは生産物の現物返済でございますので、その後も引き続き送られておりますので、この分も問題がないわけでございます。  それから四番目の賠償担保による物資は、これは賠償金を担保としておりますので全部完済されております。  問題になりますのは、四つあげました二つ目の、一年以上の中長期の延べ払い決済によるものを、インドネシア国立銀行の支払い保証状を担保にして保険の対象にした、この点であると思います。この点につきましては、これは残念ながらああいう状態になりまして事故が起こりましたために、輸出保険で事故であるということに認定をいたしまして、一般から集めてプールしております保険料の中からこの保険金を支払うということであります。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 最後に、沢木経済協力局長のお話もございましたけれども、これからの経済協力というのは、何といってもやはりまだ十分経済が発展してないところ、しかも政情が不安であるというところにどんどん出さなければいけないわけですから、そういう点から考えて、輸出の承認あるいは輸出保険、あるいは輸出入銀行の金の貸し方については、私はいろいろ今度の問題というのは問題提起をしたのではないかと思います。今度の結果に見るように、残念ながら今度の結果はこれだけの借金がたまってしまい、リファイナンスしなければいけないような状態になってしまったわけですけれども、どうもこのシステムを見てみると、輸出は承認した、そして商社はどんどん商品を出す、しかも向こうの政情で金が取れなくなったというと、結局最後にはツケというか、それが輸出入銀行に回ってくる。それで、それは結局は国民の税金なり財投で出されるわけですから、どうもその辺のところが、この間にいろいろなからくりがあるんじゃないかという気がしてならないわけです。この点について私も完全に納得をしたわけじゃございませんけれども、限られた時間の中ですので、きょうはあまり納得できないということを結論にいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十一分休憩      ――――◇―――――    午後三時四十五分開議

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古川雅司君。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 午前中から質疑応答を伺っておりまして、いろいろ問題点が出ました。私が準備しておりました若干の問題はほとんど出尽くしたような感じがいたします。くどいようで、重複すると思いますが、ひとつお許しをいただきたいと思います。  初めに、けさほどから大臣等の答弁を聞いておりますと、総じて対外援助に対しましてはいろいろむずかしい問題が山積していることはよくわかりました。ただそれに対する基本的な政策の確立がおくれている、そういう感を強くしたわけでありますが、ひとつもう一回整理する意味で、どういう点に欠けているか、基本的な政策に欠けている点、大蔵省としての見解をまず承らしていただきたいと思います。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 対外援助に関しまして基本的な点で、どういう点で今後注意していかなければいけないかという点でございますが、けさほど大臣あるいはその他各省の代表の方の御答弁がございましたと思いますが、われわれといたしましても、一九七五年までにGNPの一%という量的な面での達成を目標にして進もうという基本方針を立てております。この中におきまして政府開発援助ということにつきましては、これは現在GNPの〇・二五%程度ということで低いわけでございますが、これにつきましても具体的な目標の数字を立てるというわけにはまいりませんけれども、なるべく財政その他、毎年の予算におきまして配意いたしまして、またGNPに占める政府開発援助の比率をなるべく高めてまいりたいということを考えております。  それから援助の質と申しますか条件のほうでございますが、これにつきましてはやはり他のガット諸国に比べまして若干まだ見劣りがするという点がございます。これらの点もあわせまして、ひとつ条件のほうもできる限りいい条件を立てるようにしていきたい、こういうふうに考えております。  また同時に、けさほどもしばしば御議論がございましたように、受け入れ国側において感謝されると申しますか、ほんとうに実のある援助でなければならないということも当然でございまして、この点におきましても十分に今後も注意をいたして進めてまいりたいというふうに考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 いま整理をして御答弁をいただいたわけでございますが、いずれにしても問題のあるこの対外援助の基本的な政策に欠けているということにつきましては、単なる抽象的な議論だけではなく、これから具体的に施策を打ち出していただかなければならないと思うのでございます。  ただいま提案されております法案でございますが、国際開発協会におきまして、今回第三次の増資として、総額約二十四億ドルの増資が採択をされた。それに伴いまして、わが国はこの協会に対して新たに一億四千四百万ドルですか、出資の分担をすることになったわけでございますが、これは二十四億ドルの六%に当たるわけでございまして、この分担率でございますね、私よくいままでの答弁を聞いておりませんでしたので、この出所、裏づけについて少し教えていただきたいと思います。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、第二世銀、IDAに関します今回の増資、これは三年間にほぼ二十四億ドルということでまとまったわけでございますが、そのうちでわが国が六%、一億四千四百万ドルを三年間に分担するということになりました件でございます。各国別の比率をどういうふうにするかという点につきましては、実ははっきりした基準と申しますか、そういうものは特にないわけでございますが、これは数回にわたります一部国の蔵省代理会議――御承知のようにIDAと申しますのは一部国と二部国という二つに分かれておりまして、一部国が十八ございます。二部国が八十九ございます。合わせて百七国が加盟しておるわけでございます。そのうちの一部国がいわば援助を与えるほうの国でございます。いま六%と申しましたのは、この一双国の中で分担をいたしまして、それが六%になったという、日本の分が六%ということでございますが、それはIDAの第一回の増資――今回が第三回目でございますけれども、第一回の場合には一部国間の日本の分担率は五・三四%でございました。それから第二回目の増資にはこれが上がりまして五一四四%。これは大体一部国間の話し合いによりまして、その国の援助供与の能力、その国の経済の発展、経済力等を勘案いたしまして、いわば一部国間でネゴシエーションいたしましてきめたものでございます。第二回のときがわが国は五。四四%でございましたが、その後、日本の国力が、経済力が非常に強くなってまいりました。したがいまして、この援助の分担率につきましても従来よりはやや多く負担してほしい、またわれわれ政府といたしましても、若干の増率は当然であろうという判断から六%を引き受けるということにいたしたわけでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 特にわが国に対する分担率の裏づけというか算定の基礎はないということでございましたけれども、これは一応こうして機関で決定をしてわが国が出資をするわけでありますが、日本内外の経済事情から考えて、これは適切であるというふうにお受け取りになっているのかどうか。これは今後三年間、またその先を含めての経済の変動等も当然考慮されるわけでございますけれども、その点についてはどのような御判断をしておいででしょうか。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 六%の分担が適正と判断をしたかどうかという点につきましては、政府といたしましてはこの六%が適正であるというふうに判断をいたしておるわけであります。これは今度の第三次増員の問題でございます。したがいまして、今後三年間に分割して出資をいたします第三次の分でございます。その後につきましてはまたそのときの時点で検討いたしたい、こういうふうに考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 これから三年以内の経済の変動等を考えた上でのことですか。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 これから三年間のことを考えての判断であるかという御質問でございますが、そのとおりでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 この融資先の資金の効率がうまくいっているからということは、これはけさから多く議論のあったところでありますが、援助先の国にとってほんとうにこれが生かされて使われているかどうか。これは融資先の各国における使途別の利用率というか、利用効果、そういったものについてももう少し具体的に御説明をいただきたいと思います。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 IDAがただいままでにコミットをいたしております使途別の大体の内容を申し上げますと、一番大きな割合を占めておりますのが交通運輸関係でございまして、累積でございますが、いままでのIDAの約三〇%がこの交通関係に出ております。これは道路、鉄道、港湾、運河といったようなもので、御承知のとおり、このIDAが非常に長期低利――低利と申しますか、むしろ無利子で、手数料だけという、非常にソフトのあれでございますので、低開発国のインフラストラクチュアというところに主として出るわけでありますが、その一番大きなものが、部門といたしましては交通運輸部門、主として道路、鉄道、港湾、運河等に出ております。それから二番目に大きなシェアはプログラムローンでございますけれども、これは主としてインド、若干パキスタンにいっておりますが、これはプロジェクトに対しますスペアパーツその他の部品などが出ておるわけであります。それから二二・五%くらいが農林漁業でございまして、かんがいとか塩田の開発、穀物処理・貯蔵の施設等々の部門に出ております。大体大きな融資先といたしましては、業種別に申し上げますとそういうことでございます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 次に、全般的な対外援助の問題でございますけれども、これはけさほどから非常にたくさん議論がございまして、いわゆる一九七五年を目標にしてGNPの一%という目標を立てて、いわゆる政府の対外的な公約としてその方向に進んでいるわけでございます。これは援助目標として国際的に受け入れられているし、わが国の政府としてもこれを受け入れておるわけでございますけれども、一番問題になるのは、やはりこれが日本国内の他の財政需要とのバランスがどうなっているかという、この問題点だと思います。特に社会開発のおくれが非常に低位である。GNPは非常に伸びておりますけれども、一人当たりの国民所得というものがまだまだ低位に置かれている。こうした日本の国内の経済事情に対してこの一%の援助目標というものが妥当といえるかどうか、応じ切れるものといえるかどうか、この点、ひとつもう一回はっきり御答弁いただきたいと思います。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、けさほどからも御議論ございましたように、七五年までに一%達成を目標として進むという件につきましては、確かに御指摘のとおり、国内のいろいろな財政需要その他との関係がございます。ただ、これはけさも御議論がございましたように、一%と申しましても、そのうち直接財政資金等に関係いたしますのは政府援助の部分でございます。むろん先ほども申しましたとおり、政府援助の部分というのは現在まだ比率が低うございますから、国際的なあれからいたしましてこれはさらにまだ比率を高めていかなければならぬということはございます。これは同時に、御指摘のとおり国内のいろいろな財政需要とどちらをとるか、どううまく調整していくか、こういう問題であることは事実でございます。その点を考えてまいりまして、両方をうまく調整して両立していくようにというつもりでやっていきたいと思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 大臣、これはけさほどもあったのでくどくどと御答弁をいただくのは申しわけないのですが、いずれにいたしましてもこれは政府の対外的な一つの公約である。こういう公約としての援助目標に向かってこれから進んでいくわけでありますが、同時にいま申し上げたとおり国内の財政需要は決して無視できないものがあると思います。ことに国民所得が低いということ、GNPとのアンバランスの問題でございますね、こういう点も考えまして、ほんとうに妥当な目標として今後こうした一%の目標に対する力強い協力姿勢をとり続けていくという御見解があるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 わが国におきましては、いま相反するというか、多少食い違った二つの政策目標を追求しなければならぬ。一つは国内の整備、それからもう一つは国際社会において適正な態度をとらなければならぬ、こういうことであります。そこで、その調和をどうするかということに尽きるというふうに思うのです。そこでその調和の一点をこういうふうに考えておるわけです。  いまGNPは日本はだんだんと大きくなる、自由主義社会ではとにかくアメリカに次ぐというところまで来た日本といたしますと、他の国ではGNPに対しまして一%をこえる援助をしている国が多いわけであります。そういう中においてわが国が一%というところに行かぬということは、日本の世度に臨む立場をかなり苦しくする。そこでとにかくそういう量的な面を充実する、こういう決意を固めなければならぬ、こういうふうに考えますが、しかし国内のほうをにらみますと、ただいま申し上げましたような事情もありますので、そのGNPの一%とはいいますけれども、その中における政府関係援助、こういうものはそう急激には進められない、これは漸進的でなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。そういう点に調整点を求めてこの問題に臨んでいこう、こういう考え方をいたしておるわけです。  ただ、いま古川さんがおっしゃいましたが、わが国では諸外国に比べて一人当たりの国民所得が非常に低い。これは低いというか、人口が多いものですから一人当たりになると十八、九位というのですが、国らしい国というか、人口一千万以上の国というのをとってみますと日本は八、九番目でございます。また五千万人以上の国をとってみると四、五位に位するわけでありまして、この点は必ずしも古川さん御心配のような状態ではないのです。  いずれにいたしましても日本の国際社会における地位というものが非常に高くなってきましたので、その高い日本の国際的地位にふさわしい行動はとらなければならぬ、かような考え方です。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 国民一人当たりの所得がそう低くないということで御反論をいただきました。社会資本の充実のほうは非常におくれているということはお認めになると思います。大いに問題になると思います。したがって今回自動車従量税も出てきたのだと思います。  先ほどこの援助の効果について伺ったわけでありますが、これは相手のあることでありまして、特に技術援助のことでございますが、これは非常に低いということがけさから問題になっておりました。わが国の一九六八年のデータでありますが、二国間の政府ベースの援助総額に占める技術援助額の割合は四・五%と、これは自由主義諸国の二四。一%に比べて非常に低いわけです。   〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕 量も先ほど問題になりましたが、こういう点で質の低さということも問題になってきたわけでありまして、ことに相手国の生産効率が低いとかあるいはコスト高になるというようなことも非常に少なくありませんし、相手国のマネージメントの能力が乏しい、あるいは管理の不手ぎわ、そういったことが非常に援助の効果を低めていると思います。こうした技術援助の割合が低いという点、けさも議論がありましたけれども、もう一度具体的に今後の方策等を含めて御答弁をいただきます。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいま御指摘のとおり、日本におきましては技術援助の率が政府開発援助の中でたいへん低うございます。このことは事実でございます。ただいま六八年の数字を申されましたが、六九年につきましても日本は政府援助の中の五・六%、実額にいたしまして千九百万ドル、平均からいたしますと二七%でございますから非常におくれておるということは申せるかと思います。  ただ、技術援助と申しますのがなぜ日本でいままで少なかったかという点につきましては、いろいろと歴史的なあるいは経済的、社会的ないろいろな理由があったかと思われます。技術援助の多い国を見てみますると、たとえばフランスでございます。それからイギリス等、これはけさ大来先生が申されましたとおり、旧植民地に対しますいろいろな意味の歴史的な関係、たとえばことばの問題であるとかあるいは行政機構の問題であるとか、そういう意味の昔からの関連、歴史的関連というものがございまして、これを維持していきたいというようなことで、技術援助というものが非常に援助の中の大きな割合を占めておるということが言えるかと思います。ところが、そういう意味で日本におきましてはそういうような関係がないということ、それからまた日本におきましては国内経済の急速な発展ということがございまして、技術者、専門家等が不足ぎみで、むしろ国内で十分に働く余地が多い。つまり外国になかなか行きたがらないというようなこともあります。それから語学力の問題というようなこともあるかと思います。こういうようなことで、ただいままでのところ技術援助につきましては、日本のものはわりに少ない比率しかなかったということは事実でございますが、しかし御指摘のとおり、この技術援助というのは今後いろいろな意味で、ほんとうに援助の効率をあげていくという意味におきまして非常に重要な問題でございますので、今後はできる限りの充実をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 技術援助額の割合でございますが、いまの御答弁で、単純にパーセントを比較するだけでは議論にはならないということはよくわかります。ただ日本の技術援助が非常に立ちおくれておるということはお認めになっておるわけでございますか。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 立ちおくれているという意味でございますが、これは全体の援助の中で技術援助の占める割合がほかの国に比べて大きくない、こういう意味で申したわけでございます。これは先ほども申し上げましたとおりなかなか、ことばの関係もございます、国内での需要も多い技術者、そういうような関係もあるかと思います。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 今後技術援助額をふやしていく方向に努力をしたいということでございましたので、これは当然現在おくれておるという認識のもとに立っているというふうに伺ったわけでございます。そういう点を期待してまいりますと、当然技術援助をふやしていく方向に何らかの計画なり考え方というものを持たなければならない。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 そういう点は具体的にいかがですか。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 具体的方策と申しますと、たとえば技術援助関係の予算その他におきましても実は大幅の増額――これはもとの金額がそう多くございませんから、割合で申しますと多くの予算をつけるというような具体的なことをやっておりますが、さらに詳細のことにつきましては外務省のほうから御答弁いただきます。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 日本の技術協力を今後諸外国並みに飛躍的に増加さしたいということで、今年度の御審議をいただいております予算要求の中におきましても、専門家並びに研修員の受け入れに関する待遇改善という点を中心にして予算を編成いたしております。われわれの考え方といたしましては、まだまだそういう点の待遇その他が国際水準にはなっておりませんので、現在国際機関から派遣されました専門家と日本の政府から派遣された専門家がともに相手国で働いておるというようなケースがだんだんふえてまいっておりますので、できるだけその間の差別をなくするということによって、技術協力に従事することが日本人一般の目から見ても決してあまり不利な仕事ではないというふうに予算上持っていくことが、技術協力をふやす一つの方策であるというふうに考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 最後に大臣にお伺いしたいのでございますが、今後の対外援助のあり方についてでございます。援助先の地域でございますけれども、非常にアジア、特に東南アジアに過度に集中しているという意見がございまして、これは何らかの誘導措置で、アフリカ、中南米のほうに分散させる必要があるのじゃないか、こういう議論がございますが、大臣の御見解を伺って私の質問を終わります。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 お話のように、東南アジアに集中されておるというのが今日までの状況なんです。私はそれでいいだろうと思う。つまり、対外援助をする、こういうことになれば、やはりまず近隣から始めなければならぬ、こういうふうに考えます。やはり広く国際社会を見回しました場合に、アジアの繁栄についてはとにかく最も工業力がすぐれた日本の責任だ、こういうふうにも見られるような状態でありますので、それでいいと思うのですが、だんだんとGNPの一%というと、そのGNP自体が大きくなる。しかもその上にいま〇・七五というような状態がだんだんとまた一%に近づいてくる。そこでかなりの額になってくるわけですね。そういうふうになっていくことを考えますと、いままでのようにアジアにばかりこれを集中しているということ、これはそう狭く考えないで、広くアフリカなりあるいは南米なりあるいは中近東なり、そういうところまで手を伸ばしたらいいんじゃないかという議論が出てきておるわけでありまして、私はやはり漸次GNPに対する一%相当額、これがかなりのものになるのにつれましてそういう考え方を進めていったらいかがだろうか、かように考えております。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 いまの御答弁でございますと、何かGNP一%という目標に向かってだんだん伸びていく、そのことによって地域範囲を広げていくというふうにとったわけでございますが、もう一つのほうの観点から、アフリカ、中南米等の資源の開発、こういった点を間接的に援助をしていく、促進をしていくというような観点からそういう考えがあるということについてはいかがでございますか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 わが日本としますと、対外経済協力という、開発途上国に対する責任を果たす問題もあります。しかし同時に、わが国自体がとにかく資源の問題で大きな課題をかかえておる、こういう状態であることはもう申し上げるまでもないわけであります。石油につきましても鉄鉱石にしましても、そのほとんど全部を海外に依存しておる、そういう状態の日本がどういう立場に将来立っていくか。そういうことは最近のOPEC、あの動きを見ても察しなければならぬ問題かと思うのです。そういうことでわが日本の立場から考えても、わが日本人の手で資源を切り開いていくということを考えるべきだと思いますが、それがこの対外経済援助というものと有効に結びつくということになれば最もいい姿ではないか、かように考えます。

古川雅司公明党

○古川(雅)委員 終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 関連質問を許します。広瀬君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 外務省にちょっとお伺いしたいのですが、対外援助五カ年計画というのを目下つくられておるようでありますが、これはいつごろできるのか。この国会中に計画が完成するならば、この委員会に資料として提出をしていただきたいのですが、いかがでございますか。その辺のところはどうなっておるのか。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 一九七五年にGNPの一%援助を実現するというような政府の姿勢もありましたものでございますから、六九年の実績と七五年の予想とを連ねたらどういうふうになるかという点を事務的に検討したことはございますが、省としてそういう計画を作成しておるわけではございませんので、そういう資料はただいまございません。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 これは対外折衝という問題にもからまってくるわけでありまして、あらかじめ計画を作成しておくということはまたそういう面からきわめてデリケートな問題である、こういうふうに考え、金額につきましては一応見通しは持っておりますが、しかしその中身をどうするかということはきわめて困難な問題だ、かように考えます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬(秀)委員 これ一問で終わりますが、大蔵大臣、対外経済協力審議会で、五年後には年間四十億ドルに及ぶ対GNP一%援助ということを対外的にも宣明されておる。これを実行するために、日本としては一つの、かなりたいへんな、いままでの海外経済援助という問題から一歩大きく飛躍した段階を迎えつつあると思うのです。こういう状況にふさわしい機構の整備を、いまのように各省ばらばらでなく、どこでマスタープランができて、そうしてどこでこの経済援助の問題を一元的に扱っていくかというような問題、あるいはまた海外援助に関する行政全体を通じて簡素なものにして、より実効をあげていく、そうしてどれだけほんとうに日本の海外援助というものがあるべき姿において、いろいろ批判はたくさんありますが、この際申し上げませんけれども、そういうものにこたえられる、すばらしい、かつてなき人類未踏の新しいビジョンでりっぱな経済援助が行なわれたと、もろもろの日本に対する今日までの批判というものを完全に克服して、七〇年代の国連再開発の十年というそういう大目標に向かってりっぱにできるためには、やはり担当大臣を置いたらどうかというようなこと、あるいは海外経済協力庁というようなもの、あるいは省というようなもの、こういうようなものをつくってはどうかというような趣旨の、総理の諮問機関であるこの審議会が答申を出されている。中間答申ではあるけれども、検討してもらいたい、こういうことをいわれている。私どもはもっともなことだと考えるわけなんです。そういう立場で、大蔵大臣としてその点をどうお考えになっておられるか、この際それだけ聞いて、私関連質問ですからこれで終わっておきます。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 対外経済協力審議会で機構の整備のことをいわれたその背景には、この仕事がうまくいっていないんじゃないか、こういう考え方があると思うのです。しかし、そううまくいっていないわけじゃありません。これはいまこの仕事を各省に分散しておるわけですが、その中の連絡、融合、調整、こういうものはかなりスムーズにいっておる。そう大きな苦情は聞いておりません。しかしこれからだんだんと、広瀬さん御承知のように対外経済協力が伸びていく、それに応じてはひとつ新らしい構想を持つべきじゃないか、こういうふうに私は考えるのです。ただ新しい役所をつくる、そうするとどうしてもこれは二重機構にならざるを得ない。各省に各省の見解というものがある。ですからそういう部局は依然として持たなければならぬようなことを考えますと、一つ別に役所をつくるという考え方、私はこれはむしろ二重機構の弊害のほうがよけい出てくる、こういうふうに思うのです。  今度政府のほうでは公害担当大臣を置くことをきめまして、内閣法ですかの改正案を提案をいたしておるようでありますが、そのとき私は、総理が二、三人ぐらい閣僚をふやしたい、こういうことをかねがね言っておったのだから、公害担当大臣のほかに。対外経済協力大臣をもう一人増員をお願いしたらどうでしょうかという意見も強く主張してみたのですが、どうも遠慮深い総理は、この際一人にしておきたいというのでさたやみになった。しかしだんだんそういうことを考えなければならぬ時期が来ると思うのです。また皆さんとともにこの問題はひとつ検討していきたい、かように思います。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 堀君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今回の輸銀法の改正にあたりまして、海外援助に対する問題を少し大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。  先ほど大来参考人にお越しをいただきまして、実はさっき佐藤委員も大臣にお伺いをしておりましたけれども、御承知のように一九七五年までにはGNPの一%程度を対外経済協力に充てたい、こういう政府の方針が表明をされておるわけでありますし、さらにまたアンタイイングでやっていこうというような方針も出されておるようでありますが、さっきそういうことで話のありました中で、現在のわが国の政府ベースの状態は、六九年実績で見ると、日本政府援助は総額の三四%で、上限平均は、金利年三・六%、六・一年据え置きの十九・五年払い、DAC加盟十一カ国平均の五〇%、年利二・八%、据え置き六・七年、二十七・八年払いに比べてかなり見劣りがする、こういうふうな報道があるのです。ちょっと事務当局に伺いますけれども、六九年の実績では大体この程度でしょうか。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 そのとおりでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、先ほども実は大来参考人のお話はありましたけれども、ピアソン報告は、政府援助を大体七〇%に上げろ、こういう方向を出しておるわけですね。これから倍にしなければならない、こういうことになるわけです。  そこで現実にひもつきの政府援助ですと、何か援助を与えておるようでありますけれども、実質的には、どうもその援助というのは日本の国内産業に援助を与えておることと同様の効果になっておるような気がしてならないのですね。ひもつきでなくなって、要するに相手国の自由裁量によってその援助が使用できてくれば、これは私はほんとうに援助だと思うのですが、今日までの援助というのは、大来さんも、日本と西ドイツというのは、経済協力というのはどちらかというと輸出推進の一つの手段としてかなり取り入れられてきておるというふうにおっしゃっていますし、援助か貿易かという問題は、そういう意味では援助か貿易かではなくて、援助イコール貿易であった、こういうことであったと思うのですけれども、どうもこれはやはり受け入れ国側としますと釈然としない問題が非常に多いのじゃないか、こういう感じがするわけであります。  そこで私は、少なくとも向こう五カ年くらいの間に一体この三四%から七〇%にできるかできないか。できないとすれば、五〇%だ、六〇%だと、ある程度の目安をつけて、政府援助については少し総合的な計画を必要とするのではないだろうか。それでないと、行き当たりばったりに、どこかから手があがったらそこへ持っていく、こっちから手があがったらそこへ持っていくということでは、私は効率的な海外経済協力ということにならない、こう考えるわけでありますけれども、この点大蔵大臣いかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 私も一つの展望は持つべきだと思います。特にいまお話しの政府関係援助、これは一つの数字をまず持つべきだ。それからなお、その中身についての腹づもりですね。これは政府全体の問題です。外務省が中心になってやらなければならぬ問題ですが、それも検討しておくべきだと思いますが、これはしかし非常に大ワクの話であります。何年度にはどこへどうというような具体的な問題を示すことは、これは外交政策を進めていく上で非常に支障があろう、こういうふうに考えますが、とにかく一つの展望を持つということは大事なことだと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ぜひこれについては、単に展望というよりも、少しやはり裏づけになるところを点検をしながら考えてみなければならないのじゃないか。といいますのは、額だけきめればいいということに実は海外経済協力はなっていないですね。これまでの日本の考え方というものは、額を出しておけばまあまあそれでいいではないかという発想が少し先に立っておったことが、どうも援助受け入れ国側にとっては不満であるような感じがしておるようであります。  そこで、実はちょっと古いのでありますけれども、ことしの四月ごろ、インドネシアのスミトロ貿易相というのが日本に参りましたときにこういうことを言っておるのですね。「インドネシアにおける日本企業の活動には、まだ不満な面がある。たとえば人的資源の育成、地元産業の利用などの点で努力が足りない。農産物や鉱産物で日本が買えるものはもっとあるし、加工の分野で投資の余地も大きい。アジアの多くの国は、日本との貿易が赤字になっている。アジア各国にとって貿易の赤字は、経済建設に欠かせない外貨蓄積を圧迫する要因である。低開発国は外貨の手持ちが少ないし、国際金融市場で簡単に調達することもできない。また国際収支でも慢性的な困難に直面している。日本はこのような困難に直面していない。それどころかその為替レートは、アジア諸国とくらべれば不適当でさえある。必要ならば、日本はアジアからの輸入を促進するため、為替レートの変更をおこなうなど“犠牲”をあえてすることが望ましいのではないだろうか。日本の活発な経済活動はそれ自体何ら困ったことではなく、むしろ称賛しなくてはならないだろう。しかし、非常な繁栄を享受している日本は、近隣の低開発国が直面している経済的な諸困難を認識し、その政策を根本的に考え直す時期にきている。」というのです。受け入れ国側はこういう意見を述べておるわけですね。  この問題の中で、いまの為替レートの問題はちょっとそう簡単に処理できる問題でもありませんし、私も必ずしもこの貿易相の意見に賛成をするわけではありませんけれども、どうもこれまでの北島調査団なり、あるいは小倉調査団の報告をずっと見ておりましても、異口同音に触れられているところは、日本がまだ海外経済協力という問題にきわめて不なれであるというか、未熟練である。要するにアメリカとの対比でいろんな問題が示されておる中で、アメリカはかなり長い期間にわたって海外経済援助をやっていろいろな経験を積んでおるために、きわめて効率的な取り扱いをやっておることを指摘をしておるわけですね。ですから、そういう面から見ても問題があるし、特にこれらの調査団報告も触れておりますし、私もこの前の当委員会でやはり触れたことがあるわけでありますけれども、どうも額の問題のほうに注意が行き過ぎて、量の問題に行き過ぎて、質の問題における協力の問題というのは不十分のような感じがしてしかたがない。大臣はこれらの点についてどんなふうに考えていらっしゃるか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 いまスミトロ経済相の所感を述べられましたが、そういうような気分が各国にあるんだろうと思います。これはインドネシアばかりではない。ことに日本から見ると輸出超過の国が多いのでありまして、そういう点でいろいろの苦情が出てくる、こういう状態かと思うのです。ただ問題は、質と量の両面にあるのですが、量のほうもなかなかこれらの諸国は熱心なんです。相手国の立場からいうと、まず何よりも量だ、その次にとにかく質の問題だ、こういうことでありまして、インドネシアがいま話に出ましたが、インドネシアあたりはかなり日本の量的経済力というものに敬意を払っておる。ところが質の問題ということになりますと、これはとにかくことばの関係というのがたいへんな壁になるんじゃないか、こういうふうに思います。しかしことばにもそういう関係のない、あるいは条件の問題でありますとか、そういうようなことにつきましてはこれからも、わが国の財政とのにらみ合いもありますが、できる限り前向きで考えていかなければならない、そういうふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 質の問題のところで、さっきちょっと私はここで触れましたけれども、政府ベースの非常な引き下げと同じように、要するにソフトの程度がDACの十一カ国に比べてまだかなりハードですね。これは日本は外貨の蓄積もできた今日、せめてDAC十一カ国と平均のとれる程度の条件ということになってしかるべきではないだろうか、こう思いますが、大臣この点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 そういうふうに早くしたいものだ、こういうふうに思います。しかし、先ほどからもいろいろ御議論がありますように、国内の問題との調整は一体どうなるんだ、国民感情をどう思うんだ、こういうような議論も一方に強くあるわけであります。そういうところの調和をとりながらいく、こういうことじゃないか、そういうふうに思います。しかし日本がここまで経済力が伸びてまいりますと、よその国並みのことはいたしませんといろんな非難を受けますので、国会でもいろいろ御論議があることかと思いますが、だんだんそういう方向に近づけていきたい、そういう気持ちでおります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで事務当局に少しお伺いしておきたいのですが、いまインドネシア政府の予算の中で援助が果たしているウエート、これが、すでに予算として出されているものは四十五年ですか四十六年になるかよくわかりませんが、どのくらいのウエートになっているか、お答えをいただきたい。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 正確な数字は何でしたらあとから……。私の大体の感じといたしましては、インドネシアの予算の中で、経常予算のほうは最近は黒字になってまいっておりまして、開発予算の赤字をそれで埋めていく。開発予算のほうの約三分の一くらいがいまの経常予算のほうからの予算でまかなわれておりますが、あとの三分の二くらいはやはり援助といいますか、そっちのほうでやらないといかぬ。その援助と申しますのは、これは御承知のとおり、実は商品援助の見返り資金でございまして、これにつきましては、先週も世銀の東南アジア担当部長が私のところに参りまして話をいたしましたが、やはりそういう意味で商品援助というのは向こうの予算上の関係からちょっとやめるわけにはいかないので、当面は続ける必要があるのではなかろうかという世銀としての判断を言っておりました。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ちょっと私もインドネシアの予算は詳しくないから何ですが、予算全体として見まして、結局何%くらいをいまのBE援助によっているのか。それだけではなくてほかのものもあるかもしれませんが、外国援助による予算の全体のうちのウエートですね……。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 手元にございます資料によりますと、一九七〇年代の予算で経常予算について申しますと、収入が三千六百四十億ルピア――大体一ルピア一円程度というふうにお考えになってよろしいかと思いますが、支出が三千百億ルピア、余剰が三百六十億ルピアでございます。これに対しまして開発予算のほうは、収入が千六百五十倍ルピアでございまして、このうち商品援助部分が――七一年度の数字のほうがわかりやすいと思いますのでそれを申し上げますと、開発歳入は千六百九十二億ルピアでございますが、そのうちプログラム援助による分が千三十一億ルピア、プロジェクト援助が六百六十一億ルピアでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 結局何割ですか。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいま申し上げました開発歳入は全額が援助でございます。これを通常歳入で申しますと四千百五十九億ルピアでございまして、歳入合計が五千八百五十一億ルピアでございますから……。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 三〇%弱、二七、八%ですね。――そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、一国の予算で外国の援助が三〇%近くもあるような国というのは、その他にどこかあるでしょうか。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 ただいま正確な数字を手元に所持いたしておりませんので正確にはお答えできませんけれども、一般に後進国で援助を多額に受けております国、すなわちインドネシア、パキスタンあるいはセイロン、それからブラジル、アルゼンチンというような国は相当多額にのぼっておると承知いたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 まだしばらくやっていますから、さっそくそれをちょっと一ぺん調べてくれませんか。一体援助が幾ら歳入の中に占めておるか、ちょっと電話でもけっこうですから調べてください。  その次に今度は輸入の問題ですが、インドネシアの輸入額の中で援助は一体どのくらいになっているのですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 手元にございます資料では、六九年一月から七〇年三月までの数字でございますが、総輸入十一億八千三百万ドルに対して援助の金額が三億九千三百万ドル、三三%ということになっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 これも実は非常に多額にのぼっておるのですね。いまの予算に占めるウエートと同時に、輸入額に占める援助のウエートも、インドネシア、パキスタン、セイロン、ブラジル、アルゼンチンについて、あわせてちょっとお調べを願いたいと思うのであります。  そこで、このインドネシア援助の問題というのは、すでに指摘もされておりますけれども、一国の経済が外国の援助を受けることは確かに必要な点はあると思います。しかしそれは少なくとも適正規模による援助でありませんと、その適正規模を越えた援助を受けておれば、その国が独立国である限りは、借りた金はどこかでどうしても返さなければならぬと思うのです。返すためにその国は、相当な時間がかかるにしても、私はどこかに限界があると思うのです。その国の現在の経済力、それから何年かの間に成長をしながら国の経済力が上がってくると思いますけれども、こういう上がってくるというものを推定して今日考えてみると、要するにいまのインドネシア援助国が、個々の問題よりもトータルとして、インドネシアに与えて、今後債務償還についてインドネシアが過度の負担をしなくても済む限界というものが、私は経済問題でありますから当然あろうと思うのです。それを越えたものをもし援助をすれば、そのことはやはりかえって自立を妨げる。当面的にも自立を妨げるわけですね。これは依存が強くなるわけですから自立を妨げる。同時に将来的にも、債務の償還について非常に大きな負担を負わなければならぬ。こういう点でインドネシア経済協力の問題もそろそろ額的にはもう限界に来ておるのじゃないか、こういうふうに私は感じておるのですが、大臣はその点はいかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 お話のとおりなんです。この援助問題は相手国の財政とかそういうものから発想されているのではないので、国際収支をいかにバランスするか、これがとにかくインドネシア立ち直りの基本である。その障害になるのは何だというと、まず第一にスカルノ債務である、こういうので、まず一方においてスカルノ債務のたな上げをしよう。それから一方においてインドネシア経済の長期計画を立てる、そしてその長期計画の見通しに従って国際収支を補てんしてやるという考え方に立とうじゃないかという債権国会議の考え方であります。それでお話しのように大体この一両年が山に来ている、こういうことでございまして、事実物価もかなり安定度を増してきまして、昨年あたりは七、八%くらいの上昇にとどまるような状況になってきておるわけでございます。私いまここでそういう具体的な数字を持っておりませんが、考え方は、そういうインドネシアの将来を展望しまして、経過期間においてどの辺の援助をすべきか、こういうことで国際機関と相談をし、日本にもこれくらいはお願いしたいということを言ってきておる、そういうふうな状況でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで結局、さっきも触れましたけれども、要するにインドネシアについては量の問題はそろそろ限界が来ているのであって、まさにこれは質の問題に転換をしなければならぬところに来ていると思うのです。そこで実はこの経済協力の中では、いま商品援助とそれからプロジェクトの援助と、それから技術協力と、こういうふうな形になっているわけでありますけれども、この商品援助の問題は、いま世銀の方も急にはやめられない、こう言っておられるようですが、方向としてはやはりこれはだんだん下げるべきじゃないのだろうか。商品援助で物価が安定している、その商品援助で物価が安定しているのでは、これは下げればすぐ上がってしまうのですね。同時にそれはインドネシアの非常に重要な、スカルノ時代の問題を点検しても、インフレーションによってせっかくの援助が有効に働かなかったという問題があるのだから、どうしてもやはりそこには、私がさっき触れたように、ある程度計画的に商品援助を下げていくというようなプログラムなくしては、もうそういう商品援助を当分はやめられないというだけでは、ちょっと私は問題の解決になりにくいのじゃないか、こういうふうに思うわけです。大臣その点はいかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 ごもっともだと思います。そういう方向で話をしたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで商品援助は下げる。しかしやるべきものは、私はやはり一番大きいのは技術援助ではないだろうか、こういう感じが強くしておるわけです。技術援助については、実は対外経済協力審議会も技術援助のあり方についてという中間報告を出しておられます。この中で、たくさんありますからあれですが、これは厚生省がいないとまずいのですけれども、医療援助の問題というのがこの項目の中に一つあるのですね。この医療援助などということは、日本が少なくともアジアの中では最もすぐれた医療の水準にあるわけですし、さっき大来さんも、これはインドネシアのことはどうかわかりませんけれども、低開発国での一つの重要な問題は人口問題だ、こう言っておられるわけでありますから、これらの人口問題に対する対策等もやはりある意味でのそういう医療衛生の思想といいますか、ものの考え方の普及ですね、そういうことから異常な人口の増加というものを適正な規模に乗せるというようなことにも非常に役立つことでもあるし、ここに各種の報告がされておるわけですけれども、一般的にいって私は、大蔵省の発想はどうももう一つそういうところに金を使うことが消極的なような感じがいたしてしかたがないのです。  まず、橋口次長も見えておりますから、大体この前もここで議論をしたのですが、賠償関係以来日本は、インドネシアからもそうでありましょうが、プロジェクトとしていま留学生を受け入れる、こういうシステムが一つありますね。この留学生の問題というのはこの前もちょうど、昨年でありましたか、当委員会で論議をいたしましたときにも少し新聞に出たりしておったのでありますけれども、これらの待遇の状態がどうも不十分である。せっかく日本に来た留学生が――本来なら留学生というのは、その国に行くとその国のことを理解をして、その国の支持者という形になるのが望ましいのですが、日本の場合は、どうも留学生が来ると、これが逆の方向になってその国に帰るという傾向が強いという中には、どうもそこらに予算を少しけちけちしているというか、その他の均衡などというような、どこにものさしを置いておるのかよくわかりませんけれども、非常に不十分な点があって、もう少し留学生ならば快適な留学生活をおくらせるということなくしては、私はこれほど非効率な経済協力はないという感じがするのですが、大蔵大臣、その点はいかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 これもそういうふうに思います。せっかく金をかけても、帰ったら反日運動家になるというようなことをよく聞きますが、その辺は金の問題ばかりじゃないと思うのですね。予算とすれば、四十六年度予算でもかなりの改善をいたしておるわけであります。これはもう堀さん御承知でしょうから申し上げませんが、あるいは滞在の費用だとかあるいは渡航の費用だとか、いろいろな面でかなりの配慮をしておるわけです。何でしょうか、日本の社会環境というものも影響するのでしょうか、あるいはその社会環境の中における留学生の訓練、教育、これのやり方に問題があるかもしらぬ、こういうふうに思いますが、とにかく、せっかく金をかけて、そうして帰ってもらったらそれが反日行動をするんだというのでは元も子もないことになりますので、その辺はなおよく気をつけなければならぬ、かように考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 その問題の背景はどこにあるかというと、結局、日本の東南アジア諸国に対する理解が不十分だということだろうと思うのですね。ですから、そういろ人たちのいろいろなサークルに――日本人であってもその地域の諸事情に詳しい人がもしたくさんいるならば、その人たちの間にもう少しいい条件ができるのではないかと思うのです。ところが残念ながら――そういうような国にいろいろな、日本の大学の先生でも、そういう人たちにできれば少し教えに行ってもらうなり、何らかもう少しこの人たちをそういう国に出して、同時にその国の風俗習慣を十分承知をして帰ってもらう、そうして帰ってもらった人は今度はその地域の人たちのいろいろな指導に当たるとか――何といいますか、いま日本がやっていることは非常に上っつらのことだけをやっていると実は思うのです。もう少し奥行きのある問題をやらなければこの問題は解決しないのではないだろうか、私はこういう感じがするわけです。  何かで読んだのですけれども、ある東南アジアの国で、ここへやってくるのは要するに全部商社の人間だ。貿易関係の人間が来る。たまに学者が来たから、ああこれは日本から珍しく学者が来たと思ったらこれは経済の専門家だ、こういうあれを読んだのです。なるほど日本というのはいま、東南アジアというものを経済的対象としか考えていないということを、向こう側が裏返して感じ取ったのだろう、こう思うのでありますけれども、やはりそういう意味では、もう少し文化的な側面なり学術的な側面なり、そういう経済以外の分野におけるこれらの低開発国との交流なり、そういう地域に対する理解を深めるための予算、こういうものを――予算だけじゃいけません。これは当然文部省も考え外務省も考え、何らかのそういうような経済援助でない交流が、結果としてはいまのような誤解やその他を除いていくための長期的な道筋として必要なことではないか。どうも日本人というのは、金が乏しいものですから、何かやるときには短焦点でものを見て、目先の利益が先にくるのは、これは貧しかった日本の過去における状態からだろうと思うのですが、少なくとも、言われるようなGNPの問題にしても、経済大国などということばから見ても、どうもやはりそれは経済的な側面ばかりに比重がかかっているので、もう少し内容的にも文化なり学術なり科学なり、こういうものを含めた交流にもっと費用を使うことが技術援助のべースをつくることになるのではないか。ベースをつくらなくて、上だけのことをやっている中に誤解を生む多くの原因がある、私はこう思うのです。  だからそういう意味では、私がさっきから申し上げておる、政府の経済援助ベースというものは、単に外に予算を出すだけが経済援助ではないのではないか。そういうべースを整備するためにかなりの費用を使うことは、これは私は国民としてそんなに非難をすることに当たらないのではないか。やはりわれわれは将来にわたって隣邦諸国と仲よくしていき、同時に、われわれの明治初年から今日に至る成長の過程は、ひいてはこれらの諸国にも成長をしてもらうために、ちょうどわれわれが明治時代にイギリスからあたたかい手を差し伸べられたように、当然私はそういう形でも手を差し伸べていかなければこの問題の基本的な解決にならない、こう考えるのでありますけれども、そういう点では、少し今後の予算の作成にあたっては――ここには文部省見えませんが、外務省も特にそういう点については、そういう基盤整備の予算の問題等を十分に考えてもらいたい、こういうふうに思うのですが、大蔵大臣いかがでございましょう。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 全く同感であります。外務省その他の関係者とよく相談します。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それではあとちょっと具体的なことをお伺いをしていきたいのでありますけれども、七〇年の四月の例のパリ会談の取りきめによって、あとは二国間協定で、二国間の交渉でこの問題を処理するということになっておるようでありますが、現在その他の債権国はどういう状態になっておるのか、ちょっと現在の時点でお答えを願いたい。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、オランダとフランスにつきましてすでに二国間協定ができました。それから債権国会議のメンバーではございませんが、ソ連が同じような協定を締結しておる。あとの国につきましてはそれぞれ近々にやるというところ、あるいは準備中であるというふうに承知いたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、いまの状態ではこの債権国会議の中でまだ多数がきめたということになっていないということになりますね。どうでしょうか。  輸銀法の十八条の九号と、それを受けてその次の十八条の二の五項のところにずっと書かれておることは、そういう債権国会議でものをきめたときに、それが多数になったときには、十八条の九号のほうで「本邦の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流を促進するため、本邦から設備等の輸入又は技術の受入れをした者で当該輸入又は受入れにより本邦法人又は本邦人に対して債務を有するものにおいて当該債務を履行することがその者の居住国(その者が外国政府である場合には、当該外国。以下この号及び第十八条の二第五項において同じ。)の国際収支上の理由により著しく困難である場合において当該居住国の政府、政府機関又は銀行に対して当該債務の履行の円滑化を図るために必要な資金を貸し付けること。」こうあって、十八条の二の第五項に「前条第九号の規定による資金の貸付けは、同号に規定する債務並びにこれに類する債務で本邦法人及び本邦人以外の者に対するものの履行がこれらの債務を有する者の居住国の国際収支上の理由により著しく困難であり、かつ、これらの債務に係る債権を有する者の居住国(その国に係る当該債権の総額が他に比して著しく少ないもの及び日本国を除く。以下「主要な債権国」という。)が相当数ある場合であって、これらの債務を有する者の居住国の政府が当該事由に基づき日本国政府及び主要な債権国の政府の全部又は大部分に対してこれらの債務の履行期限の延長又はこれらの債務の履行の円滑化を図るために必要な資金の借入れのあっせんその他の措置をとることを求めている場合において、当該措置を求められた主要な債権国の全部又は大部分において当該措置がとられることが確実であると認められるときに限り、行なうことができる。」こういうふうに書かれているので、「全部又は大部分」と、こうあるのですが、これはやはり二国間交渉が行なわれたことをさしておると私は思うのですが、この点は法律的にはどうでしょうか。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 現在の輸銀法に基づきまして、確かに御指摘のとおりのあれでございます。それから今回御提案申し上げております輸出入銀行法による貸付金の利息の特例に関する法律の第一条でも、やはり「他の主要な債権国と協調して」ということがございますが、それはむろん昨年の四月の債権国の申し合わせによりまして、各国はそういう方向で全部今回の長期無利子の繰り延べをやるという合意が――これは代表者間の合意でございまして国の合意ではございませんが、できておりますのでこれにのっとりまして、わが国といたしましてもその線に沿って二国間交渉ができるように、法律上の措置をお願いを申し上げておる次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 わかりました。だいぶゆるく書いてあるから……。実際は確実にならなければできないのかと思ったが、よろしいでしょう。  そこで、今度の取りきめによって、結局インドネシアは実際にこの取りきめがなかったときに比べて、取りきめの結果一九七〇年からとりあえず一九八〇年までの間には一体どのくらい負担が軽減されるのか。今度の取りきめの効果ですね、インドネシア側に対する効果。いまあなたのお話ではソ連もこの取りきめに加わったということでありますから、これから償還しなければならぬ債務がくるものの中には、かなり実は社会主義圏の部分がたくさん先にきますね。そうなっているようですが、おそらくソ連がこのコンソーシアムの結論に同意してあれば、その他の東欧諸国もおそらくこれに同意をするものだろうと思いますけれども、その結果インドネシアのほうは一体どのくらい負担が軽くなるのか、それから今度逆に、日本の場合はその結果どのくらい負担をすることになるのか。当年度の場合は四十二億円ですか、すでにはっきりしておりますが、これは当年度だけのもので、向こう十年間くらいにこの処置が及ぼす経済的な影響というのはどういうことになっているか、御答弁願いたい。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 ただいまの御質問でありますが、本件に関しまするインドネシアのいわゆるスカルノ債権の総額は約二十一億ドルでございます。その中でわが国の分は九千三百七十万ドル程度。こまかい点につきましては、これは今後二国間交渉で詰めなければいけない金額であるかと思いますが、大体におきまして九千三百七十万ドルが二十一億ドルの中のわが国の分でございます。そのうちでソ連はたしか七、八億ドルであったかと思います。  それで、わが国のほうの負担といたしましては、いまの九千三百七十万ドル程度が三十年無利子ということで延びますので、その間のいわば当然新しい繰り延べによって返ってきます分と、それから期限どおりに返っていたならば償還を受けたであろうという分の差額がネットのお金になるかと思います。来年度における輸銀に対します一般会計の貸し付け額は四十二億円というふうに予算で算定いたしておりますが、これは来年度の返ってくる分とそれから新しくくる分の差額でありまして、今後はだんだん減ってくる。これがピークを過ぎますと、今度は逆に返済のほうが多くなってまいります。したがいまして、そのピークでたしか二百七十億円くらいになるかと思うのですが、その後は返済でございまして、結局最後には全部済んでしまうということであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、いまのお話でちょっとわからないのですけれども、九千三百七十万ドルが、われわれが今度負担をして、長期延べ払い、長期の分割と、それから新たな利子部分の棒引きということになるのでしょうけれども、いまのピークで二百七十億円というのは、今後何年くらい先にそのピークが来るでしょうか。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 五十三年度でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、いまのこの問題をささえるインドネシアの新五カ年計画というのは一九六九年からスタートしておりますね。そこで、一九六九年からこの新五カ年計画がスタートしておるわけですけれども、さっき私がちょっと触れたいまの商品援助その他、こういうものとインドネシアの五カ年計画はどういう形で組まれておるのでしょう。要するに、インドネシアが経済五カ年計画を組む以上は、さっき私が触れたように歳入の二七、八%、輸入の三四%ですか、それが実は海外経済協力なんですね。そこでそういう海外経済協力のある国が五カ年計画を組んでおる。これを除外視して五カ年計画組みょうがない。そうするとインドネシアの五カ年計画というものは、一体商品援助をどういう形で五カ年計画に織り込んでおるのか、あるいはいまのその他の政府系の援助、これはどういう形で組み込んであるのでしょうか。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 インドネシアの開発五カ年計画の中に開発予算とその他の予算がありまして、開発予算の中で商品援助見返り資金というのが計上されて、それが開発予算総額の約三分の一程度、五カ年間ずっと計上されておるわけでございます。この商品援助は、当初の段階ではインドネシアのインフレーションを防止するために物を入れるという考え方でございましたが、現在は開発予算の財源が商品援助で入れましたものの売り上げのルピアによりまして見返りになっておる。むしろプロジェクト援助に対するインドネシア側の国内通貨分の見返りが、商品援助のルピアで出されておるというような関係になっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると大臣、さっき私が申し上げた、やはりだんだん減らしていくべきだ、商品援助を減らしていくべきだ、同感だとおっしゃったのですね。われわれの側としてはそうしたい。向こうはそれはだめなんで、もう商品援助三〇%でずっと五年間組んでいるのだ、こういうところは今後一体どういうことにしていくべきなのか、問題が一つあると思うのですね。私はいまさっき触れましたように、要するにいまや商品援助がビルトインされたかっこうになっておって、それでインドネシア経済はずっといくということになれば、将来ともはずせなくなってしまう。こういう問題はこれはやはりコンソーシアムなんかの中で、そういう計画でなしに、やはり少しずつウエートが下がりながら、たとえば貯蓄増強だとか輸出増進だとか、インドネシア自身の力の中でそれが置きかえられるような計画を組むようなサゼスチョンなりそういうことをしていかないと、すでにその中には既定の事実としてそういう援助が組み込まれてしまった、五年もたつとこれは経済的な体質の中にビルトインされて、要するにこれははずすことができなくなるということになりかねない、こういう感じがするけれども、その点大臣いかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 そのとおりと思われます。ですから、内政干渉というふうになっては困りますが、その辺はよく心得ながら話し合いをしなければならぬ、かように存じます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこでもう一回援助の問題に返りますけれども、いろんな調査団の報告によりますと、アメリカのターン・キー方式というようなことが効率をあげておる、こういうふうにもいわれておるわけですね。さらにアメリカの場合には国際開発執務規程というようなルールが設けられていて、開発をする場合にはきわめて合理的な方法をとっているということが報告書の中にもあるのです。私もさっきからいろんなことを申し上げている中で、このプロジェクトのような援助については、日本側としても、アメリカ側がいろいろやっておることをもう少し取り入れて、合理的に援助を効率化させるということが非常に重要だと思うのですが、日本にはそういうような、いまアメリカがやっておるような国際開発執務規程というような、何かのルールはあるのでしょうか。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 現在われわれの執務規程の中にそういうふうなルールはございません。しかしながら、経済協力の効果がどういうふうになっておるか、かつまた今後の援助をいかにして効果的に進めるかということで、昭和四十三年度から経済協力効果の調査の予算を持ちまして、随時調査団を相手国に派遣いたしまして調査をしております。そうしてその結果の報告書をもちまして、われわれは今後の実施に際してこれを指針に、参考にしていくということをいたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は私がちょうだいした資料というのは、いずれも昭和四十二年、三年の資料ですね。いまあなたのほうで調査費用をとっておるというわけですが、四十四年、五年は何かほかの調査があったのでしょうか。承知しておるのは、北島調査団と、小倉調査団――アジア経済研究所が委嘱された経済調査団の報告はちょうだいしたのですが、さらに新しいそういう調査報告というのがあったのでしょうか。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 四十三年度にはインドネシア、韓国、西パキスタン、インドの四カ国を調査いたしました。四十四年度には東パキスタン、インド、中華民国の三カ国を実施しまして、四十五年度の予算をもって目下タイを調査しております。それからビルマにつきましては、先ほど大来参考人に対しても御質問がございましたけれども、野村総合経済研究所でございますか、これに委託しまして、ビルマに対するわが国の援助を一括調査を依頼いたしております。  調査の結果につきましては、現在部数が足りないということで提出不可能なものもございますが、調査結果は報告書の形において公表いたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それでは、私、北島報告とそれから小倉調査団の報告しかないのですが、この報告が日本の経済援助についての問題点を指摘していますね。ちょっとあなたのほうから簡単に問題点を要約して答えてもらいたい。両方読んでみますと、北島報告も小倉調査団の報告も、この問題点の指摘の角度は同じように思います。おそらくあとの、あなたが調査したと言われた国のいろいろな問題もやや似たものがあるのではないかという感じはするけれども、ここがきょう私は大臣との間に問題の角度として取り上げておるわけですけれども、どうもそういうふうな調査が行なわれて、それについての問題点指摘はあるけれども、どうもそれがあとに生きておるかということについての疑問があるわけです。率直にいいますと。日本の場合には、この間も農地法の問題でちょっと触れましたけれども、何かやるときには最初非常にあれですけれども、あとのトレースが十分でないために、どうも効果、効率のあがらない場合が多い、こういう感じが非常にしてならないのですが、その点について、ちょっと簡単にあなたから話してもらって、大臣の所見を聞きたいと思います。

沢木正男外務省経済協力局長

○沢木政府委員 インドネシアに対する援助で指摘されております点は、すでに御承知のとおり、総合的な観点からの経済協力の推進ということで、政府ベースの援助と技術協力あるいは民間投資等がばらばらである、それをもっと相互連関させて、政策的に推進する必要があるということが大きく指摘されておるわけであります。商品援助とプロジェクト援助につきましても、ただいまお説のとおり、商品援助がビルトインされた形になってインドネシア経済をゆがめないかという心配の点から、今後プロジェクト援助のウエートをふやしていくべきだ。それからこの援助の対象分野につきましても、農業関係、工業原料の開発増産あるいは輸入というような点が指摘されておるかと思います。そのほか技術協力の重要性、それからプロジェクト援助実施上の留意事項、インドネシアの自助努力というような指摘をされておるわけであります。  ただいま商品援助について御議論がございましたが、先生のおっしゃったような議論は、われわれインドネシアのIGGIグループにおいて一昨年、昨年と非常に強力に主張してまいったわけであります。このインドネシア援助はIGGIというインターナショナルグループで議論がされておりまして、かつそれのもとになる提案はIMF、世銀がつくっておる関係もございます。したがいましてその段階から関与しなければ、会議の段階のみでそういうことをいってもなかなか日本の意思が通らないというようなことから、現在専門家を向こうの計画庁あるいは運輸省あるいは農林省のようなところに入れまして、平常からアドバイスを行なっていくという方式に切りかえておるわけでございますが、なかなか日本の言うとおりには相手がならないという面もございますし、アメリカの援助がひもつきといわれますのも、結局援助をやるかわりにいろいろなことをしろということをあまり言いますと、これが内政干渉、政治的なひもつきであるという意味に解されますので、そういう轍を踏みたくないというような問題もありまして、われわれはその辺をできるだけ国際的に非難をこうむらないよう、なおかつ日本の援助政策に合致するように持っていきたい。  それから技術協力と資金協力との関連ということも、その後、たとえばインドネシアにおきましてもアジ銀の金で開墾をやり、それの技術者を日本の技術協力援助で出しておるというような、国際機関との資金と技術との組み合わせによります協力、それから技術協力予算でもって実施設計しましたものを資金援助して、プロジェクトとして拾い上げていく、あるいは逆にプロジェクト援助としてきまりましたものについて、そのフィージビリティー・サーべーを技術協力で行なうというような関連づけを徐々に深めておるのが現状であります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 さっき大臣もおっしゃいましたように、直接にわれわれがインドネシアに対して何らかものを言うことは、これは非常に私は問題が生じると思うのですが、せっかく債権国会議というものがあるのですね。少なくとも米、伊、独、仏、日、英、蘭という、これらの債権国会議加盟国の――私どもが言っておるのは、何も日本の利益のために商品援助を減らすとか、そういうことを言っているわけじゃないのですね。インドネシアの将来の発展のために、これがビルトインされることは将来非常に問題を残すおそれがあるから、計画的に自立をさせる、そういう一つの手段としてそうしていくほうがいいのではないかという発想に立っておるわけですし、経済援助の額を減らそうということもそういうことにほかならないのであって、それは単一の国からいえば明らかに内政干渉になると思うのですが、これらの債権国会議の議題となって、これらの債権国会議が一致してひとつそういうことにしようじゃないか、同時に、いまのそれらの問題については世銀がいろいろな人を入れて、政府の中にも人が入っておるように聞いておるわけでありますから、そういうふうな意味でこの問題を処理していかなければ、せっかく調査団を出して結論が出ても、それはものが言えないのだなどということであったのでは、長期的に見てほんとうの援助、協力にならぬのではないか、私はこう思うのでありますが、大臣、その点はいかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 それはまことにそのとおりと考えます。債権国会議が幸いにしてあるのですから、その場において言いづらいことは言う、こういうようなことは適切な考えだと思います。堀さんは過去に行なった援助、これをトレースせい、こういうお話ですが、これは大事なことだと思います。私もそう考えまして、去年の夏、いままで与えた借款の総トレースをしたわけなんです。そういうトレースをした結果、先ほど来政府委員から、あるいは私から申し上げているように、いろいろな反省が出てきている、こういうふうに御承知願います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 あわせて、実はこれらのいろいろな調査資料の問題は、私どもも直前にならないといただけないので、必ずしも十分に目を通すことができないのですが、片や経済協力基金が出しておられる資料もありますけれども、特にインドネシアの場合は、今後とも日本が財政資金をもって処理をしなければならぬいろいろな問題がまだ相当に残っておるわけですね。さっきもお話がありましたように、少なくとも二百七十億円というピークまで今度の問題について財政負担を考えていかなければいかぬという問題もあることでもありますので、それらの点については、もう少し要約をされたインドネシアに関する調査団の報告等の資料をひとつ当委員会に提出をしてもらいたいと思いますね。これはすでに三年も前の話で、私どもが今日この問題を議論するためにはどうも資料が非常に不足しておるような感じがいたしてなりません。どうかいまの、インドネシアのわれわれがこういう負担をする以上、その負担を正当化できるだけのいろいろな資料は少なくとも当委員会に提出をしてもらって、私どもの審議の参考になるとうにしていただくことを強く要望しておきたいと思います。  以上でこのインドネシア輸銀関係の問題のほうをあらまし終わるのでありますが、最後にちょっと一点だけ、けさ佐藤委員が論議をいたしました中の法律的解釈なんですけれども、さっきの十八条の二の一項の二ですか、「当該貸付に係る資産の償還、当該割引に係る手形の支払、当該取得に係る公債の償還又は当該保証に係る債務の履行が確実であると認められる場合」にいまの一項の資金の貸し付けができる、こういうふうにこの法律の体系ができておりますね。そして業務としては、十八条の一項九号、それからいまの十八条の二の五項、こういう形になって、「日本輸出入銀行は、次の各号に該当するときに限り、資金の貸付、手形の割引、公債の取得又は債務の保証を行うことができる。」こうなっておるわけですね。その次にはいまの「債務の履行が確実であると認められる場合」という限定を置いてこの問題ができておるのですけれども、私はどうもこの輸銀法のたてまえからすると、やはり何にしても債務の履行が行なわれるという前提でなければ、いまの十八条の九号も、十八条のそれを受けてきた五項も働かない、こういうふうに理解をするのですが、これはちょっと法制局を入れていませんからあれですが、どうですか。そういう解釈でいいんじゃないですか。

稲村光一大蔵省国際金融局長

○稲村政府委員 先生御解釈のとおりであろうと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、輸銀総裁の御発言、正確にちょっと記憶しておりませんけれども、輸銀としては債務の履行の行なわれる国に限ってやりたいと思うけれども、政府から言われたらしかたがないような話が、さっき実は答弁の中にあったのです。そういうことでしたでしょうか。輸銀総裁にちょっとお伺いします。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 これはしかたがないというと語弊があるのでございますけれども、債務の履行が確実であるかどうかという見通しにつきましては、それぞれいろいろな見方があるわけでございます。輸出入銀行というのは、どちらかといいますと金融機関でありますから、非常に心配をするわけでございます。それから、そういう政府の機関でございまするから、政府の御意向も承ってやる。政府のほうがこれは確実ではないと言われたら、当然しないことは明らかでございますけれども、政府のほうがもうだいじょうぶだろうということを言われまして、いろいろ政府として関連する措置をおとりになります場合には、やはり確実であろうということでやるというふうになるということを申し上げたわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 しかし、総裁、この規定はあくまで輸出入銀行法ですから、要するに輸出入銀行の判断が優先をするための法律だと思うのですね。ですから、私さっきからちょっとこだわっておりますのは、確かにおっしゃるように政府が何かしてもらいたい、こういう話があると思います。しかし、少なくとも輸出入銀行は独立した機関ですね。政府の部局ではないと思います。独立した機関であって、その独立した機関は少なくともこの法律に基づいてものを行なうことにならなければならぬのではないか、こう考えますと、実態は別として、総裁の御答弁が私はどうも輸出入銀行に主体性がないようなふうに受け取れてしかたがないのです。ですから、やはり一つの輸出入銀行法という法律に基づいて、第一条に「日本輸出入銀行は、金融上の援助を与えることにより本邦の外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため、一般の金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」それから第二条に「日本輸出入銀行は、公法上の法人とする。」こういうふうになって、独立の人格をここに規定しておるわけでございますね。そうすると、実態的にはある程度皆さんが政府の意見を聞かれて、債務の履行が確実であるかどうかということをおきめになる参考に政府の意見を聞かれることは私は当然だと思いますよ。しかし、どうもあなたのお話を聞いておりますと、政府がいいと言ったらいいんだ。どうも話が逆のようになっているようですが、政府がどう言おうとも、最終的な決断は私は輸出入銀行にあるのだと思うのです、この法律の書き方は。ですから、政府の意向は参考には伺います、しかし、決定は輸出入銀行が決定をすることで、輸出入銀行として債務の履行が確実であると認めたからやりましたという話になっておりませんと、どうも私はきょうの御答弁を聞いておりますと、さか立ちしておるような感じがしてしょうがないのですね。ですから、そこの点はどうぞひとつ、輸出入銀行総裁は大蔵大臣と対等にものを考えてもらわぬと、大蔵大臣が言ったら輸出入銀行が右を向いたり左を向いたりするのでは、私は法律を正確に実施していただいておらないような感じがしてしかたがないのですが、輸出入銀行総裁、どうかひとつここでき然とした輸出入銀行の独立性に関する発言をしてもらいたいと思います。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 政府機関でございますから、政府が何をしようとわしは知らない、かってにやっていくのだというところは、率直に申しまして私はなかなかできないと思います。たとえばリファイナンスの問題とか何とかいう問題が起こりました場合に、われわれのほうといたしましては、先生が御採用になりました条文その他から見まして、輸出入銀行としてはどうであろうかという点は政府に申し上げるわけでありますけれども、たとえばリファイナンスのような場合におきましても、輸出入銀行をしてリファイナンスさせるという協定をお結びになっておって、これはもう絶対にやらないんだと最後までがんばれるかどうかという問題になりますと、これはやはり政府と御相談の上でやるということは、われわれといたしましてはその政府の判断を参考にするという点もございますけれども、政府があくまでも責任をとっていただくという前提で仕事をしなければならない、かように思っておる次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまの話を聞いていますと、リファイナンスをきめる国際会議に出るときに、輸出入銀行に何の相談もなく政府はリファイナンスをきめておるのですか、大蔵大臣どうでしょうか。それならこれはちょっと重大だと思うのですよ。要するに、憲法によって、行政府は法律の定めたところに従ってやらなければいかぬ、こうなっているのですから、少なくとも独立機関である輸出入銀行がある以上、輸出入銀行に、リファイナンスをやるについては政府としてはこの債務の履行はだいじょうぶだ、あなたはどうだろうか、輸出入銀行側としては多少の不安があるかもしれません、あるかもしれませんけれども、しかしそれについて政府が何らかの措置をして、そのリファイナンスがうまくいかないときは政府が補償するなら補償するとか、何かしなければ、それはちょっといまの法律に対する行政官庁の職務の執行上、瑕疵があるような感じがします。大蔵大臣いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 十分連絡をとりつつやっているはずです。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 やっておるはずでは困るのです。なぜかというと……

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 やっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 やっておるのなら、総裁、いまあなたのおっしゃったように、事前の段階であなた方の意見を言っても、たとえば大蔵省が、いやそれはやれ、こういうことになっておるということでしょうか、そうすると……。

石田正日本輸出入銀行総裁

○石田説明員 われわれとしましては、こういうふうにわれわれのほうがやるよりも、こういうとうにやったほうがこの関係から申しましていいのじゃないかということを申し上げることはございます。それをお含みの上で政府が御決定になるわけであります。さか立ちしているという議論がございますけれども、われわれとして、こういう考え方を全然なしにけっこうでございますということじゃなくて、われわれとしてはこういうふうに思いますけれども、それをひとつ御参考にした上でやってくださいということになるだろうと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 このくらいにしておきますけれども、どうもちょっと聞いていますと、少し何か輸出入銀行の権威があまり確立してないような感じがしてならぬものですから……。それはありますよ。たとえば例の台湾の輸出入銀行の取り扱いの問題なんということになってくると、これはしょっちゅう通産大臣がケース・バイ・ケースだなんということを答えて、ちっとも中身の話に入っておらぬわけですけれども、しかし、そういうこともそれはあるかもしれないけれども、やっぱり私はたてまえは、この法律はこう書いてある以上、輸出入銀行として言うべきことはきちんと言ってもらって、しかしそれを政府が一方的に無視するということになればこれはまた少し問題もあるから、そこら辺については、政府は法律のたてまえから輸出入銀行の意見を十分に聞いて、その上で問題の判断をするということになるのが私は相当だと思いますが、大蔵大臣いかがですか。

福田赳夫自由民主党外務大臣

○福田国務大臣 そう思います。いま応答を聞いておりまして、結局は同じことだと思うんですが、言い方が少し違う、こういうことです。輸出入銀行の業務の決定権は、これは輸銀総裁にあるわけです。しかし政府の意見、たとえば政府が企画したプロジェクトの償還性いかん、こういう問題になりますと、これは輸銀じゃ判断できない問題があるわけです。そこで政府はどう思うか、政府はこれはちゃんと償還できるんだ、こう言う。その政府の言うことを背景としてその処理に当たる、これはそういうことだと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それはそうですが、判断をしてきめるのは輸銀ですから、あなた方のほうはそのときは参考の意見を述べるだけであって、もし輸銀に命令するならこんな輸銀法なんかやめたらいいんですよ。大蔵大臣の命令するところによりと書けばいいんですよ。そうなっていない以上は、やはりあなた方は法律の手続に従うのが憲法上の義務です。それは実際に命令しているものですからこういう話になってきていると思うんですね。この際そういう命令はやめて、法律のたてまえはきちんと守ってもらいたいということを特に要望して、私の質問を終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 次回は、明二十四日水曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十五分散会

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