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65回国会衆議院1971/02/05

大蔵委員会 第3号

発言数
187
登壇者
8
会派数
3
開催日
1971/02/05

会議録

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これより会議を開きます。  この際、昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等で御協議願い、お手元に配付いたしましたような草案を得ました次第であります。     —————————————

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 本起草案は、昭和四十五年度に政府から交付される米生産調整奨励補助金について、税制上、次の負担軽減措置を講ずるものであります。  すなわち、第一に、個人が交付を受ける同補助金については、一時所得の収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用、休耕田の管理費等は、一時所得の必要経費とみなし、第二に、農業生産法人が交付を受ける同補助金については、交付を受けた後二年以内に事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合には、圧縮記帳の特例を認めることといたしました。  なお、本特例措置による国税の減収は約五億円と見込まれます。  以上が、本草案の内容であります。  この際、本案は歳入の減少を伴うこととなりますので、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。中川大蔵政務次官。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 本法律案につきましては、米の生産調整対策の必要性に顧み、あえて反対しません。  以上でございます。     —————————————

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 おはかりいたします。  この起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案として決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 まず、政府より提案理由の説明を求めます。中川大蔵政務次官。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 ただいま議題となりました預金保険法案外一法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、預金保険法案につきまして御説明申し上げます。  金融制度調査会は、新しい経済環境下における一般民間金融機関の問題を中心とし、広く金融の各分野にわたる基本的な問題を取り上げ、二年九カ月に及ぶ検討の後、昨年七月、一般民間金融機関のあり方等に関する答申を行なったのであります。この答申におきまして、特に預金保険制度について、預金者保護の観点からその創設の必要性を認め、その具体的方式についての基本的方向を示しております。もちろん、政府といたしましては、預金者保護のために金融機関の経営の健全化を一段と推進するよう、今後とも監督、検査権の適正な行使をはかってまいる所存であります。しかしながら、最近における銀行預金等の大衆化の進展、支払い手段としての地位の増大等にかんがみ、金融制度調査会の答申に基づいて、この際、預金保険制度を創設することにより、万一の場合に備えて預金者保護に遺憾なきを期することが必要であると考え、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。  第一に、預金保険制度を運営する主体として、預金保険機構という名称の法人を設立する道を開くことといたします。  この機構の資本金は、政府、日本銀行及び民間金融機関の三者がそれぞれ同額の出資をすることを予定しておりますが、このうち政府出資につきましては、四十六年度予算におきまして一億五千万円を計上しております。  機構の組織につきましては、できるだけ簡素なものにするとともに、自主性を尊重するため、常勤の役職員はごく少数とするよう配慮いたしております。  第二に、預金保険の保険関係の内容について定めております。  この関係では、まず対象となる金融機関を、普通銀行、信託銀行、長期信用銀行、外国為替銀行、相互銀行、信用金庫及び信用組合としております。  次に、保険金の額については、預金、定期積金、掛け金並びに元本補てん契約のある金銭信託及び貸付信託について、各預金者ごとに合算した額としておりますが、この場合、一般大衆預金者の保護という制度の目的から一定額を限度とすることといたしております。また、金融機関の納付する保険料については、金融機関の期末の預金残高を基礎とし、機構が大蔵大臣の認可を受けて定める料率により計算することとしております。  なお、保険金の支払いの原因となる保険事故については、金融機関の預金等の払い戻しの停止並びに破産宣告、免許の取り消し及び解散の決議としておりますが、このうち預金の払い戻しの停止については、機構の支払いを行なう旨の決定があることを要件といたしております。  次に、貸付信託法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  さきに、預金保険法案につきましてその趣旨を説明いたしました際申し述べました昨年七月の金融制度調査会の一般民間金融機関のあり方等に関する答申を中心として検討した結果、貸付信託法につき所要の改正を行なうこととし、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。  第一は、貸付信託の資金を供給する分野についての改正であります。  最近における産業構造の変化、資金需要の多様化に伴う国民経済的要請に即応するため、個人の住宅建設などのためにも融資を行なうことができるよう、資金の供給先に関し所要の改正を行なうこととしております。  第二は、貸付信託の信託財産の運用方法についての改正であります。  現行法では、信託財産の運用方法は、運用上生じた余裕金等を除き、貸し付け及び手形の割引に限られているのでありますが、支払い準備の充実等に資するため、これに有価証券の取得を加えることとしております。  以上、預金保険法案外一法律案につきまして、その提案の理由並びに内容の大要を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 次に、証券取引法の一部を改正する法律案及び外国証券業者に関する法律案、両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部助哉君。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 まず、政務次官にお伺いしたいのでありますが、大蔵省は、法案はなるべく、国会は、委員会審議は簡単にしてさらっと通したいということなんですか。それとも、国民のためにここで十分審議をしてもらいたい、こういうことなんですか。一体どっちなんです。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 後者のほうでありまして、十分御審議をしていただいて、国民の納得のいく法律として成立をさせていただきたい。ただしそこにも限度があるとは存じますが、審議を尽くすことについては基本的に阿部委員の後者の意見と同じでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 限度というのはどういうことなのかお伺いしたいのですが、実は、こういう法律案が出された、しかもこの法案は、皆さん方としては審議会にはかって審議会の意見を尊重しました、こうおっしゃるようでありますけれども、大体この答申なんというものはいつ委員に配ったのですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 お答え申し上げます。  証券取引審議会の大蔵大臣に対する意見表明につきましては、昨年の十月十五日に実は中間報告がされまして、最終的な意見表明は十二月十四日の総会で、同日大蔵大臣に対して行なわれました。私ども事務当局といたしましては、最終答申につきましては、とりあえずそのゲラ刷りと申しますか、活版ではなくて謄写印刷により、活版印刷ができました段階ではその印刷物により、議員の皆さま方その他関係方面にお配りしたはずでございます。さようなわけで、一律に何月何日に一斉に皆さん方のところに届いたということはあるいは申せないかもしれませんが、昨年の年末にお手元にいずれも届いているはずと承知しております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 私は、大体審議会の委員というものの任命のあり方、選び方、それ自身から審議会そのものに不満であって、これは何か政府の隠れみののような感じが、各種審議会、するのであります。それでも、そこである程度中間報告がなされたら、中間報告ぐらいはせめてこの委員会に配付をされるというぐらいのことがなければ、法案は出た、それ幾日までに通してくれでは、政府のあり方はおかしいんじゃないか。審議会の意見さえある程度尊重すれば、国会のほうはどうでもいいというお考えではないかと疑わざるを得ないのでありまして、その辺もう少し、委員に対しては、中間報告なら中間報告が出たらその時点で、すみやかに配付をするということを約束を願いたいのであります。いかがですか。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 そのように今後十分気をつけてまいりたいと存じます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そういうことであれば、これからぜひお願いしたい。実は私、この答申をきのうもらったのでありまして、ゆうべ一読をさせてもらいました。そんなことで国会で十分に審議するというわけにはいかぬのじゃないかという感じがするわけであります。特に、この委員の顔ぶれを見ましても、私なんかが見ればあまり好ましからざる人が一ぱい入っているような審議会でして、そういう点で、委員の選び方自体にも、政府がかってに選んで、そこの意見だけ尊重すれば国会はどうでもいいというようなことでは困るのであります。むしろ国会のほうに十分時間をかけて論議をするというのが議会政治のあり方だ、私はこう思うのでありまして、その点はぜひお願いしたいと思います。  次に、本論に入りますが、政府はこの答申を尊重した、こうおっしゃるのですが、大体ここに答申されておる要点はこの改正案に十分織り込んだというふうにお考えになっているわけですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 さようでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 この提案理由の中で、投資者保護の徹底ということを言っておるが、投資者保護に徹したというふうに受け取ってよろしゅうございますか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 投資者保護ということの意味はいろいろな意味があると思いますが、私どもは、証券取引法の第一条の「目的」で、この法律は、投資者保護を目的として、有価証券の発行及び流通を適切、円滑ならしめることを目的としているというふうにうたわれております。投資者保護と申しますのは、いずれにいたしましても、株式の発行、流通によりまして投資者の受けるあらゆる損失を何らかの機関が補てんする、補償するということではございませんけれども、健全な正しい投資判断ができますように、あらゆる必要な情報なり資料というものを提供いたしますと同時に、有価証券の発行者その他の関係者によりまして、もし虚偽の記載であるとか欺瞞的な行為でありますとか、そういうことがありました場合には、それに対する民事上の責任追及を厳格にし、また刑事的制裁をきびしくするということが投資者保護の中心をなそうかと思っております。  今回の答申はさような点で、投資者に対する適正な情報の十分の開示という点と、粉飾決算のような、発行当事者あるいは関与者の不正行為がありました場合の民事上、社会上の責任追及の強化という二点を答申されておるのでございまして、私どもは、その趣旨を徹底させることによりまして、法律の目的にうたわれておりますところの投資者保護をより一そう進めることができるものと考えておる次第でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 この改正案は、商法を改正しようと政府は考えておられるようでありますが、それとは非常に関連があるように思うのですが、その点はいかがですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 法律上のたてまえといたしましては、直接的に関連するということはないかと思います。しかしながら、今回——法務省の事柄でございますので私から申し上げるのはあるいは正確でない点があるかとも思いますけれども、私の承知しておる限りで申し上げますと、商法では、会計監査でございまして、大会社については公認会計士という資格を持っている人をもって会計監査をさせるようにする、義務づける、かような点でございます。これは、商法が要求する会社の決算を組むにつきまして、その決算が適正になされますように、従来の監査役による会計監査では内部的なコントロール、厳正、さような意味が十分徹底を欠くうらみがあるというところから、会社の組織自体の中に十分とけ込ませるようなかっこうで、あらかじめ十分な決算が組まれるように仕組もうということでございます。  一方、これに対しまして証取法のほうは、発表されますその決算というものが広く公平に投資者に配付されるような、またそれに虚偽があった場合におきましてはこれに対する責任を強くするという意味、これもほんとうをいいますと、企業の決算が適正に組まれるということを目的とする、またそれが適正に公示されるということを担保しようという制度でございまして、ねらいの点におきましては同一方向をねらっておるということに間違いないと思いますけれども、法律の体系が異なりますので法律上の直接の関連はない、かように考えておる次第でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 法務省の方、いかがですか。

味村治法務省民事局参事官

○味村説明員 お答えいたします。  商法の改正につきましては、昭和四十一年の秋から、業務の適正、経理の適正をはかりますために、法制審議会において審議を開始いたしまして、昭和四十五年の三月に答申を得ました。政府といたしましてはこの答申に基づきまして、今国会に商法の一部を改正する法律案を提出するように努力をいたしております。  ただいまの証券取引法との関係でございますが、これはただいま証券局長の仰せられたとおりでございまして、経理自体が適正であるということが必要なことは当然でございまして、せっかくディスクロージャー制度は十分であるけれども、そのディスクロージャーされる内容が不適正であるということでは何にもならないということはあたりまえのことであります。ディスクロージャーされる内容は、これは株主総会において商法の規定に基づきまして承認を得る決算書類ということになりますので、それを適正にするための規定が商法に置かれるということは、証券取引法の改正と相まちまして、ディスクロージャー制度を改善するものであるというように考えております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 だから、法律上の体系はどうだこうだとおっしゃるけれども、いろいろな点で、粉飾決算の防止であるとかあるいは投資家の保護という点では、やはりいろいろな規定が関連をし、それが相矛盾をしておっては困るのではないですか。いかがですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 仰せのとおりでございまして、矛盾撞着があってはならないと思います。ただ、同じ方向を目ざしますけれども、それぞれの法域がございますので、その中におきまして同じ方向に向かってそれぞれ所要の規定を十分整備していくということであるべきではなかろうかと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 この問題はあとで詳しくお伺いしますが、その前に証券局長、どうですか、この法案作成にあたっては投資家保護ということに非常に重点を置いておられたようでありますが、大衆投資家の要望なんというのは聞いたことがございますか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 証券取引審議会は、証券取引法に規定されてございますように、百六十五条に、「有価証券の発行及び売買その他の取引に関する重要事項に関し調査審議させるため、大蔵省の附属機関として、証券取引審議会を置く。」と、こうなっておりまして、その「委員は、学識経験のある者のうちから、大蔵大臣がこれを任命する。」かようになっております。先ほど阿部委員から御指摘のございましたとおり、現在の委員の顔ぶれを見ますと、どちらかと申しますと金融機関あるいは証券界あるいは学者の方々、取引所の関係者というふうに少し片寄り過ぎるではないか、かような御批判も確かにあろうかと思うわけでございます。それだけに私どもといたしましては、いま仰せのように、それが単なる、大衆なり、そういう点を離れた議論に終わってはいけないだろう、かようなことを考えまして、この問題の検討につきましては別個に専門委員会というものを設置していただきまして、その場に広く産業界その他の方々も入っていただく、かようにしたわけでございます。それにいたしましてもなお、阿部先生のおっしゃるような、広く大衆投資家にアンケートでも出してよく意見を聞いたか、かような御疑問は残るかと思いますが、実はさような手続はいたしておりませんけれども、それぞれの証券業界でございますとか証券関係者におきましては、それぞれの立場立場で十分さようなことは反映していただけたものと信じております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 現在株式市場上場株でけっこうですが、そのうち半期決算の会社と一年決算の会社とはどの程度の比率、あるいは数字を出していただければ一番いいですが、どの程度になっておるのですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 お答え申し上げます。  従来有価証券報告書を提出していただいております会社の数字から申しますと、合計で会社数は二千四百五十社でございますが、そのうち年一回の決算の会社は千六十六社でございまして、年二回の決算の会社は千三百八十四社、構成比で申し上げますと、年一回決算の会社は四三・五%であり、年二回決算の会社は五六・五%となっております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 今回第二十四条の五の規定を設けたということは、逐次一年決算に移行をさせようという方針なんですか。いかがですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 この規定によりまして一年決算に移行をさせよう、そういうことを実はねらいとしておるものではございません。ただいま申し上げましたように、実際問題といたしまして年二回の決算会社がかなりございますし、今後会社の決算事務の事務量が膨大化する、コンピューターの使用、利用が多くなるというようなことになってまいりますと、傾向といたしまして年二回の決算に移行するという会社が自然にふえるであろう。現在は大体半々ということでございますけれども、将来ふえるであろうということを想定いたしましての規定でございます。これによって促進しよう、あるいはそういうことに振り向けていこうという積極的意図を持っておるものではございません。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうするとこの中で、一年決算の場合に半期報告をさせるわけですね。これと決算報告書とはどういう点が違うわけですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 先ほど法務省の民事局からも御答弁がございましたように、有価証券報告書として出されます内容は、当該会社の株主総会で確定いたしました財務に関する事項、つまり損益計算及び貸借対照表を公認会計士の監査証明をつけました上で公衆縦覧に供するということでございます。年一回の決算会社の場合はそういった決算手続が、事業年度が終わりましたとき一回だけしか行なわれません。中間の六カ月の間におきましては、会社自体が仮決算的なことは何らかの基準を設けまして行なっておると思いますけれども、手続的には規定はないわけでございます。さような点が違いますので、また一年一回の決算にしているという趣旨は、一年二回の決算事務では非常に事務量が膨大化いたしまして、企業の負担もこれありというような点もございますので、あれこれ考えますと、やはり半期の報告書というものは全社がそれぞれの実情に応じまして定めておりますルールに従った、いわばその点におきまして必ずしも成規の決算手続ではないところの仮決算的な、内決算的なものを中心にした概略的な報告書の内容にとどめざるを得ないだろう、かように実は考えておる次第でございます。と申しましても決していいかげんなあやふやな、うそをついてもいいということではもちろんないわけでございますけれども、原価計算でありますとかたなおろしでありますとか、あるいは減価償却の計算でございますとか、さような点につきましては、やはり一年一回の決算時期でありませんと適法な精密な計算も不可能でありますので、その辺の調整をつけましたものを半期報告書として提出していただく、かように考えておる次第でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 結論からいえば、簡略なものを出すということでございますね。それと、その場合には当然公認会計士の監査報告はついていないということになりますね。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 さようでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 その半期報告書の大体の内容、こういうものを記載しなければいかぬということは大蔵省令できめると、こう書いてあるのですね。この大蔵省令はここで出していただけませんか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 実はこの法律を国会で制定していただきますと、附則第一項にございますように「公布の日から起算して四月をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。」かようになっております。しかしながら、四カ月ずっとほうっておいていい、それまでの間大蔵省令で何もきめなくてもいい、直前にきめればいいものとしては考えておりません。実は、ただいま申しましたように、半期報告書につきましてはそれをどの程度の簡略化と申しますか、あるいは精密度と申しますかを要求するか、これは会社の都合と投資家の便利さというもののかね合いをどこに置くかということがいろいろと問題がある次第でございます。さようなわけで、私どもはこの法案を作成する過程におきまして一応の試案を持ちまして、それぞれ産業界、有価証券発行会社の代表的な方々と議論し、詰めておるという段階でございます。さようなわけで、本日ただいま、こういうことで確定的でございますという程度のものをお出しする段階でございませんが、ごくラフな私どもの試案でございますればお出しできるわけでございまして、さようにさせていただきたいと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 いま案がコンクリートされていないというならそれはやむを得ないのですが、しかしこれは法案を通す段階でそれくらいのものを、大体こんな方向で考える、こういう方向でいきたいと思うんだというくらいのものを、私先ほど言っているように、それはやはり法案につけて出さなければ、一体投資家保護なんということを幾ら言ってみても、これは簡略になるのですよ。簡略だということはそこにいろんな間違いも起きやすい。私、詳しくは、不正があったとは存じませんけれども、たとえば国際的な信用をあれだけ落としておる、ミツミの問題でも、半期決算から一年決算にした、そのとたんにあんなことが起きてくるというようなことになってくると、これは一年決算ということに移行すること自体もどうかと思う。投資家保護という点からいって、これが簡略にされるということになれば、そこにいろいろな抜け道も出ないという保証はないわけです。そういう点で私は先ほどから、国会審議を十分にされるならばそういうものは当然ここへつけてくるべきだ、こういうことを冒頭に要請したわけでして、それくらいのものを出さないで法案審議をしてくれなんというのは大体国会をなめておるということになるのではないのですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 決してさようなことではございませんが、現在の証券取引法におきましても、有価証券届出書あるいは有価証券報告書の書式、様式、内容につきましては、法律によりまして大蔵省令に委任されております。今回の第二十四条の五の半期報告書につきましても、法律上のていさいといたしましては現行の証券取引法のそれらにならったものでございます。  ただいまのお尋ねは、大蔵省令へ委任することはともかくといたしまして、その内容の試案をということでございますが、先ほど申しましたような条件と申しますか、前提で至急にお目にかけたいと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 投資家保護だ、皆さんはそう思っておられるかもわからない。しかし私のほうからこれをいろいろ調べてみると、必ずしも投資家保護じゃないんで、逆行しておる面が多々ある、私はこういう見方をせざるを得ない面があるわけです。そうすると、皆さんは省令をこういう方向でこういうものを出すということまで出してくれないと、簡略になる、公認会計士の監査もついていないということになると、粉飾決算をどうのこうのといいながら、そこでいろいろなやりくりをして配当するというようなこともなきにしもあらずだ。株価操作をやらないという保証も私はないと思う。そうするとこれは投資家保護じゃないじゃないかということになってきます。だから、そういうものをきちんと出してからこの法案の審議を私はすべきだと思うのですが、これは委員長、どうですか、この辺でそれを出してもらってからじっくりやりたいと思うのですがね。それを見ないことには投資家保護という一番肝心かなめのところがどうも確信が持てないので、それを出していただいて、見せていただいてから審議をしたいと思うのです。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 現在の法律では、一年決算法人につきましては年一回の有価証券報告書の提出だけが義務づけられておるわけでございまして、現状におきましては先ほど申しましたように、報告書を出していただいている会社の約半数近くがそういう状況でございます。今回の二十四条の五は、新たに、さような会社に半期におきまして報告を義務づけるという——実はゆるめるのではございませんで、義務づけ、開示の機会をふやすということであります。ただ問題は、この仕組みについてはどうかというお尋ねでございますけれども、それは半期の報告書である、成規の決算の手続を踏んだものではないということから、成規のと申しますか、一年決算の際の損益計算書あるいは貸借対照表ほどの精密さを要求することは実情に即さないと思いますけれども、投資家の保護に欠けない程度におきましてその間の調和をはかりながら、できるだけ妥当な内容のものにしたいということでございまして、二十四条の五の創設の趣旨ということをおくみ取りいただきたいと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 この答申の八ページにこう書いてあるのですね。「しかしながら、別途、商法の改正が会社にいわゆる中間配当を認めて一年決算への移行を容易ならしめようとしていることをあわせ考えると、半期報告書の記載内容は、制度の趣旨に照らし有価証券報告書よりも簡略なものとする必要があると考える。」こういうのです。さっきあなたは一年決算の方向で誘導するのではないと言っておるけれども、答申のこれを見ると、「一年決算への移行を容易ならしめようとしていることをあわせ考えると、」ということを答申は書いているのですね。これはどうなんです。あなたのお話はちょっと矛盾しているのじゃありませんか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 それは矛盾しておらないと思います。実は第二十四条の五は、現在でもかなりの数の会社が一年決算会社であり、また今後自然、傾向といたしまして、事務の複雑化、膨大化というようなところから一年決算が自然的にふえる傾向も考えられる、さような場合に一年一回の有価証券報告では不十分であるということに着目しておるのでございます。いまお読みになりました答申でございますが、これは別途、商法におきましていわゆる中間配当の制度を設ける、かようなことが考えられておるわけでございます。そうなりますと、自然的にもふえるであろうと想定される一年決算への移行ということがその面からあるいは進んでくるかもしれない、そういうことが想定される面もございますので——しかしそれはそうなるとならないとにかかわらず、現状を考え、また将来の自然的な傾向も考えまして、この際半期報告書を義務づける必要がますます多い、かように判断したような次第でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 どうもそこが私には納得できないのですね。このいま読んだところを見ますと、一つはやはり商法との関連がこのうしろにあるという点が一点。もう一つは、非常に簡略なものになるんだ、だからどの程度簡略なものにするのか、それによって、場合によれば投資家に迷惑をかけないという保証はないじゃないかという点。この二点がこれを読むと私はひっかかってくるわけでして、商法との関連がございませんなどと言ってみてもこれは納得ができない。もう一つは簡略だというが、簡略だということは執行する取締役会というようなものには非常に荷が軽くなるけれども、その反面投資家には場合によれば不利になる。皆さんは、粉飾決算して損害を与えるとか被害を与えるとか言うが、そのときの被害者はだれで、加害者は大体だれなんです。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 繰り返して申し上げるようでございますが、答申で「別途、商法の改正が」と書いておりますくだりは、もし中間配当ということが改正によりまして商法上認められましたならば、ただでさえふえるであろうと思われる一年決算法人がふえてくるであろうという想定をいたしているだけでございまして、商法の改正を必然的に予定しておる、あるいは二十四条の五を設けることによりまして一年決算への移行を促進しようとしているという趣旨では毛頭ございません。将来の見通しの問題といたしまして別途の事情を考慮したというにとどまるものと私どもは理解しております。  それからなお簡略ということでございますが、二十四条の五に書いてございますように、「六箇月間の当該会社の営業及び経理の状況その他の事項で、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして大蔵省令で定める」、こういうふうに法律上、限定といいますか条件づけられておるわけでございます。で、先ほど申しましたように、成規の決算と違います点は二、三点にとどまろうかと思うのでございます。  一つは、精密な減価償却というものが設備ごと、機械ごとにはとうていこれは不可能であろうという点。たなおろし計算も、帳簿上のたなおろし計算ということはやっておると思いますけれども、それは実地についてのたなおろしということまではいかないでありましょう。なおまたその場合の払い出し価格につきましては実際原価と予定原価というものでございまして、企業は通常、期中は予定原価を制定いたしまして、それに基づいて受け払いをいたしております。それで決算の際には実際の払い出し価格、単価というものを持ってまいりまして決算をいたします。主としてたなおろしの計算と、精密な各工場ごと、設備ごとの減価償却計算というものとを中間に要求することは無理であろうというふうに考えられます。しかしながら売り上げの状況でございますとか、その佃の経費の状況あるいは予定原価によるたなおろし資産の払い出しの状況というものは、これは企業が大半月別決算、月次決算ということを内部で行なっております。  さようなわけで、私どもといたしましては、損益計算書及び貸借対照表、いずれも出していただくと思っております。ただその場合の記載内容、程度につきましては、これは注釈といいますか、備考におきまして、たとえばたなおろしの払い出し価格につきましてはこういう計算方式による予定原価をもとにしたものである、あるいは減価償却につきましては、たとえば前期の決算による減価償却の率というものが会社全体として何%である、あるいは耐用年数を何年であったということがございますれば、それを適用してこういう計算をするというようなぐあいに、その二点、無理と思われます二点につきましては、その計算方式を明らかにさした上で、その分を埋めていただく。したがいまして、それによるところの営業利益の計算あるいはおもな資産、負債の状況というものは、当然それは損益計算書及び貸借対照表の面において表示されるということを期待しております。なお営業の比較につきましては、上期と下期という場合に、季節産業等によりましては収益状況が非常に違う場合もございます。さようなときにおきましては、今期の上半期の状況と前期の上半期の状況とを売り上げなり利益の状況で比較する表をつけてもらうとか、さようなわけで、簡略と申しましても、この二十四条の五の法文で条件づけられておりますように、投資家保護の点から欠けるところがないように、しかし無理なことをしいることは無理であるということを最小限度の制約条件にいたしまして、適切な省令を定めてまいりたい、かように考えておりますことを御了解いただきたいと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 商法の一部を改正する法律案要綱というものを、昭和四十五年三月三十日法制審議会総会決定という、これを見せてもらったのですが、さらにそれに追加項目というのが、四十五年十月二十八日法制審議会法務部会決定という聞くところによれば経団連等の非常な強い要求によってこの追加項目が加えられた、こう聞いておるのでありますが、こういうのを見ますと、たとえば一例をあげると、転換社債を発行するなんという場合でも今度は取締役会でこれが決定できるというようなことなんです。総会決定じゃない。だんだん役員会の権限強化ということにはなるかもわからぬけれども。この商法の改正をずっと見てまいると、大企業を中心にし、しかもこの役員会等をだんだん権限強化していく。それでなくとも株主総会というのが、一体あれが民主的な運営か、何ぼかでも民主的なかけらでもあるのかということになると、私は疑問を持つわけであります。そういう中でさらに役員会を強化していくというような、まあ一般株主を軽視したというふうに私はとらざるを得ない案が用意されておるじゃないですか。だから、こういうものと、ほんとうに投資家保護ということを考え、この面を考えていくならば、商法を一緒に出してもらって、両方を検討しながらこの法案を審議するのがほんとうであって、もう片っ方だけこれは先行してしまうということになりますと——ここに監査役員やあるいは公認会計士の挙証責任の問題等も、これは両方におそらく関連をしてくる問題なんですね。これはなかなか重大なことだと思うのでありますが、そういうものは関連してないというふうにおっしゃるのか。もう一ぺん商法との関連を、はっきりしたお考えを述べてもらいたいと思うのです。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 お尋ねの点でございますが、冒頭申しましたように、二つの法律案と申しましても、もう片方の商法改正案は、私も改正案自体として拝見しておりませんので、いま先生のおあげになりました法制審議会の答申のとおりに法律案が出されるということを前提にした上でのことになるわけでありますけれども、今回の証取法は、法律体系といたしましてそれとは関連はございません。損害賠償の点につきましても、証取法における現行規定、あるいは証取法自体の投資家保護の観点ということを考えまして、またその内容につきましては別途政府部内におきまして、損害賠償に関する点は法務省の民事局と十分意見の調整、連絡をとり、刑事罰にわたります点は法務省の刑事局と十分に連絡、調整をはかり、政府といたしまして矛盾撞着がないように整備しておるわけでございまして、重ねてその点について御了解いただきたいと思う次第でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そういう御答弁があれば、この点はどうなんですか。この証取法によりますと、公認会計士の監査というのですか——私も詳しくわかりませんけれども、そういうものは総会の前にやられるのですか、あとにやられるのですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 お尋ねの公認会計士による監査証明は、証券取引法第百九十三条の二に規定されておるわけでございまして、ここには、「この法律の規定により提出する貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類には、公認会計士の監査証明を受けなければならない。」と書いてございます。この場合の貸借対照表、損益計算書と申しますのは、もちろん商法の手続によりまして株主総会の決定を経ました、いわば会社として最高の意思決定がございましたものをさすことは当然でございますので、お尋ねの点につきましては、さような株主総会が終わった後に、公認会計士の監査証明がなされる。したがいまして、この監査証明を提出する期限は事業年度終了後三カ月以内で、通常、事業年度の決算は事業年度終了後二カ月以内に行なわれておりますので、おっしゃるように事後の監査証明でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 商法では、株主総会に出す前に公認会計士は監査をして、それをつけて株主総会に出す。商法ではそうきまっておるのではないのですか。いかがですか、法務省の方。

味村治法務省民事局参事官

○味村説明員 ただいまの商法ではそのようにはきまっておりません。ただいまの商法では、監査役の監査を受けました上で株主総会に提出をいたしまして承認を求めるということになっているわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうすると、監査役の監査を受ければ総会に出せるのであって、商法でも公認会計士は総会に提出する前に監査をしなければいかぬということはないのですね。

味村治法務省民事局参事官

○味村説明員 ただいま御説明申し上げましたとおり、株主総会に出す前に公認会計士の監査を受けなければならないということは、現在の商法ではないわけでございます。そこで、監査役の監査では十分でない場合がございますので、今回の商法の一部を改正する法律案要綱におきましては、資本金一億円以上の会社につきまして、公認会計士があらかじめ監査をいたしまして、その監査の結果報告書をつくりまして、それを株主に送るということによりまして、公認会計士の監査の結果が株主総会の承認決議に反映するようにいたしたい、こういう案になっております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうすると、今度の改正案では事前に、総会の前に公認会計士が監査をする、こういうことですね。

味村治法務省民事局参事官

○味村説明員 さようでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうしますと、商法では、今度改正するとこれは事前に監査をする。証取法ではそのあとでまた監査をする。これは二へんやることになるわけですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 手続的に申しますと二へんという数え方もできるかとも思いますが、一方、商法のほうは株主総会に出す決算案でございます。決算案につきまして、現在は監査役の監査意見というものがついたものが総会に出されまして、そこで承認を受けて決算確定をするということでございますが、この監査役の監査意見というものが公認会計士たる資格を持っている人の監査意見ということになっておるわけであります。ただその場合に、第三者、一般の投資家に対してこの監査意見というものが公表されるという仕組みはないわけでございます。証取法の監査証明と申しますのは、公認会計士が第三者の資格をもちまして決算についての監査証明をいたしまして、それを会社に対しても提出し、大蔵省に対しても提出し、投資家に対しても提出いたしまして、一般投資家の投資判断に資しようというわけでございます。  その場合に、監査手続でございますが、もし同一人が、監査役として内部監査に当たりました公認会計士が引き続きと申しますか、同じくその会社の証券取引法上の公認会計士の監査証明の契約を結んでおる場合におきましては、手続的にはさようなわけで、事前、事後というふうに二回になりましょうけれども、それは実質的には事前に行なっております一回ということで内容的にはおそらく済むのでございましょう。しかしながら、もちろん制度的には、事前に監査役としての会計監査を行ないます公認会計士が必ず証取法上の監査証明を行なう公認会計士と同一人でなければならぬということは規定しておりませんので、別の第三者が証取法上の監査証明を行なうこともあり得るかと思います。さようなときはまたイロハのイから監査をするというようなことにたてまえ上はなりまして、二度手間ということになるかもわからないと思いますけれども、さようなことになるだろうと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 法律のたてまえからいけば、今度商法を改正すれば二度手間になるわけです。経費もかかるだろうし、そういうことになる。それだけに、私は投資家保護という点からいくと、やはり商法とのからみ合いというものを無視するわけにはいかぬのじゃないか。皆さんは別なんだからかまわないと言うけれども、これは挙証責任の問題でもおそらく私はそうなるだろうと思うのですが、同じように歩調を合わせざるを得ないのだろう。そういう点を調整していくということは当然のことなんであって、そういう点で、やはりこの商法の法案を出されて、それと両方を勘案しながらこれを審議するのがほんとうではないですか。この商法の私がお借りしてきたのは、これは自民党の部会に出されたのだそうですが、われわれのほうにはこういうのはいただいておらないのです。そうするとわれわれは、関連があるものを片方のほうを全然知らないで、めくらになってこの審議をしたということではこれは国民に相済まぬので、この国会の審議を皆さんが軽視をされないんだとおっしゃるならば、これを同時に提出される。同時に一緒に大体歩調を合わせて審議をされる。少なくともこの証取法の審議をする段階ではこの商法改正案も国会に提案をしておるというぐらいのことは私は当然のことだと思うのですが、少し国会軽視ではないのですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 今回の証取法の改正は、冒頭で申しましたようにディスクロージャー制度を徹底するということでございまして、そのために投資家に対する開示の機会をふやす。もしも……(阿部(助)委員「もう一ぺん言ってください。」と呼ぶ)投資家に対する企業内容の開示の機会をふやすということと、それから、もしも重要ないわゆる粉飾決算というものがございました場合には、これに対する民事上、刑事上の責任を強化する、こういう二点でございまして、公認会計士の監査それ自体につきましては改正を行なおうとしているものではございません。ただいま先生のお述べになっていらっしゃいます商法の監査の充実は、現行の監査役による決算手続としての会計監査が有名無実になっている向きが多いのではないかという、商法の分野における固有の現状認識ないしは反省からこの会計監査を充実しようというための改正でございまして、その点は、繰り返して申しますけれども、法律的に直接関連はない次第でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 私はそこの点ではどうもあなたと見解が違うのでして、これはそう簡単に関係がございませんというのを私は認めるわけにはいかぬ。その点はものを出してくれなきゃ——あなたですらまだこの改正の案を見ていないとおっしゃって、見てないのが発言しておられるのだからあまり私はそれを信頼するわけにはまいらないのです。開示の機会を云々、こうおっしゃるけれども、半期で配当するならばやっぱりそこにはそのときの配当の多い少ないが同時に株価に響くものだ、私はこう思うのですよ。そうすれば、その際にやはりきちんとした報告書を出されるのがほんとうであろうと思う。特にこの一年の決算の場合と半期決算の場合では、いろいろないまの監査や何かのほうがずっと期間がおくれるわけでしょう。半期決算であれば八カ月ぐらいで監査のあれが出るわけでしょう。一年の場合には一年三カ月ぐらいかかるわけでしょう。そうすると投資家には実際正確なものが非常におくれて把握される。あなたが開示の機会を与えるといういまのおことばは、私はそうすなおには受け取れなくなっちまうということなんです。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 現行制度は、先ほど申しましたように事業年度が終了いたしましてから三カ月以内に有価証券報告書が出されるわけでございます。その点は今回何ら改正いたしておりません。半期報告書の規定でありますところの第二十四条の五もその三カ月という期間は同じく置いておりまして、六カ月を経過しました後三カ月以内でございまして、それが開示の機会がふえるわけでございます。六カ月経過してから三カ月、事業年度が終えてから三カ月置いているという趣旨、これは、やはり企業がいやしくも一般投資家に対して内容を開示いたしますためには誤りなきを期さなければならないという、そういった計算期間と申しますか整理期間と申しますか、そういう点をおもんぱかっているのでございまして、三カ月という期間は現行の事業年度終了後の三カ月と全く同じ体制で規定しているわけでございます。しかしながらいずれにいたしましても、一年決算の法人は従来一年に一ぺんだけしか出していなかった報告書が二回出すことになるという点におきまして、開示の機会をふやすことには間違いないわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 一年に一ぺんだったのを、中間報告みたいなものをさせるんだから一歩前進だという御趣旨のようですが、そうですね。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 この機会に申し上げますと、開示の機会をふやすということは実はこれだけではございません。現在有価証券取引所に上場されている、あるいは証券業界に店頭銘柄として登録されまして流通量がかなりに達しております会社の中で、現行制度では有価証券報告書の提出義務はないという会社につきましても、今回は新たに提出義務を課そうとしていること、並びに臨時報告書の制度を設けまして、投資判断上重要と認められるような一定の事実が生じました場合には、そのつどその内容を報告すべきものとしておりますこと、それからただいま話題になっておりますところの半期報告書の創設ということ、かようなことを通じまして開示の機会を充実する、かように考えておるわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 どうせ投資家保護に徹するというならば、もうちょっときちんとされるぐらいのことをやればいいじゃないですか、中途はんぱなことをされないで。しかもこの答申を見ましても、さっきも読みましたように「一年決算への移行を容易ならしめようとしていることをあわせ考えると、」こういっているのですよ。だんだんこっちの半期決算を一年決算に移行させようと、こうしているのじゃないですか。少なくともこの審議会の人たちはそういうことを考えておるのでしょう。そうするとどうしても商法の場合と矛盾をしてくるのじゃないか。私はあまりにくどく言いませんけれども、さっき言ったように、一体証券局もどういうふうに見ておられるのかわからぬけれども、ミツミなんてあんな、ドイツで千何百円で発行しておいて、いま三百円そこそこだというのでは国際信用ががた落ちだということも、あれは半期でやっておったら向こうも判断は間違わなかったかもしれない。そういうことを考えると、これは投資家保護というけれども投資家保護には徹していないのではないかという感じが強いのでありまして、そういう点で商法のほうの役員に対する責任というか、そういうものも見ながら、ほんとうに日本の投資家が保護されるということにならないとこの法案は困るんだという感じがするわけでして、どうもあなたがこれで投資家保護に徹しましたなんというのは、いままで私お伺いしておっても合点のいく点が一つもないのですが、もう少し明確に、投資家保護に徹しました、かくかくの点でこうしましたという点をもう一ぺんそれじゃ言ってください。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 るる申し上げておるつもりでございますが、どうも商法で一年決算法人への移行を、中間配当制度を認めることによっていわば促進する方向にあるということを、証券取引審議会が答申の中でそういう事情を予測しておるということをもって第二十四条の五の規定を読んでおられるようでございまするが、もしもかりにそういうふうな商法改正がなった場合、この商法改正の方向のよしあしにつきましては私どもはノーコメントでございます。これはまた商法のほうにおきましては法制審議会のほうにおきましていろいろと議論された末、そういう結論をお出しになっておると思うのであります。私どもの立場といたしましては、それはその分野における一つの考え方として、現実のものとして受けとめるという姿勢が必要ではないか。まだなお現在におきましても、一年決算法人が上場会社のうち約半数あるという現実を現実のものとして見なければならぬと思うのでございますが、それと現行法を対比いたしました場合に、もしも二十四条の五のような規定を設けませんでしたならば、だんだんといろいろな事情でもって一年決算法人が、先生のお説から推測しますと好むと好まざるにかかわらずふえるというときに、現行の証券取引法では開示の機会が、いままでたとえば一年二回の決算法人でございますると六月、十二月というふうにディスクロージャーされたわけでありますが、もしそれが一年決算に移行いたしますと、一年に一ぺん——十二月に一ぺんとか六月に一ぺんというように開示の機会が減ってしまうわけでございます。それを今回の二十四条の五は減らないように、また現に一年決算でありますものにつきましては一回が二回にふえるように、こういうふうにするのでございまして、これをもって開示の機会が変わらないとか、あるいは投資家保護の徹底のために一歩前進とかいう評価はできないとおっしゃいまする意味はどうもよくわかりかねるのでございます。  同時に、役員の責任につきましては、一般の民事上の損害賠償につきましては、損害賠償の訴訟を起こす原告が役員その他の当事者につきましての故意、過失の立証をする必要がございますけれども、今回の証取法の改正案におきましては、この場合の挙証責任をいわば転換することによりまして、損害賠償の請求を一般の投資家が——つまり一般投資家と申しますのは、株主総会にも出ず、あるいは会社の事務手続もよく承知しておらず、したがいまして、故意、過失をもってだれがどういうことをしたかということがわからない地位にあるような一般投資家の方々の損害賠償の請求を容易にしようということでございまして、かような点を考えましても私どもといたしましては、今回の改正案は投資家保護の点からかなりの前進、徹底を見ている、かように信じておる次第でございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 どうも、あなたも私の考えが納得できないということだし、私もあなたの考えが納得できないのですよ。だから私は初めから聞いておるように、答申は尊重したんですかと言ったら、尊重しました。答申にはちゃんとこうやって「容易ならしめようとしていることをあわせ考える」、そして簡略なものでいいんだ、こうやっておる。そうすると、どうせ直すならば徹底した直し方をして、投資家保護に徹すると提案理由の説明に書いておるようにしたらいい。さっぱり徹していないじゃないか。徹しているかいないかの判断を、では省令できちんとしますというならば、省令をここへ出しなさい。それを出したら私はあなたの御意見に納得するかもわからない。それも出さないでやるのは少し独善ではないですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 第二十四条の五の大蔵省令の試案につきましては、先ほど申しましたように至急にお手元にお届けいたしまして見ていただきたいと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 私はこの問題は納得はしませんけれども、この問題だけにかかっておると時間がかかりますので、また場合によればそれが出た時点まで質問を留保いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  第四条ですか、券面額五千万円というのを何か金額で一億円にするというのは、この条文を見るとどういうことなのか。四条に「発行価額又は売出価額の総額が一億円未満」とあるのは、これはどうなんです。券面額で五千万円の場合も、また時価発行等の場合で一億円以上の場合も、どっちも両方にこの文章はひっかかっておるように思うのですが、そうなんですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 現行の第四条は、増資の場合で申しますと額面発行の場合を想定しておりまして、一株当たりの額面価額の合計額が五千万円以下であるか、それをこえるかということによりまして、有価証券届出書を提出しなくてもいいか、提出しなければならぬかという判断の基礎にしておるわけでございます。今回の改正案におきましては、これを発行価額——券面額ではございません。たとえば時価発行の場合でございますと、額面一株当たり五十円というような額面がございますが、そういった場合に、これを合計しましたら五千万円でしょうけれども、たとえば時価が一株当たり百円している。したがいまして、一株当たり百円で時価発行しよう、増資をしよう、こういう場合がございますが、そういたしますと、額面額の合計額は五千万円でございますけれども、いわゆる発行価額の総額は一億円になります。今回の改正は、その場合に発行価額一億円のほうに着目することにいたしまして、五千万円といったようなその額面額の合計は考えない。両方考えるということではございません。一方の額面額のほうは考えない、かようなわけでございます。それでは額面発行の場合はどうなるかということになりますと、それは発行価額と額面価額の総額が一致するということでございまして、法律上は発行価額だけで判断する、かようなわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 いまあれですか、額面で、券面額そのままで増資をしておる部面と、時価発行のように額面よりも高く発行されておる場合の、何かおおむねの比率みたいなものはないのですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 いわゆる時価発行が行なわれ出しましたのはここ一年余り、せいぜい二年間くらいのことでございまして、しかも全会社がやっておるということではとうていございません。十数社といったようなことでございまするので、比率といたしますと、件数的には取るに足らないパーセンテージである、さように思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 将来を予測してこの発行価額五千万円、また売り出し価額一億円未満というふうにするならばこれはわかるのでありますけれども、これからだんだん時価発行が大きくなるにしても、現在の時点はまだそれは取るに足らない数字である、こういうときに五千万円から一億円という形にこれを太らしていくということは、これもまた投資家保護という点からいくならば、開示をし、正式な報告をしていく、そうして粉飾決算や間違いをなくしていくというあなたのいままでの御答弁からいくと、矛盾をしておるのではないか。いままでの五千万円なら五千万円も残し、そうして時価発行——将来の時価発行がふえるだろうということを予測して、時価発行の場合には一億円未満というふうにされるならば、これはうなずかぬではないけれども、まだほとんど取るに足らないものを、将来の展望としてだけ、すぐにこれだけ金額を上げるということは、私はこれは投資家保護というたてまえからいくと矛盾をしておるのではないか、こう思うのですが、どうです。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 発行価額でとらえますか、券面額でとらえますか、二つの考え方があるわけでございますが、先ほど申しましたように今度の改正案は発行価額によることにしている。その発行価額によることによりまして、時価発行の場合ももちろん適用できますし、額面価額の場合も、額面割り当ての場合も発行価額という意味で対処されまするし、この発行価額によるということの規定だけで、時価発行の場合と額面発行の場合と両者を一律に対処できるわけでございます。問題は、そうした上で五千万円を据え置いていいじゃないか、そういうことにもつながるかと思うのでございます。現在の五千万円という有価証券届出書の条件、つまり増資の場合の金額は、提出基準になる金額は昭和二十八年に定められまして、そのままを十八年間維持してきているわけでございます。で、この間に資本金が膨大化しているというようなこと、それから物価状況は別といたしましても、そういうようなことを考えますると、実はこの問題の論議の過程におきまして、昭和二十八年当時の五千万円というものを、約二十年近くたった今日における等価計算的なことをいたしますと、三億とか五億とかいうようなことにもなるではないかという議論もございました。だけれども、そこは、自己資本とか資本金自体が、一般の経済の膨張、拡大ということとスライドしておらぬ面もありますし、投資家保護の点も考えまして、一億円ということでいくべきであるということで一億円にしたわけでございまするが、かたがた実情を考えてみますると、実は五千万から一億までの発行価額というものは、実例といたしましてはほとんどネグリジブル、皆無に近いと言ってもいい状況でございます。さようなわけで、私どもといたしましては、この五千万を一億に上げるということは、かなり介入の機会を少なくするというふうにはとっておりませんで、二十八年当時の現行基準と比べますと、一億円はかなり大事をとりまして下を押えた、こういうふうに考えております。  なお、ちなみに申し上げますけれども、現在の第四条は実は有価証券の登録制度みたいなアメリカの制度を模倣している点もございまして、増資の際に有価証券届出書が出ましたその会社だけがその後引き続いて毎事業年度有価証券報告書を出す、公示する、こうなっておるのでございます。もしも現行の届け出基準にひっかからない、たとえば四千万円の増資を重ねまして次第に株式の流通量がふえてきて、あるいは店頭銘柄として流通するようになった、あるいは上場されるようにもなったという場合にも、現行規定では有価証券報告書は出なくてもいいということになっておるのであります。それを今回は、こういった増資の有無にかかわらず、流通性に富むところの有価証券については、これは毎事業年度必ず有価証券報告書を出しなさい、かようにしておりますので、それだけからしますと、増資の際のこの基準というものはある程度上げてもいいという理屈も確かにあるのでございますけれども、それはまだ、増資の際の投資家に対するディスクローズということも大事でございますので、われわれはむしろ、一般の産業界からの要望からしますると数億という要望もございましたのを、審議会全体として押えまして、一億円に引き上げることにとどめるというふうにしたわけでございまして、そこら辺の事情を御了解いただきたいと思います。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 そうすると結論は、あなたのおっしゃっておるのは、インフレで貨幣価値がなくなったから、五千万円じゃしかたがないから一億だ、こういうことですか。日本の経済も大きくなったし、インフレで金の価値もなくなったから、五千万円じゃどうしようもないから一億円にした、こういうことであって、これは投資家保護でもなければ——そういう論議を別にして、金の価値がなくなったから一億円にした、結論はこういうことですか、ずいぶんくどくおっしゃったけれども。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 これは、有価証券報告書の機会をふやすということの関連におきまして考えまして——いま先生お話しのようなインフレとか貨幣価値とか申しますと、実はもうちょっと上げてもいいじゃないかという議論がありましたのを、私どもはむしろ押えたということでございまして、その点におきましては、これは積極的に投資家保護ということももちろん全体としては考えておりますが、いずれかと申しますとそういった増資の実態に即する、こういう面に重きを置いているわけでございます

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 その辺にどうしても一口、投資家保護ということを入れるから私はどうも納得がいかなくなるので、まあ、企業がかってに監督を受けない幅を広げておるんだから、投資家保護のために広げたというふうな言い方はされないほうが理解がしやすいんですがね。  それで、それでは次に、臨時報告書の制度というものを、何か不測の災害が起きたりなんかしたときにこれはつくられる。しかし、皆さんの要綱を見ますと、「その他投資者保護上重要な事実が発生した場合には、その内容を記載した臨時報告書を遅滞なく提出し、」云々ということが書いてある。これはどんなことを予測しておられるのですか。実は答申の中で、このいただいた本の九ページに(1)から(5)まであるのですが、この程度のことを予測しておるのですか。そしてそれはどういうところに——これも政令か省令できめるようですが、その案は大体できておるのですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 大蔵省令で定めるという法案になっておりまして、その中身としまして、とりあえずと申しますか、当面考えておりますのは、ただいま御指摘になりました証取審の報告の九ページにありますところの(1)から(5)までというふうに考えております。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 この(1)から(5)まで見ますと、投資家の一番重大関心というのはこれよりも別のところにあるんじゃないですか。私どうもそう思うのですが、大蔵省ではこれで十分なんだということですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 先ほど御議論いただきました半期報告書をあわせ考えますと、投資家に最も重要な関心があると思われます企業収益、利益の状況、営業の概況に関することにつきましては、一年に二回定期的にディスクローズされるわけでございます。実はアメリカの制度ではそのほかに四半期報告がございまして、三カ月ごとに、この答申の九ぺ−ジにございますような事態が起こりました際に、それを四半期報告として出すというふうになっておるわけでございます。われわれはこの審議の過程におきまして、四半期報告というものにつきまして検討したわけでございますが、四半期報告になりますと、たとえば災害が今日現在起こったと申しましても、それが前の四半期を過ぎたあくる日でございますと、あと三カ月間は何らディスクローズされない、かようになるわけでございます。あれこれ考えますと、こういう臨時的に発生しましたものにつきましては、四半期の経過を待たなくて、そのつど遅滞なく出していたたくということが必要だということで、アメリカの制度を見習いませんで、臨時報告書というふうに受けとめてきたわけでございます。そのほかに株主にとってもっと重要な開示すべき事項があるではないか、かような御質問でございますけれども、一番関心のございますところの営業なりあるいは収益の状態につきましては、これは臨時的に、たとえば災害が発生して生産設備かどういうダメージを受けたといったようなことはこの臨時報告でカバーいたしますが、そのほかの場合には、ある程度の期間の経過というものの中におきまして収益状況がどうなっているかということの推移が大事でございまして、これをこま切れにいたしますと、しかも先行きのことについて無責任なことを言わすわけにはまいりませんので、投資家としてはかえって判断に迷うという点があるかと存じます。さようなわけで、やはり企業収益の点につきましては、半期報告を含めました一年二回の報告ということで必要にして十分であろう、かように考えております。そういたしますと、そのほかに臨時に報告すべき事態といたしましてはこの九ページに掲げられているところが、考えられるほとんどを網羅しておるのではなかろうか。なお、今後だんだんとその事態が進展するにつれまして、あるいはこの五項目以外に必要な事項の追加ということがあり得るかも存じません。大蔵省令で定めることにいたしておりますのも、実は当面は五項目が考えられますが、将来の進展に応じては、あるいはふやすべきものも出てくるかもしれないということも考えて、そういうふうに省令に委任していただくということを考えているわけでございまして、私どもといたしましてはこのようなことで十分投資家の判断に間に合う、かように考えているわけでございます。

阿部助哉日本社会党

○阿部(助)委員 投資家の一番の関心はどうしたところで販売活動の問題が、たとえば大口の焦げつきであるとか在庫増であるとかというようなものが問題だと思うので、この臨時という制度を設ければ、そういう点での大きな問題もやはり報告させるようなことでないとほんとうの投資家保護にはならないのじゃないか。臨時の制度を設けるのだから、やはりそういう販売上の大きな問題が出た等の場合にもさせるということにならぬと、半年ごとにやるからいいじゃないかというようなことでは私は不十分だと思うので、そういう点でも、政令というふうにいった場合にはそのアウトラインぐらいはやはり国会に示すべきだ、私はこう思うのであります。末端にいけば場合によれば通達行政だなんということで、皆さんの通達のほうが優先するような場合がむしろ多いように聞いておるのでありまして、そういう点で、ほんとうに国会が国の最高議決機関ということになるならば、やはりそういう問題は政令でやるにしても大体のアウトラインぐらいは法案と同時に提示をされて、そしてここで審議をするということを強く要望し、また、一番冒頭に政務次官にお願いしましたけれども、こういう資料をきのうの夕方五時ごろにいただいて、きょうその審議をしろというのは少し酷でございまして、われわれもベストを尽くすけれども、それにしても皆さん、大事な種はみんなあっためておいて、なるたけ出さないで、国会をさらりと通そうなんというけちな根性はやめにして、ひとつもう少し国会の審議が実りのあるように十分に配慮していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 佐藤君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 証券取引法の改正にあたりまして、今回かなり基本的な点が大きく二点改正になるわけです。つまり、いままで論議がありましたように、企業内容の開示制度に関するものと、もう一点は株式の公開買い付けの規制に関するものです。  まずお伺いしたいのですが、今国会にこの大きな二点を改正する法案が提出されたのは一体なぜか。つまり、なぜいま改正しなければならないか、そのような客観情勢というのは一体何であるのか、その基本的な点についてまずお伺いしたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 実は私ども、この証券取引審議会の報告を受けまして今国会に提案するにつきましては、国会の委員会のほうからおそきに失するではないかというおしかりをいただかないかと思っておそれておったわけでございます。と申しますことは、証券取引法は昭和二十三年に実質的に制定されまして、二十八年の若干の改正はございましたが、その後、証券会社を免許制にするという改正以外には実は改正は行なっておりませんが、この間、資本市場を取り巻く環境、規模拡大、その他いろいろと変化しております。なかんずく投資家にとりまして非常に重要でありますところのいわゆるディスクロージャー制につきましては、昭和三十九年に起こりました山陽特殊製鋼の粉飾事件を契機といたしまして、社会的なそのもたらす影響ということの重大さにいまさらのごとく驚いたような次第でございまして、その後、公認会計士の処分あるいは公認会計士法の改正あるいは大蔵省における有価証券報告書のいわゆる重点審査による粉飾決算の摘発というような一連のことを進めてまいったのでございますけれども、昭和四十年に証券会社を従来の登録制度から免許制度へ移行いたします際に、有価証券の発行、流通に関する制度、と申しますのは第二章のことでございますけれども、これについても早急にその改善をはかるべきであるという附帯決議を実は衆参両院からいただいた次第でございます。その後検討にかかったわけでありまするが、いまお尋ねのように基本的な問題ということを詰めてまいらなければいけませんので、証券取引審議会に付託いたしましたけれども、その場合におきまして専門委員会を設置するというような慎重な手続をとりまして、ようやくその結論が昨年の年末近くになって出された、かようなわけでございます。  かたがたその間におきまして、昨年の秋に証券業の資本自由化ということが行なわれまして、あるいは一昨年以来からいわゆる外人買いと申しますか、外国人によるわが国株式の取得ということが非常に活発に行なわれるようになっております。つまり証券市場が国際化しつつある。さような中におきまして、外国において行なわれておりますところの株式の公開買い付けということがいつわが国に行なわれるかもしれない。もっとも現在は外国人によるわが国株式の取得は為替管理の面におきましてかなりの制限を設けておりますけれども、これとても近く第四次の資本自由化の問題等々考えますると、これは前向きになるであろうということも想定されます。さようなことを考えまして、この機会にわれわれといたしましては証券取引法の改正をいたす必要がある、かように考えた次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 今度の改正の大きな柱の一つである企業内容の開示制度について、大体内容は三つあると思うのですが、一つは有価証券の届出書に関するものであり、もう一つは企業が提出する有価証券の報告書についてのもの、もう一つは粉飾決算に関するものだと思うのですが、この前の二点は阿部委員のほうから御質問がありましたので、私はこの粉飾決算について少しお伺いしたいと思います。  従来、粉飾決算というのは、投資家保護という観点からすると全く投資家を欺瞞するものであることのはなはだしいことは言うまでもないわけですけれども、当然大蔵省としても今日まで規制をしてきたわけです。それでまずお伺いしたいのですが、山陽特殊鋼あるいはサンウェーブなど、昭和四十年以降かなり多くの粉飾決算が新聞紙上でいろいろと話題になったわけですけれども、今日までどのような粉飾決算があり、そして大蔵省がどのような規制をし、指導をしてきたのか、その点について御報告を願いたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 山陽特殊製鋼事件以来——実は昭和三十年代におきましては実質的に粉飾決算を行なったという企業は多かったようにそのときの調査では思いますが、やはり一般の関心、経営者のモラルと申しますか、社会の関心、公認会計士の自覚の程度、能力の程度というようなところもございまして、昭和三十年代におきましては、実態は粉飾があったにかかわらずその摘発とかいうことが行なわれていなかったという実態にあったと思います。それが山陽特殊製鋼以来にわかに反省をせられたところでありまして、大蔵省といたしましては、そこでいろんな経営分析とかその他の入手できます資料から、あらためて全社からの有価証券報告書のうち重点的に大蔵省が特に精査をする、精密に調査をする必要があるというものをピックアップいたしまして、それを逐次調査をし、つぶしていく——つぶしていくというのは、会社をつぶすという意味ではございませんで、粉飾がないかどうかということを吟味していくということをやってまいりました。昭和四十一年でありましたか、暮れに大量に公認会計士の処分というのを行なってまいりました。  ちなみに、昭和四十年八月以降、この有価証券報告書の重点審査を実施してみました件数は、昨年の十二月まで約一千社の会社を対象にいたしまして重点審査をし、約百六十社につきまして、その中から粉飾の摘発を行なっております。で、これに対する公認会計士の処分も、一番強いのは数人に対する登録の抹消、それから近くの例でたとえて申しますと、昭和四十一年以降四十五年まで公認会計士につきまして百九十五人について処分を行なっておりますが、そのうちおもなものは、登録抹消三名、それから業務停止を受けました者が合計四十八人でございまして、以下誓約書あるいは口頭注意で済ましたものもございますけれども、毎年引き続きかなりの数に達する処分というものを遺憾ながら行なわざるを得ないというようなことでございまするが、さようなわけで、目下もなお重点審査を続けておりますけれども、私どものほうは極力あらゆる資料から重点審査としての審査を進めてまいりたい、かように考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 今回の改正では、大蔵大臣が粉飾決算を発見した場合——まあ大蔵省と申しますか、粉飾決算が発見された場合、行政措置としてその会社に一定期間増資をストップさせるようになっております。たしかこれは十一条だと思うのですけれども、この一定期間というのは一体どのくらいを大蔵省としては考えているのか。そしてこのくらいのことでは手ぬるいんではないか、さらに粉飾決算に対して行政指導を強くしなければいけないんじゃないかと、大衆投資家保護という観点から考えられるわけなんですが、まず一つ、大蔵大臣が増資をストップさせる、これは一体どのくらいのものが考えられているのか、お伺いしたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 証券取引審議会の審議の過程におきまして、一年間のいわゆる増資ストップという議論をした向きもございました。実は中間報告の十月のころの段階では、むしろ一年間ストップしたらどうだろうかという意見のようでございました。それが、中間発表をいたしますと、新聞社の社説が一斉に出まして、その他の点についてはおおむね賛同されるような論旨であったと思いますが、一年間の増資ストップの点につきましては、有力な日刊紙各紙とも、一年では短過ぎるのではないか、むしろ必要によっては二年とかいうところまで増資ストップをする必要があるのじゃないかということを強く指摘されておりました。さような議論も受けましてその後の審議もいたしました結果、これはケース・バイ・ケースということもございまして、一律に一年以内ならばいいとか、いや一年を置けばいいとか、二年を置けば十分とかいうふうにいえないだろうというふうに考えたわけでございます。それは粉飾のやり方とか程度によりましょうし、またそれが世の中の流通市場、株式の市場においていかなる混乱状態を起こしているかという、その程度にもよることでもございまして、あるいはまた、その会社がどういう新たな陣容をもって、どういう資金計画とか産業上の生産販売の計画をもって建て直すか、粉飾を埋めていくか、こういったようなことが一律に論ぜられません。そういった程度においては、世の中の投資家の混乱、動揺、不安というものが静まるかどうかということは一律にいえませんので、法律上はここは、公益または投資家保護のため適当と認めるとき、というふうにしているわけでございまして、これは大蔵大臣がそのつど適切に判断をするというところにゆだねられるわけでございますが、従来の審議経過を心の中に込めまして、普通の場合は一、二年というような範囲内でこれを考えていくことになるのではないかと思います。しかしながらこれを一律にこういうことを原則にするということは、いま申しましたようにこれはできないことではなかろうか、困難であろう、かように考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 どうも局長のお話を聞いていると、粉飾決算というのはつまり出てしまわないとわからない、しようがないのだというように受け取れるのですが、先ほどの阿部委員との論議にもありましたように、たとえば報告書を半期にしましても、あるいは臨時報告書にいたしましても、開示制度を広げたといっても、その呈示されているもの自体が粉飾されて、全くの欺瞞されているものであっては何もならないわけです。そういう面で、粉飾が発見されてからの公認会計士に対する処罰、あるいはこういうふうに増資を一定期間ストップさせるということはもちろん必要でしょうが、粉飾決算をさせないような何か行政指導というのが必要なんじゃないかと思うのですが、その点はいかがでございましょうか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 まさにお説のとおりでございまして、粉飾決算はあってはならないわけでございます。いかにこれを事後で摘発いたしましても、これは投資家保護の点から申しましていろいろ問題がございますので、なきを期するということが目的であることは申すまでもございません。それにはしかしいろいろな場合を想定しておかなければならぬということでございます、実際問題といたしまして。したがいまして、今回の改正におきまして、これは事後の問題でございますが、粉飾が発見された場合に、公認会計士も民事上の損害賠償責任を負うのである、あるいは刑罰も強化するということ、これは結局、そういう場合にその善後措置としましてはもちろんでございますが、むしろこれは予防的効果ということをねらうという面も兼ねているはずでございます。  なお、その他の制度的な問題といたしましては、先ほど来公認会計士の独自性と申しますか、権威と申しますか、そういうものをしっかりしたものにする必要があるということでございますので、企業が膨大化するということに対応いたしまして、ひとりそういったような公認会計士ではとうていこれに立ち向かえないであろうということも考えまして、国会において公認会計士の監査法人、数人が共同して一つの事業体となるという監査法人という制度を設けたわけでございまして、その上に今回の改正で、事後的な対処のしかたではございますが、それを強化充実することで予防的効果を期待するという両面をもちまして、お説のような粉飾なきを期する、こういうことをねらっているわけでございます。しかし世の中のことでございますので、あるいは不幸にして粉飾決算が行なわれてしまうということもなきを期せられませんので、制度といたしましてはこういった制度しかないのではなかろうか、かように思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 たしか現行法にも公認会計士の監査証明にかかる書類の不受理という項目があったと思いますが、これがいままで一度も発動されたことがない。私の知っている限りではそう思うのですが、これを発動できるように改めるべきではないかという議論もありますが、その点に関してはいかがでございますか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 現行法第百九十三条の二第五項でございます。お説のようにこの規定は、虚偽の監査証明を行ないました公認会計士のそれ以後提出する監査証明については受理しないことができる、こういう規定でございますが、現行法は、その公認会計士がつけます監査証明書の全部を受理しないことにする、つまり言うならば営業停止をかけるということと同じような効果をねらっておるわけでございます。実はこの公認会計士が、一人が一社だけに関与しておればもちろんそれでいいわけでございますけれども、数社に関与しているということがあるわけでございます。その場合に、その全部について粉飾決算があると知っておりながら虚偽の証明をしたということであればもちろん全部不受理にしていいわけでございますが、あるいは会社との因縁というようなことから、ある会社に対してはきちんとやっておるけれども、その他の会社に対してはずるずるとなってしまったという場合もあり得ると思います。現行規定はさような場合に、しっかりしておったところまで不受理にしなければ不受理ということができないという規定になっておりますために実はその規定の発動はできない、こういう現実がございます。今回の改正は、実はその点において、形式上は「全部又は一部を受理しない旨の決定」となっておりまして、その一部だけでも不受理できるということで、いままでは全部受理できないことにしていたが、今度は一部だけ不受理にしまして他の一部は受理する、そういうことで、ゆるめたかのごとくでございますけれども、実は現行規定がさような点がございますので、あまりにきつ過ぎるといいますか、ひど過ぎましてかえって適用ができない。だからわれわれとしましてはこの規定を仰せのごとく発動してまいりたいと思っております。そのためにはやはり規定上は「全部又は一部」としないと実際問題として発動がむずかしくなるということを考慮いたしまして、規定上からは若干緩和のようでございまするけれども、むしろ前進的にこれを——前進といいますのは前向きに進むという前進的に対処をしてまいりますためには、規定上「全部又は一部」と改正するほうが適当である、かように考えて改正案を提案いたしているわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 何と申しましても粉飾決算というのは、投資者保護の観点から申しまして、営業実績をごまかすものでございますので、なお一そう監視の目を光らしていただきたいと思うのです。  次に、株式の公開買い付けの規制についてお伺いしたいんですが、その根本となりますテークオーバー・ビッドと申しますか、乗っ取りと申しますか、これはアメリカと日本とでは感覚がかなり違うんじゃないかと思うんです。アメリカの場合には、もたもたしている経営者はかわってもらったほうが株主にはいいんだ。つまり乗っ取りは必ずしも悪ではないという考え方があると思いますけれども、日本の場合には何かやはり乗っ取りというのはどろぼうまがいのことで、営業権を奪取するという考え方だろうと思うのです。この今度の改正で、これは私は非常に革命的なことだと思うのですが、株式の公開買い付けの規制という条項をつくったという根本に、まず乗っ取りというものを悪と考えるのか善と考えるのか。この辺の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 いわゆる乗っ取りといいます場合に、従来の日本におきましては、ほんとうの意味の乗っ取りといいますか、陰に隠れた陰湿な株の買い占めをひそかに行なっておりまして、それによって株価がつり上がったところで、またかなりの株数を買い占めたところで、それをそのときの高い価格で売りつけていくというようなこととほとんど同義語的に観念されておる向きが多いんじゃないかと思うのです。片や企業間の合併というような点につきましては、何人もこれを、まあ独占禁止法的なものは別といたしまして、これを乗っ取りであるとか望ましくないというふうに一律には考えられていないと思うわけでございます。  今回の株式の公開買付けの規制でございますが、一体乗っ取りは善と思うか悪と思うかという点につきましては、いかなる立場からこの善悪を論ずるかということによって非常に言い方が違ってくると思うのでございます。私どもは証券取引法という分野で考えますと、ある会社の現在の経営陣を擁護してしまうということは必ずしも投資家保護ということとイコールになるとは思われません。もちろんその場合、経営者が大株主であるという場合は株主イコール経営陣というようにもなるでしょうけれども、今日のごとく雇われ重役と申しますかサラリーマン重役と申しますか、経営と所有というものが分離しているという状態におきましては、現行の役員の地位を守ること、これが投資家保護につながるというふうには一がいに申せないのではなかろうかと思います。かつ現在の——将来もそうでございますが、証券取引法の法目的は投資家保護という点にあるわけでございまするので、今回の改正にあたりましては、この善悪というものにつきましてはニュートラルという立場に立たざるを得ない、また立つことが至当であるというふうに判断いたしました。  ただそれにいたしましても、さような価値判断を一応するといたしましても、それに無用の混乱が生じたりあるいは株主に対して非常な危惧の念あるいは不安の念、先行きどうなるというような点について陰にこもったような事態が起こることは避くべきeある、かようなことを一方においては考えております。  またもう一つ申しますと、ことに外国からの企業支配ということの面から申しますと、普通この株式の公開買い付けの制度は諸外国で規制しておりまするが、それは基本的にはニュートラルということになっておりますけれども、実際問題としての影響は、ともかく何らかの事前チェック、届け出といったような事前チェックの関門があるところから、いわゆるプロマネージメントと申しますか、現行の経営者、相手方の会社の現行の経営陣に比較的に有利に働くという実際上の効果が伴うのだというふうに、この制度がない場合に比較していわれております。そういった面も、今後わが国対外国ということを考えますると、われわれとしましては念頭に置いております。しかしその場合においては、投資家保護という点からいいましてやはり限度がございますので、その辺の限度は心得ておるつもりでございますけれども、これがない場合に比較して、ことに外国の場合を幸えますと、現在の日本の企業経営者の立場に有利に働くという面も実際的効果として念頭に置いておるということも否定できないと思います。  さようなわけで、はたして御満足のいただけるような答弁になったかどうかわかりませんが、一がいに乗っ取りを善と見るか悪と見るか、なかなかむずかしい問題でございまするが、各方面から考えて投資家保護ということを中心にしながら、しかるべききめのこまかいことを織り込んでいくということが制度の趣旨ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私の質問することを先取りしてお答えいただきましたのであれですが、もう一度確認したいのです。  いま局長が言われたように、今度設けたこの編制が会社側にとって有利なのか、ほんとうに投資家保護に有利なのかといろことは、確かに非常にむずかしい。また実際に起こったその場合によるのだと思うのです。いま言われたように、確かに会社の現経営陣保護かあるいは投資家保護かという点と、もう一つは、いま言われたように外国の企業からの乗っ取りに対して規制をするものなのか、あるいは日本の企業間同士の乗っ取りに対して規制をするものなのか。この次元が四つぐらいに今かれると思うのです。もう少しその点について御答弁があればお伺いしたいと思うのですが……。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 国内の点について若干補足して申しますと、これは対外的にも起こり得るとは患いますが、先ほど申しましたように、企業間の合併あるいは企業の集団化というようなことも、国民経済のために必要あるいは適当であれば、投資家の立場から申しましても、そういうふうにして当該両企業がますます成長する、発展するということが望ましいという場合もございましょう。その場合に日本では、これは従来では合併あるいは株の持ち合いというようなことで行なわれておるわけでございます。株の持ち合いはそれでいいのですが、合併となりますと、法律上、手続上の点、その他合併に伴ういろいろな点がございますし、時間がかかるという点もございましょう。そういういわばいずれの立場からも望ましいというような場合におきまして、買い占めようとするものとその相手になっている会社との両経営陣におきまして話し合いが十分つきまして、あとはいかなる手続でその企業の集団化をはかるかということになりますが、その場合におきましては、ことにこれはイギリスなどでは、テークオーバー・ビッドといいますか、買い付けによりまして場外から一ぺんに会社の株を集めるという手段が多く用いられているようでございます。国内におきましては、そういういずれの面からも望ましい企業の合体化あるいは集団化という、その場合の一つの手段としてとられるということも考えられるかと思います。そのことだけを補足してつけ加えて申し上げたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 たしか外資法の規制では、既存会社の株式買い付けについては外国人全体の株式取得が二五%未満、外人一人当たりについて七%ですか、制限があると思うのです。ところが今回のこの改正案では、量についての規制というのは私の見た限りではないのじゃないかと思うのです。テークオーバー・ビッドする場合には、十日前に大蔵大臣にそのコピーを送付しなければならないとあるわけですけれども、そのあと大蔵大臣が一体何をするのか、何ができるのかについては、「公開買付届出書に係る届出がその効力を生じた日から一年間、公衆の縦覧に供しなければならない。」ということはありますけれども、それに対して大蔵大臣がノンであるとかいうことを言う項目は私の見た限りではないと思うのです。となると、今度のこの改正というのは外資の乗っ取りに対する規制であると考えていいものなのか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 一がいに外資に対する対策のみというふうに考えておりません。内外、使い分けていない次第でございます。  なお、届け出を出す、これを公衆の縦覧に供するというだけですと、その間に大蔵大臣が届け出に対してどういう審査をするのか、あるいはノンとか言うようなことがどうなるのかということがさっぱりわからぬじゃないかというお尋ねでございますが、実はこの届け出と申しますのは、あたかも有価証券届出書と同様な意味での届け出というふうに仕組んでおるわけでございまして、したがいまして、その内容審査を大蔵大臣がいたしまして、その中身が法規上適当でない、あるいは真実であるかどうか疑わしい、あるいは明らかに虚偽であるというような場合におきましては、その効力を停止する、発生させない、あるいは中身を訂正させる、かようなことを大蔵大臣はする必要がございます。その点につきましては今回の規定の二十七条の二の第二項で、「第七条から第十一条までの規定は、公開買付届出書について準用する。」ということになっておりまして、その中にただいま申しました効力の発生でありますとか、届け出の訂正でございますとか効力の停止でございますとか、あるいは今度の改正にございますところの一定期間の増資ストップでありますとか、さようなことがこの準用規定によりまして読めるわけでございます。ですから普通の届け出さえすればいいということとは違っております。  ちなみに諸外国の例を申しますと、今回のわが国の届け出のごとく、効力の発生ということを要件とし、しかも効力の発生について訂正させる、場合によっては効力をストップするといったような仕組みをしている例は、外国では公開買い付け制度についてはございませんで、その点はわが国独自の制度にしておるというふうに了解していただいていいと思います。  なお、繰り返しますが、これは外資対策のためだけの規定ではないわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いま読まれた公開買付届出書についての準用は知っているのです。しかし、先ほど阿部委員も出された「企業内容開示制度等の整備改善について」という証券取引審議会の答申書によりますと、「その買付けにより発行会社の株式の一〇%以上を所有することとなるもの及び既に一〇%以上所有している株式をさらに買い増すものを規制対象とするのが適当と考える。」というふうに、量についての規制があるわけです。ところがいまの改正案には量については何もないわけですね。その点をお伺いしたいのです。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 二十七条の二には確かに一〇%とかいう量のことは表面上書いてございません。「不特定かつ多数の者に対する株券その他の有価証券で政令で定めるものの有価証券市場外における買付けの申込み」となっているわけでございまして、これだけを読みますとたとえ千株でもということになるわけでございます。つまり、不特定多数ということはございますけれども、有価証券市場外で一万株でもあるいは千株でもということにあるいはなりかねないかもしれません。ただこの規定には第一項にただし書きがございまして、「その態様その他の事情を勘案して届出の必要がないものとして政令で定める公開買付けについては、この限りでない。」こういうふうになっておりまして、この問題はその中身の政令をどう書くかということでございます。  答申では一割以上というふうになっていながら、どうしてこの法律では一割以上としないで政令に委譲することにしたのかという点でございますが、これは諸外国の例等も見ながら、この制度はかなり流動的に対処できるように、一々そのつど法律を改正していたのではあるいは間に合わぬこともあり得るかもしれないということで、政令に委任しておくことが臨機応変ではなかろうか。その点につきましては、実はちょっと外資対策のよろいが見えるような感じがするのでございます。このことを考えてみまして、当面としましては政令をこの答申でいわれておりますとおりの一割以上というふうにいたしたいと考えておる次第でございまして、ただし書きの規定のしかたということになるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私が前に述べたように、外資法には一人当たり七%以上は持ってはいけないという規定があり、そして改正案には、これは政令しか——その政令もまだきめられてないわけですけれども、量についての規制はない。これはこれからきめるということなんですけれども、私がもう一度お伺いしたいのは、届け出がなされてから大蔵大臣が受理するということですが、そのときにいろいろな様式と申しますか、先ほど述べられたように公開買付届出書について準用するということになっておりますけれども、たとえばフランスなんかの場合には、これは大蔵大臣がそのテークオーバー・ビッドはならぬ、やってはならぬという拒否権が発動できるようにも私は見ているのですけれども、こういう制度というものは必要なんじゃないですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 その点につきましては、実は法案を作成いたしますまでの段階におきましていろいろと御議論をしていただいたところでございます。ただフランスの例でございますが、フランスは一種独特の有価証券の取引集中主義というものをとっておりまして、あらゆる有価証券の流通、取引は、これは相対取引ももちろん含むわけでございますが、公務員の資格を持っておりますところの株式仲買い人を通じてでなければ取引はできないというふうになっておるわけでございます。さようなところでありますので、仲買い人というものが規約をつくりまして、そして直属の長官たるフランスの大蔵大臣に報告をし、その意見を聞くというふうに仕組まれておりまして、その中にただいまお話しの、大蔵大臣はテークオーバー・ビッドに対して異議を申し立てることができるという規約になっております。これは法律制度としてきめられたものではございませんで、仲買い人規約によってそういうふうになっております。また仲買い人規約が一般に権威を持ちますというゆえんのものは、いま申しました取引が仲買い人のところにすべて集中してくる、その手のうちでどうにでもなるというところに実は基礎を置いているわけでございます。これに対しまして、日本の場合はそういう取引をすべて集中するということにはなっておりませんわけで、もしもそこでたとえば大蔵大臣が、届け出が出ました場合にこれはいけない、ノンであるというふうにいたしますと、それではその買い占めようとしている者が方法、手段はないかといいますと、それは残されているわけでございます。つまり有価証券市場自体でどんどん買っていきますか、あるいは個別訪問的に一対一の相対取引を行ないまして、そして買い占めていきますか、いわばそういうほうに、ももぐっていくと申しますか、分散していくと申しましょうか、そういうほうに追い込んでしまうのではないか。そうなりますと有価証券の市場指導の点、その他の点でかえって望ましくないのではないか。したがってこの制度につきましては、もしある株式の取得をしようと思うならば、できるだけこの道にいわば追い込んでくると申しますか、誘導いたしまして、そこで大蔵大臣が所要の審査をした上で、これを一般に公平に公正にディスクローズいたしまして、十分に判断してもらいながらやってもらうということが一番フェアであるのみならず、投資家保護という点からも適当ではないか、かように考えたのでありまして、フランスの例につきましては十分に検討し、また最初産業界のほうでもそういうことは設けられないかという議論もあったのでありますけれども、以上申しましたような議論の結果、原案が最も妥当じゃないかというところに落ちついたようなわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 私も局長の言われることよくわかるのですが、この法案というものは、乗っ取りというものが初めて法的に日の目を見た法案じゃないかと思うのです。それでこういう正しいやり方でやればテークオーバー・ビッドをやっていいのだ。量の規制というものはまだ日本でははっきりないわけですから、やっていいのだ。ただしその場合には、先ほど局長が言われたように、いままでやってきた、過去日本の経済の歴史の中でやってきたような、陰に隠れたような陰湿なやり方ではなくて、フェアに、公正に、堂々とやってくれということになるのではないかと私は思うのです。  それで、確かにいま言われたように、乗っ取りというのはこの道に誘導されてきたというふうにもいえると私も思うのですが、その点でどうしても私はひっかかるのは、この法案と独禁法との関係ですね、これが一体どうなっているのか。私はなぜ大蔵大臣が何もできないということを執拗に聞くかといいますと、受け取って、それから届出書を公共に縦覧させるという項目はあるけれども、拒否権がないということになりますと、これはへたをすると独禁法との抵触する部分にまで乗っ取りというものが広がっていける道を開いたのではないか。それが一番最初私が質問いたしましたように、乗っ取りというものを善と考えるか悪と考えるかという問題にまた戻っていくと思うのですけれども、その辺、独禁法との関係は一体どうなっているのか、それをお伺いしたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 確かに御指摘の問題がございます。独禁法は、不当な競争制限になるようなことは禁止し、また、もしそういう事態が起こった場合におきましてはそれを差しとめるということになっておるわけでございます。私ども、この届出書が出てまいりますと、政府全体——大蔵省も政府の一員でございますが、政府全体といたしまして、違法な事態を現出させる、違法な結果を現出させる、そういうようなことを通すわけにはまいらぬわけです。さればと申しまして、独禁法上の判断は公正取引委員会でございます。ただ事前の場合におきましても、われわれとしましては政府の協力義務と申しますか、政府全体として違法な事態を防止しなければならぬということから申しまして、実際問題といたしましてわれわれが解釈し、あるいはわれわれがかねてから公取委員会のほうから、独禁法の解釈、適用についてはこれこれこういうルールなり考え方、解釈によって運用しておるということを承知しておりますわけでありますから、それに照らしまして、これは独禁法上違法になる、差しとめ命令を受けるようなおそれが強いというような事態もなきにしもあらずかと思います。さような場合は、これは大蔵省といたしましては別途公取委員会の見解を事前に求めるということも必要な場合が出てくるかと思います。さようなことを通じまして、違法な事態を現出せしめないように、大蔵大臣は審査を進める必要があるのではないか。これはだから、大蔵大臣が効力を発生させるというまでの手続の過程における問題と了解しております。  ちなみに、証券取引法自体によりましても、もし事前審査におきましてその点がチェックできなかったときにおきましては、後にやはり第百八十七条によりまして、大蔵大臣は発議によりまして差しとめ命令ということの裁判所の権限発動を求めることの道もございますので、ただいま申しましたような運用と百八十七条の規定の適用ということを通じまして、仰せのような独禁法上の違法な問題を現出させないように運用してまいりたいと思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 お伺いしたいのですが、そうすると局長の言われる違法なことというのはどういう事態をさしているわけですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 独禁法上の問題でございまして、御承知のとおり独禁法の規定は、表現は非常にばくとしている面もございますわけで、一言で申しますれば不当な競争制限になるといったような企業合同でありますとか、そういうことではないかと思うのであります。もう一つは、この方式が不公正な競争制限をするような方式でないだろうかという点でございますが、それは具体的な条件は独禁法上はそうこまかくは書いてはございませんで、大きな栓が書いてあるわけでございまするので、やはりケース、ケースによりまして、運用上あるいは従来の審決上のいわゆるケースといいますか、判例というようなものを参考にしながら、やはり個別にやらなければならないのじゃないかと思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 しかしその場合でも大蔵大臣としては、テークオーバー・ビッドはまかりならぬと言うことは現行ではできないわけですね。そういう不当なあれになる、公正取引委員会のほうに通告するにしても、公正取引委員会としては事態がなされる前には何も効力は発効しないし、また法律的にでも大蔵大臣の管轄下ではないわけですね、公正取引委員会というのは。そうなってくると、いろいろなつながりはあるでしょうけれども、法的にいって、大蔵大臣がこのテークオーバー・ビッドはまかりならぬと言う権限を発動するということはできないわけですね。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 なかなか、法律でどう仕組めるかという限界と実際という問題がデリケートでございまして、実は私ども、この届出書の中身に、先ほど申しましたように法令違反、違法にわたることを効力を発生させるということは適当でないということでございますので、この届け出様式の項目の中に、法令に違反しているか——その法令はもちろん単に証券取引法だけではございません、日本のあらゆる法令を含みますが、法令に違反していないかどうかということも書かせるつもりでございます。それは、今度の改正法案の中におきまして、買い付けの条件及び方法に関することは政令で定めるということを第二十七条の四第三項で書いておりますけれども、それは公益または投資家保護上ということになっております。買い付けの条件、方法については政令でその中身を規定していくという委任規定を設けているわけでございますが、その中で、公益の点からいたしまして、法令違反というのは公益違反でございますから、法令に違反していないかどうかということを書かせる。したがいまして、もしもその事案が競争の実質的な制限になるというようなおそれがあるような場合で、公正取引委員会があとで排除命令というようなものを出さなければならないんじゃないかといった事例につきましては、当然当事者は事前に公正取引委員会と連絡いたしまして、その点をクリアーするということが要求されてくると思いますし、なお実際に届け出が出ました場合におきまして、われわれのほうの判断によりまして、もう一ぺん公取委員会のほうの感触なり判断を求めておかないと、あとで効力差しとめ命令の発動を裁判所に要請しなければならないようなおそれがあるというときにおきましては、実際の運用問題に照らしまして、その辺の連絡を密にしていくという運用上の問題になってくるだろうと思います。これを法律上コネクトをつけるということは、先ほど申しました法令に違反していないかどうかということを答えさせるということでつける以外には、ちょっと法律体系が違うものでございますからそれ以上のことはできないと思いますが、実際はそういう脈絡で運用していくということになろうかと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いまのお答えですとその問題は、つまり独禁法に触れるようなテークオーバー・ビッドがあった場合にどうするのかという問題は、大蔵省内部の運営の問題、受理するかしないかというか、運営上で処理していくということでございますし、それから法律の体系が違うということなんで、その辺が私としては非常にやはり心配なわけです。だけれども、私が言ったように、この改正案というものが乗っ取りに日の目を見させた、これは善と考えるか悪と考えるか、非常に微妙なことはわかるのですが、そういうような法案になっている以上、やはり公取委以外にそういうものを規制する法律が必要なんじゃないか。どうも運営上だけでは不安が残るわけですけれども、そういう法律が必要であるというふうにはお考えになりませんか。量に対する規制ですね。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 持ち株数につきましては、これは金融機関は御承知のとおり一割こえて持てないという別の法律がございますけれども、その他の面におきましては持ち株数の割合でもって制限をするという法律体系はどこにも実はないわけであります。独占禁止法といえども、持ち株割合がこうなれば違法であるということには事実判断いたしませんで、競争を実質的に制限することになるかどうかという点でございます。さような中で今回のこの法改正はその何割以上の持ち株をしようかということでございますので、それが何割になったからといって必ず独禁法上問題があるということにはなりませんし、さればといって証取法の分野においてこの独禁法の公益ということをカバーすることはとうていできませんので、この株式についてある程度以上の株式取得のときには、中には届け出させてこれをむしろ公にするということであろうと思いますし、またそのことが、独禁法上問題になるといたしますると、むしろひそかにいろいろな事態が起こっているよりも、独禁法を適用すべきかどうかという判断ができる機会が明らかになるということでございますので、これが独禁法の厳正な、適正な運用に支障になるというふうには、私どもは毛頭思っておらぬわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 時間もありませんのでもう一つ念を押すような聞き方をするわけですけれども、いまの法案では十日前に大蔵省に届け出するわけですね。そしてそのときに大所高所から判断をして、公取委の意見も聞きあるいはその他の情勢も聞き——簡単に数字で何%以上は持っちゃいかぬということはできぬと思うのです。それは市場にもよるし会社の状態にもよるし……。ですから何%以上ということはできないにしても、そのために大所高所から考えて、これは公益なりあるいは大衆投資家の利益に反すると考えられる場合には、それは大蔵大臣が受理しない場合もあるという項目ぐらいは必要なんじゃないか。それはいま局長が言われる中身を法律として明文化すること以外の何でもないと私は思うのです。そのあたりはいかがでございますか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 それは繰り返しになりますが、先ほど読み上げました第二十七条の二の第二項で証取法第七条から第十一条までの規定を準用しておりますが、その中には効力を発生させるという前提において内容を訂正させるという訂正命令もございます。しかしながら、効力の停止を命ずることによって投資家を保護する規定も準用になっているわけでございまして、仰せのような、どういう場合にどういうことがあるかということは予測もつきがたいですけれども、非常に公益また投資家保護の点から適当でないというときにおきましては、最悪の場合といいますか、レアとは思いますけれども、そういうレアケースの場合におきましては効力を停止する、発生せしめないということもあり得る法律にはなっておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 念を押しておきますが、そのあり得るということは先ほど言われた百八十七条の適用ですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 百八十七条はいわば事後的な措置でございます。いま申しました第二十七条の二の第二項は、第七条から第十一条まで、なかんずく第十条あたりというものは、まだ、届出書が出ておりまして、効力が発生する前の、事前の段階での準用規定でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 時間がありませんので、次の外国証券業者法に移らしていただきたいと思うのです。  当面、この外国証券業者法が施行された場合に、たとえば二年間をとった場合に、一体どのくらいの外国証券業者が日本に進出してくるというふうに予想されているのか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 なかなかむずかしい推測でございまして、はっきりとした数の見通しは立てにくいのですが、今回の法律では、支店を設けて証券業の免許を受けようという場合と、国際的な証券発行で国際的なシンジケート団に許可を受けて参加してくるという場合と、二つの場合を想定しておりますけれども、後者のような例は比較的——これはどういうところがそういう証券を発行するだろうかということにかかわりますけれども、かなり起きてくるのではないかと思うのです。  前者の支店を設けてということは、実は今回の法律案が新聞に出たりしますと、直ちに翌日のニューヨークタイムズでありますとか、そういう外国、ヨーロッパ、アメリカの新聞紙上で報ぜられておる、また証券会社の在外支店、子会社に対していろいろ問い合わせがある、在外公館にもあるというようなことから見ますと、実は関心を示しておる会社は数十社、欧米を通じてあると見られます。しかしここ一、二年ということのオーダーで見ますと数社が現実に進出してくるのではなかろうか、あるいは認めることになるのではなかろうか、かように考えます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 当然、外国証券会社の進出といったようなものは日本の証券市場、証券会社にも非常に大きな影響があるのじゃないかと思いますが、その影響の予想と対策はどうなっているのですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 予想につきましては、一つには、わが国の国民が外国の株式投資をすることにつきまして、現在は、御承知のとおり、株式投資信託の委託会社あるいは生命保険会社、損害保険会社といったような機関投資家に、一億ドルといったようなワクの中で自由投資を認めておりますが、一般の投資家は外国株へ投資することは認められておりません。それがどういうテンポで広まっていくかということに非常にかかっていると思います。もしもそれが当面門戸が閉じられておるということになりますと、むしろ国内の市場とか国内の投資家への影響ということは比較的に少ないんじゃないか。会社としましては、外国人が日本の株を売り買いする場合に、その委託を取り次ぐといったようなこと、ないしは将来やがて日本の国民も自由に外国の株式へ投資できるようになるということを想定しながら、たとえば投資顧問的な仕事に従事していくとか、そういうわけで将来のためのいろいろな準備をするという段階で過ぎるのではなかろうか。しかしその場合におきましては、やはり証券分析の手法でありますとか、その他の経済見通し、企業分析といったような新たな、つまり向こうの知識産業あるいは情報提供産業としてのそういうビヘービアということを新たに日本に持ち込むことになるであろう。それは、わが国といたしましても情報産業として機能を充実しなければいかぬといわれておりますけれども、新しい刺激となってくるであろうと思います。  もう一つ、一番大きいのは、さしあたりからも問題になるのはアンダーライティング、証券発行引き受けの機能であろうと思いまして、それは今回の国際的な発行につきましては許可制度でもって認めるということもいたしておりますけれども、さようなところから、従来、ともすればわが国の証券会社のウイークポイントはそういうアンダーライティングの、引き受け業務の点にございますので、その点についても、新しい刺激を受けながらもアンダーライターとしての機能を充実することにつきまして、早急にその体質改善、態度改善が迫られてくるであろう、かように考えておるわけでございますが、いずれにいたしましてもわが国の今後に対しても好ましい刺激要因となるであろう、こういうふうに考える次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 最近の情報によりますと、外国の証券業界あるいは証券会社が、たいへん日本の証券業界なり証券会社にアプローチしていると聞いているわけですけれども、外国と日本との証券会社同士の合併あるいは乗っ取り、こういうものが起こるんではないかということもささやかれるわけですけれども、その点をどういうふうにお考えになっているか。その防止策はどういうふうに考えられているか、お答えを願いたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 昨年の九月に銀行業務と同時に証券業務も資本自由化が行なわれまして、出資比率が五〇対五〇の合弁会社の設立が自動認可となったわけでありますが、その後実際問題として、その設立の動きというものを私どもは耳にしておりません。またお尋ねのような業務上のあるいは貸本上の相互提携ということにつきましてのアプローチも、一時、一昨年から去年にかけましてですか、IOS関係からある中小の証券会社へのアプローチがあったように耳にいたしましたけれども、その後IOSのコングロマリットがああいう事態になりましたことから消えてしまっておりますし、その後実際問題として耳にしておりません。私どもといたしましては、やはり証券会社は財産的のみならず、人的な構成の上におきまして、投資家の信頼を裏切ってはならぬという社会的な信用ということが必要でございますので、各証券会社に対しましては、そういう外国系の証券会社からそういう業務ないしは資本上の提携のアプローチがありましたならば、ひとつ直ちに大蔵省のほうに報告をしてもらいたい。外国といいましても広いわけでして、中にはいかがわしいといいますか、あるいは当該本国自体が証券業についてしっかりした監督を行なっていないという国に設立されたようなそういう会社も多いわけでございますので、その場合におきましては、一々相手方も十分に私どもがつかみ得るルートをもって調べました上で、その点についてはわが国の市場秩序を乱すような、そういう業務提携なり資本提携が行なわれないように十分に指導なり監督はしてまいりたい、かようなスタンスで臨んでおるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 今回の外国証券業者法案で外国の証券会社が日本に支店を設けることができるようになるわけですけれども、その際問題になるのはヨーロッパの証券会社だと思うのです。というのは、御存じのように、日本の場合には銀行業と証券業というのは完全に分離しておりますけれども、ヨーロッパの場合にはそれが一体となっているわけです。このヨーロッパの証券会社が進出する、支店を開く場合に、一体どういう形態でその支店を開かせるのか。つまり、本国のほうでは両方の業務ができる、日本に来ると片方だけしかやれないという状態になっているときに、その形態として証券業務だけを独立した別会社にと申しますか、そういう形態にするのか、あるいは相変わらず本国の支店という形で、しかも証券業務だけをやる、特別に許す、そういう形にするのか。その辺は一体どういう形態になさるつもりなのか、お伺いしたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 確かにヨーロッパあたりにつきましては、銀行業務と証券業務が兼営されておるという実情がございますので、これに対する考え方はいろいろとあるわけでございます。わが国の証取法第六十五条を非常に厳格に考えますと、いやしくも本店という一つの法人において銀行業務と証券業務とをあわせ営んでいる限り、その支店は一切認めないという考え方も一方の極においてはあり得ると思います。しかしそれでははたしてどうであろうかというふうに考えまして、今回の考え方では、支店設置も認めることにする必要があるのではないか。ただし、同じ支店で銀行業務と証券業務を行なうことはもちろんのこと、甲支店は銀行業務を営み、乙支店は証券業務を営む、これでは六十五条の秩序がとうてい維持できませんので、それは、日本において当該支店ということで金融、証券業務を営みたいというのであれば、日本国内においては銀行業務のみを営むか、証券業務のみを営むか、日本全体を通じていずれかを選択してもらいたい、こういうことで支店の設置を認めるということがちょうど妥当な調和点ではなかろうかというふうに一方においては考えております。  問題は、それでもしかしおかしいではないか、日本においてもやはり銀行業務もやりたいし証券業務もやりたいのであるという希望もむろんあるかもしれません。そういたしますと、支店ではなるほど銀行業務とか証券業務をやるけれども、別途子会社をつくって、支店が証券業務をやっておれば子会社の支店は銀行業務をやる、逆の場合は逆のことをやるというふうにしてこれに対処したいという希望も持っているかもしれないと思います。その点につきましては、今後諸外国がどういうような情勢でもって進んでくるか。あるいはそういうふうな受け入れ体制というものを、わが国から進出状態あるいはわが国の外国投資の状態とも考え合わせまして、いまその点まで確たる見通しを立てて対処することはどうも自信がない、あるいは適当でないという判断から、それはこの法律では、子会社をつくって支店を出してもだめですよということは一応原則にはいたします。ただ、時勢の進展に応じましてどういうふうにするかは政令以下でひとつ考えてみたい、こういうことに考えております。  もっとも、それで当面私はやはり要請にはこたえられると思いますことは、従来私どもが耳にしておりますところでは、欧州系の銀行、証券会社で日本へ関心を持っております点は、必ずしも支店の開設ということを何でもかんでもというふうに思っている会社、銀行は比較的少ない、ほとんどないというふうでありまして、むしろどっちかと申しますと、日本の東京なら東京というところが国際的な証券発行の場となりまして、それが国際的シンジケート団を組んで世界的に販売されていく、その場合にそのシンジケート団に、自分の販売網が欧州でありますから、加わりたい、そういう希望を明らかに申しておるところもございます。それにつきましては今回許可制ということでもって、その場合その場合の門戸を開いておりますので、それでもって必要な需要というものは当面満たしていくようにいたします。一方、支店でもって銀行か証券かということの選択制にしまして道を開くということによって、当面は私は、わが国の証券会社が諸外国に出ることのチェックにもならないと思いますし、相互条件の点から考えましても必要にしてかつ十分な当面の対応策ではないか、かように考えておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 たいへん答弁が長かったので、私も自分の質問の結論がはっきりわからなくなってしまったのです。つまり、形態としては、それはフランスの銀行がある。それが証券業と金融業と両方やっている。その場合日本で、支店を開く場合に、その銀行は証券業なら証券業だけだ、それが鹿児島にあるか、札幌にあるか、東京にあるか、それは全部証券業である。札幌には金融業があり、鹿児島には銀行業務をやるところがあるということはないという、そういう形態にするということですね。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 さようでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それから、だんだん何といってもこういう問題について国際化が進んでいくわけですけれども、日本はアメリ方法をとった関係から六十五条というもので金融業と証券業というのは完全に分離されているわけです。これは永久不変にこの六十五条というのは堅持されるつもりでございましょうか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 永久かどうかということはなかなかむずかしいですが、私ども冷静に考えてみますと、証券市場の正当な発展あるいは銀行業務、預金者保護という点の確保という両面から冷静に考え、またアメリカの証券市場の実情、銀行業務の実情と欧州の実情と対比して見ました場合の感じから申しますと、私は六十五条を維持することが両面から見て妥当である、かように考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 冒頭に局長も述べられたように、永久ということになると、佐藤内閣もそろそろおしまいだという話なのでわかりませんし、またいま述べられたのも証券局長としての談話だと思うので、ひとつお考えがあれば政務次官のほうからお答えをいただきたいと思います。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 永久のことについては、お話しのとおりこれは予測しがたいのでありますけれども、現段階においてはこの六十五条を改正する理由は全く見当たらない、堅持してまいりたい、このように考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その場合にやはり問題になるのは、ここでもこういう法案が二つ出されるというのは、金融業、証券業などの国際化の問題だと思うのです。この六十五条というものを堅持していて、はたしてその国際化という、ことばでいえば簡単ですが、いろいろ内容があると思うのですが、その国際化というものに、はたしてこの六十五条を堅持することがいいのか悪いのかということは、これは非常に問題だし、論議しなければいけないことじゃないかと思うのです。その辺のところ、国際化という問題について、関連でもう一度、どういうふうにお考えになるか、答弁をいただきたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 アメリカは世界じゅうで証券市場も金融市場も最も国際化が進んでいる国であると思っています。そのアメリカが六十五条とひとしい制度をとっております。さようなわけで、何もアメリカのまねをすることがベストであるということを申すわけではありませんが、六十五条の堅持が国際化の障害になるというふうには考えられないと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 この問題、そう抽象論で言っていてもしようがありませんので、また別の機会に譲るといたしまして、もう一点この外国証券業者法に関してお伺いしたいのは、つまり本店が外国にあるということで営業保証金を支店ごとに供託しなければならないということと、支店の資産を国内に保有しなければならないという二点が設けられているわけですけれども、はたしてこれで万全とお考えでしょうか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 現在の証券取引法では、日本で設立された株式会社でありまするから最低資本金だけでいいのでありますが、外国の場合に外国法人でありますので、その最低資本金に相当するもの、それ自体を営業保証金とする。しかもこれが供託になりますと——資本金の場合はこれが運転といいますか、営業上に生きて動く金になるのでありますが、営業保証金としての供託金と申しますのはそういった営業活動に全然使えない、いわばその意味においては死に金になるわけでございます。さようなわけで、これをあまりに多く供託させるということはこれは国際的にも問題ではなかろうかと思うわけであります。さようなわけで、今回はわが国の自己業務の態様別の、いわば最低資本金の十分の一というものを原則にいたしましたところで営業保証金をとる。また支店の資産については三つの準備金がございまするが、それと国際的に見合ったところの資産を日本において別途保有する。この資産は運用利益を生みますので、別に死に金ではございませんから、その準備金の額あるいは負債の額と見合ったものを別途に日本で保有しておるということは営業上できると思います。その二つを考えたわけでして、私どもが考え得る限りにおきましては、これをさらに強化するということはちょっと困難ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 最後に、この二法が出される前提となったのは、やはり証券取引審議会から去年の十二月十四日に出された答申書だと思うのです。その四つあるうちの三つまでは二法の中に入っておりますので、いままでの阿部委員との質疑も含めて済んだわけですけれども、この答申書にある第二に株価安定操作の問題が書いてあるわけです。これは政令でございますので、法案としては提出されていないわけですけれども、五つばかりの改正点があって、もちろん御存じだと思いますけれども、株価安定操作をする場合には、あらかじめ投資者に対してそれを開示すること、安定操作が行なわれることがあることを記載していくとか、あるいは安定操作をした直後に届出書を大蔵大臣に提出するとか、あるいはこういうふうに行なったという報告書を大蔵大臣に提出するとか、そのほか、全部で五点の答申があるわけですけれども、この答申に関して、このように行なうおつもりがあるのかないのか、御意見をお伺いしたいと思います。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 答申の趣旨をそのまま、政令改正、その他の規則改正として実施いたしたいつもりでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 これで質問を終わります。      ————◇—————

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、証券取引法の一部を改正する法律案及び外国証券業者に関する法律案の両案につきまして、来たる九日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三十二分休憩      ————◇—————     午後三時五十八分開議

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。貝沼次郎君。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 午前中の審議におきましていろいろ根本的な問題が出ておりますが、私は証券取引法の一部を改正する法律案の審議をいたしたいと思います。  初めに、午前中の最後のところで、答申をそのまま入れて今度の改正を行なっていくというふうな答弁がありましたけれども、今度の取引法の改正というものが投資者保護という考え方を根本にしてやっているという観点から、私は二、三伺っておきたいと思います。  まず、株価操作を行なう場合、いままでは届け出だけであったわけでありますが、午前中の話ですと、これは届け出のあったものは、今度は変わって、そして記載をしなければならない、目論見書に記載をする、こういうふうに変わっていると思うのですが、これは間違いありませんか。

茂串俊大蔵大臣官房審議官

○茂串説明員 現在検討されております案におきましてはそのようになっております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 その場合にちょっと伺っておきたいのですが、いままでの届け出だけでも数は少ないようでありますけれども、今度記載をするとなった場合、会社側がそれを非常に喜ぶでしょうか、それともいやだと思うでしょうか。その辺の見解はいかがですか。

茂串俊大蔵大臣官房審議官

○茂串説明員 喜ぶとか喜ばないとかいう問題ではなくて、やはり安定操作がその増資に対してぜひ必要であるといったような企業の場合には、それはこういったような届け出ができれば当然ふえるであろうと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 いまよく聞こえなかったのでありますけれども、いままでも届け出をやってきたわけでありますけれども、届け出は現在まで大体何件くらいありますか。

茂串俊大蔵大臣官房審議官

○茂串説明員 現在までの実績では、二十六年中に二件あっただけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 要するに、届け出をしていても、この日本の歴史において二件しかない、こういうことなんですね。ところが、それを届け出ではなしに今度は記載をするわけですね。そして縦覧するわけですね。そうすると投資家がそれを直接見ることができる。こういうわけでは、確かに投資家の保護という立場から私はいいと思う。しかし、そういういい方法も、はたしてそれが行なわれるかどうかという問題が実は気になるわけであります。投資家がわからないで、ただ届け出をするだけであってすら二件しかない。それを今度は記載する場合に、はたしてそれがうまくいくかどうか、その辺の見解を伺っておきたいと思います。

茂串俊大蔵大臣官房審議官

○茂串説明員 ただいままでの実績は非常に少ないわけでございます。先ほどちょっと私間違いまして、二十六年に二件と申しましたが、二十四年を二十六年とそれぞれ一件ずつ、合計二件でございます。  いままでの発行の形式でございますが、従来は額面増資がほとんどでございまして、時価発行による増資が数えるほどしかないわけでございます。最近だいぶふえてきたわけでございますが、額面発行増資の場合にはそれほどこの株価の安定操作を行なう必要性というものが薄いわけでございます。したがいまして、今度時価発行がだんだんふえてまいりますと、この制度を利用する向き、会社もかなりふえてくるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 いままで届け出が二件しかないということでありますけれども、この二件ということは、届け出のあったものしか絶対にないということは断言できますか。それとも、それに幾らか疑わしいものがあったのではないかというふうな懸念はございませんか。

茂串俊大蔵大臣官房審議官

○茂串説明員 その点につきましては、先生御承知のとおり、市場の取引につきましては証券取引所におきまして厳正な相場の監視が行なわれております。したがいまして、その取引所の運営よろしきを得る限りにおいては、こういう問題はまずないのじゃないか、そのようにお答えしてよろしいかと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 当局としてはないといわざるを得ないと私は思いますけれども、しかしいろいろな面で新聞をにぎわしております。それについても相当の調査をしたと思います。しかし、そういうような問題を起こしていること自体、私はやはり、これは実際はわからないけれども、あり得るのじゃないかという気がするわけですね。あるいは直接、こうこうこういうわけで法に具体的には触れないけれども、それに似たようなものが行なわれている、こういうことは私は絶対に否定するということはできないのじゃないかと思います。そういうような場合に、証券局としてはどういう態度をとられますか。

茂串俊大蔵大臣官房審議官

○茂串説明員 その点につきましては当局としましても、先ほど申し上げました取引所の相場監視を含めた自主的な規制、これにつきまして事あるごとにその強化すべきことを指導しているわけでございます。最近におきましても、取引所におきましては内部的な相場監視の体制も十全に整えまして、相場監視の上で十全を期するべくやっておる次第でございまして、そう特別な問題はないのじゃないか、かように考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 相場監視の体制ということばがございましたけれども、具体的にもう少し御説明願いたいと思います。

茂串俊大蔵大臣官房審議官

○茂串説明員 取引所におきましては相場の監視基準というものを設けまして、かたがた、また担当の市場あるいはまたこれを専門的に監視いたします売買管理室というようなものを設けておりまして、その機構を通じ、またそういった相場監視基準というものを厳正に運用いたしまして、そして遺憾なきを期しておる次第でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 証券局長がお見えになりましたので、実はこれは朝日新聞の記事でありますが、有名な三光汽船の関係であります。この記事を読みますと、このときに「当の三光汽関係者は、うわさのタネにされるのは迷惑千万といった表情。」であった。そこで「「世界的な海運市況の堅調で、今九月期は予想を大幅に上回る利益が上がる見通しで、配当も二分増配して一割にしたい。こうした経営の実績からすれば、当然の株価で、これまでが安過ぎるのだ」といっている。一方では例によって「大蔵省、株価操作の疑いで調査に乗出す」といった、売物のタメにするウワサも流れ出す。同省の志場証券局長は「そんなものをいちいちかまっていたら、一年中〃調査〃に乗出さねばならない」といって笑い飛ばす。」こういう記事が出ております。私は、証券局の設置の目的あるいは性格の上から、この証券局長の「笑い飛ばす」というような姿勢があったならば、どのように法律を改正してみてもこれはちょっと問題なのではないかと思うのでありますが、証券局長はどのようにお考えでしょうか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 ただいま読み上げられました記事につきましては詳しく存じませんが、どういう内容の新聞記者の質問でありましたか正確には覚えておりませんけれども、こういうことではないかというふうに記憶を呼び起こしておりますが、それは要するに、三光汽船の株価の変動についてさまざまのルーマーが流れているようだけれども大蔵省は調査したかということではないかと思っております。確かに証券取引をめぐりますいろいろの動きの中には、情報産業ということで証券業はなっておりまして、情報というものが非常に重要で大事な事柄でございますけれども、それだけに、ためにするといいましょうか、あるいは根拠のないことでありましてもそれを大げさにといいますか、そういうふうなことはしばしばよく耳にすることでございます。私どもといたしましては、先ほど来御説明しておりますように、取引所における相場の取引の監視につきましては、まず第一義的に自主的な取引所による売買の取引管理ということに期待しておるわけでございます。同時に、法律上違法な、不正なる相場操縦その他の行為がありましたならば、これは刑事罰ということもございますために、それのための調査ということをしなければなりません。そこで、おそらくただいま仰せられました点は、いろいろうわさがあるけれども調査をしたかということであったのではないかと思うのでありまして、笑い飛ばすというような表現は大げさにすることだろうと思いますけれども、私どもは取引所監理官を通じまして、何かのうわさなりルーマーが聞こえますと、直ちに取引所の売買管理室のほうから、そのことの実際の問題としての状態ということを絶えず聴取いたしまして、それに基づいて、ある不正なりあるいは相場操縦といったような疑いが持たれます状況がありました際に初めて調査するということでございます。で、往々にして問題になりまするのは、いろいろのルーマーの中には、売り方、買い方という両方の立場があるわけでございまして、大蔵省の調査が入りますると、それはそのことでもって相場が、どっちかといいますと下がるほうに働く、こういう作用を必然的に持つのであります。さようなわけでありまするので、私どもが軽々に動きますと、あるいは調査しておる、調査中だというようなことを申しますこと、あるいは——実際に調査いたしますにはそのタイミングなり事案につきましてよほど慎重でなければならないわけでありますが、ルーマーがあるということでそれっというのでうかうか調査をするとか、調査をするつもりだとか、調査をしておるということになりますると、それは大蔵省の調査、検査というものが、ためにする、たとえば売り方なら売り方というものに悪用される、利用されるというおそれを常に考えておるわけでございます。さようなわけでありまするのでさような趣旨のことを申しまして、そのとき、たしか記憶では、もちろん監理官を通じまして取引所のほうから売買管理室の当該状況を注視をしております、さようなことを踏まえまして、一々大蔵省が何かのうわさがあればすぐ調査するとかいうものではないということを説明したというふうに記憶しておる次第であります。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 私もおそらくそうだとは思うのです。しかしながら新聞に「笑い飛ばす」というふうに書かれるということは、事実そう言っていなくてもそういうふうに受け取られるだけの雰囲気があるということは、私は証券局としては、しかも局長としては反省をする必要があると思います。  なぜ私がこういうこまかいことをいまくどく言っているかと申しますと、この法律の改正と同時に、これを運用していく場合、やはりその法律を生かすも殺すも運用する者にかかっているわけでありますから、この運用する者の態度、言動というもの、これが投資家にとっては非常に不安を与えたり、安心を与えたりすると思うのです。したがってこの際、こういう問題を世間にはっきりしておくということは大事なことではないか、こういうわけで実は伺ったわけであります。  先ほども伺ったのでありますが、証券局長にもう一度伺っておきたいんですが、この株価操作をする場合に、いままでは届け出であった。ところが今度は、届け出もするでしょうけれども、同時に、記載をしなければならないということになるということでありましたが、そうすると株価の変動予想、これが会社側としては幾らか心配があるのじゃないかという私は気がするのであります。そうすると、その心の動きというものが——いままで届け出をするだけでも実際にそれもしなかったわけであります。ところが一々書くとなると、これはちょっと自分の場合、立場がおもしろくないというような感情があれば、自然とそれをやらないような動きにはならないか、こういう心配があるわけですが、この点は心配ございませんか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 先ほど御説明いたしたかと思いますが、今度の改正案では、目論見書に株価安定操作を行なうことがあるかもしれないという旨を記載した場合でなければ安定操作はできない、こういうふうにするつもりでございます。その場合に、仰せのごとく、安定操作をしなければ増資なり時価発行ができないようなそういう会社なり時価発行であるのか、こういうようにとられやしないかということをおもんばかりまして——実際はその安定操作をもし必要なときにはしてほしいのだけれども、目論見書に書くことがどうかというようなあるいは懸念も起こされる向きもあるかも存じませんと思います。しかしながら今回の改正案では、同時に別途、増資期間中におきましては幹事証券会社というふうなものは、要するにディーラー業務と申しますか、自己の損益計算におきまして当該株式を自己売買することはできないというふうに、自己売買の禁止を伴うわけでございます。そういたしますと、むしろ私どもとしましては、企業は万一の場合をおもんばかりまして、先生の御心配とは逆に、少しでもこの安定操作を、場合によっては、市況のいかんによりまして行なう必要があるかもしれないと想定される場合には、むしろあらかじめ目論見書に書いておく、こういう考え方になるのではなかろうか、こういうふうに実は想定はいたしております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 これは私一人で考えたのではなくて、ある証券会社の人の意見を実は聞いたわけであります。そのときに、要するに何か問題が起きなければこれは露見しないわけでありますから、一々そういうことを書きたがる人なんかおろうはずがない、こういうふうな意見を言った人がおりましたので、これはちょっと心配なことだな、こういうわけで実は聞いたわけでございます。したがって、どちらにしてもそのことを実らせるために実際にどういう運用のしかたをするか、具体的なやり方あるいは行政指導の問題、いろいろあると思いますけれども、そこのところを注意深くやっていただきたい、こういうのが私の希望であります。  それから、この株価操作の問題は実は時価発行から発生する場合が非常に多いわけでありますけれども、この時価発行の問題でいろいろなことを聞いているわけです。たとえばアンダーライターの問題ですね。要するに証券会社は時価発行する会社からひとまず発行する株式を全部またはその一部を買い取って投資家に売り出す。かりにこの株に人気がなくて売れ残ると、引き受ける証券会社が自己責任でかかえ込まなければならない。それだけ証券会社もリスクを負うことになる。引き受け資金あるいは販売が充実していないと時価発行が困難になる。いまのところは時価発行は比較的小型の会社が多いようでありますけれども、とれが大会社の場合になってくるといろいろと問題が大きくなってくる。こういうふうな証券会社の弱みというか、そういう声があったわけでありますが、この点について証券局長はどのようにお考えですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 けさほど外国証券業者に関する法律の際にも関連して申し上げたことでございますが、わが国の証券業務のうち、国際的に見ましても、また本来あるべき姿から見ましても、最もおくれておる、弱いと考えられます点は、ただいま仰せの引き受け業務、アンダーライターとしての働きぶりのところであろうかと存じます。この点につきましては、もちろん最低資本金といたしまして、幹事引き受け会社になる場合には三十億円でありますとか、資本金ベースを置いておりますということは、仰せのような財務体質あるいは金融力というようなものを備えていることを必要とするという認識に基づくものではございますが、ひるがえって考えてみますと、引き受け業務が健全であるかどうかということは、発行されました有価証券が右から左へ、いえば証券会社に滞留することなく投資家に売られていく、消化さ上ていくということが望ましいわけでございます。もちろん、いろいろとそのときどきの事情がございますので、万が一引き受けぬという事態を招かないとも限りません。その意味におきましてリスクもございますので、これに耐えるべき財務体質というものももちろんなければならぬ場合もございますけれども、ねらいはそういうことを想定して財務体質を強化することにつとめるべきであるということにあるのではなくて、むしろ当該増資、新株の発行という問題がすべての投資家から歓迎されて買い取られていく、増資に応じてもらえる、したがって証券会社のところには手元に引き受け残が残ることがないようになるということのために、健全なる、また発行会社と独立いたしました、権威のあるアドバイザーとしての機能を充実するというところに今後のポイントがあるかと存じます。  従来の増資の形態は、御案内のとおり、ここ一、二年前まで、また現在でも大半はそうでございますけれども、株主割り当ての額面発行という増資でございまして、この場合には株価が額面よりも高い場合でございますので、払い込みに事実上強制力を伴いますために、失権株が出るとか売れ残りが出るとかいうようなおそれがないままに、証券会社のアンダーライターとしての業務、機能というものが実は育たないで来ておると思うわけでございます。さようなところがございますので、ここ一、二年間の時価発行の場合に私ども一番遺憾に思います点は、いわゆる証券会社同士の幹事競争というものを極力押えまして、そして打って一丸となって、発行会社のわがままなといっては語弊があるかもしれませんが、場合によっては不健全にわたるかもしれないそういった増資のチェックをする。そうして発行市場の健全化、それから投資家の保護ということを十分に考えまして、発行会社に対して力強い、独立した、また権威のあるアドバイスを行なって、発行市場を妥当にコントロールしていくという機能が期待されると思うのでありますけれども、それが遺憾ながら、むしろ発行会社の御用聞きをつとめる、ことばは悪いですけれども、そういうふうな面がなかったか、という点でございます。もちろん仰せのごとく、万一の場合に備えまして、財務体質の強化拡充ということもつとめなければなりませんが、幸いにしまして、免許後ここ二年ばかりの間に、その点は、引き受け業務を営める会社につきましてはおおむね良好の域に達しておると思いますけれども、むしろ今後の問題は、発行会社に対して独立的な、権威を持ったアドバイザーとしての中身の充実につとめるということに指導してまいりたいと思っておる次第でございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 会社と証券会社の関係であります。  それから今度は、この証券会社が、ただいま局長にいろいろと話ししていただきましたが、確かにこれはまだまだ弱い立場にある。と同時に、それに反して強い立場にあるのが実は銀行であります。現在の日本の株式会社の自己資本などを見ましても、私が聞いたところによりますと一四、五%とかいう非常に少ない割合であります。ほとんど銀行の融資とかそういうものでやっておるようでありますけれども、この銀行が非常に強いということがまた証券会社を弱めていることにもなっているんじゃないか。証券会社がずいぶん冷やめしを食わなければならない場合もある。そして抱き込んだような場合は、今度はその資金繰りのために、たとえば株を担保に入れるとか、あるいはいろいろな事件が起こり得る。その融資のために証券会社が苦労するという場面もあります。こういうようなことがひんぱんに行なわれてきますと、今度は実際に株を買っている人たちはあぶなくてしょうがない、こういう心配がありますので、これは投資家保護という立場から非常に大事な問題ではないかと思うのですが、その融資とか銀行との関係、こういった面では局長はどのようにお考えですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 わが国の企業の体質として、戦前に比較して、また先進諸外国と比較して最も脆弱であると思われます点は、ただいま御指摘の自己資本が飛び離れてわが国の現在は低いという点であろうかと存じます。ただ、この点につきましては、戦後のいわば財産が全部飛んでしまった中から、急速なる戦後復興あるいは新たなる技術を導入してこの経済発展、その過程におきまして、やはり毎年毎年、マネーフローとしましてはいわゆる間接金融、銀行からの融資に依存する資金調達をもってこの追加的な資金需要をまかなわざるを得なかったという情勢があるわけでございまして、にわかに、現在のストックとしての自己資本は低いからすべていままで悪かったとか、企業体質自体が非常に悪化している。あらゆる面で、経済力という意味において悪化しているというふうにいえない面もあろうかと存じます。しかし、今後の国際経済の競争場裏ということを考えますと、やはり財務体質的に自己資本の比率が二八、七%という低いことでなくて、これが三〇%とか四〇%とかいうふうに高まって、景気変動でありますとか、金融の繁閑の変化とか、そういうものに耐え得るような体質であることが要請されると思うのでございます。  しかしながら、この方向はなかなか一朝一夕にしては達せられないと思うわけでございます。経済の成長が適正なる、モダレートな成長率であること、また、個人の所得も漸次増加いたしまして、いわゆる金融資産の多様化という面を通じて、単なる預金をしているだけでなくて、社債、株式といったような有価証券投資へのそういう余力と申しますか、それをまかなうような個人の金融資産の増加、蓄積の方向をたどるということ、そういったような環境が進むということを伴いませんと、人為的な、カンフル注射みたいな措置はとうてい期待できないわけであります。もちろん政府といたしましては別途に、いわゆる間接金融の場合と直接金融の場合におきます資金供給者の、たとえば税制の面における税負担の平等、バランスをはかるという問題、あるいはまた、とりあえず機関投資家の育成といたしまして、たとえば公社債投資信託でありますとか株式投資信託でありますとかの育成、そして今回また、この少額の貯蓄免税の中に株式投資信託の受益証券を含めることにしていただきまして、長期に——株式投資は預金に比べますと実は長期投資という面があるわけでございますので、長期の貯金を導入するというような面での配慮でありますとか、万般の考えられる制度的な改善というものは講じてまいることにつとめておるわけでございますけれども、これは一朝一夕にはまいらぬ面もあろうかと思います。  なお、今回の改正におきましては、時価発行ということも想定いたしまして、有価証券の届け出の場合のディスクロージャーの時期を早める、あるいは効力発生前の勧誘を認める、その他の措置も織り込んでおるわけでありまするが、もろもろの制度相まちまして逐次そういった方向へ、堅実な環境改善をはかるということ以外にはないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 証券局は直接の監視をする立場でありますから、しっかりと、証券会社がそういう不当な圧迫を受けないように、またつぶれたり何かして投資家に対して迷惑をかけないように、十分注意していただきたいと思います。  私はこういうような根本的な問題は、これは自己資本というふうなところから見ても、日本の経済政策というものに原因があるのじゃないかと思うのです。銀行に対するいわば過保護的な政策というもの、そしてまた経済成長というものがこの原因をなしておるのではないかと思うのです。証券局の立場として、そういう考え方についてはどのようにお考えですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 私の立場から、金融行政、銀行に対する行政が可能かどうかということを申し述べますことは差し控えたいと思いまするが、しかし御案内のとおり、金融制度調査会の答申以来、金融の効率化ということでございまして、このきびしい情勢のもとで競争にさらすという方向を大きく打ち出しておりますことは御承知のとおりかと思います。私どもは証券業界に対しましても、国際化という中にとけ込めばとけ込むほど、いたずらに過保護といったようなことにおちいらないように、むしろ望ましい刺激として受け入れるべきものは受け入れまして、健全なる投資者から信頼される、また競争に耐え得る営業態度あるいは財務体質その他の状況を備えた証券会社たるべくきびしい指導につとめるべきである、かように私どもといたしましては証券行政については考えております。銀行行政につきましても、おそらく同様な観点から今後行政を推進されることと思われます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 政務次官にちょっと伺っておきたいのですが、いま申し上げましたように、根本的にはこういう銀行過保護の政策によるんじゃないか。したがって、これはある程度考えなければいけない。こう思うのです。すべてがすべて悪いというわけではありませんけれども、投資家保護という立場から考えるとそういう要素もある。したがって、それに対してさらに検討を加える必要があるのじゃないかと思うわけでありますが、政務次官はどのようにお考えですか。

中川一郎自由民主党大蔵政務次官

○中川政府委員 その点は重要な問題であろうと存じます。銀行が過保護という面もあるいはあるかもしれませんが、それよりは証券投資に不安がある、投資者保護に欠けておった、そういったことが直接金融が少なくなった原因の一つではないかというふうに考えまして、今回出しました法案も、証券市場を育てる、銀行に負けない姿に持っていくというねらいから出たものでありまして、これから直接金融がだんだん伸びてくるようにやっていくべきであろう、このように思っております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 証券局長に伺います。この時価発行をする場合に、大きく分けて四種類くらい、いろいろなやり方があるわけでありますけれども、西独方式というのがわりと安全なのではないか。これは発行する人の自由でありますからどうすることもできませんけれども、私はやはり西独方式くらいのところまで考えるほうがあるいはいいのじゃないかというふうな気がするわけでありますが、気持ちだけでけっこうですから、証券局長はどういう気持ちでそれをごらんになりますか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 私ども率直な感じを申さしていただきますと、実は西独方式は一種の額面発行の延長にあるような感じがいたします。株主割り当てがありまして、また株主割り当てでなければ商法との関係で、西独方式、つまり額面と時価との中間の価額で増資発行するということは不可能と思いますので株主割り当てになるわけでございますが、そういたしました場合におきましては、質的には額面発行の延長にあるものと考えられます。つまり株主に対しましては必ず払い込み強制力を伴うわけであります。さような点から申しますと、これは発行企業が払い込み強制力の働きということに大きく着目いたしまして、これを乱用と申しますか、悪用と申しますか、そういうおそれもなしとしないのじゃなかろうか。したがいまして、それがはたして健全な増資、また今後の堅実なる企業のあるいは収益の成長、したがってそれを着実に株主に還元していくということとのつながりという面がややもすれば薄れるというおそれもなきにしもあらずではなかろうか。やはり時価発行は、その際におきましてそれに応ずるか応じないかという株主のきびしい批判のもとにおいて慎重に行なわるべきものではないかと考えます。そういうことを考えました場合に、これの果たすべき経済機能の点を別にいたしましても、私どもといたしましては率直に申して、時価発行はやはり本来の時価発行ということをたてまえに置きまして、それを自分の会社がいつ行なうべきか行なわざるべきか、どういうところまで、あるいはどういう規模で行なうべきか、行なうことができないものであるのかということを真剣に考えて、そして慎重に、実行するなら実行するという方向が望ましい方向ではないか、率直に申せばかように考えるものでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 さらに、時価発行に対してこういう意見がございます。それは、時価発行は投資家を犠牲にして企業と証券会社が得をする結果になりかねない、ずいぶん大胆な言い方ですけれども、こう言い切っておる人もおります。したがって、発行価額は額面と時価の中間以下とし、プレミアムの還元の具体的計画、方法を増資目論見書に明記する、時価発行に移る前に額面増資をし、そのとき次回から時価発行にするという予告を義務づけることが必要である、こういうふうな意見を言っている人がおるわけであります。これについてはどうお考えですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 実は増資といったような、つまり発行市場に対しまして行政的にどこまで介入あるいは指導できるかということがなかなかむずかしい問題であるわけでございまして、私どももその点は問題意識はいろいろと持ちながら実は日々苦慮しているところでございます。さしずめは政府の監督下にありますところの証券業者を通じて、証券会社が引き受け会社、アンダーライターとして機能する、その機能のしかたを指導するということを通じて間接的に発行会社の善処を求める、こういうことになるわけでございますが、そういう点から申しまして隔靴掻痒の感ということで徹底を欠く面もむしろ多く出てくるわけでございますけれども、ただいま御指摘になりました時価発行につきましては、できるだけその前に少なくとも一回、額面発行の増資を行なって、その際に、この次からは時価発行を行なうというような予告を行なうべきこと、あるいは時価発行後あるいはその際における無償交付、ないしはその後のプレミアムの還元の具体的スケジュール、あるいは増配のめどといった、将来にわたる、つまり株主に収益を還元するという方策を具体的に明らかにして、それと、いま申しましたあらかじめ予告というものを積み重ねることによりまして初めて時価発行にいくべきである、こういう御提案でございますが、これは実は証券取引審議会におきましても数年前にそういうふうな大かたの感触が出たわけでございます。私どももその点につきましては望ましい方向として思っております。事実、個々の具体的な増資の場合におきましては、そういう方向に沿った指導は幹事証券会社に対しましてはしておるつもりでございます。ただ遺憾ながら、先ほど申したような、発行企業に対しましては回り回ったような間接的な影響を及ぼし得るにすぎませんし、また非常に私どもにとりましても、と申しますよりもむしろ大きくは投資家でございますが、不幸でございましたことは、一昨年から去年の初めごろにかけまして非常に株価が堅調でございまして、そういう指導を一面において行ないましたにかかわらず、やはり産業界のほうがいずれかと申しますと強気と申しますか、そういう風潮がございまして、その趣旨が徹底を欠き、それが原因ではないと思いますけれども、不幸な株価下落ということのもとに現在あるという経緯でございますが、その不幸な株価下落ということが、いま私どもが仰せのような線で指導している、本来こうあるべきだ、少なくとも過渡的にはこういうことにすべきだという点を、間接的な行政指導ながら浸透させてまいる上におきましては、非常に貴重なる教訓をみんなに与えたということになるわけでございまして、私どもは、そういう環境のもとにおきまして、いま仰せのようなことを個々具体的に、できるだけそういう方向で実現されますように指導につとめてまいりたい、かように考えておるところでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 もう一点。それは証券会社の寡占状態、これと会社との関係になるわけでありますが、この関係では、先ほど局長からも、証券会社が御用聞きみたいな——まあ、ことばはよくないけれども、ということでしたが、そういう面があるわけですね。これを救うために具体的にはどういう方法をとるのか、それをお伺いいたします。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 これははなはだむずかしい問題でございまして、端的にはいわゆる幹事競争というわけでございます。幹事引き受け会社になるということは、証券会社にとりましては、発行企業に対する関係におきましても、また販売網を利用しまして広く大衆投資家と結びつくという面におきましても、またより直接的には引き受け手数料の稼得という面から申しましても、非常に大きなメリットのある分野であることはもちろんでございます。さようなところから非常に過当競争におちいりやすい。それがひいては、投資家のサイドから見ますと、投資家の保護という点で少し欠けるところがありはしないかという、営業態容として望ましくない方向にいく可能性、危険性もある。私どもとしましては、いまや必要なことは、大衆一般投資家のために証券界があげて健全なる引き受け機能を果たすべきである、使命を果たすべきであるということで、打って一丸となって、その正常化、健全化につとめるべきだという指導でございます。  さてしからば、どういう具体的方策でこれをするかにつきましては、実は商売上の、いえばポイントでありますだけにその競争が深刻なるものがございまして、われわれのほうといたしましても、うかつにあれこれ指導しにくい点があります。そこで、はなはだ苦慮しているようなわけでございますけれども、私どもはいろいろと事前に役所のほうに、たとえばこの会社についてはどういう増資計画がある、どうだろうかといったような相談を、できるだけ早く、まとまる見込みがあろうとなかろうと、少しでもその話が出たならばまず連絡してもらいたい。こういうことからまず始めております。  それで、私どもが要するに聞きまして、どうもこういう増資はちょっとどうなんだろうかというような感触がありますと、それをすすめてやめてもらう。そのときにそういう連絡を受け取りませんと、たまたま連絡していたA会社が、なるほど役所のいうところももっともであるということでやめたにいたしましても、それを今度はBという会社が食いついていきまして、そしていわばそれを取ってしまう。それが役所への連絡をしないでおいたといたしますと、いわば正直者がばかをみるようなことで、とうてい秩序を維持することはできないわけでございます。私どもはできるだけ前広に事前の連絡を受けるということを通じまして、お互いに相手の領域みたいなものを取り合いするということの混乱がないようにする。あとは一般的なそういう使命感と申しますか、あるべき証券引受業務の姿ということを業界全体の責任として遂行すべきであるという、いわば商業道徳といいますか、そういう面になるかもしれませんが、そういうものを通じてやはりこの自覚を訴えるということしかないのではないか。それ以外にちょっと立ち入った具体的な指導というものはむずかしいのじゃないかと考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 時価発行の問題はそれくらいで……。  次に、この二十一条に損害賠償の問題がございます。実際に粉飾決算が起こった場合——これは防止しなければならないわけでありますが、実際に起こった場合、損害賠償を請求する。そういう場合、一体どういう基準のもとにそれを計算するのかということが一点であります。  それからさらに、それを請求されたほうは、今度は一人ではありませんから、おのおのにどういうような配分をするのかという点です。この点はどのようにお考えですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 第二十一条の損害賠償に関する規定でございますが、お尋ねの第一点の、損害賠償額はどういう基準によって計算されるのか、こういうお尋ねでございます。損害賠償は、粉飾決算等によりまして自分の所有している株式について損害を受けたとする株主が、個々にその訴えを起こすということになっておるたてまえでございます。と申しますのは、その当該有価証券を買った、つまりその株主となった日時というものが株主によってすべて違っておりますので、全く同一に損害額が計算されるということにはならないわけでございます。この場合に、第十九条という規定がございまして、そこにございますように、たとえば増資に際して二百円の払い込みでありますために二百円払った。ところがその後、届出書に粉飾決算があるということが発見されまして、市場価額がいままで二百円であったものが百五十円にその直後暴落してしまったというときには、大体大ざっぱに申しますと、取得のために支払った二百円は払い込んだときの時価とみなすことができるわけでございまするが、それと、粉飾が明らかにされたあとの時価たる百五十円との差額の五十円が一株についての損害額ということになるわけでございます。それに自分の払い込みました株数をかけたものが、当該投資者にとっての請求できる損害賠償額ということになるわけでございます。ごくラフにはさように考えていただいていいのではないかと考えられます。  それから、相手方の負担分担でございますけれども、現行の規定におきましては、第十八条におきまして、当該届出書を出した会社、つまり増資を行なった発行会社が無過失の損害賠償を負うことになっております。今回御提案申しております第二十一条は、その会社のほかに、故意、過失のあった当事者たる当該会社の役員、あるいは虚偽の監査証明をいたしました公認会計士、並びにこのことを知っていながら勧誘等をいたしました幹事元引受証券会社も損害賠償の責任を負うことがあるのだということにいまいたしておるわけでございますが、これらの関係につきましては、いずれも故意または過失を要件といたしております。無過失責任ではございません。故意または過失のあることにつきまして共通しております限り、当該当事者間の個人間の賠償の負担額というものは、ごく大原則を申しますると連帯であり、また均分である、こういうのが原則かと思います。ただその場合に、たとえば元引受証券会社が数社あるといった場合に、取り扱いが異なっておればその扱い方に応じてまた大小スライドするということがございます。ございますけれども、この損害賠償に当たる者相互間の負担割合は均一ということが原則であろうかと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 均分が原則ですね。それはわかりました。  それで、この損害額の推定ですね。これはいま簡単におっしゃいましたけれども、実際の問題はそう簡単じゃないと思うのです。いろいろな場合が起こり得るのじゃないかと思うのですが、これはここのところで非常にややこしい問題をこれから起こすのじゃないかと私は非常に心配するわけです。そういう心配は全然ありませんか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 第十九条、先ほども申しましたが、増資の場合の損害賠償につきましては法定されておりまして、もう一ぺん申しますと、賠償の責めに任ずべき額は、請求権者、つまり株主が当該有価証券の取得について支払った額、これは増資の場合でございまするので、増資の際の払い込み金額でございます。先ほどの例でありますと、一株当たり二百円で発行と仮定いたしましたから二百円でございます。二百円から「次の各号の一に掲げる額を控除した額とする。」ということでございまして、この一号は「前条の規定により損害賠償を請求する時における市場価額」でございます。したがいまして、引き続き持っております場合は、この二百円で払い込んだ後、増資の基礎として提出された有価証券届出書に粉飾決算があったということが明らかになりまして、それが世の中に報道されます。大蔵省も調べ、あるいは公認会計士の処分もいたします。そういった事実が世の中に明らかになりますと、たとえば一昨年の日本テレビの増資の場合がそうでございました。市場価額はたちまち落ちるわけでございます。先ほどの例で申しますと、二百円が百五十円になったということが出てまいります。市場価額がそういう変動を示しておりまするので、たとえば本日現在の市場価額が百五十円になっているときに、きょうある株主、たとえば私が損害賠償の訴訟を提起いたしましたといたしますと、きょうの時価百五十円が二百円から控除されるべき額となりまして、つまり私にとってみますると一株当たり五十円の損害賠償を請求できる、こういうことになりますので、これは仰せのような、損害賠償請求額がなかなかややこしいんじゃないか、計算がむずかしいんじゃないかということにはならないんじゃないかと思います。  ただ今回は、この増資の場合だけではございませず、この有価証券報告書に虚偽の記載があった、つまり粉飾があった場合につきましても、これは現在でも民商法の規定によって損害賠償できるわけでございますけれども、挙証責任を転換いたしました上で、公認会計士あるいは役員の責任を問うということにいたしておりますけれども、その場合の損害賠償額につきましては、なかなかいろいろの問題があろうかと存じます。つまり、いまの増資の場合は、その株主が増資の際に払い込んだ払い込み価額というものはもう固まっております。一律にきまっておりますので明らかなんでありますが、有価証券報告書の場合には増資という手続がございませんで、ただ流通しております市場価額があれこれ動いているわけでございます。それでその時期に粉飾が明らかになった。それから株価がすとんと落ちるということでございますので、当該落ちた後の株主が、いつ自分が買ったものであるかということが人によっていろいろ違います。もっともその場合も、当該株主にとりましては、おれは幾らで買ったのだということがわかります。けれども、今度その落ち込んだあと株価が毎日固定しておりません。また戻したり、また下げたり、波打ちます。さようなわけで、そこをどういうふうに見るのが一番妥当かということは、これはどうも法定するわけにはなかなかいかぬ点がございますので、したがって法定しておりません。ですから裁判官の判断ということになるわけでございますけれども、確かに大体の大ざっぱな額はあるいは判断がつくかも存じませんが、一株当たりにつきまして何円何十銭といったようなところまでなかなかむずかしいところであろうかと思います。しかし、おのずからある期間の平均値をとるとかいうことを通じまして、まずまず妥当な判断は、個別の場合に裁判官もつけることができるのじゃないか、かように思いますけれども、これを法定することはとうてい無理ではないかと考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 いまの説明を聞きまして、確かにそれは私はむずかしいと思います。実際、きょう、あす、あさってと、時々刻々これは値段が変わっているのであって、ほんとうならばこれは全部分析しなければなりませんね。しかしながらそんなこともとてもできないというようなことで、いろいろとその場合になって訴訟問題や何かが起こるんじゃないかと思うのです。その点が非常に心配でありますので申し上げたわけであります。  それから、さらに制度上の問題でありますけれども、現在の証券会社がアンダーライターあるいはブローカー、ディーラーというふうになっているわけでありますが、これを分離して、そして証券会社内部の操作がしにくい、こういうふうにする必要があるんじゃないかと私は思うのでありますが、この点についてはどのようにお考えですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 いわゆる職能分離という考え方でございまして、確かにブローカー、ディーラー、ライター業務を同じ証券会社が兼業しておるということは、いろんな面で投資家保護という点から問題があるんじゃないかという問題はございます。最も端的には、いわゆるブローカー業務とディーラー業務との兼営でございまして、証券会社の自己売買をする場合の証券会社にとっての利益は相手方となった投資家にとっての損失である、逆は逆であるというようなことから、利害相反という問題でかねてから議論になるところでございます。ただ、やはりわが国の場合に、遺憾ながら、ブローカー業務とたとえばディーラー業務ということを分離するといたしました場合に、それぞれが堅実なる利益、収益というものを維持、継続できるであろうかという点が現実の問題としてひっかかってくるわけであります。考え方としましてはこの利害相反はないというふうにいたしましたところで、それぞれの企業体が経営が成り立たずに、その面から投資者に支払い不能になるというようなことになっては、これはアブハチとらずでございます。角をためて牛を殺すということになりかねません。さようなわけで、本来のあるべき姿あるいは究極の将来の姿というようなことを考えますと、決して最善ではないというふうに思われますけれども、とにかく現在の姿といたしましては、やはりこれは同一の会社において兼営を認めざるを得ないであろうということで、さきの免許の、証取法の改正も行なわれたわけでございます。で、兼業禁止の規定は設けなかったわけでございます。ただ営業の態度といたしまして、やはり利害相反ということがかなりあって、そうして投資家の信頼を失ってはいかんということから、私らといたしましては、業務方法書におきまして、そのブローカー業務を営む証券会社の場合のディーラー業務は、ブローカー業務が適切に行なわれるためにこれを補完するという程度にとどめるべきこと——これは非常に抽象的ではないかという御指摘もございましょうが、そのとおりでございますけれども、という意味は、ブローカー業務を健全にするためには、投資家のためを考えましても、株価が比較的乱高下がなく、連続的に継続的に維持されることが必要でございます。その場合に、ある投資家の売りはあるけれども買いがさっぱりないといった場合、あるいは逆の場合、そういうのが市場の取引の合い間合い間に出てくることが考えられるわけでございます。そういう際には、その直近の値段という以下におきまして、売りに対しては買う、買いに対しては売るというように、それを自己売買でもってつないでいくことが、投資家の売り買いという、場合によりましては一方通行的なことになりがちなところをふさぎまして、株価を連続的に維持していくことになるわけでございます。そういうことを中心にいたしました補完的な場合に限る、あるいはその量なりウエートに限るということを業務方法書にうたっているわけでございまして、事実その免許制移行前の姿に比べますと、証券会社のディーラー業務、そのポジション、ウエートというものはずっと縮小しております。さようなことを通じまして、とにかくこの両方兼営をしていくことが弊害をもたらさないように指導していくということで当面いかざるを得ないのではないか。  またもう一つ考えますと、アンダーライター業務も、確かにこれはブローカー業務なりディーラー業務と分離すべきものであると存じます。ということは、アンダーライター業務はもちろん一ぺんに買い取りまして売っていくわけでございまして、いわばその証券会社でアドバイザーといたしましてその発行の計画に参画するわけでございますから、いわば一種のインサイダーといたしまして、事前にいろいろ情報が入手しやすいわけでございます。それを自分のところで入手して、そして一方行なっておりますところの自己売買業務でございますとかあるいはブローカー業務におきまして、それを自分のところが利用いたしますと、それは非常にある投資家を欺瞞する。インサイダーのそういうレポート的な情報を自分だけが悪用してしまう、こういうことにもなりがちでございますので、確かにそういう面から見ますと、このアンダーライター業務というのはディーラー業務ないしはブローカー業務ということと分離することが好ましいことでございます。ただ、これにつきましては、やはり右から左に投資家に売りさばいていく、売れるような増資をしていくということが筋でございまして、自分が引き取って、またキャピタルゲインということが目的ではございませんので、したがいまして、その際はわれわれの指導を通じて、そういった場合の売買業務は、こういう場合には先ほどのブローカー業務の補完としてのディーラー業務に限定しておりまして、このアンダーライターの機能に即した、それを考慮した自己売買業務ということは認めておりませんので、それをきびしく行政指導で規制していく、こういうことで当面いかざるを得ないのではないかと思いますけれども、長い将来の、また理想的なあるべき姿といたしましては、確かに職能分離の問題、これはやはり問題意識として持ち続けなければならないだろう、かように考えます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 この分離は私もどうしても必要だと思います。しかしながら、分離しても、もともと同じであったというつながりがあればこれは何にもならないのであって、その辺もよく注意をして進めていただきたい。  さらに、非常にこまかい問題になりますが、公認会計士の報酬の面であります。これはどこからいただくようになっておりますか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 公認会計士が監査契約を会社と結ぶ、有価証券発行会社と結ぶわけでありまして、有価証券の発行会社が監査報酬を支払うわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 それで、自分が報酬をもらう会社の監査をするわけですね。これはそう悪い公認会計士が多いわけではありませんから、私は一がいに言うことはできないと思いますけれども、しかし第三者からながめた場合、自分が報酬をいただきながらそれを監査をするということは、何となくそこに疑問を持たせるような、ちょっと気になるような、ちょっと手かげんしているのではないかというような、そういうふうな疑いを持たせるおそれがあるのではないかと思うのです。したがって、この報酬については、たとえば一つの協会をつくって、そうしてプールしたものをそこから支払うとか、何らかの方法があっていいのではないかと思うわけですが、この点についてはどのようにお考えですか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 確かにそういう日本的情緒といいますか、これは世界的でもあるのかも存じませんけれども、報酬をもらいながらけちをつけるというようなことについての心理的抵抗といったようなものも、確かにいままでのプロセスの中にはあったかと思います。ですけれども、粉飾問題というものがいかに社会的な大きな問題であるかということを、一般の投資家のみならず、発行会社自体、またこれに関与した公認会計士自体というものがきびしく思い知らされるにつれまして、いまといたしましては私はそういった意味の抵抗感というものは公認会計士の頭の中からはまず消えておる、かように考えていいのじゃないかと思います。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 そういう答えをされると私は聞きたくなるわけでありますが、それでは現在まで公認会計士で問題になったのは何件ございますか。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 けさほども申し上げましたが、昭和四十一年以来四十五年末まで百九十五人でございますが、その中で誓約書とかあるいは口頭注意という軽微にとどまりました者が合計百四十人余りでございますので、戒告以上の処分を受けました者が四十八人でございます。五年間に四十八人処分を受けた、つまり故意ないしは多少の過失にいたしましても、適正な監査を行なっていなかったということになるわけでございます。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 これは少ないとはいえませんね。したがって、先ほどの答弁は実情にそぐわないと思うのですね。これは十分考える余地を与える資料だと私は思うのです。しかもこれはわかったのだけです。わからないのは法律では罪になっていないのです。交通事故でもとにかくつかまったのが罰金を払うことになっているので、つかまらないのは払わない。これもわかったのだけでこれだけある。百九十五人で四十八人でしょう。これは大きな数字です。したがって、やはりそういう、信頼することは大事ですけれども、それは大前提でありますが、だからといってすべてがそうだというわけではないので、こういうことができないような、やはりわきからの制度というかあるいは体制というか、そういうものも私は考える必要があるんじゃないか。これは、たとえば公認会計士が監査をする、それで報告をいたします。それはだれも監査はしないわけでしょう。これはもう、監査したらおかしなことになるから監査はしない。証券局だってこれは、監視するとはいうものの監査はできないわけです。そういうようなからくりになっているわけでありますから、ただ人間だけを信用するというだけじゃなくて、当然そういうことはできないという体制をつくっておかなければならない。そのためには、少しでもそれが起こりそうな要素というのは全部はずしておかなければならないと思うのです。この点についてはいかがでしょう。

志場喜徳郎大蔵省証券局長

○志場政府委員 先ほどの私の申し方は、公認会計士に対する期待感ないしは発行会社に対する期待感も若干込め過ぎた答弁だったかも存じません。まあしかし、実際問題といたしまして、公認会計士の処分も昭和四十年以降きびしく行なってきているという環境のもとにおきまして、先ほど仰せのような心理的抵抗ということは漸次薄らいできていると思うわけでございます。もっとも、どれだけ徹底するかという面も一つございましょうと思います。また一方、この前の改正で、公認会計士法を改正していただきまして、いわゆる監査法人という組織をつくりまして、一人一人が相手方の大きな会社と契約するというんじゃなくて、大きな一つの組織体と組織体で契約するというようなことになりまして以来、それに所属しております公認会計士といたしまして、いま御心配の向きにつきましてはかなり改善されてきていると思うのでございますけれども、なおやはり一対一というようなぐあいに、いままでの任免と申しますか、継続的な監査を行なってきている向きもございますので、その点につきましてはあるいは御懸念の向きもなしとはしないということは率直に認めざるを得ない点もあるかと思います。その点につきましては今後も私ども、公認会計士協会の実情あるいは公認会計士審査会における議論等を通じまして、ただいま先生の御提案になりましたことも御披露しながら、今後なお実情を把握しながら、そういう心理的抵抗がなくなるような方式について改善を加えるべき必要があるということになりますれば思い切ってやってみたい、かように考えております。

貝沼次郎公明党

○貝沼委員 私は何も公認会計士が非常にあぶないものであるとか、これは性悪説だとか、そういうようなものではなしに、これはあれだけの国家試験を通ってきている人であるし、やはり信用しなければならないと思うのです。しかしあくまでも人間ですから、相手がまた金のことでもあるので、ややもするとひょっとすることが、多い中にはあり得るのではないか、こういう心配をして、ないようにという、そういう方法であります。この点、ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。なぜこういうふうなことを言うかといいますと、要するに、そういうこまかいところが実際の投資家にとっては見えるわけであります。そういうようなこまかいところまで証券局において手を下していかないと、ほんとうに投資家が、私たちは守られているのだ、こういう気持ちは起きないのではないか。いろいろな規制はした、そしていろいろなことはやってくれた、だけれども、肝心かなめのお金のところは何となくわからないというふうになったのじゃ、これはかえっておかしくなるのじゃないか、こう思いますので申し上げたのであります。  以上で終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長 次回は、来たる二月九日火曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会

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