商工委員会 第14号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/03/23
会議録
○八田委員長 これより会議を開きます。 中小企業特恵対策臨時措置法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田泰造君。
○吉田(泰)委員 中小企業特恵対策臨時措置法案について、いままで同僚委員からいろいろな形で質疑が行なわれておりますので、きょうは私は、特にまず冒頭で香港問題を取り上げてみたいと思います。 中共、北朝鮮、香港、いろんな角度で政府の御答弁を伺いましたけれども、まず長官にお伺いしたいのですが、当初香港は、通産省の考え方では、私は供与国に入ってないというふうに理解をしておったのですが、その理解は間違っておりますか。
○原田政府委員 御指摘のとおり、香港は、国連貿易開発会議の会議の過程におきましては、これを対象とするかどうかは全くきまっていなかったわけでございまして、私どもが現在の特恵案のスキームを作業いたします場合にも、香港は入らないという前提で作業をいたしたわけでございます。
○吉田(泰)委員 いま局長の御答弁で、香港は入ってないという形で作業は進められた。外務省の経済局長にお伺いいたしますが、会議の過程において、英国は除きまして、各国はどういう形で香港を取り扱っておられますか。
○平原政府委員 お答えいたします。 特恵の受益国をどこにするかという問題は、従来、UNCTAD、あるいは先進国だけのOECDの会議で、いろいろと議論してまいりましたが、現在までのところ各国ともまだ最終的にきまっておりません。ただ、非公式な会談におきましては、私自身いろいろ各国の代表とも話をしておりますが。したがって、最終的にどうなるか私はっきり申せませんが、いままでの過程では、香港には何か認めざるを得ないのではないか。ただ、やはり香港の特殊な地位ということで、一〇〇%ほかの国と同じではなくて、品物等も例外的なものをつくらざるを得ないのではないか、こういう考えを持っておる先進国が多いようでございます。
○吉田(泰)委員 いま外務省の平原経済局長の御答弁と原田通産局長の御答弁が、私はニュアンスがちょっと違っておると思うのです。ということは、外務省の考え方では、大勢は香港を認めなければならぬような方向にいっているというような御答弁ですが、通産省と外務省とのその詰めばおやりになりましたか。ぼくはニュアンスはちょっと違っておると思うのですがね。
○原田政府委員 受益国の範囲についてももちろんでございますが、特恵のスキーム全般につきましては、絶えず連絡をいたして、その上でこちらの作業を進めております。
○吉田(泰)委員 連絡をとりながら作業を進めておるという通産省が、先ほどの局長の御答弁のように、香港というものは、おそらく計画の中では、実施段階では去年あたりは考えてなかったと思うのです、正直なところ。われわれはそういうふうに理解しておりません。それはそれなりに理.由があると思うのです。ということは、これはもし香港に特恵を供与した場合の一番大きな、ほかのいわゆる後進国に与えるよりか以上のデメリットがあると思うのですが、それは原田局長どういうふうにお考えになりますか。
○原田政府委員 この特恵問題を議論いたしました国際的な場所、OECDまたは国連貿易開発会議の議論は、たいへん長い期間にわたっておりまして、すでに数年を経過しておるわけでございます。その当初は発展途上国七十七カ国、その後、発展途上国群が非常にふえてまいったわでございますが、これらの諸国が一致いたしまして、一般特恵という形で踏み切った非常に大幅な特恵をもらいたいということで、先進国との間での話が進みつつあったわけでございまして、その当初の段階においては、香港を対象とするかどうかというような話がそれほど強く出ていたわけではございません。したがいまして、その後、ほぼ先進国の間で特恵のスキームをつくらなければならないというようなことになりました段階では、わが国は、当初例外方式、その後シーリング方式と切りかえて作業をしたわけでございまして、その当時、わが国としてこれでいくのがよかろうということで考えた、つまり香港などを対象としないという考え方で一応の作業をしたわけでございます。 その後、英本国及び香港、並びにその他の国々からむ、香港みたような地域というものに対して特恵をもらいたいという声が非常に強くなりました。またOECDの中でも、通常は先進国のグループといわれておりますにもかかわらず、特恵に関しては、特恵をもらいたいという声が起こってきたわけでございます。したがって、最近ほかの先進国の中にも、あるいは香港にはやらなければならないかもしれないという程度に態度が進んでまいっておるようでありまして、その点を平原経済局長はおっしゃったものと私どもは理解しております。 しかし、特にわが国の場合は、香港は一番近隣の諸国で、かつ雑貨、繊維その他の軽工業の分野では、進んだ、競争力の強いものを持っておりますから、これに特恵を供与するということになりますと、他の自由国の場合と違いまして、わが国のそういう産業の分野に影響が大きいということは言えるのではないかと思います。
○吉田(泰)委員 もう一回、平原経済局長にお伺いいたしますが、英連邦特恵の中のイギリス本国と香港との、いままで、あるいはこの特恵を通じて変わろうとする方向、これをお示し願いたいと思います。
○平原政府委員 先生御案内のとおり、ただいまイギリス本国自身が欧州共同体への加入交渉をしております。したがって、今後の英連邦特恵がどうなるかという問題は、この英本国が欧州共同体に入るか入らないか、入るとするといつかということで非常に変わってくると思いますが、ただいまのところ、英本国の欧州共同体加入ということが実現する可能性はかなり強いというところを見ておりますと、やはり将来はこの英連邦特恵というのは消えていく運命にある、そのように考えております。
○吉田(泰)委員 英連邦の特恵が消えるという局長のいまの御答弁ですが、それでは、もう一回御質問しますけれども、その場合に香港と英本国とはどういう関係になるかということです。
○平原政府委員 英連邦特恵の観点から見ますと、英連邦特恵がなくなりました場合は、香港とイギリスの関税上の特恵関係というものはなくなる、このように考えております。
○吉田(泰)委員 そうすると、わが国と香港とは、まだ未決定ですが、去年の作業と変わった方向として、特恵供与をしようとする方向に何か検討を加えられているみたいですね。片や本国と香港との間には特恵がなくなるのですか。そういうように理解していいのですか、わが国とは特恵ができようとするときに。
○原田政府委員 英国がもしEECに加入いたしました場合には、長い目で見た場合に、いま平原局長がおっしゃいましたように、いわゆる英連邦特恵といったようなものは解消する方向に進むであろうと思われます。ただ、やはり過渡的な期間というものを考えているというような情報もございまして、その過渡的な期間には、英連邦が旧特恵地域に対して持っておりました英連邦特恵なるものをある程度存続する可能性もあるかと思います。いずれにしましても、英国は現在、英連邦には英連邦特恵というのをやっております。今回、一般特恵というものをやろうといたしております。英国またはその特恵地域から見ますと、英連邦特恵のほうが一般特恵よりいいものであったほうがいいと考えているらしく見えまして、もし、一般特恵を供与することによりまして、英連邦特恵と大体並んでしまうというようなことになれば、あるいはそのままいくかもしれませんし、あるいはもうちょっと英連邦特恵のほうをよくしてくれぬかというような可能性もあるかと思いますが、一般特恵をやることによりまして英連邦特恵のほうが悪くなるということには、まずならないわけであります。したがいまして、英国は特恵をやり、またはEECに加入することによって、旧英連邦特恵が解消の方向に向かいましても、かつて宗主国としてめんどうを見ておりました地域に対して、一般特恵でめんどうを見る程度より悪くなるというようなことは全く考えられないのではないか。大体一般的にいまの情報で見通されておる予測は、そのようなものではないかと考える次第でございます。
○吉田(泰)委員 現在、繊維業者あるいは軽工業、雑貨業者ですね。香港だけは特恵からはずしてくれという陳情が通産省にも非常に多いと思うのです。それでも押して香港をやはり特恵供与国にしなければならないというような国際的な環境かどうか。それは局長、どうですか。
○原田政府委員 まさに御指摘のとおり、わが国の繊維雑貨その他の軽工業部門では、香港に特恵をやるというのはちょっと問題であるということで、私どものところへも陳情をたくさんいただいております。私どもとしましても、そういう国内の産業の実情を無視しまして、無理に香港に特恵をやらなければならないというふうには考えておらないわけであります。特に現在のスキームは香港を対象としないということで考えておりますから、したがいまして、もしかりに万一、将来香港に特恵をやらなければならないというような事態が起こりましても、現在のスキームのままこれを適用するということはとうていできない、したがって、その場合には当然限定をしてやらなければならないであろうという考え方に立っているわけでございます。 他方国際的な考え方、あるいはまた、香港と日本という二国間の貿易経済関係ということだけを考えました場合でも、この特恵というものの趣旨が、発展途上にある国または地域の経済開発、貿易の発展に資するという目的を持っておりまして、ことに香港は日本と非常に近い関係を持つ地域であって、かつ貿易の比率が輸出九に対して輸入一というくらい、向こうにとってはたいへん都合のいい片貿易にもなっております。そのようないろいろな関係で考えると、属領とは申しますものの、固有の貿易関税制度を持っているというようなことから考えますと、一がいにこれは全然特恵の対象として考慮すべき地域ではないと最初から割り切ってしまうのには困難のある地域というようなことになろうかと思います。したがいまして、私どもとしましては、その国内産業に対する影響と、国際的または日・香港間の貿易経済関係というものの両方を考えまして、これから慎重に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
○吉田(泰)委員 慎重に香港問題を対処なさるという御答弁ですが、だんだん、一昨年、昨年、本年と、われわれの受けるニュアンスが違ってきております。そこらが私らに理解できないのです。だから、香港なんか別に特恵供与国に入れぬでいいじゃないかという単純な議論は、私はそれなりに言えると思うのです。それが急に——通産省はそれくらいの読みがなかったことはないと思うのです。最近急に変わってきたという、何かほかに大きな原因があるのですか。入れなくてもいいじゃないか。これは平原局長、どうでしょうかね。国際間のほかの国の関係、何か変わってきた原因は何なのかということです。
○平原政府委員 先ほど原田局長も申しましたとおり、この特恵というのは、数年間にわたってずっと関係国と話し合いを続けたわけでございまして、その間において、私たちの日本の特恵に対する考え方も、御案内のとおり、最初は、特恵なんかどの国にも全然やらないということから出発したのが、一般特恵やろうということになりましたし、特恵の仕組み自身もずっと変わってきたことは御案内のとおりでございます。したがって、われわれある時期にこう考えておったということは常にあるんですが、それもいろいろ変わってきておるということで、この供与国に対する考え方も、やはりおのずと、わが国の力のつき方、あるいはその他の国の考え方等々によりまして、少しずつ変わってきておるのが現状でございまして、特に香港について大きな理由があるかと言われても、私自身は特にそういうことも感じておりません。ただやはり、いま申しましたとおり、わが国自身の経済力、あるいは世界におきますいわゆる南北問題の重要性のふえ方等によりまして、少しずつ私たちも変わってきた、こういうことだと思います。
○吉田(泰)委員 国際的な特恵に対する大きな流れが変わってきたということは理解できますが、特に香港問題を具体的な問題というので私が取り上げましたのは、日本に繊維工業、雑貨で非常に大きな問題を起こす。この現在の中小企業特恵対策臨時措置法も、結局よって来たるところは、その特恵を供与するところから生まれるのであって、しかも一番影響の大きい香港というものを、むしろ特恵対策の臨時措置を行なう以前に、これは慎重に検討すべき問題であろうと思うのです。それがために生まれた対策の臨時措置法でございますので、そういう観点から私は、香港は国際的な状況で変わってきたということは理解できますが、おそらく通産省は香港を去年あたりは考えておられなかった、これは間違っていますか、私の理解が。
○原田政府委員 現在でも私どもの案の中には、まだ香港を受益国とするということでは入っていないわけでございます。ただしかし、すでに去年の終わりごろはもちろんでありますけれども、かなり以前から、香港を供与対象の地域にすべきであるという議論が行なわれておりました。いかがすべきかという議論を私どももしていたわけであります。したがいまして、今回の法律案の中でも、もし将来万一香港のような地域を対象としなければならないというような事態が起こりました場合でも、もし何も規定を設けないでおりますと、そのときに、ほかの地域に与えると同様の特恵をそのままぽんと渡さなければならないというような事態になるおそれがありますので、これでは、日本の国内産業にたいへん問題を生ずるおそれがあるということで、法律案の中に、かりにそのような事態が起こっても、香港みたいな地域には限定をしなければならないし、することができるという規定を設けようということをしたわけでございまして、ことしになってからこの話が急に出たわけではございません。
○吉田(泰)委員 これは私は、非常に勘ぐった御質問をしてはなはだ恐縮なんですが、きょうは昼から総理もお見えになりますので、同僚の川端議員が質問をする予定になっておりますが、おそらく、あくまで想像の域なんですが、この前、総理が十月二十四日の国連に出られましたね、その後、英本国のヒース総理とお会いになっていますけれども、そういうときに、特に特恵問題が議論されたあとでございますので、何かそういうときに、特恵、香港よろしく頼むというような話があったのではないんですかね。これは外務省に聞いてもわかりません。通産省も答えてくれぬと思いますが、これで外務省が本気になって香港を検討しようというような形になったのではないかという、これは私の勘ぐりなんですよ。それは次官、どうでしょうかね。急に何となしに香港を入れなくとも——もう一回引き続いて質問しますが、もし香港を供与国から除外した場合に、日本の国際的に置かれた環境はたいへん不利になりますか、どうなりますか。極端な場合を言いますが。
○原田政府委員 香港は、国際会議の場所でも、それからまた、きわめて非公式にここの大使館の方々が来られるというような形でも、あらゆる機会を通じまして、香港に特恵を供与してもらいたいということを申してまいっておられます。また、香港のめんどうを見る立場にある英国も、香港にはやってくださいという話をいろいろな機会に言ってきておられます。 これに全然やらないといった場合にどういう問題が起こるかという御質問でございますが、日本の軽工業部門その他から見ると、ある意味では、香港に特恵を与えることによる影響というものがそれだけ起こらないわけでございますから、その意味において若干安心するだろうというような面があろうかと思いますが、他方、香港あたりから見ますと、非常に強い論調で、日本のやり方はひどいという非難が起こるおそれがあります。たとえば、向こうの商業会議所とか、あるいは経済ミッションで日本に来られた方々でありますとかその他が、もし香港に日本が特恵を供与しないというようなことであれば、香港の経済界の対日空気というものは非常に悪化をして、心配されることとしては、たとえば日本品をあまり買わないようにしようではないかというような運動さえ起こる懸念なしとはしないというような、非常に強いことばさえ聞かれたこともございます。したがいまして、その意味で、もし全然一顧も与えないというような形で香港を除外するというようなことをしました場合には、やはりそれなりに香港とかその他の国際的な反響というものはあるのではなかろうかと存じます。
○吉田(泰)委員 結局、香港問題は、イギリス本国の圧力、香港の華僑商人の圧力、そういうものでわりあい言いたいことを言っているようですからね。だから、日本もそういうことについては、正しい特恵の意味を解して厳然と処置をしてほしいと思いますね。というのは、この被害、日本の国内の中小企業者の間での影響というものは非常に大きいのです。私は勘ぐりますと、また繊維問題じゃございませんが、今度はイギリスの総理とほどのいい話をして、総理は、まあ検討させようということであったのではないか。これはきょう総理に聞いてくれと私は言っているのです。そういうことがあって、再々のそういうようないろいろの意味のお願いがあったであろうけれども、最終段階の去年の十月ごろに総理とそういう話があったのではないかと思われる節が私はあるような気がするのです。急に何か態度をはっきりした。日本政府としては、通産当局としても、はっきりした態度で臨んでもらいたい。繊維並びに雑貨の中小企業者の香港に対する関係というものは非常に大きいので、特に厳然とした態度が望ましい。それがこの特恵対策臨時措置法案を救う道でもあるのです。これは起こったものを救う法律ですけれども、起こる前に、法以前の救済措置が必要であろうと思う。この点、何べん言っても、総理も欠席しておられませんから、きょうは特に川端君によく聞いてくれと言っているのです。 そういうことで、香港の置かれた立場もわかりますけれども、日本の立場もあります。向こうのいわゆる華僑商人というものは非常に強うございますので、その点、はっきりした態度で英本国も臨むであろうけれども、やはり英本国は香港に対してどうするかということもよく研究して、利害の多い日本だけが大国意識で調子のいいことをしないように、特に私は望んでおきたいと思います。これはもう御答弁は要りません。 時間がございませんので、長官にお伺いいたします。あとの本論に入ります。特恵対策臨時措置法の問題で一点だけお伺いいたします。 この運用についてのことでございますが、非常にばく然とした質問を申し上げて恐縮ですが、たとえば中小企業者が特恵による被害であるかどうか。中小企業者の経営体質というものは非常にむずかしゅうございまして、いろいろな要素、要因が重なり合っております。したがって、特恵対策、特恵供与から受ける問題、被害、そういうことの認定というのは現実に非常にむずかしいですね。 たとえば一例をあげますと、月商一千万の売り上げをしておる。そのうち特恵による被害が月二百万出てきたとします。ところが、その企業にとっては採算限界点が一千万でございますので、二百万の被害というものは非常に大きゅうございます。これは経営の基本的なたいへんな問題でございます。ところが全般的な売り上げ率から見ると二〇%です。そういう場合に、内容をよく検討をして、この臨時措置法で金融上なんかの救済ができるか。そのレートのいかんにかかわらず、これはできるものですか。非常にばく然とした質問ですが、そういう形の場合も救済し得るかどうか。これは長官どうでしょうか。
○吉光政府委員 個別企業ごとに、特恵の影響なのか、あるいは金融引き締めの影響なのか、あるいは親会社の何かの影響なのかというふうなことを認定をいたしますと、確かにそういう非常に困難な問題が起こるかと思います。したがいまして、本法の立て方でございますけれども、個別企業ごとに特恵の影響を受けたかどうかというふうなことの認定はいたさないということにいたしまして、むしろそういう業種を特定業種として一括指定します。特恵供与によりまして影響があると見通されるような、そういう業種につきましては、特定業種として一括指定をいたします。したがいまして、その事業が特定業種に属する事業を行なっておるということであれば足りるというふうなことで、個別企業ごとの、特恵でどれだけの影響を受けたのか、あるいは経営者がどういうことでどういう影響を受けたのかというふうなことは、一応問わないということにいたしております。
○吉田(泰)委員 その点はよく理解できましたが、それでは、その指定業種がその企業にとって全業務でなかった場合、指定業種がその業態の中の一部であった場合、それは当然範囲に入りますね。
○吉光政府委員 その事業が特定事業を営んでおります限り、その部分は当然に特定事業として指定されるということでございます。
○吉田(泰)委員 長官、これは御答弁要りませんが、こういうように理解していいのですね。自分の事業の割合の中の指定業種のウエートが非常に小さくても、指定業種というものはその範囲に入るということですね。そういうふうに理解してよろしゅうございますね。 先ほど来、香港問題でいろいろな問題が出ておりますけれども、私は、特に中小企業者が特恵対策で非常に問題になる業種が非常に多かろうと思います。特に香港を含めた場合、たいへんな被害が出ると思います。この法案の趣旨は非常にけっこうでございますが、要は運用の良否にかかってくると思います。運用が全きを得ない場合はいわゆる竜頭蛇尾になってしまうのではないか。それだけに、指定業種の認定、事業計画認定にあたっては、非常に慎重に御配慮を特にお願いを申し上げたいと思います。特に大阪の場合は、中小企業が特恵対策問題で、東南アジアなんかへの輸出というものが特に非常に多うございますので、業者が寄るとさわると非常に心配をしております。これも当然であろうかと思います。当局において特に御配慮のある処置をお願いいたしまして、もう大体、質問のいろいろな内容については同僚委員から出尽くされた感じがありますので、特に御希望だけ申し上げまして、私の質問を終わります。
○八田委員長 中村重光君。
○中村(重)委員 原田通商局長にお尋ねしますが、いまあなたは、香港に対する特恵供与に対して、まだきまっていない、また供与する場合もその他の低開発国と同様な扱いができないというお答えがあったわけです。香港に特恵を供与する場合の影響というものが非常に大きい、できるならば香港に対する特恵供与を回避したいということが、お答えの中ににじみ出ているわけです。私は、業界の香港に対する特恵供与に対する反対、ということより非常な反発があるわけですから、いま局長のお答えになりましたことから感じ取れるものはよくわかるわけです。しかし、実際問題として、通産大臣が、当委員会におきましても、あるいはその他の委員会におきましても、香港に対する特恵供与というものは避けることができない、何か例外的なことを考えていかなくてはならないのだというようなこと等から考えてみると、私はもう関係省において合意をしているのだろうというように実は判断をしているわけです。だから、いまあなたは、まだきまっていないと言うのですけれども、これは御前会議等々までやって、相当議論をした上で政府の腹固めができているわけですから、あなたも、香港に対する特恵は供与しなければならぬということは十分承知の上で、これをどうするかという、そのことに事務当局としていろいろと話し合いをやっているのだろうと私は思う。だから香港に対しては、いまお答えがありました、何とかしてこれを回避したいということで、あくまで抵抗していこうという考え方をお持ちなのかどうなのか。そうではなくて、これはもうどうすることもできないから、何か内容的に低開発国と同様な扱いをしないということでいきたいというようなことなのか。その真意はどちらですか。
○原田政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますが、私ども当初、香港は対象としないということで作業をいたしまして、現在のスキームの案をつくったわけでございます。また国内産業保護という見地から見ますと、香港は対象にならないほうがありがたいと思っておられる産業部門の方々がたくさんあるということも、よく承知をいたしております。しかし、また他方、先ほども御説明申し上げましたように、日・香港という貿易経済関係または国際関係というような立場から見ますと、長い目で見て日本の国益、経済上の発展というものを期待するために、香港を全く顧みないという立場がいいかどうかという点も疑問がありますので、現在は香港を入れるかどうかは各省間でも全く合意いたしておりません。やることにきまっておるのだが、いまはやらないということではございませんし、やらないことにきまっているということでもございませんので、私ども、そういう二つの立場を全く純経済的に率直に勘案しまして、これからの情報の進展、それから香港との話し合いによってどの程度限定することが可能か、それによってはたして日本の国内産業に影響は起こらないというようなことが可能かどうかということを見た上でやるという、非常にフランクな考え方をとっているわけでございます。
○中村(重)委員 いま大臣がお見えですが、実は香港に対する特恵供与の問題についていま通産当局の考え方を伺っているところです。大臣が当委員会におきましても、あるいは参議院、その他衆議院の大蔵委員会その他でお答えになったようでございますが、香港に対する特恵供与は認めざるを得ない、だがしかし、一般の低開発国と同様な比率と申しますか、内容では無理であろう、何か例外的なことを考えていかなくらやならないんだというようなお答えであったように新聞報道で伺っているところです。また当委員会でも、たしかそういうようなお答えであっただろうと思うのですが、大臣のほんとうの真意はどういうことでしょうか。
○宮澤国務大臣 この点は、政府として最終的な態度をきめておりませんことは、すでに申し上げたとおりでございますが、まあ私考えますのに、香港とはかなりの大きな片貿易になっております。それから香港は宗主国を持っておるわけではございますけれども、その地理的な位置、従来の取引関係等々から考えますと、わが国との縁がやはり相当深い地域であると考えます。また将来いろいろな意味で重要性を持つ地域ではないかとも考えますので、まずこれが発展途上の地域であるかどうかということについても議論はございましょうけれども、そう考えてもさして支障があるとは思えない等々から考えますと、考慮してみる価値のある問題ではないかというふうに基本的には考えております。 ただ、御承知のように、繊維業をはじめ雑貨等々、わが国の中小企業と相当競合するものを生産し、また輸出をいたしておりますから、かりにこの問題を積極的に取り上げるということになりました場合にも、それらの国内的な事情も考えまして、一般のスキームとは別なスキームを考える必要があるであろう。先方にもいろいろ希望もあることでございましょうから、それらも勘案しながら、われわれとしてどのようなスキームを与えるか検討をする必要があろう。それは積極的に考えるということになりました場合の心がまえを申し上げておるわけでございまして、まだ全般的に、基本的にどうするかということを、政府としては決定をいたしておらないようなわけでございます。
○中村(重)委員 もうすでに大蔵委員会で関税定率法の改正案というものが通過をしておるわけですね。だから別な方法としてはどういうことが考えられるのだろうか。品目、受益国もこれは法律事項になっておるわけです。さらにまた、その他ほとんど法律事項でございますから、別の方法を考えるというその範囲は、どこまでの弾力的なことが考えられる余地があるのでしょうか。
○宮澤国務大臣 御審議いただいております定率法のほうは、われわれが与え得る最大限の譲許を考えておるわけでございますから、その範囲の中でやや制限的な特恵の与え方をするということは、支障がないのではなかろうかと考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 まあ、この問題は、中国の問題とあわせて後刻総理にお尋ねをいたしたいと考えてもいるところです。 中国の問題に対しては、これまた当委員会でも議論をされたところですが、宮澤通産大臣も微妙なお答えであったわけですが、頭を下げてこなくたっていいのだ、ただその態様をどうするのだというようなこと、できるだけ弾力的なことでやっていきたいということであったと思うのです。これもまた、どういったような方法が、それではあるのだろうか。大蔵委員会でもいろいろと議論されまして、附帯決議もついているわけですが、ケネディラウンドは最終段階に入ってきた。関税格差というものがついているということは事実である。特恵供与が中国になされなかった場合、さらにまた大きな関税格差を生ずるであろうことは、これは十分わかるわけですが、しかし、それではその面からする反発というものがまた生じていくでありましょうし、アジアの平和、いろいろな混乱というものが起こることは避けることはできないと思います。したがいまして、何としても何らかの方法をもって中国に対する特恵供与、関税格差をなくするというような施策を講じられる必要があるのではないかと私は思うのですが、いろいろな方途を通産大臣としてもお考えになっていらっしゃるだろうと思うのですが、いま通産大臣が、こういったような方法で関税格差をなくするようにしなければならぬというような構想でもお持ちでございましたら、具体的な問題としてお答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 特にただいま具体的に申し上げることを持ってはおりませんけれども、もうすでによくよく御承知のとおり、ケネディラウンドそのものは、ガットの精神に沿いましたいわば一般的な協定であったわけでございますが、特恵はガットの本則とは実は逆に、ある特定の人々だけに安い関税率を適用するということでございますので、そのもとの精神からかんがみまして、均てんということがケネディラウンドのようにいかない、そういう性格のものでないということが、いま問題になっておるゆえんであると思います。 しいて申し上げますならば、今回御審議を願っております法律の中で、発展途上にある国ということと別に、独自の関税、貿易等々の制度を持っている地域という条を別段設けましたところに、具体的ではございませんけれども、私どもが将来に向かっていろいろな可能性を考えておるということをお読み取りいただけるのではないだろうか、これは申し上げても誤りでなかろうと考えます。
○中村(重)委員 これもまた後刻お尋ねをすることにいたします。 次に、私は特恵対策臨時措置法案に対するところの質疑等を通じまして感じていることですが、大蔵委員会に付託されました関税定率法の改正、この私どもがいま審議をいたしております特恵対策臨時措置法案、これは相関関係の中にあるわけだから、したがって、第二の用語の定義にいたしましても、この法律における用語の定義は、「特恵供与」、こういったことで明記をしておるように、この両者は不可分の関係にあるわけだから、これを別々な法律で御提案になるということは、運用の面において非常にそごを来たすということになる可能性もなしとしない、私はこう思うのですが、これをどうして別々の法律としてお出しになったのか。これは、一方は関税定率である、これは影響を受ける中小企業に対する対策なんだから、通産省の所管事項として、中小企業庁の所管として御提案になるということは当然なのだというようなお答えが、あるいは返ってくるのではなかろうかと思うのですが、少なくとも私どもがいま疑問視しておるそのことは、政府としてもお考えになったところではなかろうか。一本の法律として提案しようという努力をなさったのではなかろうか、私はそう思うのですが、そうではございませんか。
○吉光政府委員 確かに御指摘のような線に沿って検討いたしておりました時期もございました。特恵供与によります供与の措置と影響に対する対策というふうなものは、うらはらの関係になるものでございますので、したがいまして、そういうふうな検討をいたしておったわけでございます。ただ、わが国が特恵を供与いたします場合のみならず、他の先進諸国が特恵を供与いたします場合における被害につきましても、やはりその影響に対処するための対策が必要であるというふうな、実は受けざらのほうが少し内容的に広くなってまいるという面がございました。したがいまして、そういうふうな点を考慮いたしまして、実は法律技術的に一本にするということがきわめて困難であるというふうな判断をいたしたわけでございますけれども、ただ、この法におきましても、その趣旨は当然に生かされるべきものであるということで、すでに御案内のように第十一条におきまして「特恵供与に伴う措置の運用」という条文を置いたわけでございます。したがいまして、こちらのほうの特恵対策というものと、関税暫定措置法上いろいろと調整措置がとられるようになっておりますけれども、それらの措置とは、常に有機的にその関連を配慮しながら、有効適切にこちらの措置も講じてまいるというふうなことにいたしたわけでございます。したがいまして、運用面におきます一体性というものはあくまでも確保してまいりたい、こういう気持ちで実はここに十一条の規定を置かしていただいておるところでございます。
○中村(重)委員 いまあなたは、そのようなお答えをされたのですけれども、私どもが伺っているところでは、大臣と通産が非常に張り合った、その結果別々の法律ということで、いまお答えがありましたような十一条で、妥協案みたいな形で提案することになったということを伺っているわけです。 しかしながら、そうした経緯は経緯として、いずれにいたしましても、こうして法律案が出てまいったわけでございますから、私どもの関心は、いまお答えがありましたように、運用面においての一体化というものがはかられるかどうか。これは何とかしてはかってもらわなければ困るということです。答弁としては伺いましたが、それでは実際問題としてどうするのかということです。十一条にそのことが明記されておるからそれでよろしいのだというわけにはまいりません。具体的に、運用の遺憾なきを期すためにこうするのだということを、あわせてお答えをいただかなければならないわけです。その点いかがですか。
○吉光政府委員 国内対策面と、特に波打ちぎわ対策面——関税面でございますけれども——とが、常に有機的、一体的に運用されなければならないという点につきまして、先ほどお答え申し上げたところでございますけれども、さらにこれを実効を確保いたしますために、現在、関係省庁局長クラスによります連絡会議を持っておるわけでございますけれども、この特恵対策法の施行に伴いまして、現在の連絡体制をそのままでいいのか。むしろ私どもは強化いたしたいと思っておりますけれども、もっと緊密な連絡がとれるよう、そこらの機構的な面につきましてさらに検討を加えまして、本法実施後のその運用の一体化につとめてまいりたいと考えます。
○中村(重)委員 私どもに法律案を御提案になって審議をさせる以上は、そしてまた、先ほど私が指摘をいたしましたように、提案する前にこれは一本のものとして提案しなければならぬということで相当折衝を重ねられた。そして十一条の「特恵供与に伴う措置」の運用という形で妥協されたわけです。それならば、いまのような抽象的なお答えではなくて、運用の面においてはこうするのだということをはっきりお答えができるような準備というものがなければいかないと私は思う。また、特恵供与によって、関係の中小企業者というものはどうなるのであろうかという非常に不安を持っているわけですから、こうした中小企業者に対しても、運用の面においてはこうやっていくのだということを十分納得させるようなことでなければならないのではないか。ただいまのようなお答えでありましては、私はあえて申し上げるならば、自己満足的な官僚独善的な考え方に立っておるということを指摘しなければなりません。たとえば特恵問題審議会というようなものを設けることはどうなのだろうかとか、いろいろなことを検討されて、中身について十分納得のいくような御答弁というものがあってしかるべきだと私は思うのです。そうはお感じになりませんか。
○宮澤国務大臣 従来からさようでございますけれども、関税率並びに関税の運用についての政策につきましては、これは当然のことながら政府各省非常に関連が多うございますので、比較的自由に相談をし協議をするような仕組みができ上がっておるように考えます。各省の政策上の配慮なり意向なりが関税の運用に反映されておる、そういう仕組みが従来ともございますと思いますので、そこで十一条に申します規定も、必要によりまして農水産物等に対する特恵関税制度の適用の停止等々を述べておるわけでございますけれども、私ども、できるならばこのような事態におちいらないようにいたしたいと考えますものの、どうしても特恵対策臨時措置法で救えない事態だと考えますときには、これもまたやむを得ない、こういう趣旨が十一条に述べられておるわけでございまして、関係者が円滑にこの両方を連関さして適用してまいりたいと考えております。 なお、二つの法律が分かれました経緯でございますけれども、先ほど中小企業庁の長官がお答えをいたしました、関税のほうとしては関税定率法の一部改正の中で処理をしていきたい、これももっともなことでございますが、そこへ特恵関係のものを載せるということは、また法体系としても多少いかがなことであろうか。ことに特恵対策には、輸出国としてのわが国という立場も入っておりますので、よけいそう考えられたわけでございます。 なお、それらのことのほかに、これは将来の問題でございますけれども、特恵対策臨時措置法のような考え方、こういうことをやってまいりまして、その施行状況も見てのことでございますけれども、わが国の中小企業に影響を与えるものは特恵だけとは必ずしも言い切れない、もろもろの自由化等々の努力というものも影響を与えることがございますと思います。そこで、そういう場合に国内の対策があれば、自由化の努力というのはそれだけやりやすいというようなことがございますわけでございますので、いま広く外国、二、三の国でやっておりますような、いわゆる国内産業調整措置というようなものまで御提案をし、そこまで考えるというつもりはただいまございませんけれども、将来、物あるいは資本の自由化がさらに安定してまいりました場合に、そういういわば万一の場合の措置を持っておるということが緊要である、必要であると考えられる段階が来るかもしれない。来ないことを望みますけれども、来ることは考え得るのでありまして、そうなりますと、ただいま御審議願っておりますような、中小企業特恵対策臨時措置というものがそういうものにさらに発展をし得る。私ども、ただいまそれを必要だと考えておりませんから、ただいまの段階では御提案を申し上げておりませんけれども、そういう法体系に発展をすることがあり得ると、実は頭の中でそんなことも私は考えたものでございますから、別々にすることにも積極的な意義があろう、こう考えた経緯がございます。
○中村(重)委員 大臣のお答えのとおりだと思います。特恵だけではない。これは残存物資の自由化、これももう貿易の自由化の完全を期していかなければならないし、資本の自由化、あるいは内には、賃金の上昇等々によって、これはもう大きな影響というものが中小企業に押し寄せてまいります。したがって、中小企業の生産性を高めていくためにはどうするのかということが、重要な問題点として出てくるであろうことは十分考えられるわけですから、法体系の整備も当然出てくるでありましょうし、また積極的な構造改善政策というものを強力に進めていかなければならない、さらにまた、集約化の方向にこれまた強力に推進しなければならない、私はさように思います。そのためには、いささかもちゅうちよしてはいけないのだというように考えますし、そういう段階ではないと大臣おっしゃいましたが、もうすでにそういう段階に来ているのだ。その場にぶつかってから対策を考えるということではおそいというように私は思うわけです。 そこで、具体的な問題としてお尋ねをしてまいりますが、特恵供与の影響を受けた中小企業、その方向はどうかということになってまいりますと、構造改善、近代化、合理化を推進する方向と、それから他の業種に転換する方向——廃業ということも当然生じてくるでありましょう。いま一つは、特恵を逆利用して海外に進出する方向というものが出てくるのではないか。以上の四つの形態が考えられるわけですけれども、この四つの形態の中で、いま重点的な方向として推進をしようと考えておられるのはどれなのか、まずその点についてひとつ伺ってみたいと思います。
○吉光政府委員 何と申しましても、その施策の柱になっておりますと申しましょうか、核になっておりますものは、積極的に近代化、高度化等を進めてまいる、そういう政策であろうかと思うわけでございます。積極的に近代化、合理化を進めましても、なおかつ限度がございます。そういう意味で、そういう限度のある事業につきましては、むしろこの際、成長性のある分野に転換をはかっていただくというふうなことが必要ではないであろうかと思うわけでございまして、この法律案は、そういう意味での転換を円滑にするための措置というところに中心が置かれて規定されているわけでございます。もちろん、いまお話がございましたように、海外進出につきましての条件整備ということも、やはり将来の問題として重要な問題でございます。そういう意味におきまして、これもやはり補完的な立場というふうなものをとってまいることは当然であろうと思うわけでございまして、これもおろそかにできないことであろうと考えるわけでございます。
○中村(重)委員 私はこの法律案を見まして、いま長官のお答えの中にも出てまいりましたが、防御法的な法律案であるというように見ているわけです。私そのことも必要だろうと思う。しかし、長官がお答えになりましたように、それよりもより積極的な構造改善政策を推進をしていくということでなければならないのじゃないか。そこに重点が置かれなければならない。そのためには、いわゆる集約化の政策、グループ化ということが、これまた推進されてくることは当然であろうかと思うのであります。 しかしながら、この法律案がいわゆる防御法的なものであるから消極的になっている。いま長官は、成長産業のほうに転換をしてもらいたい、こうおっしゃいました。なるほどそれは、そうした長官が期待をするような成長産業もなきにしもあらずだと私は思います。あるでしょう。しかしながら、そのことが大きく期待できるのかどうか。そのことを考えてみますと、まず第一に、特恵問題だけではなくて、先ほど大臣がお答えになりましたように、いわゆる内外の中小企業を取り巻くところの大きな条件に対応していくために、法的整備、あるいはいろいろな措置を講じていかなければならないわけでありますから、この際こそ最重点は、構造改善政策、近代化の推進、そこに置かれなければならない。そのための金融措置、あるいは税制その他の諸措置が講じられなければならないのではないか、そのように考えます。 いま一つ、海外に対するところの進出のことも、将来の問題としてというようなお話がございましたが、私は、それはもう将来の問題ではない、いますでに日本の中小企業の特恵を逆利用した海外進出というものが一つの動向として強く出てきているのではないかと思います。そのことに対してもいろいろな調査をしていらっしゃるでありましょうから、お答えをいただきたいということであります。 ともかく、この特恵供与というものは、日本の企業だけが特恵を逆利用して進出するのではありません。先進国家の資本というものが低開発国にどんどん進出をしてまいります。したがって、低開発国と日本の企業との間のいわゆる競争ではございません。それももちろん、韓国あるいは台湾、香港を認めてくるということになってまいりますと、これは非常に競争力が強くなっておりますから、そうした競争が激しくなっていくでありましょう。だが、先進国から進出をいたしました企業と日本の中小企業との競争、逆に日本から低開発国に特恵逆利用で進出をいたしました資本と国内の資本との競争というものが起こってくるのではないでしょうか。私はそこに、将来の問題としてではなくて、相当重点を置いた政策というものが考えられなければならないのではないか、そのように考えます。まず、大臣のそれらの点に対するお答えいただきたいことと、それから、ただいま私が申し上げました逆利用の方向を指向する、そうした動向がどうあらわれておるのか、その点に対してのお答えもいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 問題の御認識は、私どももまさにそのとおり考えておるわけでございまして、まず前段のお尋ねでございますけれども、私どもが諸外国でやっております産業調整法といったような内容を検討いたしてまいりますと、一番その柱になっておりますのは、私どものことばでいえばいわゆる構造改善、近代化、高度化といったようなものを助けるということがやはり第一に出ております。といたしますと、そういう意味では私どものほうが、それらの問題への着目、制度化が早かったと申せば自慢のようになりますが、逆に日本の中小企業の問題がそれだけ深刻であったとも申し上げることができると思います。つまり、諸外国が持っておりますそのような最近の立法は、実はわれわれが構造改善という形ですでにやっておるところのものが第一になっておりますので、そういう意味では、新たに法制を設けずとも、従来の構造改善の努力にさらにくふうを加えてまいればよい、このように考えたわけでございます。したがって、中村委員の言われますように、こういう問題の対処は、第一に防御ではなくて積極的な構造改善が先に立つべきじゃないかと言われておりますことは、そのとおりだと考えております。 それから第二の問題でございますけれども、わが国の中小企業が、近隣発展途上国をベースとして、そららからわが国を含めました諸外国に輸出をしてくるということは、やはり一つの必然の傾向でございますし、お互いの国にとりましても、大局的には決して悪いことではない。ただ、わが国の中小企業の中で、経過的にはいわば同胞相はむといえばことばが強過ぎますけれども、向こうへ行ったものがこっちへ非常に強い立場で競争をしてくる、こちらに残らざるを得なかったものはそれを受けるという姿になりまして、この辺は非常に複雑な関係がいま生まれつつある。もう少したちますと、その辺すっきりいたすと思いますが、そういう過程にただいまあるということではなかろうか。したがって私ども、海外に進出したいという企業に対して、ジェトロでありますとか、商工会あるいは商工会議所等を通じていろいろ情報を提供する、あるいは国の金融機関が金融をつけるということは、できるだけ積極的に実はいたしておるわけでございますが、できるならば業界ぐるみ、といえば無理を申すようですが、ある程度、こちらに残されたものが手ひどい目にあわないように皆さんで、というようなことをできるだけおすすめをしたい、こういうふうにいままで指導をしているような状態でございます。
○吉光政府委員 現在までの海外進出の状況でございますけれども、いま手元に持っております四十九年九月末現在におきます為替の許可ベースでまいりますと、全体で千八十六件というものが許可されておりますけれども、その中で中小企業関係三百四十六件というふうになっておりまして、特にこの三百四十六件のうちアジア関係が三百三件でございます。中小企業の場合には、圧倒的にアジア地域、特にその三百三件のうち台湾が百五十二件でございまして、アジア地域、特に台湾に非常に多くの中小企業の企業進出を見ておるというのが現状ではないかと思うわけでございます。 なお、これらに対します助成の問題でございますけれども、何と申しましても、やはり中小企業が、海外進出にあたりましては、もう申し上げるまでもないわけでございますけれども、現地の情勢を的確に知ってその上で出かけていくという態度が必要であろうかと思うわけでございまして、現在ジェトロ等を通じまして、そういう発展途上国におきますいろいろの経済状況についての情報を収集いたしまして、同時にこれが国内の中小企業者に知らせられるというふうなことが必要であるわけでございますが、現実のあっせん機関といたしましては、日本商工会議所に国の補助金を出しておりまして、日本商工会議所のほうに海外からも、こういう事業について進出を希望したいというふうな意味の申し出がいろいろございます。そういう申し出につきまして登録をいたしますと同時に、国内の中小企業者の方で海外に出かけたいというふうな場合の相談事業をも、日本商工会議所で承っておるわけでございます。したがいまして、そういう両者のあっせん関係というものを日本商工会議所においてはかってもらっておるという意味での助成措置を講じております。 それからなお、いまも大臣のお答えの中にございましたように、事業協同組合として組合組織で海外進出されるというふうな好ましい事例が多いわけでございますけれども、そういうものにつきましては、商工中金のほうで資金的な融資をやっておるというふうなことでございまして、それ以上の問題になりますと、御承知のとおりの、輸銀の問題でございますとか、あるいは協力基金の支援の問題でございますとかいうふうなことでの助成措置が講ぜられておりますこと、これは申し上げるまでもないところでございます。
○中村(重)委員 私がお尋ねしたのは、長官が最後にお答えがございました、日本商工会議所にそういうあっせん業務をやってもらっている。日本商工会議所は各地区の商工会議所にこれまた委託をしてあっせん業務をやっているんだろうと思うのですね。これは特恵を逆利用して海外に進出をするということが中心になっておるようでございますから、そうした、先ほど私が指摘をいたしました、特恵を逆利用して海外進出する方向、それに当てはまるわけですから、そうした逆利用をして海外進出をしようとする中小企業の動向は、いま日本商工会議所に委託をしているということで申し込みを受けているわけですから、それによってあらわれているのじゃないでしょうか。これは長官、無視してはいけないと私は思うのです。どんどんどんどん進出をする。どこかでコントロールしなければ、進出をした企業自体が、私は適当競争という事態を包み出すと思うのです。非常に好ましくないようなことになっていくのではないでしょうか。ただ単にあらせんをするだけではだめだ。これはやはり、日本を健全に再認識をさせるというような、そうした商社の動きということも必要であるわけでありますから、それらの点を十分関心を持って対処してもらうのでなければいけないと思うのです。ですから、その動向がどうあらわれてきているのか、これに対してどう対処しようとしておるのかというのが、私の聞きたいところなんです。
○吉光政府委員 確かにお話のとおり、単にあっせんする、出たいものを出させるというだけの態度では、これはうまくいかないと思うわけでございます。したがいまして、現在も日本商工会議所——先ほどお答えの中にちょっと漏れがごさいましたけれども、現在日本商工会議所に海外企業技術協力斡旋本部というものがあるわけでございます。同時に、いま御指摘ございましたように、主要な商工会議所にさらにそのあっせん所を設置いたしまして、いろいろと情報交換その他をやっておるわけでございますが、ただ、むやみやたらに出てまいられる、ただ気概だけで出てまいられるということになりますれば、なかなかうまくいかないという場合が多いわけでございます。したがいまして、現地の情勢あるいは現地の国民性その他につきまして十分に知っていただいた上で、その中でやっていける、現地の自主性を尊重しながらやっていけるという方の選定をやっているわけでございます。したがいまして、先方からも照会がございますし、あるいはまた国内企業からも照会がございます。それらをうまく結びつけるような意味でのあっせんを中心にやっておるわけでございます。 と同時に、この事務所はさらに海外に五カ所、パキスタン、香港、マレーシア、ブラジル、韓国、これに駐在員事務所を設置いたしておるのでございまして、これで現地の声も十分に聞き、それを国内にも十分に伝えるというふうなところまでを含めましたあっせん業務を行なっているところでございまして、いま御指摘ございましたように、単純なあっせんというだけであってはならないという点につきましては、全くその趣旨に沿ってさらに事業を進めてまいるべきものであるというふうに考えるわけでございます。
○中村(重)委員 特恵問題を中心にしまして、実績を確保するためにいまどんどん日本に対する輸出をやっているというようなことが伝えられておるわけでございますし、また逆利用して海外進出するということも、私の調査が間違いでなければ、大阪とか東京、主要な五つの商工会議所のあっせん所で、四十三年百三十八件、四十四年百四十七件であったものが、四十五年になりますと、ことしの一月現在で三百十七件にふえる。こうした動きが出ているわけですね。だから、この点は十分関心を持って、どうこれに対応していくのかということを検討し、的確な指導をしてもらうのでなければいけない、こう私は思います。 それから、具体的な問題としてお尋ねをしてまいりますと、業種転換というものに重点を置いておられるようでございますが、成長産業と、こうおっしゃいましたが、成長産業というものに転換の可能性をどう見ておられるのか。これは成長産業だからここには相当いけるというような具体的な検討等がなされているのではないかと思うのでありますが、それらの点、検討しておられましたら、転換業種あるいは転換事業者というものをどの程度見ておられるのか。それから成長産業としてどのような業種が考えられておるのか。その点いかがですか。
○吉光政府委員 私の先ほどのお答え、成長産業というふうに申し上げましたけれども、成長性のある部門というふうに変えさしていただきたいと思うわけでございます。現在いろいろと過去の転換事例調査その他等につきまして、中小企業庁自身で取り上げております転換調査と、それからさらにまた、中小企業振興事業団におきましてもいろいろの過去の現実の事例を追跡調査をいたしております。そういうところから集約的にいろいろの部門を求めつつあるわけでございますけれども、過去の転換事例を要約して申し上げますと、何といいましても、自分でいままでやっておりました分野に近いものについて技術的なレベルアップをはかりながら、他の部門に転換をしているという事例が一番多いわけでございます。繊維と縫製品関係、あるいは木材と木材製品関係、これらはいずれも相互に転換関係に立っておる事例が多うございます。あるいは、いずれかといえば衰退産業と申しましょうか、そういう方向でありますために、ただ新しい業種のほうに出てまいるという場合だけもあるわけでございますけれども、たとえばまくら木が衰退産業になりましたときに、このまくら木は、やはり木材を利用いたしまして、家具でございますけれども、座卓、机、書だなというふうな、そういうほうの業種に転換されている例がございます。あるいはまた固型の石けんから合成洗剤へ、あるいはまた金属からプラスチックというふうな、これらは新しい材料が出現したことに伴いまして、その分野に転換されるというふうな例等があるわけでございまして、従来の転換事例から見ますと、そういうふうな新製品、過去の技術を極力活用しながら新製品をつくってまいるというふうな方向への転換事例が一番多いように思います。ともあれ、これは具体的にいま申し上げただけでございますけれども、そういう意味での転換事例というものを豊富に集めまして、そういう点について具体的に、中小、特に零細企業の方々には懇切な指導が必要であろうかと思うわけでございます。
○中村(重)委員 答弁していただく時間が長いのですけれども、時間の関係もありますから、私の質問に的確にお答えをいただきたいと思うのです。ある程度試算をしておられるのだろうと思うのですよ。だからそのことを端的にお答えをいただけばよろしいわけです。 業種転換に重点を置くということですが、業種転換に対しての一つの指導方針というものがあるのではないかと思います。その指導方針はどういうことですか。
○吉光政府委員 この転換の内容につきましては、非常に広く解釈いたしておるということにつきましては、お答え申し上げたところでございますけれども、特にこの場合の転換先につきましては、いわばネガティブリストと申しましょうか、こういう方面は好ましくないというふうな方面につきましては、明確に規定をいたしたいと思うわけでございます。たとえば、現にカルテルを実施いたしまして、合法的なカルテルでございますけれども、そのカルテルによりまして、生産あるいは設備の制限等につきまして実施が行なわれておるような業種、あるいはまた、この三条の規定によりまして、特恵の影響を受けるおそれがあるというふうなことで特定業種として指定しておりますような業種、あるいはまた、特に国が積極的に資金助成をしないでもいいと思われますような、風俗営業法の適用を受けております一部の営業というふうなものにつきましては、消極的に、そういうふうな方向への転換ということにつきましては、助成措置の中には入れないというふうな考え方でございます。したがいまして、事業転換計画そのものにつきましては、そういう意味で、それらを受けました他の業種への転換につきましては積極的助成を講じたい、こういう考え方でございます。なお、消極的な面を除きまして、さらにあとどういうふうな面にどうということにつきましては、個別具体的な問題として各企業の相談に乗れる体制というものを整備いたし、それによって対処してまいりたい、こう考えておるところでございます。
○中村(重)委員 いまお答えになりましたことも、一つの方針であることは間違いございませんが、業種転換をやる場合の協業化というものに重点を置いて指導していこうとしておられるのかどうか。 それから、業種転換をするということになってまいりましても、同一の業種に転換が集中するということになってまいりますと、新たな過当競争を生み出してまいりますから、やはりその点はコントロールする必要があるであろう、そのように考えるわけなんです。 それから先ほども、これは長官も大臣のお答えも同一であったように思うのですが、構造改善あるいは近代化促進というものは、従来の施策をもってこれをやっていくのだということでございましたが、今度、中小企業振興事業団に対して十億、それから中小企業金融公庫に対して十五億の特別ワクを設けられたわけですが、業種転換をやらないで積極的に設備の近代化をはかるという場合、これは特別ワクをもっておやりになろうとお考えになっておられるのかどうかという点であります。これは条件といたしましては、金利にいたしましても償還期限にいたしましても、大体変わらないようでありますから、この面からは特別の優遇措置ということは感じられませんから、従来のとおりということになるのだろう。私はその支障はないと思うのです。しかしながら、ワクの問題ということになってまいりますと、これはまたおのずから変わってまいりますから、これはどうお考えになっておられるのか。 それから、転換事業者に対するところの貸し付け限度であるとか、あるいは平均貸し付け額というものを、どの程度に試算をして、十億あるいは十五億というような、総計合わせて二十五億になるわけでありますが、それをはじき出されたのか、その点いかがですか。
○吉光政府委員 まず最初に、協業化等が相当の強い柱となって進めらるべきではないであろうか、こういう御指摘でございます。確かに、特恵によりまして影響を受けます業種の多くのものが、いわゆる産地産業を形成しておるというものが多いわけでございます。したがいまして、個別企業が個別企業として転換するよりか、協業化その他の手段をもちまして、一緒に共同して転換してまいるというふうなことも必要になってまいる事例が相当あるだろうと思うわけでございます。と同時に、またそういう地域におきましては、つとめてそういう協業化施策を柱にして推進してまいる必要性が従来に増して多くなってまいるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、こういう助成策にいたしましても、中小企業振興事業団の中の高度化資金、しかも一般ワクの中に今回組み入れたわけでございますけれども、そういう協業化施策として転換をはかられます場合の助成策をそこに置いたわけでございます。 いま御指摘ありました十億円でございますけれども、これは一般ワクの中に、一応のめどとして総事業費十億円というものを組んでおるわけでございまして、したがいまして、これは一般ワク全体と彼此流用できるというようなことで、総事業費につきましては、現実の需要がございますれば、十億円には拘泥しないで、全体の一般ワクの彼此流用というふうなことで対処させていただきたいと考えるわけでございます。ただ、同じ一般ワクに入れましても、やはり特恵に関連いたしましての転換でございますので、償還期間だけは、この点につきましては従前のものより長くいたしまして、十六年ということにいたしたわけでございます。 それからさらに、高度化資金全般についての御質問が第二にございました。全体の立て方といたしましては、いま御指摘になりましたとおりでございまして、従来やっております中小企業振興事業団、あるいはまた近代化資金等助成法に基づきます設備近代化資金あるいは設備貸与制度、そういうふうなものは全面的に近代化施策の推進ということで内容を拡充してまいる必要があるというふうに考えておるわけでございまして、現在御審議いただいております明年度の予算、財投等におきましても、その点についての拡充をいまお願い申し上げているところでございます。既存の線をさらに太く拡充をしてまいりたいというのが現在の対処方針でございます。 それから、第三に御指摘の中小企業金融公庫のほうに設けました問題でございますけれども、中小企業金融公庫のほうにつきましてさしあたり十五億円を準備いたしております。これも実は特恵の影響がどういうふうに出てまいるかという点との現実のからみの問題でございますけれども、現状におきまして、十五億はあくまでも準備した金でございまして、現実の需要に応じまして、そこらのワクの問題につきましては実態に合うように弾力的に対処さしていただきたいと考えておるところでございます。 なお、中小公庫の特恵転換につきましては、特に限度額につきましては、これは従来一般的に五千万円でございますけれども、これに三千万円を加えまして貸し付け限度額八千万円というふうなことで対処いたそうといたしておるわけでございます。
○中村(重)委員 それから、この業種転換というのは、全国平均的に出てくるものではないのですね。東京、大阪、名古屋というものが中心になっていくであろうと私は思うのです。したがって、中小企業振興事業団の資金を貸し付ける場合、これは都道府県負担分というものがあるわけですから、特定の地域に集中をしてまいりますと、その都道府県に対する財政措置というものが当然考えられなければならない。その点をどうお考えになっておられるのかという点が一点であります。 それから都道府県に対して総合指導所をおつくりになるわけですね。その指導員として四十六名を考えているようでございますが、この四十六名というのは各都道府県一名を配置しようとお考えになっていらっしゃるのかどうか。その二点についてお答えをいただきます。
○吉光政府委員 確かに御指摘のように、産地産業を形成しておりますものが多い関係上、この特恵の影響を受けます企業の地域分布というふうなものは、ある特定の地域に集中する可能性が多いと思うわけでございます。したがいまして、一般的に申し上げますと、いまの都道府県の負担というものにつきまして、現在の一般案件と同じように一律二三%で処理するという点につきまして、ある特定の都道府県が負担過重におちいらないか、こういう御指摘であろうかと思うわけでございます。そういう面、必ずしもなきにあらずというふうに感ずるわけでございますけれども、さしあたりの問題といたしましては、一般案件の中に入れましたのは、先ほどお答え申し上げましたように、一般案件として金額が相互に彼此流用できるというふうな、非常に大きなふところの中で特恵対策を講ずることができるというふうな意味で、大きなふところを利用するという態度をとったわけでございます。 と同時にまた、ただしこういう地域的な問題が非常に出てまいりますので、したがいまして、これは第二の御質問にも関連いたすわけでございますけれども、御質問の中にもございましたように、現在、指導員八百六十六名おりますものを九百十一名、四十五名の増員をはかったわけでございますが、この配分にあたりましては、それぞれの特恵影響の地域等の実情に即した配分を考えたいというふうなことに考えておるわけでございます。したがいまして、各県一律に一名ずつというふうなことでなくて、むしろ強い影響を受けるところに重点的に配分してまいる、こういうふうな考え方で現在その作業を行なっておるところでございまして、こういうふうな措置を講じながら、やはりそれぞれの地域産業の面に着目いたしまして、それぞれの都道府県とも緊密な連絡をとりながら指導体制を進めてまいりたいと考えるわけでございます。
○中村(重)委員 都道府県に対して認定業務を行なわしめることになってくる。そうなってまいりますと、都道府県の業務はそれだけ多くなってくるわけです。ところが都道府県の総合指導所の指導員は、二分の一の補助であるということです。業務がそれだけ都道府県にふえてきた、指導員は配置されたけれども、その人件費は二分の一の補助にすぎない、こうなってまいりますと、都道府県の負担過重ということになってまいりますが、これらの業務を都道府県に行なわしめるということについて、都道府県とどのような接触をおとりになりましたか。
○吉光政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、都道府県の行政と非常に緊密な関連を持つ問題が非常に多いかと思うわけでございます。特に影響を受けます業種が、特定の地域に集中して存在しておるというふうな業種が非常に多いわけでございます。そういう意味から、これは国の機関がみずから認定をやるよりも、むしろ地方の産業の実態を詳細に知っておられる都道府県のほうにお願いしたほうが現実に即した行政ができる、こういうふうに判断いたしたわけでございます。これは自治省を通じましていろいろと御相談申し上げ、自治省のほうも、都道府県のほうでやるということにつきまして御賛同をいただいたわけでございます。と同時にまた、各都道府県の商工部長会議等を通じましても、いろいろと御意見をお伺いいたしました。その結果、やはり都道府県知事にお願いするのが最も現実に即した行政である、こういうふうに判断いたしたわけでございます。 それからなお、この認定業務は普通の行政事務でございます。指導員のほうの指導体制の問題とうらはらの関係になるわけでございますけれども、こららのほうの現実に作業をしていただく、そういうふうな問題につきましては、これは一般的な商工業に関連いたします事務として従事しておられる方々、これは地方交付税の中でいろいろと一般的に財政的な措置が講ぜられておる、そういう分野に属する方が主力でございまして、もちろん指導員の方の指導とうらはらに事務をやっていただく必要があると思っております。 なお、先ほど御指摘いただきました指導員に対する補助二分の一というものにつきましては、これはやはり都道府県にしましても、その地域におきます産業に関する重大な問題でございますので、国及び都道府県の負担率は、従前どおり二分の一ずつというふうなことでも十分にやっていただけるのではないで為ろうか、こう考えておるところでございます。
○中村(重)委員 あなたのほうは自治省と話し合いをやって、商工部等の意見も聞いたということでございますが、そしてこういった都道府県に重大な影響がある法律案をお出しになっておるわけです。それは自治省がありますから、自治省を無視するわけにはまいりません。しかし実際業務としては、各都道府県の商工部と中小企業庁は直接絶えず接触を持っておられるわけです。やはりこの種の法律案をお出しになる、そして各都道府県に対して認定業務その他いろいろな行政事務がふえてくるわけでございますから、実際問題としてどうなるのか、どうするのか、都道府県はどのようなことを希望するのかといったようなことについて、直接都道府県と接触をするということが必要になってくるのじゃありませんか。そういうことをおやりにならないで、ただ自治省とだけ話し合いをされて、予算措置は普通交付税等において出していくといったようなそういう形をとりがちなんですね。もっと都道府県と接触を密にしていかれる必要があるだろう、できたものだけを押しつけていくというやり方ではなくて、事前に十分隔意なく意見を交換する、そして現実の現場の意見を吸い上げていくという形で法律をおつくりになったり、あるいはいろいろな施策を講じられるということになってまいりますと、現実的なものができ上がってくるだろうと私は思う。それらの努力がどうも不足しているように感じられてならないのです。どの程度までおやりになりましたか。
○吉光政府委員 御指摘のとおりでございます。したがいまして、実は先ほどお答えの中で、少し私のことばが足りないで御迷惑をおかけしたかと思いますけれども、各都道府県の商工部長会議というもので、この内容についての御意見を最初にお伺いいたしましたのが昨年の十月でございます。そして法案としてまとまりました本年の二月に、さらにまた各都道府県の商工部長会議を開催いたしまして、内容についていろいろと意見の交換をいたしたところでございます。 なおこれは、御指摘いただきましたように、各都道府県行政と密接な関連になるわけでございますので、したがいまして、将来、この特定事業につきましての政令指定その他につきましても、やはり都道府県とも密接な連絡をとりながら進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○中村(重)委員 それから私は、この間参考人にも御意見を伺ったところですが、業種転換をやる場合も、あるいはまた積極的に構造改善政策を進めていく場合におきましても、設備は近代化していく、老朽設備は廃業していくということに実はなってくるわけです。その場合、積極的にそうした業種転換の場合これは直接起こってくるわけですが、不要設備をどうするのかということです。それから、あと地の処分といったようなもの等々、中小企業者は非常に困ってくるだろう。団地なんかの場合にも、現実問題としてそれは起こってきているのです。団地がうまくいかないのは、国の施策に対応してどんどん団地に進山をするところが、あと地の処分の問題であるとか、あるいは不要の設備あるいは旧債といったようなものが荷が重くなって、どうにもならないで失敗をするという事例が非常に多いわけです。したがって、これらの措置を講じられる場合は、旧債の整理をどうするのか、それから不要になった設備に対してどのような措置を講ずるのかといったようなことが、もう少し考えられなければならないのではないか。長官は先日、旧債整理資金、退職金についての保証の措置を検討するというお答えでございましたが、保証の措置というのはどういうことなのか、これらの点についてひとつ具体的な考え方をお示しいただきたいと思うのです。
○吉光政府委員 こういうふうな事業転換を行ないます場合にいろいろの問題が起こってまいりますこと、これは御指摘のとおりでございまして、たとえば旧債の問題でございますとか、あるいは退職者に対する退職金の手当の問題でございますとか、あるいは設備、土地その他に対する問題、いろいろな問題があろうかと思うわけでございます。そこで、この法律の考え方でございますけれども、一応、転換対策を円滑にするというふうな意味から、実は事業の転換の行き先側につきまして、従来、ともすれば製造業の転換は製造業でというふうに考えられましたものを、さらに広く、製造業から商業へ、あるいはサービス業へという、そういう転換までこの事業の転換の中に加えまして、転換の業種といたしましては非常に広く助成措置を講じたい、こういう考えで出発いたしたわけでございます。したがいまして、いま御指摘ございましたような設備、土地等の問題につきまして、これを買い上げるというようなところまではいっていないわけでございますけれども、ただ、これは一般的な状況について規定いたしておるわけでございます。したがいまして、個別的な事業によりまして、そこらの事情によりましては、特別の立法あるいはまた特別の予算措置をもちまして、たとえば繊維の構造改善のような、あるいはまた、北海道の製材事業の構造改善と関連して上積みの補助金が出ておるわけでございまして、個別業種に即した施策というものが、状況によっては必要であろうかと思うわけでございますけれども、それらはさらに個別業種に即して検討させていただきたいと考えておるところでございます。したがいまして、この中では、特別にいわゆる廃業の対策については、労務対策を除きましては触れていないところでございますけれども、以上のような考え方に基本的には立っておるということを御了承願いたいのでございます。 それから、いまの旧債整理につきまして保証の問題でございますけれども、これはこの信用保険法の特例をここで規定させていただくことになっておるわけでございますけれども、いわゆる特恵関連保証の内容といたしまして、この保証される資金需要といたしましては、直接必要な設備その他の資金のほかに、運転資金の中に、たとえば旧債の整理、あるいはまた労務者の退職金に必要な経費も、この保証の対象として考えたいと思っておるところでございまして、この特恵関連保証の対象の中にはそれらのものも含めて考えたい、こういうことで先般お答えを申し上げたところでございます。 〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕 また土地等の問題でございますけれども、御承知のとおり、現在ございますところのいわゆる都市開発資金の貸付けに関する法律に基づきまして、いろいろと土地等についての買い入れその他をやっている大都市があるわけでございますけれども、この制度に乗れるものにつきましては、これは積極的に、そこらの土地の売却についてのあっせんということについて当然に考えていかなければならないと考えておるところでございます。ただ一般的に考えます場合には、やはり現にある土地で内容をかえて他の事業をおやりになるという場合が一番多いのではないかと考えるわけでございますけれども、しかし事情によりましては、土地をかえて、場所をかえてそこで事業をやろうという方も出てこられようかと思うわけでございまして、実態に応じまして、よく御相談に応じ得る体制を整備してまいりたいと考えます。
○中村(重)委員 先ほど、協業化というものは相当強力に推進したいというお答えがあったわけです。そうなってまいりますと、団地というものは当然考えられなければなりません。団地に行くということになってまいりますと——これは団地でなくても起こってくるわけですが、先ほども私が触れましたように、あと地であるとか、あるいはその建物であるとか、あるいはその設備であるとか、こういうものは不要になってくる。これを処分しなければならぬ。ところが、あとの設備に対して金を借りるということになってくると、売り急ぎをしなければならぬ、買いたたきをされる、そういうことになってくる。それからいまあなたは、退職金であるとか旧債整理に対して信用保証の措置を講じていくんだ、そういうことも考えているんだということでございました。運転資金はそういう面も配慮しておるんだということでございましたが、ところが窓口になってくると、独立採算ですから、前向きのものには金を出しても、後向きのものにはなかなか出さないのです。そういったような場合、繊維の問題等々引き合いに出されて、新しい別の法体系を考えていくとか、あるいは上積みについての措置を講じていきたいということでございましたが、当然こういうものは、関連して現実の問題として出てくるわけでございますから、これらの法律の整備をされる場合は、当然関連事項として、きめこまかにそれらの措置を講じなければならないと私は思う。 それから、集約化の方向を推進してくるということになってまいりますと、これは中小企業金融公庫と中小企業振興事業団だけではなくて、当然、組合金融とか商工中金というものに別ワクをおとりになる必要があったのではないか。 それらのこと等を考えてみると、私どもが質問する、指摘をする、だからそれに対応するようなお答えをされるんだけれども、実際は、そこまで深く突っ込んで考えていらっしゃらないのではないかという感じを私は受けるのです。もっときめこまかに、現実に起こってくるであろうことは十分検討されて、それに対応する措置を講じられるということでなければならぬと私は思うのです。どうもそこらが足りないですね。行き過ぎてから事を考えてはもう間に合わない。出発する前に十分検討し対策を講じていくということでなければならないんじゃないでしょうか。いかがですか、私の指摘に対して。
○吉光政府委員 御指摘のとおりだと思うわけでございます。したがいまして、いろいろと各角度からの問題点を掘り下げて検討いたしたわけでございますが、一般的に言える一つのラインで実は今度の臨時措置法案をお願いいたしたわけでございます。したがいまして、業種によりましては、いろいろとさらにこれでは解決できない問題もあろうかと思うわけでございます。したがいまして、そういう事態に即しました別の機動的な措置、たとえば、状況によりましては別の予算的措置というふうなものも必要になってまいるというものもあろうかと思うわけでございます。したがいまして、これは特恵の影響が現在まだ模索の段階でございますけれども、さらに事態の進展に応じまして、いろいろの事態が出てまいろうかと思うわけでございまして、そういう具体的な事情に応じまして、個別的にさらに検討を加えさしていただきたいと思うわけでございます。 確かに、集団で転業いたしますような場合、事業団のほうで準備いたしておりますのは、新しい土地の取得費につきましては準備いたしておりますことは御承知のとおりでございますけれども、現在おります土地をどこにどう処分してまいるかというふうなことにつきましては、先ほどお答え申し上げました一般法以外にはないわけでございます。したがいまして、今度はそういう個別具体的な問題になりますと、私ども都道府県その他ともよく御相談申し上げますけれども、やはり個別具体的に解決していく場合というものも相当出てまいろうかと思うわけでございます。そういう意味で、やはり特恵の影響を受けてこうされるというふうな方に対する措置でございますだけに、きめこまかな配慮が、御指摘のように必要になってまいると思うわけでございます。
○中村(重)委員 私は先ほど、防御的な法案であるということで、もっと積極面が出てこなければならぬということを申し上げたのは、要するに受けて立つという態度ですよ。そうした積極面がどうもあらわれていないわけですね。だから、特恵問題については模索中であるとおっしゃる。しかし、七月から実施をする、ところが七月を待たないで、七百七十六品目ですかにシーリング方式をおとりになりますから、実績かせぎにどんどん入ってきているのでしょう。もうすでに始まっているのですよ。それならば、私が申し上げましたように、構造改善政策をどんどん推し進めていくということになってまいりますと、生産性を高めていく、いわゆる近代化の方向を推進しなければなりません。したがって、それに対応するような措置というものは、私が指摘しましたようなことが当然考えられなければならないのじゃないでしょうか。税制の問題にいたしましても、未処理の設備に対して償却を認めていくというような、そういう消極的なことだけではなくて、当然私は、個人事業税であるとか、あるいは法人税であるとか所得税、そういったような問題についても、積極的に大蔵省と折衝をして、たな上げであるとか、あるいは繰り延べであるとか、いろいろな措置を講じられる必要があるだろうと私は思うのです。そこらがどうも不足をしているような感じがしてなりません。 これは相手もあることでありますから、私どもがこうして、こうあるべきだというようなことを申し上げるとおりには、行政当局としてはなかなかいかないであろうことはわかります。わかりますけれども、やはり私どもがこうした法律案を審議する場合、何かあなたのほうのそうした意欲というものが、ぐっとはね返ってくるということでなければ、何か非常に不安と申しますか、たよりなさと申しますか、そういうものを感じてならないのです。当然これから大きな風は、大臣お答えになりましたように、特恵だけではなくて、内外に大きく問題として中小企業におおいかぶさってまいります。吹きつけてまいりますから、これに対する中小企業庁の責任というのはきわめて重大であります。それらの点に対しては十分対処していただきたいということを、私は強く要請をしておきたいと思います。 なお、この特恵に関連をいたしまして、あるいは自由化との関連等々から、いろいろな諸団体に対するところの影響というものが強く出てくるのではないかという感じがしてなりません。もうすでにそれは起こっているのではないか。たとえば雑貨センターの問題あるいはプラント協会の問題等々に対しても、事業の縮小の方向にある。そうして雑貨センター等は、従業員に対する希望退職を三十名の目標でもって進めておるというようなことを聞いているわけですが、これらに対する対策というものはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。繊維雑貨局長あるいは重工業局次長、お見えでしょうから、それぞれひとつお答えをいただきたいと思います。
○楠岡政府委員 雑貨センターにつきましてお答え申し上げます。 雑貨センターは、私ども、雑貨の輸出、振興の中心団体ということで考えております。そのほかに御承知のように、雑貨の検査及びデザインの登録、認定等を行なっております。最近、雑貨センターの収支が悪くなりまして、本年度におきましては約五千万円ほどの赤字が見込まれておるわけでございます。これは、雑貨センター自体があやまちをおかしたというよりも、むしろ最近の雑貨輸出の伸び悩みあるいは不振によりまして、手数料等が思うように入らなかったというところに一つの大きな問題もございますけれども、また退職金も含めまして人件費の思わざる支出増というものが起因をしているわけでございます。雑貨センターが、このような大幅な赤字を今後も続けるということになりますことは好ましくないわけでございまして、ただいま雑貨センターにおきましては、どうしたら収支相償えるようになるかという点、理事者の間で検討されておるところでございます。 私どもとしましては、雑貨センターの収支相償うことができますようにするためには、一つには雑貨センターの仕事の中で、構造的な赤字をもたらすような部分があるかどうか。もう一つはさらに、雑貨センターのその他の仕事におきまして、増収を期待することができるかどうか、その辺を検討する必要があると思いますし、もし増収等を期待する部分がございますれば、私どももできるだけ援助をいたしまして、全体として健全な基礎の上に立ちまして雑貨輸出の振興のために大いに活動ができるような体制に持っていけるようにしたい、かように考えておるわけでございます。 現実問題としまして、来年度の雑貨センターに対します補助金の額はすでに内定をいたしておりますので、補助金の額を増加するという形でセンターの収入をふやすことはむずかしいと存じますが、何か、雑貨業界全体からも喜ばれる、雑貨センターとしてもそれをすることが役に立つというような仕事の部面を拡充いたしまして、そういう部門の拡充によりまして全体の経理の改善をはかるというような方向がないかと、いろいろ検討をいたしておる次第でございます。
○中村(重)委員 いずれにしても、国際分業という形で雑貨等を日本でつくらないというわけじゃないわけです。やはり競争力を強めていくためには、できるだけ品質のいいものをつくっていかなければならぬでしょう。高級品をつくっていかなければならない。そのためには輸出検査法という法律があるわけですから、この法律はさらに積極面が出てくるのではないかという感じが私はするわけです。ですから、いままで赤字だったのだ、だから補助金は出しているけれども、四十六年度ですでに決定をしているところの補助金ではどうにもならない、何か新規の事業を考えていかなければならないのだということでございますが、要は、あなたのほうが輸出検査法という法律はもう必要がないとお考えになっておられるのかどうか。 この法律に基づいてできておるところの雑貨センターというものはどうお考えになっていらっしゃるのかということです。私がいま申し上げましたように、より品質のいいもの、良質のものを生産し、これを輸出をしなければならないと考えるならば、そういう意味においての業務の拡大というものが当然考えられなければならないということです。法律をおつくりになって、そして特殊法人ではないけれども、民法人として財団法人あるいは社団法人の、この雑貨センターであるとか、あるいはブラント協会というものができておるのですから、これは国がやらなければならぬところの業務を担当させてきておるわけです。それならば、それに対応する措置を積極的にあなたのほうが講じられなければならない。業者の方々が国の補助だけにただ依存して、これをただ隠れみの的に利用していこうとするような消極的な面があるならば、それまた強力に指導して十分センターとしての役割りを果たさせるということでなければならないのじゃないか。そうでなければ、毎年毎年事業が縮小されてくる。そういうことで労働者というようなものが淘汰されていくといったようなことでは、これは残っておるところの労働者といえども、安心をして業務の推進をはかっていくということにならないのじゃないか。そのように考えますが、輸出検査法に基づくところのこの雑貨センターというものを、この後あなたのほうはどう活用していこうとしておられるのか。そこが問題じゃないでしょうか。
○後藤政府委員 輸出検査法の問題でございますので、私からお答えいたしたいと存じます。 検査法の第一条は、「輸出検査を行うことによって、輸出品の声価の維持及び向上を図り、もって輸出貿易の健全な発達に寄与する」ということを目的といたしております。検査法が発足いたしまして以来、これは三十二年でございましたが、最高時におきましては、指定の品目数というのは四百九十八、約五百でございました。現在におきまして、この検査法に基づいて実施をいたしておる品目は四百七十一と若干減っております。で、この目的に基づきまして、輸出品の中でたまたまわが国の声価を落とすようなものが出てきては、その業界全体が迷惑し、ひいてはわが国の貿易の発展に支障を来たすということのために、この法律が制定されたわけでございますが、いろいろな国際情勢、貿易を取り巻く国際環境というもののために、たとえば先ほど申し上げましたように、この検査の品目の改廃等も行なってまいったわけでございます。 そこで、最近の情勢といたしまして、先生御承知のとおりに、わが国の軽工業品関係の輸出というものが、きわめて伸び悩みの状況を示しております。たとえば昭和四十五年の暦年におきまして、総体の輸出の伸び率が約二一%でございましたにもかかわりませず、軽工業品関係はわずかに六%しか伸びておりません。これは、日本の輸出構造の変化といろいろな国際環境、あるいは一つには発展途上国の追い上げと申しますか、そういった国々の競合する分野が出てまいったということからくるものでございまして、もちろん、これに対しまして軽工業品業界は、そういった国々と競合しないように、品質を向上することによってもっと高いレベルのものを輸出していくという方向に現在も努力をいたしておりますし、将来ともその方向に進むべき性質のものであると存じます。 そこで、ただいま繊維雑貨局長からお答えいたしましたように、現在雑貨センターがいたしております検査の品目は十七ございまして、これはいずれも軽工業品、特に雑貨品に属するものでございます。したがいまして、これの取り扱い件数というものが非常に減ってまいりますと、おのずから検査料等の収入が減ってくることもまた事実でございます。こういった問題につきましては、ただいま先生御指摘のとおりに、もっと品質を向上させるという方向に進み、そういった価格が上がってくることによって、おのずから検査料等の手数料の増収ということも考えられるわけでございますが、しかしこれは、絶対量が減ってまいりますとおのずからやはり限界がある、こう思うわけでございます。したがいまして、他の検査機関についてもかような指導をいたしておりますが、残念ながら、そういう国際的な客観情勢、経済情勢の変化によって、検査品目が減少し、検査手数料がおのずから減収をいたしてまいるということになってまいりますと、輸出検査法による検査だけでなしに、その他の、たとえば先般御審議をいただきました統一ブランド法によるような、ああいうもっと高い標準のものの検査、あるいは国内向けのものの受託検査、そういった方向に、検査機関自体というものがもっと仕事を多角化し、多様化するという方向によってもこういう問題は解決をいたしていく。その他、雑化センター全般につきましての経営の合理化等ももちろん必要でございますし、そういったいろいろな施策をあわせまして、全般的な軽工業品関係、日本の弱い部門に対する輸出の伸びの鈍化、それに伴う手数料収入の減収というものに対処していく以外に方法はない、かように考える次第でございます。
○中村(重)委員 そうすると、結局いまの雑貨センターというものはどういう方向をたどることになるのかということですよ。おっしゃるように、韓国であるとか、あるいは台湾、香港、これが特恵供与になればなおさらのことですが、どんどんと物が入ってくる。そうすると、今度は日本の資本が進出をして、そこでまた現地の労働者を使って物を生産するということになってくると、さらに輸出は停滞をしていくだろうということが考えられる。その点については、先ほど私が申し上げましたように、より品質のいいものをもって競争力をつけていかなければならぬ、こういうことです。その面では、あなたも輸出検査法の意義はお認めになったのだし、あるいはセンターの役割りについてもお認めになった。これにどう対応するかということであったわけですね。将来の問題ということではどうにもならないですね。だから、現にそこで働いておるところの労働者の問題も実は出てくるわけです。赤字だからどうにもならぬというので、希望退職というものを三十名募っておるのだ。これは、どうしてもそこにいたくない、もうやめたいということでやめる人は別といたしまして、希望退職という名の強制解雇というような形、いやがらせであるとか、あるいは管理者のほうでは、そこにいたたまれないような、いろいろな措置、態度に出てこないという保証はないわけです。ところが、今日そこで働いているところの労働者というものは不安の状態にある。これは縮小されるのだからやむを得ないということで、これを放置してよろしいのかどうかということです。 本来ならばこれは国がやるべきものである。国が直接やられないから、特殊法人というものをつくって、特殊法人にやらせるということをあなたのほうでは講じられてくる。ところが、特殊法人をつくるということについては、行管にしましても、大蔵にしましても抵抗する。抵抗するから、財団法人とかあるいは社団法人といったような民法人でもってこれをやらせる。しかし、それをやることについては、法律でもってやらせているということなんです。そういうことだから、そこで働いておる人たちも、その仕事の意義と、将来のみずからの生活の安定ということを考えて入ってきた。しかしながら、これは、いま言う軽工業品というものが伸び悩みの状態にあるのだからいたしかたがないのだ、もうお役ごめんだというととでは、どうにもならないということになるのじゃないでしょうか。私は、輸出検査法というものの意義を認め、雑貨センターというものの存在が必要であるとお認めになるならば、さらにまた競争力を高めていかなければならないとお考えになるならば、そのことに対するところの対策を強力に推進する必要があるということと、そこに働いているところの労働者がさらに安心をして業務の推進に当たっていくというかまえを、国が責任を持ってひとつ講じていかなければならぬのじゃないか、そのように考えるのです。それに対するところの考え方、対策についてはどのようにお考えになりますか。
○楠岡政府委員 中村先生御指摘のように、雑貨センターであれ何であれ、そこで働いている労働者の方々が安心して仕事ができるような体制にもっていくということは、これは何よりも必要と私も考えております。 ただいまの検査の問題でございますが、検査につきましては、確かに、品質の維持、あるいは日本の輸出品の声価の維持、向上という役目があるわけでございますが、今後、検査の部門におきまして、非常に具体的な話で恐縮でございますが、検査品目を大幅に拡充できるだろうかということになりますと、現在の十七検査品目におきましても、関係生産業界あるいは関係輸出業界からは、できるだけ早くやめてくれという要望がかなり多うございますし、したがいまして、新規の輸出検査品目を広げることにつきましては相当問題があろうかと思います。むしろ検査自体の問題としては、もう検査の使命を果たした品目があるのではないかというような声がある状況でございます。 ただ、私、先ほど申しましたように、雑貨センターが雑貨の輸出振興にいろいろな意味で貢献していることは事実でございまして、先ほど先生のおっしゃいました製品の高級化というような点につきましても、たとえば生産技術指導とか、あるいは専用機械の試作とか、そういうような方向を通じまして、業界に対しまして、その製品の品質が向上するようないろいろな方策をとっているわけでございます。またデザイン関係の仕事も、そういうことに関連することももちろんでございます。したがいまして、私どもとしましては、やはりこういったような面で雑貨の品質向上をはかって、そういう形におきまして近隣諸国あるいはその他の国との輸出競争にうちかつように指導していきたい、かように考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 どうしようとするのか、どうもさっぱりわからない。私は通産省自体でも局間のセクトというものが強過ぎるように思うのだな。したがって各省間のセクトというものは非常に強いでしょう。工業用水関係、あるいは工場立地、あるいはパイプライン、ぶざまでしょう。今日、公害問題その他非常に重要な問題について必要な法律をつくらなければならぬが、各省のセクトによってそれができない。国民不在の政治がまかり通っておる。同様に、通産省なら通産省の各局の間の連携も、私はきわめて緊密でないと思う。貿振なら貿振、雑貨なら雑貨、重工なら重工、あるいは通商、いろんな局がある。その局に、いろんな法律をつくってそれに基づくところの団体をおつくりになるのです。そのたびごとに新しい職員を採用されるのです。雑貨センターの場合、検査目的が終わった。それは、必要がないのにその検査を無理に続けられるということはできないだろう。しかし、新しい分野というものを考えていかなければならぬと同時に、同じ通産省の中のその他の局、たとえば重工のブラント協会ならブラント協会、そこで新たなものをおつくりになるならば、その新たなところに雑貨センターの職員を配置がえしていくとか、いろんなことで通産省全体が緊密な連携をとってくるということになってくるならば、それだけ各省間の連携が密になるし、さらにまた働くところの労働者も十分安心をしてやっていくことができると思う。そこらあたり、あなた方はどうもセクトが強過ぎて、雑貨センターなら雑貨センターのことだけでこれを処理してしまおうとするところに問題がある。あとで山形重工業局長次にも、プラント協会の問題についてお答えをいただきたいのだけれども、ともかくもう少し緊密に連携をとって、そして通産省全体、あるいは中小企業庁、特許庁、出先も含めて、もっと強力に業務の推進をはかっていくということにしたらどうなんですか。どうもあなた方のほうは、そこらがセクトというのか何というのか、私は非常にむだがあると思う。必要以上にいろんな不安というものを起こさせるというような感じがしてならない。 だから、雑貨センターの問題についても、いまの楠岡局長のお答えはどう考えてよろしいのか、実は私にはさっぱりわからないのですが、私がいま指摘しているように、この検査法に基づくところの雑貨センターというものの必要性をお認めになるならば——要するに、検査の必要ないものも出てきたけれども、より品質を高めるために必要なものも出てきたのであろう。そのための業務の拡充、あるいは新たにまた検査をしなければならないものも出てくるであろう。そういうことも考えていく。それから、申し上げたように、各局内におけるところのいろんな問題を総合的に推し進めて、労働者に不安がないように、そうした配置がえ等もやって、安心をして業務の推進をはかっていくということでなければならぬと思う。また、いま現実に起こっておるところの問題をどうするのか。これはプラント協会を含めて、時間の関係もありますから、それぞれお答えをいただきたいと思う。
○楠岡政府委員 雑貨センターについてお答え申し上げますが、ただいま先生の御指摘がございましたような雑貨センターの問題は、雑貨センターだけで処理しようとしているのではないかということでございました。私ども、もし万一雑貨センターが人員を外に出さなければならないというような事態が起こりました場合、私どもの中ではございますが、関係団体等へのいわば配置転換のあっせんというようなことにつきましては、センター側から御要請がありますれば、及ばずながら努力はいたしたい、かように考えております。
○山形説明員 プラント協会のことに関しましてお答え申し上げます。 御存じのとおり、プラ協は昭和三十五年に発足いたしまして、海外におきますプラント案件の発掘とか海外情報の収集、また国内におきます関係者間の利害の調整といいますか、いわゆる調整業務、それからコンサルティング業務、大体そういう業務を行なってきておったわけでございますけれども、国際化の進展に伴いまして、日本の商社なりメーカーの海外情報網なり力がわりとついてきておりますので、むしろ、従来行なっておりましたプラ協のプラント案件の発掘業務というものは歴史的な使命が達せられたという判断のもとに、現在十二カ所海外に出ておるわけでございますけれども、これを前向きにジェトロの機構の中に吸収いたそうということで、四十六年度以降そういう措置をいたしたい。本件につきましては、この二年くらいの間にジェトロ側とも相当調整しておりまして、今般、ジェトロ・サイドにおきまして七名の実質的な増員もはかられておるわけでございます。したがいまして、十二カ所のうちの残り五名といいますものが、実際上は廃止に伴って余剰人員になるわけでございますけれども、現時点におきまして、これに伴う人員整理等は行なわないというふうに了承いたしております。 なお、ブラント輸出自体につきましては、今後の輸出のむしろ中核的な存在でございますので、プラ協を中心にいたしまして、プラ協、機械輸出組合、それから機械関係の諸団体が、もっと広い意味でのコンサルティング業務の強化を中心にいたしますプラント輸出の総合的な促進につきまして、四月以降、新しい会合を発足させまして、今後のプラント輸出の総合的な振興につきましても検討する段取りに現在なっております。
○後藤政府委員 各局間の連携不十分というようなことが万一ございますならば、これはゆゆしい問題でございます。私ども日常非常に注意いたしておりますが、特に、たとえば通商、貿振、企業というような横割りの局は、縦割りの重工業局、繊維雑貨局その他の局ときわめて緊密に連絡をとってきたつもりでございますが、今後ともさらにこの連携は十分緊密にいたしていきたい、かように考えております。 それで、雑貨センターの問題でございますが、先ほど来お答えいたしておりますように、雑貨センターの中の赤字要因というものは、主として私が担当いたしております輸出検査の関係からの赤字が非常に多いということでございます。 〔橋口委員長代理退席、進藤委員長代理着席〕 そこで、先ほど申し上げましたように、輸出検査法が現在までに果たしてきた役割りというものは、十分これを評価いたしますし、雑貨センターがその間においてやってまいりました仕事というものも、やはりこれは十分に評価されるべきであると存じます。しかしながら現在、軽工業品関係、特に雑貨関係は、全般の輸出の中でだんだんその比重が低下してきたということは事実でございますので、先ほど申し上げましたように、品質の高度化、価格の上昇を通じて手数料収入をなるべくあげるように努力はいたしたい、かように考えます。しかし、これにも限度がありますので、その限界を越えてカバーし切れないものにつきましては、他の検査機関についても同様でございますが、従業員に不安を与えないように、これの関係業界への吸収とか、あるいは欠員の不補充とか、先生御指摘のように、通産省の所管しております各団体、これも技術的にできる面とできない面とがございますが、そういったところとの彼此融通という点を十分にあわせ考慮いたしたいと存じますが、何ぶんにも現実の問題といたしまして、センターは軽工業品、雑貨関係というものを取り扱っており、そのために手数料収入が減ってきておるというのは事実でございますので、こういった事態に対処いたしますために、さらにこの上とも関係各原局と十分に連絡をいたしつつこの問題を処理いたしてまいりたい、かように考えております。
○中村(重)委員 いまの答弁でよほど考え方が明らかにはなってまいりました。各省間で緊密な連絡をとっておりましても、いま言うように、その法律に基づいて業界にいろいろな団体、機関をつくらしているわけでしょう。そこをうまくコントロールするということにならなければ、ほんとうの意味の緊密な連携ということにならぬと私は思うのです。そこまでおやりにならなければいかぬということですよ。 山形次長にお尋ねいたします。海外にあるところの施設をジェトロが吸収したということはわかりますが、プラント協会そのものの存在はお認めになっていらっしゃるんだろうと私は思います。本部は赤字でたいへん困っておる。海外の施設をジェトロが吸収したけれども、実際は、その赤字の解消ということは簡単にできないんじゃないか。だから、それはもうどうにもならないということで、また希望退職であるとか、いろいろな形において職員に不安を持たせ、職員をやめさせるとか、あるいは職員がやめていくとか、そういうことになってくると、プラント輸出の重要性というものはこれからさらに増大をしてくるわけでありますから、本来のプラント輸出の面、プラント協会をつくらせたその意義というものが失われてくるであろうと私は思います。そこらについて、いま後藤局長もお答えになりましたが、通産省全体として連携を密にしながら、これらの設立をした目的に沿ってさらに前進を期していくと同時に、働いているところの職員に対してもいささかの不安も持たさない、そういうことで対処していかれる御意思があるのかどうか、そこをひとつはっきりお答えをいただきたいと思う。
○山形説明員 先ほども申し上げましたように、輸出の重要性は、今後とも日本にとって最大の問題であり、かつ付加価値の非常に高いプラント輸出の促進というものが、むしろ今後の輸出の本命であるべきだと思います。プラント協会が設立されましたのも、もっぱらそのプラント輸出の振興ということに眼目がございますので、たまたま、先ほども申し上げましたように、海外要員につきましては、時代の進展に応じまして、これを前向きにジェトロのほうに発展的に吸収することになりましたけれども、本部のプラント協会の機構というものは、今後のプラント輸出の全くの中核であるとわれわれ考えております。先ほども申し上げましたように、これを中核にいたしまして、より広い経済協力等も踏まえたプラント輸出全体の持っていき方につきまして、今後とも検討し進んでいきたい、こう考えております。
○進藤委員長代理 米原昶君。
○米原委員 時間もありませんから、私はいままで各委員から質問された点はできるだけ重複しないようにして、幾つかの点について質問したいと思います。 今回の特恵関税の供与は、主として軽工業品がその対象となっているために、国連貿易会議第四回特恵特別委員会でアフリカ諸国が不満を表明したことにあらわれているように、アジアの一部の国にしか実質的には優遇措置が講じられないようになっております。これは中小企業庁の資料でも明らかであります。その点で、今回の特恵供与は日本の大企業が海外進出を進めるために有利だという点が、どうもしんになっておるようであります。具体的にその結果として、日本の中小企業、零細企業が、場合によっては壊滅的な打撃を受けるのじゃないかというような業種も出てくると私は思うのです。そういう点で少し具体的な話を聞きたいと思うのです。 一つはケミカルシューズです。昨年のアメリカの議会で一九七〇年度通商法案が問題になったときに、ケミカルシューズの場合は、ほとんどがアメリカに輸出している業種ですから、非常に心配しておりました。そのために、私、神戸の長田区に出かけていって実情を聞いたのです。また、東京のそれを取り扱っている問屋さんにも会って事情を聞きました。つまり、通商法案は幸いにして一応だめになって、また出るという話も出ておりますが、しかし、この特恵供与という問題になってくると、それ以上の打撃が加わってくるのじゃない、かと思うのです。 率直に言いますと、業者の人たちがこう言っているわけです。政府は、低開発国の追い上げで中小企業が苦しむのは、どうにもならないように私たちに説明される。しかし実際はそうでないのじゃないか。たとえば三菱商事などの大手商社が、値段が安ければ世界じゅうどこからでも買うということで、台湾や韓国、香港などのチープレーバーに依存したケミカルシューズを買い込んでアメリカに売りつけている。これはある程度やむを得ない点もありますが、問題はケミカルシューズの独特のサンプルです。地場産業といわれるものは、ほかではとうてい競争できないようなものをつくるのが特色だと思うのです。またその面を生かしていかないと、ただ協業化、近代化といいましても、それだけじゃ中小企業を助けるほんとうの政策にならないと思うのです。このケミカルシューズの場合は、神戸でつくった日本独特のサンプルを、そういう大商社が台湾や韓国に持っていってつくらせるというのです。これじゃ、向こうのほうが賃金は安いのだし、かなわないのです。問屋の人もこう話しておりました。釜山とか高雄の工場で神戸製のサンプルを見てきた。そういうものをどんどん向こうに持ち込んで向こうでやらせる。これでは三菱商事などの大手商社はもう日本の企業じゃない。国籍のないユダヤ的な商法で、もうけるためなら日本の郷土産業の一つや二つはつぶれても何でもないというような考えでやっておるのじゃないか、こう言って憤慨していたわけであります。 御存じのように、大手商社がそういうことをやっているだけでなく、大手メーカーが問題だと思うのです。たとえば台湾の場合は星発という合弁会社ができておりますね。あるいは韓国の場合も泰和などのように、大手メーカーが台湾や韓国に合弁で進出して、そうしてそれが、もしここでさらに特恵関税供与というようなことになりますと、日本の大資本が実際上はつくらせた品物が逆に日本に入ってきて、ああいう独得の地場産業が全くつぶれていくということになるのじゃないかと思うのです。私は現地に行ってみまして、協業化とか近代化という面で通産省がかなり努力しておられるという点は見たのです。あそこに幾つか近代化のために中小企業団地をつくって、ケミカルシューズの団地ができておりますし、また最近では、公害防止事業団のほうからも資金を出して、公害防止という意味で団地をつくらせている。いままでかなり金をつぎ込んでおられる。それだけ力を入れていても、いまのような点をほうっておけば、結局あれは全滅してしまうのではないかということになるわけです。そうしますと、そういう日本の大企業が海外に進出して、台湾や韓国なんかの安い労働力を使うという面だけでなくて、地場産業の一番特色であるサンプルまで持っていって、それでやられたのではたまったものじゃない、こういうことを痛感するわけです。これに対してどういうふうに考えておられるのか、まず聞きたいと思います。
○楠岡政府委員 ケミカルシューズは、御指摘のように、非常にこまかい企業がほとんど神戸地区に集中しておりまして、中小企業を主体とする弱い産業でございますが、それに対しまして、近年、台湾、韓国等からの輸入がだんだんふえておるような状況でございます。したがいまして、特恵につきましては、わがほうとしては、ケミカルシューズは特恵供与の例外にするということをまずきめておるわけでございます。 それから、アメリカがどうなるかということでございますが、現在のアメリカの行政府の案によりますれば、ケミカルシューズは例外になっておるようでございます。アメリカは日本のケミカルシューズの約八割を輸出している市場でございますが、アメリカにおきまして特恵が例外となりますれば、特恵という面からはあまり影響はないのではなかろうかという感じでございます。 ただ、先生も御指摘のように、特恵がありませんでも、外からの競争というのはだんだん熾烈になってきておるのでございまして、こういったような情勢に対処しまして、すでに昭和四十二年に中小企業近代化促進法の指定業種になっておりまして、基本計画は四十四年の七月に告示されております。したがいまして、その後いわゆる近促貸し付けという、近促法に基づきます貸し付け制度に乗りまして貸し付けが行なわれておりますが、こういった手段を講じまして業界の国際競争力を強めていきたい、かように考えておる次第でございます。
○米原委員 私の質問した中で一つのほうは、特恵が適用されないということはわかりました。もう一つ、日本のメーカーが向こうに行って合弁でやってますね。ことに地場産業の独特のサンプルまで向こうに持っていってやられるということですね。こういうものに対する措置といいますか、規制のしかたはないかどうかということです。
○楠岡政府委員 失礼いたしました。日本の出産者がつくりましたもののサンプルが海外へ運ばれまして、それが製品になって輸出される、あるいは内地に返ってくるというケースは往々ございます。問題は、そのデザインがいわば工業所有権の対象となっていないというところに、非常に保護手段において欠けるところがございますが、さしあたっては、業界の自粛を促すことによりまして、人のデザインの盗用というようなものをできるだけなくしていきたい、かように考えております。
○米原委員 もう一つ例をあげて聞きたいのです。これはこの前川端委員からも質問が出ておりましたが、クリスマス電球の問題です。これもおそらく特恵からははずされているということ、アメリカが現に特恵からはずしているということを聞きましたが、これはどうなるでしょうか。
○原田政府委員 クリスマス電球はわがほうの輸入関税は無税と記憶いたしております。したがいまして、特恵をやるやらないという問題は起こらないわけであります。またアメリカにおきましては、おそらく特恵の対象になる可能性があるかと存じますが、その場合にかなりの影響は受ける可能性はあるかと思います。しかし、日本もかなり最近いろいろくふうをこらしておられるような面もありますし、またこういう商品こそ、発展途上国にとりますと、まず特恵の対象にしてもらいたいという品目でもあるようでございますので、これからアメリカがどうするかというようなことをよく見守って対処してまいりたいと存じます。
○米原委員 そうしますと、クリスマス電球は無税ということはわかりますが、一般的に小型電球ですね、ペッパーというのですか、そういうものはどうなりますか。
○原田政府委員 電球は、私、直接所管をいたしておりませんので、たいへん失礼をいたしましたが、無税であると申し上げましたのは間違いでございまして、無税の特恵を供与する仕組みになっておるということでございます。現在の日本の関税率は一〇・五%であります。米国は二〇%であります。ペッパーランプセットという項目に入っております。現在アメリカ市場におきましての競合状況でございますが、昭和四十四年、日本からの輸出額三十八億円、これに対しまして発展途上国からの輸出は、韓国、台湾、香港を合計いたしまして三十五億円という状態になっております。
○米原委員 いまおっしゃったのは小型電球のほうですね。クリスマス電球のほうはちょっと違うわけですから。おそらく発展途上国からいっているのは小型電球だと思うのです。
○原田政府委員 いま申し上げましたのはペッパーランプセットのほうであります。クリスマス電球の日本の関税率七・五%、米国一〇%でございまして、アメリカ市場における競合状況は、日本からの輸出は、昭和四十四年約二十八億円、発展途上国からの輸出は、韓国、台湾合わせましても、先生御指摘のとおりまだネグリジブルでございます。
○米原委員 まだケミカルシューズとはちょっと違いますが、ここでも同じような問題があるわけですね。クリスマス電球のほうは独特の伝統的な技術があるもんだから、簡単にただ機械化、近代化だけではまねのできないほどの独特のものがあるようです。ただ小型電球ということになりますと、たとえば理研真空という会社ですね。これはオートメーション的な機械を入れたりしてクリスマス電球で勝負しようとしたのですが、これは小さい零細業者にかなわないですね。そこで小型電球のほうをつくっている。電球会社というのは、一人か二人使っているような非常に小さな業者が品川あたりでは一ぱいいるのですよ。ですから電球業界では、理研真空というのは中堅会社というところでしょうか。台湾の高雄にやはり進出して、いま言われるペッパーをつくっているわけですね。そしてこれが相当のしてきているわけです。台湾の高雄の場合フリーゾーンになっているわけでしょう。そういう形で進出してきている。また南産業というのが韓国の蔚山に合弁の会社をつくって、やはりペッパーをつくっております。それから秋田に小型の電球の団地がつくられ、ここに東京からもずいぶん業者が移っていったわけですが、天城というのが最近台湾進出を計画しております。実際にはやはり同じような問題が今後起こってくる可能性がある。ケミカルシューズは韓国、台湾、香港などに進出して、非常に安い労働力を使って日本に入れてくるということで、日本の業者のほうが壊滅的な打撃を受けるのじゃないか。特恵供与ということになったらたいへんじゃないかと思うのです。いまでも相当圧迫されております。 〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕 ただクリスマス電球の場合だけとってみますと、非常に技術的なものが古くからあるので、その特色があるために、単に近代的な設備をつくって大量生産すればできるのだというわけにいかないのですね。理研真空が実際にやってみるとオートメーションを使うと非常に不良化率が多い。一八%、一九%の不良化率が出る。家内工業で手でやっているほうが不良化率は非常に少ないということがあるために、機械を入れるだけじゃ、あるいは近代化するだけじゃ太刀打ちできないような強みを持っているわけですね。つまり、中小企業育成というときに、単に上から金をつぎ込んだり、いわゆる近代化をやるというだけじゃいけないんじゃないか。地場産業の特色がありますね。そういうものを保護して伸ばしていく。もちろん近代化も共同化も必要だと思うのですが、そういう形のやつでないとならない。たとえばヨーロッパの例を見ましても、中小企業が長い間いろんな経済の変動にも耐えて生き残ってきているのを見ると、みなそういう特色を持っている。地場産業に基礎を置いた伝統的な技術を持っている。そういう業種だと思うのですよ。そういうことが出ております。そうしますと、特恵供与によってそういう特色のあるものまでつぶされるという危険が今度の場合起こってくるのじゃないか。これは単に業種転換なんということだけで片づけられる問題じゃなくて、日本の産業全体の、ある意味では古くからの基盤になってきたものですね。そういうものをつぶしてしまうことになるのじゃないかという点を、特にこのクリスマス電球の場合に感ずるわけです。そういう点についてどういうふうにされるつもりか。いまのお話では、やはり特恵供与ということも起こってくるのじゃないか。最初の答弁ではそうでないようでしたけれども、そういうことになっていくのじゃないか。いまのところは、アメリカ自身が特恵供与をクリスマス電球についてはやらないというような方針をとっているそうですが、そういう点はどうなんでしょうか。こういう地場産業を保護するためにどういうふうに考えられているかを聞きたい。
○原田政府委員 米国は繊維とくつを例外にするように見受けられますが、それ以外のものを例外にするという話はあまり聞いておりませんので、おそらくアメリカは、この電球は特恵を供与するほうの中に入れるのではないかと思います。確かに先生御指摘のとおり、クリスマス電球は輸出比率が非常に高く、その中でも対米の輸出依存度は高く、しかも輸出のシェアが停滞現象にありますので、特恵というものが実施されました場合には、かなり影響を受けるおそれのある業種になろうかと思います。 対策につきましては私の所管ではございませんが、聞いておりますところ、やはりできるだけ高度化その他の前向きの施策をもって対応することが先決であろうかと思いますけれども、それにもある程度の限度というものが生じてまいりまして、今回御審議を願っております中小企業の特恵対策というこの法律案で考えられておりますような、対策の対象として考えられるような業種になるのではないかというふうに考えます。
○米原委員 その点についてはアメリカ自身が、クリスマス電球については特恵を供与しないということを発展途上国に対して言っているということですが、これは業界の人から私は聞いたのです。その点どうなんでしょうか。
○原田政府委員 私どものところに入っております情報では、そういう情報はまだ伺っておりませんので、いまのままいきますと、やはり入る可能性のほうが強いのではないかというふうに考えております。
○米原委員 そうだとすると、いまのところは、まだ日本のほうが独得のものを持っているために、若干台湾や韓国と比べると労働力は高くても、採算が成り立って競争で勝っているわけですね。しかし、いま言いました小型な電球という形では、もうすでに日本の企業が進出して、そしてペッパーの面ではむしろ日本のほうが追い越されようとしているわけです。その中で問題になっているのは、すべてそういう日本の材料がどんどんそちらに持っていかれるわけですね。たとえば、電球をつくるためのガラスとか、導入線、口金、ワイヤー、そんなものがどんどん台湾とか韓国、香港に持っていかれるわけです。逆に、いま直接の業者の間で問題になっているのは、そのためにそういう材料が日本では値上がりする。というのは、たとえば日本では二十個一組でワイヤーが二十五銭ですか。それをいま原料にしてやっているのだそうです。ところが、それが台湾のほうには一組三十五銭で売れる。だからおまえたちももっと高く買えというので、三十銭に買わされるのですね。非常に零細な業者ですから、いままで二十五銭なのが三十銭に上げられたら、もう採算が成り立たなくなるわけです。そういうような問題が現に出ているのです。そうしますと、そういう形で中堅企業が、台湾や韓国、あるいは香港にも出ていくような問題が今後起こるかもしれません。そして向こうでもうどんどんつくり出す。そうすると、技術はこっちがすぐれていても競争で勝てないぐらいの状態になっていきかねない、そういう点があります。 先ほどケミカルシューズの問題については、業界の自粛ということを言われましたが、おそらく自粛で解決つくような問題でないんじゃないか。この点に手を打たないと、結局、大きな業者、中堅業者が海外進出するが、そのために日本の独特の技術を持ったような産業が破壊されていく。こういう点について何らかの手を打たないと、単なる業界の自粛ではいけないのじゃないか。この点についての考え方を聞きたいと思う。
○楠岡政府委員 先生御指摘のように、自粛ということではやはりおのずから限度があろうか、私もさように存じておりますけれども、法律的な規制ということになりますと、たとえばケミカルシューズでございますれば、ケミカルシューズについての意匠について意匠権を持つというようなことができませんと、法律的ないわば救済というのは困難かと思います。ただ実際問題といたしまして、意匠権を申請いたしましても、あるいはそれが類似のものであったりするケースもございましょうけれども、それよりも意匠権が確立するまでに期間がかかるという問題がございます。一方、輸出品デザイン法という法律がございまして、輸出品のデザインを登録いたしまして、その登録したデザインを使います場合は本人の承諾が要る、あるいは本人の承諾なしにはその登録しましたデザインを持つ商品を輸出してはならないという制度もございますけれども、これは、ただいま先生がおっしゃったような、香港へそのサンプルを出しまして、香港から現地に輸出します場合、非常に押えることはむずかしゅうございます。 それからもう一つ問題になりますのは、そういうようなケースでは、たとえばアメリカならアメリカという市場におきまして、いわゆるコピーライトを持つというようなことでございませんと、ほんとうは万全の規制というのはできないわけでございます。したがいまして、法律的にはいろいろ問題がございまして、非常にむずかしゅうございますが、こういう問題は雑貨全般の問題でもございますので、なお今後とも十分検討を続けさしていただきたい、かように存じます。
○米原委員 もう時間がないそうですから、中小企業庁長官に、最終的にひとついまの問題について意見を聞かしてもらいたいのです。つまり、特恵供与によって、相当伝統的な技術とか特色のある地場産業が、へたをすると壊滅状態になるというような問題があります。この問題は、中小企業対策の中でも、そういうものが基礎にならないとほんとうの対策になってこないんじゃないかという気がするので、この問題について長官の見解を聞いて終わりにしたいと思います。
○吉光政府委員 確かにお話しのように、地場産業を形成いたしております伝統的な産業の中には、小規模零細層でやっておる業種が数多いかと思います。御指摘になりましたクリスマス電球にいたしましても、あるいはまたケミカルシューズにいたしましても、そういうふうな範疇に入る分野の業種だと思うわけでございます。したがいまして、特にいまお話しのございましたクリスマス電球につきましては、これは御指摘の中にもございましたけれども、現状の技術段階ではまだ日本品が優秀である、こういう性格のものだと思います。特にそういう地場産業で伝統的に受け継いでおります技術レベルというものは、あくまでもこれを高めるよう努力いたさなければならないわけでございますけれども、同時に、技術レベルが高いから地場産業として成立し得るという余地をも持っておったわけではないかと思うわけでございます。 そういう意味で、現実にクリスマス電球の場合におきましても、品質の高級品化というものがはかられつつありますけれども、ただ、品質の高級品化で現にいるすべての事業者がすべて対抗できるかどうかということになりますと、そこらは全体の生産の伸び、輸出の壁、そういう問題とのからみの問題でございますので、したがいまして、状況によりましては、過去の蓄積された技術をうまく使えるような、そういう業種への転換、たとえば過去の技術を生かしてクリスマス電球から電子機器用の小型ランプのほうに移っていくようなことも、一つの転換の方途であろうかと思うわけでございますけれども、そういうふうに、一方におきまして品質を向上するための努力をしなければなりませんと同時に、他方において、資本の蓄積された技術をより有効に生かせる方向に、状況によりましたら事業の転換をはからなければならない、こういう場面もあろうかと思うわけであります。ただ、せっかく蓄積された技術でございますので、この特恵の影響の緩和等につきましても、やはりできるだけの措置はとりながら、そういう方向で将来への発展をはかってまいるということで私どもも努力いたさなければならないのではないだろうかと考えるわけでございます。
○八田委員長 午後二時四十分から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。 午後一時四十四分休憩 ————◇————— 午後二時五十九分開議
○八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 中小企業特恵対策臨時措置法案について質疑を続行いたします。中村重光君。
○中村(重)委員 時間がありませんから総理に端的に見解をただしてみたいと思います。 いま私どもが審議をいたしておりますのは中小企業の特恵対策に関する法律案であるわけでありますが、いろいろ質疑をかわし議論をしてまいりました。特恵対策の中で、いま特恵供与という形で議論をされて一番問題となっておりますものは、香港に対する特恵供与、それから中国に対しましては——中国だけではありませんが、国連貿易会議に加盟をしていない国々があることは御承知のとおりでありますが、そうした国々に対して特恵供与の道は一応法的に認められることになったわけでありますけれども、その扱いをどうするかということが、これからの問題となるわけであります。 香港に対する特恵供与に対しましては、属領であるということ、非常に競争力が強いということ、香港に特恵を与えることは日本の中小企業に及ぼす影響が非常に大きいということ、したがって、この取り扱いというものはどうするのか、これがこの後に残された問題でありますけれども、総理が国連総会に御出席になられました際に、英国のヒース首相とお会いになりまして、香港に対する特恵をひとつ認めてもらいたいということで、総理がお約束になったのかどうかわかりませんが、まあ、それから香港に対する特恵問題というものが、認めない方向から認める方向へと急速に大きく変わったということがいわれているわけであります。通産あるいは大蔵両省におきましても、無条件にこれを認めていこうという考え方ではないようでありますけれども、やはり認める方向であることは間違いないようであります。したがいまして、この香港に対する特恵供与に対しては、総理はどのようにお考えになるのかという点が一点であります。 それから、中国その他の国々でございますが、先ほど申し上げましたように、法的には一応この道は開かれましたが、ただ特恵供与を希望する国ということになっておりまして、その希望の形式的なものをどうするのかという点があるわけです。やはりメンツの問題もあるわけでありますから、そういった形式にこだわることなく、弾力的に法を運用していって、特恵を供与していくという方向、そのことが望ましいのではないかと私は思います。総理は、それらの点に対してどのようにお考えになるのか、まず伺ってみたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 中村君にお答えいたしますが、香港の特恵関税、この問題は、いまのように、私が向こうへ出かけた際に、向こうから特別に考慮してくださいと、こういうお話がヒースさんからありました。これは事実であります。しかし私が、いま特恵を差し上げるとか上げないとかいう問題でもないので、これは具体的な問題としてこれから十分よく検討していただきたい、かように思っております。 私は、申し上げるまでもなく、いま言われた御意見の中にありましたような、特恵を受けたいという、そういうことは、自分で選択するという気持ちがないと、こちらから特恵を差し上げますと、こう言うものでは実はないようですし、まず希望したという、そういう表明が英国の首相からあった。香港自身は、私が申し上げるまでもなく英国領だ。かように考えますと、それは宗主国がやればいいことで、われわれには関係のないことのようですが、特殊な税制を持っておるとか、あるいは貿易を行なっている。まあ、ある程度独自性がある。そういう関係で、われわれも特に密接な関係を持っておる。そういうところから、いまのような話はそのまま希望として受け取っていいことじゃないか。しからば、その場合にどういうような特恵供与ができるか、具体的な問題についてはいろいろ考えなければならぬ、かように私は思います。 それからもう一つの中国の場合、これは中国大陸をさしておられるのだと思います。もちろん、ただいまのような自由選択、自主選択の範囲の問題だ、こう言ってしまえば実も味もなくなる。ただいま言われるように、おそらくそれぞれの国もプライドがありますから、何か特別、発展途上国だという意味から特に希望しないというようなことになると、ややむずかしいことになります。いま中国大陸の場合は、国連加盟というよりも、地域として私どもが特に考えてしかるべきものじゃないだろうか、かように思います。しかし、中国から日本に輸入される生糸だとか絹等物、大豆だとか、こういうものは特恵関係からはずされておりますから、いま実際問題として、中国側から特恵を与えてくれろということを覆うか。まあ、言うにしてもあまりうまみがないのじゃないだろうか、私はかように考えております。 それよりもまず第一の問題、大前提になるような、特別に与えてくれろという、そういう言い方を先に——いまのたてまえがどうも実情に合わないのじゃないか、このような中村君の御指摘だろうと思います。しかし、どうも各国話し合ったところの共通の問題は、やはり一応自主選択の問題だ、かように考えられておる。これは御了承いただきたいと思います。
○中村(重)委員 まあ、たてまえは総理お答えのとおりでありましょう。しかし実際の運用の問題は、そうむずかしく考えなくたっていいじゃないか。形式はどうあらわすかということだと思います。いずれにしても、総理、ケネディラウンドの最終年度の実施が繰り上げて実施をされることになってまいりましたが、関税格差が実はあるということは好ましいことではないだろう。中国に対する特恵供与をしないということになってまいりますと——これはこちらがしないという積極的なものではありませんが、問題は、先ほど触れましたように形式の問題です。事実上、中国に対する特恵供与をしないということになってくると、また関税格差が生じてくる。これは単に、中国から物が入ってくる、特恵供与されて中国が利益を受けるか受けぬかという問題ではないと思います。やはり輸出入の関係において、日本の消費者にとり、あるいは日本の中小企業者等々にとっても、いろいろな面で影響があるだろう。したがって、この関税格差をなくしていくという方向は、総理としても基本的には反対じゃないのじゃないか。総理としてもそういう方向を指向していらっしゃるのじゃないかと思います。そういう方向で前向きに対処していく姿勢であるのかどうか。時間の関係もありますから、端的にお答えをいただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 前向きにとおっしゃるが、私は前向きに取り組もうということを申しております。しかし、なかなかたてまえ上、前向きだけでも進まないようなものがあるようでございます。これは私のほうがというよりも、むしろ相手方にそういうものが多いのではないだろうか、かように思います。
○中村(重)委員 貿易問題を中心にいたしまして、中国問題について若干お尋ねをしたいと思いますが、日中関係の正常化は、言うまでもなく一日も早く国交を回復することであろうと思います。しかしながら当面は、いつも議論されます吉田書簡を廃棄する、したがって、貿易の障害となり日中友好の大きな壁となっておるこれを取りはずすということが、私は一番大切じゃなかろうかというように思うわけです。この点に対する政府の、最近の参議院あるいは衆議院の各委員会における答弁等々は、若干変化したようにも感じますけれども、何といっても、総理がこれをどうするかという決断をお下しにならなければ、ケース・バイ・ケースでやるとか、いつも答弁は同じようなごとが、私ともが質問しますと返ってくるのですね。実際は、この壁によって、吉田書簡の重みによって動きがとれないというのが実態でありますから、この際いかがです総理、もう吉田書簡なんというものにはこだわらない、これに拘束されない、こういう態度にここで踏み切られる御意思はありませんか。
○佐藤内閣総理大臣 まあ、吉田書簡というものは、これは私信ですから、そういつまでもこだわる必要はない、かように私は思います。だが、これが取り消しだとか、あるいは撤回だとか、そういうような問題でないことは御了承がいくだろうと思います。 吉田書簡でいつも問題になりますのが、輸銀の資金の使い方だ。これはケース・バイ・ケースという、これも一貫して政府は申し上げておる。きょうもまた同じことを言うとおしかりを受けるかもしれませんが、これはケース・バイ・ケースできめる以外にはございません。
○中村(重)委員 総理、いまのようなお答えでは、総理に私が質問しても意味がないわけです。いつも私たちの質問に対する答弁はそうなんです。ケース・バイ・ケースでおやりになるんだったら、実際そのことを徹底させなければだめじゃないでしょうか。少なくともこうした公の場でお答えになる以上は、そうされる必要があるだろう。 それから、総理は、これは私信だから、これを撤回するとか廃棄するとか、そういうものじゃないんだ——しかし、事実上吉田書簡に拘束されていることは間違いないですね。そして延べ払い輸出に対する輸銀使用をとめたことは間違いないですね。それがいま政策になっているわけだから、したがって、この政策を改めるという態度をおとりにならなければいけない。ケース・バイ・ケースでおやりになるというのなら、具体的にそのことを徹底させる、そしてその意思を表明するということでなければならぬと私は思う。その点いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 一番確かなところ、一番権威のある場所ではっきり言っているのですし、また新聞でも必ず報道されると思いますし、また新聞を待つまでもなく、この国会の審議の場は国民には直接訴えておるだろう、かように私思いますが、その場で、ただいまも申しますように、ケース・バイ・ケースできめるんだ、こういうことを申しておるのですから、これはもうあらためて特に声明する必要はないように思っております。
○中村(重)委員 それでは、総理が、吉田書簡に拘束されるということを、いままで何回か表明してこられたわけです。それを修正をする、拘束されない、その意思表明と受け取ってよろしゅうございますか。
○佐藤内閣総理大臣 私はいま、輸銀を全然使わないということではございません。御承知のとおり、もうすでに使っているものもございます。ただ、長期にわたる輸銀使用というものについてはいろいろ問題がある。これはもう吉田書簡もそういうことを指摘しているし、またこれからも、ケース・バイ・ケースでそういう問題といかに取り組むか、こういうことになろうと思います。その辺のところは、私、別にいままでと方針が変わった、また変えた、こういうものでもない、かように御理解いただきます。
○中村(重)委員 吉田書簡に拘束されるから、御承知のとおり、すでにプラント類の長期の延べ払い輸出をやろうということですでに申請が出て、それを許可しようとする寸前にストップさせたでしょう。それが今日に及んでいる。ケース・バイ・ケースでやりますという答弁はしているけれども、答弁だけであって、そのことが輸銀にも徹底させない。業界にも徹底させない。答弁だけして、実際それを押えておるというのが現実ではありませんか。それを改められなければ、これは最高の機関において答弁をしたんだから、これにますものはないんじゃないか、そんなことは愚問愚答です。私は愚間をしているんじゃないんだけれども、総理、少なくともあなたは権威ある総理大臣です。もう少しそういった愚答を繰り返すのではなくて、はっきり長期延べ払い輸出に対するところの輸銀使用も認めていく。その申請をしたものを、全部が全部認めるわけにはいかない。金融ベースですから。それはしかし、少なくとも政策の転換をするということでなければならぬと私は思う。いわゆる全面ストップをしてきた。その点いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 いま通産大臣も、押えたようなケースは最近ございません、こういってはっきり申しております。だから、別に愚答しているわけじゃないんで、賢答——実際を答えておる、かように御了承いただきます。
○中村(重)委員 私どもは、輸銀の総裁を呼んで委員会において質問をして、あなたは輸銀の総裁なんだから、したがってあなたが、金融ベースでこれを認めて差しつかえないというものは、認めるべきじゃないか。ところが、それに対して輸銀の総裁は、どう答えていると思いますか。私はその権限はあるけれども、その上に輸銀を使用する、使用してはいけないという国の政策が優先をするのだ、そのことに私どもが拘束されるということは当然ですと答弁しています。だから、その政策の転換をおやりになって、自由に輸銀の総裁が、いわゆるケース・バイ・ケースで、金融べースに乗るならばこれを融資をしていくという道を開くという態度を明らかにされなければならぬと私は思うのです。その点いかがですか。あなたはいままで吉田書簡に拘束されてきた。議事録にはっきり拘束されると答弁しておる。だからこの際、この答弁を修正をするということでなければならぬと私は思う。その点おやりになりますか。
○佐藤内閣総理大臣 いま私が申し上げていることが、在来の主張と変わっておれば、その点は変わったようにお認めになってしかるべきだと思います。私はしかし、別に変わったと思っておりません。だからその点は、いまここで申し上げた、具体的な処置はするんだ、具体的な問題が出てきたときにこれは処置する、かように御了承いただきます。 また、輸銀の総裁が云々というお話がございますが、私は聞いておりませんから、輸銀の総裁がそういうことを言っておるかどうか、特にこちらから確かめてみる必要もないかと思いますが、そもそも政策的な問題だというような筋のものでもないだろう、かように思います。ただ、金融という問題、金融ベースだけでものごとは処置はされないだろうと思いますから、そこには、やはり選択の自由の範囲、それは広いものがあるだろうと思います。ただ金融のベースだけでやれるというものでもないだろう。これはいま言うように、場合によってはもっと大きなもので判断する、こういうものがあるんじゃないでしょうか。だからちょっと総裁の話が私には理解しかねる、さように御了承願います。
○中村(重)委員 どうもこの問題、こんなに長く時間をとるとは私思わなかったんです。おっしゃるように、金融ベースだけにとらわれないで、しかし高度な面で輸銀を認めていくことだってあるだろうと私は思います。そのことは、総理のおっしゃることを理解をいたします。ただ、何と言われようとも、輸銀を使用させないというような政策をおとりになってきたことは間違いないのでありますから、いまの総理の御答弁で、いままでそういう方向であったけれども、これからは、事実上そうした申し出が業界からあるという場合、これはそれを十分審査をして認めるべきものは認めていく、また認めるという方向でこれからは進めていくという態度であると理解をしてよろしゅうございますね。
○佐藤内閣総理大臣 先ほどから答えたとおりであります。
○中村(重)委員 それじゃ日中問題について、いろいろ最近の動きというようなものを通じて二、三お尋ねをしたいわけでありますけれども、時間の関係がありましてお尋ねできないわけですが、いまの輸銀の問題は、カーンズ米輸出入銀行の総裁も香港で、いままで輸銀使用をとめておったけれども近く数カ月のうちにこれを撤廃する、という方針を明らかにしているということも、私は参考になるのではないかというように思います。それから、最近、中国問題に対する日米首脳と申しましょうか、総理の意向はわからないけれども、愛知外務大臣が参議院の外務委員会で、中国の国連代表権問題については重要事項指定方式の再検討、一つの方式にこだわらないというような答弁をしておるようであります。それから、いま訪米している法眼外務審議官、これはアメリカとの間に中国問題で接触をしておるということを明らかにしておるようであります。またアメリカも、中国問題についていま鋭意検討しておるということを、これまたそういう形で述べておるようであります。けさの新聞でございましたか、昨日でしたか、七二年の民主党の大統領候補に出馬を表明しているマクガバン上院議員が中国承認の決議を上院に提出したという。大きく動いてきておる、私はこう思います。 したがいまして、私はやはり、大きな歴史の流れ、大きな現実というものを踏まえて、中国問題について対処していくということでなければならないのではないかというように思いますが、総理は二十五年間、中華民国、蒋政権を唯一の中国の政府として認めてこられた、そうした歴史の重みというものは、私は事実上あるだろうと思います。しかしながら、七億五千万の人口を持っておるところの中国、そして中国大陸を支配しておるところの中国。アルバニア決議案にあらわれたような、そうした現実というものの重みも、私は見すごしてはならないと思います。したがいまして、最近のそうした一連の動きというようなものが、総理の意図に反するものではないのではないかと私は思うのでございますが、総理はこの後、中国問題についてどのように対処していこうとお考えになっていらっしゃるのか、伺ってみたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 別にことばじりをとるわけではございませんが、私が別に意図しているものはございません。私の意図に反して世の中が動いているのじゃないかと言われましたが、これはことばじりをとるわけじゃないが、私はやはり現実を見ていくことが大事だろう。どうも原則論もさることながら、現実の問題としていかに処していくかということが一番大事なことじゃないか、こういうことを実は申しておる一人でございます。 いまお話にもありましたように、中国大陸、これは小さいといえども中華民国に一指も染めてはいない。また、中華民国自身が中華人民共和国に手を伸ばしている、そんなことは一切ない。こういうことを考えますと、とにかく政権が二つあることだけははっきりしておる。しかも、その政権が二つとも、中国の正統政府であるということを言っておるところに問題が実はあるのだ、かように私ども思っております。日本からどうこうしようというような考え方はない。だから、北京、台北、この両者でお話しになったらいかがでしょうかというのが一番率直な意見であります。しかし、なかなか問題は、両者で話をするだけでも片づかないかもわかりません。私ども一番問題にしておるのは、お互いに武力を使うようなことがあったらたいへんだ、かように思っておりますから、それだけはないように、かように願っておる、これがいまのほんとうの心境であります。 ところで、私ども中国に対してどういうようなことを言っているか。中華民国に対してはもう講和条約がございますから、そういう意味で日本の主張もはっきりしているし、また、このほうの受けとめ方も、私どもはこれははっきりしているから別に触れることはない、かように思います。いま問題になるのは、北京政府の問題だ、中華人民共和国の問題だ、かように思っておりますが、しかしこれはどうもその二つの日本と北京と、政権のあり方が二つとも違いますから、お互いに違いは違いなりに認めて、そうしてお互いに干渉しないで尊重し合っていく、そうして仲よくしようじゃないかというのが私どもの主張であります。これが実際の問題として、今日展開されているような民間貿易もだんだん拡張するし、また人的交流も盛んに行なわれる。とにかく、政府としては承認しない、まだしてない国でも、こうしていま卓球選手団が来ている。こういうようなことを考えると、だんだん深まっていくのじゃないだろうか。この問題は、一つの中国、そういうものを外からきめてかかるわけにはまいりませんけれども、おそらく歴史の流れでそれはきまっていくだろう、かように私は思います。だから、ただいま願うところのものは、とにかく隣国で武力抗争がないこと、とにかく話し合いでものごとが片づいていくこと、対話の世界になっていくこと、こういうように私は考えておるのであります。 先ほど話がありましたが、外務大臣が国連の場でいろいろなことを考えておるとおっしゃる。これはまだ私は、国連の場においてことしどういうような処置をとるか、ただいま日本政府としては目下検討中の問題であって、結論がまだ出ておる問題ではございません。したがって、おそらく担当する外務大臣としては、いろいろな意見を持っておるに違いございません。また、それがいろいろ緊張を緩和するという方向に働けばいいけれども、いまの動き方自身で非常な刺激を与えるというようなことがあれば、これはもちろんわれわれは注意して、そういう事態が起こらないように処置していかなければならない問題だと思います。 先ほど法眼君のお話に触れられましたが、法眼君が帰ったばかりですから、まだその報告を私は聴取しておりませんが、近く聞くことになっております。法眼君から十分最近の模様も聞いてみたい、かように思っております。アメリカの動きも、御指摘になったように、いろいろ流動的であること、これも私、全然目をつぶっておるわけではございません。しかし私は、どうもアメリカ自身は、いままでの米華条約というものを持っていて、そう簡単に中華民国との間の関係を断つというようなことはできないだろう、こうも考えますし、また国連憲章自身で中華民国がちゃんと指名されているというか、安保理事会の常任理事国になっておる。そういうようなことを考えると、いま言われる問題が一番むずかしい問題である。その際に私どもが取り組んでいく姿勢が、これはむずかしいからといって避けては通れない。どうしてもこれは、おそかれ早かれ取り組まざるを得ない問題なんだ、そこに問題があるのだ、かように思っておりますから、もう少しじっくりあらゆる材料を集めて、そして隣国に問題を起こさないように私ども協力することが大事なことじゃないか、かように私は思っております。 どうも要領を得ない話で申しわけないのですが、ただいまの段階は、まだきまらないというのが実際の事実の問題でありますから、さように御了承いただきたいと思います。
○中村(重)委員 これでやめますが、先ほど私は、そうした一連の動きは総理の意図に反する動きではないのではないかというように申し上げたので、意図に反して動いている、こういう意味ではなかったわけです。 私は最後に、特恵供与をやることにおいて中小企業に非常な影響があるというので、いろいろ金融、税制上の措置が講じられつつあるわけです。しかし、いかにいろんな施策を講じようとしましても、大きな壁がある。これは何といっても金融機関の歩積み両建てだと思うのです。いま大蔵省も年に二回くらい、書類調査であるとか、ときたま現場調査をやっているのですが、ところがこれは一つの標準みたいなものを示しておる。これは一〇%とか一二%ということを言っておるわけです、集約しているのは。ところが現実には、定期性の預金というものが三〇%、流動性二〇%、合わせて五〇%程度は依然として拘束性なんです。しかも拘束性のものには、金利措置でもって、六%程度の安い金利で実はその金を貸すことができるのです。それを担保にしますから。ところが裏拘束ですから、裏拘束にはこれを担保にすることができないのですよ。もう中小企業者は、この歩積み両建ての問題が出て自粛を促したという形において、むしろそのために非常に苦しんでおる。いい方向に進まなければならぬのとは逆に進んできておる。悲しい涙を流しておる。ところが、預金はどんどんとった、しかも預金を担保にして金利は信用貸しの金利をとるのだから、笑いがとまらないで、金融機関、銀行はうれし涙なんです。こういうことではどうにもならない。それと同時に、政府関係金融機関の代理貸しをしているのです。代理貸しについては、危険負担は金融機関、銀行がやりますから、水増し申し込みをさせるのです。一千万のときは二千万というように水増しをさせて、その水増し分だけは即時両建てをさせる、そういうでたらめなことが今日まかり通っております。総理、ひとつこれは徹底的に調査をさせて、こういった不当なことがまかり通らないようにしてもらわなければならぬと私は思う。総理のき然たる態度をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 歩積み両建て、これはもうずいぶん長い問題であり、さようなことが金融機関で行なわれていてはいかぬということで、非常に厳重に取り締まり、最近はそういう問題はよほど影をひそめたかと実は思っていたのです。ところが今度はまた同じような質問が出ておる。これはたいへんな問題だ、かように私も思っておりますから、これはひとつ厳重に取り締まり、適正な処置をとることにこの上とも努力するつもりでございます。決意だけでお答えといたします。
○八田委員長 石川次夫君。
○石川委員 時間がたいへんございませんから、要望を一つと質問を一つ申し上げます。 中小企業の問題は、いま中村委員からも取り上げられておりましたけれども、御承知のように、金融引き締めの影響は中小企業には極力与えないようにという配慮をされたと大蔵大臣などは言っておりますけれども、現実の問題としては、二年間の手形だとか、あるいは手形も出さないというような状態で、塗炭の苦しみをなめておるのが中小企業の実態であります。そこへもってきて後進国のキャッチアップ、それに加えて自由化の問題、そこへ決定的な打撃を与えるかと思われるのがこの特恵問題ではなかろうか。金融機関の貸し出し残を見ますと、五年前三八%の中小企業が四五%まで伸びておりますから、若干の考慮は払われておりますが、しかしながら、まあ総理大臣は、大企業の苦しさはよくわかっておるかもしれませんが、中小企業は、それにも倍する塗炭の苦しみを最近特になめておるという実態をよくお考えになりまして、今度の特恵によってきわめて甚大な打撃を受けるものが特に地場産業は多いということをお考えいただきまして、特定事業を政令できめる問題、あるいは特恵関税の適用を停止するセーフガードの問題、またシーリング枠の割り当ての問題などというものは、火急に適当にやらなければならぬ場合がたくさんあると思うのであります。これは、いまの中小企業近代化審議会で行なうというようなことを言われておりますけれども、いままでのような官僚的なやり方であったのではとんでもない事態を生ずるので、これは通産省に特に考えてもらう問題でありますが、そういうことから起こるところの相次ぐ倒産などのないように、是が非でも——たとえば一つの例をあげますと、韓国から逆利用輸出された製品に村山大島つむぎというのがあるのです。これがたった半値でもって韓国から日本に上陸する。これはとても対抗できないという問題もあるわけであります。こういう場合どうするんだというようなことも踏まえて、これに適時適策な対策ができるような特別の委員会などもつくる必要があるんではなかろうか、こういうふうにも思いますので、この点はひとつ通産省の意向をくみながら十分な配慮をしていただきたい。これは要望が一つであります。 それからあと一つは中国との問題で、いま中村委員のほうから申し上げましたから、多くを申し上げる必要はありませんが、輸出面でも輸入面でも、それから特恵供与の中小企業でも、及ぼす影響はたいへん大きい。しかしながら、十年後の日本の資源というものは、九〇%は海外に依存しなければならぬということを考え、また、そういった国々の生活水準を引き上げることを通じて貿易を拡大していかなければならぬというようなことがありますから、特恵については積極的に取り組まなければならぬ、こう考えるわけであります。 いまを去る十年前の一九六一年に、国連総会で、発展途上国の国民所得を毎年五%引き上げることを目標としてUNCTADという会議が開かれ、特恵というものが適用されることになったいきさつは、いまさら御説明するまでもないと思うのでありますけれども、一九六七年に先進国だけ集まっていろいろ考えた。その中の一つに、すべての開発途上国に均等な機会を与えなければならぬということが出ておるわけであります。そこで問題になりますのは、中国とその他の国の問題であります。たとえば、今度の最終決定によりまして、七月一日から施行しようと予定されるものについて言いますと、生糸、絹織物については、昨年末まではケネディラウンド第三次税率で一〇・五%、ことしの初めの税率で九%、四月の最終段階で七・五%。その間、中国ものには基本税率で一五%、これは倍であります。さらに、台湾と中国からしか入らないところの芳油というものについて見ますと、中国の一〇彩に対しまして、台湾はケネディラウンドその他で二・五%、実に四倍になるわけであります。台湾との差がそれだけつく。 それからあと一つ、ついでに申し上げておきたいのでありますけれども、時間がないのはたいへん残念でありますが、四十五年十一月九日の日刊工業新聞にはこういうことが書いてある。すなわち、韓国のほうに日本の企業が猛烈に進出をしている。おととしまでの五年間で三十五社だったのが、去年は半年間で三十五社である。これは、外資導入では元利の負担にたえかねるという国情もあったかもしれませんけれども、とにもかくにも、この原因となったのは日本、韓国、台湾三国間の協力体制をうたった日米共同声明である、それにかてて加えて、今度の特恵に対する対応策である、こういうことが新聞にはっきりと書いてあるわけであります。 そういうことを前提として考えると、このように差ができても、中国というものは、後進国あるいは発展途上国というふうなことは、おそらく自分から言い出すことはないでしょう。第二号科学衛融——日本では風まかせの実験衛星がよたよたと飛んだのでありますけれども、向こうではちゃんと誘導管制装置のついた衛星も飛んでいるんだからというようなことは理由にはならない。ここの委員会でも、答弁を聞きましたところが、中国の平均国民所得は大体百ドルじゃないか、こう言われておる。百ドルでは、とてもとても発展途上国からはみ出しておるということは言い得ないのではないか、こう私は考えざるを得ないわけであります。ところが、向こうは誇りの高い国であります。国交も回復しておりませんから、向こうから手を差し伸べて、日本に対して特恵を供与してもらいたいといってくることは絶対にあり得ない、こうわれわれは判断をする。しかも一方では、日米共同声明に基づいて、日本と韓国と台湾が生命線であるというようなことで、この経済関係を結びつけるんだということになりますと、中国敵視政策の一環をなしておるんだという口実をいたずらに与えるだけではないか、こういう懸念を私は持たざるを得ないのです。 たとえば、この中で、水酸化バリウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウムというようなものは、中国産は関税率が二〇%で、その他は無税になります。えらい違いである。たいへんな違いがある。しかし、その他のほうは、こういうものは産物として輸出できないのです。中国だけにしかない。したがって、こういうものはいわばセーフガードの性質のものですよという了解もつけることはできるんではなかろうか。先ほど申し上げたような、生糸とか絹織物、それから緑茶、芳油、こういったものは、台湾、韓国と差をつける理由は何もないのではなかろうか。向こうが自発的に言わないからだめなんだということだけでは、やはり依然として佐藤内閣は敵視政策をやめてないんだというような口実を与えるだけだろうと思うのです。 私は端的に申し上げるのでありますけれども、私的なミッションでも出して向こうの意向を打診するとか、何らかの方法で中国敵視政策ととられないような、そういう向こうの了解点というか、向こうの意思表示を何とか受け取る、こういう努力をまずすべきではないか。そうして特恵関税というものは、向こうから言ってこなければやらないんだということではなくて、平等に特恵関税を与え得るという見通しが立った上でこれは同時に施行する。それまでは、韓国と台湾とだけ協力をするんだ、軍事体制、経済体制というもので緊密な関係を結ぶんだというような誤解を与えないようにするためには、是が非でもそういう方法をとるべきではないか。逆に言うと、中国の了解が取りつけられない限りは、台湾と韓国は特に深い関係があるわけでありますから、そこにだけ特恵関税を与えるということはやるべきでない、こういう考え方を持たざるを得ないのでありますけれども、その辺の御意見を伺いたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 いま長々とお話を聞きまして、実はどの点か、私は真意をつかみかねておるところがあるのです。そこで、私なりに理解したところで申しますと、結論は別として、いま問題になりますのは、発展途上国あるいは先進工業国、これはどういうような区別があるのか。それは、いまのように、GNPがどうだとか、あるいは国民所得がどうだとか、こういうような問題はございますが、どうもきめかねる。みんなが集まって知恵を出してみても、ここで筋が引けるというものではない。その結果が先ほどのような特別な扱い方を受ける。自主的にですよ。自分で判断するのだ、こういうふうな自主選択ということになった、かように話し合いの経過は聞いております。私は、そういうことで、これはやはり、それぞれの国にそれぞれの都合もありましょうが、そこらのところはやはり常識的な結論に従うべきではないだろうか、かように思います。 また、いまお話がありましたが、韓国と台湾に対しては特別に特恵を与えているが、中国大陸にも同じように与えろ、また中国大陸に与えることがきまらない前に韓国と台湾に与えるということには絶対反対だ、こういうお話ですけれども、私はそれもいかがかと思います。大体、国際会議で落ちつくところがおよそあるのですね。そうしてまた、この問題が起こりましたその原因は、私が申し上げるまでもなく、御承知のように、均衡のとれた国際経済、そういう発展を遂げるためには、先進国、いわゆる援助を与え得る国が、この援助を望む、援助を受ける、そういう態度で望む国に対して援助すべきだ。これは国民所得の一%まで、GNPの一%まで援助すべきだ、こういうことがきまったいきさつもありますね。私はいま国際経済ということを申しましたが、各国とも同じように均衡のとれた経済発展をするということが望ましいことではないか。かように考えますと、いま冒頭に言われたことについては、私も同感の点が多々ありますが、いま質問の点としてお触れになった点は、ただいまのような点でどうも理解しかねる。ちょっと違いますが、私はしかし、先ほど中村君にも申し上げたように、特別に敵視政策はとらないのです。また、そういう意味で特別に出かけていって、そうして実情を把握してくるとか、そういうようなことについても、便宜をはからしてもらえばたいへんけっこうなことで、両国間はまた改善を見るのだろう、かように私は思います。 いま、どうも一方的な話になりましてまことに恐縮ですが、お話しになりました点はいまのようなことではないだろうか、かように思ってお答えしたようなわけです。
○石川委員 時間がありませんからやめざるを得ませんけれども、発展途上国の定義はいろいろあることはわかっている。日本の国の中でも発展途上的な要素があるのですから。しかし何といっても基本になるのは国民所得だと思うのです。それを百ドルというふうにここで答弁をいただいている以上は、やはり発展途上国と考えることのほうが常識である。しかし、向こうから言い出さないという実態にあることも明らかであるし、UNCTADに加盟もいたしておりません。ガットに加盟もいたしておりませんけれども、しかし、向こうにいたずらな刺激を与えるようなことは、前向きに中国と取り組むという佐藤さんの言い分からいうと、今度の場合、逆行するのではないかということを非常に私は心配をする。現実の問題として、公的なミッションでなくていいと思うのです。私的なミッションでいいと思うのです。向こうの意向も十分にくんでやる。そして不公平のないように、向こうにも特恵を供与する気持ちがあるのだということだけは、十分に伝えてほしいということを強く要望しておきます。
○八田委員長 岡本富夫君。
○岡本委員 長々と言うと総理はわからぬらしいですから、時間がありませんから端的に……。 この特恵法案を審議しておりますけれども、こうした特恵供与、あるいはまた、ひもつきの経済援助というものをやめよということは、要するに南北問題の解決ということであろうと思います。そこで、先ほども総理が、一九七五年にはGNP一%までの援助をするのだということをお話しになりましたが、これはすでに昨年の五月にパリでそういうように約束していらっしゃると思うのですけれども、この根拠。 それからもう一つは、過去五年間の経済成長、これは名目一七%と他国では見られないくらい成長しているわけでありますが、一九七〇年から七五年までの経済成長を一五%弱というように押えましても、この経済成長よりも上回るところの二一%ぐらいの援助をしなければ、わが国が約束したところの一%の援助ができない、こういうことでありますので、そうした年次計画というものを立てておるのかどうか。 もう一つは、民間ベースと政府ベースがありますが、その政府ベースについても見通しがどうもはっきりしてない。先般、当委員会におきまして、私は政府委員に対してこの問題を質問しましたけれども、確信しますとか、あるいはまた、そういうように努力しますというようなことであって、もしも間違いますと国際信用が非常にマイナスになる、こういうことでありますので、総理の具体的な答弁をいただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 GNPの一%を発展途上国に対して援助を与えるというその基礎は一体何か、こういうお尋ねが第一問だと思います。これは先ほどちょっと触れましたように、できるだけ各国とも経済を成長させていく。その場合に、その成長率を六%あるいは六・五%程度のところを目標にした場合、先進工業国がどういうような援助をすればそういう経済成長が達せられるか、こういうことが一応考えられて、まず先進工業国は一%を援助に回す、そうすれば各国とも経済成長は期待ができるのだ、それが国際経済を大ならしめるし、また貧困を駆逐することもできる、こういうようなねらいであったと思います。 ところで、それでは一体その一%というものを実現するだけの可能性ありや。経済成長よりも上回ってその一%の援助をやるためには、わが国の場合だと援助率が二一%にならざるを得ないじゃないか、こういう御指摘だと思います。これがはたしてできるかどうかという、そこに問題があると思う。 一九七五年、大体、わが国のGNPから見まして、大まかに申して四千億ドル近いGNPになるだろう。そういたしますと、一%で四十億ドルの援助だ、こういうことになるわけで、これはたいへんな金だと思います。しかし、日本の場合に四十億ドル——これは正確に申せば、一応試算したところは三十九億幾らというようなところだと思いますが、その四十億ドルに近いものを援助する、はたしてそれができるか。これはたいへんなことだと思っておりますが、しかし、いまの経済成長が計画どおりにいくならば、その程度は可能じゃないだろうか。これは、その四十億ドルの中で、民間の援助の金額と政府みずからの計画というものと二通りございます。DACその他OECD等でいわれておりますものは、政府の援助をそのうちで大体七〇%。だから、一%といえば〇・七%は政府直接の援助だ、こう考えてくれろといわれるのですが、そのほうはなかなか困難なように思います。いまの実情から申せば、政府援助はとてもそこまでいきそうにはない、こういうことでございます。 そこで、年度計画でもしたらどうか、こういう岡本君の御提案でありますが、これは年度計画をするということはたいへんむずかしいことであります。ことに海外援助、対外援助、そういうものが計画の上に乗って、そうして相手方に、これは話し合いでなしに義務づけられたような形になってきますと、よほどむずかしいことじゃないか、かように思います。 しかし、われわれも約束した以上、これはやはり実現するような努力はしなければならない。どういうような心づみで、どういうような数字を胸に描いておるかという、そういうものはやはり持たないと、何ら計画なしにというわけにいかないかと思います。しかし、その計画を外へ発表するということは、どうもプラスよりもマイナスの面のほうが大きいのじゃないだろうか、かように思いますし、また、そのとおりできないことも多分にあるだろう。ただいまの、政府と民間とのかみ合わせという、そういう点にもむずかしさがあります。だからそこらは、御指摘になった点は、政府が一%の援助を実施するその場合に、こういう点を気をつけろというようなお話があった、かように政府に対するアドバイスとして聞いておきますが、ただいま申し上げるように、その困難性を御理解いただきたい、かように思います。
○岡本委員 この間もやはりそういうような答弁でありまして、政府ベースで現在は〇・二六%。これが〇・七%になるということは非常な問題だと思うのです。しかし、やはりある程度の年次計画をきちっと出しておくということは、なかなか——いままでも、計画を出しましても、二年も三年もしないと援助はほんとうにしていないですから、援助国に対して非常に問題じゃないかということもわかりますけれども、そうすることによってまた、これは非常に信用がつくのではないか、こういうふうにも思われます。 そこで、一九七五年には四十億ドルということは、一兆四千億の経済援助ということになるわけです。そうしますと、それくらい大きな資金の援助をするにつきましての現在の輸銀とか協力基金——経企庁の中にもありますが、こういうところが非常に手薄ではないか、こういうように考えられるわけであります。 一例を引きますと、米国や、またEECでは、投資する前には相当事前調査をやっております。日本では、協力基金ではそういうことをしてはならないというのが最初のあれだったのですが、しかたなしにやっていますから、非常に小さな調査しかできないと思うのです。だから、こういう機構整備を拡充する必要があるのじゃないか。また日本では、大学の講座に韓国語がなかったり、あるいはまたタイ語を教えるというところもないというようなことでは、こうしたところの基本的な問題を今後非常に考えなければならぬじゃないか、こういうように思うのですが、その点についてお伺いしたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまのところ、日本の場合は、特別な機関を設けなくて、各省間で話し合って協議をして、そしてやっていくというのが、いまの日本のやり方であります。しかしだんだん金額が大きくなる。またそれも、多数の国に対して、窓口は一つだけでなく、多数国と一緒になって援助するという場合もありますから、そうすると、だんだん仕事の量は、金額がふえたというだけではなしに、仕事の質がずいぶん変わってくる。そうなってくると、やはり機構のほうも整備せざるを得ないのじゃないか、かようにも思います。しかし、できるだけ機構は簡単に、なるべく新しい役所は設けないようにしたいものだ、かように思いますが、しかしこの問題では、他の国も相当機構を整備しておるようでございますから、われわれも、仕事の、また投資の、また援助の重要性を考えますと、十分きき目のいくようにしなければならぬ、かように思います。少なくともコンサルタント・システム、そういうようなものが整備される必要がどうしてもあるだろうと思いますから、こんなことも考えながら、もう少し成り行きを見させていただきたい、かように思います。
○岡本委員 この問題はもう少し討議したいのですが、時間がありませんから……。 そこで、経済協力とのうらはらな問題でありますけれども、わが国の現在の経済にとって一番大事なのは石油資源であります。年間二億キロリットルといわれるような石油資源の中で九九・九%まで大体輸入をする、こういうことになりますと、この間のように、国際資本がかってに予告なしに、三十五セントですか、こういう値上げをしてきた。こういうことで、そこから買わなければ、しかたがないから泣き寝入りする、こういうようなことではならない。そこで私、提案でございますが、そうした石油の消費国の会議を持って、そしてOPEC、要するに生産国を入れまして話し合いをする。そこへ国際資本、メジャーを入れまして、かってに値上げしたり、あるいは、そういうことにならないような国際会議を提案をする必要があるのではないか、こういうように私は考えるわけであります。 またもう一つは、いま日本でよく調べますと、わが国では貯蔵量が二十日分しかない。ドイツへ行ってみますと百八十日分もあるのです。どんなに軍備を防衛庁でやっておりましても、日本の国をつぶすのには、たま一つ要らぬ、石油とめたらしまいだ、こういうようなこともいわれておるおりから、この貯蔵量もふやさなければならぬし、したがって、そうした国際会議を政府が提唱して、そしてこの貯蔵をたくさんやっていくというようなことが必要ではないか、こういう提案を申し上げたいのです。 それからもう一つは、先ほど、どんどん人事が交流されてくるから外国もよくわかるのではないか、こういうことでありますけれども、これも私は、五兆八千億の防衛費の中からたとえ一割でも削って、どんどん人的の交流を行なう、こうした国民外交をする。要するに、攻められたらどうしようというのでなくして、攻められる前に、攻められないようにするにはどうしたらいいかという国民外交、こういうこともやはり必要ではないか。私は、この経済協力基金も経業協力も必要でありますけれども、そのうらはらな問題でこうしたものが必要ではないか、こういうふうに提案するわけでありますが、総理の御意見をお伺いしたい。
○佐藤内閣総理大臣 私は、日本の経済の場合、これは原材料はほとんど外国に依存しておる。いま石油は九九・五%。九九・九とまで言われている。それだけではない。鉄、銅、スズ、またニッケル、こういうものもすべてが——その依存度はそれぞれ違いますけれども。いま申し上げたようなのは、八〇%以上のものです。粘結炭しかり。そういうことでございます。そういうことを考えると、この外国に依存しておる経済のあり方、これはどうしたらいいのか、かように思います。 また、その外国になってみると、自分たちのところは産油国ではあるけれども、いまにそのうち石油はなくなるのだ、適当にその石油のある間に成長し、りっぱな国にならないと、豊かな状態に取り残されるのだ、こういうような考え方にもならざるを得ないのではないだろうか、かようにも思います。OPECの連中が値段をつり上げたという。これも産油国の立場になってみると、いつまでもそういう意味で搾取されるというのも困るのだ、かように思います。 私は、双方がうまく話し合いができるような方法はないものだろうか、かように思います。中近東の東京に駐在する大使から、私のところはOPECの仲間ではありますが、あんなむちゃなことは申しません、こういう話を持ってきた大使もあります。なるほど私は、過去のつき合いから見て、そういうような理解をされているところもあるようだ、かように思いますので、ここらにもひとつ話し合う余地はあるのだろう。やはり長いつき合いをしていくという、そういうことであってほしいと思います。その基本的な態度は、おそらく各国とも、産油国でないところのものはみんないわゆる先進工業国となっておりますから、そういう国がお互いに話し合って、適当な産油国の利益も確保する、こういう方向でいこうじゃないかというような話がきっとできるだろうと思います。日本などはそういうような立場にある国だ、かように私は思っております。 ところで、いま一つの対案として、産油国、それに対抗する意味で需要国、それらの連中が組んで何か圧力でも加えるような方法はないか、ととれるような発言でありましたけれども、そういう意味じゃないだろうと思いますが、私は、共同の利益の擁護というか、そういうものがほしい、こういうことだろうと思いますが、そういうことは、おそらくいま申し上げたことで一応将来のめどはつき得るのだ。またそういう意味では、日本などもやはり先頭に立って話をする、そういうことが望ましいのだろうと思います。これは何と申しましても、アメリカ自身も、やはり石油は外国に依存せざるを得ないような状態にいまなりつつありますから、そういう意味ではたいへん話は進めやすい、かように思います。しかし、いまOPEC産油国が相手にしているのがメジャーですが、そのメジャーの連中の中で力を持つものも、アメリカ資本がこれは大きいのですから、ここらにも反省がなければならぬだろうと思います。 そこで、御指摘になりますように、国内に、石油の原油をはじめ製品についての貯油、貯蓄量、それをやはり相当持たなければならない、かように思っております。私は、石油業法をつくったその際には、相当の貯備量を持つように設備をすべきことが要求されていたと思います。しかし、とてもそんな状態ではない。あれは六十カ日分、そのくらいのものを考えていたと思いますが、いまそんなどころじゃない、二週間もないというような電力会社があちらこちらにある。だから一週間もたいたら、もうその次の船は洋上にあるので、いつ来るかわからない。こういうような状態では、ほんとうにいまのOPECとの交渉などフェアにできるはずはございません。非常にマイナスだと思います。 日本の場合は、三カ月程度のものは少なくとも持たなければいかぬ。これは欧州あたりでそういうのが計画されておる。いま言われたドイツなども、そういうような立場じゃないかと思っております。こうなってきますと、これは業界だけではなかなか持てない。やはり政府がどういうような形で関係するか、そこらはいま、通産大臣、大蔵大臣等で十分話し合ってみよう、かように検討中だ、かように聞いておりますが、こういう話で皆さん方が御心配なさる、政府もその意味では御鞭撻をいただく、かように思って、いまのお尋ねを心強く思っておる次第です。とにかく、いままでのところは、日本では石油は海上貯油とでも申しますか、タンカーに積んである。その間が貯油になるんだ。しかもそのタンカーが、日本の場合、総輸送量の六〇%程度は日本のタンカーだ、積み取りもたいへん少ない。これをもう少し積み取りの率も上げなければならない。これから石油の使用量、消費量がふえて液いりますから、そういうことを考えますと、タンカーももっと邦船を持って、日本籍の船を持つようにやはり指導していく必要があるんではないか、かように考えます。
○岡本委員 では最後に。いま質問しました中で、人的交流、すなわち国民外交を行なって、そうしてスムーズに今後行けるようにしなければならぬ、これに対するお答えがなかった。 もう一つは、最後に、いま中小企業が一番望んでおりますのは、金融問題もありますけれども、下請代金が非常におくれていることであります。ずっとおくれまして、いまでは、二百二十日あるいはまた台風手形なんていいまして、一年に一ぺんしか来ない、こういうようにずいぶんおくれております。こうした下請代金遅延防止法につきましても非常にしり抜けのような状態。これに対して総理から、ひとつ下請代金の支払いについては強力に今後監督もし指導もしていく、こういう決意をいただいて終わりたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま政府も一生懸命やりますが、やはり民間のおつき合いのほうがしばしば効果をあげることが多いように思いますので、御遠慮なしに国民外交は展開していただきたい、かようにお願いをいたします。そうして、この国民外交ということばに合うか合わないかは別といたしまして、最近は経済界から使節団のお出かけになるのが非常に多いです。政府もある程度裏書きをして、そうしてその調査団を力づけております。やはり政府の息のかかった調査団が出かけておる、これが実情でございますが、まあ、政府の息がかかろうが、かかるまいが、そういうことなしに、積極的な姿勢でただいまの諸問題と取り組むことが日本の経済の上には絶対必要だ、かように思います。 次に、下請代金の支払いが非常に延びておる、台風手形という、もうこれは申しわけのないといいますか、われわれ十分注意はしておるつもりでございます。しかし、最近の経済停滞、そういうようなことから、いまのような台風手形、あるいはさらにお産手形などにもこれがなる。これはたいへんだと思いますので、その辺は一そう大蔵省にも十分注意をして、金融関係の円滑化をはかる、こういうことで対処したい、かように思います。ことに、どうもこういう場合に、御指摘になりましたように、大企業だけはとにかく金融を何とかつけておるが、中小はいつも取り残されている、こういうような見方が強いのでありまして、きょうはまた、大手ではあるが、私自身が石炭鉱業の面から、たいへんな陳情も受けております。最近の経済停滞、なかなか深刻な様相を呈しておる、かように思いますので、これに取り組む政府の姿勢、これは十分実情に合うように、また力づけるようにいたさなければならぬ、かように思っております。
○岡本委員 終わります。
○八田委員長 川端文夫君。
○川端委員 総理に、先ほどからの質問にできるだけ重複を避けた御質問を申し上げて、お尋ねをしておきたいと思うことがあるわけです。 いま私どもがこの委員会で審議している特恵供与の問題、今年実施するということは、日本の経済が大国になったと国際的にも認められている中からは、当然の義務でもあろうと存じます。しかしながら、現下の日本経済は、いま総理も言われたように、非常な深刻な不況下にあって、毎月、倒産件数がふえている事実があらわれておるわけです。したがって、少しのデメリットが出てもいろいろな影響が深刻に出てまいる、しかもそれは中小企業に大きな影響を与えるというこの特恵の問題に対して、われわれが、経済大国というマクロの見方から考えた日本の経済政策だけで、いわゆるミクロ的な国内の中小企業のことを考えた場合に、これらの問題、政策的な転換を要求する場合においてはたして十分であるかどうか、この問題が心配で、この法案を審議しながらも、だいじょうぶでしょうかという質問を今日まで繰り返してきておるわけですが、総理はどのような見方に立ってこの問題に当たろうとされているか、御意見を聞かしていただきたいと存じます。
○佐藤内閣総理大臣 あるいは、直接にお尋ねに答えたことにならないことになるかもわかりませんが、一応、私の所感、感じを申し上げてみたいと思います。 申すまでもなく、私は日本の政治、政局を担当しておるものであります。日本の国内に非常な苦しみをもたらすようなことは避けなければならない、これは当然のことですし、また、何はさておいても先にまず国民のことを考える、こういう立場に置かれておるものでございます。しかし、この対外的な特恵供与、こういうような問題になりますと、これはやはり、ときに二枚の着物を一枚にしても助けてやりたい、それが国際的なつき合いでもあるのじゃないか。経済大国になればなるほど、やはり大国としての責務はそういうところにもあるのじゃないか、かように考えますので、国内にも、やはりしんぼうしていただきたいこともあるのでございます。いつもぬくぬくとしている、そういう状態では、国際社会においてわれわれもなかなかつき合いができないのじゃないか。そういうところに日本に対するきびしい批判も生まれてくる、かように私は思います。やはり何と申しましても、いま経済が自由陣営では第二位だ、こういう地位にまでなった。そういうときこそ、もっと謙虚にみずからも反省し、しかもまたお互いに栄えるような、そういうくふうをすべき、そのところへ来ているのだ、かように私思うのでございます。 いまお尋ねになりました点は、ただいまの非常な経済不況の状態、苦しい状態、そういうもとで国際的な問題にさらに追い打ちをかけるようなことだけはやってくれるな、こういうようなお気持ちだったと思いますが、私は、国内の問題は国内の問題として処理し、国際的な問題は国際的な観点から取り組む、これでお互いに、国内の問題も解決され、国際的にも特別な批判を受けなくて済む、こういうようなことが可能なのではないか、またぜひそうありたい、かように願っておるような次第です。
○川端委員 まあ前提があるわけでして、総理が池田前総理と総裁選挙に争われたときには、日本の経済は成長したけれども二重構造なりひずみが多い、これを直したい、直すために立候補するんだ、という決意を天下に声明されたことを私は覚えているのです。しかしこの六年間に、中小企業がそれほど二重構造を解消、脱皮できるほど報われる状態になってきていないではないか。現に、中小企業団体が集まれば、通産省の一つのワク内にある中小企業庁では弱いから、言うならば中小企業省を設置してもっとやってほしい、もっと強力な施策をほしいということを常に言っていることは何が原因かといえば、日本の経済が発展した過程の中に、常に中小企業がその犠牲になっているからではないかという裏からの叫びであると思わなければならぬと私は思うのです。 そこで今年度の予算を見ましても、国の経済全体が一八・四%の伸び率を示した一般会計を組んでおられるにかかわらず、中小企業関係の予算は一五・一%である。したがって、この法律をつくっても、裏づけになる、そのバックアップとなる予算関係ははなはだお粗末じゃないか。こういう点ではたして、いま苦悩している中小企業に救いの形、国民すべてが日本のこの経済成長の恩恵に浴し得る条件にあるのかどうかということに、どのような考えをお持ちであるか、お尋ねしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 私はここ五、六年、日本の経済の充実さ、これはすばらしいものがあったように思います。私が池田前総理と争ったときとこれは、比べものにならないような実情じゃないかと、かように思います。したがって、いまさらその当時のことをとやかく引き合いに出されても、私は答えようがないように思います。それはそれとして、ただいまお話がありましたが、予算の伸びが一五%、これはどうも中小企業の対策としては不十分じゃないか、こういうことを言われました。私は、こういうことはパーセンテージでなかなか表現しにくいことじゃないだろうか、かように思うのですが、いかがでしょうか。これはむしろ、中小企業に対する手厚い処置がとられたかとられないか、こういうことをただパーセンテージだけで金額を云々するのは、実態に触れないものじゃないだろうか、かような気持ちがするのですが、これは川端君にたいへん率直な私の感じを申して失礼ですが、どうもそうじゃなしに、いま中小企業では、どういう点をそれじゃ希望しているのか、そういうものがどういうように手当てされているか、こういう見方をしていただくことが望ましいように思います。
○川端委員 まあ討論する時間はございませんから、質問だけにとどめますけれども、しかしながら、中小企業が今日立っている立場から見れば、不況という気持ちの中に深刻に悩んでいる事実に対して、私は、やはり国がなすべき仕事は予算の裏づけをふやして十分手厚い保護をしていくべきである、こう申し上げているわけです。これが予算の上から見るならば、五百八十七億という、パーセンテージとしては低い予算しか組んでいないところから見て、常に大企業中心の経済政策を考えながら、中小企業に対してはあたたかい思いやりがないのではないか、こういうことを申し上げておるわけです。この点は討論にわたるとなんですが、大多数の中小企業は、いま非常に深刻に不況の中に耐え忍んで何とか時期を待っているときに、デメリットになるような特恵が急速にまた加わってくるとどういうことになるかもしれぬという不安を持っていることに対して、不安を解消せしめるために政府が強力な指導なり助成をしていくべきではないか、こういう立場でものを申し上げているわけです。まあ、しかし、この答弁をもらっていると次に聞きたいことを聞けなくなるので、これはまた通産大臣とあしたでもまたやり合います。 ただ、次にもう一つ、同じような形において日本の国内にいま深刻な問題が起きている。いわゆる昨年来の日米繊維交渉の中で、いろいろな政府間交渉もやってみたり、いろいろなことをやった結果が、今年二月、業界が自主規制を発表することによってこの問題に終止符を打ちたいという決意を明らかにしたことは御存じだと思うのですが、しかし、そのことの結果が、まだ日米間において十分出ておらないにかかわらず、’影響が出てきている。けさも新聞を見ておりますと、中小企業の夫が家出をして妻子四人が心中した。繊維不況の中に苦しんで一家四人が心中したということが兵庫県にあったと新聞は発表しているわけです。したがって政府は、七〇年代の産業構造の変化の中に、当然一応通り抜けなければならない産業構造の変化を求めるとするならば、やはり犠牲を最小限に食いとめて努力していくことが政治ではないかと思うのですが、特に繊維の交渉、自主規制その他から出てくる問題の対策に対して、どのような決意をお持ちであるか、お知らせ願いたいと存じます。
○佐藤内閣総理大臣 先ほどもお話をいたしましたように、私は、外国のことも考えますけれども、まず国内のことを第一に考える、国民の皆さんのしあわせを願っておるということを申しました。そのとおり、この繊維の問題についても、犠牲を最小限度にとどめるということ、これは日米繊維交渉、自主規制、そういうことだから特に考えるというのではなく、一般の問題といたしましても、先ほど来御指摘になったような、経済界不況だ、そういう意味で倒産その他が出てくる、金融措置を講じろといえば金融措置を講ずるというように、あらゆる努力をしております。また税制の問題でも、もう他の場所で議論されただろうと思いますが、中小企業税制について特別な措置をはかれ、また雇用対策の面からも特別な考慮を払え、こういうようなことで、いわゆる犠牲を最小限度にとどめる、これはあらゆる機会の場合に、そういうことを政府は真剣に取り組まなければならない問題だ、かように思っております。ましてや日米交渉というような外交上の問題、それを業界の自主規制によって解決をした。その意味で特別な犠牲も生じた、こういうようなことがあれば、もちろん、そういう方に対して救済措置、応急の措置をとること、これは当然だといわなければなりません。 ただ、いま御指摘になりました点は、ほんとうに心をゆするような気の毒な状態を御指摘になりましたが、繊維自主規制、その内容もまだ私にはわかりませんが、もちろん、まだとられておるものではないと思うし、業界自身も、どの業界にいかに割り当てようかとしていま相談の最中じゃないかと思います。だから、いまの一家心中の話は、先行きが暗いという、一般的な問題から引き起立っておる気の毒な状態ではないかと思いますが、おそらくいま業界自身も、この規制をどういうように各段階に割り当てようかと考え苦心している最中ではないか。また、これはたしか七月から実施ということになっていたんではないか、かようにも思います。ただ、いまの問題とは別に、政府自身は、一般経済界についての責任、これを回避するものではない。これだけははっきり申し上げて、特別な事件に対しましては、それに対応する措置をそれぞれ適切にとっていく、こういう態度であることを声明しておきます。
○川端委員 いまお話がありました中からもくみ取れることは、問題の対処のしかたに、いわゆるタイムリミットというものが非常に重要な場合がある。いろいろな相談をしているさなかに影響が出てきておるという事実。業界の自主規制の実施がまだ準備中であっても、具体的にその影響があらわれてきておる事実があることも十分理解して、それに対処するタイムリミットの問題も十分含んで対処していただきたいと私は思うわけです。特にこの際に、私どもは、新聞を通して、あるいは人から聞く話の中に、どうも政府の中には、一つのマクロ的なものの見方に、貿易黒字があるということに対して多少安易な考え方があるのではないか。したがって日米繊維交渉にしても、ニクソン・佐藤会談というものの中からかなり業界に影響を与えられたようにも考えられるし、もう一つは、この特恵関税に対しても、先ほども質問がありました香港の問題等に対しては、英本国、ヒース総理に対してあまり気前のいいところを出されて、国内のことをあと回しにされているのではないか、こういうことも考えざるを得ない。対策もおくれているし、あまりマクロ的に日本の経済を見て甘いことばを——総理という重責の立場から、あまり甘い態度はとってもらいたくないという考え方も持っておるわけです。これらの対処のしかたの問題は、当委員会において今後もいろいろ審議していきますけれども、総理のかたい決意をもう一ぺん聞かしていただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど来同じことを申し上げてまことに恐縮ですが、私が日本の総理大臣として国民の信頼にこたえる、最善を尽くしていく。また、そういう意味で各大臣とも、国民の福祉につながる、そういうことでいま立ち上がっておる。この程度の不況何ものぞというような立場で、ただいま取り組んでいる最中でございます。どうかひとつこの上とも御鞭撻賜わりますよう、お願いいたします。
○川端委員 終わります。
○八田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○八田委員長 この際、本案に対し米原昶君から修正案が提出されております。
○八田委員長 まず提出者から趣旨の説明を求めます。米原昶君。
○米原委員 日本共産党から提案しました中小企業特恵対策臨時措置法案に対する修正案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。 政府提出の中小企業特恵対策臨時措置法案は、発展途上国への特恵関税の供与によって重大な打撃をこうむるわが国中小企業を救済するものではなくて、転換についてだけの助成措置を講じようとするにとどまり、それを口実にして、かえって中小企業の切り捨て、整理統合及び系列化を促進する内容を持っております。 わが党は、大企業の海外進出のために中小企業を犠牲にする特恵関税の供与に強く反対してきましたが、これが実施され、中小企業の被害が甚大なものとなることが予想される事態のもとで、中小企業の発展とその従業員の生活の安定のために、緊急に必要な措置を講ずることを要求して、この修正案を提出したものであります。 修正案の第一点は、特恵対策の範囲の点であります。政府案では、特恵供与の影響による中小企業の事業の転換が主要な目的となっておりますが、これに対して修正案では、中小企業者とその従業員について、その経営と生活を守るため必要な措置を講ずべきものとしております。 修正案の第二点は、特恵の影響についての認定の点であります。政府案が、あらかじめ事業を特定しその転換をはかるのに対し、事業のいかんを問わず、特恵の影響を受ける事業について、国と地方公共団体が必要な援助を行なうものとしております。このために、中小企業近代化審議会ではなく、中小企業特恵対策審議会を設置し、それを民主的に構成するものとしております。 修正案の第三点は、国の財政金融等の援助の点であります。政府案では、転換融資、税制の特例、職業訓練、就職のあっぜんなどに限られておりますが、さらに次の対策を講ずべきものと考えます。 第一は、国が都道府県を通じて行なう中小企業近代化資金貸し付けの限度額を必要額の二分の一から五分の四に引き上げる。第二点、事業者が政府関係金融機関からの借り入れ金がある場合は、経営者及び従業員の生活安定計画が完了するまで返済を延期する。第三点は、廃止を余儀なくされた事業者と従業員には、生活安定と就職促進のため十分な手当を支給する。第四点、地方公共団体が特恵対策として地方税を減免した場合は、国が地方公共団体の減収分を補てんすること。第五点、不要となる機械設備は国が時価で買い上げるものとすることであります。 これがこの修正案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○八田委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。 この際、修正案について内閣の御意見があれば、お述べ願います。宮澤通商産業大臣。
○宮澤国務大臣 ただいま御提案になりました修正案につきましては、まことに遺憾でございますが、にわかに賛意を表しかねると存じます。 —————————————
○八田委員長 これより討論に入るのでありまするが、本案並びに修正案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 まず、米原昶君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○八田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○八田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○八田委員長 次に、本法律案に対し、浦野幸男君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。浦野幸男君。
○浦野委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、私から提案趣旨の説明を申し上げます。 まず案文を朗読いたします。 中小企業特恵対策臨時措置法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行にあたり、特恵供与による需給構造の変化に対応し、構造改善事業の促進等中小企業の近代化対策を一層拡充強化するとともに、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、特定事業の指定及び転換の認定にあたつては、中小企業の実態に即応し、特恵供与の影響及び事業の転換の範囲の判定について弾力的に配慮すること。 二、事業の転換に対する金融、税制上の助成措置については、実情に即しその拡充を図るよう考慮するとともに、廃業の場合についても所要の対策を検討するこ。 三、特恵対策並びに特恵関税の供与に関する措置については、関係省庁間の連絡機構の整備等、その一体的運用を図ること。 四、特恵受益地域の指定にあたつては、国際競争力の強い地域については慎重に対処し、一方、国連貿易開発会議の非加盟国についても特恵制度の趣旨に適合するよう適切に対処すること。 五、特恵供与等の情勢の変化に対応し、輸出関係機関のあり方についても十分配慮すること。 以上であります。 附帯決議案の各項目の詳細につきましては、すでに質疑の過程で十分おわかりのことと存じますので、説明は省略させていただきます。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○八田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 直ちに採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○八田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、附帯決議について政府から発言を求められております。これを許します。宮澤通商産業大臣。
○宮澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして善処いたします。
○八田委員長 おはかりいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○八田委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○八田委員長 次回は、明二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十六分散会