P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
65回国会衆議院1971/05/17

社会労働委員会 第25号

発言数
61
登壇者
8
会派数
1
開催日
1971/05/17

会議録

倉成正自由民主党

○倉成委員長 これより会議を開きます。  健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。有馬元治君。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 最初に厚生大臣に健保の改正法案につきまして、今日の段階になっての御心境をお聞きしたいと思います。  去る二月十七日に提出されまして、きょうでちょうど三月になるわけでございますが、ようやく本格的な審議が始まりまして、これから大いに審議をしなければいけないと思いますが、この法案は最初から見送りムードがあったり、最近では、成立が困難ではないかというような観測記事が出ておりますけれども、大臣としては、最初の気持ち、すなわちこの国会でどうしても成立させなければ困るんだという気持ちは変わっていないと思いますが、まずこの点についてお尋ねいたしたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 これは、有馬さんも御承知のとおり、たいへん過去の経緯のある制度の改正でございまして、健康保険制度というもののあり方につきまして、昭和四十二年あるいは昭和四十四年などに臨時応急の特例法が出されまして国会を混乱させたようなことを私も承知をいたしております。そこで、そのとき国会の御意見としても、特例法をたびたび出すのではなしに、健康保険の抜本改正の考え方を少なくとも近い将来示すべきだ、こういう御意向がございまして、それを受けまして政府は、二年以内には抜本改正につながる対案を必ず出しましょう、こういうことを国会で申し述べてまいりましたことが一つと、それからもう一つは、今度のような改正をいたしませんと、正直のところ政管健保というものはその存立が危殆に瀕するような状況に追い込まれてまいりますことと、さらにまた、抜本改正をやるといたしますならば、抜本改正の基礎づくりというものをやっておかなければ、政府、国会が希望をいたしております抜本改正の積み上げもできなくなります。たとえば老人医療保険にいたしましても、あるいはまた政管健保の財政の確立にいたしましても、そういうことがほんとうにできなくなることを私は心配をいたしております。  でありますから、今度の案が抜本改正につながる案ではない、単に財政対策のようにも見られる方々もありますけれども、抜本改正のためには財政対策というものは避けて通ることができないような事態もございますので、私ども政府といたしましては、これは単に厚生大臣の私だけでなしに、健康保険制度というものを維持発展させ、将来の抜本改正を達成させようとする政府といたしましては、ぜひ国会の御賛成を得て成立をさせていただきたい、かように熱心に考えておることに変わりはございません。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 この健保法の改正につきましては、過去もいろいろな波紋を投げかけてきた法案でございますし、いわばいわくつきの法案でございますが、過去の二回の審議状況を見てみますと、五十六回国会におきまして、わずか一日だけ審議をして、その日に強行をしておる。それから四十四年の六十一国会においては、議事録によりますと八時一分から八時二分まで、一分間で強行成立をしておる。こういうふうな審議のしかたでは——それまでに裏取引、裏舞台でのかけ引きはいろいろあったと思いまするが、全く国民不在の審議という感じがこの法案については非常に強いのでございます。  私はこういう重大な法案については、この委員会において十分審議する必要があると思います、これは引き延ばしとかなんとかいう意味でなしに。そうでなければ、私たちは選挙区に帰るたびに国民から、一体何をしているんだ、健保法案はどうするんだというふうに聞かれるわけでございますが、答えのしようがない。  私は参考までに委員部に調査をしてもらって、五月十四日現在で当委員会がこの国会において一体何時間審議をしたんだろうと調査してもらったんですが、法案と一般案件を含めまして九十九時間三十六分審議しております。そのうち自民党は五時間五十分でございます。これは与党でありますので言いたいことも言えず、法案の審議に御協力をして今日に至っておるのでございますが、これをやや詳しく内訳的に見ますと、法案については九十九時間のうち六十二時間四十二分審議しております。政府提出の法案が厚生省と労働省で八本ばかりございますが、そのほかに議員立法がありますので、こまかい計算はわかりませんけれども、大ざっぱに言って一法案当たり八時間審議をしたことになるかと思います。  そこで、これからこの法案について大いに審議を促進しなければ国民に対して申しわけないと思います。いままでの審議のやり方について、私は政府側と、もう一つは当委員会に対してまことに申し上げにくいのでございますが、これまでの審議の状況、実績にかんがみて反省をしてもらわなければならぬことがそれぞれございます。  この点についてひとつ御質問申し上げたいと思いますが、政府側はいままで当委員会がどういう法案審議の実績になっておるか、慣行になっておるかということは、おそらく政府委員の皆さんは十分御承知だと思います。私もこの席から、過去十数年来当委員会の審議のやり方をながめてきたのでございますが、重要法案といわれる国民全体が関心を持っておる一番大事な法案については、政治のかけ引きがあるのかどうか知りませんが、あと回しになる。政府の国会へ提出する順番がいつも最後尾といいますか、最後になっておる過去の実績は御承知だと思いますが、四十二年においても、厚生省は八本出したうち七番目になっておる。また、四十四年の六十一国会におきましても、六本出して六番目、今度は同じく六本出しまして六番目というふうなことで、これはいろいろな関門があって、急いでもなかなか間に合わないのだと思いますけれども、一番しんがりに出してくる。従来の委員会のやり方が提出順ということになっておることは大体皆さん御承知だと思いますが、こういう重要法案を出すときには、バッター順が非常に大事なんです。したがいまして、重要法案から出してくる、少なくともトップバッターはむずかしいといたしましても、二番か三番目くらいには出してくる、こういう反省をしないと、これからあとまたこういう重要法案にぶつかると思いまするが、この点はひとつ政府側に御反省をいただきたい。まあひとつこれからの問題でございまするが、厚生大臣の御答弁をいただきたいと思います。

倉成正自由民主党

○倉成委員長 有馬君に申し上げますが、ただいまの件は、委員長並びに理事の責任において委員会を運営いたしております。したがって、その点についてはあとでお聞きいただくことにして、質問の本題に入っていただきたいと思います。時間がたいへん限られておりますので、質問の本題にお入りいただきたいと思います。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 委員長の御注意がありますから私はそれ以上言いませんが、ただ委員長にひとつお願いをしたいのは、それならば委員会において提出順だとかなんとか言わずに、重要な法案に十分時間をかけていただきたい。特にこの国会は、地方統一選挙があるということは前からわかっているんですし、それから参議院選挙の関係であとがないということもわかっているんですから、その点はひとつ委員長にも十分にお考えいただいてこれからの議事運営をやっていただきたい。

倉成正自由民主党

○倉成委員長 御趣旨はよく承りました。本題に入ってください。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 これはひとつ十分に考えていただきたいと思います。  大臣、何かお答えがありますか。

倉成正自由民主党

○倉成委員長 簡潔に願います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 二月十七日にこの法律案は国会に提出をさせていただきまして、その間本会議におきましても趣旨説明を申し上げ、また、先般当委員会におきましても趣旨説明を申し上げた次第でございます。なおその間、私は他の法律案の御審査あるいは一般案件の御検討の際にも、しばしば私のほうから率先して、今回の健康保険法の改正の課題に触れてまいりましたことは、有馬さんもお認めのところと存じます。  また提出が二月十七日、その後かなりの日数がたっておりますが、もっと早く提案することにつきましては、有馬さんもお触れになりましたように、社会保険審議会、社会保障制度審議会というような関係の審議会がございまして、これらの審議会における運営上の関係からいろいろの問題も免じまして、提案が二月十七日になりましたことも御承知のとおりでございますが、よろしくお願いをいたします。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 今回の改正が抜本改正の第一着手だというお考えのようでございますが、第一着手というのはどういう意味なのか。いつ完成をするのか、抜本改正全体が。この点について最初にお尋ねしたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 抜本改正と申しますのは、そのことばのとおり根元から改正することになりまするし、現在毛また健康保険に関する諸制度が幾つかに分かれてもおり、かつまた、その間の医療給付のあり方、あるいはまた保険料等の負担の均衡などにつきましてもまちまちのところもございますので、そういう点を考慮いたしますと、広範、複雑多岐な問題でございますので、これの対案を作成することは必ずしも簡単ではないと思います。しかし、私ども政府におきましては、先ほどもお話がございましたように、昭和四十四年の健康保険制度の改正の際に国会の御要望もございましたので、直ちにその国会終了後一つの抜本改正に関する案を設けまして、関係の審議会に諮問を申し上げ、かつまた、その案も、いま申しますように複雑多岐な問題を含みますので、そのうちさしあたり二年以内に実施したい事項というのまでもつけまして諮問を申し上げておりまして、自来二年近く御熱心な審議が行なわれて今日になってまいっておりまするが、その御答申が今日までの段階でいただけない状況でございます。しかし、これを放置いたしますと、先ほど申し上げましたとおりの事態を生じますので、今回はそれのつなぎと申しますか、抜本改正への第一歩と申しますか、そういう趣旨から、両審議会にその部分的な御意見を承る形をとりまして、この国会に提案をいたしました。したがって、両審議会における抜本改正についての全体的の御答申、あるいはまた、そのうち当面実施すべき事項についての御答申がありますならば、その御答申を十分検討いたしまして、私どもは抜本改正の理念を答申の段階とも見比べまして実現をいたしたい、かような情熱を持って進んでおるものでございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 四十四年の八月五日に、時の厚生大臣、斎藤厚生大臣の名において社会保障制度審議会に諮問書が出ておりますね。この諮問書は、今日の段階において、すなわち今度の改正案については、御承知のように結論が出ていないという状況のようでございますが、今日の段階においてもこの諮問というのは生きているのかどうか、この点をお尋ねいたします。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 もちろん生きております。その諮問案並びに「さしあたり実施すべき事項」については、先ほど来申し述べてまいりましたように、二年近くにわたりまして両審議会で取り上げられ検討が重ねられておるわけでございます。しかし、私はその中で、これは時代が進んでまいりますので、問題の取り上げ方の角度というようなものも時代とともに変わってきてもいいものがあるのじゃないかということも感ずるところがございます。たとえば老人医療などにつきましては、老人医療保険制度という一つのグループをつくることを一つの試案として諮問もされておりますけれども、しかしその後関係審議会の一つから、こういう問題については公費医療というような立場を優先せしめて考えるべきではないかという中間的な意見書もいただいておりますので、これは同じ審議会の御意見でもあり、また、私どもが時代の進展とともに考えるべきことでもあり、当委員会などにおきましても、公費医療の問題がしばしば取り上げられておりますので、老人医療制度などにつきましては、前の諮問案に、これは諮問案は生きているのでございますが、諮問案の答申の中におきまして、一つの政府の試案とは違った形の答申をも私は予測をせざるを得ないと考える面はございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 そうしますと、抜本改正の基本方針というのは、四十四年八月五日のこの諮問が生きておるとするならば、どの部分をさすのか。すなわち、この諮問書によりますと、三ページ以下に「将来の基本構想」ということで、やや具体的しかも重要な方向を示す骨格が示されております。しかも前文によりますと、「下記の方針のもとに再編成する」ということがうたってありますが、再編成するということまで含めるとするならば、この説明書きの基本構想に基づく試案を含めて抜本改正の基本方針ではないかというふうに私は考えるのでございますが、そこのところは、あとの基本構想に当たる試案は、ここにいう抜本改正の基本的な方向とは違うのだ、関係ないのだ、切り離していいのだというふうに考えておるのか、その点をひとつお答え願いたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 それは抜本改正の根幹も、また、抜本改正を行なうための一つの路線上の試案も、また、今回ここに出しました健康保険法の改正案というものも、私は同じ路線の上にあるものと考えます。たとえばいまも申しました老人医療につきましては、抜本改正は老人医療保険制度というものを新たに一つのグループをつくって、国民健康保険からも健康保険からも、ある年齢以上の老人のグループというものは切り離してしまって、老人のみを医療給付の対象とする保険をつくるべきだ、こういう一つの考え方も示しておりますが、私は老人医療の重要性というものは、それの取り上げる形式は、さっきも申しましたように、変わることはあるべしといたしましても、抜本改正の大きな課題であると考えます。したがって、今度の健保の改正法案におきましても、その基礎づくりの意味におきまして、この健康保険法における老齢扶養者に対する健康保険の給付率を、従来の五割から七割に引き上げまして、そして、それを国保の給付率と合わせておきまして、あとに残った三割の自己負担分というものを、私どもは一つの野心を持って、老齢医療対策というものを当委員会ともいろいろお話し合いをいたしながら、私はできる限り早くその分はつくりたいと考えますし、また健康保険におきましても、組合管掌の健康保険と政府管掌の健康保険がございまして、これらにつきましても再編成の方向をこの四十四年の諮問は示唆をしておりますが、今度の健康保険改正法はそこまで入っておりませんで、とにかく、いまやまさに累積赤字で倒れんとする政管健保の財政基盤というものは、政府がたとえば累積赤字を肩がわりをいたしますとか、あるいは政府が定率補助をするというようなことまでも思い切ってやりまして、下をそろえておく。そして、将来どういう形の再編成が行なわれるかは、両審議会の本格的答申を待つことといたしまして、そのベースをここで設けようという意味におきまして、私は同じ路線である、抜本改正の第一歩である、このように考えておる次第でございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 同じ路線を走っておるようですが、必ずしもそうでもない。これは後ほど審議会の結論がどういう方向に固まるかによって、いろいろ幅のある問題ではないかと思うのです。と申しますのは、厚生省が基本構想の概要として示した試案の考え方は、おそらく自民党の国民医療対策大綱によっておるのだと思いますが、この大綱自身が、いろいろと五項目にわたる注文がついております。したがいまして、この注文をよく読みますと、大綱にはうたっておるけれども、反対の方向の意見もあるということが実は併記されておるかっこうになっておりますので、そうなりますと、どれが一体基本構想であるのか、私は、国民保険あるいは勤労者保険、老齢保険、この三本立てに現在の体系を編成がえをするのだ、中身のこまかいことは別として、そういう方向まではやはり抜本改正の基本方針の中に含まれて考えるべきではないかという感じもいたすのですが、そこまではっきり言い切れる段階ではないとおっしゃるならそれでもいいと思います。これはあと非常に尾を引く問題でございますから、その辺の基本方針とは何ぞやというところをひとつはっきりさして、その上で今回の改正が第一着手——富士山に登るのに富士山がわからずに一合目、二合目ということはいえないわけですから、そこら辺をはっきりさしていただきたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 先ほど来私がことばにきぬを着せずに、いわゆるおざなりの政府答弁ということではなしに実は申し上げてきたつもりでございますが、四十四年度の抜本改正の諮問案というものは、そのあるべき方向については、一つの考え方として参考案のような形で審議会の御意見を承っているという面がございます。そのまた根拠になりますものは、いま御指摘がありました自民党の医療対策大綱ということでございますが、それ自体に地域保険における家族の構成などにつきましては、有馬さんの御指摘のとおり、被用者保険における家族までも包含させることがいいかどうかということについては、医療大綱自身にも二つの意見が併記されているような状況でございますので、そういうことも含めまして私どもは、四十四年には関係審議会に諮問をいたしておるわけであります。すでに述べましたように、老人医療につきましても、老人医療は保険医療大綱がいいのか、それは一つの考え方、試案ではあるだろうけれども、私がさっき述べましたように、老人医療については公費医療という考え方を取り入れていくべきだという中間的な審議会からの意見が出ておりますこと等も考えますと、変わってきている面がありますけれども、しかし、根本的には老人医療というものを重視すべきだ。また、被用者保険につきましても、何らかの形において負担の公平化なり財政の調整というようなこと、これを一本化、総合化するというようなことは非常に困難な面があること、またむずかしい面でもあろうと思いますが、それらについて私どもは、少なくとも固執をするものではありませんで、天下の世論、委員会のお考えに従って、そういうことも抜本改正の最終案では処理したい。しかし、そのためには、政管健保のいまのあすつぶれるかもしれないような財政的な状況をきれいにしておかなければ、この抜本改正に進められないという考え方でつくりましたのが、何べんも申しますように、私どもの考え方であり、今回の健康保険法の改正案でございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 抜本改正につきましては、社会保障制度審議会においても目下検討中である。今回の答申におきましても「検討がようやく軌道にのり、政府の希望した期日を考慮におきつつ、審議を続けている矢先にかかる形で諮問」云々、こういうふうに書いてありますが、社会保障制度審議会としては、どの程度まで抜本改正について構想を固めつつあったのか。また、もう一つの審議会であります社会保険審議会においても、この答申におきまして「抜本改正の全体構想につき本審議会として今後引き続き審議を行なう方針である」という基本的な態度を示しておりますが、この両審議会の抜本改正についての構想の煮詰まり方、これについて厚生省側からお答えをいただきたいと思います。

戸澤政方厚生省保険局長

○戸澤政府委員 両審議会の抜本改正に関する審議の経過を簡単に申し上げます。  大臣から申し上げましたとおり、抜本改正につきましては四十六年度から実施するという公約がございましたので、それをめどにしまして、両審議会に対しまして、四十四年の八月に諮問をいたしましてその御審議を願ったわけでございます。四十六年実施ということを目途に考えました関係上、当然四十六年度の予算編成に間に合うように、具体的なめどとしましては、昨年の八月ごろまでに答申をいただけることを期待いたしたわけでありますけれども、しかし、事が非常に複雑困難な問題でありますために、両審議会ともその審議が非常に熱心に行なわれましたにもかかわらず、その期待する域までに達せず、答申をいただくことは不可能な見通しになったわけでございます。  それで、政府といたしましては、四十六年度の予算を編成する必要がございますので、十二月に両審議会に対しまして、とりあえず四十六年度実施すべき問題について中間的な御意見をいただきたいということをお願いしたのでございます。その結果、社会保険審議会からは非常に簡単な中間意見でありましたが、社会保障制度審議会からは、当面処理すべき問題について中間意見が十二月十九日に提出されたわけでございます。それをもとにして今回の案を作成し、提案いたしたわけであります。したがって、これはあくまでも中間意見に基づいた抜本改正のはしりともいうべきものでございまして、本格的な抜本改正についての審議は引き続き両審議会でもってお願いしていることになっているわけでございます。すでに社会保障制度審議会におきましては、この法案が提出された後におきましても本格的な抜本改正についての審議を続けられております。これらの結論がいつごろ出るか、まだ見通しがついておりませんが、早い時期にこの本格的な答申の出ることを期待しているわけでございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 両審議会のこの答申を見ると、社会保障制度審議会のほうが、抜本改正については、もう軌道に乗って、政府の希望する期日を考慮に置きつつ審議を続けているやさき、と言っているんだから、ある程度構想が固まっておるような感じもするのですが、その辺の進捗状況は、この文面から見ますと、両審議会で大いに違っているんじゃないかと思うのです。それをここでお答え願うのは酷でありますから、私はもうこれ以上言いませんが、いまの説明を聞いていると、両審議会とも、抜本改正は複雑困難な問題であるということでじんぜん日を過ごしておるような感じが私はしてならないのでございます。  これだけ重要な、また国民生活に非常に大きな影響のある大問題でございますから、そんなにいつまでも複雑困難、複雑困難ということで審議を延ばしておくというのは、一体いかがなものだろうか。これはわれわれが第三者的に見た感じでございますので、当局からお答えはいただかなくともいいのですが、私がお尋ねしたいことは、そういうむずかしい問題だけれども、いま真剣に両審議会で検討しておるという前提に立ちまして、近く抜本改正についての結論が出るのだろうと思いまするが、その際に予想される結論は二つございます。  四十四年に諮問をした諮問の大筋の考え方とあまり違わない結論が出る場合と、相当大きく食い違った結論が出る場合、それからまたもう一つは、政府が第一着手としてことし改正を試みておるわけですから、今後第二、第三の抜本改正につながる改正が予想されますが、その時期までに審議会が結論を出さない場合に一体どうするのか。内容が一致しておるときにはあまり問題はありませんが、内容が大きく食い違う、あるいは期日までに結論が出ないというときには一体どうするのか、この点についてのお答えをいただきたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 両審議会につきまして、有馬さんから審議会の運営の状況などをそんたくされてのお話もございましたが、私は厚生省の現に諮問機関であります両審議会のこと、ことに運営のことにつきまして非難がましいことばを述べることはできません。しかしこれは、両審議会の構成がどういう構成であれ、この医療保険問題というのは大きな国民的課題であるとしてお受け取りになっておることは間違いないことでございますから、その出るべき答申の方向が、いまおっしゃるように二つの方向が予想されるにいたしましても、そのいずれかになるにいたしましても、私は必ず抜本改正への御答申あるいは御意見というものはいただけるものと確信をいたしておりまするし、また私も審議会の運営には協力をいたさなければならないと思っております。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 今回の改正が第一着手だとするならば、抜本改正の全貌がいずれ近いうちにわかると思います。そこで、この次の改正までに抜本改正の構想を、厚生省としては審議会の御意見も聞いてしっかり固めていただきたいと思うわけでございますが、一方、国会との関係におきましては、六十一国会当時におきましても、総理大臣あるいは厚生大臣から、抜本改正を二年後には考えるのだ、こう言っておりますので、抜本改正についてそういつまでも第一着手であとの完成はわからないというふうな状態で放置するわけにはいかないのじゃないかと思うのです。その辺について、確約はできないといたしましても、この第一着手に引き続いてさらにどういうふうにされるのか、私が冒頭申し上げた抜本改正はいつ完成するのかという点についてのお見込みがあるならば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 先ほど述べましたように、きわめて重要な国民生活の分野に関する事案でありますから、抜本改正は私は急ぎたいと思います。と申しますのは、いまもございます幾つかの保険制度あるいは共済制度等のあり方がそれでいいという状態になっておりませんので、私は抜本改正というものは必ず私どもが達成しなければならないことであると考えます。  いつかということになりますと、複雑広範多岐の問題でありますので、最終的な御答申などいただける時期につきましては、もちろん担当も違いますし、私は申し上げられませんけれども、少なくとも抜本改正のうちの一つであります老人医療というようなことにつきましては、それだけを取り上げましても私は来年度昭和四十七年度から、関係審議会とも御相談の上、抜本的な処置の重要な部分として出発をさせたい、かように情熱を持っておりますので、そのように審議会にも御相談を申し上げる所存でございます。これを要するに、そうなりますと残りの部分はいつかという問題がありますから、そういう段階的な抜本改正というような形で進まなければならない場合も、状況によっては出てくるかもしれません。いずれにいたしましても、今回のこの改正というものは、抜本改正の地ならしであり第一着手でありますから、これをやっておかなければ、抜本改正は全く机上の空論、頭の中の理念に終わってしまってできないということを、ぜひひとつ御理解をいただいて御賛成をいただきたいと考えます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 いま抜本改正と関連いたしまして、大臣から老人医療のお答えがございました。私はこれは非常に大事なことで重要なことだと思いますので、さらにお考え方をお尋ねしたいと思います。  老人医療を無料にしなければいけない、無料にすべきだという考え方は非常に高まってきておると思います。現に地方団体においては、相当数の府県市町村が何らかの形における無料化に進んでおるのでございますが、厚生大臣としてはどういう考え方で今後この老人医療の無料化を実現していくのか、この点についてお答えを願いたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 二年前の抜本改正諮問案の当時における考え方というものは、有馬さんも御承知のとおり、老人医療保険というものを独立させたらどうか、つまり国民健康保険においても、また健康保健においても、共済組合においても、七十歳でございましたか、年齢はどうきめられておりましたか私は記憶いたしませんが、一定年齢以上の老人だけを被保険者とする別個の保険をつくって、そうしてそれの給付の財源は別に編成される地域保険あるいはまた被用者保険のほうの保険料の中から老人医療保険のほうに拠出をする。また、国もそれに応じて老人医療保険に財政負担をするという考え方であったようでありますが、先ほど来ちょっと触れますように、社会保険審議会のほうでは、公費医療というものの重要性を、老人医療のみならず、老人医療についてももちろんのこと、他のタイプの疾病などについてもこれらを取り上げて研究してほしい、政府においても検討してほしいという意見書が、私が着任後にも出ておるわけでございますので、私はそういうことを考えますときに、老人医療につきましては、一つの独立した老人医療保険制度というものをつくるのも一つの考え方でございましょうし、また、いまある健康保険の老人における自己負担分、これは国民健康保険においては三割、またこの法律がもし通らない場合には、被用者保険においては五割、それをそろえておいて、今度の改正によって被用者保険の被保険者のお年寄りの家族については、この法律案にございますように七割まで引き上げておいて、残りの自己負担の三割というものを公費負担でやったらどうか、そのほうがはっきりして老人も喜ばれるのではないか。簡単に申すと、いまの保険制度を生かし、改善して、残る自己負担の分を公費をもって支弁するということのほうが一番いいのではないかと私は思っております。しかし、私は独断はいたしません。関係の機関、また皆さま方の御意向も承ったり、審議会の御意向も承って進みたいということは、先ほど来申すとおりでございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 医療保険制度と公費負担の関係はいろいろむずかしい問題があろうかと思いますが、もしかりに医療保険で五割なりあるいは今度の改正によりまして七割なりの医療給付を老人に対して実施するということになりますと、あとの三割が公費負担、こういうことになるわけですね。そこでこの三割を公費で持つ、すなわち全部を公費で持つというのではなしに、保険をベースにして残りの自己負担三割分を公費で持つ、こういう場合に、第一点は、どれくらいの費用がかかり、また、この公費負担を国なりあるいは県市町村なり、それぞれ分担させる考え方もあろうかと思いますので、その辺の考え方をお聞かせ願いたい。  それからもう一つは、今度の改正で五割から七割に引き上げる、これは非常に画期的な改正だと思いますが、よく考えてみますと、これは国保と足並みをそろえたというにすぎないという見方もあるわけですね。そこで国保と足並みをそろえた上で、あとの三割について公費負担をすることによって老人医療は無料化するんだという考え方だろうと思いますが、そうだとするならば、今回の改正がなされない場合、老人医療の無料化は非常に困難になるのじゃないか、財政負担の点からいいましても。そういう関係からいいますと、どうしてもこの改正をこの国会でやっておかないと、老人医療の無料化の問題は後退せざるを得ないという感じが私は非常に強いので、その辺の関係もひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 老人医療の基礎を現行の保険医療を改善した上で存置をさせながらその上に公費医療を積み上げるという考えでありますこと、先ほど来申し述べて、これはそれがきまったわけではございませんけれども、そうするのがよかろうと私は思うわけでありますが、御疑念がありますように、もしある種の保険に属する老人が来た場合には五割の自己負担があり、ある種の保険に属する老人——これは老人としては全く同じ市民でございましょうが、三割の自己負担だ。そこでその負担分を公費医療をもって処理する際に、三割、五割という足並みがそろっていませんと、できないことはございませんでしょうけれども、非常に取り扱いが複雑になる。第一、医療担当者のお医者さんのところで処理が非常に複雑にもなろうと思いますし、もしそれ、公費医療で足並みをそろえまして三割の公費医療というようなことをやりますと、被用者の家族である御老人は、やっぱり二割負担は残るということになりますし、これまたせっかくの老人医療のお互いの構想が、そこから水が漏ってしまうというようなことにもなることを心配いたしておりますので、絶対できないということはありませんけれども、有馬さん御指摘のように、今度のこの健康保険法の改正案で、被用者保険における老人給付というものは七割にそろえていただくことが、非常にあとの公費負担をやりやすくすると思います。  それから、一体幾らかかるかということ、時間が長くなりますが、やっぱり数百億はかかる。数百億、これは公費負担でございますから、それに国と、それから市町村の負担関係をどうそこで組み合わせるかという問題が残りますが、これは全体としては最小限一千億円をこえる新しい公費負担の財源が要ります。国がその半分なり幾らなり持つといたしましても、これは私が熱意を持ちまして、自分で実は頭の中で計算をいたしてみまして、やはり数百億——というのは、老人の人口に占める割合は七%とか四・五%とかいうものがきまっておりますが、罹病率また診療率というものがそれよりはるかに多いわけでございます。また、波及効果と申しますか、これを無料ということになりますと、いままで自己負担をもって行けなかったというような方々も進んで行かれるというようなことにも当然なると思うし、私はなっていいと思うのであります。そういうことを考えますと、やはり国が一部負担にいたしましても数百億はかかる。しかし、それはぜひひとつ皆さん方のお力を得て突破さしていただきたい、こういうふうに考えております。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 老人医療の無料化についての大臣のお考え方はよくわかりました。私どももこれは何とか無料化のほうにもう踏み切る時期にきておるというふうに考えますので、今後とも相協力してこの問題は解決していくべきではないかと思います。  そこで、老人の医療問題はその程度にいたしまして、もう一つお尋ねしたいことは、公費負担医療の問題についてお考え方をお尋ねしたいと思います。  四十五年の十月三十一日付で社会保険審議会の有泉会長から内田厚生大臣あてに、「医療保険の前提問題(関連諸制度)についての意見書」というのが出ておりますね。これの終わりのほうに第五番目として「公費負担医療置という項目がございます。私も詳しいわけではございませんけれども、お考え方をお聞かせ願いたいと思います。この中で「公害病であって原因者が特定するに至らない段階のもの」、これはおそらくイタイイタイ病とか四日市ぜんそくあるいは水俣病というようなものが入っておるんだと思いますが、この公費負担は一体どうなっておるのか。そして、現在の考え方は、公費負担を優先させる考え方でやっておるのか、あるいは医療保険を優先させる考え方でやっておるのか、その辺をお教え願いたい。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 公害病につきましては、御承知の、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法というのがございまして、その法律によりまして、医療の自己負担分は公費負担ということにされております。また、それに若干の医療費あるいは介護費というような現金の——これは生活保障とまでは申せませんけれども、現金の助成も出ることになっております。ただし、これはすべての公害ではございませんで、大気とか水質汚濁とかいうようなことに関連して多発する病気の幾つかの種類、また、それを適用する地域は関係の地方公共団体と協議して厚生大臣がきめるというような制約がございますが、そういうわけで根本は保険、自己負担分は公費の上のせ、こういう仕組みになっております。  この公費の財源は、国もその一部を持ち、地方公共団体も、持ち方がいろいろ複雑な点はございますが、一部を持ち、また財界も、不特定な財界が財団を設けましてその財団からも拠出金を入れる、こういうような仕組みになっております。  しかし、いま御指摘がございました社会保険審議会の昨年の私に対する意見書には、公害の分ばかりではなしに、たしかその他の公費医療になじむような疾病については、この際公費医療の線で検討をしてほしい、こういうような広範な面が掲げられてあったと記憶をいたします。現在でも、たとえば結核とか、らいとか、精神障害とかいうような、伝染病あるいは人を傷つけるおそれのある疾病につきましては公費医療がとられておりますが、その他の、治療にお金がかかるような病気であり、また病気の性質上、今後公費医療の方向で並べてみて検討すべき疾病も幾つかあるように思いますので、私は、公費医療につきましては、老人医療ばかりではなしに、審議会の御意見も十分取り入れて、いろいろな疾病について再検討を事務当局に命じております。ことに児童などの育成医療と称せられるものにつきましては、必ずしも従来の固定的措置にとらわれずに、お金はかかりますけれども、新分野を対象とすることも検討を命じておる、こういうことでございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 イタイイタイ病について最近、新聞等にいろいろ記事が出ております。その中でお尋ねしたいことは、富山と高岡の社会保険事務所がイタイイタイ病患者に政管保険で支払った分としての二百二十万円について三井金属鉱業に支払いを要求しておる、こういう記事が出ておるのですが、これは一体どういう法律関係になっておるのか、この点が第一点。  それからもう一つは、支払った保険の二百二十万円の返還請求というのはわかりますけれども、その際に、自己負担分の公費負担がいまの御説明によるとあるはずですね。これは一体どういうことになるのか、その辺の法律関係をひとつお教え願いたいと思います。

穴山徳夫社会保険庁医療保険部長

○穴山政府委員 ただいま御質問の問題でございますが、これは健康保険法の六十七条で、第三者行為による損害につきまして……(「委員長、大事ですから、声を大きく答弁するように注意してください」と呼ぶ者あり)

倉成正自由民主党

○倉成委員長 大きな声で願います。

穴山徳夫社会保険庁医療保険部長

○穴山政府委員 健康保険法の第六十七条に、第三者行為によります医療給付の場合に、損害賠償の請求権を代位取得するという規定がございまして、結局この規定の発動ということでございます。  富山で請求いたしました理由は、御承知のとおり政管健保の財政というものが非常に悪化しておりまして、私どもも、行政努力として、こういう第三者行為による求償権の確保というようなことに非常に努力をしているわけでございますが、一番多い例は、交通事故によるような場合が非常に多いわけでございます。このイタイイタイ病につきましては、私どもが踏み切りましたのは、昭和四十三年の五月に厚生省の見解が出まして、それから鉱業法による無過失責任の問題とか、あるいはまた昨年、認定患者というような措置もとられたわけでございまして、こういったようなことを勘案いたしまして、債権の確保という意味で求償権の行使に踏み切ったわけでございます。  それから第二の、公費負担の場合はどうなるかという御質問でございますけれども、いま申しましたように、これは健康保険によって給付をしたものについての代位取得でございまして、したがって健康保険で給付した限度において求償が行なわれますので、公費につきましては関係はないわけでございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 公費については求償はしないというような御答弁でございますが、もしかりに原因者がわかったときにはどうするのかという点が一つ疑問なんです。  それからもう一つ、現在は六十七条によって求償をしておるというふうなお話でございますが、あとのほうの説明によると債権の確保ということばを使っておりますが、債権の確保と時効中断の催告とは性質が違うんじゃないかと思うのです。その辺をはっきりしてかからないと、あわてふためいてと言っちゃ悪いですが、いろいろな諸掛かり、経費をこの際とばかり請求するというような傾向もありますけれども、やはりそこら辺は、裁判の判決との関連もありましょうから、はっきりした形で指導をしないと、私は第一線が混乱するんじゃないかという感じがちょっといたしますので、その辺の考え方をはっきりさせていただきたいと思います。

穴山徳夫社会保険庁医療保険部長

○穴山政府委員 この措置に踏み切りましたのは、ただいま申しますように、保険者の立場として、債権の確保という立場からいたしましたもので、時効の中断というようなことによる措置というよりは、繰り返しますが、債権の確保ということでやったわけでございます。  それから、公費による分につきましては、これは私どもがいま申しましたように、健康保険のいわゆる保険者としての立場での措置ということでございますので、これは健康保険で給付をした限度ということの、限度内においての私どもの行為でございます。したがって、公費については、これは私どもの仕事の範疇からちょっと別な範疇に入っていくわけでございます。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 別な範疇が、政府のどこの部門でお答え願えるのか知りませんが、公費といえどもやはり払うべきでない。公費がもし出ておればあとから請求して取り返すということをやらなければいかぬのじゃないかと思いますが、どこかの部局でお答え願えますか。

穴山徳夫社会保険庁医療保険部長

○穴山政府委員 この問題につきましては、公害関係の部局になると思いますので、公害部局のほうに問い合わせまして、また後ほど御返事をいたしたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 私から一応……。まだ整理をした考え方ではございませんけれども、こんなことになるのではなかろうかということを、有馬さんに申し上げてみたいと思います。  私は、債権の確保ということになると、債権が発生していることが前提でありまして、イタイイタイ病は、これは訴訟は結審をいたしましたが、判決はこれからの問題になるわけでございますので、一体求償権があるのか。その権利が、求償権と申しますか、その前の加害者負担の支払い債務が、したがってそれに対応する求償権が、現在では発生していないのではないか。したがって、時効の進行もしないのではないかと思います。これは保険では、大部分は国民健康保険が多かろうと思います。したがって、国民健康保険の保険事業者は地元の市町村ということになりますので、市町村がその辺のことを十分、権利の発生時期、時効の完成の法律的の時期というようなことの検討もなさらないで、とにかく厚生省が、あれはイタイイタイ病に基づくものであるらしいというその政治的判断を表明したのが昭和四十三年の何月何日である、それからちょうど三年になるから、もし万一時効の起算点がそこになってはということで、非常に念を入れて、国民健康保険の保険事業者として請求をされた。しからばということで、ごくわずかなんでございましょうけれども、政管健保の保険者である社会保険事務所が請求をした、こういうことになるわけでございましょうが、これは請求権、求償権が発生しました時点において——三年間あるわけでありますから、私どもも根本的に、学者の意見を聞いたり、また行政当局としては腹をきめてかからなければならない問題であると思います。  さらにまた、行政費、公費負担といいますか、その他の関係行政費につきましては、行政費の目的とそれから求償権の範囲というような、どこまでを一体求償権の範囲に入るものかという問題も一般行政権の問題としてございましょうし、これは地方公共団体、国ともにそれぞれの立場においてあると思いますが、そういうことも含めまして、私は求償権が発生しました後において腹をきめて検討を進めるべき問題である、かように思っております。

有馬元治自由民主党

○有馬委員 時間がありませんので、まだお聞きしたいことがございますけれども、この際、委員長、厚生大臣に特にお願いだけを申し上げてみたいと思います。  委員長には、先ほど少し失礼なことばかもわかりませんけれども、重要法案をひとつ優先的に時間をかけてやってもらいたかった。これは過去の当委員会の反省でございますので、そう気になさらずに……。ただ今後の問題としては、先ほども申し上げましたように、いままで一法案当たり八時間を費やしておるわけでありますから、きょう、あす、あさって、三日間、平均六時間やるつもりならば、われわれ国会議員は夜に強い鍛え方をしておるのですから、昼間だけやることはない。そこで三日間やればおくれは取り戻すと思いますので、ここはひとつぜひ、私のみならず国民全体が、この問題については非常に心配もしておるし関心を持っておる問題ですから、そういうふうに今後の審議の促進について建設的、能率的にお取り計らいをいただきたい。これは委員長に対する私の希望でございます。  それからもう一つは厚生大臣に。私は今回の改正は非常に重要な改正であるというふうに思います。過去二回の特例法の内容と比べても、問題にならないほど重要な改正内容を持っておると思うのでございます。こういう重要な改正法をお出しになるからには、いろいろと重大な決意を持って出されたことだと思います。  私が言うまでもなく、ちょうど二十年ほど前になろうかと思いますが、イギリスのアトリー内閣においてベヴァン労働大臣がゲイツケル大蔵大臣と意見の衝突を来たした。それは国営医療制度の中の義歯とめがねについて半額を患者に負担させるかいなかという点について意見の不一致があった。それでベヴァン労働大臣、担当大臣は、いさぎよく辞職をしております。これはいろいろと、その背景には再軍備についての意見の不一致があったとかいわれておりますけれども、やはりこの義歯とめがねの患者負担についての意見の不一致で担当大臣はやめておるわけです。  だから、それ以上の非常に重要な改正を含んでおる今回の改正法案でございますので、私どもはもうほんとうにこれは何とかしなければいかぬ、審議会も一致した結論は出ておらぬし、医師会、歯科医師会も総辞職態勢をやっておる、こういういわば混乱の直前にあるような事態でございますから、国会が政府と一緒になってこれは解決しなければならぬ問題じゃないかと思うのです。そういう意味におきまして、今度の改正にあたりましては、ぜひこのイギリスのベヴァン労働大臣のような心境で、これからひとつこん身の努力をやっていただきたい、かようにお願いをいたしまして私の質問を終わります。

倉成正自由民主党

○倉成委員長 次に、小沢辰男君。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 私は時間もありませんから、いろいろ申し上げたいこともあるのですが、現在提案されております健保法の改正問題につきまして、具体的な点をいろいろと国民にわかっていただくために少し御質問をいたしたいと思うのであります。  国民から見ますと、健康保険というものはどうも三十七年、いまから約十年前以来一度も黒字になったことがない、赤字の連続であります。その累積赤字が千九百億、約二千億になるというたいへんな事態になったということは、これは知っているわけであります。しかし、なぜ一体赤字がそんなに出るのだろうかということについては、なかなか理解をしていないように思うのであります。といいますのは、私自身もそうなんですが、私ももう仕事を離れてからだいぶになりますから、あまり専門的な知識はもうなくなってしまいまして、私自身も最近はどうも疾病保険というものが財政上こんなに毎年赤字が出るということがなかなか理解できない。なぜかといいますと、少なくとも終戦後非常に衛生行政に力を入れまして、国民の全体の衛生状況というものは非常によくなってきている。健康度も高まっておる。たとえば、たしかごく終戦直後までは平均寿命人生五十年だったわけであります。それが今日、平均寿命が七十、非常に元気な年寄りがふえた。乳児死亡率は激減をいたしました。あるいは結核も伝染病対策も、もうかつての面目は一新して著しく改善をされておる。結核病棟はがらがらであります。精神衛生対策についても相当の進展を見ておる。いろいろな面から見て、栄養の改善はどうなっているか。食生活の向上から見ましても非常によくなってきておると思うのであります。そうなれば、国民が健康になったには違いない。なぜ一体疾病を保険事故としてカバーしなければいかぬ健康保険がどんどん赤字になっていくのだろうか。国民がじょうぶになっていながらなぜ一体赤字になるのだ、こういう疑問を一般の国民は、私選挙区に帰りますとよく言うのであります。非常に元気になった、非常に体格もよくなった。現実に平均寿命も延びたり、いろいろな面でいいのが、たくさん統計上あらわれている。しかるに、健康保険がどんどん赤字が出る。毎年何百億の赤字だ。これは先生、一体どういうことですか、何かやり方が悪いのじゃないですか、一体どこに原因があるのですかというのが、私は国民の率直な疑問だろうと思うのです。  そこでお伺いいたしますが、イエスかノーか、非常に時間がないから簡単に言っていただきたいのですけれども、国民の健康度というものはどんどん上がっておりますか、上がっておりませんか。停滞しておりますか、どうでありましょうか。その一点だけ……。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 私は、国民の健康度というものは近年非常に上がってきておると思います。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 それだけでいい。あまり説明は要らない。健康度が上がっている。そこでお伺いしますが、国民の一年間にお医者さんにかかる、病気になって治療のため、いわゆる病気の罹患率であります、これは下がっておりますか。健康になったわが国においては下がっておりますか、上がっておりますか。昭和四十三年大体一年にわれわれ国民の総人口一人当たり平均して二・二回お医者さんにかかっておる。四十三年の厚生省の調査であります。それが前には実はもっと高かったのだ。一年に三回も医者に行っておったのだ。それが二・二回になりました。あるいは最近では、これがもっとどんどん下がっておりますかどうか。実はそうじゃない、罹患率はあまり変わっておりません。それから傷病日数であります。これは健保の問題ではありません。国民全体の傷病日数、国民平均一人当たり四十三年の調査では三・六日であります。三日と端数が〇・六ついておる。四捨五入すれば四日でありますが、そういう四十三年の傷病の日数、これは下がっておりますか、上がっておりますか、どっちでありますか。簡単に言ってください。

滝沢正厚生省公衆衛生局長

○滝沢政府委員 この傷病日数の問題につきましては、国民健康調査から、十五日間の特別調査からとりました数字によりますと、昭和三十年、国民一人当たりの年間傷病日数、これは医師にかかるほどでない、売薬等を飲み、なお業務を休んだという程度を傷病とした調査でありますが、それによりますと、昭和三十年が二十一日、四十三年が三十六日でございます。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 結局、厚生大臣の責任でいろいろな行政が非常に進んで、健康度は向上した。しかし、お医者さんにかかる日数や回数は逆に若干増加しているのじゃないかと私は思うのです。これは矛盾するようだけれども、私はむしろ健康度が上がった非常に大きな原因だと思うのです。早期発見、早期治療を奨励したわけです。したがって、非常に初期のうちにお医者さんにかかって、そうして早くなおすから、逆に言えば、国民が健康で常に元気で働ける日数が多くなっているわけでありますから、したがって、国民総生産が世界第二位になった、あるいは毎年一〇%をこえる経済成長をした。国民の経済生活は非常によくなった。戦後二十五年の間にこれだけ日本が経済大国になったというのは、私は、その基本の政策が、少なくとも自民党政府の、健康を守り、増進し、一方において教育を普及徹底してその実をあげてきたという、この二つの基礎があったから、今日の日本の発展というものはできたと思うのです。とすれば、健康保険の赤字というものは、私は、日本の今日までの経済成長となりそのため大蔵省は税金がどんどん入ってきたわけでありますから、そうしますと、非常に貢献したことになるだろうと思うのであります。健康度が上がってなぜ罹病日数がふえておるのだ、あるいは回数がふえておるのだ、これはやはり健康への関心が高まってきて、そうして罹病に対する適切な措置を早くとろうという国民の知識と願望がどんどん出てきたからこういうことになったわけであります。だから私は、二千億——十年間に千九百億でしょう。すると一年間に百九十億ですよ。百九十億の、健康保険だけ見ても——国保はそんなに赤字になっておりません。これは国が四割五分も出しておるからあまり赤字になっていない。一方において市町村も協力しております。相体的に見れば黒字です。市町村によっては赤字もあればいろいろありますけれども、相体的に見れば国保というものは必ずしも赤字じゃない。そうなってきますと、私は、健保の赤字というものをそんなに大騒ぎすることはないじゃないか。百九十億くらい毎年国が——大事な経済成長をささえてきた国民の健康というものがあったればこそできたことを考えて、われわれ自民党は、大蔵省側が反対しても、いままでの二千億の赤字は全部たな上げだ、これは健康保険の問題とは切り離そうという政策を決定したわけであります。  ただ、今後の健保を、今日のように毎年どんどん赤字を出してもらったんじゃ困る。これは、政府がやると言っておりましても、やはりとうとい事業主と被保険者の掛け金でやっていくわけでありますから、そこで私は、この対策はどうしてもやらなければいかぬ。どんな案をつくるにしても、野党さんもいろいろこの政府管掌の健康保険の問題を今日のような状況にほっておいては、これは国民の代表として決して責任を全うしたことにはならぬと私は思います。したがって、われわれは、今日この審議状況が、十日もない、一週間もないときに、いろいろ考えていきますと、これはやはり国民の三分の一を代表する野党側の諸君とお互いに話し合いながら、この健康保険の対策をどうするかということをほんとうに話し合っていって、国民のためにこの法案の取り扱いをきめていかなければいかぬわけであります。  そこで、時間がないから、私は端的に、問題になっている国庫負担、一部負担、それから弾力条項の点、これらが一番問題になっている点でありますから、この三点について、ひとつ所見を交えながら大臣の意見を聞きたいのであります。  まず国庫負担でありますが、今度は五%定率の国庫負担にされました。定率の負担でありますから、医療費が上がれば上がるほど国庫負担もふえていく。したがって、画期的な改正だと提案理由にも大臣は所見を述べておられます。ところが、一体五%でいいのだろうかという疑問が私どもにもあるわけであります。国民の側でも、一体医療保険、医療保障というのだから、国が相当出すと思ったら五%か、こういうことで、いろいろとこの点については相当疑問が出ているのじゃないかと思います。といいますのは、国民健康保険の対象者は御承知のとおり自営業者であります。大部分が農民と商業の零細な商店、小売り屋さん、そういう方々であろうかと思います。そのほか所得の高い自由業の方もありますが、大部分はそうじゃない。そうすると、国民健康保険の階層は所得が低いからできるだけ国庫負担を厚くしておるのか。あるいは、国保には事業主の負担というものがない。被保険者が全部負担しなければいけないわけですから、したがって事業主にかわる立場で国が相当負担をしなければいかぬというお考えで四割の医療費の補助であり、五%の調整交付金というものをおきめになったのか。一体どちらが主になっておるか。両方でありますというのなら、両方のウエートはどの程度でありますか。これはむしろ保険局長から簡単に、両方であるのか、片方であるのか、両方であるとすればそのウエートは大体半々ぐらいで考えているのか、あるいはどういうくらいのウエートで考慮に置いているか、そういう抽象的なことでいいですからずばり答えてください。

戸澤政方厚生省保険局長

○戸澤政府委員 大体国保に対する国庫補助の考え方は、両方の考え方が加味されております。そのウエートはちょっと、どちらがどうということははかりかねると思いますが、両方の事情を考慮して導入されているものと思います。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 これは自民党がどんどん補助率を上げて大蔵省と折衝したりいろいろして、党が政府原案を修正したり四割にしたいきさつは、私も政審に出たときに知っておりますが、とにかく大蔵省は、国庫負担については、保険に介入することについては非常に窮屈な考えをいままで持っておったわけですから、この国保のいまの点は、もう両方だというのですね。相手が所得が低い階層である、それからもう一つは事業主負担はない、この二つから国庫負担を簡単にいって四割五分出しておる、こういう二つの考え方だと思うのですが、所得の低い階層を対象にしているということにウエートが若干でもあるのか、あるいはそうじゃなくて、事業主の負担分についての考慮がよけいあるのか、大蔵省はどう考えていますか。

相原三郎大蔵省主計局主計官

○相原説明員 ただいまの二つの理由のほかにもう一点あったと思います。と申しますのは、国保の給付率——あの当時地方財政が非常に窮屈だった、したがって地方財政が窮屈な間暫時国が応援しようという面もありましたから、したがってわれわれは、いま地方財政が好転しているおりからですから、できるだけ国庫補助を減らしたいと考えておるわけでございます。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 事業主のあれは、保険局長は正直にどっちがどうだかわからぬ——私は実はウエートの問題はわかりません。もし半々としますね。両方考慮して四割五分できめたのだ、こう思います。大蔵省さんは、地方財政がよくなったからと言いますけれども、地方財政の問題は医療費とは実は関係ないのです。地方が超過負担しているのは事務費のほうですから、それは医療費の点には——地方財政がよくなろうとよくなるまいと、これは国の制度ですから、ちょっとその議論は私は相手にできません。できませんが、とにかく半々だとして見ると、一体今度の健保の五%と国保の四割五分というものとつり合いがとれているという確信がありますか、厚生大臣。やはり対象の所得からいいますと、農村——私は農業問題を最近二、三年力を入れていろいろ研究しておりますけれども、大体五万くらいの都市の勤労世帯と農家の所得——農家の農業生産の所得は低いけれども、兼業による現実の姿を比べてみて、大体四十三年にはとんとんだったわけですね。ちょっと農家のほうがオーバーした。そうすると、中小零細な企業を対象にした健康保険、政府管掌でありますから、私は所得の面で健康保険のほうが国保よりそんなにいい——よくとも二対一くらい、非常に強く開きを考えてもそんなものではないかと思うのですね、低所得階層その他を考えてみても。といいますのは、医療の根本対策をわれわれがきめるときに、老人保険の問題をきめました。そのときの国庫負担は、全体の老人に対する医療費の四分の一を国が出す、残りを健保と国保のほうから分担をさせて持っていこうという案を考えていろいろやったのです。そのときに健保と国保の所得水準の比、これは組合健保を含めてですが、国民健康保険、被用者保険、双方の大体その標準報酬や所得を考えて老人保険に負担をさせる割合をどう考えようかといっていろいろ計算をしてみたときに、大体二対八か、あるいはひどくとも三対六だろう、こう考えたわけであります。その辺の見当からいうと、開きを多く見ても二対八以上ではないと私は考えておるわけです。そうすると、事業主の分はあれしても、いま五%と四割五分の負担の違いですから、健保は一割くらい——何か社会保険審議会のあれを見ましたら、そういう被保険者側から意見が出たように特に書いてあります。私はやはりこの五%ではどうも均衡を失するのではないか。厚生省はほんとうに理論的に妥当だと考えておられましょうか。私は、時間がありませんからあらかじめお伺いしておいたのですが、国民総医療費一兆八千億、その中で国が負担している医療費はどれくらいあるか。四千八百億あります。そういたしますと、約二六%になるわけであります。これは生活保護から何から、医療扶助、全部入れてであります。そうすると、国民全体の総平均、国がいま医療費でめんどうを見ている総平均は二六%。約三割近く国がめんどうを見ているわけであります。そうすると、健康保険の対象が零細企業という点から見ると、五%ではやはり少し少ないのではないかなという判定を与党としてもどうもせざるを得ないわけであります。この点、大臣はどう考えられますか。率直にひとつ簡単に……。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 そう簡単にも答えられないのでございますが、とにかくいままでは政管健保にもこの数年間二百二十五億円という握り金、定額しかくれなかったわけでありますので、医療費のほうは、先ほども御議論がございましたように、毎年伸びますので、だんだん医療費総額に対する二百二十五億の割合が減ってしまって、おそらく昭和四十五年度も三%ちょっとくらいに減っております。そこで私は、思い切って大蔵大臣に、ひとつこれを定率にしてほしいということを申し入れをいたしました。(小沢(辰)委員「経過はいいのです、ずばり……」と呼ぶ)そこで、それは非常な進歩であって、そのときに私はある率を吹っかけたのですが、これはまあ……。しかし、これはやはりいままでたまっておるところの二千億近くと、昭和四十六年度を通じてたまるであろう一千億近いものを入れますと三千億の赤字がたまりますので、それを全部やはり一般会計で大蔵大臣に背負ってもらうことにいたさなければならないという点もございまして、結局足して二で割りまして五%、こういうようなかっこうをとりました。  しかし、これは定率でありますから、今後二十一世紀まで同じ定率でいくというものではございません。私も与党の一員でございますから、行政大臣ではありましても与党の一員でございますから、小沢さんの説には全く賛成でありますので、できましたならば、私はあなたの説に近寄る努力をぜひ達成させてもらいたいと思います。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 少なくとも、今度の改正案を見ますと、いい点が二つあるという世間の評判であります。一つは老人の医療費負担を軽減して、家族の老人については七割給付にする。それから、退職者に五年間は——いま当面五年間なんでしょう。これは抜本改正の一環だといっているのですから、一環ということは、平たく言えば、一歩か二歩前進のための根本対策の考え方を一歩でも二歩でもその中に入れたんだ、こういう意味だと思うから、したがって、退職者の医療についても、今後はこれを五年といわず、相当長く考慮をしていかれるつもりがあるのだろうと思いますから、この二つについては確かに善政の一つであります。  しかし、私にはいろいろ意見があります。国庫負担だけ考えても、この面の退職者の——本来自分が使ってない人たちであります。もう事業主としては縁のない人であります。被保険者も、自分たちの先輩であっても自分たちとはいま関係のない人であります。その人が平均の保険料ですから、とにかくいわば医療費の——いま保険料の状況を見ますと、皆さん方の資料によれば、大体保険料ととんとんぐらい医療費だけに一年間使ってしまうわけであります。四十五年度なり、あるいはこれは決算がまだ出てないのでどうかわかりませんが、四十六年になると、医療費自身、現金給付を除いて、傷病手当金とかそういうものを除いて、医療費だけでもその保険料とつじつまが合わない。そういうときに、やめた人にもなおかつこの恩典をやろうとしている。政府の根本的な赤字対策もできないのに、いいこともやろうということでお出しになった。ところが、その面でも国庫負担は五%ですね。それはちょっとおかしいじゃないですか。本来事業主が金を出し、被保険者と折半して金を出すのをたてまえとする医療保険ですよ。やめていっている人、関係のない人を事業主が負担をしていかなきゃいかぬ。平均保険料だけでがまんをして、その差額は負担をしますよという善政のわけですね。みんなで納得をすれば、これはもう先輩に対するいままでの非常な長い間の貢献に応じて、これをひとつあれしましょうという気持ちですよ。みんなが負担してあげましょうということだと思うのです。これも残っている者と同じ国庫負担が五%であっては、一体合理的なんだろうかという疑問があるわけです。健康保険に対して、もしいろいろな理屈から五%というものをはじいてくるのならば、保険制度がこれだけの負担をしょい込むわけですから、政府の案に従って、保険者のほうで、あるいは被保険者のほうで、事業主のほうで負担をしょい込むわけです。そうすると、その分の国庫負担はよけい出してあげますよというならまだわかります。みんなそういうものを含めて一律五%でありますから、したがってまだ問題がいろいろあると思うのです。また、先ほど有馬君が言ったように、老人保険についてはもっと私どもの政党は、自民党は、先週も画期的な対策を決定をいたしました。老人保険については無料化を必ず三年以内に実行するという決議もいたしました。そういうようなときでありますから、小委員長もここにおられるわけですが、そういうようなことでもありますから、むしろ私は、ほんとうに健康保険の改正をおやりになるなら、抜本改正というような一環だ、とか二環だとかいうお話をやめて、ほんとうにいま困っているのだ、まずこの財政の健全化の見通しを立てないと根本的な問題まで全部入っていけないのだから、これはどうしてもやっていかなければならぬという意味で、いろいろ整理をしてお考えになったほうがよかったんじゃないかという反省をいたしておりますが、ともあれ国庫負担については、ひとつ皆さんのほうでよく考えていただいて——どうもいまの五%ではあまりぴんと来ない。理屈があれば別ですけれども、なかなかいい理屈がなさそうでありますし、大臣、いろいろ考えておいていただければありがたいと思っております。  それから、一部負担の問題なんですけれども、大臣、私は一部負担というものについて最近非常に矛盾を感じつつあるわけです。一部負担というものはどうしてやるのか。元来社会保険、健康保険というのはナショナル・ヘルス・サービスではない。保険制度というものによってやっておるわけなんです。相互共済制度である。自分たちが、疾病という保険事故が起こったときにそれを担保するために、みんなで掛け金を出し合ってこの保険をやっておるというのが基本の精神だと思うのです。そうすると、保険事故たる疾病が発生したときに、そのためにお医者さんに行くのに、まださらに負担をしなければいかぬというのはやはり矛盾だとお考えになりませんか。私はどう考えても、どうも最近——前は私は、一部負担は、これは利用者が受益者負担として、本来なら保険料をもっと上げなければいかぬのに、保険料を上げるとみんなが負担しなければならぬ、総体が負担しなければいかぬ。ちょうど運賃みたいなものです。鉄道に乗る人と乗らぬ人があるのだから、国民の税金から出せという野党さんの議論もあるけれども、それよりもやはり利用する人——隣のうちの人は一年に一回も東京に行ったことがないのに、全部同じ税金で運賃を負担するというのはおかしいじゃないか。やはり乗った人が乗るつど負担をするほうが合理的だということは確かにそのとおりであります。ところが、この医療保険というものは、病気になったときを担保するためにみんなで出し合って、あらかじめ保険料を出し合っておくわけですね。そうすると、保険事故というものは疾病なんですね。そうすると、医者に行くときに金を取られるというのは、やはり被保険者はなかなか納得しないと思うのです。理屈もちょっとおかしくなる。そこで一体どう考えたらいいだろうということなんですが、しかも部負担の拡大というやつをおやりになっておられますから、したがって私は、それがほんとうにいままでのような程度のものであれば、これは全体の運営を正常にといいますか、みんなのために若干そういう要素が入るのだという程度で説明できるかもしれませんけれども、今度は再診のたびにずっと負担が生じてくる。額の問題じゃないですよ。そうすると、やはりどうも矛盾といいますか疑問に突き当たらざるを得ないわけでございますが、この点はどうお考えになりますか、簡単にひとつ……。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 小沢さんのように考えられて私どもに説明を求める国民が非常に多いわけで、あなたのお尋ねまことにごもっともですし、おっしゃる限りにおいては、私もあなたも同じ国民としてよくわかります。しかし、医療保険には、金額は別といたしましても、同じ保険料をかげながら十割給付の方もあるし、また五割の給付の方もあるわけだし、またさらに、小沢さんや私どものように、せっせと保険料だけはかけましても、おかげさまでからだがじょうぶのために一向医者のごやっかいにならない人々もございまして、そこで医者にかかられる方々の分をわれわれが出しているわけでありますが、やはり多少十割完全給付の方々については——家族は十割給付じゃありませんから問題外でありますが、十割完全給付の方につきましては、多少一部の再診料を負担していただいたほうが、負担の公平感というところからよかろうではないかという着想のようでございます。御承知のように、以前は一部の薬代について負担を設けたことなどもございますが、それがやめになっておるというようなことも考え合わせますと、私は、あなたのお話が国民の多数の考え方であるというならば、私どもがこれを説得することがむずかしいことも告白せざるを得ないと思います。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 時間がありませんから次に入りますが、弾力条項の問題ですが、過去三回か四回保険料自身の改定が、最初の保険料はたしか千分の四十、そのときの弾力条項といいますか、条項ということではないのですが、前後五ずつ、下は三十六、上は四十四、大体そんな一割のフレがあったと思うのですね。基準から考えると大体一割。それからその次はたしか千分の五十であった。そのときもやはり前後一割でありまして、五十五までは場合によったら政府ができるようになっておった。下は四十五。その次はたしか六十について、そのころから今度は変わってきて、数えがいいということなんでしょうが、一割ということになると六十六なんですけれども、上のほうは六十五だったと思います。私が健保の問題を担当したときはたしか六十五であったと思います。下のほうは五十五ということで、基準をきめてその一割が大体フレであった。今度はえらい弾力条項をつけて一割以上にされた。保険局長、これはどういうことですか。

戸澤政方厚生省保険局長

○戸澤政府委員 お話しのとおり過去において料率四十のときに弾力条項が一割というそういうようなことでございまして、その当時の医療費の状態から見て一割程度の弾力条項であったのでございますので、最近のような非常に医療費の増高傾向が著しいときにおきましては、その程度の弾力条項では調整の機能が少ないのではないか、やはり十くらい幅をあけておかないとこういう調整的機能を果たせないということでしたわけでございます。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 いままでずっと大体一割以上になったことはない。この前のときは一割でない、約八・何%くらいですね、弾力の持っておった幅というのは。今度は一割以上にされた。それは医療費の増高をいろいろ考えてくると、どうしてもこれくらいの幅は持っていたいと、こういうお話であります。しかし、やはりこれはいろいろな点で考えてみると、国庫負担とのからみ合いも出てくるでしょう。ですけれども、事業主と被保険者に負担をさせて——この健保の問題でいろいろ議論が出るのは、これは組合と違って、政府が責任を持って運営しているからなんですね。運営している側に、健保を健全なる——先ほども有馬君の質問のときに野党側から不規則発言があって、だれが今日のようにしたんだというやじが飛びました。そのように、健康保険というものは自分たちのものなんだ、自分たちがほんとうに大部分の金を出しているのですから、そういう意識を持てばいいんだけれども、政府管掌で政府がやっているがゆえに、政府がやっている保険なんだという観念を持ちやすいわけであります。一方、そこへもってきて九五%、ほとんど大部分は自分たちが出し合っているんだ、国はたった五%じゃないか、しかるにその国に千分の十という、いまだかつてなかったほどの大きな幅の弾力の点を法律で全部委任してしまっておいて、そして、どうぞけっこうでございますと言えと、こういうわけです。これは少しあれじゃないか。何かいままでの慣例で、いままで六十のときに五のフレがあった、プラスマイナス一割くらいのフレがあったということはみんなも知っているわけです。そういう点や、いろいろ考えると、この点もわれわれとしては、どうもよく見てみるとたいへんだな、少し再検討を要するかなという気がするわけでありますが、大臣のお考えはどうでありますか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 これはまあ私もむずかしい問題であると思いますが、昔がそういう弾力条項がありましたので、昔のことを一応想起しつつ、まあ計算よく七十を八十にするという、これもいますぐするわけではないので、こういうことを前提といたしながらと、そういうことで七十を八十にいたしました。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 最後に、私は時間がありませんから、まだいろいろありますけれども、いよいよこの法案が通らないという場合には、いろいろな面で非常に支障が出てくると思うのです。たとえばいま病院経営はもうたいへんな問題になっております。従業員自身が、これはもう自分たちの問題だというので、病院の経営の改善については非常に真剣に考えておられます。また、病院経営者もそうであります。また、病院の機能が全部停止になったらたいへんであります。そういたしますと、医療費の値上げを考えていかないと、これはもう病院経営は成り立たぬだろう、あるいはまた、お医者さんのほうでも、大臣が薬の問題その他について姿勢を正せば正すほど、開業医の皆さん方は現実にそれだけ減収になっていくことは事実だろうと思うのです。いろいろな面から考えて、また毎年人件費も暴騰する、物価も上がるわけでありますから、開業医の皆さんとしても、医療費の改定をやってもらわなければ、自分たちも物価や賃金の上昇に追いついていけないという悩みがあります。これは当然であります。そうなってくると、医療費の改定という問題はもうすぐ目の先に来ている、大臣の大きな政治問題の一つだと思うのですね。ところが、それは改定をします、それでは全部ここでやりますと、そういうわけにいきません。やはりそれぞれの保険で考えていかなければならぬ。大部分はそうである。そうすると、これが通らぬということになると、私はたいへんな混乱が起きてくるのじゃないかということで、非常に心配をいたしておるわけであります。しかもこの収支の見込みを見ますと、十月実施ですから、かりにこの法案が成立しても今年度は四百億の赤字になるという見込みが厚生省の資料として出ておる。明年度になればこれがゼロになる、ゼロになるけれども、ゼロではだめなんです、医療費の改定がこれには入っていないのですから。そうすると、これはいわゆる保険料の弾力条項なりその他いろいろなものを考えて、そしてこの法案をできるだけ、われわれがここで国民のために、もうあらゆる階層を含めた国民医療のために、ほんとうに与野党がひとつこだわりなく話し合って、法案の成立の方向に向かっていろいろ話し合いを進めて、国民的な合意を得るように努力しなければいかぬというふうに思うのですが、この法案がもし成立しないような場合には一体どういう支障が起きてくるか、これはやはり国民にはっきり大臣から説明をしておいていただきたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 その点、私は全く小沢委員と懸念をともにするものでございまして、今度の健保の改正法案が成立しない場合には、国庫補助の定率化でありますとか、いままでたまっております赤字の政府肩がわりということもできなくなりますし、また収入の増加というものも十分期待できないわけでありますので、医療費の是正というものは当然困難におちいらざるを得ません。そうなると、病院ばかりでなしに、一般の診療所におきましても、スライド制でありますとか、あるいは緊急是正でありますとか、そういう必要も私は当然課題としてあり得るのに応じられない。そればかりでなしに、これは来年以降、引き上げどころではない、一体政管健保の支払いのための資金に窮するのではないか。従来は借り入れ金でまいりましたが、この借り入れの方途が非常にむずかしくなってくることを考慮いたしますと、国民医療の一大問題だと考えますので、あくまでも皆さま方の御理解のもとに、これらについて合理的な解決をぜひさせていただきたいと念願してやみません。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 終わります。

倉成正自由民主党

○倉成委員長 次回は明十八日午前十時理事会十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗