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65回国会衆議院1971/05/07

社会労働委員会 第20号

発言数
163
登壇者
8
会派数
2
開催日
1971/05/07

会議録

倉成正自由民主党

○倉成委員長 これより会議を開きます。  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 厚生年金の審議については、各委員から各般にわたり質問がございました。多くを尽くされておると思うのでありますが、私は委員の質問を受けまして、厚生年金法の持ついわば基本的な立場に立って若干の質問をいたしたいと思います。  言わずもがなですけれども、厚生年金は、日本の社会保障制度の中において大きな柱が幾つかありますけれども、その中でも二つに大きく分けてみますならば、いわゆる生活保障、所得保障、これと医療保障と二つ並んでおります。その中の所得保障の一つの重要な柱、しかも年金、共済等、いろいろな所得保障の法律規定がございますけれども、その中でも厚生年金は、いわば母法という形でもって他の法律の基礎的な要件を整えておると思っておるわけであります。  しかし、いろいろといわれておりまするように、この厚生年金がまだ、所期の目的であるところの所得保障の柱とし、いわゆる国民生活をささえる重要な基本としての役割りを十分果たしていない、こういうようにいわれておるわけでありまするけれども、大臣もそういう認識に立たれておると思うのでありまするが、この厚生年金がいまだ十分な体制に立ち至っておらない要因というものは一体何であると大臣はお考えでございますか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 厚生年金あるいはまた国民年金等の制度が、老後の所得保障のための大きなささえとして私どもはこれを育成をしていくべきだということにつきましては、ただいまの田邊さんの考え方と私どもは全く同一でございます。しかし、現在におきましては、国民年金はもちろんそうでございますし、また厚生年金におきましても、戦後これが再整備をされました後まだ十分の年数がたっておりませんために、私どもが所期しておりまする年金の効果が成熟した形において実現をされておりません。二万円年金と申しましても、現実には二十年余りたって退職をされた方々が年金受給者のすべてではないというような関係もございまして、年金受給額が二万円をかなり割り込んでいるというような状況でございますが、これは今後五年、十年後におきましては、この制度が成熟するに伴いまして、私どもが期待をいたしておる所得保障としての年金制度の効果も十分あらわれてくるものと考えます。  しかしながら、他の反面におきまして、人口の老齢化現象というようなものも進んでまいりつつございますし、また、家族制度の変動等による家族の老齢者に対する扶養意識というようなものもこれまた変化を見つつありまするし、また今日、物価、生活水準等におきましてもかなりの変動がございますので、私どもは、これらのことを念頭に置きながら、国民年金、厚生年金等におきましても、いまのあり方をさらに充実拡充をすべきであるという考え方に立っております。でございますので、厚生年金につきましても、御承知の財政再計算期ごとに給付金の金額あるいはそれに伴う掛け金の金額等の大幅な改正をいたしますほか、財政再計算期の中間的な時期もできる限りとらえまして、そういう時期に生活水準の変動、物価の変動等に応ずる厚生年金の是正ということもやりまして、年金水準がベースダウンにならないようなことをすべきであると考えまして、今回の厚生年金法の改正も提案をいたしておるわけであります。  さらにまた、法律上の財政再計算期も少なくとも五年ごとにとなっておりますので、この五年をでき得る限り縮めてまいる、ちょうど昭和四十四年度が第二回目の財政再計算期に当たっております。したがって、次の財政再計算期は、法律の文字どおりにまいりますと四十九年ということになりますけれども、私はそれをさらに前のほうに繰り上げて、財政再計算の機会を早めて、その機会に年金制度の充実ということにつきましても一歩を進めてまいりたい、こういうようなことを考えつつ、田邊さんのおっしゃるように、私は所得保障としての年金制度の充実をいろいろな方法ではかってまいりたい、かように考えるものでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま大臣から、るるとして、現状を踏まえて今後の改善に対する考え方が述べられましたが、私は、その考え方はその考え方として当然なことだろうと思います。ただ、厚生年金が所期の目的であるところのいわゆる所得保障としての役割り、その中心的な柱としての位置づけを十分果たしてないという中には、私はいままで政府——政府ばかりでなくて、為政者たる者全体が、この年金というものが国民生活を、老後の生活なりあるいは障害等におけるところの生活を完全に保障するという、完全にまかなうという、そういうたてまえというものが貫かれておらなかったのじゃないかと思うのです。もちろん、まだ成熟をしてない、過渡的な条件下にあるという、そういうお話はありました。しかし、やはり何か補完的な意味でもってこの問題をとらえて、国民年金は特にそういう色彩が非常に強かったのですけれども、厚生年金についても、いわばそういう補足的な意味においてこの問題をとらえてきたというところに、私はいままで厚生年金が所期の目的を十分達成できなかった要因があるのじゃないかと思うのです。この際私は、国民生活をこの年金制度によって完全に保障するのだ、憲法の精神に基づいて生活はこれによってまかなうのだ、こういうたてまえというものが貫かれていかなければならないのではないか、こういうように思うのであります。過去を振り返って、そういう考え方というものが完全に払底できておらなかったのじゃないか、私はこういう気持ちがするのですけれども、その点はいかがでしょうか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 率直に申しまして、その点におきましては、田邊さんのお考えになられるところまで、年金のあり方ということにつきまして私どもも踏み切っておらないところが多少ございます。しかし、これは今後の大きな課題であることを私は否定をいたしません。現状におきましては、年金というものは、年を取って稼働能力に欠損を生ずる、その欠損を年金でできるだけ補てんをしてまいる、したがって、生産年齢人口の範囲におりました当時の所得に対しましてその何十%か、たとえば三〇%とか三五%とか、あるいはまた、これは今後の考え方の変遷もあると思いますが、夫婦二人として計算しました場合には、稼働しておった時代の所得に対しまして五〇%にするとか六〇%にするとかというような、そういう考えのもとに今日の厚生年金制度というものは現状においては置かれておると思います。  外国の制度などにつきましても、おおむね私は同じような考えではなかろうかとこれまでのところは考えておるわけでございまして、外国の制度でも、若いときの働き盛りのころの所得に相当するものを年金をもって置きかえるという考え方ではなしに、やはり働いておった時代の稼働所得の何十%というようなものを年令をもって補てんをしていくという考え方のように見ております。  ただ、割合のとり方につきましては、各国多少の違いがあるようでございますし、また、夫婦で配偶者に対する処遇を年金上どうするか。わが国の厚生年金では、配偶者加算としてわずかに月千円しかのせていないというような状況でございます。国民年金では、御承知のように夫と同じ資格で加入をしていただくというようなことになっておりますが、外国の厚生年金では、配偶者に対する処遇についてやや日本と違った面があるようにも見ておりますので、このことにつきましては、今後十分研究をしてまいる所存でございますが、いまのところはそのような考え方、つまり本人の貯蓄というものもやはりでき得る限り働き盛りの間にしていただく。貨幣価値の減耗等の問題も別にございますけれども、また、家族の扶養というようなものも全然ないものとして抹消してしまうこともいかがかなという面に多少割り切れない面が残っておりますが、これは年金による社会保障というものに対する今後の考え方の変遷もあることでございますので、私どもはその考え方にいつまでもスティックするという意味ではございませんけれども、いまの制度はただいま申し上げましたようなことになっておると考えます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま大臣が言われたようないままでのプロセスは、私どもも十分踏まえて今後の充実発展を願わなければならぬと思いますが、この年金制度というものが、完全な意味においてその目的を達成し得なかったもう一つの要因は、これはやっぱり一つの保険主義にとらわれ過ぎてきたのではないかと私は思うのです。日本の社会保障の柱は社会保険が主でありまして、厚生年金も一種の保険的な性格を持ってきたわけですけれども、これにこだわり、これによるところの財政的な調整というか、そういうたてまえをくずしたくないという考え方というものがあまりにも前面に出過ぎておって、そのことが、本来の意味におけるところの社会保障としての役割り、所得再配分の役割り、そして年金をもって老後の生活なりあるいはいわゆる欠陥のある生活を、完全な意味において保障するというたてまえが貫かれ得なかった一番大きな要因であるのじゃないかと思うのです。このことは一つの論争になる点でありますけれども、やはり、あまりにも保険主義というものを前面に出して事の処理に当たるという考え方については、だんだん是正をしていく必要がある、そういうような時代になってきたのではないかと私は思うわけであります。これは大臣も合意されると思うのですが、いかがですか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 社会保険でございますので、やはり保険料の納付ということを前提として給付金の計算等もいたすわけでございますが、私は社会保険という意味の社会という字は、やはり社会福祉とか社会保障とかいうことにつながることばのようにも思いたいわけであります。したがって、本人の掛け金等を基礎とする長期計算ばかりでなしに、国費あるいは公費等によるこれの補てんということもかみ合わせていってしかるべきだと思います。現状におきましては、年金給付額の二〇%を国軍が負担するという制度になっておったと思いますが、これも二〇%がいいのか、あるいはさらに、年金等に対する意識の進展あるいは政治の進展等と並行いたしまして、この率というようなものも永久不変のものではないと思います。これが将来増加をしてしかるべきだというふうに、政府を含めて社会的の意識が強まってくる時代も来るのではないかとも私は考えるものでございます。  さらにまた、御承知の、国がやっております厚生年金との関連におきまして、これは企業による一種の企業保障と申しますか、あるいはこれは雇用政策にもつながることかもしれませんけれども、厚生年金基金というような制度がございますことも御承知のとおりでございまして、これらにつきましても発展の方向も見られているようでございますので、両々相まって厚生年金の充実、また、いまお話がございました保険主義以上のものがそこに加わってくる要素も、今日私は発展しつつあることも認められるようにも思うところでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 時間がございませんから前へ進みますけれども、私はやはり全体的な認識が、これは政府ばかりでなくて、国民の認識も含めて、年金というものに対する考え方がまだまだ十分でなかった、最近とみにこれは高まってきた、こういう要素もあると思うのです。そういう中で、さっき申し上げた所得保障、その中の年金保障、それともう一つの柱である医療保障等のいわば国の負担額なりあるいは国民所得全体の割合、こういった面から見て、まだまだ年金部面が非常に少ない。外国のようにフィフティ、フィフティという状態をわれわれは早くつくり上げなければならぬ。日本の場合は、医療保障に全体の金額からいえばかなりの部面をいま占めている。これは医療保障が金がかかり過ぎるという部面もありますけれども、それだけでなくて、年金に対する考え方がやはり非常に浅かった、いわばこういうことに由来をするのじゃないかと思うのでございます。そういった点から、厚生大臣などが医療の問題だけに何か頭が先走っているということは大いに慎まなければならないのでありまして、将来の所得保障、年金保障、こういった面に対して国の役割りというものもさらに拡大をする、私はこういう認識に立たなければならぬじゃないかというように思うのでありまして、国民年金法や厚生年金法の審議などというものは、いわば国会における大きな柱にしていかなければならぬ、こういうように思っておるわけでありまして、ひとつ十分な認識をいただきたいと思うのです。  これは単純な形じゃありませんけれども、一体医療保障と所得保障というものは大体どのくらいの割合までいけばややいまの欧米並みの状態になる、こういうふうに御認識でありますか。簡単な形でけっこうですよ。私がさっき言いましたような形で、いまあまりにも差が大き過ぎる、これはもう少し是正しなければならぬ、こういう抽象的な答弁でもけっこうでありますけれども、いずれにしてもそういう方向に行かなければならぬ、全体の割合からいって。一方を減らすべきじゃありませんよ。そういうふうに常識的にいえるんじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 おっしゃるとおりだろうと思います。これは先ほど来のことを繰り返すわけではございませんけれども、一つにはやはりわが国の年金制度が発足後日が浅いので、未成熟の段階にある。これが成熟した段階におきましては、医療保障とかなりのバランスもとれてまいることと思いますけれども、しかし、やはり社会保障の二つの大きな柱は、生活保障、所得保障、それから医療保障ということでございますから、その間、外国などの例をも参照しながら、国民の側からごらんいただいてもバランスのとれるような状況でなければならないと思います。今日におきましては、たとえば厚生省の予算を見ましても、予算総額一兆三千億くらいの中で、医療保障に対する国庫負担額は、四、五千億もそちらに国庫補助の形で予算がいってしまいますが、厚生年金、国民年金に対する国庫負担というものは二千億くらい。つまり、国民年金と厚生年金とは、国庫補助の方式が違いまして、一方は保険料をかけるときに国庫が負担しますし、他方は年金給付のときに国庫負担をいたしますし、パーセンテージなども違いますが、その両方を足してみましても、千八百億か二千億くらいになるんじゃないですか。しかるに、医療保障のほうは五千億くらいになっているという状況を見ましても、そこにアンバランスがあるものでございますから、私が、まあ野党の皆さま方からは御批判をいただきながらも、健康保険のことにつきましては、これも社会保険でございますので、医療需要の増高に見合う医療保険の収支等のあり方につきましても、新しい考え方を導入すべきだということで、今回も健康保険法の改正を提案をいたしておるということは、その方面の考え方も一部は出しておるつもりでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 後半の考え方については賛成できませんで、医療に金がかかる要因については、私はまた別に論議をいたしたいと思うのであります。いずれにいたしましても、そういうことで年金制度の充実が急がれておる。特に近来、やはり大臣が言われましたように、人口の老齢化、扶養意識の著しい変化、そしてまた年金で老後の生活は営むべきであるという国民の要求、そういう時代の要請、こういったものが、年金制度の充実を急がれる大きな要因としてクローズアップされてきたと私は思うのであります。そういう中で私は、厚生年金の持つ性格について、この際やはり振り返ってみる必要があると思うのです。  一つには、いまの各種の年金、共済というものが非常に分立をしていると思うのです。また、その年金、共済制度自身が、保険料をとってみても、共済の八十八、厚生年金の六十二というように、これは掛け金がまちまちであると同時に、年金額もまちまち、支給開始年齢もまちまちという状態でありまして、こういう各種の年金、共済制度が分立をしているという状態で、国民の受けるところのいわば恩恵といいましょうか、権利といいましょうか、そういったものも非常に違う。これは医療保険制度もそうですけれども、そういった点に対して、やはり今後の発展の過程の中では、当然この年金、共済制度のあり方について考えを及ぼしていかなければならない、こういうことがあると思うのですけれども、これに対しては一体どういう考え方を持っていらっしゃるのですか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 年金制度はタイプが幾つもありまして、私が承知いたしておりますところでも、恩給のほかに八つの年金のタイプがございます。ことに共済組合の長期給付の仕組みは各種の職場のタイプごとにできているというような状況もございまして、ただいまのように御批判もこれまであるところでございますので、できるならばこれをもっと単純な形に一本化してまいる。掛け金にいたしましても、給付開始年齢にいたしましても、給付金などにいたしましても、共通のベースに立った一つの行き方であることが望ましいと思いますけれども、しかし、各種の年金制度がそれぞれの理由と沿革をもって今日まで発展いたしてきておりますために、なかなかこれの一体化ができない面もございます。  これは主として雇用政策とかあるいは今日の社会福祉とは違った意味の、長年働いた人々に対する報償というような意味などもあって、私は、恩給のごときはまさにそういうところから起こってきているようにも思いますが、それらの沿革の問題もございまして、なかなか一本になりません。今日でも、これらを担当する関係各庁の職員が総理府のもとで年金制度調整連絡会議というようなものをつくりまして、たびたび会合をいたしまして、御趣旨にありましたような点につきましての検討を進めてまいりました。今日まででき上がったものは、御承知のとおり、ある種の年金相互間の通算制度でありますとか、あるいは最低保障の制度でありますとか、限られた事柄だけでございますけれども、これはそれだけにとどめることなしに、今後、御提言がありますような方向に向かってさらに私どもは、これの合理的な調整、できれば統合ということの検討も進めてまいるべきであると思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 このことについては、私は機会を改めてもう少し論議をいたしたいと思うのでありまして、確かに沿革もありますし、また、いわば戦争を契機とした一つの全く新しい社会体制が生まれたということもありますし、あるいはその中には、軍人恩給等のように戦争という惨禍を経た者に対する特殊な性格を持つものもありますし、それからまた、いわゆる文官優先という考え方が恩給から共済へと流れて、これが民間の年金制度よりも一歩も二歩も先がけている、こういうこともあります。しかし、それぞれの制度には伝統もあり歴史もあり、また持つよさもあります。特色もあります。したがって、それらをただ単に平均化することがいいとは私も考えておりませんけれども、しかし、国民の側から見た場合には、額の問題にしても、あるいは開始年齢の問題にしても、それからその中の長期、短期の持ついろいろな恩典にいたしましても、これらについてやはり差別があってはならない、私はこういう基本的な考え方ですから、そういったことを踏まえながら私は、これに対するところの抜本的な改革というものが将来の課題として横たわっているのではないか、こういうように思っておりますので、ひとつ十分御賢察をいただきたいと思っておるわけであります。  そこで、年金については、厚生年金をいわゆる二万円年金と称して、ようやくこれが国民になじまれるような状態になってきた、こういっておるのでありますが、さらに今回一〇〇%の引き上げを政府は提案してきておるのですけれども、これには一つの定見というか一つの考え方の基礎というものがなければいかぬと思うのです。生活保護基準のときにわれわれはいつも論議するわけでありまして、一三%、一四%の引き上げがあるけれども、バナナのたたき売りみたいに、厚生省は二〇%、一七%を要求するが、大蔵省に削られる、その中間をとって保護基準がきまる、これが一体憲法に許されている生活かという論議が実はあるわけであります。年金も、いま批判をしながら質問をいたしましたように、当然保険主義のたてまえといろいろな要素が実はからみ合っており、そのために財政上のいろいろな問題もありますし、それからまた、いままでの積み重ねもありますから、にわかに一定の基準なりが設定できるというふうには私ももちろん考えません。しかし、現状の中で老後の生活、これは特にいわば老後の生活を保障するという部面における年金を主として考えるときに、一体どの程度がまあまあこの辺でもって適当なりというふうに考えられる線なのか、これは生活保護基準とのかね合い、それから一般の生計費の水準とのかね合い、こういった面から見て、一体年金の額というのはどの程度が現状としては老後の生活を営むに足る、生活を保障するに足る年金額であるか、そういったことをお考えになったことはございませんか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 これは、先ほども田邊さんと御論議をいたしました点に関連をいたしますが、いままで私どもがとっております考え方は、年をとってまいりますと所得の稼働能力がいろいろの面で落ちてまいりますので、また扶養意識の変遷等もございますので、そういう欠陥分を年金で補てんするという考え方に立っております。つとめ先をやめてしまうとつとめ先からの収入がなくなりますから、それにかえて毎月の必要な生活費の全部を年金で見るという考え方には立っておらないわけであります。補てんをする、こういう意味でありますので、したがって、たとえば定年でつとめ先をおやめになる、あるいは自営業者が自営業をみずからやめてそして隠居されるといったような場合には、従来の所得よりも年金収入のほうがある程度少なくなっているような状況でございます。これは各国の状況もそのとおりでございますので、お答えと少し向きが違いますけれども、大体の諸国で年金というものは働いているときの所得に対してどのくらいの割合であるか、日本はどうかというようなことを簡単に政府委員に説明させたいと思いますので、お聞き取り願いたいと思います。

北川力夫厚生省年金局長

○北川政府委員 ただいまの従前所得と年金額との関係でございますが、わが国の場合で申しますと、大臣から申し上げましたように、また先生からも御指摘がございましたように、年金そのものの未成熟という関係もございますので、最近の現状では、平均いたしまして次のようなことでございます。  つまり、昨年九月末現在で、対製造業賃金比といたしまして、老齢年金額の全受給者の平均が一万四千百円で、二五%となっております。この額はいま申し上げましたように、未成熟というような要素が織り込まれておりますこと、すなわち被保険者期間が特例的に短くなったようなものも含んでおるわけでありまして、同じ段階で九月新規裁定分の中の被保険者期間二十年以上の者の年金額をとりますと平均一万八千三百七十六円でございまして、これは先ほど申し上げました対製造業賃金比にいたしますと三二%ということになっております。  このことと諸外国の例を申し上げますと、たとえばイギリスでは、単身者の場合にただいま申し上げました比率で二〇%、夫婦で三二%、スウェーデンの場合には単身で二七%、夫婦で四一%、西ドイツの場合には若干仕組みが違いますけれども、この数字が三六%、あるいは六二%というような数字でございます。  ただ、諸外国の場合におきましては、先生御指摘のように、支給の開始年齢がわが国の厚生年金保険に比べましておおむね六十五歳というものになっておりますので、こういった支給開始年齢の差異というようなこと、さらに実際に負担をいたします保険料の差異等を考慮いたしますと、しばしば論議されておりますように、一応制度上はただいま例にあげました先進諸国と大体比肩し得るようなレベルにほぼ近づきつつあるという状態がこの数字からいえると思います。問題は、いま大臣も申し上げましたが、今後このようなベースについてどのような形でこれを底上げするか、また、きわめて未成熟な段階にある成熟の度合いをどのように深めていって、年金の質、量の充実をはかるかというようなそういった問題が今後の大きな課題だと思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 これは実はいろいろと論議がありまして、厚生省で出しておる厚生白書を見ましても、年金額についてはかなり欧米並みになったようなことがいわれておるのですけれども、いま局長が言われておりましたように、支給開始年齢なりあるいはまた賃金の額自身の問題なりと比較をして、わが国が欧米先進国に比べてかなり肩を並べるまでに至ったという、こういう考え方はとるべきでないというふうに私は思っておるわけであります。ましてや西ドイツの五〇%、イタリアの五四%、フランスの四三%、スウェーデンの四一%等に比べて立ちおくれを来たしておるということについては言わずもがなでございます。  さらに考えられるのは、大臣も言われましたように、雇用政策と関連をして、いわば六十歳なり六十五歳になってもそれに適した職業があり、年金で暮らすのか、あるいはさらに老人に適した職業を選んで働いていくのかということに選択権を国民自身が持っておる、こういう国に比べて、わが国の場合は比較にならぬほど老後における生活の保障がない、こういう状態もわれわれとしては当然考えていかなければならぬことでありますから、にわかに何かこれによって相当なレベルまで達したようなそういう単純な考え方を持つことについては、一考を要すると私は思っておるわけであります。さらに今後の努力を必要とするというふうに思っておるわけであります。  そこで、スライド制の問題もあります。これは各委員から十分言われたことでもありますので言わずもがなでありますが、私は時間がありましたらこの問題を最後にまたとらえたいと思います。  そこで、これは大臣でなくてけっこうでありますけれども、さっき申し上げたように、年金がいわゆる保険主義をとっておるということに対するいろいろな批判はありまするが、一応現状の中ではそういったことがいわれておるわけでありますけれども、そこで年金の積み立て金についてわれわれとしては考えを及ぼしてまいる場合に、この積み立て金がすでに四十五年度末累積見込みが四兆三千九百八十九億円という膨大な額になっておるわけでありますけれども、これに比べて給付はまだまだ少ない、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。  そこで、この積み立て金は、今後言うなれば年金の加入をする人の伸び、それから賃金、すなわち標準報酬に直した場合における掛け金の伸び、それと今後における賃金引き上げの予測、こういった面から累積はかなり増加をすると思うわけであります。この積み立て金が過去の統計からいって増加をする割合というもの、それと今後の年金支給額の増加する割合、年金の伸びあるいは年金額の増大、こういった面との比較は一体どういうふうになるものでございましょうか。これにはもちろん前提となる老人人口の今後の状態というものが加味されなければなりませんので、老人人口の増加傾向について四十四年の七百万、いわゆる六・九%というものが今後一体どういうふうになるのか。七十年には大体六十五歳以上と六十四歳までの人の割合というのは、いまの一対十から一対六ぐらいになるだろうといわれておるわけでございまするし、それから退職後の生活、これがいまこの厚生白書をもととして見ますると、男子の場合は十八年、女子の場合は寡婦としての九年を含めて二十七年が、退職後の生活の一つのモデルとしていっておるわけでございます。それから、老齢者の世帯というものはどういう増加をするのか。すなわち、いわば扶養意識の変化等によって今後老人に対するところの扶養というものがどういうふうに変わってくるのか、こういったことにもなってまいりまするし、寿命等の状態とも関係がございまするから、いわば年金にたよる部面というものがどういうふうに変わるかということも、一つの基礎条件としてわれわれとしては見ていかなければならない要素だろうと思います。  いずれにいたしましても、大体いま私が申し上げましたような掛け金の増大や加入の増大あるいは定年の延長、それから定年後の生活の期間の変化、こういったものからくるいわば積み立て金の増大と給付の増大の割合というものは一体どういうふうになりますか。現状はどうですか。いままでの状態から積み重ねてきて、現状は一体どういう割合になっていますか。これから先はどういうふうになりますか。どういう見込みになっておりますか。その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。

北川力夫厚生省年金局長

○北川政府委員 何ぶんにも長期の制度でございますし、それから近い将来に急激に受給者がふえるというようなこと、すなわち相当短期間に成熟化の度合いを深めるというようなことが厚生年金につきましては十分に見込まれるわけでございます。しかし、いま申し上げましたように、相当長期を見渡してその辺の見込みを立てる必要がございますので、これから申し上げますような前提のもとに計算をいたしますと、大体次のような見込みになる予定でございます。  すなわち、現在の法律におきましても、ことしの十一月以降は保険料率が二%アップされるということになっております。さらに一応の試算の根拠といたしまして、五十年の四月、七十年の四月というふうな時点をつかまえまして、それ以降については五年ごとに五%、また七十年の場合は五年ごとに一〇%程度の保険料率のアップを保険料の面では見込むというような前提を一つつくりました。それから、賃金といたしましては、一応の見込みといたしまして、定期昇給分についてはこれを見込みまして計算をいたしております。ただ、制度上の給付の改善という問題もきわめてむずかしい問題でございますので、現在の給付水準を維持するという前提に立ち、かつ賃金の定昇以外のベースアップ分は一応見込まない。それから物価の上昇につきましても非常に動態的な要素でございますから、これも計算の根拠といたしましては除外をいたしまして、要するに専門的なアクチュアリ計算といたしましては、一つの静態計算として、最初に申し上げましたようなファクターだけ織り込んで計算をいたしますと、前回もこの委員会で申し上げましたが、昭和九十年の段階になりまして年度末の積み立て金は四十四兆円程度に達する見通しでございます。  ただ、いま申し上げましたようないろんなファクターがございますことと、それから、見込んでないファクターがありますこと、さらにまた、大臣からも申し上げましたように、今後相当大幅な給付面の改善というふうなものを見込んでいかなければならないというような条件は必至でございますから、現にお願いを申し上げております今回の改正にいたしましても、従来のような改正ではなくて応急的な、一種の政策主導的な改正でございますので、そういうものを将来積み重ねていくなり、あるいはまた、先生御指摘のスライドの方向に問題を指向していくなり、さらにまた、先ほど申し上げましたような成熟の度合いを相当なピッチで深めていくなりというような、もろもろのファクターが加わってまいりますと、ただいま申し上げました九十年、四十四兆というこの額は、一応の試みの計算でございまして、現在の段階におきまして、さらに先生が御指摘になりましたような、雇用政策とか定年制の問題とかいろんな問題を織り込んでの計算というものは、現段階におきましてはまだ十分に詰めてないような状態でございます。しかしながら、もちろん大きな改正につきましては財政再計算期に合わせて行なうというようなルールになっておりますから、そういう意味合いで、大体今後の大改正の時期をつかまえまして、いま申し上げましたような大きな改正をやるというふうなことになると思いますので、九十年、四十四兆というこの見通しにつきましては、将来相当ブレが出てくるのじゃなかろうかというようなことが私どもの現在の見通しでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いまいろいろと、要素としてはかなりの欠陥があるのを前提としながらお話があったわけですから、われわれもそういうふうに承知してみたいと思うわけですけれども、そこで年金の給付額は一体どういうふうに伸びていくというように見ておりますか。

北川力夫厚生省年金局長

○北川政府委員 先ほど申し上げました九十年の段階で、四兆七千六百億円というような一応の見込みでございます。  なお、この段階におきまして保険料収入は一兆四千四百億円、このような見込みでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 それではいまの積み立ての累積見込みと給付との割合、その中に占めるところの掛け金の割合、この九十年の場合におけるあなたのいわばかなり単純な見込みの上に立って積み立て金の累積と給付との割合、そのときにおける掛け金の予測、こういったものとの割合は一体どういうふうになりましょうか。

北川力夫厚生省年金局長

○北川政府委員 給付費と年度末の積み立て金の額で申し上げますと、四十五年度末におきましては給付費の合計は千五百十億円でございます。これに対しまして、いまお話ししたとおり、年度末現在の積み立て金は四兆一千億ということでございます。それから保険料収入は、四十五年で五千七百四十億でございます。ちょっと、正確なパーセンテージは計算いたしますが、数字で申し上げますと以上のとおりでございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 大体大ざっぱに見ればわかりますけれども、そこで問題になるのは、積み立て方式というものに対してわらわれは一体これから先どういうふうに見るか、いろいろな民間の保険やあるいは簡易保険等に見られるような方式と、この年金におけるところの積み立てと給付との関係というもの、これは一体どういうふうに踏まえているかという考え方というものを私は確立しておかなければならぬのじゃないかと思うのです。  いわゆる付加方式の問題の論議があったと記憶いたしておりますし、多くを触れませんけれども、そろそろこれに切りかわる問題提起を各方面からされておると思うのでありますけれども、これとの見合いというものを一体どういうふうに見るのか。それから、この膨大な積み立て金の累積に対して、今後一体給付をどういうふうに見積もっていったらばいいと見るのか。これは財政上の健全な運営というものともちろんかね合いがありますけれども、私はやはり——局長はいま大改正、大改正というお話をいたしますけれども、私はやはり大改正というものは、一挙にできるものじゃない、一つ一つの積み重ねが必要である、それだからこそ時代に即応した、小改正であるけれども今回の提案がされてきた、こういうふうに思っておるわけでありますから、そういう将来の考え方と一つのバランスをどこに置くかということに対する考え方というものを確立しておかなければ——私はこれはやみくもにつかみ金でやるわけじゃないと思うのですね。何かあとで話が出ましょうけれども、スライド問題にいたしましても、いわば賃金の上昇、生活水準の上昇、あるいはそれ以外のいろいろな要素が出てきて、そのあとを追っかけるような形でもって年金の引き上げがなされるのでは、私はこれはまさに制度としては立ちおくれである、こういうふうに思っておるわけでございますから、したがって、いま私が申し上げたのも、この積み立て金の累積の問題、給付額、まあ掛け金とのからみも幾らかありますから実はつけ加えてお伺いしたのでありますが、これとのかね合いを一体どういうふうに考えて対処しようとするのか、この考え方をひとつ明らかにしておいていただきたい、こういうふうに思っておるわけです。

北川力夫厚生省年金局長

○北川政府委員 ただいまのお尋ねは、先ほど御説明申し上げました一応非常にシンプルな見通しではございますけれども、相当累積を重ねてまいります積み立て金と、それから将来にわたる給付改善との関係から、そういう積み立て方式ではなくてやはり付加方式のほうに移行すべきではなかろうか、そういうようなお尋ねだと私は理解をいたしております。  これは田邊先生も御承知のとおり、現在の方式は、たびたびの改正によりまして、完全積み立て方式ではなくて、やはり相当な修正を加えましたいわゆる修正積み立て方式でございます。付加方式は、これも申し上げるまでもなく当該年度の収入でもって当該年度の年金給付をまかなうというのが付加方式の原則でございますので、現在の段階を考えますと、非常に年金の受給者数が少なくて被保険者数が多いということで、いわゆる未成熟な段階でございますので、現段階で直ちに付加方式に移行するというようなことになりますと、受給権者が非常に急速に増大をいたしまして、制度が成熟期に入ります段階におきましては、保険料の負担が非常に急激に過重なものになりまして、いわゆる世代間の負担の不公平というようなことが出てまいると思うのでございます。したがいまして私どもは、現段階において、欧米先進諸国にも例を見ないこの急激な老齢人口の進行下において直ちに付加方式というふうなものを取り入れることについては、これは非常に慎重にならざるを得ないという考えでございます。  ただ、しかしながら、この修正の度合いというふうなものをどのように今後深めていくか。言いかえますならば、年金制度の充実、年金制度の成熟化というふうなこととのかね合いにおいて勢いそういう問題が取り上げられてまいりますので、次の相当大がかりな改正をいたします際までに、そういった問題についてどういうような手順を踏んで、給付の面の充実、さらにまた、積み立て金との関連において財政方式についての仕組みの改善と申しますか、そういうふうなことを十分に詰めまして次の改正のための仕組みを考えたい。現在では率直に申し上げましてこのように考えておる段階でございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 これは長期的な展望ですから、いろいろな要素が加わってくることは当然ですけれども、たとえば平均寿命にいたしましても、男六十九、女七十四といっておりますけれども、これも伸びぐあいは鈍化をしてきているのは当然なんですね。それから、景気の変動等もありましょうし、雇用失業の将来の見通し等ももちろんありましょうし、それから、それに加えいろいろな生活様式の変化等も考えねばなりませんけれども、それにいたしましても、やはりこの年金の額、給付要件についてはより改善ができると私は思っておるわけであります。これはいわば年金制度を現状の中でばらして、それでもって一体給付が完全にできるのかどうかという考え方をとれば別でありますけれども、そうでない限りは、私はこれは永遠に続く制度として見た場合に、もっともっと、いわばいまの積み立ての状態の中で給付改善をすることにそれほどの困難性を感ずることはないのではないかというふうに思っておるわけであります。これは欧米諸国等の例を私見ましたけれども、いまの状態に対してより改善をしても経済変動に適応しないことはない、あるいはそれ以外にも国民生活の現状に照らしてみて国民の要求にこたえるゆえんになる、こういうふうに思っているわけでありますから、この点はひとつ、今回の改正においていわば全的に盛られなかったのでありまして、われわれとしては非常に不満でありますけれども、今後十分ひとつお考えをいただきたいと思っておるわけであります。  しからば、年金積み立て金の運用についてわれわれとしては一体どうするのか。積み立て金と給付との問題についてはさらに課題として残るにいたしましても、運用についてはもっと考究をする必要がある、こういうふうに私どもが考えるのは当然だと思うのです。したがって、現在、財政投融資の有力な財源となっておりますけれども、一体これはどのくらいになっておるのか。それから、運用の改善という面からいって当然考えられるのは、いわば積み立てをしている勤労者、労働者の福祉に対して現状の二五%をひとつ改善をする、こういうことに対して一体どう考えておるのか。当然これらについては各種の意見を聞かなければならない、特に審議会等の意見を聞かなければならないということになってまいりまするならば、この審議会に対して運用の民主化をはかる、こういうことに対して一体どう考えるのか。特に積み立ての主体であるところの勤労者の意見を聞く、それに対する意見を聞くための具体的な参加を求めることについて一体どうするのか、こういうことがあると私は思うのです。それからもう一つは、積み立て金運用の状況に照らしてみて、いわゆる労働者住宅や老人住宅の建設に対してさらに考え方を新たにする必要がないのか。  まとめて言いましたけれども、そういったような積み立て金の運用についてわれわれは考えられる各種の意見があると思うのですけれども、この私が代表的にあげました意見に対して、どういうよりよい改善の方向をねらって皆さん方は検討されているのか。ひとつこの際意見を承っておきたいと思うのであります。

北川力夫厚生省年金局長

○北川政府委員 積み立て金の管理運用の問題でございますとか、あるいは将来のワクの拡大の問題でございますとか、確かにいろいろ問題点があるわけであります。年金積み立て金の還元融資につきましては、毎年財投の計画を策定いたします際に、できるだけそのワクをふやすように努力してまいりましたけれども、四十六年度におきましても前年度のワクに比べまして相当な増額でございまして、二千九百四億ということで、二五%のワクに対しまして、さらに五十億を上乗せをして資金量の増大をはかっておるような次第でございます。  それから、この住宅問題との関連でございますが、還元融資の運用面におきましては、申し上げるまでもなく、住宅でございますとか、福祉厚生施設、生活環境施設に最重点を置いて配分をいたしておりますけれども、今日の各種のいろいろな社会条件から申しまして、やはり住宅問題は非常に重要な問題でございますので、年金福祉事業団における勤労者住宅の融資に重点を置きまして、本年度の事業団の事業ワクである七百九十億円を配分をいたしまして、さらにまた特別地方債につきましても、中小企業従業員の住宅整備に七十億円を配分するなどいたしまして、御指摘の住宅に関する被保険者に対する福祉還元というふうなことについて一そうの努力をしているつもりでございます。  なお、この積み立て金の管理運用についての拠出者の意向の反映というふうな問題につきましては、関係の審議会におきましても、また当委員会におかれましても、たびたびいろいろ御意見をちょうだいいたしておりまして、従来からもそういを線に従って努力をいたしておりまするが、現在の資金運用審議会の構成というふうなものも、そういうふうな意味合いからできるだけ、この年金に関する公正かつ十分な学識経験者を委員とするもので構成をいたしておりまして、年金の拠出金に対する意向が反映するようにつとめているつもりでございますけれども、なお今後におきましても、そういう御意思を体しまして、こういう問題については十分ひとつ福祉の増進をはかれるように今後の課題として検討さしていただきたい、このように考えておるような次第でございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 抽象的な答弁で、いわばそういう一般論ではなくて、もう少し実は具体的に改善の施策についてのいろいろな意見を聞きたいと思っておったのでありますけれども、お約束の時間ですから、あまり突っ込んでお聞きでないのは残念でありますが、しかし私は、学識経験者といいまするけれども、たとえば資金運用審議会の委員のメンバーを拝見いたしましても、完全な意味においてこのメンバーだけが、いわば雰細な生活の勤労大衆から積み立てた年金等の資金を運用するためにいろいろと検討してもらう審議会の委員として、まあこれは適格でないと言いませんけれども、万全であるとは私は言いがたいと思うのであります。したがって、学識経験者というそういう一つのワクの中でものを考えることも、これは一つの方法でありましょうけれども、さらにやはりそういった知識なり立場なりというものを広く求めて活用するということは、これは私は当然の成り行きとして必要ではないかと思うのでありまして、資金運用審議会にいたしましても、あるいはまた、具体的に後藤委員等の質問がありました年金事業団の役職員やその他の顧問制度ですか、参与制度ですか等があるそうですけれども、いわばそれらののメンバーにしても、あるいは活用のしかたにしても、私はやはり一考を要するのじゃないかと思うのです。したがって、これは大臣、せっかくあなたはそういった点でいろいろと熱心に検討されてきたわけでありますから、やはりあなたの大臣在任中に、これらの問題に対して一つの口をあけていただく必要があるのじゃないかと思うのでありまして、私はいままでの人が不適格であるとは断じて言いません。もちろんりっぱな方々ばかりでありますけれども、さらに私は目を大きく見開いていただく必要がある、こういうふうに思って、私はここでもってその問題を煮詰めて、たとえば審議会なら審議会の委員だとか、あるいは事業団の役員だとか、こういうことに限定をして考えますると、私はとことんまで実は突き詰めたい気分の男でありますが、そういうことでやりとりをいたすのをきょうはあえて避けたいと思う。ほかの委員からも質問があって、かなりいろいろな意見があったことを踏まえて、なおかつ私は、いろいろと大臣自身でこの面に対するお考え方をわずらわしたいとも思っておる立場から、あえてこれとこれというように限定をいたしませんで実は申し上げていることを御理解をいただきたいのであります。今後について大臣の前向きの改善への努力を期待するという意味で実は質問をいたしておるわけでありますが、いかがでございましょうか、これに対するところの御賢察がわずらわせるものかどうか、ひとつお考え方を承っておきたいと思うのであります。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 御満足のいくようなお答えになるかどうかわかりませんが、この年金の積み立て金は資金運用部に入りまして、他のソースから入ってくる資金とともに国民生活全体のために総合的見地から運用をされるというたてまえになっておりますために、資金運用部資金の運用審議会のメンバーに、それぞれの資金源に直接関係ある方面を代表する委員を加えていくのがいいかどうかということにつきましては、これは複雑な面もなきにしもあらずでございまして、そこで政府委員からも答えましたように、資金運用審議会のメンバーは、いわば抽象化された人々を委員として、そうしてそれらの人々が集められた資金のソースのことも考えながら、国民生活の必須の方面に運用をする。しかもまた、思いつきで運用するのではなしに、有利とか確実とかあるいは社会的な貢献目的とかいうような幾つかの原則にのっとりながら運用する、こういう仕組みになっておりますので、この委員の構成等につきましては、これは今後検討の課題ではありますが、直ちに私がここでお答えができないことを遺憾といたします。しかし、年金福祉事業団などに還元をされてまいりますその具体的の運営につきましては、御承知のとおり年金福祉事業団に参与会というものを置きまして、その参与会には年金福祉事業団の融資目的に沿うような方面の方々、たとえば労働界の方々をも含めまして参与会を構成をいたしておるわけであります。私もよく知らなかったわけでありますけれども、参与会の運営が必ずしも活発でないというような御批判も社会保険審議会でございましたからでもございましたので、私は正直に、せっかくある参与制度であるならば、それを活発に運営すべきであるというようなことで、直ちに年金福祉事業団にも私からそういう御要望をも伝え、また、所管大臣として参与会の運営を活発にして、その方面の御期待にもこたえるようなことを実は指示をいたしてまいりました。  それはそれといたしまして、資金運用審議会の委員の構成につきましては、委員の構成がどうあるかということもさることながら、資金運用部に集まってくる資金が年金をソースとする資金については、年金加入者をエンカレッジするような目的に使うべきである、また年金制度の目的を補完するような方面にでき得る限り運用すべきであるということにつきましては、私も全く同じ考えでございますので、二五%というワクで還元融資がここ数年来できておるようでございます。これはもともとは一五%くらいでありましたものを、国会方面の御意向をもくみましてこれが二五%までに広げられたものだと聞いておりますけれども、このことにつきましても、この還元のワクを広げる方向で努力をいたしたいことはもちろん、またワク外の資金の使途につきましても、資金のソースの趣旨に合うような方面に使われるように、これは大蔵省も厚生省も政府の構成要員でありますので、私ども閣内におりましてもそういう努力はいたしてまいるつもりでございます。事実、住宅などにつきましては二五%のワク内で使われている。二五%のワク外におきまして住宅金融公庫あるいは住宅公団などに財政投融資される場合の住宅資金も、私は同じようにやはり企業につとめておられる厚生年金への加入者のための住宅の建設ということに貢献しておることは間違いないとも思いますので、ワクの内外ということもございますが、また必ずしも内外にこだわらないで、資金運用部資金の全体が今日の社会の幸福を増進する方面に使われるように大いに努力をいたしてまいりたい、かように思います。  抽象的なことを申したようでございますが、そういう考え方の中で田邊さんのおっしゃることも逐次私は実現をするような努力をいたしたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 これは実は不満なんです。不満なんですけれども、メンバーについても実はいろいろ言いたいことがあるのですけれども、あえて言わないのですよ、百も承知なんですから。しかも事業団の参与制度というのがどんなことになっているか私も知っています。ですから、そういった点についていろいろ言いたい意見もありますけれども、大臣の発言の中で、いずれにしても今後の努力を模索をしてみようというこういうことばを私は受け取って、ひとつあなたの善意と努力と政治力に期待をする、こういう意味合いできょうはとめておきたいと思います。  具体的な法律案の中身についてはいろいろ意見がありましたから多くを言いません。今度の一〇%の引き上げが、いわば実際の実質的な価値を維持するという点からいっても不足である。物価上昇に見合った年金額の引き上げになってない。それから、特に賃金の引き上げ、生活水準の向上、これを見込んでないという点からいってもこれはきわめて不満足で、特に消費物価の上昇が老人の世帯に対して非常に大きな影響を及ぼすということについても、これは御案内のとおりであります。そういった点から見て、この際この引き上げというものをせっかくされようとしているわけでございますけれども、この引き上げの基準というのを、あくまでも四十四年なら四十四年に照らしてみて、一体消費物価はどのくらい上がっているのか、四十四年が一つの基準じゃありません、これが低きに失しているということはもう言わずもがなであります。しかし、いずれにしても一応名目的に上げようといういわばその目標が物価の上昇なら上昇だとするならば、その物価の上昇についてだけは間違いなく上げる。それから、加えて賃金の引き上げの状態、それから全体的な国民生活水準の引き上げの状態、これに見合って少なくとも上げていく。それならば、過去の基準というものが、四十四年なりというものが低きに失したとしても、それはそれとして、将来に向けて局長がしばしば言うところの、大改正の際にこれをさらに直していくということになろうと思うのですけれども、今回の改正がそれすらに当たってないというところが非常に私は残念であるわけです。したがって、四十二年を一〇〇とした場合における四十五年までの消費物価がいわゆる一九・二%引き上げになっておるという事態、四十四年を一〇〇とした場合に七・七%、年度に面しますならば四十五年は七・二%という消費物価の値上がり、こういったものについてだけはひとつ忠実にこれを引き上げをする、こういう立場をとってもらいたいのですよ。そうでなければ、一応名目的には上げたような形になるけれども、物価の上昇にもこれは——大臣が言っている役所というのは手がたいものだから、その基準は現在ただいまに基準を合わせることができないのだ、昨年なら昨年の何月に基準を合わせるかっこうになるからどうしてもおくれていくんだという、こういう言い分だけでは私は実際には通らぬと思うのです。ということですから、やはり今後の引き上げについてはぜひひとつその点を着実にやってもらいたい。四十六年から四十八年なら、四十八年までが一〇%上がった、これだけはひとつ四十八年の改正に上げますよ、こういう約束だけは国民の前にしておいてもらいたいと思うのです。それが第一。  それから第二は、できれば一年ごとに物価の上昇、生活水準の向上、賃金の引き上げ、こういったものに見合って再計算をする、そういうたてまえというものを、今後一挙にできないかもしれない、毎年やっているようなことを一挙にはできないかもしれないけれども、そういうたてまえというものをなるべく貫く、そういう気持ちになってもらいたいと私は思うのです。それができまするならば、その次にはスライドの問題が当然浮かび上がってくるわけでありまして、私が言いましたような前提の上に立って、大改正の際には必ず必要なスライド制をやる、こういうふうに私はお願いしたいと思います。スライド問題についても、実は政策スライドの問題なり、自動スライドあるいは半自動スライドの問題が、大原委員等からいろいろと意見があったようでありますから、私はあえてつけ加えませんけれども、これをぜひお願いしたい。  それから第三番目には、今度はいわば暫定的な改正でありますけれども、この次の改正は一体いつなんですか。やるやると言うけれどもいつやるのですか。これを三つ目にお聞きをしておきたいと思うのです。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 年金の充実の方式についての御意見になるわけでございますが、先ほど来田邊さんの御意見にもございましたように、日本の年金制度というものは必ずしも制度として成熟していない面もある。これは単に物価スライドとか生活水準スライドということではなしに、一万円年金ということよりも二万円年金であるべきだし、さらに二万円年金よりも老後の扶養意識の変化でありますとか、あるいは老後の生活保障という見地から、さらに物価や何かに関係なしに年金制度の充実、確立という面から私どもはこれの拡充を考えていきたいという野心を持つものでございます。その野心を実現しますためには、財政再計算期というものを活用いたしましてそういうときにやるわけでございますが、しかし、それと同時に、それはそれとして、右手では年金制度全体の拡充をはかり、左手では物価、生活水準に対応する措置をも考えていきたい、こういう両手つかいでやるわけであります。  今度のものは、金額については御不満がございましょうけれども、いままでやったことがない財政再計算期でないときの特別の措置をここでやりました点は御了解いただきたいわけでありまして、これから先は、財政再計算期を五年に一ぺんではなしに、四年に一ぺんなり三年に一ぺんなり、今日は非常に変動の激しいときであり、また社会福祉に対する意識が飛躍的に上がってまいる時代でありますので、これはできるだけ詰めてやると同時に、その中間にこういう部分的な全額是正を織り込んでまいる、実はこういうつもりでございます。したがって、中間的にやりますものとして、今日は一〇%でありますが、一〇%の理屈づけとして実は物価要因というものをとらえました。これは一つの手段でありまして、物価の変動からいうと、四十五年度の物価水準の実績見通しも当時あったわけでございますし、また四十六年度についての物価上昇の、推定というものもあったわけでありますから、田邊さんのおっしゃるような作業もできないわけではありませんでしたけれども、前の改正が四十一年、四十二年を基準としてやった。でありますから、次は実績が出ておった四十三年、四十四年というものをとらえまして、それが一〇・八だから〇・八を切り捨てたというようなかっこうで一〇にいたしましたけれども、それはすべて善意に出発いたしまして、とにかく中間にひとつこういう習慣をつけようと思います。  次の改正はいつかということになりますと、財政再計算期が普通なら四十九年でありますが、私はこれはぜひ繰り上げまして、その繰り上げの時期に年金制度の底上げといいますか充実ということを、物価や生活水準のみでなしにそういうことを考えてやろうと思いますので、いつということは申し上げませんけれども、御期待に沿うような年金の充足をやりましてお話し合いを得たいと思いまして、引き続いて勉強をいたしておる最中でございます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 まあ、いろいろ意見はありましょうけれども、私も引き続き年金の問題について政府の態度をよく見きわめて、それを鞭撻をしながらさらに改善の方針を貫いてもらいたい、こういうふうに思っております。  最後に、社会保険審議会の厚生年金部門の各般の意見がありましたけれども、これは十分尊重しますね。簡単でいいです。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 意見もありましたし、ほめられたところもございますので、ますます私どもは御期待にこたえて前進をいたしたいと思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 終わります。

倉成正自由民主党

○倉成委員長 これにて厚生年金保険法等の一部を改正する法律案についての質疑は終了いたしました。      ————◇—————

倉成正自由民主党

○倉成委員長 次に、児童手当法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島源太郎君。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 児童手当法案について御質問申し上げます。大臣もお時間があるようでございますから、私は基本的な考え方をまず御質問申し上げ、さらに内容に入りまして、それから今後の方向につきまして御意見をただしたいと思うわけでございます。  懸案の法案でございますが、児童手当制度の創設の理由につきまして、提案理由におきましては、家庭における生活の安定と、次代の社会をになう児童の健全な育成と資質の向上、こうございます。外国の例を見ましても、大体こういう基本的な考え方であるというように理解はするわけでございますが、これが内容審議をしてまいる中で基本的な考え方を十分にただしておかないと、内容審議にまたその基本的考え方にもとるところが多分にございますので、書いて字のごとくであるとおっしゃればそのとおりでございますし、それから大臣のいらっしゃいます間に、なお私は四点ばかり基本的なことで伺っておきたいと思いますので、ひとつ基本的なお考えを簡明に伺っておきたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 諸外国の例も私どもいろいろ調査をいたしましたし、また児童手当審議会の委員の代表の方々にわざわざ海外までもおいでを願いまして、児童手当制度の趣旨、目的等にも触れましてお調べをいただきました結果、率直に申しますと、諸外国それぞれいろいろな目的を掲げておるようでございます。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 しかし、結論といたしまして、この児童手当審議会の委員の方々も、わが国の制度といたしましては、たとえば人口増殖政策の一環にするということはないほうがよろしい、あるいはまた、労働給源の培養政策にするというようなことはないほうがよろしい、子供というものは次代の社会をになうものであるから、これらの児童の健全育成、資質の向上というものが大切であること、また、子供をたくさん養育せられる家庭におきましては、家庭生活にそれだけ養育費もかかるわけでありますので、家庭生活の安定ということをはかっていくことはすなわち社会の安定である、また国民の幸福である、こういうことから、この両方の目的だけを取り上げましてわが国のこの制度の趣旨にいたした、こういうことに御理解をいただきとうございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 その基本的な考え方から実施に移す場合に、内容に入ります前に物理的に段階的な実施が行なわれる。四十七年の一月からは五歳未満を対象ということになるわけでございます。四十八年の四月から十歳未満、四十九年四月から十八歳未満、三人以上の義務教育終了前の児童に対してこれが実施されるわけでございますが、念のために伺いますが、この段階的な実施の理由は、これは財源的な理由なのであるか。厚生大臣は小さく産んで大きく育てるということを口ぐせにおっしゃるわけでございますが、この点を念のために、段階的実施というのはこういう理由で段階的に実施をまず踏み切るんだということをちょっと伺っておきたい。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 正直に申しまして、私は児童手当制度というものはぜひやりたいと考えてまいりました。これは中島さんの属せられる自民党のみならず各党一致した多年の要望でございますが、これは御存じのとおりなかなか実施に踏み切れませんでしたが、微力の私が厚生大臣になりました時期をとらえましてなんとかひとつこれの発足の端緒を得たいということで、総理大臣にも大蔵大臣にもかけ合いまして苦労をいたし、私自身が、いまもおことばにございましたようにとにかく制度の出発、小さく産むことだけはさしてほしい、そして両三年の間にこれを完全な姿にし、将来の発展を期してまいる、こういうことまで述べまして、そうしてまあ今回首尾よくこの制度が安産をいたすことになったわけでございます。その背後にはもちろん財源負担の問題等もございまして、いまのままこれを完全な姿と申しましても、これは各党それぞれの考えがございますが、最小限の姿で実現をいたしましても少なくとも九百億円ないし千億円くらいの財源を要しますので、それを申しておったのでは児童手当の実現というものはさらに見送らなければならないような場合もございますので、皆さま方に御不満を与える結果かもしれませんけれども、とにもかくにもこういう形で出発をさしていただきました。そのかわりちゃんと法律では段階的にこれがあるべき姿にまいる過程をも示しまして、御賛成をいただきたい、こういう趣旨でございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 そこで伺いたいのでございますが、まず安産を目前にして、まあ小なりといえども発足をされる寸前ということはけっこうなことなんですが、一部に財源的なことがあるとおっしゃる中で、それではこの給付の金額でございますが、これが段階的実施が四十九年で全面実施となりましても、三千円という額でございますが、児童手当法案の第六条の二項には「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、」「すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」こうあるわけであります。まずその三千円から伺うわけでありますが、この三千円という基準はどこから出してこられたか。たとえば四十二年の厚生省で実施されました調査によりますと、月額六万円以上の勤労者世帯におきまして第三子の養育費が約六千五百円弱である、その半額ぐらいがよろしいのではないかという基準から判断されたかどうか。あるいは、その基準は全然別だといたしましても、現在四十二年度の厚生省予算を基準にした場合には、この実施されます四十七年度では、この基準はもう少し上回るのではないか。あるいはその基準ではないということでございましても、六条の二項から申しました場合には、生活水準その他の諸事情に変動が生じた場合にはこれをスライドするというふうに拝見できるわけですが、現在の三千円に関します根拠と、それからスライドに関します具体的なお答えをひとついただきたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 今回提案申し上げました法律案で三千円ということになっております趣旨でございますが、いま御指摘のように、私どものほうで児童手当懇談会というものを当初設けました。その懇談会の一つの考え方としまして、いわゆる児童の養育費の大体半額程度というものをめどにして三千円というものを考えた、こういうようないきさつがあるわけでございます。これは御案内のとおりでございます。児童手当審議会に引き継がれまして審議をお願いした際には、大体まあこの児童手当懇談会の三千円という思想がそのまま引き継がれたわけではございますが、政府がこの三千円を考えたいわば背景にある基本的な考え方としましては、やはり三千円という児童手当の額を一つの明確な基準に基づきましてきめるということは、なかなかこれは実際問題として不可能であるわけでございますので、やはり児童手当審議会の中間答申の考え方なりあるいはまた諸外国の例、あるいはまたわが国における他の社会保障なり社会福祉の諸制度等とのバランス等を考えまして、少なくとも発足当時の段階におきましては三千円というくらいのものが適当だろう、こういうようなことで三千円という額をきめたことになっているわけでございまして、明確な一つの基準があってきめたということには相なっていないわけでございます。  それから法律案の六条の二項のいわゆるスライド規定でございますが、これは他の年金諸制度にも同様の規定があるわけでございまして、児童手当制度みたいにいわば短期の制度においては、こういうようなスライド規定を設けるということは従来例がなかったわけでございますが、あえてこのような趣旨の規定を設けましたのも、やはり一つには、今後児童手当の額、つまり現在の三千円というものが今後の国民の生活水準なりその他の諸事情というものに対応しながらやはり考えていくべきであるという一つの基本的なものの考え方を、法律上入れておくということが適当だということで入れたわけでございまして、この制度、つまりこの規定を現実に運営する場合は、やはり他の年金等の制度においてもそうでございますが、私どもとしましてはそういった各般の諸事情というものを十分考えながらやっていくということに実際問題としてはなるわけでございます。いわばこの規定は精神規定と申しますか、訓示規定だというふうに従来いわれているわけでございますけれども、今後私どもはこの三千円の額をどのように内容の改善なり増額をはかっていくかという場合の一つの有力なよりかかりになる、こういうふうに考えているわけでございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 そこで先ほど大臣が言われました段階的な実施、四十九年の四月から全面実施というこの段階的な実施と、いまの三千円との相関関係をちょっと確かめたいのでございますが、現在は三千円という、精神的なものかもしれませんが、三千円から出発をいたしたい。現在というのは四十七年一月をさされるわけでございますが、この四十九年となりますとさらに二年以上先の時点。その間この三千円というものを精神的な基準として維持される、あるいはその間にもこのスライド条項というものが考えられる中に入るのかどうか、これを明確にひとつお答えいただきたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 それはこの条文の精神からいいますと、完全な姿になる前におきましても、生活水準、賃金、ことに児童手当に対する国民の意識がどのように変遷し、成長するかということにも関連をいたしますけれども、私は、理論的には、完全支給になる途中の段階におきましても、この条項によりまして金額を増額することはあり得ることだと私どもは考えます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 次に、支給金額と同時に、支給の基準でございます。現在、十八歳未満の、義務教育終了前の第三子ということになるわけでありますが、諸外国の情勢を見ますと、児童手当の実施国が六十二カ国、そのうち第一子以降実施しておる国が五十一カ国ある。六分の五は第一子から支給をいたしておる。これを実際の家庭の事情から判断いたしますと、少なくとも、第一子だけの家庭内の養育費比率がちょっと私の手元にないのでございますが、一子、二子と比べましても、第一子で家庭生活の中で、家計の中で占める割合は一八%、第一子だけで占めるわけであります。第三子の場合には約八%強、この家計に占める割合といたしますと、夫婦お二人かどうか知りませんが、家計の中で第一子の占める割合というものを無視できない。そうなりますと、ここが目的に戻るわけでございますが、家庭における生活の安定あるいは次代の社会をになう児童の健全な育成という、この二つの目的がある。家庭内の家計を安定させるということも一つでありましょうが、より大きい面からいきますと、子供というものは国家の宝である、宝であるというか、国家そのものが育成しその資質を向上すべきものであるということになれば、第三子と定めたる理由と申しますか、これをひとつ伺いたい。それがもし財源的なものであるならば、第三子以降の場合の歳出規模あるいは第一子以後の歳出規模、ちょっとこれを参考にお示しいただきながら、お考え方を伺いたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 私どもがこの児童手当制度というものを審議会等でお願いをいたしまして審議をし結論を出すまでの段階で、第何子から支給をするかという問題が一つの大きな焦点であったわけでございます。そこでいま外国等の例をお引きになって御指摘になったわけでありますが、確かに外国等においては、第一子というようなところが圧倒的に数が多いわけでございます。そこでやはり児童福祉という立場を最大限強調をいたします考え方からいたしますと、どうしても第一子というのが理論的にも実際的にも当然出てくるわけでございますが、私どもとしましては、やはり現在のわが国の国情と申しますか、国内のそれぞれのいろいろな制度なり何なり、あるいは大臣が先ほど申し上げました国民の意識というような諸般の情勢なり事情というものを総合的に勘案しますと、やはりこの際、いわば第一子という理想的な姿で制度を発足するということは確かに好ましいことでありますけれども、現実問題としては、それだけ制度の発足が場合によってはおくれる、こういうような事情も片一方においてあることも私どもは十分認識をしていかなければならぬ、こういうようなことがございまして、現在の児童の養育費の実態というものが、先ほどお述べになりましたように、第三子あたりが非常に養育費の圧迫の度合いというものが高まっている、そういうような実態をこの際一つの考え方の基礎に置きまして、児童養育費というものの点から児童手当をほんとうに支給する必要性の高いところというので、第三子以降の子供というようなことを考え方の基礎に置いたわけでございます。  それから後段のほうの、第二子なり第一子というようなところまでかりに対象を広げるというふうにいたしますと、第二子というようなことになりますと、金額的に三千九百億円くらいの財源が必要に相なるわけでございます。それから第一子ということになりますと、八千五百億円くらいの財源を必要とする。これは現在のベースで計算した場合に、そのような所要経費を必要とするわけでございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 外国の例と引き比べて申すわけではないのですけれども、第三子以降の児童手当を実施されておる国は二カ国しかない。南ア連邦と北ベトナムであるということなんですね。私は、だからというわけではないのですが、少なくともこの法律で、先ほどのスライドは三千円に対しますスライド規定でございますが、大臣、小さく産んで大きく育てるということになりますと、この法律そのものには触れませんが、第三子から始めたいというのも小さく産んでの中に入りますか。大きく育てるという中に、やはり近き将来二子、一子も大きく育てるというお考えの中にあるかどうか、これを伺っておきたい。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 法律の規定の中には、そういう考え方を示唆したところはございません。五歳以下、十歳以下あるいはまた義務教育終了前というような段階のことにつきましては、大きく育てていくことは、このほうは法律の規定に御承知のとおりありますが、いまのところ私の頭の中には、これを年を追って第二子に及ぼし第一子に及ぼすということは、いまのところはございません。いろいろ外国の例はございますが、たとえばソ連では第四子以降、こういうような共産主義国もございますし、それに子供が多い場合には、やはり第一子よりも第三子以降、たくさん子供のある場合に、家庭の子供の養育費の圧迫というものが、金額のいかんにかかわらずその家庭には非常に重くかかる。また子供の扱い方も、粗略になることもありますまいけれども、あとの子供ほど養育上いろいろの不利の点も生ずるというようなことを考えますときは、わが国の出発にあたっては第三子から出発をしよう。しかしこれも先ほど申しますように、この児童手当に関する国民の意識の変遷によりまして、今後変更はあることも私は否定はいたしません。もっとも諸外国の例におきましても、児童手当を第一子、第二子等についてやっております国が、財政関係が非常に硬直化して、これは何とかやめたいというような国が出てきておりますことも、先般の調査団の報告にもございますので、私どもは十分頭に置いて出発いたしたいと思います。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 大臣がおっしゃるように、ソ連の場合には四子、五子、六子と非常に下にいくほど給付金額も多くなる。家族形態の差もございましょうし、おっしゃるように、フランスの場合には、一子から始めておったのが二子からというふうに変更された国もある。国民生活あるいは経済状態によりまして、これは最もいい方法を探求しながら改善していくべきだと思いますので、おっしゃるように、この法律では触れてはおりませんが、今後精神的な問題といたしまして、相互に国民生活の安定のためにひとつさらにお互いに研究を進めてまいりたいし、またこれが生まれたからと申して、大臣におかれましてもさらに改善の探求だけはぜひとも休まずにしていただきたいということを御要望申し上げます。  ところで多少今度はこまかいことに入りますが、十八歳未満の三人以上の児童、第三子以降の義務教育終了前ということになりますと、先ほどお答えの中で、現在第三子以降が家計の中での養育費としては最も圧迫を生ずるところだ、こういうことになりますと、これがだんだんに進学されていきますと、ますます家計の中で占める率は多くなるわけなんですが、十八歳で頭打ち。十八歳というのは高校でございますが、第一子が高校以上に進学されるという希望を伸ばし得るか、そこで芽をつんでしまうかという問題であります。これも外国では、たとえばオーストラリアとかベルギーとか、あるいはフランス、東独、イタリアもそうですが、一応十六歳とか十八歳とかきめましても、これが学校に進学される場合、学生の間はこれは無制限であるという場合もあるし、第一子が学生である間は、二十歳あるいは二十五歳、二十六歳、各国でいろいろございますが、東ドイツの場合は学生在籍中はそのまま支給対象となるというふうに、一応上限を限りましても、学究の徒である間はという項目がついておる場合があります。この点、日本の社会生活の中で十八歳というものの切り方、これも義務教育終了前からすればそれだけ上回っておりますが、学問に対する向学心の芽を伸ばし得るか、つんでしまうか、あるいはこれで現在の日本の社会生活は満足なのである、こうおっしゃるのか、ひとつその三点のうちどのようにお考えかをちょっと伺いたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 これは中島さんのおっしゃるように、児童手当審議会の意見は、義務教育終了前の子供が三人以上おる場合に、三人目以降の子供に対して児童手当を出す、こういう案をもって政府に勧告をされてまいりました。しかしいま中島さんがおっしゃるのと同じような意味で、第一子が義務教育を卒業してしまうと、三人目以降の子供がまだ小学校、中学校におった場合でも児童手当が受けられなくなる、こういうことはいかにも実際に沿わない場合もあるのではないかと考えまして、わが国で児童というのは児童福祉法等で十八歳未満の子供を児童といっておりますので、少なくともそこまでは上限を引き上げておこう。さらにまた労働基準法その他におきまして、十八歳までは労働に従事することが制約されておりますけれども、十八歳以上になりますと、労働して親を助けて働くこと、収入を得ることもできるということも考えますときに、十八歳まで引き上げることが、むしろこれは中島さんのいまのお説もそういうことだろうと考えまして、思い切って十八歳まで実は引き上げたわけでございます。  なおまた、十八歳の子供の進学に関しましては、別に育英資金でありますとか、あるいは所得税法上の問題等で考慮さるべき問題もありますので、児童手当のたてまえといたしましては一応十八歳ということにいたしてありますので、その辺の経緯も十分御理解をいただきたいと存じます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 おっしゃるように、審議会の答申をむしろ引き上げられた、これは非常に多とするわけでございます。ただ残りました向学心を満たすかどうかの問題で、これが十分かどうかということにつきましても、さらに法案後のことといたしまして研究を続けていただきたい、これは御要望いたしておきます。  今度は逆に下のほうなんでございますが、第三条の二項についてちょっと伺いたいのであります。  第三条の二項は、義務教育終了前と申しましても、これは「十五歳に達した日の属する学年の末日以前、」ただ、引き続き中学校または盲学校、聾学校、養護学校の中学部に在籍する者についてはこれを含むということでございますが、この場合、第一子が十八歳をこえてもいいのかどうか。十八歳という上限は動かさないとすれば——これはたいへんいいように思うのでございますが、同じ父母のもとにありますと、毎年年子の場合でこれの恩恵に浴するのは一年ですね。十八歳、十六歳、十五歳ですから、上限が十八歳で切れる場合には、第三子が引き続き中学校に在校いたしましたりここに掲げるような盲学校、聾学校、養護学校の学級に在籍する間は、支給されるとしても一年しかない。これが三人一緒に生まれた児童とか、あるいは他の児童を監護されておる場合におきましても、これは三年間に限られておる、そういうふうに見てよろしいわけですね。上限の十八歳の規定は変わらぬわけですね。それをちょっと確かめておきます。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 法律の三条の一項に児童というものの定義が十八歳未満ということになっておりますので、いま御質問の際の事例といたしましても最高の上限はやはり十八歳でございます。したがいまして、十八歳を上限にしまして一定の計算をする、こういうことに相なるわけでございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 わかりやすいようにもう一度伺いますが、三人年子としても、第三子はこの三条二項に浴する場合にはまず一年であるというふうに考えてよろしいわけですね。そういう意味ですね。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 そういう意味でございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 そこでこの児童手当は、生活保護を受けておられる世帯のお子さん方、児童扶養手当支給の対象児童の方々、こういった方こそこの児童手当を必要とされておる、こう思うわけでございますが、児童手当以外の公的な給付、それからこの児童手当というものは併給されるものでございましょうか。これは別個のものとして考えてよろしいかどうか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 これは先般、私が本会議でこの法律案の趣旨説明をいたしました際に、同趣旨のお尋ねもございましたが、私はそのとき、今回の児童手当というものは、たとえば生活保護でありますとか、あるいは母子家庭における子供あるいは心身障害児等を扶養される家庭に対する従来の児童扶養手当あるいは特別児童扶養手当等とは趣旨を異にするものであるから、したがってこれは両立てにすべきである。また生活保護などを受ける家庭につきましても、子供の幸福のために、子供の健全育成のためにこういう手当を出すわけでありますから、これは必ずしも収入認定をしないほうがよろしいと考えて、そういう趣旨で支給の細則と申しますか省令でございますが、そういうようなものをつくってまいるような努力をいたします、こういうことを申し述べておきましたので、私は前言をひるがえすことなしに、ただいまの中島さんの御親切な御意見のように、この児童手当はさような従前の手当を併給する方向でたてまえを進めてまいりたい、かように思うものでございます。   〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕  委員長にお許しを得まして、私参議院の公害委員会のほうへ出向かせていただきたいと思います。中島さん、まことに申しわけないのですが……。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 次に、所得制限について伺いたいわけでありますが、扶養親族等五人の場合、二百万円の所得制限というものがついておるわけであります。この所得制限そのものについてのお考えを伺いたいわけです。これは、先ほど大臣が当初に言われました創設の理由、これに相当関連が出てくるのではなかろうか。つまり、私が伺いたいのは、この二百万円という所得制限をまず一応伺いますが、二百万という所得制限が低いかあるいは高いかという問題がございますが、より根本的には所得制限というものはあるべきなのかどうなのか。これも外国例でございますが、外国例を単に比較の具にするわけではありませんけれども、つまり児童手当を非常に長い閲歴史的に実施されている国が六十二カ国あるわけで、そのうちの五十カ国近くは所得制限はないはずであります。所得制限を持っております国はいま十三カ国に限られるということになりますと、六分の五は所得制限がない。そこで、これは第一条にありますように、わが国の場合には両方満たすのだという。目的の両方というのは、もう一度伺わなければならない問題になってまいる——家庭における生活の安定という問題あるいは児童の資質向上は国家の権利であり義務であるということになれば、その点におきまして、国家的なものとした場合にはむしろ所得制限はつけるべきではないのではないかという意見も成り立つと思います。  同時に、所程制限をつけるとした場合、二百万という基準はどこから出してこられたか伺うわけでございますが、この所得制限についてひとつ明快にお答えをいただきたいわけです。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 所得制限の問題につきましては、私どもも立案の段階で非常に議論のあった点でございます。外国等の例もいまお述べになったとおりでございます。いろいろな観点から考えますと、やはり所得制限をすべきかすべきでないかというのはいろいろ議論が分かれるところであると思います。私どもが今回提案申し上げましたこの法律案におきましては、所得制限をするという考え方に一応したわけでございますが、その理由は中島先生もお引きになりましたように、法律の目的なり趣旨からいきまして、この法律は二つの目的を持っている。最初に、家庭における生活の安定、いわば所得保障的な様相を持っているわけでございます。それから後段のほうで、児童の健全育成、資質向上ということになりますと、いわば従来の児童福祉の性格を持っているわけでございまして、そういう二つの性格を持っているこの制度というものが、今後所得制限問題をどういうふうに考えていくかということになった場合には、やはり私どもとしましては、このような現金の給付でございますので、いわゆる児童の養育費の負担の軽減をするという現金給付というものをやるわけでありますので、そういうような現金給付というものが場合によっては必要性が少ないとか、あるいは効用が少ないというような階層もあり得るということになるわけでございます。そのような必要性なり効用の少ないような所得階層の方には一応、児童手当を支給することはいかがなものであろうか、こういうような考え方からいたしまして、所得制限という考え方を導入いたしたわけでございます。  それから扶養親族五人の場合の二百万という制限でございますが、これは私どもとしましてはやはりできる限り所得制限というものは高いほうがいい。逆に申しますと、所得制限にかかる率というものは低いほうがいいというようなこともございます。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕 たとえば一つの事例ではございますが、私ども国家公務員の場合におきましては、大体本省の課長クラス以上の人は所得制限で児童手当の支給対象にはならないというような線を一つ考えた場合に、大体一割程度の方が所得制限にかかるということで児童手当の支給ができないというような一つの線を考えますと、現在のベースからいきまして、前年収入が二百万というようなところが一つの線になってまいるわけでございます。もちろんこれも明確な理論的な根拠を持って二百万という金額をきめたわけではございませんので、大体一割の方がそういういわゆる高額所得者ということで所得制限を運用していくほうが、現在のわが国の実情にむしろ合うのじゃなかろうかというような考え方で、この二百万という制限のラインをきめたわけでございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 この所得制限につきましてはわかりましたが、先ほどの第一子の場合の家計に対する負担を多少勉強したいと思うわけであります。第三子まで持たれた場合に、所得が二百万円になられる。第一子を持たれた場合に、家計内の養育費が、平均でございますが、一八%と出ておる。第一子を持たれたときの所得というのは、実生活上はより低いわけでございますから、この点あとでけっこうでございますが、児童数と所得額——これは国民白書を見ればよろしいのですが、その抽出したものをいただければ、参考のためにいただきたいと思う。  ついでに伺いますが、初歩的な御質問ですが、日本の賃金は、夫婦と子供何人の需要を満たすものであるか。要求からすれば夫婦と子供三人を養育するに足るものを賃金と称する。私もちょっと明確にこれを把握しないのでございますが、これは労働省のほうかもしれませんが、いかがですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 賃金論の問題になりますので、私どもも専門的な知識を残念ながら持ち合わせませんが、私どもが持っております知識の範囲内におきましては、たとえばイギリス等におきましては、御案内のように第二子以降を対象にいたしているわけでございます。そのイギリス等において第二子以降を対象にしている一つの基礎にある考え方としましては、親の扶養責任、扶養義務というものと同時に、妻と第一子まではいわゆる賃金で見ている、こういうようなことがいわれているわけであります。したがいまして、イギリス等においては第二子以降を児童手当の対象にするというようなことに相なるわけでありますが、わが国におきます賃金というものをどういうふうに見るかは、確かにこれは学説なり意見の非常に分かれるところでございまして、人によりましては妻までははっきり賃金の対象に入ってくるということを言う方もおりますし、子供の場合に一子か二子か三子かという点につきますと、これは日本の現状におきましてはまだ考え方が完全に一致してない点であろうと思いまして、これは非常にむずかしい問題だ、かように私は思うわけでございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 私がちょっとそれを伺いましたのは、被用者の場合でございますけれども、要するに、これは日本の独特な形で、家族手当とか扶養手当の家族給が賃金の中に、基本給の外に付加されております。これがわが国の児童手当の場合には第三子からということでございますが、一般民間会社におきます家族給と児童手当の相関関係を今後どういうふうに考えていくべきか、これは児童手当の創設の理由と日本の賃金の根本的な考え方との接点になるのではなかろうかと私は思うわけです。そこでいま前段で、日本の賛金というものは一体どこまでの需要を満たすべきものであるかということを伺ったわけです。これはなかなか明確なところではございませんが、少なくとも現在出ておる、しかも他国ではほとんどなくなった家族給というものと、児童手当の接点を一応私どもとしては考え直しておく必要があるのではなかろうかと思うわけなんです。この点に対して、お考えだけでけっこうでありますから、お答えをいただきたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 児童手当制度を新しく立案する際に、いま御指摘の問題点は非常にわれわれも議論をした点でございます。わが国における賃金体系というのは諸外国と違いまして、いろいろな点において問題点を持っているということの一つの問題としまして、この家族給制度というのがあるわけでございます。そこで、そういう民間の家族給というものと、国の法的な一つの制度としての児童手当というものをどういうふうに考え方として調整していくか、先生のおことばをかりますと接点ということになろうかと思いますが、私どもとしましては、この点につきましてもいろいろな意見はあろうかと思いますが、少なくとも現段階における私どもの考え方といたしましては、この民間の家族給というものと、国の制度によります児童手当というのは、やはり一応別の問題じゃなかろうか、むしろ現段階においては一応直接関連はないというようなふうに割り切っていくべきだろう、こういうことでこの法案の制度の中身を考えたわけでございます。と申しますのは、現在のわが国における賃金問題というものは、これはもう私から申し上げるまでもなく、いわば民間の労使協定に基づきましてきまる問題でございまして、政府なり何なり公の立場において、この家族給を含めました賃金問題に直接的な関与というものはできないのがいままでの慣習でございますし、現在の考え方でございます。したがいまして、家族給問題とこの児童手当制度による児童手当とを調整するという考え方につきましてはやはり問題点があるのじゃなかろうか、こういうようなことで、考え方の基本としましては、直接的な関連は両者の間にない、こういうようなふうに一応考え方を置いているわけでございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 いまの段階では、これは別個に考えるべきではないかというお答えも納得しないわけではございません。ただ、先ほどの大臣のお答えのように、現在第三子からこれを発足いたす。将来この第三子を第二子、第一子にある意味ではスライドしていくということはこの法案には盛られておりませんけれども、生活環境あるいは経済事情その他によりましてそういったものが考えられてくる時点においては、これは別個とは言っていられない問題になると私は思うのです。そこで、現在の時点ではいまのお答えでけっこうでございますが、さらに将来の展望の中では同じ研究課題として残っているわけなんで、その点はやはり将来とも研究課題としては続けるということを要望いたしたいと思う次第です。  次に伺いたいのは、事業主の拠出金というものがございますね。国庫、地方公共団体、事業主の三者の負担というものは、他にあまり例のない形だと思うわけでございます。これは外国にあるかどうか、私もつぶさに調べ終わってはおりませんけれども、これは日本独自の形態といえるものではなかろうか。この事業主拠出金の問題は、答申時点におきましては被用者に対する事業主負担というものが考えられておったように私は記憶するわけであります。現在は、これは被用者に対しまして七〇%の拠出をいたすということになっております——まあ私の記憶違いであればそれでけっこうなんですが、私は結論から申せば、事業主拠出の形というものは当面とられるべきではないと思うのです。  そこで、ちょっと参考までに伺いたいのでございますが、事業主負担というものは金額にいたしましてどのくらいな負担額になるのでしょう。これは歳出規模との関連がございますので、ちょっと参考にその点だけでけっこうですが伺っておきたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 数字だけ申し上げます。  事業主負担というものは大体考え方としては二割ぐらいを予定いたしておりまして、本年度つまり四十六年度は二カ月分の予算でございますが、五十六億円の所要経費の中に、事業主の拠出金というものは十三億円ぐらいを予定いたしております。これは制度が完全実施されました段階におきましては、八百九十三億円の全体の所要財源のうち、事業主拠出金は百九十四億円でございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 わかりやすくちょっと伺っておきますが、事業主拠出という場合、たとえば百人かかえておる事業主の負担は非常に大きいのか、あるいはさほどでもないのか、これは判断によるところでございますが、そういう数字はございますか。ございましたら、それを伺えばなおわかりいいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 事業主拠出金の取り方、徴収のしかたによるわけでありまして、これは法律の中にいろいろ徴収の方法等書いてございますが、明年度、四十六年度におきましては、百人使用している事業主でございましたら、その百人の分のいわゆる標準的な給与——厚生年金等の場合は標準報酬とかいっておりますが、そういう標準報酬の月額に千分の〇・五ぐらいをかけまして各人ごとに計算をしますと、大体この事業主拠出金というものが高いかどうかということの見当はつくのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 次に、もう時間もございませんので……。  これは厚生省さんだと思いますが、四十五年度から将来への児童数の推移というものを想定で出されておるわけでありますが、四十五年と五十年度を比べますと、四十五年度において全人口が一億三百七十四万、五十年度におきましては一億一千万になろうとしておるわけであります。各総人口のうちで十八歳未満のいわゆる児童数でございますが、この児童数も二千九百八十九万から三千百万というふうに伸びる率を想定されておるわけであります。第三子だけは四十五年度の二百八十四万から二百六十六万というふうに、多少ではございますが、減少を予定しておられる。これはあくまでも人口政策ではないということではございますが、この想定されましたものと児童手当との関連でございますが、児童手当を実施いたしましたあとの想定であるのかどうか。あるいはこういうふうに第二子までは激増傾向をたどるのであるが、第三子は漸次減少をたどる、だから児童手当の実施が必要と——そこは目的にはございませんけれども、今後の考え方といたしまして、人口政策ではないというものの、あと五年後に対します想定とこの児童手当の実施の相関関係を私は伺っておきたいと思うわけであります。この点はいかがお考えでありますか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 いまお述べになりました数字は、私どものほうの人口問題研究所が将来像ということで推定をいたしました数字のようでございますが、これは児童手当制度を直接に意識してそういうような推定をしたものではございません。たまたま第三子以降の児童数というのが、四十八年、九年、五十年ごろに若干数が減ってきておりますが、これは過去の児童のうち、出生したそれぞれの時点におきましての相関関係等を考えました場合に、人口問題の専門家が、第三子以降はしばらくの間少し減るだろうということでこういう推定をしたように、私直接聞いておりますので、児童手当制度を意識したための作為的な推定ではないということだけは、はっきり申し上げておきたいと思います。  そこで、児童手当制度と人口政策との関連でございますが、冒頭に大臣からも申し上げましたように、実は私どもは、人口政策という考え方を念頭に置いて児童手当制度を創設するというような考え方は持っておりません。したがいまして、児童の数が減っていくというようなことを憂慮しましてこの児童手当制度というものを創設したわけではございませんので、やはり児童手当制度の目的は、先ほど大臣から冒頭に申し上げましたような目的にしてあるわけでございます。外国等の例において、たまたま児童手当制度等を実施した後、いわゆる人口の純生産率というようなものが一を割っていたものが少しふえてきたというような実績等はございますが、そういうような特別な事情を日本の場合に念頭に置いて児童手当制度というものを考えていくということは私どもは賛成できない、こういうふうに考えております。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 最後にどうしても伺っておきたいのでございますが、多くの地方公共団体が独自に児童手当制度を実施しておられるようであります。たとえば実施団体数を見ますと、東京都などは分割した形でございますが、都道府県市区町村で二百八十九の多くが単独に児童手当制度を実施しておられますし、それから支給額からしますと、年額にして千円から三万六千円までの幅のある地方独自の児童手当を実施されておる。それから第何子からこれを実施するかにつきましても、一子以降から五子以降まで種々なる児童手当がここで行なわれておるわけでありまして、今度国の児童手当制度が発足いたしましたときにはこれをどういうふうにお考えになるか。統一して国の児童手当制度に吸収していくほうに向かわれるかどうか。また、これについて何らかの指導が必要だと思いますが、どのような方向での指導をなさるか。この点を最後に伺っておきたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 いまお述べになりましたように、現在二百九十近い地方団体が独自の立場において、児童手当制度といわれるものあるいはそれに類似する制度を実施しておることは事実でございます。したがいまして、今回国の制度が新しくできた暁において、このような地方団体独自の従来の制度というものとの間にどう調整するか、確かに問題点であるわけでありますが、私どもといたしましては、やはり国の制度というものが一たんできました以上は、全国的に統一的にこの制度を運用するということは必要であるわけであります。でありますので、国の制度と従来の地方団体が実施してまいりました制度とがいわば内容的にも似ているというような場合は、できる限り国の制度に統一して調整をしながらやっていくように指導をしていきたい、かように思っておるわけであります。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 児童手当制度につきましては、その基本的な考え方から内容につきまして種々伺ったわけでございます。  最後に、厚生大臣、たとえばこれを第一段階としてここまでこぎつけられた努力は多とするわけでありますけれども、これが小さく産んでかどうかは別としまして、三千円の給付額はもちろんのこと、先ほどお述べになりましたように、社会環境の今後の沿革によりましては、第三子という支給対象も考えをさらに進めていく余地はございましょうし、さらにその場合には、一般賃金の家族給その他との接点も、やはり今後の研究課題として研究を続けていかなければならぬということが明らかになったわけでございます。あくまでも、第一段階としては了といたしましても、今後の拡充、さらに大きく育てることを心から望むわけでございます。この点をひとつ強く要望いたしますと同時に、最後に、厚生大臣の将来とも大きく育てたいというその御決意を伺いまして質問を終わりたいと思うわけです。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 国家社会の将来をになう者は、申すまでもなく私は児童であると思います。したがって、それらの児童が健全育成をされるかどうかということが、私どもの国家社会の将来に非常な大きな影響がございますので、そういう意味から、私ども今日の時代の責任を持ちます者は、これらの児童が十分将来の国家をになっていくような、そういう資質を持って育成されることを心から考えてまいりたいと思いますので、御意見のような努力、また、必要に即する改善の検討は私は続けてまいりたいと思います。  ただし、申すまでもなく社会福祉の課題は、今日非常に大きなものがございまして、一方におきましては、日本の人口構造の中に占める老齢者、老人の割合というものも急角度にふえてまいりまして、しかも家庭の老齢者に対する扶養意識というようなものも変わってきてまいりますので、午前中に論議がされましたように、老人に対する年金制度の充実というようなことも、児童の健全育成に対する国の施策に劣らぬほど大きな課題になっておりますので、私どもはそういう問題をも同時に念頭に置きながら、この児童手当の充実改善というものにつきましても、せっかくこれをつくったわけでありますから、御期待にそむかないような充実をもはかってまいりたい、かように考える次第でございます。

中島源太郎自由民主党

○中島(源)委員 ありがとうございます。終わります。

小山省二自由民主党自治政務次官

○小山(省)委員長代理 この際、暫時休憩をいたします。    午後一壁二十三分休憩      ————◇—————    午後三時二十六分開議

倉成正自由民主党

○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  児童手当法案を議題とし、質疑を続けます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 児童手当というのが六十二カ国ですか、それだけ多くの国々に普及されておる。しかし、普及されていながら、その内容が全く区々になっておるということがあると思うのです。これは児童手当の取り上げ方にいろいろ角度があるのじゃないか。最終の目標は一致しておっても、時代的な要請にこたえる重点の置き方いかんによって仕組みの体制が違ってくるのだろう。それでこの児童手当法案については、一体どういう観点からこの法案が立てられておるのだろうか。つまり児童福祉の観点を中心として立てられておるのか、社会保障の観点を中心として立てられておるのか、つまりこれはいわば社会保険といっていいかもわかりませんけれども……。それから、賃金体系の観点を中心に立てられておるのか、あるいは所得の格差是正と人間開発の観点を中心に立てられておるのか、これは御承知だと思いますが、中央児童福祉審議会の児童手当部会ではこの四点をあげて、いろいろな角度の点から考えられておるというようなことでありますけれども、本法案については、厚生省としては一体どういう観点を中心にしてこの法案をおつくりになったのか、まずその点をお伺いしたいと思います。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 山本さんのお説のように、世界の諸国で実施をいたしております児童手当のねらいと申しますか、あるいは制定の趣旨などそれぞれ区々のようでございます。わが国におきましては、児童手当審議会を設けまして、学識者の諸先生に検討もしていただきました結果、わが国社会の将来をになう児童の健全育成、資質の向上ということと、また多数の児童をかかえる家庭生活の安定、こういう二点を目標としてこの制度を打ち立てる、こういうことにいたしました。したがい、まして、所得の再分配の観点あるいは賃金政策の補足というような観点からではございません。また、人口問題についての対策的な考え方を導入せんとするような意向も絶無ではございませんでしたけれども、私どもは、今回この法律ではそういう考えはとっておりません。これを要しまするに、単なる児童福祉ということではなしに、そのこともむろん考慮にはありますが、家庭生活の安定というようなことも取り入れておりますので、社会福祉の施策の一環、こういう考え方に立ったものでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、いま私は四点を申し上げたのですけれども、賃金体系の観点を中心にしたものではまずない。それから、所得格差是正と人間開発の観点を中心にしたものではない。そうすると、残るのは二つあるわけです。一つは児童福祉の観点を中心にしたもの、それからもう一つは社会保障の観点を中心にしたもの、この中にはもちろん社会保険という考えがあると思うのですけれども、この二点を中心にして考えた、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 さように御理解をいただいてけっこうだと私は思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、児童福祉の観点を中心にした場合と、それから社会保障の観点を中心にした場合とでは、これは相矛盾する側面というものが出てくる。たとえば児童福祉の観点を中心にした場合には、児童が弱いあるいは未完成である、保護育成しなければならぬ、そういう面がおもになって、同時に老人とか身体障害者とか未亡人に比べて異質的な部分を含むというところに特徴がある、こういわれておる。つまり単なる経済的な弱者であるとか、あるいは所得稼働能力の不足ということではない、こういうふうに考えられる。つまり、大臣のおっしゃるように、児童福祉ということから言えば、将来の稼働に対する育成期間として取り扱うべきである、こういうふうに理解をしてもいいのじゃないか。そうすると、片一方の社会保障の観点を中心にした場合には、特に多子は貧困の有力な原因である、だから家族数と所得との不均衡というものが、扶養家族の生活費を保障する児童手当といいますか、あるいは家族手当と言ったほうが正確かもわかりませんけれども、そういうものによって解決されるべきである、こういうふうな考え方が出てくる。そして外国の場合には、児童手当の類型というものは後者にあるわけですね、社会保障的な観点を中心にしたもの。そうすると、この二つを比べてみると、どうもそういうものと相矛盾するものがこの法文の中に盛り込まれておることも否定しがたいのじゃないか。つまり社会福祉の観点を見れば、第三章の「費用」の部分の十八条という点を取り上げてみると、これは児童手当に要する費用の負担を中心にしておるかのごとく理解をされる。しかし、逆に社会保障という観点から見れば、これは防貧という立場に立つものでありますから、そうすると、ここに書いておるように、第三子から支給するという観点もまた出てくるだろうと思うけれども、そういうふうに考えてくると、児童福祉という観点と社会保障という観点の中にお互いに矛盾するものが出てきやしないか。それが法文の中に互いに相補足しながらというのではなくて、相互に欠陥を持ちながらどこかで調整、調和をしていっているという感じが私はするわけであります。だから、この児童手当法案は一体社会福祉に重点を置いていると考えていいのか、あるいは社会保障に重点を置いていると考えていいのか、あるいは両方混在しているのだというふうに理解をしていいのか、その点をひとつ説明をしていただきたい。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 山本さんはこういう制度については深く研究をせられておる大家でありまして、私がとても御答弁はいたしかねるわけでありますが、いま山本さんが自問自答せられたような趣旨で、子供の資質を向上し子供の幸福をはかる、健全に育成をする、こういう面と、それから、子供は家庭の子供であるばかりでなしに天下の子供である、したがって、国家、社会も、子供の健全育成のために家庭だけでしょうのがなかなか困難な部分を一緒にしょって、天下の子供を育てていく、こういう面と両面を兼ね合わせておる。これらが、児童福祉ということばもございましょうし、あるいは社会福祉、社会保険、これをひっくるめて社会保障制度ということばになろうかと思いますが、これらのことばの使い方が必ずしも定義づけられておりませんので、お答えを的確にいたしかねますけれども、以上申し述べましたようなことで、いろいろまぜ合わせて、子供の幸福とそれから家庭を通ずる社会の安定、こういうことを所期しておる次第でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 社会保障の観点を中心にしてということばが悪ければ、社会保険と言ってもいいと思うのですよ。つまり社会保障というものを狭義に理解したら、一つは社会保険というものがあるだろうと思う。それからもう一つは公的扶助がある。もう一つは医療及び公衆衛生というものがあるだろう。もう一つ最後に社会福祉というものがあるだろう、こう思う。そうすると、先ほど申し上げた四点の中で、社会保険か社会福祉か、いずれを重点的に考えているのか、それを並列的に考えているのか、どちらであるか。つまり、私は少なくともこの法案の中には相矛盾をする思想、考え方というものが入っておると思うのです。だから、並列なら並列でけっこうなんです。しかし同時に、社会保険を重点にしているのだというならば社会保険を重点にしておるということをお聞かせ願いたいし、それならそれで私は質問があるわけであります。それから、社会福祉というものに重点を置かれておるというならば、それなりにやはりこの条文に関して私は問題点があるような気がするわけです。だから、一体どういうふうになっておるのか、どこに重点を置かれておるのか、その点を聞きたいわけです。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 私などが理解いたしますところによりますと、社会保障というのは、いまもお話がございましたが、社会保険と社会福祉と両方ひっくるめていることばだと考えます。そのうちの社会保険ということになりますと、給付とそれから給付に相対応する拠出が相関連をしておるものだと思いますが、この児童手当制度におきましては、一面の拠出制度というものが御承知のとおりに取り入れられてはおりますけれども、児童手当の給付を受けるその家族、その家庭がみずから拠出をいたすという制度にはなっておりません。自営業者等につきましては国と公共団体の拠出のみでございますし、この点については、実は児童手当審議会におきましては、ある程度の所得を有する家庭は自営業者といえども拠出を求めるべきだという示唆がございました。答申はそういう文章になっております。しかし私どもはそれをとらないで、中小企業、自営業者等につきましては、本人の家庭の拠出はないことになっておりまするし、また被用者につきましても、被用者その人が厚生年金とかあるいは健康保険のようにみずからの給料の中から拠出をしないで、もっぱら事業主の拠出と国並びに地方公共団体の拠出ということで、児童手当を受ける家庭との直接のつながりはございませんので、あえて私は、これは社会保険というよりも——拠出制がございますので、広い意味では社会保険でございます。しかし、直接的には社会保険というよりも社会福祉の面を多分に有する社会保障の制度である、こういうような意味で先ほど来申し上げているわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 つまり、児童手当というものを防貧という立場から考えていくならば、これを社会保険化するのが、他の同様のものとの権衡といいますか、均衡といいますか、それからいって順序だと私は考えるわけです。しかし、いま申し上げたように、大臣がおっしゃったように、保険方式ではないのだということの一つの解釈としては、被用者から拠出をさせておらぬ、こういうことですね。私はそれはわかるのです。とすると、将来にわたっても要するに被用者のほうからは拠出というものをさせないという大前提にお立ちになっているかどうか、そのことを実はお伺いしたいわけです。これがぼくの一番お聞きしたいことです。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 これはとにかく制度を出発させるという意味から、従来各政党から要望されたり、公約のような形になっておりながら、いままでなかなかこの公約が果たされておらなかった。今度も、まごまごいたしておりますと同じような状態になるような環境にもございましたので、とにかくやりやすい方法で出発させたいという方法を実はとったわけでございます。でありますから、本人並びに、ことに自営業者等につきましては、審議会の答申とも違いまして、全く拠出がないような方法をとりましたが、これは将来大きく発展させる段階におきましては、こういうものに対する国民の考え方、または政治の発展等に即応しまして、いま示唆されたような方向を必ずしも否定し去る必要もない、こういうふうにお考えいただいていいのではなかろうかと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 だから私は、冒頭に四つの観点、どれを中心にしておやりになったかと言ったら、現状においては社会保険ではないというような意味の御答弁があったでしょう。これを、とにかく大臣のことばをかりれば、まず出発をさせることが必要だとこう言う。しかし、この法案だって無原則におつくりになったのじゃなくて、いずれかの立場にお立ちになったのでしょうというお尋ねをしたところが、社会保険ではないのだということで、つまりそれは被用者に対する拠出というものがないということで大臣は反証としておあげになった。そうすると、そういう原則というものがこの法案に貫かれていっていいだろうし、もし被用者のほうから拠出をさせるということになれば、これはせっかく出発したこの大前提からすれば一歩後退になるということにもなるわけです。それから、日本の財政というものはこれから先縮小すると思われない、おそらく拡大再生産をされるのでしょうから、そういうことになると、いま申し上げた大臣の場合によってはというふうなおことばというのは、一歩後退を目ざすものじゃないだろうか。将来にわたる児童手当法案として、ぼくはここに一つの原則というものは立てるべきであるし、もちろん政府としては、それをお立てになった上のことだから、はっきりしてほしい、こう言っているわけです。その点をもう一ぺんお聞きしたいのです。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 これは私がお答えをして、政府委員に答弁をさせていないわけでありますが、児童手当もこういう制度に関する社会意識の変動とともに変化はあるべきだと私は思います。ことにに、御承知のように、諸外国におきましても、せっかくこういう制度を発足させながら、それが財政硬直化だというようなことで後退をしたりやめにしているようなものさえもありますので、わが国のこれが後退するということではございませんけれども、時代の意識というものによって、今後児童手当制度というものも、必ずしも第三子だけに限る必要もないということになりますと、二子、一子までも入れるということもございましょうし、金額も三千円に固定する必要のないことでございますので、将来の児童の健全育成というものを、こういう制度にたよってさらに大きくしようというような場合には、これは私は拠出制が伴うというようなことを、政府が強制するのではなしに、先ほども触れましたように、国民の考え方やまた政府の考え方の中に取り入れること絶無だだ、こう言い切れるものではない、こういうことで申し上げたわけでありまして、私は、理想としては、せっかく直接的な無拠出でやってまいりましたから、でき得る限りこのたてまえがいいと思います。しかし、山本さんのおことばの中には、私の誤解かもしれませんが、将来の発展の過程においては拠出制を取り入れて、年金制度なりあるいは医療保険制度なりというようなこととともに発展させる場合があったらば政府はどうかというふうなお尋ねの意味もあるかと思いまして、あえてあなたに抵抗しないお答えをいたしておった、こういうわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 大臣たいへんずるいので、ぼくは何もそういうことを申し上げたのではないのです。つまり、要するにこれからあのほうの拠出をさせないでこれが前進すれば、それよりいいことはないはずです。ただ、私がお伺いしたいのは、つまり、社会保険だということになれば、そこに相矛盾するものが出てくるわけです。社会保険も取り入れるという構想というものもある。それは行き当たりばったりでおやりになるのではないと思うのです。社会保険でないという立場を貫いているのだからこそ第三子から支給をしているのであって、社会保険の立場を貫いていくのだったら、一子、二子と支給をしなければならぬはずです。そうでしょう。私が申し上げたいのは、児童手当というのは義務教育保障の原則というものを拡大強化したものである、そういう理解に私自身は立っているわけです。だとするならば、これは社会保険とかなんとかというのではなくて、平等の原則の上に立っておるはずであるし、それならば第一子だって第二子だって支給すべきじゃないか。第三子から支給する必要は何もないのだ。だから、社会保険とかなんとかというものをもっと乗り越えたそういう考え方というものがあっていいのじゃないかということでぼくは申し上げておるわけです。だから、その辺を一応はっきりしておく必要があるのではないかと思うのです。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 私のほうが現実論者でございまして、世界の数十カ国においてこの児童手当制度が実施されておる状況を見ましても、一子からの制度をとっている国もあり、また第四子からの支給をたてまえとする国もあり、また子供が多くなるに従ってその金額等に差額を設けているような国もございますので、その辺にはいろいろのバリエーションもあり得ると思います。しかし、今日出発にあたりましては、出発の効果、最小の給付によって最大の限界効用を与えていきたいという立場に立ちますと、三人以上等の多子家庭について、児童の健全育成の協力を制度によってすることの限界効用が非常に大きいと考えまして、出発にあたっては第三子といたしました。これを将来二子、一子にするかということについては、これからの制度の発展やまた意識の推移にまちたいということは、先ほども申しましたし、さらに、お尋ねにはございませんけれども、所得制限なども、やや高いところではございますけれども、設けましたのも、この制度の最大の効率といいますか、限界効用というものを考えてみますると、所得制限を付せられるような家庭よりも、そうでない家庭のほうが効果が非常に大きいという現実的な点に立ちまして今回この制度を出発させます。でありますので、それらの点につきましても、私は、今後いろいろの変化というものは——決して私どもは無原則でこれをやろうというわけではありませんけれども、年金などにつきましても、ずいぶん意識の変化が行なわれておる歴史もございます。単なる雇用対策とかあるいは過去の勤労に対する報償というような意味から、最近における年金というものは全く違った意味、生活保障的な意味にもなってきておりますから、こういう社会福祉の問題などにつきましても、今後のいろいろな発展もあっていいじゃないかということも含みながら、とにかくこの制度をこういう形で出発させて、御批判や御指導もいただきながらこの実現をはかりたい、こういうわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 たいへんくどいようで申しわけないのですけれども、つまり、二十八条に「市町村長は、児童手当の支給に関する処分に関し必要があると認めるときは、受給資格者の資産又は収入の状況につき、」資料の提出を求める云々ということばがありますね。これから見ると、これは実は社会保険ではないような感じがするのですよ。そういう立場には立っていないような気がする。つまり社会福祉という立場に立っている。そうすると、社会福祉という立場に立っているならば、つまり社会福祉の立場に立っているということは、この法律の第一条からいえば、一条の後段の「次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的とする。」というところにウエートがかかっているような気がする。とすると、これは児童福祉というところの立場に立ってこの法案ができておるんではないだろうか、こういう感じがするわけですね。だからぼくは、大臣がそのものずばりで現実的であるというので、だから社会保険と社会福祉というものとが一緒にここには混在しておりますというなら、それでけっこうなんですよ。しかし、いまの段階では社会保険ではない、社会福祉の立場に立っているんだとするならば、問題はやはり出てくるわけです。だから、その点についての大臣の、要するに考え方を重ねて聞かしてもらいたい。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 同じようなことを申し上げることになりますが、反対給付の拠出制も、広い意味では事業主の負担ということでございますけれども、それが支給を受ける家庭とは直接関係がないんだ、したがって私は、これは社会福祉を主とした社会保障制度であると考える。一方また、子供の立場に立ってみると、子供を幸福に、安全に、健康に育てるということにも主眼を置いておるから、児童福祉等とも共通する、あるいは老人福祉とも共通する、そういう点もあるんだ。しかし、将来この制度をさらに発展させる場合に、いろいろなかね合いから社会保険的な要素を取り入れるのがいい。また、そうせざるを得ないというような事態を私は予測するわけではございませんが、そういうふうに人々——国会をも含めまして、政府をも含めまして意識が変わってきました場合には、こういうことをいまのうちから抵抗をするつもりはございません、こういうことを繰り返して申し述べておるわけでございます。これは観念的に非常に大切なことではございましょうけれども、いままで各党が児童手当制度をやれといった場合のそのイデオロギーというものも、やはりいろいろの面があったろうとも思われますので、また、各国に現に行なわれている制度にもいろいろな立脚点もあるようでございますので、現実に即して、出発としてはわかりやすい制度にした、これは私はその方面の学者で特別の造詣があるわけでもございませんが、苦労を重ねてきました児童家庭局長も政府委員としておりますから、なお関連することにつきましては政府委員からも答弁をしてもらうようにいたしたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 先ほど来からの御質問、非常にむずかしい原理の論争になるかと思いますが、社会保険というものをどういうふうに考えるか、この社会保険の原理というものが、これは山本先生よく御存じだと思いますが、私どもは少なくとも従来の狭い意味の、いわゆる厳密な意味の社会保険理論ということを考えますと、先ほど来から大臣がお答えしておりますように、今回の児童手当制度というものは、こういう厳密な意味の社会保険理論ではなかなか律し切れないものを持っているということはいえるのじゃなかろうかと思っておるのでございます。その理由は、大臣からお答えしたとおりでございます。つまり給付と拠出というものが、必ずしも完全にリンクしていないとか、あるいはいわゆる保険事故といわれるものになじみがたいものが一つの原因になっている。従来からいわれておりますような保険事故というものが、老齢とか疾病とか廃疾とか、そういうようなものがいわれているわけでありますが、今回の児童の養育ということ、逆に言いますと、多子ということかもしれませんが、児童養育ということは、必ずしも従来いわれているような保険事故というものとはかなりなじみがたい性格を持つ、そういうようなことを考えまして、厳密な意味の社会保険理論だけでは、なかなかこの今回の制度というのは律しきれないものを持っているということはいえるかと思います。ただ、事業主の拠出制というものを取り上げておりますし、しかもその拠出は、大体拠出金を徴収するやり方等が、社会保険と申しますか、厚生年金等の年金保険の仕組みなり何なりをいわゆる借りたかっこうになっておりますので、そういうような社会保険の技術なりテクニックというものを援用している面でいったら、社会保険ということもいえるかと思いますが、理論としては、なかなか厳密な意味の、従来からいわれている狭義の社会保険ということだけでは律しきれないものを持っているので、私どもはこういうふうに考えているわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 狭義の社会保障の中に、社会保険と社会福祉がある。局長の理解のしかたのほうがおかしい。あなた方がお出しになっているところにちゃんと書いてあるでしょう。狭義の社会保障の中に、社会保険と社会福祉がある。広義の場合には、それに遺家族の援護とかなんとかというものが重なってくるわけです。だから社会保障という観点で、ぼくの言うのは、社会保険も社会福祉も入れて、それを総括して社会保障的な観点からするならば、それなりにぼくは理解できるわけです。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 社会保障という用語の使い方、いろいろの場合にそれぞれの用語が使われておりますが、もしここでいま御質問の趣旨のようなことにぴったり当てはまるような用語を使うとしますると、いわゆる所得保障あるいは生活保障というような意味のことばがむしろぴったり当てはまるのじゃなかろうか、私はこういうふうに思うわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 だんだん核心に入ってきたのですね。つまりそうなってくると、いま局長の話のようなことになってくると、生活上の困難ということと非常に密接な、不可分の関係になってくる。つまり生活上の困難ということは一体どこから起きてくるかといえば、一つは所得の減少ということから出てくる。もう一つ、逆な面から考えれば、支出の増大ということから出てくる。その支出の増大の中に疾病もあるだろうし、あるいは出産というような事故もあるだろうし、そのほかにいま問題になっておる児童の養育というものが大きなウエートを占めてくる。だからそういう場合におけるそういう考えに基づいてこれができているんだというならば、それなりの一つの考え方なんです。私はそれは理解できるのです。その辺をひとつもう一度明確にしてほしい。これは局長のほうがいいかもしれぬ。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 この第一条の目的の中に、二つの目的を持っているわけであります。前段のほうの目的は、いま私が申しましたような所得保障というような目的を持っておる。それから後段のほうの児童の健全育成なり資質向上というものは、児童福祉とかそういうような意味の目的を持っておる、こういうふうに理解いただければいいのじゃないかと思うわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 まあ、そうすると両方が一緒に、これを調整、総合したものだというふうに理解していいわけですね。わかりました。  そうすると、なぜぼくがしつこくそれを聞いたかというと、なぜ第一子から支給ができないのかということをお伺いしたいわけなんです。なぜ第一子から支給ができないのか。というのは、六十数カ国の実施国がある。その中の八〇%前後というものが、第一子から現実に支給をしているわけです。制度の発足としてはぼくは当然第一子から支給をすべき、だと思うのだけれども、第三子になっておる。これはただ財源の問題というふうに、簡単にそういうふうに考えていいのかどうかという問題が出てくると思うのです。と申しますのは、いまの有子家庭の平均というのは二・三名でしょう。多少あるいは古いかもしれません、最近のやつはもっと少ないかもしらぬです。二・三名というのは四、五年前のはずだ。そうすると、あるいは二・〇か一・九ぐらいになっているかもわかりませんよ、いまのあれからいえば。そうすると、一番必要とする人たちの家庭のところにはこれが配分をされないで、そしてきわめて少ない人たちの子供、つまり第三子——二・三でなくてあるいは一・九であるかもわからぬ、しかし出すのは第三子しか出さぬというのは、財政的な問題であるとかなんとかといっても、たいへんみみっちい考え方じゃないか。しかも第一条の中には「児童の健全な育成及び資質の向上に資する」という、社会福祉の概念というものがきちんとはまり込んでおるということなんです。同時に大臣のほうは、もちろん将来にわたってという前提はあったけれども、いまのところは社会福祉に重点を置いたというようなお考えのような答弁があったから、とするならば第一条の目的というものについては、これはもう少しそれに即応したような第一子、ぎりぎりでいっても第二子には支給すべきだとぼくは思うのだけれども、それはできておらぬ。それはこの法案の趣旨にもとるものではないだろうか、こう思うのですよ。ただそれは財源ということだけでのがれられないのじゃないか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 第三子がいいか第一子がいいか、これは確かに見方があるわけであります。外国の例をお引きになりましたけれども、確かに外国の場合は一子からという例が非常に多いことは事実でございます。圧倒的に多いわけでございます。もちろん二子あたりをとっているイギリス、フランス等もございますけれども、あるいは西ドイツ等もございますが、まあ数の上からいったら圧倒的に第一子というのがあるわけであります。  そこで、第一条の目的といまの一子論あるいは三子論というものについてのかみ合わせといいますか関連でございますが、これは第一条の目的のうち特に後段のほうの目的、児童の健全育成、資質向上、こういうような目的のほうをやや力点を置いて強調をいたしますと、確かに理論的には第一子というのが第一条の後段の目的からいったら出てくるはずでございます。その点は御指摘のとおりでございます。ただ、前段のほうの目的が一つございますので、そこで、もっぱら財源だけの観点から三子というふうにきめたのではないかという御意見でございますが、そこのところはなかなか、現実問題として考えた場合、先ほど大臣もお答えいたしましたように、一子という理論的な観点からだけの一子論をとって進むということについては、やはり制度の発足の時点というような問題がございましたので、そこで児童手当審議会でも第三子というのが一応中間答申の形で出てまいりましたので、そういうような審議会の考え方等も現実問題として私どもは一つの論拠にして、三子というものを考えたわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 たいへん口の悪い申し上げ方になるかもわからぬけれども、あなた方に都合のいいときには審議会の答申を尊重される。それならば、第何子から支給すべきかという場合に、それじゃあなた方のおっしゃるように家庭における生活の安定に寄与するという点をこれは裏返して解釈すれば、多子貧困の理論になるわけですね。そうでしょう。その点をひとつ……。坂元さん、どうなんですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 第一条の前段のほうの目的は、御指摘のとおりでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうなってくれば、ビバリッジの報告にちゃんとある。親の義務としてそういうものを強調するならば、第二子から支給するということも十分に意味があるんだということがある。これは私が申し上げるのじゃない、つまり第三者の意見はそういうふうになっている。そうすると、第一子から支給しなくても、せめて第二子まで何で支給ができないかということになる。つまり、この文章の、生活の安定ということと健全な育成ということ——健全な育成ということからいけば第一子になるけれども、要するに生活の安定ということから考えればということで、あなた方は第三子からという答申だ、こうおっしゃる。とすれば、生活の安定ということになれば、なるほど審議会の答申はそういうふうになったかもわからぬけれども、つまり、一応の規範にされる防貧の理論といいますか多子貧困の理論からいえば、第二子以降からの支給ということも十分考えていいことであるというふうにちゃんといわれているわけですよ。そうするとぼくは、第一子からでなくてもいいからせめて第二子から支給するということをなぜ考えとして取り入れられないのだろうかという疑問が出てくるわけです。これはきちんと筋から押していけば、そういう議論になるわけでしょう。その点をもう一ぺんはっきりひとつ御答弁をいただきたい。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 児童手当制度の本来の趣旨をそのまま、まっ正面から取り上げまして、そしていわば、ことばは悪いかもしれませんが、やはり完全な理想的な姿の制度というものを考えますと、確かに、外国等でやっておりますように一子か、少なくとも二子、こういうようなところの線が出てくるのがあるいは至当かもしれません。しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、まあわが国の場合、特に現在のいろいろな国民の意識と申しますかそういうような、大臣のおことばのとおりのそういうような事情を背景にしてこの制度をスタートさせるというようなことを考えた場合は、どうしても私どもとしましては、現在の時点において実行可能な案というような、いわゆる実現可能な案というところで、一子、二子、三子という問題をやはり考えなければいかぬだろうというように思っているわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 二子まで含めると財源としてはどれくらいかかるわけですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 約四千億近くかかります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 つまり、これは大臣のことばをかりるにしても、それから局長のお話を聞くについても、要するにこの制度が緒についてからひとつというお話があった。この制度の将来は、段階的な充実をする実施段階というものが当然考えられるわけですね。当然考えられるわけでしょう。つまり、これを充実させていくということは考えられていると思うのです。その場合に、四千億かかるのだということになれば、将来そういうことに対する目安というものがあるのかないのか。この辺の段階ではこういうふうにしたいと、これはあとの年齢の問題とかなんとかもありますけれども、当面は実施しただけで、その実施段階を見てひとつそれから考えるというのか、あるいはいつごろまでにはどういうふうにしたいという、そういう基本的な構想があるのか、それをひとつ聞かしてもらいたい。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 法律の考え方の中で、いわゆる段階実施というものが附則できめられているわけであります。この制度が四十七年の一月からスタートしまして、四十九年度で一応制度が完成するかっこうになっているわけでございます。そこで私どもとしましては、現段階におきましては、やはり四十九年度という目標を早く完成するということが当面の最大の努力目標でなければならぬわけでございます。その後の、つまり五十年度以降のこの制度の内容改善なり充実というものがどういうふうになっていくか、これは確かに一つの大きな問題点でございまして、児童手当審議会においてもその点は非常に議論された点でございます。そういうような場合に、確かにこの制度の内容改善の方向としましては、つまり先ほど来議論がございましに三子というものをどうするかという問題が一つと、それから三千円という金額をどうするか、おそらくこの二つの問題が大きな問題点になると思いますが、そういうような問題点を総合して考えますと、やはり先ほどもちょっと山本先生も触れられましたように、抜本的な内容の検討をするという時期がいつの時点において出てくるか、これはなかなか予測がつきませんが、財源的にも先ほど申しましたように相当な財源が必要になります。片一方また国民の生活水準も上がってまいりますし、経済成長も見込まれるというようなそういうもろもろの情勢を総合判断して、この制度の内容の改善というものをいつの時点においてどういうかっこうでやるか、これはちょっと私どもはいまの段階においてはなかなか踏み切りをつけがたい段階だ、こういうふうに思っているわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると一応四十九年までに、これは一段階としては考えている、こういうふうに理解していいですね。それで四十九年以降、今後の問題としていろいろないま局長のおっしゃったような問題については、あらためてその時点で国の財政とかあるいは国民の生活とかいうものを考えながらその時点でもう一ぺん考えていきたい、こういうことで理解していいですね。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 四十九年度までの段階的な実施というものをスムーズに円滑に的確にするということが、当面のわれわれの努力目標でございます。四十九年度がいわば経過しまして、五十年度以降の問題点としまして、この制度の内容をどのようにするかという点は、これは先ほど来申しましたようにもろもろの情勢というものを判断してきめるべき問題だ、かように思うわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、四十九年までの段階では、要するにこの法案というものを完全に実施し得るようなことにしたい、こういうふうに理解していいわけですね——わかりました。  そうすると、ここに労働省の四十五年の十月一日現在の表がございます。資材があります。これによりますと進学の希望率というのが八三・九%、四十五年であります。それから四十六年になりますと八六・二%なんですよ。それでこの法案の審議、つまり法案についていろいろ議論をされた段階では、進学の希望者というものは七〇%台ではなかっただろうか。つまり三割の人たちが進学を希望してないということが、これにちゃんと出ておるのですよ。しかしそれから数年たった今日、七〇%台からすでにもう進学の希望率というのが八六・二%になっておる。女性に至っては八七%です。進学希望というのは、中学から高校へですよ。そうすると四十九年から五十年くらいになると、これは九〇%台になりはせぬだろうかという感じもするわけですね。そうすると、ここにある義務教育終了前、またはこれに相当する年齢——義務教育終了前というものにとらわれるということは少しかたくな過ぎるのじゃないだろうか。少なくとも高校教育終了前というところまでもうすでに延ばしていいのではないだろうかという感じがするわけですね。その点は一体どうです。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 この支給要件という場合に、義務教育終了前の児童を含みまして三人以上の児童がいる場合に児童手当の支給がなされるわけでありますが、その義務教育終了前の児童というものを特に考えました趣旨は、確かに現在の義務教育というものは、やはり児童が就労も禁止されておりますし、外国等においても一応義務教育終了前というものを普通の場合のスタンダードにしております。もちろん外国等においては就学期はそれを延期する制度はできておりますが、そのようなことからいたしまして、わが国におきましても義務教育終了前というものを一つの目安にしているわけであります。ただ、いま仰せのように、高等学校の進学率というものは最近非常に大幅に伸びてきておりますので、そのような事情もございまして、児童手当審議会では義務教育終了前の子供だけが三人以上という場合の考え方をとっていたわけでありますけれども、今回の法律案は十八歳までというように上限を延ばしておりますが、将来この高校進学率というようなものの実態等がいま仰せのように今後伸びていくというようなことが当然予想されますので、いまの御質問の点はやはり今後の内容の充実という場合の一つの研究課題だと、私どもはかように思うわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 冒頭ぼくが非常にくどいようなふうになぜああいう議論をしたかというと、局長の答弁がそういうふうになりはせぬかという危惧が実はあったからですよ。だからぼくは聞いたわけです。つまりいまのように義務教育の問題が出てきたときには、「次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上」のほうにウエートを置いてくるわけです。今度は都合悪くなってくると「生活の安定」のほうに置いてくるということになると、首鼠両端をやっているわけです。あなた方は、こっちのほうの議論が都合悪いときはこっちを援用なさる、こっちのほうが悪いときはこっちを援用なさるという点があるから、初めから一体どうなっているのかということをお伺いした。それが第一点。  第二点は、「この法律において児童とは、十八歳に満たない者をいう。」とあるけれども、これは二項のところに、ただしというものがあるはずですよ。これはただし書きは書いていないけれども、「同日以後引き続いて中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学する児童を含む」という、このための十八歳ではないのですか。私は法文はよくわからないけれども、局長のおっしゃるように、つまり進学率というものが非常に高くなってくるから、それを頭においての十八歳というふうに、ほんとうに理解していいのですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 法律の第三条で「この法律において児童とは、十八歳に満たない者をいう。」こういうふうにいたしました趣旨は、現在の児童福祉法とかいうようなもので、十八歳というのが一般的に児童の一応の年齢になっております。やはり児童福祉というような目的を一つの目的に持っている本法としましても、その児童というものは十八歳という線でひとつ切るというのが通常の考え方だろう、こういうようなことを考えまして、十八歳というふうにしたわけでありますが、ただ社会の現実の姿を見ますと、先生お述べになりましたように、高校進学率というものが相当高くなっている。高等学校というものもいわば義務教育化しつつあるというような、そういう現実の姿をわれわれは無視はできないということも一つ背景にございまして、十八歳というのが法律でいう児童にされたわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、児童とは十八歳に満たぬ者をいうという、その十八歳というのは——これはまた戻りますけれども、つまり、四十九年に至るまでに十八歳に満たないという、十八歳を限界とするところまで結局適用させる、そういう考えというものがあるんですか、ないんですか。と申しますのは、つまり、一つは進学率の問題もあるんですけれども、もう一つは、高校のほうが教育費がかさむのは事実でしょう。そうすると、そういう家計の重圧となる高校生に対して児童手当を支給しないということは、これもちょっとおかしいような感じがするわけですよ。ですから、そういう点で、「「児童とは、十八歳に満たない者をいう。」その次には、「義務教育終了前の児童」というふうになっているけれども、この「義務教育終了前の児童」というものを、いつの日か、四十九年に至るまでに、なるべく早く取っ払うというお考えがあるのかないのか。いや、これは四十九年まではこのままになっておるのでございます、五十年の段階であらためて考えます、こういうふうになるのか、その辺をひとつ聞かしていただきたいと思います。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 現在の段階におきましては、さような考え方は持っておりません。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 九〇%をこした場合でも持ちませんか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 先ほど申し上げましたように、段階実施というものを早く的確にスムーズに完成をしたいというのが、私どもの当面の目標でございますので、この制度のいろいろな内容改善等の問題が、いまの年齢の問題のほかにいろいろあり得ることもわれわれは十分予測しておりますが、やはり四十九年度までは、少なくともこのようなかっこうでやっていくことが一番いいんじゃないかというふうに考えておるわけでありまして、四十九年度を過ぎた段階で、内容改善等のいろいろな問題について総合的に考えて制度の検討をしていくべきだ、しゃくし定木かもしれませんが、一応こういう考え方を現段階においては持っておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 ぼくはけちと言ってどなりたい気持ちもするのですが、それは別といたしまして、それではこういうふうに理解していいのですか。四十九年度まではこれを完全実施する、しかし五十年の段階では、十八歳に満たない、要するに義務教育終了後の児童についても再考いたします、つまり高校進学の人たちにも適用するということを十分考える、こういうふうに理解していいわけですね。それからもう一つは、先ほどあったように、第何子から支給するということもその時点においては考える、それから支給月額についても考える、こういうことに、五十年になれば当然そこは考えるというふうに理解していいわけですね。それはお約束していただけますね。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 ちょっとことばが足りなかったので、あるいはそういうふうにおとりになったかもしれませんが、五十年度という時点以降の問題として、研究課題として登場するいろいろな問題点がございます。年齢の問題にしましても、あるいは第三子という問題にしましても、あるいは金額の問題にしましても、そういうようないろいろな問題点があり得るわけでございますので、そういう問題点を五十年度以降のどの時期にどのような方法でやっていくか、財源調達の方法等も当然からんでくるわけでございますので、どのような方法で、どういう手順でやっていくかは五十年度以降の研究課題であるという意味で申し上げたわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 たいへんな違いがあるわけですよ。四十九年までは完全実施をする、それから五十年段階から考えていく、こういうことと——これは実施をするわけですよ。その実施された段階で、実施状況とにらみ合わせながら、かたわら、あらためて年齢について、支給月額について、あるいはいま申し上げたような第一子にするか何子から支給するかという問題あるいはその他の問題もあるわけです。大臣がおっしゃったように、所得制限の問題もあるだろうし、社会保険制度を完全適用するという問題もあるでしょうし、そういうものを一切がっさいいまのうちからやっていくのか。五十年代になってやれば、また五年か六年かかるわけでしょう。それじゃ、とてもじゃないが社会的な要求を満たすことはできないという問題が出てくる。これはたいへんな違いになってきますよ。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 もちろん私どもは、この法案がより有効に国民生活にはね返っていくということをねらうわけでございますので、四十九年度まで全然、この制度の将来の行く末、あり方等を研究しない、こういう意味で申し上げたわけではございません。もちろんその検討は今後も十分やっていく。片一方、国民のニード、意識等も十分われわれは配慮しながら検討はするということは当然でございますが、ただ、そういう検討の結果が具体的にどの時点で、五十年度以降いわゆる実現の方向として出てくるか、それは確かにいまの段階では私どもは申し上げにくいわけでございます。決して、四十九年度までそういう検討も何も全部われわれはストップしている、こういう意味ではないわけでございます。四十九年度まではこの制度を早く安定させたいということだけを考えるわけでございますが、片一方、この制度の将来のあり方等も今後十分検討を重ねていく必要があることは当然でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 手当額の問題ですけれども、手当額の形をどういうふうにするか。いまのこの法案によれば一律です。しかし、それはある場合には後順位の手当額が高くなる場合があるだろうし、後順位の手当額が低い場合もある。外国の例ですよ。あるいは年齢によって差をつけている場合もある。そういう場合に今後あなた方のお考えとしては、一体どういうふうな形があるべき望ましい形だというふうにお考えになっているか。つまり、経費逓減の法則からいえば後順位の人たちのほうが額が少なくなる。しかし、多子貧困の理論——ここにも書いてある。あなた方が御都合のいいときに主張される多子防貧というか多子貧困の理論からいえば、後順位の人ほど高くなるということになる。将来は一体一律であるべきが望ましい形なのか、あるいは逓減のほうが望ましいのか、あるいは逓増するほうが望ましいのか、それは一体どういうふうにお考えになっていますか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 額のきめ方等については確かに、定額方式、逓減方式、逓増方式、諸外国の例を見ますと非常に区々まちまちでございます。そこで、わが国の制度として考えていく場合に一体その額のきめ方というのはどの方式がいいのか、これは確かにいろんな見方があり得ると私も思います。児童手当審議会等においても、そういう点が議論されたことがございます。今後この額のきめ方等については、やはりいまの段階で私どもがいろいろ申し上げるよりも、もう少しこの制度というものを運用しながら、一般の国民の方の考え方なり、こういうようなものを見きわめて、今後の問題を解決していくほうがむしろ現実的であるし妥当ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 一般の考え方はもうわかっているのですよ。一般の考え方は、額が高いほどいいだろうし、後順位ほど高いほうがいい、逓増するほうがいい、これが一般的な考え方。そんなことはだれに聞かなくても一般の人はそういうふうに考えるだろう。それはそうですよ。  しかし、それは別として、問題をほかに移しますけれども、適用の範囲で、日雇いの人は一体どうなっているのですか。これは適用されていませんね。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 この法律で徴収の場合のやり方につきましては、二十条に書いてあるわけでありますが、拠出金として取り上げますのは厚生年金等の年金保険の徴収機構に乗っかって取るわけであります。したがいまして、たとえば厚生年金等で保険料を払っているような事業主、こういう者を事業主拠出金の徴収義務者にしておりますので、厚生年金等の場合は当然日雇いは一般的にははずれておりますから、日雇い等を雇っている事業主というのは、一般的には拠出金の徴収はないわけであります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、将来はどういうふうにお考えになっていますか。これは労働時間の問題もあるだろうし、労働日数の問題というようなそういう基準の問題が当然出てくると思いますけれども、将来は一体どういうふうになりますか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 この制度は、新しい徴収機構をつくるとかというようなことを実は考えておりません。したがいまして、従来の既存の社会保険の徴収機構に乗っかかっていこう、そのほうが事業主の便宜のためにもあるいは事務の簡素化のためにもいろいろな面で都合がいい、こういうととで、したがいまして、厚生年金なり船員保険なり、従来の社会保険の徴収機構というものをそのまま活用していこうという考え方に立っているわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、第一条の防食の理論というのは、これは破産するわけになりますね。だって日雇いの人たちの生活状況というのは、ぼくはレベルとしてはたいへん低いと思いますよ。その人たちに対してあなた方何らの手当をやらぬ、こういうことになるのだったら、防貧の理論はここで破産してしまいますよ。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 私質問を勘違いいたしまして、保険料の徴収のほうを考えてお答えしたわけであります。つまり御質問の趣旨は、日雇い労働者に対してこの児童手当金がいくのかどうか、こういう意味の御質問でございましたら、これは当然支給されるわけでございます。つまり、被用者でない者のグループに入れて支給されるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それじゃ最後の質問に入りますが、第二十二条の三項に「政府は、拠出金その他この法律の規定による徴収金の取立てに関する事務を、当該拠出金その他この法律の規定による徴収金の取立てについて便宜を有する法人で政令で定めるものに取り扱わせることができる。」こうある。そうすると、「便宜を有する法人」というのは具体的には一体どういう場合か。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 非常にこの条文わかりにくくなっておりますが、二十二条の三項でいっております「便宜を有する法人」といいますのは、私どもとしましては、私立学校教職員共済組合、農林漁業団体職員共済組合、それから地方団体関係団体職員共済組合等のいわゆる共済組合自体を考えておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、二十条の要するに三号、四号、五号、六号、この共済組合というふうに理解していいわけですね。ちょっとそれを説明してください。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 二十条できめております、二十条の一項の三号、四号、五号等で、たとえば三号の場合でございましたら、「私立学校教職員共済組合法第二十八条に規定する学校法人等」とございますが、これは学校法人とそれから私立学校教職員共済組合をいっておるわけでございますので、以下同様に、その私立学校教職員共済組合そのものをいっておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうしますと、要するに児童手当制度というのは市町村長が支給の認定権を持っておるわけでしょう。そうすると、全くこれは行政サイドのものだと見て差しつかえない。にもかかわらず、共済制度に手数のかかる拠出金の取り立てをさせるということは、ぼくは少し行政サイドというものが身がって過ぎるんじゃないだろうかという感じがするのですが、その点はどういうふうにお考えになっているのですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 二十条に掲げておりますようないわゆる一般事業主から拠出金を徴収していくわけでございますが、この徴収は、二十条の一号、二号等は社会保険庁自体でいわゆる手足を持っておりますので、これは直接やれるわけでございますが、私立学校教職員共済組合法等以下の各種共済組合につきましては社会保険庁というわけにまいりませんので、やはりそれぞれの共済組合自体の問題として、従来も本来のいわゆる掛け金等を徴収しているわけでありますので、その従来のルートに乗っていったほうが、いろいろな意味で便宜だろう、こういうことで考えたわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 だからそこに、そうしたら問題が出てくるのですよ。あなた首をかしげるけれども、そこに問題が出てくるじゃありませんか。いいですか、第三章の「費用」のところで、これは十八条の四項ですね。この法案の一四ページ一行目、「国庫は、毎年度、予算の範囲内で、児童手当に関する事務の執行に要する費用を負担する。」こうなっておるわけです。そうすると、行政サイドのことをこの私立学校教職員共済組合とか農林漁業団体職員共済組合その他の共済組合にやらしておって、事務の費用というものは予算の範囲内でしか出せませんというのは、ぼくは一方的過ぎると思うのですよ。事務のオーバーした場合は、それじゃ、行政サイドのものをこういうところにしょわせてくるのかどうかという問題が当然出てくるでしょう。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 二十条の各号に掲げております特に共済組合関係のいわゆる徴収の委託の取り立ての費用は、国のほうでめんどうを見るつもりでおります。しかるべき手数料を交付したい、かように思っておるわけであります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それはつまり、行政サイドのものをこういう共済組合でやるんだから、「国庫は、毎年度、予算の範囲内で、」こういっておるけれども、それは十分に保証するというわけですね。一方的な措置だけでやらないで、十分に事務費というものは出すというわけですね。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 適正な事務費というものを算定しまして事務委託をしたい、かように思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 適正なということは、つまり過分ではないことですよ。必要にして十分な額というものを支給するかどうかということなんです。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 必要な事務費というものは交付する予定で考えております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それでは次の問題ですけれども、たとえば農林年金の場合は厚生年金保険制度と違うわけでしょう。違いますね。違って、これは五人未満の団体の人も強制適用を受けているわけだ。これは間違いないですね。これ、ひとつ答弁してください。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 さようでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、厚生年金保険の適用事業所との間に拠出金の取り立てについての不均衡というものは出てこないだろうかという疑問が実は出てくる。この点はどうでしょう。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 五人未満の問題につきましては、先ほど私申し上げましたように、現在の厚生年金なり船員保険のそれぞれの考え方に準拠しまして、それに乗っかっていくわけでございますので、御指摘のように、五人未満事業所というものをはずしているような制度もございます。したがいまして、制度の中身いかんによりましては、そういうアンバラが出てまいるわけでございます。そこで、私どもとしましては、これから各省段階でいろいろ相談をいたしたいと思っておるわけでありますが、先ほどの二十二条の四項の政令等で、五人未満の問題等を今後どうしていくかということを各省持ち寄った上で、この政令でしかるべき方法を考えたい、こういうふうに思っておるわけであります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、厚生年金の場合には五人以上でしょう。この場合、五人未満の場合にはあなた方はもう一ぺん考え直していきたいというのだったら、せっかく事務上厚年という制度を使いながら、それを取っぱずしてというのは、いかにもぼくは薄情なやり方だと思うんです。薄情という言い方はおかしいけれども、そうすると適用する場合にはたとえば農業とか自営業者とかいう、そういう範疇に入れてやるということなんですか。その辺はどういうふうになっているのか、どういうお考えなのか、これは政令できめるというけれども……。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 五人未満でございますと、たとえば厚生年金の場合は、一応たてまえとしては強制適用になっておりません。任意包括制度というものはございますが、一応強制適用になっておりませんので、五人未満は私どもとしましては、被用者でないほうのグループ、つまり先生おっしゃった自営業者等の扱いをすることになるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それじゃ確認しますけれども、五人未満の人たちは除外をするということでいいわけですね。除外をするということは、この共済組合のほうではやらなくてもいいというわけですね。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 厚生年金につきましてはさようでございます。それ以外に、たとえば共済組合等で表面上は強制適用にしている制度もございます。そういうような制度といいますか、法律の種類によって五人未満等の扱いが強制になったり、あるいは強制になっていなかったりしておりますので、そこらあたりの調整というのが今後の行政上の問題になるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうしますと、二十一条に拠出金率というようなことがありますね。「拠出金率を乗じて得た額の総額とする。」ということばがありますが、拠出金率というのは一体何%ぐらいとお考えになっているわけですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 拠出金率は、これは二十一条の二項でほぼ自動的にきまってくるわけでございます。逆算するわけでございますので、したがいまして、たとえば四十六年度の場合の拠出金率は、私どもの試算では千分の〇・五程度になる見込みでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうしますと、私立共済とか農林年金では最低給与が一万二千円なんというケースがあるわけですよ。そうしますと千分の〇・五ですから、場合によっては最低六円の拠出金の義務を負う団体も出てくるわけですね。そういう場合だって拠出金を取るのかどうか。これは事務的には拠出金を取るための事務費用というのがもっと多くなりますよ、現実には。そういうマイナスをおかして、ちゃんとそういうことをやるのかどうか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 いま御指摘のような、そういう非常に零細な金額の徴収金額というものがあがってくる場合があり得るわけでございます。私どもとしましては、そういうような零細な徴収金額の場合のいわゆる徴収コストというものを考えなければならぬわけでございます。徴収コストとのにらみ合わせということになると思いますが、いわゆる債権管理法という法律の運用によって、徴収コストが非常にかかるという場合は取り立てをしないでもいいような趣旨の規定がありますので、そういう債権管理制度との関係を十分考えながら、いま御指摘のような事例の場合にどうするかというのをうまくやっていきたい、かように思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうしますと、六円の場合は切り捨てるわけですね。もう一つ、私立共済なんかの場合には、平均の給与が四万円の千分の〇・五ですから、ちょうど二十円ですよ。この場合どうなるんですか。この場合は徴収するんですか、徴収しないんですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 いま私申しましたように、徴収コストというものとにらみ合わせてやるわけでございますので、当該私立共済組合の場合は徴収コストというものがどういうようなものになるか、その実態をたとえば文部省なら文部省と私どもは十分よく相談しまして、具体的ケースとして考えていきたいと思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そんなことないですよ。厚生年金保険法の八十七条の四項それから五項「督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は前三項の規定によって計算した金額が百円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。」と、こうある。五項は「延滞金の金額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。」と、こうなっております。だから、その督促状とかなんとかいういまのお話でありますけれども、厚生年金保険法にはここに文章が出ておるわけですね。そうすると、あなた方は徴収については厚年法のあれを利用すると、こうおっしゃっておるのだとするならば、当然こういうことも考えられているのかどうかということも問題になるわけです。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 いまお述べになりましたのは延滞金の場合でございまして、延滞金の場合は確かにそういう規定でございますから、百円未満のものについては、厚生年金のしかるべき規定によってそういうふうに処理をすることになります。先ほどお述べになったのは、延滞金ではなくて、徴収金そのものの御質問でございましたので、私はさようなお答えをしたわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 通常からいえば、延滞金の場合のほうが、要するに事務手続からいえば費用がかかるわけですよ。だから普通の徴収からいえば、延滞の場合よりかはかからぬはずですね。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 この事業主の拠出金というのは、事業所に百人なら百人、いわゆる従業員がおった、その百人の分につきまして、厚生年金の場合は標準報酬月額をそれぞれ計算して、それに先ほどの千分の〇・五というものを各人ごとに計算して、その総額を何ぼということで徴収をするわけでございます。したがいまして、一事業所一人ということは厚生年金の場合は適用になっておりませんので、五人以上ということになっておりますから、そういうことはあり得ないわけでございますが、一応徴収金の総額というものが徴収コストと比べまして、先ほど申されましたように六円ぐらいというような、かりにそういうような事態があった場合は、これは徴収コストとの関係で債権管理制度というものをうまく利用していく、実情に合うように——徴収コストだけがかかるというような場合の徴収金というものを無理やり取るということは実情に合わないと、私どもはかように思っておるわけであります。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 だから五人未満のものはやらぬということになるわけですね。そういう議論になってくるわけじゃないですか、先ほどの話じゃないけれども。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 共済組合によりましては、五人未満も適用している場合もあるわけでございます。一緒に取っているわけでございますので、そういうような便宜の制度に乗っかっていきますといわば徴収コストもかからぬ場合もありますので、そういうような実態を文部省なら文部省あるいは農林省と今後われわれはよく相談しまして、五人未満なんかの問題は、全国の実態をよく相談しながら、実情に合うような徴収方法を考えていく、こういうことでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 だから局長のおっしゃったように、五人未満のものは一応は切り離すのじゃなくて、五人未満のものについても十分にその実情というものを考慮しながら、拾えるものは拾っていく、そういうふうに理解していいわけですね。そうでないと、いま最低給与が一万二千円の場合には六円などという問題が出てくるのですから。  それではもう一つだけお伺いしますけれども、つまり共済制度にいまおっしゃったように滞納拠出金の取り立て、これもやはり委託するかどうかということ、これはもちろん委託するわけですか。

坂元貞一郎厚生省児童家庭局長

○坂元政府委員 延滞金の場合はこの二十二条の四項で政令できめることになっておりますので、共済組合の延滞金をどういうようにしてやるか、政令できめますので、これも現在のところ一応共済組合自体にお願いをするつもりでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、そういうことを含めて適正かつ十分な予算というものをお考えになるというふうに理解していいですね。  では、最後に申し上げたいのですけれども、もとへ戻りますけれども、制度の段階的実施ということは、どうも局長の答弁からは割り切れないものが私は感じられるのです。と申しますのは、大臣にお答えをいただいたほうがいいかと思いますが、段階的実施というものは四十九年までこういうふうにしていくという、そういう段階的実施という考え方があると思うのです。それが局長の答弁だったと思うのです。しかし段階的実施というものは、より以上のものに進んでいくという、冒頭に大臣がお話になったように、よしあしは別としても、社会保険的なものを取り入れるとかなんとかいう、そういう制度のあり方とかなんとかいうものも含めて、同時にあるいは給与月額とか、それから年齢とかいうものを向上させていく、国民にとってはいい条件のほうに向上させていくという二つのものがあると思うのです。私がお伺いして、ここに書いてあるのはつまり後者の場合なんですね。それは局長がおっしゃったように四十九年までに段階的実施するということとは、まさに違う問題なんです。ところが年齢の点についても考えようし、支給の範囲についても第一子からできるだけ支給をするように考えていくべきだという議論も、ここに入っておるわけです。もちろんそれに対する異なった議論も入っておりますけれども。しかしそういう意味でぼくは申し上げたので、これは局長の答弁のほうが私の質問とはちょっと違った形になったのですけれども、段階的実施というものを、要するに後段に申し上げたような立場から前進をさせていくということは、私が申し上げるまでもなく必要だと思うのです。その点については四十九年を待たずして、やはり必要なものは取り入れていってもいいのではないか、つまり財源というのは縮小再生産をされるはずがないと思うのです、いまの経済状態から見れば。拡大再生産のほうに向かっていくはずだ、こう思うのですけれども、そうなってくれば、つまりいま申し上げたもろもろの点について改正すべき点があるだろうと思うのです。とするならば、四十九年を待たずして必要な場合には部分的にそれを取り入れていくお考えがあるかないか、この点をひとつ最後にお伺いをしまして、私の質問を終わることにいたします。

内田常雄自由民主党

○内田国務大臣 段階的実施、あるいは段階的充実ということの中には、山本さんのおっしゃるような二つの内容があるわけでございまして、第一の内容については法律の附則に書いてあるとおりでございますが、これは当然その計画で参ります。  それはそれとしておきまして、児童手当制度を実質的に発展拡充させるかどうかということは、私はその可能性を否定はいたしませんが、それはやはりそのときの国民、政府も含めた意識の向上とか、あるいは財政的の可能限度とか、あるいは高福祉高負担というようなことについての考え方とか、あるいは減税の問題でございますとかあるいは社会開発でございますとか、あるいは医療保険についての取り上げ方とか老人対策等とか、そういうものの関連もございますので、いま私どもがここでお約束できることではありませんけれども、とにかく日本は福祉大国としてこれから成長していこうと思いますし、また厚生大臣というものはそういう面を担当する大臣であると思いますので、その限りにおいては、せっかくこういうものを打ち出しましたので、三年五年の過程におきましても実質的にこれらの充実につきまして検討もし、御相談も皆さま方といたしてまいりたい、また大いに国民の福祉マインドというものも向上につとめてまいりたい、かように考えるものでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 最後の社会保障制度といわれた児童手当制度というのを大臣が要するにおつくりになったわけですから、それはたいへんりっぱなものだとぼくは思うのです。それをぜひひとつ前向きに前進させるような方向で、四十九年を待たずに取り入れ、あるいは充実させるという点があれば、そういうものを取り入れることにちゅうちょしてはいかぬのじゃないか、こう思うのです。どうかひとつその点をぜひ考えていただきたいと思うのです。終わります。

倉成正自由民主党

○倉成委員長 次回は、来たる五月十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会

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