社会労働委員会 第19号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/04/28
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 まず、おはかりいたします。 理事粟山ひで君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 次に、その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、理事に小沢辰男君を指名いたします。 ————◇—————
○倉成委員長 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。
○大原委員 大まかなことだから初めから厚生大臣に。 年金は何のためにつくっているのですか。
○内田国務大臣 人間が年をとりまして稼働能力が減耗もいたしますし、また身体障害でありますとか、あるいは夫との死別というような人世における不慮の事故によりまして、その稼働状況に急変が起こる場合等に対応いたしまして、その生活のよりどころを補充をいたしてまいる、こういう趣旨であろうと思っております。
○大原委員 経過的には年金は、たとえば恩恵的または論功行賞的な考え方もあるのですね。長い間つとめていただきまして御苦労さんでした、こういう趣旨が経過的に一つあると思うのです。もう一つは、こういう近代的な社会において社会的な事故——いま大臣が言われた趣旨はそのほうに近いと思うのですが、社会的な事故に対して国の保障、国民全体が責任を持つということで、生活保障の原則に基づいて生活を保障していく、こういう考え方があると思うのですね。ですから、それは後者のほうというふうに解釈してよろしいですね。
○内田国務大臣 年金につきましてはおっしゃるとおりの社会意識がこのごろ発展をいたしてまいってきておると思いますので、私などもそういうことを十分念頭に置きまして年金対策を進めてまいるのがよいと思います。
○大原委員 それから、社会保障費に対する年金の給付の比率というものが非常に日本は未成熟であるという理由を含めて低いわけですね。ヨーロッパでは社会保障給付の中では大体三〇%以上を占めているということですが、日本は現在大体どの程度を占めておって、それから十年後にはどの程度占めて、二十年後にはどの程度の比率を占めて、三十年後にはどの程度、こういうぴしっと、私が申し上げた数字ではございませんが、いままで議論した中では、年金が未成熟であるという議論をいたしましたね。しかしこれが成熟して、やはり国際的にも生活保障をする水準にいまのベースでいくものかどうか、こういうことも一つの議論の材料として聞きたいわけですが、その点でひとつお答えいただきたい。
○北川政府委員 年金関係の国の予算に占めます割合でございますが、お尋ねの社会保障関係費の中で申しますと、四十五年度予算で二三%でございます。それから、いまお尋ねになりましたような十年後、二十年後あるいは三十年後という点につきましては、私ども現段階では必ずしもはっきりした数字を持ち合わしておりませんけれども、先生ただいま御指摘のように、老齢人口もふえてまいりますし、大体七十年から八十年ごろには老齢人口の割合が現在の西欧先進国並みになってまいりますので、そういう段階になりますと年金保険の占める割合、つまり給付費の割合というものも相当に上がってまいりまして、現在のような一三%あるいは一四%、こういうふうな率を大幅に上回る段階になってまいると思います。
○大原委員 昭和三十六年に国民年金を実施しましたね。そういたしますと二十五年間ほど掛け金をかけると法律上の年金額が給付されるということになるでしょう。そうすると、いまそれを基点にして考えてみると、成熟するのは、国民年金が一番おくれているわけですから、四十五年、五十五年、六十年ですね。昭和六十年ごろはいまのままで与えられた条件というものを、再計算その他の問題はあるけれども、いまのままのベースでこれが完全に——完全にではないが、かなり本格的に支給をされるというふうになるのは十五年後、いままで十年たっているから、これから十五年後あるいは二十年後、そういうときに社会保障の給付費の中に占める年金の比率についての推定はできませんか。というのは、私が議論したいのは、日本のベースが低い、そういうことが一つ問題じゃないか、そのことを考えた再計算をしなければいけないんじゃないか、こういうことの議論のために念のために議論しているのです。これはわかる範囲内でひとつ御答弁いただきたい。
○北川政府委員 ただいまの御質問の中でベースになります問題として一つ申し上げておきます。 それは老齢人口というものの生産年齢人口に対する比率の推移の予測でございますが、現在四十六年で生産年齢人口といわれます十五歳から六十四歳までの人口に対しまして六十五歳以上の老齢人口が大体一〇%を若干上回っている程度であります。これが十年後には二二%になり、二十年後には一五%をこえまして、三十年後には大体二割をこえるというふうな状態でございます。そういう状態のもとで、たとえば現在の年金の費用の国民所得に対します比率を考えてみますと、大体〇・三%から〇・四%程度ということで、西欧の先進諸国に比べますと非常に低いわけでございまして、これは先生御指摘のとおり、現在被保険者が多くても受給者が少ない、あるいはまた、経過的な年金が多くて年金額が低くて、そういう意味でも未成熟である、それから、本来年金につきましても必ずしも十分な水準までいってない面もないことはないというような面がいろいろ相重なりましてそういう状態にあろうかと思うのでございますが、最初に申し上げました老齢人口というものの生産年齢人口に対する比率というふうなものを考えてみますと、大体六十年ごろになりますと、一応の推計でございますが、老齢年金で大体二千億程度のもの、それから通算老齢が二百八十億程度のもの、その他いろいろ合わせまして二千七百三十億程度のものが年金給付として支給されるというふうな状態になるわけでございます。現在は大体百六億程度でございますから、その程度の段階に参りますとかなりな給付の増加が予測される、一応大ざっぱなことを申し上げますとそのような一つの目安があるということでございます。
○大原委員 もう一つの観点で——この問題はひとつ問題として出しておいて、私もこのことだけにとどまっては時間がないのであとこれは研究するということにしますが、その前提となる社会保障の給付費が問題ですね、日本では。新経済社会発展計画は実際上空中分解したようになっているわけですが、新経済社会発展計画の中で、その五カ年の経過の中で社会保障の給付費はどれだけ引き上げていくか、こういう目安は立っているかということですね。社会保障の全体の問題、その中で年金の改善についてはどういう考え方で新経済社会発展計画の中で組み込んだのであるか。それは振替所得で言ってもいいですよ。
○北川政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の段階では、国民所得の対比で大体〇・三%ないし〇・四%でございますが、一応の見込まれております。パーセンテージといたしましては約二%程度というふうに見ております。
○大原委員 新経済社会発展計画の中には、昭和五十年における振替所得及び社会保険の負担は昭和四十四年度の規模に対してそれぞれ約三倍程度の増加となり、また国民所得に対する比率は昭和四十四年度実績見込みの五・二%及び四・三%から——これは振替所得及び社会保険の負担ですが、それぞれ二%程度上昇することとなる、こういうふうになっておりますね。その計算を出した基礎で、年金部門は五カ年間にどの程度引き上がってくるのかというそのデータがあるのですか。そういうデータをもとにして二%程度引き上げるというそういう計画を立てているのですか、どうですか。
○北川政府委員 はなはだ明確なことが申し上げられなくて恐縮でございますけれども、あの新経済社会発展計画の中におきましては、年金部門につきましてきわめてマクロ的な推計をいたしておりますので、実は明細な積算の基礎を現段階では持ち合わせていないわけでございます。
○大原委員 大体いままで中期経済計画以来いろいろな計画をやってきた中で継続してきた数字というものは受け継いだような程度で、それ以上に上げることができないというふうなことで押えられた程度だと思うわけです。これは非常に低いわけですが、しかし、それにしてもやはり、何というか一つの総合的な改善計画というものがぜひ必要だ。そういうことを目標にしないと、おくれた年金部門のベースあるいは実際の改善措置はできないのではないか。今回は異例の措置として、物価も上昇したから再計算の時期を早めた、こういうことはいいことですが、しかしこれは思いつきだけではいけないのではないか。日本の年金給付の水準というものは、国際的な水準から見ても、日本の国力に相応したような分配をして生活の保障をやる、そういう目安を立てるべきではないか、こういう点においては私は全体を通じて議論をしたいわけですが、そういう問題が一つあるということが一つ。 それから、大きな問題から入っていきますが、先般日本経済新聞の四月十七日の夕刊に出ておるのですが、トップの見出しで「国民年金を抜本改正」大きな活字で「厚生年金と統合も」とあるわけですね。それで、たとえばこれは国民年金のサイドから新聞記者諸君が勉強されて分析をしたと思うのですが、できれば次の財政再計算の時期、すなわち厚生年金は四十九年、それから国民年金は五十年、一年のズレがありますが、その財政の計算期における大改正で、国民年金と厚生年金を統合していく。農村人口の流出その他で自営業者が少なくなってくるので、国民年金を厚生年金へ統合していくということをやらないと、財政上の措置もできないのではないか。あるいは年金のバランスをとるという点も問題が生ずるのではないか。こういう問題点を指摘しておるわけですが、この問題については、そういう長期的な問題を議論しているのかどうか、こういうことについてお答えいただきたいと思います。
○北川政府委員 ただいまお話しのとおりのことでございまして、確かにその新聞にはそういう記事が載っかっております。私どもは、現在の段階におきまして年金の大きな柱といたしましては被用者サイドでは厚生年金保険、また一般の自営、農業等におきましては国民年金という二つのものがございまして、これを健全に育成をし、また健全な成熟をはかっていかなければならないというふうに考えております。今回の厚生年金保険法の改正というものはしばらくおきましても、ことしから国民年金のサイドでは、御承知のとおり拠出制の十年年金というものの支給が始まりまして、いわば実質的な意味で本来の意味での国民皆年金というものが実現をするわけでございますので、今後急速に受給者もふえてまいりますし、しかも経済社会のいろいろな諸条件は相当大きな激動期にもございますので、先生御指摘のように、次期の再計算期におきましては、それぞれの年金制度につきまして相当いろいろなファクターを洗い直して、根本的と申しますか、相当大がかりな再検討をしなければならないと思っております。しかし、その際にどういう問題点をやるか、いろいろ御指摘のような統合の問題まで発展するかどうか、そういう問題はまだまだ私どもは予測のできない問題でございますが、いま申し上げましたとおり、当面は両制度の健全な成熟、育成、発展ということを踏まえた実質的な皆年金下における相当大がかりな改正について現在いろいろな角度から検討をやっているところでございます。
○大原委員 もう一つ、大きな問題だけ出しておきますが、別の観点でやはり総合的な計画がなければ年金の引き上げはできないということの一つの問題点として、労働省の出席も願っておるわけですが、やはり外国で老人というものは何歳からかといえば大体六十五歳でしょう。老人というのは、老人問題、老人問題といってやかましいのですが、六十五歳からなんですね。しかしこれは、一般的に六十五歳以上老人というわけですが、日本では必ずしもそれは制度上六十五歳というのが保障されてない、制度的な裏づけがない、ただし個人差があって六十五歳から老人になる人もおる。からだの条件がそういう人もあるし、あるいは坑内夫とかいろいろな問題がある。環境等によって違う。 しかし、それにしても雇用の問題と年金の問題を結合して総合計画を立てる、こういうことは保険財政の有効的な適用の上からも私は大切ではないか。もちろん現状においては中高年の雇用の機会というものは、労働条件からいっても賃金からいっても低いから、早く年金を出してもらいたい、こういうことは率直な要望としては出るのですが、しかしそういう議論ばかり今日しておったのではいけない。そこで雇用問題、老人問題と年金とを結合して総合計画を立てることが私はいまや必要ではないか、こう思うわけです。これについてやはり政府部内において議論しておることがあるのかないのか。いつも健康保険でも年金でもいまの問題でもそうですが、財政赤字の問題、この観点からも検討は必要なんですが、そういう問題だけから議論しがちですけれども、しかし具体的に年金の恩恵を受ける人は国民なんですから、一人一人の国民から見ると、六十歳まであるいは六十五歳まで働く、六十五歳以上も生きがいとして働く意思と能力があれば働かせる。しかし、一応六十五歳まで働いた人については年金で老後の保障はできる、ただし坑内夫とか個人的な身体的な条件であるいは性別の条件で六十歳あるいは五十五歳から年金の給付を開始することが必要であるというような場合等も考えられるわけですが、そういうことを含めて、やはり雇用と老人問題と年金を結合して総合計画を立てるという考え方で年金の質的な向上をはかっていく、こういうことについて議論をしておるかどうか、こういう点について、もし問題として取り上げて見解があればお答えいただきたい。
○北川政府委員 ただいまのお話は、いわゆる企業サイドにおける定年制の問題とそれから年金の問題、その辺のかね合いの問題、一般にいわれておりますような両者をドッキングすべきじゃないかというような、そういう問題点であろうかと思います。 私どもは、いまお話にありましたように、現在正式に所管が違いますので、雇用問題ということとのかね合いで労働省と十分な話し合いを始めている段階ではございませんけれども、御承知のとおり老人問題というサイドから年金問題をながめてみると、従来はいわゆる健康の保障は健康保険で、それから所得保障は年金でというような、そういう見方がありました。現在でもそういうことは間違いございません。しかし、老人というサイドからながめた場合に、年金だけではなくて、いま御指摘のような雇用問題とのつながり、あるいはまた生きがいとの関係、いわゆる老人福祉問題というような、そういったような相互の関連を総合的に見直さなければならぬ時代だと思います。そういう意味合いで、厚生省におきましても、先般老人問題についての相当大まかなプロジェクトチームをつくりまして、その中でそれぞれ部門を分けまして、いまお話しのような雇用関係とか、そういった問題もその中の専門部会で検討を進める予定でございます。また検討を現在やっておりまするから、その過程におきましては当然雇用問題に関連をいたしまする関係上、これは労働省ともよく相談をいたしまして、老人問題の断面としての問題、そういう把握のしかたで問題に対処してまいりたい、このように考えております。
○大原委員 そのかまえについて問題なんですが、厚生省が老人問題だけとして社会保障の面だけを取り上げるという観点では、私は問題自体進まないと思う。選挙の前にぱっと花火を上げておいて期待を持たせるだけであって、事態は進まない。たとえば共済年金の制度についても、いまや考えなければならぬ、政府自体がやっておることを考えなければいけない、政府自体がやっておる定年制も変えなければならない、こういう問題がある。 たとえば、ぼくはいつも思うのですが、高級公務員にしても五十四、五歳で一生をささげた職場を去るというようなことは、結局そうすると在職中に企業やその他と連絡をつけたり、それから局長クラスになると全国区やその他衆議院へ出る準備をしたり、選挙の準備をしたり、そうかといって全部局長やその他の課長が出るわけにはいかないから、選挙区は少ないし、定員は少ないから、だからどこかへもぐり込もうと思って苦労するわけだ。だから天下りの問題だって禁止しただけではだめだから、ベテランは六十五歳までは、ポストとして管理職としてどこをやるかは別として、外郭的な仕事をやるという場合もあるし、助言とかそういう立場を生かす場合もあるわけだから、六十歳なら六十歳までで局長のポストを入れかわるということにたとえなるとしても、そういう六十五歳まで働く意思と能力があればその職場で働けるというふうにして、思い切って改革を五カ年なら五カ年間で立てるというようにしていくこと、そういうことを通じて、やはり老人問題と年金の問題を関係づける。いまだったら共済年金は五十五歳からおそらくまあほとんどが完全支給されるわけですよ。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 それでほかの職場へ行ったって月給と一緒に併給されるわけです、所得制限がない共済についてはほとんど。それが言うならば安い月給のあと払い的なものになっておるけれども、月給の体系問題もあるだろうが、しかしそれにしても、やはり定年制にしても六十五歳なら六十五歳を目標にして、六十歳から六十五歳への、そういうベテランの働く余地を残すような、そういう制度というものをつくって、そして年金制度についてもやはり総合的な立場で検討するということも必要であろう。 それから、いま申し上げたように、それと同じように各企業においても六十五歳までは働く、こういうふうにすることが必要ではないか。そう考えてくると、やはり雇用問題とかそういう総合的になるから、厚生省だけの老人問題でなしに、内閣全体として老人問題や年金問題、雇用問題に取り組めるようなそういう体制をとって、総合計画を内閣全体の問題でやっていく。われわれが思うのは、公害や物価は大きな社会問題ですが、やはり老人問題はいまの過密、過疎や経済変動、社会変動の中においてはこれに匹敵する社会問題であるということを漸次認識されつつあるわけですから、そういう大きな規模で総合対策を立てて、その中で年金改善の方針を出すということにしないと、厚生省だけの力では力が足らぬ、ということは言わないが、医療問題その他にひっかき回されて、そういう問題について長期的なマクロ的な計画は全然立たないというのが現状ではないか。だから、そういう総合政策を立てるかまえを、私は厚生大臣としても、老人問題についての厚生省の検討を踏まえながら、総合的に政府全体がとりかかるような体制をとるべきではないか。国務大臣として、これは年金局長が答えるといっても無理だろうから、国務大臣として内田さんがりっぱな意見と施策を残してもらいたい。残してもらいたいと言うと語弊があるけれども、あなたがやめることを前提として話をしているようだから。そうではなしに、いつまでも厚生大臣をやっているわけではないのだから、そういうことを今日までの議論の総括として残してもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
○内田国務大臣 おせじなしに申し上げまして、私は大原さんの御意見に異議がございません。それでありますから厚生省の中でも、この老人福祉対策をやるのは社会局の老人福祉課を中心としてやるが、しかし老齢年金、福祉年金という年金問題になると、その問題は年金局にいってしまっておる。医療保険の問題になると保険局にいってしまっておるというふうなぐあいに、厚生省の中でも仕事が縦割りになっておりますので、さきにも政府委員からお話を申し上げましたように、私は今日の老人福祉対策というものは大きな国民的政策課題であるというような見地から、局を横に払ったような老人福祉対策のプロジェクトチームというものをつくったこと御承知のとおりでありますが、これはインターデパートメントにおきましても同じでございまして、お話しのような趣旨の取り上げ方をいたすためには厚生省だけでできるものではないと思います。 それについては二つの仕組みがございまして、一つはごく小さい範囲で、これも大原さん御承知のとおり各種の年金が八つぐらいございます。一つ一つの共済制度、長期給付制度を数え上げますと八つぐらいの年金制度があるわけでございますが、それを一本にまとめるなり、まとめ得ない場合でも何か共通の制度にして運用をすべきだということで、すでに数年前から総理府を中心としてこれらの仕事の関係官の調整協議会というようなものを実はしばしばやってきております。やってきておりますが、いまお話しのように、年金支給開始年齢の統一というようなことまではなかなかできておらないようでございまして、それはそれぞれの年金がそれぞれの目的と沿革を持って発生したというようなこともございます。先ほど二人の間でお話をしましたように、必ずしも社会福祉の制度として年金が取り上げられた経緯のものではなしに、一種の雇用制度として発生してきたような面もございますものもありますために、なかなかこれは一本化できませんで、今日まで一本化したことについて私が聞いておりますところは、通算の制度とかあるいは最低額の保障制度とかいうことしか達成されておらないようでございますが、しかし、いま御指摘のような問題もございますので、この調整協議会の仕組みというものは、これをやめてしまわないで、ますます違った新しい意味からもこの機能を強化するのがよいと思いますので、そういう努力をいたすことが一つと、それからもう一つは、厚生省がお世話をいたしておるわけでありますが、中央社会福祉審議会というものがございまして、これがまあ社会福祉全体の課題を取り上げるのですが、最近は老人福祉対策というものがやはりこの審議会におきましても一番大きな今後の国民的課題だというようなことで、昨年の十月でございましたか、総合的な老人対策についての御意見の発表がございました。これは厚生省だけの意見ではございませんで、労働省あるいはその他の方面に通ずる識者の方々、場合によりましては、それぞれの官庁のしかるべき現職の職員の方も入っていたように思いますけれども、そういうことで一体老人対策と年金との関連をどう持っていくかというようなこと、ことに老齢対策としての生きがいの問題というようなこと、これは定年制等にも関連があることになりますが、そういう問題にまで触れていろいろ御討議をいただいている仕組みもございますので、私はまことにおっしゃるとおりでございますので、これらの機構を生かしまして、所得保障、社会保障の施策としての年金問題につきまして、さらに根本的な検討を重ねてまいりたいと思います。 幸い、また今日法律で問題になっております厚生年金の制度は、言うまでもなく六十歳以上で企業を退職する場合というようなことでございまして、五十五歳の定年とか、あるいは共済制度における五十五歳よりも、とにかく六十歳までは働いてしかるべきだというような考え方が取り入れられております。しかも六十歳以上においてもさらに在職をした場合には、六十五歳以上になって初めて在職中でも厚生年金を出せるような仕組みも取り入れたわけでございますので、今日は一口に老齢者といいましても六十歳、六十五歳までは働いてもらうんだ、そういうことも想定をしながら厚生年金制度というものはできているように思っておりますので、これはさらに掘り下げてまいりたいと思います。
○大原委員 ちょっと具体的に私は言っているのです。厚生省のいまの老人対策についての政策立案についてはよろしいが、雇用と老人問題全体は、年金の問題を中心に、所得保障の問題を中心に、施設の問題もあるが、やっぱり政府全体で取り組んでそれが実際に政策の上に反映するようにしなければいけない。これはもう法律をつくってきちっとやるほうがいいと思いますけれども……。中央社会福祉審議会とか厚生省がちょっとやった分ではあまり影響がないというわけですよ。啓蒙的な役割りしかこれはないのじゃないか。実際の政府の施策に反映するような機構をつくって、この老人問題なりあるいは年金問題——年金の改善問題は総合的な問題ですから、検討すべき段階に来ているのではないか、定年制の問題等を含めて。たとえば厚生省、労働省だけだって中高年齢層のときの議論を聞いてみますと、労働大臣がそう言っている。社会保障が、年金によって所得保障が実現できるまではこの仕事は続けていくんだ、こういう答弁をしているわけです。しかしながらその続きのところはないわけです。具体的にどこで受け取めてやるかがないわけです。そういう日本におけるほんとうに生活権を守っていくという、一生を通じて労働権、生活権を守っていくという考え方における施策が統一的にとらえられていないから、たとえばこの改正案の脱退一時金でも、合理的に考えたら通算したほうがいいわけだ。いいわけだけれども、いまの状況においてはインフレだしできるだけ早く一時金をもらいたい、女子の場合ですね。これは合理的に考えてみれば通算したほうが得なんです。それは労働者側からそういう意見が出るのはもっともだという点があるわけです。というのは全体の制度ができてないからです。 それから、たとえば、できるだけ五十歳とか五十五歳とかいうような若い年齢のときにもらいたいという意見もあるわけだ。というのは、いろいろな雇用問題とも関係しているわけです。ですから、そういう率直な素朴な要求というものは無視できないということが、そういう意見というものが全体とすると、やはり問題点を提起していることになって問題が多くなっているという側面があるわけです。だから総合的にやらないと——総合的にやるほうが年金財政の点からいったって合理的なわけですよ。医療の問題だってそうだけれども、総合対策がないというのが厚生省の政策の一番の欠陥ですよ。だから厚生省は、みずから年金の部門を守るのじゃなしに、老人問題全体として政府の施策をどうするかということを考える機関を設けて、それを国務大臣としても推進すべきではないか、私はこういう意見です。総理府にそういう問題の対策協議会を設けろ、老人とか定年とか年金等の対策協議会を設けるべきだという点をも含めて、やはりそういう制度上の保障がないと、日本のいまの政治の中では総合対策はなかなか立てられないのではないか、こういうことを言っているのですがね。
○内田国務大臣 冒頭に申し上げましたように、あなたのお説に私は異議はありません。しかし、それは御批判もあるくらいでありますから、十分ではないにいたしましても、老人対策につきましては、厚生省だけのひとりよがりのことをやろうというつもりじゃございませんで、人間の稼働能力というようなことになりますと労働省の政策にも大いに関連がございますので、両省協力してやるつもりでございますし、その一環として、いま申したような二つの機構をも生かしていきたいということを申し述べたわけでございます。これは総理府に青少年対策本部というものが現在ございますし、あるいはまた、かつては青少年局というものもございましたが、それと同じように総理府に老人局あるいは年金局を持っていけばそれでいいともそれで済むものとも思いませんので、実質的に今日の年金、ことに老齢年金の意義というものを私どもが今日的意味においてそれを十分判断をして、それで本来の今日の社会福祉施策としての老齢年金の意味に合うような施策を今後とも改善いたしてまいりますために、労働省、総理府、大蔵省その他関係方面とも打ち合わせてまいりたいと思います。 ただ私は、いまの厚生年金の、退職を条件とし、それも六十歳在職の場合には六十五歳という制度、あるいはまた国民年金の拠出制が六十五歳になっているということは、そんなにいまの人間の稼働能力あるいは労働省の政策と、まあ幸いにもかけ離れているようにも思いませんが、しかしそれは、たまたまそうなっておるのか、あるいは私どもの先人が、今日のことを見通してそうやられたのかは別といたしまして、いろいろ今後さらにこれを詰めていく課題も正直に申してあろうと思いますので、お説に従いたいと思います。
○大原委員 だから、定年制の問題と年金の問題を組織的にコンビさせるという点だけ考えても、まだ詰めていく余地はたくさんあると思うのです。大まかな点はあなたが言われたけれども、そういう点がある。だからその点をひとつ考えてもらいたいという問題提起が一つ。 それから年金の信頼度です。農業者年金をあんなことをしてやりましたが、やはり農業者年金をやったって、実際に年金に対するたとえばインフレその他を含めていま信頼度がないわけですよ。一定の方針が政府にないわけです。法律上にもないわけです、スライド問題一つをとってみましても。だから農業者年金でもかなりいろいろな苦労をして積み上げて、矛盾だらけのものになっておるけれども、保険という制度からいうと、基金の基盤が少なくなるのだから問題ですが、しかし、それにしてもあまり信頼度がないわけです。老後の保障ができるというふうには考えないわけです。たとえば厚生年金でも、実際には一万四千円平均しかもらってないわけでしょう。最近のもので一万九千円平均でしょう。そういうことでは、それに老後の生活を託す、そういう気持ちには実際上なれぬわけですよ、いまの制度では。だから年金制度の信頼度を上げていく、そういう制度改革するのにはどういう点を改革すればよろしいかという点が私は問題があると思う。そういう点について、年金に対する信頼度を上げるためにはどういう問題と取り組んだらよろしいか、問題点について整理をしている意見があればお答えいただきたい。
○内田国務大臣 政府側としてあまりよけいなことを申し上げるといかぬのですが、私は、ものごとをおおい隠して、これでうまくいっておりますと言えば済むものとも思いませんのであえて申し上げますと、大原さんのお話、わからぬことはございません。しかしそれは、一般の生命保険につきましても、あるいは郵便貯金でも銀行預金につきましても、貨幣形態をもってする蓄積あるいはその他の諸制度については、今日のような状態が続きます限りにおいてはみな似たようなところがあると思います。しかし私は、年金というものはせっかく生活保障の制度として、また社会保障の制度として私どもがやるわけでありますから、物価とか賃金とか生活水準とか、あるいはまた、わが国における家庭構造の変革、若い人々の親に対する扶養意識の変革というような動きをも考慮をして、それに対応するようなことをとりたいと思います。それが私どもが考えているところでございまして、今回の財政再計算期を待たずして、わずかだという御批判はございましょうけれども、上げることにいたしましたのも、やはり年金に対する信頼度というものを国民から離してしまわない一つの施策だと私は考えてやったわけでございます。 別のことばで申しますとスライド制ということになりますが、スライド制をやりますということは、それなら物価のほうもかってにこれから上がりっぱなしかということにもなりますので、私は、係は違うにいたしましても、物価は上げないということの努力をしたいと思いますので、物価は当然上がるんだという意味のスライド制ではなしに、物価が上がる場合には、時期的に若干あと追いになるというような批判はございましょうけれども、物価のみならず生活水準、賃金等をベースにした一種の政策的のスライドと申しましょうか、そういうことはやってまいるほうがよかろうということで考えておるものでございます。
○大原委員 信頼度の問題で問題になる点は、第一は年金額のベースがひとつ問題があると思うのです、年金の給付目標が。というのは、やはりいまの厚生年金の二万円ベースというのでは安いです。それから、国民年金の一万円、一万円という夫婦二万円というのでも安いです。これに生活のある程度の安心感や安定度を求めるということはできない。それからもう一つは、貨幣価値の変動や生活水準の変動に対するスライド制の問題、それを基礎にしたスライド制の問題です。第三は、出した拠出金、保険主義をとっておるわけですが、積み立て金の運用は、みんなが納得できるように運用するということ、それから、それにさらに加えるならば、雇用政策との関連をみんなが納得できるようにしていくということ等があると思うのです。 そこで、問題はスライド制なんですが、外国におけるスライド制の例の中で、いろいろな例があると思いますが、いろいろいままでの経験の中でこれはいいと思うのがもうすでに相当たくさん出ているわけです。それは、スライド制についてはいまやもう制度をきちっとすべき段階にきている。そこで問題は、その質問に入る前に、スライド制というものの中にはどういう型があるのか、皆さん方が考えてスライド制を議論している場合にどういう型があるのか。
○北川政府委員 いわゆる年金制度におけるスライド制の中にはおおよそ分けまして三つの型があると思います。 一つは、ただいま大臣から申し上げました、今回の法律改正にも関連いたす問題でありますけれども、いろいろな経済条件とか社会事情といったふうなものの変動に対応いたしまして必要のつど年金額の改定を行ないますところのいわゆる政策的なスライドというタイプであります。こういったタイプをとっております諸外国といたしましては、たとえばイギリスとかアメリカがその例でございます。 それから第二は、自動スライドでございます。これは、物価でありますとか、賃金でございますとか、あるいはまた生活水準といったような、そういったものを指標といたしまして、その指標の変動に対応して、時間的なズレはございますけれども、あるいはまた、スライドいたします場合にある種のチェックというものはございますけれども、そういう指標に自動して自動的なスライドアップをする、そういう方式がございます。 第三は、半自動スライドといわれているものでございまして、これはいま申し上げました特定指標にスライドをします方式にプラスをして、そのときどきの財政状況等を勘案をして改定をきめていく、こういった方式をとるものでございます。 御参考までに申し上げておきますと、物価スライド方式をとっております国といたしましては、デンマーク、スウェーデン、ベルギー、カナダ等がありますし、また賃金を指標としております国といたしましては、西ドイツ、フランスあるいはオランダ等があるわけでございます。私どもが現在承知をいたしておりますスライド制の内容は大体いま申し上げたような中身でございます。
○大原委員 第一は政策スライド、それから自動スライド、それから半自動スライドと三つのタイプがある。政策スライドでアメリカを言われたのですが、アメリカは、私のほうの手元で調べてみると、一九七一年三月十七日成立の社会保障改正法において物価にスライドをするという制度をとっておるというから、政策スライドではないと思うのです。これは言うならば自動スライドの型だと思うのです。その点はひとつ調べてください。 そこで、物価がだんだん上昇すると、民間の生命保険会社は、入る者も自由意思なんだから、リスクは双方が負担しているのだから、それは納得の上ですが、しかし社会保障としてやる年金保険の制度においては、やはり制度上の保障が必要なわけです。ですから全般的な世界の趨勢である西ドイツやフランス等がやっている賃金に対するスライドというのが、物価の問題を含めているから私は一番いいと思うわけです。賃金に対するスライド制、既裁定分を含めてそういうスライド制にする、こういうことが当然だと思うのです。だから、そういう目標をきちっと立ててスライド制を制度化するということが必要ではないかと私は思うわけです。この点は大臣は、いままでも年金の議論があったわけですが、いまの段階でどうお考えですか。
○内田国務大臣 スライドの問題は、他の委員会あるいは参議院等でもしばしば議論になっておりますが、その際私が答えておりますところは、ただいままでのところでは、私は政策スライド的な考え方でやってまいりたい。いまも申し上げましたように、物価が当然に上がるんだ、こういうことを申したくないという気持ちもございますので、自動スライドではなしに、政策的に、また日本におきましては、年金につきましていろいろな考慮の要素が必ずしも十でないところもございますので、そういうものの補てんをも含める意味もございまして、政策的にこれを完全な姿にしていく、こういう考え方でおります。
○大原委員 だから、その考え、政策スライドじゃだめじゃないかと言っている。政策スライドというのは、たとえば賃金は春闘その他でも上がるわけですね、物価を含めて上がっているわけでしょう。物価を一応目安に置きながら、賃金上昇率が物価上昇率を下回るというふうなことは、表面的な数字ではいままではないわけです。しかし実際上は、家計簿を調べてみるとあるかもしれませんよ、あるデータがあるわけですから。そこで賃金なら賃金、国民生活水準なら生活水準というものにスライドするということは、現在生産年齢人口がもらっている賃金というものが基礎になって千分の六十二なら千分の六十二の料率をかけているわけですから、その保険料を基礎にして積み立て方式も修正するという考え方で、すでにもらっている年金部面も引き上げていくという考え方で上げることがいいのではないか、基本的には。そういうことになれば、生活水準が上がる、賃金が上がるということにつれて、当然年金もスライドしていくという大きな筋の、そういう自動的なスライド方式をとるということが、先進国における例のように、いまのお答えの例のように、合理的なのではないかということを私は問題として申し上げているわけです。それで、日本がいまやっているのは政策スライドであります。 そこで私は、時間もないことですから進めてまいりますが、最近十カ年間の計数の中で、たとえば昭和三十三年から四十三年まででもよろしいし、厚生白書の資料にも一部外国の例が出ておりますから、外国と比較する場合にいいわけですが、そういう昭和三十三年から昭和四十三年まで、年金は一体再計算でどのくらい改善されたか。物価はどのくらい上がっていったか。それから賃金水準、給与水準はどのくらい上がっていったか。こういうのを、日本の場合についてパーセンテージでお答え願いたい。
○北川政府委員 ただいまお尋ねの、年金と消費者物価指数と、それから労働者一人当たり平均給与月額の三十三年以来の推移でございますが、次のような傾向でございます。 この場合に、年金の額は私どもの社会保険庁で調べたものによっております。消費者物価指数は経済企画庁でつくりました経済要覧、それから平均給与月額は毎勤統計でございます。三十三年を一〇〇といたしまして、厚生年金保険の老齢年金の場合は、年度末の数字でございますが、四十四年で四〇五という計数でございます。それから消費者物価指数は、都市の場合で、三十三年を一〇〇といたしまして四十四年が一六九・一。それから平均給与月額は、三十三年を一〇〇といたしまして、四十四年で三〇四。以上のような傾向にございます。
○大原委員 それはこういうふうに理解してよろしいのですか。昭和三十三年から昭和四十三年までの十年間について計算をする限りでは、年金の再計算による改善の率というものは、物価の上昇率や給与水準の上昇率を上回っておるというふうに解釈していいわけですか。
○北川政府委員 この期間をとらえました全体の流れといたしましてはそのような傾向でございますけれども、御承知のように、厚生年金保険は三十五年とか、あるいは四十年あるいは四十四年に相当大幅な改正をいたしております。したがいまして、改正をやります時点の前までは年金の伸び率はやや鈍化をいたしておりますが、改正の際に相当上昇いたしまして、また次回改正の際に相当上昇している、こういうふうな傾向であります。これに対しまして、消費者物価指数とか平均給与月額は、先生も御承知のとおり、なだらかに、一つの傾向線として上昇をたどっていく、こういった違いはございます。
○大原委員 そこで、この中には、問題としては年金の給付の水準、つまりベースが高いか低いかという問題が一つあるのですね。比較的低いところから始まっておって、上昇率が高いからといってそれはいわれないわけですよ。そういうことは、日本の実際の再計算というものは、非常にうまくできておって水準は高いのだというそういう議論にはならないわけですが、そういう議論は、皆さんもしようと思っていないし、そういう悪質な意図で質疑応答をしていると思わないから、私もそれは言わないけれども、しかし、いずれにしても、実際には物価の上昇率やあるいは賃金の上昇率を上回って年金の再計算をやっているのだから、ベースの問題、水準の問題を含めて総合的に生活を保障するに足る年金制度というものはどういうものであるかということを検討しながら、自動スライド制を制度化していくということは、いまや私はやらなければならぬと思う。というのは、一つは物価の問題で、インフレぐらい非道徳なものはない。悪質な政治というものはない。悪質な収奪というものはないと思う。まじめに働いていたって、そんなものは台なしにしてしまうわけですから、これほど悪いものはないと思う。 〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕 そういうところから、物価を上げて貨幣価値を下落させているのは政府の政策だから、政治責任だから、物価対策からいってもスライド制というものを制度化していくことが必要である。そして年金保険の保険料収入との関係で、賃金の上昇率を考えながら賃金のスライド制をやっていくという最も進歩的な自動方式をとることが、私は目標として早急にやらなければ、そういう方針をきめなければ、老人計画その他の総合計画というものは、雇用問題等を含めて、立たないのではないか。ぼくはそのことは一つの政治のモラルからいっても、物価対策からいっても、基本ではないか、こう思うわけです。外国の例が厚生白書の中にありますけれども、やはり年金は、外国のほうはベースがいい上に、物価とか賃金を上回って改善をしているわけです。ですから、日本のようにおくれた国では、自動方式による賃金を基礎とした——物価、賃金というふうに二つをやってもよろしいが、物価、賃金を基礎としたスライド方式をとっていくということと、それからベースを改善していくという二つのことをぼくは年金の改善案としては具体的に考えていく必要があるのではないか。そうしなければ、生活を保障するに足る制度にならぬじゃないか。この問題を集中的に議論してもらいたい。その点を今回の改正でも入れてもらいたいと思うけれども、できないにしても、この点についてはしっかりした将来の方針を出してもらいたい。そうしなければ議論しても意味がないことだし、いかがですか。
○内田国務大臣 厚生省は社会福祉省のつもりで私はやっております。でございますから、大原さんのお話は、私もまことによくわかるわけでありまして、御激励を受けているものと理解をいたします。決して私どもは年金制度の充実発展を押えたり、あるいはそれをちびろうとするような——これは大原さんたいへん善意の方でいらっしゃいますから私がこういうことを申し上げる必要はないわけでありますけれども、大原さんから攻撃を受けたり、また私どものほうで大原さんに抵抗をいたすつもりは毛頭ございません。現に、国民年金法にいたしましても、厚生年金法にいたしましても、財政再計算というものを五年ごとに一回やることになっておりますから、そういう際に、物価、賃金、生活水準はもちろんでありますけれども、私がさっき触れましたように、日本の家族制度、扶養の意識の変化の問題等も含めたり、あるいは社会福祉に対する価値判断の向上の問題も含めまして、思い切った改善をするようにいたしおるわけでありますが、幸い、またそれと似たようなところに条文がございまして、御希望になるような自動スライドではございませんけれども、経済の変動に応じて年金等につきましても所要の改正を行なうべき旨である規定が実はあるわけでございます。自動スライドというのはもちろん一つの方法でございますので、私は十分傾聴をいたしておるわけでございますけれども、方法はいずれにいたしましても、御意見十分拝聴をいたしまして、私どももともどもに年金充実につとめてまいりたいという考え方でやってまいりたいと思います。
○大原委員 関係審議会においてもやはり自動スライド的な意味の意見書を出しておると思うのですね。ですから、もう少し突っ込んで制度的にきちっとわかるようなかっこうで、総合的にスライド制について集中的な答申を求めることが私は必要だろうと思うのです。学識経験者あるいは保険料を拠出したりそういう利害関係者の意見を十分聞いてそういうことをやらないと、たとえば保険財政を保険料で負担するとか税金で負担するとかいろいろ負担方式はあるのです。それはあるでしょう。将来は保険税で負担することもあるでしょう。そういう場合に、納得のできる方法としては、給付が一定なルールで保障されるということが必要なわけです。ましてやこんなインフレで貨幣価値が下落をするというような時代において、思いつきでそのときどきに改善するということだけでは足りない。一〇%今回上げたことは悪いことではない。悪いことではないが、こういう基礎で将来もやるんだということがはっきりしない限りは、今日までそういう再計算を繰り返した経験を積み上げてきた値打ちはないのではないか。ですから、そういう点においては、たとえば一年間に七%物価が上昇するということを予想すると、ばからしくて、保険なんかできるだけ掛け金は安くして、中身は少なくていいから負担が少ないほうがいい。もらうものはもらうということになってしまう。だからぼくは、自動スライド制をとるというのはこれは最低の政治のモラルだと思う。決してむちゃなことではない。ですから、そういう中身に焦点を合わせながら、そして重要な問題についてはこれを解決して総合計画をつくっていくというふうなことをはっきり方針としてやって、具体的な作業の中に入れてもらいたい、こう思いますが、もう一回お尋ねします。
○内田国務大臣 何べんも申しますように、私は大原さんから御激励を受けているものと考えて進むつもりでございまして、これまでのこの年金制度が発足いたし、最近の社会福祉に関する国民の意識が高まっている時代のもとにおいて、私どもは後退をいたすような考え方は毛頭ございません。前進をいたしているつもりでございますが、その前進のしかたについての方法について、御激励やらまたいろいろお知恵を拝借いたしておる、こういうふうに考えるものでございますので、御議論のありました点は十分私どもの前向きの検討の資料にさせていただきたいと存じます。 また、これは繰り返すことになりますが、いまの法律制度も五年に一ぺんの財政再計算期における掛け金あるいは給付の計算をすればいいということではなしに、経済の諸事情の変動に応じた年金給付額の改善をはかるべきことを示唆しておる条文もございますので、十分それを生かしてまいりたいと私は考えます。これは決して五年に一ぺんということではございません。財政再計算期にやることはもちろんですが、その中間的な措置をもこの規定は認めているものと私は解釈をいたしまして、今回この措置をとらせていただいたわけでございますので、これでおしまいではございません。さらに前進をさせたいと思います。
○大原委員 最後に、つまり今回の改正は、一年目にやったわけですけれども、これはいいことですから、国民年金でも厚生年金でも今後もどんどんそういうふうに再計算期を待たないでやる。ただし再計算期において議論する問題は、私は二つの問題を提起いたしましたが、その一つは、年金を定年制と老人問題というふうな総合的な観点で取り組むような、厚生省のそういう検討を基盤にしながら取り組むようなそういう施策を進めてもらいたいということが一つ。それで今回の制度を確立する上においては、今日の段階ではスライド制、つまり物価や賃金、そういうものに自動的にスライドするというふうな制度上の保障をすることが、年金に対する信頼度を深めていく根本である。こういう問題も単にことばとしてスライド制をとるとらないという議論だけではなしに、政策スライドもあるわけです。ですから、そうではなしに、自動的なスライド制を制度的に保障していくというそういう問題点を集中的に検討をして、それを実現する方向でひとつこういう問題を処理することが必要ではないか、こういうことが私の結論ですから、将来いろんな機会にこういう問題を中心とした議論をするということにいたしまして、きょうは私の質問はこれで終わります。
○倉成委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 厚生年金保険法の審議にあたりまして、ただいま大原委員から冒頭に、年金は一体何のためにあるのかというようなきわめて端的なしかも重要な質問がなされておりました。厚生年金保険というのは、結局は労働者の老齢あるいは廃疾または死亡などによって年金や一時金を支給して、労働者やその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与していくもの、ここにあくまでも目的がなくてはならないし、それを土壌にして一切が展開されていかなければならないと私も考えるわけであります。そういう立場から逐次質問していくわけでありますけれども、きょうは大蔵省を呼んでおりますが、他の委員会の関係で時間がないようでございますので、質問の順序をちょっと前後しますけれども、そちらのほうから先にお尋ねしていきたいと思います。 まず、社会保険審議会厚生年金保険部会というのがありまして、昭和四十五年の八月十五日に、厚生年金保険制度緊急改正に関する意見という意見書を出しております。その中に「積立金の管理運用については、自主運用、他の資金との区分管理運用、管理運用に対する労使代表の参加、高利回り運用等を速やかに実施すべきである。還元融資については、その枠を少なくとも三分の一に拡大するとともに、年金福祉事業団その他の直接労使の福祉に還元する分については、保険料拠出者の意向が直接反映するような方途を図るべきである。」このように意見書が出ているわけです。厚生省の立場では、いつもこの還元融資のワクの拡大についてはそれを強く要望している。大蔵省、特に理財局ですか、そういう点と折衝中である。現在二五%のワクになっていると思いますけれども、これについて大蔵省としてはどのようにいまお考えになっているか、また厚生省とどのような交渉経過があったか、そういう点について、まずお答え願いたいと思います。
○田中説明員 お答えいたします。 四十六年度予算要求に際しまして、厚生省側から還元融資のワクの拡大、有利運用等、先ほど先生が申されました意見書に基づきます御趣旨の御要求をいただきました。私どもは、これは毎年毎年こういう御要求をいただいておりますけれども、財政当局の立場といたしましては、自主運用という面につきましては、郵便貯金でございますとか厚生年金、国民年金等、国の法律あるいは制度を通じまして集められたお金というものが膨大な金額になりますが、これが個々の運用主体によって運用されますことになると、二重投資、二重融資というような事態が生じまして、非常に非効率な財政投融資になるおそれがある、これらは一括して運用することによって初めて財政投融資の効用が発揮されるものであるという観点から、自主運用につきましては、せっかくの御要求でございましたが、従来の方針をとりたいということで今日に至っております。 それともう一つ、還元融資ワクの拡大の問題でございますが、これは先生も御承知のとおり、従来還元融資ワクが一〇%でございましたものを、昭和三十六年に資金運用部資金法の改正に際しまして、種々議論が行なわれました結果、資金運用部資金あるいは財政投融資の運用に関しまして、資金運用審議会の改組等を行ないまして、いま先生がお触れになりました委員の選定につきましても、利害関係者等ははずしまして、学識経験者のみからなる公正な審議会にするという決定もございますし、またその際、還元融資につきましては、従来の一〇%を二五%に拡大するという措置がとられて今日に至ったわけでございます。 ただ、この還元融資のワクの拡大の問題につきまして、私どもがいま考えておりますことは、御承知のようにもうすでに国民皆保険というような形で、ほとんどの方が厚生年金あるいは国民年金でカバーをされております。そういう意味におきましては、年金の拠出者に対してのみ特定の還元融資ワクを設けるという必要はむしろないのであって、国民皆保険の現状においては、これらの資金が総合的に国民の福祉の向上に役立つように運用されればそれでもって足りるのではないかという考え方が一つございます。そういう意味におきまして、還元融資のワクの拡大問題というのは、そういう観点からただいまのところでは、今後これをさらに拡大するという意図は持っておりません。 それと同時に、還元融資ワクが、当時一〇%から二五%になりました歴史を考えてみますと、いろいろの事情があったかとも存じますが、一つは国民年金等の普及拡大というようなためにもこれが非常に役に立つということであったのだろうと存じますが、ただいま申し上げましたように、ほとんど国民皆年金の現状においては、その必要も薄れておるということで、せっかくの厚生省の御要望でございましたが、財政当局としましては従来どおりの方針を貫いたわけでございます。
○大橋(敏)委員 いまいろいろ御説明がありましたが、結論としては二五%のワクは広げない。で、厚生省のほうに聞きますけれども、いまのような説明でございますが、これはやむを得ないとあきらめられるのか、それとももっと強力にその裏づけを持って要求していくのか、それについての所見を聞かしていただきたいと思います。
○北川政府委員 厚生年金あるいは国民年金、船員保険も含めまして、毎年の保険料につきまして、これが預託増加額についての還元融資問題は、ただいま大蔵省のほうからもいろいろお話がございましたが、私どもは従来からやはり被保険者がふえて、また預託増加額が増加をしているというような傾向、また受給者もだんだんとふえてきておるというような状況、こういったことも踏まえまして、できるだけ還元融資のワクを拡大するように、そういう意味で毎年予算折衝の際に財政当局にも要求をしているわけでございます。そういう意味合いで、本年も二五%というところに上乗せ五十億をいたしまして、二千九百余億でございますか、そういったことで改善は若干ではございますが、なされておりまするので、今後もそういう方向でできるだけの努力をしていきたいと思っております。
○大橋(敏)委員 大蔵省に聞きますが、いまの厚生省の気持ちもよくわかったと思います。また、社会保険審議会の意見書にも、三分の一ぐらいに当然広げるべきであるとあるわけですから、冷たく、もうこれ以上はふやさない気持ちで進むというようなことではなくて、もっと話し合いの場を持っていく気持ちを広げてもらいたいというこれは要望です。 それからもう一つ、大蔵省のほうに聞いておきたいのですが、各種共済組合がありますけれども、ここにおいて遺族年金をもらう場合、これは最低資格期間が十年になっております。もちろん公務あるいは職務以外の死亡になるわけでございますが、この十年間の資格期間というのは非常に長過ぎるのではないか。なぜかといいますと、国民年金における母子年金は、その遺族年金のいわゆる資格期間というのは一年ですね。それから厚生年金においてはわずかに六カ月です。ところが、各種共済組合法における遺族年金の支給対象は、いま言ったように十年ということになっているわけですね。これは非常に長過ぎると思うのですけれども、一体この十年というのはどこから出てきたのですか。どういう考えで出てきたのですか。また、これを改められる考えがあるのかないのか。
○谷口説明員 先生のただいまの御質問は、厚生年金の場合六カ月が受給最低期間でありまして、私ども国家公務員共済組合を担当しておりますが、国家公務員共済組合について申しますと、遺族年金の場合十年ということに資格がなっている。そこで六カ月に比して十年が長過ぎないか、そもそも十年をどうしてきめたのか、こういうような御質問の御趣旨かと思いますが、実は国家公務員共済組合の場合は、厚生年金と若干性格を異にいたしている部分がございます。いわば国家公務員及びその遺族の生活の安定あるいは福祉の向上ということを目的にしておりますが、同時に、国家公務員の能率の向上という意味で法律の第一条にそういう目的が明示されております。いわばそういう職域保険であるわけです。 そこで問題は、給付と保険料のバランスとか、あるいは全体的な給付をどういうふうに考えるかという問題であろうかと思いますが、国家公務員共済組合の場合には、やはり職域保険の性格にかんがみまして、少なくとも十年以上勤務したいわばある程度の長期勤続ということを考えましてこの遺族年金の制度も考えておりますが、その場合に、それでは十年をどうしたのだ、こういうお話になるかと思いますが、御案内のとおり、実は国家公務員共済組合法は、沿革的に申しますと二つの大きな流れがあるわけです。一つは、旧国家公務員共済組合法というのがございました。それからもう一つは、戦前における恩給法の問題でございます。恩給法では、公務上の場合は、先生も御議論されておりませんので、これは除きまして、そのいわば恩給法の普通の場合遺族はどうなるか、こういう問題は、御案内のように普通恩給は、十七年の受給資格がございますが、遺族の場合には、そういう受給資格がその遺族につく、こういうことになっております。 それから旧国家公務員共済組合法について言いますと、これは遺族年金については、二十年という受給資格でございました。そこで先ほど厚生年金が六カ月というお話でございましたが、私どもとしては、先ほどの二つの制度の流れをくんでおります関係と、同時に、先ほど申しましたある程度の長期間勤続したものの本人及びその家族の生活の安定あるいは福祉の向上ということ、あるいは公務の能率、あるいは長期給付全体のバランス、そういったもろもろの条件を考えまして、まあ十年ということで三十年以来まいっております。
○大橋(敏)委員 それでは二人ともけっこうです。 大臣、年金制度はいろいろありまして、その中身についても非常にばらばらでございます。いつも年金制度の統合問題が出るわけでございますけれども、いま話しましたように、遺族年金についても、いま各種共済組合と厚生年金やあるいは母子年金とでは、あまりにも資格期間が違い過ぎる、こういう問題も統合の方向の検討の中に十分織り込んでいくべき問題ではないか、私はこう考えるわけでございます。 そこで、ちょっと話は変わりますけれども、通算老齢年金というのがございますね。通算老齢年金も最近改正されてでき上がってきたわけでございますが、通算老齢年金については、やはり遺族年金というものはまだ認められていないと思うのですが、これもやはり制度上の片手落ちではないだろうか、このように考えるのですけれども、先ほどの問題といまの問題もあわせて、厚生大臣はどうお考えになるかですね。
○内田国務大臣 年金制度が社会福祉制度として論ぜられることになりましたのは、私は比較的最近だと思います。今日では、これが社会福祉制度の大きな柱になってきていると思いますが、しかしこういう制度が発生をいたしました淵源を考えてみますと、社会保障制度というよりも、むしろ雇用政策の延長として、あるいは雇用政策の一環として、こういう制度が取り上げられた節が多々ございます。したがって今日八つのタイプの年金制度がございます。それにまた恩給を加えますと九つになるかもしれませんが、恩給の遺族年金、つまり公務扶助料あるいはまた普通恩給等を考えていただけるとよくわかると思いますが、これらは必ずしも私は社会福祉、社会保障としてできてきているものでない形が今日まで持っているものの典型のようにも思います。その他いま大蔵省からお答えがございましたように、国家公務員の共済組合の長期給付の制度等にいたしましても、やはりその特定の目的を持って発生した経緯もございまして、現在までのところでは、これの共通化のために私どもは各省の連絡協議会をつくりまして努力をいたしましたけれども、御承知のように遺族年金と障害年金の最低保障額を同じようにするということと、それから老齢通算年金の制度というものだけができただけでございまして、その他は未解決の問題になっておるわけでございます。しかし、時代は大きく動いて流れておりますから、とうていこの年金の制度のあり方というものも、昔のままの尾骸骨をつけたままの形では、今後私はあり得ないと思うわけでありまして、社会福祉、社会保障という大きな時代の考え方の上に、それらは次第に制度の共通化、あるいは最終的な統合までにはいろいろな段階もございましょうが、おっしゃるとおりの方向に流れてまいるものと思います。私どももその流れに沿った措置を今後も尽くすようにいたしたいと思っております。
○大橋(敏)委員 それでは、とりあえず通算老齢年金を受給している者、そういう方がなくなった場合、その遺族に対して遺族年金を支給するという程度まではできるのじゃないですか。
○北川政府委員 いまいろいろ大臣から申し上げましたように、全体的に共通的な調整をすべき点がございますが、通老の場合の遺族年金につきましては、現在の段階では、そこまでのところはまだ考えていない状態でございます。
○大橋(敏)委員 これは考える必要があると思います。というのは、せっかく通算老齢年金といういわゆる温情的な措置が実現したわけですから、やはりその精神にのっとって、通算老齢年金であろうとも、もしそうした死亡事故が起こった場合は、遺族を何らかの姿で保障していくという、そういうたてまえ、仕組みというものが当然必要ではないか。今後の検討の中に十分これも組み入れてもらいたいということでございますが、どうですか。
○北川政府委員 いままでの質疑にございましたように、一つはこの遺族の範囲につきまして、それぞれの制度で若干そごをいたしております点がございますことと、それから、先ほどの御質問にございました遺族年金とかあるいは障害年金の受給資格期間について、それぞれの年金制度で相違がございますこと、そういったことをいろいろ考え合わせますと、直ちにそういう問題を取り上げるということが適切かどうか、やはり問題の順序といたしましては、お話のような遺族年金とかあるいは障害年金についての各制度の受給資格期間の相違とか、あるいは遺族の範囲の相違とか、あるいは障害等級の認定の相違とか、そういったような基礎的なファクターについてまず問題を考えていくべきではないか、このように現段階では考えております。
○大橋(敏)委員 先ほど大臣も、年金問題というものはこれは当然統合あるいは調整等の方向に近いうちに向かっていくだろう、希望されるような方向に流れていくであろうということは十分考えられる、こういうお話をなさっておりました。こうした調整問題が出たついでにもう一つお尋ねしますけれども、障害等級の調整問題がやはり言われておりますね。たとえば各種の障害等級があるわけでございますが、身体障害者法の法律から見ると七級までになっておりますが、身体障害者雇用促進法を見ると五級までになっております。労災補償法では十四級、国年では一級二級、それから厚年、船員保険では一、二、三級となっております。それから恩給、援護法になりますと特別項症から第六項症あるいは第一款症から第五款症、こういうふうに非常にまちまちでございますね。こうした障害等級もある意味で統一していかないと、これは運用の面において非常に問題でないかと思うのです。いまのように通算老齢年金がもらえる段階になってきておりますし、あるいはいろいろとそういう方向に向かっている段階でありますから、当然これは検討が進められていくと思うのですけれども、この点についてはどうですか。
○北川政府委員 ただいまお話しのとおり、障害等級につきましては、各保険で相当程度不均衡を生じております。そのために、先生も御承知だと存じますが、障害等級を一元化する、あるいは障害認定に関するいろいろな問題を検討をいたしますために、障害等級調整問題研究会というものをかつて設けまして、そこで相当期間をかけて、たしか三年ないし四年と思いますけれども、この問題を専門家の方々の間で医学的に、技術的に検討していただいたわけでございます。その結果ある程度の結論は出ておりますし、また、従来なかったような新しい面につきましてもその答えが出ているわけでございます。 ただ、それ以来いろいろ検討はいたしておりますが、実は統一いたしますときにはなお非常にむずかしい問題が残っているわけであります。それは、かりに一つの線に統一をいたしました場合に、廃疾の程度が現行の制度に比べて上がりますものと下がりますものとがある、こういうものをどういうふうに調整をするか、あるいはまた、すでに裁定をいたしましたいわゆる既裁定年金の取り扱いというふうな問題について、受給者全体についてその障害を全部洗い直す、あるいはいま申し上げました既裁定着につきましても、そういったレベルアップとかレベルダウンとかいう問題をどういうふうに処理するかというようなむずかしい問題がございますので、実は専門的な研究会の一応の結論はあるわけでございますけれども、なお今後こういう問題につきまして、いま申し上げましたような難点をどういうふうに処理していくか、そういう問題を十分に検討いたしまして、なるべく早い機会に、先生のお話しになりましたような方向で問題を処理するように考えてまいりたいと考えております。
○大橋(敏)委員 いま障害等級調整問題研究会というのが発足されて、もうすでに三年あるいは四年かけてその中身について検討してきて、ある程度の結論は出た、また新しい面も出た、いろいろむずかしい問題も出てきている、さらにその問題を練り直しているんだというような答弁であったと思うのですけれども、その研究会のある程度の結論というのは資料で提出していただくことができるでしょうか。あとでいいんですけれども……。
○北川政府委員 御要望がございましたら提出いたしますが、非常に専門的なものでございます。提出いたしますことは別といたしまして、中身について、そのあらかたを申し上げておきますと、大体次のような内容でございます。 つまり、私がただいま申し上げましたことで申しますと、従来まで各制度が身体障害の区分といたしておりました外部障害だけではなくて、内部障害につきましても具体的に保護をいたしました。これが第一点であります。 それから第二点は、障害程度の等級区分を、従来なかった新しい基準で区分をしたということが第二点でございます。 第三点は、障害等級表を日常生活活動の程度に応じて五段階八区分というふうにいたしまして、能力欠損評価基準表を柱として、これに対応した身体の各部位別の能力欠損評価基準表というものを作成をいたしましたこと、こういった点がこの研究会の報告書の内容のおもな柱でございます。 なお、残された問題といたしましては、やはりこの研究会におきましても検討してない問題がありますことと、それから、現在非常に問題になっておりますリハビリテーションによる改善後の能力評価について、今後また問題を残しておる、そういった問題が残っておりまして、大ざっぱに申し上げますと、大体以上のような内容でございまして、研究報告そのものは膨大なものでございますから、御要望があれば提出さしていただきます。
○大橋(敏)委員 大臣、いまの局長の答弁でおわかりと思いますけれども、年金の調整統合等の問題にからんで、障害等級の調整というのは非常に重要な課題ではなかろうかと思います。熱心にその問題に取り組んでいるようでございますけれども、局長の答弁では、これを私の要望どおり早急にそういう方向を確立したい、こういう答弁であったわけでございますが、御承知のとおり、心身障害者対策基本法というのもできておりますし、そういう立場からいっても、当然これは早期に確立すべきである、私はそう考えるわけでございますが、大臣のお気持ちをお聞かせ願いたいと思います。
○内田国務大臣 あまり私もそのほうについて深い造詣がありませんが、私はものごとはわかりやすいほうがいいと思います。したがいまして、制度ごとに障害等級の区分のしかたが違うというようなことですと、大臣にもわからぬというようなことになりますし、したがって国民にもわかりにくいことにもなりましょうから、身体障害あるいは心身障害というものは、身体上あるいは精神上の一つの現象でありますから、法律ごとにその適用の区分を異にしないほうがいいと考えますので、ここでひとつ十分検討させていただきたいと思います。 なお、幾つかの年金制度の中には、先ほどからお話の受給資格期間が違う、あるいは障害等級表のつくり方、区分がみな違うというもののほか、遺族の範囲なんかも違うような点もあるようでございまして、いろいろ支障がございますが、支障があるからだめだといっておりましては、いつまでたっても通算統合というようにいきませんから、そういうことを乗り越えてやっていくような時代が来ているように思いますので、御激励にこたえて勉強いたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 時間の関係もありますので次に移ります。 先ほどもちょっと質問したのですが、厚生年金あるいは国民年金等の積み立て金のお金が大蔵省の資金運用部に預託されて、その二五%がいわゆる還元融資されて、その一部が年金福祉事業団等の運用に充てられ、つまり被保険者の福祉に充てられているということでありますが、実は四十五年の八月十一日ですが、参議院の社労委員会でわが党の渋谷議員が、年金福祉事業団のあり方あるいは厚生団のあり方について質問したと思いますが、私、その会議録を読ましていただきました。その中身を要約しますと、結論的には、年金福祉事業団の仕事は融資事業とそれから施設の設置運営の二つに分かれている。しかし、現実問題としていま融資事業で手一ぱいで、設置運営のほうは厚生団に委託運営願っている。現在では非常にスムーズにいっているという話でございました。私はそれはそれでもいいと思うのですけれども、そこで問題になっているのは、厚生団の役員人事のことが取り上げられておりましたが、厚生団の役員人事の問題、特に評議員の中に厚生省の現役の役人がいるというような問題、これは監督する者とされる者が一体になっているということがはたしていいか悪いか、利害得失はいろいろあります。しかしながら、世論、皆さま方のお考えによって、これは排除したほうがよろしいということであれば直ちにそうしたい、これは検討させてもらいます、という大臣の御答弁であったわけです。それはその後どのように検討されたのか。 それからもう一つは、その答弁の中で大臣の構想を述べてあります。その構想というのは、厚生団というのは、年金福祉事業団と並ぶ特殊法人といいますか、公団の一つといいますか、厚生事業団というようなものにしたい。また、年金福祉事業団は、年金福祉公庫というようなものに改組したいという構想を私は持っているのだ、こうおっしゃっておるわけでございますが、その点について、その後もう一年たったわけですけれども、何らか具体的方向が出たのかどうか、お尋ねしたいわけでございます。
○内田国務大臣 渋谷さんとそういう問答をいたしたわけでございます。でありますから、いまの年金福祉事業団は、おっしゃるとおり年金福祉事業金融公庫という名前に変えたほうが現在の業務からいいますとぴったりいたすわけでありますし、また厚生事業団のほうは、これも特殊法人にして事業団という特殊立法ができればこれまた一番いいことだと私は考えるものでございますけれども、現実の問題といたしましては、これは大橋さんも御承知のように、機構の簡素化、新しく公団公庫類は認めない、こういう佐藤内閣の憲法がございまして、したがって事業団を公庫に改組するという法律案が出せない、また厚生事業団を特殊法人にするための法律案が出せないというこういう事態でございますので、これは私の頭に事業の実態どおりに看板ができ上がるということは忘れないで銘記をいたしておきまして、その機会を今後もねらってまいりたい、こう思うわけでございます。 それから厚生事業団のほうについては、これは財団法人で厚生省認可の形になっておるわけでございまして、これについていろいろな問題を起こさないように厳重なまず通達を、国会においてもこの問題が論議の対象として取り上げられたことをも付言いたしまして、事業の運営に遺憾のないように通達を出させることにいたしました。通達の写し等、いつでも差し上げることもできます。評議員の制度に、私はどういう人々が入っているか実は知りませんが、これは厚生省と一体不離の関係でありますから、全部取ってしまうのがいいか、少なくとも理事、監事というものには厚生省の役人が入らないほうがいいと思いますので、特別に私の考えでも変わらない限り、兼任でそういうところに役人を押し込むつもりはございませんけれども、評議員というようなことがいいか悪いかにつきましては、これは検討の課題にさせていただいておるはずでございまして、どんな人が入っておったか、それがどうなっているか、いまお答えできません。いずれまた御連絡申し上げたいと存じます。
○大橋(敏)委員 私が言いたいことは、年金の被保険者に対する福祉問題について、厚生事業団のいま取り扱っている仕事が非常に重要な立場にある、また年金福祉事業団そのものはいま融資事業で手一ぱいであるので、厚生事業団のほうにもう一つの施設の設置運営についてはもうおまかせしているんだ、こういう立場になっているのでありますので、厚生団の人ももう少しすっきりした姿で仕事をしたいんじゃないか、こう思うわけですね。いま大臣おっしゃるとおりに、厚生事業団の仕事内容はやはり専門的な内容でありまして、厚生省等の役人等がむしろ入っておったほうがいいんじゃないかという向きも多分に考えられます。けれども、一般的に見て、非常に疑惑を持たれるような問題もないでもございませんので、そういう点も含めて、もう少し厚生事業団が胸を張って仕事ができるような立場に持っていくべきではないだろうか、むしろ私は前向きにこれを考えているわけです。その点について言ったので、それは誤解のないようにお願いしたいと思います。その点はよろしいですか。
○内田国務大臣 いろいろ御親切にお考えをいただきましてありがとうございます。元来この年金事業というものは、国の特別会計で国の事業としてやっておるわけでありまして、厚生事業団にやらせておりますことも、この特別会計の業務勘定の仕事ということになるはずでございまして、したがって厚生省の特別会計とはきわめて密接な関係にありますので、大橋さんから御意見をいただいていることを感謝いたします。
○倉成委員長 大蔵省田中資金課長より、先ほどの答弁に関し発言を求められておりますので、これを許します。田中資金課長。
○田中説明員 お許しをいただきまして、先ほどお答え申し上げました中で、還元融資のワクが昭和三十六年度以前一〇%であったものを三十六年度以降二五%に拡大したと申し上げましたのは、三十六年度以前一五%であったものを二五%にしたという間違いでございましたので、訂正させていただきます。
○大橋(敏)委員 それではまた話が変わりますけれども、時間の関係で次々にいって申しわけないですが、厚生年金保険の障害年金ですね。障害年金の算定上に非常に矛盾であるんじゃないかということを、実は私のところに陳情が来たわけです。 その実例をもっていまから話しますので、よく聞いておってもらいたいのです。いまから言うのは、AさんとBさんということにしておきましょう。いずれも廃疾等級は二級の方です。Aさんは加入期間は二十年です。いわゆる二百四十月ですね。三十九年の発病当時に、前二年間の標準報酬月額は四万五千円になるわけですね。これは一つの例をあげたのですよ。ところが、Bさんは加入期間が二年、そうして二十四カ月になるわけですね。四十二年の発病当時の前二年間の標準報酬月額は三万九千円。ところがAさんは、平均標準報酬月額を三万三千円とこう算定されたわけです。したがって十七万五千円の基本年金額になったわけですね。Bさんは、平均標準報酬月額を三万九千円と算定されて、基本年金額は十八万九千六百円が支給されたというわけです。 私が言いたいところは、Aさんのほうは年金保険の加入期間が二十年、Bさんよりも十八年も長く加入しているわけですね。しかも発病当時二年間の標準報酬月額がBさんより六千円も高いにもかかわらず、Aが実際に受給した障害年金はBよりも年額で一万四千六百円も少ない、こういうことが実際あったようです。非常にこれは問題点ではないだろうか、こう思うのです。これは一つの例でありますが、厚生省としても、こういう問題についてはそれなりにいろいろと問題が浮き彫りにされていると思うのですけれども、どういうふうにそれを考えられているか。
○北川政府委員 ただいまお尋ねのような問題点は確かにあるわけでございます。長年被保険者でありました方が受給せられます額の算定の基礎になります期間が長い、また長いだけにその間の平均標準報酬というものは薄められて低くなっていく。逆に短期間の方々は給与も高くなっておりまするし、そういった関係上、給付額が高くなる。いわば逆転現象みたいなものがあるということは事実でございます。そういう意味合いで——そういう意味合いでと申しますか、前回の改正におきまして、先生も御承知のとおり、三十二年十月前の低い標準報酬というものを切り捨てまして、報酬比例部分を見直したことがございますので、その関係があって、こういう問題は若干そういう矛盾が緩和してまいったとは思いますけれども、やはりその問題が残っておることは事実でございますので、今後の問題として十分に検討をしていきたいと思います。
○大橋(敏)委員 これは高給を取っている方に対してはそんなことは問題ないじゃないかというようなことに一笑されるかもしれませんけれども、実際に低賃金生活をなさっている方々の立場から見た場合、これは非常に重要な問題でございます。この矛盾は何としても解消してもらいたい。これは単なる答弁の上だけの問題ではなくて、実際の上においてこういう矛盾が解消されるように手を打っていただきたい。これは大臣にも一言答弁を願いたいのです。
○内田国務大臣 いや、ほんとうにおかしいですね。それは標準報酬、勤務期間が長い方は安い俸給のときから高い俸給までの間の俸給を通算するものですから、平均の障害年金の基準になる報酬よりか安いのが出てしまう。ところが、その二年ぐらいしかいらっしゃらなかった方は、前の安い月給を受けておった時代がないから平均したものは高い、こういうようなことから出た結果でありますから、そのままでいいわけはありません。最近、これは厚生省も社会保障推進の立場から、なるべく年金額を高くしようということで、古い時代の標準報酬額は切り捨ててしまうことにしておるのですが、それでうまく調整ができたかどうか、もう一ぺん調べさせまして、いかにも御批判を受けるようなことがないようにいろいろやらしてみたいと思います。
○大橋(敏)委員 厚生省のお役人の方々にはものすごく優秀な方が多いそうでございます。そういう頭脳でこれは検討していくならば、必ずやこの矛盾は解消されるものと確信します。 それでは次に移ります。今度の厚生年金の改正が再計算期を待たずに年金額の引き上げを行なう、これは非常に高く評価されているわけでございますけれども、その反面、急激な物価上昇による年金の実質価値の低下といいますか、こういうことから、現実に年金を受給している人たちの不満がつのってきたということと、それから今後受給されるであろう方々の年金に対する不信感、こういうものにこたえて今回の改正はなされたのだ、私はそういうふうに考えるわけでございます。確かにいままでにない異例的な措置が講じられたということは私も理解するわけでございますけれども、被保険者の間では少なからぬ不満を抱いている。厚生省もこれについては真剣に受けとめるべきではないかと私は思うのです。これはもう何人かの委員の質問にも十分出てきておりますが、その一つは、年金額の引き上げ幅が不十分である。これは大体一〇%程度の引き上げだということになっておりますが、四十二年から四十四年の三年間における消費者物価の上昇率、これが大体基礎になって検討が進められてきた、その結果こうだということですね。したがいまして、四十四年以降の物価上昇についてはほとんどそれが配慮されていないということで、その引き上げ幅が低い、不十分だということで批判されているわけです。また、厚生年金の給付については、私が言うまでもなく、四十年の改正でいわゆる一万円年金が実現した。また四十四年の改正で一応のことばの上では二万円年金ということになっているわけですけれども、現実の年金の受給額を見てまいりますと、四十五年の九月の新規裁定者分の男子の老齢年金平均月額が、被保険者期間二十年以上でも一万八千七百万円。また二十年未満の場合になりますと、一万三千九百円にすぎないわけですね。これでは老後の生活を守るにはまだまだ不十分だといわれても当然ではないかと思うのです。今回の問題についてもしかりでございます。そうした点についての厚生省の考え方を聞かしていただきたい。 またもう一つ、時間がありませんので次の問題も一緒に聞いておきますけれども、いま言った不十分だという不満だけではなくて、今回の改正の実施時期がおそいということにもなっているわけです。というのは、昭和四十年の全国消費者物価指数を一〇〇としますと、四十五年には二二〇になっております。また昭和四十年の労働者平均給与月額を一〇〇と見ますと、四十五年には一九〇にも伸びているわけですね。この上昇が今後も続くとするならば、いわゆる年金の実質価値というものは年々低下していくことになるわけです。年金生活者はいよいよ不安を抱かざるを得ない。だから、この実施時期を少なくとも繰り上げて、老後の生活を安定せしめるべきであるというもっぱらの声でございますが、これに対して厚生省としてはどう受けとめて、今日どうしようとなさっておるか。
○北川政府委員 第一点の年金額の上げ幅でございますが、これはただいまお話にございました点で申しますと、引き上げの基礎になります指標といたしまして、四十二年から四十三年、それから四十三年から四十四年への物価上昇の率、すなわち一〇・一%というものをまるめて一〇%ということにいたしたわけでございます。四十五年度の物価上昇が予想外の高いものになりました結果、また今回の改正による引き上げの実施との関連によりまして、お話しのようにこういった手直しというものはできるだけ額が高いほうがいいのでございましょうし、また第三の御質問にもございました実施時期につきましても、そういった意味との関連から申しますと早いほうがいいというふうなことが言えるかもしれません。しかしながら私どもは、前回改正が行なわれましてから以後の二年間の指標をとりましたこと、また四十五年の物価の上昇率というものは、実際に今回の法律改正の作業をいたしました際に確定をいたしておりませんでして、その後の新しい指標でございましたために算定の基礎に組み込むことができなかったということ、そういうことがございまして一〇%というふうなことにしたわけでございます。また、実施の時期も、前回改正後の二年間の指標でございますから、そういう意味合いで、四十四年十一月から二年を経過いたしました本年の十一月から実施、こういうことにしたような次第でございます。 全体を通じて申し上げられますことは、第二の御質問に関連をするわけでございますが、二万円年金というもので私ども十分だとは決して思っておりません。したがいまして、先ほどからるる御議論がございましたように、年金の仕組みそのものについて根本的な検討をあらゆる角度についてやらなければならぬじゃないかというお話もございますし、また、そういった問題は再計算期においていろいろな角度から十分に見直していくというようなことを考えておりますので、その際に根本的な問題の解決に近づきたいと思っております。そういう意味合いで、今回はいわば四十四年改正後のつなぎの応急的な措置であるというふうなことを基本的に私どもは考えておりますから、今後の引き上げの幅でありますとか、あるいは実施の時期でありますとか、いろいろ御不満はあろうかと思いますけれども、基本的な問題として応急的なつなぎである、そういう点で御理解を願えれば幸いだと存じます。
○大橋(敏)委員 いまの局長の、つなぎの改善である、まあそういうことで一応理解はしますけれども、局長みずから言ったように、いまの二万円年金ということで十分だとは考えていない、私もその問題は強調したいところです。いわゆる定額部分だけで二万円になる仕組みならばまだ私は問題はないと思うのです。定額部分で二万円になるところまで改めていくべきではないか、比例報酬部分についてはそれに対するプラスアルファというような考え方、私は、いままでの政府が言っている二万円年金というのは、これは欺瞞的なものが含まれておるぞ、こういうふうに率直に指摘してきたわけでございます。私どもが、特に私自身が考えていることは、定額部分において二万円が受給できるだけの中身に仕組んでいくべきである、そういう方向で今後も検討を進めていくべきではないかということを提案したいのですけれども、その点はどうですか。
○北川政府委員 二万円が不十分である、私もそういうふうに申し上げたわけでございますけれども、実体関係から申しますと、二万円年金というのは 一つのモデルをつくりまして、御承知のように二十四年四カ月ということで算定をしたものであります。厚生年金保険が、現段階におきましてはなるほど被保険者は二千三百万でございますけれども、実際の老齢年金の受給者は非常にわずかなものしかいない、せいぜい三%程度の者が受給者であるというようなことを考えますると、いわば非常に未成熟でございまして、その間に経過的な年金というものが相当に入っておりますので、そういう関係上、最近の年金の算定実績を見ましても、仰せのとおり一万四千円程度のものにしかならないわけでございます。したがいまして、今後はその成熟の度合いをいかに早めていくかという問題と、それから、それと同時に、そのベースになる年金額というものをどういうふうに充実改善をしていくかというような問題があろうかと思います。後段の問題につきましては、先生御提案のような、定額部分だけで二万円というようなそういうお考え方もあろうかと存じますけれども、何ぶんにも定額部分というものと、それから報酬比例部分というものをどういうふうにかみ合わせるか、定額部分が入っているということ自体が厚生年金の非常にりっぱな一つの方式だと思うのでありますが、またそれだけに所得再配分の構想を持っているわけでございますけれども、この関係を考えまして、そういった関係の比率をどうするかというふうな問題は、これは非常に大きな年金の基本にかかわる大問題でございますので、二万円がいいかどうかということは、御提案はございましたけれども、全体の報酬比例部分と定額部分をどうするかという、そういったふうな全体的な検討の中で、できるだけ次期再計算期におきまして何とか基本的な方向に近づくように努力してまいりたい、現在ではこのように考えております。
○大橋(敏)委員 最後に、老齢年金というのは二十年以上かけて、六十歳に達した後に退職して被保険者でなくなったような場合に支給されることが原則になっているわけですね。今日の年金の実質価値の低下の実情から、むしろいま在職老齢年金というのがあるわけでございますけれども、在職中といえども、私はむしろ二十年かけて六十になったらば、少なくとも、六十五歳以上八割ですか支給されておりますが、それを全体的に一律にそう持っていくべきではないか、私はこう考えるわけです。というのは、現在は六十歳から六十五歳の被保険者で標準報酬月額五等級以下の者についてはいろいろと配慮がなされているわけでございますけれども、それも一級から五級までの対象になっております。そういうのではなくて、二十年掛けた、そして六十歳になったならば、在職中といえどもこれは基本年金額の八割は支給すべきではないか、私はこう主張したいのですけれども、そういう点についてどういうお考えをお持ちですか。
○北川政府委員 一つの御提案でございますので、十分にいろいろな角度から検討しなければならぬと思いますけれども、きょうの冒頭にいろいろな御議論がございましたように、やはり老人問題全体の中で年金問題というのをどういうふうに考えるか、つまり所得保障としての年金については、どの程度のウエートを持たして、また老人の雇用問題とか、あるいは老人の住まいの問題とか、全体的な中で問題を考えていかなければならぬと思いますので、私どもは、いま御提案のあったような問題につきましては、まさにいま問題になっております老人問題の一環としての年金ということで、どのように処理するかを検討させていただきたい、現段階ではこのように考えております。
○大橋(敏)委員 大臣にちょっとお尋ねしますが、若いころ、青年、壮年期に自分の老後の安定を思って、こうして年金をかけていくわけですね。二十年かけて、そして六十歳になればもらえるというわけですね。それも退職しなければもらえないわけですね。仕事をやめなければもらえないわけです。ところが、仕事をしていても六十五歳になれば八割だけは支給しましょうということになっておりますけれども、むしろ私は老後のいわゆる安心した生活を保障するためには、二十年かけて六十歳になれば、仕事をしていようといまいと、すべてに支給していく、こういう方向に向かっていくべきではないか。そうして働いている人の給与というものは、当然いわゆる上積みされるというようなことになって、お年寄りもさらに生きがいを感じた人生が送れるんではないか、私はこう思うのです。当然そういう方向に改めていくべきでないかと思うわけでございますが、大臣はそのお考えはどうでしょうか。
○内田国務大臣 いまも政府委員から答えがございましたように、大橋さんのお考えも一つの構想だと思います。しかしまた、もうおまえは厚生年金がもらえるんだから、在職しないでさっさとやめたらいいじゃないかというようなことで、何か厚生年金が在職年金制度の年齢を引き下げることによって実質上の定年制をつくるようなことになると、これまたいかがかという問題もございますので、その辺は大橋さんの御説にも十分耳を傾けながら検討さしていただきたいと思います。
○大橋(敏)委員 もう一つ、時間が過ぎておりますけれども、最後に……。 私自身不勉強かもしれませんけれども、スライド制の問題がいろいろと論じられてきたわけですけれども、「社会保険六法」の四八三ページにあるんですが、八十一条の第六項、これは保険料率の問題のところです。この八十一条の第六項に「前項の保険料率は、その率が第四項の基準に適合するに至るまでの間、段階的に引き上げられるべきものとする。」ということがあります。それと次の五〇四ページですけれども、第十四条の三項です。まん中に書いてありますけれども、「昭和四十九年十一月一日以後における保険料率は、この法律による改正後の厚生年金保険法第八十一条第五項各号に掲げる率に、それぞれ千分の五を加えたものとする。」こうありますね。この問題ですけれども、何だかいわゆる政策スライド云々というような問題で、自動スライドのことが非常にあいまいな答弁なんでございますけれども、保険料あるいは保険料率のほうは段階的に上げろとか、四十九年十一月一日以降は千分の五上げるのだとはっきりうたわれておりますけれども、こちらのほうは自動スライドになっておるように感ずるわけですね。その点についてちょっと御説明願いたいのです。
○北川政府委員 ただいまお話しのとおり、法律の規定には八十一条の六項にそういった段階的に引き上げるような定めがあります。六項の前、五項をごらんいただきますと、五項には「第一種被保険者については、千分の六十四」というふうに書いてございまして、それが先ほどお話しになりました附則の十四条の二項におきましては本年の十月までは千分の六十二でいくというふうなことになっております。したがって千分の六十二から出発をして六十四になって、それ以後は仰せのとおり千分の五を加える、四十九年十一月一日以降は千分の五を加える、こういう式になっているわけです。この趣旨は先ほどの議論にもございましたように、厚生年金保険の財政方式が積み立て方式でございますけれども、保険料の負担をできるだけ抑制するというような意味で修正積み立て方式をとっておりますために、なるべく当初はその負担を低くして、ある一定のインターバルを置きまして段階的に負担を上げていく、こういうことになっております。したがって、そういう意味合いでいわば被保険者、事業主等の負担を円滑に上げていくという意味でこういうことがあるわけでございます。なお、これは四十九年の十一月からの規定が附則にございますけれども、先ほどのお話のように四十九年というのは財政再計算期に当たっておりますし、またその際に、いろいろ被保険者につきまして、その期間でございますとか・給付でございますとか、平均余命でございますとか、そういったファクターを洗い直して再計算をして料率について見直すわけでございますから、そういう意味合いで附則の十四条の第四項には、前項の規定は、変更が加えられることを妨げるものではない、こういうふうなことも書いてあるわけでございます。そういう意味でこの規定は要するに保険料の負担というものをなだらかにふやしていく、そういう趣旨のものでございますので、決してこの分だけについてスライド制をとっているというそういう意味ではございません。
○大橋(敏)委員 私もその点についてはもう少し勉強しまして次の機会にその問題についてはもう一度お尋ねしてみたいと思います。 きょうは時間も過ぎましたので以上をもって終わります。
○倉成委員長 この際、休憩いたします。 本会議散会後直ちに再開いたします。 午後一時十二分休憩 ————◇————— 午後三時十五分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。寒川喜一君。
○寒川委員 各委員からもそれぞれ詳細な質問があったろうと思いますが、できる限り重複を避けて、大きな問題で大臣の御答弁を賜わりたいと思います。 今回の年金改正のお考え方を文書で拝見をいたしますと、大上段に振りかぶられて、最近の経済事情にかんがみ、例のないことではあるがというような態度でございますけれども、具体的な内容を見てまいりますと、必ずしもそうでない。したがって、厚生年金保険部会のお考え方とも若干そごを来たしておるというようなこと等を見まして、いわゆる恩給なりあるいは公務員の共済年金、そういったものの制度と比較をいたしまして、やはり将来にわたって抜本的な考え方を変えた立場で取り組んでいただきませんと、羊頭を掲げて狗肉というようなことになるのではないか、こんな感じがいたしておるわけでございます。したがって年金引き上げ額の論争をことさらはいたしませんが、おそらくもう一ぺん取り下げて再提出ということあるいはこの段階で金額の修正等、予算の関係から困難だと思いますので、一体このような状態を今後もお続けになられるのかどうか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○内田国務大臣 御承知のように国民年金並びに厚生年金の制度につきましては、これは長期にわたる給付制度でございますし、またたてまえがいわゆる積み立て金方式をとっておりまして、直蔵簡明な賦課方式をとっておらないというようなこともございますので、さような関連を主として、少なくとも五年に一回、給付金とまたそれに相対応する保険料とのバランス、あるいは運用予定収入等の見地からの再計算をなすことに法律上定められておるわけでございますが、これまでの政府は財政再計算期、その意味における財政再計算期に合わせまして、当時の、そのときの経済情勢に合うように年金の給付額も改善をいたしてきておりましたことは、御承知のとおりでございます。しかし最近はその五年の期間ということが問題でございますので、私の考えではその五年の期間をさらに短縮するような方向で財政再計算をして事態に合うような年金制度をつくり上げたいということと、それからもう一つは、今回の提案がそれに当たるわけでございますが、短縮された財政再計算期の間におきましても、可能であるならば、問題が問題でございますけれども、物価なり生活水準なり賃金なりを考慮して給付額の改善というものをしたほうがよろしい、私はこういう二つの考えを持って対処いたしておりますので、今後におきましても、今度のような財政再計算期の中間的改定をやりたい。また財政再計算期も五年ではなしに、できる限り四年なり三年に短縮をいたしたい。しかりしこうして、単に物価、賃金に合わせるばかりでなしに、あるいは生活水準に合わせるだけじゃなしに、年金制度そのものに対する考え方というものが、お互いの間で昔と変わってきております。昔は単なる一種の企業の福利の制度とか、あるいは雇用のための制度でありますとか、あるいは一生を通じて公務なりあるいは企業なりに貢献をした、そのことに対する報償というような考え方もございまして、恩給なりあるいは共済なりこの年金なりが出発したようにも私には思われる節がございますが、今日ではそうではなしに社会福祉制度の一つの大きな柱として、生活保障というような意味で年金を取り上げるべきではないかと考えますので、そういう意識に合うような改善をも加えていきたい、こういう野心を持っております。しかし、何ぶんにも反対納付の保険料率の問題もございますし、また国庫の補助の問題もございますので、なかなか私の野心どおりには進まない面もございますけれども、しかし、私が申し上げるぐあいに考えてみて、だんだん年金につきましても私どもの希望が達成される、こういうふうにも思いまして、大胆にかつまたしんぼう強くやってまいりたいと思っております。
○寒川委員 お考え方はそれぞれあると思いますけれども、私たちが考えますのは、この種のものについては経済事情の動向というものがやはり何をいっても大きなウエートにならざるを得ない。したがって、こういう制度全般の中で財政再計算期の設定ということも一つの方法であろうけれども、そういうものが一つのワクとしてあるのではなしに、公正な第三者機関で勧告してもらって、そういうものに従って、一つの客観情勢の変化に即応した年金額の改定というものができるような方法等を私は提案をしておきたいのですが、ぜひひとつ検討していただいて、二年で物価の上昇が、今回の改定率一〇%少しと、あまりにもひどいじゃないかというような論争が、こういう種類のものの制度でされること自体が、ことばでは福祉国家だとかどうだとか言ってみたところで、それはしょせんことばのあやにすぎない。したがって、あとにも関連いたしますけれども、厚生当局がリーダーシップをとって一つのそういう方向を打ち出していただきたいことを要望申し上げておきます。 それから第二点は積み立て金の関係なんですが、これも他の委員から御質問があったかもしれませんけれども、四十五年末現在では四兆三千億をこしておるということで数字的な間違いはございませんか。
○内田国務大臣 大体その数字で間違いございません。
○寒川委員 そこで、やはり前段で最後に触れたことと関連いたしますが、こういうものの運用管理ということが大蔵省に握られておるところに基本的な問題があると思います。政府自身もまた、こういった集めた金を資金運用部資金に回して、そういう方々が出しておる面については、還元融資という形の制度はございますけれども、ちょっとやらぬとかっこうがつかないというような現在の体系でなかろうかと思いますが、この点についてのお感じはいかがですか。
○内田国務大臣 そのことも午前中当委員会で論議せられたところでございますが、この厚生年金保険、あるいは国民年金にしても金額こそ小さいが同じであろうと思いますけれども、これらの国の制度のもとで集められた積み立て金等を、国利民福のために、また有利確実のために統合的に運用するという見地も、私は一方において否定はできないと思いつつも、かつまた他方におきましては、この年金の積み立て金はこの年金保険加入者にわかりやすい方向で運用されていることが望ましいという見地も、当然あるべきだと私は思います。いずれにウエートを置くかということで長い間の論議の課題になっておるわけでございまして、かつては前年の積み立て金増加額の一五%がいわゆる還元運用という形でございましたのが、今日では二五%、また最近ではそれにプラス・アルファ、五十億でございましたか、そのくらいプラス・アルファというような形になっておるわけでございます。いまの両面のかね合いから処理しつつ、私どもの立場からいたしますと、あとのほうの年金保険加入者にわかりやすい形でより多くを運用して、そしてこの制度の発展に資したい、こういう考え方をもちまして今後も折衝を進めてまいる所存でございます。
○寒川委員 お気持ちはわかりますけれども、現在、管理運用はだれの責任でおやりになっておられるのですか、お伺いしたいと思います。
○内田国務大臣 それは大きなワクと小さいワクとの責任のような形になっておりまして、大きなワクにおきましては、資金運用部資金審議会という学識経験者の方々におはかりをいたしまして、ひとり年金積み立て金ばかりでなしに、郵便貯金その他特別会計の余裕金等をも集めましたものの運用の方向をきめますとともに、還元運用のワク内に入ってまいりましたものにつきましては、厚生省の監督のもとに、たとえば年金福祉事業団というような厚生省監督下の国家機関の責任でやらしております。
○寒川委員 ぼくは、そのことが基本的に間違っておると思うのです。たとえば郵便貯金なんかの場合は資金運用部資金に行きましても、いわゆる預金をすること自体は、自分の将来のために、自分がたんす預金をするよりも郵便局に預けて金利を生ます、こういうことが主目的であるはずで、要するに自分の財産管理という意味で金が政府の機関に集まっておる。この場合はわかりますけれども、こういった種類のものはやはり厚生省がリーダーシップをとって、むしろ先ほど言った資金運用部資金の委員会のほうから厚生省のほうに、今度はこれだけひとつこっちのほうに回してくれぬかというような陳情の形の運用をしていく、こういうことにならないと本格的なものにならないのではないか。そういたしましたならば、やはり金を出しておる立場の労使あるいは政府が、そういう運用について労使と一緒に話し合っていただくような公益的な立場の人でこの金をどうするかというようなことになりませんと、大蔵省がばんと取り上げておって、陳情するというような形は、これは主客転倒しておると思うのです。したがって、そういった厚生省所管の管理運用のための公的機関をつくられて、大蔵省がほしければ、もうちょっとこっちにほしいというようなことで、自主的に、この金が労働者諸君のためにも、あるいは職場の福祉施設のためにも、広い意味の厚生のためにも使えるという、前向きの姿勢で取り組む時期であろうとぼくは思います。わが国の社会福祉に関する予算は、先進国に比べましてもかなりの差があることを直ちに充足していくという問題については、またいろいろな課題があろうかと思いますけれども、なし得るものを、むしろ長い伝統で今日も相変わらず引き続いてやっておる。これに一つのピリオドを打ってもらって、新しい感覚でイニシアチブをとって運営をしていくという一つの方向こそが、この種の管理運営について重要な課題でなかろうか、私はこういう気持ちを持っておるのですが、いかがでしょうか。
○内田国務大臣 寒川さんのお話も私には十分わかるわけであります。私はさっき二つの面につきまして申し述べましたが、政府関係資金の総合的運営という面をも全部否定しさるわけにもまいりませんし、また厚生省とか建設省とか農林省とかいうものは仕事の縦割り行政を担当いたしておりますけれども、それは税金とかあるいは通貨とか金融とかいうようなことにつきましては、縦割りではなしに横割りで、大蔵省が担当しておるというようなわが国の行政制度をも考えなければならない面もございまして、私ども勤労者が納めます税金も、労働省に入らないでやはり一ぺん大蔵省に入ってしまって、そしてそれが予算で配分されるというようなかっこうのようでございますので、この年金の積立金につきましても、私どもは主張は大いにいたしてまいりますけれども、第一の面との調整、調和の交わる点がどの辺であるかというところできまってきておるようでございます。これは決して私どもは旧套を墨守するつもりはございません。見ていていただきたいと思うのでありますが、だんだん世の中がこうなってまいりますと、社会福祉あるいは厚生省の職能というようなものは殿さまのお通りのようにだんだんなってまいるにきまっておる、こういうふうな自信さえも私は持つものでございますので、お互いにこのことは声を大にいたしつつ、改善をはかってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○寒川委員 しかしぼくが心外に思いますのは、税金とこの金を一緒な感覚で、ちょっと大臣が口をすべらしたんじゃないかと思いますけれども、そういう感覚ではこの問題は私は片づかないと思います。要するにこういった金が資金運用部に回って、どういうところに投資されておるかという分析をつまびらかにすれば、おおよそこれらを納めておる諸君とは縁遠い方向に行っておるんじゃないか、むしろそういった面で不足すれば起債という感覚で大蔵当局が措置すべきだと私は思うのです。ただ前段申し上げましたように、飛躍して全部よこせというような形のことが直ちに行なえるなんということは私も思っておりませんけれども、厚生省自身がイニシアチブをとって、一つのそういう方向をとっていくんだということでないと、税金は労働者が納めておるがどこへ使われても差しつかえないので、この金も同じだというセンスでは、ぼくは大臣としては見識がなさ過ぎると思いますが、その点もう一ぺん、間違いであれば間違いと、考え方をおっしゃっていただきたいと思います。
○内田国務大臣 私は年金管理大臣でございますから、年金で集まった金は自由に、ひとつ年金契約者がわかりやすい方向で使いたいと思っておることは、これはもうそのとおりでございますが、先ほど申しました例は、通貨、金融というようなことにつきましては、縦割り行政ではなしに横に払った行政をやる仕組みになっておるので、そういうことも考えてどの辺で交わらせるかということになると、そういう税金の例がいいか悪いか、これはひとつ別の問題で、よけいなことを申したのかもしれませんけれども、私の考え方はいま前段に申し述べたとおりでございます。先般より大蔵省の方がここに見えておりまして、毎年大蔵省が責められておりますがどうのこうのというような言いわけをされておりましたので、私も黙って聞いておりましたが、毎年責めつけておるわけであります。
○寒川委員 繰り返して申し上げませんけれども、そういう零囲気をやっぱり厚生行政を担当しておる大臣がつくっていくということでなしに、五十億になったって四兆何ぼのうら微々たるものですよ。そういう感覚を頭の切りかえをしてもらって、ことばのあやでなしに、やはり先頭に立って福祉の充実のために努力をしょう。あとの運用金利の問題にしましても、資金運用部資金に回して原資をふやすということと、それ以外のこととは、それは三者構成の委員会ができれば当然そういうことが日程にのぼってくると思うのです。一分以上の金利が違えば、ばく大なものですよ。そういう点をひとつ十分お気にとめていただいて、せっかく努力していただきますことを要望しておきまして、質問を終わります。
○倉成委員長 次に寺前巖君。
○寺前委員 大臣に二つの点をお聞きしたいと思うのです。一つの点は、厚生年金の持っている基本的な性格、これで今日の事態の中で厚生年金をどういうふうに支給すべきかという基本的な考え方の問題ですね。これをひとつ聞きたいと思うのです。それからもう一つは、せっかく法改正をやられる以上は、改正というのはやはり矛盾点を解決するということが改正の趣旨ですから、矛盾点としてもっとあるんじゃないか、この矛盾点の問題について聞きたい。この二つの点を聞きたいと思うのです。 まず最初の基本的な考え方の問題ですが、厚生年金というのは働いてきた人たちがいよいよ仕事をやめたあと、高齢者になってからの問題ですね、どう生活をしていくか。今日、労働者が働いている期間中は、賃金と職場の労働条件の改善のために労働組合をつくり、雇用主との間に交渉をやりながら、自分の健康と生命を守るためだけではなくして、家族の問題まで考えて生活をしていきます。同時に、万一病気になった場合には困るということで、健康保険の制度を会社でつくったり、あるいは公務員の場合の共済組合をつくるなりして、健康の問題についても、今日ではかなり変わってきていますけれども、病気になったときにはただで見てもらえるような体制をふだんからつくっておこうということが、日常生活の中にあると思うのです。しかし、働きながら同時に心配でならないのは、事故が起こった場合どうなるか。その場合については労災保険というのが今日 一つの制度としてできてきた、けっこうなことだ、こうなっておるわけです。しかし、その後の 一番の心配を考えてみると、退職時に一体どうなるのだろうかということは、労働者が共通してだれもが心配をします。退職時を考えてみると、まず退職金がどれだけもらえるのだろうか。それから年金がどれだけ入ってくるだろうか。退職したあと、私の仕事というのははたしてあるだろうか。そのときには一体子供はどうなっておるんだろうか。働いている人は共通した感情として、その辺を計算しながら生活を送らなければならない、こうなっておると思うのです。私の手元に、総評が民間企業の退職労働者の調査をやった幾つかの例の資料があります。これを見ますと、たとえば金属鉱山で三十二年間坑内夫をやっておった人、昭和四十二年の四月に三十二年間働いて五十八歳で退職した人がこういうことを言っています。やめるときの賃金は六万円で、退職金は四百万円だった。ところが女房と中学一年の女の子がまだおる。六万円の賃金のその当時の姿から、四百万円の退職金をもらっただけでは、あと二万五千円ですか、年金がもらえるが、しかし、年金をもらおうと思うと、社会保険の完備していない会社へつとめなければならぬということになります。そこで社会保険の完備していないところで三万円から三万七、八千円というところの月収——日給の月収ですけれども、そういう生活をやっている。しかし、坑内夫を三十年やってきた中で、もうからだはがたがた、日給月給の生活は非常に困難だという問題を訴えているわけですね。この人はかなり高いのですよ、厚生年金として。これだけ働いてきて二万五千円、実際はこういう状態でない人というのはたくさんおりますよ、それだけのものがもらえない。関西の私鉄の人ですが、二十年と三カ月勤務して五十五歳で退職した人は、退職時百五十万円の退職金をもらって、いま、退職してから四年間、鉄工所の雑役として生活している。女房と子供二人の四人家族が、おんぼろの借家で、高校生のむすこがおるそうですけれども、やはりたいへんである。こういうような例というのはあげたらきりがない。大体こういうようにずっとあがってきておるのを見ておりましても、退職金というのがいいところで百数十万円から四、五百万円まで——これは高いほうですね。そして退職後の生活というのが、ともかく何か仕事を求めなかったらやっていけない。しかし、からだはもうがたがたになっておる。年金のほうで十分に生活を立てるということにはなかなかいかない。むすこにたよれるかといったら、むすこにたよれる状況にないというのが共通した感情と、共通した暮らしの状態であると思うのです。こういうことを考えてきた場合に、現実に若いときに働いている場合に、労働災害にあった場合には、労災保険で全面的に見てもらえるという体制が当然あってしかるべきだと思う。それから家族の健康を破壊した場合には、健康保険でお金をかけずにやれる状態があるということ、これはまだ完全にそうなっていないけれども、そのことを労働者は期待していると思うのです。そうすると、そういうものと比較したときに退職後の取り扱いというものが、もうそれは社会の中心的な生産部門におる人でないのだからということで見放されているというのが、厚生年金の置かれている現状の内容だと思うのです。だから、今日の老後の生活のことを考えてみた場合に、せめてやめたときには少なくとも今日では三万円くらいのお金を渡さなかったら、生活は不安でしょう。そのくらいのものをやることが、日本の国は産業をすばらしく発展させたのだと自負しておられるところの政府にとって、働いてその産業の発展をささえてきた人たちに対する当然の態度でなければならぬと思うのです。大臣、どうでしょう。私はそこのところが、計算方式とかそういうものじゃなくて、少なくとも三万円くらいは、働いてこられたすべての方々に退職時にお渡しする、こういうかまえがなぜとられないのだろうか。そのくらいのことはとるべきではないだろうか。その意味では、それを実現するという基本的な態度をとられるのかどうか、そこをちょっと聞きたいと思うのです。
○内田国務大臣 私は厚生大臣として、社会福祉の充実ということだけを考えておればいいわけでございまして、あまりほかの省のことを考える必要はないわけでございますので、私だけの考えから言えば、人が一色二、三十年働いてやめられるときには、いま寺前さんから三万円くらいのお金ということでございましたが、もちろんこれは一時金ではなしに毎月三万円という意味だろうとは存じますが、これは自分のことを考えましても、やめるときの所得の少なくとも五〇%くらいは厚生年金としてもらいたいと思いますし、また差し上げるような仕組みをとりたいと思います。しかしいまの、これは紙の上の計算で、二十四年と何カ月かを会社づとめをされた方の退職後の厚生年金の月額が一万九千何百円、奥さまの配偶者手当というものを入れて二万円程度にしかならない。現実にすでにおやめになって、裁定をされている厚生年金を受けておられる方は、おそらく月額一万数千円にしかなっていないというような状態は、これは寺前さんでなくとも私も不満足でありますので、厚生大臣といたしまして退職時の給与の五〇%くらいまでの厚生年金が出せるように持っていくような努力を続けたいと思います。 ただし、その金がどこから出るかということになりますと、結局年金保険加入者の保険料と政府の負担金ということにもなるわけでございます。今日では、政府の負担金は支給額の二〇%であったと思いますので、残りの八〇%は勤労者とその勤労者を雇っておる使用者との双方の負担と、それから積み立て方式をとっておりますので積み立て金の予定利回り収入というようなものを長期的に計算をいたしまして、そして現在の紙の上での二万円年金というようなものができておるわけでございましょうが、したがって給付金のほうだけを私が幾らにすると申しましても、それに対応する保険料、国庫補助、積み立て金の運用利益というようなものに対しましても対処をしなければならないところにいろいろの問題がございます。しかし問題があるからこそ、私は努力をいたしまして、そういうところを突破いたしまして、そして御期待に沿うように目標を達成したいと考えております。
○寺前委員 努力したい、努力したいとおっしゃる。それは努力はけっこうなんですけれども、あなたのほうの資料を見ておりましても、現実に金がないという問題じゃないですよね、掛け金がずいぶんたくさん、五兆円近くになるのですから。それに対していまなされている給付の金額というのは知れているのですから、現実的にやろうと思ったら、できない相談じゃない。できる相談です。これは間違いないでしょう。
○内田国務大臣 いや、間違いがある……。
○寺前委員 間違いがありますか。それはどういう点ですか。
○内田国務大臣 寺前さんから御指摘のように、厚生年金の契約者が払い込まれた保険料は、今日の状態のもとにおきましては、支払われる年金額を超過いたしまして、積み立て金となって四兆円余り積み立てられて運用されておるわけであります。しかしこれは、いま年金の給付を受けている人々が生きている限り一生、また場合によりましては、その遺族にも及んで給付を受けるための資源になるものでございまして、若い働き盛りの会社づとめの方々がかけられておるものを、現に年金を受けておる百万人余りの方々で分けてしまうということになりますと、いまかけておられる方方が年金受給者になったときの支払い資源というものがなくなってしまうことに相なります。しかし、いまあるものを現在の年金受給者だけで分けてしまう賦課方式というものも方式としてはございますが、御承知のように、日本はこれからだんだん世界の各国並みに老齢者がふえてまいる、年金受給者がふえてまいることを考えますと、現在のように掛け金者が多くて年金の受給者が少ない時代にかけ込まれた年金をみんなで分けてしまっては——年金額をたくさんふやすことは、いまは容易でありますけれども、これから十年、二十年、三十年先の状況を考えますと、それが全くできなくなる、こういうことをも考えて対処しなければならない。そこに先ほど申しました長期計算の方式があるわけでございますので、金があるから分けてしまうというわけにはまいらぬのではないかと思います。
○寺前委員 あなたのほうの資料を見ますと、給付費と積み立て金がとんとんになるのは昭和九十年になっていますね。そうすると、相当先を計算に入れた積み立て金の考え方ですね。そういうことになっておるのですよ。実際に厚生年金というのは、一つの営利会社をつくりて、そしてとんとんにやっていくという考え方でやっていくべきものなのかどうか。いまこれだけの原資を持っているときに、昭和九十年という四十年も先の話、そこでとんとんの計算方式を立てていくというやり方自身に問題があるんじゃないだろうか。今日の社会生活の中において、年をとって生活ができなくなってきているという段階において、老齢者に対する生活保障をぽんと打っていくことこそが、やるべき緊急の施策じゃないだろうか。そういうことを考えるとき、金がないというのではなく、原資はずいぶんあるのですから、この原資に基づいて、せめて三万円程度のものをすべての人に出してやるとか、あるいは退職したときからそのくらいの手は打ってやろう——打ってやろうというよりは、私はそのくらいのことはやれない話じゃないと思うのです、今日の時点と金の問題の両面から見ても。問題は、そのことを必要としているか必要としていないか。必要としているとするならば、金の問題での困難性というのは一つもない。そんな昭和九十年段階のことを計算に入れた長期の計算方式に基づくところの老人対策なんてあったもんじゃない、こういうふうに思うのですけれども、そこのところはどうですか。
○内田国務大臣 いやもうまことにけっこうな話で、私もそれをやりたいぐらいの気持ちにかられるわけでございます。しかし、いま年金を受ける人の数というものは、年金の掛け金をされる働き盛りの方に対する従属人口と、こういうことばが使われるわけでありますが、現在におきましては従属人口の比率は少のうございますけれども、先ほど申しますように、これから十年、二十年、三十年先には日本の人口の構造が外国並みになってまいりますので、従属人口比率というものは非常に高くなってまいります。したがって、いま残っておるお金は、そういう長期計算に基づく、いまの若い人々が年金受給者になるときのことをも考えた、その人たちがかけられたお金でありますので、いまの人がかけたお金をいまの老人がみんな受け取ってしまうということになりますと、かけた人がいまよりも数多く老人になってくる二十年、三十年の後におきましては、それらの人が受ける年金の原資はだれがかけるかということになりますと、かける人の比率が非常に少なくなりますので——そのときはそのときのことという考え方も実はないではないのです。でありますから、厳密の意味の積み立て金方式ではありませんで、若干賦課方式のようなことも加味した修正積み立て方式ということでいまやっておるわけでありますけれども、これにつきましてはいろいろ議論がございますので、この問題につきましてはいろいろの見地からさらに検討をいたしまして、会社や官庁をやめられても、そんなに生活の心配がないという程度の年金額が受け取れる、そういう方式をぜひ達成するような道を開きたいと私は考えております。これは先ほども申し述べたとおりでございます。
○寺前委員 この問題はそこで終わっておきます。 次に、今度の給付の引き上げは平均一〇%だ、五年ごとの例の計算のとき以外にやるんだという積極的な姿勢のごとき説明が大臣説明の中にありましたけれども、しかし計算を見ていると、物価上昇については、昭和四十二年を一〇〇として、四十四年が一一〇・八という計算を出されてきているということですね。それで実施の時期が昭和四十六年の十一月ということになってくると、せっかく計算が出されても、二年間のズレがすでに起こっているということですね。こういうことを考えたら、私は、せっかく修正される以上は、スライドをやるんだという立場から見ても、もっと思い切って修正をすべきじゃなかったかと思うのです。そして同時に、議会の側から毎回毎回附帯決議で出されているわけですけれども、スライド制の問題について、この際、毎年予算を組む段階で、前年度の物価上昇、賃金の上昇、そういうものを計算に入れたスライドを必ずやるんだということを明確にされたらどうなんだろうかと思うのですが、その点はどうでしょう。
○内田国務大臣 これもけさほど来お答えを申し上げておるわけでありますが、厚生年金制度にも国民年金制度にも五年に一度の財政再計算期というのがございまして、その際に、給付額の引き上げあるいは制度の充実というようなことを従来はやってまいってきたわけでございまして、せいぜい財政再計算期の五年とあるのを四年に縮める程度のことしか従来はやられておりませんでした。しかし、今回は金額につきましては、あるいはまた物価指数等の比較につきましては御批判がただいまございましたが、いままでどなたもおやりにならなかった財政再計算期の中間における引き上げをとにもかくにもやらせていただこう、こういうわけでございます。それでは毎年やるかということでございますが、そこまで言ってそのとおりにならないと困りますけれども、何とかやろうと思うのでありますが、少なくとも来年は国民年金につきまして中間的な是正をやり、またその来年は厚生年金の中間的引き上げをやる、あるいは財政再計算期をそこへぶつけていくというようなことで、両方の年金がございますから、私の気持ちといたしましては、毎年毎年両方交替ぐらいで物価なり賃金なり生活水準なりに合わせ、かつまた財政再計算期にぶち当たりますような際には思い切った制度の充実というようなことをもやりながら、先ほど来私が述べましたような年金についてのいままでの雇用政策的な、あるいは論功行賞的な考え方というものを、社会保障制度の大きな支柱としての考え方に改めていきたい、こういう気持ちを私は持ちますので、おおむね寺前さんの考え方と私の考え方と似ているように存じます。
○寺前委員 ぼくはいまちょっとことばの中に入れておいたのだけれども、物価の上昇だけ言っているわけじゃないのだ。賃金が上がると掛け金が上がっておるのだ。それも考慮に入れたやり方をやらぬのかという問題も言っているわけなんだ。これが一つ。 それともう一つは、ぼくは、さっき賦課方式の話が出ましたので、この際もう一回言っておきますが、今度の場合でも上限の引き上げをやり、保険料がいよいよまた千分の二上がることになりますよ。これは法律はすでに前に通っている法律だけれども。そうすると、実際問題として入ってくる金、収入増になる金ですね、計算によると百二十七億の収入増になる。支出のほうが今度は七十三億の増になる。差し引き五十三億のあれが出てくる。だから、この際、収入増になったときくらい全額これを支出に——差額を残して積み立て金のほうをふやすというようなことをやめてしまって、少なくともこの分くらいは全部支出に回しますくらいのことはやれぬのかどうかということです。
○内田国務大臣 補足を政府委員にさせていただくことをお許しを得まして私がまずお答え申し上げますが、今度も一部の標準報酬の上積みをさせていただきますが、それはこれからおやめになって報酬比例で年金を受け取られる人の財源になるわけでございます。しかも今度上に積まれますような人は長年おつとめになっておられますので、比較的近い間にやめられる方も多く想定をされますので、その方々の支払い資源にもなる、こういうことに私は説明を受けておりますので、一応そういうお答えを申し上げます。 それからまた法律で、ことしの十一月、千分の二自動的に上がる。さらに四十九年でありましたか、千分の五上がるのは、これは上がるのではございませんで、むしろ初めから千分の二なり千分の五なり上げたもので保険料をいただかなければならないのを、さっきもちょっと触れました、そう厳重な積み立て方式をとらなくても、一部は食い込んでもいいじゃないかというわけで、二年なり四年間でございましたか、それだけもうとらぬでおこうということで、積み立て方式をくずしたことになっております。わかりやすいことばでいいますと、その間まけておったということで、自動的に上がりますものは実は財源にはならないものでございます。
○倉成委員長 年金局長。簡潔に願います。
○北川政府委員 私から別に補足することはございませんけれども、先生のお話の中で、年金は長期給付でございますから、単年度で歳入と歳出とを比較されて、余剰がある部分をその給付に回したらよかろうという御議論は、これは私どもはいかがなものかと思うのでございます。それで、いま大臣から申しましたように、標準報酬の上限に上積みをいたします分は、近い将来、特に上限の上積みでございますから高齢者の方に集中するわけでございますので、退職の時期も早まりますし、またその分だけ給付にはね返ってまいるわけでございますから、いろいろな計算をいたしましても、そう長い期間でないうちに上積み分は消化をするということでございまして、要するに単年度の比較ということはいかがなものであろうかというのが私どもの意見でございます。
○寺前委員 単年度比較を別にやろうというわけではないのですよ。せっかく賦課方式という問題を大臣も問題にしていこうとおっしゃるのだから、単年度の場合でも、それではいっそのこと全部出して改善したらどうだ。もう一つ言うならば、たとえば支給時期についても、会社をおやめになったときに支払いますとか、何かやり方を変えたらどうだろうかとか、六十歳を五十五歳にするとかというふうに、この際に全面的にそれに入っていく、一本に思い切ってやっていったらどうか。こういう意味で、単年度比較を必ずしもやったわけじゃなくて、単年度の場合もしたがって残すということはしないで出してしもうたらどうだということを言っているわけです。 いずれにしても、私は、やはりいま労働者に共通している、退職したときにどうなるかということの不安のどん底におるということを前提に置くならば、全面的にいまの厚生年金のあり方については改善をする必要があるということを提起をして、発言を終わりたいと思います。 ————◇—————
○倉成委員長 次に、児童手当法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣内田常雄君。
○内田国務大臣 ただいま議題となりました児童手当法案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 御承知のように、児童手当制度はわが国社会保障制度の中でいまだ実現を見ていない唯一の制度であり、次代の社会をになう児童の育成の場である家庭の生活を安定させ、児童の健全な育成と資質の向上をはかるためには、この制度の創設がかねてより懸案となっておりました。 特に、今後において老齢化が予測されるわが国の人口構成を考えますとき、将来の高齢化社会をささえていくこととなる児童の健全な育成と資質の向上をはかることは、わが国が将来にわたって活力にあふれた社会として発展を続けていくために、今日においてとるべき緊急の課題といわなければなりません。 政府といたしましては、このような観点からわが国の国情に即応した児童手当制度を実現いたすべく、鋭意検討を続けてまいりましたが、先般成案を得ましたので、この法律案を提出した次第であります。 以下、法律案の内容の概略について、御説明申し上げます。 第一に、児童手当は、満十八歳未満の三人以上の児童を養育している者に対して、義務教育終了前の第三子以降の児童一人につき、月額三千円を、支給することとしております。ただし、児童を養育している者の前年の所得がおおむね二百万円以上であるときは支給しないこととしております。 第二に、児童手当の支給は市町村を通じて行なうこととし、児童手当の支給に要する費用は、被用者の児童については、事業主の拠出金十分の七、国庫負担十分の二、都道府県及び市町村負担十分の一をもって充て、農業従事者その他自営業者の児童については、国庫負担三分の二、都道府県及び市町村負担三分の一をもって充てることといたしております。 なお、公務員及び公共企業体の職員に対する児童手当については、国、地方公共団体または公共企業体が直接支給することとし、その費用は、それぞれ支給者において全額を負担することとしております。 第三に、本制度の実施につきましては、その円滑な発足を期するため段階的にこれを行なうこととして、当初はとりあえず、支給の対象となる児童の範囲を五歳未満の児童とし、昭和四十八年度からはこれを十歳未満の児童にまで引き上げ、昭和四十九年度から義務教育終了前の児童に及ぼすこととしております。なお、昭和四十六年度においては明年一月分からその支給を開始することといたしております。 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○倉成委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十二分散会