社会労働委員会 第15号
- 発言数
- 221 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/03/25
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。川俣健二郎君。
○川俣委員 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案が提案されまして、検討した一部を質問申し上げながら、さらに一そうお考え願えないかという考え方も含めて質問させてもらいます。 これはかなり複雑な法律仕組みになっておるようで、さぞかし援護局は、局長以下いまでは専門職にそれぞれ課長さん方がおなりになっていると思うのですけれども、ただ政治家の一人として考たえ場合に、一番先に大臣にまず伺っておきたいのですが、昭和二十年八月十五日で日本が負けた。それで占領されて講和条約になって二十七年にこういう法律ができた。それでは一体何が援護法の目的というか、これはたいして法律にも書いてないし、内田厚生大臣のきわめて個人的な見解でもいいのですが、いろいろあると思います。世が世なれば、もし戦争が勝っておったら――敗戦によって一体犠牲者はだれだったろうかということを考える場合に、いろいろあると思います。いつか懇談で国会議員方がやったように、皇族が一番犠牲者だとか、華族だろう、満州で一もうけして裸一貫で帰ってきた人も犠牲者だ、いや、土地を取り上げられた地主が犠牲者だ、いや、裸一貫になったというか働き手を靖国神社にささげた人、働き手をとられた遺族が一番犠牲者ではないかという感じが私もします。 そこで、これから戦後――戦後と言っていいか悪いかわかりませんが、もう二十五、六年、戦争を全然知らない人口が多数を占めてきた日本、こういう中でこういう法律がある。じゃ一体、戦後処理という考え方に立つものなのか、これから援護法をどのように進めていくのか。特に私たちが、これは大臣も気にさわるだろうが、戦争中の階級の違いでもらう恩給が違うのだ。これはどうしたって戦後二十五、六年たった今日では理解されない思想だと思うのです。そこで、戦後処理に対する基本的な考え方、援護法を改正する上に立っての基本的な考え方をまず大臣にお話し願いたいと思います。
○内田国務大臣 私は、この援護法は、先般の戦争による傷病者その他の犠牲者に対して国家補償という立場から援護をしようという法律でありまして、恩給法の適用を除外されている身分の人々に対する仕組みを規定したものであると考えます。したがいまして、社会福祉、社会保障ともいささか性格を異にしている。そこにいま御指摘のような、身分、階級等によりまして給付の金額に差があるというような問題も発生してきている面が残っているように私には思われます。毎年改正が行なわれます趣旨は、この国家補償の性格を社会保障の性格に切りかえていくというような意味の改正ではなしに、同じ国家補償あるいは国家援護を受くべくして受けられておらないケースにつきまして、国から考えて同様な処遇を与うべきもので漏れておる範囲等につきまして、補正をしてまいるという趣旨、あるいは場合によりましては、これらの国家援護を日本の経済の水準等に従いましてより手厚く是正していく、こういう意味での改正をほとんど毎年続けておる、このように私は考えます。
○川俣委員 恩給局、見えていますか。――これは援護局長でも恩給局のほうからでもどちらでもいいですが、いきさつは別として、同じ兵隊に行ってきた、同じ軍属で行ってきた、同じ戦争の犠牲者である。片や援護局である。片や恩給局である。そのいきさつは別ですよ。いきさつはこういうことだから厚生省にきました、いきさつはこういうことだから総理府の恩給局にきました、こういういきさつは私も知っております。ただその業務に皆さんが当たっておって、なるほどこれは根本的に恩給局のやることと援護局がやることは違うのだという、根本的な理念というものをお聞かせ願いたいと思います。
○中村(一)政府委員 まず援護局の所管と申しますか取り扱います根本的な態度でございますが、援護法におきましては、いま先生がおっしゃいましたとおりに、沿革はいろいろあろうかと思いますけれども、現実の形におきまして、援護局におきましてお世話を申し上げている方々は、主として実態は軍属の方々あるいはその軍属に準ずべきものとした準軍属の方々に関する援護というものが大きな仕事でございまして、原則といたしまして軍人の方々につきましては恩給法の適用を受ける場合が大部分でございますので、恩給局のほうでお取り扱いを願う場合が非常に多いわけでございます。そこで私のほうは、軍属並びに準軍属と軍人の方々との間におきますところの援護と申しますますか、援護の面から見ました場合の処遇と申しましょうか、そういう点につきましてできるだけその間の格差を縮めまして、そして軍人、軍属、準軍属という方々につきましてできるだけひとしく援護ができるようにというようなことを目標として仕事を進めておる次第でございます。
○川俣委員 この考え方と同じようなことを恩給局のほうに伺ってみます。 いま言われたような援護局長のお話ですと、かなり理解されると思います。ところが、恩給局の場合は、あくまでも補償する基礎がその当時の階級がどうだったかということにどうしてもつながるようです。同じ十三年つとめてきても、片や赤紙で十三年つとめて成績が悪くても伍長くらいにはなったと思います。こちらのほうは、私は兵隊でめしを食うのだということで、職業軍人十三年になると少佐くらいになるかもしれません。そうすると、いま国家補償をやるべきだという大臣の考え方からしても、あまり違ってはおかしいと思うのですよ、考え方が。それであなたの考え方を聞きたいのが一つと、それからお仕事をやってみて、なるほどこれは恩給局で取り扱うべきであり、援護局とは違う、もしこれを一緒にしたらどういうことになるであろうかということの質問に対してどうお答えになりますか。
○大屋敷説明員 恩給制度は非常に古い制度でございまして、公務員を対象としておるわけでございます。軍人恩給につきましては、御承知のように二十一年に廃止になりまして、二十八年にいわゆる復活したわけでございますが、その考え方としましては、法律的にはその時点において復活したのでございますが、その基底にはやはり一種の潜在的な期待権というものがあったといわれておるわけでございます。恩給制度は、非常にことばは古いのでございますが、実際の機能は公務員を対象としております一種の退職年金制度でございまして、その退職年金制度の中におきましていろいろな恩給の種類があるわけでございます。 それでいま先生がお話ございましたのは、いわゆる在職年を中心にした普通恩給のことだろうと思いますが、これはいまの共済制度なりあるいは一般の年金制度なりで申し上げますと、いわゆる退職によってもらえる、こういう性質のものでございます。したがいまして、その算出の基礎は、どうしても在職年の長さがどのくらいあったかということが問題になるわけでございます。軍人恩給につきましても一般の文官と同様に公務員の範疇内においてその制度を仕組んでおるわけでございますので、やはり一定の年限在職した者につきましては退職年金的な恩給を支給する、こういう考え方でございます。 なお、恩給にはそのほかに公務によって傷病を受けた方あるいは公務によって死亡した方、こういう方々の処遇といたしまして傷病恩給なりあるいは公務扶助料等の恩給があるわけでございますが、こういう恩給につきましてはそれなりの処遇をしておるわけでございます。つまり傷病恩給につきましては階級差がいまございません。それから公務扶助料につきましては、いわゆる階級の低い者につきましては、倍率つまり普通扶助料に何割かをかけて公務扶助料の額を出す、こういう仕組みになっておるのでございますが、その倍率を兵においては四六・一割、だんだん上位に従いまして逓減的にその倍率を下げる、こういうような方法で処遇をしておるわけでございます。恩給法のワク内で、いろいろの恩給の種類の性質からくる点を勘案いたしましていろいろの処遇をしておるのであります。 援護法関係と恩給法をどうするかという問題でございますが、先ほど申し上げましたように、恩給制度はやはり公務員を中心にした一種の退職年金制度でございますので、現行のように旧軍人といえどもかって公務員であった方々でございますから、こういう方々につきましては、文官との処遇の均衡もございますので、やはり恩給制度で処理したらいいじゃなかろうかと私どもは考えております。
○川俣委員 私はこれから恩給法――恩給法というのは軍人恩給のことに限りますから御承知願いたいと思います。 そこで恩給というのは、一般の軍人の恩給以外の恩給というのは、会社には退職金がありますから、これは会社に対する貢献度等々の理由から、そのつとめておった当時の退職時の俸給、それから勤続年数といったものが加算になると思います。ところが、この軍人恩給というのは、もう一回言いますと戦後二十五年、軍人として従事しておったということからしますと、片方は、おれは職業軍人でめしを食おうという自分の意思で、片方は赤紙で行っておるわけですよ。同じように恩給局が取り扱っておるわけです。その場合に、赤紙一枚で引っぱっていかれた者も、その当時の位、すなわち給料ですが、どうしてもそういうもので大きく縛っておるということをぼくは言っておるわけです。 それじゃ、話をもう少し進めて、恩給法はあんたのところはいろいろやっていると思いますが、ただ、この軍人恩給を切り離して、厚生省のほうの管轄にしてみたらどうかという感じがします。室長はどう考えますか。
○大屋敷説明員 これはいろいろ経過があることでございますが、まず最初に、軍人恩給が復活する前に、旧軍人の処遇につきましては、援護法で一応一年の間だと思いましたが、処遇した時代がございます。その後、昭和二十一年に廃止になった恩給制度をどうするかという点が問題になったのでございますが、恩給法の特例審議会という審議会を設けまして、この点を審議していただいたのでございます。その結果、先ほど申し上げましたように、恩給といいますか、そういう旧軍人の処遇につきましてはいろいろな方法がある。先生がいま一番申されましたのはいわゆる退職年金相当の年金でございますが、これはどうしても在職年の差によって金額が違う。あるいは退職当時の俸給といいますか、退職当時の階級によってこの金額を異にするというのは、やはり恩給制度が一つの公務員の退職年金制度であるという点から見れば、これは当然の帰結じゃなかろうかと思います。ただ、先ほどもちょっと触れましたが、戦傷病者でございますとかあるいは戦没者の遺族、こういうような方々につきましては、一般の普通恩給と違いましたいろいろの方策を講じまして処遇を厚くしておる、こういうことでございます。
○川俣委員 遺族に対する処遇を厚くしておる、こうおっしゃるのですが、それじゃ一つの例を示していただいて、金額を知らしてもらおう。どういう例でもいいです。たとえば赤紙で引っぱられて十三年行ってきた。こちらのほうは職業軍人で十三年行ってきた。その場合に、こっちは伍長くらい、こちらのほうは少佐くらい。よっぽどぐうたらでなければどっちも大体こういうところだ。その場合に、両方とも戦死したと仮定した場合に、赤紙で引っぱっていかれた遺族の人がどのくらいもらえるように改正になろうとしているのか。それから職業軍人が少佐くらいで戦死した場合の遺族年金、改正しようとする金額をちょっと知らしてみてください。
○大屋敷説明員 伍長の公務扶助料でございますが、ことしの十月から改正になる額を申し上げますと、二十万一千六百四十七円でございます。それから少佐の公務扶助料の年額でございますが、これもことしの十月から改正になる額は三十万一千四百十八円でございます。
○川俣委員 それじゃ、同じようなケースで本人が年金としてもらうのはどうか、普通恩給の場合。
○大屋敷説明員 普通恩給でございますが、伍長の場合は九万五千六百八円、これは現在恩給制度では最低保障制度というのがございまして、この額が九万六千円でございますので、伍長の方はこの最低保障が適用されます結果九万六千円ということになります。それから少佐の場合でございますが、この普通恩給は二十四万一千百三十四円でございます。
○川俣委員 片一方は二十四万、片一方は九万六千円、同じ年限だけつとめてきてこういうことです。片一方は、この商売でめしを食うんだということで自分の意思で行ってきた。片一方は赤紙一枚で引っぱっていかれた。この違いです。これでは同様の処遇を考えておるとは私は考えられない。 時間がないから、さらに進めます。それじゃ、いま援護法の審査は社労委員会で精力的にやっていますけれども、恩給法の場合は、一体審査はどういうことになっているか。というのは、恩給法がもしおたくのほうできまらなければ、この基礎額が援護法のほうに波及するので、恩給法がこの国会で審議されないでストップになっていれば、これを審議していっても宙ぶらりんになって、法律はできておっても支給を待つようなかっこうになると思う。おたくのほうの恩給法の審査はどういう進捗状況か。
○大屋敷説明員 恩給法の改正法案でございますが、ただいま内閣委員会に付託になってございます。それで提案理由と概要の説明は終わっておるわけでございますが、まだ実質審査には入っておりません。
○川俣委員 それからさらに、軍人恩給の場合に、おたくのほうで軍人恩給を出す場合は、直接おたくのほうが窓口になって審査するのではなくて、厚生省の援護審査会で、これは公務上だということの裁定があってからおたくのほうに回って作業が進められる、こういうぐあいに理解していいのか。
○大屋敷説明員 恩給には、先ほど申し上げましたようにいろいろな種類がございます。そのうち恩給局で審査しておりますのは普通恩給、傷病恩給でございます。厚生省の援護審査会の審査を経まして恩給局で裁定をする、こういう経過をとっておりますのは公務扶助料関係でございます。
○川俣委員 援護局長、さっき話したように、内閣委員会のほうで恩給法がもし廃案になった場合に、この援護法が通った場合には実際どういうことになるのですか。
○中村(一)政府委員 先生お示しのように、援護法の年金等の金額につきましては、恩給法の水準を参考といたしておるということは先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、今回御提案申し上げておりますところの援護法の改正案によりますところの年金額の引き上げ等も、たとえば遺族年金につきましては恩給法の兵の公務扶助料というものと近い額となっております。しかしながら、法律の案を検討する場合におきまして、政府といたしましてそういうようなやり方をずっとやってきておりますが、法律体系は別でございますので、もしも恩給法が今国会において成立しないという場合でございましても、戦傷病者戦没者遺族等援護法が可決成立、公布になりました場合には、恩給法の成立の有無にかかわらず援護法はそのまま施行になる。したがいまして、援護法関係の年金、手当金等は増額せられる、こういうことに相なるわけでございます。
○川俣委員 それを確認しながら、それでは近来、もう二十五年になったのだけれども、一体適用者の趨勢というか、特に年齢構成、こういったところを少しお聞かせ願いたいのです。
○中村(一)政府委員 障害年金、遺族年金と遺族給与金といった年金の受給者につきまして、ここ数年間の状況をかいつまんで御説明申し上げ、並びに年齢構成等につきましてお答えを申し上げます。 まず障害年金でございますが、昭和四十年の障害年金の受給者が三千四百二十九人おりまして、昨年の十二月末で四千百二十一名となっておりまして、障害年金の受給者はパーセントで約二%ふえております。これはどういうわけであろうかと申しますと、昭和四十二年十月の法律の改正によりまして、障害一時金の受給者が年金に移行することの選択が認められたものでございますから、そこでその法律改正でふえた分もございまして、障害年金の受給者はふえております。 その次に遺族年金でございますが、遺族年金の受給者につきましては、同じ昭和四十年でございますと、十八万一千八百四十三名おります。それが昨年の十二月末では十四万四千二百六十二名、遺族年金の受給者につきましては減少いたしております。これは法律の改正がございまして、受給者がふえる場合もあるわけでございますけれども、しかし遺族年金の受給者が老齢であるとかという場合が多いわけでございますので、したがいましてどうしても受給者というものは減ってまいっておる、こういう趨勢でございます。 それから準軍属に対しまする遺族年金でございます遺族給与金でございますが、遺族給与金につきましては、昭和四十年三万五千三百三十七名、これが昨年の暮れで四万四千二百二名となっておりまして、これは増加をいたしております。これは老齢化の問題もあるわけでございますけれども、四十二年の十月に後順位者につきましても年金が支給されるようになったという関係で改善がなされましたために受給者がふえた、こういうような情勢でございます。 以上、三つの年金を合計いたしてみますと、昭和四十年の受給者は二十二万六百九名が、昨年の暮れで十九万二千五百八十五名というふうに減少いたしております。 次に、受給者の方の年齢別の状況を見てみますと、遺族年金について申し上げますと、グループを四つに分けまして、七十歳以上の方々、六十五歳から七十歳までのクラス、六十歳から六十五歳、それから六十歳未満の方々、こういうふうに四つの階層に分けまして見てみました場合に、遺族年金の場合は七十歳以上のクラスが圧倒的に多うございまして、五九・五%、約六割は七十歳以上の方々である。それから、その次は六十歳未満の方々で、これが一九・九%、その次に多いのは六十五歳から七十歳まで一二・四%、それから六十歳から六十五歳までが八・二%、そういうような傾向でございます。
○川俣委員 そうすると、戦没者の遺族が非常に老齢化してきているわけだ。もちろん二十五年もたったのだから。そうしますと、残された未処遇者、これがかなりいるみたいだ。これに対して今後どういうように具体的な措置を考えておるのか。 それからもう一つ、その場合に、ああそうか、それではというので、この法律が二十七年にでき上がってからいまになって裁定された、そのころはどうも公務上か私傷病かあるいは不祥の事故か等々でわからなかったけれども、いろいろ長い間審査してみたらこうだったといって今日裁定された場合に、二十七年にさかのぼって、発生主義でさかのぼって適用になるものということを確認していいわけですか。
○中村(一)政府委員 先生のおっしゃいましたとおり、遺族年金につきまして、そのような場合におきましては二十七年にさかのぼって裁定され、追給されるということになるわけでございまして、最近におきましても、やはり一件百万円をこえるような年金が追給されておるという例もございます。
○川俣委員 それからもう一つ、前の未処遇者について……。
○中村(一)政府委員 未処遇者の問題につきましては、私どもといたしましては部内においても検討いたします。あるいは恩給局等ともいろいろと御協議いたしまして、未処遇の問題につきましてはいろいろと研究をいたしておりますし、また援護審査会――援護審査会だけではございませんが、部外の方々等の御意見もお伺いいたしまして検討をずっと重ねてきております。したがいまして、たとえば今回の改正の中身も、そういういろいろな御意見、あるいは国会の御審議の途中におきますところのいろいろな御意見によりまして改正案ができておるわけでございますが、これから先の問題につきましては、私どもといたしましては、大きな問題は大体におきまして解決を見たんじゃないかと思いますけれども、しかしながら、戦争関係の犠牲者の方々の間におきますところのいろいろな均衡等の問題その他もございますので、これから先残された問題につきましては、今後とも検討を重ねましてなおその改善をはかりたい、こう考えておる次第でございまして、ただいま具体的にどの問題をどうということにつきましては、まだお答えのできる段階にまで至っておりません。
○川俣委員 それから、未帰還者の調査なんですが、これは局長か大臣かわかりませんが、どちらでもけっこうです。いま局長がおっしゃったように、援護審査会というものだけにとどまらず、外部に広く耳を傾けるということ、これは非常に大事だと思います。特に援護局は、こう言っては悪いが、いいことはほめるわけなんだけれども、課長さんがずっとうしろにおられる。だれがもとどうだったというわけじゃないけれども、ちょっと伺ってみますと、みんなもとえらい人方ばかりで、局長が中尉で一番下かな。課長さんは、一人は陸軍少佐、それからもう一人はやっぱり陸軍少佐、もう一人の課長さんはやっぱり陸軍少佐、それからもう一人の課長さんは海軍少佐、それからもう一人の課長さんは陸軍少佐、昔であれば、世が世なれば、参謀本部がずらっと並んでおる。こういうお歴々が非常に苦労されておると思うんだが、そこで、やはり早いところ、それから四分の一世紀たったんだから、これから一体どうやるんだということになると、これは援護局じゃとても、政治問題もからむし――去年私はそのことだけが目的で行ったんじゃないのですが、ビルマのマンダレーというところに調査に行ってまいりました。あそこは十七万人が一ぺんに死んだというのだけれども、だいぶおこぼれで現地にまだおられるという。そういったことを具体的に云々するのじゃないのですが、これに対して墓参団その他がいろいろと調査した。外務大臣の次官がヘラポンという人で、これが、日本の陸士の五十九期で同級生方の名前を言うたらある程度知っておったようでしたけれども、週番という日本のことばが向こうに残っています。あそこはビルマ式社会主義、軍国社会主義とかいうんだけれども、鎖国状態になっているんが、一体マンダレーその他の墓参団を受け入れるということに対して、それはもちろん日本の五十九期を出たから言うんだろうと思うのですけれども、当たってみるとかなり好意的なんですが、これからどうするか、それが一つ。 それからもう一つ、場所を言うと、ニューギニアの遺骨収集が、これはスタジオ一〇二でしたか、大阪のおばあちゃんが、私のむすこの遺骨を見ない限りは戦死を確認しないとおたくに乗り込んだことがあった。それからさらに、北満の問題がどうなるだろうかということで、いまから二カ月ぐらい前の新聞に出ていた。それから、非常にむずかしいと思うんだけれども、中共の問題。これは社会党と自民党の一部はかなり積極的に――その問題ばかりじゃなくて国交回復の問題があるので、いま政権におられる方々はかなり抵抗もあるようだけれども、しかしそれは度外視して未帰還者の問題というものは調査できると思います。その場合に、いまの政府の中で局長は働いているわけだからむずかしいと思うんだけれども、局長自身がどういうプランを持って未帰還者の調査に当たろうとしておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。遺骨収集の問題を含めて。
○中村(一)政府委員 ただいまのお話は、遺骨収集の問題と未帰還者の帰還問題と二つの点に分かれるかと思いますが、第一の遺骨収集の件につきましては、お話しいただきましたビルマあるいは北満、中共地区におきましては、現実の問題としていろいろと困難性がございます。これは先生のただいまお話しのとおりでございます。しかしながら、私どもといたしましては、できましたならば四十七年度はビルマ、インド地区につきまして遺骨の収集を何とかしてやらせていただきたいし、かつ引き続き中共地区あるいは旧満州等につきましても遺骨の収集をやらしていただきたい、こういうように考えて、いろいろと各方面に当たっているところでございます。 ただ、御承知のとおり、先生がおいでになりましたビルマにつきましても現在行けないような状態がございまして、私どもとしてはまことに残念に思っておる次第でございます。遺骨の収集につきましては、主要戦域、先生のおあげになりました以外の地区におきましては、大体におきまして収集ができたかと思うのでございますけれども、なお四十六年度、この四月から、主といたしまして西部ニューギニア、マーシャル諸島、ギルバート諸島及びソロモン諸島について実施をいたしたい、こう考えておる次第でございます。 それから、未帰還者の現況につきましては、昭和四十六年の二月一日現在で未帰還者というのが三千八百七十四名がございまして、その内訳は、ソ連地区、これは樺太、千島も含めますが、六百八十六名、中共地区が三千百五十六名、北朝鮮地区が百十四名、南方諸地域が二百十八名となっております。そこで、これらの国々につきましては、政府としては直接の交渉のできない点もございまして、最近帰ってこられた方々の資料を把握する、あるいは現地通信を把握するというような、国内におきますところの調査を積極的にやっております。さらに、もちろん相手国に機会がございますれば折衝いたしますが、赤十字ルートを通ずるというようなやり方でいろいろとやっております。私どものほうの調査課と申します課は、それを日常の業務としてやっておるわけでございますけれども、今後ともこの残された方々の帰還につきましては努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○川俣委員 大臣、いまお聞き及びのとおりに、私はむずかしい個所をあえてあげたわけなんですが、問題は向こうの受け入れ体制とこちらのやる気と姿勢だと思います。ここで軍国主義復活論を一切やろうとしませんから、それはけっこうですけれども、問題はこちらの積極的な意欲と、やっぱりあのときは悪かったんだということも、ある程度外交辞令というか必要だと思います。これからは平和に徹するんだということも必要だと思います。ひとつこれは過去のことだからということの姿勢も必要だと思いますが、そういうものに対して、閣僚の中で厚生大臣がそのポジションにあるわけなんだから、いま局長が言うように、かなりプランとしては積極的に遺骨収集なりを考えております、それに対して大臣は、これを吸い上げていまの内閣の中で進めていくという意欲があるのかどうか伺いたいと思います。
○内田国務大臣 もちろん私は、そのようにいたしたい意欲を持つ者でございます。
○川俣委員 それから局長、もう少し具体的に、それじゃ今度の内容、あまり入っていると時間がなくなるから、総予算で一体どのくらいをアップしようとしておるのか、それから、どういうところを手直ししようとしておるのか、そういったところを少し――一々質問をいたしませんからお知らせ願いたいと思います。どういう意欲であるのか、それから準軍属と軍人、軍属と、そんな差をつけないで、やっぱり戦争で死んだのは理由がどうだったとか階級がどうだったとかいうんじゃなくて、戦地で死んだ者の遺族がかわいそうだということで国家補償ということが第一条の目的なんだから、もう差を縮めるべきじゃないか、なくすべきじゃないかという、おたくのその努力は私は認めたいと思います。まだ準軍属の場合は落ちております。一体、もう二十五年もなるのに、いつまでこんな差をつけて、少しずつ差を縮めようということなのか、それとも、なかなか金をくれぬ、大蔵大臣はけちをもってと自分で言うんだが、そういう関係で縮まらないのか、それとも、うしろにおられる人方の何かの意識があって差をつけるのか、この辺が特に聞きたい。どういうところを改正意欲として持ったか、そして、かなり持っていたんだけれども、大蔵大臣との関係でかなり後退したというところもお聞かせ願いたいと思います。
○中村(一)政府委員 まず第一に、今回の改善の内容につきまして御説明申し上げます。 昭和四十六年、ことしの一月からの改善率が二・一%でございます。これは軍人恩給につきまして仮定俸給是正の積み残し分がございまして、昭和四十四年度に比べて二・二五%でございますが、その分に見合う分が一月から二二%ほど上がりました。それから十月からの改善率が八・四%でございます。この八・四%は、昭和四十四年度の物価上昇率と公務員給与引き上げの中の生活改善分が考慮されているものでございまして、こまかく申し上げますと、そのうち物価上昇分の六・四%、その他の二%が公務員給与引き上げの中の生活改善分というふうになっておる次第でございます。 〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕 それから軍人、軍属あるいは準軍属の間の格差の解消でございます。これは先生の御指摘のとおり、私どもといたしましても、この格差の改善と申しますか、できるならばその差がないようにいたしたいという目標でいたしておりまして、今回の改正におきましても御提案申し上げておりますとおり、準軍属に対しますところの支給率、軍属に対しますところの八〇%あるいは七〇%を、九〇%、八〇%というふうに一〇%ほど上げて御提案申し上げたわけでございますが、私どもといたしましては、そういう差があらわれますのが、準軍属制度というものが入りましたときに、当初におきましては、御承知かと思いますが、約五割というような率であったわけでございます。それがだんだん上がってきたわけでございますが、私どもといたしましては目標といたしまして、冒頭申し上げましたとおりその差をなくするようにいたしたい、こういうふうに考えておりまして、なるべく私どもとしてはそういうようなことで現在政府部内でいろいろと検討をいたしておるところでございます。
○川俣委員 当然だと思います。これはもう過去何年か叫んできたのだけれども、国家補償なんだから差をつけるということがおかしいのであって、やはり原因だとかあるいは地位とか階級とか立場とかいうことは一切やめるべきだということであったわけです。そこで去年でしたか、議員修正ですか、附則の第五条、いわゆる例のみなし公務、かなりめんどうな法律なんだが、このみなし公務の場合、この法律をつくってから一体ケースがあったかどうか、これは担当課長さん方の説明でもけっこうですが、この一年間のケースがあったかどうか、これをお聞かせ願いたいと思います。 それからもう一つ、具体的に言います。入営する途中、それから帰還する途中、この途中の事故を行政措置でやれます、このやれますということは救うということなんですが、そういうケースがあって一体やったのかどうか。それからさらに、今度の法律案でかなり前向きだ、こうおっしゃるのだが、まだまだだと思います。たとえば戦傷病者の問題で、例の昭和十六年十二月八日、これは太平洋戦争、ハワイだが、昭和十六年十二月八日を境にして該当、非該当というものがある。ところが、あの当時の戦争は、一億国民総動員精神であって、ハワイが十二月八日から、これは軍の御都合であったのであって、働いている兵隊は少なくとも満州事変から日支事変から続いておると思います。そこでそういう人方が何とか救えないかという陳情書なり嘆願書がおたくのところへも行っているかもしれないが、私のところへも来ております。これは具体的に千葉の国立療養所の皆さん方の連名で田邊議員に対して来ておりますけれども、一体これを前向きに検討する意欲があるのかどうか、確認しておきたいと思います。なぜかというと、期待しておったのだけれども、法律には出てこない、ところが意欲はどうなんだということです。
○中村(一)政府委員 三点についてお答えいたします。 最初の昨年の改正によります附則五条関係で、その後遺族年金を支給すべきものとして裁定いたしましたものは五件ございます。 それから第二番目の入営途上あるいは帰郷の途中におきますところの事故につきましては、これは予算措置をもちまして援護することといたしております。 それから第三番目のただいまお話しの千葉県からの陳情の御趣旨につきましては、今回の改正の中には入っておりませんけれども、十六年十二月八日以前のケースにつきまして、御指摘の件につきましては今後恩給局等とも相談をいたしまして、御希望の点につきましては十分検討させていただきたい、こう考えております。
○川俣委員 しっかり前向きで検討してもらいたいと思います。 それから、さらに具体的に言ますと、みなし公務の問題で、去年各議員方の修正のおかげでかなり進展していったわけです。いわゆる重大な過失と故意は、いままではだめだったものを広げて大きく改正したと思います。これはなぜかというと、各党とも全部超党派でああいう考え方に立ったというのは、戦争中のことを、戦争中の戦地の現地における何で死んだかとか、ころんだかとか、あるいは銃が発砲したとか、そういうあやまちでやったとかなんとかいうことは一切度外視しようではないかという思想があればこそこういう法律ができたと思います。そこで、そういうような考え方に立って具体的に質問したいと思います。 昭和三十七年三月に下田のその当時里見上等兵の御子息の里見一さんという人から静岡県庁を通して受け付けがあります。そうしてずっと厚生省でどういう審査をやられるのかわかりませんが、三十七年三月から四十二年七月にやっと審査が終わりました、だめですということで却下になった、こういうことです。五年たっています。五年間に何をどういう作業をやるものなのか、それからなぜこれが却下になったのか、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○中村(一)政府委員 里見上等兵に関しまして、ただいまお示しのとおり昭和三十七年三月に長男の方から弔慰金の請求があったわけでございます。それから、結論といたしまして、その弔慰金請求に対しまして却下の裁定をいたしましたのが四十二年七月二十六日でございます。この間相当の年数を経過しておるわけでございますが、この里見上等兵の死亡に関しますところの実態につきましていろいろと複雑な問題がございまして、したがいましてその間のいろいろな事実関係を調査するのに実はひまどったわけでございまして、結論といたしまして、弔慰金の請求につきましては、公務上のものでなく、あるいは勤務関連のものでないということになりまして却下となったということでございまして、これは問題が非常に微妙、複雑なケースであるというわけでございます。
○川俣委員 非常に複雑な問題があったので時間がかかったというて五年かかった、こういうことなんです。先ほども話が局長から出たように、援護審査会の人方というものは、そういうものに明るい人方をもって構成されておるのではないと思います。援護審査会というのは、現在すわっておるポストの人方が集まる会合だと思います。たまたま二十五年たった今日、何々局長、何々局長といってすわっておる方々が集まっておるのが援護審査会だと思います。そういう人方が審査したところでわからないと思います。そこで、ぼくは文芸春秋に載ったものを取り上げるのでありませんから、これだけを追及するのじゃありませんけれども、局長の姿勢を聞きたいと思うのですよ。こういう同じ戦地で働いた人方の会員名簿というのが私のところに届いております。こういう人方が一番事実認定をすると思います。そういう人方の意見を全然聞かないで審査したと私は思います。私は五年かかったということは納得しません。もう少し説明してください。
○中村(一)政府委員 里見上等兵の死亡に関する問題につきましては、たくさんの方々にいろいろ照会をいたしまして、事実関係につきましてはこれを十分把握するところまで参りました。その事実関係につきましては、これは関係者の間におきまして、役所のほうの認定と相違はないわけでございます。 そこで問題は、里見上等兵がなくなりましたにつきまして、援護法ではどう解釈するかということに相なるわけでございまして、先ほど御指摘の、昨年の国会におきますところの修正によりまして、戦地または事変地におきますところの在職中の死亡につきまして、これを遺族年金の対象とするという改正がなされたわけでございますが、にもかかわらず、この里見上等兵の場合におきましては、死亡につきましてどうしても法律の解釈上これを認めることはできないといったようなことで、そういう決定をいたしたわけでございまして、これは援護審査会にはまだかけていないわけでございますが、事実関係としてはこれはほとんど完全に十分の調査がいっておるというケースのものでございます。
○川俣委員 事実関係を認定をしたというその認定、ここが主眼だと思うのですよ。援護審査会のメンバーというのは、これは名前じゃないでしょう。ポストできめるのでしょう。たとえば共済組合連盟会長、内閣法制局第四部長、人事院給与局長、大蔵省理財局長、郵政省貯金局長、総理府恩給局長、社会保険審査委員長、厚生省援護局長と、こういうようなもの。こういうグループにもまだかけないで事実認定をしたというのはどういうことかということなんです。あるいは、たまたまそこの現地の場所にいた人方の意見を聞いて認定したのか、その辺がどうも納得できないのだよ。しかも、それがどういう調査をして五年かかったのか聞かせてもらわないといかぬと思うのですよ。というのは、何というか、こういうように五年間もほったらかしにされると局長は法律に照らし合わせて何だかんだと言うかもしれぬけれども、各人のあれを――これはセンチメンタル的に言うのじゃありませんからね。事実を申し上げますと、このおばあちゃんは、なぜ審査にならないのだろうか、うちの孫が何か間違いをやったのだろうかということで、まず農薬を飲んで自殺をしております。子供さんが二人おりました。その人方は村八分の生活です。そういうことは、戦地における事実認定というのはできないのだからみなし公務にしようじゃないかということで、議員方がきめたんでしょう、去年。それを全然無視した、こういうような態度だったら、私はこれから幾らでも問題が出てくると思います。もうりっぱに戦死者になって靖国神社に納められた人だって、一々拾ってみたら、うしろから発砲して上官が死んだ、うしろからばっと爆撃をされた、一切わからない、こういう人もあろうと思います。そういうことを一々やったのではたいへんだから、みなし公務で広げようという約束だったのじゃなかったのか、そこのところをもう少し聞かせてください。
○中村(一)政府委員 まず援護審査会では、実はこれはまだかかっておりません。どういうわけかと申しますと、援護審査会にかけますには、昨年改正になりました附則五条によりまして、特に遺族のほうから請求がございまして、そしてそれに基づきまして私のほうは援護審査会の議決を求める、こういうことになるわけであります。ところが、私どものほうから弔慰金の支給に関しまして、これは却下するというのが行きまして、それに関します異議の申し立てというものは、まだ正規なものはなされていないわけでございます。したがいまして、考えられることは、これから先御遺族の方とされましては、昨年度の改正の附則五条によりまして、これは該当するのではあるまいかという請求があるのではあるまいか。その場合におきましては、そのことにつきまして、その請求を待ちまして私どもは援護審査会にかけて御検討願う、こういうことになるわけであります。
○川俣委員 それじゃ、これから再請求があれば審査するということで確認していいですか。
○中村(一)政府委員 したがいまして、これは附則五条の解釈として該当すべきではないかというような御請求があれば、もちろん私どもとしましては審査会にかけまして御審議を願うということになるわけでございます。
○川俣委員 ところが、月日がたったのだ。子供らは大きゅうなっちゃったのだよ。その間の生活を考えてごらんなさい。どうやって補償するのだ、こうなる。それじゃ、援護審査会で、これは公務上だった、戦死だ、戦病死も戦死なんだから、靖国神社に祭ってもらえる、そういうこともあり得るのですね。
○中村(一)政府委員 これは審査会におきます審議会によってきまりますので、私の立場でいまどういうふうになるだろうということは予測できないわけでございますが、ただ、私どもがいままで援護局内におきまして長い時間をかけましていろいろと調査いたしましたその事実関係からいきました場合におきましては、ただいまの段階においてわれわれの承知しておるところでは、この方の死亡に関連いたしますところのもう一つの問題がございまして、その点の法律の解釈になろうかと思う次第であります。
○川俣委員 それは局長はこういう場だから言いにくいことは言わないのだろうと思います。私もそこまで掘り下げようとはしません。ましてや、文芸春秋を何だかんだ、法廷闘争をやろうとか刑事問題にしようとは思わない、戦地だから。だけれども、同じ政府が――このとおり私は持ってきたのだが、四十三年の十一月三十日総理大臣佐藤榮作はこの里見上等兵に対して勲章をやっているわけだ。そうしたら、いま局長は言いにくいことを言わなかったけれども、そういう立場の人なら勲章は出ないはずなんですよ。そうだろう。そうじゃないかね。その点どうですか。
○中村(一)政府委員 おっしゃいますとおり、叙勲の問題につきましては、そういうような死亡の原因等も検討の上決定される問題であるわけでございます。
○川俣委員 本会議だろうからこれ以上やりませんが、問題は結局、せっかくこういう前向きの法律を毎年のように進展させているわけですよ。たった一つか二つか三つなんだ。もう一つありますね。シベリア出兵当時に銃が発砲して――おじいちゃんがいて法廷闘争をやっているというものとか、たいしたケースがないと思うのですよ。もう少し援護局が、やはり国家補償してやるのだ、サービスをしてやるんだ、援護してやるんだという精神が援護局の中にみなぎっていれば、こういうことはないと私は思うんだ。だからもう一ぺん再請求をしますから、さらに一そう十分に審査していただきたいと思います。そこの戦闘のところで、それじゃ里上等兵を弁護するほうと対決させるといったって二十五年たった今日、ほとんどもう里見上等兵が悪いんじゃないんだということの嘆願書もこのとおり来ているわけでしょう。ぜひこれは局長にやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
○中村(一)政府委員 ただいまのお話のとおり、私どもとしましては十分に慎重に検討さしていただきたいと思います。
○川俣委員 ぜひお願いしたいと思います。さらに、これは今回の改正法案が通ったあとでも、一般行政としてまた後日質問を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 それから、先ほど具体的なあれで一つ落としましたが、例の軍人恩給のほうです。いま十二年ですな。ところが、これはきわめて極端な例だけれども、一日か二日船の中におって上陸がおそかったり早かったりする場合が実際問題としてあるのです。どうしてもどこかで区切らなければならぬけれども、一切幅を持たせないで運営しておるのか。行政指導の解釈がぴたっと十二年、一日欠けても出さない、こういうことなのか。運営をひとつお知らせ願いたいと思います。
○大屋敷説明員 軍人恩給の中の普通恩給の御質問だと思いますが、これはどうしてもやはり在職年の長さということが問題になるわけでございます。それで特に復員されました方の場合は、これは内地に上陸しまして復員の手続が完了した日、そういう日付をめどに在職年を計算しておるわけでございます。したがいまして、そういうような要素を勘案しましてもなおかつ在職年が不足な場合、これは普通恩給の性格上どうしてもやむを得ないことでございまして、その点につきまして若干の伸縮を見るというような処置はいたしておらないわけでございます。ただ在職年の足りない方につきましては、その他の恩給としまして一時恩給というような恩給もあるわけでございまして、その他の恩給として処理いたしておるわけでございます。それからなお戦地において勤務しました方につきましては、加算年というようなものを考えまして、それを資格期間に入れまして普通恩給年限に達しました場合には恩給を支給する、こういうような措置もいたしております。
○川俣委員 はんぱの場合はケース・バイ・ケースだと思いますから、そのつどおたくのほうに審査してもらいますから、よろしくお願いします。 それから、かなりな雑な法律の中で、これは法律用語にはない内縁の妻なんですが、ひとつ具体的な例を言いますと、籍が入ってない将校の内縁の妻は一体どのあれでもらえるのですか、ちょっと答弁をいただきたいと思います。
○中村(一)政府委員 内縁の妻につきましては、援護法におきましては妻と同様に取り扱いまして、内縁の妻でも戸籍に入っております妻と同様の金額の金が出るわけでございます。
○川俣委員 大臣、最後に、かなり前向きのあれが見られると思います。昨年私たちが要望したことも、十割じゃありませんけれども、改正法案はかなり進展してきています。ただ、援護局がこのように苦労してやっているんだけれども、さっき言ったように、ほんのわずかの理由で援護局がサービスが悪い、自分たちのためだ、将校のためだというような――これはわれわれ社労委員会としても責任があると思う。ましてや大臣としても責任があると思う。こういうものの姿勢と、それからやはりだんだん差をなくしていく。国家補償なんだ、戦争のときの犠牲者に対しては、そんな階級とかいうもので差をつけてはいけないのだというような考え方を、さらに、内田厚生大臣は私はそういう思想があると考えておりますけれども、もう一度ここで確認をしたいと思いますので、お答え願いたいと思います。
○内田国務大臣 行政というのは申すまでもなく法の執行でございますので、法の執行に当たる担当官が、個人的感情でその執行に対して手心を加えるというようなことをいたしますと、立法の趣旨、目的からはずれることもありますので、これらの執行の任に当たる行政官は、かなり厳格な解釈のもとに援護法等でも執行をいたしておるようでございます。私は、そのこと自体はそれが正しいことであるし、また今後もそうあってもらいたいと思いますが、しかし、事柄の精神を考えますときには、何のためにその法律があるかというと、これはやはり戦争犠牲者に対する国の援護あるいは国家補償という趣旨であるわけでございますので、一方におきましては、これは法律を生かして運用をするという精神のもとに、私は法律を厳格に運用をしてもらいたいと思いますので、その精神を忘れないで、援護法等も運用させるように私はまずつとめてまいりたいと思います。紙一重のところをどうするかということはお答え申しませんが、それで行政大臣としての私の考え方はおわかりだと思います。 もう一つは、これは援護法でございますが、やはり社会意識の年々の生々発展とともに、従来はその対象として取り上げられなかったような範囲の事柄でも取り上げたほうがいいという国会の意識あるいは国民の意識というものの変更もあるわけでございますので、そういうことにつきましては、私どもできる限りそういう意識の生々を立法の中に取り入れるようにいたしまして、今日まで年々わずかずつではありますけれども、お話のように援護法の前向きの改正をいたしておる次第でございます。でございますので、今回の援護法改正の要点は数カ点あるわけでございますが、これをもって一切終わり、こういうことではございませんので、まだ援護法についての懇談会等で課題になったことで解決していないものもあると思いますし、また懇談会のほかの問題におきましても、意識の生々によって処理すべきものがございますならば、そういうことも皆さんとともに話し合って、私はその法律の改正そのものも今後も続けていきたいと思います。
○川俣委員 どうもありがとうございました。
○伊東委員長代理 この際暫時休憩いたします。 午後一時五十九分休憩 ――――◇――――― 午後三時七分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 戦傷病者戦没者遺族援護法等の一部を改正する法律案について質疑を続けます。古川雅司君。
○古川(雅)委員 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、一部関連してお伺いをしてまいりたいと思います。 最初に、戦傷病者戦没者遺族等の援護法の問題に関する懇談会というものがございます。この懇談会の性格、内容について御説明いただきたいと思います。
○中村(一)政府委員 援護問題懇談会は、遺族援護法によりますところの援護に関するいろいろな問題がございます、非常に複雑多岐にわたっております、その中で特に重要な問題につきまして、厚生大臣が学識経験者から意見を聴取することを目的にしまして、昭和四十二年の十月に学識経験者六名の方にお願いをいたしまして、検討を重ねてきていただいておるのでございます。御意見によりまして、適当なものと認められるものにつきましては、法律的措置あるいは予算的措置を講じて今日に至っております。
○古川(雅)委員 私の記憶するところでは、四十三年七月二十九日に出されましたこの懇談会の報告があるわけでございますが、以来現在に至るまで、この懇談会の動きとしてはどういうことがあるのか、その点御報告をいただきたいと思います。
○中村(一)政府委員 四十二年の十月に、先ほど申しましたとおり六名の方に委員をお願い申し上げたのでございますが、発足以来今日まで十四回会合を重ねておられます。そういたしまして、四十三年の七月二十九日に、ただいま先生のお示しになりましたとおり、厚生大臣からの検討事項に対しまして、会の御意見が出された次第でございます。
○古川(雅)委員 これは大臣の私的な諮問機関であるのか、その辺のいわゆる懇談会の位置と申しますか、その点をもう少しはっきりしてもらいたいと思いますが、その辺いかがでございますか。
○中村(一)政府委員 この懇談会は、名前でもおわかりのとおり、厚生大臣が援護問題につきまして政策を立てるにつきましての御意見を承るといった、厚生大臣の私的な、御意見をいただく機関、こういうように私ども考えております。
○古川(雅)委員 この懇談会の報告ないしその意見というものについては、この援護法に示される制度の内容について改正をしていくその方向づけ、そういった点で、拘束力とまでいかなくても、かなりこの意見、報告を尊重していくという立場をはっきりとっているのかどうか。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 この点、確認をさせていただきたいと思うのです。
○中村(一)政府委員 懇談会の御意見につきましては、厚生大臣といたしましては、懇談会の意見を尊重するという態度でございまして、また事実懇談会の御意見につきましては、それをとるべきとして御意見がありましたものにつきましては、法律改正あるいは予算的な措置をいたしておるところでございます。
○古川(雅)委員 それで、政府はこの懇談会の報告に対しまして、現在までいろいろ検討を加えてきていると思いますが、先日来いろいろと質疑応答を通して議論をされておりますが、いわゆる未処理の問題未処遇の問題につきまして、その解決をはかる上でこの懇談会の報告、意見をどのようにいま取り上げていらっしゃいますか。
○中村(一)政府委員 懇談会のお出しになりました御意見につきまして、まだ御趣旨を具現化できないものもございます。そういうものにつきましては、今後私どもといたしましては引き続き政府部内におきまして検討を重ねまして、実現するように努力をいたす覚悟でおります。
○古川(雅)委員 もう一度確認をさせていただきたいのでございますが、この四十三年七月二十九日の懇談会の報告以降、新たに意見、報告というような形で政府に提出がなされているでしょうか。
○中村(一)政府委員 懇談会から総合的な御意見をいただきました後は、私ども個々の問題につきまして御意見を承ったことはございますけれども、一応大きな問題につきましては御答申をいただきましたので、それの実現に努力を重ねて今日に至っているというふうでございます。
○古川(雅)委員 四十三年の当時の社会意識といいますか、環境の情勢と今日とでは多少またズレが出てきていると思います。ある意味ではそうした懇談会の意見、報告が実際に取り入れられて実行に移されてきているわけでございますけれども、当時不適当だというような判断がなされて、今日に至ってそうではない、対策としてこれは措置すべきだというような意見に変わってきている点もあるんじゃないか、そういう情勢の変化はあるんじゃないかと思いますが、そういう点はどのように掌握をしていらっしゃいますか。
○中村(一)政府委員 先生のおっしゃいましたとおりでございまして、その当時、四十三年当時はその必要なしという御意見をいただいたけれども、その後情勢の変化等によりまして、また、当国会におきますいろいろの御審議の経過もございまして、これは認むべきであるとして処置をいたしたものもございます。たとえば入営途上の死亡軍人の措置あるいは帰郷の途中におきますところのそういうような場合におきまして、懇談会においては、これはやむを得ない、認めるほどのことはないという御意見でございましたけれども、しかしながら、これは四十六年度におきまして予算措置でこれを救うことになったというような例がございます。
○古川(雅)委員 いま具体的な例としておあげいただいたわけでございますが、これはすでに議論になったところでございますけれども、最初にあげられた入営途上のあるいはまた帰郷途上の処遇について、四十六年度の予算では、一時金として取り扱っているわけでございます。これを障害または遺族年金にできないというその辺の事情について、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
○中村(一)政府委員 これは当時懇談会におきましても意見があったわけでございますが、これは法律上といたしましては、入営途上あるいはすでに復員後帰郷する途上におきます事故と申しますものは、当人にとりましては、一般の国民と同様の身分と申しますか、立場にあるわけでございますので、法制上その方々につきまして特別な取り扱いをするということは、いろいろと問題があるわけでございます。したがいましてその方々につきましては、事情はまことにお気の毒であるけれども、たとえば懇談会としては、それにつきまして国が何らか措置をすることはいかがなものであろうかという消極の意見であったわけでございます。しかしながらその後におきますところのいろいろな御議論等も拝聴いたしまして、私どもといたしましては、しかし少なくとも、召集を受けておられる方あるいは軍隊に召集をされておられた方が帰られるという特殊な事情にあることにかんがみまして、その方々につきまして、あるいは遺族の方々につきましては、何らかの国としてもごあいさつを申し上げべきであることはやむを得ないのじゃなかろうか、こういうように考えた次第でございまして、したがいましてその中間と申しますか、現在の段階におきましては、その方々につきましては一時金を差し上げるということで、他のいろいろな制度との均衡をはかってそういう措置をしたというわけでございます。
○古川(雅)委員 これはしばしば言われていることでございますが、この入営、帰郷の途上につきましては行動は自由だからといっても、おのずから規制が加わるわけでございまして、船とか乗りもの、そういった個人の意思とはかかわりなくどうしてもそういった乗りものに乗らなければならない、ほかのルートを選べないという事情があるわけであります。そういった点では、今回一時金として措置をしたというのは、一歩の前進でありますけれども、さらに年金というところまで措置を広げていく、拡大して適用していくということについては、これは今後十分に検討できる点だと思いますけれども、この点の見通しはいかがでありましょう。
○中村(一)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、ただいまのところ、四十六年と四十七年の二カ年間にわたりまして特別一時金を支給するという措置をとったばかりでございますので、当面といたしましては、その措置でいきたいと思いますが、おっしゃいますとおり今後十分検討をしていきたいと存じます。
○古川(雅)委員 同じく、これは援護法が施行されましたあと、いわゆる再婚関係を解消した妻に対する遺族年金の受給の問題がございます。この点について、ひとつ所見をお伺いしたいと思います。
○中村(一)政府委員 終戦直後の特殊な社会情勢のもとにおきまして、しかも戦死された方々の未亡人の方の置かれました立場というものにつきましては、これは何らかの措置をすべきであるという意見がだんだん高まってまいりまして、いまお示しのとおり、再婚解消の妻につきましては、その解消の時期が問題がございますけれども、一定の時期までに解消された方々につきましては、これはそういう特殊な事情のもとにおける事例といたしまして、そういう再婚なかりしものといたしまして、遺族として取り扱うというふうに措置をいたしておるわけでございます。ただ、その再婚解消の時期と申しますのを援護法の施行の日、つまり昭和二十七年四月三十日といたしておりますので、その二十七年四月三十日までとしたのは一体どういうわけであるのか、あるいは、それでは短いじゃないかという議論はあるところでございます。
○古川(雅)委員 時間がございませんので、結論として確認をさしていただますが、再婚解消の時期の延長でございますけれども、これは当然今後も検討を重ねていただく問題でございますが、見通しとしてはどのくらいの期間が可能というふうにお考えでございますか。
○中村(一)政府委員 いまのところ、二十七年四月三十日以降におきますところの再婚解消等の実態につきまして、私どもまだよく把握いたしておりませんが、今後そういうような状況を十分認識の上十分検討さしていただきたい、こう思います。
○古川(雅)委員 御検討をお願いしておきたいと思います。 ここで非常に基本的な問題に立ち返ってお伺いをしてまいりたいと思いますが、まず第一に、今後における戦争犠牲者の戦後処理の総仕上げといいますか、年々の動きを見てまいりますと、この法改正につきましては、何か確固たる方針に欠けているんじゃないか。計画的に行なっているようにはどうしても見えないわけでありまして、何かしら周囲の圧力といいますか、そういったものに対処しながら場立たり的に厚生省が改正を重ねているというふうに思われてしかたがないのでありますが、当然それは否定されるでありましょうけれども、具体的な方針あるいは計画的な改正、そういったものをお持ちであるかどうかお示しをいただきたいと思います。
○中村(一)政府委員 確かに、援護法等の援護関係の諸法規というものの経過を見ますというと、おっしゃいますとおり、毎年何らかの改正をいたしておりまして、その間におきますところの一貫性というものがないかのような感じがいたすわけでございます。しかしながら、厚生省あるいは政府におきまして、戦争犠牲者に対しますところの対策と申しますものは、そういうふうに現象的にはいろいろな面が出てまいるわけでございますが、やはり私どもといたしましては、一貫して流れるものは、そういう戦争の犠牲者の方々につきまして、国といたしましてできるだけの援護の措置をとるという大きな方針では貫かれているわけでございます。そこで具体的に、しからばどういうような考え方でやっているかという、こちらといたしましては、特に軍人関係につきましては、軍人恩給が復活いたしまして、これを一つめど、一つの基準といたしまして、軍属あるいは準軍属の方々に対する処遇をできるだけそれに近づけていくというのが一つの大きな目標であります。それからもう一つは、やはりだんだん遺族等の方々が老齢化してまいるわけでございますので、そういう方々につきましては、今後いろいろとそういう点におきましてまた一つの問題があろうというふうに私どもとしては理解をいたしております。
○古川(雅)委員 昨年の十二月に日本遺族会のほうから戦没者遺族の実態に関する調査報告書というのをいただきました。これによりますと、いま御答弁でございましたとおり、非常に遺族が老齢化をしているということ、そしてまた、この援護法による給付がほとんど生計費の一部になっているというような点、非常に生活苦にあえでいる、公務扶助料それから遺族年金を生活費に充てているというような現状を非常に強く訴えているわけです。こういう点を考え合わせまして、毎年こういうふうにして少しずつ改正していく、その改正によって生ずるアンバランスをまた次の年に改正するということを繰り返していくことについて、私は率直にいって非常に奇異な感じを受けるわけであります。思い切って、将来そうした小刻みな改正を加えていく分まで一挙に改正して、このアンバランスをなくしていく、それができないのはどの辺に事情があるわけですか。
○中村(一)政府委員 これは結局、恩給法を含めまして他のいろいろな制度、あるいは社会情勢の変化によりまして、予見できなかったようないろいろな問題で起こっております。あるいはまた一つの点を取り上げまして改善をいたしました場合に、それとのバランス上どうしても手をつけざるを得ないという場合も起こってまいります。したがいまして、ここで私どもも五年間十年間といった先を見通しまして、あらかじめそういう措置をとっておくということができれば望ましいのでございますけれども、遺憾ながら刻々と情勢が変わってまいります。また受給者の情勢も変わってまいりますし、またそこまで手を広げるべきであるというような方々も出てまいりますので、まことに遺憾ながら、形としてはあるいは場当たり的な印象を受けるような場合もあるわけでございますけれども、当分の間私どもとしては、そういうような情勢に従いまして、すみやかにそれに即応した改正をするということを続けざるを得ないのではなかろうかと考えております。
○古川(雅)委員 たいへんくどいようでございますが、六十三国会の当社会労働委員会で、この法案の改正につきまして附帯決議を可決いたしました。その一項にいわゆる「未処遇者について、早急に具体的な解決策を講ずること。」というふうにあったわけでございます。この点について政府としてどれだけ真剣に取り組んできたか。特に今回の改正案につきましても、この法案ですらなお適用できない未処遇の方々にかりに予算措置をするといたしますと、大体の人数それから予算の金額はどのくらいになるものでございましょうか。その点ひとつお示しいただきたいと思います。
○中村(一)政府委員 前国会におきまして御決議いただきました未処遇者の早急な解決という課題につきましては、今回の改正案におきまして、たとえば日華事変中の勤務関連傷病による死亡軍人等の遺族に遺族年金を支給するという点。あるいは、太平洋戦争後の勤務関連傷病による死亡軍人等の遺族に遺族年金を支給する。第三番目に、太平洋戦争後の勤務関連傷病によって不具廃疾となった軍属等に障害年金等を支給する。それから四番目に、昭和二十年九月二日以後に戦地に引き続き海外にありまして、軍人、軍属たる特別な事情で死亡した者の遺族に遺族年金等を支給する。それから五番目に、先ほど申し上げました予算措置として、入営、帰郷途上死亡した軍人等の遺族に特別給付金を支給する、という五つの点を今回の改正でお願いいたしておるわけであります。 その他、まだまだ未処遇の問題があるかと思われますけれども、それについては一応私どもといたしましては、昨年の年末におきますところの政府としての予算案を作成します過程におきまして、援護関係の未処遇につきましてはこれらの点を改善すべきものとして政府部内として決定いたしておるわけでございまして、今後の問題についてもちろん問題はありますけれども、いまここでそれについてこういう項目であるとかいうことにつきましては、ただいままだそこまでいっていない次第でございます。
○古川(雅)委員 そうしますと、今回の改正でなおかつ未処遇として残る方々については、その人数、その措置に要する金額等については試算はできていないということでございますか。
○中村(一)政府委員 今回の改正案以外の点につきましては、現在のところまだ数字をつくっていないわけでございます。
○古川(雅)委員 その試算については非常にむずかしいことでございましょうか。それとも、近いうちにある程度の額をお示しいただいて、資料として御報告いただけるものでございましょうか、その点いかがでしょう。
○中村(一)政府委員 御承知のとおり、政府といたしましては、国の四十七年度以降の問題につきましては、特に予算を伴う問題といたしましては、七月末までには検討を終わらなければならないということになっておりますので、私どもといたしましては、引き続き今後の問題について現在検討を重ねておるところでございます。しかしながら、そういうような時間的な制約もございますので、予算を伴う問題につきましては、少なくとも明年度の概算要求提出までには、政府としてのといいますか、厚生省としての態度は決定せざるを得ない、こういうふうに考えております。
○古川(雅)委員 戦後二十五年を経過するわけでございますが、この援護法によりまして処遇を受けている方々も年々老齢化され、そしてなくなっていっていると思います。年々大体どのくらいずつ減少しているものでございましょうか。
○中村(一)政府委員 年金受給者の方々につきましては、大数観察いたしますと、やはり減少いたしております。御趣旨のとおりでございまして、状況を数字をもって御説明いたしたいと思います。 最近昭和四十年の数字をもとにいたしまして昨年の末と比較をいたしますと、まず遺族年金が数が一番多うございますが、遺族年金受給者が昭和四十年で十八万一千八百四十三名おられました。それから準軍属の遺族の方に差し上げます年金、遺族給与金の受給者が三万五千三百三十七名。その後五年たちました昨年の暮れで、遺族年金の十八万一千名の受給者が十四万四千二百六十二名というふうに減少しております。それから、遺族給与金のほうは、三万五千三百三十七名が逆にふえまして四万四千二百二名というふうになっております。これは遺族給与金制度の改善等もございまして、逆に受給者の数がふえたというふうになっております。それから障害年金の受給者でございますが、これは昭和四十年は三千四百二十九名、昨年末で四千百二十一名。障害年金の受給者はふえております。これは、障害年金の受給範囲の拡大、それから一時金を年金化したというような改正もございまして、数がふえております。しかしながら、年金受給者を全体を通じて見ますと、四十年に二十一万七千名おられた方が十八万八千名というふうに減少いたしております。
○古川(雅)委員 大臣にお伺いしたいのでございますが、このように年々老齢化し、一面からいえば、これからこうした処遇者がだんだん減っていくわけでございます。まだ処遇を受けていない、いわゆる未処遇の方々につきましては、予算的に困難であるという理由だけではこれは当たらないと思います。この際、全部を適用して、いわゆるもはや戦後は終わった、そう言うにふさわしい日本としての総決算をしていったらどうかということを考えるわけでございます。私、先ほどから局長にお伺いしておるとおり、年々わずかな改正を重ねていくのではなくて、この際一気に全部の方々に適用をするように、予算的にも試算をし、そしてそれの実現ができるように強力に進めていただきたい、このように思うのでございますが、大臣の見解をお伺いいたしまして、次の質問者に譲ります。
○内田国務大臣 私どもは、社会保障、社会福祉を進める立場の役所でございますので、老齢者とかあるいはまた傷病者などの方に対しましては、何らかの形におきまして国がめんどうを見るようなことをいたす方向で進んでおりますことは、御承知のとおりでございます。たとえば老齢福祉年金でございますとか、障害福祉年金などもその一例でございます。ところが一方、戦争による犠牲者とみなされる方々に対しましては、そういう社会保障、社会福祉という観念ではなしに、国家補償、いわゆる国家援護という形におきまして、恩給法あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法というものをもってこれに対処をいたしておるわけでございますので、したがってこの両方の制度のいずれを適用すべきかという限界にある人々が相当あるわけでございます。これは先般も御審議をいただいております、たとえば被爆者は一体どちらの範疇に入れるべきか、私ども厚生省のほうでは社会保障、社会福祉というようなことをもって、他の一般市民である戦争犠牲者とともにこれを論じてまいっております。また皆さん方のほうの一部の方々におかれましては、これは国家補償、援護の範疇をもって法制を整えるべきだという御意見も承っておるわけでございます。ちょうどそれと同じように、これは私が考えますのに、いま古川さんが言われます未処遇者をこの際一挙に援護法の対象として、またそれに対する予算も一挙に計上し得ないのか、こういうことに対しましては、どこまでを未処遇者とするかということの範囲が必ずしも皆さんの意識、私どもの意識が一致いたしておりません。従来はそういう方々、またそういうケースは国家補償あるいは援護をもって論ずべきでないとされておりました事柄につきましても、人々の意識が成長をしてまいりまして、援護法をもって論ずべきである、あるいは少なくとも、法律をもって論じなくても、同系列の予算上、行政上の処遇を講ずべきであるというぐあいに進化をしてまいっておりますことは、先ほど来御議論になっておりますとおりでございますので、したがって今後におきましても、その問題が幾つか残されておるように私には考えられます。私も実は戦争中かなり長いこと外地におりまして、いまの戦傷病者戦没者援護法の対象として取り上げていただきたいようなケースも幾つもあるわけでありますけれども、従来これらのことがまだ実現を見ていませんし、またはたしてそういう人々を国家補償の仕組みをもって論ずるのがよいか、あるいはまた原爆被爆者と同じように社会保障、社会福祉ということをもって処理するのがいいか、その辺がはっきりいたさない具体的なケースを私なども実はしょい込んでおりますわけでございますので、、もっぱらそういうことに対する世論と申しますか、国民の意識の成熟にまつものがまだ若干残されていると思います。したがいまして、残されている問題を年々、できる限り戦争犠牲者に対しましては親切に、そういう立場から対処をしていかなければならないという性格も多分にあるように思いますので、現在のところ私どもはここで一挙に割り切らないで、いま申し上げますようなことで進めてまいるほかはないのではないかと考えます。
○増岡委員長代理 次に、渡部通子君。
○渡部(通)委員 古川委員の質問に加えまして、四点ほど私からお伺いをしたいと思います。 一点は未帰還者の問題でございますが、これは政府の発表によりますと、第二次世界大戦終了の時点で六百万人、それが現在は四千人ほど残っているそうでございます。すなわち中共に三千二百五十二人、ソ連に三百九十人、南方に二百四十九人、北朝鮮に百十八人、こういう実情だそうでございますが、私こうした未帰還者の具体的な種々の実態調査というものはまだ不備な点が多いのではないか、こう思います。ソ連、中共などの外交ルートあるいは赤十字ルートによる話し合いの実情、こういった点では非常に消極的なのではないか。ともすれば、戦後もう四分の一世紀を過ぎておりますと、こういう未帰還者などという問題は歴史に取り残されていくような感じも受けるわけでございます。こういう実態調査をもう少し正確に、そして積極的に行なうのは当然国の義務だと思うわけです。これは単に厚生省だけでやればいい、こういう問題ではございませんで、強く政府部内に働きかけて、国としてやっていただかなければならない問題だと思うわけです。そういう意味で、この未帰還者に関する実態把握、あるいは今後の問題等についての担当は厚生大臣でございますので、この見通しなり具体的な方策なり、これをまずお示しいただきたいと思います。
○中村(一)政府委員 かわってお答えいたします。 いまお示しのとおり、まだ未帰還の方が三千九百二名いらっしゃるわけでございまして、これは私どものほうが過去七年間におきまして何らかの情報を確認し得たという方でございますけれども、しかし、おっしゃますとおり、まだ私どもの把握できない未帰還者の方もあるいはあろうかと思います。これに対する強力なる実態調査をすべきであるという御意見でございますが、私どもはこの未帰還者の実態の把握につきましては非常に力を入れておりまして、これに対しましては担当の課がございますが、その課が、ほとんど三千数百名の方につきましては一人一人についてその具体的な状況をつかむという不断の努力をいたしておりまして、日常の活動といたしまして、そういうような調査につきまして日夜努力を重ねておるところでございます。もとよりその把握につきましては、いろいろな方法がございます。これは先方の赤十字を通じていろいろ調査していただく方法もございます。あるいは、その他の調査に行かれた方から情報をいただく場合もございます。あるいは向こうにおきます、日本に対して非常に好意を持っておられる方々との間の個人的な情報による場合もございます。ここで具体的なケース全部は申し上げられませんけれども、努力をいたしておりまして、これだけをつかんでおるわけでございます。しかしながら、この未帰還者の方々を何とかして日本にお帰し申し上げることは厚生省の仕事でございますので、今後とも十分に努力を続けていきたいと考えております。
○渡部(通)委員 次に、戦没者の遺族相談員について伺いたいのでございます。 戦没者遺族相談員といのうは現在どのくらいおりまして、どういう活動をなすっていて、処遇はどういうふうになっておりましょうか。
○中村(一)政府委員 戦没者の遺族の相談員につきましては、厚生大臣から援護に関しますところの相談指導業務を委託して、民間の篤志家の方々に戦没者遺族等の身の上相談に積極的に応じていただくという趣旨で設置されたわけでございます。 現在、相談員の方は、昭和四十五年度で五百三十二名の方々が相談員になっておられまして、この四十六年度からは増員が認められまして、九百四十名の方々が相談員となっていただくわけでございまして、各県に相談員の定数を振り分けるという作業をいまやっておるところでございます。 この相談員の方々は、そういうわけでいわゆるボランティア活動でやっていただくわけでございますが、謝金は月額五百円でございまして、謝金といたしましてはまことに僅少な額でございます。しかしながら相談員の方々は、みな非常にこの問題につきまして熱心な方々でございまして、これはお礼はきわめて少ないのでございますけれども、御熱心に活動していただいているようでございます。 なお、御参考までに、この五百円というのは非常に少ないような気がいたすのでございますが、たとえば厚生省の関係で申し上げますと、身体障害者相談員あるいは精神薄弱者相談員というような相談員の制度がございまして、その場合、よその相談員の例を引いて恐縮でございますけれども、月額三百円というようなことでございます。
○渡部(通)委員 私、これは僅少なんというものではないと思います。月額五百円と申しますと、いまどきはパートでも日給で五百円は優にもらっていると思うのです。まして、かような物価高の時世でございますし、五百円というのはあまりにも少な過ぎるのではないか。これは篤志家がおやりくだすっているということで、むしろ厚生省さんはそこに甘えてしまわれているのではないか。いま伺いますと、身体障害者や精薄のあれが三百円。これはまたまたひどい実情ではないか。もう身体障害者や精薄の相談などといったら並みたいていでなく、心身ともの重労働になると思うのですね。それが三百円といったら、これは言語道断である。こういう月額五百円というのは、私は報酬の名には値しないと思うのですけれども、ならば、こういうボランティア活動というものをいわゆる篤志家の奉仕として厚生省は見ていらっしゃるのかどうか。その辺の姿勢はいかがなものでありましようか。
○中村(一)政府委員 現状といたしましては確かに奉仕的活動といったものでございまして、もちろん先ほども申しましたとおり、私もそれにいたしましても五百円の謝礼が決して十分とは思っておりませんので、その増額には今後努力いたすつもりでございますが、しかしながら、現在の相談員の方々の活動は、やはり趣旨といたしましては篤志家の活動という形で実はお願いを申し上げておる次第であります。
○渡部(通)委員 大臣にお伺いしたいのですけれども、これは今後いつまでも篤志家の奉仕という形で厚生省としては続けていらっしゃいますか。
○内田国務大臣 これは渡部さん御承知の、部が違いますが、民生委員、児童委員も兼ねておられるわけでございますが、これらの手当もまことにはなはだ少ない。年間五千円ということだそうでございます。月割りにしてみますと五百円にならない、四百何十円、こういうようなことになるわけでございます。あるいはその他、他の省の司法保護とか、いろいろそういうボランティアの方々に対する手当の関連がございまして、厚生省はそれで納得しておるわけでございませんけれども、なかなか波及効果が大きいということで増額ができないで、私どもも非常に悩んでおります。ただ、この軍人の遺族の方々の相談員は、御承知のとおり各地に遺族会がございまして、遺族会の役員の方々が遺族の方々の相談相手として非常に活動されておりますが、そういう方々に相談員ということで名前を持っていただいて、全く名義料のような形で手当を出しておるというのが実態で、外から特別の資格を持たれておる方をお願いしているということではない点が、やや他の民生委員の方々とは違う面でございます。だから上げるのなら民生委員のほうが先だというわけではないのです。ないのですけれども、そういうものと比べてみましていろいろ考えなければならぬ点もあるように私は思います。
○渡部(通)委員 戦没者の遺族相談員の話から民生委員の話までいってしまったわけでございますが、私はやはり社会保障を高めるという意味からして、こういう活動をなさる方々の報酬があまりにも低い、これは社会保障国家を目ざす現在の行政のあり方としては非常にまずいのではないかと思うわけです。一挙に、そういうなら民生委員のほうが先だというふうに、あっちもこっちもとなって報酬を引き上げるということが不可能だとおっしゃるのでしたならば、何らかの意味で非常な優遇措置を考えていただくことを厚生省にお願いをしたいのです。たとえばマスコミに乗っけていただくということだけでも、社会の日の当たる場所でこういう方々の活動というものを非常に評価していただく、こういった点で積極的に働きかけていただくこともけっこうでしょうし、あるいは交通機関の利用とか、いろいろな国家的行事の際の表彰とか、そういうことを考えれば、幾らでもこういう方々を優遇する道というのは、必ずしも報酬にたよらなくともあるのではないかというふうに考えるわけでございます。こういう方たちを日の当たる場所に、社会に引き上げてあげるということが、むしろ報酬をちょっとふやすよりも非常にいい役割りをなすのではないか。こういう意味で、ひとつ積極的にその点の御努力を、それこそ民生委員もひっくるめた上でお願いをしたい、これは要望にとどめるようなわけでございます。 第三点は、遺骨収集の問題についてでございますが、この遺骨収集は四十二年度以降、新たに設けられた最終計画に基づいて現在実施されているというお話でございます。しかしながら、これは何年何月をもって終了するのか、これがわからないわけでございまして、この見通し。 それから戦没者の慰霊碑等の建立の計画等がございましたら、この点お示しをいただきたいと思います。
○中村(一)政府委員 いまお示しのとおり、海外戦没者の遺骨収集につきましては、昭和四十二年以降努力を重ねてまいっております。私ども厚生省の計画では、この四月から四十六年度におきましては、太平洋におきますところの遺骨の収集を実施する予定でございまして、四十七年にビルマ及びインドについて実施したいということで、現地の状況等を外務省を通じてただいま調査しているところでございます。しかしながら、いままでにそういう遺骨の収集が、ビルマ及びインドのようにおくれておりますところは、遺骨の収集が非常に困難なところでございます。困難と申します意味は、相手の国の状況からいたしまして、遺骨収集につきましてなかなか御了承を得るに至らないところの国々でございます。さらにまた今後の問題といたしましては、あるいは中共地区の問題も起こるわけでございます。したがいまして、いまこの遺骨収集が何年をもって終了するかということは、そういうような国家間のいろいろな外交上等の問題もございまして、はっきりといたしませんこと。それからもう一つは、遺骨収集の仕事というものは現実に、また事実上なかなか困難な仕事でございまして、私どもといたしましてはそこを終わったつもりでおりましても、またその後において遺骨が発見される。そうしますと、どうしても遺族の方のお気持ちとしては、遺骨が一片でも残っておる間はやはりそれを持って帰るべきであるというお気持ちでございまして、また私どもといたしましても、できるだけそういう御遺族の方のお気持ちにこたえまして、遺骨の収集には万全を期したい。したがいまして、いま海外の戦没者遺骨の収集につきまして明確に、これが何年度において終了するであろうということは、なかなか見通しのつかないところでございます。しかしながら、私どもといたしましてはできるだけすみやかに遺骨の収集を終えるように努力をいたしたいと考えます。 その次に、海外におきます慰霊碑等を建設する計画がないかという御質問でございますが、私どもは千鳥ヶ渕に戦没者の墓地を戦後つくったわけでございますが、海外におきましても、海外戦没者のための慰霊碑というようなものをぜひ政府の力において建設したい、こういうふうに考えております。しかしながら、これも慰霊碑をつくります場所のあるところの国の了解の問題もございますし、また将来できましたあとの慰霊碑の管理の問題等もございますので、したがいまして、この建設につきましてはただいま慎重に検討を重ねておりますが、できましたならば主要なる地域におきまして何カ所かに慰霊碑を建立したい、こういうことで現在いろいろと関係の、たとえば外務省等とお互いに意見を交換しておるという段階でございます。
○渡部(通)委員 いま主要なるところにという仰せでございますが、具体的に土地の候補はあがっておりますか。
○中村(一)政府委員 これは慰霊碑をつくらしていただく相手の国とのいろいろな交渉もございます。こちらのほうで押しつけがましくつくらせろと言うわけにもまいりませんので、これはやはり慎重に運びまして、相手の国の事情あるいは国民感情等も十分参酌いたしまして慎重にやりたいと思っておりますが、私どもとしましては、場所としては数カ所あるいはもうちょっとふえますか、そのくらいの程度の主要なる地域にはぜひ慰霊碑をつくらしてもらいたい、こういうふうに考えております。
○渡部(通)委員 もう一点、戦没者墓地の管理についてお伺いいたしますが、今度環境庁が設置をされますと、いまの千鳥ヶ渕戦没者墓苑等は環境庁の所管に入るということになりますか。
○中村(一)政府委員 現在国会に提案されておりますところの環境庁設置法によりましては、そのように予定されております。
○渡部(通)委員 こういった無名戦士の墓苑等をつくるということは、私はたいへんけっこうなことだと思うのです。ことしも新たに九千体の納骨がここに行なわれる、こういう話も伺っておりますし、国家的な拝礼行事等もいままで続けられてきておりますから、そういう行事目的、内容からいいますと、環境庁というよりはやはりこれは援護局が管理をなすったほうがいいのではないかというような意見もありますが、この点に対する御見解はどのようでございましょうか。
○内田国務大臣 援護局長の説明が不十分であったと思いますが、地主としての地位は環境庁に移りますが、あの無名戦士の遺骨の管理の業務、お祭りをする仕事というものは、当然それは厚生省援護局の仕事、こういうことでございまして、地主さんとしての地位が環境庁に移るだけとお考えいただいたほうが――またそういう考え方でおるのでございます。
○渡部(通)委員 以上四点で質疑は終わりますが、戦後処理問題はいろいろ厚生省たいへんだと思いますけれども、やはり新しい繁栄の時代に入っておりますので、これは早急に一応ピリオドを打つ総合計画を立てる。その後また残った遺骨が出てきたとか、未帰還者が発見されたという場合には、またそれはそれで処理される道があると思いますが、ひとつそういった点で、先ほどの質問にもありましたけれども、総合的なプログラムを組んでいただいて、戦後処理には万全を期していただきたい、これを要望して終わります。
○増岡委員長代理 次に、田畑金光君。
○田畑委員 最初にお尋ねしたいことは、戦傷病者戦没者遺族等の援護の問題に関する懇談会、これはすでに昭和四十三年七月二十九日に、遺族援護法の援護に関し厚生大臣から検討を依頼された諸問題について意見書を出しております。この意見書の中で幾つかの項目を取り上げて、ある問題については積極的な政府の善処を要請しておりますと同時に、ある問題については消極的な態度が示されておりますが、この懇談会の意見書はその後どのように、昨年もことしも援護法の改正、改善措置が講ぜられておりますが、この法改正の中に反映されておるのか、まず第一にそれを承りたいと思います。
○中村(一)政府委員 懇談会からいただきました御意見につきましては、四十四年度、四十五年度、四十六年度におきまして改正がなされ、あるいは改正の手続をとっておるところでございます。お示しのとおり、懇談会といたしましてはその必要なしとされました点につきましても、その後の情勢等を勘案いたしまして措置をいたしたものもございます。 ただいまから、懇談会の御意見につきましてのその後の措置につきまして御説明を申し上げます。 第一点は、防空従事者に対する措置の問題でございまして、懇談会の御意見といたしましては、防空監視隊員についてその措置をなすべきであるという御意見でございました。これは四十四年度の法律改正といたしまして、防空監視隊員を準軍属として処遇することといたしました。 それから二番目と三番目は、入営途上あるいは帰郷途上の傷病による死亡軍人の措置でございますが、このことにつきましては、懇談会としてはその処置につきまして消極の御意見でございましたが、四十六年度の予算におきまして特別支出金を支給するという措置を講ずることといたしておるところでございます。 それから四番目に、障害年金の支給対象の拡大、三款症から五款症への拡大につきまして、四十五年度の法律改正によりまして、軍属、準軍属にかかわるものにつきましては実施をいたすことといたしました。なお、四十六年度の予算要求といたしまして、軍人、軍属のみなし公務につきましては三款症から五款症に延ばしていただくということでございます。 それから五番目に、改氏婚父母等に遺族年金等の支給をするという問題につきましては、懇談会の意見は消極的でございましたが、四十六年度の予算で、予算的な措置として特別給付金を支給するものというふうにいたすわけであります。 六番目に、遺族一時金の支給要件の緩和の問題でございます。これは、原爆被爆に基因する疾病について緩和することはどうかということでございますが、これにつきまして懇談会の意見は消極的な意見でございますが、四十五年度に原爆被爆に基因する疾病を長期疾病とするという措置が、これは別になされておるところでございます。 七番目に、内地勤務関連併発傷病で死亡した軍人等の遺族に一時金を支給するということにつきましては、これは消極の意見でございまして、そのことについては措置がされておりません。 それから八番目は、公務扶助料の加給対象となっていない父母に遺族年金を支給するということにつきましては、これは四十六年度で後順位年金の支給を予算要求をいたしたところでございます。 それから九番目に、法施行後再婚解消した妻の処遇でございます。これは二十七年の法律施行後の問題でございまして、これにつきましては懇談会は消極の意見でございます。これにつきましては、まだ何らの措置をいたしておりません。 それから十番目は、準軍属の業務関連傷病により死亡した者の処遇でございまして、これは改正すべきであるという御意見でございまして、昭和四十四年度の法律改正をいたし、それから四十六年度の措置といたしまして、被徴用者等以外の準軍属についても支給するということをいたしております。 それから十一は、準軍属の公務傷病に併発した傷病により死亡した者の遺族に一時金を支給するという件でございまして、四十五年度の法律改正で処置いたしております。 十二番目が障害年金の加給の是正でございますが、これは四十四年の法律改正でいたしております。 大体そういう内容でございます。
○田畑委員 この意見書によれば、この報告は、検討を依頼された事項のうち検討を終わったものに対する処理意見を示したものであり、その他の問題については今後とも検討を加えていく所存である、こうなっておりますが、この懇談会はその後どのような作業をしておるのか、また現在どのような問題点を検討しておるのか、その点を説明願います。
○中村(一)政府委員 援護問題懇談会といたしましては、重要問題につきまして一応網羅的にその意見を提出になりまして、その後昨年の四月まで会議を開きましたが、現在のところ懇談会は開かれておりませんで、この懇談会の意見に対する政府等の処置の問題がその後の大きな問題でございまして、懇談会といたしましてはいま新たな問題を取り上げるということはいたしていないようでございます。
○田畑委員 懇談会の意見書について、幾つかの項目については四十四年以来政府の援護措置の充実、内容強化の面で取り上げておるということはわかりましたが、まだ幾つかの点が取り上げられていない。しかし、問題はいろいろ出てきておるわけで、いまの答弁によれば、昨年の四月以降懇談会は動いていない、こういう話ですが、国会においてしばしばいろいろな問題について附帯決議をつける。この附帯決議については、きまって厚生大臣は善処すると答えておる。こういうような問題等については、行政当局で全部消化できるということで、その後の懇談会等において意見を聞くようなことをしないのか。やはり援護問題について改善すべき事項がその他もいろいろ出ておるとすれば、懇談会が当然問題を討議してさらに政府に意見書を提出するというのが本来のあり方だと思うんだが、懇談会の意見書は求めなくても、もうやっていくんだということなんですか。それとも、また求める問題があるという認識なのか。その辺はどうですか。
○中村(一)政府委員 懇談会とされましては、当時厚生大臣から御諮問申し上げましたことにつきまして一応総合的な御答申をいただいておりますので、いまのところこの懇談会につきまして、それを開くということはないのでございますけれども、しかしながら、援護問題と申しますのはいろいろと複雑かつ各方面にわたる問題が多うございますが、今後またその問題によりましては懇談会に御相談を申し上げることも出てくるかと思いますけれども、現在のところ一応御答申をいただいたという段階になっております。
○田畑委員 戦没者遺族に対する処遇が逐次改善されておることは認めますけれども、しかし戦没者遺族の方というのはほとんど老齢者が多いわけですね。また社会構造も変わっておるし、経済状況も変わってきておるし、あるいは物価の上昇その他環境がきびしくなってきておりますが、この援護法の対象になっておる人方の実態というものはいまどうなっておるのか。おそらく厚生省としても実態調査をやっておると思いますが、その実態調査に基づく現状はどうなっておるかを報告願うとともに、これに対してどのように手を打ってきておるのか、この点を御答弁願います。
○中村(一)政府委員 援護法の対象で一番老齢化等の状況が顕著でありますのは、御承知のとおり遺族年金あるいは遺族給与金の受給者でございます。私ども、年金受給者につきまして、年齢構成別にその状態を見ておるのでございますが、四十五年の三月末におきますところの数字を見ますと、一応四グループに分けまして、七十歳以上、六十五歳から七十歳、六十歳から六十五歳、六十歳未満という四段階に分けますと、何と申しましてもやはり一番多いのは七十歳以上でございまして、遺族年金の場合、この該当者が約六〇%でございます。その次が六十歳未満の一九・九%、それから六十五歳から七十歳までの一二・四%、六十歳から六十六歳の八・二%というような状況でございまして、お示しのとおり受給者等が非常に老齢化しているということがうかがわれる次第でございます。
○田畑委員 いまのように、遺族年金であるとか遺族給与金を受けておる遺族の方々は、七十歳以上の人方が六〇%以上を占めておる、こういうことでございますが、さらに、今日一番大きな問題である老人問題の中で、ひとり暮らしの老人世帯とかあるいは夫婦きりの世帯であるとか、こういうような人方が最も深刻な老人問題の一つでありますが、このような調査がなされておるのかどうか。これは厚生省のことだから当然やっておると思いますが、それはどういう分布になっておるのか。年とってもしあわせなお年寄りといわれるのは、やっぱり夫婦ともに健在で、しかも家族の人方と一緒に楽しく生活ができる人方が老人層においてもたいへん恵まれておる人といわれておるが、そのような人方はどの程度にのぼっておるのか。また、年とってまいりますと、どうしても配偶者がいない人方が多いのでございますが、そういう面からとらえた場合に、老人層の構成がどうなっておるのか、この点もひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
○中村(一)政府委員 ただいまここに詳細な報告書は持ってきておらないのでございますが、遺族の実態調査に関しましては、昭和四十三年の十一月、十二月の二回にわたりまして、特に戦没者の父母、祖父母について行なっております。また恩給局におかれましても、昭和四十二年度に公務扶助料を受けるということにつきまして恩給の効用調査というものを行なっておるわけでございまして、私どもといたしましてはそういう恩給局の調査等も参考にいたしまして、こちらの検討もいたしておる次第でございます。
○田畑委員 もっときめのこまかな調査が必要じゃございませんかね。局長の答弁によれば、この援護法の年金関係の受給者のうち、七十歳以上の人が六〇%だ、こういうわけですが、しかし厚生省ではもっときめこまかな老人層の調査をやっているのでしょう。そのような調査の上に立って、援護法などについても適切な措置が講じられると思うのだが、こういう点は、そのような調査はないのですか。
○中村(一)政府委員 説明が不十分でございましたが、おっしゃいますとおり、私どもといたしましても遺族の方々の実態をつかむべくきめこまかく調査をいたしているところでございまして、戦没者の父母等に対する実態調査では、特に老齢化している遺族の実態把握を目的といたしまして、老齢化対策のために行なっておるわけでございますので、老齢化の実態といたしまして年齢の状況あるいはその健康のぐあいがどうであるかという点、それから健康の状態につきましては一般的な健康のほかに、配偶者と離別されました単身者の方々につきましての介護者の状況であるとか、あるいは、職業に従事している者は非常に少ないわけでございますけれども、この職業の状況あるいはその生活保護率の状況、現金収入の状況といったような点を重点的に調査をいたしているところでございます。
○田畑委員 今度遺族年金とかあるいは遺族給与金その他の引き上げ措置が講じられておりますが、公的年金との併給制限の問題についてはどのような取り扱いになっておるわけですか。
○中村(一)政府委員 これは制度といたしましては、年金法のほうでその調整をはかる規定となっております。
○田畑委員 年金局長はいないわけですか。
○内田国務大臣 私がお答えいたします。 特に公的年金のうち、老齢福祉年金の併給ということが当委員会でもしばしば御要望がございました。そのことは従来は併給をされる場合がありましても、老齢福祉年金の一部だけに限られておりましたけれども、今回国民年金法の改正を通じまして、准尉以下の身分を持たれた方々にかかる公務扶助料につきましては、福祉年金は全額併給を認める、したがってまた、援護法のほうにおける遺族年金あるいは遺族給与金につきましては、兵の階級と同じのはずでございますので、したがって遺族年金、遺族給与金とは老齢福祉年金は全額併給、こういうことに改正をいたすことに成功したといいますか、そこまでもっていくということになりましたので、このことにつきましては年金法の改正を通じましても御説明を申し上げる所存でおります。
○田畑委員 いま大臣のお答えのように国民年金法の一部改正においては福祉年金と戦争公務による扶助料、準士官以下の公務扶助料等は併給される、こういうことになって、これは非常に前進だ、こういうことでしたが、この援護法に基づく遺族年金、遺族給与金等と福祉年金とはやはり国民年金法の場合と同じように併給される、こういうことでよろしいわけですね。
○中村(一)政府委員 さようでございます。
○田畑委員 それから先ほど局長の答弁によれば、この懇談会の意見書の中で、たとえば防空監視隊の隊員について四十四年の遺族援護法の改正によりまして公務上の傷病による死亡、傷病につき準軍属として処遇されておるわけで、同じ年に警防団の団員については防空業務従事中の事故による死亡、障害について死亡者の遺族に七万円、障害者に五万円の一時金を消防庁から支給する、こういうことになったわけです。また四十六年度の措置として昨年この委員会で私も強く指摘したわけでありますが、入営、帰郷途上における死亡者の遺族に対する措置、これがまた同じく一時金として十万円、四十六年度、四十七年度で実施する。対象者が二百名、こうなっておりますが、私が去年質問いたしましたときには外地から復員途上にある者、外地から来た復員者等についてはもうすでにこの法律ではっきりうたわれておるが、なぜこれと同じ取り扱いができないのか、こういう角度で取り上げたわけでありますが、今回は一時金ということでとりあえずの措置が講じられておるわけです。これは先ほど申し上げた警防団の団員のことも含めて、入営、帰郷途上における、死亡者の遺族については今回の措置で終わりだというのか、あるいは暫定措置でこのようにしたのか、あるいはこれらの問題については将来懇談会等の問題点として意見を聞くような場合もあるのかどうか。この点はどうですか。
○中村(一)政府委員 入営途上または帰郷途上におきまして事故のございました軍人の処遇につきましては、懇談会の意見では消極的な意見であったわけでございますが、しかしながらその後におきますところの各方面の御意見あるいは国会におきますところの御意見等を勘案いたしまして、これらの方々につきまして政府といたしましても何らかの措置をすべきであるということで、ただいまお話のとおり四十六年度、四十七年度にわたりまして特別支出金を支給するという予算措置を講ずることとしたわけでございます。したがいまして、私どもは、現在の段階におきまして、これらの方々につきましてはこの特別支出金によりましてこの災害におこたえすることにいたしておるわけでございまして、この問題につきまして重ねて懇談会等に御相談を申し上げるということは、現在のところ考えていないところでございます。
○田畑委員 私はあなたの答えというものは不満なんです。一時金でこれをごまかしなさい、ごまかしてもけっこう、あるいは一時金が処理してもけっこう、こういうたてまえでこの問題を議論してきたわけじゃないのでございまして、もっとこの問題についてはその他との均衡という面からこれをひとつ取り上げて検討してもらいたい、こう私は思うのです。 先ほどにちょっと戻りますけれども、この公的年金との併給制限について、今回の援護法に基づく遺族給与金あるいは遺族年金等について福祉年金と併給できるということがこの説明書の中にないのは、どうしたわけですか。
○中村(一)政府委員 併給の調整の問題につきましては、福祉年金の側におきまして、その福祉年金を全額差し上げるかどうするかという議論をされるわけでございます。援護法といたしましては、援護法の遺族年金はまるまる差し上げる。したがいまして援護法といたしましては、公的年金との調整というのはその法律の中には出てこないわけでありまして、国民年金法の規定といたしましてそれを調整していく、こういうことになっております。したがいましてこれには出てこないわけでございます。
○田畑委員 先ほど来おそらく質問の中に出ていたと思うのですが、もうすでに戦後四分の一世紀も経過しておる。この辺で援護法というものをもっと根本的に見直したらどうか。毎年毎年改善措置は加えられておりますが、いわば落ち穂拾いのような感じがするわけなんですね。ことしの改善措置を見ましても、準軍属に対する処遇の改善措置がとられておりますが、たとえば準軍属の取り扱いというものがだんだんよくなってきておりますけれども、今回の改正を見ても被徴用者が十分の九、準軍属一般が十分の八、このようになっておるわけですね。だから軍人、軍属と準軍属との差がだんだん縮まってきておるということはけっこうなことでございますが、このあたりで軍人、軍属あるいは準軍属の格差というものを私は思い切って撤廃したらどうか、こういうような感じを持つわけです。ことし被徴用者について十分の九、その他の一般準軍属について十分の八、こうなりましたが、来年は一体これはどうするつもりですか。この格差の是正についてはどういう考えを持っておりますか。
○中村(一)政府委員 私どもといたしましては、大筋といたしまして援護法の体系といたしましては、軍人、軍属、準軍属の間におきますところの格差というものをできるだけ縮めていきたい、これが恩給法と違いました援護法の大きな特色でもございますので、先生おっしゃいましたとおり、そういう格差を解消していくというふうな方向で進んでおります。したがいまして、今回御提案申し上げました法案でもその処置がおのおの一〇%ずつ改善されておるということでございまして、総動員法適用の準軍属につきましては、もうすでに十分の九とまでなっておるわけでございます。したがいまして私どものほうは、なるべくすみやかにその格差の解消に持っていきたいという方向で作業をしておるところでございます。
○田畑委員 来年もまた格差縮小ということで一歩前進すると思うのですが、いまお話しのように、旧国家総動員法に基づく被徴用者等については、軍人、軍属に対して十分の九というところまできておるわけですね。これをさらに格差解消するとなれば、来年は十分の九・五にするのか、同額にするのか。また、それに応じてその他の一般の準軍属等についても当然改善を加えることになると思いますが、来年はどうするのですか。
○中村(一)政府委員 私ども厚生省といたしましては、明年度はその差を、将来としてはなくするが、少なくとも縮めていくという方向で政府部内の検討に入らしていただこうと考えております。
○田畑委員 大臣、私いま局長にお尋ねいたしましたが、援護法を見ますと、毎年改善をされてきて、軍人、軍属と準軍属との格差というものが非常に縮まってきているわけです。これは歓迎することだし当然のことだと思うのです。いまお話しいたしましたように、準軍属の中で徴用者等についてはすでに九割まできているわけですね。その他については軍人、軍属に比べて八割まできているわけです。もうあと一歩というところですね。先ほどお話がありましたけれども、この援護法の適用を受ける人方というのは七十歳以上の人方が六〇%以上を占めておる。年とともにこの傾向は深くなるばかりですね。そういうことを考えますと、援護法の精神から見るならば、軍人と軍属の格差であるとか、準軍属の中でも被徴用者とその他の準軍属との間に格差を残しておくというのはいかがなものであろうか。もうこのあたりでひとつ援護法というものをもっと抜本的に再検討してみたらどうか、こう思うのですね。大臣は頭がいいから、援護法をお読みになれば何でもすらっと頭に入るかもしれぬが、毎年毎年次から次に追加してきて、援護法を読むのにどれだけ苦労をするか。とても読めるものではないのですよ。読んでみたって、前のものとあとのものがどういう関連があるのか、理解したがいことははなはだしい。これは援護局の局長以下部課長が、自分たちのなわ張りをあまり他からかいま見ることを許さぬためにこういうことをやっているのかなとすら私は思うのですが、法律というのはもっと親しみやすく読みやすく、だれにもわかるように――われわれが読んでも苦労するのですから、国民一般がこの法律を読んでわかるはずがないでしょう。援護法についてはひとつこの辺で再検討してみたらどうかと思うのですが、大臣どうですか。
○内田国務大臣 おっしゃるとおり同感の点もございますし、また同感でない点もございます。それは、援護法でカバーをしている方々についての国の処遇を社会保障、社会福祉ということにしてしまえば、おっしゃるとおりきわめてすっきりした簡単なものになると思いますが、実際はそうではなしに、恩給法でカバーをされない人々であって、しかも戦争犠牲者として国が国家補償的に処遇をすべき人についての法律体系でございますために、どうしても戦争関連の身分とかあるいはその職務の内容とかいうものが恩給法と同じように論ぜられているということになるわけでございます。それが第一点でございます。 第二点は、私は非常に人類に対する同情心をたくさん持つ者でございますから、こういう問題は最大限まで広げるがいいと思いますが、従来必ずしもそうでなかったために、各方面からいろいろ御要望があるたびに、いままでは論ぜられなかった、問題にならなかったようなケースが、意識の高揚とともに援護法の中に取り上げられるように、毎年毎年なってきている。もうこの辺でシャットアウトだ、こういうことにし得なかった。また、その面ではしないほうがいいんで、今後とも、そこまでいっているんならここまで対象にしてほしいというようなケースもございますので、もうしばらくこの体系で検討を続けまして、大体この辺で総合的な社会保障と国家補償の観念をもう少し割り切ったような形にしてものごとを取り上げるような時期もやがてはくるのではないかというような気がいたさないわけではございませんが、それまでの間は、厚生省の役人がなるべく人にわからぬようなことにしていて自分のポストを維持しているということではなしに、むしろいろいろの御要望を入れていけるような間口をまだ残している、こういうふうに善意に解釈していただまして、中身の改善、前進には私は前向きにつとめていきたいと考えます。
○田畑委員 まず当面は中身の改善を進めていくという大臣のあとの答えを前提として、先ほど局長の答えの中に、懇談会の中でもいろいろ検討されたけれども消極的になっているということでありますが、これはすでに質問にあったと思いますし、また、この法律を審議するときには、再婚して解消をした妻、死別を含む、これに対する遺族年金の支給について、期間を延長すべきでないかということはしばしば議論をされるわけです。 〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 昨年もされたのですが、この条項によれば昭和二十一年から二十七年までの間に再婚し解消した者についてはこの援護法を適用、こういうことになっておりますが、この点については懇談会等でもっと議論してもらう問題じゃないかと私は思うのです。 それからもう一つ、あなたの先ほどの答弁の中にもあったかと思いますが、同じく戦没者の死没後婚姻によって氏を改めた父母等については遺族年金が支給されていませんが、こういう人方についても遺族年金の支給対象として取り上げてもいいんではないのか、このように考えておるのですが、この点について厚生省としてはどう考えておるか。今後この問題をさらに懇談会等で取り上げて検討してもらうという用意があるのかないのか。あるいはこれはもうだめだといって議論の俎上にも乗せないつもりなのかどうか、このあたりをひとつ伺っておきたい。
○中村(一)政府委員 いま御指摘いただきました二つの点は、いずれも懇談会とされましては、検討の結果消極の態度をおとりになった点でございます。 なお、先ほど先生の御質問に私間違った答弁をいたしておりますので、訂正をさせていただきます。改氏の父母に遺族年金を支給するという点につきまして、特別給付金を支給することにしたと申し上げましたのは間違いでございまして、先生のおっしゃいましたとおり、これについては何らの措置もなされていないわけでございますので、訂正させていただきます。 それで、この二つの点につきましては、私どもこれをもう一度懇談会にかけるということは、現在の段階においてあるいはいかがなものであろうかと思われます。しかしながら、この二つの点につきましてはいろいろ議論のある点でございます。したがまして、私どもといたしましては、今後とも実態等をよく把握いたしまして検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○田畑委員 父母の氏を改めた問題……。
○中村(一)政府委員 戦没者の死没後に婚姻によって氏を改めた父母、租父母にも年金を支給すべきじゃないかという御意見でございますが、この点も他の国の制度等との均衡におきまして種々の問題がございます。しかしながら、御指摘のとおり、そういう実情もあることでございますので、今後とも検討をさせていただきたい、こう考えておる次第でございます。
○田畑委員 それから、勤務に関連した傷病により死亡した軍人、軍族、準軍属については今回の改正で十分の七・五相当額の遺族年金を支給することになっておりますが、本邦における勤務に関連した傷病に併発した傷病によって死亡した軍人、軍族等の遺族に対して一時金を支給するという問題、これはどうなっておるわけですか。今後どのように取り上げようとしておるのですか。
○中村(一)政府委員 本件につきましては、遺族一時金という制度は、死亡者で在職期間中公務により負傷し、または疾病にかかったが、その公務傷病によって死亡したものであるという立証が得られない事例がしばしばあることにかんがみまして、これらの方々の遺族につきまして特別に設けられたものでございます。公務傷病ではない、しかも本邦等における勤務関連傷病に併発した傷病による死亡まで処遇するということにつきましては、なかなか困難ではないかと私ども考えております。 なお、先ほど申し上げたかと思いますが、懇談会におきましては、その支給は適当ではないという消極の意見が示されておるところでございます。
○田畑委員 懇談会の意見もそのように積極的になっております。そうすると、大臣の先ほどのお答えの中に、今後さらにいまの体系で、いままでの方向で内容を改善していこう、こういうお話がございましたが、今後改善を加えるとすれば、具体的にどういう点をあなた方は頭に置いているのか。これはどっちみちまた援護法の一部改正が出てくるわけで、これは恩給、年金その他の引き上げに伴うて、援護法に基づく諸給付についても当然引き上げ措置は講じられると思いますが、その内容の改善とか対象範囲の拡大とか、こういう点から見た場合に、これから援護法で取り上げねばならぬ問題をどういうふうに考えていらっしゃるわけですか。
○中村(一)政府委員 いわゆる未処遇の問題の解決につきましては、今回御提案申し上げました改正案におきまして一応の解決ははかられると思うのでございますが、これから先しからばどういう方向でいくかということでございまして、私どもはやはり本来の遺族年金、障害年金等の年金額というものは、やはり物価等に相応して年金額を上げていくということ、並びに軍人、軍属あるいは準軍属の方々の間におきますところの格差の解消につとめるということで、やはり明年度といたしましても引き続き改善をいたしたいと考えております。 その他いろいろお触れいただきました、あるいは問題になっておりますところの問題につきましては、しばらく検討の機会を与えていただきたい。もちろんそういう問題につきまして、私どもといたしましては、先ほども御答弁申し上げたとおり、四十七年度以降の問題につきましては、もうこの夏に結論を出す必要に迫られているわけでございますから、その他の問題につきましてもこの夏を目標にいたしまして、ただいま検討を続けているという段階でございまして、具体的にどのくらいかということにつきましては、まだ申し上げるまでに至っていない次第でございます。
○田畑委員 大臣、いまの局長の答弁を聞いておりますと、毎年年金の引き上げであるとか、あるいは軍人、軍属、準軍属の格差、準軍属の中における被徴用者とその他の準軍属との格差の是正、言うならばこのあたりに問題は来てしまったということなんですね。そうしますと、やはり私は、このあたりで援護法全体というものを見直して、法律の体系から内容にわたって、もっと抜本的に再検討の時期に入っておるのじゃないか、こう思うのです。局長はいろいろ一生懸命に答えていらっしゃるようでありますが、局長自体としても、このむずかしい法律内容について、頭でそらんじて私の質問に答えるということはなかなか容易でないと思うのです。私の質問だけでなくて、委員の質問にですね。本職の局長ですらやはり書いたものを読まぬとなかなか答えることができぬほど複雑なんです。こんな複雑な法律をいつまでもこのままにしておいて、そして内容はどうかというと、さほどでもない内容なんですからね。これはやはりこの際整理してみたらどうかと思うのです。局長、どうなんですか、あなたもこの間国立公園部長から援護局長に栄転をされて、きょうの日に備えて一生懸命勉強しておいでになった、その努力はありありと見受けられますけれども、このあたりでこの法律はもっとわかりやすいように、だれが局長になっても読んだらすぐわかるように、援護法については全般的に体系なり内容なりを改めたらどうか、こう思うのですが、この点どうでしょうか。
○内田国務大臣 大ざっぱに申しますと、私も同感でございまして、そろそろそういう時期に来ているのではないかと思います。しかし、きょうの附帯決議にもございますようですが、まだ未処遇者と考えられる方々の問題もございますので、さっき私がもうここで窓を閉じてしまう、入り口を閉じてしまうことはいかがかと申したことも、そのようなことも含むわけでございまして、大体もうセットしたということでありましたら、体系もまことに複雑で、御説の中で、租税特別措置法よりもさらに複雑のように思いますというのは私も同感でございますので、この次の国会にそういう整備法を出すか出さぬかということはお約束できませんが、ぼつぼつこの問題は研究にかからせたいと考えております。
○田畑委員 私、最後の問題として、未帰還者についてちょっと触れたいと思うのです。昭和四十四年三月一日現在の未帰還者数については、昨年の国会で資料として見ておりますが、一年後の昭和四十五年三月一日の未帰還者の数はどうなっておるのか、その数について異動が出ておりますが、その内容等について御説明いただければありがたいと思います。ところが、ことしのこの予算措置では留守家族手当の支給はわずか二十三人となっておりますが、これだけの未帰還者の数があるのに留守家族手当が二十三人分ということはどういうことなのか、その辺についてもひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
○中村(一)政府委員 まず最後の御質問からお答え申し上げます。 留守家族手当の支給の対象となりますのは、未帰還者の方がもし日本に帰っていらっしゃるとするならば留守家族の方が主としてその方々の収入で生計が維持せられると認められる場合、そういう生計を維持しておられる方がまだ帰ってこないという場合に限られるわけです。それからまた、未帰還者と申しますのは、過去七年以内に外地でまだ生存しておると認められるに足る資料がある場合でございます。そういうわけでございますので、当初申し上げましたとおり、現在の未帰還者の方々の中で生計の責任者であるという方でございますものは――現在帰ってきていない方々の約四割が婦女子の方々でございますし、その他の方々につきましても、戦争に参加されました時期が非常に若い時期であったというところから見て、若年層の方であった場合が大部分でございますので、帰還後生計の中心になるという方は少ない。留守家族手当を支給されている方は少ない。留守家族手当を支給されている方の数が非常に少ないというのはそういうところからでございます。 それから未帰還者の方々について申し上げますと、四十四年度の当初におきまして四千三百二十一名の未帰還者がおられましたが、その方々が翌年度におきまして三千九百二名というふうに減少いたしております。
○田畑委員 未帰還者の調査ということをお尋ねしますが、どのように毎年調査なさっておるのか。それから終戦前後のある時期に南朝鮮において消息を絶った状況不明の未帰還者二百四十五名の調査を四十二年六月韓国政府に依頼したが、まだ回答がない。この点について私は昨年この委員会で質問したところ、厚生大臣は、すみやかにひとつ調査と善処をしよう、このようにお答えになっておるのですが、厚生大臣はお忘れになったと思います。これは外務省を通じその後どのようになっておるのか。私が申し上げたいのは、遺骨収集の問題等先ほど取り上げられておりましたが、それも当然のことだと思いますけれども、未帰還者の実情等の調査、あるいははいま私が指摘したような問題等については、外交当局を通じ実情を調査して、その実態に即して援護措置を講ぜられるべきであるし、また講ずることが行政の大事な責任である、こう思っておりますが、この点についてどうなっておるのか、お答えいただきたい。
○中村(一)政府委員 韓国の地域におきます未帰還者二百四十五名の名簿を昭和四十二年六月に韓国政府に送りまして調査を依頼いたしております。昨年厚生大臣がお答えしたところでございますが、これにつきましてはまだ回答が来ていないわけでございます。なお、このことにつきましては、引き続き外務省を通じまして調査方につきお願いしたいと思っております。 それから未帰還者の調査でございますが、このことにつきましては、厚生省といたしましては、その調査につきましては、日常の業務としてありとあらゆる方法を使いまして実態の把握につとめております。したがいまして、あるいは個人的な通信、聞き込み、いろいろな団体等による調査、赤十字間における調査あるいは政府間交渉等、いろいろな情報を使って把握につとめておるところでございますが、なお回答がなくて十分つかめない点もございましてまことに遺憾でございます。このことにつきましては、今後とも努力を重ねていく所存でございます。
○田畑委員 最後に私は一言だけ希望を申し上げておきます。 未帰還者の状況調査などについて私が昨年大臣に質問して大臣が答えなさったことを一年後の今日、同じ問題について同じことばで質問してみると、答えはやはり同じなんです。できるだけ手を尽くして調査するというわけです。確かに国交回復がない中共地域について調査することは非常に困難であると思いますけれども、それでも八方手を尽くして調査に努力しておるということは認めますが、お隣の韓国との関係などというのは、国交が正常化されておるのだし、正常の外交ルートを経て調査することも可能なわけです。そしてまた、昨年大臣はこの問題に対して善処するということを約束されておるのだけれども、一年後の今日同じようなことばで局長が答えておる、こういう一事を見ても、私は未帰還者の状況調査などについてどれだけ誠意を持って当たっているのかということを疑問に思います。法律の審議に際しての答弁用語としてお使いなることは全く困ったことだ、こう申し上げておきたいわけです。どうかこの問題については、約束したことは実行してもらうということ、さらにまた、後ほど法律の採決に伴って附帯決議も出るでございましょうが、毎年この法律については附帯決議が出ておるわけで、それじゃ附帯決議がどの程度に実施されておるのかと申しますと、同じ附帯決議の文章を毎年繰り返さざるを得ぬということを見ますと、先ほどに返りますが、私はやはり懇談会等において問題点をさらにもう一度洗い直して、法律の改善に努力を払っていただきたい、このことを強く私の要望として申し上げて、私の質問を終わります。
○倉成委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○倉成委員長 ただいままでに委員長の手元に、伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君より本案に対する修正案が提出されております。 ―――――――――――――
○倉成委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。伊東正義君。
○伊東委員 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる修正案につき、四党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 お手元に修正案が配付してありますので、朗読は省略させていただきますが、その要旨は、本法律案中、戦傷病者特別援護法による療養手当の改定規定については、昭和四十六年四月一日から施行することとなっておりますが、この法律の公布の日が昭和四十六年四月二日以後であるときは公布の日から施行し、昭和四十六年四月一日から適用することとするものであります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○倉成委員長 修正案について御発言はありませんか。 ―――――――――――――
○倉成委員長 なければ、これより戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、伊東正義君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○倉成委員長 この際、本案について、伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。田邊誠君。
○田邊委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、次の事項につき、格段の努力を払うべきである。 一 今日の経済成長の実情並びに戦没者遺族等の老齢化の現状にかんがみ、これら老齢者及び妻の優遇措置を講ずること。なお、援護の水準をさらに引き上げ、公平な援護措置が行なわれるよう努力すること。 一 準軍属に対する処遇については、軍人軍属との格差をさらに縮少すること。 一 戦傷病者に対する障害年金等の処遇については、さらにその改善に努めること。 一 戦後二十数年経過した今日なお残されている未処遇者について、早急に具体的な解決策を講ずること。 一 未帰還者の調査については、さらに関係方面との連絡を密にし、その実態のは握に万全を期すること。 一 遺骨の収集については、さらにこれを推進すること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○倉成委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求 めます。 〔賛成者起立〕
○倉成委員長 起立総員。よって、本案については伊東正義君外三名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣内田常雄。
○内田国務大臣 ただいまの附帯決議に対しましては、その御趣旨を尊重いたしまして、今後におきましてこれが実現に努力いたしたいと存じます。 ―――――――――――――
○倉成委員長 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○倉成委員長 次に、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣内田常雄君。 ―――――――――――――
○内田国務大臣 ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 厚生年金保険は、一般勤労者の年金制度として、わが国公的年金の中核をなしており、昭和四十四年にいわゆる二万円年金の実現を目ざした大幅な給付改善がはかられたことは、すでに御承知のとおりであります。給付の改善につきましては、従来は、五年ごとの財政再計算の際に行なうのを例としてきたのでありますが、最近における経済事情の推移、なかんずく物価の上昇にかんがみまして、次期財政再計算期を待つことなく、今回、応急的に年金額を引き上げるなどの改正を行なおうとするものであります。以下、その内容について概略を御説明申し上げます。 第一は、年金額の引き上げについてであります。昭和四十四年の改正の基礎となった経済諸指標のうち、消費者物価の上昇を参照しつつ、おおむね一〇%程度を引き上げようとするものであり、このため、年金額のうちの定額部分を一五%引き上げることといたしております。また、障害年金及び遺族年金の最低保障額についても、現在の月額八千円を、同様に一〇%引き上げて月額八千八百円とすることとしております。 第二は、標準報酬区分の改定についてであります。近年における賃金の分布と動向に合わせて、現在一万円から十万円までの二十八等級でありますのを、一万円から十三万四千円までの三十三等級に改めようとするものであります。 第三は、女子に対する特例脱退手当金支給の期限の延長であります。女子の場合、被保険者期間が二年以上あれば年齢に制限なく脱退手当金が支給される特例措置が、本年五月三十一日までの期限で認められておりますが、これをさらに五年間延長しようとするものであります。 今回の改正案は、船員保険につきましてもその年金部門について厚生年金の改正に準じ、年金額の引き上げをはかるとともに、標準報酬等について同様の改正を行なおうとするものであります。 なお、今回の年金額の引き上げは、現にその支給を受けている既裁定者の年金についても適用されるものであります。 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。 ―――――――――――――
○倉成委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。古寺宏君。
○古寺委員 最初に血友病の厚生省が把握している実数はどのくらいあるか、お伺いいたします。
○坂元政府委員 血友病患者につきましての正確な全国調査はございませんが、大体専門の学者等の意見を総合いたしますと、現在生存の患者というのは三千人くらいというふうにいわれておるわけでございます。
○古寺委員 その中で、実際に専門の医療機関で治療を受けている患者の数は、厚生省はどのくらいと把握しておりますか。
○坂元政府委員 血友病患者につきましての私どものほうで医療の援助をいたしているその数字から申し上げますと、大体乳幼児が主体でございまして、乳幼児については大体二百人ぐらいということを私どもは承知いたしております。
○古寺委員 大臣が時間がないようですので、大臣にお尋ねしたいのですが、現在、わが国の血友病の患者さんは大体五千人から一万人というふうに推定をされております。しかしながら、実際に厚生省が正確に把握しているのは乳幼児の二百人でございます。こういうふうに非常に数が少ないというのは、現在のこの血友病に対する医療給付というものが非常に限定をされておりまして、そのために血友病の患者が思うように治療を受けられない、これが実態でございます。 きょうはその血友病の患者さんのことを具体的にやりたかったのですが、これは、血友病患者に使うAHGという血液製剤でございます。これが一本七千七百円でございます。一回出血いたしますと、これを大体二本使います。大臣、これおわかりでございますか。これを、多い人は一カ月に四、五十本使う、こういうふうにいわれております。医療費が非常にかさむわけでございます。こういうAHGという血液製剤があっても、手おくれになった場合にはたいへんなことになるわけです。特に頭蓋内出血であるとか、あるいは出血がひどくなって、せっかくこういうふうにいい製剤があっても、これを使っても間に合わない、こういうような実例がたくさんございます。きょうはこのスライドを持ってきたのですが、これは間に合わなくて足を切断した例でございます。ちょっと大臣これをごらんになってください、これは子供さんですが……。現在は医療給付は、六歳以下の子供で、しかも一回の出血に対して医療給付が行なわれておる。これは何とかして年齢の制限を撤廃していただきたい。児童福祉法なりあるいは身障者福祉法で何とかして医療費の軽減をはかっていただきたい、こういうふうに血友病の患者さん方はみんな心から願っているわけでございます。しかも、血友病の患者さんというのは、一家のうちに二人も三人も一緒にいることがございます。そういう場合には、保護者の負担も非常にたいへんでございますし、また、適切な診断、治療あるいはコントロールによっては社会生活にも非常に適応できるわけでございますが、こういう非常に医療費がかさむ問題がございまして、せっかく社会生活に適応できる人が不幸にして早く死ななければいけないとか、いろいろそういう不幸な転帰をとっている実例が多いわけでございます。 そこで私は大臣に、この不幸な五千人から一万人といわれる血友病患者に対して、現在のこの六歳以下、しかも年一回という出血に対する医療給付ではなくして、すべての血友病患者が救われるようなそういう医療給付の公費負担制度というものを考えていただきたい、こういうことでいま質問を申し上げるわけでございます。この点について大臣からまず御答弁願います。
○内田国務大臣 私は、実は法律、経済の方面を担当いたして今日に至った政治家でございますので、古寺さんのような医学のほうの専門家のように、こういうことに対して十分な知識は持っておりません。私が厚生省から聞いているところによりますと、血友病というのはおそるべき病気でございまして、毎年一万人につき一人ぐらいの割合でこの病気を持って生まれる子供がおる、したがって毎年百人以上の子供さんが血友病の罹患者として生まれてくるというような状況で、今日この病気を持っているお子さま方が、厚生省の数字ですと三千人というようなことを私も聞かされておりました。古寺さんのおっしゃる数字よりも少し少ないようでございますけれども、この病気に対しましては、いまお話がございましたように、乳幼児の一般健診とか三歳児の健診とかいうことはもちろんでありますが、それに加えて、これに対する医療として五歳ぐらいまでの子供を対象として、医療保険の自己負担分を公費負担をする措置をとっておる。その五歳の年齢をなぜさらに引き上げないかということにつきましては、この病気が乳幼児に多いんだ――これは私が冒頭に申しましたように、その方面の専門家でも学者でもございませんので、その辺はわかりませんが、大体五歳以下の子供に多いので、それに対応するという仕組みで五歳以下ということに限定しているようでありますけれども、この病気がなおるものであって、そうしていわゆる育成医療と申しますか、これまでの児童に対して国がやっているような措置の一環として、あるいはまた一環としてではなしに、それを拡大したような意味において措置し得る性質のものでありまするならば、厚生省は子供たちの幸福を願い、国民の健康、なかんずく乳幼児、児童の健全育成というものをはかってまいることが私どものつとめでございますので、この問題をもう一度深刻に考えてもらうように、私のほうの児童局当局なりあるいは医務局当局なり、そういう方面と打ち合わせてまいりたいと考えます。
○古寺委員 いま大臣は、五歳以下が多いというふうにおっしゃいましたけれども、実際は小学生、中学生の時代が一番出血が多いわけです。ところが、現在は六歳以下ということになっておりますので、せっかく予算を計上いたしましても、その申請の手続が非常にめんどうである、しかも年一回の給付でございますので、もうほとんどの血友病の患者さんはこういう制度の恩恵を受けられない実情なんです。しかも、きょう私がお持ちいたしましたAHGにつきましても、これは原料が血液でございます。先日も申し上げましたように、わが国の血液事情というものは非常に逼迫をいたしておりまして、この原料が少ないために製品も少ないわけです。ですから思うように手に入らないという方もたくさんいらっしゃるわけです。ですから、この血友病患者に対して適切な治療をしてあげれば十二分に学校にも行けるし、また就職もできる、あるいは安心して日常生活もできる、そういう方々がたくさんいらっしゃるのですけれども、そういう人が全部放置されているような実情なんでございます。 そこで私は、先日も申し上げましたように、心臓病の患者さんをはじめとして、この新鮮血、採血をいたしましてから三日以内の血液の問題ですが、この新鮮血の確保の問題ということがいま非常に強く要求されております。この点については、先日もいろいろお話をしたかったのですが、申し上げる時間もなかったものですから申し上げませんでしたが、きょうはこの新鮮血の確保について厚生省としてはどういう体制を考えていらっしゃるか、その点については薬務局長さんから最初お伺いしたいと思います。
○武藤政府委員 先生から新鮮血の問題についてお話がございましたが、今回の血友病につきましては、いまお話がございました新鮮血液につきまして、特に採血後三、四時間というものが必要でございます。従来はこれが医療機関と日赤との間の円滑が必ずしも十分でなかった点がいろいろ指摘されていたわけでございますが、最近はその点はだいぶ改善されてきたと私どもは考えておりますが、なお今後ともこういう新鮮血液、特に採血後三、四時間以内の新鮮血液が必ず供給できるというような体制につきまして、日赤等を十分督励いたしたい、かように考えております。
○古寺委員 こういう血液製剤の開発の研究費とかそういうものの予算が非常に少ないわけです。そういうために血液製剤の――このほかにもたくさんございますが、開発が非常におくれているわけでございます。今後そういう点については厚生省は積極的に研究費をつぎ込んで、そうしてこういう問題の解決をはかっていただきたいと思うわけでありますが、大臣から御答弁をお願いいたします。
○内田国務大臣 私はまことにけっこうなことであると存じます。そもそも厚生省というのは、人間の福祉と人間の医療、保健というものを担当をいたしておる役所でございまして、国民の福祉というものがそういう医療面に関係を持つところが非常に多いがために、私はその二つを分けないで、こういう仕組みになっておると考えておりますので、いまの血液の分画製剤の問題にいたしましても、あるいは血友病に対する療育医療と申しますか、育成医療と申しますか、要するに公費によって処置する体制なども前向きに、ということは積極的に取り組んでまいる、また、そのための研究費などにつきましても、でき得る限り、そういう方面の予算を財務当局とも協力しながら充実をしてまいりたいと思います。 ただ、私はしろうとでわかりませんけれども、そういうお持ちいただいたような血液の分画製剤を補充するだけではまことにお気の毒な話で、何とか治療の方法、手術なら手術あるいはその他の方法によりましても、そういう血友病の乳幼児あるいは児童が、この病気を克服してりっぱな成人になり得るような治療の開発というようなことも、これも私のほうから古寺医学博士にも御協力をお願いいたしたいと思う次第でございます。
○武藤政府委員 いま先生のお話しの血液分画製剤が新鮮血液を補完するものとして非常に必要なわけでございますが、現在予算的に血液分画製剤の研究費は千七百万程度でございます。今後ともこれの充実につとめまして、新鮮血、それからそれを補う血液分画製剤の研究開発等になお努力いたしたい、かように考えております。
○古寺委員 いま大臣は一千七百万円といいますと、これは相当の研究ができる、こうお思いになるんじゃないかと思うのですが、一千七百万円の内訳というのはほとんど冷蔵庫を買っただけなんです。日本はこういう実態でございます。また、血友症の研究費も一年間に百二十万円出ております。ところが、研究費を十二の大学で割るのです。一つの大学に十万円なんですね。ところが、さらにそれに節約がかかります。そうしますと何も研究ができないのです。宇宙開発も、海洋開発もけっこうです。しかし、われわれ人間の生命の科学の研究が七〇年代の一番大事な課題ではないかと私は思うわけです。医療費が膨大な赤字をかかえて、今度健保も改正しなければいかぬとか、いろいろ問題になっておりますが、こういう根本的な問題を解決しなければ医療費の問題等も私は解決できないと思うわけです。わが国の科学振興関係の予算を見ましても、諸外国に比べますと非常に少ないわけです。こういう面については、今後厚生省としてももっと積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。どうか大臣からもう一度御答弁を願いたいと思います。
○内田国務大臣 私も全く賛成でございます。私は厚生大臣になりましたのは初めてでございますが、かなり長い間政治家の立場にもおりましたし、また社会人としていろいろな方面に友人がございまして、それらの諸君が私に言うのに、厚生省はもっと研究費というものを拡大充実すべきである。研究費が足りないものでありますから、科学技術庁の研究調整費の協力をお願いいたしたり、あるいはまた文部省関係の研究費に依存したりするようなこともあるようでございます。それはそれでけっこうなんですけれども、厚生省自体のこういう方面に対する研究費というものもでき得る限り充実いたしてこそ、厚生省の意義があると私は思います。今回は健康保険の改正法案も出しておりまして、そういう方面でエンドレスの赤字対策というものもやるつもりでありますが、そういうことができますならば――しかしこれはそれが条件ではございませんけれども、金を節約することだけが厚生省の存在意義ではありませんので、一方においてそういう対策をやります以上は、他方において、出すべきものは出すということをやり得るように、私は省内をも督励し、また大蔵省の財務当局にも深い理解を求めてまいりたいと思います。
○古寺委員 大臣がもうお出かけになると困りますので次に移りますが、一九七〇年の五月十五日の第二十三回WHOの総会におきまして、喫煙と健康に関する報告というのを採決いたしております。この件につきましては、厚生大臣のほうにもWHOの事務局長のほうから通知が参って、そしてこの勧告に対する厚生省としての今後の態度というものをいろいろと検討していらっしゃると思うのですが、厚生大臣のお考えについて承りたいと思います。
○内田国務大臣 そのWHOの事務局長からの報告を、実は私はたんねんに読みました。その報告の内容は、今度始めて読んだのではございません。昨年、その当時におきまして、たんねんに読みましたが、たしか英国のその方面の研究をされておられる一人の学者と、また米国の同じような学者と、そのお二人から、たばこのニコチン、タール等による害毒の問題をWHOの場に深刻に持ち出されまして、そして勧告をこの両ドクターからWHOにされております。それをWHOで取り上げまして、取り上げた結果を、WHOからのわが国への勧告あるいはその他の諸国への勧告という形ではなしに、そういう問題が両博士の勧告としてWHOの総会において議論をせられた、そして、それらについて事務局長に適切な措置をとることを総会がきめた、こういう事務局長からの通報でございました。しかし、これより先厚生省におきましては、ガンの研究費というようなものを御承知のとおり相当支出もいたしておりまして、この研究の中におきましては、現在のガン研究所の担当医官が、たばことガンの疫学的な研究をかなり突き進めておるわけでございまして、そのような研究の結果、あるいはその国際的ないろいろの資料に基づきまして、私ども厚生省におきましては、喫煙というものが肺ガンのみならず循環系統などにも悪影響を及ぼすものであるという考え方を持ちまして、しばしば専売当局にも厚生省の考え方を通告をいたします一方、成人医療週間と申しますか、そういうような行事が毎年厚生省の指導のもとに全国的に行なわれておりますので、そういう機会におきましても厚生省の右のような見解、これに対処すべき国民の注意というようなものをリーフレットのようなものにいたしまして、厚生省自身はこのことにつきまして国民の注意を喚起をいたしております。しかし、たばこの害そのものは、法律的に申しますと、食品衛生法をもって厚生大臣みずからこれを律することができません。別にたばこ専売法という法律がございまして、それで律することになっておりますので、チクロの排除と同じような形はとれない仕組みになっておりますが、専売公社並びに大蔵省に対しましては、いま申しますように、私どものほうからこれに対する善処をかなりきびしく実は要求をいたしてまいってきております。専売公社におきましては、たばこに関する特別の審議会のようなものをつくられてこの問題を取り上げられたときも、私どものほうから、公衆衛生院の院長に対して厚生省代表として特別委員に加わるようなそういう御要請もございまして、公衆衛生院の院長の曽田博士なども、厚生省のいま申しますような考え方を代表する意見をこの審議会におきましても述べておるわけでございます。また、専売公社自身も、その機構の中でいろいろな研究所もあるようでございますし、また研究費を支出して学会等に対しまして委託研究もされておるようでございますので、この問題は深刻にその方面でも取り上げられておると思います。 ただ、私どもの研究が、従来は疫学的の結果がおもでございまして、病理学的の因果関係が十分立証される段階に至っておらないというところに若干の問題は残されているようでございますが、しかしその方面におきましてもだんだん研究が進んでまいってきておりますので、私どもも従来の態度をくずさないでまいる、こういうつもりでおります。
○古寺委員 大臣は、たばこはいわゆる有害である、こういうふうにお考えでございましょうか。
○内田国務大臣 いま申しましたとおり、健康と密接な関係がある。ことに肺ガン並びに心臓疾患等とは疫学的に見て密接な関係があると私は考えます。でありますから、私はたばこはのまないことにいたしております。
○古寺委員 そうしますと、アメリカへ売られているハイライトでございます。日本のたばこです。このアメリカに売られているハイライトの包装の中には「喫煙は健康に危険です」こういうふうにきちっと印刷が入っているわけです。「喫煙は健康に危険です」こういう警告がなされております。ところが、わが国で売られているハイライトにはこれがない。ですから、有害である以上は、当然その有害であるという表示をすべきである、こういうように考えるのですが、厚生大臣はどうでしょうか。
○内田国務大臣 アメリカにおきましても、私が承知いたしておりますところでは、二段階を経たようでありまして、有害であるという表示は最近そうすることになったはずでありまして、それまでは好ましきものではないという表現でございましたか、何か別のもう少し間接的な表現でございましたが、最近たいへんきつくなったようでございます。そこで、アメリカに輸出するたばこにつきましては、そのアメリカの法制上のたてまえに従ってそういう表示をしなければアメリカへ売れない、買ってくれない、こういうことから専売公社がそういうことをやっているようであります。ただし世界じゅうでそういうことをやっておりますのは、アメリカのほかはたしかアイスランド、それからオーストラリアの中のクイーンズランド州か何か、現在においてはその三地域だけである。しかし、各国ともその問題については深刻に取り上げつつあるようでございますので、今後その国の範囲などはかなり広まると思いますので、そうした影響は当然日本のたばこ専売事業、また、たばこ専売法のたてまえにも波及をいたしてくるものと私は考えます。
○古寺委員 時間がありませんので残念ですが、厚生省が昭和三十九年の二月六日に公衆衛生局長から各都道府県知事、それから指定都市の市長にあてた通達がございます。これは「喫煙の健康に及ぼす害について」こういう通達が厚生省から出ているわけです。それからもう一つは、児童局長通達として「児童の喫煙禁止に関する啓蒙指導の強化について」、喫煙は有害である、こういう考え方からこういう通達が出ております。したがいまして、それは確かに病理学的な因果関係は現在まだはっきりしない部面があっても、有害であるということは、疫学的ないろいろな調査その他でわかっているわけです。しかも、こういうふうにWHOの勧告も出ているわけでございますので、当然たばこについては――ちょうど火気厳禁であるとかあるいは交通信号とか危険信号があるように、やはり国民の健康を守るという立場からこういう警戒警報を、いわゆる有害表示と申しますか、こういうものをきちっと日本のたばこにも表示すべきではないか、私はそういうふうに考えるのですが、大臣はいかがでございますか。
○内田国務大臣 正直に申しまして、厚生大臣の私が、日本の国内で大臣である立場において、いまそれを大声をもって述べることは非常にむずかしいのではないかと考えます。でありますから、健康に有害か無害かということにつきましては、私はいまも慎重なことばで、有害だ、こういうことばを述べないで、間接的な表現をいたしたのもその意味でございまして、とにかく日本にたばこ専売法という法律がございまして、それでたばこにつきましては、製造から、包装から、それの様式から、たばこの種類から、すべてそちらできめてまいる、食品衛生法の中に取り入れてない、こういうたてまえでございますので、私は他の委員会等において質問がありますたびに、同じようなことを大蔵大臣が聞いている前で述べまして、大蔵大臣はすべからく厚生大臣の顔色を見ながら、顔色をうかがってたばこ専売法というものに対処してほしい、こういうことを実は申しております。この大蔵省のたばこ専売事業の運営につきましては、私はなるべくこわい顔色を見せるようにいたしたいと思います。
○古寺委員 そうしますと、都道府県知事や市長さんには、たばこは有害であるという啓蒙をしなさい、そういう措置をしなさいということを厚生省が通達を出しておいて、その有害であるものを販売するほうの、製造するほうの売専公社については、厚生大臣はこわい顔をしてじっと見ている、これでは片手落ちじゃないか、こう思うわけです。ですから、やはりアメリカがやっているように、あるいはWHOが勧告をしているように、きちっとした有害表示なり、さらににはまた、たばこの中に含まれているそういう有害物質のいわゆる上限の限界をきめて、国民の健康というものを守っていかなければいけないのではないか、私はこういうふうに思うわけです。その点は、厚生省がいままでおやりになっていることと、いまWHOの勧告が出て、大蔵とのいろいろな折衝の段階での厚生省の態度というものと非常に相反していると申しますか、非常にしっくりこないものがあるわけです。その点については、こわい顔をして大蔵省を監視するというのではなしに、厚生省としては、いままではこうやってきたが、今後はさらにこういうふうに大蔵省に対していわゆる有害表示をさせるとか、あるいはこういうふうな措置をさせるように積極的に働きかけるとか、そういう大臣の決意を私はお伺いしたいわけです。
○内田国務大臣 これは法律上の権限問題を言うことは私は必ずしも適当なお答えにならないと思います。厚生大臣は、たばこ専売法に基づくたばこの製造あるいはその包装なりその表示なりということにつきまして、指図権は法律上はないわけでありますが、法律にあってもなくても、国民の健康を守るという広い意味における立場は、厚生大臣は姿勢として当然示すべきであると私は考えますので、法律上の権限は別として、先ほど来申しますように、大蔵省に対しましては実は申し入れもいたし、こわい顔もいたし、またかなり大蔵省からの御批判はあったようでございますが、都道府県知事に対していまお読み上げになった通達を出したり、また、すでに日本の法律で未成年者禁煙法というものは厳としてあるわけでございますから、少なくともそういう点では国法を守らすように十分な指導をしてほしいというようなことを示達をしたり、また、実はここまで言うべきじゃないかもしれませんが、成人週間などのパンフレットの中にはかなり大蔵省、専売公社のほうに御迷惑がかかるような漫画その他の表示なども入れたこともございまして、厚生省が法律を乗り越えてそこまでやらぬでもというような御批判を受けたようなこともあるわけでありますから、厚生省の態度というものは、これはもう国会の内外を通じましてかなり皆さんが御理解でございますので、残るところは大蔵大臣の態度、決心、こういうことにあると私は考えます。
○古寺委員 大蔵大臣を決心させるのは厚生大臣ではないか。これは間接的な言い方かもわかりません。というのは、いまの厚生大臣は大蔵出身である。ですから、いまの厚生大臣がいらっしゃる間は、このたばこの問題についてはなかなかうまいぐあいにいかぬのじゃないか、こういうことを言っている方もございます。私はその辺はよくわかりませんが、そういう面から言いましても、ぜひひとつ国民の健康を守るという立場、あるいは将来の見通しに立った上で、この面は厚生大臣に一大決心をしていただいて、そして大蔵大臣にぜひその決心をさしていただくように今後強力に働きかけていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げます。 最後に、一つ申し上げたいのですが、今回のWHOの報告によりますと、妊産婦に対する喫煙の有害問題が非常にきびしく書かれてございます。いま大臣からもお話がございましたように、未成年者の喫煙を禁止しているように、この妊産婦の喫煙という問題に対しても新しい立法を考えるか、あるいはまた指導啓蒙を強化するなり、何かしらの手を打っていかなければ、流産死産等の問題あるいは新生児の体重減少の問題、いろいろな問題がございますので、こういう面についても早急に厚生省は措置をしなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけですが、この点についてはいかがでございましょう。
○内田国務大臣 ここに専門家がおられるわけでございますが、あなたのおっしゃるとおりであると思います。したがいまして、未成年者禁煙法というものは厳重に守られなければならないとか、あるいはまた、厚生省に母子福祉法あるいは母子保健法というような法律がございますので、そういう見地から、喫煙というものが妊産婦ひいては母子保健に非常な影響があるということにつきましては、古寺先生たいへんいいお話をいましてくださいましたので、さらにこのことにつきましては、私は思いを一そうひそめていろいろな考え方を進めてまいるべきであると、いまここでお話を承りまして思ったところでございます。
○古寺委員 それじゃもう一回振り出しに戻るわけでございますが、先ほどの血友病の問題でございますが、文部省いらしゃいますか。――それでは大蔵省いらっしゃいますか。 大蔵の専売事業審議会におきましては、この問題については諮問をして答申を得ているわけでございますが、大蔵大臣も何らかの形で警告をする、こういうことを申されております。この何らかの形で警告をするというその内容は、具体的にどういうふうにお考えでございましょうか。
○大塚政府委員 御承知のように専売事業審議会の答申におきましては、いわゆる喫煙が健康に障害を及ぼすという文言の表示はしないで、たばこの銘柄ごとのニコチン、タールの数値を包装に表示をするという答申が出ているわけでございます。大蔵大臣がこれまで予算委員会等におきまして質問に対して答弁をいたしております内容では、ニコチン、タールの数値を表示をすることも、喫煙者に対して注意を促すあるいは警告を促すという中に含めて答弁をいたしておるように私ども受け取っておるわけでございますが、最終的にどのような表示をさせるかということにつきましては、今後なお十分答申の内容等検討いたしまして、公社に対して指導したいという段階でございます。
○古寺委員 それではお伺いしたいのですが、この答申が出ておりますが、この答申の中の「喫煙の健康への影響についての考え方」、こういう報告がございます。これを大蔵省はどういうふうにお考えになっておられるのですか。どういうふうに理解しておられますか。
○大塚政府委員 大蔵省と申しますか、実はこの「喫煙の健康への影響についての考え方」というのは、先ほど厚生大臣からもお話がございましたが、専売事業審議会の中で、この問題は特殊な問題でございますので、特に医学者の方、そういった方に特別委員ということでお願いして御審議に加わっていただいたわけでございます。この方たちの報告でございますが、これを受けました専売事業審議会の本メンバーと申しますか、その方々の受け取り方といたしましては、疫学的には多量の喫煙というものは健康に影響があるということははっきりしているが、一面、たばこと健康との――健康といいますか、問題になっております肺ガンであるとかあるいは循環器系統の疾患とか、こういったものとの因果関係というものについては、まだはっきりしておらないという形で、いわば医学的に、統一的に喫煙は健康に有害であると断定できる段階ではないというふうに審議会の本委員のメンバーは受け取って、そこでこの答申がなされたというふうに理解いたしております。
○古寺委員 この報告書を読みますと、「肺がん死亡者に紙巻たばこの重喫煙者が多くみられるという統計的、疫学的事実が指摘され、また、心筋硬塞、狭心症などの心臓障害についても、同様の問題がある。」こういうふうに書かれておりますね、最初に。ですから、たばこは非常に肺がんとかあるいは心臓障害、心筋硬塞とか狭心症などの原因です、そういうようにここは言っているわけですね。二番目のほうは、「一方、病理学的には肺がんの発生と喫煙との因果関係などについて今後の研究にまつべきものが多く、」こうなっています。これは内容を検討してみますと、それでは病理学的に肺がんの発生と喫煙との因果関係はどうなっているでしょうかという質問に対してその次が答えなんですね。「今後の研究にまつべきものが多く、」これはまあ答えですね。そこであなたがおっしゃるように、それではこういうことが病理学的にすべてが解明されないうちは有害というふうにみなされないかという問題なんです。病理学的に全部解明されないうちは有害というふうにはみなされないのか。この点についてはどうでしょう。
○大塚政府委員 専売事業審議会の審議にあたりましては、私もずっと出て議論は聞いてまいりました。その関係で申し上げますと、疫学的にこういう事実があるということでございますけれども、それが肺ガンなりあるいは心臓疾患を発生させる原因であるという点ははっきりしない。たばこを吸ったから肺ガンになるとか、そういう点ははっきりしない。あるいはその肺ガンは別の原因で発生しておって、そこへ多量の喫煙をするといわば肺ガンを進行させると申しますか、そういった現象であるかもしれないし、そういうようなことが直接の原因であるかどうか、そういう点がはっきりしないということでございました。「病理学的には肺がんの発生と喫煙との因果関係などについて今後の研究にまつべきものが多く、」というのが古寺委員は病理学的な結論であるというふうにおっしゃいますが、そういう意味では病理学的には因果関係というものがはっきりしておらない、原因であるとは言い切れないという見方であろうかと思います。
○古寺委員 そこで、病理学的な研究はいま世界各国がやっております。こういうことはもうWHOもみんな知っているわけです。それで総会でもってちゃんと採決をとっているわけですね。そのときにわが国もおそらく賛成したと思うのです。世界で六十カ国賛成しているのがございますね。その中には日本も、おそらくアメリカも、いろいろな先進国も入っていると思います。みんな有害ということを認めている。どの国でもガンの研究は進めております。病理学的にまだ解明されない問題もございます。しかしながら、たばこは有害であるということは事実なんですね。たばこを吸っている人は肺ガンにかかる率も多いし、またいろいろな疾患になって死んでいく人も多いということをこの報告書は指摘をいたしております。これをみんな採択したわけでございます。認めたわけですね。それをなぜこの答申に基づいて、病理学的に因果関係がはっきりしないから有害とは言ってないのだというようなとり方をするか、その点がどうも納得がいかない。ぴんとこないわけです。そういう点についてはどうでしょうか。
○大塚政府委員 多量の喫煙が健康に有害であるという点につきましては、これは一般的に、たとえば病理学者の方でも、のみ過ぎ、吸い過ぎがよくないという点は認めておるわけでございます。ただ、それだからといって、いわゆる包装にそういったことを表示するかどうかという問題につきましては、中には害にならない程度の一日十本以下とか、そういう喫煙者もおるわけでございますし、そういう点も考慮しますと、一本吸っても、いかなる場合にも、たばこは有害だということではございませんので、そういうことからまだ現段階では、たとえばアメリカのようにああいった形の表示をするまでの段階ではない。ただしかし、一般の喫煙者の方々はこの問題について非常に関心もあり、同時にいろいろ危惧の念も持っている方も多いと思うわけでございまして、そういう意味で、その方たちに情報を提供すると申しますか、その方々の健康への配慮の一つの手段としまして、ニコチン、タールの数値を包装に表示をすることにしたらどうか、こういう答申であろうかと思います。
○古寺委員 そういう成分の表示もいいでしょうけれども、厚生省のほうは、一生懸命たばこは有害ですよというふうに指導啓蒙をやっているわけです。そうすると、専売公社のほうは一生懸命になって、たばこは非常に危険でありますよという不安を解消するために、実際は有害なんだけれども、その成分表示だけにとどめておこう、こういうふうにいまのお話から受け取ったのです。ところが、アメリカで売っているハイライトには、アメリカの国民に売るたばこには、喫煙は健康に危険ですとはっきり印刷をして輸出をしているわけです。なぜアメリカの国民に対しては、そういうふうに危険表示をしたものを売らなければいけないのか。もちろんそういうふうな法の規制があるのかもわかりません。しかしながら、人間としては同じです。同じハイライトを吸っているのは、どういうふうな結果が出るかということもこれは同じだと思います。人種の差別によって幾ぶんは違いがあっても、やはりハイライトそのものには変わりがない。そういう面からいきますと、こういうふうに外国に輸出するものも、日本の国内で販売するものも、当然同じように有害表示をして、国民の健康を守る立場で販売をしていくべきじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。 時間がありませんので、次に進みますけれども、専売公社は、WHOからたばこの広告宣伝は控えるようにという、こういう報告がきておりますね。にもかかわらず、アメリカのたばこ協会から毎年十五万ドルの広告宣伝費をもらっているというふうに聞いたのでございますが、それは事実でございますか。
○大塚政府委員 事実でございます。三十一年ごろだと記憶いたしますが、農産物協定に基づきまして、アメリカの葉たばこをわが国に輸入しております。それに対しますいわばアメリカ側のアメリカ産葉たばこの需要を伸ばす意味におきまして、たばこ生産者の団体とそれからアメリカ政府と両方からその資金が送られてきておるわけでございますが、これは公社が受け取っておるわけではございませんで、米葉協会という公社の外郭団体ではございますが、そちらのほうで受け取って、アメリカ産葉たばこを使用したたばこの宣伝広告に使うということでこれまでやってきております。最近この問題につきましては、アメリカ政府そのものが、アメリカ政府が出しておる金の使途につきましても、たとえば電波に乗る広告には使わないでほしいとか、そういったことで非常に条件がついてまいっておりますし、それから、公社自身の配慮といたしましても、好ましいものでないということで、四十六年度からはこれはもらわない、向こうがくれても受け取らないという方針にいたしております。
○古寺委員 この経理の問題は、何か隠し金で、全然その経理にはあらわれてこないお金であった、こういうことも聞いておりますが、一体そのお金をどういうふうに宣伝にお使いになったのですか。その十五万ドルという毎年いただいた広告宣伝費は、どういう広告宣伝にお使いになったのですか。
○大塚政府委員 現在公社で製造いたしております普通の製造たばこでございますが、これのほとんどのものには米国産の葉たばこが使用されております。そういうことで、公社の製造たばこのポスターだとか、現在でも新製品ができましたときの宣伝といいますか、周知という意味で新製品については広告をやっております。そういう場合に、広告そのものは専売事業協会というところが委託を受けて広告をやっておるわけでございますが、そういう場合に、専売事業協会のほうへ先ほど申しました米葉協会のほうから資金が渡って、その宣伝費に使われておるというふうに聞いております。
○古寺委員 アメリカで売っているアメリカの葉たばこでつくったたばこには危険表示が載っているのですね。日本に来たものは、たとえば蘭ですとかいろいろなたばこを出しては宣伝いたしております。そういうたばこには危険表示がない。しかもそういうふうな、たばこをうんとのむと危険ですというような、そういう啓蒙のための宣伝広告は一つも行なっていないわけです。世界の、WHO等の趨勢からいきましても、その十五万ドルの広告宣伝費をお使いになるとすれば、それは当然、われわれ国民にとってたばこというものは非常に危険であるという宣伝広告費としてこれを使うべきものでございましょう。それがむしろ、アメリカの葉たばこが入って非常にソフトな感じで、おいしいたばこであるというような、大いにのみなさい、日本のたばこよりアメリカの葉たばこが入ったほうがおいしいのですよというような宣伝のために十五万ドルという多額の広告宣伝費を使っているわけです。そのいわゆる広告宣伝費に対するところの指導はどこがやっているかというと、専売公社がやっているわけでしょう。大蔵がやっているわけです。それでは、片一方で厚生省が一生懸命に有害である、そういうふうに指導啓蒙をやっているときに、おたくのほうでは、早くいえば日本の国内のたばこ以外にアメリカのたばこもどんどんおのみなさい、そういうふうに一生懸命宣伝しているのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、どうですか。
○大塚政府委員 この十五万ドルの使途につきましては、これまでのアメリカがこれだけの資金を日本に送ってまいります趣旨は、アメリカ産の葉たばこの日本側の輸入をふやすように、そういう趣旨で供与をしてきておる資金でございます。したがいまして、たばこが有害であるとかそういう宣伝に使えという趣旨で送ってきておるわけではございません。 それからもう一点、専売公社は、ただいまの資金をどういうふうに使ったかということについては、全くタッチしておりませんで、この資金の使途つきましては、アメリカのたばこ協会、それからアメリカの政府、こういうものの委託を受けたエージェントがおりまして、それがこの資金の使途について十分な監視をしておるという状況でございます。
○古寺委員 因果関係の問題にまた返りますが、たばこ益金というのはものすごい金額なんですね。先ほどからお話し申し上げておりますように、わが国のこういう研究費というものは、もうスズメの涙ぐらいな研究費でみんなやっているわけです。ですから、そういうたばこのばく大な益金が専売公社にはお入りになるのですから、いままでよりももっと大じかけな因果関係の究明と申しますか、そういう研究を今後推進していただきたい、こういうように思うのです。それで、先ほどから申し上げましたように、成分表示ではなくして、やはりアメリカと同じように、日本も有害表示なりあるいは危険表示というものを考えるべきではないか、私はこういうふうに考えますが、この大蔵大臣がおっしゃっているところの何らかの形で警告というのは、先ほどの御答弁では、成分表示だけのように私受け取ったのですが、どうでしょうか。
○大塚政府委員 大蔵大臣が先般の予算委員会での答弁で言っておりますことは、成分表示も含めて何らかの表示をするという趣旨で御答弁しておると思うのでございますが、警告的な文言を表示をするかどうか、こういうことはなお検討をして結論を出したいということでございます。
○古寺委員 それじゃ、もう時間でございますが、文部省いらっしゃいますか――血友病の患者さんが小学校へ入学する、あるいは高校の試験で、優秀な成績で合格をした、それが、この血友病であるという理由で拒否をされている実例がございます。そういう点については、文部省は御存じでございますか。
○橋本説明員 初めて承りまして――聞いておりません。
○古寺委員 文部省では、こういう血友病の児童あるいは高校入学の問題等については、どういうような指導をしていらっしゃいますか。
○橋本説明員 お答えいたします。 特に血友病ということでいままで指導というふうなことを、それだけで取り上げてやったことはなかったと思います。ただ、学校におきますところの健康管理と申しますか、子供たちの健康管理と申しますのは、先生御存じのように、学校保健法に基づきますところの健康診断、健康相談、そういったものを柱としてやっておりますけれども、そういった際に、もしそういう血友病の子供が発見されましたならば、それにつきましての事後措置としての指導なり、あるいは生活指導なり、あるいはあまり運動が激しいときは休ませるとか、そういうことはやっております。ただ、血友病であるものをどうするというふうな直接的な指導というのは特にいたしておりません。
○古寺委員 ところが、各県の教育委員会によって見解がまちまちなんです。ある県では入学をさせる、ある県では入学を拒否する、こういうような問題が起きております。こういう問題についてやはり文部省が統一した見解を全国に徹底していただきませんというと、非常に困るわけなんですね。せっかく合格しながら拒否されるということは非常に気の毒でございます。ですから、こういう問題については、今後統一した見解をぜひ全国に徹底していただきたいというふうに思います。と同時に、お願いしておきたいことは、早期に診断をし、早期に適切な管理を行なっていくならば、十二分にこの血友病の子供さんも小学校、中学校へ通学できるということなんです。そういう問題も文部省としてひとつあわせて考えていただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。 それから、今度は厚生省にお伺いいたしますけれども、先ほど大臣にもいろいろとお願いを申し上げましたが、今後この血友病患者をまず正確にその実態を掌握をするということが、私は最も大事な問題ではないか、こういうふうに思うのですが、厚生省はどういう方法をお考えでございますか。
○坂元政府委員 仰せのとおりだと私ども思っています。冒頭にお答えいたしましたように、専門学者等の御意見をもとにしまして全国に大体三千人というようなことを申し上げておりますが、やはり血友病対策というものを今後考える場合は、その実態をまず把握するというのが先決でございますので、何らかの方法でやはり実態を早急に把握する方向で検討を重ねていきたい、こういうふうに考えております。
○古寺委員 それじゃ、時間でございますので、きょうはこれで終わります。
○倉成委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時十六分散会