社会労働委員会 第8号
- 発言数
- 229 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/03/02
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
○島本委員 きょうは大体分けて二点であります。一つは最近の雇用と失業状態、この全般について一つ。それと資料もお願いしておきたいと思います。 二番目は、いままで懸案になっておりまして、まだ解決の兆が見られない岩手県の信用保証労働組合の不当解雇、不当処分問題についての経過、この二つにしぼってきょうは質問を申し上げ、皆さんの御高見を拝聴したい、こういうように思うわけであります。 まず職安局長、最近は御存じのように、きょうも沖繩関係を含めまして駐留軍の労働者のスト、こういうようなのが見られておるのであります。雇用不安ということ、これは私どもも身をもって感ずるわけでありますが、これは産業の二重構造からくる不安定雇用の解決がない以上、こういうような問題はあえてだんだん勃発するものであっても、なくならない、こういうようなことは考えられますが、大体労働市場で労働力の不足の傾向にあるということははっきりしておりますけれども、雇用状態はこういうような状態で、さっぱり安定が見られないという傾向ではないかと思います。いままで各委員から臨時工の問題や社外工の問題や港湾並びに建設等のあの手配師の問題を含めたああいう日々労働者の悲惨な状態や農村、漁村の出かせぎ労働者のあの惨状、こういうような問題等についての指摘もあったことは御存じのとおりであります。ほかに家庭の中にはパートタイマー、こういうような人たちがだんだんふえてまいっておるのでありまして、家内労働法がいま施行されておりますが、何らその実もあがっておらないような状態のままにこれは放てきされてございます。こういうような不安定雇用者の構造的な存在、こういうようなものはだんだん多くなってきているんじゃないかと考えられるわけでありますけれども、労働省ではこういうような一連の流れに対して、産業の二重構造からくる不安定雇用に対してどのようなお考えをお持ちでしょうか、ひとつ御高見を拝聴させていただきたいと思います。
○住政府委員 非常に大きな問題でございますが、私ども全般的に考えてみまして、労働力の需給関係、ただいま先生も御指摘ございましたように、全体としては非常に不足基調にある。今後の推移を考えてみましても、やはり供給が減少の一途をたどる。これが戦後の出生率あるいは進学率等の影響を受けまして、ここ十年程度は絶対的に減少していくであろう。と同時に、一方ではわが国の経済は、経済社会発展計画にもございますように、一〇%以上の成長を遂げている。これに伴う雇用需要というものがふえるわけでございますので、そういう意味で労働力需給関係というものは逼迫していくというように考えておるのでございます。 そこでいろいろの問題があるわけでございますが、たとえば就業構造を見ましても、御承知のように一次産業就業者の割合が、現在で約九百万足らず、一八%強ということで非常に減ってまいっております。今後もこれが減少を続け、たとえば昭和五十年ごろには十二%台になるであろうということで、二次産業就業者、三次産業就業者のウエートが高まっていく。そういう意味で、一つは就業構造の改善が行なわれていくというふうに考えております。また就業上の地位別について見ましても、御承知のように雇用者の割合が非常にふえてまいっております。ということは、自営業者とか家族従業者の数が減ってきておる、こういうことで、わが国の就業構造なり雇用構造というものは逐次改善されてきておりますし、今後もそういう意味でますます改善がなされていく、こういうように考えております。 ただ先生御指摘のように、たとえば最近では石炭鉱山の閉山に伴う離職者の問題あるいは駐留軍労務者の解雇問題、その他たとえば軽電機、繊維、そういった面における景気の鎮静化に伴う雇用の鎮静化の問題、こういうのはございますが、全体としましては、いま申し上げましたように労働力不足が進み、雇用構造が非常に改善されていくであろう、こういうように考えているわけでございます。
○島本委員 そうすると、そういういろいろの情勢の中で、いわゆる不安定雇用というのは今後構造的にもなくなるものであるというような御認識でしょうか、これはだんだんふえるものであるというような御認識でしょうか。この点をはっきり承っておきたいのであります。
○住政府委員 何が不安定雇用であるかということにつきましてはいろいろ考え方の問題があると思うのでございまして、そういう意味で、不安定雇用というものをどう見るかによって見通しが違うと考えますけれども、たとえば昔の社外工、臨時工のような形式、それから不完全就業と申しますか潜在失業と申しますか、そういうような意味での雇用状態あるいは失業状態というものは改善されていく、こういうように考えております。
○島本委員 臨時工や社外工や、ああいう手配師を含んでその中で不安定な雇用をされている港湾労働者や建設労働者、そして農民や漁民はいまだんだん職を失って出かせぎを余儀なくされている。そのために都会のほうへ集中してまいりますが、いろいろな労働条件が整わないために事故が勃発しているわけです。こういうような雇用の状態を安定しつつある状態だというふうに考えるのか、これからそういうような方面にはっきり手を打って安定させなければならないというふうに考えるのか、ここをはっきり聞いているのでございますが、その辺がぼかされてはっきり出ない。この辺はうんと突っついていってもいいところですが、他日に譲りましょう。 しかし、いまのような状態でこれを安定雇用と見ておるのでしょうか、見ておらないのでしょうか。この辺ははっきり御高見を承らないと困るのです。
○住政府委員 ただいま御指摘の、たとえば出かせぎの問題でございますが、農業が近代化され、農業で生活の基盤がささえられる、そういうような農業ができ上がることはきわめて望ましいことであると私ども考えておりますが、同時に、農業における省力化が進んでまいりまして年じゅう農作業ということではなくなってくる、そこで浮いたところを他の産業で働く、こういうような傾向は今後もあり得るというように考えております。 そこで、そういう意味での労働力をその本人の能力に従って有効に発揮させていくことは、これは本人にとっても国の経済の発展にとっても非常に必要なことであると考えております。そういう場合に、出かせぎがいいのかあるいは地元において雇用機会をつくり出すのがいいのか、こういうようなことも考えられるわけでございますが、出かせぎではなくて、たとえば通勤範囲内での安定した就業がはかられるような対策を講ずべきである、こういうように私どもは考えております。今度の国会に提案されております農村地域工業導入促進法案のねらいもそこにあると考えておるわけでございますが、それによってもなおかつ出かせぎ労働者というものは経過的にはとめることはできない、そういう形での就労形態は続くであろう、こういうように考えられますが、その場合に出かせぎはやむを得ない一つの事実として、出かせぎが正しい労働条件で正しい就労ができるような対策を講ずる、こういうことが必要になってくるというように考えておるわけでございます。
○島本委員 臨時工、社外工、手配師を含む港湾労働者の雇用の状態、それから農漁民の出かせぎ労働者の現状、こういうようなものを安定した雇用だというふうに考えているのかいないのかということなんです。将来はどういうふうになるかわかりませんが、いま現実にあるこの面を安定雇用と見るのか不安定雇用と見るのか、この考えを承っているんです。
○住政府委員 いまも申し上げましたように、港湾におきましても日雇い労働の形態がございます。私ども、そういう日雇い労働をなくして常用雇用によって港湾荷役がやれるようにということで、港湾労働法を制定して港湾労働対策をやっておるわけでございますが、御承知のように港湾荷役の変化等もございまして、港湾における日雇い労働者の数は逐次減少してまいっております。と同時に港湾における常用雇用というものがある程度伸びておるのでございまして、そういう意味で、日雇い労働というような形式での雇用形態が逐次常用雇用にそのウエートを譲っておるということはいえると思うのでございますが、港湾における日雇い労働それ自体はそれでははたして安定した雇用であるかどうか。希望者はとにかく常用雇用にしていきたい、こういうことで私どもいろいろな対策を講じておるのでございますが、なお日雇い労働の就労形態を望む者も必ずしも絶無ではないので、そういうような方々に対しては日雇い労働としての安定した就労を確保していく、こういう体制が必要であるというように考えております。すなわち、その港湾労働における日雇い労働者につきましては、日雇い労働としての安定した就労対策を講じていく、こういうことが必要であろうと考えておるわけでございます。
○島本委員 だんだんぴったりしてくるのですが、一回にその辺まで言ってもらえないでしょうかね。どうも時間がかかってしようがない。 では、ちょっと資料要求をいたします。いま言ったような裏づけをはっきりするために年齢別、地域別、産業別、企業規模別の失業者の発生状況、これを資料として要求いたします。 もう一つ。職業紹介の実績、それと再就職先の賃金と労働条件の前職との比較、この二つを資料として要求したいと思います。委員長から要求しておいてください。いまのことばの裏づけであります。
○住政府委員 先生のただいまおっしゃいました資料でございますが、実はちょっとお聞きしただけで調製できるかどうかちょっと疑問の点もあるのでございますが、御要望に沿うように極力資料を集めて提出させていただきたいと思います。
○島本委員 いまのような状態は、やはり一億人の人口がおっても何人かどろぼうがおったと仮定する、どろぼうがいるんだから、どろぼうが存在するのは差しつかえないので、こういうような点は大目に見るべきだ、こういうような考え方がないわけじゃない。しかしどろぼうが存在するという以上社会的な構造に欠陥があるのであるから、またいろいろな情勢を踏んまえて、ないようにつとめなければならないという考えも当然ある。あなたの場合は前者である。どろぼうがいるんだからこれはやむを得ない、取られるやつが悪いんだという考えのようであります。私としてはこの点は見解を異にするのを遺憾に思います。 しかしこれに対して恒常的な臨時雇用制度、これはなぜ禁止ということに踏み切れないのかということです。いつでもこういうふうにして臨時工や社外工や、または港湾や建設関係の日雇い労働者関係や農民や漁民、こういう人たちが不安定な雇用の状態で都会へ流れてくる、こういうようなものをそのままでいいのだという考え方、これがいまの皆さん労働省の考え方だということがわかりました。 私どもとしては恒常的な臨時雇用者、こういうようなものがずっとやっておる場合は、それに行政措置やいろいろな手を加えて、こういうようなことを禁止するのこそがほんとうの労働行政の安定策じゃないか、雇用の安定じゃないか、こういうふうに思っておるのであります。しかし残念ながらそうじゃないようでありまして、私はこの点はまことに遺憾の意を表せざるを得ないのであります。 次に、これは特定産業部門、いまは石炭や鉱業、こういうようなものはすべてだんだん斜陽化に向かいつつあるような傾向があってまことに残念なんですが、山一つとりましても、北海道では炭山がまたしても閉山、こういうようなことが毎日のように続いておるのであります。原料炭を外国に仰ぎながらも原料炭を生産している日本の炭山がつぶれるのでありまして、こういうような点は私どもとしてはまことに不可解でありますが、現状であります。そうしてなお失業者はだんだん増加してきておるし、進行中であります。 それと同時に、米軍基地の縮小、こういうようなことで、いま職安局長が言ったように、基地労働者だけじゃなくて基地関係の雇用といいますか、基地地域のいろいろな下請を含めて雇用状態がだんだん不安定になってきている。したがって、もう労働不安がだんだん高まってき、失業者は増加してきている、こういうような状態であります。したがって特殊部門は斜陽化しておるし、そしてもう一つ日本として必然的な部分としては、いまその米軍の政策によって基地の縮小が急激に行なわれておる。こういうような状態の中に、今度は景気の渋滞と申しますか、繊維や家電を含めた電機、それから自動車、こういうような面は、生産部門では需要が内外ともに停滞してきている。こういうような一つの傾向がはっきりあらわれておるわけでありまして、したがってこれらの下請関連の失業者はどうしても急増してくるような大勢にあるのじゃないだろうか。もうすでに石炭鉱山、それからその他の鉱山、それから全駐労の労働者を含めましての米国の政策によるところの米軍基地の縮小または廃止、それと繊維、電機、自動車、こういうような生産部門の内外の需要の渋滞、また停滞、こういうようなことによって生産調整に入ることから、当然関連の下請というような面の失業者は急増してくるような傾向にあるんじゃないか。こういうような状態だとすると、もうすでに労働行政は安定の線からぐっと遠ざかってしまった、不安定この上もないということになってしまっている、こういうような情勢のもとに、労働省では新たな手を打たなければならない状態にいまや逢着しているのじゃないかと思うのであります。 こういうような状態に対して、労働省はやはりいままでどおりの考えでいいのか。いま起きているこういうような現象に対して、新たに手を打つことを考えなくてもいいのか。これはまことに重要でありますので、ひとつ労働省のはっきりした見解を伺っておきたい、こう思います。
○住政府委員 ただいま先生御指摘のように、最近の景気の鎮静化を反映いたしまして、雇用・失業情勢についても変化が生じております。 ただ、たとえば安定所窓口における求人、求職の状況でございますが、たとえば求人につきましては昨年の七月、一年半ぶりに対前年同月比の求人数が〇・四%と減少に転じております。次の九月では四・三%増と、対前年同月比でございますが、やや持ち直しておりますが、十月は三・五%、十一月は八・四%、対前年同月に比してそれぞれ求人が減ってきております。逆に求職者はふえておりますので、その意味で求人、求職のバランスというものが少し緩和してきておる、こういう実情がございます。 また学卒の労働力について見ますと、ただいま御指摘のように、たとえば電気機器とかを中心といたしまして学卒求人の取り消し等が見られておりますが、若年労働力そのものに対しては、この求人取り消しというものは全体の若年労働力に対する需要にさして影響を与えていない、こういうようなことがあります。 それから失業保険の状況を見ますと、失業保険の受給者については、いまのところ景気鎮静化に伴う受給実人員の増というような現象があらわれておりません。そういう意味で私ども、この景気の鎮静化に伴う雇用・失業の移り変わりにつきましては細心の注意を払っておるのでございまして、情勢いかんによってはそれ相応の対策を講じなければならないというように考えております。 なお石炭につきましてあるいは駐留軍労務者の解雇問題につきましては、それぞれ来年度予算案におきまして、来年度の見通しのもとに必要な対策が打てるように予算措置等をも講じておりますので、そういうことをフルに活用いたしまして、できるだけ摩擦を少なくするように万全の対策を講じてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
○島本委員 どうも聞いていても私の理解の琴線になかなか触れないのでありまして、この点は意見の一致はとうてい見ることはできません。 私が一つの設定をいたします。たとえば石炭、鉱山鉱業、基地労働者、こういうようにして、現実の面で斜陽化の傾向のはっきりあらわれている部門、これは他の産業部門は別ですけれども、この方面の雇用の保障と生活の保障を制度としても、また法的にも確立する必要がいまあるのじゃないかと思っておるのです。それを単に予算措置云々ということになれば、盛大な葬式をせめて出してやりたい、この程度の考えよりないようでありまして、これはやはり雇用の保障、生活の保障、これを制度として確立する、当然それには予算がくる、こういうことまではっきり考えるのでなければはっきりした対策ではないし、労働省のこれに立ち向かう姿勢ではないというように私は思っておるのであります。私の考え方が違っているのか、違っていないのか。もし違っているというならば、その点をはっきり指摘してもらいたい。 それと同時に、港湾や建設の労働者、いわゆる産業構造上の不安定雇用をしいられている部門に対しては、雇用の安定制度をあらためて法制化するか、またはその上にのっとって予算化してやる、こういう必要があるのじゃないか。同時に、出かせぎの農漁民も日本の国の一つの政策的な犠牲者でありますから、そういうような人に対しては特殊な形態にあるものだというように見なければならないはずであります。これも全部同じなんだというような考え方は労働省としてはとるべきではない、私はそう思うのでありますが、そのための保護措置というものを当然雇用の面からも労働の面からも考えるのでなければだめだ、こういうように思うのであります。 石炭、鉱山鉱業、基地、これを分けて、また港湾や建設の産業構造上の不安定雇用をしいられる部門に対する対策、それとあわせて出かせぎの農漁民のように政策的な一つのしわ寄せを受ける者の保護措置、こういうようなものも法的にも予算的にも当然必要なんだと私ども思っておりますが、なぜこれを労働省としては考えてやらないのか、やる必要はないのか、私が言ったことは間違いなのか、その点をここではっきりしておいてもらいたい、こういうように思うわけなんであります。御答弁をお伺いいたします。
○住政府委員 私ども、趣旨としまして、雇用は安定したものである、それについては異存はないし、またそういうような雇用をつくり出すように政策努力をしなければならないと考えております。そういう意味で、たとえば石炭だとか駐留軍労務者の場合、これは産業それ自体が成り立たない、あるいは基地の縮小によってそこに余剰の労働力が出てくる、これはまた一つのやむを得ない点もあるかと思います。そういう場合に、そういう方々に対してさらに別の新しい安定した雇用の場を設ける、そういう意味での職業紹介なり再就職の促進をはかっていく、これは当然なすべき仕事であり、そういうようなことが十分行なわれるように努力しなければならないと考えておるわけでございまして、たとえばその場合に、石炭産業そのものに労働者を置いておくことがはたして安定した雇用であるかどうか、こういうような観点から判断を行ない、それに基づいた政策努力があるべきであると考えておるわけでございます。
○島本委員 その答弁にのっとりまして、中高年齢者の雇用促進措置の実績、離職前の賃金と労働条件、措置中の生活手当、再就職先の賃金と労働条件、職業訓練所の職種及びその取得技能の水準、これはデータとしてもうあるはずですから、これをひとつ資料として出してもらいたい。もう一つは、あと四、五年間の中期の雇用見通しについて、これははっきり出してもらいたい。この二つをあわせて資料として要求したいと思いますので、委員長からしかるべくお取り計らいを願いたいと思います。
○住政府委員 調製して提出いたしたいと思います。
○島本委員 いろいろと議論はありましたけれども、そういうような状態からしていまだ労働行政全般は、ここに雇用の安定ということじゃなくて、労働政策としての考え方からこれまた一歩も出ておらない。こういうようなことではたして労働行政としていいのだろうか、もう少し深くこの点を考え、措置をしなければならない状態にあるのではないか、私どものほうではこういうように考えられるわけであります。失業者を輩出するのは困る、したがってすぐ他のほうに労働力を転用してやる、こういうことになっても、賃金が低くて生活ができない、また労働が過酷に過ぎるということになれば再び失業者になるのでありまして、こういうことがだんだん社会不安を醸成していくわけになります。そういうことの歯どめを労働省としてはっきり持っていないといけないのじゃないか。失業保険制度、失業者の対策や公共事業の拡大、こういうようなこともかつては対策の一つとして取り上げてまいりました。しかし、いまだにこれがはっきり実を結んでいない。もっともっとやる必要もあるのじゃないかと考えられます。したがって社会保障制度を充実さして、生活ができるような最低賃金制を全国的にしいてやる。おそらくこれを言うのは私だけじゃなくて、社会労働委員会の全委員がこれを叫び続けてきたはずなんですが、いまだにできない。できないうちに時流に便乗するようにして労働力政策だけを取り上げて、いまここに新たな波紋を出そうとする傾向があるやに見受けられるわけであります。どうも私どもとしては、そういうはっきりした対策がないままにやることは、不安感をなおさら深めるにすぎない結果になることを一番おそれるのです。出かせぎ農漁民にしても、ほんとうの保護措置が必要だといっても何らない。そしてその職場自体において、給食でも、労働条件でも、その食事内容そのものでも栄養を兼ねて十分なのかどうか、その調査一つ取り上げても労働省は全然やっていない。事故が起きるのは黙っていてもあたりまえのような気さえするのです。あたたかい血の通った労働行政というものがいまだ見られないのじゃないかと思っているのです。ここで一歩進めてそういう点を十分考え、歯どめをすべきは歯どめをし、制度化すべきは制度化し、ここに高い水準のとは申しませんが、せめて安定した雇用と生活の可能な賃金制度、これは現制度の中だってできることですから当然考えるべきことだ、私はこれを強く要請しておきたいのであります。 私のこの要請並びに考え方や指摘、これが間違いであるならばその間違いである点をこの場所で御指摘願いたいと思います。指摘しなければ、このようにやるということを明言してもらいたいと思います。いずれでもけっこうであります。
○住政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもできるだけ安定した雇用をつくり出す、これにつきまして政策努力、行政努力をすべきである、これは当然のことであるというように考えておるわけでございます。
○島本委員 まだ十分議論の焦点が合いません。合いませんから、合わせるためにここでまたひとつ資料の要求をいたします。職安審議会と雇用審議会に労働省で提出されました資料、それと議事録、それから一九七〇年の二月末から現在までの失対の就労者の数及びこの種別と賃金、これをひとつ資料として出してもらいたい、こう思います。これはもうすでに出したものですから、簡単にできると思いますので、これを要求して、私の質問は次に移りたいと思います。委員長からよろしくお取り計らいを願いたいと思います。
○住政府委員 資料については調製したいと思いますが、議事録についてはちょっと審議会と相談してみたいと思います。
○島本委員 あれは公開ですからいいはずです。
○住政府委員 公開じゃないと思いますので、審議会とひとつ相談させていただきたいと思います。
○島本委員 では、議事録のそれを入れて提出を願いたいと思います。 なお職安関係、雇用関係、この方面の審議は秘密会ではなくて、公開の審議が多いのであります。今度は社会保障制度審議会は非公開になりますが、この辺、質が違いますので、この点を十分勘案して、出すべき資料は、立法府から行政府に要請されたときには、すぐにその要請にこたえて出す、こういうふうに、この際すなおにひとつ出しておいてもらいたいと思います。これを要請しておきます。出せないわけないです。
○住政府委員 まず職業安定審議会でございますが、これは非公開になっております。そういう意味で、また速記録はとっておりますけれども、これを正式の資料として出すかどうか、審議会との相談の上決定さしていただきたい思います。 それから雇用審議会につきましては、これは速記録はとっておりません。そういう意味で、これも総理府のほうと相談した上で決定さしていただきたいと思います。
○島本委員 相談した上で、なるべくわれわれの要請にこたえるように努力してもらいたいと思います。 ではもう職安のほうはこの程度にして——ただこれで満足したのでは決してありません。全部歯車がかみ合いませんでしたから、残念ながら資料の要求だけに今回はとどまった、こういうようなことに御理解願いたいと思います。 次に岩手県の信用保証協会の職員組合のいわゆる不当労働行為の事件というようなものが以前ありまして、労働省ではその指導に乗り出したはずであります。中小企業庁でも同様にそういうような事情の聴取と今後の指導に乗り出したはずでありますが、いまだに解決したということを聞いておらないのでありますが、その後の経過はどういうふうになっておりましょうか。
○石黒政府委員 岩手県信用保証協会につきましては、御承知のごとく昨年の五月に解職一名、停職四名という処分を出しました。その前後に、非常に労使関係が不安定でございまして、いろいろな事件が出ております。私どもといたしましては、県の労政課を督励いたしまして、たとえば労政課が団交に陪席するというような手まで使いまして、労使関係の正常化につとめました。また解雇処分後におきましては、ただいまお話のございましたように、中小企業庁と労働省と、双方から県当局に対しまして、労使関係の正常化に一そう努力するように指示をいたしたわけでございますが、解雇処分そのものにつきましては、その後地労委に提訴がございまして、地労委が何回か審問をいたしまして、大体ことしの四月ごろには結審に至るであろうという進行状況でございます。この点につきましての和解等につきましては、結局その成立の見込みが目下のところない状態でございます。その後新しい紛争というのは起こっておりませんけれども、基本的な解決というのは結局地労委の裁定にまつよりほかないというのが、遺憾ながら現状でございます。
○島本委員 なかなかあの争議は前時代的な様相があって、ほんの取るにも足らないようなことを平気で問題にして紛争の根を深くした、こういうような傾向があると思うのです。これは労働省自身が、労政はもちろんですけれども、いわば基準行政関係を通じて、いろいろなPRですか指導が全然なっていない点が多いのじゃないか、こう思うわけであります。 私の手元にあるこのいろいろな審問書、いろいろ不当労働行為事件の審問調書、これによると、労働協約できめた、またいろいろ協定によってきめた、しかし就業規則できまっている以上、就業規則に違反した者は首だ、こういうようなことを平気で言われて、そういうような問題が一つの紛争のもとになっている。労働協約の決定事項と就業規則にきめられている事項と、このいずれが優先するのかということ、こういうようなことに対して根本的な指導さえも行なっていないのでしょうか。これはおそらく、こういうようなことが一つの裁判ざたになったり、不当労働行為のこういうような審問事項としてあがってくるなんていうことは、あまり類例を見ないのでありますけれども、この点なんかだったら、少しこれはあまりにも幼稚な行き方だと思うのですが、こういうような事実に対してどういうような指導をしておったのですか。
○石黒政府委員 就業規則は労働協約に違反することができないことは申すまでもないところでございます。この協会につきましてはいろいろごたごたがございまして、そのうちの一つといたしまして、協約の存在そのものについて争いがあって、訴訟問題になっておるということもある次第でございます。
○島本委員 その協約の存在問題だけではない。前にはっきりきめて、賃金とそういうようなものを一つの労働協約によってルール化してあるわけです。それを一方的に廃棄した。そういうようなことがまた一つの紛争の問題になっているわけであります。そしてそれに対してはあらためて簡易裁判を起こしている。こういうような事態があるわけでありますけれども、こういうような点については一体どういうことなんですか。
○石黒政府委員 協約の存在がはっきりいたしておりますれば、もちろん就業規則のほうが負けるにきまっているわけでございますが、協会側は協約、協定の存在そのものを否定をして、そしてこれにつきましては団交が行なわれ、あるいは地労委のあっせんも行なわれたけれども不調になって、そこで盛岡簡易裁判所に訴訟を提起しておるというのが現状でございます。
○島本委員 それはどういう名称の簡易裁判所の訴訟事件ですか。
○石黒政府委員 詳細は私どもも存じておりませんが、盛岡簡易裁判所に訴訟提起をいたしましたのは、賃金債務の不存在確認訴訟というふうに聞いております。
○島本委員 せっかくそれでやってきて、あとになってからこの賃金債務不存在だ、きめたことは間違いである、そういうようなものは一切それにのっとらないのだ、したがって昇給をさせない、こういうようなことのようでありまして、それもまた問題になっております。 その裁判費用の点なんですが、一体どういうことになっているのでしょう。
○石黒政府委員 裁判費用は、私ども特に調査いたしておりません。通常の原則に従っておるものと考えております。
○島本委員 これは中小企業の場合、ことにこういうような場合には、その点もある程度明確にしておかないと悔いを残すのであります。これはもう、協会側はこの訴訟に対して弁護人を雇っております。そうして弁護人その他が五回くらいもう審問に応じて弁護しております。こういうような費用は、一体これはどこで出しているのか。個人の負担なのであろうか、それとも信用保証協会の会の中からこれを出しているのか、これは無料で奉仕しているものであるか、これはどうも疑問であります。この点でどうなっていますか。
○石黒政府委員 この賃金債務不存在確認訴訟の弁護士費用等につきましては、たいへん申しわけございませんが、どういう形で支出しているかということにつきましては、いまだ調べをいたしておりません。
○島本委員 これはもう重大なことなんです。これは直ちに調査してもらいたい。と申しますのは、信用保証協会では国の金で中小企業者のためのいわゆる保証料、こういうふうなものをつくってやる、そういうようなことになっておるはずですから、当然これは政府から二分二厘でこれは借りて、そして中小企業信用保険公庫から単位協会にそういうふうな率で金を貸してやる。当然年間二分五厘である。そういうようなものに対して、今度はそれをもう普通の銀行なり金融機関に預託して、その利ざやによって、一分四厘の保険料の負担、こういうようなものも中小企業者の負担を軽減してやるように、これは取りはからっておる。したがってこれを、一たん借りたものをもう一回金融機関に預託する。その利ざやというものは大きいわけだ。そういうふうにして運営しているはずの保証協会です。それが経理雑支出として百万円を計上しているのです。そして弁護人はそれ以外に、出張するときの接待費としていままで五回、一般経費をこれに充当している。もしこれが事実ならば、中小企業のためにはっきりこれはもういろんな点で援助するための経費が、裁判のそういうふうな面に向けられている、こういうような流用が許されるのかどうか、これはもう私としてはどうも疑問であります。許されるべきじゃないと思うわけです。まあこの点等について十分お調べかどうか。お調べであればその内容についてはっきり報告してもらいたいと思います。
○石黒政府委員 たいへん申しわけございませんが、信用保証協会の経理がいかに運用されており、訴訟費用等にいかなる支出がなされておるか、私どものほうは調査いたしておりませんので、至急調査いたし、また所管庁である中小企業庁にも連絡をいたしたいと存じます。
○島本委員 これはちょっと重大です。そういうふうにして、いかに前時代的な労使関係であろうとも、これは当然中小企業者の利便に供されるはずの費用が、それが経理雑支出として組まれて、それを利用されて、そして弁護人にも一般経費のほうから見ておるという事実があるとしたならば、これはちょっと許されないような事実ではないかと思いますので、これは十分調査してもらいたい、そういうふうに思います。 そのほかに、一般職員を採用しないで県の古手の人、やめた人を今度嘱託ということで総務課長その他に全部やって、現在八人いるようであります。嘱託という職制、こういうものは実際あるようでありますが、あれはどういうふうなことになっているのですか。嘱託総務課長とほんとうの課長とどういうふうな関係になっているのですか。
○石黒政府委員 嘱託という制度がしばしば用いられておりますけれども、これは、嘱託というものをいかなる処遇をし、いかなる権限を持たせるかということにつきましては、申すまでもなく別に法律上はっきりしたものがあるわけではございません。通常、非常勤の者なんかに嘱託の発令をすることが多うございますけれども、常勤で通常の職員と同様の地位を与える嘱託というものも間々あるようでございまして、協会における嘱託の制度というものにつきましては、詳細は心得ておりません。
○島本委員 じゃ、これは詳細調べて、これもこの次のためにひとつ資料として提出願いたいと思います。 それと同時に、組合活動をすれば解雇するという就業規則、こういうようなものを基準監督署で認めているのですか、認めていないのですか。これは現地からあがってきていると思います。これはもう組合活動をすれば解雇するぞ、こういうようなものを——これは一方的に出された就業規則であろうと思いますけれども、それを現地の監督署ではお認めになっているのかどうか。それによって、一たん注意処分されたり訓告処分されたりした者がまた解雇される。まさに二重の罰を受けるというようなことなんです。前時代的であります。こういうようなことに対して、現地の監督署ではどのようにこれを扱ったのですか、こういうようなものを認めたのですか。
○石黒政府委員 就業規則の中身につきましては、通常の業務遂行を阻害する行為をしたときとかなんとかというような条項がございますほかに、違法な争議行為をしたときというふうな条項もございまするが、就業規則の改正は、最近は昭和四十四年十一月になされておりますが、改正にあたりましては、私どもの接した報告によりますると、組合の意見聴取、意見を添えて届け出るわけでございますが、労働組合から意見書の提出がないために、かわりに団体交渉の模様を記録した書面を添付して労働基準監督署に提出しているというふうに承知いたしております。
○島本委員 基準局長にひとつ御見解を承ります。
○岡部(實)政府委員 現実に提出されました就業規則そのものを私ちょっと見ておりませんが、いま労政局長から答弁ございましたように、基準法上は就業規則はいまの手続を踏んで届けられる場合には、これを受理する。そこでいま二点御指摘がございましたが、一つは手続の問題でございまして、作成の手続で、九十条に、使用者が作成して提出する場合に、労働組合あるいは労働者の意見を聞いて、それの書面を添付して出さなければならないということで、いま意見が正式に出てこないというために、団体交渉で述べられた就業規則に関する意見を付して出したものと私は考えております。 それからもう一つ、就業規則の中身の問題でございますが、就業規則の中身は、この法律の八十九条で就業規則は「左の事項について」ということで、一号から十号までいろいろ項目をあげております。その中の九号に「表彰及び制裁の定をする場合においては、その種類及び程度に関する事項」ということで、おそらく制裁に関する規定を置いたのだと思いますが、その中身については、私現在のところ十分承知しておりません。
○島本委員 労働行政全体からして就業規則の内容の問題、手続の問題、こういうような点も、はっきりしているかと思えば、はっきりしていない面もある。そうしてまた、それをはっきり適用して処罰したのかと思えば、そうでない点もある。まさにこれは前時代的なやり方でありまして、あるもの、触れるもの、すべてこれを利用する、こういうやり方のようであります。それもせんじ詰めれば現地の基準行政自身も、人がいないせいか、または能力がないせいか、十分この方面の指導も適確を欠いているのじゃないか、こう思わざるを得ないわけであります。労政そのものも問題ですけれども、基準監督署のこういうような活動自身にも、私はまだ問題があるのでないか、こういうように思っております。十分これを調査して、こういうような変な、だれが聞いてもおかしいなと思うことが平気で行なわれることがないように、もうすでに公害の摘発まで出て、世界的にも大きい一つの目的解消のためにも基準監督局自身が重大な使命を負っている、そういうようなさなかに、まだ依然としてこういうようなちゃちな問題をそのままにしておくなんということは問題外だと思うのです。この点を十分考えて指導をしておいてもらいたいと思います。 それで、労政局長それから基準監督局長ともに、これはもういままで言ったとおり、こういうような紛争、えてして国の、当然中小企業者にいくべき金、こういうものが、保証料をむだ使いさせるような疑念さえもあるやり方、それと同時に、中小企業者に十分サービスできるような職場環境を、こういうようなところは早くつくるように指導してやらねばだめだ。これは三者ともよく聞いておいてほしい。それと同時に、不信感の起こらない人間関係を早く確立してやるように、こういうような指導もあわせて行なう必要があるのじゃないか。こういうような問題は、おそらくここだけじゃなかろうと思います。基準行政、労政ものものも、やはり労働行政全体がいまの体制の中で沈没しているのじゃないか、こう思わざるを得ないわけでありまして、今後ひとつ大いに奮起してもらわないといけないと思います。 いま言ったような三つの点をあわせて、とにかく重大な決意を持ってこの解決に臨んでもらいたいと思います。幸いにして三月中に結論が出るとするならば大いにけっこうでありますが、これは一日も延ばしておくような問題ではありません。やればやるほど疑義が生ずる問題でありますから、早めにこれを解決させるようにすべきだと思います。労政、基準並びに所管当局に強くこの点を要請申し上げておきたいと思います。一人ずつから意見を聞いて、私の質問は終わるわけでありますが、三人一人ずつ所見を発表してください。
○石黒政府委員 岩手信用保証協会は、公の性格をある程度持っているにもかかわらず、いわゆる中小企業的な非常におくれた労使関係であるという点は非常に遺憾でございまして、県の労政当局を督励いたしまして極力指導助言につとめたところでございますが、私ども微力でございまして、いまだ十分な効果をあげ得ていない点は非常に遺憾でございます。今後とも監督官庁である中小企業庁とも協力いたしまして、一そう努力いたしたいと考えております。
○岡部(實)政府委員 岩手信用保証協会の問題に関連いたしまして、就業規則等、必ずしも基準法の適正な運営が確保されておらないという御指摘のようでございます。具体的にはこの就業規則等、先ほど申しましたように手元にございませんが、監督署は基準法を守る役所でございますので、今後とも……(島本委員「守らせる、だ」と呼ぶ)いや、厳正に守っていくための指導をやる、監督をやるところでございますので、今後特に中小企業等におきましてこの点が明確に、基準法の線に十分沿って守られ、かつそれが適正に適用されるというような状態を確保するために、引き続き最善の努力をしてまいりたいと思います。
○島本委員 終わります。
○倉成委員長 川俣健二郎君。
○川俣委員 私は日本国有鉄道の累積赤字がどんどんふえていくということに対して、きょう総裁もお見えになっておりますし、今後どのようにするべきだろうかということを非常に関心を持っている議員の一人でございまして、ただ国鉄は明治三、四年ですか、時の民部、大蔵省の鉄道係、こういう世帯から始まって、いまや大国鉄、日本国有鉄道、そうして大総裁、優秀な人材が総裁の席にすわるという世の中になりました。そこで、幾多組織的に変遷して今日にきておりますが、問題は終戦後の昭和二十四、五年ごろですか、いまの日本国有鉄道という、運輸省から切り離されて、ひとりでどんどん走るということになってきたわけでございます。 そこで、大国鉄になっただけに、国会に席を占める国鉄御出身の議員諸公も多数おられるわけですが、佐藤総理からおられるわけですが、私は国鉄の内部のことはむしろ一切白紙でございまして、これから、ただ赤字をどのように解消していくべきか、そうして労使関係の協調の上に立ってこれに取っ組んでおるかということを、後日あるいは後刻、同僚議員なり先輩議員から具体的な事例を出す前に、私は私なりに、幼稚な質問に入るかもしれませんが少し質問してみたいと思います。 そこで、まず、総裁はいまの赤字対策というものをどのように考えて、赤字対策の実が実っておるのか、むしろ私たちが見るところによると、やり方がまずいのかあせりなのか、赤字対策に取り組む姿勢が、あっちにぶつかりこっちにぶつかり、ついには労使関係が多大な険悪な結果になって、何ら赤字対策という実が実ってないじゃないかということを、私のひとり合点の心配であればけっこうなことですが、総裁はそれに対してどのように考えておられるか、一応まずお聞かせ願いたい。
○磯崎説明員 ただいま先生のお話のとおり、実はことしでちょうど国鉄は百年でございます。百年たっておりますので、いろいろな意味のあかがたまっておりますし、また新幹線その他で前向きに進んでいこうという気持ちも持っております。 いまお話しの異積赤字四千数百億ございますが、今後これの解消、あるいは解消していかないまでも減らすことにつきましてはいろいろ苦心しております。政府にもいろいろ御協力願っておるわけでございますが、問題は二点大きな問題点があると思います。 一つは、やはり百年たった交通機関が、いろいろ飛行機や自動車や船、そういうほかの交通機関と完全な競争にさらされているということでありす。いままでの陸上交通を独占しておった戦前の姿と、国鉄を取り巻く環境が全く変わってきたということが一つの問題点であると思います。 これにつきましてはいろいろ議論がございまして、どういうふうにすべきかという議論がございますが、やはり私といたしましては、もう鉄道というものの守備範囲をある程度縮めていく、そうして二十一世紀に残り得るようなものだけ残していく。もっと具体的に申しますれば、ほかの交通機関にたよれるものはどんどんほかの交通機関にかえていく、そうして日本全体の幹線の輸送、それから将来の新幹線、こういうものを中心として二十一世紀に向かって国鉄は進むべきじゃないか、これをまず第一に考えております。しかしこれにはいろいろ問題がございます。過疎対策の問題あるいは日の当たる地域と日の当たらない地域のアンバランスの問題、いろいろございますので、国鉄という狭い視野からではなしに、日本全体の国土の再開発と申しますか、あるいは人員の再配置と申しますか、そういう角度からこの問題を見直さなければいけない、こういうふうに思います。これが第一点でございます。 もう一点は、やはり現状のまままいりますと、当分の間、いまの赤字財政状態は簡単には解消できない。私、責任者がそういうことを申してはいかがかと存じますが、いろいろ検討いたしましても、究極、たとえば一、二年のうちにこれを完全に黒字にするということは、非常に困難というか不可能に近いことだと存じます。したがって、第一に申しましたようなことが実現する間まで、ある程度、政府と申しますか、国民全体から、国鉄を利用なさらない方からもある程度の御援助をいただくということによって、それまでの経営をつないでいくというふうな形にしなければならないと思っております。 現に昨日衆議院で成立いたしました予算をごらんくださいましても、ことしは実は約三百億円長期の金を借りまして、単年度の赤字を埋めるというふうな非常手段をとらざるを得なかった状況でございまして、これにもいろいろ理由がございますが、そういうふうな角度で相当国からの援助もいただきましたけれども、今後さらに三百億ほど長期の借り入れでもって単年度の赤字を埋めるという、企業経営上やってはならないといわれていることをあえて予算に計上してやらざるを得なかった、こういうふうな状況でございますので、第一のような新しい時代にふさわしい姿になるまでは、ある程度国民全般の、鉄道の利用者以外の方にも御援助、御協力をいただかなければやっていけない。それには何と申しましても国鉄内部の、私をはじめとする全職員、四十六万職員の企業経営に対する努力、これをやはり国民に認めていただかなければ、国民としては税金を国鉄に入れることに納得されないだろうという意味で、私は四十数万の全職員に対して、とにかく国鉄をここでもって何とか再建しようじゃないかというふうな角度でもって、皆の奮起を望んでいる次第でございます。 たいへん簡単でございますが、全体の気持ちとしてはそういう気持ちでもって仕事をやっているつもりでございます。
○川俣委員 環境の大いなる変化によって国鉄の守備範囲をどちらかというと狭めていこうというほかに、その仕事を委託というか転嫁していこうという考え方は、かなり論争のあるところだと思います。これはもう積み重なった結果、総裁がそういうような理論構成をしておるとすれば別ですが、いろいろとそれと逆な考え方もあるかと思います。 そこで、それでは少し具体的に入っていきますが、世帯が大きくなるに従って、企業というのは事業部制というものを非常にとりがちなんです。とらねばならない場合もある。これはイデオロギーを別として、一つの頂点に全部権限を集中するのではなくて、権限をある程度地方に分散するという考え方も一つの組織体だと思います。そこで国鉄の組織が一番大きく歴史的に変わったものを記録されるのは、地域的横割り制から職能的縦割り制に昭和二十五、六年ですか、なったと私は記憶しますけれども、せっかく大きくなろうとするのが、逆に縦割り制にしたということで、三段階、本庁、地方機関、現業機関、こういうようなものにして縦割りにしてしまったというところに、私は私なりの感じ、赤字解消というものと逆行しているのじゃないかという感じもしておるので、その点ちょっと総裁の意見を聞きたいと思います。
○磯崎説明員 お説のとおり、こういう大きな企業でございますので、それを経営する組織をどうするか、これは非常に大きな問題でございます。私どもも外国の例を勉強いたしましたり、また電電公社等の例を勉強いたしましたりいたしました結果、いま先生のお説のとおり、やはり縦の段階であまり段階が多いのはよくない。なるべく私のほうから、たとえば私から現場の末端までの階段を少なくすべきだというのが、中間は一応省略いたしまして目下の結論でございます。昨年の秋、相当思い切って部内の機構を簡素化いたしまして、御承知かと思いますが、いわゆる事業部制とはちょっと違いますが、北海道、九州、四国、この三つは総局制にいたしまして、ほとんど総裁の権限を総局長に委譲いたしまして、たとえば職員のベースアップの問題とか、あるいは新規投資の問題とか、そういう特殊な問題を除きましては、各三つの島がおのおの地域の実情に合った経営をすべきだということで、三つの島は一応形としては独立の形にいたしました。逆に今度は本州は全部本社で直轄する。本州に十幾つの管理局がございますが、これを本社で全部直轄をする。最近非常に交通も便利になりましたので、また電話もよくなりましたので、わりあいに手取り足取りするということ自身も東京でやり得るということで、本州は全部本社直轄にするという形にいたしました。したがって本州は、本社、管理局、現場、この三段階でございます。地方は、いまの三つの島は、総局長、管理局長、現場、こういう簡素な姿にいたしまして、縦の段階を極力省略いたしまして、ごくスピーディに私どもの考えていることが現場の末端に浸透するような組織に変えたわけでございます。それまで四段階制をとっておりましたが、間を一つ抜きまして、そういう形にいたしました。 これもいつまでも絶対なものと申しません。機構、組織でございますから、私の現在考えているところでは一番いいと思っておりますが、やはり組織というものも流動的でなければいけない、固定してはいけないというふうに思いますので、常に組織の欠点あるいは長所等を反省いたしながら、新しい理想とする組織に一歩でも近づけていきたいというのが私の念願でございます。
○川俣委員 あちらこちらに質問が飛びますけれども、もう少し具体的に……。 国鉄教育機関として鉄道教習所、職員養成所ですか、これが五、六年前に、すべて鉄道学園、こういうものに改革されたようですが、この鉄道学園というものは、目標がどういう目的を持っておるのか、そして教える内容はどうなのか。さらに、三点目は、労務管理的な、管理者になるための教育をするのか。学園長というのはどういう人が当たるのか、技術的な専門家を充てるのか、労務管理的な専門家を充てるのか、そういった面をひとつ………。
○磯崎説明員 教育の内容の詳細につきましては、後ほど担当の常務から申し上げます。 私のほうといたしましては、実は鉄道学園と申しますのは、鉄道技術研究所と、鉄道病院、鉄道学園、この三つをある意味の職員に対する国鉄全体の仕事の進めぐあいに対する側からの機関というふうに考えておりまして、技術研究所と、病院と、学園、これが、多少ニュアンスは違いますけれども、そういう三つの考え方でもって鉄道をささえていこうという考え方でございます。 そして、学園につきましては、内容は後ほど申しますが、いろいろございますが、大きく分けまして三つございます。 一つは、何と申しましても部内の職員の再教育でございます。あるいは再教育と関連いたします職能教育でございます。 一つは、部内の職員に対する育英教育でございます。これは四十数万もおりますと、やはりたくさんの有能な人材が埋もれております。学校を出ないで、すぐ中学なり高等学校から国鉄に入って、しかも非常に有能な人材がおります。これを毎年試験をいたしまして、いわゆる大学課程と申しておりますが、これを卒業いたしますと、大学卒業者と同じように取り扱うという意味の一種の育英機関でございます。これは全職員に機会均等に入学する機会を与えまして、そしていい一般の職員を部内で育てるという考え方からやっておりますが、これは事務屋も技術屋も両方おります。 それからもう一点は新規採用時の教育でございます。最近、新規採用がちょっと減ってまいりましたけれども、地方の学園は主として地方におきます新規採用者、すなわち高校なり中学を出てすぐ鉄道へ入ってきた者は、まず安全を勉強しなければいかぬ、あるいはある程度の規則を覚えなければいかぬという意味の新任者教育と申しますか、新規採用者の教育を主としてやっております。したがって、もう一回申しますと、職能教育、育英教育、新規採用教育、大ざっぱに分けてこういうことになります。 それから学園長は、具体的に申しますと、たとえば東京にございます中央鉄道学園の学園長は現在技術者がやっております。これはそのときそのときの最も教育に適当な人、いわゆる事務屋とか技術屋とかを問わず、最も教育に熱心な、しかも人格の高い適任者を持ってくるという意味で、たまたま現在は技術者がそれをやっているという形になっております。そういう意味で、学園長の人選はそういうことにこだわらないで人物主義でもってやっておるつもりでございます。 教科の内容につきまして真鍋常務からもう少し詳しく申し上げます。
○真鍋説明員 学園の概要につきましては、ただいま総裁から申し上げたとおりでございます。特につけ加えて申し上げることはございませんが、国鉄の教育の態様といたしましては、一種学園、これは主要なところにございます。二種学園、これがそのほかの鉄道管理局所在地というような形で、全国で教育業務を遂行しておるわけでございますが、ただいま総裁から申し上げましたように、正規教育が主体でございます。正規教育の場合、各業種別に研究正規課程でございますとか、あるいは普通課程転換教育でございますとかというふうに各部門の課に分かれまして、正規の職能教育と申しますか、業務に必要な知識を与える教育を正規教育で行なっております。そのほか研修会というような形でも行なっております。これは最近の世界情勢でございますとか、国内情勢でございますとか、あるいは必要な最近の技術の進め方といったようなものについて、一週間程度の日程でございますけれども、必要な業種、必要なところにそういった研修会形式の研修を随時行なっております。 大ざっぱに申しまして、そういった正規教育とそのほかの研修の教育というふうに分かれるかと思います。
○川俣委員 さらに角度を変えます。 機械化というのはさすが国鉄、非常な先駆者であるわけです。記録では大正時代にもうすでに例のパワース式統計機が五十台も入ったというので、これは一般の産業にも注目されておるわけですが、その後、パンチカード、ユニバク、アナログ、FACOM、そしてIBM、こういうようにいまではもう切符の果てまで機械で飛び出してくる、こういうようなことです。そしてそれは、能率向上、生産性向上ということにつながるわけですが、その際に問題は、機械化というのは国鉄四十何万の従業員たちの労働の問題と必ずぶつかるわけです。その際に、機械を入れる、能率をあげる、そのために人を減らすということではなくて、その人が楽になる、別の仕事ができるという方向との関係がある。そうなると、国鉄にはせっかくの大国労という大組織がある、こういうものとの話し合いは、械機化一つやるにしても常にやっていると思うけれども、総裁、それについてわれわれの耳に入るところによると、それは交渉がこじれたのか、やってないのか、頭から認めないのか、それがだんだん大きくなって、交渉がこじれた飛ばっちりを社会が受けて、ストライキになり国鉄闘争とこうなる。それに対して総裁、どのような考え方を持っていますか。
○磯崎説明員 何と申しましても一世紀たった交通機関でございますので、非常に古い面もたくさん残っております。これの能率をあげるその根本は、いま先生おっしゃった機械化だと思います。たとえばみどりの窓口、あれは世界でも一番大きな出札をやっているわけでございますけれども、こういう今後の機械化を進めるにあたりましては、お説のとおりいままでそれに従事していた職員の数が必ず減ってまいります。当然過剰人員の問題等がいろいろ出てまいります。実は、いままでの一番大きな問題は、機関助士を廃止して機関車乗務員を一人にするという問題で、これは数回にわたってストライキという形で世間に非常に御迷惑をかけた一つの問題でございましたが、これもおおむね片づきまして現在実行中でございますけれども、今後も小さい面でいろいろ機械化していかなければならない面が出てまいります。私どもといたしましては、近代化、機械化に対する根本方針として、組合との間に協定を結びまして、大綱は本社と本部の間できめていく、実施上の諸問題は、地方の管理局長と対応の組合できめていく。もちろん、組合が国労、動労等ございますが、おのおのの段階で対応機関と実施上の問題をきめていく、こういう形でやっておるわけでございます。 もう少し詳細につきましては担当常務から申し上げます。
○真鍋説明員 機械化、近代化につきましては、各組合と近代化につきましての事前協議協定を結んでおりまして、事前に近代化計画の説明をいたしまして組合の了承を得ることをたてまえといたしております。労働条件につきましてはそれぞれ団体交渉を結びまして、本部、本社間の交渉が妥結いたしました後地方に移って、地方対応の協議をするというような形で進めております。
○川俣委員 さっきの赤字の本論に入る前に、もう一つ角度を変えて資材、施設の関係を。何といったって国鉄の他から見る魅力というのは、うんと資材を使ってくれる、うんと物品を買ってくれるという社会的なポジションを持っておることだと思うのです。それを二つ、三つ質問してみたいと思いますが、日本国有鉄道使用物品規格調整委員会ですか、これが過去何年前かにできたと思いますが、たとえば新幹線のレールをこれだけ必要だということで計画が成った。それを調達部でやる場合に、どういうような手法で、たとえば委員会の承認を一々得るのか、それともどこの決裁でどういうようなものをどこへ注文して入るかということを、担当理事でけっこうですから……。 それから、質問をまとめますが、物品出納職員の保管にかかわる物品の忘失、損傷等による損害弁償責任が過去は軽過失主義であったのが、これが今度重過失主義になったのだ、これはどういうことからきたのか。物品、資材に対するそういうあれがあったのかどうか。そのためにこういう重過失主義に変えたのか。 それから三つ目は、国鉄の業務運営の合理化に資するため特に必要がある場合国鉄が関連する事業に現物出資ができることとなっています。これは事例的にいうとどういうことなのか。 それから四つ目は、私は石炭対策特別委員をやっておるから言うわけじゃないのですが、石油がいつどのように変わるかわからない。マラッカ海峡をふさがれればもう日本の石油は詰まるわけでございます。そうなると石炭というものをもう一ぺん思い起こしてみる必要があるんじゃないか。これは全然角度が別ですし、委員会が別ですけれども、その場合に、国鉄は石炭から電化へどんどん——石炭に対する利害得失というか、エネルギー革命だけじゃなくて、もう設備一切、機関車から一切もう石炭の時代は終わったんだ、総裁はそう考えられておるのかどうか、その辺をお聞きしておきたいと思います。
○磯崎説明員 第一の問題で、物品調達の問題、先生が例にお出しになりましたレールの問題について具体的に申し上げます。 私もあまり詳細には存じておりませんが、まず、たとえば新幹線では、いままでは五十キログラムのレールであったものを今度六十キログラムのレールにするということが第一の問題でございます。その場合には、規格調整委員会の前に、担当の理事者並びに技術研究所で材質その他全部検討いたしました後、六十キログラムレールという世界にないレールを初めて採用すべきかいなかということをまず検討いたします。採用すべきだということになったら、その規格その他につきまして、いま先生のおっしゃった規格調整委員会にかけまして、それじゃいよいよ山陽新幹線のレールは六十キロでやろうというふうにきめるといたします。レールにつきましては、ちょっと一般の物資と調達の方法が違っておりまして、これは製作請負契約、すなわち何トンのレールをつくってくれという契約であります。ですから、できたものを買うという契約でなしに、私のほうでは製作請負契約ということばを使っておりますが、つくることの請負の契約であるということで、現在は富士と八幡が一緒になりまして新日鉄になりましたけれども、現在レールの供給量を持っておりますのは新日鉄と日本鋼管、この二社だけでございます。一時は輸入いたしましたが、もう輸入は一切やめておりまので、いま二社だけでございます。日本鋼管のほうも始めたばかりでございますが、なるべく、私のほうといたしましては、使う土地に近いところのものを使うということで、輸送費の軽減をするために、たとえば今度の山陽新幹線は八幡とか、日本鋼管の福山のものを使う、あるいは東北は釜石を使うとか、運搬距離その他によりまして納入してもらう場所をきめまして、そしてそこで製作請負してできたものを持ってくる、こういう契約にいたしております。 これは非常に異例なものでございまして、たとえばセメントみたいなものでありますと、これは簡単にできたものを公開競争入札で買うという形になります。契約につきましては、いまの製作請負契約、それから公開競争入札、それから車両のように随意契約によらざるを得ないものは随意契約、それからこまかい雑品につきましては見積もり合わせの随意契約というふうな、四つないし五つの契約方法によって物を買っております。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 それから第二の問題。ちょっと私、いま物品の出納の問題ははっきりいたしませんので、後ほど申し上げます。 それから、現物出資の条項がお説のとおり入っております。これは二つ問題がありまして、一つは鉄道建設公団ができました際に、それまで私のほうでしかけておりました線路あるいは土地等を、鉄道建設公団にたしか百八十何億の現物出資をいたしました。これが一回ございます。それからもう一つは、名古屋の臨海鉄道をつくりましたときに、たまたま熱田までの貨物線を持っておりました。これはまだ営業する前の工事中のものでございましたが、それを法律によりまして現物出資いたしました。この二つだけが過去の例でございます。私どもは、今後国鉄が、たとえば地方と共同経営して鉄道をやろうというふうな場合には、私どもの生きている鉄道自体を現物出資するようにいたしてほしいということをいま政府にお願いいたしておりますが、まだ本国会に出るか出ないかはきまっておりません。過去の例といたしましてはその二回だけでございます。 それから石炭の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題で、私らのようなしろうとがなかなか軽々に結論を出せませんが、現在の私どもがやっておりますことをはたからごらんくださいますと、やはり石炭に対する訣別というふうな形になっておると思います。今後どういうふうにエネルギー問題が発展するにいたしましても、やはり石炭をたいて捨ててしまうというあの原始的な、一世紀前の姿はもう戻ってこない。やはり先生のおっしゃったとおり、石炭をもっと有効に、たとえば原料に使うとかいう方向に石炭の使い方は変わってくると思います。あるいは最も効率のいい燃焼のしかたをして電気に変えるということがあろうと思いますので、私どもはじかに石炭を、燃焼率の悪い一〇〇のうち二八%ぐらいしかエネルギーにならない、こういう蒸気機関車による石炭の使用というものにはもう戻らないのではないかというふうに思います。やはり、石炭を中心といたしましても火力発電なり、あるいは将来の原子力発電なりというものでもって鉄道を動かすという形に変わっていくのじゃないかというふうに考えます。 物品につきましては、いますぐ調べさせますので、たいへん申しわけございませんがよくわかりませんので、後ほどお答え申し上げます。
○川俣委員 そこでぼつぼつ赤字問題、さらにその前に、これは赤字線だ、こう名ざしをするなら——管理費というのは管理費でないものとどういう割合になっておるものでしょうか。それから赤字線だときめつける、世にいう線路ごとに、線名ごとに。その場合に、管理費の配分のしかたがどうなのか。これは常務でけっこうです。 それから、国鉄の場合は、国鉄だけじゃなくて私鉄もそうですが、一般会計から独立して鉄道会計というものがある。これは早くからでき上がったわけでございましょうが、なぜ鉄道会計というものを一般会計から独立分離させたかということを、そこは総裁に聞きたいのだが、なるほど総裁のように、ずっと下で、総裁におなりになる前に、過去何年間国鉄に従事してみると、一般会計とは違うな、こういうことを感じたことがあればお示し願いたいと思います。
○磯崎説明員 先生の御質問の例の赤字線の計算のしかたでございますが、これはいろいろ議論がございましたので、私のほうといたしましては、昭和三十九年に、当時における日本の原価計算の大家の諸先生にお願いいたしまして、鉄道の原価計算規則というものをつくりました。それによりましていま御質問の管理費の配分、主として管理費は輸送量によって配分いたしておりますが、管理費の配分のしかた、あるいは資本費の配分のしかた、償却費あるいは利子等の配分のしかた等を線路別にきめまして、そして現在赤字線、黒字線の計算をいたしておるわけでございます。 最近またもっとこまかくやろうということで、実は昨年一年かかりまして、いま日本で一番原価計算の大家といわれます一橋大学の番場という先生にお願いいたしまして、十人ほどの学者に集まっていただきまして、一年間もう一ぺん原価計算の方法を洗い直しました。主として今回は分岐駅、ジャンクションにおける駅の経費をどう分けるべきか、あるいは財産をどう分配すべきか、というような相当具体的な問題についてさらに検討していただきまして、昨年の十二月に御答申をいただいたわけでございます。そういうふうに原価計算のやり方につきましては、世界の鉄道いずれもいろいろめいめい違ったことをやっておりますが、私どもは、昨年の暮れにできました原価計算規則が世界で一番進んでおるというふうに思っておりますが、それによりましていまの管理費、資本費その他の配分をいたしておるわけでございます。 これはまたおりを得まして詳しく御説明——私も実はあまり専門家じゃございませんので、その答申によりまして一ぺん詳しく御説明する機会を得たいというふうに思っております。これは学者の間で相当議論が出まして、もうほとんど完成品に近いというふうな評価も学界の中では出ているようでございます。 それから、国鉄を特別会計に分けましたいきさつその他はもう御承知のとおりでございまして、やはり政府の一般会計は税金をもって支出をまかなう。国鉄の特別会計は御承知のとおり運賃収入でもって経費をまかなう、こういうたてまえできたわけでございます。これをずっと明治の時代からやってまいりまして、さっきおっしゃった昭和二十四年に公共企業体になりましたときに、この制度をそのまま踏襲いたしまして、そうしていまもなお特別会計制度といたしまして、政府機関の特別会計として国会の承認もいただいておるわけでございますが、やはり私は、国鉄のようなこういう企業を経営する場合に、企業経営的な感覚もぜひ必要だというふうに思います。一般会計と同じように、収入と支出とを全然リンクさせないで、歳入は歳入、歳出は歳出ということではやはりいけないので、私どもといたしましては、収入を見ながら経費を見ていくというふうな特別会計制度が必要ではないかというふうに考えているわけでございます。
○川俣委員 そこで、重量方式による原価計算というのは、これはもうどういうあれから見ても矛盾だらけだと思います。これはもう検討されているというから、担当常務がこの次にお見えになったときにでも、また日を改めて質問なり論争をしてみたいと思います。 ただ、いま総裁がいみじくも私が言おうとしたのをおっしゃってくれたようなんだが、官庁会計方式、いわゆる現金主義による官庁会計方式から、発生主義による企業会計方式に変えようという努力はわかる。ところが私らは、総裁のかっこう一つ取り上げても、先入観で見ておるからそうかもしらぬが、どうも民間企業ががんばっているというにおいがしない。赤字になっても、民間の社長だったらどんな顔しているだろうか。会計方式だけ民間企業のいわゆる発生主義による企業会計にしようという気持ちがあるのだということを口に言っていながらでも、もしあなたがある企業の社長だったら——私はそういうにおいがしないのだ、あなた方国鉄一家がほんとうにこの赤字と取り組もうというにおいがしない。この論争は、また御担当の理事でもお見えになったときに、日を改めます。 そこで私は、赤字問題ということとからんで、総裁のほうで非常に苦労しておやりになっているようだが、生産性向上運動、これにからませて質問したいと思います。 私は、生産性を上げるということは必要だと思います。しかし、当局がやっておる生産性向上運動というのは、どうやら目的じゃなくて、何かの手段というか、その辺をこれから少し質問なり論争していきたいと思います。 それでは、生産性向上運動というのは、どこの国で生まれていつごろ日本に上陸してきたかということをどのようにつかんでおるか。それから、私たちから見ると、去年、おととしあたりから大国鉄の赤字に対して、生産性向上運動というのがおそい。企業ではもう貿易自由化というので、十何年前から、生産性向上をやらなければならぬ、それで日本の場合もいわゆる日本生産性本部というものができたようです。これに対しても質問します。 日本生産性本部に対して、国鉄当局はどのように思っておるのか。あれを指導理念を生む一つの機関だと思っておるのか。日本生産性本部というのはどういうような組織体で、どういうような資本でつくられて、どういうような経費でやって、そうしてどういう指導をやっておるのか、こういったところもお伺いしたいと思います。
○磯崎説明員 生産性本部の詳細につきましては、担当常務から申し上げさせます。 ただ、私が現在部内に生産性運動を持ち込みました、これは確かに先生のおっしゃったようにもうおそかったかもしれません。もっと早く、まだ国鉄が黒字だった時分からこういう問題にもっと真剣に取り組むべきだった、この点は私大いに反省しているところでございます。先ほど先生のおっしゃったとおり、私をごらんになっても、民間会社の社長さんとは気魄が違う、赤字に耐えているような顔じゃないとおっしゃった、まさにそのとおりかと私は存じます。その意味で、もっともっと早くからこの生産性運動を私としては真剣に始めるべきだったというふうに思います。 私どもといたしましては、この生産性運動は一つの精神運動というふうに考えております。生産性本部の三原則その他につきましては、先生が御承知のとおりでございますが、百年たって、このいわば老体化、斜陽化した国鉄を、冒頭に申し上げましたように、二十一世紀に向かってさらに発展させ、要らないものを切って、ほんとうに国民のお役に立つものだけを残して、そうして将来の国民の福祉のお役に立ちたいというふうな姿勢にするためには、やはり部内の気持ちもここで変えなければいけない、いままでのお役所主義の、これは私以下全部でございますが、お役所主義の考え方では、もうこの競争激甚な輸送競争にはついていけないということを考えまして、ここでもって一種の精神の、何と申しますか、躍進と申しますか、改革と申しますか、そういう意味の生産性運動を、これは国鉄職員としてのかまえを私は考えました。 私が申しております生産性運動の一番のポイントといたしましては、二つございます。一つは、国鉄を利用してくださるお客さんあるいは荷主に対する誠意の問題、真心と申しますか、誠意の問題、これが無事故に通じあるいはサービスに通ずるという意味で、私はどうしても国鉄職員としては国鉄の利用者に対する誠意がなければいけない、これが第一でございます。 それから第二は、国鉄そのものに対する愛情がなければいけない。すなわち、国鉄はもう倒れかかっている。これは悪いのはまわりが悪いので、おれのほうではどうにもならぬのだということではなしに、何とかしてお互いの力で国鉄を盛り返そうじゃないかという企業に対する愛情、この二つを私は生産性運動の骨子としております。 その点、生産性本部のいっているいわゆる三原則とは多少違っております。三原則の二番目にありますとおり、各企業で実情に応じてきめるのだというふうに書いておりますが、私なりの解釈といたしましては、顧客に対する誠意、それから企業に対する愛情、この二つが私は生産性運動に対する国鉄職員のかまえであるというふうな感じから、この運動を部内に導入いたしたのであります。たいへんおそかったというふうに私は率直に思っております。もっともっと、こういうことは左前になったときでなしに、一番隆盛であった三十五、六年、ちょうど十年前ぐらいに、先生のおっしゃったとおり取り入れているべきであったということを、率直に私は反省いたしております。
○川俣委員 それでは、必ずしも生産性本部の指導理念とは意を異にするという口であるのだが、それでは一体、具体的に国鉄ではどのようにこの赤字対策をするのか。われわれは国会議員の立場であなた方に言わなければならぬ。それは、生産性向上運動をやっています、精神面だ、そしてこのように教育している、それでは何かテキストでもつくってやっておるのかどうか、それとも口だけで言って横着しておるのか。具体的にやっているならやっているような、具体的なことを教えていただきたいと思います。
○真鍋説明員 現在国鉄でやっております生産性教育は、一つは生産性本部の研修に参加しておるという形で行なっております。これは昭和四十四年約百七十名ぐらい生産性本部の研修に参加いたしました。四十五年度は千名の計画でこの生産性本部の研修に参加いたしております。四十六年度は千五百名、この程度の計画をいたしております。 この生産性本部の生産性研修が中心でございますけれども、その研修を受けました指導員が、これは各国鉄の学園で、それぞれの研修場面で、生産性教育を行なっておるという形で進めております。 テキストでございますが、これは生産性本部でおつくりになっておられますそれぞれのテキストを借用しておるのが多うございますが、その他各学園それぞれで、講師が自分で勉強いたしましたり、あるいは他の資料からとってきたようなものを突き合わせましてテキストをつくっておるのが実情でございます。
○川俣委員 それでは、おたくが使っておる唯一のテキストですが、「指導技能研修会議(生産性運動)」これを一生懸命に努力されておると思います。敬意を表します。そのとおりやっておりますね。
○真鍋説明員 テキストはそれぞれの学園で、そのときどきの研修に合わせまして作成をいたしております。個々のテキストを全部目を通しておりませんけれども、それぞれその時点、その時点で研修会議のテキストをつくっておるというのが実情でございます。
○川俣委員 それでは常務、その代表的なテキストを抜粋して続みますと「総評の指導理念としての“親方日の丸的イデオロギー、政治闘争重点主義”は本年八月、首脳部交替となって現われ、その指導の誤りがはっきりと証明され」ている。そのテキストにこう書いてある。これが生産性向上運動の精神面の教育をしておるのだという総裁の考え方であれば——まずその前に具体的に親方日の丸的イデオロギーというのはどういうことですか。
○磯崎説明員 これは国鉄がよく労使を問わず外の方から言われることでございまして、ごく端的に申しますれば、先ほど先生がいみじくもおっしゃいましたが、経営で赤字が出たって国が何とかしてくれるのだからいいみたいな考え方、全部国家で補償すればいいじゃないかというふうな考え方、これが世間からいわれる親方日の丸だと存じます。これは労使の問題を越えまして、国鉄全体に対する世の中のあるいはマスコミの風当たりの一番強いのは、結局赤字が出たって国が何とかするのだ、税金で何とかしてくれるのだ、この思想、すなわち経営者として、あるいは働く者として、企業の赤字に対する一つのがめつい意欲がないということ、これが私は親方日の丸だというふうに考えます。赤字が出たっていいんだ、それがもう、端的に申しますれば、親方日の丸だ。世間からいわれたままをそのまま申しますれば、いま申しましたとおりになるというふうに思います。
○川俣委員 それではさらに抜粋して読んでみますと「現在の社会党及び総評は、後進国社会構造すなわち、選挙権もなく、労働基本権もなく、圧迫・搾取の時代を前提とした指導理念を未だに踏襲しているといわれても仕方がない。これがため、労働組合が自らの力を効率的に活用する能力もなく合理性に欠けている。しかも、現在の労働組合ほど重複投資するところはないといわれている。というのは年間千億円の金を消費していることだ。千億円の資本金を持つ会社は、日本に五つあるかなしであり、この資本は莫大な利益を生んでいるのに、組合は只消費するだけだ。ここに労働貴族、労働ボスの温床が生まれるのだ。」これは教科書です。そこで「共産党でさえ現在の運動方針は従来の方向から一八〇度の転換を行ない、議会民主主義の堅持と設備の近代化を打ち出している。」これは共産党をほめておるわけです。だとすると、私も社会党の一員に入りまして、これから国会議員の一人として国労というものを指導していかなければならない。少し精神訓話を教えてください。共産党のほうの考え方がいいのか、社会党や総評はだめなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○真鍋説明員 その項でございますが、これは講師の個人的な意見という形で挿入しました、どうも正規のテキストでない部分に載っておるものでございますが、これにつきましては確かに穏当でないということで、私どもの目に触れましたときに、すぐそれにつきましては、副テキストのような形でございますけれども、使用することを中止させております。それは中止いたしましたあとは使っていないと存じておるのでございますが、確かに、個人的な意見とは申しましても、表現が問題があるということで、まことにその点につきましては申しわけないと思っております。
○川俣委員 そういうように簡単に言われるとなんですが、「日本経済の現状」というのが、非常に努力のあれが見られると思うのですが、その中で、深刻化する労働力不足云々、「社会発展の不均衡が各所に山積している。」これは国鉄経営者から見ると、国鉄のいまの四十数万の労働者というのは、いまの国鉄全体の経営上、ずばり言って人が多いのか少ないのか。少なければどのくらい、多ければどのくらいと、ある程度めどを言ってもらいたい。
○磯崎説明員 その点は、私のほうといたしましては、現在考えております——この間、一昨年国会で御承認を得ました財政再建措置法によりまして約十万人減らすということになっております。これはいわゆる機械化、近代化で、先ほど先生のお話しのとおりどうしても人が余ってまいります。しかし、もちろん首を切るということはいたしませんで、結局減耗の補充をしない、そういたしますと、いまお読み上げになったことにちょっと触れておりますが、非常に地域的にあるいは職種的に職員のアンバランスになってくるというようなことで、これを地域的、職種的にならさなければならないという意味で、私どもとしては、国鉄全体の経営を十万人前後減らす必要がある。しかしこれは、激しい方法でなしに、徐々に、昭和四十四年から五十二年まで十年間で減らしていこう、こういうような考え方でございます。また、管理機構につきましては、先ほど申しましたとおり、思い切って中間段階を一つ減らしまして、また本社の最高幹部の頭数も減らしました。極力管理陣営も減らしまして、全体の風通しがよくなるような組織でもって考えていきたい、こういうふうに思っております。
○川俣委員 その他、せっかくつくったテキストを、一々われわれ言うわけではないのですが、自分に与えられた時間もぼつぼつなくなったのだが、やはりおたく方のテキストというものは、生産性向上運動の目的とか原則というものは非常に勉強したと私は思います。生産性を高めて雇用を拡大するというのが一つでしょう。そのためには労使が協力しなければならない。それから、いわゆる生産性向上で生産を上げた成果ですね、これをどうするかといったら、労使協力の上にやりなさいということでILOも教えている。そうでしょう。日本では戦争前にILOが教えておる。労使協力の上で物というものはつくらなければ、これからの近代国家には向かえないのだよということから出発しておると思う。それではどうもいまの国鉄の生産性向上運動というのは、考え方は頭の中ではわかるにしても、目的は人を減らしていくのだという方向の手段のような気がする。どうでしょう。
○磯崎説明員 その点、先生がそうごらんになられることは、非常に私どもとしては力の足りなかった点だと思いますが、私はやはりそうは思っておりませんで、国鉄というものが、冒頭に申しましたとおり、いまのままではもう立ちぐされになる、これははっきりしております。ですから、いまの姿のままで切るべきものは切る、伸ばすべきものは伸ばす。そして、あと百年寿命を延ばすにはどうしたらよいかというふうな考え方でなければいけないと思います。したがって私は、あくまでも二十一世紀の国鉄の姿というものを頭に描きながら、現在のいろいろなあかを落とし、矛盾を克服するという努力をしているつもりでございますが、はたからごらんになって、ただ人を減らすことだけが目的かというふうにごらんになられると、非常に私どものやり方がまだまだ力が足りないというふうに思います。私はやはり国鉄の百年の歴史を振り返った上で、さらに今後百年どうするか、そして、国民が国鉄を喜んで利用してくれる、国鉄の職員が喜んで働ける、そういう職場をつくることがわれわれの目的であって、生産性運動は一つの手段であるというふうに私は考えております。
○川俣委員 これだけは私はちょっと言わなければならぬが、私の言うのはそうではないのだ。雇用の拡大というのは第一原則だ、こういうのでしょう。ところが、冒頭総裁は、守備範囲を狭めなければならないという経営方針を出されたでしょう。だとすれば、守備範囲を狭めるというのは、いまの四十数万というのは人が多過ぎて、これを一部民間におろすとか、あるいは多角経営をするということも考えた結果が、その方向に生産性向上運動をやっておるのか、そうじゃなくて、いまの四十数万というのをさらにベースアップも吸収して、しあわせに、将来の労働者というものを、責任をもってやっていくのだという方向であるのか、その辺がどうも矛盾しておる。
○磯崎説明員 その点はもう少し詳しく申し上げさしていただきますと、これは政府の御方針でありませんで、多少国鉄総裁としての意見だというふうにお聞き取り願いたいのです。 現在約二万キロの守備範囲を持っております。この二万キロのうち、私どもといたしましては、二十一世紀になっても必要だと思われるのは一万キロだというふうに考えております。残りの一万キロはほかの交通機関ができる、あるいはそれができなければ、ソシアルミニマムとして動かすという意味の現状維持的なものが約一万キロございます。ですから、守備範囲を減らすと申しますのは、前のこれから伸びていく一万キロ、これはたとえば複線電化するとかというふうな形でもってどんどん伸びていく。そうして国民の大きな輸送需要に応じる。それからあとのほうのグループの一万キロ、これはどうしても企業経営としてはやってまいれません。これは必ず赤字が出ます。ということは、過疎地帯であり、人も少なく、工業も少ない、旅客、貨物輸送はどんどん落ちてくる、こういう地域でございますので、この部分は、いま申しましたとおり、一部分はやめる、一部分は地方と共同経営する、あるいは最後は、残ったものは国鉄が運営するけれども、それから出てくる赤字は国でもって持っていただくというふうな、純粋公共事業として運営しなければならないだろう。そういう意味の守備範囲の縮小でございます。 同時に、先ほど申しましたとおり、これからいよいよ新幹線の時代になってまいると思います。幸いにことしの予算で、新幹線——東北、上越をお認め願いましたし、また過般の建設審議会でも、各党の諸先生がお寄りになりまして、札幌あるいは鹿児島というふうに新幹線を延ばす建議もなすったわけであります。今後これにいろいろ財政的な問題があると存じますが、私どもは、いわゆる雇用の拡大というのは、そういう新しい面についての雇用の拡大を考えるべきである、いつまでも古い十九世紀の単線蒸気鉄道の姿のままの鉄道ではだめなんだ、やはり複線電化鉄道、しかも主要な地点を高速で結ぶ高速の複線電化鉄道、いわゆる新幹線鉄道、あるいはもう一つ超高速の鉄道というものに向かって邁進する、そこに私は新しい雇用というものが生まれてくるのであるというふうに思います。いつまでも古い鉄道、百年前に生まれた鉄道をそのまま守ることは、決して雇用の増大にならないというふうなこともございまして、捨てるものは捨てる、そのかわり伸ばすものは伸ばす、それによって全体としての雇用が拡大していく。生産性運動の原則の第一の雇用拡大というのは、必ずしも同じ企業内ということだけでもないように伺っております。たとえば新幹線ができることによりまして、東北と東京がほとんど一体になってくるということになれば、東北地方に大いに産業も伸びる。そうすると、そこで雇用が拡大するというふうなことも私は考えていいと思います。たとえば東京−仙台が二時間で結べるということになれば、何もわざわざ東京に工業を持ってくる必要はないというふうなことで、そういう意味の日本全体の雇用拡大に、たとえば現在の東海道新幹線も相当役に立っているというふうに私は考えますが、これが東に西に延びてまいりますれば、日本の全体の雇用拡大に必ず役に立つと同時に、国鉄自体の雇用拡大にもなってくる。しかし古い単線蒸気鉄道はやはり姿を消していくべきだというふうなのが私の考え方でございます。ただしこれは政府全体の御意見かどうかわかりません。私自身の考え方でございますので、その点だけお含み願いたいと思います。
○川俣委員 それでは総裁、個人的なお考えという注釈つきでお話を伺ったのだが、そうすると今度は、国鉄の労働者のほうから見ますと、これからどうなるだろうということに対して、いやこれからは近代経営をするのだ、経営は拡大していくのだ、そして、いまの四十数万というのは、いままでのような国鉄一家の中での従業員じゃないかもしらぬけれども、国鉄が近代経営することによって、ほかのどこかで働く場所が拡大されるのだ、こういうことですか。
○磯崎説明員 その点は、多少違いますのは、ある程度の時間的な余裕があるということでございまして、現在私のほうでは年間約一万人の退職者がおります。ですから、もしかりに一人も補充いたさなければ、十年間で十万人減ってしまいます。そのほかに途中で死んだり私事でやめたりするのが二、三千人おりますので、そういうものを補充しなければ十数万減るかと思いますが、そのうちやはり技術者あるいは若年労働者は補充しないわけにいきませんので、それは補充いたします。そういたしますと、国鉄全体の職員数は減ってくるけれども、いまこれからやめていく連中、大体五十五前後でやめますが、これはいずれ適当に第二の人生を見つけてやっていってもらうということで、いま先生のおっしゃった、副業的なものであまり多数の職員を吸収できるとは私は考えておりません。それほどこれから人をよけい使う副業というものは成り立たないと思います。たとえばホテルをやるにいたしましても、あるいはパイプラインをやるにいたしましても、それほどの大きな人間は吸収できない。しかし十年たてば自然に約十万人ぐらいは減ってくる、こういう考え方でございます。 そのつなぎにつきましては、いま御指摘のとおり、ある程度規模が縮小してくる。しかし、たとえば東北新幹線ができれば、あそこにやはり一万なり二万なりの人間がごそっと全然別にふえるわけでございます。そのふえるものを、いまやめる人ではもう年をとっていてだめなんでございますから、それは新しい供給源から人間をとってくる、あるいは現在の職員をそちらの新幹線に適した職員に教育し直すというふうな方法でもって雇用の維持を続けていく。そして、ある時期に新幹線が非常に大きく膨張するというときには、結果的に見れば雇用は質的には相当拡大されるというふうに考えます。副業と申しますか、関連事業でそうたくさんの人間が吸収できるというふうな期待は実はあまり私は持っておりません。これはもうせいぜい万になればいいほうだろうというふうに考える次第でございます。
○川俣委員 どうも、自然減耗が十年に十万人できるし、長い目で見てくれということじゃ、いま働いている労働者の四十万の不安にはこたえていないような気がしますよ総裁のあれは。やはりもう少し、赤字はこのくらいあるのだ、これからこういう経営をしなければならぬのだ、だからこれだけの人員でやっていかなければならぬのだ、それには自然減耗はあるけれども、若い人は雇用に入れていかなければならない、近代感覚を持った者はこういう仕事をやるのだというビジョンが、労使であまり話されていないようなんですよ。そうだと思います。きょうは組合のほうは呼んでおりませんけれども……。 それから、常務理事がさっき、そのテキストはちょっと穏当じゃなかった、取り消しますと、こういうことを率直に言われて取り下げましたけれども、私が言うのは、そう簡単に取り下げてもらっちゃ困るんだ。それじゃあなたの気持ちが私にはわからぬものな。そうじゃなくて、ILOが教えておるのは、労使の協力の上に立たなければならないのだということの前提として、これは決議でありますからちょっと読んでみますと、こういうような決議なんです。「労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権が確立された上に立って、労使の協力を達成するための計画がこの決議である。」というように教えてある。ところが、いまのように国鉄は交渉権はあまりフリーじゃないし、ストライキ権はとられたし、そういう中で、生産性向上というのはおまえら協力しなければだめなんだということだけのテキストを一方的にやると、いまのような事態、不当労働行為じゃないかという——山形の新庄が九十何名第二組合に入った、こういう結果になる。こうなると、具体的で第二編になると思いますから、私の持ち時間もありませんけれども、問題は、いまの総評の指導理念は、総裁がやろうとする生産性向上運動にどうしてもじゃまなのかどうかということを国会で披瀝してほしいんだ。どこがまずいのか。どういうような態度であればいいのか。それとも、ただ黙って自分についてくるような、音を出さないでついてくるような労働組合でなければ生産性向上運動には適しないのだというものなのか。団体交渉権と団結権と行動権を持った労働組合じゃだめなんだと言われるのか。その辺を少しお話ししていただかないと、せっかくぼくがきょうの質問の機会をもらったのが無意味なんだ。
○真鍋説明員 生産性教育の中では、先ほどから申し上げておりますように、国鉄の現状の中で、労使が協調して生産性を高めていこうではないか、新しい国鉄をつくろうではないかという一点に尽きますので、そういうような教育に終始しておるわけでございます。 ただ、それに対しまして、たとえば合理化反対というようなことでの闘争を組む、違法なストライキを計画するというふうなことについては、われわれ管理者は、当然のことでございますが、それについて十分指導をし、注意を与えるというような考えで教育をいたしております。したがいまして、組合別にこの教育をどうする、あるいはこの教育によりまして組合の組織についての何らかの介入をするというような不当労働行為につきましては、毛頭そういう考えはございませんし、たとえばそういう疑いがあるような言動につきましても、そのつどつど注意をしておるというふうなのが実情でございます。
○川俣委員 具体的な例をこれからやれと言われればかなりありますけれども、それじゃ総裁に最後にお伺いします。 さっきも話したように、会計方式は企業会計というあれをとったけれども、ある一つの会社の社長であれば総裁はどういうことだったのだろうかとぼくは思う。ところが総裁は、民間のそういう苦しみのにおいはしない。組合は親方日の丸的なイデオロギーだと言われるかもしれぬけれども、どうやら親方日の丸は経営者のほうにもあるんじゃないか。それでおれのほうにだけついてこいと組合を引っぱる。生産性向上運動をこれからまだまだ推し進めていくという気持ちがあるとさっきおっしゃった。 総裁に最後に伺いますけれども、不当労働行為のようなことは一切やっておりません、こうおっしゃる。それじゃ、せっかくあのようなテキストは取り消すとは言うものの、ずっと一貫したものは、ただ労働組合は協力しなければならないのだということで一貫しているわけであります。だとすれば、いまの国労というものに対して総裁はどういう考え方を持っているのか、どういう希望を持っているのか、そしてこれからどういうふうに対処しようというのか。
○磯崎説明員 私事を申し上げてたいへん恐縮でございますが、実は私は、二十数年間いろいろ組合との仕事をいたしておりまして、多少そういうことも知っておるつもりでございますが、これだけの危機に立ちまして、もし私が民間の経営者であるならば、あるいは民間の経営者に国鉄の現状をお話ししますと、やはり今後切るべきは切らなければだめなんだ——切るというのは首切る意味じゃございません。企業範囲を縮小すべきものは縮小するのがあたりまえだ。たとえば工場が二つある。能率のいいのと悪いのとある。そうすれば、企業が左前になれば、その悪い工場を閉鎖するというのはあたりまえなんだ。そういう教えをいろいろ受けておりますが、先ほど申しましたとおり、国鉄の二万キロのうち一万キロは能率が悪くてどうにもならぬ。しかし、私どもはやめる自由り持ちません。これはもうやめるわけにいきませんので、赤字でありながら経営せざるを得ない。しかし、その限度においてはどうしても国からめんどうを見ていただかない限り、企業経営としては成り立たないのだ。これは親方日の丸といわれても私はいたし方ない。その一万キロをなくなし得るまでは、その限度においてはやはり税金からめんどうを見ていただくという親方日の丸にならざるを得ないと私は思っております。しかし、そのなるについては、やはり自分でもってできるだけの努力をして、企業経営的なものをやっていく、そして国民に対する負担を少しでも軽くするというのが、私ども経営者なり中で働く職員の義務であるというふうに私は思います。したがって、いろいろ先ほどから申し上げさせていただきましたけれども、とにかく現在日本の最大の企業であって、しかも最大のピンチに見舞われている国鉄といたしましては、やはり部内で労使一緒になって国鉄の再建をまじめに考えるということにつきましては、私はもうはっきり申し上げて、何らそういう点については私自身考えに迷っている点はございません。 ただ、先ほど申し上げましたとおり、国民に対する誠意もなければ、企業に対する愛情もないという、これでは私はどうにもやっていけないと思うのです。その点、全職員が最小限国民に対する誠意と企業に対する愛情、この二つを持ち得るような運動、精神運動を今後とも続けてまいりたい。それは私は決して労働運動と相反するものではないという確信を持っております。 その証拠といたしましては、公共企業体等労働関係法では、第四条に、職員は自由に組合に加入することもできるし、加入しないこともできるのだということをはっきり書いてございます。私は、その精神でもって職員が自分がどの組合に入るかというようなことは当然選ぶべきだし、そうしてその組合が健全な、法律で許された範囲でもって組合自身の発展なりあるいは職員の福祉の向上につとめてまいるということについては、私は最も期待している者の一人でございます。
○川俣委員 これで終わりますけれども、一つだけ率直に。ぼくは端的に言う人間なものですから、親方日の丸だというのはやっぱり、それは無理だと思うのだが、この経営は官吏、役人じゃだめだと思うのですよ。磯崎総裁はどうこの赤字対策に対処するのだろうかと大いに注目しておるのだ。石田のじいちゃん——と言っては悪いけれども、前に総裁だった石田さんは、けんかしてまでも、おい佐藤榮作、少し予算を出せ、こういう姿勢がいまの総裁には見当たらないんだよ。しかもあなた、社会党にも国鉄出身の議員がたくさんいるでしょう、そういう人方をかりて予算をぶんどるという姿勢が総裁にはないんだ。そうでしょう。逆なんだよ。そうう体制にならないんだ。国鉄に二十年間くらいつとめたらグリーン車くらい与えたっていいよ。それを削ってみたり、そんなこそくな考え方で赤字対策なんというのはできないと思うんだ。国会議員も、挙党体制というか体制をつくる、それから総裁も裸になる、国労も一緒になる、そして、みんなあげて国鉄の赤字に対処しようという姿勢が残念ながらいまの総裁には見当たらない。親方日の丸というのは、おれだけつとめれば何とかなる、こういう姿勢じゃだめだ。石田前総裁をほめるわけじゃないのだが、ある程度はそういう政治的な感覚も必要だということを特に私は申し上げておきます。 終わります。
○増岡委員長代理 後藤俊男君。
○後藤委員 いままでいろいろとお話ございまして、もう時間もあと十分くらいしかございませんので……。 どうも先ほどから総裁が言っておられることを黙って聞いておりますと、国民に対して誠意がない、企業に対して愛情がない、それはだれかというと国鉄労働組合だ、こういうふうな印象を——率直には総裁そう言われませんけれども、だから国鉄労働組合、総評というのはだめなんだぜ、先ほど川俣さんが読みましたように、テキストの中身もああいうふうなことが書いてあるわけでございますけれども、先ほどから聞かしていただいてそういうふうな感じを私受けるわけでございます。 これが一つと、それからこれまたいろいろと赤字問題の話が出ました。中身の問題は別にしまして、国鉄としてはたいへんな時期である。これはもうおっしゃるとおりだと思うのです。それじゃこれを一体どう切り抜けていくかということが、ことし、来年、ここしばらく重大な問題として、国民は申すに及ばず、その責任者である総裁としても、いわば日夜寝られないくらいそのことが気になるだろう。この気持ちは私十分わかるわけなんです。 そこで私の言いたいのは、先ほども出ておりました使労の関係ですね、国鉄労働組合と国鉄の当局との関係、これは私も長い間の労働運動の経験から、戦うときには大いに戦う、わかるときには大いにわかる、感情をまじえない労使の関係というのが私は非常に大切だと思うわけなんです。ところが、最近の国鉄労使の関係を、私は総裁から直接聞いたわけではございませんけれども、その辺のところがうまくいっておらぬのではないか、こういうふうな批判と申しましょうか、第三者の声をわれわれ聞くわけでございますが、この点は一体どうなんだろうか、これが二つ目でございます。 それから三つ目の問題といたしましては、国鉄の監査報告を古いのから最近の分までずっと私読ましていただきました。昭和四十年度前後までは、上野のガード下の関係ですね、あれがやはり監査報告に触れられておりました。ところが、最近の監査報告の中身を見ますると、あのガード下の関係につきましては何ら触れられておらないように私思うわけでございます。そこでお願いしたいのは、上野付近のガード下はどういうような契約で一体どれだけの時価でだれにお貸しになっておるんだろうか、これはもうひとしく国鉄におる者はかなり気にしておる問題だと思います。 それからその次には、交通公社、弘済会があるわけです。弘済会も国鉄関連企業の中では非常に大きい業者だと思います。交通公社もしかりだと思います。さらに、最近できつつありますところの清掃会社の問題もございます。それからまた、構内営業の関係があるわけでございますけれども、そこで私申し上げたいのは、赤字であるということはなるほどたいへんな問題でございます。だから合理化をやって人を減らしたいんだというあなた方の主張はわかるわけなんです。いい悪いは別問題にしまして、それならこれだけ大きなマンモス企業といわれる国鉄が、いま言いましたような点が一体どういうような契約でどのように貸されておるんだろうか。これは例でございますけれども、いま申し上げましたような企業にはかなり国鉄の管理者の退職された方がおつとめになっておる関連業者がたくさんあると思うのです。だから私は疑いの眼を持っているわけではございませんけれども、そういうところをもすっきりすべき時期に来ておるのではないかというふうにも私感じるわけでございますので、一番最後に申しました関連業者の契約書、さらに上野のガード下の問題、これらに対して国鉄が契約されておる内容を、委員長を通じましてぜひひとつ参考書類としてお出しをいただきますようにお願いをいたしたいと存じます。 総括的には三点にわたってお尋ねしたわけでございますが、不当労働行為その他の問題についてはきょうは時間がございませんので、われわれのほうもかなりな資料が準備されておりますから、またしかるべき近い機会に来ていただいて、順次お尋ねすべきことはお尋ねしたい、こう考えておりますので、三点だけの御返答をお願いいたしたいと思います。
○磯崎説明員 まず第一の、私が申しました国民に対する誠意と企業に対する愛情、これは私いまの組合があるとかないとかいうことを申したのではありませんで、国鉄職員として、労働組合員である前に国鉄職員、すなわち国民から月給をいただいているのですから、われわれの使用者である利用者、国民、それに対する誠意、企業に対する愛情、これは職員として持つのが当然だ。その点の教育をぜひしなければいかぬというのが第一点でございます。それから、その連中が自分の自覚と自意識のもとにどういう組合に入るか、これは法律に書いてあるとおり全く自由でございます。そこに私が干渉するというのは間違いだと思っております。したがって私はあくまでも誠意と愛情のある職員をつくるのが私の仕事だと思っております。 第二点の労使の問題がうまくないじゃないかというお話、これはお互いに人間でございますので、ときどきぶつかったり離れたりいたしますけれども、私は、全般的にそう悪い労使状況ではないと思います。しかし、先ほど来申しましたとおり、企業全体がいま非常にあぶないときになっておりますと、とかく労使問題もやはりとがりがちでございます。私自身も感情の動物でございますので、その点がないとは申しませんが、お互いに十分話し合いましで、外から見て、何だ、その中でけんかしていては再建なんかできっこないじゃないかというようなことが言われないように、私も全力を尽くしてまいりたいと思っております。 三点の、いろいろな付帯事業、関連事業等、時間もございませんので、これは資料で御説明いたしますが、ことしの予算をごらんくださいますと、構内営業とか関連事業から相当思い切って金を取ることにいたしております。これはいままでの倍以上のものを、大体平均いたしまして三割前後の値上げを全部いたすつもりでございますが、私は、値上げと同時に、たとえば鉄道弘済会が約十億くらいの金を一般の社会福祉事業に出しております。こういうことのよしあしということもあるいは論じなければならない時点がくるのじゃないか。厚生省関係からいうとたいへん困るとおっしゃいますけれども、とてもそこまで手が回らなければそれをこちらへもらうということなども考えなければいけないので、そういう各企業のあり方の根本的な問題をどうしてもここで考えなければいけない時期に来ているということで、こまかい問題はいずれ書面をもって委員長のほうに御報告いたすつもりでございます。
○後藤委員 では終わります。
○増岡委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 本会議散会後再開いたします。 午後零時五十七分休憩 ————◇————— 午後一時四十六分開議
○増岡委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について質疑を続けます。古寺宏君。
○古寺委員 去る二十四日に、岐阜県の各務原市の国鉄高山線の踏切で出かせぎ者の事故がございました。これで三名が死亡をいたしております。この事故によって死亡したあるいはけがをした方方のその後の状況について、どういうふうになっているか伺いたいと思います。
○岡部(實)政府委員 御指摘の国鉄高山線におきまして、労務者を輸送するマイクロバスが衝突をいたしまして、御指摘のように死亡者が三名、主として土木工事をやっておられる労務者の方でございますが、死亡されたという報告は受けておりますが、補償の問題についてはまだ請求その他も出ておらぬように聞いております。
○古寺委員 この踏切は欠陥踏切である、こういうふうにいわれております。非常に事故が多くて、ぜひこれは遮断機をつくらなければいけないというような地元の要望もあるようでございますが、その点について労働省はお調べになったんでしょうか。
○岡部(實)政府委員 そういう地元の要望等については、直接私はまだ耳にいたしておりません。
○古寺委員 そうしますと、これは通勤途上の災害になるわけですか。それとも事故による災害になるわけですか。
○岡部(實)政府委員 衝突事故でございますけれども、労務者を輸送するマイクロバスがぶつかっての事故でございますので、使用者の管理下においてマイクロバスが運転されているということになりますれば、業務上に該当するのではなかろうかと思います。
○古寺委員 国鉄の方にお伺いしたいのですが、この踏切については事故がひんぴんと起きている。つい最近もスクーターの事故があったそうでございますが、踏切の欠陥による事故ではないか、こういうふうに地元のほうからもいわれているわけでございます。その点についてはいかがでございますか。
○北岡説明員 御指摘の踏切は、事故歴といたしましては、国鉄の高山線に走っておるわけでございますが、高山線での事故では三十八年十月に事故が起きておりますが、その後、この事故が一つの契機になったかと思いますけれども、三十九年四月にここは警報機を取りつけておりまして、実は高山線と名古屋鉄道の兼掌踏切でございます。両者話し合いをいたしまして、ここは三種の踏切、いわゆるチンチン踏切になっておるわけでございますが、その範囲内におきましては、少なくとも国鉄側におきましては事故が起きておりませんし、その警報機は十分活用されておりますので、それに伴う事故というのはその後はないというように私どもは考えております。
○古寺委員 この踏切は欠陥踏切であるということで、地元から相当強い要望が出ているわけでございますね。
○北岡説明員 地元からの御要望というのは、だいぶ前にございました。先ほど申し上げましたように、三十九年四月に警報機をつけておりますけれども、それ以後におきましては、私どもは実は聞いておりません。
○古寺委員 現地の人は「七、八年前から小さな事故が何度もあり、三年前に警報機がつくられた。名鉄電車のホームが踏切のすぐ西側にあり、名鉄電車が停車しているときには死角ができて国鉄の電車が見えない。手前の電車が通過したあともよく確認しないと事故が起こるのではないかと日ごろ心配していた。通学路でもあり、しゃ断機が必要だ。」こういうようなことを言っております。さらにまた各務原市の商工観光課長さんは、遮断機がないし、警手がいないので非常に問題である、こういうふうなことも言っているようであります。この事故について、警報機のチンチンが一・三秒とまった、こういうようなことも承っているわけでございますが、そういう点について国鉄は調査をいたしましたか。
○北岡説明員 後段の一・三秒とまっておったのではないかということにつきましては、その踏切につきましては、事故当時は警報機その他は全部正常に働いておりまして、これにつきましては、この自動車のうしろに警察の方が乗っておられた乗用車がおりまして、その方によって現認されておりますので、この踏切は、扱いとしては一応正常に働いていたものだと思います。 なお前段の、欠陥踏切ではないかという御指摘についてでございますが、三十九年の四月に警報機を取りつけました時点においては、国鉄の中では、踏切の保安度に応じまして踏切保安設備をつけるということになっておりますけれども、その保安度に応じた踏切保安設備というのは、三種の警報機設置ということでありましたので、それをつけておるのでありまして、その時点においては見通し距離も一応八百五十メートルということになっておりますので、欠陥踏切であるというふうに私どもは考えておりませんでした。
○古寺委員 これは今後のいろいろな調査の結果どういうふうになるかまだわかりませんが、そこで労働省にお伺いしたいのです。 その衝突をした汽車の中にもたくさん乗客が乗っております。その人たちは通勤途上の人たちであります。そういう方々も負傷をしております。さらにまたこのマイクロバスも通勤途上でございます。こういう場合に、労災保険がどちらも適用になるのかどうか。マイクロバスのほうはそういうような可能性があるというお話でございましたけれども、列車に乗っていた乗客の場合はどうなるのか、お尋ねしたいと思います。
○岡部(實)政府委員 労災保険では業務上の災害を受けたものについて補償するという規定を置いているだけでございまして、いかなる事故が業務上であるかということについてのこまかい規定はないわけでございます。そこで、事実上事業主が管理しておる体制の中で通勤をしてくるという状態のものは業務上と取り扱って差しつかえなかろうという、いままでの業務上認定の一つの基準として取り扱ってきております。御指摘の電車に乗っておられてこの事故にあわれた、この中には事実上通勤の途上におられるということも十分予想されますけれども、列車で通うということが直接事業主の管理下の輸送手段によって通勤されるケースに該当いたしませんので、現在のところ、これを業務上と認定するただいまの基準には該当しないというふうに考えられます。 なお、そういった通勤途上の段階の問題につきましては、現実にいろいろ問題がございますので、通勤途上の災害をどう取り扱うかということに関する調査会をいまつくっておりまして、そこでいろいろ御調査を願っておる。その結果を待って将来検討してまいりたい。ただいまのところは、先ほど申しましたような基準で業務上、外の認定をいたすことにしております。
○古寺委員 そうしますと、列車に乗っておって負傷いたしました十五名の方々、これは国鉄のほうで補償してあげるわけでございますか。
○北岡説明員 お客さまのけがに対しましては、国鉄はとりあえずお一人二千円の見舞い金を差し上げております。その後、けがの治療費につきましては、一応治療は進められておりますけれども、その治療費についての請求を、このマイクロバスの所有会社である建設会社にしておる段階でございまして、この問題についてはまだ結論は出ておらない段階でございます。
○古寺委員 ただいまのように、列車の中で負傷した人の医療費、こういうものについては建設会社のほうに国鉄のほうから請求することになる予定のようでございますが、この場合に労災保険は適用しないわけでございますか。
○岡部(實)政府委員 労災保険のたてまえは、事業主がその雇用する労働者に対しまして業務上の災害について補償する、こういう関係でございますので、直接雇用関係がない方との間には業務上災害の問題はおこらないというふうに解釈しております。
○古寺委員 この踏切が欠陥踏切であって、警報機に故障が起きて、これはもどうしようもない事故であった、未然に防止できない事故であったとした場合、そういうことが判明した場合には労災保険の適用はどうなりますか。
○岡部(實)政府委員 事故を防止し得るかいなか、あるいは事故の発生の状態いかんにかかわりませず、労災保険といたしましては、その事業主と雇用者との関係並びに業務上、外の関係で判定をいたしますので、雇用の関係のない方について、いわゆる労災保険上の業務上、外の問題は全然起こらないというふうに思います。
○古寺委員 これは警察でも調査をすることと思いますが、この欠陥踏切の問題については、国鉄におかれましても十二分に調査もし、地元の意向も聞かれて改善をしていただきたいということを御要望申し上げておきます。 そこで通勤途上の労災適用の問題ですが、この問題の結論は大体いつごろ出るわけでございますか。
○岡部(實)政府委員 先ほど申し上げました調査会は、過去一年をこえまして実は調査をお願いしておるわけでございます。ただ、この事例をどう解決するかの点につきまして甲論乙駁いろいろございますものですから、なかなか調査の結果がまとまらない。そこで私どもは中間的にでもいいからいままでの結果をこの中旬くらいまでにとりまとめていただきたいということを調査会のほうに要望いたしまして、いわば中間的な審議の経過報告的なものは中旬に出てまいります。それをまたその調査に基づきまして今度は問題点を整理して、できるだけ早くまた調査会で、いわゆる今後どう取り扱っていくかということについての御検討を進めていただく。ただ御指摘の、いつまでにということにつきましては、いまの段階ではちょっと明確に申し上げかねますので、できるだけ早く結論を出していただくようにお願いしている段階でございます。
○古寺委員 そうしますと、今月の中旬までに中間報告が出て、さらにそれを検討して結論を急ぐ、こういうようなお話でございますが、やはりきちっとした目標がないと、いつまでたっても結論が出ないのじゃないか、こう思うわけです。一応この目標をきめて、そして最終的な答申が得られるような、そういうきちっとした目標を定めた審議と申しますか、これを調査会に対してお願いすべきじゃないかと思うのですが、そういう点、どうなんでございましょうか。
○岡部(實)政府委員 私どももできるだけ急いで御検討願いたいと思っておりまするけれども、ただいま申し上げましたように、いろいろ調べれば調べるほど問題がいろいろ出てくるというような調査会のほうのお話でもございますので、いまにわかにちょっと申し上げかねますが、なおすみやかにという御要望まことにごもっともでございますので、調査会にその旨、さらに私どもとして本委員会の先生方の御要望をお伝えいたしまして、できるだけ早い機会にめどを立ててまいりたいと思っております。
○古寺委員 できるだけ早いという、どうもこれがはっきりしないのでございますが、大体見通しはどのくらいかかるのですか。一年ぐらいですか、それとも三年ぐらいですか。
○岡部(實)政府委員 過去すでに一年をもう費やしておりますので、そう長くいつまでもということも考えられませんので、明確にちょっと申し上げかねますが、調査会にさらに督促をいたしましてできるだけ急いでいただくということで、いま私から調査会の意向を聞かないで申し上げるのもちょっと無責任なようにも思いますので、御容赦いただきまして、なお一年というお話も出ましたので、その辺は十分御要請を体しまして調査会のほうともよく話をしたいと思います。
○古寺委員 大体通勤途上のそういう事故については全然まだ労災が適用になっておりませんが、通勤途上のこういう災害で死亡している件数というのは、どれくらいございますか。
○岡部(實)政府委員 ちょっといま手元にございませんが、年間を通じてのはっきりした調査はたしかなくて、三カ月くらいの期間で特別に調査いたしました。 〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 その結果は、その全体の事故の中で休業一日以上、通勤途上と見られます事故が、大体そのうちの二割程度ということでございます。件数はちょっといま手元にございませんので、至急調べて御報告いたします。
○古寺委員 そこで、労働災害が年々ふえているわけでございます。この労働災害防止のための実施計画というのを見ますと、昭和四十六年度における労働災害の減少目標は、その発生率を前年に対し約七%減少させるものとする、こういうふうに載っております。あるいは死亡災害についてはその半減を目標にしている、こういうふうに目標が出ております。さらにまた四十五年の労働災害の発生状況は、発生率はほぼ六%の減少、死亡者は六千名を上回るものと予想されると見込まれる、こういうふうに載っております。 そこでお尋ねをしたいのでございますが、昭和三十二年は労災保険の新規の給付者の数というのが七十万九千四百八十三件でございます。ところが昭和四十四年度になりますと百七十一万五千六件になっている。そういたしますと、昭和四十五年度はこの百七十一万五千六件よりも減少いたしたわけでございますか。
○岡部(實)政府委員 いまのお尋ねは、ちょっと私聞き漏らしたかと思いますが、年別の労災保険の新規の受給者の数のお話でございますか——御指摘のように四十四年は百七十一万何がしでございますが、やや減少しておりますが、ちょっと手元に四十五年の数字を持ち合わせてございませんものですから、的確な数字はちょっと申し上げかねます。
○古寺委員 そこで私はお尋ねしたいのですが、今度こういう労働災害の白書も出ております。これでいきますと、労働災害が何か減少しているような印象を受けるわけです。しかしながら実際は、新規に給付を受けている数はどんどん上昇しております。もちろん全体の保険給付額というものも非常に高額になってきております。こういう点からいってどうも納得がいかないのでございますが、この六%の減少というのは何に対して、どの部分が六%減少するという意味なのか、その点についてひとつ教えていただきたいと思うのです。
○岡部(實)政府委員 労災の統計で私どもとっておりますのが、ただいま御指摘の労働災害の発生のうちで休業八日以上の死傷者数を一つの統計の数字としてとっておりまして、その数が三十六年は四十八万件でございましたのが、四十四年には三十八万件、六%と申しますのは、これが対前年の、いまの八日以上の死傷者の数を比較して六%減、こうなっておるわけでございます。
○古寺委員 そうしますと昭和三十二年に三十九万八千百九十人の人が休業八日以上です。この年に新規に給付を受けた数が七十万九千四百八十三人、ところが昭和四十四年の百七十一万五千六人になっても休業八日以上の人が三十八万二千六百四十二人しかないというのはどうも納得がいかないわけです。全体の件数が大体二・五倍にふえておる、ところが八日以上の休業の人の数が減っておる。ですから私は、この労働省の実態の把握のしかたが、何を根拠にして把握しているのか疑問なんです。私はこの統計はうそじゃないかと思うのです。どうなんでしょう。
○岡部(實)政府委員 実は統計の取り方にあると思いますので……。 労災のほうの統計につきましては、いわゆる労災保険に基づいて死傷病報告というのをとっておりまして、そのほうで出てきて、それで新規に適用を受けるという数を拾ったわけでございますので、こちらの八日以上の災害件数とその点で若干ちぐはぐになるということがございますが、実は別々の統計数字をとったものでございますので、いまのような御疑問が出てまいっておると思います。
○古寺委員 いまは死傷病報告書というのは、必ず出さなければならないという義務はないわけでしょう。
○岡部(實)政府委員 報告を願うたてまえにはなっております。罰則を科してどうこうということまでは義務づけておりませんが、報告は出していただくことになっております。 それからなお、死傷病報告の中でとりました休業八日以上の数は、ほぼ三十八万程度には出ておるのでございますが、いまのその辺の数字が、八日に満たないような数が相当まじっておる、こういうことで御理解願えるのではないかと思います。
○古寺委員 これは八日に満たないものが相当まじっておるのではなくて——金額から申し上げます。昭和三十二年の全体の保険の給付額というのは大体二百十二億なんです。それが四十四年度は千十億になっている。そうしますと、死亡した数が昭和三十二年には五千六百十二人、昭和四十四年には六千二百八人、それから八日以上の人が昭和三十二年には三十九万八千百九十人、それが昭和四十四年には三十八万二千六百四十二人に減少しておるわけです。それがなぜ金額において五倍にふえなければならないのか。もちろん医療費の増高もございます。あるいは医療の給付額を見ますと、実にもうこれは七倍近いです。そうしますと、いわゆる白書やこういうところに書いてあるのは、労働災害は最近は減少しておるというような印象を受ける。しかしながら、実態というものはこの数字とはうらはらなんです。 ですから、こういう誤解を受けるような実施計画とかいろいろなものを労働省は出しておられる、ところが実際問題としてはそうではないということです。もう百七十一万五千六人の方が四十四年度には労災の適用を受けておるわけです。そうしますと休業八日以上の人は、死傷病報告は出なくとも、少なくともその数の倍なり、あるいは二倍までいかなくとも、それに近い数の方が八日以上の休業をしているとしか思えない。こういう実態というものを労働省が的確に把握をした上でいろいろな計画を考えませんと、これからこういうような出かせぎ労働者の事故というものも減少しないのではないか、こういうふうに思うのですが、実際はどうなんでしょう。
○岡部(實)政府委員 御指摘の点非常にごもっともでございますが、労災保険関係の一種の業務統計的なものに相当数字は高く出ておりますが、これは一つには労災保険の適用が徐々に拡大されてまいったというようなこと、それから、これはいま聞きますと、業務統計のとり方で若干零細なものも一部、統計で除いておったのを取り上げてみたとかいう、これは非常に技術的な問題でございますが、そういうようなこともあるようでございます。 ただ、御指摘のように、白書その他で言っておりますのが、いかにも何か減少しているという印象を与えるということにつきましては、私どもも白書に、一応八日以上のこれについては減ってきているけれども、ただ減り方は鈍化しておる、それから死亡者の数は六千人台を割らないのだということで、注意して書いてはおりますけれども、その辺は数字の取り扱いについてさらに十分慎重を期してまいりたいと思います。
○古寺委員 どうもそれは違うんですよ。ですから私は、せっかくこういう貴重な資料を出されても、実態に合わぬ資料であっては誤解を招くと思う。ですから一番正確なのは——死傷病報告というのは、たとえば何日休業の見込みというふうに書くようになっております。たしか私はそう記憶している。ところが実際に何日休んでどうなったかというのは、給付の金額で請求しておりますので、こういう面から調べてみてもその日数というものは正確に出てくるのではないかと思うわけです。そういう面では、この実態の把握というのが非常に労働省の場合は、これは失礼な言い方かもわかりませんが、いいかげんである。そういうことがこの出かせぎ労働者の場合にも、ある人は六十万人といいます、ある調査によると百二十万人、ある自治体や何かの調査でやると二百万人、もうどれが正確なのか、どれが実態なのか、その掌握のしようがないわけですよ。ですからやはりそのきちっとした正確な実態の掌握というものが必要ではないか、私はそう思いますが、これからいきますと、休業八日以上の死傷者の数というものはおそらくこれを相当上回るのではないか、私はこういうふうに考えるわけなんですが、いかがでございますか。
○岡部(實)政府委員 統計のとり方についての問題はございますが、この八日以上の統計につきましては、従来同じフォームで、同じような報告をもとにしてとっておりますので、それ自体においては私ども誤りはないと思っております。 ただ、ほかの数字との関連が必ずしも明確でないということにつきましては、もう少し検討をしてまいりたいというふうに思います。
○古寺委員 どうも納得できないのですがね。やはりこの八日以上の死傷者の数というのは、労働省が発表している数の、私はこの金額からいっても、少なくとも倍以上あるのではないか、こういうふうに考えます。どうも実態に合わぬです。ですから、これはひとつ正確な数字を今後発表していただきたい、こう思います。そうしますと、この労働災害というものは実際には非常にふえておる、激増しておる。労働省はそういう数字をなるべくカムフラージュしているといいますか、少な目に発表するものですから、われわれはそういうふうに信じておったのですが、実際に調べてみますと、そうじゃない。ですから労働災害というものは年々増加をしているんじゃないか、こういうふうに思うわけです。その中でも、先ほど申し上げましたように、出かせぎ者が一番就職をしておりますところの建設業であるとか製造業であるとか、そういうところの労災の事故というものは非常に多い。そういう面からいって、私は労働災害の多発の防止について、それでは労働省は一体どういう対策をお考えになっているか、それを承りたいと思います。
○岡部(實)政府委員 御指摘のように最近の災害は、統計上は特に八日以上の死傷者の数は若干減っておりますが、減り方が鈍化しておる。しかし中身を見ますと、災害はむしろ激化しているというか、非常に重要な災害の発生が目立ってきている。その原因といいますか、一つの特徴といたしましては、やはり新しい技術とか新しい工法等が採用されまして、これが十分災害予防の見地から検討するいとまもなく採用されるようなことに伴います重大災害の発生、それから、それと同時に工法が非常に大型化してまいりますので、大型化の災害、それから雇用事情等の変化に伴いまして未熟練な労働者がいろいろ直接の現場に携わる、それからもう一つは、これと関連いたしますが、雇用形態といたしまして最近構内下請というような形の作業形態が起こってまいっておる。そこでそういったような、大ざっぱにいいますと以上の三つのようなことが最近のいわゆる産業災害の発生のおもなる原因とか特徴というふうに見られますが、対策はこれに対応してどうするかということになってまいります。 一つは新しい技術、工法等につきまして、これは事前に災害の面からの検討委員会というようなものをつくりまして、そこで工法、新技術の導入等にあたっては、それを採用するに先立っていろいろ技術的な面から災害防止上の検討をしていくということが一つのやり方であろう。それから未熟練その他につきましては、これは災害教育の問題でございましょうが、特に現場におきまして現実に作業計画を労務者に指示するにあたっては、同時に災害防止の指示も行なうというような、こういう技術訓練と同時に予防のための指示をやるというようなことがございます。それからなお構内下請等につきましては、安全管理体制をそこで企業と下請とが一体となってやるという体制をつくっていくというか、安全管理体制をつくる、こういうようなことを考えて、さらに一般的には災害多発の事業場は特別監督指導の事業場として指定いたしまして、そこは重点的に監督指導していくというようなことを織りまぜまして具体的に進めてまいるということをいたしております。
○古寺委員 この資料を見ますと交通災害による死傷者の数が九十八万三千人です。これは四十四年度ですよ。ところが労災保険の新規の受給者だけで百七十一万五千人いる。交通事故のほうは交通取り締まりの警察官が全国至るところにいていろいろやっても、こういうふうに事故が発生しておる。労働省のほうは限られた監督官でもって、この事故をそれじゃどうやって減少していくかということになるわけです。いまいろいろお話がございましたけれども、安全管理の問題にしましても、現在の労働省の人員でどうやってこの百七十一万五千人のこういう労災の事故を少なくしていくのか、その点について承りたい。
○岡部(實)政府委員 監督官の数が適用事業場あるいはいまの災害の面を見ますと、多発する災害の予防のための監督に非常に足りないじゃないか。そこで私どもはやはり先ほど申しましたように、いろいろ発生原因となる機械そのものについての安全性を高めていく努力をしていかなくちゃいけない、これは技術面のほうでは本質的安全性というようなことでいっておりますが、そういう使われる機械等による災害が非常に多いので、その辺をまず、機械そのものの安全性を確立していく、それから企業内における安全管理体制を確立していく、それからその一環といたしまして安全教育を徹底するというようなことから、そういう体制づくりをまず指導、助長いたしまして、さらに多発産業に対しまして監督を重点的にしていくということで、足らざる監督官をできるだけ有効に災害防止の監督のために充てていく、その前提といたしまして、いま申しましたようなことで災害を総合的になくす対策を並行してやっていく、こういうようなことで努力をいたしておるつもりでございます。
○古寺委員 そういう努力はけっこうでございますけれども、それではとうていこの労働災害というものを防止できないと思います。減少できないと思う。それは不可能です。 そこで、たとえば職業訓練の問題がございます。私どもの地方では農村地帯の出かせぎ者が非常に多いわけですが、今度の生産調整に伴いまして農外の就業職業訓練と申しますか、こういうものを去年から始めたようでございます。これは一体全国で何人の人がこの訓練を受けたわけでございますか。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、四十五年度から農業改善事業の一環といたしまして、農業に就業している人で他産業に就業を希望する人に対しまして転職訓練を実施することといたしまして、そのために簡易の訓練所等を設けまして、四十五年度の後半から農業者の転職訓練を実施いたしております。四十五年度では予算上は三千七百ということで推進をいたしておりますが、なかなか、新しいこういう転職訓練でございますので、農業者の方は必ずしも十分に趣旨が徹底いたしませんで、当初はあまり応募者がございませんでした。したがいまして、現在つかんでおりますところでは、大体四十五年度中は当初予定どおり三千七百まではまいりませんで、本年度は約二千五百くらいが農業者の農外転職訓練を受けることになると存じております。
○古寺委員 それから、この出かせぎ経験者に対する職業訓練というのがございますね。これは全国で何名ございますか、訓練を受けた人は。
○渡邊(健)政府委員 ただいま申し上げました農業者の農外転職訓練は、これはいま申しましたように、農業に従事している者で他産業に就職したい人が、安定した職業につき得るように訓練いたすわけでございます。したがいまして、出かせぎの方でございましても、農外転職訓練を希望される方はお受けするようにいたしておるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げました数字はそれらを全部含めているわけでございますので、うち出かせぎ者が何名ということまではただいまのところ把握をいたしてございません。
○古寺委員 青森県の場合で見ますと、県のほうでは大体出かせぎ者は六万人と、こういうように発表しておりますが、実際には十万人をこえておる、こういうようにもいわれております。その中で、昨年この農外職業訓練を受けた人が二百四十一名なんです。それから四十三年度の出かせぎ経験者の訓練所の入所者は、百四名でございます。こういうような職業訓練の実情では、先ほどお話があった未熟練とかそういうような問題の解決はつかぬと私は思うわけです。そういう点については労働省も非常に消極的であるし、さらにまた農林省においては全然そういうようなものは行なわれていないにひとしい、こういうふうに思うわけですが、こういう点について農林省はどういうふうにお考えになっているのですか。
○井上説明員 他産業従事者の職業訓練その他については、これは労働省にお願いせざるを得ない仕事であるわけであります。
○古寺委員 労働省にお願いするのはいいのですが、やはり農林省も協力しませんと、ばらばらであってはこれはうまくいかぬと私は思うのですが、どうなんでしょうか。
○井上説明員 職業訓練その他につきましては、従来から私ども農業委員会系統の就業近代化対策事業を通じまして、労働省系統でやっておられます農業人材銀行その他の事業との有機的な関連に特に考慮をして進めてまいってきております。さらに今般国会に提出をいたします農村地域工業導入促進法案、これに基づきます今後の施策につきましても十分有機的な関連をもって計画的に進めてまいりたいと思っておるところでございます。
○古寺委員 農村地域に工業を導入する、そういう理想的な農工並進というのですか、非常にけっこうなように見えますけれども、青森県の例を申し上げますと、そういうようなせっかく誘致した企業がつぶれているのです。これは実際に四十一年の九月に、青森県の十和田市が誘致をした工場が倒産をいたしております。二十五日には従業員百八人が解雇されております。このほかにも青森県の下田町の南部電子という会社もありますが、これも一時閉鎖をしております。あるいはフジ精糖という会社がございましたが、これもつぶれております。こういうふうにせっかくこういう法律をつくっても、現実の問題としてそれでは農村にどういう企業を誘致するわけでございますか。何か法案の内容をお聞きしますと、計画をつくるのが市町村や県になるようでございます。そういう企業を誘致する場合に、それでは農林省はどういうお考えでどういう企業を農村地帯に送り込むわけですか。
○井上説明員 このたびの農村地域工業導入促進法案におきましては、国が工業導入についての基本的な指針として基本方針を定め、それに基づきまして県が当該都道府県の県内の地域のそれぞれの特性に応じた基本計画を定め、さらにそれに即しまして県または市町村が当該県または市町村内における工業導入についての実施計画を立てるという仕組みをとっておるわけでございますが、この場合に農村地域が工業導入の対象になるわけでございますから、臨海に主として立地をいたします化学工業あるいは鉄鋼、石油というようなものを除きまして、いわゆる内陸型の工業のうちで、特にできる限り中高年齢層の男子を雇用することができますような弱電、機械工業あるいは木工あるいは食料品といったような産業誘致につとめたいというふうに考えておるわけでございます。なお、非常に安定したかつ成長性のある企業の誘致ということにつきましては、本年度、農村地域工業導入促進センターというものを中央に設置いたしまして、ここが立地条件に関する情報とそれから進出企業に関する情報の橋渡しを行なうことによって、十分安定した企業が誘致できるように援助いたしたいというふうに思っておるわけでございます。
○古寺委員 全国で二千五百の市町村を指定する、こういっておるんですね。それで新全国総合開発計画、いわゆる新全総がありますね。減反とかこういう問題は当初予期できなかった問題で、新全総の中にはそういう計画はないのです。ところが今度こういう新しい農村工業導入促進法なるものが提案されてくるわけなんですが、それでは新全総とのからみ合いはどうなるのです。新全総とこのいわゆる農村工業導入促進法というものの関係はどうなるのですか。
○井上説明員 新全総との関係につきましては、それぞれの地域ごとにそれぞれ調和を保った計画をつくっていただくように考えております。
○古寺委員 たとえば東北なら東北のいわゆる開発促進計画とか、そういうものでございますか。それはいかがですか。
○井上説明員 お説のとおりでございます。
○古寺委員 企画庁はそういうようなものじゃいけないのじゃないかということを言っておるわけですね。今度東北をはじめ中部にいたしましても、地域開発計画というものが一応ことしで全部終わるのです。空白ができるわけです。それに対して農林省は全然逆のことを言っておるわけですね。国がきめた総合開発計画があるのに、それに対してあなたのほうでは全然別なことを考えていらっしゃる。その点はどうでしょうか。
○井上説明員 私申し上げましたのは、先ほどの新全国総合開発計画その他の地域開発計画と各県の基本計画その他が十分調和を保って作成されるようにこの法案の中で仕組んである、そう申し上げたわけでございます。
○古寺委員 そうしますと、この二千五百の指定町村の工場誘致は大体何年くらいの計画でおやりになるのですか。
○井上説明員 対象地域二千五百余りございますけれども、それらの地域にどのような形で長期的な導入を考えていくか、これはこれからの検討課題でございます。いまだまとまっておりません。
○古寺委員 そこで今度は労働省のほうにお尋ねするのですが、出かせぎ労働者の犠牲者というのは非常に多いわけです。その事故の内容を見ますと、これは青森県の場合でございますが、四十五年の四月から四十六年の一月までに死亡した人のうちで、就労中の方は二十三人、それから業務外の方が十二人いらっしゃいます。こういうふうに業務外の死亡者というのが非常に多いわけでございますが、これはどういうわけでございましょうか。
○岡部(實)政府委員 私どものほうで正確につかんでおりますのは業務上の問題でございますが、業務外はおそらく就業しているとき以外にいろいろな形で災害にあわれるという形態であろうと思いますが、その実態については、いまここでこれ以上つまびらかに申し上げることはできません。遺憾でございます。
○古寺委員 これは私の説明がちょっと足りなかったのですが、病気による死亡が非常に多いわけです。病気による死亡が、脳溢血であるとか、いわゆる健康管理が不十分なために起きているわけですね。しかも中高年齢者が多い。そういう面では、出かせぎに出かける前に市町村あるいは地方自治体において健康診断を行なうとか、そういう点を十分に管理いたしませんと、今後こういう非常に不幸なケースがふえると思うのですが、そういう面で、現在出かせぎ者に対するいわゆる国の施策というものが非常にばらばらで、総合的に推進されていない、そういうふうに思うわけでございますが、出かせぎ者を保護するために出かせぎ労働者援護法というような法律をつくるべきではないか、こういうふうに考えるのですが、そういう点についてはどうでしょうか。
○岡部(實)政府委員 出かせぎの問題につきましては、労働省といたしまして、出かせぎに出られる前から帰るまでという、一貫してそれぞれ必要に応ずる援護をとるべきだ、こういうことで、現実の施策の面におきましては安定所、監督署と連携をし、さらに出かせぎを送出しております県のいろいろな相談機関とも緊密に連絡をとりながらやっておるところでございます。 御指摘のそれを総合的に体系づける法律の問題でございますけれども、そういう形の法律が適確に実施されるという前提に立ってあることは非常に望ましいことであろうかと思いますけれども、現実に保護する面では、それぞれの法律の実施がまず確実に行なわれるということが必要でなかろうかということでございまして、総合的立法の問題につきましては、将来の問題として検討をいたすべき事項かと考えるわけであります。
○古寺委員 この問題については何回も前からいろいろ論議をされているようでございますが、労働省としてはこういうことをどういうふうに考えているのですか。将来の検討事項というけれども、このままの体制で十分にこの出かせぎ問題を解決できる、現行法の上でやっていけば十分できる、こういうふうにお考えになっているわけでございますか。
○岡部(實)政府委員 的確なお答えになるかどうか存じませんけれども、出かせぎを労働の面から取り上げてまいりました場合には、いまお話しのように、就労経路を明確にすることと就労条件をはっきりさせること、それと就労している場合の健康と安全の管理を徹底することというような一連の問題になろうかと思います。それぞれにつきましては、労働省のいま所管しております法律で、これを確実に運用していきまするならば実効が期せられるのではなかろうか。ただ、御指摘のようないろいろな点がございまして、現実には実効があがってないじゃないかということからの御発想かと思いますが、法律の制定の問題よりも、まず私どもとしては、何とかいまの出かせぎ問題について、もう少し御指摘のような点が実効があがるような方法を講じてまいるということが先決ではなかろうかということで、いま実際努力をいたしておるところでございます。
○古寺委員 実効があがるように努力をしていただくということは当然のことでございますけれども、時間がないのであれですが、出かせぎ者の援護相談所というのがございます。上野の場合を見ましても、非常に狭隘で貧弱でございます。こういうような援護相談所というものを、今後労働省としてはどういうふうにふやしていくお考えなのか、内容についてはどういう充実をはかっていくのか、その面についてお伺いしたいと思います。
○住政府委員 出かせぎ援護相談所、現在五カ所つくっておるわけでございますが、大体出かせぎ労働者が多数就労しております地域に設けておるつもりでございます。いまも御指摘ございましたように、私どもこれ以上必ずしも個所数を現在の段階ではふやす必要はないのではないか、それよりもむしろ現在の相談所の機能がさらに十分発揮できるように、施設の拡充その他配慮していくべきことではないかというように考えておる次第でございます。
○古寺委員 それでは、時間ですから終わりますが、先ほども申し上げましたように、非常に実態の把握というものがなされていない、正確な資料でないというふうに思うわけでございますので、今後実態を正確にとらえて実効のある措置を進めていただきたい、そういうことを御要望いたしまして終わります。
○倉成委員長 西田八郎君。
○西田委員 最初に、前もって労働者災害の簡単な資料をということで要求しておいたのですが、できていますが。
○岡部(實)政府委員 いま、政府委員室からこちらへ持ってくる途中でございます。おくれて申しわけございません。いま間もなく届きます。
○西田委員 それを見ながら質問しようということであったのですが、とりあえずその書類が届きますまでに、最近の労働災害の発生状況について、件数がふえているのか減っているのか、災害を受けた人がふえているのか減っているのか、ここ五年ないしは十年の推移等についておわかりであれば……。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○岡部(實)政府委員 災害の発生によります死傷者の数、先ほどちょっと申し上げました休業八日以上の数でとっておりますが、四十年からそれぞれ申し上げますと、四十年が四十万八千、四十一年が四十万五千、四十二年が三十九万五千、四十三年が三十八万六千、四十四年が三十八万三千。うち、死亡者の数は四十年が六千四十六、四十一年が六千三百三、四十二年が五千九百九十、四十三年六千八十八、四十四年六千二百八、こういう数字になっております。
○西田委員 労働災害についてはかなり慎重に取り扱われ、また安全衛生等については厳重な監督を進められてきておるわけであります。そして労働者災害防止指導員等もつくられて——あれは災防委員といいましたか、略称そういうものもおつくりになってやっておられるにもかかわらず、発生件数あるいは死者の数におきましては横ばい、むしろ上昇傾向というような状態になっておるわけでありますが、これの原因、どうしてそれが減らないのか、横ばいもしくはふえているという原因が一体どこにあるのか、その点どう判断しておられるか聞かしていただきたい。
○岡部(實)政府委員 幾つかの原因が考えられるわけでございますが、一つはいろいろな形の新工法あるいは新技術というものが導入されてきておりまして、これらの新しい手法が、十分その災害の事前のテスト等も経ずに使われるような場合がある、これらが一つの原因になっている。それと同時に、機械の高速化というようなことがありまして、いろいろスピードがアップされてきておりますが、そういうこともあわせましていろいろあります。それからもう一つは、雇用の事情を反映いたしまして、いわゆる労働力不足を補うための未熟練あるいは高年齢層の労働者が現場作業につくというような傾向が見られる、これらが一つ。もう一つは雇用の形態とも関連いたしまして、構内に下請関係の作業場ができてくるというような傾向が相当見られています。どうも親会社とその下請との関係が十分連絡がとれなかったりいたしまして、そのために安全管理が徹底しないというような事実等がありまして、そのほかにもございますが、そのようなことが一つの目立った原因と考えております。
○西田委員 いまおっしゃった点のいずれもが産業の高度化といいますか高度産業社会化といいますか、そうしたものの反映ということになると思うのです。したがって、テストなしでやるというようなことはきわめて危険なものでありまして、私もかつては機械工であったわけでありますが、新しい機械を導入してそれを運転する場合には、かなり慎重に扱わないととんでもない災害を引き起こすことがあるわけであります。またそのスピードの問題ですけれども、これは当然要求されるものであって必然的に起こってくる問題ですし、それの対応策というものは当然考えなければならないということになるわけでありますが、そうしたいわゆる機械の高度化あるいはハンドワークから機械化、装置化といったような傾向の中で、新しい機械を据えつけて使用する場合に、チェックの段階でその監督官といいますかそうした権限を持った人がチェックすることができるのかどうか、その点はどうなんですか。
○岡部(實)政府委員 これは基準法によりまして、危険な業務あるいは危険な設備等につきましては、設置前に届け出をするようになっております。それらの規定の活用によりましてチェックをしてまいるということはできるわけでございます。
○西田委員 そうすると、できるということはやってこられたということですか。
○岡部(實)政府委員 届け出あるいは監督によりまして、その届け出あったものにつきまして重点的に監督をするというようなことでやってまいってはおります。ただ、どこまで完全に実効が期し得たかということは、いまちょっと数字もございませんので明確には申し上げられませんが、特にクレーンその他については非常に厳重にやってきております。
○西田委員 これは公害関係産業とも関連するわけですけれども、たとえば有害な、東邦亜鉛のようないわゆるカドミだとか鉛だとかというようなものを旋盤で削る場合、非常にこまかい粒子が飛び出すわけです。したがってそういうものの防止対策等もかねて、やはり機械をつくる段階で私はチェックしていかなければならないと思うのです。そういう意味で、このようになると労働省の管轄でないと言われるかもわからぬけれども、やはり行政そのものが十分連絡をとられておれば——これは通産省とも連絡をとって、そういうことを実際に協議をし、点検をしておられるのかどうか、その点についてお伺いしたいのです。
○岡部(實)政府委員 御指摘の点でございますが、たとえばボイラーとかクレーンとか特別な機械装置等につきましては、安全の面から労働省が通産省と協力してその構造規格についていろいろ基準を設置して、それを実施させるということを現に実施いたしております。ただ、そのほかの機械装置につきまして、必ずしもすべてにわたりましてそこまで詳細にわたるチェックをやっておりませんが、徐々にそういうほうにも手を伸ばし、具体的な構造規格の面もはっきり基準を示しながら、製造あるいは流通段階にもチェックが及ぶようにということで考えてまいりたいと思っております。
○西田委員 そうしますと、労働省がそうした関係省庁と連絡をするについては、何か基本になるものがあって、そしてそれをたてにしてやはり入り込んでいかなければできないことだと思うのです。いまその唯一のたてはやはり労働安全衛生規則ではないかと思うのですけれども、この安全衛生規則を手直しするというような考え方はありませんか。
○岡部(實)政府委員 安全衛生規則並びに特別ないろいろな規則が、そのほかにボイラーとかございますが、そういった特別規則が御指摘のような点でただいま動いている根拠になっているわけですが、ただ特に有害物質その他の排出のための装置等につきましては、特定の鉛とか有機溶剤とか四アルキル鉛とか、そういうようなもの以外につきましては十分な基準が明示されておりません。一般的な規定を置いておるだけでございますので、目下それらの物質について特に有害物質につきましては、これをただいまあるような鉛とかその他と同じようなレベルまで引き上げるということにする、それに必要な規則の改正を行ないたいということで、目下中央労働基準審議会に諮問をいたしております。その答申を得次第実行してまいりたい、こう思っております。
○西田委員 いまの安全衛生規則はいつごろ策定されたのですか、現在効力を持っておるもので
○岡部(實)政府委員 これは基準法ができましたすぐ直後にできまして、そのほか特別な規則につきましてはその後年を追うていろいろできたものでございまして、つい最近制定されましたものもございます。ただ安全衛生規則は、その後幾つかの改正を経ておりますが、もとになるのは二十二年ということでございます。
○西田委員 もとになるというのではなしに、最も最近に改正された部分がいつごろかと聞いている。
○北川説明員 機械関係につきましては、最近の技術革新に伴いまして、安全衛生規則の母法が古くなりましたので、本年一月から改正いたしたわけであります。これが一番最近の改正であります。
○西田委員 そうすると、規則が厳守されれば、そういう点は心配なくというと語弊があるかもしれませんが、チェックできる、こういうふうに理解していいですか。
○岡部(實)政府委員 規則ができました暁には、少なくともそういう部面の監督指導をやります場合の具体的な基準が明確になる。したがいまして、それによって具体的な監督が可能になる。いままでは、はっきりその基準が明示されておりませんので、一般的な安全衛生の監督ということにとどまっておりましたが、さらに具体的になってまいりますので、その結果実効があがるものと期待いたしております。
○西田委員 それから、私が心配するのは、新しい機械、クレーンならクレーン、あるいは何といいますか運ぶものがありますね、ああいういろいろな産業機械というものは、やはりそれらをつくるメーカーがかなり機密にしてつくるわけです。ですから、製作の段階においてチェックすることはなかなかむずかしい。でき上がってきてからでないとわからない。そして、でき上がってきたものが商品ですから、売る側は、とにかく悪いところは隠して、いいところしか宣伝しないというところがあるわけで、それで、これは絶対だいじょうぶだと思っておったようなものが、突然シャフトが折れたりあるいはギアがはずれたり、欠けたりというようなことがあるのであります。したがって、そういう点までチェックせよというのは、非常に困難な問題だと思うけれども、やはり人の命にかかわることでありますから、そうしたことは何かの方法で、労働災害防止の立場から通産省等とも連携をして、そして事前にそうした欠陥——自動車でいうならばいわゆる欠陥車ですね、欠陥個所のないように配慮を願わなければならぬし、ぜひそうしていただきたいと思うのですが、それはある程度可能かどうか。全面的に可能だとは私自身も申し上げませんが、可能かどうか。
○岡部(實)政府委員 御指摘の点でございますが、実は従来からボイラ及び圧力容器安全規則等によりましては、製造、設置等からずっと安全基準をいろいろ定めております。これにつきましては、これは非常に俗な言い方で申しわけございませんが、いわば労働省のなわ張りとして非常に確立されておる分野でございまして、こういう分野におきましては、相当実効があがってきております。 そこで私どもは、今後いろいろな設備についても、私どもの分野をいかにして確立していくかということにあろうかと思いますので、そのための必要な規則をつくり、それをたてに具体的に実施していく。これを積み重ねることによって実効をあげるように努力をしてまいるということしかなかろうかと思いますが、そういう方向で実効を期してまいりたいと思っております。
○西田委員 とにかく、これからは労働力不足を補うために機械化されていく時代でありまして、そういう機械がだんだんできてまいりますと、なかなか職業訓練のほうも及ばない。そのために、先ほどもおっしゃったように、未熟なるがゆえに、失わなくてもいい命を失う、あるいはけがをするというようなことに発展をするわけでありますから、そういう点、私これは労働省にあまり強く要望するのはあるいは無理かもわかりませんが、しかし強い権限を持って労働者の生命をあずかっておる労働省として、通産その他にも十分な連絡をとって、事前にそうしたチェックをしていただくように、これは質問というよりもお願いをしておきたいと思います。 次に、一昨年六千二百八人という死亡者が出ておるわけですが、また死傷者も、休業八日以上ということになっておりまして、七日以下は含まれていないということでありますから、三十八万三千というと、これは七日以下も含めれば、推定ですけれども倍近くなるのではなかろうか。一万人をこす交通事故で交通戦争といわれておるわけですけれども、通常事故の起こらないと仮定されておる職場の中で、これだけの事故が起こっておるということは、非常に重要な問題であろうと思うのです。 そこで、お伺いしたいのは、この死亡した災害の中で、おもな業種と、そして年齢別に大体どの辺が一番多いのか、それをひとつわかっておればお聞かせいただきたい。
○北川説明員 死亡の年齢別、業種別に見ますと、やはり建設業が一番多うございまして、昭和四十四年で見ますと、全体約六千強の死亡者のうち二千四百九十二人、全体の四〇%、次は製造業が、労働者数が非常に多い関係で死亡者数も多うございますが、千三百四十八人、二二%、こういうことになっております。それ以外では、鉱業が五百四十六人、運輸交通業が五百九十八人、こういうのが代表的な数字でございます。 それから、年齢別にどうなっておるかという点につきましては、死亡についてのみの詳細なデータがございませんが、災害全体で見ますと、高年齢者ほど災害にかかる率が多うございまして、たとえば製造業について昭和四十四年にとりました数値を見てまいりますと、年齢別の災害にかかる比率は五十五歳以上が二二・二に対して二十歳から二十四歳が九・二でございますから、二倍以上高齢者は災害にかかっておる、こういう結果になっております。
○西田委員 やはり昔から建設業というのは事故が多い、死亡者も多い。製造業といいましても、これは従事する労働者の数が違いますから、件数にしてみれば相当低い数値になるのではないか。ただ建設業だけとれば、これは相当高い。全体で占める割合をおっしゃったわけで、全就業者の中の割合をとってみればもっと高い数値になり、それは非常におもしろい——と言うとおかしいけれども結果になるのではないかと思うわけであります。それに対する対策をどうしておられるか、ひとつお伺いしたい。
○北川説明員 死亡災害につきましては、原因別に分析をしてまいりますと、一つは、いま御指摘のように、年齢が高い労働者に多いという点と、もう一つは、経験不足といいますか、そういう点からくる災害の多さというものがわかりますし、それから、起きました現象といいますか原因で見てまいりますと、やはり、墜落、崩壊、爆発、感電、クレーン災害、われわれ五悪災害と申しておりますが、これが非常に多うございます。この関係につきまして、われわれは来年度は死亡を少なくとも六千件台から五千件台にしたいということを、全国の各基準局長に一応の目標を掲げて努力をいたしておりますが、そのためには、いま申し上げましたように、まず死亡原因の五悪災害を何とか追放をしたいということで、それぞれについての対策を明示をいたしております。これはいま御指摘の、たとえば建設業であるとか、それ以外には鉱山であるとか、あるいは林業、そういうところに多うございますので、これにつきまして前週閣議で報告いたしました年次計画の中で、業種別に方向を指示いたしております。 それとともに、全産業に共通して申せますことは、やはり安全教育の徹底ということがたいへん大事だと思います。これは、出かせぎの労働者の方たちも、いなかから出てこられて、そして現場、特に安全知識なしに土建関係の作業につきますそのことが災害につながっている。教育は本年度は計画的にどの対象をどういう内容でやるかという計画的な教育をやりたいということも考えております。 それからもう一つは、先生御指摘のように、やはり新工法とか、あるいは新しい原材料に伴なうところの法令の整備が若干おくれておるということは認めざるを得ません。これにつきましては、早急に整備をいたしますが、災害を分析してみますと、百起きました災害のうちで、法令違反で出てまいりますのがせいぜい二、三割でございまして、あとの七割というのがやはり行動災害といいますか、労働者の行動によって起きている。それはいまの教育も大事でございますが、もう一つは安全思想の徹底ということで、いかに職場で安全管理を徹底させるかという安全管理体制、これを確立する必要があるのではないか、そういう意味で特に経営のトップレベルといいますか、首脳者の自覚、それから安全管理者の権限の拡大、こういうことに明年度は特に努力をいたしたい、こう考えております。
○西田委員 いろいろとお聞かせいただいたわけでありますけれども、私はやはり経営者というのは、労働者を雇い入れれば、その雇い入れた時間は、人はとにかくぎりぎり一ぱい実際に利益になるところへ働かせるというのがいわば経営者の常だと思うのです。そうだとしますと、安全教育を、労働省あるいは基準局でやらせると言ったって、それはやりましたと言うだけで、ちょいと人を集めて、青い旗を立てて、そうしてきょうはみんな気つけてくれよ、ということで、それを安全教育だというふうにとられると、それは何をしているのかわからないということになると思うのです。したがって、それをやらせるためには、何かやはり、法律で規制するということはむずかしいでしょうけれども、行政指導として、たとえば新規採用をした場合、これは試採用というか、試みの試用期間があるわけでございます。その期間中に安全衛生規則を何時間取り入れて、そしてそこでは、教育をする前に、たとえば基準局なら基準局安全衛生課の目を通してもらうか——許可制度にしたら問題になりますけれども、一応目を通すとか、あるいは安全衛生協会というのがありますが、そういう協会で定められたところに基づいて、そしてその科目をやるというような方法をとって、ある程度義務づけなければ、私は安全教育は徹底しないと思うのですけれども、その点やれるのかやないのか、どうです。
○北川説明員 先生御指摘のとおりでございまして、安全教育と一口にいいましても、職長を教育するのか、あるいは出かせぎの初めて来られた方を教育するのかで教育の中身も期間も違います。先ほど計画的にと申しましたのはやや舌足らずでございますが、私どもは来年度に一応目標をおきまして、文部省でつくっておられるような教育指導要領的なものを各業種、産業別につくりまして、しかも、それも職長用とか、あるいはトップクラス用とか、あるいは一般職員用とか、そういうふうに対象を分けたきめのこまかい要領をつくりまして、それを教えるべきである。そういうことにしますと、期間のほうにつきまして、先生の御指摘のように、定めることが適当であるかどうか、また検討さしていただきたいのですが、いまのところは教える中身をきめておりますので、それさえ教えれば十分安全思想が従業員に徹底するというような方向で教育を進めたい、こう考えております。
○西田委員 そのときに、私はぜひお願いをしておきたいのは、いま災害防止対策委員というのをつくっておられますね。あの委員になっている人が私らの同僚にたくさんいるわけです。ところが委員のなにはもろうたけれども、おれ自身がどうしていいかわからぬという人がいるわけです。そういう人を委員にしておいたって私はあまり成果もあがらないと思うのです。したがって、まずこの人たちの教育も必要でしょうし、そうして労働者というか、だれでもそうかもしれませんが、お役所とか上から来てやられるということになると、ものすごい抵抗を感ずるわけです。自分たちの仲間が来てやるということになれば非常に受け入れもしやすいわけですね。ですから、せっかくなっていただいた方々ですし、全国で何百という人がおられるわけですから、その人たちにもっとそういう面で御協力をいただくというような方法はとれないかどうか、ぜひとってほしいと思うのですが……。
○北川説明員 教育を進めるにあたりまして、役所のペースだけでやりましても効果があがりません。先ほど御指摘のように、災害防止協会という、民間が主体になったような教育か、あるいは業種団体の教育、それから先生のおっしゃいました災防指導員等につきましても、どのような形で御協力いただくか知りませんけれども、これは検討さしていただきたいと思います。
○西田委員 次に、労働省で公害チェックを行なわれましたね。その結果は出たのかどうか。
○岡部(實)政府委員 公害に関する総点検のことでございますが、これは昨年の九月に実施をいたしまして、約一万三千六百事業場につきまして有害物の排出の施設処理がどうなっているか、それから健康診断がどういうふうに実施されたか等につきまして総点検をいたしまして、これは結果がまとまりまして公表をいたしました。
○西田委員 その結果を。
○北川説明員 約四十六の有害物質につきまして調査をいたしました結果、排気、排液、残滓物の処理の状況を取りまとめて出ておりますけれども、概して申し上げますと、排気の関係が非常に未処理の状況が多うございました。概数でいいますと約七割以上が処理されないままで空気中に排出されておるという状況でございます。それから排液、残滓物の関係では約二割程度が処理されない。排気に比べれば排液、残滓物のほうがまだよろしゅうございますけれども、それでもかなりの部分が未処理のままである、こういう状況でございます。 なお、物質別に見てまいりますと、クロムとかシアンとかカドミとかあるいはアルキル水銀、こういうものが問題でございます。 それから業種別に見てみますと、やはりメッキ業であるとか化学関係の工場。それから規模別で申しますと、やはり大企業よりも中小企業にたいへん問題があるというような結果が出ております。 なお、健康診断も同時に調査をいたしましたけれども、それでわかりました第一点は、われわれが法令で健康診断を義務づけておるものにつきましては、大体八割から九割程度実施されておりますけれども、行政指導のものが平均的にいいますと六割、それから単なる有害物ということで勧奨しておるにすぎないようなものにつきましては非常に実施が悪い。たとえば二割から三割くらいしがなかったということで、健康診断の法令上の義務づけにつきましても、有害物につきましてはさらに検討を必要とするのではないか。そういうようなのがこの総点検の結果われわれが知り得ました要点でございます。
○西田委員 そうすると、結果はそういうようにして出た、いろいろの問題があったように聞いておるわけであります。 そこで、燃料を重油からガスに切りかえるというようなこともやっておるわけでありますが、そういうことについて、これは出た結果よりも、それをどう処理したかということが大事だと思うのです。その点について、改善その他について勧告をされ、実際にそうした処置が行なわれておるのかどうか。
○北川説明員 一万三千件のうちで約千件程度法令違反ないしは特に改善を必要とするということで是正の指示をいたしております。それ以外にも文書で是正指示はいたしてはおりませんけれども、今後要注意であるというようなものにつきましては、一応チェックリストをつくっておりまして、昨年の九月の段階では、まだ測定の方法あるいは事業場の把握等で必ずしも万全でございませんで、昨年一度限りでなくて本年につきましても、昨年と同時期ぐらいにもう一度、さらに深い、しぼった総点検をやるつもりでおります。それでさらにフォローをして漸次改善の方向に指導をしてまいりたいと思います。
○西田委員 これはとにかく徹底をしていただきたいと思うのです。私どももずいぶん押しかけていって、六条違反だ、安全規則違反だと言って、監督官を督励して、やらぬのならついてこいと言って、引っぱってきてやらしたことも経験がございます。監督官としては非常に動きにくいのです。それは何といいますか、基準協会とかいろいろな協会で、それらの業者から金を集めて協会運営をしているわけです。そして表彰するときにも、その協会長あたりも出れば、そこに基準局長も出ていって、一緒に顔を並べているということになると、実際問題として人情としてやりにくいと思うのです。その点、予算をふやしてもらって、そういうことのお世話にならぬようにしないといかぬし、協会としてやるのならば、協会は当然自分たちの負担ということだけにしなければいかぬというふうに思うのですけれども、そういう点等もあって、非常に監督官なんかもやりにくいと思うのです。しかし監督官は、やはり労働者の労働条件を守るために、国の資格をもって権限も与えられておるわけでありますから、そういう点、特にひとつ局長、督励をしていただきまして、そしてもう言うことを聞かぬところは、これはびしびしやらなければいかぬというふうに思うわけですが、そういう点について、今後の行政指導についての決意をひとつ聞かしてください。
○岡部(實)政府委員 先ほどの総点検の結果について、私ども非常にはっきりいたしました一つとして、さっき安全衛生部長も触れておりましたが、たとえば健康診断の例をとっても、やはり法令によって義務づけられているものについては実施率が非常に高い。指導その他勧奨でやっているものについては非常に低い。監督がいたずらにただ監督のための監督ということに走ることはいかがかと思いまするけれども、やはり特に勤労者の健康の問題あるいは安全の問題、生命の問題等にかかわるようなものにつきましては、御指摘のように安全衛生規則その他の不備を十分法令的に補いまして、それに基づいて厳正な監督が実施できる体制を整え、それに基づいて、おっしゃるように予算が足らぬところは十分ふん張りまして、その裏づけもいたしまして、できるだけ能率的な実効のあがる監督を実施してまいるつもりでございます。そういうことで足らざる監督官ではございますが、総力をあげてやってまいるつもりでございます。
○西田委員 次に、通勤途上災害の問題なんですが、これはずいぶん長い間議論になっておるわけですが、いまだに明確な結論が出ていないと私は承知をしておるわけです。最近、特に交通等のふくそうによりまして、またモータリゼーションの波に乗って自動車の普及等によりまして、マイカーで通勤する人もおるし、途中で災害にあう人も非常にふえてきておるわけであります。交通事故の分も、労働者災害ということに相ならないかもわかりませんけれども、しかし、少なくとも依命行為ということで出張をする場合は、同じコースを走っていてもこれは業務上となる。通勤ということになると、同じ道を走っていてもこれは業務外ということになる。これは非常に矛盾だと思うのです。そこも当然考えていただいていることと思いますが、通勤途上の災害についてひとつ考えを聞かしていただきたい。
○岡部(實)政府委員 通勤途上の災害につきましては、法律上労災保険あるいは基準法上いわゆる災害補償の対象となるものは業務上の災害だ、こういうことを規定しているのみでございまして、それでは何が業務上ということになるかというと、必ずしも明確な規定がない。そこで、通勤途上の災害が一体業務上に起因するのかどうかということの問題になるわけですが、私どもといたしましては、通勤についていろいろな形の通勤が現実にあるわけでございまして、非常にはっきりしておりますのは、会社がマイクロバスを仕立てて従業員を事業場まで運ぶというようなことになります場合には、これはまさしく事業主の管理下において労務者を輸送するということに相なろうかと思います。その場合に発生したものは、これは業務に起因する、要するに事業主の管理指導下において発生したものということに解釈ができるのではないか。しかし、それ以外の場合に、いろいろなケースがありますが、これらについては、どうも事業主が関知しない、手の届かないところでいろいろ起こるので、しかも第三者行為による災害というようなことになりますので、その法律構成をどうするかというところでは問題がたいへん残されております。各国の情勢も、いろいろ調べましても、それぞれの国においていろいろな考え方、またほかの制度とのからみ合わせ等を見ながらいろいろ実施しているようでございます。私どもは、通勤途上の災害を、少なくとも業務上外に認定する場合の基準をどう考えたらいいかということについては、やはり最近の発生状況等から見まして放置するわけにはいかない、そういうことで調査会を設けましていま御調査願っているところでございます。私どもわりあい早く結論が出るものかと思っておりましたが、一年かかった今日も、どうもいろいろ研究すればするほど問題がまた出てくるというようなことのようでございます。そこで、とりあえず、とにかく一年もたちましたので、中間的にでもいままでの審議の経過等を中心に報告を願いたいということで調査会にお願いいたしまして、中間報告が間もなくこの中旬には出てまいる、それをもとに今度は問題点をしぼって検討をお願いしたい、こういうことになっております。
○西田委員 そういうことであるとすれば、その中間報告なりが出たときに問題を譲ることにしたいと思いますが、出張が依命行為であるとするなら、八時までに出なければならないということは至上命令なんですよ、これは。だから同じように扱っていいのではないか、これは私の考えです。しかし、これで局長と論争しようとは思いませんが、そういう機関でいま審議中ということでありますから、基準局長も調査会のほうにお願いして、できるだけ早く出していただくようにひとつお願いしておきたいと思います。 次に、日本労務管理士協会というのがあるわけなんですが、これが社会保険労務士法という法律によって、労働関係以外の他の社会保険との関連において新しくできた行政書士に属する人なんですが、これの協会が二つあって非常に困っているという陳情を受けておるわけなんです。私どもの同僚の中にもたくさんこれをやっている人がおるわけで、どういうことで困っているかというと、たとえば今度政管健保の保険証の書きかえがありましたね。その場合に、社会保険労務士会に入っている人には、事前にこういうことだからというので通告がされ、そしてまた保険証等も渡されて、前もって記入しておくことができる。ところが、そっちへ入っていないいわゆる労務管理士協会の人には、それをやる同じような資格を持っておるわけなんですが、いよいよあしたというふうに迫ってから、これはあしたじゅうにやれというような形で持ち込まれて困っておる。これはまあ局長の直接所管事項ではないだろうと思うのですけれども、こうして法律が一本化されて、しかも同じ資格の人がやっているわけですから、こういう協会が二つに割れているということは、私はあまり好ましくないことだと思うのです。そういう意味でひとつあっせんの労を——これはむしろ厚生大臣に頼んだほうが解決は早いのかもわかりませんけれども、ひとつ労働省としてもこの問題について早急に解決をはかるようにしていただきたいと思うのですが、きょうまでそういうお話があったかどうか。また、やられたとするならば、経過等について若干聞かしていただきたいと思います。
○岡部(實)政府委員 いま御指摘の点につきましては、実は私官房長をやっておりましたときも、これは官房の直接のあれなんで、厚生省の社会保険庁長官といろいろ話をいたしまして、現実にまあ厚生、労働というなわ張りをいろいろ言うわけではございませんが、両団体がやはり統合いたしまして、そしてこの労務士の業務の運営が円滑にできるように、また資質の向上が相ともに協力できるようにということで、いろいろ努力をしてまいったわけでございますが、どうもこの両協会のそれぞれのおい立ちから構成員の組織、あるいはその種類その他からいいまして、なかなか一挙に統合する機運にならないということで、しばらく団体そのものの統合につきましては、今後の努力課題といたしまして、とりあえず私どもは両省において、いま御指摘のような事務が加入団体の相違によって違わないように、そこら辺の連絡を緊密にとるようにという、まあ了解といいますか、話し合いのもとに、団体の統合は今後の課題としてさらに努力するということにいたしましていままでやってまいったのですが、なかなかむずかしいのが実情でございます。
○西田委員 時間がありませんから、これを読み上げたりあるいはこれに深く入ろうとは思いません。いずれこれはあとでリコピーをお渡ししたいと思いますけれども、東京都民生局保険部長から要請のあった委託事業の関係と労務士会の間にかなりいざこざが起こっているようなんです。しかもそれは同じ資格を持った人なんですね。ですから、こういうことはやはり行政上よくないことだと思いますので、ひとつ早急にこの問題の処理のために努力をしていただきたい。厚生省のほうにも私はお願いをするつもりにしておりますけれども、ぜひひとつお願いしたいと思います。 最後に、あと五分ほどありますので、労働者の国際交流ということについて若干伺いたいのですけれども、いま労働省もレーバーアタッシェをアジアあるいはヨーロッパ等に送りまして、いろいろと海外の事情を聴取しておられると思うのです。しかし、実際にこれからの日本の国際社会における地位等から考えてみたときに、日本の青年労働者がもっと海外へ出て、そして海外の産業事情なんかを視察してくることはきわめて有意義だと思うのです。そういうことで総理府の青少年育成事業等から見ますとかなりな費用が見込まれておりまして、年間四百人に及ぶ人が海外渡航をしておるわけです、もちろん自費負担も含めてですが。しかし私は、これからの産業発展あるいは労働条件等の向上というような意味も含めて、若い労働者が外国を見てくるということは、百聞は一見にしかずということばがありますけれども、日本の産業の発展のためにも非常に役立つのではないかというふうに思うわけであります。そういう意味で、労働省としてそうしたチームをつくって、そして世界先進国あるいは後進国——後進国というと語弊があるわけですが、開発途上の国等の事情を視察するというようなことについて考えを持っておられないかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 先生お話しのように、青年労働者を海外に派遣いたしますことは、青年労働者に自分の技能あるいは労働関係等について視野を広めることに相なりますし、また彼らに夢と希望を与えることにもなることであって、そういう意味で、おっしゃるとおり、非常に大きな効果があると考えております。御指摘のように、総理府のほうで一般青年対策といたしましてやっておりまして、その中にも勤労者が一部入っておりますが、労働省といたしましても昭和三十七年に技能五輪に日本が参加いたしまして以来、技能五輪に参加ということで選手を海外に派遣いたしまして、大会が終わりましたあとに関係各国を回って見聞を広めてくるというようなことをいたしております。さらに四十三年ごろからは、アメリカやドイツとの青年技能労働者の交流ということも始めておりまして、四十五年で申しますと、アメリカ及び西欧にそれぞれ十名ずつのチームを二チーム派遣をいたしております。また去年は、技能五輪が日本で開かれておりまして、選手が外国へ行く機会がございませんでしたので、その選手たちを大会が済みましたあと、ただいま約三十名ヨーロッパに派遣しておるところでございまして、今後も引き続きそういう欧米との技能労働者の交流、あるいは技能五輪に対する参加、その機会を利用しての海外派遣といったようなことを進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○西田委員 二十名や三十名が海外へ行ったからといって行ったことになりませんよ。このごろのいわゆる外国ブームといいますか、正月をグアム島で送った人だけでも十何万といわれているような時代に、二十人や三十人の人を送っても送ったことにはならぬと思うのです。それはほんとうに労働省の報告書の一部にそういうところを残すためのことにしかならぬと思うのです。もっともっと私はそういう人をふやして、ほんとうに、外国へ行って外国を見て初めて日本というそのものがわかると思うのです。私らも数は少ないけれども外へ出てそういうことを非常に強く感じました。ですから、若い間にそうしたことを見聞さしておく、そして、しかもそれは遊びじゃないのですから、一定の目的を持たして、言うならば青年の船労働版というようなものをこしらえて、少なくとも年間五百人や千人の人は送るべきだというふうに思うわけです。業種から考えたってそうでしょう。二十や三十の業種なら大産業別分類。中産業別分類にすればそれ以上になります。小産業別分類ということになるともっとふえるわけですから、そういう意味からいいましても、私はそれをぜひやってもらいたい。これは総理府のほうでやっているということで、労働省の言うことは聞き入れられないかもわからぬけれども、執拗にひとつやってもらいたいと思うので、これはお願いをしておきます。ことしの予算はもうきのう通ったばかりで、いま参議院で審議中ですが、来年度は、もう早い目からこれをひとつ、労働省意欲的にやってもらいたいと思うのです。 それと、レーバーアタッシェがあって、それぞれに領事館なり公館事務所が海外にあるわけですけれども、労働者が旅行したときに、これはいわゆる私用じゃなしに公用等で——公用といったっていろいろありますが、政府の公用ではなしに組合間の交流ということもあるわけで、そういうときに西ドイツあたりは、日本へ来られた人に対しては非常に親切な案内あるいは前もっての予備知識というようなことでやっておられるように思うのですが、日本の場合、どこへ行ってもその点では不便をするわけなんです。これは昨年私はその点を大臣の所信表明の一般質問のときにお願いをしておいたわけですけれども、これも最近は国際化時代ですから、ただ知識のある人だとか、あるいは特別に研究の目的をもって行くだけではなしに、それ以外の人たちも外国を見聞してくる、そういう意味からも特にこれからの労働関係の交流というのは大切な問題になってくると思うのです。日米繊維交渉がもつれましたけれども、日米繊維交渉がもつれたのも原因はどこにあるかというと、アメリカのAFL・CIOの政策転換から始まってきた。そういうことから考えると、ICFTU、国際自由労連の中で日本の繊維の労働組合とアメリカの繊維の労働組合が一つになって話し合っていたわけです。そういう機会をつくっていけば、私はもっともっと国民的な理解と納得というものをふやしていくことができるのではないか。そういう意味で、九兆何千億という予算の中で二億や三億の予算があったってどうということないじゃないかというふうに思うわけで、ぜひひとつその点を、これはことしの問題にはなりませんが、来年度労働省関係者の奮起をひとつお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○増岡委員長代理 次に、寺前巖君。
○寺前委員 私は、昨年予算の分科会でしたか、鉄鋼関係で四組三交代制が総人員をふやさずにやっていくために非常に悪い労働条件になっていってたいへんなことになるのではないかということで、幾つかの問題点をそのときに提起をいたしました。それからもう一年たちました。現実に鉄鋼関係で四組三交代の定員をふやさずにやるという仕事が始まっているわけです。この一年間を考えてみると、造船にしても鉄鋼にしても非常に大きな災害をもたらすようになってきました。それだけに私は、基準行政が、ほんとうに労働者の労働条件をよくするための最低の基準である基準法、ほんとうにその精神を生かしつつどのように指導されるかというのは非常に重要な問題だと思いますので、きょうは多くの問題じゃなしに、しぼって予備直という問題についてのみ聞いてみたいというふうに思うのです。 労働協約でそれぞれの会社で年次有給休暇はこれこれとする、そして予備直はこういうふうにするというのを協約で結んでいるようですけれども、鉄鋼関係の予備直という問題については疑点があるのではないかというふうに思うわけです。というのは、たとえばある会社では休業日というのは八十四日であるというふうに——八幡の場合ですかわざわざ日を書いているわけです。そして、一方では予備直として七日をこの年次休暇に充てるというようなことを書いているわけです。そうすると、予備直というのは年次休暇を充てて七日間取るということになったら、これは年次休暇というものの性格が少し変わってくるのではないだろうか。基準法によって年次休暇というのはどういうものであるかということは明確にさてれおると思うのです。自分が主として選択する権利を持っておると思うのです。一括してためて夏休みをとってもいいと思うのです。これは権利だと思う。そうしてそれは、勤務年数に応じてこれこれこういうふうにふやしていくことができるというようにちゃんときめておると思うのです。ところが、予備直というものは、一つの計画があって、その計画の範囲内において、もうワクにはめられたところの日程としての休日ということになるから、これは自分の選択権がなくなっているのではないか。そうすると、予備直というものの性格は年次休暇に充てていいのかどうか、これは非常に大きな疑問が基準法上あると思うのです。これは労働省として、こういう予備直の取り扱いをどういうふうに指導しておられるのか、聞いてみたいと思うのです。
○岡部(實)政府委員 予備直の御指摘の問題でございますが、予備直につきまして協約で示されている例が手元にありますのを見ますと、予備直については業務上必要がある場合は出勤、その必要がない場合は年次有給休暇の計画的取得に充てるということに予備直の意味合いとしてなるのであります。そこで御指摘の年次有給休暇の計画的取得ということと基準法の年休の規定との関連でありますが、年休の規定につきましては、御指摘のように三十九条で、一定の条件のもとに一定の日数を与えるが、年休で取れるその取り方につきまして第二項で有給休暇を労働者の請求する時期に与えなければならないという原則を掲げ、ただし書きでは「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を防げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」原則は労働者が請求する時期に与える、ただし業務の正常な運営を防げる場合においては別の時期に与えることができるんだ、こういうことです。 そこで、それとの関連になるわけでありますが、このいわゆる予備直をきめました労働協約の趣旨が一体どういうことであるかということで、これは四組三交代を実施するにあたって、その時間の割りふりあるいはその仕組みの上で休む日が出てくるそういう組み方をしたわけです。そこでこういう予備直の日には年休をとるということで予備直を休むということで労資が話し合いをして、そういうしかたで四組三交代を運営しようではないか、こういう労使の間の話し合いの趣旨だと思います。 そこで、私どもはどういうことで指導しておるかというお尋ねでございます。私どもは、やはり年休のとり方については、基本はあくまで三十九条に基づいてやってもらわなければ困る。そこでこの第三項でいっておりますのは、年休を個々の労働者が請求する場合のことである。そこで、ここでいっておりますのは、労働組合と事業主との間の話し合いといいますか協定でございますから、その集団的な協約と個々の労働者の請求の場合の調整をどうするかということでありますので、運用にあたってはこの三十九条の規定が十分配慮されるように運営さるべきものとして私ども従来とも関係者に言ってまいっております。
○寺前委員 そうすると局長さん、どういうことになりますか。協約というのは、やはり労働者に対して一定の拘束を持ちますね。それから法律も拘束を持ちますね。さて、どっちの拘束が上なんでしょう、ちょっとお聞きしたいと思います。
○岡部(實)政府委員 一般的に申しまして、強行法規である場合には、強行法規が労働協約に優先することは当然でございます。
○寺前委員 そうすると、この協約が法を乗り越えての——要するに個人の持っている年次休暇というのはこれこれの権利だ、明らかにその権利を拘束するような協約を結んだら、それは法に抵触するから、そういう拘束にならないようにその協約は取り扱わなければだめですよという指摘をしたのですか、これはどういうことになっておりますか。
○岡部(實)政府委員 それは、労働協約が——この三十九条は単なる宣言規定ではございません。これは強行法規でございますから、当然その労働協約がこの三十九条の条項に違反する趣旨のものであるならば、それは基準法上とにかく問題がある。ただ、ここにございますように、個々の労働者が有給休暇をとる場合に、使用者との個別的な関係でこれを書いておるわけです。ただ四組三交代というのをどう実施していくかということについて、労働組合と使用者とが話し合って、こういうことにしようということの取りきめ自体は、それで両当事者間の取りきめとして当然有効に生きていると思います。ただそれが、いまの三項との関連でもし現実に矛盾をするような場合が起こるならば、その限りにおいて、この法規との関係では協約の運用が問題になるのではないか、こういうことでその点については指摘をしてまいったわけでございます。
○寺前委員 それではいままでに、具体的に本人の権利として年次有給休暇をとる、あるいは予備直の日に出勤しようとしまいと——行った、そうしたら、あなたは予備直の日ですからお帰りくださいと言われた。本人は出勤した、帰らされた、そうすると、本人は出勤の意図を持っているのですから、帰らされた場合はどういう扱いになるのですか、具体的に聞きたいのです。
○岡部(實)政府委員 予備直につきましては、これはここにございますように、業務上必要ある場合には出勤、必要がない場合には年休を計画的にとるようにしてこの四組三交代を運用しようじゃないかという労使の間の話し合いであるわけで、その個々の労働者が、現実にその場合に働きたい、おれはきょうは働くんだ、こういうことで出ていった場合に、一応使用者側は、労働組合との協約で、あなたは予備直になっているけれども、会社側としては業務上必要がある場合じゃないわけですから、年休を計画的にとりませんか、こういう話し合いはいろいろあろうかと思います。それでもなおかつ、どうしても働くんだという場合に、使用者側が労務の提供を受領すべきものかどうかということについては、その年休をとる場合の問題と違って、いまの労務提供を受領する義務がそこに発生するかどうかは、この年休をとる問題とは別個にあろうかと思います。それは労働協約によって四組三交代を実施する運営上の労使の間の一つの約束と申しますか、約束をどう具体的に実施するかという問題にかかっておるというふうになろうかと思います。
○寺前委員 そうすると、あなたの話では、一向に法が上に立たぬで、協約が全部上に立つじゃありませんか。法のたてまえからいったら、年次有給休暇というものは自由にとれるのです。自分は会社に行った。きょうは働こうと思って出ていった。そうしたら、あなたはきょうは年次有給休暇をとってもらう日ですよと向こうから割り当てられるというのは、法の趣旨に反するのだから、そんなことは言えないはずです、個人が行った場合。そして、行って、きょうはおたくは予備直だから帰ってくれと言われた場合には、二十六条に基づいて賃金を払わなければいかぬのじゃないですか、自分の計画にないということになれば。法からいったらそうなるのと違いますか。
○岡部(實)政府委員 そこで、その法のただし書きが一つございます。それで具体的に請求した場合に、原則は与えろ、しかし業務の正常な運営を妨げる場合においては別の時期に与えることができる、こういう規定があるわけなんでございますね。具体的にそういう場合に当たるかどうかという場合が一つあろうかと思うのです。私は、最初に法のほうが優先すると申しましたのは、労働協約で一般的に計画的なものを定めておりますが、具体的に請求が出た場合に、このただし書の規定に該当すると判断するかしないか、この問題が一つと、使用者側のほうの有給休暇を与える法律上の規定として、その業務の正常な運営が阻害されると考えた場合には別の日にという、その規定がどういうふうに動いていくかということになろうかと思います。
○寺前委員 よくわからぬのだけれども、本人が有給休暇の選択権を持っているのだから、選択権を初めから侵害するような計画的な予備直というものがあるというのは、第一おかしいのじゃないだろうか。計画的にこの時期にとりなさいというきめ方自身に一つは問題があるのじゃないかということと、もう一つは、自由にとれるにふさわしい人員配置がなければ事実上とれないという問題があるから、だからとれるように事実上の人員配置をしなければならない。そういう労働行政上の指導がなければ、労働者の有給休暇をとる権利は保障されないことになるのじゃないだろうか。私はどうもよくわからぬのだけれども、労働省のほうが、その権利を守るためにしなければならないのはこれこれだという立場から指導しなかったら、逆に言えば、こうやこうやと言って理屈をつけておるのだから、私は何のために法律があるのだかわからなくなる。だから、もう一度言うと、有給休暇は自由にとるべきなんだ。それを保障するために、初めから計画性をつくってそこにとらすというやり方は、法の精神とは違うよということを明確に言わなければならぬのじゃないか。もう一つは、あらかじめ自由にとれるように人員を配置をしておかなかったならば、その権利は侵害されるよ。そういう立場をとらなければいかぬじゃないですか。労働行政としてはその点はどうですか。
○岡部(實)政府委員 これは、私が最初に申しましたように、第三十九条の規定は強行法規でございます。それで原則は、労働者が請求した時期に与えろ、ただし業務の正常な運営を阻害すると思われるような場合には他の時期に与えてもいい、これが原則でございます。そこで、一般的に個々の労働者は、この規定に基づきまして、自由に自分の欲する時期を指定して有給休暇がほしいという請求を出すことができるわけです。それについて与えるか与えないかは、使用者との間の業務の運営上の調整の問題であろうと思う。そこで労働協約で本来四組三交代を導入しよう、これは労使の話し合いできまったわけです。こういうことで運用していこう、そのときに、その運用の過程においてこういう非番の日が出てくる、それを有給休暇をもって充てるというような方向でこの運営をしたらどうかということを、労使が話し合いできめたわけです。その限りにおいて労働協約は当該労働者を拘束するわけです。したがいまして、そういう取りきめを労働組合と労働協約を結んでやった場合において、その労働協約がその組合でカバーされる労働者に適用されないということはないわけです。これはされるわけです。ただ、される効力がどこまでの効力になるかということになりますと、それは固有の権利を基本的に制限するまでの効力を持つとするならば、それは法律的に疑問がある。したがって、規範的な効力まで持たないで、債務的にそういうことでやりましょう、運営をしましょうという約束の範囲内で、労働者がそれを納得して有給休暇をもってやるということについては、必ずしもこの法規に違反するとは考えてない、こういうことでございます。
○寺前委員 それじゃ、いま局長さんの言われた納得の問題ですね。個々人が納得せずしてやってはならない、そういうことですね、明確に。
○岡部(實)政府委員 その納得ということは、労働協約の適用を受けているので、一般的にはそういう約束をしたということで、労働組合が当然その組合員たる労働者の意思を代表しての話だと思いますので、その場合には、一般的には、そういう仕組みの四組三交代の運用については、全般的に合意をしているということが協約のあり方だと思います。
○寺前委員 そうすると、私は局長さんの発言は非常に重大だと思いますよ。なぜかというと、協約を結んでいるのだからいいじゃないかという話に聞こえますが、そうすると、労働協約で計画的に有給休暇を七日間提出させられている。計画的にさせられているのです。そういうものを有給休暇と言えるか。言えるという判断を局長は下したのです。労働省は下しているのだということになると、これは私は重大な問題だと思うのですよ。法が優先するというのだったら法は非常に明確です。計画的にそういうものをやってはならないということになっておるのです。これは計画性の問題です。会社の都合という問題と意味が違いますよ。計画的に組んだ。計画的に組むということは法に違反する。個人の権利を侵害することになる。私は、原則上の問題だから、あなたがもしも私が理解しているように理解してよろしいというのだったら、私はこのままで引き下がるわけにはいかぬですよ。
○岡部(實)政府委員 いま私が申し上げましたのは、あくまで三十九条は協約に優先するのだということは冒頭に申し上げたとおりでございます。そこで、こういう協約の効力がそれではどこまで労働者に及ぶのかということになりますと、労働組合は労働者を代表してその労働協約を結んだ。そうなります場合に、御承知のように、協約の中身によりまして規範的な効力を持つものもあれば、債務的な効力を持つにとどまるものもある。いろいろございます。そこで、この四組三交代というのは、少なくとも労使の間でこういう四組三交代の運営をやろうということを取りきめた、その限りにおいては、その協約は各労働者にも適用になっておるというふうに見る、だろう。ただし、それが具体的に運営される場合に、個々の労働者の固有の権利を制限するというように運営されるならばそれは三十九条の関連から問題がある。そこで、運用についてはその三十九条の規定に違反にならないように十分慎重に運営してもらいたい、こういう指導をしてきた、こういうことでございます。
○寺前委員 私はいまのをもうちょっと詰めたいと思うのですが、違反にならないように指導しておると言うけれども、違反になるような協約、すなわち計画的に休暇を提出させるという問題は、違反になる協約を初めから結んでいるのだから、その結び方自身に問題がある。再検討を要求します。 参議院のほうで何か都合があるらしいので終わります。
○増岡委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時六分散会