社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 233 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/02/18
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 厚生省は今度の国会には社会保障各般にわたる施策について各種の法案を提案をして、国会の審議をわずらわそうとしているわけですが、この国会を通じて日本の社会保障の前進のためにどういう姿勢とどういう決意で臨もうとされておるのか。大臣は福祉なくして成長なしと言われておるわけでありまするけれども、内閣を代表して社会保障を受け持つ大臣として、しかも通常国会は昨年の特別国会から二度目であります。したがって、昨年の国会において大臣がいろいろ抱負経綸を述べられたことを引き続き実証する国会ではないかと私は思うわけであります。そういう意味合いで、あなたの社会保障に対する熱意と決意のほどを国民の前に示してもらうことがきわめて重要ではないかというふうに思いますので、まず基本的な姿勢は一体何でしょう。
○内田国務大臣 先般当委員会の冒頭におきまして、私からただいまお尋ねの事柄につきましての所信の一端を述べさしていただいたとおりでございまして、結論的に申しますと、私の考え方も総理大臣のいわゆる福祉なくして成長なしという考え方と一体をなすものでございますので、経済成長がここまで参りましたわが国といたしましては、次に目標といたすべき事柄は、いわば福祉大国として成長を遂げていくことにある、こういう考え方のもとに、従来おくれていたといわれます社会福祉施策の各般の課題につきましてできる限りの努力をして取り組んでまいりたい、こういう基本的な考え方に立ちまして予算の編成に取り組んだり、また幾つかの、ただいま仰せられましたような法律案を国会に提案をいたし御賛成をいただこう、こういう考え方に立つわけでございます。
○田邊委員 そこで、社会保障の前進体制を示すというたてまえからいいまするならば、当然国民所得をどう社会保障の分野に生かしていくか、言うならば所得振りかえをどうやっていくかということが非常に重要でありまして、だんだんと社会保障の分野における国民の負担割合というものは軽減をすべき方向にいかなければならぬことはもうおわかりのとおりだと思うのです。したがって、中には社会保障といっても保険料をとっておる部面がかなりございますけれども、少なくとも大きく分けて所得保障と医療保障といわれております。年代的に見た場合には老人、成人、子供等、いろんな年代的な区分けもあろうと思います。しかし、いずれにいたしましても所得保障、特に年金を中心とした所得保障をこれからわれわれとしては重点に置いてやってもらわなければならぬことは事実であります。といって、医療の部面における、国民の健康を守り増進をするというこの任務遂行も忘れてはならない課題であることはもちろんのことであります。 いずれにいたしましても、そういった面でいけば、国民の負担は社会保障の部面においてはだんだんと軽減をする、こういう方向にいくべきであることは、これまた御案内のとおりではないかと思いますけれども、大臣、いかがです。
○内田国務大臣 これはたいへん失礼な言い方にもなるかとも思いますが、私はいま田邊さんのお話の前段には全く賛成、後段につきましてはやはり考えていただかなければならない面があるようにも存じます。 前段の問題と申しますのは、わが国の国民所得あるいは国民総生産の中における社会保障支出の割合あるいは振替所得の割合というものが、言うまでもなく西欧諸国から比べまして現状においては非常に低い状態にございますので、その割合をだんだんにふやしていく、できるならば急速にこれをふやしていくということは私どもともどもに庶幾するところでございますし、そのうちにおきましても、仰せのとおり所得保障、また医療保障というようなことはきわめて大切な事柄であることにつきましては田邊さん仰せのとおりでございます。しかし、国民所得の中における振替所得の割合を多くする、他のことばで申しますと社会保障支出の割合を多くするということになりますと、やはりそれだけ負担が伴うわけでございます。全体として、これはマクロの見方になりますが、その負担をどこに帰属させるかということになりますと、いろいろ負担の帰属点が問題になることは当然でございますけれども、マクロの見方に立ちます場合には、振替所得を多くする、社会保障支出を多くいたしますためには、やはりそれだけ国民全体としては負担の面も出てまいる。これは私は決して高負担高福祉ということを申すわけではございません。できるならば低負担高福祉ということでありたいとは思いますけれども、やはり国民所得全体の中における社会保障支出の割合をふやすということになりますと、それだけ国民所得の一部をそのほうへ回すことになりますので、どこからその資源を持ってくるかということについては、田邊さんも申しますようにいろいろの政策があるべきであると思いますけれども、国民の負担全体としては低くなればなるほどいいということではない、また田邊さんもそういう趣旨でおっしゃっておられることと思いますが、そのように私らも考えるわけでございます。
○田邊委員 もちろんこれは税負担の中において特に低所得の人たちに対する負担を軽減するという、こういう方法は当然とらなければならぬと思う。したがって、いわば負担の面におけるところの上下の差というのについては私は当然考えていかなければならない点が多いだろうと思うのであります。この問題は、実はわれわれとしては、今後の各般の法律審議の際に、特に国民年金や厚生年金その他のいわば所得保障に対する国の政策の面において、さらに究明をしなければならない点が特に多いと思うのであります。私はさきに予算委員会等でも質問いたしましたから、きょうはその点に対しては全く省きたいと思いまするけれども、一医療保障の面にとってみましても、いま申し上げたいわゆる国民の低所得層に対するところの負担増というのは、これは何としてもやっぱり避けなければならない。できるだけその負担区分というのは高所得のほうにより重きが置かれなければならないというこういう観点は、これは大臣も私と一致するであろうと思うのでありまして、ひとつその基本的な立場に立って、今後医療問題についても、あるいは所得保障の問題についても論議を展開してもらいたいと思っておりまするけれども、これはよろしゅうございますな。
○内田国務大臣 私も同じ考えでけっこうだと思います。
○田邊委員 きょうは実はいろいろとお伺いしたい点がたくさんありまするけれども、他の委員に譲ります。 そこで、今国会においていろいろと論議になっておりまするところの医療保険の問題については、何かこれに対していろいろないきさつがあったり、いろいろないきがかりがあったりという形でこれからわれわれはこの問題に対処したくはないわけであります。きわめて冷静な態度で、ものを客観的に見て、将来の展望の中でもってこの問題に対処してまいりたいと思っているわけです。その点では、いろいろとここ数日間、大臣としてのいわば政治的な姿勢の問題なり責任の問題なりが問われてきたわけでありまするけれども、私はそのことをただ単にここでもって究明をしようとは思いません。ただ、いわば国民の生活につながり、負担につながり、健康につながる問題についての重要な課題である医療保険の問題、当面政府が考えておる政府管掌健康保険の赤字対策の問題、この問題に対してはいろいろと苦慮をされてきた中において、なおかつ慎重を期さなければならない命題であろうと私は思っておるわけであります。 ところが、昨日予算委員会における大臣の釈明もありましたけれども、今後当委員会においてこの取り扱いをするにあたって重大な欠格条項があるものについては、やはりその前提条件をしっかり確立してもらいたいという気持ちで私は一ぱいであります。健康保険法の改正については、すでに社会保険審議会と社会保障制度審議会の答申を求めた、こういう形をとっておるわけですけれども、両審議会が政府に対して答申をいたしましたのは、昨日の一体何時何分でございますか。
○内田国務大臣 まず私は田邊さんに非常に感謝をいたしますことは、この問題で私どもが行政当局として非常に苦しんでいる立場について御理解をいただいておりますことと、それからさらにその次には、いまのおことばにもありましたように、この問題の当委員会における審議においては、従来のいきさつなどにとらわれることなく、大所高所から、ものの本質から論議をしたい、こういうおことばをいただきましたことは、私として非常に田邊さんに感謝をいたします。事実、私もいまは厚生省におりまして行政的な責任者になっておりますけれども、言うまでもなく議院内閣制度のもとにおける政治家の一人のつもりでおりますので、私はこれはやはり政治家として大所高所からこの問題を処理していきたいというまじめな気持ちを持つものでありますので、これからいろいろ御議論をいただく過程におきましても、私は田邊さんといろいろ思いを共通にする面があるであろうことを、いまの田邊さんのおことばの中にもくみ取れまして、その点を感謝するわけであります。 ところで、いま答申の件でございますが、昨日いわゆる諮問に対する答申として両審議会からいただきましたのは、社会保険審議会のほうが午前中の御答申であり、また社会保障制度審議会の答申は午後にわたりまして、一時過ぎでございました。
○田邊委員 正確なやつを……。
○戸澤政府委員 社会保険審議会の答申が総会できまりましたのが十一時三十分ごろ、それから制度審議会から出ましたのが十三時二十分ごろであります。
○田邊委員 国会提出は一体いつごろですか。
○戸澤政府委員 十三時四十五分ごろ国会に提出されたと思います。
○田邊委員 そういたしますると、その間に――もちろん両審議会の審議の際にいろいろな意見が出たことはその過程で踏まえることはできまするけれども、しかし一応形式的に見た場合には、それぞれの審議会が答申をいたしましたものを政府は検討いたしまして法律案提案になると思いまするけれども、その間わずかに二十五分、一体これでもって両審議会の答申をあなた方が、いわば縦からも横からも、紙背に徹しても検討いたしましてその答申の趣旨を十分生かし、それを盛り込んで法案の提案をする、こういう、いわば社会保障制度審議会設置法なり社会保険審議会法なりに基づいた法律手続が完全な意味において完了しておると考えておりますか。
○内田国務大臣 なお政府委員から補足答弁があるかもしれませんが、時間の関係からいうと、田邊さんのおっしゃるとおりでございます。しかし、これはいまおことばにもございましたが、両審議会の長い審議の過程を踏まえての答申でございまして、その審議会には私どものほうの担当官も常に出席をいたし、また私もできる限り出席をさしていただきましたので、これらの審議会における問題の取り上げ方、論議の経緯というものは私どもは承知をいたしておるわけでございます。 それからもう一つは、答申としての形のそろった書面をいただきましたのは、いま申し上げましたとおり昨日の時点でございますが、たとえばそれに先立ちまして社会保障制度審議会では昨年暮れの十二月十九日に「医療保険制度について(意見)」というものを文書にしていただいておるわけでございまして、私もこれを持っておりますが、その中に今回の、昨日の答申よりも、各問題にわたりまして具体的に批判をされました事項をことごとく含んでおるわけでございまして、この御意見をも踏まえて、私どもは四十六年度のこの保険関係の予算をも実は組んだわけでございますので、実態はいま申しますように、この意見書並びにそれの前後にわたる当該審議会の論議というものを私どもはくんでまいってきております。くんでまいってきておるということはそのとおりになっておるということではもちろんございませんけれども、その意見を私どもは踏まえて案をつくっております。同じことは社会保険審議会におきましても、昨年の十一月二十五日に今度の、四十六年の対案についての御意見を、案をいただいておりまするし、さらにそれに先立ちまして十月三十一日には「医療保険の前提問題についての意見書」というようなものもいただいておりますので、そういうものを踏まえて、そして御答申があった時点に法律案を国会に提案いたしました。 さらにまた、前段に長々と述べましたことを踏まえて今度の法律案の要綱案というようなものも、予算委員会の御要求がございまして、先にお示しをいたしておくというようなこともいたしておりましたし、また予算委員会でも、いろいろの事情を御承知の上で十六日までには必ず法律案を出せ、こういう御要望でございましたので、これは半日ほどおくれて非常に手違いをいたしましたけれども、法律案を出した。こういうようなわけでございます。手違いの点につきましては、昨日申し開きをいたしたようなことでございます。
○田邊委員 大臣、さっき私が言ったことをあなた逆手にとったようなことを言いますけれども、そういうふうに形式ばって言いのがれをすれば事が済むという、そういう考え方はぜひ捨ててもらいたいというので、さっき私は実は前段に意見を申し上げたのです。あなたはここでもって、いままで審議会が――たとえば社会保障制度審議会だけとってみても、昨年の十二月十九日に意見書を出したことについて、私は予算委員会であなたにこの中身についていろいろと質疑をいたしました。しかし、問題は、この答申の結末に書いてありまするとおり、政府の考えていることは、全く制度審議会なり社会保険審議会で言っていることと、いわば天と地との違いがある。政府はこういう考え方は放てきをして、もう一度考え方を新たにして出直してこい、こういうのが社会保障制度審議会のいわば結論であります。まさに異例であります。この前の四十二年、四十四年、特に四十四年のとき、私は社会保障制度審議会の委員として出ておりました。政府をしかりおくということで、いわば制度審議会は切って捨てたわけであります。政府の諮問案に対していわば答申をしていないというのが、あのときの制度審議会の態度でありました。しかりおくということ。しかも今度は、しかりおいて政府は手直ししろ、実はこう言っているのであります。いわばさらにきつい態度でもって制度審議会は答申を出しているのです。そのあと二十五分の間に、政府はいままであなたが考えてきた考え方を何ら変更することなしに、いわば両審議会の答申というものは全く踏みにじって、全く無視した形でもって今回提案をしている、こういう形であります。 大臣の答弁の中に、いろいろいきさつはあったけれども、実は拙速主義だった、いろいろとせかれるものだから、われわれとしてはどうも本意ではないけれども、あわてて答申を受けて、その直後に政府案を提案いたしました、これは拙速主義のそしりを免れません、今後審議の過程でもって十分ひとつお互いに意を尽くすように勉強し合いましょうという態度だろうと思って、実は質問したのです。それにもかかわらず、大臣のいまの弁明というのは、まことにいわば形式主義の、うわべだけを整えれば事が済むという考え方じゃないかと私は思うのです。あなたの真意はそうではないと思う。これは当委員会がいわば専門委員会として今後各般の法案審議をしていく委員会であり、私が社会保障についての基本的な考え方を聞いたのも、そこは実は力点があったわけですから、そういった点で、まあここに、きょうは予算委員会でないから、あなたのやはり率直な、こういった手続は決して十分でなかった、きわめていろいろな面において不備があったけれども、事情やむを得ず、実はそういった拙速主義をとらざるを得なかったということを、私は明らかに腹の中を打ち割ってしゃべってもらいたいと思ったのです。一体どうなんですか。
○内田国務大臣 おことばはよくわかりますが、まさか私が大臣として、答申がございましたので拙速主義で、とにかく十分な検討もしないで案を出しましたというようなことは、これは申し上げられるものではございません。時間的に御指摘がありますと、昨日中に御答申があって、昨日中十分な時間がなくて法律案が出たわけでありますから、おしかりのようなことになるわけでございましょう。でありますが、私は何ぼ何でも拙速主義で出しました、こういうことは申し上げられません。私は、もう昨年来、予算編成の当時から、両審議会で打ち合わせをいたしました経緯を踏まえて要綱案もつくり、それで法律案もつくっておりましたので、御批判は御批判といたしまして、これは私は十分胸にとめておりますので、ことに法律案を審議しますのはもちろん国会でございますので、国会で十分な御批判をいただきますことは、これはもう覚悟もいたし、また私どももできる限り御説明を申し上げて御理解もいただきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
○田邊委員 それじゃあれですか、両審議会の審議過程も十分踏まえておる、保険審議会は昨年十一月、制度審議会は昨年の十二月それぞれいろいろな意見を述べられた、そういうことを承知しておるから、両審議会の答申が出た直後に出しても拙速主義ではない。拙速主義とは、あなたは腹の中では思っておるけれども、口に出して言えないという御答弁ですけれども、それならば、この両審議会の意見を十分尊重して、この答申の線に沿ってあなたは出したのですか。それならば、二十五分間で出してもあるいは誤りでないかもしれない。両審議会の答申の本意によく沿った形でもって法案が出たならば、これまた二面早い時期に出ても、拙速主義のそしりを免れるかもしれない。答申の趣旨を十分に尊重しておるのですか。たとえば十二月と昨日出た制度審議会の答申と幾らかニュアンスが違うなんて、新聞の報道を見ますとあなたは答弁しておるようですけれども、とんでもない間違いですよ。これはきょうでなくてあとで論議いたしますが、全く制度審議会の首尾は一貫して、政府のいわば当面を糊塗する赤字対策に対しては、これは誤りである、基本的にこれは間違いであるということを指摘しておるのでありまして、あなたのほうは抜本改正にも何か一歩踏み出したようなことを言っておるけれども、制度審議会の認識は、あくまでも、この内容というものは赤字対策の域を出たものとは認めがたい、こういうふうに言っておるわけでありまして、政府の考え方は改めなさい、一てきして出直しなさいと言っておるわけでありますが、一体どこに両審議会の答申を尊重してあなたはその直後に国会へ提案をなされたのですか、どうなんですか。
○内田国務大臣 私は、沿っているとは申しておらないわけでありまして、両審議会の答申を踏まえてとか、あるいは昨年来の御意見も承って、そういうことも胸にとどめて案をつくりました、こういうことを実は申し上げております。そのとおりにおっしゃられると、沿っていることにはなっていませんので、いま申し上げましたように、そういうことにつきましては国会でいろいろ御議論もあることだと思いますので、御議論をいただいたり、また国会は立法府でございますので、私どもも説明を尽くさしていただきたい、こういうわけでございますので、どうぞひとつそのように御理解願いたいと思います。
○田邊委員 それでは両審議会はなくてもいい。両審議会への諮問なんというものは、いわば形式だけである。これは答申は無視した――沿っていないということなら、答申を無視した形であなたのほうの当初の考え方をそのまま国会に提案したということと同じですから、そういうふうに受け取っていいわけですね。これで終わりますよ。それでいいですか。
○内田国務大臣 あくまでも私は、両審議会のいろいろな御議論を踏まえてということにしておいていただきとうございます。と申しますのは、これも単純な審議会ではございませんで、御承知のように、いろいろな利害を代表する方々で構成されておる審議会でございますので、一本にするということにはいかない御意見になっておるわけでございますので、ああいう意見もある、こういう意見もあるということを踏まえながら案をつくりまして、国会の御批判をいただく、こういう次第でございます。
○田邊委員 きょうは中身について私はあまり触れないつもりで質問をしておりますけれども、しかし私は、さっき言ったように、そういう何か形式だけ整えて、いや、諮問をいたしました、しかも、早くやれ、早くやれというので、両審議会を徹夜でもってさせて、答申を得たその直後に国会に出した、一応形は整いましたという形の中でもって、国会審議でいろいろやってもらいたいというのは、これは私はきわめて役所独善だと思うのです。それならば、この法律案の趣旨に沿った審議会の答申を求めてやるというならば、そういうこともこれは必要ないのです。事実上は両審議会の答申というものはあまり意味はなかったですな。無意味だった。意味があったけれども、あなたのほうはそれは素通りして法案を出したという形にしかとれないのでありまして、私はそれは政府の重大な政治責任なりにつながる問題であるように思うのですよ。今後そういう方針を貫かれるのですか。
○内田国務大臣 私は決してさように思っておりません。両審議会は、いま申しますように、いろいろの方面を代表される方々からできておりますので、いろいろ相矛盾する議論も正直にいってございます。それらはそれなりにごもっともな意見でありますので、そういうことを踏まえて案をつくってまいりましたことが一つと、また昨日の御答申にいたしましても、私どもは――抜本改正の全部ではございません。これまでも述べてまいりましたように、抜本改正への第一着手として私どもは考えておりますので、これから先私どもがやるべきことにつきましての両審議会の御注文、考え方というものも十分私は反映をさせていきたい、こういうつもりでございます。両審議会の答申を無視するつもりは全くありません。答申は、私どもにとりましても大いに意義があると考えて、独善的にやろうということでは決してございませんので、そのように御理解いただければ幸いでございます。
○田邊委員 時間がないから私は多くを言いませんけれども、幾ら内田厚生大臣そういうように強弁されても、社会保険審議会の最初の一致した意見の中に「本審議会は一昨年来鋭意抜本改正の審議を行ない、近くその結果を得る努力を払って今日に至った。しかるにこの段階において、被保険者、事業主の負担を主とする財政対策の色彩の強い本案が諮問されるに至ったことはまことに遺憾である」これは各界の違った意見じゃないでしょう。一致した意見ですよ。制度審議会はまして一本の答申でしょう。これは違った意見を述べているのじゃありませんよ。各界意見の並記じゃないでしょう。これは制度審議会の性格からいってもそのとおりなんです。政府の考え方は明らかに誤りである。抜本改正について「審議を続けている矢先にかかる形で諮問してきたことはまことに遺憾である」と、やはりこれも痛烈に政府を批判している。そういう形の中で、この政府の考え方というのはこれは誤りである。政府はこれは再考しなければならない。あなた、再考しなければならないというのは一体何ですか。再考しなければならないというのは、あなたのほうの出している考え方が間違いだから、もう一度出直して来いという意味じゃありませんか。ほかに意味がありますか。
○内田国務大臣 私はあまり議論もいたしたくないわけでございますので、この程度で御理解をいただきたいわけでありますが、昨日の御答申は読み上げられたとおりでございます。でありますから、申し述べましたように、これは抜本改正というものは今回を第一着手としてこれから仕上げていく広い分野を持っておりますので、御答申の趣旨が今後の私どもの抜本改正の作業につきまして非常に多くの指導や示唆を与えていただけるものである、私どもはそのこともよく頭に置いてまいりたいということは、ただいま申し上げておるとおりでございます。またその文章は、そういうふうで一枚紙でございますが、こだわるわけではございませんけれども、昨年の十二月十九日の意見書には、それをさらにブレイクダウンしたいろいろな点が取り上げてございまして、これまた議論になりますからここで読み上げる必要もないのでありますが、そういうこともたいへん私どもはいい御注意をいただいております。それを一本ですべて今度の法律案に取り入れるということができませんので、ああいう法律案で出してございますが、昨年の十二月の御意見も今度の御答申も、いま述べますように、十分それらを踏まえたり、また今後の私どもに対する作業の指針といたしてまいり、またさらに国会では十分な御議論をしていただく、こういうつもりでおるわけでございます。何にいたしましても、十六日までに国会に出すべしというきつい御指示でございますし、審議会のほうが十七日にずれ込んだというようなことで私が釈明をいたさなければならないことになり、半日ずれてまいりましたのできのうあの法律案を出した、こういうことでございます。これは、田邊さんの言われる時間の問題について、私どもの作業の点につきましては御批判の点もあろうかと思いますが、おっしゃられる意味もよくわかりますけれども、私もその責任者の地位にある者といたしましてなかなかむずかしい点もございましたので、その辺も御了察をいただきまして、またひとつ今後の議論の対象にしていただければ幸いだと思います。
○田邊委員 あらためてまた論議をいたしますから、きょうはこれ以上述べません。あなたがいかに理解をしてくれといっても、理解のしようがないのです。あなたがいかに強弁をしても、まさに審議会を無視した、あなた方の当初の考え方をそのまま押し通した、いわば横車を押した形の赤字対策以外の何ものでもない、こういう形で適格条項を欠いて今度の国会にあなたのほうで強引に出してきたということになっていると私は思うのです。両審議会の、これは十二月十九日のものは、何かそこでもって一生懸命線を引っぱったり何かしていろいろ見ているようなことをしておりますけれども、あなたの見ているところは違うところを見ているのじゃないですか。一番大切なところは、あなた、線を引っぱっていないじゃないか。眼光紙背に徹するということがあるけれども、内田さん、あなたはこれを見てないで、上のほうだけ素通りして、違うところを見ているのじゃないか。そういう形では国会の審議はできませんよ。しかも、十六日に出せなかったことを半日ずれ込んだなんて言っていますけれども、最初から十六日に出せないということをあなたは言うべきだったのです。いかに予算委員会で強く言われても、十六日に両審議会のりっぱな答申を得て、その答申の線に沿って、意見を尊重して法律案をつくって提案をするならばこの種のものは十六日には間に合いませんと、最初に言っておくべきなんだ。それを十六日には間に合います、見切り発車はいたしません、定時発車をいたします――定時発車というのは何ですか。十七日の一時四十五分というのが定時発車なんですか。これは天変地異が起こったわけですか。そういう見通しのなかったことに対する不明を恥じなければいかぬと思うのですよ。その政治的な責任をあなたは痛感しなければいけないと思うのですよ。きょうのところは、私のわずか三十分ぐらいの質疑応答の中でも、いうなればあなたの形式ばった答弁ではなくて、いわばいままであなたのとってきたことに対する不明を恥じて、その中でもって政府自身も十分な出直しをやるというのが、私は当然厚生大臣としての内田さんのとるべき態度ではないかと思うのですよ。田邊質問があったけれども、それは適当にいなしておいて、何とか御了解をいただきたい、理解をしていただきたいなどと言っておれば、そのうち時間がくるから質問が終わるだろう、そういう形でこういうものの処理をすることは間違いなんですよ。私は、政治家としての大先輩である内田厚生大臣に対してそんなことを言える立場ではありません。しかし私が、やはり社会保障の責任ある立場で医療保険の抜本改正をしなければならぬ政府の最高責任者としての大臣に対してどうしても言わなければならぬことは、そういう誠実さと本筋をほんとうに踏まえた形というものはとってもらいたい。私は国民の一人としてどうしてもあなたに要求しなければならぬ立場であるのであえて申し上げておるのでありまして、私の真意をあなたは決してわからぬわけではないと思うのであります。わからなければ重大であるというように私は思っておるわけでありまして、ぜひひとつ、この私の考え方に対して、政府は十分な再考をしなければいかぬというように私は思っておるのであります。いうなれば、そういう形だけ整えた、きわめて適格条項を踏まえない今度の健康保険法の改正案を国会に出したことについては、私は断じて了解することはできない。政府はこの法律案はやはり撤回して、もう一度両審議会の審議を十分求めた形の中における抜本改正の一環としてのものをあらためて提案すべきであるということを、私は強く主張してまいりたいと思うのであります。大臣の今後におけるところの謙虚な誠実さある再考を求め、両審議会、特に制度審議会が再考を求めるというこの一点にかかった答申に対して、政府自身の、みずからの自重をひとつ求めたいというように私は思っておるわけであります。 きょうはひとつ私の考え方を申し述べておきました。さらに機会を改めて大臣にその中身についての所信を承っていきたいと思います。 終わります。
○倉成委員長 次に後藤俊男君。
○後藤委員 私きょう質問しようとする問題は、大臣も十分御承知だと思いますが、昭和四十年からことしまで四、五年の間、お医者さんの不良請求の問題、監査について、さらに脱税の問題、さらに四、五年間におけるいろいろな刑事問題も発生をいたしておるわけでございまするけれども、これに対して厚生省として、さらに厚生大臣として、さらに官吏である特別公務員の厚生大臣として、こういう問題に対して今日までどういうふうに対処してこられたか。最終的にはそこへ問題が集約されるわけでございまするけれども、大臣もきょうは十二時二十分ごろまでしか時間がないらしいので、なるべく話がそこへ行くまでにつきましては中間のことはできるだけ省略するようなかっこうで、最終的に大臣の見解――さらにきょうは法務大臣の見解もお伺いしたいと考えておったわけでございますが、法務大臣のほうはきょうはあいにく時間の関係で融通がつきません、またあらためてという機会になるかと存じますが、いま申し上げましたような方向でいろいろとこれから質問をさせていただきたいと思います。 第一番に、いま申し上げましたように、昭和四十四年の監査で一億四千万円の不良請求がある。これはもう新聞でも発表しておるとおりでございますが、日本の国としてお医者さんなり医療機関に対してどういうふうな優遇措置を政治的に行なわれておるか。いろいろあろうと思います。いわば政治的にお医者さまをどのように大事にしておるか、この点につきまして、あまり詳細には必要ございませんが、できるだけ簡潔に、重点的に御説明をいただきたいと思います。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○内田国務大臣 私は、わが国で医者を特に政治的に大事にしているという面はないと思います。もっともだれでも医者になれるというわけではございませんで、医者になりますためには一定の研修コースを経て、しかも厚生大臣から医者としての免許を与えた者でなければ医師としての資格がないというような、そういう特別の地位を付与しておりますとか、あるいは国民皆保険のもとにおきまして、医療機関が希望があります場合には、特別の失格条項がない限りすべてこれを健康保険医として、あるいは健康保険担当機関として指定するというようなことでありますとか、そういうような仕組みはございますけれども、ほかに政治的優遇ということはいたしてないと思います。 税の特別措置の例の問題がございますが、これは診療報酬等が適正化されていないというからみがございまして、昭和二十九年ごろ議員立法をせられたと聞いておりますけれども、しかしこれは政治的優遇のためではなしに、いまの医師の社会保険診療報酬の適正化とのからみでそういう仕組みができておる。しかしそれがいつの間にか特権化されたような考え方を持たれるようになっているような社会的評価がございますので、批判の対象になることは認めざるを得ないとは思います。
○後藤委員 私は別にお医者さんに対するいま言われました七二%の必要経費の問題、これらのことをどうこうということを言っておるわけではございません。少なくとも諸外国に比較しまして医者なり医療機関に対して、税金の問題なり融資の問題におきまして、かなり政治的にもその制度ができておると思うわけなんです。ですから別に七二%ではどうこうとか、そういうことをここで言うつもりはございませんけれども、そういうふうなことが融資の点あるいは税金の問題、これはやはり特別措置法の中でかなり優遇というと語弊があるかもしれませんけれども、医者は医者、医療機関は医療機関としての立場を十分尊重して政治的に考えられておる、こういうような点があろうと思うわけなんです。そのことがあればひとつ、関係の深い厚生省でございますから御説明いただきたい、こう申し上げたのです。
○内田国務大臣 なお局長から補足させてもよろしゅうございますが、いま打ち合わせましたところが、私が申し上げましたことのほか、医療金融公庫からの融資制度がある、これは後藤さん御指摘になられたとおりでございます。しかしこれも、もともとは医者だけに限ったものではございませんで、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫がいろいろの業種を対象として貸し出しをいたしておった時代からだんだん分化してまいりまして、たとえば環境衛生金融公庫でございますとか、いまの医療金融公庫でございますとか、あるいはまた中小企業でも共同の事業を行なうものに対する中小企業振興事業団というような金融機関が分化してまいりました過程におきまして、医者の医療施設に対する融資機関ができたわけでありまして、これなども政治的に医者を優遇するということではないと思います。 ただ私が国民の一人として、あるいはまた政治家としても感じますことは、何と申しましても日本の長い社会の歴史の中で、医者は社会的に誉れ高い地位にあるものだという考え方を私どももなお持っておるものでございますので、いろいろの行政面におきましても、そういうお医者さんの社会的な伝統的な立場というようなものをそこなわないような行政をやっていきたいというような気持ちは、正直に申しまして私にも現在もあるわけでございます。
○後藤委員 わかりました。そうしますと、いま大臣が言われましたように、税金の問題なり、さらに融資と申しましょうか、そういう関係のことが行なわれておる。そこで、諸外国におけるお医者さんに対する政策的な面と、日本という国におけるお医者さんに対する政策的な面とで、日本は非常に劣っておるのか、いや日本が進んでおるのか。もっとざっくばらんな話をいたしますと、諸外国のほうがお医者さんを大事にしておるのか、日本のほうがお医者さんを大事にしておるのか、お粗末に扱っておるのか。これは非常に表現のしかたは悪いかもしれませんけれども、その点、大臣いかがでございましょうか。
○内田国務大臣 私はあまり外国の医師の事情を知りませんので、専門の医務局長から答えさせます。
○松尾政府委員 たいへんむずかしい御質問でございます。外国のそういう制度をいろいろ調べておりますけれども、率直に申し上げて、非常に端的に御説明できるようなつまびらかな資料というものがなかなか得られません。ただ結論的に、たとえば英国のようなああいう方式をとっております国、いわゆる人頭経営方式で一定の人が登録をいたしまして、それに対して患者がかかろうとかかるまいと一定の金額を払う、こういうやり方の場合には、ある意味で医者の生活なりというものが保障されているようにもとれるわけでございます。しかしながら、いろいろと詳しくその関係をお調べいただいたような方々の御意見といたしましては、一面はそういう利点があるようでございますけれども、同時にまた、医者自身としての努力を失する。そのうまみ、あるいはそういう刺激というようなものが非常に不足をいたしまして、その結果がやはり医療の進歩そのものをも阻害しておるのではないか、こういうような見方もございますので、はたしてそういう場合に日本よりも英国のほうがすぐれていると言えるのかどうか。日本の場合でございますと、自分の努力というものがある程度そこで報われるという点では、英国に比べるとむしろ刺激的要素があるのではないか、こういうふうにも出与えられます。 ただ、私、率直に申し上げまして、日本の現在の制度の中で、優遇ということに当たりますかどうか存じませんけれども、たとえばきわめて技術的に熟練をした方々もそうでない方々も、診療報酬の上において差別はないというふうなことは、ある意味で技術的な面についての優遇というようなものが足らない点ではなかろうかというふうにも考えられます。 そのほかの国々につきましては、調べておりますけれども、いま日本と具体的に比較いたしましても、国情、制度その他が違っておりますので、一がいにどちらがどうかということはちょっと言いにくいような事情にございます。
○後藤委員 いま説明がありまして、私もあまりよくわからなかったわけですけれども、大体において日本としては、非常に平凡的な言い方をしますと、お医者さまに対しまして、医療機関に対しては、国としても税制の問題その他の問題でもかなり考えておる。これを諸外国に比較しますと、西ドイツあたりにおきましては、減価償却の面で日本よりかは一歩進んでおるように私も聞いておるわけでございますが、諸外国以上に日本におきましては医療機関、お医者さんを非常に大事にした――大事にしたと言うと語弊があるかもわかりませんが、そういう立場で政治的にも対処してきておるということは、はっきり言えると私も思うわけです。そのことをとやかく言うつもりは毛頭ございませんが、そこで、大臣に重ねて質問申し上げるわけでございます。 いわゆるお医者さまというのは社会でどういうふうな格付けになるだろうか。まあ日本の世の中、と言うとおかしいのですが、社会にはいろいろな職業の人がたくさん雑居しておるわけでございます。その中でも、格付けというとこれは非常にむずかしくなるかもわかりませんけれども、一般に見よう見方があると思うのです。大臣、どういうふうにお医者さんに対してはお考えになっておるでしょうか、お尋ねいたします。
○内田国務大臣 これは非常に常識的なことになってしまうかもしれませんが、私は医者というものはやはり――私ども先生と申しております。私ども国会議員もうっかりすると先生などと言われますが、相手が本気で言っておるのでないような場合もあるようでございますけれども、私どもお医者さんに対しましては昔から、私は特にいなかの出身でございますから、私どものいなかでは、医者は社会的に誉れ高い信頼すべき地位を持つ方として先生ということを全く自然に出しております。そういう意味では、社会の師範となるような、また指導者となるようなすぐれた人格の人であり、またそういう立場を持たせてあげたいというような考え方を持っております。
○後藤委員 いま大臣は思いのままを率直に言われたと思うのですね。私も、お医者さまの格付けというのは一体どういうことになっておるだろうか、いろいろ調べてみますると、世界じゅうどこに参りましても、第一番はやはり大学の教授になっておるわけなんです。その次へ参りますのが大体お医者さま(「弁護士」と呼ぶ者あり)それからいま出ました弁護士とか、順番にずっと並んでくるわけです。大臣とか国会議員というのはどの辺になるか、これまた勉強不足でございますが、いずれにしてもお医者さんというのは、都会であろうといなかであろうと一、二を争う格付けの、非常に尊敬された立場におられる、これだけは私間違いないと思うのです。これは日本のみならず地球上いかなる国に行きましても大体そういうふうになっておると思うわけでございます。 そこで、その次に私お尋ねしたいのは、いま申し上げましたように、日本の国といたしましても諸外国に劣らぬところのお医者さんに対する政治的な配慮も十分いたしておる。さらには、いま申し上げましたように、これまた格付けでいいましても一般国民から尊敬される立場においでになる。その人方が最近脱税問題から不良請求問題が出てきておるわけなんです。ただ、私これを申し上げるのは、その前提となりますのは、善良なるお医者さんがたくさんおいでになるという前提のもとに話を進めるわけでございますから、その点だけはひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。 そこで、私も手元にいろいろな資料を持っておるわけでございますけれども、昭和四十二年、四十三年、四十四年――四十四年の分につきましてはこの間新聞で発表になりました。厚生省といえばお医者さんの問題、医療機関の問題については非常に関心が深いと思うわけですが、最近三カ年間における脱税の問題でお医者さんが一体どういうふうな立場で摘発されておるか、この点をひとつ簡潔に御説明をいただきたいと思います。
○内田国務大臣 私は、脱税の状況に関する資料はここに持ちませんけれども、そういうようなことが新聞などに載ることを見ますると、さき申し上げました私どもが社会的に医師を評価する、そういう環境のもとにおきまして、ことにまた厚生省といたしまして、医師や健康保険などのことにつきまして深い関心を持つ私どもといたしましては、正直に申しまして、まことに肩身の狭い思いがいたすわけでございまして、大部分のお医者さんにそういうことはないはずだと思いますけれども、一部の心がけを間違えられた医師の脱税というようなことのために、医師全体が国民から高い評価について傷つけられるようなことがあるであろうことを、心を痛めるものでございます。
○後藤委員 これは大臣、非常に尊敬されるお医者さまが、いま言いましたように脱税問題であげられるということは心を痛める、全くそのとおりだと思うのです。ところが四十二年、四十三年、四十四年、順次増加の傾向をたどっておると私は思っておるわけでございます。昭和四十四年でございますか、これは日本の三大新聞でもはっきり暴露いたしておりますように、平均七百五十四万円、これは手元に資料もお持ちだと思います、こういう質問をしますからお答えくださいと連絡してありますから。それを具体的に、簡潔でけっこうですからお答えください。
○松尾政府委員 国税庁の発表されました四十四年の数字でございますけれども、ただいま病院については一件当たり七百五十四万円でございます。それから、上位にあがりますものといたしまして、外科医が一件当たりの平均が三百四万円と発表されております。
○後藤委員 それで、大臣、いま申し上げましたように、先ほどからお医者さんの立場という話から順次入ってまいりまして、脱税の問題にきたわけでございますけれども、これも漸次少なくなっていくというのなら、またこれは考え方は別だと思うのです。これは毎年増加の傾向にあるわけなんです。これは非常に憂うる情勢だと私は思うわけなんです。 その次に問題を進めますけれども、これも昭和四十四年度の会計監査におきまして、一億四千万になんなんとする金額が不良請求、いわば親が子供を連れてまいりまして、その子供を診察してもらったら親まで診療したことにして請求をする、あるいは三年前になくなった人を相変わらず診察をしておるようにして請求をする、あるいは看護婦さんが十何名、おいでにならぬのにおるようなかっこうで請求をするというようなことで、ある新聞におきましては、詐欺のコンクールだという書き方をしておりました。これが昭和四十四年には一億四千万になんなんとするわけなんです。四十三年、四十二年、四十一年、四十年もこれはあるわけなんですよ。ところがその監査というのが、昭和三十五年に日本医師会と日本歯科医師会と厚生省との間において申し合わせ事項があると思うのです。その申し合わせ事項に基づいて監査をした結果が、いま言いましたような、まことに残念ですけれども、こういうような結果が出ておるわけなんです。これは私別に、全部のお医者さんがどうこうという気持ちはありません。先ほど申し上げましたように、善良なるお医者さんがたくさんおいでになる。そのことを前提のもとにこれは申し上げておるわけでございます。それなら、この昭和三十五年に日本医師会と日本歯科医師会と厚生省との間で、一体どういうふうな申し合わせをされたのは、この点の御説明をいただきたいと思います。
○戸澤政府委員 昭和三十五年に厚生省と日本医師会及び日本歯科医師会との間に、保険医療機関等に対する指導監査の申し合わせができておりますが、この申し合わせができました趣旨、いきさつは、御存じかと思いますが、保険医療機関に対する指導監査の結果、不祥事件等が起こりまして、この監査のやり方に少し行き過ぎとか適当ではない点があるのじゃないかということが国会でも問題になりまして、いろいろ論議された結果、この監査のやり方を検討する必要があるということでもって相談の結果、こういった申し合わせができたわけであります。 したがってその趣旨は、本来保険医療機関に対する指導監査というのは、不正を摘発すること自体が目的ではないわけでありまして、医師と患者との信頼関係を確立するために、できるだけ指導によって不正が行なわれることを未然に防止するということがその基本的な方針、考えでなければならぬというところから、お互いに協力して不正防止の徹底をはかろうというところから、なるべく指導によって防止し得るものはそれでもって適正化を期するという趣旨できめられたものでございます。具体的な申し合わせの要綱は四項目ほどありますけれども、趣旨は要するに指導によって防止し得るものにつきましては、できるだけその指導の徹底を期することによって未然に事故を防止しようという趣旨の内容のものでございます。
○後藤委員 私も手元にその申し合わせを持っておりますから大体読んだわけですけれども、監査というのは、不正なり間違ったことがあってはいけないというので監査するんだと思うのです。その監査の前にいわゆる指導監査でございますか、医療機関というのはいつも患者がおいでになるもので、いつでも飛び込んでいってやるというわけにまいりませんから、予告監査というようなことになろうと思うのですが、日本医師会と厚生省との間で三十五年にこういうふうな申し合わせをして、不正を事前に防止をするということで、指導であるような監査であるような、この性格が私は非常にあいまいだと思うのです。指導監査、指導監査と言うけれども、指導監査というようなことはお医者さん以外にないと私は思うのです。この三十五年の申し合わせ事項というのは、今後もずっと生きていくというとおかしいのですが、このままこの申し合わせ事項に基づいてやっていく気持ちがあるのかないのか。 それとあわせてもう一つお尋ねするわけですが、先ほど私が申し上げましたように不正事項が多い。これに基づいて、局長のほうから通達が出ておると思うのです。その通達に基づいて、さらにまた課長から通達が出ておると思うのです。その通達の趣旨なり考え方をあわせて御説明いただきたいと思います。
○戸澤政府委員 確かにこの三十五年の申し合わせの結果、指導は非常にふえましたが、監査の件数が減っておることは統計的にも出ております。 それで、この申し合わせの趣旨は先ほど申し上げたようなことでございますので、特にこれを改めるとか撤回する必要はなかろうかと思っております。しかし、この通牒が出ましてから、確かに監査がやりにくくなったとか、この申し合わせの趣旨の精神が必ずしもはっきりしない、そのために実際監査に当たる地方の関係官は困惑しておるというような事情もございましたので、申し合わせはそのまま残しますけれども、運営のしかた、解釈についてはっきりしないところをはっきりさせ、この趣旨の徹底を期さなければならぬということを考えてきたわけであります。それで最近、二月八日付でもって保険局長通牒を出しましたが、これもそういう趣旨から、申し合わせについて運営上はっきりしない点を明らかにしたということでございまして、その内容は二点ございます。 その一つは、診療の内容とか請求が不正ではないけれども不当――不当ということばを使っておりますが、例をあげれば、いわゆる濃厚診療的なものでございます。これは診療の事実はちゃんとあるのでありますけれども、その中身について必ずしも適正でない疑いがあるというようなものであります。こういうようなものにつきましては、三十五年の協定以来、指導だけはしますが、なかなか監査は行なえないという例外がございました。指導と監査の行政上の違いは、指導は処分を伴いませんが、監査はこれによって取り消しとかいうような処分ができるわけであります。こういうような不当な請求につきましては、指導だけで監査がなかなか行なえなかったといううらみがございました。その点を今回の通牒で明らかにしまして、そういうものにつきましても、一定期間指導してなお改善されないときには監査を行なう、その結果、処分が必要なものについては処分をするということになったわけでございます。 それから二番目の点は、不正の事実が明らかであると思われる場合でも、三十五年の申し合わせ以降は、一応指導してみて、それで改まらない場合に監査に切りかえる、そういう運営が実際上多かったわけであります。三十五年の申し合わせの趣旨は必ずしもそういうようなことをいっているわけではないのでありますが、解釈、運用上そんなふうにあいまいだった点があったわけであります。その点を明らかにしまして、水増しとか架空請求とか、そういう不正事実が明らかであると思われるような場合には、もう直接、いきなり監査ができるという趣旨を明らかにしたものでございます。 したがいまして、この通牒の趣旨によって三十五年の申し合わせの精神も生かされ、また実際の指導、監査上の不都合な点、不便な点も今後は幾ぶん改められるのじゃないかというふうに考えております。 医療課長の通牒は、局長通牒の趣旨に沿ってやや具体的に補足したものでございます。
○後藤委員 三十五年の日本医師会と日本歯科医師会と厚生省の申し合わせ事項の第三項の末尾のほうに「更に調査のうえ必要に応じて適当な措置をとること。」という文章があるのですが、これはどういうことを意味しておるのですか。
○戸澤政府委員 これがいま申し上げましたとおり、一応指導を行なって、その結果不正の事実が明らかであると思われるものについては、調査の上必要な措置すなわち監査を行なって、その監査の結果によって行政処分とかそういうような適当な措置をとるという趣旨であろうと思います。しかし、その点が運営上必ずしも十分徹底していなかったといううらみがありましたので、今回それを明らかにする通牒を出したわけでございます。
○後藤委員 この問題は、これですっきりしたわけじゃございませんがね。三十五年にこういう申し合わせ事項がありまして、それによって指導並びに監査が行なわれてきた。不正事項がある場合には「適当な措置をとること。」こういう文章で、これはあいまいにしてあるわけなんです。そのあいまいさを今度出された局長、課長の通達ではっきりさせたんだ、こう言われますが、それなら私、はっきりされておるのかされておらぬのか、あいまいにして伏せてあるのかどうか、この点についてこれから質問をしていきたいと思います。 先ほど私、昭和四十四年度について一億四千万云々と言いました。四十三年も会計監査の結果が出ております。たとえば、こういう医療機関においてはこれだけの不良請求があって、これだけは返還した、その中のこれだけの指定医については指定医を取り消しました、さらには戒告処分にしました、訓告処分にしましたと、これは予算委員会で厚生省からちゃんとプリントが配付されておりますね。そこで私お尋ねしたいのは、昭和四十一年、二年、三年、四年、この間における監査の結果は一体どうなっておるか。これはもう当然あなたのほうで掌握されておるはずなんです。その説明をしていただきたいと思います。
○戸澤政府委員 四十年度からお答えしますが、四十年度からの監査の件数、その結果による処分の件数、それから診療報酬の返還額を申し上げますと、四十年度は、監査件数が百九十三件、処分は、取り消しが百九件、戒告が六十四件、注意が六件、返還額は四千四万七千円でございます。四十一年度は、件数が百五十四件、処分は、取り消しが八十二件、戒告が五十一件、注意が四件、返還額は四千五百五十一万二千円。四十二年度は、件数が百件、取り消しが六十二件、戒告が二十三件、注意が五件、返還額は一千九百七十九万九千円。四十三年度は、件数が九十六件、取り消しが七十件、戒告が十九件、注意が四件、返還額は二千六百五十六万六千円。四十四年度は、件数が九十三件、取り消しが七十一件、戒告が十二件、注意が一件、返還額は一億三千八百九十二万八千円でございます。
○後藤委員 そうしますと、大臣、いま話ししましたように、三十五年における医師会、歯科医師会と厚生省の申し合わせによりまして指導監査をやって、いま発表のように昭和四十年度から四十四年度までの結果が出ておるわけなんです。驚くなかれ四十四年度には一億三千八百万円、約一億四千万円の不良請求ですね。その中身をいいますと、新聞でいうように詐欺のコンクールです。死んだ人を見たといって請求したり、子供を連れてきた親を診療したことにしてみたり、おらぬ看護婦をおることにしてみたり、まだまだこれはあるわけなんです。これは七十一医療機関でございますか、七十一の医療機関で一億四千万円になんなんとする金額の不良請求があるといたしますと、現在日本には十二万のお医者さんがおいでになると思うのです。医療機関の数もたいへんだと思うのです。監査されたのはほんの一部なんです。しかも指導監査だということで予告をして、やむにやまれず、何ぼ言うても直さぬからということで監査された金額がこれだけ出ておるわけなんです。これを推定すると百億以上になるんではないかということを、ある医療機関関係の印刷物は書いておるわけなんです。 そこで私厚生大臣にお尋ねするのは、これだけいわば多くの善良なるお医者さんの中にこういう悪いお医者さんがおいでになる。監査の結果こういうふうに出てきた、これを一体とう処分――処分というとおかしいのですが、どう対処されるのか、そこが問題だと思うのです。三大新聞に大きな記事で、お医者さんの不良請求の中身はこうだこうだということで、一億四千万円になんなんとするという記事が載っておるわけなんです。いま国民の受けておる感情というのは、強い者には弱い、弱い者には強い、国でさえもそういうようなやり方をしておるのか。たとえば、これは性質が違うかもわかりませんけれども、道路交通法のごときは、それはもちろん違反があってはいけませんけれども、自動車が走っておるところを警察官の人が隠れておって違反を摘発しておるわけなんです。この問題については、監査の結果一億数千万円という詐欺行為で、しかも支払基金から金を取っておるわけなんです、返したとはいいながら。これを私、現在までに聞くところによりますと、行政処分は行なわれておる――行政処分以外のことを私聞いておりませんけれども、はたしてそれで皆さん、たとえば厚生大臣として国民の納得のいく行政、政治であるかどうか、この点が非常に関心の深い点ではないかと思うわけでございます。いま説明がありました昭和四十年、四十一年、四十二年、四十三年、四十四年と、四十四年においては一億四千万になっておる。返したとはいいながら、一たんそれは不良請求で取っておるわけなんです、支払基金から。しかも死んだ人が生きておることにしてみたり、子供を連れてきた親まで診察したことにしてみたり、おらぬ看護婦までつくってみたり、そういうふうなやり方に対していままでどういうふうに対処してこられたか、この点大臣からお答えいただきたいと思います。
○内田国務大臣 私はさっき申しましたように、医師というものは社会的にも名誉ある地位を持っておられる方々でありますので、毎年こういう不正請求等があとを絶たないことは遺憾に思いながらも、それは医師のうちごく一部の心得違いの方々であろうから、何とかしてこういうことがないようにしていただきたいという気持ちをまず持つものでございます。したがって、今回保険局長からこの指導監査の強化といいますか、あるいはあいまいさの正確化といいますか、そういうことについてあの通達を出させましたときにも、医師会のほうにももちろん申し入れまして、医師会長から全国の地方医師会を通じて各保険担当医に、今後は指導も監査も厳重な立場をもって臨むので十分自戒をせられたい旨、並びに、万一そのような監査の結果不正が発見されたような場合には、行政当局が保険医指定を取り消すのほか、医師会自身も医師会から除名することあるべき旨、そういう通達を実は出していただいております。 私どもといたしましても、いま後藤さんの御批判のように、こういうことにあらわれておるのはいわば氷山の一角みたいなもので、これを全国数万の保険担当医に類推した場合にはさらに多きに及ぶだろうということが考えられますことは、まことにシェィムなことでございますし、そういうことではないと思いますが、そういう世のきびしい批判にこたえ、私どもも行政的な姿勢をこれから先もといいますか、これから先は特に私はとっていきたいと思います。 以上がお答えでございますが、ただ特に、これは実は後藤先生は御承知でないことかもしれませんが、またこんなことを私が言うべきことでないかもしれませんけれども、十年前に、後藤さんと反対の御意見で時の厚生大臣はじめ保険局長等はとっちめられまして、さっきうちの保険局長がそのことにもちょっと触れたようでありますが、不祥事件があった。ということは厚生省が銭もらったとか何とかいう不祥事件でなしに、監査がきびし過ぎてそのためにお医者さんが自殺をしたというような事件がございまして、それは監査の行き過ぎによる行政の不祥事件だということで国会でたいへんきつい御批判をいただきました。私はその速記録を読みました。読みまして、それで厚生省が萎縮してしまったことも、これはもう隠れもない事実でございます。私は、後藤さんをはじめ、それと全く違った御批判がありますことは、これはきょうの保険局長はどれだけ力を得たことかと思うことでもございますので、そのこともつけ加えさしていただきたいと思います。
○後藤委員 まだ話は中心までいきませんが、いま説明されました大臣の気持ちというのは、気持ちとしてはわかるのです。それで現在、医療専門官というのですか……
○内田国務大臣 地方におります。
○後藤委員 これはかなり権限を持って、国家公務員という立場で監査をしておるのだと私は考えておるわけなんですが、これは新聞の記事でございますけれども、定員が百五名あって、現在八十名ですか。
○内田国務大臣 七十八名でございます。
○後藤委員 中には全然医療専門官のおらない県がある。これは新聞で発表いたしておりました。これではたしてこの問題が解決するかどうか。これは朝日新聞だったと思いますが、社説にも書いてありました。しかもこれは去年の問題でございますけれども、この医療専門官が県の保険関係の係長と結託して汚職問題が秋田のほうで発生いたしております。これは関係の皆さん、十分御承知だろうと思います。それはいわば監査をなるべくひとつやわらかくやってくれ、厳重にやってくれるなということで、汚職問題を秋田で起こしまして、その当時秋田の新聞を見ますると、連日新聞記事でにぎわしておったというようなことも、これははっきりいたしております。この医療専門官というのは、この新聞記事によりますと、国家公務員でありながら保険会社の嘱託医をやっておるわけです。片方では医療専門官だ、片方では保険会社の嘱託医、これは公務員法違反ははっきりしておるわけなんです。これはほんの一部であって、全国的に全部調べましたら、これはたいへんな問題になると思うのです。それはいま大臣が言われるように、今後こういう事故をなくしていこうというのなら、こういう医療専門官制度と申しましょうか、これらがわずかに全国で百五人しかいない、これはもうたいへんなことなんです。それに対しては一体どういうふうな考え方をしておられるのか、これは大臣にお尋ねしたいと思います。
○内田国務大臣 私も申し上げておいたほうがいいと思うのですが、おっしゃられたとおりでございまして、定員百五人、これは決して十分な定員ではないわけでありますが、その定員の中においてさえも現員は七十八名しかおらないというような状況で、どうして一体十分な監査ができるだろうか。もちろんこれは指導を前提としての監査でございますから、先ほどうちの保険局長が申し述べましたのは各年度における監査件数でございますけれども、個別指導、集団指導といたしましては何千何万というような数字に毎年なっておるようでありますから、大部分は指導でカバーをされているから七十八人の監査でもできるんでありましょうが、しかし先ほど来後藤さんから御批判があるような意味におけるきびしい監査というものはできるはずがありません。またその医療専門官の身分や給与を調べてみますると、これは私自身が局長から入れ知恵をされたんじゃありませんで、私自身が調べてみますると、いまもあなたがおっしゃるように、これは地方の県庁の保険課長の下におるわけであります。保険課長さんは事務官で、これは役人の等級で二等級とかいうような等級でありましても年も若い、しかしそのもとにおる医療専門官は六十歳、七十歳になっておる人もかなり多うございますが、身分は三等官であるというようなことでございまして、そういう状態のもとにおいてはなかなか医療専門官になる人を得られない。またこれが同じ医者の学校を出ておりながら、自分で診療所を開いて、そうして臨床的な活動をするわけでもなし、人のいやがる監査をするというようなことでありますから、よほど身分、処遇等において満足すべきものがない限り、私は欠員が出ているような状態はあたりまえだと実はみずから思いました。そこで私は、実は先般私自身が言い出して、おれが行くからだれかついてこいというわけで、私は人事院の総裁に会いまして、その医療専門官の身分の格上げをやってもらいたい、これは私も詳しいことはわかりませんでしたが、たとえば七十八人なら七十八人の医療専門官というものがおりますと、人事院の規定で、そのうち何人までが二等級で、そしてあとは三等級であるとかいうような、あるいは四等級もあるのかもしれませんが、みなえらい資格にしてくれません。そこで、しかしこれは現状を見るときに、そういう医療専門官的なものはみな医学の専門の知識を持っておって、しかも人のいやがる仕事をやる方であるから、課長と同等またはそれ以上の身分を持っても一つもおかしくないんじゃないか、課長はかりに三等官のところがあっても、十分な技能を持った医療専門官が二等であってもいいじゃないか、いわんや課長が二等だからその課員である専門官は三等でなければならぬということはあるべきはずはないのであるから、年齢なり経験年数なりというものを見て、ワクを一つつぶして、そうしてその身分の格上げをやってくれということを私自身が実は申し入れました。人事院の佐藤総裁並びに事務総長に会いましたが、たいへん耳を傾けてくれまして、ごもっともだ、こういうことになりました。 この人数をふやす、定員をふやすということより先に、私は人数をふやしても定員をふやしても、そこに人が来てくれなければ何にもなりませんので、それらの人がプライドを持った活動ができるような処遇をしてやるべきだということが先決だと私考えまして、最近そういうような新聞記事で批判がございますし、また十年前とは違いまして国会も世論の動向なども、後藤さんのおっしゃるような動向が多いわけでもございますから、それだけ時代が変わってまいりましたので、私はそういうようなことも実はやりまして、この問題、これが全部ではございませんけれども、一つの私の姿勢に実はいたしておるわけでございます。
○後藤委員 いま大臣が言われたように、医療専門官の問題についてはいろいろ待遇等の問題で努力しておられる、それはわかりました。 話は少し前に戻りまして、こまかく説明しろといえば説明いたしますけれども、昭和四十四年度の監査結果が一億四千万に達するような不良請求、中身には個々ありましょうけれども、これは一体犯罪を構成しておるのかしておらないのか。まあまあそれは間違えて取った金だから返せばそれでいいのだと、大臣としてそういうふうにお考えになっておるのか、どういうふうにお考えになっておるか、その見解を明確にひとつお答えいただきたいと思うわけです。
○内田国務大臣 私も実は明確にお答えできないいわけでございますが、それらの中には刑法上詐欺横領に該当するような事項があるいはあるかもしれませんし、あるいはそういう違法性ではない、不法の、あるいは不当の請求がある、治療指針あるいは使用基準等に違反をする請求で診療報酬を多額に受け取ったのだというような、そういう方々ももちろんあるわけでございますので、そこの分界は私はなかなかむずかしい点もあろうと思います。しかしこれまでの姿勢としては、おそらくほんとうの違法性のあるものでも告発に当然つなげるような仕組みではなかったように私には思えますので、事と次第によりましては、私は、今後は単に保険医の資格を剥奪する、あるいはまた医師会除名というようなことをやっていただくのみならず、告発につなげて考えなければならないような場合もあり得るのではないかと思います。
○後藤委員 大臣、時間がないらしいのであれですが、いまあなたが言われたことで私納得できません。なるほど一億四千万に達する金額の中には、誤った請求によって支払われておるお金もあると思います。しかしながら、その中の大部分は先ほど言いましたように架空の請求なんです。しかもそれを国の支払基金から取るわけなんです。はっきりと詐欺行為ですよ。この詐欺行為を厚生大臣として一体どう扱われるのかということなんです。それに、いま大臣が言われましたように、告発するような姿勢にはなっておらぬということは、それは日本医師会、日本歯科医師会と厚生省との政治姿勢の問題じゃないですか。たとえば個人的にこういう問題を起こしたらたいへんなことだと思うのですよ。建設業者がたとえば自治体の仕事をして、それをごまかし、水増し請求をしてその金を取ったら、すぐ摘発されますよ、これはすぐやられますよ。いま大臣の言われましたように、その中にも摘発に該当しないような、これは全くのあやまちであるという部分もあると私は思います。だけれどもそうではなしに、一億四千万の中には大多数が先ほど言いましたような金額なんです、詐欺なんです、公文書偽造だと私は思うのです。これをただ、行政監査によるものだから、三十五年のいきさつがあるからということで行政処置だけで終わって刑事問題に一切しない。これは私は大臣にもお尋ねしたいと思いますが、刑事訴訟法の二百三十九条の二項です。「官吏は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」これははっきり刑事訴訟法の二百三十九条に書いてあるわけなんです。この法律を大臣は一体どうお考えになるのですか。お答えください。
○内田国務大臣 私が申し述べました全部を後藤さんに御判断いただければ、少なくとも私に関する限り、また今後の私の政治姿勢というものを御理解いただけたと思います。過去にさかのぼりまして、さっき局長から述べましたような返還あるいは行政処置の事例につきまして、毎年それらが告発にいかに踏み切ったか、あるいは刑事訴訟法の条文をいかに順守したかということにつきましては、私がいま十分御説明いたすこともあるいはお尋ねに対しては忠実かもしれませんが、それよりも、私どもが今後どういう姿勢をとらなければならないかということのほうがより一そう大切であると考えまして、実は先ほどのようなお答えをさせていただきました。御了承をいただきたいと思います。
○後藤委員 それは大臣、抽象的なことを言って了承してくれと言われますけれども、一時間余りの時間になるわけですが、ずっとお医者さんに対する国の扱いから順次話を進めてまいりまして――われわれもお医者さん、医療機関というものは尊重しております。善良なるお医者さんがたくさんおいでになることを前提として私はやっておるわけなんです。 そこで、先ほど説明されましたように、昭和四十年度から四十四年度までにとにかく監査の不正摘発の金額はばく大なものです。四十四年には一億四千万じゃないですか。あなたが言われますように、一億四千万の中には誤まった請求がないとは私言っておらないわけなんです。ところが、大部分というのは、厚生省が新聞記者に発表して、その新聞記者の人が新聞に書きました内容によりますと、全くあきれ返る内容なんです。一億四千万円、虚偽のいわゆる詐欺の金を取っておるわけなんです。これを厚生大臣として一体どう考えるかということを私は法的に御質問申し上げておるわけなんです。そうなってくると、やはり法律を守るというのはこれは大臣だと思うのです。それならば刑事訴訟法の二百三十九条との関係は、一体あなたはどうお考えになるかということなんです。それを守らぬということならば、公務員法の八十二条はどうなるのだ。あなたは懲戒免職になるわけなんです。そんなことは医者との関係でおれは知らぬわい、そんなことではこの問題は通らぬと思うのです。刑事訴訟法ではっきり書いてあるじゃないですか。公吏、官吏というのは国家公務員でしょう。大臣とか国会議員は国家公務員の中の特別公務員なんです。官吏、公吏は、自分の職務を行なっておる間に犯罪と思われること――これは会計監査というのは健康保険法の四十三条ですか、国民健康保険法の四十六条ですか、これに基づいて職務を執行して監査をやっておるわけなんです。その結果一億四千万の詐欺があった。行政処置だけで全然告発もしない、何にもしないということになると、あなた怠慢なんですよ。公務員としての資格がなくなるわけなんです。ただ、先ほどあなたが言っておられる、気持ちの上でのことは私はわかります。いままでとの関係、気持ちの上のことはわかりますけれども、世の中気持ちだけでは私は解決できぬと思うのです。私は、厚生大臣として、こういうものに対しては法に基づいてこういうふうにやった、これを明確にする責任があり、義務があると思うのです。いかがですか。
○内田国務大臣 私は、厚生大臣として、いままで左に向いておった厚生省の姿勢を、右に向けようと思って就任以来実は努力をいたしてまいりました。これは、今度の通達の問題にいたしましても、あるいはまた薬の添付廃止の問題にいたしましても、私は良心をもって、いままで左に向いていたと思うことがたいへん気になる点がございますので、ずいぶん右に向けることに努力をしております。しかし、私はおっしゃるとおり公務員ではございますが、同時にやはり現実の政治家でもございます。一ぺんにここで列車をとめておいて複線化工事をするとか、あるいは高架線工事をするということをやるよりも、やはり列車の複線化工事、高架線工事と同じように、列車を走らせながら、踏切事故がないように高架にしたりあるいは地下にもぐらせるということをせねばならない行政上の責任もございます。これまでの扱いは扱いといたしまして、これから先は、もう左向きではなしに、右へ向かせるようなことをやってまいるのだ、やっておるのだ、こういうことを申し述べました。しかし、いま聞きますと、ここに刑事局長も来ておるそうでございますので、先般の四十四年の事犯というものを刑事訴訟法によって、あるいは刑法によって、刑事事件としていかに処理すべきかということにつきましては、刑事局長は私と違って政治家でもないので、私よりより正確なお答えができるかもしれませんので、刑事局長にお願いしたいと思います。
○後藤委員 刑事局長が来ておるといっても、私は法務大臣に来てもらうように要求しておるのです。けれども、かわったばかりでどうとかこうとかいう話でありましたので、私はそれ以上言わなかったわけなんです。少なくとも私が、いま聞いておりますのは、厚生行政をあずかる最高の責任者である厚生大臣として、こういうふうな不正事件が起きておるものを、いかなる関係があろうとも、やはり法律がある以上は、その法律に基づいて処置すべきだと私は思うのです。しかも国民の大多数はそのことを望んでおると私は思うわけなんです。ただ、お医者さんが十二万いらっしゃって十二万全部が悪いことをしていらっしゃるわけじゃないのです。確かに大臣の言われるようにほんの一部分だと思うのです。それ以外のお医者は、全部善良なまじめなお医者だと私は尊敬しておるわけですけれども、しかしながら、四十四年の監査で一億四千万という詐欺行為があってお金を取った。返還されておるとはいいながら、それをどうとかこうとか抽象的な文句で、大臣としては自分の責任を回避といいましょうか、そういうふうな考え方ではこの問題は私は納得できないわけなんです。これだけの不正請求があり、こういう行為に対して、犯罪と思われるなら告発するのが厚生大臣の任務であろうと思う。しかもそのことを国民は望んでおると思います。再びこういう事件を起こさせないためにこういう法律があるのだと私は思うわけなんです。それをただ大臣が抽象的に、刑事局長がおるから聞いてください、法律の専門家がおるから聞いてください、それではあなた通りませぬぞ、この問題は。
○内田国務大臣 私が申しておりますことをもっと簡潔に申しますと、これから先の事犯については、私はただ調査とか審査とかいうことだけを前提にして監査まで及ばないというようなことではなしに、もっと監査にも踏み込むし、監査の結果においては、私はそれは刑事訴訟法にも刑法にもつなげるような姿勢を保たんとするものでございますけれども、私が厚生大臣でありましても過去の事犯にまでさかのぼって、そこまで私がやることがほんとうに今後の姿勢を正す上に絶対必要であるかどうかということについては、私はここで実は言い切れない面もございますので、私はいまの厚生大臣でありますから、私が厚生大臣であります間におきます事犯、また今後におきます事犯につきましては、私の姿勢をお聞きいただいてと、こういうことで申し述べておる次第でございます。 四十四年の監査というのは、事犯はおそらく四十四年にあったということではなしに、四十三年とか四十二年とかということの事犯を四十四年に監査の結果得たことでございますので、それを追っかけることももちろん大切なことではございましょうが、これから先おまえはどうするんだ、こういうことのお尋ねに対しまして私は主としてお答えを申し上げた。私は決してだれをもおそれるものではございませんけれども、なまの政治家である厚生大臣としてのお答えでございますので、すっきりしたことが申し上げられなかった点がございます。その点はひとつ、ほんとうの公務員である、一般職の公務員である保険局長あるいは刑事局長から補わせます。
○後藤委員 いまあなたが言われた四十四年というのは四十四年の監査なんです。四十五年に発表になっておるのです。あなたが大臣になっておらぬ四十二年とか四十三年のことを私は言っておるわけではないのです。だから、こういう事件というのは、とやかくいわれますけれども、四十年から積み重ねて増加の一途をたどっておるわけなんです。あなたとして医療専門官をふやすとかなんとか言っておられる。それはけっこうだと思うのです。それならば、目の前にある四十四年度の監査というのが四十五年暮れに発表されておるわけなんです。それに対してどういうふうにあなたは扱ってこられましたかというところを私聞いておるわけなんです。これからやってくれということを言っていない。いままでのやり方で一億四千万からの不良請求をそのまま見過ごしていかれるのかということです。それは犯罪を構成しておらぬのかということです。だけれども、そのことを論争いたしておりますと、きょうは予算委員会の関係もありまして、大臣も向こうに行ってもらわなければいけませんので、この問題はこれで終わりでなしに、大臣に対する質問については一応保留しておきたいと思います。どうぞ行ってください。 刑事局長おられますか。第一番にお尋ねしたいのは、いま申し上げましたように、四十年、四十一年、四十二年、ずっと監査が行なわれて、告発というのは書面の告発もあれば電話の告発もある、いろいろ方法はあると思うのです。厚生省から四十四年度の監査結果、これに基づくところの告発というような行為が一体あったのかどうか、この点をまず第一番にお尋ねいたしたいと思います。 それからその次には、警察庁としても、医療機関の不正問題につきましては、全国的に家宅捜査なり――たとえば去年の十月五日に東京の民医労のあそこが家宅捜査をやられて現在捜査中なんですね。最近において捜査の結果が新聞でも発表されております。そういうふうなことをやっておられるかどうかという点が二つ目です。 それから三つ目の問題といたしまして、これは法務大臣の見解ということに最終的にはなろうかと思いますけれども、刑事訴訟法の二百三十九条というのは、官吏なり公吏が、その職務を行なうことによりまして犯罪があると思われるときには告発しなければいけないという義務規定があるのです。先ほどからいろいろ話をいたしておりますように、この監査の結果の一億四千円という内容についても十分御承知だと思います。それらに基づいて、この刑事訴訟法の二百三十九条等とも照らし合わせて考えてみるときには、厚生省としてどういうふうな処置をとるのが法的に一番正しいでしょうか。この三点をお尋ねいたします。
○辻政府委員 ただいま御指摘の三つの事項についてお答え申し上げます。 まず第一点の、厚生省が行なわれました四十四年度におきます保険医療機関の監査の結果と刑事事件との関係でございますが、この四十四年の監査の結果として示されております各具体的なケースについて、現在検察庁が刑事事件として取り扱っているかどうかにつきましては、現在のところ事実を調査いたしておりませんので、全部刑事事件になっておるか、あるいは検察庁のほうで捜査をしておるかという点については、現在のところ私どもは判明いたしません。ただ、しかしながら、保険医療機関の保険金の水増し請求であるとか架空の請求であるとか、こういう事犯につきましては、従来からやはり刑事問題として処理している事例が少なからずございます。私どものほうは、特異な事件につきましては報告を受けて承知いたしておるわけでございますが、私どもが承知いたしております限り、刑事事件になりました場合には詐欺罪ということで処理されておるわけでございます。私どものほうは詐欺罪としての件数をもちろん把握いたしておるわけでございますが、世の中にはいわゆる詐欺罪がたくさんございますので、統計を見まして、この詐欺罪のうちどれが保険医療機関の詐欺罪かということがわからないわけなんで、保険医療機関による詐欺罪が何年には何件あったかということは、統計上実はわかる仕組みになっていないわけでございます。個々の著名なといいますか、注目を要すべき事件については、事件として報告を受けて承知いたしておるわけでございます。現に最近の事列を見ましても、詐欺で裁判所に公判を求めておるという事例が少なからずございます。これらの事件にあたりましては、もとより事犯によるわけでございますが、押収、捜索とか、そういうようないわゆる強制的な捜査もいたしておるわけでございます。これはいろいろ事犯によって変わってくると思うわけでございます。 これで第一点、第二点のお答えを申したと思うのでございますが、次は第三点の刑事訴訟法二百三十九条の問題でございます。これは二百三十九条そのものの刑事訴訟法としての解釈を私ども申し上げたいと思うのでございますが、先ほど御指摘のように、二百三十九条二項には「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と規定しているわけでございます。したがいまして、たてまえとしては、公務員がその職務を行なうにあたり犯罪があると考えた場合には告発すべきものだということは明瞭でございます。しかしながら、これが絶対の義務規定と申すか、当該官吏、公吏が犯罪があると思料するときには、いかなる場合も裁量の余地がなくて必ず告発をしなければならないかという問題になってまいりますと、いろいろむずかしい問題があろうかと思うのでございます。この刑事訴訟法二百三十九条二項の解釈は訓示規定であるというふうに解しておるのが一般の学説、判例でございます。訓示規定でございましても、もちろんたてまえとしては告発すべきものでございます。例外として、告発をしなくてもいい、裁量の余地が働く場合があるかどうかという問題に帰着するわけでございますが、その問題になってまいりますと、告発することによって本来の行政目的が著しく阻害されるというような特別の場合におきましては、やはり当該官吏、公吏に告発するかどうかという点の裁量の余地が働いてくるのではなかろうかというふうに、私ども一応考えておるところでございます。
○後藤委員 いま二百三十九条につきましてとやかく言われましたが、これに対するいろいろな本がありまして、いろいろ書いてあります。そこで、あの一億四千万の話をいまされましたが、あれは新聞に載ったわけなんですね。大きく載ったのです。お読みになったと思うのです。そこで、刑事訴訟法の百八十九条の二項、これはどういうことが書いてあるかといえば、「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」ということが書いてあるわけなんですね。そうしますと、われわれは法律にはしろうとでございますから、非常に幼稚な質問になると思いますが、これは何べんも言って申しわけないが、一億数千万のお金がああいうような不良請求でやられた、新聞にも堂々と出た、ところが厚生省は、犯罪であるのに全然告発もしない。現在警察庁としても全然捜査も何にも一切しない。捜査をしないというのは、厚生省が告発せぬからやれぬのだ、こういう言い分もありましょうし、いやいや告発があろうとなかろうと、やるのがわれわれの立場です。それならあれだけ新聞に堂々と書かれた犯罪行為に対して、何の関心も持たぬというのは一体どういうことなんだろうか。これは国民的立場から質問するわけなんです。しかも法的に言えば百八十九条の二項では、告発があろうとあるまいと、犯罪と思ったときには捜査せないかぬ、やるべきであるということを法律にはっきり書いてあるわけなんですね。それはいかがでしょうか。
○辻政府委員 ただいまの刑事訴訟法百八十九条二項の問題でございますが、現在こちらに警察庁の課長さんもお見えになっておりますけれども、刑事訴訟法の解釈として申し上げますと、この百八十九条二項は「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」これも、捜査をするのがたてまえであるというふうに私どもは解しておるわけでございます。これにつきましては、告発があろうとなかろうと、もちろん告発がないと処罰できないという特別な犯罪が一般にございますが、そういう特別な犯罪を除きますれば、一般的に、告発があろうとなかろうと、刑事訴訟法百八十九条二項によって、犯人及び証拠を捜査するのがたてまえである、かように解しておるわけでございます。
○後藤委員 そうしますと、あれだけ新聞に堂々と載った行為が、あなた方としては犯罪とは全然思っておられぬわけなんですか。いまあなたが言われましたように、公務員関係、官吏、公吏につきましても、秘密にわたる事項についてはこれは別の法律があると思うのです。それ以外につきましては二百三十九条なり百八十九条二項、これを順守されるのがあなた方の立場ではないかと私は思うわけなんです。ところが、日本の、地方新聞ではなしに、三大新聞といわれる大きい新聞に、お医者さんの最近の脱税問題から不良請求の問題まで堂々と書かれておる。毎日ごらんになりながら、これは全然おれは関係ないわい、厚生省から告発がないからさわれぬのだというような、かっこうで今日に至っておるような気がするわけなんです。しかもあなたの先ほどの説明によりますと、監査の結果についてはわれわれは全然知りません、中身については捜査したこともありません、これは先ほどあなたがはっきり言われたわけなんです。それは一体どういうことになっておるのですか。
○辻政府委員 私、四十四年の厚生省の監査、指摘されている事件について、個々的にはどうなっておるか、明確に御報告できないということを申したわけでございまして、検察庁あるいは警察庁、警察で事件を捜査しておられるかどうかという点について、私は明確に一々申し上げられないということを申し上げたわけでございます。 ところで、ただいままことに申しわけないのでありますが、四十四年の監査に出ておるとされております熊本県の一つの病院につきましては、現にすでに熊本地方検察庁が熊本地方裁判所に詐欺罪で公判請求をいたしておる、こういう報告に接しております。
○後藤委員 いまあなたが言われたような、監査の結果によるよらぬは別問題として、昭和四十三年以降、全国的に十三件ないし十四件は警察庁として不良請求の問題で捜査された、これは私の調べたところそうなっておるわけです。ただ私の言いたいのは、こういうような大それたことが行なわれておるのに、警察庁としてはこの会計監査によるところの犯罪に対しては何ら捜査を行なっておられない。ということは、日本医師会なり日本歯科医師会と厚生省との政治姿勢の関係、さらに、そのことをにらみ合わせながら警察庁としては行動を考えておられる、そうとしか思えぬわけなんです。ですから、このことをあなたにとやかく追及する気持ちはございませんけれども、ただ、厚生大臣も向こうに行かれまして、これ以上質問は中間で打ち切りますけれども、刑事訴訟法二百三十九条なり百八十九条等を考えてみて、尊敬されるお医者さんでありながらああいうふうな行為があったことについては、善良なるお医者さんがたくさんおいでになるのですから、その人のために疑惑をぬぐうためにも、法律に基づいて処置すべきことはきちっと処置すべきだと私は考えるわけなんです。そう考えたときに警察庁としての立場は、一体今日までどうとってこられたかということをあなたに質問いたしまして、大体あなたがいままでやってこられたことはこれでわかるのでございますけれども、この問題はさらにこれから追及する点がまだたくさんございます。時間もございませんので、きょうはこれで私の質問は打ち切りたいと思います。 委員長のほうにぜひ先ほどのように――厚生大臣に対する質問も中途でございますし、さらに警察庁関係、法務大臣、これらも早急にしかるべき機会に呼んでいただいて、質問の続行をさしていただきますようにお願いして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
○増岡委員長代理 次に、古川雅司君。
○古川(雅)委員 厚生大臣がいま予算委員会のほうに出ておりますので、お戻りになるまでの間、政務次官にいろいろお伺いをしてまいりたいと思います。 去る一月二十五日の本社会労働委員会で厚生大臣の所信表明演説を伺ったわけでございますが、政務特官、この大臣の所信表明演説についてどのようにお考えになっていらっしゃるか。まさか形式的な作文だとはお答えにならないと思いますが、どのようにお考えになっていらっしゃいますか、そこから伺ってまいります。
○橋本政府委員 大臣の本心を申し上げたと思っております。
○古川(雅)委員 厚生行政の基本的な施策につきまして本心をお述べになったものであるという御答弁でございますが、これは当然先行きの見通し、将来展望というものに立った確実なものである このように理解してもよろしゅうございますか。
○橋本政府委員 将来図をながめながら私どもとして努力すべき方向を目ざしたものだと思います。
○古川(雅)委員 将来展望についてもいろいろ考え方があると思いますが、当面大体何年くらい先を見通してこの所信をお述べになっていらっしゃるとお考えになりますか。
○橋本政府委員 問題によって、それぞれその先行きの見通しというものの期間はおのずから異なってくると私は思います。
○古川(雅)委員 少なくとも昭和四十六年度だけについてであると言えますでしょうか。あるいはそれより先――問題別とおっしゃいましたけれども、全体としての厚生行政、これはかなり長期にわたる構想ということもいま真剣に検討していらっしゃるところでありますので、その点はお答えいただけると思いますが……。
○橋本政府委員 確かに私どもは将来をながめ分けて、さまざまの問題についてそれぞれの方策というものは考えております。 ただ、どうも御質問の趣旨がもうひとつはっきりいたしませんけれども、本国会における最初の大臣の所信表明でありますから、将来構想のみを申し上げたところで先生方の御了解が得られるものでもございません。それだけに、むろん当面、本年度を中心としたことを申し上げておると私は思います。
○古川(雅)委員 少なくとも昭和四十六年度だけに限ったことではない、将来にわたって熟慮した上でこの所信表明をなさったのだというふうに理解をさせていただきたいと思います。 非常に概括的になりますが、この大臣の所信の内容につきまして、見解をこれからお伺いしていくわけでございますが、中には法案という形で今後提出を予定されているものもございますので、詳細にわたっては法案の審議の機会に譲りたいと思います。 まず最初、第一項目については、これは大臣がお帰りになってからお伺いしたいと思います。 第二番目にあげていらっしゃる年金制度についてお伺いします。 この大臣の所信の中では、給付内容について大幅な善処をした、改善をしたというふうに言い切っていらっしゃいますが、私これを拝見しまするに、おおむね物価上昇分をカバーしたにすぎない、これは否定できない、批判ではないかと思います。こうした物価上昇分をカバーすることだけでありますけれども、この点内容を改善したと言い切ってかまわないのであろうかどうか。扶養義務者の所得制限の大幅緩和ということもうたっておりますし、そのほか多少の改善は一応認めますけれども、少なくとも年金の給付内容については物価上昇分をカバーした程度にすぎない、この点はお認めになるでしょう。
○橋本政府委員 私はそうは思っておりません。
○古川(雅)委員 これはたいへんなことを伺いました。そうすると、政務次官のお考えでは、最近の物価の上昇についてはお認めにならない、そういった観点からおっしゃっているのでしょうか。それとも物価上昇をカバーすることも、これは年金の改善の大きな要素である、大部分の要素であるとお考えになりますか。
○橋本政府委員 むしろ物価の上昇というものを計算に入れましたからこそ、再計算年次を待たずして年金の引き上げに踏み切っておる部分もあること、先生よく御承知のとおりであります。そして、一応前進を認めるとお話しになりましたとおり、所得制限その他の援和も相当大きく変えております。従来に顧みて、私ども決して御批判のみを受けるような改善ではない、そのように考えておる次第であります。
○古川(雅)委員 私が最初から申し上げておる物価上昇分をカバーする程度にすぎないという点はお認めになるのですか。
○橋本政府委員 たとえば、老齢福祉年金の支給開始年次を六十五歳まで一部を引き下げた。これは決して物価問題のみを考えたことではないことは、先生よく御承知のとおりであります。
○古川(雅)委員 年金の給付内容でございますが、老齢福祉については二千円から二千三百円、障害福祉は三千百円から三千四百円、母子。準母子福祉が二千六百円から二千九百円。この金額については、私はどう考えたって、物価上昇分をカバーしたにすぎない、それを上回る改善というものではないと考えるのですが、いかがですか。
○橋本政府委員 昨年度を上回る金額の上昇をいたしたはずでございます。
○古川(雅)委員 物価上昇分をカバーするアップにすぎないと申し上げておるのでありますが、いかがでございますか。
○橋本政府委員 おことばを返して恐縮でありますが、年金制度というものは全体をごらんになって御批判を仰ぎたいと思います。一部のみをとらえて御批判になれば、いろいろの見解は述べられると思います。
○古川(雅)委員 昭和三十七年の社会保障制度審議会の答申では、今後十年間にヨーロッパの水準に到達するようにという目標が出されております。今回のこの改正は、その目標をどのように達成をしてきたというふうにお考えでございましょうか。
○北川政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたように、今回の年金の改正につきましては、厚生年金と国民年金と両方あるわけでございます。それで厚生年金につきましては、ただいま先生御指摘のような物価上昇に完全に見合っているかどうかというふうな問題がございますけれども、従来の財政再計算期が五年ごとでございますので、その五年ということになりますと次期改正期は四十九年でございます。四十九年を待たないで、二年前の四十四年のいわゆる二万円年金の改正後二年間で暫定応急的な措置でございますけれども、こういったものを行なったという点で、私どもは従来に例のない、異例の改善措置であるというように考えておりますし、また、国民年金のほうにつきましては、ただいま政務次官からも申し上げましたが、年金額の引き上げ幅が従前以上に多いこと、あるいはまた、所得制限の緩和というふうなものも従前を上回るような大幅な改善を行なったこと、こういったことを彼此勘案いたしますと、今回の両制度の改正によりまして、相当程度年金制度は改善をされておるのではないかと思っております。 先生、いまおっしゃいました先進諸国との関係でございますが、先進諸国との関係から申しますと、わが国の制度は、概して申しまして、制度上はほぼ西欧先進諸国のレベルまで達しておるわけでございます。ただ、その成熟の度合いがまだ不十分でございますので、そういった点は今後ございますけれども、おおむねそういうレベルに達しておるとわれわれは考えております。
○古川(雅)委員 この昭和三十七年の答申の目標にはほど遠いということは私は認めざるを得ないと思います。年金額の上昇については昨年度を上回る金額の引き上げを行なったという大臣の所信表明でありますけれども、これはいままでがあまりにも少なかったということでありまして、それを大幅に上回るというような言い方はどうかと思います。あくまでもこれは物価の上昇分をある程度カバーしたにすぎないアップである、そういばれたものじゃないと私は判断をいたしたいと思います。ことに、受給者が少ない、そしてまた受給の年金額が少ないということは従来指摘されていることでありまして、今後、今年の改正に限らず、いつになったら一体この答申の目標に達するような大幅な改善がはかられていくのか、この点は大いに疑問とし、また何とか期待をしなければならないところだと思います。 先ほど政務次官が、所得制限の大幅緩和をはかったと非常に誇らしげにおっしゃっておりました。もう一つ、老齢年金の支給開始年齢を六十五歳まで引き下げた、この点をうたっていらっしゃいましたが、この年齢の引き下げを今回二級障害者というふうに限定しておりますが、今後この二級障害者の限定をはずして、全体的に六十五歳まで引き下げていくことを何年度に見込んでいらっしゃいますか。
○北川政府委員 ただいまの老齢福祉年金の支給年齢の引き下げでございますが、今回は、いま先生御指摘のように、いわゆる寝たきり老人というふうなものに一つの問題意識を持ちまして、その分についての引き下げをはかったわけでございます。ただ、全体的に申しますと、これも御承知のとおり、老齢福祉年金はすべて全額国庫負担の年金でございまして、全体的にこの引き下げをやるということになりますると、相当な財源負担というふうなことも出てまいりまするし、やはりそういう考え方からものを考えますると、今後の老齢福祉年金の改善ということは、やはりどういう順序でどういう優先度合いでやっていくかという問題がむしろわれわれとしては問題意識でございまして、現在のところ、全体的にすべての福祉年金につきまして年齢を一律に引き下げるということは、現段階ではまだ考えておりません。
○古川(雅)委員 老人福祉につきましてはもうすでに国民的な課題でありますが、政務次官にお伺いいたしますけれども、今国会の冒頭から各党の代表質問、また予算委員会の質問等で、老人問題の解決を急ぐように指摘をされております。厚生大臣も、就任以来社会保障制度の中で、老人対策、老人問題を最重点的な問題として取り組んでいくという決意を見せていらっしゃいますし、また、昭和四十五年度の厚生白書におきましても、老人問題を重点的に取り上げているわけであります。ところが、佐藤総理は、この老人福祉問題について本会議等で、老人福祉が重要になっていることは認めるけれども、この点についてはもう十分考慮したというふうに態度を表明しておりますけれども、この点についていかがお考えでございますか。
○橋本政府委員 態度を表明したということは確かに私は態度を表明したということだと考えております。仕事はこれから先もなおやらなければならないものは多くございます。
○古川(雅)委員 同じく首相は、四十六年度の予算ではこういうふうに言っております。ひとり暮らし老人に対する相談電話や看護人、老人奉仕団体、在宅機能回復訓練など、きめのこまかい配慮をしており、老人に冷淡だという非難は当たらないという開き直り方をしておりますけれども、この総理の姿勢をもってして厚生省で今後老人問題に取り組んでいくのに十分であるか。確かに総理の言っているように、老人に対する施策が冷淡だ、そういう非難は当たらない、そういう総理の姿勢をそのまま受けて、老人問題にこれから取り組んでいらっしゃいますか。
○橋本政府委員 たいへん失礼でありますが、先生が何を私どもに求めておられるのか、もうひとつはっきりいたしませんけれども、先ほどから私は、決して老人対策というものを政府としてなおざりにしていないと考えておるのだという総理の所信表明は、そのとおりだということを申し上げております。そして、仕事はなお残されておるものはたくさんあるのだから、これからやっていくものはたくさんあるのだということを申し上げております。それ以上いまどう申し上げていいか、御質問の趣旨がもうひとつはっきりいたしません。
○古川(雅)委員 老人福祉が大事だということは世論のだれもが認めているところであります。そのことに対して、総理はもう十分考えているのだ、現在の政府の老人対策に対する姿勢は十分なんだ、そういう本会議での答弁です。そしてまた、四十六年度の予算についても、確かにきめのこまかいそうした施策の事例をあげて、決して老人に対して冷淡ではないという態度を示しているわけです。私たちは、そんなことではいけない。もうどんなに老人対策については急いでも、どんなに昨年度に倍する予算措置をしても、すべておそきに失する。どんなに急いでも急ぎ足りないくらいおくれているのだということをはっきりさせなければ、厚生省としても今後老人対策に取り組んでいくのに非常に困難を来たすのじゃないか。総理のこうした姿勢に対してあなたどうお考えになるのか。しかも厚生大臣の所信表明の中では、期待したほど老人福祉に対しての強い表現が見当たらないような気がするのでございます。その点いかがですか。
○橋本政府委員 ことばで強いことだけを申し上げてそれで足れりとするつもりならば、日本語の語彙には非常にたくさんのことばがございますから、いかようなことばでも使います。しかし、先生方よく御承知のとおりに、本年度私どもは児童手当という新しい課題を一つ発足させることに厚生省としての最重点の仕事としてしぼって努力をしてまいりました。おそらくそれも不十分だとはおっしゃるでしょうけれども、新しい制度を私どもは創設することに踏み切ったわけであります。私どもは、老人対策が決して大事でないなどと一言も申した覚えはございませんし、手を抜いてきたつもりもございません。しかし、厚生省の仕事はあらゆる範囲に広がっておるわけであります。そして、その中で一つの部分のみに予算を集中してほかのものをなおざりにすることはできません。本年度の予算編成の中で私どもの努力が足りなかったというおしかりならば、これは甘んじて受ける部分も当然あるでありましょう。私は厚生省事務当局を含め、全力を尽くしてまいったということだけは申し上げさせていただきます。
○古川(雅)委員 総理が昭和四十六年度の老人対策、老人福祉の施策の例としてあげている相談電話についても、そのほかのこうした施策についても、これは発足後非常に日が浅いわけであります。しかも相談電話等につきましては、これはテストケースであります。そのほかいろいろ改善はされておりますけれども、これは私たちの期待をはるかに裏切る、非常にもの足りないものであります。それは実際老人福祉対策に直接取り組んでいらっしゃる厚生省当局が実感として感じていらっしゃるところではないか。それを私は憂えるがゆえに、総理が、老人に対して冷淡であるという非難は当たらないと、開き直っているその態度、その点について厚生省当局は不安を感じていないのか。もっと総理に対し、あるいは大蔵当局に対して、老人対策に対する十分な予算の裏づけを強烈に要求すべきではなかったのか、そのことを指摘したかったわけであります。 中でも、これはこの次になりますが、社会福祉施設の問題につきましては、明年度から緊急整備五カ年計画を発足させるという一つの大きな英断に踏み切りまして、予算の増額をはかっているわけでございますが、この点について一つ不安な点がありますので、お伺いをしておきます。 〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 この予算折衝の過程で、こうした社会福祉施設についてはこういう整備五カ年計画というような長期計画はなじまないという大蔵省の非常に強い抵抗があったと聞いておりますが、この点はいかがでございましょうか。
○橋本政府委員 編成の過程においては、それぞれのお立場から、決して財政当局と私たちのみではなくて、自治体からもそれぞれの御意見はございましたし、国会における各政党からもいろいろな御意見を私どもはちょうだいいたしました。そして決定されたものが予算案であります。
○古川(雅)委員 そういう大蔵省の抵抗といいますか、こういう社会福祉施設を長期計画で考えていくということはなじまない問題だという見解があったかどうか。もし予算折衝の中でそういう考え方が根強くあったとすれば、その計画を今後進めていく上に一つの大きな障害になるのじゃないかという気がいたしますのでお伺いしているわけであります。いかがでございますか。
○橋本政府委員 五カ年計画を発足させること自体が認められて予算が組まれておるのです。それが何よりのお答えになるかと思います。
○古川(雅)委員 当然この整備五カ年計画については、今後発展的に強化されるものであると期待をするがゆえにお伺いしているわけでございます。心配ないといまはっきり御答弁になったわけでございますが、この社会福祉施設の立ちおくれを回復する大きな計画については期待をしてまいりたいと思います。ただいまの政務次官の御答弁、決して私も忘れることなく今後見守ってまいりたいと思います。 非常に通り一ぺんになっていくわけでありますが、次に生活保護基準について、これも大臣が強調して掲げていらっしゃいますが、いわゆる級地につきましてこれを再検討ないし点検をするお考えはないか。その点、一言だけお伺いしておきたいと思います。
○橋本政府委員 級地は、それこそ必要な途次、私どもは調査もし、年々変えておること、先生よく御承知のとおりでありますし、おそらく今年度においても、一部の地域において級地が変えられるものは当然あるだろうと思います。何も未来永劫現在の級地決定を一寸たりとも動かさないなどということは、私ども考えたこともございません。
○古川(雅)委員 では、その再検討、点検については弾力的に検討していただけるというふうに理解をさしていただきたいと思います。 次に、児童手当制度につきましては、先ほど政務次官からもお話がございましたが、これは法案の形で出てまいりますので、そのとき詳細にお伺いをしてまいりたいと思いますが、制度の内容について非常に期待はずれであるということは一致した世論でございます。中で心配な点二つだけこの際お伺いをしておきたいと思うのでございますが、いわゆる被用者分の財源負担について事業主が十分の七を拠出するという点、この点については今後この制度を続行していく上で障害として問題にならないかどうか。この点については十分根回しも済んでいるとは思いますけれども、いまだにこの制度そのものについて一部ではまだかなり抵抗があります。ことに、こうした事業主の拠出、財源負担については相当抵抗があるというふうに聞いておりますが、これが今後この制度を充実させていく、発展させていく上で障害にならないかどうか。 それからもう一つは、この児童手当制度を受ける側でございますが、届け出制をとっていらっしゃいます。この点については再考の余地はないか、この二点をお伺いしておきます。
○内田国務大臣 児童手当の財源問題でございますが、これは古川さんも御承知のように、正直に申しますと、児童手当が各党から御提案になられました結果、今日まで実現を見なかった一つの障害が財源問題でございましたことは、もう隠す必要もございません。つまり企業側の負担につきましていろいろ抵抗があったわけでございますが、しかし、これは社会福祉の施策でありますと同時にまた、社会保険の施策でもございまして、これは厚生年金でも健康保険でもみな企業の負担というような面もございますので、だんだん関係の方面の団体と話し合いを詰めてまいったり、また児童手当審議会の御意向を承りました結果、ようやく七〇%ということで包括的な了解を取りつけた、こういうわけでございます。しかし、それでも一部にはいろんな計算も出てまいりますので、税金でやったらどうだ、こういうような意向もなしとしませんが、私がいま申しましたように、社会福祉、社会保険というものは、税金を財源とするものもあろうけれども、お互いの拠出掛け金というようなものを財源とするものも他にたくさん例もございますので、こういうまとめ方でとにかく出発をしていこうということで御納得を得たと考えておるものでございます。 もう一つの届け出制でございますが、これは御説明があったとは思いますが、児童手当を出しますその窓口は、公務員等は別といたしまして、一般の企業の従業員の子弟あるいは自営業者の従業員の子弟、いずれも同じく市町村を窓口として出すわけでございますので、やはり該当者が両方にまたがっております関係上、手当を出す市町村といたしましては、届け出をいただいて正確にやっていきたい、こういう趣旨でございます。自由措置主義でございますので、簡単な届け出をいただければ、そこの住民台帳というようなものもあるわけでございますので、さしたる手続もなく、対照だけで済むわけでございますから、正確を期そう、こういうわけでございます。
○古川(雅)委員 確認をさしていただきますが、この制度を今後段階的に充実、発展さしていくという過程で、この事業主の拠出、財政負担が将来障害になって、制度の発展を妨げることはないかという点、この点は間違いございませんでしょうか。もしそうした障害が出た場合、政府の責任でこうした障害にかかわりなく制度の内容を発展さしていく、充実さしていくということをお約束いただけますでしょうか。
○内田国務大臣 財源区分に関係なしに、私はこの制度は年度的にも成長させたい、また法律の中にもあとから入れましたが、実質的にも三千円というものを固定するわけではなしに成長させるつもりでおります。が、これは財源関係にはかかわりなく歩を進めてまいらんとするものでございます。
○古川(雅)委員 最後の「が」というところが気になりますけれども、また法案の審議の過程でいろいろお伺いしてまいりたいと思います、きょうは概括的に大臣の所信表明の内容について伺っているのでありますから。 次に移りますが、悪臭防止法案を今回提案される予定でございますけれども、この予算が百万円というのはどういうわけですか。何か非常に不可解でございますけれども、ちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
○内田国務大臣 悪臭というのはほかの公害と違いまして、きわめて地域的な公害の種類でございます。そこで、その公害について今回法律を出しますが、国が出します法律は、悪臭防止についての処置の進め方あるいは基準のつくり方等につきましての法律でございまして、具体的な措置はすべて府県なり市町村なりがとることになるわけでありますので、国としては基準をつくったりする場合の研究費でありますとか、あるいはまた、測定機器などを設けます際の助成費というようなものも今後はふえる場合もあるかもしれませんが、いずれにしても大気汚染とか、あるいは水質汚濁とかいう広域汚染の問題とは違う点がございますので、そういうふうに直接の国費というものは要しません。地方公共団体としてはだんだん費用を要する面がございましょうが、それらは地方交付税交付金等の計算基礎に織り込むというようなことはもちろんでございます。
○古川(雅)委員 これは測定機械の開発あるいは研究といった点でむしろ非常に急を要する今後の大きな課題だと思います。その点で初年度がわずか百万円の予算という点が非常に疑問であった、そのことを申し上げたわけであります。 そのほか、医薬品の効能、効果の再検討や食品添加物の点検、残留農薬の規制の強化、こういった点につきましては、昨年度特にあれだけ大きく問題化されまして、これに対する対策が相当強化されるというように期待していたわけでありますが、少なくとも予算の上では期待に反して非常に少ないという感じがするのでございますが、これまでの体制で、これだけ問題が大きくなってきた、新たな問題が発見されてきた、それに対処し得るのかどうか。監視あるいは検査体制の整備について、もちろん十分とはおっしゃらないでしょうけれども、一体昭和四十五年度に増した何ができるのかという気がするのでございますが、この点いかがでございますか。
○内田国務大臣 御指摘のような事柄は、私どもも全く同じ関心事でございますので、四十六年度も大いに進めたいと考えます。予算もさることながら、ほんとうを申し上げますと、とどのつまりは専門の人間を確保することでございまして、食品中における残留農薬の慢性毒性等の調査にいたしましても、むしろ人が足りないためにこれまでは若干おくれぎみという問題がございました。そこで、それらの人員の確保というようなことを考えまして今度の予算がつけられておりますので、昨年度に比べましてその方面の予算が非常に何倍にもふえたというわけではございませんけれども、私どもは今度の予算をもって、前年度に比べて相当前向きの処理を進め得るものと考えております。
○古川(雅)委員 原爆被爆者に対する援護については、たびたびお伺いしているわけでございますけれども、いわゆる社会保障という考えのワクの中で特別措置法の措置をしていただいているわけでございますが、被爆者の要望をあわせて、そろそろこれは国家補償という見地で再検討をする時期に来ているのではないか、いわゆる被爆者に対する援護法の制定の必要というものが認められなければならないときではないかというふうに考えるのでございます。今回この特別措置法の改正が出ておりますけれども、この基本的な考えについてはいかがでございましょう。
○内田国務大臣 そのことにつきましては、法律案審査の際にまたいろいろ御意見も承ることになると思いますが、今回の改正では、いろいろの御要望があります中で、健康管理手当を支出する対象の方々の年齢を引き下げて、それだけ対象の範囲を広げるとか、あるいはまた、特別被爆者として取り扱う区域を広げるというようなことを取り上げておる次第でございます。国家補償といいますか、あるいはまた、戦没者戦傷病者援護法といったような、ああいう法律の体系に並ぶようなことにしてほしいというような意向がこれまでありますことも承知はいたしておりますけれども、これらには戦争犠牲者の他の分野と慎重に検討しなければならない問題もございまして、本年もこれに踏み切るというところには至っておりません。継続検討の課題といたしておるわけでございます。
○古川(雅)委員 じゃ、これは法案の審議のときにまたいろいろお伺いしてまいります。 最後に、これは大臣の所信表明の冒頭に出てまいります問題の健保の改正の問題でございます。これはすでに予算委員会、また本委員会においても、けさほどから大臣の所信をずっと伺ってきているところであります。私も繰り返しお伺いをしてまいりたいと思いますが、まず社会保険審議会及び社会保険医療協議会法、それから社会保障制度審議会のほうは、これは設置法でございますが、この両法の意義についてはどうお考えになっておりますか。
○内田国務大臣 健康保険の改正にあたりましては、健康保険法という実体法がございまして、その実体法の中に、健康保険制度についていろいろな新しい企画、改正等をやる場合には、社会保険審議会に諮問をいたすことが規定をされておるわけでございます。それを受けまして、社会保険審議会の設置法のほうが働くことになるわけでありますから、これに諮問をいたしますことは当然でございます。一方の社会保障制度審議会のほうは、これは厚生省の付属機関ではございませんで、より広い、より高い見地から、社会保障、社会福祉全般につきましての事項を、あるいは自発的に、あるいは内閣総理大臣その他関係大臣から意見を求められて審議をする、こういう機構になっておることは御承知のとおりでございますが、従来厚生省といたしましては、たとえば今度の児童手当の創設につきましても、あるいはまた、国民年金、厚生年金などの改正にいたしましても、それらはそれぞれ審議会があって審議会で済ましてはおりますけれども、念のために社会保障制度審議会の御意見も聞いておくほうが、私どもの政治的立場からより忠実であろうというようなことで、この審議会にも同じ内容のものを意見を承った、こういうことでございます。
○古川(雅)委員 先ほど政務次官にお伺いしましたら、大臣のこの所信表明は決して形式的な作文でもないし、かなり将来の展望というか、構想の上に立った大臣の本心を述べたものであるというふうな御答弁をいただきました。今回の健保については、前々からいろいろ批判がありますし、審議会の答申の出方についても相当困難は予想できたと思います。すでに予算委員会等で、答申が間に合うということを公約した、それができなかったということについて陳謝をしていらっしゃいますので、私はそれ以上申し上げませんけれども、少なくとも大臣の所信表明の冒頭に、この健保改正についてはっきりと言い切っているというのは、これはちょっと早計ではなかったのか。しかもこの内容を見ますと、厚生省が抜本改正の第一歩だと銘打っている内容を表面に出して、いわゆる財政赤字の解消、被保険者、患者の負担が増大するということについては、あとのほうで若干しか触れられていない。そういう点に何か大臣の所信に対して疑問を持つものでございますが、この点いかがでございましょうか。
○内田国務大臣 古川さんも御承知のとおり、健康保険の改正につきましては、従来過去の歴史上、厚生省もせっぱ詰まって、その特例的な改正――法律案そのものの名前も健康保険臨時特例法というような形で、昭和四十二年ころから法律案の御制定をいただいたり、またその後、二年間の間にこの特例をやめて抜本改正のほうに移る、こういうような約束をいたしながら、なかなかそれができないで、二年後の昭和四十四年にも、特例法の延長というような形で国会に法律案を出しまして、いろいろもんちゃくを起こした歴史があるわけでございます。昭和四十四年におきまして、特例法ということではなしに、健康保険法本法の改正という形でこの問題は処理されましたけれども、しかし、その当時におきましても、政府側は、本法の形にはなったけれども、健康保険法は抜本改正という大きな展望を持つものであるから、少なくとも二年後には抜本改正に向かっての何らかの一本の形を示すようにいたしますというようなことを、国会で明言をいたしておるわけでございます。したがいまして、二年後になります昭和四十六年度に、健康保険法の改正につきまして何にも出さないということは、これまた政府の政治的責任を問われることになると考えまして、私どもはその抜本改正をできたらば昭和四十六年度からでもやりたいというようなことで、実は一昨年来、さっき古川さんがお述べになりました二つの審議会に対しまして、抜本改正の方策いかんということを諮問をいたしてまいってきているわけであります。しかし、これは申すまでもなく広範多岐にわたることでありますので、両審議会とも、四十六年度に間に合うような審議は進んでおらぬというような中間的な御意見の表明が、実は昨年の暮れございました。しかし、であるからといって、いま申しますような次第で私どもが抜本改正につながる何の措置もしないということでございますならば、これは今日、いや昨日来私が責められておりますのとは違った形で、厚生大臣は何ゆえ健保法の改正を出さぬか、公約違反ではないかということで私が責められることになるわけでございます。責められるのはいいといたしましても、正直のところ、健康保険制度というものはとても四十六年度を越し得るような状況にはございません。何らかの財政対策をも含めまして制度の改正――あるいはいまおっしゃられたような負担の過重というようなおしかりを受ける面もございますが、措置をしないことには、健康保険、なかんずく政府関係の健康保険というものは、支払い停止をしなければならないような状態に必ずくるわけであります。もうすでに昨年の年末におきまして借金がきかなくなりまして、だんだん――御承知のとおりきょう現在でも千九百億近い累積赤字になっておりますが、昨年の暮れでも、金は貸せないということで、医師に対する支払い停止という寸前まで実はいったような状態でございますので、今回こういう改正案を提案をいたし、しかも私の考えでは、単なるいままでのような赤字しのぎのその場限りの改正ではなしに、抜本改正につながる改正だということで御審議をわずらわしておる次第でございます。これに対してはいろいろ御批判もあるわけでございますが、ぜひひとつ私どもの微衷をおくみ取りいただきまして、いろいろ御協力をお願い申し上げます。
○古川(雅)委員 こうした大臣の所信表明の中には、国民の皆さんに、また被保険者、患者の皆さんに非常な負担をかける、負担増になるからこの点は申しわけないということを表現できないのかというのも一つ考えられますね。こういう点で改善されます、こういう点がよくなります、ということだけ強調して、何としてもこの際赤字解消のために制度の改善をはからなければならない、そういう姿勢が私は非常に問題だと思います。審議会の存在を尊重なさるということは、これは当然ですし、たびたび大臣も、特にこうした審議会の答申に対しては尊重していくということを繰り返し表明していらっしゃいますけれども、その答申を尊重するということの中には、そのとおり従わないということも含んでいるわけでございます。 もう時間がございませんので、最後にお伺いするわけでございますが、けさほども指摘がありましたとおり、社会保障制度審議会の答申では、最後に、政府の再考を求める、もう一度考えろということをはっきり言い切っているわけでございます。社会保険審議会の答申も同じような趣旨でございます。そういった点について、何らそれをくむことなく法案の提出に踏み切ったということにつきましては、今後この審議会の運営についても相当支障を来たすのではないか、こういう憂いがあるわけでございますが、こういった点についていかがでございますか。
○内田国務大臣 御承知のとおりこれは、こういうことを申すとしかられるかもわかりませんが、この審議会は、各方面の利害関係に立たれる方々の代表者、あるいはまた各政党の代表者の方々にもお入りをいただいておりますので、まあ、審議の状況を承っておりましても、なかなか一本になった答申というものもいただきにくいし、また、政府のやることはみんなよろしい、こういうような御答申にはならないようなことも判断をされるわけでございます。しかし、それらの御意見というものはきわめてとうとい御意見でありますので、私はこの法律が今度国会で――とにかく法律案でございますから、国会が国権の最高機関で立法権がありますので、この国会で審査をされます間に、それらの答申のことにつきましても、常に私は心にとめて皆さま方と御接触をいたしてまいるつもりでおるものでございます。
○古川(雅)委員 これは、改正内容から見まして、赤字対策の域を出ていないということは一致した意見でありますし、先ほど申し上げた、社会保障制度審議会のほうの、政府の再考を求めるという点については、これは全会一致の意見であります。その点を無視して法案の提出に踏み切ったということについては、厳重に大臣の猛省を求めなければならないし、今後大きくいろいろな形で問題が尾を引いていくことになると私は考えている次第であります。 次に譲ります。
○倉成委員長 次に、古寺宏君。
○古寺委員 きょうから、サリドマイド児とその両親四十三家族が国と製薬会社に総額約十三億円の損害賠償を求めている全国のサリドマイド裁判のトップを切りまして、東京地裁で第一回の口頭弁論が行なわれているわけでございますが、この問題について厚生省はどのような責任を感じていらっしゃるか、その点についてまず大臣から伺いたいと思います。
○内田国務大臣 私は、責任ということばについてでございますが、いま訴訟で法律上の責任を追及をされ、また、それに対しまして抗弁も、法務省を通じてされておるわけでございますが、もちろん政府に法律的責任があるということは、いまここで私が述べ得ないことであるわけで、そのために訴訟にもなっているわけでありますけれども、しかし私は、もっと違った意味に政府の責任と申しますか、あるいはむしろ当時政府に姿勢のゆるみというようなものがあったのではないかということにつきましては、私どもが広い意味での政治的責任というものは考えなければならないことであるとみずから反省をいたしておるわけでございます。
○古寺委員 当時政府の姿勢に行政のゆるみがあった、広い意味の政治的な責任といろものを感じなければいけない、こういういまお話があったようでございますが、園田前厚生大臣は、参議院の社労委員会におきまして、「国の責任でもありまするが、」「両親並びに本人に対する謝罪の意味においても、早急に確実に予算的措置をしてこれの解決に尽くすことを申し上げておきます。」こういう答弁をしておられますけれども、この園田前厚生大臣のお考えと内田厚生大臣のお考えには変わりがないのでございますか。
○内田国務大臣 ちょうど私が幸か不幸かこの処理に当たらなければならないときの厚生大臣になりましたので、私は、いま申し述べましたことが私の考え方でございまして、園田さんと比較をされても、園田さんのおことばもりっぱであったと思いますし、私は、私のいま申し上げたような見地からこのことにつきましてでき得るだけのことをしてまいりたい、こういうことでございます。
○古寺委員 そういたしますと、法律的な責任については、裁判がこれから行なわれるわけでございますので、現時点においてははっきり言えないのですけれども、道義的あるいは政治的責任というものは感じていらっしゃる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○内田国務大臣 政府が何でも責任をしょってしまえばいいということでもないので、また、その辺のことは古寺さんたいへん賢明で、私どもの立場もおわかりだと思いますので、私はこういうことばを述べるわけでありますが、私はその上にことばを冠しまして、広い意味で政治的あるいは道義的の責任を感じて、したがって何をするかというと、私はこれからのお子さま方の幸福を中心としたことを考える、そういう姿勢をとることと、それからまた、これはサリドマイドでなくても、同じようなことが二度と起こらないような、薬に対するゆるみのない姿勢をとるべきだ、この二つのことを私は申し上げておきたいと思います。
○古寺委員 そこでいま、裁判をきょうから控えまして、十六日に厚生省が和解の申し入れをいたしているわけでございますが、そのいわゆる和解の申し入れの真意というものは那辺にあるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○内田国務大臣 これは不幸にしてわが国にもフォコメリー児の発生という不幸な事態が生じましたけれども、これはわが国のみならず、西ドイツはもちろんのこと、北欧三国その他かなり数多い外国の諸国に不幸な事態が起こっておりまして、それらがおおむね訴訟で争われてまいりましたことは、日本と同じでございますが、昨年の暮れぐらいまでにこれらの外国におきましては訴訟がすべて和解の方向に持ち込まれたというような国際的な事情がございます。それに私は、いまの厚生大臣として考えまして、別の見地から考えましても、いたずらに因果関係、あるいは先ほど来おことばをかわしましたような法律上の責任の所在というものをめぐって何年も訴訟で争うということが、はたしてこの不幸なお子さまに対処する厚生大臣としての姿勢であろうかということを考えてみますときに、私はやはり国際的な取り扱いの方向にならって和解の方向をとることが一番適切ではないかと考えまして、また、製薬会社のほうからも、私が就任をいたしました後に、和解の方向についての御相談といいますか、感想を述べられたものがございました。それで私は、いま申しましたような考え方のもとに、会社のそういう考え方をも支持をいたしまして、これは両方被告でございますので、それぞれ別に和解の申し入れをすることになるものではございませんので、会社のそういう申し入れを支持し、また、私自身の考え方もそれに加えまして、今回一緒に和解の申し入れをいたした、こういうわけでございます。
○古寺委員 先ほど、当時の薬事行政においてゆるみがあったのではないか、こういうことを大臣が申されましたけれども、その後いろいろ薬事行政も変わっているようでございますが、その当時の薬事行政においてゆるみがあったと思われる点はどういう点でございましょう。
○内田国務大臣 私は、言ってはいけなかったことかもしれません。だがしかし、私はいまの厚生大臣として、また、いまのような薬に対する社会意識の盛り上がりの中におる厚生大臣として考えますと、国際的に因果関係をはっきりいたさないにいたしましても、疑いのあった薬はできるだけ早くとめるということが、薬の行政を担当する厚生省としてはゆるみのない姿勢ではないかというような思いがいたすわけであります。これは、当時私が厚生大臣であったならば、そうやったということではございません。これはやはりその当時の社会意識にもよることでございます。先般キノホルムのようなものを、これはスモン病の原因かどうかわかりませんけれども、一部からそういう疑念が表明されました際に、私どもが、私がやったということではございませんで、厚生省の全部が、御承知のように直ちにその販売、使用を差しとめてしまったわけでありますが、今日ならばああいうことがやれたことと対比いたしますと、当時のやり方が電光石火でなかったことについてのあとからの私どもの多少の感想があるということでございましょうか、そういうことでございます。
○古寺委員 先ほど大臣が、広い意味の政治的責任というのは、子供さんのしあわせというものを中心にして今後いろいろ考えていくのだ、こういうお話がございました。和解の申し入れがいま裁判を間近にして行なわれたということは、はたして子供さんのしあわせをほんとうに本気になって考えていらっしゃるかどうかということについて、関係者の方々あるいは一般の方々も、厚生省の姿勢というものについて非常に疑問を持っていらっしゃるわけです。はたしてほんとうにこの子供さんたちのしあわせを厚生省は考えているのだろうか。むしろ会社側と同じような、責任をのがれるようなそういう姿勢のあらわれではないか、こういうようなこともいわれているわけでございますが、その点についてはいかがでございましょう。
○内田国務大臣 とにかく訴訟で何年も争われて、お互いが訴訟代理人を出して攻撃、防御をやってまいったことでありますので、いまの原告の方がそういう感情、感想を持たれることも、私は決してわからぬではないと思います。しかしこれは、私の就任以前になるわけでありますが、四、五年前から訴訟が行なわれているから、すべてその訴訟で法律上の責任ないし因果関係の究明というものを続けていけば、私はそれで免れるわけではありますけれども、おそらく私の在職中に判決があるというような性質のものではないので、私は万事これは訴訟の帰結を待って申し上げますというようなことを国会で御答弁申し上げておれば済むのかもしれませんけれども、私は良心がある、また良識ある厚生大臣といたしまして、また、国際的な様子を見ましても、人類はすべてやはり同じ考え方に立つものだというような気持ちを持つわけでございまして、過去のいきさつはどうであれ、現職の厚生大臣として和解の方向で進むことが、また会社がそうしたいと言っておるわけでございますので、会社の考え方を支持して、そうして共同で和解の申し入れをすることが、いまの場合一番いいと考えておることでございまして、このことにつきましては、原告の方々もいろいろ感情や感想はございましょうけれども、すなおに私どもの良識を理解していただければ幸いだと思います。
○古寺委員 そこで、和解の申し入れをいたしましても相手のあることでございますので、これからそれが成立する場合にはいろいろ煮詰めていく段階になると思いますが、厚生大臣としてはこの和解の申し入れの時点においてどういう腹づもりで、どういうお考えに基づいて和解の申し入れをなさっていらっしゃるのか、その点をお聞きをしたいと思います。
○内田国務大臣 この訴訟になっておりますのは刑事事件ではございませんで、民事上の損害賠償請求ということであるはずでございますので、和解ということになりますと、当然損害補償というようなものを裁判上あるいは裁判外でどう当事者同士がきめていくか、こういうことになるわけでございます。したがって財政上の問題が生ずる、幾らということは別といたしまして当然起こることでございます。その際、薬をつくって販売を進めてまいりました会社側の立場と、また、同じ被告でございましても国側の立場、ことにまた、お金を支払えばそれで済むということではなしに、これから一生を不幸な身体障害者で過ごされていく子供さんに対する対策というものも厚生省の任務でございますので、国の立場というものと会社側とは私は違うものだと考えます。したがって、最終的にどういう条件でという条件まで私のほうで固めているわけではございませんので、相手方との話し合いがあったり、また裁判長のあっせんがあったりするわけでございます。いわば会社側と国側とは、いま申し上げました機能の違いに応じながら、しかも表裏一体に損害の補償をしたり、また子供さん方の将来の幸福を守ってやれるような、そういう道をとるということが私の頭の中を支配しております。
○古寺委員 東京地裁の場合は一応損害の賠償請求が十三億になっております、新聞によりますと。そこで会社と厚生省と和解の申し入れについて具体的に御相談なさったのでございましょうか。
○内田国務大臣 私は直接社長とも、和解の分担のしかたでありますとか、全体としての和解の内容、条件であるとか、何も話し合っておりません。私のほうの担当者に対しましては、もちろんアプローチがあったことと思いますので、薬務局長から説明をしてください。
○武藤政府委員 和解の申し入れをしたわけでございますので、先生御質問のように、いろいろな問題を話し合って何か今後の方向について会社側ときめたのではないかという御指摘でございますが、いろいろ議論はいたしましたけれども、ただいまの時点でそういうものをこちらでどの程度持つというようなことについては、まだ議論は詰まっておりません。早くとにかく和解をするということを裁判所なり相手方にお伝えをして、相手方のいろいろな御注文なり御要望をお聞きして、そうしてそういうものを、会社あるいは国がどうやってそれに応ずるかということを、話し合いの中できめていくのが一番妥当ではなかろうか、そういうことでございますので、ただいま先生の御質問については、端的にお答えをすることは、まだいまの段階ではできない状況でございます。
○古寺委員 それじゃもう一回局長さんに重ねてお聞きしますけれども、会社側と局長さんの間ではどういう議論、どういう話し合いが具体的になされておりますか。
○武藤政府委員 その内容については、結論が出ておりませんので申し上げるわけにはまいりませんが、まあ金額、そういう問題よりも、和解をするかどうかというような点について、いろいろな過去の経緯についての討論が中心でございます。
○古寺委員 もう一回お聞きしますが、会社側はこの和解の申し入れについてどういう考え方を持っているか、また厚生省としてはどういう考え方を持っているか、そういう点についてはどういう話し合いがなされたか、承りたいと思います。
○武藤政府委員 先ほど申しましたように、これは裁判所の御意向あるいは原告側の御意向というものが話し合いの中でいろいろ出てまいると思いますので、その間でいろいろ詰めていこう、そういうような話し合いをいたしております。
○古寺委員 そこで、ちょっとさかのぼるのですが、この新薬のイソミンが認可されたその時点の問題でございますが、この認可が、一時間三十分という非常に短時間で認可をされた、こういうふうに私聞いておりますが、これは事実であるのかどうか、また、事実であるとすれば、どういう調査に基づいてどういう根拠に基づいて認可をなさったのか、その点について承りたいと思います。
○武藤政府委員 三十二年の八月十六日、大日本製薬のほうから申請がございました。それで製造許可がおりましたのは十月十二日でございます。その間におきまして、先生御承知のように、薬事審議会の中には調査会というものがございます。その調査会に申請者から出されました毒性試験、臨床試験等の資料が出ておりまして、それについて審議され、十月十二日に製造の許可が与えられた、こういうふうに私どもは承知しております。
○古寺委員 いま御答弁がなかったのですが、一時間三十分で認可を決定したというのはどういうことでしょうか。
○武藤政府委員 調査会におきましてこの問題が審議された時間を、当時の記録を見ますと、結果としてそういうふうな審議時間になっておるようでございます。
○古寺委員 そこでお尋ねしたいのですが、現在はこういう新薬を認可する場合に、大体どのくらいの時間をかけ、どういう手続を経て認可をしているのでございましょうか。
○武藤政府委員 先生御承知のように、この問題が起きましてからは、いろいろ世界の趨勢もそうでございますけれども、新薬につきましての安全性の問題につきましては非常にきびしい方向になっております。 多少時間をとりますが、御説明いたしますと、安全性の問題につきましては、現在まずメーカー側としましては、毒性試験、それから特殊毒性試験、これは催奇性とか発ガン性の試験でございますが、そういうもの。あるいは一般薬理試験、あるいは吸収、排せつ、代謝試験、そういうもの。これは御専門の方にお話しするのもはなはだ恐縮でございますけれども、そういう生物作用的な基礎実験の段階の資料と、それから品質の問題についての検討資料をメーカー側から提出させております。つまり基礎実験の段階のものをまず出させております。それから次に臨床実験の段階におきましては、第一段階で初期の臨床試験を行ないまして、その十分な検討結果に基づきまして範囲を広げまして臨床試験を行なった資料を提出させております。そういうものが厚生省に提出されますと、今度は、薬事審議会にかけまして、そして必要な部会でそれを討論しまして結論を出していく、こういう状況でございます。
○古寺委員 それでは時間でございますので、本会議終了後引き続いて行ないたいと思います。 ――――◇―――――
○倉成委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 労働関係の基本施策に関する件、特に群馬県安中市における労働基準行政に関する問題調査のため、来たる二月二十四日、安中公害対策被害者協議会会長大塚忠君に参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後再開いたします。 午後一時五十八分休憩 ――――◇――――― 午後三時十八分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続けます。古寺宏君。
○古寺委員 それでは先ほどの続きでございますが、当時薬事審議会にかけないで、調査会だけの調査で認可をいたしておりますけれども、その理由はどういう理由によるのでしょうか。
○武藤政府委員 外国等で使用しているものにつきましては調査会限りで処理をしているというのが、その当時の通例でございます。
○古寺委員 これは、現在でもそういう形式をとっておられますか。
○武藤政府委員 現在はさらに特別部会にかけるという方法を行なっております。
○古寺委員 その当時と現在との相違点と申しますか、そういうふうに特別部会にかけて認可をするという過程に至ったその理由、根拠、それについてお尋ねしたい。
○武藤政府委員 そういう問題が三十八年に起きまして、その後四十二年から審査行政につきましていろいろな改革を行なったわけでございますが、その時点からさらに入念に審査なりチェックを行なうということで、特別部会等にもさらにかけていくということを実施しているわけでございます。
○古寺委員 そういうふうにサリドマイド事件以降、昭和三十八年あるいは四十二年、あるいは四十四年というふうに、日本の薬事行政というものが非常に大きく手直しされているわけでございます。ということは、このサリドマイド事件を厚生省が非常に重要視をしている。それはどういうような考えのもとにこういうような手直しをなさったのか。それと関連をいたしまして、サリドマイドについてはどういうふうにお考えになっているのか、その点についてお尋ねします。
○武藤政府委員 いまから考えますと、まあこれはみんなそうでございますけれども、当時の学問水準なり行政の水準というものは――いろいろ変遷があるわけでございます。私どもとしては、当時としては万全のことをしたつもりであったわけでございますが、そういう事件が起きまして、さらに新しく催奇形性試験とかあるいは毒性試験あるいはその他の臨床試験等も厳重にやっていくということが、その後の行政に反映してきているわけでございます。これはやはり薬務行政ができるだけ厳重な過程を経てやっても決してそれで十分だということは言い切れない、世界のいろんな趨勢、学問の向上とタイアップして、十二分にこういう問題のチェックをする必要があるということを痛感して、漸次改善につとめているわけでございます。
○古寺委員 そういたしますと、現在でも非常にいろいろな危険性があるわけでございますが、イソミンを認可した当時におきましては、現時点から考えた場合には、先ほど大臣からもお話がありましたように、非常にゆるみがあった、危険性が考えられる、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○武藤政府委員 当時としては万全のつもりでありましたけれども、問題が起きたあとから考えれば、結果的にはあるいは先生のおっしゃったとおりに、改善をする点があった、事実改善が行なわれているわけでございますから、そういうことだろうと思います。
○古寺委員 現在の薬事審議会の構成メンバーでございますが、その中には基礎系の先生方はたくさんいらっしゃるけれども、臨床の学者の方が非常に少ない、こういうことを承っておるのですが、この当時の調査会の中には、奇形学の学者は入っておられたかどうか。あるいは臨床の学者の方は何人くらいいらしたのかどうか、その点について承りたいと思います。
○武藤政府委員 当時の調査会のメンバーの中には臨床家はおりますが、奇形等についての専門家はおりません。
○古寺委員 現在はどうでしょうか。
○武藤政府委員 現在はメンバーに入っております。
○古寺委員 その臨床系の学者の方が少ないということは、これはどういう理由によるのでしょうか。
○武藤政府委員 臨床系の学者が少ないというのは、現在ではそうは言えないと思います。
○古寺委員 現在も臨床の学者の方が非常に少ないわけです。その内容についてお調べになっておられますか。
○武藤政府委員 現在は臨床家は過半数をこえているというふうに承知しております。
○古寺委員 それはあとでもう一度お調べになっていただきたいたと思うのですが、非常に臨床系の学者の人が少ない構成になっているわけです。そのために薬事審議会の構成についてはいろいろな批判もございますので、今後は十分にそういう点について検討をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 そこで、先ほどからいろいろと、当時の薬事審議会の認可の段階からずっと簡単に経過をたどってまいったわけでございますが、局長からもお話がございましたように、現時点において考えた場合には、当時の審査の段階では非常に危険性をはらんでおったということが十分にうかがえるわけでございます。先ほど大臣からも、その点については、私が厚生大臣であったならば電光石火の処置をとった、こういうふうなお話がありましたが、大臣は現時点から考えて、当時こういうような問題が起こり得るような薬事行政の体制であったというふうにお認めになりますか。
○内田国務大臣 必ずしも私はそう思うわけではございません。先ほども述べましたが、今日では社会福祉に関する国民のマインドが非常に上がってきたとちょうど同じように、薬の効能、効果とか安全性に関する国民の、また厚生省のマインドもいまから十年前とは非常に違ってきておることは、時代の推移とともに当然なことであると思いますので、おそらく当時としては薬の承認にあたってはでき得る限りの行政的な措置はとったろうと思います。しかし私が申しますのは、むしろそれよりも、これは外国から入ってきた特許の薬でございますので、外国でそれの危険性の情報が伝えられて、諸外国で続々とその薬の使用が禁止された情勢にあったと聞いておりますので、承認の問題もさることながら、私はやはりそういう場合には、もし今日のようなマインドにあったならば、直ちに一応とにかく販売を禁止するとかなんとかいう措置をとるのが当然であったろうと思われる、その点でございます。
○古寺委員 当時の措置を調べてみましても、そいう措置がとられなかったのじゃないか、そういういろいろ指摘申し上げるような問題があるわけでございますが、きょうは時間がないのでその問題にはあまり触れません。 そこで大臣にお尋ねをしたいのですが、大臣はサリドマイドのお子さんとお会いになったことはございますか。
○内田国務大臣 ございます。それは私、板橋の整肢療護園の視察に参りましたときに、サリドマイドのお子さま方の様子を見ております。それで、これは実はそのことばかりではございませんが、古寺先生もおいでくださったかどうかと思いますけれども、肢体不自由児の育成医療と申しますか、あるいは育成保護の施設としては代表的な施設であるはずの整肢療護園の施設が、私が見ましても非常に不満足な状態でございましたので、私はサリドマイドと申しますか、フォコメリーのお子さま方の様子をあそこで見たり、また施設の状況たら比べまして、あれはもっと国の金を入れて、そしてフォコメリーのお子さんたちを含む障害児たちに、もっと十分なことをしてやれる施設にしてあげたいという気持ちを持ちまして、実は、今度の四十六年度の予算におきましても、一ぺんアウトになりました予算をあとからまたくっつけて取ってまいったようなこともいたしております。
○古寺委員 話があれでございますが、そういうお子さんをごらんになって、大臣の感想と申しますか、そういうお子さまに対しては広い意味の政治的責任としてどういうことを今後なすべきか、そういうことをお考えになったか、お伺いしたいと思うのです。
○内田国務大臣 私がその道のべテランというわけではございませんが、私は厚生大臣として感じたままを申し述べますと、たとえば進行性筋ジストロフィーのお子さま方とは違った意味で、これらのお子さまたちもお気の毒で、おおむね天壽を全うされるお子さまが非常に少ない状況であると聞いておりますが、このフォコメリーのお子さまはそれとは違った意味の苦脳を一生しょっていかれるというところに、非常に私どもがめんどうを見てやらなければならない点がある、こういうことを私は感ずるわけでございます。
○古寺委員 そこで和解の申し入れがなされたわけですが、今後裁判の過程におきまして、サリドマイド剤と催奇形性の因果関係と申しますか、これが一つの大きなポイントになってくると思うのですが、この点について厚生省は現在因果関係があるというふうにお考えになっているのか、あるいはまた絶対にそういうことはあり得ない、こういうふうにお考えになっているのか、お尋ねします。
○内田国務大臣 私は和解の法理をよく知っておりませんけれども、和解をいたそうという私どもの気持ちは、その因果関係がありそうだから和解に持ち込もうとか、ないけれどもかわいそうだから和解でいこうということではなしに、これは裁判を長いこと続けておのずから出ることかもしれませんけれども、いまの状態が、そういう裁判を待っておることは、フォコメリーのお子さま方がおおむね学校に上がるころの状態であることを見ますときに、因果関係やら責任関係やらを裁判で確めることを避けて、裁判長のごあっせんによる法廷の中での和解、あるいは場合によると法廷外の和解ということもあるのでございましょうけれども、その因果関係の問題を究明することは別の今後の学問上の問題といたしまして、私はフォコメリー児の一つの処置として和解の道を選ぼう、こういうふうに考えるものでございます。
○古寺委員 原告側は因果関係がはっきりしないうちはあくまでも責任を追及する、こういうことを主張しているわけですね。そういう場合に、厚生省が因果関係がはっきりしないということをこのまま続けますと、せっかく和解の申し入れをいたしましても平行線になってしまう。厚生省はいままでもこの因果関係の追究という問題については取り組まれてまいったと思うのですが、この点について現在までどういうふうになっているのか、あるいは今後どの段階、どういうところまでいったら因果関係がはっきりする見通しなのか、そういう点について伺いたいと思います。
○武藤政府委員 この因果関係の問題につきましては、現在のところ世界的にも、日本におきましてもまだ学問的に解明されておらないわけでございます。したがって、因果関係の存在は、現在においては否定するほかはないというふうに考えているわけでございます。
○古寺委員 その因果関係の究明のために、それでは厚生省はいままでどういうふうな積極的な姿勢を示してきたのですか。
○武藤政府委員 これと関連いたしますが、動物実験につきましていろいろの実験を依頼しております。
○古寺委員 いまちょっと聞き漏らしたので……。
○武藤政府委員 この問題に関連しまして、動物実験につきましていろいろ依頼をいたしております。
○古寺委員 動物実験で依頼しておるとおっしゃいましたけれども、動物実験では一応そういう因果関係というものは、もうある程度これは定説になっていると思うのです。それをさらに今後――これは種族差の問題もございます。いろいろございますので、人体においてその因果関係がはっきりしないうちはそういうことを厚生省は認めない、こういうふうになった場合は、この裁判というものはどこまでも続くということが考えられるわけでございます。しかも先ほど大臣からもお話がございましたように、サリドマイドのお子さん方は、大きい人はもう十二歳、十三歳になっていらっしゃいます。きょうもその口頭弁論が行なわれまして、新聞やあるいはテレビで報道された場合に、このお子さん方がどういうふうに受けとめるか、私は何の罪もないこういうお子さんが幼い心を傷つけられやしないか、そういうことを非常に心配するわけでございますが、ほんとうにこういう犠牲者の立場に立った場合には、やはりもっと誠意のある、真心のこもっに措置というものが私は厚生省に必要ではないか、そういうことを――原告側も政府の姿勢が変わらないうちは私たちは和解の申し入れに応ずることはできない、こういうこともおっしゃっておられます。そういう点から考えまして、今後厚生省としてそれではどういうふうにこの和解というものを進めていくお考えなのか、原告側に対してどういう誠意を示してこの問題の解決に当たっていくお考えなのか、その点について大臣にお伺いしたいと思います。
○内田国務大臣 先刻来だんだん申しておりますように、私は、因果関係や責任の法律的究明ということをやっておりますことが、これらの不幸なお子さま方に対処する道の最良のものではないという気持ちを持つものでございますので、因果関係論や責任論は別といたしまして、お子さま方の幸福と、それからまた、とにもかくにも世界的にこの問題が起こって、それぞれの国において同じような方途がとられてきておりまして、それらの措置につきましてもいろいろ承っておりますので、私はそういうお子さま並びにお子さまをかかえられる家族の方の気持ちあるいは生活、そういうものも十分考えに入れながら、訴訟の帰結を離れた和解の方法で進むようにしたい、こういうことでございます。いまここで金銭のお話も、また具体的の厚生省としての対策も申し上げられませんけれども、製薬会社と国が相被告になっておりますので、私どもは製薬会社と表裏一体の形もとりまして、でき得る限りの誠意を示してやることがいい。そして私は、最初にこれも申し上げましたが、原告の方々の感情はお察しができますけれども、原告の方々におかれても、いままでの訴訟上の経緯は経緯として、私どものこうした気持ちをくみ取っていただいて、そして和解の方途が進むことを希望したり、期待をいたしておるわけでございます。
○古寺委員 和解の問題と並行しまして、もう十二年も経過をしておるわけでございますので、当然こういうお子さんに対する厚生省の対策というものがもっと誠意のある施策でなければいけないと思うわけです。現在電動義手の開発の問題とか、いろいろ施設の問題等もありますが、実際問題としては、用便をするのにも一人でできない、あるいはまた洋服を着たりなんかするにも非常に不自由である。今後成長していって、就職の問題あるいは結婚の問題等のことがいろいろございます。そういうお子さんをかかえている親の方々のお気持ちというものは非常に悲痛なものがあると思うわけです。そういう問題をかかえているこういう方々に対して、もっと厚生省は前向きの施策というものが必要ではないか。それがほとんどさしたる施策もなされないまま今日まで放置されて、そしていま裁判が始まるという二日前に和解の申し入れをする、そういう政治姿勢ではこういう問題の解決はできないではないか、こう思うわけです。 そこで、具体的に今後厚生省として、サリドマイドのお子さんに対する具体的などういう施策をお考えになっていらっしゃるか、それを承りたいと思います。
○内田国務大臣 もう訴訟になってしまっておりましたので、厚生省といたしましてはフォコメリアのお子さま方に対しましては、その症状の特異性に応ずる、先ほどお話がございました電動義手みたいな施策もやってはおるわけでございますが、一般的には、身体障害児のお子さま方に対する国の一般的の施策ということで対処してきたものと思います。でありますけれども、今度はその訴訟を解消して和解ということになるわけでありますので、和解の道といたしましては、いままで国がやってきたとおりのことをそのまま続けるから和解ということでは、和解にならないと思いますので、それ以上に、不幸な身体障害を持たれるお子さま並びにその家族の方々の精神的あるいはまた物質的の苦痛を救ったり、あるいはまたそのお子さま方が、いま古寺さんがおあげになりましたように、これからの生涯を通じて非常に不便なことに対処できるような方法をこれまでとは違った面で積み上げていくことが、私は和解の内容になろうと考えます。
○古寺委員 時間が来たので一応締めくくりますが、実はきょうは私のお会いしたサリドマイドのお子さんの写真も持ってきました。このお子さんのお書きになったものを私は拝見もさしていただきました。また、おかあさんのいろいろなお話も承ったのです。そのときに私が感じたことは、和解の申し入れをするならば、過去十年間にそういう機会が幾たびもあったわけです。そういうことが今日までなされないで、しかもまた現実のいろいろなサリドマイド児に対する施策というものがほとんど今日まで放置されていたにひとしい、そういうことを皆さんもおっしゃっておるし、私もそういうふうに感じたわけです。 そこで大臣に私が申し上げたいことは、現在のような体制でいくならば、第二、第三のこういうような薬禍による問題というものが今後必ず生まれるのじゃないか、そういうことが非常に心配になるわけです。きょうは時間がないので申し上げませんが、農薬の問題あるいは他のいろいろな薬品の問題についても、こういういろいろな危険性がございます。そういう問題を解決するためには、やはり厚生省当局というものがもっと人間の立場に立った、人間らしいいわゆる薬事行政というものを進めていかなければ、こういう問題の根本的な、抜本的な解決はできないのではないか。その面におきましては、今回のこのサリドマイド児に対する厚生省の政治姿勢というものは、態度というものは非常に私は残念である、こういうふうに思いますので、今後もっと誠意のある、積極的な、こういう子供さんの立場あるいは親御さんの立場に立った行政というものを進めていただくことを特にお願いして私の質問を終わりたいわけでございますが、最後に、そういう面でもう一度厚生大臣の御決意のほどを承りたいと思います。
○内田国務大臣 私は古寺さんがいま申されましたとおりの気持ちをもって、あなたが厚生大臣に御就任になった場合と同じような気持ちで対処をいたす、そういうつもりでおります。よろしくこの上とも御指導をお願いをいたします。
○倉成委員長 田畑金光君。
○田畑委員 まず初めに私、石炭鉱業年金基金の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、今度の国会には厚生年金法の改正法、さらに恩給法、各種共済組合法あるいは農林漁業団体職員共済組合法の改正等々、一連の年金引き上げ措置の法律が出ておりますが、石炭鉱業年金基金については、この法律ができてから今日まで、何ら改正措置等もとられないままに来ておるわけでありますが、この法律のこの年金の内容について、あるいは制度について、どのように大臣としてはお考えになっておるのか、初めにそれを承りたいと思います。
○北川政府委員 ただいまお尋ねの石炭鉱業年金基金についてでございますが、これは先生の御承知のように、四十二年の十月に発足をいたしまして、現在まで大体三年余りを経過いたしております。四十二年当時、発足当時の状況は、坑内員、坑外員合わせまして十万八千三百八十一人でございましたが、これが現在におきましては、昨年九月末の実績でございますが、六万六千百三十一人になっております。それから一方、この基金の運営上一つの大きなファクターでありますが、掛け金の基礎になる出炭量は四十二年度に比べまして大体八二%程度まで下がっておりますが、同じく昨年九月末現在で千九百四十五万トンでございます。そういうことでございまして、年金の経理の財政状況につきましては、当時の予測に比べまして、おおむね良好に推移はいたしておりますけれども、これも先生御承知のように、この財政再計算は五年目に行なうわけでございますから、四十七年の十一月に財政再計算を行なう、こういうことになるわけであります。したがいまして、財政状況の今後の推移につきましては、その再計算を行なったあとでないと実は確定的なことが申し上げかねる状態でございます。 そういうことで、現在定款で定めております年金の給付水準につきましては、原則といたしましてもちろん基金を構成する会員の方々全体の同意によってきめられるわけでございますが、今後もこの運営につきましてはそういう意味合いで会員全体の方々の意向によって行なわれていくべきものと考えております。もとより、ただいま御指摘のとおり、公的な年金制度の給付水準の推移等もございますので、こういうものを考えながら今後検討すべきものと考えております。 いま申し上げたとおり、財政状態につきましてはそういう意味で長期にわたった見地から計画は立てられなければなりませんけれども、出炭量が現在よりもさらに減少の傾向を続けてまいりますならば、給付水準の大幅な引き上げというふうなことがはたしてできるかどうか問題点は非常に多いと思っております。しかしながら、いまおっしゃったような点もございますので、今後できるだけその財政再計算期にどの程度の給付改善ができるかというふうなことを検討してまいる所存でございます。
○田畑委員 この法律を見ますと、第一条には「石炭鉱業の坑内労働者の年齢について必要な給付を行なうことにより、その老後の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」、こううたわれているわけです。 ところでいま局長いろいろお話がございましたが、この基金が昭和四十二年に発足してようよう来年、昭和四十七年の十月ですか、最初の受給者が出るわけです。ところが最初の受給者を見ますと、年額は三万円、月額は二千五百円、抗内夫ですね。しかも坑外夫についてはその半額である、こういうわけです。月、坑内夫で二千五百円、坑外夫はその半分ですから千二百五十円。これは年金といっても年金の名が泣くと思うんですよね。いまあなたの話によれば、五年ごとの再計算、こういうことでございますが、厚生年金保険法の一部改正というのは、ことし定額部分の引き上げ措置が行なわれて、一〇%の引き上げ云々ということでございますが、これは再計算期にきておるから上げたんじゃなくして、物価の値上がり、また厚生年金以外の恩給、共済組合は毎年毎年上げておるのに、厚生年金だけ押えておる、ここに矛盾があるわけでして、今日の諸般の情勢から見るならば、厚生年金を再計算期まで押えておくわけにはまいらぬ、こういうことでこれはことし上げておるわけです。こういうことを考えてみるならば、当然石炭鉱業年金基金についても、これは厚生省の指導によって財政再計算期を待たずして処理していくことが当然じゃないか、こう思う。あなたのいまのお話のように、なるほどこの法律の適用を受ける炭鉱の労働者の実態というものも年々少なくなってきておるわけです。四十三年の三月当時が十万五千名、昨年の暮れ、四十五年十二月は約六万四千名、そうしてまた、このような状況であるが、労働者はそのような推移を示しておるが、出炭は、あなたがいま言うように、八割前後は確保されておる。これは出炭量に応じて掛け金というものは納付されておるわけでありますから、したがって基金の状況はどうかというと、昨年、四十五年十二月当時を見ると五十九億三千万、こういう基金の財政の状況を見れば、私はこの炭鉱年金基金についても、もっと内容を改めることができると思う。これは忘れていたんじゃないですか。こんな法律があるということを忘れていたのでしょう、正直にいって。私が質問するというので、あわてて局長は答弁の資料を書いてきたようだが、忘れていたんじゃないですか。こんな法律やこんな制度があるということを大臣は知らなかったようですね。――あなたに聞いているんじゃない。大臣に聞いているのです。
○内田国務大臣 おっしゃるとおりでございます、私は。
○田畑委員 まあ大臣はやはり正直だから、これは厚生大臣らしく、その意味においては尊敬しますよ。だけれども、あなたの大事な所管事項の中に、こんな年金基金制度があるということを忘れておられたのでは困りますわな。だからやはり、こういう問題があるということをいま初めてここでおわかりになったようで、いまこの法律を一生懸命お読みになっておるようだが、いまじゃおそ過ぎる。やはりこの制度について何とか改善を加えてもらわぬと困ると思うのですが、これからもう少し、年金局長が答えたいような顔をしておりますから答えさせて、そうしてよく判断願いたい、こう思うのです。
○北川政府委員 ただいま先生からお話があったのでございますけれども、今回厚生年金保険法のほうを改正いたしまして、財政再計算期を待たないで定額部分の引き上げを行なうことによって、全体としてほぼ一〇%程度の改善をするということは、御指摘のとおりでございます。 ただ、その問題とそれからこの問題との関係から申しますと、この石炭鉱業年金基金の加入者すなわち被保険者でございましても、根っこにはやはり厚生年金の被保険者であるということがあるわけでございます。これはもう申し上げるまでもない点でございますが、その点では、今度の一般法としての厚生年金保険法の改正は、当然にかぶってまいるわけでございます。その点にさらにつけ加えて申し上げておきますと、これも申し上げるまでもないことかもしれませんけれども、いわゆる第三種、坑内夫につきましては、厚生年金保険法のたてまえから申しましても、いろいろな面で受給の条件あるいは国庫負担等におきまして、相当大幅な優遇措置を講じておるわけでございまして、その優遇措置を講じておるものについて、今度は厚生年金保険のほうで改正をして、一般と同様に給付改善をする。そこで上乗せになっております石炭鉱業年金基金のほうについて、しからばどういうふうなことをやるかと申し上げますと、これはただいま先生もおっしゃったとおり、被保険者数の減少というもの、それから一方においては出炭量が非常に減少はしておりますけれども能率化しておる、こういう面から考えまして、確かに基金の財政事情は悪くはないわけでございます。しかしまだ三年余りの状態でございまするし、また実際上この被保険者が減少しておると申しましても、減少いたしました結果どういう年齢構成になっておるかと申しますと、やはり傾向としては高年齢化しているという点も見のがせない事実なんでございます。そういう点を考えますと、いま先生おっしゃいました基金の財政事情といたしまして、相当な責任準備金を持っておりまするし、また若干の当該年度の剰余金というものもあるわけでございまして、長期にわたってどういう給付改善をするかというような点から考えると、やはりまだ三年半の状態でございまするから、今後おおむね一年半後には財政再計算期が参りますので、そのときを目標にして長期の見通しを立てた上でその給付の改善をする、これがたてまえではなかろうかと私どもは思っておるわけでございます。したがって、これは今後の財政の推移にも関連いたしますが、財政再計算期が四十七年の十月でございますけれども、それを目途にいたしまして、財政事情の内容をも十分考えながら、私どもはどういう改善ができるか、今後慎重に検討してまいりたい、このように考えておりますのが現状でございます。
○田畑委員 石炭産業というものが、将来とも産業として維持できるのか、あるいは原料炭だけを中心に、一般炭はもうこの辺でやめるのか、これは大きな、国のエネルギー政策の一つとして検討されていかなければならぬ問題だと思います。それはとにかくといたしまして、この炭鉱年金基金制度ができたというのは、過般の石炭鉱業審議会の答申に基づいて、どうすれば炭鉱の労働力の確保をはかれるかという面、同時に地下産業に働く労働者らが、御承知のように、石炭の崩壊というほど深刻な状態にきて、他産業に比べると、年々の賃金の引き上げも非常に低いという状況、いろんな背景からして、とにかく労務倒産を免れないという石炭産業の実態を背景としてこの基金制度ができたことは、御承知のとおりであるわけです。なるほど、いまの厚生年金保険の中で、坑内労働者については第三種の適用者としてそれなりの措置は講じられておるが、そのようなことも含めてこの制度なりこの法律ができたことは明らかな経緯でございます。先般の国会で農業者年金基金というのができたわけです。これは国民年金の適用を受けておる農家の人方に対して、さらに農業政策の面から農業者年金基金というのができて、これが動き出したわけでありまするが、農業者年金基金に比べて、この石炭鉱業の年金基金制度を見ますと、内容等において著しく劣っておるわけです。したがいまして、来年が再計算期ということになるわけでありますが、同時にまた、これは来年いよいよ給付が始まるわけです。先ほど申し上げたように、坑内夫に対して月額二千五百円、坑外夫に対して月額千二百五十円、これでは年金基金制度という名をはずかしめることはなはだしいと思うのですね。大臣、このあたりの質疑応答でおわかりになったと思いますので、この基金制度についても、ひとつひまなとき局長からよくお聞きになって、そうしてなるべく早い機会に、来年の再計算期を待たずして、次の国会あたりにはこの法律についても改正をしないと、はなはだしく均衡を失する、こういうことを私は見ておりますので、そのように御努力をいただきたい、こう思うのですが、御所見のほどを承っておきたいと思います。
○内田国務大臣 厚生年金につきましては、私も、国の制度としての厚生年金に上積みいたします、調整年金と申しますか、企業年金の制度が一般的に存在することは知っておりました。したがって、石炭鉱業の企業につきましても、もちろん厚生年金基金というものがそういう一般的の制度の中であるとのみ思っておりまして、これはたいへん私の失策でございましたが、強制加入で一個の石炭鉱業年金基金としての法人を別につくっておるということは、それは勉強不足でございました。しかし、局長も申しますように、今度の厚生年金法の改正と申しますか、定額部分の金額の引き上げは、もちろん石炭鉱業年金をつくっておられる方々にもかぶるわけでありますから、その面はもうこれは議論するまでもなく当然恩典はまいるわけでありますけれども、しかし、こうやって非常にむずかしい情勢の中にある石炭鉱業の中において、一つの例外もなしに、坑内夫を抱いているものは一つの鉱業年金基金というものをつくらせておる精神から考えますと、またいろいろいま御議論のございましたような点から考えなくてはならぬ点もあろうかと思いますので、おことばのとおり、ひまはございませんけれども、忙しい中でもひとつ勉強させていただいてまいりたいと思っております。
○田畑委員 大臣も問題があることをあらためて理解、認識されたようですから、ひとつこの制度についての検討をすみやかになされんことを望みたいと思うのです。 局長にまたお尋ねしますが、この基金制度は、局長御承知のように、老齢年金のほかは遺族一時金しか、給付制度としてはないわけです。炭鉱に二十年以上働いていても、五十歳まで炭鉱にいなければ受給権がない、こういう仕組みですね。五十歳以下の者が業務上死亡、傷害等を受けてやむを得ず退職したような場合には、勤続年数が幾ら長くても受給権が発生しない、こういう非常に内容が制度として不備であることは御承知のことだと思うのです。したがって、私は、この年金制度の中身、内容について、現行の遺族の一時金を年金化する問題、あるいは業務上の死亡、傷害等によってやむを得ず炭鉱を離れているものについて、遺族年金とか障害年金とか、こういう給付制度を設けるということも、私は、次の財政再計算期を待たずしてすみやかに検討をいただきたい。また、これは当然検討されてしかるべきだと思うのですが、どうですか。
○北川政府委員 ただいまのお話にございましたように、来年十月が第一回の財政再計算期でございます。これも御承知のとおり、この種の基金は、やはり第一回の再計算を行ないまして初めて財政的にある程度その基盤の見通しというふうなものを立て得るものだと思います。したがいまして、それまでの、ただいまおっしゃいました、この差金の財政事情というふうなものも十分に検討いたしました上で、来年には受給者が出るわけでございますから、その時期を目途といたしまして、ただいまおっしゃったようないろいろな内容の改善等につきまして十分に検討してまいりたいと考えております。
○田畑委員 局長が、再検討する、来年の再計算期を目途に、内容についても、その他の年金制度の内容などともにらみながら前向きに検討する、こういう答弁ですから、私はその答弁を信用して、ひとつぜひ努力を願いたい。そのような方向で次の機会に改正法案を出してもらいたい。 同時に、私、もう一つ、この炭鉱年金基金は理事長の諮問機関として運営審議会というものを設けているわけですね。この法律がこの委員会で審議されたときにもいろいろ議論されたことでございますが、この運営審議会というものは、理事長が委員を委嘱すると、こういう形になっておりまして、いわゆる三者構成という形を踏んでいないわけですね。私は、一つの理由は、この基金の原資というものは、すなわち掛け金は、会員である事業主が負担する、こういうふうな内容でもあるから、事業主の一〇〇%負担による基金であるから、したがって、理事長の委嘱するのは労働組合や労働者側の代表でなくてもいいのだというようなことも現在の運営審議会になっている原因かもしれませんが、しかし私は、やはりこの種社会保険の運営を円満に遂行するためには、このような運営審議会などは三者構成をもってやるべきだと思うんですね。たとえば労災保険にしても、その負担というものはあげて事業主が負担しておるわけであるが、しかしこの労災保険についても、たとえば労災保険審議会というものが、これは明らかに三者構成でやっておるわけですね。だから、私は、この制度の改善にあたっては、こういう面ももう一つ触れて検討願いたい、このように思うのでございまするが、この点ひとつ考えを聞かしていただきます。
○北川政府委員 ただいまおっしゃいましたとおり、この基金の財源といたしましては、全額が事業主の負担でございます。また、会員はもとより事業主でございます。そういうことで、ただいまおっしゃったような構成になっているというふうな面もあると存じますけれども、問題は、この運営審議会の実際の運営の実態というものが適切にいっているかどうかというふうなことでございましょうから、私どもといたしましては、運営審議会の実態というふうなものを十分にながめました上で、今後どうするかという問題について考えてまいりたい、このように考えております。
○田畑委員 ひとつ大臣にお願いしたいことは、いま幾つかの点をあげて大臣の今後の善処を私は求めたわけでありますが、どうぞひとつお願いしたいことは――これは忘れて気がつかなかったということでしょう、ほんとうに。正直なことを言われて、そう言われるとそうかなという感じもするし、またそれほどこの制度というものがあってなきがような内容でいままできておりますので、ひとつぜひ、局長がいろいろ答えておりましたが、あの答えに基づいて、大臣としてもこの年金基金制度についてはぜひ改善の措置を講じられるように、強く要請しておきます。
○内田国務大臣 十分御意見を承りました。
○田畑委員 次に、石炭山の健康保険組合について、この財政状況なり運営などがどういう状況になっておるのか、まず初めにこの点を承りたいと思うのです。
○戸澤政府委員 石炭山の健保組合につきまして現状をお話しいたしたいと思います。 まず数から言いますと、年々減少の傾向にありまして、四十二年には三十一組合であったものが、四十四年度には二十二と減っております。被保険者の数も、四十二年十万七千人ほどでありましたのが、四十四年度には八万四千人というふうに漸減の傾向にございます。それで、石炭山の健保組合の経営状況、財政状況でございますが、この健保組合は全体として高齢者が非常に多いというようなことから、被扶養者の数も多く、それから一人当たりの医療費というふうな面も、一般の健保組合等に比べて、高い傾向にございます。一方、収入面は、標準報酬が伸び悩んでおるというようなところで、財政状況は悪くなっております。現在、ほとんどの組合が最高の保険料率、千分の八十ないしそれに近い保険料率で取っておりますけれども、単年度収支で黒字となっているものは三組合だけでありまして、十九組合は赤字となっております。この赤字の状況は、四十四年度単年度で約七億五千万円、年度末の累積赤字は十一億六千万円に達しております。こういうものにつきましては、いろいろ苦しい中ではありますけれども、組合が中心になって、いろいろな保健活動によって疾病の予防につとめるとか、保健衛生指導、栄養改善とか母子衛生の指導とか、そういったこともやって、疾病の予防、健康管理につとめておりますが、その赤字に対しましては、毎年健保組合に対する給付費臨時補助金の大半をこの石炭山健保のために費やして援助をしておるというような現状でございます。
○田畑委員 石炭山の健保組合の実情について局長からその実態がいろいろお話がありましたが、まさに組合健保としても料率はぎりぎりのところまで取っておるわけです。しかもまた、老齢化しておるというのが炭鉱労働者の実態です。また、作業条件が地下産業であるだけに罹病率も高いわけです。したがって受診率も高い。これが実情であって、そうして今日までの保険財政の状況を見ますならば、法定準備金の取りくずし、あるいは財産の処分でやり繰りをしてきておるのが実態です。そしてまた、いまの局長のお話にありましたように、累積赤字が十億、十一億、十二億、こういう額にのぼっておるわけですね。これに対して国庫補助というのは組合健保全体として四十二年、四十三年は二億八千万、四十四年、四十五年、四十六年ともに三億、こういうようなことになっておりますが、石炭山の健保組合に対する補助金の交付状況は、たとえば三億の中で四十四年を見ますると二億五千万、その大半が石炭山の組合健保に補助金として来ておるわけであります。しかし、このままいきますると、これはどうしてももう組合健保ではやっていけぬ、やがてこのような事態に到達すると思うのですね。私はやはりこの際、いま局長からお話がありましたように、昭和四十年当時、組合数として三十六あったのが、いまや二十二、組合の数は確かに減っておるかもしらぬし、また被保険者の数も四十年の十二万五千九百六十五名が今日、四十四年には約八万五千、このように減っておるわけでありますけれども、やはり私はこれを財政面から見まするならば、組合健保でいくのをやめて、もしこれが政管健保に移行したという場合を想定しますと、国の持ち出しというのはもっと私は大きくなるのではないか、こう思うのですね。そういうことを考えてみますると、いまのこの国会で、これから政管健保の赤字問題を中心とする健保改正法で、どうなるかわからねような雲行きがちらちらと見受けられるわけでございまするが、たいへん厚生大臣をおどかすようで申しわけないわけでありますけれども、これ以上赤字のしわ寄せを背負い込むことじゃ、とてもたいへんだと思う。だから石炭山の組合健保などには、やはり組合健保としていけるような財政措置を講ずることが、私は国としても、財政当局としても望ましいことじゃないか、こう思うのです。幸いきょうは私大蔵省の主計官にも――ひとつこの際私のこのような考え方が間違っているかどうか、局長とそれから主計官に考え方を承っておきたい、こう思うのです。
○戸澤政府委員 確かに現布石炭山健保はもう頭打ちになっておるような感じでございますが、今度の改正案は、もしそのまま通らしていただければ標準報酬の改定とか料率の改定によりまして、健保組合の運営も非常に好転して健全化されてくるんではなかろうかと思っております。それからこれが政管に移った場合には政管の負担が多くなるということはそのとおりだと思いますけれども、また反面健康保険組合というのは自前でもって自主的に運営して、しかも政管健保よりもいい給付ができるというようなところについて認めておるのが原則でございますので、できるだけ自主的に運営していくように計らってもらわなければならないわけでありますが、石炭山につきましては特殊な事情がございますので、これに対しましては臨時補助金をもってその大半をこれに充てて助成しておるというような現状でございますので、今後もそういう健康保険指導とか財政援助、そういったものによってできるだけこれを支障なく運営できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
○相原説明員 財政当局としましてはなかなかお答えしにくい問題でございますが、やはりたてまえ論として申しますと、組合健康保険はそれぞれが自主的な責任のもとに効率的に事業ごとに実態に即した運営をしていくということで認可してスタートしたものでございますから、そこにいいところもあり、たまたま経営がうまくいかないという場合にも、やはり組合のそういう自主性のもとにやっていただくというのが一応のたてまえだろうと思います。ただ仰せのとおり、石炭の場合は極端な場合でございます。したがいまして、三億の特別の補助をしまして、その大半が石炭健保のほうに回っているわけでございますが、いま局長からもお話がありましたように、組合数も減っていく、組合員も減っていくというようなことから考えますと、一人頭で見ればどうやってもふえているという議論も一応算術としては出るかと思うのでありますが、こういうことは申し上げるまでもありませんが、そういうこともあり、かつまた財政調整としても非常にむずかしい問題がありますが、組合健保と政管健保との調整の前に、今度は組合健保の中でそういう問題も議論としてはあり得るのではないかと考えられますし、いろいろ問題もあるかと思います。したがいまして総合的に考えて今後検討課題として勉強してまいりたいと考えております。
○田畑委員 局長のお話を聞いておると、今度の法律改正で料率改定や標準報酬の引き上げが実現されるならばやっていけるであろう、こういうことですが、その前提自体にいろいろ意見もあるわけですけれども、かりに法律が通ったとすれば、今度は政管健保についても千分の七十から千分の八十、その範囲において社会保険庁長官が調整をする、運用をする、こういうことでしょう。そうしますと、組合健保については千分の三十から千分の八十といういまの料率を千分の百まで動かせるんだ、こういうことですね。これを私は、いまの気息えんえんたる炭鉱の企業の中で、そうして炭鉱労働者等に対してぎりぎり一ぱいの保険料の負担を求めるというようなことでこの炭鉱山の健保を維持していくことは、たいへん残酷だという感じがしますね。平均年齢にいたしましても、炭鉱労働者の平均年齢は四十歳をもうはるかにこえておるわけですね。厚生大臣は非常に年寄りを大事にするということでいま有名になっておりますが、これ以上年寄りをいじめるつもりですか。ことに私申し上げたいと思うんですが、被保険者一人当たりの付加給付を見ますと、これは四十四年度でございますが、組合管掌では四千百九十五円、石炭健保では千八百四十八円、それから被保険者一人当たりの保険施設費、これを見ますると、これも四十四年度でございますが、組合管掌が四千二百三十円、石炭健保が二千百三十円、こういうことですね。付加給付費は、石炭健保は、その他の組合管掌のそれに比べますと、ほとんど三分の一ですね。それから保険施設費については二分の一ですね。これが今日の石炭の組合健保の実情なんです。でありまするから、組合健保の財政を維持するためには、先ほど申し上げましたように、積み立て金の取りくずし、もうそれも底をつき、財産の処分も底をついて、そうして二十二の中で黒字経営はわずか三つしか残っていない、これが今日の実情になっているわけですね。先ほどの局長の答弁を聞いておりますと、今度千分の百まで組合健保については上げるんだから、それで取れば十分やっていけるだろう、こういうことですが、これは私は大臣の意思とはまるっきり離れておると思うのです。局長はもっと大臣の意思を体してこれから努力をなさらなければ、あなたそういうようなことじゃ困りますよ。私はこの際大臣の考え方を承っておきたいと思います。
○内田国務大臣 私もいま数字をにらんでおるわけでございまして、石炭山の健保の状況につきましては、先ほどの石炭山の厚生年金基金の問題とは別に、私はだいぶ承知をいたしておるわけでございます。そういうことで、お話のとおり、料率も現行においてすでに高いし、また医療給付費も多い、したがってまた、それらを反映してその付加給付というようなものは少なくなってきておるというように、石炭山につきましては、ほかのそれぞれ独立に運営をしておる組合健保とはたいへん趣が違っておりますことも承知をいたしております。でありますがゆえに、二、三年前まではかなり数もございました組合がどんどん解散をして、政管健保のほうでそれを取り上げまして、今日残っておる独立の組合数は二十二というようなことに減ってしまってきておるわけでございます。 そこで田畑先生、いま先生のおっしゃることをそのとおりやりますと、政管健保と組合健保のほかにもう一種類の、いわば石炭山健康保険法というものをつくるか、そうでなくても健康保険法の中に別に一章を設けるようなことになるわけであります。でありますから、ほんとうから申し上げますと、しかられるかもしれませんが、こういう勤労者健保というものは全部一本にしてしまって――組合健保千五百ぐらいございますし、被保険者の数八百万人ぐらいあるわけでございますが、石炭山健保とは趣を全く異にする、裕福だと言うとこれまたしかられますが、運営も楽なところでありますから、せめて組合健保の中でさえもといいますか、中においても、かりに一体運営をしますと、いまの石炭山健保というものは、別に一章設けるよりもはるかに楽な運営ができますし、さらにまた政管健保のほうも、これも一本にいたしまして、勤労者健康保険制度というようなものをやるほうがよろしかろうというような、御承知のとおりの構想もございまして、両審議会に諮問をいたしておるわけでありますが、これもことばが悪かったら私は取り消しますが、金持ち組合が貧乏組合と一緒になるのはまっぴらだというような面も現実問題としてはありまして、なかなか御賛成が得られないという状況でございます。でありますから、それは理想といたしましてこっちに置きまして、やはり石炭山の健保につきましては、これは私は大蔵省もおるわけでありまして、しかられるかもしれませんが、いままでやはりめんどうを見てきたんですから、見られるだけのめんどうは、やはり厚生年金基金と同じように見るという考え方を捨て去るべきではないと実は私は思います。局長が、今度は健康保険法の改正がありますと、石炭山健保のほうも楽になるだろうと言ったことは、料率の最高限を千分の八十から千分の百に上げるということではなしに、これは私の気持ちでは、今度法律を通していただきましても、すぐにそういうことをやる気持ちはもちろんありませんが、局長の言うのは、それよりもいまの標準報酬というものの最高限が、石炭山の従業員の給与に対しても現実とかなり離れておりまして、十万四千円でみなこの五年間でございますか、六年間でございますか、そのままになっておりますので、それが今度は現実の月収に応じた標準報酬のところにはまり込むということ、それからもう一つは、これもしかられる対象になっているようでございますが、年々の賞与の三分の一というようなものを、やはり標準報酬の箱の中に入れるというようなことが行なわれるわけでございますので、そうすれば料率を上げないでも運営が非常に楽になる、こういう意味のことを局長が申し上げたと思います。しかし私が申し上げました中心は、おっしゃったように年寄りを大切にしたいと思います。石炭山の従業員はだんだん老齢化してきているし、またそれだけに家族などもお年寄りの両親をかかえている方が多いはずでありますから、今度の健保の改正を通していただきますと、家族のほうは付加給付でなくても堂々と七割給付を受けられる、老齢者家族が七割給付を受けられるというようなことにもなり得る面もあるわけであります。私が申します精神は、そういうことと、先ほどちょっと申しましたように、やはり三億円がいいのか、あるいはそれ以上の金額がいいのか、あるいはまた今度の改正のはね返りがあるので、金額は動かす必要がないのかもしれませんけれども、石炭山健保組合のことにつきましては、十分実態に沿った考え方を、私は一方において十分研究、検討課題とするようにつとめてまいりたいと思います。
○田畑委員 答弁の中でいろいろな問題に触れられましたが、私は石炭健保ばかり言っているから、何か別個に独自なものをつくるというように受け取られたとすれば、それは非常に困りますが、そうではなくて、私が問題にしているのは、二億八千万から三億の補助金というものが出ているわけです。これは主としては石炭山の組合健保にいっておりますが、その他総合的な中小企業が連合してつくっている組合健保にもいっているわけですね。そういうところに対しては、私はもっと財政的な措置を考えてもよろしいのではないか、こういうことを言いたいわけです。公費負担としてもっと取り上げてもよろしいのではないか私の言いたいのはそこなんです。お話しのように勤労者保険とか国民保険とかあるいは老齢保険とか、こういう制度を幾つかの体系にしていこうという問題等については、これは抜本的の問題として当然今後取り上げられて、国会や世の批判を問うことになるでありましょうから、それはそれでいいんですよ。また大臣がおっしゃるように、組合健保の中で有無相通ずるということをお互いがやり合うということも、今後の方向としてはそれは考えてもいいと思うのですが、それは今後の問題であって、私はいま現行制度のもとにおいてこのような問題がありはしないかということを承っているわけでありますから、そこで特に大蔵省のほうが、こういうような問題についてはもっと理解をせぬと、幾ら厚生省がここでうまいことを答えても、あなたのほうの壁が厚いのじゃ何とも問題の解決にならぬものですから、きょうあなたに来てもらったのはそういう意味なんですよ。特に三億の補助金をあなたのほうで出しているけれども、しかし、これが補助金を出している石炭山の健保のみをきょうは取り上げたわけでありますけれども、この実態を見ますと、保険料率その他はぎりぎりまで負担をしておるということ、そしてまた、それでもなおかつ赤字赤字で累積赤字がもう十二億にもなっておるということ、こういうことを考えてみると、もっとこういうような点に財政当局も考慮を払ったらどうか、こういうことを私は実はあなたに言いたいのですよ、大蔵省にこれは。そういうわけで、さらにこれは今度は逆に厚生大臣のことばをかりるようなことになりますが、今度出した法律、今度の予算によれば、政管健保の医療給付費については五%を今後定率で負担していこう、こういうことでしょう。こういうことなどを考えてみると、私はさっきの話に戻るけれども、一体炭鉱の組合健保を全部政管健保でかぶった場合の国の持ち出し、いまの制度のもとにおいて国の補助金、どっちが国の財政の面から見てプラスになるかということを考えてみるなら、私はまだよく数字をつかんで言っておるわけではございませんが、おそらく私の見るところ、三億前後の補助金ということでなくして、もっと国の負担は大きくなるんじゃないか、こういうことを考えてみますと、私は石炭山の健保をはじめ、その他中小企業が一緒になって総合的な健保組合をつくっておるが、そういう面に対してはもっと大蔵省としても財政的な――これをひとつ医療費の公費負担というような考え方でめんどう見ていったらどうじゃろうか、こういうことをあなたに問いたいわけです。もう一度あなたの考えを承りたい。
○相原説明員 御意見十分承っておきたいと思います。 ただ、先ほど申しましたように、組合健保という性格上、政管健保に導入しましたような定率の国庫補助はなかなか導入しがたいということでございます。先ほど大臣がお答えになりました点、同感でございますが、ただ一点だけ承服しがたい点は、組合の中でいい組合と悪い組合がある、その間の調整の問題があるが、それは別に置いてとおっしゃいましたが、われわれは別に置かないで、まずその辺から検討していただきたい、こういうことを考えているわけでございます。
○田畑委員 ひとつ大臣、まあ医療制度の問題については、これから法律の改正案を中心にいろいろ議論が出てくるわけでありますが、それはそれとして、私はきょうは炭鉱に関する年金基金の問題と炭鉱の石炭山の組合健保について問題点を指摘し、また今後の善処を求めたわけでありますが、ぜひひとつ、いま申し上げた二点については今後十分配慮されて、予算措置等においても今後善処願いたいと思います。 また大蔵省の主計官も、まああなたみたいなかたいことばかり言わぬと、よく厚生省の言うことも聞いて協力するように――それがあなた方の仕事ですよ。大蔵省というのはそのためにあるんだから、まあひとつ今後よく厚生省の言うことも聞いて善処することを強く要望して、私の質問を終わります。
○倉成委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 大臣にお尋ねいたします。 最近私の手元に、京都の人ですけれども、じん不全の方の友人から手紙が参りました。大臣は人の命や健康に関係する分野で責任ある政府の地位におられる方ですから、率直に大臣にお願いしたほうが私は話が早いと思うので、お手紙を紹介して大臣のお知恵をお借りしたいというふうに思うのです。ちょっと紹介します。じん不全の人の友だちの手紙です。 先日じん臓炎で入院した友人を見舞いました。去年の十二月に入られたのです。入院した当時はまだ元気でしたが、いまでは容体がきわめて悪化しています。ことしに入ってずっと意識不明で、親しい友人がつきっきりで世話しています。入院したとき、この病気はそう長く生きられないという話をお医者さんから聞かされましたので、できるだけのことをしてあげたいと思い、お医者さんに治療法を尋ねてみました。そうしたら人工じん臓を使えばある程度まで生きられる。しかしここの京都大学の内科の病室には一台しかないので、あとが詰まっており、春にしかあかない。費用は一カ月三十万円かかります。国民健康保険で入っておられるから、十万円は本人の負担として出していただかねばなりませんと言われました。それでお金の思案をしているうちにこのような状態になりました。重病で家庭に事情のある者に一カ月十万円など出せそうもありません。まさに貧乏人は死ねということ以外にはないじゃありませんか。何とかしていただけませんか、というのが私のところに来た手紙なんです。 私、この病人の人もよく知りませんし、手紙をくださった方もよく知りませんので直接行きました。行ったら、ある中小のお菓子をつくっている会社に働いている人で、長いこと自分と一緒に仕事をしておった女の子だ。その子は遠く家出をしてきて――家出というのですか、遠いところ、鹿児島かどこかと言っていましたけれども、そこから出てきて、そしてこの会社でしばらく働いておって、そして今度はホステスになって働いておったが、ついに入院してしまうというかっこうになった。いまは妹さんと同じ職場の人がつきっきりでめんどうを見合っているけれども、たいへんな事態だというのが会ってみてわかった話なんです。 そこで、ここで聞かされた話のうちで二つの問題にはたと直面をするわけですね。一つは、お医者さんに聞いてみたら、人工じん臓を――もういまとなったらわかりませんけれども、あの当時使えば、確かに私は長期にわたって生きられるんじゃないかというふうに思いますと言うのです、お医者さんが。これはほかの病院にも私行ってみました。そうすると大体やはり同じようなことが言われるんです。これが私の感じた一つの問題点だと思うのです。 それからもう一つの話はお金の問題なんです。十割給付の健康保険の人はまあそれでいいと思うのです。ところが、この人は国保なんです。そうすると少なくとも三割持たんならぬということになってくるわけです。そうすると、入院してしまってはもうどうにもならないという問題に直面してきているわけです。これはお金の問題というのが必ず伴うわけです。ちょっと私はある病院へ行って聞いてみたんです。そうしたら、健康保険組合の場合でも、十割給付でも、これが長期に続いていくということになったら、小さい健康保険組合としてはたまらぬという問題がやはり伴う。そうすると、私はここでいえることは、生きる道がありながら、機械が少ないため、あるいはお金がないために生きられない。私は非常に不幸なことだと思うのです。これは何らかの方法、手の打ちようがないでしょうか。それで私、一体京都府でどのくらいあるでしょうか。これも当局へ行って聞いてみました。また厚生省の資料も見せていただきました。正確じゃありませんからあれですけれども、全国的に見て一万人前後の方がじん関係でなくなっておられるという数字も見せていただきました。そうすると、かなり多くの人々がそういう二点の問題をめぐって泣かされているということを考えたときに、今日の科学の進んだ段階において、人の命が金でもって解決ができるものが解決できないというのは非常に情けない。大臣、これについてひとつ知恵を出していただきたいと私は思うのです。この点についてお聞きしたいと思います。
○内田国務大臣 私も厚生大臣になりましてから初めて承知をいたしました。また、私がわりあい平素病気がないものでございますから、いまのじん不全、あるいはそれの治療のための人工じん臓の仕組みというようなものは知る機会がございませんでしたけれども、厚生大臣になりまして知る機会がございました。また現実に患者さんが人工じん臓のお世話になっているその臨床の場面まで実は行ってみましたが、それは寺前さんのおっしゃるとおりです。また、わが国にもこのじん臓の治療といいますか、移植などにつきまして非常に熱心な先生方もいらっしゃいまして、そういう方に接触を私はいたしたこともございます。でありますから、理想的な形態におきましては、今日のがんセンターの仕組みのように、中央にたとえばじん臓センターのようなものを置きまして、そして各ブロックあるいは都道府県に地方のじん臓センターのような、あるいはじん臓コーナーのようなものを公立病院につくりまして、そしてそこで人工じん臓で血液の洗浄、清潔化をやるし、また全国的なリストアップの仕組みなどもそのセンター網の中へつくって、そして甲の人のじん臓を乙の人に移植する、またAの人のじん臓をBの人に移植するというような――これはだれのじん臓でもいいというものではないらしいので、やはりじん臓型といいますか、血液型といいますか、拒絶反応のないようなそういう一つの型のじん臓を、移植する場合においては持っていかなければならないのですから、だれのじん臓でもいいというわけのものではございませんので、そういう血液型と同じようなじん臓型――これは私はしろうとでございますからわかりやすく申すとそういうことになると思いますが、じん臓型を登録しておいて、そしてじん臓の移植のできるような方向に将来は私は持っていくべきだと考えます。 ところが、いまの人工じん臓の状況を見ますと、あなたのおっしゃるとおりで、数がまだ非常に少ない。おそらくこういうものは、最近開発されたばかりで、日本ではまだあなたがごらんになられたような人工じん臓はつくられていないはずでございまして、おそらく外国からの輸入品で、その値段も一個数百万円するように聞いておりますので、日本じゅうにも数百台くらいしかまだいまのところないはずで、これから開発にかかるという、そういう人工じん臓の組織でさえもそういうようないま過渡期にあるようでございます。いわんやじん臓そのものの移植ということになりますと、いまのリストアップも、あるいはセンター網もできておりませんのでなかなかやれない、こういう状況でございます。 ところで、私はその人工じん臓にかかっている状況を臨床的の立場において見せていただきましたが、これはちょっと血液調査をするように二十分や三十分で済むというのじゃなくて、ずいぶん長い間ずっと血液の体外への交流をやっておりまして、しかもそれが一ぺんやれば一カ月間はいいということではなくて、何でも五日か一週間ぐらいしかもたない。ですから五日か一週間でもう一ぺんまた来てやるということでございますから、その数百台の人工じん臓機械をフル稼動いたしたといたしましても、一週間は七日しかございません。日曜もございましょうから、それの六倍しかないということになりますと、おそらく二千人分とか千何百人分の血液交換しかいまのところはできないという状態でありますので、単にお金の問題ではなしに、お金をどんなに積んでみても、必ずいまの人工じん臓で常に一週間に一ぺんずつあるいは五日に一ぺんずつ血液の清浄を行なえるというような状態にはない状態だと私は見るわけでございます。そういうことはいま手前さんも、健康保険のほうの本人がかりに十割給付だったとしても、お金の問題だけではないというようなことをおっしゃいましたが、私はいま長々と申しましたが、そういう認識を持っておるわけであります。これはあなたから御質問があるというのでにわか勉強したというわけじゃないのです。間違っておるところがあればいま医務局長に直させます。でありますから、そういう状態を何とか前進をぜひさせたいと私は思います。しかもじん不全等でなくなる方はあなたのおっしゃるとおり一万人内外あるはずであります。ガンのほうはそれよりも多く、その十倍か十二倍くらいなくなる方があるのでありますから、ウエートはガンの十二分の一かもしれませんが、ガンあるいは心臓疾患等に次いで私どもはこれから開発をしていかなければならない医療の分野である、こういう認識に立ちまして、でき得る限りの対応策をとっていかせたい、こういうつもりでおります。 以下、また御質問に従いまして専門の医務局長からお答えをさせたいと思います。
○寺前委員 それで、大臣もよく問題点はわかっておられるわけですね。問題は、本人にしても、家族にしても、いまわらをもつかむ思いですよ。毎年毎年一万人ほどの人が死んでおる。かなりの数ですよ。そうして、いまこの人たちが一番直面しておる問題は、器具が少ない。一割にも満たないわけですね。たとえば京都大学の内科でさえも一台しか置いてない。京都大学の病院全体を見ても四台しか置いてない。だから緊急にそういうものを入れるための、器具を置くための金を助成するとか、それから、いまお金がないためにわらをもつかむ思いのその処置をしてもらえないという人に対して、何らかの救う方法を緊急に手を打って、ほんとうに延命策を期待しておるのですから、そこの緊急策をすみやかに講じていただきたい。私はここのところを大臣に直接聞きたいと思うのです。
○内田国務大臣 あと補充させると申しましたが、もう一ぺん立たせていただきますが、どうも私は機械のしろうとなりに、一台の機械に一人の患者がかかっているような状態で、何かポンプのようなものらしいです、一台を置いてそれに数人かかれるような、そういうものの開発はできないでしょうかというようなしろうと意見を述べたことがございましたが、そういうことも当然考えられることであって、一人が一台何時間か専有してしまっておるというような旧式――といっても現在では一番新式かもしれませんが、そういうものにスティックできない。私はさらに、いまの患者の状態から考えましても、開発をさせたりして、そうしてそれに対する対応策を充実したいという前向きの姿勢をとろうとするものでありまして、いま寺前さんがおっしゃるように、何か緊急策というものは限界があってとり得るものではないように思います。 以下、医務局長から、私の誤りを正しながら答えさせたいと思います。
○寺前委員 もっともっと開発しなければならないことはおっしゃるとおりです。問題は、現時点においても、お金を準備することによって命を長らえることのできるという人がたくさんおりながら、その救われる道にはいれない、ここが一番の問題だから、どうぞひとつ大臣、その点を緊急に考えてください。これは私も要望しておきます。 もうこれ以上言いません。大臣、検討してください。心からお願いします。私は大臣にその点を確認してもらったらいいのです。
○内田国務大臣 いま緊急に私が銭を一億円大蔵省からとってきてすっと買えばいいというような簡単なものでもないような点もあるようでございます。私は、大島博士などの話も承ったり、また、そもそもあの人工じん臓というものがじん臓疾患に対する最終的な、あるいはまた、当面の一番いい方法のようにも思いません。あんなものを、ベッドの上に寝て、そして一日じゅう血液の交流を五日に一ぺんか六日に一ぺんやらなければならないというような状態がはたして――あれがじん臓のほんとうの治療法としての最終的なものであるようにはしろうとの私にも思えませんので、それはそれでやりながら、じん臓というものは二つあるわけでありますから、おかあさんのじん臓を取って娘に入れたり、亭主のじん臓を取って奥さんに入れるという種数のものでございますので、心臓移植などとは違うものであるように思いますので、むしろ移植のほうが手っとり早いということも考えられましょうし、あの不便な――これはしろうと考えですから、間違えましたらひとつお笑いいただいてけっこうでありますが、あの人工じん臓のような仕組みが緊急の対策として一番いいものでもないとは思いますが、さらに私は、それは専門家の意見も聞きまして――あなたは私だけの答弁でもよろしいと言いますが、厚生省の中には医学博士もたくさんおりますし、それから国立病院その他関係の臨床やまた基礎的の研究をされておる医者の方々もたくさんおられますので、これは私どもの当然のつとめといたしましていろいろ検討をいたしてまいりたいと思います。
○寺前委員 救われる道があるならば、片一方は救われなくてなくなっていくとするならば――それが一番いい方法ではない、もっといい方法を開発していきたい、それはそのとおりなんです。しかし、そこが救われる道だということが判断されていく場合に、お金でもっていかないという事態になるほど不幸なことはない。これについて、大臣として責任をもって相談に乗っていただきたいということを私は要望しておきます。 それから、きのうからきょうにかけてサリドマイドのいろいろな質問がありました。私はもう多くの問題は論じません。ただ、大臣いいですか、外国と日本との違う点において、多くの人が疑問に思っている問題点について大臣に解明をしていただきたいと思うのです。 それは何かというと、きのう私はおたくのほうから、一体サリドマイドの被災児というのはどれだけおるのだという人数を聞きました。生まれた人数ですね。そうして、昭和三十三年に七十六人、三十四年に六十一人、三十五年に九十七人、三十六年に百五十三人、三十七年に三百三十七人、そして三十八年には二百十二人という数字を聞かしていただきました。それ以後については数字は持ち合わせてないというお話でした。この数字を持ち合わせてないという問題は、なぜ調べられないのか私はわかりません。それはまた後日にしたいと思うのですが、問題は、国際的に、これは使わぬほうがよろしいという問題が提起された段階以後において、日本ではイソミンから新聞広告もプロパンMの宣伝に変わって二倍からの宣伝がなされる状態の中で、政府が回収を指示せず、そうして九カ月、十カ月後に自主的に解決がされるという手段がとられた。外国よりも長期にわたって解決がされなかった。この時点におけるところの出生が非常に多いという事実を見たとき、外国で問題を提起されたときに、一体日本ではその問題について政府はどういう処置をとられたのか、多くの人が疑問に思っているので、その点を聞かしてください。
○内田国務大臣 先刻古寺先生にもお答え申したとおりでございます。
○寺前委員 どういう処置をとられたのですか。
○武藤政府委員 三十六年十二月三日に初めて日本がその情報を入れまして、厚生省としては真相を詳しく調査するということと、動物実験を行なって確かめる必要があるというようなことで、対策を講じようとしたということでございます。
○寺前委員 大臣、ふしぎに思いませんか。これは使わぬほうがいいということが出たときに、長期にわたって、九カ月も十カ月にもわたって何ら行政措置をとらなかった。しかもその時点にたくさんの人たちが出てきた。あなたはこれについてどう思います。
○内田国務大臣 動物実験でその薬の胎児に及ぼす影響というようなものを調査をしたり、あるいはまた、会社が外国に行き、また政府側も続いて外国に行って、外国からの実際の資料を研究する等の措置をやっておったそうでございます。しかし、先ほども申しましたように、何をやったにしてもやらなかったにしましても、まあ私がそのときの厚生大臣であったらそうやったというわけではないでしょうけれども、今日のようなこういう薬に対する国民的のマインドが高まっておるような時代でございましたならば、おそらくはそのときの厚生大臣はもっと早く、とにかく一応使用停止とかなんとかいうことをやったほうがよかったのかもしれないと思われるような気持ちが、今日の私からするといたさないでもありません。
○寺前委員 当時、警告が出されて十カ月後の九月十三日に、おたくのほうの平瀬製薬課長が、メーカーが自主的に回収に踏み切ってくれ敬服するという発言をやった。これが十カ月後です。メーカーが自主的に回収に踏み切ってくれ敬服する、こんなことを平然と言っているのですよ。政府の責任は私は重大だと思いますよ。それ以前の問題もあるけれども、外国よりも長期にわたって、しかも自主的解決とは何事だ。私はこの責任は免れないと思う。だから私は、全国の人は、率直にその責任を明らかにしてくれということをみんなが追及していると思うのです。責任を明らかにすることによって、初めて事後の建設的なあり方に対しても相談が進んでいくだろうと思うのです。率直に責任を明らかにされることを要望して終わりたいと思います。
○倉成委員長 次回は来たる二月二十三日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十分散会