産業公害対策特別委員会 第17号
- 発言数
- 184 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/05/18
会議録
○島本委員長代理 これより会議を開きます。 委員長が所用のために少々おくれますので、委員長が参りますまで、その指名により私が委員長の職務を行ないます。 産業公害対策に関する件について調査を進めます。 本日御出席の参考人は、セメント協会専務理事田中巖君、公害追放臼杵市民会議議長小手川道郎君、臼杵青年会議所理事後藤国利君、臼杵風成婦人会議議長亀井良子君、東京大学教授増田閃一君、宇部市市民部次長越村禄郎君及び滋賀県公害課課長補佐西川丑郎君、以上でございます。 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。 本委員会におきましては、産業公害対策樹立のために調査を進めておりますが、今般、セメント産業における公害と立地問題について参考人に出席を求め、意見の開陳をお願いすることとなりました。参考人各位には、当該問題についてそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見を開陳していただくようにお願い申し上げます。 なお、参考人の御意見の開陳は、おおむね一人十分程度といたしまして、あとは委員の質疑の際にお答えくださるようにお願いいたします。 それでは、最初に田中参考人にお願いいたします。
○田中参考人 私は、セメント協会の専務理事をいたしております田中巌でございます。 本日は、当委員会におきまして、セメント産業における公害と立地問題について述べよとのことでございますので、まずセメント産業と公害の問題について申し上げます。 近年、わが国の経済発展に伴いまして、道路、港湾、住宅、上下水道、地下鉄等々、いわゆる社会資本の充足が痛感され、政府は公共事業費等を中心に大幅に増額されまして、その促進方を強力に進めておられることは、いまさら申し上げるまでもないことであります。 このため、セメントの需要は年々増大し、ここ十年間でも年率約一割以上の伸長が見られまして、いまやわが国のセメント生産高は、ソ連、アメリカに次いで世界第三位の生産国となり、昭和四十六年度においても六千万トンを上回る生産が行なわれないと、前に述べましたような社会資本の充足は困難と在るわけでございます。 天然資源のきわめて乏しいわが国において、セメント生産に不可欠な資源であります石灰石のみは幸い世界的に見ても良質なものが豊富に埋蔵されておる現状でございます。 したがいまして、将来も前述のような社会資本の充足をはかり、国民生活の向上に向かって大いに協力せねばならないと考えております。特に、世界的に見て立ちおくれておる下水道などの整備は、国民生活の環境改善あるいは工場排水、汚水の処理という公害防除の観点から、緊急に整備されなければならないと思われる次第でございます。 以上の観点から見まして、今後セメントはさらに増産されなければならないと考えますし、通産省でも昭和五十年には国内で約八千万トン程度のセメント生産を見込んでおられるようでございます。 ひるがえって、前述のように、大量のセメントを生産するわが国のセメント産業におきまして、公害発生の主因と考えられることは、まず第一に、セメントクリンカーを焼成するために大量の重油を使用することから、一般的にその燃焼によりまして硫黄酸化物を排出し、大気を汚染するものと考えられておることであります。 しかしながら、セメントの製造は、工場内で巨大な焼成炉に石灰石粉末を主成分とする原料を送入し、反対側の炉口より重油を吹き込んで原料を加熱いたしますが、その際、石灰石粉末は摂氏九百度程度の温度域で直ちに分解して生石灰粉末となり、さらにその粉末は、摂氏五百度ないし千三百度の温度域で燃焼ガス中の亜硫酸ガス及び酸素と反応いたしまして硫酸カルシウムを生成し、セメントクリンカー中に大部分を吸着されてしまうものでありまして、セメントの製造過程そのものが脱硫作用を行なうものでございます。 第二に、セメント業は粉体を処理する産業でありますので、その粉じんの飛散が公害であると見られておるようであります。戦前に設置されました工場の中には、ある程度粉じんの排出もあるかもわからないと思いますが、新しい工場ではほとんどないと称してもよろしいのではないかと思います。 元来、セメント業界は、九十有余年の間粉体を処理してまいりましたことから、その防じん対策としては、戦前から集じん装置の効率向上につとめてまいりました。この結果、次第に集じん装置の性能向上がはかられ、近年に至ってはきわめて集じん効率の高い電気集じん装置が開発され、使用されておりますが、今後とも公害防止により万全を期するために、セメント協会の中に、全会員をもって構成する公害対策委員会を設置し、さらに、各種専門委員会を設けまして共同研究を行ない、公害防止により一そうの努力を傾注いたしております。 したがいまして、第一の点につきましては、亜硫酸ガスの排出は新しい工場ではほとんど皆無に近い。また古い工場でもきわめて少なく、かつ排出する粉じんも、セメントの主要原料である関係から、その回収につきましては最大の努力を払っておりますので、防じん機器の性能向上とこれらの増強によりまして、公害問題は心配することのないよう努力中でございます。 次に、セメント工場の立地条件について申し上げます。 セメント工場の立地条件でございますが、セメントは前述のような公共工事に使用されるものが国内需要の約六〇%近く、かつ大量に使用されるものであり、重量品である上に価格はきわめて低廉なものとなっております。したがいまして、運賃負担力も弱いものでございます。しかしながら、需要のほうは東京、大阪、名古屋というふうな大都市とその周辺に最も多いものでございまして、いかにしてもバラ積みによる大量輸送、主としてタンカーによって流通コストを下げざるを得ない現状でございます。 また一方、前述のように価格が低廉なることによって、生産コストの低下により一そうの努力を傾注せねばなりません。そのためには、セメント一トンを製造するのに千二百キロないし千三百キロも要する石灰石を輸送したのでは企業が成り立ちませんので、どうしても石灰石資源の至近な場所に立地する必要があるわけでございます。 また、最近のセメント工場は、漸次大型化しておりまして、年産百万トン以上のものが経済単位となっている関係上、その原料の搬入から製品の搬出を考えますと、海陸輸送併用で、しかも原料の至近な場所が適地となるわけでございます。 なお、今後増大するセメント需要を満たすためには、過去における建設当初の敷地に生産設備の増強を行なうことは、今日ではすでに敷地にその余地のない工場も多く、新しく生産規模の拡張をはかるためには、先ほど申し述べました立地条件に沿うた適地を求めて工場を建設せざるを得ないこととなると思います。 以上、簡単にセメント工業に関する公害と見存される問題と、セメント工場の立地条件について申し述べました次第でございます。 終わります。(拍手)
○島本委員長代理 ありがとうございました。 次に、小手川参考人。
○小手川参考人 臼杵から参りました小手川と申します。 きょうはわざわざお呼びいただきまして、ありがとうございます。 臼杵の場所について簡単に御説明いたしますと、九州の大分県にございますのですが、臼杵の町と申しますのは、現在しょうゆ屋が三軒、それからサントリーウイスキー工場、これは昭和二十年にできております。それから酒屋さん、この酒屋さんも大分県では一、二の指に入る酒屋さんがそろっております。それからもう一つ、臼杵鉄工という造船所がございます。これは石川島播磨の資本が四割ほど入っている相当大きい造船業でございます。このほかに食品その多製薬会社がございますのですけれども、このしょうゆ三社というのは今度販売関係が合併いたしまして、その規模からいたしますと、大体その三社が合併いたしますと日本で三番目くらいの大きさになる会社でございます。もちろん、一つ一つは中小企業ではございますけれども、そのくらいの生産量を生産いたしております。 それで、あの地図の一番右側の斜線を引いているところが臼杵でございますが、つまりあのように、北側が大分市でございまして、南側が津久見市ということになっております。ちょうどその間、大分のほうには最近御案内のとおり臨海工業地帯が発展しつつありますけれども、同時に南のほうのお隣の津久見市、ここは古くからのセメント工場の町として有名でございまして、ここに小野田さんが古くからやっておりますほんとうのセメント工場がございます。 それで、お隣の町というのはまっ白なのでございますけれども、このセメントがどういうふうなかっこうになっていますかと申しますと、これがといの中に入っているセメントの粉でございますけれども、固まったものでございます。空から降ってまいりましたものが、屋根を伝わってといに流れ込んでこういうかっこうになりまして、大体小野田さんのところはそれほどひどい粉じんは出しておりません。それでも大体半年でこのくらいになります。それで、セメント工場のある町に行きますと、どこでもといをたたいて曲がっている、それが特徴でございます。このくらいになりますと、もうといが下がってしまいまして、落ちてしまいます。私どもすぐ隣の町でございますからそういうふうなことを知っておりまして、まさかセメント工場を臼杵に呼ぶようなことは、あるいは進出するようなことはないだろうと思っていたわけでございます。 先ほど、臼杵のしょうゆ三社、造船、そういうふうなもので成り立っている古くから静かな町だ、そういうふうなことを申し上げましたけれども、それはいまお配りいたしました「大分県臼杵市長解職請求者署名簿」というところをあけますと、二ページ目に市長リコールの請求代表者の名前が載っております。 これの一番最初に出ております小手川金次郎というのがしょうゆ屋でございます。次の渡辺諒助、これもしょうゆ屋でございます。次の可児一郎もしょうゆ屋でございまして、それぞれの社長、会長でございますけれども、この方々お三人とも臼杵の自民党の顧問をやっております。次の宇野兵治郎さんという方はサントリーの臼杵の工場長でございまして、次の志村さんという方は臼杵の食品衛生協会の会長で、ミカンのかん詰め会社の社長さんでございます。次の田中さんという方が造船所の会長さんでございまして、こういうふうなかっこうで、保守系の方も、革新系の方も、いわゆる党派を問わずにセメント工場を呼んだ市長には反対しているわけでございますけれども、それがどうしても通らない。言うことを聞いてくれない。 なぜそんなになっているのかということを、ずっとふしぎに思っておりますが、それがことしの四月七日になりまして、検察庁のほうが、市会議員、市役所、それからこの大阪セメントを誘致するのに奔走し、進出協定に立ち会い人になっております戸高石灰工業の手入れをいたしまして、それが新聞に報道されまして、やはり誘致に関してのあっせん収賄ということが巷間でささやかれたのが事実であったのではないか、そういうふうに思ったわけでございます。 まさか臼杵に、こういうセメント工場が来るはずがないと思っておりましたのが、どうしてここまで進んだかと申しますと、全く市民に知らされないで進められてきた。議会の誘致特別委員会というのを四十四年の九月に設立されておりますが、地方議会の委員会というものは傍聴が許されておりません。それで内容がどういうことをやられているか、市民は全然知らないわけでございます。それが六カ月後にその委員会の議決を本会議で行ないまして、すなわち四十五年の三月に本会議で行なうと同時に、数日を経ずして三月三十一日に県、市と進出協定を結んでしまいました。 それで、進出協定が結ばれたことがテレビにのりまして、みなびっくりしまして、それからそんなことをしてはいけないんじゃないかということになったのが実情でございます。それで、それまではひた隠しに隠してやられたのでございまして、またよその方は、大分の方なんかは、何で進出協定が結ばれる前に反対しなかったのか、進出協定を結んだかと思ったら反対したのはどういうわけかとよく言われますのですけれども、それが全然知らされないままに、だれも知らないうちに結ばれたというのが実情でございます。もちろん、その間に公聴会も開かれたこともございませんし、公害対策審議会が設けられ、埋め立ての答申が議会で審議され、そういうこともすべて四月以降のことでございます。三月三十一日までにはそういうことは全然行なわれておりません。 それで、実は県もこの時点で、三月三十一日で県知事が、前知事である木下知事が判をつかされたわけでございますけれども、その知事も私どもに、十日ほど前に知ったんだ、臼杵の人たちはこれでいいんだろうかなと思いながら判をついた、そういうふうに述懐していたくらいでございまして、市が中心になって、市議会の誘致派、いま大分地検に捜査されている人たちが中心になって、やみくもに呼んできたというのが実情のようでございます。 しかし、われわれはその後公害の点を調べまして、特に私ども食品業者は、みそ、しょうゆ、ウイスキーというものには、空気は、水あるいは大豆あるいはトウモロコシと同じように、原料なんでございます。それで、これがよごされることは、非常に致命的であるということであると同時に、このセメントの粉じんの中には重金属が含まれております。これはセメント製造の過程で銅のくず、ニッケルのくず、鉄のくず、そういうものをまぜます。その中に含まれている鉛、銅、砒素、そういうものが微量ではございますけれども検出されます。それが食品とはどうしても相いれないものでございます。もしこれが、セメントが臼杵の町でこういう醸造業と共存できるというようなことであるのなら、そうであるかどうか、私どもはいまからでも通産省の方々あるいは環境庁でございますか、どちらか、そういうお役所の方々でも調査をしていただきたいと思います。厚生省の人が、これでよろしい、りっぱである、そういうふうなお墨つきをいただければ、あるいはそうじゃないかとも思われますし、まあそういうふうに食品業者の中で言っている方もございます。 それで、大阪セメントさんは、いま煙突から出てくる煙の量が、粉じんの量が一立方メートル当たり〇・一〇グラムにするというふうに言っております。 〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 これがもし簡単にできるものであれば、現在環境基準は一・〇グラムだと記憶しておりますのですが、それが近々〇・二グラム、一立方メートル当たり〇・ニグラムに政府のほうできまるんではないかということを現在セメント業界は非常に心配している。〇・二にきめられれば、セメント業の八割は操業ができないんじゃないかということを数日前のセメント新聞に書いてありました。だから、〇・一〇が簡単にできるものであれば環境基準を〇・二にする必要はない。〇・一にすればいい。〇・一〇でも——津久見は現在〇・二三でございますが、それで先ほどのかまぼこ型のものができてくるわけです。 それから大阪セメントさんは、食品業者が、もし公害が出た場合にわれわれが立ちのかなければならないかとか、非常に打撃を受けた場合に補償してくれるかということを、直接文書で申し込んでおりますけれども、それに対する返答が全然きておりません。返答がないのはできないということだと思います。事実、大阪セメントさんは、資本金六十億、売り上げ年商四百億ぐらいでございます。セメント業界でも中流の会社だと思うのでございますけれども、それが補償できない場合に、セメント業界自体が補償できるかどうか、その点を私は、きょうおいでになっているセメント協会の専務さんにお尋ねいたしたいと思います。大体以上でございますけれども、私どもが参りました大阪セメントさんの伊吹工場、そういうところの調査書も参考としてお渡しいたしております。 もう一つ、あのまん中の地図で「文」という赤いところがございますが、現在あそこは小学校でございます、約二千坪ほどの。その隣の戸高石灰というところは、現在道路をつくりつつあります。その戸高石灰の地所の、約十万坪ございますけれども、その山を切り落として、大阪セメントと書いてあるあそこに埋める段取りがなされようとしているのでございますが、その埋め立ては、現在着工停止を食っております。一応六月の二十五日ぐらいまで停止されておる、そういうことになっておりますが、こちらの戸高石灰工業のほうの建設道路だけはいま建設されつつあるのですが、そこのまん中に小学校がございます。この小学校でつい数日前、大けがには至らなかったのでございますけれども、児童がダンプカーにはねられかけたことがございます。もし大阪セメントの埋め立てをあそこで着工する、埋め立てを、こちらの山を切り落として埋めるとか、そういうようなことをやられるとすれば、ぜひ小学校を移してから、そうでなくては、もし死人が出た場合にだれが責任を持たれるのか、児童に危害が加わった場合にだれが責任を持っていただけるのか、そういうことを最後に申し上げておきまして、どうかよろしく御検討くださるようにお願いいたします。(拍手)
○小林委員長 次に、後藤参考人。
○後藤参考人 後藤と申します。私は小さな製薬会社を経営しております。そして臼杵青年会議所の理事をつとめております。大阪セメントが臼杵に進出をする問題につきまして、青年会議所で将来の臼杵の計画とか、そういったようなことを立てておりました関係で、かなり詳しく知っております。それでセメント産業の出す公害というものと、なぜその進出に臼杵市民が反対しているかということについてお話させていただきたいと思います。 まず、セメント産業の公害というものについてでありますけれども、私は、セメント工場、津久見の小野田セメントの工場、佐伯の日本セメントの工場、苅田に宇部セメントというのがあります、これは福岡県ですけれども。そして大阪セメントの伊吹工場とか、高知工場とか、こういう工場のうち特に周辺を詳しく調べてまいりました。 先ほどセメント協会の田中さんは、セメント産業であまり公害はないというお話でございますけれども、セメント工場の周囲の人たちは、工場に対して怨嗟の声を私たちに投げかけます。たいへん工場を恨んでおります。 それはどうしてなのかといいますと、まず粉じんが降ります。この粉じんが、操業を二十四時間連続してやりますから、朝といわず昼といわず、非常にこまかな微粒子が降ってくる。そして家が一日じゅうざらざらする。目が痛い。洗濯物はよごれる。そして一日じゅうがらがらいっております騒音で、なかなか眠れない。そういったいろいろな被害があります。 そしてセメント工場の公害というのは、確かに硫黄酸化物については、いまのところそれほど問題になるようなことはいわれて雇いかもしれませんですけれども、このような原因は決して煙突だけが原因ではないのでありまして、粉体を製造する工場全体から粉じんが出ているとしか言いようがないものだと思います。特に、セメントの原料は、石灰石と粘土と、それにニッケル滓とか、銅滓とかいった、そういったものであります。これをセメントをつくるためにたいへん多量に使います。これは皆さま御存じのとおり、その辺の山の中にあるようなものでございます。粘土にしましても、それほど純粋なものばかりではありません。だから、その中に当然セメントの原料にならないもの、不純物も含まれます。セメントのキルンの中で、千四百五十度の温度の中で熱反応を起こさないようなものも当然含まれております。そしてもし粉じんを一切出さないのだとしたら、原料が入ってきたものが必ず全部セメントになるものだとしたら、当然セメントにはそのような不純物も含まれるわけです。 ところが、セメントのほうは品質をよくしなければいけない。そこで不純物はどこかで出さなければいけない。この出さなければいけない出し口がどこにもないのです。煙突だけしか開いて互いのです。そしてその煙突は四六時中何やら出している。ここから、付近の人たちは、昼の間は出さないけれども夜必ず出すのだ、いつもではないけれども、ときどきかためて出す、こういうような声になるのだと思います。 それで、そのような質問を投げかけました。それに対して八月に公害防止協定というものが臼杵市と大阪セメントの間で結ばれました。その中にはセメント工場の主煙突から出てくるガスの中に含まれる粉じんの量は、一ノーマル立米の中に〇・一グラム以下にするということを明記されました。この〇・一グラムというものは、大気汚染防止法の乾式キルンの場合一・〇グラムというものに比べますと、十分の一であります。この十分の一である〇・一〇グラムというものを、火入れのとき、火どめのとき、というのはキルンの運転状態が——キルンというのはセメントを焼くかまでございます。そのかまの運転状態が一定してない、温度も低い、たいへん悪い状態であります。このような悪い状態のときも含めて、あらゆる状況のもとで〇・一〇グラムにする、こういうことを明記してあるわけです。 ところが、これは全くうそでありまして、設計値でなくて、あらゆる最悪の運転状況のもとでも〇・一〇グラムにするということは、これは不可能なのであります。そのような不可能な約束をしております。だからいいじゃないかということを言っておるわけです。しかし、もしそれができても、私はこれまでの工場の例から見て、必ずしも主煙突で、しかも電気集じん機の性能だけで、公害がなくなるものだとは信じておりませんので、必ずいままである古い工場と同じような周囲の状況になると私は確信しているものです。 そして、このような内容のセメント工場が臼杵に進出するにあたりまして、はなはだゆがんだ状態でこの進出の手続を進められております。この進出の手続の一番間違いの根源は、昭和四十四年の十二月十六日に大阪セメントの建設予定地の売却を市がしてしまったということであります。昭和四十四年の十二月十六日にその海面を大阪セメントに売るという契約をしてしまったわけです。 ところが、そのときは臼杵市は市議会で、そこに進出を受け入れるとか何とかいうような決定は何もしてない。それで市議会に、大阪セメントの進出を受け入れるのがいいか悪いかということを諮問したのが、諮問したといいますか、そこではかられたのが、これが昭和四十五年の三月十二日なんでございます。しかも、大阪セメントに売り払ってしまったその海面の漁業権の放棄が、その時点ではまだなされてなかった。その漁業権の放棄をきめた漁業権放棄の総会というものは、昭和四十五年の三月二十一日になされているのです。これは全く順序が逆であります。 それで、もし市議会で反対されたら、漁協の総会でそれが反対されたら、それは理事者としてたいへんなことになっておりました。そこで買収、供応、いろいろなはなはだおもしろく雇いことが行なわれたわけであります。 それで、市議会の承認というのは深夜までかかりまして、機動隊も待機するというような状況の中で採決が行なわれて、十三対九という僅差でもって——いまのは間違いであります。十三対九の僅差で議決されたのは、後の埋め立て答申のときの数字でありますが、三月十二日に何とか議会の承認を取りつけて、三月二十一日の漁協の総会で決定したわけでありますが、この漁協の総会というのも、ほんとうに採決をしたのかしないのかわからないような方法で採決をいたしまして、それは目下裁判になっております。そして昭和四十四年の十二月に契約をしましたこの契約は、一億一千万円で大阪セメントにその約六万坪の埋め立て用地、これを売却するという契約でありますけれども、これは臼杵市が当事者として入っております。この四十四年にした契約の予算措置は四十五年の六月議会で初めて予算化されたものであります。 このようにすべて順序が逆で、いろいろと地方自治法に抵触するようなこともやりながら、進出が強引にきめられていった、このようなことに市民はがまんがならないのです。公害の、心配はある、その心配をほんとうに解決してくれない。そしてそのようなゆがんだ方法で進出しようとする、そのような公害を出すと思われる企業と、その進出の強引なやり方というものにがまんがならないから、だから市民の大多数が反対している、こういうような状況でございます。(拍手)
○小林委員長 次に、亀井参考人。
○亀井参考人 私は上浦地区に住む亀井良子と申します。現地婦人会長をやっております。 私たちの住んでいる町のすぐ目と鼻の先に大阪セメント工場が誘致され、建設されようとしていますが、私たちは生活環境とか、漁業を生業としている漁民にとって、漁場がなくなるということは、たいへん困った問題です。それと、あの地図でよくわかるように、学校が工場の中にぽっくりはまってしまうということなんです。それで私たちは反対しております。 私たちの住んでいる上浦地区と大阪セメント工場との関係について、ちょっとお話ししてみたいと思います。 上浦地区は、大体漁業が盛んなところですが、工場予定地から約一キロ以内に板知屋、大泊、風成部落と、三部落があります。そして私の住んでいる村は五百メートルぐらいしかないのです。そして風向きは年じゅう東西の方向に吹いていて、私たちは一年じゅう風下になっていて、粉じん公害におかされるのです。それと立地が、すりばちの底のようなところに私たちの部落がありますので、かりに風が少し斜めに吹いても、風は回って私たちの部落のほうに吹きつけてくる、そういう立地のところに上浦地区の部落があります。 セメント工場については、山一つ隔てた津久見の小野田セメントとか、その先の日本セメントとか、いろんなセメント工場のことについては私たちも詳しく調べております。そして苅田の工場も、伊吹工場も、いろいろなところに電話をかけたり、知人にお話を聞いたりして調べてみました結果、だれも困っているというお話が多いわけです。特に伊吹工場の場合は、伊吹村に何か公害料を払っているからというようなことで、住民とは全然大阪セメントはお話し合いをしてくれないのだというようなうわさも聞きました。そして国体のあった前年度なんかは、ずいぶん粉じんを出されたのだとか、そういうふうな大阪セメントが来られたのでは、ちょっと困るのではないかというようなことで反対を始めたわけなんです。 そして住民のお話を聞くと、洗たくものも干されなく、夜になると、運転をしていると目が痛くなる、車の前にカチカチという音がする。だから、夜粉じんをたくさん出すのですから、気をつけたほうがいいですよというお話も聞いたのです。 で、もし工場ができれば、いままでの他の所と同じように、私たちも悩まされるのではないだろうかということが第一番と、また工場の建設を予定している海は、漁民にとってたいへん必要な場所であります。その前に、臼杵市が工場を誘致するからということで須崎というところを埋め立てたのです。それも漁民の大切なえさがとれるところなんです。それを漁民はだまされて、臼杵市が県立水産高校のあるところとかえてあげますからここをあけてもらえませんかということで、市長と約束をしたそうです。ところが、その県立高校はいまでも建っていて、ここはすぐ廃校してよそにかわりますから、これをあげますからということで、約束させられたそうです。そしてその県立高校はまだ建っております。そして三月の三十日だったと思いますが、その期限までにあけ渡しますという約束を市長がしております。そして現在まだ水産高校は建っております。 その須崎を埋めたときの代償も漁民はもらえないわけです。そしてまた今度日見海岸も埋め立てられれば、えさの生産地も、魚の卵のできるところも全部取られてしまうわけなんです。だから漁民にとって大きなマイナスであるということと、大体突きん棒船の方、上浦地区には突きん棒船漁業も多いのですけれども、沿岸漁業じゃなくて、北海道あたりに遠洋漁業に行くのです。そして、それに行けなくなったお年寄りの方が近海漁業をやっているのです。そしてお年寄りの楽しみにしている近海漁業の漁場がなくなることです。そしてお年寄りは仕事がなくなってしまうわけです。そういうことから、市のほうに何度も漁場を取ることに反対をしておりました。 そして学校も、校舎の近くに工場が来るということはおかしいじゃありませんか、学校があるのにどうして工場が来られるのですか、ぜひ工場進出はやめてくださいということをお願いしてありました。ところが、学校問題は全然横に置かれてしまって、工場進出の話をどんどん持っていかれた。私たちは、そのような立地条件の悪いところで上浦地区の区民が賛成するわけがない。ところが、子会社をつくって、それを来ている人たちだけ、上浦地区のある有志の方にさせたわけです。有志かどうかわかりませんけれども、その人にさせて、そして賛成にさせたわけです。その親戚の方たちをほとんどさせました。ほとんどはまだ反対をしておりますが、子会社を持っている人たちだけが賛成をしております。持とうとしている人たちが賛成をしております。そして漁業会の総会の議長をした人も、その子会社を持っていた方が漁業会の総会の議長をつとめました。採決方法は私たちも行っておりましたが、たいへん不合理なやり方でやられたわけです。 そして大阪セメントは誘致がきまるまで一度も風成に来られませんでした。そして市長にも、私たちに十分納得いくようなお話をしてくだされば最初から反対はいたしませんので、どうぞ説明においでくださいということをずいぶんお願いにあがりましたし、私たちも市役所のほうに聞きにあがったのですけれども、一分でもいいから会ってくださいということでお願いにもあがったけれども聞いてくれません。そして、質問状も出したけれども、それにも答えてもらえないし、私たちが当初聞いたときには、もう区長会なんかできまってしまってから風成の区民に言われたわけです。漁協の幹部とか区長さんたちが、料亭に呼ばれて説明会を聞いて、そして今度一番最後に、いま賛成をされている人たちはもう九分九厘きまっているのに、おまえたちいまごろ反対して何になるかというようなことを言われたわけです。それでは何か話がおかしいじゃありませんか、私たちはいままで市長さんを支持してきたし、政治にあまり詳しくありませんでした、だから、上浦地区の漁民は、いろんな人から言われれば、あ、そうですかということで、何もかも聞いてきたんですよ、市長さん、あなたは私たちを支持したではありませんか、聞いてくださいと言ったんですけれども、とうとう最後まで聞いてもらえなかったのです。それで、もし進出するならば、私たちの納得いくように説明してください、そして、説明ができなければやめてくださいということまで言ったんです。だけれども、学校問題も解決せず、そのまま問答無用で持っていかれてしまったんです。 漁業権の放棄については、もう十二月の十六日にきめておりますので、どうしても総会に勝たなければならないので、漁業会の役員の人に、賛成をしてくださるように、漁業権を持っている人一人に二千円ずつ配って歩いたんです。それで、私たちはそれを確かめました。そして、あなたはそのお金どうしましたかと言ったら、私は返しましたということで、これは三重野さんという方に聞いたんです。三重野さんどなたにお返ししましたかと言ったら、酒井さんのおうちに持っていきました。それは、じゃそういうことを言っていいでしょうかということにしましたら、それは裁判でも証言されました。 そういうことで、いろいろな、私たちの納得のいかないようなことばかりがやられましたし、それから、大阪セメントは、市にも話さず、部落にも一言のあいさつもなく測量しようとしたのです。そのときも、漁民がびっくりしてとめました。そして、話し合いをしてからするという市長の約束も、その後に約束をしましたけれども、それも破って、とうとう強硬にやりました。そして、私たちはボーリングをする人たちにお願いにあがったら、機動隊の方から強制排除されて、もうどこをたよりにしたらいいかというような気持ちで、ぜひ皆さんに聞いていただいて、善処していただきたいと思ってお願いにあがりました。 以上です。(拍手)
○小林委員長 次に、増田参考人。
○増田参考人 東京大学の増田でございます。 私は、集じん、特に電気難じんの研究を十八年間やってまいりましたものですから、一応この方面の専門家だということで、きょうこの問題につきましてお話をしろということで参りました。 また、いま話題になっております臼杵市におけるこの問題に関しましては、私が、この集じん機の性能その他に関して、臼杵市の議会の要請によりまして調査して、私の見解を申し上げるというようなことがあったわけであります。 そこで、私の立場はあくまで専門家の立場でありまして、現在の技術がどうであるか、また過去はどうであったか、また将来はどうであるかということについて見解を申し上げるのが私の使命であります。 皆さまいま非常に心配しておられるこの公害問題というものは、決していま始まったものではないわけであります。これは私のような専門家が歴史をたどってみますと、工業の発展と公害問題というのは、常に車の両輪をなして発生したのでありまして、現在盛んに申されております電気集じんというものは、一九〇五年にアメリカ人のコットレルが初めて実用の段階に持ってきたわけでありますが、前世紀の終わりから今世紀の初めにかけまして、電気集じんを必要とするバックグラウンドがあったわけであります。御承知のとおり、産業革命が非常に進行いたしまして、そうして非常な工業規模の増大というものがどんどん進行しました陰には、非常な公害問題というものが出てきたわけでありまして、ちょうど現在のような状況が、すでにそのころ先進国でありますイギリスあるいはアメリカあるいはドイツというような国々で大問題になったわけでありまして、そこに電気集じん機というものが生まれて、一つの救世主の役割りを果たしたわけであります。 その後、皆さま御承知のとおり、工業がますます発展してまいりましたが、一方において集じん技術もますます発展してきたわけであります。ですが、現在の公害問題の状況は、すでにその当時の公害問題と質的な変化を来たしております。それはなぜかといいますと、その当時はまだまだフロントと申しますか、工場を設置していくスペースがあったわけでありますが、現在はそういう空間ないしは場所というものがなくなってきた。つまり、国全体の空気がよごれる、あるいは海がよごれるというような、そういう新しい段階にわれわれの当面する問題がなってきたということであります。これは私どもが技術者として問題の研究方向を考えます場合に、いつも念頭から離れないことであります。 そこで、現実の姿を見ますと、昭和三十七年に皆さま御承知のとおり、ばいじん等の排出規制というものができまして、そのときの基準は一・〇グラム・パー・ノーマルキュービックメートルであります。それが、いまもお話に出ましたように、近いうちに改正されまして、新設工場については、これはまだきまっているわけではございませんから、私が漏れ承っているところでございますが、新設工場については、一応案といたしまして、普通の工場ですと〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートル、十分の一であります。それから重油専焼の大型ボイラー、つまり発電所につきましては〇・〇六グラム・パー・ノーマルキューピックメートル、それから既設のものにつきましては〇・二グラム・パー・ノーマルキュービックメートルが普通の工場でありまして、重油だきボイラーにつきましては〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートル、これが一つの案としていま検討されておりまして、いずれにきまりますか、近々その新しい排出基準というものが世の中に出てまいります。これは見たところ非常な進歩であります。これにつきましては、日本じゅうがもしそういうふうなレベルになるならば、これは非常に大きな進歩だと私は考えるわけであります。なぜならば、現在は先ほど申しましたように、この十倍の昭和三十七年の基準がいままで行なわれておったからであります。 一方、それでは〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルというものはどういう数字であるか。これは学問的に、あるいは医学的、環境衛生的にいろいろな論議ができると思いますが、非常に直観的に申しますと、〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルというのは、青空を背にするとほとんど見えませんが、グリーンの山を背にするとほんのわずかに見えるというのが〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルであります。 それから、現在アメリカのカリフォルニア地区の住宅街その他で非常にきびしい規制ができております。これはしかし、将来日本にそういう姿が出てくる可能性がありますが、それは〇・〇一グラム・パー・ノーマルキュービックメートル、つまり現在いまからきまろうとしておりますものの十分の一であります。それはインビジブルリミットといいまして、グリーンの山を背にしても見えないというリミットであります。 それでは、技術はどこまで来ているかということが問題になるわけでありますが、現在、技術のリミットは、先ほどもお話が出たかと思いますが、この技術のリミットというのは、非常にしろうとの方におわかりになりにくいかと思いますが、実際に動いて運転されている数字と、それからギャランティー、その技術を使った商品をユーザーが買いまして運転するときに、どこでギャランティーするかという数字と違うのであります。ギャランティーする数字とどうして違うかといいますと、もしギャランティーする数字を割りますと、集じん機のメーカーがお金をもらえ雇いわけです。ということは、集じん装置というのは、皆さまちょっとお考えになればわかりますように、どんがらを買うのではなくて性能を買うからであります。そのギャランティー値というものが、現在、高性能電気集じん機を使いまして、〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルのところまでいっております。これは全然新しいところに、新設工場として建てる場合であります。ですが、それならば、既設の集じん機が〇・一にやれるかということは非常に大きな問題がございます。つまり、スペースの問題があるわけであります。これは先ほどのお話に関連いたしますが、集じん装置をつけるということは、同時に、スペースが要るということでありまして、これが日本の現在の姿、つまり、非常な生活空間が狭い、国土の一八%しか利用できる土地がない、そこに工場もそれから農業もみな密集しているという、世界に例のないところから、どうしても必然的に出てくることであります。したがいまして、技術的に問題点があると同時に、その技術を適用するためのスペースの上で、すでにわれわれは大きな問題に当面しておるというのが現実の姿であると同時に、また、われわれがそれと戦っていかなくてはならないチャレンジの目標であります。 それでは、将来どうであるかということでありますが、もちろん今度新しくきまるかもしれないこの〇・一ないしは〇・二という目標値を達成するために、しかも、狭い空間で達成するために、われわれは全力を尽くさなくちゃならないと私ども技術者は覚悟をきめておるわけでありますが、また、同時に、これは、特に私がお願いしたいことは、これは一技術者、一研究者の問題ではないのであります。つまり、そういう問題というのは、これはケネディの演説ではありませんが、膨大なお金を使って、非常に大きな能力、人間が投入されて、初めて可能なものでありまして、これはもう、一つのやはり政治の問題、社会の問題であります。ですから、これはもうすでに環境を必要としている国民全体の問題である、自分たちの問題であるということについて御理解をお願いしたいと思います。これは技術者の立場としてお願いしたいと思っております。そういうサポートが安かったならば、私どもはできないわけであります。 それから、この〇・〇一はどうか。私どもの技術的な研究課題は、したがって、できるだけ早く〇・〇一をギャランティーできる技術をつくるということであります。これはもちろん未来のことでありますからわかりませんが、私どもはできれば五年、もしもっと欲を言えば、二年ぐらいの間に〇・〇一の技術をつくらなくてはならないというふうに考えております。 一般論はそれぐらいにいたしまして、ただいま問題になりました臼杵地区の話でありますが、私が専門家の一人として検討いたしました範囲におきましては、〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートル、つまり、現在の高性能電気集じん機のリミット、あの提示されております計画どおりにいきますと、そのリミットまで一応ギャランティーできるという点において、つけようとしておりますところの装置自身には、専門的には何の問題がないというふうに考えております。ただし、私は、出たものの大気拡散と申しますか、どういう気象条件、地形条件のもとで、どのように拡散していくか、その結果、浮遊粉じん、降下ばいじんが、どのように食品工業その他の地域に発生するかということは、残念ながら私の専門領域ではありませんし、また、専門の方もいらっしゃると思いますので、その方の御意見を伺うべきではないかと思ってわりますので、私は遠慮させていただきたいと思います。(拍手)
○小林委員長 次に、越村参考人。
○越村参考人 私は、宇部市の市民部次長の越村でございます。 かつて日本一ばいじんの町として誇り高かった宇部市が、今日では、緑と花の工業都市として生まれ変わったその経緯と現状について述べてみたいと思うわけでございます。 企業立地の概要でございますが、宇部市は、石炭産業を基盤に発展してまいりましたが、エネルギー消費構造の変化に伴いまして、一時は五、六十をこえた炭鉱も次第に閉山いたしまして、現在では全くその姿を消した状況でございます。しかし、隣接北部地域のヒンターランドには、無尽蔵といわれる石灰石等の豊富な鉱物資源産地を控えまして、厚東川の豊富な用水並びに交通、港湾など立地条件にも恵まれているところから、硫安、塩安、尿素などの肥料、あるいはセメント、マグネシアクリンカーをはじめチタン、鉄工機械などの企業が立地いたし接して、最近では、カプロラクタム、ABS合成樹脂あるいは大型アンモニア工業、石灰石サイロなどの近代工業が新設され、鉱工業都市であった宇部市は、次第に近代化学工業都市へと変貌をしつつあるわけでございます。 ところで、ばいじんの町として騒がれました宇部市の公害対策、特に大気汚染でありますが、宇部市の各事業場におき接しては、戦前からばいじん対策に意を用いまして、集じん装置を設けて、降下ばいじん防止につとめてまいったわけでございますが、戦災によりましてその機能を喪失いたし、戦後の産業復興期を迎え、石炭の消費量は増加の一途をたどり、同時に、降下ばいじん量も急激に増加の傾向を示してまいったわけでございます。昭和二十四年ごろには、工場からはき出される煙が強い西風に吹きつけられまして、東部の住宅街では、屋根に積もった白い灰が風に吹かれて、粉雪のように舞うのが見えるほどのひどい汚染状況でございました。そのために市民の日常生活にいろいろな被害を及ぼしまして、その対策が論議されてまいったのでございます。 そこで、昭和二十四年の十月二十二日の市議会の特別委員会の中に、降ばい対策委員会が設けられまして、防止活動の第一歩に着手したのでございます。 まず、山口大学医学部公衆衛生学教室の野瀬善勝教授に調査研究を委嘱いたしますと同時に、同教授によりまして、総合的な科学的基礎調査が行なわれたのでございます。 昭和二十六年の三月に降ばい対策委員会は、議会の任期満了とともに解散いたしましたが、その議会で、第一に、対象工場中集じん装置の完成していないものにはこれを促進する。また、未設置のところにはこれを設置するように要望する。第二番目には、街路の防じんのために散水車を購入して、広い幅員の道路には散水をする。三番目には、埋め立て地その他砂じん等の発生のおそれがある場所には芝生等を植え、また、街路に植樹し、市内の緑地計画を立てることが議決されたのであります。 新しくその年の六月に、ばいじん対策委員会条例が制定され、委員には、学識経験者二名、うち医学関係が一名と工学関係一名でございます。市議会議員が四名、関係工場四名、市側から四名で構成されたのでございます。 この条例の特徴といたしましては、地方産業の特殊性を考えて、法的規制を設けずに、対象工場を広く包含した委員会をつくりまして、自主的立場から対策を研究推進することを主体としたものでございます。 さきに、調査研究を委嘱されました野瀬教授から、二十五、二十六年の二カ年間の実態調査によって、発生源と気象条件及び大気汚染の三者関係を総合的に考察して、宇部市の大気汚染の特性とその原因をつまびらかにいたしまして、その対策のあり方を明確にされると同時に、大気汚染と市民の健康との関係についても調査がなされたのでございます。 降下ばいじん量が多く、不溶解性灰分が多いのは、低品位炭を完全燃焼するための微粉炭燃焼法を採用しながら、集じん装置が整備されていないことに起因していることが確認され、したがって、その対策は、集じん装置を整備することが第一で、燃料の改善や燃焼方法の改善は第二であることが明白となったのであります。 したがって、以来この委員会を中核といたしまして対策、研究が進められ、関係工場においても積極的に協力され、集じん装置の整備が進められたのでございます。 さらに、昭和三十二年の八月から十二月の間に、数回にわたりまして、市長と関係会社の最高幹部との間に胸襟を開いた首脳者会談が持たれまして、関係工場における集じん装置の集じん効率を九七%以上、煙道排ガス中の含じん量一立米メートルを一・二グラム以下を目標と定めまして、これを三カ年計画で達成をすることに決定をし、自主的な目標を確立したのでございます。 また、昭和三十四年の十二月には、ばいじん防止に関する専門技術の研究調査のために、委員会の下部組織といたしまして、学識経験者並びに対象工場の主任技術者をもって技術部会が設けられ、山口大学工学部の、もうなくなられましたが、上岡豊教授の指導のもとに研究会合が育成され、同教授から従来集じん装置の整備促進に重点が置かれてきたが、将来は煙道排ガス中の含じん量の測定を行なうなどの方法を講じて、集じん効率の改善、向上に資することがよかろうという一つの提案もございまして、昭和三十五年度から、対象工場の煙道排ガス中の含じん量を、毎年一回以上測定してまいったのであります。この結果、集じん装置個々についての具体的な資料が得られ、一そう効果的な施設の改善をはかるとともに、委員会といたしましても、新設工場の見学、調査を行なっているのでございます。 こうした関係者の協力と自主的な組織活動によりまして、宇部市の降下ばいじんは逐年改善され、昭和二十五、六年には一カ月一平方キロメートル五十六トンを記録した降下ばいじん量も、昨年は十四トンに減少し、大きな成果をあげたのでございます。 過去二十年間にわたるばいじん防止活動によりまして、降下ばいじん量は減少いたしましたが、重油消費量の増大に伴いまして、亜硫酸ガスをはじめとする有害ガスの増加が見られるようになり、これの対策もあわせて行うために、昭和三十五年に委員会の名称を大気汚染対策委員会と改めまして、亜硫酸ガスの測定を始めるとともに、ばいじん対策と並行的にこの面の研究、対策を進めているのでございます。 さらに、昨年の九月に公害対策審議会を設置いたしまして、広範囲にわたる公害問題に取り組むことにしているのでございます。 先ほどから御説明申し上げますように、宇部市の対策委員会の名称が、降ばい対策委員会からばいじん対策委員会、さらに大気汚染対策委員会から公害対策審議会と、漸次名称を変えてきたことでもおわかりと思いますが、最初から理想を要求せずに、実施可能なことから着実に実行していくという漸進主義をとって今日に至っているのであります。 大気汚染がどの程度の成果をあげるかということは、結局は企業の社会的責任感と、自主的、積極的な態度いかんにかかっているのでございまして、宇部市の場合、昭和二十五年から今日まで、二十年間にわたって集じん装置に投じた経費は二十七億円といわれ、集じん装置も七十三基が据えつけられておるのでございます。 セメントと降灰問題は、セメント創業以来つきまとってきた課題でございます。宇部興産セメント工場では、大正十二年の九月創業以来今日まで、公害防止施設に投じた額は、取得価格で十五億四千万円といわれております。昭和二十五年以降届け出のあった集じん装置整備拡充状況を見てみますと、二十七年から四十六年の二十年間で、大体毎年のように新設または老化した施設の更新改善がなされておりまして、四十五年度は三千百万円、四十六年度は二億一千六百万円の予算と聞いております。 昨年委員会による工場の見学、調査が行なわれた際に、西工場のある煙突について、集じんを停止した場合と、かけた場合の状況について、実際に行なわれましたが、かけている場合と停止した場合には大きな差異がございまして、市といたしましては、施設の維持管理を十分に行なうとともに、老化した施設の更新、改善を要望したのでございます。 幸いにいたしまして、宇部市には山口大学の医学部あるいは工学部、さらに宇部短大がございます。医学、工学、化学の各分野における学識経験者が、それぞれ専門的立場からこの問題の研究、指導に当たられまして、対策促進に大きな役割りを果たされているのでございます。 市民の健康を守り、よりよい地域社会の環境をつくるために、さらに私どもといたしましては努力をしなければならない、かように考えているわけでございます。(拍手)
○小林委員長 次に、西川参考人。
○西川参考人 私、滋賀県の公害課におります西川でございます。 滋賀県内におきますセメント工場の状況につきまして、概略を御説明申し上げたいと思います。 私どもの県内には、豊富な石灰岩の存在を背景といたしまして、セメント工場が現在三つ立地しておりますが、歴史の古い順序に申し上げますと、まず第一番目に、住友セメントの彦根工場がございます。これは初め野沢石綿セメントが経営しておりましたが、昭和四十一年に住友セメントに譲渡されたものでありまして、大型キルンを二基持ちまして、月産大体十六万トンの生産能力を有しております。工場の敷地面積は約二十万平方メートルでございます。従業員は二百七十名でございます。 第二番目は、大阪セメントの伊吹工場でございますが、この工場は伊吹山がほとんど石灰岩からなっておりますところに着目いたしまして、昭和二十七年に立地したものでございます。大型キルン一本を含めまして現在六本のキルンを持っております。月産は約二十万トン、工場の敷地面積は二十七万平方メートル、従業員は四百五十名でございます。 第三番目は、住友セメントの多賀工場でございますが、この工場は彦根の東南のほうにあります多賀町という町にございまして、住友セメントの彦根工場と同様に、当初は野沢石綿セメントの系列会社でありました東亜セメントという会社が経営しておりました。これは昭和三十五年に立地したわけでございます。この工場につきましても、彦根工場と同様に昭和四十一年に東亜セメントから住友セメントが譲り受けて現在経営しております。この工場は中規模のキルンを二基持ちまして、月産七万四千トンの生産能力を持っております。敷地の面積は四十万平方メートル、従業員は約二百名でございます。 滋賀県内のセメント工場は以上の三工場でございますが、比較的苦情の少なかった住友セメント多賀工場を除きまして、住友セメントの彦根工場あるいは大阪セメントの伊吹工場の公害の状況につきまして、御説明申し上げたいと存じます。 まず、住友セメントの彦根工場でございますが、当時野沢セメントでございましたが、昭和三十八年の暮れごろではなかったかと存じますが、当時としては日本一とも東洋一ともいわれておりました超大型のキルンを増設する計画を発表いたしまして、昭和三十九年の四月から工事を開始いたしております。この施設は、昭和四十年の二月に完成いたしまして、運転を開始しましたところ、機械の整備が不十分であったのか、あるいは運転がふなれであったのか、多量の粉じんが飛散いたしまして、民家の屋根といわず、植物といわず、粉じんをかぶって、まっ白になったというような状況でございます。また、ひどいところではたんすの引き出しの奥までセメントの粉じんが入っていたというような話も聞いております。こういうことで、住民から非難の声が非常に高くなりまして、県といたしましても、彦根市と協議いたしまして、こういうふうな苦情に備えるために、昭和三十九年からデポジットゲージ、これは直径が約三十センチメートルくらいのガラス製のじょうごで、下に、約二十リットル入りのびんで雨水と降下粉じんを一緒に受けるわけでございますが、こういうようなデポジットゲージというものを設置いたしまして、一カ月に一回たまった液を分析しております。ここに出てくる値といたしましては、一平方キロメートル当たり一カ月に何トンたまるかというような調査でございますが、このデポジットゲージを十五地点にわたって設置いたしまして、調査を開始いたしました。 調査を始めました昭和三十九年の四月から新しい機械が稼働する直前、昭和四十年の二月でございますが、この間では、多いときで大体一平方キロメートル当たり一カ月に十トン、少ないときで七トン程度の粉じんがありましたが、新しい機械が運転を開始いたしました昭和四十年の二月以降につきましては、急激に増加しております。これは先ほども申しましたように、運転のふなれの関係、あるいは設備の不十分の関係、いろいろあったと思いますが、このときのデータでは、多いときで一平方キロメートル当たり大体二十トン、少ないときで十一トンというような数字になっております。この数字は十五地点の平均の数字でございます。四十一年の四月に住友セメントがこういう状況にある野沢セメントの工場を譲り受けたわけでございますが、住友セメントといたしましては、地元からの苦情に従いまして、諸種の設備の改善をやっております。特に、四十二年の十一月には、クリンカーのクーラー部に電気集じん機を設置しております。こういうふうな公害防止の努力によりまして、大体それ以後は、多いときで九トン前後、少ないときで四トン前後まで減少しております。現在では彦根につきましては、住民からの苦情はほとんど出ていないような状況でございます。 次に、大阪セメントの伊吹工場でございますけれども、先ほど申し上げましたように、昭和二十七年に立地いたしまして、逐次設備の拡張をやっております。これは昭和三十六年には五号キルンまで増設しているわけでございますが、昭和三十六年ごろから住民の苦情がぼつぼつ出かけております。 この内容といたしましては、主として住宅の屋根、あるいは、とい、こういうところに粉じんがたまる、あるいは野菜やら果樹に粉じんがつきまして商品価値が低下する、そういうような苦情の内容でございますが、その後大型キルン、これは六号キルンでございますが、この大型キルンを設置する際、大型キルンの建設計画が明らかにされた昭和四十二年でございますが、この四十二年の終わりごろから一そう苦情が激しくなりました。 私どものほうといたしましては、地元の伊吹村あるいは隣村であります山東町、浅井町、こういうところと協議いたしまして、昭和四十二年の五月から九地点におきまして、先ほど申し上げましたデポジットゲージによる調査を開始しております。この当時の会社側の説明では、六号キルンができれば新式の集じん機を設置するので、さらに古いキルンは一基か二基休む、そういうことで粉じんは非常に減少するはずであるというような説明をいたしておりましたし、私のほうも、大体その辺の結果をはっきりつかむためにこういうふうな調査を始めたわけなんですが、この新しい六号キルンの稼働を開始する前の一年間とあとの一年間を調査しております。調査を開始いたしましたのは、四十三年の五月でございますが、新しいキルンの稼働開始までの一年間の九カ所の平均数値といたしましては、多いときで十五トンないし十六トン、少ないときで四トンないし五トンという数字が出ております。それから新しいキルンが動き始めた昭和四十四年の五月以降から四十五年の二月、昨年の二月でございますが、この間では、多いときで七トン、少ないときで五トン前後に減少しております。この調査につきましては、大体会社側の申し立てのとおりの結果を示しましたので、昨年の二月で一応私どものほうの調査は打ち切っております。その後、地元からの苦情は現在出ておりません。 以上が滋賀県下におきますセメント工場の公害の概要でございますが、私どもといたしましては、今後とも住民の生活環境をよりよいものにいたしたいということで、工場の公害防止設備の改善については、一段と強力に指導していきたい所存でございます。 説明を終わらしていただきます。(拍手)
○小林委員長 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○小林委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 先ほどの理事会の申し合わせにより、参考人に対する質疑は各自十五分以内にお願いいたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
○林(義)委員 十五分で質問をしろというお話でございますので、これはなかなかむずかしい問題でございますが、とても時間がないのじゃないかと思いますが……。 きょうは、たくさんの方に参考人に来ていただきました。特に臼杵市からは、いろいろと問題になっておるところで来ておられますが、いまお話を聞いておりますと、臼杵におきましては、市当局または県当局と住民の側との間においていろいろと紛争がある、どうも手続的な問題でいろいろと紛争があるし、住民のよく納得を得ていないという点があるのではないかという印象を私は受けました。しかし、この問題につきましては、やはりそういった手続の問題でございますので、もう一つ別のほうからの御言い分を聞かないと、なかなか判断もつかないだろうと思うのです。したがいまして、時間もございませんし、私は、きょうの当面の議題になっておりまするところのセメント産業におけるところの公害と立地問題、これをどういうふうに考えるかという点に少し焦点をしぼって質問をいたしたいと思っております。 最初に、越村さんにお尋ねしたいのです。実は越村さんは私の地元でございまして、私の家内は宇部で生まれたのです。たいへん昔から、宇部市というのは非常にきたないところでございます。私は下関ですけれども、下関から出ていきますと、宇部市はとりわけ非常にきたない町である。大体ばい煙が非常に上がって困るというのが、私の非常な小さいときからの印象でございます。最近はだんだんよくなってきておりますが、先ほどの越村さんからのお話によりますと、いろいろとセメントのほかにも工場でできてきている。カプロラクタムだとか、ABSだとか、いろいろありますけれども、そういった関係の粉じんということでのお話でございましたが、ずばりセメントに問題をしぼりまして、宇部興産のセメントでも出ていると思いますけれども、そのセメントが一体どのくらいの粉じんを出しているのか。大体測定した排出基準によりますと、湿式またはレポール式のものは、現在では〇・六グラム、その他については一・〇グラム・パー・ノーマルキュービックメートルということになっております。大体どのくらいのものが出ているのか。これはあるいは越村さんでなく県のほうにお尋ねしなくちゃいけないのかもしれませんが、越村さん御存じでしたら、ちょっとその辺を明らかにしていただきたいと思います。
○越村参考人 それでは私の知っている範囲でお答えいたします。 先ほども御説明申し上げましたように、昨年の秋に工場を見学、調査いたしました際に、西の、ある新しくできました集じん装置によりますと、先ほどの東大の先生のお話のように、かすかに見えるというような状況でございました。これは当然大気汚染防止法によりますと、県が調査するわけでございますが、その後、私のほうの市の職員も立ち会いまして調査した話によりますと、〇・一から〇・二グラムということでございます。 それから宇部セメントには、煙道排ガス中の含じん量の測定をする対象の煙突が十二本ございますが、その他のものによりますと、大体〇・五から〇・六グラムというようなことでございます。
○林(義)委員 宇部でこの前、市会議員の選挙、県会議員の選挙がありましたときに、やはり相当に問題に在りました。公害をなくそうという形で、非常にみな訴えておられたわけでございますが、ごく最近にやはり新しくキルンができたと思うのです。それで集じん装置もつけられたのじゃないかと思うのですが、私としては、宇部市としても、先ほど来お話がありましたように、いろいろな市民の体制もできておりますから、その辺から十分にこれから公害防止のためのいろいろな諸施策を強力に推し進めていただきたい。これはぜひお願いしたいと思っております。 いま〇・一から〇・二グラムというお話でございますが、先ほど田中さんからお話がございましたが、田中さんにちょっとお尋ねしたいのです。 セメントというのは、申すまでもなく石灰石を粉砕いたしまして、それをロータリーキルンの中で焼く。熱が九百度ですか、それからあとで出てきたものを冷却して、それをさらにもう一ぺん製品のために粉砕する、こういうかっこうになっておりますけれども、この工場の中で公害が発生するのは、その焼成の部分とそれからあとの製品のための粉砕の部分とあるだろうと思うのです。もう一つ申し上げるならば、そういったセメントを袋に詰めて運ぶところの輸送工程の間で出てくるし、袋に詰めないで船なんかでばら積みにするような場合だったら、やはり相当な粉じんがそこで出てくる可能性はあるだろうと思うのです。一体こういった粉じんの問題で、先ほど増田先生からお話がありましたけれども、電気集じん装置というものがございます、コットレルの装置がありますが、それはどこにどういうふうに使うのか。私は、電気集じん装置だけでなくて、バックフィルター施設もあるだろうと思うのです。その工程の中でどういうふうにその装置を使っていくのか。これは田中さんでもけっこうでございますし、増田先生でもけっこうでございますから、どちらからでもお答えをいただきたいと思います。
○田中参考人 お答えいたします。 お尋ねのセメントの生産工程におきまして、煙突から出るばいじんに関しましては、先ほど来いろいろお話がありましたとおり、電気集じん機を使っております。なおミルとか、そのほか輸送工程におきましては、粉じんを取るためにバックフィルター並びにコットレル集じん機を使っております。
○林(義)委員 増田先生にお尋ねしたいのですが、いまのお話で、一九〇五年でございますか、コットレルの電気集じん装置が発見されたということでございますが、最近非常にこの電気集じん装置の効率があがってきたというお話です。いまの〇・六グラムとか一・〇グラムというようなやつでなくて、新しく今度は、先ほどのお話だと一つ少数点の位が下がるほどまで効率が上がるということでございますが、一体機械技術的に申して、どの点がどういうふうに効率的になったのか。簡単でけっこうでございますから、御説明いただきたいと思うのです。
○増田参考人 電気集じん機だけに問題をしぼりますと、電気集じん機は、本来ですと、非常に集じん効率が高いわけで、何ら問題がないはずであります。つまり、非常に専門的なことを申し上げて申しわけないのですが、電気抵抗があまりに低くない、またあまりに高くない範囲のダストですと、非常によく取れます。これはもう非常によく取れる。しかしながら、残念なことには、大きな製造工業で問題になりますダストの中に、非常に大きなパーセンテージを占めるものは、電気抵抗がきわめて高い。つまり数字的に言いますと、十の十一乗オームセンチというボーダーラインをこえました非常に高い電気抵抗のものが多いわけです。それは主として金属の酸化物でありますが、そういうものが電気集じん機に入ってまいりますと、異常現象を起こします。逆電離現象といいますが、全然集じん効率が低下する。火花がどんどん中で飛びまして低下する、ないしは逆電離といって、全然無効な、かえって集じん効率を阻害するような電流が流れ出しまして、そうして集じん効率が極度に低下するということになります。 それから今度は、発電所で問題になりますようなカーボンブラックのように、電気抵抗が十の四乗オームセンチ以下の低いダストの場合には、今度はせっかく取れたダストが再飛散いたしまして、やはり非常に電気集じん機で取りにくいということでありますので、そこでまたそれの範囲内の、つまり十の四乗から十の十一乗オームセンチの範囲内の中間程度の電気抵抗の場合にも、電気集じん効率をあげるために再飛散現象を防止するというようなことが非常に問題になっておりまして、結論的には、電気抵抗の非常に高いダストに対しましては、できるだけ電気抵抗を下げるような、ガスコンディショニング、ガス調整ということをやります。入り口の中に水を噴射して蒸発させましたり、あるいは、とにかく何らかの方法で湿分を与える、あるいはものによりましては、フィルター燃焼などのような場合には、無水硫酸をほんのわずかですが入れるというような方法で電気抵抗を下げます。そうしてやりますと、電気抵抗は非常に高くなる。 それからもう一つは、再飛散を防止するために何らかの方法を講ずる。たとえば場合によっては湿式を使う。湿式というのは、電気集じん機の集じん電極の表面にぬれ壁をつくるわけですが、そういうものをつくる。もっとも湿式を使いますと今度はヘドロが出ますから、そのヘドロの処理が今度問題になるわけであります。それを何らかの方法でうまく解決していくというようなことで、異常現象をどういうふうにうまく解決して、技術的に可能な範囲で安定、確実に運転できるように持っていくかというような技術が、最近非常に進歩してきております。 それから一方では、機械技術的に設計上のいろいろなデザイン、たとえば集じん電極のデザインが進歩したとか、あるいは昔は放電線というのは——放電線といってコロナ放電をやる線が使われておりましたが、私どもが若かったころは、つまり朝鮮戦争の直後ですが、そのころは大体直径が二ミリメートルぐらいなピアノ線が使われておりましたが、現在は六ミリメートルくらいの直径で、しかも有刺線が使われておりまして、いわゆるメインテナンスフリーといいまして、断線するおそれが絶対ないというようなものが使われるようになってきておる、そういう従来型のインプルーブメントというようなことで、集じん効率がだんだんあがってきたわけです。
○林(義)委員 いまの増田先生のお話によりますと、〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルというものは技術的にギャランティーできる、こういうお話でございました。一体、機械としてそういったものが大体どのくらいの値段するのか、これは先生にお尋ねするのではなくて、こちらのほうの田中さんにお尋ねすることかもしれませんが、どのくらいのものであるかということが一つと、それからいま全国でおそらく六十くらいでしょう、六十か七十くらいじゃないかと思うのです、セメントの大きな工場というのは。ですから、その中でどのくらいのものがすでにそういったものがついているのか、ちょっとお話ししていただきたいと思います。
○増田参考人 値段と申しますと、非常にむずかしい問題で、ケース・バイ・ケースで設計が多少違うのですが、大型のいま一番粉じんを出しますSPキルンというのがあります。サスペンションプレヒーター、いわゆる乾式SPキルン、これが一番出すわけですが、これが一基当たりやはり数億、三億円とか、その程度のものではないかと思います。これは容量によりますと多少違いますが、現在普通に用いられておりますもので、大体そのくらいになります。 それから第二番目ですが、第二番目は、それじゃ〇・一をギャランティーできるプラントがどれだけあるかということでございますが、これは数えるほどしかないといったほうがいいのではないかと思います。しかし、いまはみな、それを目標に新設工場はやられておるという実情であります。
○林(義)委員 一つの装置で三億円、大体大ざっぱにいってあれですか、田中さんにお尋ねしますけれども、一つの、セメント百万トンとしまして、百万トンの工場をつくるのに大体どのくらいかかりますか。
○田中参考人 大体工場の立地条件にもよりますけれども、煙突の高さとか、水温を調節するためにクーリングポンドをつくるとか、いろいろ方法もありましょうが、大体、金をかければ十億程度は必要に在るのではないか、かように思います。
○林(義)委員 十億かかって三億公害防止施設に使うというのは、これは企業としては相当な負担だろうと思いますが、これはぜひやっていただかなければならぬ。宇部にいたしましても、伊吹にいたしましても、そのほかに工場がありますけれども、私はやはりやっていただかなければならぬ。やはりやればさっき増田先生からお話がありましたように、必ずそういった問題がギャランティーされる。これは実際に動いてどうだということではない、ギャランティーされるということは、もしもそれがなかったならばどうにもならないということですから、その機械の効率が疑われるということでございますから、私はぜひそれをやっていただきたい。そういった安心感というものを住民の方に与えるということが、私は基本問題だろうと思います。何といったって公害の問題は、どのくらいのものが出たとかなんとかというよりも、ほんとうに住民の方が安心したような体制をとるということが私は一番の必要なことだろうと思います。そういった意味におきまして——時間だそうでございますから、最後にお尋ねしますけれども、一体こういった公害防止装置を、セメント協会のほうとしては、臼杵のみならず、ほかのほうにもつけていこうというお考えで協会としても考えをしておられるかどうかという点、それからそれであれば、大体まず所期の〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルというものはできるということにつきまして、田中さんと、それから増田先生からお答えをいただきたいと思います。
○田中参考人 先ほども申しましたように、技術的には相当進んでまいりましたし、会社のほうでも相当費用をかけまして、公害には特に力を入れるように申しておりますので、おそらくは、そのとおりに実行すればおっしゃるとおりになると思います。
○増田参考人 いま申しました数字は、場所が十分とれて新設工場の場合、新設工場でしかも場所がとれての話でありますから、既設の工場の場合は、そのギャランティー性能を満足する装置をお金があって入れたいという気持ちがあっても増設できないような、つまりスペースの点のリミットがあるわけです。ですから、それも考慮して〇・一、〇・二という数字になったんだろうと私は想像したわけです。しかし、それを既設であっても、つまりスペースがなくてもさらに〇・一までギャランティーできるだけのものをやるということ、これは今後の研究問題、技術の問題ですが、これができると断言できるかどうかというのは、これは神さましか知らないわけですけれども、現時点では、いまかなりむずかしい問題もあるかと思いますが、やはり一つの努力目標だろうと思います。狭いスペースでそこまで既設のものを改造できるかどうか……。
○林(義)委員 既設のものにつきましてはいろいろと問題がある、だけれども新設——臼杵の場合はまさに新設の問題だと思うのです。これはやはり相当なスペースをとってやっていただかなくちゃならぬ、私はそう思うのです。 それから、いろいろとお話がありました。私もこの辺少しやりたいのです。学校の話だとか、漁業権の補償の問題だとか、いろいろの手続の話がありましたが、どうも時間がないので、これはまた別の機会に私はお話を聞かしていただきたいと思いまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○小林委員長 阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 まず、小手川参考人にお伺いしたいのですけれども、非常に限られた時間ですから、ことばの足らないところは推測をしてお答え願いたいと思います。 先般の国会の連合審査におきまして、佐藤総理は、特に工場誘致にあたっては地元の住民の皆さんと十分話し合うことがきわめて大切だということを強調されておるわけでございまして、これは今日日本の行政の基本的な姿勢であるというふうに理解をしておりますが、先ほど小手川参考人のお話では、市民を全然無視して、しかも議会にはかる前にすでに土地の購入を行なわれておって、協定を締結するまで市民は全然知らなかった、何かそういう意味のお話のようでございましたが、その点間違いございませんでしょうか。
○小手川参考人 そのとおりでございます。
○阿部(未)委員 もう一点お伺いしたいのですけれども、しかも、この工場の進出をめぐって、何か戸高石灰工業というものが出てきているように聞いておりますが、この戸高石灰工業が市議会の方々を買収をしたとか供応をしたとかいうことで、目下司直の手で取り調べを受けておる、何かそういうお話もあったようでございますが、どういう進捗状況か、もちろんこれは司直の関係でございますから、詳しいことはわからないと思いますが、地元でおわかりになっておれば少し御説明願いたいと思うのです。
○小手川参考人 戸高工業さんと申しますのは、隣のセメントの山を持っている方でございまして、これは今度の大阪セメントさんの進出協定の立ち会い人になっている方でございます。この原料を大阪セメントさんが購入されるわけでございまして、ちょっとその点を地図で説明いたしますが、ここが津久見で、こちらが臼杵市でございますが、ここが石灰石の山がある町でございまして、セメントがございます。こちらが先ほど申し上げたように醸造の関係でございまして、この間にトンネルをぶち抜いて、ここに大阪セメントをつくる。この地図を見てもどだい無理だということがわかるわけです。 それで、その無理を押し通すためにいろんな不法な事実が行なわれて、お尋ねの検察庁の手入れがあったのでございますけれども、これは一昨々日、私こちらに参ります場合に、市役所にいろんな書類をとりに参りました。たとえば特別委員会の議事録、そういうものを貸していただきたいと思ったのでございますが、警察に持っていかれておってございません。その他の会計帳簿、そういうものも持っていかれているようでございまして、現在市政としては麻痺状態が続いている、そういうことでございます。
○阿部(未)委員 次に、西川参考人にちょっとお伺いしたいのですが、先ほどこの資料、これは臼杵のほうからいただいたのでございますけれども、伊吹の工場でこういう写真が出されております。先ほどのお話では、かなり粉じんは少なくなったというお話でございましたが、この写真は、大体ここに説明書きがあるようでございますけれども、今日でもこういう状態か、これはもっとずっと昔の写真なのかちょっと知らしてもらいたいと思います。
○西川参考人 この写真につきましては実は私は存じておりません。しかしながら、かつて積もった白い粉じんが、屋根のかわらのことでございますから、現在も残っておることは事実でございます。だから、やはり見た目には相当白い状況が間々見受けられるようでございます。
○阿部(未)委員 それから増田先生、ちょっとお願いしたいのでございますけれども、先生先ほどお話しの中で、現地の臼杵にも招かれて市議会のほうでお話をなさった。そのときに、ここにいただいておる資料ではこういうことがありますが、前後を省きますが、いわゆる〇・一グラムの場合でも、これは決して公害の関係で安全だとは言えないのだという意味のことをお話しになって、特に食品工業にとって長期的に見ると悪くなる危険性があるのではないか、こういうような意味のお話をなさったとここにあるわけでございますが、こういう趣旨のことは間違いございませんか。
○増田参考人 これは私の専門領域外ですから、私は専門の方に十分調査していただく必要があるというふうに考えておるわけです。と申しますのは、〇・一グラムのときに何が起こるかということ、これは非常にむずかしい問題で、世界的にもはっきりした答えがまだ出ていないんじゃないかと思うのです。ただ〇・一グラムでとれないで飛んでいきますものというものは、非常にこまかいもので、大体直径でいいますと、一ミクロン以下のサブミクロンダストといいますが、一ミクロン以下のダストでありまして、これは煙突から出てずっとたなびいていきましたあと、なかなか沈でんしないで、いわゆる浮遊粉じんというものになるわけです。この浮遊粉じんというものがいま盛んに世界の学界で問題になっているわけで、浮遊粉じんというものが学問的に究明されるのは、まだ後のことだろうと思いますが、ガスと共存したような場合、たとえばSO2というようなガスと共存したような場合には、それがいわゆる複合的な作用で悪い影響を及ぼすんじゃないかというようなことが国際学界などで問題になっているわけです。ただし、それについては今後の研究問題で、まだはっきりした回答は出ていないわけであります。
○阿部(未)委員 次に、田中参考人にお伺いしたいのでございますけれども、先ほど小手川参考人のほうから、いわゆるセメント工場について補償の問題についてお話をしたけれども、回答をいただいてないということでございますが、これは協会のほうとしては、こういう問題はどうお考えでこざいましょうか。
○田中参考人 セメント協会は社団法人でございまして、財団法人でもございませんし、いまの、補償とかなんとかいうお話だと思うのでございますが、そのほうにはわれわれは関知いたしておりませんので申しわけありません。
○阿部(未)委員 権限のあるなしでなくて、道義的な責任として、大阪セメントの場合、損害賠償について話し合いをしたけれども返事がないというのですが、道義的にどういうふうにお考えでしょうかということです。
○田中参考人 それは会員の大阪セメントのほうから、当然返事があってしかるべきかとも思いますが、私は事情を詳しく聞いておりませんので、その点御答弁の限りじゃないと思っております。
○阿部(未)委員 もう一つ、これは小手川参考人でも後藤参考人でもけっこうでございますが、この資料によりますと、交通麻痺が起こるのではないかというように思われるような膨大な自動車が動くことになっておるようでございますが、先ほど田中参考人の御意見でも、立地条件としてはどうしても海陸併用の運送が必要である、こう申されておりますが、現地の事情として、道路の幅員とかあるいは海岸の船の出入り、そういう点について、もしここにあるような輸送が必要であるとする場合に、どういう混乱が起こるのか、どういう懸念があるのか、ひとつわかっておりましたら御説明願いたいと思うのでございます。
○小手川参考人 トラック輸送は、これは公害審議会の場面でも出ましたのですけれども、とにかくそれだけの輸送量では完全に臼杵市は麻痺してしまう。それでそのことを戸高石灰工業だったと思いますが、公害審議会の委員の方がお尋ねいたしましたところが——とにかく現在の町の中を、じゃんじゃんそれだけのものが通るのでは商売ができぬようになって困る。そうしましたらお答えが、それじゃ夜通ろう。そうしたらまた隣の委員さんから、夜通ったら寝られぬ、そういう話があったので、そうしますと、それじゃ昼と夜の間に通ろう、そういうふうな答えがありました。それから、結局昼と夜の間もわずかしかございませんので、それじゃ海上輸送じゃどうかと言ったら、これも漁協から出ておられる審議会の委員の方が、海は通ってもらうと困るというようなことで、現在のところどういたしますか、ヘリコプターか何かででも運ばなければ無理じゃないかと思います。
○阿部(未)委員 田中参考人に、たいへん気の毒ですがもう一回、そういう立地条件のところにセメント業が進出することについて、協会としてはどうお考えでしょうか。
○田中参考人 私は、現地の事情はよう知りません。ただ先ほど申しましたのは、工場立地としては石灰石の豊富なところであり、搬出に非常に便利なところだという大局的なお話を申し上げたので、実際現地のことはわかりませんので、ちょっと御答弁いたしかねるところであります。
○阿部(未)委員 もう一つ、増田先生、専門外になるので恐縮ですけれども、大気拡散については専門外だ、こういうお話でございましたが、先生のお話によりますと、いわゆる〇・一グラム程度になれば非常にきれいになるのだというふうにわれわれ理解したのですけれども、最近けい肺病の患者がわれわれの調査ではむしろふえておるように思われるわけでございます。最近技術の面ではずっと進歩しておるのに、逆にけい肺病の患者がふえてくるという傾向について、どういうふうにお考えでしょうか。専門外で恐縮ですけれども、おわかりでなければけっこうでございますが……。
○増田参考人 先ほど申しました〇・一というのは、これは煙突からの排出ですから、環境に対する汚染の問題であります。それからけい肺病が問題になりますのは、むしろいわゆるその労働環境のもとでの問題で、地域の汚染とまた別の問題ではないかと思います。(「地域にふえている」と呼ぶ者あり)地域にふえていますか。(「瀬戸なんか運んでいる、粉じんをまき散らしている」と呼ぶ者あり)そうですか。それは私は全然専門でないのでよくわかりませんが、おそらく煙突から出るもののほかに、トラックが通ればやはりそれ相当のものがあれしますし、あるいは風が吹いてもあれしますから、その辺が私の専門ではないところですが、むずかしいところじゃないかと思うのです。
○阿部(未)委員 それから漁業権の問題について先ほどお話があったのでございますけれども、亀井参考人にお伺いしたいのですが、パンフレットに出ておるような船が大阪セメント千五百トン級二百八十ですか、戸高工業が五千トン級が百二十、これがあそこの漁港の外のほうを出入りする場合には、漁業のほうはたいへんな影響を受けるものか、そうたいして影響はないものか、ちょっとお伺いしたいのです。
○亀井参考人 それは海上交通が多くて、交通公簿が大きくて大波が出るので、小さな小船は、波のために漁ができないということを第一におそれております。それとえさのあれができないということです。
○阿部(未)委員 先ほどのお話では、突きん棒漁業に主として出られるけれども、残っておるお年寄りが近海の漁業をなさるというふうに承りましたが、おたくの部落といいますか、周囲で、突きん棒漁業に出られる方々と、残って近海の漁業をなさる方々の割合は、どの程度のものなんですか。
○亀井参考人 大体突きん棒漁業に行っている方々は四十五、六歳くらいまでの方で、それ以上の方は、目が悪いと突きん棒漁業はできないので、みな近海漁業をやっているのです。それで小舟がかなりの数あるのです。そういうことです。
○阿部(未)委員 越村参考人にちょっとお伺いしますが、宇部のほうはたいへんきれいになったというお話を承ったのでございますが、たとえばその宇部のセメント工場のごく近い距離で、食品の工業、たとえばみそをつくるとか、酒を醸造するということが可能であるかどうか、ちょっとお伺いしたいのです。
○越村参考人 私のところは、そういったみそとか、しょうゆの醸造は、現在そういう近くにはございません。ですから、はっきりしたことは私は言い切れません。
○阿部(未)委員 最後に、特にこの食品工業の町という立場から非常に懸念をされておるようでございますけれども、セメント工業の進出によって、煙突から出るばい煙なり、あるいは運送途中における飛散といいましょうか、そういうようなものがあるがゆえに、非常に食品工業として心配されていると思うのですけれども、それが、たとえば一番おもな、みそとか、しょうゆとか、酒とかに与える影響について、小手川参考人からお話を願いたいと思います。
○小手川参考人 それは、一つは非常に技術的な面になりますけれども、空気の中に粉じんが入ってまいりますと、中の酸度、PHが変わりまして、それで醸造期間が非常におくれるということが一つございます。 それから食品でございますので、先ほど申し上げたように重金属がまじったもの、これが、もちろんセメントの中の砒素とか鉛とかいうようなものがみそ、しょうゆに入って、そのみそ、しょうゆを食べてころり死ぬようなことまではないと思いますけれども、その間に与えるイメージ、これは非常に大きいものと思いますし、先ほどのお話の、みそ、しょうゆ及びミカンのかん詰め、それからウイスキー、そういうふうなもののある町にセメント工場は日本にはどこにもございません。ニッカさんが宣伝されております——札幌、ミュンヘン、ミルウォーキーというふうなことを言っておりますけれども、札幌にも、ミュンヘンにも、ミルウォーキーにもセメント工場はないと思います。
○阿部(未)委員 終わります。どうもありがとうございました。
○小林委員長 土井たか子君。
○土井委員 本日は、参考人の皆さま方、それぞれお忙しい中をほんとうにありがとうございました。時間の制約がございますから、ごくはしょってひとつ質問をさせていただきたいと思います。 まず、田中セメント協会専務理事さんにお願いいたします。 いままで、環境保全であるとか、立地条件であるとか、その他の理由によりまして、工場建設が予定されているにもかかわらず、後にその事情が変わったということのために、工場の立地を取りやめるとか、あるいは工場をよそに移転さすというふうな事例が業界でございましたでしょうか、どうですか。
○田中参考人 お答えいたします。 現在までさような事実は聞いておりません。
○土井委員 大阪セメントが実は臼杵に建設予定される以前に、徳島県の小松島あたりで、ひとつここに建設してはどうかというふうな話があったように私たちは聞いているわけでございますが、理事御自身は、その問題については御存じでいらっしゃるかどうか、その辺からひとつお願いいたします。
○田中参考人 そのような話はかつてあったようにも記憶しておりますが、それは大阪セメントの都合で取りやめたのではないかと思います。
○土井委員 それでは、こういうふうな事情である場合はどのようにお考えになりますかひとつお伺いしたいと思うのですが、実はこの三月九日に、同じくこの公害対策特別委員会の席上、この問題につきまして質問をいたしました。その質問の中に、御承知だと思いますが、いま大分の地方裁判所のほうで、この大阪セメントの埋め立て並びに工場建設にまつわる事件が進行中でございます。事件は二つございまして、一つは漁業権の放棄決議無効確認の問題、あとの一つは埋め立て免許取り消し訴訟ということになっているわけでございます。このいずれもが、近いうちにおそらく結論が出るように私たち聞いておりますけれども、その結論の結果、もしもこの漁民の方々が申し立てられているとおりに、漁業権が放棄されたということが無効であるということが確認されるならば、どういうふうに水産庁としてはその事後処理をお考えになるかというふうな質問に対しまして、水産庁のほうのお答えは、こうだったのです。それは、この風成地区の漁民の要求どおりに漁業権が裁判で認められた場合には、その段階で知事の再考を促すことになろうという御返答であります。さらに通産省側からは、これはセメントの運搬事情などから、会社が予定されていた場所については断わって、そしていまのこの場所になったと以前から聞いている、という前置きがございまして、これからでも変更できるかどうか、地元や会社と話し合って検討を続けたいというふうな趣旨の御返答があったわけでございます。 業界としましては、もしこういうふうな裁判の結果、これは予測の問題でございますけれども、もし漁業権放棄は無効であるというふうな事情からしまして、いまのこの埋め立て免許に対しての取り消しというふうなことにつきましても、このいまの提訴どおりに、申し立てどおりにもし事が運ぶといたしますなら、どういうふうなぐあいにその後の処理ということをお考えになるお心づもりがおありに在るか、ちょっとこの辺をお聞かせいただきたいのです。
○田中参考人 ちょっと業界の模様を申し上げますと、セメント協会は、各自会社においてそれぞれ御計画なさって、機械を発注する段階におきましてわれわれのほうヘ、こういう機械をつくるという届け出がございますので、敷地その他につきまして詳しい説明もいたしておりません。また、事実さような要求は協会としてもしておりませんし、そういうたてまえになっておりませんので、協会としては御返事をいたしかねる問題だと思います。あしからず……。
○土井委員 それじゃ、次に、婦人会議の議長さんでいらっしゃる亀井さんのほうにひとつお伺いしたいと思います。 実は、ことしの二月十一日くらいから十四日にかけて、大阪セメントのほうが埋め立て地について測量を行なおうとしたいきさつがございまして、その強制測量に対して、これに反対という立場で地元の方々がすわり込みをなすったという経過があるやに私たちは承知しております。ところが、これを排除することのために、大阪セメントが機動隊を発動させるというふうな経過がございまして、そしてその後、これでいろいろなけが人出るとか被害が出たというふうな事情を私たちは聞いているわけですが、地元からいろいろお聞きしたところと、実は、同じくこの産業公害対策特別委員会の席で質問をいたしまして警察側からの御答弁をいただいた中身とが、たいへんに食い違っておるのです。ひとつ、その後いろいろな資料をいただきたいということで、警察側から実は資料を私ちょうだいして、再度その中身を見てみますと、反対派、つまりすわり込んでいる者、その人たちの負傷の状況というのがございまして、「現場においては、ロープの端を口にくわえていた婦人一人が、該ロープを離す際、口唇に小さい擦過傷が認められたほかは、被排除者中に負傷者は認められなかった。」こうございまして、そうして「その後、病院等を調査した結果、診察、治療を受けた者十七名が判明した。」こう書いてあるのです。この間、どうもその負傷者は認められなかったというふうなことが初めにあって、その後病院等を調査した結果、十七名もこの診察治療を受けた人たちがあったということが判明したという間の事情、どうもこれはちぐはぐのような気がいたしますし、この空白の間に、私が地元からいろいろ聞いていることと警察の御答弁との間の食い違いということを、また再度確認せざるを得ないような気持ちに現在立たされておるわけでございますので、どうかこの間の事情、御承知である限りひとつお知らせいただきたいと思います。
○亀井参考人 二月十一日とおっしゃいましたけれども、あれは十二日だったのです。 一月の六日の日に、大阪セメントが、いきなり市にも上浦地区にも相談なく測量をやろうとしたのです。地区住民が、話が違うじゃないか、話し合いが済まないうちにするのはいけないじゃないかということで、市のほうに抗議しましたら、市のほうが、ちょっとやめてくれ、それはいけないということで中断していました。 その後、大阪セメントが見えて、一応大阪セメントのお話を聞いてくださいということを市のほうに申し入れまして、市のほうからそういうお話がありましたから、まだ私たちは市とお話ができていないから、大阪セメントと会うのはちょっとおかしいと思いますけれども、せっかくお見えになったのならば、大阪セメントの方とも会いましょうということで、私たち大阪セメントの方と会ったわけです、大阪セメントの方ともいろいろお話することもいいでしょうということで。 地区住民は、ちょうど突きん棒船の出漁時期でありましたけれども、一日延ばして総会を持ちました。そしてその時点で、井上常務と市の助役さんと企画室長さんが見えて話し合いをした時点で、とんでもない発言をされました。全然市民会議の方たちが言ってないことを、小手川さんも、矢野さんも、公害は全くない、常務さん、りっぱな工場ですね、こんなように言われたというようなことを聞いたので、私たちが聞き及んでいることと井上常務さんが言っているお話が違うので、どうも小手川さんたちは私たちにうそを言った。私たちには公害があるんだということを言ったのに、なぜ大阪セメントの常務さんにはそんなおじょうずを言ったんだろうかということで、現地にお呼びをしたわけです。 そうしたら、その日はちょっと井上常務のほうがなかなかあやまってくれなかったのです。それで、もうどうしてもあなたではお話にならないから、やはり市長さんを呼びましょうということで、市長さんが朝の三時半ごろ見えたわけです。そして漁が忙しい時期ですし、ずいぶん漁があったわけですね。ほかの方は出ていって、どんどん漁をしているんだから、安心して出ていきなさい、あなた方が帰るまで話し合いは待ちましょう、それまで絶対に測量も着工しませんから、どうぞ安心して行ってくださいということを言われたんです。そして県知事にも、その旨を話してきましょうということだったので、突きん棒船の方たちは翌々日行きました。そして突きん棒船が帰ってから話をしてくれるからと思って、私たちは安心しておったのです。やはり一家の主人がいないのにという気持ちで、帰ってからになったというような気持ちでおりましたところが、いきなり二月の十二日になって——いや、それまでに、市長は木下知事にお伝えしましたけれども、工場誘致を前提とするならば認めましょうということで、前提を入れてしまったのです。だから、前提じゃありません、話し合いを三月にするんですから、その時点でいろいろきめてくださいということで、再度市長さんに、知事さんに会っていただくようにお願いしました。その返答が、私たちの部落に返答がないままに、二月の十二日未明のうちに測量船が来たわけです。 そして私たちは、どうしたらいいか、主人たちはいないのにこんなことでは困るというので、お年寄りの人たちだけが船に乗っていって、ちょっとやめてくれ、まだ話し合いが済んでないじゃないか、話が違うじゃないかといって、言ったんですけれども、やめてくれませんでした。それで市長さんにも言って、市長さん早くとめてください、こんなことでは困りますからと言って、私、市長さんを呼びに行きました。 そうしたところが、市長さんの名代が見えて、市長の名代が来たから、工事をやめてくれ、ちょっと話し合いをしたいから待ってくれということを申し入れましたけれども、全然大阪セメントが聞き入れなかったのです。そしてどんどん測量しようとしたから、婦人層は、主人たちがみないないのに、このままにしておったら主人に申しわけないというような気持ちで、海岸線で見ておりましたけれども、いても立ってもおれなかったわけです。で、漁船に乗り込んでいって、企業の仕事をする方にお願いするよりほかに道がないと思って、私たちはお願いしました。お願いです、大阪セメントが話を聞いてくれません、市長さんの名代が来ているのだけれども、聞いてくれませんから、どうかやめてくださいませんかといって、企業の方に、測量する方にお願いにあがったのです。そしたら測量する人たちは同情して、ちょっとやめてくれたわけです。 そして警察官の方も、いかだ船に私たちが乗っていてお願いしていたから 危険だからもう男の人が——最初に妨害罪になりますからおりてくださいというようなお話もありました。で、妨害罪になるといっても、私たちのまだ係争中の海の上にいかだが乗っているのだから、このいかだをのけてくれたらおりるのにというようなみなの気持ちだったのです。このいかださえのけてくれればいいというような気持ちでおりましたけれども、そのうちに警察が、危険ですから、男の方が三人と、風成の婦人たちだけで、あとの方は——ちょうどその日は土曜日でしたので、いろんな応援の方が見えたのですけれども、いかだ船には乗っておりませんでした。で、地区労とか臼杵の市民の方は帰ってください、風成の方だけ残ってくださいと言ったので、風成の人だけ残って、女性と、男性が三名だけ残ったのです。 そして私たちは、警察官からそういうようなことを指示されましたので、約束を守っておりますからということで、じっとすわって、般若心経ですか、あれを——大体突きん棒船が出ているときは、風成部落ではいつもよくとなえるのです。安全祈願とか、大漁祈願をするときにはよくとなえるのです。それをとなえていたら、いきなり機動隊が来て、強制排除を始めたのです。そのときに私たちはいろいろなことを言いました。あなたにも奥さんがおるでしょう。主人がいないのに、こんなことをしなくてもいいでしょうといって、いろいろ言ったのです。
○小林委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○小林委員長 速記を始めて。
○亀井参考人 風成の婦人層は、たいへんなけが人が出て、私がそのときに警察官の方に、ここにけが人がおりますから、この人を治療してくださいということを言ったのです。早く病院に連れていってください、何でこんなところにほうり出すのですかと言って——岸壁に連れていってほうり出されたままいたのです。だから、どうか治療してくださいということをずいぶんお願いしたけれども、治療してくれませんでした。そして私は風成部落のほうにお願いして、電話をかけましたので、警察官の方が知らないというのもちょっとおかしいと思うのです。 そのときに、共同通信の方もいて、私が言ってあげましたからだいじょうぶですよ、もうすぐ連れていってくれますから、と言ったのです。で、安心していたけれど、なかなか連れていってくれなくて、結局風成の車が迎えに来たころに、警察が風成に連れていくというようなことを言われたのですけれども、風成の主婦たちは、ちょうど風成の車も来たし、もうこんな警察の逮捕者の車に乗りたくないというようなことで、泣いてそのときには警察の車には乗らなかったのですけれども、それまで一時間余りそこにほうっておかれたのです。だから、その時点でけが人があったということは当然知っておるのではないかと思うのです。 それと歯のところを少し擦傷しただけではなくて、歯が二本抜けて、一本は動いていたのです。それでお医者に行っていましたけれども、一本もとうとう抜かなければだめになって、三本とも抜いて治療しております。それと、もう一人は警察官の腕か何かでこうやられて歯が動き出したから、その治療費は払ってくださいと言ったら、警察官が、払いますと言ったそうです。お名前を聞かしてくださいと言ったら、名前は言えないということで、できなかったということと、それから運ぶ際に落とされて脳振盪を起こしたようなかっこうの方もおったんです。それも私が治療してくださいということを言っているから、わからないことないと思うのですけれども、大体十七名の負傷者はありましたけれども、警察官がそのあとで共同通信の方に、国会でどうして追及したのですか、おたくが言ったんでしょうかというようなことを共同通信に言われたとかいうようなことも聞きましたけれども、後日警察官が調べて、そういうことは、十七名は間違いありません。
○土井委員 もう時間が来ているようですが、再度少し確認をしたいと思いますので、しばらく御猶予お願いしたいと思います。
○小林委員長 ちょっと速記をやめてください。 〔速記中止〕
○小林委員長 速記を始めてください。
○土井委員 では、亀井さん、いま三月一日付で大分地方裁判所に損害賠償請求事件を提起なさっていますね。原告の数は十七名、間違いございませんか。
○亀井参考人 間違いありません。
○土井委員 それで、その十七名以外の方には診療や診察をお受けになったという方があるのかないのか。その間の事情は御存じでいらっしゃいますか。
○亀井参考人 入院して、最近退院した方もありますし、入院した人が二名と、家庭で、子供がいるために捻挫なんかをしているが、入院できなくて家庭治療の方がほとんどです。入院していた人のうちの一名は、まだ現在の仕事に十分つけてないようなかっこうです。頭を打っているのです。
○土井委員 そうしますと、これは、病院で診察治療を受けたというのは病院で調査をすればわかる十七名の方だけが、現在大分地方裁判所に原告として事件を訴えていらっしゃるということなんですね。
○亀井参考人 大体、診断書をいただいた方だけです。まだ家庭でサロンパスとか、いろいろなものを張って、けがしておる人はたくさんおりますけれども、そういうことです。
○土井委員 わかりました。そうすると、やはり警察のほうの報告と、現地での事情というのは、少し食い違いがあるというふうに考えられるように私は思いますが、まあ先に時間のほうがたいへん急がれておりますから、もうあと一点だけ、宇部市の市民部次長の越村さんに一つお伺いしたいと思うのです。 先ほどから、いろいろと御協力のあとについての御説明を承ったわけでございますが、幸いに、山口大学に医学、工学、化学関係の学識経験者などもいらして御助力を仰いだというようなお話もございました。ただ、先ほども増田先生のお話などを伺っておりましたら、集じん装置をつけるとか、それから企業者側にいろいろな協力を求めるとかいうこともたいへん大事だと思いますけれども、一方は、やはり環境保全ということに対して住民がどれだけ努力をするか、また市ぐるみでその問題にどれだけ立ち上がって取り組んでくるかということこそ、私は大事な問題じゃなかろうかと思います。そういう点から、いままでずっと続けられていらした中で、いわゆる公害防止協定なんというふうな一つのあり方がございますね。県、市、企業、それから最近は住民を疎外して協定なんというものはあり得ないというわけで、住民代表というものが入るわけですが、先ほどお話の中から私ずっと承りまして、住民サイドで住民代表ということがどういうふうに生かされているかという点が、ちょっと私伺いたい気持ちになりました。この点はどういうふうに取り扱われてこられましたか。
○越村参考人 お答えいたします。 従来は、いわゆるばいじん対策委員会あるいは降ばい対策委員会あるいは大気汚染対策委員会、これはいずれも市民代表という形で市会議員が入っておったわけでございますが、昨年の九月、公害対策審議会に切りかえまして、いわゆる市民代表ということで八名。それは全員三十二名でございまして、学識経験者が八名、それから市会議員が八名、企業代表八名、その他民間団体等の代表者八名、その民間団体等の代表者八名は、労組代表が二名、それから漁業組合代表が二名、農民代表が二名、それから自治会代表が二名、こういう八名を網羅いたしまして、三十二名で審議会を形成する、こういうことでございます。
○土井委員 それは特に宇部セメントを相手として公害防止協定を結ぶとかいうふうなことに具体的にはなっておりますでしょうか、どうでしょうか。
○越村参考人 公害防止協定でございますが、これにつきましては昨年公害対策審議会が発足いたしまして、市長が公害防止協定の可否ということで審議会に諮問し、その答申に基づきまして、いわゆる大手企業十一工場ございます。たとえば宇部興産の中でもセメントあるいはカプロラクタム、窒素、それに鉄工所、それからセントラル硝子あるいはチタン工業、それから中国電力の新規火力発電所あるいは古い発電所がございます。あるいは協和ケミカル、こういった十一工場と、ことしの三月の十五日に、公害対策審議会に協定内容を諮問いたしまして、その線に基づきまして、協定を結んだわけでございます。
○土井委員 時間でございますからあと一言だけ、田中専務理事にお願いを申し上げて、終わりたいと思うのです。 きょうこういうふうにしましていろいろ参考人の方々から御意見を賜わっております。特に地元の方々の御意見というものは具体的でございまして、いま大阪セメントの誘致に対してどういうふうに感じていらっしゃるかということが非常におわかりいただけると思うのです。ひとつ理事とされましては、理事という職責の上で、こういうセメント誘致に対しまして、大阪セメントの方々、あるいは今後こういうふうな問題を引きかまえてのセメント業界のあり方、そういうことをお考えいただきまして、できる限りそういう機会にいまここで私たちの述べております、また考えております立場というものを、ひとつ率直に御披瀝賜わりたいと思います。お願い申し上げます。 終わります。
○田中参考人 仰せのことごもっともと思いますので、さようにいたしたいと考えます。
○小林委員長 古寺宏君。
○古寺委員 本日は、参考人の方々には、お忙しい中をほんとうに御苦労さまでございました。 いろいろお話を承りまして、今回の臼杵の公害の場合は、公害問題につきましては、やはり市民生活や地場産業を守るためには、事前の調査というものが非常に大事ではないか、そういうことを感じたわけなんでございますが、この点につきましては、大阪セメントの誘致の問題については、臼杵市におきましては、こういうような第三者による専門的な事前調査というものが行なわれたかどうか、この点について小手川参考人からまず承りたいと思います。
○小手川参考人 進出協定が結ばれたのが四十五年三月三十一日でございますけれども、それ以前に第三者による調査というものは全然なされておりません。
○古寺委員 セメント協会のほうには公害対策委員会もできているようでございますが、こういうような立地の問題あるいは事前調査の問題につきましては、業界ではどのようにお考えでございましょうか。
○田中参考人 お答えいたします。 先ほども申し上げましたとおり、セメント協会は、会員の企業がどの土地を選んでどういうということは各自とも自由でございまして、ここに機械を発注するからということで、セメント協会へ、こういう機械でこういう設備をするという届け出がございまして、初めて理事会におきまして了承するような次第でございまして、立地条件がきまるまでに、どうかというふうな前もっての公害対策としての議論は出ておりません。また、お届け出もございませんので、われわれとしてはちょっとわかりかねる次第でございます。
○古寺委員 増田先生にお伺いしたいと思いますが、現在のわが国の集じん装置の技術水準、そういうものからいきましても、先ほどからいろいろお話がございましたが、スペースの問題とか環境保全の立場でいろいろ事前調査というものが絶対的に必要ではないかと思うのですが、先生方の御意見としてはどうでしょうか。
○増田参考人 やはり事前の調査というものは、専門家の手によって十分なされるということが必要だろうと思います。
○古寺委員 次に、今回の大阪セメントの誘致の進展にあたって、公害問題について、風成地区の住民の方々に対して十分な説明会というものが行なわれたかどうか、その点につきまして、小手川参考人からお伺いしたいと思います。
○小手川参考人 市側の説明、市が誘致して音頭をとっていたわけでございますけれども、私はっきりとちょっと日にちを覚えないのですが、市長が風成に行きましたのが、四十五年の一月かなんかに行きまして、それから約一年間は全然行ってない、そういうふうに聞いております。その点は亀井さんのほうがよく御存じじゃないかと思います。
○古寺委員 それでは、その点につきまして、亀井参考人からもう一度お願いしたいと思います。
○亀井参考人 四十四年の十二月の十七日に市長から埋め立ての図面についての説明がありました。それだけであって、それから先の説明会は一度もありません。
○古寺委員 今回のこの大阪セメントの問題につきまして、会社側が示している公害防止対策というのがございますが、この公害防止対策をごらんになって、増田先生はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、承りたいと思います。
○増田参考人 先ほども申しましたように、会社側が計画して提出しておりますところの公害防止対策は、現在の日本において、また世界的水準から見ましても最高のものであります。つまり、いままでそういうものが考えられたことはないという程度のレベルであります。〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルというのは、これは先ほど申しましたように、それをギャランティーできる設備をつけておるところは、これは理想ではありますが、現実の姿は日本全体でも数少ないというところであります。
○古寺委員 しかしながら、大阪セメントの企画書を検討した場合には、粉じんが相当遠方まで飛散するのではないか、公害の危険について非常にみんな心配していらっしゃるようでございますが、この点につきまして、まず後藤参考人からお尋ねしたいと思います。どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○後藤参考人 増田先生から、先ほど〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルが保証値である、それをギャランティーできるのだというお話がございましたけれども、先生のお話の中にもありましたけれども、ギャランティーするというのは、会社がそれを保証するということなので、その保証するというのは、会社側が、ある状態でもって、たとえば入り口の温度がどれだけでありますとか、入り口の粉じんの含有量がどれだけでありますとか、その含有成分の内訳はこういうことでありますというような、いろいろなことを指定するというか、設計の初めに前提がありまして、そしてその前提のもとに運転をした場合に、引き渡しのときにその数字がギャランティーできるかどうかということなんです。それを過酷なといいますか、あらゆる運転状況、またたとえば運転する中にありまして、キルンのあとにドライヤーというのをつけますけれども、そのドライヤーをつけて、ドライヤーのほうも運転をしておる場合がどうなのか、運転しない場合はどうなのかとか、いろいろな運転状況の変化があります。そのあらゆる、どんな変化にも耐えられて、住民に対して、引き渡しの時点だけでなくて、運転する将来までずっとギャランティーできるかというのとは別問題なのであります。それで、私たちは強い不安を持っておりますし、そのようなことは過去においてできた、似たような工場の周辺を調べて、それで安心できればいいのですけれども、それでは安心できないわけです。あれはだめだけれども、今度のはだいじょうぶなんだということだけで信用しろと言っても、私たちにはちょっと無理なお話であります。
○古寺委員 その点について、田中専務理事さんはどういうふうにお考えでございましょうか。
○田中参考人 最近におきまして非常に性能のいい工場ができております。事実粉じんの排出量も、大阪セメントの言っておるよりまた多少少ないような工場もございますから、おそらく機械設備に十分に注意して工事を行ないますれば、安心した工場ができるのではないかと思います。
○古寺委員 私のいままで知っている範囲では、セメント工場というのはどこへ行っても公害の問題が発生しております。そこで、ぼくは専門的なことはよくわからないのですが、SP方式とかあるいは湿式ロングキルンですか、こういうような方式があるようでございますが、今後わが国のセメント工場のこういう技術の開発促進の問題について、日本の国として、通産省として、どういうような対策を講じていったら、こういう公害のない技術の革新ができるかという点について、増田先生のお考えを承りたいと思います。
○増田参考人 やはり一つの方法だけではだめだと思います。一つは、やはりしっかりした排出基準ができないといけないわけですし、それからもう一つは、排出基準をどう測定するかということ自身が非常に大きな問題で、はっきり申しますと、連続的に、たとえば〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルというのは非常にわずかな量でありますし、〇・〇一なんといいますと、これは確率変動の範囲内に入るような非常に変動の激しい値を示しますが、連続的にそういう値を記録測定するというような装置がなかったら、これは砂上の楼閣であります。排出基準をきめても、それをコントロールをどうやってするか。それからもう一つは、技術的な問題でありますが、この技術的な問題は、要するに測定技術もさることながら、いわゆる公害防止技術と申しますか、集じん性能の向上のためにたいへんな努力を傾けなければならないということであります。 これは私は非常に奇異な感を持っておるのですが、最近公害防止あるいは環境保全ということが世上非常に話題にのぼっておりながら、一番かなめであるところの公害防止技術、公害測定技術というものの開発にちっとも世間の関心がいかない。たとえば、これは非常に重要なことかもしれませんが、エコロジーと申しますか、あるいは自然と人間との間の環境の問題を、地球科学の立場から研究するというような非常に高遠なところにはすぐ議論がいくのでありますが、きわめて卑近な、きょうあすの集じん技術をどうするのだ、測定技術をどうするのだ、そういう問題にちっとも議論が集中してないわけです。ですから私は、その点に非常に危惧の念を持っているのですが、こういう地に足のつかないような国家の研究方向、研究体制では、これは何年たったら——これは結局個々の研究者ないしは工場のワクを越えた大きな問題があるわけです。ですから、そういう点で、断然、技術的開発にもっと全力投球しなければならない。それは先ほど申しましたように、企業の問題とかなんとかを越えた政治の力というものがそこに動いてくれなければならない問題であろうと思っております。
○古寺委員 そこで、現地の方々にお尋ねしたいと思うのです。 大阪セメントが、今後生産様式の改善あるいは公害防止の強化充実ということを十二分に行なった場合には、大阪セメントの進出に対しては反対しないというようなお考えはお持ちでございましょうか。
○後藤参考人 進出の問題について、公害面の問題ということと、生活面で漁業権が完全に保障されているかという問題があります。 それで、漁業権の問題は私は門外漢でありますからさておきまして、公害の問題についてだけ言いますと、生命だけでなくて、住民の生活に何ら変化を与えないというような形で公害がないものであれば、私たちは反対いたしません。それで、もし大阪セメントが、私たち住民と、そこに住んでおります市民と完全な補償契約を結んでくれて、実際に公害を出さないときには何も補償しなくてかまいません。しかし、実際に公害が出てくれば、完全な補償をする。しかも、いろいろな公害防止設備をするよりも、補償したほうが安くなるというような形でなくて、そういうような公害を出せば工場が立ち行かなくなるというような、そんな補償を完全にやってくれるという自信があるならば私たちは反対いたしません。
○小手川参考人 実はこちらに出る前に、もし大阪セメントさんが来られたら、大阪セメントさんにこういうことを聞いてくれないかということを、私は市の幹部から言われました。それは無過失責任を実際どれだけやるつもりがあるのかどうか、そういうことを大阪セメントさんに聞いてくれないかと言われたくらいでございまして、市の幹部の方も、市民の方も非常に不信を持っております。 というのは、大阪セメントさんのいままでの態度と、それから大阪セメントさんの現在ある工場の周辺は、みなよごれている。先ほど滋賀県の方からお話がございましたけれども、あの近所は十七トンとか、そういうふうな数値をいっておりました。また、宇部は最近よくなって、一平方キロメートル当たり十二トンだ、そういうことをいっております。しかし、大阪セメントさんは過去に五百二十二トン降らしておる実績がございます。これは滋賀県の長浜の保健所にあるそうであります。五百二十二トンも降らしておる。しかも、それはどういう時期に降らしたかというと、伊吹村と公害防止協定らしきものを結んだ翌々年に降らしている。その町の人たちは、雪が降るように降ったと言っております。そういうふうな実績の会社というのは、どうも私どもまだ信用できかねる、もっとよくお話を聞かしていただきたいと思います。
○古寺委員 亀井さんにお願いしたい。
○亀井参考人 私たちの部落の場合は、臼杵市民と違って、上浦地区ですから、学校の問題もありまして、騒音もあります。だから粉じんだけで話が解決できるものでもなく、それからまた漁業ができなく在るということも一つの問題でありますので、区民の皆さんに聞かなければはっきりしたことは言えませんけれども、かりに学校を移転しても校区の中には適地がないということをお話ししたいと思います。ないので、やはり来てもらっては困ると思っております。
○古寺委員 それでは時間ですから……。どうもありがとうございました。
○小林委員長 島本虎三君。
○島本委員 時計をにらみながら御質問申し上げます。 まず、越村参考人に、緑の町になるまでの努力に深く敬意を表したいと思います。その協定、それぞれ、住民、市、セメント会社と協定を結んでおられるということであります。その協定の中に、もし違反したならば、送電も停止する、それから水の配給も停止する、こういうような内容を含んでおるでしょうか、おらぬでしょうか。
○越村参考人 別にそういうものは入れておりません。
○島本委員 はい、わかりました。含んでおらないということがわかりました。もし違反した場合にはこれはとんでもないことになるおそれがある。この点は若干心配であります。 それと、宇部の関係では、特に動物園のサルは、三十七年程度は、日本でも鼻毛が長くなる、それは宇部の動物園のサルである。おしりはまっかでなくてまっ黒である、これほどばい煙でよごれておったと聞いております。緑になったならば鼻毛がなくなるか、またはもうしりが赤くなるかどうかというような点も当然疑問になるのでありますけれども、まあこれは冗談であります。 しかし、私が公害に関心を持ったのは、そういうような既成の事実からでありますが、せっかくよくなっても、送電や水を送るのを何も規定してないで、もし破った場合には、これはとんでもないことになるおそれがありますので、この際十分注意すべきじゃないかと私思いました。 それともう一つ、今度は東京大学の増田参考人にお願いしたいと思います。 世界的に最高のレベルにある電気集じん機、こういうようなのがもう開発されておるようでございますけれども、しかし、同時に大阪セメントの場合は、遠くまでそのばいじんが届く、粉じんが届く、こういうような反対の意見が出るのであります。できておって、それが現在なお遠くまで届く被害というのは、これはどうも容易に理解できないのであります。この点、簡単直明に御説明願いたいと思います。
○増田参考人 そういう測定をやるためには、その工場、つまり最高の技術水準で設置された設備だけの工場でないと、はっきりしたことはわかりません。たとえば非常に悪い設備が併設されておるというようなものでは、悪い設備のものによる飛散があるわけです。 それからもう一つ、今度は第二番目としまして、それでは〇・一グラム・パー・ノーマルキュービックメートルのものができたらどうかということでありまして、これは先ほど申しましたように、その中でも〇・一グラム・パー・ノーマルキューピックメートル、これは非常にこまかい粒子でありますが、飛散するわけであります。これが浮遊粉じんになって、地形の条件、気象の条件が悪いと、特に風がなくて盆地のようなところではたなびく。ですから、〇・一というものが現在の理想であるかどうかは別として、現在の技術のギャランティーの値としてはリミットである。しかし、それに満足しているわけではありませんで、それをさらに高めるというのが次の目標であります。 大体お答えに在ったかどうかわかりませんが……。
○島本委員 それにしても、今度は小手川さんにお伺いしたいと思いますが、半年でといが埋まるようなセメントのいわばかすがたまる、こういうようなことで現物をさっき見せてもらったわけであります。それほどたまっておるのが事実だとすると、世界的最高のレベルにある集じん機を使ってもこれは何にもならないのじゃないかと私ども簡単に考えられるのですが、世界的最高のレベルにあるこういうような機械を使うことによって、そういうようなことが起き得ない、これを心から期待するわけなんでありますが、これはどういうことだと思いますか。
○小手川参考人 〇・一〇とか〇・二〇グラム一立方メートル当たりというのは、煙突から出てくる量をきめているわけでございます。それで月産五万トンに一本煙突があった場合、〇・一グラムであればそれに出てくる量はどれだけか、その生産量に量をかけていかなければなりませんですから、それを、たとえば五万トンの生産量と五十万トンの生産量であれば、五十万トンの場合はその十倍出てくる。だから煙突から出る量の規制値であって、降る量の規制では、落ちてくる量の規制ではないわけです。 それから先ほど増田先生が言われましたように、はかる方法、連続的にはかる方法がない。目で見て空がどうやらこうやらぼやぼやだとかいったって、これは測定しても非常に誤差が大きいものを目で見て監視するということは、まず不可能である。企業の良心ということが非常に影響してくる。セメント業界で、夜粉じんを出すというのが常識でございまして、夜は見えないから出すわけでございます。私の友人でセメント工場の工場長をやっているのがおりますけれども、それに悩んでおるわけでございます。
○島本委員 実情がよくわかってまいりました。そうすると、大阪セメントと話し合いをしようというのを断わったというのですが、その理由はわからないのですが、これはどういうわけですか。小手川参考人に……。そうでなければ後藤参考人でもけっこうです。
○後藤参考人 大阪セメントとの話し合いを私たちが断わったということですか……。
○島本委員 いや、向こうが……。
○後藤参考人 向こうがですか。今月の十三日に話し合いをしようということで申し入れをしたのですが、話し合いの方法が悪いとかいうようなことで断わられまして、それで再度また申し入れておりますので、必ず話し合いしていただけるものだと私たちは思っております。
○島本委員 やはりいい機械、最高のレベルであるといっても、排出基準、これを一定の量にきめても、それがたくさんになる場合のばいじんというものは計算に入れないといけないのであります。そうなりますと、やはりといの中に半年で詰まるほどの、といがいたむほどの、下からたたいて取り出さなければならないという被害は重大であります。それにいたしましても話し合いに応じないということは、これはセメント業界としてもこういうようなことはやはり指導上黙っておけないと思いますが、田中参考人に、この点は十分に私どもは、まあ不愉快と申しますけれども、こういうようなことはあり得ないと思うのです。なぜそういうような場合に住民が期待し、話し合いをせっかく持とうとするのに、断わるようなことになるのでしょうか。
○田中参考人 この件に関しましては、会員の大阪セメントからわれわれのところへは詳しい御連絡もいただいておりませんし、当方として釈明いたしかねる次第でございます。あしからず……。
○島本委員 はい、わかりました。 小手川参考人、地元としては行政上またどういう期待を持っているか、どうしてもらいたいか、こういうような希望がございますか。
○小手川参考人 市のほうに対してでございますか。
○島本委員 市のほう並びに行政ですから……。
○小手川参考人 大阪セメントさんが来ても市の財政上全然得になりませんし、むしろ損をするようなかっこうになっております。 それで、行政のほうは、県のほうにお願いしているのですけれども、ぜひもう一度公害の点を、どういうふうになるかよく調査していただきまして、それで再検討をやっていただきたい。特にいままでの経過からいたしますと、まだ現在の通産省のほうに書類が大阪セメントさんから出ていないようでございますけれども、これも埋め立てをやっていないから出していないというようなかっこうだと思うのでございますけれども、既成事実を次々につくり上げていく会社でございますので、埋め立ての着工をやめたまま、停止したまま、その上でもう一度再検討をすべきじゃないか、そういうふうに考えております。 ただ、いま市は行政能力は全然ございません。市長は、お恥ずかしい話ですけれども、風成の人たちが行くとすぐ帰ってしまって、あした来いということで、あした来ますと約束すると、企画室長と助役と市長が一ぺんに病気になったりいたしまして、全然能力がございませんので、しかたがないと思っております。
○島本委員 もう時間のようでありまして、まことに残念であります。なお、それにいたしましてもこういうような問題に対しては、公害がないということを前提にしても、実際はそれだけ半年でたまるほどのセメントが降下してくる。それに対して市なり、おそらくは通産当局の低うでは、黙って見ておるのですか。通産の人たちも来ておりますが、公害関係の人もおるのですが、当地の出先の通産局なり、または厚生省の出先の、県の衛生部なり、そういうのは黙ってそれを見ておったのですか。何かこの点に対しては、ひとつ最後の私のあれですから、三人のうちどなたでもけっこうですが、この点おわかりの人は答えてもらいたいと思います。だれがいいでしょう。
○後藤参考人 一応皆さん方心配してくださっております。ただし、県も大阪セメントの言ったことの裏づけ調査だけして、それ以外のことはあまりやってくれておりません。そういうことです。
○島本委員 それじゃこれで終わります。まことに残念なことであります。
○小林委員長 西田八郎君。
○西田委員 まず、最初に田中参考人にお伺いいたしますが、セメント協会におきましては、何らかの形で公害の対策についての機関をお持ちになっておるかどうか。
○田中参考人 当協会には、先ほど要旨を御説明申し上げましたとおり、全会員を一丸としまして公害対策委員会をもっております。なお、その下に各種の専門委員会を持ちまして、まだでき上がりまして三、四カ月しかたっておりませんが、漸次こまかい点に入っていきたいと心得ております。
○西田委員 それでは、大体公害に対しては、協会でまとまった資料等をお持ちであるというふうに理解していいですか。
○田中参考人 漸次調査中でございますので、すべてのものがそろっておるとは申し上げかねます。
○西田委員 それじゃ、一番近い期間で、セメント業界が公害防止のために使った費用等について一は、おわかりになりませんか。
○田中参考人 本年の資金需要が、これは通産省のお調べでございますが、結局、会員の各社が届け出た数字でございます。公害対策費が四十三年度におきまして金額的に二%でございました。それから、四十四年度の総額ではこれが四・九%、それから、四十五年度五%、四十六年度において五・八%、比率で申し上げましたが、かように漸次みな心がけまして、相当公害対策に力を入れておるような状況でございます。
○西田委員 これは公害対策といえども、その中には、立地しておるところの地元に対する補償金額等も入っておるのですか。
○田中参考人 それは全然入っておりません。設備でございます。
○西田委員 そこで、重ねてお伺いしたいのですが、先ほども増田教授からお話がありましたように、吸じん設備というものは相当高度なレベルにまで達しているといわれておるわけでありますが、そうした点について、協会と通産省との間に何らかの指導関係あるいはその研究というようなことについての連絡、そうしたようなことは、関係持っておられるのかどうか。
○田中参考人 お答えいたします。 仰せのとおり、われわれは、通産省のほうの行政指導もいただいておりますし、そのことにつきましては、絶えず、公害問題が起きるたびに、当局からまたいろいろな指示もいただき、御注意もいただいてやっておるような状態でございます。
○西田委員 ちょっと田中参考人、先ほどのパーセンテージは、金額に直して幾らぐらいになるかわかりませんか。四十六年度分だけでけっこうです。
○田中参考人 ちょっと報告申し上げます。 四十六年度が二十八億三千二百万円と相なっております。これはただし、公害と申しますけれども、いまのところ統計が、これこれが公害の対策だというところの区切りが非常にむずかしくなっておりますので、表にあらわれておるものだけでございまして、そのあとの、それに対する諸掛かりとかなんとかというのが、ちょっと計算いたしかねる筋合いで、表向き見えておるところでかように相なっております。
○西田委員 私、田中参考人に聞いていただきたいのですが、私はなぜこんなことを聞いたかといいますと、セメント工場が今日まで起こしてわる公害問題は、ただ、いまたまたま臼杵にこういう問題が出てまいりましたけれども、滋賀県からもお見えになっておりますし、また、宇部からもお見えになっております。その他全国各地で、石灰岩が非常に多い日本におきましては、セメント工業というのは非常に大きな発達をしてまいりました。そこへ建設その他の需要等もふえてまいりまして、相当セメントというものは工場がふえておる。そこには必ず公害問題が起こっておるわけなんです。私の選挙区におきましても、もう十数年、先ほども滋賀県のほうから説明がありましたけれども、問題が起こってきておるわけです。ですから、そういう問題を解決するために、協会がもっと指導性を発揮してもらいたいということなんですね。先ほども増田先生の話を聞いておると、かなり進んでおる。そうして三億そこそこで大体の設備ができようというわけです。二十八億で、これは諸掛かりを入れてであり貸すが、一体何基になるかというたら、九基しかできないということであります。そんなことで、はたして積極的な公害対策の姿勢かどうかということを私どもは非常に疑うわけでございます。したがって、参考人は専務理事でもありますから、どうぞひとつ今後の公害対策について、既存のものに対する設備の改善ということをひとつ十分御指導をいただきたい、こう思ったからお伺いをしたわけであります。 次に、西川、越村両参考人にお伺いをいたしたいわけでありますが、宇部あるいは伊吹、彦根、多賀などにおける降下粉じんの拡散範囲というものがおわかりにならないか。これは風の強さなり立地条件等によって違うだろうと思うのですけれども、大体何キロメートルぐらいまで粉じんが降下するのか、そうした点についておわかりになっておったらひとつお伺いをいたします。
○西川参考人 私のほうでは、実は拡散の調査をやっておりません。生活環境のデポジットケージによる調査だけでございますので……。
○越村参考人 公害地での調査というのはやっておりますけれども、距離的にどうこうということになりますと、ちょっと非常にむずかしいわけですが、大体私のほうの工場から離れました四キロ程度のところでは、風向等の関係、いろいろございますけれども、大体九トンぐらいのところでございます。
○西田委員 けっこうです。 それでは、続けて両参考人にお伺いいたしますが、それぞれの自治体では、その地域の住民に何か金額的補償をしているような、先ほど亀井参考人でしたか、お話があったわけですが、そうしたことにおける地方自治体とその工場、あるいは市町村、住民代表を入れた場合もあるでしょうし、入れていない場合もあると思うのですが、そういう補償等について何かあったら、あるかないかの事実と、それから、それに対する内容等を御存じかどうかお伺いをしたいと思います。
○越村参考人 宇部市では、補償ということについて、問題が出たということは聞いておりません。
○西川参考人 大阪セメントの伊吹工場におきましては、昭和三十六年に伊吹村当局と協定を結びまして、毎年二百万円を払うというような内容ができております。それと、近隣の山東町という町があるのですが、こことも、金額は私いまはっきり記憶しておりませんけれども、五、六十万円ではなかったかと思いますが、毎年そのぐらいの金を出しているようでございます。住友セメントにつきましては、全くやっておりません。住友セメントの前身の野沢石綿セメントの時代に、若干そのような事実があったということを聞いております。
○西田委員 そこで、問題になりますのは、そういう補償が出されていると、いわゆる市町村議会あるいは地方当局から、金をもらっているんだから、もう少々のことはしんぼうしてくれや、頼むわ、というようなことで、私は、地方のボスが押えて歩くという危険性もあると思うのです。したがって、先ほど西川参考人は、そういうことでほとんど現在のところ苦情を聞いておりませんということですが、そうした補償ということとその苦情ということの関連について、金をもらっているから文句は言えないんだというような空気がないと思われますかどうですか。
○西川参考人 私どもの県といたしましては、公害の防止が補償金で片づくとは実は全く考えておりません。それで私どもといたしましては生活環境の調査をやり、粉じんがふえておれば当然会社に対して行政指導をすべきであるというふうに考えておりまして、その点苦情が出ていないということにつきましては、先ほども若干御説明申し上げましたように、デポジットゲージの量が比較的少ない、そういうことから考えまして、苦情がないのであろうというふうに想像しているわけでございます。
○西田委員 次に、両参考人にお伺いいたすわけでありますが、先ほどけい肺という問題も出ましたけれども、こうしたいわゆる粉じんによって現在住民の健康被害が出ておるかどうか。これはきわめて重要な問題だと思うのです。そういう点について、市なら市で検診車を走らせるとか、あるいは県で定期的にそうした健診をしているとかというようなところまできめこまかいことをやっておられるのかどうか。それと、実際に健康被害が出ているかどうか。その二点についてお答えいただきたいと思います。
○越村参考人 お答えいたします。 宇部市におきましては、一昨年の十二月に山大の公衆衛生学教室に委託をいたしまして、小学校の全児童、一年から六年まで一万二、三千人おりますが、それの、いわゆる学童の呼吸器疾患のアンケート調査というものを行ないまして、その第二次、第三次調査を昨年からことしの一月まで行なっております。また、今年度におきましても、引き続き小学校の一年から六年までの学童全部を対象にいたしまして、同じ調査を実施して、そしてその結果に基づいて、調子の悪いといいますか、そういった者がおれば、治療をどうするということを具体的に進めていこう、こういうことでございます。 それから、宇部市は大気汚染防止法の旧法によります指定地域になっておりますので、その指定地域内の一般住民一万人を対象に空気のよごれ調査を実施いたしました。アンケート調査がございます。それに基づき香して、ことしの六月から九月ごろにかけまして、三千人を対象に重ねてアンケート調査を実施する。その結果に基づきまして、さらに医学部のほうで検討していただこう、こういうようなことで現在は進めております。(西田委員「被害のほうは……」と呼ぶ)被害のほうは、先般市議会におきましてもそういったいろいろな問題がございますけれども、山大の専門学者のお話によりますと、それによって公害病と認定するというものは、まだいまのところ発見されるに至っていないというようなことを聞いております。
○西川参考人 滋賀県におきましては、健康関係の調査はやっておりませんので……。
○西田委員 時間ですから、これで終わりますが、参考人の方々、本日はお忙しいところをほんとうにありがとうございました。私どもも一生懸命になって公害対策にがんばりますので、それぞれの立場でひとつ御努力をお願いをいたしまして終わりたいと思います。
○小林委員長 岡本富夫君。
○岡本委員 まず最初に、セメント公害に対するところの政府の姿勢あるいはまた業者の姿勢というものは、非常に問題であろうと思うんです。 そこで、私ども臼杵のほうの現地を調査してきましたのですが、ここに写真を持ってきておるのですけれども、この風成の地区の人たちがなぜ反対をするかというと、この津久見の小野田セメント、この上へ上がってみますと、町じゅうまっ白、こういうような状態で、公害が起こることを非常に心配しておると思うのです。 先ほどからいろいろな発表がありましたけれども、「産業と公害対策」という本が出ておりまして、この中で中尾さんというセメント協会の専務理事の方が、こういうことを書いております。前のほうからずっと書いてきまして、「セメントによる大気汚染が、こんにち世論ごうごうたる汚染問題とその本質を異にするところである。人間の健康上ではむしろセメントの石灰分が結核に良いなどとさえいわれた時代もあった。「見てくれ」の被害妄想に陥ることはないのである。」こういうことを誓いております。私は、あっちこっち視察しましたが、このセメント公害によっていろいろなことが起こっております。私どもの選挙区でも、酒屋がある。それが、セメントの工場が来てから酒の酵母ができなくなったというような問題も起こっているわけですから、こういった公害問題については、もっともっと積極的に力を入れなければならぬ。しかしながら、協会の理事さんが、こういうことを堂々と世間に売るところの本に書いてある。こういう姿勢ではならないと私は思うのです。 そこで、きょうは通産省、よく聞いておいてもらいたい。先ほど東大の先生のお話では測定器あるいは測定基準あるいは測定法、こういうものがはっきりしてない。こんなことでセメント公害をなくしていくことができるのか。いま日本列島は公害で一ぱいで、次から次へとたくさん批判が出て、そうして人類の生存権を問題にしなければならぬ、あるいは環境権をやかましくいわれておる時代、そのときにおいて、こういう態度を許しておいてはならないと思うのです。先ほどからいろいろお話も聞いておりますが、こまかい問題は別として、そうした姿勢がはっきりしてなければならぬと私は思うのです。 そこで、まず一つお聞きしたいことは、宇部の方お見えになっておると思うのですが、宇部の問題で昭和二十四年に公害問題が非常にやかましくなって、二十五、六年ごろには平方キロメートル当たり五十六トンを記録しておったものが、その後非常に減って三十五年ごろには三分の一に滅っておる。そういうように、減らそうとすれば、公害防止しようとすればできるのである。こういうことが国会図書館から出た資料に出ておるのですけれども、こういうことは事実でございますか。
○越村参考人 おっしゃるとおり事実でございます。ということは、昭和二十五年当時にデポジット等によりますいわゆる降下ばいじんの測定を委託しておりまして、その後逐次毎月の状況等を測定しております。その結果による数字はそういうことでございます。
○岡本委員 宇部の場合は、調べると地元資本で、それからその企業と住民というものが密接不可分である。したがって、こうした相当な金を投入して、そしてこうした公害対策ができたんではなかろうかと思うのです。今度臼杵にできようとしておる問題は、資本が中央資本であって、残るのは公害だけだ。こういうようなものでは地元の方も納得しないだろうと私は思う。 そこで、先ほど東大の増田先生からお話がございましたが、その製法に乾式と湿式があるように伺う。乾式のほうは燃料が非常に安く済む。しかし、微粒子が小さくなって遠くまで被害が大きくなる。湿式のほうは、これは宇部興産の苅田工場あるいはまた秩父セメントの熊谷工場の建設にもロングキルンというのですか、こういう方式を用いておる。そうすると、これは燃料が高くつく。しかし被害が非常に少ない、こういうように伺っておりますけれども、さて臼杵におけるところの大阪セメントの状態は、この点についてどういう機械を使おうとしておるのか、これについて御調査なさったことがあるかどうか。これは地元の小手川さんにお聞きしたら一番いいんじゃないかと思いますが……。
○小手川参考人 臼杵につくろうとしておるのは乾式のSPキルンというもので、一番安上がりで小さい粉の多く出るものです。
○岡本委員 そうしますと、これはSP方式になるわけですね。そうすると、湿式でも被害は全然ないということはない。しかし乾式になればもっと大きい。いまそういった面について、皆さん方のほうから市あるいは県を通じ、また大阪セメントのほうに要求をなさったことがあるのかどうか。これについて青年会議所の後藤さんからひとつこざいましたら……。
○後藤参考人 方式を変えるような要望ですか。——そういうようないろいろな調査をしてくれということをずいぶん要求しましたけれども、燃料費の点からいって一番安いんだとかいうようなことで、これは工場側の都合でしょうけれども、SPキルンというものを変えるつもりは毛頭ないということであります。
○岡本委員 そういうことになれば、大阪セメントが協定をした、この協定書も私のほうで調査しているわけですけれども、ほんとうに公害をなくして、地元の皆さんを守っていこうという考えがあるのか。あるいはまたできたからしかたがないというようにあきらめさせてしまう。現在の業界の姿というものは、もう現在はそういう時代と違うんだ。これについてひとつ専務理事さんから何か御意見がございましたらお伺いをしておきたい。
○田中参考人 ただいまお話がありましたSPキルンのことでございますが、最近技術が非常に発達いたしまして、われわれの調査範囲では、SPキルンがばいじん量の一番少いキルンだ、こういうふうな統計が出ております。 なお、湿式でありましても、電気収じん機の完備によりまして、いいものもございますが、一番効率がよくて収じんがよくできるのが最近できておりまして、新しいかまのほとんど大半がSPキルンに相なっておりますので、特にSPだから悪いとか、安上がりであるというふうな考えは当方では持っておりません。
○岡本委員 そこで増田先生に、いままで御研究をされた、あるいはまたいろいろと実験もされたり、調査もなさったと思うのですけれども、大体どちらのほうが非常に公害が少なかったかという点について御調査をいただいたことがあるか、これについて御説明をお聞きしたいと思います。
○増田参考人 いまのこの歴史を申しますと、いまから約十年くらい前までは、乾式セメントキルンから出てくるものはコットレルでもなかなか思うように取れない。それに対しまして、おっしゃいましたとおり湿式ロングキルンのばいじんは、よく取れるという状態だったのです。 その理由は、先ほども私御説明申し上げましたが、セメントから出てまいりますばいじんの電気抵抗によるわけでありまして、乾式のものは非常に乾燥しておりますから、したがいまして、電気抵抗が非常に高いわけです。特に百度から二百度の間、百五十度付近で一番高いピークを示します。そういう時代がありまして、したがって、電気抵抗を避けるためには湿分を与えなければいけないということで、研究の主力がそちらのほうに向いてまいりまして、その調湿というのですが、ガスに大量の水を噴霧いたしまして、そして水を乾燥させる。ガスのほうは吸湿するわけですから、それによってダストも電気抵抗が低くなるという技術が次第に進歩いたしてまいりまして、現在それが確実に使える段階に友っております。 乾式SPキルンでございますが、乾式SPキルンは、かまから出てまいります九百度のガスを利用いたしまして原料の余熱をやります。原料の余熱をやるためには、サイクロンというものを多段に使いまして原料の余熱をやりますために、出てまいりますガスは約三百度になります。したがって、熱効率は非常にいいわけでありますが、大量の粉じんを発生した時代があります。ですが、現在どうしているかといいますと、三百度のガスをいきなり収じん機に入れます前に、今度は原料乾燥に使います。これは粘土とかその他大量の水を含んでおりまして、乾燥しなければならない原料を乾燥いたします。乾燥機を通る間にガスの温度が約百二十度、百三十度というような温度に下がりますと同時に、かなりのダストがそこで取れます。それから、同時に湿分が与えられます。したがって、コットレルに入ってまいります、電気収じん機に入ってまいりますときには、条件がかなり違ってまいりまして、結局、さらにその後に、必要であればいわゆる調湿塔というものを設けまして、湿分を加味するというような技術が進歩しておるわけです。そういう意味で、現在では設備をきちっとやって、しかも、その設備を完全によく保守するならば、先ほど申しましたように乾式SPキルンで〇・一を保証するという段階になっております。その点、先ほどからお話がありましたような技術の進歩というのがあるわけです。しかし、問題はこの設備の保守と、それからもう一つは飛散量の連続測定のための計器がありゃなしやということになりますと、連続測定の計器がありませんから、その点どういうふうにコントロールして排出基準の保持をやるかというような問題が、今後の一つの大きな問題になっているかと思います。
○岡本委員 非常に時間がなくなりましたので、最後に委員長にお願いをしておきます。 これは、私どもの調査によりますと、セメント工場は夜もフル生産をやるんですね。工場の中はまっ白なんです。向こうが見えないというような問題も起こっているわけです。しかも、技術的な問題も、わずかな時間で先生わざわざおいでくださったのに、こまかくお聞きすることもできなかった。したがって、当委員会で再調査をして、そして今後起こってくる問題、あるいは現在の問題につきましても、強力にひとつ当委員会として取り上げていただきまして、一つ一つ公害の除去につとめなければならない。それが私ども、国民に対するところの義務であろうと思います。また、こうしてわざわざ臼杵からおいでくださったり、またほかの皆さん方もそうでありますが、私は、反対なさるのも無理なかろう、こういうように思います。また、企業のほうも、これではたいへんなことになると思いますので、やはりしっかりした調査と、それから当委員会の審議を特にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○小林委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○小林委員長 速記を始めてください。東中光雄君。
○東中委員 後藤参考人にお伺いしたいと思うのですが、群馬大学の医学部の笛木隆三医学博士が、昨年の暮れに、同大学のぜんそく専門外来患者の中から、セメント粉じんが原因とされるぜんそく患者が発見された、こういうことを発表しておられます。ぜんそくが、四日市、川崎、大阪、尼崎等で公害病として指定されておるのですが、このようなセメント粉じんによる健康被害は発生しないというふうな説明が、声当局なりあるいは大阪セメントといったところからやられておるかどうか、皆さんの納得できるような説明があるのかどうか、どういう説明をしておるか、皆さん方のお考えはどうなのか、お伺いしたいと思います。
○後藤参考人 そういうような研究というものを私たちも知っておりますし、また山口大学の野瀬先生に臼杵に来ていただいて、いろいろなお話を伺った結果、ぜんそくというものがセメント産業にはついて回っているというお話も承りました。そして私たちが調べた限り、セメント工場のまわりでは必ずといっていいほどぜんそくを訴える声が強いようです。しかし、セメント会社は、そういうようなことは一切ありませんという返事をしておりますし、先ほどから問題になっておりますけい肺病についても、大阪セメントは、うちの工場は一切そんなことはないというようなお話でもあります。そして市のほうも、そんな心配は何もない、公害なんて何もないんだから心配するな、そういう一点ばりでございます。
○東中委員 いま参考人からも出ましたが、山口大学の野瀬教授も、亜硫酸ガスと空気中の浮遊粉じんが相乗的に作用する場合に、亜硫酸ガスの濃度がかなり低くても呼吸器疾患有症率が非常に増加する、こう書っておられるわけです。特に年少者の呼吸器機能の障害がひどくなる、こう言われておるわけですが、宇部の越村参考人、滋賀の西川参考人、こういった点について、それぞれどういうふうな調査をされ、あるいは対策をとられておるか、お伺いしたいと思います。
○越村参考人 宇部市におきます健康調査でございますが、これは先ほども御説明申し上げましたように、一昨年十二月から小学校の全児童に対するいわゆる学量の呼吸器疾患に関するアンケート調査、それに基づいて山大の野瀬教授に第二次、第三次のいろいろな心臓疾患とかそういった健康上の調査をお願いしております。また、重ねて昭和四十六年度におきましても、その調査を継続的にやっていただこう、そうして問題点があればその線においてまた対策を講じていこうということでお願いいたしております。 それから一般を対象といたしましては、昨年、九月だったと思いますが、大気汚染防止法に基づく地域指定を受けておりますその住民一万人を対象にした空気のよごれ調査というものを実施いたしまして、昭和四十六年度におきましては、それを中心に三千人の方に対するいわゆるアンケート調査をし、それに基づいて、健康に関するいろいろ主調査を山口大学の医学部にお願いしておるわけでございます。その結果に基づいて、こういった専門家の方々の意見によりまして市としての対策を講じていかなければならないというように考えております。 先ほど被害者の云々という問題がございましたけれども 野瀬教授に以前にも私ども聞いております。近くはまた先般の市議会におきましてもそういった問題が出ておりますけれども、野瀬教授のお話によりますと、いまのところ公害病と認定されるものは発見されるに至っていない。こういうことを聞いております。
○西川参考人 滋賀県におきましては、いままで健康関係の調査をやったことはございません。そういうような方法につきましては、今後検討していくべき問題だというふうに考えております。
○東中委員 小手川参考人にお伺いしたいのですが、大阪セメントが県、市と公害防止協定を結んだわけです。この協定で十分だとお考えになっていないと思うのですけれども、問題があるとすればどういう点が問題だとお考えになっているか。 また、この協定には被害に対する補償を規定しているというのですけれども、先ほどの参考人からのお話によりますと、補償について照会しても返事をしてこないというふうな状態だということでありましたが、これでは協定を守る気がないというふうに言わざるを得ないことに在りますけれども、その点どういうふうにお考えになっていますか。
○小手川参考人 すみません、後藤さんでよろしゅうございますか。
○東中委員 けっこうでございます。
○後藤参考人 公害防止協定の中の骨子というのは、おもに煙突からの排出を一ノーマルキュービックメートル当たり〇・一グラムに押えるということと、煙突を百二十メートルにするということ、それと無過失責任を入れたという点であろうかと思います。 その中で、最初の〇・一グラムということにつきましては、測定方法もないことでありますから、しかも、サブミクロンというような、一ミクロン以下の小さなものが測定にかかってこないわけです。だから、これは〇・一グラムの中に入っていないわけですから、私たちなかなか信用しかねる。夜出しても全然わからないじゃないかという問題があります。 それから、煙突を百二十メートルにする。この百二十メートルの煙突を何か鉄筋コンクリートで建てるということなんですけれども、実際にそんなものが建つのかどうか、建築業界の専門家の方にも調べてもらう必要があるのじゃないかと思います。 最後の無過失責任というものでありますけれども、これはマスコミなんかで無過失責任というものを入れたということをよくいわれているわけでありますが、実際にはその条文は、「調査の結果、被害原因が大阪セメントの責めに帰すべきものであると認められるときは、大阪セメントは、その故意過失の有無にかかわらず、被害者に対し、被害補償の協議に応じ、誠意をもってその解決にあたらなければならない。」と書いてある、これが被害補償というものに対して書いてある全部であります。この内容は、ここにことばとして、「故意過失の有無にかかわらず、」というようなことが入ってますので、それで無過失責任といわれておりますけれども、実際にもし損害を与えたならば、それが故意とか過失とかいうことにかかわらず補償するというのは、書かなくても当然の話なのであります。ただ、その場合、立証責任をどうするか、そういうようなことが書いてありません。その立証責任の問題であるとか、ここに「責めに帰すべきものであると認められるとき」というのは、一体だれが認めるのかとか、こういうようなこまかなことが書いてありませんので、こういうような条文が結ばれたからといって、私たちは世上言われているような無過失責任というようなものが結ばれているとは考えておりません。 それで、この点はなはだ不満でありますし、まだまだ補完すべき、十分な協定にすべきものだと考えております。
○東中委員 無過失責任の問題とあわせて、挙証責任というか、立証責任の転換の問題が連ならないと実効がないということでありますけれども、同時に、今度はその被害の特に因果関係についての挙証責任の転換ということが非常に重要になると思うのですが、そういう点で非常に不満だというふうに考えていらっしゃるということだと思うのですが、続いて、時間もございませんので、亀井参考人にお聞きしておきたいのですが、今月の十四日に共産党の米原議員が商工委員会でダンプ公害について質問しましたが、いまいわゆるダンプは全国で約十五万五千台動いていますが、このうち営業用は、いわゆる青ナンバーですが、これが約一万五千、ほかはいわゆる白ナンバー、自家用ということで十四万、ほとんどが自家用になっておるわけです。しかし、実態は、自家用のダンプカーというのは、扱いとしてはマイカーと同じですけれども、明らかにこれは営業用に動いているわけで、しかし、事実上運送用でありながら、道路運送法の適用を受けない、こういうかっこうで放置されているということになるわけです。 そういう状態で、皆さんの場合、交通問題がお隣の津久見でも大きな問題になっておるわけですが、東京の東雲の埋め立て地に三菱セメントなど大手五社が進出するということで、住民は交通事故を非常に心配して反対し、建設が延びておるわけです。こうした交通問題について、学校の移転の問題もありますし、市や大阪セメントはどういう説明をしているのか、そして地元の皆さんはどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いしておきたいと思います。
○亀井参考人 市のほうは、全然交通公害についてお話ありません。板知屋部落の方が申し入れしたときには、道幅を広くするとか、いろいろなことを条件に入れておりましたが、最終的には入れておりません。そして私たちとしては、中学生、高校生が、学校から家庭まで約十キロほどあります。それで、離合のできないような個所も二、三カ所あります。それにダンプが戸高石灰と大阪セメントが工場を建設すれば、四両に一台という車の量になると思っておりますので、子供たちが危険にさらされるので、市のほうに申し入れをしておりますけれども、市のほうからは返事がありません。
○東中委員 もう時間がございません。自動車、ダンプカーが非常にふえるということは大阪セメントも認めておる。そういう状態で対策は何もない、こういうことでございますね。
○亀井参考人 はい、そうです。
○東中委員 では、時間がございませんので、これで終わります。
○小林委員長 これにて参考人からの意見の聴取は終わりました。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見の開陳をいただきましてまことにありがとうございました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十五分散会