産業公害対策特別委員会 第15号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1971/05/11
会議録
○小林委員長 これより会議を開きます。 産業公害対策に関する件について調査を進めます。 質議の申し出がありますので、これを許します。古寺宏君。
○古寺委員 厚生省にお尋ねしますが、母乳の中の農薬残留の実態調査の公表が非常におくれておりますが、これはどういう事情によるものでしょうか。 また、いつごろ発表の予定でございますか。
○坂元政府委員 母乳中の残留農薬につきましての実態調査は、本年の一月から三月までに一応調査をするというスケジュールでまいったわけでございますが、全国的に二十四の府県にお願いした関係もございまして、しかも、初めての検査というようなことが原因になりまして、各調査県から集まってきましたデータが私どもの予定よりも一カ月くらいおくれたという関係がございまして、先月四月中にほほ調査結果だけは各県から本省のほうに集まってまいりましたので、現在その調査の結果を、専門の研究委員会のほうにおきまして集計解析中の段階でございます。いままでの経緯はそういう事情でございます。 後段のお尋ねの調査結果の発表等の時期でございますが、いま申しましたように、なまの数字が出てまいりましたので、やはりこの内容等を専門家グループにおいて、相当あらゆる角度から検討をしていただきまして、そうしてそれに基づきまして、私どもとしましてはどのような対策を考えていくか、これを早急に結論の方向に持ってまいりたいと思っております。そういうようなことをいたしませんと、ただ結果の発表だけでは、なかなか一般の国民の方にかえって逆の面の不安感を与えても、非常にこれは妥当な措置にもなりませんので、そういう結果に基づく対策等も含めまして、できるだけ早く専門研究家グループの結論も急いでいただきまして、片方私どものほうの審議会等にもおはかりをいたしまして、早急な結論を得たい、かように思っている段階でございます。
○古寺委員 五月一日の毎日新聞によりますと、佐賀県では、二十人のうちの六人の母乳から〇・一PPM以上のべータBHCが検出されている。〇・四五PPM以上が六人である、最高が〇・八PPMである、こういうふうに報道されておりますが、これは事実でしょうか。
○坂元政府委員 佐賀県からの報告は、さような報告が結果として出てまいっております。
○古寺委員 これに対して、現在その母乳をおかあさんが赤ちゃんに飲ましているわけですが、この点について厚生省はどのような指示あるいは指導をしているでしょうか。
○坂元政府委員 母乳がそのような形で、かりに農薬等によりまして汚染をされているということになりますならば、やはり私ども児童家庭局の立場としましては、育児対策ということが非常に重要なことになるわけでございますので、育児対策の面から見まして、いわゆる母乳というものに対して今後どういうような考え方で指導をしていくかということが非常に大きな問題点になるわけでございます。 これはいままで伝統的に日本の場合は母乳というものを非常に育児栄養の面からいっても重要視してきておりますので、母乳というものの扱い方、考え方を今後やはり一般の国民の方を含めまして、不安感のないように、この母乳というものに対する私どもの考え方をまとめていかないといけない、かように思っているわけでございます。そういう観点から、先ほど申しましたように専門家方面ともよく御相談をいたしまして、国民にいたずらな不安感を与えないように、母乳というものに対する考え方を、早急に結論を得ていきたい。そういった上で一般の方に、その考え方によりまして全国的に母乳というものについてのいろいろな面からの指導なり、あるいは片一方母子保健という観点からやっております精密検診なり健康診査、健康診断、こういうものとも相関連させながら、この育児対策というものについて間違いのないように、しかも今後問題のおきないようにやっていく必要がある、かように考えているわけでございます。
○古寺委員 どうもいまの御答弁を聞きますと、これから審議をして専門家の意見を聞いてからこの対策を考えるんだ、こういうようなお話でございますが、そうしますとこの汚染された母乳を飲んでいる赤ちゃんはどうなるのでしょうか。
○坂元政府委員 いま申しましたように、伝統的に母乳というものが育児栄養上非常に重要なものになってきているわけでございますので、いまここで私どもがあまりにも結論を急ぎ過ぎまして、かえって母乳というものに対する一般の国民の方に不安感を与えてもいけないということで、私どもは事が事だけに慎重に、しかもできるだけ急いで母乳というものに対する考え方を、結論を出していただきたい、かように思っているわけでございます。 そこで、私どもまだ試案の段階でございますが、これは古寺先生御専門の分野でございましょうと思いますが、離乳時期というものについて今後少し考え方を改めていく必要があるかどうか、こういう問題が一つこれからの対策の内容として考えられるわけでございます。いわゆる早期離乳というような考え方を今後進めていくことがいいかどうか、こういう問題もやはり役所だけではございませんので、専門家等の意見も十分徴した上で私どもは結論を出し、そしてそれに基づきまして、おかあさん方なり一般の国民の方に、指導なり趣旨の徹底をしていく、こういうふうな考え方をとることがいいんじゃなかろうか、かように思っているわけでございます。 佐賀の問題だけではございませんので、できるだけ早急にそういった考え方なり今後の対策をまとめていきたい。そして、できるなら今月の下旬くらいまでの間に、そういった審議会等の手順を経まして、その結果の公表と同時に対策の公表というものを考えてまいりたい、こういうふうに思っている段階でございます。
○古寺委員 この佐賀県だけではなしに、厚生省が対象にしてやった各県においては、相当の高い数値が出ているだろうと思いますが、現在判明している分については、これは中間的にでも調査の結果というものを公表すべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
○坂元政府委員 そういうような考え方も成り立つとは思いますが、ただ、私ども厚生省の立場におきましては、その結果の公表だけをやりますと、かえってこれが別の意味におきまして、不安感を与えても、私ども行政の立場においては必ずしも妥当な措置とは思わないわけでございます。したがいまして、結果の公表と同時に、今後厚生省の立場において、つまり育児対策という面あるいは 妊産婦等の保健指導という立場からいいまして、こういうような結果が出たから、今後はこういうような方向なり、こういう対策で、こういう問題点について対策を考えていったほうがいい、そういうような、いわば結果公表と同時に対策面の一つの指導方針というものも考えながら、妊産婦の方、あるいはおかあさんの方、あるいは一般の国民にもPRなり何なりをしていったほうがより妥当ではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
○古寺委員 これはある県の例ですが、昨年調査した結果よりも、その後において、調査の結果によりますと、約二倍近い数値がでているわけです。ですから、時間を経過するに従って日本中のおかあさんの母乳がだんだん汚染が強くなっている、こういうことも考えられるわけでありますが、そういう点については、厚生省はどういうふうにお考えでしょうか。
○坂元政府委員 母乳の汚染の経路というものか、一番大事になってくるわけでございます。今回の実態調査におきましても、そういう汚染経路というものもあわせて調査しているわけでございますが、どういうところに原因があって汚染されているかということをやはり根本的に究明して、そして私どもはその対策を考えるべきであると思うのでございます。したがいまして、よくいわれておりますように、農薬の使用等によって一般の環境が汚染されている、その一環として牛乳なりあるいは母乳か汚染されているということでありますならば、やはりそのような農薬自体の使用の問題を今後早急に考えていくということが先決だろうこういうふうに思うわけでございまして、これはやはり農林省なり何なり、しかるべき官庁のほうで、そういった農薬等の使用制限という問題を早急に取り組んでいただく必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
○古寺委員 こういう実態の調査が終っても発表いたしませんというと、国民はますます不安に思うわけです。ですから、こういう実態調査については、やはりすみやかに国民に発表もし、またその対策も検討していかなければならないと思うのです。 そこで、農林省にお尋ねしますが、佐賀県の場合には米づくり日本一というのを二年間連続達成しております。そのために農薬の使用が非常に多かったのではないか、こういうふうに思うのですが、佐賀県の農薬の使用の問題についてはどういうような指導をしていらっしゃるでしょうか。
○安尾説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、佐賀県におきますBHOの使用量は、過去、全国平均に比べますと多うございます。しかしながら、昭和四十五年度におきましては、県の指導によりまして前年の約三分の一に減少いたしております。 BHO剤の使用規制につきましては、昭和四十五年度の稲作におきまして、乳牛に稲わらを使用するようなところの稲には一切BHCを散布しない、また一般の稲につきましても、穂はらみ以降は使用しないということで、病害虫防除員あるいは改良普及員あるいは農業団体の営農指導員等を通じまして、指導の徹底をはかってまいりました。 さらに、さきに改正されました農薬取締法に基づきまして、BHC剤は作物残留性農薬、こういうことに指定されまして、その使用基準が定められまして、これからは暫定的に林業用に使用する以外には一切使用を禁止しております。また、BHCを林業用以外に販売することも禁止してその徹底につとめております。
○古寺委員 一応規制をいたしましても、農家の手持ちがございます。こういうものに対する指導が徹底していないために、現在なお使用しているということも聞いております。そういう手持ち分については、農林省が指導を徹底しまして回収すべきではないかと思うのですがどうでしょうか。
○安尾説明員 BHC剤を回収いたしまして多量に集まりますと、その処分につきまして、現在のところ適正な技術的な解決方法はございませんので、BHCをそれぞれ現地において適正な処分をしていただかざるを得ないわけでございます。 それにつきましては、本年の二月二十七日及び四月十七日に通達を出しまして安全な処分方法について指導をいたしておりますが、さらに四月十四日に地方農政局並びに都道府県の関係者を集めまして、具体的な処理の場所あるいは方法等、指導に関しまして指示し、現地の実情に合わせまして安全な措置を講ずるような指導を徹底いたしております。
○古寺委員 先ほどもある県の例で申し上げましたけれども、今年度は昨年よりも汚染が進行しております。こういうことはやはり農林省の指導か徹底していないのではないかという心配がございますので、今後この問題については、厳重に回収をして、母乳の汚染が防止できるように取り計らっていただきたいと思うわけです。 次に有機燐の使用規制については非常に甘いようでございますか、この点についてはいかがでございますか。
○安尾説明員 お答え申し上げます。 有機燐系の農薬につきましては毒性が強くて、毒物及び劇物取締法で特定毒物に指定されておりましたパラチオン、テップにつきましては、先生御承知のように、四十四年末をもって製造を中止し、登録を抹消いたしております。さらに本年四月、毒物及び劇物取締法の施行令の改正によりまして、パラチオン、テップの使用基準が廃止されましたので、同施行令が施行されます六月一日からは全面的に使用を禁止することにいたしております。 それから有機燐剤の中の一つでございますEPNにつきましては、四十五年の十一月二十日に米、果実、野菜等十四作物につきまして残留許容量が定められまして、これに対応いたしまして農薬の安全使用基準を定めて使用を禁止しております。たとえて申しますならば、稲につきましては、乳剤、水和剤につきましては収穫前六十日、粉剤につきましては収穫前三十日使用禁止というようなことをいたしております。 その他の有機燐剤につきましては、すでに市販されております農薬につきましては今後残留性の調査をいたしまして、厚生省とも十分御協議の上、安全使用基準をつくってまいりたい、こういうふうに考えております。 また、新しく今後登録される農薬につきましては、登録に際しまして農薬の残留性等の資料の提出を求めまして、登録の段階において安全性を十分確かめた上で登録いたしたい、こういうふうに考えております。
○古寺委員 いろいろなデータを見ますと、土壌汚染が相当ひどいようでございますが、この点に関して農林省としてはどういうような実態調査を進めるお考えですか。
○安尾説明員 農薬の土壌汚染につきましては、本年から農政局のほうで各都道府県に農薬残留の試験を委託してやっておりますが、その面におきまして土壌における農薬の残留等も十分検討してまいりたい、こう考えております。
○古寺委員 それから厚生省にお尋ねしますが、牛乳中の農薬の残留許容量はいつごろまでに設定する予定でしょうか。
○坂元政府委員 私の所管ではございませんが、私が聞いております範囲内においてお答えをさせていただきたいと思います。 牛乳中の残留農薬の基準につきましては、国立の衛生試験所等で現在鋭意研究を急いでいるという段階でございまして、目標としましては五月中、つまり今月中にその基準の成案を得て一応具体化していきたい、こういうような目標をもちまして関係局で作業を進めているというふうに承っておるわけでございます。
○古寺委員 次に、薬務局にお尋ねいたしますが、 一応DDTあるいはBHOは禁止になりましたが、家庭用の殺虫剤の中にも相当含まれております。この点についてはどうでしょうか。
○武藤政府委員 家庭用の殺虫剤のBHO等につきましては、四十四年七月から新規の承認はいたしておりません。できるだけ他の薬剤に切りかえるようにというような指導をいたしております。ただ、先生御承知のように、塩素系以外でございますと要するに燐になりますけれども、燐は燐でまた急性毒性の問題がいろいろございますので、この辺のところは近く専門家の意見をこまかく聞いて結論を出したいと思いますが、いずれにしても塩素系から他の薬剤のほうに切りかえるようにいたすつもりでございます。
○古寺委員 新らしいものについてはそういう規制があるようですが、いままでに販売されているものについてはそういう規制がないようですが、これはどういうわけでしょうか。
○武藤政府委員 ただいま申し上げましたように、他の薬剤に切りかえるように現在指導しておりまして、漸次ほかの薬剤に切りかわっております。ただまあ一部に残っておりますが、これも早急に明年度あたりからはほかの薬剤に切りかえるようにいたしたい、かように考えて、現在専門家の意見を聞いております。 先生御承知のように、先ほど申しましたように塩素系以外でございますと燐でございますとかいうものになりますが、それもまたいろいろ問題がございますので、そういう点は均衡上専門家の意見を聞いて検討いたしたい、かように考えております。
○古寺委員 現実に家庭用の殺虫剤というものは売されて各家庭にございます。その使用方法を見ますと、ある一定の容積でもって五秒以内であるとか、そういう表示をしているものもございます。あるいは全然表示のないものもございます。こういうもので使用を誤りますと、子供や老人が非常に中毒症状を起こしているという症例を聞いているわけなんですが、そういう点に対するいわゆる指導ですね、厚生省としての指導はどういうふうになっていましょうか。
○武藤政府委員 先生の御指摘のBHC等につきましては、現在他の薬剤に切りかえるように指導しておりますが、他の薬剤といいますと結局有機燐系になります。有機燐系は、先生御指摘のように、非常に使用中の問題が生ずるおそれがございますので、十分使用上の注意等を厳重に書かせましてこれを徹底させたい、かように思います。特に有機燐等にかわりますと、そういう問題が塩素系よりもなお心配かございますので、その点は十分に指導いたしたい、かように考えております。
○古寺委員 十分に指導する、こうおっしゃいますけれども、国民は知らないですよ。国民はそういうことをよく知らないわけです。ですからそういうものに対して、そういう危険な殺虫剤に対して、使用方法を徹底することも大事でしょうが、そういう危険なものをやはり販売を中止するということが私は先決だと思うのですが、どうですか。
○武藤政府委員 殺虫剤の問題は、防疫上の必要からいろいろある問題でございます。それから家庭でも、たとえばゴキブリとか、あるいはダニとかそういういろいろ環境衛生上の害虫がございますので、それと防疫上の観点からも必要だと思います。ただまあ先生が御指摘のように、そういうものを家庭で使う場合には、使用上の注意というものを薬品に添付させるようにいたしておりますが、こういう点を製品等につきましていま以上に十分注意をさせたい、かように考えております。
○古寺委員 どうもそういう答弁では納得いかないのですが、また母乳の話に戻りますが、BHCがおかあさんから乳児にどういうふうに移行していくかという研究は進めておりますか。
○坂元政府委員 この問題は非常に重要な問題でございますので、いま研究を進めている段階でございます。
○古寺委員 これはマウスとかいろいろな実験が行なわれて、六代目には奇形が生まれているとかいろいろなことがございます。あるいは母親のおっぱいから、ほとんど母体の農薬が乳児のほうに移行する、こういうような実験も出ているようでございますので、日本の農薬による母乳の汚染ということは、将来の日本にとっても非常に重大な問題であると思うわけです。 それに対しての厚生省の対策は、国民から見るならば非常に消極的な、何かそういうものを隠そうとするというように私どもには考えられるわけですが、今後はこの問題については積極的に取っ組んで、将来の日本の子供たちのために対策を検討していただきたいと思うわけです。もう一ぺんそういう点について御答弁を願って終わりたいと思います。
○坂元政府委員 母乳が汚染されているということは、確かにいま御指摘のように、母親自体だけではございませんで、生まれてくる子供等に大きな影響を与えることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今回の調査結果等を私どもは重要な指針としまして、いま御指摘のように研究を片一方において進めるとともに、また片一方においてはやはり将来のわが国の子供の育児等も含めまして、そういう観点からこの母乳対策というものに対して明確な方針を打ち立てまして、一般の国民の方に不安を残さないように配慮してまいりたい、かような決意でいるわけでございます。
○小林委員長 岡本富夫君。
○岡本委員 きょうは時間の都合であんまり長く質問はできません。したがって、きょうは一点だけお聞きしたいと思うのですが、それは昨年の年末の公害国会のときに、私が公害病で困っている皆さん方の救済について佐藤総理に質問し、総理としては答えができないというのか、厚生大臣が答えたわけでありますけれども、そのときには厚生大臣は、いま七カ所の指定地域をもっと範囲を広げますとか、あるいはまた救済については今後検討していきます、こういうような答弁があったわけでありますが、その後厚生省でどういうようにその救済対策を練り直しておるのか、これについての答弁をまずいただきたい。
○曾根田政府委員 被害者救済制度の地域の拡大の問題につきまして、前の国会で、厚生大臣からも非常に前向きの御答弁があったわけでございますけれども、その後私ども各地方の実情等についていろいろデータを求めまして、たとえば川崎の中央保健所管内であるとか、あるいは名古屋の南部地域、従来要望がございました地域以外に幾つかの地方からそういう要望がだされております。これらにつきまして、本年度の調査をどういう手順で行なうか、そういったことについて近く打ち合わせをいたしたいというふうに考えております。気持ちといたしましては、大臣が申しましたように、積極的に地域の拡大の方向で検討をいたしたいというふうに考えております。
○岡本委員 それでは一つ具体例をしめしたいと思いますが、まず大気汚染、ぜんそくとかあるいは肺気腫こういうもので困っている人たちを救済するようになっておりますけれども、ここで私ども公明党で調査したのがありますが、それはまず一地域だけでありましたけれども、尼崎が昨年の十二月一日に公害指定地域になったわけでありますけれども、その指定地域に三年あるいは五年住んでいて、ぜんそくやそうした病気のために困って、そうして指定地域外に移転をしておる、その人たちの追跡調査をやったわけでありますけれども、それは四十六年一月十三日から一月二十二日までの日にちにおいて、世帯数が、元汚染地域からいま指定地域外に移った世帯数を調べますと、二千三十一世帯、それに対しまして全部回れませんので、そのうち三百七十九軒を訪問いたしまして調べたところ、すでに汚染地区から非汚染地区に移ったために病気がなおっている人、こういう人もいましたけれども、そうでない人が約一二%おるわけです。この人たちは四十五年の十二月一日の時点においては、すでに指定地域外に移っておるわけでございますけれども、病気になった原因は、現在指定地域内にいる人たちと同じである。そして大体調査をいたしますと、その治療費、これが自己負担で約二万円払っている人もいる。しかし、多く調べますと、大体千円から三千円、こういう人か非常に多かった。こういうことを考えますと、この汚染指定地域内にそのままいる人は公害の救済を受けられるわけでありますけれども、移った人は受けられない、こういう非常に不公平な状態になっておる。それも同じ尼崎市内、どこか遠いところにいったのではない。こういうことを考えますと、現在の法の運営において、そういう人たちも救済はしなければならないのではないか、こういうように思うのですが、その点について…………。
○曾根田政府委員 先生御指摘のございましたように、現行の制度では、大気汚染系の疾病は、いわゆる非特異的疾病ということになっておりまして、そういったことから、一定の居住要件がございます。現在では申請の際に、現に指定地域内に住所があり、しかもそれまで、その指定地域内に三年以上住所を有するという規定がございます。 したがいまして、ただいま御指摘がございましたような地域指定以前にその指定地域から他の地域へ住所を移しておるという人たちは、現在の法律のたてまえでは、その救済の対象にならないということになっております。しかしながら、いま先生御指摘になりましたように、実態としては、指定地域になる直前等に転居した、しかもさかのぼってかなり長期間実は指定地域に居住しておったので、当然そういった疾病にかかっておるというような方がかなりおるということも当然考えられるわけでございます。 そこで、これについて何とか解決の道はないかというお尋ねでございますけれども、基本的には、これは法律そのものの改正ということになるわけでございますけれども、たとえば指定地域の地域をどういうふうに拡大するかということにも、一部そういった面での解決の方法もあろかと思いますし、たまたま現在私どものほうで、本年の二月以降、来年度の改正を目途といたしまして、大気汚染関係につきまして、実は専門の検討委員会を設けておりまして、これは六月中に大体結論をお出し願うことにいたしております。 したがいまして、ただいまのような問題、これは端的に言いいますと、現行法のもとでは救済の道はないわけでございますけれども、いまのような問題も含めまして、もう一度検討委員会で検討してみたいというふうに考えております。
○岡本委員 この移った、要するに指定地域内から指定地域外に出ていった人は、よく調べますと、特に病気に困って、出て行って、そして何とかなおそうというような考えの人が多いのですね。したがって、どちらかというと、いまの汚染地域におる人たちよりも、指定地域外に出た人たちのほうが特に強烈である、病気の発生等が非常に多いという面も調査の結果出ておるわけでありますが、いま聞くと、来年の二月に大体法改正をやる考えをしておるわけですね。そうすると、イタイイタイ病だとか水俣病、こういうように、水の汚染によって病気になった人は、その地域に住んでいて、そして移った人でもこれは救済ができるのかどうか。そうならば、大気汚染だって、企業の公害によって起こった病気ですから、同じようにやっていいのじゃないか、こういうように私は思うのですが、この法改正のときに、そうした人たちを救済するということをあなたが確約できるのかどうか。 なお、それ以外に、もう一つは、もう一面考えられることは、指定地域の範囲を拡大する、そうすれば救済はされるわけでありますけれども、しかしそう考えると、今度は、その範囲の拡大を、これは全国にすればよろしいけれども、また遠いところへ行った人たちの約二〇%の人たちを調べてみると、もう尼崎市内に住まず、ほかのところへ移転しておるのですね。そういうことを考えますと、指定地域を広げるだけでは解決はしないと思うのです。 したがって、この指定地域内で病気になった人は、どこに移転しても、そこに三年以上あるいは五年通勤していたということがはっきり証明されるならば、これは公害病の認定の資格というのですか、そういうものがある、こういうふうにしなければならぬと私は思うのですけれども、これについて……。
○曾根田政府委員 最初のお尋ねの水の関係でございますけれども、これは水俣病にいたしましても、イタイイタイ病にいたしましても、疾病そのものが、いわば特定いたしておるものでございますので、大気汚染関係の疾病のような性格とはやや趣を異にしておりますので、御承知のように、居住要件は特に設けておらないわけでございまして、指定地域内に住所を有しておれば、特段の居住要件を要せず認定患者となり得るというたてまえになっております。 それで、大気関係の救済についていろいろ御指摘がございまして、まず、指定地域の拡大の問題でございますけれども、確かにこれもいま御指摘になったようなものの救済のために拡大するということは、やはり基本的には問題があろうかと思います。したがいまして、現在居住要件等を要しておる認定患者の資格と実態としてほとんど変わりのない状態にあるものを、制度の運用としてどういうふうにとらえていくかということになろうかと思いますが、場合によればもちろん法律改正にも関連する問題でございますけれども、よく実情を調査いたしまして、救えるものはできるだけ救いたいというふうに考えております。
○岡本委員 次に、申請書当時は指定地域に住んでいて、そして指定地域に住んでいて、そして指定地域から移った場合ですね。三年以上たつと、これはもう救済の対象にならない、こういうことになっておりますが、移転したために病気がなおった、こういう人はよろしいのですけれども、そうでないところの人はこれは救えないことになるのですね。なぜ三年に限定をしたのか、これもひとつもう少し長く延ばさなければならぬのじゃないかと思いますが、こういう点についてもう一度……。
○曾根田政府委員 御指摘のように、現在指定地域外に住所を移した場合に、いわゆる継続給付といたしまして、三年間引き続きこの制度の給付を行なうたてまえになっておりますけれども、これにつきましては、関係方面のいろいろ意見も聞いた上で一応三年といたしたのでございますけれども、これがはたして妥当かどうかについては、私どもやはりその後における制度の運用の問題、いろいろそういったものを検討を重ねながら将来取り上げるという気持ちでおります。この法律施行になりまして、まだ日数はそうたっておりませんけれども、現実問題として近い将来に、やはりこの三年の問題がいいかどうかということを検討する時期も参りますので、今後の一つの課題として取り組んでいきたいというふうに考えております。
○岡本委員 私どもの調査した中に、四日市あるいは川崎あるいは西淀川、こういうところから、要するに指定地域から尼崎の指定地域の中に移ってきておる人もおるのです。ところが、この人たちは、現在の指定地域の中に三年住んでない、前のところで何年もおったというわけで、そのために病気でありながら適用がされてないという問題があるのですが、これは厚生省どういうふうに考えて救済しておるわけですか。
○曾根田政府委員 御指摘のような点は確かにもっともでございまして、現行法上は法律を非常に厳密に読みますと、たとえは隣接する指定地域であっても、それぞれの地域について三年の居住要件を要するということになっております。しかし、たとえば西淀-尼崎間は全く川一つ隔てた地域でありますから、それぞれ相互に通算して三年というような場合に、この法律を厳格に適用して、居住要件に該当しないというのはいかがか。実は先般この件については、地元の兵庫県当局から、こういった場合の取り扱いについて照会がございまして、私ども部内で検討したのでございますけれども、厳密な法律上には多少問題があるとしても、行政運用の問題として、そういったようなケースは、この法律の趣旨から見て当然隣接地域を一つの地域としてとらえて居住要件を考えてもいいのではないかということで、近々その回答を地元に出すことにしております。
○岡本委員 地元に回答するということは、要するにあれですか、いまあなたが例をあげられたように、西淀川で三年あるいは二年いた。今度の尼崎の指定地域に移って一年、通算して三年以上の場合には、もう公害病に認定してよい、こういうことですね。頭振っているからそのとおりだと思う。
○曾根田政府委員 そのとおりでございます。
○岡本委員 次に、実際に公害病の認定を受けるとすると、申請手続が非常に繁雑なんですね。これを簡略にできないものかどうか。たとえば医者の診断がはっきりしておれば、居住要件というのは、これはもう住民票、要するに住民登録でわかるわけですからあれですけれども、もう少し手続を簡略にしてもらいたい。何べんも何べんも行って、なかなか手続ができない。中には子供さんがそういう病気で、それに疲れてもういやだというような方もいるわけですが、この救済法をつくった目的というのは、やはりそうした公害によって起こった病気の人を救済するというのが目的なんですからね。なるべく救済しないようにしてあったのでは話にならない。こういうのはひとつ、法改正は必要ないと思うのですが、もっと手続の複雑化を簡素化する考えはないか、これをひとつ聞きたい。
○曾根田政府委員 手続の具体的な中身について、私は必ずしも十分承知いたしておりませんけれども、一般的に手続が非常に繁雑であるということは、大気、水ともにいろいろな方面で指摘されておりますので、できるだけ必要にして最小限度の手続という簡素化の方向で検討いたしたい、こういうふうに考えております。
○岡本委員 次に、認定後死亡された人が、最近は次から次と相当出てきておるわけですが、こういう人たちの救済については――救済というとおかしいけれども、公害病にかかって、そして認定されて、そしてどんどんどんどん、たくさん死んでいく、こうした死亡者に対するところの何といいますか、救済といえばおかしいのですけれども、何か特別な家族あるいはまた遺族の方に対するところのいろいろなことを考える必要があると私は思うのですが、これについて厚生省はどういうふうに考えておるか。
○曾根田政府委員 この制度の一番の趣旨である行政上の敏速なる救済ということから考えますと、当然に死亡者に対するたとえば葬祭料等、そういったものまでこの制度の中に取り入れるべきかどうかについては、やはりいろいろ意見はあろうかと思います。しかし、また一方、地方公共団体等で、現実に認定患者が死亡した際に、一時金等の支給をしておるようなケースも出てきておりますし、またこの法案の国会審議の際の附帯決議等の趣旨もございますので、私どもとしてはやはり一つの検討事項にはなろうか。先国会あるいは今国会を通じまして、救済制度の給付内容の改善については、いろいろと各先生方からの御意見も承ったわけでございますので、来年度の給付内容改善は相当思い切った改正が必要だろうと考えておりますので、その際の一つの検討課題として取り上げてみたいというふうに考えております。
○岡本委員 もう一問、それについて私、先国会で総理に対して要求したことですが、これは、その公害病になった方が一家の中心者、柱である場合、その方が入院した、あるいはまた病気になって働けないというので、非常に生活に困っておる。これについては生活保障があるのだ、こういうようなことを言っておりましたけれども、そういった生活保護をしてあげるというのと救済は別なんですね、この目的からいけば。これは国全体で見ていくということなんですよ、要するに生活保護を受けなければならぬという人は。公害病の場合は、これは企業から基金としてですか、金が半分出ているわけですね。要するに企業の責任によって救おう、それに対して国から半分出そうという精神によって、公害防止事業団に対して金を出しているわけですから、性格が違うわけですね。そういうことになると、生活保障についてもこの救済制度の中からしてやらなければならぬ、こういうふうに私は考えて、この前も佐藤総理あるいはまた厚生大臣に話したわけですけれども、これに対する答えはなかったわけです。考慮しますというようなところでおしまいになったのですが、今度の法改正の中にはそういった点も検討課題に入れているのかどうか、またそういうような趣旨に基づいて法改正を考えておるのか、これをひとつお聞きしたい。
○曾根田政府委員 この制度で生活費的なものまで取り上げるかどうかということにつきましては、この制度が当面緊急を要する健康被害についての行政上の救済措置であるということから考えますと、そのワクからややはずれる性格のものではないかというのが実は私どもの考えでございます。しかしながら、それでは現行のままでいいかということになりますと、現在の医療給付等につきましてもまたいろいろと不十分な点もございますので、そういった生活費的なものというよりは、むしろ現行給付の拡充という方向でこの問題に対処するのが妥当ではないかというのが現段階における私どもの考えでございますけれども、もちろんそういった問題も含めましてやはり改正上の一つの検討課題としては取り上げてみたいという、ふうに考えております。
○岡本委員 これは健康の問題だけをまず考えるのだと申しますけれども、私、四日市の公害病で入院なさっている方々の実態調査をしたときに、入院だけしておったのではうちの生活ができないというわけで、夜は病院へ帰るけれども昼は働きに行く。あそこは、四日市は汚染地区に病院があるわけです。ほんとうはもっと遠いところの空気のいいところに持っていったらいいのだ、こういうことで、厚生省も考えて、そしてどこか空気のいいところ、どこだったですかね、名張のほうかどこかにつくろうとした。しかし、そこに行く人がいない。行かないのはあたりまえです。なぜかならば昼働きに行って、夜病院へ帰ってくるのです、そうしないと生活できないわけですから。それでは私は、病気のほんとうの抜本的な救済にはならないと思うのです。したがって、やはりそういった人たちの生活というものはちゃんと見てあげて、そして病気をなおすほうに前進させて、そして初めてこの救済法の精神というものは生きてくる、こういうことを考えるわけですから、今度の来年の二月の法改正には、そういった面をよく考慮をして、そして企業の圧力に負けずに、ひとつ厚生省はやってもらいたい、これだけ要求しておきます。 次に、いまあなたは、大気汚染のみの対策を練り直すというように答えたように私思うのですが、まだ水質汚濁の、すなわち水俣病、イタイイタイ病、こういう患者の人たち、要するに潜在患者ですね、これが次から次に出てきておる。たとえば新潟大学の椿教授の発表によると、新しく阿賀野川の水銀中毒の患者が二十二名発見されておる。また熊本では十三名の患者が発見されておる。こういうことを考えますと、もう一ぺん水俣病の実態調査あるいはまた阿賀野川の水銀中毒によるところの患者の実態調査を行なって、そしてやはり救済法の対策の練り直しが必要ではないか、こういうようにも思うのです。やはり認定基準、こういうものがあるわけですが、そのボーダーラインの人たち、こういう人たちもよく調査をして、今度の法改正の中にはそういったものも入れていかなければならぬ、私はこういうように思うのですが、その点について厚生省の見解を伺いたい。
○曾根田政府委員 水俣病の問題につきましては、たまたま熊本県、鹿児島県における一部の認定申請を却下された方々から、行政不服審査法に基づく審査請求が私のところにまいっておりまして、現在審理を進めておるところでございますけれども、そういったことである程度実態も明らかになろうかと思いますが、御指摘のありました専門の検討委員会、これは別に大気に限らず、水についても当然考えられることでございますので、これにつきましては、大気に引き続きましてそういった検討委員会を設けたいというふうに考えております。
○岡本委員 時間の都合であれですから、最後にこの公害病の救済制度の法改正については野党三党か対案を出しているわけですから、それをひとつよく検討をして、そしてその中にその精神あるいはまたそういったものを盛り込んで、完全な、骨抜きでない、ほんとうに公害病患者が救われるようなりっぱな法案をつくってもらいたい、そういうように要求いたしまして、委員長、きょうはこれで終わります。 ――――◇―――――
○小林委員長 この際申し上げます。 さきに委員長に御一任願いました内閣提出、環境庁設置法案についての内閣委員会との連合審査会開会の日時は、内閣委員長と協議し、明十二日水曜日午前十時と決定いたしましたので、御報告申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十八分散会