産業公害対策特別委員会 第14号
- 発言数
- 273 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/05/07
会議録
○小林委員長 これより会議を開きます。 連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。 ただいま内閣委員会において審査中の内閣提出環境庁設置法案について、内閣委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 なお、連合審査会開会の日時等につきましては、内閣委員長と協議の上、しかるべく取り計らうことにいたしますから、御了承くださるようお願いいたします。 ――――◇―――――
○小林委員長 産業公害対策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。林義郎君。
○林(義)委員 連休明けの国会でございます。実は連休の間、私もいなかへ帰っておりました。私の地元のほうに関連のあるところでございます。地元のちょうどお向かいになりますところで、三菱化成の黒崎工場というのがございますけれども、そこから非常なたいへんな害が出ているということでございます。私はこれは少し究明しなくちゃいかぬと思うのです。 黒崎の三菱化成の工場というのは私はまだ行ったことがないのですが、昔からの非常に古い工場でございます。しかも新聞に出てましたのは、たしか四月二十八日と二十九日、いずれも朝日新聞が取り上げて書いておるのです。 そこで、まずこの問題につきまして少し基本的な問題と申しますか、その辺からお話を聞かしてもらおうと思うのです。と申しますのは、何しろ初めてのケースでございまして、いままでありましたカドミウムであるとか、シアンであるとか、そういったような問題ではない、物質の問題にしても非常に新しい問題でございますから、その辺につきまして少し説明をしていただきたいと思うのです。 第一に、その問題であるところのものはベンジジンあるいはべータナフチルアミンというような、じんあいの問題だそうでございますが、こういったようなものがいわゆる染料の中間材料という形で出ておる、この辺がどういうような生産工程で排出されるのか、その辺について御説明をいただきたいと思います。
○森口政府委員 ベンジジン及びベータナフチルアミンはいずれも染料の原料として使用されるものでございます。問題になっております毒性のありますものは、製品のろ過過程から生ずる廃液等から生ずるというようなものが大部分であるというように聞いております。
○林(義)委員 染料の中間材料ということは知っているのですが、具体的にはどういったものからどういうふうな過程でつくるのか。また、どういうふうな化学的な処理をしてこれができるのかということをお尋ねしたいと思います。
○森口政府委員 ニトロベンゼンに苛性ソーダ、消石灰あるいは珪素鉄、さらにその上に水等を加えましてこれを還元いたすわけでございます。これを環元いたしましたものがヒドラゾベンゼンでございまして、ヒドラゾベンゼンにさらに硫酸を加えまして、析出、ろ過、洗浄、スラリー化をしますと硫酸ベンジジンが生ずるというような過程になっております。
○林(義)委員 べータナフチルアミンというものはどういうふうになっていますか。
○森口政府委員 べータナフチルアミンは、現在すでに生産を中止いたしておりますが、ベータナフトールをアミノ化いたしまして――アミノ化と申しますのは、ベータナフトールに液体アンモニアあるいは亜硫酸アンモン等を加えましてアミノ化いたしまして、べータナフチルアミンにするという工程をとっておるわけでございます。
○林(義)委員 そうしますと、ベンジジンにつきましてはまだ生産をしておって、べータナフチルアミンについては生産をしてない、現在そういう状況であるということで私は了解したいと思いますが、新聞の記事によりますと、三十二、三年ごろに患者が集団発生したあとに、付属病院の医師が報告書を書いているということでございます。そのときにその辺の事情が一体、おそらく労働省だと思いますが、労働省なり厚生省のほうで実態をつかんでおられたかどうか。おそらくこれはいろいろな関係で労災法の適用とか、その他の問題があると思いますが、その辺につきましてどういうふうになっているのか、御答弁いただきたいと思います。
○保谷説明員 安全衛生部の計画課長でございます。 ただいま先生の御指摘のベンジジンまたはベータナフチルアミン等に対する対策でございますが、昭和四十三年の労働災害防止基本計画というのがございますが、その中で絶滅を期する物質ということで、ベンジジン及びベータナフチルアミンについて、特に重点を向けて対策を講じてまいっております。 なお、先生御承知のとおり、ベンジジン等の問題については、三十二年に密閉化する以前にいろいろ問題が出ておりました。したがいまして、昭和三十年くらいからいろいろ通牒等で指導してまいったわけでありますが、特に昭和四十三年の初めての労働省の災害防止基本計画では、絶滅を期する物質ということで対策を講じてまいりました。
○林(義)委員 そういたしますと、大体三十年くらいからこのベンジジンだとかなんとかいうものについては、非常に危険であるということがわかっておられた。それからずっと、三十二年ぐらいにこの問題が起きたわけでございますが、この間においては行政指導でやっておった。いかがな行政指導をその当時にされたのか。それからその当時にどういうふうなことをやられたのかということについて、御説明いただきたいと思うのです。四十三年に労働安全規則を改正して絶滅を期するということは、私は非常にけっこうなことだと思いますし、また当然これはやらなければいかぬと思いますが、いまのお話を聞きますと、率直な印象としては、何か手の打ち方が非常におそかったのではないかという気がするのです。三十年から三十二年ころまでにどういうことをやっておられたのか、その辺について御説明をいただきたいと思います。担当の課長は、おそらくそのときにはやっておられなかっただろうと思うのです。もちろんそうだと思いますが、いま担当の課長を責めるわけではありませんけれども、その当時の記録から、どういったことをやっておられたかということを、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○保谷説明員 先ほど、三十年から対策をとってまいったと申しましたが、三十年の七月十八日に染料中間体による中毒の予防についてという通牒を出しました。三十一年には、やはり早く健康状態を把握する必要があるということで、特殊健康診断指導指針という通達を出しまして指導につとめてまいりました。自来、通牒を出しておりましたが、先生御指摘のように、その後も労災の申請があったわけでございます。つまり潜伏期間が長いので、三十年以降、密閉化する以前のものがずっと出ておりますから、そういうことで、この指導でいろいろやってきたわけでございますけれども、三十一年以降も、三十二年、三十三年あるいは三十六年にそれぞれ通牒を出してやった。特に四十三年については絶滅を期する物質ということで、その特殊健康診断を中心にして対策を講じた。さらに、先生いま御指摘のとおり、去年から検討を加えてまいったわけでございますが、ことしに入りまして、五月一日から特定化学物質等障害予防規則というものをつくりまして、こういった還元性物質について、かなり抜本的な手を打っておるというような状態でございます。
○林(義)委員 そういたしますと、この新聞の中には、三菱化成で何か極秘文書が最近明らかになった、こう書いてありますが、実は労働省は、少なくともそういった染料中間体に関するいろいろな労働安全の問題についても通牒を出されるということでしたから、当然医者その他の見解も聞かれただろうと思いますし、その当時においては、労働省もこういったものが非常にあぶないということがわかっておったということでございますか。
○保谷説明員 先ほど申しましたとおりに、オープンシステムにおいては問題があるということで、問題があることはもちろんいろいろ情報を集めておりますし、国際的にもいろいろ問題になっております。そういう関係で、いろいろ検討を加えてまいったわけでありますが、クローズドシステム以降についてはそういう症例を聞いておりません。その以前の対策については、特殊健診を中心にいろいろ対策を講じてまいったということでございます。
○林(義)委員 いまのオープンシステム、クローズドシステムというのは、会社の生産工程の密閉方式か、開いてやるという方式のことでございますか。
○保谷説明員 さようでございます。クローズドシステムは、密閉化されて、製造の過程において労働者が接触しないというシステムをさしております。
○林(義)委員 そうしますと、オープンシステムでいままで三菱化成がやっておった、それをクローズドシステムに直せという行政命令というか指導は、労働省のほうでやられた。その結果三菱化成は、これはいつですか、はっきりそれをクローズドシステムに改めたということでございますか。
○北川説明員 三十年から、ベンジジンの製造につきましてはいろいろ指導をしておりましたけれども、三十二年から開放制のものを閉鎖制にするように強力に行政指導をいたしております。本工場につきましても、三十三年二月からクローズドシステムに切りかえております。
○林(義)委員 先ほどの課長さんのお話で、国際的にも非常にそういうことが問題がある、オープンシステムでかかっておるというようなことであるならば、三十二年当時以前にも、国際的にやはり問題があったのじゃないか。そういたしますと、それをやはりできるだけ早くやらなければいけない。本来ならば、そういった工場を建てるべきではないという気が私はするのです。それは、工場を建ててしまったから、あとでやったということかもしれませんけれども、少なくとも三十二年にやられたのは、この新聞によりますと、三十二、三年ごろに患者が集団発生したあとということが書いてありますけれども、そういたしますと、やはり三十二、三年ごろに集団発生したものを契機にしてやられたのか、その前からやはり国際的に問題があるからやれと言われたのか、その辺について明らかにしていただきたいと思います。
○北川説明員 ベンジジンによる膀胱ガン、膀胱腫瘍の発生というのはかなり前から言われておりますけれども、職業病として私たちが認識し始めましたのは、昭和二十年代の中盤以降でございます。したがいまして、三十年ごろから、たとえば製品について、粉状のものをもっとウエットのものにするようにという指導、それから最終的には密閉式のものにするようにということでございまして、そういう指導が行き渡りまして、三十二年、三十三年に特殊健診を各工場にかなり徹底してやるように指示して、その特殊健診を徹底しましたその結果、その新聞に出ておりますように、いままで発見し得なかった患者を発見したということで、その時期にかたまって発生したというよりも、いままで見出せなかった患者が徹底した特殊健診によって見出され得た、こういうことでございます。
○林(義)委員 そういたしますと、対策として、いろいろと通牒を出して指導すると同時に、やはり医師なりに相当に言ってそういったことをやらなくちゃいかぬと思うのですが、そういった措置を具体的にとられたのはいつからですか。三十二年七月十八日に染料中間体に関する通牒が出されて労働安全をやられたということですが、いまのお話で、二十年代の中ごろからそういった問題が出ておるということでございますから、医師に対してやれとか、地方自治体に対してそういったことがあるからいろいろな措置をとれとか、あるいは当該生産工場に対していろいろやれということを実際に言われたのはいつごろからでございますか。
○北川説明員 いま御説明しましたように、発生事例としましては二十年代から出ておりましたのですが、その点やや行政的におくれました点は事実でございます。行政指導としまして正式に通達等をいたしましたのは、昭和三十年の七月に初めて染料中間体による中毒予防ということで監督をするように地方に指示をいたしました。それから健康診断につきましては、三十一年の五月に特殊の健康診断の指導項目をつくりまして、これを流して、それによって健診を行なうというものでございます。
○林(義)委員 そういたしますと、若干おくれた点はどうも行政的にもやはり問題があるのじゃないかと思いますが、その辺はさておきまして、その後において対策を立てた。 ところが、どうもこの問題は非常に長い間潜伏期間がある。かかってからすぐに病気が発生するというようなものではないような、新聞で読むとそういうような印象を私は受けるのですが、そういたしますと、この工場はいつからこういったものをつくっておられたか私は知りませんけれども、相当長い期間かけてやっておられる。そうすると、それに対して過去において病気にかかった、そうして三年なり五年かかって病気がいよいよ出てくる。そうすると、三十年の七月以前に工場で働いておられて実際には病気にかかった、それが潜伏期間を過ぎて出てきたというようなものに対しては、当然対策を立てなければいかぬ。私は、行政的にいろいろ手違いがあったということもあると思う。それは労働省としても一つの責められる原因だろうと思いますが、さらに、行政庁を責めるだけではなく、やはり被害者に対する救済という措置を十分講じていかなければならぬと思いますが、その被害者に対する救済措置について、どのように労働省としてとられたか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
○北川説明員 普通、職業病といいますか、仕事についておりましてそれによって疾病にかかった労働者の方に対しましては、労災補償保険法によりまして補償をいたしております。原則として労災保険の補償につきましては、長期給付、非常に障害が残って長期に年金を支給するとか、あるいはおなくなりになった場合の遺族補償というようなものは時効が五年でございますけれども、こういうふうに非常に慢性といいますか、潜伏期間が長うございましてあとでわかった、あるいは離職をしてから発病をしたというような場合につきましても、そのわかりました時点から時効を計算するということで、すべて労災補償支給の対象にいたしております。したがいまして、因果関係というか、職業病であることが明確でありますならば、本件につきましての疾病については労災補償は完全に行なわれております。
○林(義)委員 これも新聞によって申し上げるので申しわけないのですけれども、ガン患者が当時六人、前ガン患者は四十人、血管拡張並びに膀胱炎七十人と書いてありますが、それについて、それでは全部職業病というかっこうでそれぞれの措置をとられたのかどうか。その辺について明らかにしていただきたいと思います。
○北川説明員 当工場につきまして、昭和二十六年から膀胱腫瘍あるいは膀胱炎あるいは膀胱ガンというような形で患者が出始めておりまして、二十六年、二十七年、二十八年ごろは各年に一人ずつぐらいでございましたけれども、先ほど申し上げましたように、三十一年に健康診断の項目等を指定しまして、非常に詳しい特殊健診を始めましてから、三十二年、三十三年に、二十一件あるいは十九件、こういうふうに大量に出ておりますが、それ以降最近に至りましては、年間二、三件という程度におさまっております。合計でいいますと、二十六年以来四十五年までで、発病されまして労災の補償を受けられた方が六十一件ございます。 なお、再発という形で出たのが、それ以外にこの中で再び膀胱炎を起こされる、あるいは膀胱腫瘍が出たという方がございまして、これが二十件でございます。 なお、現在若干医学的に、ベンジジンを扱ったがゆえの病気であるかどうかということにつきまして、担当の医師の先生方、九大の先生方等にいろいろ福岡の基準局で聞きまして、まだ結論が出ておりませんがゆえに、本省のほうにこれをどうすべきかというようなことで稟議がきておりますのが二件ございます。その保留中の二件のもの以外につきましては、われわれとしましては、業務上のものはすべて労災補償の対象になる、こう考えております。
○林(義)委員 いまわからない問題が二件あるということでございますが、私は、こういった長い潜伏期間があるということになると、初めの物質によって影響されたということは、医学的にも非常にむずかしいのだろうと思うのです。それが単に工場で働いておる人だけであるならばいいけれども、工場をやめた人はどうなるのかという問題があると思いますし、さらに言うならば、工場の周辺に住んでいる人もあるいは影響を受けているかもしれない。あるいはそういった人がガンで、なくなった、あるいはガンでなくてもいろいろな病気にかかったという場合もあるかもしれない。ところが、工場外であるとか、あるいはすでに退職したり何かした場合におきましては、やはり労災法の適用とかなんとかいう問題は、非常にむずかしい問題がまた出てくるのだろうと思うのです。そういった点につきましては、どういうふうな形で救済措置が講じられておったのかどうか、また講じられてなかったのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
○北川説明員 われわれ、労災補償の適用につきましては、やはり労働者の保護、補償ということを法の精神としましては第一念頭に置いております。したがいまして、因果関係が明確であることが必要でございますけれども、非常に判定がむずかしいというものもございますが、それにつきましては前向きにいままで対処をしてきております。現在この三菱化成で一件問題になっておりますのは、実は前立腺のガンにかかっておられる。それがわれわれしろうとで言いますと、いわゆる膀胱ガンから当然転移したのではないかというような気持ちで見ておりましたのでございますが、この関係の医師の権威の方々は、前立腺ガンと膀胱ガンというのは、ガンの性格が非常に違うのだ。だからそういう転移はあり得ないという強い主張がございます。この辺につきましては、われわれしろうとはわかりませんので、もう少し本省におきまして専門家の先生方の御意見も参酌いたしまして、先ほど言いました法の精神をも念頭に置いて、今後検討、対処をいたしたいと思っております。
○林(義)委員 一つにはこれは十三年も前の話でございます。その当時におきましては、率直に申し上げていわゆる公害というような考え方で問題の処理は、実はこういった非常にこまかなもの、私も最初にお尋ねしましたけれども、非常に中間材料的なものについてまで公害というような考え方はなかなか徹底をしなかったのだろうと思うのです。時代が進歩するにつれて、やはりそういったものを押えていかなければならないという時代になってきたのが事実だろうと思うのです。いまから十三年も前のことを責めてみても、その責任を問うことももちろん必要でしょうけれども、これからどうしていかなければならないということを議論しなくちゃいかぬ。やはりこういったようなものがあるならば、先ほどオープンシステムをクローズドシステムに改めたというお話でございましたが、本来非常にこういった職業病であり、ガンが出るということがはっきりしたものを、はたして生産を許しておいていいかということが問題だろうと思うのですね。この辺につきましては、これは医者の観点から、非常に危険であるということであるならば、こういったものは非常にあぶない、絶対にあぶないんだということであるならば、むしろ医者の観点からドクターストップをかけるべきものかとも思うのです。ところが、密閉しておけば絶対にそういった害が出ないということであるならば、それは密閉方式のもとにおいて生産を続けるということも私はけっこうだと思うのです。その辺が一体どういうことになっているのか、この辺につきましては、労働省と、通産省のほうからもひとつお答えをいただきたいと思います。
○北川説明員 基準法の四十八条によりまして、有害なものにつきまして、製造のみならず、使用あるいは輸入を禁止するという規定がございまして、現在これによりまして禁止をしておりますのは、黄燐マッチ、それからベンゼンゴムのり、これがございます。ただ、このベンジジンにつきまして、四十八条によりまして製造はもとより使用あるいは輸入まで禁止すべきかどうか、それほどいわゆる労働者の健康に対して防ぎ切れないほどの毒性があるかどうかにつきましては、私たちは三十二年にクローズドシステムに踏み切りまして、それはイギリスの例その他を参酌をいたしておるわけでございます。外国でも、これはアメリカのペンシルバニア州等で全面禁止をいたしておりますし、あるいはドイツではバイエルが自主的にやめる。法規制はないけれども自主的にやめる。こういう事例も最近聞かれておりますけれども、イギリスその他の国ではやはりかなりきびしい制約のもとでその製造を認めておるというような実情もございます。 三十二年にそういう指導をいたしまして、密閉式にしてからは、当工場はもちろん、現在四工場がベンジジンをつくっておりますけれども、密閉式にしてからの患者というものは、これはまだ年数が確かに十三年ないし十四年程度でございますから、断定できるかと言われますと、私もまあ絶対にとは申し上げませんけれども、まず大体だいじょうぶじゃないかと思うくらいまだ患者が一人も出ておりません。したがいまして、いまの密閉式ということが徹底するならば被害が防止できるのではないか、こういう考えでおります。 なお、御承知のように、この公害特別委員会等でも御指摘のありました公害の源というのは、やはり事業場、工場内というのがたいへん多うございまして、一般の市民の方がそれによって害を受けられる前に、当該事業所内で労働者の方が病気にかかられて気づかれるという場合が当然ございますので、今回、五月一日から、安全衛生規則の中にございました有害物質に関するところを引き抜きまして、特定化学物質等障害予防規則というものを新たに制定をいたしました。それによりますと、ベンジジン等ガン発生物質につきましては密閉をする、いわゆる抑制濃度はゼロであって出てはならない物質、そういうことで法規制をいたしております。したがいまして、全面製造禁止という段階に至らなくても、われわれは、この措置が徹底するならば、これらの製造に携わっておられる労働者の方々の職業病は防ぎ得る、こういうふうに確信をいたしております。
○森口政府委員 先ほど申し上げましたとおり、ベータナフチルアミンにつきましては、現在製造を中止しておりますので、これについては一応問題はないと思いますが、ベンジジンにつきましては、現在まだ生産を行なっております。 ベンジジンを原料といたします染料は、現在わが国の全染料の中で約一割を占めておる染料でございます。この染料は、ほかの染料と比べますと比較的安いという特性を持っております。全染料平均の大体半値くらいの価格であるというような点、それから染色性とか色調がすぐれておるというようにもいわれておりますので、製造を停止いたしますと、いろいろな面で相当な影響が出るということは考えられるわけでございます。ただ、人間の健康は、ほかに何ものにもかえがたい非常に守るべき重要なものでございますので、先ほど労働省のほうからもいろいろ御答弁がございましたけれども、もし健康に非常に大きな影響があるということならば、いろいろ労働省のほうとも検討をしてやっていかなければいけないというように考えております。 ただ、現在の段階では、完全密閉化ということが行なわれておりまして、完全密閉化以後の患者数はほとんど出ておらないというような現状でございます。 他方外国の、たとえば西ドイツのバイエル社が製造を停止したというようなニュースがございます。また、しかし、ほかの国では製造を依然として続けておるというような事情もございます。こういうような外国の事情もよく調べてみまして、労働省ともよく打ち合わせをいたしまして、ベンジジンの薬害防止に関する今後の取り扱いを検討していきたいというように考えております。
○林(義)委員 いまのお話を聞いておりますと、密閉方式でやればまずまず出ない。大体それは確信を持って言えるのだということでございます。私は、この際ぜひ調べておいていただきたい。いますぐというわけにはいきませんけれども、調べておいていただきたい。いまお話がありましたアメリカのペンシルバニア州で、これを製造禁止をしておる。それから、バイエルが自主的にやめたという点でございますが、私は、これは密閉方式といったところで、完全密閉というのは非常にむずかしい技術だろうと思います。そういったことで、密閉方式であるからいいというわけにはいかない、技術的にいって密閉ということはなかなかできないのではないか。やはり人命は一人でも大切にしなければならない問題であるし、その辺につきまして十分調査をしておいていただきたい。できれば、その調査の結果がわかり次第、当委員会にも報告をしていただきたいと思うのです。これはお願いをしておきたいと思います。 こういったことが、これから科学技術というものが進んでいけばいろいろと将来出てくるだろうと私は思うのです。新しい物質をつくって、――昭和二十年以降非常に日本は経済発展をしましたけれども、その原動力というのはやはり技術革新によっておる。特に化学品の関係におきましては、技術革新というものが非常に進んできておる。いままでは技術革新というのはよく売れるもの、また安く売れるものをつくろう、つくろうという考え方であったことは否定できない事実だと思いますが、やはりこれからは、こういったものが病気になるなら、政府のほうが行政指導をする前に、企業としても、その辺について十分に配慮していただかなくちゃいけない。公害を出すようなもの、あるいは職業病にかかるような物質が生産工程に入るということは、絶対ないというようなかっこうでやらなくちゃならないと思うのです。 そういったような観点からいたしますと、いまいろいろとこういった問題がありますが、その辺について、いまどういうふうな形で立法を考えておられるのか、あるいはどういうふうな処置をとることになっておるのか。その辺につきまして、労働省、通産省、厚生省各省から新しい物質についてどういうふうにやっていくのか、お考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○北川説明員 いまの技術革新で、安全性とかあるいは有害性というものが十分に検討されないままに、新しい工法あるいは新しい原材料が導入され、その結果、職業病あるいは災害が起きるという事例は、最近私たち非常に遺憾なことだ、こう考えております。先般も予算委員会の分科会で細谷先生からも御指摘ございましたけれども、いまの労働基準法の最低限を守るという法体系の中で、これからの災害あるいは職業病を守るということが十分なんだろうか、そういう新しい工法あるいは新材料につきまして、必要があれば事前にチェックをする、そういう制度を法的に整備する、そういう安全衛生に関する基本立法というものを検討せよ、こういうような御指示もございましたので、私たち全くそのとおりと考えておりまして、その線で現在いろいろ検討をいたしておる次第でございます。
○森口政府委員 お説のとおり、技術革新が進んできますと、いろいろな製品が出てまいります。安い品物、使いやすい品物、いろいろ生産の上から見ますと役に立つような品物が出てきますが、こういう品物自体、単に安い、あるいは使いやすいというだけではだめでございまして、同時に他面から見ますと、その製品の製造過程におきまして、公害を出さない、あるいはその工場で働いておる従業員にいろいろな害を与えないという製造過程がとられる製品があってはじめて安い、あるいは使いやすいということが効果を発揮するのである、そういう意味が出てくるのであろうというように考えるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、いろんな技術過程の中で新しい製品が出てきました場合に、企業側がそういうふうな点にも気を配って、単に安かろう、よかろうというだけの製品ではなしに、同時に、そういう公害を発生しないような製品をつくる、これこそまことの技術の進歩であり、また技術の革新であるというように私ども確信しておりますので、そういうように企業を指導してまいりたいというように考えております。 なお、受け身の立場といたしましては、実際上私どもどういう物質が人体に害を与えるかどうかということについては十分な知識がございません。これは関係各省からの御意見を伺いまして、問題がありましたときにはやはり企業側に、そういう物質の予防なりあるいは出さない製法の開発なりについて、十分に指導してまいりたいというように考えております。
○曾根田政府委員 科学技術等の進歩によりまして、いろいろ新しい物質あるいは新しい製品が開発されまして、これに伴っていろいろ生活上の障害が一方で指摘されております。また医学、薬学等の進歩に伴いまして、従来把握できなかった疾病が新しい疾病としてとらえられる、しかも、それの原因が十分わからぬというような事態も生じております。これらのうち、たとえばスモン病であるとか、あるいはベーチェット病であるとか、そういった新しい、必ずしも原因のわからない疾病につきましては、私どものほうは、いわば大型研究費を支出いたしまして、その原因の究明につとめておるのでありますけれども、新規の疾病に限らず、公害という範疇を越えた新しい生活上の障害に対処するやはり先取りの行政の姿勢が必要ではないか、御指摘のとおりでございます。そういうことで、私ども関係省庁等とももちろん十分御相談し、また省内におきましても、科学技術参事官を窓口といたしましたいわばプロジェクトチームを編成いたしまして、そういった新しい公害あるいは新しい生活上の障害に対処する体制を敷いて今後一そう検討を進めたい、かように考えております。
○林(義)委員 いまのお話ですが、私はやはり科学技術が進歩する、技術革新の成果というものが現代の社会においては一番利益をもたらすところは、やはり企業だと思うのです。いままでの過程で、技術革新の成果を十分にフルに享受できる、やはりその結果、もしもそういうことがあるなら、私はやはり技術革新の成果を、企業がフルに利益を得るということであるならば、同時に、それによって出た損害というものは、当然にやはり企業が負担するというようなルールづくりをすることこそ一番必要なことじゃないかと思うのです。そういったような体制というものをこれからつくっていかなくちゃならない。私はこういった問題は、今度やるところの無過失損害賠償責任の問題等の中にもはっきり入れなければならぬ、やはり企業の責任というものを、この際はっきりしていくことが大きな一つの方向じゃないかと思うのです。細谷先生からもお話があったということでございますが、私も何かそういった形の新立法を考えていかなければならない。いまお話を聞きますと、労働省におかれましても、通産省、厚生省におかれましても、それぞれいろいろ検討しておられるようでございますが、こういった問題、技術革新のスピードというものはとどまるところを知らないわけであります。きょうとあしたと、また技術革新があるというように考えなければならない。そういった段階でございますから、できるだけ早い機会にそういった案をつくられて出していただくことを要望しておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○小林委員長 島本虎三君。
○島本委員 大体いまの問題と同じなんでありますが、発ガン性の高い染料の中間原料、ベンジジンとベータナフチルアミン、これによる膀胱ガンと腫瘍の患者が、北九州市八幡区の三菱化成黒崎工場に集団発生した、こういうようなことであります。いろいろ申されましたが、それについて私自身、行政当局のこれに対する取っ組み方、これがあまりにも場当たり的であって無責任だ、こういうように一つ一つ言わざるを得ないと思います。解明願います。 〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕 いまいろいろと言ったのは、皆さんにはまことに答弁しやすいような質問であったようです。しかし、そんなばかなことじゃいけない。いま通産省の答弁、何ですか。問題があったときに企業側を十分指導していく。これは森口さん、問題起きるまではほったらかしておくという意味じゃないだろう。いまあなたの答弁を黙って聞いていたけれども、通産省は問題があったときに企業側を指導していくという態度だ。これは問題なければそのままたれ流しを認めておるということだ。こういうような指導じゃ姿勢が悪い。それと厚生省はいまいろいろいいことを言っておるけれども、こういうようなことが起きたのは十年前、二十年前の時点で、厚生省のあらゆる機構を動員してこれに対する対策を当然講じなければならない。いま労働省のほうが一手販売のようにしてやっておる。ここにも十年間のズレがある。あなた自身述懐したからいいようなことだけれども、行政上の対策がおくれておる。こういうようなのをそのままにして今後気をつけなさいじゃ、これからは済まない。いま、問題があったときに企業側を十分指導していくというようなかっこうだが、これは森口さん取り消しなさい。その前に十分やらないとだめです。指導しないとだめなんです。これをやはり公害の対策として、私は愛情を持って叱咜激励して、愛のむちを加えなければならない。これを取り消さないうちは私は次に質問を進めない。重大な問題ですから。
○森口政府委員 私の答弁が若干不十分でございましたので、誤解を招いたかと存じますが、先ほどの趣旨をもう一ぺん申し述べさせていただきます。 私が申し上げましたのは、いろいろ技術革新がございましたときに、新しい製品が出てくる、新しい製品が出てきたときに、新しい製品は当然安い品物、あるいは使いやすい品物、あるいは新しい分野を開いた品物であっても、そういう製品の製造過程等におきまして、公害を及ぼしたり、あるいは従業員に害を与えるような品物でありますれば、これは何ら意味がない。したがって、そういう品物をつくらないように企業側を事前に十分指導するという意味で、事前に申し上げた点でございます。そういうふうに指導して、なおかつそういうような問題が起こりますれば、さらにこれを指導するというふうに申し上げましたわけで、あくまでも問題の重点の第一は、新しい品物ができましたときに、それを公害が起こらない品物あるいは従業員に特殊な職業病が起こらないような品物を生産するというふうに指導することが重点であるというように、先ほど御答弁申し上げたわけでございます。
○島本委員 そういうふうに言ったということならば、まずいいけれども、さっきはそのとおり言っていない。私、ちゃんとここにノートに書いておいた。むしろ先に十分に指導していくという場合に、もうひとつ中へ突っ込んで、こういうような問題に対する対処は、企業負担まで十分考えて、そして今度体制を強化して、被害が起こった場合には無過失賠償も必要であると思うから、強い姿勢で今後行政の指導に当たるくらいのき然たる態度を持たぬと、通産省、だめだ。通産大臣はこういう公害に対しては少し逃げ腰だ。まあみなさんの健闘ぶりはわかるけれども、少し体制が弱い。 それともう一つ、労働省、あなたのほうもそれはわかるのだ。わかるけれども、この原因とその経過なんかはもう労働省が幾らやったって、これはあと始末にすぎないのだ。原因をはっきりつかまえて、それを排除しなければならない場合は、労働省だけの問題じゃなくて、それは通産省なり、これは業者指導、それから厚生省なり、これは疾病の排除、並びにそういうようなことを起こさないために相談する、こういうようなことをちゃんと連絡しながら、この対策に当たらなければならないはずじゃないかと思っているのですが、十年間これをそのまま、行政的な怠慢をしたというようなことは、それはちょっと私は困るのだ。行政上の政策が立ちおくれてしまって、いまになって、これが起きるまでほったらかしておいては、これは困るのだ。したがって聞きたいのは、今時点で職業病、たとえばガンの発生なんかも含めて職業病と思われるようなもの、発生の状態、ほかの工場にこのような心配がもうないのか、あるのか。これに対して徹底的に調べてありますか。いまの時点でないのか、あるのか。それもはっきりこの際しておいてもらいたい。
○北川説明員 十年立ちおくれているということでございますが、私もこれも答弁が不十分だったかと思いますが先ほど御説明しましたように、この種の職業ガンの発生する事実は、いまから考えますと、二十六年ころから出ておりました。その点につきましてやや気づき方といいますか、把握のしかたがわれわれとしては手抜かりがあった。ようやく三十年に至りまして、行政指導を始め、その間約四、五年ズレがあったことは私たち非常に遺憾なことだと考えております。 先ほど申し上げましたように、三十二年ごろから完全密閉式、それから製品につきましては湿式、いわゆるかわいた粉状でなくてウエット式のものにするようにという行政指導をいたしまして、現在製造工場は四工場でございますが、これはすべて完全密閉式であり、かつウエット式になっております。 なお、先ほど申し上げましたように、五月一日からはそれを単なる行政指導でなくて、特定化学物質等の障害防止規則というようなことで、法令の形で、完全密閉式及び製品の扱いにつきましては、遠隔操作もしくは湿式のものにするということを義務づけております。そういう点では、三十年代におきましてわれわれの行政が立ちおくれた点は認めておりますけれども、それ以降につきましては、われわれはわれわれとしてでき得る最大限の努力を払ってきたつもりでございます。
○島本委員 これ以外の工場に、こういうものの心配はあるのかないのかということなんです。
○北川説明員 ベンジジンに関しましてはないと思います。それ以外の発ガン性の物質、たとえばベータナフチルアミンにつきましては、先ほど通産省の御指摘もありましたように、行政指導その他によりましてこれは現在製造が中止されております。今回新たな規則では、それ以外の発ガン性の物質としましてはオーラミン、あるいはオートトリジン、ジアニシジン、それからマゼンタ、こういうようなものにつきましても、発ガン性物質ということで、完全密閉式にするという指導をいたしております。これにつきましてはいままで規制を行なっておりませんので、今後ベンジジンと同様にその対策も万全を期していきたいと考えております。
○島本委員 今後対策の万全を期する、いまになってこういうようなものが出てくるなんということはやはりおそいし、労働省だけでこれをやっていまして、いま舌をかむようなこういう薬の名前をお読みになったのですが、これはやはり専門省があるでしょう。そっちのほうとよく連絡して、それをやる場合に、こういう工場があるのだがということを率先して通産省とも連絡して、各省ともに万全を期すればいいではないか。起きたものばかりやって他のほうに及ぼさない。みんなばらばらなんです。これではいけない。いまのオーラミンほか、これはどこの指導でやったのか、あなたのほうだけでやったのか、あなたのほうからの指導でやっているのか、それとも自主的にあなた自身の考案なのか……。
○北川説明員 安全、衛生、両面につきましても、先生御指摘のように、通産省あるいは厚生省と密接な連携がなければ万全の成果をあげられないということは従来から考えておりまして、この公害関連といいますか、あるいは事業場内の有害物質の問題だけでなくて、いままで安全の機械の問題、保安確保の問題、あるいはこの前の安中のカドミウム問題等で厚生省、通産省、そういうようなところと緊密な連携をいたしておりますけれども、今後ともさらに一そうそういう方向で各省の御協力を得て、これらの物質の対策について努力をいたしてまいるつもりでおります。
○島本委員 まことに当然の答弁なんです。いま、あらためて言うのは、いままでやっていないということなんです。だめだ、それは。長い潜伏期間があって、工場周辺の人の影響、こういうようなものは労働省が答弁していただかなければならぬことです。長い潜伏期間があるということならば、専門的な立場になる厚生省あたりで、それに対する対策を十分考えておかなければならないと思います。ことに長い潜伏期間の場合に、工場をやめて民間人になった場合に、それが当然発病することもある。また近所の人が発病しているかどうかというような疑念は去らない。こういうようなことになると、あと処理でやる場合は、労働省は終わりになってしまう可能性がある。これは従業員の立場から厚生省が考えなければいけないのじゃないか、こういうふうに思います。長い潜伏期間があって工場周辺の人の影響、こういうようなことに対してはもう考えて処置されてありますか。
○曾根田政府委員 ただいま先生御指摘の点は、私率直に反省いたしまして、ややそういう点の配慮が従来の行政姿勢として足りなかったのじゃないかというふうに考えます。これは別になわ張り云々ということでなくて、労働衛生の問題であると、ついそれは労働省のほうの検討に、むしろこちらのほうからお願いするというような姿勢であったわけでございますが、ただ先般の安中におけるカドミウム等の事件あるいはただいま御指摘のような有害物質等の取り扱いを考えますと、やはりもっと積極的に十分連絡を密にして、職場、場外を問わず、一貫した健康管理体制というものができるように、今後とも努力いたさなければならぬということをあらためて反省しておる次第でございます。
○島本委員 この機会ですから、委員長のほうから、こういうような重大な一つの問題に対しては、その対処にあたって各省と十分連絡をとって、必ずそれに対処し善処するようにということを一言委員会の意思を代表して、あなたから言っておいてください。 〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕 これ、もう一回言うのはめんどうくさいのですが、もうとにかくいまのような事件、すなわち膀胱ガンが発生をした。ベンジジンとベータナフチルアミン、こういうような中間原料、こういうような染料の原料を使っている場合には、往々にしていまのような膀胱ガンと腫瘍の患者ができた、またできる。それはもう行政的に手おくれであった。それを全部認めた。しかし、いろいろやっていると、これは潜伏期間が長いということもわかった。そうなると、工場内に働いている人も、もう定年その他の事情で去ってしまって、一般市民になっている場合もあり得る。そうなってしまうと、職業病の認定をしてもなかなか救済の困難な事態に遭遇する。今後は十分それを気をつけてやるということを、各省で連絡をとりながらやるということははっきりしました。この際ですから、いままで労働省は労働省のからの中に閉じこもっておった、通産省は通産省の型の中に閉じこもって指導しておった、肝心の排除する立場にあり、これを糾明する立場にある厚生省も、あまり積極的じゃなかった。いまカドミウムの問題以後、これは積極的になりつつあるということはわかりました。それでこういうような職業病その他ガン発生のおそれのあるような重大な問題が今後にも予想されますので、今後そういうような場合には、各省にとどまらず、厚生省なり労働省なり通産省なり、それぞれ綿密な連絡をとってこれに対処する、そしてもう処置に対しては誤らないように、こういうようなことをいまやると言いましたから、重ねて委員長からも、今後十分各省間で連絡をとって、その点決して誤らないように善処しようということを委員長の意思としてここにはっきり言っておいてほしい、こういうようなことであります。前置きが長くて申しわけありませんが、委員長がもう三分おそく来ればこっちからやったところでありますが、委員長はっきりそれを言っておいてほしい。
○小林委員長 いまの島本委員の質問の前段、各省ともその点については十分了解をするという、そういう意味で、連絡をとるということよりも、これは一ぺんその点で協議をされて、大臣クラスのところでひとつ――この点が一つの問題ですが、あらゆる問題にこれは適用される案件だと思いますので、ひとつ確たる協議をされたものを何らかの形でもって当委員会に意思表示をされて、いまの質問者の要望にこたえていただくように、委員長からも強くお願いを申し上げます。
○島本委員 では、この問題に対しての疑念、若干をお伺いします。そのあとそれぞれ関連質問があるようでありますので、お許し願いたいと思います。 いまいろいろ報告されたものの中で、労災保険の適用患者、これは六十四名くらいですか、もっとふえていますが、うち死亡が七名、六十四名の労災認定患者、これらのうち三〇%再発して労災認定を受けたという、再発したにかかわらず再認定されなかった者もあるようでありますが、これはなぜ再発したのに対して再認定されなかったのか。 もう一つは、すでに同じような症状が出ても労災適用の認定を受けていない者も二十名あり、うち死亡が二名あるというが、この二つは行政指導の中でも少し漏れておるのではないかと思いますが、これは事実かどうか。もしあるとすればどういう根拠で再認定できなかったのか、これをはっきりさしておいてほしいと思います。
○北川説明員 われわれの把握しておる数字は、当三菱化成の黒崎工場で、膀胱腫瘍あるいは膀胱ガン等で労災補償を受けられた方は六十四名でございます。そのうち再発されました方が二十名ございます。死亡は先生御指摘のように七名でございます。 なお、再発の中で労災の認定を受けておらない者があるのではないか、こういう御指摘でございますけれども、われわれが把握しておりますのでは、たとえば豊田五郎さんという方は二十三年から三十二年までベンジジンの取り扱い業務に従事されまして、四十四年に発病をされました。その後一度なおられましたけれども、四十五年に右じん臓の結石でおなくなりになっております。これは膀胱腫瘍と関連がないということで、労災関係は不認定になっております。 それから、それ以外では、古賀富雄さんという方が、四十四年に直腸ガンということで入院になりましたけれども、組織検査をいたしました結果関係がないということが医師によって明らかになりましたので、労災の申請がございましたけれども認定されておりません。 以上のように、当業務と直接の関連がある膀胱関係の腫瘍等につきましては、われわれは直ちに業務上にするという方針で臨んでおりますけれども、因果関係等につきまして、専門家であります医師の所見で膀胱ガンの転移によらないものあるいはガンではないというようなものにつきましては、たいへん遺憾でございますけれども、業務上の認定をしておらない、こういうのが実情でございます。 なお、先生がそれ以外に潜在的にという点がございまして、これは福岡の労働基準局が中心に労働組合等からも事情を聴取いたしまして、そういう方がおられるかどうか現在調査中でございます。
○島本委員 これは充分調査してもらいたい。少なくともわれわれ得た報道によると、症状が出ても労災適用の認定を受けていない者が二十名あって、もうすでに死亡したのが二名いるのだ。いかなる事情にあっても、その集団発生しておるそれが、直接そこまでいかなくても、それに似たような問題であれば、それは適用さしてさしつかえないのだ。あまりにも厳重にやるといわゆるみんな漏れてしまう。結局それを適用する者は少なくなる。これは一つの法律を適用する際のテクニックもあると思うけれども、その点は皆さんのほうでもっと広げなさい、こういうようにして見てやるのが当然だ。ましてやこの点はもう少しシビアに調べたほうがいい。そしてできるだけ適用さしてやったほうがいい。そして要注意者が四百名以上というのだが、これに対してはどういうような対策を実行しておりますか。厚生省、通産省、労働省……。
○北川説明員 定期に、四半期ごとに精密検査をいたさせておりますけれども、その中でやや疑わしいという者は、行政指導によりまして、九州大学の付属病院に入院させまして精密検査させる。現在そういうことで精密検査をしておられる方が三、四名おられるというように聞いております。四百名というような数字につきましては、われわれは聞いておりませんし、大体当該業務に直接ベンジジンを扱っている労働者の方がせいぜい二十名足らずでございますので、過去の分も含めましてわれわれの報告ではたしか三百七十三名というふうに聞いております。この中には退職者が四十八名もおられますので、そういう数字はないと思いますが、なお現在退職しておられる方、あるいは職場転換でベンジジン取り扱い以外の業務についておられる方につきましても、定期の健診は現在ベンジジンを扱っておる労働者の方と同じように行なっておりまして、もしそういう症状が出ました方につきましては直ちに精密検査をして、その治療の万全、あるいは補償の万全ということを期しておりますが、今後ともそういう方向でなお回そう調査あるいは努力をいたしたいと思います。
○森口政府委員 労働省からお答えになったとおりであります。会社側から当方が聴取したところによりますと、現在ベンジジンの生産に従事しておる者はごく少数でございますけれども、会社側におきましては、現在すでに会社から退職いたしました者も含めまして、直接、間接に生産に従事した者約三百七十一名について定期健康診断を年に二回実施いたしております。異状がありますれば当然処置をするという前提で、定期健康診断をいたしておる現状でございます。
○曾根田政府委員 私どものほうで、一般住民で労働省あるいは通産省の関係の健診から漏れるような方がありましては問題でございますので、よく県とも相談いたしまして、そういうことのないように万全の措置を講じていきたいと思います。
○小林委員長 関連して細谷治嘉君。
○細谷委員 ちょっと資料を持ってきてないのですけれども、いままで質問を聞いておりまして、二、三気にかかる点がありますから……。 一つは、私のところへおととい電話がかかってきまして、二十七、八年ごろですけれども、二年ぐらいベンジジンの製造に従事したが、最近どうも非常にもやもやするというのです。膀胱ガンの徴候ではないか、こういうことを心配してまいりました。だとすると非常にあぶない、こういうことでありますけれども、治療法というのがきわめておざなりだということですよ。 そこで、膀胱ガンだと再発して命をとられている人もずいぶんあるわけですけれども、その治療法はどういうふうにやっているのですか。労働省なり厚生省……。
○北川説明員 私、専門でございませんので詳しいことは知りませんが、膀胱にできました腫瘍につきまして、それをかき切るといいますか、そういうことで病原を排除することによって治療しておるというような例を聞いております。その他あるいは内臓その他のレントゲンの照射ということもあるようでございますけれども、一般的には膀胱にできましたそういう腫瘍を切り落とすといいますか、切除するというような方法が最終的にはとられておる、こういうふうに聞いております。
○細谷委員 そういたしますと、この膀胱ガンの原因で、一体なぜ膀胱にできたかというメカニズムは詳細に研究されておるわけですよ。結局はベンジジンなり、あるいはさっきおっしゃったジアニシジン、あるいはオーラミン、あるいはベータナフチルアミンというのが皮膚なりあるいは口なり、のどを通じて入っていきますと、長い間、大体三年以上従事した人はたいていやられるというわけですが、そういうものが膀胱にいきますと、膀胱である種の物質ができるわけです。それによって加速されるわけです。そしてガンができるというメカニズムになっているわけですね。 そうなってまいりますと、その部分、腫瘍ができたところを摘出したということだけでは再発は必然的だと私は思うのですよ。ですから、たいてい、再発して二度目の手術をした、そして命をとられたという例が非常に多いわけですよ。ですから私は、摘出、いわゆる手術くらいでは再発は避けられないのじゃないか、体内にそういう芳香族のアミンがあって、そして膀胱に集中的に出るのは、膀胱でできるある種の物質と作用して、そしてガンができてくることになるわけですから、手術しても、そのあとには、やはりその体内には長い間蓄積したベンジジンなりあるいはベータナフチルアミンがあるわけですから、これは避けられないのじゃないかと思う。ですから、あなたは膀胱ガンがある、軽度だけれども、といいましても、いつ命をとられるかわからぬ、そういう事態にあるわけです。その人は、おれは自覚症状からいって、どうもそうじゃないかということを心配していました。そこで私に対するあれは、的確な治療法をやってもらわなければ、何年か後に自分は必ずそれで命をとられる。それは非常な不安があるわけですね。ですから手術すればいいんだという、そんな問題じゃなくて、そのメカニズムからいきますと、必ず再発するわけですから、その辺の対策を厚生省等で講じていただかなければ、まあ大体三年以上これに従事すれば、大体九〇%以上はガンが発生しているというのが従来の研究論文の結果ですよ。そうすると、いつの日かこれで命をとられるわけですね。そういうことになりますから、その辺の治療方法について、手術すればいいなんて、そんなものじゃありませんから、対策を講じていかなければならぬと思うのですが、厚生省、どうですか。
○曾根田政府委員 私、専門家でございませんので、私の口から具体的にお答えができないのはたいへん残念でございますが、御指摘のように非常に再発といいますか、そういったことが考えられる、通常の治療方法ではむずかしいということの御指摘でございますが、さっそく戻りまして、専門家の意見も十分徴しまして、労働省へも相談し、その上でまた先生にも御報告させていただきたいと思います。
○細谷委員 おととい私に電話をかけてきた人は五十一歳です。そして、労働者ではありますけれども、肉体労働でなくて、それの製造工程の担当の職員でしたが、そういうことで非常に不安がっております。膀胱ガンだといわれても、大体治療法はないようですね。治療法がなければ、五十一歳で、あなたは軽度だといわれたら、これは手術しても再発することは必然なんですから、もういつの日か死を待つ、こういうことでありますから、私はたいへんな問題だと思うのです。それを開発しなければ――手術すれはいいのだ、そして再発した、そしてまた手術をした、手術したら、あなたは膀胱結石でございます、労災の適用になりませんということですから、本人ばかりじゃなくて、家族も文字どおり戦々恐々だ、こういう状態であります。ですから、ひとつぜひ真剣に取り組んでいただきたい。これが一つ。 もう一つ、林さんの質問したのはごく最近の三菱化成の問題でありますけれども、三菱化成ばかりじゃなくて、こんな問題が起こっているのです。このベンジジンというのを使って直接染料というのが大量につくられているわけですね。染料自体も発ガン性を持っている。現に新聞等に出た。きょう持ってきておりませんけれども、和歌山の染色工場でやはり数名の膀胱ガンの患者が発生している。これは少し専門的になりますけれども、ベンジジンというものをテトラゾ化しまして、そしてそれにいろんなものをくっつけて、直接ディープブラックというものをつくっている。これはばく大な染料なんですよ。直接染料では一番よけい使われる黒色なんですが、その黒色の染料自体が発ガン性を持っているのか、その中に含まれているベンジジンが原因なのか、この辺は労働省、どうなんですか。
○北川説明員 ベンジジン等の染料中間体の発ガン性につきましては、すでに定説になっておりますけれども、それを原料としましてできました染料自体について発ガン性があるかということは、いままでのところ医学界では否定されております。ただ、先生御指摘のように、最近こういうアゾ系の染料を使いまして、その中から膀胱腫瘍等を起こしたというような情報をわれわれも入手をいたしております。これにつきましては担当の専門の医師等からも事情を聞き、かつ労働者等にも当たりまして現在その調査を進めている。私たちはいままでは染料の中間体であるベンジジン、そういうものについて、密閉すればだいじょうぶだ、あとできました製品につきましては、はたして残っております未反応のベンジジンがそういうものになったのか、あるいはできました染料そのものが発ガン性があるのかというようなことにつきましては、ほとんど疑いを持っておりませんでしたけれども、そういう染料の問題につきましては、事例を最近われわれも知り得ましたので、徹底的に調査をいたしまして、それによって今後はもしそういうことが事実とすれば、より徹底した対策を打たなければならない、こう考えております。この点につきましてはまだ不明でございますので、もう少し調査をさせていただきまして、その結果、わかりましたら当委員会に御報告させていただきたいと思います。
○細谷委員 それが島本委員が言っているように、なまぬるいと思うのです。現実に、ベンジジンは間違いなく発ガン性を持っている。オーラミンというものも発ガン性を持っている。昔のたくあんの黄色は、オーラミンで染めておったものですよ。発ガン性ということでいまはやめましたけれども……。いま食用色素のタートラジンあたりを使っておりますけれども、そういうことなんですよ。ですからたくあんの色というものは、大体二十五年くらいまではオーラミンでやっておった。ですからこれは危険千万です。そういう状況なんで、たとえば労働省が出して、私も指摘しておきましたけれどもべータナフチルアミンがそうだが、アルファナフチルアミンだってあぶないですよ。アルファナフチルアミンそのものは、純粋な、一〇〇%のものは発ガン性がありません。というのは、膀胱の中でできるある種の物質と反応しないから、アルファナフチルアミンはよろしいのですよ。ところが、その中には化学工程上必ず四、五%の不純物ができるのです。そこで、アルファナフチルアミンそのものも、工業用のものは発ガン性を持っているということになるわけです。危険しごくなんです。あなたのほうでは四、五%はあぶないけれども、二%くらいなら安全だなどと言っておるけれども、そんなばかなことはない。その辺もチェックしなければならぬわけですよ。ベンジジンというものをテトラゾ化して、いろいろなものをくっつけて、そして直接ディープブラックという染料をつくりますと、これはやはり工業用ですから必ず一%か二%くらいのべンジジンが残ってくるのではないか。私は、化学構造からいって、いま言った染料そのものは発ガン性がないのじゃないか、こう思っておりますけれども、一、二%くらいは不純物として必ず残ります。これは常識ですよ。そうすると、それが発ガン性になりますから、その辺のことは簡単ですよ、あなたのところに労働衛生研究所があるのですから、現に直接そういう染工場で発ガン性の問題が起こっているなら、いち早く、一体何が原因かということを調べなければいかぬわけですよ。それをこれから調べてなんという――さっき言った医療法の問題は相当時間がかかるでしょうけれども、一体何が原因だということを、色素をやっておる染工場の工員が膀胱ガンになっているのなら、その原因は一体染料そのものにあるのか、その中に不純物としてあるベンジジンに残っているものによって起こっているのかということは、一カ月もあればできることですよ。それをいままでやっていないところが怠慢だと私は思うのです。さっそくやりなさいよ。染工場もあぶないですよ。ですからそれはひとつやって、そのデータを、何によるのか、染料そのものなのかあるいは不純物として残ったベンジジンによるのか、その辺はきちんと報告していただきたい。 最後に、さっきも話がありましたけれども、ドイツはベンジジン、ベータナフチルアミンの製造は、すべてやめてしまったのです。ごく最近は、いまも申しあげた直接ディープブラックという染料の製造もやめてしまったのです。あなたも例に引いておったイギリスあたりももはや――密閉、密閉といっておるけれども、あなたの場合はクローズドベッスルなんです。オープンベッスルじゃなくて、クローズドベッスルですけれども、密閉しておるといっても、どこかから、中間体なんですから、最終製品にいく段階においては一かわかないもので、ウエットでやれとあなたのほうは指示しているけれども、ウエットだって、長い間やっていれば人体に影響があるのですから、イギリスあたりでは、クローズドルームで作業させたのですけれども、それでもあぶないというわけで、もはやそういうものをつくらないことにしている。禁止したのです。ですから、通産省はつくれ、つくれ、こうだから、何ですけれども、さっきも話がありましたが、労働省と厚生省では、いま言ったようにベンジジン、ベータナフチルアミン、それからアルファナフチルアミンもあぶないのですから、そのものはいいのですけれども、不純物として入ってくるものがあぶないのですから、その不純物が完全に除去されるというプロセス上の確認がない限りは、この種のものはもうつくらせない、ジアニシジンも含めてつくらせない、現にこういう治療法も確立していないわけですからつくらせないという勧告を通産省に出す意思があるかどうか、両省にお聞きします。
○北川説明員 先生非常に御専門でございますので、私たちが答えてもあれでありますけれども、私たちのいまの行政指導で少なくとも密閉式でやっておりまして、おっしゃるように袋詰めのときに、手に触れる場合には保護具をつける、あるいは局所排気をやっております。その点がやはりあぶなくないかという点でございますけれども、この点につきましては、いままでわれわれがいろいろ調査しました関係では、まずそれで職業ガンが発生することはないという確信のもとにやっております。ただ最近のドイツの事例の問題、イギリスの問題につきましては、いままでたしか六七年にレギュレーションをつくって禁止をして、それ以来そう変わっておらないと思いますが、今度のILOの総会の際に、専門家を総会と兼ねて派遣をいたしまして、 〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕 ドイツ、イギリスの実情等もよく調査をいたしまして、その結果に基づいて、われわれのいままでのこの種染料中間体に対する規制の問題が、やはり不十分であるということがもしわかりますれば、そういうことに基づいて抜本的に対策を練り直したいと思います。いまのところは私は、これで職業ガンが、かつてオープンのままでやっておったときのように発生するとは考えておりません。
○曾根田政府委員 労働省からお答えがあったとおりでございますけれども先生の御指摘でございますので、念には念を入れまして、担当の課の専門家に検討してもらうように申し伝えたいと思います。
○細谷委員 労働省が、こうまで大きな問題になっている問題について、ドイツなりあるいはイギリスのとった例、そういうものについてとる意思がないというなら、これは通産省に期待することはできない。もうこれはあぶないならば――それはオープンよりクローズドのほうがやや安全でしょう。しかし、絶対安全なんということはないわけです。言ってみますと、さっき言ったようにベンジジンをつくる工程、できたベンジジン、できたベンジジンを中間体でありますから次に製品に持っていく。これは必ず廃液にも入っているでしょうし、そのもののあれもあるわけですから、これは危険の度合いは減るでしょうけれども、あぶないことは間違いないんですよ。ですから、そういうあぶないものはもうおつくりにならないほうがいいんじゃないか、こういうことですよ。戦後この発ガン性というのは発見されたんじゃないですよ。一番先に発見されたのは昔コピーに使っておった紫のインクですよ。マゼンタというやつですよ。これがあぶない。それからだんだん発見されてきたわけですから、もうそういう危険なものはおつくりにならないほうがいいんじゃないか、こう私は思うんですね。そしてかわるべき危険性のない色素をおつくりになったほうがいいんじゃないか、こう思うんですよ。そういう点で、あなたのほうでやらぬというのなら、私は通産省に期待できないと思うので、通産省どうですか、つくるほうばかりやっておって、病気をしたといえばそれは労働省だ、厚生省の問題だということではいかぬと私は思うんですね。せっかく通産省も公害部というものができたのだから、公害部らしい動きをしてもらわなければいかぬと思うのですが、これだけお尋ねしておきます。
○森口政府委員 ベンジジン自体につきましては、いろいろ有害性の問題もございまして、現在生産はピークのときに比べれば半減をいたしております。今後ベンジジンをどうするかという問題でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、私どものほうの基本的な考え方は、ベンジジン自体は確かに安くて非常に使いやすい染料中間体でございますけれども、単に安くて使いやすいというだけではこれは問題があるというような基本的考え方は先ほど申し述べたとおりでございます。したがいまして、ベンジジンにかわるような染料中間体にできるだけ移行するように、私のほうとしては強く業界を指導してまいりたいというように考えております。 なお、さしあたりベンジジンをどうするかという問題でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、外国の西独のバイエルの中止の事情とかその辺をよく調べまして、労働省あるいは厚生省、先ほど委員長からお話がございましたとおり、関係各省とよく話し合いまして、その上で態度をきめたいというように考えております。ただし、基本的にはベンジジン自体を、できるだけ無害の製品に移行するよう業界に要請をしてまいりたいというように考えております。
○細谷委員 ちょっと一言。三菱化成とか三井化学なんという大企業は、大量のベンジジンなりべータナフチルアミンをつくっていたけれども、あぶないというので、いまつくってないんですよ。みんな中企業のところにつくらして、そして使うものだけやらしているわけだ。いま三菱化成の問題なんていうのが起こっているのは、昔自分のところでつくっておった。いまもうつくってないんですよ。あぶないやつはみんな中小企業、中小企業ですから一そう危険性があると私は思うんですね。 それから補償の問題、もし病気になった場合にどうするのかという、そういう問題が出てくるわけですから、私はいよいよ危険だといっていいんじゃないかと思うので、この際、やはり健康を守るということが労働省なり厚生省の責務でありますし、通産省もつくるだけが能じゃないわけですから、これはやはり断固たる態度でこの問題に処していくのが正しいんじゃないか。きょうはこの程度にしておきまして、私の関連質問を終わります。
○島本委員 それで、姿勢が悪いのは、いま言われた答弁でもわかる。私の言いたいのは、またここに一つ問題があるんです。四月の二十八日水曜日、これは朝日です。あなたのほうの部下に、山本秀夫さんいますか。労働衛生課長です。あの談話が朝日に出ているのです。これを見ましたか。どう思いますか。
○北川説明員 その新聞、見ております。本人に、私もその談話の中で企業の採算のことにたしか触れておった点がたいへん気になりましたので、そういう事実があるかどうか確かめましたけれども、本人は、そういう言い方はしていない、こう言っております。
○島本委員 必ず、あとになって問題になると、そんな言い方はしておらない、こういうふうに言うのがくせなんです。しかし、それならばはっきり、この問題に対しての信憑性もありますから、対処しておいてもらわないと困る。ここで問題なのは、通産省だか厚生省だか労働省だかわからぬような発言をしている。「生産中止を前向きに研究しているが、禁止したために」いま言ったような中小企業ですね。「中小染料工場がつぶれては困るので、染料の原料を発ガン物質から他の物質へ転換してからでなければ」これはやれない、これは何ですか、一体。こういうようなことを各課長や指導する人が発言して、一体上司はどういうふうに考えておるのですか。こういうのはもうすでに追放された考え方ですよ。去年の暮れに十四の公害基本法はじめ公害立法ができた。そのとたんにもう「産業、経済との調和」、このことばと一緒に、いまの考え方は追放されているのですよ。まだいまでもそんなことを考えている。これがもしほんとうだとするならば、これは重大ですよ。これはもうほんとうに困るのです、こんなのは。あなたはそんなことではないと言っても、そのことをそのままにしておくのは、そのことを暗黙に認めているということになる。こういう考え方だから、再発してしまった者に対しては何にもできなくなる。こんなものは労災適用外だ、こういうことになる。四百人もあるじゃないかといったら、三百七十一名だという。それだけある者だってもう民間に出てしまって、どうにも救済の手を差し伸べられない。こういうものに対してはもっと広く救済してやらなければだめだと言っているのですが、この考え方では救済できません。まことにこれは皆さんだめです。一つ一つ後手後手になってしまう。この考え方の根底は、いまだに労働省の中にも、通産省や厚生省の中にも、残念ながら生産第一主義というのですか、経済万能主義というのですか、こういうような大きい流れの中に皆さんが埋没しているからこういう考えが出てくるのです。こういうようないびつな関係をはっきり直さねばだめなんです。労働者自身もこれに対してはっきり摘発して抗議していないということになると、まあしていたそうですけれども、それまでの間はがまんしていたのだ。これだって考えなければなりませんけれども、摘発したというからそれはいい。しかし、行政自身も、いまのような生産万能、それから生産第一主義、この中に埋没したような考え方で行政の指導をしている。これはだめです。全面的にこれは変えないといけません。――うん、うんと言った以上、これはやるのでしょうから、いまの皆さんの考え方から変えないとだめなんです。 こういうふうにしてみると、産業の急速な発展、これが公害をまき散らした。皆さん環境権なんというものを知っているでしょう。それを知らないでこういうようなものの対策に当たったらだめなんです。きれいな空、きれいな水、あでやかな緑、人間が生存するために自然が与えてくれた何人も侵すことのできない権利なんだ。これを環境権というのだ。総理でさえも、公害対策では時代におくれた、したがって、もう環境保持だ、こういうようなことばでなければならないけれども、まだなじまないのだというところまで言っているんですから、皆さんの考え方は、前時代的じゃないか。もっとはっきりこの考えを変えて今後対策に当たってもらいたい。皆さんの重大な決意を伺って、私はこれでおさめたいと思うが、順次責任者、大臣になったつもりではっきり言いなさい。
○北川説明員 労働省は労働者の方の健康と安全、これを守るということがたいへん重大な使命でございます。したがいまして、労働者の安全、健康を守るために企業のほうでたいへん費用がかかる、あるいは損害を受けるというようなことがありましても、そういうことにつきましてはわれわれは考えることなく、労働者の方の健康を守るというような立場で、今後安全衛生行政を一そう進めてまいりたい。従来もその考え方に基づいてやっておりますが、なお一そう、先生の御指摘もございましたので、今後そういう方向で努力をいたします。
○曾根田政府委員 私どもは公害問題に限らず、たとえば食品問題あるいは医薬品問題等につきましても、人の健康、生命にかかわるようなものにつきましては、疑わしきものは罰するという立場で従来もやってまいりましたし、これからもそういう態度で行政を進めていきたいというふうに考えます。
○島本委員 いまの通産省の態度は、山下化学工業局長から答弁してもらいたいと思います。
○岡本委員長代理 いない。
○島本委員 どういうわけでいないのだ、呼んであるのに。いつもその辺が原因なのだ、通産省は。いないとは何んだ。呼んでも来ないとは国会軽視か。産業優先の考えか。どうしていないのか、はっきりさせなさい委員長。いたのだから……。
○岡本委員長代理 いたのだけど、帰ったそうです。
○島本委員 態度が悪いよ、通産省。一体、呼ばれて、質問ないということを、質問中にだれが判定して、だれが帰っていいということになった。私が呼んだのだ。私が質問しているのだ。質問の最中に、これはもう質問がないからといってだれが認定して帰ったのだ。職業病の認定と違うのだ。だめだよこれは、委員長から厳重に注意してもらわなければ。
○岡本委員長代理 わかった。
○島本委員 わかったでは済まない、ほんとうに……。
○岡本委員長代理 厳重に注意しましょう。
○島本委員 では、かわって莊局長から。
○莊政府委員 たまたまベンジジンを中心にしたガンの問題が出ておるわけですけれども、問題はきわめて一般的な、基本的な問題を御指摘いただいておるわけでございます。通産省といたしましては、たびたびこの席でも大臣以下申し上げているわけでございますけれども、経済というのは経済のためにあるのじゃなくて、要するに国民が国民の福祉を増進する一つの手段でございます。そういう点に徹しまして、通産省としても、何も通産政策だけではなくて、今後の日本の政治とか、行政の基本ラインというのは、戦後ここまでお互いに努力をして日本の国を復興し、国力をつけて、この成果を今後は特に国民の福祉を増進する目的一点に集中して転換しなくてはいけないということを、現在通産省全体の基本方針として根本的に種々検討もしておる、新聞等にも最近一部発表もいたしておりますが、私どもはそういう基本的な根本姿勢をはっきり出しまして、こういう問題も前向きにやらなければならぬと思います。 たまたま本日問題になりました発ガン性物質の個別問題につきましても、今後厚生省、労働省と十分御連絡をして善処したいと思いますし、なかなかその予防がむずかしいのじゃないか、こういう御指摘もございましたけれども、こういう設備面がはたしてこれでほんとうに十分な状態にあるかどうかということも、それぞれ労働省等にもお願いもしておりますし、十分なアフターケア的なチェック、こういうことも、健康診断だけでなくて当然にやはりしなくちゃいかぬだろうと私は思っておるわけでございます。御趣旨をよく体しまして、通産省としても万全の努力をいたします。
○島本委員 では、これで私はこの問題を終わることになります。これを終わるについて、われわれのほうとしてもこの問題にいままで集中しました。集中するだけに今後の考えが重要だと思っているわけであります。前産業公害対策特別委員長である加藤清二委員もいま来ているのですが、先ほどから関連してぜひというようなことでありました。しかし、この場所が意外に緊張しておりましたので、はさむ余地が一つもなかった、こういうようなことであります。特に委員長にお願いして、関連質問をほんの若干、一、二分認めてやってほしい、こういうようなことでありますので、委員長において善処されんことをお願いいたします。
○岡本委員長代理 加藤清二君。
○加藤(清)委員 貴重な時間でございますので、ほんのわずかな時間をいただきまして二、三質問したいと思います。 職業病と対策について質疑応答を承っておりますると、やはりまだまだ人間優先ではなくして産業優先である、それから対策がたいへんにおくれているという感を深くするわけでございますが、この問題は、いまはこの国会の中だけだからよろしゅうございますが、いまや日本の公害の出しっぱなし、たれっぱなしという問題は、世界がながめているのです。公害の世界会議が来月ですか、ワシントンでございますね。世界がながめている。この世界は、世界の地球環境を守るために、それを侵すものに対してはペナルティーをつけよう、特にその最たるものが日本である、日本は一般公害のみならず、職業病もそのままにして生産第一主義である、エコノミックアニマルである、ゆえにこれに対しては厳重なるペナルティーをつけるべきである、その方法としては関税障壁をアップすべきである、こういう決議をしようとしている。ですから、いまや日本の産業を伸ばすことが必要だとあったとしても、公害追放、公害除去は、日本の経済が伸びるにあたって避けて通ることのできない関所であると考えないと、将来の発展は期することができないのではないか。 〔岡本委員長代理退席、島本委員長代理着席〕 人間優先とか人間尊重ということを、当事者の公害発生者に言うてもなかなかわからないけれども、その発生しておること、その事態を世界がながめて、そのおかげでペナルティーを課せられて、最終目的である販路を縮小されなければならぬというところを、通産省の方々は特に産業人に認識させる必要があると思うのです。そのことが先般改正されました基本法第一条に沿う行政官の第一の任務ではないかと思うのでありますが、その意味において私お尋ねするのでございますが、けい肺病の対策はどうなっていますか。 ここにガラスがございますね、日本板、旭、セントラルはこの需要が伸びたおかげでどんどん伸びていますね。株価も高うございます。まことにけっこうです。しかし、その陰に自然は破壊され、けい肺病患者は続々続出して、これが幾何級数的に伸び、これは工場内に働く人のみならず、周辺の罪もない町の人までがこのけい肺病にかかっております。これは一体どうなっているのか。先ほど島本委員が十年おくれておるとおっしゃられたが、十年はおろか、二十年はおろか、三十年も対策がおくれているのじゃございませんか。私はけい肺病院をつくったほうです。御案内のとおり自分の郷里につくりました。これは労働者はじめ、大蔵省その他の御協力を得たことについては感謝しています。いま満員ですが、御存じですか。第一種だけで収容し切れませんよ。一種、二種、三種、四種とございますけれども、永久になおらないのですよ。しかも、認定していただこうにも労働者以外は認定できないんですね。そうでしょう。私は毎年三回、四回、ここへ慰問に行きます。ついせんだっても行きました。全窯連の方々が言うのですよ。お月さままで届くような技術があるのに、なぜ私らの病気がなおらないのでしょうか、なぜ私たちはガラス屋のもうけの犠牲にならなければならないのでしょうかと言うのですよ。文部省の関係で、東大の演習林というのがある。この東大の演習林は砂防の演習林なんです。にもかかわらず、この膨大な地域は公害発生の演習林になっておる。なぜか。その山を掘り起こして砂を取っているからだ。ここで流血の惨事が起きている。もうかるから山の奪い合いになる。それに通産省の連中までが参加しておる。東大の演習林の所長までがこれに参加しておる。もうてんやわんやです。こういう状況だから、そこから発生するけい肺病患者に対する対策などは全然考えられていない。いわんや旭、日本板、セントラルの会社が、このけい肺病患者に対して何かやってくれたか、全然聞いたことがない。見舞いにも来ない。それを十年や二十年はおろか、三十年もほったらかしてございますね。何ぞおやりになったことはありますか。将来何をやろうとしていらっしゃいますか。ここらあたりをはっきり承りたい。願わくば、未来永劫になおらない、行き先は墓場だと言っている人たちに、せめても生きる希望を与えるようなことばなりとも与えてもらいたい。労働省、通産省、厚生省でどなたか見舞いに行かれた人がありますか。今度の健康保険その他の関係で、ここの患者の費用までがまた削られようとしておる。自前で行かなければならないようになっておる。自前の費用がふえている。だから健康保険改正反対というのは無理はないでしょう。そこらのところをどう考え、将来どうしようとしていらっしゃるか。これをおやりになることはエコノミックアニマルという世界の悪口を除去するゆえんになるではないか。 第二番目。もう時間がありませんから、全部言っちゃう。もう一つ二十年もおくれておることを言います。ポックリ病というのを御存じでしょうか。胸しぼり病というのを御存じでしょうか。通産省に聞いてみよう。どういう病気です。公害部長、これだけ答えてください。何が原因で、どういう病気か。
○森口政府委員 残念ながら知りません。
○加藤(清)委員 けっこうです。知らぬことがけっこうではありません。やむを得ません、あなたはまだおなりになったばかりだから。秋山軽工業局長を御存じでしょうか。――十何年前ですが、あの方が軽工業局長のときに、私は再三にわたってこの問題を取り上げて、いまだに対策がとられていない。原因は何か。火薬製造過程において、かつってはニトログリセリンを使っていたけれども、生産性の向上と歩どまりのよさでニトログリコールに変えた。その結果は胸しぼり病、ポックリ病、ある日ぽっくり死んじゃうからポックリ病という名がつけられた。しかし、まだこれは公害病としての認定その他は遅々として進んでいないようです。 〔島本委員長代理退席、始関委員長代理着席〕 やはりここにも生産性の向上のためには人間を犠牲にしてもやむを得ないということが行なわれているようです。名前を言いましょう。名字が一字で名前が三字の大ものがおる。これが通産省になぐり込みをかけるというと、事は簡単に埋没してしまうようでございます。これでは第一条が泣きはしませんか。総理大臣が本会議でどんなことを述べても、こういう具体的事実を見ますと、法律は無視され、人間優先であるとはいうものの、産業優先が事実行なわれ、エコノミックアニマルである。そういう結論を外国から与えられて、ペナルティーをとられてもやむを得ないということになります。このポックリ病、胸しぼり病、これについてどうなさる。 三つ目、セメント製造工程については、ガラス、石炭、鉱業と同じように、けい肺病がありとだれだって推定しておるが、セメント製造工場でそういう調査が行なわれたことがありますか。ありませんか。ないです。病気はあってもみな別の併発余病の名をもって葬り去られている。名前をあげてみましょうか。津久見の小野田セメント、これはだれか調査したことがありますか。おかかえ医者の報告だけでは真実からほど遠いものがある。佐伯市の日本セメント、どなたかお調べになったことがありますか。ここらの閉塞性の呼吸器病、これはどうなってますか。全部葬り去られておる。まだけい肺病で収容される方はいいほうなんです。全部別名儀をもって葬り去られておる。いわんや職業病その他の恩典には何ら浴していない実態です。私は現地を調査いたしました。こういう点などをあわせて考えていただきまして、至急に対策をとっていただきたい。本日お答えをいただこうとは思いません。それは無理でしょうからね。いずれ近いうちに確たる御答弁をいただきたいということをお約束いただきまして、私は関連ですからこれで終わります。何か答弁があったらどうぞ……。
○北川説明員 じん肺につきましては、けい肺を含めまして、先生御承知のように昭和三十五年に法制定されまして、いわゆる有所見者を管理第一から管理第四に分けて、治療の必要な者を管理、第四にしております。そういうことで、じん肺は職業病としては一番古く、かつたいへんむずかしい問題でございますので、それなりに取り組んでおりますが、先生御指摘のように、決して十分と思っておりません。ただ、この前もじん肺審議会で、じん肺審議委員の先生方からいろいろ御意見をいただきましたけれども、離職後の健康管理等についてさらに前進すべきではないか。あるいはじん肺発生の指定をしております事業の範囲を、もっとふやすべきではないか、こういう意見もございますので、この七月にさらにじん肺審議会を開きますが、その際に、こちらとしても腹案を一応つくりましておはかりをしていきたい、こう考えております。 なお、セメントにつきましての御指摘でございましたけれども、われわれの現行法体系のもとでは、じん肺法施行規則の「粉じん作業」の中に別表第一というのがございますが、それの第十六項にセメント製造以下の事業を粉じん作業に指定をいたしております。それからなお、セメント製造業についてじん肺の特殊健康診断もいたしておりまして、こういうような実績がございます。ただ御指摘のように、企業内でじん肺の診断について、あるいは不徹底であるというようなことがあるかもしれませんが、その辺のことは十分調査をいたしたいと思っております。 それからもう一つ、ポックリ病患者については、ニトログリコールが原因でございますけれども、これは先生御指摘のような病気が出てまいりまして、われわれとしましては、これもややあわててというような気味がございますけれども、昭和三十五年にニトログリコールの中毒の予防対策をつくりまして、たしか関係会社、三会社の四工場と存じますが、これらに対してニトログリコールの配合物あるいは設備の改善、健康診断の実施等を指導いたしております。これにつきましても後日詳しく御報告申し上げたいと思います。
○始関委員長代理 岡本富夫君。
○岡本委員 私は、きょうは騒音の対策について質問をしたいと思います。 そこで、公明党で四十四年の十月の一日から十日間、全国一斉に総点検を行ないましたが、その公害の種類の中で騒音、振動、この被害意識の調査の中で、それが全体の四〇・三%、それから騒音、振動の中では、今度は交通騒音が五〇・〇六%、こういうように騒音でもって被害を受けている人たちが非常に多いということを示しておるわけでございますが、そこで私が前国会で内田厚生大臣に、交通騒音の規制を法制化しなさい、こういうふうに約束させまして、厚生省のほうでは、その後騒音に係る環境基準の設定についての第一次答申を、四十五年の十二月二十五日に受け取っておるはずですが、この環境基準設定については、前国会でも、この三月末に環境基準を決定する、こういうように政府のほうは答弁しておりますけれども、まだできておらない。これについてきょうはまず質疑をしたいと思うのです。総理府のほうではどういうふうに考えておるのか、またこの環境基準の決定はいつするのか、その見通しについて答弁をもらいたいと思います。
○竹谷説明員 公害対策本部の竹谷でございます。 十二月の末に、厚生省の生活環境審議会から答申がございまして、それを受けまして、一月の中旬に厚生省の原案を私のほうにいただきまして、各省と意見の調整を行なっているわけでございます。 それで、問題といたしましては、現在の自動車構造の技術水準をもってしましては環境基準を達成することがなかなか困難であるというような点から考えまして、その達成の期間とか、あるいはまたその方策につきまして、現在関係各省と意見の調整を行なっている次第でございます。
○岡本委員 そこで、この生活環境審議会の答申を尊重するのか、あるいはまたその答申を尊重しないのか、これは時間がありませんから率直に答えてもらいたい。これは厚生省、それから建設省、運輸省、警察庁、こういう順番でですね。
○曾根田政府委員 環境基準についての生活環境審議会の答申は、原則として十分尊重いたす考えでございます。
○石川説明員 建設省といたしましては、騒音の環境基準につきましてはもちろん尊重する考えでございます。ただ、いま竹谷さんからお話がございましたように、特に道路騒音につきましては、現在ある種の道路につきましては非常に騒音レベルが高いのが実態でございまして、その辺についての騒音を低めるための実現手法、これにつきまして十分検討した上で、そういう環境基準が設定されるということを希望いたしておるわけでございまして、その点についての実情等につきまして、現在各省、特に総理府と折衝中という状況でございます。
○竹岡説明員 警察庁といたしましては、騒音につきましては、この環境基準を基礎といたしまして、厚生省令、総理府令で知事のほうの行政基準がさらにきまります。その行政基準がきまりまして、われわれのほうの道交法の措置をとるということが発動されることになると思います。現在の環境基準の案を見てみまして、われわれも当然これを尊重しなければならぬと思います。ただし、警察のほうのとれます措置は、騒音対策のためには、徐行をさせるなりあるいは車を迂回させるなり、あるいは交通路を開くために大型の通行禁止等、こういう措置をとるべきだと思っておりますが、問題は幹線道路におきます騒音基準が、われわれのほうの措置だけで幹線道路の交通路を開くとか、あるいは徐行とか、そういう措置がはたして十分とれるかどうか。これは今後の知事の行政基準等々もあわせまして検討してまいりたい、このように考えます。
○隅田説明員 運輸省といたしましては、答申の考えはもちろん尊重するつもりでございます。ただ、つけ加えさしていただきますが、ただいまの警察庁の御答弁にもございましたとおり、車両の構造上の技術から者しまして、直ちに自動車がどんな使い方をされてもあの環境基準に合うような形に現在の段階ではまだ技術が到達しておりません。そういう意味では、交通規制あるいは道路構造、こういうものの協力をまたないと、現在直ちに環境基準に合うということは、自動車の構造上からはなかなかむずかしいと思います。将来この環境基準の達成目標の時点までにできるだけ技術を促進して、その方向に進みたいと思っております。
○岡本委員 それで、この生活環境審議会の答申案を見ますと、やはりこの環境基準は、騒音の影響から人の健康を保持し、さらに生活環境を保全する観点から定められたものである。公害対策基本法もつくられ、また改正され、また昨年の公害国会では十四の法案も通った。この騒音は、騒音によって直ちに人命に大きな影響があったというようなことがないから、非常におろそかにされておるという意見もありますけれども、最近では、学者のいろいろな騒音に対するところの人体障害というものが、次々と発表されているわけです。 そこで文部省に聞きますけれども、騒音によるところの児童の人体障害のそういったところのデータ、それはすでに出ていると思うのですが、それをここでひとつ発表してもらいたいと思うのです。
○栗山説明員 私ども、昭和四十二年から公害対策の研究会を省内に設けまして、いろいろと検討を行なっております。いろいろの問題がございますけれども、騒音が児童、生徒に及ぼす影響の一つの例を申しますと、要するに教室の中の明瞭度のテストを行ないました。それによりますと、騒音が大体一デシベル増すごとに、一%くらいの割で明瞭度が落ちるというようなことが出ております。そのほかにもいろいろなテストがございますが、ここでやりました、たとえば要するに非常に騒音になれた地区にいる子供たちが、わりあいに騒音の多い学校に行っている場合と、非常に騒音になれていない、たとえばごくいなかに住んでおって、たまたま高速道路などが近くにある学校に行っているのとでは、だいぶ差があるということがはっきりしております。そういう意味で、騒音に対して私どももいろいろとそういう面の研究を今後も進めてまいらなければならぬと思っております。一例を申しました。
○岡本委員 非常にあれですね、あなたのいまの文部省の答弁というのは。日本音響学会ですか、ここで学校、病院におけるところの交通騒音の影響についてこまかいデータを出しておる。いまのようなそんな簡単な答弁で終わりだということではならないと思うのです。もう少し言語障害あるいはまた難聴ですか、こういうようなところのいろいろなデータが出ているでしょう。
○栗山説明員 私どもが研究してまいった大きな問題は、学習の効果と騒音の影響ということを中心にしてやってきました。 そのやり方としましては、まず児童、生徒を対象にしたアンケート調査というものを用意しまして、それによってまず児童、生徒の意識調査をやりました。 その一つの例でございますが、要するに騒音の種類でどういう騒音が一番気になるかというような聞き方をしている。それから時間帯でございますが、午前、午後どちらが気になるかというようなことを検討しております。 それからその次は授業の形態ですね。つまり通常の講義形式の形態、小集団に分けての学習活動、あるいは学級全体として討論しているといったような、その他にもございますが、授業の形態別に騒音がどの程度に影響があるかといったようなことについての調査を行ないました。さらに学科目、教科目によって差がどの程度あるかということの検討も行ないました。それからさらに、騒音によって、先生が声を大きく出すためにどういったような問題点があるかといったようなことも一応調査をいたしました。 それから今度は教室内における机の配置、つまり教室の形態あるいは机の配置形態、そういったようなものとの関連がどういうふうになっているかといったものも調査をいたしました。それからそれを総合しまして、どういうときに非常に気になるか、どういうときに気にならないかといったようなことを調査をいたしました。 その結果でございますが、私どもいろいろと心理学者その他にお願いしてやったのでございますが、学習効果と騒音との関係というものを明確に出すということはなかなかむずかしいというのが大体おおよその学者の御意見です。ただし、とにかく騒音がじゃまになるということはわかっても、それがどの程度にじゃまになるかということはまだまだなかなかすぐには答えられないということがいわれております。 そこで、先ほどの教科目によってどういう影響があるかというのですけれども、それについて言いますと、たとえば非常に精神的に神経を使って考えなければならぬといったような科目、たとえば作文を書くとか、算数で応用問題を解くとか、そういったようなものについてはやはり非常に気になる。 それからもう一つは、国語で先生の話を聞くといったようなものはたいへん気になる。しかし、理科の実験をしておるとか、家庭科の実習をするとか、そういったような教科については比較的気にならないというような結果が出ておる。そういう調査を昭和四十三年以来引き続きやっております。
○岡本委員 次に厚生省に、騒音によるところの人体被害調査、たとえば生活環境審議会では、五十五ホンをこえると人間は尿中ホルモン成分や血球数が変動するなど生理的影響が生じ生活上好ましくない、こういうような判断をした答申といいますか、意見が出ておりますけれども、厚生省では騒音についてどういう人体被害があるかということを研究をしておるのかどうか、その結果をひとつ発表してもらいたい。
○浦田政府委員 ただいま先生のほうから御指摘のありましたような報告も含めまして、生活環境審議会の騒音環境基準専門委員会におきまして、内外のいろんな文献を集めまして、それをもとといたしまして今回の基準案の策定がなされておる。私どもとしては、それによっていろいろと騒音の人体に対する影響についての知見を得ておるわけでございます。また、これは主として労働衛生関係になるかもわかりませんけれども、既存の工場あるいは交通その他の騒音の強さによります、これは主として生理的、むしろ器質的な変化でございますが、これらについての知見も勉強しておるところでございます。たとえば騒音が物理的にも非常に強い場合には難聴障害、ことに特定の振動数に対しまして、耳のその部分に対応する聴力が欠損していくといったような事実、それから騒音が物理的にそう強い状況でなくても、先ほど指摘されましたように、尿あるいは血中にいろいろな変化が起こってくるといったような事実その他についてでございます。
○岡本委員 文部省、それから厚生省のいまの意見を聞きましても、この騒音によるところの人体被害調査、これをいまやっておるわけですけれども、こういった騒音、振動によるところの被害が非常に多い。したがって、どうしても環境基準をきめなければならぬというわけで答申が出されたわけでございますけれども、特に、またこの答申を見ますと、道路交通騒音、これが一番中心になっているわけですが、答申を尊重するといいながら、先ほど建設省に聞きましても、現在の技術では無理だとか、運輸省も現在の技術では無理だ、こんなことを言っていたら、結局これは騒音規制ができないんじゃないですか。やる気がないからできないわけであって、やる気があればこれはできるわけです。この答申に出てきたところのこれに合わして、どういうような面をどういうふうに改革すれば、この環境基準に合わした行政指導ができるのか、これについてひとつまず建設省から答えてもらいたい。
○石川説明員 先ほどお答えいたしましたように、特に幹線街路につきましては、現在の騒音レベルが非常に高うございまして、この基準と相当な乖離を生じておることは事実でございます。これを改善するためには、いろいろな手法が総合的になされなければならない現状だと思います。われわれとしても、そういう面に向かって努力することは当然でございます。一つは、建設省の考えでございますが、道路構造を、騒音をできるだけ発しないような道路構造につくるというふうな建設省側の問題、それから先ほど警察庁からお答えがありましたが、交通規制を徹底するというふうな問題、あるいは自動車の構造改善によりましてエンジン騒音を少なくするというふうな問題、いろいろな手法があるわけでございます。あるいはそのほかにも沿道の土地利用規制を徹底するというふうなことによりまして騒音を防止するというふうなことがあるわけでございますが、そのいずれの問題を取りましても非常に大きな困難性と申しますか、あるいは問題点というふうなものが含まれているわけでございますので、現在われわれそういったものにつきまして、具体的にどうすればこういう騒音が低下できるのか、そういう面についての検討を続けておるわけでございます。したがいまして、そういう検討の上に立って環境基準が設定されるということが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○岡本委員 厚生省のこの生活環境審議会の答申は、やはり人の健康のほうから出しているわけですよ。だから産業が発展して、そしてその発展の調和という意味のものではないわけです、いまの基本法の精神から見ましても。ですからいまこの環境基準をきめるについて、一番反対しているのは建設省だというように報道されておりますけれども、もっと協力的な立場、あるいはまたそうした人の命を一番大切にするという立場から検討を加えなければ、何か幹線道路はぐあいが悪いなんということになれば、結局この答申は骨抜きになってしまう。尊重するといいながら尊重しないことになってしまう。それについていつごろあなたのほうは検討を終わり、そしてこの環境基準をきめるについて、いつごろまでにどうするかというプランあるいはまたスケジュールは立っているのですか。
○石川説明員 建設省、非協力だというふうなことでございますが、決してそういうことではございません。われわれ環境基準をきめる以上は、それを達成するある程度のめどを立てなければいかぬだろうというふうに考えておるわけでございまして、先ほど申し上げましたようないろいろな面につきまして、そういうめどを立てるべく、現在いろいろな面からの検討をやっておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、いろいろな道路構造でございますとか、交通規制、これは建設省ばかりの問題でございません、交通規制の問題でありますとか、あるいは自動車の構造改善というふうな問題、どれ一つとりましても、非常に大きな困難性なりあるいは問題があるわけでございます。産業と経済といいますけれども、必ずしもそうではございませんで、現在のマイカーの普及状況というふうな状況から見ますと、やはり一つの環境基準を達成するためにいろいろなことをやります場合に、それが当然はね返っていろいろな問題が生ずるというようなのが実態であろうと思いまして、そういう面での検討をいま盛んに総理府のほうとも詰めまして、早急にその結論を出したいというふうに考えておるわけでございます。
○岡本委員 この答申を見ましても、いま直ちにこれを当てはめるというのではなくして、五年というような目標があるわけです。そうすると、たとえば幹線道路には防音壁を設けるとか、あるいはまたバイパスになったものに対しては、下に吸音板をつけるとか、いろいろな研究があってしかるべきではないかと思うのです。またそういった面でこの環境基準に近づけていこうという姿勢あるいはそういった研究、そういうものが非常におくれておるんじゃないか。そして厚生省のほうで環境基準をきめようとすると、反対している。それではいつまでたってもできないですよ。しかも、山中総務長官ですか、当時の、いまもそうでしょうが、公害対策副本部長が、これは三月に閣議決定して実施しますということを約束しているわけです。その約束をできないのはどこにあるかといったら、建設省、そっちから横やりが入っているからできないわけです。総理府のほうでは大体いつごろをめどにしてこの環境基準を決定しよう、こういうように考えておるのですか。
○竹谷説明員 公害対策本部といたしましても、できるだけすみやかに環境基準を閣議決定したいということで、関係各省、特に現在建設省と折衝中でございます。できる限り早くつくりたい、このような希望を持っておるわけでございます。
○岡本委員 三月に閣議決定したいというあなたの親方、要するに公害対策本部の副本部長、これは結局約束違反だね。そうとっていいわけですね。
○竹谷説明員 対策本部といたしましては、最初に三月末を目途といたしましていろいろと各省と折衝いたしましたが、ただいま各省から申し上げましたように、実現につきましていろいろ問題点がございますので、若干延びている次第でございます。
○岡本委員 若干というのはどのくらいになるのですか。
○竹谷説明員 一カ月余りになります。
○岡本委員 そうすると、あなたのほうで取りまとめをするんだけれども、公害対策本部では、大体いつごろをめどにしてこの環境基準をきめようということになっておるわけですか。これはいつまでも建設省が反対する、どこそこが反対するから調整がつかぬ。このまま一年も二年もほっておく。ですから、もう少し主体性を持って、大体いつごろというようなめどを立てて、そして各省に検討させなければ、これはもう結局騒音の環境基準はできない、流れてしまう、われわれはこういう懸念を持っているわけですが、その点についてどうですか。
○竹谷説明員 今後とも各省と連絡を密にいたしましてすみやかに閣議決定をしたい、かように考えておるわけでございます。それで、基本的には建設省のほうも環境基準を維持していこうということについては変わりございませんので、そういった点でもって、また建設省のほうともいろいろ論議していきたい、かように考えているわけでございます。
○岡本委員 大体これはいつごろをめどにしておるのですか。すみやかに、すみやかにというて、大体あなたのほうではいつごろをめどにしてまとめようという考えを持っているのか。
○竹谷説明員 ただいま建設省のほうからも話がありますように、現在検討されておりますので、 〔始関委員長代理退席、山本(幸雄)委員長代理着席〕 そういった点をあわせて検討が終わり次第、また私のほうもすみやかに建設省と折衝して早くやりたい、かように思っています。意見の調整でございますので、いつまでということはなかなか申しかねますけれども、できるだけ早くやりたい、かように考えているわけでございます。
○岡本委員 そんなことでは、大体総理府のほうはもっと主体性をもって、いつごろまでにやれというようにしなければ、これは考えておるだけではできませんよ。生活審議会もかんかんになって、強硬に申し出るというような意見も出ている。 この公害対策について先ほども話したように、半分、四〇%から五〇%に近いところの苦情があるわけですね。そしてもっとこまかいことをたくさん言いたいけれども、夜も寝られないというようないろいろな問題がずいぶん出ているわけです。ちょうどあの万博会場のときには、騒音を気にしてとうとう自殺したというようなこともあった、そういうことを考えると、もっと強力にひとつ各省を指導して、ただ意見の調整だけではならないと思うのですね。 しかも、もう一つ、私はあなたに言うておきたいことは、骨抜きにならないこと、答申を尊重するというんですから、骨抜きになったようなことにならないようにひとつやってもらいたい、これだけを申し入れておきます。 そこで、時間があれですから、運輸省に、この間騒音規制法を検討したときに、当委員会の決議として付帯事項をつけておいたのですが、新幹線騒音の問題について、この間はまだ非常に資料が少ない、そういうようなことで、新幹線騒音はこの騒音規制法から抜いたわけですけれども、今後どういうような資料をこしらえ、そして今後どういうようにこの新幹線騒音の規制を行なうのか、これについてひとつ対策と見通しを聞きたい。
○信沢説明員 新幹線の騒音につきましては、先生御指摘のとおり、先般の国会で附帯決議によりまして、できるだけすみやかに現在の鉄道営業法その他関係法令中で騒音を規制するようにしなさい、それから技術開発を今後して、その成果をもとにしてなお規制をしていきなさい、こういう御決議があったように伺っております。 私ども、現在東海道新幹線を開業いたしましてからも、相当騒音による陳情その他も承っておりますし、東海道新幹線につきましては、技術的に可能な限りの手だてを打ってまいったわけでございます。今後、山陽新幹線あるいは全国の新幹線の建設というものも出てまいりますので、現在考えております点は、一番騒音の原因になります軌道の構造を、騒音が出ないようにロングレールを使用いたしましたり、ゴムのパッドを使いましたり、あるいは鉄げたというのが騒音の非常に大きな問題になりますものですから、鉄げたの場合には、なるべく鉄げたを使わないようにコンクリートのけたにする。あるいは車両のほうでまいりますと、車両のスカートを長くいたしまして、車両の機器その他から漏れる音が少なくなるようにする。それからもう一つ、これは本質的な解決ではございませんが、線路の横に防音壁その他を設置していく、このようなことを考えているわけでございますが、これらにつきましては新幹線の構造規則でできるだけ早急にそういうものを設置していくということで現在検討しておりまして、なるべく早い機会に私どもの法令上にもそういう規制を設けていきたい、かように考えております。
○岡本委員 病院があって、そこを新幹線が通る、そのための買い取りができなかったが、結局騒音で、病院自体が移転をしたというようなところもあるわけですね。ひとつ強力にこの新幹線の騒音については、きょうは時間がありませんからもっとこまかいことを言いたいのですけれども、やってもらいたい。 そこで、次に警察庁に、ちょっと話がもとへ戻るのですけれども、この騒音防止の、交通騒音の昼間と朝夕と夜間、こういうように三段階に分かれての規制が行なわれるようになっておるわけですが、これの取締法、こういうのをもうすでに研究をしておるかどうか。 もう一つは、神戸-大阪間に阪神高速があるわけですが、そこに万博のときに上にバイパスができたんですね。そのために下の騒音が非常にこもってみんな困っているわけですが、そういった場合の、たとえば下をいまトラックがどんどん通る、このトラックを上に回すとか、そういうような規制もやるようなことを考えておるのかどうか。 この二点について、ひとつ警察庁の見解を聞きたい。
○竹岡説明員 自動車騒音防止のために警察が行ないます交通規制は、先ほど申しましたように、たとえば病院や学校あるいは住宅地域、そういうところが特に夜間騒音が非常に激しいというような場合に、たとえば大型車両は何時から何時までこの道路を通ってはいけない、あるいはすべての車につきまして徐行の規制をきめるとか、こういう規制を行ないまして、その規制に違反する車に対しましては十分われわれは取り締まりはできる、このように考えております。 なお、御参考までに申し上げますと、われわれのほうの警察の騒音防止のために行ないます交通規制につきまして、先ほど少し話が出ましたけれども、この環境基準あるいはこの環境基準を基礎にして定まります知事の行政基準、このときに一番われわれが頭を悩ましておりますのは、幹線道路の一日五万台あるいは六万台、たとえば先生御承知の神戸なら神戸の国道二号、こういった場合の自動車騒音が、現在でも御承知の東京都の近くでありましても東京の国道一号あるいは四号、こういった幹線道路は大体七十五ホンをこえておりますから、こういった場合に、これが全部こえておるから警察の規制でやれるかどうかといわれました場合に、この幹線道路の交通規制が非常にむずかしい。交通規制だけではたして騒音防止はできるかどうかという点を、われわれも今後の検討内容として心配をしておる点でございますが、規制を行ないます以上は、われわれは十分取り締まりができる、このように考えております。
○岡本委員 次に、航空局長、いま非常に住民が心配しておりますのは、関西新空港の問題ですけれども、先国会にもこの点を質問いたしましたけれども、神戸沖に空港を建設するというような予定も出ておるわけです。それがもしもできますと、阪神間に相当騒音がまき散らされるのじゃないかということで、非常に心配しているわけですが、神戸沖にはつくらないということが確約できるかどうか。これは非常に心配な面がずいぶんあるわけです。たとえば西宮に対しては、あの飛行場の姿から見れば三分ぐらいでさっと入ってくるわけですからね。そういう点についてひとつ………。
○内村(信)政府委員 ただいま先生御質問の関西新空港の問題でございますけれども、非常に端的な御質問で、神戸沖につくらないと言明できるかという御質問でございますが、しかほど簡単に言明はできかねるのが実情でございます。と申しますのは、新関西空港につきましては、現在の伊丹が次第に詰まってまいり、どうしても早急に新しい空港をつくらなければ需要をさばききれないということは御理解いただけると存じますが、そういった御理解の上に立ちまして、どこかにつくらなければいかぬということで、私どももいろいろ苦心をしながら、神戸沖も含めまして大阪湾一帯につきまして種々調査を行なっている段階でございます。したがいまして、先生御指摘のように、絶対にここにはつくらぬというふうな段階ではございませんけれども、ただ申し上げられますことは、その際一番問題なのは騒音であろうと思います。騒音につきましては、これを海上につくる場合には少なくとも陸岸から数キロ離し、陸岸と平行に滑走路を置くというふうな方法をとりますと、陸岸にはほとんど騒音の影響がなくて済むのではないかというふうに考えます。したがいまして、こういった空港の位置あるいは滑走路の方向等を考えます際に、そういった点は十分考慮いたしまして、民家に騒音の影響が及ばないようにということをよく考えながらその点に努力していきたいというふうに考えておりますので、この点どうぞ御了承いただきたいと思うのでございます。
○岡本委員 これは非常にみなの注目しておるところでありますけれども、ではいつごろこの関西空港の決定をするのか。同時に、神戸沖は、地理的に見ましてもあなたのほうのいろいろな地図を見ましても、どうしても阪神間に相当影響があるということが予想されるわけです。したがって、これは、どんなことがあってもやってもらったら困る、私はこう申し入れておきますけれども、大体いつごろ決定をするつもりにしておるのか。
○内村(信)政府委員 現在まだ調査の段階でございますのでいつごろとはっきり申し上げられませんが、おそくとも四十六年中にはきめたい、しかもそれもなるべく早い機会にきめたいというふうに考えております。
○岡本委員 時間があれですから、次に労働省にお伺いいたします。 安中のカドミウム中毒について、新聞報道あるいはあなたのほうから提出してもらった東邦亜鉛の安中製錬所についての報告書の中に、現在カドミウム中毒の人はいないというような結論を出しておるわけでありますけれども、先般私どもが調査しました中村登子さんにつきまして、この調査団の報告書では非常にあいまいである。また、たとえば一つの例をとると、その当時のカドミウム箔をつくった姿を再現しているんだ、こういうことがありますけれども、私どもがこの工場を調査したときは、当時の機械も何もありません。そういうことを考えますと、どうもこれは非常にあいまいであるというように思うのですが、これはそういったものの結論ではない、ただ現在の作業においてカドミウム中毒を起こすと思われることがないということなのか。この点についてひとつはっきりしてもらいたいと思います。
○北川説明員 二月一日に国会で中村登子さんの事件が問題になりまして、私たちがそのときにすぐ着手しなければならないと思いましたことは、現に安中の製錬所で働いておられる方の職場環境がどうであるか、あるいは中村さんと同じようなカドミウム箔作成の作業を行なった方を含めていま働いておる方の健康状態はどうか、この二点の把握が必要である。こういう結論から二月十五日に、先生いま御指摘の報告書をおつくりになりました先生方に調査をお願いいたしまして、二月十八日、二十日あるいは三月四日、五日、三月十一日、十五日というように数度にわたりまして現地調査をしたのが、先般新聞等にも報ぜられました報告書の中身でございますが、この中身は最初の目的に申し上げましたように、いまの設備の状態でカドミウムの気中濃度はどうであるか。そういうものの確認をし、かつ現在働いておられる方の健康状態はどうであるかということを調べたものでございまして、いまの設備、環境のもとでは、気中濃度は、私たちがきめておりますカドミウムの抑制濃度以下である。ただ、過去にそれがそうであったかどうかということについては、調査団の先生方も、われわれの調査の限りではということを強調しておられまして、過去のことについては何ら触れておりません。 それから現在働いておられる方につきましても、報告書にございますように、いままで医学的に典型的な、定型的なカドミウムの症状の労働者はいなかった。ただ、この報告書にもございますように、十ガンマ以上尿中からカドミが検出される方が二十一名もおられたということは、既往においてカドミの曝露を相当受けておったのではないかというような御判定もございますし、また一般の建診の中でやはりいろいろな症状が見られております。したがいまして、そういう点については今後なお検討をしたいというのが報告書の中身でございまして、中村登子さんの事件について何らこの報告書は結論を出したというものではございません。
○岡本委員 では、はっきりしましたから、今後労働省としてはどういう対策をとるのか。研究班を発足させるとか、そういうこともまたやるのか、それについてひとつ……。
○北川説明員 まず一つは、いままで行政指導でやっておりましたカドミウムの気中濃度を、法的にはっきりしたいと思っております。これも五月一日に、特定有害物等の障害予防規則の中でカドミウムの気中濃度を一〇〇マイクログラム・パー・リットル、こういうふうにきめました。したがいまして、カドミウム工場につきましては、これからこの基準で徹底してその気中濃度の抑制というものをはかってまいりたいと思います。 なお、医学的問題につきましては、この調査団でも御指摘のようになかなかわからない問題があります。たとえば過去にカドミウムを曝露されたその蓄積がどうなってあらわれるのかとか、あるいは性別にどう違うのか、あるいはこの安中事業所のように、カドミのほかに鉛とか亜鉛のようなものの相互関連的な作用というものがどういうものであるかというような点につきましては、いままで一応カドミについて医学的結論が出ておりますが、それだけで、まだ未開拓の分野が十分あるという関連で、これから職業病としてさらにカドミ中毒を徹底的に究明すべきではないかというのが、この研究会の先生方の御結論でございますので、安中の職業環境健康調査につきましてはこれで打ち切りますが、これらの先生方を中心に、それ以外にカドミウム関連の専門家にもお入りいただきまして、今後カドミウム中毒そのものについてさらに研究班を組織しまして研究を続けたい、こう考えております。
○岡本委員 最後に一言、その研究班には、分析の大家の小林教授や、あるいはまたいままでイタイイタイ病なんかで非常に研究してきた萩野博士なんかを入れる用意があるのか、それについて一つ。
○北川説明員 まだ人選等につきましては現在検討中でございますが、これも厚生省また関係各省等とはからいまして、なるたけ広く専門的な方の御参加をいただいて研究を進めたい、こう考えております。
○岡本委員 終わります。
○山本(幸雄)委員長代理 古寺宏君。
○古寺委員 最初に、経済企画庁いらっしゃいますか。――青森県新井田川水域の水質基準はいつごろに設定される予定でございますか。
○山中説明員 お答え申し上げます。 本日水質審議会を開催いたしまして、水質に関する答申をいただく予定になっております。こういう意味で、告示は手続上大体今月の二十日ころになる予定でございます。
○古寺委員 そこでお尋ねをしたいのですが、青森県の公害審議会におきまして、いままでの県条例の水質基準というものを改定する動きがございますが、これと、今度のこの水質基準の設定との関連性はどうなっておりますか。
○山中説明員 お答え申し上げます。 従来、青森県の公害防止条例の第二条に基づく基準は規則できまっておりますけれども、これは第一水域、第二水域と分けまして、第一水域のほうは非常にきれいな水、それから第二水域というのは一般的に若干工業開発が進んでいる、こういうことになっているわけでございます。 そこで、第二水域のほうが新井田川水域といいますか、八戸水域に入っているわけでございまして、この基準につきましては若干問題点がございまして、前々から青森県当局のほうも検討しているようでございましたが、四月十六日だと思いましたが、このときに一応知事のほうから公害対策審議会、府県の分でございますが、このほうに諮問いたしまして、大体十九日だと思いましたが、公害対策審議会の知事あての答申が来ておりまして、現在事務手続中でございまして、これも早晩青森県条例として発効する予定になっております。 以上でございます。
○古寺委員 今度の県の水質基準の改定の案と、それから今回設定予定の水質基準の案とは同じでございますか。
○山中説明員 お答え申し上げます。 大部分のところは同じでございますけれども、県のほうは、たとえば鉱山保安法の対象工場、鉱山等は対象外になっております。屎尿処理施設等が対象外になっておりますので、そういうのは現在の水質保全法の体系の中に繰り入れられております。そういう県の条例と別個に一応基準はつくっております。一般の製造場、事業場につきましてはほぼ一致しております。
○古寺委員 今度の改定案あるいはおたくのほうで考えている水質基準案でございますが、これを比較をしてみますと、以前の県の水質基準を比べますと、BOD一つをとりましても、いままでの基準の二倍から大体三・三倍、CODの場合には二倍から四・二倍くらいゆるやかになっているわけですが、これで環境基準が守られますか。
○山中説明員 先生御指摘のとおり、一部の業種につきましては、確かに従来の基準より上がっているところはございますけれども、ガス事業等につきましては、また逆にきびしくなっているところがございまして、相殺いたしますと従来の基準とほぼ同じようになる。逆にいいますと、従来の県条例につきましては、一律の基準が制定されているわけでございまして、業種別の考え方というのは全然入っていなかったわけでございます。そういう意味でより前進的に、つまり逆にいいますと汚濁負荷量の多いといいますか、非常に処理しにくいものにつきましては、その業種の実情に応じて若干ゆるくなっておりますけれども、処理しやすいものにつきましては、よりきびしい基準を課すということになりまして、平均いたしまして現在閣議決定予定中であります新井田川水域の環境基準に合致する、こういうことになると思います。
○古寺委員 その環境基準は達成できるわけでございますか。
○山中説明員 お答え申し上げます。 新井田川の一応最下流部につきましては、下水道整備との関連がございますので、五年を若干越える日時が必要かと思いますけれども、その他の水域につきましては少なくとも五年以内に達成する、こういうように考えております。
○古寺委員 次に、これは経済企画庁にお尋ねしたいのですが むつ・小川原湖の大規模工業開発の計画がございますが、この公害対策について、どうなっているかお尋ねしたい。
○広田説明員 むつ・小川原地域の大規模工業開発につきましては、既成の工業地域に起こりましたような公害の発生を未然に防止して、生活と生産とが調和のとれたものとなることがきわめて肝要と考えまして、四十五年度、通産省と県との協力によりまして公害事前調査を行なっております。これは水質に関する調査でございますが、四十六年度も大気について調査を行なう予定でございます。 なお、企画庁といたしましては、自然環境の保護、将来の自然環境はいかにあるべきかということを検討いたしますために、生態学の分野から将来この地域でいかにあるべきかということを研究いたしますために、あるコンサルタントに委託いたしまして四十五年度に調査をいたしておりますが、これも四十六年度以降引き続き調査をいたしまして、将来マスタープランが作成される段階に十分活用いたしてまいりたい、かように考えております。
○古寺委員 事前調査の主体はどこであって、具体的にどういうような事前調査をなさる予定でございますか。
○広田説明員 それぞれ所管いたしております各省及び県でございます。水につきましては、四十五年度は通産省と県が行なっております。
○古寺委員 水は通産省がやる予定になっておるのですか。
○広田説明員 水につきましてもそれぞれ各省の分野がございますので、四十五年度に調査いたしました水質につきましては、通産省の所管する部分でございます。
○古寺委員 いままでも、いろいろ開発が行なわれるたびに、事前調査というものを行ないました。これは、科学的に厳密な事前調査が当然必要でございますし、また季節的に、年間を通した調査というものが必要になってまいりますが、そういうような事前調査がいままで非常に安易に行なわれたために、いろいろ公害を発生しているわけでございます。 今回のこの大規模工業開発の場合には、相当大がかりな計画的な事前調査というものが必要ではないか、こう考えるのですが、具体的に、いま申し上げましたように、水質のどういう面はどこがやるんだ、大気はどこが事前調査をやるんだ、そういうような面について、その計画をお尋ねしているわけです。
○広田説明員 四十五年度から四十七年度にかけまして、約三カ年間で大体の調査をいたしたいということでございますが、各省の持ち分といいますか、調査範囲、それから重複するところを調整する作業は、今後煮詰めていきたい、かように考えております。 〔山本(幸雄)委員長代理退席、委員長着席〕
○古寺委員 そうしますと、現段階においては、事前調査の主体というのはどこになるかということはまだきまっていないわけですか。
○広田説明員 現段階の主体は、やはり各省のそれぞれの分野で行なう部分は各省でございます。それから県が行なう分野につきましては県が主体でございます。それぞれに重複することがないよう、また漏れ落ちのないように調整する機能を企画庁としては果たしていきたい、かように考えております。
○古寺委員 そこで、事前調査のいわゆる結果については公表する予定ですか。
○広田説明員 調査の結果が出ました暁には、当然そういうことになろうと思います。
○古寺委員 通産省は、現在水質の調査をやっているわけですが、大体いつごろまでに結果が発表できますか。
○莊政府委員 通産省が行なっております事前調査は、大気汚染の場合にも、水の場合にも、数年先の、予想される重化学工業等の姿をそれぞれの地区について可能な限り予測をいたしまして、その結果、地域全体としてどういう汚染状態が出るか、それを防止するためにはどういう措置が必要かという関連から行なうわけでございまして、この調査の結果がいつわかるか、たくさんの地域がございますので、私いま直接ちょっと申しかねますが、従来からすべての地域についてその結果というものは、通産省でも協力をしてもらう、県でも同時に相当詳細なデータを公表いたしております。青森の場合にも、全く同様なやり方でございます。大体調査にかかりましてから一年以内というのはなかなかむずかしゅうございまして、一、二年かかっておる例が多いわけでございます。と申しますのは、水の場合にも、単なる計算とか、書面の上の検討ということではなくて、水理模型というものを実際につくってみまして、実際にその汚染がどういうところへ具体的にどう出るかというのをモデルをつくってやってみる、いろいろな条件を変えて水を動かしてみてやってみるというふうなところまで実は含めてやるものでございますから、そういう関係で時間もややかかる、こういうことでございます。これはでき次第同様公表をいたします。
○古寺委員 いままでの産業開発の場合には、新産都市とか、あるいは工業整備特別地域とかいろいろな場合がございますが、こういうような結果が発表されていないわけですね。中にはそういう調査が計画にも反映されていないという例がたくさんございます。今度の場合も、事前調査の主体が一体どこなのか、ほんとうは私は水の場合は経企庁がやるべきではないか、こう思うのですが、そういう点について通産省はどういうふうにお考えですか。
○莊政府委員 結局、事前調査を行ないますのは各種工業、特に重化学工業を中心に、新しい大きな工業基地が造成されるというところを重点にやっておるわけでございますので、実際問題としては、先ほど企画庁から各省ごとにというお話がありましたが、これは別になわ張りをわれわれが言っておるわけではございませんで、将来計画というふうなものを一番的確に把握審査できるところが、そういう業種の場合は結局通産省になりますのと、それから、数年先を見ますので、どうしてもその調査の結果につきまして、たとえば石油化学関係でも、この地区で、ある会社というものは一年何万トンがとまりだというふうなそういう指導をやる。将来、法的な許可を、石油業法とか、あるいはその他の法令に基づいてやります場合にも、あらかじめそういう指示しておる線と矛盾しないように十分チェックしながらやるというところまで実はつながってまいるわけでございます。 そういうことで、通産省の行政の一環としてやっておる。目的は、公害の事前防止という意味でございますから、私ども何も通産省でやらなければいかぬとは決して思っていませんが、過去数年間やってきましていろいろ経験も積んでおる、あとの行政にも直結するということで現在やっております。 今後、環境庁ができましたならば、当然、何も下北の場合でも通産省の所管産業だけが立地するわけではないと思います。都市のいろいろな下水等も出てまいりますし、農林漁業等も当然あるわけでございますから、排水一つについても、総合的な処理ということが御指摘のとおり問題でございますから、環境庁のほうで総合的に各省区処しながらおやりになるということになった場合には、われわれは全面的にその指揮を受けながらやっていく、こういう気持ちでございます。
○古寺委員 そうすると事前調査のほうは、環境庁に移れば一元的に行なう、こういうふうに了解してよろしいですね。この開発の主体はどこになりますか。
○広田説明員 地域開発の主体一その主体の意味でございますけれども、港湾をつくるということであれば運輸省でございますし、工場用地をつくるということであれば通産省ということになりますし、それからそれに接続します生活拠点をつくる、ニュータウンのようなものをつくるということであれば建設省でございますので、それら全体を総称して、それぞれが主体となると考えております。
○古寺委員 それぞれが主体ということはどういうことですか。
○広田説明員 ただいま例をあげました、港湾であれば運輸省が主体ということになります。ニュータウンの建設ということであれば建設省が主体ということになります。道路の建設であれば建設省が主体ということになります。
○古寺委員 その全体的な、そういう調整なり開発の主体はどこなんですか。
○広田説明員 それは当然、県のすべての住民を代表される知事であろうかと存じております。
○小林委員長 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○小林委員長 速記を始めて。 関連して、島本虎三君。
○島本委員 先ほどの答弁の中で、あれは生産と生活を調和して計画を立てるようなことをちょっと聞いたんです。この生産と生活の調和というのは、生産というのは経済ではありませんか。「経済との調和」ということは、基本法にも、単独立法にも公害関係は取ってしまって、過去のものなんです。いまの陸奥湾のやつも、あなた、生産と生活の調和をはかって今後立案するということは、ちょっと重大なことばではないかと思うのです。生産は経済または産業じゃないのですか。これは私ちょっと聞き捨てなりませんので、お伺いいたします。
○広田説明員 ことばが足りませんでしたが、おわびいたします。私が申し上げましたのは、生活と調和のとれた工業基地でなければならない、こういう意味で申し上げた次第でございます。
○島本委員 その点なんですが、生活と何と調和するんですか、産業ですか、経済ですか、生産ですか。生活と何とが調和するのか、それがわからないで、客体がわからないで、ただそれじゃ困るのです。あなたはさっき生産とおっしゃったんです。
○広田説明員 工業基地の活動と工業周辺の住民生活との調和ということでございます。
○島本委員 それは何に根拠を置いて言ったんですか、その調和は。そういうことばはもうないはずです。使ってはならないはずです。あらためてそれをいまこつ然として幽霊のように使い始めたというのは、また去年の暮れの公害国会以前に逆戻りしたのですか。いま陸奥湾のそれをこれでやるとしたならば、つくる産業、つくる経済、これと住民の生活を今度は調和するというのです。十のものと一のものを調和したら五になって、住民はもう五の公害でもがまんせんいということになりかねない。これあたりはちょっと困るので、重大な問題なので、私そのことばではいま了解しません。あとでやりますから、これで終わります。
○小林委員長 暫時休憩いたします。 午後一時五十五分休憩 ――――◇――――― 午後三時十五分開議
○小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。古寺宏君。
○古寺委員 水産庁おいでですか。――新井田川流域の水質の問題でございますが、水産庁は今度のこの水質基準案についてはわかっておられますね。前からも何回も問題があったのですが、今度のこの基準は、いままでの県の基準よりも非常に甘くなっているわけです。ゆるくなっているわけです。この点について水産庁はどういうふうにお考えですか。
○矢崎説明員 新井田川の水質基準の問題についての御質問のようでございますけれども、いままで旧法に基づく県下の条例というのがございまして、今回、さきの専門部会におきまして決定をいたしました水質基準よりも当初の基準のほうが非常にきびしくなっている、こういうことは確かに事実でございまして、実は新井田川地区につきまして特別に新たに水質基準を設定したい、こういうことで、当初県のほうからのお考えが出てまいりました。そのときの原案では、たしか現在の県下一本においてきめられている基準とほぼ同じような基準を設定いたしたい、こういうふうな考え方であったように私どもも聞いております。 もともと水質基準の問題は、その地域におきまして関係者が総意のもとに努力をし、守っていくべき基準でございまして、これについて実行していくということでございますれば、それ自身に対して何も問題はないわけでございます。ただ、当時その辺の県の考え方が出てまいります段階で、水産関係についての格別の相談がなかったというふうなことで、あらためてその辺についていろいろ県の内部でももう一度白紙に戻してこの問題について検討いたしたい、こういうふうな動きが出ておったように聞いております。 そういうことで、私どもといたしましてもできるだけ水質をきびしく守っていく、かつ努力の上で守られていくべき基準であるべきだという考え方から、おおむね今回の専門部会においてきめられました基準のあたりが、その他の地域との関係からいいましても妥当ではないかというふうなことを私どもの見解といたしましても考えておる次第です。
○古寺委員 環境基準が一応答申になっておりますけれども、今度のこのゆるい水質基準でもってこの環境基準が守れるというふうに水産庁はお考えでございますか。
○矢崎説明員 将来新法になりましたときに、さらにどうしていくかという問題はあろうと思いますが、当面の努力目標といたしましては、この線で努力していくことが適当ではないかというふうに考えております。
○古寺委員 その場合に、この目標を達成するために、水産庁としてはその後具体的にどういうふうな対策をお考えでしょうか。
○矢崎説明員 水産加工につきましての公害対策といたしましては、やはりまず適正な水質基準を設定し、これに対して努力をしていくということが当然必要でございますが、ただ何ぶんにも水産加工業というのは非常に零細な企業が多うございまして、今後公害関係の諸施設を整備していく過程におきまして、ややもすれば負担過重ということにもなりかねない問題がございます。 そこで、私どもといたしましては、この基準がきまりまして、これに対し関係者が努力していくという場合に、必要な施設につきましては各種の融資措置等によりまして、これをできるだけ必要な施設が支障なく整備されていきますように、側面的に私どもとしても御協力し努力をしたい。 なお、あわせまして、実は八戸におきましては水産の流通加工センターの建設という計画も進んでおりますので、こういう中におきましてもできるだけその方向で計画を生かしていく、こういうことに対する助成等の道も考えてまいりたい、かように考えている次第です。
○古寺委員 今度のこの水質基準の案は、大企業に対しては非常にゆるいけれども、中小企業に対しては非常にきびしい、こういうような意見が非常に出ておったというんですが、この点については水産庁はどうお考えですか。
○矢崎説明員 私どもといたしましては、そのようには考えておりません。
○古寺委員 企業側代表は、二年後にこの新しい基準が実施されるわけですが、二年後にはとうていこの新しい基準でも不可能である、こういうことを企業側の代表が発言をいたしておりますが、その二年以内に達成できるように、水産庁は財政的な面あるいはいろんな面でこれを達成できるように今後措置していく、そういう自信がございますか。
○矢崎説明員 水質基準の面に関しましては、先ほども申し上げましたように、第一義的には考え方といたしまして、その地区におきます一つの適正な基準を設定し、それに対し努力をしていく、こういうことがまず基本に立つわけでございます。私どもといたしましては、その線に即し、できる限りこれが達成されますように、必要な融資、援助等について努力をいたしていく、こういう考え方に立って、今後地元とも御相談の上で御協力を惜しまない、かように考えている次第です。
○古寺委員 具体的にはこの水産加工工場に対しては、どういうような融資、援助対策をお考えでしょうか。
○矢崎説明員 融資措置といたしまして、すでに既存の融資措置が実はあるわけでございます。 一つには、公害防止事業団によります公害防止施設の造成、譲渡制度、さらにその事業団によります融資事業というものもございますし、それから中小企業振興事業団等によります公害諸施設に対する融資制度というものもあるわけです。こういうものにつきまして、該当するケースにつきましてはこういう既存の施設ができる限りカバーできるようにしていく、これがまず第一に立つ問題であろうというふうに考えます。 それから、さらに漁業サイドの問題といたしまして、これに対し不備があります場合には、たとえば漁業近代化施設の融資対象としてもこれを認めるという方向で考えようということで、現在これも実は検討中でございます。 さらに、先ほどちょっと申しました流通加工センターにおきましても、これは公害防止施設の助成の対象にしていきたいというふうに私どもは考えておりますので、地元の計画が固まってまいりますれば、これも適当なものにつきましてはやはり助成の対象として考えていく、こういうふうなことで各種の措置をいろいろかみ合わせまして、できる限り支障なくいくように努力していきたいというふうに考えております。
○古寺委員 そこで、経企庁にお尋ねしたいのですが、今度のこのおたくのほうの基準の案は非常に妥協的な基準ではないか、県の条例の水質基準をそのまま適用した場合には、非常に現在の工場が今後の経営に支障を来たす、そういうようないろいろな背景から、妥協的な基準ではないか、こういうふうにいわれているのですが、そういう点についてはどうでしょう。
○山中説明員 お答え申し上げます。 私ども別に妥協的なということは全然考えておりませんでして、先ほど水産庁からもお答えございましたように、一応環境基準をきめますときに、新井田川は現在ほとんどサケがのぼれなくなっておりますけれども、それをサケがのぼれる水質にしていくのだ、こういうようなことを念頭に置きまして水質基準をきめたわけでございまして、そういう意味で水産加工のほうは大体現在は新井田川水系は、二十六トンぐらいBOD負荷量があるわけでございますけれども、これを九トン程度まで減少させる、そういうふうにいたしまして、大体BODが五ぐらいにしかならないわけでございまして、残りは下水道を整備いたしまして、一応BODは一二以下にするというふうな目標を立てておりますので、公害防除については非常に前向きな基準だと一応考えております。
○古寺委員 ちょっといま聞き漏らしたのですが、負荷量は何トンとおっしゃったのですか。
○山中説明員 BODで現在二十六トンでございます。それを九トンまで減少いたしたい、こういうふうに一応考えております。
○古寺委員 そこで、県が県の水質基準を定める場合に、これについては当然経企庁のほうからも指導があったと思うのですが、その点についてはいかがでございますか。
○山中説明員 一応、県は県の独自で一応の案を考えていたようでございますし、私どもも私ども独自の案を考えまして、全く一致したということはちょっと語弊がありますけれども、大体妥当な線といいますか、技術的な限界の線というのは各業種別で一致しておりますので、若干の調整はいたしましたけれども、大体一致しておりましたので、大体その線で行こうじゃないかということになったわけであります。
○古寺委員 その県の、前の水質基準と、国の今度お考えになっている水質基準案との非常に大きな開きですね、これは一体どういう理由でしょうか。
○山中説明員 休憩前にも御説明申し上げましたように、県の基準というのは、全業種一律ということで一応従来設定されておりまして、その設定の基礎については私どもよく存じ上げておりませんけれども、別の東北のよその県の条例を参照してつくったと聞いております。その参照された県も、一応現状と非常に遊離しておるということから、早急に改正されたようでございまして、もとのお手本のほうが改正されておりましたけれども、青森県のほうが改正されてなかった。そういうことで、先ほど先生御指摘の水産加工等のほうにもほとんど実現不可能な数字になっておりましたので、その辺を一応若干ゆるめる。そのかわりガス事業あるいは鉄鋼業あるいは非鉄金属業等については、よりきびしい基準でやっていく、こういうふうに若干弾力性を持たせまして、処理技術等々勘案してきめております。 以上でございます。
○古寺委員 ちょっとおかしいんですがね。新聞の記事によりますと、県の水質基準を国の基準に合わせようというのが今回の県の公害審議会のねらいである。「二十一日までに基準を設定しなければ八戸の新井田川が、国の水質基準指定水域から除外されるということもからんでいる。」こういうふうに新聞には書いてあるんですね。経企庁としては、こういう問題についてどういうふうに指導しているんでしょうか。
○山中説明員 私ども従来県のほうの条例の設定のときに、直接タッチしたことはなかったわけでございます。そういう意味で、県独自の判断で従来から県条例ができていたわけでございます。 また、公害問題につきましては、各県とも非常にふなれな面がございまして、一応さきほど申しあげましたように、青森県もこういった実情を調査せずに、よその県がこういう数字できめているからということで参考的につくった条例であるという面がございまして、実情を各業種、業態に応じまして最大限の努力を払って、どこまで下がるか。つまり公害行政で、公害問題につきまして前向きに取り組んだ場合にどうなるかというふうなところの検討がなされていなかったのではないか。こういうのは前々からわれわれも指摘しているところでございまして、県のほうもこういう点をよく認識いたしまして、本年に入りましてから一応どういうふうな数字にしたらいいかというのは、県独自でも考えておられたようでございます。 最終的に、私どもも、一応この基準案の審議のほうも煮詰まってまいりまして、大体どういうふうになるかということを県のほうにも御照会申し上げまして、その照らし合わせた結果、大体考えるところは同じではないかというふうなことになったようでございます。 以上でございます。
○古寺委員 非常に汚染が進行しておりますよ。それがその基準をゆるめるということによりまして、ますます進行していくということは考えられます。私が申し上げたいのは、その基準をきつくしたところで、規制したところで、それが実行可能であるかということが問題になってくるわけです。その面におきまして、それでは経企庁は今後いわゆる設定基準を達成するために監視体制なりあるいはそういう公害行政というものについてどういう対策をお考えになっておりますか。
○山中説明員 お答えいたします。 先ほどから、前段でございますけれども、一応御紹介申し上げましたように、県の基準は確かに改正前は非常にきびしかったわけでございますが、裏返してみますと、八戸の新井田川水系につきましては、前々から非常に汚濁が叫ばれておりまして、サケの遡上が全然なくなったり、あるいは魚の一時斃死事件というのが再々頻発しておったわけでございます。そういうことを裏返しますと、その基準が全然守られていなかった。結局企業にとっては、いかにさか立ちしようと実施不可能な基準であったわけでございます。そういう意味で、企業が最大努力をすれば一応できるという実施可能な基準に県条例も変わってきているわけでございます。 そこで、経企庁といたしましても、一応水質汚濁防止法という法律の改正をいたしまして、いわゆる公共用水域の監視測定事務というのは全部県知事が一元化して監視をやっていくんだ。それで違反の工場は直罰主義をとりまして罰していくんだ。従来のような法ではないのだというふうな体制になってきまして、この六月二十三日から新法が発足するという予定になっております。
○古寺委員 そうしますと、いままでは非常にきつい水質基準がありました。しかし、その基準が守られないためにどんどん汚濁が進行して、川の魚もみな死ぬというような状態ですね。そうしますと、いままで水産庁はこの新井田川の公害については全然、全く協力しなかった。こっちの公害がこういうふうに進行したのは水産庁に責任がある。こういうふうに判断してもよろしゅうございますか。
○矢崎説明員 水産庁といたしましても、漁業サイドから水質はやはりできるだけきれいに保っていくことが必要だというふうなことで、これまでもいろいろと努力はいたしておるわけです。ただ、先ほど申し上げましたように、新井田川のものを、個別ケースの例で具体的に考えます場合に、できるだけこれをきれいにしていくということと、やはり努力によって実施可能という問題が一つからんでまいります。そういう線で見て、適正な基準を設定し、これに努力していく、こういうことが必要だというふうに考える次第であります。
○古寺委員 前にもこの委員会で、この水質基準をきめることに水産庁が非常に反対してきまらない、こういうお話があったのです。そういうことは、これは前の問題ですからいいのですが、今度この基準が設定された場合に、本気になって水産庁は取り組むという姿勢をお持ちですか。いままでは、非常に企業寄りの、企業サイドの考え方で、水質基準というものが、こういうふうにいろいろ問題になっているわけです。だれが見てもそう思うわけです。この新しい基準が設定になった場合に、いままでのような態度ではなしに、もっと積極的な姿勢で今度は公害をなくするようないろいろ融資なりあるいは援助なりというものをやっていく、そういうお考えをお持ちですか。
○矢崎説明員 特別の地域につきます水質基準の設定されます場合には、これまでも当然水産庁としても水質の保全には努力をしてまいりましたが、これにも増して今後はその地区についての水質を守っていくということについて、さらに私どもとしても努力をしたい、かように考えます。
○古寺委員 さらに努力といいまして、もうこの八戸だけではないのですね。何回も申し上げますけれども、小名浜にしても、松島にしても、どこでもみんなそうですよ。それが、沿岸漁業の問題にしましても、いろいろ問題を起こしているわけです。そういうことをここではいろいろ答弁をなさいますけれども、実際の問題としては、やはりいろいろ助成をしたり具体的なものをやってあげませんと、公害はなくならぬのです。いままでもやってきたけれども、さらに努力する。――いままでは全然やっていないですよ。全くやってないにひとしい。ですから、今後は、もっと積極的にこの基準を達成するために、いままでと違った、こういうものをやるのだというものをはっきり示していただきたい。
○矢崎説明員 私どもとしましては、先ほど来申し上げておりますように、さらに必要があれば融資の制度も改正しようというようなことで現在検討中でございますし、さらに八戸の加工団地につきましても、これは地元の意向がまとまりますれば、助成の対象にもしていきたいというふうなことで、新たにそういう面も努力をしてまいりたいと思います。
○小林委員長 関連で島本虎三君。
○島本委員 矢崎水産課長と山中水質調査課長の両方に……。 いまの質疑に対する答弁、これでもいままで努力してきたが、これから一そう厳重にやる、ことに六月以降は腕前を見てくれ、こういうような意向であります。 あらためて聞きますが、ソリュブル工場というのは水産庁が助成して、水産加工のいわゆる内臓をいろいろやった悪臭のある汚泥のようなもの、こういうようなものを、川へ流さないで、そのまま運搬して、それを精製加工する工場、これはいろいろな公害防除のたてまえから水産庁のほうで進んで取り上げて、水産の汚水を流さないということでソリュブル工場をつくって融資してあるのです。私の住んでいるところにもそれがあるのです。そして、それがいまや公害の悪臭の発生源になっている。それは小樽にあります豊井というトンネルの入り口にあるのです。その沿岸漁民の反対にあって、その水をそのまま外海に流さないのです。なぜ流さないのか。沿岸漁民の反対にあうのです。それをそのまま、トンネルを一キロも越えた小樽の高島漁港の中へ持ってきてその排水を流しているのです。これは一体、水質の関係からいえばどういうことなんです。港の中ならよごしてもいいが外海ならよごしちゃだめだ、こういう意味なのか、それとも港の中はよごしてもいいという基準があって、水質基準は今度は規制するつもりなのか。これはどこへ流しても――これは水産庁が助成している工場ですから、助成し融資まであっせんしてやっている工場ですから、そういうふうにして間違いないのだったら、なぜ外海へ流させて漁民との話し合いを完全にやって納得させた上でやらないか。わざわざトンネルを越えて一キロ以上も港の中まで持ってきて、その汚水を排出する手はないじゃないか、こういうような疑問が当然あるわけです。現在のところでは、その汚水のために港内は悪臭でひどい。そういうようなことと、そのトンネルの入口にありますから、その悪臭がまた風によってはトンネルの中に突き通っていくわけです。海水浴場の近所ですから、その悪臭に耐えかねる、こういうふうな声まで出てきている。そうして夏になると、それをそのまま、たまに流すことがある、海水浴場のそばへ。そうすると発見されて重大な抗議を受けたりすることも間々ある。こういうふうなものを、水産庁でなぜ助成してやるんですか。水産庁で助成してやっているんです。しかも、融資のあっせんまでしてやっている。またそれは農林中金からも出してやっている。こういうふうにして、あと監督をなぜしないのか。監督は水質の関係で経済企画庁か、それとも水産庁か、港だからこれは運輸省か、漁港であるからその県庁でやるのか、いろいろあるでしょう。とにかくやるにはやるけれども、水質の関係なんかになったらほとんど目をつぶったままだ。そうして、悪いことには、そういうふうなやり方に妥協している。こういうふうなことで、いま古寺委員がいろいろ大きい見地から立って質問しているのですが、答弁をそのまま聞いていたら、現行を完全に無視しているじゃありませんか。私、これを聞いていて、噴飯ものだと思って聞いていた。これは水産課長か、あなたもわざわざ祝賀会に来てメッセージまで述べていっているんだから、何か課長だというので、あなたでなければいいがと思っていたんですがね。小樽までわざわざ行ってやっていますよ。こういうふうな状態にしておいて、政府自身の姿勢がだめじゃないですか、水のところでは。これに対してどういうふうに規制し、どういうふうに助成し、今後はきれいな水にしていくつもりなんですか。
○山中説明員 先生御指摘のソリュブルの工場につきましては、八戸の場合も当然助成の対象になっております。ただソリュブルの工場は、水産課長さんからも御説明があると思いますが、一応水産加工業者の公害防除のための施設ということで、水産庁のほうも助成金を出しております。ただ先生御指摘のような二次公害が現在ソリュブル工場では発生しておるわけでございます。そういう意味で、八戸地区につきましては、今度の水質基準では当然規制の対象に入れまして、一般のいわゆる水産加工業者と同じ基準でやっていただく、こういうことを一応考えております。 それから新法につきましての一律基準につきましては、ソリュブルの工場も、やはり従来はここの水産加工業者よりもさらに悪い排水が流れたわけでございまして、これもほとんど同じような基準でやります。 それから港に流していいのか、こういうことの御質問でございましたけれども、私ども、公共用水域は、港もどこも同じように一応考えておりますけれども、ただ海水浴場等で水を非常にきれいに保たなければならないところと、それから港の中等で、一応環境基準でCというふうにランクをされるところと若干差がありますけれども、排出基準につきましては、ほとんど差はなく一応規制していくということです。
○矢崎説明員 従来ソリュブルの工場等につきます助成措置が確かにございまして、現在はそれはございませんが、先ほど申しましたように、流通加工センターの一環といたしまして、これもいわゆる残滓処理の、企画庁からも御説明がありましたような公害処理の一つの問題としての助成の対象としては考えておるわけでございますが、ただ、いま御説明もございましたように、それ自身が悪臭等の対象になってくるというふうなことがございますので、私どもこれから先、そういう流通加工団地におきます魚かすソリュブル工場等の建設につきましては、悪臭防止装置もあわせて設置する、そういうものに対し助成をしていく、そうい考え方で臨んでいるわけでございます。
○島本委員 それはわかった。いままでのものはそのまま悪臭を発しても、今度は悪臭防止法ができて、その悪臭防止法の法令ができ次第、これが発効になった場合には、当然いままでの施設はストップになる。それから水そのものも、港湾のほうへわざわざ持っていかないで、いかに海水浴場であっても排出する水がきれいな水であるなら、どこへ出したって差しつかえないじゃないか。きたない水であるということがわかるから、そこへ出したならばだめだ。したがって、港湾に持っていって、わざわざ、よごれるであろうから、よごれるほうへ持っていって流せという指導が当然あるはずです。そこがおかしい。既設のものだったらにおいの問題でひっかかるから、いままで助成してやったが、ストップかかるのかどうか、これなんか大きい問題でしょう。厚生省だったら厚生省とよく相談してやらぬと、重大な問題です。それから水の問題なんかになった場合は、海水浴場だからきれいにしておかなければならない、港の中だからよごしてもいいという考えで水質の保全はできるのか。
○山中説明員 私、舌足らずで先生の誤解を生んだようでございますけれども、私どもは、一応、水質基準をつくる場合は、なるべくきびしく、できるだけのことはやっていただくという方針で基準は作成しております。そういう意味で、港でも海水浴場でも、よごしてもいいということは全然考えておりません。ただ環境基準のつくり方が、一応健康項目については全国一律でやっておりますが、生活環境項目につきましては一応A、B、Cという三つのランクをこしらえまして、海水浴場だとか、あるいは三陸沖等の非常に漁業資源の豊富な漁場等につきましては一応Aというようなランク、それからそれ以外の、たとえばノリ漁場等は、若干よごれているほうがノリがよくできるということもありまして、一応Bという項目でございます。それから港湾施設等、その他利水目的が比較的薄いところはCという項目でございます。 ただCという基準も、あくまで、先生先ほど御指摘のような悪臭を発しない、少なくともCOD八ということをきめておりますが、COD八というのが一応悪臭発生の限界でございます。そういうことで一応八という基準ができておりますけれども、まず現状より悪化しないということが閣議決定になっておりますが、さらによくしていくという方向でやっておりますので、何もCODが現在がたとえば八だから八のまま置くというのではなくて、Cが八から以下でございますから、できるだけ八から以下になるように、港湾もきれいにしていきたい、一応こういうような考え方でございます。
○古寺委員 今度新法が施行されますね。その時点において、県が、今回国の基準に合わせるために改正しましたが、きびしくするために上乗せできますね。その場合に、前のような水質基準まで持っていくということはできますか、新法で。
○山中説明員 私ども考えますに、現在の技術水準ではとうてい前の基準というものは実現不可能だ、こういうふうに考えます。ただ技術は日進月歩ですから、時点はいつかわかりませんけれども、さらに処理施設としていいのができるかもわかりません。その時点では当然上乗せの改正というのはあり得るんではないか、こういうふうに一応考えております。
○古寺委員 そうしますと、環境基準は守られなくても、達成できなくても、現時点におけるいわゆる公害防除技術あるいはそういう工場等の背景ですね、それによって基準というものはつくるんだ、つくったんだ、こういうふうに理解してよろしいですか。
○山中説明員 われわれの考え方といたしまして、環境基準をまずつくりまして、たとえば新井田川につきましては、水産加工場の集積等がない前には、一応サケが非常に遡上したようでございます。そのもとに戻す。そのために環境基準を、一応Bという環境基準をつくりまして、このBを達成させるためにはどうすればいいかというのが第二番目の考え方でございます。その次に、水産加工を含めめまして、いろいろな各業種に応じての基準をこしらえまして、それで達成できないという場合には下水道をあわせ整備いたしまして、それで最終的に環境基準を達成させる、こういうふうな考え方で水質規制を行なっていく。だから下水道整備とそれから水質基準の関連実施という二本立てで進んでいきたい、こういうふうに一応考えております。
○古寺委員 そうしますと沿岸漁業もだめになってくる。内水面漁業も全滅、それは市民も困っております。しかしながら、現在ある公害の企業、その企業が今後操業を続けていくためにはこの基準しかつくれないのだ、その水質基準でいく以外にはないのだ、将来においては下水道が完備されたり、共同処理場ができたり、あるいは公害防除技術が開発された時点においては、今度は環境基準を達成するような水質基準まで上のせしてもいいのだ、こういうふうに考えていいのですか。
○山中説明員 私の舌足らずで申しわけないのですが、一応環境基準が大前提でございまして、環境基準をどうして達成するかということで排出規制をやっているわけでございまして、たとえば今度きまりました水質の規制でございますけれども、これについてもおそらく、先ほど水産庁からも御説明ありましたような、あるいは団地化をしないと個々の企業では非常にむずかしい面も出てくるということも当然予想されております。そういう意味で、技術開発をやって環境基準をつくるのじゃなくして、一応環境基準が前提にありまして、それから一応基準をつくりまして、それでしかるべくやっていく、こういうことを一応考えております。
○古寺委員 あとで議事録をお読みになればわかりますが、非常に今度の水質基準というものは妥協的な水質基準案である、こういうふうにいわれております。将来はきびしくしていく、こういうお話も承りました。しかし、一番大事なことは、水産庁はいままでのような姿勢ではなくして、もっと積極的に公害防除という問題と取っ組んでいきませんというと、この問題は解決がつかないと思いますので、今後そういう問題を強力に推進していかれるように、特に御要望申し上げておきます。 次に、休廃止鉱山の問題に移りますが、通産省のその後の調査によって、全国の体廃止鉱山の鉱害の状況はどういうふうになっているのでしょうか。
○莊政府委員 昨四十五年度から通産省で予算措置を講じまして、休廃止鉱山の特別の調査を開始いたしました。四十六年度は予算も相当大幅にふやして、三カ年計画で全国で千余りの休廃止鉱山、初めての調査でございまするが、やるということで、二年目に取りかかっておるのでございます。したがいまして、調査の途中ではございますけれども、四十六年度からは休廃止鉱山について鉱害防止のための工事をやるため、国から県に補助金を出すという政策をとることにいたしました。四十六年度約三十鉱山余りの、従来から特に緊急の必要ありというふうなことで、各県当局でも頭を悩ましておられたようなものから逐次取り上げて、四十六年度中に第一回目の工事に着手する。四十七年度以降ももちろん調査と改善工事、これを両方並行してやっていくというようなことを進めておるところでございます。
○古寺委員 そうしますと、調査は大体どのくらいで全部掌握することができますか。把握することができますか。
○莊政府委員 休廃止いたしますと、鉱山保安法で届け出の義務を鉱業権者に実は課しておりますので、その所在地なり、やめたあるいは休止した時期というのは明確でございますので、私どもがいま調査の対象に取り上げておりますのは、いわゆる農業被害等を非常に起こしやすい休廃止鉱山というものでございまして、銅、鉛、亜鉛、それから水銀、砒素、それから硫黄、こういうものを採掘しておりましたものを取り上げておるわけでございます。全国で大体千五十ほどでございまして、四十五年に調査しましたのが七十五、本年度の計画が三百二十程度になっております。結局、六百五十ほどまだ残るわけでございますが、これは四十七年と八年で調査してしまおう。調査のやり方としましても、従来から非常に問題になっておったというふうなものは当然になるべく早い時期にやっていく。私ども予算が初年度で一億弱しかとれなかったのですが、来年はこれはうんとふやして、そうなりましたら急ぐものからどんどん調査して、どんどん工事にかけていく、こういうふうに進みたいと思います。
○古寺委員 この全部を調査していくためには、大体予算はどのくらいかかるのですか。
○莊政府委員 結局何を調査するかと申しますと、御案内のとおり排水を調査することになります。休止しておりますから、亜硫酸ガスとか、そういう大気汚染の問題はございませんで、全部水が流れるという状態でございますから、それで水をとりに行ってそれを分析する、あるいは鉱山の付近を実際に踏査して様子を見る、こういうことになるわけでございますが、主として旅費あるいは検査の関係で、器具等はすでにある程度整備されておりますけれども、それをさらに補強するというふうな関係で――ことしの予算か実は千三百万円でございます。四十五年は三百万円でございました。大体今年度ぐらいの予算を少なくとも七年、八年も確保するということでやりたいと思いますので、千三百万円三年間、それから四十五年度三百万ということでみますと四千万ちょっと、四千二、三百万ということでございます。私どもは一回調査したらもうこれでいいというふうにはもちろん思いませんので、今後もやはり工事した後もまた引き続き検査もする、こういうふうに継続的に考えております。
○古寺委員 それでこの休廃止鉱山でございますが、休廃止鉱山の鉱害というものについて、鉱山安保法からいきましても、これはどういうふうに措置していくのが通産省としての役割りでございますか。
○莊政府委員 まず第一に、法律上国が責任をはっきり負うたてまえになっておるということを申し上げたいと思います。鉱山保安法第二十六条に明文規定がございまして、鉱山というのは鉱業権を放棄して事業をやめてしまったあとでも、五年間はいわゆる鉱業権者とみなして鉱害防止の義務が鉱業権者にあるのだ、かって権者であった者にある、国はそういう者に対して監督上必要な命令を出すことができる、これは出さなければならないという当然の意味でございます。そういう法律上の特別の制度を設けておるということがございます。ただ残念ながら、従来鉱害問題というのは現在稼働中の鉱山中心にやはり監督指導が行なわれておったということを反省いたしまして、おそまきながらこれからは休廃止鉱山、これは数がどんどんふえてまいります。これは決して放置してはならないというふうに考えまして、休廃止鉱山であるか稼動中であるかの区別なく、とにかく鉱害をなくすという見地では全く同様でございますので、私どもはこれはコンスタントな行政と心得て今後力を入れたいと思います。
○古寺委員 そういたしますと、休廃止鉱山で非常に鉱害が問題になりましてから、秋田県をはじめといたしまして、県当局が積極的に鉱害の調査をいたしまして、私ども公明党も休廃止鉱山の実態調査をいたしました。その結果、いろいろな被害の状況というものが明らかになったわけでございますが、その責任と申しますか、そういう問題は、予算の関係あるいは監督官の不足の問題、いろいろございますでしょうが、いずれにいたしましても、これは国のいわゆる怠慢であった。国がもっと鉱害という問題と十年、二十年先から積極的に取り組んでいれば、そういうような問題も発生しなかったんではないか、こういうふうに私どもは考えるのですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○莊政府委員 先ほども申し上げましたとおり、鉱業権者というのは、法律上昔から国としても特別の義務を課しており、鉱業権を放棄したあとでも、一定期間というのは鉱害が起こりやすいから監督を行なう、鉱業権者とみなすという特別の措置まで講じてやってきておったわけでございまして、鉱業権者がそういうふうにするように十分監督をするということは、これは国として仰せのとおり重大な責任があります。ただし、会社が解散してしまったとか、あるいはまた全く無資力であるというふうなことも現実には往々にしてございます。また、そういうところが近所の農業等に対して被害を及ぼしておるということはまた事実でございますが、そういうところに対しては、鉱業権者ができないから何もしないということではいけませんので、そこのところは頭を切りかえて、全額国ではございませんが、三分の二は国が持つ、地元に三分の一ほどお願いをして工事を公のベースでやっていこう、こういう考え方を一つ立てたわけであります。
○古寺委員 そうしますと、この休廃止鉱山の中で、鉱業権者のいないような鉱山あるいは無資力の鉱業権者のいるところに対しては、調査をいたしまして、その結果によって鉱害防除事業というものを国が補助してやっていく、こういうふうにいま承ったわけでありますが、その事業の内容はどの範囲までおやりになるわけでありますか。
○莊政府委員 これは鉱山保安法に基づいて鉱業権者に義務づけを行ない、あるいは保安法で本来命令を課すべき工事の範囲というふうに私ども現在は運用上考えておりまして、したがいまして、古い坑口の閉塞でございますとか、あるいは防除施設を、休廃止の場合にその後に備える意味で新規に設置をさせる場合がございます。そういうものが長年の間に荒廃をしてしまって、役に立たなくなっておる、あるいは出水等があって流れてしまっているところもございます。こういうものを、あるべき状態に戻す、いわゆる鉱山側としてなすべき鉱害防除施設、これを十分整えさすという限度で現在は考えております。休廃止鉱山によって汚染された水田の復旧とかいうところまでは、実は現在の予算措置では考えておりません。これはまた別途の公共事業のほうで考えなければならぬ問題が当然にあるわけであります。
○古寺委員 鉱山がなすべき防除事業を国と地方自治体がめんどうを見ておやりになるわけでありますが、当然鉱山にはそういう鉱害に対しては賠償する責任、義務がございます。その場合に鉱業権者もいない、あるいは鉱業権者が無資力の場合には、これは当然通産省としてその賠償の任に当たらなければならない、こういうふうに私は考えるのですが、この点はどうでしょう。
○莊政府委員 御指摘のとおり、これは今後に残された休廃止鉱山に関する政策上の実は重要事項だろうと思っております。一つの手当てとして法的に鉱業法のほうでいわゆる積み立て金制度というものも、そういう場合のことで考えておりまして、鉱業権がなくなっても、十年間でございましたか、十五年間でございましたか、とにかく供託させておくというような制度がございますが、それだけですべてそれでは問題が解決するか、現在の金がストックがあるわけではございませんから、そういう御指摘かと思いますが、これは、これでまた農業政策上のいろいろな助成制度というふうなものとの関連もございましょうし、やはり今後公害対策本部あたりを中心にしまして、総合的に農林省も通産省も協力する形で考える面が多々あると思いますけれども、いまちょっと申し上げましたいわゆる鉱業権者に金を積まさせて、そういうときに備えるという道もあるわけでございますから、これはまた法律に基づいた非常に窮屈な形で運用するほうが一番役に立つか、それとも、たとえば親会社が子会社の分も積めるような融通性のあるような、運用のきくようなそういう形の積み立て金にしたほうがより目的に沿うか、このあたりのことをいま検討しているところでございます。おそくとも今年の下期くらいからは実際に積み立てを何らかの方法で必ず行なうという方針でいまやっております。これは必ず実行することをお約束いたしたいと思います。
○古寺委員 そこで、農林省にお尋ねしたいのですが、休廃止鉱山の実際の農業被害が、土壌汚染その他でたくさん出ている場所がございます。そういうところに対しては、農林省としてはどういうふうに――土壌の土地改良の問題であるとか、あるいは用水路の切りかえの問題であるとか、ダムの問題とか、いろいろございますが、そういう問題について農林省は、特に休廃止鉱山についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○福澤説明員 ただいまの御質問でございますが、さきの国会に、先生も御案内のとおり、土壌汚染に関する防止の法律ができましたので、それに基づきまして対策事業を立てるわけでございますが、具体的な措置といたしましては、公害防除特別土地改良事業というものを、四十六年度から新しい柱を立てまして、それによりまして汚染された土壌あるいはその水の問題なども含めまして水源の転換、それからそれに必要な取水の施設、それから客土の排土というような土壌に対する措置、地目変換等の仕事、そういうものをすべて含めまして、土壌汚染並びに水質関係における汚染されたものに対する事業を、その特別土地改良事業の中で実施していきたいと思っております。
○古寺委員 その場合に、鉱業権者がいない、あるいは無資力の鉱業権者であるというような場合に、その事業費の負担はだれがするか。被害者が負担するのですか。一部でしょうけれども、被害者に負担させますか、それとも全額農林省が持ってくれますか、その点をお尋ねいたします。
○福澤説明員 事業者負担法に基づきまして、一般論といたしますと、その原因、度合いに応じましてその負担をするということでございますが、いまのお話は、そういう負担が事業者から取れない場合のお尋ねと思いますが、実際問題として負担が取れないという現実的な問題があるならば、それは国並びに地方公共団体等がその負担をするという形になるのではないかと思います。しかし、先ほど通産省側からもお話がありましたとおり、そのもとになる原因者があるのにそのままにしておくということには問題が残るように私も感じております。これらは公害対策本部の所管としての問題もございますし、その辺の各省の考え方というものは今後の問題点として検討されなければならないということを感じております。
○古寺委員 四十六年度は、農林省のいわゆる公害防止事業として、どのくらいの面積、どのくらいの個所を予定され、予算はどのくらいになっているでしょうか。
○福澤説明員 公害防除土地改良事業は四十六年度といたしましては五地区を対象として予算組みをしております。事業費は現在のところ一千五十万円を計上しております。国費でございます。
○古寺委員 そうしますと、一千以上もの休廃止鉱山ですから、ばく大な面積ですね。しかも、その鉱山の大小によっては被害面積も相当のものにのぼるものもございます。それに対してわずかに一千五十万円。五地区ですから、一地区大体平均二百万円です。そういう費用で被害者を救済できるというふうにお考えですか。
○福澤説明員 当初、昨年予算要求する段階におきましては、実態が十分把握されない段階でございましたので、予算要求といたしましては、とりあえずその当時要観察地域というようなところを対象といたしまして、その当時たしか五地域くらいだったと思いますけれども、それを対象として、とりあえずその実態を調査しながら実施の方向に持っていきたいということで予算の骨組みをしましたが、先生御質問のとおり、最近のようにあちこちにいろいろな問題が起こってまいりますと、その程度の予算では十分ではないと思っております。
○古寺委員 私がお尋ねしているのは、要観察地域ももちろん必要でございますけれども、要観察地域以外の休廃止鉱山はたくさんあるわけです。そういうところに対して、そういう被害地の土地改良という問題について、農林省は一体どういう対策をお考えになって、ことしはどうおやりになるのか、そこをお尋ねしているのです。
○川田説明員 いまの問題でございますけれども、土壌汚染防止法を適用しまして、そして地域の指定をして、そして対策事業を行なうというようなシステムで事業をするということにつきましては、先生御承知のとおり、当面カドミウムを取り上げているわけでございます。休廃止鉱山は、先ほど通産省のほうからお話がございましたが、銅、亜鉛、鉛、砒素その他の重金属の問題が大きいというようなお話でございます。これは前回の国会のときにも、農林省のほうとしてお答えいたしておりますけれども、当面は、人の健康に影響のあるカドミウムを取り上げるが、できるだけ早い機会に銅、亜鉛も特定有害物質として追加するように努力したい。そういうことで、銅、亜鉛についてもできるだけ早い機会に特定有害物質として追加して行なうことになると、土壌汚染防止法に基づいて調査をいたしまして、そして対策地域の指定の要件に合致する場合には対策地域として指定をし、それに基づいて、先ほどから農地局のほうでお話し申し上げておりますように、一般土地改良事業としてそれをつないでいくというシステムになっていくというふうに考えます。
○古寺委員 そうしますと、土壌汚染防止法の対象にならない地域はどうするのですか。
○福澤説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、原因は有害特定物質ということに限定したお話でございましょうか。それとも、それ以外のものまで含めた御質問でございましょうか。
○古寺委員 農業被害です。
○福澤説明員 自然的な原因によって起こっております被害につきましては、従来農林省としては鉱毒対策事業として実施しております。自然発生でない問題につきましては、ただいま農産課長のほうから御説明がありましたように、当面はとりあえず有害特定物質としてのカドミウムを対象としておりますが、今後につきましては、それ以外のものにつきましても環境基準というものの検討を進めていきたいというのは、前々から御説明しておるような次第であります。
○古寺委員 そういたしますと、休廃止鉱山があって鉱業権者がいない、あるいは鉱業権者が無資力である、そこに農業被害がたくさん発生しておるという場合には、農林省としては鉱毒防止事業として、被害が発生している地域についてはそういう事業を現在まで行なっている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○福澤説明員 ただいまも御説明申し上げましたように、自然発生の原因によります被害の問題につきましては、鉱毒対策事業として取り上げております。従来は、その間にありまして戦時中の諸現象によりまして起こりました休廃止鉱山、その後の問題で負担を出せないというような問題がございましたので、そういう実態につきましても自然発生と同様な考え方で、便法として鉱毒対策事業で取り扱ってきたわけでございます。
○古寺委員 現在稼働している鉱山あるいは鉱業権者がいる鉱山、そういうところでも鉱毒防止事業を行なっておりますか。
○福澤説明員 現在実施中のものの中では、昨年ですか終わったと思いますが、別子銅山の例がございます。
○古寺委員 鉱毒防止事業の対象地域は、全国で何カ所ございますか。
○福澤説明員 現在五地区でございます。
○古寺委員 予算は……。
○福澤説明員 昭和四十六年度の予算としまして二億一千六百八十万円であります。
○古寺委員 そこで、こういう休廃止鉱山が千以上ございます。その中で、緊急を要する鉱山も相当あるわけです。被害地が相当ございます。そういう地域に対して、農林省は今年度どういうような調査をし、来年はそういう被害地域に対して、どういう公害防止事業をおやりになるお考えですか。
○川田説明員 調査のほうにつきましては、土壌汚染防止法に伴う予算といたしまして、ことしは一般概況調査費、それから地域指定のための調査費というのがありますが、一般概況調査費というのは全国の農用地につきまして、汚染の現状と、それから定期的にその地点について汚染の進行を調べるという調査になっておりまして、密度としては水田については千ヘクタールに一点、畑については二千ヘクタールに一点、これは平均密度でございますから、問題のあるところはもう少し密度が濃くなりますし、問題のないところは荒くなります。一応水田については千ヘクタールに一点、畑については二千ヘクタールに一点と、そういうことで、これは一般概況の把握をするものでございますから、特にカドミウムという限定をしておりません。銅、亜鉛、その他についても調べることになっておりますので、本年度全般についてそれを実施いたしますから、今年度の結果によりまして実態がはっきりしてくると思います。またそのような調査は、銅、亜鉛についても同時に調べますから、先ほども、将来できるだけ早い機会に銅、亜鉛についても特定有害物質の指定を行なうというようなことを申し上げましたが、それの基準をつくる一つの根拠にもなる調査でございます。それを今年度やるというようなことでございます。そういうものをベースにして、次年度以降できるだけ早い機会に銅、亜鉛も追加して、土壌汚染防止法を動かす形にしたらどうかと考えております。
○古寺委員 そこで、一つの事例を出します。秋田県に荒川鉱山という休廃止鉱山がございます。この鉱山の流域に鉱害が発生しているそうですが、農林省は御存じですか。
○川田説明員 休廃止鉱山につきましては、農林省として農地以外についての正確な調査はございませんけれども、従来全国的な土壌調査をやっておりまして、その土壌調査の中から被害があるであろうと推定されるところというのは、県の報告その他も合わせての推定でございますけれども、現在地区としては二十カ所、それから面積としては全部集めて千ヘクタールぐらいあるんじゃないかということを私たちは推定いたしております。 それで、県からの報告と土壌調査の推定でございますが、どこが多いかということにつきましては、先生からお話のあった秋田県だとか、あるいは中国地方に多いように私たちは聞いております。
○古寺委員 いまおっしゃっておりますところの農業被害というのは、どのくらいの基準をもって農業被害というふうにおっしゃっているのですか。
○川田説明員 これは先ほども申し上げましたけれども、土壌調査で土壌のタイプの分類をする過程において、ここは生育の形から見て、正常な生育に比べて何らかの異常があるのではなかろうか、生育阻害物質があるのではなかろうかということで推定いたしておりますので、何割の被害というような被害調査はいたしておりません。
○古寺委員 大体全国で二十カ所、しかも千ヘクタールというのは、これは鉱山一カ所でもこのくらいのところがありますよ。そういうような対策の進め方では、農村の人はどこまでも犠牲になっていかなければいけないわけです。ですから、全国のこういう休廃止鉱山、あるいは稼働中の鉱山もあるでしょう。そういう被害のあるような地域の緊急の総点検というものが必要ではないか、私はそういうふうに考えるわけです。具体的に現在被害の発生している地域に対しては、都道府県なりあるいは通産省その他と連携をとって、すみやかにそういう公害防除作業といいますか、先ほどおっしゃっておった公害防止事業を行なわなければ、地域の住民というものは救済されないと思うわけです。こういう点について、農林省は今後一体どういうふうに、何年くらいの計画でこれを進めていくお考えなのか、予算はどのくらいかかる見込みであるか、そういう点について検討しているかどうか、お答え願いたいと思います。
○川田説明員 先ほど申し上げましたように、土壌汚染防止関係で一般概況調査費というのが約三千七百万ほどことし予算化されております。それにつきまして、先ほど申し上げましたように、全国的に一つのシステムをつくって、それの定点で調査をするというやり方をいたしておりますので、そういうようなおそれのあるところにつきましては、その定点の密度を濃くしていくというようなことで、これは毎年継続していく事業でございますから、先ほど通産省のほうからも、年次計画をもって調べていくというお話もございますので、私たちの調査と通産省の調査とを、よく打ち合わせいたしまして、両方のデータがより有効に使われるようなやり方で進めてまいりたいと思っております。
○古寺委員 そこで、現実にそういう休廃止鉱山、あるいは稼働している鉱山でもいいですが、農業被害が発生している場合、鉱業権者に対してそういう被害の補償をするように、あるいはそういう鉱業権者に資力がない場合には、農林省に対して公害防止事業をやっていただけるように、通産省のほうでは指導監督ができないものですか。
○莊政府委員 先生御案内のように、鉱山についてはいわゆる無過失賠償という制度が昔からあるわけでございますけれども、一々裁判に持ち込めば結局は時間もかかるというふうなことで、現在カドミウム米については、私ども、農林省あるいは県と十分連絡をとりながら、裁判を経ないで、事実上当面の所得上の損失というものがカバーできるということでやっております。基本的な考え方といたしましては、これは裁判の問題もございますし、あるいは紛争処理法というふうなものもできたわけでございますけれども、これは鉱山を産業として所管しているのは通産省でございますから、農林省や各県ももちろんございますけれども、私どもも問題がはっきりしてくれば、円満な解決に向かって努力をすることは当然のことであると考えております。
○古寺委員 農林省は窓口ですから、そういうような苦情がたくさん行ってくると思うのです。そういう場合に、いまも答弁がございましたように、無過失賠償制度もあるし、あるいはそういうようないろいろ補償してもらえるような法制があるわけですね。そういう点について、農林省はいままで積極的に指導なり援助助成というものをやった件数がございますか。
○福澤説明員 私の知る限りでは、ございません。
○古寺委員 なぜそういう、実際に農家の人がお困りになっている、しかもそれは、いろいろな面で立証されないにしても、明らかに因果関係が鉱毒によるものであるということが一応疑わしい場合、はっきりしている場合もございますが、そういう場合に、なぜ農林省は、そういう地域の農家の人たちに対して補償してもらうなり、あるいは公害防止事業をやってもらうような指導をやらないのですか。
○福澤説明員 国として直接そういうことをした覚えはないと私は申し上げましたのですが、これは実は答えが不足でございまして、県の農林関係の行政といたしましては、事業負担者から公害の原因の内容を得まして、農民との間に立って補償の問題やらそれに対する対策の問題やらはやっております。
○古寺委員 そこで、鉱業権者のいない休廃止鉱山、そういう場合のいわゆるカドミウムではなくて、硫黄であるとか、あるいは銅であるとか、亜鉛であるとか、そういうものによる鉱害の地域に対しては、農林省は公害の防止事業をおやりですか。たとえば米沢市の西吾妻とか、そういうような地域に対してはどうですか。
○福澤説明員 ただいまの西吾妻の例でございますが、さだかなお答えでございませんが、十年ほど前に対策事業を実施した模様でございます。
○古寺委員 それは通産省のほうがおっしゃっているところの鉱害防止事業なんですね。そうではなくて、汚染された水田とかそういうものに対するところの土地改良なり、そういうものを積極的に農林省がおやりになっているかどうかということです。
○福澤説明員 いま御質問のような趣旨の内容はやっておりません。
○古寺委員 まあきょうは時間ですから一応これで終わりますが、農林省がもっと積極的に、農民の立場に立って、そしてその被害地を実際調査もし、また損害の賠償を請求できるものは適切な指導をして、あるいは通産省とも連携をとって、そして農民の側に立った行政というもの、公害行政というものを進めなければ、どこまでいっても農民は犠牲になる。きょうは時間の関係で申し上げませんが、そう数え切れないぐらい農民は犠牲になっています。それに対しては、おたくのほうは、先ほどからいろいろお聞きしましたけれども、何にもやっていないです。そういう基本的な姿勢では、鉱害によってもう過去何十年あるいは何百年間泣き寝入りしてきた人は、どこまでいっても下積みの生活をしなければならないのです。そういう点について、今後農林省としては、もっと積極的に全国的な調査というものを計画的に実施をいたしまして、そういう被害地に対する救済をあらゆる面から考えていただきたいということを御要望申し上げまして、きょうは質問を終わります。
○小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十五分散会