産業公害対策特別委員会 第13号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/04/28
会議録
○小林委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案について、本日、参考人として公害防止事業団理事長江口俊男君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 ―――――――――――――
○小林委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。寒川喜一君。
○寒川委員 時間的な制約がございますようですので、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。 まず第一点、公害防止組織に関する法律案の内容についてでございますが、法律案それ自体は一応整備された内容であるということもよく理解されるわけでございますが、問題は法案にありますように、公害防止の統括者であるとか管理者、主任管理者及び代理人を置く、これがどう動くかということに問題があると私は思います。抽象的に、職務を誠実に行なわしめるのだということになっておりますが、具体的な点について御質問申し上げたい第一点は、行政指導をおやりになると思いますが、どの辺まで具体的に御指導なさるのか、まず承りたいと思います。
○莊政府委員 御指摘のとおり、この制度を生かすも殺すも実際の運用の問題でございますので、指導については十分注意いたすつもりでございますけれども、業種、業態によりまして公害の発生の態様も異なりますし、その防止上の問題点もいろいろ違いがございますので、特に中小企業等につきましては、今後業種別にそれぞれの産業の所管省におきまして、こういう管理体制の整備と並びまして統括者、管理者に、設置後においても技術上の問題等について、業種別に講習会、研修等を行なうということによって、全体の水準を上げるという努力をじみちにやる必要が非常にあるだろうと思っております。法律の上で、各工場ごとに具体的な、たとえばこまかい命令を出すとか、そういうふうなところまでは実は考えておりませんで、事業者に対してすでに義務が課せられておるわけでございますから、そこのところは企業の自主的な努力ということがもちろん根本であると思います。技術上の問題というのはまだ不十分でございますし、今後も相当変化もございますので、大企業の場合はともかく、特に中小企業の場合には落ちこぼれのないように、業種ごとに技術に重点を置いた新しい指導というのは常に心がけたいと思っております。
○寒川委員 時間の関係で抽象的なやりとりになると思いますけれども、いまお話しになったようなことでは私はなかなかたいへんだと思います。御承知のように労働基準法の関係の「安全」一つとりましても、監督官がかなり熱心に監督業務を行なわない限りなかなか実効があがっておらない。それでもやはり大きな問題が起こっておる事例にかんがみましても、具体的に、それでは監督体制の人員というのはどの程度あるのか、お答えをいただきたいと思います。
○森口政府委員 本法のいろいろな運用にあたりましては、当然中央官庁におきましては、通商産業省をはじめといたしまして、農林省、あるいは運輸省、あるいは厚生省等の主務官庁の指導のもとにこういう監督体制を充実いたしていきたいというように思っておりますが、現実には、各種の排水規制あるいは大気汚染防止の監督というものは、都道府県知事が所掌をいたしておるところでございます。したがいまして、どういうような公害防止の体制をつくるかということの大約的な方針は中央官庁できめまして、これを府県のほうに周知徹底させまして、府県のほうの段階では、現実にいろいろな規制監督を実施しております担当者が、かたわら、こういう組織体制の指導についてもこれを行なうというような体制をとりたいというように考えております。したがいまして、先生御質問の、具体的に何人をこういう監督のために考えておるかということにつきましては、現実に排水あるいは大気等の監督をやっております都道府県の所要人員が、即公害防止体制の整備についていろいろ指導監督をすべき人員であるというように私のほうでは考えております。
○寒川委員 そういう御答弁があるだろうと思っておったのですが、そんなことでは、とてもじゃないがやれる話ではないと私は思います。したがって、この法律で三種類の責任者を設け、同時に代理者も置いたからかっこうがついたということで終わる危険性を非常に持っておるものです。むろん、先ほど局長からお話のございましたように、大企業の場合は別ですけれども、日常われわれが相談を受けておる段階でも、まず知識の面から、まあ講習会とかいうお話がございましたけれども、そういったことはやはりたいへんなわざで、監督要員といいますか、そういうけつたたきの要員が明確にならない限り、かっこうをつくっただけに終わることを私は非常に心配をしておりますので、そういう面につきましては、こまかい指導要綱といいますか、やはりそういうようなもので具体的に指示をしていく。命令的なものを採用しないんだというようなお話がございましたけれども、特に中小企業の場合は、そういうことが行なわれない限り、現実の問題としては、形をつくっただけ、こういうことになろうかと思いますので、その点は特に留意をしてやってもらいませんと、法律をつくっただけになるおそれを非常に心配をいたしておりますから、申し上げたいと思います。 それから第二点は、労働省で、御承知のように、いま公聴会を開いて、いろんな公害に関係します安全衛生の規則の改定に取りかかっております。したがって、その中では、御承知のように公害防除の設備基準的な内容のものが想定をされるわけなんですが、現行の安全衛生でも、そういう最小限度の設備基準というものを踏まえて指導監督をしておるわけなんですが、この場合にも、そういう面で設備をある程度――われわれは当初から法制化をしてほしいという要請をしておりますけれども、政府はそこまで踏み切っておらないようなんですが、実態的な面で設備の基準といいますか、そういうものを行政指導をしてもらわないと、先ほど申し上げておるように、管理者を置きましても、実効はかなりむずかしいのではないか、こういう感じを持っておりますし、なかんずく中小企業の場合には経費のかかります関係もございますが、むしろそういう問題については一〇〇%公害防止事業団等で、あるいは府県とタイアップして見ていくのだ、こういうような裏打ちなしには、一躍して改善命令を出すとか、あるいは閉鎖命令を出すとかいうような感じだけではたいへんだと思いますが、その辺についての御所見はいかがでしょうか。
○森口政府委員 先生御存じのとおり、公害の規制につきましては大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法で排出基準がきめられまして、これを守らせるために、発生施設を設置いたします場合には事前に届け出をさせまして、基準に適合しておらないときには計画変更命令を出すことにいたしております。したがいまして、現行の規制法におきましては、設備基準そのものを法定をしておるわけではございませんが、規制法を運用することによって同等の効果を期待し得るものというように私のほうは考えております。先生御指摘のように、それじゃそういうことを指導の側面で、どういう設備をつけたらいいかどうかということをやってみたらどうかという御提案の趣旨のようでございますけれども、処理施設はいろいろ日進月歩でございますし、企業によりましては排水量あるいは排出量あるいは生産方法等若干異なってきますので、一律的な処理基準というものは業種によりましてはなかなかむずかしい業種があろうかと存じますが、たとえばメッキ業のように、わりあいに一つの生産方法がきまっておるというような業種につきましては、排水処理について必ずしも現在完全な技術が開発されているというように申せないという現実はありますけれども、現在の時点において、どういう排水処理施設を設けたらいいかというような実際上の指導をし得る余地というものは当然あろうかと存ずるわけでございます。通産省におきましても、本年度メッキ業につきましては、特に指導のための予算を計上いたしまして、いろいろメッキ業について公害防止のための指導をすることとなっておりますので、そういう点もあわせてやっていきたいというように感じるわけでございます。 それから、いろいろ規制をやっていきます場合に、単に規制で処罰されるぞとか、あるいは改善命令を出すぞとか、そういうことではだめなんで、やはり必要な資金については国のほうで十分見るべきではないかというようなお話がございましたけれども、現在公害防止事業団におきましては、大体、中小企業につきましては所要資金の八〇%を融資をするというような方針で融資をいたしておるわけでございます。二〇%程度は、大体自己資金でまかなっていただきたいという趣旨で、大体八〇%程度あれば必要な資金額は調達できるであろうというめどを立てておるわけでございます。 ただ、いろいろ公害規制が強化されるに伴いまして、企業の公害防止に要します資金のワクは膨大にのぼりますし、特に中小企業者のほうの資金需要も大きくなってまいりますので、今後とも公害防止事業団の資金の供給の増大については私どもとしても非常に意を用いて、その増大につとめたいというように考えております。
○寒川委員 この問題について、最後に次官に総括的に御質問を申し上げたいのですが、いま事務当局が御答弁になっておるような内容では、私はやはりたいへんだと思いますよ。したがって、労働基準の関係では、従業員の健康を守るという意味でかなりきついいろいろな制度が動いておりますが、残念ながら、通産の関係では、基本法が変わりましても、感覚と申しましょうか、お仕事をされるセンスと申しましょうか、そういった面でまだまだというような感じが私はするわけなんです。したがって、今度の統一地方選挙なり知事選挙を通して、一般市民の公害に対する認識、自覚といったものが従前に倍した盛り上がり方があろうかと思います。そういう面から、いまのような通産当局の姿勢では、基本法を改正をして人命を尊重していくんだ、産業の発展との関連というものはもう考えないんだという趣旨とはかなり隔たりがあるような感じがしますので、法律がつくられた以上は実効があがるように、いろんな面でひとつ積極的に配慮をしてもらいたいと同時に、公害防止事業団が七月から環境庁のほうに移るようでございますけれども、現在の予算ワクといいますか、そういう面ではとても処理しきれないような実態になってこようか、委員各位におかれましてもそういうお気持ちが質問の中でそれぞれ御意見として開陳をされておりますので、そういう面で通産の責任者としてどう今後対処していくかということについて御所見を承りたいと思います。
○小宮山政府委員 確かに先生のおっしゃいますように、公害問題は現時点では非常に重大な問題でございます。企業内においても、公害意識というものがまだまだ私は十分だとは考えておりません。通産省といたしましては、企業内における公害防止意識というか、マインドというか、そういうものをもっと高揚し、公害にもっと徹底できるような形に持っていくのがほんとうであろうと思います。公害をなくすということは、まず人の意識が徹底しなければ公害が防止できないかと思います。しかし、反面公害防止技術が立ちおくれの面も、これもまたいなめない事実でございます。ぜひ公害防止技術というものも早く開発して、公害防止に役立つような形に通産省としてはやらなければいけません。 現時点においてはいろいろの問題がございますけれども、健康項目、いわゆるシアンとか、カドミとか、有機水銀とかいうものを、これは中小企業といえども全部徹底して取り締まっていく、かつ将来において生活環境項目、BODとか、C ○Dとか、SSというものを、徹底してこれもなくしていくという方向に向かっていく。これには段階的な問題をやっていかなければいけないかと思います。 本法における管理者とか、統括者とか、あるいは代行者というような方々に、今後いろいろな国家試験をやっていただくのでございますけれども、この国家試験をやっていく前にもあとにも、いろいろな技術の習得を徹底させる講習会、あるいは指導をやっていかなければいけないし、この技術が一番重要でございますので、今後ともその点については留意して通産省としては積極的に行なって、公害防止に積極的な役割りを果たしていきたいと考えております。
○寒川委員 一応、こういう関係のことについては終わりたいと思いますが、私自身国会に参りまして、この法律をつくってほしいということを議員の中で初めて言った一人でございますので、そういう面では皆さんの活躍を見守っていきたいと思います。精一ぱいひとつ努力していただきたいと思います。次に、公害防止事業団が公害防止に果たしておる役割りというものを否定するものではございませんけれども、事業団の理事長にお伺いしたいのですが、私の承知をしている範囲内において、団地造成等をして準備が終わって工場が入ってしまり、そういたしますると、何だかすべて終わったというような感覚で運営をされておるような感じかいたすわけなんですが、公害防止事業団の使命からいきましても、やはり全部完結をしてしまうまで、いろいろな立場から指導監督をする責任を私は持っておると思います。何だか金を貸して終わりだというような運営になっておるような感じかするのですが、理事長の御所見はいかがでしょうか。
○江口参考人 お答えをいたします。 ごもっともな御観察と考えますけれども、私たちとしては、金を出してそれで終わりということじゃなしに、出した金はもちろん回収をいたさなければいけませんので、団地につきましては十五牛でございますが、十五年間は責任をもって最後まで見守る。その間におきまする組合の行動等につきましては、十分公害防止という見地から監視をしておるつもりでございまするけれども、そういうふうに見えるという点は、あるいは組織、人数その他の点で十分な配慮ができていないことと考えまするから、将来に向かっては、できるだけそういう感じをお持たせしないように努力したいと考えます。
○寒川委員 御所管の団地の中で、操業を始めて倒産あるいは正常な形で事業が行なえなくなったという事業場、そういったものはどの程度ございますか。
○江口参考人 団地につきまして、契約ないしは造成後、中に入ってから倒産をした事例というようなものは、大阪鉄工団地に一件あるのでございまするが、それ以外に契約後、初めつくるときには組合に入っておりましたけれども、その後脱退したというのが三、四あるようでございます。
○寒川委員 その脱退した関係の監督というのはどういう関係になっておりますか。
○江口参考人 お答えいたします。 譲渡契約のときにA、B、C、D、とにかく十なら十の組合があって、それが完済するまで十五年間同じ状態であるというのが一番理想でございまするけれども、その途中において脱退するというようなものができました際に、私のほうは二通りに分けて考えております。 一つは、造成をいたしますときに直接の相手方を地方公共団体である市を相手としてつくりまして、市がさらにそれを組合に譲るというようなやり方をとっております場合と、直接私たちのほうが組合自身と交渉を持って組合自身に譲渡をしたという場合、多少やり方を変えております。 まず最初の、途中に市が入っておる、途中に市というよりも、市が直接の事業団の相手方になっております場合におきましては、脱退等のあとの処理は市の処理にまかしております。しかし、実際上は市としましても、他のほうがどうなっているかというようなことから、私のほうに相談はあっているようでございまするから、実際上のやり方は変わらないにしても、一つの行き方の原則としては市にまかしておる。 それからあとの、組合を直接に相手として譲渡をいたしましたものにつきましては、最後の返済の間までは組合がかってに脱退者のあとを埋めたりあるいは埋めなかったりするということを許してはおりませんので、それは契約の内容としてこちらの承諾を得て処理をするということになっております。
○寒川委員 そこで、御質問することが二つあるわけなんですけれども、その第一点は、倒産をして事業場からのいたあとへ公害発生源を持っておる事業場が入居してくる。その場合に、組合に全部おまかせをされておるようですが、そこら辺にやはりいろいろと問題があるように私は思うのです。したがって、具体的に地方公共団体と連絡をして、たとえば甲、乙、丙、丁とあった場合に、どれが一番優先をして入れなければいけないものであるかというような公式の意見書をとってやるか、あるいは譲渡をされた場合につきましても、譲渡先等についてそういう基準の設定がないように私は思うのです。そういう意味で事業団は金貸しじゃないかということを私が申し上げたくなるような実態にあるのですが、そういう措置をおとりになっておられるかどうかお尋ねしたいと思います。
○江口参考人 まさにおっしゃるような手続を私たちはとることにいたしておりまするが、その間どちらがイニシアチブをとるかという問題で、外部からごらんになりますと、組合がかってにやっているというふうに見える面もあろうかと思いまするが、決してかってにはやらせておりません。ただ御承知のように、事業団というものの組織、人数等をごらんになればわかりまするように、一々現地についてこちらのほうがイニシアチブをとって、どこの企業をあとがまに入れるほうがいいとかどうとかいうところまでの指導というか、干渉をするということには現在なっていないわけです。将来そういう整備をすれば別でございまするが、現在はどの企業を入れたほうがいいか、まあ極端に言えば、公害を出してない企業等を黙っておれば高い金を取って入れるというような可能性があるから、そういうことのないようにします一つの保障としては、組合がこちらのほうにあと地の処理をこういうふうにしたいと言うてくる前提に、そこを一般的に指導監督しておられる都道府県の当該官庁の意見を聞いて協議をした上で案をつくれということ、さらにこちらのほうにまいりましてからは、もう一ぺん今度は当該官庁のほうにその案を、こういうことを言うてきているが、これはこれでいいのかという御協議を申し上げて、それはぜひそうしたほうがいいというようなことになりました方向でこちらのほうは承諾をするというやり方をとっておる次第でございます。
○寒川委員 東京にいらっしゃって、そういう報告を受けておらないので私は正直におっしゃられたと思いますが、実態は私の調査した範囲内ではかなり違います。したがって、やはりそういう面で、たとえば公害を出しておらないものを入れるなんというのは論外でございますけれども、やはり数社が希望があれば、公害を除去するというウエートの高いものから入れていくとか、そういうようなものがあって指導監督をする、こういう形にならなければ、一ぺん団地をつくってしまったら、あとは金の回収ばかりを心配をして、事業団として公害防止に力を入れるんだという形の運営というものになっていかないとぼくは思う。それであれば、そんなことをやらずに、通産が直接やって銀行へ預託をして、銀行から金を貸せばいいのであって、そうやらないために公害防止事業団をつくっておるという意義を私は認めておるつもりなんで、そういう面での仕事のしかたに変えてほしいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○江口参考人 お答えをいたします。 私も、御指摘のように具体の現実を存じませんので、そういうことがあるともないとも申し上げられませんけれども、まあ筋からいってないはずだと考えております。それで一つの例を申し上げますと、先ほど倒産した例というのは、大阪の鉄工団地でございまするけれども、そのあと地の処理について、組合は第一段階として大阪の府庁にこうこうやりたいということの申し出をしたようでございますが、大阪府庁は内々に、事業団のほうにこういう申し入れがあるがどうだろうというお話がございましたけれども、それはその時期においては必ずしも適当でないと事業団のほうで考えたものですから、もっとほかに方法はないかということで、いまもってペンディングになっているような面もあるわけでございまするから、すべて組合の言うとおりに出しているという事実はないと私は考えます。
○寒川委員 私が申し上げていることは、要するに制度的にチェックできるような形での指導監督ができる体制で、せっかくある公害防止事業団の使命を完ぺきに果たしていただきたい、こういうことを申し上げておるわけなんです。それ以外に、あまりかんばしくない話を私たち聞いておるわけなんです。そういった点について、地元の関係においても、あるいは新しく入居――入団というんですか、それをしようということ等について、やはりかなりの金が、表立ってでない形で動いておるように私は聞いております。したがって、ここで時間の関係もございますので追及はいたしませんけれども、ひとつ完ぺきに調査をされて、御報告をいただきたいと思います。その上でまた次の機会に、その御報告を受けて御質問申し上げ、意見の交換をいたしたい、かように思います。いずれにいたしましても、公害防止事業団の使命といりものをひとつ十分自覚をしていただいて、実質的に金融業的な運営にならないような配慮を特に要望して、私の質問を終わります。
○小林委員長 古寺宏君。
○古寺委員 最初に、通産省にお伺いいたしますか、秋田県の小坂鉱山がございます。この小坂鉱山の排水の中から環境基準を上回る砒素が検出されておりますが、そういう事実を知っていらっしゃいますか。
○莊政府委員 小坂鉱山につきましては、御指摘のような事実は、私、現在は承知いたしておりません。さっそく調査をいたします。
○古寺委員 小坂郵便局の前で〇・一七PPMの砒素が検出されております。こういうことについては、通産省は、鉱山保安法に基づいて、鉱務監督官がこういうものをチェックしていると思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
○莊政府委員 御指摘のとおりでございます。
○古寺委員 こういう場合に、鉱山保安規則によって、坑外における管理者と申しますか、そういう方が実際にこういうものの分析を行なっておりますか。
○莊政府委員 各鉱山保安監督部で、そういう分析設備を備えて、分析をやっております。また、地方の通産局のほうにも設備がございますので、非常に件数の多いときにはそういう施設を使ってもやっておるという実情でございます。
○古寺委員 鉱山側ではどうでしょうか。
○莊政府委員 鉱山でも、大手のところは、全部、自社でも自主検査ができるだけの設備及び人員を備えております。
○古寺委員 保安監督員というものがあります。その保安監督員の補佐員が、実際にこの坑外の、そういうような鉱害をチェックしていることになっていますが、今度のこの法案でいきますと、管理者というのは、工場の内外ともに公害防止を管理していくことになりますか。
○莊政府委員 鉱山の保安監督員制度と申しますのは、主として、鉱山において事故が起こりまして、従業員に被害が生じますので、従業員の中からもそういう監督員、監督補佐員といっておりますが、これを出させまして、鉱山長である保安統括者とかあるいは技術管理者というものに対して、保安上必要な勧告をさせるという特別な制度が実はございます。これも、職責としては、鉱山の内部の保安の関係を担当しておるわけでございます。 今回の御提案申し上げておる法律に基づきます管理者の職務といいますのは、工場の内部におきまして、すでに事業者に対して、たとえば水質汚濁防止法等で事業者に課せられておりますところの水質基準を守る義務というのがございますので、その義務を前提にいたしまして、企業の中でいかにそれを自主的に事前チェックをするか、あるいは検査をするかということを管理者の職務として、内部の職務として法律で義務づけをしておる、こういうことでございます。
○古寺委員 鉱山の場合の坑外保安係というのがございますが、これはどういう役割りを持っているわけですか。
○莊政府委員 鉱山の場合には、事業を実施しておる場所が、いわゆる採掘を行ないます坑道のほかに堆積場等もございます。あるいは露天掘りの採掘場というふうな外部の施設もございますので、こういうところの保安に関しての監督を業務とさせておるわけでございます。
○古寺委員 そうしますと、この(保安統括者および保安技術職員の職務)という中に「鉱害の防止に関すること」が入っておりますが、この坑外保安係員というものは鉱害に関しては関係がないわけでございますか。
○莊政府委員 いわゆる鉱害についてはもちろんございます。「保安」という内容に、いわゆる狭い意味の従業員の人命の保安のほかに「鉱害の防止」というのが法律上もはっきりと含まれておるわけでございますので、御指摘のとおりになるわけでございます。
○古寺委員 そこで、鉱山保安法につきましては鉱務監督官というのがおりますね。今度のこの管理者を設置した場合には、地方自治体が立ち入り権を持っておるわけですが、そういう職員の身分というものについてはどういうふうになっておりますか。
○莊政府委員 現在地方自治体、市町村まで含めまして三千人ちょっとの公害関係の担当職員がおるわけでございますけれども、これは一般の公務員としての身分を保有しておるわけでございまして、公害を担当する公務員として法律に基づく職権を行使しておるということでございます。 鉱山保安法の場合には、沿革的に主として坑内の人命保安ということから発生しておりますので、戦前の鉱業警察規則というものがございました時代から今日まで引き続きまして、鉱務監督官だけは特別に司法警察官としての職務を行なうという特別の規定がございます。この点は一般の公害法規におきましてもそういう制度は設けておりませんし、その他の安全衛生関係の法令におきましても同様の扱いになっておると存じます。
○古寺委員 厚生省にお尋ねしたいのですが、こういう地方自治体の職員に対して、公害防止監督主事とか、そういうような専門職員を置かなければ公害の防止というものの完ぺきを期すことはできないと思うのですが、そういう制度について厚生省はお考えになっておりますか。
○曾根田政府委員 公害の各般の規制法が昨年の臨時国会によって強化されまして、そういうことに伴いまして、一方また公害防止の技術も非常に開発されてきたということから、専門的な公害防止技術責任者等の設置については当然その必要性があるわけでございますけれども、厚生省といたしましては、従来主として国立公衆衛生院におきまして、もっぱら高度の技術専門家を対象とする研修を四十二年度以来行なっております。 それからまた、厚生大臣の監督にかかわる財団法人の日本環境衛生センターというものがございますけれども、ここでは、むしろ第一線の実務担当者を相手に、やはりこれは短期の研修でありますけれども、いろいろとやってきております。今後、特にことしの七月から発足を予定されております環境庁におきましては、専門の研修所もつくるという予定になっておりますので、そういった面の体制は一そう強化されるものと考えております。
○古寺委員 そういうような研修を受けた職員に対して、一定の資格要件と申しますか、そういうものを付与するお考えはございますか。
○曾根田政府委員 公害一般の防止責任者といいますか、そういったことにつきましては、ただいま御審議中の本法案において所要の規定が置かれておりますので、それはそれで十分対処できるのではないかと考えておりますし、また個別各法におきまして、たとえば廃棄物関係でございますと、廃棄物処理法におきましても技術管理者、これは相当高度の資格でございますけれども、そういう資格も政省令等で定めておりますので、本法案の制定と相まちまして、ただいま御指摘のような御要望にはこたえられるのではないかというふうに考えております。
○古寺委員 総理府にお尋ねいたしますが、こういう公害防止監督機関と申しますか、そういうものをつくる必要があるんじゃないかと思うのです。鉱務監督官の場合には通産省に研修所がありまして養成をしておるようでございますが、そういう公害防止監督官というようなものを今後つくっていく必要があるのではないか、こういうふうに考えますが、いかがですか。
○城戸政府委員 公害行政を担当しております職員でございますが、ちょっと先ほど通産省のほうからもお答えがございましたように、直接的には都道府県、市町村合わせまして三千人余りでございます。ただ間接的に、いろいろその業務の一端として公害の監視をやっておる職員は相当多いわけでございまして、約二万名程度と私ども考えております。問題は、こういう職員の養成訓練の問題でございますが、この点先ほど厚生省からも説明がございましたが、その他の省の分も合わせまして相当数の養成訓練は現在でも行なっておるわけでございます。ただ、こういうぐあいで法制も整備され、公害行政をより一そう強力にやっていくということになると、その辺をもっと組織的にやる必要があるということで、ただいま提案されております環境庁設置法によりまして環境庁ができるということになりますれば、そこへ公害研修所を設けまして統一的な研修を行なっていく、こういうことになっておるわけでございます。 私どもとしましては、そういう研修所の問題と並行しまして、いまおっしゃったような具体的な監視業務をやる人の身分なりあるいは名称なり資格なり、そういうことにつきましては今後検討してまいりたいと思っております。ただ、養成訓練がおくれますとうまくまいりませんので、私どもとしましては、そういう点を先行しまして養成訓練を軌道に乗せるということを前提にして、その問題につきまして前向きで検討していきたい、こう思っております。
○古寺委員 今度の法律によりますと、公害防止責任者というのは工場長であるとか、あるいは課長さんであるとか、こういうふうに中堅の方々が責任を持つようになるわけですが、いままでの例を見ますと、公害担当重役までつくって公害防止体制というものをとってきた企業もたくさんあるわけでございます。こういうふうになった場合に、そういう責任者に非常に責任が加重されていくおそれがあるのではないか、こういうように思うわけですが、そういう点についてはどうでしょうか。
○莊政府委員 昨日もそういう責任の問題についていろいろ御質問をちょうだいしたわけでございますけれども、その際にも申し上げましたとおり、この法律ができようとできまいと、いわゆる企業のトップの取締役会のメンバーが、公害の発生を見ました場合に負う法律上の責任というものについては変化があるわけではございません。この法律ができたがために、下の管理者等に本社から責任が全部転嫁されてくるということは法律上も全然ないわけでございまして、この点は、私どもこの法案を準備いたします際にも、慎重に法務省当局とも横の連絡をとりながら、法務省当局の見解もただしながら、法案を準備いたしたわけでございます。 それならば、管理者がどういうときに責任を問われるかということを考えてみますと、第一線の管理者というのは、各工場におきまして、公害関係の予防のための分析とか、検査というふうな技術的な実務を通じまして工場長を補佐するわけでございますが、その人たちが非常に重大な職務の怠慢で、なすべき検査も全くしなかった、そのために公害防止施設が故障しておるというふうなことがわからないまま、たれ流しの状態になっておって、公害が起こったというふうな、そういう管理者個人の非常に重大な職務怠慢とか悪意とかいうふうな特別のことがあればいざ知らずといたしまして、その職務を忠実に行なっておる限りにおきまして、管理者が、たとえば公害罪の責任を問われるというふうなことは原則としてないはずである、こういう法務省御当局の見解等もございまして、私どもも当然そうだと思っておりましたが、そういうことを前提にこの法律は私ども作成したわけでございます。
○古寺委員 そこで、法務省にお尋ねしたいのですが、今回の法律と、人と健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律との関連性についてお尋ねしたいと思います。
○前田説明員 ただいまのお尋ねの点は、先ほど通産省のほうからお答えのあった点と同じような御趣旨だろうと思いますが、その点につきましては、先ほど通産省のほうからお答えがございましたように、いわゆる公害罪におきましては、あの法律の二条なり三条なりの構成要件、つまり「工場又は事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出し、公衆の生命又は身体に危険を生じさせた」、この要件に当たるかどうかという問題でございます。要件に当たるといいますのは、この要件に当たる者はだれか、こういうことになるわけでございまして、平たく申しますと、犯罪でございますから、犯人はだれかということになるわけでございます。したがいまして、当然、具体的な事案、事案に応じまして、その具体的な事情のもとでの証拠等を検討しまして、だれがこの面での刑事責任を負うべきかという問題になるわけでございまして、先ほど来もお答えがございましたように、現在御審議になっております法案の統括管理者であるとか、防止管理者であるとかいうものが当然になるという問題ではない、かように考えております。
○古寺委員 そうしますと、この第四条の両罰規定の中にございますが、統括者というのは、代理人になるわけでございますか。
○前田説明員 あるいは御質問の趣旨を取り違えておるかと思いますが、四条と申しますのはいわゆる公害罪のほうのことでございましょうか。
○古寺委員 そうです。
○前田説明員 そうでございますと、先ほども触れましたように、この二条なり三条なりの要件に当たるものはだれかということによりまして、まずこの四条の関係で申しますと、行為者がきまってまいりまして、その行為者が処罰されると同時に、事業主のほうにも刑罰がかかるというしかけになるわけでございまして、現在御審議中の法案における公害防止統括者あるいは公害防止管理者というものが、直ちにいま申しましたような意味での公害罪法の四条の行為者に当然になるというわけではないと思います。
○古寺委員 この両罰規定によりますと、「行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。」こういうふうになっておりますですね。実際にそういうふうな有害物質なり、そういう事故を発生した行為者のほかに、現在の法律に載っておりますところの統括者あるいは管理者というものもこの中に含まれてくるわけですね。
○前田説明員 いわゆる公害罪法の四条で罰せられます事業主といいますのは、法人の場合でございますと、その法人そのものでございますし、個人企業でございますと、その個人の事業主が四条によって刑罰を科せられる、こういうことでございます。 一方、具体的にこの二条なり三条なりの要件に当たる犯罪行為をした者というものが二条と三条で罰せられるわけでございまして、現在御審議中の法案の統括管理者というものが、先ほども御説明がありましたように、場合によってその行為者に当たることは絶無とは言えませんけれども、それはまた別な面からくるわけだと思うわけであります。したがいまして、具体的に公害罪に触れるような事態が発生しました場合に、だれが刑事責任を負うかというそちらからの問題としてきまってくることでございまして、そういう管理者の地位にあるから直ちに公害罪法の行為者として処罰される、こういう関係にはならないわけでございます。
○古寺委員 しかし、その管理者や統括者が、公害罪のいわゆる対象になる場合もあり得るわけですね。
○前田説明員 先ほども申しましたように、たまたま現実の問題といたしまして、そういう管理者を命ぜられている人が、この公害罪法の要件を満たす、つまり行為者に当たるということも、いわば理論的、一般的にはあり得るわけでございますけれども、やはり面が違うように思うわけでございまして、要するにこういう危険な状態を起こしたか起こさないかという問題として公害罪の問題は考えられる問題でございますので、実際に、具体的な人がこの要件に当たるような行為をしたものというふうになるかならないかという問題であるわけでございます。
○古寺委員 どうもよくわからないのだが……。 そうしますと、今度は通産省にお尋ねしますが、小規模の事業者のいわゆる公害防止組織ですね、本法律を見ますと、統括者を置かないことができるというふうになっておるようですが、こういう場合はどういうふうになるのでしょうか。統括者にかわる者を置くわけですか。
○莊政府委員 法律案の第三条についての御質問でございますが、具体的には政令でどういう場合に統括者を置かなくてよいかということは、将来きめることになると思いますが、私ども現在考えておりますのは、たとえば一例を引きますと、個人事業者ということが、先ほども法務省から御答弁申し上げておりますが、個人事業者の場合には、事業者個人が大気汚染防止法その他の取締法上の事業者としての義務を負い、責任を全部負っておるわけでございまして、違反があればその事業者というのが責任をかぶっていくということになっておるわけでございますし、さらに実態から申しまして、まず個人事業者の場合には、原則として規模も非常に小そうございますので、事業者が、生産の現場である工場の業務についても、全般的な監督を直接やっておるというのが日本の中小企業の実態だろうと思います。したがいまして、そういうときに個人事業者が生産現場である工場の業務を統括しておるからといって、みずからがみずからを統括者として重ねて選任して、みずから届け出るというふうなことをしいて一もちろんしても差しつかえないわけでございますけれども、実質的に特別の意味がないので、単なる形式的な管理者の選任になりますので、そういう場合にはこの限りではないというふうなことを考えておるわけでございます。 なお、法人成りをしておる場合でも、実質的には個人事業と経営の実態がほとんど変わらないというふうな場合もございますので、この政令を考えます場合には、単なる純粋の個人事業でなくて、いわゆる零細法人というものも含める形で政令を考えたいと考えております。 なお、そういう場合に、特別にほかに統括者を置かなければいけないかという点でございますけれども、その場合には置く必要はない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○古寺委員 そうしますと、零細な中小企業においては、その事業主が統括者になるということになりますか。
○莊政府委員 仰せのとおりでございまして、現在でも零細の個人事業の場合などは、事業主であると同時にこの法律での統括者の仕事も実質的に現在すでに行なっておる、原則として行なっておるはずだというふうに考えておるわけでございます。
○古寺委員 今度青森県の例で申し上げますというと、新井田川水域の水質基準がきまります。そうなりますというと、あの新井田川流域にはもう三百以上を数える弱小な水産加工業者が一ぱいいるわけです。この一年三カ月の間にこういう管理者を設置いたしましても、実際に基準を守るまでにはもう相当の日数もかかりますし、そういう防除施設をつくるだけの能力がないわけです。力がないわけです。そういうものに対してはどういうような対策をお考えですか。
○莊政府委員 問題は二つあるかと思いますが、とりあえずこの法律の適用の関係につきましては、私ども、重大な大規模な公害の直接の発生源になるような大企業というふうなもの、あるいは重金属関係の廃水を出すようなもの、これは中小企業もあると思いますが、こういうものにつきまして管理者の確保ということをまず進めまして、そして政令でも対象業種として取り上げて、一年三カ月たてば少なくともそういうものはやりたい、こう考えております。 そしていまの御指摘の業種の場合には、農林省関係業種になりますが、そういう業種につきましては、少し時間がかかるのではないかというふうに現在では考えております。その間、管理者たるべき人に対する事前の養成訓練というものには今後格段の力を入れて、準備をした上で法を適用していきたいと考えております。 それからもう一つの面でございますが、管理者制度はそういうふうにするにしても、基準そのものが、そういう水産加工の零細企業のような場合には、非常に守りにくい面があるのに対してどうするかということは、もう公害行政を進める上で、一番これからむずかしい大きな問題であり、政府としても県としても、一番指導、助成に力を入れるべき面だと思いまするけれども、各種の金融上の措置あるいは技術の開発に対しても、企業まかせでなくて、国のほうも思い切って研究費を出して、安くて性能のいい設備が国の助成のもとで開発されて普及できるような、こういう方向に相当力を入れなければならぬだろうと考えております。 なお、全国規制になった場合に、主として水産加工等は新規の規制がかぶってくるというような面もあろうかと思います。こういうものにつきましては、ナショナルミニマムの設定の問題で現在関係省で研究しておるわけでございますけれども、そういうものも野放しということはもう絶対にいけませんですが、直ちにことしの夏から理想的な基準ができない場合というのが現実にあろうかと思います。野放しはもちろんいけませんが、やはりある計画的な考え方に基づきまして、順次ナショナルミニマムを理想に近づけるように指導していく。基準のつくり方の面でも前向きに、かつ現実を踏まえてやっていくという配慮も特定の場合には必要じゃないか、こういう考え方で進めております。
○古寺委員 特に、そういう中小企業の場合には、この管理者を設置いたしましても、十分にその維持管理なりそういうような公害防止体制が実施できない場合があるわけですね。そういう場合に、この管理者が処罰を受けます。――処罰を受けるわけですか、これは。そうですね。今度の罰則を見ますと、罰金刑とかいろいろきまっております。そういう罰則を受ける管理者あるいは統括者の責任というものを回避するために、管理者になり手がないというようなことは考えられないですか。
○莊政府委員 先ほどもお答えしたわけでございますけれども、管理者が管理者としての職務を誠実に実施しておる限り、かりに当該事業場について公害が発生した場合でも、管理者として責任を問われるということはないわけでございます。それで、むしろ私ども、この法律をつくります場合に、実際に現在管理者的な、管理者制度に似たような制度を採用しつつある企業もございますので、そういうところの人たちの本法に対する意見というものも求めたことがあるわけでございますけれども、むしろ、こういう法律ができまして法律上特別の地位が与えられる、義務も課せられるけれども、逆に地位というものが法律上はっきりしてくるということになりますれば、現在ただ普通の業務の分担ということでやらされておる分析の結果というふうなものにつきましても、今度は法律上の管理者として、社内で工場長に対してはっきり意見も出しやすくなるという面も確かにある。むしろ長い目で見て、工場の中で非常に公害防止関係の仕事がはっきりと進めやすくなるというメリットというのがあると思います。こういう御意見が案外多かったわけでございまして、決して管理者になったら、何か公害が起こったときにはすぐにやめさせられるのじゃないかというふうなことではございません。特に中小零細企業等の場合にはそういう御心配もあろうかと思いますので、今後はこの法律の施行以前に十分そういうことは関係の業界のほうにも本法の趣旨というものが、間違いなく理解してもらえるように、講習会その他の席でも十分説明、努力をいたしたいと思っております。
○古寺委員 これはまた鉱山の場合と比較いたしますが、鉱山から有害物質が流れておった、それを坑外の保安係員が上の管理者に対して報告をします。報告をしても、その管理者がそれを上のほうに進言しない場合には、これは管理者の責任になるわけですか。
○莊政府委員 鉱山の場合でも本法案の場合でも全く同じだと思いますが、上の人が、上の人と申しますのは鉱山の場合には鉱山長たる統括者でございますが、工場の場合には工場長、これは鉱害に関する業務の統括管理をする、そして第一線の管理者とか監督員というのは補助をするということが法律上はっきりしておるわけでございますから、下から、検査の結果、こういう結果でした、重大なことになっておりますという報告が来たのに握りつぶしておるとか、知らない顔をしておるということになれば、これは統括管理者としては重大な職務の懈怠になるわけでございまして、責任は下にはなくて上になる、こういうふうに考えております。
○古寺委員 そういうような、下でなくて上というのは、管理者じゃなくて統括者でございますか。
○莊政府委員 統括者でございます。
○古寺委員 鉱山保安法でいきますと、実際の統括者とかあるいは管理者には体刑もございます。ところが鉱業権者にはそういう体刑がないですね。鉱業権者の責任というのはどういうふうになるのですか。
○莊政府委員 鉱業権者は、多くの場合には法人であるところの鉱業を行なっておる会社それ自体でございますが、個人経営の鉱山というふうな場合には、先ほど法務省御当局から御説明のございましたような責任が、自主的に司法捜査をした結果、あくまで現場の使用人にあるとかいうふうな事態がはっきりいたしました場合には、その人が刑を受ける。そして鉱業権者、事業者、事業主でございますが、その人が罰金刑を受ける、こういうふうになろうかと思います。大部分の場合には法人であることが現実でございますから、ちょうどこの法律が想定いたしておりますように、重大な公害が起こったときの実質責任というのは現場の工場長であるとか、あるいは本社の設備投資関係でありますとか、技術担当であるとか、そういうところの鉱山会社の本社の首脳部というものの責任がまた追及されてくる、こういうことになるだろうと思います。
○古寺委員 その場合、管理者の責任というのはどうなるのですか。統括者、管理者の責任です。実際にそういう大きな事故を発生するような行為者がおります、それを管理する人、統括する人がおります。その上に法人なりそういう会社がございます。その中間にいるところの管理者なり統括者の責任はどうなりますか。
○莊政府委員 抽象的なお答えで恐縮でございますけれども、法律上、この法律で統括者あるいは管理者というものは、業務の範囲が明確にきめられておるわけでございますから、その範囲内で職務を忠実に行なっておったかどうかということが問題になるわけでございまして、極端な一例を引いてみますと、非常に公害の発生しやすい生産設備がある。それの運転なり何なりのしかたというのは当然にきまっておるわけですが、非常に不注意でその操作を誤って、そのためにある期間非常に濃厚な廃液がそのまま出てしまったというような不幸な事態があったとします。しかし、平素管理者なり統括者としては、十分従業員に対しての訓練等も行なって、見回り、点検も行なっておった。たまたまそういう事故が不幸にして起こったという場合、形式的に管理者だから、統括者だからということで司法当局のほうでどう御判断になるかの問題だとは思いますけれども、別にそういう場合まで責任を問われる、こういうことじゃないんじゃないか、あくまで実態に応じての判断だろうと思うわけでございます。
○古寺委員 そうしますと、中小企業と大企業の場合では――零細企業のほうは事業主が統括者になっておりますね。事業主は当然その処罰の対象になります、重大なそういう公害を発生した場合ですね。ところが、大企業になりますと、上のほうへはいかぬわけですか。統括者までいって、あとその会社の重役とかそういうところには責任がいかぬわけですか、その管理の責任は。
○莊政府委員 なかなかむずかしい問題でございますから、むしろ法務省御当局から答弁いただいたほうが適当かとも思いますが、私どもこの法律をつくります場合に考えた範囲のことを申し上げますと、大企業の場合には、平たくいえば工場、事業場の数も多いし、それからそれぞれにスタッフも豊富にそろえて、本社と工場というものが一応分業的にやっておる。平素の生産の実施面での機械の操作でございますとか、こういうことは相当責任のある取締役クラスの工場長がおって、まかされてやっておる。十分部下も持っておる。そういうわけでございますから、やはり公害が発生したからといって、先ほど申し上げたような機械の操作上のミスだとか、こういうところまで本社に及ぶということはおよそ考えられません。そのかわりに、公害の防止投資がかねがね十分に行なわれてないとか、当然にやればやれることがあと回しになっておる。むしろ生産設備に対する投資のほうはどんどん行なわれておった、こういうふうなことになりますと、大企業の場合には、これはもう工場限りの権限ではございませんで、逆に本社全体としての長期の設備投資計画なり、それの予算編成というふうな、取締役会の中での何人かの責任者がおる、そういうところの権限にも属しておりますし、法律上もそこまでさかのぼるような、どういう検討をし、何ゆえこういう設備投資計画を組んだのかというふうなところまで当然問題になってくるだろうと思います。 中小企業、特に零細企業の場合には、あらゆる決定も、それから監督の実施面も、零細企業の実態からいえば経営者たる個人、一身専属的にやっておる。下の人はもっぱらただ働いておるというふうな実態でございますから、そこのところを考えますと、零細企業の場合には、何となく経営者に非常にしわが寄るような感じがするかもしれませんですが、これはやはり業務の内部の分担の差、組織の差というものも、実行行為責任者がだれかという追及をします場合には、ある程度事案によって反映するということは事実問題としてあるんじゃないか。理屈の上で差をつけなければならない、政策的に差をつけなければならないというようなことはもちろんないのでございまして、あくまで組織、業態が違えば責任分担なり業務分担の実態、これもまた変わる場合もある、それに応じて個々のケースで判断もまた変わる場合がある、こういうことではないかと思います。
○古寺委員 そうしますと、先ほどお話しした八坂鉱山の場合には、鉱務監督官もおります。いろいろな総括者もおって、管理者も保安係員もみんないるわけですね。そういうところでも基準を上回る砒素が排出されているわけです。こういう場合には、これは一体だれの責任になるわけですか。
○莊政府委員 小坂鉱山の砒素流出というのは、私いまよく存じませんですが、どういう事情で今回砒素が大量に出たのかという実態をやはり調べまして、それがかねがね設備が非常に不十分であった、もう故障しそうなことがはっきりしておったのに、事前に手当てもせずにうっちゃっておいた。それは鉱山長もよく知っておったということになりますと、やはりトップの鉱山長というのは責任が相当あると考えざるを得ませんし、私は検察官でも何でもございませんし、何も申せませんが……。それから、たまたま公害防止のいろいろな施設がございますけれども、それが運転ミスから一とき不幸にして出たのだというふうな場合と、これまた判断は当然変わってくるのじゃないか、かように思うわけでございます。あくまでも管理組織ができました場合に、何か特別の任命を受けておるから、何か起これば全部の人が機械的に責任を負うのだということでは決してなかろうと思います。
○古寺委員 その場合、工場長とか施設の維持管理をする人の責任であるということはわかりますが、坑外の保安係員とかあるいは管理者がおりますね、こういう人たちが施設が不十分である、また実際にそういう有害物質が出ているということを知っている場合に、処罰の対象になりますか。
○莊政府委員 係員とか管理者の人が検査をしたら、基準を上回っているということを知った、これはそういう事態を知ることが大事であり、それを職務にさせておるわけでございますから、知ったこと自身むしろ被害の拡大を防ぐ端緒になるわけでございまして、そのこと自身は違法行為でも何でもない。直ちに管理者は統括者のほうにその事態を報告して善処を求める、これが職務なわけでございます。
○古寺委員 そこで、今度の法律については、業務がきめられておりますね。たとえば、これは第三条でいきますというと、汚水の場合には「使用の方法の監視並びに汚水等排出施設から排出される汚水又は廃液を処理するための施設及びこれに附属する施設の維持及び使用に関すること。」こういうような業務規定がございます。管理者が十二分にこの業務をやらない場合には、管理者は処罰されますね、どうでしょうか。
○莊政府委員 管理者がそういう業務を誠意を持ってやらないというふうな場合には、第九条に特に規定がございまして、誠実義務という規定があるわけでございますけれども、これは特に直接的に罰則を九条違反ということで設けておるわけではございません。先ほどもちょっと申し上げましたが、たとえば排水の検査をする、それを非常に怠っておって、その結果処理施設が故障しておるのを不幸にして見のがす結果になって重大な公害を招いてきた、こういう場合には工場排水規制法なり何なりのほうの違反問題として、その管理者も一半の責任があるのじゃないかというふうなことで問題にはなり得るものと思います。第九条違反があったからといって、誠実に行なっておるかどうかということはなかなか外から見ただけでもわかりにくい面もございますので、罰則の適用が直接的にはあるわけではございません。しかし、その結果として重大な結果を招いた場合には、もちろん私は責任はやはり問われることになる、こう考えております。
○古寺委員 そうしますと、たとえば共同の汚水処理場がありまして、その汚水処理場が、今日の段階では技術がまだ非常に未開発の面が多いので完全な防除ができない、誠実に一生懸命やっているのですが、そのために大きな公害が発生したという場合には、管理者の責任はどうなりますか。
○莊政府委員 管理者と申しますのは、現場での管理責任者でございまして、現場でこの法律に定められた監視でございますとか、検査とか、測定とか、こういうことを誠実に行なうということが義務づけられておるわけでございます。そういう機構をつくっておけば公害の発生も事前に防止しやすくなるであろうということで、公害の防止は事業者に義務がすでにかかっておるわけでございますけれども、その義務の履行を確実ならしめる一つの方策としまして、今回この法律でそういう末端の技術者の設置を義務づけ、職務を課しておるというのが立法の趣旨でございます。 したがいまして、もともとこの設備が、不十分なものしか企業全体としてやってないというふうな場合に、それの結果であるところの排水の状況の監視を義務づけられた検査員というものが、たとえ基準を上回っておるものを発見したからといって、そのこと自身何ら責任がかかるわけではない。やはり設備投資が不十分であれば、それについての社内での実質責任者はだれかということが追及されるのが当然の筋である、かように考えております。
○古寺委員 その場合に、今度は統括者の責任はどうでありますか。
○莊政府委員 統括者がかりに、これは各社の実情によると存じますけれども、一定の範囲で予算などワクを与えられておりまして、その範囲で自由に公害防止投資をどんどんやれというふうな決定が企業内部で行なわれて、権限委任が行なわれておった。しかも、その範囲内で十分公害防止投資ができたはずのものをしてなかったというふうな場合がかりにございましたならば、これは工場長たる、管理者たる者は、やはり責任を免れないと思います。そういうことではなくて、重要な公害防止投資というのは、本社段階で、もちろん工場長の意見も聞いた上できめていくというふうなことになっておる場合には、工場長としては、やはり部下の管理者と違いまして、常時測定もやらしておりますから、その結果いまの設備では不十分である、もっと増強すべきであるというふうな結論をもちまして、本社のほうに対して統括者として意見も出しておった、黙っておったのではこれはしようがないと思いますが、そういう職責はやはり果たしておるかどうかという実態に応じて責任があるかないかということはきまるべき筋合いだろう、そういう趣旨でこの法律もつくっておるわけでございます。
○古寺委員 そういうふうに、非常に重大な公害が発生しておって、施設の改善が必要であるということを統括者が会社側に進言をします。ところが、非常にお金もかかるしあるいは時間もかかるというような場合ですね。公害をそのままたれ流しにして操業をしておったというような場合には、それは会社側の責任になりますか、統括者の責任になりますか。
○莊政府委員 いまの問題は、それぞれの公害取締法規、たとえばたれ流しの場合ですと、水質汚濁防止法違反の責任者というのは一体だれになるか、あるいは公害罪での実行責任者というのはだれになるかという、非常に根本的な問題になるわけでございます。もちろん事案によってそれは変わる点だろうと思いますが、私はやはり多くの場合には、非常に抽象的な言い方でございますが、工場長以上の段階における企業のトップというものがやはりそういう場合でしたら責任が実質的にあるのじゃないか、末端で機械を操作しておる職工さんとか、そういう人たちとは、法律上の責任の問題としては関係が薄いのじゃないか、一般論でございますが、そういうふうに思うわけでございます。
○古寺委員 法務省にお尋ねしますが、いまのように、統括者のほうが施設の改善を会社に進言しても、会社のほうがそれをそのままにして操業をしておった場合には、これは統括者は責任はどうなりますか。
○前田説明員 先ほど来通産当局のほうからお答えがありましたと同じように考えておるわけでございまして、要するにそういう事態が起こりましたのにかかわらず、なおそれが放置されたということであろうかと思いますので、その放置されたことについてどこに問題があるか、いわば何が原因か、さらには、具体的にいえばそういう事態をそのまま放置し、なお新しく違反するような事を続けておるというところの問題、その責任者はだれかということになるわけでございまして、その具体的な事案、または企業の組織内容等によっておのずから違うと思いますが、先ほど来お話のございましたように、場合によってはその工場の最高責任者であり、またその問題が設備そのものにあるというようなこと、あるいは生産工程のやり方の決定の問題にある、いろいろ問題が違うことになろうと思います。それに応じまして工場長であるとか、あるいは本社のその面におけるそれぞれの責任者というものが刑事責任を追及されるべきもの、こういうふうに相なってくると思います。
○古寺委員 そこで今度は統括者も管理者も、一生懸命やっておったのですが、全然知らないうちに重大な公害が発生したというような場合には、これはどこの責任になりますか。
○前田説明員 その場合もいろいろと場合によって異なるかと思いますけれども、いわゆる公害罪におきましては、過失犯の規定もございますし、また近く施行されます水質汚濁法等におきましても、排出規準に適合しない排出水の排出につきましては、過失犯も罰することになっておるわけでございまして、その場合にはそういうものを出さないようにする義務者と申しますか、責任者と申しますか、そういうものがだれかということによっておのずから刑事責任を負うべき者が具体的にきまってくる、こういうふうになるわけでございます。
○古寺委員 その場合、行為者はどうなりますか。行為者は会社の命令で動いておってそういうような公害を発生しておるわけですね。行為者は処罰の対象になりますか。
○前田説明員 ただいまのお話の中の行為者という問題でございますが、私どもがいわゆる行為者といっておりますのは、いわば先ほど来申しておりますように、その違法な排出行為の責任者はだれかという意味においての行為者でございます。したがいまして、先ほどもお話のございましたように末端のいわゆる労務者的な方というのは、いわば機械的に一定のきまった作業のやり方に従ってやっているわけでございまして、そういう人がこの面での責任を負うべきだというふうには考えられないわけでございます。むしろ、そういうようなやり方をさせておるといいますか、そういう基本的な面での決定をした者という人がそういう違法な排出をした者、そういう意味においての行為者に当たる、こういうふうに考えるわけでございます。
○古寺委員 今度の法律でいきますと、第十条に県知事の解任権ですか、県知事が解任できるというのがございますね。この場合に、工場のその部門だけのいわゆる統括者あるいは管理者が解任されるのであって、会社側は全然影響がないわけです。そういう場合に、はたしてこういう管理者なり統括者に、とてもそういうものにはなる必要がない、そんな歩の悪い責任者になっては困る、こういうような傾向が出てくるのじゃないかということが考えられるのですが、そういう点については通産省はどういうふうにお考えですか。
○莊政府委員 管理者や統括者が第十条の規定で解任されますのは、一例を引きますと、重大な公害が発生いたしまして、その実質的な責任者、たとえば起訴が行なわれるとした場合には、まさにその管理者や工場長が違反の責任者という名において起訴されるという、そういう責任があるような場合でございまして、その会社から公害が起こったならば、必ずどっちかが解任されるのだ、こういうことではもちろんないわけでございます。したがいまして、実質的に起訴もやむを得ないような重大な責任がある、しかもその人が統括者だ、もちろん統括者、管理者としての職責も誠意を持って行なっておらないからこそそういうことになったわけでございますから、そういう場合には、これはやむを得ざる措置でございますけれども、やはり責任ある地位にその人をとどめておいたのでは、今後ともまた公害が起こるかもしれないというふうな場合があり得るわけでございます。罰則の適用だけではまだ不十分というふうな場合には、やむを得ざる最後の措置としてそのポストからはずすということもやむを得ないということで、他の立法例でもやはり資格の剥奪とか解任という規定が全部あるようでございますので、本法でも同様の規定を念のために設けておるわけでございます。 お説のように、そういう重大な地位であるのであればもう工場長や管理者は引き受けるわけにはいかないか、こういう点でございますけれども、やはりこれだけ公害の問題が重大な国民の関心事項になってまいりました場合には、これは法の制裁があろうと、あるいは解任命令があろうとなかろうと、社会的な責任ということは非常に重大になってきておるわけでございまして、その点は本社の重役の人がかりに法律上の責任者としては訴追されないというふうな場合におきましても、これはもう現在明らかになっておりますように、社会的な責任という重大な制裁もあるわけでございまして、通産省としては、こういう法律ができたから本社の幹部が全部工場のほうに責任は持っていって知らないというふうなことでは、――法制上もそうじゃないのだということをよくよく徹底させて、この法律がほんとうの生きた運用をされる、企業のほうでも、この法律のほんとうのねらいというものを正しく理解して、受けとめて、積極的にやってもらうというふうに十分徹底させたいと思っております。
○古寺委員 それでは、総理府のほうにお尋ねしておきますが、無過失責任制度の問題はどういうふうにお考えになっているか、承りたいのです。
○城戸政府委員 無過失責任の問題につきましては、先般も総理からお答えがございましたように、現在法務省と公害対策本部が中心になり、関係各省と協議しながら案を練っておる段階でございます。
○古寺委員 今国会に提案する予定でございますか。
○城戸政府委員 この点につきましても総理からお答えがございましたが、私どもとしましてはできるだけ早く煮詰めるということでやっておることは違いないわけでございます。提案の時期につきましては、いまの段階では何とも申し上げられない状況でございます。
○古寺委員 時間ですから終わります。
○小林委員長 関連して岡本富夫君。
○岡本委員 通産大臣が外遊中ですから、大蔵大臣が臨時通産大臣ということですので、二点だけお聞きしておきたいと思います。 一点は、この公害防止組織の管理者法案が通ったからといって、これが制定されたからといって、実務担当者だけに責任を転嫁するのではなくして、事業者自体、たとえば大企業ですと社長が総責任者であるわけですから、そういった公害防止に対するところの総責任を持つように指導監督を十分にしてもらいたいと思うのですが、その点について……。
○福田国務大臣 ただいまのお話、まことにごもっともなことだと思います。この法律が成立したからといって、企業責任者、最高責任者その他の責任者が、この法律による責任者に責任をなすりつける、こういうことであってはならぬ、かように考えますので、御趣旨の方向で指導に当たりたい、かように考えます。
○岡本委員 もう一点は、これは昨日私が質問したのですが、もう少し要領が得なかったので、これは特定工場以外の事業所、すなわち一つの例を引きましたのは、兵庫県の淡路島の津名町の沖に約二十七万坪の埋め立てができて、そこが鉄鉱石の基地になる。輸入してきた鉄鉱石をそこに置く。それで非常に心配があるのは、その粉じんが飛散して付近の住民に非常に迷惑をかける、こういうことでございますので、これの責任者をまずはっきりしておくことが一つ。この商事会社に対して念書を取るということでありましたが、念書だけではどうもはっきりいたしませんので、その責任者をはっきりきめさせることが一つ。それからもう一つは、十分なところの公害防止、要するに粉じんの飛散をとめるという方式を指導監督して、そして公害を防いでもらいたい、こういう要望をしたわけでありますけれども、もう少し納得がいかなかったので、それについての、臨時通産大臣ですけれども通産大臣の見解あるいは今後どういう指導をするか、これについて答弁いただきたい。
○福田国務大臣 お話、これまたごもっともなお話と私は思います。さような方向で業界の指導に当たりたい、かように存じます。
○岡本委員 最後に、特定工場以外のそういった事業所に対するところの公害防止の責任者というものを、今後はやはりつくっていかなければならないんじゃないか。非常に広範囲でありますから、法体系が非常にむずかしいかもわかりませんけれども、そういった制度をつくらなければならぬ、これをやはり検討してもらわなければならぬ、こう思いますので、それだけを要求いたしまして、終わります。
○小林委員長 島本虎三君。
○島本委員 二点にわたって確認をしておきたいと思います。 いよいよ特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案がここで質疑も終わって、委員会の態度を決定することに相なります。これは産業公害の現状からして発生源対策を強化する一助として、われわれとしてはこれは十分に留意しておかなければならない種類のものであって、今後も運営の全きを期さなければならない種類のものであります。 本法においてはきわめて重要な部分が数多く政省令にゆだねられておるのであります。十八カ条のうち政令事項が十九、省令事項が十二、計三十一の政省令事項がございます。したがって、この運営は政省令にまつところ大なわけであります。 かつては河川法では、制定されてから三カ年の間、政令事項にゆだねられた分ができ得なかったために、法の制定以来遂にそれが発動できなかったという例もあるわけであります。その重要な部分には流量だとか清潔、こういうような点で管理者が規制することになっている法律でありますが、それも政令、その政令をつくるのは各省にわたっておった、いわゆるアルコールの関係で大蔵省も入っておった、こういうようなことで、この制定に三年間かかったわけであります。こういうような例から見て、せっかく政省令にゆだねられている分も、そのままやらないことによっては運営の全きを期することはできないのでありまして、政省令を本法においてもできる限り早く制定するようにつとめることが重大な問題であります。この点についての政府側の御意見を承っておきたいと思います。
○福田国務大臣 本法律案の政省令は、御指摘のようにたいへん多いわけでありますが、全力を尽くしまして可及的すみやかにこれを制定いたし、この法律の実施をいたしたい、かように考えます。
○島本委員 第二点目、本法は、鉱業法、鉱山保安法に準拠して立法されておるわけです。鉱業法では無過失賠償責任が取り入れられています。本法にはこれがない。本法に重大な関連を有する、基礎になった、準拠したといわれる鉱業法にはそれがあるのであって、したがって、重大な関連を有する無過失賠償責任制度の立法案を早期に国会に提案することは当然必要なことでありまして、現在の公害の発生の現状からして、また世論の高まりからして、政府はこの点に留意して一もうすでに野党からは出されている法律案でもあるのですが、まだ審議開始に至っておらないのであります。したがって、政府も早くこの準備をして国会に提出するようにしなければならないと思います。総理もその点についてはある程度言明しておりますが、いまだにやるということのはっきりした言明がないのであります。可及的すみやかにという程度でありますが、可及的すみやかにといっても、一年後であっても十年から見ればすみやかであります。また、二年から見ると六カ月は可及的すみやかということになりますが、いまやそういうようにじんぜん日を過ごすことは許されない状態でございますから、これはやはり本法に重大な関連を有する無過失賠償責任制度の立法案を、早期に国会に提出するようにつとめなければならないと思います。政府のこれに対する意見をひとつはっきり承っておきたいと思います。
○福田国務大臣 無過失責任に関する皆さん方の御意見につきましては、前から承っております。総理府のほうからお答えがあったはずですが、政府のほうでも前向きの検討をいたしておるのです。御意見でもありますので、さらに積極的にこれが検討に当たりたい、かように考えております。
○島本委員 終わります。
○小林委員長 これにて内閣提出の特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案に対する質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○小林委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小林委員長 起立総員。よって、本案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。
○小林委員長 次に、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、山本幸雄君外三名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。山本幸雄君。
○山本(幸雄)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、内閣提出、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案に対する附帯決議を付すべしとの動議について御説明いたします。 まず、案文を朗読いたします。 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は本法施行にあたり特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。 一 事業者が公害防止組織の形式的整備をもってことたれりとすることなく、公害防止施設の設置等を積極的に行なうよう強力に指導するとともに、公害を発生させた場合に、その責任を公害防止管理者等の実務担当者にのみ転嫁することのないよう監督指導すること。 二 公害防止管理者等の人員数を確保する一方、その知識及び技能を極力高い水準に保つよう努力すること。これがため、公害防止管理者等の養成訓練に努め、なお、これを行なう地方公共団体等に対する助成を十分考慮すること。 三 企業内における公害防止体制の整備のほか、地域ぐるみあるいは業界ぐるみの事業者間協力の推進を容易ならしめるため、制度の整備、指導及び助成措置の充実等を図ること。 四 悪臭などによる公害についても本法を適用する方向の制度改善に関し早急に検討を進めること。 右決議する。 以上でありますが、この動議の趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので省略させていただきます。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○小林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小林委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。 この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。通商産業大臣臨時代理福田赳夫君。
○福田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、極力これを尊重し、鋭意努力をいたしたいと存じます。 ―――――――――――――
○小林委員長 ただいま議決いたしました特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十四分散会