決算委員会 第11号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1971/03/10
会議録
○濱野委員長 これより会議を開きます。 歳入歳出の実況に関する件、特に林野庁における木材払い下げ入札問題について調査を進めます。 この際、委員会の総意をもって委員長から申し上げることにいたします。 農林省所管国有林野事業特別会計所属の林産物品売り払いについて。 林野庁上松運輸営林署において、林産物品を一般競争契約によって売り払うにあたり、入札の方法、経理処理等について、いろいろ遺憾な点があったことが、過日の当委員会の審議の結果明らかとなりました。 すなわち、開札に際して、錯誤による入札書を無効として判定し、すべてこれを廃棄処分に付しているのであります。 国有財産、物品の処分等にあたっては、経理処理を明確にするため、関係証拠書類を保存する必要があり、会計検査院の計算証明規則の諸規定も、この趣旨によるものでございます。 しかるに、無効とした入札書を廃棄したため、いろいろの疑惑を生じ、関係者が落札者決定について、その公正を立証する証拠書類が全くない状況になっている事情がございます。 ついては、林野庁は今後公正な払い下げを明確にするため、入札の処理と経理事務を適確に行なうよう、一そうの改善につとめるべきであります。 こういうことでございます。 この点についてお答えがございます。渡辺農林政務次官。
○渡辺(美)政府委員 ただいま委員長から御注意のありました点につきましては、はなはだ遺憾であります。 今後、入札事務については、一そう厳正に行なうよう指導してまいりたいと存じます。
○濱野委員長 松本林野庁長官に発言を求めます。
○松本(守)政府委員 ただいま委員長から御注意のございましたこのたびの入札関係事務処理につきまして、はなはだ遺憾でありました。 このようなことのないよう、直ちに改善を下部に指示したところでございますが、今後さらにその徹底をはかり、入札事務を一そう厳正に行なってまいりたいと存じます。 ————◇—————
○濱野委員長 次に、昭和四十三年度決算外二件を一括して議題といたします。 総理府所管中総理本府について審査を行ないます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。鳥居一雄君。
○鳥居委員 去る二月の十二日、私は市川市の本行徳における土壌汚染の問題を取り上げました。公害対策本部のほうでは、この点について全くその事実を知らなかった。そのために、調査をして報告することになっておりました。このおよそ四ヘクタールの広大な地域を産業廃棄物をもって埋め立てをやったわけですけれども、この調査の結果についてまず伺いたいと思います。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。 二月十二日の当委員会で先生から御指摘をいただきましたことにつきまして、直ちにその日のうちに市川市、千葉県、建設省、通産省、農林省、東大、そういうところに状況の照会をいたしました。その後、建設省の宅地開発課長が現地に行きまして、現地の調査をしてきてくれました。それから千葉県、市川市につきましては、係官に本部へ来てもらいまして、詳しい事情の説明を受けたわけでございます。 その結果わかりましたことは、埋め立て工事の事業主体として事業を行なうことになっておりますのは、四十五年の十月二十二日に県が認可をいたしております行徳南部土地区画整理組合という組合でございまして、土地改良区ではなくて、建設省の監督下にあります事業の末端ということになるわけでございます。そこが、本行徳の地盤沈下によってたんぼとして使えなくなったたんぼを埋め立てをいたしまして、三十九ヘクタールの宅造をやるという計画がこの事業でございます。問題の鉱滓によりまして埋め立てをいたしておりますのが三・三ヘクタール、鉱滓の量にいたしまして三万六千立米、これだけを入れておりますが、それは組合の設立されます約一年前の四十四年の秋に、いま組合員になっております七人の農家が共立運保という会社と契約いたしまして、日本化学工業、これは東京の江東区にある会社でございますが、そこからクロム鉱滓を運びまして埋め立てを行なったというものでございます。これが組合の設立の総会、四十五年の十一月に行なわれたわけでございますが、そのときに、ほかの組合員から先生御指摘のような黄色い色が外へ吹いている、そういうことで危険ではないかという疑義が出まして、そのとき以来一応その鉱滓の搬入を中止したという報告を受けております。 それからまた、市川の市議会に四十五年の十二月に問題が提出されまして、市から千葉県に対しまして、これの資材を使って事業を続けることについての意見を聞いております。それに対しまして、四十六年の一月に、県は衛生部長の名をもちまして、望ましくない資材であるから使わないようにという文書をもっての回答をいたしております。 それが仕事の流れでございますが、現在のところはそれ以後中止をいたしておりまして、作業はいま停止しているようでございます。 それからその鉱滓でございますが、そこの農民の一部の方が東大の浅見先生のところに持ち込まれまして分析を依頼した、それから市川市は、千葉工大の島田先生のところにサンプルを持ち込んで依頼をした、それからまた一部、どういう系統を通じましたかよくわかりませんが、日本分析化学研究所にも分析を依頼いたしておりますが、それによりますと、先生の御指摘のございました東大の発表がございましたが、東大で一三八、〇〇〇PPMから四〇、〇〇〇PPM、この一三八、〇〇〇PPMというのは、私が浅見先生に伺いましたところでは、上のほうの結晶になっている部分だそうでございます。それから千葉大では三八、〇〇〇から二九、〇〇〇PPM、それから日本分析化学研究所のデータでは、大体六・八から八・五%でございます。ですから、これをPPMに直しますと六八、〇〇〇から八五、〇〇〇という、いずれにいたしましても非常に高いクロム含有量を示しております。そこで、水溶性の六価のクロムを分析しておりますのは千葉工大でございますが、大体大まかに申しまして、その数字の半分くらいの値を出しております。 千葉県と市とは対策について協議をいたしまして申し出てまいりました点は、上に一メートルの覆土をします。それから周辺の水のヘドロを除去します。それから、みぞに面しました場所についての鉱滓を掘り上げまして、そこのあとに新しい土を入れて突き固めて外への流出を防ぐ、それから、購入者には飲料用水としての井戸をつくらないようによく通知をして徹底する。これはまた事実問題としましても、海水がそばにありまして飲料水の井戸には不適当だということで、水道の計画もいたしておるようでございます。それから鉱滓による埋め立てば今後中止する、そういうような対策を私どものほうに報告してまいったわけでございます。 そこで、私どものほうは建設省の方と一緒にその話を聞きまして、三万六千立米もあるものでございますから、これを撤去するということはなかなかむずかしいので、県及び市の考え方というのは、一応やむを得ない方法ではないか、次善の方法ではないかと思いますが、ただ周辺への流出というのは、どろを入れて突き固めただけでだいじょうぶかどうかという点について、もう一ぺん検討してくれということを申したわけでございます。それに対しまして、昨日また千葉県に確かめましたところによりますと、千葉県におきましては、やはり私どものほうで指摘をした点について再検討するということで、何か土だけでない方法はとれないか、それから可溶性のクロムになっております六価のクロムを三価のほうに還元するために、薬剤を用いた還元方法をとろうというようなことをあわせて検討しております。まだその結論を得ていない、もう少し検討するということでございます。作業はいまのところとまっております。 それから、そこまで私のほうで調査いたしまして、事業の指導につきましては、土木工事のほうに関しましては、先ほど申しました建設省の宅地開発課の御所管になりますので、そちらに指導をお願いいたしております。それから、会社側の今後の鉱滓の安全化等の問題につきましては、通商産業省の公害部のほうにお願いして御指導を願っております。通産省におかれましても担当官がお見えになっていらっしゃいますので詳しくは申し上げませんが、会社側に対しまして適切な御指導をやっていらっしゃるというふうに承っております。 以上、いままで調べましたところを申し上げました。
○鳥居委員 この問題は典型的なクロムの公害の問題でありまして、非常に根が深い。調査してそのことがわかってまいりました。これに対する行政指導その他の点でもかなりの問題を含んでおる、こういうふうに受け取っております。 そこで、まず厚生省のほうに伺いたいのですが、クロムの毒性についてどういうふうに受け取っておりますか。トータルクロム並びに六価、三価のクロムにつきまして、急性及び慢性の場合の症状、そうしたものについてひとつ御説明願いたいのです。
○浦田政府委員 クロムの人体に対する意義いかんということでございますが、シュレッダー等の報告によりますと、クロム自体はやはり人体に対して、ごく微量でございますけれども、不可欠な元素としてあるということでございます。しかしながらクロムを多量に摂取する、あるいは接触する、吸入するといったような場合には、これは主として労働衛生のほうの知見でございますけれども、たとえば吸入する場合には粘膜の腐触を来たす、ことに典型的な場合には鼻中隔のかいようを来たしまして、ついには欠損を来たす、これが永久になおらないといったような症状を起こすようでございます。それから皮膚に接触いたしますと、いろいろとやはりかいようを起こす、ことに傷があります場合に触れますと、非常になおりにくいかいようを起こすといったようなことでございます。しかしながら、クロムを水から飲む、あるいは食べものの中にまじったクロムをとったといった場合に、どのような変化が起こるかということについては詳しくはわかっていないようでございます。 なお、先ほど先生が六価のクロムとおっしゃいましたが、大体先ほど申しましたようなかいようを起こす、いろいろな粘膜症状を起こすと言ったのは、主としてこの六価のクロムの作用のようでございます。ネズミなどの実験によりますと、肝臓あるいはじん臓とかいうものに対しまして多少の蓄積があるというように聞いております。 また、これは全然別の観点からの基準でございますけれども、水道水などの基準といたしましては、わが国では〇・〇五PPM以下であるというふうにきめられております。 簡単でございますが、大体以上のようなことでございます。
○鳥居委員 そこで、問題になりました埋め立て地の現場でありますけれども、この全クロム、トータルクロムそれから六価クロムについての検出結果はどういうふうになっておりますか。
○遠藤説明員 先ほど申し上げましたことでございますが、私の持っておりますデータといたしましては、両方の分析をいたしておりますのは千葉工業大学だけでございまして、全クロムが先ほど申しましたように二九、〇〇〇から三八、〇〇〇でございます。それに対しまして六価のクロムが一〇、四〇〇から二〇、六〇〇というPPM、このデータがございます。あとの東京大学、それから日本分析化学研究所のものにつきましては、その区分をいたしておりませんのでわかりかねます。
○鳥居委員 これは要するに、もう常識では考えられない分量のクロムが検出されておるわけです。これはどこの鉱滓ですか。これは数社にわたるものですか、それとも一社ですか。
○遠藤説明員 千葉県のあの市川市の問題になっております現場に入れましたものは、日本化学工業のクロム鉱滓、一社のものでございます。
○鳥居委員 日本化学工業というのはどういう会社ですか。
○森口政府委員 お答え申し上げます。 日本化学工業は、資本金が約二十五億という会社でございまして、江東区に存在いたします会社でございます。主として生産しております品目は、化学工業薬品、肥料、農薬等でございまして、売り上げ高は四十四年度におきまして七十七億四千八百万円ということでございますが、事業所は小松川のほか、全部で八工場ある化学工業全社でございます。
○鳥居委員 そこで、私もこの問題については調査いたしました。なぜこうした危険な鉱滓が埋め立てに使われているのか、この点について素朴な疑問を持ったものですからこの周辺を調べてまいりました。日本化学工業は独自にこの無害を証明している、そういう調査をしております。日本化学工業協会に依頼いたしまして、埋め立て用に使うこの鉱滓が無害であるか有害であるか、検査をさせております。そして、日本化学工業協会のデータによりますと、次のような意見書を添えまして、無害であることをいっております。「(1)当鉱滓は埋立使用に何ら問題になる成分と量を含んでいない。また特に配管についての錆はないものと考える。(2)鉱滓を埋立に使用するときは、六十センチ位盛土すれば普通植物の生育等に支障を来すことはない。(3)埋立場所が海岸近くの場所だから地下水塩分が多くて使用に堪えないであろう。従って地下水を使用することはないのであるから問題は何等ない。」こういう一字一句に至るまで問題がここにあるわけです。そしてこの分析の結果によりますと、ごく普通の瓦れきの中に含まれているようなそういうたぐいの分析結果しか出てきておりません。酸化カルシウムあるいは酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化第二鉄、そうしたたぐいの含有量が出ておりますけれども、問題のクロムについての分析は何ら触れていない。この工場はもともと重クロム酸ソーダをつくっておる工場であるはずです。 そこで、私はまず伺いたいのですが、日本化学工業協会なるもの、これはどういう根拠によるものですか。
○森口政府委員 日本化学工業協会は、日本の代表的な化学工業社をもって組織されております社団法人でございます。
○鳥居委員 その日本化学工業の分析結果で、いまこうして無害であるという証明をしております。これに対してどういうふうにお考えですか。
○森口政府委員 お答え申し上げます。 日本化学工業協会のほうから、本分析に対しまして、意見について私のほうは直接聴取いたしておりませんが、現在問題になっておりますような点から考えますと、この判断は十分な検討をなされた判断であるかどうか、私個人としては疑問だと思っております。
○鳥居委員 私は、少なくともこうした社会的には大きな問題になる——現在まだこの埋め立て地は被害が出ておりません。出ていませんけれども、これから問題になろうとしている大きな問題です。ともかく、トータルクロムで一三〇、〇〇〇PPMという高濃度のものが検出されている。こういうポイントを握る、無害を証明するものが、これが通産省として行政指導できないようなそういう立場にある協会なのか、あるいはいずれにしましても、この意見書に対して通産省はどういうふうに考えますか。これでよろしいですか。
○森口政府委員 先ほど申し上げましたとおり、直接化学工業協会に、いかなる根拠でこういう意見書を出したのかどうかということについて化学工業協会から意見を聴取いたしておりませんので、意見を聴取いたしました上で御意見を申し上げたいと存じます。私個人といたしましては、現在の状況では不十分な意見書ではなかろうかという感じを持っておりますが、化学工業協会の意見も聞きました上で御返事を申し上げたいというように存じます。
○鳥居委員 そういうわけであります。それは受け入れる側は埋め立てをするのに非常に経費を安く済ませる、およそ一億の経費が浮くそうであります。鉱滓を求める側それから鉱滓を供給するほうの側、これの双方の間にこの証明がきめ手になって埋め立てに供せられた、こういうものでありますから、ここに大きな問題がある、私はこう見て通産省の意見を聞いたわけです。さっそくこれにつきましては調査をしました上で、行政指導なりしていただきたいと思うのです。 次に、日本化学工業から鉱滓が今日まで出ております。いまに始まった話ではないわけです。大正四年創業以来、東京の江戸川区をはじめ、市川市本行徳、この付近に埋められてきたと見ておりますけれども、今日まで鉱滓の処分はどういうふうにやってきておりますか。最近のデータしかないと思いますけれども、この鉱滓の分量、今日に至るまでの経緯、その点について、お調べになっていることを説明願いたい。
○森口政府委員 古い年次の処理の方法は、私どものほうではつまびらかにいたしておりませんので、三十九年以降の時点についてお答え申し上げます。 三十九年十一月から四十三年十月に至ります間は、小松川で操業いたしております工場の敷地内において堆積をしたというように聞いております。それから四十三年十一月から四十四年十月に至ります間は江戸川区堀江町の埋め立てに使用したというように聞いております。それから四十四年十一月から四十五年十月に至ります間は御指摘の市川市行徳新田の埋め立てに鉱滓を使用したというように承っております。
○鳥居委員 この鉱滓を埋め立てに使った地点、それをわかっている範囲でけっこうですから、詳細述べてもらいたい。
○森口政府委員 先ほど申し上げました三十九年十一月から四十三年十月に至ります間、江戸川区の工場敷地に堆積したというように申し上げましたが、工場敷地内だけではなく、その付近の小学校の校庭にも一部敷き詰めたというように聞いておりますが、詳細には現在つかんでおりませんので、調査いたしましてお答え申し上げたいと存じます。
○鳥居委員 それはおかしいですよ。これはそちらから出てきた資料ですよ。あなたが知らないのでしょう。 時間がありませんからこちらで調べましたデータを申し上げます。いままでの廃棄については、これはもう重大問題です。大正四年の創業以来今日に至るまで江戸川区近辺に捨てられてきた、そういう事実があるのです、そちらのほうの調査によりますと。通産省の調査です。昭和初期、これは数量不明です。江戸川区大島八丁目三十五番地、三十六番地、三十七番地、現在商店街になっております。江東区大島八の四十と、同じく九の一、九の二、これは社有地、昭和の初期から社有地の一部、 大島八丁目四十番地、大島第五小学校に売却いたしました。この校有地です。昭和三十五年ごろ大島八の四十の社有地の一部、そこに廃棄しております。最近では昭和四十年、二万九千三百トン、昭和四十一年、三万六千八百トン、昭和四十二年、三万七千三百トン、自己所有地、これは工場の敷地、社宅、グラウンド、ここに埋め立てをしております。これは明らかに廃棄です。四十三年、四十四年、同じく四万トン台のもの、四十五年に四万五千六百トン——いずれも江戸川区堀江町四千三百四十七番、それから四十五年になりまして、千葉県行徳南部地区土地区画整理組合、ここに対しまして契約をして廃棄をしている、こういう状態です。そして地元のほうでにわかにこれが問題になりました。問題になってから、この廃棄を、これはちょっと社会的にも責任を感じられたことだろうと思います。東京都の指導自体にこれは強制力も何もありません。ですから、単なる意見として地方自治体のほうからその行政指導に準ずるそういうものを受けているわけですけれども、会社側としては捨て場に困って、現在工場敷地内に野積みになっております。そしてこれがパンク寸前でありまして、現在浦安にビニールを敷いて水が外に漏れないような配慮をして、そこに野積みをしている、こういう現状になっているわけです。では、一体国はこれに対するどんな行政指導を今日までやってきたか、伺いたいものです。
○森口政府委員 お答え申し上げます。 まず、クロムのうち直接有害なクロムは六価のクロムであります。六価のクロムを析出いたしまして、これを分離してその後に鉱滓を捨てるということになりますれば、これは問題がないわけでございますけれども、析出をいたしますときに、いろいろかえって別の公害が生ずるという面があるわけでございます。したがいまして、現在のところクロム分を無害にいたしますためには、六価のクロムを三価のクロムにして、これを安全な場所に廃棄をするという方法しかとり得ないわけでございまして、六価のクロムを三価のクロムに化する方法といたしましては、硫酸第一鉄を相当程度まぜますと、一応三価のクロムになるというようなことが可能であるようでございますが、より根本的にはロータリーキルン等で焙焼いたしますと、六価のクロムが三価のクロムに化するというような方法が考えられるわけでございます。問題になりました日本化学におきましては、現在六価のクロムを三価のクロムにいたしますために、とりあえず応急処置といたしまして、硫酸第一鉄等を加えてそういう方法をやっておりますけれども、現在、徳山工場等ですでに六価のクロムを三価のクロムにいたしますためにロータリーキルンがこの六月ごろ完成をいたしまして、それによって六価のクロムを三価のクロムにできますので、長期的にはそういうロータリーキルンを小松川工場にも設けまして、六価のクロムを三価のクロムにしてこれを廃棄するという方法をとるべきではないかというように思っておるわけでございます。 したがいまして、基本的にはクロム分を無害化して廃棄するということが基本方針になろうかと存ずるわけでございますけれども、当然この廃棄物につきましては、近く産業廃棄物の取り締まりの法律が発効いたしますので、それに従って処理の方法等がきめられることに相なりますので、その処理、処分の方法に従って会社側が安全な場所に捨てるというようなことになろうかと存ずるわけでございますが、そういう方向で会社側を指導してまいりたいというように思うわけでございます。
○鳥居委員 二月の十二日に、これは被害を受ける寸前であることが、問題として提起されたわけですよ。それからどういう行政指導してきましたか。それを聞いているのです。
○森口政府委員 問題になりました行徳新田等につきましては、会社側をさっそく招致いたしまして、現在のクロムで汚染をされております市川市の行徳新田について至急に対策を講ずるように指示をしたわけでございまして、会社側のほうでも千葉県と打ち合わせいたしまして、現在の行徳新田の状況を問題のないようにするために、会社側としては誠意をもって当たるということで約束をして、先ほど本部の遠藤審議官が御報告申し上げましたように、処理の方法その他につきましては、現在会社側が千葉県と協議をしておるところでございます。
○鳥居委員 非常に私はなまぬるいと思うのです。その議論はこれから先にまたいたしますが、この問題が十二日ともかく問題として提起されまして、東京通産局は二十七日に公害保安課でたまり水の分析をしております。たしか、しております。地点が江戸川区堀江町、このたまり水、それからもう一つは行徳埋め立て地のたまり水、この二地点における分析結果はどう出ましたですか。
○森口政府委員 東京通産局で実施いたしました江戸川区堀江町のたまり水、行徳新田のたまり水についての調査結果は、全クロム、六価のクロムとも、いずれも江戸川区堀江町たまり水におきましては五五PPM、行徳埋め立て地たまり水におきましては二〇PPMというような結果と相なっております。
○鳥居委員 厚生省のたしか環境基準はこの六価のクロムに関する限り〇・〇五PPMであるはずです。これをどういうふうに評価しますか、厚生省。
○浦田政府委員 先ほどクロム、ことに六価のクロムの人体、健康に与える障害につきましては御説明したとおりでございますが、飲料水として、あるいは食物を通じまして体内に摂取された場合のクロムの障害毒性については、実はそういった例がございませんので、いまのところはっきりわかりません。しかし、いずれにいたしましても、飲料水として摂取する場合の水質基準は、先ほど申しましたように〇・〇五PPM以下でなければならないというふうにきめられておるわけでございます。
○鳥居委員 飲料水として摂取する場合に〇・〇五PPMですか。
○浦田政府委員 水道水の水質基準、つまり飲料水として摂取される場合のクロムの含有量は〇・〇五PPM以下でなくてはならない、こうなっておるわけでございます。
○鳥居委員 そうしますと、環境基準で規定されました〇・〇五PPMをはるかに上回る五五PPMの六価がそこのたまり水から検出されておるわけですから、およそ千倍、そういうことになるわけです。環境基準の千倍のものがすでにその付近で検出されておるわけですから、これはもうたいへんな問題だと私は受け取っております。これに対してどうですか。公害対策本部はこのたまり水は、環境基準は厚生省だ、やれ工場内のことは労働省だ、これじゃしょうがないだろうと思うのですよ。どうですか、こうしたもう相当の濃度のものが検出されておる、こういう客観情勢を考えてみて。
○遠藤説明員 先生御指摘のように、飲料水の基準だけでなくて、企画庁のほうで定めております環境基準も六価のクロム〇・〇五PPMでありまして、これをはるかに上回るような状態が出てまいりましたことは、いずれにいたしましても非常に憂慮すべきものでございます。 それからまた、先生の御指摘のように、各省それぞれでいろいろなことをいっておるではないかというようなお話でございますが、その点につきましては、いままで本部の調整能力に欠くるところがあったかもしれません。今後また努力をいたしたいと思っておりますし、また七月以降、現在提出いたしております法律が成立いたしますならば、環境庁も成立いたしまして、公害行政の一本化も行なわれることになりますので、そういった点につきまして、もっと一段と強力な行政指導というものをやっていけるようになる、また取り締まりもやっていけるようになる、そういうふうに存じております。
○鳥居委員 経企庁ではこの六価のクロムに対して、どういう基準をつくって、どういうふうに対策を講じていますか。
○西川政府委員 お答え申し上げます。 公共用水域の環境基準といたしましては、先ほど厚生省のほうからも答弁がございましたように、水道のじゃ口からの基準が〇・〇五PPMということになっております。この六価クロムの人の健康に及ぼす重大な問題にかんがみまして、経済企画庁におきまして決定いたしました公共用水域の環境基準につきましても、六価クロムにつきましては、じゃ口の水と同じということにいたしまして〇・〇五PPMというものを決定いたしております。トータルクロムにつきましては、これは毒性の問題その他につきまして、まだ関係各省の全体のコンセンサスが得られないものでございますから、現在検討事項といたしまして、決定いたしておりません。〇・〇五PPM、六価クロムにつきましてはそのような数字を決定いたしまして、排水のほうといたしましては、これはいわゆる排出水として出す場合には〇・五PPMというのを排出基準の限度といたしております。ただ、この江戸川の行徳におきますようなケースにおきましては、これは排水ではございませんものですから、やはり二次的な被害というか、そのような形になってきておりますので、先ほどから通産省のほうからも、あるいは対策本部のほうからも申し上げておりますように、産業廃棄物の処置の方法の問題として、間接的に公共用水域の水質の保全をするようにしていただかなければいけないのではないか、私どもとしてはこのように考えております。
○鳥居委員 通産省の行政指導の内容が、六価クロムを処理いたしまして、そして三価クロムに変えて無害化するんだ、その設備については徳山の工場で現在開発中である、こういうお話でありましたけれども、この徳山における実験が六月ないし七月ごろ稼働し始める、その結果を見た上で、小松川で、この問題について、もし使えるようだったら取り上げるという見通しになっております。いま野積みされておる現状でどうにもならないわけですよ。見通しは立ってないわけですよ、この処理については。この現実をどうするのですか。
○森口政府委員 お答え申し上げます。 徳山工場でやっておりますロータリーキルン方式を小松川工場でやりますのは、おっしゃいましたとおり、徳山工場のほうの実験の結果を見てということでございますが、東京の小松川工場におきましては、さしあたり硫酸第一鉄等を加えまして、六価のクロムを三価のクロムに無害化するというような方法をとることとなっております。したがいまして、そういうふうに処理されましたクロムは三価のクロムになりまして無害化されますので、東京都あるいは近県と、安全な場所に廃棄をするというような方策を十分打ち合わせをしてまいりたいというように思っております。
○鳥居委員 次に、この有毒物質を含んだ、六価のクロムを含んだ鉱滓を排出しております日本化学工業内の問題であります。工場工程の過程におきましてこれまでに種々問題がありました。この工場工程を見ますと、鉱石を砕石いたしまして、そうしてクロムを採取する、その過程において、散水方式を取り入れたのは最近です。ですから、それまではじんあいの中に含まれる六価クロムをはじめ、三価も含めて——この三価クロムでさえも体内に蓄積されてはならない、これはもう先ほどの厚生省の見解の中にあったとおりですけれども、そういう条件の中で勤務をしてまいりました。この残滓の処理をする、そういう職場で働いてまいりました労働者の中に、すでにこの鉱害の直接被害を受ける、急性の被害である。先ほどの説明にもありました鼻中隔せん孔、こういう診断を受けている患者がおります。労働省はつかんでおりますか。
○北川説明員 昨年の九月に有害物を取り扱っております全国の事業所の総点検をいたしましたけれども、その際、御指摘の本工場につきましても監督をいたしております。健康診断につきましては、昨年六月、労働衛生サービスセンターの嘱託医によりまして実施をいたしておりまして、現在直ちに要観察異常者という者は、その所見では見ておりませんけれども、すでに先生御指摘のように鼻中隔せん孔にかかっておる、過去にかかったという方が約二十名おられます。
○鳥居委員 具体的な例を提示しなければ対策の打ちようがないと私は思うわけです。 そこで、これは、昨年私どもに救済対策を訴えてまいりました一例であります。解決のための一つのてこ入れという意味で、本人の名前を明かすことを本人の了承を得ておりますから、私も信憑性の上からもこれを申し上げます。 江戸川区小松川一の一六に住みます木村松治さん、日本化学工業KK小松川工場南工場で雑役部勤務をしておりました。この人の場合には、昭和二年この地に勤務いたしまして、そうして兵役がありましたもので、この間この仕事からは離れておりますけれども、長年にわたって戦後も——昭和二年に勤務いたしまして、戦中を除きまして、昭和二十九年からまた就職しております。今日まで十六年間、ここで残滓の処理をしてまいりました。そうして、順天堂の診断によりますと、鼻中隔せん孔症、これは非常にたいへんな病気であります。六価クロムを吸い込みますと、鼻の中の軟骨に吸着しまして、そうして軟骨をとろかしていくという病気だそうであります。それと併発しているのが流動性鼻炎、この種の病気にかかるのが六価クロムの毒性です。これを訴えてまいりました。ともかく鼻が痛い、せきが出て、のどが痛む、こういう症状が続きまして、三年目に鼻に穴があいたことを訴えております。ちょうど牛のような状態で、輪を入れれば輪が入るというような状態であります。工場内の嘱託医が年二回、この診察をするようになっておりますけれども、単なるせん孔というだけでありまして、穴があいているよということで終わってきたそうであります。 そうしてこの人は、ともかく鉱害病であろう、こういう疑いのもとに、昨年七月、八月、九月の三カ月間にわたりまして同僚の全調査をいたしました。その結果がこれです。住所、氏名、全部あがっております。本気になって厚生省で取り組んで対策を考えようというのであれば、これを提示いたします。合計人数を申し上げますと、六十一人の患者の名前であります。いずれも鼻をわずらっておりまして、鼻の先が白くて曲がってきたという人、またこの鉱滓処理にあたりまして、この工場工程の中に、酸性槽という非常に温度の高いふろおけみたいなものがあります。この木村さんの話によりますと、この職場は非常に暑い、そうして一間四方、深さ六尺、そういう湯舟のような中に入りまして、こびりついた六価クロムをはがす、温度が非常に高いものですから、上半身は裸で作業をする、はね返ったりしたものが付着しますと、ケロイド状のやけどのような、そういう障害を皮膚に受ける、そういう中で勤務してきている一例であります。労働省はこの職場をつかんでおりますか。
○北川説明員 本工場につきましては、昭和四十二年に有害物質を取り扱っておるがゆえに、衛生管理特別指導事業所という指定をいたしまして、四十二年に三回衛生関係だけで指導をいたしました。四十三年の四月までに、大体労働省が指示をいたしました事項が是正をされたというふうな報告を受けておりまして、その工程等につきましても、所轄の監督署は把握しております。
○鳥居委員 私は、職場における安全衛生という立場からいって、クロムの典型的な被害を受けている例であろうと思っております。まず、クロムに関する全調査をされたそうですけれども、この全調査の結果はどういうふうになっておりますか。未処理工場というのは全国にどれくらいありますか。
○北川説明員 昨年の九月行ないました総点検の結果、クロムにつきましては、対象としまして監督をいたしました事業所が二千七百二十八でございまして、そのうち、排気の清浄装置が設置されておりませんのが七四%に及んでおります。排液の処理の未処理、これが二二・五%でございます。残滓物の未処理、これが二九・九%、こういう結果になっております。
○鳥居委員 私は、日本化学工業の職場における鼻中隔せん孔のたぐいのこうした公害が全国で同じように起こる、この危険を考えているわけです。このわずかな該当事業所数二千二百六十二に対しまして、排気の清浄装置の完備ができていないものが七四%に及んでいますよ。それから排液の処理、クロムに関する排液の処理の状態、これは調査したものの二二・五%という数字が出ておりますよ。残滓についての処理、これは今回の場合が含まれるわけでありますけれども、未処理工場、未処理事業場数は二九・九%、これでは起こるべくして起こっているんじゃないですか。どうですか。今後の指導として、こういう職場をどういうふうにしてなくしていきますか。
○北川説明員 御指摘のように、有害物を取り扱っておる事業所におきます除塵とかあるいは排液の処理、残滓物の処理につきましては、先般の総点検の結果、非常に不備であるという結果を把握したわけでございます。 われわれは今後この点につきまして、先般も当委員会で御説明をいたしましたように、私のほうで要注意事業所というものの把握が一応できた、こう思っておりますので、一回限りの総点検にとどまらず、明年度につきましても、総点検を再度もっと深くやりたい、こう考えておりますし、また法令につきましても、現行の安全衛生規則で必ずしも十分でないという点をわれわれも認識をいたしておりますので、現在これら有害物質の抑制措置、その具体的内容につきまして労働基準審議会に諮問中でございまして、四月中にはその改正表出したい、こういうふうに考えております。 なお、先生御指摘のように、やはりそういう防護措置とともに、現に働いておられる方の健康管理というものがたいへん大事でございます。特殊検診につきましても、これからきめこまかく行なわれるように強力に指導監督をいたしたいと考えております。
○鳥居委員 最後に、このクロムにつきまして、毒物及び劇物指定令の中には六価クロム自体は劇物の指定を受けていない、取り扱いの上で非常に問題があろうと思うのであります。この中で二十六番目に「クロム酸塩類及びこれを含有する製剤。」これが劇物の指定を受けているわけですけれども、この六価クロムを含む化合物、これについての取り扱いは今後どういうふうにしていきますか。
○浦田政府委員 毒劇物の取り締まりは薬務局のほうの主管でございますので、私直接の担当ではございませんが、いま省内で、前回の臨時国会で毒劇物の取締法の一部改正を行なったところでございますが、まだ実施の面についていろいろと問題があるように聞いております。先生の御意見、御指摘の点は、帰りまして、必ず担当局長、大臣のほうにお伝えして善処をするように伝えたいと考えております。
○鳥居委員 以上で終わります。
○濱野委員長 次回は明十一日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十七分散会