決算委員会 第2号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/02/05
会議録
○濱野委員長 これより会議を開きます。 この際、おはかりいたします。 理事丹羽久章君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、菅波茂君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○濱野委員長 昭和四十三年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、労働省所管、自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行ないます。 まず、労働省所管について概要説明を求めます。大野労働政務次官。
○大野政府委員 労働省所管の昭和四十三年度決算について、その概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。 歳出予算現額は一千四十六億九千七百六万円余で、その内訳は、歳出予算額一千三十二億九千七百三十八万円余、予備費使用額十三億九千九百六十八万円余となっております。 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額一千二十三億四千九百一万円余、翌年度繰り越し額七百五十万円、不用額二十三億四千五十四万円余で決算を結了いたしました。 支出済み歳出額のおもなものについて申し上げますと、失業保険費負担金及び失業対策事業費等であります。 これらの経費は、失業保険法に基づく失業保険給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業等に要したものでありますが、このうち、失業対策事業のおもな実績は、事業主体数一千九十六カ所、事業数四千百二十六件、失業者の吸収人員一日平均十五万三千十二人となっております。 なお、不用額のおもなものは職業転換対策事業費であります。 次に、特別会計決算の大要について申し上げます。 まず、労働者災害補償保険特別会計について申し上げます。 歳入予算額一千四百九十四億五千二百万円に対し、収納済み歳入額は一千五百九十億百六十九万円余であって、差し引き九十五億四千九百六十九万円余の増加となっております。これは、適用労働者の賃金水準の上昇及び適用事業場の増加等によるものであります。 歳出予算現額は一千四百九十八億七百十一万円余で、その内訳は、歳出予算額一千四百九十四億五千二百万円、前年度繰り越し額三億五千五百十一万円余でありまして、このうち、予備費使用額は三十四億三千八百九十一万円余で、これは主として保険金に要した経費であります。 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額一千三億九千百七十九万円余、翌年度繰り越し額三億六百八十三万円余、不用額四百九十一億八百四十九万円余で決算を結了いたしました。 支出済み歳出額のおもなものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働者災害補償保険事業の業務取り扱いに必要な経費等であります。 この事業の実績の概要は、適用事業場数百七万八千件、適用労働者数二千四百十万人で、保険給付の支払い件数は四百六十二万五千件、支払い金額は八百六十億二千五百六十二万円余となっております。 なお、不用額のおもなものは、予備費を使用することが少なかったためであります。 次に、失業保険特別会計について申し上げます。 歳入予算額二千六十八億一千七百二十九万円余に対し、収納済み歳入額は二千二百五十五億七千八百五十万円余であって、差し引き百八十七億六千百二十一万円余の増加となっております。これは、適用事業所の被保険者の賃金上昇率が予定を上回ったこと等によるものであります。 歳出予算現額は二千六十八億七千二百六十八万円余で、その内訳は、歳出予算額二千六十八億一千七百二十九万円余、前年度繰り越し額五千五百三十九万円余でありまして、このうち、予備費使用額は四億八千九百五十七万円余で、これは業務取り扱い費に要した経費であります。 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額一千七百二十二億六千十四万円余、翌年度繰り越し額六千五百三十三万円余、不用額三百四十五億四千七百二十万円余で決算を結了いたしました。 支出済み歳出額のおもなものは、失業保険法に基づく保険給付に必要な経費及び失業保険事業の業務取り扱いに必要な経費であります。 この事業の実績の概要は、適用事業所数六十四万二千件、一般失業保険被保険者数一千九百八十三万五千人、日雇失業保険被保険者数三十二万五千人となっております。また、保険給付の平均受給者実人員は、一般失業保険五十二万九千人、日雇失業保険十九万七千人で、支給金額は、一般失業保険一千三百五十一億四千六十五万円余、日雇失業保険五十億一千二百五十万円余となっております。 なお、不用額のおもなものは保険給付費等であります。 最後に、石炭対策特別会計のうち、労働省所管の炭鉱離職者援護対策費について申し上げます。 歳出予算現額は五十七億九千四百五十万円余で、その内訳は、歳出予算額五十億九千五十万円余、前年度繰り越し額七億四百万円余でありまして、この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額四十九億一千百九十九万円余、不用額八億八千二百五十一万円余で決算を結了いたしました。 炭鉱離職者援護事業のおもな実績は、雇用奨励金の支給三千七百八十六件、再就職奨励金の支給三千七百三十二件であり、炭鉱離職者緊急就労対策事業の実績は、事業主体数五十七カ所、事業数四百九十七件、吸収人員一日平均四千九百十八人となっております。 以上が労働省所管に属する昭和四十三年度一般会計及び特別会計の決算の概要であります。 なお、昭和四十三年度の決算検査報告において掲記されております事項については、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じます。 これらの指摘事項については、鋭意改善につとめ、また、このような御指摘を受けることのないよう一そうの努力をいたしたいと思っております。
○濱野委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。桜木会計検査院第三局長。
○桜木会計検査院説明員 昭和四十三度労働省の決算につきまして、検査いたしました結果の概要を説明申し上げます。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項が三件でございます。 一三五号及び一三六号の二件は、労働者災害補償保険及び失業保険の保険料の徴収に関するもので、いずれも保険料算定の基礎となる賃金総額が事実と相違していたため保険料の徴収額が不足していたものでございます。 二二七号は、失業保険事業における保険給付に関するもので、保険金受給者が再就職しているのに引き続き失業保険金を支給していたため、給付の適正を欠いているというものでございます。 以上、簡単でございますが、説明を終わります。 —————————————
○濱野委員長 次に、自治省所管について概要説明を求めます。大石自治政務次官。
○大石政府委員 昭和四十三年度における自治省所管の決算につきまして、概要を御説明申し上げます。 一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額一兆一千三百八十六億六千九百三十万円余、予算補正追加額七百三十五億八千三百四万円、予算補正修正減少額五億六千二百九十七万円余、総理府所管から移しかえを受けた額一千百六十四万円余、前年度繰り越し額一億一千五百七十四万円余、予備費使用額二億百二万円余、合計一兆二千百二十億一千七百七十七万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は一兆二千百十七億七千三百九十二万円余で、差額二億四千三百八十五万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰り越し額は一千二百八十四万円余、不用額は二億三千百万円余であります。 以下、支出済み歳出額のおもなものにつきまして、御説明を申し上げます。 まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は一兆一千六百五十九億二千四十一万円余、支出済み歳出額は一兆一千六百五十九億二千四十一万円余でありまして、全額支出済みであります。この経費は、昭和四十三年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額に過年度精算額を加算した額から、昭和四十三年度の特例措置による減額分を控除した額に相当する金額を、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。 次に、特別事業債償還交付金でありますが、歳出予算現額は九十億円、支出済み歳出額は九十億円でありまして、全額支出済みであります。この経費は、公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため昭和四十一年度において特別に発行を許可された地方債の昭和四十三年度分の元利償還金のうち、普通交付税の交付を受ける地方団体分として算定された額に相当する金額を、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。 次に、奄美郡島振興事業費でありますが、歳出予算現額は十六億六千三百六十八万円余、支出済み歳出額は十六億六千三百六十万円余、不用額は八万円余となっております。この経費は、奄美郡島の急速な復興をはかるため及び住民の生活の安定に資するため、同郡島における主要産業の振興、公共土木施設の整備等の振興事業の実施に要する経費について補助するために要したものであります。 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は十九億円、支出済み歳出額は十九億円で、全額支出済みであります。この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し交付したものであります。 次に、交通安全対策特別交付金でありますが、歳出予算現額は百二億三千六百三十六万円余、支出済み歳出額は百二億三千六百三十六万円余で、全額支出済みであります。この経費は、交通安全対策の一環として、反則金にかかる収入額に相当する金額を、道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、都道府県及び市町村に対し、交通安全対策特別交付金として交付したものであります。 次に、小災害地方債元利補給でありますが、歳出予算現額は十八億八千二百十万円余、支出済み歳出額は十八億七千二百一万円余、不用額は一千九万円余でありまして、この経費は、公共土木施設、農地等の小災害にかかる地方債の昭和四十三年度分の元利償還金の全部またはその一部に相当する額の元利補給金を関係地方公共団体に交付したものであります。 不用額を生じましたのは、元利償還金が予定より少なかったため、これに対応する元利補給金を必要とすることが少なかったことによるものであります。 次に、市町村民税臨時減税補てん債元利補給でありますが、歳出予算現額は九十八億七百五十四万円余、支出済み歳出額は九十八億六百七十六万円余、不用額は七十八万円余でありまして、この経費は、市町村民税の課税方式の統一等に伴う市町村民税の減収を補てんするために起こした地方債の昭和四十三年度分の元利償還金の三分の二に相当する額の元利補給金を関係市町村に交付したものであります。 不用額を生じましたのは、元利償還金が予定より少なかったため、これに対応する元利補給金を必要とすることが少なかったことによるものであります。 次に、地方公営企業再建債利子補給でありますが、歳出予算現額は十六億四千九百七十四万円余、支出済み歳出額は十六億四千九百六十三万円余、不用額は十万円余でありまして、この経費は、地方公営企業の財政再建を促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こした財政再建債の利子の一部に相当する額の利子補給金を当該地方公共団体に交付したものであります。 不用額を生じましたのは、利子の支払額が予定より少なかったため、これに対応する利子補給金を必要とすることが少なかったことによるものであります。 次に、参議院議員通常選挙費でありますが、歳出予算現額は五十億一千九百六十二万円余、支出済み歳出額は四十八億七千九百四十一万円余、不用額は一億四千二十一万円余となっておりまして、これは、昭和四十三年七月に執行されました参議院議員通常選挙に要した経費であります。 不用額を生じましたのは、立候補者が予定より少なかったこと等によるものであります。 次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は十四億一千五百五十七万円余、支出済み歳出額は十四億六百八十六万円余、翌年度繰り越し額は八百九万円余、不用額は六十一万円余となっておりまして、この経費は、消防施設等の整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し補助するために要したものであります。 不用額を生じましたのは、補助事業費の精算の結果、消防施設等整備費補助金等を要することが少なかったためであります。 以上が一般会計歳出決算の概要であります。 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計の決算につきましては、歳入予算額は当初予算額一兆二千九十一億一千四百二万円余、予算補正追加額七百三十五億八千三百四万円、合計一兆二千八百二十六億九千七百六万円余でありまして、これに対し、収納済み歳入額は一兆二千八百四十九億八千八百五十四万円余となっております。 また、歳出予算現額は当初予算額一兆二千九十一億一千四百二万円余、予算補正追加額七百三十五億八千三百四万円、昭和四十三年度特別会計予算予算総則第十一条第一項第七号の規定による使用額十億四千五百九十七万円余、合計一兆二千八百三十七億四千三百三万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は一兆二千百五十一億四千五百八十一万円余で、差額六百八十五億九千七百二十二万円余を生じますが、この差額のうち、翌年度繰り越し使用額は六百八十四億一千二百四十五万円余、不用額は一億八千四百七十六万円余であります。 支出済み歳出額のおもなものは、第一に、地方交付税交付金一兆一千百六十五億七百九十五万円余でありまして、これは、地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額をこえる場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害復旧その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。 第二に、地方譲与税譲与金七百九十六億百九十七万円余でありますが、これは、この会計の歳入となる地方道路税、石油ガス税及び特別とん税の収入額に相当する金額を、それぞれ地方道路譲与税譲与金、石油ガス譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として関係地方公共団体に譲与したものであります。 第三に、特別事業債償還交付金九十億円でありますが、これは、一般会計において申し上げましたように、特別事業債の昭和四十三年度分の元利償還金のうち、いわゆる交付団体分に相当する金額を、当該地方団体に交付したものであります。 以上、昭和四十三年度自治省所管決算の概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○濱野委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。中村会計検査院第一局長。
○中村会計検査院説明員 昭和四十三年度の自治省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。 —————————————
○濱野委員長 次に、公営企業金融公庫当局から資金計画、事業計画等について説明を求めます。荻田公営企業金融公庫総裁。 〔委員長退席、高橋(清)委員長代理着席〕
○荻田説明員 公営企業金融公庫の昭和四十三年度の業務の概況と決算につきまして御説明申し上げます。 昭和四十三年度の貸し付け計画額は八百二十億円でございまして、その原資として、産業投資特別会計からの出資金二億円、債券発行による収入金六百八十六億四千九百七十五万円、貸し付け回収金等の資金百三十一億五千二十五万円を充てる予定といたしておりましたが、決算の結果、本年度における貸し付け実績は千六百四十五件、七百六十七億八千百四十万円でございまして、その原資といたしまして、産業投資特別会計からの出資金二億円、債券発行による収入金六百十三億八千三百四十五万円及び貸し付け回収金等の資金百五十一億九千七百九十五万円を充てました。これを前年度の貸し付け実績千五百二十五件、金額六百七十六億七千九万円余に比較いたしますと、件数にいたしまして八%の増、金額にいたしまして一三%の増となっております。 貸し付けのおもなる内訳は、上水道事業八百六十七件、三百三十三億三千二十万円、地域開発事業百八十九件、百八十二億七千八百五十万円、工業用水道事業六十五件、五十七億八千万円、有料道路事業二十五件、四十四億九千七百万円、下水道事業二百四十五件、三十八億一千百六十万円、その他二百五十四件、百十億八千四百十万円となっております。 以上のほか、短期貸し付けといたしまして三百七十件、三百二十五億九千百四十万円の貸し付けを行ないました。 以上により、当年度末におきまする貸し付け残高は三千二百四十億四千六百二十一万円余となり、前年度末残高に比較いたしまして五百十九億七千九百三十五万円余、率にいたしまして一九%の増加となったのでございます。 なお、元利金の回収額は合計四百五十六億三千九十四万円余でございまして、延滞となっているものはございません。 また、この年度におきまして、下水道事業に対する貸し付け利率を七・三%から七%に引き下げるとともに、工業用水道事業に対する貸し付け金の償還期限を十八年から二十一年に延長いたしました。 以上のほか、農林漁業金融公庫から委託を受けて行なっております市町村の公有林整備事業及び草地改良事業に対して、千五百三十五件、三十四億五千二百八十万円の貸し付けを行ないましたが、この結果、年度末におきまする貸し付け残高は百五十八億八千七百二十四万円余となっております。 次に、公営企業債券の発行額は八百十億円でありまして、このうち公募債が四百二十億円、縁故債が三百九十億円でありまして、公募債のうち百二十一億円は昭和三十六年度に発行した債券の満期償還に必要な資金に充てるために発行したものであります。 なお、縁故債三百九十億円のうち七十八億円は低利の発行を行ないました。 次に、損益の状況でございますが、貸し付け金利息等利益金勘定合計額二百三十一億一千百二十二万円余に対し、債券利息及び事務費等の損失金勘定合計額二百二十一億二千六百二十二万円余であり、差し引き九億八千四百九十九万円余をもって各種の償却に充当いたしましたため、利益金は生じませんでした。 以上、昭和四十三年度の業務について概略御説明申し上げましたが、昭和四十四年度以降の業務につきましても御参考までにその概況について一言触れさせていただきたいと存じます。 昭和四十四年度につきましては、貸し付け計画額は九百十一億円でありまして、その原資として、産業投資特別会計からの出資金二億円、債券発行等による収入金九百九億円を充てる予定といたしておりましたが、年度末における貸し付け実行額は八百八十七億五百十万円、債券発行額は借りかえ債を含め八百三十六億五千万円となっております。 また、この年度から新たに下水道事業に対する貸し付けの償還期限を十八年から二十一年に延長いたしました。 次に、昭和四十五年度につきましては、貸し付け計画額は九百六十九億円でありまして、その原資として、産業投資特別会計からの出資金二億円、債券発行等による収入金九百六十七億円を充てる予定といたしております。 また、この年度から債券発行条件の改定が行なわれましたため、当公庫の基準貸し付け金利を七・六%といたしましたが、一方公営競技の売り上げ金の一部の納付を受け、その運用益により貸し付け利率の引き下げを行なうこととされ、すでに上水道事業、下水道事業及び工業用水道事業につきましては六・七%に、交通事業、市場事業及び借りかえ債につきましては七%にそれぞれ貸し付け利率の引き下げを実施し、貸し付けを行ないました。 最後に、現在予算案として御審議を願っております昭和四十六年度についてでございますが、貸し付け計画額は千百四十億五千万円を予定し、その原資といたしまして産業投資特別会計からの出資金二億円、債券発行等による収入金千百三十八億五千万円を充てる予定といたしております。 以上、当公庫の業務の概況について御説明申し上げましたが、公営企業の健全な発展をはかるためには、今後とも低利の資金を長期に融通することが望ましいのでありまして、関係各省の御指導のもと、公庫設立の趣旨に沿うよう一そうつとめてまいりたいと存じております。 以上であります。
○高橋(清)委員長代理 これにて説明聴取を終わります。 —————————————
○高橋(清)委員長代理 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 労働省に先にお願いします。 一点は、中小企業の労働需給の関係でありますが、最近の経済の少しいびつな状態、不景気のかげりもあるような状態になっておりまするので、内外の経済情勢諸般から考えまして、中小企業の労働需要並びに供給対策というものはかなりの変動を生ずるのじゃないだろうか、こういうふうに感じております。つきましては、ことしのこの方面に対する需給対策の要項はどういうことが重点になっているのだろうか、まずそれを伺っておきたいのです。
○住政府委員 お答えいたします。 いま御指摘がございましたように、最近の労働力の需給関係、若干緩和のきざしが見えてきておるのでございますが、中小企業の労働力不足につきましては、いまなお労働力が足りないということが経営上の隘路になっている、こういうことを訴える企業の数は六割ぐらいになっております。景気の鎮静化に伴って少しは緩和したと申しましても、まだまだ労働力不足というものは相当深刻なものがあると思っております。 そこで、その不足に対する対策でございますが、私ども基本的には、中小企業が、これはもう申し上げるまでもないことでございますが、たとえば協業化とかあるいは設備の近代化ということで中小企業が生産性の高いものになっていく、そういう意味での体質の強化が非常に大事であると思っておりますが、と同時に、中小企業における受け入れ体制とか職場の適応体制、こういうものを整備することによって中小企業の職場が魅力ある職場である、こういうことが労働力確保の先決であろうかと思っております。 そこで、それでは労働省としてそのためにどういうような対策をとっておるかということになるわけでございますが、たとえば労働環境整備という意味におきまして、中小企業に対しては、住宅とか食堂、教養、娯楽、そういった福祉施設に対する融資とか、あるいは雇用促進住宅の建設とか、そういうようなことで策を施しますとともに、さらに各種保険、たとえば失業保険とか労災保険とかあるいは退職金制度、これに加入していただき、そういう意味で安定した雇用関係をつくり出すような指導なり御協力を申し上げるということ、さらに、最低賃金とかあるいは安全衛生の問題とか、そういうことにつきましての指導監督を加えていく、それと同時に、やはり労働力といっても技能労働力の確保が必要でございます。そういう意味で、中小企業が共同で事業内訓練を行なう場合の共同施設に対する補助とか、あるいは運営費の補助、機械の補助、こういうことでみずから技能労働力を養成する場合に援助を申し上げる、あるいは確保された労働力の定着をはかるための労務管理なりあるいは雇用管理に対する御指導、御援助を考えておるわけでございまして、そういうような各種の方策を講ずることによりまして中小企業の労働力不足に対処してまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
○吉田(賢)委員 労働力需給を円滑にするという問題の一面としまして、労働者側の能力が自在に各方面で発揮し得るような、そういう手を打つ必要があるんじゃないだろうか。受け入れも大事でありますが、同時に、たとえば職業指導、訓練とか、あるいはまた技能者養成であるとか、あるいはその他の知識の普及であるとか、そういうようなことをかなり簡単に、安易に、経費もあまりかからずに、政府施策、公の施設としましてこれをする必要があるのではないだろうか。この辺がとかく十分に行なわれておりませんので、したがって優秀な労働力は一流企業がさらっていく、好条件をもってこれを迎える、そうでない中小企業は資金なし、設備なし、収益に乏しい、いつどうなるかわからぬというような、こんなことすらまま見るわけなんでありまするから、そういったところへ行くのはあまり——こういうようなところには人が寄らないということになりますと、全体として経済の均斉ある発展が妨げられ、中小企業のそういう方面からまた新しい断層が生ずるのではないだろうか、二重構造のさらに下積みができるのではないだろうか、こう思いまするので、受け入れ体制も非常に大事であり、と同時に、これを供給していく労働力、優秀労働力をちゃんといたしまして、そしてさらに両方を公に指導、協力ないしは援助等をいたしまして企業の生産性を高める、あるいは一そう合理化する、機械設備、技能、収益等を高めていくというふうな指導が必要ではないだろうか。これはやっておられると思いますけれども、模範的にどこかをやるというのではなしに、やはり全体の施策として、労働省は大きく網を打つ方針を立てる必要があるのではないか、こう思っております。 それからもう一つは、同時に低生産性の重要部門といたしまして、例の身体障害者というのがございます。これは厚生省がかなり力を入れておるのでありますけれども、これの受け入れ体制が、いわばとんとないわけでありまして、優秀労働力ならともかくも、ある施設が必要とするようなものはこれを求められておるというようなことになりますので、こういうことにつきましても、労働力の完全化、一種のリハビリテーションなんかも、労働省も厚生省等と協力いたしましてこれをするということが必要でないだろうか、こう思うのであります。 この二点、ちょっと伺っておきます。
○住政府委員 第一点でございますが、全く御指摘のとおりと思います。やはり優秀な技能労働力をどのようにして確保していくか。これは中小企業の生産性をあげる意味においても非常に大事なことでございまして、一般的に労働省におきましても、職業訓練について、不十分でございますけれども年々人数をふやす、こういう対策をとっておるわけでございます。それと同時に、先ほど申し上げましたように、あわせて事業内の訓練をする場合には、大企業と違いまして、中小企業に対して施設なり運営費の補助等をやって、みずから養成する技能労働力に対する援助をいたしておるわけでございまして、なお不十分だと思いますが、せっかく努力をいたしてまいっておるわけでございます。 それから、身体障害者の問題でございますが、これは先生御承知のように、身体障害者の方々は、その配置いかんによっては健常者よりもずっと能率をあげる職場があるわけでございます。そういう風潮が全般的に広がってまいりまして、およそ、軽度の身障者に対して採用等に関する偏見もずいぶん少なくなってきておると思っております。身体障害者雇用促進法がございまして、これは雇用率を設定いたしまして、その目標に向かって身体障害者を雇い入れる、こういう制度になっておりまして、身体障害者を雇い入れる事業主に対しましては、雇用奨励金とかあるいはいろいろな援助をいたして雇用の促進をはかっていく、こういう体制をとっております。 ただ、これら身体障害者の問題は、そういう意味で、軽度の身障者の体制は大体でき上がっておると私ども思いますが、今後は重度身障者あるいは精薄者の能力をどのようにして職場に生かしていくか、こういうような点がこれから非常に大きな問題になってくると思いますので、そういうことについても今後努力をいたしてまいりたいと考えております。
○吉田(賢)委員 婦人少年局長が見えておられると思いますので、ちょっと簡単に伺いたいと思います。 やはり労働力の需給関係の問題につながりますが、同時に家庭を保護する、主婦の立場を保護する、家庭経済、生活を援護する、こういう意味におきまして例のパートタイマーの制度、これは非常に重要だと考えております。とりわけ農村地帯であるとか、あるいはまた中間的な地帯ないしは過密地帯等におきましても、このような面について新しい労働力の発掘はもっと組織的に十分にされなければいかぬじゃないか、こう思われまするが、そういうことは最近の政府の施策としておやりになっておるであろうか、どうであろうか。やはりこういう不景気のかげりのあるような時代になってきますると、企業的な、利己的な大企業の下請に対する圧力といいますか、利益のあるときにはうんと使うけれども、なければ切って捨てる、こういうようなにべもない扱い方をするということになりましたら、なかなかこういうものは育っていかぬのじゃないかという感じがいたしますので、全体といたしまして、都市、農村を通じまして、私は労働力の重要な一環として、また家庭の経済生活を充実する意味におきまして、ないしは生活を充実するという意味におきまして、この婦人のパートタイマーというものは非常に大事なことであって、これを組織的にさらに伸ばしていく、そして模範的な一つの生産体制がそこに建設されていく、こういうふうにあって望ましい、こう思うのでございますが、何か施策があるかどうか、もしくはそういう方向でもさして努力しておられるのであるかどうか、あるいはそういう文献でもおまとめになって、全体として指導しておられるのかどうか。何かありましたら、なお文書にしてでも御報告をいただいたら、こう思うのです。これは大事な問題でありますから、もし何でしたら、文書をもちまして当委員会まで資料とともに出していただけましたらたいへんありがたいのですが、しかるべくどうぞ。
○高橋(展)政府委員 お答えさせていただきます。 パートタイマーの問題につきましては、御指摘のようないろいろな理由で最近は非常に増加してまいっておりますし、また今後も家庭婦人の間においてパートタイマーとして就業する希望者もふえるであろうと思われますし、また企業側にもそのような需要が増大してまいるのではないか、このように考えておるわけでございます。 御指摘にもございましたように、パートタイマーの労働の諸条件というものは、必ずしも満足すべき状態でないということがしばしば発見されるわけでございます。それで、私どもといたしましては、パートタイマーが、労働者のサイドからいえば、自分の能力を十分に発揮して、職業人として充実した就労ということが行なわれますように、また国民経済的に申しましても、パートタイマーの労働力というものが本格的な労働力として経済へ十分に寄与できますように、そのような意味合いでパートタイマーの就業の諸条件の近代化ということを目標にいたしまして諸般の施策を進めているところでございます。 そのために、昨年、いわば基本通達のようなものを出しまして、労働省の出先機関が協力して、パートタイム雇用の近代化のための諸条件の整備をはかろうというようにいたしております。具体的には、パートタイマーの適正な職場への配置、紹介をはかるための職業紹介機能の充実であるとか、あるいはパートタイマーとして就労される方に対するオリエンテーションのような講習等もいたしております。また、パートタイマーを雇用する側に対しまして、その労務管理の面での指導等を行なっているところでございます。 なお、こまかな点につきまして、後に資料等を御入用でございましたら、またそれで御説明いたします。
○吉田(賢)委員 自治省、ちょっと簡単に一、二点だけ伺っておきますが、最近の経済の成長に伴いまして、地方財政収入がかなりいずれも膨張しておる、こう思いますが、こういうときに、よほど世相、風潮にかんがみまして注意いたしませんと便乗主義的なことになり、総花主義的に予算、財政が浪費されるという結果を生じやしないか、こういうことも案ぜられるのであります。 そこで、自治省といたしましては、長期財政計画ですか、そういったものをおつくりになって発表されたと伺っておるのでございますが、大体のその長期財政計画のねらいは何であろうか、そしていまの実態をどういうふうに認識しておられるのであろうか、一番重要と目されるべき新財政の方向は、どこに力点を置いて今後の施策を進めていかれるのであろうか。こういう点と同時に、これはうらはらの関係になりますけれども、行政は当然これに随伴してよりよくなり、成長しなければならぬことは申すまでもないのでありますから、この辺につきまして、ひとつ御説明いただきたいと思うのであります。 なお委員長、私これ以上ちょっと時間もありませんので……。
○大石政府委員 地方財政の全体の問題で、印象として非常によくなってきているのではないかという感じは与えられておりますけれども、私ども自身としては、決してそういう余裕のある好転というところまではとても至っていないというふうに考えられるわけですし、数字的にもこれは立証されるというふうに考えておりますし、現に、市町村道のいわゆる改良率、舗装率等からいえば、全くこれで日本が近代国家と言えるかという程度のところまでしかできていないわけでありまして、依然として財政的な問題は窮屈だとわれわれは考えております。 ただ、いままで自治省が財政計画その他をやる場合に、やや長期的なビジョンというものに欠けていた点があるのじゃないか。長期的な建設計画、そういうものをやらせる必要があるということで、昨年の十月にいろいろくふうをしてみまして、自治省がその時点で考えられる整備計画というものを考えて、そしてその数字をもとにし、しかも同時に、財政収入の面では、現行の収入関係という制度をとたんに大きく変えることはできませんので、それに見合う現状の収入面というものをにらみつつ実は長期計画を立てたわけであります。それによりまして、自治省自体も、将来にわたりまして、地方財源の確保という問題はどういうふうにしていかなければならぬかという、自分自身の行政指導の運営ということにも実は気をつけてきたわけでございます。 その中身は、もちろんいまそれぞれ政府のほうで五ヵ年計画というものが幾つかできておりますし、そういう五ヵ年計画に対応する地方の裏打ちといいますか、そういうことを計画的にやっていかなければならぬというようなことも、国の政策に応じて地方団体が適応し得るような、いわゆる財政的な裏打ちというものもこれに当然入るわけであります。その他、いわゆる単独的な事業というものが非常に要望が多いわけでありまして、そういう問題を概数的にとらえまして、長期ビジョンというふうなことばで言っておりますけれども、そういうものをつくりまして、新聞等にも発表されたわけでありますが、そういう七〇年代の内政の時代の水準というものをわれわれが一応捕捉しまして、それが自治省自体の行政指導の運営に資すると同時に、地方団体もそれに伴ってやっていくという指針をつくろうとしているわけです。 しかし、まだいろいろの材料等が不十分でありまして、この点につきましては、さらに精細な材料等をわれわれは手に入れて、あるいは計画を立てて、将来のいわゆる七〇年時代の行政というものをこういうふうに持っていくという構想をさらに完ぺきにいたしたいというふうに考えているわけであります。 内容のこまかいことにつきましては、必要であれば財政当局から御返事を申し上げます。
○吉田(賢)委員 終わりますが、資料を要求しておきたいのですが、自治省、お願いいたします。 最近の建設省の住宅建設計画にかんがみまして、公営住宅はどうも成績が悪い。民営のもののほうがずっと成績がいいようであります。これは、要するに建設費の超過負担がどうもあるらしい。そこで、建設費の超過負担がありやいなや、ありとすれば、たとえば東京はどうか、大阪はどうか、その他もっと地方ではどうか、この辺、何か統計でもとれているかと思いますので、ぜひひとつ資料をいただきたいのです。 もう一点の資料は、これは特に過疎地域もしくは悪過疎地域といいますか、過密にあらざる、過疎というには適しないかもしれませんが、そういった地域における保育とか教育とか、特に初等教育とか医療施設とか、そういう一つの公営企業的なそういう面に対する施策が新しく発足していると思うのですが、これ、何か資料ありましたらもらいたい。 この二点の資料をひとつよろしくお願いいたします。委員長あてに出しておいてください。 終わります。
○高橋(清)委員長代理 鳥居一雄君。
○鳥居委員 一日の予算委員会におきまして安中事件が取り上げられたわけであります。実に悲惨な事件でありまして、人体の内臓の部分からカドミウムが二二、〇〇〇PPM検出された。これは二%に当たる数字だそうでありますが、こうした職場の中でこういう事実が起こっていたことが明るみに出たわけでありますが、こうしたことを二度と起こしてはならない、そういう意味から、労務管理あるいはまた安全衛生の点につきまして幾つかお尋ねしたいと思います。 きょうは予算委員会の総括で大臣がこちらに見えておりませんので、まず、安中事件につきまして、労働省を代表いたしまして、副大臣の立場にある大野政務次官からこれに関する所感を伺っておきたいと思うのです。
○大野政府委員 ただいま鳥居先生御指摘の安中事件につきまして、先般予算委員会でその経緯を発表されて、自来、労働省といたしましてもいろいろと調査をし、また現地にも派遣いたしましてその実態の把握につとめておるところであります。 私は、この安中事件のようなものは、安中のみならず日本じゅうにいろいろと散在しておるのじゃないか、また、このカドミのみならず、その他のものにおいても起こり得ることでございますので、もっと安全衛生管理というものの強化という点について、現在、これを契機にということではございませんが、やってまいりましたが、これをより強化したいということで努力いたしておるところであります。また、このような点についての法改正等も急ぎまして、四月までにはやりたいというようなことで誠心誠意つとめておる次第であります。 私ども労働省といたしましては、このような事件が再び起こらないように、先生御承知のように、本年度、産業医学総合研究所というものの設立も急いでおるところでありますので、私どもの真意をおくみ取りいただければ幸いであります。
○鳥居委員 私どもは、一日の予算委員会が終わりましてから、翌日八人の国会議員団が現地の調査におもむきまして、現場におきまして、事業所内の環境という点で二十数点の資料を採取いたしまして、現在定量分析を公の機関でいたしております。ですから、この結果が判明し次第、現在の作業場の環境についてのまた評価ができるのじゃないかと思うわけでありますが、きょうはその中間の時点でありますけれども、この問題点につきまして幾つかお尋ねしたいと思うわけです。 一日以後、労働省としてこの現地調査を行なっているように聞いております。この調査の内容につきましてお伺いしたいと思うのです。調査団の編成あるいは調査団が調査で明らかにすべきこと、それからその調査に期待していること、この点についていかがでしょうか。
○北川説明員 一日にあの事件が予算委員会で質問されますと同時に、現地の群馬の労働基準局の安全衛生課長及び衛生専門官が直ちに安中工場におもむきましてまず調べましたことは、先生いま御指摘のように、現在の安中工場の職場環境状況がどうであるか。あのようにカドミを多量に吸い込むような条件がまだ続いておるかどうかという点の再確認、それから、当時一緒に働いておられました方、中村さんと同じようにカドミの箔をつくっておられました方八名おられます。現在在職中の方がそのうち六名でございますが、この方の健康診断を直ちにやる。その健康状態がどうであるかということの把握、そういうことをいたしまして、翌二日には労働省から、医師であります労働基準監督官を一名と、それから労災補償関係の専門官を一名、計二名、工場にこれまたおもむかせまして、前日地元の基準局が行ないました調査をさらに詳細に点検をいたしますとともに、当時中村さんが病気でおかかりになっておりました病院等の主治医からもいろいろ意見を聞いてまいりました。 なおそれとともに、私たちの知識ではまだ不十分な点もございますので、地元の群馬大学の衛生専門の教授の先生あるいは県の衛生研究所がございますので、そういうところの専門官に、いろいろ事件につきましての御説明あるいは参考意見等をお聞きした次第でございますが、今後ともそういう点につきましては、地元の専門家、それから中央におきます、われわれ平素労働衛生について御指導をいただいております諸先生方の御意見も参考にいたしまして、その助言を得まして、安中工場の職場環境、あるいはそのとるべき措置というものについて慎重に調査、検討をいたしたいと思っております。
○鳥居委員 そうしますと、たまたま今回は安中事件が起こったわけでありますが、非常に心配されることは、全国で同じようなケースがある点であります。労働省ではどういうふうにこの点つかんでおりますか。まず、事業所で、監督しておりますカドミを扱う事業所並びに従事者、現在までにわかっておるところを明らかにしていただきたいと思うのです。
○北川説明員 有害物を取り扱っております事業所につきましては、昨年の九月に全国の総点検を行ないました。そのときにカドミウム取り扱い工場につきましては、特に重要事業ということを指定をいたしまして、その立ち入り検査を行なっておりますけれども、その検査によりますと、対象になりました事業所が二百三十七事業所でございまして、直接カドミを取り扱っております労働者は約二千八百名でございました。 なお、カドミを取り扱っております事業所といたしましては、われわれ考えられますのは、カドミの製錬、これは明確に九社、十三工場でございますが、それ以外にカドニカ電池をつくっておるようなところ、あるいは塩化ビニールの触媒を行なっておる工場のほかに、メッキ工場でカドミメッキをやっておりまして、これがかなり多いのではないか、こう考えております。いま申し上げました二百三十七事業所、二千八百名というものにつきましては、われわれの出先約千八百名の監督官で調査をいたしましたのですが、メッキのそういう小さな工場等につきまして十分手が行き届いておらないのではないかという点は、われわれとして十分反省をいたしております。 なお、今回の事件が起きまして、昨日労働基準局長名をもって、カドミを取り扱っておる事業所につきまして、その環境の整備を再度、こういう指導をやるべし、あるいは特殊健康診断につきましても、その励行方というものを指示をいたしております。 なお、参考のために通産省で昨年の七月、十月に、同じく通産省の発表によりますと、全国のカドミ使用事業所というものの広範囲な調査をやっておられますけれども、その際の調査工場は二百五十二工場ということで、ほぼ労働省の事業所の数とは一致をしておるというのがわれわれの知っておるデータでございます。
○鳥居委員 その際の通産省の調査によりますと、従事者が二十四万八千五十人と出ておりますけれども、この点の大きな食い違いはどういうわけですか。
○北川説明員 この点、詳細に突き合わせをいたしておりませんが、私のほうで総点検の際にカドミ従事者として指定をいたしました労働者は、直接にカドミを取り扱う、たとえば今度の中村さんのようにカドミの箔をつくるためにカドミを手でさわる、そういうような直接カドミを取り扱った者に限定をしておりますので、通産の場合には、それ以外の間接部門の労働者の方も含まれておるのではないか、その点はいま御指摘がございましたので、今後通産省と調査の内容等を突き合わせてみたいと思います。
○鳥居委員 いまあがった数字でありますが、直接それに従事していると見られる二千八百人、これに対する健康診断といいますか、これはどういうふうに労働省としては行なってきておりますか。
○北川説明員 特殊健康診断につきましては、従来からも指導してきておりましたけれども、昨年八月七日に、カドミウムにつきましては、非常に詳細に項目指定をいたしまして、その健康診断のやり方を指導をいたしておりますが、その概要を申し上げますと、まず第一次的な健康診断としましては、食欲不振だとか、あるいは嘔吐をするとか、そういうようないろいろな自覚症状があるかどうか。それから、カドミ特有の症状としまして、門歯、犬歯にカドミウムの黄色環ができておるかどうかという点、あるいは尿中のたん白の有無というようなことを第一次健康診断の項目として指定をいたしました。それでなおかつ異常がありと一般の医師が判定をしましたときに第二次健康診断を行なうことにしておりますが、その際には、自覚症状があるということを医師が認める、あるいは黄色環がある、それから尿中のたん白があるということのほかに、過去に尿中にカドミウムの排せつ量が五〇ガンマ、これがあるということを一つのチェックポイントといたしまして、それで今後の健康管理というものをきめる、こういうことをこの通達では指示をいたしております。
○鳥居委員 そうしますと、区分をしてやっておるようでありますけれども、この健康診断の健康管理はどういうふうにいたしておるわけですか。
○北川説明員 いま申しましたように、健康診断をいたしました結果、その診断に基づきまして、健康管理区分をA、B、CといたしておりましてAはカドミによる異常が全くない、そういうのがAでございます。それからBは要観察ということで、第二次健康診断の結果、管理区分のC——あとで申し上げますけれども、治療を必要とするというものではないけれども、カドミによるか、あるいはカドミによる疑いのある異常所見が認められる、これは要観察ということで、その人たちの健康につきましては、平素いろいろチェックするとともに、必要に応じて健康診断をやらせるということにいたしております。 それから問題は、治療を要するというのを管理区分のCといたしておりますけれども、それにつきましては、自覚症状が幾つかあり、かつ尿中へのカドミの排せつ量の増加が見られる場合であって、しかもじん臓の機能に障害がある、あるいは呼吸器障害がある、じん性の糖尿がある、こういうような場合には管理区分のCとして治療を行なわせる、こういうふうな健康管理の区分にいたしております。
○鳥居委員 この健康診断の内容につきまして、非常に技術的になるわけでありますけれども、明らかな自覚症状があるとかないとかということが判断の基準になっているわけです。この判断をするのは、もちろん医学的な専門の知識を持ったそういう立場の人でありますけれども、往々にして医学の立場での判断になるわけであります。さっきのなくなった方でありますけれども、安中事件で事実二二、〇〇〇PPMという結果が出ましたそのことについても考えられることは、これは全然病名の違う十二指腸かいようなんという結果が現に出ているわけでありまして、そうした意味からいって、明らかな自覚症状などということを表示して、そしてその判断を医師にまかせるということ自体に大きなあいまいさがあるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、この点どうですか。
○北川説明員 先生のおっしゃいましたように、第一次健康診断のチェックポイントの一つとして自覚症状の有無をあげておりますけれども、それとあわせまして、カドミ中毒特有の黄色環が歯のまわりにできるかどうかという点、あるいは尿中のたん白を調べる、こういうことで、たとえ自覚症状がなくても、カドミが吸収されますと必ずじん臓機能がおかされて尿中にたん白が出る、あるいは歯に黄色環ができる、こういうことが医学的に明らかでございますので、自覚症状も一つのチェックポイントにはしておりますけれども、自覚症状だけにたよっておるというわけではございませんので、その点は御了承をいただきたいと思います。
○鳥居委員 有害物質の取り扱いにつきまして労働省が総点検しております。カドミウムに関して幾人の人を点検しておりますか。
○北川説明員 総点検の対象人員としましては、先ほど申し上げましたように二千八百八十八名、この全員が一応総点検の対象になったということでございます。
○鳥居委員 健康診断の結果はどうですか。
○北川説明員 カドミウムにつきましては、健康診断の結果、受診者が千九百八十二名、そのうち異常所見者が十三名、したがいまして異常所見率が〇・六%、こういう数字になっております。
○鳥居委員 直接従事している人が二千八百人いるわけですね。これは全部受診してないのですか。
○北川説明員 いま御指摘のように、若干の事業所におきましては特殊検診を行なっておらないということが事実でございまして、従事者と受診労働者の間に数字のズレがございます。
○鳥居委員 そこで、職場の安全という点で基準が問題になるわけでありますけれども、カドミウムに関して、尿中のカドミウムの分量の安全基準をどの辺に置いておりますか。
○北川説明員 尿中カドミの排せつ量につきましては、先ほど第二次検診のチェックポイントとしまして一応五〇ガンマ・パーリットルということを申し上げましたけれども、われわれとしましては五〇ガンマ・パーリットルのカドミが尿中に含まれている場合にはやはり要監察チェックをしなければならない、こういうことで、これを基準としていろいろの対策を講じております。
○鳥居委員 厚生省では三〇ガンマといい、労働省のほうでは五〇ガンマを基準にしている、その辺に非常に大きなズレがあるわけです。普通の人体でいえば大体三ガンマが普通である、三ミリグラムが普通である、こういわれておるものでありますけれども、これが三〇でもかなりの基準になっておりますし、それを上回って五〇というところが私はちょっと危険な線じゃないか。これはゼロになることがもちろん望ましいわけでありますけれども、その線を引くこと自体に問題がありますけれども、三〇と五〇、ここの辺の違いはどういうわけですか。
○北川説明員 先生のおっしゃるように、有毒物につきましては、ほんとうはゼロが一番望ましいわけでございます。ただその場合に、ゼロということが、そういう作業をやっておる、あるいは社会環境の中で望めない場合に、幾らの線で許容限度とするかという問題でございますが、労働省できめております許容限度といいますのは、職場で働く人、これは少なくとも十五歳以上六十歳、あるいは六十五歳、そういう老人の方もおられますけれども、一日の労働に耐えられる体力を持つ人たちを一応対象としまして職場環境を定めております。その点、厚生省で定めております生活環境基準というのは、生まれたばかりの赤ちゃん、あるいは長年病気になられて非常に虚弱な状態におられる方、そういうものをも対象として許容濃度を定めておる、そこが五〇ガンマと三〇ガンマの違いではないかと思います。 なお、私たちが尿中カドミ五〇ガンマ・パーリットルということをきめております根拠といたしましては、日本の労働衛生の専門家からなりますところの労働衛生協会という専門家会議がございますが、そこの御意見、そこの決定に従いまして指導基準といたしております。 なお、アメリカにも産業関係、労働関係の専門官の会議がございまして、約四百くらいの有毒物質につきまして職場の許容限度をきめておりますけれども、アメリカのカドミにつきましての職場の許容限度は一〇〇ガンマ、日本の倍であるというふうに伺っております。そういう点では、わが国のカドミ五〇ガンマというのは、厚生省の生活基準から見ますとやや高いような印象がありますけれども、職場環境としてはかなりきびしいものだというふうに私たちは考えております。
○鳥居委員 しかし、現になくなった方の体内から二二、〇〇〇PPMという考えられないような数字が出てきているわけであります。はたして尿中のその濃度そのことだけにたよることがいいかどうかということもこの際点検されなければならない。私は、厚生省がこの安全基準として三〇ときめているそれをはるかに上回る五〇である点を、もう一回検討するなり、あるいは、厚生省できめた安全基準に対して違う明確な理由があって、その上で五〇で今後行政指導をしていく、こういうものをはっきりしなければならない段階だろうと思うわけです。もちろんカドミウムだけの問題ではありません。六百二十に及ぶような危険物質があること、こういう現状を考えてみまして、そうしたことを痛切に感ずるわけであります。 総点検の際、千九百人の人が全国の事業所を回ったわけでありますけれども、現在の安全衛生という点で考えてみまして、担当して千九百の監督官が回った、その質の面で私は今後改善されなければならないように思います。現在これに従事した皆さんの大半が事務官という立場で、しかも公害の測定器具もなければ何にもないという立場でこうして全調査をやったわけです。その御苦労というものはなかなかたいへんなことでありますけれども、千九百人の人が動き、そして当初目標にしたその成果を生み出すためには、千九百人が動いたというだけでなくて、やはり実のあるものにならなければならないと思います。現在、この研修といいますか、質の向上のためのどういう努力が払われておりますか。
○北川説明員 いま先生の御指摘の点は、非常に私たちも痛感をいたしております。千九百名近くの基準監督官を総動員をいたしまして一万三千の事業所を点検はいたしましたけれども、特定の物質、特にカドミ等につきましては、その測定能力がきわめて不十分でございます。これは監督官が不十分であるばかりでなくて、日本のいまの産業医学で測定が正確にできるところというのは、おそらく、たとえば岡山大学のこの前御発表になりました小林先生とか、あるいは富山の先生とか、そういう、それこそ十指を屈する方ぐらいしか、正確にはかられることはできないのではないかと思います。 そういう点で、われわれがそこまでいけるかどうかは別としまして、先生御指摘のように、量的な面でなくて質的にそういう総点検の中身を充実をしていきたいとかねて考えておりまして、実は昨三日から、一斉総点検の結果等も踏まえまして、労働衛生専門官を全国から労働研修所に集めまして、これはとりあえず十日足らずの研修をいたしておりますが、これではまだまだ不十分でございますので、新年度は大蔵省からも専門的な研修予算も認められておりますので、一カ月近くの研修を、労働省の部内だけでなくて、各専門的な諸先生方に講義あるいは指導等もお願いをしてやりたいと思います。それから、中央で基準監督署あるいは局の専門官を集めまして、それが先生になりまして地方でどう伝達させるか、その伝達研修といいますか、講習というものにつきましても地方でやれるようなことをぜひ考えたいと思っております。 それから、これはいまの御質問の前の点でございますけれども、先生のおっしゃいますように、いままでの健康診断の場合には、尿中のカドミの含有量だけでわれわれはチェックをしておりましたけれども、いま御指摘のように、中村さんのように、検診その他では尿中のそういう異常がなかった、しかし、普通の吸収した場合は、じん臓あたりに来る前に肺に相当カドミが蓄積しておるにかかわらず、中村さんのおからだの分析のあれを見ますと、肺にはほとんどなくてじん臓、肝臓に集中をした、どうしてこういう現象が起きたか、そのためのチェックが、いまおっしゃったように、尿中のカドミの量だけでいいのかどうかというような点につきましては、今後考えを新たにして専門家の意見も聞きたいと思っております。 なお、私たち、いろいろ対策あるいは今後の措置を考えておりますが、中村さんがおなくなりになっておりますので、当時御一緒にお働きになりました方について、実はすぐに検査を会社側にいたさせまして、それを一つの参考にいたしたいと思いましたけれども、現在まで報告が来ておりますのでは、カドミ箔の作業につきまして、男の方二名、女子の方三名、これの検診の結果が来ておりますけれども、中村さんと同じ作業を、むしろ中村さんより長くやっておりましたにかかわらず、尿中カドミの量が一番高い方で一五ガンマ、一番低い方は一・二ガンマ、まあ、われわれと同じくらいということで、平均いたしまして六・九ガンマであるというような点からも、私はこの点につきまして、やはりわれわれのチェックのしかたにつきまして再検討、あるいは中村さんの場合につきましても非常に慎重に検討いたしたい、こう考えております。
○鳥居委員 ですから、その厳正な公正な検査がなされなければならないことは、もういままでのいろいろな事例を見てわかるわけです。一昨年、今度の事件になりました安中の作業場に参りまして、私どもの調査によりますと、現場で説明を受けながら、ここの廃液中は〇・〇一PPMから〇・〇二PPMとして石灰において中和をして排出している、そういわれている。その現場の水を分析して二〇〇PPMあったのです。その事実は一昨年指摘したとおりであります。ですから、企業のほうの側にたよった測定、それはやはり誤りだろうと思うのですよ。ですから、今回の中村さんの場合の診断の結果、とんでもない十二指腸かいようなんという診断の結果があったこと、やはりその診断自体を医師にまかしてきた管理の現状、それからまた、測定のできる大きな企業の場合にはいいだろうと思います。しかも、その測定のできる企業にしても、企業の測定した資料に基づいて、それの報告をとって管理している現状じゃないですか。そんなんじゃ、とても適正な行政というのは私たちは望めないだろうと思うのです。 そうしたものの強化というか、ともかく、技術的にはいまは無手勝流だと思うのです。この監督業務に当たっている技術者は、全国にどのくらいの人がいるわけですか。職業病に対する技術者は、専門技術者といいますと、医学の立場でありますけれども、省内に幾人いますか。これは私どもの調べによりますと、現在本省に五人、それから地方に四人、お医者さんでありますけれども、この職業病対策という立場で専門に従事している。技術的な指導もなさっているそうでありますけれども、これはいかにも弱体だろうと思うわけです。こうした面の改善が急務であることは、この事件が明らかにしているとおりでありますし、今後改善していただきたいと思います。 それから、この種の事件につきまして、今回の安中の工場のこうした大きな事件を起こしたわけでありますけれども、これは労働法の上から、安全規則の上から一体どういう措置がとられるわけですか。二度とこうしたことを起こしてはならない、これは社会的な責任において工場側がそう思うのは当然でありますけれども、これによって行政上どういう措置がとれるのですか。
○北川説明員 労働基準法四十二条、四十三条に安全衛生の基本的な規定がございまして、それを受けましていろいろの規則がございますが、いま先生御指摘のガスとか蒸気とか粉じん、そういうものが非常に発散をしておる、そういうところの職場環境の整備につきましての規定は、安全衛生規則の百七十三条に「ガス、蒸気又は粉じんを発散する屋内作業場においては、場内空気のその含有濃度が有害な程度にならないように、局所における吸引排出又は機械若しくは装置の密閉その他新鮮な空気による換気等適当な措置を講じなければならない。」ということで義務づけております。したがいまして、今回、この点につきましては、調査中でございますけれども、百七十三条に明確に違反をするという事実が明らかになりました場合は、基準法の四十二条もしくは四十三条違反ということになりまして、当然それなりの罰則規定が適用になるということになるのではないかと思います。 ただ、私たちがこの前の総点検をやりまして、安全衛生規則の百七十三条の事業場内のそういう環境の整備、あるいは事業場内でいろいろ使いましたものを外へ出す場合の規制の百七十四条につきましては、たとえばカドミとかあるいは水銀とかあるいはシアンとか、こういう有害物質を特定いたしまして、それをこの程度に落とせとかこういう処理をしろという具体的な規定に欠けております。その点が、いままでこの規定に基づきまして事業主を強力に指導できなかったゆえんではないかと思います。 先ほど政務次官御指摘のように、総点検の結果を基礎にいたしまして、現在医学系、工学系の専門家の方々にいろいろ御検討いただきまして、おそくも四月中には、この点につきましてはかなり精緻な法令の整備というものを心がけておる次第でございます。
○鳥居委員 結局、今度のこの件に関して明確に規則違反ということになりますと、どういう罰則があるわけですか。
○北川説明員 基準法の百十九条に、基準法の四十二条、四十三条等安全衛生規則の違反に該当した場合には、これを六カ月以下の徴役または五千円以下の罰金に処するという罰則規定で、一応法律の順守を担保いたしておる次第でございます。
○鳥居委員 そのとおりであります。大きな職場における環境を破壊するようなそういうことでありましても、わずか五千円で事が済んでいる。明治以来の刑法下におけるこうした罰則規定であります。これじゃ行政指導を徹底させる以外に、この適正な管理ということはできないのです。総点検の結果の資料によりますと、排気の清浄装置——この今回の場合のカドミウムは呼吸によって吸引したと見られているわけでありますけれども、その排気の清浄装置を設置してないそういう監督事業所、これが二百三十七ありますうち六六%に相当する事業所は未設置であります。廃液の処理に関しまして二六・五%、これが未設置であります。それから残滓、残りかすの処理につきましては、やはり一四・四%に当たるものがこの措置がとられていない。こうした現状に照らしまして、起こるべくして起こったと私は見ざるを得ないわけなんですけれども、労働省として、今後、この実際に出てまいりました未設置の六六%に対して、どういう方針で、どういう行政指導をしていくわけですか。
○北川説明員 いま御指摘のように、カドミにつきましては、排気の清浄装置を設けないというのが非常に多くの事業所でございまして、七割近く、そのほかに廃液、残滓物の処理につきましても十分でないという結果が出ております。 これにつきましては、労働省がとります措置は、まず、今回の点検で要注意事業所というものにつきましては、この総点検の際に、それぞれ警告あるいは指導というようなものを文書で渡しておりますけれども、それ以外にも、今後指導を要すべき事業場につきましては、そういうチェックリストというものを作成いたしまして、今後の監督指導の点に特にその点がチェックできるようなことを考えたいと思っております。 なお、先ほど先生が御指摘のように、今回の総点検では、表面的に処理装置があるかどうかということはチェックをいたしましたけれども、その結果、ではどのくらいのPPMが含まれて排出されておるかというような点の突っ込みが不十分でございますので、先ほど申しましたように、研修あるいは器具につきましてもかなり予算が認められておりますので、重点的に監督署にそういう器具の配置もいたしまして、おそくもことしの九月には再度、今度はもう少し深い総点検というものをいたして実態をつかみ、それによってまたさらに指導の重点を定めたい、こう考えております。 それから、あわせまして、今回の総点検によりまして、やはり法規が不十分であるということで法令の整備をいたしておることは御承知のとおりでございます。ただ、私たち今回の総点検をやりまして、これは当然のことでございますけれども、気がつきましたことは、大企業でやはりそういうところもございますけれども、圧倒的に中小企業では資金的にたいへん苦しい、そのためにこういう有害物の排出処理についての機械の設置等が不十分であるという事態が出ております。これにつきましては、やはり取り締まりだけでなくて、そういうことに対する資金的援助というものを政府がいたすべきではないかということで、昨年末の予算折衝では、いろいろのところに折衝、お願いをいたしたわけでございます。従来二十億のそういう面の安全衛生施設の融資が認められておりましたのが、来年は三十五億、七割増しということで認められたわけでございますが、まだまだこれでは不十分でございますので、私たちは、今後そういう処理の状況の悪い事業場の指導といいますか、そういうものとあわせて、資金的援助をいかにしていくかということを、来年度は三十五億ということで限界がございますけれども、さらにこのワクを拡げていくというような努力をぜひいたしたいと思っております。
○鳥居委員 いま部長のお話では、中小企業の場合に設備投資が非常にむずかしいというお話でありますけれども、私は、この監督をしていく立場でありますから、労働省としてはあくまでも安全衛生という点に徹していただかなければならない、こう思うわけです。もし労働省のほうが企業側についてしまうようなことになれば、これは働いているほうの側は一体だれが守るのかという議論になってくるわけです。その点の適正な行政指導をやってもらいたいと思うわけです。 それで、次に救済措置でありますけれども、現在の労災保険では療養補償、休業補償につきましては二年、それから障害補償、遺族補償につきましては五年というのが消滅、時効になっているわけであります。医学的に見ましても因果関係が非常に立証しにくい、不明な慢性的な職業病というのがやはり今日ではあるわけでありますけれども、この時効期間を過ぎて、しかも医学的には因果関係が立証することができた、こういう場合の救済、これは現在ではできないようになっていますけれども、今後どうしますか、この問題につきましてお聞きしたい。
○北川説明員 休業補償、療養補償につきましては御指摘のように二年、それから遺族補償、障害補償につきましては五年の時効ということを法律上明記をいたしております。 この点につきましては、労災補償制度そのものが、けがをしたあるいは急性の中毒にあったというような、その場で明確になるというものを前提として、おそらく法制定当時に二年ないし五年の時効をきめたのであろうと思います。いま御指摘のように慢性中毒で、中村さんの場合につきまして調査をいたしておりますけれども、在職期間中あるいは退職してすぐはわからなかった、しばらくたってからそういうものがわかった——最近明確な例では、ベンジジンとベータナフチルアミンというような染料工場で働いておった方が退職して十数年後に職業ガンが発見されるという事例がございます。こういう場合には労災の補償がどうなるかという点でございますが、そういう慢性的な疾病等につきましては、その因果関係、職業病であるということを専門家、医師によってはっきりされた時点、したがって労災補償の請求が可能になったそういう時点から時効の起算をいたすということが、行政上の従来からの方針になっておりますので、二年、五年という現行規定のもとにおきましても、慢性中毒、そういうものにつきまして、特に請求上保護に欠けるという点はないのではないかと思います。また、行政運営上も、その点につきましては、十分そういう被害を受けられた労働者のお立場になって運営をいたします。そういうことについて万全を期すつもりでおります。
○鳥居委員 中村さんの場合に、いつ労働省がその因果関係を立証できるのですか、何にも立証するものを持っていないじゃないですか。そうして、いたずらに日にちばかりたっていく、民間の研究機関にたよろうとするならば、非常にお金もかかるし、また日時もかかる、そのうちに補償の期限が切れてしまう、こういう事例は現実の問題として起こり得ることです。
○北川説明員 中村さんの場合につきましては、岡山大学の小林教授の御調査の結果われわれも知り得たことでございまして、職場環境その他につきまして調査しておることは先ほど申し上げたとおりでございますが、まだ中村さんにつきましては、御遺族の方からそういう労災補償の請求も出ていないと聞いております。したがいまして、請求が出ましたならば、先ほど言いました二年、五年の時効というものは、小林先生がそういうことを指摘されたそういう時点から遺族の方としては労災補償の請求ができるという状態にあったわけでございますから、その時点からの起算になるのではないかと思います。現在まだ労災補償請求につきまして御遺族から出ておりませんので、その点につきましてはまだ明確に御回答はいたしかねますが、もし出ましたならば、労働省としましては、専門的な先生方に鑑定等を依頼いたしまして、なるべく可及的すみやかに結論を出して、補償に万全を期したいと思います。
○鳥居委員 本日の質問は大体この程度で終わります。
○高橋(清)委員長代理 瀬長亀次郎君。
○瀬長委員 最初に、労働省に対して御質問申し上げます。 沖繩の若年労働者が毎年毎年本土に就職をしてまいりますが、この求人数については、いま吉田委員の質問に対しまして、中小企業の労働力の不足六割以上に達しておる、ところがこの不足は、いま沖繩に求人数が毎年毎年非常に増加をしておりますが、最初に職安局長にお尋ねしたいと思いますが、四十三年度決算の報告がありましたが、この四十三年以降、本土から沖繩に対する求人数、おわかりでしょうか。
○住政府委員 お答えいたします。 求人数でございますが、学卒者及び一般求職者に対しますものを含めまして、四十二年が二万七千七百三十六、それから四十三年が四万五千四百六十一、四十四年が七万一千九百四十四、こういう状況になっております。
○瀬長委員 いまの数字は大体合っておりますが、七〇年、すなわち四十五年は実に九万に達しております。六六年、すなわち四十一年が一万六千であったのが逐次多くなりまして二万八千、四万五千、七万一千、そして七〇年、すなわち四十五年には九万に達している。これはそれに対する就職の数でありますが、六六年すなわち四十一年には二千七百から四千、四千七百、八千二百、そして四十五年は一万に達しております。ところが、これは琉球政府の職安を通じての数字であって、職安自体がこの数の倍以上本土に流入しておる、こう見ております。 これはなぜかと申し上げますと、沖繩におけるあのきびしい生活を何とかして祖国日本——こう言っております。本土に渡れば幾らか緩和されるだろうという、農村の疲弊とも関連して大企業——いま中小企業と言っておりましたが、むしろ大企業と中企業、これが求人競争をやっております。その求人競争をやっておる場所はやはり農村である。農村に行きまして、職安の許可を受けたんだなどといううそをついて父兄をだまし、そして若い人々を主として大阪、和歌山、名古屋、そこへ連れていく、これは実にひどい仕打ちをやっております。このことはもちろん御承知かと思いますが、すでに那覇署にもそういったもぐり業者は検挙されております。そこで、琉球政府屋良主席は、もう本土に渡ったのであるからわれわれの手ではどうにもできない。これは本土政府、特に労働省の指導と監督がどのように行なわれているか。この指導監督を強化しなければ、このような状態は解決できない。あとで申し上げますように、まるで女工哀史、蟹工船時代のあの状態を実現しているということがはっきり出ております。これは沖繩における若年労働者を人間として扱っているのではなくて、むしろ商品として扱い、そうして人間疎外をそこから生み出しているということもはっきり出ております。昨年八月に兵庫県神戸で、沖繩で聞いた条件と違うと言って、沖繩県出身タクシー運転手が集団退職をしたりする事件が発生しております。この事件、もちろん御承知と思います。また、保管するという名目でパスポート——沖繩は日本でありながらパスポートを持たなければ本土に渡れぬ、そういったような弱点をついてこれを取り上げる、身動きができなくなるような仕打ちを大阪でもしたということが起こっておる。さらに、昨年八月二十日、日本経営診断士協会なる団体が沖繩の中学校の教師二十九名を招き、伊豆の温泉など温泉地帯の宿屋で求人のあっせんをその教員にやっており、教員が良心的であるものだから、結局それがばれてしまったということもあらわれております。さらに、政府は、このような人権にかかわる悪質な青田刈りについてどういう指導をこれまで行なわれたのか、まず一点、それを確かめた上で次の質問に移りたいと思います。職安局長にお願いします。
○住政府委員 お答えいたします。 本土における労働力不足を反映いたしまして、先ほども資料で御指摘いただきましたように、沖繩における求人競争というものは非常に激しくなっております。それで私ども、まず第一に、すべての求人はまず本土の安定所を通じて行なわせる、安定所から県に、県から琉球政府に連絡する、この体制を徹底させていく、こういう体制をとっておるのでございますが、にもかかわらず、いろんな意味で求人秩序を乱すようなものが出てまいっておるのでございますが、その点につきましては、琉球政府と連絡をとりまして、現地における求人活動が定められたことに違反するような場合、悪質な場合、本土において求人を取り扱わない、こういうような体制をとって求人秩序の確立をはかっておる次第でございます。
○瀬長委員 これは事実をはっきり申し上げないと、あなた方、ほんとうに信頼される政府らしい答弁ができないと思うので、もう少し内容を明らかにします。 九月十六日、那覇署は、那覇職安の告発で、もぐり求人活動をしていた業者二名を逮捕した。逮捕されたのは、東京の化学印刷会社の重役と那覇市の会社顧問をしている二名、調べによると、二人は去る一月に沖繩から従業員を採用するために労働局に求人申請をしていたが、調査の結果、会社の労働条件が悪いということで不許可になったが、そのまま那覇市のホテルに宿泊して求人活動を行ない、女性六人を採用したもの。二人は家庭訪問でも、別会社の名刺を使い、職安の許可を受けているとうそをついて父兄をだまし、なお職安では、逮捕された業者は氷山の一角にすぎないとさえ言い切っております。琉球政府職業安定所。 さらに、人手不足のタクシー業者がもぐりの求人ルートで沖繩出身の運転手をだまして使っていたことがわかり、兵庫県労働部から職安法違反で処分されたということも書かれておりますが、この内容は、だまされたのは那覇市与儀の運転手Aさん、二十三で、五人等、万博で新車が増車になったが運転手がいない、給料は歩合制で四割五分、一カ月最低九万円はもらえる、車は中型車に乗せる、金は幾らでも貸すということで就職、ところが入社してみると、沖繩で聞いた条件とは大違い、中型タクシーに乗せてもらえずに、歩合も四割に切り下げられ、地上勤務のときはどぶの掃除までやらされた。また、高級アパートというふれ込みの寮は、押し入れもない、二段ベッドだけ、八畳に二人も入れられた。寝具として上下ふとんが支給されたが、その代金はそれぞれの前借り金の中に入っていた、引かれた、しかも五千円のふとんが一万円になっていた。条件が違うということで、集団で退社届を出したら、本人が知らないうちに、各人とも前借り金が二十万円あると言われてびっくり、Aさんらは、こんなにまで沖繩県民をばかにするのかとおこっている。なお、タクシー会社と従業員の間の金銭借用書は、債務履行期間中は自己の都合で退職、転職は絶対にできないものとするという規定が書かれ、それに判を押させられておるという実情があり、さらに沖繩の琉球政府の仲松職安課長が大阪に来まして、大阪に来ておるこういった労働者を集めて会合をしてみたところが、こう言う。社内貯金は毎月ほとんど沖繩から来た労働者はしいられ、通帳は本人が持てず、会社が保管しておる。本人保管が原則となっている身分証明書——パスポートであります。これも会社で全部保管しておる。いわゆるパスポートがなければ沖繩に帰れません。この弱点をついて、そして低賃金、劣悪な労働条件——私が蟹工船や女工哀史の問題を出したのは、そういうことは氷山の一角にすぎないのだ。しかもこういうことがありながらまだまだ続いておる。 私、この前大阪に行きましたが、これは時間があればあとで申し上げますが、このような状態がいま現に大阪で起こり、そしてこの東京でも起こり、さらに和歌山、名古屋でも起こっておる。このような状態が放置されるということは——沖繩県民はほんとうに長いきびしい占領治下で自分自身は一体どうすればいいのか迷って、祖国日本だと喜んで本土に渡ったら、だましだまされてこういう低賃金と劣悪な労働状態に置かれる、しかも、もぐり業者が公然と基準法を犯し、そしていま沖繩でもさらに本土でもこれが横行しておることが許されておるということは、一体どういうことであるのか。これはまさに沖繩内の問題ではなく、本土の中における労働省全体の問題としてこの責任は明らかにされなくちゃならないと思いますが、特にこれについて政務次官から御意見を承りたいと考えます。
○大野政府委員 先ほど住安定局長から答弁がありましたように、沖繩に対する求人は、すべて職業安定機関を通じて行なうというルールが確立いたしておるのであります。しかしながら、瀬長委員御指摘の東京の何とかいう会社の重役、あるいは那覇の者もつかまって警察にあげられたというお話等をお聞きしましても、この本土における人間あるいはその会社については、もう今後もちろん求人もさせないし、その処罰等においても十二分にいたしておるところであります。沖繩におけるところの実態を琉球政府と労働省との間において常に密接なる連絡はとりながらも、若干のそごがあるせいですか、そういうようなもぐり業者が個人でやっておるのじゃないかと私は感覚的に思うのですが、そういうようなものがいるという環境、これらをよく把握いたしませんと、われわれが、またもちろん沖繩の方々が一番喜んでいただけるところのいよいよ祖国復帰というようなことになったときに、今後、軍関係あるいはそれに付随する関係の方々の離転職の問題等がますます起こって、これが激化するということに現在腐心いたし、また対応するように努力いたしておるところであります。 今日までにそういうような不祥事件があったということについては、これはまことに残念なことでありまして、これらを含めて、今後沖繩の雇用政策の確立ということに留意する次第であります。
○瀬長委員 労働政務次官のほうではあまりはっきり御存じではないようでありますが、御存じでないと、指導、監督もどのようにするかもわからぬということに結論づけられるのじゃないかと思います。このことはますます激増する方向にいきつつあるわけなんです。労働力は不足する、そして、沖繩では労働力は余っておるのではありません。いま二十万、二十一万の労働者しかおらない。そのうち七一年、ことしは十一万から十二万の求人が殺到するのではないかといわれておる。そうなると、なおさらこういったもぐり業者が会社が使って横行するようになり、そして本土に渡りましても、また同じような約束の違った前近代的な労働条件を押しつけられて酷使され、そしてもう首切り反対どころではなしに、逃げようといっても逃げられないようにがんじがらめにされる、炭鉱のタコ部屋制度みたいなものがいま現に起こっている。そういったことについての調査はどういうふうにしてやり、これがもしわかったらどのような処置をとられるか、これをはっきり政務次官の口から聞かしてほしいと思います。
○大野政府委員 先ほど私も申し上げたと思うのでありますが、要するに求人の内容が違うというようなこと、あるいはまたもぐりでもってあっせんをしておるというような場合には、そういうような形で就職したということで、しかもその内容が非常にそごを来たしておるというような事業所に対しては、今後求人は行なわせないということを申し上げましたし、と同時に、このもぐりの業者等については、特に琉球政府、沖繩において警察と密接な連絡をとってそれらを逮捕してもらわなければこれは解決しないのじゃないかというふうに考えておる次第です。 それから、先ほどもお話ございましたけれども、要するに、本土のみの就職を私は言うのじゃなくして、ことばが足らなかったと思いますが、沖繩の基幹産業をつくり、それに従事するというようなことまで含めての雇用対策を労働省としては考えておる次第であります。
○瀬長委員 沖繩におけるもぐり業者はこっちの手は届かぬと思いますが、本土におけるそういったもぐり業者が連れてきた労働者の劣悪なあの待遇、しかも人権にかかわる問題についてどうされるのか、これを具体的に指示してほしいと思うのですよ。これがいま当面大きな問題だということなんです。
○住政府委員 本土におきます問題につきましては、私どもとしまして、労働条件が提示された労働条件と違う、そういう意味で非常に不当な事態が生じておる、こういうことにつきましては、まず第一に、私どもの安定機関を通じて調査、監督の体制を強化してまいりたいと思います。そして、そういう状態であればその職場にとどまることはできない、これは就職者としては当然なことだろうと思うのでございますが、そういう場合には、職業安定所が責任をもって御希望する職場に再就職のあっせんを行なってまいりたいと考えております。
○瀬長委員 具体的にいま申し上げましたが、パスポートを取り上げて保管するとか、あるいは貯金通帳を本人の自由意思を踏みつけて会社で保管するとか、さらに労働条件が約束したものと違っているという会社がすでに出ております。これは御承知なのか、これを承知しながら放置されているのか、ここらを承りたいと思うのです。
○住政府委員 そういう事例があることは承知いたしております。 それで、パスポートの問題でございますが、この点につきまして、特に若年労働者等の場合に、私どもの聞いておるところでは、本人が持っておると、やはり紛失とかそういったような事態も起こるので、事業主のほうで管理するというような事例もかつてございました。しかし、御指摘のようなことにもなりかねませんので、沖繩から就職をした先の事業主を集めましてそういうようなことのないように十分指導してきておるのでございますが、悪質なものについて必ずしもそれが徹底してないというのは非常に遺憾に存じておりますが、そういうような事態のないように十分気をつけてまいりたいと考えております。
○瀬長委員 こういった罰則はありますか、ないのですか。ただ指導だけやって、ないようにしたいということなんですか。罰則は、こういったものが起こったらどのような法律で、どういう条項でこれを罰するか。もうすでに出ておる。あなたも知っておると言った。私、知らないから調査の上検討するんだとお答えになるだろうと思っていたが、もうすでに承知である、こうなると、なおさらに進展してきますよ。こういった民主主義とかいわれている現代、そういう女工哀史みたいなことが現に起こっておることをあなた知っていると言う。知っておれば、どういう法律のどの条項でどう罰するかということまで発展するでしょう。
○住政府委員 たとえば預金通帳を預かるとか、あるいはパスポートの問題でございますが、それは労働基準法の第五条にあります強制労働禁止の規定とか、あるいは貯蓄金の管理に関する規定、あるいは退職の場合の金品の返還の規定、こういう条項に該当するものと思います。したがいまして、その点についての罰則の規定の適用があると考えております。
○瀬長委員 このようなことを行なっておる会社が何件あり、どこどこか、これをここで発表してほしい。そうならないと、あなた、知っておりますと言っても、どうもはっきり知らぬと困る。もし会社名が何かの意味で発表できないとすれば、そういうようなことがどこで起こっておるのかぐらいは言えるのじゃないか。事実、あなたがいまおっしゃったように知っておるとすれば、これは罪の対象になることなんで、これを発表せざるを得ないと思うのです。どうなんでしょう。
○住政府委員 私ども、瀬長委員が御指摘になりましたような事例について承知しておるのでございますが、全部の事例については現在手元に資料がないのでございまして、別途また資料を取り寄せましてお答えしたいと思っております。
○瀬長委員 この件につきましては、時間がありませんのでこのぐらいにいたしますが、いま私明らかにしましたように、これは氷山の一角だということは、沖繩の琉球政府や警察当局すら言っております。これは徹底的に調査して、そして法規に違反し、約束をしたことに違反して、ほんとうに前近代的労働条件のもとで苦しめられている特に若い労働力、この若い労働力がどのように散布し、そしてそれがどういうふうに働いているか、またどういうふうに酷使されているかということを調査の上、本委員会に出してほしいということを、あらためて資料の要請をいたしまして、次に移ります。 これと非常に似通った問題でありますが、次は、アメリカ軍に使われている基地労働者のうち、特にまたひどい待遇をされておるのがいわゆるメードさんであります。一万人おります。五万人といわれておる労働者のうち、このアメリカの軍人軍属の個人の家庭に使われているメード、このメードは実は労働組合法や基準法にも該当させられない、軍労働布令、こういったものにすら該当させられないものですから、不平があっても、あるいは要求があっても、だれを相手にしてこの要求をし、だれを相手にして自分たちの生活、労働条件を維持改善していくかということがほとんどできない、見放されております。 これにつきましては、中曽根防衛庁長官は内閣委員会で、労働省とも打ち合わせの上、このメードの待遇やあるいは労働諸条件についての対策を早急に打ち立てたいということを言われておりますが、政務次官のほうではそういう点聞かれたことがありますか。さらに、ありますれば、どういう対策をお持ちですか。一万人おります。
○大野政府委員 ただいま御指摘の点については、中曽根長官のほうからのお話もございますので、十分密接なる連絡をとった上で対策を考えたいと思っておる次第であります。 なお、現在そういうような状態でございますので、はっきりとした具体的なものが出ておらない時点でございますので、もう少し時間をいただきたいと思います。
○瀬長委員 これはいまの本土に引っぱられてきた労働者の待遇、条件とも非常に似通って、この点は、いま申し上げましたとおりメード一万人おるわけなんです。平均年齢が三十七・七歳、最高五十三歳であります。三十歳以上がそのうち九二%を占めております。平均賃金五十九ドル、これは三百六十円と換算して二万一千円、そして所定賃金以外に手当はほとんどありません。手当のないのが八五・七%、ですから、二万一千円というこれ以上のものはない。それで生活状況であるが、働かなければ生活できないのでメードをしておるのが五〇%、五千人おるわけなんです。夫の給料が低いので、その補てんのためにというのが一七%、それを加えて六七%が、生活がどうにもならないのでこのような待遇でも、二万一千円の待遇でも働かなくちゃいかぬということ、次は母子家庭、これが二四・三%、そうして技術の有無でありますが、この一万人のうち、技術を持っておるというのがわずかに一一%、ないというのが七〇・五%であり、しかも首切られても退職金はもちろんありません。何の金もない。首を切られたら切られっぱなしで路頭に迷うという状況、これは全軍労のもとで基地労働者が三千人首切られて、これに対して首切りに反対する、合理化に反対、転配に反対だということで実力行使に移ることになっておる。このメードさんたちはこのらち外にあるわけなんです。 そういったような、ほんとうに前近代的な労働条件のもとに働かされておる婦人が——ほとんど婦人なんですね。全部婦人なんです。これが一万人もおる。これについての対策がいまだに本土政府は行なわれていないということは、実に残酷に私は思うし、また沖繩県民もそういうように考えておるんだが、これについてもう一度、どういう方法をとって——たとえば、本土の法律であれば離職者対策の関係の法律もある、そういった問題でぜひこういったようなみじめな労働婦人を救済していきたいといったようなことがない。方法はあると思いますが、政務次官、いかがでしょうか。
○大野政府委員 私どももその点は十二分に現在考慮いたしておるところでありまするが、本土におきましては、防衛庁、防衛施設庁等ともよく連絡をとって、また一方、沖繩においては琉球政府と緊密な連絡をとりまして、そしてこれらのメードさんの対策について十二分に配慮したいと現在考えておるところであります。
○瀬長委員 労働省に最後の質問でありますが、いま基地労働者に対する一方的な無慈悲な首切り、今度は三千人切られておる。その予告が行なわれた。全軍労に結集した基地労働者は、今月の十日から十一日の四十八時間実力行使をやるということを決定しております。この問題は、基地縮小、撤去のことではなくて、ニクソンドクトリンに基づいて安上がりの労働力で沖繩の核基地を維持しようという方針に基づいての整理である。それに対して、この真相を見抜いた労働者は、生活と民主的権利を守るために立ち上がろうとしているということ、しかも、日本の本土の政府からの何らこれに対する指導もなく、孤立無援の状態で実力行使をしなければならないというところまで追い込まれております。すでに新聞あたりで御承知であると思いますが、要求は首切りに反対するということ、整理反対だ、賃金引き下げに反対する、退職金をカットすることに反対する、不当転配が行なわれちゃいかぬ、こういったようなものを要求して十日から四十八時間の実力行使に移ろうというわけでありますが、この基地労働者はすでに何千と切られております。そして、沖繩でも本土でも就職ができないために、すでにブラジルあたりまで移民として行った人々もあらわれております。これに対する労働対策、これは復帰時点を待つまでもなく、いま労働省自体が責任をもって具体的な対策を打ち立てなければいけないということになると思いますが、政務次官、これに対 しいかがでしょうか。
○大野政府委員 ただいまの問題は、基地におけるところの労働者の方々の首切りの反対闘争であるという点において、私どもはこれについては十二分に配慮をいたしたいということで、沖繩・北方対策庁ともいま連絡をとっておるところであります。このようなことで労働争議が起こらないことが望ましいと考えておる次第であります。
○瀬長委員 いまのお話で、労働争議は起こらないことが望ましいと言われましたが、実際はこれは琉球政府でも何ともできない。労使の間、労使の問題であるので——労使というか、使はアメリカなんです。結局、アメリカと日本政府、日本政府が何とかしてもらわなければならない。非常に要求はラジカルなんです。首切られたら生活できないんだ。もちろん基地を撤去するという前提であればそういうことは起こらぬでしょう。ところが基地撤去ではない、基地の縮小でもない。基地は全然縮小どころか、ますます拡大されつつあるというのが現実なんです。それを整理して、労働強化して転配をしていく、それで待遇全部——賃金カットというのは、八時間を六時間でもってその労働力を活用しよう、したがって賃金は六時間の賃金しかもらえぬことになる。それに反対する者は転配していく、組合活動をした者はあっちからこっちに回していくというふうなことを現実に基地強化の中で行なわれているから、これは生活を守るためにはどうしても立ち上がらなくちゃならぬ、立ち上がらない限り、いま基地に働いている五万の労働者の生活とこれまで奮闘して戦い取った民主的権利すら、労働基本権すらもうくずされるのだというほんとうにせっぱ詰まって追い込まれた者たちの立ち上がりなんです。それを政府はもっと真剣に前もって——これはいま始まったことじゃなしに、もう一カ月、二カ月前からそのことは起こっており、予告もされておるわけです。いままでに何ら労働省としてもその手を打たれなかったということは私は遺憾に思いますが、政務次官、これはどうですか。緊急に何とかされるお考えはありませんか。
○大野政府委員 この問題につきましては、労使の紛争ということであり、特にいま御指摘のように、労使といっても日本とアメリカというような形でございますので、これらの紛争については、労働省のみならず日本政府として現在考えておるところでありまして、私どももその線に沿って労働省としてもいろいろと現在努力をいたしておるところであります。
○瀬長委員 この点は最後に要望しておきますが、労働省だけではなくて、防衛庁も関係していくでしょうし、さらに外務省も関係していくと思います。その意味で、もう実力行使は十日に迫っておるわけなんです。ですから、いわゆるストライキをやめさせるとかやめさせぬとかいう問題ではなくて、私の提起しておるのは、労働者のほんとうに——あるいはスト権すら布令で奪われておる労働者なんです。これが要求しておる。これは労働基本権というよりも人間回復の運動として始めておる。したがって、こういったようなほんとうにラジカルな問題が、命と生活を守りたいのだという希望からきておる。この希望にこたえるように、労働省ひとつ先頭に立って、労働者の問題なんですから、関係各省と緊急に打ち合わせされて、その対策を早目に打ち立てていってもらいたいということを私、希望いたしまして、労働省に対する質問は終わります。 自治省に対して簡単に一点だけ政務次官にお聞きしたいことがあります。 沖繩の公務員労働者は労働組合法、これに基づいて本土よりも民主的な権利をかちとっておる点があります。特に市町村自治体労働者は政治活動の自由、政党支持の自由はもちろん全部許されております。地公法はもちろんございません。この市町村自治体をはじめとする公務員労働者が二万をこします。これがいま復帰だといわれておる中で一番心配しておるのは、復帰した時点に仕事、職業、賃金、身分の保障がはたして行なわれるだろうかということであります。 政務次官、身分の保障、あるいは仕事、賃金の保障はやるのだということをここに明確にしてほしいと思いますし、さらにこれに対しては、いわゆる既得権というのがあるわけなんです。本土と違ってあんなきびしい中でも、労働者のほんとうに基本権としての団体交渉権からさらに団交権、そして組合をつくる団結権、こういったものをいまかちとっています。これを、復帰したからといってなくすことなく、この既得権をぜひ保障してほしいというのが自治体労働者のほんとうの希望であり念願でありますので、これに対する政務次官の御意見を最後に承りたいと思います。
○大石政府委員 賃金の問題と職場の問題と身分の問題というふうに伺いましたが、これは私ども、原則的には、現在市町村に住んでいる職員というのは当然新しく市町村の職員になるものだろうというふうに考えますし、琉球政府の場合は国家公務員と府県関係の両様の部分がありますから、その点についてどういうふうになるかということは、いまそれぞれ関係のところで話されておるようですが、その点について多少問題があるようでありますが、しかし、就労の問題ということになれば、私は引き継がれるものと思います。 それから、いま町村の職員について特別な権利というお話でございましたが、私は、これは日本に復帰するという場合には、いわゆる琉球政府の場合の公務員あるいは市町村の公務員は当然いま日本国における地方公務員法の中に入ってくるものである、これは一義的に当然そうであろうというふうに考えます。したがって、特別にいまある権利といいますか、権利とおっしゃいましたが、そういう形のものは変わって、日本国の公務員の法律の適用に入るものというふうに私は考えております。
○瀬長委員 最後に要望したいのですが、沖繩の市町村自治体の労働者の特に要求は、いま労働組合法に基づいて一切の政治活動の自由が保障されておるし、労働組合活動の自由が保障されておる。これは二十五年にわたる長いあれだけのきびしい占領支配の中でかちとったものなんです。労働組合法や基準法もあります。立法院でつくられたもの、これも一年三カ月かかってやっと立法院は通った。なぜかというと、アメリカが許さなかった。しかし、労働組合法のない時点でもどんどんストライキが起こり、労働組合法を通さないとやっていけなくなって、追い詰められたアメリカがとうとうこれを許すようになり、そのかわりに、また同じ公布の日に軍布令、いわゆる労働法に関する布令を出して両方でやってきた。その中でかちとったこの既得権を、復帰したからといってすぐそのまままたなくなるということには耐えがたい。そういった点に対する特別措置、こういった問題についてもぜひ沖繩の県民の心となって検討してほしいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○高橋(清)委員長代理 次回は来たる九日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時三分散会