外務委員会 第18号
- 発言数
- 126 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/05/19
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 核兵器及び他の大量破壊兵器の海底における設置の禁止に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題として、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森委員 まず私は、本条約の、ただいま理事会でいろいろと論議をされておった問題でありますところのタイトルの訳語についてお聞きしたい、こう思っておりましたが、後ほど曽祢委員等から御質問になるようでございますので、私はまずこのタイトルの点について政府に強く再考をしてもらうように、この訳語についての再考を特に要望しておきまして、私の次の質問に入っていきたい、こう思うのであります。 一九五九年でありますか、南極条約ができました。それからその次には一九六三年でありますか、部分核実験禁止条約あるいは宇宙天体の条約、その後核拡散防止条約、そして今度のこの海底軍事利用禁止条約というふうに、一連の核禁止の条約が次々とつくられてきたのでありますが、しかしこれは一方裏面から見ますと、あくまでも米ソの勢力の均衡がその底流となっておるのでありまして、こういうような環境の中では、人類が願望しておる核兵器の根絶ということはまことにほど遠いものである、そして核を持っていない国は、依然として核保有国の核抑制のかさの下に入らなければならぬ、こういうような状態になっておるのであります。このような状況の中で、軍縮というものに対し、政府はどのような役割りを果たしていかなければならぬか、これは私は基本的な問題であると思うのであります。まずその点を政府から伺っておきたい、こう思うのであります。
○竹内(黎)政府委員 お答え申し上げます。 いわゆる軍縮問題についての政府の基本的態度についてお尋ねがあったわけでございますが、私どもとしては全面軍縮、特に核兵器の根絶が全人類の共通の悲願であるという認識に立ちながらも、なおかつ実際に可能な軍縮措置をいわばじみちに積み上げていく、こういう方法が、実は今日の段階において可能な方法であろう、こういうぐあいな立場をとっております。そのような立場から、軍縮委員会あるいは国連総会、そのような各種の国際会議の場を通じまして、実際に可能な軍縮措置について世界各国、もちろん米ソを含めるわけでございますが、そういう世界各国の合意を得て一つ一つのそういう実現をはかっていくという、こういう態度をとっております。
○堂森委員 いま政務次官から御答弁がありましたが、一般論的にいえばやはりそういう答弁になると思うのでありますが、もっと具体的に質問をしてみたいと思うのであります。 これからの軍縮委員会で、特に核大保有国であるところの米ソに対して、具体的にわが日本政府の代表すなわち政府は、この米ソ二大国に対してどういう方法で、どういう態度で臨んでいかねばならないか。どういう態度で臨んでいくのか、こういうことについてもっと具体的に私は御答弁を願いたい、こう思うのであります。
○西堀政府委員 基本方針につきましては、ただいま政務次官からお答え申し上げたとおりでございますが、特に核軍縮という点につきましては、わが国は最重点を置いているわけでございます。したがいまして、事の性質上、本問題になりますというと、米ソに対するところの要請というものが一番重要にならざるを得ないわけでございまして、わが国といたしましては、軍縮問題のうちで、核軍縮、これを前面に出しまして、あらゆる機会に、ジュネーブにおきます軍縮委員会はもとよりのこと、国連総会におきましてもあらゆる機会にこの核軍縮という点を標榜いたしておるわけでございます。もう少し具体的に申し上げますならば、まず核実験禁止問題、これにつきましては、先生御承知のとおり、一九六三年部分核停条約ができたわけでございますけれども、これは地下を除くあらゆる環境における実験というものを禁止いたしたのでございます。しかしながら地下、これだけは禁止の対象外になっております。したがいまして、わが国は残されたこの地下における実験に関しましても禁止の実現をはかるように全力を傾けているわけでございまして、その点におきまして、わが国は幸か不幸か地震が多うございますので、地震学的な知識、経験というものは豊富でございます。この知識、経験を十分に活用いたしまして、この問題に今後とも貢献いたしていきたいといま考えておる次第でございます。現にこの地下核実験問題につきまして、つい最近、ジュネーブの軍縮委員会が終わりましたけれども、この検証問題というものが、結局この地震学的知識、経験というものが生かされるわけでございますけれども、この検証問題につきましても、非公式の会合を日本が提唱しておりまして、これは開かれることになっております。これは日本が提唱いたしたものでございます。そのほか、具体的に申し上げますならば、兵器用の核分裂性物質の生産停止問題、これも日本が主張いたしておるわけでございまして、日本は、さらにその生産停止より一歩進めまして、これを平和目的に転用するという、こういうことも主張いたしておるような次第でございます。
○堂森委員 いろいろいま局長から答弁がありましたが、わが国の政府がそういう態度で軍縮委員会等に臨んでまいることは当然でありますが、しかしそういう主張はしておるが、実際においてはその効果はどうなっているかということになると、私は別問題のように思うのでございます。そこで、いま御答弁がありましたが、ジュネーブにおける本条約の審議等に際しまして、現在は休会になっておると思いますが、ジュネーブにおける軍縮委員会の経過、それから今日休会ではありますが、休会になるまでの状況、それから休会明けにどうなるかというようなことについても、私は新聞等を通じて知る以外には何も詳しくは知らないのでありますが、たとえば外電を見ておりますと、ジュネーブの軍縮委員会には二つの柱があると思うのであります。それは一つはCB兵器禁止の問題、それから一つは部分核停条約のらち外にあるところの地下核実験禁止、私はこの二つが今日における軍縮委員会における二大柱として大いに論議が戦わされておる、こういうふうに聞いておるのであります。ところがこのBC兵器の禁止問題等につきまして、当初はソ連をかしらとした東側の意見は一切のBC兵器の禁止、こういう態度で臨んでおった。これに対して西側はとりあえずB兵器だけの禁止でいこう、C兵器はこれは除外しよう、こういう態度で大いに戦っておった、こういうふうな経過であったと思うのでありますが、この東西両陣営のその後の情勢はもちろん変わりましたけれども、日本政府の態度はどういう方針で一貫してやってきたのかあるいはどうかということを、まず御答弁を願いたい、こう思うのであります。
○西堀政府委員 わが国といたしましてはBC兵器の禁止問題につきましては、先生よく御承知のとおり当初以来——われわれ一昨年このジュネーブの軍縮委員会に参加いたしたわけでございますけれども、それ以来BC兵器、これを一括審議いたしまして、できることならば両方とも一括禁止するという態度をとってきた次第でございます。しかしながらいま先生がおっしゃいましたように、これまで生物兵器から先に禁止しようとする西側グループ、それから化学兵器、生物兵器双方を同時に禁止しようとする東側グループの対立が、結局この審議をはばんでおったわけでございますけれども、御承知のとおりソ連側が突然態度を変更いたしまして、去る三月三十日でございますけれども、生物兵器及び毒素兵器すなわちB兵器であります、B兵器の禁止に限定した西側のラインに近い条約案を軍縮委員会に提出いたしたのでございます。このようなソ連の譲歩によりまして米ソを含む東西諸国の意見が基本線において一致したということになるわけでございますので、軍縮委員会における本件に関する審議はいわばいままでの膠着状態を脱しまして大幅な進展が見られるのではないかと思うのであります。しかしながら冒頭に申し上げましたとおりわが国といたしましてはあくまでBC兵器の一括審議という立場をとっておりますので、この膠着状態は脱しますもののわが国としてどういうふうに対処すべきか、われわれ鋭意検討いたしておるわけでございますけれども、要するに現在の西側と東側との一致を見たこういうアプローチ、これは実現可能なものから一歩一歩進めていくといった現実的なことを、冒頭に政務次官から申し上げましたとおり、軍縮に対するところの基本方針といたしておりますわが国といたしまして、現在B兵器のみの禁止というものも非常に現実的なアプローチとして一応われわれとしては評価いたしておる次第でございます。しかしながらあくまで化学、生物兵器の双方が終局的には禁止されるべきであるという最終目標をわれわれといたしましては標榜いたしておる経緯もございますので、今後化学兵器の禁止に関しましても並行してその審議を継続すべきであると存じます。従来の立場はこれは堅持いたしていきたいと考えております。
○堂森委員 私局長にお尋ねしたいのでありますが、ソ連が、東側が、従来一括禁止を主張する態度を固持しておった。突如三月幾日でしたか西側の態度に同調するような態度に豹変してきた、そういう理由はどういうところにあると政府は判断しておられるか、この点伺っておきたいと思います。
○西堀政府委員 これはまことにわれわれ推測の域を脱しないわけでございます。と申しますのは、ソ連側がそのほんとうの動機をわれわれに明かしておらないわけでございますので、推測の範囲を出でないわけでございますが、われわれ推測いたしますのに、BC兵器の一括禁止ということになりますと、結局はその違反していることの検証問題、これが非常に重要な問題でございます。ところが化学兵器のほうにおきましては、特にこの検証問題というのが非常に困難な問題でございます。と申しますのは、化学製品には平和利用の製品がたくさんございますが、それが非常に簡単に兵器にできるというようなことがございまして、この検証問題は化学兵器について非常に困難だ。したがいまして、わが国といたしましても、この点についてのいろいろな提案をいたしているわけでございます。これを推し進めていきますと、どうしてもソ連として最もいやな現地査察とか、そういった面までいかなければならないというような見通しを、おそらくソ連としてはしたのではないか。と申しますことは、BC両方を禁止するんだということになりますと、ソ連が最も忌みきらうところの現地査察ということにつながっていかざるを得ない、こういった考慮が一方にあったのではないかと思うわけであります。それともう一つ、これもまことに推測でございますけれども、軍縮委員会はなるほど着々と業績をあげておりますものの、われわれが希望しているほどまでには実は進展を示していない。そうしますと、たとえば地下核実験の問題にいたしましても、まだ十分な進歩、発展をしていないということになりますと、ここらでひとつできるもの、たとえば生物兵器でございます。この生物兵器のほうでひとつ条約をつくることによって、軍縮委員会に対するところのプレッシャーといいますか、それを少し転換したい、こういった非常にずるいといえばずるい政治的な動機があったのではないかと推察するわけでございます。こういった一つないし二つの動機がソ連をして突如としてBC兵器のうちのBのみを禁止するという西側のアプローチに転換してきたのではないかとわれわれとしては推測いたしておりますけれども、あくまでもこれは推測の域を脱しないものでございます。
○堂森委員 私は、いまの局長の御答弁にはそういう意味もあるかもしれないが、やはりほかにも国際的な複雑な事情があるのじゃないか、こういうふうに推察をしておるのです。といいますことは、これは私の推察ですが、やはり中ソの関係等も何かそこにあるのじゃないだろうかという気もするのであります。これは政府にそういう答弁を求めても私は無理だと思います。そこでソ連の一括BC兵器禁止論というものは、最初から非同盟諸国、たとえばユーゴであるとか、あるいはメキシコあるいはスウェーデンとか、そういうような国々が強くバックアップして、かなりな勢力で軍縮委員会における一括禁止論というものが西側のB兵器のみの禁止論と強く対抗しておった。したがって、今度ソ連のそういう豹変した態度によって、非同盟諸国が非常に憤慨をして、この軍縮委員会というものに対する不信状態といいますか、そういうものが起きておるんだというふうに私は考えているのですが、そういう状況ではないのですか。現在どう考えておられますか。
○西堀政府委員 先生のおっしゃいましたように、非同盟諸国は、わが日本が主張いたしておりましたところのこのBC兵器一括禁止、一括審議といった立場をとっておったのは事実であります。したがいまして、三月三十日に突如ソ連のほうがいままでの主張を取り下げて、とりあえずとにかく実現可能なB兵器の禁止という点に踏み切ったことにつきましては、日本は実は事前に通報を受けておったから、それほど驚かなかったわけでございますけれども、非同盟諸国の代表連は一様に非常にびっくりいたしまして、確かにショックを受けたわけでございます。しかし、やはり軍縮措置というものは、あくまで実現可能な点から一歩一歩進めるべきではなかろうかという考え方に、彼らも最初のショックからさめて、いまのところはそういった方向に向かっていくのではないかとわれわれも推測いたしております。
○堂森委員 これも新聞報道で私読んでおったのでありますが、軍縮委員会の休会明けの七月上旬には、何か日本代表のイニシアチブによって、BC兵器の禁止に関する問題について、専門家をも加えた会議を開くところまでこぎつけておる、こういうふうにも聞いておるのでありますが、これはどうなのですか、そういうことはあるのでございますか。
○西堀政府委員 先ほど非公式会議というものを日本が主張し、それが進んでいると申しましたのは、実は地下核実験に対する検証問題でございますけれども、同時に七月七日にこのBC兵器、特にC兵器でございますけれども、それについての非公式な会合というものを開くことを日本が提唱いたしまして、しかもそれが受諾されておるというのが真相でございます。
○堂森委員 地下核実験の禁止問題についても、日本はイニシアチブをとってやっているのですか。そうじゃないでしょう。それはカナダだというふうにある新聞は書いてます。
○西堀政府委員 日本のみと申し上げましたのは私の言い過ぎでございまして、カナダと日本と両方が協力してイニシアチブをとっておるのでございます。
○堂森委員 BC兵器禁止問題に関する軍縮委員会の審議の経過等について、二、三お尋ねをしたわけでございますが、そうすると、C兵器が除外されたことはきわめて残念なことでございますが、B兵器の禁止の国際的合意といいますか、そういうものが今年中にそうしたところに発展していくのですか、どういう見通しでございますか、お尋ねしておきたい。
○西堀政府委員 先ほど申し上げましたように、地下核実験禁止のほうもわれわれとしては推進いたしたいのでございますけれども、どうもジュネーブにおきますところの軍縮委員会全般の気持ちは、少なくとも本年度はこのBC兵器、ということは、いまの状況でB兵器にならざるを得ないわけでございますけれども、このB兵器については何とか条約を成立せしめたいというのが一般的な考え方のようでございますので、この夏の会期にはこれが成文を得まして、昨年と同じように国連総会に報告され、おそらくそこで採択されるということが一般的に考えられておるようでございますし、わが日本といたしましても、先ほどのC兵器の問題はございますけれども、そういった一歩一歩前進という意味におきまして、そのようになることを希望いたしておる次第でございます。
○堂森委員 そうしますと、核の地下実験禁止の問題については、当分これは困難であろう、こういう見通しでございますか、もう一ぺん御答弁願いたいと思います。
○西堀政府委員 将来を予測することは非常に困難でございますが、われわれの希望といたしましては、地下核実験の禁止のほうも大いに推進をいたしたいという希望にはかわりはないわけでございます。ただ、見通しといたしましては、本年度はおそらくこのBC兵器に努力が集中されることに相なろうかと存じます。
○堂森委員 今日の核兵器の使用、もちろんできれば製造禁止、こういうところにいくのが当然人類の悲願であるべきであります。そうであると思うのでありますが、ところがこうした一連の、先刻申し上げましたように、南極条約以来一連の核禁止の条約が次々と生まれてまいりました。このただいま議題となっております核兵器及び云々のこの条約でありますが、この前文を見ておりますと、まことにうまく書いてあります。核軍備競争の防止ができ、国際緊張の緩和が生まれ、そして諸国間の友好関係を強化していくことを考えて、そして「この条約が海底を軍備競争の圏外におくことへの一歩となることを確信し」そしてこの条約をつくるようになった、こう書いておるのでありますが、ほんとうに——外務大臣にお尋ねするのですが、この前文に書いておるように、このまま信じていいような条約であると政府はほんとうに考えておられるのでしょうか。それは、大臣おそらくそれはほんとうに考えておるとおっしゃるでありましょうけれども、われわれはそう一〇〇%そういう条約であると考えることができるかどうか私は疑問に思うのでありますが、外務大臣に御答弁を願っておきたいと思うのであります。
○愛知国務大臣 やはり条約の書き方としては前文と申しますか、そこに意図の表明があるわけですが、「考慮し」「確信し」ということは——そういうことばを使うことがいいかどうかわかりませんが、ほんとうに大まじめに、こういう考え方で第一条以下の約定をした、こういうふうに読むのが妥当であると思います。 なおまた、日本政府といたしましては、先ほど来御質疑もございますが、とにかく地下核実験の全面禁止というようなことについても、しゃにむに努力を続けていきたい、これが日本政府の態度でなければならない。見通しは、見通しとしてはあり得ると思いますけれども、努力はしゃにむに続けてまいりたいと思っております。
○堂森委員 それは、大臣としてはそう御答弁になると思うのでありますが、いま議題となっておるこの条約というものを見ますると、そういう意味というものを私は全然無視するものではありませんが、前文に書いておるようなことを、そのまま一〇〇%信じていくというわけにはいかぬのがほんとうじゃないか、こう私は思うのであります。特にこの条約はある意味では核の保有国の状態、現状というものをそのままに固定するような条約になってしまっておる。そして、一方、海底及びその地下の核兵器の実験とかあるいは使用等を禁止する、こううたっておりますが、一方では今度はポラリス型潜水艦の航行は自由である、そしてまたそれに対するASWですか、潜水艦防御武器の使用はしかもこれは手放しである、こういうことになっておると、われわれはそういう状態に対してまことに強い大きな不安と不満というものを持たざるを得ない。一応海底及びその地下における核兵器の実験あるいは使用を禁止されているとしても、ポラリス潜水艦の航行は自由であるじゃないかというので、核を持っていない非核保有国の中小国というものは、大きな不満を持つことは当然である。そういうことでは、ほんとうの海底の軍縮というものの精神からはほど遠いものであるということがいえる、こう思うのでありますが、そういうことは私が申さなくてもこれは政府だってわかっているのでありますが、そういうような問題について、この軍縮委員会においてわが日本政府の代表は、具体的にどういうような行動をとって、そうした原子力潜水艦あるいはそれに対する兵器等に対する禁止等については、どういう態度でどういう努力をしてこられたのか、具体的に少し承っておきたい、こう思うのであります。
○西堀政府委員 先生のおっしゃいますとおり、わが国といたしましては、全面軍縮、特に核兵器につきましては全面核軍縮ということがもう究極の目的でございます。これは申し上げるまでもないことでございます。そこで、たとえばこの条約を見ますと、確かに、これは軍縮といいますよりは軍備競争の防止のための条約であるという意味におきまして不完全なものでございます。しかしながら、現在のこの軍縮委員会の進捗状況それから現在の各核保有国の考え方といったようなものから、現在われわれが実現し得るところの核兵器の使用なり実験なりの禁止条約といったものは、やはり冒頭に政務次官が申されましたように、一歩一歩実現可能なものからやっていく。これは不満足ではあっても、それがやはりじみちなわれわれの努力の積み上げであろう、こう考える次第でございます。われわれは全面軍縮という理想を常に頭に描いておるわけでございまして、ただ現実の条約交渉におきましては、そこまで何と申しましてもこれは実現できない。したがいまして、不完全ではございますけれども、こういった条約に対しては一歩前進という意味で賛成をいたしておるわけでございます。確かにこれは軍備競争の防止ではございますけれども、これを放置いたしておきますと、やはり海底におきますところの軍備競争というものが非常に激しくなるだろう、本格化するだろうとわれわれとしては危惧いたしておるわけでございまして、この条約を結ぶことによってこのような海底におけるところの軍備競争というものが本格化するのは防ぐことができると、われわれとしてはやはり積極的な意義を見出したいと思うのでございます。
○堂森委員 政府としてはそういう御答弁になるでありましょうが、今後のわれわれの人類の悲願である核の禁止という方向にあくまでも努力を続けていかねばならぬことは当然であると思うのであります。 そこで私は、この条約に関連した具体的な問題数点を質問したい、こう思うのであります。 部分核停条約というのは、申すまでもなく大気圏外並びに水中での核実験の禁止をする、こういうことを約束した条約であることは当然でありますが、ただ例外として地下の核実験は禁止しない、こういうことになっておると思うのであります。この条約では海底及びその地下だと思うのです。このサブソイルの中では核実験をするような施設を設置しない、こう規定しておる、こう思うのでありますが、地下での核実験も禁止しておる、こういう意味にとっていいのでございましょうね。
○西堀政府委員 距岸十二海里以遠の公海の部分におきましては、その海底、すなわち、問題になっておりますけれども、地下を含むところの海底におけるそういった実験その他のものは、実際問題として禁止されるということになっているわけでございます。申し上げます意味は、実験それ自体あるいは使用それ自体は禁止の対象というような規定の方法になっておりませんけれども、この第一条の一項をお読みいただきますとおわかりになりますとおり、核兵器を「貯蔵し、実験し又は使用することを特に目的とした構築物、発射設備その他の施設を」これこれの「海底に据え付けず又は置かないことを約束する」ということでございますので、実際問題といたしまして、そういった構築物、発射設備等を設けることなく実験は不可能でございますので、現実問題としてそういった地下実験も禁止されるということになっている次第でございまして、その意味におきまして、部分核停条約を、海底に関する限りは一歩進めたものであると御了解願ってよろしゅうございます。
○堂森委員 私、この点はたいへん重要な問題だと思うのです。部分核停条約は地下の実験禁止というものを除外しておった。今度の条約では、海底の地下ではあるが十二海里以遠の海中、地球をおおっておるこの海のどこにおいても、その地下においては核の実験ができないのだ、こういうことになったことは、いまも局長が答弁になったように、部分核停条約を、その意義を拡大していったものである、そういう意味で、私は、今後地下実験禁止条約をつくっていく上においても積極的な一つの基盤、基礎というもの、足場というものを国際的につくったということは、これは一つの大きな積極的な意味でないかと思うのでありますので、この点を政府はひとつ足場として今後の核停条約の地下実験禁止のために大いに努力していってもらいたい、こう思うのであります。 そこで、第一条のこの禁止条項の中に、たとえばこれも十二海里以遠の海底にポラリス型潜水艦——可能かどうかわかりませんが、可能である場合に、そのポラリス型潜水艦の寄港基地というようなものが——私は何かの本で、海底に潜水艦の寄港基地をつくるということは必ずしも不可能ではないのだ、こういうようなことを読んだことがありますが、それは可能か不可能かよくわかりませんが、かりに可能としましたときに、この寄港基地というようなものは禁止になるのでしょうか、あるいはつくっていいのでしょうか。どうお考えでございましょう。
○西堀政府委員 この条約におきましては、潜水艦自体というものは禁止の対象になっていないわけでございます。したがいまして、一般の潜水艦でございましたならば、その海底基地をつくることも、これは本条約の禁止の対象外でございます。ただ、先生御指摘のポラリス型潜水艦の場合には、これは核兵器を搭載しているということが常道でございますので、その場合には、理論的には、ポラリス潜水艦の海底基地というものがかりに将来できるといたしまして、それが距岸十二海里以遠の公海の下におきましてはこの条約の禁止の対象外であろうかと存じますけれども、私、軍事専門家から伺いましたところでは、ポラリス潜水艦というものはそもそも遊よくしているものであって、いわば隠密行動が主なものでございますので、ポラリス潜水艦の海底基地というようなものは、軍事的には専門家の話では考えられない。ただ、しかし、先生御質問の、それじゃ禁止の対象外じゃないかという御質問に対しては、理論的には、一応ポラリスの場合はそういうものがあるとしたら、これは対象になっているのだ、一般の潜水艦とは違うのだと申し上げざるを得ないわけでございます。
○堂森委員 これは可能か不可能かわからぬことを基礎にした議論でありますから、あれでありますが、私はこれは必ずしも不可能かどうかということはやはり問題あると思うのであります。これもやはり私は一つの問題点になるのではないか、こう思うのであります。 それから第二条に関連いたしましてお尋ねをしておきたいのでありますが、海底区域の限界について第二条は規定しておりますね。そこで、二国の海岸が向かい合っておるか、または隣接しているときはどのように限界が定められるか。たとえば具体的に申しますと、去年も私北方領土のことで北海道へ行きましたが、歯舞、色丹あるいは国後、択捉、こういうような地域を、日本側のたとえば知床半島ですか、あるいは納紗布岬とか、あの辺の海岸からどういうふうなやり方をやるか。あるいは、国後、択捉あるいは歯舞、色丹は、われわれは、固有の領土である、そうして潜在的な領土権を持っておるのだ、こう主張しておる。一体この地域に対する海底区域の範囲はどういうふうにしてきめるのでしょうか。具体的に歯舞、色丹の地域について御答弁願いたい、こう思います。
○西堀政府委員 御質問は二つあろうかと存じますが、まず、隣接した二国間においていまの距岸十二海里はどういうようにはかるのかという点と、もう一点は具体的な問題として知床半島あるいは歯舞、色丹といったところはどういうようになるのかという御質疑かと思います。 まず第一点につきましては、この条約の第二条で引用しておりますところの一九五八年四月二十九日にジュネーブで署名された領海及び接続水域に関する条約第二部に規定がございまして、その規定は、二国の海岸が向かい会っているかまたは隣接しているときは、いずれの国も、両国間に別段の合意がない限り、いずれの点をとっても両国の領海の幅を測定するための基線上の最も近い点からひとしい距離にある中間線を越えてその接続水域を拡張することができない。非常にややこしい規定でございますけれども、簡単に申し上げますならば、たとえば合わせて二十四海里以下のこういった二国が隣接している場合には、あらゆる、どういう点から見ても——要するにそのまん中をとるということでございます。したがいまして、このような場合には原則として、いま申しました、いずれの点をとっても両国の領海の幅を測定するための基線上の最も近い点からひとしい距離にある中間線というものが海底区域の限界となるのでございます。 それから第二の御質問の知床半島ないしは歯舞、色丹の問題でございますけれども、これはわれわれの主張は主張といたしまして、現状におきましてはわが国の領海と考えますところの知床半島距岸三海里、それから九海里というものを考えざるを得ないのが現状でございます。
○堂森委員 ただしソ連側は、歯舞、色丹は向こうの領土だといまいっているわけでしょう。向こうはまた十二海里、こちらもまた十二海里、しかもわが国は主権がある、こういっておるのでしょう。どうなんですか。もう一ぺんもう少し……。
○西堀政府委員 ですから、現実の問題といたしましては、いま申し上げましたように三海里、それから九海里でございますが、歯舞、色丹のほうからも同じでございます。その場合には最初に申しました一般論が適用いたされまして、その中間線をとるというのが現実でございます。
○堂森委員 そこで第三条について一、二伺っておきたいのですが、この第三条は検証と査察ということを規定しておる条でありますが、一条に違反したような事実が検証、査察の結果判明した。それを発見した国が——たとえばわが国が十二海里以遠の地域、十二海里以内も聞きたいのですが、以遠のところでそうした事実を発見した場合、検証及び査察ということが書いてありますけれども、その結果どうなるのかということが条約に書いてないわけですね。たとえばわが国がそういうものを発見した場合、それを撤去処分というものがかってにできるのか。あるいは自分の領海、十二海里以内にそういうものを見つけた場合。あるいは日本の場合三海里が領海ですから、三海里から十二海里のところに見つけた場合にはどうなるのか、三海里以内に見つけた場合には撤去とかあるいはそれを処分とか、かってにできるのか、この点承っておきたいと思います。
○西堀政府委員 まず、あとの質問から先にお答え申し上げますと、日本の場合三海里までが領海でございます。三海里から、九海里足しましたところの十二海里、そこまではこの条約の禁止対象外でございますけれども、その三海里以遠、すなわち九海里の部分でございます。これにつきましては、当該沿岸国、と申しますと、日本の場合そういうことはあり得ませんけれども、理論上の問題として、日本は置こうと思えば置けるわけでございます。しかし、当該沿岸国ということでございますので、日本以外の国が日本の距岸三海里から九海里の間は、これは置けないわけでございます。それはよその沿岸国にとりましては、いわば距岸十二海里以遠の公海部分と同じということになります。それが最後の御質問の点でございます。 それから最初の御質問の、それじゃほんとうに公海の部分もしくはいまの九海里の部分に、ある国がそういった核兵器なり大量殺戮兵器というものを置いたらしいという場合には、その第三条に逐一、項を追って規定しておりますとおり、まず観察によって検証いたしますし、それからそれによってまだ疑惑が残ったという場合には協議を申し出る、しかもその協議に従ってその後の検証手段その他協力しなければならないというようなことが書いてございます。それでなおかつその疑念が残るといった場合には、国連憲章の規定に従って安保理に付託する、そういうことになります。 それでは先生御質問の、そういった場合にみずから出かけていってそれを撤去することができるのか。それは現在公海自由の原則ということもございますので、それの妥協の産物として第三条の観察以下安保理への付託というまでの条項ができているわけでございまして、日本がその場合に出かけていってこれを撤去する、これは許されないことでございまして、これはあくまで最後の手段でありますところの安保理への付託ということ、これがいわばこの条約のもとでできることでございます。
○堂森委員 それではさっきの領海内、十二海里以内ですね。そこにそういうものがあったという場合も撤去はできないのですか。
○西堀政府委員 領海を越える、すなわち日本の場合で申しますならば、三海里から九海里の間が日本に関します限りはいわば公海でございますので、これはいま申し上げましたように公海上のものと全然何ら変わらないことでございます。その差はございません。
○堂森委員 三海里以内はどうですか。
○西堀政府委員 三海里以内、これはすなわち領海でございますので、わが国の主権が厳として存在するわけでございますから、いかようなことも日本としてはできるのでございます。また逆に申しますならば、相手国は絶対にできないということでございます。
○堂森委員 そうしますと、そこに矛盾が出てきませんでしょうか。たとえばペルーの二百海里ですか、これは別にしまして、十二海里領海説の国と、わが国のように三海里説をとる国とありますね。そうするとそこに大きな矛盾がないでしょうか。それはどうなんでございましょう。
○西堀政府委員 この条約は要するに一種の妥協の産物でございますけれども、距岸十二海里以遠の公海の部分を禁止したわけでございます。したがいまして、ペルーのように二百海里を主張している国の場合、それから日本のように三海里ということを主張している国の場合、いずれも距岸十二海里以遠には置けないという意味においては平等でございます。 さて、それじゃその領海三海里から十二海里の間、これは日本の場合には、先ほど申し上げましたように当該沿岸国で、これは置こうと思えば置けるわけでございます。それは、ペルーの場合も十二海里までは同じでございます。ですから、その点は平等ではないか。ただ、当該沿岸国ということになっておりますので、設例は悪うございますけれども、かりにたとえばアメリカが日本の距岸三海里から十二海里までの間にこの核兵器を置きたいといいましても、これはできないわけでございます。と申しますのは、アメリカは当該沿岸国でございませんので。ただ、領海三海里、これは日本の主権が厳然と存在するわけでございますから、これは全く理論上の問題で、あり得ないことでございますけれども、かりにアメリカが核兵器を日本の領海に置きたいということを言ってきた場合には、この条約のもとでは、それに日本は同意することができるわけでございます。 逆に今度はペルー、これは領海二百海里を主張しているわけでございます。したがいまして、アメリカがペルーに対して、その領海、ということはペルーとしては二百海里を主張しておるわけでございますので、三海里のところはもちろんでございますけれども、ペルーは二百海里でございますから、かりにペルーの距岸六海里のところに核兵器を置きたいとアメリカが言ってきたときに、ペルーは領海の上に主権を有しているわけでございますから、ペルーとしてはアメリカが置くことに同意することができるわけでございます。 その意味におきまして、領海三海里をとる国と領海十二海里ないしは二百海里——十二海里以遠のことは、この点については関係ございませんけれども、その間に核兵器国が置きたいということに対して同意できる範囲については、確かに差は存するわけでございます。しかし、日本の場合につきましては、どのみちこういったことは非核三原則もございますので、何ら問題になるところではございませんけれども、理論上の問題といたしましては、領海を十二海里と主張する国と、それから領海を三海里にとどめている国との間におきましては、三海里から十二海里までの間、この部分についてある第三国が置こうとする、それに同意できるか同意できないかという点の差はございます。それをしも不平等というように表現するといたしますならば、その点は確かに不平等でございます。
○堂森委員 ことばをかえて言いますと、領海内は国の主権が厳然としてあるわけでしょう。日本の場合は、三海里以外には領海としての主権がない。十二海里のところは十二海里まである。いろいろな矛盾が出てくると思うのです。そういうことで、日本政府は従来三海里説をとってきておるわけでありますが、だいぶ前の何の条約でありましたか、戸叶先生が外務大臣に質問されまして、わが日本も十二海里説というものに領海というものの考え方を変えていってもいいんだ、もう積極的に変えてもいいんだ、変えるべき時期が来ておるのではないか、こういう答弁があったと思うのでありますが、私はこういう今度の条約に関しても、なぜ政府は三海里というものを領海についていつまでも固執しておるのか、その理由がわからぬのでありますが、この点の御答弁を願っておきたいと思います。
○山崎政府委員 大臣もたびたび答弁しておられますように、わが国といたしましては現在三海里が国際法上確立した原則であると確信いたしておりますが、ほかの国、かなり多くの国が十二海里を主張していることも事実でございます。しかしながら、これは各国が一方的に領海拡張宣言をやっていきますと、世界の領海はとめどもなく広がりますし、ことに極端な場合二百海里というふうな主張も見られるわけでございますので、日本としては一方的な領海拡張という措置はとらない、そういうことを言っておられるわけでございます。ただ、現在においてもこの問題についてはいろいろ各国の間で意見が交換されておりまして、一九七三年には、この領海の問題を含めまして海洋法に関する国際会議が開催されることになっております。その際にわれわれとしてはこの領海の範囲の確定が行なわれることを強く希望しております。そしてその際には、十二海里ということが大多数の支持を得て国際的に確定するならば、わが国としてはこれに従う用意があるということを大臣もたびたび言明されておる次第でございます。ただ先ほどから申し上げますように、それ以前において日本が一方的にそういう領海を拡張するということは、これは他国のいろんな措置を誘発する危険もございますし、わが国としてはとらないところであるというわけでございます。
○堂森委員 これで終わります。
○田中委員長 曽祢君。
○曽祢委員 去る五月十二日の本委員会におきまして、私は、本条約において締約国が禁止される内容というものが、核兵器及びその他の大量破壊兵器を距岸十二海里以内に置かない、並びにそれらの兵器を貯蔵し、実験しまたは使用することを目的とした構築物、発射設備その他の施設を同様に据えつけたり、置いたりしない、この約束の適用される範囲が解釈上、法文によりますと、原文である英語、フランス語、スペイン語、中国語等に比べてややあいまいではないか。つまり海底というものが、この条約の重要な項においてははっきり海底及びその地下に及ぶように、英語でいえば「サブソイル」ということばになっておるわけでありますけれども、それは確かに全部がそうなっていない。ただ「海底」とだけなっているところもある。重要な点は、確かにわれわれの観念からいうと、海底の地下にも及ぶんだというふうに読み取れるのであるけれども、そういうふうに正文ではなっているのだけれども、その点に関する訳文が必ずしも正確でないようであるし、この点についてはどういうわけなのか、またこの解釈は何が正しいかということを御質問申し上げたわけであります。その点についての私の疑問、不満等については、いずれあとで委員会全体の意思として委員長から御発言を願うことになっておりますから私は申し上げませんが、そこでそういったような質問の経緯から、私はこの際外務大臣に、この条約の日本語の訳文がいかにあれ、この条約の重要な一番ポイントは、通常われわれが考えている海底及びその地下を含むのである、こういうように解釈するのが正しいと思うのでありますが、その点についての大臣の明確な御答弁をお願いしたいと思います。
○愛知国務大臣 本委員会におきまして、海底軍縮条約の日本文のテキストで、サブソイルを含めて「海底」とのみ訳出しておりますことについて再々御質問がございましたので、政府の見解をあらためて申し述べたいと存じます。 この条約の訳出にあたりましては、原文に不統一があること、並びに原語の「サブソイル」に適当な訳語が見当たらないこと等の事情から、「海底」ということばを使用した次第でございますが、この条約において用いました「海底」という語は、海底の表面のみならず、その下の土壌、岩石などの部分を含むものと解釈している次第でございます。
○田中委員長 大久保直彦君。
○大久保(直)委員 ただいまの「海底」の解釈につきまして、私も質問をいたしたいと思いますが、現在まで外務省が公表しておる文書で、領海及び接続水域に関する条約、この第二条では、沿岸国の主権は領海上の空間並びに海底及びその地下に及ぶ、このように明確にうたわれております。また大陸だな条約、これは仮の条約だという説もございますが、その第一条及び第二条にも「海床及び地下」、このように訳がなされております。ですから、二年ほど前にこの前の領海条約は国会を通っているわけでございますが、このときに提出した正文がなぜ短い期間で改められたのか疑問を持つわけでございますが、そのほかにも一九六九年七月にジュネーブの軍縮委員会で朝海代表は、海底、海床及びその地下と発言をされております。また同年十月十四日中山代表も同じような表現を使っておられる。またさらに国連局で四十五年の十月に出しました海底軍事利用禁止問題のブロックの中には、海底、海床及び地下と全訳されております。また、一九六九年五月に軍縮委員会に提出されました米国の案第一条にも、その解釈は海底及び海床の上、中もしくは下となっております。いまも曽祢委員から御発言がございましたが、この条約の正文である英語、ロシア語、フランス語、スペイン語それから中国語でも、この三点は明確にされておるということで、なぜこういういままでの一連の経過からかんがみまして、本条約に限って海底ということばで統一をされたのか、この問題についてはただいま大臣の御答弁がございましたので、そのとおりでよろしいかと思いますが、私、過日本委員会でこの問題を質疑いたしておりましたときに、この解釈は今後外務省と法制局がいろいろ協議をしました結果、今後統一して海底ということばを使っていくのだ、このような御答弁でございましたが、これはただいまの大臣の御答弁からしまして、必ずしも統一見解ではない、このように解釈をいたしたいと思いますが、あわせて御答弁願いたいと思います。
○愛知国務大臣 将来、海底の表面とその下の土壌、岩石の部分とを区別して訳出する必要も生ずると思いますので、今後は国内法令の用語との関連も考慮いたしまして、適当な訳語を見出すように努力いたしたいと存じます。
○大久保(直)委員 海底問題は以上で終わりたいと思いますが、過日のこの本条約の質疑応答の中で、沖繩返還を来年に控えまして、沖繩の琉球列島、その海底の核兵器の存在有無を確認をされているそうでございますけれども、その点についてはいかがなんでしょうか。
○愛知国務大臣 沖繩が本土に復帰いたしますればもちろん核抜きということになる。そして現在のところは領海三海里説をとっておりまして、領海については先ほど答弁がございましたとおりに考えております。今後におきましては十二海里ということを考えておりますが、これは国際的な合意ができ上がってその効力を発生するわけですから、現在のところは現在の考え方としての領海内においては核が取り除かれる、かりにもしあるとすればきれいな姿、核抜きで返還をするということに相なるわけでございまして、それについての国民的な御安心をいただけるような適切な処置をいたしますと、重ねて各委員会で申し上げておりますことはその意味の領海にも通用することである、かように御理解いただいてけっこうでございます。
○大久保(直)委員 前回の質疑の経過を若干御説明いたしたいと思います。 本条約が一九六七年にマルタのパルド代表によって発言されてから五年を経過しているわけでございますが、本条約が調印に至りますまでの経過を過日お伺いいたしました。その中で、米ソ両国が本条約に非常に関心を持っておのおの独自案を提出しましたり、また協議の結果共同案を提出したというようなことが非常に注目を引いたわけでございます。ということは、将来の軍縮という全体的な趨勢という面と、核兵器及び大量破壊兵器の海底利用という問題が今日的な問題になっているというところからかなりこの条約に対する質疑の白熱があったのではないかということで、この二面が考えられるわけでございますが、そういう観点からしまして、それでは外務省はこの核兵器及び大量破壊兵器の海底利用の実態というのは現実どの程度把握しておられるのかという御質問をいたしましたところ、これは全く不明確である、わからない、このような御答弁でございました。ということは逆に裏を返しますと、現在、米施政権下にございます沖繩の海域の海底にもないということはいえないのではないかという論が立つわけでございますが、そうした観点から私は、いままで核抜き本土並みということは沖繩のいわゆるアイランドの土の上だけに問題をしぼって私たちは論議をしてきたが、しかしこういう条約を承認するにあたりまして海底にもそのわれわれの関心を拡大していかなければならないということから、それでは政府は海底に対してどのような考えを持っておられるかということについて西堀国連局長から御答弁をいただいたわけなんです。その御答弁の速記をここに持ってまいりましたのですが、「わが国においては非核三原則を政策として打ち出しているので、したがって、沖繩の返還についても核抜き本土並みということがいわれているわけでございますので、その点確認ということはもちろん、私主管ではございませんけれども、当然のこととしてやっているのじゃなかろうかと思います。」こういう御答弁があったわけです。あわせて防衛庁の防衛課長からも「ただいま外務省のほうから御答弁になったとおりだろうと思います。」こういう御答弁をいただいたわけなんです。そこで、「当然のこととしてやっているのじゃなかろうかと思います。」という意味について、ただいま外務大臣にお伺いしたわけです。
○愛知国務大臣 現在、たとえば本土におきましても、主権の及ぶ領域ということは領海を含んでの意味でございますから、その本土に核がない、それと同様のことにする、これが本土並みの沖繩でありますから、領海三海里内には核がないということを、いまいろいろの方法を検討いたしておりますが、これは一般論と同じでございますから、そういうところに核がない、御安心を願いたいということは何らかの適当な方法をとりたい、かように考えておる次第でございます。
○大久保(直)委員 その適当な方法というのを私は私なりに考えてみたのですけれども、この間も本委員会の質疑の中で、現在核兵器並びに大量破壊兵器、まあ核兵器にしぼりましても、それを探知するソーナーというものは非常に不十分である、こういう御答弁があったように私記憶いたしておりますが、この確認という意味も、いままで私たちが論じてまいりましたように、核抜きはアメリカの誠意を信頼する以外にないという点で確認をすることになるのか、それとも何か日本側から具体的なアクションを起こして核の存在の有無の確認をすることになるのか。この辺はいかがでございましょうか。
○愛知国務大臣 これは一昨々日でございますか、外務、沖繩連合審査会で政府側がいろいろの角度から申し上げましたように、具体的な方法論をただいまここで申し上げるところまでにはいっておりませんけれども、そして同時に両国政府首脳の確約でございますから、政府としては核抜きについて絶対的な自信を持っておりますけれども、しかし本土の場合と違いまして、現に核があるかないかということについても疑問を持たれている場合でございますから、沖繩の場合においては何らか適切な方法を考究いたしまして、日米協力して御安心を願えるような措置を考えたいというのが現在の立場である、かように御理解いただきたいと思います。
○大久保(直)委員 その場合は、主権が戻りました際にはわが国は三海里説をとっておりますので三海里内のみ確認をすればいいことになるのか、それとも本条約にありますように十二海里内であっても、いわゆる他国からの設置というものについての言及がございますが、その辺の判断はどのようになりますでしょうか。
○愛知国務大臣 本土並みということからいい、またその領土主権ということからいい、現状のところでは三海里なんでございますから、それで必要にして十分ではなかろうか、かように存じます。
○大久保(直)委員 終わります。
○戸叶委員 関連して一言。海底及び地下の問題で、私もこの条約でたいへんふしぎに思っているのです。条約の内容が内容であるだけに非常に重大だと思っておりましたが、他の委員から御指摘がありましたし、理事会等でおまとめになりましたので今回は了承したいと思いますけれども、先ほどの外務大臣の御答弁では適訳がなかったということと、今後適訳があればこれを使うというようなことでありましたが、私自身も領海及び接続水域に関する条約を最近審議をいたしました一人といたしまして、あのときの二条のいきさつ等を見ますと、今後適訳が見つかった場合にはこういうふうな過去に使っておったことばも改正なさるのか、それともいままではいままででそのままにしておいて今後適訳をお書きになるのか。この辺のことだけを念のためにお伺いしたい。
○愛知国務大臣 まず第一に、先ほど私、大久保委員に対してお答えいたしましたように、国内法令の用語との関連をも考えて適当な訳語を見出すように努力いたしたいと申し上げたわけでございまして、これが第一点のお答えでございます。 第二点は、従来用いられておりまする訳語との関係をも踏まえまして適当な訳語を見出すように考えたい、かように存じます。
○戸叶委員 そうするといままで使っておりました条約集の中に載っている日本語、これはもし変わった場合は訂正されるのかどうか、その点だけをお伺いしたい。日本語の訳を変えても、外国との交渉をどうするこうするという必要はないと思いますけれども、この点は、いままでのはそのままにしておいて、違うことばで適訳が出来れば、その適訳を今後使うということでしょうか。この点だけをお伺いしておきたいと思います。
○愛知国務大臣 率直に申しまして、そこのところはもう少し慎重に検討させていただきたいと思います。私の私見をもっていたしますれば、条約自身が変わっていないのに、訳語が過去にさかのぼって変わるのもおかしなことではないだろうか。その辺の条理的な説明をどうやれるか。そしてただいま私が申しましたように、従来のそういう経緯を踏まえて適当な訳語を考えるのはなかなかむずかしいことであると思いますけれども、くふうをこらしてみたいと思います。
○戸叶委員 あまりはっきりしませんけれども、この程度でいいです。
○田中委員長 これにて、本件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○田中委員長 この際、委員長から政府に一言申し上げます。 本条約における「海底」の用語の意味につきましては、本委員会において種々の角度から質疑が行なわれ、「海底」の用語が明確を欠くことが指摘された次第であります。ついては、政府としては今後海底軍縮のみならず、海底開発に関する諸問題についても多くの国際条約の締結も予想されることでもあり、国内法令の用語との関連をも考慮の上、必要に応じ、「海の底の表面」と「その底の下の土壌、岩石などの部分」とを区別して規定する用語の選定等につき、さらに慎重に検討の上、条約邦文を作成するよう委員会を代表して特に要望いたします。 この際、政府から発言を求められております。これを許します。外務大臣愛知揆一君。
○愛知国務大臣 ただいま委員長の御発言にありました委員会の御要望の趣旨に沿いまして、政府といたしましては条約邦文の作成にあたり「海底」に関する種々の用語について今後慎重に検討してまいりたいと存じます。 —————————————
○田中委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 核兵器及び他の大量破壊兵器の海底における設置の禁止に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○田中委員長 引き続き、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の締結について承認を求めるの件、千九百六十九年十一月十四日に東京で作成された万国郵便連合憲章の追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件及びアジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件、以上五件を一括議題として審査に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 最初にお伺いしたいのは、いま提案されております中でアメリカとの間の条約について質問したいと思います。 二重課税防止条約がアメリカとの間のはたいへん古くなったので、OECDのモデル条約にならって改定をしたということでございますが、この中の四条の(2)の(b)に書いてあります「両締約国の間の他の協定」というのはどういう協定のことをいうのでしょうか。
○山崎政府委員 この条約でいっております「他の協定」とは、具体的に申しますと次のとおりでございます。第一に日米間の船舶の運用より生ずる所得に対する二重課税に関するとりきめでございます。これは大正十五年三月三十一日及び六月八日付で行なわれております。二番目は日米安保協定第六条に基づく合衆国軍隊の地位に関する協定でございまして、これは昭和三十五年六月二十三日に署名されております。第三番目は、日米領事条約でございまして、昭和三十八年三月二十二日に署名されておりまして、その中に領事等の給与に対する所得税の免除等が定められております。第四番目が日米間の相互防衛援助協定でございまして、これは昭和二十九年五月一日の署名でございます。この中で、合衆国政府が日本国に輸入または領域外に輸出する資材装備につきすべての内国税を免除することになっております。第五は、日米間の民間航空運送協定でございまして、これは昭和二十八年九月十五日に署名されております。その中で航空協定業務に使用される燃料等の正規の装備品または貯蔵品はすべての国税を免除する旨の規定がございます。
○戸叶委員 地位協定等にも関係があるということでございますので、地位協定に関連しての質問をしたいと思います。 まずお伺いしたいのは、アメリカの軍人、軍属及びその家族が日本で別途収入があった場合、いわゆるアルバイトをして収入を得た場合に日本の租税は課せられるのでしょうかどうでしょうか、この点をまず第一にお伺いしたい。
○吉田(太)政府委員 米軍人、軍属あるいはその家族はわが国の所得税制上非居住者の扱いになっております。ところが地位協定十三条によりまして、米軍人の軍隊に勤務することにより所得する給与、いわゆる本務給与といっておりますが、これはわが国では免税ということになっております。したがいまして、それ以外の所得につきましては非居住者としての課税が行なわれるというたてまえになっております。さらにつけ加えて申し上げますと、非居住者に対する所得税の課税関係につきましては、原則として源泉徴収ということになっておりますが、不動産所得につきましては、その不動産収入等はどうしても個人が得るというところから、源泉徴収に適しないところもございますので、これについては申告納税、かようになっております。
○戸叶委員 今日までにどの程度のものを収納しておられましょうか。
○吉田(太)政府委員 外国人に対する課税及び徴収につきましては、特殊の用語と申しますか語学が必要でございますので、各国税局においてその専門の者をもってこれに充てておるわけでございます。 その外国人に対する課税の実績といたしましては、私ども外国人全体の資料はございますが、それの職業別あるいは国籍別となりますと、現在その資料をつくっておりませんのでわかりかねます。ただ、米軍人と申しますか、基地周辺のところからとおぼしき申告等はかなり見受けられております。また後ほどこちらから徴収をしたという例も個々のケースとしてはございますが、全体の統計は持っておりません。ただ外国人全体といたしましては、申告所得につきまして、四十四年度でございますが、百八十二億の所得の申告になっております。件数にして大体六千五百件前後である、かように申し上げておきます。
○戸叶委員 いま外国人全体のお話がございましたが、私はいま日米間の二重課税防止をやっておりますので、その資料をちょっと伺いたかったわけです。 周辺などで総体的なものがまだ十分出ていないということでございますが、なかなかつかみにくいような場合もあるのではないかというふうに思いますけれども、この辺はいかがでございますか。そういう意味からいうと、二重課税防止といったようなことが一体できるのかどうかということもちょっと考えられますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○吉田(太)政府委員 お説のとおり、この問題は、外国人に限らず日本人の場合でございましても、その所得の実態を把握するということについては、非常にむずかしい問題がございます。ただ、大部分のものは源泉徴収という形で、たとえばその人がほかのほうでアルバイトをしておるというようなものでございますと、その大部分がやはり源泉徴収義務者になっておるところもかなりあろうかと考えますので、その辺のところは比較的機械的に把握することができる。問題は、不動産の収入についてはたしてどれだけ確実に行なわれているかということかと思います。この辺のところにつきましては、各国税局におきましても非常に重点的にやっておりますが、何ぶん限られた人数で限られた期間につかまえるということについては非常にむずかしいとは思いますが、できるだけのことをやっていきたい、かように考えております。
○戸叶委員 施設の中で日本人あるいは日本の企業が一時使用をするということは地位協定の二4(a)でもって許されていると思いますが、この施設の中をアメリカの企業が使用するということは許されているのでしょうかどうでしょうか。一時使用できますか。
○橘説明員 お答えいたします。 地位協定の第十四条の第三項に規定がございまして、アメリカの政府で認められましたときは、地位協定の第十五条に定める機関の役務を利用する権利というものは認められております。
○戸叶委員 いまの御答弁をもうちょっと具体的に、たとえばこういうときには許されていますというような例をお示しいただけないですか。
○橘説明員 ただいま申し上げました地位協定の第十五条に相当する機関の例といたしましては、たとえばPXといったようなものがございます。したがいまして、第十五条で認められましたそういう機関の役務を利用する権利というものは認められております。
○戸叶委員 十五条によるものが使えることはわかりますけれども、そのほか、日本の企業がいわゆる基地の中で一時使用できる、二4(a)に該当するようなそういうことは、アメリカの企業が利用することはできない、こういうふうに理解していいわけですね。
○橘説明員 地位協定の二条の4項の(a)にございます場合は、一応日本国政府または日本側の国民、つまり日本側の企業を含めて、そういうものが一時的に使用し得る場合を想定しておりますので、先生のおっしゃるとおりでございます。
○戸叶委員 これは今後沖繩が日本に返ってきますといろいろ問題があると思いますので確かめておきたい、こういうふうに思うわけです。PXなんかは軍の関係ですから当然税金はかからないわけですね。ですから十五条によるものは課税の対象にならない、これはわかりました。 そこで、次にお伺いしたいのは、アメリカの施設の中で日本の企業と契約して何か下請をすることができるかどうかということが問題なんですが、この点はいかがでございましょうか。これは地位協定によるとするならば、どの条項によってできるわけでしょうか。これは税金の問題にみなからんでまいりますので、一応伺っておきたいと思います。
○橘説明員 地位協定の二4(a)、それに該当いたしますような条件のもとにおいて認められると考えております。
○戸叶委員 さっき私が申し上げました二4(a)ですね。そこで下請ということは行なってもいいわけですか。日本の企業がアメリカの軍の中へ行って、そしてアメリカの軍の施設に下請をやらせるということは許されるわけでしょうか。
○橘説明員 二4(a)で規定いたしておりますのは、米軍が施設、区域を一時的に使用していない場合に、日本国の政府なり日本国の国民、つまり企業を含めて、そういうものが使用できるという側面を規定しておりまして、そういう条件が一つ。それからその使用する場合に、アメリカ軍がその施設の正規の使用の目的にとって有害でないということが認められるということ、そうして手続的には合同委員会を通じて合意された、こういう条件に該当する限りは差しつかえないというのが地位協定上規定した面でございます。
○戸叶委員 そうしますと下請ということが二4(a)でできるとは私は思わなかったのですけれども、そうすると米軍の施設、たとえば米軍の基地の中で日本人がたくさん働いている。企業に働いている、日本のたとえば住友なら住友の仕事を——米軍に働いている日本の人たちの仕事が減ると賃金が払えないから、そのうちの何%かをかせがせるために、ここで働かせるというような下請ということが、二4(a)でも許されるというふうに解釈していいわけですね。
○橘説明員 二4(a)に基づきまして米軍以外の日本側の企業というものが使用する場合の具体的な態様につきましては、日米の合同委員会というところを通じて一応きめるという手続になっております。したがいまして、そのときにその実際の日本側の使用の態様というものも、おのずと合意の内容といいますか、大ワクの中できまってくるのではないかと存じますが、ただいまの下請というのは米側の下請でございましょうか、日本側の……。
○戸叶委員 日本側の仕事のです。たとえば米軍の基地の中で日本の労務者がたくさん働いていますね。そこでちょっと、たとえば横須賀なんかで艦船の修理なんかをするというときに、ちょうど手があいた。そして一〇〇%の賃金は払えない。そういう人たちを遊ばしておくわけにいかないのだ。そこで住友なり、あるいは三菱、どこかの会社がこの人たちを働かせる、こういうことになれば、ここでやってもらうということになれば、下請だと思うのです。下請の仕事だと思うのですね。そういうことも二4(a)で許されるのですかどうですか。あいている場合にはそれをやらせるのか。その場合の賃金の支払いはアメリカと日本の契約のように労務者に四〇%払う、六〇%払う。四〇%だけは払って六〇%は払わない、そういう契約に基づくのか。それから時間がないから詰めて言いますと、一体日本がどれだけ払うのか。そういうときに日本が直接そういう労務者に払うのか。あるいはまたアメリカの軍のほうに全部渡して、そこから払うのか、こういうところをちょっと伺いたい。そしてついでに伺いますが、そういう場合の課税はどうなっておりますかということです。
○橘説明員 ただいまお尋ねの中の最後の課税の点につきましては、大蔵省のほうにおまかせいたしたいと思いますが、前段のほうにつきましてお答え申し上げます。ただいま御指摘のような例の場合でございますと、たとえば一定の米側の施設に、仕事に繁閑がございまして、多少あいているときもあるというようなこともあろうかと存じます。そういう場合に日本の民間企業がその施設を一時的に利用できるということは、まさに二4(a)で想定しておる事態でございますので、それは可能でございます。なお賃金その他の問題につきましては、おおむね原則としてはただいままでのところ関係当事者間の取りきめ、アレンジメントが行なわれている例が多いように存じております。
○吉田(太)政府委員 ただいま先生の提起されました問題、新聞でも米海軍が下請商法だというようなことで報道されましたわけでございますので、私どものほうでも関係のほうと当たって調べましたところ、これは一つは商法と考えるかどうか、税制の立場からいいますと、これが収益を生む事業であるかどうかという問題があろうかと存じます。ところが特別調達庁等の御意見によりますと、これは結局遊休施設を使わすためであるので、その対価の大部分は労務費である。それから労務費プラス若干の施設の損料と申しますか、コストが入っておる、かように伺っております。したがいましてまず労務費につきましては、もともとこれが間接雇用でございますので、最後はわが国の国庫に入ってくるということでございます。それから損料につきましても、これは当然通常の課税の原理からいたしまして、利益とは考えられないものでございます。そういう意味からいたしますと、現状でございます限りにおきましては課税関係は生じない、すなわち利益を生じてない、かように解釈しております。
○戸叶委員 そういうふうな解釈ですか。悪く考えますと、たいへんにそういうところに便乗するところが出てくるのではないかということを私はおそれます。そして非常に人手不足のときですから、あいているところを利用してうまくやるという程度でおさまるならばいいのですけれども、他の下請企業を圧迫してきたり、あるいはそれに便乗してきたりというような企業が出てくるのではないかということを、私はたいへん心配いたしますけれども、そういう心配は絶対ないというふうにお考えになりますか。税金もかからないし、あっちにやっておいてもらえば、自分のところに完全に雇用しないでも済むからいいということで、何か非常に割り切れないようなものを私どもは感じますけれども、その点はどうでありますか。
○吉田(太)政府委員 大蔵省あるいは主税局といたしましてお答えすべき質問かどうか、はなはだむずかしいと存じますが、私のほうといたしましてはやはり受け身の形で、そういうものが収益を生じておった場合に、税法のたてまえからこれをどう考えていくかということに限らるべきであろうかと存じますが、何ぶん当該横須賀の施設、艦船修理部は独立採算をとる公的機関であって、損をしてもいけないが、もうけてもいけないという原則で動いておるようでございますので、これに関する限りは、先ほどのような不当にこれが拡大されるという心配はないのではなかろうか。いささか私見ではございますが、かように考えております。
○戸叶委員 そういうところで、日本の大企業が利用をして働いてもらうというときに、収益は絶対にあがらないということが言い切れるかどうかということも問題だと私は思うのですね。ある企業として施設なり何なり、しかもそこに働いている労務者の人たちはちょうど手があいているからということで、いろいろな身分保障はそっちでしていて、そして仕事だけはさせて、収益はあがらないのだというようなことは、ちょっと大蔵省のお考えとしては少しおかしいのではないかというふうに思いますけれども、大蔵省でそういうところの仕事は収益があがらない、税金をお取りになる省がそうおっしゃるならば、これも信ぜざるを得ないのではないかと思いますけれども、そういうところで、もうちょっと税金の問題も考えていただいて、もっと苦しんでいる人たちの税金の問題ばかり考えないようにしてもらいたいと私は思うのですけれども、収益は絶対あがりませんというようなお立場で、今後もそういう企業に対してはかまわないというふうに了解してもいいわけですか。その点もう一度念のために承っておきませんと、今後の問題もありますのでお伺いしたい。
○吉田(太)政府委員 この問題に限らず今後の問題につきましては、やはりケース・バイ・ケース、実態に即して考えるべきではなかろうか、かように考えております。したがいましてあらかじめ予断をもって臨むということは先生のお話のとおりだ、かように考えます。
○戸叶委員 それで今後沖繩関係の問題を解決していきますと、いろいろな問題が出てきますから、やはり国会ではっきりさせておかなければならないと思いますが、税金の問題についてはいろいろとケース・バイ・ケースで考えていくということはわかりましたし、それから先ほどのお考えでは、私どもが下請的と思われることも二4(a)では許されるのだという政府の解釈、こういうことをはっきりしたと思います。 そこで次の問題に入りたいと思いますが、条約の十五条には「不動産から生ずる所得に対しては」「締約国が租税を課すること」になっておりますけれども、外国人個人が日本の不動産を自由に売買することができるのかどうか。そういう場合に軍関係のものにも租税を課することはできないのかどうかということを、さっきのことともちょっと関係いたしますけれども、先ほどの不動産の関係でちょっとお述べになりましたことと答弁が重複するかもしれませんけれども、もう一度念のためにお伺いして、次の質問に入りたいと思います。
○吉田(太)政府委員 外国人個人として不動産の売買を日本国内においてできるかどうかという問題は、実は為替管理法の体系の中でどのように扱われておるかという問題だろうと思います。ただこれははなはだ申しわけございません、私のほうの所管でございますが、必ずしも責任を持ってお答えはできませんが、原則として許可制になっておりまして、それで大蔵大臣の許可制の場合と日本銀行限りの許可制ということになっておりますが、許可方針と申しますか一般的なルールをごく大ざっぱに申し上げますと、非営利的な居住用等の不動産の取得につきましては日本銀行限りで許可し得る、かようになっております。それから営利的な目的を持って不動産を取得するという場合には大蔵大臣による許可制になっておるわけでございます。 そういうふうに許可をされた、あるいは法律上当然の不動産の売買による所得あるいは収益、たとえば家賃でございますとか、そういうものがどうなっておりますかということでございますが、これは一つは、大部分の税制が、外国人、外国人でないということで特別な扱いをいたしておりません。たとえば不動産取得税あるいは固定資産税等につきましては、これは自治省の関係の税でございますが、国籍によってやっておりません、その財産によって課せられる扱いになっておるわけでございます。それから所得税、法人税の不動産所得につきましても、先ほど申しました居住者か非居住者かということで分かれるわけでございますが、居住者の場合にはもちろんこれは一般の国民同様総合課税になります。非居住者でございます場合には申告によってこれを課税する、こういう扱いになっておるわけでございます。大体譲渡所得につきまして、それを売った場合につきましてもこれは居住者、非居住者を問わず総合的に課税する、いわゆる総合課税ということになっております。
○戸叶委員 非居住者の申告による課税というのはなかなかむずかしくないですか、いろいろと。これは日本人の場合にもどの国の人にもいえることだろうと思いますけれども、なかなかむずかしいだろうと思います。この辺の御意見を伺うと同時に、外資系の不動産業者というのが日本で業を営むことができますか。それは今後の問題にもからみますので、お伺いしておきたいと思います。
○吉田(太)政府委員 確かに不動産所得の把握、特に譲渡所得の把握ということが実際上むずかしいということは、これは日本人の場合と全く同様だということで鋭意これは努力していくよりしようがないと考えております。 それから外資系の不動産業については、私が承知をいたしております限りにおいては現在まだ非自由化されておる、かように理解しております。これは外資法の関係でございます。
○戸叶委員 非自由化とおっしゃいました。ですからいま言ったようなことはできないということですね。将来はそういうこともだんだんできてくるのじゃないかと私たちは思うのですけれども、この辺の見通しはいかがでございましょうか。
○吉田(太)政府委員 これはおそらく大蔵大臣からお答えすべき性質のものだろうと思いますが、私、あえてお答えさしていただきますと、私ども理解しておる限りでは、現在外資審議会で、七月末にさらに第四次自由化をどうしていくかということになっております。その時についてもこの問題についてはまだきまっておらない、かように理解しておりまして、外資審議会において御検討願っておる、かような状況でございます。昨日やっとその外資審議会、第一回が始まったという段階で、その答申を受けて政府としてはこれに対処する、かようになっております。 また、万一そういうものが出てまいりました場合におきまして、そういう外資系の不動産業者に対する課税状況はどうかということにつきましては、私ども、そういう不動産につきましては課税が非常にむずかしい。と申しますのは、非常に零細かつ多数であるという点からむずかしいと申しておるわけでございまして、大きなものでございます限りは、土地というきわめて客観的に存在するものでございますから、こういうものについての把握漏れということについては、むしろほかの所得関係に比べてそれほどむずかしいものではない、むしろ十分把握し得るものではなかろうか、かように考えております。
○戸叶委員 外務省の竹内政務次官、いま大蔵省のお話をお聞きになったとおりです。 それで、外資系の不動産業というものに対しても非自由化がそのうち解けるであろうというようなお見通しなんですが、そこで沖繩にいる外資系の企業の既得権、そういうものはお認めになるのですか、どうなんですか。これをまず外務省に伺っておきたい。
○竹内(黎)政府委員 ただいま御指摘の事項は、実は現在日米交渉の一つの対象になっております。先般の国会におきますいわゆる返還協定の中間報告の部分にもその点に若干触れて御報告したつもりでございますが、私どもとしては、沖繩において相当の期間正当に活動してきたものについては、やはりその地位の存続ということは考えざるを得ないだろう、こういう基本方針を持っております。
○戸叶委員 私ども聞くところによりますと、沖繩でだいぶ土地をあちこち買っているというようなことです。そういうふうな人たちがそのまま既得権を持って、そして日本に返還になれば、今度は日本で不動産業として活動されますと、たいへんいろんな問題が起こってくると思いますが、この点はどうでございますか。これは税金の問題だけでなくて、そういった既得権利用を本土においてもするというような問題が出てくると思うのですが、この点、いかがでしょう。
○橘説明員 ただいま沖繩で、特に御指摘の不動産関係の業を行なっている外資系の企業が五つくらいあるようでございますが、そうした外資系の企業の取り扱いにつきましては、ただいま竹内政務次官からも御答弁ありましたような立場を踏まえまして、かつ本土の外資法とかその他関連の法令をあわせ考慮いたしまして、復帰後どうするかということをただいま検討し、折衝いたしておる段階でございます。
○戸叶委員 外資系の企業には——折衝をしているというが、でも既得権は認めるとおっしゃったのですよ。
○橘説明員 ちょっとはしよりましたのであれでございますが、竹内政務次官がおっしゃいました基本方針と、それから本土の外資法その他の法令というものを踏まえまして、これをどうするかということを検討し、アメリカ側と折衝しておるという現段階でございます。したがいまして、竹内政務次官の御答弁にありましたように、基本的には向こう側のいままで長い間行なってきた事業の実態というものも認めざるを得まいということも一つの大きなこれの検討の柱となっております。
○戸叶委員 基本線がきまっているのでしょう。それを今度検討して、これはだめですというような場合もあり得ますか。この企業はだめですというような、既得権を尊重しないような場合がありますか。竹内政務次官がお答えになったのが大体基本線として通ってしまうわけでしょう。そうじゃないのですか。これはお断わりしますということがあり得ますか。そういうときはどういうときですか。
○橘説明員 基本的な方向といたしましては竹内政務次官のおっしゃいましたとおりでございまして、それを実際にどういうふうにやっていくかということにつきましては、いろいろ本土の関係の法令との調整もできるだけはかっていくということもございます。したがいまして、そういう意味でその取り扱いを検討し、さらにアメリカ側とも話をするという意味で申し上げた次第でございます。
○戸叶委員 基本的にはそういうものを認めていって、そして日本の法令とも照らし合わせて検討しながら話し合うということなんですけれども、やはり日本にそういった既得権で不動産の人たちが入ってくるということは相当私は圧迫になりはしないかと思いますけれども、そういうものは圧迫にならないとお思いになりますかどうでしょうか、竹内政務次官に伺いたい。
○竹内(黎)政府委員 沖繩にあります外資企業に対しての大筋については先ほど御答弁申し上げたわけでございますが、私どもとしてはまさにいま先生御指摘のように具体的なケースの処理については、いやしくもいま御指摘のありましたような、そういう圧迫にならないような方法で実際的な解決をはかりたい、こういう立場でいろいろな具体的なケースについてなお米側とも目下折衝を行なっているのが現状でございます。
○戸叶委員 圧迫にならないように御努力なさるというお気持ちはわかりますけれども、実際の問題としてはなかなかいろいろな問題が出てくるのじゃないかと私はいまから憂慮いたしますのであえて質問したわけです。いまおっしゃったとおりの希望が達成することを期待いたしまして、この質問を打ち切ります。 次に、スイスとの租税条約で一点だけお伺いしたいと思いますのは、ここに参考資料をいただいております。この参考資料の「経済関係等の現況」というのを見てみますと、大体スイスのほうが有利のように見えますけれども、この点はいかがでございますか。いろいろな面で有利になっていると思うのですが、一々こまかく申し上げませんけれども、この表を見てすぐわかるのですけれども、これはどうでしょうか。
○吉田(太)政府委員 輸出、輸入ということ、それから企業の進出関係、たとえば企業の進出関係をとりますと、スイスからわが国には百三十くらい現地法人が出ておるのに対して、わが国からスイスに対してわずか十七、八ではなかろうか、そういう御意見のように承知いたしております。これにつきましてはむしろ経済構造のそれぞれの特殊性を相補うという形で経済交流が行なわれてまいるわけでございまして、確かに経済の流れが全く正確にバランスするということにはならないわけでございます。これはもう先生に申し上げるまでもないことでございますが、そういう実態を踏まえて、これを課税関係で二重課税をどう調整していくかということで私どもスイスとの間で租税条約締結を提案しておるわけでございます。ただそういう実態の経済の交流関係の上に立った課税関係といたしまして、それが不当にスイスに有利になるということは絶対にない。むしろそういう点からいたしますと、たとえば本来OECDの諸国の間では使用料等につきましては免税というのが国際慣例でございます。いわゆるロイアルティーでありますが、これがむしろわが国とスイスとの実態から見ますと、スイスからたくさんのパテントを受けておるということからいたしまして、これに対して一〇%の課税をするということは、そのこと自身がいいかどうかという問題は別として、現段階においてはそういうロイアルティーに課税するということはむしろわが国のそういう特殊性を主張しておる、かように考えております。したがいまして租税条約の条文といたしましてむしろ不当にスイスのほうに有利になっておるということはないと考えております。
○戸叶委員 租税条約の条文として不当に有利という意味ではなくて、貿易経済関係において有利ではないかということなんです。それはいまこの資料を見ればわかることですからその点をお伺いしたわけなんですが、今後の見通しとしてスイスとの貿易関係の日本からの伸びというものは期待できましょうかどうでしょうか。この点をお伺いしたいと思います。
○山田説明員 スイスと日本との貿易は一九六九年において輸出が一億一千七百万ドル、輸入が一億四千九百万ドルでございまして合計往復二億七千万ドル近くでございますが、昨年、一九七〇年の一月——十二月は往復三億四千万ドルというふうに伸びております。日本とスイスの間は常に日本が入超の関係でございますが、このような趨勢から将来順調に伸びていくというふうに考えていいんじゃなかろうかと思います。
○戸叶委員 答弁としては順調に伸びるだろうと思いますという答弁しかないでしょうね。まさか伸びませんとは言えないでしょうね。ちょっと先に進めませんが、それじゃどういうものが伸びようとしていますか、それだけ伺っておきましょう。
○山田説明員 スイスと日本の間の貿易は水平分業でありましてお互いに完成品の貿易でございますが、自動車に関しましてはスイスは自国では自動車をつくっておりませんので全部外国から輸入しておりますが、日本から乗用車が将来伸びるのではないかということがいわれております。
○戸叶委員 では次にシンガポールとの租税条約についてお伺いしたいと思いますが、日本とシンガポールとの間では第二次大戦後に一九六七年協定といういわゆる決済の問題をめぐっての協定があったと思うのですが、その後その状態はどんなふうになっておるかお伺いしたい。
○栗野説明員 お答えいたします。 いまおっしゃいましたのは、一九六六年に有償、無償おのおの二千五百万シンガポールドル、邦貨で二十九億四千万円合意いたしまして、その後無償のほうにつきましては一九六七年協定ができまして、三年にわたって二千五百万シンガポールドル相当の日本の生産物及び日本人の役務を無償供与することになりまして、ことしの四月末現在で総額のうち二十四億七千万円ほど、履行率といたしまして八四・一%履行しております。これは使われております対象は造船所の建設資材、ジュロンの港のクレーン、人工衛星通信基地の建設資材、公共事業局の購入資材などでございます。 なお無償の生産物と役務の供与期間がことしの五月六日で切れますので、去る二月二十六日に両国間でこの期間の延長に関する書簡交換を行ないまして、明年の三月三十一日まで延長されております。おそらく残りの分はこの期間に実施されることになると思います。 次に有償のほうの二千五百万シンガポールドルの実施は、一九七〇年の十月九日にこの実施に関する公文が交換されまして、その後ことしに入りまして貸し付け契約の署名が行なわれました。この供与の対象は造船機械、人工衛星地上局の資材などでございます。 大体以上でございます。
○戸叶委員 いまのいわゆる無償、有償の供与の内容はまた次の機会にしようと思いますが、きょうは二重課税防止の問題ですからそういう内容はあとにいたしまして、もう一つお伺いしたいのは、この説明書によりますと、シンガポールのほうから去年の三月に三十六年の租税条約は現状にそぐわない、だから改定をしたいというふうな申し出があって今度の改定になったということなんですが、三十六年条約と今度の条約との違いといいますか、そういう点を説明していただきたいと思います。
○吉田(太)政府委員 新条約は、大体OECDのモデル条約というのが公表されたのが昭和三十六年ぐらいからでございますが、それに準拠しております。 ただ内容的には旧条約と大差はございません。しいて相違点をあげますと、恒久的施設、いわゆる課税のベースになります事業の根拠地、これを恒久的施設と呼んでおりますが、この恒久的施設の範囲を明確にいたしまして、したがいまして、一体にこれが不明確でございますと二重課税で両方から税がかかることになるわけでございますので、これをOECD条約に準拠いたしまして明確にしたのが第一点でございます。 それから第二点は、旧条約では利子については税率の定めがございませんでした。したがいまして、日本の企業がスイスで課税される場合に、利子の受け取りに対する課税を定める場合には四〇%という高率の税率がかかることになっておりました。大部分は産業的貸し付けでございますので、免税の条項が適用されたわけでございますが、しかしそれ以外のものは四〇%という高率の税率が適用されることになっておったわけでございます。それが今度の条約では一五%ということにしております。その二つが大体重要な事項でございます。あとは条文の整備でございます。 なおただ一つ、シンガポールの政府の受け取る配当について免税にしたということが旧条約と違う点でございます。 以上でございます。
○戸叶委員 この条約を最初からといいますか新条約を締結するというような考えをもしシンガポールが持ったとしたならば古い条約というものを終わらせてから新しい条約を締結するというほうがいいんじゃないかというふうに思いますけれども、そうでない方法をとったのは何か理由があるわけでしょうか。
○吉田(太)政府委員 シンガポールが廃棄を通告してまいりました理由は、おそらくシンガポール、英国の自治州という形でできておる条約が国のプレスティージにかかわるという考え方が一つあったろうと思います。 もう一つは、シンガポールの産業政策が従来商業政策に重きを置いておったのを工業化政策に重きを置いていく、実態に合わなくなった、こういうところでおそらく廃棄を通告してきたのだろうと思います。 ただ、交渉の過程でも明らかにされたわけでございますが、シンガポール側として無条約状態には絶対にしたくない、ただ早く廃棄を通告することによってその移り変わり方について十分配意しようということで自然にこの条約の期間が今度の条約とオーバーラップといいますかうまくつながるような配慮をするということで十分ではないか、こういうように話し合ったわけでございます。したがいまして、実体的に特に条約の廃棄の通告があったということについて深い意味があったようには私ども理解しておりません。
○戸叶委員 日本とシンガポールとの関係はいろいろ複雑な問題がありますので、何かそこら辺に意味があったのかということも考えたものですから御質問したのですけれども別にないということでそれは了承しました。 二重課税全般、三案件出されているのですが、大体いままで二重課税防止の問題は討議してきておりますので、私の質問はこの程度で終わりたいと思います。
○田中委員長 本日は、この程度にとどめ、次回は、来たる五月二十一日午前十時から理事会、午前十時十五分から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後一時二十七分散会