外務委員会 第13号
- 発言数
- 116 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/04/14
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青木正久君。
○青木委員 私は、きょうは中国問題につきまして、総理に若干の質問をしたいと思います。 中国問題につきましては、わが党の中でも俗称でハト派とかあるいはタカ派とかいわれておりますけれども、私はどちらにも属しておりませんで、言うなれば普通の自民党員、スズメ派でございます。それをお含みの上、ひとつお答えできる点をお答えしていただきたいと思います。 まず、総理はこの前板付の飛行場におきまして、中国問題解決のために自民党の主流派の信頼できる政治家を訪中させるのが望ましい、こういう発言をされたように報道されております。フランスの場合も、フランスのエドガー・フォールさんが一九六三年に北京に行きまして、国交回復の下準備をされた、そういうこともございますので、この総理のお考えは非常に当を得たものと存じますけれども、この問題につきまして総理は一体具体的にどう推進されるおつもりか。前は大使級会談と言っておられましたけれども、この問題、党の主流派に近い政治家を出すというのは、具体的にはいつ、どういう方式をお考えになっておられるか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 まだ具体的にどうこうするという段階にまで至っておりません。そのことは一応断わっておきますけれども、しかしやはり日中間の関係をいまのままでほうっておくわけにいかない、何とかこれを解決する、そういう意味で、積極的な前向きの姿勢になる、そういう場合のことを考えると、やはり私は私なりに自分の信頼する人、そういう人が出ていく、また政権但当、そういう意味からも、相手方もつかみやすいのじゃないのか、責任所在がはっきりしておると、相手方もそういうとり方をするでしょうから。そう意味で、先ほどのような話でいま呼びかけておる、そういう発言がされておる、かように御理解をいただきたいと思います。いままでも大使級会談、これずいぶんそれぞれの接触を持ちましたけれども、なかなかそれが進まない、こういう状態でありますけれども、一体日本政府は何を考えているかと、こういうことがしばしばいわれておるように思いますので、そういうような意味でも政府の考え方、そういうものをやっぱり代弁できるような、そういう形が望ましいのじゃないか、かように思っております。
○青木委員 そういたしますと、早い機会にそういう友好使節団を出すというお考えかどうかという点と、それから現役の閣僚を友好使節団として派遣するおつもりがあるかないか、その点をお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 できるだけ早い機会にと、かように思いましても、こちらが出すといいましても、相手方が受け入れてくれないと、これは実るわけじゃありません。私、また、必ずしも現職の大臣と、かように考えておりませんので、それは大臣級というそういうような表現をした、かように思っております。
○青木委員 次に、最近名古屋で行なわれました卓球大会に出席した代表についてでありますけれどもアメリカの代表が中共に招かれて、現在行っているわけであります。それだけではなくて、同時にAP通信とか、NBCテレビとか、あるいはタイム、ライフの記者なども一緒に行っておる。日本の場合は、もうすでに文化革命の前からスポーツの交歓とか交流とか、あるいは新聞記者の交換が行なわれておりますけれども、アメリカと中共との間でこういうことが行なわれたというのは画期的なことだと思います。特にアメリカの卓球選手団の団長といいますか幹部クラスは、単に卓球の専門家というよりもアメリカの財界の有力者であるというお話も聞いております。この意義は相当大きいと思うわけでありますけれども、米中関係の急速な進展について総理はどう御判断になっておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 名古屋の卓球選手権大会、これにはいろいろの最初からのいきさつもあるようですし、中国の卓球選手団、これを迎える日本の後藤会長の場合もいろいろに考えられた、かように思いますけれども、幸いにして世界選手権大会が友好裏にできたという、これはたいへん両国の関係をやはり前進さしたものだ、私かように考えております。日本の政府自身のとった態度も、これは冷静な態度であったと思うし、また不幸な事態も全然起こらなかった、こういうような意味で私はこれは成功したと思っております。またこの機会に米国の卓球選手団並びに報道関係の人たちを中国が迎えたという、これもたいへん画期的なことだと思う。しかし中国と米国との間はもうすでに大使級会談をやっておるのですから、このくらいのことは当然あってしかるべきだろう、かように思います。私は、こういう事柄にしろ何にしろ道が開ける、国交正常化に努力できるというか、もっと交流が盛んになる、こういうことに役立つならたいへんしあわせだ、かように思います。これはひとり米中間の問題ではなく、世界的な緊張緩和に役立つとかあるいは世界的に平和の維持増進、こういうような意味で歓迎すべきことだ、かように思っております。
○青木委員 中共の国連加盟あるいは国府の問題につきましては、国連の総会も秋に迫っておりまして、政府もそろそろ態度をきめなくちゃならない段階に来ておると思うわけであります。昨年の国連総会でアルバニア案が過半数を占めた、こういうことになってまいりますと、国府の議席を守るという点につきまして、従来やってまいりました重要事項指定方式、これももうそろそろことしあたりから限界に来ておるような気もいたすわけでございますけれども、こういったいままでの方式について総理はどうお考えになっておるか。この方式で国府の国連における議席を守れるかどうか、その点についてお答え願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 国連においてどういう態度をとるかという、これはなかなかむずかしい問題です。いままでのような態度ではなかなか進まないのじゃないか、こういうこともいわれておりますし、ただいま事務当局でいろいろ検討しておるものもあります。また私自身がいろいろな発言をしたりしておることも、こういう問題についての取り組み方の一部だ、かようにお考えいただいてもいいのじゃないかと思っております。しかし過去においても、この問題が、急に去年からことしにかけて中国問題がやかましい問題になっておりますけれども、きのうきょう始まった問題ではありませんので、過去の経過から見ましても簡単には結論は出てこない。日本の場合は特に重大なる関心のある問題ですし、またいままでの行き方というか、それも全部の平和維持あるいは緊張緩和、そういうことに役立つ、こういう意味で努力してまいったのですから、いろいろ考えがありましてまだ結論は出ておりません。しかしいずれにいたしましてもだんだん日が近づいてくる。それまでに関係諸国間の意見も統一さして、そして結論を出さなければならない問題だ、かように私考えております。
○青木委員 総理はこれまでの答弁で、中華民国を国連から追放すべきでないという点につきましては同感の意を表明されておられますけれども、この重要事項指定方式によって国民政府の国連における議席を守ることが困難になった場合、何らかほかの方法に走りまして対策を立てる必要があるのではないか。たとえば何といいますか国府の議席を守るための一つの方式として、逆の重要事項指定と申しますか、そういった積極的な国府の議席を守るような方式を検討すべき時期に来ていると思いますけれども、この点はいかがでございましょう。
○佐藤内閣総理大臣 いまお答えいたしましたように、これからの日本のあり方というか、それはどういうようにしたらいいかといういろいろな案が出ておると思っております。日本の事務当局も、またアメリカの学者グループもいろいろな案をいま提示しておる。しかしまだこれだと、こういうものはきまっておらない、かように御理解をいただきたいと思います。ただ私、一言申せば、いままでの基本的な考え方には、中華民国というものがあります。中華民国と日華講和条約を締結しているし、また国連ができた当初から中華民国の果たしてきた国連における役割りというか、それはなかなか重要な役割りを果たしてきておりますので、これを今日の状態で簡単には抹殺できないのではないのか、かように思っております。したがって、そこらの点がどういうような形にこれからなっていきますか、くふうをすべきこととはそういう点ではないのか、かように思っております。
○青木委員 中国問題は、いずれにいたしましても明快な解決策というものは現状におきましてはあり得ないと思います。どうしても解決をするとすれば、妥協案とか経過措置のようなことを考えざるを得ない、こう思うわけでございますけれども、国連との関連におきまして、一つの中国とか二つの中国というようなことにこだわらずに、この問題は北京と台北にまかせるといたしまして、とりあえず中共に国連の議席を与えたらどうか。一つの中国、二つの政権と申しますかあるいは一つの中国で、ただし現在はそうではないと申しますか、また別のことばで申し上げますと、よく言われておりますいわゆる二重代表制です。こういうことも一つの当面の解決策になり得るとも思いますし、それで、アメリカ政府も、近く中国政策につきまして新しい態度を表明するというのがきょうのニュースで出ておりますけれども、これも聞くところによりますと、国府を追放しないという条件で中共に議席を与えるというのだと言われておりますけれども、この二重代表制につきまして、総理はどうお考えになるかお答えいただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いま青木君の言われたように、先ほど来からお話しするように、政府自身とすれば、いまどうする、こういうものは持っておりません。その中の一つに二重代表制というような表現を使っておるものもあります。ここらが一つの問題でしょうが、しかしこれもなかなか簡単には取り組めない。と申しますのは、中国自身のほうでそういうことを了承すればいいですけれども、なかなかそれを説得することができないのではないか、かように考えますと、いま第三者——北京、台湾、そのいずれでもない第三国がいろいろの議論をすることは、説得する方向にいけばよろしいですが、むしろ北京と台北との間のみぞを深める、こういう結果にもなるのではないか。そこらのところはよく注意しないと、われわれが予想しないような結果を招来するのではないかと思います。と申しますのは、一つの原則論的なあり方とそれから現実の問題と、これは違っておることだけははっきりいえることでありますね。したがってわれわれの東洋人的な考え方には原則論は非常に入りいいです。しかしどうも現実論を無視しがちだ。こういうところに問題のむずかしさがある。まさしくいま当面しておるのはそういう原則論と現実の問題だ、かように私考えておりますので、ここらに非常なむずかしさ、どういうようにしたらいいのか、こういう意味で政府だけでかってな考え方をするつもりは毛頭ございません。皆さん方からも建設的な御意見はもう謙虚に伺うつもりでおります。
○青木委員 もう時間がなくなってしまったのであれでございますけれども、いま総理のおっしゃいましたところの原則論としては、二重代表制というのは検討するに値する案であるかどうかだけ最後にお答え願います。
○佐藤内閣総理大臣 そういり案もあるということは先ほど申したとおりです。しかしいまのところは北京も中華民国、台湾も同じように、中国は一つだ、こういう議論、根拠に立ってものを進めておりますから、なかなか両政権を説得するという、そういうことに弱いのではないか、かように私は思います。
○田中委員長 永田亮一君。
○永田委員 時間がございませんから、中国問題につきまして一問だけ。いま佐藤総理がどうしたらいいか、あるいは建設的なことがあったらというお話がございましたので、私の考えも申したいと思います。 総理が原則的には一つの中国である。しかし現実には二つの政府がある。北京政府と国民政府が話し合いをして納得することが非常にむずかしい、こういうお話をたびたび伺っておるわけであります。この話は非常にむずかしいわけで、ほっておいたら、これ、いつ話し合いをするか、しないかもわからない。これではなかなか解決がしないわけでありまして、それではほっておいたらいいかということになると、日本としてもそういうわけにもいかない。そこで私考えるのですが、これは相当時間がかかると思うのですけれども、何といいますか、ハト派だけが行ってもなかなか解決しない。タカ派はちょっと受け入れにくい。そうするとさっき青木君が言ったスズメを集めて、スズメがまず行く。こういう中間的な、自民党の中で——私は自民党と中国との接触というものはぜひとも必要だと思うのです。そうすると中間ぐらいの人がまず行くということになれば、向こうも受け入れやすいのではないかと思うのです。すぐに主流派の人が行くといっても、もし受け入れられないと、これ行き詰まってしまうわけだから、順番に、まずスズメが行って、それからタカが行って、それから閣僚が行く、そういうぐあいに時間をかけてやられたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 最近北京から帰られた永田君の建設的な御意見、十分承っておきます。
○田中委員長 松本七郎君。
○松本(七)委員 時間がたいへん少なくて、三十五分で社会党は二人質問いたしますから、簡潔に質問いたします。端的にお答え願いたいと思います。 きょう実は午前、外務省委員会の懇談会といいますか、藤山さんはじめ訪中された自民党の議員の方々に報告なり意見を伺ったわけです。私どもがかねがね問題の中心だと思っていたことがやはり指摘されたわけですけれども、これを佐藤内閣、政府がどの程度評価されておるか。それが今後佐藤内閣がほんとうに中国問題を前向きに解決できるかどうかの一つのめどになると思いますから、その評価についての総理の御答弁を願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 たいへんけっこうなことだったと思っております。しかしまだ藤山君にその後話を聞いておりません。たまたま地方選挙で横浜で一緒になりまして、選挙が終わったらひとつ話を聞こう、藤山君もみずから進んで報告をしよう。こういうことで別れたばかりであります。皆さん方のほうが先にきょう懇談会を持たれたということですが、私のほうはそういう状態です。これからよく話を聞くつもりでおります。
○松本(七)委員 そこで、われわれはかねてからそう思っておりましたし、それから藤山さんが行かれたときの報道にもそれが焦点になっていたのですが、これは当然のことながら台湾問題に対する日本側の態度、政府の姿勢ということが日中関係を前進させるかどうかのかぎだろうと思うのです。そこで、藤山さんは非常に端的に一つの中国、そして中華人民共和国政府を正統政府と認めるということがあらゆる問題解決の前提だ、こう言われておるわけです。いままで政府の言われておったこととはだいぶこれは開きがある。むしろ私どもが以前からそれ以外に日中の問題の解決の道はないのだということを言っておったことが、今日は自民党の相当数の議員、特に安保改革時の岸内閣の外務大臣であった藤山さが訪中されて、そういうきちっとした意見をいま持っておられるということは、政治的には私は大きな影響があると思うのです。そこで、いますぐあなたに藤山さんほどの割り切った態度を求めてもおそらくむずかしいだろうと思います、先ほどの答弁のように。けれども、いままで佐藤内閣として国民に約束された、さっきも青木さんの質問に対して、は、たとえば大使級会談をやるにしても、あるいは大臣級の会談をするにしても、この台湾に対する問題に取り組む姿勢をいままでより以上にもう少し前進させないと、私は会談そのものができないのじゃないかと思うのです。そうすると、幾ら国民に前向きにやるのだ、会談はやると言ってみても、これは口先だけのことになって、少しも実効があがらない。佐藤内閣の存続する限りはだめだということに国民のほうがあきらめというか、評価してしまうと思うのです。そこのところの判断を首相はどうされておるか。もうわざわざ正式に藤山さんと話し合いをされるまでもなく、この問題が焦点であるということぐらいは報道その他でおわかりのことだと思いますから、その点についてのお考えを率直に承っておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 これは何度も申したのですが、われわれ蒋介石政権と戦争した、またそのもとで敗れた、そうしてサンフランシスコ講和条約、それに続いての日華講和条約、これがその当時の戦争の経緯から見まして、やはり蒋政権と取り組んだ、講和条約を締結せざるを得なかった、かように私は理解しております。そうすると、講和条約ができれば、権利もあるが同時に義務もある。その国際的義務を忠実に果たす、これにはいまも変わりはございません。したがって、ここに問題があるようでございまして、先ほどの青木君のような質問と松本君のような御意見と、こう分かれてくるのじゃないかと思っております。
○松本(七)委員 当時の状況と今日の状況、国際的にも、それから日中の関係ということを軸にして考えても非常に大きく変化しておるからこそ、当時外務大臣だった藤山さんも、当時はいまの考えをおそらく持っておられなかったと思うのです。その藤山さんにして今日のように割り切った対台湾の態度というものを打ち出されておる。しかも自民党の中にも、あるいは党内だけでなくて、国民的なコンセンサスとしてそこにもつていこうという、それほど積極的な意見を持っておられるということは、あなたがいま言われるような考え方に固執をされておられる限りは、私は中国問題というものは打開の糸口もあなたの手によってはつかめない、こういわざるを得ないのです。私のほうはもう何年にもわたって、このことに対する一歩前進した態度をあなた方にも求めてきたわけですけれども、頑強にそれは拒否されてきたわけですね。それが藤山さんによってわれわれと同じことが今日の時点に立ってみれば正しかったということが、むしろ自民党の中から声が出てきておるわけですから、もう少し自民党の総裁としても、佐藤内閣としても、この藤山訪中の評価については、自分の態度、今後の行き方についての反省の材料にすべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 どうも私は松本君とその点では意見が違うのですが、昨は間違っていたのだ、今は是だ、そういうように国と国との関係を割り切れるか、かように私は思うのです。当時の状況は、日華講和条約は当然だった、またそれでよかったのだ、しかしいまはもうそれを変えるときだ、こう言われるが、そう割り切ることが、先ほど申しますような国際信義という点から一体どうなるのか、そういうことはよろしいのか、そういう点でつかえてくる、かように私は思います。
○松本(七)委員 それでは、前向きに解決したいと言われるその方向を一歩でも具体的に前進させる方法は何ですか。何をきっかけにそれじゃ前進させようとされるのですか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、いろいろ北京から流れておる放送も聞きます。それでやはりお互いにその立場を理解し合おうじゃないか、こういうことを言っておる。内政不干渉だと言っておる。こういうことは、日本も北京も変わりはないのですね。だから、その立場を十分に尊重し合う、そしてお互いに干渉をしない、こういうようなことになれば、つき合いの道は当然開けるのじゃないのか、かように私は思っています。
○松本(七)委員 その態度で、前回から外務大臣を通じてもしきりに言われておるように、大使級会談に臨むにあたっては一切の前提なしにいろいろな問題を話し合いたい、こういう態度でこられたわけですね。ところが藤山さんの報告によると、そういう態度では会談そのものもむずかしいと私も判断します。一つの中国、それから中華人民共和国を正統政府として認めるというこの姿勢がない限りは、まあ日華条約をどうするとか安保をどうするかは、藤山さんの意見では、日中国交回復後にこれは十分解決できる問題だという態度のようですけれども、その問題は別として、基本的な一つの中国中華人民共和国政府を正統政府と認めるというこの姿勢がない限りは、そういった政治的会談に臨むことも不可能だ、こう言っておられるわけです。私、これは正しいと思うのですが、総理はそういう藤山さんの意見というものに賛同された上で、何らかその打開の道を探られるのか、あるいは藤山さんのような意見でなくても、いままでどおりの態度で会談に臨み得るといまでも考えておられるのでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 北京には北京の事情がありましょう。私には私の事情がございます。そういうことがお互いの立場を尊重し合うという、そういう前提じゃないだろうかと思う。そういう意味で、話し合いができないというのはこれは門戸を閉ざすということじゃないか、かように私は思います。でありますから私は話ができる、かように思っております。
○松本(七)委員 それでは藤山さんの言われる、一つの中国、中華人民共和国を正統政府と認めるという態度を捨てなければ会談できない場合には、会談しなくてもやむを得ない、こういう態度と理解していいですね。
○佐藤内閣総理大臣 とにかくいままでも結論が出なかったのですから、そう簡単に結論を出さないことにしょうじゃないですか。もうこれを聞かないからだめだと言わないで、とにかくもっとつき合いをしてみようじゃないですか。とにかく、たたけよ、しからば開かれんという、そのくらい熱意がなければ話ができないのじゃないでしょうか。そういう問題のように思います。
○松本(七)委員 熱意を疑うわけなんですよ。そういう熱意があるなら、たとえば吉田書簡の問題にしましても、それは拘束されないのだと口では言われるけれども、それでは具体的に輸銀の使用に踏み切りましたか。そういう例がありますか。少なくとも今後それでは輸銀の使用を積極的にやるというような態度が出せますか。
○佐藤内閣総理大臣 いままでも外務大臣からたびたびお答えしたと思うのですが、輸銀の使い方はケース・バイ・ケースで考える、こういうことも言っておる、これにはもう間違いございません。
○松本(七)委員 ケース・バイ・ケースならば関係者からその要請があれば今後は認めるというふうに理解していいですか。
○佐藤内閣総理大臣 具体的にそういうものがあればそのときに考えるということであります。
○松本(七)委員 考えるということは認めるということを含んで、十分今後はいままで、より以上に積極的に輸銀使用についても考える、こういう少なくとも態度表明がないと、総理の言われる熱意というものが具体的にあらわれてこないと思うのです。そういう熱意が具体的にあらわれれば、初めてその会談についてもいままでより以上に見通しが、明るくなるという観測もできるでしょうけれども、それらの点にもう少しはっきりした積極性がほしいと思うのですね。
○佐藤内閣総理大臣 いま卓球選手権大会が開かれたばかりですね。私どもはこれには何ら制限したはずはございません。(松本(七)委員「卓球の問題を聞いているんじゃない」と呼ぶ)こういうのも一つのつき合いの問題です。そういうように制限は何らしていないのです。そういうことからも両国間の関係を積み重ねていく上において役立つことではありませんか。そうはお考えになりませんか。自分の考えどおりに進めなければうまく進まない、それは無理じゃないですか。
○松本(七)委員 卓球はけっこうですよ。ですからさらに輸銀についてもいままでより以上に積極的にこれを進めるという態度を表明していただいたらどうですかと言っているのです。卓球の問題はけっこうですよ。
○佐藤内閣総理大臣 卓球の問題はけっこうだとおっしゃるから、私も賛成です。 それから輸銀の問題はさっきから申しますようにケース・バイ・ケースだ、かように申しておるのです。
○松本(七)委員 けっこうです。
○田中委員長 勝間田清一君。
○勝間田委員 先ほど来中国問題についての質問を聞いておりまして、若干総理に基本的なことをお尋ねしたいと思うのでありますが、一昨年の暮れに総理大臣はいわゆるニクソンとの共同声明を出されて、また記者会見もされて、その間には安保条約の継続も約束をされ、台湾海峡の問題についてまで言及をされておられる。この間の沖繩交渉などを通じて考えてみますると、あの共同声明のラインというものが佐藤内閣のいわば中心の外交路線のように私は考えられてまいったわけであります。この外交路線というものについてはもとより私は賛成することはできませんでした。そういう印象を強く持っておったものでありますので、総理が、私の任期中は中国問題に大きな変更はないだろうと言われた気持ちが、私の見解とは相違いたしますけれども、筋としては私、よく理解ができたわけであります。しかし、その間に中国問題をめぐる国際情勢というものは非常に大きな変化を遂げた。これにはベトナムやカンボジア等についてのアメリカの戦略なりの失敗という問題もあるかと私は思いまするし、あるいは中国の国際的な地位の急速度の高まりという問題も私はあるかと実は思うのです。最近急速度に中国の国際的な地位が高まってきておる。この高まりというものはあなたがニクソンとの共同声明をしてきた当時とは違った条件である。この間におけるジレンマが佐藤内閣にあらわれているのではないだろうかという感を私は実は深くいたすのであります。その際に大事な点だと私が思うのは、佐藤総理は、この中国問題をそういう大きな変化の中で、しかも従来の方針とは違っていく中で扱ってくというときに、一体どういう役割りというものを責任内閣として果たしていくかというところが、私は、あなたとしてはあるべきではないだろうかという感じがいたすわけであります。その問題を真剣に考えてみますると、少なくともこういうことが言えるのではないだろうか。日中国交回復の問題は相当の努力と時間は必要であろうけれども、とにもかくにもこれは解決されなければならぬ問題である。ついては、この問題の所在も明らかになっているのだ。たとえば一つの中国論という問題をどう解決していくかということが一つの大きな問題点でもある。最近における韓国との関係、台湾との関係などについても、向こうからははね返ってくるいろいろの大きな問題がある。問題点がどこにあるかということもかなりはっきりしてきた。それから日中の国交回復をしていく場合に一番大きな問題は、日本のナショナルインタレストということを考えていった場合には、よかれあしかれ過去二十数年の間にできてきておる台湾関係の処理が、これが窓口であるかあるいは出口であるかは知らぬけれども、この処理が大きな問題になる。私はかつて中国の要人と話をしたときに、台湾問題をこうしてくれ、そうすれば中国と国交回復をしようというように台湾問題の解決が条件であれば、私は直ちに拒否します、しかし中国と友好関係がほんとうに回復するということができるなら、友好的に台湾問題はその後処理ができます、こういうことをはっきり言われたことがある。これは非常に大事な問題だと実は思うのです。いわば中国との問題を解決する場合においての一番大事な問題は台湾問題をどう処理するかということは当然出てくる。そういうことがある。それからたとえば賠償という問題がある。これも一千万人からの人を殺したり傷つけたりしたともいわれておるし、五百億ドルも損害をかけたともいわれておる。かつて私が周総理と話をしたときに、これは取るつもりはありません。それならそれをひとつ明らかにしてくれませんかと言ったときに、私は二つの理由があってそれは明らかにできません。一つは中国の国民にまだ十分に納得させておりません。一つはアジアの諸国家が、当時インドネシアでしたけれども、日本に賠償を求めている最中に、私が賠償権を放棄することは差し控えるべきだと思う。しかしあなたの国から賠償を取ろうとは思っておりません。言うならば、今日考えてみれば、中国の国民に十分に納得いけるというところが非常に大きな問題であるということが中国側としては言えるわけであります。そういう起こり得べき問題というものがわれわれはもうすでに明らかになっていると私は思うのであります。そういうことを念頭に置いた上で、佐藤総理がこれから処置をしていくということは私は非常に重大な関係を持ってくると思う。 そこで私は思うのでありますが、少なくとも佐藤総理としてやり得ることは何であるかというならば、私は、これ以上悪い条件は積み重ねないということが大事だと思うのです。たとえて申しまするならば、台湾に対する援助をこれ以上追加供与はしない、あるいはアメリカのUSスチールが三五%の資本の提供と技術協力をやったけれども、去年の十一月これをやめた。しかしその肩がわりを新日本製鉄がやるというようなやり方をしていったならば、私は一そう困難な条件をつくり出してしまうことになるのではないだろうか。そういう条件を台湾につくっておきながら、今度は逆に輸出入銀行の金は貸せないとか、あるいは吉田書簡は依然として厳然とさしておくとかということになってきますと、賠償は取らないが、しかし日本の政府はおれのところには輸出入銀行の協力はしない、台湾にはこういう投資をする、こういうことはだれが見てもこれは敵対的な行為で、少なくとも友好的な行為とはとれない。そういう条件をつくらないということが、私はあなたとしては非常に大事な点ではないだろうか。また今度の国連における諸問題にいたしましても、これはあなたにも聞いてみたいと思うのですけれども、きょうの新聞やニュースあたりを読みますれば、新しいアメリカの政策が出てくる、こういわれております。日本との話し合い俗もう行なわれて、事務段階ではおそらくできているだろうと私は思うのでありますけれども、台湾を追放しないで中国を加盟させるというような考え方では、先ほどのあなたの慎重な態度には私は若干意を得たと思うのですけれども、入りっこない。台湾が残っておって、それに中国をあれするなら入りっこない。これはかつての卓球のアジア連盟ですか、あれに台湾が入っておったために中国は席を立って出ていってしまった。それがわかっていてそういう二重方式というものをもし日本が提案していくということならば、これは重要事項方式で中国をボイコットしておいて、今度新しい方法でまた時間かせぎをやろうとしているとしか見られない。わかり切ったことなんです。そういうことを積み重ねていくということが、日本の真意というものを疑ぐられる大きな根本だと私は思うのです。こういう条件を真に真剣に考えていくことが、私は佐藤内閣が今日において日本の国益のために努力する根本ではないだろうか。国際信義を言われることも大切でありましょうし、いろいろなことも大切でありましょうけれども、私はそういうことが一番大切ではないだろうか。私はこのことをひとつ、きょうはわずかな時間しか与えられませんでしたから、あなたにお聞きしてみたいと思うのです。いかがでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 勝間田君からじゅんじゅんといままでの経過その他にお触れになって、これからやり得ることはこういうことじゃないかということで御提案がありました。台湾との関係を一そう深めることはひとつやめてくれ、それが問題の解決への道じゃないか、いろいろあるだろうが、そのうちの一つだ、こういうようにいまのお話ではとれたのであります。私はただいま言われるような点が今日当面しておるむずかしい問題だと思っております。私は国際条約のいわゆる国際的信義を重んずるとすれば、やはりその国と親交を深めていく、そういうことが信義を高めるゆえんではないかと思っております。これが台湾というような分裂国家の一つだ、かように考えるから、ここに問題があるといわれますが、しかしそういうような親交を深めるというようなことでないと、これはやはり国際信義を重んじたことにならないのじゃないか、かように私は思います。私はそれよりも、やはり中国は一つだ、かような考え方にわれわれは立っているのだ、それでお互いにひとつよく話し合ってくださいませんか、第三者のわれわれはとやかくは申しません、皆さん方のところで話し合いをうけることが何よりも大事なことです、私どもが一番心配するのは、武力解放だとかいうようなことで戦火を交える、こういうことが一番困ったことで、これが一番気になることです、こういうことをただいままでのところ率直に訴えておるのです。いまおそらく同じようなことが西独と東独の間にもあるのじゃないだろうか。問題は国の大小の差、そのことでこそ問題が違うように思われますけれども、何といいましても政権が二つある現実は、これはいなめないのじゃないかと思う。そうしてやはりその一つと関係を結んだら、同じように相手方とも関係が結べるというような態度が望ましいのじゃないだろうか、かように思います。わずかな時間の間に議論もなかなかできませんけれども、いわゆる北京をそでにする気持ちは毛頭ない。しかし台湾との関係は、いままでせっかく築いてきたその地位、国際連合、その憲章には忠実に自分たちの役割りを果たしてきたその台湾、それを簡単に追放ということはできないのじゃないのか、かようにも私は思うのです。でありますが、そういうことが一つの中国という観点で北京と台北の間に十分話し合いができて、そうしておさまれば、どちらでなければならぬ、かように私は申すわけじゃございませんから、そういう話はつくのじゃないだろうか、かように思っております。そうしてよけいなことだが、とにかく日本は手を引け、かように言われましても、日本の場合は隣国と手を引くとか引かないとか、こういうような問題じゃないのじゃないか。私はやはり隣の国、これは仲よくしていくのが当然の道だと思う。ましてや条約まで結んでいるとすれば、当然親交は深めていくのじゃないか、それがわれわれのたどるべき道だろう、かように思いますので、ただいまのお話はお話として、御意見は御意見として承っておきますが、どうも基本的にまだぴったり合わない点があるようでございます。先ほど勝間田君御自身が、基本的には違りが、何かこういう点でも歩み寄りはできないか、そういうような意味で御提示になった、それについての私の偽らない率直な感じをそのまま御披露いたしました。
○勝間田委員 それとも関連をする問題でありますけれども、アメリカの最近の外交及び佐藤総理の最近の発言の中で、注意深く聞いておった中で新しいといいますか、若干違った面が出てきたということで注目しておったのですが、たいへん最近失望しておるわけですけれども、それはもともと北京と台湾とでこれは話し合ってやってもらいたいことなんだ、中国の将来については両方が平和的に話し合ってやってもらいたいことなんだ、もともと外部からこれに干渉すべきことじゃないのだ、こういり態度をあなたも言われたし、外務大臣も言われたし、それからアメリカも最近そういうことを言っておられる。これを言うならば一つの中国論、もっと言うならば、これは中国、台湾の問題は内政問題だということである。もっとそれを端的に言うならば、外国はこれに干渉すべきではないということなんだ。これがもし貫徹できるなら、なぜ貫徹しないのですか。それを貫徹しないで、今度は国連のほうに行っては、これは残してくれ、これはああしてくれと言う。なぜそういうことを考えたり、あるいはこっちには援助するけれどもこっちは援助しないという差別をつけてみたり、あるいはおれはもうこの国を承認しているのだからおれは絶対にこっちを支持せざるを得ないので、これは国際信義だ、こう言ってみたり、それは結局内政干渉じゃないでしょうか。あなたはこの前の羽生君の演説に対して、一言言い過ぎたかなということの中に、あの台湾海峡の問題のことを言われておった。あの言い過ぎたかなということばは、非常に意味深長だと私は思う。しかし、言い過ぎている、言い過ぎているか本質か知りませんけれども、重大な問題だ。こういう問題などを私は考えてみまして、ほんとうにあれは中国両方が話し合うべきだ、もっと端的に言うならば、合作を行なうべきである、それで中国は一つだ、ほかは内政干渉すべきではないのだというのなら、それを貫徹したら一つの外交路線としては私は成り立つと思う。それに注文をつけたり、それにいろいろな謀略をするという形をとると、それは結局同じことになるのではないだろうか。この問題についてあなたはどうお考えになるのか、お答えを願いたいと思う。
○佐藤内閣総理大臣 たいへんむずかしい表現でございますが、とにかくわれわれは中国の問題、これは積極的に内政干渉はするつもりはございません。だから話し合いできまればたいへんけっこうだと思っております。しかし、日華講和条約のあることは、これはもう勝間田君も否定はなさらないだろう。その条約を無視しろと言わないばかりの表現では、ちょっと困るのです。そういうものがある限りにおいては、われわれはやはり国際的に縛られておるのですから、権利もありますが同時に義務がある、それを忠実に果たすところに日本の国際的信用もあるわけです。それが問題だと思っております。 いまのお話をずっと伺っておると、まるきり講和条約のない状態で置いてくれと言われるのだけれども、これはどうもそういうわけにはいかない、かように私は思います。
○勝間田委員 そういうことだから干渉になるので、話し合いということが画餅に帰するわけですね。 そこで、最後にひとつもう一ぺん念を押しておきたいと思いますが、先ほど私が申し上げたような——個別的に答弁をされないで、選択の問題ですから、私はぜひ総合的に判断をしていただきたい。台湾へ日本製鉄という重要な重工業がUSにかわって投資されるということと、それから日韓、日台の三国協力会議が尖閣列島等々の大陸だなを含めての開発をするとかいうような計画が宣伝されることと、そういう諸問題が一面にあり、他面に輸出入銀行の資金はあれしないという問題があって、吉田書簡を厳然としてやっていくという考えがある。これを総合的に考えたときには、これは中国に対して異常な敵視的な政策になってくる。それを、個別的に台湾と平和条約を結んでいるからこれと仲よくするのはあたりまえじゃないかという議論だけであなたが判断をされることが、私は狭い考えだと思う。中国とは必ず何らかの解決をしなければならない時期に来たという歴史的な認識の上に立った選択を、いまどういう選択をあなたがしていくかという課題になっていると私は思う。だから、台湾への援助はやめよう、輸出入銀行の吉田書簡の問題はこの際廃止しようという政策をとるか、とらないか、あるいはそれをいかなる方法を、それについてまた別の方法をとるか。ここはあなたの課題じゃないですか。この課題について、あなたがどういう回答をするか、どういう選択をするかということがいま問われているのじゃないでしょうか。これを一つ。 それから、先ほどお話があった、お答えがあったのですけれども、私は大使級会談というような問題の接触の問題と、あなたの友人が行くといり問題と閣僚が行くという問題とは性格が違うと思うのです。かつてスカルノ大統領のあいさつのときに、あっせんで川島正次郎さんが周総理と会ったときに、私も当時ジャカルタに行っておりましたが、総領事会談をジュネーブでやろうという提案を日本のほうでされた、これは一笑に付された、日本と中国の問題はそんなものですか、アメリカが大使級会談をやっているのに、あなたのほうは総領事会談ですかと、一笑に付された。私は今度の場合でも一番大事な点は、政府がどういり態度をとるかということだと思う。閣僚を送るつもりがあるのかないのかということは、私は重大な問題だと思うのです。きょうの例のアメリカの報道官の報道によれば、アメリカは大使級会談の再開を望む、あわせて政府間の接触をここで希望するということをつけ加えて新聞発表をされたことは明らかなようであります。私は日本の場合に、政府間の折衝とは、決して大使級会談の接触ではない、閣僚の派遣だということだと思う。そうなれば可能性は私はあると思う。そこまで踏み切るつもりがあるかどうか、この点をひとつ、二点お尋ねしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 具体的な問題というよりも、ひっくるめての問題ですが、いわゆる日本の敵視政策、中共に対する敵視政策、北京政府に対する敵視政策、その例として台湾の投資の問題あるいはいまの尖閣列島の問題等々があげられます。しかし、台湾のUSスチールにかわって日本の出ているのは、これは業者自身でございます。いわゆる政府間の借款、こういうような問題ではございません。したがって、政府間の借款でもあるかのような言い方は、これは違う、かように私は思いますし、また尖閣列島の問題は、これはもういままでの経過から見ましても、これこそは日本の沖繩の一部だ、これははっきり言えるのじゃないでしょうか。社会党の方でも、おそらくあれは沖繩の一部だ、かように言われるだろうと思うのですが、いかがでしょうか。これも中国の領土でしょうか、私はそうじゃないと思う。だから、尖閣列島自身を日本に返還されるという、そういうことはわれわれが努力をしている最中の問題でございます。ただ大陸だなの開発という問題になると、これは違っておる、かように思っております。したがって、日本はまだ大陸だなの開発、これに、大陸だなの条約に加盟している国、それらとの話し合いもついておらない問題、かように私は思っておりますので、あまりこれが、いわゆる敵視政策のあらわれだ、かようにはならないように思います。 ただ具体的な問題で、もう一つ敵視政策のあらわれとして輸銀資金の問題がある、こういうことですが、これもケース・バイ・ケースということでいま態度を表明しておりますから、これもおそらくそういう意味で御理解がいただけるのじゃないかと思っております。いま短期の資金はすでに使っておると、私はかように理解しております。 また米国はもう百回以上にわたる大使級会談をしております。しかしてわが国は、大使級会談こそ持たないけれども、民間貿易の点ではもう八億ドルをこしておる、八億二千万ドル、これはもう一年の間に三〇%もふえておる、一昨年と昨年では非常に拡大も大きいですね、それらのことを考えると、いまのところはたいへん順調にいっているのじゃないだろうかと私は思っております。したがって、ただいまのような問題も、必ずわが国のあり方についての理解はだんだん深まるのじゃないだろうか、かように思います。しかし私の考えは、やはり一皆さん方も一お出かけになる、日本人は与野党ともに出かけられるけれども、政府が一やはり政府の一部だと考えられるようなところがまだ行っておらない、どうも反主流が行ったというようなことではなかなか理解されないのじゃないか。だからその辺のところをもっと拡大すべきじゃないか。大使級会談ももちろんやろう。同時にまた、私どもも、経験の浅い方ばかりでなく、先ほどもスズメ論が出ておりましたけれども、そういうことでなしに、とにかくわれわれの考えが十分相手方に対してもわかるような、そういう立場で働いておられる人に行っていただく。それがいま言われるように、閣僚自身と閣僚級では違うと、かように言われますけれども、私は、しかし、その辺もあまり窮屈に考えないで、とにかく相当、勝間田君も時間的な問題はあるんだということを御理解のようでございますから、少し時間はかかりましても、やはり成功するという、そういう方向でいかざるを得ないのじゃないだろうか。私は、あまりにも知らな過ぎる。これは皆さん方はお出かけになってよく御理解なすったことだと思いますけれども、政府や政府のほうの関係では、これは書いたものは読んだりあるいは北京放送の程度は聞きますけれども、どうも知らな過ぎる、こういう点が誤解をつくるのじゃないか。ことに、戦時中の非常な不信行為やまた残虐行為や不快な行為をずいぶん日本人は与えておりますから、このいまの不信、疑惑、そういうようなものを一掃するのには相当の時間がかかるだろうと思いますが、しかし、それをあらゆる方法を尽くして誤解を解くという、そうして不信を解くという、そういう形でなきゃならない、かように思っておりますが、それにいたしましても、やはり相手方のほうとしても、これとつき合えばどういうことになるかという、そういうような形でやはり話をし合っていかないと、十分の改善はできないだろう、かように思います。私、先ほどの勝間田君のお話も、そういう意味で、台湾にあまり深入りするな、かような御注意だろうとは思いますけれども、しかし、そのまま私は賛成はしなかったと、こういうことでありますけれども、とにかく日中間の関係をよくし、同時に、これは北京も台湾も満足がいくような方法はないのかという、そういうようなことを考えざるを得ない日本の立場だ、こういうことで、いまのようなくふうをいろいろしておるわけです。先ほど来のお話は、私もたいへん傾聴、まあ静かに聞いたつもりでございますし、そういう意味で、御意見のところは、私もこれから取り組む場合に十分考えていきたい、かように思いますけれども、いま直ちに期待されたような答えが出ておらないだろうというのは、その点まことに申しわけなく思います。
○田中委員長 大久保直彦君。
○大久保(直)委員 先ほどの総理の御答弁の中で、特にこの一、二年、中国問題に対する関心が高まってきた、こういう御答弁がございまして、私も全く同感でございまして、日々に国民の中での中国に対する関心が高まっておる。特に最近、学者、文化人が中心になりまして、国民運動の形で国交正常化、国交回復を促進しようという動きが活発になっておることは、総理も御認識のことだと思いますが、まずその中でも、国民の中では、ついにここまできたかという感慨深げな日中間の問題についての意見も多々あるようでございますか、こうした国民のコンセンサスが日々に大きくなっておる、また、こうした国民運動の形で、片や日中国交正常化国民協議会、片や日中国交回復国民会議等々の組織されたムーブメントが開始されておる、こういったことについて総理は、どのようにこれをごらんになり、また評価をされておられるのか、まず初めにお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 大久保君のいまのお話のように、各方面でこの中国問題が取り上げられておる。これは、日本の位置からいたしまして当然のことだ、かように思います。中国問題が大きく取り上げられることはけっこうだと思っております。そこで、いまの北京政府に対する認識というものをあらためて開眼しつつあるというか、そういうものじゃないだろうか、かように思っておりますが、その前に、やはり台湾というものがあるんだ、これがとにかく、無視というところにはいかないのですね。北京と国交を正常化しろというのは、これはおそらく七〇%あるだろう。また、台湾の地位もやはり守れという、それが七〇%あるだろう。ここに問題があるんですね。先ほど来社会党からもお話がありましたが、勝間田君の話のように、この二つの問題がありますから、一方的な、一つだけの問題ではないように思う。その調整がどういうようになるかということですね。中国大陸の、あるいは大きくっても、あの小さな台湾省——台湾省だといっているけれども、だれも一指も染めることはできないし、台湾また中国大陸に一指も染めることもできない、そういう状態である。そこに問題があり、しかも、日本は、過去の経験から申しまして、時政権と条約を結んだ、こういう事実があるものですから、そこらに日本の置かれておる非常ににむずかしい立場があります。しかし、おそらくこれはそのうちに、両方を満足さすような結論はないだろうか、そこらに頭をひねっているものがあるわけなんです。非常にむずかしい問題だと思っております。
○大久保(直)委員 いまの御答弁も、日中問題のネックといいますか、非常にむずかしい問題は台湾問題である。いままでの国会の質疑をずっと振り返ってみましても、確かに台湾問題が、台湾をどうするかということ、また、戦後二十数年間台湾との国交があったということで、確かにこの問題が大きな問題であると思いますが、私は、そういう御答弁がいまありましたので、特に台湾にしぼり、また、特に台湾の領土権について、きょうは、いままでの論議の反復になるかと思いますが、総理の基本的な考え方、今後の日中問題に取り組む上ではっきりしておかなければならない問題であると思いますので、重ねてお伺いしておきたいと思いますが、その前に、中華人民共和国の領土はどこであると総理はお考えでいらっしゃいましょうか。
○愛知国務大臣 これは台湾を除いた中国大陸ということが正確かと思います。
○大久保(直)委員 愛知外務大臣とたびたび私はもういろいろ質疑応答さしていただいて、きょうは総理にぜひお願いしたいと思うのですが、それでは、いま政府が正式に承認をいたしております中華民国の領土はどこであると総理は認識されておりますか。
○愛知国務大臣 結局、これは裏からいえば、台湾はどこに帰属しているかということの御質疑と同じことだと思いますので、再々申し上げておりますから一口だけお答えいたしますが、サンフランシスコ条約二条b項、それから、日華平和条約第二条、これによって日本は、台湾に対する権利、権原を一切放棄しておる。ただし、その帰属については日本としては何も申さない。それから、国際的にまだ台湾、樹湖島の帰属はきまっていないのが現状だ、こういうことが言える、現状はそのとおりだと思います。
○大久保(直)委員 サンフランシスコ平和条約で台湾を放棄した。その平和条約の発効によって日本の占領行政というものは解除されたわけですけれども、そのことは、同時に、中華民国の台湾に対するいわゆる占領行政もそのときにおいては解除されておるわけですね。とするならば、現在国民政府が台湾を統治しておるという法的根拠はいずれにあるのかということは非常に重大問題でありますし、どういう法的手続によって台湾を国民政府が統治しておるのかということも、また、だれがその権利をどこから授権したのかということも、これは論議の点でございますが、お伺いしましてもまた総理は御答弁ないと思いますので、御答弁けっこうでございますけれども、御答弁ありますか。
○佐藤内閣総理大臣 外務大臣からお答えしたことだと思っておりますが、日本は、放棄しただけで、それ以上とやかくは申しておらないはずです。
○大久保(直)委員 しかし、いま現在の台湾の問題が日中の国交促進、友好促進の上で大きな問題になっておるということからしますと、ただ放棄した放棄したということだけでは問題は済まないのではないかと思うわけです。まして、サンフランシスコ平和条約で放棄して、以後二十数年間、どこからも疑惑を含んだ論議は出ておりませんし、台湾については、北京政府もまた国民政府もともに、これは中国のものだと、こういうことを言っておりますね。それを日本は、ただ放棄したのだからどちらでもいいのだということではなくて、やはりその帰属の問題ははっきりしてもいいのではないか、こういうことを私は考えます。この問題は、昭和三十六年の予算委員会で、当時の池田首相が金門、馬祖について、金門、馬祖の帰属はチャイナである、こういう答弁をされておりますね。チャイナ、非常に含蓄のある答弁だと思うのですが、私は、北京政府、中華人民共和国政府もまた国民政府もともに、台湾は中国のものだということを主張しているのについて、日本はイエスぐらいは言ったほうが、今後の進展のためには望ましいのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 これも具体的な問題ですから、私からちょっと申しますと、中華民国あるいは中華人民共和国が、台湾は自分のものであると言っている根拠を想像すれば、カイロ宣言その他に縁由するところがあると思いますが、日本政府としては、やはりサンフランシスコ条約において一切の権利、権原を放棄したのであって、帰属については何も言ってないのですから、これはやはり、日本政府としては何らこの帰属については言うべき立場でない、これが正しい姿勢であると、かように考えております。 それから、よけいなことかもしれませんが、カナダと中華人民共和国政府の国交樹立のときに、いわゆるテークノートとか、あるいはチャレンジもしないエンドースもしないという有名なことばがございますが、これはやはり正確にいえば、国際関係の上で、台湾というところが帰属がきまっていないということも考慮に入れてのカナダ政府あるいは中華人民共和国政府との話し合いに出たことばではないだろうか、そういうふうに想像いたしております。
○大久保(直)委員 総理、いま外務大臣から御答弁ありましたけれども、カナダはテークノートと言った、こういったことも、いま帰属がきまっていないからという見方もありますが、同時に、これは当然中国に帰属するものだという配慮があればこそテークノートする、こういう見解も同時にとれると思うのです。私、こまかい問題で恐縮なんですけれども、金門、馬祖、これはかつて池田総理が、これはチャイナに帰属するということになっておりますが、それで今日まで来ておりますけれども、これは外務大臣でもけっこうですが、そうしますと、国民政府の領土は金門、馬祖だけというふうな受け取り方もできるわけなんですか。その点はいかがですか。
○愛知国務大臣 先ほどお話がございましたように、当時の池田総理が、チャイナに帰属すると言われたのはけだし名言であると思うのです。それで私はよろしいのではないかと思います。それからそれを根拠にいたしまして、中華民国、国民政府の現に支配しているところはその中のどういうところであるかということになると、これは日華平和条約の第二条にあるように、あるいは交換公文にあるように、現に支配しているところについてのこれこれのことはこの条約できめるということになっておるのであって、領土として云々を言っているわけではございません。したがって、その、現に支配している云々とということからも言えば、金門、馬祖はその中に入ると、こういう解釈になるかと思います。
○大久保(直)委員 わが国が、台湾の帰属は未決定であるということを再三繰り返しているわけでありますけれども、これには二通りの意味が、私は、あるのではないか。これは、当然中国に帰属すべきであるという前提をもっていまだ未決定であるという場合と、それとも、極端に言えば、また日本に返ってくる——極論すればですね。他の国に帰属する可能性を含めて帰属未決定という場合もこれは考えられる。話としてはですね。いまそんなことはないと思いますが、私は、日本の台湾の帰属に関する見解なり認識というものは、はっきりさせる必要があるのではないか。これは重ねて申し上げるわけでありますけれども、双方の政府が、これは中国のものだ、こう言っておる。その中国と友好促進しなければならない重大な立場にわが国もおる。そのネックが台湾である。そしてこの領土権が関係しておるということになれば、これはイエスということを言えば問題は解決すると思うのです、日本としてはですね。日本としては、です。日本が台湾をどう見ておるか、これは、その日本の態度をはっきりすべきであるということを申し上げているわけでありますけれども、この点についてお伺いしたい。
○愛知国務大臣 これは、いままでもたびたびお話し申し上げたところですけれども、したがって、サンフランシスコ条約に署名、締結をした、いわゆる当時の連合国でございますね、それとの間において、条約上日本は放棄したのでありますから、それについて私は、とやかく日本政府として台湾の帰属について言うべきではないと、かように存じます。しかし同時に、日華平和条約におきましては、現に支配している地域云々というようなことばもございますから、そういう意味で、現に国民政府が有効に支配している地域であるということは認識している、これ以上は、私は、日本政府の立場として言うべき立場にないというのが、やはり国際信義上と申しますか、そういう立場も考えまして、それが正しい姿勢ではないかと、かように存じます。
○佐藤内閣総理大臣 別につけ加えなくとも、いまの愛知君のでいいと思いますが、日華講和条約を締結したそのときの蒋政権、その政権下にある地域、これはもう日本のものではないし、はっきり蒋政権の現に統治する地域、こういうことですから、一応わかっているようなかっこうですね。そうして、中国は一つだということを言っている。これは蒋政権も言っておれば北京政府も言っているんだ、こういうことですから、いまさら台湾の領土がどうなるとか、あるいはそれが、日本がまた取り返すのだとか、こういう心配はないと思いますけれども、北京放送ではそういうことばは出ております。軍国主義日本はどうもそういうことを考えておるようだ、こういうことを言っております。私自身この耳で聞いたんですから間違いはございません。だから、いま大久保君もそういう意味からもただいまのような疑問を投げ出されたんだろうと思います。しかし私どもはさような状態でないことは、これはこの機会に、誤解されちゃ困りますから、誤解されないことをはっきり申し上げて、そうしていまの権利、権原を放棄したその地域、しかもその地域を占拠している蒋介石政権と日華講和条約を締結したのだ、こういう経過を十分尊重しなければならない、これは先ほど来からの議論でございますから、いまさら台湾の帰属問題が議論になろうとは思いません。それは非常にはっきりしたことです。
○大久保(直)委員 そうしますと、もう事実関係の上から、当然二十数年間も統治してきたことでもありますし、もう中国のものである、こういう認識に立ってもふしぎではない、こういうふうに受け取ってよろしいわけですね。
○佐藤内閣総理大臣 この場合の、中国のものだと言われること、これは北京政府か、台湾の中華民国か、これは別として、とにかく中国のものであることには変わりございません。
○大久保委員 総理の口から国際信義ということばをたびたびお伺いしているわけでございますが、私は、わが国は蒋政権の代表者といくさをしたわけではないし、数億という国民を相手にいくさをした、そういう立場から考えますと、むしろ日本が国際信義を感じなきゃならないのは、その被害を与え、またともに血を流し合った相手に対して、私は道義的にも人道主義の上からもやはり大きな責任と信義を用いなければならないというふうに考えるわけでありますが、総理の御答弁を伺っておりますと、日本は台湾にのみ国際信義を重んじ、その七億のもしくは八億の国民のほうにはそういった配慮をする必要もないというふうに、私は、これはひがみかもしれませんが、たびたび感じられるわけでございます。その辺の国際信義という総理の御見解をもう一度ここで詳しく伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 サンフランシスコ条約に引き続いて日華講和条約を締結したその相手方が蒋政権だったこと、これは事実であり、またその当時の模様から見ると、その選択は誤っていなかったのじゃないか、かように私は考えております。したがって、その当時の事柄を考えて、そのときに生じた国際的な義務を忠実に履行する、これがいまの状態であります。いま当面しておるのは、そのいずれと戦ったとか、それで負けたとかいうのでなくて、いま中国に二つの政権があり、そのいずれもが正統政府であるということを言う、そこに問題があるわけですね。小なりといえども中華民国、これは正統政府だと言っている。北京政府はもちろん中華人民共和国が正統政府だ、こう言っている。しかし日本の場合は中華民国と講和条約を締結した、そういういきさつがあって、どうも割り切れないという、そこに困った問題が出ている。二十年たった今日になると、どうもこの前は間違っていたのだ、かようにも考えられるというのが、皆さん方のほうからお尋ねを受けるような諸点ではないかと思っておりますけれども、私は当時の経過、あの当時蒋介石政権と講和条約を結んだことは、これは私別に間違ってはいないのじゃないかと思っております。そういうことだとやはり国際的な義務を生じてきているし、また中華民国そのものが国連の創設以来やはり国連で重要なる役割りを果たしておる、その経過の無視もできない、こういうことでいまになって正統政府、二つのうちのいずれなのだ、こういうことをわれわれに迫られても、それはちょっとむずかしい、そこに問題の難点がある、どうしても進まないものがあるよりに実は思います。その点が割り切れればこれは非常に楽だろうと思いますけれども、そうはいかない、どうもこのほうが都合がいいからといって、国際間の問題を処理するわけにいかない、ここに問題があるように思います。
○大久保(直)委員 まことに遺憾でありますけれども、現在の総理の御答弁の中からうかがえる姿勢では、日中の前進はきわめて遠い道ではないか、また国民の中に言われておりますように、一夜明けて目をあけて見れば米中の国交正常化のほうが先であった、日本は一番最後になって難問をかかえながら日中問題にまたイバラの道を歩まねばならない、そういった事態になるのではないかということを、私憂いを持ちまして、質問を終わらしていただきます。
○田中委員長 曽祢益君。
○曽祢委員 まず中国問題について総理大臣に伺います。 先ほど来の青木委員の御発言等に関連いたしまして、この四月五日の福岡談話等によって、北京政府との接触についても何か打開の道を探ろうというお気持ちはあるようでございます。しかしそれが必ずしもまだ積極的ではないように思います。また、この秋の国連総会における中国の代表権問題についても、まだ確たる成案はないようです。私は、総理が日本の結んだ国民政府との平和条約を破棄する考えのないということを述べられたことは理解します。また国連代表権問題につきましても、中国の場合はほかの、たとえばドイツのような分裂国家とちょっと違う点もありまして、北京と台湾の双方にもし国家としての代表権を認めるということになるならば、それはもう確かに双方から非常な反発を食らうであろうことは、これも理解できます。しかし私が憂えるところは、その首相の一つの中国尊重という立場が、現実にはやはり、むずかしいから結局いままでの国府オンリーの現状維持、これはことばを強めれば無為無策になる。また台湾問題は両国政府の、両政府といいますか、北京並びに台湾両政府の話し合いによって解決されるのが望ましい。これは望ましいには違いないのですけれども、望ましい望ましいで何にもしないことは、これは責任転嫁の逃げ口上だと言われてもしかたがない。そこで、みんなが苦悩しているのではありますけれども、私はそこに何か日本の条約論も考えた上で、一つの筋を立てた何かの打開の、努力の方法がなきにしもあらずではないかと考えます。それはつまり日華平和条約を破棄するとか、あるいは明白に否定する条約を北京政府とつくるという形でなく、しかも北京政府との間の国交調整に努力する道、これは必ずしもないのではない、あるような感じがする。それは、基本的には日本と国民政府の条約による国民政府の承認は、言うならば限定承認だ。そこで皆さんだれも知っているように付属交換公文によって、この条約の適用範囲は結局その時点において国民政府が支配している地域に限る、それがしかも二十年たって、事実上大陸には逆上陸なんかできない、これはだれが考えても。したがってこの条約を守りながらも、同時に大陸の政権、言うならば大きなほうの中国の代表権、代表の資格を十分に持っている北京政府との間に国交樹立を努力するということは、私は、あとから言うように、台湾の帰属がどうだとか、解放権を北京に認めるというような、そういうところにさえ入らない限りは、これは理論的にいっても政治的にいっても十分に理屈は立つ、こういうように思うのです。そこでそれを私はたてまえとして、つまり台湾との条約において残してある自由地域がある、これは大陸についての政治関係には——これは先輩の吉田さんが残した一つの功績だと思います。そこで、この大陸との関係についてはやはりそういう意味で国民政府との条約を破棄し、あるいはそれと抵触しない関係で北京との間の国交調整ができる余地があるのではないか。ただしこれにはむろん双方の政府に十分にその点を説明しなければならぬ。たとえば北京政府に対しては北京側と接触する立場の方が、それは北京政府の言っていることをそうはいかないんだよと、日本としては台湾との条約が歴史的にあるのだし、日本みずからこれを破るわけにいかぬ、そういう説得も必要です。特に私は必要だと思うのは、やはり国民政府に対しても、それは逆上陸といいますか、大陸をもう一ぺん回復するのだというたてまえをとっている政府にいやなことを言うのは非常につらいことであっても、それはやはり友人として世界の大勢を考え、日本の国論を考え、また特にことしの秋の国連総会等を考えれば、もうこの辺でやはり大陸の事実上の政府というものと日本が国交調整するということに、そういうことにあまり異議を立てるというのではうまくいかぬ、こう説得使を送る必要があるのではないか。これはほんとうにハイレベルの人を送るべきだ。それこそ北京に閣僚級の云々という話はけっこうですけれども、国府に対しても閣僚級かむしろ首相クラスを送るべきではないか。あなたのお兄さんの岸さんなんか一番いいと思う。これはやはり国府に信用のある人、あるいはあえて言うならば私の大先輩の西尾さんもいいかもしれない。そういったような人に国府にじゅんじゅんとして友人としての忠告、あるいはそれは良薬口ににがくてもそういうことをやることが非常に必要であるとまず考えますが、その点についての御所見を伺います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの曽祢君の御所見、私ずいぶん胸を打たれるものがございます。私が閣僚級の接触を持ちたい、こういうことを申したのも、発想は大体いまおっしゃるような意味合いから発想しておるわけです。ただ受け入れることがいまの状態ではなかなか可能でない。どうもこれがむずかしい状態だ、かように思っております。またいまのような場合にしても、台湾を先にすべきか北京を先にすべきか、そこらの選択の問題もございます。これはやはり問題が、いろいろ考えながらも別々にやるのか同時にやるのか、そこらにも一つの問題がある。なかなかむずかしい点ですけれども、しかしせっかくの御提案ですから、具体的なお話ですから、これは十分考えることにいたします。
○曽祢委員 確かにタイミングの問題もあります。しかし大体同時的くらいに並行して両方にやはり特使を送るというふうなことが必要ではないか。これは十分にひとつお考えを願いたいと思います。 それから、これは青木委員が触れられたことにダブるのではなはだ恐縮ですけれども、やはりこういったような日本対北京、日本対台湾、こういういわゆる二国間の交渉、これはやはり基本だからやらなければいけませんが、なかなかその条件が折り合わないとか問題もありましょうし、一方国連総会におけるマルチラテラルな、多数国間の中国の地位、代表権の問題のほうは、これは秋にはかなり決定的な段階になる。したがって、やはり二国間の関係だけではなくて、国連における代表権の問題についてもりそろそろやはり詰めていかないと、先ほども私も申し上げたように、中国の代表権は北京政府にあり、これは私は理論的にも総会のみならず安全保障理事会においてもそうじゃないかと思うのですけれども、それと同時にわれわれとしてはそれだったらアルバニア決議案の後段の国府の単純なる追放、これはわれわれは賛成できないと私は思います。したがって、そこで非常にむずかしい問題ですけれども、しかしいろいろなこまかい動議の出し方、そういうこまかいテクニックはこれはいいですよ、有能なる事務当局がおられるのだから。そうではなくて、やはり基本的にはやはり北京政府を迎える。これは中国の代表者、台湾の問題についてはこれはやはり両方からめていわゆる二重代表権ということか、少なくとも二つの分裂国家の両方に国としての議席をやる、これはいかぬと思うのです。そうでなくて、とにかく政府のほうとして二重の代表権、これは御承知のドーク・バーネット教授の提案とかありますし、また同じような提案はJ・K・フェアバンク教授が言っているように、これはむしろ二重代表権というより二重投票権といったほうがいいのじゃないか。つまりソ連とウクライナ、ホワイトロシアがそれぞれ投票権を持っている、そういったような知恵をいろいろ出せばいろいろあると思うのです。そういうことでもっと具体的に日本が研究し、これでひとつ総会に対して基本的には北京政府を迎えるに賛成。その前にやはりバイラテラルな説得使が出なければいけません。同時に日本から出す。そして国民政府の地位についての日本の思いやりのある、そしてそれは相当な多数の賛成が得られるに違いない。北京政府を迎えることには賛成だけれども国府追放にはどうかなということが相当あることは事実なんです。これは最終的解決でないにせよ一つの前向きの進歩じゃありませんか。直ちにどちらの政府がどう反応するか、なかなかそれはむずかしいけれどもそれは解決へのアプローチに違いない。そこまでぜひ踏み出す決意はおありだろうと思いますが、いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 さすがに曽祢君外交のベテランだからそういう段取りまで御指摘でございますが、私はいま一番困っておるのは、いろいろな具体案はできておるけれどもアプローチがいずれも閉ざされておる。アプローチの方法がいまないのですね。台湾、これはたいへん親交はあるというので、そこへ適当な、日本の信頼するような人で、出かけてそういう接触を持ち得る人、それもなかなか見つからなければ、また北京のほうはまだもっと積み重ねないとアプローチは全然ない。何をやるにしてもいまだめだ、そういう状態だと思っておりますが、アプローチさえできればおのずから開けるのではないか。そこへいくと今度は藤山君が一応推薦してくれれば、そういう人なら会おう、こういうように北京政府も言っておりますから、これなら可能かと思いますけれども、いまのところはアプローチの方法がない。それでその先の案は、いろいろ学者諸君も授けてはくれておるけれども、それを具体化するそういう手だてがいまない、ここに悩みがある、かように御理解いただきたいと思います。
○曽祢委員 私もまた多くのこの委員の方も、立場は違ってもこれだけ重大な、世界の人の頭を悩ましておる問題が一挙にすぱっと解決すると思っておる人はおらないと思うのです。また性急であってはならない。しかし何かイニシアチブをとって前進してまたそれで反響を見る。とてもこれは北京からけられるだろう、台湾はおこるだろう、それでは何もできない。それではいけない。やはり筋の立った前進をするということが必要だと思うので、ぜひ総理の決意を促して、時間がないので次の問題に移ります。 防衛庁長官にもわざわざ来ていただいたのですが、時間の関係でもし御質問する時間がなかったらお許しを願って、総理大臣から御答弁を願うこともあるかもしれませんから、あらかじめ御了承を願いたいと思います。 私は、横須賀を中心とする在日米軍施設、区域の日本移管を延期した問題について、これは単なるローカルの問題ではない非常に重要な問題なので伺いたいわけであります。 簡単に申し上げると、昨年の十二月二十一日の日米安保協議委員会で決定発表されました米軍の基地整理が、横須賀についてのみ三回にわたって整理解雇の延期、一部ですけれども解雇延期の通告がなされました。現地においてはこれは非常に不安動揺、日米両当局に対する不信の念が起こりました。したがって、私は再三再四外務委員会及び予算委員会においてこの問題をとらえ、そして真相の究明と政府の善処方を求めてきたわけであります。しこうしてこの三月三十日、外務省はこの問題についての発表を行ない、横須賀艦船修理部の対日移管の一年間の延期と第七艦隊の旗艦を含む部隊の佐世保移駐の取りやめを発表いたしました。 さて、なぜこの安保協議委員会の形式をとらずに、交換公文が行なわれたようでありますけれども、それすら公表しない。それでその概要の結果だけを発表された。これらの問題はどうも明朗欠くような感じがしてなりません。また発表の内容につきまして見ますと、関係施設の円滑な移管のため日本側は云々と書いてあります。そうするとアメリカ側のほうは予算の余裕ができたからやってやる、むしろ世間、現地ではこれはアメリカ側がやっておるというより実際上は日本側の都合でそれで延期してもらったという感じすら受け取れるわけであります。これについても問題の背後に、艦船修理施設の移管後どう運営していくかということについて、まだ内閣、政府の態度が未決定のようであります。未決定であるし、予算的、法制的の準備が本国会中にできそうもない。したがって、日本側から特にSRF、艦船修理前門の移管を受ける準備ができないから一年延ばしてくれというのが真相ではなかろうかという推定がされるわけであります。私はこのことは非常に重大だと思う。本件は決して単なる横須賀だけのローカルのものじゃございません。何となれば、私の見るところでは、日米安全保障協力の形態が常時駐留、米軍の基地の保有から駐留及び基地の大幅削減、そして有時協力体制に移るということはたいへん好ましいことだ、そういうときに、この問題にぶつかっている。せっかくといいますか、アメリカが返していこうというのに、——それは雇用の安定の問題もありますが、基本的に日本側の準備がないからおくらせるとは一体何ごしだ、そういうことがいいのか。私はこの点について非常に遺憾に思うわけです。しかも私の知っている限りにおいては、さっき申し上げたような防衛庁のほうが艦船修理施設を全部でなくても、せめていま一部でもいいからこれを国有国営化して自分でやっていきたいと強い希望を持っておられる。それはわからぬではないけれども、そういうやり方が施設の効率的運営からいえばむだでは汚いか。しかもそういうことが巨大な日本海軍の復活という印象を与えるとすれば、これも事実に序するし、遺憾なことではないか。現にこういう手違いから、少なくとも現地では日米両国政府、特にこれはアメリカが悪いんだというような印象を与えることはたいへんに好ましくない。やはりこれは重大な日米安全保障協力の一つの新しいパターンをつくる門出において、両国間のあれが日本側の都合によって日米協力がまずくいっているというようなことになったらたいへんなことだ、私はこう考えますので、これはひとつ防衛庁長官からお話も聞きたいのですけれども、時間がないのでたいへん失礼ですけれども、総理大臣から、以上の点を踏まえて、一体総理大臣は民営方式に決定されるお気持ちがあるかどうか。防衛庁の要求は、民営の中で吸収できると私は信ずるのですが、いずれにしても、この問題をいつまでも引っぱっておくのは非常に悪い。この間の外務省の情報文化局の簡単な発表では、かえってこれは誤解すらも起こしておりますので、SRFの移管後の運営方式を中心として政策をはっきり決めた上で、一切の暗雲を取り払っていただきたいと思うのですが、総理のお考えを伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 横須賀の問題では、外務大臣や防衛庁長官、いろいろ苦心し、くふうして一応一年間延期というような形で米軍が使うというところに一応なっておりますが、しかしその経過等は、もう少し私のつまびらかにしない点もありますので、これは外務大臣からお聞き取りをいただきたいと思います。 また、これが今後どういうような運営形式になるか、これについては、まだ政府としては態度を決定しておりませんから、それらの点をも含めて防衛庁長官からも発言するだろうと思います。
○愛知国務大臣 一言、時間もございませんから申し上げますが、ただいま御指摘のとおり、一つの安保の新しいパターンというお話がございましたが、その道程における一つの問題の扱い方として、日米双方に私は反省すべき点があったと思います。この点は私も遺憾の意を表したいと思います。ただ、これは日本側の要請ということだけではございませんで、アメリカのほうでは、昨年十二月当時に予想されたような予算削減がなくて済んだということで事情変更が起こりましたことと、たまたま日本側におきましても、やはりもう少し慎重に一年の余裕を持って検討したほうがよろしいということで、双方が合意できたわけでございます。 それから、これはいわば日本流に申しますと、持ち回りの形をとって合意をやり直したわけでございますが、持ち回りとは申しますものの、双方として慎重かつ高度の手続をとりましたつもりでございますが、ただいま申しましたように、今後これらの処理については、もっと真剣に、もっと手続を十分やってという反省をいたしております点は、重ねて申し上げておきます。
○曽祢委員 総理、早く態度をきめてください。 終わります。
○田中委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 総理大臣の御答弁を、先ほどからずっと伺っていたのでありますが、中国政策については、目ぼしい前進があったというふうにはとても考えられない状態であります。それからまた、総理御自身も困ったということをいろいろ言われる。しかしこの問題につきましては、国内外の矛盾に直面をしている。佐藤内閣の政策では解決できないということが国内外で明らかになってきているのじゃないかと私は思うわけです。これは私、平和条約を蒋介石政権と結んだということが政治的に誤りであったということが、この期間の間に歴史的に実証されてきているということではないかと思うわけです。総理大臣は、これは間違いでなかったということを先ほどから言われておりますが、この日華平和条約を結ばれたときも、これはすでに中国大陸を、中華人民共和国が成立をして支配をしていたわけです。ここの根本が誤っているというふうにはお考えにならないかどうか。政治的な、歴史的な実証の中でこの誤りをあらためて日本は反省しなければならないのじゃないか、考え直さなければならないのじゃないか、こういうふうにはお考えになりませんか。
○佐藤内閣総理大臣 いろいろ考えなければならぬ点があると思います。しかし日本共産党とわれわれ自由民主党が同じように北京には扱われているのです。幾ら藤山特使がよろしいと言っても、どうも日本共産党と佐藤反動政権とは一緒に会うわけにはいかぬ、こういうふうに言われておりますが、いまのような点を御理解の上でいまのような反省があるわけですか。
○松本(善)委員 そういう問題は、私はまた別問題であろうと思います。それは向こうの考え方の誤りの点ももちろんありますが、中国との国交を回復するという点について、総理大臣に国の進路という点で私はお聞きしているので、私はそういう答弁のしかたというものは、きわめて不謹慎であると思います。私がお聞きしたのは、総理大臣が日華平和条約を結ばれたときのことについて、歴史的にこの誤りというのが実証されてないか、そうはお考えにならぬかということであります。
○佐藤内閣総理大臣 たいへんふまじめな答弁をしたというおしかりですから、それは取り消してもけっこうですが、しかしいまの吉田全権、これが当時蒋介石政権を選ばれたこと、これは間違いでなかった、かように私は思っております。いまだにその点ははっきり申し上げ得る、かように思っております。
○松本(善)委員 この点につきましても、私どもはたくさんお聞きしたいことがありますが、いま緊急な外交問題として——あとにはなかなか機会がなかろうと思いますので、総理大臣に私は沖繩返還協定の問題をお聞きしておこうと思います。それはもう緊急に調印ということも新聞報道されておりますが、今国会の会期中に調印というようなことになりましょか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、いろいろ外務当局にも、一度国会の中間報告ができるような、そういう意味で沖繩報告をひとつ取り上げる、そういう場をつくっていただいたらどうかと、こういうことを国会運営の連中にも話をしておるのです。いま外務大臣から伺っておりますが、なかなか会期中には調印にまで取りつけ得ない、いまの状態では、どうもその方向じゃないだろうか。かように思います。相手方もありますし、また日本の国内事情もございますから、いろいろ法案等の準備段階もある。こういうことで、急いでおることはお互いに急いでおるのですけれども、なかなか最終的結論までこぎつけることは容易でないと御理解いただきたい。
○松本(善)委員 それで大詰めに入っておると思いますので、重要な返還協定と日米共同声明の問題についての総理大臣のお考えを伺っておきたいというふうに思っているわけです。日米共同声明と返還協定の問題については、私が予算委員会で取り上げまして以来、これはほかの委員も取り上げられ、それから新聞でもいろいろ問題になってきておるようでございます。端的にお伺いいたしますが、日米共同声明という六文字は入るのかどうか。あるいは入れるというお考えがあるかどうか。この点簡潔にお答えいただきたいのです。
○愛知国務大臣 まだワーディングはできておりませんですから、簡潔にイエスとかノーとかお答えできません。ただ本質的に、前から申し上げておりますように安保条約が本土並みに適用される、そしてその安保条約は沖繩返還において変質するものではない、これが眼目であると思います。
○松本(善)委員 それではこういうふうにお聞きしたいと思います。小笠原返還協定の前文には「この地域の安全をそこなうことなく」という文章が入っております。これと同じやり方をとりますと沖繩返還協定では、日米共同声明の六項でいっております「日本を含む極東の安全をそこなうことなく」という文章が入るのではないかというふうに思うわけです。この点について伺いたいのでありますが、特にこれに関しましては、日米共同声明に関してのアメリカでの愛知外務大臣の説明があります。声明の六項の文言は一九六七年の佐藤・ジョンソン共同声明の小笠原返還に関する合意の部分と全く同じ表現が用いられているということに注意してもらいたい、こういうことがあります。念のために、その同じ表現が用いられているという部分を読んでみます。佐藤首相は御自身でつくられたわけですから、思い出していただきたい思います。「日米両国共通の安全保障上の利益は、沖繩の施政権を日本に返還するための取決めにおいて満たしうることに意見が一致した。よって、両者は、日本を含む極東の安全をそこなうことなく沖繩の日本への早期復帰を達成するための具体的な取決めに関し、両国政府が直ちに協議に入ることに合意した。」ところが、愛知外務大臣のお話とは違いまして、これは小笠原の場合と違うところが一つだけあります。それは、いま私が申しました小笠原の場合は「この地域の安全をそこなうことなく」となっているのに、今度の場合には、共同声明では「日本を含む極東の安全をそこなうことなく」というふうになっている。総理大臣に私が伺いたいのは、小笠原と同じように「日本を含む極東の安全をそこなうことなく」という文章が入るのでは互いかという点が一つです。それからもう一つは、佐藤・ジョンソン声明と佐藤。ニクソン声明ではこの表現がなぜ変わったのか。これは御自身よくおわかりのことと思います。その二つをお答えいただきたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 ジョンソン・佐藤声明とニクソン。佐藤声明が違うという御指摘ですが、趣旨は全然同じです。したがって私どもは、沖繩が本土に返ってきても、これは沖繩が本土並みになるんだ、かように考えておりますので、沖繩並みに本土がなるとは、かようには考えておりませんから、その辺は在来の主張どおり変質するものでないということだけははっきり申し上げておきます。
○松本(善)委員 これは表現は同じだと言われましても違っているわけなんです。小笠原の場合の「この地域の安全をそこなうことなく」というのは小笠原の付近ということだと思います。今度の佐藤。ニクソン声明で「日本を含む極東の安全をそこなうことなく」というのは、非常に広いです。極東ということになりますとこれは非常に広いわけです。これは明らかに違っておるわけです。これは沖繩返還協定の本質に関係するものではないかというふうに私たちは思うわけなんです。その点について再度お伺いしたいのと、いまお答えされませんでした「日本を含む極東の安全をそこなうことなく」という文章が入るのかどうか、あるいは入れるおつもりがあるのかどうかということを伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、文言がどういうふうになるかということについてはまだ申し上げる段階ではない、まだできておりません。それから、ただいま総理が、趣旨において全く同じと言われましたことは、安保条約の条文を引くと申しますか、変質がないという意味で全く同じでございます。したがいまして、先ほど私申しましたように、沖繩返還に伴っては安保条約は変質しない。その変質せざる安保条約が何らの変更なく沖繩に適用される、こういうことはかっちりしたい、かように考えております。
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を始めて。
○松本(善)委員 私は、ワーディングはきまっていないというふうに言われますが、この第六項のこの場所に「日本を含む極東の安全をそこなうことなく」というふうに入っているということは——これが入るということになりますと、この意味は、現在沖繩の米軍基地の果たしている安全保障上の機能を低下させることなくという意味ではないかと思う。この返還がそういうような意味を持つということになりはしないかということを感ずるわけですが、外務大臣、その点はどうでしょうか。
○愛知国務大臣 これは、その協定ができて、そうして十分ひとつ御説明をその機会にいたしたいと思います。 いまの私の姿勢といたしましては、この安保条約の前文なり第一条なりにはっきりその性格——安保条約の性格がそのほかの条文に出てもおりますね、そのことが何らの変更なしに沖繩に適用されるということははっきりさせたい、その一点に尽きるわけでございます。
○松本(善)委員 いま私が申しました部分が協定に盛り込まれますと、外務大臣常々言われております、まさに日米共同声明の精神が盛り込まれるということになるのじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 沖繩返還についての日米共同声明の精神というのは、先ほどからも何べんも申しておりますように、変質せざる安保条約が何らの変更なしに沖繩に適用される、これが沖繩返還についての最大の眼目で、これが共同声明の中核である、かように考えるわけでございまして、そのほかの部分に対しては、たとえば一般的国際情勢の分析や判断、認識というようなことも、共同声明の性格上そういうことも出ておりますね。ところがそれは返還ということ自体についての問題ではないとも言えるわけでございまして、返還についての協定の上においては、いま申しました安保条約がずばりとそのまま適用される。これで必要にして十分ではないだろうかと考えております。
○松本(善)委員 それでは沖繩の特殊部隊の存続について、これは安保条約の変質の問題とも関係をいたしますので、あらためてこの時点でお聞きしておきたいと思います。 この点については、私ども何度も指摘をいたしましたし、たくさんの議員が追及された点でありますが、この特殊部隊、まとめて申しますとアメリカの第七心理作戦部隊、VUNC——国連軍の声放送、SR71偵察機、CSG——混成サービスグループ、それから太平洋地域アメリカ陸軍情報学校、統合情報処理センター、アメリカ陸軍第一特殊部隊、それからアメリカの国務省系の対外反共放送のVOA、FBIS、これは海外情報サービス機関、こういうものの存続を許すかどうかという問題は、安保条約の変質を許すかどうかという根本問題だと私どもは思っているわけです。の問題について、これらのものはやはり撤去するようにしろということを私どもは四月の六日に日本共産党といたしまして政府に申し入れたわけであります。この点についての外務大臣のお考えをまとめて伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 お話しのように、安保条約の性格を変更しないでそのまま沖繩に適用するのでございますから、その観点から見て好ましくないというようなものがあれば、これの駐留ということは私はやめてもらうべき問題である、基本的にはさように考えております。 第二に、それについては現在沖繩にあるいまおあげになりましたようないろいろの部隊の実態を十分知りまして、そして国会を通して御説明するようにしなければならないと心がけておりますが、まだ細部にわたっての実態等を御説明できる段階にございません。そして御説明できるような実態の掌握の上に立ちまして、いま第一に基本姿勢を申し上げましたような基本姿勢の上に対米話し合いで決着をつけたい、かように考えております。
○松本(善)委員 第三国人の訓練の問題について外務大臣は、これは好ましくないという答弁をされたことがあります。これは昨年九月に伊江島でベトナムの少年兵がパラシュート降下訓練をしたということもありますし、それからことしの三月六日には沖繩で飛行訓練を受けていたベトナム兵がにせドルを使って逮捕されたという事件もありました。それからアメリカの下院外交委員会の国家安全保障政策・科学小委員会の報告で明らかにされておりますが、アメリカの陸軍情報学校が存在するということも明らかになっております。それから、キャンプ・ハーディーの反乱鎮圧学校、それから沖繩本島北部地域にあります第三海兵師団の対ゲリラ戦訓練学校についても報道されております。こういうものがいろいろ疑惑があるわけでありますが、米軍が安保条約のもとで第三国人の訓練をするということは安保条約違反になるかどうかという点について御意見を伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 違反とは私は考えません。その内容の実態等について照らしてでなけれげ正確なお答えはできませんけれども、一がいに頭から違反だということは私はないと思います。前にも申し上げましたように、たとえば一つの部隊なりあるいは組織なりが能力がある、その能力だけで、これはこういうことができる、極限までの能力を持っておる、ただその事実だけを押えてこれは好ましくないとか好ましくあるとかいうことは必ずしも断定できないんじゃないか。そもそも同時に安保条約は国連憲章第五十一条をもとにした考え方で、そしていわゆる抑止力理論とでも申しますか、その上に立って、脅威が国際的に起こらないように未然に防止する、こういう角度からつくられているものでございますから、そういう目的に照らして有効適切な抑止力が形成されるということが筋であると思います。同時に、したがって事前協議等の制度によりまして、戦争に巻き込まれるというような危険を防止するための歯どめができているわけでございますから、必ずしもたとえば一つの飛行機が航続距離が非常に長いという可能性を持っているとしても、ただそれだけの理由でその飛行機は駐留は許せないということにはならないのと同じ理屈が立ち得るのではないだろうか、こういうふうに思っております。
○松本(善)委員 第三国人の訓練をいままで本土でやったことがありましょうか。
○愛知国務大臣 ですから、これも一がいに安保条約の目的に違反するとは私は言えないと思います。その実態によりますので、今回返還に際しての沖繩における部隊あるいは組織等については、十分実態を掌握していずれ御説明できる機会があると思います。
○松本(善)委員 いままで本土でやったことがあるかどうかということについて。
○愛知国務大臣 これはちょっといまお答えいたしかねますから、よく詳細に調べていずれお答えすることにさせていただきたいと思います。
○松本(善)委員 この第三国人の訓練が安保条約の目的に違反しないということを言われたわけでありますが、これは日本の安全とは一体どういうぐあいに関係をしているのか。
○愛知国務大臣 これはことばじりをつかまえられたようですけれども、私は一がいに頭から違反と断定はできなかろうと申し上げたわけでございまして、違反でありますと断言ができないと言っただけであって、これはやはり内容、実態等をよく——その内容、実態によって判定すべきものだと思います。
○松本(善)委員 そうすると第三国人の訓練で安保条約の目的に反するという場合もあり、反しない場合もあるということのようでありますし、その他のものについてもそういうふうな御答弁のように伺ったのですが、その基準でありますね。第三国人の訓練の問題だけに限ってお聞きしてもよろしゅうございます。基準ですね。どういう場合には安保条約の違反になり、どういう場合には安保条約の違反にならない、こういうふうに外務大臣はお考えになられているかどうか。
○愛知国務大臣 たとえば一つの施設が国内にあった場合に、その施設を見学的に活用するというようなこと、友好国、国交のある国々の間でその知識、訓練を交換し合うというようなことは通例行なわれていることでございまして、そういう角度から見て、この程度はこれは通例さようなものとして許し得るものであるという場合も私はあろうかと思うのであります。
○松本(善)委員 私が例をあげましたのは、降下訓練とかそれから反乱鎮圧学校とか情報学校とが、それからゲリラ戦訓練学校とかいうようなのを例にあげました。これは見学とは全く違います。これは安保条約の目的の範囲内に入りますか。
○愛知国務大臣 ですからこれは、いまあなたはいろいろお調べになったようですが、政府といたしましても十分調べて、こういうものは好ましくないであろう、こういうものは好ましいといいますか許され得るものであろうかというように、具体的に実態をよく調べました上で回答を申し上げたいと思います。
○松本(善)委員 このアメリカの陸軍情報学校などは、これはアメリカの正式の機関の報告にはっきり載っているわけなんです。それは調べなくてもわかっていることなんです。私はこの時点でそういう問題について外務大臣がそのような御答弁をされるということは、これについての関心はきわめて薄い、そのままあるものを合理化していくというような感じがしてならないわけです。まさにこういうことが安保条約の実質的な変化をさせていこうということではないかということをほんとうに疑うわけであります。陸軍情報学校の問題についても外務大臣は御存じなかったわけでありますか。
○愛知国務大臣 どうも問題がこんがらかっているようでございまして、沖繩の問題として沖繩に本土並みということでしかも安保条約の目的にかなうようにいたしたいということで努力をしておるというのがまず第一点。 それからもう一つは、本土のほうにどういう状況があるかということのお尋ねでございますから、それについてはただいま資料等を持っておりませんから、いずれ調べまして御回答申し上げる、かように言っておるわけであります。
○松本(善)委員 たいへん不十分な御答弁だと思いますし、それから考え方としても私は非常に危険なものがあるのではないかというふうに思うわけであります。時間もありませんので、この程度にいたしますけれども、この点につきましては私どもだけでなくて、非常に多くの人が心配をしておる問題であります。先ほど総理大臣も中間報告のことを言われましたけれども、早急にそれについての政府の考え方を、調査した上でお答えしていただきたいというふうに思います。そのことを要望しておきます。
○愛知国務大臣 まず第一の点は、何とかしてこの国会の会期中に沖繩返還協定の問題では中間的に御報告を申し上げたい、かように存じております。 それからもう一つの、本土内の軍施設についてのお尋ねは、これはただいまお尋ねがありました点を防衛庁等にも移しまして、御回答申し上げるようにいたしたいと思います。
○松本(善)委員 終わります。
○田中委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午後五時四十一分散会