外務委員会 第6号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1971/03/05
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 最低賃金決定制度の創設に関する条約の締結について承認を求めるの件、開発途上にある国を特に考慮した最低賃金の決定に関する条約の締結について承認を求めるの件及び国際労働機関の総会がその第三十二回までの会期において採択した諸条約の一部改正で条約の運用に関する報告の国際労働機関の理事会による作成に関する規定の統一を目的とするものに関する条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を議題として、順次政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務政務次官竹内黎一君。 最低賃金制度の創設に関する条約(第二十六号)の締結について承認を求めるの件開発途上にある国を特に考慮した最低賃金の決定に関する条約(第百三十一号)の締結について承認を求めるの件 国際労働機関の総会がその第三十二回までの会期において採択した諸条約の一部改正で条約の運用に関する報告の国際労働機関の理事会による作成に関する規定の統一を目的とするものに関する条約(第百十六号)の締結について承認を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕
○竹内政府委員 ただいま議題となりました最低賃金決定制度の創設に関する条約(第二十六号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この条約は、一九二八年六月十六日に国際労働機関の第十一回総会で採択されたものであります。その内容は、労働協約その他の方法により賃金を有効に規制する制度が存在しておらず、かつ、賃金が例外的に低い若干の産業分野の労働者のために最低賃金決定制度を創設しまたは維持すべきこと並びに各国は、最低賃金決定制度の性質、形態等を決定する自由を有するが、制度の適用にあたっては関係労使等と協議すべきこと、制度の運用への労使の参与は平等であるべきこと及び決定された最低賃金率は関係労使を拘束することを条件とするものであること等最低賃金決定制度に関し基本的と考えられる原則について規定したものであります。 わが国におきましては、主として最低賃金法により、条約にいう最低賃金決定制度は確立されているところであり、また、条約において規定される最低賃金決定制度に関する諸原則もすべて充足されているところでありますので、この条約を締結し、右の事実を国際的に確認することは、わが国の最低賃金制度の推進をはかる上からも、また、労働問題の分野におけるわが国の国際的地位を高める上からも、きわめて有意義であると考えます。 次に、開発途上にある国を特に考慮した最低賃金の決定に関する条約(第百三十一号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この条約は、一九七〇年六月二十二日に国際労働機関の第五十四回総会で採択されたものであります。 この条約は、その前文にもありますとおり、千九百二十八年の最低賃金決定制度条約等を補足するものであり、一般的に適用されますが、開発途上にある国の必要を特に考慮したものであって、その内容は、雇用条件に照らし対象とすることが適当である賃金労働者のすべての集団について適用される最低賃金制度を設置すべきこと及び千九百二十八年の最低賃金決定制度条約に規定されておりますような最低賃金決定制度に関する諸原則に加え、最低賃金の水準の決定にあたって考慮すべき要素等について規定したものであります。 わが国におきましては、主として最低賃金法により、条約にいう最低賃金制度は確立されているところであり、また、条約において規定される最低賃金決定制度に関する諸原則もすべて充足されているところでありますので、この条約を締結し、右の事実を国際的にも確認することは、千九百二十八年の最低賃金決定制度条約の締結と相まって、わが国の最低賃金制度の推進をはかる上からも、また、労働問題の分野におけるわが国の国際的地位を高める上からも、きわめて有意義であると考えます。 最後に、国際労働機関の総会がその第三十二回までの会期において採択した諸条約の一部改正で条約の運用に関する報告の国際労働機関の理事会による作成に関する規定の統一を目的とするものに関する条約(第百十六号)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この条約は、一九六一年六月二十六日に国際労働機関の第四十五回総会で採択されたものであります。その内容は、一九四九年の第三十二回総会までに採択された諸条約につきましては、理事会は、それぞれの条約に定める五年または十年の期間ごとに、当該条約の運用に関する報告を総会に提出し、また、当該条約の改正問題を総会の議題とすることの可否を検討することになっているものを、理事会が必要と認めるときにこれを行なうことに改めるものであります。これにより理事会による前記の諸条約の運用報告の作成及び改正問題の検討が第三十四回総会以後に採択された諸条約と同様に弾力的かつ効率的にも行ない得るようになりますことは、きわめて望ましいものと認められます。 わが国は、この条約による修正の対象となる条約のうちすでに二十四の条約を批准しておりますが、これらの二十四の条約についてこの条約に規定する修正を認めることが必要であり、また、今後この種の条約でわが国が未批准のものを批准する場合にもこの条約による修正を認めておく必要があると考えます。 以上三件につきまして御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○田中委員長 これにて以上三件の提案理由の説明は終わりました。 各件に対する質疑は、後日に譲ることといたします。 ――――◇―――――
○田中委員長 コンテナーに関する通関条約の締結について承認を求めるの件、国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の締結について承認を求めるの件及び航空機の不法な奪取の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題として審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次、これを許します。石井一君。
○石井(一)委員 きょうは私は、三つの条約が議題になっておりますが、第三番目の航空機の不法奪取の防止に関する条約に関して総括的にお伺いをしたいと思います。私の質問はかなり細部にわたる面もあろうかと存じますので、政務次官あるいは政府委員からお答えをいただきたい、こう思うわけでございます。 最初に、このハイジャックが最近世界的に非常に多くなる傾向で、まことに遺憾でございますが、一昨年七十二件、昨年は六十九件でありまして、本年はどうなるかというふうな状態にあるわけでございますから、できるだけすみやかにこのような条約は私たちも批准したい、こういうふうに考えておるわけでございます。まず最初に、非常に基本的な質問でございますが、各国はこの条約に対して非常に積極的に参加する意思があるのかどうか、また発効の見通しはどうかというところからひとつお答えをいただきたいと思います。
○山崎政府委員 お答え申し上げます。 この条約は昨年の十二月にヘーグにおいて開催されました外交会議において採択されたものでございます。非常にごく最近にできた条約でございますが、このときにも七十七カ国の多数が参加いたしまして、その最終日でございます十二月の十六日に、このうち五十カ国がこれに署名をしておるわけでございます。わが国もその中に入って署名をいたしております。まあこのことから考えましても、各国のこの条約に対する熱意は十分うかがえるわけでございます。それからその後私のほうでいろいろ調査いたしましたところによりますと、わが国と同様に本年じゅうにこの条約を批准するということを目標に手続を進めております国は英国、カナダ、 スイス、アメリカ、デンマーク、ベルギー、オランダ、ドイツ、 スウェーデン、ギリシア、ブラジル、 イスラエル、 ハンガリー、イラン、チェコがありまして、ソ連、ポーランドも早期に批准する意向を有しておると聞いております。この条約は、規定をごらんいただきますとわかりますように、へーグ会議に参加いたしました十カ国の署名国の批准書が寄託されました後に三十日で効力を発生するということになっておりますので、このような情勢から見まして、この条約は本年じゅうにも発効すると私たちは考えております。
○石井(一)委員 外務省から提供された資料などを調べておりますと、現実の問題としてハイジャックが非常に起こっておるのは、たとえばキューバであるとかそれからアラブ諸国などが多いようでありますけれども、漏れ承りますと、こういう国が案外この条約に対して消極的であるということを伺っておりますが、この点に関して、これらの国がどういう態度であるかということが一点。 それから第二点は、いわゆる分裂国家でございますが、よく読んでみますと、オールステーツ方式などをとっておりまして、分裂国家であっても参加し得る、そういうふうな方式はとられておるわけでございますけれども、現実にそういうふうになるかどうかというところが非常に疑問なところだろうと思います。特にわが国にとっては、たとえば北鮮であるとか中共というふうな国がこの条約に入るか入らないかということが、わが国のハイジャック問題に対して特に関心の深い問題だと思いますが、これらの国がどういうふうな態度をとっておるのか、それらに対して外務省はどういう見通しを持っておられるのか、この二点をひとつお答えいただきたいと思います。
○山崎政府委員 キューバとかアラブ諸国は確かにこの条約に最も入ってもらいたい国であります。ただキューバもアラブ諸国もハイジャックの防止自体には、従来から見ておりますと大きな関心を寄せていることは事実でございますが、残念ながらキューバにつきましては昨年十二月のへーグ会議にも出席いたしませんでした。この点非常にわれわれとしても遺憾に思っておる次第でございます。したがいまして、キューバに対しましては、この条約に入ってもらえるかどうか、われわれとしてはまだ何とも見通しが立たない次第でございます。 アラブ諸国につきましては、現にこの会議にアラブ連合それからクウェート、それからレバノン、リビア、チュニジア、アルジェリアが参加いたしております。そしてアルジェリアは最後の段階で条約の採択に棄権いたしましたが、それ以外の国はすべてこの条約の採択に賛成しております。したがいまして、アラブ諸国に関しましては、この条約にわれわれとしては早期に加入してくれるのではないかと期待しておる次第でございます。 それから次の分裂国家一般でございますけれども、先生御案内のように、この条約はすべての国が入り得るような、いわゆるオールステーツフォーミュラを採用しておるわけでございますが、すでに東独は本年の一月四日にモスクワにおいてこの条約に署名しておりますので、東独はおそらくこの条約に加入するのではないかと思われます。ただ残念ながらその他のアジアにあります分裂国家につきましては、いまのところわれわれとしては加入するかどうか全くまだ見通しがつかない次第でございます。
○石井(一)委員 それじゃ次に条約の中へ入りまして、法務省の政府委員にお尋ねをしたほうがいいかと思うのでございますが、第三条に、この条約が適用されるのは航空機の飛行中だということが定義されておりまして、その「飛行中」という意味は、「そのすべての乗降口が乗機の後に閉ざされた時から、それらの乗降口のうちいずれか一が降機のために開かれる時まで、」言うなれば「飛行中」という意味は、飛行機が飛んでおるという意味でなしに、飛行機のドアがしまったときからその次に着陸してドアがあくときまでという規定がされておるわけであります。それを「飛行中」という定義でこの条約に適用するというふうにあるわけでございます。ただ数カ月前にわが国で犯人に対する処罰をきめました航空機の強取等の処罰に関する法律案、このときには、その一条には飛行中ということばを使わずに「航行中の航空機を強取し、」ということで、「航行中」ということばを使っております。なお法務委員会の議事録を調べてみますと、政府委員のほうから、この質問がわが党の瀬戸山委員から出ておったわけでございますけれども、「航行中」というその概念の定義を「本法の場合には、離陸のためのエンジンの作動開始のときから、着陸のための滑走が終了する時点まで、」と考えておる、そういたしますと、ことばが「飛行中」と「航行中」というふうに、変わっておりますけれども、「飛行中」という場合には、ドアが締まったときからドアがあいたときまでという概念であり、「航行中」という場合は、要するに、飛行機がいよいよ走ろうというときから今度はおりてきて滑走路でとまるときまでということになっておって、その間に、「飛行中」よりも「航行中」のほうが範囲が狭い。私はやはりこのハイジャックというふうなものは、陸の社会から隔離された時点から始まるのじゃないかと思うのですけれども、このようにことばが違い、解釈が違っていいものかどうか、今後、この条約の義務を履行する場合に、不都合が出てこないか、この点をひとつお伺いしたいと思う。
○辻政府委員 ただいま御指摘の、この条約におきます「飛行中」ということば及びその定義、それからわが国の航空機の強取等の処罰に関する法律にいっております「航行中」という意味は、ただいま御指摘のとおりであるわけでございますが、この条約における「飛行中」という観念と、航空機の強取等の処罰に関する法律の「航行中」ということばとは、趣旨におきましては全く同一でございます。すなわち本条約におきましても、対象となる犯罪行為を飛行中の航空機内で行なわれる場合に限定しておりますのは、主として飛行中という一般社会から隔絶され、事実上、警察力等による保護の及ばない一種の密室状態の中で、かような行為が行なわれるということが、航行の安全や多数の人命に対しまして特に重大な脅威であるという理由から出ているものでございますが、航空機強取等処罰法におきまして、その対象を航行中の航空機に限定いたしましたのも、その趣旨は全く同じでございます。そういう意味で趣旨は全く同じなのでございますが、それではいつからいつまでが飛行中であるかという問題につきましては、ただいま御指摘のような経過がございます。実はこの国際条約上は、この「飛行中」という観念につきまして、御承知のように、先国会で御批准をいただきました、いわゆる東京条約におきまして、この「飛行中」につきまして定義がされておるわけでございます。その東京条約の定義におきましては、一般的な東京条約の適用範囲といたしまして、この東京条約の一条の三項でございますが、そのときの「飛行中」の定義といたしましては、「動力が離陸のために作動した時から着陸の滑走が終止する時まで、」、この狭いほうでございますが、これを「飛行中」というふうに定義をしておりまして、ただ航空機の機長の権限に関しましては、同条約の第五条の二項におきまして、ただいまのこの条約と同じような「すべての乗降口が乗機の後に閉ざされた時からそれらの乗降口のうちいずれか一が降機のために開かれる時まで、」を「飛行中」という、広いほうの意味をまたいっておるわけでございます。この東京条約におきましては、原則的には狭いほうを「飛行中」という定義にし、機長の権限に関しては広いほうのことばを用いておるわけでございます。 ところで、今回のこの条約におきましてはハイジャックの意味に関しまして、このあとのほうの広いほうの定義を採用いたしておることは、ただいま御指摘のとおりでございます。ところで、わが国の国内法でございます航空機の強取等の処罰に関する法律におきまして、「航行中」ということにつきましては、ことばは用いておりますが、特別の定義規定は設けておりませんが、この規制の対象を、航行中の航空機に限定する趣旨及び今回のこの条約によりまして、ハイジャック犯罪については、すべての乗降口が閉ざされてから降機のために開かれるまでを飛行中とするという、そういう考え方が、いわば今回の条約によりまして国際的な統一解釈として定着するということになってまいった事情があろうと思うのでございます。そういたしますと、この国内法におきます「航行中」の解釈といたしましても、この条約と同様に広いほうに解するのが相当ではないかと考えるのでございます。なおこの点につきましては先ほど御指摘がございましたように、この国内法を立案するに際しましては、立案当局といたしましては、当時国際民間航空機関におきまして準備されておりました今回のこの条約の草案があったわけでございますが、その草案におきましては、「飛行中」を、狭いほうの、動力作動のときから着陸の滑走が終了するときまでというふうに定義をしておったわけでございます。かたがた、また先ほど申しましたように、東京条約の一般的な規定、定義等も狭いほうに規定をいたしておりましたので、この国内法の立案に際しまして、航行中という観念も狭いほうの、離陸のための動力作動のときから着陸の滑走が終了するときまでをいう、そういうふうに解するのが相当であろうというふうに考えておったわけでありますし、またただいま御指摘のとおり国会における御審議に際しましても、政府当局といたしましては、その趣旨の御答弁を行なったところでございます。しかしながら、ただいま申し上げましたように、その後この条約が世界七十七カ国の代表及び国際連合その他十二の国際機関の集まった国際会議におきまして、この点については反対国がなく採択されたこと、したがって、ハイジャック犯罪につきましては、この条約の「飛行中」の定義が国際的な常識として確立されるに至ったというふうに見てよいというように、事情が変わってまいっておりますので、現時点におきましては、この立案及び御審議の当時の見解を変更いたしまして、航空機強取等の処罰法における航行中の解釈といたしましても、ただいま申し述べましたように本条約と同様に解するのが相当であろうと考えている次第でございます。したがって、この条約の義務を履行する上からは、現行の航空機の強取等の処罰に関する法律をもって足りるものと考えておる次第でございます。
○石井(一)委員 るる御説明ございましたが、要するに、最初国内法をつくるときは狭義の解釈であっても、その後国際通念が打ち立てられて、広義の解釈が国際的に通用するようになったから、国内で処罰する場合も広義に適用する、そういうふうに解釈していいわけでございますね。 ところで条約第三条に、不時着の場合も飛行中とみなすというふうに定義されておるわけでありますが、そうすると国内法にある「航行中」という場合に、やはり不時着の場合も、そういうこまかい規定はございませんけれども、含まれる、そういうふうに第三条一項で同じように解釈していいわけですね。
○辻政府委員 この国内法の「航行中」の観念と「不時着」との関係でございますけれども、先ほど申し上げましたようにこの「航行中」というのは、一種の隔絶された社会が形成されておるという点に、ハイジャックを重く処罰するという趣旨があるわけでございます。そういたしますと、この条約にございますような「不時着」も、まさしくそういう意味で航行中と見るというふうに、この条約もいっておるわけでございます。したがって、国内法の解釈におきましても、航行中という場合には不時着の場合を含むというふうに私どもは解しておるわけでございます。ただ不時着につきましても、もう不時着後絶対飛べないようになってしまったというような場合は、これは航空機といえるかどうか、飛べない飛行機ということになるわけでございますから、その場合になおハイジャックの対象になるかどうかという点についてはむしろ消極に解すべきであろうと思うのでございますが、飛行機がなお引き続いて飛べる状態において不時着をしておるという場合には、この条約の定義と同じように、わが国の国内法においてもこれを航行中というふうに解釈できると考えておる次第でございます。
○石井(一)委員 こまかいことを聞く必要もないかもしれませんが、先ほどの解釈だと、飛行中というのはドアが締まったときからその次ドアがあくまでということですから、その次に飛べるか飛べないかという問題よりも、やはりドアがあいたという解釈が不時着の場合も成り立つのじゃないですか。
○辻政府委員 この条約におきましても、不時着の場合にはドアがあいたからというような点は触れていないわけでございまして、「不時着の場合には、権限のある当局が当該航空機並びにその機内の人及び財産に関する責任を引き継ぐ時まで、飛行中のものとみなす。」ということで、不時着の場合には、ドアがあくよりもなお広い時点まで航行中というふうに解釈をしておると思うのでございます。その解釈はわが国の国内法においても同様に解せられる。ただもう飛べなくなってしまったということがはっきりしております場合には、そういうものは一つの航空機の強取というふうにいえるかどうかということについて若干の疑問もあり、その点において消極に解すべきではなかろうか。飛べる飛行機であれば、この条約の三条の一項にあると同じように、わが国の国内法においても航行中の解釈ができるというふうに考えておる次第でございます。
○石井(一)委員 飛べる飛べぬの問題よりも、ここに規定されておるように、「当該航空機並びにその機内の人及び財産に関する責任を引き継ぐ時」ということですから、引き継ぐというのは、ドアをあけるか何かして、これは航行中じゃないのだという一つの規定の時期がそこの境になるのじゃないかと私は思いますが、たいした問題でもありませんし、問題がたくさんありますから、次に進めさしていただきます。 そこで、問題は変わりますが、わが国は政治亡命とか政治的な難民という人々に対して特別な立法措置というものがございません。そういう人がやってきましたら、出入国管理法で、特別に退去を命じるとか、そういう措置をとるか、あるいはまた例外的な規定として、法務大臣が特別の裁断を下した場合には一時在留許可を与えるというふうな程度で、一切政治亡命に対する決定がなされておらないわけでございますけれども、私がなぜこういうことを聞くかというと、ハイジャックと政治的な動機というものが、非常に結びつきが多いからでございます。文明国家として、また平和国家として、相当の理由のある政治犯に対してはやはり庇護してやるような一つの立法というものが必要じゃなかろうか、そういうことを考えるのですが、この辺での法制度の制定に対するお考えをちょっとお伺いしてみたいと思います。
○浅羽説明員 お答え申し上げます。 現行の出入国管理令では、いま石井先生御指摘のように明瞭な形で政治的亡命者等に対処する規定はございませんが、その運用の面においては、出入国管理の面では在留を適当とする場合と在留は適当としない場合と考えられると思いますが、在留を適当とすると実質的に判断される場合には、在留させる方向で考えております。 それから適当としない場合においても亡命者の出てきたところへ戻すことが実質的に適当でないと判断される場合においては、できるだけその当人の希望に沿う方向で処理するように、運用上やってまいっておりますが、今度の出入国管理法案においては、項としては亡命者という項を設けておりませんが、同じ精神を体しまして、一つには退去強制をしなければならない場合においても、その送り先については当人の希望を尊重する。それから送り先が第一次的には国籍国であるとか、あるいは出てきたところであるというような場合にも、実際の事情がその国へ送り返した場合には適当ではないのじゃないかと法務大臣において判断される場合には、その判断に基づいて、送り返すのではなくして、違うところへ送り出すということがとれるようにしております。 それから法律のたてまえの上では、在留を認めるのに原則的には適当でないけれども情状酌量すべき事情があると、やはり法務大臣において判断される場合には、特別に在留を許可するというような措置をも含めて立法措置をしておりますので、政治亡命者というふうに表現してはおりませんが、一応の考慮はそこで払っておるというふうにわれわれはしておるわけでございます。
○石井(一)委員 そうすると、ただいまの御答弁は、特別の立法は考えておらずに、現在の出入国管理法案の範囲内で法務大臣の裁量によってケース・バイ・ケースで問題を解決する、そういうのが政府の方針である、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○浅羽説明員 日本国の国際環境下におきましては、まだ政治亡命者を直接に対象とする立法まで進むようには検討を進めておりませんが、現在の出入国管理令を出入国管理法に改正するにあたって、少なくともそれを考慮に入れた立法措置を入れておるわけでございまして、法務大臣の裁量ということであるにしましても、その裁量の幅がかなり広くなっているという意味での新法を苦心しておるわけでございます。
○石井(一)委員 この問題はもう少し聞きたいことがございますけれども、次に移ります。 この条約の八条に犯人の引き渡しに関する規定がございますけれども、私がさっきも申しましたように、ハイジャックの犯罪人というものはおおむね政治的な背景がある場合が非常に多い。したがって、八条に拘束されて、犯人は身柄引き渡しの対象というふうなことになっている。その場合に、いろいろ法務大臣の例外ということもあろうかと思いますけれども、しかし国際法の慣例では政治犯というものは不引き渡しといいますか、引き渡さないというような原則があるのじゃないかというふうに解釈をいたします。その場合に、この条約と国際法との間に矛盾といいますか、そういうふうなものが起こってこないだろうか。あるいはハイジャックの犯人というものは政治的な動機というものは完全に否定されて、あくまでもハイジャックという犯罪のもとにこの条約に拘束されて、引き渡しというものが必ずなされるのかどうか、この辺をひとつお答えいただきたい。
○山崎政府委員 この条約は、ハイジャックをやりました人間がありました場合には、その本人の所属する飛行機の登録国とかあるいは本人の所属する国とかに引き渡すかあるいはその所在する国において必ず罰するというふうになっておるわけでございまして、犯罪人の引き渡しをあらゆる場合に例外なく行なうということを義務づけておるものではございません。先生御指摘のように、犯人がのがれてきました国が政治的な動機その他とかあるいは亡命を志して犯人が参りました場合には、引き渡しが困難な場合が考えられますが、その場合にも、この条約の趣旨からいたしますれば、その犯人がおる国において処罰の手続を必ずとるという趣旨になっておるわけでございます。 それからそういう処罰をいたします場合にも、条約の第七条に書いてございますが、政治的動機に基づいておるということだけで特別扱いはしない、「いかなる例外もなしに、」というふうに書いてございますが、そういう政治的動機があろうとなかろうと、そういう点は考慮しないで、当局に事件を必ず付託するということを義務づけておる次第でございます。その場合に、また当局は、この条約にも書いてございますが、「通常の重大な犯罪の場合」、「通常の重大な犯罪」といえば、いわば殺人とか強盗とかということでございますが、そういうような場合と同様な方法で起訴するかいなかを決定するということになっておるわけでございます。したがいまして、この条約の精神、規定に従いますれば、単に政治的動機とかそういうことだけをもって犯人を起訴しないというふうなことをしてはならないということを書いておるわけでございます。
○石井(一)委員 それじゃ一応あれですね、ハイジャックに関する限りは政治犯というものはもう否定されるわけであって、あくまでも、身柄を引き渡すかあるいは国内で処罰するかはそのときの状況によって違うけれども、少なくともそういう配慮はしない、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○山崎政府委員 つまり政治犯不引き渡し、渡さないという原則は国際法上あるわけでございますが、ハイジャックしたときに、自分は政治的動機をもってやったのだということを申し立てても、そのことによって処罰を免れる、そういうことは一切ないということでございます。ただケースとして考えられますのは、本国でほんとうの純粋な意味での政治犯を犯しておって、その上でさらに今度はハイジャックして逃げてきたというふうな場合には、いわば政治犯でありかつハイジャック犯人であるということが重なる場合がございます。そういう場合には、その国の国際法上の通念に従いますれば、その政治犯は引き渡さないことになろうと思います。しかしハイジャック行為そのものはその所在国でしかるべく罰するということになると思います。
○石井(一)委員 それじゃその犯人の引き渡しに関連いたしまして、先ほども御答弁がありましたように、犯人の取り扱いについては二つのケースがあるわけでありますけれども、ちょっと調べてみますと、たとえばわが国がどこと引き渡しに関する条約を結んでおるかというと、アメリカ一国だけのようであります。しかもそれができたのが明治十九年といいますから、いにしえの時代にできただけであって、その後こういう問題が国際的関心を呼んでおらなかったのかもわかりませんけれども、最近のこの続発しておる状態ということを考えて、国際交流も非常に激しいわけでありますから、引き渡しに関する条約というものを、各国が積極的になっておるこの時点で、私はもっとどんどん結んでいかなければいかぬというふうなことを考えるわけですが、この点に対して政府はそういう姿勢で臨んでおられるのかどうか。 それと関連して、ほんとうはこれは全部引き渡すということがきめられず、そういうふうに逃げ道といいますか、そういう形をつくっておるという面、この点も法律を読んだ場合に非常に疑問になるわけでございますけれども、引き渡しに関していまの二点をもう少し御説明いただけませんでしょうか。
○山崎政府委員 先生御指摘のとおり、わが国が現在引き渡し条約を結んでおりますのはアメリカとだけでございます。これは従来からわが国が逃亡犯罪人の引き渡しの請求を外国から受けたり、またそういうふうな請求をわが国が外国に対して行なうという必要が実は非常に少なかったということがございます。それからもう一つの理由は、わが国に逃亡犯罪人引渡法というのがありまして、これはそういう条約がなくても相互主義で外国の逃亡犯罪人を引き渡すことができるというたてまえになっておるのでございます。したがいまして、条約の有無にかかわらず引き渡せるということになっているものでございますから、実際問題としては引き渡し条約を結ぶ必要性が少なかったわけでございます。 しかし先生がいま申されましたように、いまはもう交通手段も非常に発達しておりますし、人の往来も非常にふえておりまして、現にわが国に外国の犯罪人が逃亡してきたり、またわが国から外国に犯罪人が逃亡する場合が多くなってきておりますので、この点についてはわれわれは、やはり今後は引き渡し条約の締結について前向きに考えてまいりたいと思っております。特に、条約がある場合にだけ犯罪人を引き渡すという国についてはぜひともつくっていかなければなりませんし、条約がなくても引き渡せるという国もございますけれども、そういう場合でもやはりつくっておいたほうが引き渡し犯罪というものの範囲を明確にし、かつ迅速な引き渡しを確保できますので、その点は望ましいと考えております。 ただちょっとつけ加えさしていただきたいのは、従来なぜそう言いながら進まぬかという点につきましては、実は犯罪を引き渡し条約で列挙して書きます場合には、やはり罪名を書かなければなりませんが、他方におきまして実は刑法の全面的改正ということが法務省のほうで進められておると聞いておりますので、罪名を特定するということになりますと、そちらのほうともちょっとにらみ合わせてやらないと、条約に書いてもまたすぐ罪名が変わったりするということになっても困りますので、その辺等もにらみ合わせながら、しかしこの問題は前向きに取り組んでまいりたいと存じます。 それから第二点の質問、ちょっと御趣旨がよくわかりかねたのでありますが、もう一度お願いできませんか。
○石井(一)委員 ごく簡単でけっこうでございますけれども、引き渡し条約だけに義務づけられなかったのはなぜか。そういう引き渡し以外の、国内でそういう処罰をするという逃げ道といいますか、そういう条項をつくったのはどういう条約の背景があったのか。私が申しておりますのは、被害を受けた飛行機会社、それが所属しておるところに犯人を引き渡すことが最も常識的な考え方ですが、それを拒否できるという条件もやはりこの条約の中に残っておる。たいした問題じゃありませんから、簡単にお答えいただいたらけっこうです。
○山崎政府委員 先生御指摘のとおりまあそういうハイジャック犯人につきましてはその犯人の所属する国に引き渡すのが妥当な場合が多いということは確かでございますけれども、この条約におきましては、やはり国際法の現段階におきましてはそれを必ずこういう多数国間条約で義務づけるというところまでは進んでおりません。しかしながらどこかの国でこの犯人が必ず処罰されるということを確保するという観点から、この条約がつくられておるわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、その犯人がいる国で処罰手続をとるかあるいは犯人を処罰する国に引き渡すかは、個々の具体的なケースにおいてその犯人が所在する国においてきめるということになっておる次第でございます。 ただこの第八条をごらんいただきますとわかりますように、その犯人の引き渡しにつきましては、この条約ではハイジャックを引き渡し条約または国内法上引き渡し犯罪と認めるということを義務づけております。ただその引き渡しの実施はそれぞれの引き渡し条約または国内法にゆだねておるわけでございます。 それからともかくこの犯罪人引き渡しという問題は国際法上非常に種々なる問題を含んでおりますので、どういう場合には引き渡さないことがあるかという点につきましてこまかく規定することはなかなか困難であり、また合意に達することも困難な見通しであったので、その点は二国間の引き渡し条約または国内法にゆだねるというのがこの条約の趣旨でございます。
○石井(一)委員 それではその問題はもうそれくらいにいたしまして、次に運輸省の政府委員にお答えをいただけたらと思う問題でございますが、犯罪人逮捕に重点を置いて、飛んでおる飛行機がえらいことになったらたいへん困るわけでありますが、その辺の人命の軽視ということがハイジャックの場合やはり一番問題になる。犯罪以上にその点を政府としては配慮されるのではないかと思うのですけれども、運航上の飛行機に対する措置をどういうふうに考えておられるのか。最近の一般の慣例では、そういう状態に入りますと、いや応なしに犯人の言うとおり聞いて目的地まで行けというふうな慣例になりつつあるのではないかと思うのですが、その点日本政府は、飛行機会社に対してどういう指示を与えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○范説明員 ハイジャック事件が起きますと、犯人の精神状態は異常な状態にあるわけでございますので、無用にこれを刺激することは極力避けるべきでございます。それで言動にも十分注意をして犯人をして無謀な行為を起こさせないように極力注意をすべきであると考えております。ただ犯人の言いなりになるべきかどうかという点につきましては、これはあくまでケース・バイ・ケースに判断しなければならない問題ではないか、こう考えております。いずれにしろハイジャックが起きました場合には乗客の生命の安全、これを第一義的に考慮すべき問題であるというぐあいに航空会社に対しては行政指導を行なっております。
○石井(一)委員 確かにお答えのようにケース・バイ・ケースで非常にむずかしいと思います。その点やはり機長の判断というものも非常に重要になるのじゃないかというふうに考えますが、私はある場合には、ハイジャックを防止するためにその飛んでおる飛行機を撃墜さすというふうなことも場合によっては、まあ日本ではそう起こらぬかもしれぬですが、あるいはそういうことは一切考えられないのか、あるいはそういうことが起こった場合にそれは正当化されるのか、その辺は非常にむずかしい微妙な解釈があろうかと思いますが、この点はいかがですか。あくまでも人命尊重ということでそれは一切できない、そういう行為をやった場合にはそういうことをやったほうが処罰されるのか、その辺の解釈はいかがですか。
○西堀政府委員 たいへんめんどうな御質問でございます。これは昨年モントリオールで実は会議が開かれまして、私自身それに代表として出席いたしたのでございますけれども、日本政府の立場と申しますかわれわれがこの会議におきまして主張いたしましたのは、あくまでその乗客、もちろん乗り組み員も含めますが、乗り組み員及び乗客の人命の安全をはかるという点を第一義にする、これが訓令でございますので、ただいま先生のおっしゃいますように撃墜をするというようなことは、確かに将来のハイジャッキングを完全に防止するという見地からは非常に勇ましくあるいは効果的であるかもしれませんけれども、それにはあまりにもこうむるところの犠牲が多いのじゃないかとわれわれ考えております。そのモントリオールの会議に参りますときの訓令から申しましても、わが国の立場はあくまでその時点におけるところの人命の尊重という点を第一義に考えて、今後ともそういう方針でまいりたいと考えております。
○石井(一)委員 もう一つ、つまらぬ質問かもしれませんが、要するにいま政府委員が御答弁になったように、慎重に慎重を期して、しておるにかかわらず、ついに犯人の手によって飛行機が墜落するとか不慮の事故が起こった、そういう場合が起こったときに、一体その人命に対してだれが責任を負うのか。その飛行機に対して一体だれが責任を負うのか。だれも負わないのか。犯人はハイジャックをした人であるからその責任を追及することができるかどうか。あるいはそれが人家に突き当たったというふうな場合、その人家あるいは人命、財産に対する補償というものは政府がしなければいかぬのかどうか、この点もひとつお聞きしておきたいと思います。
○山崎政府委員 ハイジャックで不幸にしてその飛行機が落っこったという場合でございますが、もちろんその刑事責任についてはやはりあくまで犯人を追及すべきである。犯人が死んでしまえばしょうがないかもしれませんが、ただそれに巻き添えになった乗客に対する損害賠償という問題に関しましては、もちろん航空会社が、普通の場合にはワルソー条約という旅客の運送責任を定めた条約がありましてその改正も行なわれておりますが、それに従って航空会社が一応の賠償はする。それからさらにそれ以上にも航空会社の場合には保険をかけていると思いますから、そのほうからも賠償をすることになるのではないかと思います。詳しくは航空当局からお聞き願いたい。民事責任の問題につきましては航空当局から御聴取願いたいと存じます。
○石井(一)委員 私ちょっと思いつきで出てきたものでありますから事前通告しておりませんでしたが、これは将来たいへん大きな問題だと私は思うのです。そういうことが起こったら困るわけでございますけれども、航空会社が飛行機をつぶされて、しかも人命のあれまで補償するということは、ちょっとあまりそういうことは実際的ではないのじゃないか。こんなことを考える必要はないのかもわかりませんけれども、条約に入り、国内法をつくった場合に、そういう不慮の事態に対する措置というものも、当然政府はお考えになるべき非常に重要な問題だと思います。たとえば、人家が焼けても、放火したなら保険会社は払いませんからね。それと同じですから、航空会社に何ら責任はないといえばないわけでございますから、そういう観点からすると、この辺の問題というものは、やはり十分政府当局においてお考えになっておかなければいかぬ問題だ、こう思います。まあ即答をいただかなくても、後ほど私のほうまで御回答がいただければ、たいへん幸いかと存じすすから、当局にひとつお願いを申し上げておきます。 それからよど号の事件が終わりましてからかなり時間が経過いたしておりまして、人々の心から忘れ去られたようでありますけれども、これはほんとうに大きな事件で、御承知のとおりのところであります。警察庁の方お見えになっておるようでございますが、その後その十数名の赤軍派の学生について、どういう情報を集めておられるのか。分裂国家であって国交がないからわからぬのだということでは、これはあまりも犯罪者に対してどうかと思うのでございますが、その辺のその後の経過を、かなり時間がたっておりますから、ひとつ最後に御報告いただきたいと思います。
○丸谷説明員 赤軍派による日航機よど号乗っ取り事件につきましては、警視庁が中心となりまして、徹底した追跡調査を進めておりまして、これまでに乗っ取りを計画し実行させました赤軍派の議長塩見孝也をはじめとする主謀者七人を、よど号事件の共犯者として逮捕し、検察庁に送致をいたしておりますほか、乗っ取りのための資金及び武器調達等に関係した赤軍派など五人を強盗予備、犯人蔵匿の名で逮捕し、検察庁に送致をいたしております。北鮮に逃亡しました九人の被疑者につきましては、その後の消息はいろいろ情報収集につとめておりますけれども、遺憾ながらつまびらかでございませんので、非合法手段による帰国にそなえて、十分警戒体制をとっております。
○石井(一)委員 いろいろその後出ております月刊誌だとか、マスコミなどを見ておりますと、いろいろなことが言われておるわけです。たとえば、アラブのほうに逃亡したとかなんとかいろいろありますけれども、私は警察当局としては、もう人々の心から忘れ去られたからということでなしに、ひとつ厳重に今後の犯人の逮捕といいますか、問題の事後処理に対して臨んでいただきたいと思うのです。何十時間か経て金浦へおりる乗客と犯人たちの対話というのを月刊誌で読んでおりますと、ある人は学生に対して肩をたたきしっかりやれ、ある人は握手をしていろいろお世話になった、別れがまことにつらいというふうなシーンのもとにあの飛行機からの訣別がなされておる、一体これはどっちが正義か不正義かわからぬ。ああいう形のものをあのまま月刊誌に出して、まあ非常に一般に対する興味本位というふうなことかもわかりませんけれども、少なくともこの厳然たる事実に対して、ああいう形でマスコミが持ち上げ、そうして乗客が、自分たちの命が救われたといううれしさもあったかもわかりませんけれども、歓迎をし、喜び、彼らを見送った。それから後にそれらの学生に、分裂国家であるから政府としては何ら干渉しないというふうなことでは、私は非常に大きな問題があると思うのであります。したがってこの点に関して、この条約と直接関係がないようでございますし、法の適用は遡及しないようでありますから、これらの学生たちが今後処罰される場合には、その時点においてこういうハイジャックの法律がなかったわけでありますから、別の法の適用ということが行なわれると思うのでございますけれども、今後こういう英雄気どりの犯罪をなくするためにも、十分な措置をとられたいということを私御要望申し上げ、何か意見がございませんでしたら、私これで終わらしていただきたいと思います。
○田中委員長 答弁ありませんね。――戸叶里子君。
○戸叶委員 私は、ただいま提案されております三件のうち、ただいま御質問がありました航空機の不法な奪取の防止に関する条約に限りまして二、三点お伺いしておきたいと思います。 最初にお伺いしたいのは、これは民間の人のハイジャックの問題なんですけれども、たとえば軍人が奪取したというような場合もあると思うのですが、そういうようなときにはどういうふうな処置をおとりになるか。たとえば裁判管轄権がどこにあるか。普通の場合には刑法によるわけですけれども、軍法に付するとか、そういったいろいろな違いが出てくると思うのです。日本の場合はそういうことがあり得ないわけでございますけれども、それはどういうふうな形で処理されるか。たとえば軍法のある国とそうでないところとの違いがあると思いますけれども、そういう点について詳しく説明をしていただきたいと思います。
○山崎政府委員 この条約は、別にその奪取した人間の身分がどうであるかということは規定はございませんで、趣旨として民間機についてハイジャックが起こった場合というふうに書いてあるわけでございますから、軍人であろうとなかろうと、これはやはりハイジャック犯人であろうということであります。一般的に申し上げればそういうことでございます。
○戸叶委員 では、民間航空機に軍人が乗って、軍人がハイジャックをした場合でも、普通の民間人として扱う、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
○山崎政府委員 ハイジャックをするというふうな軍命令を受けることはまあちょっと考えられませんので、それは全く公務執行以外の問題であろうと思いますから、一般的に申せばこの条約で普通に扱うということだと思います。ただ、そういうものが起こった場合の裁判管轄権という問題になってきますと、軍人といいましてもいろいろな国の軍人があるわけでございますから、それぞれの関係国の間で管轄権の問題については話し合ってきめるということになろうかと存じます。
○戸叶委員 まあ、私も軍にこういうことをしろなんという指令が出ることはあり得ないと思います。しかし二、三人のグループでそういうことがないとも限りませんし、あるいはまた軍服を着た軍人がしないとも限らない。そういうような場合のことがちょっとどういうふうになるのかという疑問を抱いたものですから伺ったわけなんですが、いまはっきりしたことは、やはり民間人として扱う、しかし軍人にもいろいろあるので、その軍人さんの属する国の法律に従うということになれば、軍規ということになればやはり軍法ということになるので、裁判管轄権というのはその場合には違ってくるのじゃないのですか。これはめったにあってはならないことですし、ハイジャックそのものがあってならないことですから、そういう問題は別に大して――大してというより、起きちゃならないことですけれども、しかし問題として起こらないとも限らないので一応伺っておきたかったわけです。
○山崎政府委員 私、ちょっと御趣旨を十分理解していないかもしれませんが、この条約は、四条にも書いてありますように、裁判管轄権を非常に広く書いておるわけであります。そのうち、その航空機の登録国であるとかあるいはその航空機の着陸した国であるとか、あるいはその航空機を運航する国であるとか、あるいは犯人が所在する国であるとかいうふうに、裁判管轄権を非常に広く規定いたしまして、どこかの国で必ず裁判がかけられるという仕組みになっております。むしろ裁判管轄権の競合が起こる可能性はたくさんあるわけでございます。その場合は、その競合している国の間で話し合って、その処罰なり引き渡しなりの問題をきめていくわけでございます。したがいまして、ある国の軍人が、AならAという国の軍人がハイジャックをしたから、その軍人の属するA国が必ず裁判管轄権を持つなんということは、この条約には何ら書いておりません。ただ、その国にその軍人が引き渡されれば、それはその軍人の属する国でございますから、そこの軍の刑法に従って、しかるべく処罰されるであろうと存じます。
○戸叶委員 それでわかりました。そこで、いまお触れになりましたように、四条では裁判権というのが登録国にあり、それから着陸国にあり、それから運航の国にもあるわけですね。三つの国にある。そういうような場合に、先ほど、競合をした場合というお話がありましたけれども、競合したような場合には、これは国際司法裁判所で解決するということに十二条でなっていましたね。そういうふうに解決いたしますけれども、それでいいのかどうかということ。それで、そういうような場合に国際司法裁判所等が仲裁に入るということになりますと、相当問題が長引きはしないかということも私ども考えられますし、それからこういうふうに三つのところにありますと、それぞれが主張するというような可能性が出てきて競合するような機会が多くなるのではないかということを私懸念をいたしますけれども、この点のお見通しについてはどういうふうにお考えになるでしょうか。
○山崎政府委員 先生のおっしゃいましたように、裁判管轄権を非常に広く規定しているものですから、競合する場合は非常に多くなるだろうということはおっしゃるとおりでございます。ただ、それだからそれがすぐ十二条の問題になるということではございませんで、そういう場合には、やはりお互いに外交交渉によって、どちらが第一次的に裁判権を行使するかということを話し合うという趣旨でございます。この条約は、どこの国が優先的に、たとえば登録国であるとかあるいは着陸国であるか、どこの国が優先的に裁判管轄権を行使できるかというふうなところまでは書いてございません。これはあくまでやはり関係国間の話し合いにゆだねるという趣旨でございます。
○戸叶委員 そうすると、希望としては、お互いに外交交渉で話し合って、そしてどこの国に裁判をゆだねるかというふうな方向に持っていきたいけれども、何か問題が起きたときに十二条によるということで、なるべく十二条によらないようにしていきたいんだという趣旨のものであると理解してよろしゅうございますか。
○山崎政府委員 ちょっと御趣旨を十分理解していないのかもしれませんが、十二条に書いてあります問題は、この条約の解釈または適用に関する締約国間の紛争でございます。したがいまして、この裁判管轄権を書いております四条で、非常にむしろダブって裁判管轄権を設定しておるわけでございますから、一国が、おれが裁判管轄権を行使するんだと言った場合には、それは全く条約違反の問題でもございませんし、その点について条約違反の問題としてお互いに紛争となって十二条の手続に訴えるということはまずないと思います。やはりこれはあくまで四条のワク内において、お互いに正当に裁判管轄権を主張している二つの国がありました場合には、これはその両国間の話し合いによってきめる以外にはないんではないかと存じます。
○戸叶委員 そうしますと、大体わかるのですけれども、もうちょっとこの解釈として伺いたいのは、じゃどういうような場合に十二条によるのかということを、もうちょっと具体的にお話し願いたい。
○山崎政府委員 いろいろなケースがあり得ると私は思いますが、たとえば八条をごらんいただきますと、三項でございますが、「条約の存在を犯罪人引渡しの条件としない締約国は、犯罪人引渡しの請求を受けた国の法令に定める条件に従い、相互間で、犯罪行為を」――犯罪行為というのはハイジャックでございますが、「犯罪行為を引渡犯罪と認める。」、こういうふうに書いてございます。したがって、そういう国においてもハイジャック行為は引き渡し犯罪と認めなければならないということで約束されておるわけでございます。しかし、かりにそういう法令を設けないで、ハイジャック犯罪についても何ら引き渡し犯罪と認めるような構成をとっていない場合、そしてその犯人がそこへ逃げ込んでも何もしないというふうな場合には、そして引き渡してもくれない、要するに何もしない国があった場合には、やはりこの条約違反ではないかということで十二条の手続に訴えるということはあると思います。
○戸叶委員 わかりました。そこでその次に伺いたいことは、先ほど同僚の委員から八条についてのいろいろな御質問がございました。たとえば、政治犯というのは引き渡さないのが国際慣行になっているけれども、このハイジャックは処罰かあるいは引き渡し、これが慣習法になっている。そうすると、その二つの関係でいろいろお聞きになったわけです。私が伺っているところの結論づけとして感じたことは、これで間違っているかどうか、ちょっと聞いていただきたいんですが、国内では政治犯であったとしても、ハイジャックと両方重なったとした場合、政治犯の人が飛行機に乗ってハイジャックをした場合、そういうときには、政治犯というのは否定されてしまってハイジャックの行為だけが見られるというようにおっしゃったように思います。それからもう一つ、ハイジャックだけで、どんなに政治的な意図があるといってみても、それは認められないんだ、結局この二つのことをおっしゃったように思うのですが、そうすると、結局ハイジャックのときには必ず、事のいかんを問わず処罰して引き渡される、こういうことになるから、この政治犯というのは引き渡さないという国際慣行というものは、この条約がある限りあまり役には立たないんじゃないかというふうに思いますけれども、この辺はどうなんでしょうか。さっきの解釈を私はずっと聞いていますとそういうふうなことになるんじゃないかと思うのですが、これは間違っていますか。
○山崎政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、この条約はハイジャック犯人を必ず引き渡せと書いてあるわけではない。書いていない理由の一つには、やはり政治犯を引き渡さないというような国際慣行もあるということも考慮に入れておるわけでございます。そこで、先生の御指摘では、政治犯不引き渡しの原則はハイジャックについては適用はなくなっちゃうじゃないかというお話でございますが、私はそうは考えないのであります。先ほどちょっと申し上げましたように、ほんとうの純粋な意味での政治犯を犯して、つかまりそうになって、それでハイジャックをして逃げた、こういう場合には、政治犯であるということをはっきりその犯人がいる国が確かめ得た場合には、そういう政治犯を引き渡さないでもよいという国際慣行に基づいて、依然として引き渡さなくてもいいわけでございます。ただし、 ハイジャック行為そのものはやはり普通の犯罪と同じように処罰しなければならない。その意味で、この条約の仕組みの中にも政治犯は引き渡さないという原則は依然として生きているわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、そのことの行為に対しては処罰されるけれども、必ずしも引き渡さないでもいいんだ、こういうことですね。
○山崎政府委員 そうです。
○戸叶委員 わかりました。 それから、この九条の一項のほうのしまいのほうに「あらゆる適当な措置をとる」ということがあるわけですけれども、これは登録国の要請があって初めて適当な措置をとるのでしょうか。それとも、発生すれば自動的に義務を負うものになっているのでしょうか。この辺のところを、よど号の事件の韓国への誘導、いろいろな問題等を思い合わせながら、説明はいたしませんけれども、この質問だけでおわかりだと思いますので、的確にお答えを願いたいと思います。
○山崎政府委員 この条約をお読みいただきますと、別にその登録国の要請によりということは書いてございません。したがいまして、その飛行機が着陸しようとしている国がその判断であらゆる適当な措置をとり得るわけでございます。ただ、この点につきましては、何が適当な措置であるかは非常にむずかしい問題でありまして、先ほど国連局長からも御答弁がありましたように、やはり乗客の安全ということを第一義的に考えなければならないわけでございますので、そう手荒いことはなかなかできないし、ことに飛んでいる最中には、おのずからその手段も限定されるだろうと存じます。ただ、その飛行機は滑走路に着いておってもやはりまだハイジャック状態にあるということはあるわけでございますから、そういう場合にはまたおのずから若干適当な措置の範囲も変わってくると思います。しかし、それでもやはり乗客の安全という問題は考えなければならぬというとがあると思います。したがいまして、結論として申し上げたいのは、登録国の要請のない措置は全部不適当であるというふうなことまでは、ちょっと言えないのではないかと思います。
○戸叶委員 いま山崎参事官がおっしゃったように、「あらゆる適当な措置」というのは非常にばく然としているものですから、どういうふうなところの範囲までだろうということをちょっと理解に苦しんだわけです。それでお伺いしてみたのですが、この場合には、別に登録国の要請があって初めてというようなこともないし、そんなことなしに、そういう事件が起きればもう自動的にある程度の措置をとるんだ、こういうふうに理解していいというような御答弁でございましたので、先に進みたいと思います。 それからもう一点は、普通の条約の形式ですと、署名した国がよく書いてありますね。並べてありますね。これは並べてないのですけれども、それはどういうふうなわけで並べておくのと並べておかないのとあるのかということがちょっと私疑問に思ったものですから、この点を質問したいのと、それからもう一つは小さいことですがお伺いしますが、二条の文章を読んでみますと、たいへん何か重苦しい文章なんですね。「各締約国は、犯罪行為について重い刑罰を科することができるようにすることを約束する。」というふうに書いてある。もう少しここらは直訳主義でなくできないかしらという気がする。なるほど英語にはそういうふうに書いてあるのですが、ほかのことばでは、フランス語なんかはもうちょっと簡単に書いてあるような気がする。たいへん英語に忠実なのはいいようなんですけれども、読みやすくするということも必要なんじゃないかと思うのです。もし「重い刑罰を科することを約束する」というふうにしたのじゃまた意味が違ってくるのでしょうか、どうなんでしょうか。「ことを約束する」とそれから「できるようにすることを約束する」というのとは違ってきますか。その二点をお伺いしたいと思います。
○山崎政府委員 条約がこの間へーグで署名されましたテキストには、署名欄はもちろんございます。わがほうも署名したわけでございます。ただ、われわれの方針といたしまして、この国会に条約をお出しいたします場合には認証謄本というものをとるわけでございます。英語で言いますとサーティファイドコピー、この認証謄本をわれわれはさっそく取り寄せたわけでございます。そのテキストが正しいものであるということをこの場合のスタッフが証明したテキストを取り寄せてみましたところ、署名欄は実は省かれておりましたので、われわれとしてはそれに忠実に従って署名欄は省略させていただいた。従来、署名欄がついておってそのうしろに認証されておる場合には、必ず訳しましてこの国会に提出いたします日本語のテキストにもつけておるわけでございます。 それから第二点の御質問でございますが、第二条で確かに日本語としては非常に重苦しい表現になっていることはまことに申しわけないのでございますが、ただ、先生のおっしゃいますように「各締約国は、犯罪行為について重い刑罰を科することを約束する。」といいますと、必ず刑罰を科さなければならないというふうになります。しかし、英語のテキストその他をごらんいただきましてもわかりますように、この条約で各国が約束しようとしておることは、重い刑罰を科すような法制をつくれということでございまして、その法制に基づいて裁判した場合に、その国の裁判官がいろんな事情をしんしゃくして、結果的には、例外的でございましょうが、軽くなる結果も生じ得るわけでございます。たとえば十四歳以下ぐらいの未成年の子供がハイジャックしたようなことを考えますと、日本の刑法でもそういう場合には罰せられないということになっておりますし、やはりその国その国でいろいろそういう除外例も若干あるわけでございますから、これはやはり裁判官の判断にゆだねなければならない。ただ、 ハイジャック犯罪そのものは重い刑罰に当たるように法制をつくれという意味で書いてあるわけでございます。日本語のテキストが十分その点をあらわしていないといたしますればおわびいたしますが、法制局とも協議いたしまして、これが一番正しい表現であろうということでとった次第でございます。
○戸叶委員 そうすると、やっぱり「重い刑罰を科することができるようにすることを約束する」のだから、しない場合もあるということが言外に含まれているという意味でそういうふうにおっしゃったわけなんですね。それが一つ。 もう一つ、さっきの認証謄本をとったからここへ書かなかったというのは、認証謄本に別にあったから、だからこっちの条約には書かなかったという意味なんですか、さっきおっしゃったのは。認証謄本のほうには書いてあった、書いてなかったという、ちょっとそこら辺わからない。ただ翻訳に忠実であったということをおっしゃりたかったのでしょうけれども、私どもがこれを見まして、一体いつ批准されるんだろう、署名国がどのくらいだろう――批准はいつされるかということはこれはわからないことで、質問を通してわかるのですけれども、この条約については先ほど、近いうちに批准されるでしょうという御答弁がございましたからその点はわかったんですけれども、署名は、一体どういう国が興味をもって出席して、そして署名したんだろうということを私たちもちょっと知りたかったものですから、そして普通の条約の形を見ますと、どこのためになんとかと書いてあるものですから、非常に疑問に思いまして質問をしたわけでございます。さっきの認証謄本の問題、もうちょっとはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
○山崎政府委員 私のことばが足りなかったかと思いますが、条約をお出しいたします場合には非常に慎重を期しまして、必ず認証謄本を取り寄せることになっております。その認証謄本には署名欄がなかったわけでございます。そこでそれに従ったということでございます。先ほどつけ加えましたが、もちろんへーグで署名された本書には署名欄があって署名したわけでございます。 それから、署名国がわからないではないかという御指摘でございますが、数はこの説明書にも、当時へーグで五十カ国が署名したということを書きました。その点につきましてはあまり数が多いのでこの説明書では省略さしていただきましたけれども、もし御希望がございましたら署名国は何カ国であったかということは、資料として提出してもようございます。 それから第二条の点でございますが、第二条の点には、まあお話しのとおり重い刑罰を科すような仕組みにしておかなければならないわけでございますけれども、裁判官の裁量によって結果的に軽い刑罰になるということもそれはあり得ると思います。
○戸叶委員 けっこうです。
○田中委員長 西中清君。
○西中委員 私は逐条的に質問をしていきたいと思いますが、まず第一条の(a)、この(a)の中に「(未遂を含む。)」ということがございますが、このハイジャックにおける未遂というものは一体どういうことなのかということがもうひとつはっきりしておらないような気がするのです。これはまあ一般の犯罪におきましても未遂ということは出てくるわけでございますが、これは法務省の関係かと思いますが、たとえば強盗が家へ侵入してくる。これはやはり一人、二人、三人というように何人かでやるという場合は一応談合するでしょう。その時点で発見できる場合と、それから庭に入ってきたとか家の領域内に入った、この時点で発見された。それから戸をあけて見つかったとか、中へ入って家人に騒がれて逃げ出したとか、それから物をとっている最中に見つかってつかまったとか、いろいろその行為についての時点というものが分かれるわけでございますが、一般的にこれはどの時点をさして未遂というようにいうのか、その点をひとつ最初にお聞きをしておきたいと思います。
○亀山説明員 ただいまお尋ねの、どの時点から未遂というようなことになるかという点でございますが、御設例のたとえば強盗罪のような場合でございますと、最初の何人かが寄り集まって相談をしていろいろな準備をする、その準備をしている段階ではまだ強盗罪そのものには当たりませんで、強盗予備罪というふうな別の罪名に当たるわけでございます。それからたとえば家の中に侵入し始めるというふうな場合も、これまたまだ強盗罪自体には着手していない。おそらくそういう場合、家の中に侵入するのでございますれば、住居侵入というような別の罪名に触れるわけでございますが、強盗罪自体にはならない。結局強盗罪になりますのは、強盗罪の犯罪の要件が暴行または脅迫をもって人から物をとる、こういう要件になっております。その要件に当たる行為を始めたときからその強盗罪に入る。そういたしますと、たとえば強盗罪で申しますと、その暴行なり脅迫なりを始めた時点にその犯罪が始まる。そして最終的には物をとるという結果がと申しますか、物をとったという段階が既遂になるわけでございます。それ以前の段階で犯罪がやまってしまえば、すべて未遂であるということになるわけでございます。したがいまして、暴行、脅迫を始めました時点から、たとえば暴行、脅迫をしている途中で取り押えられたとか、あるいは暴行、脅迫をやって何かをとろうとしたんだけれども、ほかの人に騒がれて逃げ出してしまった、そういうふうな場合に未遂になるわけでございます。
○西中委員 そうしますと、家の中に入らなくても、入る寸前でおどかしたりして、おまえのところに入るんだというようなことで始まって、入るまでに警察につかまった。これは未遂になりますでしょうか。意思表示をしている場合。
○亀山説明員 入る前におどかしたというのが、強盗のための脅迫というふうに認められます限りにおきましては、そこでもうすでに強盗罪が始まった。それでただ物をとるまでにつかまったとか逃げ出したということになりますと未遂になる、そういうことでございます。
○西中委員 そこでこの場合ハイジャックでございますが、あとの条項によりますと、いろいろと、飛行機のドアをしめてそして今度開くときまでというようなことになっておりますが、 ハイジャックの謀議をどこかでして、この時点で見つかった。それから空港内で見つかった。それからゲートをくぐるときに見つかった。飛行機に乗る前にわかった。それから乗ってドアがあいているときに行動を開始した。乗ってしまってから行動を開始した。いろいろこれはあるんじゃないかと思うのですが、この未遂というのはどの時点をさしておるのか。どの辺から適用されるのか。それともあくまでもドアがしまってからの犯罪だけをいっておるのか。この点をひとつ御説明願います。
○山崎政府委員 第一条をごらんいただきますと、これは「飛行中の航空機内における次の行為は、犯罪とする。」ハイジャックとするということでございまして、その飛行中の定義は、先ほど刑事局長からも国内犯あるいはこの条約の関係でおっしゃったとおり、ドアがしまった時点からドアがあく、原則としてはドアがあく時点まででございます。したがいまして、まだ飛行機に入らない段階で、謀議したとかそういうことで見つかったとしても、それは未遂ではございません。あるいはそれは予備というのかもしれませんが、この点についてはこの条約の対象ではございません。では、飛行機のドアがしまったあとで、どの時点からどういうことをやれば未遂になるかということでございますが、結局その飛行機を不法に奪取しまたは管理する意図をもって、ここに書いてありますように、暴力、暴力による脅迫その他の威嚇手段を用いた場合であります。用いたけれども成功しなかったら、これは未遂であります。それが成功すれば既遂になる。こういうわけでございます。
○西中委員 その成功ということは、たとえば目的の国がAという国がある、ところがBでおりてしまった、そこでつかまった、これは未遂なんですか、既遂なんですか。
○山崎政府委員 成功ということばは、私用いましたが、ちょっと必ずしも適当ではなかったかもしれませんが、すでに不法に奪取し管理すれば、その時点でもう既遂でありまして、それが彼が意図したA国ではなくB国におりようと、それはもう既遂であります。すでに完全なハイジャック行為は成立しているのであります。
○西中委員 そうしますと、謀議の段階とかそういう点では、この条約はハイジャック防止という意味では全然有効でない、それが発見された場合でも適用されない、こう解釈していいわけですね。
○山崎政府委員 そういうふうな、ただ謀議の段階、一種の犯罪の予備でございますが、予備の場合のことはこの条約には書いてございません。それだけではまだ飛行機の危険は生じておりませんので、それは各国の国内法にゆだねたという趣旨でございます。ただ、先ほど刑事局長からお話がありましたように、日本の航空機の強取等の処罰に関する法律では、予備罪も罰するようになっておって、日本の法律はこの条約よりさらに進んで、予備罪も罰ということにしておるわけであります。それから、条約の問題ではございませんけれども、国内法としてはかなりきびしくやっているということを御承知願いたいと思います。
○西中委員 先ほどの問題で、もうちょっとお話をしたいのですが、空港に飛行機がとまっておる、ドアがあいていて脅迫した、この場合はこれはやはり適用されないのですか。ドアがあいていて、パイロットなりスチュワーデスが乗っておる。乗客の一番先頭に来て、先に乗っていって脅迫する。こういう場合です。
○山崎政府委員 その場合は、この条約の定義上は、この条約の対象外であろうと思います。結局、やはり各国の国内法にゆだねる。日本の法律は、先ほど申しましたように、この条約よりさらに進んでおりますから、その国内法によってはそういう場合でも罰せられる場合があり得ると思います。
○西中委員 そうしますと、そういう作戦を立てれば、この条約はあまり有効でないという考え方も出てまいりますし、それからもう一つ、パイロット、スチュワーデスなりをおろしちゃって、そして飛行できる人が仲間で、犯人の一味におって、そして飛行機を持っていってしまった、こうなった場合は、この条約は適用されるのかされないのか、この点をお願いします。
○山崎政府委員 先生の御趣旨は、あるいはこの条約が、ドアがあいておる場合には適用ないんだったら、その点ではあまり有効でないのじゃないかとおっしゃいましたようでございますが、しかし、ともかくそれから一歩進んでやれば非常に重罪になるので、必ずどこかで処罰されるようになっておるわけでございますから、そういう行為をやること自体が非常に抑止されると私たちは思います。 それから第二点につきましては、ちょっとお話の趣旨が十分つかめなかったので、もう一回ちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
○西中委員 私が先ほどから言っておるのは、この条約の中で、第三条で「乗降口が乗機の後に閉ざされた時から」こうなっておりますから、閉ざされない場合において行なわれた犯罪、その例を一つ先ほどあげた。引き続いて同じような例として、パイロット、スチュワーデスをドアがあいておる時点で全部ほうり出す、脅迫をしておろす、そうしてドアを締めて犯人一味だけが乗って飛び出すという場合は、これが適用されるかされないのかということです。
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を始めて。 西中委員に申し上げます。質疑中ではございますが、ただいま外務大臣が出席されましたので、国際情勢の質疑を行ないたいと存じますから、よろしく御了承願います。 ――――◇―――――
○田中委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。曽祢益君。
○曽祢委員 去る二月十五日の本委員会におきまして、私、外務大臣に対しまして、アメリカ軍の在日兵力の縮小に伴い十二月二十一日の日米安保協議委員会におきまして合意いたしました駐留軍の従業員の解雇等の問題について御質問いたします。 その趣旨は、一たん解雇を通告したにかかわらず、横須賀地方において、どうも一部の解雇通告された人に対して、それを撤回するような動きがある、あるいは第七艦隊の旗艦であるオクラホマシティー号が佐世保に移駐するようなことも延びるのではないか、いろいろ現地ではうわさが飛んでおりますので、真相を外務大臣に伺ったわけであります。それに対しまして外務大臣から、府中のアメリカ軍司令部また在日米大使館等について調べられたところ、昨年十二月二十一日の安保協議委員会で日米双方が合意したラインで措置が進められておるのであって、その方針について何らの変更はなされておらない、かような御答弁があったわけであります。またその後予算委員会の分科会におきまして、同様この問題につきまして中曽根防衛庁長官に質問いたしました結果、中曽根長官からは、もし十二月二十一日の協議委員会の線に変わるような事態があるとするならば、これは当然に安保協議委員会においてさらにもう一ぺん協議の上、これを変更するという手続がとられなければならないということを含めて、そういったような解雇を一たん通告したものを撤回するというようなことはないと、きわめて明確に言われたのであります。なお私は特に基本は変わらなくても、いろいろな都合で解雇を少し延期するようなことはないのかということまで伺ったのです。それに対しても明確に安保協議委員会の再協議、再決定がない限りは、そのような一たん解雇のきまったものをその通告を取り消す等のことはないというきわめて明快な御答弁があったわけであります。ところが御承知のように、三月五日に最初の解雇の予告期限が到来して、三月五日に解雇されるはずであった第一回の従業員、これは横須賀関係でありまするが、七百五十一名中二百七十九名に対して、三月五日の二日前、三月三日になって、これは米軍の在日司令部からはっきりと正式にこの解雇を一カ月延ばす、こういう通告がなされた。これはもうすでに同日発表されておりまして、現に本人たちにも解雇が一カ月延びるという通告がなされた、かような事態がございます。これは一見解雇が延びるのですからけっこうなようでありますけれども、まことに日本の関係大臣の言明にもかかわらず、その後いかなる事態の変化があったか知れないが、むしろ現地のルーマー、風評を確認するようなことになって、現地では非常に大きな衝動を与えておる。むしろ日本政府の言明、アメリカ当局のこれらの問題に対する処理ぶりに不信感すら起こしているという事態が起きて、まことに困ったものだと思うのでございまするが、外務大臣に、なぜ、何がゆえにこういう発展になったのか、これらの真相について御説明を願いたいと存じます。
○愛知国務大臣 この問題については前回も私、かなり率直に詳細にお答えしたとおりでありまして、ルーマーのあること、当時政府としてもこれをルーマーとしては確認して、それぞれ照会その他をいたしましたら、その時点ではこれは何ら十二月二十一日の決定、あるいはその趣旨にたがうものではありませんし、そういうことは考えておらぬということでございました。これはもうそのとおりなんでございます。しかしその後も率直に申しまして何かやはり動きが察知されるような感じがいたしますので、こちらから申し入れるというのもおかしな筋でございますけれども、しかし重大な問題でございますから、情報を詳細に掌握することにずっとつとめておったわけでございます。そうしますといま御指摘になったように、三月三日の午前に御本人たちに通知があったのとほぼ同時刻か、あるいはそのちょっと前ではないかと思いますけれども、米側から事務的な連絡がございまして、MLCというのですか、二百八十名の解雇、それからネーバル・サプライ・センターの六十五名について、三十日間、予定していたよりも解雇をおくらせることにしたので了承してほしい、こういう連絡がございました。したがってこれを基礎にいたしまして、さらに米側の何らかの若干の措置の延期などがあり得るのではないか。また事柄によっては理解し得ることもあるかもしませんから、そういう点について早急に米側と協議をしてみたいと考えております。その結果によりまして特に安保協議会の共同してつくりました議事録というかっこうですか、これを変更する必要はないかもしれませんし、あるいはあるということになるかもしれませんが、早急にこの問題の締めくくりをいたしたいと思っております。実はその当時相当詳しく御説明いたしましたので、バックグラウンドも御理解いただけるかと思いましたけれども、あの横須賀に関するくだりは、日本側としては実は全体としては早く引き揚げる、あるいは整理をしてもらいたいこと、やまやまなんですけれども、受け入れ態勢の関係その他がございまして、日本側としてもかなりヘジテートした事情がありますことも御承知かと思いますので、そういうふうな関係もございますから、至急にひとつあらためて米側と協議いたしたい。いつになりますか、向こうの準備もございましょうし、あるいはその必要がないということになるかもしれませんけれども、私としては十分ひとつ事態を明らかにして、結末をつけたい、こういうふうに考えております。
○曽祢委員 先ほど申し上げましたように、これは事は駐留軍の従業員の解雇の延期の問題で、延期ということからいうといいように見えますけれども、実は日本政府の言明あるいはアメリカのこういうものに対する態度に不信感を持つということは、日米外交上のやはり一つのポイントですから、重大なことだと思うので、私は外務委員会で特に取り上げているのでありまして、この点は十分に御理解願えると思うのです。 そこで私は両大臣がその時点で言われたことに間違いなかったと思うのです。しかし確かに変わってきたのですね。正式に通知がきた。それまでに安保協議委員会あるいはこの今回の解雇延期に関して、日米間の協議が、外務省に関する限りあったのですかなかったのですか、この点を示していただきたい。
○愛知国務大臣 これは率直に申しまして、ルーマーがありますから、そしてこれはこちら側としてもいま御指摘のように非常に関心のある問題ですから、こちら側から事実上照会調査いたしたわけでございます。そしてそういうことから、先ほど申しましたようにあらためて協議をして、決着を何とかつけなければならない、こういうふうに考えているわけですが、その間にこの三月三日の通知というものを向こうから受けた、これが全体の経過でございます。
○曽祢委員 まだ話がこれからも継続されるようで、私はぜひ外務大臣が正式の窓口でこの問題についてさらに継続的に話して、やはりはっきりきめるものはきめていただきたいと思う。そういたしませんと、ただ一カ月延ばされるということは、これはある意味では迷惑でもあるわけですね。もう三月五日付でやめるというので、その再就職や新たな雇用等についていろいろやっていたのに、ただもう一カ月延ばしたから出てこい、これは当該労働者に対して決して恩典ではなく、これは過酷な取り扱いとも言えるわけですから。しかしそれが一カ月延びたのに四月五日の前に期限が到来するまだほかの組があるわけです。予告、これはどうなるのか、こういうこともあわせてやらないで、ぽかっと三月五日のものをとりあえずおまえは一月延ばした、そういう問題の取り扱い方というのは日米間にむしろわだかまりを残すことであって、決していいことではない。だから、三月三日の通告については協議の上で外務省が言われたんじゃないようで、その点はわかりますが、ぜひその点について全般的に外交ルート、正式な安保委員会で協議の線に乗せてはっきりしていただきたいと思います。この点を特に御要求申し上げておきます。 それから、実はきょうほんとうは防衛庁長官にもおいで願って、両大臣のおられるところで質問を続けたいと思ったのですけれども、防衛庁長官がちょっとおいでになれそうもないので、施設庁長官においで願っているのですが、私はこの間の予算の分科会では特にこういうことも言っているのですよ。外務大臣から、十二月二十一日の日米安全保障協議委員会で決定した線を変えるものでないというはっきりしたお答えがあったにもかかわらず、どうもまだ防衛庁のトップレベルに何かそういったような、つまり解雇延長という意味ですが、何かそういったような、まだ実態はわかっていないけれども、ルーマーが入っているのではないか、こういううわさがあるのだけれどもだいじょうぶですか、そういうことないですか、こう伺ったのですね。それに対して、先ほど申し上げたように中曽根長官は、いやそんなことあったら安保協議委員会で再協議する、それでなければ変えられないものだ、ここまではっきり言っておられるわけですね。この前提の上に立って私はどうしても納得できないのですが、今回の措置について多くの新聞は、ただ横須賀市の在日米海軍司令部が三月三日に、先ほど申し上げような三月五日付の解雇予定者に対して一カ月延びたという通告があったということだけです。新聞によってはこういうことを言っているのがあるのです。これはきょうのジャパンタイムズです。これによると、三月の二日に島田長官が在日米軍司令部のリチャード・リー参謀長にお会いになって、そしてこの問題でお話しになった。こういう事実がおありですか。御答弁願います。
○島田(豊)政府委員 事実でございます。
○曽祢委員 さらに、この新聞の報道するところによれば、島田長官はその際に参謀長に対して、いわゆる横須賀の米軍の従業員の解雇問題はアンタイムリーである――アンタイムリーとはどういうのか、時期が適当じゃない、時期でない、こういう意味かと思いますが、アンタイムリーであるという理由によってこの解雇の延期を求めた、こういうふうに書いてありますが、これは事実ですか。
○島田(豊)政府委員 この問題につきましては、ただいま外務大臣からいままでの状況につきまして御説明がありまして、私どもも全く同様の認識でございますが、一ころ地元なりあるいは駐留軍の従業員の中からいろいろなうわさが飛んでおりまして、われわれはそのつど在日米海軍司令部のほうへも照会をしますけれども、司令部のほうの意見としましては、従来の既定方針に変わりない、こういう返事でございました。その後もしかしそのルーマーがなかなか消えませんし、従業員のほうからも、いろいろそういう点についてもっと明確にすべきではないかという強い御要望がございまして、私どもは、そういうことも考えまして二日の日にリー参謀長にお会いいたしました。それについては地元にこういうふうなうわさがあるし、従業員としてみれば、こういう不確定要素といいますか、不安定要素が非常に多い中で解雇をされるということは非常に困るんだ、こういう一つの気持ちの表明もいたしまして、したがって、従業員の要望としてはこういうことである、こういう不確定要素の中で大量解雇というのはどうもわれわれとして納得できない、こういうことであるという意向を伝えたわけでございます。したがって、私のほうとしては、解雇を撤回してくれ、延期してくれということを申し入れたというよりも、むしろそういういろいろな問題があるので、この問題について全く調整というものができないものかどうかということについて向こうの意見をただしたというのが事実ございます。
○曽祢委員 私も、従業員の諸君から、こういう小出しに、三月五日、三月十五日、四月五日、六月末までにと、ちょびんちょぴんとこま切れみたいに解雇通告をされて困る。しかも、この前の予算委員会でも申し上げましたように、長官も御承知のように、予告期間が九十日以内の人もあるわけですね。したがって、そういったことは困るということは聞いております。ですから、従業員諸君には、どうせ首切られるのなら全部合わせて六月末にやってくれ、これは聞いております。しかし、そういうことと、三月五日のものだけを切り離して一カ月とりあえず延ばすということとは全然意味が違うと思う。これは決して雇用の安定になりませんよ。むしろ不安定になる。そんなことはあなた、よく御存じである。その点からいえば、これは決して現地の動揺を静めるための措置に結果的になっていない。むしろ動揺を深めているのですね。それが一つと、もう一つは、日本側が少なくとも解雇の通告をしたものを実際上延期するようなことについて、アメリカ側のイニシアチブでわれわれはなされておるのかと思っていたけれども、それは防衛施設庁のほうもそれに関与しながらやっておられたのですか。その点が、どうも私は非常に割り切れないものがある。むしろアメリカ側のやり方がどうもわからない。この前十二月二十一日では、これこれこれというふうに、こま切れにせよ、はっきり通告してきて、今度は向こうの都合か何か知らないけれども、それを何か延ばすという現地にはルーマーがある。そうすると、追っかけて今度ははっきりそれが事実になってあらわれた。そういうことはアメリカ側の行為なのかと思っていたら、防衛施設庁もこの延ばした問題について関与されておるのですか。どうなんですか、はっきりしてください。
○島田(豊)政府委員 これは結局米側の事情によりまして、こういうことが事実となって出てきたというふうに考えますが、米側のほうの説明としましては、既定方針については別に変更ない、既定方針どおりやりたいが、いろいろ、たとえば設備を撤去するあるいは軍人軍属の輸送計画を立てつつあるその中で、職場によりましては若干のやはり遅延といいますか、そういうものがある。そういう問題が従業員の就業状況にも影響があるんだ、こういうふうなことでございましたので、したがって、われわれのほうが特にこれを強く要望いたしたからこういう結果になったというよりも、やはり米側のほうの主体的なそういう事情のためにこういう結果になったのではないか、こういうふうに認識いたしております。
○曽祢委員 あなたはいま、日本側にも通告の問題についていろいろルーマーもあるのでその点を申し上げた……。やはり結果的には、ここに書いてあるように延期を申し入れたんじゃないですか。延期を申し入れたのは、私はけっこうだと思うのです。全部を六月末までとりあえず延ばせというなら、私はそれは賛成です。だけれども、結果的に出てきたものは、第一波だけをとりあえず一カ月延ばす、これじゃむしろ不安定になるのじゃないですか。どういうところに、あなたは防衛施設庁としてはこの解雇問題あるいは船舶修理施設の問題等、どういうふうに持っていかれようとしておられるのか、この点明らかにしていただきたい。
○島田(豊)政府委員 先生おっしゃいますように、やはりこの解雇問題は計画そのものが非常に明確であって、それが計画どおりに遂行されるということがかえって安定を増すゆえんであるということは、私も十分認識いたしているところであります。しかしながら、そういう技術上、いろいろ準備を進めていく上におきまして、若干その手直しというものがないわけではないことも、われわれとしては考えられるわけでございまして、その辺についてはやはりできるだけ早く、そういう問題の変更があるならば変更を示して、そして従業員、労務者に安定した状態をもたらすことが望ましい。とにかくこういうようなルーマーがあるんで、その辺は米側としても明確にする必要があるということは、われわれも申し入れをしておるわけでございます。 そこで、今後の問題でございますが、確かにおっしゃいますように、すでに解雇の通告を受けまして、再就職についていろいろ努力もされておる、そういう方々に対して、一時的にせよそういう不安定な状態が出てくるということは望ましくないわけでございまして、その辺はもう通告は通告としてそのとおりに実行されるということが、むしろある意味では望ましいという感じも持つわけでございますが、この辺は大きな方針というよりも、小さな職場職場におきますところの準備の進捗状況等に見合った処置でございますので、これは今後とも絶無ということもなかなか言い切れない、若干の手直しというものはあり得るんではないかという感じもいたしておるわけでございます。 いずれにしましても、いろいろ含めまして労務者の再就職あるいは援護ということにつきましては、われわれとしてもあらゆる角度からできるだけの努力をしたいということで、その辺計画遂行にあまり動揺、不安を与えることがないようにすることが第一。それから離職者に対しましては、先般の閣議にも報告されましたような離職対策の大綱に基づきまして、各省庁あるいは地元が十分協力をしてその援護に万全を尽くす、こういう考え方でおるわけでございます。
○曽祢委員 十二月二十一日の日米安全保障協議委員会のこの件に関する決定は、一応確かにアメリカのニクソンドクトリンに基づく在日米軍及び施設の撤収ということでは、向こうにイニシアチブがあったことは事実です。しかしそれは日米安全保障協議委員会において日本が決定に参加しているわけでしょう。だとするならば、やはりその基本線を変えるような、これではやはりどうもぐあいが悪いんだ、横須賀に関してはこれはぐあいが悪いんだということがあれば、なぜそれをタイムリーに取り上げて、そして施設庁の見地あるいは防衛庁の見地から艦船修理の問題等を含めて、あのスピードでは困るということがあるならば、それはちゃんとそれを取り上げて、そして日本側の意見がこうなんだからといって、修正させたらいいじゃありませんか。そういうことを聞いてみると、政府のほうでは考えています、考えています、そして出てくる形はアメリカのほうから通知があった、また聞いてみると、そのアメリカの通知のある前に施設庁の長官はアメリカに会って何らかの相談をされた、これは私は政府の姿勢として正しくないと思う。 委員長、きょうは同僚委員の非常な寛容なあれをいただきまして、時間をいただいたのですけれども、これはどうしても重大な問題で、外務大臣と防衛庁長官を正式に、来週予定されるであろう国際情勢の検討のときに来ていただきまして、それでさらに両大臣の前で質問を継続させていただきたいと思うのです。そういう意味で、きょうこれ以上やりましても、問題の本質がやはり防衛施設庁のみならず、防衛庁長官のところにも来ておると思いますので、ここでこれはできませんので、特に外務大臣に再度お願いしておきますけれども、こういう問題についてはぜひ安保協議委員会、外交レベルでお取り上げになって、ほんとうに向こうの計画が無理なら、日本の意見も、これは現地側の意見も十分聞いていただきたい、単なる防衛庁と防衛施設庁だけでは私は困るのです。横須賀市当局あるいはあそこの駐留軍労働者諸君の意見等も聞いて、それは悪いものだったら、直したらいい、そういう明朗な形でこの問題は進めていただきたい。その点について来週もう一ぺん質問の機会を与えていただきたいことをお願いいたしまして、これで本日の質問を中止いたします。
○田中委員長 委員長から曽祢委員にお答えいたします。 次回の国際情勢に関する質問の際に、関係大臣の御出席をできるだけできますように委員長としても努力いたしますので、御了承願いたいと思います。
○曽祢委員 お願いいたします。 ――――◇―――――
○田中委員長 引き続きコンテナーに関する通関条約の締結について承認を求めるの件外二件に対する質疑を続行いたします。西中清君。
○西中委員 先ほどの質問に対してお答えいただきたいと思います。
○山崎政府委員 先ほどの御質問の点でございますが、ドアが開いたままで暴力、脅迫その他威嚇手段を用いて乗員、乗客を全部追い出して、そしてその飛行機を支配して飛び立ったというふうな場合、これはこの条約の規定からしますれば、確かにドアが開いたままで行なわれた犯罪でありますから、飛行中の航空機内における犯罪とは、この条約の規定からすればみなしがたいと思います。したがいまして、そういう場合はこの条約の対象外であります。しかしながら、だから何もできないというわけではもちろんございませんで、各国の国内法によって、そういう場合には、普通もちろん脅迫罪に該当するでありましょうし、それから飛行機そのものも盗んだわけでございますから、強盗にもなりましょうし、それぞれの国内法でしかるべく処罰することになるということでございます。
○西中委員 一応これで質問をとどめます。
○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十一分休憩