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65回国会衆議院1971/02/26

外務委員会 第4号

発言数
151
登壇者
12
会派数
4
開催日
1971/02/26

会議録

田中榮一自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正の受諾について承認を求めるの件、油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件、以上三件を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次、これを許します。曽祢益君。

曾禰益民社党

○曽祢委員 最初に、先回の委員会で外務大臣に御質問いたしました国際原子力機関に関連して、いわゆる平和的施設の査察の問題で、国際原子力機関の会議における日本の主張がかなり通った、こういうお話でございました。具体的に、案文といいますか、大体できていると思うのですけれども、どんなものであるか、ちょっと御説明願いたいと思います。

西堀正弘外務省国際連合局長

○西堀政府委員 先生御承知のように、一番の問題点は、要するにNPTの第三条のもとにおける保障措置をどういうふうにやるかという点でございまして、この重要性にかんがみまして、IAEAにおきましては、保障措置委員会が設けられておりまして、それの審議が行なわれたわけでございます。この保障措置委員会は、昨年から数回にわたって行なわれております。  その最も重要であります査察条項につきまして、昨年の十二月に最も多く審議されたわけでございますけれども、大体この前大臣が申されましたように、おおむね日本の主張は通ったというふうに考えております。  ただいま先生のお尋ねになりましたところの、条項が大体まとまっているのではないかという点につきましては、要するに、各国が結びますところの保障措置協定のいわゆるモデルをつくる、ひな形をつくるということでございますけれども、まだその条項整備という点まではいっておりません。査察につきまして、保障措置委員会において一応の合意ができているということでございます。  それから、それ以外の点につきましては、また三月にも開かれますし、したがって、いまお尋ねの条項といったものの梗概は申し上げ得ない状況でございます。  それで、この前大臣が申されました点をちょっとふえんさせていただきますと、要するに、わが国が主張しておりましたところの査察の合理化、それから査察の簡易化、それから他国が、他の非核締約国がこのIAEAと結びますところの保障措置協定のもとにおける査察、それと実質的に不利でない、いわば平等性の確保といった点について、この三点をわれわれとして主張いたしました結果、繰り返しますけれども、おおむね満足すべき状況になったのでございます。  そこで、最も先生の御懸念といいますか御関心があると存じますところの平等性ということでございますけれども、この点についてちょっと申し上げさせていただきますと、いままでの、たとえば昨年の十一月に問題になりました敦賀の原子炉、これに対する査察、これは現在の日米国際原子力保障措置移管協定に従って行なわれているわけでございますけれども、この中におきましては常時査察、常時立ち入り権というものをIAHAが持っているわけでございます。これにつきましても、常時立ち入り権というものは今度の保障措置のモデルにおきましては認めないということになっております。  それから査察の密度、それから頻度、それから期間、われわれはインテシティー、フリークェンシー、それにデュアレーションと申しておりますけれども、これにつきまして、これをあらわしますところの数値といたしまして、人と日にち、人・日、こういった新しい概念を設けまして、われわれ査察の最大業務量という新しいことばを設けてこの数値をあらわすことにいたしております。その数値は、いま申しましたように、人・日、マン・デーということで、それぞれの種類につきましてその最高のマン・デーをきめるということになりました。たとえば敦賀の原子炉につきましては、いままでやられましたところの査察は、この基準に当てはめますと七体百マン・デーになるわけでございます。百人・日になるわけでございますけれども、今度の最大の査察業務量という基準から申しますと、これが五十マン・デーということになりまして、いわゆるわれわれの主張しておりましたところの簡素化という点がこれでいれられたと思うのでございます。しかもこの最大の査察業務量というものは、これはすべてユーラトムの諸国を含めてIAEAと保障協定を結びます国々に対して適用される基準ないし数値でございますので、御懸念の平等性の確保という点も、これによって、確保されたもの、こうわれわれは考えております。

曾禰益民社党

○曽祢委員 いま伺ったところによると、査察にあたっては、常時立ち入りということでなくて、査察の密度、頻度、期間、これをマン・デー、人と日にちということを加味した数量的に最大の業務量をきめる、こういうことで、そのまた最大の業務量はユーフトムにも適用される、こういうことのように伺ったのですが、そのとおりでしょうか。

西堀正弘外務省国際連合局長

○西堀政府委員 そのとおりでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 それだと、大体常時いつでも査察をするということは禁止されるのですか。しかし、その数量はきまっているけれども、いついかなるときにやるかということは、いわゆる抜き打ち検査みたいなものがあるのかないのか。これは作業量のこととは一応無関係じゃないのですか。いわゆる常時査察権といいますか、抜き打ち検査というのはどうなんですか。

西堀正弘外務省国際連合局長

○西堀政府委員 IAEAといたしましては、その査察員をそれぞれの国に派遣いたしまして、核に関する施設を査察する場合に、それぞれの国に対しまして協議をするということになっておりますので、いきなりやってきて査察をするというようなことはいたさない、これは確認をいたしております。

曾禰益民社党

○曽祢委員 いまの敦賀の国際原子力機関による査察の問題、十一月に非常に問題になりましたね。これは、科学技術庁来ていますか。今度はそちらからお答え願いたいのですが、だれか来ていますか、委員長。

田中榮一自由民主党

○田中委員長 田宮原子力局次長。

曾禰益民社党

○曽祢委員 次長でけっこうですけれども、たいへんに発電の側において非常に迷惑してまた憤慨もしたような事態も起こりましたけれども、こういったようなIAEAにおける査察に関するひな形の話が進んだ結果あるいは電力界のほうから強く抗議したこと、あるいは日本政府からも口をきいたかどうか知りませんが、そういう関係でその後の査察状態というのは非常に変わってきたのかどうか、その点科学技術庁のほうから御説明してほしいと思います。

田宮茂文科学技術庁原子力局次長

○田宮説明員 昨年十一月の敦賀の問題のあと、政府からもIAEA側に強く申し入れをいたしました。現在行なわれております査察は、いま西堀国連局長がお話しになりました核防下の査察と違いまして、いわゆる三国の移管協定に基づく査察でございますので、制度自体は違うのでございますけれども、一方NPTの査察の合理化というものが進んでおりますので、IAEAといたしましても、現状におきます移管協定に基づく査察の実施に関しまして、この保障措置委員会で行なわれております新しい制度の精神を取り入れて、簡素化するように動きがございますし、それから敦賀のようなあれは、ちょうど定期検査のときに原子炉のふたがあいておりますときに行なわれた査察でございますが、そういうような事態はその後まだ起きておりません。近く関西電力の美浜、福島等につきまして、そういう定期検査が行なわれますので、そのときに同じような事態が生じるわけでございますが、この点につきましては、わがほうといたしましても十分IAEA当局と事前に協議をいたしまして、もっと合理的な査察をするように申し入れるつもりでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 現在の制度におけるIAEAの査察にしてもまたNTPのもとにおける予想される査察にしても常時詰めっきりなんということは実際上ないと思うのですね。ですから定期検査なのかあるいは随時検査なのかということになると思うのですけれども、その点は西堀局長どうなんですか、常駐なんかするのですか、しないのですか。

西堀正弘外務省国際連合局長

○西堀政府委員 常駐ということはまずあり得ないことでございます。と申しますのは、先ほど申しました最大査察業務量から申しましても、常駐いたしましたのでは、これはマン・デーをオーバーしてしまうことに相なろうと思うのでございますし、また、現に査察員というのは、これは、もうIAEAにとりましても、そういうことをやろうといたしますと、たいへんな人数になりますので、経費の点からもそういうことは考え得ないと考えてよかろうと存じます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 それにしてもユーラトムにおける査察がともすれば——ユーラトムの政治的背景がわが国と違いますから、それと原子力機関との話し合いによって、ユーラトムの自己査察の面が非常に強くなって、言うならば、IAEAの直接査察というものはほとんどなくなるのではなかろうか。ただ作業量を紙の上で平等にしても査察の主体というものが非常に違うのではないかと思うのですが、そういう点の平等性については、いままでのところこの保障協定のモデルに関する話で、どこまでそういう意味の平等性が確保できておるのかどうか、その点をお知らせ願いたい。

西堀正弘外務省国際連合局長

○西堀政府委員 御懸念の点私もごもっともだと思うのでございますけれども、したがいまして、その点われわれといたしましても最も注意をいたした点でございます。と申しますのは、先ほど申しました簡素化ということと、もう一つ合理化という中には、それぞれの国内における要するに管理制度の活用ということもございます。したがいまして、日本における国内の管理制度、その報告のしかたでありますとか、あるいはその統計的手法をもって云々という、私もよくわかりませんけれども、とにかく国内における管理制度、これが非常に充実しておりますならば、IAEAといたしましては、その国内の管理制度がほんとうに効果的であり、また信頼性のあるものであるかどうかという点についてのその信頼度の問題になってくると思うのでございます。信頼度がいかにあるからといって、IAEAとしてはも独自に行なよところの認証といいますか確認といいますか、ノンデペンデント・ベリフィケーションということばを使っておるようでありますけれども、これを全然なくしてしまうということは、IAEAの憲章からいってもあり得ないわけであります。しかし、いま先生の御懸念のように、たとえばユーラトムの内部におけるその国内管理制度と申しますか、それに相当するところのユーラトムの中における管理制度というものが、かりに日本と比べて非常に進歩しておるというか、あるいは信頼度が高いという限りにおきましては、その、いま申しました独自の認証ないしは確認というものは、やはりその限りにおいて少なくなっても、これはそれこそまさに平等性でございまして、ごく簡単に申しますならば、いまのインデペンデント・べリフィケーションとそれから国内管理制度とのプラスした合計、これがユーラトムの場合と日本の場合と平等であれば、これは平等性の確保ということになるわけであります。そこでわれわれといたしまして非常に強く主張いたしましたのは、ユーラトムの場合には、これはグループ・オブ・カントリーズなるがゆえにそのインデペンデント・ベリフィケーションというものが少なくなるということは、われわれとしては絶対に了承できないというのは、国内管理制度が非常に完備している——これはだれが見ても国内管理制度の完備していることはわかるわけでございますから、それが日本の場合にユーラトムと比べてこれが少しでも劣っているということのためにユーラトムのインデペンデント・ベリフィケーションがその限りにおいて多くなるということは、これはもういたしかたないところでございます。しかし単に国のグループであるがためにこちらのほうが信憑性が高いなんというのは日本としては了承できないし、そういうことは言わせませんよという点は、私ども言っておるわけでございますから、したがいまして、そういう意味において、何といいますか、平等性のワク組みというのは確保できたとわれわれとしては考えておるわけでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 その点わかりますが、単にユーラトムが一国でなくて数カ国の、しかも非常にテクノロジーの進んでいる国ですね。だから日本と違うということは認めない。数カ国と一カ国ということで数カ国のほうにゆるやかということは理屈になりませんから。テクノロジーからも同じレベルであるということ、それから政治的にも平等性も大体同じであるということでなければいかぬと思うのですね。ただその場合に、私心配するのは、これはあまりに心配性に過ぎるのかもしれませんが、ただユーラトムにはフランスというとにかく原子力を軍事的に利用することを認められている国もあるわけですね。ここに入っておりませんから、核拡散防止条約に入りそうもないと思いますけれども、しかしフランスがいるからそれを信用して、大体自己査察にウエートを置く。わが国の場合には技術的レベルについてどう評価するかについては別として、やはりどうも政治的に日本が必ずしも信頼できないという空気もあって、どうもフランスが入っている場合のユーラトムとは国際原子力機構におけるわが国の取り扱いが政治的に違うじゃないかという懸念があるのですが、そういう点はだいじょうぶなんですか。

西堀正弘外務省国際連合局長

○西堀政府委員 フランスとの関係につきましては、まさに先生のお抱きになります御懸念、われわれも実は持っておるわけでございますけれども、この点はかねがね、NPTの署名をいたしました際にもだいぶ問題になりまして、われわれといたしましても、このユーラトムの査察というものは非常に厳重なものでございまして、IAEAの査察よりもむしろ厳重であって、特にユーラトムの内部の諸国の関係、すなわちフランスとドイツとのライバル関係だとかそういう点からいって、特にドイツでございますけれども、それに対してユーラトムの国々が相互に持っているところの猜疑心と申しますか、そういった観点からユーラトムの査察というものは信憑性があり、非常にストリクトであるという点ではわれわれは信頼していいんじゃないかと思います。ただ先生御指摘の、フランスとの関係においてそこに何らかあるのじゃないか、われわれといたしましてもぼやっとそんな感じはいたすわけでございますけれども、こう突き詰めて言えばそんなことはない。ユーラトムの中でこういうふうにきちんと査察のあれができているんだという説明を聞きますと、なるほどということでもってわれわれとしては納得しているわけでございますが、しかしかりにフランスが入ってもこんなNPTには署名をしないのです。また入ってくる気配もないのです。そこの点からも、何と申しますか、若干の懸念というものは先生と同様われわれも抱いておるわけでございます。しかし理詰めでもってこれを聞いてまいりますると、どうもやはり何も心配しなくてもいいということにわれわれとしては結論しております。しかし、繰り返しますけれども、先生の御懸念はわれわれとしても持っていないということは申し上げることができない現状でございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 これは最終的には査察保障はやはり政治的に信頼できるかできないかということになるんじゃないかと思うのですね。そういう意味でわが国の基本的な政治姿勢ということが非常に重要だと思うのですが、それにしてもただ作業量の問題だけでなくて、俗にいえば一体どこまでのぞき込むかですね。そこをあまり、それこそ簡素化ということと合理化ということとに関連するのだろうと思いますけれども、また同時にそのことが産業スパイは禁止する、やはり商業的には秘密を守らなければ、わが国も将来は独自の平和利用の原子炉を外国に売り出すぐらいのことがなければならぬですから、そういう意味の公正な商業競争の利益は守らなければならぬわけですから、したがって、査察の方法についてどういう、たとえば原子炉の、かりに日本が新型転換炉なり何かを動かしたときに、そのデザインといいますか、そういったようなブループリントなりそういうものを見せなければいけないのか、それから現場でどこまで立ち入り検査を認めるのか、そこら辺のことについては、つまり査察の方法です、内容的にそれがまた原子炉を運転する上にどれくらいの支障になるのか。それからまた、どれくらいその商業の秘密を守り得るのか。これらの点についてはどこまで話が進んでいるのですか。作業量の平等性だけでは私は済まぬと思うのです。いかがですか。

田宮茂文科学技術庁原子力局次長

○田宮説明員 先生の御指摘になりました商業秘密の保持の点でございますが、ちょっと御質問にございましたように二つ問題がございます。  まず、そのブループリントをどういう程度扱うかということでございますが、これはIAEAのほうでは設計上の提供ということになっておりまして、その趣旨は、核物質が施設の中でどのように流れていくかというようなことをチェックするためのものでございます。  それからもう一つ、立ち入りの点でございますが、これは従来までは、国連局長が申し上げましたように、立ち入りの場所の制限もございませんでした。今度の新しい制度では、いわゆるストラテジックポイントと申しまして、立ち入りの場所を制限いたすことになっております。これはややこまかい話になりますけれども、要するに査察の目的は核物質の施設における出入りをチェックすればよろしいということでございますので、その出入りの場所をチェックするポイントをストラテジックポィントと、こう言っております。新しくできました制度では、通常の査察の場合にはそのストラテジックポイントのみ立ち入るということになっております。そういう考えのもとにブループリントの提出もそれに関係するところのみ提出するということになっておりまして、そういう考え方は確立しておりますが、現実の問題といたしまして、御指摘のATRについてどこがストラテジックポイントか、それからそれに基づきましてそのブループリントをどれだけ出せばいいか、こういう問題は、具体的には、かりに日本がNPTに加盟いたしましたならば、それのIAEAとの補助措置協定、その細目協定の問題、それに備えまして、私どもといたしましては、今度はそういう確立しました考え方に基づく具体的な研究開発——そのストラテシックポイントを制限いたしますためにはほかに出入りがないという装置、考え方というものを確立しなければいけませんので、そういう研究開発をいま一生懸命やっておるところでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 要するにブループリントの提出は、コマーシャルデザインというか、そういったようなリアクターのほんとうの商業上の機密に触れないで、ただ、いわゆる核分裂物質あるいはこれに関連する物質をどういうふうに原子炉で使ってどういうふうにするんだというところだけを見せればいい、簡単にいえば。それから全体として検査さするのは、その物質の出口と入り口とをチェックすれば、ほかから入ってきちゃだめだけれども、それでわかるようなところにとどめよう、こういうことにはなっているけれども、非常に重要なころなんで、まだまだ細目の協定をつくらない安心できないわけでしょう。そういうことですか。

田宮茂文科学技術庁原子力局次長

○田宮説明員 そういう立ち入りの場所を制限する。核物質の出入りをチェックするに必要な限りにおいて立ち入りをする、また情報もその限りにおいて出すという原則は確立しております。ただ御指摘のように、いろいろこまかいそういう概念を実際に活用する場合には、原子炉の形も違いますし、それからほかの施設もございますので、技術的な開発に基づきましてこの場所のみでいいんだという制度、これにはたとえばプルトニウムな持ち出そうといたしましたらアラームが鳴りましてドアが締まってしまうというような制度のそういうものの開発も込めまして、きめのこまかい研究が必要だというふうに考えております。

曾禰益民社党

○曽祢委員 原子力機関のほうはその程度にとどめまして、次に、これは主として運輸省及び海上保安庁に伺うことになると思いますが、まず最初に、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約のほうですけれども、私は今度の条約が確かに従来の大体沿岸から五十海里程度に近接した公海だけの油の流出を禁止するという条約から、全公海に対してもひとしく油による海水の汚染を禁止するということになったのはいいと思うのですけれども、この点につきまして非常に問題になるのではないかと思うのは、第十条は、第一号は変わってないわけですけれども、要するにもう一つの条約ですね、海難等の事故が起こった場合には沿岸国において処置がとれるというのと本質的には立て方が違うわけですね。だから公海における油の汚染については、沿岸国がまのあたり事実上やられていてもそれに対して相手国に対して何といいますか注意を促すという権利しかないので、みずから必要な措置をとれるようになっていないわけですね、第十条。これは条約の発展からいうとやむを得ない気もしますけれども、どうもわが国の場合にちょっともの足らないという感じがいたすのですが、この点は緊急の場合にはどこから先がアクシデントなのかちょっとわからないですね。故意に乱暴に油のたれ流しをやっていることが飛行機の上からでも見えるような場合に、ただ通報しかできないのかどうか。その点について何か沿岸国が緊急措置がとれるような話はなかったのか、あるいは日本政府としてはそういうことを要求しなかったのか。これはもしこっちが、日本の船が悪いことをしていれば日本の船がやられる場合もあるでしょうけれども、むしろ日本に出入りする船は残念ながら日本籍ばかりじゃないわけです。かなり外国籍があるわけですから、日本の領域あるいは沿岸の安全を保持するという見地からもう少し、沿岸国の緊急の場合には、迷惑な汚染を見のがしにすると言っては語弊があるかもしれないが、緊急措置がとれないという条文の欠陥というものは確かにあると思う。その点は条約改正の経緯において、日本側はどういう主張をしたのかあるいはそういったような各国の意見はなかったのかどうかを伺いたい。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 曽祢先生御指摘のとおり、この二つの条約を比べますと、公海におきます場合の外国船に対する措置という点では確かに若干相違がございます。歴史的に見まして、そういう公海におきます外国船については船籍のある国が排他的な管轄権を持つということになっておるわけでございまして、それがこのごろのように汚染の問題が非常に起こってまいりますと、その点についていろいろともう少し関係国が関心を持つのは当然でございますが、この十条につきましても、しかしながらわれわれもある意味でまた日本は海運国でございまして、油を流しておる、すぐそれで公海の上でも沿岸国から取り締まられる、沿岸国がすぐそれに介入してくるということでは問題のあるところもあるわけでございます。ただそこで、御指摘のとおり十条の第一項に関しましては変わってはおりませんが、その第二項をごらんいただきますと変わっておりまして、通報し、そして従来はその結果いわば判決だけが通報を受けるのでございましたが、そのとられた措置についても通報を受け得るということになっているわけでございます。措置というのはいわば起訴なんかの中間段階も含むという意味で、わりあいその点沿岸国、関係国が通報を受け得る範囲が広がっているわけでございます。  他方、海難等の場合で油が大量に流れ出て沿岸国がほんとうに影響を受ける、また受けそうになったときには、もう一つの条約のいわゆる公法条約で確かに沿岸国が措置をとり得るわけでございます。これはその前文にも「そのような状況の下で自国民の利益を保護するための例外的措置をとることが公海上で必要となることがあり、」と書いてありますように、公海において外国船に一つの措置をとり、いわば介入することはやはり例外であるという観念でこの条約が立っておるのでございまして、現在の国際法の段階においてはこのくらいが妥当なところであるというふうに観念されたのであると存じます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 運輸省はどうです、その点について。

田付健次運輸大臣官房政策計画官

○田付説明員 いま外務省のほうから御説明がありましたようなことでございますが、私どもといたしましては、前の臨時国会で海洋汚染防止法案の御審議をいただきまして、従来の通報制度がIMCOの条約において強化になりましたので、それをさっそく取り入れました。また重大な事故が発生して沿岸等に危害が発生いたします場合には、公法条約の趣旨にのっとりまして海上保安庁長官のほうで緊急の措置ができますように国内的な体制を制度化いたした次第でございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 それは確かに公海における旗国主義、これは一般原則としては間違いないことだし、また海運国であるわが国としてはその点を軽々しく譲ることはできない。ただ、汚染から守るというわが国の非常に緊急のあれから見ると、どうも何かちょっともの足らないのじゃないかという感じがするのですけれども。たとえばこの条約によると、船舶の中には軍艦その他の外国の政府の非商業的なものは全部除外していますね。たとえばソ連の船が日本の領海のすぐ外くらいで汚染行為をやっていることが空から見ても明瞭なような場合に、われわれとしては何にもできないのか。これは海難じゃないですからね。海難の衝突だとか沈没だとか座礁の場合には、これはもう一つの条約で緊急な措置がとれる。そうでない普通の汚染、言い方は悪いけれども、タンカーなんかがたれ流ししているとかそういう場合に、何もできないのですか、どうなんですか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 先ほども申し上げましたように、理想としましては国際的な機関、たとえばIMCOあたりで世界的な取り締まり制度というものができればいいのでありますが、これは一挙にはできないので、もう少しいろいろと話し合っていく必要があると思います。ただ現状においても、そういうふうに海難でなく油を流しておるというふうなことがあります場合には、海上保安庁その他でそれについては一種の行政指導的なことはやっておるわけでございまして、去年の十二月にリベリアの船が若干船に故障を起こして油を体したまま日本近海に来たときには、海上保安庁のほうでもこれには船が出まして、日本に近づかないようにいろいろとそれについて指示をしたということはございます。詳しくは運輸省のほうからお聞き取り願いたいと思いますが、もちろん強制的な管轄権の行使はいたしておりませんが、そういう場合にはできるだけ日本に影響を及ぼさぬように、その船と連絡をとって適当な措置をとっておる次第でございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 いま外務省からあげたような具体的なケースもあるので、そういったようなものを、はっきり汚染していることが現に確認されたようなときには、まず警告するとかなんとかそのぐらいのことは——いきなり船にボードして、乗っていって臨検することはできないでしょうけれども、何らか指示するとか警告する、これはあたりまえのことだと思うのですが、どうなんですか。

上原啓海上保安庁次長

○上原(啓)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、実際には当庁では汚染を発見いたしましたならば、そのような指導はいたしております。正式な話はこれは外交ルートを通ずることになると思いますし、もちろん実力発動ということはできませんが、そのような指導は実際いたしております。ただいま外務省のほうから説明されましたリベリア船の場合は、わが国の造船所で修理をしたいということで、故障状態のままいわば内海とか内湾に入域を希望しておったわけでございます。それを安全といえないということでとうとう追い返してしまった、そういう事件でございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 そういうときに、具体的にどういうふうに指示するのですか。無線でやるのですか、飛行機か何かでやるのですか。

上原啓海上保安庁次長

○上原(啓)政府委員 エージェントを通じて通告する場合もありますし、先ほどのリベリア船アクエリアス号の例で申しますと、ほとんど常時巡視船が監視をいたしておった、そのようなことでございました。入域希望につきましては、これはエージェントと話し合いをいたしまして、その程度の安全性では入域を認めるわけにいかないということで峻拒したわけでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約のほうに移りますが、沿岸国が必要最小限度だと思ってとった行動に対して、そこは行き過ぎだというような国際的な問題が起こり得ると思うのです。そういう場合には、この条約によると話し合い、話し合いができなければ調停、それから場合によっては仲裁、これは両方の合意がなければできないと思いますけれども、そういうことのようですけれども、これはケース・バイ・ケースで非常にむずかしいことだと思うのですが、一般的にいって何が一番目的で、その目的のために最小限度のとれる措置ということはどういうことなのか。たとえば座礁にしろ衝突にしろ油が流れている。その油が流れて汚染することを防ぐためにどういう措置が必要で、とれるのか。たとえば沈没する前に、ほかの日本から繰り出したタンカーに移すあるいは流れてしまった油に対してはどうこうする、大体通念から見て、どこら辺まではこういうアクシデントの場合に向こうから文句が出ないような緊急必要な措置ということになるのか、これは条約上から見て、また実際に取り締まりに当たる海上保安庁から見てどういうふうにお考えになりますか。それをひとつ御説明願いたい。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 詳しいことはあるいは海上保安庁からお聞き取り願ったほうがいいかとは存じますが、具体的にどういう措置を考えられるかというお話でございます。  まずそういう海難を起こして座礁しているとかいう場合には、積んでおります油をほかの船に積みかえるということが考えられると思います。そういう場合には船舶のパイプを切断したりあるいは甲板等を破壊したりして油を積みかえるということが起こります。それからさらに進みましては、その積んでおります油を燃やしてしまうということ、これは現にこの前のトリー・キャニヨン号でも行なわれたわけでございますが、焼くわけでございます。この点も何か油だからマッチ一本すれば簡単に燃えるかといえばそうではないそうでございまして、やはりそのためにも船舶の一部を破壊して、あけて燃やさなければならぬということもあるようでございます。それからさらに、海に流れ出た油それ自体を燃やすという問題もございます。さらにその船を、沿岸に影響がこないように、船ごともっと外の海のほうへ引っぱっていくというふうな措置をとることもあるかと思います。大体そういうふうな措置が従来の経験からしても考えられるのではないかと思っております。

上原啓海上保安庁次長

○上原(啓)政府委員 ただいま外務省のほうから御説明のあったとおりでございまして、われわれもただいまの御説明が正鵠を得ておるというぐあいに思っております。つまりまず被害が及ばないように引き出してしまう、それから積みかえる、それからもうすでに流れ出した油はできるだけオイルフェンスで囲む、このようなことが最上でございまして、そのために向こうの船にダメージを与える、ないしは船主の意向に反して船を引き出すということはあり得ると思います。最悪の場合は飛行機から焼夷弾を落として船を焼いてしまうという事態も私は十分考えられると思います。

曾禰益民社党

○曽祢委員 終わります。

田中榮一自由民主党

○田中委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この内容に入ります前に、私この条約そのものについてちょっとお伺いしたいと思うのですが、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正、それからもう一つ国際原子力機関憲章第六条の改正、この二つが国会に提出されておりますが、これは条約ですか条約じゃないのですか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 条約の改正でありましても、やはり条約であると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 条約ですね、わかりました。  これが条約といたしますと、この条約はほかの条約のように署名とか批准とか、それから通常の条約のような形をとっておらないように思うのですけれども、どうして普通の条約と違う形をとっていられるのでしょうか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 これはそれぞれのそういう専門機関の慣行といいますか、その規定及び慣行によってきまるわけでございますが、国際原子力機関憲章の場合には、規定がございますように、総会の三分の二の賛成を得て、その上で加盟国の三分の二の受諾があったときに、すべての加盟国について効力が生ずるという規定がございまして、総会の三分の二の賛成を得て改正が採択されましたときは、それを各国に通告してやるということになっておりますので、その改正条文それ自体について署名を行なう、そういうふうな普通の条約のていさいをとっていない次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 内容にそう書いてあることは私もわかっているのですけれども、ただ、問題は、普通の条約との形が違っているものですから、やはり条約というからには普通の形をとるべきではないか、こういうふうに考えるのですけれども、まあ内容のほうからあとでまいります。  そうすると、一般に普通の条約では、何々の条約の締結について承認を求むるの件、こういうふうになっていますね。この改正の条約になりますと、何々の受諾について承認を求めるの件とありますね。そうしますと、この受諾と締結というのはどういうふうに違うのでしょうか、この点をお伺いしたいと思います。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 従来は、われわれ普通の条約の場合には、憲法の規定に従いまして、締結ということに統一しておるわけでございますけれども、この改正に関しましては、国際原子力機関憲章第六条の締結について御承認を求めるということをいたしますと、非常に内容がまぎらわしいので、その改正ということそのものに着目いたしまして、やはり国際原子力機関憲章の条文に書いてあるとおりの改正の受諾ということばを用いた次第でございます。しかし、この改正の受諾は、憲法七十三条にいいます締結にほかならないと存じます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまたいへんまぎらわしいので受諾というふうにしたというのですけれども、私はちょっとその辺わからないのですよ。別にまぎらわしいわけじゃなくて、同じものであるならば、締結についてとしてもいいのですけれども、それじゃ、こういうふうな改正の問題のときには、締結じゃなくて受諾ということばを使うのですか。何かそういうふうな形があるわけじゃないのですか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 条約は、改正されます場合には、いろいろな文書の形式があるわけでございまして、それがたとえば、改正議定書というふうなことになっておりまして、それ自体が署名欄も設けられていないような場合には、われわれといたしましては、もちろん従来どおりの様式にできるだけ統一いたしまして、改正議定書の締結に関する件というふうにいたしておるわけでございます。しかしながら、単に改正が総会の三分の二で賛成を得て、それが各国に受諾のために開放されるというふうな場合には、先ほども申し上げましたように、締結ということばを用いるのはあまり適当でないので、その関係規定に従って改正の受諾とした次第でございます。  それから、ちなみに、国連憲章の改正に関しましては、すでに前に行なわれましたが、その場合には、改正を批准しなければならないということばを用いておりますので、われわれはあの際には、国連憲章の改正の批准に関する件というふうにいたした次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、大体締結というのも受諾というのも同じであるというふうに解釈してよろしいわけですね。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 そのとおりでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、念のために、あとへ進めるためにお伺いしておきたいのですが、憲法の七十三条のただし書きにいう、条約は、事前または事後に承認しなければならない、こういうことがありますけれども、それを、かつての西村条約局長が、条約が日本に対して確定的に成立する時期を標準として判断すべきである、こういう答弁をされています。これは間違いないですね。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 確定的に成立するということは、私、ちょっとはっきりわかりかねますが、要するに、日本のそういう条約関係、対外的な拘束関係といいますか、それが最終的に成立する時点で前後をとらえるべきであろうと存じます。具体的に申し上げますれば、署名だけで発効する条約がございましたならば、それは署名前が事前であり、署名した後批准によって発効する場合には、その署名後批准前が事前と解釈されます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこで、さっき山崎さんおっしゃいましたように、この二つの条約は、締約後政府の三分の二以上が受諾をした日の後十二カ月ですべての締約政府について効力が生ずるということがこの中にあるわけですね。それはさっき説明をされました。そうすると、もしこの条約を審議している最中に効力が発生したとすれば、これは事後承認ということになるわけですか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 そういうことにならないようにわれわれとしてはやっておるということでございまして、三分の二というものの受諾があって初めて発効するわけでございますから、われわれとしては、もちろん各国の受諾状況なんかも見まして、できるだけ最大限の努力を払って、事情の許す限りは事前に御承認を得るようにやっているわけで、そういう審議している途中に発効してしまうというようなことは、ちょっと理論的にはともかく、実際問題としては考えられないと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまそういうふうにおっしゃったのですけれども、それじゃ、もしも——もしもじゃなくて、それは当然発効してしまっても国会にかけなければならないわけですね、これは条約ですから。いまの手続で発効してしまっても、もちろん国会にかけなければならないのですね、条約というのは国会にかけなければならないのですから。かけなくてもいいのですか、いまの手続ででき上がってしまえば。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 もちろん原則として条約は国会の御承認を得るべきものでございます。それで、万やむを得ない場合は事後承認を得べきものでございます。ただ、先生の御指摘は、あるいは改正の問題に関連しておるかと思いますが、この改正、この国際原子力機関憲章をごらんいただいてもわかるように、三分の二が受諾があったときはすべての国について発効するということになっておりますので、いわばその仕組みからいたしますと、ある国がじっとしておっても、ほかの国が三分の二以上受諾した場合には発効するという可能性は確かにあるわけでございます。しかし、政府の立場としては、もちろん重要なものその他は国会の御承認を得るべく努力しているわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 だから、政府がそういうことがないように、事後承認にならないように一生懸命に、自然に発効しないように、黙ってじっとしているんじゃないのだ、努力して何とかして審議してもらって通すんだ、こういう意図はわかるのですよ。私は、ほっておいても通るんじゃないかと言おうとしておりません。ほっておいて通るわけはないですよ、条約ですから。やはり条約は国会にかけなければいけないわけでしょう、憲法違反になりますから。だから、そういう意味でおかけになるんでし、占うけれども、万が一いろんなことで国会がおそくなった、解散だ何だかんだといっておくれた場合でも、これは憲法違反にならないためにも国会にはかなければいけませんね、ということを念を押しているだけですから、別に警戒なさらないでください。そうですね。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 御指摘いただきまして安心いたしましたが、ちょっと先生によく御理解願いたいと思いますのは、改正に関しましては、非常に技術的に複雑なことになるわけでございまして、なぜ三分の二の承認があったときにすべての締約国について効力が生ずるというふうな規定が置かれておるかといえば、いまの国際社会で国もたくさんふえておりますし、たとえば非常に技術的な、たとえば理事国の数を十五から二十に移すというふうな改正があった場合、それについて受諾しなければその分については効力を生じないなんということになりますと、かりに条約が改正が発効しておっても、その国は依然として理事国は私は十五だと思っているというようなことになりますと、理事会運営その他も非常にやりにくいわけでございます。そこで、そういうふうな国際社会がいま非常に複雑になった現状において、そういう三分の二の受諾があったら全部の人を拘束するんだ、こういうふうになっておるわけでございます。それから、たとえばユネスコ憲章なんかもそうなんでございますが、あの憲章の場合には新たな義務を負わないような、義務を各国に課さないような改正は、実は総会の三分の二の議決だけで改正してしまう。これも実は条約の改正であります。しかし、これはまさに総会で各国が手をあげたとたんに改正が行なわれる。これは正直申しまして国会にかけようがないわけでございます。われわれはそういうふうな場合には——もちろんそういうユネスコ憲章についてかつてあったわけでございますが、それはもちろん外務省告示をもって知らせてはおりますけれども、そういうふうなこともあるということでございます。その点、改正については非常に技術的な問題があるということをひとつ御承認願いたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうするとあれですか。何も政府がさぼって、国会の審議をしてもらわないということじゃなくて、できなかったような場合で、もしも三分の二でもってきまってしまった場合には、もう国会にはかけないでいいんだという解釈ですか、条約についても。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 その点はいま申しました極端な例にユネスコ憲章の場合、それから原子力機関憲章でも三分の二の受諾があれば、すべての国について効力を生じますので、日本が手をこまねいておっても発効してしまうということは確かにあり得るわけであります。しかしそれは、われわれといたしまして、憲法の精神からしてもそういうふうなことは原則としては好ましいことではございませんので、内容によりまして、わが国にとって重要であり、そういうふうな国際的にもできるだけ発効に協力すべきであると判断する場合には、積極的にこういう受諾をしておるわけでございます。現にこの国際原子力機関憲章第六条の改正も、そういう趣旨でお出ししておる次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私が聞いておるのは、いま言ったような形でもしも発効してしまえば、そのまま条約でも国会にかけなくてもいいのかどうか。これ、ちょっと問題だと思うのですよ。やはり国会にかけなくてはいけないわけですよね。条約でしたらかけなくてもいいんですか。こういう規則があって、少しもたもたしているうちに通っちゃった、それはもうかけなくてもいい、こういうことですか。そうすると、憲法違反にならないということですか。   〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 先ほどから申し上げましたように、非常にこの問題自体がわが国にとっても重要であり、また国際的にも協力すべきだと思う場合には、われわれとしては積極的に受諾する場合には必ずかけておるわけでございます。わが国が何もしないのに発効してしまうという事例は、それはそれ自体が非常にささいなことで、わが国にも何ら関係のないというような場合は、これについてはこの条約がそういう仕組みになっておりますので、発効した場合にはそれを告示をもって国民に知らせるということはございますけれども、それは例外的な場合でありまして、われわれは、原則としてはその内容を判断して、わが国にとって重要であるというような場合には、かけていくようにしているわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまおっしゃったのを伺っておりますと、そのままほうっておいても、もしも発効した場合にはたまには国会にかけないこともあるけれども、それは例外的な問題だ、こういうふうにおっしゃいましたね。だから、やはり憲法のたてまえからいえば、条約は国会にかけなければいけないんじゃないですか。そういう基本線というのはないんですか。まあいいや、これはかけなくてもいいということで、ほおかぶりするということもあるんですか。その基本線を私は伺いたい。そういうことをしても憲法違反でないかどうかということを伺っておきませんと、これまたいろいろな問題が起きてくると思うのですよ、改正の問題で。その中の三分の二以上が賛成して何カ月たてば通りますよなんていうのがあれば、政府が都合が悪かったら、そのままほうっておくということはあり得る。いまの山崎さんはそんなことはしませんでしょうけれども、あなたがいなくなってだれが出てくるかわからない、長い間のことですから。やはりきちんとした一つの線を聞いているんですよ。憲法違反になるかならないかということ、この問題を伺いたい。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 条約は法律と違うところがございまして、御承知のとおり条約の付属書とかそういうものは、国会に条約をお出しするときには付属書もつけてお出しするわけでありますが、その後細部の付属書について改正が行なわれることがございます。それは条約の中で、その改正を通達をすることについて行政府に委任がある。われわれが聞いております場合には、もちろん行政府限りでやっているわけであります。   〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕 たとえば航空協定の付表の改正なんかはまさにそういうことであります。それから、こういう原子力機関憲章のような場合には、先ほどから申し上げましたように一つのメカニズムといいますか、として三分の二が受諾すればすべての国について効力を生ずる、すべての国を拘束するというメカニズムになっておりまして、そのメカニズムについてはその憲章それ自体を御承認いただくときに国会のほうでもその点は十分認めて御承認いただいたものと思うわけでございます。したがって、極端にいえばわれわれがじっとしておっても何でも改正はほかの国がやってくれさえすれば発効するんだから、ほうっておけばいいんだということに、理論的にはなるかもしれませんが、それはわれわれとしては憲法の精神に合致しないと思いますので、その内容についてはわが国にとって重要なものその他につきましては、原則としてそういうものがそういう仕組みになっておりましても、できるだけ事前に御承認をいただくように努力してまいりましたし、今後も努力してまいるつもりでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまのお答えにはちょっと納得できないんですよね。というのは、やはり付表などの簡単なものの場合には、条約の改正といっても簡単なものなんだから、これは国会にかけなくてもいいんだというふうなことをおっしゃるわけですが、そういう場合もあるかもしれませんけれども、条約の改正というものがされる場合には——条約改正にしてもいずれにしても、これが発効するまでには事前または事後の承認を得なければならないということが、憲法に書いてあるわけですよ。だからどんなに中で規則があっても、やはりこれは国会の承認を得なければならないと私たちは思いますけれども、外務省の都合で、あまり関係のない重要でないものは国会の承認を得ないで中の法律でうまく通ってしまえばそれでいいんだ。内容が通ってしまえばそれでいいんだというそういう考え方というものは私は非常に危険だと思うのです。やはりはっきりと憲法にあるように条約に関する限り事前または事後に国会の承認を得なければいけないんだ、こういうことを置いておいていただかないと困る。たとえば国連憲章の百八条にあるでしょう。憲章の改正はその国の、自国の憲法に従って批准されなければならない、こういうように書いてありますね。そういうふうな点から見ましても、国際的に考えてもその国の憲法によって批准されなければならない、条約というものはこういうことがいわれているわけで、そういうふうに考えていかなければいけないんじゃないかと思うのですけれども、場合によっては、しかたがないときには国会にかけなくてもいい、こういうふうな解釈を持っていらっしゃるかどうか、この点もう一度念のために伺っておきたい。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 私の御説明が十分でなかったかとは思いますが、先ほどから申し上げますように、その国際条約のある一部分については、非常にテクニカルな改正については、それは早期に発効し、すべての国について適用できるようないろいろな方法が講じられておるわけでございます。  先ほど極端な例としてあげましたように、ユネスコ憲章の場合には、新たな義務を各国に課さない改正については総会の三分の二の賛成を得ればそこで直ちに発効してしまうわけでございます。それも先生がおっしゃいますように、それは確かにユネスコ憲章の改正であり、条約の改正でございますけれども、そういうふうなメカニズムになっております場合には、政府としてもそういうふうなメカニズムになっておるということを国会のほうで御了承願って、そのユネスコ憲章に入っておるという意味で、われわれとしてはそういう改正が行なわれましたときには、こういう改正が行なわれましたということを官報でわれわれの外務省の告示でお知らせしておるわけでございます。  それで、またそれとちょっと程度は違いますが、原子力機関憲章の場合にも三分の二の受諾があればすべての国について拘束する。これも日本がじっとしておっても、実はほかの国が三分の二受諾すれば改正は発効する仕組みになっておるわけでございます。もちろん、それが非常に重大な改正であって、日本が受諾できないものであれば脱退の自由があるわけでございます。しかしそういう仕組みになっておるということは、これも国際原子力機関憲章を御批准いただきましたときに、その条文として国会で御審議を願ったものでございますから、その意味で、そのメカニズムの上た立って政府としては行動しておるわけでございます。  ただ原子力機関憲章のような場合には政府が改正を受諾し得るわけでございますから、われわれとしては、できるだけ憲法の精神にのっとって重要だと思うものについては積極的に受諾し、そして積極的に受諾する場合には必ず国会の御承認を得ておる。で、今回御提出いたしましたのもそういう趣旨のものでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これは議論していても切りがないと思うのです。平行線だと思うのです。  そこで、私が警告したいのは、たとえばそのときの政府、それからどういうところに基準を置いて通すか通さないかといえば、重要じゃないものは国会にかけなくてもいいんだというお考え方ですと、そのときの政府の考え方で、これは重要じゃないかもしれない、しかし私たちからいえば重要かもしれない、そういう基準がきめられておらないわけですから、非常に問題があるということを私は一つここで残しておきたい。今後に問題があるということを考えておいていただきたい。  そこでもう一つ伺いたいのは、国連憲章の改正のときには国会で批准を求めましたね。これは私も覚えています。たしか一九六三年に出された国連憲章の千九百九十一号によって採択された国際連合憲章の改正というのが批准されて、そして二十三条、二十七条、六十一条、これの改正が行なわれました。これは国会で批准をされております。ところが今度の百九条の場合には国会に出されておらないで改正されているわけですね。それじゃ二十三条、二十七条、六十一条というのは非常に重要だけれども、第百九条は重要じゃない、こういうふうな考え方を持っていらっしゃるのですか。これも批准されてないわけですよ。やはりいまのような理屈でされてないと思うのですけれども、これは条約であるのに国会にも出されない。批准もされない。そうしておそらく効力は発効している。これは一体どういうわけなんでしょう。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 先生御指摘のとおり、国連憲章の最初の改正は一九六三年に採択されました。改正は安保理事会及び経済社会理事会の議席をふやすという非常に重要な改正でございまして、もちろんわれわれとしてはこれは国会に提出いたしまして御承認を得たのであります。その二年後の六五年に小さな改正があったわけでございますが、これは六三年の改正のときに当然そこのところをあわせ直さなければならないところを、向こうの国連事務局の総務部のミスで、正直に言って忘れたということがありまして、そこでその後これについて改正のことが国連できまったわけでございます。これは前の改正を受諾した以上は、当然関連として自動的に受諾すべきものであったわけでございます。その意味で私が先ほど申し上げました点から申しますれば、全く重要でない技術的な、全くいわば文書のミスといいますか、そういうふうなものであったと考えます。  そこで国連憲章の改正の規定でございますが、これはこの国際原子力機関憲章の改正の規定と同様でございまして、総会の三分の二の賛成を得て、さらに各締約国の三分の二が受諾すればすべての国について効力を生ずるということになっておりますので、その点はそういうふうな仕組みになっておるということもわれわれとしては考慮に入れて、第二回目のきわめて小さな文書のミスといった改正につきましては、このまま何ら異議はないので置いておいたわけです。その後三分の二を得て発効したということがあった次第でございます。ですから第二回目は確かに発効いたしております。そして発効した事実はわれわれは告示をもって官報に掲載いたしまして国民に知らせたわけでございます。これは先ほど申しました国連憲章自体そういう仕組みになっておるということと、その内容に照らして、前回の批准で当然第二回についても自動的に行なわれるべきものであったという判断のもとに、われわれとしてはそういう措置を講じた次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これはそれほど私たちの生活に影響ないかもしれませんけれども、ともかく理事国をふやすということですよ。それで外務省なり何なりが通知をするかもしれませんけれども、そういうものはあまり見る人は少ないと思うのですよ、徹底するわけではないし……。  それからいま山崎さんおっしゃったように、国連のミスでこれを書きそこなったから日本もそのミスを認めたというけれども、条約の問題で国連がミスしたから日本もしかたがない、それはミスとしてそのまま通してしまったということは理屈が通らないのじゃないかと私は思います。それが一緒に出てこなかったならば、別に改正をしたのですから、やはりそれは改正したものとして、条約の改正として国会に出してもいいのじゃないかと思うのですが、そういうのは出してはいけないのですか。出してはいけないかいいか、それだけを承っておきたい。そういうのは国連のミスだから、当然それは改正されるべきものだったのだから、送っちゃったのだからかまわないんだ、だから国会には出してはいけないんだというふうにとるべきなんでしょうか。これは私はしつこいようですけれども、いろいろ関連してくるのですからね。だから基本的な線をきめておきませんと、今後においても問題が残るのじゃないかと思います。たとえば条約を国会にかけるかかけないかという問題、改正された条約をどうするかという問題で、いまのような規則を中につくってしまう。国連の場合は別にしても、規則をつくってしまえばどうにでもなるのではないかということを非常に懸念いたしますので言うわけです。いまの国連憲章の問題でいま申し上げたような理解をするわけですか。こういうのは当然、ミスとして認めてしまえばいいのだから国会にかけるべきではない、こういうふうに解釈をしておやりになったのか、その辺のことをもう一度念のために伺っておきたい。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 私は当時は条約局に在籍しておりませんでしたけれども、もちろんそういうものを出してはいけないんだという解釈をとったのではないと思います。英語で申しますと、トリビアルミスと申しますか、全く文書上のミスとして観念されるものであり、特にわが国が積極的な受諾行為をとるまでもなかろうという判断を当時の外務当局としてはいたしまして、それをしばらく放置しておいたということは言えると思いますが、しかしそのときには、かりにそれが発効してもわがほうとしては異議ないという判断を持ったから、それはこの条約のメカニズムとして国会の承認を得ておるという確信のもとに行動したのだと私は思います。決してそういうものを出してはいけないんだという解釈でかけなかったとは思いません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 異議ないことは私も認めます。ただ、これ以上続けませんけれども、しかしとういうものはほんとうは出したほうがいいんですね。そう思いませんか。出したほうがいいか、出さないほうがいいかと言えば、やはり出したほうがきちんとしますね。その点、いかがですか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 この点につきましては、従来もそういう慣行はいろいろございますけれども、われわれといたしましては、今回もごらんいただきましたように、もちろんできるだけ出す方向でやっております。ただ同時に御理解いただきたいのは、国際社会は非常に複雑となり、非常に多くのそういうふうな条約ができて、その改正がしょっちゅう行なわれておる。そこで少し乱暴ではあるが、そういうふうに三分の二の受諾があったらすべての国を拘束するという規定がどうしても国際社会上必要になってきておるのでありまして、そういうメカニズムになっておる条約が今後ますますふえてくるということは事実でございますので、その点政府としてはもちろん国会の御審議を尊重して、できるだけ出しますけれども、すべて出すべきであるということはちょっと申し上げかねます。これはやはりその条約それ自体のメカニズムとしてひとつ御理解願いたいと思うのであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これから都合のいいような解釈でやられると困ると思いましたので、私は執拗に食い下がりました。というのは、はっきりした線を出していただかないと、私たちにはわからないわけですね。メカニズムの中に入っているからしかたがないといっても、どれもこれもそう思っちゃいますから、この点は今後よく気をつけていただきたいと思いますし、私もこのぐらいのところはこういうふうにすべきだというぐらいの線を何かの機会に研究もしたいし、教えていただきたいと思っております。  これはこの程度にいたしまして、条約の内容に入りたいと思いますが、国際原子力機関憲章の第六条の問題について、第一点は、最近政府は原子力発電にたいへん熱意を示して、その技術開発ということに力を入れていらっしゃるのですけれども、産業の成長発展に役立つ技術開発には非常に熱意を示しておりますが、原子炉の冷却水による自然環境の破壊とかあるいはまた人体に及ぼす影響防止ということに対しては、お考えになってはいらっしゃるでしょうけれども、私どもとしてはたいへん不服に思える面がたくさんある。たとえば敦賀湾の海中生物とか海底土からコバルト六〇が検出されて、それが敦賀の原子力発電所から出た冷却水によるものであるということが先ごろ言われたわけですけれども、そういう問題が出ていても、科学技術庁はそれはたいへん少ないから人体に及ぼす影響は少ないのだということを言われるわけです。アメリカでは原子炉からの排水や放射能による公害に対しては非常な不安を示して、そういうものを持ってくることに反対するとか、地域的にはいろいろな運動が起きているわけです。そういう面での考慮が日本では足りないのじゃないかということを聞きますけれども、この点はいかがでございましょうか。

田宮茂文科学技術庁原子力局次長

○田宮説明員 御指摘の原子力発電所の環境の問題は、原子力発電所がたくさんできてまいる時代でございますので、私どもといたしましても、十分その点の研究、開発なり体制なりにつきましては、努力をしているつもりでございます。敦賀のムラサキイガイの中にコバルト六〇が発見された件につきましても、原子力発電所周辺のモニタリングと申しますか、要するに排水中の微量の放射能物質がどのように周辺に蓄積されるかという研究の一環として発見されたものでございまして、平たく申しますと、その辺の生物の中にどのように——もちろん排出基準というものは、原子炉等の規制法に基づきまして厳重に規制されております。その基準を越えないようにやっておりますが、微量に出てまいります放射能物質が周辺の生物等にどういうふうに蓄積をされるかという研究をいたしておりまして、蓄積の指標生物をさがす研究の一環としてやっておりまして見つかったものでございます。考え方といたしましては、かりにムラサキイガイの放射能を調べておりますならば、それが周辺の蓄積の指標になるということであれば、ムラサキイガイを分析するということでございます。  先般発見されたコバルト六〇は非常に微量でございまして、それを毎日二百グラム一年間食べましても、いまICRPの基準となっております生体に危害のない限度でございます〇・五レムの千分の一くらいでございますので、この事態につきましては生体に影響がないというふうに解釈いたしますが、しかし環境問題につきましては今後とも一そう努力をいたしたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 だいぶ前だったと思いますが、ジュネーブで原子力会議があったとき——もう十何年か前のことだと思いますが、私はそのときの記録を読んだことがあるのですが、そこで働く人の住宅の建て方というのに問題がある、だからそういう点に世界の学者は気をつけなければいけないということがたしかどこかに出ていたように記憶しているのですけれども、それほど出てくる排気ガスというようなものは非常に問題になるのじゃないかと思うのです。そこで、日本なんかで原子炉を置く場合には、そういった住宅問題なんかについても、どの程度排気ガスの影響があるから、冷却水の影響があるからというようなことをお考えになってそういうものを設置していられるかどうか、この点伺いたい。

田宮茂文科学技術庁原子力局次長

○田宮説明員 先生御承知のように、原子炉を設置いたします場合には、安全審査会というのがございまして、それが原子炉の設計並びにその周辺の状況を十分に審査をいたしまして、安全であるという結論を得てから設置許可を出す仕組みになっております。そして、その安全審査をいたします中に、気体廃棄物、風向き、逆転層等を検討いたしまして、それが周辺住民に及ぼす影響も十分考慮いたしまして設置の許可を出しております。先生のおっしゃるとおりでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういう点が十分配慮をされませんと、やはり働く人たちに影響が大きいと思いますから、考えていただきたい。  それから、数年前も日本原子力学会でウラン濃縮実験に関して学術研究論文の発表が行なわれようとしましたときに、アメリカの原子力の委員会から強い抗議を受けて、そしてこの日本側の公立研究機関は自発的に発表を自粛することで一応落ちついたんだというようなことを、私どもは聞かされているのですけれども、日本の国の燃料科学の開発について研究成果の発表をするときは、前もってアメリカに、原子力委員会の承認が必要なのかどうか、この点をまず伺っておきたいと思います。

田宮茂文科学技術庁原子力局次長

○田宮説明員 私の知ります限り、日本国内におきます原子力に関する研究の発表等について事前にアメリカに相談した例はないと思います。また、その必要はないと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、前に出された報道というのは誤りだったということですか。

田宮茂文科学技術庁原子力局次長

○田宮説明員 実は私その当時国外におりましたので、ちょっとその真偽のほどをお答えする資格がないのでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、日本は全く自由な形でやっているのであって、何もアメリカに圧力を加えられるようなことはない、こういうことでございますね。

田宮茂文科学技術庁原子力局次長

○田宮説明員 そのように了解しております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 IAEAが加盟国に対して特定の情報の提供とか、あるいは勧告、要請をする権利はあるのかどうか、これをまず伺っておきたい。また、日本が機密情報を提供した場合、これをある特定国のみに提供するといったような取り扱いが許されるのかどうか、この点もお伺いしたい。

西堀正弘外務省国際連合局長

○西堀政府委員 いま戸叶先住の御質問は、おそらくIAEA憲章第八条の「情報の交換」というところの御質問ではなかろうかと思うわけでございますけれども、これは第八条A、B、C項いずれも書いてあるとおりでございまして、各加盟国は、自国の判断によって機関にとって有用と考える情報をIAEAに提供する。それから、各加盟国は、IAEAによって与えられた援助の結果として得られるすべての科学的情報をIAEAに提供するんだということでございます。たとえばアメリカから日本が得ておるところの情報というものは、ほとんどすべて日米二国間の協定に基づいて得ておるわけでございます。したがいまして、この場合にアメリカから得た情報に基づいて日本で研究して得られた情報をどのような国に渡すかということはIAEAの憲章の規定に全然関係はない。したがいまして、全く日本側の判断にかかわるものでございますので、すべての国に平等に渡すといったような義務もないわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、次にお伺いしたいのは、IAEA憲章の第六条A項の1で地域を八区分に分けておるわけですね。この中で「(8)極東」ということがあるのですけれども、これはどういう範囲までいっておるのですか。極東の地域の中にフィリピンが入るのかどうかということも、また考えてから……。いまさら、極東を前のような定義ではなくて、国もあげてください。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 これは要するにIAEA憲章の目的に照らしてきめられるわけでございますが、理事国の選出を地域的にも非常にバランスのとれたものにするということを考慮して、まず八つの地域に分け、そしてそれぞれの地域に加盟国を配分しておるわけでございます。どの国がどの地域に入るかということは、別に憲章及びIAEAで正確にきまっているわけではありません。ただ実際の理事国の選出において、ある国がある地域から選出されているというふうなことの、そういう事実のいわば積み重ねによりまして大体きまってきておるということでございます。一応そういう了解のもとで現在極東に入っておりますのは、いまのところ日本と中華民国と韓国とフィリピンとベトナムでございます。これは従来も理事国になっておりますので、これらの国は極東に属するということは明らかでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 政府のいう、いわゆる極東というものはこの範囲であるというふうに今後の極東という字も解釈していいわけですね。そうはいかないですか。政治的にはそうはいきませんか。政治的にもそう解釈していいのですか。それとも極東は、この条約に関してこれだけだというふうに解釈するわけですか。念のためにちょっと伺っておきたい。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 全くこの条約でその機関の間できめられた範囲でございまして、政府が極東をどう解釈しておるとか、そういうことではございません。この極東の国の範囲というものは、まさに機関のメンバーが相談してそういうふうに便宜的にきめたものにすぎないわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 極東が二通りも三通りも解釈するようになるとたいへんですね。これだけ私はちょっと心配なので申し上げておきます。  そこで国際機関で地域代表により構成されることをきめた条約というものが何かほかにありますか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 国際機関の理事会、そういうメンバーの選出にあたりましては、一般的にいいますと、もちろん地域的なバランスを常に考えておるわけでございまして、たとえば国連におきましても安保理事会、経済社会理事会などの構成は常にそういう地域の配分問題を考えておりまして、私の記憶によりますれば、国連では決議である程度基準が設けられております。ただ、国連の場合には憲章自体にそういうものは書いてございません。このIAEA憲章は、憲章自体に一応地域を八つに分けるというところまでを書いておるという意味におきまして、国連憲章などの場合とは違うわけでございます。こういう方式がほかの専門機関にもその他にもあるかどうかという点については、ちょっと私も十分な知識を持ち合わせておりませんので……。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうような議論はいたしますけれども、こういうふうにきめられておるのは、ちょっと違った形ではないかしらんと思ったものですから質問をしてみたのですが、何かこれに類似したようなものがあったら一つ、二つの例を、そう急ぎませんけれども、参考に示していただきたいと思います。よろしゅうございますね。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 調べましてお知らせ申し上げます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 次に、油のほうに少し入りたいと思います。  海が油で汚染されるおもな原因は二つあると思うのです。一つはタンカーによる汚染で、もう一つは海底油田から出るものというふうにいわれているわけです。今度の改正条約では船舶の油とかあるいは油性混合物の排出にほたいへんきびしくなっておりますけれども、もう一つのほうの汚染源である海底油田というのはどういうふうに取り締まられるんでしょうか、この点を伺いたいと思います。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 先生の仰せのとおり、海水の汚濁の場合には確かに船舶から出る油だけではないのでありますが、世界の海洋の汚染の大部分が油による汚染であるということでIMCOを中心としてこの条約ができたわけでございます。それ以外に海底開発に伴って海洋が汚染されるということはあり得るわけでございますが、この点につきましては、一般的な原則といたしましては、すでに国会の御承認を得ました公海条約の二十四条におきまして、海底開発による海水の汚濁の防止のために各国が規則を作成すべきであるということを規定しておるわけでございますけれども、さらにそれをどういうふうにやるかということの詳細を定めた国際条約はまだつくられていないのでございます。ただ、この点に関しましては現在非常に認識が高まってきておりまして、国連の例の一九七二年に開かれます人間環境会議において論じられることになっておりまして、準備委員会でもその対策はすでに検討が開始されております。それからさらに去年の末の国連総会で採択を見ました海底の平和利用に関する法原則宣言でも、これは抽象的ではございますけれども、「海洋開発に関しては国は海洋汚染防止などのために新しく設けられる国際制度に従って適当な措置を講ずべきである。」また、「海洋開発に基因する損害については賠償責任を伴う」ということが書かれておるわけでございます。そこで、そういう問題についても今後そういう人間環境会議、IMCOその他、いろいろな場でこの問題は取り上げられていくと存じます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今回の改正では、この四条の(C)項を削ることで、重油または潤滑油を清浄するときに生ずる残留物の排出が禁止になったわけですけれども、その残留物の量が海水油濁に与える影響というものはきわめて微々たるものであると思いますが、なぜ禁止になったのか、この点をお伺いしたい。なぜこういうふうに改正されたかを伺いたい。

田付健次運輸大臣官房政策計画官

○田付説明員 本来は条約の問題でございますので、外務省のほうからお答えいただければよろしいかと思いますが、私どものほうで実際の油の規制の実施、それから取り締まりをやっておりますので、その当時の条約のいきさつを多少知っておりますので……。  私の知っております範囲では、当時の改正は、現行条約を大幅に強化しようということが非常に大きく出まして、現行では一〇〇PPM未満ですと油に扱っていない。油性混合物がございます、それが一〇〇PPMの濃度を越さないと油という概念にも入れてないというのが現行条約でございますが、それを油一滴でも油性混合物だというふうに非常に強化した改正でございまして、そういう意味から当時この、スラッジといっておりますが、微量の燃料の残渣については除外をいたしておりましたが、いま言ったような趣旨からこれが組み入れられたものと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それじゃ全般的に強化をするためにこういうことを取り除いたというふうに理解していいわけですね。  そうすると、それが禁止されたことによって、船舶一隻の何か改装費とかあるいは継続的な維持費というものが幾らか変わってくるのじゃないかと思うのですけれども、どのくらいそれによって所要になってくるでしょうか。変わってくるでしょうか。

田付健次運輸大臣官房政策計画官

○田付説明員 ちょっと経費につきましては、一がいにはお答えできないと思います。ケース・バイ・ケースによると思いますが、この改正が行なわれましたために、船の中に、清浄した残渣をためておかなければならないというので貯蔵タンクを備えつけておく、それからその油性汚染物をタンクに導きますための配管をしなければならない、それから御承知のように船のスペースは非常に最大限に使っておりますので、新しくそういうものを入れるための場所を用意してやらなければなりませんので、あっちこっちのものをずらしながらスペースをつくってやっていくという付帯工事が伴いますので、一がいに言えないのですが、大体三千トン以上くらいの外航船——普通十万トンをちょっと切れるくらいのところが外航のタンカーなのでございますが、その程度ですと約二百五十万くらいかかるのではないかと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、この条約の改正によって船はいずれもそういうふうな改装がされていかなければならない、こう理解するわけですが、そのかわり及ぼす害というものは少なくなる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

田付健次運輸大臣官房政策計画官

○田付説明員 先生おっしゃるとおりでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 先ほど曽祢委員が聞いていらして、いわゆる油のたれ流しというようなときにはどうするかというのに対しましていろいろお答えがございました。できるだけ未然に防いでそういうものは入れないようにするとか、それから燃やしてしまうとか、いろいろなことを言われましたけれども、この条約からくる面ではそういうものを防止するというようなことが何も書かれていないですね。そういうたれ流しをするような場合にはどういうふうにしてこれを防ぐとか、どういうふうにして守るとかというようなことが条約そのものからきていないように思いますけれども、どうなんでしょうか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 この千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正でございますが、これは要するに、あらゆる海域において油を出してはいかぬということでございますから、もちろん故意にそういうふうなものを出してはいかぬという規定でございます。ただそれが外国船の場合には、その直接沿岸国が取り締まる、公海においては取り締まれないので。あるいはその船籍国に通報して取り締まってもらうということになるわけでございます。  それから、このもう一つの条約で申し上げますと、これは確かに事故の場合の油が出た場合でありますが、しかし事故の場合であっても、事故が起こった後にその船を救うために油を出しているというふうな場合は、この条約でカバーされると思います。ただ事故も何もなくして出しているということは、この条約の確かにワク外、それはやはりこのもとの海水汚濁防止条約のほうの取り締まりでいくべきであるというような立場でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 何かもう少しはっきりしないと不安なような気がします。さっき曽祢委員からもいろいろ質問されて、それを私も聞いていたのですけれども、何か法律的に律するものがないような形で、そういうふうなときにはこうやります、ああやりますと言いますけれども、この法律からはこういうふうにするんだということがうかがえないので、ちょっとその辺が気になるのですけれども、たれ流しのような場合にもだいじょうぶなんだというそういうふうな自信はおありになりますか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 先ほどから申し上げましたように、全く故意にたれ流しておるというふうな場合には、外国船の場合、公海では直接これを取り締まるようにはなっておりませんが、この条約に書いてございますように、相手国に通報してこれをその国内法で罰してもらうことになっておるわけでございます。それからそういうふうな故意に流しておるような場合には、その防護措置というかオイルフェンスを設けたり洗剤を投入してそれが広がらないようにあるいは分解するようにやることはもちろん沿岸国としては自由にやれるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この問題はうまく運営していただかないとなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えます。法律できちんと律してないだけに、何となく曽祢委員が質問したような不安を私も覚えるような気がするのです。  それはそれといたしまして、公法条約は、沿岸国が必要な措置をとった結果相手の船舶などに限度を越えた損害を与えた場合は、限度を越えた部分について補償しなければならないと六条できめています。ところが、相手の船舶などによって沿岸国が損害を与えられた場合には何もきめられておりませんけれども、何かの条約があるのでしょうか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 この油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約はそういう公権力を行使する場合を書いておるわけでございますが、実際に損害が生じた場合に、その損害賠償をどういうふうにするかという問題は確かにあるわけでございます。実はこの条約を採択いたしました会議において、もう一つ条約が採択されておるわけでございます。それは正式の名前は油濁損害に対する民事責任に関する国際条約と申しまして、俗には油濁私法条約というふうに言っております。ただ、この条約に関しましてはいろいろ検討すべき点がありますので、いま直ちに御承認を求めるという体制にないわけでございますが、われわれとしてもこの点についてはもちろんいろいろ検討している段階でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの公法条約といまおっしゃった油濁私法条約ですか、これはやはり両方相まって必要なものじゃないか。だから議論が出たんじゃないかと思うのです。そうだとすれば、やはり当然それも条約として審議をして通すべきだと思うのですが、いまいろいろな国内的な事情があってということでございますけれども、そういう事情というものを早く直して、これもやはりこの公法条約とうらはらのものとして通される御意思がおありになるかどうか。それは国内的などんな問題があるのでしょうか。たいへん複雑な問題でしょうか。この点も差しつかえなかったら伺っておきたい。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 いま申し上げました私法条約は、そういう船主に責任をまず集中いたしまして、その船主に対して無過失責任に近い非常に厳格な責任を負わせております。それからその責任の限度につきましても、一回の航海全体ではなくて一回の事故そのものを対象として金額で制限を設けておるわけでございます。ところが実はわが国の国内法は、まず国内法の根本的な考え方としては過失責任主義をとっておる。それから一回の航海を対象として委付主義、簡単にいえば、船舶の所有者がその船舶自体または運送賃等を投げ出して提供してしまえば、それで船主の責任を免れるというふうな主義がとられております。これは商法の六百九十条に書かれておるわけでございます。したがいましてこの私法条約に加入いたしますためには、この辺の商法の考え方を改める必要があります。現在、私の承知しますところでは、法制審議会の商法部会でこの点について審議しております。実はそれ以前の条約として一九五七年に船主責任条約という一般条約がございまして、これも大体金額式になっておりますので、この船主責任条約、それからこの油濁の私法条約とあわせて入るための法律的な検討が必要なんでございます。それはいまそういう方向で検討はされておると私は承知しております。  それから他方において、もう一つは、この私法条約は採択されたのでありますが、実はこれでもまだ被害者にとっては不十分ではないかという意見がある。他方において、船主にとってみればこれは相当な追加負担だという意見もあり、いずれにしてもこれはひとつ油濁損害の基金でもつくって、そういうものが十分に払え、しかも船主としてはあまり過重な負担にならないようにする必要があるということで、実は油濁基金条約というものをあわせてつくろうということで、現在その検討が行なわれておるわけでございます。各国とも実はその検討の結果を待っておるので、この私法条約については各国ともどこもまだ入っていないのでございます。ですからこの私法条約と油濁基金条約とをあわせてわれわれとしてはその加入の是非を検討する必要がある。ただそういう損害というものについて十分な手当てをする必要があるということは政府としても十分認識しておりますので、その作業にも積極的に取り組んでおる次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いま積極的に、いろいろな欠点を排して、そしてその条約に入ることを取り組んでいるということですから、ぜひそうしていただきたいのですが、一つの問題は無過失責任主義というのが今度は法律で出されようとしていますから、そういう問題は解決するにしても、委付主義とさっきおっしゃいましたね。たしかこの委付主義というものをとっている国はあまりないのじゃないかということを聞いております。小さい国のほうが多い、ソ連と少数国ですかというふうに承っておりますけれども、それだけにそういうことをもわが国も改正していくべきではないかという考えを私は持っていたのですが、いま積極的にそういうものを改正していくということでございましたので、そういうこともぜひ研究をしていただきたいということを要望したいと思います。そのいまの委付主義について、ちょっと説明があったら説明していただきたい。

田邊明法務省民事局参事官

○田邊説明員 先生の御質問の委付主義の点でございますが、外国でこの委付主義をとっている国は、先生がおっしゃったように、ソビエトその他一部、委付主義の選択を許している法制が残っているといわれております。そのほかは、主要国にこの委付主義をとっているところはございません。この主義は非常に昔の法制でございまして、海運企業というものが冒険的な企業であるというときの考え方から出ておる。その後、外務省からも御説明がございましたが、一九五七年、例の船主の責任制限条約というものができました。その機会に多くの国がその条約を取り入れまして、法律改正をいたしたわけであります。わが国もいま法務省におきましては、この条約を批准する方向で国内法制の改正を検討いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 わかりました。ではもう二点。  十三条に、「いずれかの地域の施政権者としての国際連合又はいずれかの地域の国際関係について責任を有する締約国は、その地域についてこの条約を適用するため、できる限りすみやかにその地域の関係当局と協議し又は他の適当な措置をとるものとし、また、機関の事務局長にあてた通告書により、その地域についてこの条約を適用することをいつでも宣言することができる。」こういうふうに書いてあるのですが、私はこれを読んでいますと、施政権者というのと、それから地域の国際関係についてという、これの文章全体から感じられるのは、やはり沖繩に対するアメリカの関係ということを考えたわけなのですけれども、船舶、タンカー、いろいろなものが入っていくわけで、油の害がないということは言えないと思うのです。事故があるような場合もあるのですから、これを日本からアメリカに要求して——ほうっておいてはこれが自動的に適用されませんから、ですから、アメリカに対してこういう点をはっきりさせるように、機関の事務局長に手続をするようにしなさい、適当な措置をとるようにしなさいということを日本から申し出ておくべきじゃないか。まだ日本に沖繩は返ってきておりません。ですから、返ってくるまでの間に事故がないとも限りませんから、この点は特におやりになる必要があると思いますが、これはどういうふうにお考えになりますか。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 何ぶんにもこの条約は最近できた条約でございまして、これに加入しておりますのはたしかまだデンマーク、英国の二カ国でございます。しかしながら、この条約は来年くらいにはかなり発効するのじゃないかというふうにいわれております。ですから、来年くらいに沖繩も返ってくれば、日本がこれに入ります以上は当然沖繩にも適用になるわけでございますので、発効以前におきましては、アメリカがそういうことをやりましても効力は持たないわけでございますので、われわれとしては、条約の発効状況とにらみ合わせてその点は検討してまいりたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまの御答弁でございますが、沖繩は来年返ってくるわけですけれども、しかし、返ってくる前にいろいろなことがあるかもしれないし、いまのような状態ではたいへん心配な面もあるわけですから、発効と同時にそういうふうなことをするというよりも、発効寸前にでもしていただきたいというように思います。  それからもう一つ、ことばの問題なんですが、五条の三項に「1の措置が損害と権衡を失しないものであるかどうか」とありますが、権衡ということばは、私はあまり見なれないことばなんですが、これはどういうことばなんですか。私のところに英文が来ていないから比べてみることができなかったのですが、権衡というのは均衡とは違うわけなんですか。ちょっとこの点だけを、ことばの問題ですが、伺っておきたいと思います。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 別に均衡と書いても誤りではないと思います。権衡と均衡とは内容的には同じような意味だと思います。ただ、要するにこの第一条の規定に基づいてとる措置と、実際こうむった、またこうむるおそれのある損害とを文字どおりいわばはかりにかけるというような意味で、権衡のほうがよりいいんじゃないかというふうな感じでこの字を使ったわけでございまして、権衡ということばは確かにあまり見なれないことばでございますけれども、例はないわけではございませんで、私の聞いておりますところでは、一九六八年のコーヒー協定の二十条に実は権衡ということばが使われておるのでございます。なお、これに対応する英語はブロポーショネートということばでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ちょっと見なれない字だったものですから伺ってみたのですが、はかりにかけるという意味で、均衡とはそれほど違わない、権衡のほうが幾らか重みのあることばだというふうに解釈しておきましょう。  私の質問はこれで終わります。

田中榮一自由民主党

○田中委員長 中川嘉美君。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 先日の質問に関連をいたしまして、二、三お聞きしたいと思います。  前回の条約審議の際に、海上保安庁に対して資料の提供をお願いいたしました。さっそく御提出をいただいたわけでありますが、内容としては、「トリー・キャニオン号事件の油濁損害について」それから「タンカーの現状」もう一つは「昭和四十四年における船舶の油による海水汚濁の発生状況」、この三つを御提出いただいておりますが、非常に参考になりましたものですから、この点に関して感謝いたします。  ただ、私が再三提出をお願いしたのは、万一わが国の近海においてこの事故が、たとえば二十万トン級タンカー等の事故が発生した場合の具体的な処置方法あるいは対策、そういったものを一体どうするかということをもっと詳しく教えていただきたいということで書類の提出をお願いしたわけなんですが、今回これが出していただけなかった理由をひとつ伺いたいと思うのです。

上原啓海上保安庁次長

○上原(啓)政府委員 お答え申し上げます。  海難の態様によりまして油の流出のおそれというものは非常に多様でございます。また天候、気象、海象状況によりまして、それに対してどういう手段が有効であるかということはこれまた非常に多様でございまして、ケース・バイ・ケースに有効な方法を選択して定めるべきものであるというぐあいに考えております。ある類型的なものをきちんときめるということは非常に困難なことでございます。したがいまして、前回もきわめて抽象的にお答え申し上げたのでございますが、いろいろな方法を組み合わせてケース・バイ・ケース、最も適切なとり得る手段をとる。ちょっとそれ以上には申し上げかねると思います。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 海上保安庁でもあるわけですからいまの御答弁にあったような海難の種類あるいは一体どういうような気象の状態が想定されるか、そういった分類といいますか、そういうものに基づいて想定して、こういう場合にはやはりこういうような対策を講じなければいけないのじゃないか。それはいまおっしゃられたとおりいろいろ数も多いと思うのですが、こまかい想定に基づいた対策がすでに何十種類か考えられていなければならないのじゃないか、私はこう思うわけです。トリー・キャニヨン号に使用された洗剤は、たまたまこの間出していただいた資料でお見受けしたわけですけれども、二百五十万ガロン、約十九億円相当と推定されるという表現がせられておりますが、推定ということはよくわからないのですが、この数字はほぼ間違いありませんか、二百五十万ガロンですね。

山崎敏夫外務省条約局外務参事官

○山崎政府委員 これは実はわがほうとしましてはさっそく英国に問い合わせましてとった数字でございますので、そのとおりでございます。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 わが国の洗剤のストックについてこの間の委員会でも伺ったわけですが、海上保安庁のほうからは全国的にばらまかれているとの御答弁をいただいたわけです。二十万トン級、三十万トン級のタンカーが東京湾でもってかりに事故を起こしたというような場合、はたしてどのくらいの時間で、また何かロンくらいを緊急に集めることが可能であるか。また緊急連絡とかあるいは緊急体制というものはどういうルートでとられるものか。この辺ちょっとお答えいただきたいと思います。

上原啓海上保安庁次長

○上原(啓)政府委員 きわめて具体的な専門的な事項になっておりますので、ここに専門の救難課長が出席しておりますので、救難課長からお答えさせます。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 お答えいたします。  いま東京湾の事例ということで先生から御指摘ございました。実はトリー・キャニョン号以来三年経過しておりますが、トリー・キャニヨン号事件以来、私どもとしては一応ある事件を想定しまして、大体の基準的な防除体制というものをとっております。これは海上保安庁が一応巡視船艇、航空機を持ちまして、とりあえずこれを監視する、油の広がり等を見る。そしてまず第一次的には海上保安庁が、非常な大災害がある場合にはオイルフェンス、除去剤等を用いまして、防除をする処置をとる。その地域において関係官民がいま備蓄しております防除器材等を投入いたしまして、一緒になって東京湾で対処する。このような基本的な考えのもとに、ここ毎年関係官民を集めまして東京湾で流出対策の訓練をしております。その訓練の状況と申しますのは、一応二十万トンのタンカーが事故を起こした場合にはどのような事故が起きるかという推定でございますが、私どもとしては、基本的に一応座礁もしくは衝突、こういう想定のもとに、大体二十万トンであるならば、衝突の場合は、これはセンタータンクまではなかなかぶつからない、一応サイドタンクだけがダメージを受けるのじゃないか。そういう想定のもとに最悪の場合に二つのタンクにまたがる場合、三万トンくらいの油が流れる。しかしこの油の流れ方も、そのときの風向あるいは潮流の状況等によりまして非常に違ってまいります。大体油の重力的な、みずから拡散するものもございますが、大体潮流によって左右されるわけでございます。その事件の起きた場所によりましてどのように広がっていくかということは、個々非常に具体的なことでございますので、関係者が集まりまして、ある地点で起こった場合というような想定をつくっております。そういうふうなものに基づきまして、一応オイルフェンスの量あるいは処理剤の備蓄の数というものをつかみながら官民あわせて防除対策を行なうということを具体的にとっておるわけでございます。  以上でございます。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 私がいまお伺いしたのは、そういうことがあってはならないのですけれども、かりに事故が発生したときにぼうっとして見ているわけにいかない。何とかしなければならないというときに、どのくらいの時間で、そうして洗剤については何ガロンくらいがそこに緊急に手配できるかという質問ですね。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 私どもで一応標準的な計画を立てておりますが、東京湾におきましては、第一次的に私どもは防除器材としてオイルフェンスと処理剤を持っておりますが、これを約二時間程度で現場へ輸送する、そういう計画を立てております。これはあくまでも一つの基準として立てておるわけでございます。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 洗剤でいうとどうでしょうか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 洗剤でも同じでございます。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 何かロンくらいですか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 一応私どもといたしましては東京湾には二十五トンの洗剤を用意しております。それは油処理剤とわれわれ言っておりますが、二十五トン用意しております。これは海上保安庁だけでございます。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 東京湾に二十五トンというのはわかりますが、どうも質問の趣旨に対して——要するに全国的に分布されておるというお話を前回の委員会でお聞きしたわけですから、この二十五トンというのは何かロンくらいになりますか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 ちょっとガロンにつきましては換算しておりませんので……。われわれトンを使っております。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 そうしますと、逆にお伺いしますけれども、トリー・キャニヨン号のときの使用量は先ほど申し上げた二百五十万ガロンですね。そうすると、逆にしても理屈は同じかもしれません。トンにしたらわかりませんか。どうですか、トンでいった場合ですね。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 約五千トン前後だと思います。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 五千トンとそれから東京湾にあるとさっき言われた二十五トンとでは天地雲泥の違いなんですね。いまはどのくらい集められるかという線からお聞きしたわけですが、それじゃ現実に二十万トン級タンカーの最大限の油の流出を想定した場合、先ほど両サイドというお話もありましたが、それじゃこういったときに洗剤の使用量は何トンくらい必要ですか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 先ほど私の防除措置の手順を、流れた油に対してすぐ処理剤の使用量というものの関連性においてお答えしませんので、一応もう一回基本的に、それではどのように流出油を処置するかということについてお話ししたいと思いますが、大体私どもは流れました油をまずオイルフェンスで囲みまして、それを吸引機でその八割くらいを吸い取る。吸引機と申しますのは一応内航タンカーとかあるいはバキュームカーとかその他木材とかおがくず、人力とかそういうものが吸い取りまして、あと残りの二割というものをオイルフェンスから出ます油がございますのでそれを処理剤で処理する、こういう考え方でございます。したがいまして、先ほど二十万トンのタンカーにおきまして最悪の場合三万トンの油というものがいつも流れるだろう、このうちの八割を吸引機その他の方法によりまして油そのものをオイルフェンスの囲みの中から回収する、残りました二割、すなわち約六千トンのものを処理剤で処理しなくちゃいかぬだろうと推定しております。六千トンの処理剤のうちわれわれが基準的に使います処理剤は約五分の一、すなわち二割が必要数量でございます。したがいまして、約千二百トンの処理剤が必要だ、このように考えられます。  先ほど私どもで申し上げました二十五トンと申しますのは官民合わせて全部の処理剤を使ってやる、ただ一次的な官庁としましては海上保安庁が持っていないと困りますので、とりあえず海上保安庁は二十五トンを用意しておりますが、これらは東京湾、大阪湾にもありますので、そこらから飛行機で寄せ集める。そういうことで、この前御説明したように約五百トンの全国的な備蓄がございますので、その油処理剤を集めます。それからさらに、現在いろいろ油処理剤のメーカーがございまして、ここらで日産約二、三百トン緊急時には製造できますので、そこらのものを集めまして、約千トン近くの油処理剤というものは二、三日中に全部東京湾に集められて、それで処理をすればいい、そのようにわれわれは基準を考えておるわけでございます。  以上でございます。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 そうしますと、そういうように二十万トンのタンカーが事故を起こしたときには、結論的には千二百トン必要であるということですね。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 そのとおりでございます。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 それを最初にほんとうは御答弁いただきたかったわけです。大体トリー・キャニヨン号は十一万八千二百八十五トンですから、専門的判断ではないかもしれませんけれども、私たちの想像では、先ほどおっしゃいました二割だから五千の二割として千トン、こっちは千二百トンとして、おそらく倍くらい洗剤が必要なんじゃないか、二千トンくらい必要なんじゃないかというふうに私どもは判断したわけですけれども、二十万トン、三十万トンの船が絶対に事故を起こさないとは限らないということでありますので、ひとつこの点も、緊急にそれだけのものが十分集められるような、その緊急対策はどういうルートでとるのか、こういう点ちょっと教えていただけませんか。どういうふうにしてぱっと緊急の体制をしくか、その点どうです。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 先ほど先生の御発言に対しましてお話ししましたように、いろいろ訓練をやっておりますということ、毎年各地区で流失油に備えた訓練を関係官民集めてやっておる、こういうことでございます。その中でいろいろな各地区におきます流失油に対します油処理剤というものの実力を調べておりまして、それをどこからどういうように運んだら何時間ぐらいで着くかというようなルートを海上保安庁では全部集めております。これは瀬戸内海から大阪湾ずっと一つの手順というものをつけておりまして、各地区ごとにそういうものをつくっております。その上で、全国的な視野から、飛行機なりあるいは自動車なりで運ぶ、大きな事件がありましたら、本庁の指令のもとにそういう統制をとりながら官民のものを集める、そういうふうな考え方でやっております。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 それでは次に進みます。  あと一、二問ですが、洗剤そのものの害、この害についてもこの間伺ったのですが、十分な御答弁がいただけなかったので、私どものほうでむしろ具体的な例をお教えしたわけですけれども、実際にこうした洗剤の害を研究しておられますか。もししておられるとすれば、どういうところでそういうものを担当しておられますか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 海上保安庁そのものには研究機関がございませんので、直接研究はいたしておりませんけれども、私どもも油処理剤を持っておりますので、やはり毒性のものには関心がございます。当初通産省の大阪工業技術試験所のほうに依頼いたしましてその毒性のほうを研究してもらっております。なお、その他民間でいろいろ日本海難協会等各所でそういう研究はしてもらっておると存じております。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 それでは海上保安庁としてそういう洗剤関係の害がどんな害があるかというぴしっとしたデータで現在手元にはないわけですね。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 一応大阪工業技術試験所のデータを持っております。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 それでは実際に現実の問題としまして、この害が魚介類に与える云々ということ、これはわかるのですが、そのほか具体的な害についてもし二、三の例があればひとつあげてみていただきたい、こう思うわけです。何か二、三そのほかに魚介類だけじゃなしにありますか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 私どもただいま存じ申し上げておりません。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 わが国で使う場合、洗剤そのものの化学成分、これは高等学校の化学の教科書にも出ているかもしれないけれども、どういう洗剤であってどういう化学成分になっていますか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 油処理剤は主として界面活性剤を使用しております。化学成分についてはちょっといまここに資料を持ち合わせておりませんので存じませんが、これで油を分割し、そして油をこまかく中和する、そういうようなものでございます。  なお、蛇足でございますが、もう一つはこれを海底に沈めるという沈降剤が昔ございましたけれども、これは海底のいろいろ動植物にそのまま被害を与えるので、現在は日本では使っておりません。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 このいただいた資料の中にトリー・キャニヨン号のことが書いてありまして、「四、五月に行なわれた潜水夫による観察は、数百匹のカニと少数のエビが薬剤の大量使用地域で死んでいることを明らかにした。」こういうふうになっていますが、こういった魚介類、エビだとかなんだとか出ていますけれども、それを食べたときの人体に与える影響とかそういうもの、最近食品公害が非常に問題になっている今日ですけれども、何かこういうものを食べて絶対に害にならないとは言い切れないと思うのですが、その点はどの辺まで研究されていますか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 海上保安庁のほうでは除去するということだけでございますので、そこまでは現在研究しておりません。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 その辺の範囲はわかります。それならそれなりにやはり何か手を打たれたか、どこかに研究を依頼したか、ほんとに人体に与える害はないか、その辺について何かそれだけの手は打たれていますか。

久世勝巳海上保安庁警備救難部救難課長

○久世説明員 油処理剤の第二次公害につきましては、いろいろ世間で問題とされておりますので、私どもとしても慎重を期して、さらに近いうちに先ほど申し上げました通産省の大阪工業技術試験所等に御依頼申し上げて再度いろいろな調査をしてもらいたい、こういうように考えております。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 いま実際に予算をここでもってもう審議している段階ですから、そのうちに、近いうちにというわけにはいかない問題だと思うのです。それで、いろいろ御答弁を伺っておりますとなるほどとわかる点もありますけれども、何となく聞いていくに従って心配がますますふえるばかりだ、こういう感じがします。このように徹底的に研究がなされていないのに、洗剤ができているからそれを使います、あるいはだいじょうぶですというようなことでは、先ほど申したもっとひどい害が洗剤そのものから発生したときに一体どうするんだ、こういうように非常に心配するわけです。そこらあたりまで当然研究が進められた上でのことだと思っていたのですけれども、先ほど海上保安庁の範囲ではないというお話も伺いましたけれども、そういった点についてもひとつ十分考慮して対策を講じていただきたいと思います。事故に対する対策が万全でないような気がしてならないのです。ほんとうはこの間の質疑で終わる予定だったのですけれども、どうも心配でたまらない。そういうことで委員長にお願いしてきょうは十分ばかりということで時間をいただいたわけですが、私に言わせればどうも対策がないにひとしいのではないかというほうが当たっていると思います。これではそんなに簡単に条約をあげるわけにはいかないとこの間言ったのですけれども、いろいろ考えていきますと、きょうその資料が提出されなかったのもなるほどうなずけるものがあるような気がするのです。そういうわけで、何とかしなければならないというお気持ちはよくわかりますし、また可能な範囲で何とか準備しておかなければならないのじゃないかという感じもまたする、こういうわけです。われわれもいろいろな角度からこういうふうに考えて、こういった場合にはどうだろうか、ああいった場合にはどうだろうかと研究しているわけです。少なくとも担当の庁であるところの海上保安庁の皆さんのさらに十分な検討と対策を講じていただきたい。このことを条件と申しますか、最後にお願いして、そういった点に関する外務省の見解を最後にひとつ伺いたいと思います。

竹内黎一自由民主党外務政務次官

○竹内(黎)政府委員 中川先生の御論議をずっと傾聴してまいりまして、御指摘ごもっともと私ども感ずる点もございます。特にトリー・キャニヨン号の事件に対しましていろいろと御質疑がありましたのに対しまして、こちらの手元に資料がないということで今日までお待たせしてまことに恐縮でございます。もちろんわが国は、世界有数の海運国であり、タンカー保有国でございまして、海洋環境の保全については何といっても十分の関心を払わなければならない立場にございますので、今後も外務省といたしましてもそういった関係資料、外国における関係資料の収集あるいはそういうものの周知につきましては、なお一そうの努力を払ってまいりたいと思います。

中川嘉美公明党

○中川(嘉)委員 それでは、こういったことに対する十分なる調査なり研究なり資料なり整えていただき、また対策を講じていただくことを最後に重ねて要望いたしまして、終わりたいと思います。

田中榮一自由民主党

○田中委員長 本日は、この程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後一時三分散会

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