外務委員会 第2号
- 発言数
- 105 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1971/02/19
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 千九百五十四年の油による海水汚濁の防止のための国際条約の改正の受諾について承認を求めるの件、油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件、以上三件を一括議題として審査に入ります。質疑の申し出がありますので、順次、これを許します。村田敬次郎君
○村田委員 私は、いま委員長がお述べになりました条約第一号ないし第三号につきまして、外務大臣に御質問をいたしたいと思います。 昨年の十二月に開かれました国会におきまして公害に関連をいたします日本の基本的な姿勢が定まったわけでございまして、そのときに関連の法案が提出され、そして一連の法案が議決されたわけでございますが、私は十二月七日に、運輸委員といたしまして海洋汚染防止法案についての質問を運輸大臣に行なったのでございます。その際に、特に井川条約局長に御出席をいただきまして、そしてこの条約案が今度提出される予定であるということを運輸委員会の席上ですでに承ったのでございますが、きょうはさらに観点を拡大いたしまして御質問をさせていただきたいと思います。 と申しますのは、最近公害問題は非常に広く、舞台が国連の舞台にまで乗り出してきておるということがいわれておるわけでございます。国連が公害対策に乗り出したといわれますのは、一九六八年の第二十三回総会におきまして、一九七二年六月にスウェーデンのストックホルムでいわゆる人間の環境に関する国連会議を行なう、国際公害会議と申しておりますが、それを開くことを取りきめ、そして昨年の三月十日から十日間にわたって国際公害会議の第一回の準備委員会が開かれ、そして現在はジュネーブにおいて第二回の準備委員会が開催中と承っておるわけでございます。この第一回、第二回の準備委員会におきまして現在進行中の作業につきまして、まず大臣から大要を御説明いただきたいと思います。
○愛知国務大臣 公害問題が国連の場においての大きな問題に取り上げられていることは喜ぶべきことであると思いますし、私も、今国会の冒頭におきまして、環境保全問題、公害問題については、日本としてもいろいろの立法もいたしたこの状況を踏まえて、国際協力を積極的にいたしたいという意図を表明いたした次第でございます。国連としては、七二年六月にストックホルムで人間環境会議を開くことになっておりまして、その準備として昨年の三月以来、ただいまお尋ねのとおり準備作業が行なわれておるわけであります。現在は、ちょうど今月の八日から年二回開くことになっております準備委員会がジュネーブで開かれておりますことも御指摘のとおりであります。その七二年のストックホルム会議の議題をどうしたらいいか、あるいは人間環境宣言を作成すること等もこの準備委員会で討議されつつあるわけでございます。この準備作業を促進いたしますために、各国は三月末までにそれぞれの国における人間環境問題の現状、それから国際協力についての考え方を報告書として国連事務局に提出することになっております。わが国も三月末のその期限内にこの報告書を提出することにいたしております。これが現状でございます。
○村田委員 三月の末までに、いま大臣のおっしゃいました国連の事務局に資料を提出する予定であるということで、この資料は第一回準備委員会以来その準備がなされておるように承っておるわけでございますが、その日本が提出いたします人間環境問題についての資料、これは私どもの考えでは、国連に提出するための一連の日本の考え方、そして今後の国際協力等について言及をするものと思われるのでございますが、その人間環境問題についてのレポートはすでにまとまっておりますか。もしまとまっておればその大要を承りたいと思います。
○愛知国務大臣 ただいま申しましたように、三月末が期限でございますから、その期限までにはぜひ間に合わせて提出する予定でございます。ただいままだ多少の時日の余裕もございますから報告書全体をまだまとめるには至っておりません。大体の考え方としては、おおよそこういうふうな考え方でございます。 まず、日本における人間環境問題という表題にいたしたい。 そしてまず最初に、日本における人間環境問題の背景と現状を述べました後に、日本における人間環境保護対策について、公害関係の各種の立法を含めてできるだけ詳細に説明することにいたしたいと思っております。 それから環境問題についての国際協力につきましては、やはりわが国が現に国際協力をやっております現状について説明をいたしまして、国連における今後の国際協力のあり方についての考え方を披瀝してはいかがであろうかと考えておりますが、その考え方としましては、一つは、環境問題についての国連での国際協力をほんとうに効果あらしめるために実効的に推進するためには、実現の可能性ということを緊急性と同時に十分考慮して、優先分野を選択することがぜひ必要であるということを指摘いたしたいと思っております。 そして二番目には、選択をいたしました優先分野については次のような方式が適当と考えておりますが、まず調査研究の促進、それから情報交換の促進、それから専門技術者の養成訓練の促進、こういった考え方で、いま鋭意報告書の取りまとめに努力をしておる状況でございます。
○村田委員 いま大臣の御説明によりますれば日本における人間環境問題としてのレポートを取りまとめ中であり、そしてそれには日本の公害問題に対処する姿勢を全体として述べ、さらにこれからのあるべき国際協力の姿といたしまして、優先分野の選択あるいは調査研究の促進といったようなことを御指摘になったわけでございます。これはたいへん重要なことであると思うわけでございますが、調査研究の促進あるいは情報交換の促進、専門技術者の養成訓練の促進ということにつきましては、今後いかに具体的にこれに対処していかれる御方針であるか、それを承りたいと存じます。
○愛知国務大臣 まずその報告書の作成が当面の問題であり、これは相当念を入れてつくらなければならないと思います。 それから今後の国連における国際協力のあり方については考え方を披瀝したいと思っておりますが、それに対して各国それぞれいろいろの意見や考え方が出てくるであろうと思います。それは会議のその後の動きに応じまして、日本としては、ただいま申しましたような基本的な考え方で、できるだけ——まあそう言っては口幅ったいわけですけれども、指導的な立場に立ってリードするようにつとめたい。実はいろいろの御批評もありますけれども、立法関係としては先般の国会で相当数の立法もできましたことは、世界的にも相当のことではないかと私は思っておりますので、先ほど申しましたように、その上に踏まえていきたい。それから同時にバイラテラルに、たとえば日米間の公害問題の協議については、日米閣僚レベルの会議というものも、これはまだきまっておりませんけれども、希望としては六月早々にも行ないたいと思っております。そういうバイラテラルの研究協議ということも、問題によってはやはり国連の場にあげていくようなことも必要ではないだろうか、こういうふうに考えております。
○村田委員 いま非常に重要なことを承ったわけでございますが、いわゆる公害問題については昨年年頭にニクソン大統領が、いわゆる公害を中心とした教書を発表いたしまして、アメリカ国内のあらゆる水をきれいにするために百億ドルを支出するという非常に大きな計画を示され、またイギリスにおきましても公害白書と申しますか、公害に対処する姿勢をきわめてはっきりいたしまして、ロンドンからいわゆる煙の公害や汚水の公害を防止する、テムズ川はだんだん浄化の方向に向かっておるということがいわれるわけでございまして、その意味におきましては、愛知外務大臣がおっしゃいましたように、日本は従来立ちおくれておったと思うのでございますが、昨年の一連の公害立法その他によってこうした先進国に対処する姿勢を示したいと思うのでございます。そうして日本の立場上非常に重要だと思いますのは、公害問題におきましては、いまだその惨禍にさらされていないアジアの後進国、あるいは一般の国々に対して、公害問題についての日本の立場をはっきりさせ、そして大臣の言われたような指導的なと申しますか、ほかの国が公害をこうむらないようなできるだけの配慮をするということが必要だと思うのでございますが、いまおっしゃいました日米間の閣僚レベルの会議と申しますか、公害の会議というものにつきましては、何らかの具体的なことがきまっておりますか、それを承りたいと思います。
○愛知国務大臣 これは閣僚レベルの会議を持つことにはもう合意ができておりますので、たとえば六月なりあるいは九月なりに行なわれることに予定しておりますから、それまでに十分準備をいたしてまいりたい。まだその議題等は整理ができておりません。鋭意準備につとめたいと思っております。
○村田委員 開催地はアメリカになりますか、日本になりますか。
○愛知国務大臣 これはいま打ち合わせ中でございまして、まだ日本でやるかアメリカでやるかはきまっておりません。日時とともに双方の都合のいい時都合のいい場所で行ないたいということでございます。
○村田委員 それには愛知外務大臣は当然出席されると思いますが、いかがですか。
○愛知国務大臣 いろいろ国際会議等の予定等もまだきまらないことでございますので、まだ確たることは申し上げられませんけれども、政府といたしましては総理府総務長官がアメリカのトレイン委員長との接触を、すでに東京でも事前準備的に会議をいたしましたので、専担者として山中総務長官を予定いたしております。
○村田委員 外務大臣の御出席の時間が限られているようでございますので、外務大臣に対する質問を次に進めてまいりたいと思います。 次は、原子力の問題でございますが、今回、六条の改正に伴いまして、わが国も、原子力に関する技術の最先進国として理事国になることが予想されておるというふうに、私どもは承っております。現在は地域先進国ということになっておりますが、この六条改正に伴って最先進国の仲間入りをすることになるというふうに承っておるのでございます。これは私は、非常に大切なことでありまた、日本が非核経済大国として今後発展をしていくために、たいへん重要な段階にきたということを感じておるわけでございます。この段階につきまして、核兵器不拡散条約との関連についてお伺いをしたいと思うのでございますが、さきに外務省は国際原子力機関の保障措置委員会で昨年の十二月に取りまとめた原子力の査察協定モデル案の大綱を明らかにされたわけであります。このモデル案には日本の主張、つまり民間関係に対してできるだけこの核兵器不拡散条約に加入することによって非能率、そういった不利益が来ないようにということで、日本側はモデル案を考えておったわけでございますが、このモデル案には日本の主張が全面的に取り入れられたというふうに聞いておりますが、この点についての大臣の御意見はいかがでございますか。
○愛知国務大臣 国際原子力委員会の保障措置の委員会におけるこれまでの討議の経過をずっとつぶさに見てまいりますと、お話しのように日本側の主張あるいは希望は相当程度に取り入れられていると申し上げて言い過ぎではないと思います。つまり平等性という原則、この骨組みといいますかワク組みが確保され、それから簡素化、合理性というような考え方は相当に取り入れられ私はほぼ満足すべき状況ではないかと思います。しかしこの査察の従来からのやり方等について、御承知のように関係者の間におきましてもまだやはりいろいろの不満、不平も現在までございますし、それからこうした委員会等の審議の経過、そして一応満足すべき結果であると思いますけども、なお関係の国内の各方面の方々の十分な御理解を得なければならない。そういう点におきまして、さらに十分関係者の間で政府のこの見解というものが支持されるように、それからさらにいろいろの御希望があれば、できるだけそれを取り入れていきたいというふうに考えておるわけでございますがこれは御承知のように政府としては、科学技術庁が責任官庁として各方面との連携をとっておりますので、詳細な点につきましては、科学技術庁のほうからも御説明をお聞き取りいただければしあわせであると思います。
○村田委員 外務大臣は、核拡散防止条約を調印されます際に、新聞発表で、こういうことを言っておられると承知しております。それは、欧州原子力共同体と同等の条件が確保され、わが国がこの面で不利益にならないということを見きわめない限り、今後批准手続を進めることはしないということを言っておられまして、ユーラトム並みが批准の前提であるということを強調されたのでございます。核拡散防止条約調印以後二年目を迎えるわが国でございますが、先ほど申し上げましたこの査察協定モデル大綱にわが国の主張が大幅に取り入れられ——取り入れられたということについては大臣もお認めになっておられるわけでございますが、こういったことと関連をいたしまして、その批准手続、現在すでに御承知のように批准書寄託国は世界で四十九カ国にものぼっております。その時点においてわが国もその批准手続を進めていっていいんじゃないかという考え方も当然出てくると思うのでございますが、これにつきましてこの査察協定モデル大綱の中にわが国の主張が取り入れられたこの時点において、大臣がどういったお考え方に傾いておられるか、お承りいたしたいと思います。
○愛知国務大臣 昨年の二月にNPTの署名をいたしましたときに、政府の公式の声明を各国に対して出しましたわけで、その中に述べている政府の態度はいまもって変わっておりません。ですから、批准に向かうための一つの大きな条件である査察協定のでき上がり方並びにその実施についての保障といいますか納得というものが十分に得られますならば、一つの大きな条件は克服することができると思います。ただ、先ほど国内的ないろいろの理解、納得を得るための段取りというものがまだまだ足りないところもあるように思われますし、それからモデル協定自身が正式に採択されますのは大体ことしの早ければ四月、おそければ六月ごろになると思います。ですから正式にモデル協定が採択されましてから、本件についての政府としての最終結論を出すということにいたしたい。 ただこれは査察問題についての最終的の結論でございまして、なお昨年二月の声明では、政府の見解をさらにほかの面についても広く出しております。たとえば核兵器国の非核兵器国に対する安全保障というようなことについても、もっと積極的な国際的な関心が高まり、かつそれが実現の方向に向かうというようなことも、非常に政府としては望ましく思っておるわけでございますから、この保障協定の問題について納得と満足が得られまたそういうふうな面におけるところの政府としての十分の心証が得られましたならば、なるべくすみやかに批准の手続ということに考えていきたいと思っておりますけれども、それらを総合していつ批准に踏み切るかということまではまだ結論がつきかねております。
○村田委員 重要な点でございますのでいま一度お伺いしたいのでございますが、モデル協定が四月ないし六月には正式に採択になる。それから先ほど大臣の御発言にありました国内各方面の理解と協力というものが十分得られることが前提であるということを言われたわけでございまして、そういったことについての確信が得られれば、たとえばことしの夏以降において正式に批准をするということを具体的に考える、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○愛知国務大臣 ただいま申しましたように、まあ平和利用についての査察問題については、大体好ましい方向に私は向いているように思いますから、これがモデル協定の正式の採択と、そしてまた日本の各方面の関係の方々が十分に御理解が得られるというふうな環境になりましたら、一つの大きな条件はこれで越えると思います。同時にしかし日本のような非核兵器国が核攻撃とか核の脅威を受けるような場合に、非核兵器国の安全保障についての、たとえば国連安保理事会の決議が円滑に実施されるというようなことが、もっとはっきりといいますか明らかになるようなことを、かねがね望ましく思っておりますから、それらの成り行きも十分考慮いたしていかなければならないのではないだろうか。そういうことを考えあわせますと、批准ということをいま確定的に何月ごろというふうにまではまだ申し上げることが、要するに決心が率直に言ってまだつきかねているという状況でございます。
○村田委員 大臣に対する質問を一応終わります。
○田中委員長 後ほどまた事務当局に質問を続行していただきます。 中川嘉美君
○中川(嘉)委員 国際原子力機関憲章第六条の改正でありますが、先ほど村田委員からもお話が出ておりましたが、原子力機関憲章の理事会がスタートして以来、わが国は、地域先進国として理事国の地位を保持してきているわけでありますが今回の第六条改正に伴って、原子力に関する技術の最先進理事国となることが予想されているわけでございます。このことは、わが国が理事国として安定した地位を確保することの反面、用原子力の平和利用用促進あるいは核軍縮推進への大きな責務をになうことを意味しているわけであります。そうしたことから、大臣にまず伺いたいのですが、この二十三日から再開されるジュネーブ軍縮委員会へ、政府はどのような態度で臨もうとしておられるか、まずこの点をお答えいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 いまこちらへ持ってくればよかったのでありますけれども、軍縮委員会に対して、日本政府の田中代表が一両日前に出発をいたしました。その際にも十分打ち合わせ、また会議に臨むべき態度等を十分政府としては打ち合わせて出発をいたしております。その内容といたしまして、従来と特に変わったということもないかと思いますけれども、今回の軍縮委員会の状況からいたしますと、核問題はもちろんでございますけれども、BC兵器の扱い方について、特に重点を置いていきたい。核については、御承知のように日本は地下核実験の廃止といいますか、そういうことを中心にした主張を従来から続けておりますが、もちろんこれを強力に推進してまいります。それからBC兵器については、御承知のようないろいろな経緯もございますけれども、日本政府といたしましては、平和愛好国の立場に立って、このBC兵器問題についてもできるだけ積極的な態度で各国の関心を求めるように、そして実効的な措置が確保されるようにということを、原則的でございますけれども、大いに主張し、実効を期するように軍縮代表としては活躍するようにということが、軍縮代表に政府として与えた訓令の要旨でございます。
○中川(嘉)委員 わが国は原子力機関憲章の最先進理事国となることとあわせて、核防条約の調印国として第二年目を迎える立場にもあるわけであります。そこで、核時代に入ってからの軍縮あるいは軍備規制の交渉の経過を考えるときに、それが米ソという核超大国本位に推進され、他の国はただそれに追随するのみである、このように言っても過言ではないのではないかと思います。場合によっては、米ソ間の交渉能力を強化するための役割りを果たしたりしており、軍縮交渉といいながら、むしろその交渉を引き延ばして、実質的には軍拡を持続強化する傾向が強いと思うのでありますが、そこで、ことしあたりからこの軍縮交渉について再度反省し、新局面打開へ日本としても強力に働きかける必要があるのではないか、このように私は思うのですが、この点はどうでしょうか。
○愛知国務大臣 この点は全くごもっともでございまして、日本外交の一つの支柱は、やはり核軍縮あるいはBC兵器の軍縮ということが非常に大切な一つの大きな柱であると思います。そうして、お話しのように、入りまして二年目ですけれども、かねがね入ることを期待しながら、外務省におきましてもずいぶんいろいろな勉強はしてきたつもりでございますけれども、さらに最近の状況にかんがみまして、学界その他各方面の有力な権威者の方々に協力をお願いし、また喜んで協力をしていただきまして、随時外務省の幹部が忌憚なく意見を交換し、また、教えていただきたい部面については奥深く研究を進めまして、軍縮委員会あるいはその他の場におきましても、米ソはじめそのほかの連中に負けないような知識と見識を持って、平和国家らしい活躍が、理論的にも技術的にも、あるいは社会的、経済的な面にも及びまして、十分の根拠ある、しかも実効的な提案がなされ、また各国に同調を期待し得るようなやり方ということについては、いままでもできるだけの手広い研さんを積んできたつもりでございまして今後、時が移るに従いまして、日本に対する信頼感、そしてまた、したがってそこから軍縮一般に対する各国の積極的な動きというものが、だんだんと出てくることを期待しているわけでございます。確かに、御指摘のように従来はマンネリズムにおちいっておる。日本のような国が参加したことによって、なるほどこれは意義があったと思われるようにひとつやってまいりたいと考えておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 いまいただいた御答弁で大体わかりますが、この次の質問に対してもほぼ同じような御答弁かと思いますけれども、わが国として、いまでは軍縮委員会で米ソなど核武装国に対して強い要求を出せる立場を獲得したのみならず国際社会に対して大きな責務を引き受けよう、こういうふうにしているわけです。こうしたことからも、核軍縮推進のための、ここで伺いたいのはその具体的な提案、二つでも三つでもけっこうです。具体的な提案がなされるべきじゃないか、このように思うのですが、何か大臣、その提案としてあげていただけますか。
○愛知国務大臣 先ほどもちょっと触れましたけれども、たとえば核武装保有国から非核兵器国に対する攻撃はもちろんですが、脅威というようなものに対して国連安保理事会の勧告というものが有効適切に動き得る保証を取りつけるというようなことも、最も具体的な一つの考え方ではないか、かように考えております。また、方面を違えて言えば、これも先ほどちょっと触れましたけれども、地下核実験の停止、これは、技術的にはできぬというのが、いわばマンネリズムの間の国々の考え方だったわけですけれども、やろうと思えばできるはずであるということで、そういう面には、技術的その他の面もあわせてその実効を期していくというようなことも具体的な考え方ではないかと思われます。
○中川(嘉)委員 非核兵器国の主導によって結実した軍備規制条約は、現在ラテンアメリカ非核地域条約だけであるわけですが、この条約もまだラテンアメリカ全域に対して発効しているというわけではないわけです。核大国による保障も不十分な状態にあるわけです。ただ、このような非核兵器国がその地域の核環境の悪化防止、そしてその改善を目的とし結実させた効果というものは、これは高く評価されてもいいんではないか、このように思うわけです。したがってわが国も非核そして経済大国として、アジアにおける核環境の保全と軍縮及び軍備規制を含む地域的平和国家の措置について主導的努力を払うべき時期がもう来ているんではないか、このように思います。アジア地域に対する日本の、軍縮ないしは平和政策について、何か具体的な政策があれば教えていただきたいと思います。
○愛知国務大臣 これもまたごもっともな御意見であると考えますので、そういう方面も十分検討してまいりたいと思っております。ただ、卒直に意見を言わしていただきますと、この種の問題は地域的な協定とか約定だけでは効果があまりないわけでございまして、やはりグローバルな全世界的な協定というか約定でなければほんとうの成果がないわけですから、そういう点も十分頭に入れておく必要があると思いますが、しかし同時に、地域的にもさような考え方が盛り上がるということは確かにけっこうなことだと思いますから、その辺も十分頭に置いて当たってまいりたいと思います。
○中川(嘉)委員 それに対して具体的に、むしろ大臣のほうからいろいろお聞きしたかったわけですけれども、インドシナ半島の平和確保の努力であるとかあるいは御承知のように中華人民共和国との国交問題、こういった処理等の問題を避けてはアジアの軍縮あるいは平和政策を確立することは当然不可能だと思いますが、こういう点についてはどうでしょうか。
○愛知国務大臣 実は昨年二月に、核の拡散防止条約に日本政府が署名をいたしましたときの政府の公式の閣議決定によるところの内外に対する声明書に、中華人民共和国ということをメンションいたしましたのも、そういう考え方のあらわれでございます。そしてこれはなかなか二国間の関係もむずかしい問題でございますけれども、いわゆるオール・ステーツ・フォーミュラの条約、あらゆる地球上の人間が均てんしなければならないような条約で、多数国間の条約というようなものについては、かりに国交があろうがなかろうが、あるいはいわゆる分裂国家であろうとも、その全部が参加することによってこそ、その条約の成果というものを期待し得る、そういうふうな考え方を踏まえまして、あのときの声明というものをつくりましたのでございまして、お考えの基礎にあります一つの考え方というものには、政府としてもきわめて同感でございます。それから現に起こっているインドシナの状況については至大なる関心を持っておるわけでございまして、政府としてなし得る限りの外交的な手段を尽くしてまいりたいかように存じております。
○中川(嘉)委員 この問題について時間があればもう少しお聞きしていきたかったわけですが、時間の関係もありますので、次の問題に移りたいと思います。 わが国が積極的に非核軍縮を主張する場合に、国際世論のみならず、わが国の世論というものも当然これは納得させる配慮と反省がなければならないのではないか、このように思います。日本は史上唯一の被爆国である、そして平和憲法の存在非核三原則の声明がありながらも、なお海外において軍国主義復活の声が根強く残っている。これは否定できない事実だと思います。武装への疑念も当然こういうわけで持たれているわけでありますが、国内的には佐藤総理が核アレルギーの解消を説き続けているのですが、国民はまだこの強烈な核アレルギーを持ち続けているのではないか。その証拠には、内閣広報室で去る四十三年三月に原子力の平和利用についての世論調査を行なった結果、原子力について六七%が軍事関係を連想している、こういうことが証明されたわけであります。こうした内外の世論を無視して、日本の主張というものを唱えてみても、世界あるいは国民の誤解と疑念を巻き起すだけではないか、このように思うわけでありますが、政府としてはその点どのように対処しようとしておられるか、大臣の見解を伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 一口に言えば非核三原則を守り通していこうという一言に尽きるわけでございまして、これは今後においてもその政府の不動の姿勢というものを機会あるごとに再確認といいますか、するようにつとめてまいりたいと思っております。要するに、日本国民のこうした動きに対する感情というものがほんとうに大切なことで、その上に立って国策を守り抜いていかなければならぬということに私は徹して考えていきたい。ところが科学技術がどんどん進歩して、いわゆるクッド・ハブ・カントリーの尤なるものでありますからやろうと思えば核兵器はやれるのじゃないかというところに、国際的にもあるいは国内的にもそれに関連して何となしの言動というものがおりおり見受けられるわけだと私は思いますけれども、しかしかりにやろうとすればできるかもしれないがそれだからこそこれだけはやらないのだ、やるまいねということをお互いにいつも確認し合っていくということが一番必要なことではないか、こういうふうに考えております。
○中川(嘉)委員 いまの御答弁からも私思うのですが、こういった誤解とか疑念を解消するためには、結局はことばであるとかあるいは口先だけでもってそういうふうに唱えるのではなくて、あくまでもこのたびの第四次防の問題もあるでしょうし、いろいろ軍事力ということに対しての海外の論調もあるわけですが、やはり態度とか行動、そういった面で明確に示し切っていかなければならないのではないか、こう思います。 時間もありませんので、最後に要望として申し上げたいのですが、今回の憲章第六条の改正にともなって、わが国の地位の向上を予測して、経済大国の意識だけが表面に強く出るようであっては海外並びに国民の失望を招くだけではないか、このように思います。この際政府が、日本を含めての観点から、じみちではあるけれども、フレッシュな軍縮あるいは平和政策をアジア地域のために早急に確立することを期待したいわけであります。それが結局は世界平和、世界的軍縮にも大きな影響を及ぼすもの、このように私思いますので、この点を要望いたしまして、一たん私の質問を終わりたいと思います。
○田中委員長 中川君に申し上げますが、後ほど事務当局に対する質問を続けてください。 曽祢益君。
○曽祢委員 私も同僚委員に続いて国際原子力機関の憲章改正に関連いたしまして外務大臣にお尋ねいたしたいのですけれども、政府の説明書によりますと、今度の改正の一番大きなねらいの一つが、要するに理事国の数をふやす、特に主たる原子力の技術の高い国を五カ国から九カ国にふやす、従来わが国が地域的なレベルにおいて原子力の技術が発達していた国として取り扱われておったのが、今度は世界的規模における九カ国の一つに入るのだろう、こういうふうに予想されておるようですけれども、これは単なる予想なのか、それとも文章には出てこないけれども、外務省のほうの付表にあるように、実際上話は、ヨーロッパでは今度加わるのは西ドイツとイタリアで、アジアではインドと日本、そういうことははっきりきまっているのですか、その点をまず伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 これは実際問題として、この憲章が改正になりますと、日本は入るのだという話し合いはできているわけでございます。
○曽祢委員 それは常識的に日本とインドという線が——ただそれに関連して、これはいささか理論的な問題になるかもしれませんが、その場合に中国ですね、人民共和国のことは実際問題としていま直ちに原子力機関に入るという問題はないかと思いますけれども、一つの理論的の可能性として日本、インドの前に中華人民共和国、中国が入るというのがほんとじゃないかという感じがするのですが、そんなことは全然問題になっていないのかどうか、この点承っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 卒直に申しまして、本件のこれまでの経過から申しますと、現実の問題としては全然取り上げられていないわけであります。理論的な問題としては私はあり得ると思いますけれども、現実の憲章改正の議題についての審議の過程においては問題になっておりません。
○曽祢委員 そういたしますと、結局、今度五カ国から九カ国になる場合に、日本とインドとは西ドイツとイタリーと一緒に第一級の世界的の原子力技術の進んだ国、先進国に入る、これはもうはっきりしているわけですね。
○愛知国務大臣 これはもう卒直に申しますけれども、日本とそれから西ドイツとイタリーと、この三国が入るということについては話し合いがきまっております。それからインドにつきましては、もう一つスウェーデンがございまして、その辺のところはまだ不明確でございます。
○曽祢委員 これも両委員がすでに触れられたことなんですけれども、この間からやっておられた保障に関するモデル協定ですか、原子力機関を中心とした話し合いで、大体日本政府の主張というものが相当取り入れられているようであります。それはたいへんけっこうだと思うのですけれどもはたしてあれだけでいいのかどうか、これは一つ一つやっていると限りがありませんし、もう条項一つ一つやるのには時間もないと思うのですけれども、私の感じでは、ほんとうにひとつ、言われた平等性、特に現実の問題とするとユーラトムとの、あるいはEECとの平等性だと思うのです、これはこの間のモデル協定で完全になったといえるのか。やはりまだこれは少し——疑えば限りないですけれども、つまりほとんど一種の自己査察を認めるという線までいかないと、EECのほうが国際原子力機関から包括的に委任されてしまうその憲章だけにすると、わが国のほうは、確かに技術レベルからいえば高いから信頼感があるともいえるかもしれない。しかし、そこまで日本側の自己査察というものに信頼し切るという点にいけるかどうか。EECにはEEC、ユーラトムにはフランスが入っておるという点から、どうしてもEECと日本の場合との違いが出てくるんじゃないかという心配がありますけれども、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 まあ私、自分の考えを卒直に申すのでございますけれども、これは先ほど村田委員に御答弁したとおりでございまして、私は骨組みとしては、いままでずっとこうやってまいりまして大体満足すべきところに到達した。しかし現実にこの査察がどういう形で行なわれるか、それから日本に対する信頼性ということが査察の上にはっきりあらわれて、自己査察ということなどがどういうふうに行なわれるかということは、これは実に慎重に扱わなければならない。最終的な政府としての判断というものを一〇〇%公開して申し上げるのには、ちょっとまだ時期が早いんじゃないか。ということは、先ほど申しましたようにモデル協定の採択がまだ将来のことでもございますし、それからユーラトム、EECの関係が具体的にどうなるんだろうかというようなこともあれですし、それから国内的には査察を受けるほうの立場の方が従来におきましても——まあこれで今度はすっかり変わることになるからいいのではありますが、従来非常にいわば不幸な、めんどうくさい経験をいたしております日本の産業関係などでございますから、そういう立場の方々からも完全な御理解と納得を得られるかどうか、そういうことも見比べて政府としての最終の判断を下さなければならぬ、まだ私としては大事をとって今後の成り行きも十分配慮していきたいと、こういうふうに存じております。
○村田委員 これはほんとうに特に大事をとって詳細に話をきめて、詰めていっていただきたいと思うのです。すでに新聞にも伝えられているように、原子力機関のほうの査察をやらしてみたところが非常に繁雑で、とうていこれは日本の発電所側としても繁雑にたえないというようなことが現実に起こっているのですから、その後このモデルのほうが話が進んだことはわれわれも認めますけれども、やはりほんとうの平等性が確保できるか。それからわれわれが主張しているように、できればひとつブラックボックスか何かをどこかに置いておけば自然にこれを検知することができるような科学技術の発達もあるわけですから、繁雑なことを除く。それから産業スパイというものが起こらぬようにする、これはわが国の今後の発電に関する技術の将来をトする非常に大きな問題です。それと最終的にはやはり信頼関係が必要だと思うのです。わが国の技術は高いけれども、わが国の姿勢全体が絶対に核兵器をつくらない、そういう意図がないのだということの信頼性があるかないかということで私はきまると思うのです。しかし保障に関する具体的の措置にそれがあらわれてきますから、この点についてはこの間の会議の結果、相当文章の上ではわがほうの主張がいれられてきている。これは私は合理的な主張だからいれられると思うのですけれども、しかしそれはほんとうにやる人のチームがだれによって構成されるかによっても違いますし、そういう点についてはあまり楽観的ではなくて、むしろ神経質なくらいがんばっていく必要があるのじゃないかと思います。この点をぜひひとつ政府に要望しておきます。 それからもう一つ政治的な問題として単に査察に関する点で、平等性あるいは科学性、合理性がいれられて、繁雑なものもないし、いわゆるインダストリアルスパイみたいなものが起こらないように、それがつくかつかないかについて日本側の関係者の意見も十分に聞き、その信頼と納得が得られるということを言われましたが、このほかにやはり核拡散防止協定に対する最終的な態度をきめるにあたって、大臣が言われたように政治的には二つ大きな問題がある。一つは現に核保有国の誠意を持っての核軍縮——というのは少しオーバーにせよ、少なくとも軍備管理の方向にまじめに動いているかどうかというその動向が一つの大きな政治的な意味です。もう一つは大臣も言われましたように、核兵器を理論的には持ち得るのだけれども持たないことを正式にこの条約で約束する国に対するいわゆる核のおどしあるいは核の攻撃からの保障の問題について、まあ米ソが中心となってやっておりまする安全保障理事会における決議、これだけではたして十分なのかどうか、これは確かにもっと突きとめていく必要があると思うのです。そういう意味で、この方面の非核保有国でこの条約に賛成する国に対するいわゆる核保障ですね、それも自分のほうの陣営の旗頭であるあるいはアメリカあるいはソ連という、そういうパワーブロックの関係でなくて、むしろグローバルなユニバーサルな世界的な両陣営を含むような、できればそのような共同保障みたいな形が望ましいわけです。それを安全保障理事会というあれをろ過してそういうことができるのか、これをもっと突き詰めていく必要があると思うのですが、その点に関する政府のお考えを伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 まず前段の点は、私の申し上げておりますことで御理解いただけるかと思いますが、ほんとうにこれは真剣に具体的に保障の問題につきましては、なお、今後十分に見据えていかなければ最終的な態度というものは、表明するのにまだちょっと早いんじゃないかと思います。 それから第二の御質問ですが、これは全く同感でございます。現状においては少なくとも安保理の決議というものが有効に適用といいますか、活用されるということが必要でありますし、それから進んでグローバルに、ユニバーサルに核兵器保有国が非核保有国、特に日本のようにいわゆるクッド・ハブ・カントリーに対する核保障というものが取りつけられるようになれば、これはほんとうにすばらしいことだと思っておりますが、それに対する努力というものはたゆみなく続けていくべきものだ、かように考えております。
○曽祢委員 けっこうです。
○田中委員長 後ほどまた事務当局に質問を続けてください。 村田敬次郎君。
○村田委員 今度は事務当局に御質問をさせていただきたいと思います。先ほど大臣の言われました環境保全について「日本における人間環境問題」ということで、国際公害会議に提出するためのレポートをいまおまとめ中であり、しかもそれが大半まとまったように承ったわけでございます。これはいまの日本の公害についての姿勢を世界に対して示すものでございますから、非常に私は大切な文書であろうと思います。したがいまして、その立案の衝に当たられた西堀局長から、大臣の説明を補足して、さらにその問題点を承っておきたいと思います。
○西堀政府委員 これは国連の決議によりまして、各国に対して公害に関する現状、それからそれに対する考え方をレポートしろ、いわばナショナルレポートを提出しろ、こういう決議が通過いたしましたので、それに基づきまして関係各省と協力いたしまして、大体の草案は作成いたした次第でございます。 この草案につきましては、一部にはきわめて平面的であるというような御批判もあったのでございますけれども、これは各国における現状といったものが中心になっておりますので、これはいたしかたないところではないかと思うところでございます。先ほど大臣から申し上げましたように、わが国におきますところの現状を相当詳しく、しかしその決議に基づきまして、英文にいたしまして大体三十枚程度という制限がございますので、そんなこともありまして、平面的にならざるを得なかったのでございますけれども、わが国といたしましては、そういった現状のみならず、最後の結論の部分におきまして、今後の国連における公害に関する国際協力のあり方ということを結論といたしまして、この結論の中においてわが国が今後とっていかなければならない、国際的にやったほうがいいであろうということに対するわが国の見解を披瀝いたしました。これはいわばこのレポートの目玉といえば目玉になるわけでございます。その目玉の項目でございますけれども、これも先ほどきわめて簡単に大臣から御説明申し上げましたとおり、まず第一に「優先分野の選択」ということをうたっております。これはこの決議が通りましたときの鶴岡代表もその演説の中で言っておられたことでございますけれども、環境問題におきますところの国連での国際協力を、真に実効的に推進するためにはどういった基準によってやっていくべきかという点、要するに、優先分野を選択しなければならないということでございます。 それからその次は「当面必要な国連での国際協力の方式」、先ほど申しました「それぞれの優先分野については、当面次のような方式により国際協力を進めて行くのが適当であると考える。」といたしまして、まず第一に「調査研究の促進」「各種の環境基準を設定する場合の基礎となる人体への影響研究ならびに研究成果の比較検討の基礎となる測定技術や調査方法の標準化についてはとくに強力に推進する必要があると考える。」それから次は「情報交換の促進」「各国における現状と対策に関する情報の迅速な交換を促進するため、国連専門機関等のこの面での活動を強化する」その次は、「専門技術者の養成訓練の促進」こういった三つの柱を立てまして、これがわれわれ日本として国連における今後の国際協力のあり方における立場と申しますか、そういう態度ということでこのレポートの結論として提出することに考えておる次第でございます。
○村田委員 準備委員会で検討されましたところを見てみますと、たとえばウ・タント事務総長が公害情報センターを設立したいということで提案して、それが各国の賛成を得ておる。また準備委員会において、ことしの一月ころ開催予定の第二回準備委員会というのがいまジュネーブで開かれておるわけでございますが、そのときに、国際公害会議に提出をする宣言草案を作成するということを考えておったわけでございますが、この宣言草案の作成作業、それからまたいま申し上げました公害情報センターの設立、そういったことについて具体的にはどういうふうに進んでおりますか。
○西堀政府委員 来年の六月に予定されておりますところのストックホルムにおける国連の人間環境会議、これにおきまして、いま先生の申されましたところの宣言、これをひとつつくろうではないかということで、この第二回の準備委員会が現在ジュネーブで開かれておりますけれども、そこにおきましてもその宣言をどのようにつくっていこうかと、実はこの第二回の準備委員会において、公害までも確定したいというような希望もあったのでございますけれども、実際問題といたしましては、ソ連圏のきわめて政治的にものを取り扱いたいというような希望が一つございますし、これに対して、わが陣営のもう少し良心的にという立場がございまして、そのからみ合いがございまして、結局その公害を決定するまでには至らないのではないかと存ずる次第でございます。 いま議論いたしておりますのは、どのような方法で、すなわち、どんなアプローチでこの宣言をつくろうかという点が議論になっておりまして、したがいまして、具体的なその項目でございますとか内容につきましては、いまの段階においては全く何らの決定を見ておらぬ、こういうことでございます。
○村田委員 本来ならば、この宣言草案が当初の予定ではもう一月ころ今度の準備委員会で決定をするという段階であったわけですから、これについてはできるだけ日本がイニシアチブをとって事務当局に話しかけていただきたい、こういうふうに私は思います。 それから先ほど西堀局長が御指摘になった「日本における人間環境問題」のレポートに関連してでございますが、専門技術者の養成というのは、これは何よりもたいへん大切なことじゃないかと思うのです。四十六年度の当初予算には、たとえば国連技術センターを日本、中部圏にも設けることにして、そこに訓練センターの予算をたしか一億五百万円計上したはずであります。もしこの予算が通過をすれば、そういったセンターにおいても専門技術者の養成にこたえて、そういう者を訓練したらどうかという具体案もあるわけでございますが、それについての外務省の御所見を承りたい。
○西堀政府委員 いま本年度の予算で御審議を願っております中に先生御指摘の中部圏のセンターというものもございまして、それも私はこの専門技術者の養成訓練の一つの機関としてきわめて有益な試みであろうと存じます。したがいまして、外務省といたしましても、もちろんその中部圏のセンターに限りませず、それ以外の点におきましてもこのレポートに触れましたいわば目玉の一つでございますから、強力にその点を推進してまいりたいと存じております。
○村田委員 今度は原子力の問題に移ります。 原子力の問題につきまして、先ほどは大臣に核拡散防止条約の批准の日程を中心に承ったのでございますが、今度は観点を変えまして、原子力問題について伺いたいと思います。 最近は、石油の価格を値上げをするということが、非常に日本の石油業界にショックを与えておるわけでございまして、そして現在のエネルギー事情というものを調べてみますると、日本の場合は非常にエネルギー事情が片寄っておるということがいえるわけであります。たとえば、電力の問題について見ましても、現在は火主水従と言われておりまして、火力発電が七三%でありますが、この七三%を占めておる火力発電の六割以上が石油に依存しておる。しかも、その石油資源というのは、中近東から輸入をされる石油資源によるものが大半でありまして、私の承知しております数値では、四十五年度一カ年をとってみても年間約一兆円ぐらいの石油が中近東から輸入をする。これが日本全国で消費する石油の九割にあたるわけでございまして、しかも現在はいろいろな国際情勢、インドシナの情勢であるとか、いろいろなことのためにインド洋が主なき海になるということも非常に危険意識を持って指摘をされております。こういう事情からいたしますと、石油の値上げ問題、さらにそういった日本の持っております石油輸送ルートの問題等から考えましても、エネルギー全体の需給計画を、大幅にもっともっと前向きに考えていかなければならない段階に来ておるのじゃないか。そういった時期において、原子力の問題というものは、非常にクローズアップされておるわけでございますが、現在はまだまだこれが産業上重要なエネルギー源になるところまでいっておりません。しかし、日本では、このことに対処をいたしまして、昭和四十六年度は四百七十四億円をこえる予算を原子力関係経費に計上いたしまして、今後の原子力に対する姿勢をとっておるわけでございますが、この資源は、現在は御承知のようにアメリカが中心になっております。それにつきまして、承知するところによれば、このアメリカあるいはカナダ、そういったような従来の原子力資源の供給方式にさらにつけ加えるために、フランスやイタリア等と共同開発をして、ウランを確保したいというような動きがあるやに聞いております。たとえば、フランス原子力庁はアフリカのニジェールを考える、またイタリアの炭化水素会社ではソマリア及びケニアを開発対象としておってこれについて日本と合弁の会社をつくりたいという計画もあるやに聞いておるわけでございます。そういう原子力の供給計画について、いかに前向きに考えておられるか、伺いたいと思います。
○梅澤政府委員 天然ウランが一番大切でございますが、これにつきましてはいま長期買い入れまたは短期買い入れ等で、現在大体三万六千トンぐらい獲得をいたしております。ところが、これから昭和六十年になりますと、これが十二万トン必要になる予定でございます。したがいまして、もう三分の一しかないということで、政府といたしましては、これは海外ウランをねらわなければいけないということで、私のほうも動力炉開発事業団が海外基礎調査、ことしは八千万円の予算をお願いいたして進めております。現在カナダ、オーストラリアでおのおの研究調査を進めておりますほかに、数カ国調査を予定いたしております。 なお、いまお話しのございました海外ウラン開発株式会社というのが、フランスと一緒にニジェールを開発するということで、いまでき上がっておりますが、ソマリアにつきましては、まだ現状が明らかでございませんで、民間といたしましてもいま検討中でございます。 以上でございます。
○村田委員 もし石油資源の輸入というものが非常にぐあいよくいかないという状態になってくる場合を予想して、政府としても非常に力を入れておられるということはよくわかるわけでありますが、何ぶんにも日本自身は非常に資源の乏しい国でありまして、したがって、アメリカ以外にもフランスとかイタリアとかあるいはソビエトとかいろいろなところとの提携方式というものが当然今後は予想されると思います。そういった場合に長期計画としては、たとえば昭和六十年目標でどういうものを持っておられるか、対外的な協力方式を具体的にどういうふうに考えておられますか。
○梅澤政府委員 現在までは日米、日加、日英という協定を結んでおりまして、現在フランスあるいはオーストラリアから協定を結んではという話はございます。したがいまして、私たちのほうもこれからウランの獲得並びに将来はこちらでいま開発しております新型転換炉等の輸出も考えなければいけない、そういう関係から、ふるって、ギブ・アンド・テークといいますか、そういう考え方で、これから先海外との協定等はできるだけ進めていきたいという考え方は原子力委員会としても持っております。
○村田委員 六十年における原子力資源のエネルギーの中に占めるシェアはどのくらいですか。
○梅澤政府委員 原子力発電でまいりますと、昭和六十年には大体六千万キロワットで、二八%発電の中に占める予定でございます。
○村田委員 原子力問題は非常に重要な問題点がたくさんあるわけでございますが、きょうはこれで終わります。
○田中委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 油濁に関する二本の条約の質問に入ります前に、この条約を採択した政府間海事協議機関、IMCOについて二、三の質問をしたいと思います。 まずこのIMCOについてですが、一九七〇年度の予算総額、これはどのくらいですか、わかれば教えていただきたいと思います。
○西堀政府委員 一九七〇年度におきましてはIMCOの予算総額は米貨で百二十三万八千八百八十ハドル、邦貨にいたしまして四億四千六百万円でございます。
○中川(嘉)委員 なお、各国別の分担金についてずっと聞いていく時間もないので省略するとして、ここでは上位の国の分担金、一番最高それからわが国の分担金、この二つをひとつあげていただきたいと思います。
○西堀政府委員 一番多い分担金を払っておりますのはリベリアでございます。それから二番目がわが国でございまして、分担金自体のあれはございませんけれども、はなはだ恐縮でございますが七一年で申し上げさせていただきますと、リベリアが総額の一二・四六%、それから二番目の日本が一一・〇八%でございます。これは非常に異様にお感じになるかも存じませんけれども、このIMCOの分担金の確定にあたりましては、まず第一に国連分担率によるところの基礎分担金というものがございまして、その基礎分担金でいきますと、わが国は一年に四千ドル、リベリアは二千ドルにすぎないわけでございますけれども、そのほかに今度付加分担金というものがございましてその付加分担金というのは、それぞれの国が持っておるところの船舶の総登録トン数、これによってそれを付加していくわけでございまして、そういたしますと、リベリアは三千三百万トンでございますのに対してわが国は二千七百万トンというようなことで、いま申し上げましたようにリベリアが一三%何がし、日本が一一%何がし、こういうことになります。
○中川(嘉)委員 ここに六八年とそれから六九年の分担金のデータがここにあるわけですが、やはりこれを見ましても、いまお答えいただいたようにリベリアが当然一番トップであったわけです。これは総保有船腹量が多いためだろうと私は思うのですが、リベリアがなぜこのように総保有船腹量が多いのか、この理由をひとつ聞かしていただきたいと思います。
○妹尾説明員 リベリアにつきましては現在国際運輸所得に対する税金が課されております。日本でいえば法人税、事業税に当たるもの、これが課されております。そのために各国がリベリアに便宜置籍するということが行なわれておるわけでございます。一方リベリアの税制で申しますと、そのかわり船舶の登記の登録料などは日本などに比べましてかなり高いということで、リベリアとしては税金をまけて、そのかわり登記登録料などでかせぐ、こういう政策をとっておりますために、リベリアにはたくさんの船が行っておる、こういうことでございます。
○中川(嘉)委員 私も大体税金の関係であろうということは想像ついた。このことはまたあとでちょっと伺いますが、ここでまた先ほどのIMCOの問題に戻りますけれども、IMCOのいままでにおける事務活動ですね。これはどういうものがあったのか、簡単でけっこうですが、ちょっと。
○西堀政府委員 IMCOは先生御承知のとおり、船舶輸送の技術的、経済的分野での国際協力を促進することを目的としているわけであります。いろいろな条約の策定等も行なっているのでございます。いままでの、IMCOが開催いたしましてそれで作成した条約をあげてみますというと、一九六〇年の海上人命安全条約、それから六五年の国際海運簡易化条約、それから六六年の国際満載喫水線条約、六九年の船舶のトン数測度に関する国際条約、それから六九年の油による、いま御審議を願おうとしておりますところの通称公法条約こういったものがございます。 このIMCOは先生御承知と思いますけれどもたくさんあります国際専門機関のうちでも非常に規模の小さなものでございまして、一番小さいのじゃないかと思うのでございます。まあこういってはあれでございますが、国連専門機関のずいぶん多くのものはいわば開発途上諸国のためにあるのでございますけれども、このIMCOにありましては、これは船舶をたくさん持っておる日本のような先進国が非常に便益を受けるという意味におきまして、わが国にとりましては、たくさんありますところの国連専門機関のうちでも、規模は小そうございますけれども恩恵には非常にあずかっておるのでございまして、われわれといたしましては、大いにその活動を重要視いたしておるところの専門機関でございます。
○中川(嘉)委員 そのIMCOにおいて、いまもお話のありました作成されたところの公法条約ですが、この公法条約は、外務省の説明にもあるように、条約の成立経緯はいわゆる英仏の近海で起こった大型タンカーの海難事故、いわゆるトリー・キャニヨン号の事故であります。あるいはまた油濁事故、こういうものを契機として成立したわけですが、そこでまずトリー・キャニヨン号事件の概要ですが、もう少し詳しく、私たちもある程度知っていますけれども、もう少し詳しく説明していただければと思っています。
○山崎政府委員 このトリー・キャニヨン号事件は先ほどからもお話しになっておりましたリベリア船籍のタンカーでございます。六万一千二百六十四総トンでございまして、便宜置籍船であります関係上、ほんとうの所有者は米国の会社であります。事故の当時は英国の会社がこれをチャーターしておったという複雑な関係がございます。このトリー・キャニヨン号が一九六七年の三月十八日に英国の西南の端のシリー諸島の沖合いで座礁して、その船が積んでおりました原油が約六万トン流出いたしまして、英国の西南の海岸をはじめとしまして、対岸のフランスのブルターニュ半島のほうにもばく大な損害をもたらした事件でございます。この事件が起こりました直後英国政府としましてはこの油が流れて広がるのを防止するためにいろいろな手を尽くしたわけでございますが、十分な効果をあげ得ないままに十日間がたちまして、結局その船体が浮力を欠いてまいりまして、その船を外洋のほうに引っぽっていって油濁を最小限度に食いとめようという作戦もうまくいきませんで、結局英国政府は爆撃機を出動させてこれを沈めた、そしてタンカーの中に残っておりました油を炎上させるという非常手段を講じたわけであります。これは海運史上から見ましても最大のタンカー事故でありまして、先ほど申し上げましたようないろいろな所有関係もありまして、法律的にも非常に複雑な問題を含んでおります。これを契機として先生御案内のとおりIMCOでこのいろいろな条約の審議が行なわれた次第でございます。 ちなみに、この事件に関しまして損害補償問題があったわけでございますが、このトリー・キャニヨン号の所有者と定期用船者が英仏両国に対しましてそれぞれ百五十万ポンドずつ、合計三百万ポンド、邦貨にしまして約二十六億円を払いますとともに、その他の者からの賠償請求に備えて二万五千ポンド、邦貨にしまして二千百六十万円を確保することで示談によって解決したと聞いております。
○中川(嘉)委員 ここでさっきの税金等の問題とも関連するわけですが、トリー・キャニヨン号はリベリアの船籍であったといまの御答弁にもありました。また所有権はアメリカ、それで英国がチャーターする、こういったケースですと、いまあとのほうで御答弁があったように、補償問題が非常に複雑な問題が起こって、要するにあまり望ましいことじゃないと私は思うのですが、政府としてはこういうことに対してどういう見解を持っておりますか。
○妹尾説明員 いわゆる便宜置籍船の問題に関しましては、わが国の船社が実質上所有者で、先ほど申し上げましたように、便宜置籍船としてリベリアに籍を持っている船については、私どもはそういうものがあるかどうかについてあまりはっきり認識いたしておりませんが、大体ないのではないかと思っております。それで先日、二月の一日から五日までの間、東京においてOECD加盟諸国の運輸大臣が集まりまして、海運関係閣僚会議というものをやったわけですが、そのときの決議につきましても、便宜置籍船について近年非常にふえている、それでこの状態は必ずしも好ましくないものもあるようでありますが、この解決策については今後検討したい、こういうようなことで、具体的にどうするかということははっきりきめておりませんけれども、今後の問題として検討していきたい。実はそのときのあれは、ほとんどその便宜置籍船がアメリカを主体として行なわれているというように、それで開かれました関係閣僚会議のメンバーにはアメリカが入っていないというようなことから、そういうような決議があったということも考えられるわけでございますが、そういったことでございます。わが国としてはいまのところ検討中でございますけれども、リベリアに置籍するというような風潮はあまり出ていないというふうに考えております。
○中川(嘉)委員 こういった事件は二度と起ってはならない事件でありますし、大型タンカーが次々につくられている今日、いつどこでこういうようなおそるべき事故が発生しないとは限らないと思います。それでトリー・キャニヨン号事件はいわゆる実験室では得られないような大きな資料あるいは経験等を関係各国に与えたというふうに思うのです。そこで、わが国もこの条約に入る上からは当然それらの資料、経験というものを入手していると思いますので、これらについて二、三今度は質問したいと思います。 まず英国としては、あらゆる努力を払って、先ほどの御説明にもありましだように、被害を及ぼさないようにしたと思うのですが、どのような対策を立ててどんな方法を用いたのか。先ほどちょっと伺ったのですが、具体的に、あるいはもう少し専門的に説明していただけますか。
○上原(啓)政府委員 御説明申し上げますとわれわれが得ておる資料によりますと、英国のほうでは一日最高二十九隻、海軍の船その他民間の船もあろうと思いますが、動員いたしまして、十八日間にわたりまして、油処理剤約三千トンを使用して処理に当たった、そういうことになっております。そのほかに沿岸に漂着いたしました油の処理のために一日最高十三隻の船艇が出動いたしまして、油処理剤約一万トンを使ったというようなことで、これには軍隊、地方公共団体、民間人等も密接に協力しておる、こういう状況と承知いたしております。また、港湾、入り江、河口等にはオイルフェンスを展張して、極力被害を最小限度にとどめるように努力したというようなことになっております。 また、フランスのほうは海軍が主体となりまして、これはフランスは油処理剤を使用しておりませんで、おがくずなどを使用いたしまして、漂油 の大部分を処理したということになっております。フランス側は六月上旬ごろまでその処理にかかったということでございます。 それからこの本船に対する処置でございますが、二十六日ごろまで座礁しておる船体の引きおろしを試みておったのでございますが、荒天のために船体が三つに折れてしまいましたので、もはや方法がないということで、そこで焼却処分という処置に踏み切った、そのようにわれわれのほうでは聞き及んでおります。
○中川(嘉)委員 いまの処理剤というのはいわゆる油を沈めるために使った洗剤のことだと思うのですが、そうであるならば金額的にどのくらい調達したか。いまトン数でお話しいただいたのですが、金額的にどのくらい調達したのでか。あなたのほうでわかるならば教えていただきたいと思います。
○上原(啓)政府委員 ただいまその資料をもっておりませんので、すぐ資料を取り寄せたいと思います。
○中川(嘉)委員 私のほうで一応調べた結果、この事件で洗剤を必要なだけ調達するには一千億円以上かかると当時の新聞には報道されておるわけですね。十万トンのタンカーでこんなにかかるわけなんで、今度二十万トンのタンカーではどのくらいかかるか全くわからない。関係方面としてどのくらいかかると思われるかという質問をしようと思ったが、そちらに資料がないなら、その点もう少し詳しく調べていただきたいし、また二十万トンのタンカーが現にどんどん航行しているわけですから、いつ何どきそういう事故が起こるかわからないという立場に立って、こういった点も十分検討しておいていただきたい、このように思います。 いまいろいろ説明いただいた中に、事故の対策等が出てきましたけれども、対策とか方法として一般的にどんなものがあげられるか。いまキャニヨン号の問題での具体例をお聞きしたわけですが、あと二、三方法があるのじゃないかと思うのです。保安庁として何か考えておられるのがありますか。
○上原(啓)政府委員 タンカーの事故につきましては、非常に影響するところが大きいと考えておりまして、どのように対処するかということについては、真剣に検討をいたしておるところでございます。 当庁の現在までの体制といたしましては、大量の油が流出いたしました場合には、当庁としてはもちろん全力を尽くしますけれども、保安庁の力だけでは不十分でございますので、いわば官民一体となってお互いに器材を整備する、処理剤を整備するというような方向に進んでおりまして、石油コンビナートのあるような地域につきましてはいわばタンカー対策協議会というようなものを組織いたしまして、一体となって万一の場合の処理に当たる、こういう考え方を持っております。 なお、技術的な手法について申し上げますればまずオイルフェンスを大幅に展張いたしまして、二重、三重に取り囲みまして拡散を防ぎ、できるだけ早くそれを吸い取ってしまうことが一番必要なことではないかと考えております。なお、船体内に残っております油で流出のおそれのあるものは、極力からのタンカーを回してくみ取らせる、いわば移しかえをするというような方法があるかと思っております。 また、沿岸近くで座礁したような場合は、衝突の場合も同じでございますが、なるべく遠方に引き出すという努力もやるべきであるというぐあいに考えております。 なお、流出いたしました油につきましては、できるだけ処理剤を使って、その被害の減少につとめるべきであるというような考え等も持っておりますが、万やむを得ない最終的な場合には、これに火をつけて燃すという場合もあるかと思っております。そのことを考えておりますが、実はタンカーというのは燃えるようでなかなか簡単に燃えないものでございまして、これは実験の際にも非常に苦心してやっと火をつけたというような体験も持っておりますが、なかなか燃えにくいものでございます。トリー・キャニヨンの場合も英国の海軍は相当な努力をされたのではないかと思いますけれども、しかしそのような措置も当然考えるべきであるというぐあいに考えております。
○中川(嘉)委員 いまいろいろお話しいただいたわけですが、検討中というようなニュアンスが強いように思うのです。この事故はいますぐ起きるかもわからないわけですね。事故のおそろしさというものは観念的にしか想像できないわけですけれども、東京湾あるいはまた近海でこの種の事故が起これば、たいへんな事故になるということぐらいは想像ができる。トリー・キャニヨン号事件当時の新聞によりますと、海上保安庁は、同じような事故がもし起きた場合に、風向きや潮流によって状況は変わるだろうが、被害はかなり広がるだろうといっておられます。 そこでお尋ねしますけれども、かりにこの条約に入ったとして、あるいはさきの臨時国会で成立したところの海洋汚染防止法四十二条によりますと、排出油の防除措置を講ずるようになったわけですが、さっき言った二十万トンタンカーの事故によって大量の油が流れ出した場合、これに間に合う薬品のストックはいまあるのですかどうですか、基本的な問題ですけれども、伺っておきたい。
○上原(啓)政府委員 現在整備されております資材、オイルフェンスと油除去剤について申し上げますが、オイルフェンスは全体で六万六千四百四十七メートル分現在整備されております。これは四十五年度末整備ということでございます。また油除去剤は全体で五百三十二トン現在整備されております。ただ油除去剤の整備状態は、現在すぐ取り出せるというものでございまして、このほかにもメーカーは相当ストックを持っておると思います。まだその状況は把握はいたしておりませんけれども、これは迅速に入手できるというぐあいに考えております。
○中川(嘉)委員 五百三十二トンと言われましたけれども、これは二十万トンのタンカーの事故があった場合、五百三十二トンで間に合うのか間に合わないのか、その辺私専門でないのでわからないのですが、どのくらいの事故に対してこれが働くわけですか。
○上原(啓)政府委員 流出油に対しまして要する中和剤の量は五対一というのが現在の常識になっております。したがいまして、二十万トンのタンカーが事故を起こしまして、現実に何万トンが海上にこぼれてくるかということは、これはケース・バイ・ケース、なかなか想像できないものでございまして、タンクの構造にもよりますし、全量が出てしまうということはまず考えられないのではないかというぐあいに考えております。
○中川(嘉)委員 どうもまだ、具体的に、また突発的に起きた事故に対して、はたしてどれだけそれを防ぎ得るかという点について非常に何か不安な気がしながら聞いておるのですが、こういった事故は思わないときに起こるもので、わが国で一万トン級以上の船舶で、沈没あるいは座礁等で油による汚濁事件がいままでどのくらい起こっておりますか。それとまた、損害額はどのくらいかおわかりになればひとつ教えていただきたいと思います。
○上原(啓)政府委員 これは歴年でございますが、四十四年に全部で二百七十三件のいわゆる油濁事件というものが起きております。そのうち海難によりますものが八十六件という報告になっております。
○中川(嘉)委員 金額はわかりませんね。
○上原(啓)政府委員 被害額については、当方は積極的には調査はいたしておりません。したがいまして、正確な数字は、申し上げる資料を持っておりません。
○中川(嘉)委員 先ほどの処理剤の問題に戻りますが、そういった処理剤が全国的にどこにストックされているのか。御承知のように日本は海に全部囲まれていますが、また局部的なものが、では東京湾で起きたら、どこにあるか、その辺はどうですか。
○上原(啓)政府委員 当庁では、油による汚染問題が一番起こりそうな海面、また非常に危険性を持っておる海面といたしましては、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海というところを重点的に考えております。したがいまして、資材の整備状況も、そういう地域が重点的になっておるわけでございます。ここに一々、どこに何が何万トンある、オイルフェンスが何メートルあるというのは、いまちょっと、あまりこまか過ぎますので、申し上げかねますけれども、こういうところの当庁の出先でございます海上保安部署は最小限度のものは持っておるというふうに御理解いただきたいと思います。
○中川(嘉)委員 東京湾でどのくらいありますか。
○上原(啓)政府委員 東京湾について申し上げますと、オイルフェンスにつきましては、海上保安庁で千五百メートル、民間のほうで一万九千八百五十八メートル、したがいまして、二万メートル以上のオイルフェンスが一応用意されているということになります。また、油除去剤につきましては、当庁側で四十トン、民間のほうで百四十五トン、合わせて百八十五トンというのが常時直ちに使える態勢にある、そういうような状態でございます。
○中川(嘉)委員 こういうふうに、一万トン級の船舶で事故が実際に発生しているわけですが、二十万トンないしは三十万トン級のタンカーが、これはもうかなり航行しているわけで、実際問題として非常に小回りがきかないわけですね。全然事故が起きないという保障も全くない。そういうわけで、いろいろといままでずっと御答弁を総合してみますと、もう一つそのつかみ方といいますか、先ほど、たとえば薬品については具体的にはまだ把握をしておりませんというふうな御答弁もあったようですが、こういう状態ですと、幾ら条約だ法律だといっても、私は、全く中身のほうが整っていない、準備体制が整っていないという意味で、意味がないんじゃないかというふうに、実はいまの御答弁を聞いておって思うわけです。政府は、この種の事件の対策をどのように立てておるのか、具体的な対策があればもう一度ここではっきりと伺っておきたいと思うのです。
○上原(啓)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、一次的な方法といたしましては、まず油そのものをよそに、安全なタンカーなり安全な陸上の基地なりタンクなりへ持っていくことが一番いい方法でございますので、その方法を迅速に措置するということが一番重要なことかと思っております。処理剤を使いますのはこれはあまりいい方法ではない。むしろ二の次の方法だというぐあいにわれわれは考えております。オイルフェンスなどで囲みまして、それをくみ取ることができなければ、次にはそれを燃やすことを考えていくべきだ、かようにわれわれは考えております。 なお、二十万トンのタンカーがたいへん大きな事故を起こして何万トンという油が流出したという場合には、これは海上保安庁なり、いま申し上げました官民の協議組織では処理しきれないことは、これは率直のところ明らかでございますので、当然災害基本法に基づきます災害対策本部の設置をお願いし、そういたしまして各方面の全力を傾注するという経緯になろうか、われわれのほうではそのように考えております。
○中川(嘉)委員 この点についてもう少し詳しくと思ったのですが、時間もないものですから、要するに十万トン級以上のタンカーがどのくらいあるかという問題、わが国にどのくらいあるか、あるいは世界でどのくらいあるか、この辺わかりますか。
○上原(啓)政府委員 恐縮でございますが、調査すればわかると思いますが、ただいま資料の手持ちがございませんので、その点をお許し願います。
○中川(嘉)委員 こういう条約がいま実際に国会において審議されておるという段階ですから、少なくとも十万トン級以上がどのくらいあるか、そのくらいはもう数字としてきっちり握っておいていただかないと困ると思うのです。おそらく、もうお答えいただくまでもなく、相当の船の数にのぼると思いますが、それだけに危険性というものは非常に大きいということが予想されます。事故発生の危険性が多分にあるということに対して、十分な対策ということがもし講じられてないということになると、これをどういうふうに処理していくか、こういうことも非常に問題となると思います。 時間がありませんので、あと二、三問ございますので、次のほうに移りますけれども、それでは事故が起きた場合に、油そのものの害は、具体的にどんなものがあるか、イギリス政府からその資料をはたして入手しておりますかどうですか。
○上原(啓)政府委員 具体的には、的確には資料を入手しておるわけではございませんが、まず考えられますことは、水産資源に対する被害でございます。その次に観光資源に対する被害ということが考えられようかと思います。また、汚染の状況によりましては、いろいろな施設に対して好ましくない影響をずいぶん与える。また、その結果、悪臭とかなんとかになりまして、付近住民にも相当な影響が生ずるということは考えられると思います。トリー・キャニヨンの場合に、どういう部門にどういう被害が出たかということは、われわれも存じておりません。
○中川(嘉)委員 いまの御答弁ですと、もう常識的な答弁なんで、私でも答弁できると思うのです。要するに、油の害について言いますと、フランスの科学博物館の副館長でタンドロン博士という人がいますけれども、これは四十二年四月の朝日新聞でありますが、この人が、汚染が発ガン物質発生の危険をもたらす、こう言っているんですね。これについてどう思うか。もうお聞きするまでもないと思うのですが、こういう非常な危険性を持っているのだということも、ひとつしっかり認識していただきたい、こう思います。 先に急ぎますけれども、今度は、油を沈めるために使った洗剤ですね、洗剤の害は私もあまりよくわからないのですが、これについてどのような研究をされておりますか。
○上原(啓)政府委員 数年前まで使っておりました油処理剤は、これは沈降性のものだというぐあいに承知いたしております。つまり、油を中和剤でくるむような作用をするものだそうでございまして、その結果、その小さな油の粒子が海底に沈でんするという性質を持っております。これはあまり好ましいことでございませんので、現在はむしろ拡散性——沈まないで自然に、いはば海水の浄化作用を強く働かせるために、広く散らばらしてしまう、浮いたままで散らばらしてしまうそういう沈降性でない、拡散性の処理剤を現在では使うことにいたしております。
○中川(嘉)委員 私はそのことを聞いているのじゃないので、洗剤の害です。どういう害を及ぼすか。いまの御答弁ですと、全くもって全然すれ違いになってしまうわけなんです。六三年に産業調査研究所が英国政府のために作成した報告書によりますと、あらゆる洗剤が貝類に有毒である、海水中に十分の一の割合で混入した場合には、二十四時間後にはトリガイの二〇%が死んでしまう。これは一例ですが、こういうことを日本政府ははたして知っているかどうか、こういったことを実はお聞きしたかったわけです。 時間がありませんので結論的に申し上げますと、どうもいろいろお聞きしてみて、明確な答弁が戻ってこない、こういう気がいたします。そういう意味で、はたしてどのような十分な調査がなされているのかどうか、非常に疑問を持たなければなりません。法案とか条約を早く上げろ上げろと言っても、結局何も対策はできていない、きょうの御答弁によりますと、私は少なくともそういう印象が強い。そういう意味で、条約ばかりが通ればそれでいいかもしれませんけれども、そんなことではとんでもない事態を引き起こすのではないか、こういうふうに、私はお聞きしていて非常に痛感するわけです。そういう意味において、もっと積極的な研究を行なってもらいたいし、データ等もどんどん関係各国から取り寄せていただきたいという気持ちがするわけです。そういう意味で、先ほど来の対策についてもできれば詳しい文書で追って知らせていただきたい。このように思いますがその提出をお願いできますか、どうですか。
○上原(啓)政府委員 当庁でできるだけの資料は提出いたします。 なお、先ほど沈降性の処理剤は好ましくないというように申し上げましたが、まさにそのような海底の水産資源に非常に好ましくない影響を与えるということは十分認識しております。
○中川(嘉)委員 以上で終わります。
○田中委員長 曽祢君。
○曽祢委員 あとにします。
○田中委員長 本日は、この程度にとどめ、次回は、公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午後零時二十四分散会