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65回国会衆議院1971/03/11

科学技術振興対策特別委員会 第6号

発言数
141
登壇者
15
会派数
4
開催日
1971/03/11

会議録

渡部一郎公明党

○渡部委員長 これより会議を開きます。  原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案及び日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。  この際、西田国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西田国務大臣。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 昨日、当委員会において、田中武夫先生より要請のありました点につきましては、内閣法制局とも協議の上次の見解に達しましたので御報告いたします。  第七条の二に規定いたしますところの政府間合意の内容として考えられまするのは、賠償措置額及び賠償措置の内容、これは民間保険と国の補償契約を含んでおります。並びに寄港の期間等でございます。これらは国の補償契約のほかはすべていわゆる法律の範囲内における行政的な措置または民間保険による措置として処理されるものであります。国の補償契約については、予算総則でその契約限度額を定め、国会の議決をいただくこととなっております。またその結果は、決算において明らかにし、御承認を得たいと思います。  以上のとおりでございますので、よろしく御了承のほどをお願いいたします。     —————————————

渡部一郎公明党

○渡部委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  両案審査のため、本日日本原子力船開発事業団理事長佐々木周一君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡部一郎公明党

○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

渡部一郎公明党

○渡部委員長 質疑の申し出がありますのでこれを許します。石川次夫君。

石川次夫日本社会党

○石川委員 実は、ただいま長官のほうから昨日問題になりました二国間協定の法律は条約でなければならぬのじゃないかということ、並びに二国間協定によって国が債務を負担することが明らかであるので、憲法八十五条との関係はどうなるのかということに対する政府見解というものを伺ったわけですけれども、一応了解はいたしました。了解はいたしましたけれども、昨日の答弁のように、協定と交換公文と条約というものが全然識別がつかないような答弁をされるということは非常に私は遺憾であると思うのです。それと同時に、最近は行政機構の改革を全部政令にまかせる。あくまでも立法府というものの権限を縮小するという傾向が非常に強くなっておるおりからでございますので、このようなものがなるべく条約を避けて協定だけにまかしてしまうんだというような印象を与えるかのごとききのうの答弁というものは非常に遺憾であった。この点を十分心して立法府の権威というものを認める。私はこの問題については必ずしも条約というものでもって全部縛るということにはなかなかいきかねる面もあるであろうということも考えるにやぶさかでございませんから、一応政府答弁を了としたいと思うのであります。  それから、昨日の同僚議員の質問の中で、ブラッセル条約に加盟をするかどうか。いまのところはポルトガルだけだから発効をしないで、将来ドイツがこれに加盟をするかもしらぬという可能性もあるので、そのときに考えるというようなあいまいな答弁であって、どうも政府見解がこの点はっきりいたしておりません。しかも軍艦がこれの対象になるということもありますので、こういう扱いを一体どうするか、というような点について一応この点で政府の見解を明らかにしてもらいたい。お願いしたいと思います。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 原子力船運航者の責任に関しますところのブラッセル条約は一九六二年海事法外交会議におきまして採択されたところでございますが、その内容は原子力船から原子力損害が発生した場合に、その運航者が無過失の損害賠償責任を負い、賠償の支払いに備えまして一億ドルの保険、国家補償等により損害賠償措置を講ずることになっておるわけであります。先生おっしゃいますとおり本条約の発効要件といたしましては、原子力船保有国及び非保有国それぞれ一国ずつの批准が必要となっておりますが、現在のところ非保有国でありますところのポルトガル一国が批准をしておりますだけで原子力船保有国は現在まだ批准をいたしておりません。本条約に原子力船保有国であるアメリカがまだ加盟しておりませんのは、同条約が軍艦を対象にしていることが主なる理由であるようにいわれております。また、これまで西独が加盟をいたしておりませんのは、使用国の批准がかなり先になるであろうというような見通しに立っておるようでございますほか、西独の原子力法体系が相当条約と違っておるためとも聞いておるのであります。しかし西独といたしましてもオットー・ハーン号の円滑な海外寄港の実現をさせますためには、本条約を批准し発効させたい、こういう強い意向もあるように情報として伺っております。今後わが国がブラッセル条約に加盟するかいなかにあたって考慮しなければならないことといたしましては、いま申し上げましたように本条約は現在未発効の状態にございますし、またたとえ本条約が発効いたしましても加盟国がきわめて僅少であるという間は、原子力船の円滑な国際的相互寄港の実現にそれほど寄与するものではないと考えられますことなど、さらにまた、ブラッセル条約に加盟いたしますためには、原子力船の国際的相互寄港の場合に限らず、わが国の領域内にいる場合にも運航者の損害賠償責任を三百六十億円に制限する必要があるわけでありますが、この点につきましては陸上原子力施設とのバランスのことも考慮しなければならない、こういう問題点がいろいろあるわけでございます。しかしながら基本的な考え方といたしましては、わが国といたしましても原子力船の円滑な国際的相互寄港の実現の方向に進むべきものであるというふうに考えられますので、先ほど申し上げましたような諸問題ともあわせまして十分検討すべきである、かように考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 このブラッセル条約についても、まだまだ検討の余地が多いであろうと思いますけれども、ぜひこれは前向きに検討するということで善処してもらいたいということを一言お願いをしておきたいと思います。  それから、実はきょうの法案とはちょっと離れるのでありますけれども、原子力委員会から来ていただくことも少ないものですから、ちょっとふだん疑問に思っているというか、こうしたらどうかと思う点がありますので、一、二有澤委員に質問をしたいと思うのでありますけれども、いまのところ、ビッグプロジェクトといたしましては、この原子力関係として菱型転換炉、それから高速増殖炉、こういうものが一応軌道に乗っているとまではいえないかもしれないけれども、だいぶ外国との差を詰めてきつつあるというような実態であろうかと思うのであります。その中で私は絶えず思っておるのでありますけれども、多目的原子炉、いわゆる高温ガス炉というものを中心としていろいろなコンビナートというものもつくり得るのではなかろうかという一つの構想はできておるわけであります。この高温ガス炉のことについての予算の内容とか計画の内容は大体聞いておりますけれども、この程度のことではなかなかプロジェクトとして軌道に乗りそうもない。しかしながらこれが成功すればいまいわれておるように、石油関係のコンビナートということになりますと、なかなか公害というものが大きいけれども、この温度を中心とする高温ガスというものを中心とするところのコンビナートというものは、成功すれば成長の可能性が大いにあるんではなかろうか、こういうことでこれもひとつプロジェクトというものに載せたらどうなのだろうか。それだけのまた価値があるのではないか。ただ、その場合に問題になることは、大体いまのところ必要とされるのは、製鉄会社がこの間のころは粘結炭が足りないということでにわかにクローズアップされたようなかっこうでありながら、今度は粘結炭が余ってきたから必要ないのだということで、またダウンしてしまうというようなことではなしに、海外資源というものはあと十年もたったら日本は徹底的に枯渇をするのだという前提に立ちますと、さらにまたエネルギー資源というものを中心としてあらゆるものが枯渇をする、特にエネルギー資源というものはどうするのだということは最大の課題になってくるわけなので、そういうことからいいますと、高温ガス炉というものは相当大きなプロジェクトとして大きくクローズアップさせ、取り上げる必要があるのではなかろうか、こう思うのでありますが、現在の予算の範囲内では、なかなか軌道に乗るということはむずかしいであろう。当面は、新日鉄では湯川さんがなくなったということでだいぶ熱がさめたというふうな話も聞いておりますけれども、しかしながら製鉄会社も一はだ脱いでもらわなければならぬ、これは国だけでやるという性質のものではなかろうというようなことも含めて、どういうふうな構想になっておりますか、この点ひとつ質問しておきたいと思います。

有澤廣巳原子力委員会委員

○有澤説明員 ただいまお話のありましたように、高温ガス炉によって多目的炉としていく、特にエネルギーの観点から申しまして、高温ガス炉を開発していきたい、こういう考え方は私ども持っております。それで高温ガス炉に対する研究調査というものをいま進めておる段階でございまして、原研のほうに予算をつけてその研究を進めておるわけでございます。他方におきましては懇談会みたいなものを設けまして、この多目的炉の持っておるいろいろの問題点を究明しておるところでございます。ただ高温ガス炉ということになりますと、七、八百度程度のものならばまあまあわりあいに早くコンセプトを考えることができますけれども、千度以上に引き上げるということになりますと、なかなかむずかしい問題があるようでございまして、これを開発していくということにつきましてはあらかじめどういうところにどういう問題点があるか、そういうところをまず研究調査いたしまして、そして初めて一つの目標をはっきりできるようになった段階において、ナショナルプロジェクトならナショナルプロジェクトとして、そうして開発にとりかかりたい、こういう考え方になっております。高温ガス炉、特に多目的炉というものにつきましてその必要性が今後ますます大きくなってくるということにつきましては、全く御説のとおりだと私は考えております。原料炭が現在少し余ってきておるとかいうふうな目前のいろいろな変化にはとらわれることなく、もっと長期に考えましてこの炉の開発を進めていきたい、こういう考え方に立っております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 この問題は非常に専門的な知識も要りまするし、いずれあらためて十分に討議をする機会を得たいと思います。きょうは一応の見解だけ伺っておくにとどめますけれども、ことしの予算は去年よりはだいぶ大幅にふえておりまして一億五千万、債務負担行為が一億八千万というようなことで、かなりの積極的な姿勢というものは予算からくみとれるわけであります。しかしこの程度ではなかなかどうも軌道に乗るということは困難じゃないかという感じがするわけなのです。しかもこの関係の開発というものは相当急を要するようになってくるのじゃなかろうか、こういう感じがしますが、ただし、これはビッグプロジェクトというと、全部政府がやるというような習慣になっておりますけれども、この場合は必ずしも政府だけで負担すべき性質のものではなかろうという感じも強くするわけでございまして、その点の調整をどうするかということも考え合わせながら、この研究はひとつプロジェクトに乗せるための方策というものと積極的に取り組んでもらいたいということだけにきょうはとどめておきたいとと思うのであります。  それと、また原則論に戻って恐縮なのでありますが、原子力基本法というものをつくられまして、平和利用ということと、自主、民主、公開の原則というものをどうしても守らなければならぬということになって今日まできているわけでありますけれども、その公開の原則というものは原子力の場合に守られておるか。軍事利用というふうなこともありますから、ちょっとデリケートな面もありますけれども、われわれは不審な点が多々にあるわけなのです。たとえていいますと、濃縮ウランの関係については——新聞などの報道でありますから正確なことはわかりませんけれども、この発表はやめてもらいたいというアメリカからの強い要請があったというようなことかどうか知りませんが、去年の原子力学会の発表を見ますと、濃縮ウランの関係の学術発表論文というものは全然ないのです。これでは公開といえるかどうかという疑問を感じないわけにはいかない。原子力研究所の中でも、いろいろな事故があってこれを発表したところが相当の弾圧を食ったというふうな問題もあるわけなので、こういう問題も含めてこの原子力基本法というものをさらに根本の精神にさかのぼって、自主、民主、公開とはどうあるべきかということを、当面の事業を進めるということ以外に、基本精神がどうあるべきかということについて、これは軍事利用との関係が相当密接にからんでまいります、われわれのほうでこれからやろうとする海洋開発の場合でも、この原子力の関係というものは相当やはり密接なところが出てくる、そういうこともあるものですから、この原子力委員会の任務として、当面の問題だけじゃなしに、基本精神というものを絶えず踏まえてものを考えるということをぜひ忘れないでやってもらいたい。これは議論になりますから、いずれあらためてそういう場を設けたいと思いますけれども、私は強く要望しておきたいと思うのであります。  それから、まず最初にきょうの法案の原子力船開発事業団法の一部改正についてでありますが、これは契約が延びたということの関連で当然延ばさざるを得ないという、結論的には納得をするわけなのでありますけれども、この延ばさざるを得なくなったということの原因については幾多のうわさというものも出ておる。こういうふうなことを二度と繰り返してはならぬという点で二、三私は質問したいと思うのであります。  それは、最初海洋観測船ということで六千トンということで計画がなされたわけであります。これは昭和三十八年であります。ところがこの入札の三十六億円というのじゃ、とてもじゃないがこれは間に合わないということの不手ぎわが一つあったわけです。それかあらぬか計画の再検討ということをやって、三年ほどたちましてから——昭和四十二年であります。でありますからちょうど四年間おくれているわけですね。再出発をするということで、経済性も検討する、あるいはそういうことを含めて八千三百トンというトン数に変わったということで、金額も五十六億円というふうなことになりまして、これは陸上施設などを含めるというと全部でもって大体百二十億円くらいになるわけです。簡単に三十六億円が、まあ計画が変更したから五十六億円だ、こういいますが、船だけで二十億円という大きな差で簡単に変更になってしまうというような計画のずさんさというものについては、私はやはり科学技術庁当局これは責任を感じてもらわなければならぬ、こう思うのでありますが、その点どうお考えになっておりますか。

有澤廣巳原子力委員会委員

○有澤説明員 ただいまの御指摘の点まことに私どもも遺憾に思っておる次第でございまして、その第一船の建造を決定するにあたりましては、やはり懇談会といいましょうか、第一船を建造するについてどういう問題点があるかということを十分検討するとともに、大体の経費の見積もりもしていただきました。それがいま御指摘にありましたように、私はたしか三十四億だったかと思います。そういう形が出てまいりましたので、この懇談会の中にはメーカーの方々も入っているわけです。そういう方々も入ったその懇談会の推定といいましょうか、見積もりをいたしまして、三十四億というふうな数字が出てまいったわけでございます。私どもは予算では、もう少しかかるだろうというので一割くらいふやして三十八億の見積もりをいたしまして、大蔵省との査定の結果三十六億という数字にきまったわけでございます。ですから、私どもとしては大体この数字でやっていけるものだというふうに考えて、それで事業団ができまして、事業団が見積もりをとってみますと、なかなか三十六億という数字ではだれも引き受け手がない、こういう状況でございました。この懇談会の数字を私どもそのまま信用したということは、まことに不手ぎわな次第でございまして申しわけないと思いますが、いよいよ建造ということになりますと、造船会社なら造船会社あるいは炉のメーカーがこれを引き受けてくれなければ、どうしても船の建造ということに進むことができない。そこで海外の調査もいたしましていろいろ検討をいたしましたが、オットー・ハーンその他の船のことを考えてみましても、もう少し建造費はかかっているというふうなことで、いま御指摘になりましたような金額に引き上げ、約二十億円ばかり高くなった次第でございます。  これはどういうわけかというふうに考えますと、原子力船について申しますならば、何といいましても日本において最初にこれを建造する。したがってメーカーならメーカーあるいは造船会社なら造船会社にとりましても、いろいろわからない問題がある。そのわからない問題を、実験研究をいたしましてわからせた上で、スペックどおりの船をつくろうということになりますと、そこに研究開発費がどうしても加わってくる、その研究開発費がある程度船価の中に織り込まれてくる、こういうふうなことになっていると私は聞いております。  これは船の問題ばかりじゃなく、結局日本の場合、政府自身が全部のことをやる、建造も何もやるというならこれは大体のことはわかりますけれども、民間の協力とともに原子力船あるいは原子炉の開発を進めていく。その民間の負担するRアンドD、これをどの程度に、船価なら船価あるいは原子炉の価格に織り込むべきかというふうな問題が、なかなかむずかしい問題として残っておると思います。私どもは極力民間の協力を得まして、なるべく安い価格ででき上がるように努力をしていくつもりでございます。船の場合はその点で私どもにいい経験を与えていただいた、こういうふうに考えておりますが、しかしそう申しましても、一方船価は高くなるし、建造の期間が予定よりずっとおくれるということになりましたことは、まことに申しわけのないことだと私は考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 端的に伺いますけれども、最初は海洋観測船ということで出発をした。海洋観測船ということになると、いろいろな機具が乗っからなければいかぬということで、このほうがむしろ相当高くつくんだというようなことで、特殊貨物船、それからそれにつけたしのようなかっこうで乗員の訓練を含めるのだということに目的の変更があったわけなんですが、これはきのう私の同僚委員のほうからも質問がありましたからくどくは申し上げませんけれども、この特殊貨物船に変更しなければならなかった、また特殊貨物船に変更したために、特殊貨物船としての任務をどのくらい遂行できるというお見通しをなすっておるか、この点をひとつ伺いたいと思います。どなたでもけっこうでございます。

有澤廣巳原子力委員会委員

○有澤説明員 いま御指摘になりましたように、海洋観測船ということになりますと、これはもう任務は決定した船になります。したがって完成後この船をどう使うかと申しましても、もう海洋の観測という点に限られるわけでございまして、したがってその船を引き受けるところも決定的になります。ところで先ほども申し上げましたように、船価が非常に高くなりまして、したがってその船価が高くなったということと、それからやはり海洋観測船としてこれを運航するとなりますと、その運航費もかなり高い。したがってどう申しましょうか、海洋観測船といたしましてはもっと安い建造費で、そしてもっと安い運航費でりっぱな海洋観測船を、普通の船としてこれをつくることができる。それなのにわざわざ原子力の舶用炉をもって海用観測船をつくるのはどういうものかというような意見も他方から出てまいりました。観測船ということにきめましたのも、先ほど申し上げました懇談会のほうできめたわけでございますが、それと申しますのも、その原子力船を、でき上がった船を利用するということになると、どこか利用先がはっきりしないと困る。そういうふうな関係で、海洋観測船とするならば、国がこれを保有し、運航して利用することができるだろう、こういう考え方であったのですが、しかしそれにしましても運航費が非常に高くなる、船価も非常に高くなるということになりますと、やはりそこに問題があるだろう。そこで私どもといたしましては、なるべく、全部が全部経済的に運航ができるとは申しませんけれども、幾らかでも収入をあげ得るような船をつくったほうがいいじゃないかというふうな考え方からいろいろ検討してまいりますと、やはり特殊の貨物を運搬する船、たとえば核燃料を運搬するとかあるいは使用済み燃料を運搬するとかあるいは廃棄物を運搬するとか、そういうような運搬用に使えるような船をつくったほうが、どうせこの船は日本でも要る船でございますし、また原子力船としてもそのほうが適当しているのではないか、そういう考え方というものと、それからもう一つは、いま御指摘にもありましたが乗員の訓練、いずれ原子力船というのはだんだん第二船、第三船というふうに原子力船時代もくるであろうから、そういう場合に対応するための乗員の訓練用としても使えるように考えたらどうか、こういう趣旨におきまして、たまたまその船価が非常に高くなった。応札価格としましては非常に高くなった、そういうことが一つの契機になりまして、そこでいままでの海洋観測船という船をつくる目的を変更いたしまして、特殊貨物船をつくる、こういうふうな変更を加えて原子力船の建造を計画いたした次第でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 いま申されたようないろいろな理由は私も大体了承はしておるつもりですけれども、特殊貨物船としてある程度収入の道も講じたほうがよろしいというようなことになっておりますが、大体これはどう考えても普通の商船の三倍くらいかかっていますね。そうなるとこの船でもって、それでなくても原子力関係の廃棄物の輸送とか特殊な注意は必要だとはいっても、赤字が当分予想されるような原子力関係でこの特殊貨物船を使うということであるならば、おそらくほかのほうに使ったほうがいいということになってしまうのではないかと思うのです。それならば特殊貨物船として若干の収入を得るんだといっても、事志と反するのではないかという結果になるのが落ちじゃないかと私は思うのです。そうなると海洋観測船としては特定の任務を持ち、それからかねて乗員の訓練をするというふうなことでRアンドDを専門にやるんだということのほうが国民には納得者が多かったんじゃないか。したがって、これを変更したというのは、いま言ったようないろいろなもろもろの理由は言われてはおりましても、どう考えても、何か結論的には責任回避のために、公庫の契約金額を変更した場合にこういうふうに目的を変更したんだというような感じを国民が強く受けるというのも、私は無理からぬことではなかろうかという感じがしてならないのであります。これは理屈になりますから、この点はそういう疑問があるということだけでやめておきたいと思うのでありますが、そうすると、これからあと第二船をつくるという可能性が出てまいりますね。第二船をつくる場合には、一体民間主導型でもってやるのか、それともこんな高いものではどうにもならぬから、やはり政府でもってやってもらうほかないということになるか、この辺の今後の見通し。これは遮蔽壁というふうなものは特別に今度の原子力船の場合では、私も「むつ」に行って見てまいりましたけれども、たいへんがんじょうそのものにできておって、それが価格に相当影響しているという点も否定できないことはないわけでありますけれども、しかしながらこれは引き合うということにする場合、民間でもってこれを運航するという場合には、なおさら「サバンナ号」みたいに大型なものにしなければならないということになればなるほど原子炉の占める比率が少なくなるというようなこともあって、相当大型のものに変えていかなければならないだろうというふうな感じがするわけです。第二船以降の、いますぐ決定的な結論を出すということはできないでございましょうが、これは原子力事業団の理事長さんもおりますが、どういうふうなお見通しをいまのところ持っておられるか。それから現在の船も、先ほどの質問と関連があるのですけれども、一体具体的には、乗船の訓練としてはこれは使えると思いますよ、海洋観測船であればそれはそれなりの目標でもって使えると思うのですけれども、特殊貨物船としてはほんとうに活用できるというふうにお考えになっておるかどうか、その点ちょっと伺いたいと思います。

佐々木周一日本原子力船開発事業団理事長

○佐々木参考人 原子力船事業団といたしましては、政府から基本方針というものを示されております。それでその基本方針に従って基本計画というものが出て仕事をしておるのでございます。したがって、ただいまのところは「むつ」を完全な原子力船として建造するということが任務でございまして、これができ上がってからどういうぐあいに使うのか、どういう方法で運航するとかいうことは、ただいまの事業団の仕事としてはあるいはそういうことの計画を立てるとか研究をするとかということは事業団の任務でないことになっておるのでございますが、私個人として考えますと、本船は千五百トンの貨物運搬量というものを持っておりますから、廃棄物の運搬ですとかあるいはウラン燃料の運搬とか、そういうことには十分活用できるんじゃないか、かように考えます。  それから将来の原子力船、ただいまの御質問でございますが、いま「むつ」はなるほど普通の貨物船に比較いたしまして船価で約三倍、それから建造期間で約二倍ほどかかっておりますが、これは御承知のとおり開発研究をいたしますからそういうぐあいにかかりましたが、たとえば舶用原子炉を十台注文を受けるということになりますと価格も相当下がりますし、それから経験を積みますと、いまのジーゼルエンジンとかタービンのエンジンに比較いたしまして十分競争できる、工期も短縮できるのじゃないか、かように考えます。  なお、御承知のとおり最近油の値段が非常に上がりましたから、たとえばいま建造しています「むつ」は二トン半の燃料でもって少なくとも二年半燃料を補給せずして使える次第でございます。今後油の燃料費が下がらぬという一般の見方でございますから、そういう意味からいきまして、原子力船の将来の経済性というものは非常に注目を引くんじゃないか、かように考えております。  それから、これも私個人の考えでございますが、御承知のとおり日本は実質上世界第一位の海運国になっておりまして、約二千七百万総トンの船を現在持っておるのでございます。これがほとんど全部輸入の油にたよって動いておりまして、国策の見地からいたしましても少なくとも一割とか二割、まあ二、三百万トン、できれば五百万総トンぐらいな船は輸入の油にたよらないで動かせるというようなことが、これは油の資源を持っておりますアメリカとかイギリスとかフランスとかはよろしいですけれども、そういうものを持っていない日本としては特別に必要じゃないか、かように考えまするので、ひとつ原子力船の開発につきましては皆さんの特別の御配慮をお願いしたい、かように考えます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 大体今度の船の値段の内訳は、大ざっぱに言って船体が二十九億円で、原子炉だけでもって二十七億円というような金額だろうと思うのですね。そうすると、原子炉の比重というのは非常に多いので、なかなか経済性という点では問題が今後とも残っていくだろう。それで、いまエネルギーの問題が出ましたけれども、これは別な場でひとつじっくりと核燃料、ウラン問題についてはやらなければならぬ。実はあした商工委員会が石油問題で、これは有澤さんお出になるかどうかわかりませんけれども、一日じゅうずっとぶっ通しでやろう、こういう構想を立てているのですが、このエネルギー問題の対策としてはどうしても石油だけにたよるわけにいかぬということはわかるのですけれども、実は核燃料になりますともう石油以上に日本はないですね。何もない。それから濃縮技術は全然持っていない。こういう状態ですから、石油関係があぶないから今度はウランのほうに何とか切りかえるのだといっても、現状では全然よりどころがないというような実態なんです。この問題も早急にケリをつけなければならない問題ではありますけれども、ともかくいま言ったように、石油がだめだからこれなんだというような簡単な問題ではないということだけははっきり言えようかと思うのです。  それと、ドイツのほうのGKSSですか、原子力商船の建造をした会社と日本の日本郵船の有吉社長が打ち合わせをして、この次の原子力船についてはインテグレーテッドタイプといいますか、原子炉が一体型になっている、これにひとつ切りかえようじゃないかというような話が出ておるということも聞いておるわけなんですが、その点について簡単でけっこうでございますから、ひとつ経過と現状をお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、近江委員長代理着席〕

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 先般、有吉さんがドイツとお話し合いになりまして、この一月ごろからその話が具体化いたしました。その考え方は、ドイツと日本が共同で八万馬力程度が相当の高速船を考えた場合には、原子力の舶用炉を使ったときに経済性に乗るのか乗らないのだろうか、そういう点に乗る率が多い。したがいまして、ドイツと日本がお互いにスタディーをしてはどうかということの話し合いが進んでおります。それで、この六月ごろまでそのスタディーをいたしまして、六月過ぎにドイツとまた話し合いをいたしまして、その後にどうするかということがきまる、いまそのスタディーの段階になっております。それで、この話は、要するに世界のコンテナ船の航路というところで、うまく商業化に持っていけるのにできるだけ原子力を使っていこうという話し合いから出たわけでございまして、現在といたしましては、まだその話し合いの程度で、両国が別々にそのスタディーをしている段階でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 日本の場合、何でもかんでもアメリカ、アメリカと言っておりますけれども、しろうと考えでもかなり有望なものではなかろうかというふうに考えますので、これはぜひひとつ前向きに積極的に取り組んでもらいたい、そういう問題ではなかろうかと思うのです。  それでは、原子力船の関係はそのぐらいにしておきまして、時間が思いがけず経過をしてしまったので、あとごく簡単に伺いたいと思うのですが、原子力損害賠償補償法案の関係です。三十六年にこの法案が通って、何とか環境基準というものを設けなければいかぬという、いろいろな附帯決議が出たわけです。その附帯決議に基づいてこの原子炉の立地審査指針というものが出されたわけなんです。これを見ますと、公衆から十分に離れたところに原子炉をつくらなければいけないとか、原子炉の敷地は、その周辺も含め、必要に応じ、公衆に対して適切な措置を講じ得る環境にあることとか、きわめて抽象的なんですね。私も東海村のすぐ隣におりますから、きのうの原子力局長の答弁によりますと、周辺整備は東海村では着々と進んでおるというような答弁があったのですが、実態は全く違うと思うんです。道路をつくったり、その他、その地元にこれだけの原子力設備をやったんだから何とか恩典を与えなければならぬというような形における道路の整備とかなんとかはやっておりますよ。やっておりますけれども、最初に考えられました付近の住民に被害のかからないようにするためには緑地帯をつくらなければならぬとか、そういった意味でのいわゆる環境整備の計画というものが行なわれているとはわれわれは考えられない。間引きをするとかなんとかということになればたいへんな問題になるので、現実の問題として非常に困難があるだろうということは想像にかたくありませんけれども、この基準、この立地審査指針に照らしてみて、これはこうなんだ、具体的にこの辺には家を建ててはいかぬとか、この辺にはこういうふうに退避をしなければいかぬとか、こういうふうな緑地をつくって、ここへまた退避をさせようとかいうようなことは、何らいままで行なわれたことはないと思うんです。そういうことを基準として、あたかも東海村では何かそういった政策が行なわれておったんだということを言うことは、だいぶ事実と反するのではないか。私は、実態に照らしてそう思わざるを得ないのです。  たとえていいますと、この原子炉の立地審査基準には、その他いろいろなことが書いてあります。原子炉からある距離の範囲内であって、非居住区地域の外側の地帯は低人口地帯であること——ある距離とはどれくらいなのか、低人口とはどのくらいなのかという基準は何ら示されておらないと思うのです。その証拠には、東海村の隣には、御承知のように日立という人口二十万の密集した地帯があります。それからその隣には、首都圏整備としては一番発展の可能性があるという勝田市があり、その隣には水戸があるわけです。ここでもし原子炉の事故が起こったら一体どうなるんだというようなことは絶えず前から問題にされておったんですが、幸いいままでのところは大きな事故というものが起こっておりませんからいいようなものでありますけれども、いざ鎌倉というようなときになりますと収拾のつかない混乱が起こるということは十分に考えられる。  そこで、この点について、いま直ちに何メートルとか人口何人とかいうことをきちっときめることは困難だと私は思いますが、たとえば、敦賀のほうにだいぶ最近は原子力発電所というものは持っていくわけなんですけれども、私はいつも言うのでありますけれども、東海村の中には工業団地、住宅団地は一切できません。東海村というだけで全部敬遠いたします。でありますから、地元の人は、そういう基準がぴしっとして、住宅団地でも工業団地でもみんなやってくるという期待感もあったと思うんです。ところが、今度は東海村というところに手をつけて、住宅団地をつくろうと思ったところが、どうも東海村というと人が来ないのじゃないかということで、これは全部が御破算だということになる。それで、道路がどんどんできると、地元の負担金だけはやっぱりどんどん地元の負担金として取り上げられる。まあ、固定資産税は若干入りますけれども……。そういうような関係で、東海村としては、だいぶそういう意味での反省をしておる時期にきておると思うのです。もし、東海村にああいう原子力発電所がなければ、日立あるいは勝田と同じように繁栄をしたであろう。ところが、原子力密集地帯であるばかりに、団地などというものは一切来ない。ただ原子力関係の工場が若干来ておりますけれども、それ以外は、住宅はぽつぽつと個人が建てる家は建ちますけれども、団地などというものは一切ございません。そういうような関係なんで、いま、そういうものをつくったということに対する反省期に入ってきておる。そういうことを考えますと、今後敦賀とかあるいは大熊とか、そういうところに発電所をつくるときには、いろんな美辞麗句を並べて、地元に恩典があるんだということを言うのでありますけれども、やってみたところが実際はこれはやるべきではなかったのだということにならなければ幸いだ、私は、東海村の実例からしてそう思わざるを得ないわけなんです。  そこで、いま直ちにそのような基準を設けるといっても、これは私はものわかりがよ過ぎるかもしれませんが、なかなかむずかしいと思うのです。また実際にこうなったらこうなるんだという実態を知らせるということになると、たいへんな混乱、動揺が起こるかもしれないというようなことも考えないわけではありません。しかしながら、何らの基準も示されないままに、ただ道路をつくったぐらいの形で、おためごかしのようなかっこうで恩典を与えたということで、環境整備をやったんだというような現在の実態というものだけでは済まされない時期に来るのではなかろうか。  あと一つ申し上げたいのは、アメリカあたりは最近相当きびしくなっております。これはアメリカ全体ということではございません。ミネソタ州は非常に有名でありますが、AECの五十倍のきびしい規制をやっておりますね。それから、そのほか十州もミネソタに右へならえということです。五十倍というと、日本が大体十倍のきびしさを持っておりますけれども、日本の五倍というように考えるわけです。これだけのきびしい規制をしろということになって、原子力公害というものに対しては、被爆国としての体験のないアメリカ自体も、これに対しては非常に慎重になってきておる。そこで、かてて加えて、日本では公害問題というものはこれだけ大きくクローズアップされておるということになりますと、いままでと同じような考え方で、漫然と原子力発電所というものがつくれるというような時期ではなくなってくるのじゃないかということが、むしろ石油の関係とか関連において非常に私は心配でならないのです。そういう点で考えると、いろいろとこれはアメリカあたりでも言っておりまして、AECの研究所あたりの発表でも——これは朝日新聞に出ておったから間違いないのですけれども、人体の許容量の〇・一七ラド一日当たりの基準だと、放射能によるガンが一割以上ふえるだろうというようなことが出ておったり、その他いろいろな報告が出ておるわけですが、大気汚染の医学研究所、これはジョンズホプキンズ大学の公衆衛生部あたりから出ておるわけですが、これなんかも、クリプトン八五あたりの影響なんかも相当——誇大ではないかと思われるぐらい強調して出ておるというようなことで考えると、実は非常に心配なのは、東海村は小さな実験炉、研究炉という程度のものが密集をして、あるいは十六万五千キロワットのコールダーホールが一つあるという程度でありますが、これを全部合わせても百万キロワットにならない。五十万キロワットにもならないでしょう。その程度のものであります。ただ非常に種類が多い。だから、どこかで一つ故障があってもたいへんな被害を与えるであろうという懸念は持っておりますけれども、いままでのところはそう大きな被害はなかったわけなんです。ところが、私は大熊あたりを見て、あるいはまだ敦賀なんか見ておりませんが、ここは大体三百万キロワットぐらいになるのじゃないですか、全部密集しますと。一地帯にそれだけ密集するということになる。これはだんだん大型のものになってくる傾向が非常に強いわけですね。これは、二十万キロとか、三十万キロじゃなくて、五十万キロ、七十万キロ、百万キロというふうなけたになってくる。そのときに、核の種類というのは大ざっぱにいって二百種類ぐらいあるわけですよ。それが全部に放射能基準というものがあって、これ以上やっちゃいかぬということになりました場合に、私は三年ほど前の予算委員会で質問したことがあるのです。大熊で四つの発電所が集中的にできる、その場合にアルゴンは許容量を越えませんかという質問をしたことがあるのです。私はアルゴンは越えると思うのですよ。あれは比重が重いのです。ですから停滞する危険性がある。ところがそのときの答弁は、いまのところ二つしか許可しておりません、四つは許可しておりませんというのでもって、いわゆる官僚的答弁でもって逃げられてしまってわけだ。四つ合わせたらどうなんだというのだけれども、二つしか許可していないのだ、こういうことで、ここで議論がかみ合わなかったわけなんですけれども、四つ合わせた場合のクリプトンあるいはまたアルゴン、これはある学者に言わせると、明らかに越えるという学者がいるのです。そういう点の解明が一体なされているのかどうか、私は非常に心配なんです。このミネソタ州あたりでいえば、AECの五十倍のきびしい規制だというのでありますから、こういう前例がアメリカであれば、日本もそれにならえという風潮が必ず出てくる危険性がきわめて濃いと思わなければならぬ。そういうような場合に照らして、抵抗の少ないところに密集させる。これは、これからの発電所の立地条件をどうするかということは非常にむずかしい、日本の国の国運を左右する可能性のある重大課題だと思うのですけれども、こういうふうにきびしくなってきた場合に、また日本が特に公害問題について関心が高まってきたときに、それだけ密集させた場合に絶対だいじょうぶですよという保障はだれも与えていないのです。しからば、それを明らかに越すのかというと、明らかに越すということも言い切れない。しかしこの問題については、私は非常に心配なのは、実は茨城県には衛生研究所という研究所を持っておりまして、東海村から毎日どろを持ってきて、水を持ってきて研究しております。そこにいる人は非常に熱心な人でございまして、この研究所が大体日本で一番じゃないかと言われている。東京にはこれだけのものはありませんと言われたその設備を見て、この程度のものが、日本の一番か二番か三番か知りませんが、非常に権威のあるものかと実はりつ然としたのです。その程度の研究所——観測研究といいますか、そういった程度のものでありますから、いろいろな核の種類のものについて、密集した場合にどうなるかということの研究は、これはまた別な問題でありましょうけれども、なかなかそれは見通しがつかないのじゃないかと思うのです。しかし、こうきびしい情勢になってきたときに、この密集地帯の敦賀とか高浜とか大熊みたいなのがその基準を越えないのだろうかという点について自信をお持ちでしょうか。これは原子力局長、ちょっと答弁願いたいと思うのです。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 ただいまの先生のお話でございますが、やはりこれは安全審査する場合に、一基、二基という場合のしかたと、それからやはり総合的にそこに四基なりできる場合のしかたと、この基準は全く同じでいかなければいけないと思います。したがいまして、その場所にふえるごとに、それを全体的に前のと含めまして、そこで安全審査を進めていくという形で全般を見計らって、そこで安全な範囲内に入れるという形でいく安全審査になっていく、現在も大体そういう方向で進んでおります。

石川次夫日本社会党

○石川委員 たとえば、再処理の問題について答申が出ました。しかし、これは、総合的に、いまの原子力のいろいろな研究施設がある、それから発電所がある、それと一緒にした場合の海水の汚染はどうなるのだということについては全然触れていないのですね。再処理だけの問題について安全であるという答申が出ているというようなことは、いかにも納得性がない。いまおっしゃったように、発電所が幾つもできるときには、それをプラスしていった上での安全性を検査するというけれども、実を言うと、私が先ほど見たような研究所の実態から見て、非常に多くの核の種類があって、それが全部についてこまかに基準がきまっておって、その全部についてだいじょうぶだというふうな見通しを立てるような詳細な検査ということは、私は実際問題として不可能だと思うのです。そういうことからいうと、私は安易に抵抗の少ないところに密集して発電所をつくるというようなことは許されない可能性がきわめて濃いのではないか、そういう点をよほど慎重に考えてもらわないと、とんでもないことになる。この点は原子力委員会のほうも十分に配慮してもらいたいと思うのですが、私は、いまクリプトンとアルゴンの例だけ申し上げましたけれども、これは四百万キロワットをやれば、必ず現在のICRPの基準を越します——越しますという断言じゃありませんが、越すと思いますという学者がかなりいるわけです。そこへもってきてミネソタ州のような案が出てきて、それよりさらにきびしい基準が出てくるというようなことになって、これが日本に波及するということになれば、この原子力公害については、もっと真剣に腹を据えて取り組まないと、とんでもないことになるのではないか。しかし私は、原子力発電所をつくることにもちろん反対じゃありません。これをやるのに絶対に安全だという体制をつくった上で——そのためには私は、実を言うと、これは民営でやることについては反対なんです。九電力がばらばらにやるということについても、実は非常に疑問を感じておるわけなんですけれども、そういうことで密集させて原子力発電所ができるということについては再検討の余地が大いにある、こう思っておるのですが、原子力委員会としての御意見をひとつ伺っておきたいと思うのです。

有澤廣巳原子力委員会委員

○有澤説明員 アメリカあたりでも規制が非常に強くなってきているということは、私どももよく存じておる次第でございます。いま御指摘になりました問題点は、いわゆる低レベルの放射能の影響という問題が問題だと思います。ところが、低レベル、つまりICRPの基準の何分の一、十分の一がいいか、あるいは五十分の一がいいかというふうな、低レベルな点においての障害があるかないか、こういう問題点につきましては、いまお医者さんとか、あるいは研究者、学者さんがいろいろな意見を述べておりますけれども、まだきめ手がはっきりしておりません。それで私ども、放射線医学総合研究所にお願いいたしまして、その低レベルの放射能の影響——ある程度の高いレベルのものは、これはもうはっきりしております。それ以下は一応いまのところ障害がないというふうに決定されておりますけれども、それ以下の問題について、やはり低レベルのものにつきましても、なお十分検討をしておかなければいかぬではないか、それで、いま申し上げましたように、低レベルの放射能の影響ということにつきまして研究を大いに進めていただくように、実は昨年からそれに着手しております。ただ低レベルの問題でございますので、なかなか研究の結果が出てくるまでに、ある程度時間がかかるというふうな状況でございます。  そういう点で、いま御指摘のありましたような問題についての準備は十分進めておるつもりでおります。なるべく早くこの結論を出すように、放射線医学総合研究所のほうの研究を督促してまいりたいと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 いま申し上げたたくさんの核種の中で、アルゴンとクリプトン八五、これだけでもいいと思うのです。四百万キロワットというふうな密集地帯で、ICRPの許容量に対して一体どういう結果が出てくるであろうか、それはもちろん逆転層のあった場合のことも予想しなければなりません。逆転層のあった場合にこれは明らかにおかしい、というふうにいけばあるわけです。そういうふうなことも含めて、ちゃんとした結論を出してもらいたい。そういうことがなければ、このミネソタ州のように、日本よりもはるかにきびしい基準を出してきて法廷で争っているというような、それでもう原子力発電所を全部拒否しているというような事態にアメリカですらなってきておるわけでございますから、それに合わせた場合に一体どうなるのだということも含めて、よほど慎重な対策というものが立てられなければ、とんでもない事態になるだろうということを警告しておきたいと思うのです。これはぜひお願いします。  それから時間がたいへんたってしまいましたものですから、一点だけ伺いたいのでありますが、福井県で原子力環境安全管理協議会というものができました。これは私も拝見いたしました。これは各県のいわゆる第三者管理機構というものの一つの判例といいますか、模範といいますか、そういうことでこれができておると思うのです。しかしこれだけでは住民を納得させることはなかなか困難ではなかろうか。ということは、きのうも答弁の中で出てきたのは第三者監視機構というのですね。ところが第二者監視機構でなければいかぬと思うのです。   〔近江委員長代理退席、委員長着席〕 そこに住んでいる住民は第二者なんですね。第二者監視機構というかっこうでそこにいる住民もそこに参加をするということでなければならぬと思うのです。  私がなぜそういうことを言うかといいますと、昭和四十五年九月に敦賀の発電所のモニタリングポストの測定値を発表したことがあります。その場合に、県のほうで出したものとそれから企業のほうで発表したのとでは三対一の食い違いができた。企業のほうは少なくて県のほうは多目に出ているというような結果がはしなくも暴露をされたわけです。しかし住民にしてみると、率直に言って県のほうですらも適当にやるんじゃなかろうかという不安なきにしもあらずなんです。まあそういうことはなかろうと思いますけれども、そういうことで、これで見ると県議会とかあるいは県当局とかというのが参加をしてかなりりっぱな構成にはなっておりますけれども、住民が参加をする——もちろんだれでもいいということにはならぬと思うのでありますけれども、住民の納得性を得るという意味では住民がこれに参加をして、モニタリングポストでもってある程度の確認をするという体制をつくっていかなければいけないのではないか。  と申しますことは、私のほうでは今度は再処理問題なんかも出てまいります。再処理問題についてはいずれあらためて質問したいと思うのでありますけれども、そういう問題も含めて考えなければならぬ。あそこはいろいろなものの密集地帯になって、そこに再処理工場ができる。学者の中では再処理工場なんかはまっこうから反対、日本で再処理工場をつくることは絶対まかりならぬという強硬な意見もそこに入ってくるわけです。そこに発電所もあるわけです。そうなりますと、それを納得させる接点としては一体何が必要かというと、第三者監視機構というものがあって、いつでも住民それ自体が参加して安全性を確認できるということでなければ、最低限の納得性というものは不可能ではないか、私はこう思うのです。これは形としてはなるほどきちっと整っておりますけれども、一番関心を持っている住民が参加をして、住民がある程度の訓練を受けてそこで調べていく。これはほんとうは測定のしかたがたくさんあるわけなんで、しろうとが参加してもなかなかむずかしいのだといういろいろな御意見もあるでしょうけれども、しかし納得性を得る最低限としてはその程度のことをやらなければ、これから先の原子力設備というものについての設置は非常にむずかしくなるという意味で、私はこれを非常に重視していいと思うのです。  あと一つは、モニタリングポストがあってカウンターでもって計算したということだけではなくて、核の種類のそれぞれについてどうなっているんだということがある程度わかるということにするためには、茨城県の衛生研究所が日本で一番いいぐらいじゃないかという程度ではどうにもならないのじゃないか。そうなりますと、茨城県のようなものが原子力設備のある福井県だとか福島県だとかそういったところにあって、それを集約したものが中央に一カ所なければならぬ。それを集約して中央でもって再確認をするという権威のある機関というものができた上でなければ、県だけの監視機構というか測定所というか、そのことだけではなかなか納得性を得られないような情勢になってくることは必至ではないか、私はこう考えるのですけれども、ひとつ有澤委員の見解を伺いたいと思うのです。

有澤廣巳原子力委員会委員

○有澤説明員 いま御指摘にありましたモニタリングと言いましょうか、モニタリング制度をどうするかということは、今後の原子力の安全性を確認していく上においてきわめて必要だと思います。いまは県側と設置者側と両方でそれぞれモニタリングをやって、それで両方を突き合わせて、もし問題がありましたならば中央でさらにこれに対する審査をするというふうな考え方でございます。  ですからいま御指摘の県のほうも必ずしも信州はできない、だから住民側の監視が何らかの形で入るようなことを考えたらどうかというふうな御意見だったと思いますが、その問題につきましても、私どもこれからモニタリング制度をどういうふうにしたならば、住民についてはむろん、またほかの全国民についてももっと納得が得られるような形のものになるかということにつきまして、いまもその問題を取り上げて検討をしておりますが、御趣旨のほどを取り入れましてさらに検討していきたいと思っております。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 この際、関連質問のお申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 いま原子力委員の有澤さんのほうからそういう表明があったのですが、要するに、いま公害問題がやかましいときですね。それで、監視機構といいますか監視機関というものはどこでも住民運動の一つとして出てきておるわけですね。特に重油による発電は非常にやかましい。そこで、そういう検討をするというお話ですけれども、これはやはり時宜に即したことですから早く検討していただかなかったらいけないと思うのです。  それでそのときにぜひお気をつけ願いたいのは、重油専焼の発電でもそういうことが行なわれているのですが、要するに被害者に当たる者、いわゆる住民側から出ていくということと、それから官側から出てくる場合がありますね。それから企業側、この三者が出てきておるわけですけれども、企業側はむしろ加害者のほうですね。そういう立場の人を出すのはどうか。それは別の機関で話し合いをするということにして対々で話をするというような場を設けたらいいんで、その中に出してくれば、完全に監視機関というものの機能が薄められてしまうわけですね。これは私、一つ問題だと思うので、お考えいただきたいと思うのです。  それからこれはきのうの話の中にも出ておったわけですけれども、無過失賠償責任ということですね。原子力の場合はそういう観点に立っておられると思うのです。この観点はどこまでも堅持していただきたいと思うのです。  もう一つは、これは質問になるわけなんですが、原子力発電の災害、これはきのう私が申し上げましたように最高三兆二千億の公害がある。この中ではいま石川さんの言われたことを全部想定して、いわゆる逆転層の起こった場合あるいは風の吹いておるようなときというようなことをみな想定して、こういう世界第二の災害予想の警告を出しておるわけです。これはおたくの科学技術庁から出ておるわけでして、有澤さんなんかこれに参加されたのだと思うのです。これは三十七年ですからね。今日、すでに十年たっておるわけです。それがいまだにまだ検討するというようなことではこれは間ぬるいと思うのですね。石川さんの指摘するように絶えずやっておいていただかなかったらいけない。いつごろそれができるのですか。

有澤廣巳原子力委員会委員

○有澤説明員 いま石川さんの御指摘の点は、私は低レベルの放射能の問題だというふうに考えております。それをどうはかっていくかということなんですが、高いレベルになればわりあいにどの計測器もとらえることができる。そして民間でやろうがあるいは企業がやろうがあまり大きな違いはないと思います。けれども低レベルの問題になりますと、測定の問題あるいはその測定器の問題というふうな点でかなりばらつきが出てきてなかなか合わないという問題があろうと思います。  それで三木先生の御指摘になりましたのは、事故のあった場合、もうはっきりとした事故が現にありまして、そして放射能というものがかなり強いレベルのものが各方面に散らばっていく。その場合に、逆転層がちょうどそのときにぶつかったときには、その下のほうへ回ってまいりますから、一そう被害が大きくなる、こういうふうなケースを想定した事例だと思います。ですからその問題はその問題でむろん重要な問題でございますけれども、私がいま申し上げましたのは、その低レベルのほうの測定も、これはやはり安全性を確認するためには低レベルの各種についてこういうふうに低レベルであるということを確認する必要があるということで、モニタリングをやっておるわけです。そのモニタリング制度につきましては、一方民間の企業がやる管理とか、県庁なら県庁がやるとか、そして民間がやるといいましても、なかなかしろうとじゃできませんので、どういうふうな形の人が民間代表で入っていくか、あるいは県と民間の代表者が入っていって確認をするというふうなことをするがいいか、あるいは民間自身がそういう計器を備えて自分で全部確認をしなければならぬものか、そこらあたりがなかなか詰められない点でございまして問題が残っているようであります。ですけれども、アメリカの規制もだんだんきびしくなっておるし、また国内では公害問題もやかましくなっておるわけでございますから、幸いに原子力についてはまだそう公害というふうな形で問題になっておりませんけれども、しかしやはり公害というものは、もう一ぺん問題となったときには手おくれだと私は思っております。その前に事前に十分な準備と用意をしなければならぬ、こういうふうに考えております。いまのモニタリングシステムもその意味で検討を早くしたいと思っております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私はそれを一貫的に考えてくれということを言っておるのです。一方事故が爆発的に起こるでしょう。それから放射能の汚染というような低レベルの問題はじりじりとわからない間にやられていくのですから、それの一貫性をもって、こういう大事故でさえ想定してやっておるのに、そういうものに対するところの対策を持ってもらわなければいかぬ。一貫して考えてくれという意味合いで申し上げたわけです。  それから無過失の公害に対する賠償責任という問題は、原子力の場合ばらばらですよ。運搬の場合はこれは故意の場合だけでしょう。無過失の場合には損害賠償に応じないのでしょう。これはどうなっておるのですか。こういう点がはたして一貫されておるか。原子力発電の場合は私はやられておると思うのですけれども、運搬事故の場合はこれもやられておるのですか。無過失賠償責任に応じるのですか。それから船の場合も一連のものとして一緒にしてお答えいただきたいと思います。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 ただいまの先生の運搬その他、これにつきましては全部無過失責任がかかっております。これはみんな一様でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 いまの低レベルということの研究、これはぜひやってもらいたい。ということは、これはいわゆるがまん量ということをよくいわれておりますけれども、ゼロでなければならない、しかし公共の利益との関連においてここまではがまんしようというのが、いま言った許容量というかっこうで出てきておるわけです。それ以下でも、あるいは遺伝その他の関係で相当の影響が出るか出ないかというのはこれからの課題なんです。相当問題が残されておるという意味では、そういう研究はこれからも進めてもらわなければなりませんけれども、たとえば地方の住民が、いわゆる第三者じゃなくて私の言う第二者というものが参加をした場合は、調べるのにはいわゆるカウント数で調べたりキュリーがあってレントゲンがあってレムがあってということになって、これはなかなか容易じゃないわけですけれども、しかしコバルト六〇、それからジルコニウム九五、ストロンチウム九〇、セシウム一三七、ルテニウム一〇六、セリウム一四四、これはきわめて半減期が長い問題ですね。それとか先ほど私が言いました二つのたとえばアルゴンの関係、比重の非常に重いというようなもの、それから相当量天然ウランの場合なんかには出るであろうと予想されるようなもの、こういったもの、大体十種類程度はやはり第二者というものも、自分で調べることができる程度のものはそろえておいてやらなければいけないのではなかろうか。そういった一つのめどを立てて第三者監視機構というものが地方にあり、しかもほんとうにむずかしいものについては中央との関連において権威のあるところでもって最終的な結論を出せるというような形にまで発展をさせていかないと、これからの原子力設備の必要性はますますふえてくるわけでございますけれども、それの反面公害の問題が非常にうるさくなってくるということを考えますと、ぜひこれは意欲的に取り組んでもらわなければ困るという問題であろうと思うのであります。  私、質問の時間が超過しましたからやめますけれども、この前の付帯条件でたくさん出ているわけです。十年前ですよ。十年前の付帯条件の中で、たとえば安全基準をすみやかに設定しということばがある、これは具体的には設定されておらない。大ざっぱ基準だけである。それから原子力施設周辺地域の居住者に対し線量調査を定期的に実施をするというようなこともあるけれども、これも全然行なわれてはおらない。その他一つ一つ見ると全部これもやってないことばかりなんです。ですから、ほんとうにやる気持ちがあるかどうかということを、この附帯決議からいえば言わざるを得ないという結果に遺憾ながらなっているわけです。それから別途被害者の保護に遺憾なきよう立法措置その他をやるということを言っているけれども、この立法措置もできておらないというようなことも含めて、この附帯決議というものは単なる空文になってしまったということは私は残念だと思うのです。しかしながらこれからは、先般来の公害問題その他というものが非常にうるさくなり、それがおそらく原子力にも波及してくることが当然予想されるので、この前の公害国会では原子力の問題はほとんど討議の対象にはなりませんでしたけれども、これだけはとにかくクローズアップされる時期が必ず来るのではないか、こういうことも考えて、この前の附帯決議を十分生かすような措置、それから具体的に早くやらなければならぬ措置というものを私は二、三例をあげて申し上げたわけでありますけれども、ぜひ実行に移してもらいたいということを強く要望して、きょうの私の質問は終わりたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 次に近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 私はあと短時間で終わりたいと思いますが、一点お聞きしておきたいのは、アメリカの原子力潜水艦等あるいはエンタープライズとかいろいろ原子力艦が入ってくるわけでありますが、当然この事故ということが想定されるわけです。当然この場合は同じように補償を考えているわけですね。これについてお聞きします。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 アメリカの潜水艦につきましては、安保条約の地位協定がございます。その関係でこれは行なわれることになっております。地位協定でいくことになっております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 地位協定のこの賠償とのそれはきちっとできているのですね。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 安保条約の地位協定によりまして、国内の法律が準用されるという形になります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 その点ははっきりしているわけですね。それから石川委員のほうからもいろいろお話があったわけですが、原子力損害賠償に関する法律、これは三十六年の五月十八日に可決になっておるわけですが、そのときに附帯決議を何項目かに分けてつけているわけです。それでこれについてはどのようにやったということを、いままで各委員に続いて質問はあるわけですけれども、具体的にこれについてはどうしたということを簡潔にお答えになっていただきたいと思うのです。  すなわち、その(一)は「安全基準を速やかに設定し、これに基づいて原子炉の過度集中を避け、周辺環境の整備を図る等原子力損害に関する予防措置を講ずること。」(二)は「原子力施設周辺地域の居住者等に対し線量調査を定期的に実施し、被害の早期発見に資するとともに損害認定の基礎資料とすること。」(三)は「原子力委員会において原子力損害の評価に関する具体的基準を設定すること。」(四)は「原子力損害賠償紛争審査会に関する政令において、原子力損害の状況及び損害の評価に関する重要事項を調査するため、必要あるときは審査会に特別委員を置くことができる旨を規定すること。」まず、この四項目についてはどうしたか、簡潔に答えてください。局長でもけっこうですし、どなたでもけっこうです。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 第一項の安全基準につきましては、原子力委員会におきまして三十九年の三月に、原子炉の立地審査指針それから原子力船運航指針、軽水炉安全設計審査指針等各種の基準をつくりました。これに基づきまして安全審査をやっているわけでございます。  それから地帯整備につきましては、事業者が主体となって地帯整備を進めておりますが、先ほど石川先生から申されましたが、東海村については特に国の研究所がございますので、原子力委員会で特に地帯整備五カ年計画をつくって、何とかその地帯整備を進めているところでございます。  それから原子力施設周辺におきます居住者の線量調査、これにつきましてはモニタリング実施を実は原爆の調査と一緒にいたしまして、約二十七県の県の研究所を合体いたしまして、幹事会を設けまして、そこで、定期的調査をいたしております。その調査は雨水、浮遊じん、農作物、海産物それから海底土、これにつきましてそれぞれ定期的な調査を進めております。  それから、原子力委員会において損害の評価に関する具体的基準、これにつきましては昨日有澤先生が御説明されましたが、目下検討中の課題でございます。  それから、原子力損害賠償紛争審査会に関する政令、これは用意はしてございますが、実はこの審査会はそのときに臨時につくる機関でございます。したがいまして、実際にまだございませんので、もし万が一の場合にはすぐこの審査会が置けるように考えております。以上四つでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 検討中とか考えておるということが多いわけです。次に大きな項目として「原子力事業の従業員の業務上受けた災害に対しては、労働者災害補償保険法の適用のほか、原子力損害の特殊性にかんがみ、必要に応じ、別途被害者の保護に遺憾なきよう立法その他の措置を講ずべきである。なお原子力損害に準ずる放射線障害の保護についても同様の措置を講ずべきである。」これについてはどうしましたか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 これにつきましては諸外国の法制におきましても原子力事業者の災害につきましては、放射線障害を含めまして、労災保険制度になっているのが通例でございます。したがって、わが国におきましても、現在従業員の災害につきましては労働者災害補償保険制度の充実につとめているところでございますが、さらに労災保険制度で補てんされない額、これにつきましては原子力事業者が従業員災害をてん補するために、原子力損害賠償制度検討部会での審議に基づきまして新しい損害保険制度の創設といいますか、それをいま業界で検討中でございます。これは間もなく答えが出ますが、そういう形で現在進めているところでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 次に、この当時の法律ですが、「五十億円をこえる損害が発生した場合に、本法の目的である被害者の保護に遺憾なきを期するため、政府は、十分なる援助を行なうとともに、あらかじめ、この被害者保護の目的に添うよう事業者の災害賠償に備え利益金の積立等について指導を行なうべきである。」四の「近い将来、原子力損害賠償に関する国際条約が成立した場合には、政府はこれに応ずる必要な措置を講ずべきである。」この二項目についてどうなっていますか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 五十億をこえます損害が発生した場合の国の援助につきましては、これを必要とするような原子力事故が幸いにまだ一応発生いたしておりません。それで原子力損害の賠償に備え、原子力事業者の利益金をここで積み立てておくという話でございますが、電力会社の資産も、この法律ができます当時と比べますと相当充実してまいっております。現段階ではこの点につきましては、そういう関係で特に緊急性を持たなければならないということにはならないのではないか、そういうふうに考えております。  それからもう一つの「近い将来、原子力損害賠償に関する国際条約が成立した場合には、政府はこれに応ずる必要な措置を講ずべきである。」これは原子力損害賠償に関する諸条約との関係につきましては、前に申し上げました専門部会において諸条約を十分参考として、できる限りこれに合致させる方向で検討し、その結論を今回の報告に持ち込んでおるわけでございます。特に原子力船につきましては、その国際的相互寄港の円滑化のためにブラッセル条約というのがございます。これはまだ発効いたしておりませんが、これに沿って責任制限を採用することといたしております。そういう形で、できるだけ海外との関係につきましては進めている現状でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この衆議院の附帯決議と参議院の内容はほぼ同じだと思いますが、しかしちょっとニュアンスの違い等もあるのではないかと思いますので、重なると思いますけれども念のためにお聞きしておきます。参議院におきましては三十六年の六月二日に決議をしております。一つは「本法の適用除外になっている原子力事業の従業員災害については、立法その他の措置により被害者の保護に万全を期すること。」「二、賠償措置額をこえた原子力損害に対する国の措置については、被害者を全面的に救済保護できるよう遺憾なきを期し、特に原子力委員会が損害の処理・防止等に関し国会に提出する意見書については、被害総額は勿論災害状況を明細にするとともに、原子力委員会の意志を具体的に表示し、もって国会の審議に資するよう措置すること。」これについてはどのようになり、その後どういう考えを固めたか、それについてお聞きします。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 初めの第一番につきましては、先ほど衆議院の附帯決議で御説明した、たしか二に当たると思います。それからその次の五十億をこえます被害保護につきましては遺憾なきように期す、これにつきましては、万が一ありました場合には当然この趣旨に沿って進めていきたい、そういうふうに考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それではもう時間がありませんので、これで終わります。いずれにしても附帯決議はよく国会の意思を尊重していただいて、その具体化を強力にはかっていただきたい、このことを特に要望して終わります。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 次に、山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 第三者監視機関の問題についてただ  いま質疑が行なわれておりますので、私も最初にそのことについてちょっと質問をいたしたいのです。  昨年の四月二十日に茨城県知事岩上二郎氏から出されました科学技術庁長官に対する要望書、これは七項目あるわけで、一々お聞きしたいわけですけれども、時間の関係がありますから、一つだけ第三項目、いわゆる第三者監視機関についての要望でありますが、これに対する回答がなされておりますけれども、その回答文を正確に、そして、ゆっくりゆっくり読んでいただきたい。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 「周辺環境の放射線監視は、原子力事業者が実施する責任を有するものであるが、原子力施設の設置、運転に伴う地域住民の不安感を解消するため、監視の結果を公正に評価する中央機構の整備について検討しているところであり、地方においても測定データの確認、評価を公正に行ない、地域住民に対する周知をはかるため、地方自治体が参画した機構を設けることは適当と考えられるので、国としても積極的に協力することとする。」と書いてございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 結局その回答というのは、県知事の要請しておりますところの「地方公共団体が関与し得る第三者監視機関を本地域に設置すること。」ということについては、これは認めているわけですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 できるだけつくっていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 現行の規制法によれば、それはできないというようなことを言っておるということを伺っておるわけですが、その点はどうですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 これは原子力発展に対する自主的な考え方ででき上がるものでございますから、法律でどうのこうのということはございません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 そうすると第三者監視機関をつくることはいいというのが皆さん方の考え方ですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 第三者監視機構は、すでにこれと同じように考えられますものが福井県にもございます。したがいまして、原子力のところにはできるだけこういうものをつくっていただいて、要するに原子力がうまく発展するために、こういうことでいろいろ御援助していただくために、私たちもよろしゅうございますし、それから第三者の方々もいろいろ確認できるという立場から、こういうことは非常に進んでやっていただきたい、こう思っております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この中で地域住民の問題でありますけれども、これは不安をなくするという意味で、その調査の結果その他を公表するということでとどまっているわけですね。地域住民を第三者機関に参加さすという考え方は持っておられるのですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 これはいわば、私がいつも申し上げております第三者機構という考え方でございます。したがいまして、地域の方々が自主的にお集まりをしていただきます。その関係から、そこの住民の代表がお入りになるということは当然だと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 ただいまの回答そのものは私は持っていないのです。要望書は持っているのですが、いま読んでいただきたいのですけれども、それによりますと、最初のところは設置者が行なうということが主になっているわけですね。だから、私はこの前の委員会で愛媛県の伊方町にできる四国電力の原子力発電所の問題を取り上げたわけですけれども、これは設置者である四国電力は、前に申しましたように、単なる発電所をつくるということで、土地の売買契約を結んで、そしてその後において原子力発電所をつくるという、いわば住民欺瞞のベテランですね、そういうものが監視の中心であって、住民に対しては単にこれを知らしていくという形では、真の意味での第三者監視機構とはならないと思うのですが、もう一度その点について伺っておきたいと思います。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたのは、原子力発電所を建設する事前の問題として、土地を買いますときに普通の発電所だと言っていて、途中で原子力になったというようなお話でございます。(山原委員「そういう性格を持っておるというんですよ。」と呼ぶ)地元のそういう形はございますが、ここで申し上げます第三者というのは、やはり原子力発電所が運転をいたしまして、それで運転の途中でどういうことがあるか、そういうことを十分監視していただいて、安全に運転しているということを、これは原子力発電所がずっと続いている間やっていただくという監視機構でございます。その点ちょっと——この監視機構はそういう形で考えられているわけでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 法案につきまして、きわめて初歩的な質問をいたしたいと思うのですが、賠償措置額が五十億から六十億ということになるわけですけれども、これは質問があったかもしれませんが、この金額の算定の基礎というのはどういうものですか。簡単にお答えいただきたいのです。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 簡単に申し上げますと、大体国際並みをとったというのが一つでございます。それからもう一つは、初め五十億でございましたが、その後の保険会社の資産の増加等から見て十億程度は上げていいのじゃないかというのが検討委員会等の御意見でもございまして、そういうところから勘案いたしまして六十億といたしたわけでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 これは国際的な慣例といいますか、そういうものと保険会社の問題、それ以外にこの額についての少なくとも科学的な根拠というものは全くないわけですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 どうも各国とも調査いたしましたが、やはり五十億がいいか六十億がいいか、この点に科学的な根拠というのはあまり見当たりません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この法案がもう一つの問題として持っておりますのは、従業員の問題、これは昨日来ずいぶん質疑が行なわれておりますので、私は皆さん方の質問の気持ちと全く同感でありますし、また前の決議の際の附帯決議の中にもあるわけですからこのことは省略いたしたいと思いますが、この安全性の問題です。安全ということを前提にしてこの法案がつくられておるように思うわけですけれども、これもずいぶんお話が出たわけです。現在まで原子力施設に関する事故というのは、大体どれくらいあったわけですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 日本においては幸いございません。世界におきましては、研究を始めました当時の研究炉等で、ございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私がもらっておりますこの資料によりますと、日本原子力研究所原子炉工学部安全工学研究室及び保健物理部の調査によれば、百一件原子力施設における事故が発生をしておる、こういうふうに出ておりますが、これは間違いないですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 ちょっと資料を持ちませんが、たぶんそれは——私がいま事故と申し上げましたのは賠償法等でひっかかった事故、こういうことで申し上げました。ただ原子力につきましては、事故と言わずに、まあ異常といいますか、正常なやり方のときにある程度異常がございました、その危険数からの問題と、それからもう一つは、原子炉そのもの、あるいは研究炉そのものの補修工事、そういうところの事故といいますか、そういうものの関係を含めてたぶんその数字が出ているのじゃないかと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 ちょっと正確にお調べいただきたいのですが、百一件というのは、いま私が読み上げました機関の調査として私はいただいておるわけです。これは一九五九年以前の事故、百万ドルの損害額、そして死者のあった場合ということでありますが、これは間違いですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 いま先生のおっしゃいましたのは、ちょっと私にそんなもの考えられませんので、調査さしていただきたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 先ほどもお話の出ました米原子力委員会の出しておりますところの予想される損害二兆六千億というやつがあるわけですね。これは原子力発電所の十万キロワットないし二十万キロワットの場合に、このような被害が予想されるという数字として出ておるように思うのです。ところが現在、たとえば私が申し上げました四国電力の伊方町に設置しようとしておる原子力発電所というのは五十万キロワットですから、言いかえれば、その三分の一ぐらいの原子力発電所によって二兆六千億円の被害が予想される、事故が起こった場合。あるいはまた日本原子力産業会議の場合には三兆七千億という数字が出ておるわけですね。こういうことを考えましたときに、私が先ほど申し上げました百一件というのが——これは私はそういう資料をいただいておるのですが、まだ皆さんのほうでは明確になっていないようですけれども、そういう安全性というものについて、完全に安全性が保障されるという状態ではないと思うのですが、その点について有澤先生の意見を伺ってみたいのです。

有澤廣巳原子力委員会委員

○有澤説明員 安全性というのは、一つは正常運転の場合においてどういうふうな障害があるかないか、これが一つの問題です。それからもう一つは、いまのほんとうの事故が起こるか起こらないか、こういう問題だと思います。安全審査会のほうにおきましては、正常運転のときもむろんですけれども、事故の場合をとりまして、それでその事故もいろいろな形で起こると思いますけれども、重大事故と仮想事故——人知ではほとんど考えられないけれども、たとえばこういう問題、こういう事故が重なって起こったときにはどういうふうになるかという場合を考えまして、それから起こってくる放射能の障害というか損害というものを考えておるわけです。その限りにおきましては、仮想事故の場合におきましても、これはほとんど考えられない場合ですけれども、たとえばチューブがこわれて、それで同時にもう一つのチェックポイントもこわれ、もう一つこわれたというような、三段階にチェックできるようなものが全部一ぺんに故障したというふうな、ほとんど考えられないような場合を想定しましても、その放射能の損害の及ぶ領域はこの構内に限られる。外、第三者のほうの構外に出るものについては一定の基準以下になる、こういう検討をしまして、安全である、こういうふうに申しておるわけです。ところが賠償法の解釈は、そういう意味の安全性というよりは、もし炉の中にたまっておる放射能といいますか、それが全部あるいはそのうちの五分の一が出た場合、そして風のぐあいも非常に悪い場合、そういう場合を想定しまして、二兆円とか三兆円の損害が起こるだろうという計算をしているにとどまるわけであります。ですから安全性の場合は、私ども技術的にはしろうとでございますから、そういう専門的な方々の集まりとしての、第三者的機関としての安全審査会で安全性を審査していただいているわけです。  いまわれわれのこの法案の対象になっておりますものは、これはもうほとんど起こり得ないものだとわれわれは考えますけれども、しかしわれわれといいましても、結局人間の知恵の範囲内で想定しているわけでございます、検討しているわけです。それ以上のものが何か起こってくる。たとえば地震なら地震の場合において、マグニチュード七とか八というようなものは考えているけれども、それ以上のマグニチュードの地震が起こらないというふうな保証はできない。もし万一そういうふうな場合が起こっても、ある施設は大体だいじょうぶなような形になっておりますけれども、何らかの事情のもとに、それが事故を起こすというような場合を考えている、ほとんど想像に絶したような場合を考えて、その場合においてもしそういうふうな事故が起こっても、われわれはこういう賠償の措置を考えている、こういう意味の賠償の措置でございますから、われわれが炉の安全審査をやっておる場合と、この法案の対象になっている事故といいましょうか、万一の場合というのとは非常な違いがあるということをどうぞ御了承願いたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私は全くのしろうとですからね。しかし私は専門家というものの意見を必ずしも信用しないできごとがあまりにもしばしば最近多いわけですね。富士観光の場合だって、起こり得ざる問題が起こって、四キロにわたって汽車が突っ走るなどというような想像できないことが起こっておりますし、またこの前も申し上げましたけれども、原油基地の場合でも、鹿児島県の喜入町の場合は絶対安全だということで企業側の説明があっておるわけです。しかしすでに四回にわたって原油が漏れるという事態が起こっているわけですね。そういう点から、住民の率直な感情からいうならば、安全性についての不安というものは解消されてない部面が相当たくさんあるということをこの際申し上げておきたいと思うのです。  それからもう一つ、温排水の問題について原子力局長にお伺いしたいのですが、これは被害はないのですか。これについてどういう研究をされておりますか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 温排水につきましては、火力と同じ温度程度のものは出ます。その点におきましては海にそれが出るということでございます。したがいまして、私たちのほうも、温排水の問題についてことしからそこで魚類がいかにうまく養魚できるか、そういう点の研究を進めるということで、本年から今度の予算の中に五カ年計画でそういう研究を進めたいということを考えているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この点について、私は愛媛県伊方町の例を申し上げますけれども、これは先にも一度申し上げましたが、東京工業大学の崎川教授、これは県の講師として原子力発電所の問題について現地で話をされておるのですが、その際に温排水の問題が出ておりまして、特に瀬戸内海というようなところへこれを流すということは賛成できないという御意見をはいておられるのです。  それからもう一つ、これは立教大学の服部先生のジュリストに出ておる論文でありますけれども、ちょっと読み上げてみますが、「原子力発電所で発生した熱がすべて電気エネルギーに変るのではなく三〇%〜四〇%といわれる。結局残りは、発電所のまわりに捨てられる。温排水が重大な公害をひきおこす可能性が生じてきた。特に、沿岸の水産物に影響をおよぼす。」ということが書かれておるのです。いまから研究されるというそうですが、一九七〇年、本年の三月、これはアメリカの例でありますけれども、米国司法省は、フロリダ電力会社を相手どり、火力及び原子力発電所からの温排水の放流によって、ビスケーン湾の自然を破壊したり今後破壊するおそれがあると告発をいたしております。  その理由の一つは、二つの発電所が放流する温排水が、同湾の生物を急速に死滅させ、計画されている原子力発電所が建設されるならば、その被害はさらに大きいものになる。これは米司法省の告発文書ですね。こういう問題が、すでにこれはアメリカにおいても起こっておるということ、特に日本列島において各地に原子力発電所をつくる。しかもこの前言いましたように、バスに乗りおくれるなということで、九電力会社が競って各地に、全く無政府的な状態でつくろうとしている中で、こういう問題がいまだに十分研究されていない。これから研究するという態度で、はたしてよいかという問題を含めまして、いま私が申し上げました一つの論文と一つの告発文についての見解を伺っておきたいのです。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 先ほど申し上げましたように、火力と同じように確かにございます。したがいまして、原子力発電所を設置する場合には、そういう問題点につきましては、地元の漁業関係とお話し合いをして、いままでのところでは、たいていその漁業権を買い上げ等の措置をとっております。そうしてできるだけ漁業のほうに影響のない形を進めております。それから、私が研究を進めますと申し上げましたのは、もちろん魚におきましても、悪い魚と、あるいは温水だからいい魚と、こういうのがございます。そういう関係から、一応漁業の振興という関係からも、できるだけその研究を進めていきたいということを先ほど申し上げました。そういう関係とからみ合いまして、できるだけ地元がうまくおさまるように進んでいきたい、そういうふうに考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この問題は、単に漁業権の問題だけでなくして、自然の問題あるいは生物学的な問題等が含まれているわけですね。私のところには、最近、各漁業協同組合のほうから、特に海の汚染につきましては、非常に神経質な電報が寄せられる状態にあるわけです。しかも、瀬戸内海というような問題から考えましても、非常に重大な問題だという認識が、はたして科学技術関係の皆さん方の中にあるのかということを私は疑問を抱かざるを得ないわけですね。これについて長官の意見を伺っておきたいのです。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 原子力発電に伴いますところの温排水の影響、これは十分に注意してまいらなければならないことだと思います。しかし、いまアメリカの例をおあげになりましたけれども、同じ温排水と申しましても、それぞれ立地の環境によってその影響等は非常に違うのじゃないかというふうに思うのでございます。私も、実は福井県の敦賀地区に参りまして、あそこでもいろいろそういう問題について率直な現地の状況を聞いてみたのでありますが、あそこでは、何か、かえって、いままでいなかった魚がふえてきた、新しい魚族がふえてきたというようなことが——これはむしろ何か水産試験場の支所でもつくって、それがプラスになるようなことがあるかどうかというような検討も少ししてみたいというようなことでございました。その影響等については十分慎重にこれを検討しなければならぬと思いますが、そういう意味で、いま局長が申しましたのは、これが養魚等にプラスになるような面もあり、あるいはまたマイナスの面もあると思いますが、それらを含めまして、いろいろ検討を進めたい、こういうことかと思います。十分にひとつ注意をしてまいりたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 長官の答弁、わかりますけれども、アメリカの司法省よりだいぶおくれておりますね。やはり魚の問題だけでなくして、自然その他含めて、別の魚が生まれたなどということはありますけれども、それは部分的な問題だろうと思うのでして、そういう点はこれは十分注意する必要があると思いますので、先へ進みたいと思います。  ことしの三月一日に、アメリカの原子力フリゲート艦が横須賀に寄港しております。トラックストン号ですね、これは本土寄港は三回目ですね。これについて、ちょっと先ほども御質問が出ておりましたけれども、この原子力潜水艦あるいは原子力フリゲート艦というのは原子力船ですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 一般的に、原子力船という中に入るんじゃないかと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この、いわゆる軍艦というものが除外されておるということ、これは非常に大きな問題だと思うのです。もし原潜あるいはこのトラックストン号などが事故を起こした場合ですね、そして住民に被害を及ぼしたときには、これは全く、国民は何らの補償を受けないわけですか。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 安全保障条約の第六条に基づきます施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定というのがございます。その協定に基づいて処置がされます。その場合に賠償法が準用されるものというふうに考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 関連。先ほど私もその質問をしたわけですが、その、準用されるでしょうというそれは、希望的な、そういうあれですか。しかもやはりこれだけ、たとえばエンタープライズにしろ何にしろ、ああいう超大型の空母なんかになってきますと、日本がつくっている、そんな原子力船なんかとは比較にならぬ大型のものを搭載しているわけですよ。そういう点、準用されるというなら、国内の、要するに日本政府は、それじゃその損害を全部かぶるんですか。アメリカとの協定、そうでないとおっしゃるなら、それじゃはっきりとした文書で、米原子力艦艇が爆発をした場合にはどうするという、はっきりとした協定を結んでいますか。ただ、これからの外交折衝だけにまつということであれば大問題ですよ、これは。いまのところはこれからの外交折衝にまつというだけでしょう。どうなんですか、これは。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 私たちは、防衛庁との見解をとっておりまして、ただいま申し上げましたように、賠償法が準用または類推適用されます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 それは日本の法律を適用するんでしょう。日本政府はその責任を持つけれども、日本政府がそれだけ損害を——国民が被害を受けて、しかも日本政府がそれを賠償する。アメリカの責任はどないしてくれるんですか、これは。アメリカとは、はっきりとした責任の何の協定もないじゃないですか。商船だけはそういう賠償協定を結んでおるけれども、これだけ原潜もどんどん入港して、そんな危険が充満しておるのに何の協定も結ばない。日本政府がなぜ全部かぶらなければならないのですか。それは今後のアメリカとの外交交渉にまつと、ただそんな——それじゃ海のものとも山のものともわかりませんよ。はっきりと結ぶべきじゃないですか。大問題です、これは。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、安保条約の第六条ではっきりきまっているわけでございます。したがいまして、この件につきまして、中で国がどういうふうに金を払うかどうかというのは、実は私たち全く存じません。したがいまして、先生がそういうことを、こまかいことをどうとお申しでしたら、防衛庁とはっきりその点についてはその範囲、やり方等については見解をとらなければいけないと思います。ただ、ほんとうにその協定でこの範囲はやられて、それを準用するんだということで明らかにしておるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 そうすると、これは防衛庁を呼ばなければわからないのだったら、防衛庁に至急に来てもらってください。これははっきりしておかなければ。ですから、これを要求します。外務省も呼んでもらおうかな。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 私、お答えしかねますので、そういうふうな措置をとっていただきたいと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 委員長にお願いしますが、これはきわめて重大な問題であると思いますので、外務省、防衛庁の政府委員の出席を要求したいと思います。いま早急ということは間に合わないと思いますので、本会議終了後でもけっこうだと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 それでは、本会議終了後、先ほどのお話し合いにより、法案の扱い、附帯決議の問題等を含めまして、この問題の扱いについて理事会で協議することにしたいと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私も関連して。いまの委員長の取り計らいでけっこうでございます。私もいま近江君のほうから話があったように、原子力局長のほうからきのうからずっと準用するということをおっしゃっておるから、準用するということなら、ちょうど国内法がいま改正になる、この改正は大体一億ドルを限度として相手国がその損害を持つ、そしてそれ以上越した分については日本の政府が持つ、こういうように了解しておったのですけれども、それなら準用ということばが全部消えてしまうわけなんです。それで近江委員のほうから質問があったわけですし、私もきのうからずっとそれを疑問に思っておったわけなんです。だから、原子力委員長並びに科学技術庁長官それから原子力局長、シビリアンコントロールはここで発揮するときじゃないかということをきのう言ったわけです。中曽根さんのほうから逆にウラン濃縮についてはああいう越権のさたがあったわけですよ。原子力局長、原子力委員長それから科学技術庁長官の権限を越えて、アメリカに行ってあんなかって気ままなことをやった。だから、今度はあなた方が、原子力潜水艦がかって気ままに入ってきておるのですから、こういうものをうしろからたれ流したものの放射能だけを追いかけておらんと、根本的な問題に口ばしを入れてくれということを頼んだ。それを準用ということでこの場を湖塗してもらっては困る。だから防衛庁からも来てもらい、外務省からも来てもらってこの問題をはっきりしておかぬと、こんなところから日本が軍事的な従属を強いられてしまうことになる。独立国としての面目がなくなってしまう。私はそれを非常に残念に思うので、科学の自主性と平和性というものをこの際はっきりしてくれということを言っておるわけです。それに対する答えとは私は思えなかったので、各委員からいまそのような追及があったと思うので、ぜひそういう立場でやってもらいたいと思います。これは委員長のお取り計らいに対しまして賛意を表します。と同時に、そういう希望をつけておきたいと思います。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 ただいま私が準用と申し上げましたのは、実は日本の船と同じように無限責任を準用されるという意味で申し上げましたので、ぜひこれから先で検討させていただきたいと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私はいまお二人の委員の方が言われましたように、国会において日本の国益の問題が論議されるということは非常に大事なことで、しかもまさに植民地性、従属性に対する態度というものは明確にしておかなければならぬと私は思うのです。  ちょっと問題が違いますけれども、実は太平洋沿岸にリマ海域という米軍の第七艦隊の実弾射撃場があるのですが、これは日米安保条約によって今日まですでに二十年間使用されておるのです。ここは日本の太平洋沿岸の漁民にとりまして一番の漁場なんです。カツオ、マグロの一番とれるところなんです。黒潮の起点でもあります。これを奪われた損害額というのが、出漁できないものですから、非常に小さく見積もってもすでに二十億をこしておるだろうといわれておるのです。しかしそれに対する米軍の補償というものは全くありません。防衛施設庁が肩がわりをして今日まで出てきた損害賠償額というのは、ほんとうにスズメの涙の程度です。たしか第一回分は六千万円くらい実は日本政府が出しておるわけです。ですから米軍は何らこれに関与してこない、そういう問題も起こっておるのでありまして、そういう意味でこの問題はさらに明確にする必要があると思いますので、この質問はいまのところとどめておきます。  いままでお聞きしました点で、安全性の問題とかあるいは、従業員の排除の問題とか、補償措置額の問題とかいうようなことに関連しまして、私はちょっと科学技術の基本的な問題について伺っておきたいのです。  特にお伺いしたいのは、昨年の八月二十五日に佐藤総理から科学技術会議に対して諮問が行なわれております。科学技術会議の議長は佐藤総理みずからでありますけれども、その諮問の中身は、一九七〇年代における総合的な科学技術政策の基本についてというものであります。これは非常に重大な問題でありまして、一九七〇年代の科学技術の進むべき方向を明らかにせよという諮問だと思うのでありますが、これについて現在どのような手続を踏んで検討がなされておるか、またいつ諮問に対する答申が行なわれるのか、その点を伺っておきたいと思います。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 先生のお話にございましたような内容の諮問を受けまして、ただいま科学技術会議の部会において検討を進めておるわけでございます。詳細は政府委員のほうから答弁させますが、おそらくは四月一ぱいくらいで結論を得る段階ではないかと考えております。具体的にはひとつ局長のほうから答弁させます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 部会は何回くらい持ったか、ちょっと教えてください。

楢林愛朗科学技術庁計画局長

○楢林政府委員 お答えいたします。  昨年八月諮問を受けましてから審議を重ねておりまして、いま御質問の部会は八回開催いたしております。なおその間小委員会を九回開催しておりまして、小委員会でまとめましたものをその部会にあげまして、部会でまだいま精力的に検討をやっていただいておるというのが実情であります。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 お聞きするところによりますと、すでに第一部会におきまして答申の草案といいますかそういうものが出されておるように聞きますし、私もここには持ってきておりませんが、実は読ませていただいたのでありますけれども、ただこの中で第一部会の構成メンバーを見ましたときに非常に疑問を感ずるわけです。第一部会のメンバーは二十五名でありますけれども、そのうち十名が日本のまさに独占企業の代弁者、社長さんであるわけです。こういう形で部会が構成されまして、それが七〇年代における日本の科学技術の振興の方向について答申を出すということ、これがはたして正しいかどうか、こういう点です。

楢林愛朗科学技術庁計画局長

○楢林政府委員 この諮問に関しましては基本方策でございますので、科学技術会議といたしましては十分関係各界の御意見を拝聴するという考え方でメンバーを構成しております。なおただいま申しました第一部会は二十五名で構成されております。その中には科学技術会議の委員六名も含まれておりますけれども、そのほか専門委員に十九名の方をお願いし、いま申し上げましたように学識経験者を含めて各界から来ていただいて、この諮問について御審議願っておるというかっこうになっております。  なおこの間そのメンバーのほかにも、学者といたしましても六人の学術に詳しい諸先生方にも御参加を願っておるわけでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この七〇年代の科学技術の方向につきまして、六〇年代の科学技術というものが日本の国内においてどういうものをもたらしたかという、まさに深刻な反省の上に立って行なわれなければならないものだと私は思うのです、公害あるいは労働災害その他ですね。そういう問題がありながら、依然として、今日までいわれてきた高度経済成長政策に伴うそういう企業ベースの中で科学技術というものが論議をされるということになってきますと、この答申というものは、考えてみればもう結論は大体わかっておるというふうなことさえ考えられるわけです。学者の方が確かに入っておられますけれども、しかし大学関係者あるいは社会、人文科学者の方はほとんど入っておりません。だから諮問の内容は、「わが国の科学技術の現状をみると、その振興が強く要請されているにもかかわらず、生活環境の改善、国民福祉の向上などの社会開発分野においては、十分要請にこたえているとは言い難い。」というこの観点から諮問がなされているわけですから、そうしますと、生活環境の改善、国民福祉の向上などというものを考えました場合に、当然この部会の中には、人文科学あるいは社会科学というような学者の先生方が入りまして検討するのが正しいのではないかと私は思うのです。そういう部面を排除しておるのかどうかわかりませんけれども、ほとんどそういう人は入っていない。こういう形で、しかも二十五名の部会の中で十名が大企業の社長さんたちであるという、そういう構成を考えましたときに、疑問を抱かざるを得ないわけですね。もう一度その点についてお答えをいただきたいのです。  それからもう一つ、第一回の答申が行なわれたのは、十年前でありますけれども、このときには諮問がありましてから答申が出るまで二年間を要しております。その間に欧米の視察も行なわれている。そういう形で、問題はありながらかなり緻密な審議過程というものがありまして、そして答申が決定をされておるのでありますけれども、いまお聞きしますと、昨年の八月二十五日に総理大臣からの諮問がありまして四月ということになりますと、わずかに七、八カ月ですか、その間で一九七〇年代の日本の科学技術の振興問題を論議し答申をするというのは、まさに粗製乱造といいますか、非常に拙速な内容を持っておるのではないかと思うのですが、その点についても、ほんとうに慎重な審議が、六〇年代、十年間の反省の上に立って行なわれておるのかどうか、そのことを伺っておきたいのです。

楢林愛朗科学技術庁計画局長

○楢林政府委員 いま先生の言われました諮問第一号でございますが、こういう審議した経過がございますので、それをもとにいたしまして、七〇年代の方策を検討するにあたりましては、第一の諮問を中心にして、今後の七〇年代についてどう考えていくべきかということについて、第一部会は熱心に御審議をしていただいていると私たちは見ております。  なお、先ほどちょっと私、部会の数で八回とお答えいたしましたが、実質的には、その期間をちょっと補足いたしますと、昭和四十五年、昨年でございますけれども、三月三十一日以降五回やっておりまして、それを八回と申し上げたわけでございます。なお、慎重審議するために第一部会ではさらに小委員会を設け、小委員会で鋭意審議をしていただいておりまして、先ほど申し上げました九月以降に九回の審議を行なったわけでございます。その間、さらに小委員会でもいろいろな分野の問題につきましてパネル委員会なども開催いたしまして、第三パネルまで置いたのでございますが、それについてはおのおのが五、六回審議を行なった。私どもから科学技術会議の審議状況を見ますと、この問題の重要性から各委員の方々は熱心に御審議を願っているというふうに考えております。  なお七〇年代の政策につきまして、私どもが拝聴しておりますと、部会の先生方におきましては、やはり六〇年代と七〇年代、特に先ほど先生も御指摘になりました環境の問題あるいは先ほど大臣からもお答えいたしましたが、私どもの諮問の理由にも人間の福祉の問題、そういう点を十分考慮しながらその点は審議をしておられるというふうに私は考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 アメリカにおきましても、ニクソン大統領に対するいわゆるタスクフォースの勧告がなされております。これは私どもから見まするならば、アメリカの大資本本位、軍事研究を柱とする科学技術の政策については批判を持っておりますけれども、しかしその中でも、その勧告を読みますと、まず一つは基礎研究の重要性が非常に強調されておる。それから二番目は社会問題、都市問題、環境問題を三つの大きな問題として勧告をいたしておるわけでございます。そういう点から見ましても、確かに佐藤内閣総理大臣の諮問の中にも生活環境の改善、国民福祉の向上という問題があるわけですから、こういう問題にのっとったいわゆる人文社会の立場から、一九七〇年代の科学技術の進展ということが考えられなければならぬという、これは明確なところだと思いますので、この点について十分な慎重な態度をとっていただく必要があるのではないかというふうに考えるわけです。  それからさらに、昨年の正月から三十四回にわたって毎日新聞に連載されました「現代学問論」というのがあるわけです。これは本になっておりますけれども、これは湯川秀樹、武谷三男、坂田昌一、なくなったわけですが、三名の原子物理学者によるところの現代の科学についての論議がなされているわけです。その中から見ましても、非常に傾聴すべき問題が含まれていると私は思うのです。現代科学をどう考えるかという問題から出されおるわけですね。これは時間がありませんから省略をしますけれども、いわば日本の代表的な科学者の間からそういう意見が出ておるということ、これは長官もぜひ読んでいただきまして研究をしていただきたいと思うのです。  最後に、こういう日本の科学技術の方向を決定するにあたって、もう少し方法があるのではないかということなんです。それは一つは、日本学術会議というものをなぜ、使うといえばおかしいですけれども、日本学術会議に対してなぜ諮問をしないかという問題です。第一回の科学技術会議の答申、これは池田総理の時代でありますけれども、「十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策について」という諮問に対する答申が行なわれたわけですけれども、その際に日本学術会議は幾つかの勧告をいたしております。たとえば、科学の研究は世界平和の確立、人類福祉の増進、文化の向上のためになすべきものであるということ。第二点は、科学の研究はその全地域にわたって推進さるべきものであって、必要に応じ、特定の分野の研究を特に推進する場合においても、他の分野の貧困化を行なってはならないこと。第三点は、科学の研究の成果は、原則として公開すべきものであること。  第四点は、科学の研究については研究者の意思が尊重され、また反映されなければならない、というような幾つかの問題が提起されておるわけでありますけれども、こういう日本学術会議の勧告というものをこの十年間にもし尊重してきておったならば、今日のような問題は起こらなかったのではないかというふうに考えるわけです。そういう面から見ましても、まさに七〇年代の科学技術についての答申が出されようとしておる今日、なぜ日本学術会議に諮問しないのか。日本学術会議の設置及び目的にははっきり、日本学術会議というのは内外に対して日本の科学を代表するものであるということが書かれております。また学術会議には研究連絡会として三百の研究機関が連絡を持っておるわけです。したがって、科学技術を論ずる上に最もふさわしい諮問すべき機関が日本学術会議ではないかと思うのでありますけれども、なぜここに、このようなまさにゆゆしい重大な問題を諮問しないのかという点について伺っておきたいのです。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 七〇年代の総合的な科学技術政策の基本につきまして、科学技術会議に総理から諮問が出されておりまして、先ほど来御答弁申し上げておりまするように、それぞれの部会等におきまして、あるいは小委員会等を設けまして、鋭意この七〇年代の科学政策にふさわしい内容を持った答申の検討が続けられておるわけでございます。まだ詳細に内容を申し上げる段階ではございませんけれども、先生、御指摘になりましたような自然環境と人間活動の調和の問題あるいは経済の国際化に対処するところの新しい情勢に対応するところの内容等が十分に検討されておることと存じます。  そこで、なぜ学術会議に諮問しないかということでございますが、決して学術会議を軽視しておるわけではございませんが、科学技術政策につきましては、科学技術会議が存在しておりまするので、これに諮問することが適当であろうと考えるわけでございますし、また学術会議からも会長をはじめ科学技術会議に委員としても出ておられまするし、十分学術会議の意見というものは反映する仕組みになっておるわけでございます。また学術会議の諮問は、すでに先生御承知のとおり、学術会議の何条でしたか、諮問事項もちゃんと列記されておりまして、十分学術会議というものをその面におきまして、あるいは諮問あるいはまた勧告というような形におきまして活用されているわけでございますが、決して学術会議を軽視するということではなくて、科学政策は科学技術会議に諮問することが最も妥当である、こういう見地からなされておるものと考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 最後に、答申はこれは尊重しなければならないという設置法第二条があるわけですから、科学技術の今後の問題についてまさにゆゆしい決定、答申であると私は考えるわけですね。しかも、原子力の問題にしましても、長官もしばしば言われておりますように、実験の段階からまさに実用段階に入ってくるということを考えますと、全く広範な影響を社会生活に与えるものでありますから、そういう意味でこれは十分そういう科学者の意見を聞くべきであるということですね。確かに科学技術会議には江上先生をはじめとして日本学術会議の方が入っておるわけです。入っておりますけれども、しかしそれは機関として諮問されておるわけではない、個人として入っておるわけですからね。日本学術会議の意見としてはこの諮問に対する効力というものはないわけです。だから、今後一九七〇年代の日本の科学技術の真の発展のためにそういう機関の意見も十分聴取していくことが必要であると私は考えますので、そのことを要請しまして、質問を終わります。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 十分御意見を尊重してまいりたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ————◇—————    午後三時三十一分開議

渡部一郎公明党

○渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。

近江巳記夫公明党

○近江委員 このきょうの委員会におきまして、この賠償に関しまして、特に今回の賠償法というのは、陸上における原子力施設並びに原子力商船等についての賠償ということであります。しかしながら現状は、世界にはいまアメリカ、西ドイツ、ソ連と三隻しかありませんし、いま日本の原子力商船がここ数年後に誕生する。ごく限られた船しかないわけであります。ところが現実にわが国の場合、アメリカの原潜なりあるいは空母なり、そうした原子力艦艇が入港してきておる。そうなってきますと、非常にそういう事故ということが考えられるわけでございまして、そうしますと、米軍の原子力艦艇による事故が起きた場合の被害ということが非常に心配になってくるわけであります。ところが本法案におきましては、何らそれについては触れておらない。この点が非常に問題になっておるわけでございますが、本会議等もございまして、暫時休憩ということで、その間政府当局といたしましても、関係各省いろいろと連絡をとられたことと思います。そういうことで外務省なり防衛庁なりもお見えになっておると思いますので、その件につきまして、米原子力艦による災害が起きた場合の賠償、補償というものをどのようにしてもらえるのか、それについてお聞きしたいと思います。防衛庁なり外務省あるいは一応科学技術庁も、関係のところは全部答えてください。

宮川渉外務省アメリカ局安全保障課長

○宮川説明員 先ほど科学技術庁のほうから御連絡がございまして、午前中の御審議伺っておりませんでございましたが、私の了解いたしますところでは、いま御審議になっております法案の関係で、米国の原子力艦艇が入ってきて損害が起きた場合にどういうことになるか、それに対しまして地位協定の十八条五項で処理される、こういう御答弁があったと了解しております。それで十八条の五項の(a)では、かかる損害につきましては、「日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」となってございます。それでこれを受けまして、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、いわゆる地位協定の実施に伴う民事特別法には、かかる米軍による損害は国が損害を与えた場合の例によってわが国が損害賠償責任を負う、こういうふうになってございます。したがいまして、御質問のような原子力損害の場合にも、これはあたかも自衛隊が損害を与えた場合と同じように処理されるというふうに考えます。そこで現在の原子力災害の関係は、原子力災害の賠償法が自衛隊を特に適用除外しておりませんので、そういう意味におきまして、同法は米軍による原子力災害にも適用される、こういうふうに考えます。同時にこの趣旨は昭和三十九年にかわしましたエードメモワールでも同様に述べているところでございます。

来栖大児郎防衛施設庁総務部施設調査官

○来栖説明員 お答えいたします。  ただいま外務省からお答えになりましたように、地位協定の十八条の五項及び民事特別法に基づきまして、国が賠償の責めに任ずるわけでございます。

梅澤邦臣科学技術庁原子力局長

○梅澤政府委員 私、この関係専門ではございませんが、いま政府のほうから答弁したとおりだと存じます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 自衛隊の与えたものと同じ処理をする、こうおっしゃっているわけですが、自衛隊には原子力施設も原子力艦も何もないわけですよ。そうでしょう。ところが自衛隊にないもので、米軍の原潜なりあるいは米空母なりが入港してきているわけですよ。自衛隊にないものと同じ扱いだということをおっしゃっているわけですが、自衛隊にそれはないんじゃないですか。それははっきりとうたっているのですか。

宮川渉外務省アメリカ局安全保障課長

○宮川説明員 ただいま御指摘の点は、原子力損害賠償法に関しての御質問と存じますけれども、先ほども申し上げましたように、地位協定のほうの十八条五項の考え方というのは、米軍が損害を与えた場合には、国があたかも損害を与えたかのごとくにして処理する、国が賠償の責めに任ずる、こういうことになっておりまして、原子力災害のほうに関しましては、先ほど申し上げましたように自衛隊の船舶というものを適用除外していない。確かにおっしゃいますように、いま自衛隊は持っておられませんし、そういうものはないわけでございますけれども、もともとこの規定は米軍が与えた損害をあたかも国が与えたとみなしてと申しますか、そうして取り扱う、こういうことになっております。でありますから、これはアメリカに対する請求をする場合にどういう考え方で請求するか、こういうことになっておりますので、観念的にはこれが自衛隊のものであった場合というふうに考えて処理をする、そういうことでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この原子力災害、原子力事故というものは、想定される事故の中では最大なものであるがゆえにこういうような賠償法なるものができているわけですよ。またそういうわけで、たとえば原子力船が入港した場合にはそこで各国が締結をするわけですよ。そのくらいこれは特殊な問題なんです。一ぱからげの事故や災害、そんなものと違うわけですよ。アメリカがこのように事故を起こしておって、日本政府がまるきりそれをかぶってやらなければならない。なぜそこまで従属しなければならぬのですか。これは日本国民として承知できませんよ。どうですか、その点は。

宮川渉外務省アメリカ局安全保障課長

○宮川説明員 ただいま先生全部日本がかぶるとおっしゃいましたが、実際の仕組みはいわば一たん政府が立てかえしまして、そのあとでアメリカに請求する、こういうかっこうになっておりますので、全部日本が負うということではございません。

近江巳記夫公明党

○近江委員 アメリカに請求するとおっしゃっておりますけれども、何の基準もなしに払ってもらいたいと、そういう国際的な取りきめということはそんないいかげんなものなんですか。私もあまり防衛問題は専門ではありませんけれども、何%とかいうようなパーセントとかそういうことがあるのでしょうか。どうなっているのですか。

来栖大児郎防衛施設庁総務部施設調査官

○来栖説明員 お答えいたします。  地位協定の十八条五項(e)号の(i)にございますが、日本政府が立てかえ払いをいたしまして、その七五%を米側から償還せしめるわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 七五%ということをおっしゃるわけですけれども、特にこの原子力災害の場合は、これはもうちょっと違うケースなんですよ。普通の事故とは違うわけです。ですから、当然これは私は特別の取り扱いをして、この賠償法と同じように全額向こうが持つ、こういうようにやっていかなければ、これじゃあまりにも日本の立場というものは私はおかしいと思うのですね。そのための原子力賠償法なんですよ。一番危険性が大きいわけです。特に軍事力、そういう艦艇などは戦闘行動ということに最重点を置いているわけです。安全性とかそういうものについては、原子力商船なんかよりは低いわけですよ。逆に言えば、われわれは原子力商船より以上に非常に危険を受けるわけです。そういう危険を大きくはらんでおるという中で、特にこの原子力災害の場合はこれは非常にたいへんだということで、そのように他国へ入港してもお互いに協定を結んで、その船を持っておる政府が全額を払う、こういう協定になっているわけです、今回のこの法律は。それと同じように原子力艦艇の場合もこの法律をそのまま適用する、それでなければぼくはいかぬと思うのです。それについて政府はアメリカと交渉しましたか。どうなんですか。もしも交渉しないとしたら、私はあまりにも軽く考え過ぎておると思うのです。この法律を科学技術庁だけが単独で出しておるような状態であってはならぬと思うのです。その点、どうなんですか。

宮川渉外務省アメリカ局安全保障課長

○宮川説明員 ただいま先生おっしゃいました原子力船の場合というのは、実は私そちらの担当でございませんので、詳しいことは存じませんが、原子力船の場合には今度の賠償法の改正法でございますかで例外を設けておられる、こういうことでございましょうか。実はその例外をなぜそれについて設けたかについては、私ちょっと申しわけございませんが、よく存じないのでございます。それでございますから、その例外を除きまして、これは原子力災害でございますから、普通の一般の事故とかこういうこととは違うと了解しております。ですからその中で、原子力商船でございますか、これを除外されたという点の理由と申しますのは、先ほど申しますように私ちょっと存じませんので、これは科学技術庁のほうから御説明いただきたいと思います。それ以外はやはり原子力災害法で除外例がございませんので、当然そのまま適用になる、一般船と区別しないということになっておるのじゃないかと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 私の言うておるのとまるきり正反対のことをおっしゃっておるわけです。要するに普通の爆発、たとえば爆弾が爆発してそこで被害を受けたとかそんなものとこの原子力施設の事故というものは違うわけですよ。違うがゆえに、特別にこういう原子力商船がアメリカならアメリカに入港した場合にはこれだけの補償をしますよということをお互いに各国が協定を結んで、特別災害としてやっておるわけですよ。ましてや、原子力商船は安全ということを第一に置いて設計されておるわけです。ところが、作戦行動に当たる艦艇というものはあくまで軍事力ということを中心に置いて、安全性ということはもちろん考えてはおりますけれども、原子力商船等に比べると危険性というものはまだまだ多いわけです。なおさら、そういう点から特別に設けられたこの賠償法をそのまま適用すべきじゃないか。一般の地位協定にある負担がアメリカに七五持ってもらいますからもういい、そんなものじゃないというのです。日本はこれは持つ必要はないというのです。これは特殊な場合なんです。ですから、なぜこの賠償法を特別に米原子力艦のそれに適用しなかったのか。それだけ日本国民に不安を与えておりながら、何のそういう打ち合わせもない。何もやってないというのはけしからぬですよ。防衛施設庁どうですか、この点よく打ち合わせしましたか。

宮川渉外務省アメリカ局安全保障課長

○宮川説明員 原子力のほうの災害について普通の場合の災害と区別しなければいかぬというのが先生の御趣旨の一点かと思います。その点は、でございますから適用になるのが原子力災害法でございます。したがいまして、災害法のほうで特別に扱っておる、こういうことでないかと思います。それから今度は地位協定の関係で、アメリカとの関係ではこれはやはり……(発言する者あり)御質問の趣旨は原子力災害と、こういうことでなかったかと思うのでございますが……(発言する者あり)

近江巳記夫公明党

○近江委員 一応バトンを渡します。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 では次に、三木喜夫君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 外務省と防衛庁にお聞きしますが、いまの近江君の話をいたしましたのは、結局原子力災害というのは非常に大きいのですね。そして一億ドルまでは相手国が持つわけなんですね。それから上へ出た分は日本の政府が持つ、こういうことになるのですね。そうすると、今度自衛隊の行動したところから起こった災害というもの、これは二五%日本が持つのでしょう。そうすると、原子力船でも原子力潜水艦でも、災害を起こした場合にはどこまでを天井にするかということもここには書いてないわけです。あなたのいまの答弁では、結局十八条五項の(a)「請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、」こうなっておるのですが、自衛隊の一体どういう法律がこれにあるのですか。「自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って」——どんな日本国の法令があるのです。いまの法令と違いますね。いまわれわれが審議している法令ではないのです。どういう自衛隊の法令があるのですか。それをひとつ明らかにしてもらいたい。

来栖大児郎防衛施設庁総務部施設調査官

○来栖説明員 お答えいたします。  十八条の五項の(a)から出まして、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そうすると、民特法のどこによるのです。それを明らかにしてください。この法律と完全に食い違いますよ。民特法を出してみてください。

来栖大児郎防衛施設庁総務部施設調査官

○来栖説明員 第一条でございます。「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基き日本国内にあるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍の構成員又は被用者が、その職務を行うについて日本国内において違法に他人に損害を加えたときは、国の公務員又は被用者がその職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合の例により、国がその損害を賠償する責に任ずる。」。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それは全然違っていますね。これの損害額の算定のしかたも違ってくるし、この法律を準用するのだということをいま外務省は言いましたね。しかし、それについては算定のしかたが全然違うのですよ。  それからもう一つ、近江君ではありませんけれども、近江君も言っていましたけれども、災害の起こるのは、自衛隊が原子力潜水艦を持っておったことになぞらえて、それに補償するのと同じようにするということになっておるわけですね。ところが、自衛隊に原子力潜水艦はないわけです。どこにものさしを当てるのですか。ものもなければ、それからその補償するところの額も違うし、もう一つ問題は、今度審議しておるのは無過失の責任賠償、これがこれには課せられておるのですよ。いまあなたが読んだのには違法の災害、事故、損害、こういうようにあなたは言われましたけれども、そこも食い違っておるでしょう。一体どれに寸法を合わせるのですか。だから、私たちの申し上げておるのは、こういう法律をやるときには、日本が現実原子力潜水艦の寄港があって、そこから爆発するかもしれぬという危険をわれわれは感じておる。そしてその災害は非常に大型化し、広範化しておる関係上、この自衛隊の問題と一緒にして原子力潜水艦というものを見るのは間違いじゃないか。だから、防衛庁と外務省とそれから科学技術庁とが事前にこれを打ち合わせしておったかということを聞きたいのです。いま承りますと、全然ちぐはぐです。中身も違っております。こういうことで、一体住民の災害というものあるいは不慮の事故というものに対処する政府の姿勢ですか。無原則に入れておるとは私たちは言いません。地位の協定がありますからアメリカの原子力艦が入ったかと思いますけれども、それに対してシビリアンコントロール、外務省なりあるいは科学技術庁が十分法律の上で住民災害をカバーするという考え方がなかったら、こういう法律の審議はできないですよ。だから、きょう来ていただいたわけであります。とにかく、端的に申し上げますと、この法律の寸法を原子力潜水艦に当てはめようとしても、寸法が合わないのです。全然合わないのです。原子力局長は準用するということを午前中申しましたけれども、準用できないのです。それであなた方に来ていただいた。  外務省にひとつお聞きいたします。  外務省はこの種の法律は——二国間条約あるいは多国間条約の中で、ブラッセル条約というのがあるのです。このブラッセル条約は、本法と同じように災害の限度を一億ドル、こう考えておるのです。その中には軍艦も入るとしておるわけです。だから、ブラッセル条約の中に日本が包含されるなら、いま言うような問題もみな解決するわけです。なぜそれに入らないのですか。この前の本法の附帯決議には、ブラッセル条約等、国際条約に入ることについては検討するということが書いてある。  これは科学技術庁長官にもお伺いしたいのですけれども、そういう検討したいままでの実績はありますか。  これは外務省にお伺いいたします。なぜ入らないかということを、外務省、ひとつ答えてください。

宮川渉外務省アメリカ局安全保障課長

○宮川説明員 実はこちらへ呼ばれましたのは、私、地位協定の解釈の関係でということで参ったわけでございますけれども、ブラッセル条約のほう、まことに申しわけございませんが、私、扱っておりませんので、ここでいまはっきりした御返事をできないのは申しわけございません。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 けっこうです。だから、ブラッセル条約になぜ加盟できないか。加盟するということなら、一発です。それに加盟すれば一発回答が出るわけです。問題ないのです。できないという解釈、これをあとへ残しますから、ひとつ外務省のほうからしかるべき人が来て御答弁いただきたい。  それから原子力潜水艦が事故を起こした場合、本法を準用するということをあなたも言っておりますけれども、アメリカとの取りきめの中において、日本がそれについて責任を持つ、その寸法は本法である、こう言っておりますけれども、本法は二つしか規制していませんよ。陸上の原子炉、海上を動き回るところの、今度できるであろう「むつ」号の原子炉、これの事故、この二つしかうたっていませんよ。自衛隊やあるいは潜水艦にそれをおっかぶせるなら、そこにもうたうべきはずですよ。そういうところに大きなロスをつくっておきながら、この本法の審議は、これを通すということは、われわれは非常に難色を示すものです。非常にむずかしいと思う。これを政府としては十分調整して、そして審議を国会に仰ぐ、審議を求める、こういうようにわれわれはしていただきたいと思います。  田中さんのほうから関連がありますから……。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 関連してお伺いしますが、さっきの答弁は全然違うんですよ。先ほど地位協定十八条五項(a)号、これに基づいて民特法の一条をもって答弁をなされたわけです。民特法一条はこういう原子力に基づく災害をいっているんじゃないですよ。これは合衆国のいわゆる軍人が違法に損害を与えた場合云々なんです。国内にある施設云々と、要件が違うんです。先ほど三木委員も指摘しましたが、そういうことでできるのならば、あに本法のごとき特別な賠償を必要としないわけなんです。通常の損害ではない。そこに本法のような特別な立法が必要であるということです。しかもこれは、先ほど話がありましたが、無過失賠償責任制をとっておる。同時に集中的責任制をとっておるわけなんですね。そういう点からいって、この民特法は全然範疇が違うんですよ。範疇が違うものをもってお答えになっても答えにはなりません。したがって、いま提起せられておるこの問題につきましては、日本国国内法において云々というが、日本国国内法はないわけです。したがってこの法律の中に一項起こして、そういうような場合にどうするのかを書き入れるか、でなければ別な立法でもしない限り、国内法に基づいてというが国内法はないんですよ。そうじゃないですか。民特法は全然違います。範疇が違います。

大出俊日本社会党

○大出委員 ちょっと関連して。これ、ちょっと経過があるので私のほうから申し上げます。さっき御答弁いただいたままになっておりますので、これは公けの委員会でございますから、あとで問題が残ります。したがって、時の経過を私のほうで申し上げますので、もし違っていれば先ほどの御答弁は改めていただきたい。でなければ御相談をいただいて、あらためてひとつ本席で御答弁をいただいておきたいわけです。  なぜかと申しますと、実は原子力船ができることになりまして、この関係法律を私の所属しております内閣委員会で審議をいたしました。このときにあわせて賠償法の問題を論議してきました。いまその改正が出てきておる。それまでは法律がなかったわけです。ましてそれが今度は横浜の埋め立て地に定係港をつくるという問題がございまして、科学技術特別委員会に私、出てまいりまして、実は長い質問をいたしました。そこでも念を押しておりますから、それらの議事録の経過等がございます。  さらにもう一つ、先ほどエードメモワールの話が出ましたが、これは三十九年だと思いましたが、原子力潜水艦の日本寄港にあたりまして、当時科学技術庁の長官は、いまの外務大臣の愛知揆一さんです。前段の質問は、いまの社会党書記長の石橋さんがおやりになって、後段は私が愛知さんに安全性の問題をめぐって三時間近い質問をいたしておりますが、この中で原子力潜水艦に基づく事故に対する賠償責任、この問題を長い論議をいたしました。その経過がまずございます。  それからもう二つ。一つは、先ほどお話になりました地位協定の十八条、これはこの協定ができるときの国会論議はありません。ありませんから、その意味での有権解釈はない。しかし、以後何回かこれは論議をされたところでありまして、この十八条の解釈と申しますものは、いまお話がございましたように、ここが問題点でありますが、こっちから申し上げますが、つまり五項に基づく請求権、この請求権に基づいて、先ほどお話がございました「日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」という項目が確かにここにございます。だから、自衛隊の問題がからんでくることは事実なんですが、実は自衛隊の場合は、自衛隊法に基づくあるいは関係法令あるいは訓令、自衛隊の場合は訓令でございますが、防衛庁長官の命令でございますが、それらに損失補償はないのであります。ないから、特損法を準用してきた、これがいままでの経過です。  特損法と申しますのは、アメリカの軍隊に基づく特別の損害補償、ちょっと申し上げますと、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律、これしかない。  そこで、この特別損失補償に関する法律は特損法と俗にいいますが、この第一条をごらんになるとわかりますけれども、海上あるいは農林関係、商工その他の関係は除外をいたしまして、つまり合衆国軍隊が動き回るところを想定しているわけであります。たとえば、防潜網などという網を水中に沈める、そうすると魚がとれなくなる、あるいはそこを航行する船舶が大きく回り道をする、そういう場合に請求権を生ずる、こういうのが特損法の性格であります。あるいは農林漁業に従事する中で、農耕等をやっている場合、たとえば厚木の飛行場、爆音が激しいですから、ついからだをこごめる。こごめると農耕がスローテンポになるという意味の補償というものが中心になっておりましてそのほかが入っていないから、ずいぶんこれは論議を呼んだところであります。しかしこれしかない。ないから、自衛隊の場合もあとからできたわけでありますから、朝鮮戦争以後できたのですから、そういう意味でこの法律を準用していた。そこで、しかたがないので、実は三十九年、四十年ですか、松野頼三さんが防衛庁長官のときに、防衛施設周辺安定法という法律案が、神奈川県の知事のところから——この根拠は、厚木周辺にある爆音反対期成同盟が立案したものです。これを神奈川県知事が紹介知事ということで先に立って政府に陳情をしてこれを法律制定してくれということで出した。それを取り上げて政府が、実はいままで自衛隊に関する十八条はあるんだけれども、特別損害の補償という形の法律がない。ないから特損法準用じゃおかしいというので、実は自衛隊が与えた損害に対する補償を中心にした法律をつくろう、こういう考えが初めからあったのとかみ合ったわけです。かみ合って、防衛施設周辺整備法という名前をつけて、その九条に——本末転倒なんでありますが、九条に、自衛隊の行なった行動、行為に対する損害補償の条項を一項入れさせてもらいたいということで、これは内閣委員会に法案が出されました。ですから正式名称は、防衛施設周辺の整備等に関する法律、こういうことになったわけであります。これは実は私も三日にわたりまして、時の松野頼三長官、財満防衛施設庁施設部長を相手にいたしまして、三日質問をいたしまして、防衛庁、こんな教科書式な、議事録を収録した本が出されておりますが、何しろこの法律は、政令がこの中に十三ある。だから政令も全部書いてもらって出してもらって論議をしたのですから、間違いないのです。  これはどういうことになっておるかといいますと、この九条は特損法の準用なんです。中身は海上、農林関係というところにしぼって防衛施設周辺の整備法というものはできている。したがいまして、自衛隊関係の損害補償の法律というものはこれしかないのです。民特法というのは刑特法と双壁でありますけれども、民事特別法でございまして、民事の分野でありますから明らかに違う。個人が法律を犯している、あるいは違法行為であったということでなければならぬ。ですから、これは全然別であります。だから、そういうことになると適用法規がない。  そこで、原子力潜水艦の入港にあたりまして大きな論争になりましたが、アメリカの国内法に従う以外にないのだというのが当時の愛知科学技術庁長官の答弁でございました。そうすると、アメリカの国内法というのは一体何かというと、限定責任か無限定責任かという大きな問題が実はある。おそらくそれ以降何年かたちましたから、アメリカの国内法の限定といわれる五十億なら五十億円というものは上がっているかもしれない。しれないけれども、当時は限定責任であった。なぜならば、アメリカは原子力潜水艦をつくるにあたって、国防、国家の安全保障という目的でつくるのだからということで、アメリカの国内法は限定責任制をとった。だから、東京湾に入ってきた、あるいは横須賀に入ってきた原子力潜水艦が事故を起こして、東京湾が向こう十カ年使えない、そういうことになった場合に、五十億なら五十億という金で、限定責任で一体責任が負い得るかという問題が出てくる。この問題について時の愛知さんの言い方は、エードメモワールの中に、日本国の意に反することはしないとなっているのだから、二国間の話し合いになる、その場合は。したがって無限定責任制ということはアメリカ側も了解をしております、こういう言い方で、私どもが責めた限定責任ではいれられぬということについて、そうではないのだということをつけ加えて決着がついているわけだ。そうすると、いまここになって、原子力潜水艦の問題はこの賠償法とどういう関係があるのだというのだといわれたときに、あなたのほうがどうも話にもならぬ十八条を持ち出した。読んでいただければわかるのだが、特損法というものを片っぽうに控えておって、自衛隊関係の法律とは何かといったら、防衛施設周辺整備法で、——なかったのだが、あらためて自衛隊の行為に対する特損法に類する損害補償を規定したのですから、範囲がきわめて狭い。このときも一般の中小工業その他を含む対人関係まで入れろというたいへんな論議をしたのだけれども、それまで特損法のほうを基準にしてきていましたから、したがってそのワクの中におさめたという事情がある。だからこっちへ持ってくるなんというのは全くもって本末転倒もはなはだしいわけであります。  先ほど来せっかく御答弁をいただいているのですけれども、もし間違いがあるとすればそこで私の発言を御訂正をいただきたいし、そうでないのだとすればあらためて御相談をいただいて明確にしていただきませんと、内閣委員会ならぬ内閣委員会、さきの二階堂さんが科学技術庁長官をやっていられるころのこの委員会で、サバンナ号の問題をめぐって答弁をしておられることと一々食い違ったのでは、これは同じ国会で言っていることが違っちゃうわけですから、そういう意味であらためて御相談、御検討いただいて、間違いは間違い、正当なものなら正当なものということで、あらためてひとつ御答弁をいただくようにしたほうが私は適切ではないかという気がするのでありますが。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 議事進行。どうやら答弁をせられるにしてもごらんのような状態であります。そこのひとつ休憩をしていただいて自後の取り扱いを理事会で相談していただきたいと思います。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後三時十三分休憩      ————◇—————    午後四時三十七分開議

渡部一郎公明党

○渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対する質疑をこれにて終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡部一郎公明党

○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

渡部一郎公明党

○渡部委員長 別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

渡部一郎公明党

○渡部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり何決いたしました。     —————————————

渡部一郎公明党

○渡部委員長 ただいま可決いたしました本案に対し、木野晴夫君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。木野晴夫君。

木野晴夫自由民主党

○木野委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、本附帯決議案の説明を申し上げたいと思います。  まず、案文を朗読いたします。     日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   日本原子力船開発事業団法の施行にあたり、政府は、次の事項に関し留意すべきである。  一、原子力船の開発、建造、利用はあくまで、原子力基本法にしたがい、平和目的に限られているのは勿論であるが、災害、公害の大型化している今日、事故等に対する充分の配慮をすること。  二、従来本法施行にあたり、契約、船価、利用目的等の変更があつたが、今後再度この様な不手際のないよう、造船技術並に関連技術を最高度に活用し、所期の目的を実現すること。 以上でございます。  委員各位の御賛同をお願いいたします。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議につきましては、別に発言の申し出もございませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

渡部一郎公明党

○渡部委員長 起立総員。よって、本動議は可決いたしました。  ただいま可決いたしました附帯決議に関して、西田国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西田国務大臣。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 ただいまの附帯決議に対しましては、その附帯決議に盛られました御趣旨を十分尊重いたしまして、政府といたしまして万遺憾ないよう意を用いてまいりたいと思います。     —————————————

渡部一郎公明党

○渡部委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡部一郎公明党

○渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

渡部一郎公明党

○渡部委員長 次回は、来たる十八日木曜日、午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十一分散会

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