科学技術振興対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1971/02/18
会議録
○渡部委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 科学技術振興の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木野晴夫君。
○木野委員 昨日、西田大臣から今国会における科学技術庁といたしましての所信の表明がございました。それにつきまして、私若干の質疑をいたしたいと思うのでございますが、まず長官は、科学技術の進歩というものは経済社会の発展の原動力である、それだけではなしに、快適な充実した国民生活をもたらすためには不可欠の要件である、こう言っておられるわけであります。そうして、激動する一九七〇年代において豊かな社会を創造するためには、それにこたえ得る科学技術の振興というものを何よりもはからなければならないし、それが当面する科学技術庁の使命である、こういうふうに言っておられるわけであります。続きまして、七つの柱を立てられまして、それぞれにつきまして強力に推進をするという趣旨の所信の表明があったわけでございます。また、それに続きまして官房長から本年度の予算につきましてそれぞれ裏づけとしての話があったわけでありますが、私も現在の情勢を見てまいりますと、わが国がここまで発展してきたという一つの要素に科学技術の振興というものが大きな役割りを果たしておったということを認めるわけであります。また、実はわが国がそういった経済の発展の裏に公害問題、そういった問題をかかえておりまして、これにまた取り組まなければならぬのでございますが、これに対しましても科学技術の果たす役割りというものは非常に大きいと思っておるのでございます。さらにまた、これから一九七〇年代を展望いたしていきまして、これからの政治課題を解決していくというときに、科学技術的なアプローチのしかたといいますか、またその振興といいますものが何よりも基盤になっておる。 こういった意味で、私もそういった点で考え方を一つにするのでございますが、そういった意味から見てまいりますと、一九七〇年代といいますものに対しまして科学技術の長期展望というものが何よりも大事であると思うわけであります。そういった意味で、一九七〇年代を見てまいりまして長期計画、またそれに対する長官の考え方、これにつきましてまずお伺いいたしたいと思うのであります。
○西田国務大臣 昨日、私が科学技術長官としての所信を申し述べたところでございますが、何と申しましても、わが国の将来をより豊かなより快適なものにしてまいりますためには、科学技術というものが不可欠であるという確信を私は持っておるわけであります。 そこでいまお尋ねは、七〇年代の科学技術政策はどういうふうにして立てていくのかということに焦点をしぼってお尋ねがあったように思うわけであります。 七〇年代に入りまして、私どもは昨日申し上げたような心がまえで対処しているわけでございますが、実は七〇年代の科学技術政策はいかにあるべきかということに対しまして、総理大臣から科学技術会議に対しまして諮問がございました。ただいま科学技術会議は鋭意この七〇年代の科学技術政策の基本につきまして検討を進めておるわけでございます。おそらくは私が昨日申し述べましたようなそういう方向でその結論が出るものと存じますが、三月あるいはおそくとも四月ごろにはその答申を得る。そしてその答申を基礎にいたしまして、七〇年代の科学技術政策を確立してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 また一面におきまして、科学技術庁みずからが世界で非常に珍しいといわれるような大がかりな技術予測というものをやっております。これは七〇年代に限らずもう少し先を見まして、二十一世紀に向かっていかにあるべきかというような立場からそのような技術予測もいま行なっておるところでございますが、まだその過程にございまするけれども、私どもはこれらに対しましても相当の期待を持っておるわけでございまして、このような両面から七〇年代の科学技術政策というものを、昨日申し述べましたような方向でひとつ確立をしていきたい、かように考えている次第でございます。
○木野委員 ただいま大臣から七〇年代の問題を見通して、そうして科学技術会議に諮問がある。いずれまたその答申も出るだろうという話でございますが、それではいつごろこの答申が出るか、そういった見通しをまず聞かしていただきたい。 それとともに実はこの問題を議論いたします場合に、科学技術の振興が大事であるということで、昭和四十三年に基本となるべき法案が出たわけでありますが、これは審議未了になっております。続きまして当委員会におきましてこの問題の重要性を取り上げまして、そうして基本となるべき政策につきましていかにあるべきかということであるいは振興法をつくったり、一応の案をつくって議論しているのでありますが、こういった点につきまして実は人文科学を入れるかどうかというようなことに問題がありまして、まだ結論は出ておらないのでありますが、私たちも検討していきたいと思っておりまするが、ただいま大臣の話がありました科学技術会議の答申がいつごろ出るのか、そういった問題並びにまた当面する大きな問題につきまして振興法的なそういったスケジュールをつくってこれに取り組んでいく必要があると思うのでありますが、こういった法案についての必要性、これについてどう考えておられるかまずお聞きしたいと思います。
○西田国務大臣 まず第一に、科学技術会議の答申がいつ出るかということでございますが、一応当初は三月末ぐらいをめどに考えておりましたが、若干時間が要する模様でございまするから、おそくとも四月中ぐらいには答申が出るものと考えております。 それから第二問の基本計画のようなものをつくる必要があるだろうということでございますが、これは全く同感でございまして、この科学技術振興に関します基本計画をつくるところの根拠になるしかるべき立法措置が必要である。この前私ども国会に提出いたしましたものは御案内のような事情でまだ成立を見ておらぬことは残念でございますが、国会におかれましても当委員会におかれましても各党派を越えまして非常な御努力を賜わっておりますることは、われわれとしても非常に感謝をいたしておるところでございますが、いずれにいたしましても計画策定の根拠となる法律の必要を痛感をいたしております。
○木野委員 そういった意味で、一九七〇年代の課題に取り組むわけでありますが、この問題を見てまいりますときに、私は、やはり強力な政治力といいますか意思力、これが要ると思うのであります。長官は七つの柱を立てまして「推進」と書いてありますが、推進するためにはどうしても力というものが要ると思うのでありますが、そういった意気込み、それから信念、それから力とをもって当たっていただきたいと思うわけであります。 そういった意味から見てまいりますと、科学技術庁というのは科学技術をやるんだ、科学技術をやっておればいいんだということで、そういった点で小さく固まる可能性があるわけであります。私はこの前もこの点について聞きましたら、科学技術の総合、この総合という点を大いに生かすのだということでありましたが、「総合」と書いてあるからそれで強力になるのでなくして、「総合」という条項を生かして、そうしてこれをフルに活用する、またあらゆる面でこの手を使うということで強力になるわけでありまして、これからの問題であって、科学技術庁一同の、また政府全体の考え方である、こう思うわけであります。そういった意味で、「推進」と書いてあるから推進するのじゃなくして、科学技術庁長官が先頭に立ってやる必要がある、このことをまず申し上げておきたいと思うわけであります。 そういった意味で見てまいりますと、科学技術が必要である、そこで科学技術庁の権限を大きくしてそうしてこれをやるんだという考え方、これもございます。また、フランスへ参りましたら、フランスの科学技術庁に当たった大臣がたまたま有力者である。したがってそこに権限をたくさんつけて、そうして科学技術庁だけではなしに、教育関係もその人につけたというふうなことも聞いております。役所の権限争いその他の問題いろいろございますが、私は、現在科学技術庁にあります唯一の活路といいますのはこの科学技術の総合という点にあるわけでありまして、この総合力をフルに働かしていただきたい、フルに使っていただきたい、こう思うわけであります。 そういった意味で、いま内閣委員会にかかっておりますが、従来の海洋科学技術審議会というものが今回海洋開発審議会というふうに名前が変わるわけでありますが、こういったことも科学技術庁が海洋全体についての総合という意味で乗り出していくということでありまして、私はこの科学技術庁の権限というだけではなしに、海洋問題という点からとらえまして、たとえばこれに当たる省が科学技術庁でなくてもいい、海洋開発について責任あるところが総合的に強力にやっていくという意味から、この問題は見ていきたいと思っておるのでありますが、科学技術庁に対しましてお願いいたすことは、一九七〇年の課題を、単に推進というだけではないので、これを強力にやる、そうして総合という点を大いにやるということでありますが、この点についての長官の所信を伺いたいと思います。
○西田国務大臣 木野委員のおっしゃるとおりに、私どもも考えております。科学技術といいますと非常に範囲を狭く考えたり、非常にセクト的に考えるというようなことがあってはならないと思うのであります。そういう意味で、ただいま一つの例としてお述べになりましたが、海洋科学技術審議会を解消いたしまして、そうして海洋開発審議会というもっと幅広い審議会に改組するということも、ただいま先生がお述べになったような全くそういう精神、そういう考え方に立っておるものでございます。私どもは、ただ推進ということばを使っておるから、ただ推進をしておればいいんだというような消極的な考えではなくて、積極的に取り組んで、総合力、総合性を発揮する、こういうような心がまえでまいりたい、かようにかたく考えておりますし、これは私だけでなくて役所の内部全体がそういう気持ちになるように、常に私も指導いたしておるところでございます。そういう精神でやってまいりたいと考えております。
○木野委員 科学技術の強力な推進につきまして、私の希望また意見を申し上げておきましたが、それとともに、こういった問題を解決いたしていく前に、科学技術的なアプローチということが必要じゃなかろうか。実は意気込みだけではいけないので、その基礎となる研究、そういったものの必要性、これもまた私一方で痛感しているものでございます。 ところで、研究はすべての基礎になるわけでございますが、研究に従事する職員のモラルの向上といいますものがいかに大事であるかということを思うのでありますが、この研究職員の待遇につきましては、西田大臣がその直接の所管であります。実は昨年の給与改善のときに、私たち与党も野党も各委員立ちまして、研究の必要性を論じまして、そうしてこれの優遇改善につきましていろいろ大臣に努力をば願ったことを思い出すのであります。私その席上、一つの問題点といたしまして、たとえば一般の役人でございますと、局長、部長、次長、課長、課長補佐、係長というふうに一つの体系をなして多くの人をかかえておるわけでありますが、研究はそうではないので、非常に専門的な、しかも個人個人の仕事でありますから、そういった点を十分に配意して、人事院の現在のやり方、そういったものは非常に人事院的な考え方だから、研究職員の給与についてはそういった面も加味し、かつまた重要性も加味し、十分に改善をはかるようにという意見があったのでありますが、その後の結果はどうであるか。そういった点について、研究職について当たっておられるのは大臣でありますから、それについての意見を聞きたい。
○西田国務大臣 いま木野さんお述べになりましたことは、最も大事なポイントをつかんでおると考えます。何と申しましても、科学技術振興を強力にやってまいりますために、その現場におりますところの研究者あるいは研究公務員等の士気が上がらなければならないと思います。また研究活動が十分にできるような環境をつくってやらなければならないと思います。それにはやはり処遇の問題も十分に考えていかなければならないというふうに思うわけでございます。研究という立場から申しますと、いろいろなポストの数も非常に限られておるわけでございますけれども、そういうことにとらわれずに、十分にいま申しましたような環境をつくってやるということが大事だと考えまして、実は昨年このことは閣議でも非常に話題になりまして、強力にそういう処遇改善等も考えるべきであるという意見が出まして、私はその責任の衝にあるものでございますから、私から人事院にも意見を十分申し述べまして、人事院もこれに対しましては相当好意的な改善を考えてくれまして、実行に移されたものもかなりあるわけでございます。今後におきましても、ただいまお述べになりました点につきましては十分な配慮を行ないまして、そしてこれらの研究者が安心して十分な研究活動ができるような努力を続けてまいりたいと考えております。 なお、いままでの経過につきましては局長から申し述べさせていただきます。
○楢林政府委員 ただいま長官からお話がございましたように、特にこの問題につきましては、人事院に、研究職員が研究に専念できるという体制をつくるために強く要望してまいりました。その結果、特に研究職におきましては今回の勧告実現にあたりましては、一般の職種の引き上げ率が一二・六七%でございましたのに比しまして研究職に関しましては一四・二七%というような引き上げ率で、一般職よりも高いということで、われわれの要望もここに入ったのではないかというふうに考えております。 なお、特にその際われわれの要望いたしました中堅の職員につきましても俸給表上の引き上げ率から見まして、中堅職員は室長クラスでございますけれども、その引き上げ率も高くなっております。そういう状況になっておりますので、今後ともまた研究者の環境をよくするという意味で、処遇については格段の努力をわれわれもいたしたいというふうに考えております。
○木野委員 科学技術庁は科学技術庁なりに一生懸命やられたと思うのでありますが、先般の委員会におきましてもこの問題につきまして、たとえは外国の事例を一ぺん見てみろ——比べてみますと、相当な差があるわけであります。そういった意味で、この問題につきましては研究職員のモラルの向上といいますか、そういった意味をはかるためにも大事左問題でありますので、さらに努力を払っていく必要があるのではないか。時間がございませんのでこまかく申し上げませんが、私はまだまだ不十分だと思うわけでありまして、特にこの衝にあるのは大臣でありますから、しっかりとやっていただきたいと思うわけであります。 ところで、これとからみまして、日本の研究投資、これに対しましてどの程度投資額があるのか。たとえば、国民所得に対しましてどの程度あるのか。そして外国では一体どの程度であるのか。またよく問題になるのでありますが、その場合に国が一体どの程度これに投資しているのであろうか。そういった問題も皆さん方から、どういうように考えておられるか聞きたいのでございます。 それとともに、昨年の暮だったと思いますが、 OECDから各国の技術の状況について報告が出ておるのであります。それを見てまいりますと、日本の形は、技術開発につきましては導入型である、自主的ではないというふうな報告が出ております。またこの二十五年間に、世界でもトップレベルの技術開発というものが百三十一件あげられる。そのうち日本の関係でこれに乗りますのは四件だというふうな報告書が出ております。百三十一件といいますのは、たとえばアメリカが七十四件、英国が十八件、西独が十四件、ソ連が六件、日本が四件、スウェーデンが四件、スイスが四件、イタリアが三件、フランスが二件、オーストリアが一件、ベルギーが一件ということでありますが、この報告書でいっておりますのは、日本の技術といいますものは、自主開発でこれに乗るのは四件だけだ、率で申しますと三・六%だというふうなことで、これにつきましてのいろいろ考えさせられる問題があるわけであります。また、こういった自主開発とともに、これを実用化する、これまた単に利用する、模倣するというだけではなしに、実はまたその国の利用、実用化できるだけの力というものがあるわけでありまして、この点につきましても、また見てまいりますと、いろいろ反省させられる点があるわけであります。一言に申しまして、日本の技術の開発は従来導入型であったが、これからは自主型になっていかなければならないというふうなことを報告いたしておるのでありますが、そういったことを考えてまいりますと、この研究投資につきまして日本の国は一体どのくらい投資しておるのであろうか。そしてまたそれが国民所得にどのくらいになっておるのであろうか。そしてまたそのうちで国がどのような役割りを果たしておるのであろうか。それがまた各国と比べてどういった傾向にあるのだろうか。今後またどういうふうに持っていったらいいのだろうかというふうな問題が浮かび上がってくるのでありますが、それにつきまして長官の御意見を伺いたいと思います。
○西田国務大臣 科学技術の振興をはかってまいりますために欠くことのできない研究投資の問題にお触れになったわけでありますが、確かにわが国は明治維新以来とにかく追いつけ追いつけで海外からの技術の導入、これを消化して、あるいは模倣ということばが使えるかもしれませんが、やって今日の状態をつくってきたと思うのでありますが、しかしながらいま御指摘になりましたように、そういう面から申しまして、やや導入型と申しますか、そういう傾向が強かったということはいなめないと思うのであります。しかし、最近におきましてだんだんと自主技術開発ということがわが国でも重要視されるようになってまいりました。最近の傾向ではややそれが改善されてきておるというふうに思えると思います。外国から新しい技術導入というようなことはだんだん件数も少なくなってきて、だんだん減ってきておるようでございます。しかし、この技術導入と技術輸出とのバランスを見ますと、まだはるかにこの技術導入のほうが多いわけでございまして、まだ輸出が一三%ぐらいにしかならないということは、一面これは技術水準の問題もまだ低いということが言えると思いまするけれども、これは必ずしもそうばかりは言い切れないと思うのでありまして、日本が外国から入れられる新しい技術というものがだんだん少なくなってきているということから申しまして、日本の自主技術開発というものはだんだん伸びてきておる。しかし、輸入と輸出とのバランスがなお改善されつつあるとはいいながら、相当の差がありますということは、どうも従来の外国から入れるという習慣がついていると言うとことばはあれでございますけれども、どうもそういう舶来品をあれするというような、そういう傾向がまだ抜け切らないという面も非常にあるのではないかと思われます。 そこで、研究費の問題でございますが、研究投資は年々伸びておりまして、最近では伸び率から申しますと、日本はフランスなんかと並んでかなり高い水準にあるということが言えると思います。大体ここ数年間二〇%ぐらいずつ、これは民間、国と合わせてでございますが、伸びておりますが、ごく最近では二一%ぐらい伸びるというようなぐあいになっておりまして、伸び率がやや高いと思います。しかしながら、国民所得との割合を見ますと、まだ欧米諸国に比べまして低位にあるということが言えると思うのでございます。確かに最近、と申しましても、民間のほうがまだつかめませんから四十四年度ぐらいのところで見ますと、ようやく国民所得に対する比率が一・九%ぐらいになったというところでございます。しかしながら、アメリカはもとよりでございますが、フランス、イギリス、西独等はいずれも二%台ないし三%台にございますから、そういう面ではまだ見劣りがございまして、もっと研究投資をふやしていかなければならぬというふうに考えますし、それから国と民間との割合でございますが、これは欧米とは非常に姿が変わっておりまして、欧米ではかなり国の投資の比率が高いのでありますが、わが国の場合におきましては、国の投資と民間と比べますと、大体七、三ぐらいになるというような状況であると存じます。ことに伸び率におきましても、国の投資よりも民間投資の伸びが高いというようなことでございます。こういう面につきまして、われわれといたしましては、もう少しやはり研究投資の合理的な増加をはかるとともに、国が果たす役割りというものももう少し充実していく必要があるというふうに考えておるのでございまして、研究投資の面につきましては、非常に伸び率は高いと申しましても、まだ欧米の水準まではいっておらないという面もございまするし、またその内容におきましても、ただいま申しましたような内容でございますから、そこら辺にさらに改善あるいはまたくふうを要する点があるというふうに考えております。
○木野委員 私は、日本の国のこういった知的な資源と申しますか、そういったものにつきまして、科学技術庁としてもっと力を入れてやっていただきたい。そういったことからいきますと、いま申しました研究投資について、日本の国はどういった状態であるか、また各国はどうであるか、どうあるべきかというふうに問題をとらえていただきたい。 さらにまた、先ほど申しました技術開発の問題、そういったものにつきましても十分に配意をしていただきたい。それにつきまして、わが国の政治行政、そういったものがそれに対してふさわしい形であるかどうか、そういったものも検討していただきたい。たとえば特許の問題、そういったものにつきまして順調にいっておるだろうか、そういった問題も科学技術庁として大きな目から研究していただきたい、こういったことを思うわけでありますが、そういった点、特にお願いいたす次第であります。 次に、最近新聞をにぎわしておる問題で資源問題があるわけでありますが、ここまで発展してきました日本の経済に一つの問題として与えられておりますのは資源問題、これであります。たまたまOPECの問題がございまして、石油関係につきまして大きな問題が出てまいりました。現在石油は、七〇年に石油で二億キロリットル使っておる。これが十五年たった段階で考えてみますと七億キロリットル、そういった段階で、少なくとも二億キロリットルぐらいは自主開発しなければいけないというふうな問題、現在使っておる分を日本の国のどこかで開発をしなければいかぬというふうな問題をかかえておるとか、いろいろあるわけでありますが、それにからみまして、いままでは石油が買い手市場でありましたから、そういった波に乗りましてここまで来ましたが、これからこの問題を真剣に考えなければいけない。そうなってまいりますと、石油の自主開発といいますと、大陸だなの開発、こうなってまいります。そうなってまいりますと、かけ声だけで石油はわくわけではありませんし、海中開発、技術の開発となってまいるわけであります。私は、いや応なしに、この海洋の問題が表に出てくると思うのであります。またそれとともに原子力発電の推進ということ、これまた大きな課題になってくるわけでありますが、そういった意味で、原子力についての今後の考え方、これにつきまして、われわれといたしましても、しっかりとした方針を立て、考え方をはっきりさせて進んでいく必要がある、こう思うわけであります。 それで、原子力のエネルギーにおきますところの地位、ウエート、そういったものについてどういうふうに考えておられるか。そうしてまたこの問題を議論いたします場合に、安全性につきまして十分な配意をいたしていく必要がある。今回また提案になっております損害賠償法もございますが、それにつきましても十分に検討いたしていかなければいかぬと思うのでありますが、原子力事業につきましては、当初非常な注意をもって行ないましたから、現在まあ事なきをいたしておりますが、この原子力のエネルギーにおきますところのウエート、それからまたそれに対する考え方、これが大事であると思うのであります。次回から法案に入ると思うのでありますが、これにつきましての長官の考え方を聞かしていただきたいと思います。
○西田国務大臣 日本の将来の経済発展に欠くことのできないエネルギーの確保の問題、これはただいま御指摘になったとおりでございます。そこで、石油につきましても、いろいろ問題がございまして、海外からの買い付け等におきましても、最近、また問題がいろいろあるわけでございます。そういう立場から申しまして、どうしても私どもは、将来は、方向並びに傾向といたしましては、原子力のほうにウエートが大きくかかってくるであろうということは、これはもう現実にそういう方向をたどっておりますし、将来も狂いはないものと考えるわけであります。 原子力発電の長期見通しは、もうすでに立てられておるわけでございますが、その立てました見通しを上回って、現在も原子力発電等の建設が進んでおります。一応与えられました目標、五十年度の六百万キロワットというのは、すでにもう八百六十万キロワットぐらいに修正を要するということになっておりますし、おそらくは五十五年には二千七百万キロワット、それから六十年には六千万キロワットくらいになるのじゃないだろうか。これは当初は六十年度時点におきましても一四千ないし五千と考えられておったものが、六千万キロワットに達するということになりそうでございます。いまエネルギーの中に占める比率がどうなるかというお尋ねがございましたから、これはたいへん大ざっぱな見通しでございますけれども、五十年時点では、水力は大体全体の二二%くらい。油を使う火力が大体七〇%くらい。原子力はいま申しました八百六十万キロワットをこしましても、比率はまだ八%くらいにすぎませんが、さらに五年経過いたしました五十五年時点になりますと、水力は二%落ちまして二〇%。火力は六三%。原子力は一七%というぐあいになるものと思われます。さらにもう五年たちまして六十年時点になりますというと水力が二〇%。火力は五二%くらいに落ちまして、原子力は二八%、約三分の一弱になると思います。それから先はちょっと見通しすることは少し乱暴かもしれませんが、またこれも全く大ざっぱな見通しとして考えますと、もう五年たった六十五年時点では、水力はそう変わりありませんが、二一%くらい。火力は三七%くらいに落ちて、そして原子力は四二%。六十年から六十五年の間で逆転するのではないかというふうに思われるわけでございます。 こういうようなことを考えてまいりますと、これに対処するところのいろいろな手当てが必要でございます。まずウラン資源の確保をはからなければならない。それからまた濃縮ウランの技術も開発し、その技術を確保しなければならない。それからまた燃料の再処理に対する施設も整備しなければならない。このようにいたしまして、わが国に適しました核燃料サイクルというものを確立することがまず大事であるというふうに考えるわけでございます。いま申しましたわが国の現在の原子力発電は、当分の間は軽水炉を中心とする在来型で進んでまいると思いまするけれども、将来エネルギーの安定的な供給を確保するという立場から申しますと、もう一歩前進した核燃料の有効利用というようなことを考えてまいりますと、どうしても新型転換炉であるとか、あるいはさらに進んで高速増殖炉、こういうものの開発を積極的にやっていかなければならぬと考えて、いま鋭意努力をしておるところでございますが、これも少し大胆な見通しでおそれいりますけれども、では新型転換炉はいつごろにできるのかと申しますと、大体私どもの心組みといたしましては、五十五年ごろには新型転換炉は実用化できるであろう、させたい。それからもう五年たって高速増殖炉は六十年ころには実用化にこぎつけたい、こういうことで鋭意努力をいたしておる次第でございます。
○木野委員 資源問題につきまして考えてみますると、石油が非常に買い手市場であった。だから石油にあぐらをかいて今日の発展をはかった。 OPECの問題その他出てまいりましてあわてておる。原子力の関係も濃縮ウランその他が比較的安定しておった。だからまあ今日まできた。とろが昨年もございましたが、濃縮ウランの値上げの問題も出てきたりしておるようです。そこであわててしまうというふうなことではいけない。またウラン資源につきましても、そういった意味で見てまいりますと、石油と同じように現在は買い手市場であるかもしれないけれど、これの窮屈化というものがあるような気がするのであります。そういった場合に対処いたしまして、燃料サイクル、これを十分につくられて、それを縦からも横からも、内からも外からも検討していくようにしておく必要があるのではないか。そうしてまたその場合における科学技術の研究開発ということも、おさおさ怠りないようにしてもらいたい。このことを強く申し上げる次第であります。 それで、その他の柱といたしまして宇宙開発、海洋開発ございます。時間もございませんのでこれはまた次の機会に譲るといたしまして、きょうの新聞に民間のシンクタンクのことが出ておったわけであります。科学技術庁ではこの分野におきましては、たしかソフトサイエンスの必要性ということで、いろいろ研究もし、勉強もしておられたように思うわけであります。私たちは私たちなりでまた研究いたしておりますが、このシンクタンクにつきまして、時間もございませんので簡単にお聞きしたいと思うのでありますが、シンクタンクという看板を掲げただけでものごとが解決するわけではないということは、われわれも十分承知いたしておりますし、長官もそのとおりだと思いますが、シンクタンク的な処理のしかた、これが一番大事じゃないか。どういうことかといいますと、インターディシプリナリーな各分野にまたがるところの学問、研究というものが抜けておるというわけであります。そういった意味で見てまいりますと、学者は学者の間でこういった境界的な問題が残されております。また役所は役所でなわ張りは非常にいうのでありますが、その間については大きなぼこっとした穴があるのであります。そしてそれに対する科学的な研究的なアプローチというものが抜けておるわけであります。私はそういった意味で、シンクタンク的なと申しますか、考え方、これをば大事にし、また政治に取り入れていく必要がある。また行政にもそれを取り入れていく必要がある、こう思うのでありますが、このシンクタンクにつきまして本年度どのようになっておるか、経過を簡単にお願いしたい。
○楢林政府委員 いわゆるシンクタンクにつきましては、いま御指摘がございましたように、今後の経済社会が高度化し複雑化する場合に、種々の現象にアプローチするためには、やはり境界領域の問題あるいはそれのアプローチのしかたが多角的なアプローチというようなことが必要になってまいることは御指摘のとおりでございます。なおこれにつきましてはいわゆるシンクタンクの考え方——これは俗称でございますけれども、やはり未来の指向性あるいは目的指向性を持った問題、そういうプロジェクトに対しましてインターディシプリナリー的な研究開発ということになりますが、当庁といたしましては前からソフトサイエンスの振興について重要なことを認識しておりまして、このようなトータルシステムに対するアプローチのしかたにつきましては、やはりそのもとになる基礎的共通的ないわゆるソフトサイエンスというものが必要ではなかろうか、こういうものについて今後振興させていきたいというふうに考えております。なお、これにつきましては各方面で検討されておりまして、現在経済企画庁のほうにもそのような関連する調査費等が計上をされておりますけれども、当庁といたしましても、今後こういうソフトサイエンスの振興という意味におきまして、技術的な手法の開発というところに重点を置いて推進してまいりたい、そのように考えております。
○木野委員 民間にもいろいろできておるようでありますが、これについてどういうような考え方を持っておりますか。
○楢林政府委員 このようないわゆるソフトサイエンス的なもの、あるいはプロジェクトに対するアプローチにつきましては、まだわが国は着手したばかりの状態といっていいのではないかと思います。その意味におきまして、今後のこういうものの発展につきましては、特にその関係の人材、これは各方面の分野を集めた人材を確保する。しかもそれを流動的に機動的にプロジェクトに参加させるという意味で、現在わが国に一番必要なのはそういう人材の確保かと思われます。現在民間におきましてもいわゆるシンクタンクの一部をになうべき機構が、昨年来より生まれておりますが、政府といたしましてはこういう民間研究機関のポテンシャル、そういうようなもののポテンシャルも集めて、そして有機的な総合的なアプローチができるような体制を考えておく必要があるのではないかというふうに現在考えております。
○木野委員 シンクタンクにつきましては、関係する役所間においてことしはある程度予算もついたしいろいろ研究しているようでありますが、ひとついかにあるべきかということを十分に考えて、役所間におきまして連携を密にしてこの問題と取り組んでいただきたい。 また民間につきましてもいろいろできておるようであります。きょうも政策科学研究所ですか、できたとかいう記事が載っておりますが、これにつきましてもどういうふうにあるのが国全体のためにいいのか、民間の力も結集してどのようにするのがいいのか十分に考えて、そうしてやっていただきたいと思うわけであります。 私は、今回の所信を聞きまして考えてみますと、今日まで日本が発展してきたというのは科学技術の力が一つの要因であったと思います。そしてまたこれからいろいろと付随してまいります公害問題その他を解決するためにも科学技術、これがまた大いに果たす役割りがあると思うのであります。そしてまた宇宙開発とか海洋開発とかそういったビッグサイエンスにつきましてはそのこと自体大きな仕事でもあるし、またそれに付随してこれまた国全体の力のレベルアップになるわけでありまして、非常に大きな発展の要因であると思うのであります。それとともにまた考えてみますと、科学技術といううちには、たとえばエコロジー的なアプローチのしかたもあるわけでありまして、そういった意味からいきますと、いま当面しておりますところのこういった公害問題その他もまた別の見地から科学的に解決に努力できると思うわけであります。そういった意味でいきますと、シンクタンクというようなものもそういった総合した考え方である意味において役割りを果たせるのじゃないかと思うのであります。 それで、科学技術の重要性は非常に大事であると思うのでありますが、それにつきましても科学技術庁は科学技術の庁だ、省だ、こういうことになってまいりますと、非常に小さくなってしまう。そこで先ほど長官は推進と言われましたが、強力に推進してくれということを申し上げたわけでありますが、どうかひとつそういった意味で、この重要性につきまして長官先頭に立ってやっていただきたい。このことは所信を聞くたびごとに強く感ずる次第でありまして、繰り返し強調して私の質問を終わりたいと思います。
○西田国務大臣 たいへん御激励をちょうだいいたしましてありがとうございます。私は、科学技術というのは小さな技術というその範疇の中に安住しておってはいけない、こういうふうに自分自身常にそう感じております。少し口幅ったい言い方になりますけれども、経済の発展も、それからまた少しこれは言い過ぎかもしれませんが、たとえば、物価の安定でもあるいは環境の保全でも公害の克服でもこれは科学技術に無関係のものはないと思う。科学技術が受け持つ役割りはそういうふうに非常に多面的である、こういうふうに実は思います。そういう意味で私どもはそういう心がまえで日々に対処していかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございまして、私どもはいま先生が御注意をくださいましたようなそういう考え方で、ただ推進をしておるというような安易な気持ちではなくて、ひとつ陣頭に立ってやるという気魄をもって前進してまいりたいと思います。
○渡部委員長 次に堂森芳夫君。
○堂森委員 昨日、長官が述べられました政府としての科学技術振興体制に対する所信の表明に関連しまして、科学技術の基本的な問題について二、三の点をただしてみたい、こう思うのであります。 最初に、先刻も木野委員からいろいろ御質問がありまして、重複する点もあるかと存じますが、お尋ねのしかたを変えましてお尋ねをしてみたい、こう思うのであります。先刻もわが国の技術促進、革新の形は何か導入型であった、こういうようなお話もございました。それからまた民間の先導型であった、こういうふうなことも言っておられました。私たちは常にGNPの少なくとも二%半ぐらいのお金が科学技術の改革、革新といいますか、そういう科学技術の促進のために使わるべきである。そしてしかも政府がもっとお金をどんどんつぎ込むべきであるとか、いろいろな主張をしてきておるのでありますが、大臣からまず——大体おわかりであったら政府委員からでもけっこうでありますが、四十六年度に民間及び政府で使われるであろう科学技術関係全体のお金、大体これぐらいは使われるのじゃないかということがおわかりでしたら御答弁を願いたい、こう思います。
○楢林政府委員 先ほど長官からも答弁がございましたが、最近の民間と政府の研究投資の分担割合を見ますと、約民間が七、それから政府が三というようなことになっております。この傾向は、四十六年度につきましてはまだ統計が出ておりませんので、正確な数字は申し上げられませんが、四十三年度について見ますと、その比率は今後どうなるか、四十四年度、四十五年度と解析をいたした上でわれわれは推定いたしたいと思っております。現在一番新しい統計は四十三年のでございます。それが先ほど長官の御説明しました約七対三ということになっておるということでございます。四十四年度につきましては、現在集計中でございますので、その数字がまた明らかになりました時点において御回答し、あるいはわれわれの推定をいたしたいというふうに考えております。
○堂森委員 総額で大体どれぐらいのお金になりますかとこう聞いたのです。
○楢林政府委員 研究投資総額は四十四年度におきまして九千三百三十二億円でございました。これは最新のデータでございます。なおこれは前年度は七千六百七十八億円でございましたので、その伸び率は二一・五%でございます。
○堂森委員 私たちは、冒頭に申しましたように少なくともGNPの二・五%ぐらいはこういう方面につぎ込まれなければ、われわれが要求するような科学技術振興には間に合わぬのじゃないか、こういう主張をしておるのでありまして、いまも御説明がございました、民間と政府の投資の比率は七対三である。これはまた後ほど議論するとしましても、まあ一兆円に満たぬぐらいのものしかつぎ込まれていない、こういうふうな現状では、これはなかなか私は科学技術の振興なんということは、なるほど幾つかの研究所や特殊の公団等がつくられまして、ビッグサイエンスについてはいろいろとやられておるのでありますが、きのうの大臣の所信表明の演説を聞いておりますと、なかなかりっぱなことは述べておられるのですが、第一こういうような姿では私はなかなかうまくいかぬのじゃないか、こういうふうに思うのであります。 そこで質問を進めてまいりますが、この数年間世界の産業構造あるいは市場構造というものの移り変わりを見ておりますと、従来のわが国の高度成長の大きな特徴であったGNP中心の高度成長というような姿から、どちらかというとアメリカあたりでもヨーロッパでも、エレクトロニクス関連のソフトウエアの市場というものが大きく伸びていくという傾向。アメリカあたりでは、何でも千をこえるそういうような企業が大きくずっと今後は伸びていくのではないか、こういうふうな予想もされておるようであります。したがって、従来のわが国の高度成長を遂げてきた大きな特徴的な内容は、やはり重化学工業というもの中心の伸び方であった。しかし、これはほとんど海外から技術が輸入されてやってきた。まあいろいろ特徴はあります。たとえば、わが国は公害なんというものはあまり頭に置いてなかった。それは大臣も御承知と思うのでありますが、溶鉱炉一つ見ましても、普通の平炉でありますと何時間もかかるようなはがねの製造工程が、LD転炉というやつですか、そういうものでやると三十分か四十分でやられてしまうというような技術がヨーロッパで開発されたのだが、ヨーロッパではまっ先に使わずに、わが国ではこういうものがまっ先にどんどん使われておる。そして鉄鋼の生産を大きく引き上げてきたというような歴史等をわれわれは見ておりまして、ヨーロッパではそんなに早く開発されたのに使われず、わが国でなぜいち早く使われたかというと、わが国の企業が公害ということを頭に置かずにやってきた、こういう結果であるというふうにわれわれは聞いておるのであります。そういういろいろな問題はありますが、とにかくこういうことを一々私が演説しておりましても質問になりませんからあれでありますが、従来からわれわれは科学技術基本法——さっきも木野さんからも質問がありましたけれども、どうして今日になってもまだ基本法が生まれないかということを常に政府に向かって質疑をし、またそうした態度を難詰してきたのでありますが、科学技術基本法がなぜできないのか。あるいはさっきもいろいろ御答弁ございましたけれども、もう一度ひとつお尋ねをしておきたい、こう思うのであります。
○西田国務大臣 基本法のことにお答え申し上げまする前に、先ほど研究費がGNPの二・五%くらいを目標にすべきであるということにつきましては、私どももそういうことを目標にして努力しておるわけでございますが、民間のほうはまだ年度中途でございますから四十五年度はつかめませんけれども、四十四年度は国と民間と合わしたものが九千三百億、先ほどお答えしたとおりでありますが、これは一・九%であります。その四、五年前をとりますと一・七%くらいでございまして、約〇・二%ぐらいGNPに対する比率も上がってまいっておりますが、まだ二・五%にははるかに遠いということは御指摘のとおりでございまして、われわれもこれからそういう方向で努力をしたいということをお答え申し上げます。 それから基本法がなぜおくれておるのかというお尋ねでございますが、これは先生御承知のとおり五十八国会に政府案を提出いたしたわけでございまするけれども、御審議の経過におきましていろいろな御意見がございまして、人文科学をどうするかという問題もございまして、これが成立を見なかったのでございます。そこでそういう事情を踏まえまして、いま党委員会でも特別な委員会でいろいろ御検討をちょうだいしておることたいへん私どもはありがたいと思っておるわけでございます。名称は基本法になりますかあるいはまた別な名称になりますかわかりませんが、基本法に相当するそういうものをいろいろ御検討をちょうだいしておりまして、私どもはできるだけその制定を望んでおるわけでございます。おくれました事情は、一ぺん提出しましたのがいろいろ御議論がございまして、これが成立を見なかったので、そこら辺の事情を検討を加えながらいろいろいま党委員会でも御検討を願っておるということでございまして、私どもも実は傍観しておるわけではございません。相連絡を申し上げまして、そしてできるだけすみやかにひとつその制定を期待しておると申しますか、期待申しますと人ごとのようで申しわけございませんが、そういう気持ちでございます。
○堂森委員 大臣、あげ足をとるわけじゃないですけれども、それはおかしいのじゃないですか。それじゃわが国の佐藤内閣はどういう基本法をつくるか。もう流れてしまったことを言ってもしようがないですから、これからどういう構想で基本法なら基本法、名前はともかくとして、つくって出そうとしておられるのか、あるいはそういうものをいつごろお出しになるのか。当時の議論は私どもも知っております。われわれ社会党の者がどういう主張をしたかもわれわれは知っておるわけですが、どういう構想を持っておられるか。そんなおかしな、よそごとみたいな答弁ではあきませんです。
○西田国務大臣 どうもおしかりを受けまして申しわけありません。私どもも傍観しておるわけではないわけでございます。先ほども申し上げましたように、七〇年代の科学技術政策というものもいま審議会で鋭意検討を進めておりまして、そう遠からず結論を得ると思います。そういうこともございますし、さらにまた長期の技術予測ということもいま実施中でございますから、それらも十分踏まえながら基本法——いま大体計画法というようなことで進行しておるようでございますが、早く成案を得ましてひとつこれの成立をはかりたい、かように考えております。
○堂森委員 もう少し具体的に、局長に答弁してもらってけっこうです。
○楢林政府委員 基本法につきましては長い経緯がございまして、先ほど長官からも申し上げましたように、内容は科学技術の振興に関する総合的な計画法案というようなものを考えたらどうであろうかということが先国会でも議論されました。四十五年の六十三国会におきましても、御承知かと思いますけれども、そのような考え方の計画法案というようなものをひとつ関係各界でもう一度検討して、それを前向きに進めるようにしてはどうかというような経緯で、実は現在に至っておるわけであります。長官が申し上げましたように、わが国におきましても、科学技術の振興を計画的にはかるという意味におきまして、そのような計画法案あるいは振興法案的な——法律の名前はまだ仮称でございますけれども、そういうふうなものをもとにして、今後も科学技術を計画的に進めるという、バックグラウンドが確立されればということは、われわれも期待しておりますし、努力いたしたいというふうに考えております。
○堂森委員 それでは、時期はいつごろになるという想定でございますか。
○楢林政府委員 時期につきましては、この法律について大きな問題がございますので、慎重に検討をするということで現在に至っておりますので、時期的な期限は現在はっきり申し上げる段階ではございません。
○堂森委員 それでは、いつかわからぬということですから——これはやっぱり科学技術の大きな発展が特に望まれておる今日であります。たとえば、さっき私も触れましたように、今日までわが国の経済発展の大きな原動力は、やはり海外から輸入した科学技術のおかげといいますか、そういうものによる結果であった、こう言っても過言ではないのでありますが、しかし、はたしてこういうことばかりしておって、七〇年代のわが国の経済の発展というものがほんとうに望まれるであろうかという、私は重大な問題があると思うのであります。なるほどこの間も、朝日新聞ですか「くたばれGNP」という本が出ておりました。私は、やはりそれはある意味では一つの真理ではないか、こう思うのであります。したがって、さっきも触れましたように、産業の中心が、科学技術の大きな集約型の産業、あるいは技術そのもの、そういうふうなものが産業になってきているというような時代にぐんぐん進んでいく。そうしますると、いままでの大型の生産を集約したような、GNP第一主義のような産業というものがだんだんと衰微していく、こういう時代に入っていくということも予想しなければならぬというときに、特にいまわが国のように、GNPでは一流国家であるが、何かある本なんか見ますと、日本の科学技術の革新力というか、そういうものを計算してみると、アメリカの五%ぐらいにしか当たらぬのじゃないかとか、ヨーロッパの一〇%ぐらいにしか当たらぬのじゃないかというような書き方をしておる。そういうような議論も出てきておるのでありまして、もうわが国の科学技術の推進というものはほんとうに目下の急を要する問題であります。 そこで、わが国における現在までの科学技術が、独自の科学技術の推進ということがおくれてきた大きな原因というものはどういう点にあったと大臣はお思いになりますか、まずその点を伺っておきたいと思います。
○西田国務大臣 先生のお述べになりましたように、わが国の科学技術は、ともすれば、経済本位と申しますか、生産本位と申しますか、そういうことに片寄っておったということは、確かに言い得るのではないかと思います。そこで、いまいろいろな公害問題その他環境問題等が論議されておるわけでございますが、私どもは、こういうような現状にかんがみまして、先ほども再三申し上げておりまするように、昨年も科学技術白書というものを出しましたが、その内容におきましても、特にその問題を強く取り上げて白書を出しておるわけでございますが、科学技術の長期計画を検討するにあたりましても、七〇年代の総合的な科学技術の基本はいかにあるべきかということにつきましても、ただいま先生のお述べになりましたようなことを十分にその考慮の中に入れてやる必要があるというふうに考えております。三十年間の技術予測というものをいま実施しておるのも、そういうところにあるわけであります。 そこで、これらはいずれも、技術予測もあるいは科学技術会議の答申も遠からず出ることでございます。これを受けまして、そうしてまた、国会におきましても、党委員会におきましても、非常に積極的な御協力をいま賜わりつつございます。これらを総合いたしまして、ひとつそう時間をかけずに、先ほど申しましたような基本的な、長期計画の基本になるべき法律の制定を急ぎたい。そんなに私どもは長い時間をかける気持ちはございません。いまただいま申し上げましたような事情にございますので、これらを受けてひとつ急速に結論を出したい、かように考えております。
○堂森委員 大臣、何か私、あげ足をとるわけじゃないのですが、もっとほんとうは私は、こういう点、こういう点が日本の科学技術推進のじゃまになっておった、それをやはりもっと、何か失礼な言い方ですが、そういう点は大臣、はっきり認識していただきたい、こう思うのです。 一つは、先刻もいろいろ質疑してまいりましたが、わが国の技術革新のあり方の、金がうんと少なかったということ、しかも、国の金の入れ方が少なくて、民間の企業の、いわば民間企業ですから、第一は金もうけですから、金もうけを主としたやり方にたよってきた、こういうことも私は一つの大きな点であった、こう思うのであります。たとえば、今日ヨーロッパでは、西ドイツがわりあい日本と第二次大戦後の科学技術関係の姿ではよく似ておったのじゃないでしょうか、しかし、イギリスとかフランスあたりは、やはり民間と政府との混合型といいますか、一緒になって、そうして国がうんと大きな金をつぎ込んで、基礎的な研究にはどんどんと金をつぎ込むということを惜しまずに、民間にそういうことをやらしてきた。そうしてまた、民間会社は、わが国においてはわりあい、何か閉鎖的な態度で、お互いに隠し合うというか、当然これはあたりまえのような関係かもしれませんが、わりあい欧米諸国よりはその点が非常に閉鎖的で、偏狭な姿できた。いわばお互いに情報を交換し合うという点がなかった。これはやはり私は、政府の責任もあるんじゃないかと思うのです。そういう点が一つ。 それから、先般も科学技術庁の関係の方から予算の説明やらいろいろお聞きをしたときに申し上げたのですが、わが国における政府の研究費の補助金とかいろいろなもののあり方を見ておりますと、私、若いときに、医者なものですから、研究室におって経験があるのですが、研究の補助金をもらうのですね。もらうときは、非常にやかましいのです、何に使うのだと言って。しかし、もらってしまうと、もう使ったあと形式的な会計監査はありますけれども、どういう結果が出たか、データがどうなったかというのは、ほとんどそれはもうなされずに終わっている。私はそういう意味で、やはり予算の使い方についての政府の考え方も再検討する必要があるのじゃないだろうかということも考えます。 それからまたわが国の科学技術研究のそういう体制が縦割り制度であるということですね。それはいやというほど科学技術庁が知っておられると思うのです。運輸省の分だ、通産省の分だというようなことで縦に割れていって縦割りの研究組織あるいはそういうものがとられておりまして、横の連絡がない。たとえば科学技術庁長官が、科学技術開発会議ですか、そういうものがうまく適確に、そうした科学技術の推進のためのせっかくのたくさんの予算というものが有効に使われているというようなことになり得ないような行政上のいろいろな問題があるということも一つの問題ではないでしょうか。 それからまた、いつも年末になると経済の見通しというようなことで経済企画庁が発表しますね。ぼくはあれと同じような意味で科学技術庁が日本の経済というものの今後のあり方というようなものと、科学技術が中心の柱にならなければわが国の経済、産業の構造が世界の競争に勝っていけないのだというような意味での重要さというものをもっと柱として科学技術というものをとんと表面に出していくような何か経済のワクの中に大きく柱として持ち込む——ちょっと表現むずかしいのですが、そういう姿に科学技術というものを持っていくような態度を政府がとるということも私はたいへん重要なことじゃないか思うのであります。 いろいろなことがありますが、民間と政府の混合型にもっと持っていくような積極的な態度、それから金が少ないことは申し上げるまでもないのでありますが、政府の金による基礎的な研究、そういうものを、やはり科学技術基本法というものがあって、これを有効に指導していくといいますかそういう体制も必要でありまして、科学技術基本法にはまたいろいろ問題あるわけですけれども、そういうことが私は必要なことではないでしょうか、こう思うのであります。大臣が何かこう逃げるようにばかり答弁されるので、私は具体的に言ったのですが、御答弁願いたい。
○西田国務大臣 どうも核心に触れたお答えを申し上げられないでたいへん申しわけない。先ほど私が申し上げましたのは、いま先生が御指摘になりましたような数々の問題が過去において確かにあったと思います。そこで、七〇年代いかにあるべきかというそういう内容に立ち入っていまいろいろ検討しておりますので、それを受けてやりたいということを簡単に申したので不十分なお答えになったわけでございますが、確かに先生のおっしゃったことは一々私は肯綮に当たっておると思うのです。民間のほうが非常に中心になっておって、国のほうの金の出し方が足りないとか、民間との共同的な研究開発がまだ不十分であるとかあるいはまた私は文部大臣とも話しておるのでありますが、大学と研究所との関係におきましても、まだもりともっと改善を要するものがあるとかいう点もございますし、そういうようなことにつきまして、私どもは、ことに生産中心主義にあまり走り過ぎておった。したがって、こういうような多くのひずみが生じたりあるいは公害が出たり環境問題に問題が起きておるというようなことの改善の問題でありますとか、そういう問題がたくさんございます。 そこで、たとえば、将来のいわゆるソフトサイエンスと申しますか、総合研究所を国と民間も入れたものをつくっていこうという発想でいろいろこれから構想を練るわけでございますが、そういうことも先生のいま御指摘になりました具体的なあらわれの一つであると思います。また規模は小さいかもしれませんが、海洋の問題につきまして、これも国と民間とが一体になって総合的な施設をつくってやっていこう、センターをつくっていこうというようなものは、いままでのそういう欠陥を是正しようという一つのあらわれであると受け取っていただきたいのであります。確かに研究費が、国の金の出し方が足りないということは、もうわれわれ身にしみて感じております。努力はしております。前進はしておりますけれども、必ずしも十分なところまでまいっておりません。欧州に比べましても全くこれは逆な姿になっておるというような状況でございます。 そこで、いま先生がいろいろおあげになりましたようなそういう問題につきまして、私も全く同感なのは、たとえばいま経済企画庁の問題と科学技術の関係についてお述べになりましたが、やはり経済の見通し、経済はあくまでも科学技術に基礎を置くべきであるという御趣旨であると受け取ったのでありますが、私も平素からそういう考えを持っておるわけであります。私どもはそういう意味におきまして、科学技術が社会経済の発展にあらゆる面において果たす役割りが非常に大きいということを十分自覚いたしまして、最も早くその他のいろいろなビッグサイエンスの計画に先立ってできておらなければならない基本計画なり何なりがおくれておるということは、これも私どもは非常に残念なことでございますが、こういう心がまえで先生のいまお述べになりましたような方向で全力をあげたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○堂森委員 もう時間がありませんので、終わりたいと思いますが、科学技術を推進するためのやり方として、民間先導型を混合型にしろ、こう申しました。いま一ぺんにと言ったってなかなかむずかしいことでありましょうが、大臣、できることは私はできると思うのです。たとえば、そういう体制に持っていくためには、民間のそういう研究体制をやっぱり再編成していくということを熱心に大臣はやっていただく必要があると思うのであります。それからまた研究というものは人間のやることであります。科学技術の革新ということは、また人間のためにやるものであります。 そこで、わが国の大学制度というもの、これもやっぱり問題があると思うのであります。実際に社会が要求しているような科学技術を身につけるような教育を大学でしておるかどうか。これは大いに疑問があると私は思うのであります。そういう意味でも科学技術庁長官は大学制度に対しても強く発言をしてもらって、政府の大きな一つの今後日本のあり方としての科学技術政策の中心としても、一つの大学の教育のあれについても発言をしていってもらいたい、こう私は思うのであります。 幾つか述べましたが、私は何も大臣のあげ足をとるために言っておるのではないのであります。わが国の科学技術の推進、促進、これがわが国の経済発展にもつながるものであり、もしこのままであるならば、私は、百年前の産業革命のときに、人間労働がとうといのだ、機械は反対だといって機械をこわして没落していったような姿にわが国はやっぱりなると思うのであります。いつもかも海外からのまねごとでやってきたというようなこと。しかも、公害はおかまいなしというような姿では、どうしたって優位な経済的な立場に立つことは不可能であることは、これはもう明らかであります。大いにわが国の百年の将来のためからいいましても、科学技術の責任者である西田大臣の今後の御健闘を祈りまして、私の質問を終わります。
○渡部委員長 次に、吉田之久君。
○吉田(之)委員 私の時間の関係で近江さんに順番をかわっていただきましてたいへん恐縮いたしております。 実は大臣の今度の所信表明演説を承りまして、たいへん予算が順調に伸びておりまして、一八%という伸びは全く長官はじめ皆さん方の努力のたまものだと一応は敬意を表します。ただ、この機会に私たちが考えなければならないのは、われわれはわが国の科学技術の振興のために大きな三つの大事な柱を立ててその促進を急いでまいっております。言うまでもなく原子力と宇宙と海洋でございますが、さて今度の予算の内容を見ましたときに、また最近の毎年度の予算の趨勢を見ましたときに、同じ三本の柱だとはいってもずいぶんその柱に太い細いがあると思うのです。 大まかに申しまして、原子力の場合、予算額と国庫債務負担行為額と両方合計して考えてみますと七百二十億余りになります。宇宙の場合には百九十七億余り、そして海洋の場合には六億余りということになります。これはわれわれがわが国において初めて科学技術を開発していくことですから、何がどうなければならないという基準はもちろん初めからあるようでないと思うのですけれども、大体こういう予算の額から見た規模の格差といいますか、そういうものが今後五年、十年間ほぼこういう規模の比例で進んでいくものであろうかどうか、あるいは、たとえば原子力の場合にはどの時点で、だんだんとそのウエートのかかり方が宇宙、海洋と比べてどういうように変化していくだろうかというふうなある程度長期的な見通しをそろそろ立てておかなければならないのではないか。たいへんむずかしい問題だとは思います。同時に、やはり諸外国と比較してそういう問題を検討するということも重要だと思います。たとえば、西ドイツなどと比べましてこの三つの柱の予算額から見たいわゆる太さかげん、そういう点での所信をお伺いいたしたいと思います。
○西田国務大臣 科学技術庁の予算の面にあらわれました数字の面から見ますと先生御指摘のとおりでございまして、非常に太さに違いが見られるわけであります。また、原子力あるいは宇宙開発というそのことの性質、性格上からも若干の海洋開発との違いがあるのかもしれませんが、国が中心になってやらなければならないというような、そういう立場の原子力あるいは宇宙開発、それからまた海洋開発は国がやらなくてもいいという意味ではございませんけれども、海洋開発が比較的おくれてスタートを切ったということもございますし、それからまた科学技術庁以外の各省にまたがった非常に多岐多面にわたっておるという面もございまして、科学技術庁だけの予算で見ますときわめて貧弱左ものでございますが、海洋開発、各省のものを集めますと、もちろん原子力には現状は及んでおりませんけれども、数字の面ではもう少し大きく在るのじゃないかと思います。しかし、さて何年後にどういう姿になるだろうかということも、ちょっと私ここでにわかに計算できにくいのでありますけれども、海洋開発は何と申しましても、わが国の置かれている立場から申しましても、海洋開発というものが将来国民生活にたいへん、密着した、そして非常に多面にわたるところの開発が考えられるわけでございますから、これからは海洋開発も相当の速度で、いわゆる三つの柱の一つとしての形を整えていくであろうということを、またそうしなければならぬというふうに考えておりますが、数字でちょっといまにわかに申し上げかねるわけでございます。なお必要がございますれば各省の関係の数字について局長からお答えさせていただきたいと思います。
○石川政府委員 私のほうの担当の宇宙関係あるいは海洋関係についての今後の見通しというものについて申し上げたいと思いますが、ただいま長官からも御説明がございましたように、将来の見通しとしては非常にむずかしい問題だと存じます。しかし、ただ現時点におきましてわが国の宇宙開発の計画あるいは海洋開発の計画というものから見てどのような傾向をたどるかということで御説明申し上げたいと思います。 まず宇宙開発でございますが、現在の計画といたしましては、大体昭和五十年ごろに一応実用衛星が上がりまして、その後逐次実用衛星を上げていく予定になっております。したがいまして、それに必要な経費といたしましては、やはり第一次のピークが五十年前後、四十七、八年ごろから五十二、三年ごろにございまして、そのあとに今度はどのような実用衛星を上げていくかということによりまして五十四、五年ごろから次のピークが来るのではなかろうかというふうに存じております。ただ、これは実用衛星の計画がもう少し固まってまいらないと、この五十三、四年以降の計画についてははっきりと申し上げかねるというふうに存じております。 次に海洋開発でございますが、海洋開発は今回も海洋開発の基礎的なものの研究というものを行なうために海洋科学技術センターを設ける計画で進んでおりますが、これが一応軌道に乗りますのが大体昭和五十年ごろと考えております。五年後には軌道に乗るというふうに考えております。しかしこの海洋開発の性格からいたしまして、ただこれがセンターだけで行なわれるものではございませんで、その成果が民間に広がることによって海洋開発というものがますます発達していくというふうに考えられますので、その場合には民間の分も全部総合いたしまして考えていかなければならないと思っております。そういたしますと、五十年以降になりますとその成果が民間に広がりまして、民間においては海洋開発にほんとうに取り組めるという体制になると思いますので、この場合はそれに必要な経費というのは実は試算できないという感じでございますが、石油開発にどの程度の資金を投ずるか、あるいは海洋空間をどのように利用するか、あるいは海洋その他の水産資源をどのように増養殖あるいはその他によって行なっていくかということによりますので、これは相当の資金が必要ではなかろうかというふうに存じております。
○吉田(之)委員 特に、海洋開発についてわれわれも数字の面などからいろいろ説明は聞きながらも、たいへんまだ心もとないような感じがするわけです。はたしてこの程度の走り出し方で、いま局長がおっしゃるように五十年でそのピークに達して民間への広がりを持つことができるだろうか。それにしては今日の政府の力の入れ方というものは少し弱々し過ぎはしないかというふうな感じがいたします。 そこでまず海洋科学技術センターがいよいよことしできることはまことにうれしいことではございますけれども、特にこの前私もお伺いいたしましたが、追浜における用地取得の問題は、他の民間企業との関連などでいろいろ御苦心をいただいているところだろうと思いますが、その後非常に順調にいっているのかどうか。たいへん海洋開発の最初のスタートとして大事な問題だろうと思いますので、経過をお聞かせいただきたいと思います。
○石川政府委員 具体的な問題でございますので、私から御説明申し上げたいと思います。 海洋科学技術センターの用地につきましては、このたび神奈川県の横須賀市追浜にございました米軍基地のあと地が日本側に返還されるということになったわけでございます。当庁といたしましては、その土地がかねがね最適の土地ではなかろうかということで地元の横須賀市と、それから国有財産の管理の任に当たります大蔵省と折衝を続けてきたわけでございます。 御承知のように横須賀の旧米軍基地あとのあと地処理につきましては、旧軍港市転換法というのがございまして、それに基づきまして大蔵大臣が旧軍港市国有財産処理審議会というものに諮問するわけでございます。その審議会で審議を終わりまして、そうしてそれのあと地処理の問題を解決するわけでございますが、この際にはこの審議会におきましては地元の意向が十分尊重されるというたてまえになっております。このあと地に対しまして、民間企業としては二十数社がその払い下げについて申請を出しているというふうにも聞いておりますが、このあと地配分の原案作成に当たります横須賀市といたしましては、これらの申請者間の調整を現在進めている段階でございます。この海洋科学技術センターにつきましては、その重要性並びにその事業の公益性というものにつきましては、私どもから市当局に十分説明いたしまして、理解をしていただいているわけでございますが、この配分の原案の作成にあたりましては、その意向をくんでいただきまして、十分配慮していただけるというふうに考えているわけでございます。
○吉田(之)委員 たとえば、海岸線の現状のままではその長さには限度がございますけれども、それは新しく埋め立てて新しい広い海岸線をつくってお互いにそれぞれその場所を得るというふうになさる構想なのかどうか、その辺まではまだきまっておりませんか。
○石川政府委員 私たちの聞いたところによりますと、横須賀市といたしましては、あの土地の、現在海面でございますが、そこに今後埋め立てを行なって敷地を広げたいという考えでいるようでございます。この海洋科学技術センターとしましては、特に大きな海面を必要とするということではございませんが、ただ船と船あるいは作業基地との支援ブイ等の係留をする都合もございますので、一部にそういうことができる場所がほしいというふうには考えております。その点につきましても、横須賀市のほうにはそういう意味で海岸に面したところということを申し入れておりますが、あと、埋め立てにつきましては現在横須賀市が独自に計画を立てまして、今後の全体の計画の一環として進めているようでございます。
○吉田(之)委員 最後に一つお伺いしておきたいのですが、日本原子力船開発事業団法の延長の問題です。これは「むつ」が現在艤装されておって、かつ熟練運転が終わったりするのは昭和五十年ぐらいになるだろうからということでそこまで延長しておこうという御趣旨のようですが、この原子力船というのは、「むつ」を一つつくってそれで終わりということではないと私は思うのです。だとするならば、こういう事業団法というものを三年延ばしたり四年延ばしたり、場当たり的に逐一延ばしていくということは、科学技術の振興をたてまえとするわれわれの考え方からいって正しいのかどうか、何か非常に消極的な感じを国民に与えはしまいか。われわれ、法技術の点などでいろいろと皆さん方のお考え方もあるだろうと思いますけれども、何かそういう点で将来はどうなるのだろうかというふうな疑問を国民に抱かせないだろうかと思います。
○梅澤政府委員 今般、原子力船事業団の法律を延ばしていただく提案をいたしておりますが、実はいま先生御指摘の問題は確かにございます。しかし、初めの原子力委員会の基本方針という考え方では、第二船からは民間がこれを行なうことを期待するという考え方になっておりまして、いまの事業団をつくりますときにも、第一船を完成させるというところまでで限定されております。したがいまして、今度四年ほど延ばしていただくというのも、その範囲でございます。 それから、その関係から当然その間に第二船の問題というのも問題になります。その点については私たちのほうも先般原子力委員会のほうに懇談会をつくって検討いたしましたが、商業的ベースに入るかどうかというところにまだ疑念がございまして、その点ははっきりした答えは出ませんでした。しかし現在ドイツと日本とで、将来のコンテナ船として使えるのではないかという検討を民間として自主的に最近するという動きがちょっと見られております。そういう関係がいまのところまだはっきりいたしませんので、事業団の延ばしをもう一度四年間させていただいて、その後にどうするかというのを考えさせていただくようにしたいという意味であります。 それから現在つくっております船をその後どういうふうに運転してどういうふうに持っていくかというところも、特殊貨物船としてつくられておりますが、経済的その他につきましても成績をはっきり見ませんとなかなか出ません。そういう関係からとりあえず四年間やらしていただきたいというのが趣旨でございます。
○渡部委員長 次に、近江巳記夫君。
○近江委員 大臣の所信表明をお聞きしておりますと、最初は基本的な考え方から、それに対してどのようにやっていくかを七項目にわたってお述べになっていらっしゃるわけです。さらに最後、結論的に申されていらっしゃるわけですが、まず私は、すべての施策というものは、基本的な姿勢なり考え方というものが一番大事じゃないか、このように思うわけです。 そこで、最初の基本的な考えの中で、特に長官は、「特に、激動する一九七〇年代において豊かな社会を創造するために、」これは結論的にずっとおっしゃって、そこで「豊かな社会を創造する」と述べていらっしゃるわけですが、何をもって豊かとするのか、またそれにこたえる科学技術の振興というものは一体何を意味するか、その観点からひとつお聞きしたいと思います。
○西田国務大臣 「豊かな社会の創造」ということばを使ったわけでございますが、これは単なる物質的な豊かさということだけではなくて、いわゆるひずみのない社会、そして快適な社会生活を送れるように、こういうような意味を込めて「豊かな社会の創造」ということばで表現したわけでございまして、したがいまして、これからもっともっと日本の経済成長もはかっていかなければならぬということもその中にもちろん含まれておりますけれども、冒頭に述べましたように、公害その他の社会のひずみを是正いたしまして、そして環境の保全を全うするというようなこと、これらも含め、さらにまた科学技術によって現在開発されておらない道のりにも踏み込んでいく、こういうようなすべての道を含めての豊かな社会である、こういうふうに考えているわけであります。
○近江委員 確かにいままでGNP至上主義でやってきましてそういう大きなひずみが出てきた。そういうひずみに対して長官もひずみの是正ということはとらえていらっしゃって、冒頭にも「公害等のひずみ」というようなことについてお述べになっていらっしゃいますし、その点は私たちも理解できるわけですが、いままでの要するに経済成長のための科学あるいはまた産業政策のための科学、こうした点がいま大きく方向を転換しようとしておるわけです。ですから、いま快適なというようなこともおっしゃったわけですが、もっとせんじ詰めて、だれのための科学であるのか、何のための科学であるかということをはっきりと長官から強く言ってもらう必要があるのではないかと私は思うのです。どうなんですか、いまその点が大きく問われているわけですよ。
○西田国務大臣 非常に表現はむずかしいのでありますが、端的に申しまして人間のための科学でなければならない。社会のための科学でなければならない。また国民全体のための科学でなければならない。また国のための科学でなければならない。こういうふうに考えます。
○近江委員 そこで長官も、いま人間を基点とした考え方に立って、今後の科学の振興というものをはかっていかなければならない、それは私も同感であります。ぜひそのようにやっていただきたいと思うのです。 先ほども木野さんからちょっと話が出ましたが、境界領域的なそういう科学技術に対して非常にぼやけておるわけです。こういう七項目をずっと見ましても、その辺が確かに明確に出ておらないように思うわけです。この辺について、まず初めにお聞きしたいと思います。
○西田国務大臣 私、ちょっと的確に御質問の趣旨をつかめなかったのでございますが、端的にもう一度ちょっとお願いします。
○近江委員 要するに、ビッグサイエンスがずらっと並び、しかも予算も非常に片寄っておるという点を、一つは申し上げたいその背景の根本になっておるわけです。そこで、いろいろと重要なそうした問題というのは山積されておりますし、しかもそれが薄れておるということなんですね。ですから、その点について、長官は人間のための科学技術でなければならぬということをおっしゃっているわけですが、それについてどのようにお考えか。お聞きしたいのです。
○西田国務大臣 ことばはあるいは十分用いてないかもしれませんが、私の申しました中に、第六についてそのことに触れておるつもりでございます。何と申しましても、人間のため、国民生活の向上のために科学技術が役立たなければならない。こういう意味から申しまして、防災科学技術、あるいは交通事故防止技術、基礎電子技術等例示しておりますが、その他このような広範な人間社会のために必要な総合的な研究を推進をしたい。特に公害の防止、環境の保全のための環境科学技術の研究には、特に力を注いでまいりたいというふうに——字句は非常に簡潔に申しておりますが、そういうことに特にわれわれとしては意を用いてまいりたい。ビッグサイエンスに重点を置き過ぎるというような考えは持っておらないのでございまして、科学技術がなすべき仕事の重要な一つとして、そういうことを考えておるわけであります。
○近江委員 私は、ビッグサイエンスの推進については、むしろ予算も足らぬように思っておるのです。もっともっと推進しなければならぬわけですよ。それは確かに長官以下科学技術庁の皆さんが非常に真剣に努力されて予算も取られたと思うのですが、それにしても原子力の開発四百七十三億、宇宙開発に百十七億、さらに海洋でも約六億、こうなってきますと、もう残りはあと百億程度、こういうようなことにもなってくるわけです。人間のための科学ということで最重点に考えておると、このようにおっしゃっておるのですが、私も昨年、一昨年と各大臣の所信表明を聞いておりますが、非常にビッグサイエンスが前面に押し出てきて、確かにそういう総合的なことばの中に網はかぶしておるかもしらぬけれども、その姿勢というものが非常に弱いということはいえるわけですよ。予算の点から見ても、その辺は私はっきりいえるのじゃないか、このように思うわけです。やらなければならぬことは山ほどあるわけです、大事なことは。ですから、長官も冒頭に公害とおっしゃっておりますが、公害の中にも大気汚染をはじめとして、水質汚濁あるいは振動とか、臭気とか、あるいはまた産業廃棄物のもたらす公害とか、さまざまな問題があるわけです。 そこで、いま重要総合研究の推進には全力をあげて今後やっていくとおっしゃっておりますが、私は一、二具体的に取り上げてお聞きしたいと思うのです。 それは一つは、長官もすでに御承知かと思いますが、私は、いままで人の生命、健康について、あまりにもいま無防備な状態にある、こういう点について総力をあげてわれわれの生命、健康等を守るために科学技術庁を中心として各関係省庁も力を入れてもらいたいということを声を大にして叫んできたわけですよ。ところが、具体的に申し上げますと、きのうも各紙等においても伝えられたわけですが、鶏卵からも農薬検出、大阪の衛生研究所で関西の七県で調査した。そうしますとDDTあるいはBHCが検出された、こういうようなニュースも報ぜられておるわけです。常に一般大衆は、きょうもまたどういうショッキングなことが報道されるんだろうか、毎日そういうような気持ちにおるわけですよ。そういう社会に対する不安、国民一人一人に与えるそういう不安の影響というものは非常に大きいわけです。いまのような状態で見ておれば、ますますそういう不安な状態というものが増大する危険性があるのじゃないか。これであっては長官がおっしゃるような、そんな豊かな社会なんというものは望めぬわけですよ。豊かな社会というのは、まず安心して食べたり生活できるそういう状態にしなければならぬわけです。ところがこういうことが取っかえ引っかえ起きてくるわけですよ。こういう事柄に対してまず長官に、どういうように受けとめていらっしゃるか、最近のそういうような農薬汚染等の問題について所感をお聞きしたいと思います。
○西田国務大臣 科学技術庁の予算だけを見ますと、確かに原子力、宇宙、あるいは海洋を含めてでありますが、こういった予算が全体の八五%ぐらいを占めておりまして、いかにもビッグプロジェクト本位であるように見受けられるのでありますが、科学技術振興費全体の中で見ますと、原子力、宇宙、海洋等は四七%ぐらいでございまして、比率はむしろ全体の半分以下ということになるわけでございます。いろいろ、農薬、土壌汚染の問題その他数多くの問題がいまあることはよく承知をしておりますが、何と申しましても国民生活に密着した科学技術の振興ということが、これは何よりいま、当面重要な事柄でございますので、私どもといたしましてはそういう面におきましてもかなり注意深く予算をつくる場合におきましても検討し、それにこたえるようなものをつくっておるつもりでございます。特調費等におきましても、全体の予算よりもはるかに伸び率も高くなっておりまして、ことしは八億円でございますが、二〇%こえておると思いますが、こういうものを十分活用いたしまして、随時起きてまいりますところの諸問題に対処して遺憾なきを期してまいりたい、こういう考え方でおるわけでございます。
○近江委員 そこで、長官も今後起きてくるそういうことに対処していく、私はそれは後手だと思うのですね。ですから、要するにそれを根絶していく対策なりあるいはそういう研究なりを、私は力を入れてもらいたいと思うのです。いまほんとうにショッキングなびっくりするようなことを知らされて、それから動き出す。科学技術というものは、長官もここでお述べになっていらっしゃるように、激動するこういう時代にあって、そういう要請を迅速、適確に把握し、これにこたえ得る科学技術の振興をはからなければならぬということは、われわれに課せられた重大な使命であるとおっしゃっておるわけです。それは要請を迅速、適確に把握するということに当たらぬと思うわけですよ。できたことをつかむのであれば、だれだって、子供だってわかるわけですよ。この点、どうですか。
○西田国務大臣 おっしゃるまでもなく、科学技術庁の使命といたしましては、あらゆる予測をし予見をして、そしてこれを未然に防止するということが第一であります。しかしながら、にもかかわらず不測のいろいろな事態が生じました場合におきましては、機動的に予算を使ってやっていく、こういうのがたてまえでございまして、特調費のことを申しましたのは、特調費はそういうことに臨機応変にこたえる、そういう性格のものでございますからそう申し上げたわけでございますが、本質は、予見をしてそしてこれを未然にやっていくという姿勢でやっておるわけでございます。
○近江委員 きょうは関係各省も来ておられますのでお聞きしますが、この鶏卵の問題は、以前に牛乳の問題等でも非常に大きな動揺というものを国民の皆さんに与えたわけですが、さらに大きな追い打ちをかけられたような感じなんです。そこで今回のこの件を通じましても、各県からの調査報告でも汚染されておる。そうしますと、当然全国的な汚染の疑いということが考えられるわけです。この場合、西日本七県の調査でありますが、当然東日本をはじめとした全国的な汚染の疑い、こういう点についてどうやっていくかという問題が一つあるわけです。 それと、もう一つその前にお聞きしたいのは、一体この汚染の原因は何かということなんです。それをどのように把握されておりますか。汚染の原因は何だと思われますか。
○神林説明員 お答え申し上げます。 汚染の原因については、まだ私たち卵についてはっきりしたものはつかんでおりませんけれども、一応牛乳の事例から見ますと、えさが原因になっておるので、やはりこの場合もえさであろうというふうにいま推定を下しまして、すでに農林省に対しましては、ひとつえさの汚染状況を調査していただきたいということで申し入れを行なっております。
○近江委員 御答弁にありましたが、飼料ですね、えさの問題、そうしますと、えさの場合、いまほとんど輸入の飼料を主にして配合しておる、このように聞いておるわけですが、そういう輸入品等についても徹底的にやってもらわなければいけませんし、このえさの問題を調査すれば、その汚染の状態あるいは経路なりがさらにはっきりすると思うのですが、その問題、今後やるといっても、いつまでも放置されておって、忘れたころにこうでしたということであれば、不安がぬぐえないわけです。ですから、どういう体制でもってあるいはまた大体いつごろまでに調査を終えるか、あるいはまた全国的な調査というものについてはどういう体制をとっていらっしやるか、その二点についてお聞きしたいと思います。
○神林説明員 牛乳以外の動物性の食品につきましては、すでに昭和四十五年度の科学研究費をもちまして、八都道府県に調査を現在依頼しておりまして、その結果がおそらく三月末までには私たちの手元に集まってくるだろうと思います。 それからなお来年度食品汚染の関係の研究費がございますものですから、それをもちましてこういう動物食品の汚染状態というものをもっと手広く私たち調査したいということでございます。 それから食品そのものの汚染の状況の結果、あるいはえさの汚染状況というようなものを総合判定いたしまして、これはえさをとめるとかとめないということは厚生省の仕事ではございませんが、その結果に基づきましてえさの禁止とかそういうようなことは農林省に私のほうから申し入れていくつもりでございます。
○近江委員 牛乳あるいは鶏卵以外でいま調査をやっておるという全般的なとらえ方をなさったわけですが、もちろんそれもあとでもお聞きしようと思っておるわけですが、鶏卵について西日本七県のこういう調査について、その後全国的な汚染の状況も当然考えられることです。それについてはどうされるかということですね。それと特に飼料の問題等について、だらだらということでなくしで、やはり機関なりあるいはそれを的確にやっていくための体制なりについて具体的にひとつお聞きしたいと思います。
○神林説明員 先ほど申し上げましたとおり、一応八都道府県の検査結果というものが三月末までには全部わかってまいりますから、それに基づきまして私どものほうとしては食品の安全性につきましては検討していきたいと思います。 それからなお、飼料の調査につきましては、やはり先ほど申し上げましたとおり、農林省側にその調査を至急やっていただきたいということでいま申し入れをやっておる最中でございます。農林省もこれを調査するということでございますから、その結果の出方によりましては、たとえばえさの転換であるとかそういうようなことも考えておるというようなことでございます。
○近江委員 きょうは厚生省さんを中心として関係の各省来られておるのですが、特に残留農薬等の問題については行管から非常に強いおしかりを受けて、改善勧告を出されておるわけです。これは一月の中旬であったと思いますが、これは常々私たちが指摘してきたことなんです。皆さんも、体制の非常に不備な中で、それはそれなりによくがんばってこられたと思うのですが、しかしながら続発してくるそういう重要問題に対する対処のしかたとしては、非常にいろいろな問題をはらんでおった、こういう点の指摘を受けたわけです。そこで四十八品目なり、四十八年までに調査もするということになっておりますけれども、こういうずさんな防止体制なりあるいは実態をつかんでおらない、調査研究は不十分である、こういうような状態の中で、幾ら早急に四十八品目についても出しますといっても信用できぬわけですよ、はっきり申し上げますけれども。 そこで行管からもこういう改善勧告を受けられて、具体的にそれに対してどう対処していかれるわけですか。
○小島説明員 残留農薬につきましては国民の健康上非常に重大な問題でございますので、私どもとしてはこの問題に昭和三十九年から取り組んでいるわけでございますが、目標といたしましては昭和四十八年までに主要な農作物四十八品目についてほぼ基準を設定し終わるという予定で作業をやっておるわけでございますが、先生も御指摘のとおり、私どもの力が足りずおくれている点は非常に申しわけなく存じております。私どもとしては計画のおくれを何とかして取り戻したい。これは実は例のカネミ等の事件がございまして、私どもの国立衛生試験所でも検査がそれにかかりきりになってしまいましたためのおくれ、そういった面がございましたが、私どもとしては設備、機械等の増強にもつとめまして、今年は必死の努力をいたしまして、四十四年までの計画のおくれ分の九品目でございますナス、ハクサイ、ネギと、それからさらに四十五年で調査完了をする予定のカキ、ミカン等につきまして、何とかして四十六年度末までにはおくれを取り戻したいということで、いま国立衛生試験所と打ち合わせ中でございます。先生も先ほど御指摘のとおり、私、こういった行政をおあずかりしておりまして、国民の健康に密着するこういう行政に、なぜもっと人と予算がつぎ込まれないのかということを私も痛感しているものでございまして、私どもとしては、さらに四十七年度の予算には、先生の御激励もありますので、ぜひもっと大幅な設備、人員、金というものを要求いたしてまいりたい。行管もああいう勧告をした以上、われわれを見殺しにするようなことはないと存じますので、私どもは覚悟を新たにして、四十八年といわず、もっと早く、そしてもっと多くの食品について規格をきめてまいりたいという覚悟をしておる次第でございます。
○近江委員 科学技術庁は、確かに、ビッグサイエンスを中心として、各研究について関係各省の調整等もはかっていらっしゃるわけですよ。そういう点で実施機関の問題になってくると、私の庁は調整機関でございましてと、いつもそういう逃げ口上を言うわけです。私はよくないと思うのですよ。全般の科学技術のそういうことから及ぼす弊害等の問題についても、やはりたとえその実施官庁が各省に分かれようとも、全部科学技術庁は関係があるわけです。ですから、当然それだけの自覚を持っていただいて、関係各省に督促もし、あるいは協力もしていく、あらゆるところが一体となった姿勢が一番ほしいと私は思うのです。これは厚生省です、これは通産省ですと、そんなことでは私は解決しないと思うのですよ。ことばの上では重要項目として十分やっております、そういう逃げ場のある態度で終始しておる以上は、私はほんとうに一貫したそういう人間のための科学技術行政というものはあり得ないと思うのです。その点これからもこの問題は続くわけですよ。実際はこうやっているのは厚生省だから、その場だけ一生懸命やりますから、それであっては困ると思うのです。ですから、いま厚生省さんからも、今後の問題についてあれだけ強い確信をお述べになったわけですが、最高の長としての長官として、今後、従来のような状態であっては困ると思うのです。そこで、どういう覚悟なり対策をもってこういう問題に取っ組んでいかれるか、ひとつお聞きしたいと思うのです。
○西田国務大臣 申すまでもなく、私どもの立場からいたしましては、単なる調整ということだけで傍観的な立場をとるということは許されないことは当然のことであります。各省のそういうものに対処する研究費あるいは調査費等につきましては、予算の見積もり調整ということで、私のほうが総合調整をやっておりますが、ただ各省の出されたものを支援をし、ただ見積もり調整するという消極的な態度ではいけないというふうに考えまして、予算要求などをなさる前に各省の考えを聞き、それに対しまして私ども意見を述べる、そういうような二段がまえの方法を去年からとっております。そして、なおかつ、予算の編成等の際におきましては、私どもが各省と一体になってその予算を確保する、そういう努力もいたしておるわけでありますが、特に普遍的にということでなくて、やはり問題、問題を取り上げて、重点的な調整をするということがわれわれの最近の態度でございます。そして、もし、なお既定の予算で不足をするという場合におきましては、先ほど申し上げましたような特調費の配分等を行なうということにいたしておりますが、ただいま積極的な姿勢でお述べになりましたが、われわれもこれを強力にバックアップをいたしまして、そして問題の解消に当たっていきたい、かような決意でございます。
○近江委員 この残留農薬等の問題は、重金属の公害問題とあわせて非常に大きな影響を与えているわけです。特に、ガンなどが非常に激増してきておりますけれども、この原因だって、いつも言っておりますが、食品添加物なりあるいはこういう残留農薬なり、またそれが複合されてどういうようになっていくか、全然いまのところは未知の問題ですよ。そこまで究明されていないんだ、はっきり言って。その点は皆さんが一番御存じなんです。この七〇年代というものはますますそういう問題が出てくるわけですし、これは人ごと、他人の問題ではないわけですね。ですから、やはりわれわれ自身が直面しておる大きな問題でもあるわけですから、真剣に取り上げていただきたい、このように思います。 それで、もう一つ具体例としてあげたいのは、公害の中でも一つは産業廃棄物の問題なんです。 昨年末のあの臨時国会において十四本の公害法案が通ったわけですが、法案は通ったけれども、その法案にうたってあるとおりのことが実際にできるかという点から考えていきますと、非常に心配な点がたくさんあるわけです。その問題をやれば一日、二日かかってもできないものですから、きょうは代表的に私は産業廃棄物の一つの問題を取り上げたいと思うのですが、その中でも、産業廃棄物といってもたくさんあるわけですから、きょうは時間の関係もありますので、プラスチックの問題についてひとつお聞きしたいと思うのです。 まず、きょうは通産省の方も来られておるわけですが、プラスチックは一体わが国で四十五年度、四十四年度でもけっこうですが、何トン生産されて、廃棄物の量は幾らであるか、あるいは五十年には幾らであるか、それについてひとつお聞きしたいと思うのです。さらに、その廃棄物の量とともに、そのも一たらしておる公害の実態ですね、それは私なりにも研究しておりますが、どういう公害を及ぼしておるか、それについてひとつ簡潔にわかりやすく述べていただきたいと思うのです。
○丸田説明員 昭和四十四年度で約四百十九万トンのプラスチックの生産がございまして、暦年で、昭和四十五年でございますけれども、五百万トンちょっとこしたくらいではないかと推測されております。実はプラスチックの廃棄物が、産業系として廃棄物はどのくらい出ておるかということでございますけれども、昨年わが省の公害保安局で従業員二百名以上の工場五千工場を対象にいたしまして産業廃棄物の実態調査を行なったわけでございます。その際、いわゆる合成高分子の廃棄物は約二十二万トンでございますが、産業廃棄物全体では五千八百五十万トンという数字が出ておりますので、その割合は約〇・四%というふうに数字をわれわれつかんでおります。今後プラスチックの生産がだんだん伸びてまいりますから、当然それに伴って産業系のプラスチックの廃棄物もふえるものと予想されますけれども、これは現段階で、たとえば先生のおっしゃられました昭和五十年にどうなるか、昭和五十五年でどうなるかということについては、数量的にはっきり把握することは困難でございますけれども、一応私どもの推定では、昭和五十年にはプラスチックの生産量は一千万トンに達するんではないかというような意見もございます。そうしますと、そのプラスチックの廃棄量は、産業系におきまして現在と大体同じような比率で出るとしますと、約四十万トンないし五十万トンが産業系のプラスチック廃棄物ということに昭和五十年度ではなるのではなかろうか、このように推測されます。 それから産業系につきましては、各プラスチックの樹脂の工場、加工工場あるいはユーザーの工場で従来より積極的にプラスチックの専焼炉等の設置をやっておりまして、基本的に産業系のプラスチックが大きな公害源になっておるというふうに実は私ども考えておらないわけであります。
○近江委員 いまあなた、その生産量の点についてはわかりますけれども、このプラスチックは御承知のように朝起きて顔を洗うと、歯ブラシでしょう、あるいは洗面器でしょう、石けん箱でしょう。高分子化学からいけば、あの女性のストッキングだってそうですよ。もうあらゆるものがわれわれの生活に密着しているわけですよ。その廃棄物がわずかそれだけですか。どんな把握のしかたをしているのですか。きょうは厚生省さんも来ておられるでしょう。ちょっとお聞きしますけれども、いまあなた方がそういう数字のとらえ方をしているというのはたいへんな問題ですよ。これは勘違いしておるのじゃありませんか、あなた。
○丸田説明員 お答え申し上げます。 いわゆる産業系のプラスチックとしまして、工場から、たとえば、プラスチックの樹脂の工場あるいは加工用の電気とか自動車等の加工段階でのプラスチック廃棄物の量を先ほど申し上げたわけでございまして、一般の家庭から出るごみにつきましては私ども先ほど申し上げなかったわけでございます。これも推定でございますけれども、その年のプラスチックの生産量の約半分近くが、全体として産業系、都市系合わせまして出てくるのではないかという推定がございます。これは使われまして大体一年以内に捨てられるもの、あるいは五年くらいは必ず使われるであろうというようなものを各樹脂別に分けまして、そしてプラスチックの生産量の伸び率が現在のこれまでの二〇%くらいというのを前提に置きまして計算、推定をしますと、その年の生産量の約半分近くが排出されるのじゃないかというふうに推測されております。
○近江委員 家庭廃棄物とかその辺の最初のことばが足らなかったようですが、私の把握しておるのも大体そういうことです。そうしますと、四十五年度で五百三十万トン、この推定で廃棄物が半分とすると、五十年では、生産一千万トンになると廃棄物が約五百万トンと、膨大な量が出るわけですよ。この弊害等についてあまり詳しく把握しておられないようですから、家庭廃棄物等にまじっておるプラスチック等がどういう影響を与えておるかということについては、そういう処理を担当なさっておる厚生省が一番被害については握っていらっしゃると思うので、その点についてお聞きしたいと思います。
○榊説明員 いまお話ございましたプラスチック等によります家庭の廃棄物につきましての被害と申しますか、そういう問題でございますが、御承知のとおり、プラスチックの場合は実はカロリーが一般の廃棄物に比べまして非常に高いというふうな問題がございます。したがいまして、現在の整備されております焼却炉の中ではいろいろと熱処理について限界がございます。そういうようなことで被害と申しますと、その熱処理によります熱の問題にかかわります炉の損耗といいますか、そういう問題が一つはございます。それから焼却処理をしないものにつきましては、御承知のとおりプラスチックの場合は、地中に埋めましても分解しにくいというふうな問題から、埋め立て等を行なった場合でも地盤の不安定をもたらすというふうなことで、実際の処理にあたりまして、今後非常にふえていくということになりますと、非常に問題があろうかと思います。現状においては、これは都市によっての相違がございますが、ほぼ限界点に近くなってきておるということが申し上げられると思います。
○丸田説明員 私どももプラスチックがカロリーが非常に高いということから炉をこわす、それからあるプラスチックによりますと、いわゆる腐食性のガスが出るというようなことから、炉を腐食するという問題につきましては十分実態を把握しておりまして、さらに今後そういった問題に対処しまして、どういうふうな専焼炉を開発して各企業が設置するか、あるいは都市系につきましても分別収集とかそういうことが可能であれば、専焼炉の設置というようなことも通産省の工業技術院でいろいろ研究いたしております。 それからなおプラスチックをただ燃やすだけではなくて、有効利用していかなければいかぬという観点から、昭和四十六年度の予算で約一千五十万円の予算をちょうだいいたしまして、有効利用計画につきましてまず一番問題になっております首都圏を対象にしまして、マスタープランの作成をやっていくということで予算をちょうだいしておりましたので、その問題に真正面から取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
○近江委員 弊害についていろいろお話があったのですが、焼却してもホスゲンとかあるいは一酸化炭素あるいはシアン化水素あるいはアンモニア、アルデヒド類などの有毒ガスも出てくる。たとえば関西でもあったのですが、プラスチックを野原で焼いた。そうすると光化学スモッグだ。一時騒がれたのですが、そこから出た有毒ガスで子供たちがばたばた倒れた、そういう有毒ガスだって出ておるわけです。ああいうストッキングなんか焼けば青酸ガスが出る。これは皆さん専門家ですから、私が言うよりかそういう点についてはよく御承知だと思いますが、そういうもたらす影響というものは公害としては非常に大きいものがあるわけですよ。先ほどもおっしゃったように、もうこのままではお手上げだとおっしゃっているわけです。アメリカなんかはこの廃棄物を処理する仕事は、もうハイウエーの建設とか学校の建設に次ぐ第三の大きな仕事として、国民的な課題となってやっておるわけです。それに対してわが国の場合は、この間十四本の法律もできたわけですけれども、実際にこの法律を私もずっと勉強もさしてもらっておりますが、要するに網をかぶせるのはいいわけですよ。廃棄物の処理及び清掃に関する法律ですが、これは十二月二十五日になったわけですから、それからいきますと九月の二十四日がこの法律の期日ですね。そうしますと、この法律を見ていきますと、問題になってくるのは第三条あるいはまた第十二条あるいは第十五条、こういうことになってくるわけです。特に十五条などは「廃プラスチック類処理施設その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものを設置しようとする者は、その工事に着手する前に、厚生省令で定めるところにより、都道府県知事に届け出なければならない。」これは技術ができてないじゃないかという話になってくれば、何かそれに便乗してそういう業者が、まあこれはそんなことを言うけれどもできないのだという形になるのは、これは私は非常にまずいと思います。しかし、そういう心配はあるにしても、現時点としての状況ということを関係者の皆さんが深刻にここで的確に把握し、認識をしなければ、これは法律の施行期日が来るときまできたって何もできないということになってきますよ。たいへんな問題になってくるのです。いま現実の問題として一体どこまで技術的にも来ておるのか、工業技術院などもやっていらっしゃると思うのですが、ここでつかんでいらっしゃる状況についてひとつ簡潔に要点を申し述べていただきたいと思います。
○太田(暢)政府委員 プラスチックの廃棄物の処理でございますが、特に燃焼によります処理に関しましてはいろいろの問題がございまして、一つは産業廃棄物の場合とそれから都市の場合、都市の廃棄物の中にまじっておりますプラスチックをかなり含んだ都市の廃棄物の場合と、問題が二つに分かれるかと思います。 最初の単純なほうの産業廃棄物のほうに関しましては非常にたくさんの研究が民間企業でもやられております。また工業技術院でも公害資源研究所、機械試験所、それから東京工業試験所の三つの研究所が、共同研究といたしまして流動床方式によります連続的な燃焼の研究あるいはそれを分解いたしましていろんな原料あるいは燃焼ガスとして再利用するというような研究をやっておるわけでございますけれども、何ぶんにもこの問題は現在非常に大きな問題になっておりますけれども、この問題が技術的に取り上げられたのは比較的最近になってからで、残念ながら非常に比較的最近でございます。それで現在拙速的ではございますけれども、かなりの技術ができているのではないかと思います。しかし、それはおそらくまだいろいろな問題で技術的には完全なものとはとてもいえないと思います。工業技術院でやっております研究も、大体これは産業廃棄物のほうの処理技術の基礎の研究でございますから、これは四十八年完成を目途としております。こういうものを完成いたしますと、それから実用規模の装置の研究に関連してくるわけですけれども、そういうものは工業技術院の研究その他を参考にしていただいて、民間企業で開発されるべきものじゃないかとわれわれは考えておるわけでございます。 それから都市のほうの廃棄物に関しましては、やはり一番大きな問題は仕分けの問題、一般の無機性の廃棄物あるいは普通の食物とかいろいろな青物、そういったものの廃棄物とそれからプラスチックが混在しているのが一番大きな問題ではないかと思っております。ですから、ここにまずどういうぐあいにシステム的に仕分けをしていくかということが一番大きな問題だろうと思います。それがうまくまいりますと、先ほどの産業廃棄物のテクニックというものを直につなげて利用することは可能ではないかと思います。
○近江委員 きょうは工業技術院の院長も来られておるわけですから、プラスチックの処理対策として、私の数字が間違っておれば言ってもらいたいのですが、私の聞いておるのでは四十五年に千六百万、四十六年に五千八百万、間違いがあれば言ってもらいたいと思うのですが、その対策についてはどうなっておりますか。
○丸田説明員 いま先生の言われたのはその研究のための経費の予算のことでございますか。
○近江委員 そうです。
○太田(暢)政府委員 工業技術院のほうの予算でございますが、四十五年度は二千六百万円でございまして、それが今年度は先ほど申し上げました産業廃棄物の燃焼あるいは分解に関します研究は五千二百万円、ちょうど倍でございます。それから、それと新しく本年度はもっと根本的に戻りましてプラスチックに自然崩壊性を与える、そういたしますと、プラスチックをたとえば土壌とかあるいは自然界に放置しておいたときに、またもとに分解いたしまして、先ほどのお話がありましたような弊害がなくなりますので、そういう自然崩壊性を与えるという研究を計画をいたしておりますが、これに六百万円、合わせて五千八百万円を廃棄物処理の研究として予算要求をいたしております。
○近江委員 私はこの十四の法案ができて、今後一番大きな問題になってくるのは技術の問題だと思うのです。それについて第一線でやっていらっしゃる工業技術院で、いまおっしゃったようなこういう微々たる予算で、何が研究できるかということですよ。その中でやっていらっしゃる研究者の皆さんの御苦労は、それだけの大きな荷物を背負ってやっていらっしゃるその御苦労は、それは多といたします。だけれども、あまりにもこの取り組みというものは政府として一体何を考えておったかということです。もうお手上げだとさっきおっしゃったでしょう。そこまでの状態に追い込まれておって、こういう微々たる対策でいいかという問題です。しかもこれを民間に依存しておる。民間だって、いま真剣にこれをやっているのですか。厚生省さんもその辺については真剣につかんでいらっしゃると思うのですけれども、現時点を正確に把握した上で、そうして法律は九月から実施されるわけですから、それについて拍車をかけなければならぬわけです。ですから、やはりそれについては正確にその辺はお互いが認識する必要があると思うのです。これはそうできていないといえば、業者がそれに甘えるんじゃないか、確かにその辺の懸念はわかりますけれども、それはそれとして、今後そういう督促もし拍車をかけていけばいいのです。民間ではそれじゃ完全に処理できるような技術がいま進んでいますか。どうですか。
○丸田説明員 たとえば焼却炉の場合、小さい炉で、しかも能率もあまりよくない炉でございますと、すでに炉のメーカーあたりでプラスチックの専焼炉が出されておりまして、かなり先ほど私が御説明申し上げましたようなプラスチックの樹脂の工場あるいは加工段階、ユーザー段階で設置されて使われております。なお、そういった問題につきまして、来年度から開銀その他の融資を使えるようにするとか、あるいは税制上の特別償却といったことにつきましての施策を実施できる段階になってきております。
○榊説明員 いまお話ございましたように、私どもとしては処理をする立場になるわけでございます。したがいまして、現実に出されますそういう廃棄物を、やはり現在の技術の可能な範囲内において、やはり環境汚染を生じないような形で処理をするということでございます。したがいまして、いまお話がございましたように、非常に経済的あるいは技術的にも効率の悪いというふうな現在の技術の問題は、もちろんあると思います。それをさらに技術的に開発を進めていくという必要ももちろんあると思います。やはり現在の技術的な範囲内で、私どもとしてはこの処理の体制というものを早急につくるということで進んでいきたい、このように思っております。
○福島説明員 プラスチックにつきましていろいろ先生から御指摘があったわけでございまして、私どももこの問題につきましては真剣に取り組まなければならないと思っておるわけでございます。科学技術庁におきましても、また工業技術院におきましても厚生省におきましても、それぞれ真剣に取り組んでおるようでございますので、本部といたしましては科学技術庁を中心にいたしまして、関係各省庁が密接な連絡をとり、早急にこれらの技術開発を推進するように調整につとめてまいりたい、かように考えております。
○近江委員 総理もこの施政方針演説の中で、こういうようにもおっしゃっておるわけです。「また、公害を克服するための新しい技術の開発を行なって国際社会の進歩にも貢献したいと念願しております。」と。また科学技術庁長官は冒頭にも、もうこの公害に対する技術の推進ということについては、言うならば現在科学技術庁の根本理念として、またやらなければならない問題とし て、冒頭に最重点の問題としてとらえていらっしゃるわけです。ところが、いま審議官のほうからは、全体的に今後前向きにやっていきたいという総括的にとらえた御発言でございますけれども、現実にいまそれぞれ専門家の方からいろいろお聞きしましたが、やはり自信のあることばはどこにも出てこぬわけですよ。これであっては、それじゃこのままずるずるっと、これは法案の中には九月二十四日とはっきりうたってあるのですよ。法案ではこのようにうたってある。ところが技術が全然進んでおらぬということです。「政令で定めるものを設置しようとする者は、その工事に着手する前に、厚生省令で定めるところにより、都道府県知事に届け出なければならない。」完全にそれを処理できるだけの技術もいまないというような状態で、これはばく然とこのまま持っていっていいのですか。長官の所信表明でも、おっしゃっていることはいいわけですよ。ことばとしてはうなずけますし、そうだと思うけれども、こういうことを処理していってこそ、それに総力をあげていってこそ、初めて長官がおっしゃっているような豊かな社会を創造する、また、そういう社会の要請を迅速、適確に把握し、これにこたえ得る科学技術の振興をはからなければならぬ。われわれに課せられた重大な使命である。長官もきのうはお述べになったのですよ。こんなばく然とした状態で、そういう産業廃棄物、なかんずくプラスチック公害等でどうしようもない状態に、このまま追い込まれておるのを見ておいていいかという問題です。このままでは解決しませんよ。業者は業者で、それだけの技術はないのだからしようがない、政府はかってに九月二十四日と言っているのだ、そういうことでいったらどうするのですか。それなら地方自治体に全部おっかぶせて——焼却炉の寿命だって二分の一、三分の一。もう極端ですよ、二分の一以下ですよ。それじゃ、結局は、十年もつところは五年でつぶれてしまう。だれの負担になるか。これは国民の負担じゃないですか。たいへんな状態にいまなってきているのですよ。技術開発に、このままの状態でいくのですか。最大の課題ととらえていらっしゃるなら、具体的な、今後どうしていくかということをおっしゃっていただかないと、われわれとしてはこれは納得できませんよ。その辺は関係各省御相談になっているのですか。これをさらに推進していくためにどうするか。どなたでもけっこうですからお述べになってください。
○西田国務大臣 産業廃棄物の中でも、プラスチックの廃棄物の問題は、いまお話がありましたように、量的にも相当の廃棄物が出るという見通しでございますから、この処理はきわめて緊急の課題であると思います。 そこで、四十六年度では、これは去年から通産省がやっておりますプラスチック廃棄物処理技術に関する研究、これは去年からやっておるわけでありまして、ことしは予算が相当ふえておるはずでありますが、さらに本年度から新しく、分解型プラスチック開発に関する研究、これも本年度からとりかかることになっておりますし、それから科学技術庁では、四十五年度から、プラスチック廃棄物の完全燃焼処理技術に関する調査というのを、資源化技術協会に委託いたしまして、プラスチック廃棄燃焼炉を試作してその実用の解明に努力をしておるわけでございます。このように、きわめて困難な問題ではございましょうけれども、全力をあげてこの廃棄物の処理について研究あるいは解明を行なっておるわけでございます。 それから、この機会でございますから、産業廃棄物の処理に関連いたしまして、海洋の自然浄化能力の究明ということにも取りかかっておりまして、四十六年度から三年計画で海洋の浄化能力に関する総合研究、これは特調費を使うわけでありますが、ことしは二千五百万程度かと思いますが、三年間で一億くらいをかけまして、そういうことの研究にも関係各省とともに努力をするということにいたしております。 プラスチックの廃棄物の完全処理ということは、なかなか困難な問題であるだけに、真剣な取り組みをしなければならぬということは御説のとおりでございまして、いま具体的にこのような努力をしておるところでございます。
○近江委員 先ほども申し上げましたように、このプラスチックは、国民の一人一人が日常の中から排出もしてくる、あるいは事業所自体から出してくるのもありますけれども、要するに国民全部がいうならばその排出者であり、また被害者でもあるわけです。ですから、これは、全国民的な課題として当然取り組んでいかなければならぬ問題です。いま長官は、政府としてはこうやっているということをおっしゃっているわけですけれども、いま申し上げたように、太田院長のほうからお話があったように、今年度ですべてひっくるめたって五千八百万ですよ、九月までにできますか。実際上、処理体制から焼却炉のことからです。何も政府の皆さんのお力を私はいかぬと言っているのと違う。真剣な御努力はわかります。民間にだってもっと拍車をかけて、また政府も、このままの状態でだめだとなれば、いろいろな対策は考えられるはずですよ。緊急な問題であれば補正予算でも組めばいいのですよ。こういうところに金を使うのは、国民はだれも反対はしませんよ。いまだったら、流れのままにそのまま流されていっておるというような姿ですよ。だから、緊急課題であるというそれだけの把握をなされたならば、その要請にこたえるだけの対処をされたらどうですか。いまのままだったらできません。関係各省はどういう話し合いをされたのですか。このままでいけますか。民間に対してはどういうぐあいに手を打つ、政府としてはこうする、こういう対策をとっていくという、はっきりとした、もっと強力なその辺の答弁をいただかなければ、これは納得できませんよ。通産省なりあるいは公害対策本部の審議官の方でもけっこうですし、厚生省でもけっこうです。どういう対策をあなたたちはとっているのですか。
○丸田説明員 先ほど工業技術院長も御答弁されておりましたけれども、プラスチックの廃棄物の中には、産業系、いわゆる産業の工場企業から出てくるプラスチックの廃棄物と、都市系と、ございます。都市系はほかの野菜くずその他一般のごみの中に入っておるわけでございまして、いま東京都で大体一〇%から一三%ぐらいじゃないかといわれておりますけれども、産業系につきましては、先ほどの各、レジン工場、それから加工工場、それから自動車とかあるいは電気工場あたりからの、ユーザーから出てくるプラスチック廃棄物につきましては、専焼炉が、いま工業技術院で開発をやっておられるような高性能また大型の装置ではございませんけれども、十分焼却に耐える炉もすでにございまして、それを設置している工場も、確かな数字はちょっとつかんでおりませんけれども、数百は下らないと思っております。だから、どんどんそういった炉が使われることを希望するわけでございますし、また私どもも、そういった施設に余分な金がかかりますから、先ほど御説明申し上げましたような、開銀その他公庫等の融資の問題、それから特別償却という税制上の問題、昭和四十六年度から実施される運びに至っているわけであります。そういうことから私どもは、民間にも誘導行政をやっておるわけであります。
○榊説明員 ただいま通産省のほうからも、いわゆる民間段階でのいろいろなお話がございました。私どものほう、先ほどから先生お話しいただいております廃棄物の処理及び清掃に関する法律、これを私どものほうが所管いたしておるわけでございますが、先生お申し述べになりましたようないろいろ問題はございます。先ほども私申し上げましたように、現実にはいろいろと、これはコストの上でのいろいろな問題がございますが、技術的には焼却あるいはその他のいろいろな方法によります処理ということが必ずしも不可能ではございません。したがいまして、私どものほうとしては、現在の技術の範囲内でやはりこれは経済的には相当コストが高くなってもやむを得ない場合もございます。したがって、そういう場合には、個々の自治体ということではなくて、むしろ都道府県を単位とするような広域的な一つの処理ということも必要かと思います。そういうような方向でわれわれとしては処理の体制の整備というふうなものをはかっていきたい、このように思っております。
○近江委員 通産省の課長さんのおっしゃったのは、産業廃棄物として事業所から出てくるあれですが、四%とおっしゃっていましたね。
○丸田説明員 〇・四%です。
○近江委員 そうすると、これは昭和五十年には一千万トン出る。わずか四十万トンでしょう。全部の廃棄物が五百万トンあるわけですよ。そうするとそれならあとは通産省四十万トンは責任持つけれども、あとの四百六十万は厚生省責任持ってくれ、厚生省は一たん法律をつくった以上は、それはできない、処理技術がないということで業者に逃げられたらかなわぬから一応希望的な観測をおっしゃっていますけれども、実際上は私だって言う以上は民間のことみな聞いていますよ。ですから、民間だって何となしに、政府が何となしに考えてくれるのと違うか、お互いがそんなもたれ合いのことで解決できるかというのですよ。このままではもう行き詰まりの状態だとさっきおっしゃったでしょう。それについて、それは今後都道府県的に考えるとかなんとかおっしゃっているけれども、今年の九月からこの法律は施行になるのですよ。これはそれで対処できるかという問題ですよ。厚生省としては関係各省そうした問題について真剣に科学技術庁を中心にその辺のことを打ち合わせやっていないのですか。いまの答弁では納得できませんよ、これでは。どうなんですか、その点は。
○石川政府委員 科学技術庁といたしましては、現実の問題につきましてはそれぞれの省庁で先ほどから御説明ありましたような研究を進めているわけでございます。これは研究が進みまして、そしてこのようなものが将来の廃棄物処理の問題につきまして有効であるという時点にわれわれが早く到達できるように促進をしているわけでございますが、科学技術庁といたしましてはただいまの先生から御指摘がございました、いわゆる今度法律施行に際しましての準備体制という点につきましての相談ということは別に行なってないわけでございます。このプラスチック等を含めまして一般の産業廃棄物というものに対しましての処理の推進という面につきましては当然研究調査の段階におきましても進めておりますし、また科学技術庁自体といたしましても特調費をもって進めたり、あるいは資源化協会等に委託して進めているわけでございます。したがいまして科学技術庁といたしまして今後どのような産業廃棄物がっくり出され、それをどのように処理していくかという長い目で見ているという段階でございますので、具体的な問題につきましてはそれぞれの省庁で推進していただきたいというふうに存じております。
○近江委員 要するに、あなたの答弁は全然違うわけですよ。長い目で今後見ていきたい、ところがいまもう、要するにこのままであればお手上げの状態だとおっしゃっているわけですよ。ところが担当の科学技術庁の局長さんが長い目で、そんなあわてんでいいじゃないか、しかも法律できてから具体的にまだ話し合ってない、そんな無責任なことでいいのですか、大体政府の悪いところはそこなんですよ。法律さえつくればあとは何とかなるだろう、そういう無責任なことがいろいろなことをいままで生み出してきたわけですよ。それじゃ九月の二十四日全然処理ができないような体制を責任とれますか、皆さん。そういう問題については皆さん方だって真剣にやはりお考えになっていると思うのですよ。いまのような、流れにまかされているような状態で、各省がやるでしょう、そんなことだったらできないというのですよ。第一に法律ができてからも話し合いもやっていない、そんな団結のない各省ばらばらの行政で解決できますか。長官が、時代の要請「社会を創造するために、その要請を迅速、適確に把握し、」と、これにこたえていくのは科学技術だとおっしゃっているじゃないですか。何も要請にこたえていないじゃないですか、それじゃ。ことばだけの羅列じゃ困りますよ。この問題については特に厚生省さんの、特に昭和五十年度には四百六十万トンもたかれるわけです。いまだって二百万トン以上のそれをたかれていかなければならぬ、それについてもっと具体的に、この九月からこうなるんだから、民間についてもこうやります、政府についてもこうだというような、もっと具体的なものが出ないのですか。どう考えているのですか、一体。
○榊説明員 この法律の施行の問題につきましては、私ども現在この政省令の整備について作業中でございまして、もちろん期日までには法律は施行するという考え方でおります。 いまお話しになりましたいろいろな技術の問題ですが、私、先ほどから何回か申し上げておりますが、やはり現実の可能な技術というものはもちろんございます。したがって、そういう技術そのものを活用してこれは行なうということを私ども考えております。また先ほどお話しの、今後、五十年に至りますと相当何倍かにふえていくというふうな問題もございます。したがって、処理施設のいろいろな地方公共団体の整備というふうなもの、そういうものとからみまして、私どものほうといたしましてはすでに通産省あるいは関係の方面に対していろいろ御相談申し上げていることなのですが、実際に廃棄されるようなものについてできるだけ、やはりこれは法律の三条、先ほど先生お示しになりましたような、こういうふうな精神を受けての行政指導、あるいはそういう努力というふうなものも関係の方面にいろいろと要請をしている段階でございます。即座に廃棄されるものについてのコントロールというふうなものも、これは全体的な処理の体制の整備がされるまでの間やはり十分考えていかなければならない、そういう事柄ではないか、このように思っております。
○近江委員 もう時間もありませんから、結論を急ぎますが……。
○渡部委員長 ちょっと申し上げますが、時間がありませんからこれで最後にしていただきたい。 それから率直に申し上げますが、ただいまの御答弁はきわめて不十分であります。具体的な質問を近江さんがしておられるのでありますから、次回までにこの処理技術に関する厚生省の明確な見通しとこの対策について、この場において御回答あられんことを望みます。よろしゅうございますか。お約束してください。
○榊説明員 いま申し上げたのでよろしいかと思うのですが。
○渡部委員長 いやあなたは具体的なことをいまさんざん聞かれているわけです。それに対してあなたは御答弁なさらない。きょうは御答弁ができないのだと私は思います。したがって、処理技術についてはこういう見通しを立てる、そしてまたいつまでにこういうふうになる、その明確な見通しを次期委員会において御答弁されることを望みます。よろしいですか。
○榊説明員 いやいまでも……。
○渡部委員長 いま答弁できるならどうして答弁なさらないのですか。
○榊説明員 いや、申し上げておるのです。
○渡部委員長 それをもっと明確に、具体的に聞いておられるのですから、それに対する具体的な答弁を厚生省はなさらないといけません。よろしいですか。
○榊説明員 いまいたします。
○渡部委員長 さっきからしてないじゃないですか。さっきからあなたはなさらないから何回も何回も聞かれています。だから、ここで回答なさるのがまずいのだったら、ことばでまずいのだったら、幹部の方に相談なさらなければならないのだったら、そういう余裕を見て、次回もう一ぺんここで御答弁なさったらどうですかと私は言うているのです。どうですか。お答えください。
○榊説明員 先ほどから、ちょっと抽象的に申し上げておると思いますが、現在の技術でできないことはないと私申し上げております。現実にすでに、これは私、先ほど申し上げましたような広域処理の形におきましても、大阪府はことしからいろいろな事業にかかっておりまして、その中でもこういう合成樹脂の専焼炉の設計、そういうものも行なっております。それから愛知あるいは兵庫、そういう地域でも現在こういうものの計画をやっております。ただ、先ほど私申し上げておりますのは、コストの上で非常に高くなるというふうな問題がございます。それから技術的にやはり相当高度な管理を必要とするというふうな問題はあります。そういう問題はございますけれども、現実に処理をしなければならない立場では、やり得るものは生かして処理の体制をつくっていく、こういうふうな考え方でおります。
○近江委員 えらい長時間で御迷惑かけました。これで終わりますから。 最後に、公害対策本部の審議官にお聞きしたいのですが、法律を施行したたてまえ、できないということは厚生省も言えないと思いますが、現実にそれは社会の、国民の人がみな知っているわけですよ。技術的にだってそんなきめ手になるものは何もないわけですよ。ですからそういうことを踏んまえた上でなおかつ、そういう全体的なことしか言えないというのは私は問題だと思うのです。ですから、たとえばプロジェクトチームをつくって、さらに今後対策をとるとか、その辺のことについてはいろいろお考えになっていると思うのです。ですから、その辺の具体的な対策を聞かしていただくことと、特に長官に申し上げたいのは、一つの問題を取り上げても、この科学技術を推進していかなければならない科学技術庁が、法律が施行されてからまだ話し合いもやってない。まことに私はよくないと思います、そういう態度は。こういう一つの問題を取り上げても、緊急かつ重大な問題が山積しておるわけですよ。ですから、ただビッグプロジェクトを柱として、それであとは特徴を見せて、つけておけばそれでいいんだ、そういう事なかれ主義は断じてやめてくれなければ困ります。 ですから、最後に長官にその決意をお聞きしたいと思うのです。審議官と長官とお二人にお聞きして終わります。
○福島説明員 先ほどもお答えいたしましたが、プラスチック問題の解決につきましては、やはり関係各省庁が緊密に連絡をとりまして、足並みをそろえて強力にこれに立ち向かうということが必要だと思いますので、公害対策本部といたしましては、その調整機能を十分発揮いたしまして、さらにこれからその連絡を強化し、解決策を打ち出したい、かように考えております。
○西田国務大臣 法律の施行に伴う実施官庁としては、それぞれ責任をもってやっておられるわけでありますけれども、われわれ科学技術庁という立場から各省庁とも十分な連絡協調をするということにつきましては、御趣旨に十分沿うように善処をいたします。
○近江委員 終わります。
○渡部委員長 次に、山原健二郎君。
○山原委員 最初に、昭和四十六年の科学技術予算の構成について、私の危惧しておることを指摘をして長官の見解を伺いたいのです。それは日米共同声明によりまして、日米協力によって進めるという原子力、宇宙、そして海洋開発、こういういわゆる高度先端技術という中核的部分に対する投資が非常に目立っておるということです。これは集中的に投資が行なわれておるというふうに私は考えるわけです。このことは、現在国、公立の試験研究所が大独占企業の下請け機関にされつつあるということとからみまして、非常に重大な予算構成であるというふうに私は考えております。 たとえば原子力関係が四百七十三億、宇宙開発が百二十四億、海洋開発関係の予算が六億八千万円、合わせて科学技術振興費総額の約四五%を占めておる。まさに半分近い内容を持っておるという点であります。しかも、この振興費の中には、東京大学の宇宙開発関係予算の二十八億八千五百万円ですか、これは含まれておりません。また通産省、農林省、運輸省、建設省、厚生省の海洋開発関係予算の合計が六十二億でありますけれども、これも含まれていない。これらの予算を加えると、いわゆる原子力、宇宙開発、海洋開発の予算総額は、科学技術振興費のほぼ五一%に達するという、こういう予算構成になっていると思うのです。 このような日米共同声明に従って行なわれる予算構成についての私の危惧というもの、これは一面では公然たる軍事研究の予算である防衛庁の兵器開発費が、ことしは百億円台にのぼったわけです。これは日本の基礎科学研究補助金の今年度予算よりもさらに十五億円多くなっているという、こういう軍事的な側面から考えましても、非常に重大な内容を持っている。こういう急増する肥大ぶりを見ましたときに、いわゆる日本の科学技術の将来について危険性というものを感ずるわけでありまして、これについて長官の見解を伺いたいのが第一点です。 次に、所信表明の中で出されております第二項の原子力の開発利用の推進につきまして質問をいたしておきます。 その二つの質問に対する答弁を最初にいただきたいのですが、まず第一点は、原子力の急上昇する計画というものについて、はたしてこれに対する対処のしかたがあるのかという問題です。たとえば、総合エネルギー調査会の答申資料を見ますと、これは昭和四十五年度のものでありますけれども、わが国のエネルギー需給の実績と見通しで、こういうふうに出ております。原子力が昭和四十五年には、全エネルギーの〇・六%、五十年度には二・四%、六十年度には一〇%という数字が出ているわけです。さらに、これは企業側の資料でありますけれども、中央電力協議会、これは御承知のように九電力会社と電源開発が組織をしているものでありますが、これによりますと、昭和五十四年度末には原子力発電所が実に五十六基、キロワットにしまして、一億五千五百万キロワット、そしていわゆる原子力発電所の占める比重が一五・八%、こういうふうな数字が出ているわけです。現在これからこの計画はさらに上昇する可能性があるわけでして、そういう意味で考えますと、全く無政府的な状態で原子力発電所というものが至るところに増設をされる。しかも安全性の問題についても、明確な答えが出ていない段階で、こういう急上昇する原子力エネルギーの発展に対してどう対処していくのかという問題です。 これは、まず第一番に、この点については中央電力協議会のこの資料について、やはりこういう形で進んでいくのかどうかという点について伺っておきたい。 それから、ただいま申しましたように、現在の状態でまず世界第一と言われるこういう全く制限を知らない上昇に対して、科学技術庁として公害その他安全性の問題を含めまして対処できるのかということなんです。 以上二つの問題を先にお尋ねしておきます。
○西田国務大臣 山原さんからお尋ねの第一点でございますが、御質問の中に、何か日本の原子力、宇宙、これは日米共同声明に基づいてやっている、こういうお尋ねでございますが、これは、ちょっと私にはどういうことを意味されるのか理解ができないのであります。日米共同声明と日本の原子力、宇宙開発とは何らの関係がないと思います。ただ原子力関係では、日米の協定がございます。これはいわゆる核燃料であるところの濃縮ウランの供給を受けるという立場からそういう協定はございますが、それ以外に、特にいま御指摘になったような点はございません。それから宇宙も、いわゆる必要な最小限度の技術供与を受けるための話し合いはございますけれども、日本が独自の開発をやっておるわけでございまして、特別な日米の、いわゆる先生のおっしゃるような声明とか、そういったものによるものではございません。その点は、何かちょっと私には理解できないのでございます。 それから、確かに科学技術庁の予算の中で、いま数字をおあげになったような相当の予算額を占めておることは事実でございますけれども、これは、先生がお述べになりましたような、何か無政府的などうの、そういうようなことでは全くございませんで、これはしっかりした計画のもとに進めておるわけでございますし、原子力開発、原子力発電なんかどんどんできていくということに対して何か危惧をお持ちのようでございますけれども、むしろ、先ほど来の御質問にもございましたように、日本の将来必要なエネルギーの源といたしましては、油によるところの発電所というようなものも、将来の見通しといたしましてはいろいろ問題がございますが、むしろ公害のない、そして将来はコスト的にも現在の発電所に十分対抗できるような経済性を持つようになると私は思います。そういう意味におきまして原子力開発をやり、原子力発電——もちろん原子力の利用はただ発電のみに限りませんで、あらゆる面、医療の面あるいはまた食品照射とかいろいろな国民生活に密着するものでございますし、またこのようなプロジェクトの開発を進めるということはその波及効果というものは非常に大きいわけでございまして、国民経済あるいは国民生活に非常に密着したものであるというふうに考えておりまして、先生とやや所見を異にするわけでございます。
○山原委員 この中央電力協議会の資料をごらんになっておりますか。
○梅澤政府委員 私たちのほうでいま原子力関係の伸びにつきましては、一つございますのは原子力委員会の決定でございます。それでいきますと、昭和六十年に四千から五千万キロワットになる予定になっております。しかし、いま先生方おっしゃいましたように、原子力産業会議あるいは電調審等の計画がだんだんふえてまいりました。したがいまして、今年中に原子力委員会の長期計画の改定を進めております。しかし実際の状況からまいりますと、昭和五十五年には二千七百万キロワット、大体電力の関係の中で一七%を占めます。それから昭和六十年には先ほど申し上げました五千万キロワットで全エネルギーの関係からいきますと二八%を占めるということでいま考えられております。
○山原委員 いま大臣の答弁の中で言われたことは、この所信表明の中にも「わが国の原子力の開発利用は、実用化の段階に向かって急速に進展しつつありますが、さらに、積極的な施策を推進する」というこのことばに表現されておると思うのです。だから私は、このことばそのものについて現在とやかく言おうとしておるのではありませんけれども、この推進のしかたに問題があるわけです。たとえば、これは原子力発電所の安全性についての科学技術庁の調査だと思いますが、昭和四十四年七月十七日の世論調査だと思いますけれども、安全性について信頼しないというのが四五%、信頼するというのが一八%ですね。近接地域に原子力発電所を設置する場合に、反対というのが四一%で、賛成が一八%というふうな数字になっておるわけです。だから、住民の間には確かに原子力発電所という新しい事物に対する危惧というものはあるわけです。それに対して十分な説明ができておるか、あるいは安全性が国家的な立場で保障されておるかというと、そういう立場には私は現在ないと思うんです。にもかかわらず、九電力会社が競い合うように各地に原子力発電所をつくるんだということで、私どもの聞くところでは各地方都道府県の知事まで、ここはつくらなくてもいいんだという考え方すらあるのに、電力会社としてはバスに乗りおくれたらいかぬというふうな考え方で、もうそれぞれ計画を立てて、そうしてかなり強引な建設を進めておるという実態があるわけです。だから私は、そういう意味で、無政府的な状態で、バスに乗りおくれないというふうな形で、安全性その他の保障もないにもかかわらず進めていくことがはたして正しいか。これは諸外国の例を見ましても、これほどたくさんの原子力発電所を、二十カ所も三十カ所も指定をしてつくっていこうなどという計画は全く想像ができないことだという学者もおるわけでございますから、その点を申し上げているのです。 そこで一例を申し上げておきたいのです。それは、各地で問題が起こっておりますけれども、私がいま申し上げます例は、愛媛県西宇和郡の伊方町にできようとしておる四国電力の原子力発電所の問題です。これはすでに御承知と思いますけれども、出力五十万キロワットの発電機を一基据えるためのものですね。そして用地面積が六十五万平米、そして海面の埋め立てが十万平方メートルという状態であります。この場合に、まず第一番に、昨年五月二十二日に出ております朝日新聞の記事にはこういうふうに出ているわけです。要するに、最初、土地買収にあたって、土地売買契約を結ぶにあたって、単なる発電所とはっきり出ているわけです。だから、地元の人々は、発電所であればいままで経験があるわけですよ。ところが土地売買契約が終わってみると、これは原子力発電所というのが突如出てくるわけです。したがって皆さんが、これはだまされたということで売買契約の取り消しの訴訟まで起こすという状態が起こっているわけです。ところが、この四国電力側はそれに対して仮登記によって所有権を明示をしまして、調査その他に入るわけです。それに対して住民の人たちが、そんなばかなことはない。何でうそをついたのか、だから売買契約を取り消してもらいたいという訴訟まで起こして、いま係争中である。その係争中の段階で立ち入り調査を始める。そして立ち入り禁止区域をつくる。住民の人たちはそこで反対をしてすわり込みをすると、今度は四国電力側は愛媛県警察機動隊を約七十名動員をしてこれを排除するという問題が起こったわけです。こういう状態、これは松山地方法務局の登記課の説明によりましても、そういうやり方は疑問だといっているわけです。だから、長官が言われるように、原子力の実用段階に入ってこれを積極的に推進するのだというけれども、企業の側では、こういう形で住民をだまして、そして強引に原子力発電所を建設をしていく、こういう実態があらわれておるのです。こういうことについて長官の見解を伺っておきたいのです。
○西田国務大臣 いま先生が例としてあげられました伊方町の発電所建設問題につきましては、私は具体的な事実をまだ聴取しておりませんので、あるいは原子力局長が承知しておれば、局長から答えさせますが、この原子力発電所の建設につきましては、まだ伊方町からの設置の許可申請というものは出ておらないようでございます。原子炉規制法に基づいて設置の許可の申請がございました場合には、原子力委員会の原子炉安全専門審査会におきまして、安全性について厳重な審査を行ないます。そしてその結果、安全であるということが十分に確認されたときでなければ許可をすることはございません。さらに、そういう段階で許可があったといたしましても、設置につきまして工事計画の認可、使用前の検査とか、保安規定の認可あるいは定期検査等の段階で、安全確保上十分な規制が行なわれるたてまえになっておるわけでございます。先ほど先生お述べになりましたように、原子力発電所について、安全性についてまだだいぶ御理解がないと申しますか、御不安があるという状況は、ひとり伊方町に限らず、あちこちにまだ見受けられる状況でございますが、私ども見ておりますと、たとえば東海であるとか、あるいは福井県の敦賀であるとか、そういうところで、すでに発電所ができておりますところはわりあい住民の方々も御理解がいっておるようでございますけれども、全く新たにつくるところ、たとえば私は北海道ですが、北海道なんかでもだいぶ心配なさって、いろいろそういう点がございます。これは原爆の被害を受けたという立場から申しますと、御心配は無理はないと思うのでありますけれども、またそれらの方々に対して十分な御理解がいくような努力をすることが必要であると存じます。 手続上の問題につきましては、そういう原子力発電所を建設するということ以外のことで土地を買ったといういまのお話でございますが、そこら辺の事情については私よく承知しておりませんので、私からちょっとお答えいたしかねます。
○山原委員 時間が足りませんので、言い飛ばしみたいなかっこうになりますけれども、法案も出ておりますので、あとで安全性その他の問題については質問をいたしたいと考えておりますが、いま言われましたように、一つは安全性について不安を持っておるということだけではないわけです。まず第一番に、土地の買収にあたって単なる発電所をつくるんだ、こういうだまし方ですね。判をついてみると、次には原子力発電所だ。これははっきりなっておるわけですよ。だから、これはあとで調査をしていただきたいと思うのですが、そういう住民に対する不信行為、同時に企業と自治体とが癒着をいたしまして、そして今度は一昨日でありますけれども、土地収用法に基づいて立ち入り調査を許可する。現在係争中であるにかかわらず、県の土地収用委員会は収用法を適用して立ち入り調査を認可するというふうに、こういう企業と自治体とが密着した形で住民に対する押しつけというものが行なわれているわけです。このことが問題なんです。 さらに、これは科学技術庁長官に言うべき質問の範囲を逸脱するかもしれませんけれども、実は本年二月八日、そして昨日、二月十七日でありますが、四国電力はこの伊方町の小学校、中学校を休校にしまして、全部の生徒を学校に来させないで、そうして教員を全部集めております。そして四国電力の小野PR課長というのが安全性についての講習会を行なっている。それに対して町教育委員会は業務命令を出して全教師をそこに集めて、この安全性について一企業の係員がPRする、しかもその間学校を休校にするという事態まで起こっているわけです。だから、皆さん方は原子力の実用化に伴ってこれを推進すると簡単に言っておりますけれども、現地においてはこういう強圧がなされているわけです。これは、私は予算委員会の分科会で文部省に対して質問をしようと思っているのですけれども、こういう形の企業との癒着の中で原子力開発というものが進められるということは、断じて許すことはできないというふうに考えております。これについて最後に長官の見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○西田国務大臣 いまお述べになりました事実は全く私承知いたしておりません。私のほうでも、もしいろいろな事実がわかりましたならばお答えできるかと思いますが、いま御質問がありましたようなことがあり得るとはちょっと考えられない……。
○山原委員 考えられないでしょう。考えられないことが起こっているのですよ。 終わります。 ————◇—————
○渡部委員長 この際小委員会設置の件についておはかりいたします。 宇宙開発の基本問題について調査を行なうため、小委員十三名よりなる宇宙開発の基本問題に関する小委員会及び海洋開発に関する問題について調査を行なうため、小委員十三名よりなる海洋開発に関する小委員会をそれぞれ設置したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 なお、小委員、小委員長は追って指名し、公報をもってお知らせいたします。 ただいま設置いたしました両小委員会の小委員、小委員長の辞任及び補欠選任並びに小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、その期日、人選その他所要の手続につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十七分散会