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65回国会衆議院1971/02/17

科学技術振興対策特別委員会 第2号

発言数
9
登壇者
3
会派数
2
開催日
1971/02/17

会議録

渡部一郎公明党

○渡部委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  最初に、西田国務大臣より、科学技術行政に関する所信を承ることといたします。西田国務大臣。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 第六十五回国会にあたりまして、科学技術庁長官としての所信を述べさせていただきます。  科学技術の進歩は、経済社会の目ざましい発展の原動力となるばかりでなく、公害等のひずみを是正し、環境を保全するためにも大きな力を発揮し得るものであり、未知の領域を開拓し、人類の夢を実現し、快適で充実した国民生活をもたらすために不可欠の要件であるといえましょう。  わが国の科学技術の水準は、近年著しく向上しておりますが、資本の自由化等本格的な経済の国際化に対処しつつわが国の繁栄をはかっていくためには、先端技術分野を中心とする独創的な技術の開発がきわめて重要であります。このことは、現代社会が直面している環境保全、公害の防除等世界各国共通の問題を解決するためにも不可欠の課題であります。  特に、激動する一九七〇年代において豊かな社会を創造するために、その要請を迅速、適確に把握し、これにこたえ得る科学技術の振興をはかることは、われわれに課された重大な使命であると考えます。  このような観点から、私は、昭和四十六年度において、次のような諸施策を強力に推進する所存であります。  第一は、科学技術振興基盤の強化であります。  わが国の科学技術を総合的、計画的に推進するため、科学技術振興基本計画の策定を進めつつありますが、なお、目下実施中の技術予測の結果を十分参酌する所存であります。  また、科学技術に関する普及啓発活動についても、特に意を用いてまいりたいと考えております。  さらに、研究環境の整備充実、優秀な人材の養成確保等各種の科学技術振興基盤強化のための施策を講ずるとともに、研究学園都市の建設の促進にも意を用いてまいる所存であります。  第二は、原子力の開発利用の推進であります。  わが国の原子力の開発利用は、実用化の段階に向かって急速に進展しつつありますが、さらに、積極的な施策を推進する所存であります。  まず、動力炉の開発につきましては、夢の原子炉といわれる高速増殖炉について、その実験炉の建設を進めるとともに、原型炉に関する研究開発を本格化する一方、新型転換炉の原型炉の建設を促進したいと考えております。  また、核燃料につきましては、ウラン濃縮技術の開発、海外ウラン資源の調査を拡大強化するとともに、使用済み燃料再処理施設の建設を推進いたします。  さらに、原子力船「むつ」の原子炉艤装等を進めるほか、核融合、食品照射に関する研究の推進、原子力施設の安全対策の強化、保障措置関連施策の充実等につとめる所存であります。これらのほか、原子力損害賠償制度の整備をはかるため、原子力損害賠償関係法の改正を行なうとともに、「むつ」の実験航海等に備え、日本原子力船開発事業団法の期限を延長することとしております。  第三は、宇宙開発の推進であります。  宇宙開発につきましては、昨年改定した宇宙開発計画に基づき、宇宙開発事業団を中核としてNロケット及び技術試験衛星の開発を進めるとともに、ロケットの打ち上げ施設、試験施設の整備をはかるほか、将来における宇宙開発の進展に対処するための基礎的、先行的研究を総合的に推進することといたしております。  第四は、海洋開発の推進であります。  海洋開発の要請にこたえ、そのための科学技術の開発プロジェクトを強力に推進することとし、このため、海洋科学技術に関する試験研究、大型共用施設の設置及び運用、人材の養成等を行なう機関として、官学民の協力のもとに海洋科学技術センター(仮称)を新設することとしております。  また、潜水シミュレーターの建造及び潜水調査船「しんかい」の運用を進め、海中作業基地による海中居住実験を開始するほか、海洋の総合的な調査を促進してまいりたいと存じます。  さらに、海洋科学技術審議会を発展的に解消し、広く海洋開発に関する基本的かつ総合的な事項を調査審議する機関として総理府に海洋開発審議会を設置し、海洋開発の総合的な推進をはかることとしております。  第五は、情報関連施策の拡充強化であります。  情報化社会の進展に対処するため、ソフトサイエンスの振興を鋭意進めるとともに、科学技術会議の答申に示された科学技術情報に関する全国的流通システム構想の具体化のための調査検討、日本科学技術情報センターの拡充強化等科学技術情報の流通の促進をはかる所存であります。  第六は、重要総合研究の推進であります。  国民生活の向上をはかるため、防災科学技術、交通事故防止技術、基礎電子技術等の総合的な研究を積極的に推進することがきわめて重要でありますが、特に公害の防止、環境の保全のための環境科学技術の研究開発には力を注ぎたいと考えております。  第七は、研究開発一般の推進であります。  以上の措置と並んで、基礎的、共通的な研究を推進するとともに、民間における研究開発の促進をはかるため、新技術開発事業団の拡充強化、技術輸出に関する税制上の措置等を講じてまいる所存であります。  さらに、科学技術の面における国際交流の重要性にかんがみ、国連、OECD等の国際機関における科学技術活動に積極的に参加するとともに、二国間協力の拡充にもっと努めてまいりたいと存じます。  以上のほか、資源の総合的利用方策の推進につきましては、資源調査所を中心として、将来の資源利用構造の変化に応じた海外資源の長期安定確保に関する調査等を行ない、関係行政機関の施策の推進に資する所存であります。  これらの諸施策を実施するため、昭和四十六年度政府予算案におきまして、科学技術庁分は、原子力開発利用に約四百七十四億円、宇宙開発に約百十七億円をはじめとして、総額約七百九億円を計上いたしました。  以上、昭和四十六年度における科学技術振興施策の概要について申し述べましたが、科学技術の振興の衝に当たる私といたしましては、その使命の重大性を十分に認識し、これらの施策の実現については十分努力する決意であります。  ここに、委員各位の一そうの御支援、御協力を賜わりますようお願い申し上げる次第であります。     —————————————

渡部一郎公明党

○渡部委員長 次に、昭和四十六年度科学技術庁予算について、矢島官房長より説明を聴取いたします。

矢島嗣郎科学技術庁長官官房長

○矢島政府委員 昭和四十六年度政府予算案におきまして、科学技術庁の予算案は、歳出予算額七百九億円、国庫債務負担行為額三百三十七億二千二百万円を計上いたしております。これを前年度予算額に比較いたしますと、それぞれ歳出予算額で百七億六千四百万円、国庫債務負担行為額で七十一億六千六百万円の増額となっており、その比率において約一八%の増となっております。  次に、予算要求額のうちおもな事項につきまして、その大略を御説明いたします。  第一に、科学技術振興基盤の強化といたしまして、歳出予算額九億四千九百万円、国庫債務負担行為額二億二千百万円を計上いたしております。  これには、まず、わが国における科学技術を長期的な観点に立って、計画的、かつ、総合的に推進するための国の基本計画を策定するため必要な経費並びに科学技術会議の運営をはかる経費など四千二百万円を計上いたしております。  次に、科学技術の普及啓発活動の推進につきましては、科学技術映画の製作、科学技術功労者の表彰、原子力の平和利用及び宇宙開発に関する国民の理解を深めるための広報活動を行なうほか、新たに、科学技術に関する広報啓発誌の発行を行なうなどこれらに必要な経費として六千二百万円を計上いたしております。  また、研究・学園都市の建設の促進につきましては、無機材質研究所の研究本館の建設及び国立防災科学技術センターの大型降雨実験施設の整備などに必要な経費といたしまして、歳出予算額六億百万円、国庫債務負担行為額二億二千百万円を計上いたしました。  さらに、優秀な人材の養成確保をはかるため国内及び海外への留学、研修及び国際研究集会への派遣などに必要な経費といたしまして、二億四千四百万円を計上いたしております。  第二に、原子力開発利用の推進といたしまして、歳出予算額四百七十二億七千五百万円、国庫債務負担行為額二百四十八億一千四百万円を計上いたしております。  まず、動力炉の開発につきましては、高速増殖炉の実験炉の建設を進めるとともに、原型炉のための研究開発を本格化するほか、前年度に引き続き新型転換炉の原型炉の建設を進めるため動力炉開発推進の中核であります動力炉・核燃料開発事業団の動力炉開発分といたしまして二百七十三億七百万円と、国庫債務負担行為額二百十七億九千六百万円を計上いたしました。また、同事業団の核燃料開発関係の業務といたしましては、ウラン濃縮の研究開発、海外ウラン資源の調査等を拡大強化するとともに、使用済み核燃料再処理工場の建設の促進をはかってまいります。  以上のため、動力炉・核燃料開発事業団に対し政府出資金及び補助金を合わせ総額三百十七億円と国庫債務負担行為額二百二十四億一千三百万円を計上いたしました。  次に、原子力第一船「むつ」の建造につきましては、定係港むつ市において原子炉の艤装を進めるとともに原子力船付帯陸上施設の整備及び乗り組み員の養成訓練を行なうため、日本原子力船開発事業団に対し政府出資金及び補助金を合わせ十五億百万円と、国庫債務負担行為額二億四千二百万円を計上いたしました。  また、日本原子力研究所につきましては、材料試験炉等各種原子炉の運転及び整備を行なうほか、ウラン濃縮、核融合、食品照射の研究開発等に必要な経費として政府出資金及び補助金を合せ百十億六千四百万円と国庫債務負担行為額十五億四千三百万円を計上いたしました。  さらに、放射線医学総合研究所におきまして医療用サイクロトロンの建設をすすめるほか、国立試験研究機関における原子力試験研究及び民間に対する原子力平和利用研究の委託など合わせて二十五億七千二百万円と国庫債務負担行為額五億五千万円を計上いたしました。  このほか、安全対策の一環といたしまして放射能測定調査研究に必要な経費二億三千六百万円を、また、核燃料物質の借り入れ、保障措置関連施策の強化等の行政費として二億二百万円と国庫債務負担行為額六千六百万円を計上いたしております。  第三に、宇宙開発の推進につきましては、昨年改定いたしました宇宙開発計画に基づき、ロケット及び人工衛星の開発を進めることとし、これに必要な経費として歳出予算額百十六億四千三百万円、国庫債務負担行為額八十一億八千二百万円を計上いたしました。  まず、宇宙開発事業団につきましては、宇宙開発計画の改定に伴うNロケット及び、試験用ロケット並びに技術試験衛星I型の開発を進めるとともに種子島宇宙センターのロケット打ち上げ関連施設の整備のほか、研究・学園都市に建設を予定いたしておりますロケット及び人工衛星の試験管制センターの整備などを行なうため必要な経費として、政府出資金、補助金を合わせ百四億七千四百万円と国庫債務負担行為額七十七億八千六百万円を計上いたしております。  次に、航空宇宙技術研究所における宇宙開発関連研究といたしまして、基礎的、先行的研究等に必要な経費として、ロケットエンジン高空性能試験施設の整備費など九億四千二百万円と国庫債務負担行為額三億九千六百万円を計上いたしております。  第四に、海洋開発の推進につきましては、まず、海洋科学技術に関する試験研究、大型共用施設の設置及び運用、人材の養成等を行なう機関として海洋科学技術センター(仮称)を新設することとし、これに必要な政府出資金及び補助金を合わせ一億三千万円を計上いたしておりますが、その新設に必要な海洋科学技術センター法案は別途御審議いただくこととなります。  また、潜水シミュレーターの建造、潜水調査船による大陸だなの調査、海中作業基地の海中実験を行なうほか、海洋科学技術審議会を発展的に解消し、広く海洋開発に関する基本的かつ総合的な事項を調査審議する機関として総理府に海洋開発審議会を設置するなど、これらに必要な経費として五億五千万円と国庫債務負担行為額八千五百万円を計上いたしております。  第五に、情報関連施策の拡充強化につきましては、情報化社会といわれます現代の趨勢に応ずるため科学技術会議の答申に示されました科学技術情報の全国的流通システム構想についての調査検討を行なうとともに、情報検索用語関連辞書の編集などに必要な経費として一千二百万円を計上いたしましたほか、日本科学技術情報センターにおきまして科学技術情報入手案内業務及び環境・公害文献集の発行業務並びに情報検索サービスに関する研究開発の促進など機能の拡充を促進いたしますため、政府の出資金及び補助金を合わせ十億三千八百万円を計上いたしております。  第六に重要総合研究の推進につきましては、防災科学技術、交通事故防止技術、基礎電子技術、海洋科学技術及び環境保全のための環境科学技術等の総合的研究を実施するほか、不測の事態に対処し緊急に行なうべき研究の円滑な実施をはかりますため特別研究促進調整費八億円を計上いたしております。  第七に、研究開発一般の推進といたしまして、新技術開発、国際交流及び資源の総合的利用方策の推進並びに試験研究機関の整備強化をはかるため七十四億三百万円と国庫債務負担行為額四億二千万円を計上いたしました。  まず、新技術開発の推進につきましては、新技術開発事業団に対する出資金及び補助金を合わせて七億六千四百万円を計上することにより、研究開発委託契約限度額を十六億円に引き上げるなど、その業務の拡充をはかるとともに、発明実施化試験の補助金として三千四百万円を計上いたしております。  次に、国際交流の促進につきましては、欧州原子力機関(ENEA)の共同研究等への参加、ジュネーブで開催されます第四回原子力平和利用会議への参加、二国間の科学技術交流の拡充等のため一億三千三百万円を計上いたしております。  次に、資源の総合的利用方策の推進につきましては、海外資源の長期安定確保に関する調査等資源調査会を中心とする調査及び微生物利用によるバガスの飼料化等の委託調査を実施するとともに、資源調査所の基礎的調査の充実をはかるため一億四千百万円を計上いたしております。  さらに、試験研究機関の整備強化につきましては、六十三億三千百万円と国庫債務負担行為額四億二千万円を計上いたしましたが、これは当庁の付属試験研究機関のうち、金属材料技術研究所の金属材料疲れ試験設備の整備、無機材質研究所の研究グループの増設及び研究用機器の整備、航空宇宙技術研究所の突風風胴の整備並びに国立防災科学技術センターの地震予知の研究の実施、研究施設の整備等に必要な経費のほか、理化学研究所の研究運営及び図書館の建設などに必要な政府出資金及び補助金であります。  以上簡単でございますが、昭和四十六年度科学技術庁予算案のうち重要項目につきましてその大略を御説明いたしましたが、このほか、一般会計予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を百六十六億円に、また、使用済み核燃料の再処理工場の建設資金のうち、動力炉・核燃料開発事業団が借り入れる資金の一部につきましては、同事業団法第三十四条の規定により、政府の保証する債務の限度額を「元本金額三十八億円及びその利息に相当する金額」と定めることといたしております。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 以上で説明聴取は終わりました。      ————◇—————

渡部一郎公明党

○渡部委員長 引き続き去る二月五日本委員会に付託されました原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案及び十三日に付託されました海洋科学技術センター法案を議題といたします。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 まず、三案について順次提案理由の説明を聴取いたします。西田国務大臣。

西田信一自由民主党北海道開発庁長官・科学技術庁長官

○西田国務大臣 まず、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  原子力の開発利用を進めるに当たりましては、その安全性を確保することが絶対的な要件であることは申すまでもありませんが、さらに万一の際における損害賠償制度を確立して、国民の不安感を除去するとともに、原子力事業の健全な発展に資することが必要であります。  このような観点から、昭和三十六年に制定されました原子力損害賠償関係二法律に基づき、原子力事業者に無過失損害賠償責任を課するとともに、原子力事業者への責任の集中、損害賠償措置の義務づけ等を行ない、また責任保険等でカバーされないリスクについては国家補償契約制度を導入してまいったのでありまして、わが国の原子力事業は、安全面で他に類を見ない厳重な規制とこのような損害賠償制度の適切な運用によって順調な歩みを続けております。  しかるに、現行法は、国の補償契約制度と、損害賠償措置を越える原子力損害が発生した場合の原子力事業者に対する国の援助の規定を法制定後十年間すなわち、昭和四十六年末までに運転を開始する原子炉等に限り適用することとしております。これは十カ年経過した時点で原子力の開発利用の進展等に応じ原子力損害賠償制度を再検討するためのものでありますが、今後の原子力開発利用の促進のためには、昭和四十七年以降に運転を開始する原子炉等についてもこれらの規定を適用できるようにすることが必要であります。  また、現行賠償制度発足時には、わが国において原子力船の建造が現実のものとなっておりませんでしたが、近く原子力第一船「むつ」の就航が実現いたしますとともに、米国、西独等の原子力船の本邦寄港の要請も従来から強く行なわれてきております。  従って、内外の原子力船の円滑な相互寄港をはかるため、原子力船に関連して原子力損害賠償制度を整備することが必要であります。  さらに、最近における原子力の開発利用の進展に応じ、損害賠償措置額の引き上げ、核燃料輸送中の責任等に関連する所要の改正を行なうことが必要であります。  このため、原子力委員会に原子力損害賠償制度検討専門部会を設けて、原子力損害賠償制度に関する諸条約あるいは欧米諸国の原子力損害賠償制度を参考として検討してまいりましたが、その結論が得られましたので、このたび本法律案を提案した次第であります。  次に、本法律案の内容につきまして主要な点を御説明申し上げます。本法律案は、賠償法の一部改正と補償契約法の一部改正とからなっておりますが、まず賠償法の一部改正につきましては、第一に、先に述べましたとおり、国の補償契約制度と国の援助に関する規定の適用が昭和四十六年十二月末までに運転を開始した原子炉等に限定されておりますので、この規定をさらに十年延長し、昭和五十六年十二月末までに運転を開始する原子炉等に適用することとしております。  第二に、原子力船に係る原子力損害賠償制度の整備についてでありますが、わが国の原子力船が外国の水域に立ち入る場合には、原子力船運航者の責任に関する条約等を参考として、両国政府間の合意に基づき原子力事業者の損害賠償責任を一定の額までとし、国内で要求される損害賠償措置に加えてその額までの損害賠償措置を講じさせることとしております。その場合の損害賠償措置としては、民間の責任保険等のほかに民間の責任保険等でカバーされない部分について後に述べますように、国の補償契約制度を拡大することとしております。  また、現在、わが国の原子力船については、その原子炉に着目して陸上原子炉と同じ損害賠償措置が義務づけられておりますが、外国原子力船については賠償法上の規定を欠いておりますので、外国原子力船が本邦水域に立ち入る場合の運航者に関する賠償法上の規定を整備することとしております。  即ち、外国原子力船が本邦の水域に立ち入る場合にも、わが国の原子力船が外国の水域に立ち入る場合と同様、両国政府間の合意に基づき原子力事業者の損害賠償責任を一定の額までとし、その額までの損害賠償措置を講じさせることとしております。なお、その額は一原子力事故当たり三百六十億円を下らない額とすることとしております。  また、万一合意した額をこえる損害が発生した場合には被災者の救助及び被害の拡大の防止のための必要な措置を政府が講ずるようにすることとしております。  第三に、賠償措置額については、現在の五十億円を民間責任保険の引き受け能力、外国の例等を勘案し、六十億円に引き上げることとしております。  第四に、求償権の制限及び核燃料物質運搬中の責任については、特約がある場合を除き、原子力事業者の求償権の行使を第三者に故意がある場合に限るとともに、核燃料物質の運搬中の責任は受け取り人ではなく発送人にあることとする等関連規定を整備することとしております。  次に、補償契約法の一部改正につきましては、賠償法の改正に対応して、わが国の原子力船の外国の水域への立ち入りに伴い生じた原子力損害であって、民間の責任保険等で埋められないものをカバーするため、両国政府間の合意で定められる損害賠償責任額まで政府と原子力事業者の間で補償契約を締結できることとしております。  以上、この法律案の提案の理由並びにその内容を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  続いて日本原子力開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  最近における世界海運の趨勢を見ますと、世界経済の発展に伴い海上輸送量が著しく増加しつつあり、これに伴い船舶の高速化、巨大化の傾向がますます顕著なものとなっております。  船舶の高速化、巨大化に伴い、経済的な高出力推進機関の開発が要請されますが、将来原子力推進機関がその有利性を発揮できるものと期待され、世界の主要海運造船国におきましては、原子力船の実用化に関する研究開発を鋭意進めており、すでに米国のサバンナ号、ソ連のレーニン号、ドイツのオットー・ハーン号は就航を見ております。  わが国におきましても、原子力第一船の建造運航により、原子力船に関する技術の確立をはかるため、その開発を担当する機関として、日本原子力船開発事業団を設立することとして、昭和三十八年に日本原子力船開発事業団法を制定いたしました。  日本原子力船開発事業団は、原子力委員会の決定した原子力第一船開発基本計画に従いまして、原子力船「むつ」の開発につとめてまいりましたが、船価の大幅上昇等の事情によりまして当初計画による昭和三十九年度における建造着手が困難となり、これに伴い昭和四十二年三月原子力委員会は、基本計画の改定を余儀なくされたのであります。  日本原子力船開発事業団は、改定後の基本計画に従い、昭和四十二年十一月原子力船の建造に着手し、昭和四十五年七月船体建造工事を終え、現在、青森県むつ市の定係港におきまして、原子炉艤装工事を行なっておりますが、今後、原子炉艤装工事、燃料装荷、出力上昇試験の上、慣熟運転、実験航海等を終了するのは、昭和五十年度になるものと見込まれております。  このような状況にかんがみ、原子力第一船開発の所期の目的を達成するため、日本原子力船開発事業団法の存続期限を現行法に規定する昭和四十七年三月三十一日から四年延長し、昭和五十一年三月三十一日と改正する必要があります。  以上、この法律案の提案の理由並びにその内容を御説明申し上げました。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  続きまして、海洋技術センター法案につきまして、提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  海洋には、水産資源をはじめ、石油、天然ガス、金属などの鉱物資源さらには広大な空間など豊かな可能性が秘められています。陸上資源に乏しいわが国が、今後、経済社会の発展をはかり、国民生活の向上を期するためには、わが国を取り囲む海洋が包蔵するこれら資源の開発、利用が不可欠であります。水産、海運等の伝統的な海洋利用の分野では、わが国は、世界的な水準にあると考えられますが、海底石油の掘さく、海上または海中空間の開発など新しい海洋の開発については、まだその緒についたばかりであり、先進諸国に比してかなりの立ちおくれを示しています。  海洋の開発を推進するためには、まず、これに必要な科学技術の開発が重要であることは言うまでもありません。このため、政府といたしましては、かねてから、関係各省庁における試験研究等を強力に実施してきたところであります。しかし、アメリカやフランスをはじめとする先進諸国の水準に早急に到達し、豊かな海洋資源の開発利用をはかるためには、海洋の開発のための新しい要請に応じた試験研究や研究者、技術者の研修等を行なう必要があり、これは、既存の試験研究機関等では必ずしも十分であるとはいえません。  このような現状にかんがみ、海洋の開発にかかる科学技術、すなわち海洋科学技術に関する試験研究、研究者及び技術者の研修を行ない、試験研究施設を共用に供する等海洋科学技術の向上をはかるために必要な業務を行なう機関として、海洋科学技術センターを設立しようとするものであります。  次に、この法案の要旨について、御説明申し上げます。  まず第一に、海洋科学技術センターの設立につきましては、海洋の開発について専門的な知識を有する者十五人以上が発起人となって、科学技術庁長官の設立の認可申請を行なうこととし、科学技術庁長官は、その申請の内容を審査いたしまして、その業務が健全に行なわれ、海洋科学技術の向上に寄与することが確実であると認めるときは、一を限り、設立を認可することとなっております。  第二に、海洋科学技術センターの資本金は、政府及び民間の出資によって構成されることとなっており、政府は、昭和四十六年度予算案においては、一億円の出資を予定しております。  第三に、海洋科学技術センターの役員として、会長、理事長、理事及び監事を置くこととし、これらの役員は、定款の定めるところに従って選任され、その選任には科学技術庁長官の認可を要することといたしております。また、運営に関する重要事項を審議する機関として、海洋科学技術センターに評議員会を置くこととしております。  第四に、海洋科学技術センターの行なう主たる業務は次のとおりであります。第一は海洋科学技術につきまして、多くの技術分野にまたがる総合的試験研究を行なうことであります。第二は、海洋科学技術の各種の試験研究に共通して用いられる施設及び設備を保有して、これを海洋科学技術の試験研究を行なう者の共用に供することであります。第三の業務としましては、海洋科学技術に関し、研究者及び技術者の研修を行なうことであり、第四は、海洋科学技術に関する資料を広く収集し、一般の利用に資することであります。  最後に、海洋科学技術センターの適正な運営を確保するため、科学技術庁長官がその監督を行なうこととしております。  以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わりますようお願いいたします。

渡部一郎公明党

○渡部委員長 以上で三案の提案理由の説明聴取は終わりました。  三案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、明十八日木曜日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時五分散会

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