P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
64回国会参議院1970/12/15

予算委員会 第1号

発言数
313
登壇者
18
会派数
6
開催日
1970/12/15

会議録

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、理事の補欠選任につきましておはかりをいたします。  理事が一名欠員になっておりますので、この際、補欠選任を行ないます。  選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に岡三郎君を指名いたします。     —————————————

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 次に、調査承認要求に関する件についておはかりをいたします。  今期国会におきましても、予算の執行状況に関する調査を行なうこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) この際、派遣委員の報告に関する件についておはかりをいたしたいと存じます。  第六十三回国会閉会中、本委員会から北海道、北陸、四国及び近畿方面に四個班の委員派遣を行ないましたが、各班から委員長の手元にそれぞれ報告書が提出されております。これを会議録に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう取りはからいたいと存じます。     —————————————

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 次に、予算の執行状況に関する調査を議題といたします。  本調査を行なうにつきましては、先般理事会においてその運営等につき協議を行ないましたので、その要旨につき御報告を申し上げます。  質疑は本日一日間とし、質疑総時間は百六十分、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ六十分、公明党二十分、民社党十分、日本共産党及び第二院クラブはそれぞれ五分といたしました。質疑順位は、日本社会党、自由民主党、日本社会党、自由民主党、公明党、民社党・日本共産党・第二院クラブの順といたしました。  以上御報告いたしましたとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう取り計います。  それではこれより質疑を行ないます。羽生三七君。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 重要な公害、物価等、内政問題については、後刻木村委員から御質問がありますので、私は国際問題一本にしぼって御質問いたします。  最初にお尋ねいたしたいことは、沖繩返還協定は明年一九七一年前半の機会に一応調印というスケジュールは大体間違いございませんか。これを伺います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 返還協定につきましては、鋭意米側との折衝、協議を続けておりまして、大体来年の夏以前には協定調印というところにこぎつけたいという心持ちで、さらに作業を詰めているような状況でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この場合、日米共同声明中の、沖繩返還とベトナム戦争が続いておる場合との関連についてお尋ねをいたしたいと思いますが、アメリカの現在行なっている限定的な北爆、これは情勢いかんではさらに一そう激化する公算が強いわけです。しかも、同時に、北ベトナムが徹底抗戦を国民に呼びかけておるこの情勢を見ると、一九七二年沖繩返還予定時にベトナム戦争が終結しているかどうかはいささか疑問と思われるわけです。ところで、共同声明では、「両者は、万一ヴィエトナムにおける平和が沖繩返還予定時に至るも実現していない場合には、」「そのときの情勢に照らして十分協議する」ことになっておるわけであります。  そこで、お尋ねしたいことは、沖繩返還協定は明年一九七一年に、しかも、いま外相御答弁になった夏以前に成立することは、協定調印となることは間違いない。ところが、明後年一九七一年に、もし、なおベトナム戦争が続いておった場合には、返還協定以外に特別の取りきめあるいは合意はしないと言われました従来の御答弁は、この際再確認してよろしゅうございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もしそうだとすれば、日米共同声明中にある返還時点と、ベトナム戦争との関連には特別の意味はないということになるんではないでしょうか。アメリカとしては、返還予定時とは、協定の固まる七一年、つまり明年ですね、明年調印時のことだとして、「そのときの情勢に照らして」、この共同声明にいう「協議」ですね、そういうものの具体的な内容について何らかの話し合いを求めてくることはないか。これは、日米共同声明で総理がニクソン大統領と結ばれたことですから、総理からお答えいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま外務大臣からお答えをいたしましたように、沖繩返還交渉は順調に進んでいると思います。ただ、問題は、いまのベトナム戦争がそのときに続いていたらどうか。これはまあ不測の事態について、十二分に、ひとつ協定としては落ち度がないように書こうということでこの字句が入ったわけでございます。したがいまして、ただいまから何を協定するのか、何を協議するのか、そういうものは実は予定されておりません。そのときの情勢でないとわからないと、こういうものでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 何を協議するかわからないにしても、いまお話しのように、協定以外には特別の合意も取りきめもないということははっきり答えられたわけですから、七二年に調印しても、その協議は結局日本を拘束する——新たに、つまり日米の返還協定以外に日本を拘束する何ものもないと、こう理解してよろしゅうございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでけっこうでございます。返還協定につきましては、すでに共同声明が出ておるわけで、七二年返還、それから核抜き本土並みという基本のワクが出ております。それから、たとえば安保条約につきましても、その関連取りきめ等を何らの変更なしにということは、特に念が入っておりますから、そのワクの中で、いまお尋ねのような点については、そのワクの中で、もし必要としても協議が行なわれるわけでございますから、本体には支障はございません。  それから、これはその後の米側の言っておりますことにもあらわれておりますけれども、たとえば、これによって事前協議の運用の例外というようなことを、あるいは事前に予約をするというようなことの趣旨ではございませんということは、米側からも、その後の公表されたもの、文書にも明らかでございますから、返還協定そのものには何ら関係がなく行なわれるものと、万一行なわれる場合でも、そのワク組みの中で行なわれる、こういうふうに考えていただきたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そうすると、この日米共同声明にいうところの、この返還予定時における協議に関するアメリカの期待は薄らいでおると私は理解したいと思います。それで、もし、七二年返還予定時における協議となっておるのですから、その場合にたいした問題がないとするならば、いま七一年返還協定をつくる作業中に、その作業の中に、七二年、戦争が続いておる場合をある程度仮定して何らかの協議が行なわれておるのかどうか。そんなことはもう全然抜きにして、七二年に続いておった場合には、そのときにあらためて協議をする。しかし、日本を拘束する何ものもないわけですね、特別の合意も、取りきめもしないのですから。ですから、この七二年返還予定時における協議というものは、特別の意味はない。日本を拘束する何ものもない。すべて来年夏までに返還協定ができれば、それですべては片づくと、こう理解してよろしゅうございますか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 本筋はまさにそのとおりでございます。そして、返還協定ができまして、それから返還の効力が発生いたしますまでの間には若干の期間があるわけでございます。そういう間におきまして、何らかの必要があれば協議を行なうことがありましょうけれども、それを全然否定するわけではございませんけれども、その協議の内容になるようなことは、ただいま申しましたとおり、核抜き本土並みのワクの中で、しかも安保条約関連取りきめが何らの変更なしに適用されると、そのワク組みの中で行なわれる協議であると、しかも、これは返還後における事前協議の運用その他の事前の予約とか、事前の運用の別個の取りきめであるとか、そういうものになる性質のものではないと、これがこの項の読み方であり、合意であります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私がなぜこの問題をお尋ねするかと言いますと、協定ができ上がってしまってからでは条約協定なんか修正できたためしはないのです。したがって、いま一番大事なときだと考えますので、こういうお尋ねをするわけですが、そこで、現地の沖繩住民から言えば、単なる施政権の返還ではなくて、真の本土並みを求めておることは、これは言うまでもございません。そこでですね、この場合特にお尋ねしたいことは、返還後は核兵器の持ち込みは認めない、これが一つです。次は沖繩からのベトナム発進は認めない。返還後ですよ。B52の常駐は認めない。第三国のベトナム等——たとえばベトナム等の軍人の沖繩での訓練は認めないと言われたこれまでの政府答弁は、そのまま再確認してよろしゅうございますか。これは外相の答弁はしょっちゅう外務委員会で承っておりますから、総理から再確認をしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いまの中には、よろしゅうございますか、核兵器やB52の発進以外に、沖繩からのベトナム発進も入っておるから、それも認められたわけですね。絶対そういうことはないということ、これはけっこうだと思います。そうあるべきだと確信をいたします。  そこで明年四、五月に、あるいは夏までに調印されるとすれば、すでに日米間で相当話が煮詰まっていなければならぬと思います。しかし、ほとんど国民もあるいは沖繩住民もこれについて詳しいことを知ることはないのです。したがって、先ほど申し上げましたように、ある程度明らかにならぬと、実質、調印ができてしまってからではどうにもならないということを考えた際に、ある程度具体的にそのいま進んでおる作業の実態を明らかにしていただくわけには参りませんか。これは広範にわたると思いますけれども、重要な点について、もし聞かせていただければ幸いと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 沖繩の県民の方々の御懸念になっておりますところについては、政府としても十分直接あるいは間接にもいろいろと資料も収集し、御要請も直接に伺って、十分その点が取り上げられるように考えて、折衝を要すべきものについては十分折衝をいたしておるつもりでございます。で、協定の形は、よく申し上げるところでございますけれども、小笠原と沖繩島とは規模も違いますし、また、問題も複雑でもありますし、県民の数は比べものにならないほど多いというようなことで、これは比較にならないわけでございますが、協定というものの、この返還協定というものの性格から言えば、小笠原、奄美のような形のものが非常に大きな参考になるわけでございます。内容といたしましては、沖繩住民の方々の対米請求の取り扱い、裁判及び裁判に関連する諸問題の取り扱い、米国の資産の処理、沖繩にある米系の企業の取り扱いといったようなものが主要な協定の内容事項として大きな問題でございます。同時に、しばしば申し上げますように、この協定の内容にはならないけれども、運用上と申しますか、あるいはその地位協定が返還と同時にずばりと本土並みに適用されるわけでございますから、その準備等については十分並行的に煮詰めていかなければならない、こういう点につきましても鋭意折衝を行なっておるわけでございます。  それから、いま申しましたのが主要の点でございますが、たとえば、いわゆるこの請求権と一言に言われておりますけれども、その中にも実に多種多様の問題がございます。たとえば琉球政府立法院決議、琉球政府要請書、琉球政府から返還準備委員会に提出された要請書、それから沖繩軍用地地主会連合会等々の政府並びに関係団体等から出ております要請書その他を総合いたしまして各種のものがございますが、これを、ちょっと時間がかかって恐縮でございますが、項目をあげますと、一つ、講和前補償のうちで人身損害に関するものの補償漏れに対する補償、二は軍用地の復元補償、三が米軍の演習等による漁業補償、四が軍用地の接収によって生ずる通損補償、五が軍用地借賃増額の要求、六が軍用地立ち入り制限に伴う入り会い制限による損失補償、七が講和後の人身損害に関する補償、八がつぶれ地に関する補償、九が滅失地に関する補償、十が基地公害に関する補償、まあ大きく分けましても、こういうふうな十項目になるというような非常に複雑で、かつ二十数年間にわたっている問題でございますだけに、このまず実態を正確に掌握するということが絶対的に必要な要件でございまして、これらにつきましては、関係各省庁の全面的な協力を得、また琉球政府はもちろんでございますが、沖繩の地元の協力を得まして実態の掌握につとめ、そうしてこれを仕分けをいたしまして、そうしてこれをいかにして処理すべきであるかということに入って、その中で協定に織り込むべき趣旨について、また協定以外の問題として処理すべき事項、あるいは日本側として処理しなければならない事項、これは実に多種多様にわたっておりますので、ただいま、いわばねじりはち巻きでこれらの作業に当たっているわけでございますので、先ほどあげました主要事項と一口に申しましたけれども、この内容等について、その折衝の経過等について、まだ申し上げるまでの段階に至っておりませんことを事柄の性質上も御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いま外務大臣がるると述べられたほどに問題が多くまた複雑だということは私ども理解しております。そこで、そういうことのゆえに、このタイムスケジュールに押されて、明年夏までに調印するというタイムスケジュールに押されて、協定調印後に問題を残すとか、あるいは十分な理詰めの折衝ができずにどんぶり勘定のようなことになってしまうとかいう、そういうおそれはないのですか。いま現在かなり煮詰まっていなければ、とても間に合うものではないと思うのですね、こんな複雑なものが。そういう点は確信をもって調印時点までに十分煮詰めることができるのか、その辺を承りたい。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 七二年のできるだけ早期に返還実現をいたしたいということに目標を置いて、いわば逆算してまいりますと、どうしても来年の下半期におきましては国会の御審議をいただかなければ、そうしてその結末を得なければいかぬわけでございまして、そういう点から申しまして、やはり夏ごろまでには協定の調印ということを予想してかからなければならない。前にもこの話がまとまりましたときに申し上げましたように、七二年返還ということは、まあ私から申せば即時返還といってもいいぐらい非常にこれは準備の期間が短いわけでございますから、仰せのように複雑で多岐にわたる問題でありますだけに、ただいま関係者としてはほんとうにねじりはち巻きで努力をいたしております。何としても早急にまとめなければならない。しかし同時に、まず実態の掌握というようなことは必要でありましたので、これらについては話がまとまりましてから、さっそく始めておりますから、いまの段階におきましては十分そのタイムスケジュールに間に合うように、しかも、沖繩の方々の御納得のいくような形で話し合いがまとまるように、ぜひそれをやり遂げたい、また、自信をもってそれに間に合わせることができるという決意で努力を集中している次第でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これに関連して中曽根長官にお尋ねしたいのでありますが、返還後の基地の整理縮小については、具体的にどの程度進んでいるのか、防衛庁及び防衛施設庁が再三にわたって沖繩にかなりの規模の調査団を派遣して米軍基地の実態調査を、いまのお話の一環の実態調査を行なったはずですが、先般、参議院内閣委員会に提出された報告書では、基地の全体の面積とか地代支払いの態様等が示されておりますけれども、肝心の基地の実態にはほとんど触れておらない。全く触れておらない。したがって、基地の整理縮小等についてはどの程度米側と接触が行なわれておるのか、折衝が。このように基地の整理なり縮小が何ら具体的に明らかにされていないにもかかわらず、実際には自衛隊の沖繩配備計画がかなり具体的に示されておる。これは非常に矛盾だと思いますね。こういうふうにかなり具体的に示されておるわけです。この点は一体どういうふうになっておるのか。沖繩の基地の整理縮小の現況についてお尋ねをいたしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛施設庁をして沖繩の現況について数次にわたり調査をさしておりますが、当面非常に重要視している問題は、接収後におきまする基地の取り扱いの問題、特に所有権者との問題をどういうふうに扱っていくか、それから雇用されている方々に対する取り扱いの問題、こういう問題が直接民生に非常に大きな問題でございますから、その点を米軍側ともいろいろ話し合いをし、また調査している最中でございます。  基地の整理縮小につきましては、まだ正式な問題としては話し合いはしておりません。これは私が米国へ参りましたときに、レアード国防長官に、民生と入りまじっているようなところは思い切って返還されることを希望すると、それがアメリカのためでもあり、かつ日本のためでもある、こういう話し合いをいたしまして、その点につきましては、先方もわれわれの意図はよく了承したということでございますが、これは外務省を通じて話し合いをすべき問題であると思っております。  自衛隊の進出につきましては、七二年返還になりますれば、日本の主権に返り日本国憲法が通用するのでございますから、当然日本全国民で沖繩も防衛すべきものであります。そういう趣旨に立って沖繩防衛計画も考え、その案も先方といろいろ折衝しておる次第でございます。  これらにつきましては、しかし地元の皆さんの御理解と御納得を得て円満に遂行していきたいと思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 基地の整理縮小の実況をもう少し具体的でないと、私いかないと思いますが、時間の関係でこれは他日の機会に譲りますが、最後に——この問題の最後ですが——外相にお尋ねしたいことは、毒ガスの撤去の問題ですね。これは一万三千トンといわれるものの中から毒性の非常に少ないというマスタードガス百五十トンが撤去されることが明らかにされて、それに対して外相はその程度でも大いに歓迎と言われておりましたが、これ歓迎どころじゃない。もう徹底的に私、強く要求しなければいけないと思うんですね。特にジュネーブでBC兵器の禁止が具体的日程にのぼって、日本も案を出しておる当事国であります。したがって、これはすみやかなる撤去はもとより、何らかの新しいアメリカとしても研究をして、無害にして、毒性を除去して廃棄をする、そういうところまで持っていくように強く要求すべきではないかと。これはもうジュネーブでBC兵器の禁止協定が進んでおる現況。これはアメリカ案それからイギリス案それから日本案等、いろいろあるわけですね。それが現に具体的に日程にのぼっておるこの現在においてはなおさらだと思います。沖繩住民の、この住民感情からいっても当然のことと思いますが、この程度でも歓迎なんということでなしに、徹底的な撤去要求をすみやかに要請をいたします。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 全くごもっともな御意見でございまして、私が歓迎と申しましたのは、実は率直に申しまして、この問題が起こりまして以来、まあ実に政府といたしましては、この撤去が決定することの一日もすみやかならんことを期待しておりました。それだけにジョンストン島に移送が、アメリカ側がすべての障害をクリアーして、ここにいよいよ決定したということについては、私も率直に言って、ほっといたしましたわけで、そういう意味でございますが、同時に、百五十トンというようなこと、あるいは今後どうするのかということについては、徹底的にこれは政府としても努力をしなければならぬ点でありまして、この点は全く同感でございます。したがいまして、十二月の四日に通報を受けまして以来、さっそく米側と折衝をいたしておりまして、現に継続中でございますが、十一日の日には、第二兵たん司令部長官ヘイズ少将を東京に招致いたしまして、徹底的に今後の計画をただしたわけでございます。説明によりますると、徹底的に安全にこの移送をしなければならないということから、順序としてまず百五十トンの移送をやると、そしてその後配船の計画、それからジョンストン島における——これは従来こういう施設がなかったものでありますから、相当の経費を使って受け入れの態勢を現にどんどん建造中である、これと配船計画と見合ってできるだけ早期に撤収をするということを基本的に計画しているわけですが、なお一そうこの実行をタイムテーブルをつくって、そうして安心をさせてもらいたいということにつきまして、今後も鋭意折衝をし、かつ納得のいくようにいたしたいと思っております。  で、なお、最初のこの百五十トンの移送については、御承知のとおり現場におきましても米軍の責任者が説明に当たり、関係町村長等に対しても説明をし、また、報道界に対しましても公開をして移送のこのコンボイの編成のしかた、それから安全に対する保障の問題——技術的な面もありますし、その他いろいろの面もありますが、相当詳細に、われわれとしてもある程度の納得が得るような段階になりましたが、まだまだ安心ができませんので、これらにつきましては、専門的な立場とそれから治安上その他、治安というよりは県民の方々の徹底した御納得が得られるような関係当局の態度並びに計画というものを、日本側としても事実上これに参加をいたしまして十分な配慮をしていきたいと、そこを突き詰めた上で、迅速に撤去にかかるということにいたしたい、かように考えておる次第でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いまの問題については一そうの努力を要請をいたしておきます。  時間の都合で沖繩問題はこの程度にして中国問題に移りたいと思いますが、この中国問題が新しい段階を迎えて日本も新たな選択をしなければならない時期にきたことは、もう言うまでもないことと思います。要するに、アメリカを中心とするこの中国封じ込め政策の完全なこれは破綻だと思います。この中国問題の重要性を認識しながらも、歴代日本政府がなぜ中国との国交回復を拒否して、台湾、国府をこの正統政府として認めて、もっぱらこの方針を固執してきたのか。その最大の理由は何かといえば、政府のことばを借りるならば、国際信義ということだと思います。この一語に尽きると思います。国際信義の重要なことはもとよりもう言うまでもありません。われわれも同じように考えます。しかし、中国問題については信義を果たすべき相手を間違えたのではないかと、私はこう思っております。私はきょうは条約論議はやりません。結局政府の政治姿勢にかかわる問題ですからやりませんが、この点について私が思い起こすことは、時間がないのであまり多くも言っておれませんが、昭和二十七年一月、参議院本会議における私の吉田総理に対する質問です。これは十九年も前の話でありますけれども、これは日華条約——台湾との条約ができる前であります。吉田さんがダレスに書簡を送ったときです、台湾を選ぶかもしれないという。そこで、吉田総理は佐藤首相の尊敬する先輩でありますけれども、ちょっとそのときのことに触れさせていただきますが、私は当時吉田首相にこう警告しております。これは速記録であります。「若し首相の真実の意図が中国の主権者として台湾の国民政府を承認するにありとするならば、このことは、日本がアジアの平和を破壊し、アジアにおける紛争を激化せしめる素因をみずから作ることとなり、」こう警告をし、同時に「外交に堪能と言われる吉田首相としては随分不手際なことをされたもの」と警告を発しておるわけです。そのときに「英国筋では、「吉田書簡は米国政府の圧力を反映しており、昨夏英国政府に與えられた保証と相反するものである」と言っております。」、さらに英国外務省スポークスマンは私の質問の前に「記者会見で、「英国としては米国が日本の国府承認について圧力を加えたことを遺憾とする」と述べている」、これはもう日華条約ができる前です。私は久しぶりで十九年前の速記録を拾い出してみて、この出発点から非常に日本が選択を誤ったのではないかと。この選択の出発点の誤り、これが結局この今日の不幸な事態を招いた根本原因であるし、日本を身動きのできない状態にしておる真因であると思います。これは総理の尊敬する先輩のことに触れてはなはだ恐縮ですが、私はそう思っておる。そこでこの選択の誤りを正すために国際信義という問題についてもう一度原点に戻って、新しい広い視野で、単に考え直すだけではなしに、それを行動に移して、真の戦後の終わりを築くべきではないかと思う。これはほんとうに私は重要なことだと思います。条約論議でそれはどう解釈すべきだ、そんな問題じゃありません。政府の政治姿勢として私は非常に総理が何をお考えになっておるか、その真実の意図というものをひとつぜひお聞かせをいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま羽生委員から吉田さんに関する速記録を読み上げられました。私はそういういきさつは十分存じませんが、しかし、日本が蒋介石政権の率いる中華民国と戦争したことは、これはもう消すことのできない事実であります。その戦争をした相手方と講和条約、平和条約を結ぶという、これはまあ自然の成り行きではないかと思っております。私は国と国との戦いであって政権同士の戦いではない、かように私も思います。思いますが、ただいまのようないきさつがあって、当時の蒋介石政権、その率いる中華民国と講和条約を締結したそこにまあ問題があろう、これが間違っておるのだ、かように言われますが、私は間違っていると思いません。しかもなお講和条約ができて二十年間も友好親善の関係が結ばれておる。その友好親善な関係を今日になって変えろ、これはどうも歴史を過去に返せといったって、ややそこらに無理があるのではないだろうか。私はそういう状態をも考えながら、何とかして平和にこういう問題を解決する方法はないだろうか。私どもが、遠い国ならばともかくも、アジアに位する国であり、中国大陸とも台湾とも密接な関係がある、文化的にも経済的にも交流も盛んに行なわれたその関係でございます。それがただいま申し上げるように、日華条約そのものがもう締結されてから二十年たっておる。しかもその間に友好関係を続けてきておる。それを直ちに変えるということは、これはたいへんな問題で、そこらにそういう事態を起こさないで何か話のつくような方法はないだろうか。われわれが国益を守り、国際信義を重んずるというのも、一片の条約論議から信義を重んずるとかいうだけの問題ではないのです。これらの関係、一そう親善関係を続けていかなきゃならないアジアの国相互の同士の問題でございます。そういうところに私らがどうもいまなお踏み切らないでいろいろ慎重に考究しておるゆえんもここにあるのでございまして、私は全然、一つにとらわれて一歩も前進しないと、こういうことではございません。私もしばしば申しますように、いままでのような中国大陸との関係、これをいつまでもこのまま固定をしておくような考えではない。しかしながら、ただいまできたような関係が、これを変えていくと、こういうことはなかなか簡単に容易にできることではないのだということをただいま申し、またその点に立っていろいろ考究しておる最中でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 総理は、日中問題については国際信義と国益と緊張緩和の三つをあげられておりますね。いま国際信義について触れましたが、では国益とは具体的に何かということです。これは長期的に見て国民多数の幸福と平和こそがこれは国民的利益でしょう。しかも日中正常化については日本の大多数の国民がこれを望んでいることも、これもまた事実だと思う。だからむしろ国府と密着してこの問題の解決を渋っておる政府のほう国益にちょっといささか違うのじゃないですかわれわれの主張のほうが国益に合致すると思いますが、国益の具体的内容とはそもそも何ですかお伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも羽生さん十分御承知の上で、あえて国益の定義を聞かれる。国益の定義というのはなかなかむずかしい問題で、まあ別に羽生委員のことですから、あげ足をとるつもりでそんな問いをされたとは私は思いません。思いませんが、この機会に私も国民の皆さん方にやっぱり申し上げたい。私が申し上げるまでもなく、国益、これはもう日本民族の利益、しあわせだと、かようにお考えになればいいことで、ことばは非常に簡単であります。しかし、それが政治問題であり、経済問題であり、また文化的な面であり、各方面にまたがってただいまのことばが使われる。今日私どもが一番心から望んでおるものは、お互いがしあわせになることだと、かように思っておりますので、そういう方向で国益ということばを使っております。私は、先ほどは日華条約の問題に触れましたが、御承知のように、台湾島民、これはつい最近までは、この戦争以前は日本国民であったと、そういう関係もございます。そこらに文化的な根ざすものもある、こういうことも忘れてはならないことであります。それらのことを考えますと、私はなかなかむずかしい問題であり、ただ中国大陸が大きいからと、これだけでものごとはきまらないと、そこらにも御理解をいただきたいものがあるように思うのであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 総理があげた第三点は緊張緩和でございますね。ところが、今日の極東における最大の緊張要因は、日本と中国とがいまだ正常な関係を持っていないということでしょう。したがって、緊張緩和を日中打開の条件の中にあげておられるとするならば、日中を打開することが緊張を緩和する道じゃないでしょうか。私は、あげ足じゃありませんよ、これは。理屈からいって当然そういうことになりませんか。これは常識であります。お伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 確かに日中の間が仲よくなることも緊張緩和に役立つ、かように思っております。片一方でやっぱり台湾との関係もこれは無視していい、こういうものではないと思っております。私どもは緊張緩和というのは、今日の状態で申すならば、お互いに国連の憲章のもとにおいて共存共栄する、それは一つのルールがあるだろう、だからお互いに内政に干渉もしないし、それからそれぞれの立場を理解していく、そうして仲よくつき合っていく、こういうことが必要だろうと、かように私は思います。  私はいま、中国大陸との間に戦争論があるようですが、戦争論は法律的にもまた実際もさようなものはないんだと、ただ、私どもはいま非常に残念に思っておるのは、中国大陸、しかも八億の国民を有するという大国、その隣におりながら政府間交渉もできない。民間の貿易はだんだんふえてきておる。また交流も、人的交流も行なわれている。しかしながら、どうも政府間の交渉がない、そこらに問題があるのであります。しかしいま一つ、どうしても胸につかえておりますものは、私どもが選んだ中華民国、これがやはり中国は一つだと言い、また北京政府自身も中国は一つだと言っている。そこにどうも割り切れないものがある。しかし、ここらを何とかしてほぐしていかなければならない。そのためにいま言われるように、端的に言えば、中国——北京政府を承認すればそれで緊張緩和するじゃないか、佐藤、君が心配するようなことも一切解消するよと、こう簡単に片づけられますが、どうも簡単には片づけられないものがある。これは御了承いただきたいと思う。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いや、簡単に考えているわけじゃないです。いろいろ考えた末です。  そこで、本年五月の本会議で私が中国問題に触れた際に、総理は大使級会談に触れたわけですが、そのときに総理としては、そのときの答弁、つまり総理の答弁ですね、総理の答弁を、「私どもの申し込みととられてもしかるべきものだ」、こう答弁されたわけです、これを中国に対する非公式な申し入れと受け取ってもらいたい。ところがもちろん反応はなかった。また衆議院でもきのうお話があったと思いますが、在仏大使館を通じての折衝もこれも拒否されたと思います。反応はなかった、これは当然だと思うのですね。国連において重要事項指定の当事国になって、また日米共同声明の中に新たに台湾問題を入れて、そうして大使級会談といったところでなかなか私は信用しないと思う。だから問題は、私は大使級会談といっても先方で必ずしもすぐ応じないと思います。かりにもし応じるとする場合に何を話し合おうというのか、私はその話し合いの内容によっては逆効果になる場合もあると思うのですね。要するに、中国を代表する主権者は北京——中華人民共和国である。台湾は内政問題であるというこの自明の理を明確にしなければ、接触をしてもこれは私は逆効果の場合もあると思う。質問されたとき何と答えますか、もし向こうから。ただ会ってみるだけではこれはしようがないと思う。したがってこれは、その点についてはどういうふうにお考えになっておるか、その点を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 後ほど外務大臣からもお答えすると思いますが、私は先ほども申しましたように、お互いの立場を、も少し相互に理解する必要があるんじゃないだろうか。ずいぶん長い話のようです。しかし、お互いに立場がどうもこれほど離れておると、そこらにもずいぶん認識を、正しいものをなかなか持ちかねておるんじゃないか。そういうようなところから話をつけていくことが必要じゃないか、かように思っております。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) こういう複雑な、またいわば変則な事態が長く続いているあとでございますから、話し合いをいたします場合にもいろいろのやり方があると思います。現状におきましては、こちら側からたとえば大使級会談、いついかなる場所でもということで門戸は開いた姿を提唱しているわけでございますが、これにいまのお尋ねは応じた場合にはどういうことを話すのか、これだけ長い間の期間でございますから、いまどちらかというと羽生委員は、先方の立場に比重を置いた観測をなすったように思いますけれども、こちら側から言いましても、先方がいろいろのメディアを通していろいろ日本に対して言っておられることもございます、一々あげませんけれども。そういうことの中には思い過ごしもありましょうし、あるいは誤解もありましょうし、そういう点をまず腹蔵なく政府間で話し合うということがまず非常に必要なことではないかと思うのであります。そういう点で私は流動的に、かつ相互が内政不干渉、相互の立場を尊重するということで腹蔵なく各種の問題を話し合う、そこのスタートが私は大事であり、こういうアプローチがこういう場合にとるべき私は最善の道ではなかろうかと考えておりますけれども、いま何ぶんにも先方から反応がまだございません。そういう場合にどうするかということにつきましては常によく考えながらそういう場合に処してまいりたいと思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 カナダ、イタリアをはじめとするとうとうたる世界のこの北京承認、中華人民共和国承認の世界情勢の中では、大使級会談といっても非常に陳腐なものです、いまから考えると。しかし、それにもかかわらず、ほんとうに話し合いをしたいというならアドバルーンをあげるだけでなしに、何か具体的な接触を考えられたらどうですか。あるいは私は閣僚級ならなおいいと思いますね。とにかくそれは国会を通じて答弁で言ったからいまに中国から反応がある、そんな甘い情勢じゃないです、これ。これは常識でお考えいただけばわかると思う。やはり具体に何らかの方途をもって正式に一応接触をやるべきだと思うのです、ほんとうに熱意があるならば。これ総理ひとつお聞かせください。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 引き続きの問題でございますから、ちょっと私から申し上げたいと思いますが、これもごもっともなお話だと思います。ただやはり正常な国交関係がない、こういう事態の場合でございますから、いろいろ政府といたしましてもその方法論等については考え、かつまた若干のいろいろの試みもやりましたし、また適当と認めることだったら今後におきましても引き続きそういう試みはしたいと思っておりますが、いつどこでどういうふうなルートでどういうふうにやったかというようなことにつきましては、いろいろ機微なこともございますから具体的に御説明することは御容赦いただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの外務大臣の話でやや何かやっているのだろうというような程度には御理解がいただいたかと思います。私はいまおっしゃるように大使級会談じゃなしにもっと上の上級レベルで閣僚会談をやれと、こういう御意見もこれはもっともだろうと思いますが、しかし、何にいたしましてもいきなり会ってもいかない、やっぱりいまの状態ではある程度双方で、まあ外交ルートと申しますか、そういうところのものを積み重ねて、そうしてやっぱり話が、会ってこわれるのならまだしないほうがよろしいし、会って何かの結実があると、こういう見通しを立てる、そのためにはやはりもっと大使級会談、その辺がふさわしいことじゃないだろうか。それでしかもいま申しますように、アプローチをしないわけでもないようですし、さらにもっと言えば、いつでもいかなる場所でもそれはけっこうだと、かようにまで申しておるのですから、そういうころで一応の下話ができればたいへんしあわせだと私は思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 質問の途中ですが、防衛庁長官が内閣のほうへ行かれるといいますので、一問だけ長官にお尋ねをいたします。  それは、この防衛力の限界問題でありますが、本論はいずれの機会かにまた譲りますが、この第四次防が全部できちまってから、全部完成して、それで第五次防になったら、そのときに防衛力の限界を考えるなんということは私、これ許されることじゃないと思うんです。四次防の計画を策定する過程でいわゆる上限というものが出てこなければ、四次防ができちまって第五次防になったら考えましょうなんということになったら、これは一体日本の防衛力というものは世界で非常な、何番目という大軍事国になるんじゃないですか。ですから四次防をこれから策定されるというその過程で上限が出てこなければうそです。私はそれが出ればそれを認めるということじゃありませんよ。しかし、これは理論からいってそういうことじゃありませんか。これはぜひこの一問だけ長官に伺いたい。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛力の限界につきましては、何もいわゆる四次防を待たず今日といえども限界は常に私は考えておりますし、また防衛庁としても検討を加えております。私は就任以来、日本の防衛の体制はいわゆる非核中級国家としての防衛戦略体制をつくろうと、そういう意図に基づいていろいろ努力をしておるところでございます。それがいわゆる軍国主義の非難を除き、平和国家として日本が真剣に努力している姿をあらわす一つの方法であると考えております。しかし、防衛力の限界は、科学技術の進歩とか、客観情勢の変化とか、国際情勢とか、そういうものともからんでおりまして、必ずしも数量的に表現できないのが非常に遺憾なのであります。しかし、かりに数量的に表現できないにしても、国民の皆さまになるたけわかりやすい形で何とか表現できる方法はないかと、そういう意味において努力しておりまして、逐次可能なものからあらわしてみるようにしていきたいと思っております。たとえば陸上自衛隊につきましては大体定員については当分十八万体制でいいと思う、あるいは航空自衛隊につきましては大体九百六十機程度の飛行機を持っておりますけれども、当分の間はこのぐらいの数字でけっこうであろう、しかし、機能は変わっていくと、そういう意味において予見し得る客観情勢を頭に置きながら、できるだけ国民の皆さま方にその限界映像というものをお示しすることができるように努力してまいるつもりであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この論議は時間をかけなけりゃなりませんのでまたの機会にしまして、そこで先ほどの中国問題に戻りますが、そこで中国と折衝する場合に、一つずつ積み上げると総理言われました。それで問題は、たとえば吉田書簡の問題、輸銀使用の問題あるいは日中航空協定の問題あるいは政府間貿易協定、覚書協定の発展といってもいいですね。そういうような個々の問題を一つずつ積み上げていくのか。ところがその一つ一つがないわけですね。一つずつの積み上げが。それを私はいつも問題にするのです。これをやらずには一挙に日中問題の根本を解決する、なかなかそれは政府ではやり切れないでしょう。それではその解決するまでの間、これ、たとえば根本的な解決につながるような個々の一つ一つのケースについてはどうするのかと、それを一つずつ積み上げたと、いまのような総理なり外相の議論が出るなら私、わかります、了解いたしますよ。その一つがさっぱりケースバイケースと言われながら、一つのケースもないんですからそこに問題があるわけですね。ですから、一体その場合には、これほど切迫している日中問題について、その一つずつの積み上げの一つでもおやりになるのかどうか。それは何にもなしに、国連で根本問題が解決するまで待っておるというのか、何をおやりになるのかお聞かせください。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これもしばしば論議されたところでありますけれども、吉田書簡というものは、そもそもが政府間の文書ではない。これは御承知のとおりでございます。  それから、輸銀の問題については、これも政府の態度は、従来から申し上げておりますように、これはプロジェクトで考えるべき問題でありまして、それこそケースバイケースで、これは昨年も予算委員会等におきましても、そういう考え方を表明しておるわけでございますから、これについて変わりはございません。  それから、現在は何しろ国交関係がございませんから、政府間の協定というものは、これは、いま言うても言うだけのことでありまして、これを期待することはむずかしいと思います。そういうことで、ケースバイケースに適切と思われるものについては処理ができるのではないかと考えます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 何にもないということですね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの外務大臣のお話で、私からつけ加えるものは、あとは貿易協定、覚書貿易と申しますか、覚書貿易の問題が一つあります。これも、御承知のように、政治家がタッチしている唯一の問題だ。どうもしかし、最近は覚書貿易も影が薄くなってきておる。私は何とかしてこのくらいは一つは前進さすべきじゃないだろうか。かように思っております。古井君が出たときの話と、さらに成田委員長が出かけたときの話では、だいぶ柔軟性が、相手方に、北京政府に見受けられるのじゃないだろうか。まあ、こういうような状況ならばことしの覚書協定などはもっとスムーズにいくのじゃないだろうか。こういう問題をやっぱり進めていくことも一つの方法じゃないかと、かように思っております。まあ先ほど言われるように一ぺんにものごとは解決すれば、そりゃもうそれにこしたことはございません。しかしながら、なかなか、いまの情勢では、急に、一挙に解決するような問題ではないように思います。両国の関係をもっと緊密にするためにも、いま巷間で言われておるようないろいろの、各種の問題、これを少しずつでも解決していくことが望ましいのではないだろうか。かように私は思っております。したがいまして、最近の民間貿易にいたしましても、すでにもう八億ドル以上にのぼっておりますから、こういう事柄は大いに評価していいのじゃないだろうか。かようにも思いますし、ただいまの覚書貿易ももっと進めるように、これが力が入ってくると、ややそこの関係りも改善されるのじゃないだろうか。かように私は思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 先日の外務委員会で、外務大臣は、来年の国連総会での中国代表権問題の取り扱いについては、政府の従来の方針を今後も維持していくことは不適当と考えると、こう答えられましたが、これは総理も確認していただけますか。これは明確にそうお答えいただきました。よろしゅうございますか。——外相の答弁は聞いておるんですから、総理に、その答弁に間違いないか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 外交の折衝、その衝に当たる外務大臣がただいま答えたことでございますから、私は別にとやかく申し上げるものはございませんが、ただいま私自身の考え方も、頭の中を去来しておりますものは、もっと日本の場合とにかくアジアに位し、隣国との間、この共存共栄の立場でお互いにそれぞれの立場を尊重し合って、仲よくできないものだろうか。それにいま頭が一ぱいでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、中国問題については、政府は国連の態度がきまったら、日本の態度をきるということですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 昨日も衆議院の段階でややそれに似たような質問を受けました。あるいは国連のほうを優先するか、あるいは二国間の関係のほうを優先するか等のお話がございましたが、私はどうも観念論的には二国間の国交だとか、あるいは国連だとか、こう分けることが可能なように思いますけれども、どうもそれらのものがお互いにこんがらがっておるのじゃないだろうか。ことに中国の代表者がただいまいる限り、これはもうアルバニア案なるものに対する各国の反応等をもごらんになればその辺がおわかりじゃないだろうか。したがって私は、日本の場合は国連でどうこうだとか、こういうことでなしに、一緒にしてやっぱり日本の態度を考えるべきだと、かように思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは余談でありますが、先日、私は外務委員会で外相とバス論議をやったのです。というのは、本来日本はバスに乗りおくれるとか乗りおくれないという問題じゃない、先頭のバスの運転台にすわるべき立場にある日本だ、こう言ったところが、外務大臣は、私は安全運転でいきます、こう答えた。ところが、これは正常運転のバスに安全運転のほうが追い越されている、会場に到着したときには一番最後になっちゃって入場するのに恥ずかしい思いをするのじゃないですか。しかもそのバスは欠陥自動車で、十分なんです。私はそれを心配している、実はほんとうに、これは冗談ではなしに。そういう意味で私は原則を明確にすれば、案外私は中国という国は柔軟性を示すのじゃないかと思います。原則を明らかにすることですね。どうお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) たいへんユーモラスな御意見をいま拝聴いたしました。バスの運転台で運転すべき立場の人だろう、それに対して片一方では、安全運転ですと、こういう話をしている。安全運転をやっているとおくれるだろう、そういう危険はないか、こういうお話がいま聞かされました。私もなかなかユーモアのある御意見だと実は伺ったのであります。(「もっと深刻な問題だ」と呼ぶ者あり)ただいまも不規則発言で、もっと深刻だ、こう言われますが、これはまあ深刻には違いない問題だが、しかし、いまわれわれがやっぱりこの問題等を扱う、急ぐ必要はございますが、同時に間違わないように、踏みはずさないようにすることだけはこれまた必要だと、かように思っております。私は遠い国ならば少々どちらにどう間違っても、その辺は案外たいしたことはないかわかりません、あるいは貿易額だけの問題かもわからない、かように思いますが、日本の場合はそんな簡単な立場じゃないのだから、とにかく間違いのないようにすること、安全運転も必要だろうし、同時に急がなきゃならないこともこれもわかる。そこらにむずかしさがある。ただいま慎重に考えておる。しかも日本独自の立場ばかりではございません。慎重だと申しますのは、日本の考え方をきめる場合に、日本のやっぱり友好国関係との間の考え方も一応十分把握して、しかる上で私どもの立場の考え方を、これは独自できめるということ、従属性を持つような考え方ではとてもいかぬ、日本は特別なんだ、この点だけを間違いないような形で認識しながら、急ぎつつもあせらずとにかくこれをきめていく、間違いがあってはたいへんだ、かように思いますので、先ほども、昔に間違ったのじゃないのか、こういうような御批判がございますけれども、そういうことのないようにしたいものだと、かように考えます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この、正当な代表権というものが中華人民共和国——北京政権にあるということはほぼ世界の大勢になってきたわけですが、ただ、重要事項指定方式で、一応この国連復帰は阻止されたわけです。しかし、それにもかかわらず、これは重要な点ですが、台湾国民政府を唯一の正統政府とする国は世界でほとんどないのじゃないですか。つまり、中華人民共和国を支持する国はたくさんある、しかし、台湾の処遇で意見が分かれている。しかし、それにもかかわらず、台湾を唯一の正統政府という国は世界にはないのじゃないか、私はそうたくさんないと思う。そこで、問題は原則を明確にして、なかなか問題はめんどうだというならば、それは内政問題であっても柔軟性を期待するというこの立場でないと、原則を頭から否認してかかっているようでは、私は打開はむずかしいと思う。それこそ、私は総理自身の柔軟性を期待するわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私自身、だいぶ年はとりましたが、まだ柔軟性はかなりあるように思っております。ただ、いまの問題ですが、ただいま国連の問題を引き合いに出す前に、やはり中華民国を承認する、さらにまた北京政府を承認しているところ、それらの数を見ますと、まだまだ私どもが実際に考えるのとは違っておる、もっと、まあ、大勢はその方向だと、かように言われて、取り残されないようにしろと、こういう御注意だと思いますが、私はその大勢自身もなかなかそう簡単にきまるものではないのじゃないか。ちょうど、思い起こすのですが、ドゴールさん、フランスが承認した、中共を承認したその直後においては、アルバニア案は可否同数であったと思っております。そのときにも、もうほとんど方向はきまったのじゃないかと、かようにまで言われましたが、しかし、やっぱりその後またしばらく停滞したと、こういうこともありますし、いま国連にしゃんと中華民国がすわっている。それを北京政府と取りかえろと、こういうようなところにはやっぱり全部の国が賛成をしないものがあるのじゃないだろうか。とにかくお互いに一番心配しておるのは、ここらでたたき合いが始まっちゃ困ると、平和共存が望ましいのだと、お互いに話し合いで甲乙をつけてくれないかと、こういうようなことをやっぱりしんから希望する国も非常に多いのじゃないだろうか、かように私は考えるのでありまして、ただいまの問題にいたしましても、今回のアルバニアの決議案でやっぱり二十五の棄権があったという、そういうところにも問題がありゃしないかと、かように思いますので、もっと十分よく確めて、そうして最近よほど変わってきたようには見受けますが、やっぱり北京政府そのものが開放的であり、またそれぞれの立場においても尊重し、そして平和愛好の方向でものごとを進める、どうも閉鎖的であっては困ると、あるいは戦闘的であっても困る、かように私思いますが、それらの点もこういうような国際社会になってくると自然に変わってくるのではないだろうか、そういうことを私は心から期待しながら、とにかくあまり時間をかけないでこの問題は解決したいものだと、かように私は思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 たまたま総理が、いま中国問題の中で台湾、北京双方のまあ何といいますか、うまい、平和的な話し合いを期待するような御発言がありましたが、これは日米共同声明で台湾の問題を入れましたですね、これはやはりこの双方が武力不行使で平和的に解決するということがあの問題を入れた眼目なんですか、それを承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私ども一番心配しておるのは、そこで戦火が交えられること、これが一番心配であります。そういうことが万一起こればこれはもうそれこそ日本は安閑としておれないのだと、だからこそその関心さを示したのであります。これを除く方法は申すまでもなく武力回避、話し合いを遂げることだと、かように思っております。最近は、いい例が、独ソ条約などそういうものができておりますから、私はやっぱり各国とも国際的には戦争回避、話し合いでものごとを片づける、こういう方向に向いているんじゃないだろうか。また、そういう力をやっぱり育てるべきじゃないだろうかと、かように私は思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もし、そうだとするならばですね。これは大事なところですから、ぜひ聞いていていただきたい。そうだとするなら、これ、国連で中国問題の決着がついたときには、日米共同声明の中の台湾のくだりは消滅するものと理解してよろしゅうございますか。国連で中国問題の決着がついたときですね。そうすると、この日米共同声明中の台湾のくだりというものは、これは消滅する、意味のないものになると、そう理解してよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 台湾のくだりとおっしゃるのは、共同声明の部分だろうと、かように思いますが、それは、もちろん、そういうものは、国連で決着がついて、そうして一つの中国がちゃんとすわったときに、さようなものがあろうはずはございません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それは、台湾の問題は中国の内政問題であることは確実でありますが、そうであっても、国連で決着がついた場合には、いまお話しのように共同声明からこれは消えていくことになるのが当然で、もしそうでなかったならば、共産中国というものは永久に仮想敵国になるわけですね。そうなれば、ソ連だって同じことになる。共産国はみんなそういうことになる。ですから、いまの日米共同声明のそのくだりは、台湾問題が解決したときには——台湾といいますか、中国問題ですね。国連の場で正確に、正当な解決が得られた場合には消滅するという、これは当然のことだと思います。これはどうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただ、いま偶然のおことばだろうと思いますが、日本は仮想敵国は持っておりませんから、仮想敵国はなくなる、これだけはひとつその……、そういう意味で私申すんではございません。国連で解決したときには、おそらくさような問題は一切ない、これはそのとおりだと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ことしの春の本予算委員会で、私、総理が国連二十五周年記念総会へ行かれたならば、この世界に四つの分裂国家があって、これが緊張の主要な要因である、その中の三つはアジアにある、ぜひこの問題を訴えてもらいたいということを要望したことがありますが、総理がせっかく触れていただいたにもかかわらず、一面では触れながら、しかも、その解決を米ソ両国あるいは世界にゆだねた。この間の所信表明にも、そのとおり言っておられますね。私どもは野党であっても、国連総会で首相の演説が失敗すればいいなと思うことはないんですね。ぜひ、この平和日本にふさわしい、りっぱな演説をやってもらいたいと期待しておった、私。ところが、あの演説もそうだし、今国会における所信表明でも、米ソ二大国がより深い関心を払うことを期待するとともに、全世界が勇気を持ってこの問題の平和的解決に役立つ国際環境をつくることを期待するという。では、日本はどうするんですか。米ソはがんばれ、世界も勇気を持てと。一番問題提起をしておる佐藤総理は一体どうなるのか。だから、総理が佐藤四選に値する決断を示すという、これがやっぱり四選の私は主要な——公害、物価問題等もありますけれども、国際的に言えば、これが重要な総理の四選の課題ではないかと私は思う。それを私は実は国連総会で総理の演説に期待をしておった。まことに残念だったわけですね。だから、米ソ両国とかあるいは世界がうまくやってくれということでなしに、日本自身はどうするか、日本としての自主性は一体どうなさるのか、この点をひとつ明確にしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、いわゆる政治批評家ではない。私自身は一国の総理です。総理がその発言をすれば、みずからがそういう事柄について力をいたすこと、これは当然じゃないでしょうか。日本の場合、よく下世話にも申しますように、「言い出しっぺ」ということがあります。私が、自分が言い出しているのだ。したがって、それが責任は一切感じない、ただ言うただけだ——いわゆる批評家ではない。これだけは私もはっきりこの機会に申し上げておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 時間の関係で、次の問題に移らねばなりませんが、最後に、いまの問題で、これは総理でも、外相でも、ほんとうに何らかの日中の接触を欲するならば、国会でアドバルーンを上げるだけでなしに、何らかの具体的な接触の方法を考えていただけませんか。いかがでありましょうか。どういう話し合いをするかは別の問題です、これは。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 外務大臣もいろいろ考えておりますが、ただいま言われるとおり、何らかの方法は、とにかく講ぜなければならないと思います。また、時に野党の皆さん方のお力を拝借することもあろうかと思いますが、とにかく、私は言うだけではない。国会で言っていることが一つの提唱ではないかと、かように申しましても、それだけでは相手方はなかなか受け入れてくれないだろう、かように思いますので、やはり接触の方法はいろいろあるのですから、あらゆる機会を通じて日本を正しく理解してもらうためにも接触はして、そうして話し合いにこぎつけること、これが何としても必要なことだと、かように思っております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もしやるとすれば、何か、よその大使館を通じてでもやるのですか。まあ、そんなあまりこまかいことまで……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) ただいま総理大臣も言及されましたが、私としても、まあ率直に見まして、いままでもトライしておりますが、いろいろと知恵をしぼり、また、各方面の御協力をかりて、何とかひとつ接触の機会を持つようにしたい、これはさように考え、また、その方向でトライしておったということも先ほど申し上げたとおりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それでは、中国問題この程度にしまして、最後に、インドシナ援助問題、特に南ベトナム、カンボジア等に対する援助問題に触れたいと思いますが、総理が国連総会に出席した際のニクソン大統領との会談——日米共同声明のときでなしに、さきの国連総会に出席されたときのニクソン大統領との会談で、インドシナに対する援助強化を約束されたわけでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ニクソン大統領とは別に約束はいたしません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 約束はなくとも、そのころから、いわゆる従来一応のワクをはめておった人道的援助という問題のワクを越して、むしろアメリカの援助の肩がわりをするような、政治的色彩の濃い援助になってきたわけです。これは、いろいろここに、私、金額的にも材料を持っておりますけれども。しかし、実際に最近アメリカは北爆を再開し——全面的再開ではありませんが、限定的再開、しかも、それが一そう強化される見通しにあるわけです。また、国際法上もかなり疑問の多い作戦行動をとっている。このようなことから、インドシナ戦争は和平の見通しは非常に私は暗いと思う。このような時期に、一方の陣営だけに人道的援助のワクを越えるような援助をするのはどうかと思う。特にロン・ノル首相は、毎日新聞の特派員との会見で、北との和平は問題外と言ってるんですね。こういう政権や、南ベトナムに対する一方的な援助は、これは一種の戦争協力になるんじゃないでしょうか。しかも、アメリカの上院では、カンボジアへの介入禁止を満場一致で議決しておりますね。全会一致であります。そういう事態に、日本が一方的な援助強化ということは、私は戦争協力につながるものと思う。これはすみやかに私は中止すべきものだと思いますが、純粋な人道援助なら別でありますが、考え直していただきたいと思います。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) インドシナ半島に対する経済援助、協力につきましては、その中にいろいろの態様がございますが、たとえば、カンボジアにつきましては、いまもお話のとおり、人道的な立場に立ちましてカンボジアの国民に対する救済ということで、方法論としても、赤十字社を通しまして、赤十字社の要請によりますところの食糧とか、これを運搬するに必要な資材、あるいは医薬品、衣服品というようなことで、都合二回にわたりまして四百万ドル相当の物資を供給いたしました。これが現実にカンボジアについてはやりました現状でございます。  それから、ベトナムにつきましては、今後の見通しはいま言及されました。いろいろの見方もございましょうが、まあ平定化するということを前提にすれば、さらに従来から計画しておったプロジェクトもございますから、先般各省からなりまする経済調査団を派遣いたしまして、なかなか私はよい報告書だと思っておりますが、報告書も出ておりますが、しかし、これはお話しのように戦争協力というようなことにつながってはなりませんから、あくまで経済再建ということの目的でもって、情勢が平定化するに従がって行なうということを基本的な考え方にしていきたいと思っておりますから、その調査団の報告に基づくところの実行計画というものはまだやっておりません。  それから、経済援助につきましては、いまお述べになりましたようなお考えもございましょうから、二国間の援助ということもさることでございますけれども、たまたまIMF等からも考え方が出てきておりますし、多国間の援助ということになれば、政治目的とかあるいは軍事目的とかいうことの誤解も防ぐことができますし、そういう面の考慮あるいは計画ということも今後大いに考えていいのではなかろうか、こういうふうな意図については、私も共鳴をいたしておる次第でございます。これはしかし、ただいま御指摘になりましたようなところを十分注意して実行の線に移したいものだと、かように考えておるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 繰り返すようなことになりますが、総理は国連総会の演説で、この分裂国家問題に触れて、この解決に役立つ国際的環境をつくり出す努力をすべきだと、こう述べられておりますが、これは所信表明でも同様であります。  ところが、分裂国家の一方だけにテコ入れをするのは、そういう国際環境をつくり出すことに役立たないのじゃないですか、分裂国家問題を解決する国際環境づくりに。したがって、むしろ分裂国家の対立を一そう激化させることになる。したがって、パリ会談の見通しがつくまでこのような援助は、私は、純人道的援助のワクを越える援助、戦争協力と誤解されるような——正解かもしれませんが——援助は遠慮すべきではないか。それがパリ会談で見通しが全部ついたあとに援助計画を作成すべきだと思いますけれども、そのときの援助計画は、南北含める援助計画でなければいかぬと。これは、インドシナ全体のこの復興計画が私は適当だと思う。  特に、この点については三木さんが、三木外相がベトナム復興国際基金構想というものを打ち出したことがありますね。それから、外務大臣も昨年、私の質問に答えられて、純粋なものならば北ベトナムに対する人道的援助については当然考えられてしかるべきだと、こう述べられておる。速記録に出ておりますよ、これ。したがって私は、そういう意味で、人道的援助なら南北の差別なく行なうべきであるし、そうでない場合の他の復興援助であるならば、これはパリ会談の見通しがつき、完全な平和の見通しがついたときに、あらためてインドシナ全域の復興計画を立てると、こういうときまで私はそれを延ばすべきではないか、これは総理にお伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私の国連におけることばを引用してのお尋ねでありますけれども、私からお答えするのが適当かと思います。  私は特に、米ソ二大国の責任を国連の場で強調いたしましたのは、御承知のように、分裂国家の原因は、どうも米ソ両国の終戦時における対立激化、これがやっぱりかもし出したように思いますし、また、その後の経過を見ましても、やはり米ソ両国が、両強大国ですが、強大国がそれぞれの陣営に対してそれぞれ武器援助その他応援をしている、こういうところに対立的なものが見受けるのであります。これは欧州におけるドイツにおいても、また、最近問題が起きておるカンボジアやラオス、ベトナム等におきましても、これはもうはっきり言えることのように思います。まあその以前には朝鮮においても同様のことが言えると、こういう事柄がなおることがまず第一の先決問題だと思います。  そこで、純人道的な立場のものは純人道的に対処ができると、こういうことが望ましいことで、いまも御指摘になったとおりであります。しかし、もとがなおらないためにわれわれいつまでもいまのような状態を続けていく。そこで、いま国交のあるところはまずわれわれも一応念頭に置きますが、国交が開かれてないところにまでなかなか手が伸ばされないのじゃないか、こういうことも実はあるのであります。私はいま言われる事柄は正確に理解したつもりであります。したがって、いま紛争している国、そういうところには紛争の渦中に入るなと、一切の。人道的な問題だって手を引け。ましてや復興計画など先の問題は、これは手を引くべきだ、かような実はお話のように聞きとったのでありますが、しかし私は、いま申し上げますように、もっと根本をさかのぼって米ソ二大国の責任を十分明らかにすると同時に、やはり当該国としては事実気の毒な状況でございますから、あるいはそれぞれの陣営の——陣営ということばは不適当ですが、それぞれの国とその関係のある国が人道的な立場でそれぞれ協力、応援する、こういうことは、これは可能なことであり、またやるべきことではないだろうか、これは米ソ二大強国、それに巻き込まれないほうが、もっと両国関係としては正しいんじゃないだろうか、承認している国同士の間では正しく理解してしかるべきじゃないか、かように私は思っておる次第です。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 なお、防衛力の限界等について、中曽根長官のあの御答弁だけでは満足できないので十分お尋ねしたいことがありますが、ちょうど時間がまいりましたので、私の質問はこれで終わります。(拍手)

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 以上をもちまして羽生君の質疑は終了いたしました。     —————————————

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 次に、木村禧八郎君。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 今度の国会は、いわゆる公害国会と言われておりますが、いわゆる産業公害の問題が審議の中心でありまして、したがって、これから質問したいと思いますが、物価公害はこの陰に隠れているようでございます。したがって、私はこの物価公害に重点を置いてこれから質問いたしたいと思うのです。私は物価問題は、やはり公害と見なして差しつかえないと、こう思っておりますが、そういう観点から御質問してまいりたいと思います。  まず、総理大臣に質問いたしたいのですが、総理大臣は六年前にですね、池田内閣にかわって政局を担当するにあたりまして、池田内閣の所得倍増政策を批判しながらも二つのことを国民に約束されております。  その一つは、繁栄の中に没却されている人間性を取り戻し、すべての人に幸福と希望を与える政治を行なう。つまり人間尊重の政治を行なうということを約束されました。それから第二点は、経済社会発展計画の中で、消費者物価の上昇率を毎年着実に引き下げ、計画期間の終わりの昭和四十六年には三%程度にまで上昇率を低下させることを約束されました。ところが佐藤内閣六年間の政治の実績はこの二つの公約にそむきまして、むしろ公約に逆行する方向をたどっていることは御承知のとおりであります。すなわち公害を中心に非人間的環境は激化の一途をたどりまして、公害国会を開かざるを得ないような状況になっておるわけです。また消費者物価は毎年着実に上昇率を高めまして、四十五年度には七%をこえる値上がりとなりました。また四十六年度にもさらに上昇率も高まるのではないかといわれておりまして、政府が公約しました来年三%の消費者物価の上昇率というのはとても実現できない、こういう条件にあると思うのです。総理大臣はこの二つの公約違反の政治的責任をどう感じられておるのか、またどうおとりになろうとしておるのか。私は総理はこの二つの問題に責任を感じて、実はもうおやめになるかと思ったところが総裁四選、それで四選されて一体何をやろうとされておりますか。総理は七〇年代は内政の年であると言われましたが、四選されて一体何をされようとしておるのか。また同時にこの公約違反をおかすことになりました原因は一体何であるか。なぜ総理は人間尊重の政治をやりたいと、こう言いながら、あるいは消費音物価の値上がりを三%程度の値上がりに押えたいと言いながら、実際はなぜそれと反対の実績になったか、その根本の原因は一体どこにあったか、この際私はこの根本の原因についてもう謙虚に、真剣に私は取り組んで考えてみる必要があるのじゃないか、そう思うわけなんです。この点を総理にお伺いいたしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 木村委員からただいま御指摘になりましたように、私は政治の目標といたしまして、やっぱり何といっても人間尊重、社会開発に重点を置いた政治をしたい。またその意味からも物価自身に国民生活が乱される、乱されるということがあってはならない。こういう意味で物価を安定さす、しかもそれが上昇率を下げると、こういうことを皆さん方に申してまいりました。  私の初期におきましてはこの取り組み方があるいは弱いとか、いろんな批判がございましたが、少なくともこの物価はやや下がりつつあるやに思っておりました。ところが、まあことしになりまして急に上昇した。またもう一つは例年の経済成長の結果は公害も非常に目に見えてくる。大気汚染や水質汚濁、騒音、その他等々いろいろの問題をかもし出してきた。これはもうどうしてもこれらのものと積極的に取り組まざるを得ないんじゃないか、こういうことでいままでの行き方に、さらに積極的に果敢にこの問題と取り組もうと、こういう姿勢でただいま対処しつつあるわけであります。  御指摘になりましたような点、それこそは私の政治的な責任でもございますので、私もさればこそ特に今回の公害立法も進めて御審議をわずらわしていると、こういうことでございますし、またただいままで起こったその原因は一体何か、こういうことでいろいろ考えてもおりますが、またいろいろの見方もありましょうし、木村さんがどういうように教えてくださるか、これは別といたしまして、私自身の見るところでは何といっても急激な経済成長、都市化の急激に行なわれたこと、そういうことが進んで、ただいまのような状況をかもし出した、かように思ってこれを変えること、メスを入れること、これが私ども政治家の責任ではないかとただいま思って心を新たにして、決意を新たにしてこれに立ち向かっておるような次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これはもう総理がいま反省されるのはおそ過ぎるわけですよ。総理が政局を担当しました三十九年、このときの経済白書は、いま総理が「福祉なくして成長なし」と言われましたが、それよりもっと詳しくはっきりと、経済成長のもとでは、しあわせがもうこなくなったということはもうはっきりしてきています。六年前ですよ、こう書いてあります。「経済政策の最終の目標は、国民のすべての福祉をひきあげることだ。開放体制の下で、福祉を高めてゆくことが、これからの日本の課題である。」「規模を大きくするという目標は、戦後の高成長のおかげで、かなりみたすことができ、国民の消費も向上してきた。しかし成長度を高めるため、資源を生産増加にすぐ役立つような設備の増大などに優先的にふりむけたから、都市の公害の発生、住宅難など国民の生活環境の方にはおくれが多かった。国民の福祉は、個人の消費が増えれば、自然に高まってゆくというわけではなく、社会的な環境の如何によるところが大きく、この面ではこれから改善してゆかなければならないことが多い。また、経済水準がかなり高くなった今日では経済の安定や平等に力を入れることも一層必要になってくる。」と、はっきりしているんですよ。「福祉なくして成長なし」どころじゃない。もっと詳しく六年前にこういうふうに経済白書ではっきり書いているんです。それから六年間、総理は一体何をされたのですか伺いたいのです。一体何をされたか。こんなにはっきり経済白書にうたっているんですよ。どういう努力をされたんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど説明したのが私は原因だと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理が公約されたことは、この二つの点は全く逆の方向に向かっていることはもう万人の認めるところだと思うのです。公害は激化している、物価はうんと上昇しているでしょう。しかもそれは六年前にもうそういうことであってはならないと、もう高度成長のひずみが出てきたからそれを直す段階だということは六年前にはっきり経済白書が指摘しているわけですよ。それに対して何らこれを調整する努力がなされてない。逆の方向に進んでいると、それはなぜかということを聞いている、なぜそうなったのかということを。その根本の原因はどこにあったんでしょう。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) いろいろと御指摘がございましたが、三十九年度ということを原点にして考えてみますると、御存じのように、四十年度にああした大きな景気のいわゆる鎮静がございましたが、その後四十一、四十二、四十三年と消費者物価は比較的上昇率が鈍化、安定してきたことは御存じのとおりでございます。これはやはり何といいますか、三十年度後半の高い成長のあとを受けて、四十年度という時期を経てこういうことが実現したわけであります。そこでその後、御存じのように、四十一、二、三、四とたいへんな高度成長、これはおりからの国際的な景気の上昇にも非常に引きずられた点が私は多いと思いますし、それから外貨の心配のなくなった日本経済というものが、ある意味においては非常にはずみがついて、そうしてこの高度成長に加速化——はずみがついてきた。そういうようなことがやはり基本になりまして、そうして労働需給の逼迫をもたらす。そういうようないろんな条件が重なって、今日再び物価が特に四十四年度の後半から上がるようになってきております。この点は、実は私たちも計画を立てますときにもいろいろと議論をしたところでありましたが、こうした新しい情勢、従来と違う情勢が出てまいりまして、いわゆる単なる総需要の抑制、金融引き締め、こうしたものだけでは解決できない新しい要素が加わってまいった。こういう点を十分今後認識した上で総合的な価格対策を立ててまいる。こういう新しい段階に入った。こういうことが言えると思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そういう新しい段階に入ったのは六年前なんですよ。もう高度成長一本やりではだめだ。だからやはり高度成長に対して調整をしなければならぬと、福祉に重点を置かなければならぬと、こういう経済白書なんです。六年前に転換しなければならなかったのはいまお話しのとおりですよ。転換されていないじゃありませんか。逆になっている。なぜ逆になったのか。総理は福祉に重点を置きたいんだ、人間尊重の政治をやるということを言われた、これはりっぱですよ、正しい。また物価を安定させる、これも全く正しいですよ。なぜできないんですか。これは高度経済成長だけの原因じゃない。成長率が高いということだけじゃないと思うのですよ。この点をもっと掘り下げて、どこに原因があるのか。総理御自身は、りっぱなことをお考えになり、やりたいというのになぜそれが現実にできないのか。ではその原因はどこにあるか、高度成長だ。調整しようと思ったってどんどん目標より実績が高くなってしまう。ではそれはなぜそうなのか、こう思って詰めて考えなければ今後の正しい対策は出てこないでしょう。ですからもう口で言う段階じゃなく、その問題点についてははっきりともう解明されているんですよ。やるかやらぬかだ。なぜ実現できないのか、そこのところが一番私は大事だと思うのですよ。ですから公害問題もこんなにひどくなり、物価問題も非常に深刻になってきたこの時点で、いままでのようなマンネリ的な私は考えじゃだめだと思うのですよ。もうとにかくそういうことを考えるのはいやかもしれません、好ましくないかもしれませんけれども、それは国民のしあわせを願ったら、それはいやでもとにかくほんとうのことをやっぱり突き詰めて、ほんとうの原因はどこにあるか、真剣に私は分析してみる必要があるんじゃないかと思う。その点を伺っているわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど答えたとおりだと言ったので、どうも問題は不親切きわまる、こういうことで、さぞおこられたかと思ったら、あまりおこられてもいないで、ただいまのようなお話です。私は確かに経済成長を適当な程度にとどめることが望ましいし、また都市集中もこれはやはりある程度スピードをダウンしなければ、どうもほんとうのしあわせがもたらされないんじゃな」か。逆に申しますならば、この日本列島を全国的に平均した方向で開発すること、これが望ましいんではないかと。なかなかそういう方向にいかない。そこに問題があったのであります。それがいま言うように、もっと元気にやれ、もっとハッパをかけてそれと真剣に取り組め。真剣には取り組んだつもりですが、でなしに、さらに勇気を持ってこれと取り組めと、こういうことが問題だろうと思います。こまかな金融その他の問題等につきましても、これは木村委員からもいろいろ御指摘があろうかと思いますけれども、私どもは過度の景気刺激政策は極力ためたつもりでございます。予算の規模におきましても、また民間金融等におきましても、ただいまの基本的政策にマッチするようにしたのですが、しかし何と申しましても、日本人の持つバイタリティはわれわれの想像以上の力を持っておりますので、そういうものにはなかなか勝てない。私どもも政治的に安閑としていたわけではございません。ただいまいろいろ責められますけれども、十分の効果をあげなかったこと、これはまことに私は残念に思っておると、こういうことは率直に申し上げて、いまの実情と取り組んでいる姿勢、これにさらに御鞭撻を賜わりたい、御叱正をいただきたい、かように思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 もちろん私総理に対しまして、勇気を持ってこの問題解決に取り組んでいただきたい。これはもう希望しますけれども、その前に、どうして総理が考える方向にいかなかったのか、実態が。逆に物価が上がってしまう、逆に公害がどんどんひどくなる。ですから、その分析において、認識においてこれをはっきりさせなければいかぬ、そうすればおのずから正しい対策が出てくるんじゃないか。で、私はこう思うんです。その成長率が高過ぎるからインフレがひどくなるとか、あるいは公害が激化するというんではなくて、もちろんそれも直接原因ですけれども、その背後に資本が自由競争の原則のもとで、利潤の追求を目的として人間を利益追求の手段、道具として取り扱うところのこの利益社会、いわゆる資本主義社会の仕組みそのものにあるんじゃないか、だからもし総理がほんとうに「福祉なくして成長なし」と言われるならば、いわゆる資本主義制度の仕組みにあなた挑戦しなければならぬですよ、本来ならば挑戦をしなければならない。ところが、挑戦されると財界の利益を守る自民党の総裁としての総理との間に矛盾が生ずるわけです。そこで非常に態度があいまいになる、勇気を持ってできない。たとえば今度の公害国会でも、公害罪について財界の圧力によって、「おそれのある」あれを削らざるを得なかったというのがこういう矛盾だと思うんですよ、ここのところだと思う。だから総理は勇気を持って取り組むのは、もういままでのような利潤追求を目的とするこの資本主義の仕組みと取り組まなければならぬと思うんですよ、その点が非常に重要。それなくして私はこの公害問題も、物価問題も解決できない。総理は「福祉なくして成長なし」と言われましたが、この福祉の内容はどういうものですか。いままでは福祉の指標としてGNPを用いてきました、総生産を用いた。この総生産が非常に増大したというので、総理は資本主義陣営で第二位、世界で第三位と誇られました。ところがGNPは公害を起こしました。むしろマイナスGNPがだんだん多くなってきた。GNPは福祉の指標としてはもう失格したわけです、落第したわけです。したがってGNPにかわる福祉の指標が必要ですよね。最近ではNNPと言っております。ネット・ナショナル・プロダクトですね。このことはいままでの利潤を追求し、自由主義経済、そうしたいままでの市場経済理論が破綻したことだと思うのですよ。破綻したことです。それにかわって、福祉国家論とかあるいは公経済論というのが出てきているわけです。ですから、いままでのような、同じ資本主義社会でもいままでのようなベースで考えたんでは、いかに表面的には福祉なくして成長なしと言われても、私はそれは達成できない、ますます物価は上がり、ますます公害はひどくなるのみで、今度の国会だって、十四の法律が通ったって、公害なんか、失礼ですがこれがどれだけ私は効果があるか疑問だと思うのです。公害を起こす一番原点というんですか、そこのところにメスを入れなきゃ問題解決できないと思うのですよ。その点を総理に伺っているわけです。ですから、やはりいままでのような資本主義の仕組みに挑戦しなきゃならない。挑戦されますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 資本主義社会に挑戦するか、どういうことが問題であるか、いまとにかく利潤追求、これに資本主義は専念している、専念没頭している、こういう言われ方をしますが、私はいま資本主義社会でも利潤追求ばかりではいかぬ、そういう意味の反省はそれぞれあると思います。したがって、適当なる利益の分配というか、そういうものをやはり考えていくと、その分配が、ただ単に資本と労働だけの問題でなしに、やはり消費者に対しても還元すべきだという、そういう方向でものごとは考えられつつありますから、木村さんの言われるように、とにかく資本主義社会は利潤追求の社会だと、他人のことは一切考えないんだと、−そういうものでもないと私は思いますがね。その辺に、いま取り組む姿勢としてどういうように政府はやるつもりだ、こういうことですが、そこらにもわれわれこれから研究をしていくものがあると思っております。私はいま言われるように、単純なる利潤追求機関、これが資本主義制度だと、かようには私は考えません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 資本主義の法則というものは非常に冷厳なんであって、非情なるものですよ。ですから、総理がいかに福祉なくして成長なしと言いましても、これまでの現実は、福祉なくして成長ありなんですよ。福祉を犠牲にして成長が可能であったんです。それが資本主義の論理なんです。ここのところが一番問題なんです。しかし同じ資本主義のもとでも、私はやはり福祉国家的な、あるいは公経済的な、そういう観点に立って、少しでも私は事態をよくすることは不可能ではないと思う。その努力をしなきゃならぬと思うのですけれども、資本主義をやめなければ問題は解決しない、そんな公式的なことは考えてないんですが、しかし最後的には、私はやはり資本主義の制度に問題があると思うのです。これは議論になりますから、次に移りたいと思います。  次に、いわゆる物価、公害の問題で質問したいと思うのですが、企画庁長官に、ことしの、四十五年度の消費者物価上昇率はどの程度か、また今後の見通しです。そうして、どの程度に今後の物価の安定の目標を置いているのか、この点をお伺いいたします。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 昭和四十五年度で申しますと、まことに残念ですけれども、七%台になる公算が大きいと、こういうふうに感じております。私どもは、実は先ほどからいろいろと御指摘がありましたが、やはり高度成長というものが今日もたらした影響というものは非常に広範で深い、その一つがやはり物価である、そういう意味において、軌道修正を行なわなきゃならぬ。御存じのように、ただいまのところでは成長率もいままで一三%の実質成長を続けてまいりましたが、ここへ参りまして四十五年は一一%を割るか割らないかというくらいのところに落ち着いてまいると思います。明年度のは、実はいま検討中で正確なことは申せませんが、これは一〇%に近くなってくるんじゃないかという感じを目下持っております。そういうことで、全体としての高度成長というものを少し鎮静化していく、こういうようなことがやはり基本になければならない。その上でいろいろな総合的な物価対策を講じてまいりたい。やはりいままでやってきましたけれども、なお構造改善の方向をできるだけ強めていきますとか、あるいはやはり輸入の運用というか輸入の自由化というか、そうしたことによる競争条件の整備、これも。大事であります。それから、特に最近においてはやはりこれは無視できないのですが、季節商品、農産物、これが四十一年から四十三年ごろまでは四%ぐらいの上がり方でございましたが、それが最近は、四十四年の後半から特にひどくなりまして、大体年率で二割をこえるような上昇率を示しておる。こうしたことは、やはり都市の過密、集中化あるいは高度成長というものがやはり農業に非常な大きな影響を与えまして、いわばその過渡期、転換期とも言うべき時期に当たっておると思います。そういうことも影響しまして、この農産物の価格の値上がり、こういうものについては特に私たちも重点を置いて、その供給の安定、物が足らなければこれは問題にならないわけでありますから、そうした方面にさらに一そうの力を入れてまいらなければならない。いろいろと総合対策をあわせて用いてまいりたい。それからまた最近におきましては、御存じのようにいわゆる賃金の平準化——高い生産性部門における賃上げというものが、中小企業、農業部面にも波及をして、平準化運動が起こる、これが循環をいたしてまいりますと、そうするとやはり物価上昇に拍車をかけるわけでございます。そういう意味においては、今後いわゆる労使が、合理化あるいは生産性の上昇の果実を労使だけで分け合わないで、消費者にもこ、れを分配していくと、こういう方向をできるだけ推進するように望まなければならない。国民経済的な観点からこうした問題を処理していく必要がある、こういうふうに考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 全国の消費者物価指数は十月が一一三四・九ですね。そうしますと四月以降の物価上昇率は七・三%になる。ですから七%台といいましても、そのほうが上回るわけですね。しかしその消費者物価指数の値上がりよりは、これまでの物価値上がりが一般国民の家計に及ぼす影響です。一銀行で調査したものがございまして、大体四%違うわけです。日用の購入品にしてみますと、七%の値上がり率となりますと、実感としては一割以上の値上がりになってくるのです。これはたいへんな値上がりと思うのです。アメリカのニクソン大統領も、物価値上がりはアンフェアな、不公平な税金であるということを言われておる。これまで昭和三十五年から今日までの物価値上がりを見ますと、貨幣価値の低落の割合を見ますと、昭和三十五年の一万円が、現在では五千八百円にしか通用しないんですよ。これは私は財産権の侵害になるんじゃないかと思うのです。そこで、このような物価の値上がり、貨幣価値の低落は、憲法二十九条、財産権は侵害してはならないと、こういう規定がありますが、これは憲法に違反するんじゃないですか、二十九条に。その点、総理いかが考えますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 木村委員にしては、ちょっと論理が飛躍し過ぎたのじゃないでしょうか。私はやはり物価の問題も貨幣価値の変動というようなとらえ方はいたしますけれども、憲法違反とまではちょっといきかねております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ですから、そういう認識であるから真剣に物価対策にお取り組みになれないんですよ。政府は公債を発行しているでしょう。貨幣価値が下がれば公債はどんどん減価するんですよ。本来ならばこれはスライド制を設けておかなければ、これは非常に不道徳的ですよ、政府は。政府が発行した公債が価値がどんどん減るんでしょう。財産権は侵してはならぬということになっておる。公債を持っているのは財産ですよ。貨幣価値がどんどん低落するに従って貨幣価値がだんだん減価するということは、財産権を侵すことになるわけですよ。そのぐらいやはり考えないから、物価対策は甘いんだと思うんです。この認識のしかたがまるで違うわけなんですよ。真剣さが違う。それは総理は物価値上がりの影響はあまりないかしれませんが。そこで伺いますが、公共実感はさらにそれより上回っているわけです。第料金のストップを政府は来年やると言っていますが、公共料金のストップをほんとうにやるんですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 今日の物価情勢でございますから、とにかく政府が自分でもって決定し得る公共料金というものを極力抑制していかにゃならぬ、こういう方針で、特に予算編成期を前にしまして、私どももその実現に努力したい、こういうことでああいう方針をきめたわけであります。  木村禧八郎君 その内容を言ってください。何と何をストップするのか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) ちょうど予算編成期でもございますから、特にそれの問題になっておる郵便料金、電信電話の関係の料金、あるいは公団の家賃あるいは航空運賃、それから国鉄の割引是正の抑制、あるいはまた授業料、こういった現在さしあたって予算上問題になっておるものをいまとらえておりますけれども、今後起こってくる公共料金についてはできるだけ抑制の態度を貫きたい、こういうふうに考えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いま企画庁長官が言われたもの一はストップするわけですね。来年度だけですか。あるいはまたそれ以後も続けるのかもしれませんが、とにかくストップするんですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) いま申し上げましたものは、もちろんこまかいものも含まれております。そういうようなことで、その主要なものを押えてまいる。そうして一年間ということは特に限定はいたしませんでした。これは一年たって上げるのか、こういう議論も誘発いたしますから、あえて一年とは申しておりません。できるだけひとつこれを抑制してまいりたい、こういう考えであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 できるだけ抑制と言いますけれども、非常にあいまいですよ。電話料金は上げるんでしょう。それから小包はあげるんでしょう。それでしり抜けだということが言われていますが、どうですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 電話料金は上げません。小包み等は、実はこれは郵便制度の制度的な問題もあり、審議会の答申等もございますために、意見の調整を必要としますので、これについては近々中に結論を出したい。少なくとも主要の料金については上げない方向でもってまいりたい、こう考えています。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 電話料金なんかにつきましては、料金は上げなくても、設備料も上げないんですか、三万円を五万円に上げると言われていましたが。あるいはまた電話債券二十万円、これは四十七年に期限がくるが、それを延長するやに言われておりましたが、そういうこともストップするわけですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 設備料のお話でございましたら、これは私たちは料金というよりは別なものである、こういうことで、設備料については今後も制度を継続していきたい、そして三万円と五万円については、これはやむを得ないであろう、こう考えています。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 昭和三十九年にやっぱり公共料金を一年ストップしましたね。ところがそれを解除すると、またそのあとで非常に値上がりがひどかった、それに対する手当てをちゃんと考えておられますか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 公共料金の抑制にはしばしばそういう問題が起こってきがちであるということはみな議論しているところであります。われわれもできるだけそういうことのないように今後引き続いて考えなければならぬと思っておりますが、同時に物価対策をできるだけ推進して、そして公共料金だけの抑制でということでない総合的な政策をやってまいらなければならない、まあいわば全体の、公共料金抑制はその一環である、こういうふうに考えています。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理も企画庁長官も、公共料金の値上げをストップする、そのかわりに来年春闘におきまして大幅賃金の値上げを抑制したい、それで財界関係の会合に行きまして、総理も賃金抑制あるいは所得政策等につきましてお話しされたようですが、政府は来年の春闘にあたりまして賃上げに介入するのかどうか。所得政策あるいはガイドポスト、ガイドラインとか言っておりますが、そういうものを示して、それで賃金抑制をするのかしないのか。それで賃金問題に政府は介入していくのか、その点いかがですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 私たちも、実は先ほど申し上げましたように、最近における各方面における賃金の上昇、これには非常に注目をいたしております。そうしてこれと物価との関係がきわめて密接である。したがいまして、まあ本来賃金というものは、今日の社会においては労使間で自由に決定されるものでありまして、政府が介入しないで決定されておるのは御存じのとおりであります。そういうことでありますけれども、これが物価にあまりにも影響が大きいということになりますと、われわれとしてもこれに関心を持たざるを得ないわけであります。そうして労使間だけで決定するとは申しながら、国民経済的な観点に立って、他とのバランスを考えながら上げていっていただきたい。もちろん所得の上昇ということは政府の経済政策の目標でございますから、賃金が上がること自体についてはわれわれももちろん望むところでございます。しかしそれは経済全体とのバランスにおいて十分適正な程度で上がっていく、これがやはり経済のバランスある発展というものを確保するゆえんであろう、こう思っております。そういう意味において、国民経済的な視野で労使間の決定がなされることを強く希望しております。ただ、いま木村さんが御指摘の問題は、最近、御存じのように、OECDでも再び所得政策についての再認識、いままでの需要抑制政策にはどうしても限界がある。そこで各国が一ぺんやって失敗したことではあるけれども、もう一回所得政策を見直そう、こういうことで、先般のOECDのインフレ問題の検討会議においても議題となりました。これは明春閣僚会議のレベルで決定が行なわれると思いますが、そうした情勢もございますから、われわれとしても所得政策について検討してまいりたい。ただ、これは実際問題としてなかなか効果的なものになり得ないうらみがございます。へたなことをやると、かえって混乱のもとにもなるわけでありますから、これについては十分慎重に検討してまいりたい。賃金と物価との関係のメカニズム、それらの理論的究明も含めまして、われわれとしてはいま検討を進めておる、こういうことで、経済審議会を中心にして委員会等も設けておるのは御存じのとおりであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その所得政策について労働大臣はどう考えておりますか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 賃金の上昇がだんだん大きくなりまして、物価上昇との関係でこれが問題にされておりますが、ただいま企画庁長官の御答弁のとおり、やはりこれは国民経済的な視野に立って、労使がお互いに自主的にきめてもらうということでありまして、ガイドポストであるとか所得政策を採用していくということはなかなかむずかしいわけであります。私としましては現在のわが国の状況から見まして、いまにわかに所得政策をとるとか、あるいはこれを採用するべきときだというふうには考えておりません。したがって、これはあくまでも良識ある話し合いによって適正にきめていく、もちろん所得はこれからも上昇するでありましょう。相当の上昇が見られるわけでございますが、これが国民経済の上に果たすべき役割りを考えますときには、やはりこれをでき得るだけ勤労者の生活を豊かにするという点で、長期の貯蓄のようなものに回しまして需要の抑制をするというようなことが、将来のインフレを防止する最も効果的な施策ではなかろうかというふうに考えております。そういう点では、ただいまのところ所得政策を直ちに採用するということの時期ではなかろうと考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 もう一点、労働大臣に伺いますが、いわゆるコストインフレ論ですね、賃上げが物価値上げの最近は大きな原因になっているというような考え方、コストインフレ論についてはどうお考えですか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 労賃と物価とはきわめて深い因果関係にございます。したがって、それがコストインフレにもつながってまいるわけでございますが、私どもは今日の生産性の上昇というものが、やはり賃金だけの上昇や、あるいは利潤の面だけに向けられるということでなしに、でき得るならば、これはやはり需要者、消費者にも均てんできるような政策が望ましいと考えております。したがって、コストインフレを避けるためには、やはりそれがあくまでも適正な状態で分配されるということが、話し合いによって行なわれることが望ましいと考えておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 労働大臣、最近の賃金の値上がりは、大幅値上がりというのは労働不足からきてるんじゃないですか。労働の需給関係からきてるんじゃないですかね。非常な労働不足から賃金が上がる。労働不足はなぜくるか。成長率が高過ぎるんじゃないですか。そういうことと、もう一つは、就学率が非常に高くなって、若年労働者が労働界に出てくることが少なくなってきている。いわゆる就学率が高くなっていることと、成長率が高過ぎるというところに問題があるんじゃないですか。

野原正勝自由民主党労働大臣

○国務大臣(野原正勝君) 御指摘のとおりだと考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理大臣、いま労働大臣と企画庁長官との間に意見の食い違いがあるわけですよ。労働大臣は、いわゆる所得政策はいますぐにこれを考える必要はないんだと、それから企画庁長官は、これはもう検討しなきゃならぬということを言われているのですよ。一体この所得政策について総理はどう考えるか。  それからもう一つは、特にこの所得政策が大きくクローズアップされたのは、本年度の、四十五年度の物価が七%をこえる大幅の値上がりを示したんで、従来も所得政策はときどき問題になりましたが、またここでこの際クローズアップされたのは、四十五年度の物価値上がりが非常に大きかった、そういうことからクローズアップされたと思うのです。そこで、この七%以上の物価値上がりの、異常な値上がりの原因は一体どこにあるかですね、この二つについて伺います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いずれ後ほど経企庁長官からも補足するかと思いますが、私はいま、経済成長、たいへんけっこうだし、また各会社とも相当の利潤を上げている、そういうところから納税額もふえている、歳入もふえている、たいへんけっこう思いますけれども、しかし、どうもこの消費者物価の高騰の状況を見ると、卸売り物価は比較的安定しているんだが、しかし、それに見合うように消費者物価がとどまっておらない。こういうことをいろいろ分析してみると、やはり賃金が大きなコストプッシュになっておるのじゃないだろうか、かように見ざるを得ないわけであります。これはもう専門的な木村さんだから、私からあまり多くを申し上げる必要はないと思っておりますが、どうも価格の推移を見ておると、ここらにしか問題の見つけようがない。流通機構の改正もこれも一つの問題だと思います。しかし、どうも卸売りと小売り、そこらに非常な差が出ておる、その原因はやはり賃金だ。賃金が上がるその原因は、いま言われるように、やっぱり完全雇用、労働が足らない、不足だ。そこらにはやっぱり適当な労働の分配が必要だから、大企業その他、生産部門のほうは少し遠慮してくれと、こういうようなことも言われるかと思いますが、とにかく、いずれにいたしましても、詰めてみると、そういうところに問題があるのじゃないだろうか。労働力の不足、これが一つの原因ではありますけれども、それが最もまずい形において労働力の不足があらわれてきておる、かように言わざるを得ない。これがもしも正しい方向であるならば、生産性に応じた賃金というものが決定されるべきだ。生産性と関係なしに、どうも賃金の普遍性とでも申しますか、そういう方向にいく。そうでなければ労働者は確保できない、こういうところに問題があるのじゃないか、かように私は思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この所得政策論が出てきた背景として、四十五年度の消費者物価が急激に上がった。その原因はやっぱり突き詰めて考えてみる必要があると思う。もし、それがいわゆるコストインフレに基づくものじゃない、労働賃金の値上がりによって急激に物価が上がっているのじゃないということが明らかになれば、これは所得政策の論拠を失うわけですよ、いわゆるコストインフレ論。そこで、いま総理が、卸売り物価は安定している、あまり上がらぬ、消費者物価が非常に上がっていると。これはなぜかというと、結局これは消費者物価の犠牲において卸売り物価が安定していると解すべきだと思うんですよ。というのは、高度経済成長のもとで物も金も労働力も重点的に大企業のほうにこれを投入したわけですよ。そこで、生鮮食料品とか、農業とか、そちらの方面にそういうものが省かれたから、それで重点的にそういうものを投入されたところでは、いわゆる省力投資とか、コストダウンをしてコストが下がってきているわけです。ほんとうはもっと下がらなければならないのに、管理価格が始まって下がらないんですよ。そこで、卸売り物価の側面のほうに重点的に物、金、労働力をつぎ込んで、消費者物価に影響のある方面にそれを手抜きしているから、そっちは上がるんですね。こういう相関関係があると見なければならないと思うんですよ。ですから、そのためにはやっぱりいま物価対策にしましても、消費者物価の値上がりがどんどん大きいほうに物も金も労働力も重点的に振り向けて、そうして、つまり大企業とか、卸し売り物価に関係あるほうの投資を調整すべき段階にきている。物価対策の見地から、そういう総合的な対策でないと、これではいけないと思うんですがね。総理は衆議院におきまして、わが党の下平氏の質問に対して、物価対策については消費者のほうにも問題があるのじゃないか、消費者のほうにも。そこで言われたんですけれども、それは私はそうじゃないと思うんですよ。国民総支出の中に占める個人消費の割合は低下してきていますよ。昭和四十三年が五二%、四十四年は五一%、本年は五一%、低下しているのですよ。ですから物価値上がりの原因はそういうところにあるんじゃないのだ、だから、どこにあるとお考えか。もっと詰めて、物価値上がりの原因を具体的に詰めて考えないと、すぐに所得政策や賃金を押えるとか、そういう方面に物価対策がいってしまう、間違った方向にいくと思いますので、物価値上がりの原因をもっと詰めて、具体的にこれは分析、検討してみる必要があると思うのです。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) 木村さんの御指摘の点は実は私も同じ感じを持っています。したがって、賃金だけが物価高の原因である。賃金の上昇だけが物価高の原因であるとはわれわれは全然考えておりません。これにはいろいろと分析を要するものがあると思いますが、今日いろんなものが複合して、そしてこの物価高がきております。ただ、われわれが注目しなければならないのは、最近においてこの賃金と物価との関係が非常に密接であるという感じを持つようになってきております。もちろん高度成長というものが大きな原因になっておるわけでありまして、この十年間にわたる高度成長のつけが、いまある程度はね返ってきたという感じは深くしておりますけれども、そして、また同時に国際的な物価高の影響等も、これも無視できません。特に最近において輸出入価格が非常に上昇しております。それからまたこのいわゆる日本の経済における資源配分の適正でなかった点がある。こういう点をいま御指摘になりましたが、これもわれわれも徐々に修正していかなければならない問題である。こういうふうにも考えております。ただ、それらのいろんな原因と同時に、賃金の問題が出てきておる、でありますから、今日各国で所得政策といわれておりますけれども、やはりこれは所得政策自体で価格政策にはなり得ない、一種の補完政策というくらいの感じでもって検討されておる面が多いのであります。私たちも所得政策一本やりでやる。こういう感じは絶対に持っておりません。各種の価格対策を総合的にやってまいらなければならない。おっしゃるように、原因の究明も大事でございます。最近の季節商品の値上がりなんか、これはほんとに目に余るものがございます。御指摘のように、したがって、毎日野菜を買っておる主婦の感覚から言うと、さっき御指摘になりましたように、たいへんこの物価についての感覚が指数以上に鋭く受け取られる、これも無理もないところでございますが、いずれにしても、私たちは総合的にやっていかなければならぬ。その際にやはり消費需要の強さ、こういうようなものも十分に重視しなければならない。これはやはり所得の上昇と関係が深いわけでございます。最近、見ておりますと、いわゆる労働集約性の高いものが非常に価格が上昇いたしております。こういうこともわれわれは頭に入れなければならないと思うのであります。それで、先ほど、もともと労働力の需給の逼迫がもとじゃないか、こういうお話でありまして、まさしく御指摘のとおりであります。ただ、需要と供給が逼迫すれば幾ら上がってもいいんだという理屈は、ちょうど野菜の供給が不足だから値上がりして困るのと同じように、これはやはり困るということは事実でございます。そこに何か労働力の円滑なる移動、その他の適切な方法も考えなければならないという問題が出てくるわけでありますが、労働力の需給を、逼迫を承知の上でなおかつある程度のやはり物価高の上昇を極力押えていく、賃金との相互循環が起こらないようにしていく、特に最近われわれが問題にしていますのは、御存じのように、総需要の引き締めをやりまして一〇%ぐらいの景気に落ち込もうとしております。この鎮静化の景気下降の段階におきましては、御存じのように、一人頭の生産性が減ってまいります。昭和四十四年においては工業の平均が一五%の生産性の上昇でございましたが、おそらく今年の下期から来年にかけて、この一人頭の生産性が一一%とか、一二%とか、数字はまだはっきりしませんが、落ちてくると思います。一方において生産性の上昇というものは落ちてまいる。そのときに従来と同じような加速化傾向をもって賃金で上がってまいりますと、生産性の上昇と賃金との矛盾というものが激化するおそれがございます。よく言われます不況のもとにおけるところの物価高、こういうことが景気が鎮静化する段階においてきわめて起こりがちなわけであります。そういうことも考えてみますと、やはりこの際賃金の動向というものについては、われわれは十分注意をしなければならない、こういうふうに考えているわけであります。それから、確かに国民所得全体に占めるところの消費の割合というものは、ずっとこの十何年、少しずつでありますけれども低くなってきております。結局これが高度成長の結果とでも言うべきあらわれであろうと思います。しかし、同時に全体の分配における所得は低まっておりますけれども、そのかわり高い成長率によって、所得額は、消費の割合が上がった場合よりも所得額の上昇率は高まって逆におるわけであります。でありますから、分配率が少し下がったというよりも、所得額自身の上昇にやはりわれわれは目を向けなきゃならぬ。ただし、それがあまり過度でありますと、御指摘のように高度成長の弊害が出てくる。ここいらのことは十分に今後も頭に入れて経済の運営をやっていかなきゃならぬ、こういうふうに考えているわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いろいろいま企画庁長官からお話ありましたが、要するに、政府は物価対策を失敗したわけですよね。昨年は六・四%の値上がりですよ。最初は、昨年は五%に押えようと思ったら六・四%、ことしは四・八%に押えようとしたんでしょう。それが七・二%か、三%になる、失敗ですよ、明らかに。その失敗の責任を大幅賃上げにこれを転嫁しようとしているんじゃないですか。それで所得政策、所得政策、そっちのほうに目をそらそうとしている。私はこの物価値上がりの原因としましては、第一にやっぱり総需要の抑制に失敗していると思う。それは四十五年度予算、これは議論しましたが、一七・九五%の大型予算だった。だから金融を引き締めざるを得なくなったんですよね。それから第二は、金融を引き締めて、今度は輸出ドライブがかかって、輸出がうんと輸出超過になった、輸出超過はこれはインフレの原因になるわけですよね、金融は緩和されるんですから。第三番目はさっき言いました。あまり成長が高いものですから、海外の原料高、特に粘結炭なんかひどいものですよ。昨年の四月ごろ、トン当たり——粘結炭ですね、鉄鋼の原料の。大体十八ドル十八セント。ところがことしの五月ごろは二十七ドルですよ。粘結炭はものすごい値上げ、海上運賃は値上がりでしょう、ものすごい。海外資源がうんと上がってきている。これが日本の私は物価高に相当大きなウエートを持っていると思うんですよ。これは成長率が高過ぎること、電力不足の問題、工業用水の不足の問題、輸送の不足の問題、こういうアンバランスがあるわけです。そういうところに物価値上がりの原因を求めないで、ただもう大幅賃上げをやったから、それが賃金と物価の悪循環で物価値上がりを大きくしているんだなんて、そういう論理は誤りですよ。それがほんとうなら、そこに対策を講ずべきであろうと思う。しかし、それこそほんとうの対策は私は講ぜられないということになると思う。物価値上がりの原因を具体的に分析しなきゃならぬ。アメリカのハンセンという経済学者も言っておりますよ。賃金と物価の悪循環論には落とし穴がある。資本家は何とかして賃金を低くしたいために、すぐに賃金が上がったから物価が上がるという悪循環論を持ち出すけれども、しかし、もっと具体的に物価値上がりの実情を分析しないと落とし穴に——ピッチホールといいます——落とし穴に落ちる、こういうことを言っておりますよ。だから、私は客観的にこの物価値上がりの原因を具体的に検討する必要があるんですよ。そうして、それに物価値上がり——どの要素がどれだけの比重をもって上がっているかについて具体的に検討して、正しい対策を講じなければいけないんであって、賃金の問題もそういう点から私は考えなきゃいけない、いたずらに、すぐ所得政策だ、ガイドポストだというのは軽率だと思うんですよ、いかがですか。

佐藤一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(佐藤一郎君) どうも木村さんの御意見と私の意見は一致していると思うのですけれども、決して賃金だけのことを考えておりません。それからまた、御存じの引き締め政策の成果というものが、なおここのところ経済の鎮静化をずっとしばらく続けると思うのですが、そうした中において、やはり労働力においても需要供給の条件の変化から、ある程度変化があらわれてくるかもしれません。そういう点もわれわれは十分に見詰めなければならない。ですから、所得政策の採用をいますぐ非常に急いでいるというのではなくして、検討をしておるのでございます。この経済の変化というものを、ちょうど時期でございますから、十分見きわめてものごとを考えてまいりたい。  国際物価につきましては御指摘のとおりでありまして、われわれも特に海上運賃の影響から、最近は石油なんかが相当上がってまいっておりまして、これらはまた新しい、別な物価上昇への大きな原因でございますからして、われわれも注目をして対策を考えなければいけないのでありますが、いずれにしましても、総需要の抑制という大きな方向は今後もわれわれは維持していく、そうして、できるだけ安定成長の方向に持ってまいる、こういうことだけははっきりいたしておると思います。それがまだ不十分だと、こういうお話でありますが、長い超高度成長になれた経済体質というものはしみ込んでおります。これを安定的なものに持っていくのには、ある意味のショックも与えることでありますから、慎重に、時間をかけて安定化の道を選ばなければならない、こういうことも言えるかと思います。そういう意味において、御要求の面からいうと、不十分な点もあろうと思いますが、どうしても御存じのように、最近はいわゆる、特に引き締めについてはタイムラグの問題が出ております。すぐに昔のようにはじき返ってこない。どうしても一定の、相当期間しないと効果があらわれてまいらない、こういうような点もわれわれはしんぼう強く待たなければならない点もあると思います。  食料品の価格につきましては、これは私は天候の条件、いろいろと原因が錯綜しておりますが、とにかく去年の後半からはなはだしいものがございます。木村さん御存じのように、四%のいわゆるげたをはいて出発しております。でありますから、年間上昇率からみると、四十四年度よりもむしろ低いかもしれません。そういうことで、できるだけ総合的にこれは扱う。決して賃金だけで問題を解決するというような考え方は持っておりません。その点だけひとつ御了承を願います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 公取委員長に来ていただいているので、一言だけ伺いたいのですが、物価値上がりと管理価格との問題、公取はどういうふうにこれを考えておられるのか、その点一つだけ伺っておきます。

谷村裕公正取引委員会委員長

○政府委員(谷村裕君) 大体において、管理価格と申しますのは、寡占企業等が市場で支配的な力を持っているときでございますが、寡占企業というのは大体において大企業であるといってよろしいかと思います。工業製品等につきましては、実際の物価値上がりの中に占める割合は、そうむしろ大きくなくて、さっき御指摘になったように、本来、生産性上昇の成果が消費者に還元されるように、価格が下がるべきものが下がらないというほうの面がむしろ影響としてあるといえばあるのかと、そういうふうに思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣に伺います。一つは、四十五年度予算の積算の基礎は、消費者物価四・八%ということで積算されたと思うのです。それが七・三%になった。それですから、予算の内容は非常に大きな変化がきているわけです。こういうことはどう思いますか。たとえば社会保障とか、その他こんなに大きく狂ってきている、積算の基礎が。これに対して大蔵大臣はどう処理されるのか。  第二は、減税につきまして、物価調整減税がございますが、四・八%で物価調整減税をやったのが、七・三%になったら、もっと物価調整減税をやらなければ、これは私は国民をごまかしたことになると思う。第二にその点を伺いたい。  それから預金金利を上げるということでありますけれども、今度一年半ものを来年四月一日から六分に上げるといいますけれども、今度は逆に、物価が七%上がってしまえば、これは貯蓄増強に役立たないのです。この点をどう考えるか。  第四番目には、四十六年度予算、これは巷間伝えられるところによりますと、いま編成中のようでありますけれども、また大型予算を組むやに伝えられております。大蔵省の諮問機関である財政制度審議会では、これまで予算は経済成長率以下にとどめるべきで、公債はなるべく減額していくべきだという、そういう方針だったわけですよ。ところが、不況ムードが起こったものだから、四十六年度はこれまでのような方針にとらわれないで、積極的予算を組め、公債を増発してもかまわない、こういうような答申をするやに聞いております。大体、九兆四千億、自然増収一兆五千億くらい見込んで、財政投融資も一八%、一般会計予算も一兆五千億ふえると一八・八%くらいの増になります。約一九%になりますが、積極大型予算を組むのじゃないかと思うのです。また、インフレを刺激します。  この四つの点についてお尋ねします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は先ほど木村さんのお話を承っておりまして、どうも総需要が問題だと、こういうお話です。そのとおりに思います。しかし、総需要と申しましても、一番大きいのは国民消費なんです。その次が産業需要なんです。その次が財政需要、輸出、こういうふうになるわけなんですね。財政の幅だけをどうも目のかたきのように言われますのは、私はこれはどうも見方として総合的でない、やっぱりそれらの需要要因というものを全部引っくるめまして、国民経済全体がバランスがとれていないか、こういう議論にならなければおかしいのじゃないか、そういうふうに思います。そういう立場でお答えをいたしますが、まず、最後の問題ですね。来年の予算をどうするか、まだ財政制度審議会から御意見を承っておりません。それから、まだそういうことについての議論も始まっておらないのです。ただ、一部の政財界の人に、今後の景気を見通しまして、どうも少し落ち込むような傾向があるのじゃないか、それに対して、財政はこの落ち込みを防止する対策を講ずべきである、そういう見地から、この際、公債なんかも増発をするという考え方を打ち出したらどうだろう、こういう意見があります。私はそれらの意見に対しまして、いまいろいろ考えておりますが、いま今日、ことしの景気情勢、これは金融抑制政策の効が出てまいりまして、上半期は一二%ないし一三%程度の実質成長であったと思います。下半期にはずっと下がりまして、一〇%ないし一一%、ですから本年度のしり、つまり、来年の三月の辺ですね、この辺の経成長の高さというのは、さっきも企画庁長官からもお話がありましたが、大体一〇%程度というようなところになるのじゃないか。私はその一〇%程度の成長というものが——一〇%きちんというわけではございません。あげ足をとられては困るのでありますが、一〇%見当の成長というものが横ばいで来年続きますれば、私はたいへんけっこうなことである、そういうふうに思います。そういうことを考えるときに、財政をどうするか、四十五年度は警戒中立ということを申し上げてきたわけでありますが、四十六年度におきましては、警戒を財政としては取ったらどうだというような感じを持っておるわけであります。したがいまして、予算の規模なんかからいいまして、四十五年度が一七・九%の成長でありましたが、それよりやや、ややですよ、心持ち高いというような程度、この辺がねらいどころではあるまいか。  公債をどうするかというようなことにつきまして、私は増発というような考えは持っておりません。ただ、一〇%横ばいという経済の動き、これは理想的ではありまするが、これがさらにぶり返す、過熱状態の方向へいくというようなことがありますれば、これは財政は実行上抑制手段というものはちゃんと持っておるわけです。財政を使用しなければいいわけであります。ところが、さらにめり込むというような事態が起きる、その場合が非常に厄介なんです。その場合にどうするか、やっぱり金融政策もありますが、財政のほうもフィスカルポリシーの機能を発揮させなきゃいかぬ、そういうようなことを考えますときに、私はいろんな面におきまして、四十六年度予算にはかなりの弾力性を持たした内容を持たせたい、こういうふうに考えておるのであります。しかし、木村さんがおっしゃるように、インフレを財政が起こしちゃいかぬということにつきましては、全く同感でありまして、その点は厳に心してまいりたいと、かように考えております。  それから四十五年の予算の実行上、物価が上がった、それをどうするんだと、こういうお話であります。確かに公共事業、これは卸売り物価がおもに影響するわけでございます。したがって、卸売り物価がそう動かない今日におきまして、公共事業への影響はさほどとは思いませんが、とにかく多少の影響はある。ある限度において事業量が引っ込むということになります。これはやむを得ないと思います。それから社会保障費、特に生活保護だとか、年金だとか、そういう方面に若干の影響があるかもしれません。しかし、これらは物価基準ばかりでやっておるわけじゃないんです。あらゆる総合的判断、そのもとに対策を講じておりますので、物価が動きましたら、さらにそれに即応してスライドするんだというような完全スライド的な考え方、これは私はとる必要はないと思うんです。ただ、四十六年度におきまして、これらの事態をちゃんととらえて、その対策、つまり年金や、あるいは生活保護費の実質的価値を維持、増高させるという考え方をとらなきゃならぬと、かように考えております。  それから、減税も同じようなことでありまして、またことしの物価、そういうものが生計費にどういうふうに影響するか、そういうようなことを考えて、四十六年度においてその措置を講じたいと、かように考えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それから預金です。預金の金利。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 預金金利を引き上げたいという考えを持っておるのです。まだ具体的にいつからというふうにはいっておりませんけれども、私はこれは物価のことを考えておるわけじゃないのです。何としてもこの貯蓄の増強、この際非常に大事である。貯蓄を刺激する考え方、これをまあいろいろ考えておりますが、その一つとして、まあ一年半定期という構想がいま進められておる、こういうふうな状態であります。物価がまあ急に七・二%になったから、またこれに連動して預金金利をという考え方はとりません。むしろ物価の七・二%というものをこれから引き下げるという方向に全力を尽くしたいと、かように考えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 最後に一つだけ。先ほど大蔵大臣が、四十六年度の予算編成は非常に弾力的に考えてと言いますがね。新聞に伝えるところによりますと、財界の要望としては、今後の財政のこの戦略目標を第四次防に置く、第四次防は四十七年から発足しますが、その財源確保のために四十六年度は大型の予算を組んで置くのだと、そういう意向が伝えられております。だから、弾力的ということは四次防に備えるという、そういう意味ですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そういう意味じゃないのです。つまりですね、まあ例年のとおり予算は予算できめておきます。しかし、たとえば、まあ非常に財界が不況であるという際に、公団債を使用して住宅の建設ができるとか、そういうような、まあ弾力条項というか、そういうようなことの活用、そういうことでこの景気情勢に対処していく、つまり、私の四十六年度予算に臨む基本的な考え方は、第一は、景気に対しまして、これが景気が安定的に成長するような方向に財政がまあ役割りを果たすということと、それから物価だとか、公害だとか、そういう財政本来——あるいは社会保障、あるいは社会資本、そういう財政本来の目的ですね、これを尽くす、遺憾なく尽くす、この二点に置いて行こうと、かように考えております。

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 以上をもちまして木村君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度といたしまして、午後は一時五十分に再開をいたします。  それでは暫時休憩をいたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後一時五十七分開会

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。矢追秀彦君。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 初めに総理にお伺いいたしますが、総理は先日、所信表明で、福祉なくして成長なしと、こう言われましたが、現実は公害あるいは物価上昇、交通災害等、経済高度成長によるひずみの結果が現実としてはこのように問題として起きておるわけであります。この現実を総理はどのように受けとめ、これに対してどう対応されようとしておるのか、具体的にお伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) きょうも午前中その点につきまして、いろいろ政府のなすべき事柄についてお尋ねがございました。私はいままでもいろいろ努力してまいりましたが、なかなか思うように成果をあげておらない、まことに残念に思っております。これから後もさらにさらに、ただいま御指摘になりましたような諸点について、積極的に政治力を発揮するように、この上とも努力したいと、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 今国会も公害国会としていろいろ法案が提出をされまして、衆議院のほうは通過をいたしましたが、まあ財界の圧力によって公害罪の法案等が骨抜きにされておる。こういうことについては、総理は本会議等ではむしろその公党の名誉を傷つけると、こういうようなことで、むしろ高姿勢で応酬をされておりましたが、私はその一つの例を通しまして、政府がやはり大企業を優先にして、人間の生命の尊重ということはどうしてもあとになっておる、こういうふうなことをどうしても感ぜざるを得ないわけであります。まあ具体的な問題としてひとつお伺いしたいのですが、鹿児島県の喜入にある日石原油基地誘致の経過及び三度にわたる原油漏れ事件の経過について、経済企画庁及び総務長官のほうから御報告を願いたいと思います。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私は郷里でございますから、一応新聞その他で承知いたしておりますが、三回にわたる廃油、油の漏れがあったということは私も承知いたしております。それらの理由については、陸上操作員の初歩的な、ミスであったり、あるいは外国の船舶による油を運んだための、外国船員のミスも一回あったように記憶しておりますが、幸いにしてCTS等によって予想される大規模な被害というものではなかったように聞いております。

宮崎仁経済企画庁国民生活局長

○政府委員(宮崎仁君) この鹿児島県喜入地区にCTS、いわゆる原油基地が誘致されたわけでございますが、この経緯につきまして、特に経済企画庁として計画的にどうするというようなことをしたわけではございませんが、御承知のとおりタンカーが非常に大型化いたしまして、これが内湾に入ってまいりますといろいろ問題があるということから、全国的にCTSの適地を調査をいたしまして、逐次こういうものを実施してまいりたい、こういうことで、数年前にそういった調査を運輸省、通産省のほうでやっていただきました。そういう経緯を経まして、日石が喜入の地区に埋め立てを行ないまして、CTSをつくったわけでございます。ただいまの事故につきましては、私のほうは特に詳しいことを存じておりません。今後こういった形での石油基地というものが全国に幾つかできてくると思いますが、こういった事故の起こらないようにいろいろ私ども考えてまいらなければならないと考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 通産省にお伺いしますけれども、この石油基地の誘致の場合、相当住民が反対をしたわけであります。で、また絶対公害は起こさないということが協定書におきましても言われておるわけでありますけれども、現実問題として、かなり被害も起こりまして、漁業組合のほうでは漁場の汚染に対して相当のことを言ってきておるわけでありますが、その点について、この基地の誘致反対を押し切ってまでやられた理由はどういうところにあったのか、その点をお伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、このような基地の必要ということは前から言われておりましたし、新全総の開発計画でも同様のことを述べておるわけでございますが、日石と日本石油精製、興亜石油が原油の輸送の合理化と貯油能力の増強をはかるということで、いわゆる石油基地をつくったわけでございます。確かに当初反対を言っておられた方もあったわけでございますけれども、地元との話がつきまして、こういうものができた。構想そのものは決して悪くないと思うのでございますけれども、先ほど総務長官が言われましたように、これはかなりどうも何と申しますか、初歩的なミスのように思われますが、バルブの操作を誤りまして、ひどく大量ではございませんが、原油を流しましたことが三回ほどあったわけでございます。これは調査をいたしまして、この構造上のとか、機械上のとかいう欠陥ではなかったようではございますが、それで漁業補償の問題が起こりまして、現在、最近時点の事故につきましての補償を交渉中でございます。通産省としましては調査もいたしましたが、今後こういう事故の起こりました場合の回収のための回収船、それから拡散いたしませんためのオイルフェンス、それから万一の場合の沈降剤等々をどういうふうに準備しておるかということを調査いたしておりますし、そういうものを整備させまして、万一このような事故が起こりましても、それを最小限に被害をとどめる問題、このような操作のミスということは起こってならないことでございますが、そういうことをいたしておるわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま地元との話がついたと、このように言われましたけれども、この地元との間に——地元といいますのは漁業協同組合連合会でありますが、これとの間に協定書が結ばれておりまして、それに現在総務長官をしておられる山中長官が立ち会い人になっておられるわけであります。もちろん、総務長官の時代ではありませんけれども、私はこういう調停の立ち会い人になることはいいのかどうか、非常にまあ疑問を感ずるんですが、総務長官はどうお考えですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これは地元の町並びに県との間に話がついたんでありますが、漁業協同組合の中で、なかんずく錦江湾入り海の中の二十三の漁業協同組合が非常に補償その他を要求されて知事が困っておられました。知事の段階で三千万円までいったんですけれども、なかなかそれ以上進まないということで、漁業協同組合のほうからの依頼を受けて、私が漁業協同組合の諸君の御意向というものを受けて、知事とともにその立ち会いをいたしたわけでございますが、最終的に五千万円であったかと記憶しておりますが、妥結をいたしまして、県庁知事室において、関係漁業協同組合と日本石油側との間の調印に鹿児島県知事並びに私が立ち会い人として調印をいたしたものでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ということは、こういうことはやっていいというふうに解していいわけですか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 貯油基地だけでありますと、漁業被害というものに、いまのような初歩的なバルブの締め忘れとか何とかいう不測の事態が起こりますから、これは絶えず火災等とともに注意しなきゃならぬと思います。しかし、たとえばその後ついでに精製施設までつくりたいというような希望が、地元の町もそれから会社もあったようであります。まあついでに申しますと、私、現在漁連の会長をしておりますが、CTSは直接漁民に対してそのような被害は出ないであろうと、常識上ですね。しかし、それが今度は精製基地ということになると、これはやはりいろんな問題が起こるので、私は漁連の会長として正式に漁連の総会において、CTSをさらに広めて精製施設をつくることには反対であるということを決議してあるわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 まあこの立ち会い人は、私は県知事サイドまででいいことであって、代議士としてもちょっと行き過ぎではないか。もちろん、その話し合等に入られるのはけっこうだと思いますが、その点は私は遺憾と思うわけでありますが、なお、これに関連をいたしまして、場所は違いますけれども、同じ県の川内市の中越パルプの川内川の水質汚濁について経企庁のほうからその実態を報告願いたい。

宮崎仁経済企画庁国民生活局長

○政府委員(宮崎仁君) お答えを申し上げます。御指摘の川内川のパルプ工場による汚染の問題でございますが、これは昭和二十九年に工場が設立されたものでございまして、内水面漁業等の被害が当時も心配されまして、漁業組合との間に協定が結ばれて補償が行なわれておったようでございますが、昭和四十三年に、この契約更改にあたりまして若干ここに問題が起こりました。その間において、工場等ではかなり浄化施設等もやったようでございますが、生産量も相当ふえてまいりました。まあそういうこともございまして、鹿児島県のほうから経済企画庁に対して、水質保全法による指定水域にしてもらいたいという御要望がございました。私のほうではさっそく四十三年に調査をいたしまして、四十四年にまた若干の補足調査をいたしまして、基準の設定をつい最近やったところでございます。すなわち、本年十月二十七日に川内川水域として水質保全法による指定水域としての基準の設定をいたしました。これに伴いまして中越パルプとしては排水処理施設その他施設の改善を行なうこととなりますが、この基準が適用される来年五月からはかなりそういった面で改善がはかられるものと、こういうふうに考えている次第でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 来年の五月ということは、現在はまだ非常に悪い状態であると、こういうことですか。

宮崎仁経済企画庁国民生活局長

○政府委員(宮崎仁君) 御承知のとおり、このパルプ工場はいわゆるクラフトパルプということでございまして、現状においてもいわゆるBODと言っておりますが、生物化学的酸素要求量、これが大体一〇〇PPM程度でございまして、そう悪い状況ではございません。しかし、基準設定後はこれが七〇ぐらいに押えられるということになります。こういった基準の設定にあたりましては、工場の設備改善が必要でございますので、六カ月ぐらいの猶予を置くというのが通常でございまして、今度の場合もそういうふうにいたしたわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総務長官にお伺いしますけれども、この川内市の汚染に対する対策はお考えになっていますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) これはただいま経企庁から話をしましたようなことで、今後対策が進められていくと思いますが、漁業者との間にも近く補償金等で話がつくように聞いておるわけでございますが、その詳細はまだよくわかっておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 私が申し上げたいのは、片方においてはこういう原油基地の誘致の問題について非常に働きをして、もちろんその漁業組合の代表というようなことで話し合いにも参加をされたにせよ、要するに公害企業の誘致というものに積極的に参加をされておる。片方において同じ県で起こっておるこの水質汚濁の事件につきましては、非常に手ぬるいと、こういうことで非難が出ておる、こういう点で私は、現在の政府あるいは自民党というものが、どうしても財界ペース、大企業優先という姿勢がここに出てくる、その一例としてあげたわけであります。したがって、この公害罪の法案が骨抜きにされた、これは財界の圧力だと、こういう批判が出てきてもこれはやむを得ないではないか、このように考えるんですが、そういう点に対する総務長官としての政治責任、政治姿勢についてどうお考えになりますか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) 私は、漁業者というものに対していま国会議員でめんどうみてくれる人の数がたいへん少なくなってきておりますので、たとえば種子島のロケットの打ち上げに伴う漁業補償等についてもたいへんな問題ということは御承知のとおりでございますが、それも私、中に入りまして、これは自民党の漁業紛争処理委員長としての立場でございますが、総理官邸において防衛、文部、科学技術庁関係三大臣と、党の代表の私の立場で、これまたそれぞれの知事、漁連の代表との間に立ち合いの調印をいたしました。しかし、そのようなことは現在公害担当大臣としてどうかと言われれば、現在の公害担当大臣としては、漁連の会長でありましても、そういうことは現在は慎むべきであろうと考えます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総理にお伺いしますけれども、これは一例でありますけれども、こういうふうな政治姿勢というものがやはり今後大きな問題になると思いますが、その点いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 福祉なくして成長なしという、そのことばどおり、これからやっていきたい、かように思っているんですが、ただいま御指摘になりましたように、企業と福祉、一体どちらを優先するか、こういうことになれば、申すまでもなく人命尊重、生活優先、これはもういまさら事新しく申し上げるまでもないことであります。しかし、私は、企業があれば必ず公害を生ずる、その程度にものごとを考えないで、今日の科学技術の力を持ってすれば除去し得る公害、そういうものはずいぶんあるんじゃないだろうか、もっと有効に科学技術を動員して、そうしてお互いの生活を守り、生活をさらに進めていくというか、充実さす、こういう方向に働らかすべきではないだろうかと、かように私は考える次第です。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総務長官、時間がないようですので次の問題でお伺いいたしますが、先日も交通安全対策特別委員会で問題になっておりました交通遺児の問題でありますけれども、その実態調査について総務長官はいまちょっと直ぐにどこでもやるということも答弁いたしかねますが、これらの問題は交通遺児育英会等とも御相談いたしまして、何らか実態をまず私たちは知るべきだということにしておきましては、当然の政策の前提として考えてみたいと考えます、こういうふうに答弁されておりますが、この実態調査についてその後前向きの検討はされておるか。

山中貞則自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(山中貞則君) この実態調査を四十三年にいたしました結果、現在の財団法人交通遺児育英会というものができておるわけであります。それで私街頭にも立って、皇族の方もお出ましを願って募金をして、その結果が、集まった街頭募金の金額がわずか二百数十万に過ぎなかったということを非常にショックに思ったわけであります。やはり、この四十三年調査の実態を分析してみましても、その後、毎年また結果を調べておりますが、そういうものを見ても、交通事故で死ぬ人たちは大体が働き盛りの二十代、三十代、四十代ぐらいのところの方が非常に多いわけでございます。そうすると、残された遺児というものは圧倒的に小中学生が多い。もちろん高等学校の生徒もその次に位いたしますが、これらの子供たちが、あるいは父親を失い、一瞬にして両親も失っておる。そうして生活ばかりじゃなくて、学校に進むべき道も閉されるということについて、ほんとうに何とかしなければならない、かわいそうだと考えるわけでございます。したがって、これらの問題は交通遺児育英会というものに今後相談をかけていくつもりでありますけれども、国直接でももう少し何らかの手段というものは考えられないだろうか。やはり一売り出したばかりの歌手でも、自分の収入の中から百万円を寄付した、その行為なども、ただ一条の社会面のエピソードとして私は受け取れなかった。やはりその人間のあたたかさというものがもっと全国民的に展開されなければ交通遺児の、いわゆる今日のモータリゼーションの中で、それぞれ毎日のように生まれていくかわいそうな子供たちに何かしてあげなければならないことについて、国がもっと考えるべき点があることについては、私も御趣旨と同感でありますけれども、さらにこれを詳細に調査することはもちろん毎年やっていかなければならぬと考えておるわけでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 調査をやらなければいけないとおっしゃっておりますが、具体的にたとえば読売新聞がこの十一月二十二日に調査を一つピックアップ的にやられたわけでありますが、その一日でちょうど十八人全国でいわゆる交通遺児ができておるわけであります。実際、死亡者の内容はゼロ歳から十九歳までが二十四名、二十歳から二十九歳が十四人と過半数、それから三十代が一人、四十代が七人、普通子持ちの年代は二十五歳から四十九歳と言われまして、それが大体は死亡者の三分の一を占めるのが大体常識だ、こう言われておりますが、この日はそういう年代は非常にまあ二割弱という少ない数になっておる。にもかかわらず遺児は十八人という非常に高い数が出ておりまして、結局、総理府が四十三年にやられた二万八千三百三十一人、これは非常にずさんな調査であって、結局、現実においては、現在は一時間に一人は交通遺児ができておる、こういうふうな勘定になり、かなりの数が日本の国の中にはいる、こういうふうになっておるわけです。総理にお伺いしたいのですが、総理はこの交通遺児というものをどの程度認識されておるか、どういうふうにお考えになっておるか。特に交通遺児の作文集というのが出ておりますけれども、総理のお手もとにもいっていると思いますが、お読みになりましたでしょうか。「天国にいるおとうさま」という本ですが、これなんか見ますと非常に悲しい作文がつづられておるわけであります。この点についていかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私はいまの作文集はまだ読んでおりません。しかし、総務長官からこれに対する対策の必要性を伺い、また同時に永野君からもこういう世話をしているその立場からいろいろ積極的に話を聞いておる、かような状態でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 先ほど総務長官も、かなり保護をやるというふうなことをおっしゃいましたけれども、現在その金額は国からは出方がまだ非常に少ないわけです。これをもっと上げてもらう必要があると思いますし、現在自賠責保険から出ておりますけれども、非常にわずかでありますし、この交通遺児のうちの貧困層というのは約六割以上ある、このように伺っております。これに対して今後どのようにされるのか。特に大蔵大臣にお伺いしたいのは、予算面でこれをどう扱っていかれるか、その点をお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まだ具体的な考え方を固めておりませんけれども、これは前向きで検討していきたいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総理に重ねてお伺いして恐縮ですが、いまの全国実態調査及びこの交通遺児に対するあたたかい保護、これに対して総理としては前向きで取り組む、こういうお考えであるかどうか、お伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、自動車事故の絶無を期す、そういう意味で国民総ぐるみ運動を起こし、この総会には私必ず出ていろいろな話も伺っているわけです。わけてもその際にはただいまの災害者はもちろんのこと、その遺児等についての救済等の話もしばしば出ておるところであります。したがいまして、事故の絶滅を期することもこれは基本的に大事なことでございますから、その政策も進めてまいりますが、とにかく現実に起きている被害者というか、遺児というか、これからすくすくと成長すべき若い人たち、これを不幸のどん底におとしいれないようにわれわれが十分めんどうを見ること、これこそが政治の救いの手ではないか、かように思います。ただ、私はこの際に断わっておきたいのは、この自動車事故でなくなったという方も、またその他の事故で孤児になった方も、孤児としては同じような立場でございますから、それはそれとしてやはり孤児対策というものについてのあたたかい施策を進めなければならない、そこにあまり区別をしてはいかぬだろう、かように私は思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、防衛問題に移りますけれども、今回三島事件が起こりまして、国民はこの問題については、いろいろ深刻に受けとめておるようでありますけれども、現在の自衛隊の本質というものが治安出動のほうに非常に強く傾いている、こういうふうな印象も受けるわけでありまして、特にそれを裏づける一つの材料になるかと思いますが、浜松におきます自衛官の脱走の事件が前にございました。こういう治安出動に傾いておるというふうな傾向、これを私はこの事件を通して感じ取るわけですが、それに対して防衛庁長官としてはどのようにお考えですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛隊は憲法並びに法規の命ずるところに従いまして直接侵略並びに間接侵略からわが国の平和と独立を守るという本議に徹して努力しておるところでございまして、必ずしも治安出動、間接侵略ばかりを対象にしているわけではございません。両方とも有事に備えて練成しておるところでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 浜松におけるこの事件は長官はどのように受けとめておられますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 浜松の事件と申しますと、どの事件でございますか。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 治安訓練を拒否した事件。昨年の九月。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 私まだその報告を受けておりませんので、調査をいたします。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 これは先日の「週刊ポスト」にも出ておりましたし、それからベ平連の出しておる「整列ヤスメ」というまあおもしろい新聞ですが、ここにも出ておりますので、御存じないというのはちょっと無責任じゃないかと私は思いますが、いかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) よく調べまして御報告いたします。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 これは三十七名という非常に多い人数でありますから、ただ報告のないというのは、いよいよシビリアン・コントロールがゆるんでおるのじゃないか、そのように考えたいわけであります。  次に、十二月一日の外人記者クラブの昼食会で、長官は都市ゲリラ活動に対応する治安出動を考えた新防衛戦略論を発表されておりますが、こういった点から考えましても、先ほど言いました自衛隊の本質が治安出動に傾いておるのじゃないか、このように考えたいわけでございますけれども、このときの発表されました趣旨並びに意図というものをお伺いしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 直接侵略、間接侵略ともに万全を期してやっているわけでございますが、間接侵略に対しましては、いろいろな都市における問題あるいはそのほか日本全般に波及するような場合の処置、連絡、通信、機動力、そういう面からもいろいろ検討はしております。しかし、そのことは自衛隊としては当然の職務であるだろうと思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 現在陸上自衛隊が十三個師団ありますけれども、もし間接侵略、都市ゲリラに対応することを考えた場合、こういう現在のようなたくさんの人員は要らないと思うわけです。大幅の削減が可能だと思うわけですけれども、陸上自衛隊がどうして十三個師団要るのか。また削減の可能性はないのか。その点いかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本を五方面に分けまして、北海道から九州に至るまで区分けしておるわけでございます。それで、いまの一個師団というのは七千人の師団と九千人の師団でございますけれども、一応これが使用し得る単位であります。それで各地域に原則として二個師団を配置して、それで十個師団になります。しかし北海道方面は非常な孤立している場所でありますから、さらに二個師団追加して四個師団、それから中部方面は二十一府県にわたりますので、これは一個師団追加いたしまして十三個師団ということになっておるわけであります。で、その一方面について九千人ないし七千人の師団が二つあるということは必要最小限の数字であるだろうと私は思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 現在その充足率が特に陸上自衛隊が少ない点は前々からも問題になっておりますが、そういういまの構想はわかりますけれども、充足率の上から考えても、こういう定員に満たない現状でありますから、むしろ定員を削減していくという方法は考えたほうがいいのじゃないんか、このように思うのですけれども、あくまでも現状を埋める努力をされる方向をとられるわけですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 定員の関係はある程度弾力性を持ちまして、ある場合には充足率を非常に強くする、ある場合にはゆるめる。ある程度の弾力性を持たしておいたほうが経費の面やその他の面から適当であろうと思うのです。現在の陸上自衛隊の充足率は大体八八%ないし九%程度でございますが、この充足率はわれわれから見ますと少し遺憾でございます。もう少し充足率を高めるように努力したいと思っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 先日の外人クラブの記者会見でも言われておりました非核中級国家構想あるいは自衛力の限界を現在防衛研修所で検討中と、このように言われておりますが、この防衛研修所というものの性格、特にその研究内容、また今後の方向こういった点についてはどのようにお考えになっておりますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛研修所は、自衛官の中堅及び上級者に対する研修機関であると同時に、また法律によりまして研修の委託を受けることができることになりまして、部外の各公務員について受託研修をやっております。大体は一グループ三十人ぐらいを一単位にいたしまして上級並びに一般中堅者に分けて研修を実施しておる次第でございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 ここにおける研修内容、教科等は、これは公表はされておるのですか、またされないのですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) ほとんど差しつかえないものでございますから、研修内容は公表してよろしいと思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、四次防についてお伺いしたいんですが、将来あるべき防衛の理想像ということを長官はしばしば発言をされておりますが、その防衛の理想像の完成を長官はいつに置いておられるのですか。その上からの四次防の位置づけということにならなければあまり意味がないと思うんですけれども、その辺はいかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛の理想像につきましては、やはり精神的部面と物質的部面とあると思います。私は精神的部面については、昔の天皇の軍隊という考え方から、国民の自衛隊という方向に徹底的に頭の切りかえあるいは増勢をやるように努力してまいりたいと思っております。そして特に文民統制を確実にして、国民の皆さんに信頼されるような自衛隊に成長させたいと思っております。それから物的部面につきましては、日本を守るに必要な範囲内において相当な力をたくわえる、そういう意味におきまして、日本本土を守るためには日本の近海におきまするある程度の力を持っておりませんと日本を守るわけにはまいりません。しかしそれは日本を守るに必要な最小限度の力を及ぼすと、そういう考えに立って力を増勢しつつある現状でございます。それで大体陸上自衛隊につきましては現在の十八万定員で当分だいじょうぶであろう。それから海上につきましては、どうしてもまだ艦艇、ヘリコプター等が足りません。大体近海において潜水艦の跳梁を許さない、そして日本の近海における輸送が全うせられるようにという配慮のもとに力をたくわえていきたいと思っております。航空につきましては、日本の政経の中枢並びに重要地点における防空を全うする、その範囲内において航空機並びに局地的、ミサイルの整備を行なおう、大体そういうような考えに沿って年次計画を立ててやっておるわけであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 防衛力の限界についてでありますが、これは午前中にも議論が出ておったようでありますけれども、通常兵器によるワクという憲法のワク内でどの程度の限界を考えておられるのか。特に核の問題に触れますけれども、この防衛白書におきましても、核は憲法上可能なものであっても政策として核装備をしない方針と、こういうふうに、政策としての核武装しない方針、これは前々から非核三原則論をずっと言ってこられまして、これが踏襲されておりますけれども、もし社会情勢が変わった場合はいつでも憲法上可能であるので、結局核武装できるというふうに解釈もできますし、また先ほどから言っております外人記者クラブの記者会見においても、米国の抑止力が作用している限り憲法解釈がどうあろうと核は持たないと、こう言われた。ではアメリカの核抑止力が作用しなくなった場合は核は持てると、こういうふうに裏からとれると思うんですが、その点についてはいかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) そのときには国民の意向をよく聞いて、そして情勢判断をしてきめるべきものであると思います。しかし私の個人的考えでは、核のようなものはなるたけ持たぬほうが賢明であると考えます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総理にお伺いしますけれども、いまの長官の答弁それからいま私が読み上げました国防白書と記者会見でのお話と総合しますと、もし国民の世論が持つような状態になったときには持ってもかまわないと。結局いままでからずっと国会でもやかましく言われてきた非核三原則、これを国会の決議にせよ、それを総理はしばしば国会で決議するべきものじゃない、こう言われたのは、結局いつかは核武装するという、何といいますか、その引き金というのはあるというふうにとりたくなってくるんですけれども、その点いかがですか、永久に持たないというふうにはっきり言明は全然されてないわけですけれども。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま中曽根長官から説明いたしましたが、中曽根長官のこの白書自身にも、ややことばが誤解を招くような点があるのではないかと思います。いわゆる外国に対して脅威的な兵器、兵力、そういうものは持たない、攻撃的なものは持たない、こういうことがわが国の憲法の精神だと思いますので、そういう意味では、よし万一憲法で許されてもというようなことばは、これはその点ではよけいなことを言っているのだ、これは憲法は非常にはっきりしている、かように思います。ただ、持ち込まないという、そういう点については、これは政策上の問題だと、かように私は説明してきております。そうしてそれですべてが統一された状況であります。いまこの憲法、いわゆる平和憲法というもの、これこそ国民の総意によって守られ総意によって維持されておると、かように私は考えておりますので、ただいま憲法が改正されるというようなことを考える必要はないんじゃないか、かように思いますので、ただいまの矢追君のお尋ねこそ、あまりにも現実離れがした架空の問題、それを提起されたんではないだろうか、かように思います。とにかく憲法は国民のものだということはしばしば申しております。そうしてその憲法をいま国民はしっかりと守っていこう、この立場でございますから、ただいまのことはどうも御懸念はさることながら、あまり私としては答えられない筋のものである、答えたくありません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 長官にお伺いしますが、それではいま総理が憲法上云々のことはよけいだと言われました。そうすると、国防白書は、こういうところから削除される気はあるわけですか、今度は出ちゃったわけですが、この次は。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 憲法の解釈論と政策論は別でありまして、憲法の解釈論の領域は法制局長官の担当でございますが、解釈論は解釈論として、やっぱり冷厳なものでも事実を国民に知らしておかなければならぬと思うのです。しかし佐藤内閣が続く限りあるいは自民党政府が続く限りとか、まあいろいろ国民の世論を受けて政党はその憲法の解釈の上に立って、にもかかわらずこういう政策をとるという立場がいま堅持されているんだろうと思います。そういう解釈論と政策論とをやはり正確に国民にお知らせするということは、政党や政治家の責任であると思ってそのように書いたのでございます。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 総理は架空の議論だと言われましたけれども、架空のことがだんだん現実になってくると私は戦後の、ずっと過程を見ておりまして考えるわけです。要するに、軍隊を持たないと言ってたのが、やはりここまで来たわけです。懸念するなと言われますけれども、ずっと過程を見ますと、懸念したくなるわけです。特に、きょうの長官の答弁にしても、総理の答弁からすると、私は、いままでよりむしろ核を絶対持たないという強い姿勢はずいぶんゆるまったんじゃないかと、このように解したいようなニュアンスに感ずるわけなんですけれども、その点でそういうことを申し上げておるわけですが、重ねてお伺いしますけれども、その点はいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま中曽根長官からお答えいたしましたように、政策的に絶対に核は持たないと、かように言っておったと思います。私は憲法論の論議の問題ではないと、こういうことを中曽根君は指摘して、私と中曽根君との議論は食い違っていることをはっきり説明しております。その点は矢追君も御了承がいただけただろうと思います。私が申しておるのは日本憲法のたてまえを言っている、また、中曽根君は一般的政策の論議をしておると、かように分けてやっておりますから、その辺は誤解がないようにお願いをします。  私がいま申し上げたいのは、日本の国民がただいまの憲法を守ろうと言っておるそのときに、それが変わったらどうするかと、こういう議論を展開されることは、そこにやっぱり誤解を招きやすいのじゃないでしょうか。政治家のうちには、変ることを希望しているとか、期待するとか、こういうような話にまで発展しやすいのですから、私はさような点はお答えをいたさないと、かように申し上げたわけであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 防衛費の問題でありますけれども、四次防の最終年度は一兆五千億程度と言われております。こうなりますと、西ドイツの一兆九千億の予算に近づいて世界第七番目になると、このようにもいわれております。この予算的限界をどこに置かれるのか、これを大蔵大臣、防衛庁長官両方にお伺いしたいのですが、それに関連して、時間がありませんので一緒に申し上げますが、現在、ヨーロッパの防衛費は、今後は平行線をたどるか、あるいは減少するか、まあこういうふうに言われておるわけです。最近のヨーロッパの情勢は、平和的な面におきましては非常に好調でありまして、そういった点から十分そういうことは予想されるのであります。それに反して、わが国の防衛予算は増加の一途をたどっておりますし、特に五次防が終わるころには、世界で第五位になるんじゃないか、フランスを追い抜く、そういうことが予想されております。したがって、今度の四次防というのは、将来の五次防、六次防から考えた場合でも、一つのある程度の理想像としてこれに歯どめをするようなことはされる気はないのかどうか。現在の四次防の終わりからその次を考えますと、防衛予算はますます増長していくわけです。したがって、この四次防でもっと歯どめをしなければならないと、このように考えるわけですが、その点はいかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) お答えする前に、先ほど御質問のあった「整列ヤスメ」の浜松の航空自衛隊の件についてお答えいたします。「整列ヤスメ」九月号に載りました件は、航空調査隊で調査しましたところ、そういう事実はなかったという報告でございます。  なお、御質問の、ヨーロッパの防衛費の関係及び日本の将来について御質問でございますが、ヨーロッパの防衛費が上がるか下がるか、これは予断を許しません。やはり国際関係の緊張度合いに応じて伸びたり縮んだりしているのが現状で、現実は現実としてわれわれは認めなければなりませんけれども、しかし、それはいついかなるときに変化するか、やはり防衛という問題は短期間をとらえないで、ある程度の長期間を見ながら経験的に判断していく以外にないと思いますので、われわれとしては、重大な関心をみな持ちながら検討しているところでございます。  御参考までに申し上げますと、一九六〇年から六九年に至る過去十カ年間の防衛費をヨーロッパについて見ますと、英国では約二十二兆円使っています。フランスでは十五兆円、ドイツが十四兆六千億円、日本は三兆円でございます。この数字を見ますと、いかに日本の蓄積がないかということがわかるわけです。一番少ないドイツでも十四兆円に対して、われわれのほうは三兆円でございますから、それでまだ米国から貸与された兵器類が五〇%を占めているという状態で、そういう状態から脱却するためにも、ある程度漸増していくということは必要ではないかとわれわれは考えます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま防衛庁長官からお答えしたので尽きると思いますが、要するに、日本の国力、それから日本をめぐる国際情勢、そういうところで日本の防衛力というものはきまっていくと、こういうふうに思います。日本の国力、これはまあ大体だんだん伸びていくとは思いますが、日本をめぐる国際環境と、こういうものはどうも予断ができない。そこに、歯どめ歯どめとおっしゃいますけれども、そのむずかしさがあると、こういうふうに考えておるわけです。アジアにおきましては、ソビエトロシア、中共、そういう強大な軍事力があります。そういう国々がどういう体制をとっていくか、こういうこともわが国として重大な関心事でなければならぬ。まあそういうことで、日米の関係、これがどういうふうに変わっていくか、こういうことも日本の防衛ということについては重要な影響を持つだろうと思います。そういう諸般の事情を踏んまえて今後の日本の防衛というものには対処しなければならぬと思いますが、ここ当面の問題としては、専守防衛と長官のお話しのような考え方のもとに充実をはかっていく必要があると、かように考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 四次防がもし実施された場合、それをまかなう、動かせるだけの人員を集めるだけの自信はおありですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) われわれの計画では、五カ年間の範囲内において約八千五百人の増員を必要としております。その程度のものは、努力すれば充員可能であると考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 自衛力の限界について、よくGNPの〇・八%でこれは世界で最低であるとか、いろいろ言われておりますけれども、この自衛力の限界について、その上限——上のリミットの範囲をきめる必要があるのではないかと思うんですが、それは最近わりあい議論をされておるわけですか、その点はいかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) その点は、羽生委員の御質問にもお答えしましたが、数量的にはなかなかむずかしいところでございます。やはり国全体のバランスを見ながら、社会保障費、教育研究費、公共事業費等の見合いで、民生安定を重視しながらつつましい限度で必要な範囲を定めていくと、そういうような方法論における歯どめしか文民統制の今日においてはないんではないかと、そういうふうに考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 海上自衛隊の防衛区域についてお伺いしたいんですけれども、この区域があまりはっきりしていないわけです。特に沖繩が返還された場合、公海上の行動範囲というものをどの辺までお考えになっておりますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本周辺、特に日本近海、そういうふうに言っておりますが、大体次の防衛計画で想定しておりますのは、沖繩が返還された場合には、尖閣列島、それから、ずっと日本本土の方向へ、それから沖ノ鳥島、南鳥島、その辺の範囲内において十全を期していくと、一応そういうことを次の防衛計画においては想定しております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 前国会の予算委員会で私が原子力潜水艦建造の問題について長官にお伺いしたときに、原子力の推進力を持った商船が常時つくられるようになれば原子力潜水艦を持つと、こういう答弁をされましたが、そうなりますと、原子力商船というのはかなり足が速いわけであります。それに対しての防衛ということで原子力潜水艦が持たれるとすれば、その行動半径は相当範囲が広がってくるのじゃないかと思うのです。そうしなければ、原子力潜水艦を持つ必要も意味もないと思うわけですが、いまの問題に関連してその点についてはいかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、防衛力の限界という点につきましては、科学技術の進歩、それから国際情勢の変化、そういうことが非常に重要なファクターになると申し上げましたが、やはり原子力推進の船の進歩がどういうふうになっていくか、そういうこともまた一つのファクターであります。しかし、いままで申し上げましたように、専守防衛という概念を逸脱することはないようにわれわれは調和をとっていきたいと考えております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 時間がありませんので、次の問題に入りますが、XT−2の航空実験を来年岐阜で行なわれると、このようになっておりますが、その成功の見通しはありますか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 報告によりますと、現在までの工程は順調のようであります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 このXT−2は、どういう性格のものとして考えられておりますか、F86の後続機として配置攻撃用爆撃機と、このように解していいんですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) いまのところ、F86の後継機——あとを継承する飛行機としての目当てをもって開発をやらしております。F86は支援戦闘機としての機能も持っております。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 もし失敗した場合に、さらにこのXT−2の開発に全力をあげられるのか、あるいはまた、ファントムF四Eの爆装化を考えられておるのか、いわゆる爆撃機として使えるように考えられておるのか、その点はいかがですか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 支援機と防空戦闘機とはある程度機能の違うところもありますから、やはりF86の後継機ということを中心に考えていかなければならないのではないかと私は思います。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 いま順調によく計画が進んでおると言われておりますが、これを成功させるために、わざと最初の要求性能を落とすというふうなことはございませんか。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことはしておりません。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 先日アメリカへ参りましたAEWの調査団の調査結果の報告、並びにこのAEWについて、どういう検討を今後されていくのか、その点をお伺いしたい。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) いまのところ、内部でいろいろ検討を加えている段階でございまして、まだ公表するに熟しておらない状態であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 次に、けさの新聞報道でありますけれども、北九州市小倉区にある山田弾薬庫、この返還に対して、米軍からの返還通告を受け入れ態勢が整わないということで返上したと、こういうふうな記事が出ておるわけでありますが、質問通告をしておりませんでしたが、これに対しての報告をお伺いしたい。

中曽根康弘自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 山田弾薬庫の問題は、あれは中央折衝できまる問題で、現地の米軍司令官が現地の施設局長に持ってくる筋合いのものではないのであります。そういう意味において、現地ではこれを中央へ持っていってください、そういうことで拒絶をしたのであります。いま、中央におきまして、あの問題について専門家が検討している最中でありますので、いずれ検討の結果がつきましたら、公表して正式の処置をする、そういうことになる予定であります。

矢追秀彦公明党

○矢追秀彦君 一言総理にお伺いしたいのですが、先ほどから四次防について議論をいたしましたけれども、現在のニクソン大統領のいわゆるグアム・ドクトリンその他アジアからのいろいろな具体的に米軍基地等が撤退をしつつありますが、結局、将来、日本がその肩がわりとしてかなりいろいろな面で軍事力を強化するとともに、アジアにおけるいい意味での中心になればよろしいのですけれども、軍事大国になる可能性というのが十分考えられるわけです。さらに、先日のハロランという人の論文によりますと、PATO構想というのも出てきておりますし、こういった点で将来のアジアの平和という面における日本の立場というのは非常に大事であると思います。そういった意味で、私は四次防というのがあまりにも大きな予算に組まれておることについては非常に抵抗を感じておるわけでありますけれども、このPATO構想も含めまして、総理はしばしばニクソン大統領ともお会いになっておりますし、今後の日本の問題について所信をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 矢追君にお答えいたしますが、ただいまの四次防そのものは、御承知のように、予算編成途上にいろいろ論議され、審議されるものでございますから、まだ、もうすっかり問題がきまったように言われないようにお願いしておきます。  ところで、いまお尋ねのうちに、アメリカはニクソン・ドクトリンをこれから忠実に実施するだろう、その場合に、日本がアメリカの果たしておる役割りをかわるのではないかと、こういう御指摘がありました。私は、さようなことはないとはっきり申し上げたい。わが国の憲法は、もちろん、ただいまの自衛力、自衛隊を持つことは、これは禁止しておりません。自衛力自身は持てるのであります。しかし、アメリカがいまアジアで果たしておる役割り、これはたいへん広範なものでありますし、また、日本の防衛をアメリカにたよっておるその部分については、ニクソン・ドクトリンが言っているように、その国はまず自分の国の力で守ってほしいと、これが第一の問題だと思います。その意味において、日本はアメリカにかわってわが国土をわれわれの手で守る、これは当然のことだと思っております。だから、むしろアメリカにたよらない、そうして完全独立ができる、そういう方向が望ましいのではないだろうかと思います。しかし、兵器はどんどん進み、ことに核兵器がただいまの軍事力の中心になっておると、かようなことを考えますると、核は持たない日本の自衛隊、核の製造もしない、また持ち込みも許さないという、そういう自衛隊でございますから、その点ではアメリカに依存せざるを得ないと、これが現実の問題であります。だから、在来からの日米安全保障条約、これがいわゆる自動延長といわれるゆえんもここにあるわけで、私どもがこれを必要としておるところもそこにあるのであります。でありますから、アメリカが果たしておる役割り、それに取ってかわり得るもの、これは日本国内に対してのみは、われわれがアメリカにかわって自分たちでできることはやはり守らなきゃならない。しかし、国外に対して、アメリカが果たしている他の地域に対してのアメリカの役割りを日本が果たすわけではございません。これは私がいつも皆さん方にもお話しをし、日本は経済大国にはなっても軍事大国にはならないと、歴史が示すような過去の行き方と違うんだ、日本の場合は一つ違う行き方をしている、新しい試みですと、こういうことをしばしば申し上げておるのはその点であります。したがいまして、いまのアメリカにかわる、あるいは取ってかわるという、そういう点についてはただいまの点で御了承をいただきたい。わが国土、これはわれわれの力でわが国は守るんだと、この立場に立たないと、アメリカの援助だけにたよっている、こういうものではない。その点では、おっしゃるようにアメリカにかわる自衛力、さようなふうに考えております。

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 以上をもちまして、矢追秀彦君の質問は終了をいたしました。     —————————————

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 次に、向井長年君。

向井長年民社党

○向井長年君 まず、最初、日米繊維交渉についてお伺いいたしたいと思います。  総理は、日米繊維自主規制の問題については、アメリカと互譲の精神、こういうことでいろいろと折衝を続けると、こう言われておりますけれども、互譲というよりも、押され押され、いまや後退一方になっておるのじゃなかろうかと、こういうように私は感ずるのであります。そういう意味で、ただいまの日米交渉の現況を、これはまあ通産大臣であろうと思いますが、お答えいただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 交渉の途中でござまいすので、あまり詳しいことを公に申し上げるここもいかがかと存じますけれども、総理大臣が十月にニクソン大統領と会われまして、高い見地から交渉を再開して妥結を目ざそう、こういうことから今回のいわばラウンドが始まったわけでございます。そこで、アメリカ側にはアメリカ側の考えの提示がございましたし、われわれとしてはわれわれの立場、これは累次の国会の御決議もございますし、また、本来が自主規制でございますので、業界が不承不承なりとも納得をしてくれるものでなければ実効があがらないわけでございますから、そういう立場からわれわれの考えを示しました。譲れ譲れで来ておるのではないかと言われますけれども、それでございますともっと早くこの話はまとまったはずなのでありまして、実は十何回かの交渉をやっておりますのでありますが、今日いまだに十分な歩み寄りができませんで、双方でなお歩み寄れる余地がないかということでせっかく努力をいたしておるところでございます。何といたしましても、アメリカでただいま議会で議論をされております新通商法といったようなものは、自由貿易の体制をいわゆるガット体制というものを完全に根底からくつがえすものでございまするので、もし日米間でこの繊維の話ができることによって、そのような悲しむべき傾向というものが事実にならずに、事前に事が起こらずに済むならば仕合わせなことだと思いまして、鋭意交渉をいたしておりますが、ただいまのところ、まだ妥結の見通しがついたというところまで行っていないというのが現状でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 政府は、日本政府案を示して、業界の意見を聞かずして、まず政府みずからの案をもって訓令等で折衝を続けたと思いますが、先般自民党の福田代議士はじめ何名かがアメリカにその問題を通じて行かれましたが、これはどういう形で行かれたのですか。これは、総裁として、どういうことなんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 政党でございますから、たとえば繊維問題が起これば、繊維対策部会、あるいはまた商工部会等々を持っております。それらの関係者等が、ただいまの政府とは別に、これはまあ与党の立場ではありますけれども、政府のやることとは別個に、国会に対してそれぞれの友だちもあることだし、要人等とも知り合いもあるから、そこらに出かけていって議会筋に自分たち日本人の立場をよく説明し、こちらの要求を理解してもらうように、そういう処置をとりたいと、こういうことで出かけたわけであります。

向井長年民社党

○向井長年君 最近、ちまたでは、この問題については、何だか、時間かせぎと申しますか、こういうようなことがいわれておるし、おそらくやこの臨時国会が終了後において妥結するのではなかろうかと、こういうことがいわれておるのです。これは、内容は別としまして、そういうような誤解か何か知らぬがいわれておりますけれども、きのうのニュースでも、おそらくや今週末、十八日か十九日ごろに牛場大使を通じて仮調印をするようなことがいわれておりますけれども、この点についてはいかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの福田一議員その他の者が時間かせぎに出かけると、こういうようなことが巷間で言われておると、そういうことはたいへん重大な話だと思います。さようなことはございません。私どもが自民党が意図的にあるいは時期を延ばすとかあるいは引き延ばしのために出かけたと、そういうことでは全然ない、そのことを私から申し上げておきます。その他の点は宮澤君からお答えいたします。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣と大統領ができるだけすみやかに交渉しようという合意をされたのでありますので、鋭意交渉を急いでおるわけでございます。最近何日といったような日が出てまいりますのは、これはおそらくは交渉も相当長くなりましたし、また、先ほども申し上げましたように、新通商法といったようなものがお互いの頭の中にございますから、そういたしますと、これを審議しておりますアメリカの議会の審議日程というものもある、そういったような関係から何日ごろというような話が出てきておるのではないかと思いますけれども、これはわが国の国会の会期とかいうようなこと、あるいは時間かせぎとかいうようなこととは、全く関係のないことでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 そうすると、牛場大使あるいはまた出先の事務機関レベルで仮調印をするというようなニュースが伝わっておりますけれども、これは事実ですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 業界がともかくもやろうという気にならなければ、この話は実効があがらないわけでございます。したがって、かりに牛場・フラニガンの間でその両者の間では合意の案ができましたといたしましても、実際それが業界が実行可能なものでなければならないわけでございます。他方で、しかし、二人の日米の代表が話をいたしておりますのですから、話はついたがそれが実行ができないということになれば、これは外交上たいへんなきずを残すことになります。したがって、その両方の問題を何かの形できずが残らないようにしておかなければならないというのが外交上当然プロトコルの配慮があってしかるべきだと思っておりますので、それがただいまのようなことばで言われておるのかと思いますが、実は実態はなかなかそういうところまでいっていないというのが今日の現状でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 実態はそこまで至っておらぬにいたしましても、出先の牛場大使あるいはフラニガンと仮な形で進められた場合に、これはおそらく牛場大使がかってにやるわけじゃないと思うんですよ。政府の訓令を受けて最終的にやるのではなかろうかと、こう私たちは推察するわけです。それが一つと、もう一つは、やはり業界との問題はこれは別にあるわけですよ。したがって、牛場大使が仮調印でもするとなれば、これは政府の訓令を受けてしかしないんじゃないかと、こう思うのですが、そういう傾向があるのかないのか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、まさに御理解のとおりの問題があるわけでございまして、理想的に申しますと、この程度ならば何とか業界も考えてくれるだろうというようなところで二人の間で話をいたしまして、そうしてそれを外交上きずを残さないように、私どもがそれを受けて業界と話をする。そうしてよければこれでいいではないかということになるのが、実は一番すなおな、すらっとした形でございましょうと思います。ところがなかなか実態がそこまでまいらずに、私ども苦しんでおるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 私は、時間がございませんから内容に触れたくないんですが、一番問題点は、おそらく政府案では個別規制方式はとらないということを強く出しておりますね、日本の政府案としては。個別規制方式、これはとらない。しかし、アメリカはそうではないんですね。したがって、ここでグループ規制方式の問題が出てきておるわけですけれども、おそらくはグループ規制の方式だといいながら、実質的には個別になっていくんじゃないかという心配が強くあると思うんですよ。この点ないということを言われますか、いまの政府の態度としては。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように繊維品というのはもう流行が非常に変わりますので、ことしはやったものが来年は全然はやらずに、別のものがあらわれるというように、鉄や何かと違う性格を持っておりますので、私どもとしてはやはり何か規制をするにしてもグループでつくって、ある程度そういう流行の変遷、これは現実の経済現象でございますので、それに対処できるようなやり方でなければならない、こう思っておるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 まあかりにこれは、不満足ながら妥結するような傾向が出てきた場合に、おそらく国会は閉会しておりますが、国会決議との関係で特に総理はどう考えておられますか、これは手続論として。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 国会の決議とどういう関係かと——どの点をおっしゃるんですか。われわれは国会の決議は尊重している。そうしてその趣旨に沿って交渉していると、かように確信しておりますが、何か手続が要るようですか。

向井長年民社党

○向井長年君 国会決議がこんなに後退して、自主規制をこんなに強硬な形で押しつけられるということでは、これではいかぬということを決議しておるんですよ。したがって、それをあらかじめやはり国会決議として何らかの形をとらなければならぬのじゃないか。これは道義上の責任ですよ、政府の。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) いま総理が言われたとおりでございますが、累次の両院の決議は、趣旨とされるところは大体三点ございまして、第一点は被害または被害のおそれという観念と連関を持っていなければならない、それを無視するようなことがあってはならないということで、この点私ども幾つかの品物を選びまして交渉しておりますが、これはそういう可能性がある、少なくとも議論のある品物に交渉の対象を限りたい、これが第一点でございます。第二点は業界がともかくも納得をするものでなければならない。この意味は強権を用いてはならぬという反対の意味を含んでおると思いますが、それは私どもそういう考え方でおります。第三には他の極東等の輸出国といわば共同歩調でなければならないという趣旨のことでございますが、この点も日米間のただいまの交渉で明瞭にそのように了解されております。

向井長年民社党

○向井長年君 そこで通産大臣、まだなかなか困難だと言いますが、見通しとしてどうなんですか。見通しとして結論は。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これは私ども全力を尽くし、誠意を尽くして交渉しておるのでございますけれども、何ぶんにもわが国の業界が文字どおりともかくも自主的にでなければ実効があがらないという問題でございます。で、先方にもいろいろ新通商法案提出に至りましたいろんな長い経緯があるようでございまして、なかなか交渉当事者二人だけの即断で事が済むというわけにいかない。ことにわが国の事情は、もう御承知のような事情で非常にむずかしゅうございまして、ただいまなお、できるだけ両方の距離を詰めるつもりで努力を重ねるわけでございますが、ただいまのところトンネルの先のほうに曙光が見えたとはまだ申しにくい段階でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 総理はね、ガットの精神といわれるけれども、ガットはもうだめですね、いまのガットは。この問題についてはおそらく、EEC、アメリカ、日本というようなかっこうでは、アメリカと日本の中心の問題ですからこれは意味をなさんと思う。しかし、こういうことではいけないので、将来あらためてやはり国際ルールの中でこういう問題について規制できるような形を、特に国際収支の黒字国である日本等がやはり提唱して明確につくるべきだと思いますが、この点いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の場合もしばしばいわれることですが、いわゆる自由貿易、自由経済、そういうもとでやはり経済は成長すべきだ、だからこそ日本の場合も資本の自由化まで大幅に、いわゆる貿易の自由化はもう全部でもやれと、こういう要請が強いんです。私はこれが一つの行き方だと思っております。また、アメリカ自身もかつてはケネディ・ラウンド等で関税まで引き下げ、そうして積極的な自由貿易体制をとっております。ところが、どうもそればかりでもいかないんですね。やはり日本でもある部門においてはぜひとも保護しなければまだ一人立ちならないのだ。こういう議論がありますように、経済大国であるアメリカでも、やっぱり何といっても保護主義が何とかすると頭を持ち上げてくる、今回の繊維交渉などはそのいい例であります。私は、そういうことを考えますと、自由貿易主義、そういう原則をやっぱり打ち立てていく。それはアメリカ、日本、EEC、三つの勢力でそういうものを打ち立てていくことが望ましいのではないか、そのルールがまだはっきりしない。そのためにやはりこういうような摩擦状況が起こる。まあひとつ原料の面から見ましても、最近は羊毛などは国際価格が非常に下がって困っておる、かように言われる。しかし、自由貿易主義の立場に立って原料が安く入るならりっぱな製品ができるのであります。豪州やニュージーランドには気の毒だが、これはやっぱりあまり下がらない程度に下がって安く入手できるという、そういうところにも一つの経済の発展の基礎があるように思うのであります。私は、どちらかといえば自由貿易論者で、日本でもなかなか抵抗はございますけれども、相当の範囲にわたっての資本の自由化、それにすらいま踏み切った、大体の計画、スケジュールを立てておる。そういう際でありますだけに、この種の問題がGNP第一位経済大国のアメリカに起こったこと、そうして一と二がこの問題で争うこと、これはたいへんな問題だと実は思うのです。私がこういう問題をできるだけ早く解決したいというのも、お尋ねがあったから申すわけでございますが、その一と二の間で話がつかないようなことで国際経済が拡大されるとはどうしても思えないんです。国際経済を拡大するためにもこういうものはやっぱり早く話をつけるべきじゃないだろうか。また、そういう意味においては一方だけが譲るんではこれは押しつけになりますから、そこで互恵互譲ということを申してお互いに譲り合わなければならないと、こういうことを言っておるわけです。しかし、譲るということ自身に関係業者からはどうしても納得ができないと必ず言うだろう。日本の政府はわれわれに譲歩した案を押しつけるのか、またアメリカの業者もきっと言うだろうと思う。アメリカの政府はアメリカの業者に対して譲る案を業界に押しつけるのか、ここらに問題のむずかしさがあるわけです。互譲というそのことばは、たいへん私どもにはわかりやすいけれども、当該業界にとってはそんな簡単に互譲の精神で片づいたという、そういうことじゃ困ると——これは必ず残ると思います。  いま見通し等については、一体どういうことだと、こういうお話がありましたが、これは通産大臣からお答えいたしましたように、業界の理解と協力がなければ幾ら政府が約束いたしましても実施できるものではございません。業界自身から申せば、その譲り方が少し多かったとか、あるいは向こうの譲り方が少ないじゃないか、こういうような批判が出て、なかなか納得がいかないものがこの種の交渉事にはあるのではないだろうかと思います。だから時間も相当かかっておりますし、私としては気を短くしないで、長く持って交渉していると、かように御理解をいただきたいと思います。これはやはり業界の、業者の身にもなってわれわれは交渉しなければならない、そういう立場であるからただいまたいへんむずかしいことを、各方面から注文をつけられております。皆さん方からも注文をつけられている——これは国会の決議である。しかし、それより以上にやはり業者自身に何のためにこういう話をするんだ、納得ができないと、こういうような気持ちがありはしないかと、かように思います。ただ私が思いますのにオーダリーマーケティングというのがやはり平静な経済成長の歩む道じゃないだろうか、かように思います。だからそういう意味で話を取り上げることも意味があるんではないだろうかと思います。ことに日本の場合の経済成長は、他国に比して比べものにならないほど大きく、早い速度で成長しておりますから、おそらくアメリカ等から見れば、そんなに成長するところと自分たちのところと一緒にして考えてもらっては困る。だから日本に多くを譲れと要求するのは、これはあたりまえじゃないかと案外言うかもわかりませ。ただいまそこまで言っておらないんですが——けれども、そういうことも考えながら業界の身にもなって交渉事を進めておる。かように御理解をいただきたいし、またそういう意味で皆さん方からも御鞭撻をいただいている。かように私ども考えておるので、別に私どもの党から出かけたことにつきましても私が頼んだわけではありません。総裁が頼んで、行ってくれろと言ったわけではない。業界から頼まれたわけでもないんですが、やはりこういう事柄については議会人同士が話すところにも一つの案外解決策があるかもわからない、こういうことで実は飛び出したわけであります。経過を一通り話をし、いまの展望についても一言触れた次第でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 いま私が聞いたのはその現況じゃなくて、今度この問題が解決した後において、将来にわたってあらためて国際ルールをつくるべきじゃないか。こんないまのようなガットではだめじゃないか、こういうことを言ったんですよ。この点について総理なり通産大臣はどうか、こういうことです。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、私は非常に示唆に富んだお話だと思います。私も実はそういうことを時々考えるわけでございますが、ともかくもいまこのアメリカに起こっておりますやや異常と思われるような保護主義的な傾向、これが何かの形で病気がとれたようにおさまりましたときに、さてこれから世界の自由貿易というものをどう進めていくかということになりますと、おそらく今度の問題にあらわれました一つの問題点は、従来のような厳密な被害または被害のおそれというもので今後ガットがやっていけるだろうか。あるいは先ほど総理が言われましたように、むしろオーダリーマーケティングというような考えに立つほうがいいのではないかというような議論がもうぼつぼつ出ておりますし、私は、ある種の品物についてはそういう議論が有力になるのではなかろうかという予想をしております。ただここで問題になりますのは、われわれのようにある程度でき上がった国の立場から申しますと、それは望ましいことかと思いますが、発展途上国から申しますと、オーダリーマーケティングという考えは、やや市場のシェアを固定するというような思想につながっていくととられますので、そういう国がどのように反応するだろうか、また、将来はガットは南北問題ばかりでなく東西問題にもほんとうは入っていくということがもう一つ広い意味でいいのだと思いますが、そんなような問題意識もまた別にございまして、いずれにしても二十年余りやってまいりましたガット体制、これを新しい事態に立ってどのように展開させていくかという問題が、これからやはりお互いに考えていかなければならない問題であろうというふうに思っております。

向井長年民社党

○向井長年君 次に、日中問題について若干お伺いいたしますが、これは午前中、社会党の羽生委員がほとんど触れられておりますから重複を避けます。ただ外務大臣にまず聞いておきたいことは、日華条約は主権の及ぶ範囲は有効である、こういうように解釈していいんですか。こういうふうに言われておると思うのですが、いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 戦争状態の終結ということ、そういうお尋ねと思いますのでお答えいたしますが、日華平和条約におきましては、国と国との関係では戦争状態が終結した、こういうことになっております。したがって、国と国との間では戦争状態は終結した、これは条約論としてそうであるし、制定の経過のときにそうであると、こういうわけでございます。なお念のためでございますけれども、国と国との間の条約におきましては、いま申しましたように国と国との間を規定するものと、それから国と国との間の条約でございますけれども、条約がたとえば通商でありますとか、あるいはその国の中の領域のいかなる地域に住んでいる人との関係を律するものであるかというような性格のものがございますから、それについては適用地域ということが具体的な問題になってくる。要するに、条約の中に二つの性格のものがある、こういうふうにお考えをいただいて適当かと思います。それから同時に、一方から申しますと、いわゆる北京政府はこの条約を認めない立場におりますから、法的にも戦争状態が終結していないという主張をしておるというその事実も政府としては承知しております。これが現在の状態であると思います。

向井長年民社党

○向井長年君 そういうむずかしいことを言わずに、日華条約はもちろん中華民国政府と結んだんですが、現在中国の本土に主権はないわけですよ。そこにもそれは有効であると、こういう考え方かと言うんですよ。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) これは別にむずかしいことを言っているわけじゃございませんで、条約としてそういうふうに解すべきものである、あたかもこれは国連における国の代表権の問題がいま争われているというか、論議の対象になっているわけでありますが、その国の代表権というものはどうかという場合に、国民政府か中華人民共和国政府か、あるいはそれぞれがそれを主張している。この場合の代表権の問題と性格が同じようなふうに扱ってしかるべきものではないか。こういうふうに考えるわけでございまして、いわゆる適用範囲というような問題をそこにあまり観念として入れてくるのにはふさわしくない、なじまない問題ではなかろうか、条約論としてはさように考えるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 昨年は明確に答弁されているんですよ。一つの政府が当然全部に及ぶんだと、こう言われておるんですよ。きのうの衆議院ではそういうことを言っておられないでしょう。きのうの衆議院では主権の及ぶ範囲においては当然有効である、こういう言い方をしているわけですが、これは変わってきたんですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 一つも変わっておりませんで、いま申しましたような理解というのが私は正確だと思っております。要するに、条約の内容に性格の違うものがあるわけです。国と国との間の律すべきものと、それから地理的観念を特に入れて律すべきものと、二つの問題がある。で、国を代表して云々というような場合には、国と国との、何といいますか、人格ということばに対して国格ということばがあるかどうかわかりませんが、そういう意味の国と国との間の関係におきましては、平和状態というものは、これによって設定された、こう理解するのが条約論として正しいと思います。

向井長年民社党

○向井長年君 時間がございませんから、この問題は後日に譲ります。  総理に、午前中に羽生議員の質問の中で、この所信表明の問題についていろいろ言われておりますが、これは三点、これは痛しかゆしで、矛盾する点が出てくるんじゃないかと思うんです、われわれから考えると。いわゆる国際信義を重んずるということ、おそらくこれは今日の台湾政府に言うところであろうと思いますし、あるいは緊張緩和というのは中共の問題であろうが、これは矛盾するような感じがするんです。したがって、今後この種の問題について国益を守り、緊張緩和をし、あるいはまた信義を重んずると、この三つをかみ合わして、いかなるプロセスを考えて中共問題を解決しようとするのか、ひとつ御答弁願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 国際信義というのは、ひとり台湾にある中華民国に対してのみではございません。これは国際的信用の問題ですから、これはやっぱり日本はどこに対しても国際信義を重んずる国だ。こういうことで、台湾問題だと、こういうように限定されるのはいかがかと思う。また、国際緊張を緩和するということ、これはあらゆる機会にわれわれが考えなきゃならないことだと思っております。とにかく一番手っ取り早いところが、一つの中国を言っているそういう政権が二つある。そういうところで、それが話し合いをしないで、何か一つの中国だということで、これが武力に訴えるようなことがあれば、これはたいへんな問題だと思います。同時に、日本との関係において私は国際緊張があると、こういうような見方だけではございません。だから、そういうように、考え方をいろいろ組み合わせを考えてみると、簡単に結論が出てこない。私が慎重にこの問題と取り組んでおると、たびたび申し上げるのもそこにあるのでございます。言われるように、非常に簡単にものごとを割り切っておると、たいへん結論を出しやすいのでございますけれども、そうはいかない。なかなかむずかしい問題です。

向井長年民社党

○向井長年君 割り切ってもむずかしいんじゃないでしょうか。  台湾に対する条約上の国際信義というものは一ぱいあるでしょう、現在ね。直ちに破棄するわけにいかぬですわ。そうかといって、中共とは仲よくしたいと、こういうことになれば、これは大きくかみ合ってくるのはあたりまえじゃないですか。それはもちろん他のほうにも影響はありますよ。しかし、この問題を私はいま中心に言うておるんですから、その点相矛盾するんじゃないか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お互いに、ずいぶんかみ合っている問題ございます。たとえば北京と仲よくしている国、それと日本との関係。北京と仲よくしているから日本とはつき合わないという国もできるかもわかりませんが、ただいまのところ、あまりそういう国はない。あるいは台湾が、北京を承認したからおれのほうは脱退だと、席を同じくしないと、大使は置かないという、こういうことをこちらへ申しましても、その国自身がやはり国連の場においては、あるいはアルバニア案にそのまま賛成しないと、こういう事例もあるわけです。そういうようにいろいろのケースがあるのでございまして、簡単に割り切れないということを申しておるわけです。だから国際信義の問題は国民政府だと、その関係だろうと——もちろん国民政府との関係もございますが、これはもう私がしばしば申しますように、日華平和条約、その条約上の権利義務がありますから、これはもちろん国際上の問題はある。信義の問題はある。しかし、信義の問題は、同時に他の諸国にも通じる問題なんであって、これは台湾だけの関係でどうこう言うわけではございません。でありますから、私どもは、隣の国同士、それが友好に平和共存ができることが何よりも望ましいことだ。そのために、一つの中国を主張している二つの政権があるのだから、そういう政権がその二人で話し合うことが何よりも大事なことではないか。その間で武力を用いないということが何よりも必要なことだ。これを強くまあ期待しているというか、希望しておりますけれども、それができないと、いまのような状態になる。そうして片一方で、言われますように、どこまでも私どもの主張は、それぞれの立場を十分理解してもらって、そうして内政不干渉のその形で何とか接触ができないか、これがただいまの考え方でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 私の今後のプロセスという問題は、国連にどう対処するか、あるいは台湾政府にどう対処するか、そうしてまた中共にどう対処するか、この三つの問題ですね。これの構想というものが何らかあるのかどうか。またそれに努力しようとして、まあ外務当局なんか、最近ニュースで聞くと、いろいろ検討しているようですが、こういう問題についてどうか、こういうことなんですがね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) その目標がはっきりしておればたいへんアプローチも楽であります。私どもいまどういうようにしたらいいか、そこに、その方法もさることだが、いまどんなアプローチが考えられるのか、どういうような結果がもたらされるのか、それをどうしたらいいかということで迷っている、いろいろ研究している。とにかく仲よくはしたいということだけははっきりしている。これだけははっきりしている。しかしながら、同一のものならば非常に簡単ですけれども、どうも中国は一つだ、こう言っているものが二つある。これを一体どういうようにしたらいいのか、それから考えていかなければならないので、いまのようにお尋ねになるような方法、具体的な方向にまだ突き進んでいけないのです。そこにむずかしさがある。

向井長年民社党

○向井長年君 検討しておられるのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろんこの問題は、ただ口先だけで検討しているというだけでは済まないことですから、あらゆる方法を使っておるわけです。まあそのうちの一つに大使級会談というものも現に考えられておる。国会で提唱しただけではなくて、現実にもそういう動きがあったようです。その実体については申し上げませんが、また皆さん方から、そんな大使級会談ばかりにとらわれないで、もっと上級でやれというような注文も出ておりますが、これなども伺って十分検討してみたいと思います。しかし私は、まず大使級会談、そこらに外交的な第一段があるのじゃないか、かように思っておりますから、いきなり大臣級で接触ができる、かようには私は思っておりません。またいろいろな中国通という方もありますし、政治家のうちにも私のように中華人民共和国ができてから北京を訪問はしておらないから、昔は知っておるが、こういうような人間もいますし、また、非常ないわゆる通といわれる方の意見もできるだけ聞きたいと、かように考えていますけれども、なかなか私どもに話をされる方は限られる、こういうことで、なかなか全部を聞くというわけにもいかないというような面もございます。しかし、私は衆議院でも申したのですが、各党の方にもいろいろ知恵をつけていただきたいし、そういう意味では話は謙虚に聞く、それだけの用意はございます。それらの点で、政府も行く先を間違えないようにすること、これが何よりも大事なことじゃないか、かように思っております。

向井長年民社党

○向井長年君 続いて、日中貿易の問題もけさから触れましたけれども、日中覚え書き貿易は年末で期限が切れますね。年末で協定期限が切れると思うのですがね。これに対して政府は、いずれ継続しなきゃならぬということだと思いますが、どういう方法をとられるのですか。もちろん民間協定でありましょうが……。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 覚え書き貿易に限らず、日中間の貿易は現在でも相当の成績を示しているわけでありますが、覚え書き貿易としては、あの経過から申しましても、もう少しこれが伸びてしかるべきでないかという期待を持ち、いかにすればよろしいかということについては、まあ相手方もあることでございますから、こちらとしては、適宜いろいろ関係の方々の御苦心によってこれが継続されることが望ましいと思っております。いまもお話がありましたように、直接政府の担当する仕事ではございませんが、期待を持っておることは事実でございます。

向井長年民社党

○向井長年君 来年は、次はおそらくカナダなりイタリアが中国を承認されている、そういう立場からも見て——非常にむずかしいんじゃないかと、日本に対する感覚から見て。特に自民党の古井さんがいままでどうりやっぱりやるのですか、総裁。したがってこういう点も、今度は引っ込む、民間だけにまかすというようなことになってくると、なおさらこれは困難になってくるのじゃないかと思うのです。その点いかがですか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) いままでの経験等から、いろいろ関係の方もお考えのようでございますから、そして、政府の直接の担当する仕事でございませんから、私があまりとやかく申すべきでございませんが、とにかく覚え書き貿易の線がつながる。できればこれが拡大するということが望ましい。そういう方向ができ上がるように期待をいたしております。

向井長年民社党

○向井長年君 期待だけ。努力しない……。まあいいです。そこでですね、実は経済政策の基本、あるいは明年度の予算編成、あるいは物価、賃金、所得政策、こういう問題で総理なり大蔵大臣等に、時間がないが聞こうと思っておったのですが、けさから木村さんが全部取って聞いてしまったので、私はこれやめます。通告しておきましたけれどもやめます。  そこで、わずかな時間しかございませんが、一つだけこれはお聞きしたいことは、政府の態度ですが、とにかく電気の危機といわれておりますね、ただいま。したがって、事業者の立場に立って私はものを言うのじゃありません。あるいは事業者に供給責任があることは事実、あわせて公害問題は企業責任にあるということも、これも十分考えなければならぬ。こういう中で、いよいよ電力は来年度は危機だといわれている。ことしはどうやらこうやら切り抜けた。これに対して来年度はどういう電力エネルギー行政をやろうとするのか。これは産業界あるいは国民生活に大きな影響をもたらす問題ですが、政府としての所信はどうですか。事業者は一生懸命努力しておるけれども、これがなかなか開発できないという現状です。どうですか。

宮澤喜一自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) これはたいへんに深刻な問題でございまして、私、就任以来心配をしておるわけでございます。それで、ことに来年八月がピークになると思いますけれども、関西電力を中心に予備供給力がマイナスになろうかという状況でございます。これの直接の原因は、この春予算委員会で向井委員から御指摘のありました、あの宮津の問題というのがやはり直接の原因でございますけれども、そこで、全国的に広域な供給をさらに考える。あるいは工事の施行を促進する。それから試運転の電力も使う。必要があれば、これはなるべく避けたいわけでございますけれども、大口の需要家にある程度協力を願うといったようなことで、ともかくいろいろ九電力の首脳部も研究をしておられまして、明年とにかく一・一%ぐらいな供給予備力を残そうということで、関西はほおっておきますとやはりマイナスになるわけでございますから、そこを中心に、ともかくやはり修繕の繰り延べなんかも必要になろうかと思いますが、ともかく来年のところを乗り切っていこうと考えておるわけでございます。

向井長年民社党

○向井長年君 通産当局がそう考えておるのはあたりまえだ、所管省として。ところが、電源開発調整審議会ですか、これの会長は総理ですよ、佐藤榮作総理大臣です。こういう問題がなぜ一生懸命努力をしても進まないかという問題については、これは通産だけではなくて、建設にも自治省にも、あるいはまた厚生省にも大きな関係を持っておるのです。しかしながら、それはそれなりに政府は協力しておると言うかもしらぬが、できていない。したがって、いま予備力の問題も出ましたけれども、これは大きな問題だと思うのですよ、私は。電力が不足した場合に、これは制限せざるを得ない、戦後のように制限せざるを得ない。そうなった場合に、あらゆる産業の問題から国民生活、あるいは輸送の問題、全般に大きな危機を来たすのですがね。これに対して、ただ通産だけが一生懸命になっておっていいのか。もっと各省が連携をとって、この問題は事業者の問題じゃない、国の社会的な問題として取り上げなければならぬと思うのだ、私は。いま予備力は二・五%ぐらいじゃないですか。どんどんと需要が二〇%近くふえてくる。アメリカにおいては七%以上の予備力を持っているし、イギリスにおいては一五%持っておる。日本は、もう夏のピークというよりも、一年間の間にもう続いておそらくそういう状態が出てきますよ、これは。安閑としておれない実情だと思う。経営者も能力ないかもしれないが一生懸命努力しているらしいのですが、私は、経営者の立場でなくて、国のいわゆるエネルギー行政、あるいは産業構造のたてまえから考えても、国民生活の問題から考えても、私は、総理がひとつ腰を上げて各省に命令して、その打開につとめなければならぬと思う。これひとつ総理の決意、そして各大臣と、これはやはり私はともに打開していかなければならぬと思うのですが、ひとつよろしくその点御答弁いただきたい、決意のほどを……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 現状の電力問題は向井君の御指摘のとおりであります。でありますから、これはもう政府自身がこれと積極的に取り組むと、こういう姿勢でございます。昨年の金融引き締めの時期におきましても、電力関係についてはさようなことはしなかった。その辺が一つの証左でもありますけれども、ただいまのところは各省の関係よりも、やはり地域住民の理解ある支援というか協力というか、これが望ましい形だと思います。現状においてのように、発電所を設けることについて、どこに行っても反対があるようなそういう状態では、電力経営者がさか立ちをしてもこれはうまくできないことじゃないだろうか。私は、そういう意味で、もっと地域住民の方々に積極的に事態を説明する必要があるんじゃないかと思います。同時にまた、発電所と供給の場所が違っておる。そういう意味で、いまの公害がしばしば問題になりますが、発電所のあるところでは公害。しかし、そこの場所で電力は必要としない。送電されて他の場所で使われている。そういうのがいまの行政区域から見まして非常に広域な配電を必要とする。しかるに、地域的には行政地域が別だと、こういうようなところにも問題解決の困難さがある。いずれにいたしましても、これは御指摘のとおり安閑としておれない問題でございます。これは重大な問題でございますから、ただいまその政府の取り組み方の一端を御披露いたしました。これについては全力をあげて、電力飢饉を起こさないようにそういうように最善を尽くしたいと思っております。

向井長年民社党

○向井長年君 一言だけちょっと。それで、地域住民の理解はこれはもう当然です。そのために、自治省なんかを通じて各公共団体、こういうところを指導性を持たすようなかっこうをやはり姿勢はとってもらわなければ、そこ自体が問題があるように思うのですよ、通産大臣。したがって、この点を特に強調いたしまして、私は質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 以上をもちまして、向井君の質疑は終了いたしました。     —————————————

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 岩間正男君。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 共産党を代表してお聞きしたいと思います。  佐藤総理は一昨年、参議院選挙後の衆議院本会議で、参議院地方区の場合、非常なアンバランスを生じている。これを適正に直すことが今日の急務であると答弁し、また、自治大臣も参議院定数是正法案を国会に出すことを確約していた。ところで、参議院選挙区もまじかに迫りました。おそくとも来国会劈頭に法案を出さねば間に合わないと思うのでありますが、あらためて総理の決意をお聞きします。   〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは定数是正はお約束をしておるのですから、できるだけ早く出さなければならない。また、いま御指摘のように、ぐずぐずしては来年の選挙に間に合わないのじゃないか、こういうお話もございます。私は自治省においていろいろ検討しておることだと思っておりましたので、自治大臣でもおればと思って、いまさがしてみたのですが、自治大臣がいないので私が答えざるを得ないのですが、これには法案がどういうように料理されているか、まだ十分私自身も検討しておらないということを申し上げておきます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 たいへんな答弁ですね。「今日の急務」というのは、これはどういうことですか。あなたはそう言っているのです。あれからすでに二カ年半たっています。まさか公約をほごにするとは思われないのですが、一体この公約を実行するのかしないのか、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま検討中でございますが、そのうちに法案が出たら御審議をいただきます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それでは間に合わないのです。公約だから必ずやらなければならぬ。大体、公約公害ということばがありますよ、公約はたくさんする、しかし何もやらない。その結果、被害者は国民、国民が広範な被害を受けている、これを公約公害というのです、はっきり覚えてほしいと思います。  そこで、私はお聞きしたいのですが、総理は大体アンバランスの実態をどうつかんでおるのか、その認識の度合いについてお聞きしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 地方区におきまして相当のアンバランスのあることは、これは御指摘のとおりであります。これが選挙制度調査会で問題になっていることも聞き及んでおります。しかし、これは相当以前の人口、四十年の人口調査、その辺が基礎になっているのじゃないかと思います。しかし、その後どんどん流動的に人口の移動がございますから、できるだけ最近のものでなければならないだろうと思います。そういう意味で、ただいま自治省におきましても何かと検討を続けているのじゃないかと、かように思います。御了承いただきます。どうも専門的でないものですから、答弁が不十分でございまして申しわけございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあ、目にものを見せるというわけではないのですけれども、ここにグラフがありますから、ちょっとこれをやってください。——この赤い色が、これは二十五年の間にふえた人口です。黒いのが昭和二十一年、二十四年前の人口です。こういうふうに見たらどうです。このアンバランス、これが二十四年前の定数でやられているのがいまの姿です。ですからいまのように、アンバランスの認識の程度というものは、相当などということばではだめです。たとえば、佐賀県では十三万三千票でこの前当選しているときに、東京では六十三万九千票で落選している。東京の人の選挙に対する権利は佐賀県の五分の一だということです。また、定数二人の宮城県の人口が百八十一万九千、ところがこれより人口の少ない栃木、群馬、熊本、岡山、鹿児島の五県の定数が二倍の四人です。こんなことが許されていいと思うのですが、いかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) だからこそ、定数是正は絶対に必要でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 人口の少ない県の定数が人口の多い県の二倍、こんなことはこれは許されないと思います。事は選挙権の平等、議会制民主主義の根本に関する問題です。まあこの際蛮勇とまでは言わなくても、佐藤総理は勇断をふるうべきだと思うんですが、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 自治大臣が参りましたから、ただいまからお聞き取りをいただきたいと思いますが、この問題については、もちろん是正をしなければならない問題だと、かように私は思っております。   〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 参議院の定数是正につきましては、第六次選挙制度審議会から御答申をいただいております。政府といたしましては、この答申の趣旨を尊重いたしまして、所要の法案を出すつもりをいたしておりますが、御承知のとおり、十月一日に行なわれました国勢調査の結果、概数に関し中間の報告が出ております。これによりますと、第六次選挙制度審議会の答申が、四十年国調を御承知のとおり基礎として立案をされましたが、その人口の高の順序等が非常に変わってきております。それも数県にわたりまして変わりましたので、答申の趣旨を尊重する政府の意見には変わりございませんけれども、いかにしたならば、この答申の趣旨に合うか、機械的にただ処置をできない面がありまして、ただいまいろいろと検討をいたしているところでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は総理の勇断を望んでいるわけです。とてももう、いままで何べん聞いてもだめなんです。自治大臣じゃふらふらして、ぐらぐら動いてばかりいるのです。だから総理に聞いているんです。総理答えてください。蛮勇をふるうんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま自治大臣が御説明をいたしましたとおり、何かと検討中だそうでございます。そこで総理は蛮勇をふるえということですが、私、蛮勇はちょっとふるいかねますから、まあ勇断はいたしますが、案が出てこないことには、勇断もふるえないという状況でございます。しかし、これはまあともかく勇断だろうが、蛮勇だろうが、この是正はどうしてもしなきゃならぬ、これだけははっきりしておりますから、そういう意味で事務当局を督励することにやぶさかでございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いつやるかということを聞きたいんでね。第六次答申を尊重するのかどうか。それから第七次審にかけてということを聞いておるのだけれども、そうなれば間に合わないのです、これはどうなんです。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) まだ検討をして次の通常国会に出せば間に合いますので、検討をせっかくいたしているところであります。勇断勇断とおっしゃいますけれども、第六次選挙制度審議会の答申をそのまま機械的にやったらよかろうという御趣旨かもしれませんが、そう簡単に機械的に変更できない点があることは、岩間先生も十分御承知かと存ずるのでありまして、この点についてはやはり慎重な検討を要しまするから、その点をいまやっておるわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 第七次審議会にかけるのですか、かけないのですか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) ただいまかける意図はございません。せっかく検討いたしているところでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 かけないで政府の責任でやるんだと、こう考えてよろしいのですか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) ただいまはかけるつもりはございませんが、せっかく検討をいたしておるところでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 「が」がいけない。「かけないつもりですが、」先に行ってかけると、これは何にもならない、どうなんですか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 何回申し上げても同じことでありまして、検討中でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 検討中というのは、かけることもあるということですか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 検討中でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 どうです、佐藤総理に聞くよりほかない。総理、どうですか、これではとても全くだめです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いま自治大臣が検討中だと言っております。これはしかし、私、ことばだけの問題ではなくて、ほんとうに検討している、(笑声)成案を得べくですよ。みんなが笑っているのは、同じことを言うから笑うでしょうが、成案を得べく検討しているんだと、かように私は理解しております。また、そういう意味で私も督励するつもりでございますから、御了承いただきたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 かける意思が十分あるんだということが、何よりもいまのおことばだったと思いますね。都合のいいときはいつでも審議会、都合の悪いときは審議会無視、これでは審議会は政府自民党の御用機関、党利党略の道具と言われてもしかたがない、こういうふうに思うが、いかがですか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) これは人口の各府県別の数が、われわれの予想を上回って変わってまいったのであります。決してかってにこちらで変えておるわけではないのでございまして、第六次選挙制度審議会御答申のときの情勢と、出てみた結果とが基本的に変わっておる点がございますので、答申の結果を機械的に演繹できない面がある。そこで真剣に検討しておるのでありまして、決して党利党略でかってにやっておるわけではございませんので、その点はどうぞ御了承を願いたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 慎重にやっていたら間に合わないのです。あなたは通常国会劈頭にかけると言いましたね、いかがですか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) そのつもりでせっかく検討、準備中でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 かけないときはどういう政治責任を負いますか。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 十分、事情の検討をいたしました結果で考えますが、いまから何とも申しかねます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 かけなければ間に合わない。ところがこれはかけなくても政府の責任でちゃんとやれるはずでしょう。ここのところは技術的な操作をやればできる。ところが、都合の悪いところはこれは全くかけちゃって間に合わないようにする。そして都合のいいときは全然かけないでしょう。たとえば、公職選挙法はかけたですか。審議会にかけないじゃないですか、どうですか、なぜかけなかった。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) これは単なる技術的な操作でできる問題ではございません。いろいろ順序が変わっておりますから。それから、公職選挙法の関係というのは、何のことでございましょうか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 公職選挙法の一部改正を出しているでしょう。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) これは出しておりますが……

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 審議会にかけなかったでしょう。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) 選挙制度審議会にかけなかったということでございますか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ええ。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) これは御承知のとおり、政党の政治活動の自由の原則に関連をいたしております。この原則を侵すというようなものでございますならば、審議会に再びかけることが必要であろうと思いますが、われわれは行き過ぎ是正でありますから、いろいろ検討をこれもいたしました結果、また世論等にも聞きまして、その必要はないと認めまして、かけなかったわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そんな答弁が通ると思っていますか。木の葉が沈んで石が流れる。だから、私は時間がありませんが、最後に審議中の公選法改正案で一点だけ質問したい。具体的に例をあげてやります。京都の知事選挙も中盤に入った三月三十一日、「よど」号乗っ取り事件が起こりました。このときあたかも京都入りをしていた自民党田中幹事長は、宇治の演説会で、「あの暴力学生は共産党内の過激派だ」と演説し、柴田派三党連合の機関紙「若い京都」は「赤軍による日航機乗っ取り、これが共産主義者の正体だ」という大量のビラを京都全域にばらまきました。これがいかに事実無根の手段を選ばぬ謀略デマ宣伝であったかは、その後京都地裁舞鶴支部が共産党地区委員会の告訴を受け入れて、直ちに仮処分に付し、ビラの発行を差し押えたことでも明らかな事実であります。  ところで、私は佐藤総理にお聞きをしたいのです。これはぜひお答えください。今度の公選法改正案では、確認団体の発行するビラは国会三種類、地方二種類に制限されます。いまこのビラを使い切ったとき、悪質のデマ宣伝が行なわれたとすれば、これと対抗しようにも対抗しようがないでしょう。このようなデマを粉砕して真実を明らかにし、有権者の正しい判断で一票を行使してもらう、これは公党のまさになさねばならない当然の任務であると私は思います。今度のビラの制限ではこの手段を全く奪われてしまうことになる。一体こんなときどうすればいいのか。これは佐藤総理にお教えを願いたいと思うのであります。国民の知る権利、そうして知らせる権利、これを奪う。そういうふうになればどこにいくか。これは暗黒の、全く買収、供応、これを本体とする選挙になることは明らかであります。こういう事態から、私はこの公職選挙法一部改正案なるものというものは、たいへんなこれは自由化の方向に反する逆行です。はっきりしている、明白だ。この一事実が最も焦点だ、そういう点からお聞きしたいと思うのであります。

秋田大助自由民主党自治大臣

○国務大臣(秋田大助君) ビラの種類を制限したことについてのお尋ねでございます。しかしながら、枚数等は制限はされていないわけでございます。この点につきましては、関係者等の意見を聞きまして、そのコンセンサスを得てやった次第でございまして、関係者といたしましても、これが自由の原則に反するものでないという見解に立って、以上のような規制が一部行なわれた次第でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は秋田さんにお教えを願っていない。佐藤総理にお教えを願っている。どうぞお教えください。これは総理大臣、お教えください。こういうときどうしたらよいか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま自治大臣から法案の成案を得るまでの経過については詳しく説明をいたしました。十分手続きをとって法案は提案したのでございます。それでもなおかつ非常なデマが飛ぶ、それを防止する、そういう必要があるならば、私どもも警察力を使う。それは当然なことじゃないかと思います。もしも警察力じゃ不十分だ、どうしても印刷物でやりたいとおっしゃるならば、最初予定された印刷物からある程度のものを保留して残しておかれたらいかがですか。いろいろいい考え方を持たれるのですから、それくらいのことはおそらく岩間君も考えられるだろうと思います。私は、そういう必要はないのだと、かように思いますので、この悪質デマ、これは私どものやっぱりそれぞれの秩序を守る方法がございますから、その方法によって守りたい、かように思っております。

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 以上をもちまして岩間君の質疑は終了いたしました。     —————————————

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 次に、市川房枝君。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 佐藤総理、私は、十月の二十一日、ニューヨークの国連二十五周年記年総会であなたの演説を拝聴いたしました。態度はりっぱでしたし、お声もよかった。内容もまずまずと拝聴いたしました。しかし、出席者が直前のグロムイコ・ソ連外相に比べれば少なかったし、翌日の新聞にもほとんど出ていないんでまことに残念でございました。日本の総理のおっしゃることは大体アメリカと同じだからというので注意を引かなかったのでありましょうか、世界第三位という日本の経済的地位を持っているのに、また、国連中心の外交を堅持しておいでになるのに、国連での日本の評価は低いように私は感じましたが、総理はいかがお感じでしょうか。  なお、演説でおっしゃったことは、私は、日本の国際的な信用を高める意味において必ず実行していただかなければならないと感じたわけでございますが、分裂国家問題の平和的解決の御主張は一応私けっこうだったと思うんです。しかし、内容は評論家的であり、そのあとアメリカとともに、分裂国家の一方である北京政府の国連加盟反対を意味する決議案の提出者から日本はおりなかったということを、私は矛盾を感じたわけであります。これについての総理のお考え及び国連全体に対する日本の将来の態度について伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私も、国連に初めて実は出席いたしたのです。いままで出る機会がございませんでした。二十五年記念総会だと、こういうことで実は私自身も期待を持って出かけました。いろいろ、国連の議事進行内容とでも申しましょうか、手続もなかなかそれぞれ運、不運があるようでございます。御承知のように、グロムイコが演説した後直ちに安保理事会が開かれました。そういうことで多数の者が会場から去った。そういうことはいかにもさびしい思いをする。しかし、お忙しい中をわざわざ国連の二十五周年記念総会に市川さんが出ておられたことはたいへん心強いことで、私は無言の応援をいただいておったと、かように思いますし、また、適当に拍手なども加わったのでございまして、これはこの機会にお礼を申し上げます。しかし、ただいま申し上げますように、せっかくの国連総会ですが、中身そのものは私として不十分なものであり、十分なものを言い尽くせないというか、そういうような点がなきにしもあらずだし、市川さんが出れば、もっとここはこう説明するがというような点もあろうかと思いますけれども、まあ最善を尽くしたつもりです。しかし、いま申し上げますように、やはり私が立った直後に安保理事会が開かれたというのは、これはいかにも残念であり、何とかして、ソ連やアメリカにはぜひとも聞かせたいくだりがあったわけで、ほかのことは別として、二大大国にはぜひ聞いてもらいたかったと、かように思っております。  ただいま非常に無視されたじゃないか、こういうお話ですが、そういう点も、会場がさびしかった点、そういうこともございますが、しかし、演説が済んだ後に、私自身はふなれですが、どうも私の席に来て握手を求める連中が十数カ国あった。もう次の演説が始まっておるそのちょうど壇場の下が日本の席ですが、そこまでわざ来て握手を求められておる。そういう方もありましたので、その意味では私自身もやや喜んだというか、それらの人たちの好意に対して心でお礼を言ったような次第であります。しかし、私も次の演説者の演説を聞かないで会場を去ったのでありますから、そういう意味では、次の演説者はどうも日本の代表は聞いてくれなかったと、こう言ってしかるのではないかと思います。  まあいろいろ初めての経験ではありましたが、国際会議場、そのものでああいう総会というものがどういうように運営されているか、これもいい勉強であったように思います。これから重大なる発議をする場合には、前もってそれらの準備をするというだけの余裕があってしかるべきだろうと、かように思いますので、こういう点はいい経験をした、かように思っております。  また、いまお話しになりますように、もちろん、ただ批評家の立場で演壇に立ったわけではない。一国の総理として演壇に立ったのでございますから、その発言内容について責任のあることは言われるまでもないことでございます。私は、そういう意味でただいまの発言したそのことについての責任を感じますし、また、出かけましてから、会場だけではなくその後も宿にまでたずねてこられた方もございますので、そういう点をも追加して、日本の総理が出かけたことはむだではなかったなと、かように私は思っておる次第でございます。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 次は、愛知外務大臣に伺いたいんですが、ニューヨークの日本の国連代表部は、人も少なく予算も十分ではないようであります。国連では顔が必要であり、各国代表団をよく知らねばならないのに、普通のお役所みたいに二年とか、三年で交代しておいでになるようでございます。総会代表も民間人が非常に少なくて、その待遇もあまりよくないようです。国連総会で採択された人権に関する条約は十八あるのに、日本が批准しているのは婦人に関するもの、婦人参政権と売春禁止の二つだけというのは一体どうしたことでしょうか。来年は国際人種差別撤廃年でありますが、日本はこれについての条約をいつ批准をなさる御予定でありましょうか。いままであげたような状態では、国連での日本の活動は十分ではなく、各国からの信頼を得ることも困難ではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

愛知揆一自由民主党外務大臣

○国務大臣(愛知揆一君) 全くごもっともな御指摘をいただきまして恐縮に存じますが、確かに国連の代表部は陣容その他から申しまして、まことにまだ不十分であると存じます。大いに改善をはかりたい。ことに、重要な総会等に際しましては、民間の方々にも御協力をいただきまして、代表部の構成等につきましても十分の改善策を講じなければならないと存じております。なおまた、代表部の構成等につきましては顔が広く、長く勤務、これも原則的にそうでございますが、やはり時には一新いたしまして、活躍を期することも同時に必要かと考えております。  それから、いまの国連における採択された条約の批准の問題ですが、確かにいま人権分野におきまして、十八の条約を採択されておりますが、そのうちで発効されておりますのは十三でございまして、日本としては人身売買、婦人参政権条約の二つの条約の締約国となっておりますから、残りの条約がただいま検討の対象でございます。未批准のものに対しましては、一つは長期的にいかに対処するか、一つは短期的にどれとどれを取り上げるかという二つの立場に立って検討いたしておりますが、来年はいまお話がありましたように、人種差別撤廃のための国際闘争の年ということになっておりますから、人種差別撤廃条約、これに焦点をしぼりまして対処いたしたい、まずこれから始めたい、かように存じております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 いまの人種差別撤廃の条約は来年手をつけたいというおことばでしたが、これはまた南米の例の日本がいつも非難されておる条約といいますか、に関連するんで、これはぜひひとつ早く批准できるようにしていただきたい。それが私は日本の信用の問題にかなり関係があると思いますので、お願いをしておきます。  次に、総理大臣、明後十二月十七日は、実は日本の婦人が参政権を得ましてからちょうど満二十五年の記念日にあたります。各種の婦人団体では記念集会を持つ予定になっておりますが、アメリカでは、ちょうどこの間八月二十六日に五十周年の記念日を迎えたわけでございまして、そのときニクソン大統領は特別の声明を発表されておりますし、それに、少し前の六月には政府の主催で婦人団体の代表による大きな会議を開催しております。日本の総理大臣佐藤さん、日本では、有権者は婦人のほうが二百三十万多いんです。それから投票率も女のほうが全部多いんです、地方も国政も。ですから、実際の投票数も女のほうが多いんですが、そういう婦人有権者に対して明後日の十七日に何かおっしゃってくださるような御用意はありますかどうか、それをひとつまず伺いたい。  それから、なお、この二十五年間に日本の婦人の地位は少しも向上しておりません。いや後退している点さえございます。池田内閣は二人の婦人大臣を任命なさいましたね。佐藤内閣、六年間一人も婦人大臣がいないんです。それから婦人局長も一人だけですし、婦人課長も各省全部を通じて七人だけで、これは二十五年前とほとんど同じなんですよ。総理はこれでよいとお考えでしょうか。そういう状態を調査して対策を講ずるといったお考えはございませんでしょうか。もしこのままで放置されたら、婦人たちはおこりだし、それこそアメリカのようなリブの運動が起こってくるかもしれない、いやリブの運動を起こそうと思うのですが、総理いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いまの十二月十七日、これはひとつの記念すべき日でございますが、同時に、私ども政府側では、実際に選挙権を行使された日、これはその翌年の、二十一年の四月十日であった、したがって、そのときに婦人週間を開いております。したがって、十二月十七日に何かメッセージを出すか、あるいは、少なくとも来年の四月十日になればこれは盛大な婦人週間が開かれるだろう、かように期待しておりますが、とにかくいま私急に、いきなりこの席へ参りまして、十二月十七日ということ、その日を指摘され、なるほどなあと考えながらここへ立ったのでございます。まだその催し等も、皆さんの催しも十分伺っておりませんが、何か特別な儀式等があれば、また私のあいさつが要るとおっしゃれば、メッセージは贈ることにおいてやぶさかではございません。またぜひ盛大にやっていただきたいと思います。  それからもう一つ、婦人の地位、これは非常に向上してきております。参政権だけの問題じゃないし、まあ前内閣、池田さんは婦人大臣も二人つくられた、こういうことで非常に期待をかけておられる。また、私になりましてからも、そういうことができるならと思いながら、ただいままで手をつけないでいる、その点をいま御指摘になったのでございます。この点ではまことに申しわけのないことだと、かように思っております。資格者がないわけではない、りっぱに資格者は多数わが党はかかえておるのでございますが、あまりにも大臣の有力なる人たち、候補者が多過ぎる、そういうところでどうも婦人まで手が伸ばせてない、こういうことで申しわけなく思います。  なお、行政の府である各省におきまして、婦人課長、あるいは婦人局長、これらもいかにも数が少ないじゃないか、こういうような御指摘がありました。私は最近の模様から見まして、婦人もそれぞれの才能に応じて適当に使うというか、奉仕していただくというか、働いていただくという、そういうことが望ましいことでございますから、ただいまのようにわずかな数だけでなしに、さらにまた研究の余地もあるだろうと思いますので、そういう点は、御指摘になりましたように、これから政府としても勉強してまいります。御期待に沿うように努力したいと、かように考えております。

市川房枝第二院クラブ

○市川房枝君 十二月十七日——明後日の会は、実は婦人団体右から左までお誘いをしたんですが、自民党系統の婦人団体は参加してくれないのですよ。それで総理がそこにメッセージをくださってもちょっとおかしいかもしれません。新聞にメッセージ出してくださいよ。大いに婦人を激励するというか、あるいは、ほんとうは佐藤内閣は婦人が投票して成立しましたと言えるかもしれないんです。だから、それはひとつお考えおきをいただきたいと思います。  選挙に関することをちょっと伺おうと思いましたが、時間が参りましたから、また別の機会にいたします。

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。     —————————————

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 次に、継続調査要求に関する件についておはかりをいたします。  予算の執行状況に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  なお、要求書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀本宜実自由民主党

○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時三十二分散会      —————・—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗