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64回国会参議院1970/12/17

大蔵委員会 第2号

発言数
96
登壇者
11
会派数
3
開催日
1970/12/17

会議録

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  十一月二十五日、上林繁次郎君が委員を辞任され、その補欠として多田省吾君が選任されました。  十二月十日、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として須藤五郎君が選任されました。  また、十二月十五日、津島文治君が委員を辞任され、その補欠として源田実君が選任されました。     —————————————

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 理事の辞任及び補欠選任についておはかりいたします。  鈴木一弘君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に多田省吾君を指名いたします。     —————————————

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 日本と中国との国交回復が重要な課題となっているおりからでございますので、日中貿易につきまして現在緊急に解決を迫られている三つの問題につきまして大蔵大臣に質問いたしたいと思うのであります。  第一はケネディラウンドと中国に対する関税差別の問題、第二は特恵関税の問題と中国貿易との関係、第三はいわゆる覚え書き貿易につきまして、この三つについて質問いたしたいのであります。  個々の質問に入る前に、大蔵大臣は、日中国交回復及び日中貿易につきまして基本的にこういうお考えを持っているか、まずその点から伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 中国をめぐりまして、いま、国際情勢が大きく動いているというふうに見ております。そういう情勢下において日中関係をどいうふうに調整するかは、これからわが日本の大きな外交課題になってくるものという認識を持っております。そういう認識のもとに、日中関係をどう進めるか。まあ、総理は、まず大使級会談だと、こういうことを考えておりますが、これはそう早急に実現するような気配はなさそうです。しかし、そういう段階を経まして逐次日中関係が調整されるのじゃないかと思いますが、大事なことは、お互いに刺激し合わないということ、感情をなめらかにしておくということ、このことですね。これは両国とも気をつけていかなければならぬ。そういう配意が両国にありますれば、世界情勢の推移というものにつれましておのずからいろいろ具体的な問題の解決ということが可能になる、かように存じております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 時間があまりありませんから、基本問題ばかりに時間を費やしたくないと思いますけれども、重要問題ですからもう一ぺん伺っておきたいんですが、いまお話しのように、総理は、日中問題につきましてはお互いに理解しなければならぬと、それから大使級会談を望んでおられましたが、前に自民党の古井さん等が参りまして共同声明を出しましたが、あの中で、日中国交回復を妨げているもの、あるいは日中貿易の障害になっておるもの、これは中国側にあるのではなくて、日本側にあるということを共同声明の中で確認しているわけなんですね。それから大使級会談——私が、ことし八月十一日から二十五日まで、非公式ですけれども、党の正式の代表じゃありませんでしたけれども、中国を訪問しまして、中国側と意見の交換がいろいろあったわけですけれども、大使級会談を開くにつきまして、一体何を話すのか、これが問題であるということがわかったのです。アメリカは、百四十回も米中会談を開いておりますが、台湾問題を中心に討議のテーマがはっきりしておるわけです。だから、日本の場合も、たとえば日中貿易を打開するにしましても、その大使級会談でも、吉田書簡の問題、あるいは輸出入銀行の問題とか、あるいはプラント輸出における長期延べ払いの問題とか、何かはっきりテーマを設定しまして、あるいは食肉の輸入の問題とか、何かはっきりテーマをとらえて、それを具体的に解決するということを通じてそれを積み上げていきませんと、ただばく然と大使級会談だと、それはもう向こうも応ぜられないのはあたりまえで、ほとんど相手にされていないというような外務大臣の御答弁でもあります。だから、私は、いわゆる財政、経済の担当大臣としての大蔵大臣、しかもまた、大蔵大臣は次期総裁候補としても目されておる人ですから、この日中問題に対する考え方、姿勢というものは、いま、大蔵大臣の考え方というのは大切だと思うんですよ。重要視しているわけですよ。それで伺っているわけです。特に経済サイドから今日伺っているわけですが、日中貿易をもっと促進させる意味でも、これは特にあとの覚え書き貿易についても御質問いたしますが、情勢が非常に変化しているんですから、日本の財政、経済政策のサイドから見ましても、やはりこれまでのような立場で臨んでいるのではいけないのじゃないか。ことに覚え書き貿易につきましては今後かなり難問があると思うのですけれども、そういう立場で伺っておるわけなんですから、ひとつ、率直に、また大胆に、前向きにお考えになるように私は希望して質問しているわけですから、御意見を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 大事なことは、申し上げましたように、日中がお互いに刺激し合わないということ、これが大切なことじゃないかと思います。わが国といたしましても、この点につきましては最大限の考慮を払っております。佐藤総理が中共について批判をするというようなこと、これは私はいまだかつて聞いたことがない。しかし、他方、中国がどういう動きをしておるか、まあこれは様子はよくわかりません。わかりませんが、深夜放送なんかではずいぶん日本を刺激するような言論も多いのです。私は、そういうのは、向こうのほうでも気をつけられたらどうかというふうに思います。両方が気をつけるということが非常に大事なんです。そうして、友好な雰囲気、これが保たれるということになりますると、客観情勢の推移に応じて適当なるいろいろな具体的な方策というものが出てくるんだと、こういうふうに思います。古井氏のコミュニケですか、御指摘がありましたが、そのコミュニケの中で古井氏が日中関係を悪くしておるのは日本の責任であるかのごときことを言われておるというお話ですが、そうばかりとは思われないんです。両方で気をつけなければならぬ。それで、両国ともお互いにむずかしい立場がある、それをお互いに認識し合わなければならぬと思うのです。そうして、それは腹の中へたたみ込んでおかなければならぬ問題だと思う。それが私はおとなのつき合いだと、こういうふうに思いますが、おとなになってそうしてお互いにお互いの立場を認識し、そうしてその上に立って友好的な雰囲気をかもしだしていく、これこそが日中関係打開の根本義であると、こういうふうに思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 もう一つだけ大事な基本的問題として伺いますが、いままで国会議員で日中貿易促進議員連盟というものがあったんですが、今度それを改組しまして日中国交回復促進議員連盟となりまして、国会議員の過半数が参加している、そういう状況が生まれておるわけですね。さらにまた、国連では、まだ日本は依然として敵国条項というのを適用されているんですね。日本は敵国になっておる。ですから、これの理事になろうといったってできませんよ、日本は。それを排除するにつきましても、中国との関係が正常化されなければ、私は敵国条項はいわゆる分裂国家に関する条項でもあると思うのですけれども、そういう点と、それから歴史的に見ましても、まだ中国との関係は戦争状況にあるということ、日本は中国を侵略した、そういう経過を持っておるわけですから、それを大蔵大臣は——お互いは理解し合うということはけっこうです、それはもちろん。しかし、歴史的経過があるのでありまして、事実に基づいて判断しなければいかぬですね。ですから、どちらの要因のほうが多く国交回復を妨げておるか。ことに日本はかなりアメリカサイドに寄ってものを考えますから、それではだめなんで、やはり自主的に考えなければならぬ。自主的に考えるということが国交回復議員連盟ができたゆえんだと思うのです。自民党の方でさえこれは入っおる。アメリカのサイドでは自主的に考えられない。ですから、いままで国交回復を妨げていたのは、安保体制、あるいは、そもそもいわゆる台湾政権とダレス氏が無理に日華条約を結ばせたというような経過もあるわけですが、そういう歴史的経過をよく踏まえた上で、そうしてほんとうに自主的な立場で考えていきませんと、ただ対等対等と言っても、お互いにと言っても、それだけでは問題は一歩も前進しないと思うんですよ。その点、前向きに考えていくというためには、具体的に阻害している要因ですね、これはやはりここまで来たのですから、国際的にも相当変わっているのですから、少し考え方を変えなければならぬのじゃないですかね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が申し上げておりますのは、まあいろいろ世界にも動きというものがある。日本も中国との関係につきましては慎重なかまえをしなければならぬ。特に大事なことは、お互いに刺激し合うということがあってはならぬ、こういうふうに思うということを申し上げておるんですが、しかし、日本ばかりがそういう態度をとってもいかない。木村先生なんかは、どっちかといえば、中共というか、中国というか、あちらの方面にはわれわれよりは御造詣も深く知識も豊富にある、そういう立場にあられるわけです。そういう方が、中国に対しましても、日本を刺激してはならないのだというような友人としてのアドバイスをされるということも、私は大事じゃないかと、こういうふうに思うのです。ぜひ、ひとつ、与党も野党もない大事な日本国の問題ですから、超党派でそういう努力をしたいものだと、かように考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは、確かに、中国に対しても、日本をいたずらに刺激する——いたずらにですよ、根拠もないのにそういうことはよくないということは、ちょうど自民党の人たちがアメリカに対してアドバイスすることが必要と同じように、われわれもそれは認めますよ、そのことは。そういうことを認めた上でも、やはり私の考え方を述べたわけです。  次に、具体的な点に入りますが、まず最初は、ケネディラウンドと中国に対する関税差別の問題です。大蔵大臣がこまかいことを御存じでなければ、関税局長からでもけっこうなんですが、御承知のように、ケネディラウンドは、来年四月一日に繰り上げ終結させるということになっているようですね。当初の予定では七二年一月に終結させるというのが、九カ月早め、来年四月一日に終結させるということになった。ところで、ケネディラウンドにつきましては、御承知のように、まだ関税格差が解消されないものが中国との貿易につきまして約二十二品目残っているといわれている。ケネディラウンドによりまして、前に対中国輸入実績で差別があった四百二十四品目の関税格差は解消された。かなり努力されたようですが、依然として二十二品目が残っている。互恵平等の立場からいいますと、二十二品目残っているということは差別ですね。今後の日中貿易の上でも、あるいは日中の国交回復の促進の上でも、これは障害になるのじゃないか。特にこの中で一番ウエートが大きいのは、生糸ですね、それから玉糸に絹織物、この六品目のウエートが大きい。金額にしまして九四%ぐらいと聞いております。したがって、これについて、なぜこういう差別を残しておくのか、その点について伺いたい。

谷川寛三大蔵省関税局長

○政府委員(谷川寛三君) 先生も御案内のとおり、ケネディラウンドの一括関税引き下げに対しましては、四十三年に、参議院の大蔵委員会、衆議院の大蔵委員会で御決議がございまして、中共につきましても差しつかえのない限りにおきましてケネディラウンドの関税率引き下げの恩典を与えるようにということになっております。この御趣旨に沿いまして、四十三年から四十五年までの間におきまして三百九十三品目につきまして格差を解消いたしております。今回も、いままで解消していませんでしたものにつきましてももう一ぺん洗い直しまして、それからその後輸入のありましたものにつきましても個別にずっと検討いたしまして、国内産業の保護の上から差しつかえのないものをまた解消することに予定をいたしております。したがいまして、四十六年度におきましては、それらを合わせまして四百二十四品目につきまして格差を解消することになる予定でございます。しかし、いまお話がありましたように、生糸とか絹織物とかにつきましては、これはちょうど農林省の蚕糸園芸局長がお見えになっていますから、詳しくお答えを申し上げるかと思いますが、価格の格差も非常にひどうございますので、そのままケネディラウンドの関税率の引き下げの均てんをいたしますと、国内の生糸等に非常に影響がございますので、こういったものを含めまして二十三品目につきましては格差を残すことにいたしております。しかし、いま申しましたことによりまして、中共から輸入のあります品物の九割以上が格差を解消することになっている次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いまの御答弁ですと、生糸等については、特に国内産業の保護ということを言われましたね。国内産業の保護ということになるますと、むしろ中共の輸入よりも韓国からの輸入のほうが日本の蚕糸業なりにかえって重大な影響を及ぼすのじゃないですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○政府委員(谷川寛三君) 韓国からの生糸などの輸入につきましても相当問題がございますが、それ以上に中共のただいま申しました生糸、絹織物等につきましては競争力の点で非常にまた開きがございますので、ただいま申しましたように、しばらくケネディラウンドの均てんは延ばそうということに考えておる次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは、もっと——われわれ具体的に資料を持っておりますし、前に衆議院で堀昌雄氏がこの点について質問いたしました。それに対する農林省のほうの蚕糸園芸局長の御答弁もあったようです。それについていろいろ検討して、みますと、やはり論拠薄弱ですね。もっと具体的に検討される必要があると思うんです。政府が論拠薄弱なそういう根拠に基づいて差別をやることはおかしいと思うんです。むしろ韓国のほうが非常に問題ですよ、今後。いま、日本は、生糸はもう自給できないんでしょう。どうしても輸入が必要です。われわれの得た資料では、一九七〇年本年あたりでは、大体六万五千俵ぐらい輸入が必要であろう。生糸は、一ころと違って、かなりのものを外国から輸入しなければならぬでしょう。そういう場合、韓国からの輸入は非常にふえてきていますよ、中国からの輸入よりも韓国のほうがだんだんと。むしろ韓国の生糸のほうが日本の生糸の業界に与える影響はかえって悪い影響を及ぼすことが明らかであるのに、日本の産業保護という立場で非常に差別的な関税を決定しているということは、どうしても私は納得できないんですよ。具体的なもっと根拠があればいいんですが、どうしても根拠薄弱ですよ。その点について、今後の需給の見通し、韓国より中国のほうがなぜ日本の生糸産業にとって障害があるのか、それをもっと具体的に論拠を示していただきたい。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) お答えいたします。  生糸につきましては、御存じのように、いち早く農林省といたしましては三十六年に自由化を実施いたしまして、その当時は全部一五%の一律の関税をすることにいたしております。その後、最近の国民所得の増大によりまして、生糸、絹織物に対する需要が非常に高まってまいりまして、一方、繭の生産が何らか少し停滞しがちで、現在の段階で、年間の供給量が、国内の供給が三十四、五万俵に対しまして、輸入が昨年あたりから急増してまいりまして、ことしはただいま御指摘のように六万俵前後の輸入が必要とされるのではないかというふうに考えております。それに対しまして、最近、農林省といたしまして、米の生産調整ということでたいへんな米の過剰ということを前提にいたしまして、その際何らかの形で国内の転換をはからなければならないということで、養蚕業につきまして全力をあげて繭の増産に努力している次第でございます。  問題のお尋ねの点でございますが、現在世界格国で約六十万俵前後の生糸の生産が行なわれているのではなかろうかと、こう思いますが、そのうち、日本の生産量が先ほど申し上げましたように三十四、五万俵、中共が第二位でございまして約十七万俵前後、韓国かほうは大体六、七万俵というふうに生産量を見ている次第でございます。その結果、最近の韓国からの輸入量が、四十四年を実績にいたしまして俵数でいきますと、これはちょっと昨年の話でございますが、韓国が一万七千俵程度、一万七千三百七十九俵というのが昨年の一年間の実績でございます。中共はこれに対しまして一万九千五十一俵というふうに年々逐次輸出体制が強化されてまいりまして、わが国における生糸の輸入は、中共からが最大の輸入国になっているというふうに御理解願いたいと思います。また、その値段のほうも、標準生糸の21中2A格というものでございますが、わが国の生糸に比べますと比較的安い上に、中共生糸も生糸の糸質が年々向上してまいりまして、最近のあれでは、二A格が、いわゆる標準的な生糸が多くなってきて、日本の蚕糸業の立場からしますと、先生の御指摘とはちょっと若干事情を異にしまして、韓国のほうよりも中共のほうがわれわれとしましては生糸については大国であるという感じを実は持っておる次第でございます。韓国のほうは、われわれのほうから見ますと、これ以上生産事情の伸びはあまり期待し得ないのではないかと、こう思っておりますが、中共生糸については今後まだ生産量は相当伸びるのではないかということで、KR譲許等の点につきましても、純粋なエコノミカルな観点から、われわれといたしましては、韓国はまあやむを得ないとしても、中共の生糸については将来において非常に脅威だという感じをもって対処している次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ただいまの論拠は非常に薄弱ですね。まず、この数量についてですが、四十四年度はなるほど中国のほうがかなり上ですね。一万九千五十俵に対して韓国から一万七千三百七十八俵ですね。ですから、多いようですけれども、四十五年の見通しになると、中国は約二万俵、韓国のほうが三万五千俵ぐらいが予想されていますね。しかも、将来は、いま韓国は五カ年計画で大増産計画ががあるわけでしょう。約十三万俵以上の計画を立てて、日本がこれを援助しているわけでしょう。これに対して助成をする、そういう関係にあるわけですね。ですから、数量的にいきましても、あなたは中国のほうが供給力があると言いますが、中国はヨーッパ等にもかなり輸出しているのでありまして、しかも、韓国は、日本だけに輸出しなければできないわけですよ。韓国の場合はそうでしょう。ですから、今後の問題は、韓国の生糸が問題です。それが、今度、ケネディラウンド最終の来年四月一日からは、韓国のほうは七・五%、中国は一五%になるんです。こんな差別が出てきますよ。それから中国の生糸は、御承知のように、高級、中級、あるいは低級、いろいろバラエティーに富んでいると言われているんですよ。韓国のほうは日本と競合する点が非常に多いわけなんです。そういう点からいきましても、また、値段につきましても、韓国のほうは、生糸の騰落に応じて、日本が上がれば韓国も上げてくるし、日本が下がれば下げてくる。ところが、中国は、やはり国際価格で売るために、日本のほうが暴騰しても国際価格は変えない、下がってもやはり変えないわけでしょう。非常に安定的なんですよ。しかも、どうしても今後日本は生糸を六万俵以上も輸入しなければならぬのです。六万五千俵とか、どうしても輸入しなければならぬ。したがって、国内の消費者にとっても、やはり安定的輸入ということが必要なんです。物価対策からいいましても安定的輸入が必要でしょう。しかも、中国の生糸が韓国より割り安と言いますけれども、この根拠も非常に薄弱です。衆議院で堀昌雄君に答弁された蚕糸園芸局長の数字なんかも、これは保税の関係をちっとも考えていないんですよ。韓国の場合は、輸入して保税工場でつくって外国に輸出するでしょう。だから、関税かからないですね。それを保税から出した場合は関税かかりますからね、外国へ輸出する場合は。だから、その分は高くかけるんですよ。そうでしょう。過去の統計から見ましても、中国の生糸は、大体日本の生糸相場の高値と安値の中間ですね。高値よりはやや安く、それから最低値段よりは多少高い。  ですから、そういうあらゆる面から検討しまして、中国の生糸と韓国の生糸の輸入について、ケネディ・ラウンドでなぜこんなにひどい差別をするのか。いわゆる国益ということをよく言われますけれども、物価対策からいっても、それから日本の消費者にとっても、安い安定的な——あんまり安いと、また国内産業をなにしますけれども、いわゆる適正な価格、安定的な価格の輸入ということは、物価対策からも必要でしょうし、いわゆる国益からいっても必要なんです。それにもかかわらず、こんなに差別を残しておくというのは、どうしても私はそこに政治的な意図があると思うんですよ。いわゆる中国を敵視して、韓国のほうを不当に保護して助成していく、そういうことがあっはならないと思うんですよ。もっと合理主義に基づいてやはり考えていかなければならぬと思う。この点は私はどしても納得がいかないんです。数字的にも、前に衆議院の大蔵委員会で堀議員に答えました数字に基づいて検討してみますと、いろんな要素をもっと勘案しなければならぬのですよ。非常に単純ですよ。こんなことの比較で重要なこういう関税政策がきめられたのでは、これはもう業者も迷惑になりますよ。国益の点からいっても私は正しくないと思う。もっと科学的に客観的に十分データを検討してみる必要がある。われわれしろうとでも、そういうデータをいろいろ集めて検討してみますと、どうしても不合理な点が非常にあるわけです。この点、私は具体的にここに数字を持っておりますけれども、いますぐ数字的に答えろとは言いませんが、もっと検討してみてください、もっとね。ケネディラウンドにつきましては関税局長もかなり前向きで取り組むと言われておるのだけれども、それを一言……。  四百二十四品目と言いましたね。——五品目じゃないですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○政府委員(谷川寛三君) 四品目です。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これを関税格差を解消する、かなり前向きだと思うんですが、しかし、まだ二十二品目残る。その二十二品目だって、いまお話ししたような問題があるんですから、これは農林省ともよく話し合いまして、検討してみてください。

谷川寛三大蔵省関税局長

○政府委員(谷川寛三君) 従来も、いまお話しがありましたが、決して政治的な配慮を交えて考えているということは毛頭ございません。が、いまいろいろ御指摘もございましたから、よく関係各省と相談をいたしまして、今後ともいろいろ国内産業に及ぼす影響等も考えつつも前向きに検討してまいりたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 農林省のほうは……。

荒勝巖農林省蚕糸園芸局長

○政府委員(荒勝巖君) われわれのほうといたしまして、先生に御納得いただけるような数字をこの次の機会には十分御説明申し上げまして、われわれのとっております現在の措置の点について御説明申し上げたいと思いますが、なお、昨年の中共からの輸入の生糸の単価は六十キロ一俵当たり五千百六十四円、韓国のほうは五千五百九十七円というふうに、中共生糸のほうが国際競争力としてはなお非常に強い、安い価格でなお今後入ってくる可能性があるということにつきましては、この際あわせて一言申し上げたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いまの価格の点ですけれども、これは、さっき私が申しましたように、保税の問題を考えませんと正しくないと思うんです、比較する場合に。しかし、最近はまた事情が変わってきておりますね。韓国から輸入した生糸、これを保税地域でつくってアメリカへ輸出する場合には関税かからぬ。しかし、最近では、アメリカ輸出が困難になってきたので、国内に保税から出してこれを売らざるを得なくなると、関税を払いますから、どうしても高くなってきますね。そういう関係もあるわけですから、ただ機械的に比較したのではいけなとい思うんですよ。  それからさっき言いましたように、日本の生糸相場の高値と安値の中間ぐらいのところへいっているわけですから、実際に、統計を調べてみればね、適正的ないわゆるかなり安定的な価格を維持している。韓国のほうは、日本の生糸が上がったり下がったりすると、そのフラクチュエーションに応じて非常に変動している。現に大増産計画を立てている。それも、ほとんど日本向けですよ。京しぼりというのですか、そういう部面ですよ。その点、農林省も実におかしいですね。桑を抜いてみたり植えてみたり、全くこれはおかしいと思うんですよ。六万俵以上も外国から輸入しなければならなくなった、これは農業政策の大失敗ですよ。もう少し十分にいろんな条件を見て、長期見通し、あるいは客観的に海外の状況等も十分に把握した上でやりませんと、結果からいって、関税局長は意図的に中国を敵視しているのではないということでありますけれども、結果ははっきりそういうことが出ている。私は、今回この不合理を十分に検討されて、あとまた結果を御報告願いたいと思うんです。いかがですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○政府委員(谷川寛三君) 先ほどお答えいたしましたように、四十六年度は、蚕糸局長からもお話を申し上げましたような、いろいろ国内産業に及ぼす影響も考えまして、生糸、絹織物につきましては、格差解消をしないというふうに一応関税審議会の御決議がなされておりますが、今後ともよく研究をして慎重に検討してまいりたいと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣も、いま質疑をお聞き取り願ったわけですから、この点を頭に置いてひとつ善処されるようにお願いしておきます。  それから次に特恵の問題なんですが、この特恵は、具体的に時期的に見ましていつから実施されるか、それから次の国会には特別の法律案を出すのか出さないのか、その点。  それと、この前に、衆議院におきまして、これは商工委員会だと思うのですが、社会党の横山委員が宮澤通産大臣に質問した場合、宮澤通産大臣が、結論として、中国に対して差別をしないようなそういうような方針であるというようなことがあったようなんです。その後、今度は大蔵省のほうでこれは十二月七日の「サンケイ新聞」に出ているのですけれども、「中国と対日貿易差別国には特恵供与しない」と、通産大臣の答弁と食い違った、また反対の、そういう大蔵省の方針を明らかにしているんです。そうして、関税率審議会にはかって、次の国会に関税暫定措置法改正案を出すというようなことが報じられております。それで、時間がございませんから、結論的に申しますが、ことに中国との間で平等互恵の貿易をやるとき、こういう差別をしていいかどうかということが一つ問題だと思う。もちろん、中国のほうから要求がなければ、これは特恵を適用するわけにはいかない。しかし、中国が低開発国でないとかいろいろな理由によって特恵を与えないようにする可能性がどうもあるように思われるのです。しかし、聞くところによると、カナダは差別を与えない——この点は大蔵省のほうに情報が入っていると思うのですが、この点を確認しておきたいんですが、カナダは差別しないそうです……

谷川寛三大蔵省関税局長

○政府委員(谷川寛三君) ちょっとそれだけお答えしますが、カナダにつきましては、前回も先生から御質問がございましたので、八方手を尽くして調べてみたのございますが、そのようなあれは国際会議で表明された記録もございませんし、ただいまのところ不明でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは私は非常に怠慢じゃないかと思うんですよ。通産局の山口氏によると、十一月のOECDの非公式昼飯会でカナダはそういうことをはっきり言ったと。中国に対して実質的に特恵を与えるのと同じ待遇を与える。これは農林省にも外電が入っているという話ですが、どうですか。  それからイタリーはどうなんですか。

谷川寛三大蔵省関税局長

○政府委員(谷川寛三君) イタリーにつきましても、そういうあれは公式にされた記録はございません。私どもいろいろ考えておりますが、そういうはずはないと思うのでございます。理屈を申しますと、特恵を中共に与えますと、最恵国待遇の関係で、グローバルにたとえばカナダが中国に与えますと、日本にもその特恵を与えなければなりませんので、特恵が開発途上国に対してだけ特別な税率を適用いたしますと言っている趣旨が消えてしまうことになるわけでございまして、そういうことは考えられないと思っておるのですが、いずれにしましても、調べてみましたところでは、私どもの調べた範囲では、そういうあれを見つけることができませんでした。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは非常に怠慢ですよ。農林省も調べてください、外電が入っているはずです。さっき言いましたように、OECDの非公式の昼飯会でそういうこともカナダがはっきり言っていると思うんですよ。大蔵省は怠慢ですよ。それは、差別をするという前提で考えているから、いま言われたような御答弁なんです。怠慢ですよ。もっとよく調べてください、これは重大問題ですから。

谷川寛三大蔵省関税局長

○政府委員(谷川寛三君) こういうことはございますよ。しかし、中共に与えるということを言ってはおりません。昨年の九月の第八回のOECDの特恵アドホック・グループで受益国問題が議論されました際に、立候補国つまり特恵を与えてくださいと言った国以外には特恵を与えちゃいかぬということが議論されました際に、カナダが、そういうことをはっきりきめていいかなというような疑問を提出したことがございますが、それが暗に中共に与えるつもりで言ったのかどうかはわからないわけでございまして、いまもお話がありましたような中共に与えるという発言をされたことはございません。いま言ったように、後進国だから特恵を与えてくださいと言ったところだけに与えようじゃないかという議論をしましたときに、それだけに限るのはいかぬじゃないかという議論がカナダからなされたことはありますが、それでいま言ったように中共に与えるつもりじゃなかったのかなという臆測をしたのではなかろうかと思っておりますが、正式に与えるという発言をしたことはございません。その後同じ問題が議論された際には、何らの発言もなかったと聞いております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 今後その事態がはっきりした場合、カナダ、イタリア——特にカナダは差別を与えないというような情報が入っておりますけれども、そういう場合に日本はどうしますか。私は前にも大蔵大臣にこの点については申し上げたわけです。これは、今後の将来の日中国交回復の問題で大使級会談をやろうといったって、中国からこういう問題について誠意をもって取り組まないから大使級会談になかなか応じられないという一つの理由にもなると思うんですよ。また、これが硫安とか鉄鋼の今後の輸出にへたに影響したら重大問題ですよ。いま、硫安だって、鉄鋼だって、これがとまったりしたらどうしますか。いま、この問題については、日本はどうしても中国のマーケットに依存せざるを得ない、そういう状況になっているんでしょう。そういう問題にこれがひびを入らせたら重大な問題です。ですから、これにつきましては、技術的じゃなく、もっと高い見地からこの問題を考える必要があるのじゃないか。大蔵大臣、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんは、何か、先入主というか、まず政府が中共との貿易に他の国と差別をする、こういう前提でお話しをされておるようでありますが、私どもの気持ちは、もっと逆なんです。政治形態は違う、また、国交の状態も他の国とは違う。しかし、それにもかかわらず、経済関係はこれは政治関係との調和をはかりながらひとつ進めよう、こういうことなんです。それで、これは、私の気持ちから言えば、必要以上に気を使っておる、こう申し上げて差しつかえないと思うのです。たとえば先ほどからお話のありますKRの適用問題、これなんかもずいぶん気を使っているわけです。そうして、無理に無理をしながらこれを他国とそうつり合いのとれないことにならないようにという配意をしておるのです。ただ、いま問題になっております特恵になりますと、特恵関税というのは、これは開発途上国に与えるものなんです。一体、正面切って特恵関税を中国に与えますよと言ったら、中国にどういう反応が起こるか。おれは低開発国、開発途上国じゃない、日本はわが国を侮辱しているというようなことにもなりかねない問題なんですね。その扱いも非常に苦慮しているのです。ただ、通産大臣が国会で申されたといいますが、こういうことを言っておるのじゃないかと思うのです。大豆だとか生糸、絹織物、これが中国の関心品目なんです。それらの問題につきましては、わが日本は、低開発国全体に対しまして特恵の対象としない、こういう方針をとっておりますので、中国は特恵の対象にはなりませんけれども、実際問題とすると、重要関心品目については何らの問題を起こす状態ではない、こういうことを申し上げておるのじゃないかと思います。とにかく、わが国が承認をまだしていない国でもありますし、また、UNCTADにも加盟をしていない中国でありますが、それはそれとして、低開発国、開発途上の国であるというような見方を中共に対してするということがありますれば、これはまたそれなりにいろいろ問題を起こす、そういうこともあると思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは今後日中関係に非常に重大な影響を及ぼす問題があると思うんですが、単に技術的なあるいは法律的な解釈だけでなく、国際的に、イタリアあるいはカナダは、関税面においてはその差別をかりにしても実質面において特恵を与えたのと同じように、そういう措置を講ずるやに伝えられているのですから、そういうあまり技術面、法律面だけにとらわれないで、高い見地から政治的な配慮をする必要があるのじゃないか、そういうことを希望しておきます。  それからもう一つ、時間がありませんから、最後に、一点、覚え書き貿易について聞いておきたい。きょうの新聞にも出ておりましたが、中国の第四次五カ年計画が来年から、始まるわけです。それで、世界各国が中国との交易に非常に熱心に取り組むんだということが伝えられておる。で、日本は、ことしで大体期限が切れる。それで、今後また覚え書き貿易は、だんだん先細りになっておりますけれども、何といっても最近の長期・総合・大規模を目ざした貿易なんですよ。しかし、これは一年刻みであるということで、どうしたってプラント輸出みたいな大規模な輸出は輸出入銀行の融資というものがないとできないです。これまでの経過から見てもそうです。やはりこういう障害を取り除く必要があると思うんですけれども、この覚え書き貿易につきまして政府はどういうようにお考えか。これはこれから具体的に中国と折衝される問題でありますし、いろいろ御承知のようにデリケートな問題にもなっておるのですから、その点について最後に伺っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 日中間の貿易のルートといたしましては、いま、覚え書き貿易と、特恵というか、そういう形の貿易とあるわけです。で、私どもは、覚え書き方式が日中問の貿易の主軸になることを希望しておるわけです。ぜひそうなってほしいと思っておるのですが、現実はそうはいかない。そして、この覚え書き貿易につきましては、昨年は、古井代議士なんかが行って、先ほどお話しのコミュニケなんかを出した上、協定ができたわけなんです。さて、ことしがどうなりますか、岡崎嘉平太さんということを考えておる向きもあるようですが、まだ中国側の反応というものがないようです。しかし、いずれにいたしましても、覚え書き貿易が日中間の経済を結ぶ主軸として当面働いていかなければならぬと、こういうふうに存じますので、私どもといたしましては、この協定がなるべく早く締結されるようにということを期待をし、そういう努力をすべきものであるというふうに思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 一つだけ答えていない。それは輸出入銀行の問題です。吉田書簡について、これも何回も問題になったんですが、この段階でこんなもの——吉田書簡をこんなものと言っては悪いですけれども、こういうものがまだ生きているというのはおかしいと思うんです。それから輸出入銀行は、前に法律を変えましたから、これは政治的なものじゃないんですよ、純経済的なものですよ、輸出入銀行の融資は。政治的なものは海外何とか基金のほうに分離してしまったのだから、純コマーシャルの金融になっておるのですから、その点は日中貿易にも適用できるのじゃないか。その点をお聞きいたしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この問題につきましては、かねて政府が基本的な方針をとっておるわけです。それは、ケース・バイ・ケースだ、こういうことであります。それで、一両年前、北鮮との間にプラント輸出の問題がありました。そのときは、話が起こり、まあある程度進行した輸出契約だったわけでありますが、結局、商社がその契約に踏ん切りをつけなかった、そういうようなことで立ち消えになりましたが、とにかく商社のほうも共産圏貿易というものにつきましては非常に慎重なかまえをとっておるのですが、そういうかまえは一体どういうふうな変化を今後見せてきますか、そういうところも見なければなりませんが、とにかく現在はケース・バイ・ケースということで判断をするという方針を続けていかざるを得ない、かように考えております。     —————————————

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として津島文治君が選任されました。     —————————————

戸田菊雄日本社会党

○戸田菊雄君 大蔵大臣に質問してまいりたいと思います。  四十六年度の予算編成方針については、いろいろ伝えられるところによりますると、二十三日に内示をされるといわれております。まず、この点についてお伺いしたい。  それから四十六年度の予算編成の中心ですね、重点といいますか、そういうのは一体どういうところにあるか、その点をお伺いしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 予算の編成は、戦前、戦後を通じまして、翌年度の予算を前の年の年末までにこれを編成を了する、これが長い間の慣例であったわけであります。ところが、四十一年度から毎年年越し編成という状態になりまして、ことしはその六年目になるわけなんです。そこで、なぜそういうふうになったかということを考えてみますると、一つは、そのうち二回、総選挙が暮に行なわれたこと、それから正月に行なわれたという事情が影響しております。それからもう一つは、自由民主党の総裁選挙が、池田さんが任期途中にしてお亡くなりになったという関係もありまして、十一月の末に行なわれる。そうすると、内閣の改造がまたそれに引き続いて十二月の初めに行なわれる。それで、年内に予算を編成するという用意が十分整わないというような事情もあったと思います。ところが、今度は、御承知のように、総裁選挙が十月に繰り上げられて行なわれた。また、その後におきまして通例行なわれておりました内閣の改造が行なわれない。どなたも全部そのまま残られるということになった。それからもう一つは、来年四月には地方統一選挙があるわけでありまして、国会の議事を進める上において、統一選挙があるということを考えなければならぬ。そうすると、予算案を何とか取り急いで御審議願うということを考えなければならぬだろうという自由民主党側の配慮もありまして、年内編成を六年ぶりに回復しようというふうにいたしまして、いま、十二月三十日に政府原案をとりまとめるという予定をいたしております。そのためには、おそくとも二十三日には大蔵原案を閣議に提案をするということにならざるを得ない、こういう見通しを持っておるわけであります。  それから予算の内容、つまり大蔵原案の骨格につきましては、まだきめておりませんが、しばしば申し上げておりますようにやっぱり来年の予算は二つの点に眼目を置く。一つは、この予算が昭和四十六年、来年の景気に対しまして安定成長路線に貢献するような性格のものであるべきもの、それから第二は、国の施策を十分に行なうという財政本来の任務を尽くすということでありまして、その国の施策の中の重点は物価と公害だと、こういうふうに考えております。もっとも、予算の量的な面から見ますると、公共事業費が圧倒的に多いわけです。道路でありますとか、あるいは住宅でありますとか、その他の社会資本の立ちおくれの取り戻し、これに量的には最大の努力を払う。次いで、社会保障費、文教費そういうものに量的には多くの額をさかなければならぬ。同時に、地方財政ですね、これにも非常に多額の交付金を割り当てるということになろうかと思います。せっかくいま準備中でございます。

戸田菊雄日本社会党

○戸田菊雄君 大臣から二点について回答をいただいたのですが、内示を目前にしまして政治的には非常に微妙だと思いますが、できるだけその内容について御説明願えれば幸いだと思います。  一つは、規模の問題については、われわれが推定するに、九兆円をこすのではないか、こういうように考えます。四十五年度は七兆九千五百億ですから、一五%増ですね、大体そこら辺までいくのではないか。  それから性格は、いま大臣から言われましたように、景気安定型と、こういうのでありますが、従来もしばしば景気充実型、積極型、抑制型というようなことがよく言われてまいりましたけれども、いまの景気状況というものを見ますると、電機、鉄鋼、自動車、繊維、これはどうしても沈滞傾向だろうと思うんですね。あるいは設備投資が若干抑制の方向に向いた。あるいは新規採用の手控え、こういうものがあるのじゃないかと思います。さらには、輸出関係も、繊維等をめぐってアメリカ等に対しては若干渋滞といいますか——国内の消費はそれほど鈍化しているとはわれわれは思わない。そういったいろいろ景気状況があるのでありますが、こういう中で、大臣のおっしやられます景気安定型をどういう角度で見通しを持っていかれるか、この辺が一つであります。  それから歳入面でありますけれども、いろいろきのうも衆議院の大蔵委員会で質問があって、自動車新税に踏み切ったと、こう言われておるのでありますが、四十五年度の国税総体は六兆九千三百八十五億円程度が見込まれた。今後自然増収の問題等があるようでありますが、こういうものに対して、四十六年度は、おおむね予算も九兆何がしをこすと二〇%台にのぼっていくのじゃないか。歳入面もその辺でいろいろ検討していかなければこの予算の編成について非常に支障を来たす、こういう考えであります。さらに、所得税の減税の幅は、けさの新聞等によりますと、一千五百億見当だと、こういうことですね。これはまさしくミニ減税であろうと思うのですが、そういうことが問題になってくる。で、増税で考えるものは、いま言ったように自動車新税、あるいは物品税の増徴、あるいは地方税のほうは農地保有税、あるいは租税特別措置法の整備合理化——これは縮小ということだろうと思うのですがね、われわれの理解では。こう考えてまいりますると、歳入面は決して予断を許さないという状況だと思うのですね。ですから、この辺に対して大蔵大臣はどういう考えを持っておられるか。  それからもう一つは、歳出面でありますけれども、いま大臣もおっしゃられました二つの重点でやっていきたいと。一つは物価、公害、あるいは地方財政等の問題だけれども、内政でいままでしばしば強調されてきたものは、一つは、やはり食管だろうと思うのですね、米の問題どうするかということ。それからもう一つは、国鉄の赤字をどうするかということ。あるいは健康保険行政に対して、ことに政管健保の問題ですね、これをどうするか。こういうものが内政ではいま重点的な問題になっているのじゃないだろうかと思います。  大ざっぱに言って、食管の場合ですと、減反政策をかりに採用したら、これはあとで伺いますけれども、一千億程度のものを補助金を出さなければなりません。あるいは農政の撤退政策、いわゆる減産、そういう体制にいくためには農林大臣は七千億見当の金が必要だと、こういうことを言われているのですね。ですから、こういうものに対して大蔵大臣としては一体どういうふうにお考えになっているのか、この辺が私はやっぱり問題だろうと思うのです。そして、国鉄の場合だって、大体一千三十六億程度の補助が必要だといまいわれている。こういう問題に対する財政措置を一体どうするのか。あるいは健康保険等の問題についても、四十五年度で約六百億ぐらいの赤字が出るのじゃないか。累積赤字として二千億見当はかたい。こういう問題について四十六年度を見ますと三千億程度の赤字になってくる。ですから、こういう問題についてどう対処していくのかということは、私は財政上非常に問題になってくるだろうと思う。そして、なおかつ、いま大臣が言われましたように、公害等の問題について、今次臨時国会で強調されましたように、おおむね三千億見当の予算措置をしなければどうにもならぬのじゃないか。確かにいま政令省令等に基づく具体的な裏づけ政策をやっているのでありましょうけれども、こういう各般の難問が山積していると思うのですが、そういう問題等について大臣としてはどう考えておられるか、伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まず、予算の規模をどうするかというお話でございますが、結局、予算は、これは他の経済要因ですね、国民生活でありますとか、設備投資でありますとか、あるいは輸出入、そういう要因を考えまして国全体として総需要と供給のバランスがとれた形、これが確立されるところに経済の安定成長というものがあるのでありまして、その仕組みの中で財政がどういう役割りを四十六年度において担当すべきかと、こういう問題になろうかと思います。そういう角度から考えますと、私は、来年度の予算の規模は、名目成長率がどのくらいになりますか、まだ最後の詰めという段階にはなりませんけれども、一五、六%と普通いわれておりますが、それよりはやや上回っていいんじゃないかというふうに考えております。それから同時に、昨年は警戒中立と標榜いたしました予算でありましたが、その警戒中立型の予算の前の年に対する伸び率は一七・九%であったわけであります。それも一つの指標にする必要があるというふうに考えているのですが、それよりも多少これはまあ大幅にというわけにはまいらないかもしれませんが、多少上回った形が適当ではあるまいか、そういうふうに考えているのですが、そうすると、九兆円という額をかなり上回る額になるということにいくかと考える次第でございます。  その歳出規模の中で、ただいま申し上げましたように、一番大きなのは何といっても公共事業、社会資本、その中で特に問題となるのは道路費なんです。道路につきましては、四十五年度においては、四十五年度において五カ年計画を立てたわけであります。ところが、五カ年計画十兆三千五百億円、この財源の見通しを見ますと、一般会計で三千五百億円ばかり不足するのです。そこで、その不足財源を調達しなければならぬ。その不足財源の調達ということをめぐりまして、自動車新税という構想が出てくるとか、あるいは、トラックだとかバスだとかライトバン、こういうものが物品税がかかっておらぬ、これは他の車種に比べて不公平じゃないか、そういう事実を考慮する必要があるのではないかというような議論が出てきますとか、あるいは、そういう機会に自動車関係からあがる税収を、ひとり道路ばかりじゃなくて、あるいは国鉄新幹線、あるいは地下鉄の援助にも充当すべきじゃないか、つまり総合交通体系の一環として自動車新税として考えたらどうかというような意見もあります。いわばいまこの問題をめぐりまして百家争鳴というような状態でございますが、いずれにしても私はある程度の財源を調達する必要に迫られているわけであります。その方法といたしましては、どうしてもこれを自動車に求めるということは避けられないのではないか、そういうように考えているのであります。その規模をどういたしますか、あるいはその税の体系をどうするか、これはなお少し詰めていってみたい、かように考えております。  それから困難なるいわゆる3Kをどうするのかというお話でございますが、これらはいずれもこの一年間つまり四十六年度中に根本的な対策を全部講ずるということはなかなか不可能であるというくらいに深刻な問題になっております。しかし、この3Kをめぐる問題が全部解決されるという方向に向かって踏み出しているという体制だけは四十六年度において立てたい、かような考えを持っているわけであります。特に一番困難な問題は米の問題で、あとで御質問があるというふうなお話でございますが、この問題は非常に頭の痛い困難な問題でありますが、ただいま申し上げたような方針で対処していきたい、かような考えであります。

戸田菊雄日本社会党

○戸田菊雄君 時間がありませんから、端的に質問してまいりたいと思います。その米の問題なんですが、農林省としては一定の方針をいろいろ出された。大蔵大臣に聞きたいことは、端的に言いますと、来年度四十六年度減反政策をやると、それに基づいて——従来、百五十万トンとか、二百五十万ないし三百万トンを政府は考えている、こういうわけですが、必ずその裏づけとして金が必要になってくるわけですが、この裏づける部面の大蔵省としての考えは、いわゆる米の価格というものを抑制していくのか、あるいは市町村に買い入れ量を指示して買い入れ制限でいくのか、こういう考えについて財政上一体どう考えているのか、これを端的にお伺いします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いわゆる減反調整ですね、これをしなければならぬ。これは、余分の米というか用のない米ができる、こういう状態だけはどうしても防いでいかなければならぬ。それに対して財政上の支出を伴う、これはまあやむを得ないと思うのです。ただ、いま戸田さんのお話は、歯どめというか、二百五十万トンなり三百万トンの調整目標を立てた場合に、それがはたしてそのとおり実行できるのかできないのか、それを保障する措置が必要じゃないかと、こういうふうな考えのもとに、その調整方策に協力をしなかった米作農家に対しまして、その農家のつくるお米を普通の収買価格では買わない、下がった値段で買うんだという構想が一つ標榜されておるんです。それからもう一つは、価格じゃないんだと、もうそういう調整に協力しなかった農家からは一切米は政府は買わないんだと、こういう措置が必要じゃないかというような考え方、これも有力に標榜をされているわけです。  その他いろいろの歯どめ措置というような考え方がありますが、これはどういう方式がいいか、あるいはそういういろいろな方式の組み合わせがいいのか、あるいは単独の方式がいいのか、その辺はいま政府与党の間で大きく議論が展開されておるわけなんです。なお、農林大臣は、宮脇農協中央会会長とも会談をいたしまして、農業団体の考え方はどうだろうという打診も行なっております。そういう機微な段階でありますので、私から大蔵省はこうだということを申し上げることができないのはまことに残念でございますが、とにかく、先ほど申し上げましたように、何とか米をめぐる農村問題はひとつ解決の方向に踏み出したい。で、一番問題は、大蔵省というよりは農林省にあると思うんです。つまり、二百五十万トンなり三百万トンが毎年毎年余る。それのための減反政策を行なわなきゃならぬ。ならぬが、そのあいた土地をいかに利用するかという問題なんです。農林省では全国的な地域配分ピクチャーというものをこの間発表しております。ああいうものがどういうふうな具体性を持っていくか、その辺をどんどん進めていくことは非常に重大なことであると思います。そういう方面へ大蔵省といたしまして財政上御協力するということは、非常に意義のあることであり、これに惜しむところがあってはならない、かように考えております。

戸田菊雄日本社会党

○戸田菊雄君 予算編成が微妙な段階ですから、これ以上質問いたしませんが、米の問題は非常に重要な問題だと思うので、財政面から十分前向きに御検討いただきたいと要望いたします。  きょうは、実は、国債関係につきまして十分お伺いして大蔵大臣の意見を聞いておきたいと思ったのでありますが、時間がありませんから中途でやめることにいたします。それで、できるだけ内容をしぼって実は質問してまいりたいと思うのでありますが、四十年度に赤字公債ということで二千九百億を財政特別措置法改正によって特段の措置をしたわけなんですね。自来、国債発行を毎年やられてきたわけでありますが、一般会計予算での公債に対する依存度は、財政審議会の答申によると五%ぐらいまでと、こういわれておる。その五%の根拠ですね、こういうものは私はいま非常に明快さを欠いているのじゃないかと思うんですが、この辺の問題が一つ。  それからもう一つは、四十六年度で実は赤字公債の二千九百億というものは返還をするということになるわけですね。ですから、予算編成でいろいろ検討されていると思うのでありますが、こういう四十六年度返還の準備はできたのかどうか、どういう方法でこれを返済処理をしていくのか、この点が第二点。  もう一つは、国債残高は大体一兆前後だろうと思うのがありますが、「財政法第二十八条による昭和四十五年度予算参考書類」の八ページを見ますと、六兆六千億程度の状態になっておりますね。これは、内外債、あるいは短期証券、借入金等、一切を含めてでありますが、そういうことになると、これに対する全体の財政上の再検討、ないし返還を含めて総体的な方針を出しておかないと、私は四十六年度予算編成にあたっての一つの曲がり角という考えを持っていますから、そういう面での対処策を一体どういうふうに考えられるか。時間がありませんから、非常に中を省いて項目を聞きましたけれども……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十年度に発行いたしました歳入補てん公債は、四十七年度にその償還の期限が到来するのです。これは全額現金償還をいたすという予定をもって、その財源の蓄積にずっと努力をいたしております。そのうち、すでに一部分は買い上げ償還をされております。それから残ったものは現金償還をすると、こういう考えであります。  それからいま国債の残高がだいぶふえてきて不安じゃないかというような趣の御質問ですが、公債政策に踏み切りました当時、この国会でもしばしば申し上げたんですが、四、五年後には国債の累積額は一体どうなるかということに対しまして、大体四、五兆円になるんじゃないかということを申し上げてきたんです。ところが、実際は、その半額をちょっとこえますか、それくらいしか発行されないできておる。それでまた、五、六千億の国債が累積されておるという状態は、これはもう諸外国に比べましても、また、日本の過去の財政史の状態から見ましても、ほとんど心配するに当たらない額であると、こういうふうに考えております。五、六千億の累積になったからここで財政政策を転換しなきゃならぬというような感覚は持っておりません。  それから国債依存度五%はなぜきめたのかというお話でありますが、四十五年度におきましては五・四%の依存度であります。金額にいたしまして四千三百億、これはまめ私どもの感覚といたしましては、いままでのいきさつからいうと、公債漸減ということで減らしていくという傾向にあったんですが、内外の経済情勢を考えまするときに、さてここで公債をまたさらに減らすという時期になっておるんだろうかという考え方もあるわけなんです。ただ、これを増発するというようなことにつきましてもなお問題がある。そうしますると、国債の発行額を四千三百億同額を四十六年度においても発行するということにかりに仮定いたしますと、これは五%を若干下回るようなことになるのです。そういうような大体の空気、また、内外の情勢をとらえて、財政審議会のほうで五%以内と、こういうことを言っておられるのじゃないか、まだ詳細に私も五%のよって来たるゆえんを聞いておりませんけれども、そんなところじゃないかと、さように見ております。

戸田菊雄日本社会党

○戸田菊雄君 いま私が大臣に質問したのは、四十年発行の赤字公債当初の二千九百億、これを四十六年度で返していかなきゃならない、それが一つですね。  それからもう一つは建設国債がその後ずっと一貫してそういう面でやられてきたわけですね。これは、その後のいろいろな状況を見ますと、もう赤字公債と何ら変わりないような状況になっているのじゃないか、こういうふうにわれわれは判断するわけであります。そうして、いま大臣がおっしゃられましたように、それらの償還は借りかえでやる、こういうことであるとするならば、当然これは国債整理基金特別会計で、こういうことになるだろうと思うのですが、その辺の見解が一つほしいと思うのです。それからいま言った建設国債というものは、そういうことでいろいろずっと四十五年度までやられてきたわけでありますけれども、普通の赤字国債と何ら変わりない、そういうふうに私は考えたわけですが、大臣等が従来しばしば公債発行の場合に、建設国債というものは普通の借金とは違うのだ、あくまでも赤字公債とは違うのだからというようなことを主張されてきた、そういうものと結果というものが私はまるきり違っているというふうに考えるのですが、この辺の見解を一つお聞きしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 四十一年度から発行いたしました国債は、ほかに財源調達の手段がないからやむを得ず借金したんだという性格のものじゃないのです。その点が根本的に赤字国債とは違うのです。これは社会資本の充実をしなければならぬ、まあ日本はたいへんおくれておる、そういうようなことに着目いたしまして、そして財政規模の拡大をはかり、そして公共事業をふやす、そういうことで、厳重に、固定資産投資、その財源という原則を守っておるわけです。経常収支の赤字というような性格のものじゃないのです。ですから国会でも皆さんからもいろいろ御議論がありましたが、建設目的以外にはこれを使わない、それからもう一つは民間の消化の限度をこえてはならない、この二つの歯どめをつけてある、それを厳重に守ってきておるわけであります。今日におきましては、その建設目的を制約する公共土木事業費、その土木事業費のつまり公債発行可能額、そのワクの中に相当多くめり込んでおる発行額になっております。それから日銀の引き受けになっておらぬという点は、これは当時国会でも申し上げたのでありますが、発行を了してから一年間はなるべく日銀は公債は引き受けない、そういうことにしておりますから、そのとおりにしてきております。一年間を経過したものはかなり日銀が保有いたしております。発行額の半分をこえますか、保有をしておりますが、これは日銀の通貨発行が御承知のように前年度分に比べてあるいは二〇%もふえる、少ない月でも一七%もふえる、その通貨の発行を一体どういうふうにするかという問題がありまして、これは貸し出しによるか、証券なんかの売買つまりオペレーションによるか、そういうことでございますが、国債を対象とするオペレーション、これは非常にオーソドックスな行き方なんですが、そのためにかえって発行いたしました公債が日銀貸し出しのルートをというような意味合いにおいて金融を順便に働かせるという上においていい働きをしておる、こういうふうに見ております。

戸田菊雄日本社会党

○戸田菊雄君 これで終わりますけれども、いずれあらためてまた詳しくお伺いしたいと思います。一点だけですが、いま最後に大臣が言われましたように、原則は市中公募でやっているわけですね。しかし、いまの実態は、日銀買いオペが九〇%いっていると思うんですね。大臣は半分くらいと見ているのですが、九〇%です。ですから、これは、日銀は政府のいわば機関同様なものですからそういう日銀が政府に対して積極的に返還要求をしてくるということはないと思うんですね。金融面についてはいずれ機会を見ていろいろ質問していきたいと思うのですが、こういう現状に対して大臣はどういうような理解を持っているか、これだけ質問しておきます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 公債を日銀が持ってはならないというのはなぜかということなんですね。それは裏づけのない通貨の発行をすることになるからいけないのだということなんです。ところが、いま申し上げたとおり、日本銀行は毎年毎年一五、六%ないし二〇%も前の年に比べて増加通貨の供給をしなければならないわけです。その通貨供給の方法というものを貸し出しにばかり依存しているということはよろしくない。そういう際にはどうしてもオペレーションをするという方向が求められるわけなんですが、そういうオペレーションの対象といたしまして国債を買い入れるということですね、これは私は金融政策の運営を非常になめらかにしている、そういう効果があるというように見ているのです。いずれにしましても、通貨の発行はこれが過度であってはならないというのでありますが、いまわが国において国債を発行いたしましてそれが通貨の発行を刺激しているという状態には全然ないんだと、そういうことを申し上げているわけであります。

多田省吾公明党

○多田省吾君 最初に大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  最近、経済犯罪が非常に激増しております。たとえば富士銀行事件をはじめとする不正融資事件、また、もぐり金融というものも激増しております。警察庁の白書でも、「一年定期預金でも年五・七五%の利回りにすぎず、一年間に八・六%も物価が上昇するのでは銀行に金を預けても値打ちは実質的に減る」、こういうような鋭い批判を加えておりますし、そのためかもぐり金融というものが激増しておりまして、毛利金融が九十五億円、東京畜犬で七十一億円、あるいは日本建設協会グループで五十六億円、このような事件もございます。あるいは株価操作に疑いが持たれて、告発事件やら、あるいはミツミ電機のように西ドイツで時価発行したものが急落したというような事件、あるいは粉飾決算の問題、こういった問題にからんで、政治銘柄ではないかということで株価操作に疑いが持たれ、何としてもこれは自己融資が八割以上に及ぶものもあるのではないか、信用取引の株数も発表させろというような国民からの声も強くなっております。そのほか、いかがわしい不動産売買の事件、あるいはマンションの倒産事件、SFセンターの蹉跌、こういった問題まで含めて経済犯罪が激増しているわけですが、大蔵大臣としては、これに対してどのような認識をされ、また、どういう対策を立てていかれようとなさっておりますか、これをお伺いしておきます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) どうも、毎朝新聞を見まして、三面記事に金融犯罪がずいぶん散見されます。私もそういう事態に対しては心配をいたしておるのですが、結局、その根源をたどりますと、経済の高度成長の中で、国民全体に浮かれたというような空気が出てきておる。そういう中におきまして、非常に厳粛に取り扱わなければならない金銭問題というのに対する国民全体の態度にゆるみが出てきておる。こういうことが金銭犯罪を誘発している根源にあるんじゃないか、そういうように思います。それから政治の姿勢というものも改めて厳にとり直しましてこういう事態に対処するということが必要である。同時に、また、私どもは金融問題を担当している責任官庁であります。責任官庁といたしまして、金融機関のあり方等については常にもっと厳粛にということを督励いたしておるわけであります。最近の大きな金融犯罪事件等にもかんがみまして、そういう態度を強化しているという現状でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 そういった中で、最近おかしな問題も起こっております。まず大臣にお伺いいたしますが、労働なくして多額な収入があったと、こういうことがあったとするならば、私はこれは人間にとっても全く不健全なことであり、正常な道ではないと思いますけれども、大臣はどのようにお考えですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 労働というか、労働にもいろいろあると思うのです。要するに、肉体労働もあれば、知的労働もある。そういうことを考えると、どっちのほうに重きを置いてのお話かよくわかりませんけれども、何ら原因もないところで金の動きがあるということは、どうもあまり好ましくないような感じがいたします。

多田省吾公明党

○多田省吾君 そのように、社会に何も生産的な貢献もしないで、いま大臣のおっしゃったような、私たちも非常に好ましくないんじゃないかと思われるようなことが起こっているんです。これ具体的に申しますと、四万円を掛け金しますと百二万円がもうかるといういわゆる幸福の手紙利殖版というものが師走を前にして非常に全国に出回っているわけです。これを少し具体的に申しますと、四万円の中の一万円は手数料として本部に送る、三万円は本部の指令で自分のいわゆる二代上の祖父に当たる人に送るということですね。そして子を二人ずつさがすわけなんですね。その子にも四万円ずつ出させるというのです。もう一人の子は本部にやはり一万円送って、三万円は七代前の人に送ると、こういうことなんです。そうすると、ある年月がたちますと、四万円出した人は、孫に当たる二人から三万円ずつ六万円が入ってくるというのです。それから七代先の六十四人のうちの半数の三十二人から三万円ずつ九十六万円が入ってくる。合わせて百二万円が入ってくると、こういうことなんですね。そういう金の受け渡し関係がいま熊本県を頂点としまして非常に広がっているわけです。これは私が最初にも申し上げました、労働なくして多額な収入があったという姿、あるいは大臣が好ましくないとおっしゃったような金の動きではないかと思うわけでございますが、あとでおいおい質問いたしますけれども、大臣はこのことを御存じであったかどうか、まず初めにお伺いしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いまの案件につきましては、私、多田さんから初めて承りました。ただ、似たようなことが終戦直後にはやはりまして、万世倶楽部というので世の中に多大の論議を巻き起こしたことがあります。また、保全経済会、これも似たようなことで、これは刑事事件に発展をした、こういうようなこともあります。いま承りましたが、これがどういうふうな取り締まりができるのか、私もさだかな見解を持っておりませんけれども、いずれにしてもこれはよくないことであります、よく検討してみたいと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 いま大臣の仰せのように終戦後も一時はやりました。しかし、そのときには、金額は非常に少なかったわけですから、被害者もそんなに強く異議は申し立てなかったようでございますが、今回は、一口四万円ですから、それがみすみす損をするということになりますと、これは大きな社会問題になるのではないかと思われます。  警察庁にお伺いしますけれども、こういった一連の最近激増している幸福の手紙利殖版の事実関係がどのようなものか、何件ぐらい発生しておりますか。中には、警察庁のほうからは三件ばかり警告を受けたものもございますけれども、あわせてその事実関係をおっしゃってください。

関沢正夫警察庁刑事局保安部保安課長

○説明員(関沢正夫君) いま先生御指摘のような事例が確かにございまして、まだいろいろ調査中でございますので、その実態をつまびらかにはしておりませんけれども、御指摘の熊本の件につきましては、これは第一相互経済研究所というのを指しておられるのかと思いますが、これが四十二年ごろからこういう事業を始めているようでございまして、現在四種類くらいの御指摘のような内容の利殖の方法をやっておるようでございます。いまのは四万円で百二万円がもらえるというものでございますが、もう少し金額が多くなりまして、六十万円ぐらい出して三千万円以上の金額がもらえるというようなそういう利殖法もきわめて最近のようでございますが行ない始めて、そのほか、現在までの調査で判明しております十一、二一くらいのこういう幸福の手紙類似の利殖方法が盛んになっておるようでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 この問題につきましては、もうすでに「読売新聞」ではこのように八月二十九日号に大きく取り上げております。それから十一月二十日号にも大きく取り上げております。それから十二月二日、十二月十五日と、もうすでに四回ほど取り上げております。また、「フジテレビ」では、「小川宏ショー」が十一月三十日には関係者を呼んで取り上げております。それから「週刊文春」でもこのように六ページにわたって十二月十四日号で取り上げておるわけです。その範囲はもうほとんど全国にわたっておるようでございます。特に、いまお話のありました第一相互経済研究所では、公称百二十万名が加入している、こういう状況でございます。(「そんなものができるのかね」「クイズみたいなものだ」と呼ぶ者あり)  一月二十日の「読売新聞」を読みますと、もうすでに被害届まで出ているようでございますけれども、これはどのようなケースか、簡明にお答え願いたいと思います。

関沢正夫警察庁刑事局保安部保安課長

○説明員(関沢正夫君) まことに申しわけないのですが、いま御指摘の被害については、ちょっと報告を受けておりませんので、私どもつまびらかにしておりません。

多田省吾公明党

○多田省吾君 これは、警視庁の調べが始まったのが、東京都北区の会社員Aさんの訴えで、Aさん方にこのような七〇年版幸福の手紙が十一月十六日に舞い込んだということでございます。そのことで警視庁の防犯課に被害届が出まして捜査に乗り出しまして、十九日までの調べで、——東京の場合は第二相互経済研究所=山内治和所長=は確かに存在する。そして、平和相互銀行との取引と印刷されておりまするが、これは十二月二十六日に普通預金の口座を開いたばかりで、会費がまだ振り込まれた形跡がない。平和相互銀行も非常に迷惑だということを言っている。2山内所長は、福井県で警察官をしていた前歴があり、熊本市本山町に本部を置く第一相互経済研究所の方式をまねてこの〃新商売〃を始めた。3北海道に本部を置く誠相互など、他にも類似組織がかなりあるらしい——などがわかった。同課は、さらに、この種の利殖方式の違法性を検討した結果、会員が無限にふえ続けない限り、いつかは行き詰まって被害者を生む2、一人が何回も入会を繰り返せば無限に続くというが、その場合は、入会のつど払い込みが重なるので結局は損をする3、主催者だけが入会金を取り、ふとるというシステムで、贈与金の送り先が主催者の一方的な指示によることも疑惑のタネ。本当の先輩会員かどうか確かめようもなく、あて先をごまかせば主催者が全額取り込んでしまうという危険性さえある——などから、少なくとも軽犯罪法一条三十四号で禁止している「虚偽広告」、場合によっては詐欺に当たると結論した。このため、同課は、きょう二十日、関係者の出頭を求め、山内所長に対しては「中止」を、また銀行側に対しては「口座の開設を取りやめるよう」申し入れることにしたと、こういう記事があるのでございますが、これは間違いございませんか。

関沢正夫警察庁刑事局保安部保安課長

○説明員(関沢正夫君) 私、ちょっと誤解いたしまして、よく御趣旨がわからなかったのですが、ただいまの被害者、そういう事実はございます。警視庁では、いま御指摘の第二相互経済研究所、ひまわり実践会互助会、こういうことについていろいろ実態を調べまして、十一月の二十日に警視庁に責任者を呼びまして、そして行政指導としてでございますが、業務の中止を警告した。それで、その結果、報告によりますと、ひまわり実践会互助会は自主的に払い込み金を返還いたしまして会を解散したということでございます。  御指摘の点の、これが無限に続くようでも、やはりいつかはストップしますと、そこで被害が発生するおそれがあるし、また、こういうのが過熱いたしますと、やはり射幸心をそそって非常に好ましくないという見地から、警察としては、何とか前向きで対処したいということでいろいろ犯罪部門をはじめとして調査しているわけでございますが、警視庁では、新会員の加入のために頒布したパンフレットの中に誇大広告的な点があったということ——いま御指摘の銀行の件でございますが、それからやはり個人の意思に期待するほか何も保障がない、必然的に最後はどこかでは被者がどうしても出ざるを得ない、こういうことから、やはり好ましくないということで行政指導として警告をいたしたという事実がございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 先ほど、警視庁から、熊本県の第一相互経済研究所について、設立が四十二年の三月である、四種類のものがあるというお話も出たわけでございますが、これはやはり詐欺罪とかあるいは出資法違反だとか軽犯罪法違反だとかという疑いもございますし、また、税法上も大きな問題だと思います。もうすでに本社なるものには何十億という金が入っているということですね。また、後にも述べますけれども、ホテル等も相当買収しております。こういった関係この実情につきまして法務省あるいは大蔵省、国税庁等でどのように調査が進んでいるか、お知らせ願いたいと思います。

佐藤道夫法務省刑事局参事官

○説明員(佐藤道夫君) いわゆる幸福の手紙事件につきましては、検察庁としてはまだ捜査はいたしておりません。これは具体的な事実関係のいかんによるということであろうかと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど先生の御指摘のように、出資法の問題あるいは刑法の詐欺罪の問題、軽犯罪法の問題、いろいろあろうかと思いますが、具体的な事件の当てはめの問題でございますので、まだ実際上事実関係を明確にしていない段階におきまして結論的なことを申し上げるのは適当ではなかろうというふうに考えております。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) ただいまお尋ねのこの種の資金集めの方法は各地にいろいろあるようでございますが、根本はどうも熊本の第一相互経済研究所から発しておるようでございます。これが全国に広がってそれをまねした類似のものが非常に多くございます。(「悪いことをまねしたものだ」と呼ぶ者あり)これにつきましては、現在、熊本国税局が調査を開始いたしております。その結果を待って的確な課税処分をいたしたいと思っておりますが、御承知のとおり、この利殖の方法は、本格的に非常に拡大をいたしましたのがことしになってからのようでございまして、その実態を十分把握した上で的確な課税処分をしたいということで、目下熊本国税局が調査中でございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 じゃ、この事実関係をもう少し詳しく述べますと、第一相互経済研究所におきましては、八月現在におきましても、この四種類の中の四万円掛け金をする相互経済協力会というものだけでも、七月現在の会員は七万人からいるらしい。すでにピラミッドの頂点までの組織が三百四十ぐらいも完成しておるということで、いわゆる最底辺のただ金だけ出したというのは二万余人もいる勘定になります。これは現在においては五カ月たっていますから相当大きくなっておると考えられます。七月現在でも二万人がいわゆる百二万円をもらうということになりますと、二百五十二万人の新規入会員が必要でございます。今度は二百五十二万人の新規加入の人がやはり百二万円をもらうということになりますと、なんと一億三千四百億二十一万七千七百二十八人必要となります。ですから、この会は発展すればするほど、もう一億人からの、日本の全人口ぐらいの人が被害を受けることになります。終戦後はやったことがあったと大臣、がおっしゃったように、早晩そういう自転車操業が行き詰まることは必定でございます。長野県の丸子町においては、町の半分ぐらいの三千世帯が加入して、もう加入する人がいなくて、おれがとったんだとか、この人がとったんだということで、会員の奪い合いさえ起こって、すごく親戚、友人等でいわゆるけんかが起きております。こういうのが日本じゅうに広まりますと、これはたいへんなことになるし、発展するほど将来の被害人口というものがばく大な数になるのじゃないか。  そこで、警察庁、あるいは法務省、それから国税庁からのお話でございますけれども、私は対策が非常におくれておるのじゃないかと、このように思うわけです。第一相互経済研究所でも、一日で三千万円を下らない金が入ってくる、一年間で約三十億円が動いたといわれておりますけれども、税法上どのように対処なされるのか、対処しようとなさったのか、もう少し詳しくおっしゃってください。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) この契約なり内容を現在調査中でございます。先ほどおっしゃいました手数料というのが何に該当するのか、会費という名目もとっていないようでございます。その内容について調べておりますのと、それからその会員が取得する所得というものもこれまた一つ大きな問題でございます。御承知のとおり、所得税でございますれば、いかなる所得に該当しなくても、最後には雑所得といった総括事項がございますから、いずれにしても申告をしてもらわなければならぬ問題でございます。何せ手紙のやりとりだけであったので、実態をしっかりつかまないとなかなかむずかしいわけでございます。主として本年度の問題が多いと思います。そういう点で、熊本国税局の調査終了を待ちまして資料等を把握いたしまして課税するという段階にある、かように考えております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 このケースは、おっしゃるように、申し込み者から郵便局に現金書留で参ります。それを第一相互経済研究所からワゴンで取りに行く。それで、郵便局から研究所に持ってきて、銀行が待っていてすぐ預金する形をとっている。この場合、研究所ではこれは出資者からの預かり金だというようなことも言っておりますけれども、研究所がもし解散になっ場合は、この預金というものがどういう形になりますか。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) そのあたりを現在調査山でございます。たとえば、取得した不動産についても、その名義はどうなっているか、そういう問題が、いわばこれが法人であるのか、あるいは人格なき社団であるのか、あるいは個人であるのかという問題、これはやはり法律的な判断が必要でございます。そういう意味で、現在慎重に調査を進めておるということでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それじゃ、昭和四十二年三月からもう発足しているのですから、三年半前から発足している。そのころから、「現地の熊本日日新聞」では、四十二年八月十二日に「〃ネズミ講〃その危険な魅力」ということでもう記事が出ております。それなのに、個人か、みなし法人か、法人かさえもまだ決定していないと。で、いま、所得としては全部申告してもらうというお話がありましたけれども、それをどういうふうに見るのか。雑所得と見るのか、利益金と見るのか、その辺がまだ判然としていないようでございますけれども、これは非常に対策がおくれているのじゃないか。もう一年間で三十数億円を得ているという現状があるわけです。それからいつごろそれじゃその対策が立つんですか、その見通しはどうなんですか。それをお伺いしたい。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) 現在、国税局としては調査を続けておりますが、私のほうとしましてもこの対象が非常に多いという問題がございます。また、この多い対象というものを個別に把握していくことはほとんど困難である、全体としての資料をとらなければだれがこれに加入しているかということが一切外ではわからないというかっこうになっておりますので、そういう点で熊本国税局も非常に慎重に調査を進めておりますので、若干時日はかかると思いますけれども、問題そのものは明確になっておりますので、いずれはっきりした結論を得られることと思っております。(「それは詐欺事件だよと呼ぶ者あり」)

多田省吾公明党

○多田省吾君 ちなみに申し上げますと、この第一相互経済研究所では、すでに玉名に倒産したホテル一竜閣というのがありますけれども、それを買収しております。それから、阿蘇にある大観ホテル、これも買収しております。別府にある青天閣も買収しております。現在は、こういう写真のようなりっぱな大きなビルが建っているのです。そして、この建物の裏側にすでに土地を買って、地上六階地下一階の大きな建物を新築中だということです。こういった所得がありながら税法上まだ何の処置もとられていないということは、しかも四十二年三月から設立されている問題です。で、調査は長くかかるだろうと。こういうゆっくりした方針では、私たちはどうしても納得できないわけです、これを放置しておきますと。警察庁でも言っておられるように、やっぱり国税庁にそれを大きく期待しているのです。ところが、その対策がおくれているために、被害者がぐんぐんいまでも広がろうとしている。どうしてもこれは納得できない。ほかの徴税だったらすごい意気込みでなさるのに、こういったいかがわしいものに対して調査がおくれているということは、私たちは非常に不満でございます。私たちは、現地に行って、全部こういった「御入会のおすすめ」だとか、「細則」だとか、それから宣伝文ですね。それからこういった現金封筒まで二通きちっと早手回しに送ってくるわけです。それから、「西日本新聞」のこういった信用させるための広告までつくって、そして四万円で百二万円にすぐなるんだという広言のもとにどんどん広めているわけです。そういうときに、いまの国税庁長官のお話では、私たちはどうしてもそれじゃおそいのじゃないかと思いますけれども、どうですか。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) 先ほども申しましたように、いまの四万円の口の投資ということは、四十四年の七月から始まっております。また、その後大口の十万円と申しますのは四十四年の十一月から始めております。そういう意味では、所得の形成というのは大体四十五年度に集中してくるだろうと思います。ことし的確に把握すれば本体はつかめるわけでございまして、来年度の申告の際にはこれをしっかりつかまえておくという問題であろうと思います。

多田省吾公明党

○多田省吾君 いまおっしゃったように、四つの方法がある。親しき友の会というのは、元金が二千八十円で、四人を勧誘して、六段階で百二万四千円受け取るようになっております。それから二番目の相互経済協力会というのは、四万円を出して、勧誘人員は二人、七段階で百二万円を受け取る。三番目はマイハウス友の会、元金は十万円、勧誘人員二人、八段階で五百二十八万円を受け取るようになっております。それから先ほど警察庁の方がおっしゃったように、第四番目として、これは中小企業対策と称して、六十万円を出資さして、三千万円入るというようなものを十一月から始めているらしいんですよ。こういったことは、もう大きな問題になります。被害額も六十万円に及ぶような姿になります。これは、国税庁長官のおっしゃったように、もう来年度の徴税ではきちんと見積もりをつけるようにやっていくという方針でございますか、それに間違いございませんか。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) そういうめどで現在調査を進めておるわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 そこで、現在、第一相互経済研究所に勤務している人も、もう一年しか勤務しない人でも二十万円のボーナスをもらっております。もう二百人が勤めております。そのほとんどが老人であり、また若い女性で、いつつぶれてもいいような仕組みになっているようなふうにも考えられるわけでございます。こういった問題で三年もたっているのに何もしていないというのは、私たちは非常に問題じゃないか、こう思うわけでございます。(「国税庁じゃない、警察庁だ」と呼ぶ者あり)  で、先ほど、法務省は、何だかあまりはっきりしたお答えがなかったのでございますけれども、これははっきりと詐欺罪を構成するのじゃないですか。(「詐欺罪だ」と呼ぶ者あり)「三十七章詐欺及ヒ恐喝ノ罪」第二百四十六条の詐欺罪、これには抵触しませんか。

佐藤道夫法務省刑事局参事官

○説明員(佐藤道夫君) 先ほど申し上げましたように、具体的な事実関係の当てはめの問題でございまして、詐欺罪が成立するためには、やはりそれ相応の構成要件に該当するという事実と、それを立証するに足る証拠が必要でございますので、まだ事実関係をつまびらかに承知していない段階には適当ではない、こういうふうに申し上げたわけでございます。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それから出資法違反の疑いもあるわけです。「(出資金の受入の制限)第一条何人も、不特定且つ多数の者に対し、」云々と、時間がありませんから読みませんけれども、その出資法違反にはなりませんか。

佐藤道夫法務省刑事局参事官

○説明員(佐藤道夫君) あるいはすでに先生御承知かとも思われますが、幸運の手紙に関する事件につきまして出資法違反で問擬した一審の地裁判決がございます。しかし、これはまた事実関係が必ずしも本件の場合と一致していないようにも思われますので、明確に出資法違反が成立するかどうかということにも問題があろうかというふうに考えております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 それから先ほど、警察庁では、軽犯罪法の疑いで警告したとおっしゃいましたけれども、軽犯罪法の第一条の三十四項「公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者」、これは当然この中に入ると思うのです。無限の広がりがあると言っておりますけれども、無限ということはありようはずはありませんし、いつかは犠牲者が出てきます。そういったことで、誇大広告ということでこれは軽犯罪法であってもどしどし取り締まるべきだと思いますが、法務省あるいは警察庁はいかがですか。

佐藤道夫法務省刑事局参事官

○説明員(佐藤道夫君) 軽犯罪法につきましては、御指摘のとおり、役務を提供するにあたって人を欺きまたは誤解させるような事実をもって広告するということが構成要件になっております。無限に続くことにつきまして、被害者側にもしそれをある程度意識認容するような感じがありましたといたしましたら、欺く、誤解させるということについてのまた問題が起ころうかと思いますので、この点につきましてももうしばらく検討いたしたいというふうに考えております。

多田省吾公明党

○多田省吾君 これは国税庁にも関係のあることでございますし、また、法律上はっきりしないようでありますけれども、道義上こういったことが許されるかどうか。もしこういう被害がぐんぐんと日本じゅうに広がって犠牲者が出た場合、もう犠牲者が出てからでは何百万人という犠牲者になる可能性もあります。そういった場合に、国税庁では、あるいは警察庁では、一体何をしていたかということになりますけれども、道義上こういった問題に対して大臣はどのようにお考えになりますか。(「道義上じゃない、法律上だ」と呼ぶ者あり)

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この種の仕組みは、終局において大衆に迷惑を及ぼすということが想像されます。そういうことがあってはならないわけでありますので、政府としてもこの問題はどういうふうに処置するか、ひとつ至急相談をいたすことにいたします。

多田省吾公明党

○多田省吾君 そのほか、これは「週刊文春」の記事の中にありますけれども、第一相互経済研究所の所長の内村某という人はこのように言っている。大蔵大臣まで罵倒している、はっきり申し上げて。「大蔵省からもいろいろいうてきます。それも直接でなく間接的に耳にはいる。わしが悪かなら、なんで直接いわんとでっしゅかね。こんど東京に行ったらフクダの前で、そるばいうてやりまっしゅ。大蔵省って国民のための役所じゃなかか。そるば、国民ば貧乏から救おうとしとるワシば弾圧するとは言語道断!、フクダは大蔵大臣の資格なし。わしが罷免してやりまっしゅ」(笑声)罷免するとまで言っております。私は、こういった問題は、もう明らかに詐欺罪あるいは出資法にも抵触すると思いますし、また、国税庁の対策がおくれているためにこういったいかがわしいものがぐんぐんとふえていくのじゃないかと、このように思いますので、ひとつ大蔵省当局においても早急にお調べの上、はっきりした御処置をとって、こうした問題が起こらないように強くお願いいたしまして、簡単でございますが、これで終わりたいと思います。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 長官、ぼくは非常に簡単に相続税の問題について一言伺っておきたいと思いますが、相続税に対しましては、なるたけたくさん取ったほうがいいだろうという意見もあります。いやあまり取るとそれは貯蓄等に影響するのでいかぬよというような意見も、いろいろとあると思いますが、抽象的に伺っておきたい点は、たとえば同族会社の株の評価の問題を非常にシビアにやってきたときに、同族会社というものがどういうかっこうになっていくか、これが一つ。  それからもう一つは、市街地の中の農地の問題がございます。なるほど市街地でございますから、相続をすればいつかの時点では宅地になる可能性というものが非常に強いというのです。だから、これは宅地並みの相続税ですよと、こういうことになる。そこで、これは、地価対策のほうからも、農地の問題については、考えていけばそういう理屈も成り立つと思いますが、公害がこうやかましくなってきたときには、都市の中にも農地というものがあって田園都市というようなものが形成されるということも好ましくて、実際農地であってほしいと思う。ところが、相続税の関係上から言えば、農地にはもう求めることができなくなって、どうしても売らなければ相続税が支払えない、こういうことになってくると思うのですね。それが、やはり、田園というのですか、緑というものを消していくことにもなるわけですね。ですから、私は、いろいろなそのときどきによって政府の大きな政策によってこうしたような点は若干考慮していいと思うのです。ですから、そういうことについて今後考えてみる用意はあるのかないのか。  また、同族会社の観点で申しますと、いろいろなことがあると思いますけれども、その評価に御苦労なすっていまの昭和三十九年ごろの通達が出ておるようでございますが、そういうのに対して御苦労なすってあの通達を試算方式というものをおつくりになったようでございますが、あれの運用を四、五年やってお見えになったわけですから、そうしますと、おそらく、同族会社の中では、それじゃ物納にしてくれぬかよという声が私は同族会社の中では圧倒的に出てくると思うのです。しかし、実際物納にするというと、順序がございまして、簡単に言えば、国債とかいろいろなものを持っておる、不動産があればそれが優先順位だということになれば、まあいろいろなかっこうでそう実は高く評価してくれたんで、うれしいことはうれしいけれども、税金じゃえらい目に会ったわいという声があると思う。よく評価してくれたという声じゃないと思うのです。ですから、こういう問題について、私は、いままでのことはいままでのとおりとして、今後もう一度考え直してみるべきいま時点に来ておるのじゃないか。こういう立場に立って、あなたは、いやいや検討する必要はないわいという立場なのか、検討をされる用意があるのかないのか、その辺を伺っておきたいと思う。あとは意見になりますから、私はこれだけでもうやめるつもりです。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) いま御指摘になりました点は、実は相続税の評価で一番むずかしい部分でございます。それだけに問題も非常に多いと思いますし、実際上同族会社の株式は取引の実例がございませんので、何らかの形で評価をしなければならぬということになるわけです。一面において、同族会社の場合は、個人の事業と非常に類似した性格を持っておりますので、それに最も近いものを考えれば、個人の財産評価と同じ基準でそれぞれの会社の資産を評価して、その実質価格で課税すればいいという考えもあり得ると思います。しかし、同時に、株式そのものが一般の上場会社の場合は利回り換算で、実際の資産価格と違う評価が客観化されております。それに非常に近い形態の大型の同族会社の場合でございますと、その実際の資産価格というよりは、その業種における他の類似の株式の評価とむしろ近く考えて、それらの点を考えまして、現在は、昭和三十九年に実務経験者あるいは学識経験者を集めましていまの評価基準というものができ上がったわけでございます。この基準は、税だけでなくて、証券会社が上場株式の評価をするような場合、新しく上場する場合の評価決定にも使っておるようなもので、かなり客観的なものだと私は思っておりますけれども、一方において、ただいま仰せになりましたように、物納をすると申しましても、これはかなり問題がございます。結局は、延納の期間というものをもう少し考えて、延納の期間中にいろいろな方法で納付をするということが必要だろうかと思います。その点で、延納について若干期間が短いのじゃないかという感じもございます。実際のいま御指摘のありました点は、相続税のいわゆる時価主義と申しますか、資産の時価をとらえて課税するというたてまえから申しますと、評価方法というのは、いろいろ考えましても株式の場合はこういうところに落ちつくのではないかという感じがいたします。もちろん、三十九年からもいろいろ無理な点は改善を加えております。今後ともその実態に即した方法を考えていくということには変わりはないわけでございますが、基本的に時価から離れてしまうということになりますと、これは相続税の基本問題になりますので、その点はちょっと無理かと思います。しかし、同時に、実態から申しまして、はたして相続税の税率がいいのかどうか、あるいは延納期間がいいのかという問題は、今後とも税制調査会その他で検討していただく必要があるのじゃないかいう感じはいたしております。そういう意味で、今後とも実態的な検討は私ども実務として続けてまいりますけれども、相続税法全体、相続課税全体をいまの時代の経済の流れあるいは国民資産の増加というものに合わせてどう考えていくかという問題として解決される部面が非常に多いのじゃないかという感じを持っております。

成瀬幡治日本社会党

○成瀬幡治君 農地はどうですか。

吉國二郎国税庁長官

○政府委員(吉國二郎君) 農地につきましては、おっしゃるとおり、地価対策とかいろいろな意味がございましょうけれども、相続税としては地価対策というものは別の観点としてやはり時価としてとらえていく。その時価が、いわゆる交換価値であるその近傍の土地との評価を統一するという観点から申しますと、いまの都市近傍農地の宅地並み評価——宅地並みと申しましても、実際に農地で売買される場合にはあと造成費その他がかかりますのでかなり低くなってきますけれども、それを基準としてきめざるを得ないということは当分やむを得ないのではないかと思います。

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。     —————————————

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 次に、請願の審査を行ないます。  第一三号納税貯蓄組合補助金の増額に関する請願外二十九件の請願を一括して議題といたします。  速記をやめて。   〔速記中止〕

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 速記を始めて。  ただいま御審議願いました三十件の請願のうち、第一三号納税貯蓄組合補助金の増額に関する請願、第七八号塩専売制度存続に関する請願、第二五一号生命保険料の所得控除限度額の引上げ等に関する請願、及び所得税法の控除対象配偶者基準の引上げに関する請願第三一二号外二件、以上六件の請願は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗原祐幸自由民主党

○委員長(栗原祐幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会

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